イノベーションにはマインドセット変革!シリコンバレーが最適な理由

顧客体験を向上させる 次世代モバイル通信5Gの活用事例3選

「ここはシリコンバレー」とあるGoogle社員が感じた影

ユニコーンとシマウマの違いを知っていますか?【スタートアップ】

ロボットハンバーガー店Creatorで感じたUXの改善点

【2019年】btraxが注目する8のスタートアップ

【2018年】ストーリー性を重視したブランド構築事例4選

【2018年】注目を浴びた4つのテック分野とスタートアップまとめ

D2Cブランドに学ぶブランド認知向上に効果的なキャンペーン事例4選

Amazon Go型の無人レジ店舗の普及を目指す2つのスタートアップ企業

freshtraxがレポートに!シリコンバレー / サンフランシスコのトレンドレポートサービス開始

Amazon Goの仕組みは脅威となるか?サンフランシスコ店へ行ってみた

【医療テック×UX】スタートアップが変えた私達のヘルスケア体験

モバイル広告のAppLovinに聞く海外展開の秘訣

エイベックスが新社屋で起こすイノベーション【加藤信介氏インタビュー#2】

アメリカ西海岸のCEO達に学ぶ4つのワークスタイル

メルカリが取り入れる米国式ワークカルチャーとは【石塚 亮氏インタビュー#1】

イノベーションが生まれ続けるサンフランシスコの生活とは

イノベーションが生まれ続けるサンフランシスコの生活とは

イノベーションが生まれ続けるサンフランシスコの生活とは

innovation san francisco
皆さんはサンフランシスコに住む人々の生活を明確に描けるだろうか?どのように生活し、どのように仕事しているか、想像できるだろうか。今回は、我々サンフランシスコで働く人の生活の中に浸透しているテクノロジーを、衣食住(仕事)という切り口で紹介し、サンフランシスコがイノベーションを生み出し続ける街である所以をお伝えしたいと思う。
  • 衣:便利なだけではないオンラインファッションブランドの魅力
  • 食:オンラインサービスを使った方がより便利でお得という価値が確実に広まりつつある
  • 住(働く):サンフランシスコのイノベーションを生む、自分にあった仕事環境と通勤スタイルの選択

サンフランシスコは今もなお最新テクノロジーの発信源

btraxではイノベーションブースタープログラムを提供しているが、参加者には最長2ヶ月間サンフランシスコに滞在していただいている。その滞在のなかではプログラムに参加する以外にも、サンフランシスコの色々な最新サービスを自ら試し、自分たちのサービスアイデアに活かしている。 たとえば同プログラムに参加された日本の大手シンクタンクの社員の方々はサンフランシスコ市内で利用したUberの乗車時に、思いの外ドライバーと会話を楽しんだようで、サンフランシスコに住む人のようにサービスの価値を体験したようだった。 関連記事:日本でイノベーションが生まれにくいと思った3つのポイント サンフランシスコでは生活のあちこちにテクノロジーが浸透している。大手スタートアップの本社があったり、新しいスタートアップが次々と生まれたりする環境ということもあり、最新のサービスのテストマーケットとなることも少なくない。 また、ここで暮らす人の最新サービスに対する関心が高く、アーリーアダプターも多いため、新しいサービスが生活の一部になる速度が早い

サンフランシスコから離れて初めて気付く、テクノロジーと隣り合わせの生活

筆者はサンフランシスコに3年ほど住んでいるが、恥ずかしながら自分の生活にそこまでテクノロジーが浸透しているとは思わず、自分が依存しているとも思っていなかった。しかしその認識が間違っていたことに気付かされたきっかけとなったのは、先日休暇兼リモートワークで訪れたハワイである。 ハワイ、オアフ島は言わずと知れた観光業の盛んな土地であり、特にテクノロジーが盛んなイメージは当然ながらない。とはいってもアメリカ国内なのである程度はサンフランシスコで使ってるサービスも浸透していると思っていた。 しかしながらハワイに2週間ほど滞在して、普段のように生活、仕事ができずに不便を感じることが多かった。そしてその不便の多くはサンフランシスコのテクノロジーによって成り立っていた生活体験ができなかったからである。 一方で、ハワイならではのテクノロジーの使われ方も垣間見ることができたのも事実である。 Hawaii sharing bike (ハワイにあったシェアリング自転車のbiki) そこで今回は筆者のような文系サラリーマンでさえもサンフランシスコではテクノロジーに生活を支えられているという点をあたらめてまとめてみた。 また今回筆者はサンフランシスコを離れて暮らしてみてどれだけサンフランシスコが特別な環境なのかを実感したわけなのだが、特にスタートアップ、新しいビジネスアイデア、サービスを考えている人に、ここにどんな特別な環境があるのかということを知っていただければ幸いである。

