やるなら徹底的に。“好き”を突き詰める信濃大町の男たち。

教員と養蜂家の二足のわらじを履く奥原圭永氏。

 すべては「子どもたちに安全で栄養満点の蜂蜜を食べさせたい」という思いから。

長野県は北海道に次いで蜂蜜生産量全国2位。信濃大町でも古くから養蜂が行われています。理科や物理の教員として学校に勤務するかたわら、趣味として養蜂を続けてきた奥原圭永氏は、ミツバチへの愛情いっぱいにつくる蜂蜜が玄人はだしの品質と評判です。銀座『BAR GOYA』の山﨑剛氏は、高瀬川の河川敷に広がる奥原氏の養蜂園を訪ねました。

信州には蜂の子を食べる文化があります。奥原氏は幼少期から自然のクロスズメバチの巣を探し当てる蜂の子捕りに夢中になりました。そんなに蜂が好きなら養蜂をやったらいいと周りに勧められた奥原氏でしたが、「アブのような姿のミツバチには興味が持てなかった」時期が長く続きました。それが、子どもたちの成長に伴い、安全で美味しい蜂蜜を我が子に食べさせたいとミツバチを飼い始めました。シドニー五輪のマラソンで金メダルに輝いた高橋尚子選手の活躍がきっかけだったと振り返ります。

「蜂蜜を入れたスペシャルドリンクが高橋尚子さんのパワーの源だと聞き、うちの子どもたちにも蜂蜜を食べさせて、小柄な体格や体力のなさを克服できないかと考えたのです。それが、ミツバチを飼い始めたらもう可愛くって、ミツバチがいない暮らしをもはや想像できないほどになりました。ところで山﨑さんはミツバチを飼っていないんですか? なぜ飼わないんです?」と、本気とも冗談ともつかない質問を投げかけます。

奥原氏はバドミントンの指導者としても実績豊富。次女の希望さんは日本選手で初めて世界選手権を制し、リオ五輪のバドミントンで銅メダルに輝いた、あの奥原希望選手です。自家生産した蜂蜜はいつでもさっと補給できる一口サイズに梱包され、厳しい試合や練習を支える欠かせないアイテムとなりました。奥原家では砂糖を使うことはほとんどなく、料理の甘みにも蜂蜜を活用しているそうです。

「ははは。残念ながらまだミツバチは飼えていませんけど、銀座のビルの屋上で養蜂を行う『銀座ミツバチプロジェクト』のメンバーになっています。蜂蜜はカクテルにもよく使いますし、個人的にも大好きで、いつもおやつとしてペロペロ舐めているんですよ。蜂蜜はそもそも国産品は貴重ですよね。いろいろ食べてきましたが、同じ国産でも品質や美味しさにかなり差があると感じています」という山﨑氏。奥原氏特製のアカシア蜂蜜を味わい、その美味しさに唸ります。

「サラッとしているのに甘みも香りも強いですね。そのまま味わっても抜群に美味しいし、カクテルにもとても合っている蜂蜜です。一般的な養蜂と違いがあるんですか?」という山﨑氏の質問に、奥原氏は「最も大きな違いはミツバチに砂糖水ではなく蜂蜜をあげていること」と答えます。

ミツバチは花から蜜を集め、巣箱の中に蜂蜜を作ります。蜜を集められない冬場は、巣箱の中で冬眠することなく蓄えた蜂蜜を食べながら春の訪れを待ちます。春になると巣箱の蜂蜜は空になり、また蜜を集めて蜂蜜を作るというサイクルが繰り返されるわけですが、養蜂では冬を前に蜂蜜をすべて搾ってしまい、代わりに越冬用の食糧として砂糖水をあげます。奥原氏は、この時に砂糖水ではなく搾った蜂蜜の一部を戻してあげているそうです。

「養蜂家が売り物となる蜂蜜をミツバチにあげているようでは商売にならないよと言われます。だけど私はミツバチにも美味しい蜂蜜を食べさせたくて。それに春に砂糖水が少しでも残っていたら、その後にできるのは砂糖水混じりの蜂蜜になってしまいますよね。それがとても許せなくてね」と奥原氏は話します。美味しい蜂蜜を作りたいというプロ意識、そしてミツバチへの愛情がいっぱいにあふれています。

奥原氏が2年かけて原野を切り拓き、整備してきた養蜂園。雪の季節は自宅に作った小屋の中に移動させ、雪解けまで大切に管理する。

「ミツバチと一緒に暮らしたい」と老後の夢を熱く語る奥原氏。

 自然豊かな信濃大町で、理想の養蜂を実現する。

長野県での養蜂はツキノワグマとの闘いです。甘く品種改良されたフルーツでも、その糖度は20度程度。糖度80度以上にもなる蜂蜜は、自然界に生きるクマにとってはとんでもなく美味しいごちそうです。初めて巣箱がクマに襲撃された時、奥原氏は我を忘れるほど怒り狂ったと話します。

「巣箱が全部めちゃくちゃに荒らされて、ハチたちがパニックになっている惨状を見て頭にかっと血が上りましてね。クマを返り討ちに遭わせてやろうと、釘をたくさん刺したバットを持って木の上で待ち伏せしたんです。結局クマは現れなかったのですが、もしまた来ていたら私の命はなかったでしょうね。今考えてもバカだったと恐ろしくなるのですが。それくらい、ハチたちを愛しているということなんですよ」と、奥原氏はその温厚な人柄からは想像もつかない仰天エピソードを披露します。

学校やバドミントンの仕事で多忙を極める奥原氏が、自分で管理できるミツバチは10群(1群は女王蜂1匹と働き蜂数千匹が暮らす巣箱1箱)が限界だと言います。長年、理想的な養蜂を実現しようと模索してきた奥原氏は、2年前から河川敷の原野を借り、DIYで少しずつ整備してきました。道路や民家、畑から離れていて、近くに蜜源となる林がある好適地です。木を伐採して下草を刈り、沼地にダンプ100台分の砂を入れて整地しました。巣箱を置くエリアにクマが穴を掘って入って来ないように、伐採した木材をぐるりと地中に埋めています。さらに、ブルーシートで目隠しをし、電柵での防御も施しています。

「当初運び入れる砂はダンプ50台分の見積りでしたけど、倍の100台になったのには参りましたね。バックホー(ショベルが付いた重機)も3台買ってしまいましたし、重い巣箱を上げ下ろしできるパワーゲート付きトラックも必要で……退職金の半分をつぎ込んでしまいました。定年退職後も学校に頼み込まれて教員を続けているのですが、投資を回収していかないと妻に申し訳が立たないので、早く養蜂に専念したいです。ミツバチと暮らしていきたい。それが私の唯一の願いです」と奥原氏は話します。

「これからはミツバチのことだけやりましょ。奥原さんは学校の先生も、バドミントンも十分やりました。ミツバチと楽しく暮らして、この自然の中で育まれた美味しい蜂蜜を僕らに届けてください」と山﨑氏は答えました。
奥原氏は「そうですか? そうですよね。今度妻も定年退職を迎えるので、妻も退職金を私に投資してくれないかなと期待しているんですけどね、半分くらいね」と屈託のない笑顔を見せました。

巣箱のメンテナンスは、燻煙器で煙を吹きかけてミツバチたちを落ち着かせてから行う。山火事だと勘違いしたハチは巣箱内に避難して息を潜めるという説が有力だとか。

天敵であるスズメバチは常に巣箱を襲ってくる。奥原氏は巣箱の入り口に罠を仕掛けてスズメバチを捕獲する。

寒い時は蜂蜜を食べて筋肉を動かし、発熱して巣箱内の温度を上げる。密集するミツバチたちにやさしく触れると、ほんのり温かかった。

 自由奔放な発想と科学の力で生み出す次世代のハードサイダー。

今回の旅では、山﨑氏は信濃大町で生産者として活躍する熱い男たちに会いました。その締めくくりは、信州名産のリンゴを使った酒造りに取り組む孤高の醸造家です。

リンゴを原料にした発泡酒といえば「シードル」が有名です。イギリスなどの英語圏では同様のものを「サイダー」と呼ぶことが多いですが、日本ではアルコールの入っていない炭酸飲料を「サイダー」、アルコールが入っているリンゴの発泡酒を「ハードサイダー」と使い分けるのが一般的となっています。シードルは甘みが強いものが多いのに対し、ハードサイダーは辛口のビールのようなドライなテイストが特徴です。
日本の国産ハードサイダーを牽引する存在として近年頭角を表した醸造所が信濃大町にあります。2017年にプロジェクトを開始し、2019年に法人化された「サノバスミス」です。Son of the Smith(スミスの息子)という名前は、ハードサイダーの原料となる代表的なリンゴ品種であるグラニースミス(スミスおばあちゃん)に由来します。

サノバスミスは大町市の小澤果樹園と小諸市の宮嶋林檎園の両園主が共同設立者となり、醸造研究家である池内琢郎氏を醸造責任者に迎えて産声をあげました。アメリカ・ポートランドを旅した際に、街なかで親しまれているハードサイダーカルチャーの洗礼を受けた彼らは、食用リンゴの規格外品をお酒にするのではなく、サイダー専用品種を育て、栽培から醸造まで一貫した本格的なサイダー造りに乗り出したのです。

サノバスミスは2017年の初出荷以来、新商品を少量多品種で次々とリリースし続けていますが、どれも即完売の人気。その創造性の豊かさと開発スピードの速さは業界内外から注目の的となっています。
池内氏に現在の取り組みについて解説していただきました。同氏は信州大学大学院で有機化学を研究していた根っからの研究者。“ハカセ”の通称で親しまれています。

「日本酒酵母を使ったリンゴのハードサイダーも、自家栽培のホップを加えたハードサイダーもオリジナルです。ワイン同様にハードサイダーの味わいでは苦味成分であるタンニンがひとつのポイントになります。タンニンが出にくいリンゴ品種をホップの苦味で補ってはどうかという仮説から生まれたのが、ホップ入りハードサイダーです。海外のジャーナルや大手ビールメーカーの論文を読み、時間のかかる熟成ホップを短期間で作り上げることに成功し、その奥深い苦味と香りを加えました。僕は世界の論文を読みあさり、有用な技術を見つけ出しては組み合わせています。ちょうどいいレゴブロックをたくさん集めて組み立てる。そんなイメージでお酒を造っているんです」と池内氏は話します。

最新作のひとつである、プルーンを加えたハードサイダー「サノバスミス プラムヘイズ」を試飲しました。東信地方名産のプルーンは非常に上質ですが、生食で美味しく食べるには1週間程度しか日持ちしないことが難点となっています。その課題解決を目指して考案されたのがこの一杯です。

池内氏はタンクから直接注ぎ、「この泡、ビールみたいじゃないですか?」とグラスを見せます。なるほど白く美しい泡は、シードルやシャンパンのようにパチパチ弾けて消えるタイプではなく、ビールのそれのようにクリーミーでずっとこんもりと液の上にのっています。

一口飲んだ山﨑氏は、驚きと歓喜の表情に一変します。
「いやあ、まいった、これは旨い。ハードサイダーだけど、ビールのような泡の美味しさもある。ワインのような余韻も心地いい……僕は“うす長い”と表現するんですが、うっすらとしているけど確かな美味しさがずっと続く感覚。一流料亭のお出汁ってやさしいけれど、しっかりした旨さが持続して、また一口飲みたくなる。あんな感じです。複雑な造りですが、味はとても素直にすぅっと身体に沁み込んでいいきます。これはまったく新しいジャンルの飲み物ですね」

「このビールのような泡も、表面張力を弱めるなど科学的にコントロールしてつくることができます。野生酵母と市販酵母を共生発酵させていますが、科学的ロジックに基づけばそれほどむずかしいことではありません。僕はハードサイダーの醸造だけでなく、ワインも造るし、ランビック系乳酸菌(ベルギービールの代表的な野生酵母)も蒸留の技術も使います。言わば総合格闘技なんですよ。こちらのフルーツサイダーは、ハードサイダーとビール、白ワイン、日本酒の連立方程式のようなもの。いろんな技術は駆使しますが、美味しさが直線的にまとまるように設計しています。お酒のコンセプトが決まったら、これまでの知見をもとに基本的なレシピは頭の中で1分から10分くらいで完成します。10コくらいのレシピのパターンを直感的に挙げて、絞り込んでいくイメージですね。新商品を出すたびに斬新だと驚かれますが、自分にとってはどれも経験の延長上にある必然的な商品なんですよ」と池内氏はさらりと答えます。

「池内さんの知識が先を行き過ぎて、市場がついてこれてないでしょ(笑)。いやそれがサノバスミスの魅力になっているんでしょうね」と山﨑氏も感嘆の声を漏らします。

ウイスキー樽で寝かせたサノバスミスのハードサイダー。ウイスキーとサイダーの2種の相乗効果が楽しめる。

サノバスミスではグラニースミスやゴールデンラセットなどの醸造用品種のリンゴを原料に、シャープな味わいのモダンスタイルのハードサイダーを軸に造っている。

うどん工場をリフォームした醸造所は、すみずみまで清潔で、スタイリッシュ。

醸造に関連する研究を縦横無尽に行う池内氏は、必要な道具も自作する。こちらはお手製の減圧蒸留器。

サノバスミスのタップルームでお酒談義にふける山﨑氏と池内氏。

プルーンを加えたハードサイダー「サノバスミス プラムヘイズ」を味わう。文句なしに旨い。

 ワインの搾りかすで造るピケットで、新ジャンルのドリンクを。

実はここではほとんど割愛していますが、池内氏の説明には未知の単語や難解な数式などが怒濤の如く登場し、終始圧倒されました。理解が追いつかない部分も多いですが、醸造のプランや施されている技術が極めてロジカルであり、しっかりしたエビデンスに基づいていることに納得できます。「お酒もそうですが、池内さんが気になる。一体、何者なんですか(笑)?」と山﨑氏は疑問を投げかけます。

「もともとはお酒を造るつもりはなかったんですよ。」と池内氏。現在につながる「お酒×研究」の世界に入り込んだのは、日本学術振興会の二国間交流事業で南アフリカの大学へ留学した研究時代だったと話します。

「南アフリカ産の優秀なワインをごっそり買いこんで、研究者仲間でテイスティングしていました。例えば、同一地域のピノタージュのワインを10年分買って、毎年タンニン濃度が同じだと仮定して熟成による変質を測定します…分析に必要なのは上澄みだけですから、みんなで楽しく飲みながらディスカッションしたりして、これって最高の遊びじゃないですか? 日本に帰国してからも、同好の士が集まって日本酒やコーヒーでいろんな分析をして楽しんでいたんです。その時にサノバスミスを設立するふたりと出会い、ハードサイダーについて相談を受けたのが、現在の仕事をするきっかけです。アメリカに行ってハードサイダーについて勉強して、試験を受けて資格(2018年にOregon State University's Fermentation Science expertsのCider and Perry Production - A Foundationを取得)を取りました。自分が日本の「サイダー」の第一人者になれると考えてサノバスミスに本格的に参画し、その後、2021年にはイギリスで開催された「The International Cider Awards 2021」の審査員を務めたことで、その考えが実現しました」と池内氏は一気に経緯を話します。

「結局、ここでも好きな研究ができて、お酒を飲めて、最高じゃないですか」と山﨑氏が笑うと、「ですね」と池内氏。天職にたどり着いたようです。

ワインの近作も試飲させていただきました。出色は山梨の新品種・モンドブリエで造った白ワインの後に出る搾りかすを活用した「ピケットのパイメント」。池内氏は少なくとも日本での醸造例はないだろうと推測しています。通常は堆肥などに使われるか廃棄される搾りかすを原料に水を加え、再醗酵させて造る低アルコールのスパークリングワインが「ピケット」。「パイメント」とはブドウと蜂蜜を原料にした醸造酒のことで、ブドウの代わりにピケットを使っていることから「ピケットのパイメント」となるわけです。

「これ、いいですね、旨いですよ! 僕は好きですね」と山﨑氏は激賞します。「ナチュールのオレンジワインのようなビターな雰囲気があって、でも低アルコールで飲みやすい。ミントの香りが合いそう。葉っぱをポンッと叩いて浮かべたら、立派なカクテルですよ」と山﨑氏の言葉に、「そうなんですよ、実は菩提樹の蜂蜜を使っているから、ミントのような香りがごくわずかに入っているんです。これ、僕は低アルコールが見直されている今の時代に合っていて、いけると思っているんですけどね」と池内氏もうれしそうです。

さて、そんな気鋭の醸造家である池内氏にとって、信濃大町の水はどのように映っているのでしょう?

「水道水が20年、30年と地中で磨かれた水というのは、とても恵まれた環境です。僕の醸造では、天然水の美味しさを生かしてそのまま使っています。水質調整したらどんな水でもいいのではという人がいるかもしれませんが、元の水の品質は極めて重要です。信濃大町の水はクセがなく清冽そのもの。とてもいい水なんです」と池内氏は話します。

山﨑氏は静かに耳を傾けながら、信濃大町の天然水を使って醸されたピケットのパイメントをごくり。もうすぐ初雪が降りそうな信濃大町の夜は、静かに更けていきました。

上質な国産品は極めて珍しいとされるホップだが、サノバスミスでは自家栽培したものを使っている。奥深い苦味が得られる一級品だという。

ハードサイダーとは思えないクリーミーな泡に驚く。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

市場にもほぼ出回らない、奈良県産・古都華の奇跡。[和光アネックス/東京都中央区]

気品あふれるボトルは、贈答用としても人気。アペリティフやデザートワインとしてもお楽しみいただきたい。

WAKO ANNEX約60年の歴史と奈良に寄り添い続けた信用。そこから生まれた名酒。

奈良県奈良市の『泉屋』は、「御用聞きのプロフェッショナル」として、小回り、気配り、スピード感を最大の強みとして、地元のお客様をサポート。卸売・小売事業を通して信頼を築いてきました。その信頼を活かし、地域の酒ブランドも開発。奈良の酒の魅力を世界へ発信する取り組みも行なっています。そのひとつが「丹波ワイン 古都のあわ」。市場にもあまり出回らない名酒です。

奈良県産いちご「古都華」をふんだんに使用したいちごのスパークリングワインは、古都華の芳香な香りと甘みを十分に感じられ、まるで果実そのものを食べているかのような感覚。

大切な人と、はたまたパーティやハレの日に、お楽しみいただきたい。

常温でも保存できるため、管理も安心。飲む際は、ぜひ良く冷やしてからお召し上がりを。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

ワインの新たな銘醸地としてのポテンシャルを秘めた「大町テロワール」。

「Ferme36」のペティアンと白をいただく。石は畑から掘り起こされたもの。オーナーの矢野夫妻はこの石を眺めながら飲むのが好きなのだとか。

 大きな寒暖差が生み出す奥深い味わい。

信濃大町の平新郷地区から遠望する蓮華岳や爺ヶ岳の山並み。その雄大な景色に向かって「Ferme36(フェルムサンロク)」のブドウ畑は広がります。銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏は、年間出荷量約4,000本と少量ながら年々評判を高めているヴィニュロン(ブドウ栽培とワイン醸造を共に手掛ける人)を訪ねました。

「Ferme36」は矢野喜雄氏・久江氏夫妻による家族経営のワイナリーです。商品を紹介するカタログには、ヴィニロンとして夫妻の名前、その隣にはプチ・ヴィニロンとして、夫妻をよく手伝ってくれる息子の相達くんの名前が記載されています。“Ferme”はフランス語で農園を意味し、36は喜雄氏のお気に入りの数字。“山麓”とかけた造語であり、「親子3人で6人分働こう」という思いも込めているそうです。

夫妻は長年、栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」に勤め、ブドウ栽培とワイン醸造の両方の経験を積んできました。2014年に独立して大町市に移住し、理想のワイナリー「Ferme36」を少しずつ形にしてきました。現在、2ヘクタールの土地で約15種類のブドウを有機栽培し、5種のワインを造っています。ブドウ栽培から醸造、瓶詰めまでを行う、いわゆるドメーヌのワインはすべてナチュールワインに準じるブドウ栽培と醸造法を守り、病害予防の薬剤もEUで認証されたボルドー液を使うのみ。房を絞った果汁には酸化防止剤として一般的な亜硫酸は無添加もしくはごく微量の使用に限定。野生酵母の力で発酵させています。

ブドウを試食させてもらいます。シャルドネやメルロー、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン……。口にするたびに山﨑氏は感嘆の声を漏らします。
「これも旨い! ピノなんかめちゃくちゃ甘くて酸もしっかりある。僕はワインの仲間のシェリーというお酒の大会で日本一となりまして、本国スペインも何度も取材しているんですが、あちらではみんな『醸造用のブドウは美味しくない』と言っていましたけどね。矢野さんのブドウは食用ブドウとしてものすごく美味しい。これ、フレッシュカクテルに使ったら最高ですよ」

ブドウの美味しさの理由を矢野氏は分析します。
「このあたりは、夏でも冷涼な気候がブドウ栽培に向いていると言われています。それに加えて大きな寒暖差が影響しているでしょう。10月になると夜温がぐっと下がります。日中の最高気温は25℃くらいででも、夜間は10℃にまで下がることもざら。この15℃もの寒暖差は北海道よりも大きいと言われるほどで、この独特の気候のおかげで酸度をキープしながら糖度を高く追い込んでいけると考えています」

よく手入れされた「Ferme36」の畑。使用する薬剤はボルドー液のみであるため、そこここでさまざまな生き物が蠢く。

シャルドネは収穫の時を間近に控えていた。50年後も元気な樹であることを念頭に有機栽培に徹するが、病害虫の前にはいつも不安の連続。「有機には勇気が必要」と矢野夫妻は話す。

皮ごと発酵させるピノ・ノワールは、粒の選別を入念に行う。

「Ferme36」のワイン「Remerciements」。エチケットには、畑を見守るようにそびえる蓮華岳のシルエットがデザインされている。

「Ferme36」のオーナー、矢野夫妻と共に。「私たちが誰よりも自分たちのワインを飲んでいます(笑)。自分たちが飲みたいワインを造ろうと、ふたりで決めているんです」と久江氏。

 ミネラル豊富な土壌と、澄んだ味わいを生む天然水。

「このストイックな土壌もブドウによい影響をもたらしているでしょうね」と喜雄氏は続けます。
「うちの圃場は糸魚川-静岡構造線の西側に位置します。鹿島川が長い時間をかけて山から石を運び、広大な扇状地を作ってきた場所です。地面を15cmも掘ると、石がゴロゴロとある砂礫層になっているのがわかります。近くで行われた掘削調査によると、花崗岩が3割、火山岩が7割ミックスされた特徴的な土壌とのこと。そのような層が地下350mまで堆積しているそうです。ですから、ブドウ栽培に必要な水はけの良さは抜群で、かつミネラル成分も豊富。ブドウの樹が地中深くに根を伸ばしていくことで、ミネラル成分をより吸い上げ、奥深い味わいをもたらしてくれるものと思っています」

「Ferme36」のワインには「Remerciements(ルメルシマン)」と名付けられています。フランス語で“感謝”という意味で、作業を手伝ってくれる障がい福祉サービス事業所の人たちへの感謝の気持ち、偉大な自然への感謝の気持ちが、そこには込められています。
薄く雪を被った北アルプスの稜線が青空にくっきりと浮かび上がっています。BGMは発酵タンクに聴かせているモーツァルトの弦楽四重奏。この最高の環境で試飲させていただきます。
抜栓したのはロゼのペティアン(弱発泡性ワイン)。こちらは大町ぶどう生産組合から購入したブドウを使った、いわゆるネゴシアンのスタイルで造ったもの。ナチュールワインの方法で醸造しており、瓶内で二次発酵させ、おりもそのまま残しています。

「美味しいです、本当に。しっかりした果実味がありながら、すっきりドライ。微発泡のなめらかな舌触りも心地いいです。力強い発泡がずっと続いています。それにしてもキレイな色ですね」と山﨑氏が話すと、喜雄氏は「おりも混じっているので濁っていますよね」と返します。晴わたる空に透かしてみると……。
「これ、マイクロバブルのせいで少し濁ったように見えるんじゃないですか、ほら? 僕の師匠はサイドカーというカクテルで世界的に有名なんですが、彼はシェイクによってこんな感じのマイクロバブルを液体に溶け込ませることができるんです。その濁り方と似てます。シェリーにしてもワインにしても僕はおりにこそ旨味があると思っているんで、こんなふうにマイクロバブルとおりが混じっているのは最高。これはもう自然のカクテルですよ」と山﨑氏は笑います。

続けて試飲したのは、シャルドネの他8種類の自家栽培のブドウを使った白。印象的な香りがふわりと立ち上がります。
「ナッツ、ローステッドマロンのような香り。アタックはスッと穏やかに入ってきますが、ミッドパレットからフィニッシュにかけていろんな風味が口の中で踊ってくるようなイメージです。旨いです。とても深くて立体的な美味しさ。このモーツァルトのように、9種類のブドウの個性が調和していると言いますか……」と山﨑氏。

「それぞれのブドウで造ったワインを調合するのではなく、各ブドウの発酵段階でミックスしていきます。科学的根拠はないのですが、その方がブドウが助け合って調和するような気がするもので」と喜雄氏がプロセスについて話すと、山﨑氏はなるほどと頷きます。そして再び味わいながら、「とても複雑で奥行きがあるんですが、どちらも澄んだ味わいですよね。飲み飽きしない美味しさです」と、2本のワインの共通点を指摘します。

「みなさん“澄んでいる”とおっしゃいますね。それは大町の水のおかげだと思います。醸造工程で水を加えることはありませんが、ブドウ一粒一粒が蓄えた水が澄んでいるから、かと。他の地域でもワインを造ってきましたが、澄んだ印象になるのは水の違いが大きいと感じています」と喜雄氏は話します。

特有の土と水、気候が織りなす「大町テロワール」を体感する1杯と出合えました。

「それにしてもキレイな色ですね。ほらマイクロバブルが見えるでしょ」と山﨑氏。

白の複雑な香りと味わいを堪能する。

美しい山容がいつもそばに。夕刻、夕陽を受けた山肌が赤く染まる現象、アーベンロートを見ると、疲れも吹き飛ぶのだとか。

 農家を受け継ぎ、ブドウ栽培から一手に担う醸造家に。

信濃大町で、もうひとりのヴィニロンを訪ねました。黒部立山アルペンルートの起点である扇沢へ向かう幹線道路沿いにある「ノーザンアルプスヴィンヤード」の若林政起氏です。信濃大町で稲作やリンゴ栽培の農家に生まれた若林氏は、20代前半にいつしか自分の手でワインを造ってみたいという気持ちが強くなったと言います。当時、フランス料理店「タイユヴァン・ロブション」のソムリエとして活躍し、現在は「エスキス」の総支配人を務める従兄弟の若林英司氏にブルゴーニュのワインを飲ませてもらったのがきっかけでした。

「ワインの美味しさ、カルチャーの奥深さに衝撃を受けて、家業を引き継いでワインブドウ栽培にチャレンジしようと決心しました。ところが、ワイン醸造までやるには当時の見積もりで設備投資に数億円の試算になってしまい、あえなく断念することに。挫折して東京でプログラマーとして働いていましたが、醸造免許の規制緩和が進み次第に風向きが変わってきました。ブドウ農家の叔父に相談しながら再検討すると、なんとか自分でもできそうな道筋が見えてきました。2007年に母が亡くなったの契機に、2008年に父から畑を借りてシャルドネやメルローを植え始めたのです」と若林氏は話します。ブドウ栽培と同時に近くのワイナリーに勤務して醸造経験を積み、2011年に初めてブドウを収穫。そして、2013年には農業生産法人「ノーザンアルプスヴィンヤード」を設立します。クラウドファンディングでの資金調達に加えて国の6次産業化認定を受けるなど醸造環境を整備し、2016年に自家醸造ワインの初出荷に漕ぎ着けました。

以降、ワインは堅調に評価を高めていましたが、ピノ・ノワールのワインについての賛否両論が激しくなり、若林氏は苦悩します。

「うちはヨーロッパの伝統的な栽培法にはこだわっていないので、かなり個性的なブドウに育つんです。とりわけピノ・ノワールはかなり特徴的な仕上がりなので、そこがいいという派とダメという派に極端に分かれます。当初は気にせずにやっていたのですが、著名な評論家に叩かれたり、販売会のお客さんに面と向かって『まずい』と言われたりして、さすがにこたえて精神的に病んでしまいましてね。そんなところにコロナがやってきて、売り上げは3分の1に。人も雇えずとてもひとりでは手が回らないので、一部の畑は返し、ピノ・ノワールの樹はほったらかし状態です。もういろいろ嫌になっちゃって」と、内容は深刻ですが、若林氏はカラカラと笑って話します。

2022年からは、目が届く範囲でブドウ栽培を行い、一部の畑は樹のオーナー制度を採り入れてお客さんに管理や収穫を任せるなど、少しずつ立て直しを図っているそうです。

そんな若林氏に山﨑氏はいたく共感します。
「うちのお店もコロナの影響をモロに受けました。ピンチをチャンスに変えたいと思って、新たなビジネスとして築地でジュース屋を始めたし、マーケティングの勉強にも打ち込みました。助成金なども含めて自己投資に500万円はつかったでしょうね。でも、僕は根っからの職人で人に店を任せられる性格でもないのでうまくいきませんでした。カクテルの日本一を決める競技会のあとで燃え尽きて、2ヶ月間仕事を休みました。そこから原点に立ち返って削ぎ落としていき、今はコロナ以前よりもいい状態になれました。若林さんも、一度下がって上がる、これから上がるフェーズに入っているんだと思います。若林さんのワイン、飲ませてください!」

職業は違えど、「コロナはきつかったけど、自分を見つめ直す機会になりましたね」と共感するふたり。

シャルドネはブルゴーニュで生育された樹のクローンを丹念に育ててきた。

もともと樹が持っている個性が強く出ているというシャルドネは、信濃大町の冷涼な気候から来るシャブリのようなイメージとは真逆で、パイナップルのような南国を思わせる果実味が強い。

 禅を採り入れた日本だからこそのワイン造りを。

シャルドネをオークの古樽で熟成させた「オルター シャルドネ オーク」をいただきます。
「旨いですねえ。確かに意外性のあるトロピカルなフルーツの香り、白桃のような香りが印象的です。果実味とほどよい酸がとてもいいバランスですね」とひと口含んだ山﨑氏の顔はパッと明るくなりました。

そして、件のピノ・ノワールの最後の造りのワインもテイスティングすると……
「おお、これはすごい! 一般的にピノ・ノワールは飲みやすくて安心感がある味わいだと思うんですが、若林さんのピノはそのイメージを根底から覆しています。ものすごくスパイシーで、カシスの香りも強い。ブランデーのようなニュアンスもある。あと、なんだろう? 不思議と日本的な雰囲気も感じます。この土地の微生物の影響ですかね。めちゃくちゃ複雑でめちゃくちゃ個性的。これは唯一無二の美味しさです。僕は好きだなあ」と山﨑氏は絶賛します。

こちらは潰したブドウを無傷のブドウでふたをし、炭酸ガスの中に漬け込むセミ・マセラシン・カルボニック方式を独自にアレンジした方法で醸造されているそうです。
「天然酵母で造るにはどうすればよいかを考えて自分なりに編み出した方法です。醸造は弓矢をイメージしています。一般的な醸造法が照準器がたくさん付いた西洋のアーチェリーなら、自分がやりたい醸造法は日本の弓道。照準器もないごくシンプルな道具だけど、狙ったところにちゃんと当たる。道具の力で自然をコントロールするのではなく、自然の力をうまく利用して無理なくいい仕事をする。そんな醸造家になりたいと思っているんです」と若林氏は話します。

そして、話題は「ブドウ」から「武道」へ。

「弓道や合気道などの武道、茶道も華道も日本の“道”がつく伝統文化はどれも禅の思想と結び付いていますよね。私は日本でワイン造りをするなら、この禅を採り入れたいと考えるようになってきました。禅は削ぎ落とす引き算の世界観。筋力ではなく、むしろ脱力した無駄のない動きで信じられないほど大きな力を発揮します。達人ほど動きはゆっくり見えるけど作業は早く、仕事の精度も高い。今までは力に任せてガンガン働くのがいいと思い込んでいたけれど、禅の思想で、静かに立ち止まって、理にかなった動きでブドウ栽培も、醸造も自然体でやっていきたいと思っているんです」と若林氏は続けます。

「僕もバーテンダーの技能を高めようと、ジムでものすごくトレーニングして筋肉をつけたことがあるんです。だけど、その結果、カクテルのシェイクはなぜか遅くなってしまったし、フルーツカービングにも変な力が入って完成度は落ちてしまいました。それで、筋トレをやめて、逆にヨガで脱力する訓練を始めたら、自分でも驚くほどよく動けるようになったんです。若林さんの話、ものすごくよくわかりますね。僕もまさにそのプロセスを経てようやく納得できるカクテルが作れるようになってきたところですから」と山﨑氏は話します。

若林氏は、「なるようになる、なるようにしかならない」という境地に入り、2023年はトラウマとなったピノ・ノワールのワインも再開しようと思い始めているそうです。

またここにも、独自の道を追求する醸造家の姿がありました。

「ピノ・ノワール 2020」(左)と「オルター シャルドネ オーク」(右)。どちらも若林氏の人柄が感じられる個性豊かな味わい。

期せずして「禅」の話で盛り上がる。共に挫折を経験し、引き算と脱力という禅に通じる考え方で逆境を克服してきたふたりは、すぐさま意気投合した。

産み捨てられていた仔猫・タマちゃんがいつしか居ついた。人懐っこく、誰であっても膝に乗ってくる。孤軍奮闘する若林氏のよき理解者だ。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

ワインの新たな銘醸地としてのポテンシャルを秘めた「大町テロワール」。

「Ferme36」のペティアンと白をいただく。石は畑から掘り起こされたもの。オーナーの矢野夫妻はこの石を眺めながら飲むのが好きなのだとか。

 大きな寒暖差が生み出す奥深い味わい。

信濃大町の平新郷地区から遠望する蓮華岳や爺ヶ岳の山並み。その雄大な景色に向かって「Ferme36(フェルムサンロク)」のブドウ畑は広がります。銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏は、年間出荷量約4,000本と少量ながら年々評判を高めているヴィニュロン(ブドウ栽培とワイン醸造を共に手掛ける人)を訪ねました。

「Ferme36」は矢野喜雄氏・久江氏夫妻による家族経営のワイナリーです。商品を紹介するカタログには、ヴィニロンとして夫妻の名前、その隣にはプチ・ヴィニロンとして、夫妻をよく手伝ってくれる息子の相達くんの名前が記載されています。“Ferme”はフランス語で農園を意味し、36は喜雄氏のお気に入りの数字。“山麓”とかけた造語であり、「親子3人で6人分働こう」という思いも込めているそうです。

夫妻は長年、栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」に勤め、ブドウ栽培とワイン醸造の両方の経験を積んできました。2014年に独立して大町市に移住し、理想のワイナリー「Ferme36」を少しずつ形にしてきました。現在、2ヘクタールの土地で約15種類のブドウを有機栽培し、5種のワインを造っています。ブドウ栽培から醸造、瓶詰めまでを行う、いわゆるドメーヌのワインはすべてナチュールワインに準じるブドウ栽培と醸造法を守り、病害予防の薬剤もEUで認証されたボルドー液を使うのみ。房を絞った果汁には酸化防止剤として一般的な亜硫酸は無添加もしくはごく微量の使用に限定。野生酵母の力で発酵させています。

ブドウを試食させてもらいます。シャルドネやメルロー、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン……。口にするたびに山﨑氏は感嘆の声を漏らします。
「これも旨い! ピノなんかめちゃくちゃ甘くて酸もしっかりある。僕はワインの仲間のシェリーというお酒の大会で日本一となりまして、本国スペインも何度も取材しているんですが、あちらではみんな『醸造用のブドウは美味しくない』と言っていましたけどね。矢野さんのブドウは食用ブドウとしてものすごく美味しい。これ、フレッシュカクテルに使ったら最高ですよ」

ブドウの美味しさの理由を矢野氏は分析します。
「このあたりは、夏でも冷涼な気候がブドウ栽培に向いていると言われています。それに加えて大きな寒暖差が影響しているでしょう。10月になると夜温がぐっと下がります。日中の最高気温は25℃くらいででも、夜間は10℃にまで下がることもざら。この15℃もの寒暖差は北海道よりも大きいと言われるほどで、この独特の気候のおかげで酸度をキープしながら糖度を高く追い込んでいけると考えています」

よく手入れされた「Ferme36」の畑。使用する薬剤はボルドー液のみであるため、そこここでさまざまな生き物が蠢く。

シャルドネは収穫の時を間近に控えていた。50年後も元気な樹であることを念頭に有機栽培に徹するが、病害虫の前にはいつも不安の連続。「有機には勇気が必要」と矢野夫妻は話す。

皮ごと発酵させるピノ・ノワールは、粒の選別を入念に行う。

「Ferme36」のワイン「Remerciements」。エチケットには、畑を見守るようにそびえる蓮華岳のシルエットがデザインされている。

「Ferme36」のオーナー、矢野夫妻と共に。「私たちが誰よりも自分たちのワインを飲んでいます(笑)。自分たちが飲みたいワインを造ろうと、ふたりで決めているんです」と久江氏。

 ミネラル豊富な土壌と、澄んだ味わいを生む天然水。

「このストイックな土壌もブドウによい影響をもたらしているでしょうね」と喜雄氏は続けます。
「うちの圃場は糸魚川-静岡構造線の西側に位置します。鹿島川が長い時間をかけて山から石を運び、広大な扇状地を作ってきた場所です。地面を15cmも掘ると、石がゴロゴロとある砂礫層になっているのがわかります。近くで行われた掘削調査によると、花崗岩が3割、火山岩が7割ミックスされた特徴的な土壌とのこと。そのような層が地下350mまで堆積しているそうです。ですから、ブドウ栽培に必要な水はけの良さは抜群で、かつミネラル成分も豊富。ブドウの樹が地中深くに根を伸ばしていくことで、ミネラル成分をより吸い上げ、奥深い味わいをもたらしてくれるものと思っています」

「Ferme36」のワインには「Remerciements(ルメルシマン)」と名付けられています。フランス語で“感謝”という意味で、作業を手伝ってくれる障がい福祉サービス事業所の人たちへの感謝の気持ち、偉大な自然への感謝の気持ちが、そこには込められています。
薄く雪を被った北アルプスの稜線が青空にくっきりと浮かび上がっています。BGMは発酵タンクに聴かせているモーツァルトの弦楽四重奏。この最高の環境で試飲させていただきます。
抜栓したのはロゼのペティアン(弱発泡性ワイン)。こちらは大町ぶどう生産組合から購入したブドウを使った、いわゆるネゴシアンのスタイルで造ったもの。ナチュールワインの方法で醸造しており、瓶内で二次発酵させ、おりもそのまま残しています。

「美味しいです、本当に。しっかりした果実味がありながら、すっきりドライ。微発泡のなめらかな舌触りも心地いいです。力強い発泡がずっと続いています。それにしてもキレイな色ですね」と山﨑氏が話すと、喜雄氏は「おりも混じっているので濁っていますよね」と返します。晴わたる空に透かしてみると……。
「これ、マイクロバブルのせいで少し濁ったように見えるんじゃないですか、ほら? 僕の師匠はサイドカーというカクテルで世界的に有名なんですが、彼はシェイクによってこんな感じのマイクロバブルを液体に溶け込ませることができるんです。その濁り方と似てます。シェリーにしてもワインにしても僕はおりにこそ旨味があると思っているんで、こんなふうにマイクロバブルとおりが混じっているのは最高。これはもう自然のカクテルですよ」と山﨑氏は笑います。

続けて試飲したのは、シャルドネの他8種類の自家栽培のブドウを使った白。印象的な香りがふわりと立ち上がります。
「ナッツ、ローステッドマロンのような香り。アタックはスッと穏やかに入ってきますが、ミッドパレットからフィニッシュにかけていろんな風味が口の中で踊ってくるようなイメージです。旨いです。とても深くて立体的な美味しさ。このモーツァルトのように、9種類のブドウの個性が調和していると言いますか……」と山﨑氏。

「それぞれのブドウで造ったワインを調合するのではなく、各ブドウの発酵段階でミックスしていきます。科学的根拠はないのですが、その方がブドウが助け合って調和するような気がするもので」と喜雄氏がプロセスについて話すと、山﨑氏はなるほどと頷きます。そして再び味わいながら、「とても複雑で奥行きがあるんですが、どちらも澄んだ味わいですよね。飲み飽きしない美味しさです」と、2本のワインの共通点を指摘します。

「みなさん“澄んでいる”とおっしゃいますね。それは大町の水のおかげだと思います。醸造工程で水を加えることはありませんが、ブドウ一粒一粒が蓄えた水が澄んでいるから、かと。他の地域でもワインを造ってきましたが、澄んだ印象になるのは水の違いが大きいと感じています」と喜雄氏は話します。

特有の土と水、気候が織りなす「大町テロワール」を体感する1杯と出合えました。

「それにしてもキレイな色ですね。ほらマイクロバブルが見えるでしょ」と山﨑氏。

白の複雑な香りと味わいを堪能する。

美しい山容がいつもそばに。夕刻、夕陽を受けた山肌が赤く染まる現象、アーベンロートを見ると、疲れも吹き飛ぶのだとか。

 農家を受け継ぎ、ブドウ栽培から一手に担う醸造家に。

信濃大町で、もうひとりのヴィニロンを訪ねました。黒部立山アルペンルートの起点である扇沢へ向かう幹線道路沿いにある「ノーザンアルプスヴィンヤード」の若林政起氏です。信濃大町で稲作やリンゴ栽培の農家に生まれた若林氏は、20代前半にいつしか自分の手でワインを造ってみたいという気持ちが強くなったと言います。当時、フランス料理店「タイユヴァン・ロブション」のソムリエとして活躍し、現在は「エスキス」の総支配人を務める従兄弟の若林英司氏にブルゴーニュのワインを飲ませてもらったのがきっかけでした。

「ワインの美味しさ、カルチャーの奥深さに衝撃を受けて、家業を引き継いでワインブドウ栽培にチャレンジしようと決心しました。ところが、ワイン醸造までやるには当時の見積もりで設備投資に数億円の試算になってしまい、あえなく断念することに。挫折して東京でプログラマーとして働いていましたが、醸造免許の規制緩和が進み次第に風向きが変わってきました。ブドウ農家の叔父に相談しながら再検討すると、なんとか自分でもできそうな道筋が見えてきました。2007年に母が亡くなったの契機に、2008年に父から畑を借りてシャルドネやメルローを植え始めたのです」と若林氏は話します。ブドウ栽培と同時に近くのワイナリーに勤務して醸造経験を積み、2011年に初めてブドウを収穫。そして、2013年には農業生産法人「ノーザンアルプスヴィンヤード」を設立します。クラウドファンディングでの資金調達に加えて国の6次産業化認定を受けるなど醸造環境を整備し、2016年に自家醸造ワインの初出荷に漕ぎ着けました。

以降、ワインは堅調に評価を高めていましたが、ピノ・ノワールのワインについての賛否両論が激しくなり、若林氏は苦悩します。

「うちはヨーロッパの伝統的な栽培法にはこだわっていないので、かなり個性的なブドウに育つんです。とりわけピノ・ノワールはかなり特徴的な仕上がりなので、そこがいいという派とダメという派に極端に分かれます。当初は気にせずにやっていたのですが、著名な評論家に叩かれたり、販売会のお客さんに面と向かって『まずい』と言われたりして、さすがにこたえて精神的に病んでしまいましてね。そんなところにコロナがやってきて、売り上げは3分の1に。人も雇えずとてもひとりでは手が回らないので、一部の畑は返し、ピノ・ノワールの樹はほったらかし状態です。もういろいろ嫌になっちゃって」と、内容は深刻ですが、若林氏はカラカラと笑って話します。

2022年からは、目が届く範囲でブドウ栽培を行い、一部の畑は樹のオーナー制度を採り入れてお客さんに管理や収穫を任せるなど、少しずつ立て直しを図っているそうです。

そんな若林氏に山﨑氏はいたく共感します。
「うちのお店もコロナの影響をモロに受けました。ピンチをチャンスに変えたいと思って、新たなビジネスとして築地でジュース屋を始めたし、マーケティングの勉強にも打ち込みました。助成金なども含めて自己投資に500万円はつかったでしょうね。でも、僕は根っからの職人で人に店を任せられる性格でもないのでうまくいきませんでした。カクテルの日本一を決める競技会のあとで燃え尽きて、2ヶ月間仕事を休みました。そこから原点に立ち返って削ぎ落としていき、今はコロナ以前よりもいい状態になれました。若林さんも、一度下がって上がる、これから上がるフェーズに入っているんだと思います。若林さんのワイン、飲ませてください!」

職業は違えど、「コロナはきつかったけど、自分を見つめ直す機会になりましたね」と共感するふたり。

シャルドネはブルゴーニュで生育された樹のクローンを丹念に育ててきた。

もともと樹が持っている個性が強く出ているというシャルドネは、信濃大町の冷涼な気候から来るシャブリのようなイメージとは真逆で、パイナップルのような南国を思わせる果実味が強い。

 禅を採り入れた日本だからこそのワイン造りを。

シャルドネをオークの古樽で熟成させた「オルター シャルドネ オーク」をいただきます。
「旨いですねえ。確かに意外性のあるトロピカルなフルーツの香り、白桃のような香りが印象的です。果実味とほどよい酸がとてもいいバランスですね」とひと口含んだ山﨑氏の顔はパッと明るくなりました。

そして、件のピノ・ノワールの最後の造りのワインもテイスティングすると……
「おお、これはすごい! 一般的にピノ・ノワールは飲みやすくて安心感がある味わいだと思うんですが、若林さんのピノはそのイメージを根底から覆しています。ものすごくスパイシーで、カシスの香りも強い。ブランデーのようなニュアンスもある。あと、なんだろう? 不思議と日本的な雰囲気も感じます。この土地の微生物の影響ですかね。めちゃくちゃ複雑でめちゃくちゃ個性的。これは唯一無二の美味しさです。僕は好きだなあ」と山﨑氏は絶賛します。

こちらは潰したブドウを無傷のブドウでふたをし、炭酸ガスの中に漬け込むセミ・マセラシン・カルボニック方式を独自にアレンジした方法で醸造されているそうです。
「天然酵母で造るにはどうすればよいかを考えて自分なりに編み出した方法です。醸造は弓矢をイメージしています。一般的な醸造法が照準器がたくさん付いた西洋のアーチェリーなら、自分がやりたい醸造法は日本の弓道。照準器もないごくシンプルな道具だけど、狙ったところにちゃんと当たる。道具の力で自然をコントロールするのではなく、自然の力をうまく利用して無理なくいい仕事をする。そんな醸造家になりたいと思っているんです」と若林氏は話します。

そして、話題は「ブドウ」から「武道」へ。

「弓道や合気道などの武道、茶道も華道も日本の“道”がつく伝統文化はどれも禅の思想と結び付いていますよね。私は日本でワイン造りをするなら、この禅を採り入れたいと考えるようになってきました。禅は削ぎ落とす引き算の世界観。筋力ではなく、むしろ脱力した無駄のない動きで信じられないほど大きな力を発揮します。達人ほど動きはゆっくり見えるけど作業は早く、仕事の精度も高い。今までは力に任せてガンガン働くのがいいと思い込んでいたけれど、禅の思想で、静かに立ち止まって、理にかなった動きでブドウ栽培も、醸造も自然体でやっていきたいと思っているんです」と若林氏は続けます。

「僕もバーテンダーの技能を高めようと、ジムでものすごくトレーニングして筋肉をつけたことがあるんです。だけど、その結果、カクテルのシェイクはなぜか遅くなってしまったし、フルーツカービングにも変な力が入って完成度は落ちてしまいました。それで、筋トレをやめて、逆にヨガで脱力する訓練を始めたら、自分でも驚くほどよく動けるようになったんです。若林さんの話、ものすごくよくわかりますね。僕もまさにそのプロセスを経てようやく納得できるカクテルが作れるようになってきたところですから」と山﨑氏は話します。

