肉厚、繊細、たっぷり水分。鳥取県が誇る原木しいたけが、料理人を魅了する。[鳥取県]

肉厚で旨みが豊富な「115号」という品種。鳥取県にある国内唯一のきのこの専門研究機関「日本きのこセンター」で生まれた。

生産量は少なくとも、記憶に刻まれる特産品。鳥取県産の原木しいたけ。

地域の特産品というと、まずは生産量や収穫量の多いものが思い浮かぶことでしょう。鳥取県でいえば、生産量日本一のらっきょうや二十世紀梨、境港で水揚げされる松葉がになど。確かにそれらは鳥取県を代表する特産品です。

しかし量こそ少なくても、真摯にしいたけと向き合う生産者がこだわりをもって育てる生産物もあります。有名ではなくとも口にした人を魅了し、人から人へと伝えられて広まるもの。今回の主役である鳥取のしいたけは、そんな知る人ぞ知る名産品でした。

そして、その鳥取産しいたけの魅力を伝えるべく、ひとりの料理人が立ち上がりました。鳥取を代表する名店『梅乃井』店主・宮﨑博士氏。70年続く伝統のうなぎ料理を受け継ぎつつ、新たに“郷恩料理”として地元産食材の魅力発掘を追求する料理人です。

そんな宮﨑氏が県内のしいたけ産地に生産者を訪ね、生産の現場を視察し、そしてその魅力を引き出すしいたけ料理を披露します。果たして宮﨑氏は地元のしいたけに何を思い、どんな料理に仕立てるのでしょうか?

「最初に出合うしいたけがこれだったら、きっとこの世にしいたけ嫌いの子どもはいなくなります」。

宮﨑氏の口から飛び出したそんな言葉の真意はどこにあるのでしょうか?

『梅乃井』店主・宮﨑博士氏。鳥取県で生まれ、若くして料理の世界へ。ホテルや大阪・新地の料亭で腕を磨いた実力派。

しいたけ専門家の案内で、鳥取県の山間を目指す。

宮﨑氏はまず鳥取市街にある『菌興椎茸協同組合』を訪れました。常務理事の岸本隆吉氏が、この日のナビゲーター。岸本氏の車に乗って、山中にあるしいたけの栽培場所まで案内してもらいます。

車中ではハンドルを握る岸本氏に、さっそく宮﨑氏からの質問が飛びます。

生と乾燥の成分、産地の特性、良いしいたけの見分け方、時期やサイズによる味の違い……。

おいしさを追い求める料理人の興味は尽きず、質問は多岐にわたります。しかし対する岸本氏はしいたけのプロフェッショナル。どの質問にも明快に応え、互いの理解を深めます。車は鳥取市街から山深い南方面へ向かいます。

鳥取市内から1時間ほど。智頭町の名勝・芦津渓谷にほど近い山中に、目指すしいたけの栽培場所がありました。管理スタッフ・寺谷謙二氏の案内でさっそくハウス内に招かれる宮﨑氏。そこにはしいたけが生えるほだ木がずらりと並ぶ光景が広がっていました。

そう、『菌興椎茸協同組合』が手掛けるしいたけの最大のポイントが、このずらりと並んだほだ木。国内のしいたけの90%以上が人工的な培地で育てる菌床栽培であるのに対し、ここで行われるのは原木に種菌を植え込んで育てる原木栽培。手間もコストもかかり、自然条件に左右されるため生産量も増えませんが、時間をかけて凝縮された旨みを持つのが原木栽培しいたけの特長です。

コナラやミズナラのほだ木が並ぶハウスで、さらに目を引くのが、まるで高級フルーツのようにひとつひとつ袋を被せたしいたけ。拳ほどもある大ぶりサイズで、どっしりと肉厚。しいたけのイメージを覆すような存在感です。

「鳥取県で開発された“115号”という品種です。袋をかけることで乾燥や傷を防ぎ、より大きく育ちます」。そう教えてくれた寺谷氏。

「傘にヒビが入っているでしょう? これは適度に水分が抜けた収穫時のサイン。お吸い物などにするとしっかりと旨みが出てきます。ただ天ぷらなんかにするには油の中で浮いてしまって不便なので、ヒビのないものを選びます。用途や希望に応じて出荷するしいたけを選ぶんです」と岸本氏。

しっかりと目配りを行き渡らせながら、愛情を持って育てられるしいたけ。

宮﨑氏は「30年料理人をやってきて、これほど立派なしいたけは見たことがない」と驚いた様子でした。

訪れた八頭郡智頭町芦津。標高400mほどの冷涼な地域で、初春のこの日も雪が残っていた

穴を開けた原木に種菌を直接植え付ける原木栽培。

岸本氏(右)、寺谷氏(中央)からレクチャーを受ける宮﨑氏(左)。

ひとつひとつにビニールの袋をかぶせて保湿。たいへんな手間だが、おいしさのために妥協できない。

しいたけを介して交流を深めた三氏。「生産者と話すことは料理人の財産」と宮﨑氏。

奇をてらうことのないシンプルな調理で、しいたけの持ち味を引き出す。

収穫したばかりのしいたけを手に、『梅乃井』に戻った宮﨑氏は、さっそく厨房に入り、料理に取り掛かります。着席したお客は、岸本氏ただひとり。生産者である岸本氏に、料理人謹製のしいたけ料理を振る舞うのが、今日の狙いです。

