神戸発シューズブランド「オッフェン」好調の理由 真摯な靴づくりの裏側

 2021年2月に誕生以来、口コミをベースに人気を高めているシューズブランドがある。セレクトショップのVMDやバイヤー、ディレクターを経験した、日坂さとみが手掛ける「オッフェン(OFFEN)」だ。ブランド名はドイツ語で“開放的な” “オープン”を意味する。

 軽い履き心地で足が疲れにくく、摩擦に強く、環境にも優しいのに“かわいい”——そんなシューズで“歩く楽しみ”を提案している同ブランドは、2万円以下という価格帯もあって幅広い層から支持を集め、立ち上げから2年目の22年の売上高は前年比230%、23年も150%のペースで推移している。伊勢丹新宿本店で4月5日から1週間開催したポップアップでは665足を販売し、1000万円以上を売り上げた。しかし日坂の歩みは至って堅実だ。素材や靴づくりの工程を徹底して調べ、開発には2年をかけるなど、シューズにもその誠実さが表れている。彼女の真摯なものづくりへの思いを聞きに、22年11月に創業地・神戸にオープンした初の路面店「オッフェン キタノ ハウス(Offen Kitano House)」を訪ねた。

“何を作るか”より
“余分を減らしてどう作るか”

WWDJAPAN(以下、WWD):環境に配慮したブランドを立ち上げようと思ったきっかけは?

日坂さとみ「オッフェン」プロデューサー(以下、日坂):一番は、子どもが生まれたことですね。それまでは買い物の基準も特になく、トレンドのアイテムを選んでいたのが、子どもが生まれ、子ども服の素材や環境、子育てについてなどいろいろ調べるようになり、自分が生産の裏側まで知らずに購入していたことに気付きました。

ブランド立ち上げに当たり、エシカル協会主催の「エシカル・コンシェルジュ講座」を受講していたのですが、坂野晶・元ゼロ・ウェイストアカデミー理事長の講義で、“ゼロ・ウェイスト(無駄や浪費をなくし、ゴミをゼロにすることを目標に廃棄物をできる限り減らす活動)”を実践する、徳島・上勝町に行く機会があったんです。そこで実際に分別されたゴミを見たときに、ほかのゴミは小分けにしてリサイクルできるのに、靴とバッグには“焼却”と書かれていたことに衝撃を受けて。これからものづくりに携わる人間として、ゴミが出ない仕組みに変えないと、自分の中のモヤモヤが晴れないと思いました。

WWD:「オッフェン」で大切にしていることは?

日坂:“ゼロ・ウェイスト”の考え方をベースに、ゴミが出ないように作るにはどうすればいいかを考えています。まずは生産工程を減らそうと、靴のパーツから見直しました。

WWD:具体的には?

日坂:「オッフェン」は、パーツを従来のパンプスの約半分に減らして作っています。通常パンプスは、中底や中敷、裏地、かかとの形状を保つ月型芯など、形状維持や結合のためさまざまなパーツを使います。そのため家庭で廃棄する際に分解できず、焼却処分になってしまう。「オッフェン」では、靴の加工に問題がない最小限までパーツを絞り、1足にかかる生産時間を半減させて、生産稼働率を上げました。これまでの靴づくりとは全く違う工程なので、2019年から工場と話し合いながら、約2年かけて製品化しました。

WWD:素材にもこだわっていると聞く。

日坂:アッパーはペットボトルの再生糸を100%使用し、独自に撚糸調整して強度を出しています。実は、ペットボトルの再生糸は靴に適した素材なんです。最初は違う素材を選んでいたのですが、長く使えて、劣化しにくいものを探していくうちに、たどり着きました。インソールは生物由来の資源を原料にしていて、約5年で生分解されます。取り外し可能なので自宅で洗えますし、インソールのみの買い替えもできます。ソールは、赤ちゃんの哺乳瓶と同じ成分で開発したオリジナルで、シリコンのような素材で摩耗に強く、丈夫です。製造方法も、機械でアッパーの形に編み上げることで裁断くずを極力減らし、ソールはカップに流し込んで作ることで、無駄が出ないよう配慮しています。

WWD:靴以外のこだわりは?

日坂:家に持ち帰ったときに捨てるものが出ないようにしたかったので、靴箱はありません。リユース可能な丈夫なペーパーバッグでお渡ししています。水で洗えるぐらい丈夫な再生紙で、観葉植物のプランターカバーや野菜を保存するバッグとしてなど、いろいろ活用できます。型崩れを防ぐ付属のシューキーパーは、トウモロコシやキャッサバのでんぷん質から生まれた、植物由来の生分解性プラスチック。コンポストで土に還ります。

WWD:デザインについて教えてほしい。

日坂:「オッフェン」は“何を作るか”ではなく、“余分なものを減らしてどう作るか”からスタートしたブランド。シーズンレスかつシーンレスで長く履いてもらえる靴を目指しています。私自身もともとスニーカー派で、たまにきれいめなスタイルをするときもヒールを履く勇気はなく、スニーカーとヒールの中間の靴があればとずっと思っていました。私たちの靴は、スニーカーのように軽快に歩けるけれど、見た目はエレガンス。“ポインテッドトー”“スクエアトー”“ラウンドトー”の3型を軸に、履き口のパターンで変えています。「オッフェン」で人気のベーシックなものに加え、リボンやフリル、ストラップなど女性らしいデザインも作っています。

WWD:フラットが特徴だが、今後ヒールを展開していく予定は?

日坂:作りたい気持ちはありますが、現在の靴づくりの工程では難しいので、無理せずフラットで、スニーカーに代わるエレガンスを追求したいです。

どうすれば“本物”になれるか
真の循環を目指して

WWD:ファッション業界歴が長いが、その経験が今どう生かされている?

