「イベントはやらなかった」孤高のシェフ。その殻を破った一夜の記録。

昨今、日常化したイベントにおいて、疑問視してきた「UOZEN」井上和洋シェフ。今回は、自身初となるイベントを開催。「UOZENではなく、このイベントだからこそ体験できる時間を創り上げたい」。

富井貴志×八海醸造×UOZENイベントをやる意義とは何か。

「イベントはやらなかった」。これは、新潟県三条市のレストラン「UOZEN」井上和洋シェフの言葉です。

もう少し補足すると、イベントをやる意義を感じるものが少ないため、「イベントはやらなかった」のです。

語弊を恐れずにいえば、井上シェフは、少し厄介な人物かもしれません。

狩猟から漁師、さらにはそれらを捌くことまで行うため、料理と向き合う時間が圧倒的に長く、シェフ・井上と個・井上の境目がありません。ここでいう料理とは、命とも置き換えられるでしょう。

ゆえに、井上シェフが創造する皿の中には、全てにおいて理由があるのです。

一般的には、調理法や季節、材と材の組み合わせなど、料理を美味しくするための理由はありますが、井上シェフの料理には、食材になる前、生物として生きていた命を知るため、陸海空という自然環境も含めたロジック、ビオトープ的思想の理由も構築されているのです。

この命とは、鮮度を保つために延命したものではなく、本来の生きる命を指します。

井上シェフにとっては、キッチンの中はあくまでも料理の後半戦。キッチンの外で行われる狩猟や漁師という前半戦から料理は始まっているのです。

「東京から新潟でお店を開業すると決めた時から、ひと皿一皿の本質を追求したいと思っていました。食材になる前のストーリーを大切にし、誰もが知るような美味しい食材でなく、美味しいのに流通されていない食材を自分のフィルターを通して伝えていくことが地方でやっていく意義だと考えています」。

イベントは、基本的に主催者やプロデューサー、ディレクターなど、実行するために取り仕切る個人や団体、機関などによって運営されます。

井上シェフのようなこだわりを持つ人物と結実すれば、濃厚な体験を生み出すことができる一方、運命共同体になることは容易ではなく、覚悟が必要です。こだわりが強いことは、時に人を遠ざけてしまうため、前出、「少し厄介な人物かもしれません」とは、こういった件からの見解です。

2024年7月。そんな井上シェフが、初のイベントを開催しました。

「イベントはやらなかった」孤高のシェフにどんな変化があったのでしょうか。

その理由を探ります。

当然、キッチンも「UOZEN」とは異なるため、勝手が悪い。しかし、「その都合の悪さや不便もイベントの醍醐味。やり辛いからやり甲斐が生まれる」と井上シェフ。

「UOZEN」の料理は出さない。そう決めていた。

井上シェフの初となるイベント開催の舞台は、新潟県の銘酒として名高い「八海山」を醸す、南魚沼市「八海醸造」。

一見、井上シェフと「八海山」は、対極の位置にいるようにも思えますが、このイベントにはもうひとりの主役が存在しています。その人物が井上シェフの殻を破るきっかけを与えたのです。新潟県長岡市で創作活動を行う、木工作家・富井貴志氏です。「UOZEN」でも富井氏の作品は起用されており、井上シェフとは旧知の仲。

富井氏は、元々、物理学者を志していましたが、海外留学時に木の魅力に取り憑かれ、木工作家の道へ。留学時に受け入れてくれた物理学者のホストファミリーの家は、立派な木で建てられており、冬は薪ストーブを囲み、森の中で日常を楽しむ毎日。自然と密接な暮らしは、富井氏に働くことではなく、生きることの豊かさを見出したのかもしれません。

そんな富井氏の生き方は、井上シェフの生き方とも、どこか通じる部分も感じます。

話を井上シェフに戻したいと思います。今回、井上シェフは、自ら「3つの制約を課した」と話します。

まずひとつは、「UOZEN」の精神性はそのままに、「UOZEN」の料理は出さないこと。ふたつ目は、富井氏の作品に合わせた料理のため、漆の器を傷つけないよう、シルバーを使わない料理に仕上げること。三つ目は、新しい挑戦をすること。

考え抜かれた料理は、「新潟彩々」、「狩漁」、「赤山鳥」、「共鳴」、「渓谷から俾睨」、「滋養」、「清流和協」、「豊壌」の8品。特に注目したいのは、「狩漁」と「共鳴」です。

「狩猟」ではなく、「狩漁」は、まさに「UOZEN」の精神性が宿る料理。井上シェフが佐渡沖で釣ったクロマグロとパプリカで巻いた中身には、鹿肉を昆布締めにしたタルタルを忍ばせ、旨味のある夏キノコ・タマゴダケを薄切りにし、お米のパフと和えたものを添えます。

そして、もうひとつ。クロマグロの骨に刺した先にはマグロの胃袋。漁師が釣って直ぐ捨てる内蔵は、実は調理次第で美味の部位に。香草バターと共に火入れしたそれは、前述、「美味しいのに流通されていない食材を自分のフィルターを通して伝えていくことが地方でやっていく意義」の好例です。

山の命から成る「狩」と海の命から成る「漁」の料理は、まず、ゲストが「UOZEN」をインプットする意味でも2品目に置いたのは、絶妙な構成。

そして、「共鳴」。山の王者・ツキノワグマと川の王者・スッポンのお椀には、食感のアクセントとして、ハナビラダケを加え、スッポンの出汁とコンソメで炊いた熊の旨味がひとつにまとめ上げます。

その名の通り、山と川が見事に共鳴する料理は、味もさることながら、注視すべきはスッポン。 養殖だからです。狩る、獲る、釣るところから始まるシェフの料理にとって、養殖を扱うことは極めて稀であり、新しい挑戦とも言うべきか、はたまたポリシーの変化か。しかし、なぜ?

「新潟でスッポンを育てている人がいることは随分前から知っていました。自分は、高級食材や人が作り上げたものに魅力を感じないため、それらの視点から養殖にも興味がありませんでした。ですが、近年の食材高騰によって、多くの養殖業が廃業するのを目の当たりにし、関心がないままにして良いのかと思うようになりました。このスッポンは、若い世代の方々が育てており、彼らはある意味、まだ未完成。そこにおもしろさと魅力を感じたのかもしれません。人の手が加わって完成されたものはつまらない。今回は、応援も兼ねて起用してみることにしたのです」。

養殖は、均一性が取れ、ある一定量の生産と品質を可能にします。一方、手仕事は、すべてが一点物。これは、富井氏の作品も同様です。だから、富井氏と井上シェフと共鳴するのです。しかし、養殖の○○ではなく、○○が育てた○○という、深い信頼関係を交わすことができれば、今後、井上シェフの心境を変化させる可能性はゼロではないのかもしれません。天然と養殖、どちらが正解でどちらが不正解はありません。温暖化や自然環境の変化を加味すると、一次産業において、ひとつの解を紡ぎだすことは難を極めます。

人間は、自然界における特殊な生物であり、食物連鎖の長ともいえるかもしれません。井上シェフは、それを知っているからこそ、人間がほかの生物の命とどう介在するべきなのかを熟考し続けながら、料理と向き合い、生きているのかもしれません。

ゲストのテーブルに置かれた今回のメニュー。料理に与えられた品名を見るだけで、創造力が掻き立てられる。お箸、スプーンを始め、このあとに供される器(グラスは除く)は、全てが富井貴志氏の作品。

「新潟彩々」は4品で構成。その1つは、魚沼湾の天然の鮎を丸ごとパテにし、キュウリで巻き、その上には干した鮎を。アクセントには、ねずの実のスパイスを添える。奥は、「瓶内二次発酵酒 白麹あわ 八海山」。

上記に次ぐ、「新潟彩々」の2品目。左、お米のチップの上には新潟県産の鴨を味噌漬けにし、生ハムのように仕上げ、「八海山」の酒粕で漬けたナスの粕漬けを包む。鮮やかな緑は、ウドの新芽。3品目、右は、新潟県産の南蛮エビと旬の桃を合わせ、涼しげな味わいに。料理の下に引いたお米の演出には、「八海醸造」への敬意を感じる。器の彫り込まれた幾何学的デザインは、物理学者を目指していた富井氏が顕微鏡で見た原子の配列がイメージソースであり、WE ARE ATOMSと名付けられたシリーズ。

