鳴門公園(渦の道)GW期間 臨時駐車場のご案内


ゴールデンウィークには例年、鳴門公園に沢山のお客さまがご来場くださいます。
特に5/3から5/5の3日間は、交通集中により渋滞が鳴門北IC付近まで延びる恐れがあります。
鳴門公園にお越しの際は、鳴門ICから鳴門スカイラインを経由するルートもご検討ください。
亀浦港埠頭用地に臨時駐車場を設けてシャトルバスを運行し、鳴門公園まで送迎いたします。
※鳴門公園有料駐車場が満車となりましたら、こちらの無料臨時駐車場をご利用ください。

実施期間

2024年5月3日(金) ~6日(月)まで(計4日間)
9時00分~18時00分 ※臨時駐車場からの最終発車時間は17時00分

運行区間

臨時駐車場 ~ うずしお汽船前 ~ 千畳敷 ~ 第一駐車場前 ~ うずしお汽船前 ~臨時駐車場

臨時駐車場の駐車台数

約400台
※ 各観潮船・大塚国際美術館をご利用のお客様は、各施設の専用駐車場をご利用ください。

料金

臨時駐車場・シャトルバスともに無料です。

GW期間は渦の道・エディの営業時間を延長いたします

渦の道・エディ

実施期間・営業時間

2024年4月27日(土)~5月6日(月)

渦の道 8時00分~19時00分(最終入館18時30分)
エディ 8時00分~18時00分(最終入館17時30分)

お問い合わせ

渦の道:Tel 088-683-6262
大鳴門橋架橋記念館エディ:Tel 088-687-1330

春の大潮を見に行こう!


春は一年で一番大きな渦潮が見えるベストシーズンです。
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世界最大級!大迫力の鳴門の渦潮を眺める


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IRON HEART THE WORKS WEB 2024-04-18 09:50:04

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Tokushima Tourism Information Version 2 徳島観光資料


Please download the documents for your reference.

Tourism Guide –觀光資訊

▶ 徳島観光パンフレット Experience Tokushima (德島觀光導覽手冊)[PDF/8.3MB]
▶ 徳島観光おすすめ Tokushima Tourism Presentation (德島觀光推薦)[PDF/15.5MB]
▶ 四国マップ Shikoku Map (四國地圖)[PDF/10.8MB]
▶ 四国遍路 Shikoku Henro Pilgrimage(四國遍路)[PDF/11.7MB]

Hotel Guide -酒店推薦資訊-

▶ 徳島シティホテル案内 TokushimaCityHotel(德島城市酒店推薦)[PDF/3.6MB]
▶ 徳島温泉ホテル案内 TokushimaOnsenHotel(德島溫泉酒店推薦)[PDF/2MB]

Golf Guide -高爾夫球場資訊-

▶ 徳島ゴルフ場案内 Tokushima Golf Information (德島高爾夫球場推薦)[PDF/2.6MB]

Cycling Guide -單車騎行資訊-

▶ 徳島サイクリング案内 Tokushima Cycling Guide(德島單車騎行導覽)[PDF/2.8MB]

Special Transportation Guide -特色交通資訊-

▶ 南海・徳島フリーパス Nankai Tokushima Free Pass(南海・德島周遊券)[PDF/1MB]
▶ DMV時刻表 DMV Time Table(DMV時刻表)[PDF/2MB]
▶ 藍よしのがわトロッコ Ai Yoshinogawa Torocco(藍吉野川觀光小火車)[PDF/1.3MB]
▶ 四国まんなか千年ものがたり観光列車 Shikoku Mannaka Sennen Monogatari(四國真中千年物語觀光列車)[PDF/3.3MB]

Educational Travel -教育旅行資訊-

▶ 訪日教育旅行プログラム紹介 Tokushima Educational Travel Program(德島教育旅行方案介紹)[PDF/6.3MB]

南城、琉球うるま、琉球首里。沖縄3部作を全て見届けた中村孝則が「ダイニングアウト」を説く。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

ディナー会場が設えられたのは「瑞泉門」の前。1933年に国宝に指定されたものの沖縄戦で焼失。現在の姿は1992年に復元されたもの。

DINING OUT RYUKYU-SHURI首里城内で開催された空前絶後の晩餐。

「DINING OUT RYUKYU-SHURI」が2024年2月10日(土)から12日(月)まで、沖縄県・那覇市の首里城で開催された。今回、料理を担当するのは東京・南麻布の「茶禅華」の川田智也シェフである。ご存知の通り、首里城は2000年にユネスコの世界遺産にも登録され、約450年以上にわたり琉球王朝の中心であり続けた城(グスク)である。そして、記憶に新しいと思うが2019年10月に不慮の火災で正殿などが消失し、いま2026年の完成を目指して修復の真っ只中にある。今回の「DINING OUT」は、その首里城のしかも城壁内部を貸し切って開催されたのであったが、そのこと自体が大きな話題となった。世界遺産の敷地のどこで、どのようなレストランを作るのかと。もっとも「DINING OUT」の醍醐味というか魅力が、たんなる美食の饗宴でないことは、読者貴兄もよく知るところであろう。その土地の魅力を自然に触れ、文化あるいは、そこに住む人々の営みから紐解き、五感と知的好奇心を総動員して味わうが趣旨であるからだ。なので今回も、舞台となった首里城を隅々まで探索することから始まった。

 今回、案内を務めてくださったのは、琉球史研究家の上里隆史氏である。その上里氏の著書『尚氏と首里城』(吉川弘文館)によると、首里城の総面積は約4万7千平方メートル、東西約400メートル、南北約200メートルの楕円形の城郭であり、大別して内郭・外郭から構成されている。15世紀初頭、中山を掌握した尚巴志により本格的整備が開始され、やがて大規模な王宮へと変貌する。もっとも、それ以前の14世紀前半には、「京の内」と呼ばれる区画を中心にすでにグスクとして信仰儀式の場とされていたようである。なので今回の「DINING OUT」は、まさにその「京の内」から探索することとなった。多くのゲスト同様に、筆者もこの「京の内」の内部を歩くのは初めてだった。中世から大切に守られ、鬱蒼と南国の草木が生い茂り遊歩道のあちこちには、御嶽(うたき)などの信仰の場所があり、歩み進むうちに、徐々に琉球王朝の中世の時代にタイムスリップするような感覚になってゆく。やがて首里城の中枢部の、南殿・北殿・奉神門で囲われた御庭(うなー)に到達する。2019年に焼ける前の正殿は二層三階建て、赤瓦葺の入母屋造で、壁は弁瓦色で塗られ、で中央正面には豪華に装飾された唐破風(からはふ)が備わっていた。この建築様式は琉球独自のものであったが、火災で完全に焼け落ちてしまった。もっとも、この正殿は1453年を初めに、先の大戦の1945年まで過去に計4回消失しており、その都度、不死鳥のごとく再建されてきた歴史を持つ。いまはその再建の真っ只中にあり、今回の「DINING OUT」では、その再建中の骨組み内部まで拝見することができた。むしろ、それはゲストたちにとっては、今だけしか肉眼で見ることが出来ない貴重な機会となった。
 
 ゲストはいよいよメイン会場の入り口の歓会門へとたどり着く。首里城には幾つかの門があるが、“歓会”とはまさに、「DINING OUT」会場の入り口にふさわしい銘ではないか。その巨大な門は、合図と共にゆっくりと開けれ、導かれたその奥には、純白のテーブルクロスが張られたダイニングテーブルが用意されてた。その場所は、第一尚氏時代の正門である瑞泉門を望む広場になっている。美しい石垣は中世のそのままの趣を残し、厳かな空気に包まれていた。そして夕暮れとともにいよいよ、ダイニングがスタートをした。私たちは、まるで琉球王朝に招かれた、中世の各国の特使にでもなったように気分が高揚していた。実際に、今回のゲストは、海外のゲストも参加していたのだ。

首里城を案内する琉球史研究家の上里隆史氏。歴史の舞台を前に、琉球王国の信仰や精神性までを深く解説した。

2026年の復元を目指して作業が進められる首里城正殿。その作業工程の大部分は「見せる復興」として誰でも見学することができる。

首里城の代表的な門である「守礼門」。扁額の中の文字は「守礼之邦(しゅれいのくに)」。「琉球は礼節を重んずる国である」という意味。

ゲストをディナー会場へと誘った「歓会門」。歓会とは「歓こんで迎える」の意で、かつて琉球王国に招かれた中国の特使を歓迎する意味で命名された。

通常、首里城は18時以降閉鎖され夜間の姿を見ることはできない。その幽玄な雰囲気の中で食事をするという稀有な体験だった。

DINING OUT RYUKYU-SHURIアジアの中で独自の地位を築いた琉球王朝の外交戦略と首里城。

ここで少し、琉球王朝時代の歴史についても触れておきたい。というのも、今回の「DINING OUT RYUKYU-SHURI」の料理の本質を紐解くための重要なヒントが隠されているからだ。琉球王朝は、14世紀末から16世紀にかけて、西南諸島のみならず、アジア諸国全域にかけて、広範囲な交易活動を行ってその地位を誇っていた。とりわけ中国(明・清)との交易は特別な関係を持ち、約500年続いた。琉球の交易は王府が運営する国営貿易であり、明朝への朝貢などと通じ特権的な地位を与えられ、明だけでなく南はいまのタイ国のアユタヤ王朝や、ベトナムの安南、マレー半島のマラッカ王朝とも広く交易をしていた。東アジア全域の貿易経済ネットワークを構築することで、独自の立ち位置を築いたのである。当時、琉球から明への主な朝貢品は、沖縄島北方にある硫黄鳥島の硫黄や馬だったと、さきの『尚氏と首里城』で上里氏は書いている。硫黄は、火薬の原料として明で珍重された。そして、琉球からは多くの馬が飼育され、明に輸出されたそうだ。当時の明は北方のモンゴル軍と対峙しており、琉球の馬たちは軍馬として供給されていたのだ。かわりに明からは陶磁器をはじめ最先端の品々を輸入し、それをアジア諸国に輸出した。また南方からは胡椒などの香辛料や象牙を、日本からは日本刀を輸入して、アジア全域の貿易センターとして富を得ていた。もうひとつ重要なことは、琉球王朝の文化的外交手腕である。当時、明王朝からは「冊封使(さっぽうし)」と呼ばれる、皇帝の使節団が定期的に明からやってきた。しかも彼らは大型ジャンク船で一度に4、5百人が訪れ、長い時には数ヶ月滞在したという。その歓待の舞台となったのが、この首里城である。彼らへのもてなしは、極めて洗練された琉球の文化––––音楽であり歌であり組踊りあり装束であり、城の中で作られた極上の酒、泡盛であった。そして何より冊封使たちが最も楽しみにしてたのは、料理であった。なので、今回の「DINING OUT」を読み解くカギは、琉球王朝の歴史を踏まえ、ゲストが“現代の冊封使だったら”、という見立から進めるのが分かりやすいのだと思う。

首里城正殿前に位置する礼拝所「首里森御嶽(すいむいうたき)」。この御嶽があるから首里城がこの場所に建てられたというほど格式高い聖地。

正殿横にある珊瑚の礫が敷かれたエリア。琉球王国では聖なる場所や墓所に珊瑚や海の砂を敷くという慣わしがあったため、おそらくここは神に仕える女性が儀式に使ったのではないかと考えられているという。

首里城内の聖地「京の内」には4つの御嶽があるが、その周囲を取り囲む御嶽林も琉球王国の歴史を元に復元されている。

御庭へ入る最後の門となる「奉神門」は、現在は有料エリアへの改札所となっている。朝の開門の儀式「御開門」を見ることができるのもこの門。

DINING OUT RYUKYU-SHURI琉球王朝最高のもてなし、「御冠船料理」とはなにか。

御冠船と書いて、「うかんしん」あるいは「おかんせん」と読む。明王朝の冊封使が琉球王朝の王を認める冠を持参する船であったことがその語源である。「御冠船料理」とは、有り体に言ってしまえば、冊封使を接待するための宴席料理である。そしてその内容とスケールが桁違いに凄い。赤嶺政信著『沖縄の神と食の文化』(青春出版社)によると、冊封使たちが滞在中に7回の大宴会を開催し、一回の宴席には一の重から5の重まで、合計30以上の珍味美味の料理が並んだと記している。これを「五段のお取り持ち」と呼び、近代まで首里の士族層の祝儀の料理に引き継がれたという。宴席には料理だけでなく、音楽や組踊などの演出も繰り広げられた。料理は南西諸島の海の幸、山の幸はもちろん、イラブウミヘビから、鹿肉やアヒルなどの肉類、日本からは干したナマコ、明からはツバメの巣といった珍味まで、さながら琉球版満漢全席(まんかんぜんせき)といった様相だ。中には、海馬もあったそうだ。海馬とはジュゴンのことである。ちょっと脇道にそれて恐縮だが、ジュゴンは近世までアジアの王侯貴族にとって、不老不死の究極の食材として垂涎の的だった。もちろん、現在ジュゴンは絶滅危惧種で食すことなどもってのほかだが、民俗学者の柳田国男や南方熊楠も、その美食の歴史にも触れ、辺見庸の『もの食う人々』では、1960年代のフィリピンのブスアンガ島で最後に食された記録ことも記述している。ちなみに昨年、沖縄の海では、ジュゴンのフンや海藻の食み跡が見つかっており、かつてジュゴンが琉球全域に生息してことを空想させる。話がつい脱線してしまったが、何が言いたいかといえば、今回の川田智也シェフが手がけた料理の裏テーマは、さながら現代版の「御冠船料理」ということに違いない。勉強熱心な川田シェフのことだから、当然「御冠船料理」の文献など紐解き、沖縄県内の様々な食材をくまなくリサーチしたに違いない。それを、往時と同じ首里城で味わえたということは、画期的な企画だと、あらためて思うのである。

コースは御冠船料理さながらの全15品。慣れない厨房でその品数を遅延なく仕上げたのは、川田シェフの采配とキッチンスタッフのチームワークの賜物。

キッチン、ホールともに現地スタッフではなく、東京からやってきた総勢20名の『茶禅華』スタッフが担当した。

DINING OUT RYUKYU-SHURI一際余韻を残したふたつの料理、長命海月と甲魚光貝の記憶。

現代の「御冠船料理」という見立ては、筆者の勝手な空想であるので、実際に総合プロデューサーの大類知樹氏から川田シェフにそのような指示があったのかはわからない。しかし、おそらく大類氏の中では、だいぶ以前から川田シェフと決めていたのではないだろうか。というのも、仮に「御冠船料理」を再現するとしても、この料理は単なる中華料理でもなければ沖縄料理でもないからだ。広大な東アジア全体の食文化の融合であり、日本料理、中華料理、そして東南アジア諸国の最高のレシピを融合し、高度に洗練されたものであると推測されるから。そもそも川田シェフは中華料理を基本にしつつも、「日本料理 龍吟」で日本料理も極め、中華料理と融合することで独自の境地を開拓し、「ミシュランガイド東京版」で中国料理として初めて三つ星を獲得した。中華圏のフーディーたちも、本国より美味しいと足繁く通うほどである。おそらく、このミッションに応えられるシェフは、川田シェフしかいなかったであろう。実際に15皿に及ぶ今回の料理はどれも素晴らしい内容だったのだ。ここで、筆者が特に印象的だった料理をふたつほどご紹介しよう。「長命海月」と名付けられた小さな料理は、クラゲに沖縄の長命草を和え、柑橘のタンカンで風味付けされたものだ。長命草とは、近年研究で優れた薬効が認められ、いわゆる「ぬちぐすい」という、沖縄流の医食同源の象徴の食材である。クラゲのコリコリとした食感と長命草の苦味、タンカンの酸味が合間って、沖縄らしい涼やかな風味一皿だった。「甲魚光貝」は、夜光貝と呼ばれる大きな貝とスッポンを、暖かなスープ仕立てにし、夜光貝の貝殻をお椀の器に見立て、手で持ち上げて飲む趣向。貝殻も温められており、スープの滋味だけでなく、手のひらからも美味しさが伝わってくる逸品だった。ちなみに夜光貝は琉球王朝時代に「螺殻(らかく)」と呼ばれ、琉球から明への主要な輸出品にひとつだと高良倉吉氏は『アジアのなかの琉球王朝』(吉川弘文館)で記している。この貝は、螺鈿細工の原料として珍重されたのだ。これも筆者の空想だが、もしかしたら実際に「御冠船料理」でも夜光貝が食されたかもしれない。もちろん食した後の貝殻は、冊封使が持ち帰ったのだろう。今でいうサスティナブルな料理である。なんていう見立ても川田シェフならではの美味しさのレシピになっているのであった。いずれにせよ、どの料理も洗練されて美味しいだけでなく、琉球王朝へのオマージュや王侯貴族たちの長旅の滋養強壮のもてなしを引き継いているところが、川田シェフの非凡なところである。おそらく、今回の料理のいくつかは、「茶禅華」のグランドメニューに加わるのではないだろうか。川田シェフの凄いところは、今回のような機会を得て、常に料理が進化しているところであるから。

「素材の背中をそっと押すような料理」と川田シェフが語る今回の献立。素材名を軸にしたシンプルなメニューが並んだ。

食感豊かなクラゲに、沖縄で古くから親しまれてきた野草である長命草と爽やかなタンカンを合わせたひと皿「長命草クラゲ」。上部は葱の風味、下には甘酢のジュレが敷かれている。

夜光貝とスッポンのスープ。手袋をはめて貝を直接持ち上げて口に運ぶという演出も、五感で味わう料理を探った今回の川田シェフの計算のひとつ。

DINING OUT RYUKYU-SHURI「ダイニングアウト」沖縄三部作。その集大成への道のり。

「DINING OUT」が沖縄本島で開催されるのは、今回を含めて合計3回におよんだ。2018年に南城市で開催された「RYUKYU-NANJYO」。2019年に、うるま市で開催された「RYUKYU-URUMA」。そして、今回の首里城の「RYUKYU-SHURI」である。いま振り返ると、いずれも琉球王朝時代から沖縄の各地に脈々と受け継がれる食材だけでなく、食文化の物語を提供していた。南城市では、樋口宏江シェフが、久高島の郷土食であるイラブウミヘビが、往時のマラッカ王朝を通じて日本の鰹節の原型であることをヒントに、日本と沖縄の食文化の融合を紐解いた。うるま市で担当したガガン・アナンドシェフは、自身のルーツであるインドのコルコタや、タイの食文化と沖縄の共通点を指摘し、独自のメニューを考案した。そして今回の首里城である。それぞれに物語があるだけでなく、この三部作を通じて、眠っていたあるいは知られざる琉球王朝時代の豊穣な食文化を掘り起こし、再現して示したのではないかと改めて思うのであった。これは、沖縄の未来のガストロミーを思索するうえでも、貴重な機会になったのではないだろうか。

初めて沖縄を舞台にした『DINING OUT RYUKYU-NANJO』は2018年に開催。ディナー会場となったのは、知念城跡。琉球王国時代から続く聖地巡礼の拝所のひとつで、切石組みのミーグスク(新城)と、自然石を積んだクーグスク(古城)から成り、国の史跡にも指定される。

『DINING OUT RYUKYU-NANJO』で腕をふるったのは、『志摩観光ホテル』総料理長を務める樋口宏江シェフ。特筆すべきは、「DINING OUT」史上初の女性シェフだったということ。樋口シェフは、2016年に行われた「伊勢志摩サミット」でも、各国の首相陣をうならせる料理を提供した実績を持つ。

DINING OUT RYUKYU-NAJO』のホストを務めた中村氏。土地の歴史や文化、料理など、様々な文脈を伝えるだけでなく、法螺貝のパフォーマンスなども披露。

沖縄2回目となるDINING OUT RYUKYU-URUMAは、うるま市にて2019年に開催。舞台となったのは、県南東部のうるま市に残る世界遺産・勝連城跡。

DINING OUT RYUKYU-URUMA』のシェフを務めたのは、タイ・バンコク『Gaggan Anand』のオーナーシェフ、ガガン・アナンドシェフと福岡『La Maison de la Nature Goh』の福山 剛シェフによる『GohGan』。現在は、同ユニット名のレストランを福岡で運営する。

DINING OUT RYUKYU-URUMA』でもホストを務めた中村氏。レセプション会場、浜比嘉島にて、「阿麻和利」の衣装でゲストを迎えた。

DINING OUT RYUKYU-SHURIガストロミー・ツーリズムにおける高付加価値化とはどういうことか。

現在、観光庁が地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりを推進し、沖縄を含めて全国11地域をモデル観光地として選定している。その最大の課題は、人数ではなく高単価高付加価値観光にある。特にインバウンドに関しては、訪日客ひとりあたり、1回100万円以上と定義して推進している。ところが現実は、ひとりあたり約10万円と大きな隔たりがある。

日本各地には沖縄だけでなく、素晴らしい食材や食文化が数多く眠っている。それを掘り返すだけでなく、いかに高価値、高価格で提供するかが課題なのだが、単に“美味しい”だけでは舌の肥えた彼らを満足させることは出来ないだろう。美味しいものは、どこでも作れるからだ。打開策を端的にいえば、美味しさの奥にある、“美味しさの物語”を体験として、どう表現し伝えるかということに尽きると思う。彼らは、五感的な美味しさだけでなく、文化的な美味しさに高い対価を払う傾向にあるからだ。文化的な美味しさというのは、学ぶことによって初めて知ることができる美味しさと言い換えてもいいだろう。それは、単に高級食材や珍奇な食材を使うということではない。大事なことは、ゲストの脳のなかに新たな味覚ゾーンを作ることだ。自覚的にせよ無自覚にせよ、いまの富裕層やフーディーたちが、各地を旅する原動力になっているのは、自分の脳のなかに目覚める、新たな味覚ゾーンへの快感ではないかと思う。そのためには、文化としての美味しさを物語にかえて、演出を含めた総合的な体験として提供することが必須なのだ。その意味で今回の三部作を含めた集大成ともいえる「DINING OUT RYUKYU-SHURI」の試みは、今後の日本のガストロノミー・ツーリズム戦略を練るうえでも、貴重なショーケースになったと改めて思うのである。


Text:TAKANORI NAKAMURA

神奈川県葉山生まれ。ファッションやカルチャーやグルメ、旅やホテルなどラグジュアリー・ライフをテーマに、雑誌や新聞、テレビにて活躍中。2007年に、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を受勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士(カヴァはスペインのスパークリングワインの呼称)の称号も受勲。2013年からは、世界のレストランの人気ランキングを決める「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。

主催:沖縄県文化観光スポーツ部 観光振興課
企画・プロデュース:ONESTORY
協力:沖縄美ら島財団
販売:ハレクラニ沖縄
協賛:オリオンビール、CHAMPAGNE TAITTINGER、瑞泉酒造、T GALLERIA、ホシザキ沖縄  *五十音順
 

精神を受け継ぎながら時代に合わせた琉球文化を。ふたりの文化伝承人が願う、ひとつのこと。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

琉球史研究家の上里隆史氏(左)と琉球音楽師範の山内昌也氏(右)。琉球文化を伝える役割として、ともに仕事に携わることもあるという。

DINING OUT RYUKYU-SHURIゲストの心を一瞬で捕らえた、現代に蘇った宮廷音楽の響き。

「琉球王国のおもてなし」をテーマに、『茶禅華』川田智也シェフが腕をふるった『DINING OUT RYUKYU-SHURI』。コースも半ばを過ぎた頃、琉球王朝式のおもてなしとして、歌三線と琉球舞踊のパフォーマンスが披露されました。

それは不思議な瞬間でした。

酒も入り、思い思いに会話を楽しんでいたゲストたちが、まるで申し合わせたように一斉に手を止め、話を止め、息までも止めるように、その演奏と舞に見入ったのです。それは芸能の持つ力を改めて垣間見る瞬間でした。

三線の音は儚く、音数も少なく、ごくごくスローなテンポ。合わせる舞も、注視していなければ静止しているものと間違えるほど、ゆったりとした動き。派手さはありません。賑やかさもありません。しかしその幽玄な響きと舞は、確実にゲストの心に届いたのです。

それは、一般的に想像されるような賑やかに歌い踊る沖縄民謡とはかけ離れていました。演者は、山内昌也氏。琉球古典音楽の師範であり、沖縄県立芸術大学音楽学部長でもある山内氏がその理由を教えてくれました。

