









永遠の藍染。
2021年1月、新しい食の楽しみを提案するECサイト『GOOD EAT CLUB(グッドイートクラブ)』が始まりました。初夏からの本格始動に先駆けて、まずはβ版サービスのスタート。
仕掛け人は、これまで数々のコミュニティを創出してきたカフェ・カンパニー代表の楠本修二郎氏。
楠本氏がNTTドコモとタッグを組み、「GOOD EAT=愛すべき食」をコンセプトに、地域の食文化、地元の名店、尊敬する生産者など日本中に息づく「愛すべき食」を未来につないで、世界にも広げていこうというプロジェクト。従来のECサイトとは一線を画し、2021年初夏の本格ローンチからは、オンラインとオフラインを融合させた食のマーケット&ファンクラブへと展開していく予定です。
そして『ONESTORY』も、この新しい食の取り組みに賛同。
これまで日本各地で開催してきた『DINING OUT』を通じて出会った素晴らしい食文化、地域の食材、生産者、シェフ――。さまざまな「愛すべき食」を、キュレーションしてお届けしていきます。
さまざまな人にとっての「愛すべき食」が集まり、新しい食の楽しみを広げていく『GOOD EAT CLUB』。はたしてこれからどのようなメディアとなっていくのでしょうか。
仕掛け人の楠本氏に、『GOOD EAT CLUB』への思いやこれからのことを伺いました。
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「カフェはメディアである」の言葉どおり、時代の変化に合わせたさまざまなコミュニティの場を提案し続けてきた楠本氏。
2021年、地球規模での大きな社会変化の中、どのような思いで『GOOD EAT CLUB』をスタートさせたのでしょうか。
「社会の変化に応じて求められるコミュニティも変わるし、コミュニティの形態そのものも変わっていく。コロナを機に、これから先のオンラインビジネスは電子商取引という機能面だけではなく、真剣に、顧客体験価値の増幅を生活者視点でやり切ることがとても重要だと思っています。それは、カフェ・カンパニーが今まで創ってきたコミュニティの発想と一緒。楽しくて自然に参加していくことから地域や社会との繋がりが生まれ、その人の生活が本当の意味で豊かになっていくというようなユーザー体験をいかに創出していけるか、ということです。
食は誰にとっても欠かせないものであるはず。そして、日本の未来にとっても大切な生活文化でもあります。だから、オンラインとオフラインを行ったり来たりできるようなプラットフォームを食を中心に作り出せたら、ECの可能性はすごく大きくなると思っています」。
楠本氏が掲げるのが「エモーション・コマース」という概念。
単なる売買のためのマーケットではなく、これまでカフェというリアルな場で繰り広げられてきたような、人々が集まり、食の楽しさや喜びを語り合うコミュニケーションが生まれていくオンラインの場。美味しさだけでなく、未来につなげていきたい味の応援などの「感情」も価値化して、双方向のやりとりが生まれていく場所。
「たしかにコロナによって社会の変化は一気にやってきたけれど、それよりも前からずっと日本が直面していたのが少子高齢化の進行と人口減少という課題です。これからの10年、ますます世界が変化していく中で、どれだけ日本の食産業を強くできるか。世界に勝負をかけていけるか。そのことに本気で向き合いたいという思いはずっと持っていました。
これまで、日本の食産業は、外食なら外食、食品メーカーなら食品メーカー、食品加工業…と、ずっと縦割りで、それぞれがそれぞれで頑張ってきました。でも、コロナ禍が落ち着いた時、変化した社会に対して今まで通りの“通常運転”をしていていいのだろうか。食産業をどんどん横軸で連帯させて、強いブランドを生みだしていくようなプラットフォームが必要なんじゃないかなと」。
コロナ禍をきっかけに本格始動した、食産業全体を盛り上げる業界横断型のプラットフォームという発想。その思いをさらに強固にした背景には、確実に広がっていた「中食(なかしょく)」の需要がありました。
「これまではレストランに行くということは家での食事とは別の大きな楽しみだったと思います。コロナ禍においてはこの楽しみが少なくなってしまった。とはいえ、ルーティンとしての家での食事ももちろんいいのだけれど、この、『外食する楽しみ』が家の中にも拡張されたら生活ももっと素敵になるのではないかな、と思うんです。たとえば、今週末は地方の名店の鍋セットにビオワインが合わせて届いて、それをお気に入りの音楽をかけながらみんなで食べるという経験は、これまでの飲食店だけでは経験できなかった『中食」の楽しみ方。料理もお酒もデザートも、音楽も、着る服も、シチュエーションも、家だったら楽しみ方は無限大なんですよね。
日本の食の素晴らしさは、クオリティはもちろんだけど、そのバリエーションにもあります。とある方が、『世界からも賞賛される日本の美食とその多様性は、ルネッサンス以来の人類の発明だ』とおっしゃっていました。それぐらい、いま僕らは美味しい時代を生きている。ありとあらゆる掛け合わせができる食体験をオンラインとオフラインの融合によって提供して、もっと“食べること”を豊かに、楽しくしていきたいです」。
