DINING OUT RYUKYU-SHURI王朝の「うとぅいむち」。ガストロノミーの再考と原点回帰。
来る、2024年2月。「DINING OUT RYUKYU-SHURI」を開催。その舞台は、約450年にわたり、日本の南西諸島に存在していた「琉球王国」の中心地として威容を誇った「首里城」です。
海に囲まれた地形を活かした王朝は、古くから貿易の拠点として繁栄。室町時代、15世紀には、日本、中国、朝鮮、東南アジア諸国との交易や外交を通して王制の国として発展してきましたが、17世紀初頭に薩摩藩の武力により制圧。江戸幕府の支配下となり、明治時代には日本に併合され、「琉球王国」は消滅しました。
長い歴史の中、その発展に寄与したひとつとして挙げられるのが「うとぅいむち(おもてなし)」の文化です。国と国とが対峙する場において、舞踊や儀式、酒宴など、来賓へのおもてなしは、人種や宗教などの垣根を超え、人と人との縁を取り持ってきたと言って良いでしょう。
その名残は、「首里城」の王殿へ繋がる門にも表れます。外門には、「守禮門」があり、「守禮之邦」の扁額を提示。城内の第一門「歓会門」には同一名の扁額が掲示され、おもてなしの心を感じ取ることができます。これは、賓客への礼節を重んじ、歓待する心も表しています。
そんな「首里城」が突然の火災という悲報に接したのは、2019年10月。1992年に復元された建物とはいえ、世界遺産の多くを焼失した出来事は、奇しくも同年に起きたパリ「ノートルダム大聖堂」の大規模火災に次ぐ、世界にとって大きな損失となりました。
現在は、正殿をはじめ、北殿、南殿などの復元に向けて着手。2026年の完成を目指します。つまり、「DINING OUT RYUKYU-SHURI」の舞台は、未完の「首里城」。料理を手がけるのは「茶禅華」川田智也シェフです。
今回は、「食べる」という表現ではなく、「いただく」という表現が正しいかもしれません。「いただく」には、「敬意を表して高くささげる」、「頭上におしいただく」という意味があり、世界的にも稀な器を持って食す日本人にとって「いただく」ことは、「祈り」と同義でもあるからです。
食を通して命を想い、おかげに感謝し、そして「首里城」復興を願い、全てに祈りをささげる。
本来、ガストロノミーとは、「食事と文化の関係を考察すること」にあります。予約が取れないレストラン、星、トック、ラインキングされる美食ではありません。「DINING OUT RYUKYU-SHURI」では、ガストロノミーの再考による原点回帰にも向き合います。
Text:YUICHI KURAMOCHI
日程:2024年2月10日(土)、11日(日)、12日(月)
人数:各日25名
宿泊:ハレクラニ沖縄
会場:首里城
出演:茶禅華 川田智也
主催:沖縄県(観光再始動事業)
企画・運営:ONESTORY