若林氏は、「なるようになる、なるようにしかならない」という境地に入り、2023年はトラウマとなったピノ・ノワールのワインも再開しようと思い始めているそうです。

またここにも、独自の道を追求する醸造家の姿がありました。

「ピノ・ノワール 2020」(左)と「オルター シャルドネ オーク」(右)。どちらも若林氏の人柄が感じられる個性豊かな味わい。

期せずして「禅」の話で盛り上がる。共に挫折を経験し、引き算と脱力という禅に通じる考え方で逆境を克服してきたふたりは、すぐさま意気投合した。

産み捨てられていた仔猫・タマちゃんがいつしか居ついた。人懐っこく、誰であっても膝に乗ってくる。孤軍奮闘する若林氏のよき理解者だ。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

プロフェッショナルの審査員を唸らせる料理。夢を抱かせる料理が勝利を導く。

約3年ぶりに来日を果たしたフィリップ・ミル氏。自身も『ボキューズ・ドール』出場経験を持つ。「24ヵ国の審査員を驚かせ、納得させ、夢を抱かせるような料理でなければ勝てない」と大会を分析する。

Bocuse d’Or 2023口の中を躍らせるような味を見つけることが大切。それは、軽やかで、生きた味。

仏・シャンパーニュ地方に位置するドメーヌ・クレイエールの三ツ星レストラン『レ・クレイエール』のシェフを務めるフィリップ・ミル氏。38歳にして『M.O.F』(フランス国家最優秀職人章)を獲得し、フランス料理界を牽引する存在として知られます。2017年3月、株式会社ひらまつと提携し、世界で唯一自身の名を冠するレストランを『東京ミッドタウン』にオープンしました。そんなフィリップ氏は、コロナ禍を経て、約3年ぶりに来日。

実は、自身もフランス代表として2008年『ボキューズ・ドール』へ出場経験を持つ。そんなフィリップ氏が、大会の意義や日本のフランス料理界への想い、そして2023年出場シェフである石井友之氏へのエールまでを語ります。

「『ボキューズ・ドール』の意義は、ガストロノミーを進化させていくためのものだと思います。一人ひとりの料理の技術を競う、いわば料理のワールドカップのようなものですが、各国がそれぞれ持つ、異なるフィロソフィーや技術、ノウハウを磨き上げていく場でもあります」とフィリップ氏は言います。

前述、自身が出場した時の結果は3位でした。コンクールが進むにつれ、困難が待ち受け、「楽しむことは難しかったです」と言いながら、「山を登るようなスリリングな感覚は忘れられません」と振り返ります。そして、「いつか再び挑戦できるのならぜひチャレンジしたい」とも続けます。なぜなら「常にチャレンジ精神を持ち続けることが自分を駆り立てているものだから」。柔和な表情とは裏腹に見せるアグレッシブな側面は、トップシェフであり続ける資質でもあるのでしょう。

まだ優勝できていない日本が勝つためには何が必要であるのか。単刀直入に問います。

「コンクールは自分自身との戦いではありますが、当然相手がいるわけで、その相手に勝つためには、味が一番重要だと思います」と、予想以上にストレートな答えが返ってきました。

「口の中を躍らせるような味を見つけることが大切です。同時に、軽やかで生きている味でなければなりません」というフィリップ氏の答えは、美味しいとは何かという深遠な問いに対する答えのようです。

「単純に腕のいいシェフというだけではダメなのです。それはもう皆そうですから。その先を行かなければなりません。この大会は後ろを見てはダメなのです。前だけを見て進化し、プロフェッショナルである審査員を驚かせ、夢を抱かせるようなものでなければならないのです。24か国の審査員を納得させるには、どういった料理をなぜ選んだのかという明快なコンセプトが不可欠。そしてそれを引き立たせる技術も必要です」とも。それを体現するためにはどれだけの努力と閃きが必要なのであろうかと考えると気が遠くなります。

残念ながら日本にはまだ『ボキューズ・ドール』が充分に普及しているとは言えませんが、普及している国としていない国との違いをフィリップ氏はどう考えるか。まず、「普及のためには、国を含めた組織の力も大変に大きい」と言います。『ボキューズ・ドール』が普及している国では、相対的に予算も潤沢にあり、『ボキューズ・ドール』のためのチーム、組織が出来上がっているそうです。

「今は、北欧勢が上位を占めていますが、20年ほど前までは、強豪国ではありませんでした。それが、元候補者代表シェフがコーチとなって、チームを指導していくというシステムががっちりできてからは俄然強くなりました。日本にいまひとつ普及していないのは、メディアや広報の役割だけでなく、毎回毎回新しいチームで挑んできたというのもひとつの要因。代々知恵や技術を受け継いでいくことが必要だと思います。日本が上位にくるようになれば、おのずと知名度も普及していくと思います」と説きます。

今回のチームジャパンでは、初めて、これまでの候補者たちの経験をひとつに結集したチームが作られています。そうした意味からも、2023年大会の結果は本当に楽しみです。

「石井シェフには、コンクールの料理を自分自身のものにしてほしい。素材、調理法、全てにおいて、自分にウソをつかないことが何より大切」とエールを贈る。

Bocuse d’Or 2023自分は他の23人とは違う。それくらいの気概と自信を持って臨んでほしい。

フランスでは、『ボキューズ・ドール』の入賞者には、多くの扉が開かれています。多くの入賞者の中にはエリゼ宮のシェフになっているものも、また、多くの3つ星シェフも輩出しています。また、フランスには『M.O.F.』のように、職人に対する社会保障制度もあります。これは、料理人にとって、とてもやりがいのあることです。

「日本でもぜひ、国を挙げて、コンクールを立ち上げるなり、『M.O.F.』の制度のようなものができるといいですね。料理技術は国家の財産ですから」。とは言え、「日本のフランス料理業界全体としては、すごく進化していると思う」というのが、フィリップ氏の見解。

「20代の頃に日本から修業にきていた人たちとは、その後、連絡はとれなくなってしまいましたが、おそらく彼らは模倣のようなものを作っていたと思います。しかし、その弟子、そのまた弟子と、次第に自らのクリエイテビティを確立して、今や、世界の中でも日本は大きな存在感を示しています。先日の『パテ・アンクルート』(フランスの伝統的なシャルキュトリ、パテ・クルートのファルス・詰め物の構成、パテ全体の見た目、カットした断面の美しさ、味・le goûtを競う大会)でも日本人が優勝しましたし、今年初めて日本人で『ガストロノミー “ジョエル・ロブション”』の関谷健一郎シェフが『M.O.F.』(国家最優秀職人 Meilleur ouvrier de France)を獲得しました。日本のフランス料理はそこまできているのですから、『ボキューズ・ドール』での入賞もあと一歩だと思います」。

実は、この取材前日にフィリップ氏は、石井友之シェフの作品を試食。それを振り返り、率直に見解を述べます。

「コンクールの料理を自分自身のものにしてほしい。素材にしても調理法にしても自分にウソをつかないことが何より大切。自分の持てるものすべてを出すことです。自分は他の23人とは違う、それくらいの気概と自信を持って臨んでほしい。まだ、現段階では、味がどことなく遠慮しているように感じました。食べた時に正直驚きがなかったのです。怖がらずに自分を解放し、ぜひ殻を破って突き抜けた味を見つけてほしいです」。

フィリップ氏からのエールで石井氏がさらに発奮することを祈ります。

取材中、自身の拳をぎゅっと握るシーンが多く見られたフィリップ氏。当時を回想してか、大会の重みと緊張感が伝わる。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

よりパンを美味しく。北の大地から生まれたハンドメイドジャム。[和光アネックス/東京都中央区]

デザインも可愛らしい「北海道いちごバタージャム」。濃厚な味わいは、虜になるひと多数。ギフトにもお勧め。

WAKO ANNEX北海道産いちご100%使用のジャム。味の決め手は、酪農王国北海道のバター。

食材の宝庫・北海道の岩見沢にある『白亜ダイシン』は、1964年創業の食品メーカー。2003年より「NORTH FARM STOCK」を運営し、様々なオリジナルブランドを展開しています。

旬の食材を活かした品々は、食を通して四季を楽しめ、この時期のお勧めは「北海道いちごバタージャム」。

いちごは、年間を通した作業から生まれます。オフシーズンには古い株の除去や土壌整備を行い、オンシーズンに入るとハウスの温度調整・管理から肥料濃度の管理、害虫駆除、摘果まで栽培が続きます。一年間、丹精を込めて手間と時間をかけて育てたいちごだからこそ、ジャムになっても美味。果物が持つ爽やかな香りと酸味が失われることなく、贅沢にいただけます。

そして、そのジャムの旨味に奥ゆかしさをプラスしてくれるのがバター。広大な北海道はバターの名産地でもあり、自然の中でストレスなく育つ牛は、良質なミルクを提供してくれます。

そんな北海道産いちごと北海道産バターを100%使用したハンドメイドジャムは、食べるたび、食欲をそそります。濃厚でコクのあるバターとフレッシュで爽やかな酸味のいちごは、パンはもちろん、クラッカーやクッキー、アイスクリームと一緒にぜひ。たっぷり塗って、かけて、お楽しみください。

いちごの風味がしっかりと香るハンドメイドジャム。滑らかで良質な北海道バターをたっぷり使うことでコクが生まれ、パンとの相性は抜群。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

知る人ぞ知る屈指のフルーツ王国・大町市に実る、珠玉の果物たち。

本格稼働1年目のイチゴ農園「すえひろファーム」を視察する山﨑剛氏。

 夏秋イチゴのイメージを覆す、濃くて力強い信濃大町のイチゴ。

バーテンダーの仕事にお酒と水は欠かせませんが、それに並ぶ重要な素材にフルーツがあります。銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏がめぐる信濃大町の旅は、この日、フルーツがテーマとなりました。信濃大町は夏でも冷涼で、昼夜の寒暖差が大きい気候であることから、さまざまな果物が実るフルーツ王国となっています。

まず向かったのは、2022年7月に開業したばかりの「すえひろファーム」。夏から秋にかけて収穫する夏秋(かしゅう)イチゴの栽培に取り組んでいます。

育てているのはサマーリリカルという品種5800株。収穫は6月に始まり、霜が降りる11月いっぱいくらいまで続けられます。訪れた11月終わりにも、たくさんの真っ赤な実がなっていました。ひとつを頬張ってみると……。
「濃いですね。おお、これは美味しい! フレッシュな野菜っぽいニュアンスもあって、濃いけどいくらでも食べられる。この野菜っぽいニュアンスは時間が経つと土っぽさになってくるんですが、さすがに採れたてのいい野菜感があって、イチゴらしい美味しさですね。正直、夏秋イチゴは味が薄いイメージがありましたが、冬のイチゴにもまったく引けととらない旨さです」と山﨑氏は驚きます。

試験栽培を含めてまだ2期目の収穫ですが、長野の他地域も含めた夏秋イチゴの中でも評判は上々だと飯森明社長は話します。
「いまだ試行錯誤中ですが、うちで工夫しているのは、まずは土。独自に椰子殻をブレンドして柔らかな土に仕上げています。そして、小まめな管理。毎日株の様子を見ながら、水やりの量を調節し、液肥の配合を変え、機械による自動投入以外にも必要に応じて手作業で液肥をかけています。あとは、やはり水の違いは大きいと思います。冷たく澄んだ天然水が、力強い美味しさのベースになっているんでしょうね」

「うちのバーでは、イチゴをシャンパンと合わせたり、ラムでカクテルを作ったりすることが多いですね。カクテルで使うには、イチゴは味の濃さが必須。これだけしっかりした風味のイチゴなら抜群のカクテルになりますよ、間違いなく」と山﨑氏は太鼓判を押します。

「すえひろファーム」の母体は地元の建設会社。信濃大町の休耕地の有効活用を模索し、農業に特化した子会社が設立されたそうです。
「この地域には、スノボにはまって移住してくる若者が大勢いますが、その多くが季節雇用のアルバイトでなんとか生計を立てている状態。休耕地を減らして、自然豊かなこの大町らしい産物をつくり出しながら、若者が活躍できる雇用も創出したい。そんな思いからこの農園はつくられました。若い子たちが愛情を込めて育ててくれている、自慢のイチゴなんです。自分で言うのも何ですが、どこよりも旨いですよ」と飯森社長に笑顔がこぼれました。

美しく色づいたサマーリリカル。

採れたての風味をチェックする山﨑氏。「濃い。それでいて後味あすっきりしているから、また食べたくなる味ですね」

「信濃大町の自然環境を生かして、若者たちと付加価値の高い次世代の農業に取り組んでいきたい」と「すえひろファーム」の飯森明社長。

果実が同士が触れ合わないように工夫されたパッケージで大切に出荷される。

イチゴの果実と特製のイチゴソースをたっぷり使った「すえひろファーム」のアイスクリームデザート。「こんなんズルいわ!」と思わずツッコミを入れる旨さ。

 独自に追求した垣根方式の栽培が生み出す絶品のブドウ。

山﨑氏のお気に入りのフルーツにブドウがあります。シャインマスカットなど風味に優れたブドウはカクテルの格好の素材。皮ごとすりつぶして皮と実との間の旨味もお酒の中に閉じ込めるそうです。

近年、独自の栽培方法で県内外から注目を集めている信濃大町のブドウ農家「福嶋葡萄研究所」を訪ねました。代表の福嶋博幸氏が案内してくれます。

冷たい天然水が勢いよく流れる水路の左右に、福嶋さんの約120アールの圃場が広がります。もともとは家業として水稲栽培を行なっていましたが、福島氏が脱サラして家業に入るのを機にブドウ栽培へと転換しました。福嶋氏はほぼ独学で土作りからすべてを変えていきました。水はけが良くなるように土を入れ替え、5mおきに水抜き用の孔を設けました。生食用のブドウ栽培は天井に枝を這わせる棚方式が一般的ですが、福嶋氏は通常は醸造用ブドウ栽培で採られる垣根方式を採用。上向きの作業よりも、座りながらの作業も可能な垣根方式の方が省力化を図ることができため、持続性を重視したこれからの農業にふさわしいと考えたからだそうです。

「ブドウ栽培の先輩たちみんなに『そんなやり方じゃうまくいかない』と散々言われたましたが、私は失敗する可能性は1%たりとも考えませんでしたね。今考えると恐ろしいことですが(笑)。なぜかこっちの方がいいと確信して突き進んでしまいました。結果的に、この垣根方式は木を密集させてたくさん育てつつ、日光を効率良く当てることができ、ブドウは色良く、糖度も高く仕上がりました。そうなると、みなさん手のひらを返して視察に来てくれるようになりましたね」と福嶋氏と笑います。

現在、福嶋氏は、クイーンニーナ、シャインマスカット、ピオーネ、ナガノパープツ、そして長野県が開発した新品種のクイーンルージュの5種の葡萄を栽培しています。味は完成し、あとは色が付くのを数日待つだけとなったクイーンニーナをいただきました。2011年に品種登録された比較的新しい品種で、栽培が難しいことから、あまり市場にも出回っていません。
「クイーンニーナは僕も大好きなブドウです。あ、旨いですね。こちらのものは果肉のハリが良くて、みずみずしい。こういう繊細な美味しさのフルーツは個性のあるお酒と合わせるとせっかくの本来の風味が壊れてしまうので、僕ならクセのないプレミアムウォッカを使います。上質なウォッカは果物の風味をグッと持ち上げてくれるんです」と山﨑氏は、早くも創作意欲を刺激されているようです。

「全国でも大町が最も収穫時期が遅いのではないでしょうか」と福嶋氏が話すシャインマスカットも、もぎたてを試食します。
「ハハハ、これは旨い! ピカイチのシャインマスカットです」と山﨑氏は絶賛します。
「マスカット香も際立っていて、甘みだけでなく、全体的な力強さがある。福島さんのパワフルな人柄がそのまま現れています。それでいてジンの中にあるボタニカルな微妙なニュアンスも感じられます。これでカクテルを作ったら間違いない。自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ旨くてびっくりしますよ。ブドウをそのまま食べるより、美味しさを別次元にまで引き上げられるのがカクテルのいいところ。素材が良ければ僕らはすごくいい仕事ができるんですが、逆に言えば、いくら技術があっても素材には敵わない。この素晴らしいブドウを作っている本人、福嶋さんにぜひ飲んでほしいなあ」と山﨑氏。

やはりお酒には目がないという福嶋氏も、どんなふうにカクテルにするのかと質問に声を弾ませていました。

クイーンニーナは皮が薄く、中にはジューシーかつハリのある果肉が詰まっている。

垣根方式のブドウ畑は、果実が目線の高さになるため作業の負荷が低く、効率も良い。日光もまんべんなく当てることができる。

あとは赤く着色を待つのみとなったクイーンニーナ。今食べても味は抜群にいい。

2018年に木の新植を開始して本格就農した「福嶋葡萄研究所」代表の福嶋博幸氏。「このブドウもまた旨いんですよ」と作物への愛情いっぱいに案内してくれる。

ブドウ好きの中でもファンが多いピオーネ。あえて皮ごと食べると、ブドウらしい奥深い味わいを楽しめる。

信濃大町のふるさと納税の返礼品で人気ナンバー1となっているシャインマスカット。鮮烈な美味しさ。

 しっかりと硬くて、酸味と甘みのバランスが絶妙な信濃大町のリンゴ。

信濃大町のフルーツと言って欠かせないのがリンゴ。例年、大町市の桜が満開になるのは、やはりリンゴの名産地として知られる青森県弘前市と同じ時期だそうで、この地がリンゴ栽培に適した気候であることがわかります。

峯村農園は稲作と並んで果樹栽培に力を入れる農園で、リンゴをはじめ、西洋梨、プラム、カシスなどを栽培しています。訪れた日は、秋映(あきばえ)などのリンゴの収穫作業の真っ只中。たわわに実る樹を前に、「どれでも好きなの、もいで食べていいよ」という園主の峯村忠志氏の言葉に甘えて、よく色づいたリンゴを選んでいただきます。

山﨑氏がもいだのは、手のひらに収まるくらいに小ぶりなシナノピッコロ。バリっと小気味良い音を立ててかじった山﨑氏は「味が濃い」と目を丸くします。
「小さいから酸っぱいのかと想像しましたけど、しっかり甘い。酸と甘みのバランスがいいですね」

続けて、秋映、シナノゴールド、シナノスイートの3種を試食します。これらの長野県オリジナルの品種は“シナノ三兄弟”と呼ばれています。
「甘さの印象ではシナノスイートが突出していますね。めちゃくちゃ甘くて美味しい。シナノゴールドはシナノスイートに比べると甘みが少し穏やかで、代わりに酸が加わって、より濃厚なリンゴというイメージです。僕は秋映が好きですね。酸がしっかりあって、ほのかな渋みもある。バランスが絶妙。それにしても、どれも食感が抜群にいい! 実が締まっていて硬い果実ですね。パリッと心地いい」

「しっかりした硬さと酸味のある濃い味が大町のリンゴの特徴だと思います」と峯村氏は話します。
「リンゴが古くなって柔らかくなることをこのあたりでは“ボケる”と言うんですが、大町のリンゴはボケにくいとも言われますね。この畑は標高760mで、リンゴを栽培するには高め。寒暖差も大きいので色づきもよく、かなり早く収穫できます。害虫が少ないのも栽培には好都合です。冷たくてきれいな水、そして、北アルプスから吹きおろす冷たい風が、リンゴを硬くて酸味と甘みのバランスがほどよい状態に仕上げくれるんだと思います」

さらに、試験栽培を始めたばかりの新品種・ハニールージュもいただきました。このリンゴはなんと、皮だけでなく中の果肉も真っ赤。まるで赤カブのようです。山﨑氏はこのハニールージュがいたく気に入った様子。
「お、これは旨い! かなり酸が強く、甘みよりも酸っぱさが際立つ味。これ、おつまみにいいですよ。少し胡椒を振ってもいいですし、乳製品と合わせても、味的にも紅白の色的にも良さそうですね。調理向きのリンゴだと思います。カクテルの世界ではリンゴはすぐに酸化して変色してしまうので、実はあまり使われないフルーツ。でも、この赤色と酸味を生かしてカクテルにするのもおもしろい。バーテンダーとして創造力を刺激される素材です」

バーテンダーの競技会では、リンゴのフルーツカービングが必須科目であるケースも少なくないそうです。山﨑氏は日々のトレーニングで日本全国のリンゴを数えきれないほど刻み、そして味わってきたと言います。
「正直、リンゴは一級品を人一倍食べてきたつもり。……でも、今日いただいたリンゴが一番ですね。お世辞抜きに」と山﨑氏はしみじみ話しました。

「どれでも食べて」と「峯村農園」の峯村忠志氏。このあと、どれも美味しすぎて、食べまくる。

新品種ハニールージュに感動する山﨑氏。「バーのおつまみにしたい!」

中まで真っ赤なハニールージュ。味はちゃんとリンゴ。

原材料はハニールージュとグラニュー糖のみ。リンゴが持つペクチンの作用で凝固する峯村農園特製の「アップルハニー」は、爽やかな香りのハチミツといった印象。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

知る人ぞ知る屈指のフルーツ王国・大町市に実る、珠玉の果物たち。

本格稼働1年目のイチゴ農園「すえひろファーム」を視察する山﨑剛氏。

 夏秋イチゴのイメージを覆す、濃くて力強い信濃大町のイチゴ。

バーテンダーの仕事にお酒と水は欠かせませんが、それに並ぶ重要な素材にフルーツがあります。銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏がめぐる信濃大町の旅は、この日、フルーツがテーマとなりました。信濃大町は夏でも冷涼で、昼夜の寒暖差が大きい気候であることから、さまざまな果物が実るフルーツ王国となっています。

まず向かったのは、2022年7月に開業したばかりの「すえひろファーム」。夏から秋にかけて収穫する夏秋(かしゅう)イチゴの栽培に取り組んでいます。

育てているのはサマーリリカルという品種5800株。収穫は6月に始まり、霜が降りる11月いっぱいくらいまで続けられます。訪れた11月終わりにも、たくさんの真っ赤な実がなっていました。ひとつを頬張ってみると……。
「濃いですね。おお、これは美味しい! フレッシュな野菜っぽいニュアンスもあって、濃いけどいくらでも食べられる。この野菜っぽいニュアンスは時間が経つと土っぽさになってくるんですが、さすがに採れたてのいい野菜感があって、イチゴらしい美味しさですね。正直、夏秋イチゴは味が薄いイメージがありましたが、冬のイチゴにもまったく引けととらない旨さです」と山﨑氏は驚きます。

試験栽培を含めてまだ2期目の収穫ですが、長野の他地域も含めた夏秋イチゴの中でも評判は上々だと飯森明社長は話します。
「いまだ試行錯誤中ですが、うちで工夫しているのは、まずは土。独自に椰子殻をブレンドして柔らかな土に仕上げています。そして、小まめな管理。毎日株の様子を見ながら、水やりの量を調節し、液肥の配合を変え、機械による自動投入以外にも必要に応じて手作業で液肥をかけています。あとは、やはり水の違いは大きいと思います。冷たく澄んだ天然水が、力強い美味しさのベースになっているんでしょうね」

「うちのバーでは、イチゴをシャンパンと合わせたり、ラムでカクテルを作ったりすることが多いですね。カクテルで使うには、イチゴは味の濃さが必須。これだけしっかりした風味のイチゴなら抜群のカクテルになりますよ、間違いなく」と山﨑氏は太鼓判を押します。

「すえひろファーム」の母体は地元の建設会社。信濃大町の休耕地の有効活用を模索し、農業に特化した子会社が設立されたそうです。
「この地域には、スノボにはまって移住してくる若者が大勢いますが、その多くが季節雇用のアルバイトでなんとか生計を立てている状態。休耕地を減らして、自然豊かなこの大町らしい産物をつくり出しながら、若者が活躍できる雇用も創出したい。そんな思いからこの農園はつくられました。若い子たちが愛情を込めて育ててくれている、自慢のイチゴなんです。自分で言うのも何ですが、どこよりも旨いですよ」と飯森社長に笑顔がこぼれました。

美しく色づいたサマーリリカル。

採れたての風味をチェックする山﨑氏。「濃い。それでいて後味あすっきりしているから、また食べたくなる味ですね」

「信濃大町の自然環境を生かして、若者たちと付加価値の高い次世代の農業に取り組んでいきたい」と「すえひろファーム」の飯森明社長。

果実が同士が触れ合わないように工夫されたパッケージで大切に出荷される。

イチゴの果実と特製のイチゴソースをたっぷり使った「すえひろファーム」のアイスクリームデザート。「こんなんズルいわ!」と思わずツッコミを入れる旨さ。

 独自に追求した垣根方式の栽培が生み出す絶品のブドウ。

山﨑氏のお気に入りのフルーツにブドウがあります。シャインマスカットなど風味に優れたブドウはカクテルの格好の素材。皮ごとすりつぶして皮と実との間の旨味もお酒の中に閉じ込めるそうです。

近年、独自の栽培方法で県内外から注目を集めている信濃大町のブドウ農家「福嶋葡萄研究所」を訪ねました。代表の福嶋博幸氏が案内してくれます。

冷たい天然水が勢いよく流れる水路の左右に、福嶋さんの約120アールの圃場が広がります。もともとは家業として水稲栽培を行なっていましたが、福島氏が脱サラして家業に入るのを機にブドウ栽培へと転換しました。福嶋氏はほぼ独学で土作りからすべてを変えていきました。水はけが良くなるように土を入れ替え、5mおきに水抜き用の孔を設けました。生食用のブドウ栽培は天井に枝を這わせる棚方式が一般的ですが、福嶋氏は通常は醸造用ブドウ栽培で採られる垣根方式を採用。上向きの作業よりも、座りながらの作業も可能な垣根方式の方が省力化を図ることができため、持続性を重視したこれからの農業にふさわしいと考えたからだそうです。

「ブドウ栽培の先輩たちみんなに『そんなやり方じゃうまくいかない』と散々言われたましたが、私は失敗する可能性は1%たりとも考えませんでしたね。今考えると恐ろしいことですが(笑)。なぜかこっちの方がいいと確信して突き進んでしまいました。結果的に、この垣根方式は木を密集させてたくさん育てつつ、日光を効率良く当てることができ、ブドウは色良く、糖度も高く仕上がりました。そうなると、みなさん手のひらを返して視察に来てくれるようになりましたね」と福嶋氏と笑います。

現在、福嶋氏は、クイーンニーナ、シャインマスカット、ピオーネ、ナガノパープツ、そして長野県が開発した新品種のクイーンルージュの5種の葡萄を栽培しています。味は完成し、あとは色が付くのを数日待つだけとなったクイーンニーナをいただきました。2011年に品種登録された比較的新しい品種で、栽培が難しいことから、あまり市場にも出回っていません。
「クイーンニーナは僕も大好きなブドウです。あ、旨いですね。こちらのものは果肉のハリが良くて、みずみずしい。こういう繊細な美味しさのフルーツは個性のあるお酒と合わせるとせっかくの本来の風味が壊れてしまうので、僕ならクセのないプレミアムウォッカを使います。上質なウォッカは果物の風味をグッと持ち上げてくれるんです」と山﨑氏は、早くも創作意欲を刺激されているようです。

「全国でも大町が最も収穫時期が遅いのではないでしょうか」と福嶋氏が話すシャインマスカットも、もぎたてを試食します。
「ハハハ、これは旨い! ピカイチのシャインマスカットです」と山﨑氏は絶賛します。
「マスカット香も際立っていて、甘みだけでなく、全体的な力強さがある。福島さんのパワフルな人柄がそのまま現れています。それでいてジンの中にあるボタニカルな微妙なニュアンスも感じられます。これでカクテルを作ったら間違いない。自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ旨くてびっくりしますよ。ブドウをそのまま食べるより、美味しさを別次元にまで引き上げられるのがカクテルのいいところ。素材が良ければ僕らはすごくいい仕事ができるんですが、逆に言えば、いくら技術があっても素材には敵わない。この素晴らしいブドウを作っている本人、福嶋さんにぜひ飲んでほしいなあ」と山﨑氏。

やはりお酒には目がないという福嶋氏も、どんなふうにカクテルにするのかと質問に声を弾ませていました。

クイーンニーナは皮が薄く、中にはジューシーかつハリのある果肉が詰まっている。

垣根方式のブドウ畑は、果実が目線の高さになるため作業の負荷が低く、効率も良い。日光もまんべんなく当てることができる。

あとは赤く着色を待つのみとなったクイーンニーナ。今食べても味は抜群にいい。

2018年に木の新植を開始して本格就農した「福嶋葡萄研究所」代表の福嶋博幸氏。「このブドウもまた旨いんですよ」と作物への愛情いっぱいに案内してくれる。

ブドウ好きの中でもファンが多いピオーネ。あえて皮ごと食べると、ブドウらしい奥深い味わいを楽しめる。

信濃大町のふるさと納税の返礼品で人気ナンバー1となっているシャインマスカット。鮮烈な美味しさ。

 しっかりと硬くて、酸味と甘みのバランスが絶妙な信濃大町のリンゴ。

信濃大町のフルーツと言って欠かせないのがリンゴ。例年、大町市の桜が満開になるのは、やはりリンゴの名産地として知られる青森県弘前市と同じ時期だそうで、この地がリンゴ栽培に適した気候であることがわかります。

峯村農園は稲作と並んで果樹栽培に力を入れる農園で、リンゴをはじめ、西洋梨、プラム、カシスなどを栽培しています。訪れた日は、秋映(あきばえ)などのリンゴの収穫作業の真っ只中。たわわに実る樹を前に、「どれでも好きなの、もいで食べていいよ」という園主の峯村忠志氏の言葉に甘えて、よく色づいたリンゴを選んでいただきます。

山﨑氏がもいだのは、手のひらに収まるくらいに小ぶりなシナノピッコロ。バリっと小気味良い音を立ててかじった山﨑氏は「味が濃い」と目を丸くします。
「小さいから酸っぱいのかと想像しましたけど、しっかり甘い。酸と甘みのバランスがいいですね」

続けて、秋映、シナノゴールド、シナノスイートの3種を試食します。これらの長野県オリジナルの品種は“シナノ三兄弟”と呼ばれています。
「甘さの印象ではシナノスイートが突出していますね。めちゃくちゃ甘くて美味しい。シナノゴールドはシナノスイートに比べると甘みが少し穏やかで、代わりに酸が加わって、より濃厚なリンゴというイメージです。僕は秋映が好きですね。酸がしっかりあって、ほのかな渋みもある。バランスが絶妙。それにしても、どれも食感が抜群にいい! 実が締まっていて硬い果実ですね。パリッと心地いい」

「しっかりした硬さと酸味のある濃い味が大町のリンゴの特徴だと思います」と峯村氏は話します。
「リンゴが古くなって柔らかくなることをこのあたりでは“ボケる”と言うんですが、大町のリンゴはボケにくいとも言われますね。この畑は標高760mで、リンゴを栽培するには高め。寒暖差も大きいので色づきもよく、かなり早く収穫できます。害虫が少ないのも栽培には好都合です。冷たくてきれいな水、そして、北アルプスから吹きおろす冷たい風が、リンゴを硬くて酸味と甘みのバランスがほどよい状態に仕上げくれるんだと思います」

さらに、試験栽培を始めたばかりの新品種・ハニールージュもいただきました。このリンゴはなんと、皮だけでなく中の果肉も真っ赤。まるで赤カブのようです。山﨑氏はこのハニールージュがいたく気に入った様子。
「お、これは旨い! かなり酸が強く、甘みよりも酸っぱさが際立つ味。これ、おつまみにいいですよ。少し胡椒を振ってもいいですし、乳製品と合わせても、味的にも紅白の色的にも良さそうですね。調理向きのリンゴだと思います。カクテルの世界ではリンゴはすぐに酸化して変色してしまうので、実はあまり使われないフルーツ。でも、この赤色と酸味を生かしてカクテルにするのもおもしろい。バーテンダーとして創造力を刺激される素材です」

バーテンダーの競技会では、リンゴのフルーツカービングが必須科目であるケースも少なくないそうです。山﨑氏は日々のトレーニングで日本全国のリンゴを数えきれないほど刻み、そして味わってきたと言います。
「正直、リンゴは一級品を人一倍食べてきたつもり。……でも、今日いただいたリンゴが一番ですね。お世辞抜きに」と山﨑氏はしみじみ話しました。

「どれでも食べて」と「峯村農園」の峯村忠志氏。このあと、どれも美味しすぎて、食べまくる。

新品種ハニールージュに感動する山﨑氏。「バーのおつまみにしたい!」

中まで真っ赤なハニールージュ。味はちゃんとリンゴ。

原材料はハニールージュとグラニュー糖のみ。リンゴが持つペクチンの作用で凝固する峯村農園特製の「アップルハニー」は、爽やかな香りのハチミツといった印象。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

いちご王国栃木が誇る、スカイベリー100%ジュース。[和光アネックス/東京都中央区]

「大きさ、美しさ、美味しさ」の全てが大空に届くような素晴らしいいちごになるようにとの願いが込められ、名付けられたスカイベリー。栃木県にある百名山のひとつ、「皇海山(すかいさん)」にもちなんでいる。

WAKO ANNEX味・見た目・大きさ。三拍子揃った奇跡のいちご。

自社加工所を建設し、全ての生産から加工、販売まで行っている、栃木県小山市の『新日本農業』。その名の通り、先祖代々より地域の農業と農地を守る活動をし続けています。

今回ご紹介する品は、自社栽培しているスッキリ甘いジューシーないちご、スカイベリーを使用した100%無添加のジュース「Sky Berry Drops」。

原材料のスカイベリーは、1本(360ml)あたり、約800gも含まれ、余計なものを一切使用していないため、いちご本来の美味しさを感じることができます。加えて、一般的に100%のジュースと言えば、ドロっと濁ったものが多いですが、「Sky Berry Drops」は、製造過程に工夫をし、ロゼワインのように透き通った美しい見た目を実現。

また、収穫期間中の農薬使用量を大幅に削減し、衛生管理にも徹底して生産していることも特筆すべき点です。その中から、極めて大きく、美しい円すい果形、明るく色鮮やかな果色と光沢を備えた果実のみを厳選。甘味と酸味のバランスが良く、まろやかでジューシーな食感と独特の芳香は、ジュースにおいても感じることができます。

ストレートはもちろん、牛乳や甘酒、炭酸水、お酒の割物としても美味。離乳食のお子様や高齢者様にも安心して楽しめます。

お好みに合わせ、ぜひご賞味あれ。

栃木県は、いちご王国と呼ばれるほど、いちごの名産地。そこで17年もの歳月をかけて誕生したスカイベリーを使用した100%のジュースは、透き通った色味とサラリとしたテクスチャーが特徴。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

日本は勝てる、石井シェフは勝てる、そう信じている。私たちは、そのためのサポーター。

ネスレネスプレッソ株式会社 代表取締役社長ピエール・デュバイル氏()とボキューズ・ドール2023 日本代表 石井友之氏()。初対面のふたりだが、感性が共鳴し、一気に距離が縮まる。

Bocuse d’Or 2023本質に向き合う『ボキューズ・ドールJAPAN』を支援することは、私たちにとって自然のことだった。

常に最高の品質を追求すると同時に、サステナビリティへの配慮に注力する世界的コーヒーブランド『ネスプレッソ』。実は、ガストロノミーの最高峰を目指す『ボキューズ・ドールJAPAN』の支援もしています。ボキューズ・ドール フランス本部を長きにわたり支援してきたネスプレッソは、日本においても2015年より支援を開始。今回は、在日3年目に入る代表取締役社長ピエール・デュバイル氏と2023年1月にフランス・リヨンで開催する『第19回 ボキューズ・ドール国際料理コンクール』に日本代表として出場する石井友之氏が初対面を果たします。

「フランスは以前よりネスプレッソにとって重要なマーケットです。そして、高品質のコーヒーの提供にこだわってきた私たちにとって、ガストロノミーは常にビジネスの成長を導くカギとなるもので、ネスプレッソとガストロノミーは密接に関係しています。ですから、当然敬意を持ってボキューズ・ドール フランス本部の支援を続けてきましたし、私たちはグローバルな組織ですので、その後、各国でローカルチームをサポートさせて頂くようにもなりました。日本は特に多くの優秀なシェフが存在して、そのシェフ達のフランスとの繋がりも深い。日本が重要な存在であることは説明するまでもなく、私たちネスプレッソがボキューズ・ドール JAPANを支援させて頂くようになったのは自然な事でした。『ネスプレッソ』は、1986年の発売以来、カプセル式コーヒー市場のパイオニアとして、常に革新的かつ創造的な活動と卓越した技術の追求を大切にしてきました。それは、まさに『ボキューズ・ドール』の目指すところと一致すると思うのです。また同時に、サステナビリティに配慮しながら、質の高い食や飲料を創造する情熱にも共鳴しています」とピエール氏は言います。

「『ボキューズ・ドール』においても、SDGsを軸に取り組みが進んでいます。事例を挙げると、まず一つは、女性シェフや女性のコミ(アシスタント) の活躍する場を増やそうと、取り組みが各国に広まり、特にこの2~3年は女性の代表選手の積極的な参加が増えてきました。また、フードロスに対しては厳格な審査があり、
厳しい評価を受けるので、私たちのレストランでも普段から意識的に取り組んでいます」と石井シェフも返します。

「料理の審査は科学的に正確に判定できるものではないので、審査員にどう評価を受けるか難しい部分もありますね。ですが、日本選手は才能や技術などに溢れ、優勝に必要な全ての資質を備えているので、必ず勝てると思います」とピエール氏は石井シェフに言葉を寄せます。

審査という点においては、出題に合わせて評価の基準が異なるということも大会の特徴。昨今では前述の通り、SDGsやジェンダーレスという言語も、重要視されています。

「今、ジェンダーのダイバーシティ(多様性)の取り組みについてお話を聞かせて頂きましたが、コーヒーにとっても、植物のダイバーシティに富んだ環境を作ることは、高品質のコーヒーを育む上で重要なことです。ネスプレッソは、生産者と共に自然の生態系を崩さず環境を保護しながらコーヒー豆を栽培する森林農法にも取り組んでいます。また、コーヒーを大切に育てて下さる生産者やそのコミュニティーのサポートを行うことも大切に考えています。コーヒーが栽培される農園の環境を守ることは私たちにとって、とても重要なのです。
大事に生産されたコーヒー豆がスイスの工場へ運ばれると、エネルギー使用の最大効率性を図りながらカプセルコーヒーを製造します。それが半永久的にリサイクル可能なアルミニウムを包材に選んでいる理由にも繋がりますし、グリーンエネルギーを活用する理由でもあります。コーヒーが消費されるマーケットでは、コーヒーカプセルのリサイクルを行っています。使用済みコーヒーカプセルは、回収してリサイクル工場へ送られ、アルミ包材とコーヒーかすに分離され、アルミ包材は再生アルミニウム素材に、コーヒーかすは堆肥・培養土に再生されます。これが私達の作るバリューチェーンであり、資源を大切に使用するための活動です。しかし、これらは私たちにとっては、始まりに過ぎません。『ネスプレッソ』は、環境や社会に対する透明性や説明責任などにおいて高い基準を満たした企業に与えられる国際認証『Bコープ』を取得しました。Bコープのメンバーに加わったことで、更に今後、より良いビジネスで、より良い世界へ貢献することをコミットし、高みを目指していきます」とピエール氏は補足します。

そんな世界的企業が作り出す『ネスプレッソ』
は、石井シェフにとってどんな存在なのでしょうか?

「『ひらまつ』に入社して13年になりますが、入社と同時にネスプレッソに出合い、それから『ネスプレッソ』は身近な存在です。朝はまず、一日のスタートに強めの一杯を飲んで、昼の休憩時にはマイルドなものを。さらに夕方から夜へ向け、デカフェで一日を終えるということもあり、緊迫した日々の中でリラックスできる大切な時間を与えてくれる、自分の日常には欠かせないものといっても過言ではありません」と石井シェフ。

「ありがとうございます。大変嬉しいです。ガストロノミーとコーヒーは、とても近い関係にあると思っています。レストランにとってはどのような存在ですか?」とピエール氏は尋ねます。

「食後のコーヒーまで楽しんでいただくのがレストラン時間。お食事の最後をしめくくる大切な存在です。その日の食事を振り返り、何が美味しかったか、今日は楽しかったね、など、余韻に浸りながら語り合う大切な時間です。上質なネスプレッソのコーヒーはまさにレストランにとって欠かせない存在です」と石井シェフは答えます。

実は、この対談前、石井氏が副料理長を務めるレストラン『アルジェント』での食事を体験したピエール氏。その感動と興奮の余韻も手伝い「インスピレーションはどのように得られているのでしょうか?技術を磨くこととは別の難しさがあると思うのですが」と続けて尋ねます。

「料理をクリエイションする時というのは非常にストレスがかかり、大きなプレッシャーを感じています。ほかのことが何も考えられないほどの緊張状態にあります。そんな風に煮詰まってしまったら、コーヒーを飲んで、ほっとひと息つくというのが、自分のやり方です。するとまた、頭が活性化されて新しいアイディアが浮かんできます。そして猛然と試作をし、そしてまた行き詰まったらコーヒーでひと息入れながらリラックス。例えるなら、走っては休み、走っては休みというトレーニングを繰り返すような感じでしょうか。『ネスプレッソ』のコーヒーにはそのような面においても支えられています」と
石井シェフ

コーヒーのごとく、話はどんどん深く、奥ゆかしく深化していきます。

アルミニウムでできたカプセルは、回収サービスを通して回収され、リサイクルされる。コーヒーの美味しさだけでなく、社会への貢献度も高い企業であることが伺える。

プロフェッショナル向け小型タイプのネスプレッソマシンと全17種の専用コーヒーを詰め合わせた、カプセルボックス。インテリアとしても美しく、ブランドのセンスを感じる。

『ネスプレッソ』を飲みながらの対談に自然と話しが弾む。コーヒーはコミュニケーションを生むツールのひとつ。

Bocuse d’Or 2023コロナ禍を経たことによって、シェフとして、人として、石井シェフは大きく成長した。

今回、石井シェフが日本代表となった後、『ボキューズ・ドール』のアジア・パシフィック大会を勝ち抜いてきた時期は、ちょうどコロナ禍の真っ只中。必要な提出物をオンラインで審査するというこれまでにない形式を強いられました。そこにピエール氏は着目します。

「コロナ禍の間は、インスピレーションというものは沸きましたか?」とピエール氏は、神妙な面持ちで尋ねますが、石井シェフは、少し遠くを見ながら、ゆっくりと口を開き、「いえ、その間は、料理のインスピレーションに対してなかなか前向きになるのが難しい時期でしたね」と応えます。

その後、穏やかな表情に変わり、「その代わり、娘たちと遊ぶなど、家族と過ごすことができ、とてもいいリフレッシュになりました。そして、再び厨房に立った時には、すごく新鮮な気持ちで料理に取り組むことができました」と石井シェフは言葉を続けます。

「外食産業にとって非常に深刻な問題で、危機的状況をもたらした大変な時期でしたが、反面、家族や大切な人、そして自分自身に向き合う時間をもたらすよい機会になったとポジティブに捉えられる面もあるのですね。『ボキューズ・ドール』で世界の頂点を目指す日本代表に、このように直接お目にかかって人柄を知り、信頼を寄せ、応援できることは本当に嬉しいです」と、ピエール氏から熱いエールが送られました。

料理のインスピレーションがどこからおりてくるのか、興味津々のピエール氏。

緊張状態の中、創造力をフル回転させるには、『ネスプレッソ』で一息入れリラックスする時間が欠かせないという石井シェフ。

Bocuse d’Or 2023フランス人だからこそ感じる世界と日本の差。しかし、「日本は決して劣っていない」。

フランスと日本における『ボキューズ・ドール』の認知度の違い。これは大きな課題のひとつでもあります。フランス人であるピエール氏は、それをどのように捉えているのでしょうか。

「『ボキューズ・ドール』は、フランスの中でもリヨンの人は皆知っていると思います。盛り上がりもすごいです。ですが、全土的、さらには世界的に見れば、一般にはまだ知られていない大会です。日本人シェフの入賞が続けば日本においても『ボキューズ・ドール』の知名度が上がってくるのではないでしょうか。(日本人最高位は2013年開催に3位入賞の浜田統之氏シェフ)もしかすると、毎回リヨンで開催するのではなく、今後、日本で開催するようなことがあって良いのかもしれません。そして、一般の人たちに向けて積極的なコミュニケーションを図ることも認知度を上げることに繋がると思います」と、ピエール氏は独自の意見を述べます。

日本としてどう在るべき大会なのかなど、広義に持論を語るピエール氏の言葉は、石井シェフにとって全てが新鮮な見解。それらが成せば、日本の観光業としても、大きく貢献できる可能性を秘めた大会なのかもしれません。とはいえ、「何といっても、まずは成績を残すこと」と、石井シェフも改めて気持ちを引き締めて、固い決意をしっかりと言葉に表します。

「日本が継続的にステップアップし、さらなる成長を遂げるためには、若手シェフや情熱のあるシェフをサポートして、未来の代表選手を育成することが大切だと思います。ガストロノミー分野のプレミアムなブランドパートナーを増やすこともその手助けとなるでしょう。料理人という職業の中で、このような大会のために準備の時間を捻出するのは難しいことですので、『ネスプレッソ』もできる形でさらに応援していきたいと思っています」とピエール氏。そして、改めて、世界基準で見ても、日本は特別な国だと語ります。

「日本は多くの国際コンクールにおいて、ほとんど全ての面で優れている。創造性、卓越した実行力、細部への情熱、そして常に限界を超えようとする姿勢。日本は、『ボキューズ・ドール』においても、そのように価値のある代表選手を送ってくれる特別な国。世界やフランスと比べても日本は劣っていません。優勝するのに必要な全ての資質を備えているので、必ず勝てると思います」。

「日本は『ボキューズ・ドール』において、卓越した実行力や細部への情熱など、勝つための資質をすでに備えている」と高い評価を送るピエール氏。

「料理人として一番大切にしていることは、人との関わり」だと答えた石井シェフに対し、シェフとしてだけでなく、一人の人間としても感心し、改めてエールを送るピエール氏。

Bocuse d’Or 2023ひとりでは負けていた。人との関わり、周囲への感謝が勝利を導く。味方はいる。きっと勝てる。

「5年前までは、料理は、調理技術、美味しさ、造形美だと信じていて、ひたすらその追求に明け暮れていましたが、それだけでは国内のコンクールで勝つことができませんでした。独りの考えだけでは勝てないことを思い知らされ、そこからが自分自身の転機となりました。周囲からのアドバイスを乞うようになり、多くの意見に耳を傾けるようになり、その結果、『ボキューズ・ドール』の国内予選『ひらまつ杯』で優勝を果たし、日本代表となることができました。こうした経験を経て、料理は人との関わりの中で創造されていくものなのだということを学びました。一番大切にしていることは、間違いなく、『人との関わり』と胸を張って言えます。自分自身の信条ですね。だから、『ネスプレッソ』やピエールさんも、自分にとって唯一無二の大切な存在です」。

これは、「料理人として一番大切にしていることはなんですか?」というピエール氏からの問いに対する石井シェフの答えでした。

「そうした境地に至れたというのは素晴らしいことですね。そして今のお話をお聞きできて、サポーターの一人としても大変嬉しいですし、ますます応援に力が入ります」とピエール氏。

人との関わり。それは、先輩シェフはじめ、周囲の仲間たち、協賛という形で応援をしてくださる各企業、食材の生産者など、関わりのあるすべての人たち。味方はいる。もちろん、ピエール氏もそのひとり。

「石井シェフには、自分の直観と創造性を信じて、大会中は後悔のないよう果敢に挑戦してほしいと思います。そして、何よりも自身の才能と実力に自信を持ち、最大限にコンクールを楽しんでください」。

