27歳の「ダイリク」が東コレ最終日に挑んだ“祭り” 服と映画とアメ村への愛を込めて

 岡本大陸デザイナーによる「ダイリク(DAIRIKU)」が、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」最終日の19日にブランド初のファッションショーに挑んだ。ファッションコンペ「東京ファッションアワード 2022(TOKYO FASHION AWARD 2022)」受賞により実現したもので、岡本デザイナーは「ブランドを始めたころから、いつかショーをやりたいと思っていた。今日、その夢が叶いました」とショー直後に語った。

高校時代にファッションに没頭
聖地は大阪・アメ村

 岡本デザイナーは1994年、日本人の父親と韓国人の母親の元に奈良県で生まれた。高校時代に服に興味を持ち、授業を終えると大阪・心斎橋のアメリカ村に出て、古着屋を回る生活を送っていた。「そこでできた友達とは今でも仲良くしています。学校よりも楽しかった」。その後、バンタンデザイン研究所大阪校ファッションデザイン学科に進学し、在学中に「ダイリク」を設立。現在は東京を拠点に活動している。

 「ダイリク」は毎シーズン、特定の映画に着想し、そのストーリーや登場人物を発展させてコレクションを製作している。例えばジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)監督の「ミステリー・トレイン(Mystery Train)」や、ジョエル・シュマッカー(Joel Schumacher)監督の「セント・エルモス・ファイアー(St. Elmo's Fire)」など。ミニシアター系から王道ラブコメまで、あらゆる映画がイメージソースだ。

映画の大好きなシーンを
ショーの大舞台で再現

 ショーの舞台は、渋谷ヒカリエのイベントスペース。工事現場の足場で作ったランウエイと、複数台のビデオカメラを設置し、映画スタジオのような空間を演出した。これは、岡本デザイナーが「大好き」だと語る、フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督の作品「8 1/2(はっかにぶんのいち)」のラストシーンをイメージしたものだ。「主人公に関わった人や妄想上の人たちが全員出てきて、映画のセットを踊り回るんです。そして、『人生は祭りだ。ともに生きよう』と言うんです」。会場に爆音が鳴り響き、一夜限りの“祭り”が始まった。楽曲名は「after -school」だ。

映画、洋服、アメ村
ルーツへの愛に溢れたコレクション

 ウエアは、プレザーやチェックスカートなどの学生服を軸に、映画とアメ村、韓国といった岡本デザイナーのルーツを盛り込んだ。例えば、タンカースジャケットにモヒカンヘア、サングラスのスタイルは、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督の「タクシードライバー(Taxi Driver)」を直球に表現したもので、肩には“with love to the movie(映画への愛を込めて)”のバッジが付いていた。ショルダーバッグには大阪のキーホルダーを付け、足下には1990年代のアメ村のトレンドだったルーズソックスを合わせる。小学生の頃に韓国で過ごした日々に思いを馳せて、スーベニアジャケット“コリジャン”や、当時使った毛布をイメージした花柄のフリースなども製作。紫とピンクのカラーパレットは、学生のフレッシュさを表現したものだ。自転車のカギをネックレスにしたり、ラジカセをアクセサリーとして持たせたりと、自由奔放なスタイリングも、異文化がごった返すアメ村に通じるものがあった。

 ショー音楽は、ロックバンドのエイジ ファクトリー(Age Factory)が担当した。同バンドのフロントマン清水英介は、岡本デザイナーの高校の同級生だ。プレスリリースには、清水による等身大なメッセージが記されていた。「放課後になると、俺はギターを持ってスタジオへ向かい、大陸はアメ村へ向かった。今、俺らはあの時の未来の中にいる気がしてる。今回、曲を作らせてくれてありがとう」。

 さらに、スタイリストの渕上カンやオフィシャルフォトグラファーの小宮山駿ら、岡本デザイナーと親交の深いスタッフが多く携わっていた。「みんなとショーができて本当にうれしい」。リリースにはスタッフからモデルまで全員の名前を記し、その感謝を伝えた。

 「一つの夢が叶った」と話す岡本デザイナーは、まだ27歳。現在の卸先は34アカウントで、今シーズンは海外での取り扱いが初めて決まり、6月にはパリでの展示会も控えている。このショーを弾みに、世界に大きく羽ばたいてほしい。彼のストーリーは、始まったばかりだ。

