資生堂1~3月期は最終黒字 「クレ・ド・ポー ボーテ」「NARS」好調

 資生堂の2022年1~3月期連結業績(国際会計基準)は、売上高が前年同期比1.3%減の2340億円、コア営業利益が同52.3%減の43億円、前年に「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」に係る商標権の減損損失を計上したことなどから純損益が43億円(前期は111億円の赤字)の黒字だった。

 ブランド別では「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE以下、CPB)」やリキッドファンデ“ライトリフレクティング ファンデーション”がグローバルで好調な「ナーズ(NARS)」が2ケタ成長したほか、「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」がフレグランスカテゴリーの業績を後押しした。

 事業別の売上高は、日本事業が同18.3%減の571億円だった。インバウンド需要の低調や外出自粛に伴う消費低下などによる市場回復の遅れが響いた。一方で、創業150周年を記念したオイル状美容液や「SHISEIDO」「CPB」など、中高価格帯においてシェアを拡大。ライブコマースやオンラインカウンセリングを強化するなどOMOに注力したECは好調に推移した。

 中国事業は、同20.6%減の519億円だった。ロックダウンやゼロコロナ政策などが影響したものの、「CPB」や「NARS」の成長がけん引し、ECの売上高は20%を超える伸長を実現した。トラベルリテール事業は、国際線減便により中国人旅行者の減少の影響を受けたものの、中国海南島を中心に「シセイドウ(SHISEIDO)」「CPB」「イプサ(IPSA)」「ナーズ」などプレステージブランドが好調で同34.3%増の371億円だった。

 そのほか、アジアパシフィック事業は同4.2%減の154億円、米州事業は同3.3%増の251億円。欧州事業はフレグランスやメイクアップを中心に成長が継続し同16.6%増の284億円、プロフェッショナル事業が同5.5%増の39億円、その他が同174.2%増の148億円だった。

 なお、同期決算から国際会計基準(IFRS)を適用したことに伴い、22年12月期の連結業績予想を新たに設定。売上高が同6.4%増の1兆750億円、コア営業利益が同45.7%増の620億円、純利益が同6.2%減の440億円を見込む。

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繊維商社のヤギは純利益が75%減 10億円の特別損失 22年3月期

 繊維商社ヤギの2022年3月期連結決算は、売上高が前期比0.5%減の775億円、経常利益が同39.9%減の13億と大幅減益となった。出資先の一部がコロナ禍の影響で苦戦し、早期回復が見込めないことから10億円の特別損失を計上。純利益は、同75.0%減の3億6000万円となった。なお今年度より新しい会計基準を適用したため、前年同期の数字も新基準に置き換えて算出している。

 生産工場の稼働率低下や他地域への振替生産による経費増に加え、原材料費と物流コストの高騰などにより製造原価が上昇。その分を販売価格に転嫁できずに収益が悪化した。さらに経常利益も、粗利益率の低下に加え、新規連結による販売管理費の増加などで大きく落ち込んだ。

 事業別では、マテリアル事業とアパレル事業の売上げが安定したものの、ブランド・ライフスタイル事業で実店舗の販売が低迷し、減収だった。売上構成比で44.2%と最も多いアパレル事業では、巣ごもり需要を取り込んだ通販向け商材と、しまむら、西松屋をはじめとした量販系専門店の受注が好調に推移。一方で、生産面における三重苦のコスト高により利益が圧迫され、前年同期より8億3000万円減少した。

 マテリアル事業では、ストックビジネスが回復したテキスタイル販売と、自社加工糸、オーガニック糸などのサステナブル素材の販売が好調で利益が倍増した。ブランド事業では百貨店、セレクトショップを中心に一部の冬物重衣料が好調だったが、家庭用抗菌抗ウイルス商材を扱うライフスタイル事業で需要が落ち込む商材もあり、苦戦を強いられた。

 中期経営計画の最終年度となる23年3月期は事業ポートフォリオの再構築に取り組み、「筋肉質の企業体質にして総合力を発揮していく」(八木隆夫社長)とし、売上高790億円、営業利益20億円、経常利益22億円、純利益11億円を見込んでいる。

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デサント営業黒字に 22年3月期、ゴルフウエア好調

 デサントの2022年3月期連結業績は、営業損益が51億円の黒字(前期は18億円の赤字)だった。値引きと返品の削減によって日本事業の収益性が大幅に改善した。韓国も日本製品の不買運動やコロナの影響から売上高が回復した。

 売上高は前期比12.4%増の1088億円だった。コロナ前の1245億円とはまだ開きがあるものの、日本では経営指標をそれまでの売上高重視から利益重視に切り替えて、販売ロスの減少による黒字化を優先させた。そんな中でも日本では「マンシングウエア」「デサント」などで展開するゴルフ部門の売上高が同31%増に成長した。純利益は同23.6%増の62億円になった。

