小松の里山風景は世界へ繋がっている。廃校が生まれ変わったオーベルジュの志

廃校となった「小松市立旧西尾小学校」の校舎を改築した「Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」。1階の玄関にはレセプション兼テイクアウトもできるカフェ、奥へ進むとかつては職員室だったレストラン空間がある。2階、3階にある宿泊用の客室は、元教室だった間取りを生かし、現代芸術家の小川喜一郎が描いた絵画などが装飾された、使い勝手の良い仕様になっている。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA

国内外から人を呼ぶ、若き料理人の挑戦。

想像してみてください。これは東京から本州を横断する日本の旅。目的地は、一軒のオーベルジュです。あなたにとって、約500kmの移動さえも高揚を感じさせる旅の原動力とは、どんなものでしょうか−−。
 
石川県の南西に位置する小松市で、2022年の夏にオープンした「Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」。このオーベルジュの周りには、虫や動物の気配が隆盛している里山の風景が、見渡す限りに広がっています。人が盛んに行き交う様子は見当たりません。廃校となった校舎をもとに造られたという背景からも、「オーフ」は人が離れつつある里山で、日々を営んでいるということが窺い知れます。
 
シェフを務めるのは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」のグランプリを、当時史上最年少で受賞した糸井章太氏。日本とフランスの名店で磨き上げた技術と、新しい可能性に満ちた自由な感性で、小松・観音下(かながそ)の里山が育んだ食材の魅力を引き出しています。糸井氏がつくる料理は瞬く間に評判を呼びました。今では、「オーフ」での体験を目的に、県外のみならず国外からも、山に挟まれるように佇むこの場所へ、多くの人が訪ねてきます。

1992年、京都府生まれの糸井章太氏。26歳の時に「RED U-35」のグランプリを、当時最年少で受賞。

「オーフ」のオープン時から、コースで供しているという「赤いか ホエー にら」。小松産の蜂蜜を入れた酢で赤いかをマリネし、加賀蓮根のピクルスに重ねる。ソースには、ホエーと、にらのオイル。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA

特別なディナーコースは農道から幕を開けた。

2023年の晩夏、1周年を迎えた「オーフ」では、店の成り立ちにも関わっていた台湾で活躍する日本料理「盈科 EIKA」 (2023年11月オープン予定)の料理人、稗田良平氏を迎え、糸井氏との特別な「4-Hands Dinner(フォーハンズディナー)」が開催されました。ディナーのために集まった客が、まず案内されたのは、テーブルではなく「オーフ」の建物脇に伸びている農道。眼前には風に揺られる稲穂が一面に広がっています。
 
「みなさん。ようこそ、いらっしゃいました。雲が近づいてきているので、湿度を高く感じるかもしれませんが、夜に雲がスッと流れると、澄んだ空気の中で満天の星空が見えるんです。小松の風土を感じてもらうには、ぴったりな気候です」と、糸井氏。里山の広大な風景を前に深呼吸をすると、しっとりとした空気と共に、風に揺れる稲穂の香りが鼻を抜け、耳をすませば鈴虫や蛙の鳴く声が聞こえてきます。
 
「新米の時季ということで、小松で獲れた蛍米の炊き立て、煮えばなを味わっていただきます。『オーフ』の裏手にある窯で炊きました。小松の名産であるトマトと、糸井シェフが漬けた梅干しで作ったトマト梅麹で召し上がってください」と続けるのは、稗田氏。手元にある土鍋の蓋を開けると、甘くほっこりとした香りの湯気が立ち上ります。ピカピカに炊き上がった蛍米の登場です。
 
農道のベンチに腰掛け、足元から広がる小松・観音下の自然を眺めながら、炊き立ての蛍米を口にします。甘味と共に感じる、粒立ちの良い米の舌触り。澄んだ水、肥沃な土壌、生産者の弛まぬ努力が、目の前のこの風土にあることが、米の味わいから確かに伝わります。「オーフ」1周年の特別なディナーは、小松・観音下を五感すべてで感じるプレゼンテーションから幕を明けました。

ディナー客のために、農道の状態をチェックする厨房スタッフ。一番右が、稗田氏。

炊き立ての蛍米とトマト梅麹。蛍米とは、蛍が飛び交い、清流が流れる山間地で収穫される栽培地限定のコシヒカリ。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA料理人が表現する小松の風土と魅力。

農道でのオープニングを終えた一行は、厨房で今宵の調理スタッフたちと顔を合わせ、校舎をコンバージョンした「オーフ」の中へと足を踏み入れます。内装の所々には小学校の面影が残っています。かつて生徒や職員が過ごしていた温もりを感じ、テーブルへ着席したところへ、アミューズが運ばれてきました。
 
糸井氏から料理の説明があります。

「僕と稗田さんの料理を、小松市で産出された日華石の上で合い盛りにしました。焼酎で酔っぱらわせた西俣どじょうの素揚げ、蓬(よもぎ)を使ったシフォンケーキ、白かじきを燻製した生ハムには、赤キャベツのチャツネを乗せています」。

『オーフ』の近くで獲れた山や川の幸がふんだんに使われ、日華石の上で存在感を放っています。
 
稗田氏の料理は、小松の食材と台湾の食材を掛け合わせているとのこと。

「潤餅(ルンビン)という小麦粉で作った薄い皮で万願寺唐辛子を巻いたもの、発酵させたキュウリとパクチーのソースに浮かべた岩牡蠣です」
 
揚げたての旨味たっぷりなどじょう、蓬の香りがどこか懐かしさを感じさせるシフォンケーキ、発酵させたことで爽やかな酸味とコクが生まれたキュウリの味わいなど、ひとつずつ工夫を凝らしたテクスチャーに、一行は思わず頬が緩みます。
 

「オーフ」1周年のディナーでコラボした厨房スタッフ。「オーフ」のスタッフは、糸井氏以外20代。稗田氏は2023年11月にオープンする「盈科 EIKA」で共に働く、2人のスーシェフを連れてきた。

アミューズで供された「西俣どじょう 蓬 潤餅」。料理を盛りつけてあるのは、小松で産出される日華石。国会議事堂の主要内装材のひとつとしても使われている。

「オーフ」1周年のディナーで振る舞われた料理たち。小松の食材と台湾の食材。糸井氏の料理と稗田氏の料理。ジャンルと国を超えた様々な魅力が入り乱れた特別なコース。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA高級食材を取り合うのではなく、食材の魅力と料理する意味を理解したい

続々と繰り出される糸井氏と稗田氏の料理。丁寧に趣向を凝らした味わいは、どれも美味しさの極地に達しているような仕上がりです。
 
糸井氏は、今宵の料理をこのように語りました。

「今日使った野菜、魚、肉に、高級なものは、ほとんどありません。僕は、自分の手が届くところにある米や野菜を、最高の料理として表現したい。料理人の役目は、高級食材を取り合うのではなく、そばにある食材の魅力と料理する意味を理解することだと思っています。小松の風土とさらに向き合って、2年目も『オーフ』らしい料理を表現していきたいです」。

土地と食材にどこまでも真摯であろうとする糸井氏。小松・観音下でしか表現できない唯一無二の料理が、「オーフ」にはあります。健やかな風土が生み出した食材、思慮深く真摯に向き合う料理人、食材を育んだ大いなる里山の空気、三位一体によって比類なき魅力を放つのです。酒蔵で杜氏の言葉を聞き、酵母の気配を感じながら飲む酒がひときわ輝くように。

「世界で見てきたレストランや食材が恋しくなることはありませんか」という問いかけに、「どこにいても、僕がすることは変わりません。ここが世界へ繋がっているんです」と自信に満ちた笑顔を浮かべる糸井氏。
 
場所を選ばず美食を楽しめるようになった今の時代。その場所の空気や、背景に流れるストーリー、人の想いを肌で感じることで、美食体験はレストランのテーブルから飛び出し、さらにその先の感動へ繋がっていきます。都市部から離れた土地だからこそ味わえる。そんな料理が小松の里山風景に生まれ、育まれていました。

フランスにいても、アメリカにいても、日本にいても、自然体であり続ける。教師である両親のもとに生まれた糸井氏が、廃校となった場所を舞台に新たな可能性に挑戦している。

住所:石川県小松市観音下町口48
https://eaufeu.jp

Text:DAIJIRO KAWANO

Posted in 未分類

なぜ人のいない土地で料理を作るのか。ふたりのシェフが食を通して辿り着いた答え。

廃校をもとに造られた「Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」。人が離れつつあった土地で、新たな食の魅力を模索する。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA

地元市民からも忘れられた土地で、挑戦しようと決意した。

2022年の7月に、石川県小松市でオープンした「Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」。日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にて、当時史上最年少のグランプリを獲得した経験を持つ、糸井章太氏をシェフに迎え、廃校となった「小松市立旧西尾小学校」の校舎を改築。あらたにオーベルジュとして生まれ変わりました。

「このプロジェクトが始まるまで、小松という土地に来たことはありませんでした。『オーフ』があるのは、小松の中でもさらに山の方。最寄駅で乗ったタクシーの運転手に、地名を伝えてもわからないぐらい、外からの人がやってこない土地でした」と糸井氏。

しかし、小松の土を踏み、直感で「ここなら良い料理ができる」と感じたと言葉を続ける。

「初めて小松に来たのは冬の時季。凛とした空気が満ちていて、とても静かでした。山に囲まれている風景が、父の生まれ育った京都の三重町に似ていたこともあって、良いイメージがどんどん湧いてきました」

「オーフ」を立ち上げる際、コンセプトや厨房のディレクションに携わった日本料理人、稗田良平氏も、小松の風土に魅力を感じたと語ります。

「僕が小松を訪れたのは夏でした。田園が綺麗な緑色をしていて、風でバーっとなびいていた景色を覚えています。小松市の山に近い場所で野菜を作っている、『西田農園』で食べたトマトの味にも驚きました。皮が薄くて、繊細で澄んだ旨味を感じて。綺麗な水と、栄養価の高い土壌があるんだと思いましたね」と稗田氏。

1992年、京都府生まれの糸井章太氏。教師の両親のもとに生まれ、京都・大山崎町で育った。

1981年、長崎生まれの稗田良平氏。19歳で料理の道へ進み、台湾の「祥雲 龍吟」の料理長を務め上げた経歴を持つ。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA

自分が作る料理で、いい土地にするんです

「オーフ」がオープンして間もなく、糸井氏の料理が評判を呼び、小松市民さえ忘れかけていた土地に、国内外から人が訪ねるようになります。

「人のいない土地で料理をするのは、簡単なことではありませんでした。とにかく、最初は集客が大変で。でも、簡単なことだったら誰かがすでにやっていたと思うんです。僕は料理を突き詰めるのと別軸で、自分が料理する意味を求めていました。自分の料理で人を呼んで、食を中心に街づくりができることに、面白みとやりがいを感じました」と語る糸井氏。

2023年11月、台湾にオープンする「盈科 EIKA」の料理長を務める稗田氏も、「人のいない土地だからいいんです」と、糸井氏の言葉に共感します。

「都市部だから、いい店として続く訳ではないと思っています。料理、サービス、空間。全てをトータルして、素晴らしいものが提供できたら、どんなに遠くても人は来てくれる。世界を見ても、実現する店はいくつもあります。自分も、そういった店を目指したいですね」と稗田氏。

「いい土地で料理をするのではなく、自分の料理でいい土地にするんです」と続ける糸井氏の目には、力強い光が宿っていました。

糸井氏が作る「トマトパイ」。小松産のミディトマトをくり抜き、中に天然のスッポンを詰め、パイ生地に包んで焼き上げる。

小松で採れる大麦を使った料理。食材は、近くにある道の駅で仕入れることが多い。朝採れの野菜などを生産者が持ち寄ってくるそうだ。

SHOTA ITOI×RYOHEI HIEDA本当にいい料理ってなんだ?

「オーフ」のオープンから1年が経ち、特別企画として糸井氏と稗田氏による「4-Hands Dinner(フォーハンズディナー)」が開催されました。ふたりのシェフが互いのチームを連れ、ひとつの厨房内で料理したことにより、それぞれの先を見据える発見があったと、ディナーが行われた4日間を振り返り、語ります。

糸井氏は、稗田氏がつくったナスの料理から、料理人としての志を再確認したと言います。

「稗田さんが作ったナスの料理には驚きましたね。ソースにキャビアを使っているのですが、あの料理の主役は間違いなくナスでした。ナスを食べるために、キャビアが脇役として存在していたんです。食材の特徴を的確に理解していなければできない料理です。食材の個性に合わせて、調理法を考える。そんな柔軟な思考の料理人になりたい、とあらためて思いました」と糸井氏。

稗田氏は、今回のコラボディナーから、新しくオープンする店の理想像が見えてきたそうです。

「糸井さんが仕切るチームの雰囲気は、素晴らしかったです。すごくレベルが高いことを求めているのですが、難しく考えさせないムードを、糸井さんの人柄が作っていました。僕は台湾からスーシェフを2人連れてきていたのですが、彼らにとっても良い刺激になったはずです。11月にオープンする店がスタートダッシュできて、日本の料理人が悔しがるぐらい、良い日本料理をしたいなと思います」と、稗田氏は言葉に決意を滲ませます。

昨今、糸井氏と稗田氏のように、都市部ではなく、信念に合った地方で店を営む料理人が増えています。そして、多くの食べ手も、本当の美食体験が日本各地に存在していることに気づき始めています。

今まで注目されていなかった土地と食に光があたり、新たな価値が続々と誕生する。そんな世の中が、すぐ近くまでやってきているのかもしれません。

稗田氏が特別ディナーで披露した「茄子 白麹 キャビア」、素揚げした皮を剥いた茄子は、驚くほど瑞々しい。ソースには台湾麹、オイルには四川山椒をしのばせている。

道端に生えている植物が持つ個性にも、感性を巡らせる糸井氏。「オーフ」の2年目では、さらに小松の風土と向き合い、高みを目指していく。

1992年生まれ、京都府出身。「Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」シェフ。調理師専門学校を卒業後、2014年に「メゾン・ド・ジル 芦屋」に入店。2016年に渡仏して、ブルゴーニュの1つ星「レストラン・グルーズ」を経て、2017年より「メゾン・ド・タカ 芦屋」に勤務。2018年には、料理人コンペティション「RED U-35」にて、当時史上最年少のグランプリを獲得。2022年「Auberge “eaufeu”」シェフに就任。2023年、「ゴ・エ・ミヨ 2023」にて「期待の若手シェフ賞」を受賞。

1981年生まれ、長崎市出身。19歳から京都でキャリアをスタート。2009年にはミシュラン3つ星レストラン「日本料理龍吟」に入社。2013年は、サンフランシスコの3つ星フレンチレストラン「Benu」、「Manresa」で経験を積み帰国。2014年には、台湾に開業した「祥雲 龍吟」の料理長に抜擢される。その後、5年連続でミシュラン2つ星を獲得。2019年より「アジアベストレストラン50」にランクイン。2023年11月に台湾でオープンする「盈科 EIKA」の料理長を務める。

