カイハラが「バイオインディゴ」で染めたデニム 4月から量産開始

デニム大手のカイハラは4月から、バイオマス原料から製造した新しいインディゴ染料「バイオブルー(BIO BLUE)を使ったデニムの生産を開始した。染料は住友化学が開発しており、再生可能なバイオマスを原料に、微生物発酵を通じて生産する。カイハラは住友化学と共同で100%使いから、従来の石油由来の合成インディゴ染料との併用までの検証を重ね、従来品と遜色のない量産技術を確立した。稲垣博章・執行役員営業本部長は「バイオインディゴは従来品に比べ3〜3.5倍の価格になるため、10%のみを使うといった併用を考えている。もちろん取引先の希望があれば100%使いにも対応できる」という。まずは日本で生産し、染料のコストダウンや発注量によってはタイ生産も視野にいれる。

住友化学は2023年に、合成生物学を応用し人工タンパク質原料の研究開発と設計を手掛ける米国のギンコバイオワークス(GINKGO BIOWORKS)と提携していた。「バイオブルー」染料は微生物の発酵を利用して生産するため、従来の合成インディゴ染料に比べて環境負荷を大幅に削減できるという。

カイハラはすでに合成インディゴとの併用での量産技術を確立しており、まずはバイオインディゴ10%を配合し、広島県福山市の本社工場でのデニム糸の染色を行う。「今後は『バイオブルー』の供給体制の拡大やコストダウンを見ながら、使用比率を段階的に引き上げていく」(稲垣執行役員)考え。

4月13日に開幕する大阪・関西万博のパビリオン「住友館」でも、「バイオブルー」で染色したデニム生地を使ったバッグなど3本目を出品する。

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東レと学生服飾団体「KFC」がコラボ 未来のファッションを語った!作った!

繊維大手の東レは、学生服飾団体の「Keio Fashion Creater(以下、KFC)」とコラボレーションを行う。回収ペットボトルをリサイクルした「アンドプラス(&+)」使用の素材を提供し、KFCが年に1度に全てを注ぎ込むファッションショーをサポートする。2年後の2026年に創業100周年を迎える東レは、なぜKFCとコラボレーションしたのか。東レの工場や現場で奮闘する若手社員とKFCのコラボレーションを3回に分けて追っていく。

東レが繊維研究所を構え、ナノテクノロジーを駆使した最先端繊維素材「ナノデザイン」の生産拠点であり、研修センターなども備える静岡県の三島工場を訪れたKFCのメンバーは、「アンドプラス」や東レの繊維事業の歴史に触れ、「多くの人が関わって巨大な設備で生産する糸も、過去から多くの人の熱い思いがつないできたことを実感した」と語った。

一方で東レのモノ作りを支える若手スタッフも、新しく開発したばかりの糸を生産することの難しさに触れつつ、「目標は(自分が生産の立ち上げに関わった糸が)30年、40年とロングセラーとなって続いていくこと」とやりがいを語る。東レには、当時まだ和装も盛んだった1964年に開発し、現在でもバージョンアップを繰り返しながら続く「シルック」がある。40年続くロングセラーを目指すという目標は、決して絵空事ではない強い思いの裏返しでもある。

100年近くにわたる繊維技術を次代につなげ、かつファッション産業を進化させられるのか。KFCのメンバーが「工場見学ですごく真摯にサステナビリティをはじめとした社会課題に向き合っていると感じた一方で、それが消費者やファッションの作り手に届いていないのでは?」といった忖度なしの意見をぶつける一方、「サステナブルを義務感ではなく、面白いテクノロジーや面白い素材を開発するための手段になっていて、その結果として持続可能なデザインにつながっていることを改めて実感した」といった意見も出た。対して東レの若手社員は、モノ作りの難しさに触れつつ、その楽しさややりがい、その先に広がる新しいファッションなどを語った。

次回の2回目は、東レの若手社員とKFCメンバーが互いの意見を本気でぶつけ合った座談会をお届けする。これまで培ってきた繊維の技術を継承しつつ、未来のためにサステナビリティにどう向き合っていくべきか。また、ファッションの持つ楽しさや喜びとは?

注:現在「アンドプラス(&+)」は、回収したペットボトルなどをリサイクルしたポリエステル繊維と、回収した漁網などをリサイクルしたナイロン繊維の2種類を展開している。なお、回収したペットボトルをチップにする工程は社外の協力企業にておこなわれている。

問い合わせ先
東レ 繊維事業本部新流通開拓室
ft-marketing-ig.toray.mb@mail.toray

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スタイリー企画制作「ストーリー×謎解き×XR」イベントが大丸梅田店で開催 上田慎一郎監督による作品

空間レイヤープラットフォーム「スタイリー(STYLY)」を展開するスタイリーは11月9〜18日、没入体験を購入できる「スタイリー・ウルトラ・エクスペリエンス」シリーズの第1弾、「上田慎一郎監督の3人のサイコメトラー -誘拐事件を解決せよ-」を大阪・大丸梅田店で開催する。

同イベントは、9月に東京・渋谷サクラステージのクリエイティブ拠点「404 Not Found」で3日間限定で開催された「ストーリー×謎解き×XR」の新ジャンル・エンターテインメント。第1弾では、「モノに残る記憶」を読み取る力を持つ3人のサイコメトラーとして、警視庁の捜査を手伝うという設定。参加者は3人ずつテーブルに座ってヘッドマウントディスプレーをかぶり、それぞれに違う「モノに残る」記憶を読み取り、情報を共有しながら、謎解きをする。

管理官が参加者に捜査の依頼をするところからスタート。参加者は指示に従って、リアルとバーチャルを行き来しながら、犯人を推測する。劇場映画「カメラを止めるな!」で予測不能なストーリー展開で話題をさらった上田慎一郎監督による絶妙な構成で、参加者の倫理観にも迫る体験になっている。

◾️上田慎一郎監督の3人のサイコメトラー -誘拐事件を解決せよ- powered by STYLY ULTRA EXPERIENCE IN DAIMARU UMEDA
会場:大丸梅田店5階イベントスペース
日時:2024年11月9~18日
時間:10:00~20:00
体験料:一人2000円 ※ノベルティー付き

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「ディオール」店舗にも使用 隈研吾と協働で広がる小松マテーレの「世界初、炭素繊維の耐震補強ロープ」

染色加工大手の小松マテーレの、独自開発したワイヤータイプの炭素繊維複合材「カボコーマ」シリーズが広がっている。シリーズ第1弾の「カボコーマ・ストランドロッド」は、通常はシート状で使うことの多い炭素繊維複合材料をロープ状に加工したもの。建築家の隈研吾氏と組み、用途開拓や採用実績を積み上げてきた。ファッション分野では、隈研吾建築都市設計事務所(以下、隈事務所)が設計を担当した麻布台ヒルズの「ディオール」店舗にも採用されている。隈氏は「ロープタイプの耐震補強材としてはおそらく世界初の建築材。ロープ状になっているため、軽く持ち運びやすく現場での作業もしやすい。繊細な木造建築の耐震補強材としても注目されており、国宝や重要文化財への活用も検討されている」という。

「カボコーマ・ストランドロッド」は科学技術振興機構(JST)の支援を受け、金沢工業大学と協働で開発し、2018年には炭素繊維複合材料として初めて、耐震補強材としてJIS規格を取得していた。最大の特徴はその軽さで160mで14kgと軽量で、同等の強度のメタルワイヤーの約5分の1になる。

小松マテーレと隈氏との協働は2011年からスタート。小松マテーレは石川県能美市にある旧本社棟を、「カボコーマ」を使って耐震補強した「ファーボ(fa-bo)」としてリニューアルした際にも、隈事務所が設計を担当していた。昨年からは東京大学の「SEKISUI HOUSE – KUMA LAB」内で発足した里山プロジェクトチームと一緒に「カボコーマ」をシート状に加工したテーブルなどの家具制作にも取り組んでいる。

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「ボス」が石油系由来の糸に代わるセルロース系フィラメント糸を使用したスニーカーを発表 

「ボス(BOSS)」は、セルロース系フィラメント糸「ハイキューアイオニーク(HeiQ AeoniQ)」を使用した“ザ チェンジ(THE CHANGE)スニーカー”を発表した。7月24日からオンラインショップで販売している。

「ハイキューアイオニーク」は、ポリエステルやポリアミドなどの石油系フィラメント糸に代わる革新的な繊維。2030年までにポリアミドとポリエステルの使用廃止を目標に掲げるヒューゴ ボス(HUGO BOSS)の中核ブランドとして、「ボス」は昨年発表したポロシャツ、オーバーコートなどの“ハイキューアイオニークスタイル”に続きこれを採用する。

“ザ チェンジ スニーカー”のシューレースとラベルには全て「ハイキューアイオニーク」糸を使用。アッパーにもこの最先端の繊維を85パーセント使用し、快適で丈夫な作りを実現している。耐久性や湿度管理を完備しながら、洗練されたスタイリッシュなデザインとなっている。

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「ボス」が石油系由来の糸に代わるセルロース系フィラメント糸を使用したスニーカーを発表 

「ボス(BOSS)」は、セルロース系フィラメント糸「ハイキューアイオニーク(HeiQ AeoniQ)」を使用した“ザ チェンジ(THE CHANGE)スニーカー”を発表した。7月24日からオンラインショップで販売している。

「ハイキューアイオニーク」は、ポリエステルやポリアミドなどの石油系フィラメント糸に代わる革新的な繊維。2030年までにポリアミドとポリエステルの使用廃止を目標に掲げるヒューゴ ボス(HUGO BOSS)の中核ブランドとして、「ボス」は昨年発表したポロシャツ、オーバーコートなどの“ハイキューアイオニークスタイル”に続きこれを採用する。

“ザ チェンジ スニーカー”のシューレースとラベルには全て「ハイキューアイオニーク」糸を使用。アッパーにもこの最先端の繊維を85パーセント使用し、快適で丈夫な作りを実現している。耐久性や湿度管理を完備しながら、洗練されたスタイリッシュなデザインとなっている。

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人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術

ロレアル(L’OREAL)は、5月にパリで開催した世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー」で最新のビューティテック・イノベーションを発表した。製品テストの向上と動物実験減少のため、人間の皮膚を模倣したバイオスキンを開発。また、ブランドイメージに準拠したローカライズコンテンツ制作のため、生成AIによる美容コンテンツの研究所であるクリエイテック(CREAITECH)と協業している。

ロレアルのR&Iとテクノロジー部門で副最高経営責任者(CEO)を務めるバーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)は、「ロレアルは美容技術のパイオニアとして、テクノロジーが美容の可能性を拡大し、世界中の人々の生活向上に寄与すると確信している」と話す。多様な人間の皮膚を模倣したスキンテクノロジーは、生物学や機械工学、電子工学を融合し、世界中の新興企業や研究機関と共に開発に取り組んでいる。

ロレアルはまた、3DやAR、AIの次世代クリエイターを奨励し、美容における新たなクリエイティビティを促進するためにメタ(META)と提携し、「ニューコード・オブ・ビューティクリエイター・プログラム」を実施している。ロレアル傘下の「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」や「ランコム(LANCOME)」「ケラスターゼ(KERASTASE)」「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」はすでに同サービスを活用してコンテンツを制作。アスミタ・デュベイ(Asmita Dubey)=ロレアル デジタルマーケティング責任者は、「テクノロジーは人間の創造性と掛け合わせることで、自己表現とブランド表現の強力なツールとなる」と話す。「生成AIに各ブランドのユニークなビジュアルコードを学習させれば、より迅速に革命的なキャンペーンが打てる。本物そっくりの画像を外部コミュニケーションに使用しないという、“責任あるAIの原則”を損なうことなくだ」と続ける。

「ロレアル パリ」の“ビューティ ジーニアス(BEAUTY GENIUS)”という生成AIを搭載したパーソナル・ビューティアシスタントは、24時間365日、パーソナライズした診断と提案をユーザーに提供。消費者は、美容知識を増やせる。「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」の“マイヘア ID ヘアリーダー(MY HAIR [ID] HAIR READER)”は、同グループ初のAIを搭載したヘアカラー分析ツールだ。超精密光学を用いて髪の健康状態を調べ、白髪率や毛髪の直径、密度などを測定し、それぞれのユーザーに相応しいヘアカラーを提案する。

「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」の“ダーマリーダー(DERMA-READER)”は、臨床画像技術を使って顧客の肌を評価し、肌の表面だけでなく真皮まで測定して11以上の属性に分類、適切な成分やライフスタイル、毎日のスキンケア習慣を提案する。「ランコム」の“レナジー ナノ・リサーフェイサー 400 ブースター(RENERGIE NANO-RESURFACER 400 BOOSTER)”は、特許取得済みのナノチップ技術を搭載した家庭用美容機器で、化粧品の浸透を高め、商品の性能を増幅させる。

さらにロレアルは、デジタル活動から発生する二酸化炭素排出量を評価し、環境への影響を削減するため3つの企業とパートナーシップを結んでいる。仏スタートアップのインパクト(IMPACT+)とフラッガー(FRUGGR)はそれぞれ、デジタルメディアとウェブサイトのカーボンフットプリントを測定する。広告業界の二酸化炭素排出量削減を目指すイギリスのアドグリーン(ADGREEN)は、コンテンツ制作現場のカーボンフットプリントを測定。これらの数値をもとに、環境に配慮した予防策を講じている。

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人間の皮膚の模倣から肌・髪の分析、コンテンツ制作まで ロレアルで進む生成AIの活用術

ロレアル(L’OREAL)は、5月にパリで開催した世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー」で最新のビューティテック・イノベーションを発表した。製品テストの向上と動物実験減少のため、人間の皮膚を模倣したバイオスキンを開発。また、ブランドイメージに準拠したローカライズコンテンツ制作のため、生成AIによる美容コンテンツの研究所であるクリエイテック(CREAITECH)と協業している。

ロレアルのR&Iとテクノロジー部門で副最高経営責任者(CEO)を務めるバーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)は、「ロレアルは美容技術のパイオニアとして、テクノロジーが美容の可能性を拡大し、世界中の人々の生活向上に寄与すると確信している」と話す。多様な人間の皮膚を模倣したスキンテクノロジーは、生物学や機械工学、電子工学を融合し、世界中の新興企業や研究機関と共に開発に取り組んでいる。

ロレアルはまた、3DやAR、AIの次世代クリエイターを奨励し、美容における新たなクリエイティビティを促進するためにメタ(META)と提携し、「ニューコード・オブ・ビューティクリエイター・プログラム」を実施している。ロレアル傘下の「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」や「ランコム(LANCOME)」「ケラスターゼ(KERASTASE)」「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」はすでに同サービスを活用してコンテンツを制作。アスミタ・デュベイ(Asmita Dubey)=ロレアル デジタルマーケティング責任者は、「テクノロジーは人間の創造性と掛け合わせることで、自己表現とブランド表現の強力なツールとなる」と話す。「生成AIに各ブランドのユニークなビジュアルコードを学習させれば、より迅速に革命的なキャンペーンが打てる。本物そっくりの画像を外部コミュニケーションに使用しないという、“責任あるAIの原則”を損なうことなくだ」と続ける。

「ロレアル パリ」の“ビューティ ジーニアス(BEAUTY GENIUS)”という生成AIを搭載したパーソナル・ビューティアシスタントは、24時間365日、パーソナライズした診断と提案をユーザーに提供。消費者は、美容知識を増やせる。「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」の“マイヘア ID ヘアリーダー(MY HAIR [ID] HAIR READER)”は、同グループ初のAIを搭載したヘアカラー分析ツールだ。超精密光学を用いて髪の健康状態を調べ、白髪率や毛髪の直径、密度などを測定し、それぞれのユーザーに相応しいヘアカラーを提案する。

「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」の“ダーマリーダー(DERMA-READER)”は、臨床画像技術を使って顧客の肌を評価し、肌の表面だけでなく真皮まで測定して11以上の属性に分類、適切な成分やライフスタイル、毎日のスキンケア習慣を提案する。「ランコム」の“レナジー ナノ・リサーフェイサー 400 ブースター(RENERGIE NANO-RESURFACER 400 BOOSTER)”は、特許取得済みのナノチップ技術を搭載した家庭用美容機器で、化粧品の浸透を高め、商品の性能を増幅させる。

さらにロレアルは、デジタル活動から発生する二酸化炭素排出量を評価し、環境への影響を削減するため3つの企業とパートナーシップを結んでいる。仏スタートアップのインパクト(IMPACT+)とフラッガー(FRUGGR)はそれぞれ、デジタルメディアとウェブサイトのカーボンフットプリントを測定する。広告業界の二酸化炭素排出量削減を目指すイギリスのアドグリーン(ADGREEN)は、コンテンツ制作現場のカーボンフットプリントを測定。これらの数値をもとに、環境に配慮した予防策を講じている。

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東洋紡のリサイクル綿糸「さいくるこっと」 高品質と環境影響低減を実現

東洋紡せんいはこのほど、高品質リサイクル綿糸「さいくるこっと」を開発した。インドのパートナー企業と開発した独自技術で反毛とは異なる工程で生地片をわたに戻す。一般的な反毛は粗く裁断し、針の力で素材は引きちぎるため、繊維へのダメージが大きく、繊維長や太さにばらつきが出て品位が低下するが、「さいくるこっと」は、細かく裁断した後にオイリングして空気の力で開繊するため、繊維へのダメージを小さくすることができる。

「さいくるこっと」は原料には管理した良質なリサイクル原料のみを活用するため、高品質を保てるだけでなく、国際リサイクル認証である「GRS(グローバル リサイクル スタンダード)」取得も可能。

東洋紡が公開した資料によると、「さいくるこっと」を20%混にすると、一般的なコットンに比べて水使用量は19%、CO2排出量は12%削減できるという。

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スパイバーが新たに100億円の資金調達

タンパク質由来の繊維素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を展開するスパイバーはこのほど、新たに100億円の資金調達を行ったと発表した。提携を発表した兼松や小松マテーレ、関西ペイントに加え、既存株主などが増資した。同社の関山和秀・社長は「欧州の素材系の有力スタートアップが破綻するなど、スタートアップには逆風の中で、「スタートアップの資金調達環境が厳しい状況にある。当該セクターのフロントランナーと しての責務を果たすべく、引き続き尽力していく」とコメントしている。

調達した資金は、「ブリュード・プロテイン」糸の増産やグローバル販売の強化、新規用途の開発などに充てる。「ブリュード・プロテイン」糸は、タイで原料の本格的な量産を開始しており、すでに国内外の15ブランドでの製品販売を行っている。

増資に応じた小松マテーレとは、「ブリュード・プロテイン」を原料にした透湿防水膜の開発、関西ペイントとは塗料などの開発を進める考え。

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スパイバーが新たに100億円の資金調達

タンパク質由来の繊維素材「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」を展開するスパイバーはこのほど、新たに100億円の資金調達を行ったと発表した。提携を発表した兼松や小松マテーレ、関西ペイントに加え、既存株主などが増資した。同社の関山和秀・社長は「欧州の素材系の有力スタートアップが破綻するなど、スタートアップには逆風の中で、「スタートアップの資金調達環境が厳しい状況にある。当該セクターのフロントランナーと しての責務を果たすべく、引き続き尽力していく」とコメントしている。

調達した資金は、「ブリュード・プロテイン」糸の増産やグローバル販売の強化、新規用途の開発などに充てる。「ブリュード・プロテイン」糸は、タイで原料の本格的な量産を開始しており、すでに国内外の15ブランドでの製品販売を行っている。

増資に応じた小松マテーレとは、「ブリュード・プロテイン」を原料にした透湿防水膜の開発、関西ペイントとは塗料などの開発を進める考え。

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テクノロジーは普遍化、改めてR&Dに注目の2024年 ロレアル&ユニリーバが注視するのは?

【連載】ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望

ビューティ賢者が
最新の業界ニュースを斬る

ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、世界最大のテクノロジー見本市「CES」に出展したロレアルなどの話。

矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール

雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任

【賢者が選んだ注目ニュース】

「ロレアル(L'OREAL)はテック企業である」を強く印象づけた、2024年の「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」。われわれ美容業界の視点からすれば、同社による基調講演は創業以来考え続けている美とテクノロジー、サステナビリティ、多様性と包括性についての集大成のようなプレゼンテーションだった。同時にCESに集まった美容関連とは縁が薄かったビジネスリーダーたちにも、化粧品会社がいかにテクノロジー企業たり得るか、そしてロレアルがビューティテックNo.1企業であるかを知らしめたという点で、エポックメイキングだったと思う。

ただ、この基調講演を聞いて改めてビューティテックという言葉が指す領域がとてつもなく広くなっていることを実感した。美容企業は今、ウエルネスやメンタルヘルス、医療、睡眠、栄養、スポーツ、ゲームなどの領域と融合しはじめており、同時にサステナビリティや多様性・包括性という点でのパーソナライズも推し進めている。テクノロジーはそのあらゆる部分にしみだしており、さまざまな分野とテクノロジーをかけあわせ、どうイノベーションを起こしていくのかにフォーカスする時代に突入したという実感だ。テクノロジーは生成AIの登場もあり、普遍化したのだ。

では、ロレアルをはじめとするビューティジャイアンツたちが、次なるイノベーションの起爆剤と考えているものは何か?それは医療やバイオテクノロジーといったR&D領域だ。

先進国ではレッドオーシャンの化粧品ビジネスは、その機能性がさらに問われはじめている。SNSマーケティングで一時的に注目されても、機能性に満足しなければ続けての購買にはつながらず、LTV(Life Time Value. 顧客生涯価値)はあがらない。実際、中国で好調なのはバイオテクノロジーに強い企業だ。23年後半には資生堂やプーチが皮膚科医らによるドクターズコスメを傘下に収め、ユニリーバやロレアルはバイオテックに強いブランドや企業に投資を行ったり矢継ぎ早に買収したりの動きを見せた。このトレンドは、明らかだろう。

機能性を高めるため、化粧品開発にはサイエンスに裏打ちされたR&Dが必須だ。そのための研究開発期間は、テクノロジーの開発や導入のそれと比べると体感的に5〜10倍の時間を要する。投資も膨大ゆえ、ユニークな医学的見地あるいはバイオテック技術を持ち、すでにブランドとしても確立している企業を買収してグループに入れるのは理にかなっている。傘下に入れずとも投資すれば、協業や知見の共有など受けられる恩恵は大きいはずだ。そして、やはりグローバルNo.1企業のロレアルとNo.2のユニリーバ(UNILEVER)の目のつけどころが鋭い。

ロレアル、ユニリーバの双方が
注目するのはマイクロバイオーム

ロレアルは23年12月、プロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物)およびマイクロバイオーム研究開発企業で、すでに「BAK」というブランドも持つデンマークのラクトバイオ(Lactobio)を買収した。これは、ロレアルが過去20年にわたり進めてきたマイクロバイオーム研究をさら加速させることを狙ったもの。ラクトバイオの専門知識を活用して、生きた細菌を使用した安全で新しい化粧品ソリューションを開発するという。また、24年1月には傘下のCVCを通じてスイスのエイジング研究に強いバイオテックスキンケアブランド「タイムライン(TIMELINE)」に大型投資を行った。

ユニリーバは、自社のアセットを生かせるユニークなヘアケアブランド「K18」を23年12月に傘下に迎えている。「K18」はバイオテック研究を基盤として新しいアミノ酸配列を開発。これが一過性でなく永続的に髪の強度と弾力性を回復するとうたうブランドだ。設立から18カ月で100カ国2万以上のヘアサロンで採用され、現在ではセフォラのベストセラーヘアケアブランドのひとつとなっている。また、同社は同じタイミングで豪州のマイクロバイオーム頭皮ケアブランド「ストランド(STRAAND)」に2回目の投資を行い、同ブランドがグローバルな新市場に進出するためのサポートをするとしている。

ロレアルとユニリーバの動きを見ていると、マイクロバイオームを活用したスキンケアやヘアケア、エイジングがいかにR&D領域でホットであることが分かる。マイクロバイオーム関連企業含め24年は、「R&Dに強いスタートアップ」が美容大手のM&Aや協業先として大きな注目を集める年となりそうだ。

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テクノロジーは普遍化、改めてR&Dに注目の2024年 ロレアル&ユニリーバが注視するのは?

【連載】ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望

ビューティ賢者が
最新の業界ニュースを斬る

ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、世界最大のテクノロジー見本市「CES」に出展したロレアルなどの話。

矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール

雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任

【賢者が選んだ注目ニュース】

「ロレアル(L'OREAL)はテック企業である」を強く印象づけた、2024年の「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」。われわれ美容業界の視点からすれば、同社による基調講演は創業以来考え続けている美とテクノロジー、サステナビリティ、多様性と包括性についての集大成のようなプレゼンテーションだった。同時にCESに集まった美容関連とは縁が薄かったビジネスリーダーたちにも、化粧品会社がいかにテクノロジー企業たり得るか、そしてロレアルがビューティテックNo.1企業であるかを知らしめたという点で、エポックメイキングだったと思う。

ただ、この基調講演を聞いて改めてビューティテックという言葉が指す領域がとてつもなく広くなっていることを実感した。美容企業は今、ウエルネスやメンタルヘルス、医療、睡眠、栄養、スポーツ、ゲームなどの領域と融合しはじめており、同時にサステナビリティや多様性・包括性という点でのパーソナライズも推し進めている。テクノロジーはそのあらゆる部分にしみだしており、さまざまな分野とテクノロジーをかけあわせ、どうイノベーションを起こしていくのかにフォーカスする時代に突入したという実感だ。テクノロジーは生成AIの登場もあり、普遍化したのだ。

では、ロレアルをはじめとするビューティジャイアンツたちが、次なるイノベーションの起爆剤と考えているものは何か?それは医療やバイオテクノロジーといったR&D領域だ。

先進国ではレッドオーシャンの化粧品ビジネスは、その機能性がさらに問われはじめている。SNSマーケティングで一時的に注目されても、機能性に満足しなければ続けての購買にはつながらず、LTV(Life Time Value. 顧客生涯価値)はあがらない。実際、中国で好調なのはバイオテクノロジーに強い企業だ。23年後半には資生堂やプーチが皮膚科医らによるドクターズコスメを傘下に収め、ユニリーバやロレアルはバイオテックに強いブランドや企業に投資を行ったり矢継ぎ早に買収したりの動きを見せた。このトレンドは、明らかだろう。

機能性を高めるため、化粧品開発にはサイエンスに裏打ちされたR&Dが必須だ。そのための研究開発期間は、テクノロジーの開発や導入のそれと比べると体感的に5〜10倍の時間を要する。投資も膨大ゆえ、ユニークな医学的見地あるいはバイオテック技術を持ち、すでにブランドとしても確立している企業を買収してグループに入れるのは理にかなっている。傘下に入れずとも投資すれば、協業や知見の共有など受けられる恩恵は大きいはずだ。そして、やはりグローバルNo.1企業のロレアルとNo.2のユニリーバ(UNILEVER)の目のつけどころが鋭い。

ロレアル、ユニリーバの双方が
注目するのはマイクロバイオーム

ロレアルは23年12月、プロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物)およびマイクロバイオーム研究開発企業で、すでに「BAK」というブランドも持つデンマークのラクトバイオ(Lactobio)を買収した。これは、ロレアルが過去20年にわたり進めてきたマイクロバイオーム研究をさら加速させることを狙ったもの。ラクトバイオの専門知識を活用して、生きた細菌を使用した安全で新しい化粧品ソリューションを開発するという。また、24年1月には傘下のCVCを通じてスイスのエイジング研究に強いバイオテックスキンケアブランド「タイムライン(TIMELINE)」に大型投資を行った。

ユニリーバは、自社のアセットを生かせるユニークなヘアケアブランド「K18」を23年12月に傘下に迎えている。「K18」はバイオテック研究を基盤として新しいアミノ酸配列を開発。これが一過性でなく永続的に髪の強度と弾力性を回復するとうたうブランドだ。設立から18カ月で100カ国2万以上のヘアサロンで採用され、現在ではセフォラのベストセラーヘアケアブランドのひとつとなっている。また、同社は同じタイミングで豪州のマイクロバイオーム頭皮ケアブランド「ストランド(STRAAND)」に2回目の投資を行い、同ブランドがグローバルな新市場に進出するためのサポートをするとしている。

ロレアルとユニリーバの動きを見ていると、マイクロバイオームを活用したスキンケアやヘアケア、エイジングがいかにR&D領域でホットであることが分かる。マイクロバイオーム関連企業含め24年は、「R&Dに強いスタートアップ」が美容大手のM&Aや協業先として大きな注目を集める年となりそうだ。

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「コーチ」の新ブランド「コーチトピア」がドキュメンタリー映像を公開 ファッションの課題と循環型ものづくりの可能性

「コーチ(COACH)」の新ブランド「コーチトピア(COACHTOPIA)」は、循環型ファッションの製造の舞台裏にスポットライトを当てたドキュメンタリーシリーズ“循環型への道のり(The Road to Circularity)”をリリースした。同シリーズを通して、ファッションの循環する未来に向け、グローバルなコミュニティーに訴えかけていく。

サステナブルファッションの提唱者であり、「コーチトピア」のコミュニティーメンバーでもあるアディティ・マイヤー(Aditi Mayer)がホストを務める同シリーズは、「コーチトピア」と協力して大規模なサーキュラリティー(循環性)を可能にするアイデアを開発している人々やパートナーの元に、製造プロセスを学ぶために世界中を駆け巡る。ドキュメンタリーシリーズの動画はブランド公式SNSとオンラインストアで公開中だ。

エピソード1“廃棄物で作る(Making with Waste)”は、アディティがインドのチェンナイにある皮革製造メーカーのKH エキスポートを訪ねるところからスタート。同社は1987年から「コーチ」のパートナーとして協業しており、「コーチ」のレザー廃棄物をユニークな原料として蘇らせることに挑戦している。アディティはバッグの生産工程における廃棄物の分別から、製品のプロトタイピング、素材のデザイン、生産まで、KH エキスポートの製造プロセスを追う。さらに、廃棄物を使ったモノ作りの可能性を探るだけでなく、情熱と創意工夫をもって課題に取り組んでいるデザイナーや職人、製作者のコミュニティーで繰り広げられるパーソナルな物語も紹介している。

アディティはさまざまな過程を学んだ後、ファッションにおける“完璧”を良しとする既成概念への疑問をブランドと消費者の双方に投げかける。「完璧を求める私たちの文化的な考え方のせいで、レザーの自然なシボ(立体的なシワ模様)が欠点とみなされ、廃棄物が増えることになるとは驚いた。サーキュラリティーとは単に作り方を変えることではなく、考え方を変えることなのだと気付かせてくれた」。

2023年9月に日本上陸した「コーチトピア」は、循環型のものづくりに焦点を当て、Z世代と共に新しいファッションシステムの構築を掲げている「コーチ」の新ブランドだ。完全循環型ビジネスモデルを追求したバッグやアクセサリー、ウエアなどを取り扱う。

問い合わせ先
コーチ・カスタマーサービス・ジャパン
0120-556-750

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「ダブレット」がChatGPTのアイデアを採用したポップアップを開催 ビジュアルや店頭の装飾もAIで

「ダブレット(DOUBLET)」は1月13〜23日の期間、2024年春夏コレクションをそろえるポップアップを伊勢丹新宿店 本館3階 センターパークで開催する。オンラインでは三越伊勢丹の特設サイトで13日午後8時から開催する。店頭で完売した商品は、オンラインストアで販売しない。

同コレクションは、人工知能を通じて人間らしさとは何かを問い、「ChatGPT」にアイデアを投げかけて制作している。アイテムは、生成AIのバグに着想したアイテムなど、ブランドらしいユーモアを交えた。ポップアップでも、特設ページの文章やフォトシューティング、会場装飾のアイデアを生成AIとの対話を通じて作り上げた。

ボンバージャケット(9万7900円)は、肩のシルエットと肩パッドが特徴的で、バックにはピンナップアートを施している。AIが提案するデニムショートパンツ(6万9300円)は、スカートのようなボリューム感を持たせたシルエットで、ユーズド加工したデニムの上に、箔プリントを施した。「もし破れることがあっても、緯糸のシルバー色のレーヨンが顔を出して、まるで宝物を見つけたような喜びを味わえる」という。

フーディは、デザイナーが子供の頃にイメージした未来を具現化し、ポリエステルのフライスにシルバーの箔のコーティングを施した。袖にはチェーンを縫い付けている。バッグ(各7万4800円、12万1000円)は、レトロなロボットの頭部をモチーフにしており、AIの原点を思い起こさせる。

ポップ会場の装飾や特設ページのアイデアは、三越伊勢丹が独自で開発したMI-GPTを使用している。会場の装飾は、AIによって導き出された「カラーのポップさ」と「機械的な側面」のキーワードをもとに、「ダブレット」のイベントを手掛けてきたolk inc.によって“ケーブルコード”のマテリアルという表現に落とし込んだ。特設ページのためのフォトシューティングでは、「画像のピクセル化」「ホログラム」などのヒントを採用した。

■「ダブレット」2024年春夏コレクション「NOW. AND THEN」ポップアップ
会期: 1月13日〜23日
会場:伊勢丹新宿店本館3階センターパーク/プロモーション
住所:東京都新宿区新宿3-14-1

■リ・スタイル | 三越伊勢丹オンラインストア特設ページ
店頭販売:1月13日から
オンライン販売:1⽉13⽇午後8時から
特設ページはこちら

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米富繊維がスパイバーの人工タンパク質素材を使用したニットウエアを発売 ポップアップも

ニットメーカーの米富繊維は、スパイバー(SPIBER)の人工タンパク質“ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)”繊維を使用したニットウエア発売する。12月22〜24日に代々木上原で開催するポップアップで販売を行い、12月16、17日に米富繊維本社工場内のヨネトミストアで先行販売する。2024年の秋冬から本格的に国内外での販売を開始する予定だ。

ラインアップするのはクルーネックとタートルネックのプルーオーバー。それぞれ全6色を用意し、価格は4万1800円と4万2900円。軽いのに暖かく、優しい肌触りが特徴。ジャケットなどのインナーにも合わせられるすっきりとしたシルエットだ。

“ブリュード・プロテイン”繊維は、植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産される人工タンパク質素材。原料に石油を使わない同素材は、温室効果ガスの排出量の大幅な縮小や土地や水の使用量の削減が見込まれ、次世代の素材として期待が寄せられている。

■ヨネトミストア
販売期間:12月16、17日
住所:山形県東村山郡山辺町大字山辺1136
電話:023-664-8176

■ヨネトミ ポップアップストア
期間:12月22〜24日
場所:tefu yoyogiuehara
住所:東京都渋谷区西原3-1-10

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米富繊維がスパイバーの人工タンパク質素材を使用したニットウエアを発売 ポップアップも

ニットメーカーの米富繊維は、スパイバー(SPIBER)の人工タンパク質“ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)”繊維を使用したニットウエア発売する。12月22〜24日に代々木上原で開催するポップアップで販売を行い、12月16、17日に米富繊維本社工場内のヨネトミストアで先行販売する。2024年の秋冬から本格的に国内外での販売を開始する予定だ。

ラインアップするのはクルーネックとタートルネックのプルーオーバー。それぞれ全6色を用意し、価格は4万1800円と4万2900円。軽いのに暖かく、優しい肌触りが特徴。ジャケットなどのインナーにも合わせられるすっきりとしたシルエットだ。

“ブリュード・プロテイン”繊維は、植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産される人工タンパク質素材。原料に石油を使わない同素材は、温室効果ガスの排出量の大幅な縮小や土地や水の使用量の削減が見込まれ、次世代の素材として期待が寄せられている。

■ヨネトミストア
販売期間:12月16、17日
住所:山形県東村山郡山辺町大字山辺1136
電話:023-664-8176

■ヨネトミ ポップアップストア
期間:12月22〜24日
場所:tefu yoyogiuehara
住所:東京都渋谷区西原3-1-10

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「ナイキ」や「H&M」が注目のスタートアップが約181億円調達 微生物から生まれる脱炭素素材を開発

プラスチックの代替素材“エアカーボン(AIRCARBON)”を開発したスタートアップ企業、ニューライトテクノロジーズ(NEWLIGHT TECHNOLOGIES)は、脱炭素ファンドのジェンゼロ(GEN ZERO)などから1億2500万ドル(約181億2500万円)の資金調達を行なった。

カリフォルニアに拠点を置く同社は、海中の微生物が温室効果ガスを体内に蓄積し、PHB(ポリヒドロキシ酪酸)と呼ばれる物質に変換するメカニズムを応用し、“エアカーボン”の開発に成功した。製造にかかる排出量よりも吸収量が上回る脱炭素型素材で、さまざまな形に成形・加工が可能。ファッション、エンターテインメント、ホテル、自動車、食品産業と幅広い産業を対象に販売する。21年には「ナイキ(NIKE)」がパートナー企業に名を挙げ、“エアカーボン”を使ったプラスチックおよびレザーの代替素材として活用を進める。「H&M」は22年5月に発売した“イノベーション・ストーリーズ(Innovation Stories)”コレクションで、“エアカーボン”を使ったアクセサリーを販売した。

ニューライトテクノロジーズは、今回の資金調達で製造拠点を拡大させる計画だという。同社のマーク・ヘレマ(Mark Herrema)CEOは、「私たちが20年間かけて続けてきた研究・開発をスケール化するためのターニングポイントになるだろう。今後の展開にワクワクしている」とコメントした。

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パイナップル葉繊維で世界のファッション産業を変える フードリボンが目指す幸せの循環

2017年創業のフードリボン(FOOD REBORN)は、沖縄・大宜味村を拠点に、パイナップルやバナナの収穫時に出る葉や茎から繊維などを生み出す企業だ。同社は、これまで廃棄されてきた農産物資源を天然繊維に生まれ変わらせることで価値を与え、農家の所得向上を目指す。将来的には循環社会を作り出すべく活動の幅を広げており、22年にはTSIホールディングスおよび豊島と業務提携を結んだ。アパレル大手も賛同する取り組みや、パイナップル葉繊維の特徴とは。

廃棄するパイナップルの葉
その大きな可能性に着目

フードリボン創業地の沖縄は、パイナップルとシークヮーサーの名産地だ。同社はシークヮーサーの商品開発事業からスタート。次に、廃棄されるパイナップルの葉の再利用の可能性に着目した。

世界で生産されるパイナップルの半分は東南アジア産で、パイナップルの葉は食用の果実の数倍以上となる約6000万トンが毎年廃棄されているという。東南アジアでは以前から、廃棄する葉から繊維を作り出す試みが行われていたが、手作業の工程が多く、品質維持も難しいという課題を抱えていた。

フードリボンもこの研究を2019年から開始したものの、当初は価格と品質面のハードルが高く、流通するまでには至らなかった。しかし3年間の試行錯誤の末に、水圧によって葉に付着する蝋とリグニンを破砕し、繊維を抽出する技術を開発。1秒1gのスピードかつワンステップで葉を繊維と残渣に分別でき、水は循環させて利用することで、低い環境負荷で1時間3.6kgの繊維の量産を実現させた。

さらに、機械を縦1.5×横1.5×高さ1.5mと小型軽量化して農園に設置しやすくし、農家に新たな収入源を創出する仕組みも構築した。現在は、日本のパイナップル生産の98%を占める沖縄から設置を開始している。24年3月までに沖縄に20台、インドネシア、フィリピン、タイ、台湾、ベトナム、マレーシア、インドに合わせて1000台を配置して、月産1000tの生産を目指す。将来的にはブラジルなどにも普及させ、年間15万tのパイナップル葉繊維の生産を計画。10年後には、世界のコットン市場の5%をパイナップル葉繊維の混紡綿に置き換えるのが目標だ。

フードリボンは機械を無償で農家に貸し出し、取り出された繊維を農家から買い取って糸にし、それをアパレル企業に販売している。さらに繊維を抽出した後の残渣は発酵させて家畜飼料にし、一部はマイクロパウダーにして生分解性樹脂の混合材として商品化する。この素材を使ったバイオプラスチックのストローをすでに販売中で、年内には海洋生分解性樹脂と配合したカトラリーも発売予定だ。

フードリボンの天然繊維事業は沖縄をはじめ、台湾やインドネシア、中国でもプロジェクトを進めている。今後は環境問題、農家の貧困課題を解決しながら、新しいファッション素材を提案していく。

絹のような光沢と機能性で
アパレル全般に対応

パイナップル葉繊維は天然繊維の中でも非常に細く、単繊維ではシルクの2分の1〜4分の1に当たる5ミクロンの細さが特徴だ。これは、マイクロファイバーにも匹敵する。その細さゆえ、最も相性のいいコットンのほか、シルクや麻などあらゆる繊維との混紡が可能だ。混紡率は現在パイナップル葉繊維30%、コットン70%を推奨しており、新しい紡績方法や混紡率の糸の研究も進めている。

