7.5ozヘビーボディフロントプリントTシャツ(ツーリング柄 by Yoshio氏)

中沢ヨシオ氏デザインのオリジナルボディTシャツ

  • 着やすさと丈夫さを兼ね備えた7.5ozオリジナル(丸胴)ボディ ※レディースのみ脇はハギ合わせになります。
  • ボディ:14番単糸度詰め天竺(7.5oz)
  • ネック:30/2度詰めフライス
  • イラストレーターYoshio氏によるデザインのフロントプリント。
  • フロントプリントなので上にシャツを羽織ってもプリントが映えます。
  • ワンウォッシュ済み

素材

  • 綿:100%

ゼロからの物語はいらない。瀬戸内の文化を継ぐ船にしたかった。[guntû/広島県尾道市]

『ガンツウ』の設計を手掛けた建築家・堀部安嗣氏。「『ガンツウ』は、船に足を踏み入れてから地上に足を下ろすまでの全てが一連体験。瀬戸内とともに過ごす時間は、生きる上で大事な何かを気づかせてくれると思います」。

ガンツウ大事にしたかったことは風土。自分は、それを次世代に伝えるためのリレー走者。

「小さな頃から、乗り物が大好きだった。建築家になってからも、いつか乗り物の設計をしたいと思っていました」。そう話すのは、『ガンツウ』の設計を担った建築家・堀部安嗣氏です。

通常、建築は大地に根を張ることがほとんどですが、船である『ガンツウ』は海上ゆえ、言わば動く建築。違いはあれど、「大事にしていることは、どちらも変わらない」と堀部氏は言います。

それは、風土を生かすこと。

「瀬戸内には、文化、歴史、自然、地域、食、人。様々な風土があります。デザインやクリエイションは、今までにないものを生み出すことを期待されますが、既に存在しているものが良質であれば、それを継ぐものを作りたい。自分は、リレー走者のごとく、幸運にも出合った瀬戸内の風土を次の世代に伝えるための一翼を担わせていただいただけなのです。過去からの時間の流れを分断することなく、現代に継ぎ、未来にバトンをつなげたいと思っています」。

風土のひとつ、多島美が広がる瀬戸内の風景は、穏やかで静か。窓を多く配した船内では、どこにいてもそれとつながることができます。また、最上階にあるダイニングや鮨カウンター、ラウンジにおいては、壁面や天井の材に椹(さわら)を使用。木材が持つ色味も手伝い、自然光が優しく包み込む日中には特に美しい空間を形成します。

「自然の風景は、自然の中で見ることが心地良いと思い、船内には木をふんだんに採用しています。コンクリートや鉄、アルミなどのフレームから望む風景では、内と外の世界が分断されてしまいます。そんな瀬戸内の風景には、人の営みがあるということが大きな特徴だと感じています。世界中の多くに絶景はあれど、そのほとんどは自然のみ。暮らしはありません。瀬戸内は、この美しい自然を維持しながら人が介在している。つまり、共存された風景なのです。いつの時代においても文化を築いてきたのは人です。だからこそ、瀬戸内には歴史があるのだと思います。そんな背景を知れば、ただ美しいだけではない感慨が芽生えてくる。島、山、海など、見えるものだけで分析するのではなく、見えない物語を探ることによって旅に深みが出る。そんな大事なことへの気づきを与えてくれるのも『ガンツウ』の旅なのだと思います」。

「ダイニング」や「ラウンジ」を始め、最上階の材には椹(さわら)を使用。柔らかな印象は、木が持つ独特の色味だからこそ形成できる。

「瀬戸内の多島美は、見ていて飽きることはありません。常に変化をもたらせてくれる島々には人の暮らしも介在し、その営みが風景により深みを与えていると思います」と堀部氏。

ガンツウ「ガンツウ」の全ては、縁側から始まった。そこで過ごす時間が一番愛おしい。

「『ガンツウ』の中で一番好きな場所は、縁側です。あそこに座ってのんびりと晩酌しながら瀬戸内を望み、ゆっくりと過ごす……。島々の風景が流れていく様は、まるで絵巻物のようです。永遠に眺めていたいと思わせる縁側の時間は、様々な発見をもたらしてくれます」。