住所:石川県小松市観音下町口48
https://eaufeu.jp

Text:DAIJIRO KAWANO

Posted in 未分類

これぞのどぐろ三昧。ふっくらとした身と濃厚なだしが織りなすうまみの共演を存分に。[和光アネックス/東京都中央区]

一般的な白身魚と異なり脂がのっているのどぐろは、加熱してもふっくらとしたまま、身が固くならないのも魅力。

WAKO ANNEX白身魚の王様・のどぐろを、余すことなく炊き込みご飯で。

白身魚らしい上品な味わいの中に、脂のうまみもしっかり感じられる国産ののどぐろを、松山あげやにんじん、生姜と合わせた具沢山の炊き込みご飯のもと『本格具材のどぐろ御飯』。食べやすく一口大にした身に、焼いたアラと昆布からとった濃厚な「のどぐろだし」を加えた、のどぐろ三昧のひと品です。のどぐろだしは「たれ」として具材と別添えにすることで、炊き上がりの際の具材の色合いの美しさや、風味のよさにもこだわりました。

保存料、化学調味料不使用で、素材そのものの味わいと安心感をお届けします。口の中でほろりと崩れ、広がるのどぐろのうまみと、奥行きのあるだしの風味をお楽しみください。

手掛けたのは、瀬戸内の小さな港町・愛媛県今治市来島で、海の恵みと真摯に向き合ってきた『愛媛海産』。愛媛県、瀬戸内海で獲れる新鮮な地魚をはじめ、地域の食材を新鮮なうちに加工した品々は、食卓を彩り豊かにしてくれることでしょう。

高級魚としても名高いのどぐろを、手軽に食卓に取り入れられるのは嬉しい。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

山形の風土に育まれた、選ばれしブランド牛の旨みを凝縮。老舗の独自技術が光る珠玉の缶詰。[和光アネックス/東京都中央区]

温める際は湯煎で。缶のまま沸騰したお湯に入れ、4〜5分程度温めることで適度に脂が溶け、肉質もやわらかくなるという。

WAKO ANNEXすね肉の濃厚な旨みが、とろりとした食感とともに広がる。

1957年創業の『木の屋石巻水産』は、自然豊かな石巻の地で水産加工品を数多く手掛けてきました。中でも独自の製法と国産調味料にこだわり、素材の味を大切にした缶詰は、食卓のお供や贈答品として全国の食通達に親しまれています。

『山形牛すね肉和風醤油煮込み』は、“夏暑く・冬寒く”四季が移ろい、また昼夜の寒暖差が大きい山形県の風土の中で、丹精込めて飼育された黒毛和種のすね肉のみを厳選。山形牛の名を冠する3等級以上の肉質、かつ旨みの強いすね肉を特製和風醤油ダレで甘辛く煮込みました。

歴史ある山形牛が誇るきめ細やかな肉質、深い味わい、まろやかな脂に加え、すね肉をじっくりと圧力をかけて煮込むことにより実現した、ふんわり、とろとろの食感をそのまま閉じ込めた逸品は、熱々のご飯にも、お酒にも合う味わいです。

高級感あるパッケージは贈答用としても人気。個包装のためプチギフトにも。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

干し柿の概念が覆る。独自手法で美味しさと安心安全を追求する、唯一無二の逸品。[和光アネックス/東京都中央区]

実るまでも、加工の過程も、全てに驚くほどの手間をかけて作られる。

WAKO ANNEX柿本来の甘みと風味を、低温乾燥でじっくりと引き出す。

おいしさと安心安全を第一に、子どもにも心配なく食べさせられる柿を。そんな思いから石川県鳳珠郡能登町にて無肥料での柿栽培にこだわり、植物ホルモンを最大限に活かす手法「垂直仕立て」により、通常よりも2度も高い平核無柿を実らせることに成功した『陽菜実園』。「ひなみ柿」と名付けられたこの柿を、丸ごと干し柿にした『ひなみ柿ムームー』もまた、砂糖や漂白剤、燻蒸など、一般的な干し柿に使われる添加物を使用せず、その代替として、酸化、劣化を防ぎ可能な限り栄養素を壊さない低温乾燥でじっくりと乾燥し作られています。

「丸ごと」ならではの肉厚な果肉は、外側はドライ、中心はしっとりとしたセミドライの食感。噛めば自然の甘味、風味が口いっぱいに広がります。柿自体の糖度が高く、ドライにすることでさらに凝縮された濃厚な甘みが味わえます。滋味あふれるおやつとしてそのまま頂くことはもちろん、チーズ等と合わせ、おつまみとして楽しむのもおすすめです。

ねっとりとしたセミドライの食感と濃厚な甘みが、フレッシュチーズによく合う。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

肝は圧倒的な採油スピード。酸度0.3%以下を実現した、至高のエキストラバージンオイル。[和光アネックス/東京都中央区]

フルーティな中に爽やかな辛味も感じる、早穫ならではの魅力が凝縮。遮光性に配慮した漆黒のパッケージも美しい。

WAKO ANNEX陽光と潮風に抱かれて。小豆島産オリーブオイルの最高峰。

日本のオリーブ栽培発祥の地である香川県・小豆島。瀬戸内の温暖な気候風土と、100年を超える歴史の中で育まれたノウハウが成熟し、今では「ミッション」「マンザニロ」「ルッカ」「ネバディロ・ブランコ」の4品種が主に栽培されています。

個性豊かな小豆島のオリーブ農園の中でも、収穫から採油までベストなタイミングを見極め、丁寧にオリーブオイルを作っているのが『アグリオリーブ小豆島』です。こちらの手がけるエキストラバージンオイルは、香りや味を決定付ける指標である「酸度」が、国際オリーブ協会の規定である「0.8%以下」よりも遥かに低い「0.3%以下」と最高レベル。独自の濾過技術や収穫より24時間以内に採油処理を行うといったスピード感の賜物です。

『早穫ルッカ小豆島産100% シングルエステートエキストラバージンオイル』は、ルッカ種限定でシーズン初期に手摘みで採取されたグリーンオリーブを、短時間で採油し遮光性の高い瓶に閉じ込めました。若草の香りがやさしくフルーティーで、苦みと辛味のバランスが良いため、食材を選ばずさまざまな料理に活躍します。

風味、食味を楽しむには、熱を加えず生食用としていただくのがベスト。刺身やカルパッチョに岩塩とオイルでシンプルに、またサラダやトーストと合わせるなど、味わいは多彩です。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

3名のシェフが滋賀県産食材を調理。個性豊かな料理が伝える琵琶湖が育む透明なおいしさ。[SHIGA FINE FOOD DINING/東京都港区]

ローカルファインフードフェア滋賀3名のシェフによる夢のコラボレーションディナー。

琵琶湖の水と豊かな自然に囲まれた滋賀県は、食材の宝庫。古くから京都の美食を支えた伝統もあり、自然、文化、歴史のあらゆる面において上質な食材を生み出す環境が整っているのです。近江牛や近江鴨に代表される肉、肥沃な土壌と水に育まれる野菜、豊かな水が育む湖魚とバリエーションも多彩で、近年は多くのプロ料理人たちも滋賀県に熱い視線を注いでいます。

2023年8月某日。

そんな滋賀県産食材の魅力をさらに広く伝えるため『SHIGA FINE FOOD DINING』が開催されました。3名のトップシェフが滋賀県産食材を使い、それぞれの料理を披露するコラボレーションディナーイベントです。

今回はディナー本番を前にインフルエンサーを招いて開催されたダイジェスト版の様子とともに、それぞれのシェフの料理と滋賀県産食材の魅力を紐解いてみましょう。

左から『酛TOKYO』佐久間氏、『ニルヴァーナ ニューヨーク』引地氏、『Opuses』十楚氏。

ダイジェストイベントに参加したインフルエンサーの皆様。それぞれの視点で料理を堪能した。

ローカルファインフードフェア滋賀ビワマスの透明感ある味わいをダイレクトに伝える握り寿司。

最初に登場したシェフは『酛TOKYO』の料理長・佐久間佑吾氏。素材の持ち味を引き出す繊細な技術に定評がある佐久間氏が選んだ食材は、滋賀県産のビワマスです。

その名の通り、日本中で琵琶湖にしか生息しないビワマスは、サケ科に属する魚。鮮やかなサーモンピンクの身にしっとりと適度な脂をまとい、なめらかで口溶けの良いおいしさが魅力です。

「滋賀県を訪れてもっとも感動したのが、このビワマス。澄んだ水のような透明な味わいで、脂のキレも抜群」

と佐久間氏も絶賛します。

さらに佐久間氏はこのビワマスの魅力を最大限に引き出すため、現地で魚体の鮮度を守る“神経抜き”をしてもらうよう依頼。その熱意に生産者が応え、これまで以上に状態の良いビワマスが届くようになったのです。

「何をしてもおいしくて料理人がいらないくらいです(笑)」

そう笑う佐久間氏がビワマスの味わいを伝えるために仕立てたのは、シンプルな寿司。赤酢を使って米の旨味を引き出し、かつまろやかな酸味で、ビワマスの透明感をいっそう際立てる。シンプルな中に細やかな計算が潜んだ寿司は、佐久間氏が言う“透明感”を饒舌に伝えてくれました。

ゲストの前で料理を仕上げる佐久間氏。丁寧に食材を引き立てる技術が光る。

身の厚み、赤酢を使うシャリの塩梅、全体のバランス。シンプルな中にさまざまな技が込められる。

脂にクドさがないため「いくつでも食べられる」との声が会場から聞こえた。

ローカルファインフードフェア滋賀一羽まるごと使用して鴨の魅力を伝える料理。

2人目のシェフは、『ザ ロイヤルパークキャンバス銀座8』のオールデイダイニング『Opuses』の十楚武志氏。フレンチベースのモダンシーフードグリルを得意とする十楚氏が、この日は近江鴨の料理を披露しました。

近江鴨は、琵琶湖沿岸の高島市で育てられる滋賀県初のブランド鴨。水、餌、環境、細部にまでこだわり抜いて育てられた鴨には、多くの料理人が絶大な信頼を寄せています。近江鴨の魅力はそれだけではありません。

「処理や梱包といった細やかな点が本当に丁寧。それだけで生産者の思いが伝わります」

と十楚氏。手塩にかけた食材を、消費者の手元に届くまで大切に扱う。そんな基本を真摯に守り続けることも、近江鴨の魅力となっています。もちろん、味も一級品。

「国産鴨はいろいろ使ってきましたが、これは良い意味で“獣っぽさ”が少ない。雑味がなく食べやすく、それでいて味わいはしっかりとあります」

そんな鴨への敬意も込めて、十楚氏は鴨のすべてを使い切る料理を考案しました。

胸肉はキャラメルビネガーでじっくりとローストし、近江鴨の豊かな味わいを引き出します。添えられるソースや付け合せも、テロワールを感じる滋賀県産食材。濃厚な風味と酸味を持つ発酵黒蜜葡萄のソースが鴨肉の旨味を輝かせ、滋賀県伝統のみずくぐり味噌が、アクセントを加えます。

さらに料理はもう一品。モモ肉、ハツ、レバー、砂肝のラビオリです。鴨の風味が溶け込んだコンソメと、もっちりとした皮の中に鴨の複雑な旨味を凝縮したラビオリ。まるごと余すことなく使用することで、近江鴨のポテンシャルを最大限に引き出した十楚氏らしい料理でした。

熟練の技術はもちろん、その明るい人柄でも厨房内で存在感を示した十楚氏。

近江鴨を2種の調理法で提供。胸肉のキャラメルビネガーロースト(左)と、もも肉・ハツ・レバー・砂肝のラビオリとコンソメ(右)

近江鴨以外の食材も滋賀県産にこだわった十楚氏。ゲストの前に立ち、その思いを伝えた。

ローカルファインフードフェア滋賀絶妙なスパイス使いで引き出す野菜のポテンシャル。

最後はイベントの会場となった『ニルヴァーナ ニューヨーク』を率いる若き料理長・引地翔吾シェフの登場です。引地氏の持ち味は、本場のインド料理に対抗するのではなく、スパイスの力で日本の繊細な食材の持ち味を引き出すこと。魔法のようなスパイス使いで、食材の透明感を保ちながら香り豊かな料理を仕上げます。この日の引地氏の料理の主役は、杉谷なすびです。

杉谷なすびは、滋賀県甲賀市で育てられる野菜。丸々と大きな形と緻密で甘みある味わいで、古くから地元で愛されている伝統野菜です。不思議なことに甲賀市杉谷地区以外ではこのサイズに育たないという特性を持っています。地区の特性と伝統を引き継ぎながら、大切に育てられている野菜です。

現地の甲賀市を何度も訪れ生産者とも交流のある引地氏が作るのは、そんな生産者の思いまでを伝える料理。

「皮が薄く、中はトロリと柔らかい。そんな野菜の持ち味がスパイスを越える料理を意識しました」

そう話す引地氏は、杉谷なすびをじっくりと焼き上げ、絶妙な調味料と合わせた焼きなすのカレー・ベイガンバルタを仕上げました。複雑なスパイスの香り、ほのかにスモーキーなフレーバーが広がりながら、杉谷なすびの甘みと風味もはっきりと感じられる味わい。カレーという枠の中で食材が持ち味を光らせる技ありの逸品です。

合わせたのはスパイスが香る滋賀県産チーズを使うチーズナン。単なる足し算ではなく、味の広がりや余韻までを計算したスパイス料理が、杉谷なすびの可能性をさらに感じさせました。
3名のシェフそれぞれの個性と技術で、3種の滋賀県産食材の魅力を伝えた『SHIGA FINE FOOD DINING』。3名のシェフが口を揃えたのは、滋賀県産食材に共通する「透明感ある味わい」でした。琵琶湖の豊かな水が育む、クリアなおいしさの滋賀県産食材。どんな調理法にもマッチし、かつ明確な存在感を示すその上質なおいしさを改めて感じるイベントでした。

イベントでご紹介した料理や、その他のトップレストランでも『SHIGA FINE FOOD DINING』を首都圏で開催中。
詳しくはこちら

「SHIGA FINE FOOD DINING」の公式インスタグラムにて随時情報を更新中。
公式インスタグラム

食材への理解と、その食材を活かす技術の幅。引地氏の感性が冴え渡る。

杉谷なすびの一般的なインドカレーとは一線を画すクリアなベイガンバルタ。

滋賀県『古株牧場』のスパイスチーズ・ハードエピスを使ったチーズナン。

Photographs:JIRO OHTANI
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by 滋賀県)

【関連記事】料理人たちによる視察の様子は、こちらから

Posted in 未分類

国宝松本城でのガラディナー開催。そして、私たちは、ルレ・エ・シャトーの本質を知る。

信州の中央に位置し、400年以上の歴史を誇る都市として栄えてきた松本。北アルプスの品格ある山々と鮮やかな四季が培った美的感性は、食や芸を育み、様々な文化を継承。歴史的建造物も多く、その最たるシンボルこそ国宝「松本城」。今回は、イベントを通し、「松本城」の保全・保護に寄与する。