 今期は売上高1140億円、営業利益60億円、純利益70億円を計画する。

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アシックス1〜3月は微減収 ウクライナ情勢の影響は「ほとんどない」

 アシックスの2022年1〜3月期は、売上高が前年同期比1.1%減の1053億円だった。デジタル関連投資や為替影響で販管費率が4.2ポイント上昇したため、営業利益は同31.1%減の100億円、純利益は同16.8%減の87億円だった。

 昨年7〜10月のベトナム工場の停止による商品不足はあったが、限られた生産キャパシテイーを主力のパフォーマンスランニングに集中させ、同カテゴリーが北米を中心に好調に推移し、打撃を最小限に抑えた。グローバルECの売上高は同12.7%増の157億円で、コロナ前の2019年と比べて3倍以上に増収した。廣田康人社長は「生産や物流の問題、国際情勢の変化などもあったが、良いスタートを切れた」と語った。ウクライナ情勢の影響については、「ロシアは年間売上高50億円ほどがあったが、全体からしたら軽微だ。ウクライナとの取引はほとんどなかったため、両国による影響はほとんどない。1日でも早く平和な生活が戻ることを願う」とコメントした。

 22年12月期の業績予想は2月の発表から変更せず、売上高4200億円、営業利益230億円、純利益135億円をとした。

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伊藤忠・繊維、21年度は純利益251億円 主要子会社が黒字化

 伊藤忠商事・繊維カンパニーの2022年3月期の純利益は前期比235億円増の251億円になった。海外事業の売却益で25億円を計上したほか、副資材卸最大手の三景やジーンズ大手のエドウイン、メンズアパレルのジョイックスコーポレーションなど主な子会社が黒字化した。23年3月期は260億円の計画。

 主な子会社の純利益は、ジョイックスが7億円(前期は8億円の赤字)、エドウインが16億円(前期は17億円の赤字)、三景が5億円(前期は82億円の赤字)、香港の伊藤忠テキスタイルプロミネント(アジア)が20億円(前期は9億円の黒字)、中国の伊藤忠繊維貿易(中国)が17億円(前期は11億円の黒字)だった。エドウインは固定資産の売却益10億円を計上しており、こちらは日暮里の旧本社の土地と建物の売却と見られる。21年3月期は三景が85億円の減損損失を計上するなど、主要子会社の構造改革を強いられたものの、22年3月期は「低重心経営」を掲げ、事業会社の立て直しに力を注いでいた。

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ワールド、アパレル以外の成長分野に注力 コロナからの立て直しにメド

 ワールドは今期、デジタル事業とプラットフォーム事業(生産や販売などリソースの外販)への投資を加速する。前期(22年3月期)の営業黒字(53億円)転換を受け、課題だった主力のブランド事業の立て直しに一定のメドをつけた。今後の成長分野の収益拡大に舵を切る。

 同社は「中期ビジョン」において、25年3月期にEC売上高500億円以上(22年3月期は356億円)、プラットフォーム外販事業で売上高200億円(同139億円)を目標値に掲げる。売上高の成長が足踏みしている自社ECに関しては、他社ブランドの取り扱い拡大によるモール化や販売員によるアプリ内コンテンツ強化でテコ入れする。外部ECとの取り引きも積極的に拡大する。

 プラットフォーム事業においては、店舗設計デザインはアスプルンド、商品のOEM・ODMはワールド・プロダクション・パートナーズ、コスト面のコンサルティングはワールドビジネスサポートといった、それぞれ専門領域を持つ子会社が担ってきたが、このほどこれらを束ねる新会社ワールドプラットフォームサービスを設立。アパレル販売に関わるソリューションを一気通貫で提供できる体制を整えた。今年3月には店舗・EC統合物流の構築・運営をユナイテッドアローズから受託して以降、「多くの同業他社さまからのお問い合わせをいただいている」(鈴木信輝社長)という。

 ブランド事業は引き続き商品仕入れのコントロールと正価販売シフトを進める一方、新ブランドの立ち上げにも取り組む。クリエイターやインフルエンサーと協業し小規模ブランドを開発するワールド・ファッション・クラウドが事業開発のモデルケースになる。「従来のように店舗ありきの事業開発のプロセスとは相当変えていくことになる。並行して複数のブランドをテスト的に立ち上げ、お客さまのニーズを探りながら成長性を見極めていきたい」。

