味わうだけでなく地域を体験するワイン・ツーリズムに出かけよう。[つくばワイン/茨城県つくば市]

つくばのワインと食を旅するワイン・ツーリズムに出かけた真藤さん、大越氏、白土さん(左から)。筑波山の麓、なだらかな山裾に開かれた『つくばワイナリー』のブドウ畑を訪れるなど、都心から近いつくば市内で日帰り旅を楽しんだ。

つくばワイン日本を代表するソムリエをはじめ3人のワインのプロが「つくば市」へ。

茨城県つくば市をご存じでしょうか? 県南地域に位置する市で、都内なら秋葉原駅や北千住駅からつくばエクスプレスに乗ると、60分もあれば中心地にある「つくば駅」に到着します。

古代から名峰として信仰を集めた筑波山の麓に広がる田園地帯は、豊かな古の人々の生活を想起させる一方で、駅周辺は機能的に街が作られ、さながら近未来都市のような趣があります。さらに、つくば市が目指す未来型教育も注目され、移住者も増加。人口減少が問題視されている日本にあって、30年以上人口が増え続けている自治体でもあります。

また、住むだけでなく、旅やビジネスの目的地になっているのも、つくば市の特徴です。筑波山周辺で登山やキャンプなどのアウトドアを目的にくる人もいれば、JAXAをはじめ先端技術の研究・開発のために訪れる研究者や技術者がいる街は、日本でも珍しいのではないでしょうか。

住む人、訪れる人、さまざまな人が行き交う街、つくば。この街に、また新しい目的をもった人たちが集まり始めています。

近年、筑波山周辺につぎつぎに開園しているワイナリーをまわる人たちです。現在は、ワイナリーやヴィンヤード(ワイン用ブドウ園)が5つあり、これらを中心にした食の旅「ワイン・ツーリズム」に期待が寄せられているのです。

今回、つくば市のワイナリーやヴィンヤードを訪れたのはフランス料理の老舗『銀座レカンの元シェフソムリエで、現在はJALのワインディレクターとして活躍するソムリエの大越基裕(おおこし・もとひろ)氏と、人気酒販店『いまでや』に勤務しながらさまざまな活躍を展開する白土暁子(しらと・あきこ)さん、やまなし大使として山梨ワインの魅力を発信する料理家の真藤舞衣子(しんどう・まいこ)さんです。

ワイナリーやヴィンヤードだけでなく、市内の野菜の直売所やパン屋やチーズ屋などをめぐってワインに合うフードも購入しながら、テイスティングをしました。1日でめぐるつくばのワイン・ツーリズムの可能性を探っていきます。

日本を代表するソムリエの一人、大越基裕氏。第一線の飲食の舞台で活躍してきた知識と経験で、つくばワインの魅力を言葉にしてくれた。

料理家であり、フランスのリッツエスコフィエにてディプロマを取得しワインにも精通する真藤舞衣子さん。ワイン・ツーリズムを日本で先駆けて取り組んだ山梨県のワインにも詳しい。

白土暁子さんは、じつは茨城県出身。転勤の多い家庭だったこともあり、幼少期に関西へ。茨城県の記憶はほとんどないが、その後、仕事で数回訪れている。

つくばワイン筑波山周辺の土壌にあったハイブリッド品種でワインを造る。

つくばエクスプレスの「つくば駅」から旅をスタートさせた3人は、筑波山を目指して車で北上します。

はじめにたどり着いたのは、2013年からワイン用ブドウを育て、市内ではもっとも古いワイナリーである『つくばワイナリー』です。

筑波山麓の風光明媚な地、北条地区に開かれた圃場は、新年度のブドウ栽培の最初の仕事である剪定が終わったばかり。病気に強く筑波山麓の気候風土や土壌にも合うと、11年前に植えたヨーロッパ品種と日本の山葡萄品種をかけ合わせたハイブリッド品種である北天の雫(白ワイン用、行者の水×リースリング)や富士の夢(赤ワイン用、行者の水×メルロー)、ヨーロッパで注目を集めている黒ブドウ(赤ワイン用)のマルスランの樹が並んでいます。

圃場を案内するのは、岡崎洋司(おかざき・ようじ)氏。その後の試飲で3人が選んだのは北天の雫100%の「TSUKUBA BLANC プレミアム 2020」と富士の夢100%の「TSUKUBA ROUGE プレミアム 2020」でした。

「『TSUKUBA BLANC プレミアム 2020』は、フルーティでリースリングの遺伝子を感じるよね。野菜とか葉っぱもの、ハーブの感じと相性がいいかもね」と大越氏。
「もう1本の『TSUKUBA ROUGE プレミアム 2020』は、山葡萄特有の野性味とグレーピー(ブドウジュースのよう)な風味が特徴的。酸がしっかりとあり、濃い割りにはタンニンが少ないことがポイントになるので、油脂分はそこそこで、テクスチャー(質感)の柔らかな煮込み系の料理などが相性が良さそう。豚を角煮にしたり、プルーンを使って一緒に煮込んだりとかかな」と感じたようです。

真藤さんも「スモークチキンとか燻製したものとかにもあいそうだから、ターキーとクランベリーのソースとか良いかもしれないよね」と料理家の目線で家庭料理の提案もしてくれます。

『つくばワイナリー』の自家醸造所にはショップが併設されており、購入することもできる。営業時間13:00〜17:00(日・祝は10:00〜17:00)定休日なし。

『つくばワイナリー』では、ハイブリット品種の北天の雫や富士の夢のほか、ヨーロッパ品種のメルロー、シャルドネ、マルスランの合わせて5品種を1.5haの畑で育てている。

2019年には、つくば市初となる自家醸造所が完成。国内複数の醸造所での経験をもつ北村 工氏が醸造責任者に就任し、さらに高いクオリティのワイン造りを目指している。

『つくばワイナリー』の醸造所兼ショップの建物の前の庭で昼休憩。向かう途中にある「ベッカライ・ブロートツァイト」でパンを、「ラ・マリニエール」でヨーロッパチーズを購入してきた。

「ベッカライ・ブロートツァイトのパンは味がしっかりしているので、この『TSUKUBA BLANC プレミアム 2020』の樽を少し使用して作られている白の方が、テクスチャーもしっかりしているので良く合いますね」と大越氏。

つくばワイン霊峰・筑波山を仰ぎ見るブドウ栽培に適した場所。

続いて3人が向かったのは、同じく筑波山麓の沼田地区と臼井(六所)地区に圃場をもつ『ビーズニーズヴィンヤーズ』です。

今村(いまむら)ことよさんは、守谷市出身でもともとは製薬会社の研究員でした。40歳を期に脱サラし、筑波山周辺は、日本では珍しい花崗岩質の土壌だったこともありワイン造りをつくばで始めました。

ビーズニーズヴィンヤーズでは、2カ所の圃場を見学後、今村さんが用意したテント内で試飲を行った。快晴で汗ばむほどに晴れたこの日、筑波山から吹き降ろす風が心地よい、ヴィンヤード(ワイン用ブドウ園)ならではのロケーションです。

ティスティングはまず、「Episode 0 (zero) 2019」から。黒ブドウのシラーを3割、残りはシャルドネとセミヨンから造ったスパークリングワインです。そして栽培している白品種をすべて混醸して造った「Spiral 2020」と、シラーとヴィオニエを混醸した「Purple Peaks 2020」と続けて試飲していきます。Purple Peaksは、筑波山の山肌が斜陽で紫に染まることから「紫峰」と呼ばれているところからつけた名前だそうです。

そんな中、大越氏が気に入ったのはティスティングの最後に出された「Overdrive Oak 2018」、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、タナなどのヨーロッパ品種を2タンクに分けて発酵後、樫材のチップ(オークチップ)で樽の風味付けをしたものです。

「口のなかでアルコールやタンニンを総合的に感じたときのテクスチャー(質感)が好きです。凝縮感もあります。この年のようなスタイルが、ある程度コンスタントにできればいいですね」と、本格的なアドバイスを今村さんに送っていました。

標高877m、男体山と女体山の2つの峰を持ち、古くから信仰の山として崇拝されてきた筑波山。今回のツーリズムで訪れた圃場のうち、筑波山にもっとも近いのが『ビーズニーズヴィンヤーズ』の圃場だ。

白ワイン品種は、シャルドネ、セミヨン、ヴィオニエ、ヴェルデーリョ、赤ワイン品種は、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド、タナなど、多くの人が一度は聞いたことがあるようなヨーロッパを代表するワイン用ブドウの品種を2つの圃場で合計1.5haで育てている。

「いわゆる自然派ワインによくある、クセのある匂いが出ないように、きれいに醸造して素直に食事に合うワインを造りたい。ただ、今は委託醸造をしていて、委託先ごとに設備が違ってくるのでそこは仕方ないですね。将来的に醸造も自分でやるなら瓶詰め時の窒素置換は必須ですね」と今村さん。

つくばワインこの小さなエリアに、これだけの良い食のプロダクトが揃っているのは珍しい。

3つ目の訪問地『つくばヴィンヤードは、筑波山から12㎞ほど南にある栗原地区にあります。すこしだけ筑波山から遠くなりましたが、まだしっかりと山容を確認することができます。いつも旅人を筑波山が見守ってくれる、それもまたつくばを旅する特別な楽しみ方といえます。

つくばヴィンヤードでは、旅の合間に買ったワインに合うフードを食べながらの試飲会にしようと髙橋 学(たかはし・まなぶ)氏が炭火を起こして待っていてくれました。

髙橋氏が勧める白ブドウ品種、プティ・マンサン100%の「Tsukuba Series プティマンサン」やつくばワイナリーでも栽培している富士の夢100%の「Tsukuba Series Kurihara」などとともに、即席の野外レストランです。

3人が購入してきたのは、レンコンや原木椎茸、ハーブといったつくば市産の野菜に『手づくり工房ぴあらハム』と『筑波ハム』のハムやソーセージといった加工食品。さらに県外の人もわざわざ買いにくる人気のベーカリー『ベッカライ・ブロートツァイト』とチーズショップ『チーズ専門店 ラ・マリニエール』では、パンとチーズです。

「『筑波ハム』は、社会的な食のニーズや地元の声を聴く中で無添加のハムを作り始めたとおっしゃっていました。腐敗防止発色のために使われる硝酸不使用なので、時間をかけてていねいに作るのでまだ肉本来の風味や食感が残ってとてもおいしい。製造量は少ないそうですが、こういった取り組みが根付いていってほしいですね」というのは、白土さん。

「プティ・マンサンがきれいでおとなしい印象があるので、無添加で味が決まりきっていない肉本来のやさしい味わいのハムが、風味と味わいの強さとしても一緒に飲んでもおいしくいただけるよね」と大越氏もワインとの相性の良さを感じていました。

「『ラ・マリニエール』で買ってきた12カ月熟成のコンテや羊乳のシェーブルと食べてもいいですよね。とくにコンテを食べた後に飲むと、コンテにつられて、ワインのうま味も出てくるように感じます」(白土さん)。

「いろいろな地域でワイン・ツーリズムだったり、地域おこしをしていますが、これだけいい食のプロダクトが小さなエリアのなかに揃っているのは、珍しいですよね」(真藤さん)と、筑波山を遠望する気持ちのいい空間で、ざっくばらんにつくばワインと、つくばの食についての会話が続いていました。

筑波山を背景に、『つくばヴィンヤード』の圃場内で『つくばヴィンヤード』のワインの試飲とともに、購入してきた地元の食材といっしょに食べ飲みをしてみる。自然にあふれ開放感がある場所は、それだけでワインと料理の最高のスパイスになる。 

つくば市産の原木椎茸やレンコンのような地元の食材を、地元の調味料で食べながらその土地で作られたワインを飲む。「場所は畑の中や通りかかった公園などでも十分で、そういう楽しみ方ができるのがワイン・ツーリズムの良さですよね」と白土さん。

つくば市にワイン特区の申請を勧めたのは、髙橋氏。「僕のように一人でブドウを育てて醸造もしている人たちにとって、製造量が少ないところから始められるのが、すごくありがたい」と髙橋氏。

平日でも午前中からたくさんの人が集まる人気の直売所『みずほの村市場』では、カラフルトマト、レンコン、原木生椎茸、芽キャベツといったつくば市産の産直野菜のほか「ぴあらハム」のハムとソーセージを購入した。

ドイツパンの専門店『ベッカライ・ブロートツァイト』では、ドイツの田舎パン「バウアンブロート」(ホール、1,000円)と「レーズンパン」(ホール、1,300円)を購入。しっかりと焼かれてガリっと香り高い表面のテクスチャーとは対照的に中は、やわらかくうま味が強い。

『ベッカライ・ブロートツァイト』から歩いて3分ほどにある『チーズ専門店 ラ・マリニエール』。フランスやイタリアの輸入チーズをメインとした輸入食材を扱う。12カ月熟成のコンテ(950円)と、ブイゲット(山羊のチーズ、1,950円)を購入した。

1981年に創業した『筑波ハム』は、茨城県のブランド豚を使ったハムやベーコンを手造りで販売している。自然派志向のニーズを受けて発色剤や食品添加物を使わずに、ゆっくりと熟成させた無添加商品も開発している。無添加つくば豚ボンレスハム(5,642円)などを購入した。

つくばワイン突出した生産者の存在が、産地全体のレベルアップにつながる。

「ワイン・ツーリズム」という言葉は、1996年に初めて使われるようになった比較的新しい言葉であり概念です。

ワインのティスティングやワイン産地の気候風土を体験することが最大の動機になるような旅のことをいい、その訪問先は今回のようにワイナリーやヴィンヤードのほか、ワインフェスティバルやワイン展示会なども含まれます。日本では、2000年代になって使われるようになりました。

もちろん、ヨーロッパには、ワイン・ツーリズムという言葉で呼ばれなくとも、ワインを目的にした旅の楽しみは以前からありました。日本でも日本酒の銘醸地への旅や、旅先で地酒と地域の食を楽しむ旅のスタイルは昔からあり、ワイン・ツーリズムに近いものといえます。
ヨーロッパのワイン文化にどっぷりと浸かってきた大越氏にとってワイン・ツーリズムは、そもそもの「旅」の本質でもある「地域体験」にあると考えています。