繊維は絹のような光沢があり、柔らかく、抗菌性や通気性、吸水性、保湿性などに優れる。また、糸には強度があり、太さのある糸へのアレンジも自在のため、薄手のシャツからドレスシャツまでアパレル全般に対応するほか、リネンやタオル類にも適している。さらにビーガンレザーも開発中で、完成すればバッグや靴、インテリアの生地としても使える見込みだ。現在の価格帯はオーガニックコットンと同等だが、今後はフードリボンの抽出機で量産体制を整備することで、スケールメリットを図る。

Voice from 泉州タオルメーカー(下代勝/富士産業社長)
沖縄に根差した“今そこにある環境問題“の解決からスタートし、地域の支持を得ているフードリボンに感銘を受けた。沖縄ではパイナップルの葉は谷あいに埋めていたが、葉は繊維質で固く、なかなか土に還らないそうだ。それらを埋めずに再利用するだけでも、地域にとって大きな前進。細くて長いパイナップル葉繊維は高品質なタオル製品に適している。“既にそこにある廃棄物“を有効活用したタオルを大阪・泉州から発信していきたい。

“ファッション業界に風穴を開け、
社会をも変えられる可能性”

私たちは繊維やバイオプラスチックを売ることが目的ではない。社会の向きを少しだけ良くしていく運動体がフードリボンだ。沖縄に軸足を置き、国境を越えて世界のパイナップル生産地と連携していけば、パイナップルの葉繊維事業はファッション業界や社会を変えられる規模になる。商品を手にした消費者に、自分の身の回りの環境について考えるなどの意識改革を起こすことができれば、幸せが循環する世界はきっと実現できると信じている。私たちが創業から目指しているのは、大宜味村のおばあから教えてもらった、自分たちだけでなく、次世代の幸せも願って行動すること。この目には見えない大切なことを形にして伝えていけば、自分の幸せになって返ってくるはずだから。

問い合わせ先
フードリボン 那覇事務所
098-917-1830

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パイナップル葉繊維で世界のファッション産業を変える フードリボンが目指す幸せの循環

2017年創業のフードリボン(FOOD REBORN)は、沖縄・大宜味村を拠点に、パイナップルやバナナの収穫時に出る葉や茎から繊維などを生み出す企業だ。同社は、これまで廃棄されてきた農産物資源を天然繊維に生まれ変わらせることで価値を与え、農家の所得向上を目指す。将来的には循環社会を作り出すべく活動の幅を広げており、22年にはTSIホールディングスおよび豊島と業務提携を結んだ。アパレル大手も賛同する取り組みや、パイナップル葉繊維の特徴とは。

廃棄するパイナップルの葉
その大きな可能性に着目

フードリボン創業地の沖縄は、パイナップルとシークヮーサーの名産地だ。同社はシークヮーサーの商品開発事業からスタート。次に、廃棄されるパイナップルの葉の再利用の可能性に着目した。

世界で生産されるパイナップルの半分は東南アジア産で、パイナップルの葉は食用の果実の数倍以上となる約6000万トンが毎年廃棄されているという。東南アジアでは以前から、廃棄する葉から繊維を作り出す試みが行われていたが、手作業の工程が多く、品質維持も難しいという課題を抱えていた。

フードリボンもこの研究を2019年から開始したものの、当初は価格と品質面のハードルが高く、流通するまでには至らなかった。しかし3年間の試行錯誤の末に、水圧によって葉に付着する蝋とリグニンを破砕し、繊維を抽出する技術を開発。1秒1gのスピードかつワンステップで葉を繊維と残渣に分別でき、水は循環させて利用することで、低い環境負荷で1時間3.6kgの繊維の量産を実現させた。

さらに、機械を縦1.5×横1.5×高さ1.5mと小型軽量化して農園に設置しやすくし、農家に新たな収入源を創出する仕組みも構築した。現在は、日本のパイナップル生産の98%を占める沖縄から設置を開始している。24年3月までに沖縄に20台、インドネシア、フィリピン、タイ、台湾、ベトナム、マレーシア、インドに合わせて1000台を配置して、月産1000tの生産を目指す。将来的にはブラジルなどにも普及させ、年間15万tのパイナップル葉繊維の生産を計画。10年後には、世界のコットン市場の5%をパイナップル葉繊維の混紡綿に置き換えるのが目標だ。

フードリボンは機械を無償で農家に貸し出し、取り出された繊維を農家から買い取って糸にし、それをアパレル企業に販売している。さらに繊維を抽出した後の残渣は発酵させて家畜飼料にし、一部はマイクロパウダーにして生分解性樹脂の混合材として商品化する。この素材を使ったバイオプラスチックのストローをすでに販売中で、年内には海洋生分解性樹脂と配合したカトラリーも発売予定だ。

フードリボンの天然繊維事業は沖縄をはじめ、台湾やインドネシア、中国でもプロジェクトを進めている。今後は環境問題、農家の貧困課題を解決しながら、新しいファッション素材を提案していく。

絹のような光沢と機能性で
アパレル全般に対応

パイナップル葉繊維は天然繊維の中でも非常に細く、単繊維ではシルクの2分の1〜4分の1に当たる5ミクロンの細さが特徴だ。これは、マイクロファイバーにも匹敵する。その細さゆえ、最も相性のいいコットンのほか、シルクや麻などあらゆる繊維との混紡が可能だ。混紡率は現在パイナップル葉繊維30%、コットン70%を推奨しており、新しい紡績方法や混紡率の糸の研究も進めている。

繊維は絹のような光沢があり、柔らかく、抗菌性や通気性、吸水性、保湿性などに優れる。また、糸には強度があり、太さのある糸へのアレンジも自在のため、薄手のシャツからドレスシャツまでアパレル全般に対応するほか、リネンやタオル類にも適している。さらにビーガンレザーも開発中で、完成すればバッグや靴、インテリアの生地としても使える見込みだ。現在の価格帯はオーガニックコットンと同等だが、今後はフードリボンの抽出機で量産体制を整備することで、スケールメリットを図る。

Voice from 泉州タオルメーカー(下代勝/富士産業社長)
沖縄に根差した“今そこにある環境問題“の解決からスタートし、地域の支持を得ているフードリボンに感銘を受けた。沖縄ではパイナップルの葉は谷あいに埋めていたが、葉は繊維質で固く、なかなか土に還らないそうだ。それらを埋めずに再利用するだけでも、地域にとって大きな前進。細くて長いパイナップル葉繊維は高品質なタオル製品に適している。“既にそこにある廃棄物“を有効活用したタオルを大阪・泉州から発信していきたい。

“ファッション業界に風穴を開け、
社会をも変えられる可能性”

私たちは繊維やバイオプラスチックを売ることが目的ではない。社会の向きを少しだけ良くしていく運動体がフードリボンだ。沖縄に軸足を置き、国境を越えて世界のパイナップル生産地と連携していけば、パイナップルの葉繊維事業はファッション業界や社会を変えられる規模になる。商品を手にした消費者に、自分の身の回りの環境について考えるなどの意識改革を起こすことができれば、幸せが循環する世界はきっと実現できると信じている。私たちが創業から目指しているのは、大宜味村のおばあから教えてもらった、自分たちだけでなく、次世代の幸せも願って行動すること。この目には見えない大切なことを形にして伝えていけば、自分の幸せになって返ってくるはずだから。

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フードリボン 那覇事務所
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麻布台ヒルズ11月24日開業 「エルメス」「ディオール」「セリーヌ」など高級ブランドも出店 

森ビルは8日、東京港区で建設中の大型複合施設「麻布台ヒルズ」を11月24日に開業すると発表した。約8.1ヘクタールの広大な敷地に、オフィス、住宅、商業施設、文化施設、教育機関、医療機関などの都市機能が入る。商業施設には「エルメス」「ディオール」「セリーヌ」「ブルガリ」「カルティエ」「ベルルッティ」「ボッテガ・ヴェネタ」といったラグジュアリーブランドが入る。同じ森ビルが運営する六本木ヒルズからも程近いエリアに、高級品や高級レストランの商業集積ができることになる。

商業施設の面積は約2万3000平方メートルで、約150店舗が営業する。ファッション、フード、ビューティ、カルチャーなど幅広い顔ぶれ。ラグジュアリーブランドは東京メトロ・神谷町駅側でヘザウィック・スタジオが設計した低層棟「ガーデンプラザ」に集積され、新たに開通した桜麻通り(さくらあさどおり)に街並みを形成する。ラグジュアリーブランドの多くは12月以降の開業となる。

高さ日本一となる330mの森JPタワーの足元の「タワープラザ」には、セレクトショップやファッションブランドなどが集まる。「ユナイテッドアローズ ウィメンズストア」(ユナイテッドアローズ)、「キャバン」(トゥモローランド)、「メゾン エ ヴォヤージュ」(同)、「ル グランド クローゼット ドゥ パリゴ」(パリゴ)、「ジュンテ ディ マーレ」(豊田貿易)、「ザ・ストア バイシー」(アバハウス)、「セオリー」(ファースリテイリング)、「アグ」(デッカーズジャパン)、「デンハム」(デンハムジャパン)、「ルルレモン」(ルルレモンアスレティカJP)、「ザ・コンランショップ東京」(コンランショップ・ジャパン)など。

麻布台ヒルズは、森ビルおよび日本郵便が参加組合員として参画し、虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合が開発した。コンセプトは“緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街〜Modern Urban Village”。約8.1ヘクタールの広大な計画区域のうち緑化面積は約2.4ヘクタール。森JPタワーには最新鋭のオフィスフロアや、ラグジュアリーリゾートを手掛けるアマンによる「アマンレジデンス 東京」が入る。他にも高度な専門性を持つ大学病院スタッフが提供する人間ドック「慶應義塾大学予防医療センター(仮称)」、50カ国以上・約700人の生徒が在籍するインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン東京」などで構成する。年間の来街者数3000万人を見込む。

8日に麻布台ヒルズの森JPタワー内で会見した森ビルの辻慎吾社長は「六本木ヒルズは『文化』、麻布台ヒルズは『グリーン&ウエルネス』。複合的な機能がコンパクトに複合された魅力的な街が、東京が国際的な都市間競争に勝ち抜くための磁力になる」と話した。

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「BMW」が水素で走る燃料電池車の公道での実証実験開始 3分の水素の充電で約500km走行

「ビー・エム・ダブリュー(BMW)」は、燃料として水素を充填し、水素エネルギーにより発電し電気を電池に蓄え、電気によりモーターを駆動させて走行する「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen(アイエックスファイブ・ハイドロジェン)」の日本における公道走行を開始し、7月19日から2023年末まで実証実験を行う。

燃料電池は新たな動力源の1つとして注目を集めており、BMWグループは2011年からトヨタ自動車と燃料電池車の基礎研究を共同で行なっている。水素を燃料とする燃料電池車は、燃料の充填に時間をかけずに長距離走行可能となることが特徴の1つで「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」の場合、燃料である水素が空の状態から約3分程度の水素の充電で約500kmの長距離を走行する事が可能となる。

BMWグループは、2020年代後半に燃料電池車を市場投入する予定で、その実現に向けてドイツやアメリカの主要国において「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」を走行させ実証実験を実施しており、「車両に対する顧客要求が高い日本においても、公道での実証実験を実施する事にした」という。

日本における実証実験においては日本各地で実際に車両を走行させ、様々なデータを取得すると共に官公庁や行政機関、大学を訪問し各方面の専門家の視点から製品に対するフィードバックを受け、それらをドイツのBMWグループ本社と共有し製品開発に役立てる方針だ。

「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」は「BMW X5」をベースにした燃料電池車。「BMW X5」は、「スポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)」の先駆的モデルとして、1999年に誕生したモデルだ。

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「BMW」が水素で走る燃料電池車の公道での実証実験開始 3分の水素の充電で約500km走行

「ビー・エム・ダブリュー(BMW)」は、燃料として水素を充填し、水素エネルギーにより発電し電気を電池に蓄え、電気によりモーターを駆動させて走行する「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen(アイエックスファイブ・ハイドロジェン)」の日本における公道走行を開始し、7月19日から2023年末まで実証実験を行う。

燃料電池は新たな動力源の1つとして注目を集めており、BMWグループは2011年からトヨタ自動車と燃料電池車の基礎研究を共同で行なっている。水素を燃料とする燃料電池車は、燃料の充填に時間をかけずに長距離走行可能となることが特徴の1つで「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」の場合、燃料である水素が空の状態から約3分程度の水素の充電で約500kmの長距離を走行する事が可能となる。

BMWグループは、2020年代後半に燃料電池車を市場投入する予定で、その実現に向けてドイツやアメリカの主要国において「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」を走行させ実証実験を実施しており、「車両に対する顧客要求が高い日本においても、公道での実証実験を実施する事にした」という。

日本における実証実験においては日本各地で実際に車両を走行させ、様々なデータを取得すると共に官公庁や行政機関、大学を訪問し各方面の専門家の視点から製品に対するフィードバックを受け、それらをドイツのBMWグループ本社と共有し製品開発に役立てる方針だ。

「燃料電池実験車両BMW iX5 Hydrogen」は「BMW X5」をベースにした燃料電池車。「BMW X5」は、「スポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)」の先駆的モデルとして、1999年に誕生したモデルだ。

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H&M財団がイノベーション・アワードの受賞者を発表 食品廃棄物を活用した新素材や次世代染料など

H&Mへネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の創業家一族による非営利財団、H&Mファウンデーション(H&M Foundation)はこのほど、第7回目を迎えたイノベーション・アワード「グローバル・チェンジ・アワード(Global Change Award以下、GCA)2023」の受賞者を発表した。例年5組だった受賞者数を今年は10組に拡大し、受賞者にはそれぞれ20万ユーロ(3000万円相当)、合計200万ユーロ(3億円相当)を贈呈した。

受賞者には、アイデアのスケール化に向けてH&M財団とアクセンチュア、KTH王立工科大学(KTH Royal Institute of Technology)、ミルズ・ファブリカ(The Mills Fabrica)による1年間のコーチングを提供するほか、ネットワーク構築などを支援する。

クリスティアン・ドルヴァ(Christiane Dolva)=H&M財団ストラテジー・リードは、「今年の受賞アイデアには多様なソリューションがある。これらをスケールできれば、包括的な変革が必要な業界に大きな影響を与えられると信じている。受賞者と協力しながら、これらのイノベーションを加速させていくのが楽しみだ」とコメントした。

受賞者は下記の通り。

銅鉄の200倍の強度で軽量な生分解性素材

イギリスのナノルーム(NANOLOOM)は、グラフェンを元にした高性能かつ生分解性のあるテキスタイルを開発し、海洋汚染の原因となっているマイクロプラスチック問題にアプローチする。グラフェンは、銅鉄の200倍の強度を持ちながら軽量で柔軟な特性がある。ナノルームのヴィクトリア・マタチンスキー(Victoria Mataczynski)最高経営責任者は、「来年には、生産体制を拡大して商品化を目指す。実現に向け、パートナー企業の協力を得て最も効率的な素材の選定を進めたい」と話す。

バイオベースのポリウレタン

イギリスを拠点とするアルグリーン(ALGREEN)は、天然素材由来のポリウレタンを開発した。石油由来のポリウレタンの代替え素材として、靴のフォームや接着剤、コーティング剤を生成できる。

食品廃棄物を活用した生分解性ポリエステル

カナダのオルトテックス(ALT TEX)は、世界のフードロス問題に着目し食品廃棄物を原料に活用した生分解性ポリエステルを開発した。食品廃棄物を3つのステップで発酵させてポリマー化したのちに、溶かして糸にする。

水汚染を防ぐ次世代の染料


インドのケー・ビー・コールズ・サイエンス(KBCOLS SCIENCES)は、生きた微生物を活用した新しい染料を開発した。従来の合成物由来の染色の代替として、水質汚染を軽減させることが期待できる。

海藻由来の繊維で地元の雇用機会も創出

ブラジルのサイコラボ(PHYCOLABS)は、海藻を繊維に加工する技術を開発した。海藻は大量の炭素を吸収する環境面でのメリットがある。加えて、使用する海藻はブラジルの海岸沿いに住む農家から仕入れることで、トレーサブルかつ地元の雇用機会創出にもつなげるスキームを提案した。

農業廃棄物をバイオベースの合成樹脂に


ケニアのリスレッド・アフリカ(RETHREAD AFRICA)は、砂糖キビやトウモロコシの生産過程から出る農業廃棄物をバイオベースの合成樹脂に変え、生分解性のある繊維を製造する。繊維は、石油由来の素材と同等の品質を維持できるという。

染料のリサイクルを可能に

イギリスのダイリサイクル(DYERECYCLE)は、これまで技術的に困難だった染料のリサイクルを可能にした。有害物質の使用と発生を最小限に抑える「グリーンケミストリー」と呼ばれる工程で、廃棄された布から色素を抽出し、新しい染料に再生する。

高速で衣類を分類 リサイクルの障壁を軽減

アメリカのリファイバード(REFIBERD)は、AIとロボット工学を利用して衣服の組成を検出し、高い精度で素早い素材分類ができる仕組みを開発した。これにより、衣類のリサイクル過程で障壁となっていた分類工程を簡素化できる。

ポリウレタンも分解 繊維循環に貢献


アメリカのテレフォーム(TEREFORM)は、ポリウレタンのようなリサイクルが難しい素材を含む繊維を完全に分解し、新たな素材に組み替える技術を開発。繊維を酸化させることで、ポリエステルをベースとした素材を完全に分解・再構築することができ、布地から布地へのリサイクルを実現する。

無駄のない効率的なデザインを可能に


アメリカのSXDは、衣服の製作の過程で発生する残布を軽減させるため、AI技術を活用し無駄のない効率的なデザインを可能にするプラットフォームを開発した。デザインデータと生地情報をもとに、生地をミリ単位で使用する最も効率的なデザインを生成する。

「グローバル・チェンジ・アワード」は2015年に始動。ファッション業界の変革を促すイノベーションを発掘し産業レベルへのスケール化を支援する。受賞アイデアは、地球環境にプラスの影響をもたらす「リジェネレート(再生)」、循環型につながる「リパーパス(再利用)」、誰も考えついたことのない「リイマジン(新たに想像する)」の3つのカテゴリーで評価する。

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香港の研究所HKRITAがマイクロプラスチックを音波で分離する技術を開発 H&M財団の支援を受けて

 香港繊維アパレル研究所(HKRITA)はこのほど、H&M ファウンデーション(H&M Foundation)の支援を受けて、音波を利用して廃水からマイクロプラスチックを分離する技術「アコースイープ(Acousweep)」を開発したと発表した。この技術は特殊な形状の房室内(流体の安定した流れ、適切な音波の形成、捕捉されたマイクロプラスチックの回収を容易にする形状)で掃引音響波(小さな粒子を特定の方向へ引き寄せる音波)を利用し、排水からマイクロプラスチック繊維を捉えて効率的に分離するもの。化学物質や溶剤、生化学的な添加物は不要で、分離されたマイクロプラスチックは回収タンクに滴下される。

 一般的に、排水からのマイクロプラスチック回収には膜型フィルターを活用するため定期的な交換が必要だが、今回開発した装置では連続的な水処理とマイクロプラスチック繊維の回収が可能になる。現在、20um以上のマイクロプラスチックを80%の分離効率で捕獲することを目標に、設計と運転パラメーターの最適化を進めているという。

 HKRITAはかねてからマイクロプラスチックの回収に向けて、工場や排水施設で直接使用できるソリューションを探していた。「アコースイープ」はプラグを挿すだけで使用可能でどんな廃水施設にも簡単に持ち運び、接続することができる。

 HKRITAはこの技術の独占権を持たず、興味を持つ全ての人が活用できるように「アコースイープ」のライセンスと、エンジニアリングのコンサルタントを提供するという。

 研究チームは物理学、応用物理学、繊維工学、プロセス工学からシステム工学まで、多様な分野から構成。音響波に注目した理由は、文献調査から音響ピンセット(音響波で形成されるもの)が対象物のサイズ範囲を広くカバーでき、比較的低い入力電力で済むことから、応用に適した候補だと発見したからだという。

 海洋マイクロプラスチック汚染の主な原因は、合成繊維に由来しており、欧州環境機関によると、全体の約16%~35%を占めると言われている。そのほか、大きなプラスチック破片が段々と小さくなっていくものや、角質除去用の健康・美容製品や歯磨き粉などの洗浄剤に含まれているマイクロビーズなど、さまざまな原因から発生しており、世界的な問題になっている。

 HKRITAは2006年創設の公的資金を受けた応用研究センター。香港特別行政区政府のイノベーション・テクノロジー基金に資金援助を受けている5つの応用研究センターの1つ。繊維・衣料産業を支援し、サステナブルな改善を推進し、社会の向上を促進するための、ミッドストリーム、ダウンストリームの応用研究に携わっている。

 H&Mファウンデーションは業界全体の変革を目指す非営利団体。気候や水、海、生物多様性、土壌の全ての地球環境にプラスの影響を与えるプラネット・ポジティブなファッションの未来に貢献できる技術を見つけるという野心のもと活動している。

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香港の研究所HKRITAがマイクロプラスチックを音波で分離する技術を開発 H&M財団の支援を受けて

 香港繊維アパレル研究所(HKRITA)はこのほど、H&M ファウンデーション(H&M Foundation)の支援を受けて、音波を利用して廃水からマイクロプラスチックを分離する技術「アコースイープ(Acousweep)」を開発したと発表した。この技術は特殊な形状の房室内(流体の安定した流れ、適切な音波の形成、捕捉されたマイクロプラスチックの回収を容易にする形状)で掃引音響波(小さな粒子を特定の方向へ引き寄せる音波)を利用し、排水からマイクロプラスチック繊維を捉えて効率的に分離するもの。化学物質や溶剤、生化学的な添加物は不要で、分離されたマイクロプラスチックは回収タンクに滴下される。

 一般的に、排水からのマイクロプラスチック回収には膜型フィルターを活用するため定期的な交換が必要だが、今回開発した装置では連続的な水処理とマイクロプラスチック繊維の回収が可能になる。現在、20um以上のマイクロプラスチックを80%の分離効率で捕獲することを目標に、設計と運転パラメーターの最適化を進めているという。

 HKRITAはかねてからマイクロプラスチックの回収に向けて、工場や排水施設で直接使用できるソリューションを探していた。「アコースイープ」はプラグを挿すだけで使用可能でどんな廃水施設にも簡単に持ち運び、接続することができる。

 HKRITAはこの技術の独占権を持たず、興味を持つ全ての人が活用できるように「アコースイープ」のライセンスと、エンジニアリングのコンサルタントを提供するという。

 研究チームは物理学、応用物理学、繊維工学、プロセス工学からシステム工学まで、多様な分野から構成。音響波に注目した理由は、文献調査から音響ピンセット(音響波で形成されるもの)が対象物のサイズ範囲を広くカバーでき、比較的低い入力電力で済むことから、応用に適した候補だと発見したからだという。

 海洋マイクロプラスチック汚染の主な原因は、合成繊維に由来しており、欧州環境機関によると、全体の約16%~35%を占めると言われている。そのほか、大きなプラスチック破片が段々と小さくなっていくものや、角質除去用の健康・美容製品や歯磨き粉などの洗浄剤に含まれているマイクロビーズなど、さまざまな原因から発生しており、世界的な問題になっている。

 HKRITAは2006年創設の公的資金を受けた応用研究センター。香港特別行政区政府のイノベーション・テクノロジー基金に資金援助を受けている5つの応用研究センターの1つ。繊維・衣料産業を支援し、サステナブルな改善を推進し、社会の向上を促進するための、ミッドストリーム、ダウンストリームの応用研究に携わっている。

 H&Mファウンデーションは業界全体の変革を目指す非営利団体。気候や水、海、生物多様性、土壌の全ての地球環境にプラスの影響を与えるプラネット・ポジティブなファッションの未来に貢献できる技術を見つけるという野心のもと活動している。

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“植物タンニンなめし”の持続可能性を科学的に証明 無料セミナーをイタリア文化会館で開催

 イタリア植物タンニンなめし革協会は5月18日(木)16時から、セミナー「WELCOME TO 2050 君たちを待っていたよ. 1282年から」をイタリア文化会館で開催する。事前予約制で、入場無料。同時通訳付きで、定員は300人だ。

 セミナーでは、全て天然原料の植物タンニンなめしが「持続可能である」ことを科学的に証明する。エビデンスに用いられるのは、繊維・なめし革分野の特殊分析に特化した検査機関“Ars Tinctoria”を設立し、企業のエコロジー・プロセスの研究なども行う科学者、グスターヴォ・アドリアン・デフェオ(Gustavo Adrián Defeo)博士と、フィレンツェの国立光学研究所の2年間にわたるプロジェクト“Bio-based by nature”の研究結果だ。

 両者が共同開発した“SCAR分析装置”により、革や繊維、プラスチック、化学製品など、さまざまな素材に含まれるバイオマス由来の炭素含有量の測定に成功。考古学的発掘物の年代測定と同様の分析方法で、物質中の放射性炭素を測ることで、植物タンニンなめしの持続可能性をデータから読み解く。

 当日は、デフェオ博士本人が講師として登壇。セミナー後には、プレス発表会やカクテルパーティーなども予定する。

 イタリア植物タンニンなめし革協会は、13世紀から続くトスカーナの伝統的な植物タンニンなめし革の保存と普及のために1994年に設立。現在は、高品質でニッチな製品を作りながら、卓越した技術や伝統を継承する19社のアルチザンタンナーで構成されている。また「トスカーナ産植物タンニンなめし革」は、同協会の製造規則に準拠し、トスカーナの職人たちが主に手作業で生産した革の品質を保証するための商標でもある。

問い合わせ先
イタリア大使館 貿易促進部
03-3475-1401

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“植物タンニンなめし”の持続可能性を科学的に証明 無料セミナーをイタリア文化会館で開催

 イタリア植物タンニンなめし革協会は5月18日(木)16時から、セミナー「WELCOME TO 2050 君たちを待っていたよ. 1282年から」をイタリア文化会館で開催する。事前予約制で、入場無料。同時通訳付きで、定員は300人だ。

 セミナーでは、全て天然原料の植物タンニンなめしが「持続可能である」ことを科学的に証明する。エビデンスに用いられるのは、繊維・なめし革分野の特殊分析に特化した検査機関“Ars Tinctoria”を設立し、企業のエコロジー・プロセスの研究なども行う科学者、グスターヴォ・アドリアン・デフェオ(Gustavo Adrián Defeo)博士と、フィレンツェの国立光学研究所の2年間にわたるプロジェクト“Bio-based by nature”の研究結果だ。

 両者が共同開発した“SCAR分析装置”により、革や繊維、プラスチック、化学製品など、さまざまな素材に含まれるバイオマス由来の炭素含有量の測定に成功。考古学的発掘物の年代測定と同様の分析方法で、物質中の放射性炭素を測ることで、植物タンニンなめしの持続可能性をデータから読み解く。

 当日は、デフェオ博士本人が講師として登壇。セミナー後には、プレス発表会やカクテルパーティーなども予定する。

 イタリア植物タンニンなめし革協会は、13世紀から続くトスカーナの伝統的な植物タンニンなめし革の保存と普及のために1994年に設立。現在は、高品質でニッチな製品を作りながら、卓越した技術や伝統を継承する19社のアルチザンタンナーで構成されている。また「トスカーナ産植物タンニンなめし革」は、同協会の製造規則に準拠し、トスカーナの職人たちが主に手作業で生産した革の品質を保証するための商標でもある。

問い合わせ先
イタリア大使館 貿易促進部
03-3475-1401

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服が肥料に? 衣と食の循環モデル「サーキュラーファーム」を体感できるフロアが銀座に期間限定オープン

 クレサヴァは、アルーフ ホームと協業し、4月22日、東急プラザ銀座7階に「サーキュラーファーム ミュージアム」をオープンした。7月末までの期間限定。約1320平方メートルの広大なスペースに、“学び・体験・実践”をコンセプトとするブースやショップスペースを設け、レストラン&バーを併設。衣と食の循環モデル「サーキュラー ファーム」を体感できる場所として、取り組みをアピールする。

 「サーキュラー ファーム」とは、廃棄されるはずだった衣類を肥料として土へと還しながら、野菜を育てることで循環させる仕組み。クレサヴァは衣類を肥料へと加工するテクノロジーを開発し、特許を取得。京都・南丹市に自社農園を持ち、回収した繊維を粉砕して有機発酵物物と混ぜ合わせて発酵させ、円柱状のペレットにして肥料として畑に使用して野菜を育てている。「サーキュラーファーム ミュージアム」では、鉢に土とペレットを入れてバジルやミニキャロットのタネをまく体験コーナーや、京都の野菜や食品、調味料などを販売するマルシェを構える。衣料回収コーナーもあり、会員登録すると重さに応じてポイントがもらえ、店舗内やオンラインストアで使用できる。

 「天然繊維のみを回収してきたが、このほど化学繊維も肥料化に成功した。肥料は農産物によってレシピの調整が可能だ。衣類から衣類の循環ではなく、衣類から食へ。『サーキュラー ファーム』をライフスタイルの一部になるくらい浸透させたいし、コミュニティーを構築したい。海外で特許の申請も行っており、日本から技術を発信したい」と園部皓志クレサヴァ社長は語る。

 「サーキュラーファーム ミュージアム」にはほかに、天然素材を用いたライフスタイルブランド「アルーフ ホーム(ALOOF HOME)」も展示・販売。さらにレストラン&バー「YUBA」では、京都の食材を使った和食中心のメニューがそろう。

 なお、「アルーフ ホーム」は7月末に東急プラザ銀座4階にショップをオープンする。

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東レが非食用の農業廃棄物から人工タンパク質原料、2030年に最大1万トン生産へ

 東レは、製糖工場などで原料のサトウキビから出るバガスやキャッサパルプ(いずれも絞りカス)を原料に、人工タンパク質などの原料となる「セルロース糖」の新たな製造法を開発した。人工タンパク質素材はスタートアップ企業のスパイバーを筆頭に繊維やプラスチックで商業生産が始まるなど、需要が急増している。東レは水処理事業のコア技術である多彩な「膜技術」を活用。従来の熱を使った精製法と比べてエネルギーの使用量を50%削減できるという。早ければ2030年頃にも数千トン〜1万トン規模の商業プラントを稼働させる。

 タイは世界有数の砂糖輸出国で年間1億トンのサトウキビを生産しており、その際に発生するバガス(絞りカス)は1400万トンに達するという。現在は廃棄か、バイオマス発電などに使用していた。地球温暖化防止対策の高まりに伴い、繊維分野でもポリ乳酸繊維(PLA)やスパイバーの人工タンパク質素材など、石油を原料使わないカーボンニュートラル型のプラスチック原料の需要と生産は急増する一方で、現在は大半をさとうきびやとうもろこしなどの可食性のデンプンを使用していた。バガスを使用したセルロース原料は、食料と競合せず、かつカーボンニュートラルにもなるため、こうしたバイオマス素材企業からの需要は大きい。

 東レは、従来の熱処理ではなく、高価な酵素と、水処理事業などのコア技術である膜分離技術を組み合わせることで、省エネで品質の高いセルロース糖液の精製技術を確立した。酵素生産においても独自の酵素生産培養槽の開発に成功しており、市販酵素よりも安価な酵素調達に繋げられるという。

 技術を確立したことに伴い、2030年ごろをめどに商業生産に乗り出す。商業生産プラントは、数千トンから1万トン規模の設備になる見通しで、ビジネスモデルや原料調達、セルロース糖の販売などについては「パートナーとともに行う」(信正均・東レ常任理事 先端融合研究所所長)と述べるのみにとどまった。今後は自社生産、あるいは合弁パートナーで行うかなどについては未定だ。

 セルロース糖工場は、スパイバーもタイでセルロース糖の商業プラントを昨年夏から年産500トンクラスで稼働させているが、こちらは食用のデンプンを原料に使用しているが、並行して非可食の原料を用いたセルロース糖の研究も行っている。

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ポリ乳酸繊維のスタートアップ、バイオワークスが自社ブランド立ち上げ

 ポリ乳酸(PLA)繊維の「プラックス(PLAX)」を開発したスタートアップ企業バイオワークス(BIOWORKS)は、新たな自社ブランド「エヌイー(NE)」を立ち上げた。4月5〜7日に東京ビッグサイトで開催された合同展示会「ファッションワールド 東京(FaW TOKYO )2023春」で初披露した。2023年秋から自社ECサイトとポップアップを主販路に販売する。

 社内のデザインチームが企画するアパレルを中心に、枕カバーなどの寝具や生活雑貨もそろえる。同展では「プラックス」100%のカットソーのほか、「プラックス」30%にメリノウール70%を混紡したニットアップ、「プラックス」100%でナイロンのような風合いに仕上げたジップアップブルゾンとパンツのセットアップなど約20型を展示した。いずれも価格は未定。商品デザインの仲里遥香担当は、「まだ試作段階だが、将来的にはセレクトショップとの別注企画などにも挑戦したい」と話す。

 「プラックス」はサトウキビを主原料とするポリ乳酸に、独自に開発した植物由来の添加物を加えて染色性や耐熱性を高めた合成繊維。同社の調べでは、石油由来のポリエステル糸と比較して製造時のCO2排出量が35%抑えられるという。一定の温度や湿度の環境下に置くと水と二酸化炭素へと分解される生分解性の特性を持つ。製品の循環スキームも構築中で、「プラックス」と綿の混紡製品の分解はラボレベルで実現しているという。同社はこれまで天然由来の抗菌・消臭性を生かした自社ブランド「バイオ(BIO)」でタオルやルームウエアを販売してきたが、「エヌイー」ではよりファッション性を意識したアパレルに力を入れ素材の汎用性をアピールする。

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「トム フォード」が“プラスチック イノベーション賞”の受賞3社を発表 レジ袋などの代替素材コンペ

 「トム フォード(TOM FORD)」は、“トム フォード プラスチック イノベーション プライズ”の受賞者を発表した。

 レジ袋などに使われる化石燃料由来の薄膜プラスチックの代替となる、生分解および大量生産可能な新素材の開発を目的としたコンペティションで、海藻ベースの家庭用堆肥を提供するアメリカの会社スゥエイ(SWAY)、野生生物や海に安全なパッケージを製造するインドを拠点とする企業ゼロサイクル(ZEROCIRCLE)、ロンドンを拠点とするスタートアップ企業ノットプラ(NOTPLA)の3社が受賞した。スゥエイに60万ドル(約7980万円)、ゼロサイクルに25万ドル(約3325万円)、ノットプラに15万ドル(約1995万円)の賞金が贈られる。

 同賞は、「トム フォード」と非営利の環境保護団体ロンリー ホエール(LONELY WHALE)が2020年に創設。21年に応募受付を開始した。世界26カ国から64のエントリーがあり、選考(材料試験)にはナイキ(NIKE)やジョージア大学、シアトル水族館などが協力した。

 トム・フォードは、「この賞を創設したのは、私たちの子どもが世界を滅ぼしてしまうのではないかという恐怖心を抱いたからだ。この世界は子どもたちにとって、もはや暮らしやすいものではない。私は解決策の一部になりたかった。このコンペで素晴らしい才能を目にし、“不可能を可能にする希望”を感じることができた。受賞3社のプランが業界や市場に拡大すれば、地球の進路を劇的に変えられるだろう」と述べる。

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グッチが循環型ラグジュアリー製品の製造を支援する施設を開設 研究所も併設

 グッチ(GUCCI)は親会社のケリング(KERING)のサポートのもと、イタリア初のラグジュアリーファッションにおける製造モデルを循環型に転換する拠点「サーキュラーハブ(Circular Hub)」をトスカーナ州に創設すると発表した。全てのバリューチェーンを再定義することを通じて、イタリアのファッション産業の製造モデルを循環型に転換することを目的に、23年前半中には始動する予定だ。

 ミラノにあるケリングのマテリアル・イノベーション・ラボ(MIL)の専門知識を活用し、トスカーナ州スカンディッチとノヴァーラにあるグッチの製品製造の技術開発および実験センターでウエア、レザーグッズ、シューズ、アクセサリーの開発を手がける技術者と研究者のサポートのもと、リサイクル素材の使用、耐久性、修理可能性やリサイクル性を最大限に高めた製品など、未来の循環型ラグジュアリー製品の製造を支援する。

 原材料調達からデザイン、製造プロセスの最適化、ロジスティックまでを網羅し、循環型製品のデザインと製造、新しいソリューション開発のためのオープンプラットフォームになる。多業種とのパートナーシップやピサ大学の科学的な研究を採り入れ、産業調査やオペレーション、ロジスティックモデルにおける循環型ソリューションを見出すことに重点を置く。

 フォーカスするのは、研究開発、ロジスティクス、業界とのパートナーシップ、価値観の共有だ。革新的な技術やデジタルソリューションを検討する研究センターを設立し、製品の品質、耐久性、修理可能性やリサイクル性を向上させると同時に、原材料の使用を最適化して廃棄物と汚染を最小限に抑え、全体的な環境的影響を大幅に削減することを目指す。

 ロジスティクスでは、製造サプライチェーンを巻き込むことでトレーサビリティ向上を目指す。また、リサイクルや再利用の流通チャネルを含め、余剰素材のロジスティクス効率の向上を目指す。

 業界とのパートナーシップでは、ファッション業界のパートナーと協力して、製造で再利用する繊維と原材料を回収・再生できるようにするための技術的ソリューションとインフラストラクチャーを考案、設計、実行する。

 価値観の共有では、開発する回収・リサイクル・再利用のプロセスに関する特許・技術・ノウハウを他の企業にも提供する。オープンイノベーションという考えに基づき、より多くのサプライヤーと業界のパートナーを巻き込むことを目的にする。

 サーキュラーハブのイニシアチブには、イタリアの再興・回復のための国家計画(PNRR)および、2030年までの廃棄物の削減や再利用目標を掲げたEUの循環型経済戦略にも合致。まずは、イタリアの原材料サプライヤーや製品ファクトリーなど、700以上のダイレクトサプライヤーと3500以上のサブサプライヤーで構成されるグッチの生産を担うサプライヤーが参加し、その後、ケリング傘下の他ブランドに段階的に拡大。最終的にはケリング・グループの全ブランドおよび全サプライヤーの参加を目指す。グッチやケリングのサプライヤーは他のブランドのサプライヤーでもある。多くのサプライヤーが参加することで、イタリアのファッション産業にポジティブな影響を与えることを目標にする。

 ケリングのマリー・クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)=チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者は「ファッション業界は、製品製造と資源の利用方法を根本から見直す必要があり、それらを革新するための行動を本格的に加速させる必要がある。サーキュラーハブの創設はその道を進むための大きな一歩となるものだ。そして、この活動の本拠地を私たちのグループの中でも最も強力で名高い製造拠点であり、優れたノウハウを有するイタリアに置けることを心から嬉しく思う。グッチとともにサーキュラーハブをスタートすることは、グループで信念を共有している証というだけでなく、その意欲的な活動や実績を示していくことによって、将来、より多くのブランドやサプライヤーが積極的に参加するための道を築くことになるだろう」とコメントを寄せた。

 グッチのアントネッラ・セントラ(Antonella Centra)=コーポレートアフェアーズ&サステナビリティ・EVPゼネラルカウンセルは「循環性は原材料から始まる全ての製造サイクルを含むビジョンを推し進めるものであり、メイド・イン・イタリーをより強固で競争力の高いものにするための大きな挑戦であり機会となる。サーキュラーハブの創設によって、私たちはラグジュアリーファッション業界の未来への道をつくるという責任を担い、その枠組みを形成することになる。同じ目標と資源を共有し、ノウハウを蓄積して相乗効果を高めていくことで、このハブは全てのラグジュアリー業界のサプライチェーン、特にイタリアの産業の中核である中小企業が、その革新的スピリットと世界に誇る独自のノウハウを積極的に発揮できる場となるだろう」とコメントを発表した。

 サーキュラーハブは、循環型素材の共同研究の推進や各地域の工場でのイノベーションなど、新たなローカルサプライチャンネルの開発を推進し、最終的にはサプライチェーン全体の強化を目標にする。また、スケールメリットとパーパスエコノミーの両面から、イタリアの製造業と原材料サプライチェーンの環境的影響を最小限に抑えることに貢献する「循環型メイド・イン・イタリー」の開発も促進する。

 加えて、ESG目標に沿ってケリングとグッチの環境パフォーマンスを向上させるとともに、天然資源の使用削減、廃棄物と汚染の最小化、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を目指す。雇用機会を創出し、関係する各地域の福祉に貢献する。一例として、グッチのレザーグッズのエコシステムに関連する環境的影響の初期推定では、生産廃棄物の管理における現在のGHG排出量より最大60%の削減ができることが算出されているという。このハブは、今後数年のうちにヨーロッパで施行される新しい製造モデルの先駆けとなり、製品のデザイン、使用済み製品や廃棄物に対する企業の責任を高めるものになる。これは、廃棄物管理とリサイクルにおけるイノベーションの促進のため、イタリアファッション協会によってコーディネートされ、グッチが支援するRe.Creaコンソーシアムの活動を補完することにつながる。さらにエレン・マッカーサー財団の戦略的パートナーとしてのグッチの役割においても、このハブはコレクション全体の循環性を一層拡大し加速するために多様なイニシアチブを展開するというグッチのコミットメントに対する直接的かつ必然的な活動になる。

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衣料品の回収と再資源化の現在地 古着からポリエステル樹脂を再生する企業の社長が語る

 いらなくなった衣料品の再資源化には課題が山積みだ。衣類を廃棄せずに活用する方法については世界中で議論され、技術開発が進んでいる。大前提として、着られなくなった衣類を回収して再利用・再資源化する前に、衣類の長寿命化が求められる。

 JEPLAN(旧日本環境設計)は「服から服をつくる」をコンセプトに、自社で開発したポリエステルのケミカルリサイクル技術で、古着からポリエステル樹脂を再生する。日本にポリエステルのケミカルリサイクルのプラントを持つ代表的な企業で、日本での衣料品の店頭回収を進めたパイオニア的存在でもある。2023年2月15日現在、199のブランドと取り組み、4536カ所の回収拠点(スポット開催を含む)がある。22年は1500トンを回収し、そのうち7.8%をポリエステル樹脂再生のために用いた。

 ポリエステル単一素材での製品開発は、日本国内での資源循環が可能で資源回収効率も高いため、経済合理性が高く、環境負荷低減にもつながると考えられる。一方、ポリエステル単一素材では狙った風合いや表現が叶わない場合も多いため、衣類の多くは混合素材で、再資源化への難易度は高い。服の再資源化の未来とは。高尾正樹JEPLAN社長に話を聞く。

WWD:回収した衣類をどう循環させているか。

高尾正樹社長(以下、高尾):店頭回収と企業のユニフォームの回収を行っている。回収した衣類を当社で分別し、まだ着られる状態で価値のあるものはリユース用として、提供先を確認の上で、当社が信頼する業者に業務委託している。それが全体の75.3%(22年実績)。リユースするかしないかはお客さまのご要望に応じて対応している。リユースできないものは、ポリエステル100%の衣類はケミカルリサイクルしており、それが全体の7.8%(同)。再生ウールが0.1%(同)、自動車内装材が0.1%(同)、コークス炉化学原料化法(プラスチックを石炭の代替品として利用する技術で新日本製鐵が開発)が16.1%(同)。いずれにも該当しない0.6%は産業廃棄物として廃棄している。

WWD:リユースの先はどうなっているのか?