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ワークマン減益予想 今期、仕入れ価格高騰で

 ワークマンの2022年3月期は、小売業の売上高に相当するチェーン全店売上高が1565億円、そこからフランチャイズ加盟店へのマージンを除いた営業総収入が1162億円、営業利益が268億円、純利益が183億円だった 。引き続きコロナ禍でのアウトドア需要が追い風となった。積極的な出店戦略も継続し、店舗数は前期末から38店舗純増の944店舗とした。ただ既存店売上高は前期比1.5%増と、成長ペースが鈍化している。

※同社は22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用。そのため前期との比較は行わない。参考値として21年3月期のチェーン全店売上高が1466億円、営業総収入が1058億円、営業利益が239億円、純利益が183億円

 アスレジャーテイストを主軸とするPB(プライベートブランド)商品の売上高は前期比12%増の977億円に達した。カジュアル業態「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」の店舗数は前期末から純増100(ワークマン単独業態からの改装を含む)の計372店舗。ただ、同業態単独の既存店売上高は微減(0.2%)となり、伸び悩みが顕在化している。

 小濱英之社長は、「今後既存店の大きな成長は見込んでいない。(出店拡大による)店舗網全体で売り上げを拡大していく」との考えを示す。「既存店舗の売上高は年々、超えるべき前年のハードルが高くなる。ただ当然ながら店舗は面積が限られ、お客さまが買いやすい最適な売り場の形態とのバランスを考えねばならない。そうなると、1店舗あたりの売上高はだいたい2億円が天井だと考えている」。同社の22年3月期における既存店平均年商は1億6400万円に達した。

 引き続き「国内1500店舗体制」の中長期目標は維持する考え。「お客さまの来店を分散したり、ECによる店舗受け取りといった利便性を高めたりという点でも、出店は続けていく」。

 23年3月期は仕入れ価格の高騰により、増収減益を予想する。営業総収入は前期比6.7%増の1241億円、営業利益が同8.7%減の244億円、純利益が同8.3%減の167億円を見込む。店舗数は引き続き「ワークマンプラス」がけん引する形で38店舗の純増を計画。現在12店舗を展開している「ワークマン女子」もショッピングモールを中心に、新規に16店舗を出す。PB商品は前期比15.3%増を目標値に掲げ、街着と仕事着の垣根を越えた「アーバンワークウエア」の提案やウィメンズ衣料のラインアップ、アウトドア・スポーツ分野を強化する。

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ワークマン減益予想 今期、仕入れ価格高騰で

 ワークマンの2022年3月期は、小売業の売上高に相当するチェーン全店売上高が1565億円、そこからフランチャイズ加盟店へのマージンを除いた営業総収入が1162億円、営業利益が268億円、純利益が183億円だった 。引き続きコロナ禍でのアウトドア需要が追い風となった。積極的な出店戦略も継続し、店舗数は前期末から38店舗純増の944店舗とした。ただ既存店売上高は前期比1.5%増と、成長ペースが鈍化している。

※同社は22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用。そのため前期との比較は行わない。参考値として21年3月期のチェーン全店売上高が1466億円、営業総収入が1058億円、営業利益が239億円、純利益が183億円

 アスレジャーテイストを主軸とするPB(プライベートブランド)商品の売上高は前期比12%増の977億円に達した。カジュアル業態「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」の店舗数は前期末から純増100(ワークマン単独業態からの改装を含む)の計372店舗。ただ、同業態単独の既存店売上高は微減(0.2%)となり、伸び悩みが顕在化している。

 小濱英之社長は、「今後既存店の大きな成長は見込んでいない。(出店拡大による)店舗網全体で売り上げを拡大していく」との考えを示す。「既存店舗の売上高は年々、超えるべき前年のハードルが高くなる。ただ当然ながら店舗は面積が限られ、お客さまが買いやすい最適な売り場の形態とのバランスを考えねばならない。そうなると、1店舗あたりの売上高はだいたい2億円が天井だと考えている」。同社の22年3月期における既存店平均年商は1億6400万円に達した。

 引き続き「国内1500店舗体制」の中長期目標は維持する考え。「お客さまの来店を分散したり、ECによる店舗受け取りといった利便性を高めたりという点でも、出店は続けていく」。

 23年3月期は仕入れ価格の高騰により、増収減益を予想する。営業総収入は前期比6.7%増の1241億円、営業利益が同8.7%減の244億円、純利益が同8.3%減の167億円を見込む。店舗数は引き続き「ワークマンプラス」がけん引する形で38店舗の純増を計画。現在12店舗を展開している「ワークマン女子」もショッピングモールを中心に、新規に16店舗を出す。PB商品は前期比15.3%増を目標値に掲げ、街着と仕事着の垣根を越えた「アーバンワークウエア」の提案やウィメンズ衣料のラインアップ、アウトドア・スポーツ分野を強化する。

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小松マテーレ中興の祖、中山会長が退任へ 35年に渡り同社を率いる