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「シュガーヒル」が東コレで初のショー 大舞台でも気負わないリアルクローズ

 林陸也デザイナーが手掛ける「シュガーヒル(SUGARHILL)」は19日、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」で2022-23年秋冬コレクションをショー形式で披露した。同ブランドがショーを行うのは初めてで、ファッションコンペ「東京ファッションアワード 2022(TOKYO FASHION AWARD 2022)」の受賞で実現した。
 
 林デザイナーは1994年生まれ。文化学園大学やここのがっこう、ニューヨークファッション工科大学(FIT)を経て、武蔵野美術大学在学中の2016年に「シュガーヒル」を設立した。現在、ビームスやヌビアンなど約25アカウントで扱われている。

 会場は、東コレのメイン会場である渋谷ヒカリエのイベントスペース。中央にバンドセットを置き、その周りを椅子で囲んで円型のランウエイを作った。「来場した全員が同じ目線で楽しめるショーにしたくて、ステージではなく平場にした」と林デザイナーは語る。日本のロックバンド、踊ってばかりの国が登場すると、ギター&ヴォーカルの下津光史のやさしい歌声と、繊細な演奏でショーが始まった。

気負わない、いつもの「シュガーヒル」
「ブランドをプロモートするショーに」

 ファーストルックは、ブランド定番のデニムジャケットとパンツのセットアップ。リジットの生地とジャストなサイズ感、タックなどのディテールが上品な雰囲気だ。その後もMA-1やトレンチコート、ウエスタンシャツ、つなぎなど、ブランドの強みであるワークとミリタリーを軸としたリアルクローズを打ち出す。フリンジが目を引くムートンコートや、麻ひもが垂れたダッフルコートは、実は過去シーズンのキーアイテム。「半年だけで終わらず、ずっと着られる服を目指してクリエイションと向き合っている。ショーでもそのスタンスを示したかった」。英国のレザーブランド「ショット(SCHOTT)」のライダースジャケットにはフリンジを付け、コレクションピースとして披露した。

 “日本発のブランド”だと発信するため、モデルはアジア人だけに絞った。「多様性がないと突っ込まれるかもしれないけど、僕らのアイデンティティを強みにしたかった。初めてのショーだからこそ、消費されるのではなく、ブランドをしっかりプロモートするものになったらうれしい」。

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【サステナ隊長!向は3月前半何した】 NFTが身近になり、冨永愛と女性デー、「アンダーカバー」で反戦

 卒業シーズンですね。マスクで2年間を過ごした若者たちが、この状況下だからこそかけがえない何かを得たに違いないと信じてエールを送ります。そしてウクライナのことが頭を離れませんが、だからと言って私たちが下を向いても何も生まれないし、解決もしない。やるせないけどせめてもの抵抗として笑顔で行きましょう!

3月2日(水)
10年後の業界を牽引するリーダーたちを讃える

 ルミネとともにイベント「MOVE ON」を開催し、10年後の業界を牽引しているだろうネクストリーダーたちを讃えました。この写真は、サステナビリティを切り口にしたトークイベント終了後の一枚です。ロックバンドのバックステージ風でお気に入り!私がインタビューを担当したのは「カナコ サカイ」のサカイさん。写真4・5枚目は後日開かれた同ブランドの展示会です。生地を作る職人たちの仕事について目を輝かせながら話す彼女を見て、こうやって人が人を惹きつけ物語が綴られてゆくのだと思いました。

3月3日(木)
ウクライナを思う

 ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が始まってから、心の中がずっとざわついている方が多いのではないでしょうか。私もそうです。昨年末の「WWDJAPANサステナビリティ・サミット」にLAから参加してくれたデジタルファッションの新進企業、ドレスXの創業者がウクライナ出身なこともあり、彼女のインスタグラムを通じてウクライナの今や文化を知るようになりました。美しいキエフの街や若者たちの情熱が理不尽に壊され、奪われている現状、そしてダリアのように海外へ進出し、夢を成長させようとしている若い起業家たちの足下をすくうような現状にもまた怒りとやるせなさを募らせることしかできません。

