コロナ禍に開催された「DINING OUT KISO-NARAI」。我々は、何を失い、何を得たのか。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

ダイニングアウト木曽奈良井

周知の通り、『DINING OUT KISO-NARAI』は、コロナ禍に迎えました。それゆえ、各方面にご心配をおかけしたかもしれませんが、地元の方々の心強いご支援をいただきながら、無事に開催することができました。

同時に、『ONESTORY』一同、この町の素晴らしさ、受け継がれてきた文化、伝統工芸の匠、住民の想いなどを学ぶ機会にもなりました。そして、何より、人の暖かさに触れられたことが一番の喜びにつながりました。

キッチンで奮闘する地元シェフ、心を込めたサービス、木曽漆器を造る職人や組合、学校の指導に情熱を注ぐ先生やそこに学ぶ児童生徒、商工会や農家組合の皆様、その全ての姿が目に焼き付いています。長谷川在佑シェフやホストの中村孝則氏においても、新たな視点からこの町の魅力を表現していただきました。

語弊を恐れずに言えば、『DINING OUT KISO-NARAI』は、『DINING OUT』史上、最も素朴かつ小さな地域だったと思います。しかし、間違いなく最も大切な回になりました。

本当の価値とは何か、本当に大切なものは何か。今回は、その答えを導き出す場であり、伝える場でありたいと思い、実施に踏み切りました。

DINING OUT KISO-NARAI』をきっかけに、何かが好転したと願いたい。誰かの背中を押すきっかけになったと願いたい。前を向くきっかけになったと願いたい。一歩を踏み出すきっかけになったと願いたい。今なお、そう思っています。

2020年2月、日本における新型コロナウイルス発覚から約2年半。世界中は難局に陥りました。

改めて問いたいと思います。我々は、何を失い、何を得たのか。

もしかしたら、失ったものは何もなく、不必要なものがそぎ落とされただけなのかもしれません。それによって大切なものは際立ち、残った欠片を人は豊かさと呼ぶのでしょうか……。

答えを言い当てるには、もう少しだけ時間がかかりそうです。

しかし、いつの日か、考え続けた先にあるその答え合わせをしたいと思っています。場所は、もちろん木曽平沢・奈良井宿で。変わらず美しい、あの景観を眺めながら。

最後に。『DINING OUT KISO-NARAI』に関わった全ての方々、ゲストの皆様に、深く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

ぜひ、お写真とともに、振り返る時間をお楽しみください。

また、日本のどこかでお会いしましょう。

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Text:YUICHI KURAMOCHI