その発見とは何か。実にシンプルなことだが、奥が深く、答えはない。

「自分ってなんだろう、自然ってなんだろう、時間ってなんだろう。『ガンツウ』は、そんな大事な何かを発見するところなんじゃないかなと思うんです。とてもシンプルなことなんですが、それがまた難しい。この答えは、インターネットでは検索できません。昨今のテクノロジーの進化から得る情報収集と、見る、食べるなどの体験から得る情報収集は全く違います。自然の中に身を置くことによって、自分は、この地球の一部であり、生かされているって感じるんです。実は、以前乗船した際、あるお客様とお話しする機会があって。その方は、“自分の精神を再発見する旅”だとおっしゃっていました」。

まだ見ぬ何かを追い求めていく旅もあれば、既に知る何かを探求し、極めることもまた旅。答えは出なくとも、考え続けることが何かを見出す光明なのかもしれません。

そんな想いに没頭できるのは、心地良い空間あってこそ。『ガンツウ』の発想は、前述の通り、風土を大事にした建築様式ですが、堀部氏はその哲学を「日本料理に似る」と話します。

「瀬戸内は、素材が素晴らしいので、手を加え過ぎる必要はありません。料理においても良い素材であれば、ちょっとしたひと手間やそのままいただくのが一番美味しい」。

確かに、『ガンツウ』の料理に過度な演出はありません。しかし、目には見えない丁寧な仕込みがあるからこそ、素材は活きます。それは建築も同様。だからこそ心地良い空間を創造しているのです。堀部氏の建築は、まるで「出汁」のような設計が生むものなのかもしれません。

「『ガンツウ』にいると、世界を見る前に日本を見たい。そう思わせてくれるんです。風景においても、文化においても、日本においても、奥の奥まで探って、また表が見えてくる。限られた世界を旅することによって、より深いところを知り得ることができる。世界中を旅しても、『ガンツウ』が一番良い。そう思っていただけるような船になれればと思っています。そして、自分に還る場所のような存在でありたい。ただいまと思っていただけるような包容力のある場所になりたい。我々だけでなく、島の方々、お客様とともに、この船を育てていければ幸せです。」

建築家・堀部氏が一番好きな空間だと話す「縁側」。「縁側に座って、風を頬で感じ、波の音に耳を傾け、瀬戸内の景色を望みながら一杯。これが最高。是非、お客様にも体験いただきたいです」。

上記、縁側でいただける晩酌。ただ景色と対峙し、瀬戸内の食と酒に興じる時間こそ、『ガンツウ』にとって最高の贅沢。

『ガンツウ』は内装だけでなく、外装にもこだわる。瀬戸内の景色と馴染むような配色や三角屋根が特徴。

住所:広島県尾道市浦崎町1364-6(出港地・帰港地『ベラビスタマリーナ』) MAP
電話:0120-489-321(10:00〜18:00)
info@guntu.jp
https://guntu.jp

Text:YUICHI KURAMOCHI

瀬戸内は、地球からのギフト。我々は、その宝箱をまだ開けたばかり。[guntû/広島県尾道市]

船首に設けられたオープンデッキ。身体中で瀬戸内の景色と風を享受し、海上の時間を楽しみたい。「この景色が一番の宝物」と、『ガンツウ』総支配人・小林 敦氏。

ガンツウ瀬戸内は、日本のエーゲ海ではない。せとうちだ。

そう話すのは、『ガンツウ』総支配人・小林 敦氏です。

「『ガンツウ』が就航したのは、2017年。開業に至る経緯は、オーナーの想いからでした。せとうちの文化、歴史、芸能、自然、食、人。この魅力に溢れた瀬戸内をどこから見るのが一番綺麗なのか? そう考えた時、海から見る景色が一番綺麗だったと言います。では、この景色をどうすれば世界の人々に伝えられるのか? それには客船が必要だった。そのために『ガンツウ』は誕生しました」。

オーナーとは、広島県福山市に本社を置く造船・海運を主に展開している企業です。ゆえに、日々、瀬戸内を航海し、その魅力を一番知る当事者でもあります。

「ですが、当時、我々には、全く客船に対する知見がありませんでした。それだけでなく、食材を仕入れるために必要な漁師さんや農家さん、料理をするシェフやサービスマン、設計をする建築家さんたちとの関係も一切ありません。ゆえに、2年かけてじっくりと各所へ回り、お願いを繰り返しながら準備をしてきました。もちろん、最初から全てがうまくいくわけもなく、受け入れていただけないこともありました。それでも通い続け、通い続け、ご理解をいただきながら今では良い関係を築かせていただいております」。

なぜ、そこまでして関係を築くことが必要だったのか。それは、『ガンツウ』で体験する全てが瀬戸内でなければ意味がなかったからです。

「本当の意味での瀬戸内のポテンシャルは、まだ世に伝えきれていないと思っています。『ガンツウ』はただの客船ではありません。(前述の)オーナーの言葉通り、船旅を通して、瀬戸内の文化、歴史、芸能、自然、食、人を表現するために我々は活動しています」。