「自分の育てたしいたけは毎日食べるけど、一流の料理人の手にかかるとどうなるのか。楽しみです」と期待を込めて料理の完成を待ちます。

まず運ばれてきたのは、焼きしいたけ。『梅乃井』の看板であるうなぎの白焼きの上に、まるごと焼いたしいたけが乗せられています。
「しいたけは塩を少しだけ振って弱火で焼いただけ。この水分はすべてしいたけから溢れ出したもの。自分でも驚いています」。

そう宮﨑氏が言う通り、逆さにしたしいたけの傘の中には黄金色のスープがなみなみと満ちています。口にするとそのスープは、奥深い旨みをたたえた芳醇な味。熱々の身とともに頬張ると、濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。

そして、宮﨑氏から発せられたのが、記事冒頭の言葉。

「クセがなく、味わいは豊か。最初に出合うしいたけがこれだったら、きっとこの世にしいたけ嫌いの子どもはいなくなりますね」。

続く料理は、吟醸酒を加えた出汁をたっぷり含んだ煮物、まるごとの天ぷら、鳥取の名産・モサエビと合わせた椀物。三大旨味成分のひとつであり、しいたけだけに含まれるグアニル酸の味わいが、奥深く、コクのあるおいしさを醸します。

さらに特筆すべきは、その食感。きめ細やかで艷やかな肉質のしいたけが出汁を吸うことで、まるでアワビのような弾力と歯ごたえとなるのです。

最後のメニューは、しいたけの軸をきんぴらにし、羽釜で炊いたごはんに混ぜた一品。食感を残すために縦に細切りにした軸は、力強い弾力があり、甘辛の味付けで食欲をそそります。

「原木しいたけは以前から使っていますが、採れたてはここまで違うのか、という驚きでいっぱい。水分量、味わい、繊細な食感、どれも桁違いです」。そう話す宮﨑氏。

「このしいたけを活かすことを考えて、調理はシンプルになりました。どれも家庭でもできるような料理です」と、5品のしいたけ料理を振り返りました。

工程はシンプルでも、食材への理解と、その魅力を引き出す細やかな技は、さすが料理人。試食した岸本氏も「5品それぞれがまったく違う味。改めてしいたけの奥深さを教えてくれる料理の数々でした。大切に育てた我が子のようなしいたけを、これほどおいしくしてもらえてありがたいです」と感動を伝えてくれました。

『菌興椎茸協同組合』の原木しいたけは、この日使用した生のほか、低温でじっくり乾燥することで、わずか15分で戻せる干し椎茸、生と干しの良いとこ取りの味と食感を持つ冷凍しいたけも展開。一流料理人をも驚かせた原木しいたけが、日本中の料理界に広まっていく日も遠くないのかもしれません。

試食の会場となった『梅乃井』。創業70年の風格が漂う名店。

着席した岸本氏。しいたけを知り尽くす生産者が相手だけに、宮﨑氏も気合が入る。

焼しいたけとうなぎ白焼。しいたけは弱火で8分焼くだけでこれほどの水分が溢れ出した。

しいたけ吟醸煮。吟醸酒を使用した吟醸出汁の煮物。通常はじっくり煮含めるが、これは3分炊いただけで旨みがしっかり。

貝やイカのような艷やかな弾力を持つ天ぷら。塩のほか、しいたけを刻んで混ぜたしいたけ味噌とともに。

軸付きしいたけとモサエビの清汁。蓋を開くとしいたけの優しい香りが立ち上る。

軸金平混ぜご飯。細切りの軸を甘辛く炒め、炊きたてご飯と合わせた。

菌興椎茸協同組合が手掛ける冷凍しいたけ。冷凍して細胞膜を壊すことで芳醇な香りが際立つ。保存もきき使い勝手が良いことから人気上昇中。

梅乃井
住所:鳥取県鳥取市元魚町1-215
電話:0857-22-5383
https://umenoi-tottori.com/

菌興椎茸協同組合
住所:鳥取県鳥取市富安1-84
電話:0857-36-8115
https://www.k-siitake.com/

Photographs:YUICHI KAYANO
Text:NATSUKI SHIGIHARA

雛つるし飾りの世界

雛のつるし飾りの世界

開催期間

2023年2月3日(金)~3月5日(日)

10:00~19:00(アミコ専門店街の営業時間に準じます)

お問い合わせ

アミコ専門店街

Tel:088-621-4427

アミコ専門店街ホームページ

概要

雛のつるし飾りの世界

~原田成代&結の会~「雛つるし飾り」の世界

「雛のつるし飾り」は、江戸時代後期から伝わる静岡県伊豆稲取地方で発祥した風習で、長女の初節句に際して、無病息災や良縁を祈願し雛壇の両脇に吊した細工物が始まりとされています。