「新潟彩々」の最後、4品目は、ジビエドッグ。黒ニンニクのソースを忍ばせ、枝を持っていただく野生的な料理。

「狩漁」。左、「UOZEN」でも起用する器には、クロマグロの骨に刺したマグロの胃袋。漁師が釣って直ぐ捨てる内蔵は、実は調理次第で美味の部位に。香草バターと共に火入れし、仕上げる。右、鹿肉を昆布締めにしたタルタルを井上シェフが佐渡沖で釣ったクロマグロとパプリカで包み、夏キノコ・タマゴダケを薄切りにし、お米のパフと和えたものを添える。

上記、「狩漁」に添えた夏キノコ・タマゴダケ。ナッツなど、コクのある味わいが料理を引き立て、生食できるのが特徴。

「赤山鳥」。鳥とあるが夏キノコの代表・アカヤマドリの料理。天然のそれをタルトにし、口溶けの良いツキノワグマのラルドを添える。左はコクと旨味が凝縮されたアカヤマドリのポタージュ。

上記、「赤山鳥」のアカヤマドリ。キノコの傘がヤマドリというジビエの羽に似ていることがその名の由来とされている。

「共鳴」。山の王者・ツキノワグマと川の王者・スッポンのお椀。食感のアクセントとして、ハナビラダケを加え、スッポンの出汁とコンソメで炊いた熊の旨味がひとつにまとめ上げる。合わせるお酒は、「八海山 自家用大吟醸」。このお酒には、「八海醸造」の並々ならぬ想いが込められている(後半参照)。

上記、「共鳴」のツキノワグマとスッポンを丁寧に炊き合わせる。スッポンは養殖であり、井上シェフが養殖を起用するのは極めて希。

上記、「共鳴」に合わせた天然のキノコ、ハナビラダケ。レースのような形とシャキシャキした食感が特徴。

「渓谷から俾睨」。天然のイワナ、クレソン、葉わさびのピクルス、鉄火味噌、エゴマなどを、魚沼のそば粉のクレープで巻いていただくガレット。イワナの卵を添えた山椒の風味のソースとともに。

「滋養」。古きより、栄養補給として重宝されてきたジビエ。今回は、イノシシのヒレをホワイヨ仕立てに。コンテチーズやナッツ、パン粉と焼き上げ、中央のマデラソースと上下のニラのソースでいただく品。曲線を活かしたハナニラは、自然の美しさを愛する井上シェフらしい演出。

上記、「滋養」の中央に配したハナニラは、蕾も茎も丸ごといただける食材。ただのニラではなく、蕾を備えたニラは、より自然美を感じる。このような生命を知るがゆえ、「人の手が加わって完成されたものはつまらない」という感覚が井上シェフに芽生えてしまうのは止む無い。もう少し噛み砕くと、つまらないのではなく、自然の力に人の力は敵わないという見解。

「清流和協」。新潟の清流といえば、魚沼湾。そこで捕れた鮎を半日コンソメで煮込み、その下には八海山の麓で営む「八海山 宮野屋」の蕎麦。熊のコンソメなどの出汁を活かしたスープとともに。奥は、「純米大吟醸 八海山 雪室熟成八年」とそれをソーダで割り、シソとキュウリで合わせたカクテル。

八海山の登山口に開業して100余年。四代に渡り、山に仕え、蕎麦を打つ「八海山 宮野屋」。今回は、このイベントのために、特別に仕込んでいただく。井上シェフとの絆の深さを感じるまさに和協の品。

「豊壌」は、2品で構成。まず1品目。新潟県のコシヒカリをガンジー牛乳で炊いたリオレにマスカルポーネチーズとルバーブのコンフィチュール、そしてレモン風味のメレンゲと合わせる。越後姫の夏イチゴのソースとともに。

蓋を開けた瞬間、旬のラベンダーの香りが一気に広がるもうひとつの「豊穣」。ブルーベリーと「八海山」の酒粕を使った羊羹。その隣にはチーズケーキを。

今回、供された「八海醸造」のお酒は、計9品。前述3品のほか、「Oharoジン スタンダード」、「利酒 No.591 春紫苑」、「八海山 ライスグレーンウィスキー」、「ライディーンビール ピルスナー」、「特別本醸造 八海山」、「瓶内二次発酵あわ 八海山」が井上シェフの料理とペアリングされた。

主要メンバーとともに、振り返る。

今回のイベントは、ただ食べるだけではありませんでした。舞台となる「八海醸造」を学ぶところから始まります。

「食べる前に知識を得ることによって、美味しい理由を感じて欲しかった」と井上シェフ。

実は、かく言う自身もまた、今回のイベントで学びを得たひとり。様々ある中、ふたつをフォーカスしたいと思います。

ひとつは、種類の多さ。多彩に仕込んだ日本酒のバリーエションだけでなく、焼酎、ジン、ビール、ウィスキー、本みりんなども醸造。「こんなに色々なお酒を醸造しているとは知りませんでした」と話し、「UOZEN」のマダム・真理子さんにおいても、「日本酒だけのペアリングであれば、緩急をつけ辛いと思っていましたが、この幅の広さによって、良いペアリングができました。きっと、八海山の新しい一面をお客さまも知ることができたのではないでしょうか」と続けます。

そのほか、運営する「魚沼の里」には、レストランやバー、菓子処やベーカリー、ショップなど、様々な店舗が並び、その敷地面積は、約7万坪。この驚愕の施設の存在を知る人も少ない。今回、ゲストは、敷地内の店舗「okatte」にて、会期中だった富井氏の展覧会を本人のアテンドとともに回遊。作家の想いを聞いた後にいただく料理は、器においても感慨深くなったに違いないでしょう。

そして、もうひとつは、「八海山 自家用大吟醸」の存在。その名の通り、一般には出回らない日本酒です。

「このお酒は、基本的には八海醸造で働く我々が元日にいただくお酒になります。おそらく、八海山のイメージは、一般酒、大衆酒だと思います。ここに一番ニーズがあり、私たちも安心安全を持って、その期待に応えなければいけないと思っております。これは、そういった消費者向けではなく、八海醸造として、さらなる高みを極めるために造っているもの。一番身近な家族や親族が集まる元日にこのお酒を振る舞うことで、日々の感謝を捧げ、同時に、造り手としてのプライドを再確認するために醸したお酒なのです」。

そう話すのは、杜氏・村山雅俊氏。「八海醸造」を学ぶために蔵を見学した際、解説してくれた一節です。

「私たちも蔵を巡り、村山杜氏の話を伺い、気持ちが入った」と、井上シェフ、真理子さん、富井氏は口を揃えます。

“一見、井上シェフと「八海山」は、対極の位置にいるようにも思えます”という見解が覆されたのは、このようなお酒が存在していることや酒造りと向き合う熱量に触れたからこそ、その距離が一気に縮まったのです。つまり、向き合うべきは、「八海山」ではなく、「八海醸造」だったのです。

「八海山 自家用大吟醸が一般の方々に振る舞われたのは今回が初。加えて、会場となった○○○○(建物の名前を要確認)を一般の方々に開放したのも今回が初。新しい挑戦でした。僕らは、造っているものを変えることはできない。今回は、井上シェフが自分たちのお酒に寄り添っていただけ、新たな可能性を見出していただいたイベントになったと思っています」と、「八海醸造」の取締役 副社長の南雲真仁氏。

大切なことは、まず相手やその対象を知り、学ぶこと。これは、本件に限らず、職種や年齢、キャリアに関係なく、全てにおいて共通することではないでしょうか。だからこそ、発見が生まれ、想像できなかった新たな道が開けるのかもしれません。

ゲストは食事をする前に蔵を見学。「八海醸造」がこだわる酒造りだけでなく、企業理念なども学び、舌だけでは感じることのできない知識を得るところから、今回のイベントはスタート。