日坂:「リステア(RESTIR)」ではVMDを、「ルシェルブルー(LE CIEL BLEU)」ではバイヤーとディレクターを経験しました。あの16年間で見せてもらったものは、ファッションの本質だったと思います。ファッションは心躍るものでないとテンションが上がらない。そして、どのアイテムにもデザイナーのストーリーが込められている。手に取ったときに感動するか——「オッフェン」の靴を作るときも、そういった思いを忘れないよう心掛けています。多くのブランドを見てきたからこそ、どうすれば“本物”になれるだろうと常に自問自答しています。そういうものづくりに対する考え方は、すごく学びましたね。

WWD:初の路面店を神戸・北野に決めた理由は?

日坂:神戸発のブランドなので、まずはこのエリアに出店したかった。“街中でも自然を感じられる場所”が出店の条件で、ここは日の光が入り、山も近く、1日の流れを感じられる。神戸は新しいものだけでなく、古いものも大切にしている街なので、ブランドコンセプトにも合っていると感じました。

WWD:この店舗ならではのこだわりは?

日坂:元の空間をあまり手直しせずに生かしています。家具も全てビンテージで、机やソファ、ラグなどもアップサイクル。新しい資源をできる限り使わずに店舗作りしました。将来的には、広尾で行っているようなワークショップやイベントをここでも開いたり、神戸の若手デザイナーともシェアしたりするスペースにしたい。だからシューズブランドとしては珍しく、フィッティングルームも作りました。いろいろな人にお声がけする予定です。

WWD:今後の目標は?

日坂:私たちはスローペースなブランドです。リピーターも多く、うれしいことに親子孫3代で履いてくださっている方もいて、口コミで広がっているのを感じています。急ぎ過ぎず、求め過ぎず進んでいますが、真剣にものづくりをしているので、より多くの人に知ってもらいたいという思いもある。現在は神戸の路面店と西宮阪急百貨店、東京・広尾に予約制サロンを構えており、今後はブランドの認知度を上げるためにも、もっと多くの人に「オッフェン」の世界観に触れてもらえる場所を作っていきたいです。

そして、ものづくりもまだ完成しているわけではありません。靴づくりの3R(リデュース、リユース、リサイクル)を実現させたので、次は「オッフェン」の靴をもう一度何か別の形に変えてリサイクルするという、本当の意味での循環を作ることが、自分が納得できるゴール。私たちのブランドだけでは難しい部分もあるので、循環を実現できるパートナーを探して2030年までにかなえたいです。

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NOAH清宮海斗VS令和の“プ女子” 「何度倒れてもまた立ち上がる、それがプロレスだ」

 時代の寵児NIGOが、かつてプロレス興行をプロデュースしていたことは有名な話だ。近頃は百貨店でもプロレス興行が行われるらしい。ファッション業界では今も昔も、プロレスに対して楽観的で少々騒がしい。「WWDJAPAN」3月20日号の「ファッションパトロールで、プロレス好きな女子、通称“プ女子”を取り上げた。元バッグブランドPRのタイガー・ネロさんは、2019年に仕事でたまたまプロレス観戦をして以来、見事にプ女子化してしまった令和のプ女子代表。そんなネロさんが迎え撃つのは、「プロレスリング・ノア(NOAH)」の清宮海斗選手だ。爽やかなルックスと華麗なパフォーマンスで、プ女子からも絶大な人気を誇る、若手No.1の実力者。2人のマッチアップから探る、プロレスの魅力とは?戦いのゴングが今鳴る!

タイガー・ネロ(以下、ネロ):仕事がきっかけで、2019年に初めてプロレスを観たんです。それまで、プロレスってゴツゴツした人たちが汗臭く戦っているんだろうなってイメージがあったんですけど、こんなに華やかなでエンターテインメントな世界があるんだって知って。そこから一気にハマりました。

――プロレスファンって男性ばかりだと思ってました。

ネロ:女性のお客さんがどんどん増えていて、団体によっては半分以上が女性。令和のプロレスファンは推し活文化も混ざっているので昔よりもポップで、アイドルを追いかける感覚のファンも多いですよ。もちろん、清宮さんは若いのに技術もある選手なので、目の肥えたファンは技術を見て楽しんでいます。清宮さんはリングの上ではめちゃくちゃかっこいいんですけど、オフのときの笑顔が素敵なんです。それとちょっと天然なところ。

清宮海斗(以下、清宮):全部バレてる……(笑)。

――ところで、その手に持っているのは?

ネロ:ファンクラブ限定のアクリルスタンドです。持ち歩いて、たまにプ女子仲間と“祭壇”を作って拝みます(笑)。

清宮:うれしいですね。常に傍に置いていただいていると思うと。

ネロ:清宮さんの一番見て欲しい技って何ですか?

清宮:今だと“変形シャイニングウィザード”ですかね。武藤(敬司。2月に完全燃焼で現役引退)さんとシングルマッチを何度もやらせていただいて試合で使うようになったんですけど、気持ちがすごく入りますね。

ネロ:清宮さんは、武藤さんからいろんな技を継承されていますよね。でも三沢(光晴、プロレスラーで2009年に逝去)さんの系譜もあって、武藤さんの香りもするハイブリッドレスラーなんです。

清宮:三沢さんは僕がプロレス業界に入るきっかけを作ってくれた人です。

――と言いますと?

清宮:子どもの頃は家族でレンタルビデオ店によく行っていて、ある日たまたま手に取ったのがプロレスのビデオでした。その試合が三沢さんと高山(善廣)さんのシングルマッチで、それを見た瞬間に感化されちゃって。

――VHS(ビデオ)かぁ、懐かしいな。令和のファンはどこで情報を集めるんですか?

ネロ:ツイッターとかインスタグラムとかユーチューブなんかで情報を集めています。最近はティックトックを始める団体も増えていますよね。

清宮:ファンの方がSNSを見てくださっているので、そこでも自分をアピールしないと。言いたいことはツイッターで言うこともありますね。

――マイクパフォーマンス的な?

ネロ:選手によってですけど、SNSで煽ったり意思表明したりして、それをファンはハラハラドキドキしながら見守っているんです。清宮さんも最近、新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手とバチバチやられていて、すごかったですよ。日本を代表するトップレスラーのオカダさんに、若い清宮さんがどんどん噛みつくっていう。

清宮:言える場所があるなら、とことんやってやるって感じですね。

――体作りや練習で鍛錬しながら、SNSでファンサービスもしなきゃいけないとか、やること多い!

