ディープイシューに出会う5つの方法

スタートアップの聖地福岡市に学ぶ、本物の起業家になるための5つのマインドセット

日本でイノベーションラボを成功させるために必要なこと【DFI 2019】

福岡スタートアッププログラムに学ぶ起業家に必要な4つの基本事項

fukuoka
素晴らしいビジネスアイデアがあっても、「起業など自分にできるのか」と自信が持てなかったり、「そもそも何をしたらいいのかわからない」とそのエネルギーを持て余したりしている人は多いのではないだろうか。リスクを恐れる風潮が根強い日本ではその傾向が尚更強いように感じる。 しかし日本にもスタートアップが次々と生まれている地がある。福岡だ。外国人のためのスタートアップビザの発行や、東アジアや欧州のスタートアップ支援機関との提携など、日本のなかでもスタートアップ誘致を積極的に進めている代表的な都市である。 同時に福岡在住の起業家予備軍とのコラボレーションを進めることで福岡発のグローバル企業を生まれやすくする土壌の創生を積極的に進めている。 この動きに大きく貢献しているのが、グローバルスタートアップ育成事業「Global Challenge!! STARTUP TEAM FUKUOKA」だ。これは福岡市主催で2年前にスタートした起業家を育てるプログラムで、起業を真剣に考える起業家予備軍の発掘や、福岡発のスタートアップの輩出、そして福岡発の起業ムーブメントの醸成という目に見える成果を実際に出している。 btraxでは、福岡市からの委託を受けて、2年前のスタート時点からこの事業の企画・運営を担い、多くの起業家、あるいはその予備軍の方々と関わってきた。この記事では、起業家にとって必要な4つの基本について、福岡スタートアップ事業の事例をご紹介しながらお伝えしたい。 関連記事:開業率日本一! スタートアップ・ムーブメントを生み出す福岡市の取り組み【DFI2017より】

1.自分でも起業できると思う

雲の上のような超有名企業の社長さんの講話を聴くことは、それはそれで一理あるかも知れない。しかしそれよりも実際に自ら起業し成功した経験者から、起業に至るまでのプロセスを聞いて学ぶということが重要だ。 そして、その学びを通じて起業を現実的に捉え、「自分にもできる」という自信を持つことがまずは起業のスタート地点である。 実際に福岡のプログラムでは、地元で成功している起業家はもちろん、東京やサンフランシスコから招聘した起業家によるパネルディスカッションを実施。ノートとペンを持った座学ではなく、起業家と言われる人たちや専門家の人たちと実際に話してもらうため、モデレータによるQ&Aセッションも導入した。 fukuoka global challenge1 ↑国内研修にて行った福岡にゆかりのある起業家の皆さんとのパネルディスカッション。左からbtrax Japanの多田、ドレミングの桑原氏、スカイディスクの橋本氏、しくみデザインの中村氏、ヌーラボの橋本氏 fukuoka global challenge2 ↑市民報告会にて行ったマネーフォワードの瀧氏とBrandonによるパネルディスカッション 結果として、参加者は起業をより身近に感じた、あるいは「自分にもできそうだ」と感じたことがアンケート結果からわかった。また、この段階で得た多くの経験談は今後起業の過程で参考になることも多いだろう。その意味でもできるだけ多くの経験者の話を聞いておくことをおすすめする。

2.短時間でビジネスアイデアを説明できるようになる

せっかく素晴らしいビジネスアイデアを持っていても、それを上手く人に伝えられない人は多い。ビジネスは一人で出来るものではない。手伝ってくれる仲間も必要だし、起業するためには資金も必要だ。いくらアイデアが素晴らしくてもそれをうまく伝えられないのでは起業への道のりはかなり険しくなる。 起業家に不可欠なのは効果的なプレゼンテーション方法の体得だ。ビジネスアイデアをまとめ、短時間でアイデアのエッセンスをどのように伝えるか、そして聞く人の共感をどのように得るか。 これらの習得のため、プログラムではサンフランシスコからbtraxのファシリテーターを呼び、「デザイン思考」を取り入れたセッションを前後2回に亘って実施した。このあたりで、「アイデアが素晴らしければ、起業は簡単だ」と思っている人は最初の挫折感を味わったようだが、案外、最初の挫折がかえって良い効果をもたらすこともある。 workshop ↑プログラム参加者が英語でピッチの練習を行っている様子 ちなみにグローバルを視野に入れているのであればプレゼンテーションでの使用言語はもちろん英語だ。そのため、英語力というよりも、まずは「英語なんて怖くない」という意識を持つことが重要になる。 実際、英語が流暢ではない参加者がプログラムの最後にサンフランシスコでのピッチコンテストで優勝を果たせたのは快挙であった。