『GOOD EAT CLUB』の中でひと際気になるのが「Tabebito(たべびと)」という存在。お笑い芸人の又吉直樹氏や、「OAD」世界のトップレストランNo.1レビュアーの浜田岳文氏、ワイン漫画『神の雫』の原作者・亜樹直氏などバラエティ豊かな顔ぶれの「Tabebito」たちが、偏愛たっぷりに熱量高く推薦する「愛すべき食」が特集記事で紹介されるだけでなく、実際に購入することもできる仕組みです。
「オーソリティによる権威づけももちろんいいのですが、GOOD EAT CLUBでは、もっと僕たちに寄り添ってくれるような、自然体で等身大の『これいいよね〜」という声も伝えていきたい。自分がいいと思ったことを、素直な言葉で表現してくれる旅人のような軽やかさと自由さがある人たちがTabebitoです。誰かの『これ好きなんだよね」が集まって、シェアしたり共感したり、そういうことがどんどんスパイラル状に広がってつながっていくといいなあと思っています」。
気のおけない仲間同士が集まった時に交わされる会話の延長線のような、力の入っていない自然体なやりとり。そんなところにこそ、格好つけない本音が隠されていたりします。
「『あの時のあれ美味しかったな」という記憶って、その時の風景なんですよね。トライアスロンで倒れそうになって完走した後に仲間から分けてもらったバナナの美味しさが忘れられないとか。美味しかったのは、そのもの自体よりも、情景や気持ちが相関する風景として記憶してる。『美味しい」って風景と記憶なんです。だから、「愛すべき食」というのは本当に人それぞれ違う。だからこそ、その中に本質的なものがあると思うんです。そういうものをきちんとつないでいくことで、未来に本当に良いものが継承されていくんじゃないかな』
人それぞれが大切にしているさまざまな「愛すべき食」。その気持ちごと可視化して、シェアをして広げていく。それが『GOOD EAT CLUB』の目指すマーケット&ファンクラブの形。「お店や作り手に対しての共感や共鳴は、チップのような応援の仕組みとして実装します。場合によってはクラウドファンディングなども立ち上げることも」。
「食品加工業のエキスパートとシェフ、老舗と食品メーカーなど、これまで出会えなかった食のプレイヤーたちがつながり、共鳴して、それぞれの掛け合わせ、響きあわせの中で強いブランドが生まれていくような場所にもしていきます。チャレンジがどんどん生まれていくラボのようなイメージです。そのために僕らがオーケストレーターとなって、いろんなプライヤーたちをつないでいく。まさに『ONESTORY』が得意なことですよね。そういう活動を、これからますます『ONESTORY』と一緒に取り組んでいきたいと思っています!」と、楠本氏は熱を込めて語りました。
『ONESTORY』が主催する幻の野外レストラン『DINING OUT』チームが最初にお届けする商品は、過去開催地から厳選した「日本茶」6選。商品の詳細は『GOOD EAT CLUB』で是非ご覧ください。
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルートコスモス、大前研一事務所を経て、2001年カフェ・カンパニー株式会社を設立、代表取締役社長に就任。2019年GYRO HOLDINGS株式会社を設立、代表取締役に就任。コミュニティの創造をテーマに店舗の企画・運営、地域活性化事業、商業施設プロデュースを手掛ける。内閣府クールジャパン等の政府委員や東日本の食の復興を目的とした東の食の会代表理事等も歴任。
2021年初旬よりスタートした、「GOOD EAT=愛すべき食」をコンセプトに新しい食の楽しみを提案するECサイト『GOOD EAT CLUB(グッドイートクラブ)』。
『ONESTORY』も、この取り組みに賛同し、これまで日本各地で開催してきた『DINING OUT』を通じて出会った素晴らしい食文化、地域の食材、生産者、シェフ――。さまざまな「愛すべき食」を、キュレーションしてお届けしていきます。
第一弾は、「日本茶」。
『DINING OUT』で開催地域の食材や生産者の魅力を言語化し、トップシェフの思考、哲学に合わせて伝えてきたフードキュレーターの宮内隼人が、これまで出会った素晴らしい生産者と相談しながら6つの茶葉を厳選しました。
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「美味しさはもちろんだけれど、日本各地にそれぞれの文化があって、楽しみ方の幅もとにかく広い。新しい食の楽しみの扉を開ける『GOOD EAT CLUB』で「楽しみ方」を提案するのに、日本茶はうってつけのテーマだなと思いました」と、今回のキュレーションを担当した宮内。
これから毎回ひとつのテーマを決めて、『DINING OUT』を切り口にキュレーションをしていく“GOOD EAT”。