「琉球古典音楽という、約450年続いた琉球王国が明治12年に滅亡するまで首里城の中だけで上演されていたものが、今日ご覧頂いた音楽です。その明治12年以降、首里城で演奏していた方々が自分が食べるために各村を回って庶民に宮廷音楽を見せていく。それを聞いた方々が生活のリズムと調和するような、自分たちで歌ったり、踊ったりできるように変えていったものが、現在の沖縄民謡の基礎になっています」。

レとラのない独特の音階の由縁、三線という楽器の起源、ロックやジャズを取り入れて変わりつつある沖縄音楽の今。教職者でもある山内氏の言葉はわかりやすく、琉球音楽の歴史を伝えてくれます。

しかし、自身が古典音楽の担い手である山内氏は、その変化を否定するわけではありません。
「武力ではなく、文化芸術を通して外交をしていたのが琉球王国。さまざまな要素を取り入れながら発展させてきたことこそ、先人たちの強い力ではないでしょうか」。

そう穏やかに山内氏。そして、ひとつの例を話します。

「今日ご覧頂いた歌三線の演者ひとり、女踊りひとりというパフォーマンスを開発したのが私なんです。それまでは大人数でやるスタイルが主流でしたが、これを10年ほど前に開発して、他の演者の方も取り入れはじめ、今では“次世代にこの形を伝えていっても良いのではないか”ということになっています」。

この1対1という革新的な取り組みは、それ自体がグッドデザイン賞を受賞するなど、高い評価を得て、現在では定着しつつあるといいます。

「私は復元と再現は別なのではないかと思っています。復元とは昔のものを昔のまま、それこそお客さんも着物を着て見るようなこととして伝えていくこと。対して再現は昔のものの理念をうまく活かしながら新しくデザインしていくこと。この時代に合わせた感覚が大事なのではないかと、個人的には考えています」。

奇しくも今回の「ダイニングアウト」を終えた川田智也シェフが「伝承と伝統」という言葉で語った思いと、とても良く似た理想を持つ山内氏。そして最後にこう話しました。

「そういう意味でも、今回のダイニングアウトで、それも今、再興の途にある首里城で、皆様方に琉球古典音楽を感じてもらえたことには大きな意味があると思います」。

紅型を着て踊る女踊りは、基本的に恋心がテーマ。この日の踊りは切ない恋心を踊りに託したもの。

現在でも首里城正殿の中で演奏できるのは宮廷音楽のみ。時代の変化だけでなく、正統な文化を継承していくこともまた山内氏の役割。

「かつて中国からの使者をもてなした同じ場所で、現代的な解釈によるもてなしの晩餐が開かれたことに大きな意義がある」と山内氏。

DINING OUT RYUKYU-SHURI目に見えぬ琉球王国の精神を伝えるホストとしての役割。

今回の『DINING OUT RYUKYU-SHURI』では、“琉球王国のおもてなし”という精神性が大きな意味を持ちました。そしてその目に見えぬものを深く、わかりやすく伝えてくださったのが、琉球史研究家の上里隆史氏でした。

首里城に到着したゲストを迎え、案内に立った上里氏。その上里氏が最初にゲストを導いたのは、首里城の観光順路から外れた「京の内」という場所でした。

「京の内は知らなければ何もない場所なんです。その何もないところに琉球の精神文化が秘められているということを知って頂いてそこから食事に入るということが意味を持っていたと思います。当然ながら食事は舌で味わうものですが、歴史であったり、この座っている場所がどういう場所かというのも踏まえた上であれば、いっそうおいしく、興味深く味わえるものなんですね」。

当時は城跡だった首里城を見つめて育ち、琉球文化を研究し続ける上里氏にとって、この場所で開かれるダイニングアウトには、ひときわの意味を持っていたのでしょう。そしてそんな上里氏にとっても、今回の晩餐は大きな意味を持っていたといいます。

沖縄文化や観光振興の有識者会議の委員もつとめた上里氏の願いは、時代に合わせた歴史、文化を今の人々が紡いでいくこと。

「歴史をただ歴史として学ぶのではなく、それを現代にアレンジして今を生きる人たちが当たり前に触れられる存在にすること。このダイニングアウトは、ただおいしいごはんを食べる、ただ世界遺産できれいだから使用する、ということではなく、土地の文化、風土、歴史を踏まえて現代の解釈で琉球王国の伝統を伝えた。そのことに価値があると思います」。

ここにもまた、川田シェフや山内氏と同じ思いが垣間見えます。

さまざまな文化を取り入れながら発展してきた琉球文化だからこそ、ただ守るのではなく、時代に合わせた“現在の文化”を伝えたい。

3名が異なる言葉で語ったひとつの思いこそ、琉球文化の本質なのかもしれません。

そして上里氏の思いは、現在、再建に向けて作業が進む首里城に向かいます。修復の作業を誰でも見学できるようにし公開し、ボランティアなども広く募りながら“見せる復興”として進む今回の再建。

「前回の復元はブラックボックスの中で、気付いたら首里城が完成していた。ところが今回は、こうして“見せる復興”が進んでいる中で、沖縄の人たちが参加していくという動きがあります。それをきっかけにかつて琉球文化があったこと、現在の復興に多くの人達が一生懸命努力しているということが広がっていく。皮肉なことですが、燃えてしまったことで、そこに目が向き始めた。沖縄の文化や伝統に目を向ける機会は、実は今なんです」。

御嶽と呼ばれる聖域が無数にある首里城内「京の内」。ここに込められた意味や由来を上里氏がわかりやすく解説した。

“見せる復興”の途にある首里城正殿。この方式が、沖縄の若い世代にも琉球文化への興味を持たせたという。

Photographs:RYO ITO
Text:NATSUKI SHIGIHARA

主催:沖縄県文化観光スポーツ部 観光振興課
企画・プロデュース:ONESTORY
協力:沖縄美ら島財団
販売:ハレクラニ沖縄
協賛:オリオンビール、CHAMPAGNE TAITTINGER、瑞泉酒造、T GALLERIA、ホシザキ沖縄  *五十音順
 

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WAKO ANNEXほっとひと息、心身をリラックス。ハーブティー3種セット。

独自の焙煎技術によって、品質や味にこだわった3種のハーブティー。

まずひとつ目は、有機グリーンルイボスティー。素材は、その名の通り、農薬や化学肥料は一切使用していない有機原料。自然の恵みを生かして栽培されているグリーンルイボスです。グリーンルイボスは、一般的な赤いルイボスとは異なり、非発酵の茶葉を100%使用しており、緑茶に近い香りとスッキリと清涼感のある味わいが特徴です。

ふたつ目は、桑の葉茶。原料となる桑の葉は、鳥取県産のものを使用。まろやかな口当たりになるよう焙煎しているため、ほのかな甘味を感じます。

3つ目は、エキナセアティー。桑の葉同様、原料となるエキナセアは、鳥取県産。

癖のない草木の自然の香りが漂い、穏やかな味わいを満喫できます。

全てノンカフェインのため、体に優しいのも嬉しい点。加えて、便利なタグ付ティーバッグは、気分に合わせ、お手軽にティーバッグをお楽しみいただけます。

日々の気分や体調に合わせ、心身をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

左より、有機グリーンルイボスティー、桑の葉茶、エキナセアティーの原料を栽培する畑の風景。自然の恵みを生かし、安心・安全にこだわる。

有機グリーンルイボスティー、桑の葉茶、エキナセアティーの3種のハーブティー。単品(個包装のティーバッグ10袋入り)はもちろん、3種セットも用意。ティーバッグの素材は、環境に優しいものを使用。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

意志ある未来は、人間力が切り開く。第二回「新潟ガストロノミーアワード特別版」開催。

若手シェフに焦点を当てた第二回「新潟ガストロノミーアワード特別版」。302店中、30店を厳選。熟考した審査の結果、大賞、審査員特別賞、特別優秀賞、女性Chef賞に輝いた面々(前列)。そして、審査員たちと総合プロデューサーの岩佐氏(後列)。

新潟ガストロノミーアワード生みの苦しみの次なる必須は、継続の力。それを叶えたアワード。

「新潟ガストロノミーアワード」は、2023年2月に発足。主な取り組みは、地域の風土、歴史や文化を料理に表現するローカルガストロノミーの理念を体現している県内の飲食店や宿泊施設、特産品などを発掘することにあります。

記念すべき第一回は、発足直後の2023年3月に開催。「ONESTORY」の記事では、最後にこう締めくくらせていただきました。

「生みの苦しみの次なる必須は、継続の力」。

当時、本アワードの総合プロデューサーである岩佐十良氏は、SNSで記事をシェア。この言葉に対してコメント添え、投稿を締めくくっていました。

「まだ未確定でありますが、新潟ガストロノミーアワードは2年に一度の開催ベースで、そして隙間の1年は情報発信をベースに、新人シェフ&新店の支援、さらにサブアワード的なことをしていきたいと考えています」。

それから約1年後、2024年3月。第二回となる「新潟ガストロノミーアワード特別版」が開催。これからの新潟の食文化を担う40歳以下にスポットを当て、テイスト、プレゼンテーション、ローカリゼーション、サステナビリティなど、様々な項目を審査。302店中、30店がノミネートされ、大賞、審査員特別賞、特別優秀賞、女性Chef賞が発表されました。

特筆すべきは、もちろん大賞なのですが、受賞したのは異例の2店。35歳以上(Over 35)で完成度を評価するものと、35歳未満(Under 35)で将来性を期待するものと、基準を分け、ダブル受賞に。その理由について、特別審査委員長の中村孝則氏は、こう話します。

「大賞を選定するにあたり、審査を進める中、一番議論になったのが、完成度の高さを求めるのか、それとも将来性を求めるのかの2点でした。そのどちらも評価できるよう熟考した結果、30歳から40歳は、料理人人生の中で一番伸びる時期ということもあり、35歳未満と35歳以上に分け、O-35とU-35、ふたつの大賞を設定することにしました」。

O-35を受賞したのは、燕市「日本料理 魚幸」渡邉雄太シェフ。U-35を受賞したのは、新潟市「SAISON」ミドルミス怜シェフです。渡邉シェフは、京都の老舗料亭「菊乃井本店」や新潟市の「日本料理 蘭」などで研鑽を積んだ人物。ミドルミスシェフは、パリ「クラウンバー」で渥美創太シェフのもとやニューヨーク「ブランカ」で経験してきた人物。前述の通り、年代の違いはあれど、それ以上に、これだけスタイルの異なるシェフを比較し、甲乙を付けるのは困難を極めます。ゆえに、ふたつの受賞形態を設けたのも頷けます。しかし、人間として共通する点は多く、「ふたりは変化を恐れない」とは、副審査員である青田泰明氏の言葉。

変化とは恐怖にも置き換えられるのかもしれません。恐怖とは、何かを得た後に起こる心情とも言えます。その何かとは、今回で言えば、大賞です。より世界が広がれば、星、トック、ランキング……。得る喜びに伴う、失う怖さに恐れず、と言いたいところですが、少なくとも現状は心配ご無用。物怖じせず、大舞台に登壇した、ふたりの堂々たる様を見れば、まだまだ大いに暴れてくれるでしょう。
 

会場となったのは、新潟市内に位置する「りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館」内「能楽堂」。桧床の舞台、檜皮葺き屋根など、伝統的な形式を持つ。

左より、O-35を受賞した燕市「日本料理 魚幸」渡邉シェフ。U-35を受賞した新潟市「SAISON」ミドルミスシェフ。

繁華街でも大通りでもない場所に店を構える「日本料理 魚幸」。元々、「魚行」だったそこは、祖父は商売を、父が仕出しを、そして、3代目として渡邉シェフが「魚幸」として日本料理を営む。現在、店舗向かいに「UOYUKI SOUP CURRY」を父が営む。

新潟市、西堀通添いにある「SAISON」は、2023年6月に開業したばかり。ミドルミスシェフとサービスマネージャーの斎藤陽介氏のふたりで営み、彼らは幼馴染でもある。

「これだけ多くの優秀な若手シェフが新潟にいることにまず驚きました。日本はもちろん、世界中から注目されるガストロノミーツーリズムとして、新潟が発展していくアワードに育てていきたいと思います」と、特別審査員長の中村氏。

新潟ガストロノミーアワード前回と今回の違いに見る、私的「新潟ガストロノミーアワード」。

テーマや部門、審査員など、第一回と第二回の違いは多数ありますが、ふたつの視点から考察したいと思います。

まずひとつは審査員。メンバーの変更はあれど、大きな違いは、第一回にはシェフが参画していたという点です。その名に連ねていたのは、和歌山「Villa AiDA」小林寛司シェフ、大阪「La Cime」高田裕介シェフ、福岡「GohGan」(当時「Goh」)福山剛シェフ。トークセッションでは、「もっともっと食材に向き合うべき。今が限界なのか、もう一度考えてほしい(一部抜粋)」と、小林シェフは熱弁。もし今回の若手シェフがそんな声を聞くことができたら、大きな刺激になったのではと考えます。

加えて、授賞式翌日に訪問した特別優秀賞を受賞した新発田市「鮨 登喜和」でいただいた握り、柑橘の果汁で〆たメダイに極限まで薄くスライスした古漬けの白菜も印象的でした。そのアプローチについて、三代目・小林宏輔氏に聞くと、「小林シェフのアドバイスから生まれた一品」だと話してくれました。これは、料理人同士だからこそ生まれたケミストリー。もし高田シェフが渡邉シェフの料理を食べたらどんな言葉を発したのか。はたまた、もし小林シェフや福山シェフとミドルミスシェフが邂逅した先には新たな料理が生まれたのか。そんな「もし」の世界を想像してしまうのは、自分だけでしょうか。

逆に、第一回になく、第二回にあったもの。それは、生産者のフォーカス。実は、この生産者に主意を見ます。ローカルガストロノミーでは、地産地消が当然の条件。しかし、新潟の食材を県外で食べられないかといえば、そうではありません。神経〆、血抜き、冷凍、真空、乾燥、保存、そしてインフラなど、様々な技術とテクノロジーの発展によって、品質を保ったまま、県外でいただける条件は向上し続けています。このような状況の中、どう差別化させるのか。それは、生産者とシェフが一体になった意志あるガストロノミー、「Gastronomy “Will”」のアクションなのではないでしょうか。もう少し解説すると、大切な食材は県外に出さないという意志を生産者とシェフが連携し、新潟に行かなければ食べられない食材があるという環境を作ることに、次なる地産地消の形があると思うのです。

それを構築するには、当然、需要と供給がなければ成立しないため、シェフは新潟の食材を学ぶ必要があり、それを使いこなす技術も必要とされます。生産者においては、新潟の土地を最大限活かした食材を作り、引く手数多になるかもしれない食材を地元シェフだけに提供する覚悟も必要とされます。

現状における各地においても、その土地に訪れなければ食べられない食材は存在しますが、それは、食材の鮮度や消費量など、物理的に無理というものがほとんどでしょう。かく言う本件は、そうではなく、人の意志によって、外に出さないものを作るということです。しかし、トップシェフや一流レストランでは、情報戦にも長けているため、どこよりも早くコンタクトし、高価格帯においても仕入れるという構図があるのも事実。一例として、豊洲に集まることも理解できます。これは、生産者だけでは解決できなければ、シェフだけでも解決できません。地域一体となった意志ある有志たちの総力戦で向き合わなければいけない問題だと考えます。

今回のトークセッションでは、地元野菜や寄居蕪などの在来種の作付けにも取り組んでいる「宮路農場」宮路俊幸氏も参加。奇しくも、宮路氏は、渡邉シェフと同級生。

「宮路は、こだわりのある生産者。例えば、アスパラガスを30本欲しいと注文した際、そのアスパラガスは一回で30本使うのかと聞かれました。自分は、少ない本数を都度配達してもらうのが申し訳ないと思い、まとめて納品してもらおうと思ったのですが、都度、納品した方が質が良いと言い、数本単位で、毎回届けてくれるんです」と渡邉シェフは、話します。

そんな関係の連鎖が拡張すれば、新潟は各県のケーススタディになる、一歩先をゆく地産地消の形を構築できるのでは、と感じたのでした。

受賞式後に開催されたトークセッション。左より、特別審査員長の中村氏、大賞を受賞した「SAISON」ミドルミスシェフ(U-35)、「日本料理 魚幸」渡邉シェフ(O-35)、そして、生産者を代表して「宮路農場」宮路氏、副審査員長の青田氏が登壇。

新潟ガストロノミーアワード「点ではなく面」、そして「ガストロノミーツーリズム」。幾度となく登場したふたつの言葉。

「新潟がストロノミーアワード特別版」において、頻繁に登場した言葉があります。それは、「点ではなく面」。その意図について、副審査員長の青田氏は、サンセバスチャンを例に伝えていました。

「サンセバスチャンのシェフたちは、レシピを自分たちのレストランだけのものにするのではなく、料理をオープンソース化することによって世界一の美食の街と呼ばれるまでに成熟しました」。まさに、点ではなく面の好例です。

授賞式後の懇親会では、はじめましての方も多く、皆、積極的にコミュニケーションを図り、情報交換。様々を吸収できる柔軟な若手シェフに、このような機会を提供していることもまた、このアワードの特筆すべき点。

しかし、広大な新潟は、サンセバスチャンのように軒を連ねているところばかりではなく、街並みや風景も含め、視覚的にトリップできる地域が全てはありません。ゆえに、点と面の概念こそ取り入れるにせよ、新潟流の手法も模索しなければいけません。前述「Gastronomy “Will”」は、その手法のひとつとして脳裡によぎったものであり、地域一体となった意志ある有志たち(点)の総力戦(面)においても同様です。

一方、強烈な点に魅かれる事実も。前回、飲食部門の特別賞・特別優秀賞を受賞した三条市「Restaurant UOZEN」です。井上和洋シェフは、自らの手で狩猟を行い、漁に出て、畑で野菜を育てています。「これには敵わない」とは、東京の某有名シェフの言葉。井上シェフの料理は、キッチンの外から始まっているのです。

そして、もうひとつ頻繁に登場した言葉が「ガストロノミーツーリズム」。これは、世界中が取り組んでいる観光戦略ですが、特に日本は注目されているのではないでしょうか。しかし、ローカルガストロノミーの成熟がガストロノミーツーリズムの成熟に比例するかといえば、似て非なるもの。それは、宿泊の問題です。

これだけ多くの実力派レストランがあるのであれば、素泊まり需要さえあるのかもしれません。ほんの少し気の利いた客室、デザイン、湯、サウナ、サービス……。ホスピタリティにおいても、至れり尽くせりは不要。ハイクラスのホテルでなくとも、シームレスな快適性もまた、趣向の異なるラグジュアリーなのではないでしょうか。

もちろん、岩佐氏が運営する「里山十帖」などや第一回に旅館・ホテル部門で大賞を受賞した三条市「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」は、それとはまた別の概念。いずれにしても、ローカルガストロノミーとガストロノミーツーリズムは運命共同体。ここにおいても、点ではなく面の概念が必要とされるのかもしれません。

「Where there is a will, there is a way」。

「意志あるところに道は開ける」とは、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの言葉。

ガストロノミーの概念はシェフ力によって補えるものですが、ガストロノミーの意志は、人間力が必要とされると考えます。

シェフの意志はどこにあるのか。生産者の意志はどこにあるのか。そして、新潟の意志はどこにあるのか。自然豊かな食の宝庫・新潟だからこそ、その未来は、人の意志に託されているのではないでしょうか。


Text:YUICHI KURAMOCHI


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伝統、文化、食材、精神。沖縄の今をシェフに伝えた二人のキーマンが振り返るDINING OUT。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

ミクソロジストの中村智明氏(左)と琉球料理人の屋比久保氏(右)。ともに沖縄の食材や食文化に深い知見を持つ人物。

DINING OUT RYUKYU-SHURI地元の知識をシェフにインプットする重要な役割。

首里城を舞台に開催された『DINING OUT RYUKYU-SHURI』は、川田シェフが率いる『茶禅華』のオールスタッフが参加し、チームワークを発揮しました。しかしもちろん沖縄で開催するからには、地元の文化や伝統、食材をシェフに伝え得る人物は必要。今回その役割を果たしたのは、沖縄で店を営む2名の人物でした。

ひとりは沖縄伝統料理の店『月桃庵』のシェフ・屋比久保氏。もうひとりはバー『アルケミスト』のミクソロジスト・中村智明氏。沖縄を知り、沖縄を愛する二人は川田シェフに何を伝え、また何を学び取ったのでしょうか?

当日はゲストとして着席し、コースを堪能した屋比久氏。自身が関わってきた料理だけに、その感慨もひとしおだった様子。

中村氏は今回のチームで唯一の現地スタッフとしてドリンクサーブを担当。鮮やかな手際でドリンクを仕上げた。

DINING OUT RYUKYU-SHURI伝承人としての責務と、今を生きる沖縄人としての責任。

古式に則った琉球料理『月桃庵』で腕を振るい、また伝統的な食文化を伝える「琉球料理伝承人」としても活動する屋比久保氏。しかし意外にもそのキャリアの大半は西洋料理でした。

ホテルのレストランで、総料理長まで務めた屋比久氏。そんな氏のもとに、あるとき、アメリカで開催される日本食フェアで沖縄の郷土料理を振る舞う依頼が入りました。日本各地から料理人が参加したそのフェア。そこでの体験が転機となりました。

「京都の料理人は、京都の伝統を知り、京都に誇りを持っていました。対して自分は沖縄で生まれ育っていながら、伝統もほとんど知らず、良いところもぜんぜん話せない。それで帰国してすぐに、琉球料理を学び直すことにしました」。

とはいえ歴史的資料の多くは戦争で失われ、伝統料理を研究する先達もご高齢の方が数名だけ。それでも屋比久氏は少ない資料や先達を頼りながら、琉球料理の見識を深めていきます。琉球料理の起源は宮廷料理。必然的に歴史や地理や文化の知識も深まります。

やがて琉球料理を自身の道と定めた屋比久氏はホテルを退職し『月桃庵』の料理長に就任。
2019年に開催された『DINIG OUT RYUKYU-NANJO』では調理スタッフとしてキッチンに入り、野外レストランの現場を知り、また現地シェフならではの知見を共有してくれました。

そして今回の『DINING OUT RYUKYU-SHURI』では、『DINING OUT』の本質と沖縄の過去から現在まで、両方を知る料理人としての知見を活かし、川田シェフに琉球伝統料理や琉球漆器等をインプットする役割を担いました。当日はゲストとして着席した屋比久氏は話します。


「沖縄料理というのはイラブーなら汁、ヤギなら刺し身というように食材に対する調理法が固定されている傾向があります。しかし川田シェフはそこを飛び越え、食材自体に問いかけるように新たな料理に挑んでくれました。地元の料理人たちも旅に来た方々に、地元食材の新たな魅力を提案していかなければいけない、と強く感じました」

そう話す屋比久氏は、そして未来へと向けた決意も語ります。

「実はいまの若い子たちは方言もあまり話さない。このままでは方言のような身近な伝統さえも、失われてしまう危険があるのです。私は伝承人でもありますので、伝統的な文化をそのまま伝えることも必要。しかしやはりそれだけではなく、時代や環境に合わせ、需要を捉えた文化も発信していきたい」。

琉球漆器のコレクターでもある屋比久氏は、貴重な漆器も保有。東道盆(ツンダーボン)と呼ばれる宮廷料理の器(右)は数が揃わず実現しなかったものの、川田シェフから今回の晩餐に使用したいとの希望があったという。

