銀座コリドー街の賑わいの中、心静かに自分と向き合う点茶体験。[ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー/東京都中央区]

点茶セットはオリジナルの酒粕チーズケーキとともに販売され、茶菓子は季節によって変わっていく。

ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドーコリドー街の玄関口に誕生したナイトライフを楽しむホテル。

数々の飲食店が軒を連ね、いまや銀座の賑わいの中心地とさえいえるコリドー街。その玄関口に2022年11月、名門ロイヤルパークホテルズの新たなホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」が誕生しました。

ホテル館内でバーホッピングが楽しめる3つのバーや、お酒の要素を取り入れた客室など、コリドー街らしいエッセンスに満ちたこのホテル。“酔いしれる”をコンセプトに、お酒、音楽、光、食、エンターテインメントをテーマにしたコンテツも多数揃う注目のホテルです。

しかし今回ご紹介するのは、「ナイトライフ」や「活気」というイメージからは少し離れた、一風変わった体験。

それは、抹茶を点てて味わう点茶です。

喧騒から離れて心静かに茶と向き合い、茶の中に自分の心を映す。そのマインドフルな体験は、ホテルの滞在をいっそう豊かな時間に変えてくれることでしょう。

裏千家の岩本氏が監修する抹茶はたっぷりと泡立てるスタイル。泡により飲み口がまろやかになる。

館内に3つのタイプのバーを備えた「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」。

ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー若き茶道家が監修する、文化に触れるための点茶。

ただ道具を貸し出すだけの体験ではありません。やるからには本格的に。そんな思いのもと、今回の点茶体験は茶道家の岩本涼氏が監修を手掛けました。26歳の若き茶道家・岩本氏は、一般社団法人お茶協会が主催するティーアンバサダーコンテスト日本代表に選出される、世界に日本茶を広める中心人物。そんな岩本氏が、銀座のホテルで点茶を体験する意味を改めて見つめ、そこにふさわしいスタイルを考案しました。

舞台となるのは「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」2階の「CANVAS LOUNGE」、そして同じく2階の奥にあるバー「OMIKI BAR」。テーブルとチェアのあるバーで行うため正式な茶道の作法とは異なりますが、

「作法よりも大切なことは、“どう向き合うか”ということ。自身と向き合う内省、他者と向き合う対話。日常生活の中で減りつつあるこの“向き合う”という精神性を心に留めれば、正式な作法は後回しで構いません」

と岩本氏は話します。

上質な陶磁器の抹茶碗に触れることで、自分自身や眼の前の相手としっかりと向き合う。それこそが点茶の一番の目的。文化大国といわれながら、文化に直接触れ、体験する機会が少ない日本。海外からのゲストだけでなく、日本人にとっても点茶の体験は素晴らしい時間となるはずです。

さらに岩本氏は、こう続けます。

「余裕がないときや疲れているときには、お茶を点てようという気持ちにはなりにくいもの。つまり、お茶を点てるという行為は、それだけで心が豊かである証明になります」。

コリドー街という繁華街の真ん中で、静謐に浸り、己と向き合う豊かな時間。銀座で点茶という貴重な体験は、体験者の心に確かな何かを残すことでしょう。

監修を務めた株式会社TeaRoom代表の岩本涼氏。「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2022」にも選ばれる次世代を担う茶道家。

「OMIKI BAR」は厳選した酒とアナログレコードの上質な音楽が楽しめる大人のための和酒専門バー。

点茶体験はスイーツ付き。この日のスイーツ、酒粕チーズケーキを味わった岩本氏は「濃厚で苦味のあるお茶と合います」と太鼓判。

ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー点茶を通して心と体も整えて、夜の銀座へ。

作法は後回し、とは言っても、一連の流れは理解しておいて損はありません。ここで、岩本氏の指南による、「OMIKI BAR」での点茶体験の流れを見てみましょう。

まずは抹茶碗選び。6種類準備された抹茶碗は、萩、織部、伊羅保など、いずれも風格のある名品ばかり。

「道具は鑑賞するよりも、使ってみてその先に何があるかに思いを馳せるもの。いわば生活の中に美を見出すこと」

と岩本氏。上質な椀でも直接触れて、土の感触や陶芸家の指の動きに思いを巡らせることで、新たな気づきがあるはずです。

茶碗を選んだら、いよいよ点茶。

湯で温めて提供された椀に茶杓で2杯の抹茶を入れ、湯を流し入れたら茶筅で静かに混ぜます。このとき、“混ぜる”より“こする”ようなイメージで茶筅を回すのが茶の成分と旨味を引き出すポイント。十分に混ざったら最後に「の」の字を書くように茶筅を引き上げます。

抹茶ができあがったら両手で抹茶碗を持ち、感謝の思いを込めて一度黙礼。そこから手の上で茶碗を2度まわします。これは「椀の正面に口をつけないために位置をずらす」という敬意の表現です。

飲み口をずらしたら、あとはどう楽しむのも自由。一息で飲み干すのも、少しずつ味わうのも、一緒に供されるスイーツと交互に味わうのもお好み次第です。ただしお茶の最後のひと口は「最後まで飲み干した」ことを伝えるため、ズズッと音を立ててすすります。

バーで体験するための特別バージョンではありますが、このように点茶は静かに向き合いつつ自由に楽しむもので、なんら堅苦しいことはありません。

直接触れられる文化体験であり、禅に通ずるマインドフルネスの時間でもある点茶。さらにもうひとつの意味があると岩本氏は言います。

「旅館に行くとお茶とお菓子が置いてありますよね。あれには“疲れた体の血糖値を上げ、水分補給をしてください”という意味が込められています。このコリドー街のホテルでの点茶体験は、遠方から到着した方、これから街へ出かける方への体のメンテナンスの意味でもとても素晴らしいと思います」。

都会の夜を楽しむホテルで、点茶で静かな時間を過ごし、心と体を整える。ぜひ体験し、銀座の新たな楽しみ方を見つけてみてください。

素晴らしい器に触れて愛でるのも点茶体験の醍醐味。

茶杓に掬う抹茶は1杯半ほどで。湯量は60ml〜70mlが目安。

器に手を添えて抹茶をこするようにしっかりと混ぜる。

手の上で回して正面を避けたらあとは好みに応じてお茶を楽しむ。

住所:東京都中央区銀座6-2-11
電話:03-3573-1121
https://www.royalparkhotels.co.jp/canvas/ginzacorridor/

【販売情報】
点茶セット+酒粕チーズケーキ 1,800円(税込)
 ※宿泊者には1,500円(税込)で販売
 ※
点茶セットは貸出制となります
 抹茶碗はお選びいただけない場合もあります

OMIKI BAR
 月~土 17:00~28:00(飲物L.O. 27:00)
 日・祝 17:00~22:00(飲物L.O. 21:00)
 

CANVAS LOUNGE
 月~土 11:00~28:00(飲物L.O. 27:00)
 日・祝 11:00~22:00(飲物L.O. 21:00)
 


Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(Supported by ROYAL PARK HOTELS)