第一弾は、日本各地の生産者さんのお茶を「旅」するように味わう楽しみに加えて、朝起きてから夜眠るまで、一日のバイオリズムに寄りそうお茶体験も楽しんでいただけるように、宮内が生産者さんと綿密に相談しながら6種類の日本茶を厳選しました。
選んだのは、静岡県のお茶問屋・マルモ森商店さんのフレーバーティ2種(煎茶+レモングラス、焙じ茶+クローブ)、宮崎県のお茶生産者・宮崎茶房さんの発酵茶2種(みねかおり白茶、みなみさやか紅茶)、そして広島県のお茶問屋・今川玉香園茶舗さんの緑茶(八女上陽さえみどり)と玄米茶。
「日本茶」と言えども、茶樹が育つ標高の違い、茶葉の摘み方の違い、蒸したり炒ったり発酵させたりといった製法の違い、あらゆる要素の掛け合わせで、緑茶も紅茶も烏龍茶も、さまざまに展開していく日本茶の奥深さ。その奥深さを体験できるセットです。
「マルモ森商店さんも宮崎茶房さんも今川玉香園茶舗さんも、もちろん日本茶と聞いて真っ先に思い浮かべるような緑茶も作っているんですが、その上で、皆さんそれぞれ三者三様のキャラクターがあって、唯一無二の取り組みをされている。いろいろな日本茶のバリエーションに出会って、このセットをきっかけにお茶の楽しみが広がっていくスターターキットにしていただけたらいいなと思っています」。
まだまだ自身もお茶のことは勉強中だという宮内。日本茶に興味を持ったきっかけはなんだったのでしょうか。
「『DINING OUT』で日本各地を回っていく中で、各地にその土地の風土や文化にあったお茶があるということを知りました。また、『DINING OUT』の現場では、シェフたちが十人十色、さまざまなお茶の楽しみ方を提案をしていて、それがすごく楽しいし、何より美味しかった。それから次第にお茶への興味が湧いていきました」
なかでも、大分・国東半島の『DINING OUT KUNISAKI』で見事なお茶のペアリングを提案した『茶禅華』川田シェフからの影響が大きかったという。
「川田さんは中国茶に対する知識もとにかく深いんです。一度、川田さんのお店でいただいた金萱茶(きんせんちゃ)という中国茶があまりにも美味しくて感動して、同じものを日本中探したことがあるんですが、どんなに探しても同じ美味しさのものに出会えなくて…。川田さんにお話ししたら、生産者さんによって味が全然違っていて、この生産者さんでないと出せない味なんだと言うことを教えていただきました。それ以外でも、お茶の温度や出し方まで徹底的に研究して実践されていらっしゃることを知り、僕自身のお茶への興味も深まっていきました」。
極めればどこまでも広がっていくお茶の世界。完璧な美味しさを追求するガストロノミーなお茶の楽しみもあれば、日常に寄り添って「ケ」の食としての楽しみもある。身近にこんなにも包容力のあるお茶の世界が広がっていたのにもかかわらず、私たちはあまりにも日本茶のことを知らないのかもしれません。
「今回いろんな方にお会いするまで、お茶問屋さんってお茶の流通の部分を担う仲介役だと思っていたんです。でもそれはお茶問屋さんの仕事のほんの一部。彼らはお茶に対するものすごい知見を持って、その人の好みや要望に合わせたお茶を提案してくれるお茶のキュレーターのような存在なんです。真骨頂はブレンドの技。お茶のブレンドのことは「合組(ごうぐみ)」と言うんですが、オーダーに応じて茶葉を選んでブレンドして、炒るところまで様々な変数を調整してお茶の味を整えていくところまでやってしまう。本来お茶はオーダーメイドに楽しめるということだったり、それを実現するものすごい審美眼と技術を持つお茶のプロフェッショナルがいるということを、このお茶を通じて知ってもらえたら嬉しいですね」。
食と出会うことが、その食を取り巻く匠の技や、生まれた地域の文化を知るきっかけになる。それはまさに『DINING OUT』の発想、そして「愛すべき食」でもあります。
これまで日本各地、18カ所で開催してきた『DINING OUT』。そこで出会ってきた数々の素晴らしい食材、食文化を、よりたくさんの方に体験いただけるような第二弾、第三弾の「愛すべき食」も計画中です。
「いろんな思いが詰まっていますが、とにかく美味しいので、まずはそれを体験していただきたいですね」。
今回ご紹介した第一弾「日本茶セット」の詳しい情報は『GOOD EAT CLUB』に掲載中。同時に販売も行っておりますので、この機会に是非ご賞味ください。
1977年東京都生まれ。18歳から料理の道に入り「ラ・ビュット・ボワゼ」「ダズル」を経て2010年、大阪の三ツ星レストラン「HAJIME」に入る。5年半の経験を積み2013年に徳島県祖谷で開催されたプレミアムな野外レストラン「DINING OUT IYA」に参加。生鮮食材の物流に関する知識習得のため大阪の特殊青果卸「野木屋」を経て、2016年より現職。現在「DINNG OUT」では、開催地域の食材(生産者)の魅力を言語化し、トップシェフの思考、哲学に合わせて伝える翻訳者として活動。また、ラグジュアリーブランドとコラボレーションした食品開発、ブランディングまで「食」領域のプロデューサーとして活動の幅を広げている。