高尾:リユース後の売れ残りに関しては現状把握の調査を進めており、商品にならないものをリサイクルする仕組み作りに取り組み始めた状況だ。リユース先から海外に流れてわからなくなったものが不法投棄されたり、燃やされたりしているという報道も承知している。先日、洋服が大量に不法投棄されているチリの砂漠を見てきた。多くは米国の古着で日本のものは見つけられなかった。

WWD:回収量の推移は?

高尾:コロナ前は600トン、21年1200トン、22年1500トンだ。ポリエステル樹脂の生産量の数字は出せないがわずかだ。技術が未熟で、量が増やせない。

WWD:生産量が上がらない理由は?

高尾:ポリエステル100%と表示があっても他の素材や、染料や顔料が入っている。この不純物の種類と量が圧倒的に多いが、物質の組成まではわからない。わからない中で取り除こうとするので、取り除けないものもあり、それが入ってくると全体がダメになる。結果、工場の生産性が上がらない。

WWD:JEPLANは「服から服」のケミカルリサイクルを推進しているが、衣類の多くは複合素材で、そのリサイクルの技術が確立されていないなど、課題は多い。

高尾:繊維から繊維のリサイクルはあきらめていない。正直全然儲からないし、ずっと大赤字(笑)。でも僕がやりたいからやりたいと言い続けている。消費者の関心が高まっているので(消費者を巻き込んだ仕組み作りの)心配はしていない。洋服はペットボトルのように安くなく、付加価値が付くもの。コスト構造として吸収されやすいのでビジネスとして成立しやすい。唯一の問題は技術がないことだ。(リサイクルしやすいからといって)モノマテリアルにはしないほうがいいし、それでは洋服の文化的側面が消えてしまう。複合素材であっても、さまざまに染色していてもリサイクルできる技術開発が必要だ。圧倒的な技術力を持つ化学会社が世界中にはいくつもある。そういった企業が本気で開発に取り組めばいいのに、とも思う。

WWD:赤字を黒字化するために必要なことは?

高尾:われわれもわからないため試行錯誤しているのが現状だ。

WWD:「服から服」「ペットボトルからペットボトル」という水平リサイクルにこだわっているが、その他のリサイクル方法を考えているか。

高尾:服は服、ペットボトルはペットボトルとして循環させるべきだと考えている。なぜならトータルのCO2排出量削減が最も大きいと考えるからだ。例えばペットボトルからフリースを作り、フリースが燃やされるのでは意味がない。燃やさないためにエネルギーをかけてでも回り続ける水平リサイクルがいいのではないか。

WWD:形が変わったとしても、エネルギー量を抑えるリサイクル方法がいいという考えもある。

高尾:その考え方は一部を切り取っているだけだと思う。目指すべきは、いかに燃やさないか、埋め立てないかだ。そのための仕組みを作ることが重要だ。ゴミ焼却場でのエネルギーの回収率は10%も満たないなど、燃やすときに発生するエネルギーがもっとも効率が悪い。

ペットボトルのケミカルリサイクルを商業化

WWD:ペットボトルのケミカルリサイクル技術も開発したとか。

高尾:約20年かけてケミカルリサイクル技術を開発し、ピカピカのペットボトルに戻すことができるようになった。世界でペットボトルのケミカルリサイクルを商業レベルで行っているのは当社だけだ。世界には技術確立している企業もいくつかあるが、商業レベルに達していない。われわれのプラントは21年5月から稼働し、大手飲料メーカーにPET樹脂を販売している。年間2万2000トン生産しているが、日本国内で年間60万トン生産されているのに対してはまだまだ少ない。

WWD:どこから回収しているか。

高尾:自治体と連携し、自治体で回収したペットボトルや、自動販売機横にあるリサイクルボックスから回収されたものを用いている。また、ペットボトルのメカニカル(マテリアル)リサイクルの過程で出るクズも活用している。メカニカルリサイクルは、必要なエネルギー量はケミカルリサイクルに比べて少ないが、3割がリサイクルできないという課題もある。われわれはその3割を活用しているが、通常は焼却していたりする。またメカニカルリサイクルの場合、再生されてもどんどん劣化するので、いずれリサイクルができない状態にもなることが課題だ。

WWD:理想はメカニカルリサイクルを何度か行った後、ケミカルリサイクルをするということか。

高尾:その通りだ。メカニカルとケミカル両方を活用した事例を示したいと考えている。メカニカルとケミカル、両方のリサイクルプラントを持っているのは日本だけだ。課題は、一見してもペットボトルがどの程度劣化しているかわからない点だ。

WWD:欧州進出についての進捗は。

高尾:フランスのリヨンにペットボトルのケミカルリサイクル工場を作る計画だが、まだ着工していない。

WWD:今後の目標は?

高尾:われわれが行いたいのはリサイクル業ではなく、製造業だ。石油ではなく不要なものを原料とした製造業としてモノ作りをする。洋服を原料としたポリエステル樹脂やペットボトルを原料としたPET樹脂の生産量を増やしていく。それを市場に売り、黒字化する。ペットボトルは見えてきたが、洋服は全然見えない。


衣料品の再資源化に向けた技術開発の現状とその先

 廃棄物の輸出が難しくなった今、自国で出たゴミは自国で処理するしか方法はない。環境省のレポートによると、服がゴミとして出された場合、再資源化されるのは5%程度でほとんどは焼却・埋め立て処分されているという。その量は年間48万トン。捨てる量・作る量を減らすことを前提に、企業、行政、生活者が協働し、衣料廃棄物の再資源化が求められる。

 ポリエステルと混合される素材は、コットンやポリウレタンが多い。混合素材の再資源化に向けて、環境負荷低減を前提とした分離技術の採用も望ましいだろう。ポリエステルとポリウレタンの分離回収や、ポリエステルとコットンの分離技術はいくつかのスタートアップが開発済みだ。いずれもスケールが必要な段階だが、こうした技術を活用していくことで、混合素材のより効率的な再資源化が可能になるはずだ。すでにナイロンのケミカルリサイクル技術は商業化されているし、コットンなどのセルロース繊維のケミカルリサイクル技術も商業化に向けてスケールしている段階。ハードルは高いが、上記したポリエステル以外の繊維リサイクルが可能なプラントを日本に構えることができれば、これまで廃棄されていた衣料品の再資源化が可能になる。

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帝人のPETケミカルリサイクル、中国にライセンス提供

 帝人とプラント大手の日揮、伊藤忠商事の3社合弁会社のリピート(RePEaT)はこのほど、中国の繊維大手である浙江佳人新材料有限公司(以下、佳人新材料)とポリエステルのケミカルリサイクル技術のライセンス契約を締結した。ケミカルリサイクル生産に関する設備の設計や運転などの技術を提供する。供与の金額や事業規模は明らかにしていないものの、佳人新材料は昨年10月に年産15万トンのリサイクル素材の増設を明らかにしており、リピートの技術も一部で活用されそうだ。

 佳人新材料は、繊維や鉄鋼などの事業を展開する精工集団のグループで、帝人は、繊維to繊維などで使っていたケミカルリサイクルポリエステルの生産を、同社との合弁で行っていた。

 リピートは、帝人と日揮が45%、伊藤忠が10%を出資して今年1月に設立した合弁会社。サステナビリティやSDGsへの関心の高まりにより、ポリエステルのケミカルリサイクル技術への関心は世界的に高まる中で、帝人の持つDMT法と呼ばれる、高品質な再生ポリエステルの製造技術を、効率化・パッケージ化してライセンス提供するために設立した。佳人新材料が第一弾のライセンス提供になるが、関係者によると「引き合いはかなり強く、水面下でも複数の案件が動いている」という。

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革新的ジュエリーのECプラットフォーム「ザ・フューチャー ロックス」のトップを直撃 ラボグロウンダイヤモンドなど社会的意識の高い選択肢を提供

 ラボグロウンダイヤモンド(以下、ラボグロウン)やリサイクルゴールドを使用したジュエリーブランドのECプラットホームである「ザ・フューチャー ロックス」は1月、伊勢丹新宿本店(以下、伊勢丹)でポップアップショップを開催した。日本でも、ここ数年ラボグロウンダイヤモンドを使用したブランドが続々と登場。イベントのために登場したアンソニー・ツァン(Anthony Tsang)=ザ・フューチャー ロックス創設者兼最高経営責任者(CEO)とレイ・チェン(Ray Cheng)=ザ・フューチャーロックス創設者兼チーフデザイナーオフィサー(CDO)に話を聞いた。

WWD:ECプラットフォームを立ち上げてからの商況は?

アンソニー・ツァン=ザ・フューチャー ロックスCEO(以下、ツァン):2021年4月にプラットフォームを立ち上げ順調に推移し、22年には2倍の流通総額(GMV)を記録した。

WWD:プラットフォームのコンセプトは?

ツァン:テクノロジーを伝統やクラフツマンシップと融合させることで、ジュエリーの革新的で明るい未来を目指したい。グローバルECプラットフォームとして、未来志向のジュエリーへの出合い、そして楽しみ方を提案する。ラボグロウンダイヤモンドやリサイクルゴールドを使用したジュエリーには力強いメッセージがあり、環境に優しく受け継がれるものになるはずだ。

WWD:ラボグロウン製品の販売ブランド数は?

ツァン:世界中から21のデザイナーによるジュエリーを紹介。全てのデザイナーと、サステナビリティ、イノベーション、クリエイティビティーの情熱を共有する取り組みをしている。

WWD:ラボグロウン製品の売れ筋と税込価格帯は?

レイ・チェン=ザ・フューチャーロックスCDO(以下、チェン):売れ筋は“ヒカリ”コレクションだ。ラボグロウンを複数使用し、宇宙をインスピレーション源にした幻想的なデザインとかれんなシルエットが特徴。価格もエントリーで手に取りやすい。自家需要ではネックレス、ブレスレット、ピアスが人気。600ドル(7万9200円)程度。主要顧客は、30~40代の自立した女性で、ファッション感度が高く、ラグジュアリーブランドに対する知識も豊富。そして、よりよい選択肢を探しており、ラグジュアリーにおっける透明性や社会的責任を求める女性だ。

洗練された社会的意識の高い選択肢を提供

WWD:競合サイトは?どのように差別化を図るか?

ツァン:ラグジュアリー・ブランドやECプラットフォームとの競合は意識していない。未来志向のジュエリーやラボグロウンに興味のある消費者へ、洗練された社会的意識の高い選択肢を提供することを目指している。

WWD:プラットフォームやラボグロウンの認知度アップに行っていることは?

チェン:伊勢丹での初のポップアップショップでは、顧客と直接関わることができ、未来志向のジュエリーやラボグロウン、ブランドのストーリーを伝えることができた。今後も、実験的なポップアップを行っていきたい。

WWD:日本におけるラボグロウンの市場をどのように分析するか?

チェン:日本では、まだ、ラボグロウンはあまり知られていないが、ポップアップで、ラボグロウンやサステナブルなジュエリーのストーリーを伝えると関心を示していた。ラボグロウンにより、ジュエラーは既存の形や表現にとらわれなくてもよくなった。

WWD:日本市場における課題と戦略は?

ツァン:22年の「アマン東京(AMAN TOKYO)」のイベントや伊勢丹でのポップアップを行うことができてうれしい。私たちの革新的なビジョンを発信し続ける。ポップアップや限定アイテムなどの提案を通してブランドを身近に感じてもらいたい。ジュエリーとの親密なつながりを提供するには、顧客一人一人との結びつきが不可欠だと思う。

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伊の高級シャツ地の帝王アルビニが目指す「原料の綿花からトレーサブルなシャツ地」

 1月31日〜2月2日にイタリア・ミラノで開催された「ミラノウニカ(MILANO UNICA)」のオープニングセレモニーでは、トレーサビリティーの重要性が議論された。ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VITALE BARBERIS CANONICO)のトップ、アレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)=ミラノ・ウニカ代表は、「トレーサビリティーが、社会面・環境面におけるサステナビリティを実現するために不可欠であり、メード・イン・イタリアの価値を担保する重要な要素である」と強調し、AIやブロックチェーン技術への投資を強化する方針だと話した。

 トレーサビリティーに関して、新たな取り組みを披露したのは高級シャツ地ブランドとして知られる「トーマスメイソン(THOMAS MASON)」などを擁する、イタリアの大手シャツ生地メーカーのアルビニ(ALBINI)だ。同社はオーガニックコットンブランド「バイオフュージョン(BIOFUSION)」の下、トレーサビリティーの技術に投資してきた。今回は初めてそのノウハウをイタリアのプーリア州にある農家で実践し、イタリア産のトレーサブルなオーガニックコットンを発表した。「バイオフュージョン」では、科学的な追跡技術を用いることで畑から生地までを追跡できる。原産地の特定だけでなく、同社の強みである品質や責任のあるサプライチェーンでの製造が証明できる。プーリア州の農家では、これまでに47ヘクタールの畑を耕作し、4万4000キログラムの綿花を生産した。綿花は遺伝子組み換えでない優れた種子を厳選していることに加えて、432ヘルツまでの周波数の音楽を流し続けて水面を振動させて品質を向上させる特殊な技法で育てられているという。

 担当者は、「当社は2009年からオーガニックコットンを販売してきたが、当時は市場が成熟していなかった。現在は、コレクションのうち3割以上でオーガニックコットンを使用している。透明性のあるオーガニックコットンへの需要の高まりを感じる」と話す。

 同社はそのほかにも、新たなデニムの循環型プロジェクトとして「アルビアーテ(ALBIATE)」でリサイクルコットンを使ったデニムコレクションを発表した。最適な混紡率を追求し、「アルビアーテ」の余ったデニム生地を反もうしてできたリサイクルコットン30%とオーガニックスーピマコットン70%をブレンドすることで品質を担保している。

 また有力な米穀メーカー、リゾ・ガッロとの協業で実現した黒米を活用した染料技術も披露した。リゾ・ガッロが栽培する品種の黒米を熱湯で処理する工程で、通常捨てられていた水を染料に活用した循環型の技術だ。カラーはブラウンをベースとした4色をそろえる。

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「英国の美大発」「ロンドン起業」「透湿防水テキスタイル開発」、異色づくめの起業家、亀井潤が目指す先

亀井潤/アンフィコCEO

PROFILE:(かめい・じゅん)大阪府出身。東北大学工学部化学バイオ工学を卒業後、2015年に英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に留学。バイオミミクリー(生物模倣/生体工学)デザイナーとして活動を開始。18年11月にアンフィコを設立。2022年4月に英国王チャールズ3世と元アップルのデザイン最高責任者サー・ジョニー・アイヴが設立したTerra Carta Design Lab賞を受賞。現在はロンドンと日本を行き来している

 繊維商社の豊島は、英国のスタートアップ企業アンフィコ(AMPHICO)に出資した。アンフィコは、日本人の亀井潤が英国の名門美術大学であるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(以下、RCA)での研究をスピンアウトして起業した異色のスタートアップ企業で、豊島はこれまで数々のスタートアップ企業へ出資してきたCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を通じて出資する。研究者から転身した異色の起業家である亀井潤氏の目指す先を聞いた。

WWD:ベースとなっているキャリアは?

亀井潤(以下、亀井):研究者としてのキャリアは、東北大学でのポリマーサイエンスです。いわゆるゴムやフィルム、プラスチックなどの素材の原料となるポリマーを研究していました。大学や大学院の同期は帝人や旭化成、東レなどの企業に就職していました。

WWD:2015年にデザイン系の大学院大学であるRCAに留学した。転機は?

亀井:ポリマーサイエンス自体の研究はやりがいもあったし、楽しかった。ただ、小さい頃から社会貢献に興味があって、もっとダイレクトに世の中の役に立ちたいという思いがあった。やっぱり材料科学、あるいはアカデミアの世界にいると、研究して論文を書いて特許を取って、と実際に世の中に出ていくまでが遠い。そこで材料科学から離れて、より事業化に近いプロダクトデザインの世界に飛び込もう、と。

WWD:RCAに留学して感じたことは?

亀井:2015年RCAに留学して、イノベーションエンジニアリングを主に研究&実践しました。正直、楽しかったですね。ポリマーサイエンス自体には、ものすごい可能性があるんですよ。「アンフィコ」の代名詞となっているリサイクル可能な透湿防水テキスタイルに関しても、実はポリマーサイエンス分野の研究者からするとそれほど目新しいやり方でないかもしれませんが、フッ素規制で新たな透湿防水素材が求められる中で、繊維業種ではまさにベストマッチ。これまで誰も試したことのないやり方でした。ポリマーサイエンスはプロダクトアウト的な要素も強くて、「いい素材が作れたから用途を探す」というのが一般的です。一方でプロダクトデザインの世界では、特定の用途やニーズをターゲットに作るという順番になる。どちらがいいというものではなく、考え方の違いです。

亀井:「ポリマーサイエンス」は例えるなら「料理」です。異なるポリマーを組み合わせることで、無限に近い可能性がある。ちょうど私が留学した2015年は、日本の人工タンパク質素材のスパイバーを筆頭に、米国サンフランシスコでは人工タンパク質素材のボルトスレッズ(BOLT THREADS)、人工レザーのモダンメドウ(MODERN MEADOW)など、素材のスタートアップが世界で同時多発的に台頭していました。数十年ぶりとも称される「素材革命」が世界で注目されていました。一方でポリマーサイエンスと聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、実際にやっていることの一部はペースト状の樹脂材料を混ぜたり、反応させたりして新しい材料を作ることもある。私の立場だと、「農地で必要な野菜を作って料理する」みたいなやり方になるのでそこは他のプロダクトデザイナーと比べても強みになっていたと思います。

WWD:豊島からの出資の経緯は?

亀井:18年10月に豊島と東京大学生産技術研究所がスタートした豊島寄付研究部門で教鞭を取っていたマイルス・ペニントン(Miles Pennington)教授が、RCA時代の教授だったことがきっかけです。なので豊島とは起業直後から、ペニントン教授から紹介を受け、交流を続けていました。

WWD:スタートアップ起業だが、なぜ「ゴアテックス」を筆頭に競合がひしめく「透湿防水素材」の開発を?

亀井:いわゆる「透湿防水素材」は、フッ素規制によって「ゴア一強」の時代が崩れて、さまざまな代替素材が登場する、群雄割拠の「戦国時代」に入りつつあります。引き続きデザインとリサーチ、販売に関してはロンドンを拠点にしつつ、モノづくりに関しては日本及びアジアで、というやり方です。イギリスにいると、合繊素材に関しては、北陸(石川県、福井県、富山県)企業が今なお世界屈指の高い生産技術力を有していることを実感しています。世界的に有力なスポーツ・アウトドアブランドと話していますが「北陸で開発&生産する」というだけで商談が前に進む。豊島を通じて日本企業と組めるのは、世界展開を考えれば強力な武器になっています。

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三菱電機「メトアギンザ」 プラスチックのリサイクルの体験型イベントを開始

 三菱電機は、東京・銀座の三菱電機イベントスペース「メトアギンザ(METoA Ginza)」で1月26日から、プラスチックのリサイクルをテーマにした体験型イベント「そだてるタウン~リサイクル ディスコ リサイクルも、ターンテーブルも、まわせばハッピー!~」をスタートした。会場の2階に昭和レトロな「ディスコ」に見立てた空間を用意。参加者は街作りの一員としてその中に入り、架空のキャラクター「DJ 工場長」の質問に答えたり、タブレットを手に音楽に合わせて踊ったりと、ゲーム感覚でリサイクルと循環型の街作りに参加する。

 3階では「プラスチックリサイクル工場見学に参加している」という設定のもと、プラスチックを素材ごとに仕分ける選別技術のノウハウについてより具体的に体験を通して学ぶ。ここでも「DJ 工場長」が、音楽やグラフィックを用いて説明するため、子どもから大人まで楽しみながら技術を知ることができる。最後は理解度テストを受け、体験結果とテストの正解数に応じて認定証を受け取る。

 家電業界は2001年に家電リサイクル法が施行されて以降、リサイクル・循環の仕組みを整えてきた。同社はリサイクルに関わる2つの工場を有し、そこでは冷蔵庫など家電製品を手作業による分解に始まり、磁石や振動、静電気などを使った金属との分別、プラスチックの種類ごとの分類やペレット化などを行っている。アトラクションでの体験は工場での作業を凝縮したような内容で、親しみやすいが内容は濃い。 プラスチック製品がどのようにリサイクルされて街に戻り、資源として循環し得る可能性があるかについて知るきっかけとなりそうだ。

 イベント開催の背景について同社は、「普段何気なく捨ててしまっているプラスチックも、リサイクルをすれば 源として循環できる可能性を秘めているんだ、という気づきを促し、来場者が身のまわりの製品一つひとつの環境への影響や、解決のための取り組みに関心を高めることを目指した」と話している。

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三菱電機「メトアギンザ」 プラスチックのリサイクルの体験型イベントを開始

 三菱電機は、東京・銀座の三菱電機イベントスペース「メトアギンザ(METoA Ginza)」で1月26日から、プラスチックのリサイクルをテーマにした体験型イベント「そだてるタウン~リサイクル ディスコ リサイクルも、ターンテーブルも、まわせばハッピー!~」をスタートした。会場の2階に昭和レトロな「ディスコ」に見立てた空間を用意。参加者は街作りの一員としてその中に入り、架空のキャラクター「DJ 工場長」の質問に答えたり、タブレットを手に音楽に合わせて踊ったりと、ゲーム感覚でリサイクルと循環型の街作りに参加する。

 3階では「プラスチックリサイクル工場見学に参加している」という設定のもと、プラスチックを素材ごとに仕分ける選別技術のノウハウについてより具体的に体験を通して学ぶ。ここでも「DJ 工場長」が、音楽やグラフィックを用いて説明するため、子どもから大人まで楽しみながら技術を知ることができる。最後は理解度テストを受け、体験結果とテストの正解数に応じて認定証を受け取る。

 家電業界は2001年に家電リサイクル法が施行されて以降、リサイクル・循環の仕組みを整えてきた。同社はリサイクルに関わる2つの工場を有し、そこでは冷蔵庫など家電製品を手作業による分解に始まり、磁石や振動、静電気などを使った金属との分別、プラスチックの種類ごとの分類やペレット化などを行っている。アトラクションでの体験は工場での作業を凝縮したような内容で、親しみやすいが内容は濃い。 プラスチック製品がどのようにリサイクルされて街に戻り、資源として循環し得る可能性があるかについて知るきっかけとなりそうだ。

 イベント開催の背景について同社は、「普段何気なく捨ててしまっているプラスチックも、リサイクルをすれば 源として循環できる可能性を秘めているんだ、という気づきを促し、来場者が身のまわりの製品一つひとつの環境への影響や、解決のための取り組みに関心を高めることを目指した」と話している。

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パタゴニアが100%植物由来ポリエステルのダウンジャケットを発売 東レと協働

 パタゴニア(PATAGONIA)はこのほど、100%植物由来のポリエステルを表地のシェルと裏地に使用したダウンジャケット“シュガーダウン・フーディ”を発売した。価格は4万5100円。このポリエステルは東レが米国のベンチャー企業ヴィレント(VIRENT)と協働して開発したもので、現在ラボレベルで生産されているが、量産化には至っていない。東レは2020年代の量産化に向けて現在、試作・開発を進めている。

 ポリエステルはエチレングリコールとテレフタル酸で構成されており、エチレングリコールはすでに植物由来の原料で東レが開発し、量産している。一方、植物由来のテレフタル酸の生成は非常にハードルが高く、量産に向けて研究開発されている状態。ヴィレントはウィスコンシン州マディソンに拠点を置き、植物由来のテレフタル酸製造に取り組んでいる。

 パタゴニアは、かねてから最重要事項として責任ある調達を挙げており、ヴィレントが製造するテレフタル酸の原材料にも入念な審査を行い、ルイジアナ州で作られる非遺伝子組み換えサトウキビを指定した。今回の植物由来のポリエステル素材は、ラボとフィールドの両方での厳しい基準に合格し、商品化に至ったという。

 パタゴニアは2025年までに環境に望ましい素材(オーガニックコットン、リジェネラティブ・オーガニック・コットン、リサイクル・ポリエステル、リサイクル・ナイロンを含む)を100%使用することを目標に掲げており、この植物由来ポリエステルはこの目標に沿うものとしている。他方で、原料生産のためにサトウキビのような農作物を栽培することはそれ相応のフットプリントが存在するとし、今後、ゴミから抽出されたものを含むバイオベースの化学繊維など他の方法を探索していくという。

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廃棄衣類繊維のリサイクルボード「パネコ」が引っ張りだこ デザイナーに聞いた意外な誕生秘話

 リサイクルボード「パネコ(PANECO)」がひっぱりだこだ。ワークスタジオが2021年の春に本格デビュー後、「H&M」が池袋店の什器の一部に採用したり、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」が美容部員の700着分の制服をコースターにリサイクルしたり、さらにSHIBUYA109渋谷店が「パネコ」を使った衣服の回収ボックスを設置したりと繊維産業の課題解決の具体策として採用される事例が増えている。その誕生の背景や今後のビジョンについて草木佳大チーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、CSO)に聞いた。

 「パネコ」はワークスタジオが手がける廃棄衣類繊維を原料にしたリサイクルボードであり、射出成形と呼ばれるプラスチックなどの成形時に使われる手法で製造されている。環境に配慮した什器デザインなどを手がけていた同社が「パネコ」の開発を始めたきっかけは、デザイナーでもある草木佳大チーム・サステナビリティ・オフィサーの個人的なできごとだったという。「4年前に幼なじみが亡くなり、葬儀の場で友人の父と始めてゆっくりと話をした。その方は繊維企業に勤めており、衣類をリサイクルしディスプレーする方法を探していると知り、何かできないかと考えたのがきっかけだった。試行錯誤するうちにふと、服を板にできたら喜ばれるのではと思いつき、研究を始めた」。友人がつないだ縁が今、可能性を大きく広げようとしている。

グレーの色は、廃棄される服の特徴を反映している

 服から生まれ、シンプルで持ち運びしやすく、可変性があり、何度でもリサイクルできる。それが「パネコ」の魅力だ。特徴的なグレーな色は、日本では落ち着いた色の服が好まれ、混合するとグレイッシュになるからだという。

 12月に開催した4回目の展示会では、会場となったモリリン本社1階の約100㎡のスペースを丸ごとつかい、従来の什器に加えてアパレルや飲食のポップアップストアのような空間を提案した。「『服が板になりました』とパネコを見せられても、それをどう使っていいかわからないという声が多いからここでは色々な使い方を表現した」と草木CSO。色も従来のグレーに加えて、ピンクやブルーなどが加わった。色つけに染料は使わず、廃棄衣料の中から色のついた服を選別しリサイクルしている。

“工場に集まった服は一着も捨てないと言い切れる”

 「パネコ」のために集めた衣料はまず、提携している和歌山の福祉施設に集め、ボタンやファスナーを外し、プラスチックハンガーなど「繊維ではない」部分を仕分ける。多い時で月10トンほどの衣料の仕分けを担当するのは、同施設が採用するハンディキャップがある人たちだ。「パネコ」の成長とともに規模を拡大し、今では約10人の専属チームが技術とノウハウを蓄積している。今回の「色」もそのチームの仕分け作業があるから実現した。「彼らもスピードがアップしスペシャリストになってきている。応援してくれているから面倒くさいことも一緒にチャレンジしてくれるのはありがたい」。

 仕分けを追えた衣料は、協力工場へ運び成形する。今回は色付けのために選別をしたが、そもそもの「パネコ」の強みは、「繊維の仕分け」を必要とせず、服の素材を問わず、品質表示もついたまま成形ができることである。回収後の仕分けは繊維リサイクルの最大の課題と言っても過言ではない。それを丸っと省き、「工場に集まった服は一着も捨てていないと言い切れる」ことは大きな強みだ。

成形の接着剤は「こだわりの8%」

 成形にはバインダーを全体量の8%使用し、熱を加えて固める。「こだわりの8%です。これだと硬さも木版に近く、再リサイクルができる。我々が自分たちに課しているルールは『パネコ』自体も再リサイクルが可能であることです。アパレルの人たちに“服を捨てたらあかん”といっている僕らが廃棄していたら意味がなく、“作った責任”を取れることもデザインの一環です」。

 接着剤は化学物質を含む。「できれば自然由来のものを使いたいが、日本には流通量が少ない上に全体量の30%入れないと硬さが保てない」。今できることを最大限に、実用的に、は「パネコ」のデザインの特徴だ。「普通に服を固めると汚いボードになる。僕らもデザイナー集団なので、リサイクル素材だったらなんでもいいのではなく、そもそも魅力的なマテリアルであることが大切。可愛い、素敵、あったかい、実は環境に良い、というのが大事な物語。見た目で選ばれて国内で完結しているリサイクルだと自負している」。

 什器、小物から空間へ提案が広がる中で新しい課題も出てきた。建材の領域は、耐摩耗性や表面強度、不燃などさまざまなテスト問題をクリアし、建築家が安心して使える素材であることが重要だからだ。今回の展示会で見せたのは、ポップアップストアなどに適した可変性ある空間。釘などは使わず、日本の「木組」からヒントを得た手法で、パネルの凹凸を組み合わせることで構成している。

「リサイクル後」の絵を描けるプロジェクトは成功しやすい

 「パネコ」がアパレル企業と取り組む際にこだわっているのは、「回収・リサイクル」の循環を一緒に創出することだ。余剰在庫の回収だけ、といった依頼は基本的には受けておらず、「それをどうリサイクルし活用するか」を合わせてプロジェクト化する。

 「僕らは回収で生業を立てていないので、パネコにして使ってもらってナンボ。だから『余剰在庫を回収してほしい』という依頼から入ると正直、止まりやすい。売れ残りを『パネコ』にすれば『捨てない』結果は得られても、店舗で使用する段階で『ブランドイメージに合わない』、『価格が合わない』といったもめ事がおこりがちです。逆に店舗デザインチームがリードするケースは、リサイクル後の絵が見えているからスムースに進みやすい」という。「店舗改装を見据えて回収ボックスを設置し、来店客から集めた服を『パネコ』化し、新店の内装に使用するといった顧客参加型の循環ストーリーが盛り上げる」。

同世代と猛進したい

 草木CSOいわく、企業内の循環アクションが「うまくいく」、もうひとつのポイントは、彼と同世代である「30代くらいの、現場寄りのリーダーが、猛進して周りを巻き込むケース」だというから面白い。「環境は新しい分野だからか、先輩世代より僕らの世代の熱の入り方が本気だとも思う。確かにトップダウンの方が決済はおりやすいけれど、どう使うかは結局現場。数字や売り上げももちろん大事だけど、『こんなことしたい』などクリエイティブな発想を持つブランドとの方がよい結果が出やすい」。草木CSO自身、パネコ誕生の際には猛進した。「ワークショップはリサイクルの会社でもないけど、原社長はアイデアに可能性を感じて、ゴーサインを出してくれた」と振り返る。「原いわく、日本に石油はないけれど、街には服がたくさんあるからそれを原料にいろいろなことができると。確かにそう思う」。

 今後の課題は量産化とデザインのバランスだ。現在の生産体制では年間の生産キャパシティは50トンで上限に近づいている。「脱廃棄社会をうたっている以上、50トンではわずかな貢献にしかならない。ゴールは、廃棄衣料がなくなってパネコを作らなくて良くなったとき。そのためにもこのノウハウを広げるべきと思うが、かといって量産化により意匠性が失われる。標準化した量産と、デザイン性のあるこだわり。その2軸を作っていきたい。」。

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「ザ・ノース・フェイス」が“ヌプシ”から、衣服内に空気を取り込む新テクノロジーを搭載したベストを発売

 「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は12月9日、アイコンの“ヌプシ(NUPTSE)”コレクションから、衣服内に空気を取り込む新テクノロジーを搭載した“エアー チャンバー ヌプシ ベスト(AIR CHAMBER NUPTSE VEST)”を発売した。価格は5万8300円(税込)。東京・渋谷のザ・ノース・フェイス ラボと、ザ・ノース・フェイス プラス グランフロント大阪の直営2店舗限定で扱う。

 同商品は羽毛や化繊など中わた材の代わりに空気を用いることで、軽さを追求した。アウターとしてはもちろん、自分で空気量を増減して保温性の強弱やかさ高を調整し、ミドラーとして着ることもできる。空気を抜いてスタッフサック(収納袋)にコンパクトに収納し、持ち運ぶことも可能だ。「ザ・ノース・フェイス」は、「原材料の削減など環境負荷軽減にも寄与する」と話す。

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東レ、ユニクロとの戦略パートナーは「サステナ重視」へ 23年3月期に繊維で悲願の売上高1兆円に

 東レは繊維事業で、2023年3月期に売上高1兆円、事業利益540億円を計画する。繊維事業は19年3月期の9743億円、営業利益729億円(いずれも日本基準)が過去最高だった。以降は世界的なアパレル需要の冷え込みにコロナ禍も直撃、売上高は伸び悩んでいた。23年3月期は世界的なアパレル需要の回復に加え、原燃料価格の高騰なども後押しする形になる。同社は繊維事業の中長期的なミッションとして「ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ」を掲げており、2006年からスタートしているユニクロとの戦略的パートナシップについて日覺昭廣・社長は「コロナ禍もあり、対外的な発表はしていないものの、パートナーシップはもちろん継続している。21年以降のパートナーシップについては取引額以上に、リサイクルやバイオマス素材の開発などのサステナビリティを軸とした取り組みの進化に重点を置いていく」という。

 東レは今年、ファーストリテイリングの有明オフィスのそばに「有明ラボ」を設置した。主要な縫製拠点である香港やベトナムなどの海外生産拠点と連携しつつ、「有明ラボ」内でサンプル作成までできる体制を整えた。繊維事業のトップである三木憲一郎・常務執行役員は「リードタイムを短縮するなどの商流の進化やビジネスの高度化にも取り組んでおり、取引額自体は伸びている。ただ、そうした短期的な数字以上に、21年度以降はより中長期的なものづくりを重視していく」という。

 三木常務はこの数年間を「米中の貿易摩擦やコロナ禍、原燃料価格の高騰など、予測できない環境変化が続く中で、成長分野への投資など必要なアクションは取れたと考えている。収益の厳しさはあるが、サプライチェーンの高度化の道筋は付けられていると考えており、今後はリサイクルポリエステル『アンドプラス』などのサステナビリティへの投資を強化する」という。リサイクルポリエステル「アンドプラス」は23年3月期に、前期の3倍上回る売上高500億円超を計画しており、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティシステムの開発にも着手している。また、9月には「イッセイ ミヤケ」のパリコレで、100%植物由来のポリエステル衣服を発表していた。

 また、水処理などに使用する分離膜技術を活用した、非食用バイオマスを原料とした高濃度糖液の開発にも着手しており、タイの実証プラントでは従来の蒸発法に比べて40%のエネルギーを削減できるという。この「糖」を原料に、発酵技術と分離膜を組み合わせた合成方法の開発も進めており、エアバックなどに使用するナイロン66繊維の原料となるバイオアジピン酸の開発にも成功しているという。

 来年度からスタートする中期経営計画でも、「こうしたサステナビリティ分野への投資を強化する」(三木常務)方針だ。

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東レ、ユニクロとの戦略パートナーは「サステナ重視」へ 23年3月期に繊維で悲願の売上高1兆円に

 東レは繊維事業で、2023年3月期に売上高1兆円、事業利益540億円を計画する。繊維事業は19年3月期の9743億円、営業利益729億円(いずれも日本基準)が過去最高だった。以降は世界的なアパレル需要の冷え込みにコロナ禍も直撃、売上高は伸び悩んでいた。23年3月期は世界的なアパレル需要の回復に加え、原燃料価格の高騰なども後押しする形になる。同社は繊維事業の中長期的なミッションとして「ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ」を掲げており、2006年からスタートしているユニクロとの戦略的パートナシップについて日覺昭廣・社長は「コロナ禍もあり、対外的な発表はしていないものの、パートナーシップはもちろん継続している。21年以降のパートナーシップについては取引額以上に、リサイクルやバイオマス素材の開発などのサステナビリティを軸とした取り組みの進化に重点を置いていく」という。

 東レは今年、ファーストリテイリングの有明オフィスのそばに「有明ラボ」を設置した。主要な縫製拠点である香港やベトナムなどの海外生産拠点と連携しつつ、「有明ラボ」内でサンプル作成までできる体制を整えた。繊維事業のトップである三木憲一郎・常務執行役員は「リードタイムを短縮するなどの商流の進化やビジネスの高度化にも取り組んでおり、取引額自体は伸びている。ただ、そうした短期的な数字以上に、21年度以降はより中長期的なものづくりを重視していく」という。

 三木常務はこの数年間を「米中の貿易摩擦やコロナ禍、原燃料価格の高騰など、予測できない環境変化が続く中で、成長分野への投資など必要なアクションは取れたと考えている。収益の厳しさはあるが、サプライチェーンの高度化の道筋は付けられていると考えており、今後はリサイクルポリエステル『アンドプラス』などのサステナビリティへの投資を強化する」という。リサイクルポリエステル「アンドプラス」は23年3月期に、前期の3倍上回る売上高500億円超を計画しており、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティシステムの開発にも着手している。また、9月には「イッセイ ミヤケ」のパリコレで、100%植物由来のポリエステル衣服を発表していた。

 また、水処理などに使用する分離膜技術を活用した、非食用バイオマスを原料とした高濃度糖液の開発にも着手しており、タイの実証プラントでは従来の蒸発法に比べて40%のエネルギーを削減できるという。この「糖」を原料に、発酵技術と分離膜を組み合わせた合成方法の開発も進めており、エアバックなどに使用するナイロン66繊維の原料となるバイオアジピン酸の開発にも成功しているという。

 来年度からスタートする中期経営計画でも、「こうしたサステナビリティ分野への投資を強化する」(三木常務)方針だ。

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ケリングのキーマンが語る循環 永遠の価値の創出・技術革新・土壌

 サステナビリティ先進企業として知られるケリング(Kering)。傘下ブランド「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「アレキサンダー マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」などからは続々と、着実で、時にユニークなサステナビリティ施策が発表されている。その支援を行っているキーマンの一人、ジェラルディン・ヴァレジョ(Geraldine Vallejo)=サステナビリティ・プログラム・ディレクターにケリングが目指すサーキュラリティについてオンラインで話を聞いた。

WWD:ケリングが考えるサーキュラリティとは?