琉球王国時代の14〜15世紀から続く琉球漆器の伝統。屋比久氏の紹介によって用意された琉球漆器の器が、おもてなしの心を伝えた。

泡盛を飲むための沖縄伝統の酒器・カラカラと、伝統料理の豆腐よう。こちらも屋比久氏の活躍でコースに並び、ゲストを喜ばせた。

東道盆はかつては旧家などでも保有されていたが、現在は失われつつある。状態の良いものは市場にほとんど出回らない。

DINING OUT RYUKYU-SHURI料理の背中をそっと押す繊細なカクテル。

沖縄の素材を使い、香りや味のレイヤーを意識した五感で楽しむカクテル。
バー『アルケミスト』の中村氏が目指すのはそんな一杯。

2020年『DINING OUT RYUKYU-URUMA』にドリンクメーカーとして参加した中村氏。その縁もあり、今回の食材視察に沖縄を訪れた川田シェフが中村氏の店『アルケミスト』に立ち寄ったのがことの始まりでした。
その日、中村氏が川田シェフのために作ったのは、県産の旬の素材をふんだんに使用し、沖縄を表現したこだわりのカクテル。
その味を川田シェフが気に入り、コースに合わせるペアリングカクテルを担うことが決まりました。『DINING OUT RYUKYU-SHURI』ではただひとりの現地スタッフとして参加した中村氏。中華料理とのペアリングということもあり、合わせるカクテルの考案は困難を極めたことでしょう。

中村氏が作り上げた5種類のカクテルは、川田シェフをして「料理に寄り添うのではなく、後ろからそっと背中を押してくれるような素晴らしいカクテル」と言わしめる完成度でした。


では中村氏はどのようなステップで、このカクテルの完成に至ったのでしょう。

「まず使う食材や料理の構成を伺ってから試作に入りました。川田シェフの料理は淡い、繊細という話を聞いていましたが、そうは言っても中華料理ですから、それなりの濃厚さがあると思っていました。一般的な中華が10だとするなら、6とか7くらいの繊細さ。そんなイメージの元で試作を作っていたんです」。

そう振り返る中村氏。しかし実際に味わう川田シェフの料理は事前に想像していた以上でした。

「その後、『茶禅華』を訪れて実際にコースを試食させて頂きましたが、その繊細さは想像以上。6や7どころか1だったんです。繊細で薄味なのに、ゆっくり噛みしめると奥行きがあり、旨味と香りに繊細さがある料理。それで急いで沖縄に戻ってすぐさますべて作り直しました」。

中村氏がとくに気をつけたのは濃度。

「淡い味の中に風味を探しながら楽しむ料理だと感じたので、その風味を壊さないよう料理よりも少し下の濃度になるように調整しました」。

中村氏のカクテル作りは、わずかな香りや風味の変化にも妥協しない細やかな作業。たとえば泡盛にレモングラスのジンを合わせたカクテルには、ボトムのトーンを加えるためにオールスパイスで香りをつけた芳香蒸留水を少々。それもスポイトで0.5mlと1.0mlの2パターンを加えて飲み比べてみる、といった具合。ほんの数滴の差にこだわる仕事ぶりに、『DINING OUT』のドリンクを担う責任感が垣間見えます。

泡盛をはじめ、金木犀やアップルバナナ、月桃や地元のクラフトジン。沖縄の食材の魅力も、カクテルを通して伝えた中村氏。終演後の感想を伺うと

「甘さではなく香りの層で風味を感じていただく今回のカクテルで、自分自身が大きく成長できたと感じています。また『茶禅華』チームと共にサービスに当たれたことで、本当にハイレベルな連携なども多く学ばせてもらいました」。

そう自分自身の収穫を語る中村氏。しかしそれだけではなく、ひとりの沖縄県民として、今回の『DINING OUT RYUKYU-SHURI』自体が大きな収穫だったといいます。

「3年前の火災で、改めて首里城が沖縄のアイデンティティの中心だったと気づきました。いま、復興に向いた段階の中で、こういうイベントができるというアプローチができたことが非常に大きなことだと思っています」。

元保育士という異色の経歴を持つ中村氏。本格的にバーテンダーとして始動してから、4年間で18個ものコンペティションで受賞や優勝を果たした実力派。

甘酢醤油の風味が繊細に広がる長命草クラゲに合わせたのは、変化系の泡盛水割り。減圧蒸留の泡盛に月桃のジン、レモングラスのジンでトップのトーンを合わせ、ボトムの風味にはオールスパイスの香りをつけた水を微量加えた。

独特なスパイスと唐辛子の香りが鮮烈なハリセンボンの料理には、アニスの香るカクテル。白ワインに8種類の香りをつけた自家製ベルモットにソーダ、華が開き種になる寸前のイーチョーバーというハーブをプラス。

金木犀とアップルバナナのデザートは、中村氏が「今回もっとも感動した料理」。そのさまざまな香りが弾ける料理に合わせ、ライチの香りをつけた水出し紅茶とクラフトジンのカクテル。柑橘感とライチの香りを紅茶で広げ、金木犀アップルバナナに合わせたイメージ。

主催:沖縄県文化観光スポーツ部 観光振興課
企画・プロデュース:ONESTORY
協力:沖縄美ら島財団
販売:ハレクラニ沖縄
協賛:オリオンビール、CHAMPAGNE TAITTINGER、瑞泉酒造、T GALLERIA、ホシザキ沖縄  *五十音順

Photographs:RYO ITO
Text:NATSUKI SHIGIHARA

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琉球王国の伝統を、和魂漢才の哲学に昇華する『茶禅華』川田智也シェフの挑戦。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

『茶禅華』川田智也シェフ。全15品におよぶコースで、現代的解釈による琉球王国のおもてなしを表現した。

DINING OUT RYUKYU-SHURIDINING OUTを終えて、川田智也シェフが思うこと。

『DINING OUT RYUKYU-SHURI』の終演直後。

まだ晩餐の熱気も冷めやらぬ会場で、川田シェフは今回のイベントを振り返りました。沖縄の食材を使った中国料理。自身の哲学である“和魂漢才”の具現化。いつもの論理的な話の節々に、少しだけやり遂げた達成感と興奮をにじませて、川田シェフは話します。

2018年、「神仏習合」をテーマに国東半島の文化と食材と向き合った『DINING OUT KUNISAKI』に続き、2度目のDINING OUTとなった今回。川田シェフはどんな思いを込め、どんなロジックで料理を組み立てたのでしょうか。

『茶禅華』の全スタッフによるチームは、野外レストランならではの不測の事態にもすぐさま順応。

直筆のサインを入れた沖縄産和紙・芭蕉紙のメニュー表など、気持ちを込めたおもてなしが随所に見られた。

DINING OUT RYUKYU-SHURI沖縄のイメージに重なったカラキという食材。

沖縄の歴史や食材への見聞を広めると同時に、自身の哲学、精神性を深く掘り下げる。川田智也シェフの、そんな2軸の思考を象徴するのが、カラキという食材なのかもしれません。

「首里城」でゲストを出迎えたレセプション。

最初に手渡されたウェルカムドリンクは、沖縄に自生するクスノキ科の常緑樹・カラキのスパークリングティーでした。そしてその後、ディナー会場に移動し、全15品に及ぶコースを締めくくったのは、カラキの団子。カラキに始まり、カラキに終わる。その真意を問うと、川田シェフは言いました。

「シナモンのようでいて、より洗練された香りもある。さらに記憶を辿っていくと、子どもの頃に駄菓子屋にあったニッキ飴のようでもありました。そのフレッシュ感とどこか懐かしい感じが、自分自身が持っていた沖縄のイメージとぴたりと重なったんです。そしてさらに調べてみると、カラキは防風林として沖縄を守ってきた木でもあった。その歴史も含め、沖縄を表現するのに最適だと感じました」。

歴史、風土、そこに暮らす人の想いまで汲み取って料理に落とし込む川田シェフらしい発想です。

レセプションにて、到着したゲストが最初に口にしたのがウェルカムドリンクのカラキのスパークリングティー。シナモンのような独特な香りが広がる。

写真の大根餅を包んだ月桃の葉のほか、葉付きのパッションフルーツやヤギ肉に添えた蓮の葉などさまざまな植物が料理に彩りを添えた。

食材、香辛料、酒、調理法。本土では馴染みの薄い味が揃う沖縄は、シェフにとって宝の山。

まぶしたココナツにもカラキの香りをまとわせたカラキ団子。15品のコースの最後を締めくくった。

DINING OUT RYUKYU-SHURI料理構築の根本は、食材、人、土地への敬意。

先のカラキのように、沖縄の伝統食材や伝統料理に向き合い、その背景やそこに至った必然性を深く考え、自らの料理に落とし込む。そんな難題に対し、川田シェフはいくつかの視点からアプローチしているようでした。

ひとつは料理そのものを解析、分解し、再構築する方法。

「沖縄で、豚肉に黒ゴマをまぶして蒸し上げる“ミヌダル”という琉球料理に出合いました。非常にシンプルな料理ですが、沖縄の豚と黒ゴマの相性が非常に良く、たっぷりゴマをまとわせているのにくどさがない。これを自分の料理に取り入れるならどうなるだろう、と考えました」。

そうしてさまざまな料理を試作した末に到達したのは、『茶禅華』のスペシャリテである雲白肉に黒ゴマを振りかけた一品。

「雲白肉はそれ自体で完成しているようでいて、いろいろな要素を許容する余白があるんですね。それで黒ゴマならどうだろう、と試してみたらミネラル感、ゴマの少し炒った香り、そして雲白肉に足りない苦み、これらが非常に共鳴したんです」。

こうして料理は完成しましたが、川田シェフの思案はここで終わりません。食材同士の相性が良いとき、それが「なぜ合うのか」を突き詰める。今回の黒ゴマと豚肉について熟考を重ねていくと、ゴマを絡めて食べる四川の水餃子に行き当たりました。

「自分の記憶のどこかに、その味があったのかもしれません。“なるほど”と腑に落ちる感覚ですね。そういう意味では、いままで経験してきたことが、ひとつの点に集約されたような料理になりました」。

もうひとつのアプローチは、食材を軸にした発想。それはメインディッシュに登場したヤギに顕著でした。

「ヤギは古くから地元で大切にされている食材。生産者の方を訪ねても、非常に愛情を持って、丁寧に育てていることが伝わりました。一方で沖縄料理はさまざまな要素を取り入れながら、現在も変わりつつあります。そんな伝統、現在、未来がうまく整うような料理を目指しました」

そう話す川田シェフは、揚げたヤギ肉に沖縄の島コショウ・ピパーチを合わせました。ヤギとピパーチという伝統的な沖縄食材を使いつつ、四川料理の技法を取り入れ、“川田智也の料理”に昇華したメニュー。島の食材への敬意、伝統への理解を踏まえた上で、未知なる境地へと挑むような一品でした。

黒ゴマをまぶすことでミネラル感と香りに広がりが生まれた『茶禅華』名物の雲白肉。

ピパーチをあわせたヤギ。添えてあるソースは、柔らかい酸味が効いた四川伝統の「魚香」と呼ばれるもの。

揚げ上がり温度を1℃単位まで厳格に見極め、ヤギの優しい味わいを表現。

夜光貝も川田シェフが沖縄で出合い、感銘を受けた食材のひとつ。紹興酒漬け、スープ、リゾットで部位による味と食感の違いを伝えた。

沖縄が誇る食材たち。川田シェフをして「これからも学びがあるであろう沖縄には今後も通い続け、もっともっと勉強したい」と言わしめた。

DINING OUT RYUKYU-SHURI琉球王国のおもてなしの伝統から学んだこと。

琉球王国が他国の使者を迎えたおもてなしの伝統。とくに琉球王国にとってもっとも大切な隣国であった中国の特使“冊封使”を迎える際には、地元の食材で中国料理を仕立てる最上級のもてなしの席が設けられたといいます。そんな“琉球王国の宮廷料理とおもてなしの心”という今回のテーマを聞いたとき「本当にワクワクしました」と川田シェフは語ります。

「前回の国東半島でのDINING OUTは“神仏習合”というテーマのもと、その文化を深く料理に取り入れました。今回は、前回以上に私の哲学と合致するテーマで、ただ伝統を再現するのではなく、伝統、現在、未来という時系列が整った料理を目指しました。実は“もしいま皇帝からの使者が来たら、自分はどんな料理を出すのだろう?”というのは日頃から考えていることでもあります。中国から伝来した料理を日本でやる意味、日本でしかできないこと。それが私が信念とする“和魂漢才”の本質です」

それは伝統を踏まえた上で、現在でしかできない表現を料理に落とし込み、未来へと繋ぐという壮大かつ精密な狙い。国東半島での「DINING OUT」から5年半。料理人としての実力を着実に蓄えている川田シェフの現在を出し切ったような料理です。
そして5年半という時間は、川田シェフの料理人としてのステージも変えました。自身がオーナーシェフとなり、若い料理人を教え、導くことに前回以上の熱量を持っていたのです。

今回の『DINING OUT』には、そんな川田シェフたっての希望で総勢20名の『茶禅華』スタッフ全員が参加しました。そこで改めて伝えたかったこともあったのでしょう。

「沖縄に入って1日目はバタバタしていましたが、2日目、3日目とどんどん良くなっていった。とくに若手が伸びたな、という感覚はありますね。管理されたお店の中でおいしい料理を作るのはもちろんですが、こういう放り出されたような環境の中の危機感が人を大きく育てるのですね。非常に良い機会を与えてもらえたと思います」。

そう今回の収穫を語った川田シェフ。
さらに今回のテーマを通して、得たものも多かった様子。というのも実は現在の『茶禅華』の厨房で働くスタッフは、中華料理人が半分、もう半分は西洋料理人。外国の料理を日本でやる意味が、琉球王国のおもてなしの心から見えてきたのだといいます。

「中華料理に限らず、西洋料理であっても、日本人が日本でやっていくことにデメリットはあります。しかしそれでも日本人の精神、すなわち食材を尊重し、自然を尊重し、料理を精密に作っていくという部分は非常に優れていると思うんです。そんな日本の精神に海外の料理をどう調和させていくか。海外の文化を受け入れて、それをどう昇華させていくかが重要です。地元の食材、文化、精神性を取り入れた上で他国の特使をもてなす料理を仕立てるという琉球王国のおもてなしについて深く考えることで、スタッフたちにも私自身にも大きな学びがありました」。


沖縄の食材、沖縄の生産者、おもてなしの伝統。多くの発見があり、そこから多くを学びとったという川田シェフ。『DINING OUT RYUKYU-SHURI』を終えた直後にはもう「明日からの営業が楽しみです」と心底楽しそうに笑いました。

サービススタッフも『茶禅華』のメンバー。厨房との意思疎通も良好で、食材や料理の説明も淀みない。

気心の知れた厨房スタッフ。全15品のコースを遅延なくスムーズに作り上げた。

前回川田シェフが参加した『DINING OUT KUNISAKI』の伝説を耳にしていた若手スタッフたち。実際に現場に入ったことで多くの学びと成長があったという。

主催:沖縄県文化観光スポーツ部 観光振興課

企画・プロデュース:ONESTORY
協力:沖縄美ら島財団
販売:ハレクラニ沖縄
協賛:オリオンビール、CHAMPAGNE TAITTINGER、瑞泉酒造、T GALLERIA、ホシザキ沖縄  *五十音順

Photographs:RYO ITO
Text:NATSUKI SHIGIHARA

「水がきれい。だから食材の味もきれい」。滋賀県産食材を主役にしたフェア開催。[SHIGA FINEFOOD DINING/東京都港区]

滋賀を味わい尽くす1日限りのビュッフェイベント。

日本最大の湖・琵琶湖を擁する滋賀県は、素晴らしい食材に恵まれた食材王国。琵琶湖の豊かな水資源が育む農産物、その澄んだ水に棲む湖魚、京都の台所としての歴史が育てた畜産物や加工品。そんな素晴らしい食材の数々がいま、注目を集めています。

このほど、そんな滋賀県産食材を思う存分満喫できる限定ビュッフェイベント「響×滋賀県 in SHINAGAWA」が開催されました。舞台は、食材にこだわったワンランク上の居酒屋料理で人気の『ダイナミックキッチン&バー 響 品川店』。当日はどんな食材が、どんな料理として提供されたのでしょうか? 当日の模様を覗いてみましょう。

会場となった『ダイナミックキッチン&バー 響 品川店』。

イベントは滋賀県農政水産部長の岡田英基氏の挨拶でスタート。熱量を持った滋賀県愛のトークが会場を温めた。

ビュッフェ台にずらりと並んだ滋賀県が誇る食材たち。

ビュッフェ台に並んだのは、目にも鮮やかな15種類ほどの料理。その中心には、尾頭付きの刺し身が鎮座しました。その中でもひときわ目を引くのが、鮮やかなオレンジ色のビワマスです。

ビワマスはその名の通り、琵琶湖にだけ棲息する淡水魚。クセがなく上品な脂が乗ったとろける味わいは、海の魚にまったく引けを取りません。これまでは鮮度や流通の問題で滋賀県外に出回ることが少なかったこのビワマスが、近年の保存技術や流通の発達でようやく各地でも食べられるようになったのです。一度食べれば、清冽な水のような澄んだ味わいの虜になることでしょう。

滋賀県を代表する食材といえば近江牛。400年以上続く日本最古のブランド牛で、日本三大和牛のひとつにも数えられています。しかし滋賀県が誇る牛肉はい近江牛ばかりではありません。

この日メニューに並んだ「げんさん牛」は、近江牛を扱う老舗・元三フードが、「いくらでも食べられるおいしい牛肉を」との思いでつくる、黒毛和牛と国産牛をかけあわせた牛。きめ細かい赤身と黒毛和牛の旨味を併せ持ち、適度な脂でさっぱりと味わえるのが特徴です。ビュッフェではそんな「げんさん牛」の内モモを使ったローストビーフが登場。その上質なおいしさでゲストを魅了しました。

雪の下で甘みをたくわえたニンジンやカブ、豊かな水に育てられたほっくりとしたレンコン、辛味が特徴の伊吹大根を添えた伊吹そば、旨味と歯ごたえが自慢の近江黒鶏など、バラエティ豊かな料理が並びます。

さらにこの日は、ドリンクに滋賀県が誇る日本酒「七本槍」もラインナップ。水と歴史が育んだ銘酒と地元食材のテロワールに、料理のおいしさもいっそう際立ちました。

揚げ物、煮物、刺し身、焼き物。さまざまな調理法で食材の魅力を伝える。

きめ細かく、旨味にあふれた近江げんさん牛のローストビーフは、目の前でカットして提供。

キリッとした辛味がある伊吹大根は、伊吹山の麓で古くから栽培されてきた伝統野菜。そばのほか、刺し身に添える薬味としても使用された。

琵琶湖産子持ちワカサギの天ぷら、『古株牧場』のチーズ入りオムレツ、『比叡ゆば本舗ゆば八』の比叡ゆば入りコロッケなどバラエティに富んだ料理。

近江八幡の特産である赤こんにゃくと牛すじの味噌煮込み。

滋賀県長浜市で450年以上続く老舗『冨田酒造』の七本槍。この日は「しぼりたて生原酒」も振る舞い酒として提供された。

滋賀県の魅力を味わう多彩なフェア、首都圏各地で開催予定。

「水がきれいだから、食材も味がきれいなんですね」

そう滋賀県の食材の印象を語るのは今回の料理を考案した小野寺清彦シェフ。このイベントに先立ち、現地を訪れ、生産の現場を巡りました。滋賀県の環境や生産現場を目にしたからこそ、今回の食材を活かす料理の数々が生まれたのでしょう。

「おいしい野菜をつくるために荒れ地を畑に開墾した方、市の職員を辞めて伝統野菜をつくる人、手間暇を惜しまずおいしさを追求する畜産のプロ。滋賀県で出会った生産者のこだわりや熱意を伝えるのが私の仕事。今回の料理も素材そのものの魅力を楽しんでもらえるように心がけました」

そんな言葉通り、主役となる食材が明確で、その味わいが際立つ料理の数々は、滋賀県食材の魅力を余す所なくゲストに伝えました。

さあここまでお読みいただいて、滋賀県産食材の魅力は伝わったでしょうか?

食材の話だけに、ご自身で味わってみたいと思われる方も多いかもしれません。

どうぞご心配なく。滋賀県産食材は数多くの料理人を魅了し、首都圏のさまざまなレストランで続々と滋賀県産食材のフェアが実施される予定です。

『SHIGA FINEFOOD DINING』のWEBサイトで実施中のフェアを探し、ぜひご自身で滋賀県産食材の実力を確かめてください。

小野寺シェフ(左)とともに滋賀県を訪れ、生産の現場を視察した『ダイナミックキッチン&バー 響』営業本部の寺沢英一氏(右)。

滋賀県の自然や環境とともに「生産者の人柄や物語が印象に残った」と語る小野寺シェフ。

「生産者の思いに付加価値を付けて提供するのが当店の役目。滋賀県の熱意ある生産者たちの思いを伝えたい」と寺沢氏。

会場の一角には滋賀県の特産品や加工品を販売するブースも設えられ盛況をみせた。

https://shigafinefooddining.com/

住所:東京都港区高輪4-10-18 京急第1ビル1F
電話:050-3199-1675
URL:https://www.dynacjapan.com/brands/hibiki/shops/shinagawa/

食べる愉しさ、歓び、そして幸福。愛情を包む。

「WaiWai 水餃子」の特徴は、モチモチとした食感をの皮。具は、サイズの異なる豚肉とタマネギ、ショウガなど、シンプルに仕上げる。

WaiWai水餃子「傳」長谷川在祐が初めて臨む、冷凍食品への挑戦。

本当の価値とは何か、本当に大切なものは何か。

2022年、感染症対策を踏まえ、コロナ禍において開催した「DINING OUT KISO-NARAI」のシェフを務めた「傳」の長谷川在佑氏。約2年半の空白の時を経た「DINING OUT」は、その「何か」と向き合う時間となりました。

そして、2024年。長谷川氏は、奇しくも木曽奈良井と同じ長野県塩尻市に拠点を構える「美勢商事」とともに新たな食品開発に望んでいました。それが、この「WaiWai水餃子」です。

「美勢商事」とは、餃子、饅頭、焼売など、中華点心類を中心に、多くの冷凍食品を展開している企業。「家庭の食卓にあるもの」を基本姿勢に、機械化してもお母さんの手作りの味を守りたい。そして、自信を持ってお客様に届けられる本物の商品を作る理念を大切にしています。

それは、長谷川氏が料理人を目指すきっかけにもなった母親の存在とも重なり、今なお大切にしている料理の基本、作り手が食べ手を思いやる家庭料理にも似ます。

そんな「WaiWai水餃子」のおいしさの秘密を「美勢商事」営業企画部商品開発課・共同開発担当マクロビオティック料理講師・雑穀マイスターの平林葉子さんが語ります。

「まず、ひとつ目は、もちもち食感の皮。金トビ志賀の愛知県産小麦・きぬあかりを使用し、丁寧に練り上げた生地が具の旨味を引き立てます。ふたつ目は、肉汁がジュワッと溢れるジューシーな味わいです。豚肉は刻み肉とサイズの異なるひき肉を組み合わせ、食感もお楽しみいただけます。野菜はシンプルに玉ねぎと生姜のみ。お肉のジューシーな味わいを存分に感じることができます。3つ目は、こだわりの製法です。お肉はひと晩寝かせ、しっかりと下味を馴染ませています。また、具材の存在感を楽しめるように、それぞれの具材を合わせるタイミング、練り時間、温度にこだわりました」。

「自分が一番こだわったのは、皮。いくつか試食した中で、この金トビ志賀の愛知県産小麦・きぬあかりが理想的でした」と長谷川氏も続けます。

長谷川氏の言う理想的は、味や食感はもちろん、冷めてもおいしいことにありました。しかし、できたてが美味しい料理の世界で、なぜ冷めても美味しいにもこだわるのか。それは、「こどもにも食べてほしかったから」。

「昔、自分の甥っ子や姪っ子と水餃子を食べた時、できたては熱くてこどもが食べられなかったんです。できたてはもちろん、冷めてもおいしい水餃子にするには、冷めてももちもちした皮が重要だったんです」と長谷川氏。

金トビ志賀は、もともと皮作りでなく、うどん粉を中心に麺作りをしている企業。ゆえに、コシ、艶、香りなどが非常に豊か。長谷川氏の理想的に好相性だったのかもしれません。
冒頭、「DINING OUT KISO-NARAI」で向き合った、本当の価値とは何か、本当に大切なものは何かを「WaiWai水餃子」に置き換えると何か。

