松本高山Big Bridge構想。それは、世界中の旅人が目指す目的地の創造。

「中部山岳国立公園」の飛驒山脈にある「穂高岳」は、標高3,190mの山を主峰とする山々の総称。日本百名山、新日本百名山及び花の百名山に選定される。

松本高山Big Bridge構想つながることによって再発見する、風土の力。

「松本高山Big Bridge構想」とは、「中部山岳国立公園」をはさみ、信州松本と飛騨高山をつなぐ横断ルートを「大きな架け橋」=Big Bridgeに例え、より美しい日本を体験できる旅を世界に向けて発信していくプロジェクトです。

「環境省」が中心となり、日本の国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化することを目指します。

今回の起終点は、「信州松本」と「飛騨高山」。その間を「槍穂高」、「新穂高」、「上高地」、「沢渡」、「平湯」、「白骨」、「乗鞍高原」、「乗鞍岳」などの「中部山岳国立公園」がつなぎます。

特筆すべきは、2県にわたり、その「橋」が架けられていること。これまでのローカル発信は、街から、地域から、県からというスタイルは数多くあれど、異なる県同士による発信は極めて稀有。これからのケーススタディになりうる新しいモデルとも言えます。

つながることのなかった「点」が結ばれることによって「面」になり、総合循環型の観光という新たな世界が誕生。3,000m級の山岳と80km県内にあるふたつの都市圏の訪問は、文化、自然、歴史など、異なる特別を体験することができ、より風土の魅力を感じることができるでしょう。

北アルプル登山はもちろん、山岳ガイドや山小屋宿泊から得る共生の学び、里山の美しい自然を巡るトレッキング、多彩な泉質の温泉、木工や民芸などの伝統文化……。心と体、双方のアプローチから得るアクティビティは、きっと、日本人ですら日本の感動を再発見できるはずです。

安川通りを登りつめた先にある風情漂う「東山寺町」、国の重要文化財にも指定されている「日下部民藝館」、飛騨国の一宮として古くより飛騨人の心の拠り所として親しまれている「飛騨一宮水無神社」、江戸幕府が飛騨国を直轄領として管理するために設置した代官所・飛騨郡代役所「高山陣屋」など、飛騨高山には、様々な歴史と邂逅できる建物や町がある。

飛騨高山では、城下町の中心、商人町として発達した上町、下町の三筋の町並みを合わせ、「古い町並」と呼ぶ。出格子の連なる軒下には用水が流れ、造り酒屋には看板ともいわれる杉の葉を玉にした「酒ばやし」が下がり町家の大戸や、老舗ののれんも連なる。

上高地の玄関口、沢渡にある温泉地「さわんど温泉」。周囲には「乗鞍高原」や「白骨温泉」、「北アルプス槍穂高連峰」などの名所も控える。

長野県松本市安曇(旧国信濃国)にある「白骨温泉」。北アルプス・乗鞍岳の山麓(標高1,400mほど)の「中部山岳国立公園」区域内に位置し、国民保養温泉地にも指定される。

松本高山Big Bridge構想垣根を超えた横断。そのルートの名は、「Kita Alps Traverse Route」。

前述、「松本高山Big Bridge構想」によって生まれたコースは、「Kita Alps Traverse Route」という名称で世界に発信されていきます。

「北アルプス=Kita Alpsという固有名詞が世界に広がってほしい。そして、山岳を横断=Traverseする体験をしていただきたい。そんな思いを名称に込めました」。

そう語るのは、本プロジェクトの中心人物である「環境省」中部山岳国立公園管理事務所 国立公園利用企画官の笠井大介氏です。

「信州松本と飛騨高山をひとつの一体的な観光圏としてつなぐために、『松本高山Big Bridge構想』を立ち上げました。そんな両都市の中心にあるものが『中部山岳国立公園』です。このプロジェクトをきっかけに、国立公園の自然、歴史、伝統、そして、町や食の文化など、すべての土地の恵みを活かした素材をアピールしていきたい。信州松本と飛騨高山移動の優位性もあり、国内はもちろん、海外の方々にも、体験いただきたい。『Kita Alps Traverse Route』を通して日本を知っていただきたいと思っています」と言葉を続けます。

昨今、海外の渡航も緩和され、この地域においてもアメリカ、デンマーク、台湾、香港、シンガポール、タイなどのゲストも増えてきており、中には、2週間かけてロングトレイルをする本格派からも支持を得ています。

「世界中に山や自然ありますが、この地域の特徴は、稜線上を長距離トレイルできるところにあります。これは世界から見ても珍しい地形。ゆえに、2週間かけてトレイルできるのです」と笠井氏。

