国宝松本城チャリティーガラディナー 「料理」「おもてなし」を通し、国宝「松本城」を守り、継ぐ。
「ルレ・エ・シャトー」と聞いて、その本質を語れる人が日本にどれだけいるだろうか。残念ながら、多くはないのが現実だろう。
「ルレ・エ・シャトー」の歴史は、パリとニースを結ぶ国道7号線上にある8つのオーベルジュのオーナーたちがパートナーシップを結び、1954年に創設した「レ・ルレ・ド・カンパーニュ(田舎の宿)」からスタート。その後、「ラ・ルート・デュ・ボヌール(幸福の道)」という名称のキャンペーンを展開し、フランス全土に広がりました。
1956年以降、加盟メンバー数は8軒から25軒、ついで80軒と発展。さらに、スペイン、オランダ、ドイツ、オーストリア、スイスのホテルが加盟し、国境を越えた最初のフランスのホテル組織に。そして、1961年には、初のヨーロッパガイドブックも刊行されました。
ロアンヌの著名なレストランのオーナーシェフ、ピエール・トロワグロが中心となり、トップ・シェフたちが集まりルレ・グルマンを創設。今では、世界65カ国、580のホテルとレストランが加盟しています。
新規加盟には厳格な審査があり、「ルレ・エ・シャトー」の価値を共有できる個性あるホテル・レストランのみが認められます。加盟するメンバーは、お客様ひとり一人との一期一会を大切にし、本物のリレーションシップを築くという情熱を共有しています。
そんな「ルレ・エ・シャトー」の価値とは何か。そのひとつは、2014年11月にユネスコで宣言したヴィジョンにあります。
「料理とおもてなしによる、より良い世界を構築するために」掲げられた3つの行動領域、「世界の優れた料理を守るために」「美しさと美味しさの情熱を分かち合うために」「より人間的な世界で生きるために」は、離れた地で活動するメンバーたちの指針となり、同じ人道的なゴールを目指しています。
国や文化、言語は違えど、互いに違いを認め合う人間同士。料理という共通から結実されたメンバーには、次世代へ継承するふたつの伝統があると言います。それは「料理」と「おもてなし」です。このふたつの伝統は、常にアール・ド・ヴィーヴル(人生を豊かにする術)と世界平和に貢献してきました。料理とおもてなしは、世界共存という概念の中で本質的な役割を果たすために、今まで通り、これからもずっと守られ、更なる進化を遂げなければならないのです。
そんな「ルレ・エ・シャトー」が日本でガラディナーを開催。招集する主催は、長野県松本市を拠点にホテル・宿を運営する「扉ホールディングス」です。会場は、同じく松本市、誰もが知る国宝「松本城」。「ONESTORY」は、その運営と演出を担います。
目的は、文化財の保全、保存、保護。参加費の一部は、「松本城」に寄付され、それに当てられます。
今回は、国内外の「ルレ・エ・シャトー」メンバーより厳選し、9名のシェフが参加。
海外からは、フランスより、「L‘Auberge Basque」のCédric Béchadeシェフが来日。日本からは、金沢「日本料理銭屋」の高木慎一朗シェフ、宇都宮「オトワレストラン」の音羽和紀シェフ、大阪「柏屋」の松尾英明シェフ、松本「扉温泉明神館 ヒカリヤ ニシ」の田邉真宏シェフ、大阪「La Bécasse」の渋谷圭紀シェフ、京都「要庵 西富家」の美坂昌希シェフ、神戸「神戸北野ホテル」の伊井野昌洋シェフ、沖縄「ジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズ」の喜納正智シェフたちが腕を振るいます。
料理には、信州の歴史、松本の暮らし、自然環境や食文化が取り入れられ、おもてなしには、伝統芸能や工芸も採用。「ルレ・エ・シャトー」が大事にする、「料理」「おもてなし」を松本スタイルに発展させ、国宝「松本城」を守り、継ぐことに貢献します。
国宝や伝統と名の付く物事は、当たり前のように続いているわけではありません。世界と比べ、日本においては文化への投資がまだ明るくなく、それらを維持する費用の問題は切実。国や地域だけでなく、国民全員で向き合う局面を迎えていると言っても過言ではありません。
「Delicious Journeys in Matsumoto」は、ただの美食のイベントではありません。
世界中は難局を経て、人は何を学んだのか。食べることとは何か。料理とは何か。レストランとは何か。そして、生きることとは何か。「ルレ・エ・シャトー」のメンバーとともに「松本城」で過ごす時間は、きっと大切な何かに気づかせてくれるに違いないでしょう。
今回は、あくまでもきっかけに過ぎません。美しい日本を守り続けることができるのは、我々、日本人なのです。