それは、長谷川氏と平林さんの会話の中に何度も登場した言語なのかもしれません。

お客様への「愛情」、生産者への「愛情」、地域への「愛情」、家族への「愛情」、そして、こどもへの「愛情」……。

「WaiWai水餃子」に包まれているのは、単にこだわった美味だけではありません。たっぷりと大きなサイズのそれは、溢れんばかりの「愛情」が包まれているのです。

「コロナ禍では、人と会えなくなり、会話することも難しくなっていました。商品名の通り、家族や大切な人、そして、こどもたちと、ワイワイ食卓を囲んで水餃子のお鍋を楽しんでいただきたいと思って作りました」と長谷川氏。「商品開発に1年を費やし、ようやく完成しました。これまでの冷凍餃子の概念を覆す水餃子の味わいをご堪能いただければ幸いです」と平林さん。

ポップなパッケージの中には、冷凍水餃子12個入りが3袋。長谷川氏にとって初の冷凍食品であり、EC商品の「WaiWai水餃子」。「もともと冷凍は保存食として、昔から日本の文化としてあるもの。それが技術とかけ合わさることによって、安心安全にもつながり、同時にここまで進化していることに驚き、自分自身の学びにもなりました」と長谷川氏。


Text:YUICHI KURAMOCHI

古都京都・伝説の寿司職人が愛娘に伝えた究極の鮓酢。[和光アネックス/東京都中央区]

伝説の寿司職人と呼ばれた辻與兵衛(よへえ)氏の鮓酢を受け継ぐ、愛娘の佐和子さん。「日本のみならず、海外にも鮓酢を通して日本の食文化を拡げていきたいと考えています」。

WAKO ANNEX辻與兵衛の言葉、「寿司のうまさはシャリがすべて」から生まれた鮓酢。

「與兵衛の鮓酢」は伝説の寿司職人、辻與兵衛(よへえ)氏が50年の歳月をかけて辿りついた究極の鮓酢(すしず)です。

2017年、73歳で他界した與兵衛氏から鮓酢を引き継いだのは、愛娘の上田佐和子さんです。

「“辻與兵衛の寿司はシャリがうまい”。その昔、辻與兵衛が京都で営む寿司屋に通う、味に厳しい常連のお客様のこの言葉から生まれたのがこの與兵衛の鮓酢です。日本の伝統的な食文化を支える寿司、その寿司の“あの味”を支えるのは鮓酢であり、鮓酢が日本の伝統的な食文化を支えてきたとも言えます。寿司は今や世界中で食することができる日本を象徴する食べ物です。日本だけではなく世界中の飲食店、世界中の食卓で、多くの皆さまに究極の鮓酢である與兵衛の鮓酢を味わっていただき、そのおいしさとこだわりのみならず、日本の食文化を感じていただければと思います」。

「寿司のうまさはシャリがすべて」とは、辻與兵衛の言葉。

「與兵衛の鮓酢」は、日本の生産者の方々がこだわりをもって作り上げた素材と味醂を使用しているのが特長です。

例えば、香り豊かで上品な甘みは、竹糖(細きび)から抽出されたサトウキビから作られる香川県産の和三盆糖を使用。ほどよい塩加減は、清らかな海水を100%使用し天日と平釜による日本の伝統製法で作られた伝統海塩。米のみを主原料として醸造した国産の米酢に加え、米一粒一粒に味がしみ込みやすく、深いコク、旨みと艶をだす味醂を使い、水や添加物は一切使っていません。

今回は、そんな鮓酢をよりお楽しみいただけるよう、鮓酢を最大限に引き立たせる米と海苔をセットにした「京都よへゑの手巻きセット」をご案内。

鮓酢に加え、お米と海苔をセットにして用意(詳細は下記参照)。原材料はすべて生産者の顔が見える国産にこだわる。「香り豊かで上品な甘みと、ほどよい塩加減が織りなす風味で、皆さまの食卓にこれまで味わったことのない幸せをもたらすことができればと思います」と佐和子さん。

WAKO ANNEX鮓酢に寄り添う、米と海苔。食卓に本格的な手巻きの味を。

「父・辻與兵衛が営んでいた京都の寿司屋では、新潟、佐渡、山形、滋賀産のお米を使用していました。今回は、試食に試食を重ね、與兵衛の鮓酢を合わせた日の翌日まで美味しく味わえるお米を選びました。海苔は、與兵衛の鮓酢に合わせたシャリと相性がよく、甘めに仕上がるシャリと海苔の両方のおいしさが際立つ風味の豊かな有明産の極上の海苔を焼き上げてご用意しています」。

前述のように、「寿司はシャリが命だ」を口癖のように言っていた辻與兵衛氏が、生前に鮓酢のレシピと作り方を佐和子さんに託したのは、0000年。「多くの方々に「鮓酢」を通した食のよろこびを広げ、「美味しい!」のひと言のために、この味を後世に残したいと考えました」と言います。以降、2016年、京都に「扇酒屋堂株式会社」を設立。「すべては美味しい!のひと言のために」、「すしの旨さは『しゃり』にあり」をモットーに日夜走り続けています。

「四季のある日本には多様で豊かな自然があり、日本人は深くその自然と関わってきました。日本の伝統的な食文化もまたその自然に寄り添うように育まれ、そして時代の変化に合わせ多様な姿をみせてきました。およそ200年の歴史がある鮓酢は、その日本の伝統的な食文化を支える万能な調味料として寿司職人たちが長いあいだ受け継いできた技法をもとに作られてきました。父辻與兵衛から引き継いだ與兵衛の鮓酢が、100年、200年先の飲食店や食卓でも愛していただける鮓酢となるよう育ててまいります」。

日本の生産者がこだわりをもって作り上げた原材料のみで作り上げた鮓酢。米一粒一粒に味がしみ込みやすく、深いコク、旨みと艶を出す味醂、水や添加物を一切使用していないのも特長。

お米は、「佐渡相田ライスファーミング」の「相田家佐渡スーパーコシヒカリ」を使用。與兵衛の鮓酢を合わせた日の翌日まで美味しく味わえるお米を厳選。

有明産の極上の海苔を焼き上げた、風味の豊かな「東京蒲田守半海苔」を使用。與兵衛の鮓酢に合わせたシャリとの相性も抜群。食卓での手巻きに最適な大きさにカットしてあるのも嬉しい。

「是非、與兵衛の鮓酢を使った酢飯をお好みの具材で手巻にしてご堪能いただけましたら幸いです」と佐和子さん。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

現代の文脈で蘇る、滅亡した王国のおもてなしの心。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

1879年に滅亡するまで、約450年にわたり存在した琉球王国。首里城はその政治、経済、文化の中心地。

DINING OUT RYUKYU-SHURI再建の途にある「首里城」を舞台にした晩餐。

不思議なほどに、静かな夜でした。

それは音がないのではなく、心に波が立つような不協和音のない時間。2月の沖縄の風は優しく、暗闇に浮かび上がる首里城・瑞泉門は厳かに佇む。厨房から漂うスパイスの香りさえも、まるで自然の一部のようにすんなりと受け入れられます。あらゆる要素が、腑に落ちる感覚。これこそが最上級のおもてなしである、と誰もが確信できるような素晴らしい晩餐でした。

2024年2月、沖縄、「首里城」。

正殿が焼け落ちた数年前の火災の記憶も新しいこの場所で、なぜいま「DINING OUT」が開かれたのか。そしてこの日の晩餐は何を伝え、何を残したのか。

「DINING OUT RYUKYU-SHURI」の意味と意義を、その模様とともにお伝えします。

首里城・瑞泉門の前に設えられた野外レストラン。那覇の2月の平均気温は約17.5℃。

DINING OUT RYUKYU-SHURI郷土史研究家の案内でたどる、琉球王国のおもてなしの意味。

2019年10月31日、炎に包まれて焼け落ちた「首里城」。

その衝撃的な映像が記憶に残っている人も多いことでしょう。

沖縄の人々の多くは、失ってはじめて首里城がいかに心の支えとなっていたのかに気付かされたといいます。それゆえに首里城はすぐさま、再建の準備が進められました。現在の首里城は2026年の再建に向けた工事の最中にあります。

今回の「DINING OUT」の舞台は、そんな首里城でした。

レセプション会場でウェルカムドリンクを傾けるゲストの前に琉球史研究家の上里隆史氏が登場し、静かにこの王宮の歴史を語り始めました。

首里城の一帯を巡りながら上里氏が語るのは、琉球王国の歴史、文化、信仰、そして精神性。点在する御嶽(うたき)と呼ばれる聖地を前に、琉球王国の信仰の一端を垣間見ます。城壁の内部を巡り、最後にゲストが到着したのは「歓会門」の前。ここはかつての琉球王国が他国からの特使を王宮に迎えた門。その木の扉が厳かに開かれます。夕暮れに浮かぶ城壁、閉園時間を過ぎ静まり返ったこの場所が、本日の晩餐の会場です。

「軍事力を持たぬ琉球王国にとって、他国の特使をもてなし、良い条件を引き出すことは必要なことでした。つまりおもてなしは琉球王国の文化そのものなんです」。

上里氏はそう語ります。そして琉球王国にとってとりわけ大切な存在であった中国の特使を迎えるとき、最上級のおもてなしとして地元の食材を中国料理の技法で調理する膳が供されたのだといいます。

いま、その伝統を再現するのに、彼ほどふさわしい人物が他にいるでしょうか。「和魂漢才」、すなわち「日本人ならではの心と技術で表現する中国料理」を哲学とする稀代の料理人、「茶禅華」川田智也氏その人です。

木曳門前のレセプション会場。ウェルカムドリンクとアペリティフでゲストを迎えた。

分解した皮蛋に海ぶどうを重ねて手渡すアペリティフ、ウェルカムドリンクは川田シェフが「沖縄でもっとも印象深い食材のひとつ」というカラキのお茶。

上里氏の案内で巡る「首里城」。ここは海の向こうにあるニライカナイから神々が訪れるといわれる聖域・御嶽が点在する京の内。

京の内の展望台。那覇の街を一望のもとに見渡すことができる。

正殿前に鎮座する首里森御嶽は、七大御嶽のひとつに数えられる聖域。この御嶽があるからこそ、この場所に首里城が建立されたという。

DINING OUT RYUKYU-SHURI琉球王国の伝統と響き合う「和魂漢才」の哲学。

日本で唯一、中国料理でのミシュラン三つ星獲得。

そんな栄誉に輝いてもなお、川田シェフの物静かな佇まいは変わりません。南麻布『茶禅華』は、中国料理と日本料理の修業を重ねた川田智也シェフが、日本人らしい精神性、美意識、世界観のなかで中国料理を組み立てる店。シェフが哲学とする「和魂漢才」とは、和の心で仕立てる中国料理を意味しています。つまり、地元の食材と歓迎の心で賓客を迎えた琉球王国のおもてなしの伝統と、この上ない親和性を持っているのです。

川田シェフは今回の場所とテーマを聞いたとき「ぜひともやらせて頂きたい」と即答したといいます。そして多忙の合間を縫って沖縄を訪れ、地元の食材、そして琉球王国の歴史と文化をインプットしていったのです。

そのインプットの集大成として完成したこの日の料理。コースの皿数は15品にも及びました。地元の伝統料理や郷土料理を丁寧に紐解き、「その料理になった必然性」を考察し、要素を抽出し、自身の技とともに中国料理に昇華する。そんな地道な作業を繰り返した末の、この皿数なのでしょう。

地元では刺し身で食べられることが多い夜光貝は、紹興酒漬けやスープ、肝のリゾットで部位による味や食感の違いを表現、汁にするのが一般的なヤギは揚げて、四川料理の伝統的なソースとともに、海ぶどうは台湾の高山茶を使った出汁でお茶漬けに。

どれも意表を突くようなプレゼンテーションでありながら、口に運ぶと納得させられる味わい。それはこの地の自然や、この地で大切にされてきた食材への敬意が貫かれているからでしょう。

「外からのお客様を出迎えるにあたり、やはり自然というものは一番大切な要素。それらの自然を尊重し、最低限のそっと背中を押すような料理を目指しました」。

それこそが、川田シェフが「琉球王国式のおもてなし」として出した答えでした。

それは、王国に伝わるものをそのままの姿で見せることではありません。現代の気候、環境、社会、文化。それらに合わせて再構築された、現在のおもてなし。もし現在も琉球王朝が続いていたら、このような晩餐で賓客をもてなしたのだろう。そんな確信めいた想像が湧き上がる料理です。

メニュー表には、沖縄独特の芭蕉(バナナ)を使った手漉き和紙・芭蕉紙を使用。海外からのゲストもいた今回の「DINING OUT」。メニューは英語併記、レセプションやディナー中にも通訳が帯同した。

乾杯のグラスはシャンパーニュの貴婦人ことコント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン。「クラシカルな哲学を守り続けるシャンパン」と「茶禅華」ソムリエの上野和寛氏。

「共通するミネラル感、そして貝の食感と泡のリズムが調和する」とソムリエ上野氏が太鼓判を押す夜光貝とコント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブランのペアリング。

沖縄のビールといえば、やはりオリオンビール。オリオンザ・プレミアムの澄んだ旨味は、このスパイスをまぶしたマッドクラブの春巻きのような機微に富んだ料理とも響き合う。

鮮烈な苦みを中華の白湯でまろやかにまとめあげた夜光貝の肝のリゾット。

ゲストの視線の先には、ライトアップされた城門。普段は見ることのできない貴重な眺めが食事に彩りを加えた。

使用する食材を見せるためにテーブルをまわるのも、食材や地元文化への敬意の表れ。

沖縄の食材を知り尽くした地元のミクソロジスト・中村智明氏のカクテルが料理に寄り添う。写真は唐辛子風味のハリセンボンの唐揚げに合わせた自家製ベルモットのカクテル。

客席横に設えられたオープンキッチンで腕を振るう川田シェフ。約20名の「茶禅華」チームのチームワークも見事。

ディナー中盤に披露された琉球舞踊と歌三線。これも琉球王国が賓客をもてなすときの伝統。

琉球王朝時代に中国から伝わった発酵食・豆腐よう。伝統的な酒器であるカラカラで味わうのは、首里城瑞泉門から命名された酒蔵・瑞泉酒造の泡盛「おもろ18年」。豊かに醸成した古酒の香りが深みある豆腐ようと好相性。

沖縄県産ミルキークイーンと海ぶどう、台湾茶をあわせたお茶漬け。

DINING OUT RYUKYU-SHURI時代に合わせて進化する伝統。

「伝承というものは元の姿のまま一言一句変えることなく伝えていくこと。対して伝統というものは時代に合わせ、その瞬間で最高のものを統一して次に伝えていくことだと考えています。自分が目指しているのは、この伝統の部分。常に変化している人々にアジャストし、楽しませ、喜ばせることです」。

終演後、川田シェフはそんな言葉で、今回の「DINING OUT」を振り返りました。滅んでしまった王国、焼失してしまった王宮。いま再び建て直している首里城だからこそ、未来へ向けて伝える言葉が力強い現実感を帯びています。

2026年に再建される「首里城」正殿は、以前とまったく同じ姿で復元されるわけではありません。新たに見つかった資料、新たに発見された塗料、新たに使用される木材、作業を手掛ける沖縄の若き職人たち。そうして少しずつ変わりながら、「首里城」は沖縄とともに在り続けるのです。

そして同時に沖縄の人々は、やんばるの森にイヌマキの木を植樹しました。この木の成長に、未来への願いを託して。その木が育つのは100年後か200年後か。きっといま生きている人々は、その生育を見届けることはできません。それでも植えるのです。これから生まれてくる子どもたちに、沖縄の歴史を、文化を、想いを伝えるために。

正殿再建の様子は見学が可能。今しか見ることができない貴重な場面でもある。

キッチンとサービスは、東京からやってきた総勢約20名の「茶禅華」チーム。その仲間たちへと伝えたかったことも、言葉にせずとも伝わった。

終演後の疲労感と達成感のなかで想いを語る川田シェフ。穏やかな言葉の中に、揺るがぬ哲学が潜む。

主催:沖縄県文化観光スポーツ部 観光振興課
企画・プロデュース:ONESTORY
協力:沖縄美ら島財団
販売:ハレクラニ沖縄
協賛:オリオンビール、CHAMPAGNE TAITTINGER、瑞泉酒造、T GALLERIA、ホシザキ沖縄  *五十音順

Photographs:RYO ITO
Text:NATSUKI SHIGIHARA

徳島「新グルメ」キャンペーンの開催について


徳島県では、“新たな人の流れ”を生み出すことを目指して、徳島県で生まれ育ったおいしい食材を使った「新グルメ」キャンペーンを開催いたします。
徳島県内の協力飲食店にて「新グルメ」メニュー【とくしま串刺しグルメ】【YUSANBAKOグルメ】【なると金時スイーツ】が期間限定で登場します!
対象メニューを食べてキャンペーンに参加いただくと、抽選で県産食材の詰め合わせをプレゼント♪
ぜひ「新グルメ」への皆様のご意見をお聞かせください。

徳島「新グルメ」キャンペーン参加方法

(1)対象メニューを食べてアンケートに回答(チラシQRコードより参照
(2)対象メニューの写真をハッシュタグをつけてInstagramにポスト
※ハッシュタグは「#徳島新グルメ」「#グルメ名 ※とくしま串刺しグルメ/YUSANBAKOグルメ/
なると金時スイーツ」

上記の(1)(2)いずれかを実施いただいた方の中から、抽選で5名様に、県産食材の詰め合わせ
(阿波牛・阿波尾鶏・さくらももいちご1万円相当)をプレゼントします。

キャンペーン期間

令和6年3月5日(火)から令和6年3月19日(火)まで

新グルメ候補

とくしま串刺しグルメ

県産の阿波尾鶏や香酸かんきつ、野菜など徳島の「美味しい」を串刺しにしたグルメです。
【メニュー紹介(一部店舗)】

YUSANBAKOグルメ

県産食材をふんだんに使用したグルメを徳島の伝統文化「遊山箱」で提供します。
【メニュー紹介(一部店舗)】

なると金時スイーツ

県産の美味しい「なると金時」を使用したスイーツグルメです。
【メニュー紹介(一部店舗)】

徳島「新グルメ」キャンペーンHP

協力飲食店や提供メニューの詳細は、こちらからチェックしてください!
https://tokushima-new-gourmet-campaign2024.com/

お問合せ

徳島県農林水産部 もうかるブランド推進課 ブランド企画担当
TEL 088-621-2405

現代美術家・舘鼻則孝が表現する、Rethinkを起点とした伝統産業。

江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園でみる匠の技と現代アートの融合-」のディレクターを務める現代美術家の舘鼻則孝氏。

EDO TOKYO KIRARIコロナ禍を経てのリベンジ。旧岩崎邸庭園」の開催。

江戸東京の伝統に根差した技術や産品などを新しい視点から磨き上げ、世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」。その活動の一環として、展覧会「江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園でみる匠の技と現代アートの融合-」を開催。

ディレクターを務めるのは、国内外を通して活躍する現代美術家の舘鼻則孝氏です。

本展覧会は 2021 年より毎年継続して開催されており、東京都の伝統産業事業者のコラボレーターとしても舘鼻氏を迎え、「日本文化の過去を見直し現代に表現する」という舘鼻氏の創出プロセスである「Rethink(リシンク)」を起点とし、歴史ある伝統産業の価値や魅力を新たなかたちで提案しています。

参画する伝統産業事業者は、計7者。江戸うちわ/江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子/東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」、金唐革紙「金唐紙研究所」(特別協力)の出展事業者とともに、江戸東京の伝統ある技や老舗の産品といった「東京の宝物」の新たな価値を伝えます。

会場は、展覧会名にもある「旧岩崎邸庭園」。1896年(明治29年)に岩崎彌太郎の長男で三菱第3代社長の久彌の本邸として造てられ、往時は約1万5,000坪の敷地に20棟もの建物が並んでいました。現在は3分の1の敷地となり、現存するのは 洋館・撞球室・和館の3棟。木造2階建・地下室付きの洋館は、鹿鳴館の建築家として有名な英国人ジョサイア・コンドルの設計によるものであり、近代日本住宅を代表する西洋木造建築です。館内の随所に見事なジャコビアン様式の装飾が施され、同時期に多く建てられた西洋建築にはない繊細なデザインが往事のままの雰囲気を漂わせ、それが今回の作品とも共鳴し、美しい空間を形成しています。

振り返ること2022年。実は、旧岩崎邸庭園」でこの展覧会の開催を予定していましたが、コロナ禍により、オンライン上での展示演出に。今回は、そのリベンジも果たします。

アートピースだけでなく、江戸・東京に受け継がれる伝統産業品や工芸品の展示、また、貴重な資料の展示から伝統産業の歴史にも触れることができるのも見どころのひとつ。それら全てを作品としてお楽しみいただきたい。

現代美術家 舘鼻則孝×東京くみひも 龍工房

現代美術家 舘鼻則孝×江戸うちわ・江戸扇子 伊場仙

現代美術家 舘鼻則孝×和太鼓 宮本卯之助商店

現代美術家 舘鼻則孝×新江戸染 丸久商店

上段左より、江戸うちわ・江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子・東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」。中段左より、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」。下段左より、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」。

会場となる「旧岩崎邸庭園」洋館の内装には、金唐革紙(きんからかわし)の装飾が施された空間もあり、工芸的な内装も展示作品(下記)と共鳴する。

現代美術家 舘鼻則孝×金唐革紙 金唐紙研究所

ジョサイア・コンドルの設計の洋館は、17世紀の英国ジャコビアン様式の見事な装飾が随所に見られ、イギリス・ルネサンス様式やイスラーム風のモティーフなどが採用される。

EDO TOKYO KIRARI道具から作品へと昇華した、ふたつの伝統産業の声。

今回、現代美術家・舘鼻則孝氏とコラボレーションした伝統産業の中から、「道具が作品へと昇華した」と喜びをあらわにしたのは、「宇野刷毛ブラシ製作所」と「江戸組子 建松」です。

隅田川のほとりに小さな工房を構える「宇野刷毛ブラシ製作所」は、創業1917年(大正6年)より刷毛作りで培われた技術をもとに、刷毛・ブラシの製造販売を行っています。現在は、三代目・宇野千栄子さん、四代目・三千代さんの母娘が伝統の手業を守り、従来の刷毛やブラシはもとより、時代のニーズに応じてデザイン性に富んだブラシを生み出しています。

「絵画作品を作るために使うブラシを製作していただきました。これまでは、それぞれの伝統産業と直接的に作品としてコラボレーションしてきましたが、今回は、道具のコラボレーション。使用している絵の具が粘り気の強いペースト状のため、あえて左官ブラシをお願いしました」と舘鼻氏。

製作した左官ブラシは、弾力性のある馬の毛を使用した長さ60cmの特別仕様。左官ブラシを絵画作品の仕上げに転用し、新たな作品を誕生させました。画面上で左官ブラシを引くことによって生じる、縞状の痕跡を意匠として活かすことを意図した技法研究が成され、絵画の世界では筆致と呼ばれる筆遣いとして画面に刻まれています。

また、ブラシの柄に装飾を施した舘鼻氏の創作に、四代目・三千代さんは「左官ブラシを作品作りの道具に起用する斬新な発想に驚きましたが、本来、見えることのない道具も作品として仕上げていただき、感動しました」と話します。

次いで、組子細工による伝統的な幾何学文様と舘鼻氏がアクリル絵の具で雷雲を描いた作品のコラボレーションは、「江戸組子 建松」によるもの。

組子工芸とは、平安末期に生まれた襖や障子などのいわゆる日本建築の建具のことであり、釘を一切使用せず、小さな木片を手作業で組み合わせ、様々な模様を編み出していく伝統的な木工技術です。

「普段は、障子や欄間を作っています。本来、木に着色することはないので、今回のように着色した組子は、私たちにはない発想です。実用品とは違った世界を見せていただきました」と、2代目田中孝弘は話します。

昨今、伝統産業は、後継者不足や暮らしの変化などから、危機的状況が囁かれることがあるも、「宇野刷毛ブラシ製作所」は東京手植ブラシとして海外からも人気を博し、「江戸組子 建松」においても、2024年の注文は受け入れできないほど、求める声が後をたたない。この違いは何か。

「伝統工芸は変わっていないという見方をされる方もいらっしゃいますが、変わっています。変わる勇気とその変わり方次第で、未来は大きく変わるのはないでしょうか」と田中氏。