蔵の見学をアテンドしてくれたのは、杜氏・村山雅俊氏。酒造りの工程や解説だけでなく、利き酒なども交え、体験型の蔵見学を実施。

「八海山 自家用大吟醸は、評価されるために醸しているお酒ではなく、八海醸造の存在意義を表現するために醸しているお酒。ゆえに、販売しているお酒ではありません。今回は、初めてそれを八海醸造以外の方々に振る舞う機会となりました」と南雲真仁氏。

広大な敷地面積を有する「魚沼の里」。レストランやバー、菓子処やベーカリー、ショップなど、様々な店舗が並ぶ。

「魚沼の里」の敷地内、「okatte」にて開催されていた富井貴志展。定番のリム皿、新作のボウル、パスタ皿などを展示。ゲストは富井氏とともに回遊し、作家の想いも得る。

「八海醸造」南雲氏(左上)、木工作家・富井氏(右上)、「UOZEN」井上シェフ(右下)、真理子さん(左下)を中心に、多くのスタッフ、関係者から構成された今回のイベント。決して構築されたものではなく、人間味溢れる時間を創造した。井上シェフの言葉を借りるならば、「完成されたものはつまらない。未完成だからおもしろい」イベントとなった。

2022年に100周年を迎えた「八海醸造」は、大正11年、南魚沼に創業。蔵人が「裏座敷」と呼ぶここは、迎賓館のような存在。一般の方々がこの空間に足を踏み入れるのは今回のイベントが初。

1mmでも向上するために。僕は好きを追求する。

初のイベントを終え、多くの経験を得た井上シェフ。元の姿でもある「UOZEN」のシェフへと還る前、これまでの自分を少し振り返る機会となりました。

「改めて思ったのは、自分みたいなシェフのスタイルは、他の人には勧められない。狩猟や漁は、やらなくてもレストランは成立します。シェフは料理に集中すべきだと考えることもあります。むしろ、自分のやっていることは自己満足なのかもしれません」。

ではなぜ、それでもやるのか。それは、「好きだから」です。少し角度は異なりますが、例えばワイン。「UOZEN」では、仕入れたワインをそのまま出すことは行いません。数年寝かすなどして、自分たちで飲み頃を見極めます。つまり、目の前に供されるものには、必ず「UOZEN」の意志が込められているのです。

「わかる人にはわかるかもしれませんが、ほとんどの人がわからない違いだと思います。それでも自分たちがレストランを営む意義を見出したい。1mmでも向上するために」。

井上シェフにとって、好きなことを追求することは、努力を凌駕するほどのエネルギーがあるのかもしれません。

「これが僕のライフスタイルですから」。

あえて聞きました。「もう一度、イベントはやりたいですか?」との問いには、「即答できません」と即答。

「ですが、もう少し時間が経ったら、ゆっくり振り返りたいと思います」。

その解を確かめるために、「UOZEN」の再訪を誓う。


Photographs:KENTA YOSHIZAWA
Text:YUICHI KURAMOCHI

日本の地域に眠る究極のレストラン。すべてが異次元のスタイルの先に、目指すべき理想が。[sowai/岡山県瀬戸内市]

この地にあった店名を英文にしたのが店名の由来。店前の電信柱の看板に往時の残照が残る

牛窓accaの次のステージは同じく牛窓のsowai!

魚礁(そわい)とは、たくさんの魚が集まり、生きた魚が隠れ家や餌場として利用している岩のことを指します。そんな魚たちの楽園ともいえる地形を、ひっそりと店の名に冠した場所があります。岡山県牛窓。この場所を聞いた感度の高い人ならば、あるお店、ある料理人の顔が自然と浮かぶことでしょう。そう、東京広尾から牛窓へと移住&移転をし、瞬く間にほかにはない至高の店を作り上げた『acca』の林冬青氏その人です。ひっそりととは、まさに店の名のごとく。誰に知られることなく、ネットで検索してもその名を探すことは困難。牛窓港の目前で、静かにオープンした『sowai』。その後もSNSの発信やグルメサイトの掲載は断り続け、魚が集う魚礁のごとく、ただその場所でひっそりと美味を追求し続ける。そんな林氏にメディア初の取材を許可いただき、その真意を伺ってきました。

取材時も極力多くを見せたがらない林氏。その真意は後々わかることになるが、料理一品の撮影にも緊張感が張り詰める

お客様による携帯電話での料理撮影もお断りしている『sowai』。自身の真意とは違う方向で情報が発信されることを極力抑えていきたいと林氏

店のキャラクターの一つになっている巨大な薪窯。現状はオリジナル料理パーネのためだけに使用している

目前の前島とのフェリーが往来する牛窓港の目前。鄙びた漁港の目の前で静かに『sowai』は営まれている

ハガキのやり取りから繋がる店。それが『sowai』。

「コロナがあって店の状況も大きく変わったのが転機になりました。以前は県外からのお客様も多かったのですが、ピタッと止んだ。ただでさえ外出を自粛せざる得ない状況で、牛窓という田舎にわざわざ来ていただく意味を考えたんです。」
林氏は言葉少なにそう話し、さらにお客様と心の距離の近いお店を作れたらと考えたといいます。『acca』自体も奥様との二人三脚でやっていただけに、新たな店の構想をやるには『acca』を続けるのは事実上不可能。想いに突き動かされるように『acca』閉店をすんなりと決意し、その経験を元に、現在の林氏の想いを投影させたのが牛窓の海を望む『sowai』に凝縮されたというわけです。

スタイルも大きく変わりました。最初の予約は官製はがきでのやりとりになるのです。3週間以上先の予約希望日を記入いただき、『sowai』から予約完了の返信はがきを待って予約完了。電話もデジタルでの予約も受け付けず、まずはアナログでのやりとりからお客様の到着を待つのです。不便だと思う人もいるでしょう。それは仕方のないことです。でも、今の時代にあって、この面倒なやりとりを楽しむ。それこそが唯一『sowai』での食体験の入り口になるのです。時代遅れのこの予約は、たぶん恋文を待つようにいつくるか、いつくるかと心待ちにするのが正解。届いたときの喜びと、実際に訪れる来店の機会はまさに初回のデートのように心高ぶることでしょう。

「そんなに格好いいものではないんです。実際は妻が畑をやっているので、ひとりで店の仕込みをしている事が多く、仕込み中に電話が鳴ると仕事が中断してしまう。それではベストな状況でお出迎えが難しく、苦肉の策なんです。一度来ていただければ、その後はメッセージのやりとりなど、仕込みや営業に支障のない時間に返信させていただきます。」

林氏とはまさにそういう人なのです。過剰な味付けや華美な食材は使わず、最大限に食材のポテンシャルを引き出す。以前に『acca』を取材させていただいた際には修行僧のようだと形容しました。料理との向き合い方は当時と変わらず、さらに研ぎ澄まされた印象。SNS・グルメサイトなどネットの発信や、店舗の写真を禁止するのも、自分の想いとは違う方向で情報だけが独り歩きをするのが許せなかったといいます。やれることすべてを料理に投影させ、自分の想いや考えもきちんと発信できるまでは公表しない。それができればきっと分かる人には届く。それはまるで海中の楽園、魚礁そのものだと思わざる得ないのです。眼の前に広がる牛窓の豊かな海、その延長こそが林氏が求めた店のあるべき姿なのかもしれません。