ジェラルディン・ヴァレジョ=サステナビリティ・プログラム・ディレクター(以下、ヴァレジョ):われわれのアプローチは、価値があり、長持ちする製品を作り、その価値をライフサイクルを通じて維持し続けること。それは、耐久性があり、修理ができ、再利用できるようにデザインされ、永遠に価値を保ち、第2、第3の人生でもずっと使用してもらえる製品を意味します。また、適正量を生産することは、循環のループを低速化することにもつながります。AIを用いて販売量を予測し、過剰在庫を回避しています。生産に関しては、再生型の資源を用い、生産工程で危険な化学物質を使わないことを重視しています。

 サーキュラリティは、私たちに革新をもたらす機会だと考えています。そもそもサーキュラリティは、私たちにとって新しい考え方で、新しいクリエイティビティでもあり、ノウハウでもあり、高品質なモノを作るということでもあります。

WWD:サーキュラリティ実現に向けた具体的な実践例は?

ヴァレジョ:ケリングのブランドにはリセールプログラムがあり、「アレキサンダー・マックイーン」や「バレンシアガ」は二次流通のプラットフォーマーであるヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)やリーフラント(REFLAUNT)をパートナーとして、同プログラムを展開しています。また、「グッチ」ではヴィンテージアイテムを丹念に修繕し、「グッチ」の実験的なオンラインスペース“ヴォールト(Vault)”内で再販しています。クリエティブ・ディレクターとグッチの専任アーキビストによって厳選されたヴィンテージアイテムのコレクションで、職人たちによって復元され新たな命が与えられたアイテムたちです。

 商品を(サーキュラリティの)ループ内にとどめ、サーキュラリティへのアプローチに顧客にも加わってもらおうというアイデアであり、同時に新しい顧客にも届く方法でもあります。

 大切なのは、われわれが環境に与えるネガティブな影響を減らし、天然資源を枯渇させることなく、会社にとっても顧客にとっても価値を生み出し続けることなのです。

WWD:「バレンシアガ」や「グッチ」ではデジタルファッションやメタバースなど非物質化へのアプローチも始めている。

ヴァレジョ:メタバースやデジタルは探求しているところです。デジタルユニバースの実際の影響やデジタルファッションの(負荷の)計測に関してもより多くの方法や研究を探っています。また、サンプル制作においては、素材が節約できる方法を確立しています。

WWD:「土壌を枯渇させたらサーキュラリティが実現しない」という考えから、環境再生型農業にも力を入れているとか。

ヴァレジョ:われわれラグジュアリーブランドは、コットン、シルク、ウール、レザー、カシミヤなど天然素材を多く使います。もし正しい方法で生産されれば自然にとっても土にとっても有益になり得ます。そのために、サプライチェーンの初期段階である農場や地域で適切に実践されていることを確実にしなければなりません。環境NGOであるコンサーベーションインターナショナル(Conservation International)とパートナーシップを組み、自然再生基金を立ち上げました。ファッションやラグジュアリーファッションの鍵となる材料のサプライチェーンで100万ヘクタールを再生するというものです。具体的には農家や牧場主を支援し、自然、人、動物と調和した農業へアプローチしています。有機物や生物多様性を回復できれば、その過程で炭素を土壌に閉じ込めることができます。また、土地や水域を回復し、動物福祉を改善させる地域密着型の農業を推進しています。農家自身もよりよい生活を送ることができるようにもサポートしています。この方法を確実にし、さらに規模を拡大していきたい。

WWD:ケリングはスタートアップ企業とのパートナーシップも重視している。

ヴァレジョ:彼らの力がなければサステナビリティは達成できないと考えています。このまま同じようにビジネスを続けると、目標は達成できません。スタートアップ企業には、他の産業の技術を応用してファッション産業に活用する力もあります。今、われわれが焦点を当てているのは、新素材、サーキュラリティとアップサイクリング、染色、プリンティング、フィニッシングなどの加工とトレーサビリティ(追跡可能性)です。

 もっとも将来有望なイノベーションのひとつが、代替素材です。例えば、ラボで育ち、レザーの特性に似ている材料を開発するビトロラボ(VitroLabs)に投資しましたし、マイセリウム(キノコの菌糸体)にも注目しています。

WWD:「バレンシアガ」が2022-23年秋冬に“エッファ(EPHEA)”という菌糸体ベースの材料を用いたコートを発表した。

ヴァレジョ:イタリアのSQIMというスタートアップと開発しました。量や厚みなど均質性を実現し、ここまでハイクオリティなものはファッション分野では初めてではないでしょうか。彼らは素材を、われわれはなめし技術を提供しました。イノベーションと受け継がれてきた技術を組み合わせ、そして「バレンシアガ」との幾度とないやりとりで実現しました。開発には1年以上かかり、素材のコアな部分にはプラスチックも合成物質も使っていません。それこそがわれわれや「バレンシアガ」にとって重要なポイントでした。ただ、一つだけ透明性という意味でお伝えすると、通常レザーには1mm以下の薄いコーティングがされていますが、そこには合成物質を使っています。

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ゴールドウインが型紙改良で廃棄量3分の1へ 慶大発シンフラックスと協働 

 ゴールドウインは11月4日、製造工程の廃棄削減に向けた新たなプロジェクト「シン・グリッド(SYN-GRID)」を発表した。慶大発のスタートアップ企業シンフラックス(Synflux)と協働し、同社が持つ独自のパターンメイキング技術「アルゴリズミック クチュール(Algorithmic Couture)」を応用する。「アルゴリズミック・クチュール」はAI(人工知能)とアルゴリズムを活用して衣服生産時に排出される素材の廃棄を極小化するためのデザインシステム。衣料の生産工程で廃棄される繊維は利用される量の約15%と言われており、シンフラックスはその削減に向けた技術開発に取り組む。

 「シン・グリッド」によって生産工程の廃棄量が従来の3分の1程度になったという「ニュートラルワークス.(NEUTRALWORKS.)」のフリースのクルーとボトムを11月8日に、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の防水透湿素材のシェルジャケットを11月18日に発売する。今後、ゴールドウインが手掛ける全ブランドのウエアでの導入も検討していく。

 「アルゴリズミック・クチュール」は開発当初、廃棄量は格段に減らすことができるものの、切り替えや縫製箇所が増えるなどの課題があった。今回、新たに縫製できるパーツ数の上限や切り替えし線を調整する機能をシステムに導入。量産可能な工業用パターンを実現した。

 シンフラックスと2年前から協働する大坪岳人ニュートラルワークス事業部長はプロジェクト始動の理由を「昨今のいわゆる“SDGs”的な取り組みのほとんどが、CO2削減のために材料をリサイクルに置き換えたり、染料を変えたり、何かを回収したりするといった施策だ。材料をエコなものに変えたとしてもそもそも作る過程でたくさん捨てているという事実がある。端端で出た生地を捨てずに再利用する流れも出てきているが、そもそも廃棄を削減するためにはどうしたら良いかを考えるためにパターンに着目した」という。

 大坪部長は「アルゴリズミック・クチュール」の優位性を「A Iやコンピューターによって計算され、人が考えるよりも遥かに早いスピードで合理的に無駄を削減することができる」というが、一方で課題も指摘する。「服はパズルではない。誰一人として同じ体型がいない中でいろんな人たちが着用することを前提に設計するために、ドレープやカーブといった廃棄をなくす視点で見ると非合理的な線や人間の感性も必要になる。スポーツアパレルの場合は動いている時のことも考えなければいけない。そこはまだデジタルだけでは解決できない」という。

 2年をかけて実用化に至った。「結果的にはデジタルとフィジカル(ゴールドウインのパタンナーによるパターン)を何度も行き来して、今回の商品ができた。服が人間の動きや生活にフィットする必要があるので、まだまだ人間的なフィジカルなモノ作りも必要でもある。時間はかかるが今回かなり学習できたので、次はまた2年後ということではない(笑)」と語った。

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スパイバーのキーマンに聞く、「究極のアパレル型循環エコシステム」

 人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン(Brewed Protein)」の開発で世界から注目を集めるスタートアップ企業スパイバー。近年「ブリュードプロテイン」の開発・生産だけではなく、農業残渣や廃棄衣類のセルロースを資源として活用するための研究もスタートした。スパイバーが目指す“循環”とは?キーマンの一人である東憲児スパイバー経営企画室ヘッド・オブ・ビジネス・ディベロップメント&サステナビリティ兼執行役員にオンラインで話を聞いた。
 
WWD:スパイバーが考える循環とは?

東憲児スパイバー執行役員(以下、東):一言で表現するなら、資源を最大限活用すること。無駄になるものを極限まで減らすことが重要だ。何かを新しく作るときに出る副産物や役割を終えた製品などを、「ゴミ」として捉えるのではなく、資源として捉えることができるようなシステムのことを「循環」と考えている。当社も現在の「ブリュードプロテイン」の原料はサトウキビを絞って作った砂糖やトウモロコシのでんぷんといった食料にもなり得るものだが、サトウキビの搾りかす(バガス)やトウモロコシの茎や葉といった農業残渣を活用することが重要だと捉え、1~2年前から研究を始めている。

 また、現在はゴミとなっている古着の活用法も研究している。バガスなどのセルロースでできたもの、言い方を変えればコットンやレーヨンを糖に分解する技術は以前から研究されており、こうした既存技術を活用しつつ、自社でも研究を行っており、プロセスによってはすぐに応用できるものもある。農業残渣は規模を拡大するのに時間がかかりそうだが、技術はできた。古着は一部の開発は残っているが、原理的にできることは分かっている。ただ、古着を活用する場合、原料が天然由来100%なら分解して使えるが、混合素材をどうするか、染料や仕上げに用いる化学物質の影響をクリアにする必要がある。

WWD:確かに現在の「ブリュードプロテイン」の原料は食糧生産とバッテングしているし、バージン素材ともいえる。

東:天然のカシミヤやウールと比べればメリットはあるが、「ブリュードプロテイン」の生産のためだけにサトウキビやトウモロコシを育てるのは、土地も必要だし、肥料や殺虫剤なども使う。

WWD:古着を活用する場合、製品情報の把握はもちろん製品設計時から循環を意識する必要があるのでは?

東:循環を可能にするためには枠組みが必要だ。素材の選定はもちろん、使用後に回収する仕組み、再活用するインフラなどサーキュラーなエコシステムが必要になる。ゴミの分別ルールと似ている。それをパートナー企業や業界団体、政府やNPOと協力して最速のスピードで進めていきたい。

 来年中にはバイオプロセスでの再資源化(発酵原料としてなど)したものであったり、再活用できる素材のみで作られ、かつリサイクル方法などもあらかじめ想定した製品企画を公開したいと考えており、いくつかのアパレルブランドと内容を詰めているところだ。製品設計段階でどうすれば再資源化できるか――われわれが今後提供する循環プロセスにのるための素材や製品規格はどういうものかを公開したい。長期的には、循環する社会を作るパズルの1ピースになればと考えている。循環性に取り組む団体と連携して、大きな枠組みを作ることに貢献したい。

WWD:そうした循環型エコシステムを作るにあたり、注目している技術や企業は?スパイバーで今後さらに必要になる技術や人材は?

東:サーキュラーなエコシステムを作るためのプロジェクトを進行しており、それをドライブする人材はウエルカム。ISOなどの国際規格や国際機関と連携して世の中を巻き込んでドライブするチームだ。引き続き、技術開発やプロセスの効率を上げる研究者や技術力を持った人材も必要だ。タイの工場が稼働して量産化をスタートしたので営業も強化もしている。

WWD:LCAの算定を行っているとか。

東:算定は終わり、現在は第三者によるクリティカルレビューを行っている。

WWD:ウールやカシミヤと比べてどのくらい環境負荷が低いのか?

東:素材の比較はグリーンウオッシュに使われたりもするのでハードルが高い。具体的な数字はまだいえないが――カシミアと“ブリュードプロテイン”を比べると温室効果ガスの排出量はカシミヤの半分にはなる。タイ工場の稼働前に試算しており、実際どうかというアップデートが必要ではある。現在タイ工場の電力は石炭火力だが、再生可能エネルギーを用いれば、タイ工場のフル稼働時にはその排出量比は4分の1~6分の1になる。

WWD:カシミヤは土地利用も課題だ。

東:土地利用に関してはカシミヤの約38分1。カシミヤは動物繊維の中でも環境負荷が大きく、温室効果ガス排出量でも「ブリュードプロテイン」と比べて差が大きく出ているが、ウールと比べると土地利用は約7分の1に抑えられるものの、温室効果ガス排出量は現段階ではドラスティックな違いはない。しかしさまざまな点において改善の余地もあり、今後環境負荷削減に向けて取り組む。中長期的にみるとウールと比べても環境負荷が低くなる想定だ。

WWD:計測することで工程ごとのインパクトが分かるので、優先的に削減に向けて取り組む工程が分かる。

東:まさに今検討しているところだ。一番大きいのは電力。石炭火力かクリーンエネルギーか大きいファクターになる。主な原料が農作物に由来したサトウキビとトウモロコシで、非可食のものや農業残渣を資源に活用するなど、より環境への負荷を減らす取り組みも重要だ。アメリカでの量産設備で提携しているADMとは、アイオワ州クリントン周辺でトウモロコシを生産・供給するADMのサプライヤー間における環境再生型農業の導入を共同で支援することを目的とした契約も締結している。

冨田勝研究室で関山社長とともに学ぶ

WWD:スパイバー入社の経緯は?

東:関山(和秀スパイバー取締役兼代表執行役)に誘われた。関山や菅原(潤一スパイバー取締役兼執行役)とは、慶應義塾大学先端生命科学研究所冨田勝研究室でともに学び、何度か声をかけてもらっていた。

WWD:そもそもバイオテクノロジーに興味を持ったきっかけは?

東:大学に入学した2000年に冨田先生の授業を受ける機会があり、衝撃を受けた。バイオテクノロジーが石油の代替になる本命のソリューションになるというメッセージを受け取り、やってみたいと思った。01年の先端生命科学研究所開設と同時に鶴岡で学び始めた。そこには関山や菅原もいて、関山は人工クモの糸を、私はエネルギーの研究に取り組んでいた。

WWD:さまざまな可能性がある中で、アパレル繊維だった理由は?

東:われわれの素材は規模を拡大するにつれてコストが下がる。繊維の中でも安価なコットンやポリエステルとわれわれの素材とを比べるのはチャレンジではあるが、カシミヤやシルク、ウールはそれなりに高額で、市場規模もある貢献しやすい素材だ。カシミヤやウールの柔らかさは繊維の細さによるが、われわれはカシミヤよりも細く柔らかい繊維を作ることができる。

WWD:スパイバーでの東さんの役割は?

東:企業とパートナーシップ提携や素材の販売を行う事業開発とサステナビリティ関連の取り組みの推進、両方を担当している。

WWD:仕事を通じて感じる面白さや難しさは?

東:世の中のサステナビリティの意識や優先度の変化が面白くもあり、難しい。何年か前までは、今までの素材よりも高いなら使えないというリアクションがほとんどだったが、そこが変わってきている。特にヨーロッパの変化は著しい。一気に変わった感覚があったのは2019年。日本はまだそこまでの変化はないが、変わるときは変わるとヨーロッパの変化を見ていて感じるので、楽観的かもしれないが日本も変わるのではないかとみている。

WWD:東さんが実生活で実践しているサステナブルなことは?

東:消費を抑えることが圧倒的にサステナブルであることに気付き、17年7月を最後に服を買っていない。肌着も買っていない。同じものを作るのにベターは大切だが、その前にできることへの追求も必要だ。

WWD:ちなみに最後に買った服は?

東:「ザ・ノース・フェイス」のズボンだった。たくさん服を買うタイプではないが、無駄に服も下着もたくさんあった。ほとんどの人は意図せずとも大量の服を持っているのではないか。時々補修もするが、買わなくなって5年がたつがそんなに困らない。あとは肉をなるべく食べない。ときどき食べるが環境負荷が大きいので避けるようにしている。

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パタゴニアが自社古着を原料に循環Tシャツ製造へ 日本独自スキーム確立

 パタゴニア(PATAGONIA)は7月、無限にリサイクル可能な繊維“インフィナ(Infinna)”を用いたTシャツを発売した。“インフィナ”はフィンランドのスタートアップ企業インフィニテッドファイバー(INFINITED FIBER)がコットンなどのセルロース系繊維の使用済み繊維を原料に再生した新しいリサイクル繊維で、柔らかく丈夫で肌触りはコットンの風合いを持つ。

 日本支社はインフィナを用いた製品発売に合わせて独自の回収スキームを確立した。店頭で回収した使い古したコットンなどのセルロース繊維の衣料を集めて、インフィニテッドファイバーに送り、新たなパタゴニア製品の原料として活用するというもの。不要になった社製品を回収して自社サプライチェーンに戻す新しい試みでもある。日本支社の責任者である篠健司環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞く。

WWD:コットン古着から新たにセルロース繊維を作る技術を持つインフィニテッドファイバーと複数年契約を結んだ。その目的は?

篠健司環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):パタゴニアもインフィニテッドファイバーも循環性を追求している。アパレル産業の大部分が「テイク・メイク・ウェイスト(取って、作って、捨てる)」というモデルに基づいていて、不要となった衣類がどうなるかについては責任を負っていない。世界中で廃棄される繊維は毎年60%ずつ増加し、2030年には年間1億4800万トンに上ると予測されている。素材自体がリサイクル繊維だったとしても、回収されて再利用される繊維はわずかしかない。インフィニテッドファイバーはポストコンシューマー(使い古された)コットンなどのセルロース繊維を素材に戻すことができる技術を持っている。同社は現在、工場を新設しておりパイロットレベルから商業レベルになる。今後、パタゴニアでは“インフィナ”を用いた製品が増える予定だ。

WWD:コットン(セルロース系繊維)古着から新しい繊維を作る技術を持つ企業は他にもあるが、なぜインフィニテッドファイバーだったのか?

:ビスコースの生産に使われる有毒な二硫化炭素の代わりに、動物飼料グレードの尿素を使用しているので、有機溶媒は必要ない。また、再生する際にパウダーにまで戻すので、(コットン古着を原料にセルロース繊維を作ると短繊維になり強度に問題がある場合が多い)100%“インフィナ”で衣類を作ることも可能だ。セルロース系廃棄物から柔らかく丈夫で肌触りもコットンに近い繊維ができる。

WWD:当面の日本の回収目標は300kgだとか。パートナー企業やスキームについて教えてほしい。

:豊田通商が自社ネットワークとリサイクル事業基盤を生かし、子会社であるナカノが分別した繊維をインフィニテッドファイバーに輸出する。豊田通商は長年パタゴニアのサプライヤーでもあり、当社の循環型の仕組みを理解していただいている。ナカノは故繊維をリサイクルした再生繊維原料やウエス、軍手の製造販売、良質の中古衣料を海外に輸出することを通じて日本の繊維循環を支えている企業。“インフィナ”の原料になるのはコットン90%以上の製品でその分別を担当する。

WWD:移動の環境負荷を考慮した場合、理想は日本に再生工場があることだが、今はない。日本から本国を経由せずに直接送ることは、無駄が少なく効率がいい。同じような取り組みをする場合、本国経由で物事を進めていく企業が多いのが現状だ。

:トータルのプロセス自体をシンプルにすることが重要だと考えた。インフィニテッドファイバーとは、米国の担当者につないでもらいつつ、直接交渉してプログラムを作った。どのような条件の古着が適しているか、ミニマムの量、送る頻度などを検討して300kgを割り出した。国によって使える技術やパートナー、そして法律も異なる。移動に伴う環境負荷を考慮して、各国が適切なスキームを作ることが重要だ。

WWD:繊維のリサイクルについてパタゴニアが今重視していることは?

:販売した自社製品を自社のサプライチェーンに戻すスキームをどう作るか、だ。自分たちが生産した製品を引き取りリサイクルするだけではなく、回収したものを自分たちが使うモデルがないと循環性を追求したとは言えないのではないか。

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「イッセイミヤケ」から世界初100%植物由来ポリエステルの服 東レが開発

 「イッセイミヤケ」は9月30日、パリで発表した2023年春夏コレクションで世界初の100%植物由来のポリエステルを用いたウエアを披露した。この繊維は東レが開発したもので、現在ラボレベルで生産されているもの。「イッセイミヤケ」は長年東レと提携しており、これまでも開発中の繊維を用いてきている。今回発表されたウエアは商品化されるが限定生産の予定。「未来につながる循環や再生」を表現したという今回のウエアは、生地を折り、部分的に円形のハンドプリーツ加工を施したもの。
 
 東レはかねてから100%植物由来のポリエステル繊維の量産に向けて取り組んでおり、2019年の段階でラボレベルでの生産に成功している。今回、少量生産ながら「物性面もきちんと確認したうえで提供できる量に至った」(東レ広報担当者)という。

 ポリエステルはエチレングリコールとテレフタル酸で構成されており、エチレングリコールはすでに植物由来の原料で量産可能である。一方、植物由来のテレフタル酸の生成は非常にハードルが高く、量産に向けて研究開発されている状態だ。東レは、アメリカのベンチャー企業バイレント(VIRENT)と協働して、植物由来のテレフタル酸の生成に取り組み、2020年代に量産化を目指している。

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島精機が目指す「バーチャルアパレル革命」、60周年イベントで展示

 島精機製作所が、9月1日から11月30日までの3カ月間、和歌山本社とオンラインで「創立60周年記念イベント」を開催している。これまでは1500人程度を和歌山本社に招待して周年イベントを5年ごとに行ってきたが、今回はコロナ対策として長期間のイベントに変更。国内外の顧客が期間中、予約すればいつでも来場でき、オンラインでも参加できる形を整えた。

 イベントのテーマは「オープン アップ ザ フューチャー」。サステナビリティをキーワードにアパレル業界のみならず、他業界においても未来を切り拓いていく姿勢と思いをアピールし、先進的な取り組みと今後の方向性を紹介する。

 イベント開催に際して同社の島三博・社長はこう挨拶した。「これまでの60年間は山あり谷ありだったが、今は谷底から出直して一生懸命山を登っている最中だ。この先も長く存続していくために解決すべき問題を解決し、反省すべき課題を反省して出直していく。イベントではその姿をすべてさらけ出した。暗い世の中でもファッション業界は着る人を幸せにする、ワクワクするような洋服を作らなければならない。そのためには我々自身もワクワクしながら目標に向かって仕事をすることが大切。未来を切り拓くのは自分自身だという思いを込めてイベントを企画した」。

 本社1階の玄関ホールでは、同社の経営理念や代表的な編み機と歴史、グループ会社や出資企業との取り組みを展示。ハイビジョンホールでは、バーチャルファッションショーの上映やXR(クロスリアリティー。VR=仮想現実、AR=拡張現実、MR=複合現実、SR=代替現実の総称)を活用した販促ツールの紹介と体験、メタバースでのコミュニケーションといったデジタル化で変わる未来の展示方法や仕事の在り方、ニットの可能性を紹介している。

 バーチャルファッションショーの前半には島社長のアバターが登場し、メッセージを発信。同社のデザインソフト「エイペックスフィズ(APEXFiz)」で作成したバーチャルサンプルを着たアバターモデルが、さまざまな場面でウォーキングしたり、空中を飛んだりとバーチャルならではの見せ方でコレクションを披露する。バーチャルサンプルとはいえ、リアルなサンプルとほぼ同じデザインが再現されていてその精度の高さには目を見張る。配色や柄、着こなしなどを自由に展開できるのも、バーチャルファッションショーの魅力だ。同社トータルデザインセンター広報担当の烏野政樹氏は「3Dデータなのでいずれは5G通信などを使って好きなアングルからインタラクティブに体験できるようになる」と解説。同ショーは9月から特設サイトでも視聴可能だが、本社会場では空間を生かした特殊効果の演出も体験できるよう工夫されている。

 さらに、エイペックスフィズとKDDIのXR技術を連携させたアパレル小売向け販促パッケージ「XRマネキン・フォー・エイペックスフィズ」を体験できる展示コーナーも用意されている。

 XRは消費者に新たな顧客体験を提供できるデジタルコンテンツとしていま注目されている技術。スマホなどのデバイスで商品を360度好きなアングルで確認できるKDDIのXRマネキンを活用することで、バーチャルサンプルを用いたデジタルカタログやVRショールーム、店舗内でのAR(拡張現実)体験も可能になる。さらに店頭在庫を持つことなく販売でき、在庫レスの物作りにもつながるという。

 例えば、KDDIが提供するスマホ向けサービス「au XR ドア」のウェブ版を活用した「VRショールーム」では、バーチャルサンプルをコンセプトにあったVR空間で360度見られるよう展示できる。スマホでQRコードを読み込み、3つの背景画像からひとつを選ぶとバーチャルサンプルが登場。床を認識させて目の前でARを体験したり、高精細なシミュレーション画像を表示したりできる。

 さらに、スマートグラスを使ったバーチャル展示でも、3Dデータのホログラムを目の前に立体的に投影することができ、360度回り込んで見ることが可能だ。ほかには、データの軽量化作業をしなくても高精細なバーチャルサンプルのモデルをVRやARで配信できるシステムや、KDDIが企画開発したバーチャルヒューマン「コウ」を活用した製品PRや店舗活性化の提案コーナーも興味深い。

ファッション以外でも広がる可能性

 今回新たに提案するメタバース技術を活用したコミュニケーションサービス「サンプルプランニングシステム」(仮称)も見逃せない。開発コンセプトは「場所と時間の壁を壊す新しいサービス」で、ものづくりにかかわる現場の担当者が世界どこからでも参加でき、同じ空間でバーチャルサンプルを見ながらの打ち合わせが可能になる。「サンプルを極力減せるうえ、仮想空間上に付箋を残すことで時間の壁を取っ払うことができる。時差のある国間での議論にスムーズに入れるのがメタバースのいいところ」と開発担当者は話す。

 ハイビジョンホールでは、2018年から取り組んできたマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボとの共同研究についても展示。MITが開発した最新のファイバー技術とホールガーメントの編成技術を融合することで自由に形状変化する次世代の生地の開発をめざしている。ファッション分野に限らず、医療や建築インテリアなど新たな分野への提案が期待されている。

 2階のトータルデザインセンターには、バーチャルファッションショーに出品した20体のうち10体をリアルサンプルとして展示。同時に、XRのコンテンツを活用して在庫を置かない未来の店舗スペースの提案も行っている。来社できない場合でも、360度VR空間を表示することで現地と同じような体験が可能だ。

 第5世代のホールガーメント横編機「SWG-XR」で編成されたサンプルも展示されており、多様な付加価値のあるものづくりを可能にした機能の進化ぶりには驚かされる。「シンカーを一新し、4カムキャリッジと自走式キャリアを採用したことにより、複雑なデザインでも非常に効率よく生産できるようになった」(開発担当者)。これまで不可能だったパンチレース編やインターシャ編みも可能になり、デザインやシルエットのバリエーションが広がっている。

 今回のイベントでも評価の高いSWG-XRについて島社長は、開発現場の意識改革が進んだ成果だという。「従来と異なり、ボトムアップでアイデアが出てきて、世の中にないおもしろいものが生まれやすい環境になりつつある。プロトタイピングのスピードを上げ、新しいものを作っていくプロセスが具現化されたひとつが、 SWG-XRだといえる」。

 60周年の節目を迎え、これからの方向性を問われた島社長は「人が生きていくために欠かせない衣食住すべての産業に有機的に関わっていきたい」と意欲を見せた。横編み機の世界的なリーティングカンパニーとして地位を築いてきた同社が、厳しい時代を乗り越え、どんな変化を見せてくれるのか、ますます目が離せない存在になりそうだ。

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三菱電機が「メトアギンザ」でエコな未来の可能性を学ぶ体験型イベント バーチャル乗車体験や分身ロボットの遠隔操作などのアトラクションも

 三菱電機は、イベント「そだてるタウン ― クリーンエネルギーは分けあえる!? みんなで街を輝かせよう ―」を体験型施設「メトアギンザ(METoA Ginza)」で2023年1月17日まで開催中だ。

 イベントでは、企画展示と4つの体験型アトラクションを用意し、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーによるサステナブルな未来の可能性を学ぶことができるという。企画展示エリアでは、巨大スクリーンに映し出された仮想都市「そだてるタウン」で発生するさまざまなミッションをゲーム感覚で体験できる。

 このほかには、東京上空を移動するバーチャル乗車体験や、分身ロボットの遠隔操作、駅と街のガイドアプリ「エキノート(ekinoto)」を使って街を“育てる”など、これらのアトラクションを通して三菱電機の製品やテクノロジーに触れることができる。

 イベントの開催に合わせて、同施設内の「メトア カフェ&レンストラン」では限定メニューを提供する。野菜やスーパーフードをメインにしたフードやコーヒーなどに加えて、新たにアップルコンポートパンケーキ(税込1408円)をラインアップする。

■イベント
期間:2023年1月17日
場所:メトアギンザ (1〜3F)
住所:東京都中央区銀座5-2-1
入場料:無料

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東レ“ウルトラスエード”が2023−24年秋冬の特設ページを開設 サステナブルな切り口を拡充

 東レは9月12日、人工皮革“ウルトラスエード®(Ultrasuede®)”のファッション向け2023-24年秋冬コレクションの特設ページを公式サイト上に開設した。

 特設ページでは、「BASICS」「FASHION VIEW」「ECO STORY」のコーナーを設けて、厚みの違いや後加工による多様なバリエーションから、植物由来やリサイクル原料を使用した環境配慮型素材まで幅広く紹介する。

 特に「BASICS」では、ビンテージ調やヌバック調の加工を施した素材を軸に、定番商品を厚み別に提案。「FASHION VIEW」では、サステナブルな価値観を拡大し「自然・機能性・美・アート」の4つの世界観から、用途に合った素材を選択できる。

 さらに、上質なアニリン革を彷彿とさせる繊細な質感としなやかさが魅力の“ウルトラスエード®ヌー(Ultrasuede®nu)”シリーズも併せてラインアップする。スワッチサンプルの無料オーダーも可能だ。

 “ウルトラスエード®”は、ジャパン・クオリティーの最先端素材として技術革新を繰り返しながら進化してきた高感度・高機能素材だ。スエード調人工皮革“ウルトラスエード®”と、銀面調人工皮革“ウルトラスエード®ヌー”の全2シリーズをそろえ、いずれも柔らかな風合いと手触りが特徴。天然皮革や合成皮革を超える特性を持った素材として、アパレルやバッグ、雑貨、靴、インテリア、自動車内装、コンシューマーエレクトロニクス(電子機器カバー)など、幅広い用途で採用されている。持続可能な社会に向けて、ポリマー・リサイクルシステムの導入や植物由来ポリマーへの移行など、環境負荷低減と共に産学連携の社会活動なども積極的に行う。

問い合わせ先
東レ ウルトラスエード事業部
03-3245-5401

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「ナイキ」がCO2排出量を抑えた新たなアパレル 「この20年で一番の革命」

 「ナイキ(NIKE)」はこのほど、サステナブルな最新技術として打ち出す、ニードルパンチ技術を用いたアパレルシリーズ「ナイキ フォワード(NIKE FORWARD)」を発表した。第1弾として、再生ポリエステル100%のクルーネック(1万5400円税込、以下同)とフーディー(1万8150円)のフリース2型を、公式ECサイトとアプリ、一部の直営店で9月17日に発売する。

 同社が5年以上かけて開発したニードルパンチ技術は、紡績や裁断、縫製などの工程を省き、繊維から直接テキスタイルを作ることができる。織物や布帛よりも短い工程で生産が可能なため、従来のニットフリースと比較して生産過程における二酸化炭素排出量75%削減できるという。同技術をコットンなどほかの素材にも応用でき、工場や家庭の廃棄物を用いることも可能で、開発担当者は「アパレル分野では、ここ20年で一番の革命だ」という。同社は現在特許を申請中だ。

 第1弾の素材は、繊維の密度が異なる5層のレイヤーで構成する。今回発売するフリース2型は、保温性に優れた仕様になっているが、レイヤーを組み替えることでライフスタイルからスポーツまで、さまざまなシーンに応用の効く商品開発が期待できるという。水資源の使用を削減するため染色工程を省き、カラーはグレーのみ。また商品の回収・リサイクルを前提とし、解体がしやすいようジッパーなどの資材は使用せず、ポケットは切りっぱなしのデザインになっている。アパレル商品の回収に関しては欧米が先行しているが、日本での実施も検討中だという。

 担当者は、「まだ大量生産できるキャパシティーがなく、毛玉が発生しやすなどの課題もあるが、『ナイキ』のサステナビリティのビジョンをかなえる革新的技術として今後も改良を重ねていく」と話す。

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「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表

 「パンゲア(PANGAIA)」はこのほど、廃棄繊維を染料に再生する新技術「リサイクロム(Recycrom)」を活用したコレクションを発表した。アロエグリーンやスカイブルー、コーラルピンク、バナナといったブランドのキーカラーで染めたフーディ(175ドル、約2万4000円)、トラックパンツ(140ドル、約1万9200円)、ショートパンツ(95ドル、約1万3000円)、Tシャツ(75ドル、約1万280円)をそろえ、公式ECサイトで販売中だ。

 同技術はイタリアのオフィシーナ+39(Officina+39)と共同で開発したもので、自社で出た廃棄繊維のうち、繊維への再生に適さないものを粉砕して顔料にする。水や化学薬品による汚染を避けた工程で生産されているというが詳細は非公開。

 アマンダ・パークス(Amanda Parkes)=パンゲア・チーフ・イノベーション・オフィサーは、「この技術は、廃棄を減らし水質改善を目指すという当社の研究に貢献するものだ。自社工場ではすでに、消費者からの古着の回収および分別のインフラが整っており、同技術は廃棄衣料の活用に役立てられるだろう」とコメントした。なお、最大の課題は原料の収集と加工のためのインフラ設備だと述べた。

 ロンドンを拠点とする同社は、アパレル製品の製造・販売だけでなく、環境に配慮した素材開発にも力をいれる。端材をオーガニックコットンと混紡した糸や、野花を原料にしたダウンの代替素材などを開発してきたほか、日本の人工タンパク質素材のスタートアップ企業スパイバーともパートナーシップを結ぶ。染色においては、このほかにもバクテリアによる染色技術や大気汚染由来のインクの実験にも着手している。「さまざまな染色ニーズに対して、多様なソリューションをそろえることが、私たちのサプライチェーンをより強固なものにし、何より生産工程における廃棄物の活用を進める効率的な方法だと考えている」とパークス=チーフ・イノベーション・オフィサーはコメントした。

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パタゴニアが出資 マイクロプラ流出を防ぐ洗濯バッグ開発の背景

 ドイツ発ラングブレット(LANGBRETT)のマイクロプラスチック流出を防ぐ洗濯バッグ“グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ(以下、グッピー)”は、2017年に発売され、今では50カ国以上で販売されるヒット商品だ。“グッピー”なしで洗濯した場合と比較して、洗濯で剥がれる合成繊維が平均79~86%が少なくなり、また、“グッピー”は繊維のはがれ落ちを防ぐため、どんな繊維の衣類でも劣化を防ぐことができ、長持ちにつながるという。パタゴニア(PATAGONIA)の投資部門ティン シェット ヴェンチャーズ(Tin Shed Ventures)の出資を受け開発にこぎつけた、開発者のアレキサンダー・ノルティ(Alexander Nolte)ラングブレット共同創設者兼ストップ マイクロ ウエイスト(STOP! MICRO WASTE)創設者にオンラインで話を聞いた。

WWD:なぜ洗濯バッグの開発を?

アレキサンダー・ノルティ=ラングブレッド創業者(以下、アレックス):“クローズドループ”をコンセプトにサステナブルなテキスタイルやアパレル、シューズを生産・販売するブランド「ラングブレッド」を運営する中で、顧客や取引先との間でたびたびマイクロプラスチック汚染問題が話題になり、「解決策」や「自分たちにできること」を尋ねられることが多かった。しかし、その都度気まずい思いをしていた。そんな体験をきっかけに、海洋環境活動家や大学と対話を始めると、マイクロプラスチック問題についてもっと理解を深め、話合う必要があると感じるようになった。そして、洗濯バッグはその有効なツールになると考えた。初めは商業化することを考えてはいなかったが、いくつかの大企業から特許を買いたいという申し出があり、特許を売るよりも収益を使って教育に充てたいと考えた。マイクロプラスチック問題に対する認知度を高めるため、ストップ マイクロ ウエイストを立ち上げ、子どもたちがマイクロプラスチックとは何か、それがどう気候危機に影響を与えるのか、最終的にどうすれば防ぐことができるのかといった教育活動を行っている。

WWD:話合うことや伝えることを重視して“洗濯バッグをそのツールにした点がユニークだ。

アレックス:この課題は伝えることが課題だと感じたから。「あなたは気にしなくていい」という解決策ではなく、重要なのは「マイクロプラスチックとは何か」「どこから来るのか」「実際に自分たちができることは何か」といった情報を持つこと。私たちは洗濯ガイドも発信しているが、“グッピー”を通じて、洗濯バッグを売ること以上のことができる。例えば固いジーンズと柔らかいフリースを一緒に洗うと洗濯中に擦れ合い、多くの繊維が壊れる。分けて洗えば洗濯で流出するプラスチックはかなり減るといったことを伝えている。

WWD:直接発信するだけではなく50カ国以上にある“グッピー”の販売店を通じて伝えている。

アレックス:私たちは大型店と同様に、顧客に1対1で説明できるようなエコでプラスチック製品を扱わない小さな店も需要だと考えている。もともとたくさん売ることを目的にしておらず、大手企業がマーケティング予算を使い「フリースを2枚買うと“グッピー”を1つプレゼント」なんてこともしたくなかった。グリーンウオッシングのために使うのではなく、マイクロプラスチック問題を伝えることに関心のあるパートナーを見つけたいと考えている。

WWD:“グッピー”開発で苦労した点は?

アレックス:まずはマテリアル選びだ。どのマテリアルがベストで、繊維がはがれるのを防ぐことができるのかーーそして、技術的な挑戦もあった。水と洗濯洗剤がバッグの中に入り、剥がれ落ちた繊維はバッグにとどまらなくてはならない。

WWD:結果どのようなマテリアルに?

アレックス:サーモフィクセーション(熱凝固)という方法を用いたとてもなめらかなマテリアルだ。どんな衣類でも“グッピー”に入れて洗うと摩擦は減り、壊れる繊維をより少なくなし、壊れた繊維もバッグの中に留まる。

WWD:“グッピー”に入れて洗う場合、どの程度マイクロプラスチックの流出を防げるのか。

アレックス:ドイツのフラウンホーファー研究機構(UMSICHT)の試験によると、合成繊維の衣類では、“グッピー”なしで洗濯した場合と比較して、繊維の脱落が平均79~86%が少なくなる結果が出た。合成繊維だけではなく、どんな繊維でも“グッピー”に入れて洗うと長持ちする。

WWD:洗濯バッグは糸くずフィルター以上の効果があると。

アレックス:(日本では一般的だが欧米では少ない)洗濯機付属の糸くずフィルターは、水圧が一方向から来るので、いずれかの段階で繊維を押しつぶし、フィルターを通り抜けてしまう。それに比べて洗濯バッグは水の中にあり、渦を巻いて水が入ってくるので、繊維がバッグの中に留まる。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
講義のみが受講できるオンラインコースも同時に受け付けています。


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パタゴニアが出資 マイクロプラ流出を防ぐ洗濯バッグ開発の背景

 ドイツ発ラングブレット(LANGBRETT)のマイクロプラスチック流出を防ぐ洗濯バッグ“グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ(以下、グッピー)”は、2017年に発売され、今では50カ国以上で販売されるヒット商品だ。“グッピー”なしで洗濯した場合と比較して、洗濯で剥がれる合成繊維が平均79~86%が少なくなり、また、“グッピー”は繊維のはがれ落ちを防ぐため、どんな繊維の衣類でも劣化を防ぐことができ、長持ちにつながるという。パタゴニア(PATAGONIA)の投資部門ティン シェット ヴェンチャーズ(Tin Shed Ventures)の出資を受け開発にこぎつけた、開発者のアレキサンダー・ノルティ(Alexander Nolte)ラングブレット共同創設者兼ストップ マイクロ ウエイスト(STOP! MICRO WASTE)創設者にオンラインで話を聞いた。

WWD:なぜ洗濯バッグの開発を?