今の石井シェフに迷いはない。突き進めば、自ずと結果はついてくるだろう。

「対談の機会を持てたことに改めて感謝したい」という石井シェフ。ピエール氏と固い握手をしながら、本選から帰国後、『アルジェント』にて再会の約束をした。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

成心の脱却。「DINING OUT」の真実は、ここにある。

DINING OUT HIEIZAN起用シェフは、「Villa Aida」小林寛司。「比叡山」の「光」を「観」る。

「比叡山」は、開山以来、約1200年の歴史を誇ります。その間、幾度の危機を乗り越え、守られてきた場所があります。この土地の象徴、「比叡山延暦寺」です。

今回の「DINING OUT」は、過去にない稀有な回になります。その理由のひとつ、事前に会場を明かします。それは、前述「比叡山延暦寺」の「大書院」です。

「大書院」は、もともと東京赤坂山王台にあった村井吉兵衛氏の邸宅。1928年(昭和3年)の秋、昭和天皇のご大典記念と「比叡山」開創1150年の記念事業として、移築されました。棟梁は小林富蔵、唐破風の車寄を持つ玄関棟、旭光の間と呼ぶ大客室棟、観月台を持つ2階建の居間棟から成り、設計を手がけたのは武田五一氏です。武田氏は、関西建築の父とも呼ばれる稀代の建築家。「京都市役所」や「国会議事堂」の建設にも携わり、「法隆寺」、「平等院」などの古建築修復にも造詣が深い人物です。技術的にも優れた質の高い和風建築の中で食事ができる体験は、それだけでも価値があります。

次ぐ、ふたつ目の理由は、会場同様、料理のテーマを事前に明かします。「精進料理」です。手がけるのは、和歌山の「Villa Aida」小林寛司シェフです。「ミシュランガイド京都・大阪・和歌山」二つ星とグリーンスター、「ゴ・エ・ミヨ」3トック、「アジアのベストレストラン50」14位とハイエスト・ニュー・エントリーアワード、「世界ベストベジタブル レストラン」14位……。昨今、国内外を通して、著しい活躍をしている小林シェフのレストラン隣には畑が広がり、野菜とともに生きる暮らしがあります。そんな小林シェフが精進料理と向き合います。

また、稀有という意味では、行を積む僧、礒村良定氏がホストを担うことにもあります。1994年、「比叡山延暦寺」得度に始まり、「叡山学院」専修科、「比叡山」無量院住職、「比叡山延暦寺」行院など、長年にわたり、この地に従事し、現在は「比叡山」金台院住職。「比叡山延暦寺」を最も知る人のひとりです。

常に山に囲まれ、自然とともに生きることを宿命とされた背景は、様々な形で先人が足跡を残してきました。その好例こそ、建物であり、習慣であり、食事です。

神や仏を崇めてきた暮らしは、今尚、脈々と流れる日本の精神性にも通じ、贅沢はなかったかもしれませんが、命を全うした豊かな人生だったのではと推測します。

観光とは、「光」を「観」ること。一説によると、観光という言葉が生まれたのは、中国の古典・易経にある「国の光を観る、もって王に賓たるに利し」という一文からだと言われています。これは、地域の自然や文化、産物、風俗、政治、暮らしなどの「光」を「観」て、その「光」が優れている国の王に賓客となって重用されるのが良いという意味です。

現代においては、表層のみ触れる旅がそう呼ばれ、本来の概念が失われてしまったようにも思えます。

「比叡山」の「光」とは何か。優しい光、眩い光、強い光、はたまた暗い光。それを「観」ることによってどんな体験が待っているのか。冒頭にある歴史のごとく、もしかしたら辛く険しいことがあるかもしれません。しかし、だからこそ、喜びや刹那の感動が心に響き、時空を超えた歴史との邂逅ができるのです。

但し、一度の体験で全てを得られるわけはなく、そう易々と本質を享受できるほど甘くはありません。まるで沼のごとく、知れば知るほど深くなり、底という名の解を求め、人は再訪を誓うのではないでしょうか。

これまで、19回にわたり、「DINING OUT」は、「日本のどこかで数日だけ開店する、プレミアムな野外レストラン」として活動してきましたが、「野外」とは、必ずしも外で食べることを指しているわけではありません。食事をする空間は、レストランだけではないという概念を超えた場の創造こそ「DINING OUT」なのです。

今回は、そんな成心を脱却し、改めて、「DINING OUT」の真実を表現します。

同じ時間をともに過ごし、体験し、あなたも証言者のひとりになっていただければと思います。



Text:YUICHI KURAMOCHI

第20回「DINING OUT HIEIZAN」のシェフを担うのは、和歌山「Villa Aida」の小林寛司シェフ。野菜は小林シェフが向き合い続けた食材だが、「精進料理」はまた別の世界。どんな料理を表現するのか期待が高まる。

開催日程:2023年2月25日(土) 
開催地:比叡山延暦寺
出演 :シェフ Villa Aida小林寛司・ホスト 礒村良定(延暦寺)
人数:20名
企画・プロデュース:ONESTORY
協力:宇佐国東半島を巡る会・文殊仙寺
特別協力:天台宗総本山 比叡山延暦寺
旅行企画実施:株式会社日本旅行

<スケジュール>
旅行日程:2023年2月25日(土)~2月26日(日)
旅行代金:150,000円(税抜)
宿泊施設:【宿坊】延暦寺会館
食事条件:夜1回・朝1回
集合時間:2023年2月25日(土)13:00頃
解散時間:2023年2月26日(日)12:00頃
その他:集合・解散場所は京都市内主要駅又は京都市内主要ホテルとなります。

<お申込手順>
本ツアーは、多数のご応募が見込まれるため、抽選予約販売とさせて頂きます。
抽選受付期間:2022年12月28日(水)~2023年1月9日(月・祝)
抽選結果発表:2023年1月12日(木)
※ご応募いただいた皆様に、メールにて抽選結果を通知させて頂きます。
抽選申込フォーム:https://forms.gle/WidZdhXP2ZcH5vXSA

<ご留意点>
撮影・使用の許諾:本イベント開催期間中、メディアによる取材や、株式会社ONESTORYの記録、 広報、広告等の目的で、撮影・収録が入り、ご自身とその同伴者を含む参加者が被写体となることがあります。

<問い合わせ先>
hieizan0225@gmail.com
※ご回答・ご返信は1月6日(金)以降となることをご了承ください。

ものを創り出す者同士、幾度となく話し合いを重ね、固い絆で結ばれたふたり。

ものを創り出す者同士、何度も何度も話し合いを重ねてきた中、固い絆で結ばれているふたり。プロダクトデザイナー・鈴木啓太氏(右)と2023年の『ボキューズ・ドール』日本代表・石井友之シェフ。

Bocuse d’Or 2023大会には料理の技術だけでなく、表現力も重要。

『ボキューズ・ドール』の本選は、プレートという大皿盛りと皿盛り料理の2種を作り、合計得点で順位が決まります。プラッターもプレートも各国、趣向を凝らしたものを製作し、当日それらに盛りつけます。料理の見映えもさることながら、プラッターのデザインもとても重要で、精巧にデザインされたプラッターに盛りつけることで、初めてひとつの作品となるのです。

今回チームジャパンは、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏にそのデザインと製作を依頼。鈴木氏は日用品のデザインから鉄道車両などの公共プロジェクト、また伝統工芸など幅広い分野で活躍する気鋭のデザイナーです。国内外の賞も多数受賞。今回はプラッター製作の過程を経て、『ボキューズ・ドール』との向き合い方を出場シェフである石井友之氏と語ります。まずは、どのような経緯を経て、鈴木氏へ依頼することになったのでしょうか。

「ボキューズ・ドールへ参画するのは今回が2回目です。2017年の長谷川幸太郎シェフの時が初めてでした。『ひらまつ』で働く知人から、声をかけてもらったのがきっかけです。実は、生まれ変わってセカンドキャリアを目指すならと聞かれると、必ずシェフと答えるほど、食べることと作ることが好きなのです。私が育ってきた環境の中で見た美術品の中でも器が多かったので、料理と美術にとても憧れがあり、迷うことなくお受けしました」と鈴木氏は言います。

「チームジャパンとして、今回鈴木さんにお願いした経緯は、『ボキューズ・ドール』とは何かを熟知する人でないとなかなかニュアンスが伝わらない、ゼロから伝えるには時間的にも厳しいとコーチ陣からの助言もあり、今回のお声がけにいたりました。初めてお会いした時、緊初対面で緊張しながらも、なぜか強い確信を感じていました」という石井シェフの言葉には信頼と期待が感じられます。

「私がデザインの仕事をしている背景には、古美術収集家だった祖父の影響がありまして、『ボキューズ・ドール』の“伝統を受け継ぎながら、新しいものを創り出す”というコンセプトに共鳴できる部分が多くあり、今回もお受けしたわけです」と鈴木氏。

「初回の打ち合わせで手応えを感じました」と言葉を続ける鈴木氏ですが、石井シェフのことをどのように感じていたのでしょうか。

「とても共感を覚える料理人です。何が石井シェフの魅力かと考えると、まず、必ず十分なリサーチを行うこと。話せば話すほど、ものすごく研究している人だとわかりました。私自身デザインをする時には、過去1000年まで振り返って、次に何を持ってくるべきかを考えます。石井シェフは、何度も何度も実験して、最初に見せていただいた料理から現在までがすごく変化している。色々な人にレビューしてもらって、様々な可能性を試作するという柔軟性もすごく魅力です。そしてゴールへ向けてそれがどんどん詰まっている。その感覚が自分のデザインのプロセスとすごく近い。ひらめきだけではなく、そこにきちんとした理論的な裏付けがあり、完成に向かっていくという石井シェフの姿勢がすごく好きですね」と鈴木氏は言います。

「全く違う職種ですが、細部まで確かめ合いながら議論ができたことがしっかりと礎になっている。急に、今、行っていいですか?というようなこちら側の急なアポイントの申し出も快く受け入れて、“なるほど、それで?”と真剣に耳を傾けてくださると、もう思いの丈を全て話すしかないですよね。それが心底ありがたかったのです」と石井シェフ。

ひとつのデザインを創り出すのに、1000年昔まで振り返り、次に持ってくるものを考えるという鈴木啓太氏。

歴代の作品を全て見返し、資料にあたり、科学的裏付けまで考えて作品作りに取り組む石井友之シェフ。

鈴木氏がデザインしたカトラリー。シャープな見た目と切れ味を備えた、用の美を追求した作品。

キッチン用品から相鉄20000系まで、様々な作品が飾られた鈴木氏のデザイン事務所の空間。「自分の料理をインスパイアしてくれる宝の山」と石井シェフ。

受賞したトロフィーの一部。「ELLE DECO International Design Awards -Young Japanese Design Talent」(左)と「東京ミッドタウンアワード」(右)が並ぶ。

Bocuse d’Or 2023自分も優勝するために戦う。なぜなら、石井シェフがどれほど勝ちたいかわかっているから。

「ジャパンとしても石井さんとしても、本当に1位が獲りたいということがわかってきまして、私もどんどん真剣になっていきました。クリエイティブ的な視点で過去の優勝国の作品を振り返ると、重要なことはシェフそのものがプレゼンテーションされているかどうかということ。国とか地域ということではなく、シェフのクリエイティビティがしっかり形になって表れているか、ということです。そのためには石井シェフそのものをきちんと理解したいと思いました。どのような生まれ、育ち、キャリア、そしてここに至っているのか。そしてもうひとつ、『ボキューズ・ドール』をもう一度しっかり研究するということも必要です。審査員の特性、大会の特性、プラッターやプレートがどのように得点に関係するのかなど……」と鈴木氏。

こうして詳しいリサーチを進めながら、デザインのテーマを決めていくという作業に入っていきました。

「最初に考えたのが“レイヤー”。つまり階層というテーマです。石井シェフの生まれは自然豊かな長野県で、風や空気、匂いなどの五感的なインスピレーションはその時代に培われたものなのではと感じました。そして、今や銀座から都会的な魅力を発信している。江戸時代は銀座は海で、埋め立ててできた土地。だからそこにもたくさんの階層があるのです。石井さんが試作した料理やアジア予選で披露した料理も、多くのレイヤーが重なり生み出すハーモニーを感じさせてくれましたから」と鈴木氏は言います。

日本らしいもので勝負したいわけではないということが石井シェフからのリクエストでした。鈴木氏はそれをどのようにデザインの中へ織り込んでいくのでしょうか。

「本選を見ると、ベタなローカリティは出てこないんですね。あくまで中心はフランス、ヨーロッパ的な価値観。その世界観の中でわずかににじみ出てくるローカリティが一番素敵に見える。古典的な日本ではないけれど、よく見ていけば自分たちにしか作れないものがいいのでは?と思ったわけです。そこをデザイン的に深掘っていくと、葛飾北斎の新型小紋調に行き着きました。『ボキューズ・ドール』はシンプリシティだけでは勝てないんです。フランス的なラグジュアリーな装飾性が求められています。でも下手に我々が真似すると、フェイクになってしまう。デザインのリフレインは自分たちにしかないものを探していくべきです。北斎の柄をインスピレーションにして、西洋的な考えも入っているのだけれど、日本のチームにしか生み出せない、そういうものが作れたら面白いと。」と、鈴木氏はデザインのプロセスを話します。

「リクエストはしますが、100%それを作ってきたらそれは違うなと感じます。違った意見が出てきて、それで初めて何倍にもなりますから。ひとりでやっていたら一倍ですが、ふたりなら二倍にも二乗にもなる。鈴木さんと話し、デザインの案が上がってくるたびに、そんな心強さがありました。最初から段階を踏んで、徹底的に話し合って、自分は言いたいことをどんどんと言って、それを全部受け止めてくださった。そして消化したものを、角度や線の太さといったディテールに反映していってくれました。ここまでのプロセスは自分の中でも大切にしたいと思っています」と石井シェフは頷きます。

ところで、デザインから料理にインスパイアーされることはあるのでしょうか? 非常に興味深い、その点を尋ねてみました。

「すごくあります。実は壁際にある漆の作品の模様を、ガルニ(付け合わせ)のデコレーションに取り入れました。ボンボンショコラのような技法で模様をつけていくのです。この空間や置かれいている調度品全てに多くのインスピレーションをもらっています。料理人がデザイナーの事務所に入れる機会もあまりないですし、僕にとっては宝の山なのです(笑)。そうしてデザイン案が出てきて、自分の中での考えと強く結びついてきました」と石井シェフ。

「料理とデザインはそもそも似ています。見た目に美しく印象に残るように考えることは当然ですが、料理には味、香り、温度があります。だから冷めないようにするなど、一緒に試行錯誤してきました。石井さんでなかったらまったく違ったデザインになっていたでしょうし、両者で共鳴し合った結果です。料理そのものの形をシェフが起案して、3Dプリンターで形におこすというようなやりとりもしています。伝統を繋ぎながらハイテク技術を融合させていく、まさに『ボキューズ・ドール』の真髄です」と、鈴木氏も断言します。

古い蒔絵の技法を使ったアート。この柄に触発された石井シェフは、料理にも応用することを試みている。

伝統工芸に敬意を払い、常に自分のデザインに通底するものとして捉えている鈴木氏のコレクション。

Bocuse d’Or 2023大会後、僕らの中で反省はあるかもしれない。しかし、後悔はないと確信している。

日本は未だ『ボキューズ・ドール』という、料理のワールドカップに勝利していません。2013年の浜田統之氏の3位入賞が最高位です。その理由をふたりはこう分析します。

「知れば知るほど勝つことが難しい大会だと思います。シェフの力量だけでなく、国の力も重要です。ヨーロッパ各国が強い理由も、国からのバックアップによってもっと予算をかけていたり、発信する力を持っていたり。彼らは国をあげて参加しているので、挑戦がしやすい環境にいます。プレゼンテーションが非常に重要な大会ですから、シェフだけでなく国をあげて盛り上げていく必要性を感じます。私も『ボキューズ・ドール』の仕事に関わらせてもらうまで、恥ずかしながら、知りませんでした。それくらい一般には知られていないのです。が、2017年に初めて参加した時ちょうど弊社にフランス人のスタッフがいて、“えっ!『ボキューズ・ドール』のデザインを担当するのですか! すごい!”というリアクションで、海外ではこんなに高い知名度なのだということを実感しましたね。先のサッカーワールドカップのように日本を応援したいという人が増え、日本人のシェフが挑戦していくというムードを作っていけたら、きっと追い風になります」と鈴木氏は確信します。

「プラッターは料理の構築、技術、形 デザイン性がないと勝てません。この仕組みはどうなっているんだ? 日本チームに聞いてみよう、みたいなワクワク感を与えることがまず第一歩。鈴木さんの事務所を見渡すとすごく曲線が多い。料理で曲線を表現するのは難しいけれど、実践できたら確実に注目されると、今、挑戦しています。なんだこの形? というようなものを表現する。『ボキューズ・ドール』は新しいものを生み出すための大会ですから」と、石井シェフは胸をはります。

「日々忙しくしていると、なかなか自分のクリエイティビティを伸ばすために、それにしっかりと向き合ったり、挑戦していく時間がとれない。自分を内省して、新しいものは何かということを常に必死に考えるのは、素晴らしいことだと思います」と鈴木氏。

プラッター作りには、鈴木氏にとってもそういう側面があるのかもしれませんが、その答えは「正解がわからない」とひと言。そして、「非常にチャレンジングな仕事です。わからないからこそシェフと色々話し合い、作っては淘汰という作業を繰り返し、なんとか洗練されたものに近づいていると思います。もう軽く50案は作っています。50回の提案というのは、いろいろなプロジェクトがあるなかでも断トツに多いです(笑)。そういう意味でも、自分の中でも内省的な活動と言えるかもしれません」と鈴木氏は言葉を続けます。

「プラッターもまったくシフトチェンジしているので、どれくらいそれが上位にいくのか、やってないのでわからないのですが、やってみないとにはエビデンスがとれません。デザインはこれまでデータをとってこなかったので、どれがいいのかということがはっきりわかっていないのです。だから今回は自分の勝ち負け以上に、今後どうやったら勝てるのかというところの礎にならないといけないと思っています」と石井シェフも決意表明します。

「ものを作ったり生み出したりする作業は本当に苦しいものです。当事者にしかわからないけれど、辛いことが99.9%で、0.1%にわずかに楽しい光がある。プレッシャーをどれだけ感じて、どれだけ大変かということは想像できますが、石井さんを見ていて良いなと思うことは、全く妥協しないことです。あとで見返したら僕らの中で反省点はあるかもしれないけれど、後悔はないと思います。料理の方は最後は石井さんにお任せすることになりますが、どうか最後まで後悔なきよう、妥協なきように挑戦してほしい。それをデザインの面で支えたいです」と、鈴木さんから石井シェフへエールが送られました。

「鈴木さんには感謝しかありません」と話す石井シェフに対し、「最後の最後まで後悔なきよう、全ての力を振り絞って本選に望んでほしい。そして自分のデザインがその一助になりたい」と鈴木氏。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

関東有数の酒どころ。茨城県が誇る4蔵の酒に、4人の料理人がペアリングメニューを考案。

『来福酒造』✕『野菜と日本酒 ちりん』の試飲会の一場面。ペアリングの狙いについて、料理人の関剛大氏が解説する。

 茨城の酒の魅力を伝えた全4回の試飲会。

都心への通勤圏として、近年発展著しい茨城県。首都圏の印象が強い県ですが、実は日本を代表する農業王国であることをご存知でしょうか。霞ヶ浦や5つの水系の河川に育まれ、メロン、ピーマン、栗、れんこんなど、茨城県が日本一の収穫量を誇る野菜はいろいろ。米も多く育てられ、水稲の収穫量は関東一を誇ります。

さて、そんな茨城県を語るとき、もうひとつ忘れてはならないものがあります。豊かな水とおいしい米から生まれるもの。そう、茨城県は関東有数の酒蔵数を擁する日本酒の名産地でもあるのです。酒蔵の数は38蔵。それぞれが歴史と哲学を持ち、個性豊かな酒を醸す蔵ばかりです。

2022年冬。
そんな茨城県の日本酒の魅力を“発見”してもらうプロジェクトとして、『SAKE DISCOVERY From Ibaraki』が立ち上がり、味わいを伝えるために試飲会が開催されました。それもただの試飲会ではありません。茨城県の4つの酒蔵の日本酒に合わせ、4人の料理人がメニューを考案する全4回のペアリング試飲会。それぞれどんな日本酒が登場し、どんなメニューが合わせられたのでしょうか? その詳細をお伝えします。
 

『浦里酒造店』の浦里知可良氏。酒を解説する場面では、参加者たちがその様子を写真に収めた。
 

 花の酵母で醸す酒に、滋味深い野菜料理が寄り添う。

最初の酒蔵は、県の中央部、筑波山の西側の筑西市にある『来福酒造』。1716年から続く老舗で、近年は自然界の花からつくる清酒酵母・花酵母による酒づくりで話題を集めています。なでしこ、ひまわり、ベゴニアなどから分離される酵母は、花の香りや華やかな味わいを実現。会場に立つ藤村俊文氏から、そんな解説が伝えられます。

華やかな日本酒を活かすペアリングを手掛けたのは、『野菜と日本酒 ちりん』の関剛大氏。青果卸業に就いていた関氏が掲げる「野菜✕日本酒」のテーマのもと、滋味深い野菜料理で酒の華やかさを際立てます。関氏の料理は、素材の味を活かすシンプルかつ透明感のある味わい。そのクリアなおいしさが、日本酒と見事にマッチしました。

『来福酒造』の日本酒。左から純米酒 来福「八反錦」、純米吟醸生原酒 来福 「愛山」、真向勝負 純米吟醸。

純米酒 来福「八反錦」に合わせたのは、炊いたかぼちゃ、蓮根甘辛炒め、里芋梅鰹煮などの酒菜5点盛り。

純米吟醸のふくよかな味わいに、コクのある大根と豚の煮物が寄り添う。

芳醇な香りの真向勝負には、柿、梨、いちじくの果物。アクセントのスパイスが酒の旨みを引き立てた。

藤村俊文氏(左)と関剛大氏(右)。花と野菜という共通項が、見事なペアリングを実現。

【概要:来福酒造×野菜と日本酒 ちりん】
・開催日:2022年11月10日
・開催場所:ハリスタ
・参加インフルエンサー:@yukaka_6.13@instageiram@haruka_hakka@i_am_ayakomatsu@mikikayoko_official@omosalondecuisine
・参加酒販店:高原商店三ツ矢酒店三益酒店

 日本酒✕和菓子。ペアリングの新時代を築く女性ふたりの共演。

第二回の試飲会は、古河市の『青木酒造』が登場。1831年に創業し、主要銘柄の「御慶事」は大正天皇ご成婚の際につくられたという歴史ある蔵。しかし自身を「先代が7代目、弟が継いだら8代目、だから私は7.5代目です」という青木知佐氏のもと、歴史や地域に敬意を払いつつ新たなことにも次々と挑戦しています。

そんな酒に合わせるのは、なんと和菓子。厨房に立つつくださちこ氏が営む『和菓子 薫風』は、四季折々の食材を用いた和菓子と厳選した日本酒のペアリングを提唱する店。茨城県の食材を用い、味わい豊かに仕上げた和菓子は、『青木酒造』のフルーティな酒と見事に響き合いました。

『青木酒造』の酒。左から御慶事 大吟醸、御慶事 純米吟醸 ひたち錦、御慶事 純米吟醸 ふくまる。

御慶事 純米吟醸 ふくまるには、柿の葛饅頭。茨城特産のれんこんを霙餡にして合わせた。

御慶事 純米吟醸 ひたち錦に合わせたみつめのぼた餅は、茨城県に伝わる伝統料理。その地の素材だけでなく食文化まで紐解くのがつくだ氏流。

御慶事 大吟醸には、香ばしく炙ったたがね餅。こちらも茨城県の伝統的なお菓子がヒントになっている。

つくださちこ氏(左)と青木知佐氏(右)。和菓子と日本酒という新たなペアリングの魅力を参加者たちに伝えた。

【概要:青木酒造×和菓子 薫風】
・開催日:2022年11月17日
・開催場所:ハリスタ
・参加インフルエンサー:@1010koki0218@ciara0814@ichii_j@nicomaya2525@ema_ariizumi@maiko_1225
・参加酒販店:あまてら酒店伊勢五本店三益酒店

 直球には直球で勝負。日本酒と和食の正統派ペアリング。

続いては茨城県日立市、「海まで70歩」という海辺に建つ酒蔵『森島酒造』。1869年に創業し、太平洋戦争による蔵の焼失や東日本大震災の被災を乗り越えて続く名門です。6代目である森嶋正一郎氏は、茨城県が認定する酒づくりのスペシャリスト・常陸杜氏の第一期生として県産日本酒の発展にも尽力する人物。森嶋氏が「歴史を語り継ぐ酒」と位置づける代表銘柄「富士大観」に加え、「新たな歴史を築く酒」とした新たなブランド「森嶋」も、人気を集めています。

「直球の日本酒に、直球の和食を合わせます」そんな想いでペアリングに挑んだのは、奥深き和食と日本酒の世界を伝える名店『京橋もと』の佐久間佑吾氏。正統派の純米大吟醸に和食の基本たる出汁、フレッシュな生酒に刺し身など、奇をてらうことのないペアリングで、酒と料理の魅力を際立てました。

『森島酒造』の3種は左から富士大観 純米大吟醸、森嶋 山田錦 純米吟醸、森嶋 美山錦 しぼりたて 生 純米吟醸。

富士大観に、霞ヶ浦の白魚のお澄まし。「ど真ん中の直球の酒に、和食の基本である出汁をあわせた王道」と佐久間氏。

森嶋 美山錦 しぼりたて 生 純米吟醸には鰆のお造り。生酒のフレッシュ感に、魚のジューシーさを合わせた。

旨み、香り、味わいのバランスが良い森嶋 山田錦 純米吟醸と合わせたのは、しっかりと旨みを湛えたれんこん饅頭。

佐久間佑吾氏(左)と森嶋正一郎氏(右)。割烹仕込みの日本料理と酒という正統派の組み合わせが、改めてペアリングの魅力を伝える。

【概要:森島酒造×京橋もと】
・開催日:2022年11月19日
・開催場所:京橋もと
・参加インフルエンサー:@1010koki0218@9088161yh@airi__belle@akari_3131@asuka_makuuchi@itomiyu76_sake
・参加酒販店:IMADEYA

 酒と洋食のペアリングで、世界を、未来を見つめる。

最後の酒蔵は、つくばの銘酒「霧筑波」で知られる『浦里酒造店』。1877年の創業以来守り続ける伝統の結晶である「霧筑波」のほか、茨城生まれの小川酵母を使った個性豊かなラインナップを展開。6代目である浦里知可良氏は新たなブランド「浦里」を立ち上げたほか、欧文表記の「URAZATO」で洋食にも合う日本酒を模索する人物です。

そんな酒に合わせる料理を考案したのは『CROSS TOKYO』の総料理長・増山明弘氏。長年突き詰めたフランス料理の技法で、日本の食材、さらには医食同源の哲学を融合させた「和漢魂洋才」を掲げる料理人です。日本各地の食材にも造詣が深い増山氏は、茨城の食材にも精通。茨城が誇る食材の数々を、日本酒に合う美しき料理に仕立てました。

『浦里酒造店』の3種は左から大吟醸 氷温3年熟成 知可良、純米大吟醸 浦里、URAZATO PROTOTYPE2。

大吟醸 氷温3年熟成 知可良の上品な吟醸香に寄せた常陸牛のカルネサラータ 柿 胡桃のヴィネグレットソース。

茨城が誇る小川酵母の、繊細な味わいが光る純米大吟醸 浦里。増山氏は旬の鰆カブ、からすみに酒のソースを合わせて味わいを寄せた。

洋食に合う芳醇な低アルコール酒URAZATO PROTOTYPE2には、奥久慈しゃもの胸肉のポワレ。

増山明弘氏(左)と浦里知可良氏(右)。洋食と酒という新たな境地に日本酒の未来を思い描く。

【概要:浦里酒造×CROSS TOKYO】
・開催日:2022年11月24日
・開催場所:BONUS TRACK KITCHEN
・参加インフルエンサー:@bisuhada@pomta07@mikahogram@yukiaoi@kimiyo.f
・参加酒販店:伊勢五本店IMADEYA横浜君嶋屋

 和やかに、場を楽しむ。酒本来の役割も果たした試飲会。

全4回の試飲会に訪れたのは、独自の視点でさまざまな情報を発信するインフルエンサーの方々。日頃から日本酒を嗜む方も、あまり飲み慣れていない方も、それぞれのペースで、日本酒と料理のペアリングを楽しみました。

蔵人自らが酒の解説をする試飲会ということで、落ち着いたムードになるかと思われましたが、蓋を開けてみれば会場は和やかムード。参加者たちは互いに感想を述べ合い、写真を撮り合いながら酒と料理を楽しんでいました。蔵人や料理人への質問も次々と飛び出し、またユーザーの生の声が届いたことで、造り手にも大きな収穫があったよう。再会を約束し、名残惜しさに包まれながら、4回の試飲会は幕をおろしました。

今回の4蔵に共通していたのは、長い歴史がありながら、現代の価値観に合う酒づくりにも挑んでいたこと。伝統に敬意を払いつつ、革新も厭わない。その想いこそが、茨城県の蔵人たちに共通する姿勢でした。
今回ご紹介した蔵以外にもバリエーション豊かな酒蔵、日本酒を有する茨城県。そこにはだまだ数多くの “発見”があることでしょう。

SAKE DISCOVERY From Ibaraki 公式サイトはこちら

酒と料理が互いの魅力が引き立て合うペアリングの魅力を改めて感じたという参加者たち。

『来福酒造』の会に訪れたインフルエンサーの方々。独自の視点でペアリングの魅力を発信してくれた。

各会場には酒販店の関係者も訪れ、酒の味わいを真剣に吟味。

『森島酒造』の森嶋氏の背中には常陸杜氏の文字。茨城の酒づくりの未来を支える若き杜氏たちにも期待が集まる。


(supported by 茨城県)

秋冬に旬を迎える柑橘界のエース、みかんを飲む。[和光アネックス/東京都中央区]

「温州みかんジュース」の果実は、他のみかんと比べ、甘味と旨味が強いのが特徴。保存料、添加物無添加。

WAKO ANNEX果実そのもの。毎日飲みたい温州みかんジュース。

愛媛県宇和島市を拠点に活動する『柑橘ソムリエ愛媛』。柑橘ソムリエとは、2020年にスタートしたライセンス制度。目利き、味覚、表現など、試験を突破したもののみ与えられる称号であり、柑橘を楽しむことのプロフェッショナルです。本当に美味しい柑橘の味と多様な柑橘の魅力を伝え広め、柑橘をよりおもしろくする取り組みを繰り広げています。

今回ご紹介する品は、その代表作でもある「温州(うんしゅう)みかんジュース」です。

柑橘ソムリエ生産者メンバーが育てた柑橘のうち、味の良い果実だけを選りすぐって搾ったストレート100%ジュースのそれは、甘く飲みやすい味わいが特徴。毎シーズン収穫したての果実から味の良いものだけを選りすぐり、搾汁しております。シンプルだからこそ誤魔化しがきかず、フレッシュさやピュアな飲み口が際立つ味わいです。

日本一の柑橘どころ、宇和島の旬の香りと味わいをお楽しみください。

瓶にはいっているのは、果実とフレッシュな香りのみ。老若男女、安心して楽しめるジュース。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

世界に誇る千年続く草原。人とあか牛が共生しながら実現する、サステナブルな社会。

 OVERVIEW

熊本県阿蘇市は、カルデラとその周辺に広がる美しい草原で有名な地域です。千年以上の歴史を持つこの景色を未来へと継承するため、地域の人々は野焼きなどを行いながら草原の保全に尽力してきました。

阿蘇の草原の風景のなかでもう一つ欠かせないのが、放牧されているあか牛の姿です。実はこのあか牛の存在が、草原を維持するサイクルのなかで重要な役割を果たしているといいます。

阿蘇では、自然と人とあか牛がどのように共生し、サステナブルな関係をつくっているのでしょうか。その内容を全国の人に、そして海外の人にも知ってもらうべく、「阿蘇あか牛テロワール旅」が企画されました。東京からこの旅に参加したのは、美食家として有名な本田直之氏、「よろにく恵比寿」をはじめ東京都内で複数の焼肉店を経営するVanne Kuwahara氏、牛肉専門のインスタグラマーとして「TOKYO WAGYU REPORT」のアカウント名で活動する旦 弘希氏の3名。そして、熊本市内で囲炉裏を使ったイノベーティブフュージョンレストラン「.know」を営む鍬本 峻氏が同行しました。

あか牛を100g食べると、畳4畳半分の広さの草原を守れるとも言われています。昨今の環境配慮のトレンドから考えると、牛を食べることが草原の保護につながる、という意見はにわかには信じ難いかもしれません。しかし、東京から現地を訪ねたこの3名は、地域で熱心に活動している人々の話に耳を傾けるうちに、人と牛と草原が共存する循環型の社会が存在することを確信したのです。その詳細を前・後編でお届けします。

Powered by:阿蘇カルデラツーリズム推進協議会
Supported by:阿蘇市
Produced by:think garbage Inc.

Photographs:JIRO OHTANI
Text:AYANO YOSHIDA

甘露にてキレ鋭く。名水でじっくり醸される信濃大町の3銘酒。

『薄井商店』の醸造室にて。造りが始まって1カ月ほど。リンゴやメロンなどを思わせるような心地よい香りが漂っていた。

 原料米全量を半径7km以内の契約栽培米に。

信濃大町には3軒の日本酒の蔵があります。おもしろいことに、そのすべてが標高750mほどの市街中心部にあり、互いに徒歩5分ほどの範囲内に集積しています。銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏は、3蔵を一気に巡ることにしました。

はじめに訪ねたのが、「塩の道」として知られる千国街道沿いに佇む『薄井商店』。1906年創業、「白馬錦」を醸す蔵です。昭和40年代に建て替えられた蔵は、日本酒蔵としては非常にユニークな立体構造となっています。天井高のある大きな地下室を備えた3階建てで、3階から中2階、1階、地下室と、原料処理から醸造、貯蔵の工程を上層階から地下室へと移動させながら効率よく行えるようになっています。

醸造タンクが並ぶ1階に足を踏み入れると、凛とした冷たい空気に肌が引き締まり、爽やかな吟醸香に包まれます。
「甘すぎず、辛すぎず、飲み飽きしない食中酒を目指しています」と蔵を案内してくれるのは、杜氏の松浦宏行氏。『薄井商店』では代々、長野県北部の豪雪地帯、小谷村の杜氏と蔵人が酒造りを担ってきましたが、2007年に石川県出身の松浦氏がその伝統を受け継ぎ、試行錯誤しながら進化させています。使用する酒造好適米、美山錦や山恵錦、金紋錦などの米は、全量が蔵から半径7kmの範囲内にある農家との契約栽培米とのこと。しかも、生産農家全員が化学肥料や化学合成農薬を低減した土づくりをするなど、持続性の高い農業生産方式が県から認められる「エコファーマー」認定を受けているのも特徴的です。

「現蔵元が30年以上前にヘリコプターで上空から大町を見渡した際、田んぼの美しさに感動し、この風景は後世に残していかねばならないと、原料米の仕入れを地元を中心とした契約栽培にシフトしていきました。そして15年ほど前に大町市内の100%契約栽培米を達成。近年は田んぼに深く水を入れる深水(ふかみず)栽培を基本とすることで、苗の分けつ(株の枝分かれ)を防ぎ、雑草のはびこりを抑え、粒の実入りを大きくする取り組みにも力を入れています。生産者の顔が見える確かな米を使わせていただけることは杜氏としてもありがたいですね」と松浦氏は話します。

炬燵のある蔵人の休憩室で唎き酒の準備を整えて待っていてくれたのは、かつてヘリコプターで米作りへの強い関わりを決心した蔵元の薄井朋介氏。数あるラインナップから、同じ美山錦を使いながらタイプの異なる3本「白馬錦 純米大吟醸」「白馬錦純米 吟醸」「白馬錦 アルプス湖洞貯蔵 瓶囲い秋熟」を厳選していただきました。

「白馬錦 純米大吟醸」と「白馬錦 純米吟醸」をワイングラスで唎いた山﨑氏は、しみじみ「旨いですね」と唸ります。
「純米大吟醸は華やかな香りが立ってタテに広がる印象。純米大吟醸はフルーツにも合いそうです。一方、純米吟醸はミネラル感とヨコに広がってとてもバランスがいい。魚はもちろん、肉にも合いそうですし、ずっと飲んでいられそうな程よい旨口。それにしても、どちらもよくキレますね」。

3つ目の「白馬錦 アルプス湖洞貯蔵 瓶囲い秋熟」は、標高900mほどのところにあるトンネルで夏を越させたもの。一口飲んで山﨑氏の表情はさらに明るくなりました。
「これ、好みです。ふくよかな“熟れ感”があって味わい深い。うちのバーは日本酒は扱っていませんが、もし置くならこれくらい厚みがあってキレもいい酒がいいですね」と山﨑氏は、二口、三口と味わいます。

「トンネルの中は一年中10℃前後と、安定した温度で熟成させられる環境です。冷涼さもさることながら、真っ暗闇で保管できるため紫外線による劣化がないこともプラスに作用していると思います。こちらがお好みでしたら、こんなのもありますよ……」と薄井氏はさらに特別な1本を出してくれます。1月に搾った酒をすぐに雪の下に埋蔵し、4月まで寝かした「白馬錦 純米吟醸 雪中埋蔵」です。
「あ、これが1番だな。よりまろやかで、旨味がスーッと伸びていく感じ。旨いですねえ。それにしても、同じ米と同じ水で、これだけ表情が異なる酒になるとは」と山﨑氏が驚きを隠せない様子。

松浦氏は穏やかに話します。
「やはり根本的に水がいいんだと思います。居谷里水系の“女清水”で仕込んだ酒は、米の旨味がじっくり溶け込んで、やさしい印象の酒になります。また飲みたくなる酒に仕上がるのは、良質な天然水で仕込めるこの環境のおかげですね」

中2階、醸造タンクの上のスペースで松浦宏行杜氏の説明を聞く。もろみを混ぜる櫂入れを体験させてもらうと、爽やかな香りがぱっと立ち上がった。

もろみタンクに入れる前に冷却する「枯らし」工程を経た酒母。試食させてもらうと、栗のような上品な風味に驚く。

シュワシュワと微細な泡を出しながら元気に発酵する酒母。「あらためて酒は生き物なんだと実感します」と山﨑氏。

年季の入った孵卵器で酵母を培養する松浦杜氏。石川県・山中温泉にある『松浦酒造』の次男で、一時は法曹界を目指していたが、酒の販売会で直接聞いた「美味しいお酒でした」という消費者の声が忘れられず、結局酒造りの道を選んだという。

左から「白馬錦 純米大吟醸」「白馬錦 アルプス湖洞貯蔵 瓶囲い秋熟」「白馬錦 純米吟醸」。どれもきれいな印象でありながら、骨格のある味わい。

純米大吟醸を味わい、「口に含んだ時の風味の広がり方が鮮烈。でもスピーディにキレるので、心地よく飲み進められる」と山﨑氏。

トンネルや雪中での熟成にも熱心に取り組む蔵元の薄井朋介氏。様々な温度帯で楽しめる日本酒の魅力を伝えたいと、イベントなどではお燗番を買って出るという。

 酒質を一気に向上させ、再生を果たした老舗蔵。

次に訪ねたのは、明治時代に建てられた町家が昔ながらの風情を残す『市野屋』。創業1865年と3つの中で最も歴史の古い蔵ですが、2020年に経営母体が変わったのを機に酒質が一気に向上したと注目の的です。

加瀬博斗氏は、その2年前にアルバイトで蔵に入り、酒造りに魅せられたひとり。長年住んだオランダから帰国し、奥さんの実家があるこの地で農業をしようかと漠然と考えていた折に、『市野屋』の大リニューアルに関わることになりました。酒質を上げるにはまず蔵の常在菌を一掃しなければならないと、すべての壁を剥がして高圧洗浄をかけ、むき出しの部材1本1本に柿渋を塗ったそうです。大規模な改築はできないため、建物内に様々な小屋を建てる方法で、設備を更新していきました。初搾りの酒を味わった時、加瀬氏は「自分の仕事は日本酒だ」と心が決まったそうです。
「酒を口に含んだ瞬間に“ヤバいな”と。自然と向き合う米作りもおもしろそうだと思っていましたが、その米が人間の知恵を駆使することで1カ月後にこんなにすごい飲み物になるのかと。とても神秘的なものを感じましたね」と加瀬氏は振り返ります。

リニューアルと同時に杜氏に就任した伊藤正和氏は、乳酸菌の働きを利用した伝統的な山廃造りにこだわっています。2022年度の全国新酒鑑評会では、3回目の造りながら見事に入賞を果たしました。山廃造りで、しかも流行りの香り系酵母に頼らず伝統型酵母での受賞は極めてめずらしいことから、一躍脚光を浴びることになりました。

早速、試飲させていただきます。主力銘柄「ほしいち」の山廃仕込み純米大吟醸原酒を雄町、愛山、山恵錦と米の違いで飲み比べてみると……
「香りがいいですね。伝統的な山廃造りのイメージをいい意味で裏切るフルーティな香り。味は山廃らしくボディがしっかりしています。それでいて、どれもキレッキレ。すっとキレて、また飲みたくなります」と山﨑氏は顔を綻ばせています。

出色は鑑評会で受賞した山田錦35%精米の「市野屋 純米大吟醸」。
「これはすごいですね! 舌の上で溶けるような感覚。強い甘みがパッと広がって一瞬で消えていく。でも、ほどよい旨味がすうっといつまでも持続するような。ありそうでない日本酒」と興奮気味です。

目指す酒造りについて伊藤杜氏は説明します。
「米の個性は様々ですし、同じ米でも出来はその年や農家によって異なります。私の仕事で最も重要なのは、酒母造りや醸造工程において米の様子を観察し、どんな米であっても持っている旨さを引き出して仕上げること。米の特性によって様々な方向性の酒が出来上がりますが、共通させたいのはキレのよい食中酒にすることです。そのためには米本来の繊細な甘みをいかに出すかがポイントとなりますが、大町の軟水はとてもいい働きをしてくれます。水を飲んだ時に感じるほのかな甘みがそのまま酒に反映されているとでも言うのでしょうか。私は三重、静岡、山梨で酒造りをしてきたけれど、どこよりも大町の水は優れていますね。全国でもトップクラスのクオリティの水です」

「伊藤さんのお酒を飲んだ時、イタリア語の“Aquavita”という言葉がふと浮かびました。“命の水”といった意味ですが、伊藤さんのお酒はまるで水のように飲みやすいけれど、旨味やアルコール感などの飲みごたえもしっかりあって、米を原料に人の手間ひまで作り上げられた神秘的な水という印象です。加瀬さんが感じた“ヤバい”という感覚がわかるような気がしました」

老朽化した蔵をできる限りDIYでリフォームし、新しい酒造りにチャレンジしている『市野屋』。

蔵の中に冷蔵板を使って部屋を新設するなど、酒の仕込みと未来に向けた環境整備が同時に行われていた。

「大町の水は全国でもトップクラスのクオリティ。米の個性を引き出し、酒をやさしい印象に仕上げてくれます」と『市野屋』の伊藤正和杜氏。

同い年とわかって一気に距離が縮まった山﨑氏と『市野屋』の加瀬博斗氏。酒の魅力を追求する者同士、話は尽きない。

全国新酒鑑評会で受賞した「市野屋 純米大吟醸 山田錦」。山廃造りとは思えない華やかさと、山廃らしい豊かなコク、キレのよさが絶妙なバランスで実現されている。

 次世代に向けた、新しい甘口の酒を。

最後に訪れたのは、2023年に創業100周年を迎える『北安醸造』。甘口の酒として知られる「北安大国」を醸しています。杜氏を務めるのは、愛知県出身の山崎義幸氏。山登りやスキーが好きな山崎氏は白馬村に移住し土木関係の仕事をしていましたが、やがてより積雪が少なく暮らしやすい大町市にやってきたそうです。『北安醸造』に職を得て、もともと興味があった「日本の伝統的な仕事」である酒造りに次第にのめり込んでいき、2007年に杜氏に就任しました。
「祖父が味噌や麹造りをしていたので、なんとなく日本の発酵文化には親しみを感じていました。後で知ったことですが、曽祖父は半田市で杜氏をしていたそうで、選ぶべくしてたどり着いた道なのかもしれませんね」と山崎杜氏は微笑みます。

すでに甘口のイメージが地域に根付いている酒を受け継ぐにあたり、山崎杜氏が腐心したのは「甘さを自分はどう表現するか?」でした。それまで普通酒が中心だったのを、ほぼすべて純米酒に変更。米の甘みを生かす方法を追求します。原料米は基本的に地元大町産のものを使いますが、全体の20%ほどは隣の松川村で自ら栽培した米を使い、米作りから醸造、出荷までを一貫して手掛けています。
「米の乾燥や精米、洗米などの原料米の処理工程はかなり微妙な加減が求められます。米の生育から関わっていると、小さな課題や注意点も見えるので、よりきめ細かな処理ができるのが利点です。米のポテンシャルを最大限に引き出して、なめらかな甘さを追求しています」と山崎杜氏は話します。

長年研究を続ける“なめらかな甘さ”が最もわかりやすく表現されているという「北安大国 もち米純米」をいただきました。その名のとおり、原料米にもち米を使ったユニークな1本です。
「甘さがものすごく上品ですね」と山﨑氏は目を丸くしています。
「もち米の旨味が水の中に溶けきっているという印象で、“もち米のお酒”と実感できます。食べ物も飲み物も主原料の味がしっかり感じられるのが本当の美味しさ。僕が専門とするカクテルも味が良ければいいというわけではなく、いろんな材料を混ぜ合わせていてもベースのお酒のニュアンスがきちんと感じられるものが素直に美味しいと思えるもの。これだけパンチのある甘さなのに、全然もったりしたクドさはなく、ちゃんとキレてくれますね。煮物なんかによく合うでしょうし、僕は疲れている夜に飲んだら元気が出そうな味だと思います。好きだなあ」

他に山廃造りのシリーズ「居谷里」と、長野で生まれた酒米であるひとごこち、そして、しらかば錦を70%精米で使う「北安大國 純米酒 七十%精米」も唎きいた山﨑氏は、「トロッとした甘み」が通底していると指摘します。
「仕込み水は水道から出る居谷里水系の女清水。この美味しい超軟水が、心地よい甘みに作用している部分は大きいでしょうね。うちの蔵には地下80mの井戸があり、とてもきれいな水が汲めるのですが、不思議とこの水で仕込んだ酒は荒々しくていまひとつ。水道水の方がずっとまろやかないい酒になるんです。仕込み水は水道水で、雑用に使うのは井戸水。普通の感覚と逆ですよね。それだけ、水道水の質がいいということなんです」と山崎杜氏は話します。

各蔵で試飲を重ね、三者三様の美味しさを体感した山﨑氏は、大町の酒のクオリティに驚くと共に、蛇口をひねれば澄んだ天然水が出ることの贅沢な環境を羨みます。
「天然水と共に生きることは、なんと豊かなことか」と。

大正時代に建てられた蔵で、連綿と日本酒造りを行う『北安醸造』。鬼瓦には「酒」の文字が。

蔵内部は歴史を感じさせる端正な造り。

杜氏の山崎義幸氏と語らう。「辛口偏重の時代に、甘口に特化した酒造りをブレずに行う姿勢が興味深い」と山﨑氏は真剣に耳を傾ける。

どの蔵にも、都会の喧騒とは無縁の静謐な時が流れていた。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

ヘビークルーネックスウェット

ヘビーなクルーネックスウェットが登場!