しかし、ひとつ問題があるとしたら、「宇野刷毛ブラシ製作所」「江戸組子 建松」ともに「雇用」だと言います。給料、保険料など、支出と収入のバランスが崩れては、産業も崩壊してしまいます。人の増が技術の増に直結するわけではなく、時間、労力、資金の投資が伴います。

「これに関しては、まだ糸口が見つからず、解決していません」とふたり。

絶やさず、日本の文化をどう残していけるのか。その環境は、当事者だけでなく、国民全体で向き合うべき問題なのかもしれません。

現代美術家 舘鼻則孝×宇野刷毛ブラシ製作所。古くから職人に愛用されてきた「左官ブラシ」を絵画作品の仕上げに転用することによって、新たな作品が誕生。

現代美術家 舘鼻則孝×江戸組子 建松。雷雲のモチーフがレイヤーとなり、上から順に、桜亀甲、二重麻の葉、桔梗亀甲、雪型亀甲と並ぶ文様は、春夏秋冬を表現。

EDO TOKYO KIRARI東京だけでなく、日本の伝統産業のために。

今回に限らず、現代美術家・舘鼻則孝氏は作品を製作するにあたり、必ず職人に会い、工房に足を運び、作品作りに必要な表現アプローチが実現可能かを確認する手法を取っています。

「今回、自分が担う役割は、アーティストとして表現することはもちろんですが、それを通して伝統産業をより多くの人々に知ってもらうメッセンジャーになること。伝統産業を過去のものではなく、未来として魅せること。芸術という文化的な側面から伝統産業を価値化させることだと思っています」。

その価値化とは、舘鼻氏が創出プロセスの起点として大事にする「Rethink」でもあり、本展を主催する「江戸東京きらりプロジェクト」のコンセプトでもある「Old meets New」ともリンクします。

東京に限らず、日本全国の伝統産業と造形の深い舘鼻氏は、今の状況をどう見ているのでしょうか。

「東京と地方の伝統産業を同じフィールドで語ることは難しいと思っています。例えば、東京は、マーケットがあり、伝統工芸が産業工芸として成立できる環境にあります。地方の場合は、そうはいきません。どんなに高い技術を持っていても、外的要因に左右されることがあります」。

東京の場合、工房、店舗、さらには観光まで、一連につながる環境も少なくありません。その好例が浅草と言ってよいでしょう。しかし、それが高いクオリティとつながるかは別物。「伊勢神宮の式年遷宮ではありませんが、難度の高いテーマに挑戦し、それ乗り越えることによって今の技術を超えられるのではないでしょうか」。

今回になぞれば、そのテーマが、舘鼻氏が出展事業者に求めたものだったのかもしれません。だからこそ、伝統産業が輝くアートピースへと昇華したのでしょう。

海外に目を向ければ、現代彫刻家のアニッシュ・カプーアが漆を起用し、照明デザイナーのインゴ・マウラーが団扇を起用したように、日本の伝統産業は、世界レベルの芸術とも高い関係性を持っているのです。

また、地方といえば、元旦に襲った能登半島地震は、今なお、被害を受けています。漆や木地など、輪島をはじめとした伝統産業も焼失、全壊、半壊、倒壊など、日本の宝物が危機的状況に直面しています。

舘鼻氏もまた、石川の漆や蝋色での作品制作をした親交のある地域です。

「被害状況も地域によって様々。自分に何ができるかを言葉にするのは難しい。しかし、サポートしなければ、再起できない帰路に立たされていることは言うまでもありません。東京だけでなく、日本の伝統産業のために何ができるのか。常にRethinkしながら、向き合っていきたいと思います」。

失ってからでは手遅れ。我々もまた、Rethinkしなければいけない。

角度を変えて表現することによって、伝統産業が道具から作品に創出されたように、物事の見方も角度によって様々な想像力を掻き立てます。

Rethinkの思考を持って、改めて本展覧会と対峙すれば、そこには美化された作品群の展示だけでなく、様々なメッセージを訴えかけてくるようだ。


Photographs:©Edo Tokyo Kirari Project, Photo by GION
Text:YUICHI KURAMOCHI

江戸東京リシンク展
期間:2024年3月1日(金)〜3月10日(日)
時間:9:00〜17:00
料金:一般400円ほか(旧岩崎庭園への入園料)
主催:東京都・江戸東京きらりプロジェクト
共催:公益財団法人 東京都公園協会
会場:重要文化財 旧岩崎邸庭園
展覧会ディレクター:現代美術家 舘鼻則孝
出展事業者:江戸うちわ/江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子/東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」、金唐革紙「金唐紙研究所」(特別協力)
公式HP https://edotokyokirari.jp/news/life/edotokyorethink2024/

舘鼻則孝 NORITAKA TATEHANA
1985年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒。卒業制作として発表したヒールレスシューズは、花魁の高下駄から着想を得た作品として、レディー・ガガが愛用していることでも知られている。現在は現代美術家として、国内外の展覧会へ参加する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。作品は、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」やロンドンの「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」などに永久収蔵されている。
公式HP https://www.noritakatatehana.com/ja/

現代美術家・舘鼻則孝が表現する、Rethinkを起点とした伝統産業。

江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園でみる匠の技と現代アートの融合-」のディレクターを務める現代美術家の舘鼻則孝氏。

EDO TOKYO KIRARIコロナ禍を経てのリベンジ。旧岩崎邸庭園」の開催。

江戸東京の伝統に根差した技術や産品などを新しい視点から磨き上げ、世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」。その活動の一環として、展覧会「江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園でみる匠の技と現代アートの融合-」を開催。

ディレクターを務めるのは、国内外を通して活躍する現代美術家の舘鼻則孝氏です。

本展覧会は 2021 年より毎年継続して開催されており、東京都の伝統産業事業者のコラボレーターとしても舘鼻氏を迎え、「日本文化の過去を見直し現代に表現する」という舘鼻氏の創出プロセスである「Rethink(リシンク)」を起点とし、歴史ある伝統産業の価値や魅力を新たなかたちで提案しています。

参画する伝統産業事業者は、計7者。江戸うちわ/江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子/東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」、金唐革紙「金唐紙研究所」(特別協力)の出展事業者とともに、江戸東京の伝統ある技や老舗の産品といった「東京の宝物」の新たな価値を伝えます。

会場は、展覧会名にもある「旧岩崎邸庭園」。1896年(明治29年)に岩崎彌太郎の長男で三菱第3代社長の久彌の本邸として造てられ、往時は約1万5,000坪の敷地に20棟もの建物が並んでいました。現在は3分の1の敷地となり、現存するのは 洋館・撞球室・和館の3棟。木造2階建・地下室付きの洋館は、鹿鳴館の建築家として有名な英国人ジョサイア・コンドルの設計によるものであり、近代日本住宅を代表する西洋木造建築です。館内の随所に見事なジャコビアン様式の装飾が施され、同時期に多く建てられた西洋建築にはない繊細なデザインが往事のままの雰囲気を漂わせ、それが今回の作品とも共鳴し、美しい空間を形成しています。

振り返ること2022年。実は、旧岩崎邸庭園」でこの展覧会の開催を予定していましたが、コロナ禍により、オンライン上での展示演出に。今回は、そのリベンジも果たします。

アートピースだけでなく、江戸・東京に受け継がれる伝統産業品や工芸品の展示、また、貴重な資料の展示から伝統産業の歴史にも触れることができるのも見どころのひとつ。それら全てを作品としてお楽しみいただきたい。

現代美術家 舘鼻則孝×東京くみひも 龍工房

現代美術家 舘鼻則孝×江戸うちわ・江戸扇子 伊場仙

現代美術家 舘鼻則孝×和太鼓 宮本卯之助商店

現代美術家 舘鼻則孝×新江戸染 丸久商店

上段左より、江戸うちわ・江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子・東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」。中段左より、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」。下段左より、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」。

会場となる「旧岩崎邸庭園」洋館の内装には、金唐革紙(きんからかわし)の装飾が施された空間もあり、工芸的な内装も展示作品(下記)と共鳴する。

現代美術家 舘鼻則孝×金唐革紙 金唐紙研究所

ジョサイア・コンドルの設計の洋館は、17世紀の英国ジャコビアン様式の見事な装飾が随所に見られ、イギリス・ルネサンス様式やイスラーム風のモティーフなどが採用される。

EDO TOKYO KIRARI道具から作品へと昇華した、ふたつの伝統産業の声。

今回、現代美術家・舘鼻則孝氏とコラボレーションした伝統産業の中から、「道具が作品へと昇華した」と喜びをあらわにしたのは、「宇野刷毛ブラシ製作所」と「江戸組子 建松」です。

隅田川のほとりに小さな工房を構える「宇野刷毛ブラシ製作所」は、創業1917年(大正6年)より刷毛作りで培われた技術をもとに、刷毛・ブラシの製造販売を行っています。現在は、三代目・宇野千栄子さん、四代目・三千代さんの母娘が伝統の手業を守り、従来の刷毛やブラシはもとより、時代のニーズに応じてデザイン性に富んだブラシを生み出しています。

「絵画作品を作るために使うブラシを製作していただきました。これまでは、それぞれの伝統産業と直接的に作品としてコラボレーションしてきましたが、今回は、道具のコラボレーション。使用している絵の具が粘り気の強いペースト状のため、あえて左官ブラシをお願いしました」と舘鼻氏。

製作した左官ブラシは、弾力性のある馬の毛を使用した長さ60cmの特別仕様。左官ブラシを絵画作品の仕上げに転用し、新たな作品を誕生させました。画面上で左官ブラシを引くことによって生じる、縞状の痕跡を意匠として活かすことを意図した技法研究が成され、絵画の世界では筆致と呼ばれる筆遣いとして画面に刻まれています。

また、ブラシの柄に装飾を施した舘鼻氏の創作に、四代目・三千代さんは「左官ブラシを作品作りの道具に起用する斬新な発想に驚きましたが、本来、見えることのない道具も作品として仕上げていただき、感動しました」と話します。

次いで、組子細工による伝統的な幾何学文様と舘鼻氏がアクリル絵の具で雷雲を描いた作品のコラボレーションは、「江戸組子 建松」によるもの。

組子工芸とは、平安末期に生まれた襖や障子などのいわゆる日本建築の建具のことであり、釘を一切使用せず、小さな木片を手作業で組み合わせ、様々な模様を編み出していく伝統的な木工技術です。

「普段は、障子や欄間を作っています。本来、木に着色することはないので、今回のように着色した組子は、私たちにはない発想です。実用品とは違った世界を見せていただきました」と、2代目田中孝弘は話します。

昨今、伝統産業は、後継者不足や暮らしの変化などから、危機的状況が囁かれることがあるも、「宇野刷毛ブラシ製作所」は東京手植ブラシとして海外からも人気を博し、「江戸組子 建松」においても、2024年の注文は受け入れできないほど、求める声が後をたたない。この違いは何か。

「伝統工芸は変わっていないという見方をされる方もいらっしゃいますが、変わっています。変わる勇気とその変わり方次第で、未来は大きく変わるのはないでしょうか」と田中氏。

しかし、ひとつ問題があるとしたら、「宇野刷毛ブラシ製作所」「江戸組子 建松」ともに「雇用」だと言います。給料、保険料など、支出と収入のバランスが崩れては、産業も崩壊してしまいます。人の増が技術の増に直結するわけではなく、時間、労力、資金の投資が伴います。

「これに関しては、まだ糸口が見つからず、解決していません」とふたり。

絶やさず、日本の文化をどう残していけるのか。その環境は、当事者だけでなく、国民全体で向き合うべき問題なのかもしれません。

現代美術家 舘鼻則孝×宇野刷毛ブラシ製作所。古くから職人に愛用されてきた「左官ブラシ」を絵画作品の仕上げに転用することによって、新たな作品が誕生。

現代美術家 舘鼻則孝×江戸組子 建松。雷雲のモチーフがレイヤーとなり、上から順に、桜亀甲、二重麻の葉、桔梗亀甲、雪型亀甲と並ぶ文様は、春夏秋冬を表現。

EDO TOKYO KIRARI東京だけでなく、日本の伝統産業のために。

今回に限らず、現代美術家・舘鼻則孝氏は作品を製作するにあたり、必ず職人に会い、工房に足を運び、作品作りに必要な表現アプローチが実現可能かを確認する手法を取っています。

「今回、自分が担う役割は、アーティストとして表現することはもちろんですが、それを通して伝統産業をより多くの人々に知ってもらうメッセンジャーになること。伝統産業を過去のものではなく、未来として魅せること。芸術という文化的な側面から伝統産業を価値化させることだと思っています」。

その価値化とは、舘鼻氏が創出プロセスの起点として大事にする「Rethink」でもあり、本展を主催する「江戸東京きらりプロジェクト」のコンセプトでもある「Old meets New」ともリンクします。

東京に限らず、日本全国の伝統産業と造形の深い舘鼻氏は、今の状況をどう見ているのでしょうか。

「東京と地方の伝統産業を同じフィールドで語ることは難しいと思っています。例えば、東京は、マーケットがあり、伝統工芸が産業工芸として成立できる環境にあります。地方の場合は、そうはいきません。どんなに高い技術を持っていても、外的要因に左右されることがあります」。

東京の場合、工房、店舗、さらには観光まで、一連につながる環境も少なくありません。その好例が浅草と言ってよいでしょう。しかし、それが高いクオリティとつながるかは別物。「伊勢神宮の式年遷宮ではありませんが、難度の高いテーマに挑戦し、それ乗り越えることによって今の技術を超えられるのではないでしょうか」。

今回になぞれば、そのテーマが、舘鼻氏が出展事業者に求めたものだったのかもしれません。だからこそ、伝統産業が輝くアートピースへと昇華したのでしょう。

海外に目を向ければ、現代彫刻家のアニッシュ・カプーアが漆を起用し、照明デザイナーのインゴ・マウラーが団扇を起用したように、日本の伝統産業は、世界レベルの芸術とも高い関係性を持っているのです。

また、地方といえば、元旦に襲った能登半島地震は、今なお、被害を受けています。漆や木地など、輪島をはじめとした伝統産業も焼失、全壊、半壊、倒壊など、日本の宝物が危機的状況に直面しています。

舘鼻氏もまた、石川の漆や蝋色での作品制作をした親交のある地域です。

「被害状況も地域によって様々。自分に何ができるかを言葉にするのは難しい。しかし、サポートしなければ、再起できない帰路に立たされていることは言うまでもありません。東京だけでなく、日本の伝統産業のために何ができるのか。常にRethinkしながら、向き合っていきたいと思います」。

失ってからでは手遅れ。我々もまた、Rethinkしなければいけない。

角度を変えて表現することによって、伝統産業が道具から作品に創出されたように、物事の見方も角度によって様々な想像力を掻き立てます。

Rethinkの思考を持って、改めて本展覧会と対峙すれば、そこには美化された作品群の展示だけでなく、様々なメッセージを訴えかけてくるようだ。


Photographs:©Edo Tokyo Kirari Project, Photo by GION
Text:YUICHI KURAMOCHI

江戸東京リシンク展
期間:2024年3月1日(金)〜3月10日(日)
時間:9:00〜17:00
料金:一般400円ほか(旧岩崎庭園への入園料)
主催:東京都・江戸東京きらりプロジェクト
共催:公益財団法人 東京都公園協会
会場:重要文化財 旧岩崎邸庭園
展覧会ディレクター:現代美術家 舘鼻則孝
出展事業者:江戸うちわ/江戸扇子「伊場仙」、江戸刷子/東京手植ブラシ「宇野刷子ブラシ製作所」、江戸組子「建松」、新江戸染「丸久商店」、和太鼓「宮本卯之助商店」、東京くみひも「龍工房」、金唐革紙「金唐紙研究所」(特別協力)
公式HP https://edotokyokirari.jp/news/life/edotokyorethink2024/

舘鼻則孝 NORITAKA TATEHANA
1985年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒。卒業制作として発表したヒールレスシューズは、花魁の高下駄から着想を得た作品として、レディー・ガガが愛用していることでも知られている。現在は現代美術家として、国内外の展覧会へ参加する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。作品は、ニューヨークの「メトロポリタン美術館」やロンドンの「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」などに永久収蔵されている。
公式HP https://www.noritakatatehana.com/ja/

芸術大学で食を学ぶ。京都芸術大学食文化デザインコース開設。

通信制で日本の食文化を知る、新たな学びの場。

2024年春。

日本の食文化の、新たな扉が開きます。

京都と東京にキャンパスを構える芸術大学『京都芸術大学』の通信教育部に「食文化デザインコース」が開設されるのです。

これまでにも日本の大学において「食」を軸にした講義はありました。

しかし芸術大学において、完全オンラインで文化・芸術として食を学ぶ学士課程は日本唯一(※)の試みとなります。

このコースで履修した学生が卒業後に得られるのは芸術学士。それは料理人以外にも食に関わる人たちが、体系的にそのあり方を学ぶことができる場。文化・芸術という視点から食を考え、企画し、伝え、実践することができるよう、多角的に学ぶための場。この新たな試みは、日本の食文化の発展、継承、発信のための大きな一歩となることでしょう。

そうはいっても、「食文化デザイン」がイメージしにくい方もいるかもしれません。もう少し踏みこんで、このコースについて紐解いてみましょう。

※出典:令和4年度全国大学一覧(文部科学省)


 

食文化デザインという名前に込められた食への思い。

2023年秋。

東京・外苑前にある京都芸術大学のキャンパスにて、この「食文化デザインコース」開設の記者発表が行われました。

舞台に上がったのは、同大学学長の吉川左紀子氏、副学長の小山薫堂氏、そして講義を受け持つ講師陣。講師は研究者だけに留まらず、ツーリズム、メディア、ビジネス、フードテックなど幅広い分野のスペシャリストが集結しました。これは“デザイン”という軸を通し、食文化を多角的な視点から学ぶため。

食は生きるために必要な日々の営みであると同時に、文化・芸術でもあります。単なる“おいしさ”や“料理人の技術”だけではなく、科学、美学、地域デザインなどさまざまな切り口から学ぶことで、その文化・芸術を深く理解する食文化の担い手を育成するのがこのコース。

登壇した小山薫堂氏は言います。

「変化する時代の中で、食というものは人を変えていけるくらいの根源的な力を持ちます。だからその食を支えている方のリテラシーをさらに上げていくために、教育的視点で食を考えていきたい」

おいしく作る人、おいしくたべる人、おいしく伝える人。

作り手や食べ手はもちろん、食材生産やその流通、販売の担い手も含め、食に関わるすべての人が食文化を体系的、多角的に学ぶことで、日本の食文化をさらに発展させることが目標です。

小山薫堂 ✕ 大類知樹対談〜日本の食文化の今と未来。

各分野のスペシャリストが集まるバラエティ豊かな講師陣の中には、株式会社ONESTORY代表・大類知樹の名もあります。担当する講義は「食の地域価値共創」。DINING OUTをはじめとした事業で蓄積した、食を通じて地域の価値を高めるための知見を伝えます。

そんな講義に先立ち、京都芸術大学副学長の小山薫堂氏と大類知樹が、食の現在と未来、そしてこの食文化デザインコースの意義について語り合いました。メディアを通して食を見つめてきた二人のプロフェッショナルの会話から、日本の食の未来が見えてきます。

小山:「食は日本に残された最後の資源ではないかと思っています。食によって人が動き、人と人が繋がる。料理に携わる方々が非常に積極的に環境に目を向けたりしている。つまり食によって、社会が動いたり、社会の波が起こるような時代。かつては、“おいしさ”というものがすごく大切だった時代もあったと思うんですよね。 皆さんがおいしいを求めていた。けれども、今はそのおいしさを越えて、そこから食から広がっていく価値に人々が注目している、そういう時代かなと思ってます」

大類:「そうですね。“食べる”という本来日常的なはずのことが、 地球環境や人類の未来にまでに繋がっている。その中で、おいしさだけではなく、さまざまな別の要素を帯びてきているというのが、今の食を取り巻く環境だと思います。そして誰しもが毎日食べるものだからこそ、未来を考える一番のきっかけ、入り口になりやすいのかもしれませんね」

小山:「そこが食文化デザインコースの意義です。人はいろいろな学問を学びますよね。けれども法学部に行った人が全員法律家になるわけではない。そう考えると、食文化を学ぶことは、ものすごく毎日にフィードバックされると思うんです」

大類:「そもそも芸術大学の中に食のコースを作ろうと思った意図はどんなものだったんですか?」

小山:「10年ほど前に文化庁の文化芸術基本法に食文化が明記されたときから、食は学問になるべきという思いはあったんです。さまざまな厨房を見てきた中で、料理人の方というのはやはり“おいしいものを作る”が第一義なんです。そのおいしさを追求するために、技術だけで食材と向き合う人が多い。そういう料理人の方がもっと幅広い見識を持つために学び直せるような、それで学位が取れるような場があるといいな、というのがスタートです」

大類:「それが通信教育ということでターゲットがさらに広がりましたね。より幅広い層が、より手軽に食を学ぶことができる。食をビジネスにするためだけではなく、食べることの意味を考えるかもしれないし、新しい趣味ができるかもしれないし、新しい人との出会いがあるかもしれない。地域を元気にするとか、新たな企画を考えるとか」

小山:「そうですね、人生を豊かにするためのコースだと思います」

大類:「それと“食文化デザイン”という名前ですね。今の時代、食を文化として考えるとき、デザインという言葉と掛け合わさないことには全体像が捉えられない。その現状をすごく言い当てた薫堂さんならではのコース名だなと思いました」

小山:「ありがとうございます。本当にいろいろな案があったんですよ。でも本当に食は健康にも直結しているし、もっとも実益ある学問ですよね。食を学ぶことで、もっとお米食べようという子どもが増えるかもしれないし、ちゃんとしたお店で買おうという意識で経済も変わるかもしれない。季節や地理の意識も。だから食というのはすべてが集約されている領域なんですね」

大類:「芸術的なこととも噛み合ってきますね。文学や日本の精神性とも親和性が高い。皿やカトラリーなど食を取り巻くものも重要になってくる。それこそ数えたらきりがないほどさまざまな要素を帯びているのが食なんです。そしてそれを最終的に体内に入れるというダイナミズムがあります」

小山:「大切なことは、細分化された学問を順番に修めていくことではなく、ある領域は角度を変えたらどう見えるか、という視点の獲得だと思うんです。食文化というものは付帯する要素が多い分、違う視点を見つけやすい」

大類:「講師もバリエーションに富んでいますね。全然分野の違う方々がいて、すごく面白い」

小山:「面白いですよね。僕だって学びたいくらい。大類さんだって他の講師の方の授業見たいんじゃないですか?」

大類:「本当、見たいですよ。それにこのコースは学生同士のコミュニティもおもしろくなりそうな気がしますね。修学旅行じゃないけれど、みんなでテーマを決めて食べ歩くとか。僕も『食の地域価値共創』にちなんだゼミを開催してみたいと考えています」

小山:「どんな形になっていくのか、いまから楽しみですね」

2024年4月入学生 出願受付中
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/

食文化デザインコース特設サイト
https://tenohira.kyoto-art.ac.jp/foodculturedesign/

観光施設臨時休館・イベント開催中止等について

観光施設の臨時休館・短縮営業、イベントの中止・延期等について、ご案内いたします。
掲載している情報以外にも休業・中止等の場合がありますので、お出かけ前にお確かめください。

▶東部エリアの情報をみる ▶南部エリアの情報をみる ▶西部エリアの情報をみる

東部エリア

 
名称 臨時休館・開催中止等の概要
阿波おどり会館 2024年6月12日(水)メンテナンスのため休館します。
ひょうたん島クルーズ・水上タクシー 2024年5月28日(火)大雨のため運休。
渦の道 2024年5月28日(火)大雨暴風のため10時より一時閉館。
→14時より営業再開。
大鳴門橋架橋記念館 2024年6月10日(月)メンテナンスのため休館します。
うずしお観潮船 2024年5月28日(火)大雨のため運休。
うずしお汽船 2024年5月28日(火)大雨のため運休。
鳴門市納涼花火大会 2024年夏の開催は中止。
神山温泉 2023年3月30日(木)より、修繕工事のため日帰り温泉を臨時休業します。2024年8月頃営業再開予定。

