2018年5月26日、27日に開催された『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。巨石に囲まれる神秘的な土地・国東を舞台にした幻のレストランは、盛大な拍手とともに大成功のうちに幕を下ろしました。国東の自然と歴史、開催を支えた約70名の地元スタッフの存在、そして南麻布『茶禅華』川田智也シェフの料理。どれひとつ欠けても、ここまでの成功には至らなかったことでしょう。
数年前から使われているキャッチフレーズは「お盆、正月、大宴会」。誰もが故郷に戻るお盆やお正月に、おじいちゃんおばあちゃんや子供たち、お酒を飲む人も飲まない人も、みんなで集まってワイワイやる――つまりそんな宴会の拡大版が、「大宴会 in 南会津」なのです。「地元を盛り上げたい」という思いで集まったボランティアスタッフの、手作りのもてなしもまた、のんびりとした雰囲気にぴったりです。
発起人である五十嵐氏が、田島町で『CAFE JI*MAMA』をオープンさせたのは2007年、つまり初回の「大宴会 in 南会津」が開催される3年前です。営業が始まって危機感を覚えたのは、都会であれば町がにぎわうはずの土曜日や日曜日、祝日に、逆に町が静かになってしまうことでした。町に人の動きをつくるには、カフェを作るだけでは足りないのかもしれない。何かしらイベントを立ち上げたい、そのための横のつながりが欲しい――そう思っていた丁度その時、『CAFE JI*MAMA』に現れたのが、「大宴会 in 会津」のもうひとりの発起人、県職員の東海林氏です。「“地域を盛り上げたい”という彼のストレートな熱い思いに、まんまと焚きつけられた所はあります(笑)」と五十嵐氏。こうして「大宴会 in 会津」は動き始めることになります。
当時の開催は9月。その半年後、あの震災がやってきます。
盛り上がり、つながり始めた地域の動き。でも震災後に起きた情報の錯綜(さくそう)と不安による分断の中で、それは危うい状況に追い込まれていきます。そんな中で迷いながらも、五十嵐氏が「大宴会 in 南会津」開催に踏み切ったのは、せっかく始まった動きが「失われてほしくない」と思ったからだといいます。
気持ちいいほど晴れ上がった「大宴会 in 会津」当日。自然の中で子供たちが笑顔で遊ぶ姿に、五十嵐氏は「ホッとした」と言います。地域はまだまだつながっている。つながっていける。そして2018年、大宴会は9年目を迎えます。
子供も大人も楽しめる、地元ならではのワークショップのおかげでファミリーで参加する人も多い。
三澤氏。現在は奥会津の三島町でゲストハウス「ソコカシコ」を営み、町の求心力となっている。
福島県南会津郡どこにも似ていない「南会津」を愛することに、地域の未来がある。
初回の「大宴会 in 南会津」が掲げたのは、「この地域らしい夢のある未来」です。言い換えれば、この地域で暮らす楽しさや豊かさを再発見すること。「フェスティバル」と名乗るからにはメインは音楽ですが、それ以外の部分には「南会津らしさ」が満載です。
更に注目に値することは、「大宴会 in 南会津」に関わる人たちが、それぞれの場所でそれぞれに新たな活動を始めていること。すでに五十嵐氏の話に出た、南会津発の地ビールを誕生させた「ビアフリッジ」、かつて運営側のボランティアとして参加していた人たちが、ワークショップや飲食の出店者として戻ってくることも少なくありません。三澤氏も昨年、奥会津の三島町で「人が集まりつながる場所」として、ゲストハウスをオープンさせています。五十嵐氏はいいます。
「1年に一度、それぞれに活動している人が一堂に会し、情報を共有し、楽しむ場所が『大宴会 in 南会津』。そういう形が定着してきていることを感じます。そこでつながった人を訪ねて、また人が動く。『大宴会 in 南会津』はそういう縁づくりの場所なんです」と言います。
誰かが動けば何かが変わり、それがまた別の人を動かしてゆく。南会津の小さな『CAFE JI*MAMA』から始まったその物語は、まだまだ続いていきそうです。小さなコミュニティだからこそ生まれる親密さ、そこに生きることの喜びと幸せ。「大宴会 in 南会津」に足を運ぶことは、その生き方に触れることなのです。あなたの幸せの在り方が、変わるきっかけになるかもしれません。
1年に一度、それぞれに活動をしている人が一堂に会し、情報を共有し、楽しむ場所が「大宴会 in 会津」。
そうしたコミュニティの中で、ローカルフェス「大宴会 in 南会津」が誕生してゆくのですが――これは後に譲るとして。『CAFE JI*MAMA』ではそれと同時進行しながら、もうひとつの企画が育っています。それが「まねぶ会」。“地元・南会津で暮らす楽しさを発見すること”という、「大宴会 in 南会津」と同じコンセプトで始まった勉強会です。