  • 厚手のスエット生地でインナーや1枚で着られるシンプルな1着
  • 厚みはヘビーパーカーなどと一緒です
  • ワンウォッシュ済み

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
S 65.0 38.0 100.0 90.0 62.0
M 67.0 41.0 106.0 96.0 63.0
L 69.0 44.0 112.0 102.0 64.0
XL 71.0 46.0 116.0 106.0 65.0
XXL 73.0 48.0 120.0 110.0 66.0
  • 商品は若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • 綿 : 100%

まるで化学の実験。その一滴が味を変える、関金わさびの香り。[和光アネックス/東京都中央区]

柚子の華やかな香りにわさび本来の香りと辛みを添えた「柚子わさびオイル」。どこか懐かしいレトロなタイポグラフィーも美しい。

WAKO ANNEXいつか産地に旅したい。そう思わせるモノづくり。

鳥取県倉吉市、中国山地の名峰・大山の恵み溢れる関金は、澄み切った清流が美しい自然に囲まれた地域です。

そんな豊かな風土を活かし、『西河商店』では、「関金わさび」を使用したわさびの卸し、生産加工をしています。

「関金わさび」は、収穫までに2年もの歳月がかかると言われています。その味わいと香りをこめ油に凝縮させた「わさびオイル」が今回ご紹介する逸品。

中でも、そこに柚子の華やかな香りを加えた「柚子わさびオイル」は、『西河商店』の名品のひとつ。

容器においては数種あり、まるで化学実験のようなスポイド瓶を選べば、一滴から料理に風味を与えることも可能。サラダや鮮魚、お鍋やスープにも好相性です。

過去にはユーザーの投票によって選ばれる「カラーミーショップ大賞」にもノミネート。「いつか産地に旅したい」を感じるモノづくりを目指す『西河商店』の味をぜひご堪能いただきたい。

わさびの優しい辛みと柚子の芳醇な香りが特徴の「柚子わさびオイル」。スポイト瓶は、一滴から添えられるため、香りや風味を加えたい時に最適。酢と1:1で割ったドレッシングもおすすめ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

ようやく世界に並ぶ環境を手に入れた。最新設備の厨房が勝敗を分ける。

『フジマック』取締役 常務執行役員 熊谷勇人氏(右)、2023年『ボキューズ・ドール』日本代表ひらまつグループ『アルジェント』所属、石井友之氏(左)。実は、大会について真っ向から議論するのは今回が初。互いの意見を交わすことによって、より絆が強固に。

Bocuse d’Or 2023長年、『ボキューズ・ドールJAPAN』を支援し続けているメーカーからのメッセージ。

13年にわたり、『ボキューズ・ドールJAPAN』のサポートを続けている厨房機器メーカーの『フジマック』。その意義を、取締役 常務執行役員の熊谷勇人氏と、2023年の出場者である石井友之シェフが語ります。『ボキューズ・ドールJAPAN』のサポートを始めたきっかけは、こんな理由からでした。

「『ひらまつ』さんには長年厨房機器をおさめていますが、その経緯で『ボキューズ・ドール』のご紹介を受け、サポートを始めることになりました。2009年の長谷川幸太郎シェフ出場の時が初回になります。長年にわたって支援していく中で、一ファンとしても、企業としても、大会をもっと盛り上げていきたいと思っています。そもそもフードビジネスのトータルサポートというのが我々の目指すところです。機能性の高い厨房機器を作るというのはもちろんですが、何かお困りがあれば、ご相談いただければと思っておりますし、シェフの心のよりどころでありたいと言う風に考えています。大会のサポートはその延長上にあります」と熊谷氏は言います。

「『ひらまつ』に入社した時からずっとお世話になっていますが、新人のころはそういう感覚にまでは及びませんでした。厨房に機器があって、動いているのは当たり前。ですが、立場が上になるに連れ、壊れた時にどうするか、連絡した時の『フジマック』さんの迅速な対応など、ありがたさが身に沁みてわかってくるんですね」と石井シェフ。

13年にわたる支援の中、今年は、より進化したサポートを『フジマック』は提供します。それは、初のキッチンラボです。本選と同じサイズ、同じ機器の配置に作ったキッチンを用意し、その環境で鍛錬を積むことにより、本選での動きを身体に叩き込むことができます。日本チームにとってはまさに悲願でした。

「『フジマック』さんには感謝しかないです。世界の主流は、皆このやり方でやっています。本番同様のキッチンがないと、どうしても、本選で動きにロスが出てしまう。今回はそのハンデがなくなったわけですから、言い訳できません。頑張ります」と石井シェフ。

「本選では、いかに効率よく動けるかまでが、全て評価されますから。場慣れするという意味でも、また、普段通りの力を発揮するためにも、そうした環境が絶対に必要だと思いました。特に、2015年と2019年に日本代表として出場した高山英紀シェフと話して、その必要性を強く説かれ、我々も理解のもと、今回キッチンラボ設置の協力を、ということになりました」と熊谷氏。

「日本も一歩世界基準に近づくことができました。世界ではさらに、キッチンラボで毎日行っていることをSNSでアップするというのが主流になってきていますね。日本はそこはまだできていないので、それも追いついていかなければと思っています」と石井シェフ。

『フジマック』は、手厚い支援を長年続けている貴重な企業。しかし、それにはどのようなメリットがあるでしょうか。

「もともとレストランやホテルに育ててもらった企業なので、シェフに対してなんらかの恩返しをしたいと常に考えています。また、大会という目標を持つことは料理人にとってとても重要だと思います。日本のフランス料理業界がさらに発展するためにも、ボキューズ・ドールJAPANには、ぜひご協力したいと思っています。若手のシェフの中からひとりでも多く、目指す人が出てくれば、我々にとってもメリットがありますから」と熊谷氏。

「入社してすぐのころは、美味しい料理を作ることが全てで、それ以外は考えていませんでした。料理は技術であり、味であり、香りであり、見た目。それを究めようと、やっきになっていました。そんな中で、『テタンジェコンクール』(若手の登龍門と言われる、世界的な料理コンクール)に出場し、国内3位になりました。あれだけ技術を詰め込んできたのに、なぜ勝てなかったのかということが悔しくて、『ボキューズ・ドール』を目指しました。その後、こうして機材をご提供いただいたり、食材を支援してもらったり、たくさんのご協力のもと必死に試作を続けた結果、気づいたら日本代表になっていたわけです。ひとりでは頂点を獲ることができなかったのに、背中を押してもらったおかげで日本代表の座を手に入れることができました。それで初めて、皆さまのご支援、ご協力があったからこそということがわかり、すっかり考えが変わりました。感謝の気持を込めてやっていくことが必要なんだと」と石井シェフ。

料理人とは、ある種、アスリートと同じなのかもしれません。アスリートの方々も大きな大会で活躍したあとには、必ず、多くの人の支えに対する感謝を述べています。その姿は、石井シェフの言葉と重なって聞こえます。

​​​常に革新を追求し続ける『フジマック』。「厨房は、レストランとシェフがあってこそ活かされます。フランス料理においては、特に厨房機器の性能が左右します。私たちは、最先端の厨房を通して、恩返ししたいと思っています」と語る、熊谷氏。

今や、フランス料理店の厨房には欠かせないスチームコンベクションオーブンについて、「欧米の一流店は、常に最新機器を導入しています。現代においては、機器の性能が料理の質を大きく左右します」と、世界と日本の差は、料理の技術云々以外にもあることを指摘する石井シェフ。「『フジマック』さんのテクノロジーは、厨房機器業界を大きく進化させていると思います」と言葉を続ける。

ドアハンドルのない冷蔵庫やタッチパネルで操作できる高い精度。手作業を減らすことで誤差もない。手入れもしやすいため、その分、料理に注ぐ時間も増える。

Bocuse d’Or 2023勝つための大会。『フジマック』の視点から、『ボキューズ・ドール』を解析。

日本のこれまでの最高位は、2013年の浜田氏の3位入賞。これまで勝てなかった理由は何か。ふたりは、こう分析します。

「料理を作る人間ではないのに、大変僭越ですが、そもそもフランス料理の大会ですから、欧州勢が圧倒的なアドバンテージを持っていると思います。伝統、文化、育った環境すべてが異なる。その中で日本勢がどこまでやれるのかというのは、なかなか難しいことです。とはいえ、いよいよ世界が獲れるんじゃないかというくらいの期待感が高まっているのも事実です。これだけ、海外で活躍するシェフも増え、また、海外から日本のフレンチを食べに来る方も増加している今、時間の問題なのではないかと思います」と熊谷氏。

「私はこれまでの敗因を、日本の文化を全面に押し出しすぎたことにあるのではないかと思っています。過去の写真、資料、レシピの全てに目を通しましたが、これまでの作品は、日本好きなヨーロッパ人にはわかってもらえるかもしれないけれど、アフリカや南北アメリカからも審査員は来るわけで、その人たちには、“日本ってこうなんだ”で終わってしまうのではないかと。フランスの食材や文化を大きく捉え、その中で表現していかないといけないと思うのです。今は北欧のスタイルが主流になっていますが、それならまずそれを理解し、その上で一歩先を目指すことが必要なのだと考えています」と石井シェフ。

「日本の良いところは、チームワークがすごくいいことだと思います。シェフとコミ(アシスタント)ふたりでの、限られた時間内での作業になるわけですから、阿吽の呼吸でものごとが進まないといけない。また、コーチの方々や我々のようなパートナーが皆、力を発揮すれば、大会で良い結果が出せると思います。もちろん石井シェフのこだわりや、日本人ならではの利点も当然あると思いますし、日本を出しすぎたことが減点になったと言われたけれど、日本独自のセンスも残してほしいですね」と熊谷氏。

今回はプラッター(大皿盛り)のテーマのメイン素材があんこうと決まりました。日本ではよく食べる魚であることや扱いにも慣れているなど、一見有利のように思えますが、本選ではスコットランド産のあんこうを使うという難点が。日本のあんこうは、世界と比べてレベルが高く、日本産で試作したものと現地で作ったものにギャップは必ず生じるでしょう。「それが一番こわいです。なんとかスコットランド産あんこうを取り寄せられないかと、八方手は尽くしているのですが……」と石井シェフは、今の心情を語ります。

日本の強みである、魚の扱いのレベルの高さが発揮できるとよいのですが、本選で使用する食材が手に入らないというのは、欧州勢に比べると大きなディスアドバンテージ。しかし、どうすれば乗り切れるか。どう戦えば勝てるのか。

「日頃の力を発揮できることが一番だと思います。私どものキッチンを使い倒して、動きを体に刻み込んでもらいたいですね。そうすれば本番で120%の力が出せ、おのずと良い結果がついてくると信じでいます」と熊谷氏。

「コンクール当日は、“始めます”とアナウンスされた時には頭が真っ白。何をすべきかという手順がうっすらうっすら戻ってくるのですが、その間はわけのわからないことをしています(苦笑)。ビデオを見たら、一回まな板を回してまた戻していました。手が震えて、ボウルを動かしたり、手を洗ったり。ようやく手の震えが収まって、そこからスタートダッシュをかけたみたいな感じです」と石井シェフ。

本選の持ち時間は5時間半。その中で、大皿盛りのプラッターと、プレート盛りを仕上げなければなりません。常人には5時間半集中し続けるのは至難の技だ。

「始まってしまえば、あっと言う間です。ゾーンに入っているというか、集中しているとしていないの狭間にいるような感覚です。そして、仕上げの時にギアをさらに上げていく。その時に酸欠になるので、肺活量を増やそうと、毎日走って体も鍛えています」と石井シェフ。

本番の精神状態は極限状態。テクニックはもちろん、強靭なメンタルも必要とされるため、シェフは、前述のごとく、アスリートと化す。

「コンクールにチャレンジすること自体が将来キャリアを積む上で、重要なひとつの挑戦だと思います。個人店のシェフにはハードルが高いなどの問題がありますから、どうにかして門戸を広げられるように、我々の会社も微力ではあっても支援していきたいと思っています」と熊谷氏。

フランスでは入賞したシェフの地位が確約されていると聞きます。日本でも、勝つことによる知名度、シェフとしてのステップアップなど、具体的な夢が見えると、もっと目指す人が
増えてくるのかもしれません。

『ボキューズ・ドール』にかける熱い思いを語る石井シェフ。「『フジマック』さんは、チームジャパンに欠かせない存在です」。

石井シェフにエールを贈る熊谷氏。同時に「フランス料理業界の発展を願いたいです」と話す。

Bocuse d’Or 2023もし日本が開催地になったら!? 認知度、話題性、そして、大会の本質をどう伝えるか。

「シラの会場(世界一の食の見本市)や、クープ・ド・モンド(パティシエのコンクールで前々日、前日に開かれる)や『ボキューズ・ドール』の会場の熱狂を見れば、そのすごさ、特殊さが、伝わるはずです。まさにフランス料理におけるワールドカップです。テレビなどのわかりやすいメディアで発信することで、Z世代や若い世代が興味を持つようになると良いと思います。若年層からの押し上げも大切ですから」。石井シェフは、世界が見る『ボキューズ・ドール』の現象と対日本について、こう話します。

日本大会は辻調理師専門学校で行われ、一般には見学できませんが、フランスや北欧では国の大会も一般参加できます。この環境の違いも大きいかもしれません。

「日本大会を観戦できるようにすることも、認知度を上げるひとつの方法かもしれません。北欧やフランスは表彰式も大きなところで開催し、最後に花火まで上げて。日本においてもそのような取組みが必要かもしれません」と石井シェフ。

「『フジマック』の機材を紹介していく場にもなりますね。実際に機材を使っていただくことで理解が深まると思うので、弊社としてもそのような取り組みは嬉しいです」と熊谷氏。

「去年から『コミットメントアワード』という賞が設けられました。食文化として何を発信してきたいか、SDGsにはどのように取り組んでいるかなどを評価するアワードです。応募しているのは、北欧勢、フランス。アジアだと、タイ、韓国、中国。日本は参加していないのですが、実にもったいない。自国の食に対する考えをアピールできる絶好の機会なのに。前回はコスタリカがアワードをとっていました。“労働環境やジェンダーの問題を私達は変えていきます”という内容のプレゼンテーションで。『ボキューズ・ドール』は、料理コンクールという枠を超え、食を通じて世界をより豊かにしていくための発表の場でもあるのです」と石井シェフ。

そうした未来を見据えた料理コンクール、『ボキューズ・ドール』は、厨房機器の総合メーカーであるフジマックにとって、どんな存在なのでしょうか。そして石井シェフに期待することは何か。

「スポンサーの立場でいうと、シェフたちへの恩返しの場です。シェフが世界で活躍するその一助になれれば、という思いでのスポンサードです。石井シェフには、今までの経験と周囲のサポートを改めて感じていただき、力を出し切っていただきたいですね」と熊谷氏。

「最後の最後まで諦めずに頑張りたいと思います」。石井シェフは、熊谷氏にそう約束し、今日もまた、『フジマック』のキッチンで料理に励む。

日本チームの健闘を願う熊谷氏と、それに応えたいと誓う石井シェフ。それぞれ異なる視点から読み解いた『ボキューズ・ドール』談義は、互いに大きな刺激を生んだ。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

ようやく世界に並ぶ環境を手に入れた。最新設備の厨房が勝敗を分ける。

『フジマック』取締役 常務執行役員 熊谷勇人氏(右)、2023年『ボキューズ・ドール』日本代表ひらまつグループ『アルジェント』所属、石井友之氏(左)。実は、大会について真っ向から議論するのは今回が初。互いの意見を交わすことによって、より絆が強固に。

Bocuse d’Or 2023長年、『ボキューズ・ドールJAPAN』を支援し続けているメーカーからのメッセージ。

13年にわたり、『ボキューズ・ドールJAPAN』のサポートを続けている厨房機器メーカーの『フジマック』。その意義を、取締役 常務執行役員の熊谷勇人氏と、2023年の出場者である石井友之シェフが語ります。『ボキューズ・ドールJAPAN』のサポートを始めたきっかけは、こんな理由からでした。

「『ひらまつ』さんには長年厨房機器をおさめていますが、その経緯で『ボキューズ・ドール』のご紹介を受け、サポートを始めることになりました。2009年の長谷川幸太郎シェフ出場の時が初回になります。長年にわたって支援していく中で、一ファンとしても、企業としても、大会をもっと盛り上げていきたいと思っています。そもそもフードビジネスのトータルサポートというのが我々の目指すところです。機能性の高い厨房機器を作るというのはもちろんですが、何かお困りがあれば、ご相談いただければと思っておりますし、シェフの心のよりどころでありたいと言う風に考えています。大会のサポートはその延長上にあります」と熊谷氏は言います。

「『ひらまつ』に入社した時からずっとお世話になっていますが、新人のころはそういう感覚にまでは及びませんでした。厨房に機器があって、動いているのは当たり前。ですが、立場が上になるに連れ、壊れた時にどうするか、連絡した時の『フジマック』さんの迅速な対応など、ありがたさが身に沁みてわかってくるんですね」と石井シェフ。

13年にわたる支援の中、今年は、より進化したサポートを『フジマック』は提供します。それは、初のキッチンラボです。本選と同じサイズ、同じ機器の配置に作ったキッチンを用意し、その環境で鍛錬を積むことにより、本選での動きを身体に叩き込むことができます。日本チームにとってはまさに悲願でした。

「『フジマック』さんには感謝しかないです。世界の主流は、皆このやり方でやっています。本番同様のキッチンがないと、どうしても、本選で動きにロスが出てしまう。今回はそのハンデがなくなったわけですから、言い訳できません。頑張ります」と石井シェフ。

「本選では、いかに効率よく動けるかまでが、全て評価されますから。場慣れするという意味でも、また、普段通りの力を発揮するためにも、そうした環境が絶対に必要だと思いました。特に、2015年と2019年に日本代表として出場した高山英紀シェフと話して、その必要性を強く説かれ、我々も理解のもと、今回キッチンラボ設置の協力を、ということになりました」と熊谷氏。

「日本も一歩世界基準に近づくことができました。世界ではさらに、キッチンラボで毎日行っていることをSNSでアップするというのが主流になってきていますね。日本はそこはまだできていないので、それも追いついていかなければと思っています」と石井シェフ。

『フジマック』は、手厚い支援を長年続けている貴重な企業。しかし、それにはどのようなメリットがあるでしょうか。

「もともとレストランやホテルに育ててもらった企業なので、シェフに対してなんらかの恩返しをしたいと常に考えています。また、大会という目標を持つことは料理人にとってとても重要だと思います。日本のフランス料理業界がさらに発展するためにも、ボキューズ・ドールJAPANには、ぜひご協力したいと思っています。若手のシェフの中からひとりでも多く、目指す人が出てくれば、我々にとってもメリットがありますから」と熊谷氏。

「入社してすぐのころは、美味しい料理を作ることが全てで、それ以外は考えていませんでした。料理は技術であり、味であり、香りであり、見た目。それを究めようと、やっきになっていました。そんな中で、『テタンジェコンクール』(若手の登龍門と言われる、世界的な料理コンクール)に出場し、国内3位になりました。あれだけ技術を詰め込んできたのに、なぜ勝てなかったのかということが悔しくて、『ボキューズ・ドール』を目指しました。その後、こうして機材をご提供いただいたり、食材を支援してもらったり、たくさんのご協力のもと必死に試作を続けた結果、気づいたら日本代表になっていたわけです。ひとりでは頂点を獲ることができなかったのに、背中を押してもらったおかげで日本代表の座を手に入れることができました。それで初めて、皆さまのご支援、ご協力があったからこそということがわかり、すっかり考えが変わりました。感謝の気持を込めてやっていくことが必要なんだと」と石井シェフ。

料理人とは、ある種、アスリートと同じなのかもしれません。アスリートの方々も大きな大会で活躍したあとには、必ず、多くの人の支えに対する感謝を述べています。その姿は、石井シェフの言葉と重なって聞こえます。

​​​常に革新を追求し続ける『フジマック』。「厨房は、レストランとシェフがあってこそ活かされます。フランス料理においては、特に厨房機器の性能が左右します。私たちは、最先端の厨房を通して、恩返ししたいと思っています」と語る、熊谷氏。

今や、フランス料理店の厨房には欠かせないスチームコンベクションオーブンについて、「欧米の一流店は、常に最新機器を導入しています。現代においては、機器の性能が料理の質を大きく左右します」と、世界と日本の差は、料理の技術云々以外にもあることを指摘する石井シェフ。「『フジマック』さんのテクノロジーは、厨房機器業界を大きく進化させていると思います」と言葉を続ける。

ドアハンドルのない冷蔵庫やタッチパネルで操作できる高い精度。手作業を減らすことで誤差もない。手入れもしやすいため、その分、料理に注ぐ時間も増える。

Bocuse d’Or 2023勝つための大会。『フジマック』の視点から、『ボキューズ・ドール』を解析。

日本のこれまでの最高位は、2013年の浜田氏の3位入賞。これまで勝てなかった理由は何か。ふたりは、こう分析します。

「料理を作る人間ではないのに、大変僭越ですが、そもそもフランス料理の大会ですから、欧州勢が圧倒的なアドバンテージを持っていると思います。伝統、文化、育った環境すべてが異なる。その中で日本勢がどこまでやれるのかというのは、なかなか難しいことです。とはいえ、いよいよ世界が獲れるんじゃないかというくらいの期待感が高まっているのも事実です。これだけ、海外で活躍するシェフも増え、また、海外から日本のフレンチを食べに来る方も増加している今、時間の問題なのではないかと思います」と熊谷氏。

「私はこれまでの敗因を、日本の文化を全面に押し出しすぎたことにあるのではないかと思っています。過去の写真、資料、レシピの全てに目を通しましたが、これまでの作品は、日本好きなヨーロッパ人にはわかってもらえるかもしれないけれど、アフリカや南北アメリカからも審査員は来るわけで、その人たちには、“日本ってこうなんだ”で終わってしまうのではないかと。フランスの食材や文化を大きく捉え、その中で表現していかないといけないと思うのです。今は北欧のスタイルが主流になっていますが、それならまずそれを理解し、その上で一歩先を目指すことが必要なのだと考えています」と石井シェフ。

「日本の良いところは、チームワークがすごくいいことだと思います。シェフとコミ(アシスタント)ふたりでの、限られた時間内での作業になるわけですから、阿吽の呼吸でものごとが進まないといけない。また、コーチの方々や我々のようなパートナーが皆、力を発揮すれば、大会で良い結果が出せると思います。もちろん石井シェフのこだわりや、日本人ならではの利点も当然あると思いますし、日本を出しすぎたことが減点になったと言われたけれど、日本独自のセンスも残してほしいですね」と熊谷氏。

今回はプラッター(大皿盛り)のテーマのメイン素材があんこうと決まりました。日本ではよく食べる魚であることや扱いにも慣れているなど、一見有利のように思えますが、本選ではスコットランド産のあんこうを使うという難点が。日本のあんこうは、世界と比べてレベルが高く、日本産で試作したものと現地で作ったものにギャップは必ず生じるでしょう。「それが一番こわいです。なんとかスコットランド産あんこうを取り寄せられないかと、八方手は尽くしているのですが……」と石井シェフは、今の心情を語ります。

日本の強みである、魚の扱いのレベルの高さが発揮できるとよいのですが、本選で使用する食材が手に入らないというのは、欧州勢に比べると大きなディスアドバンテージ。しかし、どうすれば乗り切れるか。どう戦えば勝てるのか。

「日頃の力を発揮できることが一番だと思います。私どものキッチンを使い倒して、動きを体に刻み込んでもらいたいですね。そうすれば本番で120%の力が出せ、おのずと良い結果がついてくると信じでいます」と熊谷氏。

「コンクール当日は、“始めます”とアナウンスされた時には頭が真っ白。何をすべきかという手順がうっすらうっすら戻ってくるのですが、その間はわけのわからないことをしています(苦笑)。ビデオを見たら、一回まな板を回してまた戻していました。手が震えて、ボウルを動かしたり、手を洗ったり。ようやく手の震えが収まって、そこからスタートダッシュをかけたみたいな感じです」と石井シェフ。

本選の持ち時間は5時間半。その中で、大皿盛りのプラッターと、プレート盛りを仕上げなければなりません。常人には5時間半集中し続けるのは至難の技だ。

「始まってしまえば、あっと言う間です。ゾーンに入っているというか、集中しているとしていないの狭間にいるような感覚です。そして、仕上げの時にギアをさらに上げていく。その時に酸欠になるので、肺活量を増やそうと、毎日走って体も鍛えています」と石井シェフ。

本番の精神状態は極限状態。テクニックはもちろん、強靭なメンタルも必要とされるため、シェフは、前述のごとく、アスリートと化す。

「コンクールにチャレンジすること自体が将来キャリアを積む上で、重要なひとつの挑戦だと思います。個人店のシェフにはハードルが高いなどの問題がありますから、どうにかして門戸を広げられるように、我々の会社も微力ではあっても支援していきたいと思っています」と熊谷氏。

フランスでは入賞したシェフの地位が確約されていると聞きます。日本でも、勝つことによる知名度、シェフとしてのステップアップなど、具体的な夢が見えると、もっと目指す人が
増えてくるのかもしれません。

『ボキューズ・ドール』にかける熱い思いを語る石井シェフ。「『フジマック』さんは、チームジャパンに欠かせない存在です」。

石井シェフにエールを贈る熊谷氏。同時に「フランス料理業界の発展を願いたいです」と話す。

Bocuse d’Or 2023もし日本が開催地になったら!? 認知度、話題性、そして、大会の本質をどう伝えるか。

「シラの会場(世界一の食の見本市)や、クープ・ド・モンド(パティシエのコンクールで前々日、前日に開かれる)や『ボキューズ・ドール』の会場の熱狂を見れば、そのすごさ、特殊さが、伝わるはずです。まさにフランス料理におけるワールドカップです。テレビなどのわかりやすいメディアで発信することで、Z世代や若い世代が興味を持つようになると良いと思います。若年層からの押し上げも大切ですから」。石井シェフは、世界が見る『ボキューズ・ドール』の現象と対日本について、こう話します。

日本大会は辻調理師専門学校で行われ、一般には見学できませんが、フランスや北欧では国の大会も一般参加できます。この環境の違いも大きいかもしれません。

「日本大会を観戦できるようにすることも、認知度を上げるひとつの方法かもしれません。北欧やフランスは表彰式も大きなところで開催し、最後に花火まで上げて。日本においてもそのような取組みが必要かもしれません」と石井シェフ。

「『フジマック』の機材を紹介していく場にもなりますね。実際に機材を使っていただくことで理解が深まると思うので、弊社としてもそのような取り組みは嬉しいです」と熊谷氏。

「去年から『コミットメントアワード』という賞が設けられました。食文化として何を発信してきたいか、SDGsにはどのように取り組んでいるかなどを評価するアワードです。応募しているのは、北欧勢、フランス。アジアだと、タイ、韓国、中国。日本は参加していないのですが、実にもったいない。自国の食に対する考えをアピールできる絶好の機会なのに。前回はコスタリカがアワードをとっていました。“労働環境やジェンダーの問題を私達は変えていきます”という内容のプレゼンテーションで。『ボキューズ・ドール』は、料理コンクールという枠を超え、食を通じて世界をより豊かにしていくための発表の場でもあるのです」と石井シェフ。

そうした未来を見据えた料理コンクール、『ボキューズ・ドール』は、厨房機器の総合メーカーであるフジマックにとって、どんな存在なのでしょうか。そして石井シェフに期待することは何か。

「スポンサーの立場でいうと、シェフたちへの恩返しの場です。シェフが世界で活躍するその一助になれれば、という思いでのスポンサードです。石井シェフには、今までの経験と周囲のサポートを改めて感じていただき、力を出し切っていただきたいですね」と熊谷氏。

「最後の最後まで諦めずに頑張りたいと思います」。石井シェフは、熊谷氏にそう約束し、今日もまた、『フジマック』のキッチンで料理に励む。

日本チームの健闘を願う熊谷氏と、それに応えたいと誓う石井シェフ。それぞれ異なる視点から読み解いた『ボキューズ・ドール』談義は、互いに大きな刺激を生んだ。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

自然農×自然派ワイン。「ノーマ」も認めた大岡弘武が醸す、柑橘果実酒。[和光アネックス/東京都中央区]

世界的に著名な自然派ワイン醸造の第一人者である大岡弘武氏が手がける「然ながらみかん(タンク) 果実酒」。タンク醸造と樽醸造の2種あるが、今回はタンク醸造を用意。

WAKO ANNEXワイン業界に一石を投じた、みかんの果実酒。

福岡正信氏が著した「わら一本の革命」。世界に一石を投じたそれは、多くの共感者を呼び、愛媛県伊予市にある『福岡正信自然農園』を目指し、各国から多くの人が訪れました。

今回は、そんな『福岡正信自然農園』の自然農と自然派ワイン醸造の第一人者である大岡弘武氏との共演が叶った果実酒を紹介。それは、奈良県磯城郡の『日本総合園芸』より展開されている「然ながらみかん(タンク) 果実酒」です。

大岡氏は、世界的に高い評価を受ける自然派ワインの第一人者であり、知る人ぞ知る醸造家。フランス・ローヌの帝王と称されるギガル社でエルミタージュ地区(ローヌで最上の葡萄が収穫されるといわれている100年以上の樹がある圃場)の栽培長を経て独立し、自然農法の祖と言われる福岡氏の哲学を取り入れた栽培・醸造方法で自然派ワインへ傾倒したことが今回のご縁につながりました。その活動は世界に知れ渡り、『ニューヨークタイムズ』(アメリカ版)でも特集され、世界最高峰のレストランと言われるコペンハーゲン『ノマ』にも自身のワインが取り扱われています。

そんな大岡氏が手がける果実酒は、世界的に希少な自然発酵を採用しています。通常、品質保持のために添加される亜硫酸を一切使用せず、非加熱・無濾過で仕上げた柑橘から醸造しています。

「然ながらみかん(タンク) 果実酒」は、和歌山県産の有機温州みかんの果汁と外皮に付着する酵母のみを使用しており、その原料となる柑橘を提供しているのは『梶本農園』です。ここは、和歌山県で最初に有機JAS認定を取得した農園でもあります。初代から手塩にかけて栽培する柑橘には、とても定評があり、有機温州みかんの自然の甘みと瑞々しさ、そしてすっきりとした味わいが特徴です。

「世界で類をみない私たちの自然派果実酒は、自然の循環から誕生したサスティナブルな次世代のお酒であると信じています」と大岡氏。今回、『日本総合園芸』が柑橘を選んだ理由のひとつに、葡萄と柑橘では果実酒の仕込み作業の繁忙期が異なるといった部分があったから。柑橘をお酒造りに活用することによって、柑橘農家はもちろん、ブドウを用いるワイン醸造家は新たな収入源を得ることが可能となります。ブドウではなくみかんを原料にした果実酒は、新たなスタイルの開拓と言ってよいでしょう。

「然ながらみかん(タンク) 果実酒」の果実味と爽やかな酸味は、まさに「さながらみかん」。奇跡的な出会いから生まれた両者の果実酒をぜひお楽しみいただきたい。

プチプチとした細かなガス感も楽しめる果実酒。自然発酵ならではの旨味が一体となった味わいが広がる。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

2022年度 年末年始休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。誠に勝手ながら

下記期間を年末年始休業とさせていただきます。

2022年12月31日(土) ~ 2023年1月4日(水)まで

※ 2023年1月5日(木)より、通常業務を開始します。

※ 休暇中のお問合せにつきましては、2022年1月5日(木) 以降に対応させていただきます。

大変ご迷惑をお掛けいたしますが、 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

The post 2022年度 年末年始休業のお知らせ first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

北アルプスの天然水の美味しさを、真っ直ぐに伝えるクラフトビール。

『北アルプスブルワリー』のタップルームにて、出来立てのクラフトビールを味わう。

 ビールを通じて信濃大町の水を体感してほしい。

信濃大町駅から北へ伸びる商店街の中ほどに、2019年、大町市初のマイクロブルワリー『北アルプスブルワリー』が誕生しました。全国的に、地域に根差した少量高品質なクラフトビールが生まれ、ビールの新たな楽しみを広がっていますが、中でも『北アルプスブルワリー』はユニークなスタンスで独自の個性を発揮しています。その個性とは、ずばり“水”。

そもそも信濃大町の水の美味しさを伝えるために作られたブルワリーであると、醸造責任者の松浦周平氏は設立の背景をひもときます。
「信濃大町の水道水にもなっている北アルプスの上白沢水系の天然水は、世界に誇る美味しい軟水だと思っています。北アルプスに浸み込んだ水が15年から20年かけて地中で磨かれ、一度も地表に出ることなく水道水となって供給されています。この水の美味しさを多くの方に知っていただきたい。そのきっかけとして、美味しい水で造ったクラフトビールを飲んでもらえたら、と考えたのです」

兵庫県出身の松浦氏は、スノーボードに熱中して白馬に通うようになり、やがて信濃大町に移住し、コーヒーショップを開業しました。開業地に信濃大町を選んだのは、やはりコーヒーに欠かせない水の存在が決め手になったと話します。

「コーヒー豆と軟水はものすごく相性がいい。コーヒーの98%以上が水。豆の品質と焙煎の方法もとても重要ですが、結局、淹れるための水のクオリティで美味しさに格段の差が出るものなんです。僕は上白沢の水はコーヒーを淹れるのに最高の水だと思っています。圧倒的な水の良さをコーヒーを通じて体感してほしい、そう思って店を営んできました。そして、その発想をビールにも広げました。コーヒーは緑茶や紅茶と違って堅苦しいお作法がない、世界中でカジュアルに楽しまれている飲み物。同様にビールも庶民のお酒の代表です。身近な飲み物であるコーヒーとビールで信濃大町の水の美味しさを伝えていきたいというのが狙いです」(松浦氏)

「カクテルってどこか拡張高いお酒と思われがちですが、本来はビールのようにカジュアルなものなんですよ。禁酒法の時代に、粗悪なお酒をいかに美味しく飲むか。その工夫として大きく発展したのがカクテルなので、本来はごく大衆的な飲み物。僕のバーも“アットホームバー”を謳っていて、肩肘張らずにお酒の美味しさ、新たな魅力に気づいてほしいと思っています。だから、カジュアルな入り口から多くの人に入ってきてもらって、水の美味しさを知ってほしいという松浦さんの想いに共感しますね」と山﨑氏はうなずきます。

工場内で醸造の特徴について解説する松浦氏。酒のプロであるバーテンダーならではの鋭い質問によどみなく答えていく。

「掃除だけはどこにも負けていないと断言できます」と松浦氏が話すとおり、ブルワリー内はどこもピカピカに磨き上げられている。

 水質調整を一切行わず、そのままの天然水でビールを仕込む。

信濃大町の水の美味しさをクラフトビールを通じて伝える。そのミッションを掲げる『北アルプスブルワリー』は、常識にとらわれない大胆なクラフトビール醸造に取り組みます。その最たる部分が、使用する水に一切手を加えないこと。一般的には、ビールに使う水は醸造の前段階で薬剤を使った水質調整が施されます。クラフトビールがいち早く発展してきたイギリスやアメリカの水が硬水であることから、日本の軟水はミネラル成分などを添加し、イギリスやアメリカでビール醸造に適しているとされる硬水につくり変えるのです。

しかし、それでは『北アルプスブルワリー』はそもそもの目標からそれてしまいます。セオリーから外れて軟水で仕込むと、うまく味が乗らないかもしれない。ホップの苦味がきちんと出ないかもしれない。キレが弱いかもしれない。心配は尽きませんが、そのままの水を使うことを大前提に初めての醸造に向かって突き進みます。

当初、思わぬハプニングが発生しました。オープンに向けて準備を進めていたものの、なかなか醸造免許がおりません。免許がおりず仕込むことができないため、予定していた醸造をやめ、他県のブルワリーに原材料とレシピを渡して造ってもらうことにしました。外注によってビールが出来上がった後、ようやく免許がおりて初めての自家醸造にチャレンジしました。しかし、段取りが悪く、機材の扱いでもトラブルが続き、本来は6時間で行える工程に倍以上の14時間もかかってしまったのです。そうして完成したビールは悲惨な出来かと恐れましたが、いざ飲んでみると、スタッフの誰もが驚くほど美味しいと感じたそうです。しかも、その美味しさは、同じでレシピで外注しして出来上がったビールよりもはるかに上。外注と自家醸造の違いは、仕込み水のみ。つまり、信濃大町の水がビールの美味しさをさらに引き上げたという証左になったのです。

「信濃大町の水を使って初めて自分たちで造ったビールを飲んだ時、みなさんの反応はどうだったのですか?」との山﨑氏の問いに、松浦氏は当時を振り返ります。
「飲みやすい! 口当たりの良さにみんな驚きましたね。外注したものと比べて単にライトな飲み口になったというわけではなく、風味は負けず劣らずしっかりありながら、“カド”がなくなって心地よく飲むことができる。そんな声が多く聞かれました。実は、僕自身は元々ビールを好んで飲む方ではありませんでしたが、このビールは素直に美味しいと思いましたね、お世辞抜きに」

『北アルプスブルワリー』では常時6種類ほどのクラフトビールを味わうことができる。

タップルームで人気は少量ずつ味わえる3種飲み比べ。すべてを味わってみたいという客が多い。

ラガーを一口味わい、軽やかな飲み口と豊かな風味に驚く山﨑氏。創業3年目とは思えないハイレベルな出来。

 カドがない、まあるい印象のビールに。

現在、『北アルプスブルワリー』では主力のペールエールやラガーをはじめ、様々な種類のビールを醸造しており、併設のタップルームでは常時6種類ほどのビールを試飲することができます。山﨑氏もこの日いただけるすべてのビールを味わってみます。
まず主力のラガーをグビリとやった山﨑氏は、「ああ、これは美味しい!」と表情がパッと明るくなりました。
「カドがない。全体がまあるい印象で、とても飲みやすい。でもシャープなキレもあるし、これはいいバランスですね」と驚きます。続けて、ペールエール、そしてIPAを味わうと、「エール系もいいなあ」と唸ります。
「IPAに信濃大町の水を使っている特長がよく現れていますね。IPAの苦くて濃いという重たさが程よく緩和されていて、IPAの強い味わいを軽やかに楽しむことができます。やっぱり水がいい働きをしているんでしょうね。カクテルも同じ。たとえば上質なウォッカであっても、そのままだとどうしても刺々しさがあるのですが、それを水や氷を上手に使ってカドを取るのがバーテンダーの腕の見せどころ。工夫や技術によって、高いアルコール度数の飲み応えを保ったまま、口当たりを良くすることもできるんです。こちらのビールには、そんなカクテルの本質に共通するものを感じます」

500kgの仕込みタンクに対し、80kgものリンゴを投入するアップルエールも出色の仕上がり。リンゴの名産地ならではの贅沢な風味を堪能することができます。いわゆる黒ビールの一種であるスタウトも評判の出来。黒ビールらしいコクがありながら、飲み口はいたって軽やか。スルスルといくらでも飲めそうだと山﨑氏に笑みがこぼれます。

そして、とりわけ山﨑氏が感動したのが、副原料に自家焙煎のコーヒー豆を使ったコーヒーパンチ。コーヒーフレーバーのビールはコーヒー豆と相性が間違いないスタウト系でつくるのが一般的ですが、こちらではコーヒー本来の味わいも大切にすべく、エール系でつくり上げています。
「旨い! これは文句なく旨いですね。コーヒーの風味がビールの炭酸と苦味に乗って、フワッとやってくる。余韻も心地いいし、これはもはやカクテルです。やはり信濃大町の水の良さがなせる技なんでしょうね」

このコーヒーパンチは、「ジャパン・グレートビア・アワーズ2020」と「インターナショナル・ビアカップ2020 カテゴリーチャンピオン 金賞」と、権威あるアワードに次々と輝きました。
「ブルワリーの近くにあるコーヒーショップで焙煎したばかりの熱々の豆を急いでブルワーに持ってきて投入しています。スタウトではなく、エール系でコーヒーの味がしっかりするギャップと、コーヒーのフレッシュな風味を感じて欲しかったんです。いずれは、さらにクリアな味わいのラガーでコーヒーパンチをつくってみたい。それから、ホップの自家栽培にもチャレンジしたいと思っているところです」と松浦氏は次なる野望を語ります。

「ははは。松浦さんの、なんというか、変態的な情熱が一杯に濃縮されたビール。これからも本当に楽しみです。僕も銀座を代表する変態的なバーテンダーになれるように頑張ります」と山﨑氏は笑いました。

「いいコーヒーを飲んだ後は、このあたりに心地いい風味がずっと持続しますよね。それをコーヒーパンチでも実現したくて」と話す松浦氏。

醸造家とバーテンダー。立場は違えど、同じお酒のプロとして話が尽きることはない。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

清らか、そして、まろやかなる水道水。暮らしの根源にある、この上ない贅沢。[湧水とアートがうるおす町/長野県大町市]

鷹狩山の山頂、展望台より信濃大町市街を望む。街の奥には蓮華岳や爺ヶ岳がそびえ、さらにその奥には後立山連峰の雄姿が見える。

 北アルプスの天然水に恵まれた名水の郷。

爽快な秋晴れの朝、地元の方のおすすめに従って、町の東側にそびえる鷹狩山へと向かいました。クルマで到達できる頂上には展望台があり、そこから信濃大町の街を見下ろし、さらにその奥には3000m級の山々が連なる後立山連峰を遠望することができます。なるほど、ここからの眺めは、信濃大町がいかに地形的に水に恵まれた地であるかが、とてもよくわかります。

信濃大町は屹立する山脈の間に広がる扇状地にあります。山々に落ちた雫は、山を下りながら少しずつ大きな流れになり、多くが高瀬川と鹿島川、農具川にまとまって、市内をダイナミックに流れていきます。

「あ、ダムが見えますね」
備え付けの望遠鏡をのぞいた山﨑剛氏は、蓮華岳の麓に、市内に3つある大規模ダムの一つ「大町ダム」を見つけたようです。巨大な壁の向こう側にあるダム湖には、雪解け水をたっぷりと湛えていることでしょう。その迫力が、遠く離れたここからも感じられます。

展望台からは見えないものの、街の北側には仁科三湖と呼ばれる3つの湖があります。SUPやカヌーなどさまざまなアクティビティが楽しめる「木崎湖」、ヘラブナ釣りが人気の「中綱湖」、豊かな森に囲まれた「青木湖」は、市民の憩いの場と四季折々の美しい風景を見せています。

「こうして見ると、山に降り注いだ天然水が信濃大町の街に集まり、暮らしを潤していることがわかります。山に囲まれて寒暖差が生まれる平地は、リンゴやブドウの名産地と聞いています。それもこの恵まれた地形の賜物なんでしょうね」と、山﨑氏は眼下の絶景に魅了されていました。

鷹狩山の展望台付近には、古民家を生かしたアート作品、現代アートチーム『目』による『信濃大町実景舎』がある。2020年から2021年にかけて開催された『北アルプス国際芸術祭』の展示作品の一つ。※不定期公開

ストイックな長距離走のトレーニングを愛し、自然の中でのアクティブな活動を好むスポーツマンの山﨑剛氏。「山のエネルギーを全身に感じる」と話す。

『女清水』をひとすくい、味わってみる。秋のうららかな陽気の中、水道水とは思えない冷たさに驚く。

 二つの異なる水系からもたらされる、源流からの水道水。

信濃大町の水道水は、街の西側と東側で水系が異なっています。西側の水は北アルプスの上白沢、黒部ダムの入り口にあたる源流の湧水で、「男清水(おとこみず)」と呼ばれています。一方、東側の水は標高900mの里山、居谷里の湧水で、こちらは「女清水(おんなみず)」と呼ばれています。大町商店街には、メインストリートを挟んで、この男清水と女清水それぞれの水飲み場があります。それらを飲み比べてみると……

「お、女清水の方が冷たい。どちらも口当たりのやさしい軟水ですが、ミネラル感もしっかりありますね。味の感じ方では女清水が微妙に強く、飲みやすさでは男清水に分があるかな。通りを挟んで、2種類の水道水を味わえるのは不思議ですね。なにより、こんなに美味しい水が水道水としていつでも使えるのは東京では考えられません。暮らしの根源である生活水がこれほどまで上質であることは、この上なく贅沢な暮らしと言えるのではないでしょうか」

仁科三湖の一つ、木崎湖へ足を伸ばしました。沖へ一直線に伸びる桟橋に立った山﨑氏は、感嘆の声を漏らします。
「湖とは思えないくらい、水が澄んでいますね。ほら、カラス貝が移動した跡ですかね、湖底についた模様もはっきり見えます。大町の子はここで泳ぐんですか? 僕の故郷の高知では泳ぎといったらもっぱら川で、きれいな川で遊べることが自慢なんですけど、この木崎湖も気持ちいいでしょうね。街のすぐそばにこんなに美しい湖があるのは羨ましいです」

SUPやカヌーなどのアクティビティが楽しめる『木崎湖』。この日は、何組かの釣り人が静かにボートフィッシングを楽しんでいた。

 天然水の美味しさをそのままに家庭へ届ける。

次に訪ねたのは、信濃大町駅からほど近い場所にある『AW・ウォーター』の工場。こちらでは、ウォーターサーバーに載せる宅配用飲料水を12Lボトル換算で月30万本の生産が可能です。稼働開始は2013年。この信濃大町に新工場が造られました。代表取締役社長の永井毅之氏は、信濃大町に立地した決め手は「水の美味しさ」にあると話します。

「男清水の水系で地下200mの井戸から汲み上げた水を使っています。取水の時点で極めて清冽であり、安全性の観点からとてもポテンシャルの高い水です。そして、なんと言っても美味しさが非常に大きな魅力です。キレや後味、旨みといった味覚を数値化した調査でも高評価を得ており、飲まれる方からは『尖った部分がない』という感想を多くいただいています。まろやかでありながら、飲み応えと旨みのバランスがいいとの評価をいただいています」と永井社長。山﨑氏も早速、試飲します。

「……うん、美味しいですね。確かに尖ったところがなく、非常に飲みやすいです。これはいい意味でですが、ごくわずかにミネラル感が舌に残るニュアンスがある。このフック、いわば引っ掛かりがとてもいい働きをしています。お酒にしてもジュースにしても、上質な飲み物はサラッとしていながら、心地いい余韻があって、また飲みたくなる。もう一口もう一口と味わい、いつの間にか飲み干してしまう。それがいいお酒なんです。この水は、また飲みたくなる水です」と、山﨑氏はグラスの水を干しました。

AW・ウォーターの優れた味わいは、世界でも認められています。「モンドセレクション2022 優秀品質最高金賞」に加え、世界的に権威ある味覚認証であるITIでも「ITI2022 優秀味覚賞 三ツ星」を受賞。業界初の2度目のダブル同時受賞の快挙を成し遂げています。

AW・ウォーター信濃大町工場では、北アルプスの上白沢に端を発する水系を地下200mから汲み上げて使用している。

高速でボトリングされる様子にしばし見入る山﨑氏。信濃大町の豊富な水資源が、ここから全国の家庭へと届けられる。

「モンドセレクション2022 優秀品質最高金賞」や「ITI2022 優秀味覚賞 三ツ星」を獲得した証書やメダル。中央のパネルは、信濃大町出身の芸人で漫画家・鉄拳による描き下ろしイラスト。

非加熱処理で除菌され、美味しさを閉じ込めた信濃大町の水は、全国へ配送されていく。

 美味しさを大事にするからこそ、非加熱処理にこだわる。

地下深くから汲み上げた水を除菌し、ボトルに詰めて出荷するという極めてシンプルな製品作りを行なっているというAW・ウォーター信濃大町工場ですが、水本来の美味しさを大切にした処理工程にこだわっています。除菌は4段階のフィルター濾過を実施。最終的には、孔の大きさが最も細かいとされる0.1μmのフィルターを使い、不純物を徹底的に除去。フィルターでの除菌を厳格に行うのも、水除菌の方法として一般的である熱処理を不要にするためだと、永井社長は説明します。

「この地で地下200mから汲み上げられる水は、30年から40年前に北アルプスに降り注いだ雨や雪がゆっくりと地面に浸み込み、地下を通ってきたと考えられています。時間をかけて花崗岩や変成岩などの砂礫層を通ることで豊富なミネラル成分が水に溶け込み、それが美味しさの秘密になっているのです。熱処理を行うと、水中に溶け込んでいるミネラル成分が変質してしまい、本来の味にも何らかの影響を生じてしまう。それを避けるために、私たちは非加熱処理にこだわっているのです。大町に赴任して4年が経過しましたが、暮らしてみてあらためて水の美味しさに気付かされました。水に恵まれている暮らしがいかに豊かであるかを実感しています」

北海道出身、AW・ウォーター代表取締役社長の永井毅之氏。「工場立地の大きな推進力になったのは、何よりも信濃大町の水の美味しさでした」と振り返る。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

水と暮らす郷、信濃大町を訪ねて。山嶺に磨かれた名水と、大地の恵みを巡る旅。[湧水とアートがうるおす街/長野県大町市]

    OVERVIEW

「バーテンダーにとって、水は命。水割りの水、チェイサー用の水、氷は不可欠なものだし、お酒とお酒、お酒と果汁をつないでくれるのも水。バーテンダーの仕事は水と共にあります」

銀座『BAR GOYA』の店主・山﨑剛氏は、長野県大町市を縫うように流れる高瀬川の水面を見つめてそう話します。バーテンダー日本チャンピオンの栄冠に度々輝いてきた山﨑氏の言葉には、一つのカクテルを何百、何千杯と試作し研究を尽くしてきた経験に基づく重みがあります。

多忙な日々に時間をつくっては、国内外の銘醸地やカクテルにふさわしいフルーツやハーブの産地を訪ねている山﨑氏。この秋からは、北アルプスの麓に広がる大町市、通称信濃大町の探訪を続けています。山﨑氏を惹きつける最大の磁力は、清冽な天然水。蓮華岳や爺ヶ岳などが連なる山嶺に降り注ぐ豊富な雨水は、市内に3つある「大町ダム」「七倉ダム」「高瀬ダム」の大規模ダムを湛え、また、地下深くへとゆっくりと浸み込み、そして、幾筋もの川となって市内を潤しています。清らかな水はさまざまな季節の果物を育み、個性豊かなワインや日本酒、クラフトビールを醸しています。

豊かな水に彩られ、連綿と水と暮らす郷、信濃大町を巡りながら、そこに生きる生産者との出会い、魅力あふれる逸品との出合いをつづっていきます。

Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 長野県大町市)

コードバン ショートウォレット(光沢Ver)

    ショートウォレット光沢バージョン!

