2020年から2年近くのパンデミックの影響により、旅行業を中心に多くの業種が業種が生き残りのために大きな変化を強いられた。その中には、ブランド価値を最大で20%も失ったところもある。
その一方で、なかなかリアルな体験を提供しにくい時代に、デジタルを中心に上手なブランディングを成功させた例もある。消費者の行動が変化したことに合わせ、新しいブランド戦略を進める必要性が高まっている。
ブランディングの重要性は以前に比べ、何倍にも増していると言えるだろう。
ブランディングとは?
ブランディングとは、企業が消費者やユーザーと信頼関係を構築するためのプロセスである。代表的なのがロゴであるが、これはブランディング全体の一部でしかない。
そのブランドのビジョン、ミッション、目的を正確に伝えるための手段として、ビジュアル・アイデンティティやデザインから、メッセージングや声のトーンまで、すべてを包含するのがブランディングである。
なぜブランディングが重要なのか?
ものが溢れ、デジタルチャンネルがここまで普及した現代において企業が競合との差別化を実現する方法はどんどん少なくなってきている。
製品の性能や価格だけで勝負するにはあまりにもしんどくなるし、かといって営業やマーケティングだけに頼るのもコストがかかりすぎる。
そんな時にこれまでは何かと遠回りだと思われていたブランディングの重要性に着目する企業がどんどん増えている。
優れたブランドはユーザーからの第一印象から長期的なファン構築まで「なぜこの企業の商品を買いたいか」という理由づけを行ってくれる。逆にそれがないと買う理由も見当たらず、素通りされてしまう。
2022に注目すべき大きなブランドトレンドをご紹介
そんなブランディングが今までにないほど重要になった時代に合わせ、2022年の最新トレンドをいくつか紹介していこうと思う。
どんどんミニマルなデザインに
ファッションブランドのロゴを中心に、ミニマルなロゴデザインを採用し始めている。
ミニマリズムはこの10年のデザイントレンドであり、ビジュアルアイデンティティやメッセージングなど、ブランディングも適用されている。
デジタル世代のユーザーは直接的なコミュニケーションを求め、ブランドを理解するための両力を最小限に抑えたいというニーズがある。
ブランド側もこうした顧客動向を踏まえ、曖昧さを排除し、明快なコミュニケーションを実現するために、多くの企業のビジュアル・アイデンティティが非常にシンプルな表現を採用する傾向が見られる。

よりミニマルになるブランドロゴ
筆記体のフォントやその他の視覚的な要素を廃し、強くシンプルな書体を使ったロゴタイプを採用したロゴが多くなってきている。
これによって、ロゴの適用が容易になり、顧客もブランドにとってもコミュニケーションコストが軽減される。
レトロスタイルの採用
ミニマルなスタイルと共にトレンドとなっているのがレトロスタイル。立体的なデザインスタイルから、フラットなスタイルを採用するブランドが増えてきている。
そして70年代風レトロや、バウハウス調のビジュアルデザインを通じて、グラデーションでゴテゴテになった現代の多くのブランドとの差別化を図るのが狙い。

レトロだがユニークなバウハウス調のデザイン
また、バーガーキングのリブランディング事例に見られるように、ロゴをあえて過去のものに戻すなど、少し心が休まるようなブランドデザインを採用する企業も出てきている。
ブランディングの核はストーリー
消費者は、ブランドの価値観や信念が自身のライフスタイルにどのように「フィット」するかによって、そのブランドを購入するかどうかが決まると言っても過言ではない。
特に本質を見抜くスキルの高いZ世代は、誇大広告や “修正された” メッセージに不信感を抱く。特に広告のメッセージングと実際の行動がずれている場合は、一瞬にして信頼を失ってしまう。
それ故にブランドのミッションやバリューを可視化し、そこに一貫性のある活動をし、それをストーリーとしてクリアに見せていく必要がある。
それには、ポジティブな変化をもたらすというコミットメントを伝えること、そしてそれを実行に移すことが重要になってくる。
そして、なるべくプロモーション広告よりも、社会へのメッセージや信念をストーリーとして発信する方が効果が高い。
例えばこのNETFLIXのビルボード。