アコウのヴァポーレ。このサイズくらいが旨味が強くエシャロットやニンニクなどの香味野菜とコラトゥーラのソース

穴子と牛肉にサルシッチャ、ハリイカのゲソをキャベツとともにオーブン焼きに。イタリアンパセリのソースで

今日取れた魚たちの朝どれサラダ。茹でたガラエビ、ベイカ、ヒラメ、蒸しモガニ、ハリイカ、新玉ねぎなどを玉ねぎとからすみのソースで

牛窓で捕れた魚介を、極力余計な調理は省き食膳へ。

もちろん料理も面白いのです。『acca』時代同様に、毎朝地元牛窓の鮮魚店から仕入れたこの場所でしか味わえない魚介の数々。雑魚や小エビ、小さな貝など、都市部の市場では扱えない魚介類を中心に、牛窓にいる恩恵を最大限に楽しませてくれるのです。◯◯産の本マグロもなければ、金賞を受賞した黒毛和牛もなし、その時期に牛窓で捕れた名前も知らない小さな魚が『sowai』では光り輝いているのです。林氏は「ベストな状態で出しただけ」と素っ気ない説明になるのですが、朝から晩まで仕込みに追われ、丁寧に丁寧に土地の食材を紡ぐ。ひとりで黙々と行うその労力がどれほどのものかは想像に難しくありません。仕入れた鮮魚に、ベストな塩を入れ、さまざまな方法で火を入れる。土地を理解するとそれがこれほどまでに味を引き出すのかと、教えてくれるのです。

さらに『sowai』での新たな試みは林氏がそわパーネと呼ぶ、オリジナルの小麦料理。パンのようでもあり、ピッツァのようでもあるその料理を生み出すことにここ数年は注力してきたといいます。

「イタリア時代、ピッツァを食べましたが、どうしても最後まで美味しい状態が続かない。熱々で、チーズがとろけるあの最初の状態を維持する一品を生み出したくなったんです。ピザ窯で、ベストな薪を起こし、それを焼き上げる。粉の配合や、具にする食材。どうしても満足行くものが生み出せず、ずっと試行錯誤してきたのですが、数年経ってようやく納得できるものができた。ピッツァの配合でパンの工程を作る感覚。平たく伸ばすのではなく、縦に積み上げていく。そうするとサクッ、シュワ、ふわっという感覚が重なるように押し寄せる。だから取材に来ていただきたいと思ったんです。」

見た目は焦げ目のついた、少し焼きすぎたパン。それが熱々のままテーブルに運ばれ、手でちぎれば湯気とともにチーズがとろけだす。具はイカ墨もあれば、からすみバターやボリート、もろみ、かに、チョリソーなど、その時期のとっておきの食材が彩ります。これが味わうと驚くほど軽く、味わいは深い。ペロッと平らげてしまうのですが、小麦粉と食材の余韻が口の中におだやかな幸福をもたらすのです。

パーネとはイタリア語でパンの意。「sowaiのパーネであるのでそわパーネとしています。」と林氏。写真はからすみとイカ墨のそわパーネ。コースの最後はパーネが登場する。黒い部分は、活きているイカからとったイカ墨のソース

前島産の小麦は、石臼挽きで製粉。全粒粉でふすまの風味が特徴

静かな波音がより静寂を強く感じさせる牛窓港の目の前

牛窓オリーブ園から瀬戸内海を望む。この絶景を見るだけでも心あらわれるひとときに

林氏が生み出した究極のピッツァ「パーネ」とは?

当初はデュラム小麦などイタリア産小麦を独自の配合で生地にしていたのが、粘りや香りを追求していくうち、気がつけば対岸の前島で畑を借り、小麦作りから没頭。牛窓で、パーネのために、配合する小麦が最後のピースとなり、納得のいくパーネは完成したといいます。

「仕込みと店に追われているので僕が手伝えるのはほんの少し。小麦作りのリーダーは妻です。無農薬で雑草取りに励んでくれ、小さな島ですがイノシシなどの獣害もある。店の分だけの小麦といえど、かなり重労働なのはわかっているのですが、前島の小麦を加えることで、少し潮風を感じるパーネが生まれる。感謝しかありません。」

そう、小高い山の中腹にある畑からは、美しい牛窓の海が望め、穏やかに吹く海風と、晴れの国・岡山ならではの陽光がここでの小麦づくりに一役買っている。

目の前にあるものを大切に観察し、その良さを引き出す。のどかな牛窓の漁港の目前で、林氏の目に写ったもの。それこそが『sowai』の料理であり、そこから感じ取れるものが牛窓の恩恵。例えば、風光明媚な日本の至る地域でも、地形や食材は違えど同じようなことは可能だろう。ただ目の前にあるものをとことん慈しみ、深く理解し、最良のそして最低限の調理を加える。その所業が、いかに難しく、常人では計り知れないほどの努力の積み重ねであるか。たぶん、この『sowai』という場所は何も語らずに、一皿の料理だけでそれを教えてくれるのです。

住所:岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓3023
TEL:なし
営業:ランチ13:00〜、ディナー18:00〜(日曜は昼のみ営業)
休日:水曜・木曜(不定休あり)、基本的に金曜日は窯が休み、そわパーネの代わりにパスタを提供します(事情により変更の可能性あり)
※予約方法:ハガキにてご連絡下さい。名前、住所、電話番号、メールアドレス、人数、希望日(1〜3候補、昼夜の希望)、
 アレルギーや苦手食材を明記してください。中学生のお子様から
 昼は7,000円くらい〜、夜は9,000円くらい〜(仕入れにより多少変動あり)支払いは現金のみ
 店内にトイレはないので、お隣の公共トイレを利用。


Photographs:YASUFUMI MANDA
Text:TAKETOSHI ONISHI

ローカル線の沿線をまるごと体感する新たな旅体験『沿線まるごとホテル』いよいよ始動。[Satologue/東京都奥多摩町]

異例の開業前受賞。ジャパン・ツーリズム・アワード最高賞。

ツーリズムの拡大、発展に貢献する取り組みを表彰する「ジャパン・ツーリズム・アワード」。2023年に発表された「第7回 ジャパン・ツーリズム・アワード」では、最高賞である国土交通大臣賞に『沿線まるごとホテル』というプロジェクトが輝きました。

『沿線まるごとホテル』とは、JR青梅線の駅舎をホテルのフロントに、沿線集落の空き家をホテルの客室に、そして地域住民とともに接客、運営を行うという、まさに沿線をまるごと楽しむホテル。

しかし実は受賞時には、ホテルはまだ開業前でした。この“開業前の受賞”という偉業こそ、世界観と構想が高く評価されたことの証明なのです。

さて、そんな『沿線まるごとホテル』がいよいよ動き出しました。まず宿泊棟に先立って2024年5月に開業したレストランとサウナを備えた『Satologue』。
一足はやく体験させてもらった施設の体験レポートをお届けします。

2024年5月に先行オープンした『Satologue』は、沿線まるごとホテルプロジェクトの中核となる施設。宿泊施設開業までの期間限定で特別メニューを提供している

都心から1時間30分で到着する秘境。

中央線の立川駅から青梅線に乗り、青梅駅で奥多摩行きに乗り換えて鳩ノ巣駅まで。都心から1時間30分程度の道のりですが、いつしか車窓は豊かな緑に覆われています。平日で雨模様だったこの日、4両編成の下り電車の乗客は数えるほど。通勤ラッシュは遠い世界のように感じられます。

鳩ノ巣駅からの移動手段は、レンタル電動トゥクトゥク。無人駅である鳩ノ巣駅に設置された、電動トゥクトゥクと電動アシスト自転車が、観光の二次交通とするのも、『沿線まるごとホテル』の取り組みのひとつです。

到着した『Satologue』は、築130年の古民家をリノベーションした建物。元は養魚場だったという敷地を活かし、ビオトープや自家菜園、わさび田など外構も美しく整備されています。訪れたゲストは食事の前に、スタッフの案内でこの敷地を歩く“フィールド散歩”に出かけます。

この日、案内に立ってくれたのは   『沿線まるごと株式会社』の代表・嶋田俊平氏。

「ただ空き家を再利用するだけではありません。季節によって変わる自然の美しさ、この地で営まれてきた生活や文化、そういう地域そのものを体験してもらえる場を整えていきたい」

そう話す嶋田氏。

先程の次世代モビリティも然り、地元住民によるサービスも然り。ただ観光施設をつくるのではなく、点ではなく面で、地域として観光客を受け入れるという構造こそが、『沿線まるごとホテル』のおもしろさなのでしょう。