「ワインは、『どこで作られているか』ということが最も大事です。この地に合っているから、このブドウを使っていますっていうのが本来のワインの姿。だからこそ地域のこともよく知る必要があり、総合的に土地の個性を打ち出すことができる存在になるのです」と、大越氏。

つくばのワイン生産者をまわり、それぞれが個性的で意欲的なワインを造っていることを感じとったという大越氏。なかでも土地の個性をより強くワインで表現していたのは、最後に訪れた『ル・ボワ・ダジュール』の青木 誠(あおき・まこと)氏だったといいます。

「試飲させてもらったシャルドネは、『ビーズニーズヴィンヤーズ』の今村さんから買い取ったブドウで青木氏が醸造したもの。もう1つのヒムロットも、借りている圃場に昔からあった樹齢50年という生食用のブドウ品種だといいます。その中でしっかり味わいののったワインを目指して補酸や補糖もせず、ナチュラルな味わいのバランスをアルコール度数に頼らず作り上げている。多くの人が『何のブドウ品種を使っているか』から話を始めるなか、根本的な考え方があると思いました」(大越氏)。

この意見に、白土さんも「一番『こういうワインを造りたい』というのが伝わってきたよね」と賛同します。

日本におけるワイン・ツーリズム発祥の地・山梨県でやまなし大使としてワイン・ツーリズムの取り組みを見つめてきた真藤さんは、「突出した生産者の存在が、産地全体のレベルをアップさせるのをみてきました。海外でしっかりとワイン醸造を学ばれてきた青木氏は、その生産者になる可能性がある」とも話してくれました。

つくばエクスプレスの「つくば」駅から車で10分ほどの住宅地にある『ル・ボワ・ダジュール』は、フランスのワインの銘醸地域であるジュラとブルゴーニュの4軒のワイナリーで3年半研修し2019年に帰国した、青木氏が2021年に開いたワイナリー。

フランスから帰国した青木氏は、2020年から実家のブドウ園に入って生食用の巨峰栽培を手伝いながら、ワイン用のブドウも栽培。ワイン造りをスタートさせた。

「酸を足した方がいいという人もいますが、僕はあえて酸を足すことを考えなくてもいいのかなと思っています。アルコールののったワインを作って、熟成させれば隠れた酸が出てくるのかなって思っているからです」と、自身の考えを伝える青木氏。

「シャルドネとヒムロットはとてもユニークです。とくにヒムロットのアロマティックな個性は、スパークリングにも向いてそうです。巨峰は、このように濁り系で作りあげるスタイルと、とてもよくあっていると思います。樽熟成でテクスチャーも加わり、厚みが感じられます。その分巨峰らしいアロマが控えめになりますが、バランスはいいです。ワインとしては、熟成というよりは早いうちに楽しむほうがあっていそうです」と大越氏。

つくばワインつくばが、ワインの銘醸地と世界から認められるために必要なこととは。

そして最後に3人が指摘したのは、ワイン生産者だけでない横のつながりを作っていくことだといいます。

「つくばのワイン・ツーリズムの可能性を探るということでまわりましたが、熱意あるワイナリーの方々とともに、『ベッカライ・ブロートツァイト』や『チーズ専門店ラ・マリニエール』、『筑波ハム』といった素晴らしい食べ物を作っている人たちがいるわけですから、そういう人たちともどんどんつながって意見交換をしていった方がいいと思うんです」(大越氏)。

「ワイン・ツーリズムにこだわりすぎないことも考えていいかもしれないですよね。つくばにワインを買いにくる人たちは、完璧なマリアージュとかペアリングを、必ずしも求めてないんじゃないですかね。今回私たちも、できるだけつくば市のものを食べたいって思ったし、別にそれは手の混んだ料理とかじゃなくて、地元の味噌とか郷土料理とか、今回でいえばレンコンやトマトといった普通の野菜だったりするんです」(白土さん)。

「都心から60分ちょっとで着く、近いのもいいですよね。どこからでも筑波山が見渡せるようなロケーションがすごくいいですよね。ワイン・ツーリズムとしてまわったときに楽しくできそうな気がする。収穫時期とか新酒の時期とかでもいいので、イベント化してワイン・ツーリズム用の巡回バスなんかがあると、都心からでも参加しやすいですよね」(真藤さん)。

今回はまわれませんでしたが、意識ある野菜や畜産の農家もつくばにはたくさんいます。そうした食にまつわるすべての人たちを、ワインという線で繋いでいくことがつくばらしいワイン・ツーリズムの姿かもしれません。

つくばのワイン・ツーリズムはまだまだ始まったんばかり。最適なルートも立ち寄りスポットもまだまだ確立されていませんが、今回紹介したワイナリーやフードショップで気になった"推しスポット"を2、3カ所まわってみてください。旅のガイドブックをたどるのとはひと味違う「地域体験」ができるはずです。

 

つくばワイナリーの圃場で、筑波山を背景に。

つくばエクスプレスの研究学園駅近くの「地酒本舗 美酒堂 研究学園店」は、つくば ワインを揃える地元のワインショップ。ワイン・ツーリズムの最後の目的地にピッタリだ。

1976年生まれ、北海道出身。国際ソムリエ協会認定 、International A.S.I. Sommelier DiplomaWSET Sake Level 3 Educator、モダンベトナム料理店「An Di」(外苑前)「An Com」(広尾)オーナー。渡仏し栽培、醸造の分野を学び、帰国後銀座レカンのシェフソムリエに就任。2013年6月ワインテイスター/ソムリエとして独立。IWC、IWCCのシニアジャッジとして国際的なワインと日本酒の品評会にも招待されており、日本酒や焼酎のペアリングで、和食以外のレストランで明確に提案したパイオニアの一人。

東京生まれ。主に発酵料理を得意とし、料理を通じて環境を考えた暮らし方や食育を提案。 IT関連の会社勤めを経て、京都の禅寺にて1年間生活をし、その後フランスのリッツエスコフィエにてディプロマを取得。レシピ開発やレシピ本の執筆、 料理教室、テレビ、ラジオ出演や、食育、ワイン、日本酒など酒と食との講演会などで活動。山梨との二拠点居住の後、現在は東京に拠点を戻し、やまなし農業6次産業化戦略会議アドバイザーや、日本各地の商品開発、メニューのアドバイザーなどで活動中。

営業企画部 前職で家具屋で働いていた時に仲良くなった酒蔵の社長の影響で飲食にまつわる仕事をしたいと思い転職。現在は海外・日本ワインの仕入れや、イベント企画を担当。 特に日本国内の造り手の元には頻繁に訪問し、現地で聞いた情報を飲食店や小売店のお客様に伝え、造り手と消費者を繋ぐ仕事を主に行っている。



Text:ICHIRO EROKUMAE
Photographs:JIRO OTANI
(Supported by シェフと茨城)
【問い合わせ先】
つくば市経済部農業政策課 農業政策係
Tel:029-883-1111

味わうだけでなく地域を体験するワイン・ツーリズムに出かけよう。[つくばワイン/茨城県つくば市]

つくばのワインと食を旅するワイン・ツーリズムに出かけた真藤さん、大越氏、白土さん(左から)。筑波山の麓、なだらかな山裾に開かれた『つくばワイナリー』のブドウ畑を訪れるなど、都心から近いつくば市内で日帰り旅を楽しんだ。

つくばワイン日本を代表するソムリエをはじめ3人のワインのプロが「つくば市」へ。

茨城県つくば市をご存じでしょうか? 県南地域に位置する市で、都内なら秋葉原駅や北千住駅からつくばエクスプレスに乗ると、60分もあれば中心地にある「つくば駅」に到着します。

古代から名峰として信仰を集めた筑波山の麓に広がる田園地帯は、豊かな古の人々の生活を想起させる一方で、駅周辺は機能的に街が作られ、さながら近未来都市のような趣があります。さらに、つくば市が目指す未来型教育も注目され、移住者も増加。人口減少が問題視されている日本にあって、30年以上人口が増え続けている自治体でもあります。

また、住むだけでなく、旅やビジネスの目的地になっているのも、つくば市の特徴です。筑波山周辺で登山やキャンプなどのアウトドアを目的にくる人もいれば、JAXAをはじめ先端技術の研究・開発のために訪れる研究者や技術者がいる街は、日本でも珍しいのではないでしょうか。

住む人、訪れる人、さまざまな人が行き交う街、つくば。この街に、また新しい目的をもった人たちが集まり始めています。

近年、筑波山周辺につぎつぎに開園しているワイナリーをまわる人たちです。現在は、ワイナリーやヴィンヤード(ワイン用ブドウ園)が5つあり、これらを中心にした食の旅「ワイン・ツーリズム」に期待が寄せられているのです。

今回、つくば市のワイナリーやヴィンヤードを訪れたのはフランス料理の老舗『銀座レカンの元シェフソムリエで、現在はJALのワインディレクターとして活躍するソムリエの大越基裕(おおこし・もとひろ)氏と、人気酒販店『いまでや』に勤務しながらさまざまな活躍を展開する白土暁子(しらと・あきこ)さん、やまなし大使として山梨ワインの魅力を発信する料理家の真藤舞衣子(しんどう・まいこ)さんです。

ワイナリーやヴィンヤードだけでなく、市内の野菜の直売所やパン屋やチーズ屋などをめぐってワインに合うフードも購入しながら、テイスティングをしました。1日でめぐるつくばのワイン・ツーリズムの可能性を探っていきます。

日本を代表するソムリエの一人、大越基裕氏。第一線の飲食の舞台で活躍してきた知識と経験で、つくばワインの魅力を言葉にしてくれた。

料理家であり、フランスのリッツエスコフィエにてディプロマを取得しワインにも精通する真藤舞衣子さん。ワイン・ツーリズムを日本で先駆けて取り組んだ山梨県のワインにも詳しい。

白土暁子さんは、じつは茨城県出身。転勤の多い家庭だったこともあり、幼少期に関西へ。茨城県の記憶はほとんどないが、その後、仕事で数回訪れている。

つくばワイン筑波山周辺の土壌にあったハイブリッド品種でワインを造る。

つくばエクスプレスの「つくば駅」から旅をスタートさせた3人は、筑波山を目指して車で北上します。

はじめにたどり着いたのは、2013年からワイン用ブドウを育て、市内ではもっとも古いワイナリーである『つくばワイナリー』です。

筑波山麓の風光明媚な地、北条地区に開かれた圃場は、新年度のブドウ栽培の最初の仕事である剪定が終わったばかり。病気に強く筑波山麓の気候風土や土壌にも合うと、11年前に植えたヨーロッパ品種と日本の山葡萄品種をかけ合わせたハイブリッド品種である北天の雫(白ワイン用、行者の水×リースリング)や富士の夢(赤ワイン用、行者の水×メルロー)、ヨーロッパで注目を集めている黒ブドウ(赤ワイン用)のマルスランの樹が並んでいます。

圃場を案内するのは、岡崎洋司(おかざき・ようじ)氏。その後の試飲で3人が選んだのは北天の雫100%の「TSUKUBA BLANC プレミアム 2020」と富士の夢100%の「TSUKUBA ROUGE プレミアム 2020」でした。

「『TSUKUBA BLANC プレミアム 2020』は、フルーティでリースリングの遺伝子を感じるよね。野菜とか葉っぱもの、ハーブの感じと相性がいいかもね」と大越氏。
「もう1本の『TSUKUBA ROUGE プレミアム 2020』は、山葡萄特有の野性味とグレーピー(ブドウジュースのよう)な風味が特徴的。酸がしっかりとあり、濃い割りにはタンニンが少ないことがポイントになるので、油脂分はそこそこで、テクスチャー(質感)の柔らかな煮込み系の料理などが相性が良さそう。豚を角煮にしたり、プルーンを使って一緒に煮込んだりとかかな」と感じたようです。

真藤さんも「スモークチキンとか燻製したものとかにもあいそうだから、ターキーとクランベリーのソースとか良いかもしれないよね」と料理家の目線で家庭料理の提案もしてくれます。

『つくばワイナリー』の自家醸造所にはショップが併設されており、購入することもできる。営業時間13:00〜17:00(日・祝は10:00〜17:00)定休日なし。

『つくばワイナリー』では、ハイブリット品種の北天の雫や富士の夢のほか、ヨーロッパ品種のメルロー、シャルドネ、マルスランの合わせて5品種を1.5haの畑で育てている。

2019年には、つくば市初となる自家醸造所が完成。国内複数の醸造所での経験をもつ北村 工氏が醸造責任者に就任し、さらに高いクオリティのワイン造りを目指している。

『つくばワイナリー』の醸造所兼ショップの建物の前の庭で昼休憩。向かう途中にある「ベッカライ・ブロートツァイト」でパンを、「ラ・マリニエール」でヨーロッパチーズを購入してきた。

「ベッカライ・ブロートツァイトのパンは味がしっかりしているので、この『TSUKUBA BLANC プレミアム 2020』の樽を少し使用して作られている白の方が、テクスチャーもしっかりしているので良く合いますね」と大越氏。

つくばワイン霊峰・筑波山を仰ぎ見るブドウ栽培に適した場所。

続いて3人が向かったのは、同じく筑波山麓の沼田地区と臼井(六所)地区に圃場をもつ『ビーズニーズヴィンヤーズ』です。

今村(いまむら)ことよさんは、守谷市出身でもともとは製薬会社の研究員でした。40歳を期に脱サラし、筑波山周辺は、日本では珍しい花崗岩質の土壌だったこともありワイン造りをつくばで始めました。

ビーズニーズヴィンヤーズでは、2カ所の圃場を見学後、今村さんが用意したテント内で試飲を行った。快晴で汗ばむほどに晴れたこの日、筑波山から吹き降ろす風が心地よい、ヴィンヤード(ワイン用ブドウ園)ならではのロケーションです。

ティスティングはまず、「Episode 0 (zero) 2019」から。黒ブドウのシラーを3割、残りはシャルドネとセミヨンから造ったスパークリングワインです。そして栽培している白品種をすべて混醸して造った「Spiral 2020」と、シラーとヴィオニエを混醸した「Purple Peaks 2020」と続けて試飲していきます。Purple Peaksは、筑波山の山肌が斜陽で紫に染まることから「紫峰」と呼ばれているところからつけた名前だそうです。