国宝松本城チャリティーガラディナー 「料理」「おもてなし」を通し、国宝「松本城」を守り、継ぐ。

「ルレ・エ・シャトー」と聞いて、その本質を語れる人が日本にどれだけいるだろうか。残念ながら、多くはないのが現実だろう。

「ルレ・エ・シャトー」の歴史は、パリとニースを結ぶ国道7号線上にある8つのオーベルジュのオーナーたちがパートナーシップを結び、1954年に創設した「レ・ルレ・ド・カンパーニュ(田舎の宿)」からスタート。その後、「ラ・ルート・デュ・ボヌール(幸福の道)」という名称のキャンペーンを展開し、フランス全土に広がりました。

1956年以降、加盟メンバー数は8軒から25軒、ついで80軒と発展。さらに、スペイン、オランダ、ドイツ、オーストリア、スイスのホテルが加盟し、国境を越えた最初のフランスのホテル組織に。そして、1961年には、初のヨーロッパガイドブックも刊行されました。

ロアンヌの著名なレストランのオーナーシェフ、ピエール・トロワグロが中心となり、トップ・シェフたちが集まりルレ・グルマンを創設。今では、世界65カ国、580のホテルとレストランが加盟しています。

新規加盟には厳格な審査があり、「ルレ・エ・シャトー」の価値を共有できる個性あるホテル・レストランのみが認められます。加盟するメンバーは、お客様ひとり一人との一期一会を大切にし、本物のリレーションシップを築くという情熱を共有しています。

そんな「ルレ・エ・シャトー」の価値とは何か。そのひとつは、2014年11月にユネスコで宣言したヴィジョンにあります。

「料理とおもてなしによる、より良い世界を構築するために」掲げられた3つの行動領域、「世界の優れた料理を守るために」「美しさと美味しさの情熱を分かち合うために」「より人間的な世界で生きるために」は、離れた地で活動するメンバーたちの指針となり、同じ人道的なゴールを目指しています。

国や文化、言語は違えど、互いに違いを認め合う人間同士。料理という共通から結実されたメンバーには、次世代へ継承するふたつの伝統があると言います。それは「料理」と「おもてなし」です。このふたつの伝統は、常にアール・ド・ヴィーヴル(人生を豊かにする術)と世界平和に貢献してきました。料理とおもてなしは、世界共存という概念の中で本質的な役割を果たすために、今まで通り、これからもずっと守られ、更なる進化を遂げなければならないのです。

そんな「ルレ・エ・シャトー」が日本でガラディナーを開催。招集する主催は、長野県松本市を拠点にホテル・宿を運営する「扉ホールディングス」です。会場は、同じく松本市、誰もが知る国宝「松本城」。「ONESTORY」は、その運営と演出を担います。

目的は、文化財の保全、保存、保護。参加費の一部は、「松本城」に寄付され、それに当てられます。

今回は、国内外の「ルレ・エ・シャトー」メンバーより厳選し、9名のシェフが参加。

海外からは、フランスより、「L‘Auberge Basque」のCédric Béchadeシェフが来日。日本からは、金沢「日本料理銭屋」の高木慎一朗シェフ、宇都宮「オトワレストラン」の音羽和紀シェフ、大阪「柏屋」の松尾英明シェフ、松本「扉温泉明神館 ヒカリヤ ニシ」の田邉真宏シェフ、大阪「La Bécasse」の渋谷圭紀シェフ、京都「要庵 西富家」の美坂昌希シェフ、神戸「神戸北野ホテル」の伊井野昌洋シェフ、沖縄「ジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズ」の喜納正智シェフたちが腕を振るいます。

料理には、信州の歴史、松本の暮らし、自然環境や食文化が取り入れられ、おもてなしには、伝統芸能や工芸も採用。「ルレ・エ・シャトー」が大事にする、「料理」「おもてなし」を松本スタイルに発展させ、国宝「松本城」を守り、継ぐことに貢献します。

国宝や伝統と名の付く物事は、当たり前のように続いているわけではありません。世界と比べ、日本においては文化への投資がまだ明るくなく、それらを維持する費用の問題は切実。国や地域だけでなく、国民全員で向き合う局面を迎えていると言っても過言ではありません。

「Delicious Journeys in Matsumoto」は、ただの美食のイベントではありません。

世界中は難局を経て、人は何を学んだのか。食べることとは何か。料理とは何か。レストランとは何か。そして、生きることとは何か。「ルレ・エ・シャトー」のメンバーとともに「松本城」で過ごす時間は、きっと大切な何かに気づかせてくれるに違いないでしょう。

今回は、あくまでもきっかけに過ぎません。美しい日本を守り続けることができるのは、我々、日本人なのです。

「ルレ・エ・シャトー」よりより9名のシェフが参加。「料理」と「おもてなし」を軸に、建築、音楽、工芸といった様々な地域文化を表現する。
Posted in 未分類

豊かな清流と海風に抱かれて。ふくよかに実ったフルーツの恵みを存分に。[和光アネックス/東京都中央区]

食感を残したブラッドオレンジの豊かな風味に白桃のやさしい甘さが調和した、癖の少ない味わい。

WAKO ANNEX地域のフレッシュな美味を閉じ込めたコンフィチュール。

清流球磨川を抱く熊本県人吉球磨地方。かつて司馬遼太郎氏に「もっとも豊かな隠れ里」と言わしめた自然あふれるこの場所で、おいしさと豊かさを届ける綜合地域ブランドとして、『球磨川アーティザンズ』は生まれました。

手がけるのは、地域の美味をつかったジャムやスプレッド、シロップといった加工品の数々。『ブラッドオレンジと桃のコンフィチュール』は、2種の果実の見事な調和を感じられるひと品です。

ブラッドオレンジは、南九州を代表する清流・球磨川の流れ出る不知火(しらぬい)海の海風を受けて育った「タロッコ種」をセレクト。紫色を帯びた濃いオレンジ色の皮に包まれた実は、弾けるようにフルーティー。フルーツの里、球磨郡錦町で育ったみずみずしい白桃ピューレを合わせ、オレンジそのままの食感とさわやかな風味を感じられる、上品なコンフィチュールに仕立てました。

パンやヨーグルトのお供として、またチーズとあわせておつまみにも。食卓を彩るフルーツの恵みを家族みんなでお楽しみください。

どこか懐かしさを感じさせる素朴でやさしい味わいと、とろりとした食感も魅力。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

愛好家を唸らせるウイスキー『HIGHLAND PARK』。最北の蒸溜所のスコッチと、薪火料理が響き合う夜。[HIGHLAND PARK presents WILD HARMONY SESSION in Maruta/東京都調布市]

 最北の蒸溜所から届いたスコッチウイスキー。

スコットランドの北端、大小70の島々で構成されるオークニー諸島。

そのなかのひとつであるメインランド島に、最北端のスコッチウイスキー蒸溜所、ハイランドパーク蒸溜所があります。

かつてヴァイキングの拠点であったこの島でヴァイキングの子孫によって受け継がれる、変わらぬウイスキーの製法と島の誇り。

ロマンあふれるシングルモルト・スコッチウイスキー「HIGHLAND PARK」は、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を得ています。

常に強風が吹き荒れ、木々すらも生き残れないというオークニー島の厳しい自然の中、200年以上も変わらぬ製法が貫かれている『HIGHLAND PARK』。

しかし伝統とともに受け継がれるヴァイキングの魂は、“ただ守り続けること”を許しません。その誇り高き魂が目指すのは、常に戦い、挑戦し続けること。

さて、そんな『HIGHLAND PARK』をさらに楽しむために、ある夜、開かれたイベント。会場となったのは、調布『Maruta』。環境重視の店づくり、ローカルファーストの食材調達、そして薪火という調理法を通して、常にレストランの新たな可能性を模索し続ける名店です。

果たしてそんな『Maruta』のスピリットは、『HIGHLAND PARK』の哲学とどう共鳴するのか。まだ見ぬコラボレーションに期待が尽きない一夜限りのスペシャルディナー『HIGHLAND PARK presents WILD HARMONY SESSION in Maruta』の開幕です。

2018年のオープン以来、食通の支持を集める『Maruta』の薪火料理。ウイスキーとのペアリングに期待が高まる。

会場となった『Maruta』は、木々が生い茂る庭園を併設。料理やカクテルに使われるハーブの多くも、この庭園で育つ。

火の通りが柔らかく、燻製のような香りもまとう薪火料理。原始的だが、可能性に満ちた調理法。

 まずはテイスティングで、シングルモルト本来の味と香りを堪能。

さて、いよいよ幕を開けたスペシャルディナー。

ウイスキーと薪火料理のペアリングへの期待が高まりますが、その前にまずはテイスティングでシングルモルト・スコッチウイスキーそのものの味を確かめます。

ゲストの前に用意されたのは、『HIGHLAND PARK』12年、15年、18年の3種のヴィンテージ。それぞれの特長を、ブランドマネージャーである藤井氏が解説します。グラスを掲げて色を見て、鼻を近づけて香りを感じ、そして口に含んで味と余韻を確かめる。そうして正面からしっかりと向き合うことで、改めて『HIGHLAND PARK』の魅力が見えてきます。力強いのに角のない味わい、ほのかにスモーキーな独特のピート香、ハチミツを思わせる柔らかな甘み。それぞれのヴィンテージによる個性も、藤井氏の言葉とともに実感を伴って染み込みます。厳しい自然環境と悠久の歴史が作り上げた、唯一無二のフレーバー。その独自性は、勇敢に挑み続け積み重ねた伝統の証。そんな重厚な物語を身近に感じられた瞬間でした。

続いてはいよいよ料理の登場です。

『Maruta』のシェフ・石松一樹氏とマネージャー・外山博之氏が最初に用意したのは、12年、15年、18年の『HIGHLAND PARK』それぞれに合わせるフィンガーフードでした。

香りを起点にしたペアリングに定評がある外山氏の今回の狙いは、ウイスキーの香りにクローズアップすること。12年のオレンジのような軽やかさには、香草を加えた干し柿で作ったサラミ、15年にはパイナップルのような甘みにはイチゴのアイスクリーム、18年はナッツやチョコレートを思わせる風味と熟成感には牛脂のクッキー。調和するのではなく、ウイスキーの個性を伸ばすことを意識した素晴らしいペアリングでした。

ブランドマネージャーの藤井氏。地理や歴史、製法など、『HIGHLAND PARK』のあらゆる情報を知る人物。

左から12年、15年、18年。じっくりと向き合うことで味や香りはもちろん、色味や粘度の違いも見えてきた。

「自由に楽しむ、という前提ですが」と前置きしつつ藤井氏がプロのテイスティング方法もレクチャー。ウイスキーの楽しみ方の幅を広げてくれた。

香りの中から柑橘やバニラなどの要素を感じとると、ウイスキーはいっそう味わい深くなる。ただし度数が高いため、鼻の近づけ過ぎに注意。

テイスティングから静かに幕を開けたイベントは、時間の経過とともに徐々に和やかな雰囲気に。

それぞれのヴィンテージに合わせた3種のフィンガーフード。香りを起点に、ウイスキーの個性を引き出した。

「HIGHLAND PARKのストーリーとMarutaの料理に高い親和性を感じた」というマネージャーの外山氏。

 炎で仕上げる料理と、ヴァイキングの魂を継いだウイスキーの調和。

続く料理の前に、ここからは趣向を変えてスタンディング形式に。大皿の料理をブッフェスタイルで取り分け、『HIGHLAND PARK』はバーカウンターで好みの飲み方を注文するスタイルです。

カウンターに立つのは、『Maruta』の外山氏と、ゲストバーテンダーである世田谷代田『Quarter Room』の野村空人氏。2人のドリンクのプロフェッショナルが、アレンジを加えてさらなる『HIGHLAND PARK』の魅力を引き出します。12年ならソーダ割り、15年は水割り、18年はロック。そこに自家製の発酵飲料や『Maruta』の庭に茂るハーブを加えて、仕立てるさまざまな味わい。力強い味わいの『HIGHLAND PARK』にハーブの香りが加わって生み出される軽やかさ、奥深さ、まろやかさが、改めてウイスキーの無限の可能性を感じさせます。

合わせるのは石松シェフの真骨頂である薪火料理。

薪火で炙った枝豆に、薪の香りをまとわせたクリームを合わせる一品。神経締めの鯛は香草たっぷりのリゾットとともに。焼き茄子とともに味わうスープ、経産牛の熟成感に薪火で香ばしさを加えたステーキ。薪火でカラメリゼした洋酒のケーキは『Maruta』のスペシャリテですが、今日は特別に『HIGHLAND PARK』を使用して香りをつけています。

薪火という原始的な調理法で仕立てられた野趣あふれる料理と、最北の蒸溜所で生まれたウイスキー。それらが響き合い、混ざり合い、『HIGHLAND PARK』と『Maruta』の料理それぞれに、さらなるポテンシャルを引き出させたのでしょう。

「料理人の使命は、常に新たなことに挑戦し続けること。今回もウイスキーを起点に料理を考案する、という未知への挑戦でした。スモーキーなHIGHLAND PARKと薪火料理の相性は想像以上。そのなかで料理とウイスキーそれぞれをどう記憶に残すかを心がけました」

と振り返る石松シェフ。

「料理との共鳴、そしてハーブを加えた新たな飲み方。HIGHLAND PARKは歴史とロマンの酒。200年以上も変わらぬ製法を続けているにも関わらず、今回のように新たな発見があることに驚きました。“ウイスキーはロックで飲むもの”という時代は終わりました。これからは今回のように、より自由に楽しめる酒として広く伝えていきたい」

藤井氏もそんな言葉で、今回のイベントを振り返りました。

時間の経過とともに、賑やかな雰囲気に包まれる会場。背後に薪火が燃えるその様子は、ヴァイキングの伝統である火祭りを彷彿とさせるよう。受け継がれる伝統を守りつつ、新たな挑戦も続ける『HIGHLAND PARK』と、革新を続ける『Maruta』。そんな両者の哲学が響き合い、未知なる魅力へと昇華された稀有なる夜でした。

和やかな雰囲気に包まれたブッフェスタイルの第二部。この雰囲気を醸成するのもウイスキーの魅力のひとつ。

炭酸割りや水割りの仕上げに、ハーブなどを追加。加える素材により、『HIGHLAND PARK』は実にさまざまな表情を見せる。

野菜料理は豪快に薪で炙った枝豆。クリームにも薪の香りをまとわせている。

旨味が濃厚な経産牛。表面をクリスピーに焼き上げ、旨味を内部に凝縮するのは、石松シェフの技術の賜物。

ウイスキーで香りをつけるスペシャリテのケーキ。今回は贅沢に『HIGHLAND PARK』を使用。

ゲストバーテンダーの野村氏。見事な手際で、次々とドリンクを仕上げた。

扱いが難しい薪火の熱を自在に操る石松シェフ。オープンキッチンでのシェフの巧みな調理にも注目が集まった。

炎、自然、伝統。さまざまな要素が絡み合い、相乗効果を発揮した『HIGHLAND PARK』と『Maruta』の料理。

住所:東京都調布市深大寺北1-20-1
電話:042-444-3511
営業:ランチ11:30〜、ディナー17:30〜
休日:ランチ土曜・日曜・月曜、ディナー土曜・日曜のみ営業
URL:https://www.maruta.green/