敷地内に築かれたわさび田は、奥多摩に移住してわさび栽培に挑む“わさびブラザーズ”こと角井仁氏、竜也氏兄弟による

地域の自然を再現したビオトープには、多摩川の水が引かれている。やがて虫や魚、鳥が集まってくることだろう

かつて養魚場だった場所は、土を積んで自家菜園に。レストランの料理にも自家栽培の野菜が使われている

地域の食材を、モダンなフレンチベースの料理にアレンジ。

『Satologue』内のレストランの名は『時帰路(TOKIRO)』。もちろんここでの食事も地域の食材をふんだんに取り入れた内容。それを気鋭のシェフの手により、フレンチをベースとしつつ、この地の風土や歴史を落とし込んだガストロノミー料理に仕上げています。

この日のメニューは、治助芋のヴィシソワーズからはじまり、山梨産のマスのマリネ、東京シャモと蕗味噌のリゾット、東京和牛のロースト、いちじくの葉のブランマンジェという構成。繊細で都会的なエッセンスと、素朴で力強い食材が融合した独自の料理です。

地域性があり、その地に足を運ぶ価値がある店を指すローカル・ガストロノミー。その独自性や希少性を、東京で味わえることに新たな、そして大きな食の可能性を感じさせます。

『時帰路』の店内は木のぬくもりを感じさせる、ゆったりとした設え

料理の一例。食材の旬に合わせて、メニューが入れ替わる。ドリンクはワインのほか、青梅の『小澤酒造』の酒や、奥多摩の『VERTERE』のクラフトビールも揃う

©︎Daisuke Takashige
料理を手掛けるのは駒ヶ嶺侑太氏(右から2人目)と高波和基氏(左から2人目)のふたりのシェフ。名店で修業を重ねた若きふたりが奥多摩に移住して腕を振るう

自然に癒やされる、至福のサウナ。

食後はいよいよ自慢のサウナ『風木水(FUKISUI)』へ。

客室が開業したあかつきには宿泊客専用の施設となりますが、現時点ではサウナだけの利用が可能です。古い蔵を改装した薪サウナ、専用の水風呂、自然の中の外気浴フィールド、そして窓の外に深い森を見渡すラウンジがすべて貸し切りで利用できます。

ここで特筆すべきは、外気浴のためのスペースでしょう。木々に囲まれた森の中にリクライニングチェアを並べた心地よい場所。

「ここは多摩川の本流と支流に囲まれた三角州。三方向から川のせせらぎが聞こえるんですよ」

そう嶋田氏に言われ耳を澄ますと、確かに多方向から重層的な水音が聞こえ、目を閉じるとまるで川に包まれているような気分になります。それはいうなれば、天然のサラウンド音響。包み込む川音に鳥や虫の声、木々のざわめき、ときおり遠くを走る電車の音。サウナ室の高温や水風呂の低温は人為的につくることができても、決して人工的にはつくれないシチュエーション。この最高の環境に身を置くことで、改めて“整う”の意味が腑に落ちることでしょう。

こうしてランチを味わい、サウナを満喫した『Satologue』のひとときは終了しました。帰り道は再び青梅線の駅へ。去来するのは「もっとこの地を知りたい、また来たい」という思いです。それは短い時間の中でこの地の生活や文化の一端に触れられたからか、あるいは濃密な森の空気に心癒されたからか。いずれにせよ今後は奥多摩が、週末の小旅行の行き先の有力な候補となることは間違いないでしょう。

この『Satologue』に代表される、地域との関わりが深まる仕掛けが随所に詰まった『沿線まるごとホテル』。まずはこの青梅線からはじまり、今後はJR東日本の他路線へと拡大していく予定だといいます。駅舎でチェックインして、地元住民と触れ合い、古民家に泊まる。そんな新たな旅の形が、ここから広がっていくのかもしれません。

©︎Daisuke Takashige
林業で栄えた歴史を持つこの地の薪を使った薪サウナ。水着(有料)やガウン、サウナハットの貸出もあるので、手ぶらで訪れることができる

©︎Daisuke Takashige
ロウリュはセルフで。ロウリュ用アロマウォーターもある

©︎Daisuke Takashige
自然に包まれる外気浴フィールドは、至福の環境。時間を忘れてくつろぐことができる

広々としたラウンジもサウナ利用者の貸し切り。書棚には奥多摩で活動する『おくたま文庫』が選書した「人の“ふるさと”」をテーマにした書籍。気に入ったら購入することも可能

住所:東京都西多摩郡奥多摩町棚澤1
電話:0428-85-9310 (9:00〜17:00)
休日:火曜・水曜 (祝日の場合は翌日平日)
https://satologue.com/


Photographs:Daisuke Takashige 
Text:NATSUKI SHIGIHARA

世界一の美食家が記録に残したかった、たった一夜だけの料理。

国内のみならず、世界の様々なジャンルのトップシェフと交流を持つ、世界一の美食家・浜田岳文氏。今回は、自身初となる書籍、「美食の教養 -世界一の美食家が知っていること-」の発刊と「UMAMIHOLIC」のローンチを記念し、イベントを開催。

読者が初体験した、美食の教養。

「OAD世界のトップレストラン」のレビュアーランキングで6年連続1位に君臨する世界一の美食家・浜田岳文氏の初となる書籍、「美食の教養 -世界一の美食家が知っていること-」が2024年6月に発刊。加えて、自身が主催するコミュニティ「UMAMIHOLIC」もローンチされ、双方を記念するパーティが開催されました。

ですが、今回フォーカスしたいのは、そのどちらでもなく、この日、たった一夜だけにクリエイションされた料理。構成は、大きくふたつのコンセプトに分かれ、前半は「未来の食材調理」、後半は「産地を守る食」。当日は、本書の読者を中心としたゲストが集い、まさに「美食の教養」を初体験することになります。

強いメッセージ性を感じる料理を手がけたのは、「イートクリエーター」。その名の通り、食を通したクリエイター集団です。所属するシェフ、「TOUMIN」井口和哉氏が前半を担い、「FUSOU」内田悟氏が後半を担います。

ふたりから生み出された料理は、社会に向けたテーゼが込められており、各料理が向き合う課題テーマは創造力を掻き立てる一方、一筋縄では解決できない難問ばかり。だからこそ、食べ手は学ぶ必要があるのです。全ての仕立てを俯瞰して見ると、それはまるで「美食の教養」のカリキュラム。講座名にも似た料理名を纏った全7品は、さながら1限目から7限目の授業のよう。

レッスン1、もとい、1品目は、「プラントベースキャビアのタルト」。フランス料理の伝統的なキャビアのタルトレットを海藻などから作ったヴィーガンキャビアで再現。プラントベースは、食資源の不足や環境保護の視点からも注目されており、植物性でも持続可能な美食を提案しています。

2品目は、「22世紀ひらめのマリネ」。22世紀ひらめというゲノム編集されたひらめは、少ない餌で大きく育つ環境に優しい品種。「水産業やタンパク質クライシスの問題を考えるきっかけになってほしい」という井口氏の願いも込められています。

3品目は、「固定種ビーツと発酵ハチミツ」。原料は、東京・青梅市でサステナブルな農業と養蜂を営む「OmeFarm」の白ビーツと非加熱ハチミツ。この畑では、農薬や化学肥料を使わず、植物性原料を中心とした堆肥作りを行なっており、都市型養蜂でミツバチの保護も支えています。ミツバチは、世界の食糧の1/3以上、全作物種数の約7割の受粉を支えている重要な存在。その命を守りながら作物を育てるという、循環型農業からこの料理は生まれているのです。

「こんなにも秀逸な観点で料理を構築できる若手シェフがいて、かつ美味しい。それが一夜限りで消え去られてしまうのはあまりにも惜しい。そして、悲しい。そう思ったのです」と浜田氏。

ゆえに、ここに記録として残す。そして、後半に続きます。

フランスの伝統的なキャビアのタルトレットをプラントベースで再現した「プラントベースのキャビアのタルト」。キャビアの代用は、海藻などから作られたヴィーガンキャビア。その下には発酵させた豆乳から作るクリームチーズにシブレットを混ぜたペーストを絞り、タルト生地には豆乳を原料とした卵やバターをたっぷり使用し、リッチな味わいに。植物性でも美味しい料理を通して持続可能な食のライフスタイルを提案。