清宮:でもツイッターなんかは、自分が発信するだけじゃなくてコメントもいただけるので、それがまた次のモチベーションにもつながるんですよ。ファンと支え合っている感覚です。

ネロ:応援しているファンの熱量がすごいんです。試合は試合で、華やかな技の攻防や破裂するような打撃音などをライブで感じてアドレナリンがブイブイ出て楽しいんですが、SNSで選手のキャラクターを知ってから観ると、より楽しいんです。プロレスって競技人生が長いので、ある意味レスラーの人生も一緒に見ているような感じ。

――確かに。20代と50代がリングの上で戦うスポーツってあまり無いですね。

清宮:珍しいと思います。リング上で表現できることがものすごく多いので、経験がリング上で出ますし、ただ体力があったり、力が強かったりだけでは勝てない。

――かっこいいなぁ。清宮さんがリングの上で大切にされていることって何ですか?

清宮:やっぱり自分の中の「NOAH」を好きな気持ちですね。それがあるから、ずっと戦える。

ネロ:そういう想いを聞くとグッときますね。実は19年は「NOAH」の転換期で。盟主の三沢さんが亡くなられてから、業界のトップから一時は経営難で明日もわからぬ状態になり、苦しい時代を経て徐々に人気を回復させて、そこからサイバーエージェントの傘下になり、今では業界No.1をまた目指せる勢いのある団体になりました。そのキーマンが清宮さんなんです。基は力道山さんから始まり、猪木さんの新日本や馬場さんの全日本ができて、更にいろんな団体や選手に脈々と繋がっていて、もう大河ドラマを見ている感じですね。

――おぉー。大河ドラマですか。

ネロ:レスラーには先輩と付き人があって、先輩の匂いを継承していくんです。スタイリストとかもそうじゃないですか。

――確かに。清宮さんの先輩に当たる人は?

清宮:僕は小川良成さんですね。ゼロからプロレスを教えていただきました。

ネロ:小川選手は某バラエティー番組で話題になるぐらい、デビュー当時から見た目が全く変わらないんです。奇跡の50代レスラーです。

――羨ましい……。ちなみに、清宮さんが体作りで気をつけていることは?

清宮:とにかく、たくさん食べることです。ちゃんこで一気に栄養とタンパク質を取る。食べないと、激しいトレーニングですぐに体重が落ちてしまうんですよね。1回の巡業で5kg落ちることもあるんで。

ネロ:羨ましい……。そういえば以前、杉浦貴選手から「100kg超えても腹が割れていなきゃダメだ」って言われていませんでした?

清宮:言っていただきましたね。僕の理想の体型です。でもすごく難しいんですよ。

――筋肉無しではやはり戦えない?

清宮:戦えないですね。筋肉がないと、まず技を受けられないので。

ネロ:筋肉がぶつかり合う音、すごいですよ。

――痛そう……。痛くて逃げ出したくなることはないんですか?

清宮:いやぁ、さすがに(苦笑)。でも悶絶するぐらい本当に苦しいときはあります。それでも逃げ出そうとは思いませんけど。

ネロ:チョップがえぐいと本当に鬱血して、胸が裂けちゃったりしますもんね。見た目もすごく痛そうなんです。

――そこまでして戦うプロレスの魅力って……?

清宮:僕がプロレスを好きになった理由は、何度やられても立ち上がるプロレスラーの姿に感動したからなんです。もちろん、勝ち負けも重要だとは思うんですけど、戦いの中で見せる闘志みたいなものがすごく大事だと思うし、それを見てくれている人に伝えられればいいなと思っています。

ネロ:華やかな技やかっこいいビジュアルにも目を奪われますが、やっぱり一番はそこに感動するんです。仕事をしていると、どんなにその仕事が大好きでも心を折られることってあるじゃないですか。でもプロレスを見るようになって、何度も立ち上がるレスラーのマインドを知ったとき、わかったんです。失敗してもいいし、倒れてもまた立ち上がればいいんだって。だから、仕事を頑張っている人には、プロレスを見てほしい。

――分かる気がするなぁ。怪我がつきものだから、体調管理も大切ですよね。

清宮:大怪我になる前にしっかりとケアすることですね。ちょっとでも違和感を感じたら早めに治す。プロレスの試合は見た目以上にダメージが大きいので、思わぬことが大事になりかねない。だけど、テーピングとかを巻いちゃうとそこを攻められるのがプロレスなんで、弱点を晒さないのも戦略ですね。たとえ怪我をしていても、戦いは避けられない。

――血が出ているのを見ると怖いな。

清宮:そういう試合もありますけど、毎回起こるわけではないですよ。長きにわたる因縁のぶつかり合いがそうさせるんでしょう。

ネロ:清宮さん、ミニバンにはねられたことありますよね?

清宮:あります!グレート・ムタと試合をしたときに場外乱闘になって、気づいたときには目の前からミニバンが突っ込んできてました。

――えー!大丈夫だったんですか?

清宮:大丈夫じゃないです(笑)。

ネロ:そういう事件も起こったりするので、本当に非日常。

――プロレスの魅力ってそういうところなのかも。

ネロ:老若男女、幅広い年齢の人が楽しめる格闘エンターティメントですよ。見れば元気になるし、ワクワクする。たとえ選手の名前も技も何も知らなくても、見ただけでこの人がヒーロー、ヒールって言うのが一発で分かる。いろんな魅力があるんです。

清宮:そう思っていただけているのはうれしいですね。「NOAH」を大きくしていくのが僕の夢なので、その夢を本気で追っている姿を是非見てほしいです。

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【2023年母の日】「WWDJAPAN」スタッフが贈りたい、もらいたいギフトを母の世代別に紹介

 今年の母の日は、5月14日。日頃の感謝を込めて、ギフトを贈ろうと計画している人も多いはず。しかし、毎年のイベントとなるとバリエーションも尽きてくるもので、セレクトに悩んでしまうこともある。そこで、普段からさまざまなブランドと接している「WWDJAPAN」スタッフに、母の日に贈りたい(またはもらいたい)ギフトを母親の世代別に聞いた。ファッションやビューティ雑貨はもちろん、楽しい体験や健康に気遣ったアイテムまで紹介する。

