「子たちのお守りのような一冊に」 性教育ユーチューバ、シオリーヌが初の書籍刊行

 助産師で性教育ユーチューバーとして活動するシオリーヌこと、大貫詩織さんは「性の話をもっと気軽にオープンに」と言うビジョンのもと、中高生に向けた性教育に関する発信を続けてきた。2019年に開設したユーチューブチャンネルでは、コンドームの付け方やパートナーが避妊に協力してくれない時の伝え方など、学校の性教育では教えてもらえないが、確かに必要な具体的で実用的な知識を提供し、現在チャンネル登録者数13万を超える。12月には初の書籍となる「CHOICE 自分で選び取るための『性』の知識」(イースト・プレス)を発売した。同書では体の仕組みや妊娠、避妊などについて分かりやすく解説されているだけでなく、自分らしく生きるために恋愛や体、社会といかに向き合うべきかと言った疑問にも回答する。ツイッター上に「#シオリーヌの性教育本CHOICE」とともに集まる読者からの感想では、「10代のころに出合いたかった一冊」として話題を集めている。シオリーヌさんに話を聞いた。

WWD:日本の性教育への問題意識が芽生えた瞬間は?

大貫詩織(以下、大貫):総合病院の産婦人科で助産師として働くなかで、多くの女性が自分の体の仕組みについての知識が足りないことに気付きました。特に産後の避妊の話をすると、「避妊についてこんなにちゃんと教えてもらったのは初めてです」と言う反応が多い。本来なら自分の体に何かが起きてみて初めて気付くのではなく、妊娠・出産という大切なライフイベントが起こる前にちゃんと知識を持って納得いくライフプランを立てることが大切なはずです。出産を控えた女性が入院する病棟で勤務していましたが、この方達が妊娠する前に出合いたかったと思うことがよくありました。もっと若い世代の子たちに正しい情報を伝え、意思決定に寄り添える仕事をしたいと思い、助産師の3年目から改めて性教育について勉強し、思春期保健相談士の資格を新たに取得しました。

WWD:なぜ、発信の場としてユーチューブを選んだ?

大貫:学校で講演をすると、学校側から「あまり具体的なことを伝えすぎないでほしい」という要望を受けることがよくありました。例えば、コンドームは実物の写真ではなくイラストにしてほしいとか、具体的にどこでいくらで購入でき、どのように使うかなどには触れないでほしいとか。せっかくの機会をいただいたのに、一番大事なことに触れないで帰ってきてしまった、すごく中途半端なことをしてしまったと申し訳なさやもどかしさを感じていました。そこでアフターフォローの場として、情報を求めている中高生が親しんでいるユーチューブであれば自分の伝えたいことがダイレクトに発信できると思ったんです。

WWD::ご自身が表に出ることへの抵抗は?

大貫:よく聞かれますが、全然なくて(笑)。実は高校生の時からアマチュアお笑い芸人として大会に出ていたり、バンド活動をしたり、人前で何かを表現する活動は好きなんです。周りにもユーチューブで発信活動をしている友人も多く、編集の仕方などは教えてもらえる環境にありました。

思春期の子たちが今抱えている疑問に答える

WWD:ユーチューブを開始して2年。視聴者からの反応には変化が?

大貫:最初は「こんなことユーチューブでやる人初めて見た」という驚きの反応が多かったです。最近ではメディアの影響もあり、性に関する情報をきちんと学ぶことが大切であるという意識が人々の間で培われている気がしています。現段階でもっとも再生されたのは、コンドームの付け方に関する動画で約300万回再生されました。正しい避妊方法や、いつになったらセックスして良いと思うかなど、思春期の子たちが今抱えている疑問に対する有用な知識を提供するものへの反響が大きいです。具体的な性教育には慣れていないけど、情報を求めている人はたくさんいると実感しています。視聴者のうち大体女性が6〜7割で、年齢層は13〜24歳が過半数です。40〜50代の視聴者もいらっしゃいます。

WWD:なかにはネガティブなリアクションも?

大貫:「こんな話は必要ない」といった反応はほとんどありませんが、多いのはセクハラです。教育的な側面で性の話を聞く経験が少ない日本では、性の話=下ネタ、エロと捉えられてしまう。女性が顔を出して性に関する話をしているといくら動画の中で教育的な内容を話していても「じゃあ自分のセックスの実技指導をしてよ」とか、「マスターベーションしてるところを見せろ」と言うようなコメントが来たり、ツイッターのDMで下半身の写真が送られてきたりもしました。

WWD:それらに対してはどんな対処を?