「『大宴会 in 南会津』を始めてみて、地元の文化や歴史、生活について、まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと感じました。そういうことを勉強する場を作れば、これまでとは別の人とつながるきっかけにもなり、参加した方がお友達を連れてきてくれることで、輪もどんどん広がってゆきますよね」
厨房に立つのは外苑前『傳』の長谷川在佑氏。ミシュランの2つ星獲得、2018年度のアジアのベストレストラン50では2位にランクインなど、その勢いはとどまるところを知りません。2015年には「DINING OUT NIHONDAIRA」を大成功に導いたことも記憶に新しいところ。いま世界がもっとも注目する日本料理の料理人といっても過言ではないでしょう。
続いての料理は「蒸し魚と野菜のフリット」。『DINING OUT NIHONDAIRA』以来縁の深い静岡県駿河湾産の鰆を「Function 4」のハイキャセロール(両手鍋)に専用スチーマーをセットして蒸し上げ、静岡県産コシアブラの素揚げを添えます。保温性の高いハイキャセロールとスチーマーのコンビネーションで魚の旨みを逃さずに留め、油の温度を均一に保つソースパンは野菜をカラッと香ばしく仕上げます。味自体はあっさりとしていつつ、噛むごとに広がるふくよかな味わいは、まさに素材本来の味です。
現在実施しているのは、「レストランバス IN 北海道(2018年4月28日~9月30日)」と「新潟レストランバス(2018年4月20日~6月30日)」の2つのツアー群。ランチ・フルコース・スイーツなどの様々なコースを用意して、イタリアン・フレンチ・創作和食などの多彩なグルメを堪能させてくれます。ワインをテーマとしたワイナリー巡りや、日本酒をテーマとした酒蔵訪問などもあり。ゲストの興味と好みに合わせて多様なツアーを選択できます(各ツアーの料金や詳細はホームページを参照)。
2018年5月26日、27日、『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』が開催されました。13回目となる今回の舞台は神仏習合の地・大分県国東市。折しも2018年は、この地特有の山岳宗教「六郷満山」開山1300年という節目の年です。刻まれてきた悠久の歴史と、地域に眠る食材や文化。それらをどう表現し、どう伝えるのか。多くの人が今回の『DINING OUT』を、固唾を飲んで見守っていたことでしょう。
国東半島中央部にそびえる山を一つ、二つと越えて足を伸ばしたのは、宇佐市長洲漁港に加工場、直営店を構える『(有)上野水産』。
『DINING OUT KUNISAKI』を担当する川田氏が中華の料理人ということもあり、食材探しをしている段階で、干物類は絶対に必要になるなと思い探しておりました。これから考えるビールに合う究極のおつまみにも、上野水産さんで作られている、干しむきエビ、バカガイ(アオヤギ)の干物は欠かせません」と宮内。
大分県国東市『DINING OUT KUNISAKI』で腕を振るう川田シェフが『LOCAL MEISTER PROJECT』までサポート。
『LOCAL MEISTER PROJECT』は『DINING OUT』と連動したプロジェクトだけに、5月に行われる『DINING OUT KUNISAKI』とのリンクも必須です。そこで宮内は『DINING OUT KUNISAKI』で腕を振るう『茶禅華』の川田智也シェフに同プロジェクトへの協力を依頼。
宮内が考えるビールに合う究極のおつまみのイメージ、今回の旅で出会った国東半島の素晴らしい食材、そして生産者の想いまで川田シェフにしっかり伝えました。
話しを聞いた川田シェフは、『LOCAL MEISTER PROJECT』でも商品開発に協力してくれることを快諾。これは究極のおつまみ完成に向けて、大きな前進です。
自身も国東半島でさまざまな生産者に直接会い、国東という歴史ある土地や文化に、たくさんの感銘を受けたことが一番の理由かもしれません。
一流の料理人がその土地の食材を新しい感覚で切り取った料理を、その土地を最も魅力的に表現する場所と演出とともに、五感全てで味わっていただくことをテーマとした野外レストラン『DINING OUT』。
5月26日(土)、27日(日)に開催が決定している『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』の舞台となるのは大分県国東半島です。
今回、ONESTORYではフードキュレーターの宮内が探しだした、その土地を知り尽くす生産者「地域のMEISTER(匠)」と共に、地場の食材をふんだんに使ったビールに合う究極のおつまみを創り上げる新たなプロジェクト『LOCAL MEISTER PROJECT』を立ち上げます。一緒にこのプロジェクトを進めていくのは『DINING OUT』のオフィシャルビールである『YEBISU MEISTER』。