 染色大手の小松マテーレは、中山賢一・代表取締役会長(80)が名誉相談役に退くと発表した。退任日は6月24日の株主総会後。中山会長は、1987年6月に小松精練(現小松マテーレ)の社長に就任。中興の祖として長らく同社を率いてきた。日本の繊維産業が縮小し、それまで大半を占めていた大手素材メーカーからの受注加工が減少するなど、大きな変革期を迎える中で、パリの「プルミエール・ヴィジョン」な見本市への出展などを通して、欧州のラグジュアリー市場の開拓の陣頭指揮などを取ってきた。その甲斐もあって同社は欧州で日本を代表するテキスタイルメーカーとして認識されるまでになった。

 また、海外生産の拡大などで日本の繊維産業が縮小を続ける中にあっても、東レや北陸産地企業と連携しながら石川県や福井県など北陸産地全体の底上げにも注力。北陸産地が現在も世界で有数の競争力を誇る合繊産地であり続けている牽引役にもなってきた。

 2022年3月期の同社の業績は売上高が前期比4.8%増の314億円、営業利益が同12.5%増の15億円、経常利益が同12.4%増の21億円、純利益が同20.7%増の21億円。総資産456億円に対し、自己資本比率は79.0%。一株あたりの純利益は52円26銭、総資産経常利益率は4.2%で、委託が中心の染色加工業の中で突出した財務体質となっている。

 中山会長が退任後に経営体制も大きく変わる。11人だった取締役は9人に減少する一方、社外取締役は3人から4人に増員する。また、代表取締役は、東レ出身の佐々木久衛社長一人になる。佐々木社長は、中山会長の退任について「(中山会長)本人はいたって大変元気だが、大きな変革期だからこそ次世代の経営陣が立ち向かうべきだという申し出があった。私は、獅子が我が子を千尋の谷に落とすということだと受け止めた。新しい経営体制で、さらなる成長を成し遂げたい」と語った。

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百貨店4月度は1〜4割増収 昨年の休業の反動増

 百貨店大手5社の4月度の売上高が出そろった。前年4月は前半がまん延防止法、25日以降は緊急事態宣言によって食品などの“生活必需品”を除く大半の売り場を閉めていたため、各社ともに大幅な反動増になった。天候にも恵まれ、外出する機会も増えたため、ジャケットなど衣料品にも動きが出ている。

 三越伊勢丹が29.6%増、高島屋が23.8%増、大丸松坂屋が24.5%増、そごう・西武が12.3%増、阪急阪神百貨店が42.2%増だった。それでもコロナ前の一昨年4月と比較すると、まだ1〜2割減の水準になる。

 昨年4月25日以降の緊急事態宣言中、“豪奢品”扱いされて販売できなかったラグジュアリーブランドや宝飾品・時計などの高額品の前年対比が跳ね上がった。高額品だけでなく、一般の婦人服や婦人靴、バッグなども外出機会の増加によって回復傾向にある。三越伊勢丹は「ゴールデンウイークを控えた買い替えや気温の上昇に伴う実需購買などから、春夏衣料や服飾雑貨も好調だった」という。

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百貨店4月度は1〜4割増収 昨年の休業の反動増

 百貨店大手5社の4月度の売上高が出そろった。前年4月は前半がまん延防止法、25日以降は緊急事態宣言によって食品などの“生活必需品”を除く大半の売り場を閉めていたため、各社ともに大幅な反動増になった。天候にも恵まれ、外出する機会も増えたため、ジャケットなど衣料品にも動きが出ている。

 三越伊勢丹が29.6%増、高島屋が23.8%増、大丸松坂屋が24.5%増、そごう・西武が12.3%増、阪急阪神百貨店が42.2%増だった。それでもコロナ前の一昨年4月と比較すると、まだ1〜2割減の水準になる。

 昨年4月25日以降の緊急事態宣言中、“豪奢品”扱いされて販売できなかったラグジュアリーブランドや宝飾品・時計などの高額品の前年対比が跳ね上がった。高額品だけでなく、一般の婦人服や婦人靴、バッグなども外出機会の増加によって回復傾向にある。三越伊勢丹は「ゴールデンウイークを控えた買い替えや気温の上昇に伴う実需購買などから、春夏衣料や服飾雑貨も好調だった」という。

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ウォルマートCEO、21年の報酬は30億円超

 米国の小売最大手、ウォルマート(WALMART)のダグ・マクミロン(Doug McMillon)社長兼最高経営責任者(CEO)の2021年の報酬総額は2570万ドル(約32億円)だった。20年の2260万ドル(約28億円)から13.7%増加した。

