旅の再開は、再会の旅へ。いつでも万全に準備している。その時が来たら、是非お越し頂きたい。
『沖縄美ら海水族館』のある街に『Ristorante RE』はあります。
店名に掲げる「Re」の意味は、Refresh、Relax、Resort。
ランチ、ディナー共に1日1組のみ、『Ristorante RE』の体験を求め、県外からも多くの人が訪れていました。
「『Ristorante RE』のある本部町は、観光客の多い地域ですが、コロナ禍によって町は一気に閑散としてしまいました。沖縄県全体でもそうですが、本部町は特に厳しい状況なのではないでしょうか」。そう話すのは、シェフの三沢 賢(まさる)氏です。
「町は静かになってしまいましたが、私たちは今も変わらず、1日1組のスタイルで営業させていただいております。こんな状況のため、お客様をお迎えできない時期もありましたが、今では地元の方々にお越しいただけるようになりました。大きな移動が控えられるようになった中、沖縄のお客様にお越しいただき、大変助けられました。もちろん、沖縄の魅力をたくさんの人に知っていただくのは嬉しいですが、地元に地元の魅力を再発見してもらえることは、とても嬉しいです。そして、こうして地元に支えられながら営業できることに私たちは恵まれていると痛感します」。
そんな中、ある変化を感じたと三沢シェフは言います。
「新型コロナウイルスの感染拡大によって、否応がなしに以前と比べて時間ができました。これからのことや未だ続くこの難局に悩みはつきませんが、そんな中、料理と向き合う時間を多く作りました。これは、前向きな変化だと思っています。それを続けた結果、自分でも感動するほどの新レシピも開発できたのです。もちろん、お客様に提供する料理はどれも自信を持って提供していますが、数年に一度できるかできないかのレシピだと自負しております。パイナップルを使った料理なのですが、自由に移動ができるようになったら、是非、お召し上がりに来ていただきたいです!」。
前回、取材に訪れたのは2020年1月。新型コロナウイルス直前のことでした。
当時、三沢シェフは、「開店から10年経ち、ようやく立てたスタート地点に立てた」と話していましたが、その直後に世界中が難局に陥ることを知る余地もありませんでした。
良きレストランが増え、良き生産者が育ち、沖縄の食文化は新たなステージへ。一朝一夕でなく、「長いスパンで考え、現状と向き合うことが自分も含めてやるべきこと」だと言葉を続けていた三沢シェフは、この「現状」とも真摯に向き合います。
自粛や緊急事態宣言は発令されては解除。解除されては発令と行ったり来たり。時短営業による支援金、給付金はあるも、状況はそれぞれ異なるため、全てが満足できるかというと難しい問題です。個人、企業問わず、死活問題は未だ続いています。
「政府の動きが遅いとか、対策が曖昧いといった意見を聞きますが、確かに完璧な対応ではなかったと思います。しかし、政府の方々も今まで経験したことのない状況の中で精一杯やってくれているのではないでしょうか。もちろん、個人的にはもっと飲食店を支援して欲しいと思いますが、違う立場だったら違うことを思っているはずです。色々な立場や考え方の人がいる中で、うまくバランスをとっていただければと思います」。
一刻も早く願うこと、それは世界中に平穏な日々が戻ることに尽きます。
「とにかく、この状況が早く収まることを願うばかりです。県外からよく来てくださっていたお客様もいます。そういった方々が気兼ねなく訪ねて来られるように早くなってほしいです。ともあれ、“来てください!”と、堂々と言えないのはお店をやっている身としては寂しいのが本音です。いつでも万全の状態でお客様をお迎えできるように準備しているので、その時が来たら是非お越しください。そして、地元の人でも感じたことのない魅力を表現できるように、これからも精進したいと思います」。
住所:沖縄県国頭郡本部町具志堅717 MAP
電話:0980-48-2558
http://www.fiori-rossi.com/
Text:YUICHI KURAMOCHI