40代の母がもらって嬉しいギフト
ビジネスプランニング部 渡辺佳代子

「ヘイ」のボトル

 「これから暑くなるので、節約にもエコにもなるマイボトル生活を充実させたいなと思っています。探しているのは、容量たっぷりで口が広くて洗いやすいタンブラー。『ヘイ(HAY)』など、おしゃれなデザインのものに目を奪われがちですが、機能的な真空断熱炭酸ボトルも捨てがたいですね」。

「A ステージ」の“ヘルシーマルチライスポット”

 「マスクの着用が個人の判断となった頃から外食三昧! 一時期パーソナルジムに通い、辛い筋トレと1日糖質50g生活で作ったボディは元に戻りつつあります(笑)。ボディメイクをした結果、適正糖質の重要性を実感。食べることを楽しみながら、心もからだも健康でいられることが一番ですよね。『A-ステージ(A-STAGE)』のヘルシーマルチライスポットは、低糖質メニューを選ぶだけで通常より糖質量を約30%カットしてくれて嬉しい。デザインもミニマルで好みです」

50代の母に贈りたいギフト
ビジネスプランニング部 竹内菜奈

「プチバトー」のクルーネックTシャツ

 「初夏の季節に合わせて、白いTシャツもギフトとして重宝しそう。『プチバトー(PETIT BATEAU)』の定番Tシャツ“アイコニック”は、小さめのクルーネックとフィットする肩周り、タイトなボディが特徴で、一枚としてはもちろん、インナーとしても着られるアイテムです。サイズはXXS〜XLという豊富なラインアップ。“第二の肌”と呼ばれるやわらかな手触りの1×1リブ編み素材をしているため、着心地も申し分なし!」。

60代の母に贈りたいギフト
村上要「WWDJAPAN」編集長

「アシックス」の“ペダラ ライドウォーク”

 「70代が見えてきた父親は現在、段階的に仕事を減らしています。代わりに増やしているのは、ウォーキング。もともと凝り性なせいか、雨の日を除いて毎朝、1時間強歩いているようです。そんな父のウォーキングに、60代中盤の母親は甲斐甲斐しく(!?)毎日付き合っているそうです。だからこそ母の日や父の日には、一昨年からウォーキングシューズをそれぞれ1足ずつプレゼントしていますが、今年は母から『歩きやすい』とのことで、『アシックス』のリクエストをもらいました。

 ファッション・コンシャスな父親に比べて、母親は比較的無頓着な印象でしたが、欧米のおしゃれランナーばりにこだわっていることを知り、不躾ながら見直しました(笑)。リクエストをもらったからには、応えなければと思っています。『オシャレなのがいい』と言っていたので、今年は歩行効率にも優れているという、この“ペダラ ライドウォーク”を両親にプレゼントしようと思っています」。(村上要「WWDJAPAN」編集長、以下同)

「コスメデコルテ」の“リポソーム アドバンスト リペアセラム”

「ディオール」の“リップ マキシマイザー”

 「スキンケアは国産ブランドの志向の母親には、『コスメデコルテ(DECORTE)』の“リポソーム アドバンスト リペアセラム”をプレゼントしたいと思います。ウォーキングが趣味の父親は野球観戦も大好きで、毎年夏には甲子園にも時々出場している我が母校(父の母校でもあります)の応援に行っています。そんな父なら、きっとWBCの大谷翔平選手の活躍にインスパイアされているはず。未経験のスキンケアに挑戦するのは、ベストタイミングです。

 ということで、母親に“リポソーム アドバンスト リペアセラム”をプレゼントして、父親とのシェアをすすめてみたいと思います。カラーコスメは『シャネル(CHANEL)』や『ディオール(DIOR)』などモードがお好みなので、“リップ マキシマイザー”をプレゼントしようかな。齢を重ねて、少し痩せてきた印象があるので、ふっくらリップをプレゼントしたいと思います」。

70代の母に贈りたいギフト
「WWDJAPAN」編集部 竹田紀子

MTGの“ニューピース ピローリリース”

 「5月17日発売なので母の日は過ぎてしまいますが、今年の第一候補ギフトはこれ。腰痛を抱えている上に年齢を重ねて眠りが浅くなっているので、“整形外科医監修の首肩サポートまくら”というフレーズが響きそうです。70代女子が相反発(そうはんぱつ)という新しい素材を受け入れてくれるかが少々心配ですが、『使わないなら私がもらう』という言葉も用意しているので安心。なんなら私が使いたい(笑)」。

ファンケル 銀座スクエアの“リラクゼーション&ストレスリリーフ”

 「経験・体験のプレゼントなら、母娘で銀座へ行きオープン20周年を機にカウンセリングメニューが刷新されたファンケル銀座スクエアでパーソナルカウンセリングやトリートメントを……。母のためと言いつつ、自分が受けたい気持ちがあるのは否めません。ビューティメニューから筋肉量や骨密度、体の歪み、血管観察などをチェックできるボディーメニューまでそろっています」。

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春夏こそ柄パンツ! 遊び心をまとえる国内ブランド7選【2023年春夏トレンド】

 印象的なモチーフを全体にあしらった柄パンツは、初夏からの装いに華やかさやパワフルさをもたらしてくれます。薄着でもボトムスがしっかり主張してくれるので、退屈に見えません。ワンピースとの重ね着やジレとの組み合わせといった着こなしのバリエーションも広がってきました。お出かけを本気で楽しめるようになった、今の気分ともマッチします。

 「メゾン スペシャル(MAISON SPECIAL)」は、カラフルなハート柄で埋め尽くしたパンツでポジティブ感を前面に押し出しました。ハッピーな気分に誘う“ステートメントパンツ”です。トップスはデニムのベアショルダーでコンパクトにまとめ、パンツのインパクトを引き立てています。今回は、気鋭の国内ブランドの新作から選び抜いた、柄パンツの新スタイリングを紹介します。