 会社の業績に連動する株式報酬がメインで評価額1920万ドル(約24億円)相当を得たほか、130万ドル(約1億6380万円)の給与、380万ドル(約4億7880万円)の報奨金、19万9911ドル(約2519万円)相当の社用機の私的利用、その他の手当を受け取った。

 ウォルマートの22年1月期決算は、前期比2.4%増の5727億ドル(約72兆円)、営業利益が15.1%増の259億ドル(約3兆2634億円)、純利益が1.2%増の136億ドル(約1兆7136億円)と増収増益だった。

 なお、ライバル企業アマゾン(AMAZON)のアンドリュー・ジャシー(Andrew Jassy)新CEOの21年の報酬は2億1270万ドル(約268億円)で、その99.5%が株式報酬で、CEO就任に伴うものが主だった。

 アマゾンはオンラインで、ウォルマートは実店舗で市場を制覇しているが、アマゾンはハイテクを駆使したコンセプト店舗を増やし、ウォルマートはデジタル化を大きく進めており、熾烈な競争を繰り広げている。

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ポーラ・オルビスHDが米子会社H2O PLUSを解散

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)は28日付で、米国の子会社H2O PLUS HOLDINGS(エイチツーオープラス ホールディングス、以下H2O PLUS)を解散および清算すると発表した。

 H2O PLUSの業績は計画を下回っており、回復のための施策を実施したが今後の事業継続に利点を見出すことは困難と判断した。精算の終了は、取り引き先との契約に伴う商品供給義務などを果たしたのち、2023年下期以降に清算結了となる見込み。なお、解散に伴う損失は約2億円、税金費用の減少による約45億円を計上する予定で、22年12月期通期の純利益は期初発表予想から約43億円増加する見込み。

 同社は11年に米国のスキンケアメーカーH2O PLUSを買収。米国を中心に化粧品を製造・販売していた。H2O PLUS解散により、同社グループが取り扱う海外ブランドは「ジュリーク(JURLIQUE)」のみとなる。

 ポーラ・オルビスHDの22年1〜3月(第1四半期)決算は、売上高が376億円(前年同期比13.5%減)、営業利益が19億円(同55.6%減)、経常利益が41億円(同28.2%減)、純利益が71億円(同82.3%増)だった。

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ZOZO22年3月期、流通額が21.3%増の5088億円 コスメは今期で100億円の大台へ

 「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOの22年3月期決算は、商品取扱高(流通総額)が前期比21.3%増の5088億円、売上高が同12.8%増の1661億円、営業利益が同12.5%増の496億円、経常利益が同11.9%増の496億円、純利益が同11.5%増の344億円だった。親会社のZホールディングスが運営するECモール「ペイペイモール」内に出店している「ゾゾタウン」の商品取扱高が同55.5%増の438億円と全体の伸びを牽引した。

 「ペイペイモール」を除く「ゾゾタウン」事業は同9.6%増の3916億円。年間購入者数は第3四半期末(21年12月末)で1000万人の大台に乗せ、22年3月末も3.1%増の1041万人と引き続き増加した。平均出荷単価は、セット率がやや落ち込んだことで前期比0.2%減の7974円だった。商品取扱高対比の粗利率は33.8%で前期比で0.5ポイント悪化した。

 澤田宏太郎社長CEOは、「定期的に実施している調査で、『ファッションを購入するときに思い浮かぶ場所/店舗は?』という第一想起の調査で、EC全般ではナンバーワンになった。ファッションに特化していることが強みになっている。ただ、圧倒的なリアル店舗を持つブランドを含めると、まだナンバーワンになれていない。ここでもナンバーワンとなるべくさまざまな施策を実行する」という。

 23年3月期は夏ごろをめどにコーディネートアプリ「WEAR」にフリマ機能を付与するほか、無店舗販売ブランドの導入・強化、コスメの強化にも力を注ぐ。「ZOZOコスメ」は今回から取扱高を公表し、22年3月期は57億円で、23年3月期には100億円の大台に乗せる。

 22年3月期の業績は、商品取扱高が6.9%増の5438億円、売上高が9.1%増の1813億円、営業利益が3.7%増の515億円、純利益が4.1%増の359億円を計画する。商品取扱高は、「ゾゾタウン」と「ペイペイモール」をあわせて10.2%増の4798億円と、2ケタ成長を続ける考え。

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フルラのCEO、就任から1年余りで退任 後任は未定

 フルラ(FURLA)は4月21日、マウロ・サバティーニ(Mauro Sabatini)最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。同氏は2021年1月に同職に就任したばかりで、1年余りでの退任となる。後任は未定で、当面はデイビス・バセット(Devis Bassetto)最高執行責任者が同社を率いる。