22世紀ひらめというゲノム編集されたひらめを太白胡麻油と青柚子でシンプルにマリネした「22世紀ひらめのマリネ」。少ない餌で大きく育ち、旨味のある肉厚な身が特徴。「天然のひらめにも引けを取りません。未来の味がするかも!?しれない22世紀ひらめを通して、水産業やタンパク質クライシスの問題を考えるきっかけになっていただければ幸いです」と井口氏。

東京・青梅市でサステナブルな農業と養蜂を営む「OmeFarm」の白ビーツと非加熱ハチミツを使用した「固定種ビーツと発酵ハチミツ」。農園では、植物性原料を中心とした循環型農業を取り入れ、固定種野菜作りと全作物種数の約7割の受粉を支えるミツバチの保護も行う。

今回の会場は、「STEREO」。高層階から望むパノラミックな渋谷の絶景には、ゲストも高揚。

今回、提供されたメニュー表。まるで単語帳のようなデザインは、「美食の教養」を学ぶ意味でも抜群の演出。

浜田岳文氏の初となる書籍、「美食の教養 -世界一の美食家が知っていること-」は2024年6月に発刊。

料理になる前のストーリーに意志は宿る。

後半、「産地を守る食」は、4品目となる「上ミノのプロシェット カシューナッツのデュカ」からスタート。井口氏とはまた違った視点で、内田氏が魅せます。

この料理は、牛のゲップに含まれるメタンガス削減に貢献するためのもの。牛の餌にカシューナッツの殻液を混ぜることによって、メタンガスの発生を抑制できる成果が研究で確認されており、「畜産業の環境問題へのひとつの筋道になれば」と考案されました。

5品目は、「鰻と蕎麦粉のガレット」。この鰻は、栃木県那珂川で約60年間川魚店を営んでいる人物が養殖したもの。使用する水を温めるボイラーには、人の手が行き届かない山を自ら切り開いた間伐材を使用しています。川の環境を守るために山を整え、自然を維持し、その過程で雇用も生み、地域活性化にも結実させているのです。

6品目は、「鮎の青竹蒸し寿司」。この料理は、シェフとして竹の新しい活用法を生み出したいと思い、考案されたものです。筍農家は、年に一度、春に優良な筍を採るため、365日欠かさず竹林を整備するも、ベストなコンディションを保つにはコストがかかります。そんな生産者を支援するために青竹を価値化。また、放置竹林への問題意識を高めるきっかけにもなれればというメッセージも込められているのです。

7品目、最後の料理は、「経産ジャージー牛のチーズバーガー」。乳牛の肉は、市場価値が低く、加工肉用の肉として牛種関係なく処分されている現状があります。このバーガーは、ジャージー牛の肉とジャージー牛のミルクで作られたチーズで仕立て、調理の技術を通して乳牛の美味しさを存分に引き出します。前述、牛のゲップ問題も然り、畜産の現状が強く発信されたひと品です。

前半、後半、計7品で構成された今回の料理。レストランでは、極めて再現性の低いコンセプトの創造を具現化できたのは、一夜限りだったから。

自然の恵みは無限ではありません。有限の資源を活かし、環境にも配慮した料理の理解を深めることは、シェフだけでなく、食べ手にこそ必要なことではないでしょうか。

牛の第一の胃、ミノを香ばしく串焼きにし、カシューナッツとスパイスを合わせた「上ミノのブロシェット カシューナッツのデュカ」。餌にカシューナッツの殻液を混ぜ、牛のゲップに含まれるメタンガスを抑制。「この問題を広く知っていただき、現状、様々な問題の解決策が乏しい畜産業の環境問題に対し、ひとつの道筋になれればと思い、料理を考案しました」と内田氏。

鰻、チーズ、蓮根を組み合わせた「鰻と蕎麦粉のガレット」。使用する鰻は、栃木県那珂川で約60年間川魚店を営む人物が養殖したもの。水を温めるボイラーには間伐材を使用し、川と山の環境を守る循環を生む。

鮎の押し寿司を青竹の中で蒸し上げて蒸し寿司にした「鮎の青竹蒸し寿司」。筍農家への支援と放置林の問題、双方のメッセージが込められた料理。

ジャージー牛のお肉とそのミルクで作られたチーズで仕立てた「経産ジャージー牛のチーズバーガー」。市場価値の低い乳牛を調理の技術で補い、美味しく調理。その価値を向上させた料理。

前半の料理を担当した「TOUMIN」井口和哉氏(中右)と、後半の料理を担当した「FUSOU」内田悟氏(中左)。それぞれの料理に込めた想いを語る。

クリエイションを発揮できるシェフを応援したい。

浜田氏は、そう語ります。

「今回、このイベントを開催するにあたり、まずひとつやりたいと思ったことは、レストランではできない料理でした。シェフの満足度とゲストの満足度は、必ずしも等しくはありません。やりたいことを100%できているレストランは、限りなく少ないと思います。ですが、一夜限りなら思いっきりやれる。今回のアイディアは、井口シェフと内田シェフによるもの。彼らは、料理を通して常日頃から社会問題や環境問題などと向き合い、自分ごと化している。私は、こういったクリエイションを発揮できるシェフを応援したい」。

例えば、ニューヨークの「イレブン・マディソン・パーク」は、100パーセントヴィーガン。コペンハーゲンの「ゲラニウム」は、ほぼ野菜中心。そのほか、世界から注目されるレストランにおいてもプラントベースに移行しているところは少なくありません。これらは、「環境問題への関心の高さによるものが大きい」と浜田氏は分析します。

「シェフとして、芸術よりなのか、職人よりなのかによってスタイルは変わると思いますが、いずれにしても世の中や社会にコミットしなければいけないと考えます。海外のシェフは、日本と比べ、その感度が高い。しかし、これはシェフだけの問題ではありません。なぜなら、今回のような料理を提供しても、食べ手がいなければ、需要と共有は成り立たないからです。ゆえに、レストランだけの問題ではなく、食べ手の問題でもあるのです」。

つまり、高級食材を採用した料理を求め、予約困難店というバリューに期待している食べ手にこれらの理解を得られるかといえば、それは容易ではありません。なぜなら、繰り返しですが、ゲストの満足度と等しくないからです。

「今回は、本を読んでいただいたゲストをお招きした会のため、このような料理を理解いただけるであろうという前提をもとに表現することができました。 井口シェフや内田シェフのように、若い世代のシェフは、クリエイション能力はあれど、それを発揮できる場が少ないのだと思います。この才能を引き出せるのは、食べ手次第。時に、コンフォートゾーンから一歩外に出ることは、大事なことだと考えます」。

東京は、多くの優良なレストランがあるにも関わらず、予約困難店はわずか。これは、食べ手のゾーンが狭いということにもつながります。

「大切なことは、一つひとつを深く理解すること。優れたシェフと出会い、その人が何を大事にしているのかを考察する能力を養うことは、本当の意味でレストランを楽しむことにつながります。UMAMIHOLICなどを通して、そういったことも伝えていきたいです」。

「僕らが口にするものには、多くの意味が隠れている(一部抜粋)」とは、世界No.1シェフと称されるコペンハーゲンの「ノーマ」率いるレネ・レゼピ氏が「美食の教養 -世界一の美食家が知っていること-」に寄稿した言葉。この意味を読み解けるか否かは食べ手次第。

「美食の教養」とは、「食べ手の教養」とも言い換えられるのかもしれません。


Text:YUICHI KURAMOCHI

「四国まるごとドライブパス」発売中♪

概要

関西・中国・九州の各発着エリアから四国周遊エリアまでの往復料金と四国周遊エリア内の走行料金がセットになったETC 限定の割引商品です。四国周遊エリア内は乗り放題でご利用いただけます。

(1)利用開始日等
利用開始: 令和6年7月12日(金曜)0時~ (年間を通して販売いたします。)
○交通混雑期など利用できない期間があります。
○令和6年における利用できない期間は以下のとおりです。
・お盆:8月9日(金曜)~8月18日(日曜)
・シルバーウイーク:9月14日(土曜)~9月16日(月曜)、9月21日(土曜)~9月23日(月曜)
・年末:12月26日(木曜)~12月31日(火曜)

(2)対象車種
ETC 無線通信で通行する普通車および軽自動車等(二輪車を含む)

(3)利用料金等
出発IC・帰着IC に応じて、4種類の発着エリア(A.滋賀・京都・大阪、B.兵庫・岡山、C.広島・山口東部、D.福岡・山口西部)から、ご利用になるプランをお選びください。また、2~4 日間からご希望の利用日数を選択できます。
高速道路ご利用の前までに、NEXCO西日本WEBサイト『みち旅』からお申し込みください。
1か月先の同一日付までお申し込みいただけます。

お問い合わせ先

NEXCO西日本 お客さまセンター(年中無休・24時間)

TEL:0120-924863     06-6876-9031(通話料有料)

HP:「四国まるごとドライブパス」公式サイト

THE・AWAODORI 2024にて阿波おどりの鳴り物音源作品CDプレゼント!