アレキサンダー・ノルティ=ラングブレッド創業者(以下、アレックス):“クローズドループ”をコンセプトにサステナブルなテキスタイルやアパレル、シューズを生産・販売するブランド「ラングブレッド」を運営する中で、顧客や取引先との間でたびたびマイクロプラスチック汚染問題が話題になり、「解決策」や「自分たちにできること」を尋ねられることが多かった。しかし、その都度気まずい思いをしていた。そんな体験をきっかけに、海洋環境活動家や大学と対話を始めると、マイクロプラスチック問題についてもっと理解を深め、話合う必要があると感じるようになった。そして、洗濯バッグはその有効なツールになると考えた。初めは商業化することを考えてはいなかったが、いくつかの大企業から特許を買いたいという申し出があり、特許を売るよりも収益を使って教育に充てたいと考えた。マイクロプラスチック問題に対する認知度を高めるため、ストップ マイクロ ウエイストを立ち上げ、子どもたちがマイクロプラスチックとは何か、それがどう気候危機に影響を与えるのか、最終的にどうすれば防ぐことができるのかといった教育活動を行っている。

WWD:話合うことや伝えることを重視して“洗濯バッグをそのツールにした点がユニークだ。

アレックス:この課題は伝えることが課題だと感じたから。「あなたは気にしなくていい」という解決策ではなく、重要なのは「マイクロプラスチックとは何か」「どこから来るのか」「実際に自分たちができることは何か」といった情報を持つこと。私たちは洗濯ガイドも発信しているが、“グッピー”を通じて、洗濯バッグを売ること以上のことができる。例えば固いジーンズと柔らかいフリースを一緒に洗うと洗濯中に擦れ合い、多くの繊維が壊れる。分けて洗えば洗濯で流出するプラスチックはかなり減るといったことを伝えている。

WWD:直接発信するだけではなく50カ国以上にある“グッピー”の販売店を通じて伝えている。

アレックス:私たちは大型店と同様に、顧客に1対1で説明できるようなエコでプラスチック製品を扱わない小さな店も需要だと考えている。もともとたくさん売ることを目的にしておらず、大手企業がマーケティング予算を使い「フリースを2枚買うと“グッピー”を1つプレゼント」なんてこともしたくなかった。グリーンウオッシングのために使うのではなく、マイクロプラスチック問題を伝えることに関心のあるパートナーを見つけたいと考えている。

WWD:“グッピー”開発で苦労した点は?

アレックス:まずはマテリアル選びだ。どのマテリアルがベストで、繊維がはがれるのを防ぐことができるのかーーそして、技術的な挑戦もあった。水と洗濯洗剤がバッグの中に入り、剥がれ落ちた繊維はバッグにとどまらなくてはならない。

WWD:結果どのようなマテリアルに?

アレックス:サーモフィクセーション(熱凝固)という方法を用いたとてもなめらかなマテリアルだ。どんな衣類でも“グッピー”に入れて洗うと摩擦は減り、壊れる繊維をより少なくなし、壊れた繊維もバッグの中に留まる。

WWD:“グッピー”に入れて洗う場合、どの程度マイクロプラスチックの流出を防げるのか。

アレックス:ドイツのフラウンホーファー研究機構(UMSICHT)の試験によると、合成繊維の衣類では、“グッピー”なしで洗濯した場合と比較して、繊維の脱落が平均79~86%が少なくなる結果が出た。合成繊維だけではなく、どんな繊維でも“グッピー”に入れて洗うと長持ちする。

WWD:洗濯バッグは糸くずフィルター以上の効果があると。

アレックス:(日本では一般的だが欧米では少ない)洗濯機付属の糸くずフィルターは、水圧が一方向から来るので、いずれかの段階で繊維を押しつぶし、フィルターを通り抜けてしまう。それに比べて洗濯バッグは水の中にあり、渦を巻いて水が入ってくるので、繊維がバッグの中に留まる。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
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「SK-II」唯一の製造拠点、P&G滋賀工場を公開 世界に4つしかない環境リードサイトの取り組みとは?

 「SK-II」はこのほど、滋賀県野洲市にあるSK-II滋賀工場内に新施設「ピテラ エクスペリエンス センター」を開設しメディア向けに公開した。同工場は、「SK-II」唯一の生産拠点であり、13の国と地域に流通する「SK-II」製品の全ての製造を担う。2019年に製造棟を増築し、滋賀工場の創業50周年となる昨年には新管理棟が竣工した。同棟内に「ピテラ エクスペリエンス センター」を開設し、約10年ぶりに工場内を公開した。

 プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)では、サステナビリティをグローバル経営戦略の一つに据え、長期ビジョン「Ambition2030」を通じて明確な数値目標を設定している。さらに、40年のネットゼロ達成に向けて、世界にあるP&Gの約130の工場のうち、日本・滋賀、フランス・ブロワ、スペイン・ヒホナ、チェコ・ラコナにある4つの工場をリードサイトに選定。環境負荷低減のパイロットプランを推進する。日本国内には滋賀工場のほかに「パンパース(PAMPERS)」などを製造する明石工場、「ファブリーズ(FEBREZE)」「レノア(LENOR)」を製造する高崎工場がある。

自動化により安全・衛生面を厳格に管理

 滋賀工場は、環境に優しいサプライチェーンを目指し包装ラインや製造システムを刷新。倉庫を自動化するなど安全・衛生管理を徹底する。製造ラインのガラス製ボトルの亀裂をチェックする工程では、AI(人工知能)搭載の機器を導入。AIが学習することで検査の精度を高めている。ボトルをレールに乗せる工程では、ロボットのアームが正確な動きで割れや破損が起きないようにボトルを運び、中身の充填前に二重のジェット噴射でボトル内の細かい埃を取り除く。外箱のラベルの位置にズレがないかの検品も機械による自動スキャンで行う。自動化と人の目によるチェックの組み合わせにより安全な製造を可能にしている。

産業排水を飲料レベルまで浄化し再利用する取り組み

 滋賀工場では、製造工程で出る排水を循環させる設備を持つ。現在は排水の11%を循環させており、循環した水は飲用水レベルまで水質を浄化し、製造用純水に精製される。この設備の導入により、滋賀工場の生産量あたりの水使用量は19年6月以降10%以上向上した。現在新たに、排水に科学的な処理を行い浄化する“水再生プラント”を建築中で、12月の竣工を予定する。プラントで浄化した水を水循環システムに送り込むことで、排水を100%再利用できることになる。

駐車場を利用したアジア拠点最大の太陽光発電パネル

 P&Gジャパンとして初めて、またP&Gグループのアジア拠点最大の太陽光発電パネルを駐車場のスペースを利用し設置した。太陽光パネルで発電した電力は、管理棟の電力需要を100%カバーするほか、余剰電力は化粧品製造設備で利用する。これにより生産量あたりの温室効果ガス排出量を10年比53%削減することに成功した。19年6月からは再生可能エネルギーを購入し、二酸化炭素排出実質ゼロを実現。将来的に、滋賀工場としての二酸化炭素排出量ゼロを目指す。これらの取り組みにより、P&G滋賀工場は21年に国際環境認証制度「LEED」のゴールド認証を取得。3月には、全米製造業協会(U.S National Association of Manufactures)のサステナビリティ・サーキュラーエコにミーリーダーシップアワードを受賞した。

新設した「ピテラ エクスペリエンス センター」

 「ピテラ エクスペリエンス センター」では、ピテラ研究の歴史や肌測定のミニマジックスキャンを展示。壁には“責任あるバリューチェーン”のモデルを一筆書きで描いたイラストや、滋賀の伝統工芸品である信楽焼に従業員を描いたオブジェを飾り、地域や人とのつながりを表している。建設に際しては、再生プラスチック以外のプラスチックを使用せずに設計した。管理棟の建設過程でも、低炭素鋼など持続可能な材料を用い、埋め立て廃棄物ゼロを実現した。「ピテラ エクスペリエンス センター」は、現時点では一般非公開となっている。

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写真プリントショップの運営会社がアパレル参入、商機は「アパレルもオンデマンドプリントへの変革」

 写真プリントショップ「パレットプラザ(PALETTE PLAZA)」やスマホショップを運営するプラザクリエイトがアパレル事業に参入する。テキスタイルやTシャツプリント機の最大手企業のコーニットデジタル(KORNIT DIGITAL)と提携し、原宿に最新鋭のインクジェットプリント機を併設したカフェ型のスペース「クリエイティブプラザ・ハット(CREATIVE PLAZA HATTO)」」を9月にオープンする。東証スタンダード上場のプラザクリエイトは写真プリントの「パレットプラザ」を239店舗、「ソフトバンクショップ」「ワイモバイルショップ」を軸にしたスマホ販売店を109店舗、全国で運営している。なぜ写真プリントとスマホショップ販売の同社がアパレルに参入するのか。今年7月1日に社長に就任したばかりの新谷隼人・社長に聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):なぜアパレルに参入を?

新谷隼人(以下、新谷):大量生産・大量廃棄などの問題を抱えるアパレル産業は大きな転換期にある。大量に作ってから売って、多くの在庫を残してしまうビジネスモデルは転換期にある。当社の祖業である写真現像やプリント事業はそれとは全く逆で、全国に展開する店舗でプリントしてお客に渡すというビジネスモデル。コーニット社の最新鋭のインクジェットプリント機を含めた生産プラットフォームを使えば、アパレル産業も受注してから作って販売するサステナブルなビジネスモデルに変革できる。そうなると我々がこれまで展開してきたビジネスモデルに近くなる。

WWD:全くの新規参入だ。勝算は?

新谷:機械さえあればうまくいくみたいなことは全く考えていない。アパレル事業は、toC(最終消費者向け)ではなく、toB(法人向け)のビジネスからスタートする。ただ基本的に本気でアパレルをサステナブルに変えて行きたいと考えている。コーニットの最新鋭プリント機「アトラスマックス(ATLAS MAX)」とカフェを併設した「クリエイティブプラザ・ハット」は約70坪。同機は、日本初導入となる最新鋭のインクジェットプリント機で、これまで必要だった前処理工程が不要で、文字通りワンステップで多種多彩でかつ非常に高精度なテキスタイルプリントが可能で、1時間で最速100枚のTシャツをプリントできる。

 「クリエイティブプラザ・ハット」のコンセプトは、「カフェ・コミュニティ・プリント」をかけ合わせ、新しくサステナブルなアパレル産業に変革する事業者たちが集う拠点。カフェも、グアテマラ発のサステナブルコーヒーとして知られる「グッド・カフェ・ファームズ(GOOD COFFEE FARMS)」と組む。サステナブルで美味しいコーヒー楽しみつつ、最新鋭の繊維機械を実際に見てもらうことで、変革の機運を高めたい。

新谷:当社は環境の変化に応じて、新たな小売り業態、しかもリアル店舗をベースにした新業態を作ってきた。コーニットの機械を初めて見たとき、大きな衝撃を受けた。私は当社で「ソウゾウ事業」を担当し、新規事業の立ち上げに携わってきたが、まさに何か新しいことが始まる」ということを直感した。スマホショップは30〜50坪で月1000万円の売り上げを持つものの、写真プリントの「パレットプラザ」は10〜15坪の店舗で月間200〜300万円。1枚20〜30円のプリントを積み上げて売り上げを作っている当社にとって、数億円の機械と神宮前に60坪という店舗は、かなり大掛かりな新規投資だ。

 ただ正直、現時点ではあえて今後の事業プランはほぼ白紙の状態だ。「クリエイティブプラザ・ハット」を運営しながら、今後については決めていく。「パレットプラザ」など既存の300店舗をこの新規事業に切り替えていく可能性もあるし、まったく別のやり方もするかもしれない。一つ決まっているのは3年で10億円の数字を作ること。当社の財産は既存の店舗で日々、お客さまと接点を持っていること。白紙とは言ったが、「パレットプラザ」で紙にプリントしているものを布に置き換えようと思っただけでも、かなり多くの潜在需要がある。紙と布では全然違うと思われるかもしれないが、イメージをなにかに残したいという本質的なニーズは実はそう変わらない。「アトラスマックス」は積層型のプリントで刺繍のように表現できるプリントもあり、アパレルに限定せず、グッズや日用雑貨、ノベルティグッズなどの用途にも広げられる。そうしたアイテムを「パレットプラザ」で販売することも考えられる。

WWD:パートナーはどういった企業やブランドを?

新谷:すでに有力なセレクトショップなどに声をかけている。パートナーとして重要なのは「既存のマインドを変えられるか」だと実感している。少し気になっていることがある。私がアパレル関係者を訪ね歩き、「既存のアパレル産業のやり方には大きな問題がある。なぜ変えられないのか?」と指摘すると、誰もが一様に悲しげな表情をすること。ロクにアパレルビジネスのことなど知らない新参者にこんなことを言われたら、憤慨する人がいてもおかしくない。にもかかわらず悲しい表情になってしまうのはなぜなのか。いずれにしろ当社は、アパレル産業は今こそサステナブルに変われると信じているし、そうした志を同じくする人を探し求めている。響くことがあれば、ぜひ我々と一緒に変革に取り組んでほしい。

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「ジョンマスターオーガニック」が700着の美容部員の制服を約8000個のコースターにアップサイクル

 ジョンマスターオーガニック(以下、JMO)グループは、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」の美容部員が着用した制服700着を、廃棄された衣類繊維をアップサイクルする循環型繊維リサイクルボード「パネコ(PANECO)」の技術を用いて約8000~9000個のコースターにアップサイクルした。7月7日から直営店舗で1点以上の製品購入者にコースターをプレゼントする。

 野田義宗JMOグループCEO/CBOは、「制服には日々お客さまと真剣に対峙しているスタッフの血と汗と涙がしみ込んでいる。そんな約700着の制服を2シーズンに1回、廃棄することに違和感とストレスを感じていた」という。制服のデザインは今後の活躍が期待できる若手デザイナーに依頼し、機能性とデザイン性を融合したスタッフが納得して着られるものにしている。そこで「アップサイクルも同じくらいの熱量で取り組みたい」と「パネコ」を開発したワークスタジオに依頼した。

 コースターはスタイリッシュで手ざわり感が心地よいものに仕上がった。「私たちの思いがこもったコースターをお客さまに手渡せるのは幸せなこと」と野田CEO/CBOは語る。

 同社は「パネコ」を21年7月に表参道にオープンした青山店の内装の一部に使用したほか、他店舗のリニューアルの際にも採用している。

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資生堂と積水化学、住友化学がタッグ 化粧品容器を分別なくリサイクルするスキームを構築

 資生堂は積水化学工業と住友化学とタッグを組み、プラスチック製化粧品容器を回収し、分別することなく資源化、原料化して容器に再生する循環モデル構築に向けた取り組みを開始する。

 化粧品容器は、中身の保護や使いやすさ、デザイン性が重視されるため、多種多様なプラスチックから作られている。そのため分別が難しく、プラスチック資源として循環利用する際の課題となっていた。そこで3社は互いの強みを生かし、プラスチック製化粧品容器の回収から再生までの新たな仕組みを構築する。

 資生堂は、店頭を通じたプラスチック製化粧品容器の回収スキームの構築と、化粧品容器への再生ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンなどの総称でプラスチックの一種)の活用に取り組む。

 積水化学は、使用済みプラスチックなどの可燃性ごみを分別することなくガス化し、微生物の力でエタノールに変換する“BR エタノール技術”を用いて、プラスチックの原料であるエタノールへの資源化を行う。住友化学は、資源化したエタノールを原料にエチレン(ポリエチレンなどの合成樹脂や有機化合物の原料) を製造する技術を用いて、従来の化石資源を原料とした製品と同等の品質を持つ再生ポリオレフィンを提供する。

 3社が企業の垣根を超えて連携し、さらに関連する業界や企業にも参加を働きかけサーキュラーエコノミーの実現を目指す。

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スパイバーからジャスティン・ビーバーまで 世界で支持を集めるパンゲアとは

 スパイバー(Spiber)が長期的パートナーシップの相手として選んだパンゲア(PANGAIA)とはどのような企業なのか。2018年設立の新興企業で、フーディやスウェットパンツなどシンプルなデザインの製品を提供する。マテリアルサイエンスを掲げ、アパレル製品の製造・販売だけでなく、素材開発にも力を入れ、素材の製造・販売も行うユニークな企業だ。資金調達額などは非公表だが、調達ラウンドはシリーズA。設立メンバーに実業家で環境活動家、インフルエンサー(インスタグラムのフォロワー数は187万人)のミロスラヴァ・デュマ(Miroslava Vasilyevna Duma)がいる。スパイバーが生み出す人工構造タンパク質素材“ブリュード・プロテイン”を生地やアパレル製品の形にできるパンゲアはいわば科学をベースにした”近未来のマテリアル&アパレルメーカー“。アマンダ・パークス(Amanda Parkes)=パンゲア・チーフ・イノベーション・オフィサーにオンラインで話を聞く。

WWD:パンゲアとはどんな企業か?

アマンダ・パークス=チーフ・イノベーション・オフィサー(以下、パークス):私たちはファッションブランドでありマテリアルサイエンスの会社だ。共同体で経営しており、設立に関わったのは5人。R&D部門を持つことを目標に、ファイナンス、マーケティング、ファッション、サイエンスとさまざまな領域で経験のある人が集まって始めた。当社が他のアパレルメーカーと異なる点は、社内にR&D部門があり科学者がいる点で、初期段階にあるアイデアも研究所やスタートアップ企業と協働している。私たちは素材の哲学を*“ハイテクナチュラリズム”として、見捨てられているモノに注目して廃棄物を減らす技術や工程を採用している。

“ハイテクナチュラリズム”とは「最新技術と自然を活用して、テキスタイルの機能性を拡張していくもの。 自然の豊かさを生かし、最新技術と組み合わせることで、自然の力を最適化して補強していくこと」と広報担当者

WWD:具体例は?

パークス:グースダウンの代替素材“FLWRDWNTM”は、ワイルドフラワーにバイオポリマーとセルロースエアロゲルを混ぜた素材で、動物由来のダウンのような機能を持つ。私たちのダウンには動物も石油由来の材料も含んでいない。

WWD:「H&M」が採用した素材だ。開発に10年以上かかったとか。

パークス:H&Mへネス・アンド・マウリッツの「コス(COS)」の商品にも採用された。私たちは開発したマテリアルをBtoBで販売するビジネスも行っており、ブランドにマテリアルをシェアしている。

WWD:R&D部門を持つアパレル企業は非常に珍しい。新技術や新素材を取り入れたアパレルアイテムを開発し、メンバーのほとんどがバイオテクノロジーなど科学に造詣の深い科学者や技術者だと聞く。スパイバーは協働先としてパンゲアを選んだ理由に「マテリアルサイエンスカンパニーであり、タンパク質素材開発がいかに革新的か、またその一方で相当の困難や挑戦が強いられることを理解していた点」を挙げ、「生地を渡して終わりではなく、より良くするために、紡績方法や生地の編み方、染め方や仕上げ方などの加工方法で何度も試行錯誤を重ね、さまざまな知見が蓄積した。次の素材開発にとっても大きな財産になった」と話していたのが印象的だった。改めてR&D部門について教えてほしい。

パークス:現在研究者が18人在籍しており、物質科学や生化学、生物学、繊維工学、機械工学などさまざまなバックグランドを持つ人が、ロンドン、ポルトガル、イタリア、ニューヨークなどに分散している。さらに外部コラボレーターがいる。加えて、当社には、環境科学に関しての専門知識を持つ科学者によるインパクト部門がある。

WWD:インパクト部門の役割は?

パークス:テキスタイルや製品全てのサプライチェーンを把握・分析し、ライフサイクルアセスメント(LCA)調査を行っている。バリューチェーン全体の環境フットプリントを検証するために活動している。事業の中核にあり、コレクティブに透明性を持たせている。会社が与える影響を分析しており、私たちが今後どう前進すればよいのか、会社をよりよくするための、科学に基づいた目標を設定することができる。

WWD:スパイバーをはじめとした注目企業と具体的にどのように協働しているのか。

パークス:私たちの研究の柱である生物多様性に基づいて進めている。さまざまなリサーチを基に、創業メンバーでミーティングを重ね、さらにR&Dチームを交えて詳しい調査を行い、どのように協働するのがいいか議論を重ねたうえで、アプローチしている。大切なのは関係を築き、各企業が何を必要としているかを見極め、それに応じること。なので、協働する企業によって方法は異なる。商業化への手助けをしたり、製造をサポートしたり、マーケティングの手伝いをしたりーー私たちは、挑戦的なイノベーションを素早く市場に出すことができる企業として、高品質な製品を製造できることで知られている。

ーー使用する素材のガイドラインは?

パークス:*コットンからの脱却を目指すべく、新しい植物を取り入れた素材開発に注力している。リサイクルカシミアなどの動物繊維を使用することはあるが、動物由来のものは全て倫理的に調達し、皮革は使用しない。化石燃料由来の素材や有害物質も使用しない。廃棄物削減も心掛けており、製造工程で出た廃棄物を再利用したり、全ての工程において廃棄物を減らすことを行っている。

パンゲアは1つの植物繊維に依存することは、単作を促進する可能性があると考え、より多様な素材を取り入れようと試みている。最終的な目標は「真の循環型経済の発展に貢献すること」で、そのために素材、農業、エネルギーが本質的に結びつき、バイオマスを中心としたバイオエコノミーへの転換が必要だと考えている。生物多様性を促進し、石油化学物質を排除し、気候変動に配慮した未来をサポートする問題解決型の素材を見つけることに注力している

WWD:現在何件くらいコラボレーションを行っているか。

パークス:これまでに8件、現在少なくとも15件以上を計画している。

WWD:特に力を入れている技術は?

パークス:全て、というしかない。それこそがブランドが前進するために大切なことだから。多くのテクノロジーは重複していて、例えば、農業廃棄物を用いることは生物多様性の保全と廃棄物削減、両方を推進する。農業廃棄物に注目することもあれば炭素変換技術にも注目しており、用いるのは多くのバイオファブリケーション技術だ。

WWD:話は変わるが、硬派な社風の一方で、ブランドが知られる機会となっているのはジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)やナタリー・ポートマン( Natalie Portman)、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez )らセレブリティが着用している点だ。

パークス:自然に起こったことだった。セレブリティにお金を支払ったことはなく、特定の人にギフトとして贈った。それを着てタグ付するかは本人次第。なので、賃金が支払われるようなキャンペーンはしていない。

WWD:特徴的なデザインでない点もポイント?

パークス:現時点でのデザインビジョンは、“ライフスタイルベーシックス”と呼ばれる、ワードローブの必須アイテムになるものを提案している。汎用性が高く、何度も着られるようにね。

WWD:ファッション業界の通例であるシーズン提案を行っていない。

パークス:私たちは異常とも言えるほど速いスピードのファッション業界に考え直してほしいと思っている。私たちは、技術開発をして素材の準備が整ったら販売したいと考えている。ハイテク企業みたいにね。もちろんシーズンによって色やスタイリングを変えることはあるし、夏にはリネンのような軽めの生地を用いるなど、季節感は意識するけど、ベースカラーで1年を通じてワードローブの土台となるような衣類を提供することがいいことだと信じている。人々のクローゼットの安定性を作りだすことが大切で、季節ごとに絶え間なく変化するクローゼットはどうかと考えている。

WWD:今後の展望は?

パークス:とても楽観的だ。R&Dと投資を加速・拡大する。既存製品は改良し続ける。マテリアル販売も拡大し、私たちの素材を用いたプロダクトが他社から売られているのを見たい。

WWD:最後にアマンダさん自身について。ファッション科学者という珍しい肩書きを名乗り、「ファッションは科学を表現できるすばらしいプラットフォームだ」ともインタビューで答えている。改めてその意図を教えてほしい。

パークス:自分を正しく描写している言葉だと思ったから。服の形や体とのバランスだけでなく、製造工程を科学的な視点でアプローチしたいと本気で考えている。だから私はこの言葉を使い始めた。

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ポリウレタンとポリエステルの複合素材のリサイクル可能に 開発者に聞く

 中国発のスタートアップ、チンタオ・アミノ・マテリアルズ・テクノロジー(Qingdao Amino Materials Technology)は、ポリウレタンとポリエステルの複合繊維をリサイクルする技術を開発した。この技術で2022年のH&M創業者によるイノベーションアワード、グローバル・チェンジ・アワードを受賞した。従来の繊維リサイクルは単一素材が一般的で、複合繊維の場合、どちらか一方の繊維のみがリサイクル可能であることが多い。しかしこの技術では、ポリウレタンとポリエステル、2つの繊維のリサイクルが可能になるという。開発したデビン・マオ(Debin Mao)最高経営責任者に話を聞く。

デビン・マオ/チンタオ・アミノ・マテリアルズ・テクノロジー最高経営責任者:2009年からベルギーのVITOに勤務し、研究開発、ビジネス、マネジメントの各職務に従事。クリーンテクノロジー、環境リサイクル、新エネルギー、新素材などの分野で、VITOと数十件の中国機関との協働や、科学技術面の変革プロジェクトを主導。技術研究開発、企業管理、科学研究成果の価値化、産業化などの分野で豊富な経験を積む

WWD:なぜポリウレタンとポリエステルの複合繊維に注目したのか?

デビン・マオ=チンタオ・アミノ・マテリアルズ・テクノロジー最高経営責任者(以下、マオCEO):理由は2つある。とてもよく使われる素材であること、そして、ポリウレタンがとても高価だから。昨年は最も高いときに1トン約1万ユーロ(約141万円)、直近は約6000~7000ユーロ(84万6000円~98万7000円)だった。

WWD:どのようなチームで、いつ頃から開発を始めたのか?

マオCEO:私たちは5人のチームで立ち上げた小さなスタートアップで、化学工学のバックグラウンドを持ちポリマーを研究している科学者もいれば、私は過去10年間ビジネス開発を行ってきた。何人かは本業があるのでフルタイムで働いていないが、アイデアのブレストを重ね、実行に移したのが約2年半前の2019年だった。

WWD:具体的にどのように分離して再生するのか。

マオCEO:日本や韓国でもリサイクル技術やリサイクルポリエステルの活用なども進んでいるが、今あるリサイクル技術では一方の素材を損ねてしまう。私たちの技術は、特別な酵素触媒を用いることで、2つの異なる繊維を区別する。そしてポリエステルだけを選定して解重合(ポリマーをモノマーまたはモノマーの混合物に変換するプロセス)を行うことができるため、ポリウレタンやコットンなど、もう片方の繊維がそのまま残り、異なる素材がリサイクル可能にできる。

WWD:ポリウレタンはどう再生するのか?

マオCEO:ポリウレタンはそのまま糸状で残る。回収されたポリウレタンを検査した結果、全ての繊維が良い状態を保っていた。ポリウレタンは有機溶媒で溶解し再び新しい繊維に再生できる。プロセスの詳細について開示できるのは、ここまでだ。

WWD:化学処理では水を使用しないとのことだが、エネルギーや化学薬品などはどの程度使用するのか?

マオCEO:私たちはプロセス全体を循環させたいと考えた。つまり、ポリウレタンとポリエステルを再利用するだけでなく、プロセス内の化学物質もすべて回収して再利用することに挑戦している。まだ研究段階にあり、完全なテック・エコノミック・アセスメント(Tech-economic assessment:正確なエネルギー消費量やリサイクル率などが含まれる有益な指標)を実施していないため、正確な数字を伝えられないが、現在準備中のパイロット規模の生産を開始する際に評価を実施予定だ。しかし、私たちの再生繊維の経済性を、非常に前向きに見ている。既存の技術と比較すると、私たちのプロセスは非常に温和な条件下で行われるため、消費するエネルギーは少なく済む。また、私たちの技術は高価なエラスタン繊維を再生し、再利用することができる。

WWD:量産化への計画は?

マオCEO:これから1年で生産量を1トンに引き上げ、最適化を重ねて全てがうまくいけば、2年目には100トンまで引き上げたい。ここまでいけば、その後は特定のステークホルダーと戦略的なコラボレーションにつなげることができるのではと考えている。

WWD:このリサイクルは既存の機械で行うことができるのか?あるいは新たに特別な機械を作る必要があるのか?

マオCEO:すでにあるものを市場から購入する。機械が特別なのではなく、プロセス自体が特別だ。

WWD:工場は中国に作るのか。

マオCEO:少なくとも100トン規模までは中国を拠点に行う。まだ先のことはわからないが、100トン規模で成功できれば、ナイキ(NIKE)など世界規模の企業が興味を持ってくれるのではと思っている。資本提携やジョイントベンチャーなど、さまざまな形態が考えられるので、形態によってどのように展開するかを考えていく。中国以外にも工場を設けるかもしれないし、それはコラボレーションによって変わってくると思う。

WWD:並行してパートナーを模索していく?

マオCEO:ええ。私たちはスタートアップなので、H&Mファンデーションからの助成金もとてもありがたいし、評価としても私たちを後押ししてくれると思っているが、1トン規模までは助成金などを活用することで可能だが、100トン規模では資金が必要になる。他のスタートアップ同様、資金調達は第1ラウンド、第2ラウンドと必要になる。タイミングを見極めて素早く行動に移さなければいけない。

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洗濯で衣類が回復 寿命を延ばすケア製品誕生秘話

 洗えば洗うほど衣類にダメージを与えてしまう洗濯の常識を覆す製品が誕生した。洗濯機に使い古した衣類と一緒に入れて洗うだけで衣類が回復するバウダーをスウェーデンのスタートアップ、バイオリストア(BIORESTORE)が開発した。毛羽立ちや色落ちが、酵素とミネラルの力で復元するという。現在、特許を出願中のこの技術で、2022年のH&M創業者によるイノベーションアワード、グローバル・チェンジ・アワードを受賞した。すでに製品化に成功しており、4月19日からキックスターターのプラットフォームでプレオーダーを実施した。現在の資金調達額は430万スウェーデン・クローナ(約5750万円)。創設者のワジャハット・ハッサン(Wajahat Hussain)とリチャード・トゥーン(Richard Toon)クリエイティブ・ディレクターにオンラインで話を聞いた。

WWD:洗濯に着目した経緯は?

ワジャハット・ハッサン(以下、ハッサン):実は洗濯に注目していたわけではなく、ファッション産業が抱える最大の課題を解決したいという思いがありました。最大の課題ーーそれは衣類には寿命があることだと考えました。服が高品質であろうとなかろうと全ての衣類は着古され、いずれ着用できなくなります。私たちはその解決策となる使い古された衣類を復活させる方法について模索を始め、パウダー“バイオリストリア”を開発しました。パウダーは洗剤のようなものではありますが、私たちは洗剤(detergent)ではなくre-tergent(造語)と呼んでいます。

WWD:どのように復元させるのですか?

ハッサン:パウダーを衣類と一緒に洗濯機に投入し、40℃の温水で洗濯すると、取り出した衣類は新品のように復活します。洗剤のように洗浄するわけではないので、“バイオリストリア”をretergentと呼び、将来的にはこのretergentがスーパーなどの洗剤・洗濯コーナーで、新たなカテゴリーになればと思っています。

WWD:パウダーの原料は?

ハッサン:主な原料は5~6種類で、一番メインとなる要素は酵素です。専門的な言葉で言うとケミカルリサイクルのプロセスを行います。酵素と洗濯機が互いに作用して、酵素が小さな繊維を取り除き、繊維構造から構築することで、衣類を復元することを可能にしました。

WWD:酵素についてもう少し詳しく教えてください。

ハッサン:発酵の過程によって得られる酵素で、その由来となるものはさまざまです。それぞれ異なる種類の原料から抽出され、酵素はそれぞれの性能を持ち合わせていて、それを混合したものを使用しています。

WWD:世界中のどんな洗濯機でも効果を発揮する?

リチャード・トゥーン(以下、トゥーン):洗濯機に求める機能は主に2つで、一つは回転のメカニズム、そしてもう一つは40度の温水を使用すること。この両方を備えた洗濯機であれば、問題なくどこの洗濯機でも使用できます。

WWD:一般的な家庭用洗濯機で使用できると。

トゥーン:はい。だからこそ消費者向けに製品化していて、使い方はいたってシンプルです。この製品はいずれスーパーや小売店、オンラインでも購入できるようになります。

WWD:価格を教えてください。

ハッサン:第一弾となる製品は、大人向けの衣類であれば8着程度、子ども服であれば10着程度に使用できる量が入っています。価格は1着を復活させるのに約2~3ドルの計算で、1回使用すると約6~7カ月ほど効果を発揮します。複数回着用し、劣化してきたと感じたら使用していただくようなものです。

トゥーン:例えば150ドルの服購入し、着用して4回“バイオリストア”を使ったとします。4回新たに服を購入する機会を減らすことができて600ドルの節約になる。4回衣類を復活させるためにかかる費用は15ドルほどです。

WWD:セルロースに反応するとのことですが、他の素材や混紡素材などでも使えますか?

ハッサン:使えないのは100%ウールや、100%合成繊維などの製品です。コットンやコットン混、セルロースとコットンの混紡素材に加えて、アクリルやポリエステルなどでも良い結果が得られました。

トゥーン:世の中の約60~70% の製品をカバーできます。

WWD:今後の量産化への計画や、価格を下げる予定があれば教えてください。

ハッサン:私たちはすでに良い生産能力を備えており、スピード感を持って拡大できると思います。キックスターターでのキャンペーンは米国、欧州、豪州を対象としていて初期段階で3つの巨大なマーケットをカバーしています。生産コストがかかるので、価格を下げる予定は現時点ではありません。イノベーションはコストがかかるものではありますが、“バイオリストア”は節約につながるのでとても経済的な製品です。よく洗剤と同じ感覚で見られがちなのですが、一般的な洗剤は毎日使うものとして価格設定されているため比較は難しい。“バイオリストア”は洗剤とは科学的にも経済学的にも全く異なります。新たに服を購入する機会を減らせることから“バイオリストア”がもたらす金銭的な価値はもっと高く、必要だと感じたときだけ使用するものであるため、サステナビリティの観点からも優れています。

WWD:開発にどれくらいの期間かかったのですか?

ハッサン:このアイデア自体が生まれたのは2016年。初めてのプロトタイプを生産したのが19年でした。その後19~20年の1年間で量や素材を変えながら試験を重ね、21年には消費者による試験も行いました。どこでも使用できることを確認したかったので、英国、スウェーデン、米国などで150程度のサンプルを配布しました。

WWD:さらに拡大するために、生産拠点を世界各地に設けたり、アウトソースするなどライセンス化は考えていますか?

ハッサン:ブランドのマーケティングや管理を全て自分たちで行おうと考えています。サプライチェーンに関しては現在全ての製造をヨーロッパ内で行っていますが、現時点ではヨーロッパ内でそれりの量を生産できる体制があるので、量産化についてはそこまで課題として捉えていません。需要が高まり、生産スピードが求められたら、1カ所以上の生産拠点を設けようかということになるかもしれません。

WWD:それなりの量を生産できるとのことですが、どれくらいの時間でどれくらいの量を生産できるのですか?

ハッサン:1日に複数回、トン単位で生産が可能ですが、リードタイムは約2カ月かかります。現在は立ち上げ段階にあり、サプライチェーン全体で考えると、箱の発注や梱包作業なども考慮しなくてはならず、そこに時間がかかっています。しかし今後需要が高まれば、在庫としてストックしておき、製品をもっと高頻度で発送することが可能になると思います。量産化の準備は整っており、アパレル産業や繊維産業の製造における経験や知見もたくさんあるので、それと同じようなプロセスを取る準備もすでに築いています。あとはいつそれを実行するかということだと思います。

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洗濯で衣類が回復 寿命を延ばすケア製品誕生秘話

 洗えば洗うほど衣類にダメージを与えてしまう洗濯の常識を覆す製品が誕生した。洗濯機に使い古した衣類と一緒に入れて洗うだけで衣類が回復するバウダーをスウェーデンのスタートアップ、バイオリストア(BIORESTORE)が開発した。毛羽立ちや色落ちが、酵素とミネラルの力で復元するという。現在、特許を出願中のこの技術で、2022年のH&M創業者によるイノベーションアワード、グローバル・チェンジ・アワードを受賞した。すでに製品化に成功しており、4月19日からキックスターターのプラットフォームでプレオーダーを実施した。現在の資金調達額は430万スウェーデン・クローナ(約5750万円)。創設者のワジャハット・ハッサン(Wajahat Hussain)とリチャード・トゥーン(Richard Toon)クリエイティブ・ディレクターにオンラインで話を聞いた。

WWD:洗濯に着目した経緯は?

ワジャハット・ハッサン(以下、ハッサン):実は洗濯に注目していたわけではなく、ファッション産業が抱える最大の課題を解決したいという思いがありました。最大の課題ーーそれは衣類には寿命があることだと考えました。服が高品質であろうとなかろうと全ての衣類は着古され、いずれ着用できなくなります。私たちはその解決策となる使い古された衣類を復活させる方法について模索を始め、パウダー“バイオリストリア”を開発しました。パウダーは洗剤のようなものではありますが、私たちは洗剤(detergent)ではなくre-tergent(造語)と呼んでいます。

WWD:どのように復元させるのですか?

ハッサン:パウダーを衣類と一緒に洗濯機に投入し、40℃の温水で洗濯すると、取り出した衣類は新品のように復活します。洗剤のように洗浄するわけではないので、“バイオリストリア”をretergentと呼び、将来的にはこのretergentがスーパーなどの洗剤・洗濯コーナーで、新たなカテゴリーになればと思っています。

WWD:パウダーの原料は?

ハッサン:主な原料は5~6種類で、一番メインとなる要素は酵素です。専門的な言葉で言うとケミカルリサイクルのプロセスを行います。酵素と洗濯機が互いに作用して、酵素が小さな繊維を取り除き、繊維構造から構築することで、衣類を復元することを可能にしました。

WWD:酵素についてもう少し詳しく教えてください。

ハッサン:発酵の過程によって得られる酵素で、その由来となるものはさまざまです。それぞれ異なる種類の原料から抽出され、酵素はそれぞれの性能を持ち合わせていて、それを混合したものを使用しています。

WWD:世界中のどんな洗濯機でも効果を発揮する?

リチャード・トゥーン(以下、トゥーン):洗濯機に求める機能は主に2つで、一つは回転のメカニズム、そしてもう一つは40度の温水を使用すること。この両方を備えた洗濯機であれば、問題なくどこの洗濯機でも使用できます。

WWD:一般的な家庭用洗濯機で使用できると。

トゥーン:はい。だからこそ消費者向けに製品化していて、使い方はいたってシンプルです。この製品はいずれスーパーや小売店、オンラインでも購入できるようになります。

WWD:価格を教えてください。

ハッサン:第一弾となる製品は、大人向けの衣類であれば8着程度、子ども服であれば10着程度に使用できる量が入っています。価格は1着を復活させるのに約2~3ドルの計算で、1回使用すると約6~7カ月ほど効果を発揮します。複数回着用し、劣化してきたと感じたら使用していただくようなものです。

トゥーン:例えば150ドルの服購入し、着用して4回“バイオリストア”を使ったとします。4回新たに服を購入する機会を減らすことができて600ドルの節約になる。4回衣類を復活させるためにかかる費用は15ドルほどです。

WWD:セルロースに反応するとのことですが、他の素材や混紡素材などでも使えますか?

ハッサン:使えないのは100%ウールや、100%合成繊維などの製品です。コットンやコットン混、セルロースとコットンの混紡素材に加えて、アクリルやポリエステルなどでも良い結果が得られました。

トゥーン:世の中の約60~70% の製品をカバーできます。

WWD:今後の量産化への計画や、価格を下げる予定があれば教えてください。

ハッサン:私たちはすでに良い生産能力を備えており、スピード感を持って拡大できると思います。キックスターターでのキャンペーンは米国、欧州、豪州を対象としていて初期段階で3つの巨大なマーケットをカバーしています。生産コストがかかるので、価格を下げる予定は現時点ではありません。イノベーションはコストがかかるものではありますが、“バイオリストア”は節約につながるのでとても経済的な製品です。よく洗剤と同じ感覚で見られがちなのですが、一般的な洗剤は毎日使うものとして価格設定されているため比較は難しい。“バイオリストア”は洗剤とは科学的にも経済学的にも全く異なります。新たに服を購入する機会を減らせることから“バイオリストア”がもたらす金銭的な価値はもっと高く、必要だと感じたときだけ使用するものであるため、サステナビリティの観点からも優れています。

WWD:開発にどれくらいの期間かかったのですか?

ハッサン:このアイデア自体が生まれたのは2016年。初めてのプロトタイプを生産したのが19年でした。その後19~20年の1年間で量や素材を変えながら試験を重ね、21年には消費者による試験も行いました。どこでも使用できることを確認したかったので、英国、スウェーデン、米国などで150程度のサンプルを配布しました。

WWD:さらに拡大するために、生産拠点を世界各地に設けたり、アウトソースするなどライセンス化は考えていますか?

ハッサン:ブランドのマーケティングや管理を全て自分たちで行おうと考えています。サプライチェーンに関しては現在全ての製造をヨーロッパ内で行っていますが、現時点ではヨーロッパ内でそれりの量を生産できる体制があるので、量産化についてはそこまで課題として捉えていません。需要が高まり、生産スピードが求められたら、1カ所以上の生産拠点を設けようかということになるかもしれません。

WWD:それなりの量を生産できるとのことですが、どれくらいの時間でどれくらいの量を生産できるのですか?