3月4日(金)
デジタルファッションは大人にこそ

 サステナビリティとデジタルファッションは表裏一体、一心同体だと思います。実際関連情報は日に日に上昇中。この日はファッションブランドとブロックチェーン、NFTを結ぶ合同展示会「サイズレス・ツイン(SIZELESS TWIN)」へ。デジタルファッションやメタバース空間は若い人だけではなく、大人とも、いや、大人ならではの相性の良さがあると思います。なぜなら私自身、できればありのままでありたいと思いながら鏡の中の自分に幻滅することはしばしば。そんなとき、インスタの中でアバターの自分が元気よく飛び跳ねているとちょっと元気になります。なんてことも考えながら見て回りました。

3月7日(月)
「エルメス」が描く次世代パリジェンヌ

 物流事情が混迷を極める中、「エルメス(HERMES)」はパリで開かれた2022-23年秋冬コレクションの翌朝に東京でも同コレクションの展示会を開催しました。あっぱれ!今季のイメージは、パリジェンヌと馬術競技を掛け合わせた”ニュー・カヴァリエ(新たな騎士)”だそう。エルメスと馬術競技の奥深さに関しては3時間くらい語りたいことがあります。が、長くなるのでよろしければこの記事の下にある関連記事をご欄ください。

3月8日(火)
国際女性デーに冨永愛アンバサダーと語る

 国際女性デーにジョイセフのアンバサダーである冨永愛さんとトーク。ジョイセフは、世界の妊産婦と女性の命と健康を守るために活動している日本生まれの国際協力NGOです。命は神秘であり、私はお母さんがその体に赤ちゃんを授かるずっと前から命は始まっていると思います。だから若い女性が自分の体を知り、大切にする。そのきっかけになる一日であってほしい!そんな願いを込めて参加しています。

3月9日(水)
3Dボディースキャナーで自分を知る

 三菱商事ファッションの「ザ ミ―(THE ME)」の展示会へ。同ブランドは「量産を前提とした作り方はしない。一人一人に合わせる」がコンセプト。そのために3つの試着室(ほぼ会議室サイズ)には3Dボディースキャナーが設置されており、購入前に採寸し、“ナビゲーター”と呼ばれる店頭スタッフから最長90分のパーソナル接客を受けます。なんて贅沢な。噂ではワコールが売り場に導入した3Dボディースキャナーには“美魔女”が列を作ったそうですが、美魔女でなくともその気持ちはわかります。自分を客観的に知ることができるのは嬉しいことです。肝心なことは “ぴったりサイズ”を最後に導くのは販売スタッフであるという点です。その一線の存在こそがファッション!

3月9日(水)
ヤギシカルのポップアップでほっこりタオルを購入

 新宿マルイ本館で開催中の繊維商社ヤギのプロジェクト 「ヤギシカル(YAGITHICAL)」のポップアップへ。同社がツバメタオルとNPO法人DEARMEと取り組む規格外品タオルのアップサイクルなどが並びます。迎えてくれた杵淵さんは昨年開催した「WWDJAPANサステナビリティ・ディレクター養成講座」の参加メンバーなので、同級生の仕事現場を訪ねる気分でちょっとくすぐったい。3⽉27⽇にはオーガニックコットンの認証団体GOTSの松本フィオナ⽒とトークイベントを開催するそうです。濃い話が聞けそう。頑張れ~。

3月9日(水)
「アンダーカバー」が手に入れたエレガンス表現

 日本からパリコレへ進出するデザイナーズブランドにとって、「セクシー」や「エレガンス」の扱いは永遠の課題と言っても過言ではありません。今どきセクシーやエレガンスなんて言葉は古い、という解釈は短絡すぎ。日本人の「奥ゆかし」がそう簡単に変わらないのと同じで欧米の文化に根付くセクシーやエレガンスは奥深く、手強いのです。原宿生まれ・ストリート育ちの「アンダーカバー(UNDERCOVER)」にとっては一層のことでしょう。だから今回、パンクイメージを重ねつつ自分なりのエレガンス表現を手に入れた様を見て「やるな」と思ったのでした。