南部エリア

 
名称 臨時休館・開催中止等の概要
四季美谷温泉 2024年4月1日(月)より休館します。
CAMP PARK KITO 2024年4月1日(月)より休館します。
うみがめ博物館カレッタ 2023年6月1日から2025年夏頃(予定)まで、全面改修のため休館します。
海中観光船ブルーマリン 5/8~7/12までアオリイカ産卵期間のため海域公園の一部が立入不可となり、30分の割引運航になります。
阿佐海岸鉄道DMV 5・6月にDMV臨時便を運行いたします。
轟夏祭り 2024年夏は開催中止

西部エリア

 
名称 臨時休館・開催中止等の概要
祖谷のかずら橋
奥祖谷二重かずら橋
2024年5月28日(火)大雨警報のため臨時休業。
平家屋敷民俗資料館 2024年5月28日(火)大雨のため臨時休業。

野猿

故障のため当面の間、使用中止。
奥祖谷観光周遊モノレール 当面の間、臨時休業。

臨時休館・イベント中止などの情報ページ

各市町村・報道機関等のホームページでも、随時情報更新がありますので、ご参照ください。

・市町村公式サイトリンク集

・道の駅四国地区ポータルサイト

・NHK 徳島県のニュース

・徳島新聞社

香りを起点に引き立てる野菜の魅力。モダンインド料理のシェフが向き合う、宮崎県産有機野菜。[MIYAZAKI DINING/宮崎県・東京都港区]

有機野菜の産地・宮崎県が新たな一歩を踏み出す。

宮崎県が日本屈指の有機農業産地であることをご存知でしょうか。

1988年に全国初の「自然生態系農業推進条例」を制定した宮崎県綾町をはじめ、県や市町村が有機農業を促進し、生産者がそれに応える。それは宮崎県が豊かな自然に囲まれ、温暖な気候に恵まれ、そしてその自然を愛する人々が暮らしているからこその結果でしょう。そんな宮崎県で2023年、「みやざき有機農業拡大加速化事業」が始まりました。それは有機農業の草分けとして歩んできた宮崎県の新たなスタート。いわば今年は宮崎県の「有機元年」となるのです。

その記念すべきスタートを後押しすべく、ひとりのシェフが立ち上がりました。

六本木のモダンインド料理店『ニルヴァーナ ニューヨーク』を率いる若きシェフ・引地翔悟氏です。日頃から食を通して健康になることを意識し、素材にこだわる引地シェフが、宮崎県の有機野菜をさらに輝かせることでしょう。

現地の生産者を訪ね、交流し、さまざまな有機野菜を試食し、新たなメニューを考案した引地シェフ。その旅の様子をお伝えします。

宮崎県綾町の風景。いち早く自然保護と自然栽培への取り組みがはじまった地。

有機栽培の根幹を支えるのは土。生産者は試行錯誤しながら栄養に満ちた土作りに挑んでいる。

ポリフィルムで覆い、夏場の太陽熱で雑草の種を除く太陽熱消毒という手法。農薬を使わない有機栽培にも、さまざまなアイデアが潜む。

形は不揃いでも味は抜群。有機野菜の正しい価値に多くの人が気づき始めている。

宮崎県を訪れて出合った、大地の香りがする野菜。

安心安全、栄養価が高い、味が濃い。一般的に有機野菜に対して、こんなポジティブなイメージがあることでしょう。それらに加えて宮崎の有機野菜が引地シェフを惹きつけた要素は、香り。ナチュラルでクリアで力強い香りが、シェフの心を捉えました。

実は引地シェフは学生時代に認知心理学を専攻し、香りが人にどのような影響を及ぼすかを学んでいた人物。料理人となった現在も、その香りに対する知見はシェフの武器として、独自のインド料理の土台を支えています。もちろん今回訪れた宮崎県でも、興味は香りに向かいます。

たとえば宮崎市田野にある『AKASAKA farm』では、この地区の冬の風物詩である大根やぐらを見学。

「干して凝縮された大根の力強い香り。食べる前からおいしいことがわかります」

と話した引地シェフ。さらに次々と県内の生産者のもとをめぐり、畑を見学。糖度が10を越えるというニンジン、抜いたばかりのネギ、瑞々しいケールやほうれん草。そこでさまざまな野菜に出合うたびに、引地シェフは鼻を寄せて香りを確かめ、その場で味を確かめます。

「どの野菜もナチュラルで透明感ある土の匂いがします。これが野菜の本来の香りなんでしょうね」

次々と生産者のもとを訪れるごとに、引地シェフの宮崎県への興味は強くなっていくようでした。

宮崎県の田野、清武地域に多く見られる巨大な大根やぐら。この大根やぐらをシンボルとした地域の農業システムは「日本農業遺産」に認定されている。

「産地を訪れるたびに発見があり、学びがある」と語る引地翔悟シェフ。今回の旅にも、今後に繋がる出会いがあったという。

訪問先で振る舞われた料理。地元に伝わる漬物や郷土料理にも、食材を活かすヒントが隠されている。

綾町の『シードカルチャー』のにんじんジュース。ただ絞っただけのジュースがフルーツ以上に甘いことで、有機野菜のポテンシャルを感じさせる。

有機栽培という難題に果敢に挑む生産者たち。

味だけでなく香りも起点にして料理を構築する引地シェフ。しかしそればかりではありません。数日間、ともに旅をしてみると、引地シェフの興味が生産者、つまり人に向いていることがわかります。

どこで誰と会っても、しっかりと目を見つめ、真剣に話を聞く引地シェフ。その真摯な姿を見て、生産者も自身が手塩にかけた食材を託そうと思えるのかもしれません。とくに有機農業という、自然と向き合いながら生産者の思いがそのまま作物となるような農法ならば、なおさら。

2011年の東日本大震災を契機に、植物本来の力に任せる自然栽培に取り組みはじめた『AKASAKA farm』。親子で農業に向き合いながら、次世代に繋ぐ有機栽培を拡大する『宮崎アグリアート』、有機栽培先進地である綾町の個性豊かな生産者たち、科学的な論拠をもとに自然栽培有機農業に向き合う『本坊農園』。引地シェフは、それぞれの生産者のストーリーをしっかりと胸に刻みます。

「素晴らしい食材の魅力を、料理を通してお客さまに伝える。それは料理人の責任です」

大根やぐらで語らうシェフと『AKASAKA farm』の野﨑氏。野﨑氏は自然栽培にかける夢を語ってくれた。

『宮崎アグリアート』の松本慎一郎氏。懇親会でもさまざまな話題でシェフと語り合っていた。

ひょうきんなトークでシェフを笑わせた『シードカルチャー』の奥誠司氏は元教師。有機農業をするために綾町に移住してきたという。

『グリーンファーム綾』の園田雄一氏。その美しい畑を見るだけで、いかに愛情を込めて丁寧に手入れしている様子がわかる。

『本坊農園』の本坊照夫氏。千代子氏夫妻。ふたりの溌剌とした姿が、有機農業がいかに体に良いかを物語る。

有機野菜の魅力を落とし込んだ圧巻のインド料理。

後日『ニルヴァーナ ニューヨーク』の引地シェフのもとに、宮崎県から野菜が届きました。野菜を見ただけで生産者の顔が浮かぶような、思いのこもった有機野菜たち。

「退色したり萎れたり、香りが弱まることもなく、現地で見たままの姿で届きました。これも有機栽培の力かもしれません」

そう話す引地シェフ。

「口に含んだときに弾けるような野菜本来の香り、土の香り、自然の香り。皿の上でこの野菜の存在が薄れてしまわないように意識します」

そうして生産者の熱意や覚悟と正面から向き合い、有機野菜の本質をしっかりと理解してから考案された引地シェフの料理。

ネパールの山椒を効かせたサラダ、ほうれん草と合わせたインド風炒り卵エッグブルジ、干し大根からアプローチした酸味が決め手のリッチテイストなカレー、ケールを加え食べるだけで元気になるような一皿を目指したほうれん草のカレー。

どの料理にも明確な指針と哲学と生産者への敬意が満ちた引地シェフらしい有機野菜料理です。

「味わいも香りも力強く、スパイスでその魅力が消えてしまうこともありません。さらに食べて健康を目指すのはアーユルベーダ由来のインド料理の基本。その点でも有機野菜とインド料理との相性は間違いないと思います」

引地シェフ渾身の料理と宮崎県の有機野菜の魅力を満喫できる「MIYAZAKI DINING」は2024年2月22日〜3月10日まで、『ニルヴァーナ ニューヨーク』にて開催されます。

厨房の引地シェフ。多彩なスパイスを使いこなし、食材本来の味わいを引き出す技がシェフの真骨頂。

綾町から届くお任せBOXのサラダ。白菜は必須だがその他野菜はランダム。シェフは切り方や下処理で味を均一に整える。

野菜の香りをまとったエッグブルジ。卵にしっかりと火を通すのがインド流。

シェフ自身が一番好きなカレーというチキンチェティナードラッサムをアレンジ。鶏油がコクを加えつつ、全体をまとめあげる。

ほうれん草のカレーはスタンダードだが、味わい豊かな本坊農園のほうれん草にケールも加え、より力強いおいしさに。

住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリアガーデンテラス1F
TEL:03-5647-8305
https://nirvana-newyork.jp/
https://www.instagram.com/nirvana_newyork/

(supported by 宮崎県)

鳴門市の飲食店等の情報を集約したパンフレットが完成しました!

「鳴門市×南あわじ市 うずの幸グルメ」


鳴門市と南あわじ市の間にある鳴門海峡は、天然魚が100種類以上育つ魚介の宝庫。渦潮のおかげでおいしく育った「うずの幸」を主役にした地産地消メニュー「うずの幸グルメ」をご賞味ください!

「鳴門市×南あわじ市 カップイングルメ」


2027年度完成予定の大鳴門橋の自転車道開通に向けて、サイクリスト向けのカップイングルメ(テイクアウト)を企画しました♪鳴門市と南あわじ市でお楽しみください!

「鳴門夜探(なるとよるたん)」


鳴門市の夜の飲食店等の情報を集約した「鳴門夜探」、鳴門市で20時以降に営業している54店舗(居酒屋、バー、夜カフェ・銭湯など)を紹介しております。鳴門の夜を楽しんでください♪

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各パンフレットはこちらからダウンロードいただけます。ぜひご覧になってお出かけください。
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次代のローカルガストロノミーを担うコンビが共鳴し、美術館に飾るような器に表現を解き放つ。「USEUM SAGA」開催レポート。[佐賀県佐賀市]

スパイス料理の雄、オキナワンフレンチの雄が手を組み佐賀食材を探求する。

400年以上受け継がれる有田焼をはじめ、数々の焼き物の産地を擁する佐賀県。透き通るように白い地肌と華やかな絵付けが印象的な磁器は、伊万里港から各地へ輸出され、世界中の人を魅了してきました。

風土に目を向けると、佐賀がいかに豊かで変化に富んだ環境にあるかがわかります。北を玄界灘、南を有明海に接する大地は、北部の山地、南部の山岳地、東部の平野、西部の丘陵地の4つに大別され、それぞれに特徴のある地質が分布しています。玄界灘のイカやエビ、青物、有明海の海苔や牡蠣といった魚介の数々。温暖な気候が育むみかんやイチゴ、多種多様な野菜、トップレベルの黒毛和牛と称される佐賀牛、きれいな味わいの日本酒……。魅力的な食材は枚挙にいとまがありません。

器と食材。佐賀が誇るこのふたつの要素に、気鋭の料理人がローカルガストロノミーの技術とアイデア、たぎる情熱を加えて化学変化を起こすというユニークなイベントが「USEUM SAGA」です。それは、美術館に飾るような人間国宝などの器で佐賀の美食を堪能できる、数日間だけのプレミアムレストラン。待望の第5弾が2023年12月、佐賀市内で開催されました。

今回は、共に個性的な料理人ふたりがタッグを組むことで大きな注目を集めました。佐賀市で完全予約制・コースのみのスパイス料理をすべてたったひとりで提供している『カレーのアキンボ』の川岸真人氏。そして、“沖縄県宮古島の風土や食文化を100年後に繋げる琉球ガストロノミー”を提唱する元『エタデスプリ』のシェフ・渡真利泰洋氏です。

いずれも個性派の両名は、一体どのようなコースをつくり上げたのでしょう?

……それは、驚きに満ちたものでした。

コースのスタートに先駆けて川岸真人シェフ(左)と渡真利泰洋シェフが挨拶。意気込みを語った。

コースのスタートを飾った「水イカのパフェ」。ロゼのシャンパンと共に。

有明海の牡蠣と発酵させたカブを合わせた「カキトカブ」。牡蠣のそのままの風味を楽しめるように味付けを最小限に抑えた。器は陶磁器を焼く工程で成型の土台として使われる「ハマ」を使用。本来は一度きりで廃棄される素材を有効活用した点も画期的。

料理が届くたびに、意外性のあるプレゼンテーションに驚きの声が上がり、口に運んでは感嘆の声が漏れた。

全皿を合作によってつくりあげることで、単独での料理では成し得ない高みへ。

色絵磁器の最高峰ともうたわれる今右衛門窯の透き通るほど薄手の小鉢。そこに盛られているのは佐賀のアオリイカや菊芋、沖縄のパパイヤです。なんとも目に鮮やかな「水イカのパフェ」からスタートしたコース料理は、デザートを含む全12皿が展開されました。

2名のシェフがコラボするイベントの場合、それぞれのシェフが単独でつくった料理が交互に供されるのが一般的です。ところが、ふたりは全品を合作するスタイルを選びました。

その背景について渡真利シェフは話します。

「これまでもコラボイベントには何度も取り組んできましたが、交互に提供するとどうしてもコースとしての完成度が高まらないため、もどかしく感じていました。せっかく複数のシェフがコースを組み立てるなら、一皿の中でも一方が基本の調理で一方が仕上げ、または一方がメイン食材の調理で一方が付け合わせの調理など、セッションしたほうがいつもとは違った料理を生み出せるし、コースとしての流れもダイナミックなものになると思うんです。合作は強くこだわった部分ですね」

川岸シェフはその狙いに共感し、渡真利シェフの胸を借りるつもりで臨んだと話します。

「渡真利シェフは佐賀の生産者を回ってリサーチし、僕は宮古島を視察させてもらい、LINEや電話で連絡を取り合いながらメニューを組み立てていきました。ところが、開催日が近づいてそれまでなかった旬の食材が登場すると、渡真利シェフは『これ旨いじゃん。こっちにしよう』と簡単に変更してしまいます。しかも、僕としてはいい感じの料理になっていると思ったものも『まだクリエイティブじゃない』と一蹴されてしまう。周りにいくら迷惑をかけようが、クリエイティビティを最大にするために突き進む人なんです(笑)。そのエネルギーには本当に刺激を受けました。決してマネはしませんよ。僕は他のスタッフに無理を言いたくなくて自分一人でやっているくらいですから。でも、今回、渡真利シェフのリードについていくと決めてからは、そんなふうに振り回されるのが楽しくてしょうがなかったですね」

妥協を知らない合作のスタイルは、ふたりにとっても想像以上の力が発揮された逸品を生み出しました。酔っ払い蟹として使用するはずの渡り蟹に、生で提供するには引っ掛かるわずかな疑義が発生。ふたりはメニューの変更を決断します。蟹の出汁を抽出し、急遽、川岸シェフがカレーに仕立てる作戦に。提供のタイミングギリギリまで味が決まらず、ふたりで押し問答を続けましたが、「サフランがある!」と目を見合わせ、予想通りに味がバシッと決まったとのこと。「いやあ、あれには痺れましたね」と川岸シェフが振り返ると、渡真利シェフは「厨房で今日イチ盛り上がったわ。だからセッションした方がおもしろいんだよ」とカラカラ笑います。性格はまるで違うようですが、ふたりの間には妙に心地いいグルーブ感が生まれています。

不測の事態からのリカバリーとして即興的につくり上げたカニと豆腐ようのスープ。沖縄の豆腐ようと佐賀県産のサフランが味の決め手。

九州の郷土料理である「がめ煮」を鶏肉の代わりにスッポンでつくり、沖縄名産の田芋(タウム)を使った沖縄伝統の煮物「ドゥワルカシー」と一体化。見事な調和を見せる。器は人間国宝の青磁作家・中島宏氏の作品。

ドリンクは元『エタデスプリ』のソムリエ・新川友稀氏によるペアリングがアルコール、ノンアルコール共に用意された。フランス・イタリア・中国のワイン、佐賀の日本酒、宮古島の泡盛、旬のフルーツを使ったカクテルなど多彩な内容。

スパイスのかぐわしさと鮮烈な味わいで会場を沸かせたのが「イラブチャー」。沖縄の食用魚の代表イラブチャー(ナンヨウブダイ)をタイカレーペーストに漬け込み、月桃の葉に包んで蒸し焼きに。今回は宮古島の食材も積極的に採り入れられた。

ローカルに根差すからこそ、料理人としての表現の可能性は広がる。

川岸シェフと渡真利シェフは共に39歳。東京や海外での活躍を経て、生まれ故郷で地域に根差したレストランを一からつくることを選んだという共通点があります。川岸シェフの『カレーのアキンボ』は東京で人気店の地位を確立していましたが、なぜ佐賀へと移転したのでしょうか。

川岸シェフは当時を振り返ります。

「店があった墨田区は昔からずっと住んでいる人が多く、自分と同じ年代も小中学校から一緒につるんでいたり、祭りを大事にしていたり、東京にあってもローカルな雰囲気の強い地域。結構、佐賀に似ていると思います。僕の中で東京はいろんな人が集まっているファンタジー的な場所だと思っていたのですが、墨田区ではむしろ、自分だけが地に足が着いていないようなちょっと居心地の悪さを感じたんです。それで5年で佐賀へ戻ってやってみようと決めていました」

佐賀に帰ってみると、自分に思わぬ変化が訪れたと話します。

「佐賀の食材の豊かさとその美味しさには驚きました。ここにはなんでもある。これは佐賀の食材でやらない手はないと、東京でのスペシャリテだったラムのキーマカレーもやめ、佐賀の食材の持ち味を生かす調理にシフトしていきました。とにかく食材そのものが美味しいので、調理技法はどんどんシンプルになっていきました。そうして自分のオリジナリティが固まっていったのです。カレーという調理法はあまりにも味の骨格がしっかりしているので、極端な話、ダメな食材でもそこそこ食べられるものに生かすことができます。それは逆に、優れた食材の持ち味を殺すことにもなり得ます。カレーやスパイスを使いながらいかに優れた食材を生かす引き算の料理ができるか? 佐賀に来たからこそ、その追求にたどり着くことができたのです」

渡真利シェフは、面白さを求めたからこそ宮古島に帰るという決断をしました。

「沖縄人である自分が東京でフレンチをやる。フランス産のフォアグラを使うかもしれない。沖縄の食材も使うかもしれない。でもそんな他の人でもできることで誰が楽しんでくれるんだろう? 自分にはイメージできなかった。何より、それじゃ自分がワクワクしないと思いました。みんなに面白がってもらえて自分も心から面白いと思える料理は、自分のルーツである宮古島にこそあるという確信が強まっていったんです」

宮古島ではレストランを人気店へと着実に育てながらも、この地で何をすべきかという問いにはまり込んだ時期もあったそうだ。

「視界がパッと開けたのは、実はonestoryのおかげです。onestoryのイベント『DINING OUT』に関わり、ガガンシェフの仕事を間近で見たことで、ものすごく刺激を受けました。彼はB級と見なされていたインド料理を、世界と渡り合えるファインレストランの域まで押し上げた人。自分も沖縄でやっていけると勇気づけられました。沖縄は“食の不毛地帯”なんてことも言われたりしますが、歴史を振り返っていくと、実はかつては美味しいとされるものはあったんですよ。それって面白くないですか?」

ガガン氏はタイ・バンコク『Gaggan Anand』のインド人オーナーシェフ、ガガン・アナンド氏のこと。インド伝統料理を斬新な手法で高級コース料理に仕立てた伝説的な料理人です。

「ガガンシェフのように物事をとことん面白がる姿勢があれば、フレンチだとか料理のジャンルさえどうでもよくなります。自分は琉球ガストロノミーを追求すればいいんだと。それからは気持ち的にラクになりましたね」と渡真利シェフは話します。

本番の前日まで試行錯誤を続けた「ポーポー」。300年以上の歴史を誇る佐賀の手漉き和紙である名和和紙に包んでサーブ。合わせる酒は、宮古島の泡盛「多良川」の16年古酒樽仕込みをハイボールで。

有明産の佐賀海苔をたっぷり使った雑炊「ジューシー」。ペアリングは佐賀の銘酒「光栄菊 幾望2021」。すっきりとした甘みがジューシーに見事に調和する。

本番の直前まで、クリエイティビティの追求に妥協してはならない。

渡真利シェフの奔放さは今回もいかんなく発揮されました。たとえば「ジューシー」。本来、ジューシーは沖縄で炊き込みご飯のことを指しますが、渡真利シェフは有明海で獲れた海苔をたっぷりと使った雑炊に仕上げました。上に敷き詰めたのはキュウリのスライス。そう、これはかっぱ巻きを再構築したジューシーなのです。

そして、やはりクレープのような沖縄伝統のお菓子「ポーポー」も存在感を放っていました。スパイスをまとったカツオのなまり節をくるんだポーポーを頬張ると、変化に富んだ食感と共に、なまり節の旨みとポーポーの甘み、多彩な香りとほどよい酸味が口の中で渾然一体となって立体的に広がります。こちらも渡真利シェフが「まだクリエイティビティが足りない」と前日まで川岸シェフに発破をかけながら試行錯誤を続けた労作だといいます。

川岸シェフの最後の瞬発力には舌を巻いたと渡真利シェフ。

「最終的に彼は大根の葉っぱをヴィネガーで和えてポーポーに巻き込みました。この斬新な旨さには唸りましたね。酸味を加えたいという時に、酸のある素材をプラスするのでもなく、そこにレモンを搾るのでもなく、ヴィネガーをそんなふうに使うのかと驚きました。彼のヴィネガーの使い方、それからオイル漬けの手法、スパイスの使い方は本当に勉強になりました。沖縄には保存食の文化があまりありません。つまりそこには発展の余地があるということ。川岸シェフからの学んだことをプラスして料理の可能性を広げていきたいと思います」

一方、川岸シェフは、渡真利シェフの食材に対するビビッドな反応に感化されたと話します。
「食材本来のおいしさに対して正直に向き合い、その持ち味を最優先する姿勢には驚かされました。そして、周りに迷惑かけると言いましたけど、実はめっちゃくちゃやさしい。生産者の方がくださる野菜は、何でも『ありがとうございます!』と受け取って、どうにか料理に盛り込もうと工夫するし。迷惑はかけるけど、やさしい男です(笑)」

沖縄では祝い事に欠かせないヒージャー(山羊)を使ったケバブ、沖縄そば、カレーのたたみかけで会場の空気は一気にクライマックスへ。ゲストとスタッフ、会場にいる全員がオリオンビールで乾杯し、大団円を迎えました。

閉幕のスピーチで、感極まった川岸シェフは言葉を詰まらせました。

「東京で850円のランチから始めて……カレー屋のくせに予約取るなんて何様だと言われ続けていた僕が……今日は、本当に、ありがとうございました」と言葉を振り絞る川岸シェフ。その横で肩を揺らして面白がる渡真利シェフ。でも見つめる目は、とことんやさしい。やり抜き、泣き、笑う。充実感に満ちたふたりの姿が、イベントの成功を何よりも雄弁に物語っていました。

「祝いの山羊」ケバブ。佐賀県産のローゼルのアチャールなどと一緒に味わう。皿は「柿右衛門窯」から。

「祝いの山羊」の2品目は、山羊の濃厚な出汁を堪能できる沖縄そば。器は「中里太郎右衛門陶房」から。

「祝いの山羊」のラストは、川岸氏の真骨頂であるカレーライス。器は「李荘窯業所」から。

オリオンビールを片手に会場の全員で乾杯。

オリオンビールの風味を効かせたアイスクリームに、佐賀のみかん、佐賀の唐辛子を使ったチュイール、海ぶどうを合わせた独創性あふれるデザート。オリオンビールと共に。

1984年佐賀県佐賀市生まれ。佐賀県立佐賀北高校普通科芸術コース卒業。日本大学芸術学部美術学科卒業。都内の寿司屋で3年修業を積み、2010年、東京・錦糸町に「カレーのアキンボ」をオープン。2015年に佐賀へ戻り、完全予約制・コースのみのスタイルにリニューアル。週に一度は生産者を訪ね、その時々で出会った食材をベースに料理を組み立てる。「ミシュランガイド2019福岡・佐賀・長崎版」ビブグルマン獲得。「ゴ・エ・ミヨ2023」では佐賀県内7店舗の1店に選ばれる。