大貫:今まさに問題になっていますが、日本ではネット上の嫌がらせに対する対処が取りづらいため、個人で予防を頑張るしかありません。視聴者さんからのうれしいコメントが届くこともあったのですが、ツイッターのDMは渋々閉じてしまいました。ユーチューブのコメントはスタッフに最初に確認をしてもらっています。

WWD:きちんと伝わる内容にするために気をつけていることは?

大貫:中高生に人気のエンタメ系のユーチューバーさんの編集は参考にさせてもらっています。性教育の話をただ淡々と話そうとすると専門用語も多く予備校の映像授業みたいになってしまうので、映像の長さは10分前後に収め、効果音を効果的に用いてテンポよく飽きずに見てもらえる工夫をしています。大学時代に塾講師のアルバイトをしていたので、中学生の子たちに楽しんで学んでもらうためコツはそこで身につけました。

WWD:同僚からはどんな反応が?

シオ:一緒に働いている看護師仲間からは「ユーチューブってこんな風に使えるのね」というような好意的な意見が多かったです。当時は精神科の児童思春期病棟で働いていて、入院している思春期の女の子たちが動画をきっかけに、「実は私も生理があんまり来ないんだ」と相談にきてくれたり、パートナーとの関係について相談してくれる子が増えたり、助産師がその子たちが抱えているような悩みの相談にものれる仕事だと知ってもらえてうれしかったです。

WWD:動画ではハヤカワ五味さんらも登場するが社会を変えていくために、横のつながりを意識している?

大貫:動画の中には女性のヘルスケアを支えようと活動している五味ちゃんや、性暴力に関する支援メディアMIMOSASを運営する人らも登場します。一人で頑張っていると、どんなに声をあげても変わらないとめげそうになったり、なんで私がセクハラを我慢しなければいけないんだろうと落ち込んだりもします。そんな時に同じ志を持って未来の世代により良い社会を残そうと活動している人たちと連携することで、お互いにモチベーションを高めあい、支えあうことができています。あとは、せっかく多くの人が見てくれているなら、その発信力で社会に役立つ活動をされている方々をより多くの人に知ってもらうお手伝いもしたい。思春期の世代と上の世代をつなげる存在になりたいです。

中高生にとってお守りになる一冊を作りたい

WWD:改めて、「CHOICE」を出版しようと思った理由は?

大貫:よく「性教育でおすすめの本はないですか?」と聞かれるますが、男の子向きや女の子向きなど条件付きでおすすめすることが多かったんです。どんな人にでもまずこれだけ読んでもらえれば大丈夫と言える内容を網羅した一冊を作りたかったんです。

WWD:出産や避妊に関する話題だけでなく、パートナーとの関係の築き方、人権の話、この世界でどう自分らしく生き抜くかという話までにも触れているが、あえて広く語ろうと意識した?

大貫:性教育の学びを深めていくと、全部つながっているのだということが分かります。性的な関係を他人と結ぶときは、人間関係が生まれます。そこではパートナーシップについて考えなければいけないし、互いの権利を尊重する関係性がどういうものかを知っていなければいけないなし、今の政治がきちんと人権を大切にしているのかまで考えなければいけません。社会の問題と性教育は切っても切り離せないはずなので、本の中でもきちんと書いています。

WWD:動画でも選挙の話や人権の話もされているが、再生回数は変わる?

大貫:実際変わります。前に同性婚訴訟の動画も出しましたが、再生回数は伸びませんでした。でも私のユーチューブは、収益を上げるためのものではありません。たとえ再生数が少なくとも皆さんに知ってほしいと思う情報は根気強く上げていきたい。

WWD:書籍をどんな人に届けたい?

大貫:メインターゲットは中高生をイメージしました。これから社会に出ていく子たちに向けて何かあったときに自分を守ってくれるような知識が載っているお守り代わりの一冊になってほしい。子どもをサポートする立場にいる大人にも伝え方の参考にしてもらえる部分がたくさんあります。私自身も、ここに書かれていることを10代のうちに知っていればあんなに我慢しなくてよかったんだろうなと想像します。

WWD:きちんとした性教育を受けて来なかった大人に向けても何かメッセージはあるか?
大貫:20〜30代の読者からも「今の自分にも響いた」「自分の生活を見直すきっかけになった」という感想を多くもらっています。ジェンダーを学んでいると、漠然とした生きづらさが言語化されて気持ちがすっきりしたり、救われることあるんだと身をもって感じています。

子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会へ

WWD:今後日本の性教育はどう変わるべきか?