NETFLIXのビルボード
広告の掲示に利用されるパネルに表示されたのは「夢を諦めんな!俺たちだって最初はDVDレンタルから始めたんだ!」の文章。
今でこそオンラインで動画を視ることが一般的だが、NETFLIXが創業した1997年当時はオンラインでDVDをオーダー、郵送するサービスを提供していた。
この創業ストーリーは、どんな広告よりもパワフルに人々の心に響く。特に力強いメッセージを添えると。
正しくて透明なブランド
この1年、社会的な問題がクローズアップされ、さまざまなソーシャルメディア上で人々がよりオープンに意見を述べたり、強い立場を取ったりするになった。
それに合わせ、消費者は、ブランドの「社会意識」やブランドが支持する価値観に積極的に目を向けるようになった。
マッキンゼーが行った調査では、消費者の61%が、危機の際にブランドがどのように対応するかによって、危機が去った後もそのブランドを買い続けるかどうかが決まると答えている。
消費者は今、ブランドが社会的な問題に対しての正しい対応を求め、その活動内容を透明化することを期待している。
社会に配慮し、責任を持っているブランドは、消費者の信頼をより早く得ることができ、その結果、ブランド価値の上昇を見ることができるだろう。
パタゴニアは、「言うこと」と「やること」を一致させたブランドの好例だろう。
パタゴニアのウェブサイトは、環境への影響を最小限に抑えるために同社がとっているステップをブログ記事、ビデオ、統計などで明確に紹介し、同社のプログラムと進捗状況を説明している。
このコンテンツとメッセージは、パタゴニアの価値観と変化への真正なコミットメントを強く反映している。
アイコン化していく企業ブランド
企業のDXげ進むにつれ、消費者への接点とサービスのデジタル化が進んでいる。これは同時に、多くの企業がパソコンやスマホの中にその存在を移し始めているということでもある。
言い換えると、企業の ”アプリ化” が進み、同時にブランドがどんどん “アイコン化” していくということでもある。
それに合わせ、多くのブランドロゴが通常のデザインに合わせ、アイコンバージョンも準備している。

スクリーンサイズに応じて異なる要素を含むレスポンシブロゴ例
このように、最近のブランドロゴは、複数のデバイス向けに可変し、ユーザーにとってアイコンとして認識されている。
既存ブランドも新規ブランドも、アイデンティティを作成する際には、アイコンバージョンも忘れずに準備したい。
ハイパーモダン・ブランディング
そして最後に冒頭のレトロスタイルの真逆を行くトレンド。2021年後半から話題になり始めたメタバースやWeb3の登場で、ブランドデザインにも少なからず影響を与え始めている。
NTFやCryptoなど、かなり近未来的な概念が適用されていることもあり、そのブランドデザインもかなり未来的。
80年代に流行した原色のネオンカラーや、映画トロンを彷彿とさせるデザインスタイルで、これから始まる大きな革命を予感させるイメージが彩られている。

Web3のデザイン要素を採用したサイト例
“Web3っぽい” デザインの特徴としては、紫外線で浮かび上がるイメージや、デジタルネットワークや、神経パルスを思わせるダイナミックなパターン、神秘的なシンボルや有機的ななラインを採用する。
Web3っぽいデザインの特徴:
- カラフルなグラデーション
- 3D要素
- 可視化されたリアルタイムデータ
- インタラクティブなコンテンツ
- 宇宙っぽさ
- フワッとしたローディング要素
- 有機的な曲線
まとめ: 2022年はブランディングにとっての変革年
パンデミックの危機は世界経済を低迷させ、この2年間はほとんどすべての企業が生き残りをかけて奮闘しなければならなかった。そして2022年はそこからの回復&飛躍が期待される。
ブランディングのトレンドは常に変化し続けるのが常だが、2022年は特に大きな転換期となりそう。
2022年を迎える今、ブランドは、消費者行動の変化に対応し、より良い関連性を保つためにブランディング戦略を再考することが重要になってくる。
今回紹介したカラフルで魅力的なブランディングデザインのトレンドは、2022年が活気に満ちたものになることを強く示唆していると感じる。我々btraxもブランディングサービスの内容を大幅改善し、社会にポジティブな影響を与えられるように邁進していきます。