1984年沖縄県宮古島市生まれ。20歳で上京、イタリア料理を学ぶ。その後、数店のフレンチで修業を重ね、渡仏。「Joel Robuchon」をはじめとしたパリの名店にて研鑽を積み、帰国後31歳で伊良部島にある「Restaurant Etat d’esprit(エタデスプリ)」総料理長に就任した。ジャパンタイムズキューブの日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のレストラン「The Japan Times Destination Restaurants 2021」の10選に選出。フランスのグルメ雑誌「ゴ・エ・ミヨ2022」で沖縄県内最高得点の15.5点獲得。2019年には次世代を担う実力派シェフとして全国15人の1人に選出。

https://www.useumsaga.com/

鳴門市 レンタカー利用者宿泊割引キャンペーン


鳴門市では、レンタカーを利用して市内参画宿泊施設にご宿泊する観光客の皆様に対し、市内観光の回遊性の向上と、一年を通じてのさらなる誘客促進を図るため、割引制度を実施します。

割引実施期間

令和7年4月1日(火)宿泊分~令和8年3月31日(日)宿泊分
※先着400台に達した時点で終了。

助成額

1台あたり3,000円

割引の流れ

①レンタカーを借りる
②鳴門市内の参画宿泊施設に宿泊する(鳴門市公式サイトにて順次更新)
③チェックイン時にレンタカー貸渡契約書等を提示、アンケート記載
④チェックアウト時に割引後の宿泊料金を支払う
※宿泊施設により、現金で割引分をお渡しする場合がございます。

ご注意

①レンタカーを借りた方で、かつ、参画宿泊施設に宿泊した方が対象となります。
②現地決済のみが対象となります。
③キャンペーンが終了した場合は、鳴門市公式サイトにてお知らせします。

お問い合わせ

鳴門市役所観光振興課 TEL:088-684-1157

鳴門市公式サイト

令和7年度 鳴門市レンタカー利用者宿泊助成制度について

木曽伝統の発酵食「すんき」、木曽漆器、塩尻ワイン。宿場町・奈良井宿がつなぐ地域の新たな「食」体験

江戸時代の宿場町の面影を残す奈良井宿から、地域に根ざす文化財と食を掛け合わせた新プロジェクトが始まる。

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。「文化財」をテーマとする実証先として、奈良井宿を起点とする長野県塩尻市の奈良井地域が選定されました。

奈良井宿は、江戸時代に整備された五街道のひとつである中山道(東京・日本橋と京都・三条大橋を結ぶ500kmを超える街道)のちょうど中間、34番目に位置します

かつて多くの旅人を迎えた町の賑わいは「奈良井千軒」と謳われるほど。奈良井川に沿っておよそ1kmにわたり続く日本最長の宿場町として木曽路で一番賑わっていたといいます(※1)。街道沿いに旅籠屋形式の町屋が連なり、江戸時代の面影を色濃く残す町並みは、1978年に文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

長い歴史の中で守られてきた景観や町並み、地域に伝承される漆器・曲物の伝統工芸なども含めた奈良井宿の「文化財」と、山々に囲まれた気候風土が育んできた発酵食などの地域の「食」を掛け合わせて、奈良井地域の「食」の価値向上に向けたプロジェクトが始動しました。

地域が守り伝承してきた発酵食文化「すんき」に光を当てる。

奈良井宿がある長野県塩尻市は、明治時代からぶどう栽培が盛んな桔梗ヶ原を中心に15ものワイナリーが集まる日本ワインの生産地(※2)。奈良井宿への玄関口ともいえる塩尻駅にも、塩尻ワインのワイナリー巡りを楽しむ観光客が多く訪れます。一方で、駅周辺や中心部に飲食店が少なく、ワイナリーを目指す人や奈良井宿を目指す人の通過点となってしまっていることが地域全体の問題となっていました。

また、奈良井宿においても、国内外から多くの観光客が訪れる一方、その大半が街歩きメインでの滞在。宿泊施設や飲食店の数が限られていることもあり、「食」という点から奈良井宿の魅力をなかなか提案できていないことが地域の問題でもありました。

そこで今回のプロジェクトが目指したのは、奈良井宿を起点とし、木曽漆器・奈良井の曲物といった工芸と、山深い木曽地域に伝承される発酵食と、塩尻のワインを活用して、奈良井宿の豊かな食文化を一連となった食体験として提供することです。

豊かな地域資源がありながらも、それらがバラバラに点在している現状に対して、地域の魅力を一体として感じられる、地域資源をフル活用したペアリングメニューを開発し、地域全体で「食」の価値を発信していけることを目指します。

メニュー開発の強力なアドバイザーとしてお迎えしたのは、「食の外交官」ともいわれる公廷料理人として、日本食の伝統や地域文化と向き合い、地域の資源を「和食」としてアウトプットするプロフェッショナルである出張料理人の工藤英良シェフです。過去にパリ、カナダ、中国において公廷料理人としてグローバルに和食を提供し日本文化を踏まえた「おもてなし」に尽力されてきた経験や、岐阜県飛騨市の「食の大使」として地域独自の食の魅力向上やブランディングに取り組まれた経験があり、文化を踏まえ地域の工芸や歴史的建造物の雰囲気を用いた食の提供を行うことへの知見が豊富であることから、今回のプロジェクトのアドバイザーを依頼することとなりました。工藤シェフと地域の料理人が伴走しながら、「文化財」を切り口とした地域の食のアップデートに向けて検討を進めました。

奈良井を訪れた工藤シェフが様々な地域食材の中から注目したのが、木曽地方に古くから伝わる保存食「すんき」。すんきは、木曽地域の在来品種である赤カブの葉を、塩を一切使わずに植物性乳酸菌で発酵させた漬物で「すんき漬け」とも呼ばれて、地元では刻んで味噌汁に入れたり、鰹節と合わせたり、そばに乗せたりして食べられています。

深い山間にある木曽地域で塩がとても希少だった時代、塩を使わずに、厳しい冬の間も野菜を保存するための知恵として生まれた保存食でした。生きるための知恵として受け継がれ、どの家庭でも作られてきましたが、独特な酸味もあり、最近では地元の若い人にとってはあまりなじみのない食材ともなっていました。

その独特な癖のある味わいに引き込まれたという工藤シェフは「乳酸発酵させたすんきと、乳酸発酵させた樽熟シャルドネとのペアリングは、すんきの可能性を感じさせる素晴らしい組合せでした。木曽の食文化と塩尻のお酒が組み合わさることによって、新たな価値を見い出せると確信しました」と振り返ります。「すんきと白ワインが合う」という工藤シェフのアイデアをきっかけに、地域の料理人と一緒に、すんきを軸にしたワインに合うおつまみの開発が進みました。

工藤シェフとともにメニュー開発を行ったメンバーの一人、奈良井宿の宿「BYAKU -Narai-」のレストラン「嵓 kura」の料理長・友森隆司シェフは、こう話します。

「メニューを考える上で、なぜこの土地ですんきが生まれたのか、そしてなぜ今若い人にはあまりなじみがなくなってしまったのかとか、そういう背景を大事にしました。すんきは、冬の貧しい時期を過ごしていくために生まれた食材。すんきそばがあるのも、他に食材がなかったから。そういったバックグラウンドを考えると、すんきが主役だからといって、華やかに盛大に『かき揚げ』とか作るのは、そもそものすんきの在り方とかけ離れていてバランスが崩れてしまうなと。外の方が驚くメニューよりも、地域の方が『こんな使い方もできるのか。今度家でも漬けてみよう』ってすんきの良さに気づいてくれることが大事かなと思いました。だからこそ、誰でも作れる親しみやすいメニューになるように意識しました。」

「酸っぱくてちょっと苦手なもの」という先入観が無くなり、「食べやすいもの」という気づきが生まれることで、地域の人にとってもすんきがより身近なものになる。そのことが、地域の「食」の価値を向上させ、その魅力を外へと発信する原動力にもつながっていきます。この土地ならではの工夫から生まれた守るべき食文化を、特別なメニュー開発で盛り上げるのではなく、継続して地域に根ざして発展していけるメニューとして再構築する。

試行錯誤を経て完成したのは、4つのおつまみ。「すんきポテトサラダ」「漬物テリーヌ」「市田柿とクリームチーズとすんきの生ハムロール」「鯖缶タルタル」です。メニューの詳細は塩尻市観光ガイド時めぐり「伝統食の新しい提案ー木曽のすんきを活用したレシピー」をご覧ください

実証実験の第一弾として11月26日(日)・27日(月)の二日間、塩尻駅の駅前広場で、開発した4つのおつまみにそれぞれ塩尻ワインをペアリングし、木曽漆器に盛り付けて提供するイベントが開催されました。

毎年秋に、塩尻駅前に特設される芝生の上で塩尻ワインを味わえる屋外イベント「ワインテラス」とのコラボイベントとして開催された実証実験。「ワインテラス」を主宰する、塩尻駅構内のワインバー「アイマニ」のご協力をいただき、グラスワインを注文された方に、それぞれのワインに合わせたおつまみを、木曽漆器に盛り付けて提供しました。ワインはもちろん全て塩尻ワインです。

おつまみを盛り付けた木曽漆器は、「木曽漆器青年部が行う漆器の貸し出しサービス「かしだしっき」のワッパ皿。奈良井発祥の曲物の技術を使い、曲げわっぱのお弁当の蓋の部分を裏返したような形で日常に使いやすく、木の肌を残した木地にすり漆で仕上げた表面もナチュラルで暮らしになじみやすい印象です。

塩尻のワイナリー「ドメーヌ・スリエ」のすっきり清涼感のあるシャルドネ白ワインと合わせたのは「漬物テリーヌ」。すんき、赤カブの浅漬け、ワサビの葉、白瓜の粕漬けを白菜漬けで巻いて美しいテリーヌに仕上げた一品。様々な味わい、食感、香りの漬物が合わさった複雑な美味しさで、すんきがナチュラルになじみます。

つづいては塩尻で一番古い(※3)ワイナリー「五一わいん」のソーヴィニヨン・ブランの白ワインと合わせたのは「鯖缶タルタル」。すんきのつけ汁と卵と油で作った「すんきマヨネーズ」に、刻んだすんきと鰹節を加えてタルタルソースを作り、市販の鯖缶と合わせた一品。こっくり濃厚な鯖の味噌煮の旨さに、すんきの酸味が効いた爽やかでありながらコクのある仕上がりの「すんきタルタル」がぴったりはまります。

通常、すんきを絞った時に出る汁は切って捨てていたもの。その、すんきの旨みをたっぷり含んだ汁を「酢」の代わりに活用するというアイデアがメニュー開発の肝となりました。乳酸を含んだすんき汁特有のコクが、酢とは違うやわらかくまろやかな味わいを生み出すとともに、塩みも抑えられる。すんきが料理をマイルドな味わいに整えるとともに、乳酸の味わいとワインの相性が非常に良いということが、シェフたちにとっても大きな発見となりました。

3品目は、塩尻「井筒ワイン」の軽めの辛口赤ワイン、マスカット・ベリーAに合わせた「すんきポテトサラダ」。すんきマヨネーズで作ったポテトサラダの上に、さらにすんきで作ったドレッシングをかけたすんき尽くしの一品。ザクザクとした食感が楽しいすんきの酸味と、鰹節の旨み、すんきマヨネーズのコクが癖になる味わいです。

4品目は塩尻「サンサンワイナリー」の重めの赤ワイン、メルローと合わせた「市田柿とクリームチーズとすんきの生ハムロール」。生ハムとクリームチーズの塩味と、長野県の名産品である市田柿の優しい甘みと香りを、すんきの酸味がつなぎ、複雑な味わいのハーモニーが美味しい一品です。

会場には、今回提供されたメニューの紹介とともにレシピを紹介するウェブサイトへのQRコードが記載されたポップが用意され、その場でおつまみのレシピも知ることができる仕組み。実際に食べて美味しいと興味を持った人に「自分でも作ってみよう」と思ってもらうこと、地域の店舗の方が自由にアレンジして展開してもらえることを狙っています。土日の2日間で地元の方や観光客の方など50人以上がおつまみを試食し、評判は上々。「食べやすかった」「すんきはどこで買えるんですか?」とさっそくすんきに興味を持つ方もいました。

「今まですんきは地元の人でも若い世代にはなじみのない食材。扱うのも難しいイメージがあって、アレンジしてみようという発想もありませんでした。でも今回のおつまみはお客さんの評判も良くて美味しかったですし、レシピをアレンジしながらぜひお店でも使っていきたいなと思いました。奈良井宿と塩尻、それぞれの場所で活動している地域のプレイヤー同士が同じプロジェクトに取り組むこともこれまでなかなかできなかったこと。僕らが奈良井に行ったり、奈良井でやっている企画を塩尻に持ってきたり、一緒にプロジェクトをやれると、いろいろな可能性が広がるなと感じました」と、イベントに協力してくださった「アイマニ」のオーナー田中 暁氏。

新しいものをゼロから生み出すのではなく、もともとあった地域の資源を掘り起こし、地域に根ざし継続的に発展させていく今回のプロジェクト。今年は奈良井宿の宿「BYAKU -Narai-」でのおつまみのテスト提供ほか、塩尻のワイナリーでの提供も検討中です。誰もが知っているすんきという伝統食材が絶妙なバランスで他の食材と調和しマイルドなまとまりを作り出してくれるように、すんきを軸に、町並みも工芸もワインも、地域の持つ豊かな文化財が一連の体験としてまとまり、プロジェクトの具体的な取組について検討するための素地が整いました。長い冬のシーズンを迎える深い山間の木曽地域、今後の新たな取組についてじっくりコミュニケーションが始まるのはこれからです。

※1 「奈良井宿観光協会」
※2 「塩尻市観光ガイド時めぐり - 塩尻市のワイナリー」
※3 「五一わいん - ワイン醸造100年を越えて」


■開催概要
観光庁では、令和5年度「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」において、 地域資源と地域食材の積極活用等により食の価値を高め、宿泊業の付加価値向上を進めると同時に、地域経済への裨益効果を増大させる取組のあり方について検証を実施いたしました。 
これにともない、本事業の取組内容を発表する事業成果報告会を開催することとなりました。 
観光産業関係者の皆様(宿泊事業者、自治体の観光部門担当者、DMO、観光協会、観光事業者)をはじめ、ご関心のあるすべての方のご参加をお待ちしております。
 
■日程
令和6年2月20日(火)15:00-17:00
■参加費
無料
■開催方式
オンライン(Zoom)

あたりまえの風景の中に見つけた地域の宝。4つのホテルから広げていく北海道・層雲峡温泉、上川そばの可能性

神々の遊ぶ庭、原始の雄大な自然に囲まれた層雲峡温泉ならではの「食」を求めて。

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。「温泉その他の地域観光資源」をテーマとする実証先として、北海道上川町の層雲峡温泉が選定されました。

層雲峡温泉は、北海道のほぼ中央、先住民であるアイヌの人々が「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼んでいた原始の雄大な自然が広がる「大雪山国立公園」の中にあります。

日本最大級で約23万ヘクタールの広大な国立公園内には、今もなお活動を続ける活火山を含んだ2,000メートル級の山々が連なり、壮観な景色を作っています。その中の一つ、黒岳の麓にある層雲峡温泉では、大自然が織りなす四季折々の圧倒的な景観を間近に楽しむことができ、夏は登山、秋は美しい紅葉、冬はライトアップされた幻想的な氷のオブジェが立ち並ぶ「氷瀑祭り」を目指して多くの観光客が訪れます。

石狩川を挟み約24kmにわたり断崖絶壁が続く渓谷に大型のホテルが集まり、北海道有数の温泉地として昔から団体のツアー客をはじめ多くの観光客を迎え入れてきた層雲峡温泉。いまも北海道内、道外からの観光客のほか、海外からも多くの人が訪れています。

季節ごと、ここでしか出会うことのできない景観を求め多くの観光客が訪れる一方、紅葉が終わる11月ごろから、「氷瀑祭り」が始まる1月末までの間は閑散期で、年間を通しての集客に大きく波があり閑散期の来訪目的となるようなコンテンツ開発が求められていました。

そのような地域の課題に対して、「層雲峡観光協会」を中心に層雲峡温泉の複数の宿泊施設が連携をとり、「温泉×食」という切り口で、紅葉や氷瀑祭りなどのイベント時に限らずに「食」においても旅の目的地となることを目指し、新たな取組をスタートしました。

外からの視点で再発見する、埋もれていた地域食材。

昔から団体客を多く迎え入れてきた層雲峡温泉では、部屋数が200以上という大型のホテルも多く、食事スタイルはビュッフェが中心です。100種類以上のメニューが並んだり、オープンスタイルのキッチンで出来立ての料理を提供したり、それぞれのホテルが独自に趣向を凝らしたビュッフェメニューを展開。北海道産の食材を使うメニューは各ホテルが特に力を入れており、宿泊客からの満足度が高い部分でもあります。

しかし、層雲峡温泉ならではのキーとなるメニューがなく、道内の他地域と「食」における差別化ができていないこと、「食」を目的とした集客が行えていないことが地域全体としての問題になっていました。

温泉地らしいビュッフェスタイルを生かしたキーディッシュを開発し、温泉街一体で提供することで、イベントのないシーズンにも年間を通じて“層雲峡ならではの食”を目的にこの場所を訪れる人々が継続的に増えること、そして、それによって地域全体の経済効果も高めることが本プロジェクトの目標です。

メニュー開発の心強いアドバイザーとしてお迎えしたのは、管理栄養士、食生活アドバイザー、アンチエイジング料理スペシャリスト、東京・赤坂のレストラン「ルリール」オーナーシェフ、「ちさこ食堂」での商品開発など多岐にわたり活躍する食のプロフェッショナル・知佐子氏。これまでに、アイヌの食文化にも通ずる「発酵と熟成」をテーマとしたレストラン「GINZA 豉 KUKI」のプロデュースや、徳島県の新祖谷温泉にて郷土料理をアレンジした会席料理コースのプロデュースを行うなど、食材や料理についての幅広い知見を持ち、素材を生かした調理アレンジやメニュー開発の経験が豊富であることから、今回のプロジェクトのアドバイザーを依頼することとなりました。堀氏と地域のメンバーが集まり、地域食材の洗い出しを行うところからプロジェクトは始まりました。

堀氏とのディスカッションを通じてメンバーが注目した地域食材は「そば」です。

北海道は実は、日本全国の作付面積の4割弱を占める国内最大のそば生産地(※1)。中でも道北エリアでの生産が盛んで、上川町もその一つ。旭川空港から層雲峡温泉へと向かう道中にはそば畑が広がり、地域メンバーにとってもそば畑のある風景は、幼少期から見慣れた景色でもありました。しかし、それゆえにそばを特別なものとして見たことがなかったと「層雲峡観光協会」の岩本昌樹氏は振り返ります。主に出荷用に生産されていたということもあり、地元産のそばの存在は皆が知っているものの、これまであまり意識されてこなかった食材でした。

堀氏が地域に入り外からの視点によって再発見された、埋もれていた上川の名産品。上川産のそばをキーにしたメニュー開発へと一気にプロジェクトは動き出しました。

上川産そば粉と層雲峡の清らかな水で作る十割そば。

これまでも各ホテルのビュッフェでは、数あるメニューの一つとして北海道産そばはおなじみでしたが、宿泊客からの評判は賛否両論。茹でたてのタイミングで食べた方からは高評価があったものの、時間が経つと乾燥して味が落ちてしまい低評価になることもあったといいます。そこで堀氏が提案したのが、緻密な製粉技術でそば粉100%使用した「そば玉」を作るというアイデア。

地元で採れた上川産のそばを高度な製粉技術で微細分化してそば粉に加工、層雲峡の大雪山系伏流水と合わせてそば玉を作り、そのそば玉を手動式の製麺機に入れて十割そばに仕上げます。そば玉にすることにより鮮度が維持しやすくなるとともに、製麺したての状態で茹でるので出来立てを提供しやすく、また手動で製麺を行うのもエンターテイメント性が高くビュッフェに向きます。

手動式の製麺器として使うのは、お菓子のモンブランを作る際に使ういわゆる「モンブランマシン」。10cmほどの大きさのそば玉を製麺機に通すと、お椀に約一杯分のそばがすぐに製麺されます。つなぎを使わずそば粉と水だけで作る分、ぼそぼそしたり切れてしまうこともある十割そばですが、高度な製粉技術によって加工した上川産そば粉100%のそば玉で作る十割そばは、切れることなく滑らかな仕上がり。

「上川産の十割そばをビュッフェで提供できるのはすごく可能性を感じます。モンブランマシンを使うことで、そばの麺の太さを変えられるのも特徴が出せてメニューの幅が広がります」と各ホテルの料理長も手応えを感じている様子。

単にそばをメニュー化するのではなく、温泉地ならではのビュッフェスタイルの食体験として印象付けるということは、メンバーが特に意識したことでもありました。

さらに今回こだわったのが「つけ汁」です。「層雲峡観光協会」の呼びかけによりプロジェクトに参加することとなったホテル大雪」層雲閣」朝陽亭」朝陽リゾートホテル」の各料理長が主体となり、ホテルオリジナルのつけ汁を開発。

層雲峡温泉にあるホテルはそれぞれに個性があり、訪れる観光客の層も少しずつ異なります。インバウンドのツアー客を多く迎え入れるホテルや、ファミリー層が多いホテル、50-60代のご夫婦が多いホテルなどさまざま。それぞれのホテルが、個性を生かしたオリジナルのつけ汁を考案し、上川産そばの可能性を広げていきます。

地元の人が自信を持って美味しいと思う、地域に愛される「食」を目指す。

12月1日(金)、プロジェクトの第一弾となる実証実験として、地域内の関係者などが集まり、今回開発したそばの実演と各ホテルのつけ汁をお披露目する試食会が開催されました。

モンブランマシンを使って目の前で製麺される上川そばに、参加者のみなさんも興味津々。40秒という短い時間であっという間に茹で上がるのも魅力です。茹でたてのそばとともに、各ホテルのつけ汁を試食します。

ホテル大雪からは温かい「酸辛湯スープ」と、冷たい「肉蕎麦(豚肉トッピング)」の2種類のつけ汁。酢と醤油と塩をベースに鶏ガラで出汁をとったとろみのある「酸辛湯スープ」がそばとよく絡み、そば×中華のハーモニーが面白い一品。ニラと豚肉をトッピングしたピリ辛の冷たい「肉蕎麦」スープは細麺との相性が良く食欲をそそります。

層雲閣からは温かい「かも南蛮」。旨みたっぷりの出汁にゴロリと鴨肉をトッピングさせた温かいつけ汁と、しっかりコシのある十割そばがよく合います。

「朝陽亭」のつけ汁は温かな「エゾシカ肉入り紅葉けんちん蕎麦」。地場産の野菜と北海道産のエゾシカのバラ肉を甘めに炊いた、具沢山のけんちん汁。北海道産メニューに力を入れている朝陽亭ならではの提案です。

「朝陽リゾートホテル」のつけ汁は「煎りおからトッピング塩だれで食べる雪見蕎麦」。利尻昆布でとった出汁のきいたつゆでさっぱりといただけるつけ汁は朝ごはんを意識したメニュー。数種類のトッピングをお好みで加えていただきます。

地域のみなさんや各ホテルの料理長がざっくばらんに話しながら、つけ汁と茹でたての上川そばを試食。「おいしい!」「これが一番好き」「温かいつけ汁には太麺が合うね」など意見が飛び交う賑やかな試食会となりました。

12月6日(水)から各ホテルでの提供が始まることに先駆けて、集まったホテルの皆さんがモンブランマシンでの製麺をどのようなオペレーションで行うかなどを話し合うシーンも。30分に1回、お客様の席にワゴンサービスでモンブランマシンを使った製麺を実演するアイデアなど、具体的なアイデアが交わされていました。