大貫:大きな課題は文部科学省が定める学習指導要領の中にある“歯止め規定”だと思います。中学生の保健の分野では、妊娠に至る経過、つまり性行為のことについては取り扱わないことにします、というようなことが明言され、セックスに伴う具体的な避妊法や妊娠をした時の中絶など具体的な知識が伝えきれないシステムが作られてしまっています。それにもかかわらず性行同意年齢は13歳というのは大きな矛盾ではないでしょうか。10代の中絶が年間1万件以上起きているなかで、それでも子供たちにはまだ早いと言い続けるのには疑問です。

WWD:今後の目標は?

大貫:子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会することです。10月にはパパママ議連で、性教育に関する勉強会をさせていただきました。アフターピルの問題や夫婦別姓の問題など、少しでも大人が声をあげ、次の世代が生きやすい社会に変えていく努力を続けます。

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「子たちのお守りのような一冊に」 性教育ユーチューバ、シオリーヌが初の書籍刊行

 助産師で性教育ユーチューバーとして活動するシオリーヌこと、大貫詩織さんは「性の話をもっと気軽にオープンに」と言うビジョンのもと、中高生に向けた性教育に関する発信を続けてきた。2019年に開設したユーチューブチャンネルでは、コンドームの付け方やパートナーが避妊に協力してくれない時の伝え方など、学校の性教育では教えてもらえないが、確かに必要な具体的で実用的な知識を提供し、現在チャンネル登録者数13万を超える。12月には初の書籍となる「CHOICE 自分で選び取るための『性』の知識」(イースト・プレス)を発売した。同書では体の仕組みや妊娠、避妊などについて分かりやすく解説されているだけでなく、自分らしく生きるために恋愛や体、社会といかに向き合うべきかと言った疑問にも回答する。ツイッター上に「#シオリーヌの性教育本CHOICE」とともに集まる読者からの感想では、「10代のころに出合いたかった一冊」として話題を集めている。シオリーヌさんに話を聞いた。

WWD:日本の性教育への問題意識が芽生えた瞬間は?

大貫詩織(以下、大貫):総合病院の産婦人科で助産師として働くなかで、多くの女性が自分の体の仕組みについての知識が足りないことに気付きました。特に産後の避妊の話をすると、「避妊についてこんなにちゃんと教えてもらったのは初めてです」と言う反応が多い。本来なら自分の体に何かが起きてみて初めて気付くのではなく、妊娠・出産という大切なライフイベントが起こる前にちゃんと知識を持って納得いくライフプランを立てることが大切なはずです。出産を控えた女性が入院する病棟で勤務していましたが、この方達が妊娠する前に出合いたかったと思うことがよくありました。もっと若い世代の子たちに正しい情報を伝え、意思決定に寄り添える仕事をしたいと思い、助産師の3年目から改めて性教育について勉強し、思春期保健相談士の資格を新たに取得しました。

WWD:なぜ、発信の場としてユーチューブを選んだ?

大貫:学校で講演をすると、学校側から「あまり具体的なことを伝えすぎないでほしい」という要望を受けることがよくありました。例えば、コンドームは実物の写真ではなくイラストにしてほしいとか、具体的にどこでいくらで購入でき、どのように使うかなどには触れないでほしいとか。せっかくの機会をいただいたのに、一番大事なことに触れないで帰ってきてしまった、すごく中途半端なことをしてしまったと申し訳なさやもどかしさを感じていました。そこでアフターフォローの場として、情報を求めている中高生が親しんでいるユーチューブであれば自分の伝えたいことがダイレクトに発信できると思ったんです。

WWD::ご自身が表に出ることへの抵抗は?

大貫:よく聞かれますが、全然なくて(笑)。実は高校生の時からアマチュアお笑い芸人として大会に出ていたり、バンド活動をしたり、人前で何かを表現する活動は好きなんです。周りにもユーチューブで発信活動をしている友人も多く、編集の仕方などは教えてもらえる環境にありました。

思春期の子たちが今抱えている疑問に答える

WWD:ユーチューブを開始して2年。視聴者からの反応には変化が?

大貫:最初は「こんなことユーチューブでやる人初めて見た」という驚きの反応が多かったです。最近ではメディアの影響もあり、性に関する情報をきちんと学ぶことが大切であるという意識が人々の間で培われている気がしています。現段階でもっとも再生されたのは、コンドームの付け方に関する動画で約300万回再生されました。正しい避妊方法や、いつになったらセックスして良いと思うかなど、思春期の子たちが今抱えている疑問に対する有用な知識を提供するものへの反響が大きいです。具体的な性教育には慣れていないけど、情報を求めている人はたくさんいると実感しています。視聴者のうち大体女性が6〜7割で、年齢層は13〜24歳が過半数です。40〜50代の視聴者もいらっしゃいます。

WWD:なかにはネガティブなリアクションも?