ワンピースを重ねて落ち感マックス

 

 パンツルックの鮮度を上げるなら、ワンピースとのコンビネーションが効果的です。ワンピースを重ねると、落ち感が強まって、縦長イメージがしっかり出ます。パンツとの相乗効果を生むうえで、ワンピースの着丈は膝ぐらいまである長めレングスがおすすめ。“ロング&ロング”の伸びやかなスタイリングが決まります。

 「コトナ(KOTONA)」は、ストライプ柄のパンツの上から、ノースリーブワンピを重ね着。ワンピースの前を開けて、パンツの柄をたっぷり見せているので、シャープなイメージが引き立っています。ブルーグレーをキートーンに選んだ、クールで上品なたたずまい。すっきりしたシルエットや、肩口から垂れたフリンジも、スレンダーさを引き出しています。

 2枚目の写真「フィル ザ ビル(FILL THE BILL)」は、ほのかに透けるシアー素材のワンピースを使って、総柄パンツの存在感を印象付けました。ワンピースを重ねると、パンツが隠れがちですが、シアー素材ならうっすら透けて、細さが加わります。バンダナ風のモチーフが、ヒッピーライクなリラックス感を漂わせています。

メンズライクでクールさを強調

 柄をあしらったパンツは主張があるので、トップスはシンプルで済みます。薄着になるサマーシーズンに好都合の着こなしです。上半身は無地のダークトーンを選んで、パンツの色や柄を強調する組み合わせは、上下のコントラストを引き立ててくれます。メンズライクなアイテムが好相性です。

 「ワイズ(Y's)」のパンツを彩ったのは、絵画のような抽象的モチーフ。色数は少なくても、目を引くダイナミックな柄が装いの主役に。ジャケットは、無地のダークカラーでマスキュリンな風情。深めのVゾーンがエフォートレスでヌーディーさを醸し出し、グラフィカルなボトムスとのコントラストを印象付けました。

 パンツに迎える柄次第で装いの雰囲気をコントロールできるのが、柄パンツのうれしいところ。抽象的なモチーフは癖がないので、シーンを選びません。2枚目の写真「イン(IHNN)」は、細いラインで描いた曲線モチーフをパンツにプリント。センタープレスを利かせて、きれいめに仕上げました。マニッシュなクルーネックセーターと合わせて、穏やかで落ち着いた印象に整えています。

ジャケットやジレで夏のレイヤード

 夏は、Tシャツの出番が多くなるシーズン。Tシャツとパンツの組み合わせは、さっぱりしがちですが、柄パンツと合わせれば、ぐっとおしゃれに仕上がります。ジャケットやジレとのレイヤードにも生かせます。

 「ノントーキョー(NON TOKYO)」は、オレンジの花柄パンツをカーキベースのTシャツでコーデ。ジャケットとのセットアップですが、ジャケットはあえて羽織らず、“手持ちレイヤード”で動きを加えています。ミリタリー感を帯びたTシャツと、プレイフルなパンツとのミックスは、夏フェスのようなアクティブなシーンにも合いそうです。

 Tシャツの上にジレを重ねるパターンも使えます。2枚目の写真「ツイタチ(TUITACI)」は、ゆったりしたシルエットの花柄パンツにジレをオン。スリーブレスのジレは、汗ばむ季節も爽やかに過ごせるアイテム。Tシャツだけだとさびしく見えがちですが、パンツと同じモチーフを配したジレを羽織れば、まとまりが出ます。フラワープリントのTシャツがヒッピー感を添えています。

 彩りやモチーフがアイキャッチーな柄パンツは、それだけで装いのムードメーカーになるボトムスです。ワンピースやTシャツ、ジャケット、ジレとの組み合わせは、あっさりして見えがちな夏のレイヤードにうってつけ。大人シックやマニッシュ、ヒッピーライクなど、多彩なアレンジができる柄パンツで、お出掛けルックを盛り上げてみませんか。

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メンズコスメの定着は、「落とす」を日常生活に取り入れてもらう工夫次第!?

 メンズコスメやジャンダーレスを謳うブランドの盛り上がりも手伝って、スキンケアは、男性の間でもかなり浸透してきた感があります。個人的には、それでも無頓着なコスメメーカーの男性社員や小売店の化粧品バイヤーは「どげんかせんといかん!」と思っていますが(いや、マジで)、若い世代を中心に男性がスキンケアについて語ることは珍しくなくなりました。

 次はベースメイク、そしてカラーメイクでしょうか?正直、カラーメイクが広く普及するにはまだまだ時間がかかりそうですが、ベースメイクは少しずつ広がっています。ファンデーションだけではありません。メンズのベースメイクが少しずつ広がってきたのは、ファンデーションという男性にとって“未知なるアイテム”のみならず、BBクリーム、色付きの美容液や日焼け止めなども登場し、選びやすくなっているからです。

 例えば、こちらの記事で紹介している「イロイク(IROIKU)」は、美容液感覚で使える全6色、各2200円のセラム。どうです?ファンデーション、特にコンパクトに収まったパウダーやクッションタイプのファンデーションはちょっとハードルが高いかもしれないけれど、コレなら、価格的にも、剤型的にも、機能的にも親近感が湧きやすいのではないでしょうか?