3.スタートアップの聖地で度胸とフィードバックを得る

スタートアップの聖地、世界中のVC投資が集まる場所、世界をリードする最先端企業が集まる場所と言えば、サンフランシスコ・シリコンバレーだ。グーグル本社やフェイスブック本社の看板の前でピースサインで記念写真。そして聖地の空気を味わう。そんなことを期待しているのであれば行っても無駄である。 企業を訪問したりイベントに参加したりして、実際にサンフランシスコ・シリコンバレーの起業家や起業家予備軍と話す。また、ピッチイベントに参加して投資家からフィードバックを得る。これらの経験を得ることは自らのスタートアップを始めるうえで何物にも代えがたい財産となる。 ただ、これらを個人で行うのはかなりハードルが高いだろう。実際に個人が企業に訪問しようとしても受け入れてもらえるケースはほとんどない。 btraxにはサンフランシスコでのネットワークがある。プログラムではLinkeIn、Airbnb、Frogなど現地の約16社程度のスタートアップ・ユニコーン企業に協力してもらい、ハードウェア系、アプリケーション系、最新サービス系などを1日に4社程度訪問できる4種類の訪問コースを設定。 訪米研修参加者はあらかじめ行きたいコースを選択し、btraxスタッフアテンドのもと各社を訪問した。大人数で訪問する企業訪問とは違い、それぞれの訪問先で各自が聞きたいことを聞くこともでき、参加者からの評判は非常に良かった。 openhouse-airbnb ↑Airbnbの本社を訪問し、オフィスツアーやAibnb社員との質疑応答を行った さらにサンフランシスコでは頻繁にピッチイベントが開催されているが、btraxもピッチイベントAsianNightを主催している。 現地のスタートアップが参加するイベントだが、ここで訪米研修参加者用の枠を設定した。英語で、ピッチを聞くのに慣れた現地の観客の前でのピッチである。福岡からの参加者にとっては度胸付けという意味でも最高の場だ。 結果として、プログラム参加者のなかからこのAsianNightで準優勝者、翌日に飛び入りで参加したShark Tankという別のピッチイベントで優勝者を出したことは我々運営側にとっても嬉しいことであった。 Asian-night ↑Asian Nightのピッチ登壇者たち

4.起業に必要な事務知識を身につける

ビジネスアイデアとプレゼンテーションスキルだけではまだ起業できない。会社設立のための法務知識や資金集めについての知識が不可欠になる。 もちろん、起業のための法務や資金集めのノウハウについての書籍などは多く出版されているので、自身でコツコツと勉強するのも良いかも知れない。しかしながら、起業というのはスピードとの勝負でもある。 そこで「必要な知識を素早く理解する」ことが重要になってくる。特にスタートアップ支援専門の弁護士や第一線で活躍する投資家に直接質問できる機会は貴重だ。 プログラムではそんなエキスパートを招き、「弁護士への相談シミュレーション」や「投資家の前でのエレベータピッチ」の時間を多く取ることでそのような機会を提供した。 参加者は彼らが弁護士や投資家に対して持っていた、「直接話す機会がない」「知識が無い状況では相談しづらい」「そもそも相談の仕方がわからない」といったハードルを払拭できたようだ。セッション後のネットワーキングでは、彼らの前に名刺交換ための長蛇の列ができていた。

まとめ

一昨年、昨年と企画・運営を担い、福岡には積極的で物怖じしない、そしてフレンドリーな方々が多いと感じた。起業家にはとても重要な気質である。サンフランシスコ・シリコンバレーのスタートアップを知る我々が福岡はすごいと思った2年間であった。 嬉しいことに、引き続き本年度も「Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA 2018」の企画・運営をさせていただくことになった。本年度はさらにパワーアップしたプログラムを企画中である。 すでに本年度の公募が始まっている。スタートアップを興したい方、すでに起業したものの迷走中の方は、是非とも応募してほしい。プログラムの詳細や応募方法などは、ウェブサイトに記載しているので、ご参照いただきたい。