大貫:「こんな話は必要ない」といった反応はほとんどありませんが、多いのはセクハラです。教育的な側面で性の話を聞く経験が少ない日本では、性の話=下ネタ、エロと捉えられてしまう。女性が顔を出して性に関する話をしているといくら動画の中で教育的な内容を話していても「じゃあ自分のセックスの実技指導をしてよ」とか、「マスターベーションしてるところを見せろ」と言うようなコメントが来たり、ツイッターのDMで下半身の写真が送られてきたりもしました。

WWD:それらに対してはどんな対処を?

大貫:今まさに問題になっていますが、日本ではネット上の嫌がらせに対する対処が取りづらいため、個人で予防を頑張るしかありません。視聴者さんからのうれしいコメントが届くこともあったのですが、ツイッターのDMは渋々閉じてしまいました。ユーチューブのコメントはスタッフに最初に確認をしてもらっています。

WWD:きちんと伝わる内容にするために気をつけていることは?

大貫:中高生に人気のエンタメ系のユーチューバーさんの編集は参考にさせてもらっています。性教育の話をただ淡々と話そうとすると専門用語も多く予備校の映像授業みたいになってしまうので、映像の長さは10分前後に収め、効果音を効果的に用いてテンポよく飽きずに見てもらえる工夫をしています。大学時代に塾講師のアルバイトをしていたので、中学生の子たちに楽しんで学んでもらうためコツはそこで身につけました。

WWD:同僚からはどんな反応が?

シオ:一緒に働いている看護師仲間からは「ユーチューブってこんな風に使えるのね」というような好意的な意見が多かったです。当時は精神科の児童思春期病棟で働いていて、入院している思春期の女の子たちが動画をきっかけに、「実は私も生理があんまり来ないんだ」と相談にきてくれたり、パートナーとの関係について相談してくれる子が増えたり、助産師がその子たちが抱えているような悩みの相談にものれる仕事だと知ってもらえてうれしかったです。

WWD:動画ではハヤカワ五味さんらも登場するが社会を変えていくために、横のつながりを意識している?

大貫:動画の中には女性のヘルスケアを支えようと活動している五味ちゃんや、性暴力に関する支援メディアMIMOSASを運営する人らも登場します。一人で頑張っていると、どんなに声をあげても変わらないとめげそうになったり、なんで私がセクハラを我慢しなければいけないんだろうと落ち込んだりもします。そんな時に同じ志を持って未来の世代により良い社会を残そうと活動している人たちと連携することで、お互いにモチベーションを高めあい、支えあうことができています。あとは、せっかく多くの人が見てくれているなら、その発信力で社会に役立つ活動をされている方々をより多くの人に知ってもらうお手伝いもしたい。思春期の世代と上の世代をつなげる存在になりたいです。

中高生にとってお守りになる一冊を作りたい

WWD:改めて、「CHOICE」を出版しようと思った理由は?

大貫:よく「性教育でおすすめの本はないですか?」と聞かれるますが、男の子向きや女の子向きなど条件付きでおすすめすることが多かったんです。どんな人にでもまずこれだけ読んでもらえれば大丈夫と言える内容を網羅した一冊を作りたかったんです。

WWD:出産や避妊に関する話題だけでなく、パートナーとの関係の築き方、人権の話、この世界でどう自分らしく生き抜くかという話までにも触れているが、あえて広く語ろうと意識した?

大貫:性教育の学びを深めていくと、全部つながっているのだということが分かります。性的な関係を他人と結ぶときは、人間関係が生まれます。そこではパートナーシップについて考えなければいけないし、互いの権利を尊重する関係性がどういうものかを知っていなければいけないなし、今の政治がきちんと人権を大切にしているのかまで考えなければいけません。社会の問題と性教育は切っても切り離せないはずなので、本の中でもきちんと書いています。

WWD:動画でも選挙の話や人権の話もされているが、再生回数は変わる?

大貫:実際変わります。前に同性婚訴訟の動画も出しましたが、再生回数は伸びませんでした。でも私のユーチューブは、収益を上げるためのものではありません。たとえ再生数が少なくとも皆さんに知ってほしいと思う情報は根気強く上げていきたい。

WWD:書籍をどんな人に届けたい?