  • 表はコードバン、中はカーフ、縫い糸はシニュウ。
  • 思いっきりショートタイプに仕立てました。
  • ジーンズならば、ヒップポケットにすっぽり入り、ジャケットやスーツの内ポケットにもズッポリはいります。
  • 全て手作業で縫い上げたこいつは何年使ってもへこたれることはありません。

ウルトラヘビースウェットフルジップパーカー:ピストン柄

ピストン柄のフルZIPパーカー

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカー
  • 身頃各部の縫い合わせ、ポケットの叩き付けは、昔ながらの4本針(フラットシー マ)を採用しています
  • ユニバーサル社製ファスナーには、グローブをしたままで開け閉めが容易な革タブ を装備しています
  • プリントデザインは山形県酒田市で活躍するピンストラパーHOPPING SHOWER"テツ" 氏によるもの。
  • 1色ラバープリント
  • ワンウォッシュ済み

サイズスペック

着丈 肩幅 身幅

裾幅

袖丈 袖口
Ladies-Free60389678598
S 66421049064.59
M 68451069665.59
L 714811610266.59.5
XL 735112010667.59.5
XXL 755412411068.510
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。
  • 商品はワンウォッシュ済みです。

素材

  • 綿:100%

構想3年を経てたどりついた味。フグの美味と感動を商品に込める。[和光アネックス/東京都中央区]

マフグにニンニクや唐辛子などを加えた「コンフィグ」。商品名は、「コンフィ」と「フグ」を掛け合わせた造語。

WAKO ANNEX目指したのは、親しみやすい高級感。

「フグ」の名産として知られる山口県下関市。海産に恵まれたこの地で、『山賀』は2008年に創業しました。以降、2014年に自社ブランド「宝関」を誕生させ、フグをはじめとした魚介の加工品を展開。「海からいただいた“宝”石」、「下“関”」にちなんだ高いクオリティと品質を持つ自信の表れでもあります。

『山賀』が真剣にフグを見続け、30年以上。培われた目利きと天然トラフグへのこだわりは、増すばかり。その情熱は、美味に宿ります。

「コンフィグ」はその好例。フランス発祥の保存食、コンフィに学び、ニンニク、鷹の爪などを加えたオイルにフグの身を漬け、じっくりと低温で炊き上げた国産天然マフグのオイル炊きです。オイルで長時間加熱することによって身質をやわらかくし、表面を覆って旨味を凝縮。保存性も高めました。

コンフィにしたのは、フグをどこでも気軽に楽しんでいただきたいから。「トラフグの持ち味を活かす」、「また食べたい味に仕上げる」、このふたつを追求した結果、塩を焼くことでマイルドな味わいにたどり着き、前述の「宝関」は生まれたのです。「宝関」は、第48回 山口県水産加工展 水産庁長官大賞を受賞。さらには、全国の加工品を集めた農林資産祭天皇杯にも山口県代表として出品された経歴も持ちます。

ワインや冷酒のお供として、サラダやパスタ、サンドウィッチなど、様々なお料理に好相性。ぜひ、お試しあれ。

「コンフィグ」は、トマトとの相性が抜群。カナッペをはじめ、パスタやサンドウィッチ、サラダ、カプレーゼに合わせるのもおすすめ。

瓶の側面を見れば一目瞭然。ぎっしり詰まったふぐのオイル漬けは、90gの容量。食べ応えも十分。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

森を越え、湖を渡り、土に触れる。3名の料理人が滋賀県の食材と出合い、感じたこと。[森と湖の美味なる恵み/滋賀県]

OVERVIEW

滋賀県の県面積の6分の1を占める琵琶湖。
この日本一の湖を擁することで、湖の東西南北に異なる気候や風土が生まれ、多様な食材や食文化が育まれました。
さらに滋賀県は県面積の2分の1は森林。
豊かな水が森を育て、森もまた水を守る。そんな美しいサイクルが、滋賀県が誇る素晴らしい食材を生み出すのです。
野菜、果物、肉、湖魚。滋賀県が豊富な食材に恵まれる理由は、この湖と森なしに語ることはできません。

そんな豊かな食材を探して、都心で働く料理人たちも度々滋賀県を訪れます。
今回はそんな多くの料理人の中から、3名の料理人が滋賀県の食材の魅力を伝えるアンバサダーに選ばれました。

種類豊富で味わい深い野菜や果物のアンバサダーには、日本各地の食材を正統派フランス料理で提供する『CROSS TOKYO』の総料理長である増山明弘氏。
近江牛をはじめとした名品揃いの肉には、予約でいっぱいのイタリアンレストラン『sel sal sale』の濱口昌大氏。琵琶湖で揚がる湖魚の知られざる魅力を伝えるのは、食材を活かした現代的な解釈のインド料理『Nirvana New York』の若き料理長・引地翔悟氏。 それぞれ得意分野の知識と経験を活かして滋賀県の食材を探し、料理でその魅力を伝えます。

名シェフたちの目に滋賀県の食材はどう映り、そしてどのような料理になるのでしょうか。その詳細をシリーズでお伝えします。


Photographs:JIRO OHTANI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by 滋賀県)

おいしいものは、美しい。料理人・増山明弘が滋賀県の食材で作る2品。[滋賀県食材視察ツアー/滋賀県]

今回の試作のために届いた滋賀県産の食材。鮮やかな色合いが美しい。

試作は増山氏が総料理長を務める「CROSS TOKYO」のラボにて行われた。

ローカルファインフードフェア滋賀現地を見たからこそ湧いたインスピレーション。

琵琶湖の豊かな水と広大な大地が育てる滋賀県の農産物。
日本各地の食材を探し歩き、それをフランス仕込みの技で調理する増山明弘シェフは、滋賀の食材を「宝の山」と呼びます。

2022年初秋。
2日間かけて野菜と果物を視察した増山氏は、旅をしながらすでにいくつもの料理のイメージが浮かんでいた様子。今回はそんな増山氏が東京に戻り、ラボで滋賀県の食材を調理します。現地を視察したからこそ生まれた2品。その詳細をお届けします。

産地では生産者とフレンドリーに話す増山氏だが、ラボに立つとギアが変わり真剣な雰囲気に。

ローカルファインフードフェア滋賀鮮やかな緑を活かために考えた、杉谷とうがらしの発酵ソース。

「料理を考えるとき、まず頭の中のイメージをデッサンしてみるんです」

滋賀県の食材を探る旅の途上、増山明弘氏はそう話してくれました。いわば増山氏の食材探しは、色を探す旅。そして滋賀県各地の数々の畑を巡り、生産者と話し、出合った食材を使い、今回、2つのメニューが誕生しました。
ひとつめの料理の主役は、一度は廃れ、しかし地元生産者の熱意で再び蘇った滋賀県甲賀市の伝統野菜、杉谷とうがらし。

「鮮やかな緑が印象的だったので、その色を活かすソースがまず浮かびました。イタリア料理のサルサ・ヴェルデのイメージです」

緑を活かす、という出発点から、調理の道筋を考えます。
せっかく辛味がないとうがらしなのだから、子どもでも食べられるものにしよう。より深みある味わいにするために発酵の力を借りよう。自身が大好きな中華料理のエッセンスも加えてみよう。

こうして少しずつ形ができあがった杉谷とうがらしのソース。
杉谷とうがらしに、キュウリ、ニラ、リンゴ、バナナ、ショウガなどを加えてミキサーに。滑らかになったら保存瓶に移し、常温で一ヶ月ほど発酵させます。

「杉谷とうがらしの爽やかな風味を残しつつ、まろやかな酸味と深みがある発酵ソース。レバーなどの濃厚な肉も、さっぱりと味わうことができます」

と自信を見せました。

厳しい出荷基準を設ける杉谷とうがらし。届いたものは、畑で見た以上に大ぶりで色鮮やか。

香味野菜や果物とともにミキサーに。味のバランスは、試食を繰り返して微調整。

杉谷とうがらしのソース。ここから発酵を経て、色合いも味わいもより深くなる。

ローカルファインフードフェア滋賀素材の魅力をシンプルに伝えるカボチャのジェラート。

続いての食材は、「みなくちファーム」のカボチャ。

「『みなくちファーム』のカボチャのしっかりした味を出したい」

とさまざまなアイデアを考え出しました。
香辛料と相性が良いカボチャは、さまざまなスパイスで複雑味を出すのがフランス料理の考え方。しかしそれではこのカボチャの魅力も半減してしまう。そこで考え出したのが、オレンジとバニラを合わせたジェラートでした。

「柑橘の存在感が出すぎないように、瞬間冷凍したオレンジにしました。カボチャに青臭さがないので、デザートでも表現しやすいと思いました。きっと野菜嫌いの子どもでもおいしく食べられますよ」

と増山氏。試作では「普通のカボチャより火の通りが早いですね。糖度が高いからでしょう」と改めて「みなくちファーム」の品質に驚いていました。

「僕は天才じゃないから。ひとつひとつ積み重ねるしかない」

届いた食材を慈しむように丁寧に下拵えし、1g単位まで慎重に重さを計って調理する。増山氏の料理の姿勢は、実直な職人の姿。食材の組み合わせも、何度も試してはボツにしての繰り返しです。
しかし増山氏が、自ら視察した滋賀県の食材で作り出した料理の美しさとおいしさは、情熱を傾ける生産者の思いをストレートに伝えてくれました。
「生産者と消費者の架け橋」
そんな料理人のあるべき姿を、最も真摯に、誠実に体現する素晴らしい料理人であることは間違いありません。

「みなくちファーム」のカボチャを蒸し上げる。水分を残しつつ、甘みを引き出す。

牛乳、ハチミツ、バニラなどと合わせて食べやすく、かつ奥深いジェラートに。

「カボチャ本来の味わいが、加熱しても損なわれない」という「みなくちファーム」のえびすカボチャのジェラート。

20歳の頃から描き続けているという料理のデッサン画。増山氏の料理はここからはじまる。

Photographs:JIRO OHTANI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by 滋賀県)

キャンバスを彩る色を探して。料理人・増山明弘が滋賀県の食材を探る旅。[滋賀県食材視察ツアー/滋賀県]

今回の視察に参加した、ジャンルも年代も異なる5名の料理人。右から2番目が増山明弘氏。

豊かな水と大地が育む滋賀県の野菜と果物。

多彩な食材に恵まれる滋賀県。
面積は全国47都道府県のうち38位と決して広い県ではありません。しかし琵琶湖を擁することで東西南北で地域性ががらりと変わり、まるで大海を隔てた国々のような多様性を生んでいるのです。とくに気候や土壌に左右される野菜や果物は、実に多種多様。上質な食材は一流料理人たちをも魅了し、全国にそのおいしさが広まっています。

そんな滋賀県に、また食材を求める料理人たちがやってきました。料理のジャンルも年代も異なる6名の料理人。そのなかに、増山明弘氏の姿もありました。
日本各地の食材をフランス料理の技法で表現する旧『CROSS TOKYO』の総料理長として、全国津々浦々の食材に造詣が深い人物です。はたして増山氏は滋賀県の食材をどう見つめ、どんな料理に昇華するのでしょうか。

「食材はすべての料理の大前提」という増山氏が、滋賀県の農産物を見つめる。

増山氏が絶大な信頼を寄せる無農薬野菜。

料理人・増山氏のキャリアは、フランス料理一筋。本場ブルゴーニュやシャンパーニュでも腕を磨き、帰国後にはビストロやオーベルジュで腕を振るいました。しかし増山氏の料理は、ただフランスの伝統を再現するだけではありません。

「日本には、まだまだ知られていない素晴らしい食材がある」

と、時間を見つけては国内の産地を巡って食材を探し、その食材を起点に、自らの経験と知識を使いながら料理を考えるのです。それはいわば、日本にローカライズされた、日本のフランス料理。ゆえに増山氏の食材探しの旅は、終わることはありません。

滋賀県食材巡りの初日。
最初に増山氏の目が光ったのは、琵琶湖の畔、滋賀県高島市にある「みなくちファーム」。農薬、化学肥料不使用で、雑草とともに育つ「みなくちファーム」の野菜。

「もちろん虫はつきます。虫が食べ切れないだけ作れば良いだけ」

畑を案内してくれた瀬口結以氏はそう笑いました。

実は過去にもここを訪れ、すでにこちらの野菜を使用しているという増山氏。しかし、今回もまた改めて鋭い目で畑を見学します。

「いろいろな農園と取引がありますが、この『みなくちファーム』の野菜は僕の料理に絶対必要。ただ“おいしい”というのとは次元が違います。どの野菜も本当に綺麗で、力強い味がするんです」

と絶大な信頼を寄せています。
畑を眺め、土に触れ、野菜を齧る。さらに増山氏は、袋詰の作業も真剣に見つめます。

「ここから届く野菜は、本当に丁寧にパッキングされているんです。届いたらすぐに開封してしまう袋ですが、こういう部分にも人柄や野菜への思いが現れています」

唐辛子であろうと、その場で齧って味見をするのが増山氏の信条。

夏の太陽をたっぷり浴びて育ったトマト。この発色の良さは品質の証。

糖度が高いカボチャは「さまざまなアイデアが浮かびます」と増山氏。

有機JASを取得する「みなくちファーム」の野菜は、雑草と競いながら力強く育つ。

「みなくちファーム」の瀬口結以氏。言葉の節々に取り組みへの自信と誇りが垣間見える。

社長の水口淳氏(左)とともに。「同い年で親近感がある」と増山氏。

パティシエの視点で見つめる滋賀県の果物たち。

パティシエの経験もある増山氏は、デザートづくりも得意分野。果物への興味も強いといいます。滋賀県には、そんな増山氏を惹きつける果物も多くありました。

たとえば梨。
「アグリパーク竜王」で見学した梨畑で、採れたての梨を齧りながら増山氏は言います。

「みずみずしくて癖のない透明感のある味。身の白さが綺麗なので、落花生やパンナコッタなど同じ白い食材を合わせた白いデザートにしてみたいですね」

ただ試食しているようで、すでに頭の中では何パターンもの組み合わせを考えていたのです。そんな増山氏のデザートづくりは、いわば引き算の考え方。

「果物はそのままでもおいしい。だから果物のデザートを考えるときは、いかに少ない調味料で、素材を活かすかが大切になります。その分、素材のクオリティも重要になってくるんです」

ブランド葡萄である黒蜜葡萄を育てる「aito budo labo」でも、増山氏の頭脳はフル回転していました。

「すごくおいしいです。風味に力強さがあるので、デザートだけではなく、前菜やソースにしてみるのもおもしろいかもしれません」

ここで育てるのは、ワインでも有名なマスカットベリーAという品種。じっくりと糖度を上げた葡萄は、まさに“黒蜜”という濃厚で芳醇な甘みを湛えます。

1000㎡の美しく整備された畑が印象的な「浅野ファーム」のイチジクも、すでに増山氏が愛用する食材。

「ここのイチジクを食べたら、他のが食べられなくなるくらい」
と増山氏は言います。
過去に自ら作った料理で印象に残っているのは、こちらのイチジクをハーブを混ぜた米粉で揚げて、鴨のコンソメをかけた揚出し。

「イチジクは揚げると甘みが出るのですが、この『浅野ファーム』のイチジクは、揚げても風味が損なわれない」

と称賛の声を寄せていました。

さまざまな梨を育てる「アグリパーク竜王」では、豊水が収穫時期を迎えていた。

その場で皮を剥いて豊水を試食。美しい白さとジューシーさが印象的だった。

「aito budo labo」を訪れたのは夕刻。色の濃い黒蜜葡萄がひときわ深みある色合いに。

24アールの敷地に1万房ほどの葡萄が実る。糖度やサイズの基準を満たしてはじめて黒蜜葡萄として出荷される。

「浅野ファーム」のイチジクは10月頃まで。実が割れる直前まで熟したものが食べごろ。

しっかりと甘みがありつつ、爽やかな風味も併せ持つのが「浅野ファーム」のイチジクの特徴。

一度は失われた伝統野菜を、再び蘇らせた情熱。

最後に訪れたのは、甲賀市にある畑。ここでは「JAこうか」杉谷伝統野菜栽培部会の上杉広盛氏が、杉谷とうがらしを育てています。

杉谷とうがらしは、江戸時代から続くこの地の伝統野菜ですが、15年ほど前に一度廃れてしまいました。その現状を憂い、種を探し、再び世に送り出したのが、この杉谷伝統野菜栽培部会です。

「遺伝子的に、辛味がある“ハズレ”は100%ありません。肉厚で甘みがあり、生でも食べられるとうがらしです」

そう胸を張る上杉氏。増山氏は熱心に話を聞きながら、やはり頭の中では調理について考えていました。

「辛くないのに香りが強い。そしてこの緑色の美しさ。肉のソースにしてみたら、映えるんじゃないかな」

畑に居ながら、すでに味わい方や盛り付けにまでイメージを膨らませる増山氏。そんな増山氏ならではの視点として、どの畑、どの食材に対しても、色の感想が多く出ていました。実はこの色こそ、増山氏流の料理の考え方。

「僕は料理を考えるとき、まず頭の中のイメージをデッサンしてみるんです」

そう話す増山氏。「家でひとり、お酒を片手に料理の絵を描いているときが、一番好きな時間」というほど、大切にしている日課です。そしてもちろん、その絵の中では、色が重要な意味を持っています。

「良い野菜、果物の条件は、みずみずしさ、張りの良さ、香り、食感、切ったときの水分量。いろいろな条件がありますが、その多くは色の出方を見て判断できるんです」

滋賀県を巡り、さまざまな色に出合った増山氏。その色からインスピレーションを得て、すでにイメージも出来上がっていた様子でした。果たして増山氏は滋賀県の“色”から、どんな料理を作り出すのでしょうか?

甲賀市杉谷地区の伝統野菜、杉谷とうがらし。鮮やかな緑が目を引く。

肉厚で辛味はなく、噛んでいるとほのかな甘みが湧き出すのが杉谷とうがらしの魅力。

同じく杉谷地区の伝統野菜である杉谷なすび。丸々としたなすで、皮が薄く柔らかい。

Photographs:JIRO OHTANI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by 滋賀県)

(予約)クルーネックスウェット

20周年記念スエットが登場!

  • 厚手のスエットに懐かしの柄をプリント!
  • パーカーやTシャツで同じ柄をお持ちの方いらっしゃるのではないでしょうか?
  • ワンウォッシュ済み
  • 商品は若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • 綿 : 100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

クルーネックスウェット

20周年記念スエットが登場!

  • 厚手のスエットに懐かしの柄をプリント!
  • パーカーやTシャツで同じ柄をお持ちの方いらっしゃるのではないでしょうか?
  • ワンウォッシュ済み
  • 商品は若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • 綿 : 100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

ウルトラヘビースウェットフルジップパーカー:LOVERIDEロゴ

商品詳細

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカーです
  • ライディングの際にダボつかないダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいよう、 ジップには革タブを付けています
  • 4本針 ( フラットシーマ ) 縫製で、 ストレスのない着心地です

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
S 67.0 43.0 102.0 86.0 67.0
M 69.0 46.0 108.0 92.0 68.0
L 72.0 49.0 114.0 98.0 69.0
XL 74.0 52.0 118.0 102.0 70.0
XXL 76.0 55.0 122.0 106.0 71.0
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

     
  • 日本

(予約)ヘビージップアップパーカー(LOVERIDEロゴ)

商品詳細

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカーです
  • ライディングの際にダボつかないダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいよう、 ジップには革タブを付けています
  • 4本針 ( フラットシーマ ) 縫製で、 ストレスのない着心地です
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

ヘビージップアップパーカー(LOVERIDEロゴ)

商品詳細

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカーです
  • ライディングの際にダボつかないダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいよう、 ジップには革タブを付けています
  • 4本針 ( フラットシーマ ) 縫製で、 ストレスのない着心地です
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)ヘビージップアップパーカー(IRONHEARTロゴ)

商品詳細

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカーです
  • ライディングの際にダボつかないダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいよう、 ジップには革タブを付けています
  • 4本針 ( フラットシーマ ) 縫製で、 ストレスのない着心地です
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

ヘビージップアップパーカー(IRONHEARTロゴ)

商品詳細

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカーです
  • ライディングの際にダボつかないダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいよう、 ジップには革タブを付けています
  • 4本針 ( フラットシーマ ) 縫製で、 ストレスのない着心地です
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

納期

  • 3月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

7.5ozループウィールクルーネック長袖Tシャツ

着心地抜群の吊り編みTに長袖が登場!

  • 吊り編み機(LOOPWHEEL)で時間をかけて編み上げたロングTシャツ
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。
  • ワンウォッシュ済み

素材

  • 綿:100%

納期

  • 2月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【555SBR-14】を製品の状態でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【555SBR-14】を製品の状態でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【555SBR-14】を製品の状態でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム スーパースリムストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)14ozブロークンセルビッチデニム ストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【634SBR-14】を製品の状態で黒でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム ストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【634SBR-14】を製品の状態で黒でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム ストレート〈オーバーダイ〉

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • 【634SBR-14】を製品の状態で黒でオーバーダイした商品です
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)14ozブロークンセルビッチデニム ストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム ストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

14ozブロークンセルビッチデニム ストレート

14zozブロークンデニムが新登場!

  • ヘビーオンスの作りと同様に作り上げられた14ozデニムはアイアンハートらしい14ozデニムです
  • 実質は15ozに近いウェイトのデニムは、軽くともしっかり感があり、穿き込んだ後の色落ちも楽しめます
  • リベットは昔ながらの打ち抜きタイプを使用
  • 皮ラベルは14oz専用の100%植物タンニン鞣しのアースレザー(牛革)を採用
  • セルビッチデニムにありがちな1回目の洗いの際に起こる極端な洗い縮みを解消すべくワンウォッシュ済みです
  • ブロークンデニムとは

  • 右綾と左綾デニムに比べて経糸と緯糸の接点が広く取られていて、綾織りと平織りの良い所をミックスした織り方のため、破れに非常に強いとされています
  • 左右交互に織られているため、ねじれが出ないのが特徴
  • ヴィンテージジーンズに見られる脚のラインのよじれは、デニムのよじれによるもの。ブロークンデニムは、そのよじれ防止を生地段階から実現したデニム。綾目を一定の幅で、反対方向に並べて織られ、デニム表面には綾目が出ない。この織り組織から、壊れないデニム=ブロークンデニムと命名されたデニムです

634S-14: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 70.5 21.0 32.0 28.7 21.0 19.0 90.5
W29 73.0 21.5 32.5 29.5 21.5 19.5 90.5
W30 75.5 22.0 33.0 30.3 22.0 20.0 90.5
W31 78.0 22.5 33.5 31.1 22.5 20.5 90.5
W32 80.5 23.0 34.0 31.9 23.0 21.0 90.5
W33 83.0 23.5 34.5 32.7 23.5 21.5 90.5
W34 85.5 24.0 35.0 33.5 24.0 22.0 90.5
W36 90.5 25.0 36.0 35.1 25.0 23.0 90.5
W38 95.5 26.0 37.0 36.7 26.0 24.0 90.5
W40 100.5 27.0 38.0 38.3 27.0 25.0 90.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:100%

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)10.6ozヘリンボーントラウザー

ヘリンボーン生地でトラウザーが登場!

     
  • 生地の硬さと丈夫さが特徴のヘリンボーン織りの素材を使った1本
  •  
  • 硫化染料を使った染色なので、履いていくうちの色落ちを楽しめます

素材

     
  • 綿:100%

生産国

     
  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

10.6ozヘリンボーントラウザー

ヘリンボーン生地でトラウザーが登場!

     
  • 生地の硬さと丈夫さが特徴のヘリンボーン織りの素材を使った1本
  •  
  • 硫化染料を使った染色なので、履いていくうちの色落ちを楽しめます

素材

     
  • 綿:100%

生産国

     
  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

10.6ozヘリンボーントラウザー

ヘリンボーン生地でトラウザーが登場!

     
  • 生地の硬さと丈夫さが特徴のヘリンボーン織りの素材を使った1本
  •  
  • 硫化染料を使った染色なので、履いていくうちの色落ちを楽しめます

素材

     
  • 綿:100%

生産国

     
  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)12ozヘビーチノトラウザーリラックスフィット

    新色登場!

  • 12ozのオリジナルヘビーチノを使ったスッキリしたシルエットが特徴のチノパン
  • ウエストまわりの作りは昔のミリタリーチノをベースにした大人顔の一本です
  • 製品は既にワンウォッシュしてあります

【リラックスフィット】

レギュラーシルエットより腰回りを少しゆったり目にして、裾は逆にやや絞り、ジャケットなどを合わせた時に似合うシルエットに仕立てた一本です

サイズスペック

ウエスト 前ぐり 後ろぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 71.5 23 34 30.1 22.5 16.5 91
W29 74 23.4 34.6 30.9 22.7 17 91
W30 76.5 24 35 31.7 23.2 17.5 91
W31 79 24.5 35.5 32.5 23.7 18 91
W32 81.5 25 36 33.3 24.2 18.5 91
W33 84 25.5 36.5 34.1 24.7 19 91
W34 86.5 26 37 34.9 25.2 19.5 91
W36 91.5 27.2 37.7 36.5 26.2 20.5 91
W38 96.5 27.2 37.7 37.3 26.2 21 91
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

12ozヘビーチノトラウザーリラックスフィット

    新色登場!

  • 12ozのオリジナルヘビーチノを使ったスッキリしたシルエットが特徴のチノパン
  • ウエストまわりの作りは昔のミリタリーチノをベースにした大人顔の一本です
  • 製品は既にワンウォッシュしてあります

【リラックスフィット】

レギュラーシルエットより腰回りを少しゆったり目にして、裾は逆にやや絞り、ジャケットなどを合わせた時に似合うシルエットに仕立てた一本です

サイズスペック

ウエスト 前ぐり 後ろぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 71.5 23 34 30.1 22.5 16.5 91
W29 74 23.4 34.6 30.9 22.7 17 91
W30 76.5 24 35 31.7 23.2 17.5 91
W31 79 24.5 35.5 32.5 23.7 18 91
W32 81.5 25 36 33.3 24.2 18.5 91
W33 84 25.5 36.5 34.1 24.7 19 91
W34 86.5 26 37 34.9 25.2 19.5 91
W36 91.5 27.2 37.7 36.5 26.2 20.5 91
W38 96.5 27.2 37.7 37.3 26.2 21 91
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

(予約)12ozヘビーチノトラウザーレギュラーフィット

    新色登場!

  • 12ozのオリジナルヘビーチノを使ったスッキリしたシルエットが特徴のチノパン
  • ウエスト周りの作りは昔のミリタリーチノをベースにした大人顔の一本です
  • 製品はすでにワンウォッシュしてあります。

サイズスペック

ウエスト 前ぐり 後ろぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 71.5 22.3 32.2 26.9 21.2 17 91
W29 74 22.7 32.9 27.7 21.7 17.5 91
W30 76.5 23.5 33.5 28.5 22.2 18 91
W31 79 24 34 29.3 22.7 18.5 91
W32 81.5 24.5 34.5 31.1 23.2 19 91
W33 84 25 35 31.9 23.7 19.5 91
W34 86.5 25.5 35.5 32.7 24.2 20 91
W36 91.5 26.5 34.7 34.3 25.2 21 91
W38 96.5 26.5 34.7 35.1 25.2 21 91
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

12ozヘビーチノトラウザーレギュラーフィット

    新色登場!

  • 12ozのオリジナルヘビーチノを使ったスッキリしたシルエットが特徴のチノパン
  • ウエスト周りの作りは昔のミリタリーチノをベースにした大人顔の一本です
  • 製品はすでにワンウォッシュしてあります。

サイズスペック

ウエスト 前ぐり 後ろぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 71.5 22.3 32.2 26.9 21.2 17 91
W29 74 22.7 32.9 27.7 21.7 17.5 91
W30 76.5 23.5 33.5 28.5 22.2 18 91
W31 79 24 34 29.3 22.7 18.5 91
W32 81.5 24.5 34.5 31.1 23.2 19 91
W33 84 25 35 31.9 23.7 19.5 91
W34 86.5 25.5 35.5 32.7 24.2 20 91
W36 91.5 26.5 34.7 34.3 25.2 21 91
W38 96.5 26.5 34.7 35.1 25.2 21 91
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

12ozヘビーチノトラウザーレギュラーフィット

    新色登場!

  • 12ozのオリジナルヘビーチノを使ったスッキリしたシルエットが特徴のチノパン
  • ウエスト周りの作りは昔のミリタリーチノをベースにした大人顔の一本です
  • 製品はすでにワンウォッシュしてあります。

サイズスペック

ウエスト 前ぐり 後ろぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 71.5 22.3 32.2 26.9 21.2 17 91
W29 74 22.7 32.9 27.7 21.7 17.5 91
W30 76.5 23.5 33.5 28.5 22.2 18 91
W31 79 24 34 29.3 22.7 18.5 91
W32 81.5 24.5 34.5 31.1 23.2 19 91
W33 84 25 35 31.9 23.7 19.5 91
W34 86.5 25.5 35.5 32.7 24.2 20 91
W36 91.5 26.5 34.7 34.3 25.2 21 91
W38 96.5 26.5 34.7 35.1 25.2 21 91
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

納期

  • 4月頃
  • 生産状況によっては大幅に遅れる場合もございます。

運命共同体になる覚悟。国内の自治体として唯一「ボキューズ・ドール」を支援し続ける鳥取県の情熱。

左より、2013年『ボキューズ・ドール』日本代表・浜田統之シェフ、鳥取県の平井伸治知事、2023年日本代表・石井友之シェフ、2019年日本代表・髙山英紀シェフ。

Bocuse d’Or 2023食材、生産者、風土。日本の力がシェフをもっと強くする。

去る10月、銀座の『アルジェント』にて、「食のみやこ 鳥取県」と謳う同県が誇る「鳥取和牛オレイン55」を味わう美食の饗宴及び、『ボキューズ・ドール』応援も兼ねたガラ・ランチ、ガラ・ディナーが開催。その内容は、過去『ボキューズ・ドール』に出場した浜田統之シェフ、髙山英紀シェフ、そして、2023年1月に開催される『ボキューズ・ドール2023』に出場する石井友之シェフの3人が、それぞれ渾身の一皿に仕上げ、順にコース仕立てで供するという趣向です。

実は、鳥取県は47都道府県の中、唯一、『ボキューズ・ドール』を支援し続けている県。2017年の国内予選の決勝で食材を提供したことをきっかけに、『ボキューズ・ドールJAPAN』のスポンサーとして、食材の提供やイベント協力など、様々な活動を通じて日本代表シェフを応援しています。

ガラ・ランチには、鳥取県から平井伸治知事が駆け付け、食材の魅力、中でも鳥取県が誇るブランド「鳥取和牛オレイン55」(オレイン酸の含有量が55%あり、融点が16℃と低く、口溶けが良い)の素晴らしさを、歴史を交えてアピール。『ボキューズ・ドール』の支援を続ける意義や効果についても熱く語りました。

「実力派のシェフが鳥取県に来て、食材の研究をしてくれることがまずひとつ。地元の生産者では、なかなか気付けない調理法や魅力など、新しい発見をもたらしてくれるのは、大きな効果を生みます。実は、鳥取県産の食材を東京近郊で展開することができるようになったのもそんなに古いことではありません。実際、食材を使っていただき、これは美味しい、こうしたら良いというようなアイディアをいただいたことも、進出できたことの大きな理由だと思います。シェフと出会ってコミュニケーションすることで、産地もより良いものを作ろうと努力し、提供できるようになります。付加価値の高い農業生産につなげることができると思ったのです。そんな中で、『ボキューズ・ドール』への食材提供を通じて、鳥取県としても県を上げて応援しようということになりました。今回、このような応援イベントを開催できたことは、大変ありがたい機会だったと感謝しています」。

ガラのメニューは、デザートを除く全ての料理に「鳥取和牛オレイン55」を使用。石井シェフの前菜、髙山シェフの「牛ロース×長ネギ」、浜田シェフの牛コンソメを使った「和牛カニフラン」と進み、メインディッシュには再び石井シェフが手がけた「鳥取和牛フィレ×ボキューズ・ドール」が登場。演出にも『ボキューズ・ドール』の大会形式を取り入れ、「牛フィレ肉のモザイク仕立てとガルニチュール(付け合わせ)」を華やかに盛りつけた銀の大皿を、石井シェフたちが捧げ持って会場を一周。『ボキューズ・ドール』本選さながらの盛り上がりを見せました。

中でも注目すべきは、「鳥取和牛フィレ×ボキューズ・ドール」。料理に起用した食材のひとつ、肉厚で大型な椎茸として知られる「とっとり115」は、石井シェフが勝ち抜いた国内予選会のテーマ食材でもありました。国内予選は、その「とっとり115」をペースト状、みじん切り、コンカッセ(やや大きなみじん切り)にして、肉のファルス(詰め物)に入れて使ったと言います。今回のガラで披露された大皿盛りにおいても、同様の手法でフィレ肉にはさみ、とろけるように柔らかな食感のフィレ肉の中から椎茸の旨みがあふれる見事な一品でした。

このような状況から伺えるように、『ボキューズ・ドール』出場シェフたちにとって鳥取県は日本の中でも特別な県なのです。

「なんといっても、鳥取は私の地元ですから、自分が『日本ボキューズ・ドール アカデミー』の会長になって、鳥取県からサポートをいただけるのは何より嬉しいです。他国は色々な地域が積極的に食材アピールをしてくるので、日本ももっとそうすべきだと思います。地元の人は、たかがこんなものと思っている中に宝が埋もれていることもあります。それを見つけられるのは我々シェフです。地域の発展のためにも、もっとシェフを使っていいのでは、と、思います」と浜田シェフ。

「『ボキューズ・ドール』では、国として独自性を表現しなくては勝てません。しかし、素晴らしい食材を見つけるのは時間のかかる作業です。そこを、鳥取県のようにご紹介をいただけるととても助かります。フランス本選にも良い素材を持って行くことができ、大変にプラスになりました(髙山シェフが本選に出場した2019年は、日本の食材を持ち込むことが可能だった)。作ることに専念できますから。また、知事が言われたように、プロの意見を取り入れて食材のレベルアップをしていくことが何より大切だと思います。これからもそのお手伝いができたらと思います」と髙山シェフは、自身が出場した当時を振り返りながら語ります。

そして、石井シェフ。「鳥取県のサポートについては本当にありがたく、大変に助かっております。産地視察の時には、生産者の方々に会い、色々なお話を聞き、本当に勉強になりました。今まで知らなかった食材の提案や地域での調理法に触れられたことも大変ためになりました。鳥取県の食材をフランスに持ち込むのは難しいですが、フランスでの『ボキューズ・ドール2023』を終え、日本に帰国したら本選の料理を鳥取県の食材で作り食べていただきたいです」。

鳥取県のような取り組みが増えることで、北から南まで、日本の食材のクオリティがさらに上がり、料理業界の発展にもつながるのであろうことは想像に難くありません。ぜひ、鳥取県に続く県が出てくることを願ってやみません。

鳥取県の食材の魅力を熱く語るとともに、「『ボキューズ・ドール』を通して、生産者がさらなる成長を遂げることを願います」と平井知事。

香りから受けるイメージは、料理を大きく左右する。入念に「とっとり115」の香りをチェックする石井シェフ。

鳥取県が誇る、肉厚で大型な椎茸「とっとり115」は香りも強く、味も濃厚。

「牛フィレ肉のモザイク仕立て」。表面の模様がモザイクのように見えることからの名前。中には「とっとり115」のファルスがたっぷり。ガルニは、さつまいものフランとビーツのタルト。

フィレ肉の周囲にファルス状にした椎茸「とっとり115」を塗り、さらに牛肉で巻いている。

『ボキューズ・ドール』では、メイン料理とガルニを大きなプレートに盛り付ける決まりに。今回の演出は、まさにそのスタイルを採用。

国内予選の決勝のテーマ食材は「シャポン」(高級鶏肉)と「とっとり115」(椎茸)。シャポンを型に入れて加熱しているため、シャポンの表面に美しい凹凸模様が見られる。それも評価された要因のひとつ。ガルニはさつまいものフランなど。

高みを目指し、意見を戦わせるシェフたち。本番まで残り数ヶ月、より精度を上げ、優勝を目指す。


Text:HIROKO KOMATSU
Photographs:KOH AKAZAWA

ミディアムトラッカーウォレット

20周年記念ミディアムトラッカーウォレット!

 
  • 20周年を記念してウェッジレザーとディアブロッサムのコラボウォレット!
  •   
  • 革は栃木レザーを使用
  •   
  • 使い込むほどにアジがでてツヤを増していきます
  •   
  • お札入れ/1 小銭入れ/1 とカードポケットのみの昔ながらなトラッカーウォレット
  •   
  • 高さを気持ち細めにしているので【スリムストレート】などのバックポケットにもすんなり収まります
  •   
  • コンチョはシルバー925を使用
  • 無くなり次第終了
  •  

生産国

  • 日本

20周年ハードストライクシルバーキーフック

シンプルながらこだわりの詰まったシルバーキーフックの20周年モデル!

  • 作り手はカスタムスーベニアショップROADとのコラボキーフックです
  • フック部分片側には「IRON HEART」
  • もう一方には「ROAD」のWネームが入ります
  • 20周年記念商品のため、シリアルナンバーを刻印
  • 元は棒状のシルバーを加工した非常に手の凝った作りです
  • フック部分は5mm、つなぎ目のリングは4mm、キーリング部分は3mmの作りで広がりづらい加工を施しています
  • 最下部に3個付いている2重リングのみステンレス製で錆びることなくガンガン使えます
  • シルバーの部分はハンマリングでザラっとした渋い仕様になっています
  • キーフックにありがちな脱落を防いでくれるフック形状です
  • 素材はシルバー925を使用
  • ※力を入れすぎると折れる可能性がありますのでご注意ください
  • ※記念商品のため無くなり次第終了となります

食べるうしろめたさはもう解消!? 身体も喜ぶ完全無添加マヨネーズ。[和光アネックス/東京都中央区]

土作りからこだわった安心・安全なえごまを飼料に食べて育った鶏のたまごから生まれたマヨネーズ。原料にα-リノレン酸を豊富に含むえごまたまごを使用することで、オメガ3が手軽に摂取できる。

WAKO ANNEX九州発のナチュラルブランド『えこびと農園』の美味しくヘルシーなマヨネーズ。

どこにもないフレッシュで上質なえごまの味を求めて。

『えこびと農園』が、ここ九州・佐賀の地でえごまの栽培を始めたきっかけは、そんな理由からでした。

「国産で安心して食してもらえるえごまを作りたい!」という想いが詰まった畑から生まれたえごまは、地元の意欲ある農家さんや福祉事業所と連携し、九州産のえごまを全国に発信。郷土の地域活性にも繋がっています。

そんな『えこびと農園』の人気商品が、『えごまたまごの無添加マヨネーズ プレーン』。

品名にある聞きなれない「えごたまご」とは、『えこびと農園』のえごまの実の搾りかすと茎葉を食べて元気に育った鶏が産んだ新鮮たまごのこと。えごまの飼料を食べて育ったにわとりのたまごには、必須脂肪酸の「α-リノレン酸」が多く含まれています。ゆえに、血中中性脂肪を下げる作用、認知症や成人病に予防効果にも期待できます。

また、黄身を見栄え良くするための着色添加物や飼育環境によるストレスで病気になるのを防ぐための抗生物質等の薬剤は一切使用していないため、たまご本来の美味しさを堪能できます。つまり、健康にも配慮された新感覚のマヨネーズなのです。

たくさん食べるにはうしろめたさを感じていたマヨネーズですが、『えごまたまごの無添加マヨネーズ プレーン』であれば、そんな心情からも解放されるかもしれません。

九州には美味しいものがたくさんありますが、美味しくヘルシーなものは、まだ少ない。九州発のナチュラルブランドをぜひお楽しみいただきたい。

温野菜やサラダ、ゆで卵などに添えると、手間暇かけた料理のように味わいが増す。そのほか、白身魚のフライもおすすめ。万能のため、様々なシーンにてご利用いただきたい。

『えこびと農園』で栽培したえごまの実の搾りかすと茎葉を飼料に混ぜて育てられた鶏の卵をたっぷりと使用。乳化剤、保存料、砂糖不使用の無添加のマヨネーズ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

食べるうしろめたさはもう解消!? 身体も喜ぶ完全無添加マヨネーズ。[和光アネックス/東京都中央区]

土作りからこだわった安心・安全なえごまを飼料に食べて育った鶏のたまごから生まれたマヨネーズ。原料にα-リノレン酸を豊富に含むえごまたまごを使用することで、オメガ3が手軽に摂取できる。

WAKO ANNEX九州発のナチュラルブランド『えこびと農園』の美味しくヘルシーなマヨネーズ。

どこにもないフレッシュで上質なえごまの味を求めて。

『えこびと農園』が、ここ九州・佐賀の地でえごまの栽培を始めたきっかけは、そんな理由からでした。

「国産で安心して食してもらえるえごまを作りたい!」という想いが詰まった畑から生まれたえごまは、地元の意欲ある農家さんや福祉事業所と連携し、九州産のえごまを全国に発信。郷土の地域活性にも繋がっています。

そんな『えこびと農園』の人気商品が、『えごまたまごの無添加マヨネーズ プレーン』。

品名にある聞きなれない「えごたまご」とは、『えこびと農園』のえごまの実の搾りかすと茎葉を食べて元気に育った鶏が産んだ新鮮たまごのこと。えごまの飼料を食べて育ったにわとりのたまごには、必須脂肪酸の「α-リノレン酸」が多く含まれています。ゆえに、血中中性脂肪を下げる作用、認知症や成人病に予防効果にも期待できます。

また、黄身を見栄え良くするための着色添加物や飼育環境によるストレスで病気になるのを防ぐための抗生物質等の薬剤は一切使用していないため、たまご本来の美味しさを堪能できます。つまり、健康にも配慮された新感覚のマヨネーズなのです。

たくさん食べるにはうしろめたさを感じていたマヨネーズですが、『えごまたまごの無添加マヨネーズ プレーン』であれば、そんな心情からも解放されるかもしれません。

九州には美味しいものがたくさんありますが、美味しくヘルシーなものは、まだ少ない。九州発のナチュラルブランドをぜひお楽しみいただきたい。

温野菜やサラダ、ゆで卵などに添えると、手間暇かけた料理のように味わいが増す。そのほか、白身魚のフライもおすすめ。万能のため、様々なシーンにてご利用いただきたい。

『えこびと農園』で栽培したえごまの実の搾りかすと茎葉を飼料に混ぜて育てられた鶏の卵をたっぷりと使用。乳化剤、保存料、砂糖不使用の無添加のマヨネーズ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

鹿児島焼酎で全国に新たなムーブメントを起こす。造り手の熱き思いを体感する「蔵旅」。

鹿児島焼酎 蔵旅OVERVIEW

焼酎の名産地、鹿児島。現在、鹿児島県内では112の蔵元が焼酎造りをしています。「近年、鹿児島焼酎がますます洗練されてきて、フルーティーな香りで、きれいな味わいのものが増えています」と話すのは、実業家であり、食通としても知られる本田直之氏。日本全国、そして世界中を旅した経験を持ち、各地の食や酒にも精通している美食家です。そんな本田氏が「鹿児島焼酎の文化を変えたい」という強い想いから始めたのが、「蔵旅」でした。

「蔵旅」では、本田氏のアテンドのもと東京の料理シーンを牽引する料理人が鹿児島県内の蔵元を巡ります。その意図について本田氏は「造り手がどんなに思いを込めて素晴らしい鹿児島焼酎を生み出したとしても、売り手・注ぎ手が語れなければそのストーリーは広まらない。だからこそ、焼酎造りの現場に触れて体感することが重要なのです」と解説します。

今年、本田氏とともに「蔵旅」に参加したのは岡田右京氏、大橋直誉氏、松永大輝氏、末富信氏の4名。いずれも、東京で人気店を営むスペシャリストです。まずはこの5人で、鹿児島県酒造組合から東京に送られてきた約30本の本格焼酎のテイスティングを行い、「蔵旅」で蔵元を訪ねる5銘柄を選びました。「第一回目となる昨年は、若い造り手の活躍が目覚ましい5蔵を巡りました。今年は個性の強い5蔵というコンセプトでセレクトしました。」(本田氏)。造り方や貯蔵方法が個性的な蔵もあれば、個性的なフレーバーの焼酎を造る蔵など、個性の表し方はさまざま。私たちが何気なく飲んでいる鹿児島焼酎は、一体どのようにして造られているのでしょうか。造り手の熱量に触れる2日間が始まります。

Supported by 鹿児島県酒造組合
Produce by think garbage Inc.