Photographs:JIRO OHTANI
Text:NATSUKI SHIGIHARA
(supported by 三陽物産)

Posted in 未分類

気鋭のトップランナーふたりが競演。信濃大町の名水から生まれた「幻のかき氷」と「大人のカクテル」。

 信濃大町最大の特産品である「水」を使った新名物を。

「水の日」の8月1日、豊かな森に囲まれた木崎湖の畔はにわかに活気づいていました。木崎湖は、北アルプスの麓、立山黒部アルペンルートの長野側の玄関口として知られる信濃大町の憩いの場であり、多彩なアクティビティが楽しめる水清き湖。そこに多くのメディアが集まり、ある発表会が開かれようとしていたのです。

主役は飲食業界で今を時めくふたり。『あずきとこおり』の店主・堀尾美穂氏と、『BAR GOYA』のマスター・山﨑剛氏です。

堀尾氏はミシュラン二つ星を獲得し「アジアのベストレストラン50」にて3位に輝くフレンチレストラン『Florilege』でパティシエを6年間務めたあと、2022年にかき氷専門店『あずきとこおり』をオープン。日替わりで提供される多種多様なかき氷は1杯3,000円程度と破格ながら、予約枠が受付開始後に数分でいっぱいになる超人気店となっています。“ゴーラー”と呼ばれる筋金入りのかき氷ファンから厚い支持を受けるその一杯は、かき氷の概念を覆すラグジュアリー・スイーツともいうべき、斬新な発想と厳選された素材、卓越した技術が詰まった逸品となっています。

山﨑氏は銀座の名門『スタア・バー』に13年間勤めた後、2018年に独立し『BAR GOYA』をオープン。2007年に第1回シェリー・カクテル・コンペティションでグランプリを、2008年にはベネンシアドール公式称号資格認定試験で最優秀賞を獲得し、シェリー界でただひとりの二冠王者となった人物。2019年、「第46回全国バーテンダー技能競技大会」で総合優勝に輝くなど、日本のバーテンダーを牽引する実力者です。

この日、ふたりは信濃大町にちなんで考案したオリジナルのかき氷とカクテルを披露しました。共通するテーマは「水」。屹立する北アルプスの山嶺に降り注ぎ、豊かな大地に磨かれて信濃大町に湧く天然水を“食材”と捉え、清冽な水によって育まれた信濃大町の特産品を盛り込んで、唯一無二のかき氷とカクテルが開発されました。
さて、一体どのような一品が生まれたのでしょうか?

牛越徹大町市長の挨拶を皮切りに、発表会がスタート。

木崎湖の畔に登場した特設カウンターで、かき氷とカクテル作りが始まった。

堀尾氏のかき氷は、まるで羽毛のように薄く繊細な氷がふんわりと積み上げられていくのが特長。氷を三層に分けて盛り、その間に多彩なクリームやトッピングが仕込まれていく。

信濃大町の天然水で特別に作った氷で実演。氷がカクテルにとっていかに大切な食材であるかを解説する。

数多くのメディアが集まり、その注目度の高さがうかがえた。

 蕎麦を使った唯一無二のかき氷、誕生。

木崎湖をバックに設えられたカウンターはテレビメディア4社、新聞3社、ラジオ、雑誌の記者たちに囲まれています。みんなが見守る中で大型のかき氷機がシャッ、シャッ、シャッ、シャッと軽快なリズムを刻み、まるで羽毛のようにふんわりと薄く削られた氷は見る見る間に積み上がっていきます。使用する氷は、大町市の水道に使われているものと同じ水を源流で汲み上げ、特別に製氷したブロック氷です。

削り出した氷の山を幾たびか両手でやさしくまとめ、ソースや具材を加えながら層を作っていくことで、うずたかくこんもりとした堀尾流のかき氷が完成します。

コーヒー色のクリームや多彩なトッピングをまとったそのかき氷は、名付けて「そばとこおり」。そう、信濃大町の特産品の一つである蕎麦を使ったかき氷です。

試食する記者たちからは驚きの声が上がります。

「こんなかき氷は食べたことがない」

「もはやまったく新しいスイーツだ」

氷はシャリシャリとした小気味よい食感がありながらも、口溶けはさっと軽く、心地よい涼をもたらします。そこに蕎麦の豊かな香りと、蕎麦を使ったクリームやトッピングの上品な甘みが寄り添い、なんとも言えない余韻を残す……。頭がキンとするようなことは一切なく、思わずもう一口もう一口と食べ進めたくなる不思議な美味しさです。

一見シンプルないでたちですが、そこには数々の手間と創意工夫が隠されています。氷にプラスする蕎麦を使ったパーツは7種ほど。蕎麦ミルクに蕎麦クリーム、蕎麦茶クッキー、蕎麦寒天、蕎麦味噌、蕎麦茶メレンゲ……もちろんそのすべてがオリジナルの手作りです。

堀尾氏は今回のかき氷を開発するにあたり、信濃大町の各地を視察しました。地域が美味しい水に潤う理由について学び、その水を生かして産物をつくり出す生産者たちを訪ねました。ブルーベリー、イチゴ、日本酒、牛乳、クラフトビールなどなど。蕎麦の製粉工場で見つけたアイデアの種を、試行錯誤しながらじっくり育て、「そばとこおり」へと結実させたのです。

多種多様な食材をかき氷に仕立ててきた堀尾氏ですが、蕎麦のかき氷は想像以上にむずかしかったと話します。

「水の美味しさが伝わり、そしてやはり清らかな水によって栽培される蕎麦の豊かな風味が伝わるかき氷を目指しました。蕎麦の香りはとても繊細なので、氷のように冷たい状態だとあまり感じられなくなってしまいます。信濃大町の水で作った氷は、普段使っている氷よりもクリアな印象で、氷らしい冷たさがストレートに感じられるような気がします。そのピュアな氷と繊細な蕎麦という素材をいかにマッチングさせるかがポイントとなりました。蕎麦粉だけでなく蕎麦茶も使うことで蕎麦の豊かな香りを盛り込み、寒天やメレンゲなどでいろんな食感を楽しめるようにしました。蕎麦の風味がいろんな表情を見せてくれると思います」

炎天下、湖面を渡ってくる涼やかな風を浴びながらいただく堀尾氏特製のかき氷。信濃大町ならではの幻のかき氷が生まれた瞬間でした。

信濃大町の氷と蕎麦をふんだんに使ったかき氷「そばとこおり」。

かき氷の開発にあたっては、信濃大町の水や特産品のリサーチを入念に行った。

夏に旬となるブルーベリーは信濃大町が誇るフルーツの一つ。

近年栽培を開始するや、その豊かな風味から人気を集めている夏秋イチゴのハウスも訪ねた。

日本酒、酒粕もかき氷の素材として豊かなポテンシャルを秘めている。伝統的な製造の現場を視察。

堀尾氏も初めて見学するという蕎麦の製粉工場。蕎麦の食材としてのおもしろさに開眼する機会となった。

木崎湖とその先の市街地を見下ろす。北アルプスの麓に広がる平野に山で磨かれた地下水が集まっていくことが、ここから景色を一望することで腑に落ちる。

 信濃大町の魅力を一杯のグラスの中に。

「バーの世界ではよく、我々にとって氷は鮨屋にとってのシャリのようなものだと話します。なくてはならないものだし、その品質がカクテルの良し悪しを大きく左右します。きれいな水で作られたよく締まった氷は溶けにくく、その表面からゆっくりしみ出す水がよい働きをしてくれます。カクテルはベースとなるお酒と割り材、香料となるフルーツなどの組み合わせですが、水がそれらをつなぎ、全体をまとめてくれるのです。それだけに、氷、ひいてはその源となる水の品質は極めて重要なのです」

山﨑氏は信濃大町の水で作られた氷を愛用の菜切り包丁とハンマーで丁寧に割りながら話します。

昨年から信濃大町の様々な生産者を訪ね、交流を重ねてきた同氏は、4種類のカクテルを生み出しました。

#1「破砕ヒート」

スペイン・アンダルシア地方で飲まれるレブヒートから着想したという一杯。レブヒートとは辛口のシェリー酒を7UPなどの炭酸飲料で割った、キリッと飲みやすいカクテルです。「破砕ヒート」は信濃大町特産の日本酒をご当地サイダー「ハサイダー」で割り、ほのかにレモンの香りを加えたもの。日本酒の香りがふわりと立ち上がり、口当たりのよい一杯です。

「黒部ダムに通じるトンネル内の破砕帯の湧水で作られるハサイダーは、まろやかでとてもいい甘みを持っています。その甘みと穏やかな発泡性が持ち味をぐっと引き立ててくれます。私は大町市産美山錦を59%精米で使った白馬錦純米吟醸をベースに選びました。日本酒はお好みのものを選んでいただければと思いますが、精米歩合が低い、つまりあまりお米を削っていないお酒の方が、日本酒らしい風味を引き出せるのでおすすめです」(山﨑氏)

#2「大町アップルハイボール」

信濃大町特産のリンゴジュースとリンゴのスライスを乾燥させたリンゴチップのマリアージュを楽しめる一杯。ウイスキーとリンゴジュース、ソーダを絶妙な配合で組み合わせており、リンゴの爽やかさが感じられる非常に飲みやすいカクテルに仕上がっています。おもしろいのはリンゴチップを添えて提供するところ。

「リンゴチップは少しやわらかいセミドライタイプがおすすめ。リンゴチップをハイボールに5秒ほど浸けてから食べてみてください。水分を吸って一瞬生のリンゴのようなパリッとした食感を楽しめます。リンゴジュースとリンゴチップという加工品から一年を通じて信濃大町の新鮮なリンゴを擬似的に味わえるユニークなカクテルになったと思います」(山﨑氏)

#3「ブルー破砕」

信濃大町の名物「破砕ロック」の原形をオマージュしながら現代的にアレンジした一杯。破砕ロックとはアルコール度数35%の甲類焼酎をワインで割った飲み物で、黒部ダムの工事作業員たちに「安くすぐに酔える」と愛された飲み物です。山﨑氏はウォッカと白ワインを合わせ、大町産のブルーベリーを浮かべました。

「ネーミングは定番カクテルのブルーハワイのパロディですが、そこには破砕ロックへのリスペクトを込めさせていただいています。ウォッカは他の素材の持ち味を膨らませてくれるのが特長。使用する氷や水のよさもビビットに反映してくれます。白ワインは特に高級なものでなくて構いません。シャルドネなどで個性がしっかり出ているリーズナブルなワインを使ってもらうと、より日常的に親しめる一杯になると思います」(山﨑氏)

#4「be with…」

前出の3種はジャンルを問わず様々な料飲店での提供を念頭に入れて開発したもの。それらとは一線を画してバー仕様カクテルとして生み出されたのがこちら。木崎湖、青木湖と並び仁科三湖の一つに数えられる中綱湖。絶景と呼び声の高いオオヤマザクラが中綱湖に映る風景をイメージしたジンの水割りカクテルです。グラスを真上から見ると、氷を通して桜の花びらが一幅の絵に目を楽しませてくれます。

「ライトブルーにピンクの桜が映えます。仕上げにレモンを数滴垂らすことでブルーピンクを帯びた色に変化するので、バーカウンターではその工程からお客様に楽しんでいただけます。私が選んだ『六ジン』には桜の花や葉のエキスも使われています。さらにそこに信濃大町特産のハチミツを溶かして穏やかな甘みをプラス。私はリンゴの風味が感じられるリンゴハチミツを使いました。いつも暮らしのそばにある水への思いを込め、また、蜂のBeeにも感謝の気持ちを込めて名付けました。ジンの水割りはお酒好きの間で注目されつつある飲み方。信濃大町の水の魅力を堪能できるカクテルです」

かき氷とカクテルを味わった牛越徹大町市長は感慨深げに話します。

「大町市には優れた季節の産品がございます。そしてあらゆる産品を育む根源となっているのは、我が市最大の特産品である水です。産品の新しい魅力を引き出し、また、水の美味しさを存分に生かしたかき氷とカクテルには心から感服いたしました。これらが信濃大町の新たな名物となるように取り組んでいきたいと思います」

山﨑氏考案のカクテル。左から「破砕ヒート」「be with…」「ブルー破砕」「大町アップルハイボール」。

昨年、リンゴの最盛期には峯村農園を訪ねた。その素朴な美味しさに感銘を受けたアップルジュースは「大町アップルハイボール」に生かされた。

大町市内にある日本酒3蔵すべてを訪ね、蔵元や杜氏にインタビューした山﨑氏。清冽な水で醸された日本酒も大切な素材となった。

「信濃大町のリンゴの魅力をお酒で伝えたい」と大いなる刺激を受けたというハードサイダーの醸造所。

 いざ新名物を市内各所へ。至高のレシピを直伝。

堀尾氏と山﨑氏は発表会の別日に、大町市内の飲食店向けにレシピを伝授するレクチャー会を開催しました。

堀尾氏の会場には、地元のパティスリーやカフェ、レストランなどの店主や料理人たちが集まりました。堀尾氏のかき氷は夏限定の季節メニューではなく、通年で楽しまれています。人々を惹きつけるそのかき氷の技を直伝してもらえるとあって、会場は不思議な熱と緊張感を帯びています。

蕎麦粉や蕎麦茶を使った各パーツ作りのレクチャーに加えて、キモとなるのは氷の削り方と盛り付け方。均一に固まっているように見える氷でも、部位によって密度や硬さに違いがあるそうです。機械の方にもゆらぎがあります。それらのわずかな変化を見極め、レバーを常に微調整しながら同じ薄さの氷を均等にこんもりと盛っていく。マンツーマンの実践指導を通して、堀尾氏が独自に培ってきた技術を伝授しました。

パティシエである参加者からは「機械任せで削るのではなく、職人の勘によってあの繊細なかき氷が生まれていること知り、さらに興味を惹かれました。店で提供するには様々なハードルがありますが、新たなメニューに加える道を模索していきたい」という声が聞かれました。

今後、堀尾氏考案の「そばとこおり」は、秋から大町市内の飲食店での提供を目指して、さらなる調整が進められていきます。

一方、山﨑氏のレクチャー会には、地元のバーをはじめ、居酒屋、和洋の食事処の店主らが参加しました。初めこそ、銀座からバーテンダーの日本チャンピオンがやってきたと参加者には緊張の面持ちが浮かんでいたものの、山﨑氏の軽妙なトークによって場はすぐに和んでいきました。

「私が自分の店で出す場合のレシピを今日はお伝えしますが、ベースのお酒の選定もお好みのもので結構ですし、配合比率もお店で出されている料理や客層などに合わせて変えていただいて構いません。今日は4種のカクテルのコンセプトをしっかりとお伝えしますので、みなさんにとっての最適な解釈で一杯を完成させてもらえたらうれしいです」

そう山﨑氏は、各店にフィットしたアレンジを促します。

また、オーセンティックバーのような専門店でなくても無理なく継続的な提供ができるようにと、材料の入手のしやすさへの配慮やコスト面の留意点などについても忌憚のないアドバイスを行いました。