そんな中、大越氏が気に入ったのはティスティングの最後に出された「Overdrive Oak 2018」、シラー、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、タナなどのヨーロッパ品種を2タンクに分けて発酵後、樫材のチップ(オークチップ)で樽の風味付けをしたものです。

「口のなかでアルコールやタンニンを総合的に感じたときのテクスチャー(質感)が好きです。凝縮感もあります。この年のようなスタイルが、ある程度コンスタントにできればいいですね」と、本格的なアドバイスを今村さんに送っていました。

標高877m、男体山と女体山の2つの峰を持ち、古くから信仰の山として崇拝されてきた筑波山。今回のツーリズムで訪れた圃場のうち、筑波山にもっとも近いのが『ビーズニーズヴィンヤーズ』の圃場だ。

白ワイン品種は、シャルドネ、セミヨン、ヴィオニエ、ヴェルデーリョ、赤ワイン品種は、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド、タナなど、多くの人が一度は聞いたことがあるようなヨーロッパを代表するワイン用ブドウの品種を2つの圃場で合計1.5haで育てている。

「いわゆる自然派ワインによくある、クセのある匂いが出ないように、きれいに醸造して素直に食事に合うワインを造りたい。ただ、今は委託醸造をしていて、委託先ごとに設備が違ってくるのでそこは仕方ないですね。将来的に醸造も自分でやるなら瓶詰め時の窒素置換は必須ですね」と今村さん。

つくばワインこの小さなエリアに、これだけの良い食のプロダクトが揃っているのは珍しい。

3つ目の訪問地『つくばヴィンヤードは、筑波山から12㎞ほど南にある栗原地区にあります。すこしだけ筑波山から遠くなりましたが、まだしっかりと山容を確認することができます。いつも旅人を筑波山が見守ってくれる、それもまたつくばを旅する特別な楽しみ方といえます。

つくばヴィンヤードでは、旅の合間に買ったワインに合うフードを食べながらの試飲会にしようと髙橋 学(たかはし・まなぶ)氏が炭火を起こして待っていてくれました。

髙橋氏が勧める白ブドウ品種、プティ・マンサン100%の「Tsukuba Series プティマンサン」やつくばワイナリーでも栽培している富士の夢100%の「Tsukuba Series Kurihara」などとともに、即席の野外レストランです。

3人が購入してきたのは、レンコンや原木椎茸、ハーブといったつくば市産の野菜に『手づくり工房ぴあらハム』と『筑波ハム』のハムやソーセージといった加工食品。さらに県外の人もわざわざ買いにくる人気のベーカリー『ベッカライ・ブロートツァイト』とチーズショップ『チーズ専門店 ラ・マリニエール』では、パンとチーズです。

「『筑波ハム』は、社会的な食のニーズや地元の声を聴く中で無添加のハムを作り始めたとおっしゃっていました。腐敗防止発色のために使われる硝酸不使用なので、時間をかけてていねいに作るのでまだ肉本来の風味や食感が残ってとてもおいしい。製造量は少ないそうですが、こういった取り組みが根付いていってほしいですね」というのは、白土さん。

「プティ・マンサンがきれいでおとなしい印象があるので、無添加で味が決まりきっていない肉本来のやさしい味わいのハムが、風味と味わいの強さとしても一緒に飲んでもおいしくいただけるよね」と大越氏もワインとの相性の良さを感じていました。

「『ラ・マリニエール』で買ってきた12カ月熟成のコンテや羊乳のシェーブルと食べてもいいですよね。とくにコンテを食べた後に飲むと、コンテにつられて、ワインのうま味も出てくるように感じます」(白土さん)。

「いろいろな地域でワイン・ツーリズムだったり、地域おこしをしていますが、これだけいい食のプロダクトが小さなエリアのなかに揃っているのは、珍しいですよね」(真藤さん)と、筑波山を遠望する気持ちのいい空間で、ざっくばらんにつくばワインと、つくばの食についての会話が続いていました。

筑波山を背景に、『つくばヴィンヤード』の圃場内で『つくばヴィンヤード』のワインの試飲とともに、購入してきた地元の食材といっしょに食べ飲みをしてみる。自然にあふれ開放感がある場所は、それだけでワインと料理の最高のスパイスになる。 

つくば市産の原木椎茸やレンコンのような地元の食材を、地元の調味料で食べながらその土地で作られたワインを飲む。「場所は畑の中や通りかかった公園などでも十分で、そういう楽しみ方ができるのがワイン・ツーリズムの良さですよね」と白土さん。

つくば市にワイン特区の申請を勧めたのは、髙橋氏。「僕のように一人でブドウを育てて醸造もしている人たちにとって、製造量が少ないところから始められるのが、すごくありがたい」と髙橋氏。

平日でも午前中からたくさんの人が集まる人気の直売所『みずほの村市場』では、カラフルトマト、レンコン、原木生椎茸、芽キャベツといったつくば市産の産直野菜のほか「ぴあらハム」のハムとソーセージを購入した。

ドイツパンの専門店『ベッカライ・ブロートツァイト』では、ドイツの田舎パン「バウアンブロート」(ホール、1,000円)と「レーズンパン」(ホール、1,300円)を購入。しっかりと焼かれてガリっと香り高い表面のテクスチャーとは対照的に中は、やわらかくうま味が強い。

『ベッカライ・ブロートツァイト』から歩いて3分ほどにある『チーズ専門店 ラ・マリニエール』。フランスやイタリアの輸入チーズをメインとした輸入食材を扱う。12カ月熟成のコンテ(950円)と、ブイゲット(山羊のチーズ、1,950円)を購入した。

1981年に創業した『筑波ハム』は、茨城県のブランド豚を使ったハムやベーコンを手造りで販売している。自然派志向のニーズを受けて発色剤や食品添加物を使わずに、ゆっくりと熟成させた無添加商品も開発している。無添加つくば豚ボンレスハム(5,642円)などを購入した。

つくばワイン突出した生産者の存在が、産地全体のレベルアップにつながる。

「ワイン・ツーリズム」という言葉は、1996年に初めて使われるようになった比較的新しい言葉であり概念です。

ワインのティスティングやワイン産地の気候風土を体験することが最大の動機になるような旅のことをいい、その訪問先は今回のようにワイナリーやヴィンヤードのほか、ワインフェスティバルやワイン展示会なども含まれます。日本では、2000年代になって使われるようになりました。

もちろん、ヨーロッパには、ワイン・ツーリズムという言葉で呼ばれなくとも、ワインを目的にした旅の楽しみは以前からありました。日本でも日本酒の銘醸地への旅や、旅先で地酒と地域の食を楽しむ旅のスタイルは昔からあり、ワイン・ツーリズムに近いものといえます。
ヨーロッパのワイン文化にどっぷりと浸かってきた大越氏にとってワイン・ツーリズムは、そもそもの「旅」の本質でもある「地域体験」にあると考えています。

「ワインは、『どこで作られているか』ということが最も大事です。この地に合っているから、このブドウを使っていますっていうのが本来のワインの姿。だからこそ地域のこともよく知る必要があり、総合的に土地の個性を打ち出すことができる存在になるのです」と、大越氏。

つくばのワイン生産者をまわり、それぞれが個性的で意欲的なワインを造っていることを感じとったという大越氏。なかでも土地の個性をより強くワインで表現していたのは、最後に訪れた『ル・ボワ・ダジュール』の青木 誠(あおき・まこと)氏だったといいます。

「試飲させてもらったシャルドネは、『ビーズニーズヴィンヤーズ』の今村さんから買い取ったブドウで青木氏が醸造したもの。もう1つのヒムロットも、借りている圃場に昔からあった樹齢50年という生食用のブドウ品種だといいます。その中でしっかり味わいののったワインを目指して補酸や補糖もせず、ナチュラルな味わいのバランスをアルコール度数に頼らず作り上げている。多くの人が『何のブドウ品種を使っているか』から話を始めるなか、根本的な考え方があると思いました」(大越氏)。

この意見に、白土さんも「一番『こういうワインを造りたい』というのが伝わってきたよね」と賛同します。

日本におけるワイン・ツーリズム発祥の地・山梨県でやまなし大使としてワイン・ツーリズムの取り組みを見つめてきた真藤さんは、「突出した生産者の存在が、産地全体のレベルをアップさせるのをみてきました。海外でしっかりとワイン醸造を学ばれてきた青木氏は、その生産者になる可能性がある」とも話してくれました。

つくばエクスプレスの「つくば」駅から車で10分ほどの住宅地にある『ル・ボワ・ダジュール』は、フランスのワインの銘醸地域であるジュラとブルゴーニュの4軒のワイナリーで3年半研修し2019年に帰国した、青木氏が2021年に開いたワイナリー。

フランスから帰国した青木氏は、2020年から実家のブドウ園に入って生食用の巨峰栽培を手伝いながら、ワイン用のブドウも栽培。ワイン造りをスタートさせた。

「酸を足した方がいいという人もいますが、僕はあえて酸を足すことを考えなくてもいいのかなと思っています。アルコールののったワインを作って、熟成させれば隠れた酸が出てくるのかなって思っているからです」と、自身の考えを伝える青木氏。

「シャルドネとヒムロットはとてもユニークです。とくにヒムロットのアロマティックな個性は、スパークリングにも向いてそうです。巨峰は、このように濁り系で作りあげるスタイルと、とてもよくあっていると思います。樽熟成でテクスチャーも加わり、厚みが感じられます。その分巨峰らしいアロマが控えめになりますが、バランスはいいです。ワインとしては、熟成というよりは早いうちに楽しむほうがあっていそうです」と大越氏。

つくばワインつくばが、ワインの銘醸地と世界から認められるために必要なこととは。

そして最後に3人が指摘したのは、ワイン生産者だけでない横のつながりを作っていくことだといいます。

「つくばのワイン・ツーリズムの可能性を探るということでまわりましたが、熱意あるワイナリーの方々とともに、『ベッカライ・ブロートツァイト』や『チーズ専門店ラ・マリニエール』、『筑波ハム』といった素晴らしい食べ物を作っている人たちがいるわけですから、そういう人たちともどんどんつながって意見交換をしていった方がいいと思うんです」(大越氏)。

「ワイン・ツーリズムにこだわりすぎないことも考えていいかもしれないですよね。つくばにワインを買いにくる人たちは、完璧なマリアージュとかペアリングを、必ずしも求めてないんじゃないですかね。今回私たちも、できるだけつくば市のものを食べたいって思ったし、別にそれは手の混んだ料理とかじゃなくて、地元の味噌とか郷土料理とか、今回でいえばレンコンやトマトといった普通の野菜だったりするんです」(白土さん)。

「都心から60分ちょっとで着く、近いのもいいですよね。どこからでも筑波山が見渡せるようなロケーションがすごくいいですよね。ワイン・ツーリズムとしてまわったときに楽しくできそうな気がする。収穫時期とか新酒の時期とかでもいいので、イベント化してワイン・ツーリズム用の巡回バスなんかがあると、都心からでも参加しやすいですよね」(真藤さん)。

今回はまわれませんでしたが、意識ある野菜や畜産の農家もつくばにはたくさんいます。そうした食にまつわるすべての人たちを、ワインという線で繋いでいくことがつくばらしいワイン・ツーリズムの姿かもしれません。

つくばのワイン・ツーリズムはまだまだ始まったんばかり。最適なルートも立ち寄りスポットもまだまだ確立されていませんが、今回紹介したワイナリーやフードショップで気になった"推しスポット"を2、3カ所まわってみてください。旅のガイドブックをたどるのとはひと味違う「地域体験」ができるはずです。

 

つくばワイナリーの圃場で、筑波山を背景に。

つくばエクスプレスの研究学園駅近くの「地酒本舗 美酒堂 研究学園店」は、つくば ワインを揃える地元のワインショップ。ワイン・ツーリズムの最後の目的地にピッタリだ。

1976年生まれ、北海道出身。国際ソムリエ協会認定 、International A.S.I. Sommelier DiplomaWSET Sake Level 3 Educator、モダンベトナム料理店「An Di」(外苑前)「An Com」(広尾)オーナー。渡仏し栽培、醸造の分野を学び、帰国後銀座レカンのシェフソムリエに就任。2013年6月ワインテイスター/ソムリエとして独立。IWC、IWCCのシニアジャッジとして国際的なワインと日本酒の品評会にも招待されており、日本酒や焼酎のペアリングで、和食以外のレストランで明確に提案したパイオニアの一人。

東京生まれ。主に発酵料理を得意とし、料理を通じて環境を考えた暮らし方や食育を提案。 IT関連の会社勤めを経て、京都の禅寺にて1年間生活をし、その後フランスのリッツエスコフィエにてディプロマを取得。レシピ開発やレシピ本の執筆、 料理教室、テレビ、ラジオ出演や、食育、ワイン、日本酒など酒と食との講演会などで活動。山梨との二拠点居住の後、現在は東京に拠点を戻し、やまなし農業6次産業化戦略会議アドバイザーや、日本各地の商品開発、メニューのアドバイザーなどで活動中。

営業企画部 前職で家具屋で働いていた時に仲良くなった酒蔵の社長の影響で飲食にまつわる仕事をしたいと思い転職。現在は海外・日本ワインの仕入れや、イベント企画を担当。 特に日本国内の造り手の元には頻繁に訪問し、現地で聞いた情報を飲食店や小売店のお客様に伝え、造り手と消費者を繋ぐ仕事を主に行っている。



Text:ICHIRO EROKUMAE
Photographs:JIRO OTANI
(Supported by シェフと茨城)
【問い合わせ先】
つくば市経済部農業政策課 農業政策係
Tel:029-883-1111

牛革レザームーンバッグ

極厚レザーにてリニューアルされたムーンバッグ!