大貫:メインターゲットは中高生をイメージしました。これから社会に出ていく子たちに向けて何かあったときに自分を守ってくれるような知識が載っているお守り代わりの一冊になってほしい。子どもをサポートする立場にいる大人にも伝え方の参考にしてもらえる部分がたくさんあります。私自身も、ここに書かれていることを10代のうちに知っていればあんなに我慢しなくてよかったんだろうなと想像します。

WWD:きちんとした性教育を受けて来なかった大人に向けても何かメッセージはあるか?
大貫:20〜30代の読者からも「今の自分にも響いた」「自分の生活を見直すきっかけになった」という感想を多くもらっています。ジェンダーを学んでいると、漠然とした生きづらさが言語化されて気持ちがすっきりしたり、救われることあるんだと身をもって感じています。

子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会へ

WWD:今後日本の性教育はどう変わるべきか?

大貫:大きな課題は文部科学省が定める学習指導要領の中にある“歯止め規定”だと思います。中学生の保健の分野では、妊娠に至る経過、つまり性行為のことについては取り扱わないことにします、というようなことが明言され、セックスに伴う具体的な避妊法や妊娠をした時の中絶など具体的な知識が伝えきれないシステムが作られてしまっています。それにもかかわらず性行同意年齢は13歳というのは大きな矛盾ではないでしょうか。10代の中絶が年間1万件以上起きているなかで、それでも子供たちにはまだ早いと言い続けるのには疑問です。

WWD:今後の目標は?

大貫:子どもたちが安心して未来に希望を抱ける社会することです。10月にはパパママ議連で、性教育に関する勉強会をさせていただきました。アフターピルの問題や夫婦別姓の問題など、少しでも大人が声をあげ、次の世代が生きやすい社会に変えていく努力を続けます。

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「シャネル」の「No.5」をモチーフにした限定切手が登場 フランスで発売

 2021年のバレンタインデーに合わせて、「シャネル(CHANEL)」の限定切手がフランスで発売される。フランス郵政公社(La Poste)と「シャネル」は過去20年間、毎年コラボして限定切手を販売しており、今回の切手には誕生から100年を迎える同ブランドのフレグランス「ナンバー5(No. 5)」のシルエットやハート模様があしらわれている。

 切手は2種類をそろえ、ピンクと赤を基調としたものは2.16ユーロ(約272円)、オレンジと赤のものを1.08ユーロ(約136円)で販売する。それぞれ120万枚と252万枚生産する。1月22日、23日にパリの9区の郵便局が運営する雑貨屋「ル・カレ・ダンクル(Le Carre d’Encre)」で1.08ユーロの切手が5枚セットで4.40ユーロ(約550円)で発売され、25日から同店舗や一部の郵便局、フランス郵政公社のサイトから購入可能だ。

 1921年、ココ・シャネル(ガブリエル・シャネル Gabrielle Chanel)は自身のラッキーナンバーに因んで伝説的なフレグランス「ナンバー5」を生み出した。調香師のエルネスト・ボー(Ernest Beaux)が香りを手掛け、当時珍しかったアルデヒドを用いた香調や無機質な瓶を採用して香水の歴史に変革をもたらした。

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2021年のインナーケアは“出汁”と“免疫力”に注目

 2020年は、新型コロナウイルスの影響で生活様式が一変し、外出機会の減少に伴う運動不足や食生活の変化などから健康や美容に対する意識が一段と高まった。“おうち時間”が増えたことで生活習慣を見直すきっかけとなり、肌や体調を内側からサポートするインナーケアに注目が集まっている。

 トレンド総研が美容インフルエンサー100人にアンケート調査を実施したところ、68%が新型コロナウイルスの感染拡大以降(20年3月以降)インナーケアの興味が高まったと回答した。さらに62%が「新しいインナーケアにチャレンジした」と回答しており、インナーケアの注目度の高さがうかがえる。そこで今回、日々の生活に取り入れやすい粉末スープやタブレットなど「おいしく」摂取できるインナーケアアイテムを紹介する。21年のインナーケアは、日本の食文化に着目した“出汁”と、体調管理のカギを握る“免疫力”に注目だ。

サプリ感覚のヘルシー出汁
“UMAMIサプリ”

 アナイスカンパニーがプランニングを手掛ける「フレンフドリー ヘルス クラブ(FRIENDLY HEALTH CLUB)」は、出汁に着目した“UMAMI(ウマミ)サプリ”を展開している。

 食生活の乱れや運動不足、精神的ストレスなどさまざまな問題に対し、自分自身で健康やライフスタイルを簡単に整えられるようにしたいという思いから、脳と体が必要とする“アミノ酸”を“出汁”という形で手軽に飲めるようにパッケージした。