 と、メンズのベースメイク普及には各社が“あの手この手”の戦略を練っていますが、1つ、比較的見落とされがち、もしくは忘れられがちなポイントがあります。それは、ベースメイクを「塗る」だけじゃなく、「落とす」についても、思いを馳せた方がいいんじゃない?というコトです。男性は、ベースメイクを塗ることに慣れていません。となると当然、それを落とすことにも慣れていないのです。だからこそ、クレンジングにも一工夫が必要なのでは?そんな風に思っています。

 例えば、ACROが手がけるメンズをメーンとした総合メイクブランドの「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」は、コットンにクレンジング成分を含ませたメイクオフ商材を販売しています。最低限、このくらいの配慮は必要でしょう。もちろん美容感度の高い人は男性でも、液体上のクレンジングをコットンにつけたり、クレンジングオイルを顔に丁寧に塗布したりを行うかもしれません。でも、そんな新しい作業を面倒くさがらず、加えて気恥ずかしさも感じずに行うことができる男性は、正直あんまり多くないのでは?そんな風に考えます。だからこそ、汗拭きシート感覚で使えるクレンジング商材は、絶対に大事なのです。

 あ、業界人の皆さん「コイツ、めんどくさいなぁ〜」って思いましたか(笑)?いやいや、そんなことはありません。この「メイクオフが面倒だから、結局、メイクをやめてしまった」男性は、少なからず存在しています。だからこそこの行為を、男性の日常生活の延長線上にしてあげることは、とっても重要なのです。振り返れば「ファイブイズム バイ スリー」は、ファンデーションをスティック状にして世に送り出しました。スティック状なら、ひげ剃りと同じような動作でベースメイクを楽しんでもらえるのでは?という配慮です。楽しんだ商材のオフにも、同じような配慮が必要なのです。

 加えて誤解を恐れずに言えば、メイクオフは「プラスをゼロに戻す行為」です。メイクを塗布するという「ゼロをプラスにする行為」の真逆です。人間、誰が面倒な行為をして、「プラスをゼロに」戻したいでしょう(そう考えると、女性には改めて尊敬の念を抱きます)?だからこそ、本当に日常生活に溶け込ませることが重要なのです。

 その意味で参考にしたいのは、メイク業界のお隣にいる美容機器メーカーのヤーマンです。このヤーマンは、美容機器という新しい製品を日常生活に溶け込ませるため、いろんな工夫をしています。例えば、防水性能を高めてお風呂場でも使えるようにした脱毛器は代表例です。従来品は防水性能が低かったので、お風呂場では使えませんでした。でも、脱毛、特にVIOの脱毛は、たとえ一人でも、リビングでやるのは気恥ずかしいですよね(笑)?それがお風呂場でできたら、VIO脱毛器に対するハードル、それを使い続けるというハードルは、グッと下がるのではないでしょうか?

 男性に向けて送り出した、この美容機器も同じです。ひげ剃りという定着した日常行為の中で使うことができれば、美容機器も習慣化するのでは?と考えました。男性に向けては、クレンジングにおいてもこんな工夫が必要なのではないか?そんなふうに考えます。

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群馬・桐生の目利きセレクト「エスティーカンパニー」が「ミドリカワ」の店頭受注会をGW中に開催

 群馬・桐生の専門店「エスティーカンパニー(ST COMPANY)」は5月5〜7日、緑川卓が手掛ける「ミドリカワ(MIDORIKAWA)」の2023-24年秋冬コレクションの先行受注会を行う。6日には、緑川デザイナーも在店する。

 「ミドリカワ」は新人ブランドの登竜門、「LVMH ヤング ファッション デザイナー プライズ」の2021年度でセミファイナリストに選出されたメンズブランド。このような店頭での先行受注会は今回が初めてといい、コレクションのフルラインアップをそろえる。

「エスティーカンパニー」は若手ブランドの目利きに定評のあるショップ。これまでも「ハイク(HYKE)」の前身の「グリーン(GREEN)」や「ファセッタズム(FACETASM)」などを発掘し、同様の受注イベントを行うなどして育ててきた。

■「MIDORIKAWA AUTUM & WINTER 2023 PREVIEW」
開催場所:エスティーカンパニー桐生
住所:群馬県桐生市川岸町177-4
期間:5月5〜7日
時間:11〜20時(最終入店は19時)

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群馬・桐生の目利きセレクト「エスティーカンパニー」が「ミドリカワ」の店頭受注会をGW中に開催

 群馬・桐生の専門店「エスティーカンパニー(ST COMPANY)」は5月5〜7日、緑川卓が手掛ける「ミドリカワ(MIDORIKAWA)」の2023-24年秋冬コレクションの先行受注会を行う。6日には、緑川デザイナーも在店する。

 「ミドリカワ」は新人ブランドの登竜門、「LVMH ヤング ファッション デザイナー プライズ」の2021年度でセミファイナリストに選出されたメンズブランド。このような店頭での先行受注会は今回が初めてといい、コレクションのフルラインアップをそろえる。

「エスティーカンパニー」は若手ブランドの目利きに定評のあるショップ。これまでも「ハイク(HYKE)」の前身の「グリーン(GREEN)」や「ファセッタズム(FACETASM)」などを発掘し、同様の受注イベントを行うなどして育ててきた。

■「MIDORIKAWA AUTUM & WINTER 2023 PREVIEW」
開催場所:エスティーカンパニー桐生
住所:群馬県桐生市川岸町177-4
期間:5月5〜7日
時間:11〜20時(最終入店は19時)

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「パトゥ」が仏スタートアップと連携 トレーサビリティーをスコア化

 LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下の「パトゥ(PATOU)」は、仏スタートアップ企業のフェアリーメイド(FAIRLY MADE)と連携し、定番商品をそろえた“エッセンシャル(Les Essentiels)”ラインの64アイテムを対象にトレーサビリティーと環境インパクトのスコアを測定した。

 フェアリーメイドが提供するサービスは、環境インパクト、社会インパクト、トレーサビリティー、リサイクル可能性、サステナビリティの5つのカテゴリーでサプライチェーン全体を評価する。2018年の創業時からLVMHと協業しており、「パトゥ」は同社と提携した初のラグジュアリーブランドとなった。

 取り組みの第一弾として「パトゥ」は、トレーサビリティーとリサイクル可能性に絞ってスコアを計測したところ、5点満点中トレーサビリティーが2.84、リサイクル可能性が2.39だった。同社は、「『パトゥ』はこうした情報を消費者に提供する数少ないラグジュアリーブランドだ。この結果をもとにさらに努力を重ねていく」という。23年秋冬コレクションからは、すべてのアパレル製品および革小物において計測する。

 「パトゥ」はギョーム・アンリ(Guillaume Henry)=アーティスティック・ディレクターが就任以降、製品追跡アプリを独自に開発したり、それぞれの商品の製造方法などについて詳細な情報を知れるQRコードを付けて販売したりするなどトレーサビリティーの担保に注力してきた。

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パタゴニアが注目するオーガニックに代わる新基準 “リジェネラティブ・オーガニック”とは?