「今回、私自身はサントリーホワイトや六ジンなどあえてサントリー製のお酒を積極的に使いました。というのも、大町市にはサントリーの天然水の工場があるので、できるだけ地元に貢献している企業のものを使いたいという意識からです。地域の有力企業を味方につけることは経営的なメリットとしても見過ごせません」

発表会を終えて、堀尾氏は山﨑氏の大町アップルハイボールで、山﨑氏は堀尾氏の「そばとこおり」でひと息つきました。互いに「うまっ!」と驚きの声を上げています。

充実した達成感と共に山﨑氏はふと「信濃大町には自然、水、農産物、お酒とか本当に魅力的なものがいっぱいだけど、いちばん驚いたのは、いろんなことにこだわっている人が多いことだったね。会った人はみんな圧倒されるほどの情熱にあふれていて」と話ししました。

そして、うん、うんと強く頷く堀尾氏。そんなふたりの姿が印象的でした。

氷を削るノウハウを丁寧にレクチャーする堀尾氏。徹底的に反復し、氷や機械のクセを体感的に理解することが大切。

盛り付けの要点をその理由と共に惜しみなく伝授する堀尾氏。参加者からは質問が絶えなかった。

大町市内のバーを借りて山﨑氏のレクチャーは行われた。さすがはトップバーテンダー。流れるような手作業とよどみないおしゃべりはお手のもの。

一杯、一杯、じっくりと味わう参加者たち。スルスルと気持ちよく飲める山﨑氏のカクテルにほどなくみないい酔い心地に。舌も滑らかになり、和やかで活発な意見交換がなされた。

「be with…」は、レモンを絞って色が変わると、「おおぉ」と歓声が上がった。

いずれも斬新な4種類のオリジナルカクテルの作り方が伝授された。

発表会を終えて、かき氷とカクテルで乾杯。水が欠かせない仕事に携わるふたりにとっても、ひときわ思い出深い「水の日」になったことだろう。


Photographs:SHINJO ARAI
Text:KOH WATANABE
(supported by 大町市)

Posted in 未分類

京懐石を生業とする料理人が監修。すべての素材が調和した珠玉の味わい。[和光アネックス/東京都中央区]

味付けは、こだわりの一番出汁と海産物と相性の良い淡路島産の藻塩のみ。良質な素材本来の味わいが楽しめます。

WAKO ANNEX京料理の味をご自宅で。丁寧な仕事が光る混ぜご飯の素。

風情ある伝統建築に艶やかな石畳、京都の夜を彩る裏路地にある京都先斗町通りに店を構えて三十余年。京懐石『先斗町ふじ田』の料理人が成す珠玉の味わいを閉じ込めた「京の缶詰」シリーズは、保存が効く缶詰にすることで本格的な京料理をさまざまなシーンで楽しめるようにという思いから作られました。

中でも『鯛のまぜご飯の素』は、懐石を生業とする料理人ならではの手仕事が光るひと品。国産真鯛を丁寧に下処理し、一度焼き上げて香ばしい風味と旨みを引き出した身をほぐし、乾煎りして擦った胡麻と細切りの昆布、大根葉を加え、奥深い味わいに仕上げています。

1〜1.5合の炊いたご飯に混ぜるだけで、本格的な鯛ごはんが完成。素材の香りたつ鯛ごはんは冷めてもおいしく、おにぎりにしても。また、あえてご飯に混ぜずにそのままおつまみとして楽しむのも一興です。

手軽に使えて保存もきくという理由から、缶詰という保存形態にもこだわって作られました。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

そこにあるのは、みずみずしい河内晩柑の果汁とフレッシュな香りだけ。[和光アネックス/東京都中央区]

本当に美味しい果実のみを選定し、そのまましぼった無添加100%ストレートジュース。

WAKO ANNEXその時々でベストな河内晩柑を、柑橘ソムリエが厳選

愛媛県宇和島市を拠点に、柑橘をよりおもしろくする取り組みを繰り広げる団体「柑橘ソムリエ」が手がけるみかんジュースの数々。混じり気なし、旬の美味を閉じ込めた個性豊かな味わいは、多くの柑橘好きを魅了しています。

「河内晩柑」は、奥ゆかしい甘味とすっきりとした酸味を基本に、和製グレープフルーツとも称される鼻をぬけるほろ苦さもあり、バランスのとれた爽快な味わいが特長。多様な愛称を持つことでも知られ、そのひとつであるジューシーオレンジという名の通り、果汁をたっぷりと含んだ肉厚な食感も魅力のひとつです。

そんな河内晩柑を贅沢に100%ストレートでジュースにした『河内晩柑ジュース』は、果実本来の味わいをダイレクトに感じられるひと品。キンと冷やして飲むのはもちろん、焼酎やリキュールでカクテルにするなど、多彩にお楽しみいただけます。

果実の食べごろは3月末ごろから7月。息が長い分、時季や収穫方法によって味や食感は異なるのだそう。“一期一会”の出会いもまた味わい深いもの。ソムリエが厳選した柑橘の世界の奥深さをじっくり堪能してみては。

搾りたてをボトリングした無添加で、子どもも安心して頂けます。果実本来の味わいをお楽しみください。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

人と自然と美味が織りなす唯一無二の魅力。世界的ワイン銘醸地・余市を、実際に訪れるべき理由。[北海道余市町]

まだ見ぬ余市と出会う旅 名前は知っているけれど……。北海道余市町の真実の姿。

北海道余市町。

日本随一のワイン醸造地として、かのニッカウヰスキーの故郷として、あるいは国内で初めてリンゴが民間栽培された地やソーラン節の発祥地として、その名を耳にしたことがある人は多いことでしょう。

しかし知名度の高さと旅先としての魅力度はイコールではありません。

魅力的な観光地が多い北海道のなかで、旅の目的地としてはたして余市が入り得るのか? 結論からいえば余市は、訪れてこそ素晴らしさがわかる理想的な町でした。

景色、美食、人、宿、名産、肌に触れる空気や町の雰囲気。余市にあふれる数々の魅力を、2023年の夏に余市町の主催で行われたツアーの流れに沿ってご紹介します。

余市町のシンボルであるシリパ岬。標高295.8メートルのシリパ山の頂が海に突き出すようにして岬を形成している

まだ見ぬ余市と出会う旅 余市の魅力に触れる1泊2日のツアーへ。

バスに乗って新千歳空港から余市へ。

2018年に開通した高速道路のおかげで、約1時間30分の道のりです。

今回のツアー参加者は、さまざまなフードビジネスを仕掛けるプロデューサーであり、日本屈指の食通として知られる本田直之氏、世界的な注目を浴びる博多の名店『Goh』の福山剛シェフ、ミシュラン二つ星を獲得する大阪『La Cime』の高田裕介シェフ、海外の富裕層向けのツアーを企画するレイチェル氏など錚々たる面々。世界各地の一流の味を体験してきたゲストたちが、余市の旬を巡ります。

余市町に到着し、まずはランチ。主役の食材は、余市町で2023年9月から売り出されるというからすみ「北琥珀」です。

このからすみは地元の水産加工会社『北海道吉田屋』が町のバックアップを受けて打ち出す新ブランド。最大の特徴はじっくりと熟成させた後、香り付けに余市で生産されたウイスキーを使用することにあります。

濃厚な旨味とチーズのような熟成感があるからすみが、サラダ、パスタ、リゾットなど多彩な料理で登場し、ゲストたちを唸らせました。酒肴にも最適なからすみの存在は、ワインとウイスキーの町という余市のイメージをより印象づける効果がありそうです。

「北琥珀」の開発の経緯、こだわりなどを話す『北海道吉田屋』の吉田卓司氏。

異なるウイスキーで仕上げた2種のからすみは、余市町のふるさと納税返礼品としても提供される予定。

料理を手掛けたのは札幌の人気イタリアン『マガーリ』の宮下照生シェフ。

まだ見ぬ余市と出会う旅 北海道でも指折りのフルーツ王国。

次いで一行が向かったのは『ニトリ観光果樹園』。その名の通り、株式会社ニトリの似鳥昭雄社長が、 “地元発展のために”との思いで前オーナーより引き継いだ果樹園で、春から晩秋の間さまざまな果実狩りを楽しむことができます。この日、食べ頃を迎えていたのはサクランボ。似鳥靖季氏の案内で広大な園内を歩きながら、ゲストたちは赤く色づいたサクランボを口に運びます。

実は余市は明治時代にアメリカから持ち帰ったリンゴの苗木が、はじめてこの地で実をつけたという日本におけるリンゴ発祥の地。さらにサクランボ、イチゴ、桃、ブルーベリーなどさまざまな果物が育てられるフルーツ王国。次いで訪れた『アイケイファーム余市』ではさまざまな品種が栽培されるブルーベリー畑の見学と試食を体験し、フルーツ王国の実力を改めて実感した一行。香り豊かでみずみずしいフルーツの存在は、北海道の中で比較的温暖で、豊かな大地に恵まれた余市の象徴といえそうです。

次なる目的地はミニトマトを栽培する『有限会社カワイ』。ハウスの中で色づくトマトに反応を示したのは、福山氏と高田氏のふたりのシェフでした。

生産者の川合秀一氏に品種、特徴、栽培方法など次々と質問を投げかけるふたり。それほど質問をぶつける理由は、トップシェフのふたりが驚くほど、川合氏のトマトがおいしかったから。

「香りが良く、旨味も強い」

とトマトを称賛するシェフ。各地の食材を知り尽くすシェフの称賛は、川合氏にとっても励みになったかもしれません。

『ニトリ観光果樹園』にて、似鳥靖季氏の案内で園内を巡るゲストたち。

『ニトリ観光果樹園』では、たわわに実ったサクランボが食べ頃を迎えていた。

『アイケイファーム余市』のブルーベリー。およそ3万5000本のブルーベリーが栽培されている。

コンポートや冷凍にしても香りと甘みが損なわれない『アイケイファーム余市』のブルーベリー。

『有限会社カワイ』の色づくトマト。甘みと香りが強いミニトマト「小鈴スィート」という品種が中心。

『有限会社カワイ』のミニトマトに強い関心をふたりのシェフ。

まだ見ぬ余市と出会う旅 余市ワインの底力を知る“余市の審判”がスタート。

この日のディナーと宿泊は、余市駅前にあるホテル『Yoichi LOOP』にて。“ワインを楽しむホテル”として設計されたホテルで、素材感を活かしたシンプルな客室と、豊富なワインストックを備えたダイニングが魅力です。

ディナーはそんな『Yoichi LOOP』のダイニングにて、料理長・仁木偉氏が腕を振るうコース。『京都吉兆』で日本料理を学んだ後にフランス料理に転向し、さらにスペインに渡りガリシアやバスクの星付き店で修業を重ねた仁木氏が、地元食材を使ったコースを仕立てます。

そして合わせるワインは、余市町長・齊藤啓輔氏の発案により、ボトル全体を覆って隠したブラインドテイスティング方式に。それぞれの料理に合わせる2種のワイン、方や世界の銘醸地のワイン、方や余市のワイン。それを参加者が楽しみながら当てていく、という趣向。

それは言うなれば、いまから40数年前、フランス産だけが本格ワインといわれていた常識をカリフォルニアワインが覆した通称“パリスの審判”の余市版といえる試みでした。

ディナーには地元のワイン醸造家も同席し、緊張感ある晩餐になるかと思いきや、そこはワインと余市の穏やかな空気の力。テーブルは終始和やかで、ワインを囲む食卓の楽しさを改めて伝えてくれました。

しかしいずれもワインの造詣には自信のあるゲストたち、テイスティングには本気。シャンパーニュか余市か、ブルゴーニュか余市か、じっくりとグラスを傾けながら、真剣に吟味します。

結論は、発案者である齊藤町長も驚くほどに、見事なまでの真っ二つ。全問正解者はひとりとしておらず、それぞれの飲み比べでも、ほぼ半数ずつが余市産ワインをフランスワインと間違える結果に。それは余市産ワインが世界基準に達していることを証明する、歴史的なシーンとなりました。

『LOOP』のダイニングにて開催されたディナー。名だたる食通たちが席に着いた。

ワインエキスパート資格を持つ齊藤啓輔町長がゲストたちをもてなした。

料理1品に対して、フランス産と余市産のワインが登場。ゲストたちは忖度なしに味について話し合った。

供されるワインはすべてラベルを隠したブラインドテイスティング。

和食、フランス料理、スペイン料理と多岐にわたる経験を積んだ仁木シェフが、北海道の食材の魅力を引き出した。

メインディッシュは帯広牛。しっとりときめ細かい肉質と、甘みある脂のバランスが絶妙。

グルメインフルエンサーであるフォーリンデブはっしー氏もこの笑顔。

YOICHI LUXURY TOURISMワインづくりの現場で聞いた、醸造家の本音。

一夜明けて翌朝。

この日はまず、昨夜のディナーでゲストたちを驚かせたワイナリーを見学します。日本ワインを語る上で必ず名の挙がる醸造家・曽我貴彦氏の『ドメーヌ タカヒコ』と、そこで2年間修業を積んだ後に独立した山中敦生氏の『ドメーヌ モン』。いまや日本を代表する2軒のワイナリーを巡り、試飲と解説を受けます。

曽我氏と、曽我氏の教えを受けた山中氏がともに目指すのは、農産物としてのワイン。特別な技術や道具を使って醸すのではなく、ブドウ生産者が真似できるようなワイン。それは決して雑につくるというのではなく、農産物のように自然や環境に任せながらつくるということ。

「町中のブドウ農家が、見様見真似でワインづくりに挑戦してほしい。そこからさらにおいしいワインが生まれてくる」

曽我氏はワインづくりやワインの未来を熱く語りながら、そう話します。

「プラタンクにブドウを房ごと入れて、農作業が落ち着いたらプレス。そこから自然発酵でワインはできます。テクニックはその先の話」

そう語る山中氏も思うことは同じ。余市がつくるワイン、余市だからできるワイン。余市が誇る二人の醸造家は、そんなワインが世界を席巻する日を夢見ています。

『ドメーヌ モン』のブドウ畑は有機栽培。適度な傾斜がおいしいブドウを育てる。

「自然のサイクルを少しでも理解することで、感覚が研ぎ澄まされる」と有機栽培に挑む理由を語る『ドメーヌ モン』山中敦生氏。

出荷される『ドメーヌ モン』のワインに添えられる手書きのカード。「気持ちが入っている」と本田直之氏も心打たれた様子。

『ドメーヌ モン』の試飲風景。強い思いを秘めてはいても、終始穏やかな山中氏と会話も弾む。

日本におけるワイン文化を牽引する『ドメーヌ タカヒコ』曽我貴彦氏。

『ドメーヌ タカヒコ』でもワインを試飲。いまやなかなか手に入らないワインを飲み比べる貴重な機会となった。

『ドメーヌ タカヒコ』の樽の中で熟成されるワイン。写真はピノ・ノワールだが、曽我氏はさまざまな品種に挑戦している。

まだ見ぬ余市と出会う旅 ゲストたちが共通して感じた、余市のさらなる将来性。

農産物の話が続きましたが、日本海に面した余市町は当然、海産物も豊富。ワインやフルーツのイメージが強いかもしれませんが、実は余市町は新鮮なウニを塩水とともにパック詰めする「塩水ウニ」の発祥の地。古くからニシン漁が盛んで、豊富に揚がる魚介を無駄にしないために同時に発展した保存方法のひとつとして、「塩水ウニ」が考案されたのです。