 サバティーニ前CEOは、「フルラ」の長年のサプライヤーで、18年からフルラ傘下に入ったレザーグッズのメーカー、エッフェウノ(EFFEUNO)の創業者。同社のCEOを18年以上務めつつ、11〜13年にはフルラで材料調達部門のバイス・プレジデントを務めた。その後、当時コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)の傘下にあった「ランセル(LANCEL)」のコンサルタントに就任したほか、14年からは同じくリシュモン傘下の「ダンヒル(DUNHILL)」でサプライチェーンの再設計などを担当した。

 フルラの主要市場である日本がコロナ禍の影響で外出規制措置などを取っていたため、20年の売上高は前期比42.0%減の2億9080万ユーロ(約392億円)だったが、21年は7.6%増収だった。同社は1927年の創業以来、一族経営を続けており、2016年には上場を検討したものの実現には至らなかった。22年3月には、情報筋の話として、同社が少数株式の売却を検討していると米メディアが報じた。同じく情報筋によれば、ヴァレンティノ(VALENTINO)の前CEOであるステファノ・サッシ(Stefano Sassi)が株式取得に関心を示しているという。

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フルラのCEO、就任から1年余りで退任 後任は未定

 フルラ(FURLA)は4月21日、マウロ・サバティーニ(Mauro Sabatini)最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。同氏は2021年1月に同職に就任したばかりで、1年余りでの退任となる。後任は未定で、当面はデイビス・バセット(Devis Bassetto)最高執行責任者が同社を率いる。

 サバティーニ前CEOは、「フルラ」の長年のサプライヤーで、18年からフルラ傘下に入ったレザーグッズのメーカー、エッフェウノ(EFFEUNO)の創業者。同社のCEOを18年以上務めつつ、11〜13年にはフルラで材料調達部門のバイス・プレジデントを務めた。その後、当時コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)の傘下にあった「ランセル(LANCEL)」のコンサルタントに就任したほか、14年からは同じくリシュモン傘下の「ダンヒル(DUNHILL)」でサプライチェーンの再設計などを担当した。

 フルラの主要市場である日本がコロナ禍の影響で外出規制措置などを取っていたため、20年の売上高は前期比42.0%減の2億9080万ユーロ(約392億円)だったが、21年は7.6%増収だった。同社は1927年の創業以来、一族経営を続けており、2016年には上場を検討したものの実現には至らなかった。22年3月には、情報筋の話として、同社が少数株式の売却を検討していると米メディアが報じた。同じく情報筋によれば、ヴァレンティノ(VALENTINO)の前CEOであるステファノ・サッシ(Stefano Sassi)が株式取得に関心を示しているという。

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体験型ストアの「ベータ」、シリーズBで総額6億円調達見込み 4月末に4店舗目をオープン

 体験型ストアの「ベータ(b8ta)」の日本事業を手がけるb8ta Japan(北川卓司代表)は、東芝テックをリードインべスターとする第3者割当増資を実施し、シリーズBラウンドファーストクローズの資金調達を完了したと発表した。6月末に追加の資金調達を予定しており、シリーズBでの累計調達額は6億円前後になる見込み。

 調達した資金は、①国内の常設店舗やポップアップストアの拡大、②RaaS(Retail as a Service、サービスとしての小売り)ビジネスを容易にスタートできる新事業の開発、③日本以外のアジア諸国への進出、④人材採用に充てるという。

 「ベータ」は2015年に米サンフランシスコ郊外のパロアルトに1号店をオープン。日本では、20年8月に新宿、有楽町に同時出店し、21年11月に渋谷に3店舗目をオープン。4月27日には埼玉・越谷のイオンレイクタウンに4店舗目の出店を予定している。米国の「ベータ」はコロナ禍による客数減の打撃が大きく、21年2月に全店舗を閉鎖しているが、b8ta Japanと米本国とは20年9月に資本関係を解消している。21年12月には、日本国内やアジアの一部の国での商標権などをb8ta Japanが米本国から取得し、独立していた。

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ゼニアが上場後の初決算 21年の売上高は27%増の1744億円

 エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP以下、ゼニア)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比27.3%増の12億9240万ユーロ(約1744億円)、営業損失は前年の2255万ユーロ(約30億円)の赤字から9402万ユーロ(約126億円)へと拡大し、純損失も前年の4654万ユーロ(約62億円)の赤字から1億2766万ユーロ(約172億円)へと拡大した。

 なお、同社は特別買収目的会社(SPAC)であるインベストインダストリアル・アクイジション(INVESTINDUSTRIAL ACQUISITION CORP.)との合併によって21年12月20日にニューヨーク証券取引所に上場しており、純損失の拡大には合併や上場に伴う費用2億500万ユーロ(約276億円)などの非資金損益項目が影響している。これらの調整後の純損益は7500万ユーロ(約101億円)の黒字だった。

