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水源の森 キャンプ・ランド人気アウトドアブランドの主宰者がプロデュース。
キャンプ場の聖地といわれる道志村に2021年、『水源の森 キャンプ・ランド』という新たなキャンプ場が誕生しました。総合プロデュースを務めるのは、アウトドアブランド『マウンテンリサーチ』を主宰する小林節正氏。
コンセプトは、「何を持って行くかより、何を持って行かないかを考える場所」。キャンプの原点に戻るような体験ができる施設です。
アクセスは、神奈川県相模原市から山梨県道志村を抜け山中湖村までを繋ぐ国道413号線、通称「道志みち」を抜けて。道の脇には清流・道志川の流れ。遠望する山並みはカーブを越えるごとに形を変え、道路脇にはキャンプ場やカフェ、農産物の直売所がポツリポツリと現れます。
途中で食材を買い込んで、いよいよ『水源の森 キャンプ・ランド』に到着。目に映るあらゆることに、計算が潜んでいるような気持ちが浮かびます。
というのも『マウンテンリサーチ』のデザインには、山で生きるためのギアとしての研ぎ澄まされた機能性と、個性や遊び心が見事なバランスで共存しています。そのブランドを率いる小林節正氏の手による施設なのだから、“なんとなく”ではなく、すべてに細やかな計算と狙いが潜んでいるのではないか。そんな思いが湧いてくるのです。
水源の森 キャンプ・ランド心は研ぎ澄まされ、自然に戻る。アウトドアの本当の楽しみ。
クラブハウスに入ると、正面には大きな時計。頂上が13時、針の動きは逆周り。これは時間をしるための時計ではなく、きっと日常とは異なる時間を表現しているのでしょう。巨大な火皿で炎が揺れているのは、山の世界からの挨拶代わり。駐車場には車止めがあり、キャンプサイトに車を付けることはできないのはきっと、現代の利器から離れ、あえて不便を楽しむことを推奨しているのではないでしょうか。
施設についてあれこれ想像するうちに、小林氏と対話しているかのような気分になってきます。都会から自然への急な場面転換ではなく、このクラブハウスを挟むことで、心のエンジンが温まり、ワクワクとした気分が膨らんでくるのです。
キャンプサイトは道志川を見下ろす崖の上。そのさらに上にはキャビンがあり、さらに上の層にクラブハウス。まるで演劇の舞台を見下ろすような段々の造り。ならば主役は道志川です。止むことのない川のせせらぎが、崖を這い上がってきます。川の音、森の匂い、澄んだ冷たい空気が肌を刺す感覚。さまざまな刺激が、感覚を鋭く研ぎ澄ませます。
キャンプとは元来、便利な現代的生活を離れて自然の中で過ごすことが目的です。しかし慣れた人ほど、いつしか便利なギアで効率よく過ごすことが当然になってしまっているのかもしれません。このキャンプ場で不便に触れることで、感覚と感性が研ぎ澄まされ、あらためてキャンプの楽しさを思い出すことでしょう。
住所:山梨県南都留郡道志村馬場5821-2 MAP
TEL:070-2673-1122
https://www.doshisuigen-mori.com/
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