配信ストア世界7ヶ国でチャート1位を記録した「阿波おどりの鳴り物」作品を特別にCD化!
THE・AWAODORI 2024 ~この一歩に想いを込めて~ ご来場のみなさま全員にプレゼント!!

徳島県では世界に誇る「阿波おどり」の魅力を“音楽性”という新たな側面を通じて世界中にアピールするため、有名連の皆様と協力して「阿波おどりの鳴り物」音源2作品【The sound of Awa Odori – 阿波おどり振興協会】【AWAODORI MUSIC – 徳島県阿波踊り協会】を制作し、配信しています。

配信にご協力いただいた「阿波おどり振興協会」「徳島県阿波踊り協会」に所属する有名連から選抜された総勢約600人の踊り手や鳴り物・照明・音響が一体となって披露される『THE・AWAODORI 2024 ~この一歩に想いを込めて~ presented by SCO GROUP』にて、ご来場者特典としてこの “配信2作品を特別にCD化” してプレゼントすることが決定いたしました。

『選抜阿波おどり前夜祭』から名称を変更して実施される初年度を記念するとともに、徳島県の阿波おどりをはじめとする観光行政の推進のため、来場者特典として観光PRと併せてお渡しいたします。
「これぞ阿波おどり!」という最高に心が躍る究極の演舞が披露される『THE・AWAODORI 2024』一年に一度のこの機会に、どうぞ足をお運びください。

『THE・AWAODORI 2024 ~この一歩に想いを込めて~ presented by SCO GROUP』


開催場所:アスティとくしま (徳島市山城町東浜傍示1-1)
開催日時:2024年8月11日(日) 第1部 12:00~ 第2部 15:30~ 第3部 19:00~
公演時間:約80分 ※開場は各部とも開始1時間前
公式サイト:https://www.awaodorimirai.com/

「阿波おどりの鳴り物」音源作品

世界初!有名連選抜メンバーによる「阿波おどりの鳴り物」音源2作品を一挙配信!
徳島の文化を育んできた「吉野川」の流れのように、澄んだ旋律を奏でる“笛”の調べ、歯切れよく粋な“三味線”の音色、躍動感の土台として轟く“大太鼓”の波動、軽快に刻み心弾ませる“締太鼓”の律動、それらを鋭くも柔らかな“鉦”の音が指揮を執ることで美しい調和を示し研ぎ澄まされたものとなり、世界中の人々を「新しい色」「新しい次元」「新しい価値観」「新しい経験」をもたらす音楽の旅に誘います。400年以上もの永い間に渡って継承され、進化を遂げて未来へとつながっていく、洗練された徳島「阿波おどり」の“技術”と“精神”をご堪能あれ!


The sound of Awa Odori
阿波おどり振興協会
https://linkco.re/91xtdQ17


AWAODORI MUSIC
徳島県阿波踊り協会

https://linkco.re/pE8TEZmu

この2作品は、日本・アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・ドイツ・ノルウェー、世界7ヶ国のiTunes Store “演歌 トップアルバム”において、見事チャート1位を記録いたしました。
情熱の、聖地へ。阿波おどり発祥の地・徳島で、とびきりの輝く阿呆になろう。華麗な女踊りと勇壮な男踊りに魅せられ、心に響く鳴り物をお土産に。2024阿波おどり、心ゆくまでお楽しみください。

「阿波おどりの鳴り物」音源作品収録時の様子

音源収録時の様子については、YouTubeチャンネル「Awaodori Fools」、阿波おどりオフィシャルカメラマン「いえさん」Instagram等で公開されています。ぜひ映像でもご覧になってください。

【Awaodori Fools】https://www.youtube.com/@AwaodoriFools 2000年に初めて見た本場徳島の阿波おどりに衝撃を受け、阿波おどりの虜に。それ以来、動画や写真で阿波おどりを撮り続け、2017年にYouTubeチャンネル「Awaodori Fools」を開設。本場徳島の阿波おどりをはじめ全国各地の阿波おどりイベントに足を運び、SNSを通じて阿波おどりの魅力を世界に向けて発信している。

【いえさん】https://www.instagram.com/iesan_awaodori 徳島県鳴門市在住。2015年より日本の風景および人間模様の撮影を本格的に始め、東京カメラ部「日本の47枚」はじめ、今なお多くのフォトコンテストでの受賞を続ける。同時に「徳島市阿波おどり」「徳島阿波おどり会館」「東京高円寺阿波おどり(pass)」のオフィシャルカメラマンを務め、各方面に阿波おどりの写真および動画を共有しつつ、故郷の良き伝統文化を日々伝えている。

お問い合わせ

徳島県観光政策課観光産業担当 TEL:088-621-2314

2024年度 夏季休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。

誠に勝手ながら下記期間を夏季休業とさせていただきます。

2024年8月11日(日) ~ 8月15日(木)まで

※ 2024年8月16日(金)より、通常業務を開始します。

※ 休暇中のお問合せにつきましては、2024年8月16日(金) 以降に対応させていただきます。

大変ご迷惑をお掛けいたしますが、 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

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ペアリング次第で無限に広がる美味しさ。夏の定番、カレーとビール。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

「和光アネックス」では、夏に向け、日本全国から探し出した、さまざまなカレーとビールを展開。※今回は、上記より6種をご紹介。

WAKO ANNEX夏に体が欲するカレー。それは、理にかなった欲望。

暑い季節に無性に食べたくなるのがカレー。実は、カレーの中に入っているスパイスには、夏バテ防止や熱中症予防にもなると言われています。不足しがちな栄養も、カレーであれば、米を含めた炭水化物、肉、野菜など、一度に摂取できるのもポイントです。

また、辛味のあるものであれば、血流が上昇し、体温が一時的に上がり、発汗。汗が蒸発する時に体の表面の熱を奪い、体が冷やされ、涼しく感じるのも特徴です。

ゆえに、夏に体が欲するカレーは、理にかなっているとも言えます。

整腸、食欲増進、消化促進などの効果も期待できるカレーは、夏バテ防止にも最適な最強フードなのです。

今回は、日本全国から厳選したカレーと、ぜひ、一緒に合わせたいビールをご紹介します。

今回ご紹介するのはカレー3種、ビール3種。左より、「ホンダロジコム」の「tororino(トロリノ)」、「愛媛海産」の「鶏手羽元のバターチキン」、「Mandrillus」の「ぶどう山椒をかけて食べるほうれん草キーマカレー」。そして、「サンクトガーレン」の「パイナップルエール」、「南信州ビール」の「Ogna(オグナ)」、「サンクトガーレン」の「YOKOHAMA XPA」。

懐かしの味からスパイスの効いたものまで。また食べたいと思わせる3選。

まず、ひとつ目は、「ホンダロジコム」が商品開発した「tororino(トロリノ)」の「国産きくらげ入り ごろごろ野菜の懐かし手作りカレー」。きくらげは、「ホンダロジコム」が開設したきくらげ農園「春日井ファーム」のもの。ここは、1年中、品質の安定した新鮮なきくらげを生育しています。味わいは、家で作ったようなコク深さが懐かしいカレー。きくらげをはじめ、ごろっとした国産具材は、食べ応えも十分です。