世界を目指す経営者が今すぐ身につけるべき4つのマインド

executive mindset
企業人として過ごして35年以上。この間、様々な経験をしてきた。某IT系一部上場企業でのシステムエンジニアや商品企画開発、某精密機器メーカーの米国現地法人の経営、複数の米国企業の日本法人の立ち上げと経営など、その多くが企業経営である。 大手企業の経営者であった亡き父は、私が大学生の時に、「事業経営にとって大事なのは人と人の繋がりとネットワーク形成。だから友人はできるだけ多く作ること。これからはグローバルな友人も多く作ることがキーやな。」と事あるごとに言っていた。40年前の話である。 そんなことから米国の大学院に進んでみようと思ったのも事実である。そのようなわけで、これまで日本・海外で様々な企業のすばらしい経営者や経営層の皆さんと仕事をする機会があり、またここ数年は年齢的には後輩でもすばらしい経営者の皆さんと交流する機会も多くなってきた。また最近ではサンフランシスコ・シリコンバレー周辺の最先端の企業の経営者を知る機会も増えた。 成功している経営者は年齢を問わず、経営に対して一貫した考え方や信念を持っていることもわかってきた。つまり明確な経営マインドである。経営者が体現し発信する経営マインドは自然に社員に浸透していく。この記事ではそんな私の視点から、これからの企業経営にはどのような経営マインドが必要なのかを考えてみたい。

1.「I am on the earth」マインド

目指すは世界、そして地球!

戦後の経済成長期が終わり、日本がグローバル展開を視野に入れた1980年から1990年代前半の経営者は、「まずは日本で成功」→「いよいよ海外展開へ」という考え方で良かったのかもしれないが、2000年代に入ってから重要になってきたのは、「ビジネスは最初からグローバルを視野に」ということである。 そして現在、少し大袈裟かも知れないが、物事を世界規模から地球規模で考えるマインドを持つことが必要だ。私はこれを「I am on the earth」マインドと言っている。ちなみにこれは私の造語であるため英語的な正しさは一旦無視していただきたい。 時差をなくしたインターネットの普及は、日本に居ながらにして世界同時リアルタイムでのビジネス展開を可能にしたのだ。その後現在に至るまでインターネットは世界の隅々まで普及を続けている。地球の裏側の相手に瞬時にメッセージを送ることもできるし、お互いに時間を合わせれば顔を見ながらのオンライン会議だってできる環境である。 この環境を理解している経営者の皆さんと話をしていると「海外出張なんて本当に必要なときにしか行きません。おかげで時間の無駄が極端に減りました。」なんて声もよく聞くようになった。もちろん、成功している経営者や経営層に多い気がする。かく言う私自身もその昔は「今年は8回も海外出張しました、まったく忙しくて仕方がありません。」なんて言っていたこともあるので恥ずかしい限りである。 決して海外出張に意味がないと言っているのではない。F2F(Face to Face)は重要なときもある。要は出張をしなくても経営者にとって最も重要な仕事「Decision Making」を効率よくできる環境が既に整っているというメリットを活用すべきだ。 どんな業種であれ経営者は「I am in Japan」ではなく 「I am on the earth」マインドを持つことが重要だ。「I am in Japan」を捨てないと世界の流れに追いつけなくなる。 ここ数年、新興国地域の経営者の皆さんと話していると、「I am on the earth」マインドを持った方々が多い。そして社員個々にそのマインドを伝えている。 グローバルでの追いつき追い越せには大切な経営マインドである。 「I am on the earth」マインドを持たないとグローバル経営は難しくなる環境になっているし、社員個々が同じマインドを持つことは重要である。