ひとつひとつの意味や決まり事を守りながら和装細工として現代まで受け継がれた作品の数々をご覧ください。

雛のつるし飾りの世界

基本情報

開催地 徳島市 アミコ専門店街1階シンボル広場
料金 入場無料

アクセス情報

アクセス JR徳島駅→徒歩約3分

とくしまマルシェ3月26日「パンフェア」

とくしまマルシェ3月26日「パンフェア」

開催期間

2023年3月26日(日)9:00~14:00

※開催時間が通常より1時間短縮となります。

お問い合わせ

とくしまマルシェ事務局

Tel:088-678-2117

とくしまマルシェ公式ホームページ

概要

フルーツサンドに天然酵母パンに食パン…!様々な種類のパンがとくしまマルシェにどど~んと集結。おいしいパンでおなかを満たしてください♪

★同時開催イベント『世界の旅 マルシェ』

徳島県産の食材を取り入れた、世界各国の料理が登場いたします!インドのカレー・フランスのチーズ・メキシコのタコス…などなど、世界のおいしい料理を彷彿とさせる商品がところ狭しと会場に並びます。

基本情報

開催地 徳島市 しんまちボードウォーク、新町川・阿波製紙水際公園、両国橋西公園
アクセス
  • 徳島自動車道「徳島IC」→車で10分
  • JR徳島駅→徒歩5分

未来へつなぐ阿波おどり2022写真展

未来へつなぐ阿波おどり2022写真展

開催日程

2023年1月9日(月・祝)~16日(月) 10:00〜19:00

開催場所

徳島市シビックセンター 3Fギャラリー(徳島市元町1-24 アミコ内)

開催概要

阿波おどりの魅力を広く発信することを目的に、徳島市主催により、3年ぶりに街中で開催された今年夏の2022阿波おどりの様子を、徳島市阿波おどり公式アンバサダーが様々なアングルから撮影した写真(約100点)を展示した「未来へつなぐ阿波おどり2022写真展」を開催します。

お問合せ

徳島市にぎわい交流課

TEL:088-621-5232

URL:徳島市にぎわい交流課

とくしまマルシェ2月26日「いちごとフルーツトマトフェア」

いちごとフルーツトマトフェア

開催期間

2023年2月26日(日)9:00~14:00

お問い合わせ

とくしまマルシェ事務局

Tel:088-678-2117

とくしまマルシェ公式ホームページ

概要

皆様が安全・安心してとくしまマルシェを楽しんでいただけるように、また、いまだ「withコロナ」の状況下であり、「新しい生活様式」を取り入れた感染症拡大防止対策を実施の上での開催となります。

ご来場の際は、これからも「とくしまマルシェ」が『元気で魅力ある』産直市として皆様に愛され継続できるよう、お一人お一人の感染症拡大防止対策へのご協力をお願い致します。

2月開催のとくしまマルシェ注目のフェアは「いちごとフルーツトマトフェア」♪

旬の時期を迎えておいしさ満点になったいちごやフルーツトマトが とくしまマルシェに登場!

各店舗様が持ち寄る美味しい商品たちが、フレッシュな風を運んできてくれますよ~

基本情報

開催地 徳島市 しんまちボードウォーク、新町川・阿波製紙水際公園、両国橋西公園
アクセス
  • 徳島自動車道「徳島IC」→車で10分
  • JR徳島駅→徒歩5分

第8回蜂須賀桜めぐりウォーク

桜並木蜂須賀桜

徳島城ゆかりの蜂須賀桜をガイドとめぐるウォークを令和5年3月18日(土)に実施します。

蜂須賀桜はかつて徳島城内に植えられていたと言われていますが、近年県民有志の尽力により県内外に植樹が広がり、春の訪れとともに多くの場所に花を咲かせています。

華やかで歴史のある蜂須賀桜を鑑賞しながら散策し、一足早いお花見を楽しみます。

コースの概要

10:00 鷲の門(徳島中央公園入口)集合・出発

10:20 助任川沿い桜並木(徳島中央公園)

10:40 富田橋南詰め桜(徳島市富田橋1)

10:50 東富田公園桜(徳島市富田橋1)

11:20 原田家住宅桜(徳島市かちどき橋3)

11:40 徳島県庁桜(徳島市万代町1)

12:00 鷲の門(徳島中央公園入口)解散

日時及び内容

令和5年3月18日(土)10:00 鷲の門(徳島中央公園入口)出発

観光ボランティアによるガイド付きで歩き、12:00に鷲の門解散

所要時間

約2時間(歩行距離約4.5km)

参加料

無料

参加資格

どなたでも参加いただけます

参加申し込み

不要、当日集合場所で受付

注意事項

1.道中のケガは自己責任でお願いします。

2.歩きやすい服装でお願いします。

3.マスクを着用するなどコロナ対策をお願いします。

主催・お問い合わせ

観光ガイドボランティア 築地堅一郎(徳島市)090-5272-0144