 ブルーとイエローのカラーリングからウクライナを連想しましたがそれは「関係なし」とのこと。ただし高橋さんは反戦に対する確固たる姿勢を持っている方です。ふと思い出し、家で2001-02年秋冬の「ファッションニュース」を引っ張り出しました。同シーズンのテーマは「宝飾武装義勇軍」。スワロフスキーのトップスにフューチャラ2000のグラフィティ。のドレスを強烈に覚えています。時は2001.9.11の直前。「(戦争は)常にそこにある問題。戦争と相反するものを組み合わせることで反戦のメッセージを伝えたかった」と当時のジョニオさんは語っています。

3月10日(木)
「プラダ」のアート展で翻弄される

 「プラダ(PRADA)」青山店で開催中の「ロール プレイ(ROLE PLAY)」展へ。説明には「アーティストは役割を演じることや分身の創造、自己の拡散などを切り口として、個人の本質や表向きの人格の追求とその理解に迫る」とあります。わかったような、わからないような、わかった気がする、などと思いながらアートに触れる時間は大切です。世の中は割り切れないことだらけですから。

3月11日(金)
「チャコット」の新店はバレエのお城だった

 今年初めに事故で顔をケガしてかなり落ち込んだのですが、そのときに助けてもらったのが「チャコット(CHACOTT)」のメイク用品でした。ダンサーが汗をかくことを前提としたコンシーラーなどは崩れにくくて優秀。スポーツ&アウトドアブランドのアパレルが、その機能性故信頼を得ていることと通じるものがあります。その「チャコット」が2500平方メートルの旗艦店を代官山にオープン。まさにバレエの殿堂!

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「トーガ」25年目の今 5年ぶりの東京ショーで見せた“気持ちを明るくする服”

 古田泰子による「トーガ(TOGA)」は19日、2022-23年秋冬のショーを東京・表参道ヒルズで開催した。「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」の冠スポンサーである楽天が実施する支援プロジェクト「バイアール(by R)」のサポートによるもので、2月にロンドン・ファッション・ウイークで、映像形式で見せたコレクションを再編集し、東京版として披露した。東京でのショー開催は、約5年ぶりだ。

真っ白な空間と
個性的な19人のモデルたち

 会場は真っ白な床と青白いカーテンに囲われた、真っ白で極めてシンプルな演出。古田デザイナーは「今という瞬間、服だけに集中できる空間にしたかった」という。

 起用したモデルはジェンダーや肌の色、年齢も異なる19人。1990年代から海外コレクションでも活躍してきたSAWAをはじめ、メンズモデルの朝比奈秀樹や柳俊太郎らキャリアを積んだモデルがそろう。モデルそれぞれの個性に合わせて、ウィメンズの服でスタイリングが組んだ。メンズモデルが着こなすスカートやフリルトップスも、洗練されてモダンに映る。17年の東京でのショーも男女のモデルが登場したが、ジェンダー平等が当時よりもうたわれている今、さらに自然で垣根のない提案に感じられた。

ストレッチ素材を合わせた
気持ちを明るくする“弾む服”

 コレクションは“HOOPS, BOUNCING, SWINGING”がキーワード。「トーガ」が続けてきた典型的なビジネススーツにテクニックを加える手法だ。今季はスーツにストレッチ素材を組み合わせることで、新しいシルエットを生み出している。特徴的なのは、ローウエストからふっくら広がるスカートのバランス。例えば、ジャケットとミニワンピースのセットアップは、トップスとスカートの間にストレッチ素材をはさむことで、プリーツが立体的に膨らむ。ファーやスパンコールの装飾、中綿を入れたテクニカル素材など、異素材の掛け合わせで生まれるボリュームもポイント。モデルたちが歩くたびに、ゆらゆらと揺れる服は、「弾むような足取りで、洋服から気持ちを軽く、明るくできたら」という古田デザイナーの思いが込められた。

 フィナーレではモデルが会場中央をランダムに歩き回り、バックステージへと戻っていく。多様な人々が集まり、すれ違う東京を象徴するスクランブル交差点をほうふつとさせた。

文化的な発信を続けることが
今できる抵抗

 「トーガ」は今年25周年を迎える。古田デザイナーは「過去を振り返るのではなく、私たちは今やるべきことに向き合うことが大事だ」という。「アートやファッションなどの文化は、心を豊かにすると信じている。(世界情勢に目を向けると)暗いニュースばかりで、ファッションショーを開くことが非常識だと思われるかもしれない。しかし、文化的な発信を止めずに自由に行動することが、私たちが今できる抵抗だと思う」。また楽天との取り組みで「楽天ファッション(Rakuten Fashion)」内にオンラインストアをオープンするなど、新たな販路も広げた。「窓口を広げることで、幅広い人たちが楽しめるファッションを届けたい」。

 ジェンダーレスでエイジレス、オープンマインドな精神で、心を豊かにしてくれる「トーガ」の今。次の25年も、エッジの効いた提案とともに、新しい価値観を提示してくれるだろう。

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犬が登場した「リコール」のエンタメショーや大ベテラン「ジン カトー」のNFT挑戦など 記者3人が選ぶ“今日の東コレダイジェスト”

 2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」は、いよいよ最終日を迎えました。ここでは、記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートしています。最終日は、キャリア47年でNFT作品に挑んだ「ジン カトー」や、ドッグウエアの提案でインパクトを放った「リコール」、ニットを多彩に使う「ジョイア パン」が登場します。


東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「ジン カトー × ユキ ミタムラ(ZIN KATO × YUKI MITAMURA)」

見どころ:キャリア47年のオートクチュールデザイナー、ジン・カトーが、まさかのNFT作品を発表。東京藝大卒のデザイナー兼エンジニアのユキ・ミタムラと協業し、カトー=デザイナーがドレスのパターンを引いて3Dのアート作品にしました。同ブランドは過去にファッションゲームアプリとコラボしてアバターの衣装デザインを手掛けていましたし、新しい領域へチャレンジする姿勢が素晴らしい。ルックとともに公開した映像は、金と黒のドレスを着た2体のアバターが合体し、虹色のドレスを生み出すストーリー。衣装のなびき方がリアルで、アバターが男と女に見えたり、最後は死を思わせる描写があったりと、ストーリーも面白かったです。


初取材のルーキー
編集・記者 福永
「ジョイア パン(GIOIA PAN)」

見どころ:ハン・イ・リヨウ(Yi-Liang Pan、潘怡良)デザイナーが手掛ける「ジョイア パン(GIOIA PAN)」は、ニットデザインが強みのブランド。オンラインで発表したコレクションは“Promise”をテーマに、高級石のブランド「チェンガオストーン(CHENGHAOSTONE)」と協業しました。まず目を引いたのは、大理石風の柄がシックなスタイル。アイテムはジャケットやドレス、ボリュームのあるスカートなどで、個人的には背中に大きなリボンが付いたベアワンピに釘付けでした。後半に差し掛かると、ブランドが得意とするニットのアイテムも続々と登場。ラメが混ざったニットを全面に使用したドレスの裾は、膝からダイナミックに広がっていたり、ブラックのハイネックニットは前後の裾の長さ、左右の袖の長さが違う“超絶アシンメトリー”だったり。この造形を全てニットでやり切るところに、ブランドの気骨を感じました。顔にペッタリと貼り付けた前髪や、縦に長いお団子ヘアといったヘアメイクも新鮮でした。


東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「リコール(REQUAL≡)」

見どころ:土居哲也が手掛ける「リコール(REQUAL≡)」は、目黒にあるヨーロッパ風の街並みを再現した屋外スタジオでショーを開催。今季は”ニューファッションマーケット”をテーマに、土居デザイナーがスペイン・バルセロナで見た、ブランドのブート品が並ぶマーケットが着想源になったそう。石畳の道の脇にブルーシートを敷いて、古着や絵を路上販売するという演出もユニークでした。ショーでは、”NF”や”THE FAKE FACE”など、スポーツメーカーやアウトドアブランドのパロディロゴをのせたトップスやアウターが登場。古着のシャツをつなぎ合わせたドレスやスカートなどは、ダメージをあえて生かして経年変化を楽しむ提案で、古いモノから新たなモノを生み出すという観点です。また「リコール」を着た犬も登場!飼い主の洋服を愛犬用にリメイクするオーダーメードサービス「フラッフィーテーラー(FLAFFY TAYLOR)」とのコラボで、ブランドのアイコニックな”着るじゅうたん”のポンチョなどがドッグウエアになっていました。ラストには、ウクライナの国旗をほうふつとさせるイエローとブルーのニットを着用した2人組のモデルが「NO WAR!!」と描かれたクッションを持ってポーズをとりました。ブランドがこれまで発信してきた多様性や固定観念からの脱却、平和への願いが伝わる、ピースフルで温かいコレクションでした。

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犬が登場した「リコール」のエンタメショーや大ベテラン「ジン カトー」のNFT挑戦など 記者3人が選ぶ“今日の東コレダイジェスト”

 2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」は、いよいよ最終日を迎えました。ここでは、記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートしています。最終日は、キャリア47年でNFT作品に挑んだ「ジン カトー」や、ドッグウエアの提案でインパクトを放った「リコール」、ニットを多彩に使う「ジョイア パン」が登場します。


東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「ジン カトー × ユキ ミタムラ(ZIN KATO × YUKI MITAMURA)」

見どころ:キャリア47年のオートクチュールデザイナー、ジン・カトーが、まさかのNFT作品を発表。東京藝大卒のデザイナー兼エンジニアのユキ・ミタムラと協業し、カトー=デザイナーがドレスのパターンを引いて3Dのアート作品にしました。同ブランドは過去にファッションゲームアプリとコラボしてアバターの衣装デザインを手掛けていましたし、新しい領域へチャレンジする姿勢が素晴らしい。ルックとともに公開した映像は、金と黒のドレスを着た2体のアバターが合体し、虹色のドレスを生み出すストーリー。衣装のなびき方がリアルで、アバターが男と女に見えたり、最後は死を思わせる描写があったりと、ストーリーも面白かったです。


初取材のルーキー
編集・記者 福永
「ジョイア パン(GIOIA PAN)」

見どころ:ハン・イ・リヨウ(Yi-Liang Pan、潘怡良)デザイナーが手掛ける「ジョイア パン(GIOIA PAN)」は、ニットデザインが強みのブランド。オンラインで発表したコレクションは“Promise”をテーマに、高級石のブランド「チェンガオストーン(CHENGHAOSTONE)」と協業しました。まず目を引いたのは、大理石風の柄がシックなスタイル。アイテムはジャケットやドレス、ボリュームのあるスカートなどで、個人的には背中に大きなリボンが付いたベアワンピに釘付けでした。後半に差し掛かると、ブランドが得意とするニットのアイテムも続々と登場。ラメが混ざったニットを全面に使用したドレスの裾は、膝からダイナミックに広がっていたり、ブラックのハイネックニットは前後の裾の長さ、左右の袖の長さが違う“超絶アシンメトリー”だったり。この造形を全てニットでやり切るところに、ブランドの気骨を感じました。顔にペッタリと貼り付けた前髪や、縦に長いお団子ヘアといったヘアメイクも新鮮でした。


東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「リコール(REQUAL≡)」

見どころ:土居哲也が手掛ける「リコール(REQUAL≡)」は、目黒にあるヨーロッパ風の街並みを再現した屋外スタジオでショーを開催。今季は”ニューファッションマーケット”をテーマに、土居デザイナーがスペイン・バルセロナで見た、ブランドのブート品が並ぶマーケットが着想源になったそう。石畳の道の脇にブルーシートを敷いて、古着や絵を路上販売するという演出もユニークでした。ショーでは、”NF”や”THE FAKE FACE”など、スポーツメーカーやアウトドアブランドのパロディロゴをのせたトップスやアウターが登場。古着のシャツをつなぎ合わせたドレスやスカートなどは、ダメージをあえて生かして経年変化を楽しむ提案で、古いモノから新たなモノを生み出すという観点です。また「リコール」を着た犬も登場!飼い主の洋服を愛犬用にリメイクするオーダーメードサービス「フラッフィーテーラー(FLAFFY TAYLOR)」とのコラボで、ブランドのアイコニックな”着るじゅうたん”のポンチョなどがドッグウエアになっていました。ラストには、ウクライナの国旗をほうふつとさせるイエローとブルーのニットを着用した2人組のモデルが「NO WAR!!」と描かれたクッションを持ってポーズをとりました。ブランドがこれまで発信してきた多様性や固定観念からの脱却、平和への願いが伝わる、ピースフルで温かいコレクションでした。

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