2.「Bad things first, good things later」マインド

必要なのは健全でスピーディーな経営

所属していた米国企業の日本法人代表として、米国本社の戦略会議に出席したとき、会議の始まりにCEOが一言。 「各グループのリーダー、各国支社のリーダーの皆さん、それぞれ最も報告したくない問題点から始めてください、ここにいる全員でそれぞれの問題点をなるべく早く解決できるように議論しましょう」問題を後回しにしないということが鮮明な会議であった。 その場では問題をどう解決してどのように進めていくかの指針が議論される。それまでは、聞かれなきゃ黙ってるという傾向の会議の経験が多くあった私には、目が覚めるように新鮮であった。もちろんその後、参加者からは契約達成やプロジェクト達成の報告など嬉しい報告も報告される。問題点を共有し合ったあとの達成報告では参加者全員からの賞賛もあり、四半期ごとの会議が楽しみになった。 関連記事:海外から見た日本式ミーティングの謎 ビジネスはダイナミックに動くので、上手く行くこと(good things)も上手く行かないこと(bad things)もたくさんある。仕事を遂行する上で社員が抱えている問題を経営者が早く察知すれば、修正する時間や解決する方法も早く見つかる。私はこのマインドを「Bad things first, good things later」マインドと名付けて、その後様々な経営の場面でこのマインドを心がけてきた。経営者や経営層がこのマインドを持つことで、社員全員へも浸透していくこともわかってきた。 これは、問題を後回しにした結果発覚したときにはその問題が大きくなりすぎてもはや解決策さえも見えてこないという場面を最大限回避する方法だ。経営者や経営層が率先してこのマインドをもつことで、チームやプロジェクトごとの会議でもそれぞれのメンバーに「Bad things first, good things later」マインドが生まれてくる。 健全でスピーディーな経営をすることは経営者の使命である。そして日々様々な問題が起こるのがビジネスである。問題を一刻も早く察知して、解決策を社員全員が最も早い方法で解決していく企業体質にするためには効果のあるマインドだ。 「そんなことは日頃から心がけています」と思われる読者もいると思う。言われてみれば当たり前のことだからだ。しかしながら、経営者や経営層と話していると、このマインドを社員全員へ浸透させて実践している企業はそんなに多くないように思う。社員全員がこのマインドを持つことが重要だ。そのためには経営者や経営層が率先して実践していくことが重要だ。

3.「Knowledge Sharing」マインド

優秀な社員をつくるヒントはナレッジの共有にあり

もともと理科系出身の私は、経営に携わるようになってから様々な分野の勉強をしたり、その分野の書籍を読み漁ったりした。 経営、経済、人事、経理など少しでも経営の知識になればと思って勉強した分野もあれば、新しいビジネスを考えるには新しい技術を知ることが大切だと思って最新の技術書や工学書、医学書まで手を出したこともある。世の中の動きに追いつけなくなると思いベストセラー本と言われる書籍のほとんどにも目を通していると言っても過言ではない。 しかしながら、私の頭のメモリーは容量が小さくて貧弱なのだろうか、あるいは読書の仕方を間違ったのだろうか、読破した数多の本の内容の詳細はほとんど覚えていない。「広く浅い知識」という意味ではそれなりに意味はあったのかも知れないが、「広く深い知識」を目指して様々な分野の書籍を読み漁ってきた私としては反省しきりなのである。 振り返ってみると、その分野の専門家に直接聞いた話は鮮明に覚えている。成功している経営者に聞いた「経営のコツ」。公認会計士に聞いた「貸借対照表から読み取る会社の経営状況」。半導体の専門家に聞いた「量子コンピュータ」の話。遺伝子工学の専門家に聞いた「ゲノム編集」の話。枚挙にいとまがない。直接聞く話というのは鮮明に頭に入り、覚えている。 自分が何を考えているのかを専門家に伝えてフィードバックをもらうことも出来るし、経営の様々な場面で聞いたことを応用できるのだ。これまでの経験から、成功している経営者はその道の専門家に話を聞く機会を多く作っているのも事実である。 企業経営の現場を考えてみよう。経営者自身がどのようなテーマに興味を持って勉強しており、社員がどのようなテーマに興味を持って勉強していてどのようなテーマの専門知識を持っているかを、社内で共有できるような仕組みはとても重要だ。経営者や経営層に持ってほしいのは、社内での「Knowledge Sharing」マインドだ。経営者主催の定期的なワークショップで社員同士の専門分野の情報交換会、得意分野の発表会、専門の外部講師を招いての社内セミナー、など方法は多くある。 社内での「Knowledge Sharing」は、社員個々の様々な分野での知識吸収意欲が高まる。幅広い知識を持った優秀な社員を増やす試みとして多くの企業が取り入れている。社員が「この会社に所属していて本当に勉強になる」と思う企業体質を作るのには、経営者自身が「Knowledge Sharing」マインドを持つことが重要だ。優秀な社員ほど常に新しい知識を蓄積している。 経営者も社員に負けないように、常に新しいテーマ勉強して社員と情報交換することはとても大切である。 internal workshop 弊社ではCEOをはじめ社員全員が定期的に社内ワークショップを開催している