  • 今回はアイアンらしくハリのある極厚の栃木レザーを採用
  • 革は勿論、縫製など全てMade in JAPANです
  • 外の表側に1つ、内側に1つのファスナーポケット付き
  • 同色の裏地付きで 内容量がかなり大きなレザーバッグです

    素材

  • 牛革

オールレザーウエストバッグ

2022春夏モデルのオールレザーバッグは明るいカラーが仲間入り!

  • 大きすぎず小さすぎずのちょうど良いサイズ感
  • ウェストバックとしても良し 肩にかけショルダーバッグにしても良し の大きさです
  • 背面側ポケットはファスナー仕様で、チケットなど ちょとした物を入れるのに便利です
  • 各ファスナーには グローブをしたままでも開閉しやすいよう 長めの革タブ付きに
  • ベルト調整部分はダブルリング仕様でかんたんに長さ調節が可能です
  • 開口部が大きいので 使い勝手がとてもよいです

前モデルから若干 仕様変更しました

  • 内側ポケットは ファスナーつきになりました
  • 背面側のダイヤステッチが復活
  • ショルダーストラップ付け根部分の真鍮パーツが復活

米と米。ごはんに合う、おにぎりに合う酒。[和光アネックス/東京都中央区]

「今回、ご紹介する『萩乃露槽場直汲み 中汲み無ろ過生 辛口特別純』は、ごはんに合う、おにぎりに合う旨味の強いお酒です。一粒一粒が大きい『有機JAS認証 滋賀旭』に『こな柚子こしょう(青)』を混ぜ込んで、合わせてお召し上がりください」と『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さん。

WAKO ANNEXおにぎりがおつまみのごとく、何度も口に。酒をひと口含めば、またおにぎりに手が伸びる。

これは食事か!? はたまた、おつまみか!? そんな不思議なペアリングが今回の面白いところ。

提案するのは、『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さんです。

まず、軸となるお酒は、『福井弥平商店』の「萩乃露槽場直汲み 中汲み無ろ過生 辛口特別純」。

1本のお酒の中でもとびきり美味しい「中汲み」だけを搾り、すぐに瓶詰め。発酵に由来する自然の炭酸ガスがお酒に含まれ、トロリと深い味わいに溶け合い、濃醇にして爽やかな辛口に仕上がっています。

そのままでも当然美味しいですが、「ぜひ、ごはんと!」と千葉さん。とはいえ、ただのごはんではありません。

『クサツパイオニアファーム』の「有機JAS認証 滋賀旭」のお米に『川原食品』の「こな柚子こしょう(青)」を和え、丸く握りパクリ。

冒頭、「これは食事か!? はたまた、おつまみか!?」という感覚になるでしょう。

「『萩乃露槽場直汲み 中汲み無ろ過生 辛口特別純』は、ごはんに合う旨味の強いお酒だと思います。『有機JAS認証 滋賀旭』のお米は、独特な香ばしさがあり、一粒一粒が大きいのが特徴。おにぎりにした時に噛み応え、食べ応えもあり、喉越しも抜群!」と千葉さん。

さらに、それをおつまみ化させているのが、ごはんに和えた「こな柚子こしょう(青)」。

「自社の柚子園にて自然栽培した柚子と地元佐賀の契約農家と協力し合い、毎年収穫された唐辛子から種を厳選し手間隙かけて育てたものを使用しています。柚子も唐辛子も農薬は一切使用しておりません。青い柚子皮と青唐辛子でできた青柚子こしょうを、フリーズドライ製法で乾燥させ使いやすい粉末状に仕上げました」。

そんな「こな柚子こしょう」は、一味やお塩のように、味の輪郭を際立たせます。そう、このおにぎりは、立派な料理なのです。

これぞ日本、米と米のペアリング。これで最後と思いながらも、ひと口飲んでは、ひと口パクリ。ある意味、困った口福に伸びる手が止まらないでしょう。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『福井弥平商店』の「萩乃露槽場直汲み 中汲み無ろ過生 辛口特別純」。槽場(ふなば)で直汲みした純米の無ろ過生原酒。口中に広がる吟醸香、やわらかで濃い旨味、後口のキレの良さ。直汲みだから味わえる、旨口の辛口純米。

『クサツパイオニアファーム』の「有機JAS認証 滋賀旭」。滋賀旭は、関西で昔から栽培されていたお米であり、日本の良質米の祖先。米粒は、しっかりとした大粒の晩生品種で食べごたえ充分。 粘りはほど良く、味はコシヒカリに似る。

『川原食品』の「こな柚子こしょう(青)」。なま柚子こしょうをそのままフリーズドライ製法で粉末にした逸品。今回は、おにぎりに和えるも、一味やお塩の代わりにも最適。お料理に振りかけるだけでも美味を演出する。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

岩手県出身。保険会社のSEから日本酒に魅了されたことで飲食業界に転身。新宿の『日本酒スタンド酛(もと)』に入社後、利酒師の資格を取得。日本全国の酒蔵を訪ね、酒類総合研究所の研修などにも参加し、2015年に『GEM by moto』をオープン。化学的知見から一人ひとりに合わせた日本酒を提供する。口内調味やペアリングというキーワードで新しい日本酒体験を作り、日本のみならず海外のファンを魅了し続けるかたわら、様々なジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、新しい日本酒のスタイルを日々模索する。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に発信する「第14代酒サムライ」に叙任。。主な作品は、『日本酒に恋して』(主婦と生活社)、『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)など。出演作は、映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』(配給:シンカ)。https://www.marie-lab.com/

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
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にごり酒がカフェラテに!? これもまた、千葉流のペアリング。[和光アネックス/東京都中央区]

「濁りの貴醸酒は珍しく、『華鳩 貴醸酒の生にごり酒』は、甘いお米のクリームのようです。コーヒーを製氷皿に入れ、コーヒー氷を作っていただき、そこに注ぐと珈琲に甘味とクリーム感が足され、カフェラテのように! 時間の経過とともに味の変化もお楽しみください」と『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さん

WAKO ANNEXにごり酒に溶け出すのは、まさかの珈琲。さすが千葉さん!と唸るペアリング。

「にごり酒がカフェラテのようになります」。そう話すのは、『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さんです。

一体、何のことか分からない言葉の意味は、「それ」を差し出されて納得。「それ」とは、にごり酒の中に凍らせたコーヒーを入れた杯。選んだ酒は、『榎酒酒造』の「華鳩 貴醸酒の生にごり酒」です。

「にごりの貴醸酒は、とても珍しく、甘いお米のクリームのようです。その中に製氷機で凍らせたコーヒーを投入。甘味とクリーム感が増し、カフェラテのようになるんです!」と千葉さん。

確かに、徐々に珈琲氷が溶けゆく様は、色においてもカフェラテのように変化し、飲むごとに変化を楽しめます。

「最初はクリーミーに感じますが、珈琲が溶けていくに連れ、時間の経過とともに味の変化を感じられます。コーヒーの香ばしさと貴醸酒の甘みが融合して面白い体験ができると思います」と千葉さん。

「華鳩 貴醸酒の生にごり酒」は、仕込み水の代わりに酒(純米酒)で造る「貴醸酒」の生にごり酒。元気が良く、シュワシュワした舌触りも特徴です。味わいは、フルーティーな甘い香りと濃厚な甘口ですが、発泡によってしっかりとした酸味も兼ね備え、後味も爽やか。

この「華鳩」においては、国税庁醸造試験所の製造特許をもと、1974年に全国で初めて貴醸酒(迎賓館など、海外からのゲストを招き、日本酒で乾杯する際のお酒として、国税庁醸造試験所より開発された日本独自の高級酒)を製造した蔵元でもあるのです。

凍らせた『和光』の「ドリップコーヒー」は、世界中のコーヒー豆農園を自らの足で回り、「コーヒーハンター」としても知られる川島良彰氏が『和光』のためだけにブレンドしたもの。

焙煎、粉砕、充填、包装までを1日で行うことにより、ドリップパックはアロマを含んだ炭酸ガスで満たされ、パッケージを開けたとたんにふくよかな香りが広がります。

シトラスのようなフレーバーと甘みもあり、穏やかな酸味と香ばしさのバランスが取れたブレンドが特徴です。

「だから、にごりにも負けない」。

また新たなペアリング体験の扉を開けたにごり酒とコーヒーのペアリング。百聞は一見にしかず。まずはお試しあれ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『榎酒酒造』の「華鳩 貴醸酒の生にごり酒」。仕込み水の代わりに酒(純米酒)で造る「貴醸酒」の生にごり酒。フルーティーな甘い香り、濃厚な甘口でありながらも発泡感としっかりとした酸味が特徴。後味も爽やか。国税庁醸造試験所の製造特許をもと、1974年に全国で初めて貴醸酒(迎賓館など、海外からのゲストを招き、日本酒で乾杯する際のお酒として、国税庁醸造試験所より開発された日本独自の高級酒)を製造した蔵元でもある。

『和光』の「ドリップコーヒー」。世界中のコーヒー豆農園を自らの足で回り、「コーヒーハンター」としても知られる川島良彰氏が『和光』のためだけにブレンドしたもの。焙煎、粉砕、充填、包装までを1日で行い、深い味わいはもちろん、香りも豊かに仕上げる。今回は、凍らせてにごり酒と合わせたが、そのままの美味も是非。自宅で手軽に楽しめるのも嬉しい。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

岩手県出身。保険会社のSEから日本酒に魅了されたことで飲食業界に転身。新宿の『日本酒スタンド酛(もと)』に入社後、利酒師の資格を取得。日本全国の酒蔵を訪ね、酒類総合研究所の研修などにも参加し、2015年に『GEM by moto』をオープン。化学的知見から一人ひとりに合わせた日本酒を提供する。口内調味やペアリングというキーワードで新しい日本酒体験を作り、日本のみならず海外のファンを魅了し続けるかたわら、様々なジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、新しい日本酒のスタイルを日々模索する。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に発信する「第14代酒サムライ」に叙任。。主な作品は、『日本酒に恋して』(主婦と生活社)、『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)など。出演作は、映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』(配給:シンカ)。https://www.marie-lab.com/

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7.5ozヘビーボディフロントプリントTシャツ(H柄)

着やすさと丈夫さを兼ね備えたオリジナルボディTシャツ

  • 着やすさと丈夫さを兼ね備えた7.5ozオリジナル(丸胴)ボディ ※レディースのみ脇はハギ合わせになります。
  • ボディ:14番単糸度詰め天竺(7.5oz)
  • ネック:30/2度詰めフライス
  • プリントはラバーで左胸の大きめワンポイント。
  • ワンウォッシュ済み

素材

  • 綿:100%

ビールとカレー。王道の合わせだけに、提案者の個性が光る。[和光アネックス/東京都中央区]

「4種あるレカマヤジフ craft curry canの中でも『平和クラフトSOUR ALE』と相性が良いのかは、四川花山椒と干しエビのカレー。酸味のあるサワーエールと山椒の爽やかな香りの組合せは抜群です」と『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さん。

WAKO ANNEX

決め手は山椒の爽やかな香りと酸味。1本1缶で、4度のお楽しみを是非。

『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さんが提案するペアリングは、『平和酒造』の「平和クラフトSOUR ALE」と『アパッペ』の「レカマヤジフ craft curry can」4種セットです。

味の好相性はもちろんですが、高い受賞歴を持つ両者という背景にも注目。

「平和クラフトSOUR ALE」は、ビールの国際コンペティション「The International Beer Cup 2017」において金賞を受賞。「craft curry can」を手がけた高木祐輔シェフは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」入賞、「Forbes under 30 2020」にも選出されています。

まず、「平和クラフトSOUR ALE」は、酸味のあるサワーエールの味わいが特徴です。

「今回は、その酸味が今回のポイント。4種ある『レカマヤジフ craft curry can』の中でも特に相性が良いのは、四川花山椒と干しエビのカレー。山椒の爽やかな香りと酸味のあるビールの組合せがグッド!」と千葉さん。

通常の発酵に加え、乳酸菌による発酵を取り入れることでサワーエールの酸味は生まれています。「平和クラフト」では、このサワーエールに地元和歌山県の名産、ブランド「紀州南高梅」を加え、より爽やかな味わいとなっているのです。

レカマヤジフ craft curry can」のほか3種は、胡椒バターとチキン、ブラックマスタードとアワビ茸、馬告キーマ。高木シェフのこだわりが詰まったそれらは、缶とはいえ、本格的に仕込みます。

従来のスパイスカレーはスパイス×食材で構成されていますが、「レカマヤジフ craft curry can」は、茸や干しエビなどの旨味を加え、スパイス×食材×旨味を掛け合わせた新感覚のカレーに仕上げています。

それらもビールと相性が良いかどうかは、ご自身でお試しあれ。千葉さん推奨の四川花山椒と干しエビのカレーはもちろん、1本1缶で4度お楽しみいただきたい。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロン及び和光オンラインストア(上記バナー)にて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『平和酒造』の「平和クラフトSOUR ALE」。サワーエールとは、「酸っぱいビール」。乳酸菌のほか、微生物から生成された乳酸により、酸度を上げ腐敗を防ぐ製法は、日本酒の「生酛造り」にも似る。乳酸発酵という工程を経ることで、従来の酵母のみの発酵では出ない果物のような香りと酸味が付与。さらに和歌山特産の南高梅を加えることで、クエン酸の要素も付与され、複雑でありながら軽快な味わいに仕上げる。ビールの国際コンペティション「The International Beer Cup 2017」において、金賞受賞。

『アパッペ』の「レカマヤジフ craft curry can」4種セット。従来のスパイスカレーはスパイス×食材で構成されるが、レカマヤジフのカレーは、茸や干しエビなどの旨味を加え、スパイス×食材×旨味の新しいカレーに仕上げる。手がけた高木祐輔シェフは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にて入賞、「Forbes under 30 2020」にも選出。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロン及び和光オンラインストア(上記バナー)にて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