そんな余市の魚介の実力を確認すべく、ランチに向かったのは『うに専門店 世壱屋』。さまざまなウニを食べ比べられる丼はその大迫力のボリュームだけでなく、繊細で甘み豊かな味わいでもゲストたちを驚かせました。

一行の最後の目的地は、余市の象徴でもある『ニッカウヰスキー余市蒸溜所』。いまも現役で稼働するウイスキー生産の現場であり、同社の理念を伝える大切な場。“日本のスコットランド”とも称される余市の自然、初代・竹鶴政孝がこの地を選んだ理由、ウイスキーづくりにかけた思い。重要文化財である蒸溜所を歩きながらゲストたちは改めて余市の魅力に感じ入っていました。

「人と自然と食がうまく繋がっている町。さらに新しいもの、未知のものを受け入れる気概もある。現状も良い町ですが、さらなる未来を感じることができる町です」

ツアーに参加した本田直之氏は2日間を振り返り、そう話しました。二人のシェフやインバウンドのプロフェッショナルも、同じように「さらなる将来性」に言及しました。これほどの魅力あふれる余市ですが、まだここはスタートライン。これから年を重ねるごとに、さらなる魅力と見どころが増していくことを予感しているようでした。

ウニが旬を迎える時期だけに『世壱屋』の店内は多くの観光客で賑わっていた。

余市産、奥尻産、利尻産など5種のウニを食べ比べる「五大ウニ食べ比べ丼」はこの迫力。

重要文化財に指定される『ニッカウヰスキー余市蒸溜所』。

蒸溜釜は石炭で加熱する昔ながらのスタイル。変わらぬ製法で変わらぬ味を守る。

蒸溜所見学では歴史や製法を学べるだけでなく、試飲も可能。
Posted in 未分類

自然資源の保護と利用の好循環を目指すネイチャーポジティブ経済とは。国立公園の未知なるポテンシャルを紐解き、自然と人の未来を語る。

左から、「NewsPicks Re:gion」編集長・呉 琢磨氏、環境省職員の山﨑 大輔氏、森川 政人氏、服部 優樹氏、岡野 隆宏氏。

環境省 国立公園満喫プロジェクト官民の枠組みを超え、国立公園は変わろうとしている。

環境省が中心となり、日本の国立公園を世界水準のナショナルパークとしてブランド化することを目指す『国立公園満喫プロジェクト』。自然資源の「保護」に加え、官民の垣根を超えた「利用」、そのふたつの好循環がもたらす「ネイチャーポジティブ経済」の実現に向け、様々な取り組みが行われています。

国立公園の名を冠することが許されるのは、圧倒的な自然と景観を有すること。それらの保護に徹するのがこれまでの環境省の立場であった中で、今、どんな変化を遂げようとしているのでしょうか。去る2023年6月、「NewsPicks Re:gion」編集長の呉 琢磨氏が聞き役となり、環境省職員を招いたトークセッションが行われました。

トークセッションは、2023年6月24日(金)、25日(金)の二日間にわたり開催された一般向けの展示イベント「北アルプス×尾瀬National Park Mountain Fes」に先駆けて行われた。

環境省 国立公園満喫プロジェクトネイチャーポジティブ経済の確立、それは前人未到のアクション。

「美しい自然や生物多様性を守る“保護”、最高の自然体験フィールドやコンテンツによる“利用”、このふたつの好循環により、訪問者には上質なツーリズム体験を、周辺地域は経済活性できるよう、広く繋がり、ぜひ一緒に新しい未来を作っていきたい」そう語るのは、環境省 自然環境局国立公園課 国立公園利用推進室 室長の岡野 隆宏氏です。

ネイチャーポジティブ(Nature Positive)とは、生物多様性の損失を止め、反転させるという考え。国際的な合意のもと、2030年までの気候変動対策や循環経済移行を、社会経済活動総動員のミッションとして掲げています。国内においては、125兆円の経済効果、43兆円のビジネス機会の創出、930万人の雇用効果を目標に、全国に34箇所ある国立公園がそれぞれに創意工夫を凝らしながら、官民の垣根を超えて大きなうねりを起こしていくという、前人未到のアクションです。

「日本の国立公園の特徴は、自然の中に地域の人の暮らしが息づいていること。自然とともに歩んできたからこそ形成された、地域独自の歴史・文化がそこにはあります。多様な自然風景と生活・文化・歴史が凝縮された物語を知ることで、唯一無二の感動体験ができる、私たちのブランドメッセージである“その自然には、物語がある。”にも通じる、日本にしかない魅力です」。

上質なツーリズム体験とは、自然にもう一歩踏み込み、自身の目で見て学ぶこと。アドベンチャートラベルやロングトレイルなど、各国立公園ごとの個性豊かな自然を余すことなく楽しみ尽くすコンテンツの提供を目指す。

「自然自体が守りづらくなる中で、地域と協力しながら新しい考えを取り込んでいきたい」と岡野氏。国立公園のメリットは、ハイクオリティな自然環境に加え、職員が現場におり人的リソースがあることで、地域の声が届きやすく、コーディネーションもしやすくなることだという。ハードとソフトの掛け合わせがあるからこそ、トップレベルの自然体験提供の可能性が高まる。

環境省 国立公園満喫プロジェクト世界中の旅人に選ばれる存在になるために。

全世界が競合となるインバウンドに選ばれるためには、日本独自の優位性が必須。しかしその実現方法として、保存と利用、ともすれば相反するようにも思えるふたつの要素を掛け合わせるのはなぜなのでしょうか。「生物多様性のダウントレンドを上向きにするときに、人が入ることでその機会が減ってしまうのではないか?」という呉氏による指摘は、もっとものように思えます。

「利用の数ではなく、質を変えること。例えば人数を限定し、長期滞在で楽しんでもらいながら地域の価値を伝えていく。さまざまな体験を通して地域のファンになっていただくような利用のあり方、経済効果も生みながら保全につながる仕組みを考えていければ」。
国立公園という開かれたフィールドでマネタイズに踏み込んでいくことが、結果的に全体としてよい環境、地域活性に繋がる。そんな考えのもと、すでに11の国立公園では、宿泊、土産、飲食、交通、そして観光と、地域に根差した企業と連携し、協議会やコンテンツ醸成、ツアーの企画といった取り組みが始まっています。

「地域の資産を遠方の会社が運営しても、地域に経済循環は起きない。国立公園が地域と連携してマネタイズに取り組むことで、経済地域の資産として新しい地域経済圏の循環を作っていくためのひとつの拠点になっていく、そんな変化が起こせるんじゃないか」と呉氏。

環境省 国立公園満喫プロジェクト「松本高山Big Bridge構想」の事例から見る、国立公園のポテンシャル。

セッション後半では、呉氏、岡野氏に加え、国立公園事務所所属の自然保護官3名を交え「ネイチャーポジティブ経済の実現に向けてのハードルは何か」をテーマにトークが繰り広げられました。

「国立公園はネイチャーポジティブ経済が実践できる最適のフィールド」と語るのは、環境省 中部山岳国立公園管理事務所 所長の森川 政人氏です。

生物多様性の損失や過疎化による文化消滅の危機といった、国立公園の価値が問い直されるような状況、かつコロナ禍という逆境の中、約80kmのロングルートを自由に楽しめる「松本高山Big Bridge構想」のキーマンとして、岐阜・長野の2県を跨いだ地域連携による、新たな観光圏の確立に力を注いでいます。

「中部山岳国立公園が位置する上高地は、元々は点の魅力でも成り立っていた場所。しかしコロナ禍で来訪者数がガタンと落ち、未来を考えると県境関係なく連携すべきという意識がありました」と森川氏は続けます。

歴史的な街並みに3000m級の山岳、温泉、里山……。北アルプスと松本高山という2つの中都市が集結したエリアという地の利を最大限に生かしながら、アドベンチャートラベルやゼロカーボンパークの設立など、総合的に循環する観光源の実現を目指しています。

2020年、コロナ禍の只中で中部山岳国立公園に着任した森川氏。「やるからには一番を取りたい」と高いモチベーションを抱きながら、プロジェクトを推進している。

環境省 国立公園満喫プロジェクト「新・尾瀬ビジョン」のファンベース戦略に見る、現代のニーズに寄り添った価値創造。

一方、過疎や設備の老朽化、シカによる植物の食害といった深刻な課題と向き合い、これからアクションを起こそうとしているのが「尾瀬国立公園」です。「歴史の長い尾瀬は、過去のオーバーツーリズムや開発行為において、地元が一丸となり自然を守り続けてきたという自負があります」とは、環境省 関東地方環境事務所 桧枝岐自然保護管事務所の山﨑 大輔氏。

ネイチャーポジティブ経済のためのアクションプラン『新・尾瀬ビジョン〜「あなた」と創る「みんな」の尾瀬〜』でもファンベース戦略を基盤としており、そこには深い絆で地域や人と関わりたいという強い意志が垣間見えます。

「かつては教科書にも載っていた尾瀬ですが、来訪者数は1996年をピークに3分の1程度に減少し、今の若い世代に知ってもらう機会がありません。楽しくないと来てもらえないですし、経済効果を考えるとロングツーリズムの視点も必要。多くの人に尾瀬の魅力に気づいてもらうこと、確実に楽しいと感じてもらうこと。そのためには尾瀬の価値を伝えるプラットフォームを整備し、現状は4県にわたり分散している情報を集めたり、人や企業をつないだりできる仕組みを作っていきたいですね」と、環境省 関東地方環境事務所 片品自然保護管事務所の服部 優樹氏も語ります。

世界中の来訪者から選ばれる存在になるために。収入源だけの話でいえば、入山料を徴収するという方法もあるでしょう。しかし他に大切にしていくべきことがあると服部氏は続けます。
「老朽化が深刻な尾瀬の木道の保全でいえば、まずは管理者側で最適化を図り、コストを削減することを考えます。その上でどうしても皆さんの支援が必要となったときに、入園料や協力金の議論をさせていただくのかなと」。

自然の恩恵を全力で体感し、楽しみ、消費したお金を使ってまた自然を守り育てていく。「日本の過疎地の基幹産業になりうるポテンシャルを感じた」という呉氏の言葉の通り、保護と利用の循環がもたらす明るい未来の姿を想像できる時間となりました。
理想のまま終わらせてはいけない。国立公園の今後に注目が集まります。

尾瀬は生物多様性の課題が山積し、維持も難しくなっている現状だが、長い歴史の中で蓄積された知恵やルールは確固たる指標として受け継がれている。楽しい体験コンテンツだけでなく、保全活動にも気軽に参加できる受け皿、体制作りが急務となる。

レンジャーとも呼ばれる自然保護官の3名。自然と人に丁寧に向き合いながらプロジェクトを推進する姿が印象的だ。「職員はビジネスの経験はないが、自然が好きで、その楽しみ方や感動は知っている。民間事業者の方達と一丸となり、お互いの得意・不得意を組み合わせ、パートナーシップを大切にしていけたら」とは岡野氏の弁。
Posted in 未分類

野菜と果物の恵みを一滴残らず体に取り入れる、話題のコールドプレスジュース。[和光アネックス/東京都中央区]

鮮やかなビタミンカラーの『ピーターオレンジ』は、やさしい甘みとすっきりとした後味で初心者でも取り入れやすい。

WAKO ANNEX健やかな毎日の第一歩に。ジュースで始める健康習慣。

兵庫県宝塚市にある人気店「LA SANTE(ラサンテ)」の味をそのまま冷凍し閉じ込めた『健康マルシェ』のコールドプレスジュース。スロージューサーという専用の機械で野菜や果物の水分だけを絞り出したジュースは、低温低圧圧縮という方式で摩擦や熱を極力加えずに作るため、酵素やビタミンなどの栄養を極力失わず、体内に取り入れることができるといわれています。その味わいは、野菜や果物そのもの。数あるお味の中でもクセが少なくバランスのとれた『ピーターオレンジ』は、コールドプレスジュースが初めての方にもおすすめです。

鮮やかなオレンジ色は、ベースとなる人参とオレンジ由来。まる絞りした人参のほのかな甘みとコクに、キウイとレモンの酸味がすっきりとした後味に仕上げています。

人参に含まれるβカロテンは、粘膜や皮膚を維持し、免疫力を向上させるといわれています。またオレンジ、キウイ、レモンにはビタミンCも豊富に含まれるため、毎日の健康づくりや、美肌を保ちたい方にも。1本に含まれる野菜と果物は、約1〜1.5kg。美味しく、体の中からきれいになる一石二鳥の健康習慣、あなたも始めてみては。

果物や野菜は旬のものを国内からセレクト。自然の力を楽しみながら、健康で豊かに過ごしてほしいという思いが込められている。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

鮮烈な記憶を焼きつけて終わった夢の時間。食の祭典『DREAM DUSK』の堂々たるフィナーレ。[DREAM DUSK ENCORE/福岡県福岡市]

当初は100席から始まったが翌年に150席に増席、3年目からは2日開催と拡大。今回の最終日は180席が即完売となった。

ドリームダスク アンコールやがて伝説として語り継がれる晩餐の幕開け。

「DREAM DUSK」、それは美食家たちの夢を叶える食の祭典。

国内最高峰の料理人たちが集まり、今宵のためだけの、たったひとつのコースを作り上げる。それはまるで、時間や距離の制約を越えて名店をハシゴするような、この上なく贅沢なコースとなる−−。

2016年、博多のリゾートホテル『ザ・ルイガンズ』を舞台にプロデューサーである本田直之氏の夢とともに始まった『DREAM DUSK』は、コロナ禍での延期を経ながら2022年の第5回『DREAM DUSK FINAL』をもって幕を下ろしました。

「回を重ねるごとに期待値が高まる中、常に前年を上回る内容を目指してきました。そして“これ以上はない”という場所まで到達した。すべてやり切った、と言える内容です」
本田氏は、惜しまれながらの閉幕をそう説明します。

しかしカーテンコールの拍手は、いつまでも鳴り止みませんでした。

その願いはただひとつ「アンコール!」。忘れ得ぬ美食の記憶を胸に、口々に再演を願うゲストたち。そしてついにその熱い期待に応え、『DREAM DUSK』が本当に最後の一度だけ、『DREAM DUSK Encore』として帰ってきたのです。

最高潮に達したゲストのボルテージ。開演はまもなくです。

『DREAM DUSK ENCORE』は、まさにファンたちのアンコールに応えて開催にこぎつけた。

ドリームダスク アンコール食べる前から期待が膨らむ、錚々たるシェフの顔ぶれ。

『ザ・ルイガンズ』のリゾートムード漂うエントランスを抜け、ウェルカムドリンクで乾杯。開場の合図とともに開かれた扉を抜けてダイニングに移り、席に着き、卓上に置かれたメニューに目を通す。