 パタゴニア(PATAGONIA)は、リジェネラティブ・オーガニック(RO)農法を日本で普及すべく4月13日に初のカンファレンスを主催した。同社がパートナー企業と協業して2020年に設立した第三者認証機関リジェネラティブ・オーガニック・アライアンスのエリザベス・ウィットロー(Elizabeth・Whitlow)代表をはじめ、原材料生産地でのRO農法を推進する「ドクターブロナー(DR.BRONNER'S)」のゲロ・レソン(Gero Leson)=スペシャルオペレーション・ヴァイスプレジデント、日本で土壌生態学や農業環境工学を研究する専門家らを招き、RO農法の可能性について議論した。

 パタゴニアが「気候危機への解決策」として注目するRO農法は、不起栽培で炭素を固定しながら健全な土壌を構築する有機農法で、土壌の健康に加えて動物福祉と労働者の公平性の3本柱で構成する。ROC認証を監修するエリザベス・ウィットロー=エグゼクティブディレクターに、RO農法に注目すべき理由を聞いた。

WWD:近年、 ファッション業界でも“リジェネラティブ(環境再生型)”という考え方に注目が集まっている。その理由は?

エリザベス・ウィットロー=リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス・エグゼクティブディレクター(以下、ウィットロー):もともとこの言葉は、食品業界で流行ったのが始まりだ。確かにこれまではファッションと農業の関係を意識する人はあまりいなかったが、最近人々は口に入れるものだけでなく、肌に触れる衣服に対しても同様に意識を向け始めている。そこで、自分たちが身につけているコットンやリネン、ヘンプが育てられる過程が、地球に負担をかけていることを意識する人たちも増えている。

WWD:RO認証を設立した理由は?

ウィットロー:ヨーロッパやアメリカでは“リジェネラティブ”がバズワード化する一方で、明確な基準が世の中になかったために、消費者が混乱してしまっていたからだ。畑を耕さない不耕起栽培であれば“リジェネラティブ”とうたうような企業もあった。しかし、作物を育てるのに化学薬品、肥料、除草剤、防虫剤、遺伝子組み換えの種子などを使用していては、たとえ不耕起であっても土壌の劣化は避けられない。そこで私たちは、土壌だけでなく、その土地に住む生物、人々などコミュニティー全体を維持し再生する包括的な基準を設けることにした。

WWD:パタゴニア以外に、どんなアパレル関連企業が興味を示している?

ウィットロー:加盟企業は約100社で、そのうち繊維関連企業は約10社。これまでは原材料に携わる農家からの問い合わせが多かったが、最近はブランドから直接「どこでROC認証を取得した綿花が買えるのか」や「どうやったら農家の支援ができるのか」といった問い合わせも増えてきた。「アディダス(ADIDAS)」や「H&M」といった大手のほか、ラグジュアリーブランドからの連絡もある。「ティンバーランド(TIMBERLAND)」も最初から興味を示してくれているブランドだ。彼らはRO認証済みのゴムの生産に挑戦しようとしている。ゴムの生産工程では、児童労働の問題も隠れており、そうしたリスクから自分たちのサプライチェーンを守ろうとしているわけだ。今は綿花での認証が進んでいるが、シルクやカシミアについても基準を作ってほしいといった要望ももらっている。

WWD:パタゴニアはインドの150以上の綿花農家と提携し、ROコットンの生産を進めてきた。同社のように直接農家を支援したいという企業も多い?

ウィットロー:パタゴニアはインドの農家と5〜6年かけて取り組み、RO農法のノウハウだけでなく、ジェンダー平等に向けた教育プログラムなども実施してきた。私たちもブランドと農家の橋渡し役を目指しており、パタゴニアが良い事例だ。まだ農家の直接的な支援をしたいという声は多くはないが、直近では「アウターノウン(OUTERKNOWN)」がペルーとインドの綿花農家の支援を始めたりしている。

Z世代やミレニアル世代で広がり

WWD:欧米の消費者の間では“リジェネラティブ”の認知度はどれくらい高まっているのか?

ウィットロー:急速な広がりに私たちも驚いているくらいだ。ニールセンによる市場調査では実際に“リジェネラティブ”を基準に買い物する層が一定数いるという結果が出ている。中でもZ世代やミレニアル世代の関心が高い。特に家庭を持ったミレニアル世代は、子どもに安心・安全なものを与えたいと考えたときに“リジェネラティブ”に行き着くようだ。

WWD:これまでのオーガニックでは不十分だと。

ウィットロー:そうだ。近年オーガニックへの基準が下がり、さまざまな問題が指摘されている。2017年に水耕栽培(土の代わりに水と液体肥料を使う栽培法)にオーガニック表記が認められたことも決定的な事例だ。工場畜産にも認可がおりた。動物にオーガニックな飼料を与えてはいるが、狭い劣悪な環境で飼育されており動物福祉の観点は全く考慮されていないといった現状もある。

WWD:パタゴニアは日本でRO農法を推進しようとしている。日本の農業はどんな課題があると考える?

ウィットロー:日本でもRO農法への研究が進んでいて、土壌の質の改善や炭素貯蔵量の増加などが証明されていることに驚いた。パタゴニアが主催したカンファレンスでは、日本特有の生物多様性をどのように維持していくのか、不耕起農業で雑草をいかに減らしていくかがポイントだと学んだ。また全世界が直面している最大の課題が気候変動だ。私が住んでいる北カルフォルニアでは、年々山火事の被害が拡大し、時期も早くなっている。土壌の微生物を増やし、そうした異常気象にも耐えうる土壌を作るためにもRO農法が重要だ。

WWD:日本では具体的にどのようにROC認証を広めていく?

ウィットロー:素晴らしいパートナーであるパタゴニアの日本支社が中心になって進めてくれる。ただ日本のファッション企業に伝えたいのは、自分たちの活動に責任を持ってほしいということ。ROC認証に興味を持ってくれたら、ぜひ私たちに声をかけてほしい。

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パタゴニアが注目するオーガニックに代わる新基準 “リジェネラティブ・オーガニック”とは?