岩手県出身。保険会社のSEから日本酒に魅了されたことで飲食業界に転身。新宿の『日本酒スタンド酛(もと)』に入社後、利酒師の資格を取得。日本全国の酒蔵を訪ね、酒類総合研究所の研修などにも参加し、2015年に『GEM by moto』をオープン。化学的知見から一人ひとりに合わせた日本酒を提供する。口内調味やペアリングというキーワードで新しい日本酒体験を作り、日本のみならず海外のファンを魅了し続けるかたわら、様々なジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、新しい日本酒のスタイルを日々模索する。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に発信する「第14代酒サムライ」に叙任。。主な作品は、『日本酒に恋して』(主婦と生活社)、『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)など。出演作は、映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』(配給:シンカ)。https://www.marie-lab.com/

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Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
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驚きと発見、鯖の概念を覆す味と香り。フルーツと合わせることで、未知の領域に。[和光アネックス/東京都中央区]

「『南三陸CANシリーズ さば水煮』は、青魚特有の香りや塩味が少なく、上品な味わいとしっとり、ふっくらとした食感が特徴です。その鯖の上品な香りに、フルーツティーに香るいちごと合わさることによって、更にバランスのとれた風味になります。鯖にいちご!?と驚くかもしれませんが、是非お試しください」と、今回のペアリングを推奨するドリンクディレクターの外山博之氏。

WAKO ANNEXただ、美味しいだけではない。健康志向&サスティナブルなペアリング。

独自の視点と哲学を持って理論的にペアリングを行うドリンクディレクターの外山博之氏。

今回、提案するのは、『かたすみ』の国産無添加ドライフルーツを使用した「COPECO」のいちごのフルーツティー3種セットと『丸荒』の宮城県「南三陸CANシリーズ さば水煮」です。

砂糖・香料・着色料を一切使用せずに仕上げたシンプルなフルーツティーのドライフルーツは、全て国産。低温で丁寧に乾燥し、旨味を凝縮しました。

「いちごの優しいフルーティーなフレイバーを加えることによって、“これ”がさらに美味しくなるんです」と外山氏が話す“これ”とは、何と鯖。

「『南三陸CANシリーズ さば水煮』は、青魚特有の香りや塩味が少なく上品な味わいと、しっとり、ふっくらとした食感です。その鯖の上品 な香りに『COPECO』のいちごのフルーツティーの香りが絶妙なバランスを生んでくれます」と外山氏。

しかし、今回は、香りだけでなく特筆すべきがもうひとつ。それは、企業努力と哲学です。

『丸荒』においては、世界三大漁場の三陸沖が目の前の立地。更には、2018年「ラムサール条約」にも登録されるなど、世界が認める自然環境に恵まれています。

この恵まれた環境で最も旬の時期に水揚げされたものを当日のうちに、鮮度そのままに次世代の凍結技術(均等磁束と電磁波のハイブリッド)急速冷凍することで、素材の鮮度や美味しさを閉じ込めたものを缶に詰めているのです。 「COPECO」のいちごのフルーツティー同様、無添加・無着色。健康にも良いです。

「地球環境に配慮しながら水産資源を守り育てる持続可能な生産に取り組んでいます」とは、『丸荒』の言葉。

日本初のエコラベル「ASC」と森の「FSC」ふたつの国際認証を取得し、地球環境を守り、持続的に魚介類を食べ続けていくことができるよう、自然を傷つけない方法で育てられたサステナブル・シーフードの精算に取り組んでいるのです。

体にも良い、自然にも良い、そんなペアリングを是非ご堪能ください。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『かたすみ』の人気商品、「COPECO」のいちごのフルーツティー3種セット。いちごを低温で丁寧に乾燥することで旨みを凝縮し、砂糖・香料・着色料を一切使用せずに仕上げる。紅茶やハーブを合わせ、スッキリとした味わいの3種に。

『丸荒』の宮城県「南三陸CANシリーズ さば水煮」。水揚げされたサバをその日のうちに急速冷凍することで、素材の鮮度や美味しさを閉じ込める。無添加・無着色のため、健康にも配慮し、サスティナブル・シーフードの精算にも取り組む。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

埼玉県出身。バーテンダーとしてレストランやホテルなどに勤務した後、ソムリエに転身。以降、様々なレストランで経験を積み、2012年より代々木上原『Gris』(現『sio』)のマネージャーに就任。2018年より調布市にある『Maruta』のドリンクを監修、2019年より京都『LURRA゜』のドリンクディレクションなど、ペアリングを行いながら活躍の場を広げている。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
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Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supprtted by WAKO)

波佐見焼の里に1日限り現れた、長崎県産食材尽くしの野外料理会。[大人のピクニック・くらわんかくらわんか登窯/長崎県波佐見町]

中尾郷を見下ろす「中尾上登窯跡」に遠方からもゲストが集った。

大人のピクニック くらわんかくらわんか登窯波佐見焼の窯元が集まる山間の集落に1日限りの野外レストランを。

長崎県のほぼ中央に位置し、県内の市町村で唯一海に面していない波佐見町。400年の伝統を持つ磁器、波佐見焼のふるさととして知られています。その波佐見町の中でも、波佐見焼の窯元がとりわけたくさん集まっているのが、山間の集落、中尾郷です。2月、中尾郷で1日限りの野外料理会『大人のピクニック くらわんかくらわんか登窯』が開催されました。

会場となったのは、集落を見下ろす急峻な山肌に広がる「中尾上登窯跡」。世界第2位の大きさと言われる登窯跡で、その長さはなんと160mにも達します。ちなみに、まだ地中に埋まっていますが、世界第1位も波佐見にあり、、波佐見焼は世界に名だたる登窯の里だったことがわかります。中尾上登窯はかつて33室もの窯室を擁し、青磁や染付茶碗などを大量に焼き上げていました。現在は、窯室が連なっていた部分はレンガを利用して22面の段に整備され、巨大なひな壇のような威容を誇っています。今回、この段々が宴の舞台となるのです。

料理と空間演出を担当したのは、大塚 瞳さん。出張料理人として気に入った土地に数日限りの食空間を創出することをライフワークとする彼女は、使用する食材はすべて自ら生産者を巡り探し求める徹底ぶり。つながりのある生産者は数千件におよぶといいます。

今回の料理は、すべて長崎県産の食材を使用し、波佐見焼の器で提供されるとのこと。一体どのような内容になるのでしょうか。

山に鳴り響くのは正午を告げる町内放送の音楽。ゲストたちが続々と登ってきました。いよいよ『大人のピクニック くらわんかくらわんか登窯』の始まりです。

料理は3種の重箱からスタート。牛蒡と椎茸の具が入った波佐見寿司、黄色い白菜・黄ごころと金柑、青唐辛子のサラダ、足赤海老と渡り蟹の老酒漬けや煮豚、炙り鰆のジェノベーゼソース添えなど、多彩な内容。

テーブルと椅子の代わりに用意された帆布生地1反。登窯から街を見下ろす景色や、かつての窯そのものを味わうには地面に座ることだとロケハンの時に閃き、器の絵付師に連絡。染付の藍色で波佐見町の草木を描いてもらったレジャーシートが彩る。ゲストはブルーのベールを取って着座する。

一般公募したゲスト25名と地元の窯元5名が続々と登ってきた。

着座してまずはお茶をいただく波佐見焼のタンブラーはシリコン製の蓋も付いた機能性、デザイン性に優れた一品。

今回の料理や空間づくりのテーマについて紐解く大塚さん。波佐見焼やくわらんか碗の歴史などにもふれた解説に、ゲストは聴き入っていた。

くらわんかくらわんか登窯染付の藍色が登窯跡を彩るシートの上で車座に。野外でも陶器。陶郷ならではの大人のピクニック。

段々の一区画は6×5mほどの広さ。その中央にシートが敷かれています。これはテーブルとイスの代わりに用意された帆布製の宴座。ゲストが車座になって、屋外の料理会を楽しんでもらいたいという趣向です。5名の一般客に地元の波佐見焼の窯元1名が加わった6名のグループが5組。1組1段ずつ、5段に分かれて席におさまりました。

ブルーのベールを取ると、鮮やかな藍色で草木が大胆に描かれた帆布、その真ん中に磁器と桐の重箱が鎮座しています。席につくと、波佐見焼のタンブラーが配られました。冷えた体に染み渡る、長崎のそのぎ茶。お茶で喉を潤し、お重の料理からいただきます。

蓋を開けると、わぁという歓声が上がりました。めでたい瓢箪柄のお重の中身は、地域に受け継がれている波佐見寿司。黄色い錦糸卵が鮮やかな押し寿司です。ニノ重は老酒漬けの足赤海老と渡り蟹、焼豚、炙り鰆など、なんとも渋くて魅力的なラインナップ。三ノ重は春らしい明るい色合いの金柑と白菜のサラダです。

この日の献立は中国春節にちなんでいると大塚さんは話します。

「長崎は中国との交流の歴史が深いところ。チャイニーズニューイヤー、中国の旧正月をピクニックでお祝いしたいと思い、御節料理のように重箱でご用意いたしました。中国の香りが感じられる内容になっています。サラダには黄ごころという甘みの強い黄芯白菜を使っています。中国では、“白菜”と“百財”が同じ発音であることから、白菜は財をもたらす縁起物。皆様の運気が上がりますようにとの願いを込めて、サラダに仕立ててみました」。

長崎県産の馬鈴薯・デジマと、塩蔵した鯨を炊き合わせた鯨じゃが。

鯨じゃがはさまざまなデザインのくらわんか椀に取り分けられた。現代的でカジュアルなデザインも、波佐見焼らしい一つの表情である。

小浜温泉の温泉水で蒸し揚げられた緋扇貝と鯛。温泉由来の塩分を穏やかにまとったやさしい味わい。

くらわんかくらわんか登窯長崎県産食材を地域ならではの組み合わせと調理法で。

次なる皿が湯気を上げてやってきました。ポップなデザインの碗の中には、馬鈴薯と何やら透き通った白いスライス。その正体は鯨の本皮部分。肉じゃがならぬ、“鯨じゃが”、だそうです。かつて鯨漁が盛んだった時代の長崎では、肉よりも鯨の方がよく食べられており、肉の代わりに鯨を入れた肉じゃがも、家庭料理の定番だったといいます。

「馬鈴薯というと北海道のイメージが強いかもしれませんが、長崎県は全国2位の生産量を誇る馬鈴薯の産地。この馬鈴薯は私が一番好きなデジマという品種で、その名前は長崎の出島に由来しています。ほくほくとした食感でほんのりとした上品な甘みが持ち味のデジマを、塩蔵した鯨と炊き合わせました。カタクチイワシの魚醤、エタリ醤油をほんの少しだけ風味づけに使っていますが、塩気は基本的に鯨から出る塩分のみ。馬鈴薯と鯨、昔ながらの味付け、この郷土料理は漁師町のお母さん直伝です」。

鯨じゃがを口にしたゲストからは、「鯨の脂と馬鈴薯の相性が絶妙」「馬鈴薯の甘みがストレートに伝わってくる」と驚きの声が上がっています。本当はここに人参が入るそうですが、この日は真っ白の世界を作りたくてオレンジ色の人参は外したそうです。

さて、もうもうと湯気を上げる蒸し器から登場したのは、天然鯛と紫や黄色の鮮やかな殻を持つ緋扇貝。これらは雲仙市小浜町の温泉水で蒸し上げられました。

「橘湾沿岸の小浜温泉には、105℃という高温の温泉が1日に1万5000トンも湧いています。しかし、その7割は利用されることなく海に流されているといわれています。そこで、せっかくの温泉を料理にも活用しようと、温泉の熱を利用した蒸し料理や、飲用の許可を取った温泉水を使った煮込み料理などが作られるようになっています。塩化物泉の温泉は塩気を含んでおり、その温泉で調理すると、素材はほんのりと塩味が付きます。魚も野菜も、素材が本来持つ旨味が引き出され、素直な味が身体に染み渡ります。長崎の海と大地の恵みを堪能できる、知る人ぞ知る調理法です」

縁起のいい立ち鶴が描かれた伝統的なくらわんか碗。素朴なタッチの柄が不思議な魅力を醸し出す。

中国・四川名物の漬物、芽菜(ヤーツァイ)と豚肉の餡を、法蓮草を練り込んだ翡翠色の皮で包んだ水餃子。小浜温泉の飲用泉で蒸した蓮根とともにスープ仕立てに。

「今回使っている器は、重箱とくらわんか碗以外はすべて参加していただいた窯元が思い思いに持ち寄ったもの。伝統的な柄も現代風なポップなデザインもいろいろ混在していい、その方がカジュアルな食器として親しまれてきた波佐見焼の自由な雰囲気が感じられるのではないかと考えました」と大塚さん。

小浜温泉の飲用泉で丸ごと蒸した玉葱。温泉によるごくわずかな塩味が、玉葱の甘みを引き立てる。

初めて出会ったゲスト同士も、食事を共にしながら打ち解け、場は自然と和んでいく。

くらわんかくらわんか登窯波佐見焼を象徴する伝統的な器“くらわんか碗”で料理を堪能。

水餃子が“くらわんか碗”に取り分けられてやってきました。イベント名に掲げられている“くらわんか”とは“食べないか”という意味の関西の方言。江戸時代、大坂・淀川の乗合船の客に酒や惣菜などを「くらわんか、くらわんか」と売った煮売船をくらわんか船といい、そこで使われた器はくらわんか碗と呼ばれたそうです。揺れる船の上でも転げにくいように重心が低く、割れにくいように厚手であるのが特徴。ご飯だけでなく、汁物や酒の提供にも幅広く使われました。

くらわんか碗は各地の磁器の産地で作られましたが、波佐見焼は中でも代表的な存在として知られ、くらわんか碗は普段使いの食器を得意とする波佐見焼を象徴する器にもなっています。

丼としては小ぶりで、飯碗としてはやや大ぶりなくわらんか碗は、一つで何役もこなしてくれそうなほどよいサイズ。持ってみると、手にしっくりと馴染みます。

熱々の鶏出汁のスープを啜り、もっちりした水餃子を頬張ってひと心地つくと、太陽が顔を出しました。陽射しを受けた背中はポカポカと温まり、春の訪れが一気に感じられます。