しかし、「Kita Alps Traverse Route」の魅力は山岳だけではありません。例えば、「乗鞍高原」では、ガイドサービスに長けており、トレイルはもちろん、スノーシューやロードも整備。実は、公式で国立公園内をマウンテンバイクで走ることができるのは、国内において唯一ここだけ。上級、中級など、スタイルに合わせた対応も可能なため、安心して自然を満喫することができます。そのほか、普段では踏み入れることができない敷地にも訪れることができる貴重な体験もガイドサービスの利点の好例です。バイリンガル対応にも積極的なため、世界への発信の意欲も伺えます。

視点を変えれば、飛騨高山は古い町並みが景観を形成し、長きにわたり歩んできた文化があります。歴史を紐解くことによって深まる理解は、自然と一心同体の暮らしの背景。建物は北アルプスの木で作られ、その木が育った水によって育まれた食材は、今度は料理に活かされ、郷土料理や食文化が生まれます。これもまた、前述、総合循環型の観光の考え方のひとつ。ストーリーを知ることで生まれた連鎖もブリッジしていくことが、「松本高山Big Bridge構想」なのです。

このプロジェクトには、Key Peopleと呼ばれる地域のメンバーも参画。山小屋「横尾山荘」、アウトドアガイド&コンドミニアム「ノーススター」、里山サイクリングのツアーガイド「美ら地球」、5軒の山小屋を運営する「槍ヶ岳山荘」、岐阜県と長野県の県境に建つ山小屋「穂高岳山荘」、上高地氷壁の宿「徳澤園」、平湯の温泉宿「ゆらゆの森」、飛騨の家具「飛騨産業」、信州松本の宿「美ヶ原温泉 翔峰」など、住民の士気も高い。

県、地域、街、ジャンルを超え、人、もの、こと、自然、文化がつながる。多角的にブリッジできたことは、国立公園の存在が大きかったのかもしれません。

これから橋は、もっと大きくなる。

飛騨山脈南部の長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる「剣ヶ峰」(標高3,026 m)を主峰とする山々を総称すり「乗鞍岳」。

飛騨山脈南部東側、北アルプスの南端に位置する「乗鞍高原」。標高3,026mの裾野(標高1,200~1,800m付近)に広がる山岳地にありながら、古くから人々の生活が営まれ、「住む」アルプスと呼ばれる。

松本にある標高約1500メートルの山岳景勝地「上高地」。国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)にも指定される。

西に北アルプス、東に美ヶ原高原が望める松本は、長野県のほぼ真ん中に位置。信州の旨い食は松本に集まるとも言われ、蕎麦をはじめ、漬物、山賊焼き、馬刺し、松本一本ねぎなど、料理・食材ともに美味が豊富。


Text:YUICHI KURAMOCHI

SDGsにも配慮。東北の旨味が詰まったホタテとしいたけのアヒージョ。[和光アネックス/東京都中央区]

未来の笑顔をシェアするをコンセプトとした食とデザインの会社「LUNNY’S VEGGIE(ラニーズ べジー)」が展開するアヒージョ。食べ終わっても嬉しくなるようなキュートなデザインは、キャラクターアーティスト・タロアウト氏によるもの。

WAKO ANNEX地元の食材をたっぷり使用。みんなで食べたい「EVERY 1缶」。

ポップなデザインが目を引く缶詰は、環境省が循環型社会の実現のために進めている「つなげよう支えよう森里川海」プロジェクトのアンバサダーであり、野菜が大好きな料理家・藤田承紀(よしき)氏とデザインに命を吹き込むキャラクターアーティスト・タロアウト氏が始めた「LUNNY’S VEGGIE(ラニーズ べジー)」。その中身は、東北の食材をたっぷりと使ったアヒージョです。

青森県陸奧湾のホタテ、宮城県栗原市のしいたけ、宮城県「秋保ワイナリー」の白ワインを使用したアヒージョは、東北の旨味が溢れています。ホタテはひもごと、しいたけは軸まで使用することによって食材を使い切り、SDGsにも配慮。また、オリーブオイルに米油をブレンドし、白ワインの酸味を効かせた濃厚な味わいは、食欲もそそり、どんどんお箸が進む味わいに仕上げています。

サラダと絡める、バケットに乗せる、粗く切ってパスタとからめるなど、様々なアレンジもぜひ。

青森県産のベビーホタテ、宮城県産のふぞろい椎茸と「秋保ワイナリー」の白ワインを使ったアヒージョ。油を少なめにし、ワインをしっかりきかせることにより、コクと軽やかさを併せ持つ味わいに。地元の食材、地元の企業とも協業し、本来捨てている椎茸の軸も使用など、サスティナビリティの観点も踏まえた逸品。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

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TEL:03-5250-3101
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Photographs:JIRO OHTANI
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