衣:便利なだけではないオンラインファッションブランドの魅力

サンフランシスコはデザインやアートが盛んだったり、ヒップスターやヒッピーなど個性的なスタイルが根付いていたり、ファッション感度が比較的高い都市だ。ファッション業界の中でもテクノロジーという切り口でトレンドの勢いを増している。

買い物不要!便利などころか、専属スタイリストがつくサブスクリプションサービス

サンフランシスコの生活の中に浸透してきているファッション業界のスタートアップの中に、サブスクリプションやキュレートボックスなどの形態でおしゃれさと便利さを追求しているブランドがある。 2011年創業のStitch Fixはユーザーの好みやサイズを元に、パーソナライズされたスタイリングをキュレートしてユーザーに届けるサービスだが、2017年にはアメリカで11番目に大きいアパレル・靴のオンライン小売ブランドとまでなった。その成長率はAmazonを超える。 stitch fix (Stitck Fixから届く箱の中身のイメージ。写真は公式サイトより転載) ユーザーに届けられる5セットのスタイリングはStitch Fix独自のアルゴリズムから選ばれたものだが、スタイリストからのコメントもついており、テクノロジーとマニュアルのバランスが取られている。 好みに沿った服が届くのは大前提だが、ユーザーは数日間のうちに試着をしてみてサイズが合わなかったり、好みでなかったりしたら返却することができる。もちろん気に入れば購入ができる。 実店舗が次から次へと閉店して数が少なくなりつつある昨今、オフラインで購入をしようとすると消費者は店舗に行くまでに以前よりも時間をかけ、さらにその中から自分の好きな服、サイズを探さなくてはいけなくなった。 一方Stitch Fixは探すという行為を無くしてくれた。買い物をする時間があまりないけどテキトーな服でいいわけじゃない、もしくは何を着るべきかの助言が欲しかったりする人は、うってつけのサービスなのだ。 またテック企業を中心に女性起業家などの活躍が目立ってきている中、彼女たちの仕事ぶりだけでなくライフスタイルも注目されてきており、特に働く女性にとってファッションは忙しくても妥協したくないという思いが強くなってきているのではないだろうか。

購入だけじゃなく試着から返品までも自宅で完結できるようになる

さらに衣類のオンライン購入で消費者の悩みのポイントのひとつになっているのが、事前に本物の商品をみて試着ができないという点だが、返却サービスの提供、簡易化をすることでこのハードルを下げている。 大手Amazonに至ってはAmazon Prime会員限定で、Amazon Prime Wardroabというサービスを開始した。ユーザーが購入を考えている商品を選択すると、その商品が届き、自宅で購入前に試着ができるという仕組みである。 同封されている返却用の伝票を使えば、無料で返却商品の引き取りをしにきてくれたり、試着した商品の中から購入をすればさらに割引が得られたりと、事前に試着ができないという悩みの解決以上にお得なサービスを提供しているのである。 服だけに限らないアメリカの返品文化というのはオンラインでも同様に存在しているようだ。むしろオンラインでの返品サービスには今までより便利に使い続けられる工夫がみえる。 関連記事:アパレル業界の未来を予測!知っておくべき6つの現象【前編】