 粉末スープ仕様の“UMAMIサプリ”は、ストレスマネジメントやダイエット、質の高い睡眠、理想的な朝、疲労といった目的別にサポートする5つのフレーバーをそろえる。鰹、鯖、鮪、昆布、椎茸などの出汁をベースにハーブをブレンドし、素材が持つ風味やうま味を感じられる。価格は各10包、1600円。

そのまま飲める“和だし”飲料

 コカ・コーラは、飲料ブランド「ゴーグッド(GO:GOOD)」からキッコーマンが監修した“和だし”飲料“GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし”を販売している。「ゴーグッド」は、19年に忙しい合間でも気軽においしく味わえるリキッドフードブランドとして誕生。“GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし”は、リラックス効果も期待できるうま味にこだわり、世界でも注目されている出汁をベースに開発された。厳選したかつおや昆布、あごのエキスにより、出汁本来の味わいと香りを引き立たせている。「飲料として飽きがくることなく」飲み干せて、料理にも使える。価格は185g、148円。

免疫力を高めるビタミンCの
吸収をサポート

 ポーラは2月1日、12種類のビタミンを含むサプリメント「ネクステージ シー」を発売する。免疫力を高める栄養素のビタミンCと、その吸収をサポートする「ドラゴンヘッドエキス」を配合し、ビタミンCが体の中に長くとどまるように工夫されている。口溶けのよい顆粒状で、酸味のあるハーバルシトラス風味を採用しているため、水がなくても手軽に摂取できるのが特徴だ。価格は30包、4900円。

400種類以上の栄養素を含む
“飲む化粧水”

 菌ケアサービスを展開するKINSは、乳酸菌が作り出す400種類以上の生成物質をまとめて摂取できる“KINS ESSENCE”を販売している。発酵の力に着目し、腸内の善玉菌を育て腸内環境を整えるエッセンスで“飲む化粧水”とも呼ばれている。お酢のような沢山な酸味で、そのままでも飲み物や料理にふりかけても摂取が可能だ。

免疫機能の維持を
サポートするタブレット

 ファンケルは、キリンホールディングスの独自素材「プラズマ乳酸菌」を使ったサプリメント“免疫サポート チュアブルタイプ”を販売している。健康な人の免疫機能維持に役立つ機能性表示食品で、免疫の司令塔プラズマサイトイド樹状細胞に働きかけるプラズマ乳酸菌を1000億個配合。レモンヨーグルト風味で、口腔内で噛み砕いて服用するチュアブルタイプ。ファンケル独自の技術を採用し、口の中に入れるとシュワっと炭酸が発砲するのも特徴だ。価格は30日分(60粒)、3000円。

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10〜20代にちょうど良い新スタイリングブランド発売 開発には人気美容師の内田聡一郎「レコ」代表が参加

 ヘアケア製品メーカーのアリミノ(ARIMINO)は、新スタイリングブランド「ダンスデザインチューナー(DANCE DESIGN TUNER)」を1月7日に発売する。“ちょうど良さ”や“心地よさ”を大切にする10〜20代の男女をターゲットに、“ひとりひとりのリズムに合わせて”をコンセプトに掲げる。ワックスジェル“ブレイクキープ”やヘアミルク“バレエメロウ”、トリートメントオイルジェリー“モダンシマー”など全6製品をラインアップする。価格は1800〜2500円。

 アリミノ商品開発部の今野由香氏は、「アリミノは、2000年に『スパイス』を、2008年に『ピース』を発売し、スタイリング剤で業界シェアNo1として約10年ごとに大きなトレンドを作ってきた。2つの進化版として、10、20代をターゲットに新スタイリングブランドを打ち出す。個性を出すけれども出しすぎない。シンプルだけどシンプルすぎない。ちょうどいいバランスを狙った。ターゲットと同世代の若手社員の声を生かして開発を進めた」と話す。

 製品の開発には、アドバイザーとして人気美容師の内田聡一郎「レコ」代表が参加。スタイリスト目線でデザインやクオリティーを追求した。内田代表は、「今までありそうでなかった質感で、ジェルより固まらずにワックスよりもキープしてくれる“ブレイクキープ”と、
オイルとジェリーのいいとこ取りをして、伸びが良くセット力もある“モダンシマー”がお気に入り」と話す。

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佐久間裕美子著 「Weの市民革命」 「消費アクティビズム」の時代に、企業はどう成長していくべきか