 ブランド別に見ると、主力の「ゼニア」の売上高は同23%増の10億3500万ユーロ(約1397億円)、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」は同47%増の2億6400万ユーロ(約356億円)だった。

 ジルド・ゼニア(Gildo Zegna)会長兼最高経営責任者は、「21年は当社にとって素晴らしい年となった。私の祖父が111年前に創業した当初から受け継がれているブランド価値を大切に守りつつ、現在も成長し続けていることを大変誇らしく思っている」と語った。同氏はまた、「ウクライナの悲劇的な状況に深い悲しみを覚えている」と述べ、同国からの避難民30人を工場で雇用することを明らかにした。

 22年の展望については、「コロナ禍の影響による外出規制の解除後、欧州での売り上げは大幅に回復し、米国とアラブ首長国連邦での事業も好調だ」として、12~14%の成長を見込んでいると説明した。

 ゼニアは上場の準備を進めていた21年8月にランサムウエアによる攻撃を受けている。これは有害なプログラムによってコンピューターをロックしたり、ファイルを暗号化したりして使用不能にした後、元に戻すことと引き換えに“身代金”を要求するもの。同社もITシステムの大半が影響を受けたものの、犯人側からの接触に応じなかったため、犯人側が不正に入手した財務情報などを漏えいされた。同社はそれでも“身代金”の支払いを拒否し、ITシステムが侵害されたことを公表した後、バックアップサーバーなどからデータを回復したという。

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ファストリ柳井正会長が語った「ウクライナ紛争」「企業のあるべき姿」「成長の次の一手」

 「本気で次の成長を目指す」「企業こそが平和を作る」。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月14日、2022年8月期上期決算会見に登壇した。決算会見の場で半年ごとに行われる柳井会長のプレゼンテーションは、同社が今後長期的に何を目指すのか、なぜそう考えるのを知るための絶好の機会だ。コロナによる足踏み状態から次の一手へ。柳井会長のプレゼンテーションとメディアとの一問一答をまとめた。

 柳井正ファーストリテイリング会長兼社長(以下、柳井):ファーストリテイリングとして今何が最も大切だと考えているのか、今後どのような考え方で経営を進めていくのかをお話します。新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、一部の国や地域では今も拡大傾向にありますが、日本を含め多くの国では感染拡大に警戒しつつ、正常な経済活動や日常生活を取り戻そうとしています。これからは、いよいよウィズ・コロナの時代に入っていきます。この2年間、お客さまや従業員の感染防止、国内外の移動制限、物流の混乱といったことが影響し、ビジネスを思い通りに進められない状況でした。しかし、今からは新しい時代に向けて、改めて今期は新しい成長を目指していきます。

 今年の年頭、私はファーストリテイリンググループの一年の方針を「世界で稼ぐ」としました。私たちがお客さまに提供している“LifeWear”、つまり快適で豊かな生活を実現する高品質な日常着を、世界中のさまざまな国と地域で、現地の人々と一緒に作って売っていく、この姿勢をより徹底していきます。コロナの影響で、世界各地での新規出店ペースは落ちていましたが、今期から積極出店を再開し、近い将来に年間で400〜500店を作りたいと思います。

 同時に店舗とECの融合を世界各地で高いレベルで実現していきます。工場、倉庫、店頭の全ての在庫を一元化し、商品の企画から生産、物流、販売の動向、お客さまのご意見や要望、あらゆる情報を瞬時に把握し、それをもとに世界各地域のヘッドクオーターが現場で直接経営判断をしていく体制を構築します。そして、世界各地で集めた情報に基づき即座に商品化し、優れた技術を持つ世界中の生産パートナーと協力して新たな売れ筋商品を開発していきます。

 今月21日、英ロンドンのリージェントストリートに、「ユニクロ(UNIQLO)」と「セオリー(THEORY)」が同居する欧州で初の店舗がオープンします。今後、イタリアやスペイン、ドイツでも出店していきます。アメリカや東南アジアでも、中国と同様に服の分野で圧倒的なトップ企業となり、世界ナンバーワンのカジュアルウエア企業を今期で目指します。そのためのカギを握るのは人材です。世界各地で今後の会社の経営を任せられる人材が次々と育ち、私の経営を引き継ぐ次代の体制も大枠は固まってきています。世界各地で圧倒的な成長を成し遂げるために、立派に経営を遂行できる体制が整いつつあります。その点、私は何も心配しておりません。