なかでも今回、宮内が実際に製造工程を見てみたいと強く熱望したのが、『桜王』を使った生ハムです。東京銀座にある大分県のフラッグショップ『坐来大分』で偶然食べた『桜王』の生ハム。宮内は「しっとりとしていて、旨みもしっかり閉じ込められていた。この生ハムは『LOCAL MEISTER PROJECT』にも活用できるんじゃないかと感じました」と話します。
長坂松夫氏。東京『麻布長江』で一時代を築き上げた、言わずと知れた中国料理界の重鎮です。過去に多くの名シェフを輩出してきたことでも知られ、調理師学校の講師時代にはあの『龍吟』の山本征治氏も授業後に教えを請いに足繁く店へと通い、5月26・27日の2日にわたり大分県国東半島で開催予定の『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』にて腕を振るう『茶禅華』のシェフ・川田智也氏が今も師と仰ぐ料理人でもあります。
そして2016年に有田で行われた「世界料理学会 in ARITA」への登壇などを経て、佐賀との結びつきが次第に強まっていったといいます。
「帰国してからは日本全国の食材や生産者を探し、訪ねることをライフワークとしているんですが、そのなかでも佐賀は欠かせない場所のひとつ。多分今までで一番通った県じゃないかな」と須賀氏。この日のディナーでも、その言葉を裏付けるような食材への深い眼差しや、生産者との信頼関係が垣間見える瞬間がありました。
そしてその器に盛る料理を監修するのは、佐賀県白石町で「農家の厨 野々香」を営む小野智史氏です。小野氏の実家は代々農業を営む家系。日本を代表する料亭での修行を経て〝野菜の香りを感じる料理〟をコンセプトとした料理屋を開きました。店があるのは、家族らが野菜や米を栽培する田園地帯の真ん中。まさに料理界の潮流である〝farm to table〟そのもの。4月に行われた「世界料理学会in HAKODATE」でも登壇するなどいま注目の気鋭の料理人です。
SOU・SOUのこだわりは「全て日本製であること」。企画やデザインはもちろんのこと、染・織・縫製に至るまで、全て国内で完結させています。日本のアパレルは企画・デザインは国内で行なっていても、製造は海外に委託していることがほとんどですが、SOU・SOUは技術と質を極めたMADE IN JAPANのファブリックを活かしたものづくりにこそ、価値があると考えました。
2018年5月26日(土)、27日(日)に開催される『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。開催に先立ったある春の日、川田智也シェフが国東の地に降り立ちました。目的のひとつは、本番に使用する食材探し。「直接生産者の元を訪れて話を聞き、その思いを汲み取ることで、はじめてその食材を本当に活かしきることができる」――そんな思いが滞在中の川田シェフから溢れていました。
2018年5月26日(土)、27日(日)に開催される『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。開催に先立ったある春の日、川田智也シェフが国東の地に降り立ちました。目的のひとつは、本番に使用する食材探し。「直接生産者の元を訪れて話を聞き、その思いを汲み取ることで、はじめてその食材を本当に活かしきることができる」――そんな思いが滞在中の川田シェフから溢れていました。
シェフの名は、ガガン・アナンド。
タイのバンコクでオーナーを務める「Gaggan」は、「アジアのベストレストラン50」において2015年から3年連続で1位にランクイン。そして4月8日に開かれたこのイベントの直前には2018年度のランキングが発表され、そのなかでもトップに輝き見事4連覇を達成。名実ともにアジアのレストランシーンを牽引する稀代のシェフです。今回、そのパートナーとして腕を振るうのは、同ランキングにおいて九州で初めてランクインした「La Maison de la Nature Goh」の福山剛氏。2人は「GohGan」というユニットとして国内外の食のイベントでクリエイティブな料理を共に作る間柄でもあり、2021年には本格的に手を組み、日本で店舗を構えることを目指している同志なのです。
4皿目は「SAKE LEES NANO HANA BUN」。ガガン氏の店でも出している定番メニューで、今回は春野菜を包み込み、上に炙ったウニとアオサパウダーをのせた。器は〝切る〟をテーマに大塚氏が吉右ヱ門窯とともに作ったもので、切り目を入れて焼いたプレートに、あとからアンティークナイフを接着したもの。