4.「Open Communication」マインド

経営者のマインドが作り出す風通しのよい環境

上記で述べてきた3つのマインドは経営者自身が心がけることも重要だが、社員個々に浸透させることも重要だ。経営者の持つ経営マインドを社員個々に浸透させるためにはオープンな社内コミュニケーションが重要だ。経営者が持つべき4つ目の経営マインドとして薦めるのは「Open Communication」マインドだ。 成功している企業の社員と話していると、「うちの社長は話をよく聞いてくれるんですよ」、あるいは「うちの会社はすごく風通しが良くって、上層部への生意気なアドバイスにも耳を傾けてくれるんですよ」なんてことをよく聞いた。こんなことを言う社員は目が輝いている。 また、つい最近のことであるが、成功している企業の経営者と、「うちにデジタルマーケティングのことなら何でも知っている社員がいてね、話を聞いてると本当に勉強になるんだ」、「先日、うちの社員に量子コンピュータの手ほどきを受けてね、なんだったら説明してあげようか」って会話をした。すごく嬉しそうな顔である。風通しの良い社内コミュニケーションができている企業だと思った。このような会社は、経営者だけでなく社員個々まで「Open Communication」マインドが浸透しているのだ。 経営者と社員個々のコミュニケーションや社員同士のコミュニケーションが効果的に行われる企業体質は、スムースなビジネス遂行を可能にするのではないだろうか。先日、シリコンバレーのユニコーン企業QuoraのCEOにインタビューする機会があった。「あなたが最も心がけていることはなんですか?」という質問に対して素早く返ってきたのは、「一緒に仕事をしてくれる社員の現場へ行って話を聞くこと」であった。現在も素晴らしい成長を続けている企業である。 日本でも過去には「社長室のドアはいつも開けておきますので、相談したいことがあればいつでも来てください」的な仕組みを試みた企業も多くあったが、期待するほどの効果があったとは聞いていない。社員から社長室のドアをたたくのは勇気が必要だからである。 昨今は社内にオープンなワーキングプレイスを設置したり、外部の方々も気軽に使えるカフェテリアを設置する企業も増えてきた。とても良いことだと思う。社内外を問わずに様々な仕事をしている人たちがコミュニケーションを取れる仕事環境は大変重要である。経営者自ら社員が仕事をしている現場に行って、仕事上の問題や状況を直接聞きアドバイスする。 経営者や経営層に行って欲しいのは、そのようなオープンな場へどんどん出て行き、率先して社員とオープンなコミュニケーションを取ることである。経営者自ら「Open communication」マインドを実践し、かつ示していくことが大切だ。 経営者や経営層と気軽に話せる場は仕事を楽しくし、かつ仕事効率を高めるのにも効果がある。経営者から直接聞く感謝や激励の一言、仕事のフィードバックなどはとても効果がある。

まとめ

以上、この記事では、私の経験と視点から、これからの経営者や経営層が持つべき経営マインドを考えてみた。上記の4つの経営マインドは、米国や欧州では主流の考え方である。実践している経営者の多くは社員に好かれるそして慕われる方々が多い。また企業そのものも、顧客にも好かれるし慕われる企業でもある。 上記の4つのマインドは正解ではないかも知れないが、国内外の多くの経営者や経営層の方々を見てきた私の経験値をもとにした示唆である。経営者は常に経営判断とその業績に追いかけられる大変な仕事をしている。激務の間隙を縫って、上記の4つのマインドを参考にして経営に取り入れてみるのはどうだろうか。  サンフランシスコ・シリコンバレー近辺の企業は最新テクノロジーやイノベーションの情報ばかりが注目されがちであるが、先に挙げたユニコーン企業のように社員の能力を最大限に引き出すために重要なマインドセットとは何かについても常に最先端な試みを取り入れている。 経営者や経営者自らが経営マインドを磨く、あるいは社員に経営マインドを浸透させるためには、このような最先端の取り組みを現地で体験することも効果があるかもしれない。決して無駄な出張にはならないはずだ。 参考: