「タサキ」がフィオナ・クルーガーと導いたアートウオッチの新境地 デザインとメカニズムが完璧に融合

 ジュエリーブランドの「タサキ(TASAKI)」は2021年6月、スコットランド出身でスイス・ローザンヌを本拠に活躍する時計デザイナー、フィオナ・クルーガー(Fiona Kruger)との初のコラボレーションウオッチ“プチ スカル”と“カオス”をリリースした。発表当時はコロナ禍で来日さえ叶わなかったがこのほど来日し、「どちらの時計も、私と『タサキ』のファインアート作品。アーティストとして『時計をキャンバスに創作したもの』。世紀を超えても価値がある、どんな時代になっても誰もが共感できるモノづくりを目指した」という時計について語った。

 彼女は、「2010年ごろに時計のデザインをスタートし、13、14年から製品化している」という。今回の“プチ スカル”と“カオス”は、彼女自身の名を冠したブランドから発売した同名の時計がベースだ。

 「時計をデザインするとき、私はまず『時間とは何か』を考える。そして“プチ スカル”は、子どもの頃に3年間住んでいたメキシコの、死の到来を不幸ではなく幸福としてお祝いするお祭り『死者の日』にインスパイアされたモデル。人間の時間の有限さを象徴する『誰もが逃れられない運命である死』をテーマにした。“カオス”は、時間と共に物質がランダムに拡散していくという物理学の大原則である『エントロピー増大の法則』をテーマにした」という。

 「タサキ」とのコラボレーションでも、2つの基本テーマはまったく変わらない。だが、自身の作品とはまったく違った、よりアヴァンギャルドでインパクトがあり、エッジの効いたアート作品となった。

 同じテーマで、なぜこんなことが実現できたのか?いちばんの理由は、パールジュエラーから始まった「タサキ」を象徴する特別な素材、マザー・オブ・パール(MOP)を文字盤に採用したからだ。

 「MOPは『タサキ』のアイコンで、私とブランドをつなぐ意味もある特別な素材。『タサキ』はどこよりもデザイナーの意向を尊重してくれる、クリエイティブで先鋭的、常識にとらわれないメゾンだった。そこでMOPを美しくて光を反射する、生命を感じさせる特別な素材と捉え、どうしたら特別な魅力を備えたものにできるか試行錯誤を重ねた。MOPには『お嬢さまのためのクラシカルでお行儀の良い素材』というイメージがあるが、私はそんな使い方をしたくなかった。『どうすれば私のファインアートの考え方を時計作りに反映させられるか?』を考え続けた」。

 2つの時計には、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の歴史的な傑作の技法としても知られるデカルク(転写)技法を採用した。具体的にはハーフトーンパターンのスクリーンによるドットやラインの緻密なプリントを、スイス時計業界の文字盤作りのトップクラスに君臨するアルチザン・アーティスト(芸術的なセンスと技術を持つ職人)の手作業でMOPに施した。

 結果、2つの時計の文字盤は斬新なグラフィックパターンによる特別な煌めきを備え、これまで数多くの一流時計メゾンが製造してきたMOP文字盤のモデルとは異次元の「強烈なインパクト」を与えるものになった。特に“プチ スカル”は自動巻きのローターにもMOPによる装飾を加え、そのインパクトはシースルーのケースバックにまで及ぶ。

 さらに2つの時計を「ひと目観たら忘れられない、鮮烈なインパクトのあるファインアート」にしているのが、一流ムーブメントメーカーがこの時計のために開発・製造した機械式ムーブメントと、その魅力を見事に可視化した文字盤やケースのデザインだ。スイスでも、特にアートウオッチのデザインにおいては、「ムーブメントは黒子」として扱われることが多い。しかし「ファインアートとしての時計作り」に取り組むフィオナは、機械式ムーブメントもファインアートの大切な要素と考えて、著名なムーブメントメーカーとゼロから開発。しかもその魅力を積極的に「見せる=魅せる」デザインを追求した。

 「機械式時計のメカニズムは、アルチザン・アーティストの手で作られる文字盤やケースなどと同じくらいに美しいもの。デザインにあたってはどちらの魅力もアピールしたいと考えた」。“プチ スカル”も“カオス”も、文字盤の一部はくり抜かれ、機械式時計の内側のメカニズムは可視化された。たとえば“プチ スカル”の左側の目は時計の動力源である主ゼンマイで、リュウズを使ってゼンマイを巻くたびに動く。さらに右側は時を刻むテンプで、こちらは常に規則正しく動いている。そのためスカルの目は、まるで瞬きをしているよう。“カオス”も、ムーブメントの「動く部分」が可視化されている。

 「ファインアートとしての時計作り」という考えに基づいた独自のアプローチは、ケースのデザインにも貫かれている。「私が作る時計のケースは、ケースであってもケースとしてデザインしていない。絵画におけるフレームのように重要な要素」とフィオナ。彼女のこの言葉を象徴するのが、“プチ スカル”のケースベゼル(外周部)だ。ベゼルはケースの印象を決定付ける要素のひとつ。スポーツウオッチではデザインの力強さに大きく関わる部分であり、あえて幅を広くしたり、特別な素材や加工を採用したりでインパクトを与える。ところがこのモデルのベゼルは、見えないほど薄い。

 「ケースメーカーからは『ベゼルはもっと厚い方が良いのでは?』と言われたが『軽く目立たないデザインに仕上げるには、この薄さでなければ』と、妥協しなかった」。「常に素材とデザインの必然性を自問自答している」と語る彼女は、どこよりも自由なクリエーションを認め、時計作りに積極的な「タサキ」との今後のコラボレーションで、さらに新たな世界を見せてくれるに違いない。

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「マーク ジェイコブス」がアイコンバッグを取りそろえるポップアップを京成百貨店で開催

「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」は、アイコンバッグを取りそろえるポップアップショップを京成百貨店で開催している。ポップアップでは、“ザ トート バッグ(THE TOTE BAG)”や“ザ スナップショット(THE SNAPSHOT)”“J マーク(J MARC)”などがそろう。期間中、LINE公式アカウントに新規登録した人には、先着でオリジナルキャンディーをプレゼントする。

■「マーク ジェイコブス」ポップアップ
会期:3月21日〜4月5日
場所:京成百貨店 1階 正面口特設会場
住所:茨城県水戸市泉町1丁目 6番1号

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最新のKビューティを体験できる「ノイン」ポップアップイベント ギュテやHappiness楓&MIYUUのトークショーも実施

 化粧品ECプラットフォーム「ノイン(NOIN)」を運営するノインは3月25日から2日間、Kビューティの体験と購入が楽しめるポップアップイベント「Kビューティ フェス」を東京・表参道のRand Omotesandoで開催する。

 イベントには、「ジュライミー(JUL7ME)」「ジャビンドゥソウル(JAVIN DE SEOUL)」「アイビム(IBIM)」「バノバギ(BANOBAGI)」「ハイェジン(HAYEJIN)」「ジヴェルニー(GIVERNY)」「ドクタージー(Dr.G)」「ラネージュ(LANEIGE)」の韓国コスメ8ブランドが参画。アイテムを自由に試せるほか、「ラネージュ」のブランド担当者による商品レビュー&体験会「マジレポ」のオフライン体験会を実施する。体験会は事前抽選で選ばれたユーザーが参加でき、製品を手元で試しながらブランド担当者から直接アイテムの魅力を聞けるプログラムだ。

 また、タレントの大倉士門を司会に迎え、美容クリエイター兼メイクアップアーティストのギュテ(GYUTAE)やHappiness 楓&MIYUUによるトークショーも実施。来場者は自由に観覧することができる。イベントの事前来店予約限定で韓国コスメサンプルプレゼントなども行う。

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「ルイ・ヴィトン」の新シューズコレクション ヒール高5cmの波型アウトソールが特徴

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、シューズコレクション“LV アークライト 2.0・ライン”を発売した。公式オンラインストアで先行し、3月31日からは店舗でも扱う。

 2018年春夏コレクションで登場させた近未来的な“LV アークライト”をさらに進化させたもので、ヒール高5cmのボリュームのある波型アウトソールが特徴だ。

 価格は、ラフィアやレースを用いたスニーカータイプが19万3600〜25万4100円(税込、以下同)、ローファータイプが20万1300円、アンクルブーツタイプが23万6500円。

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「ルイ・ヴィトン」の新シューズコレクション ヒール高5cmの波型アウトソールが特徴

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、シューズコレクション“LV アークライト 2.0・ライン”を発売した。公式オンラインストアで先行し、3月31日からは店舗でも扱う。

 2018年春夏コレクションで登場させた近未来的な“LV アークライト”をさらに進化させたもので、ヒール高5cmのボリュームのある波型アウトソールが特徴だ。

 価格は、ラフィアやレースを用いたスニーカータイプが19万3600〜25万4100円(税込、以下同)、ローファータイプが20万1300円、アンクルブーツタイプが23万6500円。

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ミツハシが日本初の“肌の潤いを維持する玄米”を発売 発表会にはアンバサダーのMattが登場

 ミツハシは3月22日、日本初となる肌の潤いを維持する機能性表示食品の加工玄米“澄 SUMU”の発売を発表し、同日に都内で商品の広報大使に就任したタレントのMattを招いた発表会を行った。

 「澄 SUMU」は、同社が新設した健康米ブランド「コメタ(KOMETA)」の第1弾商品。皮膚の保湿に役立つ成分であるグルコシルセラミドを多く含む品種、“つきあかり”の表面を特殊処理することでグルコシルセラミド高含有を実現した。1日1食分(同商品75g)でグルコシルセラミド1.8mgを摂取でき、肌の潤いの維持が期待できるという。

 この日の発表会に、全身真っ白な衣装で登場したMattは「お米が大好き。お仕事でお米に関わるのが初めてなので、うれしいです」と就任に笑顔。セラミドはサプリによって毎日摂っていると語り、「毎日おいしく食べながらセラミドが摂取できるのは一石二鳥でうれしい。サプリでは飲むのを忘れてしまう時があるけど、お米は毎日食べる。気付いたらセラミドが摂れているのはすごくいいですね」とアピールした。

 商品名には偶然にも、父で元プロ野球選手の桑田真澄氏の「澄」が使用されている。Mattは「炎天下でプレーするのは肌にとても負担がかかる。パパの名前が入っているので、より受け入れて食べてくれそう」といい、「野球選手にも食べてほしい」と呼びかけた。

 また、日々のスキンケアについての質問を受けると、「ケアとメイクで毎日3時間かけます」と告白。「保湿と浸透を良くするためのマッサージとスチーマーを、アロマを嗅ぎながらやります。リラックスしながらやりますね。Mattメイクは時間がかかるので、毎日やっているとストレスになる。だから、アロマを嗅いだり、心を大事にしますね。そうすると、3時間が苦じゃないんです」と紹介した。

 「澄 SUMU」は4月1日から販売を開始する。価格は900gで税抜798円。同社は今後、「コメタ」ブランドからさまざまな商品をリリースしていくという。

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「ホワイトマウンテニアリング」×「ヴァンズ」 アッパーに牛革を用いた大人仕様のスニーカー

 「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」は3月25日、「ヴァンズ(VANS)」とコラボしたスニーカーを発売する。

 「アッパーに牛革を採用し、大人らしい印象に仕上げた」と話し、ステッチワークに用いたブランドの頭文字“W”と“M”も特徴だ。価格は、“オーセンティック44 DX”“クラシックスリッポン”共に1万5400円(税込)。

 「ホワイトマウンテニアリング」の直営店および公式オンランストア、同ブランドの取り扱い店舗で販売する。

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「ゲラン」から母の日限定フレグランスコフレ登場 パリのアーティストとコラボした色鮮やかなデザインボックス

 「ゲラン(GUERLAIN)」は4月1日、母の日限定フレグランスコフレを発売する。今年の限定コフレは、パリ在住のアーティストであるローラ・グルシャニとのコラボレーションによる限定ボックスで登場。25日に公式オンラインブティックでも販売する予定だ。

 母の日限定コフレは全4種で、いずれも自然からインスパイアされた色鮮やかなデザインボックスに入って登場する。“アクア アレゴリア コレクション”で人気の香り“マンダリン バジリック”の日本未発売サイズ・125mLと、同じ香りのミニサイズ、ベルガモットの香りのボディローションがセットになったコフレ“アクア アレゴリア マンダリン バジリック コフレ”(税込1万9800円)、“アクア アレゴリア コレクション”のフローラル ウッディの香り、ネロリア ベチバーと同じ香りのミニサイズ、ベルガモットの香りのボディローションがセットになったコフレ“アクア アレゴリア ネロリア ベチバー コフレ”(税込1万4520円)をラインアップ。

 そのほか、公式オンライン限定として“モン ゲラン”人気のフレグランス現品と同じ香りのミニサイズにボディーローションがセットになったコフレ“モン ゲラン オーデパルファン コフレ”(税込1万5400円)、インドの皇帝シャー・ジャハーンと美しい妃ムムターズ・マハルの情熱的な愛の物語に感銘を受けて誕生した香り・シャリマーをオーデパルファンやボディーローションで堪能できる“シャリマー オーデパルファン コフレ”(税込1万5400円)をそろえる。

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ファミマの「コンビニエンスウェア」が広島東洋カープとコラボ ヘッドバンドやエコリュックなど応援グッズとしても

 ファミリーマートは「コンビニエンスウェア」からプロ野球チーム、広島東洋カープとのコラボアイテムを発売する。ラインアップしたのはラインソックス(600円税込、以下同)、ハンドタオル(700円)、マフラータオル(2000円)、子供用ソックス(1200円)、ヘッドバンド(990円)、エコリュック(3000円)の6種類。広島東洋カープのチームカラーであるレッドを随所に取り入れた。コラボアイテムは、広島県をはじめとする中国地方(山口県の一部店舗除く)のファミリーマート約720店舗で販売している。さらに、広島東洋カープ応援弁当やパンなどを取りそろえるほか、カープ坊やをあしらった「ファミマ カフェ」のカップ、ファミチキ袋も数量限定で展開する。

 「コンビニエンスウェア」は、落合宏理「ファセッタズム(FACETASM)」デザイナーと共同開発するファミリーマートのオリジナルアパレルブランドだ。

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「スタッフスタート」小野里社長が初著書「リアル店舗を救うのは誰か」上梓、働く人の好きの力が世界を変える!?

 店舗スタッフによるコーディネート投稿など、「オンライン接客」を可能にするサービス「スタッフスタート」を展開するバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃社長が初の著書「リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ『店舗スタッフ』にECを任せよ~」(日経BP刊)を3月25日に上梓する。ここではその内容を紹介するとともに、小野里社長に、上梓の意図や思いを聞いた。

 書籍は「何もしないバカより、挑戦するバカでありたい」という諧謔的な前書きから始まり、「今、リアル店舗で何が起きているのか」「オンライン接客という『令和の救世主』」「元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだこと」「どうする?リアル店舗 OMO先進企業は何が違うのか」「カリスマ店舗スタッフのオンライン接客術」「『もう1店も潰さない』。リアル店舗の明るい未来」と題した6つの章で構成。「スタッフスタート」の活用事例として、「スリーコインズ」を擁するパルグループホールディングス、「フリークスストア」で知られるデイトナ・インターナショナル、「ザ・ノース・フェイス」を擁するゴールドウイン、ニトリホールディングス、三越伊勢丹、イオンモールのOMO(オンラインとオフラインの融合)施策や、オンライン接客コンテスト「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」の上位入賞者を集めた「令和のカリスマ店員」最強名鑑なども盛り込んでいる。

 日本を代表する経営コンサルタントの大前研一ビジネス・ブレークスルー大学学長や設楽洋ビームス社長との対談も実現。大前氏の「『あなた(店舗スタッフ)の努力で人生を変えていける』。これが、バニッシュ・スタンダードの事業の他との一番の違いだし、この観点から事業を組み立てた人は今まで日本にはいない。『怒りと愛』を原点にした、『日本一のビジネスモデル』だ」という分析や、「人軸の経営」を行うビームス設楽社長の「リーダーの一番大事なポイントはモチベーションに火をつけること。経営者の仕事はモチベーションをデザインすることだと言っても過言ではない。スタッフ・オブ・ザ・イヤーはモチベーションをデザインすることにおいて、すごくいいトライアルだと思う」といったコメントも興味深い。

「好きの力」を信じて、人と人がつながり合い、好きなことを続けられる世の中を

 小野里社長は、書籍の上梓に当たり、「僕には伝えたかったことがある。それは『スタッフスタート』のサービスを広めたいとか、そういう小さいことじゃない。時代の進化に期待しすぎて、人が人に与える力を忘れてしまうこと。そして、時代の進化を理解しないで、今までと同じ方法でしか人に期待しないこと。そういう状態に危機感を抱いていた。今、企業と顧客、店舗とECは、時代の進化と共に関係値も立ち位置も明らかに変わってきている。それぞれが持つ大切な意義は決して変わっていないけれど、個々に進化して互いの関係は希薄になっている。しかも、この世の関係というのはITで繋がっているみたいな感覚に陥っているんじゃないかって心配になっていた。そんな心配を解決してくれたのが、働く人が持つ「好きの力」だと思う。好きだから働いてくれている店舗スタッフは、顧客やファン、本社の人々との関係値をもっとつなげていく力を持っている。その力を今一度信じて、人と人の時代にもう一度返り咲くべきじゃないか。ビジネスのこととか自分の保身、そういうことばっかりじゃなくて、もっと好きなことをして、もっと好きを応援してあげられる、そんな笑顔が溢れる世界へ。もう一度、人と人の温度がつながり合うような、好きなことを続けられるような、そんな自由な世の中へ一緒に時代を切り拓いていきたいと思い、この本に願いを込めた」と明かす。

 なお、この書籍に執筆協力した筆者としては、「スタッフスタート」は、とても優しさと易しさのあるOMO施策の支援ツールであり、バニッシュ・スタンダードが目指す、「富(収入)とプライドの両面での『店舗スタッフの地位向上』」や、新しい働き方の実現、社会課題に対する解決意欲などに共感。商業施設や街を丸ごとDXする構想や、新しいスタッフ評価「チップ文化」構想、スタッフスタートの一般開放構想、そして、海外展開など、小野里社長が描く未来像に期待したい。

■書籍「「リアル店舗を救うのは誰か ~今すぐ『店舗スタッフ』にECを任せよ~」
著者:小野里寧晃
出版社:日経BP
ページ数:288頁
価格:1870円(税込み)
販売:全国の書店、アマゾン

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「シャネル」が俳優ペネロペ・クルスを時計“J12”の新ミューズに指名

 「シャネル(CHANEL)」は時計“J12(ジェイ トゥエルブ)”のミューズに、スペイン出身の俳優ペネロペ・クルス(Penelope Cruz)を指名した。

 クルスは、4月に公開される新キャンペーン「IT’S ALL ABOUT SECONDS」に登場する。同キャンペーンにはクルスのほか、オーストラリア出身の俳優マーゴット・ロビー(Margot Robbie)、米国出身の俳優アリ・マッグロー(Ali MacGraw)、中国出身の俳優ジョウ・シュン(周迅、Zhou Xun)ら、別の“J12”ミューズも出演する。4人が互いの人生における決定的瞬間について12の質問をし、12の回答をする内容だという。

 ミューズらは、33mm径の“J12”を着用する。同モデルは、「シャネル」が一部株式を保有するスイスの時計部品メーカー、ケニッシ(KENISSI)製の自動巻きムーブメント“キャリバー 12.2”を搭載したものだ。

 クルスは、2018年から「シャネル」のアンバサダーを務める。

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MVP大谷翔平が掲げたWBC優勝トロフィーは「ティファニー」製

 「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)2023」の決勝戦が3月21日(日本時間22日)、米国フロリダ州マイアミのローンデポ・パークで行われ、日本代表が米国代表を3対2で下して優勝した。日本の優勝は、連覇した09年の第2回大会以来3度目。

 日本代表が掲げたトロフィーは「ティファニー(TIFFANY & CO.)」製で、同ブランドは第1回大会から製作を担当している。同ブランドの工房で「4カ月半かけて命を吹き込まれたもの」で、素材はスターリングシルバー。そこに24金のアクセントをあしらう。高さは約60cmで、重さは約11kgだ。

 MVPを受賞した大谷翔平選手が重さにびっくりしていたり、トロフィーを手にした栗山英樹監督がよろけそうになったりしていたのが印象的だった。

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「フィラ」×BE:FIRSTのコラボアイテム第2弾をライトオンが発売 購入毎にもらえる限定ノベルティー付き

 ライトオンは、スポーツウエアブランド「フィラ(FILA)」と7人組ダンス&ボーカルグループ、BE:FIRST(ビーファースト)のコラボアイテム第二弾を3月30日に発売する。アパレルは半袖Tシャツ(6490円税込、以下同)とショートパンツ(1万780円)、パンツ(1万1880円)などをラインアップする。そのほか、キャップ(4950円)やハット(5390円)、トートバッグ(8690円)などの雑貨も用意する。アイテムは、ライトオン 公式オンラインストアと一部店舗で取り扱う。公式オンラインストアでは、3月30日10時から商品の販売を開始する。

 また、コラボアイテムを購入毎に限定のノベルティーをセットにする。アパレルアイテムを購入した人にはストラップホルダー(7種類の中からランダムで1点)を、キャップまたはハットを購入した人にはマスキングテープ(2本セット)を、トートバッグを購入した人にはリールチェーン&ステッカー(7種類の中からランダムで1点)をプレゼントする。ただし、店頭ではアパレルを一人2点まで、グッズを一人1点までと購入制限を設ける。

 BE:FIRSTは、SKY-HI率いるBMSGに所属する7人組ダンス&ボーカルグループ。メンバーそれぞれが歌やダンス、ラップに対して高いクオリティーとポテンシャルを持っており、七者七様の個性を武器にファンを増やしている。

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「ジーユー」が「コジマプロダクション」とコラボ 3月24日に日本発売のアイテムをアートディレクターがNYで語る

 「ジーユー(GU)」は3月17日、世界的ゲームクリエイターの小島秀夫率いる「コジマプロダクション」とコラボレーションし、4型の商品をアメリカのニューヨーク、ソーホーの店舗で発売した。日本では3月24日、全国の「ジーユー」で全5型を発売する。

 今回のコラボレーションは第二弾だが、ソーホー ニューヨーク店での販売は初めて。本コレクションの商品監修を担当したコジマプロダクションの新川洋司アートディレクターが来店し、ライブペインティングを行ったこともあり、販売初日は開店前から行列ができた。

 「コジマプロアクション」は、19年にリリースをしたプレイステーション4の「デス・ストランディング」をはじめ、22年末にはプレイステーション5向けに最新作「デス・ストランディング2」の制作を発表したゲームクリエイター集団。今回のコラボレーションでは同社のシンボルキャラクター“ルーデンス”をモチーフにしたTシャツ($29.9、約3400円)やシャツ($39.9、約5200円)、ボトムス($49.9、約6500円)などの4型を販売している。

新川洋司アートディレクターに直撃!
「ゲームキャラクターを描くイメージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):今回のコレクションのインスピレーション源は?

新川洋司(以下、新川):アルチザン的な、少し崩したようなデザインが好き。自分が着たいと思うものと同時に、みんなに着てもらいたいものをデザイン画に落とし込んだ。アパレルのデザインというよりは、ゲームのキャラクターをイメージしてデザイン画を描いた。

WWD:一番こだわったポイントは?

新川:「ジーユー」が「なんでもやりますよ!」と言ってくれたので、ルーデンスのディテールを落とし込むなど、難しいものを作った(笑)。シャツの胸の丸いデザインもルーデンスから。コレクションを着ると、キャラクターになれる。仕上がりも良く、「この値段で、ここまで出来るんだ」いう感想。

WWD:どういう人たちに着てもらいたい?

新川:ゲームのファンはもちろん、それ以外の人たちにも着てもらいたい。ニューヨークの街を歩くまでは想像がつきにくかったが、街を歩いている人たちを見て、「今回の商品が似合いそうだな」と思った。ゲームの中には色々な人種が出てくる。コラボレーションした商品も、色々な人種の方達に着てもらいたい。

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「ジーユー」が「コジマプロダクション」とコラボ 3月24日に日本発売のアイテムをアートディレクターがNYで語る

 「ジーユー(GU)」は3月17日、世界的ゲームクリエイターの小島秀夫率いる「コジマプロダクション」とコラボレーションし、4型の商品をアメリカのニューヨーク、ソーホーの店舗で発売した。日本では3月24日、全国の「ジーユー」で全5型を発売する。

 今回のコラボレーションは第二弾だが、ソーホー ニューヨーク店での販売は初めて。本コレクションの商品監修を担当したコジマプロダクションの新川洋司アートディレクターが来店し、ライブペインティングを行ったこともあり、販売初日は開店前から行列ができた。

 「コジマプロアクション」は、19年にリリースをしたプレイステーション4の「デス・ストランディング」をはじめ、22年末にはプレイステーション5向けに最新作「デス・ストランディング2」の制作を発表したゲームクリエイター集団。今回のコラボレーションでは同社のシンボルキャラクター“ルーデンス”をモチーフにしたTシャツ($29.9、約3400円)やシャツ($39.9、約5200円)、ボトムス($49.9、約6500円)などの4型を販売している。

新川洋司アートディレクターに直撃!
「ゲームキャラクターを描くイメージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):今回のコレクションのインスピレーション源は?

新川洋司(以下、新川):アルチザン的な、少し崩したようなデザインが好き。自分が着たいと思うものと同時に、みんなに着てもらいたいものをデザイン画に落とし込んだ。アパレルのデザインというよりは、ゲームのキャラクターをイメージしてデザイン画を描いた。

WWD:一番こだわったポイントは?

新川:「ジーユー」が「なんでもやりますよ!」と言ってくれたので、ルーデンスのディテールを落とし込むなど、難しいものを作った(笑)。シャツの胸の丸いデザインもルーデンスから。コレクションを着ると、キャラクターになれる。仕上がりも良く、「この値段で、ここまで出来るんだ」いう感想。

WWD:どういう人たちに着てもらいたい?

新川:ゲームのファンはもちろん、それ以外の人たちにも着てもらいたい。ニューヨークの街を歩くまでは想像がつきにくかったが、街を歩いている人たちを見て、「今回の商品が似合いそうだな」と思った。ゲームの中には色々な人種が出てくる。コラボレーションした商品も、色々な人種の方達に着てもらいたい。

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「オフ-ホワイト」がシグネチャースニーカー“アウト オブ オフィス”の新作を発表

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」は、ブランドのシグネチャースニーカー“アウト オブ オフィス(OUT OF OFFICE)”の新作を発表した。ブランドの公式サイトと直営店、一部取扱店舗で5月から7月の間に発売予定だ。

 “アウト オブ オフィス”は、2021年に急逝した故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がデザインし、「オフ-ホワイト」20-21年秋冬メンズ・コレクションのランウエイで披露された1足。コロナ禍における“在宅勤務のためオフィスから出る”という概念に着想して名付けられ、1980年代後半から90年代前半のスポーツシーンを彷ふつとさせるロートップのシルエットとカラーリング、そしてアッパーサイドのアローロゴをモチーフとしたあしらいが特徴だ。

 今回は、2020年のデビュー以来初めての新作で、メンズとウィメンズの複数のカラーを用意。さらに、新型としてミッドトップのモデルも加わる。

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「ギャップ」がキッズ向けの職業体験イベント 銀座旗艦店やアウトレット店など39店舗で開催

 「ギャップ(GAP)」は3月31日〜4月2日、キッズ向け職業体験イベント「ブラナンクラブ キャリアデー(Brannan Club Career Day)」を開催する。対象年齢は、3〜10歳。

 同イベントは、子どもたちが「ギャップ」のスタッフとして仕事を体験できる内容で、来店客に対してコーディネートの提案やレジ打ちなどの接客を行う。仕事やサービスを実際に体験することで、洋服を選ぶ楽しさや新しいことにチャレンジする驚きと発見を提供する。終了後には、修了証を贈呈する予定だ。

 応募はLINE公式アカウントからすでに始まっており、各開催日の前日18時まで先着順で受け付けている。応募条件は、ギャップ公式のキッズクラブ「ブラナンクラブ」(対象年齢:0〜12歳)会員であり、当日の保護者同伴が可能であること。

 対象店舗は以下39店舗で予定。

 ギャップフラッグシップ銀座、新宿フラッグス店、自由が丘MAST店、たまプラーザ テラス店、上野マルイ店、丸井錦糸町店、グランツリー武蔵小杉店、ららぽーと豊洲店、玉川高島屋SC店、吉祥寺店、グランドデュオ立川店、ららぽーと立川立飛店、ららぽーと東京ベイ店、ファクトリーストア ステラタウン大宮店、ダイエー大宮店、町田東急ツインズ ウエスト店、千歳アウトレットモール・レラ店、トナリエキュートつくば店、トキハわさだタウン店、泉北パンジョ店、ファクトリーストア イオンモール千葉ニュータウン店、イオンモール名古屋ドーム店、ららぽーと富士見店、ららぽーと名古屋みなとアクルス店、ららぽーと愛知東郷店、ららぽーと横浜店、ランドマークプラザ店、ららぽーと海老名店、ファクトリーストア イオンモール都城駅前店、京急上大岡店、心斎橋店、ららぽーと甲子園店、イオンモール岡崎店、神戸ハーバーランド ウミエ店、イオンタウン防府店(アウトレット)、ファクトリーストア イオン南風原店、高松店、パークプレイス大分店、キャナルシティ博多店

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「ギャップ」がキッズ向けの職業体験イベント 銀座旗艦店やアウトレット店など39店舗で開催

 「ギャップ(GAP)」は3月31日〜4月2日、キッズ向け職業体験イベント「ブラナンクラブ キャリアデー(Brannan Club Career Day)」を開催する。対象年齢は、3〜10歳。

 同イベントは、子どもたちが「ギャップ」のスタッフとして仕事を体験できる内容で、来店客に対してコーディネートの提案やレジ打ちなどの接客を行う。仕事やサービスを実際に体験することで、洋服を選ぶ楽しさや新しいことにチャレンジする驚きと発見を提供する。終了後には、修了証を贈呈する予定だ。

 応募はLINE公式アカウントからすでに始まっており、各開催日の前日18時まで先着順で受け付けている。応募条件は、ギャップ公式のキッズクラブ「ブラナンクラブ」(対象年齢:0〜12歳)会員であり、当日の保護者同伴が可能であること。

 対象店舗は以下39店舗で予定。

 ギャップフラッグシップ銀座、新宿フラッグス店、自由が丘MAST店、たまプラーザ テラス店、上野マルイ店、丸井錦糸町店、グランツリー武蔵小杉店、ららぽーと豊洲店、玉川高島屋SC店、吉祥寺店、グランドデュオ立川店、ららぽーと立川立飛店、ららぽーと東京ベイ店、ファクトリーストア ステラタウン大宮店、ダイエー大宮店、町田東急ツインズ ウエスト店、千歳アウトレットモール・レラ店、トナリエキュートつくば店、トキハわさだタウン店、泉北パンジョ店、ファクトリーストア イオンモール千葉ニュータウン店、イオンモール名古屋ドーム店、ららぽーと富士見店、ららぽーと名古屋みなとアクルス店、ららぽーと愛知東郷店、ららぽーと横浜店、ランドマークプラザ店、ららぽーと海老名店、ファクトリーストア イオンモール都城駅前店、京急上大岡店、心斎橋店、ららぽーと甲子園店、イオンモール岡崎店、神戸ハーバーランド ウミエ店、イオンタウン防府店(アウトレット)、ファクトリーストア イオン南風原店、高松店、パークプレイス大分店、キャナルシティ博多店

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ロゴやフーディーがパリコレから消えた理由は?「今週の特集お届け隊」2023年3月20日号

 毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年3月20日号からの抜粋です)

村上:今季のパリコレは、「パワーショルダーを基調としたテーラード」「オープンバックのミニマルなドレス」「ピンヒール」など、脱ストリートが鮮明ですね。本当にロゴやグラフィティを前面に押し出した、キャッチーなインスタ映えスタイルが減りました。こうした変化の源泉は、どこにあるんでしょう?

藪野:先のメンズ・コレクションでも見え始めていましたが、デザイナーのマインドは、SNSでのバズやトレンドを作るよりも、服作りの本質に向き合い、改めて美しいものを生み出すというところに変化しているように感じました。原点や歩みを振り返るブランドも多かったですね。一方で、ショーに来場するセレブ合戦は加熱していましたが、これはデザイナーの意向ではなく、ブランドの戦略というところが大きそうです。

村上:以前、有名なデザイナーと交際していた方から、「常々デザイナーは社会を鑑みてコレクションを生み出しているのに、マーケティングになると刹那的なコラボなどが前面に押し出されて陳腐化してしまう。デザイナーは、ずっと悩んでいた」という言葉を思い出すシーズンでした。確かに裾野を広げるという意味においては、セレブ戦略も必要だと思います。でも、刹那的に消費されるだけの事象としてしか語られなくなってしまうのは、危惧すべきこと。改めて業界全体が団結し、本質的な魅力を発信すべきタイミングだと感じますね。

藪野:まさに!そういう意味で、今シーズンは服と着る人の関係に着目して“服への愛”を表現した「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や、6歳の頃にテーラーでパンツを仕立てたという原体験や服の本質を見つめ直したデムナの「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が、とても輝いて見えました。

村上:メンズ同様に世界観を見せつけた「サンローラン(SAINT LAURENT)」、スーツ作りに定評のある「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」含めて、ライバルのLVMHに比べて服作りに重きを置いている印象のケリングブランドはいずれも魅力的でしたね。個人的なベストは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」。値段はともかく、普遍的なスタイルをストリートにスタイリングして若い世代に継承するという、最近のメゾンの方向性がとても明快でした。

藪野:やはり服好きとしては、丁寧に作られた美しい服が心に響きますね。改めて“何を伝えるか”を考えさせられたシーズンでもありました。

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ロゴやフーディーがパリコレから消えた理由は?「今週の特集お届け隊」2023年3月20日号

 毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年3月20日号からの抜粋です)

村上:今季のパリコレは、「パワーショルダーを基調としたテーラード」「オープンバックのミニマルなドレス」「ピンヒール」など、脱ストリートが鮮明ですね。本当にロゴやグラフィティを前面に押し出した、キャッチーなインスタ映えスタイルが減りました。こうした変化の源泉は、どこにあるんでしょう?

藪野:先のメンズ・コレクションでも見え始めていましたが、デザイナーのマインドは、SNSでのバズやトレンドを作るよりも、服作りの本質に向き合い、改めて美しいものを生み出すというところに変化しているように感じました。原点や歩みを振り返るブランドも多かったですね。一方で、ショーに来場するセレブ合戦は加熱していましたが、これはデザイナーの意向ではなく、ブランドの戦略というところが大きそうです。

村上:以前、有名なデザイナーと交際していた方から、「常々デザイナーは社会を鑑みてコレクションを生み出しているのに、マーケティングになると刹那的なコラボなどが前面に押し出されて陳腐化してしまう。デザイナーは、ずっと悩んでいた」という言葉を思い出すシーズンでした。確かに裾野を広げるという意味においては、セレブ戦略も必要だと思います。でも、刹那的に消費されるだけの事象としてしか語られなくなってしまうのは、危惧すべきこと。改めて業界全体が団結し、本質的な魅力を発信すべきタイミングだと感じますね。

藪野:まさに!そういう意味で、今シーズンは服と着る人の関係に着目して“服への愛”を表現した「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や、6歳の頃にテーラーでパンツを仕立てたという原体験や服の本質を見つめ直したデムナの「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が、とても輝いて見えました。

村上:メンズ同様に世界観を見せつけた「サンローラン(SAINT LAURENT)」、スーツ作りに定評のある「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」含めて、ライバルのLVMHに比べて服作りに重きを置いている印象のケリングブランドはいずれも魅力的でしたね。個人的なベストは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」。値段はともかく、普遍的なスタイルをストリートにスタイリングして若い世代に継承するという、最近のメゾンの方向性がとても明快でした。

藪野:やはり服好きとしては、丁寧に作られた美しい服が心に響きますね。改めて“何を伝えるか”を考えさせられたシーズンでもありました。

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「ヨウジヤマモト」が装飾で見せる不完全な美と、装飾を削ぎ落として見せるピュアネス

 「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の2023-24年秋冬コレクションのショー会場は、おなじみのオテル・ドゥ・ヴィル(パリ市庁舎)。山本耀司自身が歌うレナード・コーエン(Leonard Cohen)の「I’m your man」からショーがスタートした。

 序盤に登場したのは、シワシワの端切れ風パッチとダーツや切り替えを駆使した複雑なパターンが印象的なドレスや、いくつもの裁断されたようなパーツを紐でぶら下げたウールコート。そこには、「ヨウジ」ならではの不完全な美を感じる。その後も中心となるのは、アシンメトリーなシルエット。プリーツやドレープ、絡み合うようなベルト状の装飾を取り入れながら、巧みな生地使いで動きを生み出していく。

 そんな黒を主軸にしたコレクションにアクセントとして挿したのは、鮮やかな赤と深みのある紺。ギターを弾く山本の姿を描いた刺しゅうからは糸が垂れ下がり、ジャラジャラと下がるチェーンや安全ピンはパンキッシュなイメージを醸し出す。

 中盤に流れたのは、イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra、通称 YMO)の名曲「ライディーン」のエレクトリックギターと弦楽器でのアレンジ。これは山本と親交が深く、今年1月に亡くなったメンバーの高橋幸宏を思っての選曲だろう。ランウエイに登場したシャツコートの背中には、山本自身が描いたスーツをまとう男性のようなデッサンがのせられていた。関係はないというが、そこに高橋やYMOの姿を重ねずにはいられなかった。

 そして、山本が1991年に発表したCDアルバムの収録曲「心のそばの胃のあたり」の哀愁感漂うしっとりとした歌声が響く終盤に向かって、装飾的な要素は削ぎ落とされていく。印象的なのは、胸元や袖口に飾りボタンやブローチをつけるかのように幾何学的なビーズモチーフや刺しゅうだけあしらった、すっきりとした黒のロングドレス。ラストには、その装飾さえ廃し、巧みな仕立ての技術を際立たせたドレスをまとう二人のモデルが裸足でランウエイに登場。シンプル&ピュアでありながらも「ヨウジ」らしさを感じさせるスタイルでショーを締めくくった。

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「ヨウジヤマモト」が装飾で見せる不完全な美と、装飾を削ぎ落として見せるピュアネス

 「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の2023-24年秋冬コレクションのショー会場は、おなじみのオテル・ドゥ・ヴィル(パリ市庁舎)。山本耀司自身が歌うレナード・コーエン(Leonard Cohen)の「I’m your man」からショーがスタートした。

 序盤に登場したのは、シワシワの端切れ風パッチとダーツや切り替えを駆使した複雑なパターンが印象的なドレスや、いくつもの裁断されたようなパーツを紐でぶら下げたウールコート。そこには、「ヨウジ」ならではの不完全な美を感じる。その後も中心となるのは、アシンメトリーなシルエット。プリーツやドレープ、絡み合うようなベルト状の装飾を取り入れながら、巧みな生地使いで動きを生み出していく。

 そんな黒を主軸にしたコレクションにアクセントとして挿したのは、鮮やかな赤と深みのある紺。ギターを弾く山本の姿を描いた刺しゅうからは糸が垂れ下がり、ジャラジャラと下がるチェーンや安全ピンはパンキッシュなイメージを醸し出す。

 中盤に流れたのは、イエロー・マジック・オーケストラ(Yellow Magic Orchestra、通称 YMO)の名曲「ライディーン」のエレクトリックギターと弦楽器でのアレンジ。これは山本と親交が深く、今年1月に亡くなったメンバーの高橋幸宏を思っての選曲だろう。ランウエイに登場したシャツコートの背中には、山本自身が描いたスーツをまとう男性のようなデッサンがのせられていた。関係はないというが、そこに高橋やYMOの姿を重ねずにはいられなかった。

 そして、山本が1991年に発表したCDアルバムの収録曲「心のそばの胃のあたり」の哀愁感漂うしっとりとした歌声が響く終盤に向かって、装飾的な要素は削ぎ落とされていく。印象的なのは、胸元や袖口に飾りボタンやブローチをつけるかのように幾何学的なビーズモチーフや刺しゅうだけあしらった、すっきりとした黒のロングドレス。ラストには、その装飾さえ廃し、巧みな仕立ての技術を際立たせたドレスをまとう二人のモデルが裸足でランウエイに登場。シンプル&ピュアでありながらも「ヨウジ」らしさを感じさせるスタイルでショーを締めくくった。

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「G-SHOCK」が三好良の「エブリワン」とコラボ シンプルを極めた黒紺白のセットボックス

 タフネスウオッチの象徴「G-SHOCK」が、三好良氏による新ショップ「エブリワン(everyone)」とコラボし、“GAE-2100EV”を発売する。三好氏はこれまで、セレクトショップ「 1LDK 」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍。独自の世界観と流行に左右されないセレクションは、業界内外から好評で、多くのファンに支持されている。独立後、新たに始めた東京・祐天寺のアポイント制ショップ「エブリワン」は、オープンしてわずか2〜3カ月でありながら、既に半年先まで、入店予約で埋まっているという。三好氏のこだわりが詰まった「G-SHOCK」は、シンプルを目指した“コラボらしからぬ”アプローチが新鮮で、黒紺白の3色のベゼルとバンドを付け替えられるというもの。三好氏にインタビューし、コラボモデルの魅力に迫る。

ショップ?ブランド?
「エブリワン」とは何か?

――アポイント制のショップ「エブリワン」とは?

三好良・三好事務所代表(以下、三好):記憶も順序も曖昧なんですけど、“自分に近いもの”を作ろうと思ったところから、毎日やっていた中で生まれたというか。独立したタイミングであったわけではないし、明確なビジョンや狙いがあったわけでもない。祐天寺を選んだのもただこの辺りが好きなだけで、ブランド名も無い状態で洋服を作っていたら、たまたま事務所の近くに物件が空いて、だったら何かやってみようかなと思って始めました。「エブリワン」という名前は、スタイリストの山本康一郎さんに付けてもらったんです。そこからより考えがクリアになっていって、だんだんブランドになっていきました。

――ブランド名を決めた経緯を詳しく教えてください。

三好:名前を付けるのは時間がかかるし、子どもの名前を考えたインパクトが大き過ぎて、それ以上のものが全く出てこなかった。康一郎さんに相談したら、何日かして電話をもらって「エブリワンってどう?」と。ピンと来て、その場で即決しました。もともと、みんなに買ってもらえればいいなとか、みんなが着ているといいなとかとは思っていましたけど、康一郎さんには、何を作っているとかどんなブランドにしたいとか、特に伝えたわけではないんです。だけど、自分のことをよく知ってくれている康一郎さんだからこそ、そういう風に思ってくれたんじゃないかな。「エブリワン」の洋服は着ていてバレないもの。誰かと同じものを着ていても、それぞれ着た人のものになるような服。そんな服を作っているつもりです。

ワードローブは黒、紺、白。
いつものスタイルになじむモデル

――今回のコラボモデルのアプローチもそういう考え方があるんでしょうか?

三好:僕自身の着る洋服が毎日、黒、紺、白のどれか。全身黒の日もあれば紺の日もあるし、たまに黒と紺を合わせて着る日もある。夏の日は白Tで、素材やフィット感が違うものを選んで着ています。スポーツウオッチは時計が主役になりがちだから、そうじゃなく、いつもの自分のスタイルになじむもの。ブランドロゴが載っているものじゃなくて、一見コラボと分かりづらいものを作りたかったというのが、結果的にコンセプトなのかもしれません。服装に合わせて時計を付け替える性格でもないので、ベゼルとバンドをそれぞれ黒、紺、白に替えられるようにすれば、1本で大丈夫だし、やっていくうちに色がミックスされている方が使いやすいことに気付いたので、文字盤は黒ではなく、紺にしました。あとは、ベゼルと文字盤にそれぞれ入っていた“G-SHOCK”のロゴを一つにして、極力シンプルにもしています。さかのぼるとお話をいただいたときには「エブリワン」はまだなかったのですが、今作るとしても同じようなアプローチになると思います。

――ベースになった“GA-2100”のどこに魅力を感じて、どう変えたんですか?

三好:軽さと薄さ、巻いたときのフィット感ですね。ただ、“GA-2100”のインラインモデルも既に完成していて、それでも十分だし、どうやったら自分のスタイルに変えられのか悩みました。だから、ちょっと気になるところを変えただけです。過去にも時計を何度かデザインしたことがあるのですが、洋服と全然違ってすごく難しいんですよ。立体感もあってパーツも複雑なので、どこをどこまで変えられるかのロジックが洋服とは全く異なります。制限されたデザインの中で個性をどう出すかが難しい。一人ではまとまらないだろうと思い、以前、時計をデザインしたときにご一緒したグラフィックデザイナーの上田佑介さんに手伝ってもらいました。

バンドやボックスも特別仕様
細かいこだわりが光る

――バンドには、乗馬で使用される“あぶみ革(馬具の一種で、鞍につり下げる革のひも)”から着想を得て、バンド穴に沿ってアラビア数字を刻印したそうですね。

三好:小さいころから「G-SHOCK」が好きで、よく着けていたので分かるんですが、着け外しを繰り返していると、ベストな穴はどこか、分からなくなっちゃうんですよね。だから、目印があった方がいいなと思って数字を刻印しました。ホットスタンプという熱で圧着して凹凸をつける技術を使っているのですが、「G-SHOCK」は穴の間隔が決まっているので、何度もテストしていただいて、やっと実現しました。

――ボックスも特別仕様です。

三好:もともとのボックスをベースに、百貨店の包装紙をイメージしました。このデザインの延長線上に上田さんもいるというストーリーを見せたかったので、上田さんにイメージを伝えて、グラフィックを手で描いてもらっています。箱の中の緩衝材も、もともとは黒なんです。だけど、今回は白の方が、気分が上がるんじゃないかなと思って変えました。通販で買ったときに、ブランドの名前が書いてあるテープなんかで梱包してあると気分が上がるんですが、それに似た感覚ですかね。既存の完成されたものを変えるなら、それぐらいの細かいところでいいと思います。

――改めて、「G-SHOCK」の魅力は?

三好:世界一タフなこと。子どものころは、わざと高いところから床に落として、壊れないか試したりもしました。もちろん、全然壊れないんですが、それが男心をくすぐるんですよね。

「エブリワン」で先行発売も
販売方法を要チェック!

 1983年の誕生以来、“どこまでも強く”を信念に、構造、素材、機能のあらゆる面からさらなるタフを追い求めてきたカシオ計算機の「G-SHOCK」。今回のコラボモデルには、ベースに、オクタゴン(八角形)をかたどったベゼルと薄型ケースが特徴の“GAE-2100 ”を採用した。文字盤をネイビーとグレーでシンプルに仕上げ、ベゼルとバンドは、ブラック。ネイビーとホワイトの2色が別途付属し、好みのカラーに交換可能だ。バンド穴には、乗馬で使用されるあぶみ革をイメージソースにしたアラビア数字を並べた。定価は税込 3 万800円。 3月25日に「エブリワン」の店舗とECで先行発売し、4月14日にカシオ公式オンラインストアで数量限定発売。なお、カシオでは4月1日13時から4日23時59まで抽選予約を受け付ける。

PHOTO:TAKU MATSUDA
TEXT:YUKI KOIKE
問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
0120-088925

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「G-SHOCK」が三好良の「エブリワン」とコラボ シンプルを極めた黒紺白のセットボックス

 タフネスウオッチの象徴「G-SHOCK」が、三好良氏による新ショップ「エブリワン(everyone)」とコラボし、“GAE-2100EV”を発売する。三好氏はこれまで、セレクトショップ「 1LDK 」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍。独自の世界観と流行に左右されないセレクションは、業界内外から好評で、多くのファンに支持されている。独立後、新たに始めた東京・祐天寺のアポイント制ショップ「エブリワン」は、オープンしてわずか2〜3カ月でありながら、既に半年先まで、入店予約で埋まっているという。三好氏のこだわりが詰まった「G-SHOCK」は、シンプルを目指した“コラボらしからぬ”アプローチが新鮮で、黒紺白の3色のベゼルとバンドを付け替えられるというもの。三好氏にインタビューし、コラボモデルの魅力に迫る。

ショップ?ブランド?
「エブリワン」とは何か?

――アポイント制のショップ「エブリワン」とは?

三好良・三好事務所代表(以下、三好):記憶も順序も曖昧なんですけど、“自分に近いもの”を作ろうと思ったところから、毎日やっていた中で生まれたというか。独立したタイミングであったわけではないし、明確なビジョンや狙いがあったわけでもない。祐天寺を選んだのもただこの辺りが好きなだけで、ブランド名も無い状態で洋服を作っていたら、たまたま事務所の近くに物件が空いて、だったら何かやってみようかなと思って始めました。「エブリワン」という名前は、スタイリストの山本康一郎さんに付けてもらったんです。そこからより考えがクリアになっていって、だんだんブランドになっていきました。

――ブランド名を決めた経緯を詳しく教えてください。

三好:名前を付けるのは時間がかかるし、子どもの名前を考えたインパクトが大き過ぎて、それ以上のものが全く出てこなかった。康一郎さんに相談したら、何日かして電話をもらって「エブリワンってどう?」と。ピンと来て、その場で即決しました。もともと、みんなに買ってもらえればいいなとか、みんなが着ているといいなとかとは思っていましたけど、康一郎さんには、何を作っているとかどんなブランドにしたいとか、特に伝えたわけではないんです。だけど、自分のことをよく知ってくれている康一郎さんだからこそ、そういう風に思ってくれたんじゃないかな。「エブリワン」の洋服は着ていてバレないもの。誰かと同じものを着ていても、それぞれ着た人のものになるような服。そんな服を作っているつもりです。

ワードローブは黒、紺、白。
いつものスタイルになじむモデル

――今回のコラボモデルのアプローチもそういう考え方があるんでしょうか?

三好:僕自身の着る洋服が毎日、黒、紺、白のどれか。全身黒の日もあれば紺の日もあるし、たまに黒と紺を合わせて着る日もある。夏の日は白Tで、素材やフィット感が違うものを選んで着ています。スポーツウオッチは時計が主役になりがちだから、そうじゃなく、いつもの自分のスタイルになじむもの。ブランドロゴが載っているものじゃなくて、一見コラボと分かりづらいものを作りたかったというのが、結果的にコンセプトなのかもしれません。服装に合わせて時計を付け替える性格でもないので、ベゼルとバンドをそれぞれ黒、紺、白に替えられるようにすれば、1本で大丈夫だし、やっていくうちに色がミックスされている方が使いやすいことに気付いたので、文字盤は黒ではなく、紺にしました。あとは、ベゼルと文字盤にそれぞれ入っていた“G-SHOCK”のロゴを一つにして、極力シンプルにもしています。さかのぼるとお話をいただいたときには「エブリワン」はまだなかったのですが、今作るとしても同じようなアプローチになると思います。

――ベースになった“GA-2100”のどこに魅力を感じて、どう変えたんですか?

三好:軽さと薄さ、巻いたときのフィット感ですね。ただ、“GA-2100”のインラインモデルも既に完成していて、それでも十分だし、どうやったら自分のスタイルに変えられのか悩みました。だから、ちょっと気になるところを変えただけです。過去にも時計を何度かデザインしたことがあるのですが、洋服と全然違ってすごく難しいんですよ。立体感もあってパーツも複雑なので、どこをどこまで変えられるかのロジックが洋服とは全く異なります。制限されたデザインの中で個性をどう出すかが難しい。一人ではまとまらないだろうと思い、以前、時計をデザインしたときにご一緒したグラフィックデザイナーの上田佑介さんに手伝ってもらいました。

バンドやボックスも特別仕様
細かいこだわりが光る

――バンドには、乗馬で使用される“あぶみ革(馬具の一種で、鞍につり下げる革のひも)”から着想を得て、バンド穴に沿ってアラビア数字を刻印したそうですね。

三好:小さいころから「G-SHOCK」が好きで、よく着けていたので分かるんですが、着け外しを繰り返していると、ベストな穴はどこか、分からなくなっちゃうんですよね。だから、目印があった方がいいなと思って数字を刻印しました。ホットスタンプという熱で圧着して凹凸をつける技術を使っているのですが、「G-SHOCK」は穴の間隔が決まっているので、何度もテストしていただいて、やっと実現しました。

――ボックスも特別仕様です。

三好:もともとのボックスをベースに、百貨店の包装紙をイメージしました。このデザインの延長線上に上田さんもいるというストーリーを見せたかったので、上田さんにイメージを伝えて、グラフィックを手で描いてもらっています。箱の中の緩衝材も、もともとは黒なんです。だけど、今回は白の方が、気分が上がるんじゃないかなと思って変えました。通販で買ったときに、ブランドの名前が書いてあるテープなんかで梱包してあると気分が上がるんですが、それに似た感覚ですかね。既存の完成されたものを変えるなら、それぐらいの細かいところでいいと思います。

――改めて、「G-SHOCK」の魅力は?

三好:世界一タフなこと。子どものころは、わざと高いところから床に落として、壊れないか試したりもしました。もちろん、全然壊れないんですが、それが男心をくすぐるんですよね。

「エブリワン」で先行発売も
販売方法を要チェック!

 1983年の誕生以来、“どこまでも強く”を信念に、構造、素材、機能のあらゆる面からさらなるタフを追い求めてきたカシオ計算機の「G-SHOCK」。今回のコラボモデルには、ベースに、オクタゴン(八角形)をかたどったベゼルと薄型ケースが特徴の“GAE-2100 ”を採用した。文字盤をネイビーとグレーでシンプルに仕上げ、ベゼルとバンドは、ブラック。ネイビーとホワイトの2色が別途付属し、好みのカラーに交換可能だ。バンド穴には、乗馬で使用されるあぶみ革をイメージソースにしたアラビア数字を並べた。定価は税込 3 万800円。 3月25日に「エブリワン」の店舗とECで先行発売し、4月14日にカシオ公式オンラインストアで数量限定発売。なお、カシオでは4月1日13時から4日23時59まで抽選予約を受け付ける。

PHOTO:TAKU MATSUDA
TEXT:YUKI KOIKE
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カシオ計算機 お客様相談室
0120-088925

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「ホソオ」の東京初ショールーム兼ストアが東京ミッドタウン八重洲にオープン

 細尾はこのほど、自社テキスタイルブランド「ホソオ(HOSOO)」の東京初のショールーム兼ストアを東京ミッドタウン八重洲にオープンした。

 京都の旗艦店とミラノのショールームに続いて三店舗目となる「ホソオ トウキョウ」は、東京ミッドタウン八重洲1階のエントランスに位置する。

 店舗デザインは京都店同様ホソオ アーキテクチャーが手がけた。天井高4メートルに及ぶ窓から自然光が降り注ぐ店内には、200種類以上のテキスタイルコレクションが陳列する。このテキスタイルセラーには6パターンの空間照明が用意されており、さまざまな環境でのテキスタイルの見え方がシミュレーションできる。店頭では、西陣織の伝統的な素材である箔を用いたアートピースや、セラーから好みの生地を選んでオーガーできるテキスタイルアート、オリジナルの家具の生地のオーダーも可能だ。

 オープンを記念し、限定のスリープウェアも発売。最上級の絹糸で織り上げたシルク100%の生地を2022年収穫のニホンムラサキで染め上げたセットアップを展開する(3サイズ、各17万6000円)。細尾は、奈良・平安時代から貴族階級を中心に実践されている自然染色や植物染めの研究を行う「古代染色研究所」を展開している。22年には、京都・丹波に古代染色植物の農園を、23年にはその横に古代染色工房を開設し、ニホンムラサキをはじめとする古代染色植物の栽培と染色を一貫して自社で行っている。

 なお、東京ミッドタウン八重洲正面入り口に飾られている高さ11メートル、幅7.5メートルアート作品は、細尾の西陣織とFRP(繊維強化プラスチック)、LEDビジョンを組み合わせたものだ。

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韓国コスメ「ヒンス」から日本限定のフレグランスが登場 シルキーで心地よいチューベローズの香り

 韓国コスメ「ヒンス(HINCE)」は4月7日、日本限定のフレグランス“ザ・チューベローズ”を発売する。“青山の町”がインスピレーションで、その洗練された都会的な雰囲気を香りで表現。トップノートはさわやかなシトラス、メーンのチューベローズの香りはホワイトフローラルで、ウッディ、スパイシーなど他の香料と組み合わさり、ジェンダーレスな香りを演出する。ベースのガイアックウッドやムスクがスモーキーなニュアンスとシックな印象をプラスしている。

 発売に先駆け「ヒンス」は3月29〜4月4日、伊勢丹新宿本店でポップアップショップを開催し、“ザ・チューベローズ”を先行販売する。会場では、商品を自由に試すことができるほか、フレグランスのイメージカラーで彩られたフォトゾーンを設置し、シルキーで心地よいチューベローズの香りに包まれ撮影することができる。“ザ・チューベローズ”コレクションの税込価格は、オードゥ パルファムが7150円(50mL)、センティド ハンドバームが2420円、オードゥパルファムとハンドバームのセットが8415円。オードゥ パルファムまたは、オードゥ パルファムとハンドバームのセットを購入するとオリジナルポーチをプレゼントする。

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韓国コスメ「ヒンス」から日本限定のフレグランスが登場 シルキーで心地よいチューベローズの香り

 韓国コスメ「ヒンス(HINCE)」は4月7日、日本限定のフレグランス“ザ・チューベローズ”を発売する。“青山の町”がインスピレーションで、その洗練された都会的な雰囲気を香りで表現。トップノートはさわやかなシトラス、メーンのチューベローズの香りはホワイトフローラルで、ウッディ、スパイシーなど他の香料と組み合わさり、ジェンダーレスな香りを演出する。ベースのガイアックウッドやムスクがスモーキーなニュアンスとシックな印象をプラスしている。

 発売に先駆け「ヒンス」は3月29〜4月4日、伊勢丹新宿本店でポップアップショップを開催し、“ザ・チューベローズ”を先行販売する。会場では、商品を自由に試すことができるほか、フレグランスのイメージカラーで彩られたフォトゾーンを設置し、シルキーで心地よいチューベローズの香りに包まれ撮影することができる。“ザ・チューベローズ”コレクションの税込価格は、オードゥ パルファムが7150円(50mL)、センティド ハンドバームが2420円、オードゥパルファムとハンドバームのセットが8415円。オードゥ パルファムまたは、オードゥ パルファムとハンドバームのセットを購入するとオリジナルポーチをプレゼントする。

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ヒット本著者に聞く パーパス思考が重要な理由

 企業は「何のために存在するのか、社会においてどのような責任を果たすのか」というパーパス(社会的存在意義)が問われ始めている。しかし、「パーパス」は抽象的な言葉ゆえ、その本質や採り入れ方を理解するのは簡単ではない。そこで、『パーパス 「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング)共著者でビジネスデザイナーの岩嵜博論・武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授にパーパス思考をビジネスに取り入れる利点について聞いた。

WWD:パーパスとビジョンとの違いは、またパーパスの再定義によって企業にもたらせる利点とは?

岩嵜博論・教授(以下、岩嵜):パーパスが企業活動の中心にあると、何のためにこの活動をしているかが明確にシェアできるので、ステークホルダーをはじめとしたさまざまな人たちと領域横断でコラボレーションしていくときに進めやすくなる。ビジョン、ミッションとパーパスの違いを船に例えると、ビジョン、ミッションは企業がなりたい姿を一方的に示しているので、船はその企業しか入らないサイズの「小さな船」、パーパスは企業がけん引する「大きな船」で、提唱する企業だけでなく、あるべき世界に共感する多くのステークホルダーが乗ることができるもの。企業は多くの共感を集める大きな船をステークホルダーと共同でつくり、実現に向けて協働していくことになる。そういう時代が到来しつつある。

WWD:確かに、何のためにやっているのかがわからないと気持ちがぐらつき、いい仕事に繋がらない。

岩嵜:「何のため」が明確でパワフルだとステークホルダーはそのために自立的、自発的に動くことができるようになる。そうなると自分ごと化できるようになる。組織論的にもパーパスを定義することは強味になる。

WWD:アパレル企業の中ではパタゴニア(PATAGONIA)がパーパスを明確にして成功していると感じる。2019年に企業理念(パーパス)を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と変えてから、さまざまなプロジェクトがスピード感を持って形になっている。各部署の現場のスタッフがそれぞれの持ち場で何ができるかを考え、それを実現するために組織全体で支援しているように見える。

岩嵜:ステークホルダーには、顧客はもちろん従業員やサプライヤー、株主や地域の人なども挙げられパーパスは、それらの意識をつなげる力がある。

「とにかく実行すること。小さくても実行を重ねることが重要」

 

WWD:ファッション企業が、突然明確でパワフルなパーパスを掲げるのはイメージやビジネスモデルなどさまざまなしがらみがあって難しい側面もある。

岩嵜:ビジョン、ミッションの時代と大きく違うのは掲げて終わり、表面的なところを飾って終わりではなく、実行することが大事だということ。小さくても実行を重ねていくことが重要になる。大きな企業であれば、新しい事業やブランドを作って実行していくことが大切になる。例えば「無印良品」は、店舗の大改革を進めていて“地域土着化”した店舗も増えている。当たり前だったチェーンオペレーションを否定し、その方法を乗り越えて、地域課題を解決する地域密着型の店を作ることに舵を切っている。全ての店舗を変えるのは難しいが、着実にそういう店を増やしている。小さく始めたことがうまくいけば応用していくことができる。

 そもそもアパレル企業は、ビジネスモデル自体も考え直さなければいけないだろう。回収やリセール、リペアなどを行うことが求められるだろう。長期的に見ると、いいものをリペアしながら長く着る方向に向かうと思うから。ここ数十年が異常だった。異常な大量生産・大量消費の無責任な数十年に生活者が気付き始め、若い人を中心に心理的な負担を持ち始めている。それに対してどう備えるか。パタゴニアは、かなり前からリペアを行っており、巨大なリペア工場がある。そうした実績から回収やリセールも行っているが、こうした事業が儲かっているのか、と疑問には思う。

WWD:パタゴニアはリペアやリセールだけでは黒字化できていないと聞いたことがある。パーパス経営が成功していると感じるアパレル企業とその理由は?

岩嵜:わかりやすいのはいろんな面でパタゴニアだろう。修理工場を作り、バリューチェーンを見直し、結果として利益率が高いビジネスができている。売価をキープして直販化も進めており、ここ10年で卸売りを相当止めて直販化している。ECも強化していて、独特のウェブデザインだが、メディアECも早くから始めている。会員に送るダイレクトメールはプロダクトにフォーカスしたものではなく、いいコピーとビジュアルが付いたストーリー。そんなことができる企業はあまりないし、相当考えられていると思う。パーパスを掲げるだけでなく、バリューチェーン、コミュニケーション、セールス全てを見直し、一気通貫したパーパス的アプローチが整っている。

 ナイキ(NIKE)もパタゴニアと似ていて、成長ドライブがパーパス思考とデジタルトランスフォーメーションで、うまくいっていると感じる。著名アナリストのベネディクト・エバンスの最近のレポートでも、2010年の直販比率は10%弱だったのが今や約40%に伸びているとあった。彼らの成長を支えているのが直販。デジタル顧客データを駆使して直販率を上げているように見える。

 新興ブランドのスニーカー「オン(ON)」もパーパスドリブンとデジタルトランスフォーメーションで奏功している。

 ビジネスの本質はパーパス思考×デジタルだろう。パーパスを掲げるだけでは既存ブランドと同じかもしれない。顧客と直接つながるルートを持つことと、ビジネスそのものの変革をセットにすることで効果を発揮する。

アパレル産業はどこに進むべきか

WWD:アパレル産業をどう見ているか。

岩嵜:バリューチェーンをどう再構築するか、そして、どう新しいビジネスを作るかが重要になる。アパレルは買う前も買った後もブラックボックスが多すぎる。どこから来て、捨てた後どうなるのかが分からない。ブラックボックスを透明化することは必要だろう。ビジネス全体を変革して、その際に領域横断も必要になる。重要なポイントは包括的に見ること。学生によく「鳥の目、虫の目」と伝えているが、「虫の目」でディテールを見て、「鳥の目」になって全体を見る。個々のディテールがどうあるべきか、全体はどうなっているか。時間軸も超越する必要があり、過去、現在、未来がどうあるべきかを数十年単位で見るような包括的な視点が理想だ。

 アパレルは外圧も大きく変革の機運がある。そして、実は変革しやすい産業ではないかとも思う。もちろん設備投資は必要だが、作っているものがライトウエイトだから、他の産業に比べると恵まれていると感じる。やろうと思えば、戦略がそこにあれば変革できるのではないか。アパレルビジネスが面白いのは外圧があること。外圧と向き合いポジティブにとらえて、自らを変えるきっかけにすることが大事だと思う。それがこれからのアパレルビジネスの成否を分けるのではないか。

WWD:注目している動向は?

岩嵜:「修理する権利」だ。世界的に注目されていて、アップル(APPLE)も対応せざるを得なくなっているし、自分で修理ができてパーツ交換ができるスマートフォンを提供しているオランダのスタートアップ「フェアフォン(FAIRPHONE)」は、着実に売り上げが伸びているし、先日4900万ユーロ(約70億円)の資金調達をした。リペアは大事になるだろう。

WWD:アパレルの場合、低価格帯だとリペアサービスを売価に吸収しづらいので事業化するのは難しい。

岩嵜:価格帯を上げて長持ちするモノを作り、リペアを含めて利益を出せるビジネスへの変革が必要になる。その点で自動車産業から学べることは多い。車は購入時に加えて、車検や点検などの費用を消費者は払いメンテナンスしており、結果として長持ちするし、中古車市場もある。中古車市場は早くからDXされていて、オークションはどこからも入札できるようになっている。あるいは、キッチンウエアの「ストウブ」や「ル・クルーゼ」に表れている消費者心理に近いかもしれない。家電も売価を上げている。例えばドライヤーや炊飯器、洗濯機の価格帯は上がっているが、それでも一定数売れている。数字を見たわけではないけれど、おそらく売る数量は減っても売り上げは変わっていないのではないか。

成功のカギはパーパス思考×DX

WWD:リペアやリセールを視野に入れるとして、数十年単位で見られないジレンマを抱える企業も少なくない。

岩嵜:事業の成果をどのスパンで出すかと、事業そのものをどのスパンで考えるかは異なる。事業そのものの過去50年とこれからの50年を考えつつ、単年度で利益をどう出すかも「鳥の目、虫の目」で考えることになる。どのビジネスもそうだが、近視眼的になり過ぎると四半期、単年度予算はクリアできても長期的に見ると負のサイクルに入り、気づいたら抜けられないということが起こる。

WWD:成長と環境や社会課題の改善の両立を狙う企業も増えてきているが、両立の難易度は高いと感じる。企業の理想的な姿とは?

岩嵜:規模は企業が決めればいい。ある程度の規模感に留めることもできるし、永遠に成長したいという考え方もある。抑えるメカニズムはない。ただし、規模に応じた社会的責任を果たさないと、ステークホルダーから支持が得られない。サステナビリティの制約に企業はそれぞれどう向きあうかが大切になる。

 デザインはどっちかではなく、どう両立し得るかを考える統合という考え方を大事にしている。成長とサステナビリティが両立できる、トレードオフを乗り越えたソリューションが出せる。それがデザインの力で、グローバルではデザイン人材が活躍している。日本では要素還元(分解したそれぞれの要素を良くすれば最終的に合体させればよりよくなること)が主流だが、なかなかそうはならない。「鳥の目虫の目」で見ていく必要がある。

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ヒット本著者に聞く パーパス思考が重要な理由

 企業は「何のために存在するのか、社会においてどのような責任を果たすのか」というパーパス(社会的存在意義)が問われ始めている。しかし、「パーパス」は抽象的な言葉ゆえ、その本質や採り入れ方を理解するのは簡単ではない。そこで、『パーパス 「意義化」する経済とその先』(NewsPicksパブリッシング)共著者でビジネスデザイナーの岩嵜博論・武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科教授にパーパス思考をビジネスに取り入れる利点について聞いた。

WWD:パーパスとビジョンとの違いは、またパーパスの再定義によって企業にもたらせる利点とは?

岩嵜博論・教授(以下、岩嵜):パーパスが企業活動の中心にあると、何のためにこの活動をしているかが明確にシェアできるので、ステークホルダーをはじめとしたさまざまな人たちと領域横断でコラボレーションしていくときに進めやすくなる。ビジョン、ミッションとパーパスの違いを船に例えると、ビジョン、ミッションは企業がなりたい姿を一方的に示しているので、船はその企業しか入らないサイズの「小さな船」、パーパスは企業がけん引する「大きな船」で、提唱する企業だけでなく、あるべき世界に共感する多くのステークホルダーが乗ることができるもの。企業は多くの共感を集める大きな船をステークホルダーと共同でつくり、実現に向けて協働していくことになる。そういう時代が到来しつつある。

WWD:確かに、何のためにやっているのかがわからないと気持ちがぐらつき、いい仕事に繋がらない。

岩嵜:「何のため」が明確でパワフルだとステークホルダーはそのために自立的、自発的に動くことができるようになる。そうなると自分ごと化できるようになる。組織論的にもパーパスを定義することは強味になる。

WWD:アパレル企業の中ではパタゴニア(PATAGONIA)がパーパスを明確にして成功していると感じる。2019年に企業理念(パーパス)を「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と変えてから、さまざまなプロジェクトがスピード感を持って形になっている。各部署の現場のスタッフがそれぞれの持ち場で何ができるかを考え、それを実現するために組織全体で支援しているように見える。

岩嵜:ステークホルダーには、顧客はもちろん従業員やサプライヤー、株主や地域の人なども挙げられパーパスは、それらの意識をつなげる力がある。

「とにかく実行すること。小さくても実行を重ねることが重要」

 

WWD:ファッション企業が、突然明確でパワフルなパーパスを掲げるのはイメージやビジネスモデルなどさまざまなしがらみがあって難しい側面もある。

岩嵜:ビジョン、ミッションの時代と大きく違うのは掲げて終わり、表面的なところを飾って終わりではなく、実行することが大事だということ。小さくても実行を重ねていくことが重要になる。大きな企業であれば、新しい事業やブランドを作って実行していくことが大切になる。例えば「無印良品」は、店舗の大改革を進めていて“地域土着化”した店舗も増えている。当たり前だったチェーンオペレーションを否定し、その方法を乗り越えて、地域課題を解決する地域密着型の店を作ることに舵を切っている。全ての店舗を変えるのは難しいが、着実にそういう店を増やしている。小さく始めたことがうまくいけば応用していくことができる。

 そもそもアパレル企業は、ビジネスモデル自体も考え直さなければいけないだろう。回収やリセール、リペアなどを行うことが求められるだろう。長期的に見ると、いいものをリペアしながら長く着る方向に向かうと思うから。ここ数十年が異常だった。異常な大量生産・大量消費の無責任な数十年に生活者が気付き始め、若い人を中心に心理的な負担を持ち始めている。それに対してどう備えるか。パタゴニアは、かなり前からリペアを行っており、巨大なリペア工場がある。そうした実績から回収やリセールも行っているが、こうした事業が儲かっているのか、と疑問には思う。

WWD:パタゴニアはリペアやリセールだけでは黒字化できていないと聞いたことがある。パーパス経営が成功していると感じるアパレル企業とその理由は?

岩嵜:わかりやすいのはいろんな面でパタゴニアだろう。修理工場を作り、バリューチェーンを見直し、結果として利益率が高いビジネスができている。売価をキープして直販化も進めており、ここ10年で卸売りを相当止めて直販化している。ECも強化していて、独特のウェブデザインだが、メディアECも早くから始めている。会員に送るダイレクトメールはプロダクトにフォーカスしたものではなく、いいコピーとビジュアルが付いたストーリー。そんなことができる企業はあまりないし、相当考えられていると思う。パーパスを掲げるだけでなく、バリューチェーン、コミュニケーション、セールス全てを見直し、一気通貫したパーパス的アプローチが整っている。

 ナイキ(NIKE)もパタゴニアと似ていて、成長ドライブがパーパス思考とデジタルトランスフォーメーションで、うまくいっていると感じる。著名アナリストのベネディクト・エバンスの最近のレポートでも、2010年の直販比率は10%弱だったのが今や約40%に伸びているとあった。彼らの成長を支えているのが直販。デジタル顧客データを駆使して直販率を上げているように見える。

 新興ブランドのスニーカー「オン(ON)」もパーパスドリブンとデジタルトランスフォーメーションで奏功している。

 ビジネスの本質はパーパス思考×デジタルだろう。パーパスを掲げるだけでは既存ブランドと同じかもしれない。顧客と直接つながるルートを持つことと、ビジネスそのものの変革をセットにすることで効果を発揮する。

アパレル産業はどこに進むべきか

WWD:アパレル産業をどう見ているか。

岩嵜:バリューチェーンをどう再構築するか、そして、どう新しいビジネスを作るかが重要になる。アパレルは買う前も買った後もブラックボックスが多すぎる。どこから来て、捨てた後どうなるのかが分からない。ブラックボックスを透明化することは必要だろう。ビジネス全体を変革して、その際に領域横断も必要になる。重要なポイントは包括的に見ること。学生によく「鳥の目、虫の目」と伝えているが、「虫の目」でディテールを見て、「鳥の目」になって全体を見る。個々のディテールがどうあるべきか、全体はどうなっているか。時間軸も超越する必要があり、過去、現在、未来がどうあるべきかを数十年単位で見るような包括的な視点が理想だ。

 アパレルは外圧も大きく変革の機運がある。そして、実は変革しやすい産業ではないかとも思う。もちろん設備投資は必要だが、作っているものがライトウエイトだから、他の産業に比べると恵まれていると感じる。やろうと思えば、戦略がそこにあれば変革できるのではないか。アパレルビジネスが面白いのは外圧があること。外圧と向き合いポジティブにとらえて、自らを変えるきっかけにすることが大事だと思う。それがこれからのアパレルビジネスの成否を分けるのではないか。

WWD:注目している動向は?

岩嵜:「修理する権利」だ。世界的に注目されていて、アップル(APPLE)も対応せざるを得なくなっているし、自分で修理ができてパーツ交換ができるスマートフォンを提供しているオランダのスタートアップ「フェアフォン(FAIRPHONE)」は、着実に売り上げが伸びているし、先日4900万ユーロ(約70億円)の資金調達をした。リペアは大事になるだろう。

WWD:アパレルの場合、低価格帯だとリペアサービスを売価に吸収しづらいので事業化するのは難しい。

岩嵜:価格帯を上げて長持ちするモノを作り、リペアを含めて利益を出せるビジネスへの変革が必要になる。その点で自動車産業から学べることは多い。車は購入時に加えて、車検や点検などの費用を消費者は払いメンテナンスしており、結果として長持ちするし、中古車市場もある。中古車市場は早くからDXされていて、オークションはどこからも入札できるようになっている。あるいは、キッチンウエアの「ストウブ」や「ル・クルーゼ」に表れている消費者心理に近いかもしれない。家電も売価を上げている。例えばドライヤーや炊飯器、洗濯機の価格帯は上がっているが、それでも一定数売れている。数字を見たわけではないけれど、おそらく売る数量は減っても売り上げは変わっていないのではないか。

成功のカギはパーパス思考×DX

WWD:リペアやリセールを視野に入れるとして、数十年単位で見られないジレンマを抱える企業も少なくない。

岩嵜:事業の成果をどのスパンで出すかと、事業そのものをどのスパンで考えるかは異なる。事業そのものの過去50年とこれからの50年を考えつつ、単年度で利益をどう出すかも「鳥の目、虫の目」で考えることになる。どのビジネスもそうだが、近視眼的になり過ぎると四半期、単年度予算はクリアできても長期的に見ると負のサイクルに入り、気づいたら抜けられないということが起こる。

WWD:成長と環境や社会課題の改善の両立を狙う企業も増えてきているが、両立の難易度は高いと感じる。企業の理想的な姿とは?

岩嵜:規模は企業が決めればいい。ある程度の規模感に留めることもできるし、永遠に成長したいという考え方もある。抑えるメカニズムはない。ただし、規模に応じた社会的責任を果たさないと、ステークホルダーから支持が得られない。サステナビリティの制約に企業はそれぞれどう向きあうかが大切になる。

 デザインはどっちかではなく、どう両立し得るかを考える統合という考え方を大事にしている。成長とサステナビリティが両立できる、トレードオフを乗り越えたソリューションが出せる。それがデザインの力で、グローバルではデザイン人材が活躍している。日本では要素還元(分解したそれぞれの要素を良くすれば最終的に合体させればよりよくなること)が主流だが、なかなかそうはならない。「鳥の目虫の目」で見ていく必要がある。

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