インド・コルカタ出身。2007年にバンコクへ移住し、その後レストランの料理長を務める一方、エルブジで研修を積む。2010年に開いたレストラン「Gaggan」では、オーナー兼エグゼクティブシェフを務め、Progressive Indian Cusine(進歩的インド料理)を打ち出す。世界的注目が集まる「アジアのベストレストラン50」において4年連続1位に輝き、2017年には「世界のベストレストラン50」でも7位を獲得。将来的に福岡に小規模店の開業も見据えている。
1971年2月26日生まれ。福岡県出身。高校生在学中、フレンチレストランの研修を受けた。1989年フランス料理店「イルドフランス」に就職。その後、1995年からワインレストラン「マーキュリーカフェ」でシェフを務めた。2002年10月、福岡市西中洲に「La Maison de la Nature Goh」を開店。2016年には、九州で初めて「アジアのベストレストラン50」に選ばれた。西部ガスクッキングクラブ講師などを務める。
1980年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部、バンタンデザイン研究所卒業。2003年、「アンリアレイジ」として活動を開始。「神は細部に宿る」という信念のもと作られた色鮮やかで細かいパッチワークや、人間の身体にとらわれない独創的なかたちの洋服、テクノロジーや新技術を積極的に用いた洋服が特徴。2005年、ニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞。2005年より東京コレクションに参加。2014年よりパリコレクションに進出し、国内外50店舗で販売されている。
2018年5月26日(土)、27日(日)の2日間限定で開催される『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。今回の舞台は、山岳信仰と神仏習合の宗教観を育んだ緑深き場所、大分県国東半島です。そしてこの静謐な土地、巨岩と石仏に囲まれる独特な空気感に触れるべく設定されたテーマは「ROCK SANCTUARY―異界との対話」。この地に棲む“何者か”との対話を通し、未知なる精神体験を生むこと。形はなくとも心に残る、深遠なるテーマと言えるでしょう。
2018年3月27日、マカオのリゾートホテル・ウィンパレスで行われた食の祭典「アジアのベストレストラン50」授賞式。当日、現地で取材を行ったONESTORY取材班が感じた、アジアの潮流レポート。3回目であり連載のラストを飾るのは『DINING OUT with LEXUS』参加シェフ4名による、授賞式後のインタビューをお届けます。
その名は『BED AND CRAFT』。「宿泊」を意味するBEDと、「職人から直に学べるワークショップ」を意味するCRAFTを併せ持った宿として、新たな滞在スタイルを提案しています。更に、地域の飲食店やカフェ、ショップ、ギャラリー、温泉などとも提携し、「地域全体がひとつの宿泊施設」というコンセプトでつながっています。井波が誇る「井波彫刻」の職人はもちろんのこと、地域の人々や旅行者たちとも交流できるコミュニティワールド。宿泊客だけに配られる地域マップには、このマップを持つ人だけが鑑賞できる作品や訪れることができる名所などが多数紹介されており、各所で発見の喜びを味わうことができます。
『BED AND CRAFT』をプロデュースしたのは、建築家として「トモヤマカワデザイン」を主催し、職人やクリエイターたちがフラットな関係で協力し合う「株式会社コラレアルチザンジャパン」を立ち上げた、建築家の山川智嗣(やまかわ・ともつぐ)氏でした。カナダへの留学を経て上海の設計事務所に入社し、発展めざましいアジアの大都市で、チーフデザイナーとして大規模な建築に多数関わってきました。
「上海の建築現場は近未来都市というイメージとは裏腹に、昔ながらの手仕事に支えられていました。地方から出てきた人たちが、正式な建築の教育も受けずに手探りでものづくりをしていて、丁寧に図面を引いて持参しても、『読めないから口で説明してくれ』と言われるような状況でした。非常に面食らいましたが、そうしたアナログな現場には、人と人とのつながりと、ものづくりをしている確かな実感があったんです」と山川氏は語ります。
山川氏が外からの視点でディレクションした『BED AND CRAFT』が、宿を訪れた外国人たちの琴線に触れたのは必然だったのかもしれません。
「ホームページに載せているような綺麗な風景だけでなく、路地裏に入ると細い路地が迷路のように入り組んでいたり、それを抜けて行ける秘密基地のような場所があったりと、けっこう面白い町なんですよ。昔ながらの門構えの家や、レトロな時代物の看板なども珍しくありません。そこが他の所から来てくださった方々には新鮮なんでしょうね。そういった素の魅力を、建築家かつデザイナーとして広報していければと思います」と山川氏は言います。