食:オンラインサービスを使った方がより便利でお得という価値が確実に広まりつつある

探す・予約・注文・受け取り。あらゆる外食体験がシームレスになりつつある

サンフランシスコは山手線内回り約2個ぶん程の大きさ*でありながら約4,400のレストランがあるという。当然レストランなどの飲食店の口コミサイトというのはサンフランシスコでもよく使われている。 その中でもYelpは有名で、実名による口コミだけではなく持ち帰りやデリバリーのオーダー、席の予約もアプリ内で行うことができる。本来はデリバリーを行っていないレストランの代わりにデリバリーするサービスはGrubHubPostmatesUberEatsなどかなり主流になってきた。 さらに最近ではGoogle Mapsがロケーションと時間に応じてレストランやオススメのアクティビティなどを地図上に表示してくるようになった。自分が検索してから決定までの操作を繰り返すうちに、より個人にあったオススメを表示してくれるようになるのであろう。 関連記事:小売業界の敵はAmazonではない? これからの小売が知っておくべき課題

オンラインは便利だけどお値段高めなんてことはなくなってきている

また、サンフランシスコの物価の高さはいつも悩みの一つで、外食も例外ではない。平日のランチであっても10〜15ドルかかるのが普通で、お財布に優しいオプションはいつも歓迎される。 そこに目をつけたのがMealPalというサービスである。日々のランチ(もしくはディナー)をサブスクリプション式で購入して、各レストランが1種類ずつ提供しているメニューから好きなものを事前に選び、自分でお店まで取りに行くというもの。 お店側にとっては決まったメニューを決まった量分作りやすいので1食5〜6ドル程度で提供ができるのである。サンフランシスコ界隈で働く人の間で広がりを見せている。 また日々の食材の買い物についてもAmazonFreshInstacartといったオンライングローサリーデリバリーサービスが、便利かつ、店頭販売価格とさほど変わらないお得さをメリットに浸透してきている。 sf food price table (食材価格サンフランシスコとアメリカの比較。こちらのサイトより転載) オンラインの注文は配達までに時間がかかる、店舗の方が安いというような消費者の心配はどんどんなくなってきていると言えるだろう。

住(働く):サンフランシスコのイノベーションを生む、自分にあった仕事環境と通勤スタイルの選択

住宅よりも働く空間によりサンフランシスコらしさが垣間見られると思うのでオフィススペースについても述べておく。

働く場所はどこでも良いけどどこでも同じという訳ではない

まずサンフランシスコではリモートワークは主流であることが街を歩いていてもわかる。日中カフェに入れば仕事をしている人を多く見かけるし、「今日はカフェで仕事してから午後オフィスにちょっと寄る予定」といったようなパターンをよく聞く。 会社のデスク以外で仕事ができるというのは会社の規則によって許可されているということだけでなく、サンフランシスコの多くのカフェなどでWiFiやコンセントなど働くことを前提にした場所がたくさんあるということでもある。 カフェなどの飲食店だけでなく、日本にも進出したWeWorkImpact Hubなどのコワーキングスペースも多くみられる。 利用者が自分の執務スペースだけでなくネットワークの構築やそこから起こりうるコラボレーションの機会を求めていることもこのようなコワーキングスペースが流行る理由であり、そのようなマインドを持つ人が多いこともまたサンフランシスコならではだ。

みんな同じである必要はない、通勤スタイル

また、通勤においてサンフランシスコ界隈で働く人の多くに利用されているのはシェアリングサービスである。 関連記事:【2017年最新版】コワーキングスペース 世界の8トレンド ドライバーの自家用車に相乗りしてライドをシェアをするUberは通勤ではさほど主流ではないものの、特定のルートを走る小型シャトルをシェアするChariotや、通勤者同士で運転手、乗客をマッチングするScoopFord GoBikeJUMP Bikesの提供する自転車もサンフランシスコ市内で展開されており、激戦区となっている。 ちなみに以前フライング気味でサービスが一部始まってしまったBirdLimeBikeSPINといったシェアキックスクーターも、2018年8月現在はサンフランシスコ市交通局の許可待ちの状態ではあるが各社資金調達に成功しており、勢いを増している。 テクノロジーとは少し離れるが、ローラーブレードやスケートボードで出勤をする人も見かけるあたり、サンフランシスコでは通勤においてもダイバーシティが認められ、それぞれが自分にあったスタイルを選択していることがわかる。 こういった姿もサンフランシスコのライフスタイルを形成する重要な要素と言わざるを得ない。 関連記事:サンフランシスコが取り組む通勤イノベーション