 ニューヨークに在住し、これまで「ヒップな生活革命」(朝日出版社)、「ピンヒールははかない」(幻冬舎)、「真面目にマリファナの話をしよう」(文藝春秋)などを上梓してきた佐久間裕美子氏による新刊「Weの市民革命」(朝日出版)が発売されました。佐久間氏には昨年4月にアメリカのサプライチェーンの現状について寄稿してもらい(「佐久間裕美子のNYリポート 新型コロナ禍を機にサプライチェーンを再考する」)、コロナ禍で浮き彫りになったサプライチェーンの問題点を的確に解説していただきました。

 新刊「Weの市民革命」では、新型コロナやアメリカ大統領選挙によって、社会変革を求める力が消費文化や企業にどんな影響を及ぼしたのかというグローバルな視点から、ニューヨークに暮らす一人の消費者として見た、まわりのコミュニティーの変化、さらには差し迫った地球温暖化や廃棄問題などに関するグローバルな動きと、「自分ごとのサステナビリティ」や「自分はどんな消費者でありたいか」といった一消費者の目線で書かれた環境問題に焦点を当てています。

「消費アクティビズム」の時代が到来

 「消費」によって自身のスタンスを表明し、社会の変革を求めて声をあげていくミレニアル世代や、それより若い世代のジェネレーションZに対し、企業側がそれにどう向き合い、これまでの利益重視型から新たな一歩を踏み出そうとしているかの事例は、その流れが強くなってくるであろう今後の日本においても、知っておくべき内容です。

 「自分が反対する政治家とつながりのある企業やブランドには不買の姿勢を表明する『ボイコット』と、自分が信じる大義や価値にコミットする企業やブランドには喜んでお金を使う『バイコット』の二本柱からなる、『消費アクティビズム』の時代が到来した」といいます。それをけん引するミレニアム世代は、モチベーションも高く独立精神も強いが、同時に自我も強いため、皮肉を込めて「ミー(Me)」世代と呼ばれていましたが、財力と消費力がある彼らを中心に「消費」を通じた社会運動を先導するようになったといいます。そのあとに続くのはミレニアル世代同様に、社会意識や環境への関心が高く、ミレニアル以上に世界を変えたいというモチベーションと危機感の強いジェネレーションZ世代。彼らは環境、差別、移民問題といった人権問題に対し、「個人の自由より世界全体の人権を重んじ、過去に抑圧されてきた人たちの真の社会的平等追求することが自分たちの『共同責任』」であり、それが「『We』の時代の到来」の背景にあるといいます。

 アメリカなどの海外のみならず、日本に目を向けてみても、若者による企業や社会への投げかけは、少しずつ顕著になってきています。つい最近では、女子高生たちがファミリーマートの総菜シリーズ「お母さん食堂」のネーミングを変えてほしいと訴える署名活動を行い話題になっています。お母さんが食事を作るのは当たり前という“無意識の偏見”につながりかねないとしているのです。

 SNSの発達であっという間に運動が世界に拡散されていく時代に、企業側はどう変化していくべきなのでしょうか?著書にある「革命が中継されている」という言葉は決して大げさなものではないということを、紹介されている事例を読み進めるうちに理解していきます。

企業の政治的スタンスを表明させる若者のエネルギー

 これまで、政治的立場の表明を避ける姿勢を貫くことで政治的立場が違ったり、中立の消費者を遠ざけてしまうリスクを避けてきたりした企業も、若い消費者たちの購買力と発信力が、企業に政治的スタンスを表明させる原動力になっていると言います。加えて、人権問題などの政策の変更により、直接的に影響を受ける従業員や顧客の権利を守るためにもスタンスを表明するようになってきているとしています。事例の一つとして紹介されていたのは、中絶の権利を制限しようとするいくつかの州の運動に対して、大企業から中小のファッション企業までが連名で「(中絶を制限することは)従業員や顧客の健康、独立性、経済的な安定を脅かすもの」とする書簡をニューヨーク・タイムズ紙の全面広告に掲載したという内容でした。

 「企業の存在意義は利益を出すことだけではなく、具体的な社会課題の解決、『パーパス(目的)』の達成を目指す企業の方が組織として強く、長期的な成功を実現できる」。そのシフトを促しているのは、主にミレニアル世代の従業員や消費者であり、企業に対する彼らの目線がコロナ禍においてますます厳しくなっている。――彼らの声に柔軟に耳を傾ける企業と、変革に腰の重い企業では、それこそ長期的な成長に差が出るのではと示唆する内容でした。近年、「パーパス・ドリブン(目的に動かされる)」という言葉を耳にすることも増えましたが、目的に向かって邁進する企業が最終的には企業の存在意義を強め、社会に支持され必要とされるのではないでしょうか。