ハッサン:1日に複数回、トン単位で生産が可能ですが、リードタイムは約2カ月かかります。現在は立ち上げ段階にあり、サプライチェーン全体で考えると、箱の発注や梱包作業なども考慮しなくてはならず、そこに時間がかかっています。しかし今後需要が高まれば、在庫としてストックしておき、製品をもっと高頻度で発送することが可能になると思います。量産化の準備は整っており、アパレル産業や繊維産業の製造における経験や知見もたくさんあるので、それと同じようなプロセスを取る準備もすでに築いています。あとはいつそれを実行するかということだと思います。

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スパイバーが注目新興企業パンゲアと協働 第1弾プルオーバーを発売

 欧米に拠点を置く「パンゲア(PANGAIA)」(本社:ニューヨーク州ニューヨーク)は日本時間の6月7日22時(現地時間7日9時)、スパイバー(Spiber)が開発・生産する構造タンパク質素材“ブリュード・プロテイン”繊維12%とオーガニックコットン88%を用いたプルオーバーを発売する。150着限定で日本を含めたグローバルに向けて公式オンラインストアで販売する。価格は395ドル(約5万1350円)。

 パンゲアとスパイバーは同製品の発売を皮切りに長期的に取り組むことも発表した。このパートナーシップは「化石燃料や動物素材を代替し得るバイオ由来素材の開発や使用を目指す」という共通のミッションから生まれたという。

 パンゲアは2018年創業。環境保全をミッションに掲げ、マテリアルサイエンスを重視する注目の新興企業で、アパレルの製造だけでなく、素材開発にも注力する。同社が開発したダウンやフェザーの代替素材で天然のワイルドフラワーから作られたセルロース系素材“FLWRDWN”を「H&M」が採用するなど、素材開発の側面でも注目を集めている。自らを「責任ある生産と消費への世界の移行を加速する使命を持つ人々のグローバル集団」と説明し、環境に配慮した個人や組織を結びつける環境革新とソリューションのためのグローバルなプラットフォームを構築。科学者、技術者、アーティスト、デザイナーなどが参画し、再生可能な代替資源やバイオ素材などを使い、日常に必要な製品を持続可能なワードローブを提供する。

 パンゲアのアマンダ・パーカーズ(Amanda Parkers)=チーフ・イノベーション・オフィサーは「スパイバーの“ブリュード・プロテイン”繊維は、従来の生地製法を打破し、炭素を排出して環境に負荷をかける素材からのシフトを実現させることができる。私たちは、今回の取り組みを通じ、スパイバーの困難なイノベーションを目指す徹底した姿勢に大変感銘を受けた。この画期的な素材を、より多くの人々が日常に取り入れられるステージがもうすぐそこまで来ている。このことを伝えることを心待ちにしていた」とコメントを発表した。

 スパイバーの東憲児・執行役員事業開発、営業 & サステナビリティ部門長は、「『パンゲア』のチームは高度な技術力と深い科学的知見を有するだけでなく、『サステナブルな社会の実現に資するイノベーションに貢献する』という当社と通じるミッションを持っており、今回の共同開発プロジェクトを通して大変貴重な経験を得ることができた。2年以上の開発期間を経て、“ブリュード・プロテイン”繊維が使用された世界初のフーディがパンゲアから発売されることをとても光栄に思う」とコメントを発表した。

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LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)と傘下の「フェンディ(FENDI)」はこのほど、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)とロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)と連携し、新たなバイオ素材の開発に関する共同研究イニシアチブを発表した。

 LVMHはかねてより、セントラル・セント・マーチンズとパートナーシップを結び、持続可能なラグジュアリーファッションを目指した研究開発および人材育成に取り組んできた。このパートナーシップを発展させる形で実現した今回の研究では、2年間かけてラグジュアリーファッションに向けたファーの代替素材の開発に取り組む。LVMHによれば、ファーをはじめとした、さまざまな高級素材の代替繊維としての可能性を持つケラチンが初めて研究の焦点になるという。

 LVMHのエレーヌ・ヴァラド(Helene Valade)環境開発ディレクターは、「LVMHは環境戦略“ライフ360(LIFE 360)”の下、持続可能なラグジュアリーファッションを目指している。新素材や技術への投資を通して、当社が掲げる気候や生物多様性に向けた目標を達成することができるだろう」と話した。

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LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)と傘下の「フェンディ(FENDI)」はこのほど、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)とロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)と連携し、新たなバイオ素材の開発に関する共同研究イニシアチブを発表した。

 LVMHはかねてより、セントラル・セント・マーチンズとパートナーシップを結び、持続可能なラグジュアリーファッションを目指した研究開発および人材育成に取り組んできた。このパートナーシップを発展させる形で実現した今回の研究では、2年間かけてラグジュアリーファッションに向けたファーの代替素材の開発に取り組む。LVMHによれば、ファーをはじめとした、さまざまな高級素材の代替繊維としての可能性を持つケラチンが初めて研究の焦点になるという。

 LVMHのエレーヌ・ヴァラド(Helene Valade)環境開発ディレクターは、「LVMHは環境戦略“ライフ360(LIFE 360)”の下、持続可能なラグジュアリーファッションを目指している。新素材や技術への投資を通して、当社が掲げる気候や生物多様性に向けた目標を達成することができるだろう」と話した。

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腰や背中を温める“フェムテック 温活 スーツ”が「マクアケ」で発売

 ユニフォームの企画・製造を手がけるカーシーカシマは、“フェムテック温活スーツ”(5〜21号、税込1万9140円〜)をクラウドファンディングサイト「マクアケ(MAKUAKE)」で5月30日〜6月30日まで販売する。SDGsが掲げられ、女性の社会進出が増える昨今、仕事を頑張る女性に向けたスーツを提案。働く上で女性が抱える代表的な健康の悩みである生理痛や冷えをテクノロジーによって解決を目指す。

 “フェムテック温活スーツ”は、ヒートモジュールと呼ばれる温かくなるデバイスをジャケットやベストに入れることで腰や背中を温かくすることができる。Bluetoothでスマートフォンの専用アプリと連動し、温度調節が可能だ。温かくなる機能に加え、スーツを着た時に感じる窮屈感や肩こりを軽減するための機能、自宅で簡単にお手入れができる素材の採用など、ストレスフリーに着用できるように細部にまでこだわった。

 カーシーカシマは、ユニフォームアパレルメーカーとして未来のために何ができるのかを考え、サーキュラーエコノミーの実現に向けて人と人をつなぎ幸せの輪を循環できる集団を目指すべく、2020年から「Think Lab 0 プロジェクト」をスタート。そのプロジェクトの一環として、女性の社会進出を応援すべく“フェムテック 温活 スーツ”を開発した。長らく働く女性に向けた仕事服を作る中で培ってきたノウハウと技術を組み合わせ、企業理念「more beautiful」をかなえるべく、働く人や企業、全ての思いに寄り添ったユニフォームを提案する。

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腰や背中を温める“フェムテック 温活 スーツ”が「マクアケ」で発売

 ユニフォームの企画・製造を手がけるカーシーカシマは、“フェムテック温活スーツ”(5〜21号、税込1万9140円〜)をクラウドファンディングサイト「マクアケ(MAKUAKE)」で5月30日〜6月30日まで販売する。SDGsが掲げられ、女性の社会進出が増える昨今、仕事を頑張る女性に向けたスーツを提案。働く上で女性が抱える代表的な健康の悩みである生理痛や冷えをテクノロジーによって解決を目指す。

 “フェムテック温活スーツ”は、ヒートモジュールと呼ばれる温かくなるデバイスをジャケットやベストに入れることで腰や背中を温かくすることができる。Bluetoothでスマートフォンの専用アプリと連動し、温度調節が可能だ。温かくなる機能に加え、スーツを着た時に感じる窮屈感や肩こりを軽減するための機能、自宅で簡単にお手入れができる素材の採用など、ストレスフリーに着用できるように細部にまでこだわった。

 カーシーカシマは、ユニフォームアパレルメーカーとして未来のために何ができるのかを考え、サーキュラーエコノミーの実現に向けて人と人をつなぎ幸せの輪を循環できる集団を目指すべく、2020年から「Think Lab 0 プロジェクト」をスタート。そのプロジェクトの一環として、女性の社会進出を応援すべく“フェムテック 温活 スーツ”を開発した。長らく働く女性に向けた仕事服を作る中で培ってきたノウハウと技術を組み合わせ、企業理念「more beautiful」をかなえるべく、働く人や企業、全ての思いに寄り添ったユニフォームを提案する。

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経済産業省係長に聞く 「ファッション未来研究会」報告書の背景

 経済産業省は「これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~」をテーマに、2021年11〜12月に34人の有識者を集めて議論をし、このほど報告書としてホームページ上に公開した。ファッション産業の現状のデーターやインタビューなどを交え、雑誌のようにデザインされた報告書は100ページに近く、“卒論級”のボリュームと濃度だ。企画を舵取りしたのは経済産業省の若き担当者。「これは未来へ向かうための地図」と話す彼女にその背景を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):行政が開く有識者会議には正直、何か政策を行うための、極端に言うと「予算確保準備」のための会議というイメージもありますが、今回は「結論ありき」の答え合わせではなかった。その分議論が壮大でしたね。

井上彩花経済産業省商務サービスグループクールジャパン政策課ファッション政策室係長(以下、井上):持っていきたかった筋書きがあったわけではもちろん、なく。ファッションの未来って何なのか?を、有識者としっかり議論をする中で導き出すことが非常に重要でした。ファッションを考えることは、人がどういう風に生活するのか、どんな生き方をするのかと全く同じなんだと思います。私は今6年目ですが、こんなプロジェクトは初めてで楽しかったです。

WWD:そもそも経済産業省はなぜこのプロジェクトを立ち上げたのでしょうか。

井上:前提としてファッション政策室ではファッションを衣服ではなく、文化やライフスタイル、時代ごとの人々の価値観や創造性を表す媒体だととらえています。生活文化に関連するモノ全体ですね。そう考えた時、ファッションには経済産業の視点でさまざまな意義があります。

WWD:意義とは?

井上:経済産業省なので外貨・外需をいかに獲得していくか?を常に考えていますが、ファッションはその重要な分野の一つです。例えばテキスタイルをはじめとする、各地に存在する伝統工芸や伝統技術が海外から需要され、金継ぎや襤褸(ぼろ)といった、昔からの生活の工夫が海外から改めて注目されています。少子高齢社会の日本にとって、ファッションは海外需要を獲得していくために高いポテンシャルのある領域だと思います。

 また、感性によるビジネス領域は、クリエイターがグローバル市場に一気にリーチできる可能性があり、グローバルで競争力を持つために長期的視点で重要な分野です。さらに研究会でも取り上げたバイオマテリアルやデジタルファッションなど、従来のファッションビジネスとは異なるスキルが求められていることを踏まえると、今後ファッションが新しい成長産業に変化する可能性も秘めています。

WWD:なるほど。サステナビリティも一つのポイントですね。

井上:サステナブルは不可欠です。ただ今回はその先、サステナブルを達成したその先に日本企業がどのように価値を創造し、外需をとっていくことかを議論する点がポイントでした。今起きている変化を整理した上で、世界に乗り遅れることなくむしろ日本企業がリードする “望ましいファッションの未来”を考えることを目的にしました。

WWD:34人の委員はどのような基準で選びましたか。

井上:未来を議論するために、専門分野、ジャンル、世代、国籍を越えた各領域のトップランナーの方々に集まり、議論をしていただきました。デジタル、バイオ・素材、デザイン、アート、ラグジュアリー、教育、評論、編集、経営、投資、研究など幅広い専門性からそれぞれファッションに向き合っている有識者です。

議論は白熱。得た答えの中から3つのポイント

WWD:会議は全てオンラインで全5回。チャットや共有ファイルを並行して活用し、誰かの発表と同タイミングでオンライン上で意見が飛び交うという、非常に活発な会議でした。どのような結論を得られましたか?

井上:具体的には大きく3つの方向性が議論されました。一つ目は人と自然に調和的で持続可能である状態です。サステナビリティの対応を行うことは一層不可欠なものとなるでしょう。障がいの有無や年齢、身体的差異やジェンダーなどに制限されることなく、自由にファッションを楽しむことが肯定されるようになっています。廃棄物が出ない、循環型システムの構築していくために、バイオマテリアルなどの素材開発も重要なポイントの一つです。

 これからは、消費を刺激して稼ぐのではなく、商品寿命を延ばして消費頻度を抑制してもビジネスが成立し、持続的に成長できるビジネスモデルへの転換が必要だと考えています。一つの方法が、ブロックチェーンなどのテクノロジーの活用です。製造工程から二次流通市場での取り引きも含めたトレーサビリティを担保し、二次流通の収益の一部をクリエイターに還元する新しい取引ルールを社会に提案し、根付かせていくことを考えています。

WWD:デジタルは大きな柱でしたね。議論ではクリエイターの新しい収益源との話題も出ています。

井上:はい。議論の二つ目の方向性がゲームを始めとする、デジタルファッション市場です。コミュニケーションの場が現実世界から仮想空間にも接続・拡張しつつあることで、自分自身のアバターを着飾ったり、表現するためのファッションが拡大したりしています。そこではこれまでのファッション産業とは異なるスキルが求められるため、世界を見ると、既存のファッション企業がデジタル産業との結びつきを進める動きが見られます。日本のゲーム産業は国際的にも存在感があリますから、連携をより深めることも重要です。

 デジタルファッション空間は、ファッションの楽しさをより多くの人が享受することのできる「平等な場」だという声もありました。デジタルツールの発展は単なる効率化だけではなくクリエイターの想像力を解放し、新しい創造が生まれるとしたら、それはとても楽しみな世界です。

 例えば、YouTubeの登場が映像作品の制作を一般の方にも解放したように、ファッションの分野でも、デジタルツールの発展によって、より多くの人が創造活動を行えるようになるのではないでしょうか。今後、クリエイターの新しい収益源として期待できる中、デジタルファッション市場への参入時に留意すべき論点、ファッションローなどをとりまとめるなど、国としても環境整備を行っていきます。

これは未来へ向かうための地図。官民で盛り上げたい

WWD:ラグジュアリーというキーワードもたびたび登場しました。

井上:三つ目のポイントは、突き抜けた個を支援し、経済・地域全体の成長に繋げること。その中で、「新しいラグジュアリーの概念」について議論しました。日本には長い歴史に積み重ねてきた伝統があります。各地域に存在するこうした伝統工芸や伝統技術が生み出すクオリティこそが、国際競争力の源泉であり、他国には真似することのできない独自性でしょう。

 また、日本は、これまで多くのクリエイターやアーティストが海外に挑戦し、海外の市場からも一定の評価を獲得しつつあります。とはいえ、こうしたクリエイターの中には、磐石な経営体制を伴わないままに海外市場にリーチしている、できてしまっているような場合もあり、まだまだ支援が必要だという指摘もあります。突き抜けた「個」を経済社会の発展に戦略的に取り込み、ローカルの持つ素晴らしい資源を世界の市場にリーチさせ、文化を次世代に向けてアップデートしていく仕組みを作っていくということにつなげる好循環を作りたい。

WWD:この取り組みをどう生かしますか?

井上:議論の内容をとりまとめた報告書を経済産業省のホームページ上に公開しました。ファッション業界に携わる方だけでなく業界の方や学生にもご覧いただき、目指す未来に向けて一緒に進んでいきたい。また、すでにいくつかのプロジェクトを進めているところですが、国としても、この未来に向かうための地図をもとに、必要な取り組みを行いたいと思います。報告書を読んだ方が自分の取り組みと結びつけて、さらに意見を寄せてくれると嬉しい。メールアドレスは表紙に書いてありますのでぜひ。官民で連携して、日本のファッションをますます盛り上げていくことができたら嬉しいです。

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経産省「これからのファッションを考える研究会」が分厚い報告書公開 有識者34人が議論

 経済産業省は2021年11〜12月に有識者会議「これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~」を開催し、ファッション領域において日本が海外需要を獲得していくために必要な方策を議論し、このほど報告書を公開した。同省のホームページから閲覧、ダウンロードができる。

 会議はオンラインで5回開催し、34人の有識者が参加。各回に設けたテーマに沿って、活発な議論がなされた。「ファッション業界を取り巻く環境は、消費の多様化や気候変動などの社会課題に声を上げる新たな消費者層の台頭、デジタル領域をはじめとする自己表現の場の拡大(デジタルファッション)など大きく変わりつつある。同時に新しいサービスモデルの出現やリセール市場の活性化、デジタル技術を活用した新たな市場の創造、バイオ技術の活用など国内外において、ファッションの“未来”の兆しが出てきている」と同省。議論はその“未来”の形を予測し議論するものとなった。

 報告書は次の10のキーワードで構成され、6人の識者へのインタビューや産業構造を示すデータなどを交えて横型資料で97ページにおよぶ。同省は、この資料が企業の戦略策定や学校教育資料として活用されることを期待している。表紙に掲載しているメールアドレスには閲覧者からの意見を受けつけている。

10のキーワード

1.需給ギャップを縮小させるビジネスモデル
2.良いモノを長く楽しむファッション文化
3.循環システムの構築
4.質量のないデジタルファッション
5.創造性の発揮を支援するテクノロジーの台頭
6.創造社会の新しい市場ルール
7.ラグジュアリー概念のアップデート
8.これからの海外需要獲得
9.ビジネスで留意すべきファッションロー
10.ファッションの未来に求められる人材論

*以下、肩書きは2021年12月16日時点
座長
水野大二郎/京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 特任教授/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

副座長
軍地彩/gumi-gumi代表

副座長
福田稔/ローランド・ベルガー パートナー

委員
安西洋之/モバイルクルーズ代表取締役
石川俊祐/KESIKI Inc.パートナー
海老澤美幸/三村小松山縣法律事務所 弁護士/ファッションエディター
梶原加奈子/KAJIHARA DESIGN STUDIO CEO
金山裕樹/ZOZO NEXT代表取締役
鎌田安里紗/ 一般社団法人 unisteps 共同代表理事
河野秀和/シタテル代表取締役CEO
川崎和也/Synflux代表取締役兼CEO
栗野宏文/ユナイテッドアローズ上級顧問
小泉智貴/TOMOKOIZUMIデザイナー
コシノヒロコ/ファッションデザイナー
齋藤牧里/afumi.inc代表取締役
鈴木淳哉/chlomaデザイナー
須藤玲子/テキスタイルデザイナー
関山和秀/Spiber取締役兼代表執行役
高橋悠介/CFCL代表兼クリエイティブディレクター
田原純香/メルカリ サステナビリティチーム マネージャー
鶴岡裕太/BASE代表取締役CEO
中里唯馬/YUIMA NAKAZATOデザイナー
中野香織/Kaori Nakano代表取締役、昭和女子大学客員教授
ノルベール ルレ/LVMH ジャパン株式会社 代表取締役社長
福田泰己/アダストリア 取締役
藤嶋陽子/ZOZO NEXT Fashion Tech News 編集長
辺見芳弘/ヨウジヤマモト取締役会長
松下久美/ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
松島倫明/WIRED日本版編集長
向千鶴/WWDJAPAN編集統括兼サステナビリティ・ディレクター
村木剛/ヨウジヤマモト常務執行役員
森田修史/クチュールデジタル代表取締役 CEO
森永邦彦/アンリアレイジ代表取締役社長/デザイナー
渡邊真之助/海外需要開拓支援機構 投資戦略グループ シニアディレクター

<オブザーバー>
黛桂子/ファーストリテイリング サステナビリティ部 グローバル環境マネジメントチーム リーダー
シェルバ英子/ファーストリテイリング コーポレート広報部 ソーシャルコミュニケーションチーム リーダー
経済産業省 経済産業政策局 知的財産政策室
産業技術環境局 資源循環経済課
製造産業局 生活製品課
商務情報政策局 コンテンツ産業課
環境省 「ファッションと環境」タスクフォース

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Z世代が気候変動対策のタイムリミットを示す時計を渋谷に設置

 20歳以下の若者による環境活動家集団a(n)action(アナクション)とITコンサル企業のSEAMES(シームス)は4月15日、気候変動対策の緊急性を訴える気候時計を渋谷区内に設置するプロジェクトを発表し、第1号機を渋谷駅ハチ公前広場観光案内所に設置した。

 気候時計とは、地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えるために残された時間を示すもの。世界では、ニューヨーク、英国グラスゴー、ソウルの都市部に大型の気候時計が設置されている。国連の気候変動に関する政府間パネル(INTERGOVERNMENTAL PANEL ON CLIMATE CHANGE、以下IPCC)のデータに基づく試算では、現状の二酸化酸素排出量のペースでは7年と93日以内に、気温上昇が止まらなくなる臨界点に達してしまうと言われている。a(n)actionのメンバーは、「7年後私たちはまだ30歳にもなっていない。本当に時間がないんだという緊急性を伝えたい。危機感を共有し、日常的に気候変動が話題になる世の中を目指したい」と話した。

 昨年12月にクラウドファンディングを実施したところ、開始約1か月間で目標の1000万円を超える支援が集まった。これを運営資金とし、気候時計は小型機と中型機を用意。今後は一般社団法人渋谷未来デザインと一般社団法人渋谷区観光協会の協力の下、渋谷区内の商業施設や文化施設などに約100機設置することを目指す。「あらゆる場所に時計を設置することで、『日常的に何度も見かけるこの時計はなんだろう?』と興味を持ってもらうことが狙いだ」という。

 時計横に表示するQRコードからは、特設サイトにアクセスできる。そこでは、「政府による気候変動対策の加速を求める宣言」にワンクリックで参加でき、宣言が1万回突破するごとに、a(n)actionのメンバーから環境省に宣言を通知する。そのほかにも、日常生活で起こせるアクション一覧などのコンテンツを用意した。アクションの中には、服の廃棄を減らし古着の活用なども呼びかける。メンバーは、「a(n)actionでは、フリーマーケットの開催などのイベントを通して1着を長く楽しむことの大切さを発信してきた。ファッション企業へは、新しいものを大量に作って廃棄するビジネスから循環ファッションへの移行を求めたい」と話した。

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Z世代が気候変動対策のタイムリミットを示す時計を渋谷に設置

 20歳以下の若者による環境活動家集団a(n)action(アナクション)とITコンサル企業のSEAMES(シームス)は4月15日、気候変動対策の緊急性を訴える気候時計を渋谷区内に設置するプロジェクトを発表し、第1号機を渋谷駅ハチ公前広場観光案内所に設置した。

 気候時計とは、地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えるために残された時間を示すもの。世界では、ニューヨーク、英国グラスゴー、ソウルの都市部に大型の気候時計が設置されている。国連の気候変動に関する政府間パネル(INTERGOVERNMENTAL PANEL ON CLIMATE CHANGE、以下IPCC)のデータに基づく試算では、現状の二酸化酸素排出量のペースでは7年と93日以内に、気温上昇が止まらなくなる臨界点に達してしまうと言われている。a(n)actionのメンバーは、「7年後私たちはまだ30歳にもなっていない。本当に時間がないんだという緊急性を伝えたい。危機感を共有し、日常的に気候変動が話題になる世の中を目指したい」と話した。

 昨年12月にクラウドファンディングを実施したところ、開始約1か月間で目標の1000万円を超える支援が集まった。これを運営資金とし、気候時計は小型機と中型機を用意。今後は一般社団法人渋谷未来デザインと一般社団法人渋谷区観光協会の協力の下、渋谷区内の商業施設や文化施設などに約100機設置することを目指す。「あらゆる場所に時計を設置することで、『日常的に何度も見かけるこの時計はなんだろう?』と興味を持ってもらうことが狙いだ」という。

 時計横に表示するQRコードからは、特設サイトにアクセスできる。そこでは、「政府による気候変動対策の加速を求める宣言」にワンクリックで参加でき、宣言が1万回突破するごとに、a(n)actionのメンバーから環境省に宣言を通知する。そのほかにも、日常生活で起こせるアクション一覧などのコンテンツを用意した。アクションの中には、服の廃棄を減らし古着の活用なども呼びかける。メンバーは、「a(n)actionでは、フリーマーケットの開催などのイベントを通して1着を長く楽しむことの大切さを発信してきた。ファッション企業へは、新しいものを大量に作って廃棄するビジネスから循環ファッションへの移行を求めたい」と話した。

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植物の力でスマートフォンを充電 「ボタニスト」が異業種とのコラボイベントを開催

 I-neが展開するボタニカルライフスタイルブランド「ボタニスト(BOTANIST)」は、植物発電体感スポット「チャージング スポット ボタニスト(CHARGING SPOT BOTANIST)」を4月8〜11日、東京・神宮前にあるZeroBase神宮前で開催している。来場者は植物発電を活用したスマートフォンの充電などを体験できる。

 本イベントは「植物と共に生きる」をコンセプトに掲げる「ボタニスト」が植物にまつわるさまざまな事柄にフィーチャーする「ボタニカル レポート(BOTANICAL REPORT)」の第1弾。ニソールとグリーンディスプレイが共同開発した植物発電システムを通じて、植物がもつ機能について啓もうする。

 植物発電とは、植物の根から発生する菌や微生物の循環作用から発生するエネルギーを土の中に埋められた電極に集めて、24時間継続して発電する技術。植物が育っている状態であれば継続的に発電可能で、発電の過程で排出されるのは水のみという環境にもやさしい自然エネルギーだ。I-neによると、植物成育環境下で発電された電力を使用したスマートフォンの充電スポットは今回が国内で初めてだという。

 会場では、植物発電の詳しい仕組みや、植物の力を活かした「ボタニスト」製品を紹介するボードを展示し、知られざる“植物の力”を伝える。そのほか、鏡越しにボタニカルな空間をおさめたセルフィーを撮影できるフォトブースや、トライアルキットのプレゼントなどを行う。

 小林麻美「ボタニスト」ブランドマネージャーは、「『ボタニスト』=ナチュラルというイメージを持っている人も多い。植物由来の製品を提供する上で、植物が持つ力を体感して知っていただくことで興味や関心を深めてもらえるのではないかと考えた。今回のようなイベントやオウンドメディア『ボタニストジャーナル』を通じて、植物の力を今後も発信していきたい。植物発電は、最終的には土壌の肥料になるマグネシウム板と木炭を用いて電気を生み出すシンプルな仕組みで、土地と植物が豊かになる循環するエネルギーだと捉えている」と話す。北海道美幌町の「ボタニストの森」での植物発電の実験などに着手できたら、土地の有効活用にも繋がるはずだと期待を寄せる。

 プリント基板用CADの開発・販売のニソールの田﨑勝也社長は、「『ボタニスト』と当社は、植物へのリスペクトを持っていて、植物の力を生かしているという共通点がある。コラボすることで、植物の力を世の中に知ってもらう機会になる考えた」とコメントした。

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植物の力でスマートフォンを充電 「ボタニスト」が異業種とのコラボイベントを開催

 I-neが展開するボタニカルライフスタイルブランド「ボタニスト(BOTANIST)」は、植物発電体感スポット「チャージング スポット ボタニスト(CHARGING SPOT BOTANIST)」を4月8〜11日、東京・神宮前にあるZeroBase神宮前で開催している。来場者は植物発電を活用したスマートフォンの充電などを体験できる。

 本イベントは「植物と共に生きる」をコンセプトに掲げる「ボタニスト」が植物にまつわるさまざまな事柄にフィーチャーする「ボタニカル レポート(BOTANICAL REPORT)」の第1弾。ニソールとグリーンディスプレイが共同開発した植物発電システムを通じて、植物がもつ機能について啓もうする。

 植物発電とは、植物の根から発生する菌や微生物の循環作用から発生するエネルギーを土の中に埋められた電極に集めて、24時間継続して発電する技術。植物が育っている状態であれば継続的に発電可能で、発電の過程で排出されるのは水のみという環境にもやさしい自然エネルギーだ。I-neによると、植物成育環境下で発電された電力を使用したスマートフォンの充電スポットは今回が国内で初めてだという。

 会場では、植物発電の詳しい仕組みや、植物の力を活かした「ボタニスト」製品を紹介するボードを展示し、知られざる“植物の力”を伝える。そのほか、鏡越しにボタニカルな空間をおさめたセルフィーを撮影できるフォトブースや、トライアルキットのプレゼントなどを行う。

 小林麻美「ボタニスト」ブランドマネージャーは、「『ボタニスト』=ナチュラルというイメージを持っている人も多い。植物由来の製品を提供する上で、植物が持つ力を体感して知っていただくことで興味や関心を深めてもらえるのではないかと考えた。今回のようなイベントやオウンドメディア『ボタニストジャーナル』を通じて、植物の力を今後も発信していきたい。植物発電は、最終的には土壌の肥料になるマグネシウム板と木炭を用いて電気を生み出すシンプルな仕組みで、土地と植物が豊かになる循環するエネルギーだと捉えている」と話す。北海道美幌町の「ボタニストの森」での植物発電の実験などに着手できたら、土地の有効活用にも繋がるはずだと期待を寄せる。

 プリント基板用CADの開発・販売のニソールの田﨑勝也社長は、「『ボタニスト』と当社は、植物へのリスペクトを持っていて、植物の力を生かしているという共通点がある。コラボすることで、植物の力を世の中に知ってもらう機会になる考えた」とコメントした。

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トム フォードがレジ袋などに使われる薄膜プラスチックの代替素材コンペの最終選考者を発表 ナイキも参画

 トム フォード(TOM FORD)と非営利の環境保護団体ロンリー ホエール(LONELY WHALE)による“トム フォード プラスチック イノベーション プライズ”はこのほど、最終選考者を発表した。世界26カ国から64の応募があり、最終選考に残ったのは8団体。同プライズは、レジ袋などに使われる薄膜プラスチックの代替となる、大量生産可能で生分解性のある新素材の開発を目的としたコンペ。

 最終選考に残ったのは、カナダのバイオテクノロジー会社のジェネシス(GENECIS)やケニアの社会的企業ルワンダバイオテック(LWANDA BIOTECH)、インドに拠点を置くゼロサークル(ZEROCIRCLE)など。ジェネシスは、細菌を再プログラムして価値の低い有機廃棄物から希少な物質を生成。ルワンダバイオテックは、薄膜プラスチック代替品の開発を通じて、地域社会のプラスチック汚染と農業廃棄物問題に取り組む。ゼロサークルは養殖した海藻から、使用後に海中で無害に分解される安全な包装材を製造する。

 最終選考者は今後、ナイキ(NIKE)がスポンサーとなり、1年にわたって行う素材試験に進む。1.生分解性があり、2.社会や環境への悪影響を最小化し、3.産業品質基準を満たし、4.コスト競争力があり、5.大量生産が可能で2025年までに市場に投入できるかの審査を受ける。

 同試験は、ジョージア大学新素材研究所やシアトル水族館の協力により、海水を用いて行われる。シアトル水族館は、対象の素材を海洋生物が食べたときの内臓の変化を調べる。シアトル水族館のエリン・マイヤー(Erin Meyer)博士は、「これまで900種以上の海洋生物がプラスチックを飲み込んだことが確認されており、この数は増え続けている。クジラが食べた場合、25%近くが死亡する。安全に十分留意した上で、代替素材をクジラが食べたとき、どんな影響が出るかを調査したい」と述べる。

 また最終選考者の素材は、「ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」や「J.クルー(J.CREW)」などブランドによる試験も受ける。参加ブランドは、プライズ受賞者や最終選考者の素材を自社の包装材に試験的に導入することも表明している。

 ファッション業界だけで年間1800億枚の薄膜プラスチック製レジ袋が使用され、毎年1400t弱のプラスチックが海洋に流出しているとされる。これは、海洋を汚染する薄膜プラスチックの46%を占める数字だ。デューン・アイブス(Dune Ives)=ロンリー ホエール事務局長は、「リサイクル不可能な薄膜プラスチックからの、最大の商業的移行であると主張したい。われわれは協力することで、“海にプラスチックが存在しない未来”を実現することができる」と話す。

 トム フォードとロンリー ホエールは20年に“トム フォード プラスチック イノベーション プライズ”を立ち上げ、21年に応募受付を開始した。これに合わせ、「トム フォード タイムピース(TOM FORD TIMEPIECES)」は、海洋プラスチックごみを再利用した時計を発売した。

 プライズ受賞者は23年春に発表され、120万ドル(1億4640万円)以上の賞金が授与される。その後も数年間にわたり、市場投入に向けた支援を受ける。

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素材のトレーサビリティを可能にする新ツール アディダスが早期導入

 企業向けのプラットフォームビジネスを手掛けるトラストレイス(TRUSTRACE)はこのほど、素材レベルの追跡をリアルタイムで可能にする新ツール“サーティファイド マテリアル コンプライアンス(CERTIFIED MATERIAL COMPLIANCE)”を発表した。アディダス(ADIDAS)が早期導入した。

 同ツールは、AIやブロックチェーン、ボット技術を活用してさまざまなソースからデータを集積。複数の部品から成る製品にも対応しているほか、認証取得済みの素材の割合の特定や異なるCoC(加工流通過程の管理・追跡)モデルのサポートなど、素材コンプライアンスに関するさまざまな要件に対応する。

 シャミーク・ゴッシュ(Shameek Ghosh)=トラストレイス最高経営責任者(CEO)は、「大量の製品を扱う大企業がトレーサビリティーを担保する最も効率的な方法は、ブランドの既存のデジタルシステムから関連するデータを直接抽出することだ。当社のプラットフォームはオープンソース化しており、PLMやERP、MDM、VMSなどの主な製品情報管理システムともシームレスに連携できる」という。同社は現在、ヒグインデックス(Higg Index)などのソースからデータを集めて統合し、発注やバッチの段階で証明を必要とする規制にも対応する。

 ゴッシュCEOは、「当社のツールは、例えばサプライヤーが提出したオーガニックコットンの証明書とブランドが提出したものが一致するかなどを確認し、その証明書が適切であるかを判断する。さまざまな規制が強化されているなかで、これまでCSR活動の一環として取り組んできたような企業レベルでの報告では不十分になってきている。特定のTシャツやシューズで使用しているコットンが新疆綿ではないと証明したり、シューズの重さのうち何割がリサイクル素材なのかを知ったりするためには、加工流通過程の正確な記録が必要だ。そうした大量のデータの収集や処理を自動化する当社のツールは、サステナビリティに関する主張を裏付けることを容易にするため、ブランドがESGに関する取り組みの進捗を追跡し、法や規制を遵守することを手助けする」と話す。

 トラストトレイスは5年前に同プラットフォームをローンチして以来、800万ドル弱(約9億円)を調達し、製品提供の強化やグローバル展開、ファッションサプライヤーとのネットワーク構築に投資している。現在までに8000社以上のサプライヤーが参加しているが、これは25万個の製品および120億ドル(約1兆4000億円)相当以上のアイテムの追跡が可能になる計算だという。

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アウトドアからK-POP衣装まで、「テックウエア」の正体とは? ポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.17

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第17弾は、【テックウエア】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【テックウエア】

 「テックウエア(Techwear)」は、“テクニカル”または“テクノロジー”と“ウエア”を掛け合わせた造語。科学や技術を応用した素材や機能的なデザインで、実用性を追求する服だ。先進的イメージから、近未来的なファッションスタイルという“見かけ”のイメージも付随することが多い。

 雨などが洋服にしみてしまう問題を解決するため、ゴアテックス(GORE-TEX)などの防水素材が登場したように、課題をテクノロジーで解決するのが「テックウエア」のオリジンだ。「テックウエア」を検索すると「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「ナイキ(NIKE)」などスポーツやアウトドアブランドが出てくるのは、機能性やパフォーマンス性を重視したアイテムが多いからだろう。しかし、「ユニクロ(UNIQLO)」の“ヒートテック”や“エアリズム”に代表される防寒性や透湿性を重視したインナーなど、「テックウエア」と呼べるアイテムは多岐に渡り、多くの人の日常に溶け込んでいる。ハイファッションでも、「ディオール(DIOR)」が2022-23年秋冬コレクションで、南極観測隊の防護服などを作るスタートアップ企業と協業した温度調整機能のついたスーツや防弾チョッキを彷彿とさせるアイテムを発表し、話題になった。

 インターネットを中心に、「テックウエア」はサブカルチャーの1つになり、さまざまなプラットフォームでコミュニティーが存在している。サブカルチャーとしての「テックウエア」は、モノトーンでSF的な美意識が顕著で、「Y-3」や「アクロニウム(ACRONYM®)」などのブランドが頻繁に登場する。K-POPでは、BLACKPINK(ブラックピンク)やグループ自体がSFコンセプトを持つaespa(エスパ)らが多く衣装として着用することで、機能性よりもスタイル的な定義を連想することも増えた。

“サイバーパンク”との違い、日本との関係性

 “サイバーパンク(Cyberpunk)”ファッションは、SFを体現したファッションとして、現在では「テックウエア」と同義で使用されることもある。元々、SFのサブジャンルとして小説から始まった“サイバーパンク”は映画や音楽、ファッションのジャンルにもなった。“サイバーパンク”は、小説「ニューロマンサー(Neuromancer)」や映画「ブレイドランナー(Blade Runner)」などの作品がインスピレーション源であることから、装飾やアクセサリーなど実用性よりも世界観を重視した、コスプレ的な要素がある。また、イギリスのサイバー系ファッションブランド「サイバードッグ(CYBERDOG)」は、音楽イベントなどでのコーデを想定しており、ネオンカラーを多用する。しかし、“未来”のイメージは時代と共に進化し、近年はミニマルでより洗練された印象のスタイルが増え、テックウエアとの境界線が薄れてきた。特に、インターネットトレンドやK-POPに見る近年の「テックウエア」は、SF的なテーマ性も重視しており、“サイバーパンク”から多大な影響を受けている。2つのジャンルが融合し始め、同義語として扱われる背景にある。

 “サイバーパンク”は、日本の高度経済成長期の1980年代に生まれたジャンルのため、東京を中心に香港やソウルなどアジアの都市をインスピレーションにしていることが多い。それまで未来は西洋を中心に描かれてきたが、東アジアに技術的に“抜かされてしまう”という恐怖を描く、“テクノオリエンタリズム”が垣間見れるジャンルでもある。アジア的なデザインや漢字の使用などが、未来風のファッションに使用される理由だ。実際、「テックウエア」コミュニティーに人気のブランドは、「ハムカス(HAMCUS)」「ヘインソ(HYEIN SEO)」「ポストアーカイブファッション(POST ARCHIVE FASHION)」「吉業重工」などアジア出身のデザイナーが名を連ねている。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

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宇宙技術を用いた宇宙飛行士携帯仕様コスメ「フェイスピース」が登場 ケミカルフリーのリッチな機能性クリーム

 バイオテクノロジーのベンチャー企業トライフは3月17日、宇宙飛行士携帯仕様のスキンケア製品「宇宙化粧品 フェイスピース(FACEPEACE)モイスチャライジングクリーム」(100mL、税込1万8000円)を発売する。一般向けには全国の医療機関や百貨店、オンラインストアなどで販売を開始する。

 同製品は、宇宙船に持ち込める人体や地球の環境にも優しい濃密なクリームで、プラントベース(植物成分100%)、ケミカルフリー(化学物質無配合)、生分解性100%(自然環境や体内で全て分解)を実現。宇宙船搭載禁止成分であるアルコールや化学成分を不使用で、年齢や性別を問わず宇宙生活や地上で使用できる。

 キー成分には、乳酸菌ペプチド製剤「ネオナイシン-e」を採用。国産米胚芽油とレシチンによるエモリエント成分や植物性グリセリン、ダマスクローズ精油も配合し、透明感と潤いのある美しい肌をかなえる。水分配合を30%以下に抑えた濃縮タイプで、1本で約1年間使用できるため宇宙での長期ミッションにも対応。パッケージデザインは峯崎ノリテルアートディレクターが手がけ、光線を反射する宇宙対応仕様となる。

 また同社が展開する、宇宙・医療技術を用いた革新的な口腔ケア製品「オーラルピース」は、2021年11月にJAXA(宇宙航空研究開発機構)により国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が使用する搭載品として正式採用された。世界の健康長寿と障害者の仕事創出を目指す「オーラルピースプロジェクト」を推進している。

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サステナブルな素材とは何か 世界の潮流を有力マテリアルコンサルに聞く 後編

 直線型から循環型へ。社会や経済の仕組みの変革が進む中で、アパレルメーカーもこれまでの「作って売ったらおしまい」から、不要になった衣料のリサイクルや廃棄までを考慮したデザインが求められ始めている。それと呼応するように、「リサイクルしやすい」素材や「たい肥化」しやすい素材が注目を集めている。完璧な素材はないが、日進月歩で進化するアパレル向けの素材最前線はどうなっているのか。どのようなアプローチで素材開発が進んでいるのか。世界の素材の潮流を知るマテリアルコネクションの東京の吉川久美子代表取締役にアパレル向けのサステナブル素材の最新動向を11のキーワードで分類してもらい、具体事例を聞いた。

【KEY WORD8】
リサイクルしやすい素材

 単一材料であるか、リサイクル前に機械的または化学的分離を必要とせずに容易にリサイクルできる材料。

拠点:ベルギー

組成・製法:ポリエステルに似たポリマーを使用した熱分解性糸。熱を直接当てると温度90~200℃の間で融解する。

機能・ポイント:衣服が簡単に分解でき、生地の再利用が可能に。既存の縫製機器が使用でき、製造やデザインを大幅に変更することなく、製品の循環性を高めることができる。装飾品、高価値の素材、ファスナー、ボタンの再利用も可能になる。


【KEY WORD9】
リサイクルしやすい設計

事例

特徴・組成:製品寿命後に原料ごとに分解できるようにあらかじめ設計された生地。ナイロン、ポリエステル、ウールの組み合わせ。

機能・ポイント:クレイドル・トゥ・クレイドルシルバー認証取得。


【KEY WORD10】
生分解性

 細菌や真菌などの生物によって分解される材料

事例

拠点:ニュージーランド

組成・製法:羊毛に吸収性を与える技術。分子レベルでウール繊維にのみ影響を与えることができ、ウール混紡織布や不織布に適応可能。生態系に配慮した湿式処理。

機能・ポイント:通常ウールに比べて10~25倍の吸収性がある。素材の再利用ができ洗濯可能。100%生分解性があり、土壌や海洋環境に対して安全。家庭でたい肥化可能。ウールが持つ防臭性や体温調整特性、低アレルギー性は維持。羊毛は全て生産者から調達。


【KEY WORD11】
副資材

事例1

拠点:アメリカ

組成・製法:リサイクル可能な生合成接着剤。工業的なバイオ発酵プロセスを用いて製造。

機能・ポイント:イカの吸盤にある環歯からヒントを得た自己修復特性を提供。石油由来の同等品に匹敵する特性で生分解可能。

事例2

拠点:アメリカ

組成・製法:ポリプロピレン混合物を用いた生分解性のあるタグピン。

機能・ポイント:マイクロプラスチック問題に対応。1年未満で生分解する特別な設計で、有害物質を発生させずに分解する。

*ここで提供された情報は製造元/供給源から提供されたものです。マテリアルコネクションは各メーカー/サプライヤーと協力してメーカーの技術を理解し、メーカーが行った有効性/主張を誠実に評価しますが、マテリアルコネクションが実施するインタビュープロセスではさらなる検証、妥当性確認、サードパーティのテストに代わるものではありません。


マテリアルコネクションとは?