Photograph:KAYOKO UEDA
Text:AYANO YOSHIDA

「鹿児島焼酎の文化を変える」。蔵元を訪ね、造り手の情熱に触れる「蔵旅」。後編

鹿児島焼酎 蔵旅 後編木の香りが特徴。古式かぶと釜蒸留器を使った焼酎造りに挑む「大石酒造」。

「全国に鹿児島焼酎の魅力を広め、文化を変えたい」。
実業家であり、食通として知られる本田直之氏の強い思いから始まった「蔵旅」。麻布十番『十番右京』オーナーの岡田右京氏、虎ノ門『つかんと』のオーナー兼ソムリエ・大橋直誉氏、渋谷『(惚)オ向イ上ル』オーナーの松永大輝氏、港区『膳処末富』オーナーの末富信氏の4名とともに、鹿児島県内の5軒の焼酎蔵を巡りました。

2日目に向かったのは、海沿いの街に拠点をもつ「大石酒造」です。「蔵旅」は、本田氏を含む参加者の5名が事前に約30本の鹿児島焼酎のテイスティングを行い、その中から最も興味を持った5銘柄の蔵元を巡ります。訪問先に「大石酒造」を選んだ理由について、ソムリエの大橋氏はこう語ります。「東京でテイスティングした『かぶと鶴見』のウッド系の香りが個性的で、何に由来してこうしたフレーバーが生まれているのかを知りたいなと思ったのです」。

大橋氏も興味を持っていた木の香りの秘密は、古式かぶと釜蒸留器を使った古典的な製法にありました。古式かぶと釜蒸留器とは、木樽と「かぶと」とよばれる冷却用水受け等で構成された蒸留器。周りから温めながらじっくりと時間をかけて少しずつ蒸留することにより、一気に加熱して蒸留した焼酎に比べて繊細で口当たりのいい味わいに仕上がるのが特徴です。しかし、手間と時間がかかるうえ、少量しか生産できないため、現代ではあまり使われなくなってしまった蒸留器でもあります。「『かぶと鶴見』を最初にリリースしたのは1996年。焦げ臭のすくない、やわらかな口当たりの焼酎を造りたいと思ったことが開発のきっかけでした」と、5代目の大石啓元さんはこだわりを見せます。

末富氏は「ヒノキの樽に由来する木の香りが心地いいので、肴がなくても焼酎だけで十分楽しめる。また、鹿児島焼酎のフレーバーが多様になっていることが自分にとっては大きな発見です。焼酎の味わいの幅が広がれば広がるほど、僕たち売り手もお客様に提供するのが楽しくなる」と、興味津々です。岡田氏も「トレンドを掴んだ焼酎を造っている割に、『大石酒造』は東京ではまだ知られていない印象。もっと広めたい」と、意欲を見せます。

中央は社長で大石酒造の5代目・大石啓元さん、両脇には娘の晶子さんとその夫の恭介さん。

「大石酒造」では丁寧な手仕事を大切にしている。

代表銘柄の「鶴見」の名前は、「大石酒造」がある阿久根市が1960年頃までは鶴がズラーっと集まる場所だったことにちなんでいる。

鹿児島焼酎 蔵旅 後編クラシックを流し、焼酎に音を響かせながら仕込む「田苑酒造」。

鹿児島といえば芋焼酎のイメージが強いですが、麦焼酎に力を入れる蔵も少なくありません。そのひとつが、創業1890年の「田苑酒造」。ここでは、1982年に日本で初めて樽貯蔵の麦焼酎を開発しました。

貯蔵用の樽はウイスキーに使われるオーク材を中心に、桜材やシェリー酒に使った古樽も使うそう。これにより、焼酎にカラメルやバニラのような甘い香りや、まろやかな味わいに仕上がりになるのが特徴です。また、液体が美しい琥珀色になるのも樽ならでは。

一方で、樽ごとに個体差があり香りのつき方がかわるため、ステンレスタンクで貯蔵する場合に比べて焼酎の味わいにブレがでるのも事実。そこで、ブレンダーと呼ばれる人が、樽ごとに味わいをチェックし、ブレンドして味と色を調整しながら一定した「田苑酒造」のクオリティを保っています。

また、「田苑酒造」のもう一つの特徴が、1990年からはクラシック音楽で発酵や熟成を促す「音楽仕込み」を軸に焼酎造りをしていること。音楽を「トランスデューサ」という特殊なスピーカーによって振動に変換し、一次仕込みタンクや貯蔵タンクに直接響かせているのです。現在、「田苑酒造」ではトランスデューサ1,112個を稼働させ、もろみの一次仕込みで5〜6日、製品の瓶詰め前の貯蔵で2週間、音楽仕込みを行っているといいます。

「最初は工場見学に来た方に向けてBGMとしてクラシックを流していたのです。あるとき、蔵人が『スピーカーに近いタンクだけ発酵が早い』と言い出し、スピーカーの位置を変えるなど試行錯誤の末、音楽を聴かせることで酵母が活性化することがわかったのです」と、松下英俊杜氏。また、クラシック音楽のセレクトについては「モーツァルトの『ジュピター』をはじめ交響曲をメインに30曲以上流しています。さまざまな楽器が使われる交響曲は音域が広く、ゆるやかな振動で発酵を促す。これにより、我々が求めるやわらかな口当たりに近づく」と言います。

敷地が広大なため焼酎を寝かせられるスペースも広く、10年、20年と貯蔵している原酒もある。

音楽を振動に変換する「トランスデューサ」を装着した木樽。

左から松下英俊杜氏、中永田 浩工場長。

樽に由来する琥珀色の液体が美しい。

鹿児島焼酎 蔵旅 後編金山の地下で焼酎を長期貯蔵。トロッコで巡る「濵田酒造 薩摩金山蔵」。

一行が最後に目指したのは、「濵田酒造 薩摩金山蔵」。ここは、かつての薩摩藩を支えた串木野金山です。350年以上にわたって掘り続けられた坑洞の総延長は120km。坑洞内は年間を通して気温が一定で焼酎の貯蔵・熟成に適していることから、「薩摩金山蔵」ではここに甕仕込みと甕貯蔵の蔵を構えたのです。鹿児島に112蔵あれども、坑洞内に蔵をもつのは「薩摩金山蔵」だけ。代表銘柄「薩摩焼酎 金山蔵」では、金山蔵にちなんで幻と呼ばれた「黄金麹(おうごんこうじ)」を使用しています。

「金山で長期貯蔵しようという発想がユニークですよね。トロッコで焼酎を運び出すのは大変なことなのに、その労力を惜しまない。焼酎作りに対するこだわりと情熱が伝わってきます」と、大橋氏。岡田氏も「実際に自分が足を踏み入れることで、ひんやりとした空気を感じたり、坑洞内特有のしんとした静かな雰囲気がわかったりする。自分のお店で焼酎を提供するときに『黄金麹(おうごんこうじ)で仕込み、金山坑洞内で貯蔵を行う』という言葉を添えるだけで、お客さまも楽しんでくれそう」と言います。

トロッコに乗って坑洞へ。このトロッコで焼酎の甕を運ぶことも。

坑洞は総延長120km。外が暑い時期でも、坑洞内の空気はひんやりとしていて涼しい。

金山として栄えた時代の名残がある趣深い場所で焼酎を貯蔵する。

代表銘柄「薩摩焼酎 金山蔵」。熟成したまろやかさと苦味、キレのバランスが絶妙。

鹿児島県内の5蔵を巡った「蔵旅」。松永氏は、その感想をこう語りました。「代々受け継がれる代表銘柄を大切にしながらも、熟練の職人たちが今でも新しいことに挑戦し続けている。その情熱に感動しました。同時に、だからこそ、鹿児島焼酎のフレーバーや味わいの幅がどんどん広がっているのだなと納得。鹿児島焼酎の面白さや美味しさを自分の言葉で語りながら、全国に、そして世界へと広めていきたいです」。この言葉を受けて、本田氏はこう締めくくります。「シャンパーニュには、『シュヴァリエ』といってシャンパーニュの伝導、発展に寄与する人々に称号を与える伝統があります。今回の『蔵旅』に参加した東京の料理人・ソムリエが鹿児島焼酎のシュヴァリエ的存在になって、その魅力を全国に広めてくれることを期待しています」。


Photographs:KAYOKO UEDA
Text:AYANO YOSHIDA

「鹿児島焼酎の文化を変える」。蔵元を訪ね、造り手の情熱に触れる「蔵旅」。前編

鹿児島焼酎 蔵旅 前編東京で飲んでいるだけでは知り得ない、造り手のストーリーを知る「蔵旅」。

「芋の香りがきつい」、「クセが強い」。鹿児島の芋焼酎に対するそんなイメージをアップデートすべく、2021年から始動したのが「蔵旅」です。発起人は、実業家であり食通でもある本田直之氏。「僕が一番強く思っているのは、鹿児島焼酎の文化を変えたいということ。フルーティーであったり、味わいがすっきりと洗練されていたり、とてもいい造りの本格焼酎が増えています。日本酒にブームが起きたように、焼酎も全国でもっとフィーチャーされるべき」と、鹿児島焼酎に対する思い入れを語ります。

「蔵旅」では、東京の料理シーンを代表するスペシャリストたちが鹿児島に足を運び、焼酎造りの現場を見て学び、そして造り手と言葉を交わしていきます。「東京でただテイスティングするだけではなく、造り手の思いに直に触れることで、より深く鹿児島焼酎に惚れ込むことができる。そして東京に戻ってから、自分で体感したストーリーをお客さまに熱く語りたくなる。そんなふうにパワフルに焼酎の魅力を広めていき、ムーブメントを起こしたい」と、本田氏は「蔵旅」のねらいを解説します。

参加したのは、麻布十番『十番右京』オーナーの岡田右京氏、虎ノ門『つかんと』オーナー兼ソムリエの大橋直誉氏、渋谷『(惚)オ向イ上ル』オーナーの松永大輝氏、港区『膳処末富』オーナーの末富信氏の4名。まずはメンバー全員で約30本の鹿児島焼酎のテイスティングを行い、「蔵旅」で巡る5蔵を選ぶところからこの旅はスタートしました。

鹿児島焼酎のなかには香りがフルーティーな銘柄も増えたことから、ソーダ割にしてスッキリと爽やかに飲む楽しみ方も一般的になってきた。

鹿児島焼酎 蔵旅 前編仕込みに温泉水を使った芋焼酎「海」でその名を広めた「大海酒造」。

一行がまず向かったのは、大隅半島の鹿屋市に拠点を持つ「大海酒造」。地域の9つの蔵が結集したこの蔵では、鹿児島焼酎の伝統的な造り方を受け継ぎつつ、地域の人との関わりを大切にしながら焼酎造りを続けています。「長年、地域の人に日常に呑んでもらう地元酒を造り続けてきました」と話すのは、代表取締役の河野直正氏。「世間的には物価高に伴う価格改定が進んでいますが、地元酒は100円値上げしただけでもお客さんが離れてしまう。地域限定販売の焼酎をラインナップの一つとして取り揃えることで、地域の人々の食卓に寄り添っています」。

その一方で、全国に流通させる焼酎を造る際には新しいことにも挑戦しています。たとえば、東京の飲食店でも見かけることの多い「海」は、仕込み水に垂水温泉水「寿鶴」を使った個性的な芋焼酎。温泉水を使うことによって、やわらかな口あたりに仕上げています。「開発当時、地元では『こんなの焼酎じゃない』と言われてしまいました。しかし、東京で売れるようになったら急に地元でも注目を集め始め、今では地域を代表する銘柄のひとつとなりました」と、河野氏はその歴史を語ります。

そして、「蔵旅」のメンバーを魅了したのは有機栽培の茶葉を使用した「茶房大海庵」でした。まろやかな飲み心地のなかにお茶の香りとほどよい渋味があり、岩のりや牡蠣といった和食にピッタリの焼酎です。

斬新な手法に挑戦しつつも、着実に飲み手の心を掴む新商品をリリースし続けている大海酒造。これを支えているのが、実力派の杜氏の技術力です。この蔵で1999年より杜氏を務めている大牟禮良行氏は、昨年、厚生労働省が卓越した技術を持つ職人を表彰する「現代の名工」を受賞した人物。焼酎の杜氏としては、これまでで大牟禮氏を含めて5人しか受賞していない名誉ある賞です。

ソムリエの大橋氏もまた、「地元の人のために伝統的な地元酒を作り続けるという強い信念と、新しいことに挑戦することの両輪をバランス良くまわしているのがこの蔵の魅力」と、語ります。

「現代の名工」受賞を記念して作ったオリジナル焼酎「平々凡々」をかかげる大牟禮良行氏。

契約農家から仕入れた良質のさつま芋「コガネセンガン」。見た目が白いのが特徴。

収穫したばかりのさつま芋を選別。

左から温泉水を使った「くじら」、茶葉の香りを含ませた「茶房大海庵」、大海酒造の代表銘柄「海」。

鹿児島焼酎 蔵旅 前編国分酒造

2軒目に訪れたのは、霧島市の国分酒造です。ここは、なんといっても鹿児島焼酎界レジェンドとも言われる安田宣久氏が杜氏を務める焼酎蔵。御年71歳の安田氏の功績は数知れず、たとえば業界で初めて、米麹を使わずに芋麹を使ったさつまいも100%の芋焼酎「いも麹芋」を開発したり、大正時代の芋「蔓無源氏」の復活に取り組み、当時の手法で仕込んだ「蔓無源氏(つるなしげんぢ)」を開発したりと、鹿児島焼酎の歴史に名を刻んできました。

近年のヒット作は、柑橘の香りが広がる「フラミンゴオレンジ」や、ミントのようなすーっとした風味が印象的な芋焼酎「クールミントグリーン」です。それにしてもなぜ、芋焼酎からオレンジやミントのような香りが? その秘密は、減圧蒸留という手法と香り酵母にあるそう。「一般的に芋焼酎は常圧蒸溜でどっしりとした味わいを出しますが、減圧蒸留にすると味わいがライトになり香りが立つのが特徴。この醸造法に合う麹を探すなど、試行錯誤の末にこの2銘柄が誕生しました」と、安田氏は振り返ります。

また、国分酒造の代表銘柄の一つであり、安田氏の名字を冠した芋焼酎「安田」はマスカットやライチなど果物系の風味があり、華やかな香りで人気を博した銘柄です。岡田氏も「『安田』は都内でも人気で、自分のお店でも大量に仕入れています。お客さまの評判も抜群にいいです」と、その魅力を語ります。

実はこの独特の味わいは、偶然の産物だそう。「2012年の仕込みの際、たまたま傷んだ芋が混じってしまっていたんです。はじめは焦げ臭が気になりましたが、半年ほど貯蔵するうちに果実香が強くなってきたので、出荷することにした。呑んだ人はどんな反応をするだろうと不安でしたが、予想に反して評判がよかったんです」と、安田氏。翌年は焦げ臭がでないように作ったところ、前年の味を知る人から「物足りない」と指摘されて、元の作り方に戻したというのです。

実際に蔵に足を運んでこそ聞ける裏話に、一同は興奮気味。大橋氏も「偶然の繰り返しが今の東京のトレンドを作った、っていうのが面白い」と、話します。残り3軒の蔵ではどんな発見があるのでしょうか。「蔵旅」は2日目へと続きます。

内田式と名付けられた特殊蒸留機だが、安田杜氏は独自に改造を続けて自分の理想の味が出せる蒸留機にした。機械に刻まれた「内田式」の「内」の文字を、ユーモアをこめて「安」に変えた。

「安」田式蒸留機と、安田杜氏。「かなり改造しましたのでね。これくらい変えれば、自分の名前の蒸留機にしちゃってもいいかな、と思って」

安田杜氏、笹山護社長とともにテイスティング。蔵の周囲には畑が広がっている。


伝統的で無骨なデザインのラベルの「芋」(左から二番目)や、「フラミンゴオレンジ」(中央)をはじめとするポップなイラストが印象的な焼酎がバランス良く揃う。


Photographs:KAYOKO UEDA
Text:AYANO YOSHIDA

大山こむぎが身体を整える、無添加のパン。[和光アネックス/東京都中央区]

『麦ノ屋』の大山こむぎのパン。単体でも美味しいが、シチューなどに付けて食べるのもお勧め。『六穀BREAD』(手前)、『全粒粉ブロイツェン』(中)、『パン・オ・フリュイ ハーフ』(右)、『ミルヒBREAD〜牛乳パン〜』(奥)。

WAKO ANNEX地元の素材・大山こむぎにこだわったパンだからこそ伝わる、土地の豊かさ。

鳥取県米子市、大山こむぎにこだわる地元の名店『麦ノ屋』は、ふるさと納税のパン部門1位にも輝いたことのある名店。その特徴は、県産の大山こむぎにあります。今回、ご紹介するパンは、全4種。どれも人気の品です。

まずは、『全粒粉ブロイツェン』。全粒粉と相性の良い黒蜜を配合したパンは、ほんのり香る胡麻の風味もお楽しみいただけます。テーブルロールパンとして食事を華やかに彩り、ドイツパン製法であるブロイツェン成形をしています。

『パン・オ・フリュイ ハーフ』は、パイン、イチジク、カレンズ、オレンジなどのドライフルーツとラム・さくらんぼのリキュールを利かせたパン。アニス、シナモンなどのスパイスに漬け込んだ素材も含み、サラミのように薄くスライスして食べるのがお勧めです。

そして、『六穀BREAD』は、少々のライ麦サワー種を取り入れたヘルシーさが特徴。食物繊維なども含まれた栄養価が高いパンです。焙煎した種子(シード)や穀物が香ばさも感じられます。

『ミルヒBREAD〜牛乳パン〜』は、ヨーグルトやバターなどのミルキーさと柔らかさが感じられるパン。卵サンドなどの惣菜パンとしてお召し上がりいただくことがお勧めです。

4種とも、大地の豊かさ、小麦の香りを存分に味わえるため、身も心も、もちろんお腹も満たしてくれることは間違いなし。原料や製法にもこだわっているため、体も喜ぶ美味しさです。

ドイツパン製法であるブロイツェン成形が特徴の『全粒粉ブロイツェン』。袋のまま常温解凍後、トースターなどで温めてお召し上がりを。

ワインや紅茶のお供にお勧めな『パン・オ・フリュイ ハーフ』。袋のまま常温解凍後、スライスしてそのままお召し上がりを。

食物繊維も含み、栄養価の高い『六穀BREAD』。袋のまま常温解凍後、トースターなどで温めてお召し上がりを。

ミルキーでふんわりした食感が特徴の『ミルヒBREAD〜牛乳パン〜』。袋のまま常温解凍後、トースターなどで温めてお召し上がりを。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

名旅館✕スターシェフ。美食家・本田直之が仕掛ける、二度と体験できない特別な旅。[Inspire by Relux/群馬県みなかみ町]

舞台となった群馬県・谷川温泉『別邸 仙寿庵』。開放感あふれる曲面廊下がシンボル。

インスパイアー バイ リラックス谷川岳を望む名旅館で、最高峰のフランス料理を味わう。

世界の美食を極めた美食家・本田直之氏がプロデュースし、宿泊予約サービスのReluxで販売された「Inspire by Relux」。それは、日本各地の名宿に、名だたるシェフを招聘して繰り広げられる新たな旅の体験です。

今回の舞台は、谷川岳を望む『別邸 仙寿庵』。世界的な権威ある宿・レストランにのみ許された、ルレ・エ・シャトーに加盟するこの旅館に、パリで名を馳せる『Restaurant PAGES』の手島竜司シェフを迎えます。

「コンセプトは特別な宿泊体験。僕が世界中を旅してきた中で改めて感じた日本の旅館のおもてなしの素晴らしさに、少しの遊びを加えた特別な体験をお伝えしたい」

本田氏はそう語ります。
果たして名宿と名シェフのコラボレーションは、どのような化学反応を生むのでしょうか。ONESTORY編集部が体験したその詳細をお届けします。

プロデューサーの本田直之氏。世界中の美食を味わい尽くした経験を、惜しみなく注ぎ込む。

『Resutaurant PAGES』手島竜司シェフ。熊本県親善大使、JAL国際線ファーストクラス、ビジネスクラスの料理監修など多方面で活躍。

インスパイアー バイ リラックス土地の食材をフランス料理で表現する“手島イズム”。

2014年、ひとりの日本人シェフがパリに開いたレストランが、わずか1年半でフランス版ミシュランの一つ星を獲得。店の名は『Restaurant PAGES』。その快挙とともに、店を率いるシェフ・手島竜司の名は、瞬く間に世界に広がりました。

手島シェフの料理の根幹は「日本人としてのアイデンティティを、土地の食材で表現する」こと。その土地ならではの食材を見極め、それを高い技術とアイデアで上質な料理に昇華する。それこそが、世界が認めた“手島イズム”。つまり手島シェフの料理は、土地が変わり、舞台が変わるごとに、がらりとその姿を変えるのです。

この日のディナーも、そんな手島シェフらしさにあふれていました。
3種類のオイルを浮かべたしじみと鶏のスープにはじまり、発酵の力を借りて食材を引き立てるイカの前菜、ハタやウナギをフランス料理として再構築した料理。

さらに会場が盛り上がったのは、続く魚料理。「オマールエビのすべて 檜の香り」と題したその一皿は、木串に刺したオマールエビが豪快な姿で登場しました。パリのレストランでも「ギリギリまで茹でたてを出したい」とこだわるオマールエビ。この日はさらに檜の香りをまとわせることにより、素材そのものの味わいがいっそう引き立ちました。

続く「地元野菜サラダ」は、この土地らしさを如実に表した一品。主役は当日、シェフがこの地に到着してから走り回って集めてきたという新鮮な野菜たち。それをシェフがフランスから持参した塩とビネガーとオリーブオイルでシンプルに味付けることで野菜の持つ濃厚で力強いおいしさを表現しました。

メインは特別肥育の子豚を豪快に丸焼きにしたロティ、そして締めにはトリュフが香る卵かけご飯。デセールのソルベが爽やかな余韻を残しながら、コースは幕をおろしました。

どの料理も主役級の存在感を誇りながら、流れるように、緩急をつけて展開された9品のコース。その素晴らしい食後感に、改めてスターシェフの力量を感じます。

「しじみと鶏のスープ」。スープの上にはハーブ、パプリカ、マー油の3種の香りオイル。

「オマールエビのすべて 檜の香り」。まるごとのオマールエビにバーナーで燃やした木で香りをまとわせる。

「地元野菜サラダ」。採れたての野菜のおいしさをシンプルな味付けで引き立てた。

「特別肥育の子豚のロティ」を調理する手島シェフ。豪快な手法で繊細な火入れをする熟練の技。

インスパイアー バイ リラックス料理、ドリンク、環境。揃った三拍子が、またとない“特別”を生む。

限定36組のプラチナチケットを手にしたこの日のゲストたちの顔には、一様に満足の顔が浮かんでいました。その満足の理由は、手島氏の素晴らしい料理だけではありません。

ひとつは、料理を引き立てたペアリングドリンクの存在。プロデューサー本田直之氏が自らセレクトしたドリンクは、名ドメーヌの希少なワインから貴醸酒、日本酒まで幅広い展開。もともと手島シェフと交流のあった本田氏だけに、シェフの料理の意向を踏まえ、その味をいっそう輝かせる見事なセレクトでした。

そしてもうひとつの満足の要素は、言うまでもなく『別邸 千寿庵』の環境。自然の中に違和感なく溶け込みながら、エレガントな存在感も持つこの宿。アペリティフ会場となった庭園も、自然を間近に感じながらゲストの感性を揺さぶり、食への探究心をいっそう高めてくれました。

「すべて出し切りました。いまは達成感でいっぱい」

この日の晩餐をそう振り返る手島シェフ。そして地元スタッフたちへの感謝を繰り返し口にしました。未知の食材、慣れない厨房、はじめての場所のなか、これほどのクオリティの料理に仕上げた手島シェフに、プロデューサーの本田氏も惜しみない賞賛を寄せました。

「鰻とブリオッシュのコンテチーズソース」には仙禽オーガニック ナチュール2022の貴醸酒を合わせた。

肉料理に合わせるワインは、名門ドメーヌ「アンベール・フレール」から。子豚のピュアな味わいに、繊細な果実感が寄り添う。

『別邸 仙寿庵』の客室。全室に客室露天風呂を備えるエレガントな温泉宿。

『別邸 仙寿庵』にあるプライベートサウナは、サウナ好きで知られる本田直之氏も魅了した。

大浴場や露天風呂には、江戸時代から愛される肌にやさしい低張性弱アルカリ性温泉があふれる。

住所:群馬県利根郡みなかみ町谷川614 MAP
TEL:0278-20-4141
https://www.senjyuan.jp/

Text:TAKETOSHI ONISHI
 

旨い理由。それは、100年以上もの間、リンゴを実らせている古木の力。[和光アネックス/東京都中央区]

100年以上の古木から実ったリンゴの中でも、濃厚な蜜が詰まったものだけで搾ってできた『百年林檎ジュース CENTURY』。

WAKO ANNEX自然の力と人の力。両者の共存共生が生んだ、唯一無二のリンゴ。

青森県南津軽郡。その南端に位置する大鰐町は、800年の歴史を誇る温泉地。奥座敷とも呼ばれるこの町で、1900年より4世代にわたってリンゴの栽培し続けているのが『山田果樹園』です。

「リンゴ本来の美味しさを引き出すことが私たちの使命。養分を果実にたっぷりと取り込むために、木々の声に耳を澄ましながら、通常の倍ほどの枝葉を生かすように剪定しています。自然にも人間にもやさしい栽培を心がけています」とは、同園の言葉。

その特徴は、津軽の四季や土地の豊かさはもちろん、園の開業当時から100年以上もの間、リンゴを実らせている古木の存在です。古木は、枝葉と根からたくさんの養分が果実へと運び、華やかで奥深い味わいのりんごを生みます。

『百年林檎ジュース CENTURY』は、まさにその好例。コクがある特徴の「スタンダードふじ」のみを使用したリンゴジュースは、濃厚な蜜の旨みも感じる味わい。

飲み方においては、まずはそのまま。ストレートの味を堪能した後は、フレンチウォッカなどのリキュールを割る飲料として使用しても美味しくいただけます。

ぜひ、百年が生んだ味をお楽しみいただきたい。

リンゴの蜜を彷彿させるような透き通るゴールドが美しい。味わいはもちろん、グラスに注いだ瞬間から広がる香りは、果実そのもの。

まるでワインのようなボトルデザイン。直射日光や高温多湿を避け、常温にて保存可能。保存料を使用していないため、開封後はお早めにお召し上がりを。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

2022年「アジアのトップピザ50」7位。名店「ピッツァ・ストラーダ」の味が自宅に。[和光アネックス/東京都中央区]

『水牛モッツァレラのマルゲリータ』(手前)と『クアトロフォルマッジ』(奥)。店名は、人々が交錯する道(ストラーダ)の休息所から。ワインと一緒に味わい、ゆったりとした時間を満喫したい。

WAKO ANNEX世界も唸る名店ピッツァの味を、手軽に堪能できる贅沢と喜び。

東京、麻布十番にて店を構える『ピッツァ・ストラーダ』。2022年「アジアのトップピザ50」7位を受賞したことは記憶に新しく、名実ともに世界が認めるピッツァであることは言うまでもありません。

美味しい理由は、さまざまあります。30時間かけて長時間発酵させた生地の旨み、高温で焼き上げ、焦げる寸前の香ばしさを生み出すクリスピーさ、生地と相性の良い食材選び……。これらはまだ一例に過ぎませんが、鍛え抜かれた職人技や日々の努力から生まれたピッツァこそ、『ピッツァ・ストラーダ』のピッツァ。

今回は、そんな名店のピッツァをオリジナルサイズにアレンジ。通常30cmのサイズを食べやすいように20cmにし、人気の『水牛モッツァレラのマルゲリータ』と『クアトロフォルマッジ』を冷凍商品化。

イタリア産の水牛モッツァレラを使用した『水牛モッツァレラのマルゲリータ』は、トロっとした口触りとまろやかさが特徴。トマトの味わいと酸味にも好相性です。

ゴルゴンゾーラ、タレッジオ、グラナパダーノ、スモークモッツァレラの4種のチーズを使用した『クアトロフォルマッジ』は、癖のあるゴルゴンゾーラやタレッジオをスモークモッツァレラやペコリーノが絶妙に包み、それぞれの深い味わいを楽しめます。付属の蜂蜜をかければ、また別の美味しさも堪能できるでしょう。

ピッツァは、一枚一枚手伸ばしし、成形。袋を開けた瞬間から生地の香りがふわっと広がります。

解凍後、フライパンで焼くことによって、より美味しくいただけるため、ぜひ、そのひと手間をお試しあれ。

ご自宅はもちろん、パーティーや手土産にも喜ばれる通な品です。

トマトソース、水牛のモッツァレラ、バジルを使用したピッツァの代名詞、『水牛モッツァレラのマルゲリータ』。シンプルゆえ、職人の極みが凝縮された逸品。

コクのある味わいが食欲をそそる、『クアトロフォルマッジ』。ゴルゴンゾーラ、タレッジオ、グラナパダーノ、スモークモッツァレラの4種のチーズを使用。仕上げに付属の蜂蜜をかければ、より深い味わいに。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

2022年「アジアのトップピザ50」7位。名店「ピッツァ・ストラーダ」の味が自宅に。[和光アネックス/東京都中央区]

『水牛モッツァレラのマルゲリータ』(手前)と『クアトロフォルマッジ』(奥)。店名は、人々が交錯する道(ストラーダ)の休息所から。ワインと一緒に味わい、ゆったりとした時間を満喫したい。

WAKO ANNEX世界も唸る名店ピッツァの味を、手軽に堪能できる贅沢と喜び。

東京、麻布十番にて店を構える『ピッツァ・ストラーダ』。2022年「アジアのトップピザ50」7位を受賞したことは記憶に新しく、名実ともに世界が認めるピッツァであることは言うまでもありません。

美味しい理由は、さまざまあります。30時間かけて長時間発酵させた生地の旨み、高温で焼き上げ、焦げる寸前の香ばしさを生み出すクリスピーさ、生地と相性の良い食材選び……。これらはまだ一例に過ぎませんが、鍛え抜かれた職人技や日々の努力から生まれたピッツァこそ、『ピッツァ・ストラーダ』のピッツァ。

今回は、そんな名店のピッツァをオリジナルサイズにアレンジ。通常30cmのサイズを食べやすいように20cmにし、人気の『水牛モッツァレラのマルゲリータ』と『クアトロフォルマッジ』を冷凍商品化。

イタリア産の水牛モッツァレラを使用した『水牛モッツァレラのマルゲリータ』は、トロっとした口触りとまろやかさが特徴。トマトの味わいと酸味にも好相性です。

ゴルゴンゾーラ、タレッジオ、グラナパダーノ、スモークモッツァレラの4種のチーズを使用した『クアトロフォルマッジ』は、癖のあるゴルゴンゾーラやタレッジオをスモークモッツァレラやペコリーノが絶妙に包み、それぞれの深い味わいを楽しめます。付属の蜂蜜をかければ、また別の美味しさも堪能できるでしょう。

ピッツァは、一枚一枚手伸ばしし、成形。袋を開けた瞬間から生地の香りがふわっと広がります。

解凍後、フライパンで焼くことによって、より美味しくいただけるため、ぜひ、そのひと手間をお試しあれ。

ご自宅はもちろん、パーティーや手土産にも喜ばれる通な品です。

トマトソース、水牛のモッツァレラ、バジルを使用したピッツァの代名詞、『水牛モッツァレラのマルゲリータ』。シンプルゆえ、職人の極みが凝縮された逸品。

コクのある味わいが食欲をそそる、『クアトロフォルマッジ』。ゴルゴンゾーラ、タレッジオ、グラナパダーノ、スモークモッツァレラの4種のチーズを使用。仕上げに付属の蜂蜜をかければ、より深い味わいに。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

コロナ禍に開催された「DINING OUT KISO-NARAI」。我々は、何を失い、何を得たのか。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

ダイニングアウト木曽奈良井

周知の通り、『DINING OUT KISO-NARAI』は、コロナ禍に迎えました。それゆえ、各方面にご心配をおかけしたかもしれませんが、地元の方々の心強いご支援をいただきながら、無事に開催することができました。

同時に、『ONESTORY』一同、この町の素晴らしさ、受け継がれてきた文化、伝統工芸の匠、住民の想いなどを学ぶ機会にもなりました。そして、何より、人の暖かさに触れられたことが一番の喜びにつながりました。

キッチンで奮闘する地元シェフ、心を込めたサービス、木曽漆器を造る職人や組合、学校の指導に情熱を注ぐ先生やそこに学ぶ児童生徒、商工会や農家組合の皆様、その全ての姿が目に焼き付いています。長谷川在佑シェフやホストの中村孝則氏においても、新たな視点からこの町の魅力を表現していただきました。

語弊を恐れずに言えば、『DINING OUT KISO-NARAI』は、『DINING OUT』史上、最も素朴かつ小さな地域だったと思います。しかし、間違いなく最も大切な回になりました。

本当の価値とは何か、本当に大切なものは何か。今回は、その答えを導き出す場であり、伝える場でありたいと思い、実施に踏み切りました。

DINING OUT KISO-NARAI』をきっかけに、何かが好転したと願いたい。誰かの背中を押すきっかけになったと願いたい。前を向くきっかけになったと願いたい。一歩を踏み出すきっかけになったと願いたい。今なお、そう思っています。

2020年2月、日本における新型コロナウイルス発覚から約2年半。世界中は難局に陥りました。

改めて問いたいと思います。我々は、何を失い、何を得たのか。

もしかしたら、失ったものは何もなく、不必要なものがそぎ落とされただけなのかもしれません。それによって大切なものは際立ち、残った欠片を人は豊かさと呼ぶのでしょうか……。

答えを言い当てるには、もう少しだけ時間がかかりそうです。

しかし、いつの日か、考え続けた先にあるその答え合わせをしたいと思っています。場所は、もちろん木曽平沢・奈良井宿で。変わらず美しい、あの景観を眺めながら。

最後に。『DINING OUT KISO-NARAI』に関わった全ての方々、ゲストの皆様に、深く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

ぜひ、お写真とともに、振り返る時間をお楽しみください。

また、日本のどこかでお会いしましょう。

【関連記事】DINING OUT KISO-NARAI



Text:YUICHI KURAMOCHI
 

「DINING OUT」の成功を影に支えたプロのサービス。「JALふるさと応援隊」3名の活躍。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

『DINING OUT KISO-NARAI』のサービスを担当した『JALふるさと応援隊』の3名。左から横山侑己さん、伊藤昌代さん、鈴木麻里さん。

DINING OUT KISO-NARAI地域活性化を目指し創設された『JALふるさと応援隊』。

2022年7月23日、24日に開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。地元の婦人会や小中学生の協力のもと、その後も続くような地域との繋がりを生むことが今回の『DINING OUT』の目的のひとつでもありました。

そんな会場には、洗練された立ち居振る舞いとマスク越しでもわかるにこやかな笑顔でゲストをもてなす3名の人物の姿がありました。

彼女たちは、日本航空の現役客室乗務員。全国各地の活性化を応援するために社内公募により選ばれた『JALふるさと応援隊』のメンバーたちです。

『JALふるさと応援隊』とは、客室乗務員の資質をさらに広い場で発揮すべく生まれたプログラム。地域の活性化をさまざまな活動を通して応援し、そして、そこでの学びを日頃の乗務にフィードバックする。そんな思いの元、各都道府県約20名、合計約1,000名のメンバーが日々活動をしています。

地域と交流を生み、地域に貢献することを目指した今回の『DINING OUT KISO-NARAI』。その現場に同じ志を持つ『JALふるさと応援隊』が応援に駆けつけてくれたのです。今回はそんな3名の現場で思いや、イベントを終えてみての感想を伺ってみます。

さまざまな立場のスタッフが、それぞれのスキルと長所を活かして活躍。誰もが『DINING OUT KISO-NARAI』の成功を支えた立役者。

DINING OUT KISO-NARAI漆器の魅力と、人との交流の大切さに気づいた2日間。

ゲストのお出迎えからレセプション、本番のドリンクやフードのサービスまで。さまざまな場面で、自然体のようで行き届いた目配りで活躍した横山侑己さん。今回の体験の中、「とりわけ漆器の魅力を強く感じました」と言います。

「漆器というと大切に箱にしまって特別な日に使う食器というイメージでした。しかし木曽の漆器は日常的に使い、使い込む事でさらに透明感が増していくもの。給食食器に使うことで子供の頃から本物に触れる教育も含め、漆器との関わり方も魅力的に映りました」と振り返る横山さん。

地元で愛され、親しまれているからこそ、外に向けてのPRにも力が入る木曽漆器を通し、これからの地場産業の在り方にも思いを寄せた様子でした。さらに、さまざまな立場の方と一緒に働くことで多くの気づきも得たといいます。

「サービスのプロフェッショナル、地域のお母さんたち、奈良井で宿やお店を経営されている方々。いろいろな方が一緒に働き、互いの良いところを吸収していく。それが地域活性化の原動力になると思います。今回のイベントで生まれた関係性を今後も続けながら魅力を発信していきたいです」。

そんな心強い言葉は、奈良井の未来のための大きな力になりそうです。

お客さまとのファーストコンタクトは、塩尻駅前。送迎バスにてお迎えをする横山さん。ゲストの中には、「JALの制服の方にお出迎えしていただき、びっくりしました」との声も。

「チーム一丸となって奈良井の魅力をお客様に伝えられたことをうれしく感じています」と手応えを伝えてくれた横山さん。

DINING OUT KISO-NARAI自らが一番のファンになった奈良井での体験。

にこやかな笑顔が会場でも目を引いた伊藤昌代さん。準備の際には、さまざまな地元の方と積極的に話をする姿が印象的でした。

「いろいろな方と話をするのが大好きで、地元の方ともたくさんお話させて頂きました。そこで気づいたことは、皆さん本当に奈良井が大好きで、奈良井をもっと元気にしたいと思っていること」。

ある時、地元の方が「もっと奈良井を良くするにはどうしたらいい?」と伊藤さんに尋ねたといいます。

「この街のすべてが魅力です。この街を通るだけで、きっと皆さん感動しますって伝えました」と、伊藤さん自身も奈良井に惹かれた様子。100年続く街の中に実際に身を置いたことでその素晴らしさを体感し、そこに暮らすことの豊かさを改めて感じたのでしょう。

奈良井のために自分ができることとして、「これからJALの飛行機に乗ってくださった方々に、奈良井の魅力を伝えていきたい」とも語ってくれました。

「私自身が奈良井のファンになりました。いつか家族と一緒にまた訪れたい」と率直な感想を伝えてくれた伊藤さん。

DINING OUT KISO-NARAI日頃のフライトに活きる、『DINING OUT』のチーム力。

冷静沈着な姿と広い視野で裏方のサービスを支えた鈴木麻里さん。しかし、イベントを終え、少しだけ上気した顔からは、やりきったという満足感が伝わってきました。

「日本航空にはJALフィロソフィという指針があり、そのひとつにスタッフの“ベクトルを合わせる”という項目がございます。今回、2日間の『DINING OUT』を終えて、それぞれ立場が異なる方がひとつの目標に向かったことは、まさにベクトルが合っていたと感じています。今回の経験を乗務に活かすのと同時に、この地域の良さを伝えていくことも応援隊の役目」と鈴木さん。

ベクトルを合わせるための対話の重要性、チームを率いた長谷川在佑氏のリーダーシップなど、今回学んだ多くのことが、今後に役立つといいます。

「今回の経験を乗務に活かすのと同時に、この地域の良さを伝えていくことも応援隊の役目」と、日本各地、そして世界の人々に向けて奈良井の魅力を発信することを約束してくれました。

現在、『日本航空』では様々な地域活性プロジェクトに取り組んでいます。今回の『DINING OUT』の様子は、JALの機内映像プログラムでも放映が予定されており、地域に暮らす人々とのおもてなしを経ての気づきや発見、『JALふるさと応援隊』の今後の展望について話を伺っています。

そして、彼女たちを機上で見かけた際には、是非、木曽・奈良井の町の魅力を直に聞いてみていただければと思います。

鈴木さんは「今回のイベントで初めて奈良井を訪れ、日本にこんなに素晴らしい場所があるのだと驚きました」と、奈良井の第一印象を伝えてくれた。



Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

「NewsPicks Re:gion」呉琢磨氏が読み解く「DINING OUT」の成果と、これからの地方経済。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

会場で料理を楽しむ呉氏。何度もこの地に通い、地域との交流の中で作り上げた『傅』長谷川在佑氏の料理にも感銘を受けたという。

DINING OUT KISO-NARAI経済的視点で『DINING OUT』を見つめた呉琢磨氏。

2022年7月末に開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。

中山道の中間地点として古くから賑わう宿場町・奈良井宿を舞台に、約2年半の時を越えて、新たな一歩を踏み出した『DINING OUT』は、地元とのつながり、これからも続く関係の構築を目指し、これまでにない試みも数多く取り入れられました。

そんな『DINING OUT KISO-NARAI』の会場には、地域経済の新たな動向にフォーカスするプロジェクト『NewsPicks Re:gion』編集長・呉琢磨氏の姿もありました。

『NewsPicks Re:gion』は、日本の地域開拓の最前線にいるイノベーターたちに光を当て、大都市圏ビジネスパーソンとの交流を生み出すWEBメディア。そこで生まれた新たな繋がりが、次なる共創のきっかけとなることを目指しています。

取材を通しさまざまな地域の現状を見つめ続けている呉氏ははたして、今回の『DINING OUT』から何を感じ、これからの地方経済をどう読み解くのでしょうか?