正確には“目を通す”ことは叶いませんでした。メニューリストのシェフの欄、その最上段に記された名に、目を奪われてしまったから。

天寿し 天野 功

それは“日本一”との呼び声も高い小倉の寿司店と、稀代の寿司職人の名。限られた席を多くの食通が奪い合う人気店であり、その親方がこのようなイベントに登場するとは、耳にしたことがありません。

驚きも冷めやらぬままメニューの続きを見ると、続く名にも驚きの連続。焼き鳥界のレジェンドである目黒『鳥しき』池川義輝氏、京都の気鋭店『肉料理かなえ』の北口亮佑氏、圭奈笑氏の兄妹、パリで日本人シェフ初となるミシュラン二つ星を獲得した『Blanc』の佐藤伸一氏、薪を使った前衛的イタリアンで食通を唸らせる『TACUBO』の田窪大祐氏。ドリンクディレクターには日本を代表するソムリエ・大越基裕氏。

これぞまさにドリームチーム。

一度ファイナルを迎え、アンコールとして再び相まみえることで最高潮まで高まっていた客の期待を、軽々と上回るような顔ぶれです。

乾杯のドリンクは、磨き抜かれたグラスに注がれるドン・ペリニヨン。シェフの顔ぶれもあって緊張が高まるなか、会場にシェフたちが登場しました。しかもあの名だたるシェフたちが、にこやかに手を繋いで会場に入ってきたのです。

会場は一気に和やかなムードに変わります。食は楽しむためのもの。コロナ禍を経て改めて確認された、人生を豊かに彩るための食の価値。その素晴らしさが伝わる演出です。

ウェルカムドリンクはシャンパン、グレンモーレンジィのハイボール、そしてエビアンスパークリング。

ペアリングの数に合わせ、用意されたグラスも7脚。ゴージャスなテーブルセットに胸が踊る。

会場の緊張感をほぐすように、手をつなぎ、笑顔で登場したシェフたち。

左からプロデューサー本田直之氏、『天寿し』天野功氏、『鳥しき』池川義輝氏、『肉料理かなえ』北口圭奈笑氏、『TACUBO』の田窪大祐氏、『Blanc』の佐藤伸一氏、『肉料理かなえ』北口亮佑氏、ドリンクディレクター大越基裕氏。

「九州中のドンペリニョンを集めた」という言葉通り、乾杯のシャンパンはおかわりができるほどふんだんに用意された。

ドリームダスク アンコールすべての料理が記憶に残る、奇跡のようなコース。

ひとり2〜3品の料理を作るコース。

寿司と焼き鳥と肉料理とフランス料理とイタリア料理。しかもそれぞれが強い個性で美食界を牽引してきた名店ですから、果たしてコースとして成立するのか、という疑問も浮かびます。

しかし心配は杞憂でした。シェフ同士が事前に何度も打ち合わせし、コースを綿密に練り上げる。それぞれが自身のベストを尽くしつつ、コースとしてのバランスも崩さないのは、全員が一流だからこそなし得たチームワークなのでしょう。

佐藤氏による前菜は、牡蠣のアイスクリーム仕立てにソローニュ産キャビアを贅沢に添えた逸品。続いては天寿しを代表するネタであるイカを小丼仕立てで。

「ホテル内で炭火が使えないことで、かえって鶏の新たな魅力を伝えられる」と気合を見せた池川氏は、2種類のタコスを考案しました。田窪氏渾身のボロネーゼは、本田氏が夏トリュフたっぷりとすりおろす演出も。北口氏のタン煮込みは、大振りなタンを目の前で捌くことで会場を湧かせました。

後に本田氏は振り返りました。

「ラグジュアリーが正装である時代は終わりました。いまのラグジュアリーとは、記憶に残る体験を心から楽しむこと」

ゲストもシェフたちも心から楽しみ、おいしければ“おいしい!”と大きなリアクションとともに伝える。それは型にはまり、決まったルールに則るこれまでのラグジュアリーとは一線を画す体験です。

さて続いてのメニューは握り寿司。

本田氏の合図で両開きの扉が開くと、そこには特設の板場が設けられ天野氏をはじめとした寿司職人の姿が並んでいます。そこに居た職人たちは『鮨よし田』『寿司つばさ』『鮨 唐島』、いずれも福岡でトップクラスに君臨する名店ばかり。これほどの猛者たちが一同に集まる、奇跡のような光景です。

しかし、ゲストたちは、またしても我が目を疑いました。

天野氏の隣に立つ、染の作務衣の人物。それは『四谷すし匠』で江戸前鮨に革命を起こし、ハワイ、そしてNYへと鮨の文化を伝える巨匠・中澤圭二氏その人でした。

天野氏と中澤氏。鮨の2大レジェンドが並び立つ光景にゲストはカメラを手に板場を囲みます。たしかに今日を逃せば二度と見ることができないかもしれない、まさに歴史的な瞬間。2日目のディナーには福岡の『 鮨近松』、東京の『鮨しゅんじ』も参加し、連日盛り上がりを見せました。

サプライズで湧いた会場の熱は、その後も冷めることはありません。田窪氏が得意の薪火でサーロインを焼き、池川氏は鶏の天むすで盛り上げ、北口氏の黒毛和牛の辣油和えそばで満足感も十分。

大越氏がセレクトしたドリンクも秀逸でした。それは一貫したベースラインを奏で続ける通奏低音のように、幅広い料理にそっと寄り添い、ひとつのコースという範囲に繋ぎ止める役割。目立ちすぎず、控えすぎずのセレクトは、料理を引き立てるペアリングの力を改めて感じさせました。

佐藤氏のアカシアの蜂蜜のアイスクリーム、そして田窪氏のフィナンシェで心地よい余韻とともに終わったこの日のコース。その味と演出は、ゲストの心に忘れ得ぬ記憶として刻まれたことでしょう。

『DREAM DUSK』、夢のような夕暮れ。その夢の時間は、いま幕をおろしました。

佐藤氏の一品目は牡蠣の旨みを凝縮した「Glace aux huîtres,Caviar imperial de Sologne.」

フランス仕込みの繊細かつエスプリのきいた料理が佐藤氏の真骨頂。得意の牡蠣料理を今日のためにアレンジした。

『天寿し』の「イカの小丼」。歯切れ良く、甘み豊かなイカをシンプルに味わう天野氏の真骨頂。

厨房ではその神業から学ぼうとする若き職人たちに囲まれる天野氏。このような交流が生まれるのも、食イベントの魅力。

『鳥しき』の「2 Tori Tacos」。炭火が使えない中で鳥の旨みを引き出す池川氏の技とアイデアが光る。

威勢のよい兄貴肌。池川氏の存在感が会場も厨房も賑やかに盛り上げた。

『TACUBO』の「ハタヤリン ボロネーゼ 夏トリュフ」。芳醇なトリュフがコクのあるボロネーゼと響き合う。

100人前以上のパスタを見事な手際で仕上げる田窪氏。味はもちろん、仕上げるタイミングにもシェフの技量が垣間見える。

『肉料理かなえ』の北口兄妹。にこやかな二人だが、心には肉にかける真摯な思いが潜む。

『肉料理かなえ』の「タン煮込み 季節のソース」。

天野氏と中澤氏の共演に、カメラを構えるゲスト。誰もが、この瞬間がいかに奇跡的なのかを理解していた。

生ける二人の伝説を前に、ひるむことのない次世代の寿司職人たちの姿も心強い。

大越氏のドリンクセレクトやサービスもこの日の大切な柱。ペアリングの持つ力を、改めて知らしめた。

ドリームダスク ファイナル惜しまれながらの閉幕と、見事なまでの有終の美。

一夜明けた翌日、『ザ・ルイガンズ』の野外スペースでスペシャルランチが開催されました。昨夜の晩餐が、和やかな中にも特別な体験を楽しむラグジュアリーな時間であったのに対し、このランチはまさにお祭り。晴れ渡る空の下、紙コップのドリンクと紙皿の料理を手に、思い思いのスタイルで食事を楽しみます。

ただひとつ、普通のお祭りと異なるのは、紙皿の上の料理が、名だたる名店、人気店の特別メニューだったこと。

ひときわ長い行列ができていたのは、東京『鳥しき』『鍈輝』、大阪『市松』『えんや』、福岡『ひょご鳥』六三四』の6名店が揃った『焼鳥達人の会』。ラーメン、餃子、ハンバーガー、ワイン、日本酒、クラフトビール。素晴らしいロケーションのもと、気軽に、楽しく美食をハシゴする最高の時間が続きました。

「福岡は、サン・セバスティアン以上の美食の町だと思っています。九州の最高の食材と腕の良い料理人が揃い、屋台の伝統からハシゴの文化もある。コンパクトシティに美食の要素が凝縮されているのです」

とプロデューサー本田直之氏は話します。

「当初“ありえない食のイベント”のテーマで立ち上がったDREAM DUSK。テーマは予約の取れない店ばかりを、ひとつのコースにすること。続けるうちに開場の一体感も高まり、想像以上のイベントになりました。僕はあらすじを作っただけ。この素晴らしい時間は、ゲストが作りあげたものだと思います」

それでも、これほど惜しまれながらも終わりを迎えるのは、日本の食文化に新たな可能性を提示するという責務を果たしたから。そして「記憶に残るうちに、夢のように終わるのが良い」という本田氏の願いから。

たしかに『DREAM DUSK』という夢の時間は、参加したゲストにも、そしておそらくシェフたちにも、忘れ得ぬ記憶となって刻まれたことでしょう。

翌日の福岡は、気持ちの良い晴天。ラフな姿のゲストやシェフたちが思い思いに楽しんだ。

ようやく炭火の前に戻った池川氏も、このリラックスムード。食の楽しさをゲストに伝えた。

入場制限のないランチはあっという間に大混雑。各料理の窓口の前には長蛇の列が伸びていた。
アウトドアランチは『HASHIGO: Restaurant Crawl  -人気店を一日で食べ歩く-』という名で拡大継続を予定。今後の展開にも期待したい。

アンコール、そして終幕。伝説的イベントのトリを飾るにふさわしい今回のシェフたち。

Text:NATSUKI SHIGIHARA

Posted in 未分類

今、食すべき地方の才能。人生の岐路は、料理人を強くする。

2023年、「Destination Restaurant of the year」を受賞した福島県いわき市の「HAGI」。オープンキッチンの店内では、料理の温度や香りも楽しめる。「強く見えるけれど、優しい火」と萩氏。(公式HPより一部抜粋)

ディスティネーションレストラン日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のレストランリスト。

まず始めに、これを読んでいただいている方にお伺いしたいことがあります。

世界中に多くのレストランアワードがありますが、何を参考にしていますか?

老舗のものから流行のもの、料理ジャンルに特化したもの、昨今ではサスティナブルな視点のものまで様々です。ワインや日本酒、焼酎など、ドリンク専門のものも少なくありません。

「ONESTORY」においては、2016年の創業より「DINING OUT」という表現を通し、そういったものに左右されない独自の思想を大切にし、地域と向き合い続けています。それは、2017年から展開したメディアにおいても同様です。

そんな中、共感を持つアワードに出合いました。「Destination Restaurants」です。「The Japan Times」が運営するそれは、日本発信のレストランセレクション。もう少し噛み砕くと、「日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のレストランリスト」です。選考者は3名。学校法人辻料理学館理事長兼辻調グループ代表の辻 芳樹氏、レバレッジコンサルティング代表CEOの本田直之氏、アクセス・オール・エリア代表の浜田岳文氏です。本田氏と浜田氏は、この肩書きよりも、国内外を巡るフーディーと伝える方が納得かもしれません。本田氏は、毎日のように屋台、B級からレストランまでの食を極め、自らシェフイベント「Dream Dusk」なども主催。浜田氏は、約120カ国・地域を踏破し、「OAD Top Restaurants」レビュアーランキング5年連続世界一。本業ではないその活動は、「好き」が昂じたものだったのかもしれませんが、今となっては「使命」すら感じるのは自分だけでしょうか。

そんな「Destination Restaurants」は、今年で3回目を迎えます。2021年に発足するも、世界中がコロナ禍に。2022年に2021年度と合同の受賞式が初開催でき、本当の意味で産声を上げました。2023年の模様をお伝えする前に、まず、2021年、2022年を少し振り返りたいと思います。

2023年「Destination Restaurants」の受賞者(後列)と、(前列左より)主催者の「The Japan Times」代表取締役会長兼社長の末松弥奈子さん、選考者のアクセス・オール・エリア代表の浜田岳文氏、学校法人辻 料理学館理事長兼辻 調グループ代表の辻 芳樹氏、レバレッジコンサルティング代表CEOの本田直之氏。

ディスティネーションレストラン選考基準の先にある尊さ。それは、美味やホスピタリティを凌駕する、人生の物語。

「Destination Restaurants」の選考基準もご紹介したいと思います。まず、その対象は東京23区と政令指定都市を覗く日本にあるあらゆるレストランだということ。それをもとに、「日本の風土の実像は都市よりも地方にある」、「地方で埋もれがちな才能の発掘を目指す」、「既存のレストランセレクションとの差別化を図る」という3つの点を重視し、毎年10店のレストランが選出されます。

2021年には、富山県南砺市の「L’evo」。2022年には、和歌山県岩出市の「villa aida」が各年の「Destination Restaurants of the year」を受賞しました。

「ONESTORY」においても両レストランとの親交は深く、「villa aida」のシェフ・小林寛司氏においては「DINING OUT HIEIZAN」の記憶も新しいです。そのほかも親和性の高いレストランが多く受賞されています。

2021年「Destination Restaurants」の詳細はこちら
2022年「Destination Restaurants」の詳細はこちら
2023年「Destination Restaurants」の詳細はこちら


「L’evo」と「villa aida」は、地方を極めた好例と言って良いでしょう。スタイルも風土も異なる独自の2店に共通することは、レストランだけではないこと。

「L’evo」は、ホテルも併設。これを両輪できるレストランは日本全国を探しても稀有。本田氏も「どんなに良いレストランがあっても、宿やホテルがない地域が多い」とコメントを残しています。容易ではありませんが、両立を成せれば、辺境の地ですら旅先として成立できることを証明しました。

このアワードの通り、レストランを目的地にする旅は近年では珍しくはありません。ただ、旅はレストランだけで完結しません。レストランで過ごす前後の時間も含め、旅の質は決まります。

一方「villa aida」は、自身で畑も耕し、一次産業も担う農から始まるレストラン。

2店を価値化しているのは、レストランの「中」の時間だけではなく、レストランの「外」の時間。つまり、営業時間外。受賞式では、辻氏、本田氏、浜田氏のトークイベントも開催され、この話題の中心となるのも、外の時間のように感じます。

生産者との関係構築、地元の食材を活かしているだけに留まらない風土の理解度、IターンやUターン、家業ゆえの苦悩……。受賞店のほとんどが、5年、10年、20年かけて、今のスタイルにたどり着いています。

例えば、2023年受賞の沖縄本島から離れた古宇利島の「レストラン6(シス)」のシェフ・小杉浩之氏は、流通や食材の難しさを語ります。
「沖縄といえば、一年を通してすごい夏かちょっと夏(苦笑)。塩害も多く、食材が限られています」。