 マテリアルに特化したコンサルティング会社で、グローバルではナイキ(NIKE)やケリング(KERING)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)やグーグル(GOOGLE)、コカ・コーラ(COCA COLA)やBMW、日本ではアシックス(ASICS)など各分野のリーディングカンパニーをクライアントに持つ。製品、デザイン、開発および製造のイノベーションをサポート。さまざまな領域の素材を、日本では常時3000点以上(データベースは1万点以上)をそろえる会員制ライブラリーを運営し、素材や加工技術をクロスボーダーに活用した素材提案や用途開発を支援する。

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サステナブルな素材とは何か 世界の潮流を有力マテリアルコンサルに聞く 前編

 今、サステナブルな素材を選ぶときに必要な視点は何か。サステナブル素材としてオーガニックコットンやリサイクルポリエステルをイメージする人は多いが、今はより広い視点を持つことが求められる。「原料が何」で「どのように作られ」、その「証明」はあるか、「危険物不使用」であるか、「再生可能な資源」か、「水使用量」や「CO2排出量」はどうか、などなど現在私たちが抱えるさまざまな問題に適応しているかが求められ始めている。それと呼応するようにそうした課題解決を目指して、日々さまざまな新素材が生まれている。今、アパレル向けの素材最前線はどうなっているのか。世界の素材の潮流を知るマテリアルコネクションの日本支社の吉川久美子代表取締役にアパレル向けのサステナブル素材の最新動向を11のキーワードで分類してもらい、具体事例を聞いた。

【KEY WORD1】廃棄素材の利用

 一般的に製造プロセスから価値のない「廃棄物」と考えられているもの、またはその他の供給源から調達したもので、リサイクルされたカシミヤ、シルク、ポリエステル、果実や木の実の殻、葉、コーヒーパルプなどの廃棄物から作られたバイオ素材などを指す。

事例

拠点:スリランカ

組成・製法:アイスティー製造プロセス廃棄物に由来する天然染料で、基本色の材料として茶殻80%以上と化学/合成染料を最大20%までを使用。顔料染色に似た工程で染色可能な繊維はシルク、ナイロン、リネン、ビスコース、それらの混紡。現在は染色したテキスタイルをアパレルメーカーに供給しているが、将来的にはノウハウを他の織物工場などに提供する意向。

機能・ポイント:農業廃棄物を活用して多様な色が表現できる。優れた耐変色性、抗菌性、防臭性があり、色は30種類(赤、黄、緑、青、オレンジ、紫、白、フレーなど)を提供。テキスタイルや衣料品染料に関する全ての試験基準を満たしている。同社LCA調査によると、従来の染色方法と比較して、高いエネルギー効率(太陽光発電施設)、CO2排出量削減(最大45%)、化学・合成染料消費と排水(90%)、生成の低減、染色時間の低減がある。エコテックス、ブルーサイン、GOTSの各認証取得済み。ZDHC(有害化学物質排出ゼロ)準拠


【KEY WORD2】再生可能素材

 再生可能素材とは、成長して収穫されたバイオベースの生物から供給される素材。急速に再生可能ではない木を含む(LEEDの定義による)。

事例1

拠点:メキシコ

組成・製法:サポテン植物由来のバイオポリマーから作られたなめし革に似た耐久性のある素材で、裏地には綿100%またはポリエステル/綿(65/35)を用いている。生産工程では雨水と地域に豊富な土中鉱物のみを使用。

機能・ポイント:性能は最長10年継続し、製品寿命後は適切な条件下で生分解する(メーカー実施の初期試験では家庭用コンポストで最大42%)。柔らかな感触、高い引張強度、引裂きおよび摩耗体制を提供。肌に安全で通気性がある。サボテン植物の成熟した葉のみを用いるため、同じ農園で6~8カ月ごとに新たな収穫が可能。地域の農業経済をサポート。サボテン畑は灌漑用水やエネルギーが不用で、除草剤や殺虫剤も一切不使用。レザー風素材の原料になる部分以外は、サプリメントとビールに使用。EUのREACHとカリフォルニア州プロポジション65基準に適合。

事例2

拠点:フランス

組成・製法:綿のように加工された麻繊維。麻繊維に含まれるリグニンを除去して柔らかくした後に、既存の綿やウールの処理装置で紡績・仕上げを行う。デニムやシャツ向けで20~50%のブレンドで使用。

機能・ポイント:繊維ブランドはロットIDによりトレーサビリティを担保。綿と同じ手触りと特性を満たし、既存の綿紡績機器が使用できる。生産工程で殺虫剤や植物衛生製品、遺伝子組み換え品、灌漑を使用していない。仏政府公認の認証組織OCACIAによる持続可能性認証取得。

事例3

拠点:インド

組成・製法:100%植物由来のウール代替素材。野生の薬草からセルロース繊維を作り、オーガニックコットンなどと混紡し、天然植物材料で染色。

機能・ポイント:不毛の土地でも育つ植物に由来し、生育に水や手間、殺虫剤が不要。カシミヤ繊維と似た特性を持ち、生地の中にエアポケットが作り出され、軽量かつ温度調整特性をもたらす。ウールなどと異なり、洗濯するたびに縮むことがない。セルロース由来のため、アレルギー原因になることがない。一般ブドウ球菌に対する天然の抗菌性を持つ。紡績や仕上げに化学薬品を一切用いず、全ての染料と補助剤は自然物に由来。クレイドル・トゥ・クレイドル基準を尊守(化学薬品の不使用、廃棄物ゼロ、生分解性、フェアトレード、動物実験なし)。


【KEY WORD3】リサイクル素材

 リサイクル素材とは、リサイクル前またはリサイクル後の素材を少なくとも5%含む材料で、糸の場合、廃棄布地と古着をケミカルリサイクルして作られたポリエステル生地やナイロン生地、マテリアルリサイクルで作られたシルクやウール、コットンなどを指す。

事例1

拠点:韓国

組成・製法:回収されたプレコンシューマー生地廃棄物から作られたスパンデックス糸。回収後、分別、洗浄を経て粉砕し、溶融されて標準的な紡績を経てスパンデックス糸に再生される。15~1680デニールで提供。

機能・ポイント:バージンスパンデックス糸と同様の伸縮性と回復性を持つ。バージンスパンデックス糸と比べてGHG排出量、エネルギー消費、石油由来材料への依存を低減。リサイクルスパンデックス1トンあたり、約2トンの非再生可能原材料を節約できる。グローバル・リサイクル・スタンダード認証取得。

事例2

拠点:イタリア

組成・製法:シルク生産の廃棄物から作られたリサイクルシルク生地。機械的工程と漂白工程を用いて無彩色の糸に再生し、再度紡ぐ。シルクの輝きとカシミヤのような柔らかさがある。

機能・ポイント:コモで毎年100トン以上廃棄される染色/プリントされたシルクを活用するために4年をかけて開発した技術。ラグジュアリー製品の生産工程での廃棄物は焼却されることも少なくなく、倉庫にはテストプリント品や余剰生産品などが多くあり、その在庫を減らすための取り組み。再生されたシルクはグローバル・リサイクル・スタンダード認証取得。


【KEY WORD4】染色

事例1

拠点:インド

組成・性能:従来の水性染料と補助薬品を利用した水を使わない染色。最も効率的といわれる超臨界二酸化炭素(SC CO2)をベースにした染色および仕上げ技術。特許取得済。テキスタイルにインクジェット印刷またはローラー塗装によって染料や補助薬品を予備コーティングし、その後1500℃、250バールを超える圧力で超臨界流体によって可溶化してテキスタイルに浸透させる。

機能・ポイント:単一工程で処理ができる。シンプルで簡単に規模拡大ができ、経済的に実行可能。超臨界CO2溶剤と染料を再利用できる。色素材料だけではなく、柔軟剤、抗菌剤など仕上げ材を組み込むことができ、その処理のための複数工程、化学薬品、水、エネルギー消費を低減できる。色の均一性、一貫性、洗濯堅牢度、仕上げ効果を改善し、他の超臨界および水洗工程の共通課題である染料溶解度と色の鮮やかさを解決。人工、天然、合成、混紡など多様なテキスタイルへの適用、さまざまな色、柄、質感、仕上げが可能。カスタマイズ機器の供給や継続的サポート、校正設計から試験運転まで完全にプロジェクトの受注可能。

事例2

拠点:オランダ

組成・製法:バクテリアの一種であるフラポバクテリウム菌を用いて塗装とコーティングの構造色を生み出す技術。大量生産化に至っていないが、生分解性で毒性のない塗料の開発、色素ではなく構造による発色のため色褪せることのない塗料開発に向けた足がかりになる。

機能・ポイント:色素から作られるのではなく、最近が生来持つ構造により、さまざまな波長で光を反射することで生み出される。フラポバクテリア菌の遺伝子を抽出し、それらの幾何学変化に基づいてメタリックレッドからブルー、鮮やかな色から微妙なニュアンスカラーまで多くの異なる色と色調へと変異可能。


【KEY WORD5】フッ素

事例1

拠点:アメリカ

組成・製法:フッ素化合物(PFC)を使用しない撥水性化学処理を施した生地で、構成は70%スーピマコットン、30%ポリエステル。色はジェットブラックとシルバーピンクの2種。スーピマコットンのPFCフリーの撥水処理性を最大化するための独自構造の編み立て。紡糸から繊維構造、撥水性化学処理まで工程の各段階を最適化した特許申請中の技術。

機能・ポイント:手触りの良さと通気性を維持しつつ撥水性と防汚性がある。ブルーサイン認証取得。

事例2

拠点:スイス

組成:特性:アヒルの羽毛の撥水性からヒントを得たPFCフリーの撥水性テキスタイル技術。標準的な仕上げプロセスによるコーティング。

機能・ポイント:耐久性のあるポリウレタンの骨格ポリマーフィルムを形成することにより、繊維と最大限結合を高める。耐変色性、通気性、手触りの良さ、摩耗耐性を損なわずあらゆる種類の生地に適応可能。ブルーサイン認証取得。EU REACH、US TSCA(米国有害物質規制法)、ZDHCなどほとんどの使用制限物質リスト規制に適合。PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)を含まず、ホルムアルデヒドフリー。セルロース繊維、合成繊維、混紡、なめし川にも適用可能


【KEY WORD6】トレーサビリティ

拠点:アメリカ

組成・製法:なめし革に分子的に塗布されるタグ付けシステムにより、製品や材料の追跡が可能になる。溶液または粉末状で生産される分子タグをサプライチェーンの多くの段階でなめし革に塗布できる。

機能・ポイント:分子タグはほとんどの素材の中に埋め込むことが可能。認証テストのために分子タグを抽出し、製品メーカーや配送センター、小売り店舗で確認することができる。複製や複写が不可能な数無制限の固有のDNA配列が可能。2020年、アジアを拠点とする世界的なめし工場で、なめし革のDNAタグ付に成功。


【KEY WORD7】LCA

拠点:スイス

組成・製法:微細藻類をベースにした合成テキスタイル向けの吸汗速乾仕上げ加工。原油ベースのテキスタイル用仕上げ薬品と同じ機械、同じプロセス条件下で可能。カリフォルニア州の生産拠点のスチール槽内で、発酵により微細藻類を育成し、多種多様な従属栄養微細藻類を工学処理。

機能・ポイント:従来の化学物質と同レベルの性能を提供し、すぐに置換可能。CO2排出量最大80%削減。植物種子ベースの化学成分と比較して同等コストで仕上げ強度は10%高い。USDAバイオベース優先プログラム、GOTS、ZDHC、グリーンスクリーン・ブロンズ、LCA認証取得。


マテリアルコネクションとは?

 マテリアルに特化したコンサルティング会社で、ナイキ(NIKE)やケリング(KERING)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)やグーグル(GOOGLE)、コカ・コーラ(COCA COLA)やBMWなど、各分野のリーディングカンパニーをクライアントに持つ。製品、デザイン、開発および製造のイノベーションをサポート。さまざまな領域の素材を、常時8000点以上(データベースは1万点以上)をそろえる会員制ライブラリーを運営し、素材や加工技術をクロスボーダーに活用した素材提案や用途開発を支援する。

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世界の「水問題」の解決へ 循環システムの伝道者【ネクストリーダー2022】

 東大発ベンチャー・WOTAは、「持ち運べる浄水場」とうたった循環型浄水システムで注目を浴びている。少量の水を浄化処理して何度も再利用できるこのシステムが普及すれば、世界の水問題は大きく前進する。同社を率いる前田瑶介氏はサステナブルの時代を代表する若きリーダーだ。

WWDJAPAN(以下、WWD):商業施設などでドラム缶型の手洗いスタンド「WOSH」を見かける機会が増えた。

前田瑶介CEO(以下、前田):水道設備は不要で、手洗いの排水をドラム缶の中で98%以上浄化して、繰り返し循環させる。WOSHの設備を採用することで、衛生面だけでなく、環境への企業姿勢を示したいという機運もあるようだ。

WWD:WOSHは19年11月に発表した「WOTA BOX」の技術を利用した。

前田:きっかけは18年7月の西日本豪雨。まだ試作段階だったが、岡山県の2カ所の避難所にシャワー設備として持っていった。水道の復旧が遅れ、真夏なのに入浴できない日が何日も続いていた。久しぶりのシャワーに喜ぶ人たちの声を聞き、水が持つ圧倒的な価値を感じた。同時に力不足も思い知らされた。きれいな水が必要な避難所はたくさんあるのに、技術者と設備の問題で限られた貢献しかできなかった。本来はトイレ排水などの生物処理も完成させた上で世に出すつもりだった。でもいま困っている人がいるなら、現時点で最善のことをしたいと考え、翌年の製品化に向けて動いた。

WWD:自然災害が多発する日本でニーズは多い。

前田:(製品化直前の)19年10月の台風19号では長野県が多大な被害を受けた。この時、内閣府の要請を受けて、WOTA BOXを14カ所に設置した。この様子が報じられて、製品が広く知られるきっかけになった。でも、いくら優れた設備でも災害が起きてから出来ることは限られる。平時の備えの重要性も痛感している。

WWD:水問題に関心を持ったのは?

前田:阪神淡路大震災(1995年)で被災した。たまたま泊まりに行っていた神戸の親戚の家で、3歳だったけど長らく水を使えない記憶が強烈だった。上下水道が止まると、避難所では入浴もできない不衛生な環境でたくさんの人が密集し、さらにトイレのがまんを強いられる。赤ちゃんやお年寄り、体に不自由を抱えた人など弱い人を直撃してしまう。

WWD:原体験と水問題が重なると。

前田:でも、それだけはない。私の一番大きなテーマは、自然の中でどうしたら人が持続可能で生きていけるか。徳島県の山深い地域で生まれ育った。四国なのに雪も積もり、時には交通も遮断される。でも地元の人たちは干し芋など昔ながらの保存食を常備したり、薪で暖をとったり、川から水をひいたり、臨機応変に暮らしてきた。逆に高度なインフラが整った都市部のほど自然の変化に脆弱だったりする。テクノロジーによる問題解決は一つの手段に過ぎない。世界の水問題の本質は、そこに暮らす人たち自律的に解決できるようになることだと思う。WOTAがその一助になればいい。


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「ジャンヴィト ロッシ」が伊大学と提携 2025年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す

 「ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)」がイタリアのボローニャ大学と提携し、サステナビリティにおける新たなプラットフォームを導入したと発表した。

 この取り組みでは、同大学のアウグスト・ビアンキーニ(Augusto Bianchini)教授が提唱する定量的アプローチを活用する。具体的には消費分析や廃棄物管理を通じて、「サステナビリティの3つの柱」とする環境、社会、経済に関するデータの収集と指標の算出を行う。例えば、製造工程で排出された二酸化炭素量を算出することで、排出量削減のための新たな方針を立てることを可能にする、という考え方だ。

 この分析手法を用いることで地球環境に及ぼす影響を数値で理解でき、工場で排出されるカーボンフットプリントを60%軽減させる施策に役立ったという。

 プロジェクトの第一段階では、短中期的計画による再生エネルギーへの移行と、AIを活用した施設内のエネルギー消費の削減及び作業プロセスの効率化を図った。第二段階では、同社のサプライチェーンにおける循環型経済に関する主要データを収集・分析し、このパートナーシップで開発された循環型ビジネスのベストプラクティスを実践する段階へ移行する。

 さらにこのアプローチを全サプライヤーと販売店にも適用して環境指標を算出し、2025年までにブランド全体の完全なカーボンニュートラル達成を目指す。

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「ベジタリアン」「ビーガン」の違いとは? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.14

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第10弾は、【ベジタリアン/ビーガン】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

若手2人が考える【ベジタリアン/ビーガン】

 牛豚鳥や魚類の肉などの動物性食品を避けた食生活をおくるのが「ベジタリアン(Vegetarian)」で、それに加えて「ビーガン(Vegan)」は、卵や乳製品、はちみつといった動物から得られる食材を避け、レザーやファーなどといった動物性の素材も身につけない生き方を指す。できる限り動物性の食事をしない、アイテムを持たない、動物に害のある生産過程を経たものを搾取しないことを目標としている。

 「ベジタリアン」や「ビーガン」になる主な理由は3つある。1つ目は、環境保全・サステナビリティのため。畜産農業によるメタンガスの排出量や森林伐採の環境的問題や飢餓問題に対するアプローチ、あまりにも“効率的に”動物性の食物や素材を得ることのみが優先され、仕組み化された畜産農業の現状を「持続可能ではない」と受け止めた考えだ。2つ目は、動物の福祉のため。動物を犠牲にした素材や食品の採取に抗議する、エシカルなもの。3つ目は美容や健康のため。栄養学に関する研究は食習慣以外にも個人の生活環境などその他の要因が影響し合っていることは念頭に置かれるべきだが、食生活の一種の選択として取り入れる人もいる。

 ファッションでは、「ビーガンレザー」や「エコファー」といった、動物から得られる素材を使用しない新素材が注目を集めている。動物性でないものには安価で多く生産できる石油由来の合皮もあるが、これらは環境問題へのアプローチとしては疑問視されることも多い。その点も踏まえ、完全に植物由来にしたり耐久性を高めたりして、よりサステナブルなものを生み出そうと挑戦する、パイナップルの葉やサボテン、キノコの菌などを使った人口レザーの開発が進んでいる。ビューティ製品における「ビーガン」は、はちみつやコラーゲンといった動物性成分を使用しないことや、動物実験を行っていないことが鍵となる。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

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東レが繊維リサイクルの追跡システム、早ければ24年度から運用開始へ

 東レは、ブロックチェーン技術に精通したスタートアップ企業のソラミツと組み、2022年度からブロックチェーンを活用したトレーサビリティーシステム構築の実証実験を開始する。実証実験には、東レのリサイクルポリエステル事業「アンドプラス(&+)で行う。最終的には、最終消費者も含めいつでも・誰にでも証明できることを目的にするという。東レはこのトレーサビリティーの仕組みを、早ければ24年度から他の素材も含め、全社で運用するという。

 リサイクルポリエステル「アンドプラス」は19年に、回収したペットボトルを原料に高品質のポリエステル繊維を製造・販売していた。今回の実証実験では、糸や生地、縫製、アパレル・小売りまでのサプライチェーン上の企業と連携し、基本システムの構築に向けた課題整理を行う。最終的には、消費者のリサイクル活動への参画を促すため、回収された原材料が再び製品になり、消費者に届くまで循環する、サプライチェーン情報の見える化や見せ方、東レの取引先が自社のトレーサビリティー管理に必要な情報として使いやすくするための仕組みについても検証する。

 ソラミツは2016年に設立したスタートアップ企業ながら、ブロックチェーン技術に精通した企業として知られている。

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東レが繊維リサイクルの追跡システム、早ければ24年度から運用開始へ

 東レは、ブロックチェーン技術に精通したスタートアップ企業のソラミツと組み、2022年度からブロックチェーンを活用したトレーサビリティーシステム構築の実証実験を開始する。実証実験には、東レのリサイクルポリエステル事業「アンドプラス(&+)で行う。最終的には、最終消費者も含めいつでも・誰にでも証明できることを目的にするという。東レはこのトレーサビリティーの仕組みを、早ければ24年度から他の素材も含め、全社で運用するという。

 リサイクルポリエステル「アンドプラス」は19年に、回収したペットボトルを原料に高品質のポリエステル繊維を製造・販売していた。今回の実証実験では、糸や生地、縫製、アパレル・小売りまでのサプライチェーン上の企業と連携し、基本システムの構築に向けた課題整理を行う。最終的には、消費者のリサイクル活動への参画を促すため、回収された原材料が再び製品になり、消費者に届くまで循環する、サプライチェーン情報の見える化や見せ方、東レの取引先が自社のトレーサビリティー管理に必要な情報として使いやすくするための仕組みについても検証する。

 ソラミツは2016年に設立したスタートアップ企業ながら、ブロックチェーン技術に精通した企業として知られている。

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新宿伊勢丹が1月19日から“伝統文化と先端テクノロジーの融合”のイベントを開催 AI提案の織り柄をジャカードで表現

 伊勢丹新宿本店は1月19~25日の期間、本館1階プロモーションにおいてイベント「“つぐ” KORI-SHOW PROJECT・ISETAN」を開催する。“凝り性”を語源とする同イベントは、「伝統文化と先端テクノロジーを結び付け、モノ作りの可能性と豊かな暮らしを提案。職人の技や産地を未来に“つぐ”もの」だという。

 会場には、日本全国約2500種の絣(かすり)を学習したAI(人工知能)が提案した、過去のどの図案とも重複しないオリジナルな織り柄をジャカードで表現したブランケット(税込1万9800円)や、スポーツテック企業のテンシャル(東京、中西裕太郎社長)とコラボして自らの体温を輻射(ふくしゃ)して遠赤外線効果を増幅する特殊繊維“セルフレイム(SELFLAME)”を使った浴衣モチーフのリカバリーウエア(2万2000円、「マクアケ、MAKUAKE」限定発売)などを並べる。

 ほかにも、日本のファッションブランド「ハトラ(HATRA)」がデザインを担当した、耳に直接触れずにフード内で音楽を楽しめるBluetooth内蔵のパーソナルサウンドデバイス(参考商品、展示・体験のみ)や、神戸の老舗ラバーメーカーが開発した衝撃吸収性に優れる“エア ラバー”を採用した草履(1万4300円、「マクアケ」限定発売)も紹介する。東京国立博物館との取り組みでは、同博物館が所蔵する縄文土器を参考に3Dプリンターで出力したボウルや皿、コースター(4950~1万4080円)や、掛け軸を立体化したモビール(8250円)も販売する。

 「“つぐ” KORI-SHOW PROJECT・ISETAN」では、バーチャルろくろで植木鉢作りが体験できたり、香り袋が製作できたりのワークショップ(有料)も実施する。

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東レが100%植物由来原料のナイロン生地 アウトドア向けに展開

 東レは100%植物由来の原料で作ったナイロン生地を開発した。

 2023年秋冬シーズンのスポーツ、アウトドア用途で販売する。これまでもユニチカなどがヒマシ油を原料にしたナイロン繊維を展開していたが、融点の低さや染まりにくいなどの課題があり、産業資材などが先行し、衣料品向けの展開は進んでいなかった。東レは、外部からヒマととうもろこしを原料にしたナイロン原料チップを調達、糸と生地を生産する。一般的なナイロン糸とほぼ同等の性能を持つという。東レの大塚潤スポーツ・衣料資材事業部は「数年前から100%植物由来のナイロンやポリエステル繊維の開発を進めていたが、性能面で従来のナイロンと同等のものがなかなか製造できなかった。原料チップの調達に関しては原料メーカーと独占契約などは結んでいないが、紡糸が非常に難しく、他の繊維メーカーによる量産化のハードルはかなり高いはずだ」と自信を見せる。一般的なナイロン生地に比べ、3〜4割ほど高くなるため、「環境意識の高い海外のアウトドアブランドがまずはターゲットになる」という。

 本日14日から千葉県の幕張メッセで開催の「東京アウトドドアショー2022(TOKYO OUTDOOR SHOW 2022)」で発表した。

 100%植物由来ナイロンは、バイオマス由来製品の統合ブランド「エコディア」で展開し、製品名はポリマーの名前を使用した「エコディア N510」にする。10デニール(デニールは糸の太さの単位、10デニールは9000メートルで10グラム)の、ファインデニールの糸の生産に成功しており、主にダウン向けのタフタ、インナーのスポーティーなカットソー、テント用途などで展開する。初年度の販売数量は20万メートルで売り上げは5億円、25年度には60万メートルの販売を見込む。

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東レが100%植物由来原料のナイロン生地 アウトドア向けに展開

 東レは100%植物由来の原料で作ったナイロン生地を開発した。

 2023年秋冬シーズンのスポーツ、アウトドア用途で販売する。これまでもユニチカなどがヒマシ油を原料にしたナイロン繊維を展開していたが、融点の低さや染まりにくいなどの課題があり、産業資材などが先行し、衣料品向けの展開は進んでいなかった。東レは、外部からヒマととうもろこしを原料にしたナイロン原料チップを調達、糸と生地を生産する。一般的なナイロン糸とほぼ同等の性能を持つという。東レの大塚潤スポーツ・衣料資材事業部は「数年前から100%植物由来のナイロンやポリエステル繊維の開発を進めていたが、性能面で従来のナイロンと同等のものがなかなか製造できなかった。原料チップの調達に関しては原料メーカーと独占契約などは結んでいないが、紡糸が非常に難しく、他の繊維メーカーによる量産化のハードルはかなり高いはずだ」と自信を見せる。一般的なナイロン生地に比べ、3〜4割ほど高くなるため、「環境意識の高い海外のアウトドアブランドがまずはターゲットになる」という。

 本日14日から千葉県の幕張メッセで開催の「東京アウトドドアショー2022(TOKYO OUTDOOR SHOW 2022)」で発表した。

 100%植物由来ナイロンは、バイオマス由来製品の統合ブランド「エコディア」で展開し、製品名はポリマーの名前を使用した「エコディア N510」にする。10デニール(デニールは糸の太さの単位、10デニールは9000メートルで10グラム)の、ファインデニールの糸の生産に成功しており、主にダウン向けのタフタ、インナーのスポーティーなカットソー、テント用途などで展開する。初年度の販売数量は20万メートルで売り上げは5億円、25年度には60万メートルの販売を見込む。

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商業化から20年以上経過も再び脚光、バイオプラPLAの特性とは?

 バイオプラスチック素材として知られるポリ乳酸(PLA)が、環境への負荷の低さから再び脚光を浴びている。日本ではユニチカがPLA繊維として「テラマック(TERRAMAC)」を1998年に商業化し、すでに20年以上が経過するなど歴史は意外と古い。ポイントは植物由来で生分解性がある点で、現在はユニチカと素材大手の東レ(“エコディア”)に加え、スタートアップ企業のバイオワークス(bioworks)も改質PLA“プラックス(PlaX)”の開発を進めている。

 現在、さまざまなサステナブル素材が開発段階にあり、過渡期にあるといえるが、PLAもその一つ。PLAにはどのような特徴があるのだろうか。

 PLAは石油ではなくトウモロコシやサトウキビを原料に、化学的な工程を経て製造されたバイオマスプラスチックだ。生分解性の特性があり、使用後にコンポストまたは土中など水分と温度が適度な環境下に置くことで加水分解が促進され、微生物による分解が進行し、最終的にはCO2と水に完全に分解する。また、生産時および焼却時のCO2排出量はポリエステルに比べて低く、焼却時にダイオキシンや塩化水素、NOx、Soxなどの有害物質は排出しない。

 PLA繊維“プラックス”を開発したバイオワークスによると、“プラックス”のCO2排出量はポリエステル糸と比較して生産時は35%、焼却時は21%少ないという。ユニチカは自社開発したPLA“テラマック(TERRAMAC)”の燃焼熱は、石油系プラスチックの1/2〜1/3と低いという。

 また、PLA樹脂・繊維には弱酸性、抗菌・消臭の機能性があるという。バイオワークスが開発したバイオタオル(コットン80%、PLA20%)は、コットンに比べて高い給水性を持ち、速乾性と抗菌・消臭性がある。実際に室内干しすると、通常のコットン製タオルに比べて乾くのが早く、室内干し特有のにおいはしなかった。

 価格は石油由来のプラスチックよりも高い。しかし、PLAの2大メーカーであるネイチャーワークス(NatureWorks)とトタルコービオン(Total Corbion PLA)は現在、タイにプラントを増設中で、生産量が増えれば価格が下がることが期待できる。

 一方、課題もある。原料のトウモロコシやさとうきびは可食部が用いられており、PLAの生産量が増加すれば、食料への影響も大きくなる。非可食部分での開発も進んではいるというが、実現していない。また、生分解性があるものの高温多湿(温度が約60~80度、湿度100%の工業用コンポスト)の条件下でないと生分解しづらい。つまり、海水中や土の中では生分解されにくい。また、工業用コンポストにはエネルギーを要する。バイオワークスは現在、大学研究機関と発酵熱を出す菌を含む土壌での実証実験を行っており、実用化すれば工業用コンポストで必要なヒーターが不要になり、コンポスト時におけるCO2排出量を大幅に削減できるという。
 
 長く使い続けることはサステナビリティにおいて最も重要な点であるが、PLAは耐久性・耐熱性・耐衝撃性などの強度が弱い。衣料用を検討する場合、アイロンがかけられないなどの欠点もあり、強度を上げるために添加剤を用いるが、多くは石油由来のものが用いられている。バイオワークスは植物由来の添加剤を開発し、アパレル商材に耐えうる物性と染色性を得られているとはいうが、耐久性においては課題が残る。

 PLA運用の先駆者であるユニチカはこれまで、フィルム繊維や不織布、樹脂などさまざまに研究開発を進めたが、ティーバッグやボディタオル、土嚢袋などの産業資材に用いている。東レもティーバッグが最も多い用途だ。ユニチカの岡本昌司技術開発本部サステナブル推進室サステナブル推進グループ長は「ポリ乳酸の特性を生かすことが好ましく、耐熱性を上げるなど欠点を補おうとすると手間もコストもかかるので用途が限定されてしまう。生分解性があり、コンポストできるという特性が生かせる使い捨て用途に用いるのが用途展開する上で無理がなく最適と考えている」と話す。化石燃料ではない点や生分解性の特性から、使い捨てプラスチック製品の置き換えは有効だと言えるだろう。

 特に欧米や中国で進むコンポストの義務化や、ティーバッグなど使い捨て用途の素材規制といった法整備が進む中での需要は確実に高まっている。他方、マスクやおむつなどのエッセンシャルな製品以外の使い捨てプラスチック製品を減らそうという動きがあるため、どのような使い捨て製品の置き換えを想定するかもポイントになる。

 ユニチカは、自社開発したPLA“テラマック”に関して「使用の製品は、原料樹脂の性質上、使用状況や保管状態によって生分解が促進され、数年で劣化する場合がある」とし、商品が劣化した場合は、使用を中止することを促している。バイオワークスの“プラックス”はおよそ3~5年で分解が始まるという。東レは樹脂の強度を高めるため、ABS樹脂を組み合わせている。

 PLAは生産時と廃棄時における環境への負荷が低いといえるが、使い捨て用途ではない製品をコンポストできる素材と組み合わせて製造された場合、そもそもコンポストすべきなのだろうか。理想は廃棄することなく、再資源化すること。しかし現在、回収の仕組みが確立されていないことから、どのような繊維であっても再資源化は難しい状況である。そうした場合、PLAは最も重視すべき問題であるGHG排出量がポリエステルに比べて低いことから、環境負荷が低い素材の選択肢のひとつだといえるだろう。

 バイオワークスは、PLAのケミカルリサイクルは物理的に可能であるといい、混紡繊維であっても分離も可能だという(現在最も多い混紡繊維であるポリエステルとコットンは、技術的に分離は可能になったがスケール段階にありまだ実用化に至っていない)。しかし、ケミカルリサイクルは現在のPLAの規模では難しく、PLAの物質循環の実現には時間がかかるといえる。

 プラスチックやバイオポリマーの研究で知られる大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻の宇山浩教授はPLAの可能性についてこう話す。「前提としてPLAに限らずバイオプラスチックは社会問題を背景に、従来のプラスチックの置き換えとして始まっており、今あるプラスチックに追い付こうとしている素材だ。つまりプラスチックよりも性能は劣るが、価格は高い。それを人々がどれだけ受け入れられるか、という話でもある。生分解性のポリマーで固い性質を持つのは現状PLAだけである。PLAのような生分解性で価格がある程度抑えられて一定の市場を作ることができるポリマーは出てこないのではないか。PLAは大事なポリマーになると思う」と分析する。PLAの衣料用途については「糸はポリマーが強くないと作ることができないため、PLAは染色が難しくポリエステルやナイロン、セルロース(綿)に比べて切れやすいなどの課題はある。しかし、(ポリエステルの置き換えなどを考え)生分解を求めるならPLAしかないと言えるだろう。ただし、性能の話は一般の方にどれだけ理解してもらえるか、という課題もある」と話した。

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「H&M」がバーチャルファッションを発表 デジタル限定ルックを着用できるイベントも

 「H&M」は、ブランド初となるバーチャルファッションを1月11日に発表した。バーチャルファッションはフューチャリスティックな素材を使用したオーバーサイズのベストとレオタード、オレンジの光を放つニット、ネオンカラーのパーカとパンツの3ルックで、仮想空間ならではのディテールを再現し、体型や性別を問わず、多様性を追求したデザインを取り入れた。

 発表に合わせて、日本やアメリカ、イギリス、フランス、デンマーク、インドの6カ国で1月10〜31日にオンラインコンペティションを行う。応募者は同社の公式サイトで3ルックの中から1つを選び、名前をつける。当選者3名は自身の写真とルックが合成されたデータを受け取ることができる。ルックはコンペティションの賞品としての提供のみで、製造・販売する予定はない。

 キャンペーンビジュアルにはHBOの人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game Of Thrones)」でアリア・スターク役を演じ、「H&M」のサステナブル・アンバサダーを務めるメイジー・ウィリアムズ(Maisie Williams)を起用した。

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世界最大級のデニム大手イスコが香港の研究機関と締結、混紡生地を大規模リサイクル

 世界最大級のデニム生地メーカー、イスコ(ISKO)が香港の研究機関エイチケーリタ(HKRITA)とのパートナーシップを締結し、エイチケーリタの「グリーンマシーン」とライセンス契約を結んだことを発表した。

 エイチケーリタの「グリーンマシーン」は、従来は難しかったコットンとポリエステルの混紡生地の分解を、効率性の高い水加熱処理法によって行うというもの。水と熱、そして生分解可能なグリーンケミカル(無公害薬品)のみを使用して綿をセルロースパウダーに分解することで、ポリエステル繊維を分離させることができる。3つの原料のみを繰り返して使用するクローズドループで二次汚染を引き起こすこともない。このテクノロジーでのリサイクル素材の生成はポリエステル繊維にダメージを与えないため本来の品質を維持することができ、また有害物質を含まないセルロースパウダーもさまざまな用途に使用可能。「グリーンマシーン」は現在パイロット段階だが、今後関連技術の開発も共同で実施予定だ。

 イスコはまた、リサイクル素材を最低50%以上混合した「イスコ・アールトゥー・フィフティプラス(ISKO R-TWO™ 50+)」テクノロジーも発表。通常の紡糸過程で損失となる約10%の「落ち綿」と呼ばれる綿を再利用し、そこにリサイクルポリエステルをブレンドして生地を織り上げる。同テクノロジーでは二酸化炭素の排出量を最大45%、水の使用量を最大65%削減することができる。

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盛況「ファッションワールド」で見たサステナビリティ最新動向 差別化が課題

 合同展示会「ファッションワールド東京2021秋」は、10月18日から20日まで東京ビッグサイトで開催し、来場者数は3日間合計で前回比150%の1万9383人となった。特に前回から本格スタートしたサステナビリティを切り口にしたゾーンは出展社数が倍増したこともあり活況で終日多くの人でにぎわった。アパレルとサステナビリティの現在地が見える同展の様子をリポートする。

 出展社数は約200社で、前回から倍増。出展者の大半は繊維商社やテキスタイルメーカー、染色、副資材、業界団体など川上の企業だ。来場者は日を追うごとに増え、最終日は7368人となった。ただしサステナビリティに関してリサーチ段階の企業が多く、ブース内で即商談にはなかなか至らないという声が多い。充実しているセミナーへの参加や情報収集を目的とする来場者が多いようだ。

 2004年に発足した東レ合繊クラスターも同展に今回初出展した。運営する木下淳史東レ北陸支店支店長は来場者の反響から「動き出している感触がある。2021年は後で振り返ればあの時が(アパレルがサステナブルに舵を切る)ターニングポイントだったと思う年になるのではないか」と手ごたえを語る。同クラスターは北陸の中小企業を中心とした89社が加盟し、高機能・感性を強みにしている。今回はその中でも植物由来高機能、非フッ素撥水などサステナブルに通じる切り口で展示していた。このように、サステナビリティのフィルターをかけることで、自社や団体の強みを再発見・提案するケースは多い。

 東レインターナショナルの「トレイン(TORAIN)」もそのひとつだ。従来から高機能素材を得意とする同社だが、そこに「もっと長く使うことはできないか」という観点を入れて商品開発を進めた。結果、加水分解に強い防水生地とシームシーリング技術を組み合わせた機能ウエアが誕生した。防水・透湿・防風性を高めたことで通常3年程度で始まる加水分解が、「トレイン」では10年と製品寿命が長くなったという。素材にはリサイクルポリエステル糸を採用。同社は2025年にすべての「トレイン」製品への環境配慮型素材の採用を目指しており、今回の提案はその第一歩となる。

 出店者数が増えたことで差別化が課題になっている。再生ポリエステル、生分解性素材、裁断くずや落ち綿の活用は特に多くが打ち出しておりプラスαの特徴が求められる。豊島の「エコリッチ(ECORICH)」は裁断くずから生まれた糸で、染色を行わず最大48のカラーバリエーションをそろえる。デザイナーにとっては嬉しい選択肢だ。また同社の漂着ペットボトルゴミを原料とした繊維「UpDRIFT」は、消費者が参加しやすい仕組みをセットで提案する。沖縄の縄文企画と日本旅行の2社と連携して教育旅行で利用できるプログラムを訴求。沖縄・八重山諸島の海洋ごみ問題に関する事前学習、現地でのごみ回収活動の実践、回収したごみから繊維加工を経て製品化したものを学生の手に戻す循環型のプログラムを提案している。

わかりやすいメッセージ、情熱的な接客

 サステナビリティに関して“勉強中”の来場者が多い中で、いかに目立ち、わかりやすくメッセージを発信するかは重要だ。そういった意味で三井物産アイ・ファッションが仕掛ける「バナナクロス(BANANA CLOTH)」は、キャッチーなビジュアルでひときわ目をひき、前回に引き続きにぎわっていた。同ブースには3日間を通して、約2000人が来場したという。米崎尊路三井物産アイ・ファッションMD企画部マーケティング室室長は「昨年より来場者からの専門的な質問が増え、サステナビリティに関する知見が溜まっている印象を受けた」という。「バナナクロス」は、「ダブレット(DOUBLET)」が2022年春夏コレクションで採用するなど認知が広がっている。

 タキヒヨーは、落ち綿を再紡績した「ザニューデニムプロジェクト」を前面に打ち出した。中米グアテマラのアイリステキスタイルと2018年にディストリビューター契約を結んだプロジェクトだ。3年が経過した今、いわゆる“ニュース”ではないが、プロジェクトを立ち上げた杉山雄大サステナブルチームチーフがブース内で言葉を尽くして語る様子に来場者は引き込まれる。紡績業と併せてコーヒー農園も経営するアイリステキスタイルは落ち綿も堆肥として用いるなど循環を自社内で実現している。消費者に伝えたいのはきっとこういったものづくりの背景だ。

 会期中に数多く開かれるセミナーの中では、開発途中のイノベーションの話が飛び出すこともある。世界最大級のデニム生地メーカーであるイスコは、山崎彰也イスコジャパン社長が登壇し、香港のエイチケーリタ(HKRITA)とのパートナーシップ締結を発表した。同社はリサイクル素材を最低50%以上混合する「イスコ・アールトゥー・フィフティプラス(ISKO R-TWO™ 50+)」を発表するなど、リサイクル素材と再利用素材の活用を進めている。エイチケーリタの技術「グリーンマシーン」は綿とポリエステルの混合素材を完全に分離し、大規模にリサイクルすることができる画期的な技術でイスコはデニムブランドとして初めてライセンス契約を結んだ。

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投資家も注目するデジタルファッションのドレスX創業者が語る 「10年以内に1億のデジタルアイテム販売を目指す」

 ロサンゼルスを拠点とするスタートアップ企業、ドレスX(DRESSX)はデジタルファッションのみを販売する注目企業だ。同社のウェブサイトではプライベートレーベルのほか、100ブランド以上1000以上のアパレルやシューズ、アクセサリーなどのデジタルアイテムが並ぶ。価格は20ドル(約2300円)前後のTシャツから、1400ドル(約15万円)のドレスまでと幅広い。ユーザーは同社のウェブサイトで着用したいアイテムを購入し、自分の全身写真をサイトにアップロードすると、後日購入したアイテムを着用した状態の画像が送られてくるという仕組みだ。

 ドレスXは、ファッションとテック業界でキャリアを積んだ3人の女性起業家によって2020年8月にウクライナで誕生した。業界の大量生産の現状に課題を感じ、「ファッションが生み出す美しさや楽しさを保ちながら、生産量を減らしたよりサステナブルなファッション、もしくは生産しないファッション」として、デジタルファッションに着目し、その可能性を広げることに挑戦している。これまでに330万ドル(約3億7000万円)の資金を調達し、アプリの開発や独自のNFT市場の構築などを進める。共同創業者のダリア・シャポヴァロヴァ(Daria Shapovalova)とナタリア・モデノヴァ(Natalia Modenova)にオンラインで話を聞いた。

WWD:デジタルファッションに着目した理由は?