山深い木曽路に、これからの地域創生のどんなヒントが隠されているのか。呉氏の鋭い視点が見抜く。

DINING OUT KISO-NARAI地域経済の活発化が、今後の日本経済の軸に。

「日本の地域にこそ、成長の余白がある」。

『NewsPicks Re:gion』が地域に注目する理由を、呉氏はそう話します。

「たとえば経済成長率を都道府県別に比較したデータでは、東京都の成長率は全国でも下位グループにあり、むしろ九州エリアや中部エリアの方が成長率が高くなっています。近年は感度の高い人たちが地域に関わりだす動きも目立ち、また行政サイドでも、民間と積極的に連携して自立的な動きを始めている自治体が増えています。大都市圏だけで働き・暮らす人には見えない地域の新しい動きのなかにこそ、新しい希望が見出せると思います」。

客観的なデータも含め、地域の活動は、今後日本の経済活動の大きな柱になっていくという分析です。そしてもちろんそれは、今回の舞台である奈良井宿にも当てはまります。

「まず単純に場所がすごい。奈良井に来たのははじめてでしたが、江戸時代から残る町並みの保存性には驚きました。この奈良井宿のように、日本各地には価値ある文化資産が無数に眠っており、事業化されないまま“保全”されています。それらを民間が中心となって開拓し、“稼げる形”に変えて新しいマーケットを掘り起こしていくことが、地域の将来性につながっていくと思います」。

江戸時代のままの風景が残る奈良井宿の町並みは、これからの地域創生の大きな原動力になる。

DINING OUT KISO-NARAIスタッフの経験として今後に続く『DINING OUT』のレガシィ。

町並みという地域の財産を、どう活かすのか。『DINING OUT』は、その開催を通して何を伝え、何を残せたのか。続いては呉氏の目に映った『DINING OUT』について伺ってみました。

「まずレセプション会場として、地域の義務教育学校に行けたことが面白かったです。一般的に商業的な部分ですと大人との接点しか持てませんが、子供との関わり方を通してみると、地域社会の課題感をリアルに垣間見ることができます」と呉氏は振り返ります。

そして、実際にゲストとして着席し、食事を楽しんでみて「演出、料理、若い現地スタッフたちのサービスなど、さまざまなことが印象に残っている」といいます。そんな『DINING OUT KISO-NARAI』の成果を、次のように分析します。

「『DINING OUT』は新たな視点で地域の価値を訴求するブランディング施策だと理解しています。直接的には関連コンテンツの波及による奈良井エリアの認知拡大が主な成果になっていくのでしょう。そしてもうひとつの大きな成果が、参加したスタッフたちの気持ち。これまで出会うことのなかった人と人とが出会い、チームを組んで“大きなプロジェクトをやりきった”という体験が地域に残ることが、一番大きな効果なのではないかと考えます」。

~地域を超えて人材が越境し、地域のなかに多様性を生み出す。それがやがて新しい価値を生み出していく~。

呉氏はこれからの地域における活動の要点は、そんな人材交流にあると見ます。その意味で、「今回の『DINING OUT』が奈良井宿に残したものは大きい」といいました。

「今回の『DINING OUT』による経験が地域の記憶に残り、次の挑戦につながっていくと期待します」。

子どもたちとの交流と、そこから見えてきたリアルな課題も、今後を考える糸口になる。

参加した大勢の地元スタッフたちが、この経験を次に繋げる。それこそが『DINING OUT』の最大の成果であると呉氏。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

切ってびっくり、食べて美味しい。天皇も愛した甘味。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

切り絵のようなパッケージデザインが哀愁漂う、『みなとや商店』の「栗羊羹」。10月に美味しい旬の栗を堪能したい。

WAKO ANNEX湯上りにいただくも一興。温泉街が生んだ名品・栗羊羹。

浴衣姿で街を巡る。『みなとや商店』の拠点は、そんな風景が似合う地域です。

兵庫県北部、日本海に面した関西有数の温泉街のひとつ、「城崎温泉」は、開湯1300年以上の歴史があり、奈良時代から親しまれてきた街です。そこで多くのゲストを虜にしてきたのが、『みなとや商店』の「栗羊羹」です。

江戸時代に旅館業として創業し、明治時代以降は菓子製造販売並びに土産物販売店として営業。昭和天皇、上皇陛下を始め、城崎を巡った多くの人が訪れている。「良い品物をお客様に」をモットーに、こだわりの和菓子と麦わら細工を製造・販売している中でも「栗羊羹」においては別格。

上質な小豆を用いた羊羹に丹波地方で採れた栗をふんだんに入れた「栗羊羹」は、小豆と栗の調和が絶妙な風味を生みます。

「城崎温泉」は、七つの外湯を楽しむのが主流な温泉街であり、『みなとや商店』はそのうちのひとつ、「一の湯」の隣。

自宅で召し上がる際も、湯上りに一杯、もとい、湯上りに栗羊羹ということも、乙ないただき方かもしれません。

上質な小豆を採用した品の良い甘みが特徴の羊羹の中には、丹波地方で採れた大きな栗が。切ってびっくり、食べて美味しいひと品。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

最高級ポルチーニの香り漂う、贅沢な万能おつまみ。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

瓶から見える透き通ったオイルに純白のツナが美しい『JIN』の「おつな」。人気のシリーズより、ポルチーニ味が登場。

WAKO ANNEX食べ方は自由自在。乙なツナ。乙なおつまみ。

ツナ缶発祥の地、静岡県焼津で作る至極の自家製「おつな」にこだわる『JIN』。柔らかい身から溢れる自然の旨味は、一度食べれば虜になり、リピーターが続出。多くのバリエーションを展開していることもまた魅力のひとつであり、食べ手を飽きさせません。

「おつな ポルチーニ」も「おつな」人気を支えるひとつです。

イタリア産のポルチーニをふんだんに使った豪華な「おつな」は、シンプルなツナに上品な深みとコクがプラス。ローストした松の実も加え、香りと食感にアクセントも生み、五感で楽しめるひと品です。

万能おつまみゆえ、食べ方は無限に広がります。そのままはもちろん、パンに乗せて食べるも良し。ワインのお供、ご飯のおかずなど、お好みに合わせてぜひ。上級者ともなれば、チーズと一緒にクロスティーニ風やスープストック(肉や野菜から取った出汁)にごはんと「おつな」を混ぜ、リゾットにしても美味。

あなただけの乙なツナ、乙なおつまみをお楽しみいただきたい。

自家製の「おつな」は、マグロや塩はもちろん、数種のオイルも厳選してブレンド。全て手作りにこだわる。パンの上に乗せてはもちろん、パスタの具材やごはんのお供、そのままでもおつまみとして絶品な味わい。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

「何もないけど、大切なことがある」。コラムニスト・中村孝則が見た木曽の豊かさ。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

レセプション会場となった『楢川小中学校』にて、ゲストにこの地の歴史を伝える今回のホスト・中村氏。

DINING OUT KISO-NARAI多くの地元住民とともに築いた19回目の『DINING OUT』。

去る2022年7月23日、24日に開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。約2年半ぶりの開催となった『DINING OUT』は、地元の食材生産者や伝統工芸職人、郷土料理を知るお母さんたち、そして地元の小中学生までをも巻き込み、かつてない地元との繋がりを生みました。

それはコロナ禍を経て変わりゆく人々の価値観のなかで到達した、新たなステージの『DINING OUT』でした。

ホストを務めたコラムニスト・中村孝則氏も、今回の開催のために奔走し、そしてその成功を喜んだ人物のひとり。そこでそんな中村氏とともに、『DINING OUT KISO-NARAI』を振り返ってみましょう。

乾杯の一場面。中村氏によって語られる料理やドリンク、会場の薀蓄が、味わいに奥行きを加える。

DINING OUT KISO-NARAI人と会い、土地に触れる『DINING OUT』の原点。

過去9回の『DINING OUT』でホストを務めた中村孝則氏。終演後その頭にまず浮かんだのは、久しぶりに開催できたことへの感慨でした。

「リモート会議やリモート飲み会は、いまや社会に不可欠なものになっています。しかし、やはり直接人と会って伝えられる熱量というものは、特別です。人と会って、一緒に何かを分かち合うことは、やはり人間の原点なのでしょう。そしてそれは同時に『DINING OUT』の原点でもあります。リアルに旅をして、その土地の人や文化に触れる。そういう体験の素晴らしさを、改めて思い出しました」。

そして、自身が感じた木曽・奈良井宿に思いを馳せます。中村氏の胸に響いたのは、奈良井の自然と人の豊かさでした。

「今回のテーマが“山中に学ぶ”ということで、自然の豊かさは想像していました。訪れてみてさらに感じたのは、地元の方々の豊かな生き方でした。ここは中山道のちょうど中間地点。いわば“江戸の粋”と“京の雅”が交錯する場所です。そういう場所で400年間も旅人をお迎えしてきた歴史からでしょうか。地元文化の豊かさ、地元の方々の豊かな生き方が、とくに印象的でした」。

もちろん、そんな豊かさを見事に表現した『傅』長谷川在佑氏による6品の料理も、中村氏の心に刻み込まれました。

「海のない地で、淡水魚を使ってこれほど豊穣な味の表現ができることに驚きました」と振り返る。その中でもとくに印象深かったのは、「鯉の羽淵キュウリあんかけ」と「シナノユキマスのおつくり」だといいます。

「鯉のあんかけは“小骨が多い”、“臭みがある”という鯉のネガティブなイメージを、丁寧な仕込みで払拭していました。創意工夫と緻密な計算、地元へのリスペクトがある料理で、常に食べ手のことを一番に思って料理をする長谷川さんらしさが強く表れていました。一方でシナノユキマスは、シンプルに“淡水魚がこれほどおいしくなるのか”という驚きがありました。地元の伝統食“すんき”を使って生み出す、エキゾチックな味わい。その表現力に脱帽です」。

レセプションで乾杯用にサーブされたこの地の銘酒『亀齢(きれい)を解説する。

ディナー終盤、オリジナルの器制作の中心人物でもある『木曽漆器工業組合』の石本則男理事長とともに。使用される漆器の知識も、食を彩る大切な要素。

伝統野菜の羽淵キュウリをすり流しにして、骨切りした鯉と合わせた一品。「さまざまな工夫が込められた料理」と中村氏。

中村氏が「オリエンタルな味わい」と驚いたシナノユキマス。伝統的な漬物、すんきの扱いには「食べ慣れた地元の人もきっと驚くでしょうね」という。

DINING OUT KISO-NARAI現代社会の中で改めて見つめる本当の豊かさ。

中村氏が『DIINNG OUT KISO-NARAI』を振り返りながら、何度も口にした「豊かさ」という言葉。その前提には、中村氏が肌で感じる、近年の社会状況における価値観の変化がありました。

「今は、皆が豊かさに迷っている時代。そのヒントが、この奈良井宿にはあると思います。スーパーやコンビニなどの利便性はなくても、少し歩けば花がたくさん咲いていて、地元の伝統野菜もいろいろあり、あちこちから水が湧いている。そして、地元の方々がこの地を愛し、誇りを持ち、次世代に受け継ごうと努力をしている。ここにこそ、これからの豊かさのヒントが詰まっているような気がするんです。何もないけど、たくさんある。そんな豊かさです」。

今回の『DIINNG OUT KISO-NARAI』も、さまざまな世代の住民が参加し、世代を越えて地元を盛り上げようとする思いにこそ大きな意義があったといいます。

そして、最後に、地元の方々に向けて、こう付け加えました。

「内側にある豊かさを、これからはもっと外に伝えていくことが必要です。外に伝えて、より多くの人を巻き込んで、さらに地元を盛り上げていく。そういう外向きの動きもこれからは必要になると思います。僕も必ずまたここに戻ってくるので、一緒にこの地の魅力を伝えていきましょう」。

世代を越えた人との繋がりを通して紡がれるこの地の豊かさ。中村氏はそれこそが、これからの時代に求められるものだと見る。

DINING OUT KISO-NARAI計10回のホストを担った中村孝則。そこから導き出した4つの意義。

中村孝則氏が『DINING OUT』を務めたのは、今回でちょうど10回目。その節目が奇しくも、コロナ禍で人々の価値観が変わる時代、アフターコロナに向けて動き出す時代に重なりました。

中村氏はそんな今回の開催を経て、改めて『DINING OUT』の4つの意義が明確になったといいます。

「ひとつ目は、リベンジ・ガストロノミーとしての意義。これは私の造語ですが、つまりコロナ禍で不当に飲食の自由を奪われた経験から、今後より飲食、外食への欲望が強まることが予想されます。『DINING OUT』はガストロノミーの豊かさの象徴として、その受け皿としての役割を意識していく必要があります。

ふたつ目は、お祭りとしての意義。言ってみれば『DINING OUT』はお祭りです。お祭りは交流を生みます。人の交流、情報の交流、そしてジェネレーションの交流。今回も、子どもたちからお母さんたち、生産者や職人まで幅広い世代の交流が生まれました。こういう横軸、縦軸の交流を生む『DINING OUT』のお祭り的要素が、今後、次世代への伝達、引き継ぎ、そして地域活性化のために重要になってくると思います。

3つめの意義は、言うまでもなく地域表現としての『DINING OUT』です。今回は“山中に学ぶ”というテーマのもと、自然、文化、工芸、食というさまざまな要素を表現しました。多彩な要素を束ねて渾然一体で表現するというのは、『DINING OUT』にしかできないこと。これは揺るぐことのない『DINING OUT』の原点であり、意義だと思います。

そして、4つ目。今回とくに強く思ったのが“免疫力としての食”の重要性です。これほど未曾有の感染が広がるということは、やはり人の免疫力で乗り越えねばならないということでしょう。免疫力を上げるのは最終的には食だと信じています。発酵食に代表されるように日本の地域に眠る食材、食文化は免疫力を高めるものが多い。『DINING OUT』で食の大切さ、地域の食文化を紐解いていくことで、改めて食と健康について意識を向けてもらうことができれば良いですね」。

中村氏が見る4つの意義が、改めて地方創生における『DINING OUT』の役割を明確にした。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

「何もないけど、大切なことがある」。コラムニスト・中村孝則が見た木曽の豊かさ。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

レセプション会場となった『楢川小中学校』にて、ゲストにこの地の歴史を伝える今回のホスト・中村氏。

DINING OUT KISO-NARAI多くの地元住民とともに築いた19回目の『DINING OUT』。

去る2022年7月23日、24日に開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。約2年半ぶりの開催となった『DINING OUT』は、地元の食材生産者や伝統工芸職人、郷土料理を知るお母さんたち、そして地元の小中学生までをも巻き込み、かつてない地元との繋がりを生みました。

それはコロナ禍を経て変わりゆく人々の価値観のなかで到達した、新たなステージの『DINING OUT』でした。

ホストを務めたコラムニスト・中村孝則氏も、今回の開催のために奔走し、そしてその成功を喜んだ人物のひとり。そこでそんな中村氏とともに、『DINING OUT KISO-NARAI』を振り返ってみましょう。

乾杯の一場面。中村氏によって語られる料理やドリンク、会場の薀蓄が、味わいに奥行きを加える。

DINING OUT KISO-NARAI人と会い、土地に触れる『DINING OUT』の原点。

過去9回の『DINING OUT』でホストを務めた中村孝則氏。終演後その頭にまず浮かんだのは、久しぶりに開催できたことへの感慨でした。

「リモート会議やリモート飲み会は、いまや社会に不可欠なものになっています。しかし、やはり直接人と会って伝えられる熱量というものは、特別です。人と会って、一緒に何かを分かち合うことは、やはり人間の原点なのでしょう。そしてそれは同時に『DINING OUT』の原点でもあります。リアルに旅をして、その土地の人や文化に触れる。そういう体験の素晴らしさを、改めて思い出しました」。

そして、自身が感じた木曽・奈良井宿に思いを馳せます。中村氏の胸に響いたのは、奈良井の自然と人の豊かさでした。

「今回のテーマが“山中に学ぶ”ということで、自然の豊かさは想像していました。訪れてみてさらに感じたのは、地元の方々の豊かな生き方でした。ここは中山道のちょうど中間地点。いわば“江戸の粋”と“京の雅”が交錯する場所です。そういう場所で400年間も旅人をお迎えしてきた歴史からでしょうか。地元文化の豊かさ、地元の方々の豊かな生き方が、とくに印象的でした」。

もちろん、そんな豊かさを見事に表現した『傅』長谷川在佑氏による6品の料理も、中村氏の心に刻み込まれました。

「海のない地で、淡水魚を使ってこれほど豊穣な味の表現ができることに驚きました」と振り返る。その中でもとくに印象深かったのは、「鯉の羽淵キュウリあんかけ」と「シナノユキマスのおつくり」だといいます。

「鯉のあんかけは“小骨が多い”、“臭みがある”という鯉のネガティブなイメージを、丁寧な仕込みで払拭していました。創意工夫と緻密な計算、地元へのリスペクトがある料理で、常に食べ手のことを一番に思って料理をする長谷川さんらしさが強く表れていました。一方でシナノユキマスは、シンプルに“淡水魚がこれほどおいしくなるのか”という驚きがありました。地元の伝統食“すんき”を使って生み出す、エキゾチックな味わい。その表現力に脱帽です」。

レセプションで乾杯用にサーブされたこの地の銘酒『亀齢(きれい)を解説する。

ディナー終盤、オリジナルの器制作の中心人物でもある『木曽漆器工業組合』の石本則男理事長とともに。使用される漆器の知識も、食を彩る大切な要素。

伝統野菜の羽淵キュウリをすり流しにして、骨切りした鯉と合わせた一品。「さまざまな工夫が込められた料理」と中村氏。

中村氏が「オリエンタルな味わい」と驚いたシナノユキマス。伝統的な漬物、すんきの扱いには「食べ慣れた地元の人もきっと驚くでしょうね」という。

DINING OUT KISO-NARAI現代社会の中で改めて見つめる本当の豊かさ。

中村氏が『DIINNG OUT KISO-NARAI』を振り返りながら、何度も口にした「豊かさ」という言葉。その前提には、中村氏が肌で感じる、近年の社会状況における価値観の変化がありました。

「今は、皆が豊かさに迷っている時代。そのヒントが、この奈良井宿にはあると思います。スーパーやコンビニなどの利便性はなくても、少し歩けば花がたくさん咲いていて、地元の伝統野菜もいろいろあり、あちこちから水が湧いている。そして、地元の方々がこの地を愛し、誇りを持ち、次世代に受け継ごうと努力をしている。ここにこそ、これからの豊かさのヒントが詰まっているような気がするんです。何もないけど、たくさんある。そんな豊かさです」。

今回の『DIINNG OUT KISO-NARAI』も、さまざまな世代の住民が参加し、世代を越えて地元を盛り上げようとする思いにこそ大きな意義があったといいます。

そして、最後に、地元の方々に向けて、こう付け加えました。

「内側にある豊かさを、これからはもっと外に伝えていくことが必要です。外に伝えて、より多くの人を巻き込んで、さらに地元を盛り上げていく。そういう外向きの動きもこれからは必要になると思います。僕も必ずまたここに戻ってくるので、一緒にこの地の魅力を伝えていきましょう」。

世代を越えた人との繋がりを通して紡がれるこの地の豊かさ。中村氏はそれこそが、これからの時代に求められるものだと見る。

DINING OUT KISO-NARAI計10回のホストを担った中村孝則。そこから導き出した4つの意義。

中村孝則氏が『DINING OUT』を務めたのは、今回でちょうど10回目。その節目が奇しくも、コロナ禍で人々の価値観が変わる時代、アフターコロナに向けて動き出す時代に重なりました。

中村氏はそんな今回の開催を経て、改めて『DINING OUT』の4つの意義が明確になったといいます。

「ひとつ目は、リベンジ・ガストロノミーとしての意義。これは私の造語ですが、つまりコロナ禍で不当に飲食の自由を奪われた経験から、今後より飲食、外食への欲望が強まることが予想されます。『DINING OUT』はガストロノミーの豊かさの象徴として、その受け皿としての役割を意識していく必要があります。

ふたつ目は、お祭りとしての意義。言ってみれば『DINING OUT』はお祭りです。お祭りは交流を生みます。人の交流、情報の交流、そしてジェネレーションの交流。今回も、子どもたちからお母さんたち、生産者や職人まで幅広い世代の交流が生まれました。こういう横軸、縦軸の交流を生む『DINING OUT』のお祭り的要素が、今後、次世代への伝達、引き継ぎ、そして地域活性化のために重要になってくると思います。

3つめの意義は、言うまでもなく地域表現としての『DINING OUT』です。今回は“山中に学ぶ”というテーマのもと、自然、文化、工芸、食というさまざまな要素を表現しました。多彩な要素を束ねて渾然一体で表現するというのは、『DINING OUT』にしかできないこと。これは揺るぐことのない『DINING OUT』の原点であり、意義だと思います。

そして、4つ目。今回とくに強く思ったのが“免疫力としての食”の重要性です。これほど未曾有の感染が広がるということは、やはり人の免疫力で乗り越えねばならないということでしょう。免疫力を上げるのは最終的には食だと信じています。発酵食に代表されるように日本の地域に眠る食材、食文化は免疫力を高めるものが多い。『DINING OUT』で食の大切さ、地域の食文化を紐解いていくことで、改めて食と健康について意識を向けてもらうことができれば良いですね」。

中村氏が見る4つの意義が、改めて地方創生における『DINING OUT』の役割を明確にした。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

作家・司馬遼太郎に「もっとも豊かな隠れ里」と言わしめた、恵みの味。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

名前にかかげる球磨川は、最上川と富士川にならぶ日本三大急流のひとつ、熊本県内最大の一級河川。シンボルマークは「球磨川くだり」の和舟をモチーフにし、この歴史ある和舟のよう、球磨川流域で育まれた恵みが多くの人々に届いてほしいという願いが込められている。

WAKO ANNEX熊本県人吉球磨が持つ自然の美しさと豊かさを届ける。

『球磨川アーティザンズ』のふるさと、九州熊本県南部に位置する人吉球磨地方は、急流が静脈のように走る盆地にあります。作家・司馬遼太郎はこの地を「もっとも豊かな隠れ里」と呼びました。山と水とが育んだ肥沃な大地は、とてつもなく豊潤な農産資源を生みだしています。

そんな人吉球磨地方は、西日本有数の栗の産地。「Chestnut Butter with Honey<はちみつ入り栗バター>」の栗においてもそれを使用し、ひとつ一つ手作業で皮を剥き、丁寧に製造。雑味のない味わいを実現しました。

また、栗のほっこりした美味しさをより生かすため、人吉球磨産のレンゲはちみつと九州産生乳のみを原料にした高千穂バターをブレンドしていることがこの品が逸品たるゆえん。

バタ―の濃厚な味わいが栗ならではの香りと食感を包み込み、はちみつの優しい甘さが心地良い後味を残します。

トーストやクロワッサンに塗ると、より洗練された味わいに。また、あんことの相性も抜群のため、どら焼きや最中に添えて新たな美味しい発見もお楽しみいただきたい。

本文に明記したよう、トーストやクロワッサンもお勧めだが、カジュアルにクラッカーといただくのも美味。パーティにもぜひ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

地元に伝えたこと、学んだこと。長谷川在佑氏が振り返る「DINING OUT」。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

厨房に建つ長谷川氏。調理スタッフとして参加した地元料理人たちは「学ぶことばかり」と口を揃えた。

DINING OUT KISO-NARAI山深い木曽路で開催された19回目の「DINING OUT」。

去る2022年7月23日、24日に開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。
舞台となった奈良井宿は、中山道34番目の宿場町として400年もの間、旅人たちを迎え続けるおもてなしの町でした。同時に山深い木曽路にある奈良井宿は、保存食をはじめとした独特の食文化が育まれた地でもあります。

そんな今回の『DINING OUT』で料理を担当したのは、『傳』の長谷川在佑氏。『ミシュランガイド東京』2つ星、『ゴ・エ・ミヨ東京』3トック、『アジアのベストレストラン50』1位、『世界のベストレストラン50』20位など、数々の賞に輝く長谷川氏は、この地の食材や食文化をどう紐解き、どんな思い出、どのような料理をつくり、そしてこの地に何を残し、伝えたかったのでしょうか。

長谷川氏の言葉とともに、『DIINNG OUT KISO-NARAI』を振り返り、長谷川氏の心の裡を探ってみましょう。

奈良井宿、中山道の上に出現したダイニング。土地に触れ、文化を体感する『DINING OUT』の原点。

DINING OUT KISO-NARAI地元の食文化を再構築した、新しい郷土料理。

「今回の『DINING OUT』でもっとも大切にしたのは、地元の方々との絆。いかにこの地の方々と馴染み、いろいろなことを教えてもらうかということでした」。長谷川氏の振り返りは、こんな言葉から始まりました。

食材生産者、地元のお母さんたち、子どもたち。多くの地元の方々が参加した今回の『DINING OUT』。その大勢のスタッフたちを長谷川氏は「チーム」という言葉で表現します。

「地元でどんなものが食べられているか、大切にされているか。そういう思いは、やはり直接話さなくてはわかりません。そういう食文化に加え、この地の歴史や気候のこと、人のことなど、本当にたくさんのことを教わりました」。

そして、地元の方々との交流を通して知った知識は、『DINING OUT』の料理として形をなしました。『傅』の女将である長谷川えみさんを中心としたチームで考案されたペアリングドリンクとともに、供された料理は、計6品。

最初の一皿は、「地元で親しまれているものを、地元の人にとって新しい形で」という思いを、おなじみの信州名物「おやき」で表現しました。見た目こそスタンダードなおやきですが、中に潜む鰻の旨みが従来のイメージを覆します。

2品目の主食材は鯉。海のないこの地で古くから滋養強壮のためのご馳走として親しまれてきた鯉食文化も、近年はやや下火。「骨が多く食べにくい、淡白でおいしくない、という声も。だからこそ鯉のおいしさを改めて伝えたい」と鱧のように丁寧に骨切りしてから揚げ、夏野菜の餡をかけた一品に仕立てました。

続く3品目は、長野県特産のシナノユキマス。分水嶺で育てられる清涼な味わいの淡水魚に、塩を使わずに発行させる木曽地域の伝統的な漬物すんきを合わせました。シナノユキマスもすんきも、この地ではよく知られた食材。しかしそのふたつを組み合わせることで、知られざるおいしさを演出したのです。

4品目は木曽で米とともに重用されてきた雑穀を、信州牛とともに。「牛肉ではなく、雑穀が主役の料理です」という長谷川氏の言葉通り、7種ほどの雑穀の味わいと食感が、複雑で奥深いおいしさを生み出しました。

締めとなる5品目には、山中で採れたキノコや山菜を煮込んだ鍋で蕎麦を温めて味わう投汁蕎麦が登場。冷え込みがきついこの地で愛される伝統料理で、シンプルに素材の旨みを引き出しました。

デザートには信州特産のルバーブと旬のトウモロコシを使ったプリン。野菜を使ったデザートは、料理の余韻を包み込みながら、ゲストを終演へと誘います。

「目指したのは地元の人にとって新しい郷土料理。僕の料理を通して、この地の豊かさを改めて思い出してもらえたら」。

そんな長谷川氏の思いが凝縮されたコースでした。

ゲストを前に挨拶する長谷川氏。その言葉には、ゲスト、地元スタッフ、そしてこの地の人々への感謝が込められていた。

脂の乗った鰻を使ったおやき。囲炉裏の煙でサッと燻して仕上げた。ペアリングには地元『信濃ワイン』の「信濃スパークリング ナイアガラ」。

擦ったキュウリの餡の爽やかな香りが鯉の味わいを引き立てる。「シンプルながら新しさも追求した料理」と長谷川氏。合わせるのは奈良井宿の『suginomori brewery』の「narai」。

独特の味わいと食感がある「すんき」は、塩を使わずに乳酸発酵させた赤カブの葉。シナノユキマスと合わせ、その新たな魅力を表現。信州『井筒ワイン』の辛口「シャルドネ[樽熟]2020」とともに。

甘辛く炊いた信州牛が引き立てる雑穀の味わい。ペルーにいる長谷川氏の知人から届いたキヌアもアクセント。塩尻市のブドウ100%でつくる『五一ワイン』の「エステートゴイチ メルロ」の芳醇な風味が味を引き立てる。

たっぷりのキノコと鴨の出汁で、シンプルに味わう投汁蕎麦から着想を得た一品。会場の気温も下がってきたタイミングで、その温かさが染みる。ペアリングは引き続き「エステートゴイチ メルロ」。豊かな果実味が滋味深い出汁と調和する。

トウモロコシ、ルバーブ、プリンの3層になったデザート。ふりかけたスパイスがエキゾチックな味わいを演出。

DINING OUT KISO-NARAIかつてない表現を可能にしたチームの力。

いつもの『傅』の料理構成から離れ、この地、この時、このチームでしかできない料理を繰り広げた長谷川氏。「これこそが『DINING OUT』の意義であり、魅力」と振り返りました。そしてもう一度、大勢が力を合わせた“チーム”の力に言及しました。

「今回、改めて強く感じたのは、料理はひとりではできない、ということ。チームで力を合わせることでもっと大勢のお客様を喜ばせることも、感動させることもできるし、これからさらに繋がっていくこともできる。もちろん料理だけでなく、サービスや空間づくりも同様。そういう意味で、料理人として本当に大切なものを学ばせてもらった気がします」。

そう振り返る長谷川氏。そして改めて、この奈良井宿への思いを語ります。

「コロナを経て久しぶりの『DINING OUT』ということで、やはり今までとは違う気持ちでのぞみました。その気持ちをどのように表現しようか、とかなり長い時間悩んだ回でもあったのですが、奈良井という土地とこの地の人々に支えられて、無事に終えることができました。食材、食文化、土地、人、そういうものを含めて、これからも僕にとって奈良井は特別な場所になると思います」。

配膳に参加した地元・楢川小中学校の児童生徒たちとともに。

お土産としてゲストに手渡されたおにぎりは、「地元婦人会・桜香会」の皆様によるもの。

厨房、サービスを含め、過去最大人数の地元の方々が携わった『DINING OUT KISO-NARAI』。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

まるで浄化されるような味わい。新月の夜に収穫を行うぶどうジュース。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

素材そのものの風味や糖度の高さをできるだけそのまま生かせるよう、通常濾過のみ行い抽出。ぶどうの力強さを感じる味わいに感動を覚えるだろう。

WAKO ANNEX地球、月、太陽。自然の営みに合わせ、作る、大地の恵み。

「山梨からピュアなフルーツで毎日を少しだけ華やかに」をコンセプトに生産を続けている山梨県笛吹市の『アミナチュール』。

栽培方法や製造など、様々にこだわりがありますが、中でも注目すべき品が「新月の黒ぶどうジュース」です。

使用する山梨産の黒ぶどうは、巨峰、ピオーネ、藤稔、マスカットベリーAの4種類。もちろん素材は一級品ですが、品名の通り、特筆すべきは「新月の」という言葉にあります。

新月とは、地球から見て月が見えていない状況を指します。月の姿が見えないということは、太陽の光の反射が見えないということであり、「浄化日」とも呼ばれています。

前述、原料となる4種のぶどうは新月の夜に収穫が行われ、えぐみを出さないよう圧力をかけ過ぎずに丁寧に贅沢に搾り上げます。

濃厚な味わいは、新月のごとく、まるで心身が浄化されるよう。製造年ごとに違う味わいが楽しめるため、飲み比べも通な味わい方。

アミとは友達、ナチュールとは自然を意味する。友達だからこそ共鳴する自然の味をお楽しみいただきたい。

原料の糖度が高く、かつ風味を残す製造法のため、瓶の中にオリ(酒石酸)が結晶化することもあるが、人体に影響はない。瓶底に沈めたまま、ゆっくりとグラスに注いでお召し上がりを。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

瀬戸内海の離島で、廃校になった小学校で眠る。懐かしくも新しい不思議な宿泊体験。[大三島 憩の家/愛媛県今治市]

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

旧宗方小学校の建物をリノベーションした「大三島 憩の家」。別棟の個室のほか、和室タイプもあり。

大三島 憩の家離島の木造校舎に泊まるという非日常の体験

瀬戸内海に浮かぶ大三島は、愛媛県側の今治からしまなみ海道に入って3番目の島。日本総鎮守とされる大山祇神社があることから、神の島として大切にされてきました。聖地ゆえに周辺の魚も守られ、漁業よりも農業が盛ん。柑橘王国・愛媛にあって有数の柑橘の産地です。

そんな大三島に、廃校になった小学校の木造校舎をリノベーションした宿泊施設「大三島 憩の家」ができたのは2018年のこと。瀬戸内海の離島にある小学校に泊まる。そんな非日常を体験できる宿です。

大三島ICから20分ほど島景色のドライブを愉しむと、目的地に到着。案内看板には宿の名前もありますが、敷地内には「宗方小学校」の名もそのまま残されています。廊下は広い中庭に向けて開いていて、いかにも島の学校という開放感が感じられます。

きっと多くの人が、この建物を見て懐かしさを感じることでしょう。それは自身が通った学校に似ているからではなく、もっと根源的な“学校”の持つイメージに近いからかもしれません。

ほぼ小学校の頃のままの建物に入り、受付へ。客室名は「1の1」といったクラス名のまま。しかし引き戸を開くとそこには、想像と違う空間が広がります。

ゆったりしたソファと大きなベッドが置かれた室内を、間接照明が柔らかく照らす。洗面所やバス、トイレも清潔で広々。しかし窓枠や床やドアを見ると、明らかに小学校の面影が残っています。その不思議なギャップが、ほかにはない特別感を醸し出しているのです。

長い廊下の先には娯楽室がある。中には卓球台があり、壁の書架には小学校時代から残ったと思われる蔵書。食堂はシックですが、やはり往時の面影が残ります。中庭には朝礼台の跡。その向こうにある建物が、新たに作られた海を望む展望風呂です。

すべてが懐かしく、そして新鮮。この建物のリニューアルは、伊東豊雄氏が率いる伊東建築塾が監修したといいます。この島に縁の深い巨匠には、何を残し、何を変えるべきかが、はっきりと見えていたのでしょう。

小学校時代の面影を色濃く残す内観。板張りの廊下や引き戸など、懐かしい雰囲気が漂う。

客室はラグジュアリー。ゆったりとした空間にソファやベッドが配置されている。

ウェルカムドリンクやアメニティなども上質。物珍しいだけでなく、宿泊施設としてのクオリティも高い。

長い廊下、右手は校庭。開放的な造りは、ここで子どもたちが学んでいた往時のまま。

娯楽室には卓球台や本のほか、学校時代の配布物なども展示されている。

海を臨む展望風呂は、宿のオープンに合わせて新設されたもの。

大三島 憩の家近海の海の幸をふんだんに使う料理も見事

夕食までに時間があれば、近くを散策してみるのも良いでしょう。砂浜までは校舎を出て1分とかからない距離。瀬戸内海の穏やかな海を見渡す、静かでのんびりした浜が広がります。砂浜の横にある堤防では、釣りを楽しむ人の姿も。すべてがのんびりとした島時間に彩られた光景です。

夕食も圧巻です。

ハモ、セトダイ、イサキ、サザエ、タイ、オコゼ。このコースのために一体何尾の魚を使っているのでしょう。どれも新鮮で脂が乗り、何より素材を活かす調理が見事です。

料理を担当するこの宿の主人は、大三島にある料理旅館に生まれた和食一筋の人物だそう。和食の粋を知り、この地の魚を知り尽くす。魚づくしでありながら、変化に富んだおいしさにも納得です。

食事を終えて部屋に戻り、満たされた気分のまま眠りに。学校で眠るという体験は、心が沸き立つような非日常のひとときを演出してくれることでしょう。

プライベートビーチまで徒歩10秒。静かな海を独占することができる。

夕食の一品、お造り盛り合わせ。鮮度や質はもちろん、包丁の入れ方も抜群。

この日の小鉢は鱧。その他、煮魚、揚げ魚など、食べきれないほどの魚が登場する。

食事は鯛の釜飯。上品な出汁の風味が、鯛の旨みを引き立てる。

夜はミステリアスな雰囲気に包まれる。花火や夜の散歩に出かけるのも良い。

住所:愛媛県今治市大三島町宗方5208-1 MAP
TEL:0897-83-1111
https://www.ikoinoie.co.jp/

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

(supported by SUBARU)

20th IRONHEART コーチジャケット

20周年記念モデル!

  • 薄手のナイロン生地に過去にTシャツやパーカーに使用した絵柄達をプリント!
  • 前面にはお馴染みのバイクロゴをプリントしてます
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。

素材

  • 表地:ナイロン 100%

木曽平沢の漆器巡り。歴史と伝統、そして美しさに触れる旅。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

『石本玉水』の石本則男氏、愛子さん夫妻。ともに漆器職人として木曽漆器を支え続ける。

DINING OUT KISO-NARAI伝統の木曽漆器を見て、触れて、体験するツアー。

2022年7月末に開催され、大盛況で幕を下ろした『DINING OUT KISO-NARAI』。約2年半の時を越えて開催された『DINING OUT』は、ただ地元を伝えるのではなく、地元の人や文化に触れ、深く地元と繋がることを目指しました。

興奮覚めやらぬその翌日。より深く地元文化を体験してもらうべく、木曽を代表するふたつの文化体験ツアーが企画されました。

ひとつは木曽の霊峰・御嶽を神聖視する御嶽信仰の修行である滝行の体験。そしてもうひとつは、木曽を代表する工芸品・木曽漆器を学ぶツアーです。

【関連記事】山に触れ、山を知り、山に学ぶ。中山道34番目の宿場・奈良井宿を舞台にした19回目の「DINING OUT」速報。
【関連記事】御嶽信仰の聖地で滝に打たれ、やがて心は自然と一体になる。

各地の旅館やホテルで見られる座卓や脇息にも、木曽漆器が多く使用されている。

DINING OUT KISO-NARAI木曽の漆器を支える漆掻きという仕事。

木曽は、良質な木材の産地。木曽漆器のルーツは、そんな木曽の木材を使って作る木製品をさらに丈夫にするために漆を塗ったことが起源です。木製品に漆を重ね塗りする漆器は、庶民の生活用品としても親しまれていました。

そこに変化が訪れたのは明治時代。奈良井の川で漆と混ざりやすい粘土質の良質な土が見つかり、より堅牢で美しい漆器が作れるようになったこと。そこから庶民の道具だけではなく、高級調度品も生産され、木曽は漆器の産地として発展していきます。

『DINING OUT KISO-NARAI』の舞台となった奈良井宿の隣町、木曽平沢。ここは木曽漆器の伝統を色濃く受け継ぐ、漆器の街です。街道が町中を貫く小さな集落に、漆器関連の事業所が100軒以上、漆器店だけでも50〜60軒。そう聞けば、この街と漆器の密接な関係がわかることでしょう。

そんな木曽平沢で行われた漆器体験ツアー。その最初の目的地は漆器ではなく、その元となる漆作りの現場です。

一行を出迎えてくれた竹内義浩氏は、長野県内で唯一、全国でも40〜50人しか居ないという漆掻き(うるしかき)。漆掻きとは、苗木から育てた漆の木に切れ目を入れて漆を採取する職人のことで、竹内氏はそこから精製、調合も手掛けます。その仕事は、漆器職人に渡る前の漆をゼロから生産する仕事。漆の全消費量の1割未満という国産漆を支える、大切な生産者なのです。

竹内氏の仕事場は、木の香りと見たこともない仕事道具の数々に囲まれる不思議な場所。しかし竹内氏の仕事と、漆に対する真摯な想いを伺うにつれ、木曽漆器がより深く、美しく見えてくるのです。

苗木を植え、育て、漆を抽出、精製、調合するのが竹内義浩氏の仕事。漆産業の根本を支える職人だ。

樹皮をひっかくように傷をつけると、その場所を守るように漆が染み出す。木一本から採れる漆は、1回わずか15g。年間でも1本あたり200gほどしか採れない。

木曾漆器工業協同組合の精漆工場。かつては手作業で天日にさらしながら精製していたが、現在は機械で撹拌して水分量を調整する。

漆の苗が成木になるまでは15年。「木も職人も育つまで時間がかかる。それが漆の難しいところ」と竹内氏。

DINING OUT KISO-NARAIそれぞれ個性豊かな3軒の工房を訪れる。

続いては木曽平沢にある、3軒の漆工房へ。

最初に訪れた『うるし工房 石本玉水』は、漆器職人・石本則男氏が奥様の愛子さんとともに営む工房。石本氏は木曽漆器工業協同組合の理事長を務める人物であり、今回の『DIINNG OUT KISO-NARAI』でゲストにプレゼントされた漆器制作においても中心的な役割を担った人物。

得意とするのは、蛋白を混ぜた漆で刷毛目を残して、やや艶を消す松明塗です。刀の鞘に塗られた技法が起源で「カジュアルに普段遣いしてもらいたい」と言います。一方で愛子さんの得意分野は、漆を接着剤として金やプラチナ、顔料などを沈め、そこからノミで削り出すことで図柄を浮かび上がらせる沈金という技法。こちらは絵画のような色彩で、芸術品としての美しさを秘めています。日用品と芸術品。漆の奥深さを改めて感じる工房です。

次に訪れたのは、漆器職人・巣山定一氏の工房『漆芸 巣山定一』。ここでは巣山氏の作品に加え、漆器作りの準備段階の話も聞かせてもらいました。

「漆は特殊な世界で、専用の道具がほぼありません。だから漆器作りのスタートは、まず道具を作るところから」。

そう言って鉋(かんな)を取り出す巣山氏。見事な手さばきで木を削り、作るのは漆に使うヘラや刷毛など。つまりスタート地点に向かうための作業です。しかしこれも、漆器職人の大切な仕事。そんな道具を使って仕上げる巣山氏の作品は繊細でいながら頑強で、末永く愛用できる品ばかりです。

最後の一軒は『伊藤寛司商店』。4代目店主・伊藤寛茂氏の案内で漆器を見学します。ここで目を引くのは、古代あかね塗というオリジナルの漆器。

「塗ったばかりの漆は暗い色。それが使い込むごとに、艶が出て明るくなります。この変化のために、7〜8回重ね塗りする最後の一回に、貴重な国産漆を使用しています」と伊藤氏。

展示されていた経年変化を経た古代あかね塗の器は、鮮やかな朱と見事な艶を放っていました。さらに伊藤氏は工房である築110年の土蔵も案内してくれました。荘厳ささえ感じるような静謐な蔵で繰り返される漆器づくり。改めて、この地の漆器に込められた思いの強さを感じる光景です。

石本則男氏と松明塗。使い込むほどに艶が増す木曽漆器の特性が如実に表れる。

愛子さんと沈金の作品。背後にある額装された作品も、すべて顔料を混ぜた漆を削り出すことで描かれている。

『DINING OUT KISO-NARAI』では、オリジナルの漆器を『木曽漆器工業組合』と制作。とうじそばを入れたそれを、ゲストにサプライズでプレゼント。

『漆芸 巣山定一』の巣山氏。実用性と芸術性を兼ね備えた作品に定評がある。

巣山氏の代表作である姫枡重市松三段は、現在7年待ちの人気ぶり。

「軽さ、持ちやすさ、口当たりの良さ、洗いやすさ、重ねやすさ、という5つの“さ”を重視しています」と巣山氏。道具も自ら製作する。

日用品から高級品まで幅広い品ぞろえに定評がある『伊藤寛司商店』の4代目店主・伊藤寛茂氏。

工房である蔵は築110年で、現役の塗蔵として木曽で最古のもの。作業道具を上げ下げできるように窓が大きく取られているのが特徴。

古代あかね塗の椀。仕上げに希少な国産漆を使用することで、使うほどに艷やかに、丈夫になる。

DINING OUT KISO-NARAI漆とともに木曽の地に受け継がれる、おもてなしの心。

ツアーで巡った漆器の街・木曽平沢には、いくつか特徴的な風習もあります。ひとつは、店にスタッフが居ないこと。

間口の広さで税率が決められていた木曽平沢の建物は、入り口が狭く、奥に細長いうなぎの寝床。通りに面した側に店舗やギャラリーがあり、中庭を挟んで奥に工房がある造りが一般的です。

そして、職人たちは基本的に工房で作業をしているため、店舗部分は無人なのです。客は街道からふらりと店に入り漆器を見学、用があれば呼び鈴を押して工房にいる人を呼び出すというスタイル。不用心なようにも思えますが、これが工房と店舗を併設する木曽平沢らしさなのです。

もうひとつの特徴は、どの工房にもおもてなしの心が溢れていること。職人の方々に漆について尋ねれば、丁寧に教えてくれるのはもちろん、お茶やお茶菓子を出して、座って話し込んでしまうこともしばしば。古くから旅人を迎えた街道の文化なのでしょうか。

「せっかく遠くから来ていらしたからね。ただ“来てくれてありがとう”という気持ちです」。『石本玉水』の石本愛子さんはそう笑いました。

ツアーの締めくくりは、昭和6年(1931年)築の『日々別荘』にてランチ。ここは地域おこし協力隊の近藤沙紀氏が家主を務める施設で、週末に近藤氏主催のカフェがオープンするなど、さまざまな企画で地域活性化の拠点となる場所。

そんな『日々別荘』でこの日は、地元の郷土料理である朴葉寿司と、手打ち蕎麦が供されました。もちろん、器や箸は木曽漆器。器と料理を担ってくれたのは、『漆工房 野口』の野口義明氏と野口早苗さん。さらにこの蕎麦を打ったのは、先にご紹介した漆器職人・巣山定一氏。最後までおもてなしの心にあふれていました。

漆工房で漆の成り立ちを知り、石本夫妻の工房でその奥深さを知り、巣山氏に道具としての漆器のこだわりを伺い、伊藤氏のもとで伝統的な作業を見学し、そして最後に実際に漆器で食事をする。わずか半日の間に、木曽漆器に親しみ、漆器を深く学ぶことができるツアーでした。

漆器は職人の手で塗り直され、丁寧に修復されながら、長く愛用するもの。木曽平沢では毎年、多くの人で賑わう漆器市も開催されますので、何度でもこの街を訪れ、愛用の漆器を塗り直しながら、このおもてなしの文化と、木曽漆器の伝統を体感してみてはいかがでしょうか。

『日々別荘』は、ゲストハウスとしても利用可能なため、1日を通して町を楽しむこともおすすめです。また、より木曽漆器の伝統に触れたければ、ぜひ『木曽くらしの工芸館』へ。奈良井、平沢の職人の作品にも出合うことができます。

人、もの、こと。さまざまな体験をすることによって、この町の魅力は初めて享受できるのです。ですが、一度では、まだ足りないかもしれません。なぜなら、その全てが深く、奥ゆかしいからです。だから、皆、再訪を誓うのかもしれません。

おもてなしは特別なことではなく、ただ感謝の気持ち。それが木曽平沢に共通する人々の思い。

漆器ツアー最後には、『日々別荘』にて食事を。『漆芸 巣山定一』の巣山氏は、蕎麦打ちも行う。左より、『一般社団法人 塩尻・木曽地域地場産業振興センター』太田洋志氏、巣山氏。そして、『日々別荘』にて器と料理を担った『漆工房 野口』の野口義明氏と野口早苗さん、巣山とし子さん。ここにはいないが、今回のツアーは、近藤沙紀さんが構成。多くの地元の方々が参画したからこそ内容の濃い体験につながった。

住所:長野県塩尻市木曽平沢1692 MAP
電話:0264-34-2106

住所:長野県塩尻市木曽平沢1634-35 MAP
電話:0264-34-2254

住所:長野県塩尻市木曽平沢1607 MAP
電話:0264-34-2034

住所:長野県塩尻市木曽平沢1587 MAP
電話:0263-88-8530

住所:長野県塩尻市木曽平沢2272-7(道の駅 木曽ならかわ内) MAP
電話:0264-34-3888

Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

宇和島名物・太刀魚巻。時代を越えて愛される唯一無二の味。[河合太刀魚巻店/愛媛県宇和島市]

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

秘伝のタレに潜らせながらじっくりと焼くことで、香ばしく、味わい深いおいしさになる太刀魚巻。

河合太刀魚巻店海産資源の宝庫・愛媛県で異彩を放つ名店。

北の瀬戸内海、南の太平洋、伊予灘、宇和海、豊後水道と豊富な漁場を抱える愛媛県。実際に訪れてみると、魚それぞれの鮮度や脂の乗りに加え、魚種の多彩さに驚かされます。街の食堂にも、魚屋にも、見たこともないようなさまざまな魚が並んでいます。

そんな愛媛県の宇和島に、少し変わった店があります。
店名は『河合太刀魚巻店』。その名の通り、太刀魚巻の店です。これほど魚種が豊富な愛媛で、太刀魚一本勝負。そこにはどんな物語が隠されているのでしょう。

「河合太刀魚巻店」の外観。かつては魚屋で賑わったエリアだが、いま賑わうのはこの店のみ。

河合太刀魚巻店名物はなくても訪れたくなる看板娘の人柄。

「ごめん!今日は太刀魚ないんだよ」

それが取材班を出迎えた『河合太刀魚巻店』の看板娘・河合京子さんの第一声でした。相手は自然。無いものは、無い。

「あるときは週に4〜5日はあるんだけど、無いときはめっきり。5回来て外れて、6回目でようやく、って人もいたよ」

快活で聞くだけで元気がもらえるような京子さんの声に惹かれ、店先でもう少し話を伺ってみました。

聞けば名物・太刀魚巻を考案したのは、京子さんの祖父。まだ冷蔵庫も普及していない時代、大量に揚がる太刀魚を活かすために青竹に巻いてチクワの焼台で焼いたのが始まりでした。

「このあたりは魚棚という地名で、この通りはみんな魚屋だったんだよ」

というが、現在、この店のほかに開いている店はありません。時代の流れを感じると同時に、その次代を越えて愛される太刀魚巻にいっそう興味が湧きます。

「コロッケはあるよ。これもおいしいよ」

それはこの店のもうひとつの名物、アジのすり身のコロッケ。ぎっしりと凝縮されたアジの旨みと、弾力、ピリッと効いたスパイス。素材が良いからか、魚の臭みとは一切無縁。味わい深く、ジューシーで、後を引く絶品です。

さらに京子さんの話は続きます。祖父と父のこと、近年の太刀魚の水揚げのこと、宇和島のこと、テレビの取材で大好きな俳優と中継で話し夢が叶ったこと。まるで昔からの友達と話すような時間。さすがは看板娘。名物の太刀魚巻がなくとも、訪れる価値がある愉しい時間を過ごせるはずです。

「河合太刀魚巻店」の看板娘・河合京子さん。その明るい人柄にファンも多い。

店のもうひとつの名物アジのすりみコロッケ。アジ100%で魚の旨みを凝縮。

プリッとした弾力と旨みに加え、スパイスの刺激もあり、酒の肴にもぴったり。

店の内観。客席などはないが、ここで名物を肴に一杯飲んでいく常連客も多い。

河合太刀魚巻店2日目にして出合えた名物・太刀魚巻。

翌日、取材班はもう一度店を訪れてみました。迎えてくれたのは昨日と同じ京子さんの笑顔。

「今日はあるよ!」

あたりに漂うタレが焦げる香ばしい匂い。焼台では見事な照りを放つ太刀魚巻が焼かれています。これが名物・太刀魚巻です。

淡白な太刀魚の身に絡む濃厚な甘辛のタレ。外側はパリッと香ばしく、中はふっくら柔らかで、ボリュームもたっぷりだ。一本あたり一尾半から二尾の太刀魚を使っているのだといいます。いまや高級魚となった太刀魚の、なんと贅沢な食べ方でしょう。

時代を越えて愛される名物・太刀魚巻。確かにこれはここにしかない、世界でひとつの味でしょう。

遠方から訪れる客も多いというこの店。それはもちろん太刀魚巻とアジのコロッケのおいしさのためでしょう。しかし話すだけで元気がもらえるような京子さんの存在もまた、『河合太刀魚巻店』の価値のひとつであることは間違いありません。

焼台から漂う、タレの焦げる香ばしい匂いは、角を曲がって表通りまで漂う。

外はカリッと香ばしく、中はふんわり。太刀魚の淡白な味わいが、タレとベストマッチ。

住所:愛媛県宇和島市吉田町魚棚28 MAP
TEL:0895-52-0122
http://www.tachiuomaki.com/

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

(supported by SUBARU)

山形・庄内の一流料理人や農家とともに開発したコーラシロップ。[和光アネックス/東京都中央区]

タイポグラフィの美しいデザインボトル。1本で約10杯のクラフトコーラを楽しめる。

WAKO ANNEX出羽三山の麓から生まれた、山形発のクラフトコーラ。

コリアンダー、シナモン、カルダモン、クローブなど、10種のスパイスが織り成す芳醇な香り、ブドウ糖、果糖、黒糖の3種の糖類のキレの良い甘味、レモン、ライム果汁の2種の柑橘のスッキリ爽快感。

それぞれのバランスが絶妙に良い飲み口のクラフトコーラが『YATA COLA』の特徴。製造しているのは、山形県鶴岡市の『ティーズファクトリー』です。

「山形・庄内に住むわたしたちが作る山形を楽しみ味わう、山形発のクラフトコーラ」は、山形・庄内の一流フレンチシェフや農家が集まり、独自のレシピを開発。たっぷりのミネラルと豊富な栄養価も含み、健康にも配慮。老若男女問わず支持を得ています。

前述、スパイスをしっかりと感じることができる一方、クセもなくレシピ派生もしやすく、炭酸割りをはじめ、お湯割り、牛乳割り、いずれも1(『YATA COLA』):3がおすすめ。加えて、料理の調味料としても利用できるため、ぜひお試しを。

様々な飲み方を楽しめるのがコーラシロップの利点。本文中に記したよう、氷で冷やしたグラスに『YATA COLA』とソーダを割るスタンダードをはじめ、『YATA COLA』と冷たい牛乳を注いだアイスチャイや『YATA COLA』と水を鍋で温めたホットコーラもおすすめ。お好みに合わせてぜひ。(全て1:3の割合が目安)

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

アイアンハートキャンプ7th (出店業者および関係者様専用)チケット

こちらは事前にご登録いただいた出店業者様および関係者様 専用チケット購入ページです

アイアンハートキャンプ7th 概要

イベント名 IRON HEART CAMP 7th
場 所 〒369-1304 埼玉県秩父郡長瀞町大字本野上 363 フォレストサンズ長瀞
主催 株式会社アイアンハート
日程 2022年11月12日(土)〜13日(日)  雨天決行
料金 大人 ¥15,000(税込¥16,500) ※宿泊・BBQ代込み
小学生以下のお子様0円(税込0円)
備考 例年は、初日のBBQのみのご参加が可能でしたが、今回は不可となります。
2日目のみのご参加は、例年通り、無料開放となりますのでチケットのご購入は必要ありません。

参加方法

  • キャンプチケットをお一人様一枚ご購入ください。複数名でご参加の場合は代表者の1名様がまとめて人数分をご購入いただきますようお願い致します。
- - - - - - - - - - - - - - - - - -
  • 支払い方法は『PayPay』『クレジットカード決済』『代金引換(ヤマトコレクトサービス)』のみとさせていただきます。
  • ※『代金引換(ヤマトコレクトサービス)』をご選択頂いた場合、チケット発送の際に決済となります。
  • チケット発送は10月1日より順次配送予定です。