瀬戸内のポテンシャルを世に伝えきれていないと思う理由のひとつに、小林氏の実体験も重なっています。小林氏は、瀬戸内生まれ、瀬戸内育ち。ですが、『ガンツウ』に携わるまでは、「地元の魅力に気づけていなかった」と話します。

「瀬戸内は、日本のエーゲ海だと例えられることがあるのですが、私はそう思いません。瀬戸内は、せとうち」。

それだけ主語をすり替えられない場所が瀬戸内であり、その体験を供しているのが『ガンツウ』なのです。そのために船外体験も実施しています。

ある日は大三島の『大山祇神社』に訪れて歴史に学び、またある日は竹原の街散策や酒蔵に訪れ、文化に触れます。訪れた酒蔵は、創業150余年の『藤井酒造』。『ガンツウ』の客室に用意するミニバーやダイニングでも供している「夜の帝王」や「龍勢」を醸す蔵元です。

造り手に会い、話を伺い、その想いに触れ、船に戻る。客室やダイニングから竹原方面を眺めながら杯を交わす酒は、前出の体験前と後では、その感慨は大きく変わるでしょう。口に含めば、蔵の風景や造り手の顔が脳内を駆け巡ります。

これは、小林氏が話す「お客様と瀬戸内のつなぎ手になりたい」という言葉に集約されているのかもしれません。

瀬戸内海の景色に馴染むよう、船体の色はシルバーに。『ガンツウ』からの望む瀬戸内海の景色は、地上では得ることのできない感動を与えてくれる。

客室はもちろん、ダイニングやパブリックスペースなど、どの場所にいても景色とつながることができる船内。

ある日訪れた大三島では、『大山祇神社』へ。島々の歴史や文化など、知識豊富な『ガンツウ』クルーのガイドもあるため、多くの学びを得られる。

ある日訪れた竹原。竹原町並み保存地区の中央にある『西方寺』は、江戸時代中期に建てられたもの。高台からは、町全体の絶景を一望できる。

上記、『西方寺』のあとは、『ガンツウ』でも用意する日本酒「龍勢」を醸す『藤井酒造』へ。杜氏や造り手との出会いを経て飲めば、舌で感じる美味しさを超え、より深く心に染み渡る。

一部の船外体験へは、テンダーボートで移動することも。小型ながら迫力もあり、『ガンツウ』とはまた違った船の高揚を体験できる。

「瀬戸内は、地球からのギフトだと思います。この魅力を世界中の方に伝えていきたいです」と『ガンツウ』総支配人・小林 敦氏。

ガンツウ今がベストだとは思っていない。常に最良を求め、正解を探し続けている。

「『ガンツウ』が始まってから、まだ4年余り。今でも試行錯誤しています。ちゃんと瀬戸内を表現できているか。ほかにできることはないか。魅力を伝えきれているか。常に正解を探し続けています。お客様に愛されることはもちろん、瀬戸内からも愛されるような存在になりたいと思っています」。

その想いは、『ガンツウ』という名にも込められています。

「ガンツウ」とは、瀬戸内で獲れる小さなイシガニの備後地方の方言。昔から当たり前のように存在する小さなカニのごとく、永く愛される存在になれるよう命名されました。

「瀬戸内は、地球からのギフトだと思います。我々は、まだその宝箱を開けたばかり。更に、その価値を伝えるべく、研鑽していきたいと思います」。

『ガンツウ』は、高級・希少食材を提供することや豪華客船になることを目指してはいません。ただただ、瀬戸内の魅力を虚飾なしに伝え続ける船でありたいだけなのです。ゆえに、ライバルはいない。

「何かと比較することはありません。『ガンツウ』は、『ガンツウ』ですから。我々のやり方で、『ガンツウ』のやり方で、瀬戸内のやり方で、お客様にご満足ただけるよう、日々、努力を積み重ねていきます」。

美しい瀬戸内の景色。ゆっくりと、静かに、移りゆくそれは、ただ眺めているだけで心身を癒す。朝、昼、夕、夜、その全ての時間が美しい。

住所:広島県尾道市浦崎町1364-6(出港地・帰港地『ベラビスタマリーナ』) MAP
電話:0120-489-321(10:00〜18:00)
info@guntu.jp
https://guntu.jp

Text:YUICHI KURAMOCHI