ダリア・シャポヴァロヴァ=ドレスX共同創業者兼CEO(以下、シャポヴァロヴァ):私は18歳でファッション業界に入り、出身地ウクライナでファッション番組を企画したり、地元のファッションシーンを盛り上げるためにメルセデス・ベンツ(MERCEDES BENZ)をスポンサーに迎えてキエフでファッション・ウイークを立ち上げ運営したりしていました。ファッション・ウイークをスタートした同時期に、ナタリアと私は東欧デザイナーを中心としたショールームの運営をはじめ、ネッタポルテ(NET-A-PORTER)やファーフェッチ(FARFETCH)、パリ、ニューヨーク、東京などの世界の大型店舗に商品を卸していました。ビジネスをする中でアパレルは生産サイクルが速く、大量に生産している点や、最近ではSNSで写真を投稿するためだけに服を購入し、撮影後には返却する客が多いといった話も聞くようになり問題意識が芽生えました。そこで私たちはSNSやゲームの世界において人々がデジタル上でファッションを楽しむ様子に、未来のファッションのあり方のヒントがあるのではないかと考えました。ちょうどパンデミックになり、人々がオンラインで過ごす時間が増えたことにも後押しされ、創業を決めました。

ナタリア・モデノヴァ=ドレスX共同創業者兼最高執行責任者(以下、モデノヴァ):社名の“ドレス”は、アイテムとしてのドレスにフォーカスを当てるという意味ではなく、“着る行為”そのものをアップデートせよという意味です。英国のバークレイズ銀行の調査によると、英国で購入されたファッションのうち9%がSNS用の写真撮影の後に返却されたそうです。これはコロナ以前の調査結果なので、今現在さらに多くの人がオンラインで過ごしていることを踏まえれば、デジタルファッション市場にポテンシャルがあると思ったんです。

WWD:デジタルファッションを環境負荷が低いという観点でアピールしている点がユニークだ。

シャポヴァロヴァ:ショールームで働きながら、売られない服をたくさん見てきました。これらを誰かの手に渡らせたいというのが、アイデアの発端の一つでした。私たちはデジタルで新しいファッションや消費のあり方を提案したい。これが業界の環境問題を解決する唯一の選択肢というわけではありませんが、その一つであることは間違いない。例えば、ギフティングをデジタルファッションで行えば、ブランドは資源やコストの削減につながります。そして、デジタル上ではデザイナーたちが頭の中に思い描くデザインを膨大な資源を使わずに実現することもできる。表現の幅を広げるという意味でも可能性は大きいでしょう。

モデノヴァ:私たちの独自の方法で、フィジカルで生産していたものをデジタルに変えることでどれくらいCO2排出量が減らせるかを計測したといったデータも掲出しています。

WWD:デジタルファッションは、未知の分野だったと思うが技術的な課題はどのように解決した?

シャポヴァロヴァ:私とナタリアはファッション業界にいましたが、もう一人の創業者のジュリー・クラニエンコ(Julie Krasnienko)はウクライナのスナップチャットで働いていた経験があり、テック系の知識を持っていました。最初は手探りの部分も多かったですが、創業から3カ月後には現在のチーフ・テクノロジー・オフィサーを含む8人のエンジニアを迎えて急ピッチで開発を進めました。現在は写真だけでなく、リアルタイムで撮影をしながら、その人がデジタルファッションを着用しているように見せることもできるようになりました。

NFT市場参入でビジネス規模をさらに拡大

WWD:現在ウェブサイトでは100ブランド以上のアイテムを取り扱っている。どのように参加デザイナーを募った?

モデノヴァ:最初は何人かのファッションデザイナーに声をかけ、彼らの商品をデジタル化することから始まり、さらにどんな機能が必要かといった検証を重ねました。同時にさまざまなデザイナーにドレスXの意義やコンセプトを伝えることで興味を持ってくれるデザイナーが増えていきました。

WWD:フィジカルファッションを提供するブランドとの協業も増えていく?

モデノヴァ:8月にはファーフェッチとのパートナーシップの下、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のデジタルサンプルを製作しました。ファーフェッチの先行予約サービス開始に合わせたもので、インフルエンサーだけがそのデジタルサンプルを着用することができ、その着用画像をSNSなどに投稿することで、消費者の実際のオーダーにつなげるというものです。ファーフェッチは顧客からサステナビリティへの要求が高まる中、一部のキャンペーンをデジタル化することでCO2排出量を抑えられるという点にメリットを感じていました。そのほか私たちのウェブサイトにはありませんが、「バルマン(BALMAIN)」とは、彼らのNFT商品の製作を手伝いました。デジタル化には、実際の商品を送ってもらう必要はなく、商品の写真から作成できます。

WWD:「10年で1億のデジタルファッションを販売すること」を目標に掲げているが、その進捗は?

シャポヴァロヴァ:売り上げは非公表ですが、月15~20%増くらいで成長しています。私たちはデジタルファッション分野のパイオニア企業の一つで世界最大のプレーヤーです。11月には自分たちのNFTマーケットを立ち上げるので、その規模はさらに大きくなります。

WWD:ビジネス規模を拡大する上でNFTは重視している?

モデノヴァ:すでにいくつかのNFTマーケットと連携しています。例えばクリプト.comで販売しているNFTアイテムは、購入者だけが着用することができ、その購入者がアイテムを売りに出した場合は、アイテムの所有権が次の購入者に移るという仕組みです。NFTで私たちは、よりエクスクルーシブで少数のアイテムを取り扱うラグジュアリーファッションのカテゴリーを新設する予定です。自分たちのNFTマーケットでは、アプリと連携してユーザが常に自分のデジタルクローゼットを管理できるような仕組みを作ります。

シャポヴァロヴァ:カテゴリーは服だけでなく、靴やアクセサリーもあります。残念ながら、靴はあまり強い商材ではないですが、アプリ内のAR試着では特にアクセサリーが人気です。全カテゴリーを網羅し、まだデジタルコレクションを持っていないラグジュアリーブランドを巻き込んで規模を拡大します。

WWD:現在どのような人がデジタルファッションを購入している?

モデノヴァ:SNSのアクティブユーザーや新しいテクノロジーに関心の高い層、ファッションが好きでかつサステナブルな楽しみ方を模索している層などです。

WWD:今後どのようにデジタルファッションの魅力を広げていく?

シャポヴァロヴァ:例えば、この取材もオンラインで行われていますよね。ナタリアが今着けているアクセサリーはドレスXの商品です。SNSやゲーム、オンライン上でのコミュニケーションの場ではデジタルファッションの需要が分かると思います。ただ、デジタルはフィジカルなファッション市場を侵略するものではありません。現在のファション市場のうちの1%でも、デジタルで楽しむことができればそれだけでも相当なインパクトがあります。いかにデジタルとフィジカルを共存させていくかがポイントになるのではないでしょうか。

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「クロックス」が既存製品をバイオベースの新素材に切り替え 2022年から

フットウエアブランド「クロックス(CROCS)」は、独自の特製樹脂“クロスライト”をバイオベースに改良した新素材の導入を発表した。定番モデル“クラシック クロッグ”を含む既存製品に採用し、2022年初めに発売する。

新たな“クロスライト”は、素材科学企業ダウ(DOW)の新技術“エコリブリアム(ECOLIBRIUM)”を用いており、バイオベースの再生可能な原料を使用。新素材を既存製品に使うことで、見た目や機能性はそのままに、シューズ1足あたりのカーボンフットプリント(CO2e・温室効果ガス)を2030年までに50%削減することを目指す。

「クロックス」は7月、2030年までにバリューチェーン全体での温室効果ガスの排出量・吸収量・除去量の合計値をゼロにする“ネットゼロ”達成を目標に掲げており、新素材の導入はその取り組みの一環。同社は21年中に100%ビーガンブランド化を宣言しているほか、リサイクルプログラムやサステナブルなパッケージの切り替えにも積極的に取り組んでいる。

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マッシュルームレザーの生産拠点が日本に 「ダブレット」が組んだインドネシア発スタートアップ創業者が語る

 キノコの菌製の人工レザー“マッシュルームレザー”が環境への負荷や動物の権利といった問題を解決する新素材として注目を集めている。すでに有力ブランドが“マッシュルームレザー”を開発・運用する新興企業との協働に乗り出しており、特に米国の新興企業と組んだエルメスやアディダスやステラ マッカートニーなどはその成果を発表し商品化を進めているブランドもある。

 「日本に“マッシュルームレザー”の生産拠点を作る」――インドネシア発のマイセル/マイコテック ラボ(MYCL / MYCOTECH LAB)は、8月23日に開催された京都工芸繊維大学主催のオンラインレクチャー「スクール オブ ファッション フューチャー」に登壇し、日本に生産拠点を構えることを明かした。彼らはアジアでの生産拠点拡大を目指しており、中でも日本は「きのこの培養に関して非常に優れた自動化技術がある」と期待を寄せる。同社が開発したマッシュルームレザー“マイリー(Mylea)”は、東京のデザイナーズブランド「ダブレット(DOUBLET)」が2022年春夏コレクションで用い、ライダースジャケットやミニポーチを来春発売すると発表している。

 マイセルは2015年にインドネシアで創業し、地元のキノコ農家と協力してキノコの菌糸を天然接着剤として使用したバインダーレスボード“BIOBO”やキノコの菌糸体を用いたマッシュルームレザー“マイリー”を開発した。米クランチベースによると累計の資金調達額は83万3000ドル(約9080万円)。共同創業者でチーフイノベーションオフィサーのロナルディアス・ハータンチョ(Ronaldiaz Hartantyo)にオンラインで話を聞いた。

WWD:先日登壇したウェビナーで日本での生産拠点を開発すると明かしていたが、どこと組むのか。

ロナルディアス・ハータンチョ共同創業者兼チーフイノベーションオフィサー(以下、ロナルディアス):マッシュルーム関連のコンサルティング会社で長野県を拠点にしているサライ・インターナショナル(SALAI INTERNATINAL、 キノコプラントなどの栽培設備の輸出・輸入・販売、キノコなどの食品生産に関わるコンサルティングを行う)と組む。本格的に動き出すのは来年で、将来的には新会社を設立することになるだろう。当社の担当者がこれから日本に向かう予定だ。

WWD:なぜ、サライ・インターナショナルだったのか。

ロナルディアス:ビジョンやミッションに共通点を感じた。メールでのやりとりを経て、バーチャルなミーティングを行うようになり、今はサンプルや製品を交換しながら進めている。

WWD:具体的な計画は?

ロナルディアス:現在検討中だ。最終的にどのようなコラボレーションになるのか、ライセンス契約になるのか合弁会社を設立するのか――現時点でははっきりわからないが、2023年ごろの供給を目指している。

WWD:日本での生産拠点の候補地は?

ロナルディアス:現時点では言えない。サライ・インターナショナルの協力を得て、素材(原料となる農業廃棄物)が調達できる候補地を紹介してもらい、どの素材を使用するか検討した上で、その素材を調達できる場所にアプローチしていきたい。

WWD:マイコテック ラボは“マッシュルームレザー”の生産(オガクズなどの木質機材に米ぬかなど栄養源を混ぜて栽培する)に農業廃棄物を用いているが、具体的に何を用いているか。

ロナルディアス:森林廃棄物に加え、農業廃棄物は米、とうもろこし、サトウキビなどを用いている。

WWD:原料に農業廃棄物を利用する点が、他社とは異なる優位性だと感じる。改めてマイコテック ラボの優位性を教えてほしい。

ロナルディアス:効率性だといえる。廃棄物を利用して、さらに、マッシュルームレザーを作る工程で出る液体と個体の廃棄物も活用する。個体廃棄物は建材に、液体廃棄物はバイオプラスチック製造に用いる予定だ。生産工程における環境負荷の低減にも取り組んでいる。イノベーションでどう社会的にインパクトを与えることができるか、どう貢献できるかを考えながら、マイセリウムレザーを市場に供給できるように取り組んでいる。

WWD:菌糸体から作られた“マッシュルームレザー”が本革よりも優れていると話していた。

ロナルディアス:ポイントは3つある。1つ目は耐火性。2つ目は30~60日で成長する点。3つ目は、生産コストが安い点だ。

WWD:量産に向けた計画は?

ロナルディアス:2023年の生産目標は25万平方フィート(2万3225平方メートル)だ。現在はパイロットプラントで製造しながら、品質の標準化と最適化を行っている。また、ISOなどの認証取得に力を入れている。加えて、今、インドネシアに1万平方フィート(929平方メートル)規模の工場を建設中で11月に完成する予定だ。

WWD:量産する上で難しいと感じていることは何?

ロナルディアス:現時点で挑戦的なことは品質を標準化することだ。1枚のシートをラボで作るのは簡単だが、同じ品質のものを2000枚作るのが難しい。自社の標準を質量や衛生面など108の項目を決めて取り組んでいるが、キノコは生物的なものだから思うようにいかないね。人間に例えるといろいろうるさいタイプ(笑)。

WWD:森林廃棄物や農業廃棄物の利用についてのハードルはない?

ロナルディアス:これまでサトウキビやパイナップル、おがくずなど15種類の廃棄物を活用してみたが、問題なかった。それよりも現時点で挑戦的なのは品質の標準化だ。

WWD:加工に関しての課題は?

ロナルディアス:本革に比べて低い環境負荷で加工することができる。一例を挙げると、菌糸体は重金属のクロムを使わずになめすことができる。現在、セチャンという木材から作られたタンニン材を用いているが、さらに環境への負荷が低い方法があるかも探っていく。

WWD:そもそもあなたがサステナビリティに興味を持ったきっかけは?

ロナルディアス:大学生のころにエコキャンパス運動に参加したことだ。その後、建築家として自然保護やヴァナキュラー建築を手掛けるようになり、より深くサステナビリティについて学び、サステナビリティを推進するコミュニティーや運動を起こすようになった。私は、サステナビリティはトレンドではなく、必要不可欠なものだと考えている。次の世代のために世界を守るために、私たちはイノベーションと小さな習慣の変化で貢献することができる。

WWD:もともと建築家としてキャリアをスタートしたが、キノコが持つ素材としての可能性を感じて創業したと聞いたが。

ロナルディアス:建材、ファッション、バイオプラスチックの梱包材とビジネスのポテンシャルは高い。ファッションを優先して進めているのは、製品だけではなくコンセプトが重視されているから。消費者も自分が着ている服が何から作られているかを知りたいと思うようになっている。建材にする場合、軽くて丈夫なレンガを作ることができるが、建材は今、価格が重視されている(がアパレルはコンセプトが良ければ多少価格が高くても売ることができる)。

WWD:数あるキノコの中でもレイシを選んだ。

ロナルディアス:品種さえ同じであれば品質は変わらないが、育つ環境がポイントで、レイシは、いろんな気候に順応できるんだ。

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スパイバー、上場へ本格始動 カーライルなどから340億円を調達

 人工タンパク質素材のスタートアップのスパイバーは8日、投資ファンドのカーライルや官民ファンドであるクールジャパン機構などからの増資と事業価値の証券化で新たに340億円の資金調達を行ったと発表した。カーライルは第三者割当増資で100億円を出資し、クールジャパン機構とともに取締役も派遣する。スパイバーの資金調達はこれまでベンチャーキャピタルや取引先が主力だったが、有力なプライベートエクイティ(PE)ファンドであるカーライルの参加で、本格的にIPOに向けて動き出す。カーライルの渡辺雄介マネージングディレクターは「アパレル産業への強力なインパクトと共に、中長期的にも大きな市場をターゲットにしており、大きな可能性を感じた。経営基盤の強化に加え、海外進出への支援を行う」という。

 資金調達の内訳は投資ファンドのカーライルのほか、フィディリティインターナショナル(Fidelity International)やベイリーギフォード(BAILLIE GIFFORD)などの海外の機関投資家による出資のほか、官民ファンドのクールジャパン機構の追加増資で240億円。将来の事業価値を担保にした事業価値証券化で100億円になる。新たな増資は1株4500円で行い、最新の株式評価額は1330億円になる。

 今回の資本提携に対し、スパイバーの関山和秀取締役兼代表執行役とカーライルの渡辺雄介マネージングディレクターにオンライン取材を行った。一問一答は以下の通り。

WWDJAPAN(以下、WWD):資金調達の狙いは?

関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役(以下、関山):タイの原料プラントが年内にも立ち上がり、米国の原料プラントの準備も順調に進んでおり、グローバルな垂直立ち上げのための資金だ。カーライルから出資だけでなく取締役の派遣も受けるのは、2〜3年内にIPOを検討しており、経営基盤の強化のためだ。

WWD:有価証券報告書によるとスパイバーは、この5年間、売上高はわずか2億円で、対して損益はずっと赤字。この5年累積赤字は160億円超に達する。PEファンドであるカーライルが出資を決めた理由は?

渡辺雄介カーライル マネージングディレクター(以下、渡辺):「ブリュードプロテイン(BREWED PROTEIN)」の商業化の進捗から、所有する技術、それらに付随する特許、さらには将来の市場規模まで、スパイバーの企業価値については徹底的に分析した。現在の生産技術やタイの原料プラントの進捗、米国プラントの規模、水面下で進んでいる世界規模でのブランドやアパレル企業との共同開発の状況などから見て、数年内の収益化はかなり有望だと分析している。かつ、人工タンパク質素材という革新的な素材の持つTAM(Total Addressable Market=将来獲得可能な市場規模)に関しても、繊維にかかわらず、プラスチックなどへの応用範囲も広く、しかもそこでのシェアを取れる可能性も高く、かなり大きい。日本でははじめての非バイアウト型のマイノリティグロース投資ということもあって、投資委員会でどう説明しようか迷ったものの、第一声は“素晴らしい!”と、かなりの高評価だった。

WWD:どう支援していく?

渡辺:まずはグローバルな事業展開に向けた支援だ。グローバルな投資ファンドであるカーライルはご存知の通り、シュプリーム(2020年にイグジット)やモンクレール(14年にイグジット)など、有力なグローバルブランド支援の実績があり、現在もゴールデングース(GOLDEN GOOSE)などの支援も行っている。出資先にとどまらず、幅広くさまざまなブランドとのコラボレーションなど、やれることは多いと感じている。IPOだけでなく、これまで培ってきた当社のグローバル展開とサステナビリティの知見を最大限に提供したい。

WWD:人工タンパク質素材に関しては、同業の米国のボルトスレッズ(BOLT THREADS)を筆頭に開発競争が激しくなっている。今後の展望は?

関山:スパイバーは人工合成タンパク質素材の分野では、タイと米国での原料プラントの着工や準備から、紡糸、ユーザーとの商品化に向けた共同開発といった商業生産から、研究開発から生産にまたがる圧倒的で多彩な特許網、さらには世界での標準化規格まで、あらゆる分野で世界でも他を圧倒している。タンパク質合成の分野では、先日SPAC(特別買収目的会社)上場を発表した、米ボストン発のギンコ・バイオワークス(GINKO BIOWORKS)のような強力なスタートアップが台頭しており、ユニコーン企業以上のレベルで競争は激化している。ただ、スパイバーの最大の強みは、タンパク質合成から、発酵による原料の生産、紡糸まで、合成生物学や遺伝子工学、高分子学など幅広い分野にまたがるコア技術を内製化し、超高速回転させて発展させられること。ラボレベルから量産に踏み出すときには大手素材メーカーとの協業や共同開発なども必要になってくるが、有力な技術や特許をどちらが持つかで事業の進捗が停滞したり、止まってしまうことも多い。その意味でも内製化している当社はかなりのアドバンテージがある。事業の垂直立ち上げのため、今後まだまだ大きな資金が必要になるが、カーライルとの提携で、2〜3年内の上場に向けての動きも整った。今後はさらに経営のスピードを上げていく。

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石田ニコルと考える 電気自動車「日産アリア」とファッションのサステナブルな共通点

 電気自動車(EV)「日産アリア(ARIYA)」は、レジャーやスポーツに適したSUVタイプの新型車。快適なドライブだけでなく、サステナブルなライフスタイルを叶えるクルマだ。現在予約注文を受け付けている日本専用の限定モデル「日産アリア リミテッド(ARIYA limited)」は、大容量のバッテリーはもちろん、高速道路での同一車線内ハンズオフ走行や、駐車スペースからの出し入れの車外操作を可能とする先進的システムを搭載。同時に「ボーズ(BOSE)」の上級サウンドシステムや、枯山水をモチーフにした専用色のフロアカーペットなどを装備している。「バーガンディー/ミッドナイトブラック」など、「日産アリア リミテッド」限定の2色の2トーンボディーカラーも魅力的だ。
 サステナブルなライフスタイルを叶える「日産アリア リミテッド」とファッションには意外な関係性が存在するのではないか?そう考え、ファッションモデルで女優・タレントの石田ニコルと、横浜にある日産 グローバル本社ギャラリーを訪問。世界中の日産車のデザインを統括する田井悟(たい・さとる)エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターと、「日産アリア」とファッションの共通点を考えた。

「粋」な外観と「間」な
車内で二面性を表現

 日産 グローバル本社ギャラリーで展示中の「日産アリア リミテッド」は、「シェルブロンド/ミッドナイトブラック」というリミテッド専用のツートンカラーが印象的だ。環境負荷が少ないためか勝手に思い描いていた、電気自動車の“優等生”的な印象は、軽やかに裏切られる。田井ダイレクターは、エンジンがないからこそ最初からフルパワーで走る電気自動車の「静かだけれど、ダイナミックに動く姿を形で表現したかった」と話す。サステナブルな車だからこそ、“車好き”以外のドライバーにも届けたいと願い、「車好きが好むパワフル」だけじゃない表現を意識した。
 「抑揚をつけるのではなく、なるべくシンプルに」。そう考え、日本の伝統にインスピレーションを得た。ホイールは折り紙、フロントのシールドには組子、ランプには行灯、そして、室内のカーペットには枯山水。日本の車メーカーとしての歴史とプライドを、最先端の電気自動車に注ぎ込んだ。石田ニコルは粋な電気自動車を「日本の伝統美が加わりスタイリッシュ。和洋が折衷しているからこそ、オシャレに感じます」と話す。
 室内は、電気自動車だからこそ、これまでエンジンが侵食していた足元の空間が格段に広くなった。外観が「粋」なら車内は「間」が特徴で、後部座席に座った石田も「前方の広さと“抜けている”カンジがスゴい!」と驚いた。

日本の伝統美は
「みんな好き」

WWDJAPAN(以下、WWD):そもそも、車やドライブは好き?
石田ニコル(以下、石田):車の中の空間、が好きなんです。友人とのドライブはもちろん、一人でSUVを走らせるのも好きですよ(笑)。プレイリストを作って、BGMを楽しみながらドライブしています。今は自分で運転する機会があまりないので、レンタカーやカーシェアリングのお世話になっています。
田井悟エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター(以下、田井):今後車を買うなら、多分電気自動車になりますね(笑)。ご覧になった「アリア」はいかがでしたか?
石田:運転したことがなかったせいか、電気自動車をまだ身近に思えていなかったんです。大好きなゲームにはスタイリッシュで未来的な車が登場するのですが、「将来、こんな車が増えるのかな?」と思っていたくらいで。でも「アリア」は、日本の伝統美も表現しているせいか、親近感がわきますね。想像していたスタイリッシュさと、予期しなかった繊細な日本らしさ、いろんなものがミックスされてオシャレになってきたのは、ファッションと同じですね。
田井:仕事柄、コロナ前は世界中のモーターショーを訪ねていました。ファッションメディアやバイヤーの皆さんと一緒です。そこである時から、どの国でも、日本の要素が入り始めたのに気づいたんです。食べ物もそうでしょう?日本食の“格”は増すばかり。刺身がニューヨークのアメリカンレストランで出てきても驚かなくなりました。「繊細」や「健康的」などのイメージが浸透したのでしょう。今は「伸るか反るか」のギャンブルではなく、「みんな好きですよね?」という感覚で、日本的な要素が取り入れられています。
石田:ゲームの世界も同じです。海外の方にとって、アニメとゲームに溢れている日本はたまらない場所なんです。
田井:ゲームの世界は、めちゃくちゃ刺激になっているんですよ。世界中から何万人が集まって、着替えて、好きな武器を持って、同時に戦う。プラットフォームとしてモノ凄くて、「未来は、ここにあるに違いない」って思っています。

車でも「時代はサステナブル。
若い世代は地球のために選択」

石田:ゲームは没入できる世界観が大事ですが、「アリア」も周りの空気やライフスタイルを大事にしている印象です。
田井:車業界には「俺を見ろ!」という意気込みで、オブジェとしての車を作ってしまう感覚がありました。でも、僕は「アリア」は「景色」にしたかった。存在感はあるんだけれど、「俺が、俺が」じゃないカンジ。日本の伝統美は、そんなアプローチにもピッタリだったんです。
WWD:丁寧に作ったシンプルな洋服こそ、着る人の個性を引き出し、結果、長く愛されると考えるファッション業界に通じます。
田井:今までは異なる業界と分け隔てていましたが、これからは一緒。ファッションやゲームの世界で起こることは、車業界でも起こっているんです。
WWD:「アリア」はファッション業界同様、サステナブルにも真摯に向き合い生み出されている。
石田:私はサンゴ礁を守るための日焼け止めのほか、エコバッグなどサステナブルなアイテムをプロデュースしていますが、環境問題などをもっと深く学びたいと思い今年、ドイツのミュンヘンで開かれた次世代リーダーのためのグローバル・フォーラム「ワン ヤング ワールド サミット 2021(One Young World Summit 2021)」に参加したんです。改めてヨーロッパではサステナブルな生活が浸透していて、マイボトルから再生糸を使ったファッションまで、環境負荷が少ない選択肢の幅広さを感じました。私自身、買う物は、迷ったらサステナブルな方を選びたい。今は多くのファッションブランドが関心を抱き始め、オシャレに表現してくれるので嬉しいです。
田井:私たち日産も、社会に貢献するサステナブルというムーブメントを応援すべく、電気自動車という選択肢を用意したいと思っています。同時に「地球に良い」だけでなく、クルマとして、デザインとして楽しめるモノに仕上がるようこだわりました。これもファッションも同じだと思いますが、車業界にもいろんな考えがあります。その全てを叶える車の開発は、本当に難しいです。でも、時代がサステナブルなのは間違いありません。電気自動車についても、若い世代は「電気はガソリンより安い」や「燃費が良い」ではなく、地球のために選んでいる気がします。

「車は、いろんな世界の美しさの
間に存在する架け橋」

WWD:ファッション業界では、多くを捨てないように、タイムレスな洋服を生み出そうという流れがある。車業界は?
田井:バブルを経た世代には、モノは買って、捨てるのが当たり前という感覚がありました。そんな消費者に向き合ってきた業界として、「飽きられることを前提にモノを作ってきた」感覚は存在したのかもしれません。でも今は洋服同様、車を取り巻く環境も変わっています。電気自動車は間違いなく増えますが、同様にカーシェアも普及するでしょう。最近は、「シェアする時代にふさわしい性能って、なんだろう?」って考えますよ。衛生や更なる安全など、求められる性能も変わるでしょう。
WWD:レンタルやサブスクリプション、カスタマイズが広がり始めたのは、ファッション業界も同じです。
田井:直近では、カスタマイズの流れは間違いなく来るでしょうね。
石田:ゲームの世界も、カスタマイズです。スキン(ゲーム業界では「見た目の変更」の意味。「着せ替え」と同義)にお金をかけています。スゴい銃とかが出てくると、みんなが「うわぁ~」ってなるんです(笑)。お金をかけたスキンでゲームを楽しんでいますが、私には自然の中で楽しむダイビングも大事です。ゲームとは違う、「今」を見ているカンジ。このメリハリが良いんです。だからこそ、サンゴ礁を守る活動を続けながら、サステナブルな生活も心掛けたいです。私にとっての車やドライブは、2つの世界の美しさの間に存在する架け橋みたいな存在です。これからも楽しみたいと思います。
田井:ぜひ、「アリア」で出掛けてください。自画自賛ですが、静かなのにパワフルな、本当に新しいSUVなんです。知らないうちにいろいろサポートしてくれるから、運転が上手くなった気分になって、ますますドライブが楽しくなりますよ(笑)。

HAIR&MAKE:ICHIKI KITA
PHOTO:TSUKASA NAKAGAWA
STYLING:NATSUKO DEGUCHI
石田ニコルの衣装は、
ブラウス&パンツ:共に「デザイナーズ リミックス」税込2万9700円(コロネット03-5216-6518)
イヤリング:「リプサリス」同9680円(ロードス03-6416-1995)
ブーツ:「ダイアナ」同2万6950円(ダイアナ 銀座本店03-3573-4005)
問い合わせ先
日産自動車 お客さま相談室
(9:00-17:00)
0120-315-232

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石田ニコルと考える 電気自動車「日産アリア」とファッションのサステナブルな共通点

 電気自動車(EV)「日産アリア(ARIYA)」は、レジャーやスポーツに適したSUVタイプの新型車。快適なドライブだけでなく、サステナブルなライフスタイルを叶えるクルマだ。現在予約注文を受け付けている日本専用の限定モデル「日産アリア リミテッド(ARIYA limited)」は、大容量のバッテリーはもちろん、高速道路での同一車線内ハンズオフ走行や、駐車スペースからの出し入れの車外操作を可能とする先進的システムを搭載。同時に「ボーズ(BOSE)」の上級サウンドシステムや、枯山水をモチーフにした専用色のフロアカーペットなどを装備している。「バーガンディー/ミッドナイトブラック」など、「日産アリア リミテッド」限定の2色の2トーンボディーカラーも魅力的だ。
 サステナブルなライフスタイルを叶える「日産アリア リミテッド」とファッションには意外な関係性が存在するのではないか?そう考え、ファッションモデルで女優・タレントの石田ニコルと、横浜にある日産 グローバル本社ギャラリーを訪問。世界中の日産車のデザインを統括する田井悟(たい・さとる)エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターと、「日産アリア」とファッションの共通点を考えた。

「粋」な外観と「間」な
車内で二面性を表現

 日産 グローバル本社ギャラリーで展示中の「日産アリア リミテッド」は、「シェルブロンド/ミッドナイトブラック」というリミテッド専用のツートンカラーが印象的だ。環境負荷が少ないためか勝手に思い描いていた、電気自動車の“優等生”的な印象は、軽やかに裏切られる。田井ダイレクターは、エンジンがないからこそ最初からフルパワーで走る電気自動車の「静かだけれど、ダイナミックに動く姿を形で表現したかった」と話す。サステナブルな車だからこそ、“車好き”以外のドライバーにも届けたいと願い、「車好きが好むパワフル」だけじゃない表現を意識した。
 「抑揚をつけるのではなく、なるべくシンプルに」。そう考え、日本の伝統にインスピレーションを得た。ホイールは折り紙、フロントのシールドには組子、ランプには行灯、そして、室内のカーペットには枯山水。日本の車メーカーとしての歴史とプライドを、最先端の電気自動車に注ぎ込んだ。石田ニコルは粋な電気自動車を「日本の伝統美が加わりスタイリッシュ。和洋が折衷しているからこそ、オシャレに感じます」と話す。
 室内は、電気自動車だからこそ、これまでエンジンが侵食していた足元の空間が格段に広くなった。外観が「粋」なら車内は「間」が特徴で、後部座席に座った石田も「前方の広さと“抜けている”カンジがスゴい!」と驚いた。

日本の伝統美は
「みんな好き」

WWDJAPAN(以下、WWD):そもそも、車やドライブは好き?
石田ニコル(以下、石田):車の中の空間、が好きなんです。友人とのドライブはもちろん、一人でSUVを走らせるのも好きですよ(笑)。プレイリストを作って、BGMを楽しみながらドライブしています。今は自分で運転する機会があまりないので、レンタカーやカーシェアリングのお世話になっています。
田井悟エグゼクティブ・デザイン・ダイレクター(以下、田井):今後車を買うなら、多分電気自動車になりますね(笑)。ご覧になった「アリア」はいかがでしたか?
石田:運転したことがなかったせいか、電気自動車をまだ身近に思えていなかったんです。大好きなゲームにはスタイリッシュで未来的な車が登場するのですが、「将来、こんな車が増えるのかな?」と思っていたくらいで。でも「アリア」は、日本の伝統美も表現しているせいか、親近感がわきますね。想像していたスタイリッシュさと、予期しなかった繊細な日本らしさ、いろんなものがミックスされてオシャレになってきたのは、ファッションと同じですね。
田井:仕事柄、コロナ前は世界中のモーターショーを訪ねていました。ファッションメディアやバイヤーの皆さんと一緒です。そこである時から、どの国でも、日本の要素が入り始めたのに気づいたんです。食べ物もそうでしょう?日本食の“格”は増すばかり。刺身がニューヨークのアメリカンレストランで出てきても驚かなくなりました。「繊細」や「健康的」などのイメージが浸透したのでしょう。今は「伸るか反るか」のギャンブルではなく、「みんな好きですよね?」という感覚で、日本的な要素が取り入れられています。
石田:ゲームの世界も同じです。海外の方にとって、アニメとゲームに溢れている日本はたまらない場所なんです。
田井:ゲームの世界は、めちゃくちゃ刺激になっているんですよ。世界中から何万人が集まって、着替えて、好きな武器を持って、同時に戦う。プラットフォームとしてモノ凄くて、「未来は、ここにあるに違いない」って思っています。

車でも「時代はサステナブル。
若い世代は地球のために選択」

石田:ゲームは没入できる世界観が大事ですが、「アリア」も周りの空気やライフスタイルを大事にしている印象です。
田井:車業界には「俺を見ろ!」という意気込みで、オブジェとしての車を作ってしまう感覚がありました。でも、僕は「アリア」は「景色」にしたかった。存在感はあるんだけれど、「俺が、俺が」じゃないカンジ。日本の伝統美は、そんなアプローチにもピッタリだったんです。
WWD:丁寧に作ったシンプルな洋服こそ、着る人の個性を引き出し、結果、長く愛されると考えるファッション業界に通じます。
田井:今までは異なる業界と分け隔てていましたが、これからは一緒。ファッションやゲームの世界で起こることは、車業界でも起こっているんです。
WWD:「アリア」はファッション業界同様、サステナブルにも真摯に向き合い生み出されている。
石田:私はサンゴ礁を守るための日焼け止めのほか、エコバッグなどサステナブルなアイテムをプロデュースしていますが、環境問題などをもっと深く学びたいと思い今年、ドイツのミュンヘンで開かれた次世代リーダーのためのグローバル・フォーラム「ワン ヤング ワールド サミット 2021(One Young World Summit 2021)」に参加したんです。改めてヨーロッパではサステナブルな生活が浸透していて、マイボトルから再生糸を使ったファッションまで、環境負荷が少ない選択肢の幅広さを感じました。私自身、買う物は、迷ったらサステナブルな方を選びたい。今は多くのファッションブランドが関心を抱き始め、オシャレに表現してくれるので嬉しいです。
田井:私たち日産も、社会に貢献するサステナブルというムーブメントを応援すべく、電気自動車という選択肢を用意したいと思っています。同時に「地球に良い」だけでなく、クルマとして、デザインとして楽しめるモノに仕上がるようこだわりました。これもファッションも同じだと思いますが、車業界にもいろんな考えがあります。その全てを叶える車の開発は、本当に難しいです。でも、時代がサステナブルなのは間違いありません。電気自動車についても、若い世代は「電気はガソリンより安い」や「燃費が良い」ではなく、地球のために選んでいる気がします。

「車は、いろんな世界の美しさの
間に存在する架け橋」

WWD:ファッション業界では、多くを捨てないように、タイムレスな洋服を生み出そうという流れがある。車業界は?
田井:バブルを経た世代には、モノは買って、捨てるのが当たり前という感覚がありました。そんな消費者に向き合ってきた業界として、「飽きられることを前提にモノを作ってきた」感覚は存在したのかもしれません。でも今は洋服同様、車を取り巻く環境も変わっています。電気自動車は間違いなく増えますが、同様にカーシェアも普及するでしょう。最近は、「シェアする時代にふさわしい性能って、なんだろう?」って考えますよ。衛生や更なる安全など、求められる性能も変わるでしょう。
WWD:レンタルやサブスクリプション、カスタマイズが広がり始めたのは、ファッション業界も同じです。
田井:直近では、カスタマイズの流れは間違いなく来るでしょうね。
石田:ゲームの世界も、カスタマイズです。スキン(ゲーム業界では「見た目の変更」の意味。「着せ替え」と同義)にお金をかけています。スゴい銃とかが出てくると、みんなが「うわぁ~」ってなるんです(笑)。お金をかけたスキンでゲームを楽しんでいますが、私には自然の中で楽しむダイビングも大事です。ゲームとは違う、「今」を見ているカンジ。このメリハリが良いんです。だからこそ、サンゴ礁を守る活動を続けながら、サステナブルな生活も心掛けたいです。私にとっての車やドライブは、2つの世界の美しさの間に存在する架け橋みたいな存在です。これからも楽しみたいと思います。
田井:ぜひ、「アリア」で出掛けてください。自画自賛ですが、静かなのにパワフルな、本当に新しいSUVなんです。知らないうちにいろいろサポートしてくれるから、運転が上手くなった気分になって、ますますドライブが楽しくなりますよ(笑)。

HAIR&MAKE:ICHIKI KITA
PHOTO:TSUKASA NAKAGAWA
STYLING:NATSUKO DEGUCHI
石田ニコルの衣装は、
ブラウス&パンツ:共に「デザイナーズ リミックス」税込2万9700円(コロネット03-5216-6518)
イヤリング:「リプサリス」同9680円(ロードス03-6416-1995)
ブーツ:「ダイアナ」同2万6950円(ダイアナ 銀座本店03-3573-4005)
問い合わせ先
日産自動車 お客さま相談室
(9:00-17:00)
0120-315-232

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