参加にあたってのご注意

  • * 参加者の皆様には、自動的にイベント保険(あいおいニッセイ同和存外保険会社国内旅行傷害保険)に加入していただくこととなります(保険料は参加費込み。別途料金はかかりません。)
  • ※チケットをご購入いただいた方には、イベント保険の関係上、後日、ご参加の方全員のお名前とご住所、生年月日をお知らせいただきます。

  • 宿泊施設はフォレストサンズ長瀞さんの『トレーラーハウス』『コテージ』『カームベアー』のいずれかとなります。
  • 部屋割りなどは、ご購入時にお選び頂く事は出来ません。当日にアイアンハートスタッフがご案内致しますので、予めご了承下さい。
  • 宿泊施設内は、一部ベッドスペースに仕切りはありますが、基本的に男女関係なく混合の相部屋となります。
  • ご家族や団体様でお申し込みいただいた場合はできる限り同じトレーラーとなるよう配慮させていただきますが、1台で収まりきらない団体様の場合は、分割させていただき、他グループの方と相部屋になる場合がございますので、あらかじめご了承いただきますようお願い致します

購入の仕方について

※複数名でご参加の場合は代表者の1名様がまとめて人数分をご購入いただきますようお願い致します。

【例】大人2名 子供3名様でご参加の場合

  • 表の大人15000円(税込16500円)にチェックが入っていることを確認し、数量を2にして『カートに入れる』ボタンを押す
  • カート画面になったら、大人 15000円(税込16500円) 2点 になっていることを確認し、その下の『> ショッピングを続ける』をクリックして元の商品ページに戻る
  • 続けて、表の小学生以下のお子様 無料 にチェックが入っていることを確認し、数量を3にして『カートに入れる』ボタンを押す
  • カート画面になったら、大人 15000円(税込16500円) 2点、小学生以下のお子様 無料 3点 になっていることを確認し、お届け先の情報を入力、購入手続きにお進みください。
  • 事前に会員登録をしている場合は、ログインして頂くと、登録情報が自動的に入力されますので、お買い物がスムーズです。(※まれに、お買い物画面でログインしていても、カート画面でログインになっていない場合がございます。その場合は、お手数ですが、再度カート画面からログインしてください。)

約300年の成果。土作りから食材に向き合う、絶品ジャム。[和光アネックス/東京都中央区]

一本一本、丁寧に育てられた植木からできた『夏みかんマーマレード』。味わいは甘さ控えめ。皮も残しているため、食感も楽しい。

WAKO ANNEXみんなに味わっていただきたいことは、植木の美味しいところ。

東京都三鷹市の植木農家『天神山須藤園』は、戦国時代の城跡が残る天神山にて14代300年以上にわたり土を耕してきました。

そんな歴史ある農園が「植木をもっと身近に」と展開しているのが畑に実った果物を活かしたジャム類。中でも『夏みかんマーマレード』は、人気の品です。

皮をしっかり残し、甘さは控えめに。苦味と甘味のバランスが絶妙な食べ応えのあるマーマレードは、畑仕事同様、手間ひまをかけ、ひとつひとつ丁寧に作られています。

冬に採った夏みかんは、そのままでは酸味が強いため、収穫後に貯蔵。酸を抜き、春まで待って加工しています。もちろん、化学調味料や合成保存料は一切使用せず、無添加。素材の味を大事にしています。

おすすめは、やはりトーストとご一緒に。塗れば、たちまち夏みかんの香りが立ち、凝縮された味を楽しむことができます。また、ソーダや紅茶ともお試しあれ。上質さが増し、ワンランク上のひと時を満喫できるでしょう。

都市農家として、植木生産農家として、農地の魅力や役割を伝えながら、まちなかに根付き、生きている『天神山須藤園』の姿は、実に清々しく、『夏みかんマーマレード』にも似ます。

名は体を表すごとく、生き方は味を表すのかもしれません。

そんな想いを馳せながら『夏みかんマーマレード』とトーストの朝を迎えれば、爽快な一日が約束されるでしょう。

たっぷりと『夏みかんマーマレード』をパンに載せてぜひ。味だけでなく、フレッシュな香りも魅力。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

御嶽信仰の聖地で滝に打たれ、やがて心は自然と一体になる。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県王滝村]

『御嶽神社』新滝での滝行。一般体験は『一般社団法人・木曽おんたけ観光局』に問い合わせを。

DINING OUT KISO-NARAI「DINING OUT」翌日。地元の文化を肌で感じるふたつのツアー。

2022年7月末に長野県奈良井宿で開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。

約2年半ぶりの開催となった19回目の『DINING OUT』は、地元婦人会や伝統工芸品組合、地元小中学校の生徒たちに支えられ、ゲストにただ地元の魅力を伝えるだけでなく、この先も長く地元との繋がりを生みました。

【関連記事】山に触れ、山を知り、山に学ぶ。中山道34番目の宿場・奈良井宿を舞台にした19回目の「DINING OUT」速報。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

さらに地域と繋がり、理解を深めるために、晩餐の翌日には、地元文化に触れるふたつのツアーが組まれました。ひとつは、『御嶽山信仰』の一貫である滝行、もうひとつは、この地に伝わる木曽漆器の工房巡り。

この記事ではそんなツアーのひとつ、滝行の様子をお伝えします。

滝行の場へと向かう山道。夏日だが登るにつれて空気はひんやりと変わっていった。

DINING OUT KISO-NARAI「御嶽山」を敬い、信仰する「御嶽信仰」の歴史。

土地や歴史、伝統や由縁を知り、その上で見て、感じ、経験する。それが本当の意味の体験となって、心に刻まれるもの。今回のツアーではそんな知識を学びつつ、バスに乗って滝へと向かいます。

ガイドは、木曽の文化や歴史を紹介する輿幸信氏。バスの中では、この地に育ち、『御嶽信仰』を身近に感じてきた輿氏による解説が繰り広げられました。

『御嶽山』は標高3,067m。独立峰としては富士山に次いで日本で二番目の高さを誇り、その悠然とした姿から古くから山岳信仰の対象とされてきました。ただしその信仰は、厳しい修行により悟りを開こうとする修験道。一般の人には、遠い世界の話でした。

それが変わったのが江戸時代末期。「講」と呼ばれる、地域のコミュニティ単位で信仰するグループが誕生します。講の中で集めた資金で代表者が参拝するこの講で御嶽信仰は身近になり、一説によると、一時期にはその数60万人近くまで信者を増やしたと言われています。

滝行のスタイルも、そのときに変化。修験道では1日4回の滝行を100日間続けてようやく山に入ることができた、という滝行。それが徐々に緩和され現在では、日帰りなどもできる比較的体験しやすいものになっています。

しかし、先人たちが命を賭して挑んできた滝行と、その背景は同じ。山に触れ、自然と一体化し、雑念を払い、体に自然のエネルギーを取り込む。それがこの地の滝行の目的です。

窓の外の景色や自らの実体験を交えながら、おもしろく、わかりやすい解説を続ける輿氏。

「私も滝行は何度も経験しています。人生観が変わるような体験です」。

そんな言葉でツアー参加者たちの気持ちを盛り上げます。

ガイドの輿氏(左)と参加者たち。輿氏の話により、ただの山景色が霊山としての意味を持ち始めた。

『御嶽神社』第22代宮司である滝 和人氏のお祓いを受け、正式参拝する希少な体験。

里宮内に飾られる信者に奉納された天狗の面。島崎藤村の『夜明け前』内にも、この面の精密な描写がある。

山の中に無数にある石は墓ではなく霊神碑という信仰の証。『御嶽信仰』では人は亡くなると『御嶽山』に引き寄せられ神の眷属になると信じられている。

DINING OUT KISO-NARAI滝に打たれ、自然に溶け込む。滝行の本質を見たゲストたち。

まず『御嶽神社』で宮司による正式参拝を終えた一行が、いよいよ滝へと向かいます。

普通、一般向けの滝行では「清滝」という滝で行われるところを、今回のツアーでは修験道の修行の場であり、より荘厳な「新滝」へ。水量が多く、流れも強いこの神聖な場所で滝に打たれるのです。

白装束に着替え、次いで準備運動を兼ねた禊。舟を漕ぐような動作と独特の祈りの言葉で山の神を呼び込みます。

禊を終え、水の落ちる轟音に圧倒されつつ、滝の中へ。斜めから日が差し、水しぶきが虹を作る荘厳な風景です。

それぞれ滝に打たれたツアー参加者たち。その顔は一様に、体験前よりすっきりとしているように見えました。
「やる前は不安でしたが、いまは清々しい気持ち」。
「水は冷たかったけれど、だんだんそれを感じなくなり、自分が自然と一体化したような気分になりました」。
「大自然のなかで、自分が、人間が自然の一部なのだと感じられました」。

参加者たちからはそんな感想が飛び出し、輿氏はうれしそうにそれを聞いていました。

「自分が生まれ育った木曽の、他にはない部分を伝えることが私の役目。今日という日の体験で、そんな何かを感じ取ってもらえたら。峠の古道歩きのツアーもやっているので、ぜひまた木曽に来てください」。

輿氏はにこやかにそう話し、参加者たちを見送りました。

轟音とともに水が流れ落ちる新滝。修験者たちが修行の場とした聖地。

準備運動を兼ねた禊の儀。大声を出し、体を動かすことで体の中の悪いものを出し、滝に打たれて新たに良いものを取り入れる。

滝に向かう参加者。大迫力の新滝だが、清浄な空気と水しぶきが心を洗う。

「行けるところまで行き、自然と一体になったと思ったら戻る」との指示。どの参加者も体験後は、その言葉を深く理解していた。

住所:長野県木曽郡王滝村3315 MAP
TEL:0264-48-2637
https://www.ontakejinja.jp/

住所:長野県木曽郡木曽町福島2012-5 MAP
TEL:0264-25-6000
営業:8:30~17:30(年末年始休業)
http://www.kankou-kiso.com/

Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

大人気のディップシリーズ。クセになるピリ辛ソースは、高いリピート間違いなし![和光アネックス/東京都中央区銀座]

人気の高い『NORTH FARM STOCK』のディップシリーズの『北海道野菜のディップ(トマト・チリ)』。60gの食べきりサイズは、いつも鮮度良く食べることができる。※本製品は蜂蜜を使用しているため、1歳未満の乳幼児には与えないでください。

WAKO ANNEXこのひと瓶さえあれば、誰もが料理上手に! 付けるだけで料理の美味しさに。

北海道産トマトと人参の旨みをギュッと凝縮させたピリ辛クリーミーなマヨネーズタイプの『北海道野菜のディップ(トマトチリ)』は、北海道岩見沢市『白亜ダイシン』の大人気シリーズ、『NORTH FARM STOCK』の品。

どこにもない上質な味。そして、四季のはっきりした北海道ならではのピュアなおいしさを届けることにこだわり、北海道発のナチュラルブランドを誕生させました。

地元の意欲ある農家とも連携を計り、岩見沢の、北海道の、おいしいものを全国に発信。愛する北海道をますます元気にするため、商品を展開し続けています。その中でも人気を博しているのが、前述の『NORTH FARM STOCK』ディップシリーズなのです。

クラッカーやカリカリに焼いたトースト、スティック野菜、サンドイッチのベース、ソーセージ、フライドポテトなど、一緒に食べれば、たちまち上質な料理に!

美味しい理由は様々あれど、特筆すべきは、素材と環境、そして人。新鮮な空気、綺麗な水、太陽の恵みなど、日本屈指の良質な風土を持つ北海道からは、同じく良質な農産物が育ちます。それだけでなく、「北海道のおいしいものを蔵出しで」を大事に、自分たちの目の行き届く範囲で産地や生産者とも繋がり、レシピもできる限りオリジナルを追求。瓶詰めから出荷まで、全て手作業で行います。

そんな想いが詰まった逸品は、一度食べればリピートすること間違いなし! 自身の食卓はもちろん、ギフトにもおすすめです。

おすすめは、シンプルな焼き野菜に添えてぜひ。ビールや赤ワインにも合う万能ディップ。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

「百万石の極み」に20品目を認定。全国に誇る至高の石川食材、統一ブランド化スタート。

百万石の極み知る人ぞ知る逸品食材がラインナップ。

豊かな里山里海に恵まれた能登半島、深い原生林が清冽な水を育む霊峰白山、肥沃な穀倉地帯を形成する手取川扇状地……。南北約200kmに細長く伸びる石川県は、実に多彩な表情を持っています。

その県土の各地で獲れる農作物、港に揚がる水産物は、量が多くはないために県外に流通する機会は少なく、全国的な知名度は決して高いとは言えません。しかし近年は、卓越した品質がゆえに一流の料理人たちがこぞって愛用し、一般人にもその名と唯一無二の美味しさが知られるようになった農林水産物も数多く存在します。

石川県は今年8月、県独自の優れた農林水産物を「百万石の極み」と認定し、統一ブランド化すると発表しました。ブランド化の専門家や生産流通関係者らでつくる有識者委員会により第一弾として選出されたのは、ルビーロマンや能登牛、加能ガニなど20品目です。

【認定基準】

  1. 一般的な品種と比較して形状・機能が優れているなどの「差別化」があること
  2. 品質管理体制が確立されているなど「生産体制」の充実
  3. 高い初競り価格やトップブランドと同等以上の価格など「市場性」の高さ
  4. 生産量が維持・拡大する見込みであるなど「生産量」の充足

第一弾の20品目は、いずれも一流シェフや美食家たちを唸らせる逸品ばかりです。

「百万石の極み」認定品目
ルビーロマン
能登牛
ひゃくまん穀
百万石乃白
能登とり貝
加賀しずく
のとてまり
エアリーフローラ
能登大納言小豆
能登志賀ころ柿
高松紋平柿
五郎島金時
加賀太きゅうり
加賀れんこん
加賀丸いも
源助だいこん
輪島海女採りあわび
輪島海女採りさざえ
加能ガニ
香箱ガニ
※「百万石の極み」の食材に関する情報はこちら

【関連記事】生産者の想いは熱く、その味は洗練の極みに。珠玉の石川食材、めくるめく。

『レスピラシオン』オーナーシェフの梅達郎氏。

『SHÓKUDŌ YArn』オーナーシェフ兼ソムリエの米田裕二氏。

『片折』主人の片折卓矢氏。

百万石の極み卓越した食材が生み出される背景をつぶさに見つめて。

これまでONESTORYでは、石川県のさまざまな食材に注目し、取材を重ねてきました。料理の世界の第一線で活躍するトップシェフ、パティシエ、ソムリエの方々と一緒に、時には生産者の元を共に訪ね、日々の生産における秘密や苦労についてうかがってきました。現地を直接肌で感じ、生産者の生の声を聞くことで、逸品食材が持つ魅力を理解したい。そして、そのポテンシャルをより良い使い方、調理の工夫やアイデアによってさらに高めたい。優れた食材に対する感謝と畏敬の念がそこにはありました。

今回、「百万石の極み」に認定されたいくつかの食材もONESTORYで取り上げ、大きな反響を呼びました。

ローカルガストロノミーの最前線に綺羅星の如く登場した金沢のスパニッシュレストラン『respiración(レスピラシオン)』。そのオーナーシェフのひとりである梅達郎氏と七尾湾に出て、海に浮かぶ養殖筏の現地取材を敢行したのは「能登とり貝」。一般的なものの2倍もある大きく肉厚なとり貝を育む里山里海の豊穣さ、手間を厭わず環境変化に弱いとり貝を大切に育てる漁師の方々に直接ふれることで、類まれな美味しさの背景を知ることができました。

能登町の高台に広がる「能登牧場」では、黒毛和牛である能登牛の飼養の様子をつぶさに見学しながら、能登牛の圧倒的な美味しさの秘密に迫りました。さらに、小松市のイノベーティブレストラン『SHÓKUDŌ YArn(ヤーン)』では、オーナーシェフ兼ソムリエの米田裕二氏に能登牛を使った料理を作っていただきました。「牛すじ煮込み」と「牛ヒレカツとじ」と銘打つ2皿でしたが、そんななじみ深い料理名からのイメージをいい意味で期待を完全に裏切る斬新なレシピと新感覚の美味しさに、取材班一同感服したことを思い出します。

能登のブランド原木椎茸「のと115」。そのプレミアム規格「のとてまり」の生産地を訪ねたのは片折卓矢氏。そう、今や日本を代表する和食の一店となった金沢の日本料理店『片折』の親方です。毎日最高の食材を求め、早朝からスタッフ総出で県内各地の漁港をまわり、天然水を汲み、山に分け入って山野草を摘んで……と東奔西走する同店。さすがの片折氏も極めて希少とされる、のとてまり級の巨大な椎茸が原木についているのを見るのは初めて。「鳥肌が立ってしまう」と、興奮しながら収穫を手伝う姿が印象的でした。

石川県七尾市出身の世界的なパティシエ・辻口博啓氏と訪ねたのは、県内のとあるブドウ畑。石川県が長年かけて開発した奇跡のブドウ「ルビーロマン」がちょうど収穫の時を迎えていました。2011年の初競りでは、辻口氏が一房50万円の当時最高値で落札し、東日本大震災で被災した中学生に振る舞ったという経緯もあり、同氏にとってひときわ思い入れの強いフルーツです。ブドウ棚からもいだばかりのルビーロマンを味わった辻口氏。この年、畑でのインスピレーションからルビーロマンを使った新作がお店で出されましたが、一体どのようなスイーツに仕上がったのでしょうか?

2020年から本格的に醸造に使われるようになった石川県生まれの新品種酒米「百万石乃白」。全国有数の酒どころとして知られる石川県で長年切望されてきた吟醸用の酒米です。当時百万石乃白で醸された全銘柄21種を取り寄せ、日本のトップソムリエのひとりである大越基裕氏が一挙に唎酒を実施。1本1本を緻密に分析していただきました。そこで特に気になった「手取川」にフォーカスし、造り手である白山市の酒蔵「吉田酒造店」を訪ねました。さらに、新品種の開発に取り組んだ研究所、未知の米作りにチャレンジした農家を訪ね、新しい日本酒が誕生するストーリーをたどりました。

どの取材でも現場でひしひしと感じられたのは、生産者の作物に対する大きな愛情と、最高のものを生み出そうという気概です。最高峰の食材たちを、やはり料理界最高峰のキーマンたちと共に取材できたことは、メディアとしてもこの上なく幸せなことでした。

『レスピラシオン』梅達郎氏による能登とり貝の一皿。

『SHÓKUDŌ YArn』のコースに登場することもある能登牛の「牛ヒレカツとじ」。

『片折』では、のとてまりをシンプルに出汁醤油を塗って焼き上げた。

ルビーロマンの畑を視察する『Mont St. Clair(モンサンクレール)』の辻口博啓氏。

辻口博啓氏が考案し期間限定で商品化したルビーロマンのスイーツ、その名も「ルビーロマン」。

百万石乃白を使った日本酒の全銘柄を、大越基裕氏は丹念に唎いた。

百万石の極み鈴のロゴマークは最高峰級の証。

「百万石の極み」のロゴマークは、枝にぶら下がる果実のようであり、漢字の「百」も思わせるデザイン。「鈴のようにたわわに実って継続的に未来へとつながってほしい」という願いが込められているといいます。

認定された20品目は販売促進が強化されていくとのことで、今後は県外でも目にする機会が増え、買い求めやすくなっていくかもしれません。なかには高価なものもありますが、少し背伸びすれば手が届くものがほとんど。身近に楽しめる最高峰級の食体験と言えます。

せっかくの一流の素材なら、プロの料理人に料理してもらったものを味わいたい。そう考える向きもあるでしょう。今後は石川県内の飲食店のみならず、県外にも「百万石の極み」素材を提供する店が増えていくはずですから、お目当ての食材をメニューに見つけたらぜひ味わってみましょう。

今後、「百万石の極み」のラインナップはさらに拡充されていく予定。石川の逸品食材はますます輝きを放っていきそうです。



Photographs:SHINJO ARAI, DAICHI MIYAZAKI
Text:KOH WATANABE
(supported by 石川県、公益財団法人いしかわ農業総合支援機構)

石川県食のポータルサイト
いしかわ百万石食鑑
https://ishikawafood.com/

地域の想いが込もった木造校舎で学ぶ。「塩尻市立楢川小中学校」。[DINING OUT KISO-NARAI/長野県塩尻市]

1991年に作られた『塩尻市立楢川小中学校』の校舎。2022年度に小中学校に移行するにあたり改築されたばかり。

DINING OUT KISO-NARAI「DINING OUT」の骨格的存在。レセプションの舞台となった、義務教育学校。

2022年7月末に長野県奈良井宿で開催された『DINING OUT KISO-NARAI』。そこで最初にゲストを迎えるレセプションの場に選ばれたのは、『塩尻市立楢川小中学校』(以下、楢川小中学校)でした。

『DINING OUT』のレセプションに学校施設が使われるのは異例のこと。それでもこの学校こそ木曽の文化や歴史をゲストに伝え、体験してもらうための最適な場所として選ばれたのです。では『楢川小中学校』とは、いったいどのような学校なのでしょうか?

平成3年に木造校舎を新築。地元のひのきをふんだんに使用した、木の香り漂う空間は、音を吸収したり、湿度を調整する働きもある。

DINING OUT KISO-NARAI希少な木曽ヒノキをふんだんに使う木造校舎。

『木曽楢川小学校』と『楢川中学校』が統合され、小、中一貫教育の義務教育学校『楢川小中学校』となったのは今年度から。現在は1年生から9年生まで、約100名の児童生徒がここで学んでいます。

校舎は旧『木曽楢川小学校』の建物を増改築。約30年前に建築された、木曽ヒノキをふんだんに使った木造校舎です。これが、この地を伝える最初のポイント。土壌が固く、地中に深く根を張ることができない木曽地方のヒノキは成長が遅く、それゆえに年輪が濃密になり非常に硬い木材。寺社仏閣の建立や文化財の補修に使われるという希少な木材でもあります。

そんな木曽ヒノキをふんだんに使っているという事実は、この地が山や森といかに密接につながっているかを伝えます。

校内のいたるところにたっぷりと木材が使われる温かみのある雰囲気。

校舎1階にある教室。左手の窓の外は校庭。

DINING OUT KISO-NARAI偉大な芸術家の言葉とともに給食をいただく時間。

校舎に入り、木の温かみがある廊下を歩くと、突き当りはランチルームと呼ぶ給食会場。児童生徒たちは全員揃ってこのランチルームで昼食をとり、学年の垣根を越えた交流を図ります。そんなランチルームの入り口上には、大きな書が飾られています。

「山中に学ぶ」。

これは、この地に縁の深い芸術家・池田満寿夫氏の揮毫。山に触れ、山の恵みに感謝し、山とともに生きる。そんなこの地らしい言葉とともに、児童生徒たちは毎日食事を食べているのです。この言葉はそのまま、『DINING OUT KISO-NARAI』のテーマともなりました。

廊下を歩く児童生徒たち。生徒たちは奈良井宿のガイドなどもしながら地域との繋がりを学ぶ。

ランチルームに掲げられた池田満寿夫氏の揮毫による書。1992年にこの地を訪れた池田氏によって書かれたもの。

DINING OUT KISO-NARAI日々使う給食食器も、伝統工芸品・木曽漆器。

昼食の時間。ランチルームに併設された厨房で作る給食が食器に盛られます。その食器は、なんと木曽漆器。

この地に伝わる美しい漆の器で、児童生徒たちは毎日の食事をいただいているのです。この素晴らしい取り組みは、伝統文化や食事を大切にするための食育の一貫。地元漆器生産者の協力のもとでこの食器が使われているのです。

漆器は大切に扱えば何百年も使用できますが、乱暴に扱えば傷がつくことも割れることもあります。漆器のこと、歴史のこと、地元文化への誇り、物を大切にする心。生徒たちは食事を通して、さまざまなことを学ぶことができるのです。

そして、この精神性もまた、この学校をレセプションの場とすることでゲストに伝えたいことのひとつでした。

「地域の方の想いが詰まった学校です。だから地域を大切にしながら、この地だからできる教育をしていきたい」。山本秀樹校長は、そう話します。

児童生徒たちは3年生から漆の技法を学び、6年生になるとその集大成として、作った漆器を地元の漆器まつりで販売。コロナ禍でまつりが中止になっていた時期には、「ならにこ」というこども会社を立ち上げました。

あのランチルームに掲げられた言葉「山中に学ぶ」は、コロナの逆境にあってもこうして力強く、ポジティブに貫かれているのです。

そんな楢川小中学校をレセプションの舞台にした『DIINNG OUT KISO-NARAI』。奈良井宿の文化や歴史、地域への思いは、この校舎を通して、ゲストたちへと伝えられました。

漆器を日常的に使うことで、地域の伝統文化や物を大切にする心を育む。使うほどに艶が増すのは木曽漆器の特徴。

『楢川小中学校』の山本秀樹校長。『DINING OUT KISO-NARAI』ではゲストを前に学校説明も行った。

目標は「楢川から未来にはばたく」。9年間の一貫教育はさまざまな効果があり注目が集まっている。

https://www.fureai-cloud.jp/narakawa-ej

Photographs:SHINJO ARAI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

食の祭典『ドリームダスク ファイナル』が、心に残してくれたもの。[DREAM DUSK FINAL/福岡県福岡市]

コースの口開けは、参加者全員でドン・ペリニヨンで乾杯。歓声が響く中、次々にスマホでパシャリ。久々の大型食イベントの再開を皆が心待ちにしていた瞬間だった。

ドリームダスク ファイナル各界のトップシェフが一堂に集う、食イベントが復活!

「もし、自分が大好きなお店の料理をハシゴして食べられたら最高だな。実際には1日では絶対にありえない名店のハシゴ。東京だけだとしてもハシゴなんてできるはずもないのに、今回でいえば大阪や金沢のシェフもいればミラノのシェフもいる。そんな僕の夢を形にしたところからドリームダスクは始まった……」
イベントの総合プロデューサーを務めた本田直之氏は、そう話しながらイベントの成り立ちを思い出します。2016年の第一回を皮切りに、毎回、日本各地、時には世界に散らばる日本人シェフまで、予約困難店のシェフがその日限りのチームを組んでひとつの晩餐を作り上げる。和食・フレンチ・イタリアン・中華・鮨など、コースを彩るシェフの人選も功名で「この人が前菜担当? この人がデザートなの?」と驚きの連続。通常はイベントなどへの参加を拒んでいるシェフや海外からの参戦など、『ドリームダスク』でしかなし得ない、シェフの編成も多くの耳目を集めてきたのです。実は2020年の第5回をもってファイナルとすることを決断したときには、次なる開催を惜しむ声が鳴り止まず、いつしか、最後の『ドリームダスク』のチケットは、食のプラチナチケットと呼ばれるほどに。

それが、新型コロナの蔓延……

『ドリームダスク ファイナル』として大々的に告知された2020年の最終回は、2度の延期を余儀なくされてしまうのです。
「大勢のお客様を一度にもてなす食の祭典なので、苦渋の決断であってもストップするしかなかった。お客様は本当に長い期間お待たせしてしまったし、シェフやスタッフには何度も何度もスケジュールの都合をつけてもらい、本当に申し訳なかった。2年以上の時を経て、ようやくなんです」と本田氏。この“ようやく”という言葉がイベントをレポートする間、取材班の耳にはずっと印象的に残ったのです。

ようやくの乾杯
ようやくの集い
ようやくの共演
ようやくの再会

今回、ONESTORYでは、7月に行われた『ドリームダスク ファイナル』の伝説の1日をレポート。コロナの影響で2度の延期を経てようやく実現した、食イベントが残した軌跡と奇跡を伝えていきます。

共演を果たしたのは写真右二人目より『すし処めくみ』山口尚享氏、『宮坂』宮坂展央氏、『ShinoiS』篠原裕幸氏、『LaCime』高田裕介氏、『Ristrante TOKUYOSHI』徳吉洋二氏のシェフ5名、ドリンクディレクター『AnDi』大越基裕氏

開演前、150名以上のフルコースディナーのテーブルセットも抜かりなし。今か今かと静かに開演の時を待つ。

ドリームダスク ファイナルあえての、あり得ない料理の連続が、唯一無二のコースに。

5名の錚々たる顔ぶれのシェフがひとり2品ないしは3品を作り、ひとつのコース仕立てで楽しませてくれる『ドリームダスク』。これだけでもあり得ない夢のコースであることは重々理解できるのですが、このイベントの凄みは実は数にあるのです。今回、定員は150名。最終日には参加希望の声が殺到し、会場のキャパシティの許せる限り、なんと180名が一度に食事をともにしたというのです。
それが熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに。できたてが次々とサービスマンによりテーブルにサーヴされ、気がつけばペアリングのドリンクも寄り添うようにセット。この量を一度に手掛ける料理人の技術と熱意はもちろんのこと、会場となった『ザ・ルイガンズ.リゾート & スパ』を運営するプランドゥシーのサービスマンのスピードと手際の良さ、シェフをサポートするキッチンスタッフのチームワークが三位一体となり高次元のクオリティを実現。ゲストはストレスなく、料理と美酒に酔いしれ、至福のときを楽しめていたのです。
開始前「厨房はすごいことになっていますよ」とミラノから参戦の徳吉シェフが話していたのですが、“徳吉シェフはゲストをお出迎えするほどに、随分余裕があるのかな?”と思いきや、茹でたてのパスタを絶妙のタイミングで提供したいがために、あえてコースの途中まではぐっと耐えに耐え、ここぞのタイミングでパスタを茹で、茹で上がった180名分のパスタをフライパンで返し次々とソースを絡めていたのです。10人前のパスタでもベストなタイミングで出すのは至難。それを180人前、シェフがタイミングを図って動き出すと聞き、このイベントの凄まじさを実感。パスタが運ばれたと思いきや総合ディレクター本田氏を含めたスタッフ自らがひと皿ずつトリュフを削るパフォーマンスもゲストに待ち時間を感じさせない絶妙のパフォーマンスだったのかもしれません。
石川県野々市市に店を構える『すし処めくみ』の山口氏はコース中盤、ウニちらしを披露したのですが、なんと180人前の酢飯とウニを舞台上で混ぜ合わせてくれたのです。しかも驚くべきはウニの量と質。酢飯と同等ないしはそれ以上のウニが投入され、混ぜれば混ぜるほど、光り輝くオレンジ色のウニご飯になっていくのです。聞けば、ウニの形を崩したくないと山口氏は石川県から自ら車を11時間も走らせ福岡に会場入り。最高の状態でウニを提供したといいます。
さらに「皆さんに石川県のウニの美しさと質の高さを感じてもらいたくて、車で運びました。でも、結局は見せた後は混ぜちゃうんですけどね」と会場を驚きと笑顔に包みます。
『ShinoiS』篠原氏は前菜、スープ、ごはんまで、最多の皿数3品の広東料理を作り上げ、『宮坂』の宮坂氏は胡麻豆腐に椀物で日本の夏の粋を表現。『LaCime』高田氏はコースのトップバッターとして店の名物・ブータンドックと、魚のメイン・鯵のエスカペシュを提供しフランス料理ならではの深みある味わいを披露してくれました。
それぞれのシェフが思い思いの仕事で個性ある料理を披露していくのですが、個性ある点と点が、一本の線になっていくのも『ドリームダスク』。そこにはドリンクディレクター・大越氏のコースを通した、ペアリングのセレクトが脇を固めているのでしょう。
「まったく異なる料理が順々に提供されるので、コースを通じて気をつけたのは、個性あるベストなペアリングではなく、コース全体を壊さないセレクト。そうしないと、ひとつのコースとしての体裁が壊れてしまいますから」と大越氏。
ひと品ひと品の個性を大切にしながらも、コース全体を影でコントロールする。さらにお酒で物語を紡いでいく。そんなドリンクディレクターの存在もこの5つの個性をひとつのディナーに成立させる影の立役者だったのです。

山口氏が披露した「ウニちらし」。米の量より多い、石川県産のウニのきれいな旨味に酔いしれた。

150人前のウニを一気に酢飯と混ぜる。壇上で披露した山口氏のパフォーマンスに、カメラを持つ人だかりが幾重にも行列を作る。

コース中盤から終盤、一気にパスタを作り出す徳吉シェフ。次から次にフライパンを返し、できたてを食膳へと運んでいく。

総合プロデューサーの本田氏もトリュフ削りに参加。チーム一丸となって晩餐を盛り上げるのが印象的であった。

見事なまでにアルデンテのパスタ。ハマグリと牛脂を使ったソースにトリュフがたっぷりと削られた。

篠原氏が提供した一品。「三味鮮露筍 ジェットファームのアスパラガス」。3つの味わいを食べ比べ。

「冬瓜燉魚翅」、フカヒレ冬瓜上湯蒸しスープを仕込む篠原シェフ。

猛暑の福岡に涼を運んだのが宮坂氏の「胡麻豆腐 車海 枝豆 出汁ジュレ」。一口味わうと夏の恵みと、ひんやりとした食感が時を忘れさせてくれる。

冷製の賀茂なすと鱧のお椀を仕込む宮坂氏。150人以上の鱧切りも一気に行うなど想像を絶する厨房での仕事がコースを支える。

揚げ焼きした鯵を酸味の効いたソースで味わう「鯵のエスカペシュ」。

チームで協力しながら美味を生み出す「LaCime」高田氏。

ドリームダスク ファイナルシェフ、スタッフ、ゲストが一丸となって楽しんだ食の祭典の意義とは?

それぞれがそれぞれの立場から、ベストの力を尽くしイベントを盛り上げる。そんな使い古された言葉を、すべてのスタッフが肝に銘じて動く。それがひとつの形となったとき、180名のゲストも含め、歓喜の輪は生み出されました。これは『ドリームダスク』を称賛したのではなく、体験談。コースを終了した後に、シェフたちは舞台に上がり感謝の言葉、喜び、難しさ、楽しさ、五人五色に色々と伝えてくれました。それらを楽しんだゲストより自然と心からの拍手が送られたのですが、鳴り止まない拍手は『ドリームダスク』が訪れたゲストの心に残したもの、そのものだったのではないでしょうか。
皆で分かち合った感動、会話とコミュニケーションで生まれる笑顔、同じ時間を共有する喜び、久しぶりの時間……
そのすべての想いが会場を包み込んでいたのです。
本田氏がこぼした“ようやく”。
それは大好きな仲間でこんな時間を共有したかったという、切なる願いそのものだったのかもしれません。
ディナーとディナーの間となる2日目ランチには、海を目前にした『ザ・ルイガンズ.』の屋外スペースを使ってのスペシャルランチが行われ、一般にも開放。地元福岡の人気店が屋台を出し、気軽に名店の味を食べ歩くこともできました。多くの来場者が通常ではありえない名店ハシゴを一般でも体験できたのです。

イベント開催の2日を通して感じたのは、食は楽しく、楽しい時間は幸せを生む。コロナによって難しくなったイベントのありかたとありがたさ。

とにかく、楽しい時間がなければ、人は弱ってしまう。食は人を楽しませ、強くする。そんな分かりきったはずの喜びでした。

「今回でドリームダスクは一区切りですが、たぶんまた何かやりたくなる。ようやく、こんなに楽しい時間が生み出せたんだから。期待してていいよ」

本田氏の最後の言葉は、次への期待と喜びに。『ドリームダスク』が心に残してくたものは、きっとこのドキドキなのでしょう。
『ドリームダスク』を経験した人はきっと、この響きを聞いたらならば、自然とドキドキせずにはいられません。次に『ドリームダスク』という言葉を再び聞ける日を、我々は楽しみに待つことでしょう。

『餃子のラスベガス』『三原豆富店』『藁焼 みかん』『めしや コヤマパーキング』『二加屋長介』『清喜』『大重食堂』『スナックアポロ』など、ランチに行われたイベントでは福岡の名店が集合。

ユーモラスな表情が印象的な福岡土産・にわかや煎餅のお面をかぶる本田氏と大越氏。

『ドリームダスク ファイナル』を盛り上げたドリームチーム。

Text:TAKETOSHI ONISHI

 

DREAM DUSK Encoreの開催が決定!

もう一度だけ、最高の形を目指して……
ファイナルを終えた直後に発表されたのが、2回のリスケを余儀なくされたファイナルへの思い残し。
2023年6月10・11日の開催予定でドリームダスクが再び帰ってきます。

https://www.luigans.com/dreamdusk/

開催詳細および予約開始日時につきましては、決定次第ザ・ルイガンズ.公式HP、Instagramにてご案内させていただきます。

実も、種も、皮も。ひと瓶にひと房丸ごと入った食べるジュース。[和光アネックス/東京都中央区]

『食べるぶどうジュース』は、シャインマスカットが丸ごとひと房入っているため、液はトロトロ。ジュースだが食べ物のような味わいと充実感を堪能できる。

WAKO ANNEX食べておいしい、身体に優しい、美容にうれしい、ぶどうジュース。

「種も皮も丸ごとは、『食べるぶどうジュース』だけ」。そう語るのは、製造元の山梨県南アルプス市の『ジット』です。

ジュースなのに、なぜ食べる? そう思う人もいるかもしれませんが、一度口にしたことがある人ならば、この表現に頷くはず。

原料は、シャインマスカット。採れたてのぶどうをすぐに自社加工し、実はもちろん、種も皮も丸ごと使用。それを可能にするのは、改良に改良を重ねた独自の破砕製法にあります。

丸ごと使用することによって、ぶどうそのものの味わいをダイレクトに満喫できることはもちろん、一般のぶどうジュースには入っていないビタミンEやオレイン酸、リノール酸が含まれているのが特徴。美肌やアンチエイジングにも効果が期待できます。

冷やして飲むだけでなく、凍らせてシャーベットにするも良し、ヨーグルトにかけたり、パンに塗るも良し。万能に美味しくいただけるため、様々なシーンにぜひ。

新鮮な味をそのまま表現するために、何度も試作を繰り返し完成した『食べるぶどうジュース』。水も砂糖も一切使わず、完全無添加。ひと瓶飲んでも77kcal。美容と健康にもこだわる。

※今回、ご紹介した商品は、2021年10月1日にリニューアルオープンした『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI​​​​​​
(Supported by WAKO)

食べ終わった瞬間、また来たくなる店。北の大地で人気を集めるうどん店。[名水うどん野々傘/北海道虻田郡]

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

グリルチキンうどん。「とり天や唐揚げよりも、なるべくヘルシーに」との思いから生まれた人気メニュー。

名水うどん 野々傘シーズンオフでも行列ができる人気店。

雄大な大地に、見渡す限り広がる麦畑。
北海道はシェア60%以上で独走する日本一の小麦の生産地にも関わらず、蕎麦やラーメンのイメージに押され、うどんの印象は強くないかもしれません。そんな北海道・羊蹄山の麓に知る人ぞ知る人気うどん店があることをご存知でしょうか。名は「名水うどん 野々傘」。周辺のシーズンオフである夏の間でも行列ができる人気店です。

店内でまず目を引くのは、そのメニュー。
「ぶっかけうどん」などの定番に加え、「グリルチキンうどん」や「山わさび香る肉ぶっかけ」といった個性派メニューも並んでいます。そしてどのメニューにも添えられている丁寧な説明。きっと店主が気配りの行き届いた人物なのでしょう。

さらに店内を見渡してみると、民芸調の店内に古道具が配置されているのに気づきます。格子窓の向こうには蝦夷富士・羊蹄山を一望。どれだけ待っても苦にならないような、ゆったりとした穏やかさに満ちた空間です。

うどんはやや細めですががモチモチとしたコシがあり、小麦の風味が豊か。出汁のほのかな甘み、手のこんだ具材のバランスも絶妙で、たっぷりのボリュームもうれしいところ。決して市街地からのアクセスが良好な場所ではないにも関わらず、連日の盛況ぶりも納得の味です。

メニューを見るだけで内容が想像できるような親切な説明書きが添えられている。

室内は民芸調の風情ある空間。窓の外には羊蹄山の雄姿を一望。

人気のちく玉天ぶっかけ。玉子天の半熟の黄身をうどんに絡めて味わうのもおすすめ。

名水うどん 野々傘「お客さんの笑顔のため」。店主の人柄も店の魅力。

おいしさの秘密を、店主の野々田耕一郎氏に伺ってみました。
穏やかな笑顔とやさしい語り口が印象的な人物です。

「お客さんを喜ばせることだけが、ここをやっている目的。だからお客さんの笑顔が一番うれしい」

それだけで人柄が伝わるような、素敵な言葉です。

聞けば野々田氏は、岐阜生まれの大阪育ち。北海道の大学で酪農を学んだ後、大学事務員として務めていた。そして30代の後半で脱サラを思い立ちました。
「脱サラのセオリーといえばラーメン屋ですが、研究のために食べ歩いている間に、うどんも良いなと思い始めたんです」

それから独学で製麺を学び、地方から来た学生に試食してもらっては感想を聞いて腕を磨く日々。そしてついに、学生から「まあまあおいしい」の声。
しかし野々田氏の修業は、まだ終わりではありません。

39歳で退職し、今度は大阪にあるうどんの名店で本格的なうどん作りと経営を学ぶ。そして2005年、満を持して羊蹄山の麓に、この店を開いたのです。

店主の野々田氏。「職人気質ではない」と笑うが、ゲストを思い味を追求する真摯な姿は職人的。

山わさび香る肉とろたまぶっかけ。山わさび、醤油漬け卵黄、とろろ、肉の贅沢なハーモニー。

名水うどん 野々傘食べる人を気遣う小さな工夫がいろいろ。

「僕は職人気質ではないので、自分が打ちたいうどんよりも、お客さんが喜ぶうどんを作っていきたい」

そう話す通り、野々田氏のうどんには、食べる側のことを考えた気遣いが満ちています。

たとえばうどんは圧力鍋で茹でることで、独特のもっちりした食感を出しつつ、提供時間を短縮。待たせすぎないようにとの配慮が、良い形で味にも作用しています。肉うどんの肉は、最後に炙って香ばしさをプラス。グリルチキンを乗せるのは、「少しでもヘルシーなものを」との想いから。

食べ終わった瞬間に、また来たくなるようなうどん。
それはおいしさだけでなく、店主の人を幸せな気分にさせる優しさがメニューに反映されているからでしょう。
まだ見ぬ誰かのことを想像し、その幸せを願えること。それはひとつの才能であり、そしてものづくりの原点でもあります。

ちなみに店名の「野々傘」は大学事務員時代に学生たちから「野々さん」と呼ばれていたことに由来するとか。その親しみを込めた呼び方からも、当時から変わらぬ野々田氏の人柄が垣間見えます。

ゲストを待たせないため、という思いからスタートした圧力釜による湯で上げは、うれしいおいしさへの効果も。

細めだがしっかりとコシがあり食べごたえがある。具材や出汁との絡みも絶妙。

炙る、焼く、冷やすなど細かな作業のひとつひとつが丁寧。その積み重ねがおいしさにつながっている。

住所:北海道虻田郡京極町更進466-5 MAP
電話:0136-42-2381
https://www.facebook.com/nonodasan/

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

(supported by SUBARU)

ニセコの一棟貸しコテージ。夫婦の青春が詰まった、カタツムリの家。[Tree Shell Niseko/北海道虻田郡]

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

蓄熱するモルタルと呼吸する丸太の効果で室内を快適に保つというコードウッドメイソンリー工法。

Tree Shell Niseko丸太とモルタルを積み上げた独特な工法。

整備されたゲレンデ周辺に高級ホテルが並び、外国人観光客向けの英語の看板が連なる−−まるで外国の避暑地のような、おしゃれな町・北海道ニセコ。
そんなリゾートの印象が強いニセコですが、大半は大自然に囲まれる閑静な場所。
それはいわば “何もない方のニセコ”。そんなエリアの一角に、一棟貸しのコテージ『Tree Shell Niseko』はあります。壁に無数の丸太の断面が見える不思議な建物。“Tree Shell(カタツムリ)”の名の通り、曲線が描く渦巻きが不思議な穏やかさを醸し出します。

宿泊施設としてのオープンは昨年とのことですがが、建物はもっと古いもの。それは傷んでいるのではなく、大切に使いこまれてむしろ魅力を増している印象があります。この建物に潜む物語を、オーナーに伺ってみました。

「丸太をモルタルとともに積み上げるコードウッドメイソンリーという工法です。木はこの地に生えていたカラマツを使っているんですよ」

そう教えてくれたのはオーナー・工藤三智子氏。

夫婦二人のセルフビルドだといい「たいへんだったけど、愉しかったな」と明るく笑いました。

ニセコのシンボル・羊蹄山を見渡す絶景もこのコテージの魅力のひとつ。

Tree Shell Niseko部屋の中心に据えられた重厚なヒーター。

「開拓ごっこがしたい」そんな動機のもと、本州出身の工藤氏がご主人とともにこの地に移ってきたのは、20年ほど前。胸まで伸びた草と木々があるだけの1300坪の土地に、小さな小屋を建てたのが始まりです。

「冬には10m以上の雪が降る地。週末だけ来て作業するのでは、なかなか進みません。それで退路を断つ意味でアパートを引き払い、ここに建てた小屋に住み始めたのです」

ログハウスビルダーだったご主人はさらに電気工事を学び、工藤氏は職業訓練校で左官を身に着けた。さあいよいよ建物の着工、かと思うとそうではありません。

「セルフビルドの本を読んでいて、とあるヒーターが気になって。それでアメリカにそのヒーターの勉強をしに行きました」

そういって工藤氏が指差したのは、建物の中心にある重厚なレンガのストーブ。メイソンリーヒーターという蓄熱型のストーブで、重量は3tもあるといいます。

「戻ってきて、まずこのヒーターを作りました。だから建物よりも先に、ヒーターができていたんです」

一度火を入れると本体に熱を蓄え、薪が燃え尽きたあとも、じんわりと穏やかな暖かさが続く。この穏やかな空間を象徴するようなヒーターです。

写真左が蓄熱式薪ストーブ、メイソンリーヒーター。レンガ造りで重量は3トンにも及ぶ。

オーナーの工藤氏。職業訓練校で左官を学び、セルフビルドに役立てた。

Tree Shell Niseko駆け抜けた青春が詰まった、思い出の建物。

そしてようやく建物の建築がスタート。デザインのイメージは、カタツムリ。

「幼稚園の頃かな。私が画用紙にカタツムリの絵を描いたら、母がそれをカバンにキレイに刺繍してくれたんです。きっとそれが心に残っていたんでしょうね」

5歳の頃に撒いた種が、20年の時を越えて実を結ぶ。若き夫婦は小さな小屋に住みながら、カタツムリの家を作りはじめました。モルタルとともに丸太を積む工法は二人がかりで一日作業をしても数十cmしか進まない、まるでカタツムリの歩み。草を払い、木を切り、家を建てる。それはまさに開拓と呼べるような日々だったのでしょう。

「本当に愉しかった」工藤氏は再びそう言いました。それは、毎日が風のように過ぎていく、夫婦ふたりの青春だったのかもしれません。

工藤氏の話の後で、改めて室内を見回してみます。
中心に堂々と佇むストーブ、その横には金属製のストーブがもうひとつ。上から見るとカタツムリの殻に見えるという建物は曲線が中心で、穏やかな開放感に満ちています。柱や梁やハンドメイドだという木製の家具は、丁寧に、大切に使いこまれて輝いています。

ふと窓の外をキタキツネが横切りました。それは特別なことではなく、このコテージの日常なのでしょう。

インテリアもセルフビルド。自然木の優しさを活かした穏やかな空間。

寝室は2箇所あり、4名まで宿泊可能。写真はシングルベッド2台を備えたロフト。

ウッドデッキには本格的なピザ窯も。キッチンには食器や調理器具も完備されている。

住所:北海道虻田郡ニセコ町ニセコ310-44 MAP
電話:090-9085-2766
https://treeshellniseko.com/

日本を巡るツーリングエッセイ『Grand Touring NIPPON』はこちらから

(supported by SUBARU)