「『BED AND CRAFT』は“バケーションレンタル”というコンセプトで造りました。これは、中~長期間滞在して地域を存分に巡ってもらうための拠点、という意味です。ゆったり寛いで頂ける造りはもちろんのこと、『TAË』と『KIRAKU-KAN』には自炊できるキッチンもあります。また、職人たちの行きつけの飲食店も紹介できるので、それぞれの好みによって暮らすように滞在して頂きたいですね」と山川氏。
「『BED AND CRAFT』で築き上げてきたものは、ひとつの社会システムだと思っています。これを井波だけでなく、他の様々な地方にも広げていくことが目標です」と山川氏は言います。
山川氏は続けて、「日本には、優れた職人技や魅力を持ちながらも、知られないまま衰退している地域が多数あります。そうした地域を盛り立てて、その価値を知ってもらえれば……。このまま地方の経済を地方だけで回していくのは、今後ますます厳しくなるでしょう。人口の減少やライフスタイルの変化など、努力だけではどうにもならない要因がありますから。『ここに訪れてお金を落としたい』と思ってもらえるようなサポートを、『BED AND CRAFT』の試みをもとに行っていきたいですね」と言います。
そう、アジアを代表するシェフが一堂に会する食の祭典の授賞式で、日本各地で感動を呼んだ『DINING OUT with Lexus』のシェフたちが、躍動したのです。それはある意味、レストランという枠組みを超えたシェフたちの活動がひとつの形として認められた瞬間でもあるように思え、今後、我々のイベント『DININGOUT with Lexus』が担うべき社会貢献の責任すら感じた瞬間でした。おこがましいのは承知の上で、それほどにイベント当日、シェフたちの授賞式は輝き、感動を呼び、心を揺さぶるものだったのです。
ONESTORYでは、全3回に亘り『アジアのベストレストラン50イベントレポート』、『DINING OUT シェフたちのBest50』、『ガガン&アンドレ・チャンのスペシャルインタビュー』をお届け。今、アジアの食の最前線で何が巻き起こっているのかを検証します。
東京ではいよいよ桜が満開を迎えた2018年3月27日、マカオのリゾートホテル・ウィンパレスで執り行われたのが食の祭典「アジアのベストレストラン50」の授賞式。サンペレグリノとアクアパンナがメインスポンサーを務める同祭典は、味への追求はもちろん、時代のトレンド、シェフの発信力、料理のストーリー性までもが評価されるとあって、フーディーからは絶大な支持を集めるグルメランキング。過去、『DINING OUT with LEXUS』に関わってもらった多くのシェフたちも選出されるとあって、我々ONESTORY取材班も食の祭典の現場に立ち会ってきました。そして、今巻き起こるアジアの食のトレンドの最前線を見届けてきたのです。
そして、今大会の最も大きなサプライズは以下2人。なんと2位は東京・外苑前『傅』長谷川在佑氏(『DINING OUT NIHONDAIRA』担当シェフ)と、3位東京・外苑前『フロリレージュ』川手寛康氏(『DINING OUT MIYAZAKI』担当シェフ)。昨年の11位と13位の若き日本人シェフたちがガガン・アナンド氏に次ぐ順位に輝くという大躍進を遂げたのです。
さらに会場を湧かせたのが、大阪・本町の『ラシーム』。そう昨年、愛媛内子での『DINING OUT UCHIKO』も記憶に新しい高田裕介シェフが、初のランクインであるにも関わらず、いきなりの17位、さらには「最上位の新規入賞レストラン賞」という快挙に輝いたのです!
「自分の名前がなかなか呼ばれないので忘れられているのかと不安でした。信じられないほど嬉しいです」
と表彰式直後の高田シェフはシャイなコメントともに笑顔。
実はこの4人が共演するのは初めてではありません。2016年、〝器と料理のマリアージュ〟を掲げ、料理と器の可能性をさまざまな角度から探ったイベント「世界料理学会 in ARITA」での共演を皮切りに、今回が3回目となります。そうした経緯もあり、厨房での仕込みの段階から和気あいあいとした雰囲気そのもの。最年長の古賀氏を長男に見立て「4人兄弟」と称するほど、チームとして一体感があります。
1968年長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社にカメラマンとして入社。1991年独立。アジアを多く旅し作品を制作。2000~2002年渡米(N.Y.)。写真制作のほか、ノンフィクション・小説執筆など活動は多岐に渡る。東京工芸大学芸術学部写真学科教授、ニッコールクラブ顧問。著書に「ASIAN JAPANESE」「DAYS ASIA」「days new york」「旅をすること」「メモワール」「kemonomichi」「ニッポンの奇祭」「見知らぬ記憶」。