ふたつ目は、「愛媛海産」の「鶏手羽元のバターチキン」。愛媛県産の鶏手羽元を煮込み、豊かな香りが特徴のカルダモンやカスリメティを贅沢に使用しているのが味の特徴です。隠し味には、同じく愛媛県産のドライトマトをアクセントに効かせています。

最後は、「Mandrillus」の「ぶどう山椒をかけて食べるほうれん草キーマカレー」。ぶどう山椒の柑橘系の爽やかな香り、そして、穏やかな辛味としびれる刺激が旨みを引立てます。カレーはバターチキンのまろやかな味わいと後味のスパイス感が楽しめ、ほうれん草で色付けしています。ぶどう山椒の新たな魅力に気づくこと間違いなしの一品です。

さらに、カレーに合うお米「大嶋農場」の「咖喱米 カリー米」と合わせれば、その味わいは、一層広がります。

タイプの違うカレーは、毎日でも食べたくなる味。ぜひ、カレーとともに、暑い今夏を美味しく乗り切りましょう。

コンセプトは、美味しい食事でココロに「シアワセ」を。厳選した食材でカラダに「ウレシイ」を。小麦不使用、国産具材、国産きくらげ入りで、ヘルシーな「国産きくらげ入り ごろごろ野菜の懐かし手作りカレー」。きくらげが入ることにより、通常のカレーではなかなか摂取できない食物繊維やビタミンD、鉄分なども豊富。

ボリュームのある松山どりの鶏手羽元がふたつも入ったボリュームたっぷりの「鶏手羽元のバターチキン」。保存料や化学調味料を一切使用せず仕上げた品。

雛豆、ほうれん草、合挽きミンチなど、絶妙な配合が旨みを引き出す「ぶどう山椒をかけて食べるほうれん草キーマカレー」。和歌山県のぶどう山椒と合わせるとさらに美味しさがアップ。

日本では珍しい長粒米の「咖喱米 カリー米」。日本米のやわらかさとタイ米のパラパラ感があり、カレーはもちろん、チャーハンやパエリアにも最適。農薬や化学肥料に頼らず、安心安全な農法にもこだわる。

カレーといえばビール! 無敵のペアリングで、より美味しく。

カレーだけでももちろん美味しいですが、より味わいを複層的に楽しむお相手に選ぶのは、やはりビール。苦味から酸味を効かせた多彩なクラフトビールをご紹介したいと思います。

まずは、2022年、社名と同様だったブランド「南信州ビール」から新たなに生まれ変わった「Ogna(オグナ)」です。同社は、長野県第一号のクラフトビールメーカーであり、原材料をはじめ、仕込みから製造、出荷に至るまで、すべての工程において一切妥協することなく自分たちの手で造り上げ、南信州という土地の魅力とこだわっています。

豊富にあるラインナップの中から今回選んだのは、信州宮田村産ヤマソービニオン(山ぶどうとカベルネソービニオンのワイン用交配品種)ぶどう果汁を原料に使用した「YAMASO HOP」のフルーツビール。赤ぶどう特有の濃い鮮やかな紫色、酸味、果実由来の香りと重厚なフレーバーが特徴で、コクとまろやかな甘さを持ち合わせ、微かな渋味も感じられる味わいです。

次いで、日本人で初めてクラフトビールを作った岩本伸久氏が手がける「サンクトガーレン」。命名の由来は、 スイスの都市「ザンクト・ガレン」にあった「ザンクト・ガレン修道院」から引用してネーミングしています。「サンクトガーレン」のロゴマークのデザインも、ザンクト・ガレン修道院をモチーフにし、ビールを醸造する修道僧をイメージしています。

ここでは、数ある種類の中から、香り高く、最高に苦味の効いた「YOKOHAMA XPA」と夏季限定にて展開するフルーツビール「パイナップルエール」をお勧めしたい。

対照的なその味わいは、気分や天気によって選ぶのも良し。お好みのスタイルでお楽しみいただきたい。

今夏、ワンランク上の夏の定番、カレーとビールを満喫するのはいかがでしょうか。

「ogna(オグナ)」とは、長野(NAGANO)を構成する4つのアルファベット「N, A, G, O」を並べ替えた造語。これからも長野という自然豊かな土地の魅力が詰まったビールを作り続けていくという思いが込められている。「YAMASO HOP」は、信州宮田村産ヤマソービニオンぶどう果汁を原料にしたフルーツビール。

「YOKOHAMA XPA」は、ペリーが赤道を越えて日本に持込み、幕府にも献上したとされるビールの復刻版。使用するホップは通常の約4倍。柑橘を思わせる香りと、余韻にまで残る鮮烈なビター感がクセになる。仕込み水は、濁度0.0000という驚異の透明度を誇る横浜市のオフィシャル水「はまっ子どうし」。

約600kgのゴールデンパインを使用した夏季限定のフルーツビール「パイナップルエール」。果実はビールが発酵する前の麦汁に投入。果実と麦汁を一緒に発酵させることで、泡までほんのり甘いパイナップル風味に仕上げる。パイナップルは手作業で切ったものを使用。機械で切るのと比べ、香りの瑞々しさが違い、濃縮果汁や香料などの人工物は一切使用していないことも特徴。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp


Photographs:KENTA YOSHIZAWA
Styling:HIROKO TAKENAKA
(Supported by WAKO)

Tokushima Tourism Information Version 3 徳島観光資料


Please download the documents for your reference.

Tourism Guide –觀光資訊

▶ 徳島観光パンフレット Experience Tokushima (德島觀光導覽手冊)[PDF/8.3MB]
▶ 徳島観光おすすめ Tokushima Tourism Presentation (德島觀光推薦)[PDF/15.5MB]
▶ 四国マップ Shikoku Map (四國地圖)[PDF/10.8MB]
▶ 四国遍路 Shikoku Henro Pilgrimage(四國遍路)[PDF/11.7MB]

Hotel Guide -酒店推薦資訊-

▶ 徳島宿泊施設案内 Tokushima Accommodation(徳島酒店推薦)[PDF/13.7MB]

Golf Guide -高爾夫球場資訊-

▶ 徳島ゴルフ場案内 Tokushima Golf Information (德島高爾夫球場推薦)[PDF/2.6MB]

Cycling Guide -單車騎行資訊-

▶ 徳島サイクリング案内 Tokushima Cycling Guide(德島單車騎行導覽)[PDF/2.8MB]

U-Pick-Fruit-Farm-in-Tokushima -德島水果採摘放題果園推薦-

徳島味覚狩り農園案内U-Pick Fruit Farm in Tokushima(德島水果採摘放題果園推薦)[PDF/803KB]

Special Transportation Guide -特色交通資訊-

▶ 南海・徳島フリーパス Nankai Tokushima Free Pass(南海・德島周遊券)[PDF/1MB]
▶ DMV時刻表 DMV Time Table(DMV時刻表)[PDF/4MB]
▶ 藍よしのがわトロッコ Ai Yoshinogawa Torocco(藍吉野川觀光小火車)[PDF/1.3MB]
▶ 四国まんなか千年ものがたり観光列車 Shikoku Mannaka Sennen Monogatari(四國真中千年物語觀光列車)[PDF/3.3MB]

Educational Travel -教育旅行資訊-

▶ 訪日教育旅行プログラム紹介 Tokushima Educational Travel Program(德島教育旅行方案介紹)[PDF/6.3MB]

旅くらのサービス終了について

いつも徳島県観光情報サイト「阿波ナビ」をご覧いただきまして、ありがとうございます。

トップページ等に貼り付けております「旅くら」のバナーですが、6月末のサービス終了に伴い、バナーを押していただいてもページが正しく表示されない状態になっております。
なお、後継サービス「STAYNAVI」の導入に向けて作業中ですので、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。

○お問い合わせ先
徳島県観光政策課観光プロモーション担当
TEL:088-621-2342
Mail:kankouseisakuka@pref.tokushima.lg.jp