 実際に、新たなビジネスのシステムや考え方も生まれています。株主だけでなく、従業員や顧客を含むステークホルダーを大切にしているかといった評価軸に従って、証券の価値が決まる証券取引所、ロングターム証券取引所が2020年9月にオープンしたそうです。四半期ごとの短期の財務諸表で判断する社会システムに替わり、長期的なバリューを創出できるかを重視しており、企業に長期的持続性を求める投資家と、長期的なビジョンを持つ企業とをマッチングすることで、「社会全体に対して責任を負うことへのインセンティブを創出する」というのが特徴です。

自社の事業に関わる全ての人々がステークホルダーである

 2000年代になって、「株主へ利益を還元することよりも、『社会全体の利益』を優先する企業形態が登場し、社会や地域全体を自分のコミュニティーとみなし、それを守るための経済活動にコミットする企業が増えてきた」と言います。「従業員、コミュニティー、サプライヤー(物資の供給元)やベンダー(出入りの業者)、顧客、株主といった、自社の事業に関わる全ての人々をステークホルダー(利害関係の保持者)とし、事業に関わる全員の勤務・商業環境を整備したり、フェアな賃金を確保したりするだけでなく、彼らの幸せを実現しようと努めることが組織を強くし、事業の持続性を高める」という考え方です。

 調査会社デロイトのミレニアルの動向を分析するリサーチ結果によると、ミレニアル世代は、仕事のやりがいよりもワーク・ライフ・バランスや勤務形態の柔軟性を重要視する一方で、17年以降の結果では、彼らにとって働く企業を決める上で大切なのは、雇用主の経営方針がサステイナブルあるいはエシカルであるか、従業員や顧客を大切にしているか、商品やサービスのクオリティーが良いかといったことであり、経営陣に求めるのは、「競争ではなくコラボレーション、権力闘争ではなく透明性を重んじる企業文化」だと言います。

 アクティビストでもある従業員が増えていく中で、今後企業はどのように彼らと向き合い、変革を求める声に耳を傾けるか、それが企業評価、ひいては、社会における企業価値につながっていくのではないかと思います。「社会のプログレスを信じる従業員との良好な関係が、ビジネスとしての成功に必要な要素の一つであることを企業側も理解しつつある」という流れは、ますます加速していきそうです。

 佐久間氏はあとがきで、「新時代の『We』は社会全体の集合的な利益だけを追求するものではない。一人ひとりが差別や抑圧を受けずに生きられる世の中を目指し、自分以外の誰かのために、声を上げたり、行動を起こすから『We』なのだ」と締めくくっています。

 著書の中ではこのほかにも、アパレル産業のサステナビリティから、佐久間氏がゼロ・ウェウスト(ごみをゼロにすることを目標に廃棄物を減らす取り組み)を実践してみた話まで、住んでいるニューヨークの環境問題を織り交ぜながら、とても分かりやすく書かれています。まだまだここでは書ききれませんので、興味のある方はぜひ手にとってみてください。

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花王が日本企業初のトリプルA獲得 環境先進企業を選定する2020年度CDPスコアで

 花王は、国際非営利団体CDPが昨年12月に発表した2020年度の環境先進企業に関する調査結果で、「気候変動」「森林」「水」の3つ分野で最高評価の“Aリスト”企業に選定された。評価対象となった約5800社の中でトリプルA企業は前年度の6社から10社に増加。国内企業では、トリプルA獲得は初となる。花王のAリスト入りは「気候変動」分野が2回目、「森林」分野は初、「水」分野は4回目。

 同社は2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を策定。製品のライフサイクル全体を通して環境負荷低減に積極的に取り組む。今回のAリスト選定で評価された点は、CO2削減目標の策定、パーム油や紙・パルプの持続可能な調達の推進、国内外工場における水使用量の削減や節水製品の提供、消費者などさまざまなステークホルダーと協働で行う“いっしょにeco”の活動、気候変動や森林伐採、水リスクがビジネスに及ぼすリスクについての積極的な開示など。

 本年度の調査でAリストに選定された企業は300社以上となり、前年度比45%増だった。国別では日本企業が最も多く66社がAリストに選ばれ、次いで米国が58社、英国が21社、ドイツが19社、フランスが18社の順だった。Aリストに選定された日本企業は、欧州事業の全電力を再生可能エネルギーに切り替えたトヨタのほか、富士通、キリン、三菱電機、NEC、サントリー食品インターナショナルなど。Aリスト企業は増加傾向にあるものの、全体の74%はC~Dスコアの間にあり、環境情報の開示をし始めたばかりの企業が大部分を占めている。

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