サンフランシスコのどういった人がこのような生活をしているのか

ここまで紹介したサービスは何も特別なものではなく、むしろサンフランシスコに長く住んでいる人であれば聞いたこと、使ったことのあるようなものばかりである。 エンジニアでも投資家でも起業家でもない筆者のような文系サラリーマンでも最新テクノロジーの情報が耳に入り、実際に見てその広がりを実感している。 (実際にアメリカ国内でもベイエリアのスタートアップは一番多くの投資を受けて拡大していることがわかるこちらのサイトより転載) これは間違いなくサンフランシスコ唯一無二の特徴だ。そして各サービスの広がりを見ているとサンフランシスコの以下のようなユーザーが、サービス拡大の根源を支えてくれていることがわかった。 まず、サンフランシスコ界隈にいる利用者の最新サービスに対する関心が高いので、新しいサービスへの抵抗が低い。人は得てして今まで使っていたものに慣れているから現状維持を選びがちだが、テック企業で働いている人や投資家などは新しいサービスを聞きつけるのも早いし、まずは使ってみたいという精神が強いアーリーアダプターが比較的多い。 この人たちによって、さらにそのサービスの情報や評判が広まっていく。 そしてさらに、アーリーアダプターを中心に使ってくれるので改善点がより早い段階で出てサービスの改善へと繋がっていくというサイクルがある。サンフランシスコはよく新サービスの試運転対象エリアとなることが多いのもそれが理由であろう。 btraxが日本の大手電機メーカー向けに行ったプロジェクトでも新規ユーザーを探すために、街で開発段階のサービスをテストしてもらえる人を探し、ユーザーインタビューを行った。 全く知らないサービスをテストして見知らぬ我々に協力してくれる人が少なからずいるということ、そして彼らが具体的にそのサービスを使うシーンを想定して共有してくれるフィードバックの質の良さは、やはりサンフランシスコならではでないかと改めて実感した。 関連記事:マジックなんてなかった!スタートアップ企業の初期ユーザー獲得方法

まとめ

今回、サンフランシスコを出てハワイで生活をしている時に感じたことをきっかけに、こういったテクノロジーを中心としたライフスタイルについて振り返ったわけだが、やはりアメリカ国内とはいえサンフランシスコは他の都市とは全く異なる特徴がある。 筆者はテクノロジーを追い求めてサンフランシスコにきたわけではないが、そんな筆者の生活にもあらゆる面でテクノロジーが浸透してきていた。 ハワイでUberを使った際には、サンフランシスコで主流である1台のUberを他のユーザーと相乗りすることで安価に乗車できるUber Poolというプランがなかったため、毎回ひとりでも1台をチャーターしなければならず、非常にお金がかかってしまった。 またハワイ、特にワイキキ周辺は働きにくるような場所ではないので当たり前かもしれないが、WiFiやコンセントのあるカフェがほとんどなく、コワーキングスペースもなかなかの過疎っぷりだった(事実、筆者が訪れたハワイのコワーキングスペースは訪問後数日後にクローズした)。 またサンフランシスコで新サービスの拡大を目の当たりにしたり、btraxプロジェクトで実際にサービス開発のサポートをしたりしたことを振り返ってみると、やはりサンフランシスコがどれだけ特別な場所なのかがわかる。 シリコンバレーを中心に世界トップレベルの技術力を持っているということはサンフランシスコ、ベイエリアの特徴の一部でしかない。 起業家精神のある人や最新サービスに対する感度の高い人が集まり、時には彼らが交わりながらまた新しいアイデアが生まれ育っている。こういった環境の中、ビジネスアイデアを作って育てて行けることがどれほど有効かは、先に紹介したサービスの例からもわかっていただけると思う。 サンフランシスコ、シリコンバレーだけが起業をできる唯一の環境というわけではないが、ここで暮らし、この環境にふれ、ここで試しながらサービスを発展させていくということはどの都市で行うよりも濃いイノベーションが起こせるのではないだろうか。 参考: ・Stitch Fix Proves Again That Data Is The New Hit FashionMealPal gobbles $20M for its restaurant meal subscription serviceShared electric scooters probably won’t return to SF until August *サンフランシスコ面積山手線内回り大きさ