サプライズとして突如始まった餅つき。長崎を拠点に活動するパフォーマンス集団「かわち家」による魅せる餅つきに、拍手が沸いた。

まだ温かいつきたての餅をあんこやきな粉とからめて即座にいただく。文句なしのおいしさ。

イベントの締めくくりとして好評を博した野点。

野点では、くらわんか碗にて薄茶が振る舞われた。

くらわんかくらわんか登窯サプライズの餅つきに野点。宴は大団円へ。

突然、上の方の段から軽快な和太鼓の音が聞こえてきました。サプライズの餅つきです。ゲストは音に誘われるように、登窯跡を登っていきます。レンガ造りの煙突が点在する、いかにも焼き物の里という眺望を背景に、餅つきが威勢よく始まりました。一年の息災への願いを込めて、ゲストたちは手拍子で応援します。

コシよくつき上がった餅は、あんこ餅ときな粉餅に。お腹いっぱいと話していたはずの人たちもペロリと平らげ、多くの人がお代わりに並びます。

続いて、ゲストを登窯跡の最上部へ誘うように、一番上の段で野点が始まりました。ゲストたちはさらに登っていきます。茶碗に使われているのは、再びくらわんか碗です。先ほどは伝統的な立ち鶴の柄、今回は亀甲の柄。正月にふさわしい鶴亀が揃いました。

息を切らして頂上まで上り、来た道を振り返るとそこには波佐見焼の里が広がっていました。薄茶を一服。清洌な山の空気とともにいただくお茶は、至福のひと言です。

大塚さんも薄茶を相伴しながら話します。

「このような屋外環境と水もないような限られた条件の中での料理会は、リハーサルもままならず、いくら綿密に準備してもなかなか思い通りにはならないものです。この場所を見つけ、会を開催できるというだけで8割成功と言っても過言ではないほどすでに美しい。私たちスタッフにできるのは、皆様の顔を思い浮かべながら料理し、空間を整え、怪我や事故が起こらない細心の注意をはらうこと。自分が思い描いた頭の中のデザインが何もなかった会場に出来上がった時の喜びをいつも真っ先に感じさせてもらっていますが、涙が出るほど感動するのは、そこにきてくださった方々が塗ってくださる最後の色。あぁ、これが見たかったんだ、っていつも思います。今回もね、吹雪に始まり、太陽が昇って雲がちぎれ、光がまっすぐ降り注いで、虹までかかり、神様ありがとうでしょう?」。

薄茶の一服で締めくくり、登窯跡を下って帰るゲストたち。その晴れ晴れとした笑顔は、この儚いレストランがもたらした感動を、何よりも雄弁に物語っているようでした。

世界最大級の登窯跡に、宴の舞台がしばし現れ、そして、また消え去った。

1981年福岡県生まれ。料理上手でおもてなしを大切にする祖母や母の影響で、幼い頃から料理や客礼に興味を持つ。世界中の様々な食に親しみ、大学在学中は料理研究家のもとで学ぶ。大学在学中の2004年、居心地の良い空間で過ごす食のひと時をテーマに「Life Decoration」を立ち上げる。現在は、自ら生産者を巡り探し求めた食材を使っての出張料理会や食空間のプロデュースを行う他、店舗、旅館、特産品などのメニュー開発も手がける。これまでに携わった企画は、新宿伊勢丹 有田焼創業400年記念料理会、小樽  旧円山圓吉邸 修築披露料理会、有田ボーセリンラボ 有田焼創業400年記念料理会、常滑 吉川千香子窯 料理会、日田 SnowPeak キャンプ場でのグランピング料理会、唐津 旧大島邸 唐津焼料理会などがある。食空間演出家。福岡市大名にある『台所ようは』店主。
http://hitomi-otsuka.jp/



Photographs:TAISHI FUJIMORI
Text:KOH WATANABE

同じ土地が育んだ、日本酒とアートのペアリング。[下関酒造 × 写真家・野村佐紀子/山口県下関市]

「言葉が要らないくらい、深く2人の世界へ入っていける。そんな体験ができる日本酒です」と、『下関酒造』の内田喬智常務。

Sakiko SILENCE/NIGHT/DIVEお酒と写真で提供したい、言葉もいらない特別な時間。

1923年、下関市幡生の445人の地元農家によって設立された『下関酒造』は、蔵の地下160メートルに流れる水を汲み上げ、山口県産の酒米を使用する、地元に根付いた酒造です。

設立当時の幡生は田んぼが広がり水質も良く、酒は評価されて第一回目の「全国新酒鑑評会」から優等賞を受けています。地域の人々に気軽に楽しんでもらえる酒を提供してきましたが、近年、世界でも親しまれる酒造りを目指し、香り高く上質な純米系高級酒の開発を始めました。

そうして生まれた純米大吟醸の『獅道(シド)38』と純米吟醸の『蔵人の自慢酒』は、ロンドンの日本酒品評会「LONDON SAKE CHALLENGE」で金賞と最高賞を受賞しています。

海外への展開を進めたのは、芸術大学に進学し英国留学を経験、酒蔵としては異色の経歴を持つ内田喬智常務。『下関酒造』は世襲制ではありませんが、豪快で優れた経営手腕を買われた5代目の祖父が営業を立て直し、現社長で6代目の父が機械設備やシステムの近代化を促進。

「自分がすべきことは、伝統を守りながら縛られず、新しい可能性に踏み込んで遊ぶこと。『下関酒造』の企業理念は“酒と食と心の感動”で、酒の味だけに限りませんから」と内田氏は言います。

そんな『下関酒造』の新たな挑戦は、下関市綾羅木出身の写真家・野村佐紀子さんとコラボレーションした日本酒『sakiko』の発売です。内田氏は「企画が立ち上がった時、これまでにない価値観の日本酒を生み出せると思った」と話します。

野村さんは世界で評価を受ける写真家・荒木経惟さんに師事し、自身も『テート・モダン』(ロンドン)に作品がコレクションされるなど、国内外での活動が活発。

ちょうど、地元で初めての大規模な写真展「海」が『下関市立美術館』にて開催されるタイミングでした。

「振り切ったことをしよう。写真をきっかけに、お酒が手助けをして、言葉がいらなくなる。そんなものが欲しいな」。

野村さんとの雑談からコンセプトが固まり、『sakiko』は、何も施されていない黒いボトルと、繊細で湿度を感じる力強い写真を同梱した商品になりました。ラベルに写真が刻印されているのではなく、プリントでボトルが包まれています。 

恋人と、友人と、日本酒を飲み写真を眺める空間。時にロマンチックであったり、言葉も必要のない時間を提案できる日本酒の味とは何か。

「穏やかにリラックスできなければ、親密な時間にはなり得ないと考えました」と内田氏。山口県産酒米と米こうじがほのかな甘みと味わい深さを残しながら、柔らか過ぎない中軟水の蔵の地下水が調和し、雑味の少ない滑らかな喉越しの純米大吟醸となりました。

もちろん、響灘、関門海峡、周防灘でとれる下関の良質な海産物や、食事との相性も良いですが、内田氏のおすすめは食後のゆったりとした時間に味わうこと。野村さんのモノクロ写真が2人を同じ世界に引き込み、その静かな空間で、安らぎを共有します。自然と、相手との特別な時間を演出してくれる日本酒と写真。ぜひお試しください。

『sakiko』の写真は3種で、SILENCE「静寂の時」、NIGHT「はじまる夜」、DIVE「溺れゆく時」(日本酒は共通)。上の写真は、SILENCE。アルコール分15度。300ml、各1,000円。

開催中の、野村さんの写真展「海」を鑑賞し、「黒の表現に圧倒された」という内田氏。展覧会は下関市立美術館にて、3月27日まで。

併設されたカフェ『shuan KU cafe』では、珈琲や軽食だけでなく、甘酒や利き酒セットなども。また、内田氏の姉で陶芸家の田中宜子さん、夫で漆器作家の田中修吾氏の作品も並ぶ。

山口県下関市出身。神戸芸術工科大学環境建築デザイン学科卒業。神戸と東京で3年間の異業種経験を積む。2014年より『下関酒造株式会社』に就職。事業である酒造りを学んだ後、英国の『Frances King School of English London』に入学。卒業後、北アフリカ各国を巡り、途上国の食文化やそこで暮らす人々、その国民性と直に触れる。帰国後、主に商品のブランディングに力を注ぐ。自身がデザインした主な銘柄に『獅道(シド)38』(純米大吟醸酒)と『蔵人の自慢酒』(純米吟醸酒)がある。現在は海外事業を主軸としながら、日本酒の新たな可能性の発信に努める。

山口県下関市出身。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。91年より荒木経惟に師事。 主に男性の裸体を中心とした湿度のある独特な作品世界を探究し続ける。93年より東京を中心に国内外で精力的に個展、グループ展をおこなう。主な写真集に『裸ノ時間』(平凡社)、『闇の音』(山口県立美術館)、『黒猫』(Taka Ishii Gallery)、『夜間飛行』(リトルモア)、『NUDE/A ROOM/FLOWERS』(MATCH and company)、『TAMANO』(libroarte)、『愛について』(ASAMI OKADA Publishing)、『春の運命』(Akio Nagasawa Publishing)など。2022年3月27日まで、下関市立美術館にて写真展「海」が開催中。

住所:山口県下関市幡生宮の下町8番23号 MAP
TEL:083-252-1877
https://www.shimonoseki.love/



Text:ASAMI OKADA

八戸で出合った一軒のイタリアン。正統派のようで驚きが潜む、ここだけの料理。[カーサ・デル・チーボ/青森県八戸市]

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青森県八戸市の住宅街に位置する、『カーサ・デル・チーボ』。主となる県産、地物の食材を大切に調理し、ここだから味わえる料理をゲストに供する。

カーサ・デル・チーボ遠くても、この店のために旅をしたくなる。八戸の名イタリアン。

そのレストランの所在地は、青森県八戸市。

北国の太平洋岸の住宅街の一角に、一見普通の住宅のように街に溶け込んで存在しています。長い道のりを辿って扉を開けば、まずはその包み込まれるような温かみに癒やされるはず。花瓶の花、磨き抜かれた無垢材の床、マダムの笑顔、そんなすべての要素が、長い道のりで凝り固まっていた心を解します。

ジャンルは、イタリアン。それも主食材が明確にあり、趣向を凝らしたソースが彩る王道。メニューの文字を眺めてみても、彼の地で長く愛され、認められてきた正統派の組み合わせが予想されることでしょう。

しかし卓に届けられる皿を見ると、予想は簡単に覆されます。

例えば、前菜のタコのトマト煮。真っ赤なトマトソースで煮込まれたタコかと思えば、届くのは茶色い出汁で煮込まれた、まるでおでんのようなビジュアル。口にしてみると、さらなる驚きが待っています。歯を押し返す弾力がありながら、そこからわずかに力を込めるとサクッと噛み切れる絶妙な柔らかさ。そして口に広がる凝縮された旨味。出汁はドライトマトの風味。確かに、メニュー名の通りタコのトマト煮ではあります。しかし、その味は完全に未知のおいしさです。

この完璧な、たった一点の頂点を見極めるような火入れは、きっと誰かに習ったり、本で学んだものではないのでしょう。細かな調整をしながら何度も何度も繰り返し、失敗も乗り越えながら到達したもの。大げさな話だが、ひとりの料理人の人生が詰まっているような、そんな凄みのある火入れです。

料理を手掛けるのは、池見良平シェフ。寡黙な人物ですが、言葉のひとつひとつから料理への情熱が伝わります。神奈川県で生まれ、東京で働いていたが、10年ほど前に奥様の故郷である青森に移ったこと。移ってはみたものの、地元で受け入れられるまでにさまざまな苦難があったこと。今では魚介を探すために日々漁港や市場を自らの足で巡ること。

「ここでしかできないことをしないと、来た意味がない」。

そんな真摯で真っ直ぐな言葉から伝わるのは、たとえば“責務”のような、池見シェフが自分自身に課した約束でした。

池見良平シェフ(右)とマダム(左)。シェフは、神奈川県で生まれ、東京のレストランで働いていたが、約10年前に奥様の故郷である青森に拠点を移す。以降、青森の食材と真摯に向き合い、この場所だからこそ表現できる料理を追求。県外はもちろんだが、地元から愛されるレストランであることを大事にする。

ある日の前菜は、タコのトマト煮。いわゆる、当たり前のトマト煮ではなく、食材が活きるよう、池見シェフ流のトマト煮。味はもちろん、秀逸な技術は火入れ。一口食べれば感動を覚える食感は、その火入れから成る。

カーサ・デル・チーボ地元で愛され、認められるために大切にすること。

パスタは鮑とその肝を使う料理。これにもまた驚きが潜みます。一般的に鮑の肝は伸ばしてソースにされますが、ここでは手打ち麺自体に肝が練り込まれているのです。だから鮑を引き立てる肝の風味はしっかりありながら、さっぱりとした後味。

メインディッシュの鴨も圧巻。胸肉のまわりをミンチで巻き、外側を皮で包んで香ばしく焼き上げるバロティーヌ仕立て。内臓はミンチに、ガラは出汁に。一皿に鴨のすべてが凝縮され、ひと口ごとに異なる味わいが広がります。技術、発想、素材の知識。すべてが揃っている。そしてもうひとつ、何か突出したものも。それでないと、これほどまでに驚きに満ちた料理の説明がつきません。池見シェフに「料理の理想形」を尋ねてみました。

「まずおいしいことが大前提。加えて、驚きがあり、見た目が良く、コストパフォーマンスに優れていること。これが料理の完成形だと思います」。

それが池見シェフの回答。シェフの中の重要課題にコストパフォーマンスが含まれていること。それはつまり、地元に目を向けていることの証明。家族連れがお祝いに使ったり、若者が少しだけ背伸びをして訪れられる店。地元の人が繰り返し通える店。それが地方でレストランを開く意味なのでしょう。

都会からやってきたシェフだからこそできる、この地の魅力を伝えようという思い。だからこそこの『カーサ・デル・チーボ』は、旅の1ページとして深く記憶に刻まれるのです。

ある日のパスタは、鮑とその肝を使ったひと皿。一般的に鮑の肝は伸ばしてソースにするが、池見シェフは、手打ち麺に肝を練り込むのが特徴。

ある日のメインディッシュは、鴨。胸肉のまわりをミンチした内臓で巻き、外側を皮で包んで香ばしく焼き上げるバロティーヌ仕立て。出汁にはガラを使用し、鴨のすべてが凝縮されたひと皿に仕上げる。