小杉氏は、名古屋の名店「イレテテュヌフ」から移転。全く異なる環境で再スタートを切る形となりました。「以前の環境は、市場に行けば食材が豊富で、それを見てメニューを決めていました。ある意味、食材に逃げていた。ですが、今の環境は食材が極めて限られています。食材から逃げることができない」。

選択肢の少ない環境は、技術向上はもちろん、強い精神力も備わったのではないでしょうか。

また、同年に受賞した新潟県新発田市の「登喜和鮨」の職人・小林宏輔氏は、東京で修行を積んだ後、家業を継いだ3代目。

「戻って来た当初、漁師さんから直接魚を仕入れようと思い、色々な漁港を回ったのですが、口も聞いてもらえませんでした。それからは、気になる船を見つけては会いに行っての繰り返し。少しずつ信頼を積み重ね、今では良好な関係を築けています」。本人は笑い話のように振り返るも、その苦労は計り知れない。帰郷後16年目の言葉は重く深い。

視点を変え、2021年に受賞した東京都調布市の「ドン・ブラボー」もまた、このアワードらしさが出ていると思います。調布という絶妙!?な地域は、地方に行くよりも足が遠のく微妙!?な距離感も孕み、「地方で埋もれがちな才能の発掘を目指す」指針の着眼そのものではないでしょうか。

美味しい料理やホスピタリティ、気の利いたサービスも重要ですが、「Destination Restaurants」は、それよりも、人間としての深さを感じるレストランが受賞されているのではないでしょうか。

その一番を物語っているのが、2023年「Destination Restaurant of the year」を受賞した福島県いわき市の「HAGI」です。

2021年「Destination Restaurant of the year」を受賞した富山県南砺市の「L’evo」。「ONESTORY」においても2017年に取材。当時、「奇抜なテクニックを駆使しているわけでも、世界の高級食材を使用しているわけでもありません。ただ富山に寄り添い、食材のあるべき姿の料理に仕立てる。そこでしか食べられない料理とはつまり、土地の恵みを最大限に生かした料理のことなのです」とシェフの谷口英司氏は語る。

2022年「Destination Restaurant of the year」を受賞した和歌山県岩出市の「villa aida」。「ONESTORY」においても2017年に取材。2022年には「DINING OUT HIEIZAN」のシェフも務める。

今回、普段では聞くことのできない苦悩の一部を話してくれた2023年受賞店「登喜和鮨」と「レストラン 6(シス)」。2021年受賞店の「ドン・ブラボー」の立地は、シェフの平 雅一氏が生まれ育った町であり、料理人だった父親の店の跡。全てに理由はあるのだ。

「ONESTORY」では、2021年の受賞10店中、「L’evo」、「Restaurant UOZEN」、「レストラン エタデスプリ」、「とうの屋 要」、「ペシコ」、「すし処 めくみ」、「日本料理 高村」、「片折」の8店を過去に取材。親和性の高さが伺える。

2022年の受賞店「ラトリエ ドゥ ノト」は「ONESTORY」でも過去に取材。シェフの池端隼也氏は、「DINING OUT WAJIMA」の協力者でもある。また、「里山十帖」を率いる岩佐十良氏は、2023年に「新潟ガストロノミーアワード」も発足。両店は、先ごろコラボイベントも開催し、県を超えたつながりも強固に。

2023年受賞店「カーサ デル チーボ」は「ONESTORY」でも過去に取材。青森県八戸市の住宅街に潜むそこは、知る人ぞ知る名店。料理の実力もさることながら、シェフの池見良平氏は、「地元の食材への信頼、地元への誇り」を持ち続ける。

ディスティネーションレストランだから白衣にこだわる。この喜びは、一緒に泣き続けた生産者に届けたい。

「HAGI」のある福島県は、言わずもがなコロナ禍以前より、難局の連続でした。

2011年3月11日には未曾有の大地震、津波、その後、2012年には原発事故による放射能問題。その後、数年をかけて除染されたとはいえ、世間のイメージを払拭するのは難しかったでしょう。

シェフの萩 春朋氏の受賞スピーチはこんな言葉から始まりました。

「福島県は、海も山もある箱庭のような美しい町です。ですが、3.11以降、全てが変わってしまいました。限界都市や消滅都市と呼ばれる地域のように、私たちの目の前にあったものは、一瞬にして蒸発してしまいました。そこで料理を続けて良いのか、悪いのか、本当に悩みました。ですが、ここで私たち料理人や生産者が歩みを止めてしまっては、福島の食文化がなくなってしまう、残さなければいけない、そう思いました。だから、継いできました」。

あれから、12年。萩氏は生産者たちと「50年分を10年でやった」と話すそうです。

「今は目の前に美味しい食材がある。それを料理できる喜びを感じています」と言葉を続け、ここで初めて萩氏は笑みを浮かべたのが印象的でした。

2011年の震災時、復興に参加したシェフは全員東京の方だったそうです。それはなぜか。

「福島にシェフがいなかったからです」。

以降、萩氏は、「福島にシェフがいる」ことを伝えるかのように、表舞台に出る際は必ず白衣を着ると言います。今回においても、他のシェフはスーツの中、白衣で参加していたのは萩氏ひとり。

「地元にもシェフがいる。地方にもシェフがいる。田舎にもシェフがいる。それをひとりでも多くの人に認知してもらえたら嬉しいです。今、料理を目指している人たちは、世界や東京で修行を積むシェフが多いと思います。ですが、最後には地元に戻ってレストランを営む。そんな文化が根付いてくれたら、日本のレストランはもっと良くなると思います」。

計り知れない逆境を乗り越え、己を鼓舞し、諦めなかった12年の時間が込められたスピーチは約4分。この短い時間の中に凝縮されたメッセージは、胸に熱く突き刺さった。

最後に、この喜びを誰と分かち合いたいかという問いに対し、萩氏は「生産者の方です」と答えました。長く苦しい、先の見えない暗いトンネル。途方にくれ、一緒に涙を流し続けた同志です。

「ある日、生産者の方が赤い服を着て、畑仕事を再開したんです。俺は畑の太陽になるんだ! そう言いながら、毎日、毎日、汗を流している姿に胸が熱くなりました」。前出、萩氏にとっての白衣のごとく、この赤い作業着もまた、生産者の強い想いが込められているのだと思います。

「生産者の方々には、感謝してもしきれない」と話す萩氏の料理は、食材を育てる肥料などの成分も理解した上で、その味を壊さず、引き出すもの。お客様はもちろん、生産者も幸せにしたい」と言葉を噛み締めます。

「福島には本当に良い食材が集まっている。今の福島は元気です。自分も料理の力でこの町に貢献したいと思っています」。

鮮度にこだわる「HAGI」の料理。鮮度とは命の時間を表す。「鮮度と命は巻き戻しが効かないため、だからこそそれに出会っていただきたい」。(公式HPより一部抜粋)

「HAGI」の料理たち。「時間をおくことによって生まれる旨味は土によって補います。 何か月も土の中の旨味であるミネラルを吸って育った野菜たち。 それでも不足する旨味があり、そこは薪によって補います。 薪は素材の水分を奪わない性質があります。また、焦げることもありません」。(公式HPより一部抜粋)

「自然と生きる生産者の食材は、いつも一定とは限りません。いい時もそうでない時も生産者とともに、日々の食材と向き合い、寄り添う中で料理をしていきたい」と「HAGI」の萩氏。(公式HPより一部抜粋)

ディスティネーションレストラン日本のレストランが向かう、次なるステージ。しかし、何があろうとも、かけた「時間」は裏切らない。

「先日、海外のフーディーたちとの集いがスペインのマドリードであったのですが、世界中を食べ歩いている人が一番行きたい国はどこか、それは日本です。そして、世界で活躍しているシェフが一番行きたい国はどこか、それも日本です。これは間違いありません」。世界と目線を合わせた際、浜田氏は、こう話します。実体験ゆえ、説得力も絶大。さらには日本に対するレストランの印象も変わってきていると言葉を続けます。

「例えば、以前であれば、日本に来たら、和食、鮨という印象がありましたが、今は違います。日本の食材で日本人が作る料理に注目が集まっています。つまり、日本食だけではない日本のレストラン。例えば、京都「ノーマ」のポップアップ(2023年3月15日〜5月20日)のために世界中のフーディーが旅をするわけですが、その後どこに行くかと聞けば、和歌山の「villa aida」という答えが返ってくるわけです。日本のレストランは次のステージに向かっている」。

一方、本田氏は、地方でレストランを営むシェフ像について持論を話します。

「料理がライフスタイルになり、それが憧れになるような存在になると、もっと地方でレストランをやりたいというシェフも増えるのではないでしょうか。純粋に格好良いなって思えるヒーローみたいな。ただ、日々営業もしていますし、中々、外の世界を知ることも難しい。そんな苦労もあると思います。ですので、今回のような場を通して、シェフ同士につながっていただき、共有の場にもなってもらえればと思っています」。冒頭、本田氏は、経営者でもあり、フーディーでもありますが、あえてもうひとつ加えるならば、人と人をつなぐ専門家でもあるのではないでしょうか。

共有というワードにおいては、浜田氏も追います。「その昔、サンセバスチャンでは、町として楽しめるようにレストランが集い、協力し、レシピなども開示し、共有し、シェフたちが切磋琢磨ていたそうです。レストラン1店だけでは、一般的な人たちの旅として成立させるには難しい。同じ地域に数店を回遊できたりすると、ゲストの満足度はもちろん、経済としても好転するのではないでしょうか。日帰りが1泊になり、さらに2泊になる。そういう意味では、やはり宿泊施設も大切。レストランだけでなく、地域全体で観光促進のビジョンを共有し、協力し合うことで盛り上がっていくことを願いたいです」。

「Destination Restaurants」に選ばれたレストランは、そのきかっけや起点になる可能性を秘めているのかもしれません。

辻氏においては、社会や雇用についての課題とこれからについて話します。

「一番思うことは、女性の雇用を増やしたいと考えています。また、今後、規制を緩和させ、海外の誘致者の雇用も視野に共創させたい。そうすれば、もっと才能を増やせ、もっと日本の食文化は上がる。そのための努力もしていきたいです」。

星をつけるわけでもない、ランキングするわけでもない、投票するわけではない。それが「Destination Restaurants」。選考者が、たった3名ということも、アワードの志を明確にさせ、それを個性としているのかもしれません。

また、東京や都市を経由せず、地方からダイレクトで海外へ発信できることもこのアワードの大きな魅力。「The Japan Times」主催の意義は、そこにあると考えます。

とはいえ、全てにおいて時間がかかることは、地方と向き合う絶対条件。しかし、「この時間こそが武器となる」と、2023年の受賞式にも参列していた「L’evo」のシェフ・谷口氏は言います。

「やっぱり、地方でレストランをやることは、大変なことだらけ。でも、それを一つひとつ解決していけば、きっと武器になる。かけた時間は裏切らない。きっとそれは価値になる。だから、例えどんなレストランやシェフが進出してきても怖くないです」。

どんなにテクノジーが発達しようとも、かけた時間を一足飛びに追い抜くことはできない。それが地方で生きるレストランなのです。人生の岐路を繰り返してきた料理人たちは、常に自身と向き合い、挑戦し、時に恐怖に怯え、不安や苦悩に押しつぶされそうになっても、強い意志を持って選択を繰り返し、戦ってきたのです。

味は技術にあり、感動は人にあり。

現在、「Destination Restaurants」は30店。「日本の食文化の地形を作っていく」辻氏、本田氏、浜田氏の旅は終わらない。

「東京と比べ、地方のレストランの方が生き生きしている」と浜田氏。「日本の地方には良いレストランが本当に増えました。まだまだ行かなければいけないお店がたくさんある」と本田氏。「6次産業化したガストロノミーの時代」と辻氏。「まだ始まったばかり、100店まで続けたい」と3名。

Text:YUICHI KURAMOCHI

Posted in 未分類

健康食材としても注目される、北海の幸「がごめ昆布」をふんだんに。[和光アネックス/東京都中央区]

これ1本で味が決まる、簡単便利な調味料の代表格である白だしを、こだわりの食材で作り上げました。

WAKO ANNEX素材を活かした料理に幅広く活躍。希少な昆布の魅力にフォーカス。

北海道の函館近海から室蘭市沿岸でのみ生育し、生産量が非常に少ない貴重な「がごめ昆布」。籠の目ような凹凸模様のルックスや、高級な真昆布に混じって採れることからやっかい者扱いされた歴史を経て、強い粘り、とろみの中に栄養成分が豊富に含まれていることが分かった近年は、健康、美容によい食材として世界的に注目されるようになりました。

そんながごめ昆布の健康食材としてのポテンシャルに着目した『医食同源』が手がける『がごめ昆布の白だしつゆ』は、がごめ昆布やかつおから丁寧に出汁をひきつくられた万能調味料。白だしならではの上品な色と、まろやかな味わいが素材本来の味わいを引き立てます。

煮物、鍋物のつゆとしてはもちろん、食材本来の色を活かしたいふろふき大根やおでん、茶碗蒸しなどにもお勧めです。薄めて麺のつけつゆやめんつゆにしたり、浅漬けに利用したり、もちろんそのまま冷奴などにかけてもおいしくいただけます。

毎日の料理のお供に香り高い白だしを選んでみてはいかがでしょうか。

つゆのうま味をダイレクトに味わうなら直がけで。和食だけでなく洋食などにも合う、守備範囲の広さも魅力です。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類

宮城の特産品「ミヤギシロメ」を主役に、滋味に富んだプレミアムなスープ。[和光アネックス/東京都中央区]

たくさんの食材を効率よく手軽に摂取できるのはスープだからこそ。

WAKO ANNEX大粒大豆と30種以上の野菜が織りなす、奥行きのある1杯。

できるだけ多くの野菜を手軽に、効率よく。そんな思いから誕生した『Maazel Maazel』オリジナルの食べるスープスムージー。

全ての商品のベースとなるのは、国産野菜34種類と米こうじをブレンドしたオリジナルのMM.ペースト。100種類以上含まれる米こうじの酵素は熱に強く、スープで手軽に摂ることができます。

今回ご紹介する『ふっくらミヤギシロメ大豆と黒ごま豆乳スープ』は、宮城県の特産品を贅沢に使用したプレミアムなひと品。大粒の中にうま味の凝縮した食べ応えある大豆に、香ばしい黒ごまとなめらかな豆乳が調和した、奥行きのある味わいです。

主役は、宮城県のみの優良品種である大豆「ミヤギシロメ」。胚芽が白い白目大豆で、豆が非常に甘いのが特徴で、国産大豆の中でもワンランク上と称されています。

調味料(アミノ酸)・増粘剤不使用。普段の食卓に彩りや特別感を与えてくれる贅沢なスープを、自身や大切な人の健康を願い、食卓やギフトに選んでみませんか?

ふっくらとした大豆の満足感に加え、黒ごまのセサミンや豆乳のサポニンといった健康効果も魅力。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
TEL:03-5250-3101
www.wako.co.jp
 

Photographs:JIRO OHTANI
(Supported by WAKO)

Posted in 未分類