これまでホテルのオーナー同士の交流はあったものの、料理人の方まで含めて一同に集まるという機会はなかなか実現してこなかったとのこと。このプロジェクトをきっかけに、初めて実現した「食」におけるホテル同士の連携。以前よりもスムーズにディスカッションが行われるようになったことで、同じ目的に向かって地域一体での取組も、より動きやすくなっていきます。

会場となったホテル大雪西野目晃正常務は「今回のプロジェクトをきっかけに埋もれていたそばの価値を再発見し、地域が一体となって取組を始めることができた。そば以外にも上川・層雲峡温泉ならではの素材がまだまだあるはず。これからも地域の魅力を広げていきたい」と今回の試食会を締めくくりました。

麺の太さとつけ汁の相性、上川産の素材を活用したつけ汁のバリエーションやトッピング、ホテル同士を行き来してつけ汁を味わえる仕組みや、お土産の物販など、今後も地域一体での様々な展開の可能性が広がりそうな上川そば。なぜこの町にそばがあるのか。そもそもの地域食材の歴史を紐解きながら、その魅力をさらに深掘りし、上川そばブランドをじっくりと醸成していくのはこれから。

「大切なのは私たち自身が自信を持って美味しいと思うこと。インナーマーケティングが大事であると思っています。層雲峡温泉で働く私たちが、上川の町のひとが、みんなが好きになるものだからこそ外に向かって発信をしていけるし、地域の食の価値としても高まっていきます。まずは時間がかかっても、その思いを醸成していき、地域に愛される食を作っていきたい」と、「層雲峡観光協会」の西野目智弘理事はシビックプライドの大切さを強調します。
外からの視点をきっかけに再発見された、地域の方自身が気づいていなかったその土地の魅力。その魅力を一層輝かせ、広げていくのは地域の中からの力です。

層雲峡温泉という大きな地域資源をベースに、地域が一体となり「温泉地×食」を切り口とした「食」の価値向上を検討していくプロジェクトはまだ始まったばかり。それぞれに個性的な地域のホテルが連携を深めていくことで、層雲峡温泉ならではの「食」はより深掘りされるとともに、地域全体としての食体験の豊かさや経済効果も向上し、ますます多様に彩られていくのではないでしょうか。

※1 「農林水産省 - 令和元年度産 耕地面積・主要農作物市町村ランキング」


■開催概要
観光庁では、令和5年度「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」において、 地域資源と地域食材の積極活用等により食の価値を高め、宿泊業の付加価値向上を進めると同時に、地域経済への裨益効果を増大させる取組のあり方について検証を実施いたしました。 
これにともない、本事業の取組内容を発表する事業成果報告会を開催することとなりました。 
観光産業関係者の皆様(宿泊事業者、自治体の観光部門担当者、DMO、観光協会、観光事業者)をはじめ、ご関心のあるすべての方のご参加をお待ちしております。
 
■日程
令和6年2月20日(火)15:00-17:00
■参加費
無料
■開催方式
オンライン(Zoom)

伝統製法「灰干し」が広げる地域の新たな「食」。和歌山県・和歌の浦で目指す記憶に残る絶景ロケーションダイニング

万葉の頃より愛される景勝地、和歌の浦の絶景を舞台に始まった「食」プロジェクト。

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。食の価値向上を目指すにあたり「文化財」「自然の風景地」「温泉その他の地域の観光資源」という3つの地域資源に焦点を当て実証先を検討し、「自然の風景地」をテーマとする実証先として、和歌山県和歌の浦地域が選定されました。

和歌の浦は、古くから和歌の聖地として和歌の神様が祀られ、多くの歌人たちがその美しさを詠ってきた由緒ある景勝地です。大阪から車や電車で1時間半ほど、今でも、穏やかな和歌山湾が目の前に広がる大パノラマの絶景に出会うことができます。平成29年には「絶景の宝庫 和歌の浦〜詠い継がれる、美しき風景として、文化庁が認定する「日本遺産」にも登録されました。

2023年夏、古来より人々の心を動かしてきた和歌の浦の絶景という資源を最大限に生かし、ダイナミックな地形が生み出す景観と地域の食を掛け合わせた、地域一体となるロケーションダイニングを開発するプロジェクトが立ち上がりました。

「和歌浦温泉 萬波MANPA RESORT」代表の坂口宗徳氏を中心に、和歌の浦観光協会、和歌浦漁業協同組合、地域の宿泊施設や飲食店が連携し、目指したのは新たな“和歌の浦ならでは”の食体験、この場所でしか出会うことのできないロケーションダイニングです。

おなじみの地域食材と伝統製法「灰干し」の掛け合わせが拓く、和歌の浦の新しい「食」。

和歌の浦地域は、雑賀崎漁港、和歌浦漁港、田ノ浦漁港という3つの漁港があり、地元では紀州「足赤えび」と呼ばれる希少な「クマエビ」のほか、「和歌しらす」の名で親しまれる和歌の浦で獲れるしらす、雑賀崎漁港名物の鱧や、高級魚のクエなど、地元で水揚げされる新鮮な魚介が豊富です。

漁港から直送される獲れたての新鮮な魚介はお造りなどで提供されることが多く、それはもちろん絶品で和歌の浦の誇る味でもあります。魅力的な旬の食材が豊富にあり、それらを生かしたメニューもあるものの、この地域ならではの「食体験」としての提案ができていないこと、そして、和歌の浦を代表する名物料理として際立ったキーディッシュがないことが、地域の抱える課題でありました。

こうした課題に対して、「絶景×食」という切り口で、食を楽しむシチュエーションも含めた体験的な価値として、“和歌の浦ならでは”の食を探るのが本プロジェクトの目標でした。

メンバーの話し合いの中で、和歌の浦の絶景と「屋外」での調理や食体験は親和性が高く、特にバーベキューのような火を使った調理は和歌の浦のロケーションを生かした工夫をさまざま考えられるのではないかと、「屋外」での取組への可能性が検討されていました。そこで一般的なバーベキューではなく、素材を引き立たせる火入れ技術である薪火・熾火調理に注目し、そのエキスパートである横浜の薪火ダイニング「SMOKE DOOR」に今回のプロジェクトのアドバイザーを依頼することとなりました。ロケーションを生かした調理ができ、さらにそれが素材の良さを引き立てる技術であることが和歌の浦地域の目指す方向性と非常に相性が良く、メニュー開発だけでなく調理技術についてもプロのレクチャーを受けることで、地域に新たな技が根付くことが期待されました。こうした経緯でタッグを組むこととなった「SMOKE DOOR」代表の雨宮 龍氏、シェフのタイラー・バージス氏、小出 浩史氏の強力なサポートのもと、地元の料理人たちとともに新たな“和歌の浦ならでは”のメニュー開発が進められました。

地元の方の協力により地域食材の洗い出しが行われ、それらの食材をより深く知るために「SMOKE DOOR」チームはさまざまな生産者のもとを訪れました。その中で特に注目したのが、地域に伝わる「灰干し」の製法です。和歌の浦に60年以上続く「灰干乾燥製法」による水産物の加工業者「西出水産」を訪れ、その工程を視察した際に大きな可能性を感じたといいます。

灰干しとは、高い吸湿性を持つ火山灰の中で魚を乾燥させる技法のこと。水分を通す特殊なセロファンで魚を包み、灰の中で空気と紫外線に触れさせずに水分を抜いていくため、魚を酸化させずに旨みと良質な脂を閉じ込めた鮮度の高い干物に仕上がります。和歌山県では江戸時代、紀州でさんま漁が盛んだったことから、古くからさんまは地域の食材として根付いており、いまでも「灰干しさんま」が特に親しまれています。そのほかにもアジ、鯖、鯛などいろいろな魚介の灰干し干物があり、地元でもなじみの深い食材です。天日干しされた干物と比べて、焼くと身がふっくらとやわらかく凝縮された良質の脂と旨みが口の中に広がります。

この、地元の人にとってはなじみ深く昔から大切に継承されてきた製法が、新たな和歌の浦の食を考えるキーとなりました。これまでは魚介を扱う技として発展してきた製法ですが、「SMOKE DOOR」チームが発案したのはその製法を肉で実践するというアイデアでした。
「西出水産さんからセロファンと火山灰を提供いただいて、灰の中に入れる時間などいろいろ試行錯誤を繰り返してみたのですが、予想以上の仕上がりになり驚きました。素材のみずみずしさを残したまま熟成を行うことができるので、焼き上げた時に表面はカリカリッと中はジューシーに、お肉の色もキレイに、まさに理想的な完璧な仕上がりでした。全国的に見ても灰干しのお肉を作っているところはあまりないので、これは“和歌の浦ならでは”のメニューになりうるのではないかと可能性を感じました」と「SMOKE DOOR」の雨宮氏は評価しました。

「こんな考え方もあるのかと勉強になった」と和歌の浦のホテルの料理長が振り返るように、“灰干し×肉”という組み合わせは、地域の方にとっても新鮮な視点でした。まだまだ考えられることがある、地元食材と改めて向き合い新しい価値を引き出していこうと、みなさんも大いに刺激を受けたといいます。さらに、和歌の浦の名産でもある高級魚クエを灰干しにしたことも今回の挑戦のひとつです。シェフたちと「西出水産」との協同により、干物を作る時よりも短めの時間で灰干ししたクエを使った一品も開発されました。

地域に元からある食材と製法を、これまでとは視点を変えて掛け合わせることによって、新しい地域の可能性が広がっていく。シェフの斬新な発想で、メニュー開発は加速しました。

記憶に残る食体験を。この場所で味わうからこその価値。

去る11月15日(水)17時30分より、美しい夕陽に照らされた和歌の浦の浜辺で、地域の関係者を招いて絶景ロケーションでのコースディナーをモニター体験する実証実験が行われました。
和歌の浦の海を一望できる高台に建つ「和歌浦温泉 萬波 MANPA RESORT」が旗を振り、建物横の県有地となっている蓬莱ビーチを会場にコーディネート。まずはロビーに和歌の浦地域の宿泊施設や飲食店、漁業関係者など30名ほどが集まりました。

1品目は「足赤エビのトースト」です。「足赤エビ」は正式には「クマエビ」と呼ばれる和歌の浦の名産品で、プリプリとした柔らかな身と甘みが特徴です。サクサク、ジュワ、プリプリ、ねっとり、さまざまな食感が口の中に広がります。足赤えびのトーストに合わせて選ばれたのが、和歌山の蔵元「平和酒造」の「紀土」です。地域の酒と食のペアリングを楽しむこともこのロケーションダイニングの狙いです。

その後、蓬莱ビーチにセッティングされたメイン会場へ移動します。静かな浜辺に焚き火のはぜる音が心地よく響くロケーションで、夕方から夜へと刻々と表情を変える和歌の浦の美しい風景も一緒に味わうダイニングがスタートしました。

2品目の、「梅素麺と灰干しクエ」は、和歌山名産の紀州梅が練り込まれたピンク色の梅素麺と、生食用に軽めに灰干ししたクエを合わせた一品です。梅の酸味がきいた素麺のさっぱりした味わいに、ほのかな塩味と甘みを感じるクエの美味しさが重なりあい美味しさが広がります。こちらのメニューに合わせたのがオリジナルのレモンサワー。15時間かけて香りづけしたスモーキーな木の香りが鼻に抜け、引き締まった灰干しクエの風味とぴったりのマリアージュが楽しめます。

3品目は「布引大根のサラダ 胡瓜、山椒、金山寺味噌」。江戸時代より続く大根の名産地である和歌の浦の布引地域で採れた大根を、生のまま、薪で焼いたもの、1週間薪の上で燻したものの3種類のかたちでサラダにした一皿です。パリパリとした食感や、スモーキーな香り、やわらかな歯応え、大根のさまざまな魅力が引き出されます。サラダに合わせるのはクラフトビール。1品目に合わせた地酒「紀土」を製造する蔵元「平和酒造」による「平和クラフト」のホワイトエール。2022年には、「World Beer Cup」で金賞に輝き世界一にもなったクラフトビールです。

4品目は「アワビの地中焼き、肝のソース」。砂浜に掘った穴の中に昆布締めしたアワビを詰め、その上に載せた鉄板の上で焚き火を燃やし、2時間蒸し焼きにして仕上げました。会場の焚き火の下で、エンターテイメント性を持たせながらメインディッシュが調理できるという工夫は、砂浜を会場にしたロケーションならではの演出です。砂浜から、しかも焚き火の下から、アワビが取り出される様子にゲストのみなさんも興味津々でした。蒸し焼きにしたアワビに濃厚な肝のソースがかかり、磯の香りとアワビの旨みを凝縮した贅沢なメニューにペアリングされたのは熱燗です。夜になり気温も下がってきた浜辺でいただくアワビと熱燗の相性は、言うまでもありません。

つづく5品目は、「灰干しにした紀州和華牛の熾火焼き、梅山椒、山葵、赤柚子胡椒」です。12時間灰干しした和歌の浦の和華牛を熾火焼きで火入れし、表面をカリッと中をジューシーに焼き上げたもの。熾火焼きとは、「SMOKE DOOR」チームが得意とする調理方法で、直火で焼き上げるのではなく、薪を焚いて作った炭の熾火を使い、うちわであおぎ温度調節をしながら火入れをしていく技です。カリカリの表面と、灰干しして乾燥熟成させた牛の旨みと脂がぎゅっと凝縮された柔らかな身のコントラストが格別な美味しさを引き出します。「和歌山湯浅ワイナリー」の赤ワイン「和 メルロー木樽 2022」をペアリングしました。

6品目は、「薪焼きシラス丼、鶏出汁」。和歌の浦名産のシラスを豪快に薪火焼きした香ばしくウッディーな香りのシラス丼は新鮮な味わいです。お好みで鶏の身から丸ごととった濃厚なお出汁をかけていただきます。

7品目はデザート「温州みかんプリン 柿」です。和歌山県はみかん、柿ともに生産量全国一位を誇ります(※1)。旬の果物のデザートでディナーは締めくくりとなりました。

和歌の浦が誇る食材を新鮮な視点で新たに捉え直すメニューと、和歌山のお酒のペアリングしたコースは、地域が育んできた様々な資源の魅力を再発見する食体験の提案となり、地元の方たちも一皿ごと新鮮な驚きを感じた様子でした。使われている食材やお酒について、テーブルの上での会話も弾みました。

和歌の浦湾をバックに夜の砂浜で行われたロケーションダイニングは、静かな波の音と薪のはぜる音を聞きながら、和歌の浦の新しい食体験を提案する試みとなりました。

「とても手応えを感じています。今日がはじまりとして、ひきつづき皆さんと一緒に継続して事業をブラッシュアップできればと思っています」と、プロジェクトを主導する「MANPA」代表の坂口宗徳氏は意欲を語ります。

1月18日(木)はこの日の参加者の方や地域の飲食店や宿泊施設の方が集まり、レシピ講習会が開催され、実際の作り方や食材の加工などをSMORK DOORチームに質問しながら、理解を深めていました。

和歌の浦のプロジェクトはまだ始まったばかり。今回行われたロケーションダイニングで提案されたエッセンスをヒントに、それぞれの施設が主体となり、独自のダイニングやメニューを企画・実践していくことが次なるフェーズです。

この日に提案された7品の料理と食体験を元に、たとえばアワビのソースをヒントにオリジナルのメニューを開発したり、灰干しを使った料理を展開したり、浜辺で行う地中焼きを別の素材に発展させたり……、今回の実証実験をきっかけに、オリジナリティ溢れる新たな和歌の浦の味、ロケーションダイニングが各所から生まれていくことが期待されます。

※1 「和歌山県 - 果実収穫量の全国順位一覧」


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Tokushima Tourism Information 徳島観光資料


Please download the documents for your reference.
Best regards,Tokushima Prefecture Tourism Association

Tourism Guide -観光案内-

Tokushima Presentation(中文繁体字)[PDF/15MB]

Hotel Guide -宿泊案内-

Tokushima Accommodation(徳島宿泊施設案内)[PDF/14MB]

Golf Guide -ゴルフ場-

Cycling Guide -サイクリング-

自行車王國德島 Go around 路線(中文繁体字)[PDF/2.8MB]

Train Guide -観光列車-

四國真中千年物語観光列車(中文繁体字)[PDF/3.3MB]

Educational Travel -教育旅行-

Tokushima Tourism Information 徳島観光資料


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Train Guide -観光列車-

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Educational Travel -教育旅行-

(予約)ウィップコードカーゴパンツ

商品詳細

  • ウィップコードを使ったシンプルなカーゴパンツ
  • ヒザの切り替えを入れず、シンプルに仕上げました
  • カーキとアーミーグリーンの2色展開

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 15:15:39

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ウィップコードカーゴパンツ

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  • 日本

納期

  • 9月ごろ
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(予約)カモフラージュ柄カーゴパンツ

商品詳細

  • バックサテン(サテンの裏使い)に反応でプリントをしたカーゴパンツ
  • ヒザの切り替えを入れず、シンプルに仕上げました
  • ダックハンターとタイガーストライプのカモフラージュ柄の2柄展開

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 8月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 15:13:02

商品詳細

  • バックサテン(サテンの裏使い)に反応でプリントをしたカーゴパンツ
  • ヒザの切り替えを入れず、シンプルに仕上げました
  • ダックハンターとタイガーストライプのカモフラージュ柄の2柄展開

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 8月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 15:13:02

商品詳細

  • バックサテン(サテンの裏使い)に反応でプリントをしたカーゴパンツ
  • ヒザの切り替えを入れず、シンプルに仕上げました
  • ダックハンターとタイガーストライプのカモフラージュ柄の2柄展開

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 8月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

カモフラージュ柄カーゴパンツ

商品詳細

  • バックサテン(サテンの裏使い)に反応でプリントをしたカーゴパンツ
  • ヒザの切り替えを入れず、シンプルに仕上げました
  • ダックハンターとタイガーストライプのカモフラージュ柄の2柄展開

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 8月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

(予約)ヘンリーネックスウェット

商品詳細

  • 裏起毛でアウターにも使えるヘンリーネックスウェット
  • 前たては布帛を使用
  • 裾はサイドスリット入り

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 15:01:19

商品詳細

  • 裏起毛でアウターにも使えるヘンリーネックスウェット
  • 前たては布帛を使用
  • 裾はサイドスリット入り

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 15:01:19

商品詳細

  • 裏起毛でアウターにも使えるヘンリーネックスウェット
  • 前たては布帛を使用
  • 裾はサイドスリット入り

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

ヘンリーネックスウェット

商品詳細

  • 裏起毛でアウターにも使えるヘンリーネックスウェット
  • 前たては布帛を使用
  • 裾はサイドスリット入り

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

(予約)ヘビージップアップスウェット

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップスウェット
  • ブラックボディに、ホワイトで背中と左胸にカタカナロゴをプリント
  • フードのないタイプなので、スッキリした着こなしにオススメ

素材

  • --

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 14:27:11

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップスウェット
  • ブラックボディに、ホワイトで背中と左胸にカタカナロゴをプリント
  • フードのないタイプなので、スッキリした着こなしにオススメ

素材

  • --

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 14:27:11

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップスウェット
  • ブラックボディに、ホワイトで背中と左胸にカタカナロゴをプリント
  • フードのないタイプなので、スッキリした着こなしにオススメ

素材

  • --

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

ヘビージップアップスウェット

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップスウェット
  • ブラックボディに、ホワイトで背中と左胸にカタカナロゴをプリント
  • フードのないタイプなので、スッキリした着こなしにオススメ

素材

  • --

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

(予約)ヘビージップアップパーカー

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ブラック一色展開
  • ブラックボディにブラックのプリントを施した大人なパーカー
  • リフレクタープリントではございません。

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 14:24:27

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ブラック一色展開
  • ブラックボディにブラックのプリントを施した大人なパーカー
  • リフレクタープリントではございません。

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

ヘビージップアップパーカー

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ブラック一色展開
  • ブラックボディにブラックのプリントを施した大人なパーカー
  • リフレクタープリントではございません。

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 14:22:47

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ホワイト・グリーン・ブラックの3色展開
  • ブラックのみサンプルがない為、イメージ画となります。

素材

  • 綿 100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

IRON HEART THE WORKS WEB 2024-02-11 14:22:47

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ホワイト・グリーン・ブラックの3色展開
  • ブラックのみサンプルがない為、イメージ画となります。

素材

  • 綿 100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

ヘビージップアップパーカー(バックプリント)

商品詳細

  • ヘビーオンススウェットのジップアップパーカー
  • ホワイト・グリーン・ブラックの3色展開
  • ブラックのみサンプルがない為、イメージ画となります。

素材

  • 綿 100%

生産国

  • 日本

納期

  • 9月ごろ
  • 生産状況によっては1,2ヶ月遅れる場合もございます。

UHFウエスタンシャツ-スラブーブラックチェック-

商品詳細

  • 経糸、緯糸共ににスラブ糸を使って織ったブラック系チェックのウエスタンシャツ
  • 厚みは11oz
  • 釦はグローブを付けたままでも留め外しのし易い、YKK社製パーメックス釦を使用(ジャケット類に多く用いられる釦)
  • 釦表面にはIRON HEARTの文字が刻印されています
  • 強度のあるヴィンテージシャツの縫製仕様に倣い、縫い合せは全て巻き縫い仕様
  • そのため、裏もロック目の無い綺麗な仕上がり
  • ワンウォッシュ済み
  • 転売不可 Proxy is prohibited

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
XS 69.5 40.0 103.0 98.0 63.0
S 71.0 42.0 107.0 102.0 63.0
M 72.5 44.0 111.0 106.0 64.5
L 74.0 46.0 115.0 110.0 66.0
XL 75.5 48.0 119.0 114.0 67.5
XXL 77.0 50.0 123.0 118.0 69.0
XXXL 78.5 52.0 127.0 122.0 70.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

ご注意:こちらの商品はサイズによって価格が異なります

  • XS~XL:¥27,000
  • XXL~XXXL:¥28,000

UHFワークシャツ-グリーンチェック-

商品詳細

  • 生地の表側を1回、裏側を2回しっかりと起毛させ、着た時の暖かみ感を重視した生地で作ったグリーン系チェック柄のワークシャツ
  • 強度のあるヴィンテージシャツの縫製仕様に倣い、縫い合せは全て巻き縫い仕様
  • そのため、裏もロック目の無い綺麗な仕上がり
  • ワンウォッシュ済み
  • 転売不可Proxy is prohibited

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
L-S 61.0 37.0 90.0 90.0 58.0
L-M 63.0 40.0 94.0 94.0 59.5
XS 69.0 40.5 104.0 98.0 63.0
S 70.5 42.5 108.0 102.0 63.0
M 72.0 44.5 112.0 106.0 64.5
L 73.5 46.5 116.0 110.0 66.0
XL 75.0 48.5 120.0 114.0 67.5
XXL 76.5 50.5 124.0 118.0 69.0
XXXL 78.0 52.5 128.0 122.0 70.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

ご注意:こちらの商品はサイズによって価格が異なります

  • XS~XL:¥26,000
  • XXL~XXXL:¥27,000

UHFウエスタンシャツ-ピンクラインチェック-

商品詳細

  • 今までとは違う糸を使って織ったフランネル生地で作ったピンクラインチェック柄のウエスタンシャツ
  • 厚みは9.6oz
  • 釦はグローブを付けたままでも留め外しのし易い、YKK社製パーメックス釦を使用(ジャケット類に多く用いられる釦)
  • 釦表面にはIRON HEARTの文字が刻印されています
  • 強度のあるヴィンテージシャツの縫製仕様に倣い、縫い合せは全て巻き縫い仕様
  • そのため、裏もロック目の無い綺麗な仕上がり
  • ワンウォッシュ済み
  • 転売不可 Proxy is prohibited

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
XS 70.5 40.0 103.0 97.0 63.0
S 72.0 42.0 107.0 101.0 63.0
M 73.5 44.0 111.0 105.0 64.5
L 75.0 46.0 115.0 109.0 66.0
XL 76.5 48.0 119.0 113.0 67.5
XXL 78.0 50.0 123.0 117.0 69.0
XXXL 79.5 52.0 127.0 121.0 70.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

ご注意:こちらの商品はサイズによって価格が異なります

  • XS~XL:¥27,000
  • XXL~XXXL:¥28,000