八戸やその近郊まで、自ら生産者のもとへ足を運び、食材を仕入れる。広大な面積ゆえ、移動にも時間はかかるが、食材が育つ環境や作り手を知ることによって池見シェフの料理は創造される。料理の背景には、そんなシェフの想い、生産者の想い、土地への愛が込められている。

住所:青森県八戸市湊高台1-19-6 MAP
TEL:0178-20-9646
http://www.casa-del-cibo.com/

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冬の青森で、雪に包まれたゲルに泊まる。日常から大きく離れた、記憶に刻まれる体験。[つがる地球村/青森県つがる市]

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つがる市にあるキャンプ場『つがる地球村』に設置された1基の「ゲル」。旧車力村と交流があったモンゴルから、約20年前に寄贈されたもので2021年9月に復元。

つがる地球村温泉やレストランを備えた通年営業の複合施設。

「冬の青森でキャンプをする」。

そう聞くとまるで大冒険のように聞こえるかもしれません。しかしそれを可能にする場所があります。青森県つがる市『つがる地球村』。そこには、モンゴルから取り寄せた本物の「ゲル」が設置され、予約があれば冬でも利用可能なのです。

青森市から弘前市を経てつがる市に向かうルートは、津軽の象徴・岩木山に見守られるような道です。

青森市からは遠く霞んで見えていた姿が、弘前に近づくに連れてはっきりと見えてきます。それは「山」という漢字の成り立ちを思わせる、3つの頂が連なる美しい姿。山裾は広くなだらかに広がり、悠然とした佇まい。その「岩木山」の麓をぐるりと廻るようにつがる市方面へ向かうと、またも山は姿は形を変えます。今度は鋭く尖ったひとつの頂上と、ゴツゴツと雄々しい山肌。どれも同じ「岩木山」。しかし見る場所によりこれほどまでも姿を変えるのです。

きっと世の中の物事も、この岩木山と同じことなのかもしれません。名峰に見守られたそんなことを考えているうちに、やがて目的地に到着します。
宿泊施設やレストラン、温泉施設も併設された『つがる地球村』は、季節を問わず快適に過ごせる施設です。しかし、「ゲル」があるキャンプ場は、先の温泉やレストランからも少し離れた場所。深い雪に覆われています。その白一色の光景は、あまりに日常とかけ離れているがゆえに、わずかな不安を呼ぶかもしれませんが、心配は無用。「ゲル」の中はいたって快適。薪ストーブに火がある間は、寒さに凍えることもありません。薄暗く、静寂に包まれた幕のなかにいると、きっといつもとは違う思考を加速させてくれることでしょう。

 『つがる地球村』までの道のりにおいても白銀の世界が広がる。鋭く尖った頂が特徴の山は、名峰「岩木山」。くっきりと山肌まで見えるのは、冬の澄んだ空気ゆえ。寒さは険しいが、この季節に訪れた者のみが望める特権だ。

「ゲル」の空間は、天井も高く、ベッドやテーブルセットも用意。中央には暖炉も設置され、快適に過ごすことができる。モンゴルの建築様式においても、非日常な旅情を演出する。

つがる地球村不便や寒さを楽しむことが、旅の記憶を思い出に変える。

「ゲル」の中で火を使った調理はできないため、夕食はレストランに歩くか、屋外で調理するかを選択。風呂に入りたければ、温泉施設まで歩きます。帰り道で凍えぬよう、少し長めに湯に浸かっておく方が良いでしょう。日没は早く、ストーブとランタンの灯りしかないゲルの中は、読書をするにも心もとない明るさ。しかし、そんな何もない時間が、きっと心満たされる豊かなひと時となるはず。

ベッドはありますが、ストーブの薪が燃え尽きると凍える寒さになるため、寝袋は必須。夜半、寒さで目が覚め、何度も薪を足す必要もあります。薪が切れれば外の薪棚まで取りに行くこともあるでしょう。さまざまな便利と快適に満たされた現代にあって、なぜわざわざそんな体験をするのか疑問に思うかもしれません。

しかし、雪の中の「ゲル」で本物の静寂を体験し、そして夜明けを迎え、翌朝扉を開いて朝日に輝く雪を見れば、きっと誰もがこの地を訪れたことに満足するはず。そして日常からかけ離れた希少な体験は、いつまでも心に刻まれる素晴らしい思い出となるのです。

「ゲル」の中では調理不可のため、外で行う。道中、県産の食材などを買い込み、地物をゆっくりと味わいたい。

青森は、バゲットやシードル、ハムなどの名品も揃う。外は極寒、中は暖か。そんな「ゲル」の中でいただく青森の味は、格別。

暖房ではなく、火で暖を取る。便利ではなく、不便。旅を通して得る原始的な体験は、生きる上で大切な何かに気付きを与えてくれるのかもしれない。

住所:青森県つがる市森田町床舞藤山244 MAP
TEL:0173-26-2855
http://chikyuumura.co.jp/

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不足を工夫で補い、不便を心から楽しむ。改めて思い出す、キャンプの醍醐味。[水源の森 キャンプ・ランド/山梨県道志村]

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 「何を持って行くかより、何を持って行かないかを考える場所」をコンセプトに掲げる『水源の森 キャンプ・ランド』。文明の利器に頼らず過ごす時間は、自然の営みをダイレクトに享受できる。

水源の森 キャンプ・ランド人気アウトドアブランドの主宰者がプロデュース。

キャンプ場の聖地といわれる道志村に2021年、『水源の森 キャンプ・ランド』という新たなキャンプ場が誕生しました。総合プロデュースを務めるのは、アウトドアブランド『マウンテンリサーチ』を主宰する小林節正氏。

コンセプトは、「何を持って行くかより、何を持って行かないかを考える場所」。キャンプの原点に戻るような体験ができる施設です。

アクセスは、神奈川県相模原市から山梨県道志村を抜け山中湖村までを繋ぐ国道413号線、通称「道志みち」を抜けて。道の脇には清流・道志川の流れ。遠望する山並みはカーブを越えるごとに形を変え、道路脇にはキャンプ場やカフェ、農産物の直売所がポツリポツリと現れます。

途中で食材を買い込んで、いよいよ『水源の森 キャンプ・ランド』に到着。目に映るあらゆることに、計算が潜んでいるような気持ちが浮かびます。

というのも『マウンテンリサーチ』のデザインには、山で生きるためのギアとしての研ぎ澄まされた機能性と、個性や遊び心が見事なバランスで共存しています。そのブランドを率いる小林節正氏の手による施設なのだから、“なんとなく”ではなく、すべてに細やかな計算と狙いが潜んでいるのではないか。そんな思いが湧いてくるのです。

『水源の森 キャンプ・ランド』までの道中では、山間をドライブしながら、美しい自然と出合うことができる。キャンプ場名の通り、川が多く点在し、水量も豊富。その透明度から、水に恵まれた地域だということが伺える。

木漏れ日も心地良い樹々をすり抜ける道中は、車の窓を開け、森の香りを深く吸い込みながらゆっくりと進みたい。水は、森も美しくすることに気付きを得るだろう。

道中には、無人販売や個人農家の直売店、道の駅などが点在する。地域の方々との会話を楽しみながら風土を学び、名産を知り、食材調達を楽しみたい。

『水源の森 キャンプ・ランド』のクラブハウス。デザイン性に飛んだ建物は、『マウンテンリサーチ』ゆえのセンスが光る。

水源の森 キャンプ・ランド心は研ぎ澄まされ、自然に戻る。アウトドアの本当の楽しみ。

クラブハウスに入ると、正面には大きな時計。頂上が13時、針の動きは逆周り。これは時間をしるための時計ではなく、きっと日常とは異なる時間を表現しているのでしょう。巨大な火皿で炎が揺れているのは、山の世界からの挨拶代わり。駐車場には車止めがあり、キャンプサイトに車を付けることはできないのはきっと、現代の利器から離れ、あえて不便を楽しむことを推奨しているのではないでしょうか。

施設についてあれこれ想像するうちに、小林氏と対話しているかのような気分になってきます。都会から自然への急な場面転換ではなく、このクラブハウスを挟むことで、心のエンジンが温まり、ワクワクとした気分が膨らんでくるのです。

キャンプサイトは道志川を見下ろす崖の上。そのさらに上にはキャビンがあり、さらに上の層にクラブハウス。まるで演劇の舞台を見下ろすような段々の造り。ならば主役は道志川です。止むことのない川のせせらぎが、崖を這い上がってきます。川の音、森の匂い、澄んだ冷たい空気が肌を刺す感覚。さまざまな刺激が、感覚を鋭く研ぎ澄ませます。

キャンプとは元来、便利な現代的生活を離れて自然の中で過ごすことが目的です。しかし慣れた人ほど、いつしか便利なギアで効率よく過ごすことが当然になってしまっているのかもしれません。このキャンプ場で不便に触れることで、感覚と感性が研ぎ澄まされ、あらためてキャンプの楽しさを思い出すことでしょう。

クラブハウス内には、『マウンテンリサーチ』や『ティンバークルー』のグッズを始め、山にちなんだ書籍などが並ぶ。

道中、農家さんなどに出会い、手に入れた食材を調理していただく味は、ただ美味しいだけでない。人や土地への感慨も料理に深みを与える。

夜になれば、気温はマイナスまで冷え込む。しかし、煌めく星、火の暖かさなど、本当の意味で美しい自然の姿を体感することができる。

住所:山梨県南都留郡道志村馬場5821-2 MAP
TEL:070-2673-1122
https://www.doshisuigen-mori.com/

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

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アイヌ文様藍染ストール展示販売_AKAN AINU ARTS & CRAFTS_丸井今井札幌創業150周年記念

藍染坐忘です。昨年より、阿寒アイヌコンサルンの方とアイヌ作家の郷右近富貴子様と藍染坐忘のコラボレーションにより、作品制作を進めておりましたアイヌ文様ストール。
昨年2月にアート作品として発表・ご紹介させて頂きましたが、多くの方よりご感想や反響を頂戴いたしました。
この度、こちらのアイヌ文様のストールの企画展示販売が実現いたしました。
素晴らしいご縁とお図らいに、心より感謝申し上げます。

丸井今井札幌本店創業150周年記念特別企画
北海道の祖(はじ)まり~アイヌ文化の新しいものがたり~
会期/2022年3月9日(水)-3月13日(日)
※最終日、午後6時終了
会場/丸井今井札幌本店 大通館9階 催事場

【イベント概要】
アイヌ文化に新しい価値を加えたものづくりに出会う、5日間。
アイヌ民族の文化・伝統を現代に受け継ぎ、新しい価値を発信し続ける作り手たち。伝統の本質はそのままにモダンにアレンジし、新しい時代のアイヌ文化を築いています。
彼らの作品がここ、丸井今井札幌本店に一堂に集結いたします。
また、文化・伝統を体験できるワークショップや作り手によるトークイベントも開催。
作り手たちの想いを知り、アイヌ文化の新しいものづくりに出会いませんか?

【作品詳細】
郷右近富貴子(デザイン)×藍染坐忘(染め・制作)の特別なストール。
霧の中にしっとりと浮かぶ阿寒湖の風景を思い描いてデザインされたアイヌ文様。このイメージをストールで表現するため、まずは生地全体をグラデーションになるよう藍染し、次に程の異なるふたつの型を使い、抜染(ばっせん)とよばれる技法で色を抜いて、丁寧に文様を描いていきます。
特殊な糊を使うため、何度も洗い、ゆっくりと乾燥させてようやく完成です。
環境によって日々発酵具合が変化する、古来からの天然染料・藍。
生きている藍と職人の手によって染め上げられた、他にはないストールです。
一点ごとに表情を変えるアイヌ文様をぜひご覧ください。

【展示販売情報】
丸井今井札幌本店 大通館9階 催事場
AKAN AINU ARTS & CRAFTS → NEXTのブースにて、藍染アイヌ文様ストールの展示販売が行われます。その他作家様の作品もご堪能頂けます。
※商品の価格・詳細は催事会場にてお確かめ下さいませ。
※数量限定・なくなり次第終了となっておりますので、宜しくお願いいたします。

イベント詳細
 https://www.maruiimai.mistore.jp/sapporo/event_calendar/ainu.html

5日間という短い会期ですが、是非、多くの方にアイヌクラフトの素晴らしさと芸術美をご覧いただければと思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。

モノとモノの合わせだけでなく、少し手をかけ、料理にすれば、更に美味しさは広がる。[和光アネックス/東京都中央区]

無添加・無加糖の「カベルネ・ソーヴィニヨン100%のジュース『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース」に合わせるのは、『西河商店』の「わさびオイル」と『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」。ともに調味料のそれは、グリル野菜のアクセントに。今回のペアリングを提案してくれたソムリエ・ドリンクディレクターの外山博之氏が特にお勧めする野菜は、パプリカと万願寺唐辛子。

WAKO ANNEXソムリエ・ドリンクディレクター視点だけでなく、シェフ視点も加味されたペアリング。

ソムリエ・ドリンクディレクターの外山博之氏がまず取り出したのは、『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース」。

都内未発売のため、希少な品ではありますが、フォーカスすべきはそこにあらず。新潟県南魚沼市大崎地域で自社栽培したワイン用ブドウ品種カベルネ・ソーヴィニヨン100%のジュースのそれは、無添加・無加糖というこだわりの味と製法。甘酸っぱさのにカベルネ種特融の渋みが加わり大人向けの仕上りです。

単体だけでも十分美味しいジュースですが、外山氏が合わせに持ってきたモノに驚愕。それは、『西河商店』の「わさびオイル」と社名もユニークな『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」です。

ジュースを飲みながら、オイルを飲む? はたまた塩を舐める? と思いきや「軽く焼いたパプリカや万願寺唐辛子にわさびオイルと塩を振りかけてお召し上がりください」と外山氏。

ソムリエを超えたシェフのようなペアリング提案は、言葉だけでは伝わりにくいですが、「わさびの辛味成分の香りとカベルネ由来の香りがつながり、上品な香りが口の中でふわっと広がります」と言葉を続けます。