 パタゴニア(PATAGONIA)は、リジェネラティブ・オーガニック(RO)農法を日本で普及すべく4月13日に初のカンファレンスを主催した。同社がパートナー企業と協業して2020年に設立した第三者認証機関リジェネラティブ・オーガニック・アライアンスのエリザベス・ウィットロー(Elizabeth・Whitlow)代表をはじめ、原材料生産地でのRO農法を推進する「ドクターブロナー(DR.BRONNER'S)」のゲロ・レソン(Gero Leson)=スペシャルオペレーション・ヴァイスプレジデント、日本で土壌生態学や農業環境工学を研究する専門家らを招き、RO農法の可能性について議論した。

 パタゴニアが「気候危機への解決策」として注目するRO農法は、不起栽培で炭素を固定しながら健全な土壌を構築する有機農法で、土壌の健康に加えて動物福祉と労働者の公平性の3本柱で構成する。ROC認証を監修するエリザベス・ウィットロー=エグゼクティブディレクターに、RO農法に注目すべき理由を聞いた。

WWD:近年、 ファッション業界でも“リジェネラティブ(環境再生型)”という考え方に注目が集まっている。その理由は?

エリザベス・ウィットロー=リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス・エグゼクティブディレクター(以下、ウィットロー):もともとこの言葉は、食品業界で流行ったのが始まりだ。確かにこれまではファッションと農業の関係を意識する人はあまりいなかったが、最近人々は口に入れるものだけでなく、肌に触れる衣服に対しても同様に意識を向け始めている。そこで、自分たちが身につけているコットンやリネン、ヘンプが育てられる過程が、地球に負担をかけていることを意識する人たちも増えている。

WWD:RO認証を設立した理由は?

ウィットロー:ヨーロッパやアメリカでは“リジェネラティブ”がバズワード化する一方で、明確な基準が世の中になかったために、消費者が混乱してしまっていたからだ。畑を耕さない不耕起栽培であれば“リジェネラティブ”とうたうような企業もあった。しかし、作物を育てるのに化学薬品、肥料、除草剤、防虫剤、遺伝子組み換えの種子などを使用していては、たとえ不耕起であっても土壌の劣化は避けられない。そこで私たちは、土壌だけでなく、その土地に住む生物、人々などコミュニティー全体を維持し再生する包括的な基準を設けることにした。

WWD:パタゴニア以外に、どんなアパレル関連企業が興味を示している?

ウィットロー:加盟企業は約100社で、そのうち繊維関連企業は約10社。これまでは原材料に携わる農家からの問い合わせが多かったが、最近はブランドから直接「どこでROC認証を取得した綿花が買えるのか」や「どうやったら農家の支援ができるのか」といった問い合わせも増えてきた。「アディダス(ADIDAS)」や「H&M」といった大手のほか、ラグジュアリーブランドからの連絡もある。「ティンバーランド(TIMBERLAND)」も最初から興味を示してくれているブランドだ。彼らはRO認証済みのゴムの生産に挑戦しようとしている。ゴムの生産工程では、児童労働の問題も隠れており、そうしたリスクから自分たちのサプライチェーンを守ろうとしているわけだ。今は綿花での認証が進んでいるが、シルクやカシミアについても基準を作ってほしいといった要望ももらっている。

WWD:パタゴニアはインドの150以上の綿花農家と提携し、ROコットンの生産を進めてきた。同社のように直接農家を支援したいという企業も多い?

ウィットロー:パタゴニアはインドの農家と5〜6年かけて取り組み、RO農法のノウハウだけでなく、ジェンダー平等に向けた教育プログラムなども実施してきた。私たちもブランドと農家の橋渡し役を目指しており、パタゴニアが良い事例だ。まだ農家の直接的な支援をしたいという声は多くはないが、直近では「アウターノウン(OUTERKNOWN)」がペルーとインドの綿花農家の支援を始めたりしている。

Z世代やミレニアル世代で広がり

WWD:欧米の消費者の間では“リジェネラティブ”の認知度はどれくらい高まっているのか?

ウィットロー:急速な広がりに私たちも驚いているくらいだ。ニールセンによる市場調査では実際に“リジェネラティブ”を基準に買い物する層が一定数いるという結果が出ている。中でもZ世代やミレニアル世代の関心が高い。特に家庭を持ったミレニアル世代は、子どもに安心・安全なものを与えたいと考えたときに“リジェネラティブ”に行き着くようだ。

WWD:これまでのオーガニックでは不十分だと。

ウィットロー:そうだ。近年オーガニックへの基準が下がり、さまざまな問題が指摘されている。2017年に水耕栽培(土の代わりに水と液体肥料を使う栽培法)にオーガニック表記が認められたことも決定的な事例だ。工場畜産にも認可がおりた。動物にオーガニックな飼料を与えてはいるが、狭い劣悪な環境で飼育されており動物福祉の観点は全く考慮されていないといった現状もある。

WWD:パタゴニアは日本でRO農法を推進しようとしている。日本の農業はどんな課題があると考える?

ウィットロー:日本でもRO農法への研究が進んでいて、土壌の質の改善や炭素貯蔵量の増加などが証明されていることに驚いた。パタゴニアが主催したカンファレンスでは、日本特有の生物多様性をどのように維持していくのか、不耕起農業で雑草をいかに減らしていくかがポイントだと学んだ。また全世界が直面している最大の課題が気候変動だ。私が住んでいる北カルフォルニアでは、年々山火事の被害が拡大し、時期も早くなっている。土壌の微生物を増やし、そうした異常気象にも耐えうる土壌を作るためにもRO農法が重要だ。

WWD:日本では具体的にどのようにROC認証を広めていく?

ウィットロー:素晴らしいパートナーであるパタゴニアの日本支社が中心になって進めてくれる。ただ日本のファッション企業に伝えたいのは、自分たちの活動に責任を持ってほしいということ。ROC認証に興味を持ってくれたら、ぜひ私たちに声をかけてほしい。

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