「わさびオイル」は、鳥取県の名峰、大山の清流で育てられた関金わさびを使用した品。わさび本来の香りと辛みがオイルに凝縮されています。「2〜3滴がベスト」と外山氏。

「自凝雫塩 RARESALT 大粒」は、淡路島の美しい海水を天日で濃縮し薪と鉄釜で煮詰めた海水塩の中でも粒目の大きいものを厳選。海水からは、わずか0.1%ほどしか取れないこのレアソルトは淡雪のようにゆっくり口溶けし、ゆるやかな塩辛さ、甘味、苦味、旨味などの複雑な味わいが素材とも良く馴染みます。もちろん、今回の料理にも相性抜群。

冒頭の通り、外山氏がこの料理に合わせるのはジュースですが、シーンは夜の味。カウンターのレストランやバーで供したくなるようなペアリングです。ぜひ、お試しあれ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

雪深い南魚沼市で育てたワイン用葡萄「カベルネ・ソーヴィニヨン」だけを搾った『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース。皮や果柄を一緒に搾り、素材の良さを100%引き出して最高のジュースに仕上げる。無添加、無加糖、余計なものは一切ない。都内限定販売。

『西河商店』の「わさびオイル」は鳥取県のわさびと山形県のこめ油を使用。今回、外山氏が提案する料理はもちろん、カルパッチョやサラダ、塩を添えた焼肉やピザにも相性抜群。いずれも2〜3滴が適量。

原材料は、淡路島の海水。余分なものは一切なし。『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」は、じっくり40時間ほど薪で煮上げ、結晶化。最後は杉樽で寝かし、味わいをまろやかに仕上げる。素材を活かした塩の味は、辛さだけでなく、甘み、苦味も備える。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

埼玉県出身。バーテンダーとしてレストランやホテルなどに勤務した後、ソムリエに転身。以降、様々なレストランで経験を積み、2012年より代々木上原『Gris』(現『sio』)のマネージャーに就任。2018年より調布市にある『Maruta』のドリンクを監修、2019年より京都『LURRA゜』のドリンクディレクションなど、ペアリングを行いながら活躍の場を広げている。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supprtted by WAKO)

モノとモノの合わせだけでなく、少し手をかけ、料理にすれば、更に美味しさは広がる。[和光アネックス/東京都中央区]

無添加・無加糖の「カベルネ・ソーヴィニヨン100%のジュース『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース」に合わせるのは、『西河商店』の「わさびオイル」と『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」。ともに調味料のそれは、グリル野菜のアクセントに。今回のペアリングを提案してくれたソムリエ・ドリンクディレクターの外山博之氏が特にお勧めする野菜は、パプリカと万願寺唐辛子。

WAKO ANNEXソムリエ・ドリンクディレクター視点だけでなく、シェフ視点も加味されたペアリング。

ソムリエ・ドリンクディレクターの外山博之氏がまず取り出したのは、『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース」。

都内未発売のため、希少な品ではありますが、フォーカスすべきはそこにあらず。新潟県南魚沼市大崎地域で自社栽培したワイン用ブドウ品種カベルネ・ソーヴィニヨン100%のジュースのそれは、無添加・無加糖というこだわりの味と製法。甘酸っぱさのにカベルネ種特融の渋みが加わり大人向けの仕上りです。

単体だけでも十分美味しいジュースですが、外山氏が合わせに持ってきたモノに驚愕。それは、『西河商店』の「わさびオイル」と社名もユニークな『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」です。

ジュースを飲みながら、オイルを飲む? はたまた塩を舐める? と思いきや「軽く焼いたパプリカや万願寺唐辛子にわさびオイルと塩を振りかけてお召し上がりください」と外山氏。

ソムリエを超えたシェフのようなペアリング提案は、言葉だけでは伝わりにくいですが、「わさびの辛味成分の香りとカベルネ由来の香りがつながり、上品な香りが口の中でふわっと広がります」と言葉を続けます。

「わさびオイル」は、鳥取県の名峰、大山の清流で育てられた関金わさびを使用した品。わさび本来の香りと辛みがオイルに凝縮されています。「2〜3滴がベスト」と外山氏。

「自凝雫塩 RARESALT 大粒」は、淡路島の美しい海水を天日で濃縮し薪と鉄釜で煮詰めた海水塩の中でも粒目の大きいものを厳選。海水からは、わずか0.1%ほどしか取れないこのレアソルトは淡雪のようにゆっくり口溶けし、ゆるやかな塩辛さ、甘味、苦味、旨味などの複雑な味わいが素材とも良く馴染みます。もちろん、今回の料理にも相性抜群。

冒頭の通り、外山氏がこの料理に合わせるのはジュースですが、シーンは夜の味。カウンターのレストランやバーで供したくなるようなペアリングです。ぜひ、お試しあれ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

雪深い南魚沼市で育てたワイン用葡萄「カベルネ・ソーヴィニヨン」だけを搾った『エル・グリーン ファーム』の「gohoubi葡萄ジュース。皮や果柄を一緒に搾り、素材の良さを100%引き出して最高のジュースに仕上げる。無添加、無加糖、余計なものは一切ない。都内限定販売。

『西河商店』の「わさびオイル」は鳥取県のわさびと山形県のこめ油を使用。今回、外山氏が提案する料理はもちろん、カルパッチョやサラダ、塩を添えた焼肉やピザにも相性抜群。いずれも2〜3滴が適量。

原材料は、淡路島の海水。余分なものは一切なし。『脱サラファクトリー』の「自凝雫塩 RARESALT 大粒」は、じっくり40時間ほど薪で煮上げ、結晶化。最後は杉樽で寝かし、味わいをまろやかに仕上げる。素材を活かした塩の味は、辛さだけでなく、甘み、苦味も備える。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

埼玉県出身。バーテンダーとしてレストランやホテルなどに勤務した後、ソムリエに転身。以降、様々なレストランで経験を積み、2012年より代々木上原『Gris』(現『sio』)のマネージャーに就任。2018年より調布市にある『Maruta』のドリンクを監修、2019年より京都『LURRA゜』のドリンクディレクションなど、ペアリングを行いながら活躍の場を広げている。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supprtted by WAKO)

私のお店でも合わせています。どぶろくとブルーチーズが交わる快楽。[和光アネックス/東京都中央区]

提案してくれた千葉麻里絵さんのお店『GEM by moto』でも採用しているというどぶろくとブルーチーズの組み合わせ。「『とおの どぶろく 速醸火入れ』には、『yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー』の酸味と複雑な味わいを受け止める力があり、非常に合います」。

WAKO ANNEX癖のある味が見事にまろやかに。ペアリングの可能性を無限に感じる好例。

どぶろくと言えば、『とおの屋 要』。今回選んだのは、「とおの どぶろく 速醸火入れ」です。それに合わせるのは、『奥村佃煮』の「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」。提案するのは、『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さんです。

まず、その名だけでは想像しがたい「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」とは、卵のないオスの鮒の腹の中に白カビの酸凝固タイプのチーズ、つやこフロマージュを詰めたもの。

鮒寿しとともに一年以上もの長期発酵を行い、熟成。丁寧な仕込まれた鮒寿しならではの酸味とコクに加え、チーズの旨味が加わったそれは、抜群の相乗効果を生みます。単体でも一体感のある味に仕上がるも、さらにその先にある美味しい発見に導くのが千葉さんの得意技。そのために選んだのが、前出の、「とおの どぶろく 速醸火入れ」なのです。

「どぶろくとブルーチーズは最高の組み合わせです。実際に、私のお店『GEM by moto』でも、どぶろくとブルーチーズハムカツで組み合わせています」と千葉さん。

速醸火入れは、アルコール度数も低めに設定され、甘味を残し、飲みやすい味に仕上がっているため、どぶろくが初めての人でもお楽しみいただけるひと品。

「ブルーチーズは強くて、通常お酒に合わせると負けてしまいますが、このどぶろくはダイレクトに感じる米の甘味、濃厚なテクスチャー、豊かな香りがあるため、チーズの酸味と複雑な味わいを受け止める力があり、非常に合います」。

一見、疑義ある食べ合わせのように見えますが、口内で合わされば、溶けるように味がグラデーションしていきます。言葉では理解しにくいこのペアリングは、百聞は一見にしかず。

ぜひ、お試しあれ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『とおの屋 要』の「とおの どぶろく 速醸火入れ」。日本酒の起源ともいえるどぶろくは、米・米麹・水を発酵させ、もろみをこさずに造る。「原料がそのまま口に入るからこそ、田んぼの土にも、稲の育て方にも、お酒の醸造にも、すべての過程に心を込めて向き合っています」と話すのは、主の佐々木要太郎氏。「どぶろく速醸火入れ」はアルコール度数を低めに抑え、甘味を残し飲みやすい味に仕上げているため、どぶろくビギナーの入り口としてもぜひ。サイズは500ml、限定11本販売。

『奥村佃煮』の「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」。良い意味で、鮒寿しのようで鮒寿しでなく、チーズのようでチーズでない、新しい感覚の逸品。鮒寿し・チーズどちらからでも入れる間口の広い味わい。癖のある食材同士だが、食べればその概念は変わるだろう。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

岩手県出身。保険会社のSEから日本酒に魅了されたことで飲食業界に転身。新宿の『日本酒スタンド酛(もと)』に入社後、利酒師の資格を取得。日本全国の酒蔵を訪ね、酒類総合研究所の研修などにも参加し、2015年に『GEM by moto』をオープン。化学的知見から一人ひとりに合わせた日本酒を提供する。口内調味やペアリングというキーワードで新しい日本酒体験を作り、日本のみならず海外のファンを魅了し続けるかたわら、様々なジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、新しい日本酒のスタイルを日々模索する。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に発信する「第14代酒サムライ」に叙任。。主な作品は、『日本酒に恋して』(主婦と生活社)、『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)など。出演作は、映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』(配給:シンカ)。https://www.marie-lab.com/

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supprtted by WAKO)

私のお店でも合わせています。どぶろくとブルーチーズが交わる快楽。[和光アネックス/東京都中央区]

提案してくれた千葉麻里絵さんのお店『GEM by moto』でも採用しているというどぶろくとブルーチーズの組み合わせ。「『とおの どぶろく 速醸火入れ』には、『yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー』の酸味と複雑な味わいを受け止める力があり、非常に合います」。

WAKO ANNEX癖のある味が見事にまろやかに。ペアリングの可能性を無限に感じる好例。

どぶろくと言えば、『とおの屋 要』。今回選んだのは、「とおの どぶろく 速醸火入れ」です。それに合わせるのは、『奥村佃煮』の「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」。提案するのは、『GEM by moto』の店主・千葉麻里絵さんです。

まず、その名だけでは想像しがたい「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」とは、卵のないオスの鮒の腹の中に白カビの酸凝固タイプのチーズ、つやこフロマージュを詰めたもの。

鮒寿しとともに一年以上もの長期発酵を行い、熟成。丁寧な仕込まれた鮒寿しならではの酸味とコクに加え、チーズの旨味が加わったそれは、抜群の相乗効果を生みます。単体でも一体感のある味に仕上がるも、さらにその先にある美味しい発見に導くのが千葉さんの得意技。そのために選んだのが、前出の、「とおの どぶろく 速醸火入れ」なのです。

「どぶろくとブルーチーズは最高の組み合わせです。実際に、私のお店『GEM by moto』でも、どぶろくとブルーチーズハムカツで組み合わせています」と千葉さん。

速醸火入れは、アルコール度数も低めに設定され、甘味を残し、飲みやすい味に仕上がっているため、どぶろくが初めての人でもお楽しみいただけるひと品。

「ブルーチーズは強くて、通常お酒に合わせると負けてしまいますが、このどぶろくはダイレクトに感じる米の甘味、濃厚なテクスチャー、豊かな香りがあるため、チーズの酸味と複雑な味わいを受け止める力があり、非常に合います」。

一見、疑義ある食べ合わせのように見えますが、口内で合わされば、溶けるように味がグラデーションしていきます。言葉では理解しにくいこのペアリングは、百聞は一見にしかず。

ぜひ、お試しあれ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

『とおの屋 要』の「とおの どぶろく 速醸火入れ」。日本酒の起源ともいえるどぶろくは、米・米麹・水を発酵させ、もろみをこさずに造る。「原料がそのまま口に入るからこそ、田んぼの土にも、稲の育て方にも、お酒の醸造にも、すべての過程に心を込めて向き合っています」と話すのは、主の佐々木要太郎氏。「どぶろく速醸火入れ」はアルコール度数を低めに抑え、甘味を残し飲みやすい味に仕上げているため、どぶろくビギナーの入り口としてもぜひ。サイズは500ml、限定11本販売。

『奥村佃煮』の「yoshio fermented foods鮒寿し×つやこブルー」。良い意味で、鮒寿しのようで鮒寿しでなく、チーズのようでチーズでない、新しい感覚の逸品。鮒寿し・チーズどちらからでも入れる間口の広い味わい。癖のある食材同士だが、食べればその概念は変わるだろう。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日(金)にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、外山博之氏と千葉麻里絵さんがセレクトするペアリングをご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

岩手県出身。保険会社のSEから日本酒に魅了されたことで飲食業界に転身。新宿の『日本酒スタンド酛(もと)』に入社後、利酒師の資格を取得。日本全国の酒蔵を訪ね、酒類総合研究所の研修などにも参加し、2015年に『GEM by moto』をオープン。化学的知見から一人ひとりに合わせた日本酒を提供する。口内調味やペアリングというキーワードで新しい日本酒体験を作り、日本のみならず海外のファンを魅了し続けるかたわら、様々なジャンルの料理人や専門家ともコラボレーションし、新しい日本酒のスタイルを日々模索する。2019年には日本酒や日本の食文化を世界に発信する「第14代酒サムライ」に叙任。。主な作品は、『日本酒に恋して』(主婦と生活社)、『最先端の日本酒ペアリング』(旭屋出版)など。出演作は、映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』(配給:シンカ)。https://www.marie-lab.com/

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8  MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supprtted by WAKO)