あらゆる戦争に強く反対する

 企業の最大の意義は継続にあります。10年後、20年後、30年後、さらに次の世代まで見据える経営をする。それが本当のガバナンスであると思います。そして、上場企業の最大の目的は成長して収益を上げることです。目先の会計年度ばかりを考えて近視眼的な経営に陥らず、良い意味でのオーナーシップを維持し、より高い利益を上げ、株主の利益を守ります。少数株主の利益にも、引き続き十分な配慮をして参ります。そのために一番大切なことは、企業とは世の中にとって良いことをする存在でなければならないということです。

 まず、私たちの本業である服の事業を通じて、世界中のあらゆる人々により快適で豊かな生活を実現する。このことを徹底的に実現していきます。さらにサプライチェーンにおける人権や労働環境の尊重、気候変動などの地球環境問題、障がい者雇用、難民支援といった世界的な問題解決への取り組みを、より積極的に進めます。

 現在、ファーストリテイリングは世界27の国と地域に3500店舗以上を展開し、中国やアジアを中心に数多くの国々に生産パートナーも存在します。こうした地域では、現地のパートナーと一緒になって、多くの社員がボランティアとして社会貢献活動に参加し、現地社会に溶け込んでいます。しかし、こうした活動はまだ十分ではなく、出発点に立ったばかりですが、今後さらに力を入れていきます。

 私はあらゆる戦争に強く反対します。人々の人権を侵害し、平穏な生活を脅かすいかなる攻撃も非難します。現在行われている戦争を即座に停止し、国家間の深刻な対立をいかに解消し、どうすれば平和な世界ができるのか、世界中の人々が幸せに暮らすことができるのか、真剣にその方法を考えなければなりません。特に、日本はその役割を積極的に担うべきだと考えます。その点で企業の果たすべき役割は非常に大きいものがあります。企業にできることは限りがあるのではなく、企業にしかできないことがたくさんある。そう考えるべきです。暴力で解決できることは何一つありません。憎しみあって対立構造を作るのではなく、世界の人々が協調する。そのために企業としてできることを最大限やる。国が分断されても、企業は分断されません。むしろ分断を解消し、お互いの理解と融合を深めるのが企業活動です。

国ではなく、企業にしかできないことがある

 私たちの服の産業は平和産業です。人々の暮らしをより豊かに、楽しく、快適にする産業です。私たちの使命は、快適な普段着を継続的に人々に提供することにあります。現在のように混迷した状況にあっても、平和な社会の実現のために、一つ一つの企業、一人一人の個人が最大の努力をするべきです。そのために、私たちは世界各地で安定的に事業を継続し、経済の成長、雇用の確保に努力すると共に、緊急事態に対応するため、国連難民高等弁務官事務所を通じて(ウクライナ避難民支援のために)1000万米ドルの寄付を行い、20万点の衣料を提供しております。欧州各地で、多数の従業員有志がウクライナからの避難民の方々に直接日常の服をお届けする活動を始めています。戦火に見舞われている方々の境遇に深く思いを寄せ、今後も最大限の支援を続けていきます。

 平和は黙っていてもやってはきません。世界が一つにつながっている現代、戦争は違う国のことだから、自分は民間人だから、と傍観者になることはできません。服を変え、常識を変え、世界を変えていく。私たちの提供する“LifeWear”、そしてその基本となる“MADE FOR ALL”の核心は、服を通じて社会を変え、より良い社会を作っていく、そのこと自体にあります。平和な世界が実現しない限り、グローバルな企業として私たちが成長することは不可能です。冒頭に申し上げた世界ナンバーワンも、それでは何の意味も持ちません。

 私たちはこれまでの活動を通じて、国連難民高等弁務官事務所、国連女性機関、国際労働機関などの国際機関と長い協力関係があります。さらに、社会貢献を目的に活動する各国の民間団体、法人、世界中の心ある投資家の方々とも連携できる関係にあります。豊かで安定した社会の実現を他人任せにするのではなく、世界中のあらゆる人々との協働を通じ、自分たちの力で未来を作り出す、そのような考え方に立って今後も行動していきます。

 厳しい現実があっても、人類は必ず混乱を克服し、新しい平和で繁栄した時代がくると私は確信しております。アジアを中心に40億人の新たな中産階級が誕生しつつあります。この動きは止まることはありません。世界は確実にアジアの時代になります。発展途上国と先進国が協力し、その流れを促進し、人々の生活をより良くする、自国の都合のみを考えた国益ファーストではなく、本当の自由主義、民主主義の世界を実現する主役は、企業であり個人です。改めて、自分たちは何のために商売をするのか、企業の存在意義とは何か、自分たちの原点を深く考え、より平和な世界とより良い生活の実現に努力して参ります。今後ともご理解とご協力をお願いします。

【質疑応答】

――ウクライナ紛争など、世界情勢を今どのように見ているか。ファッション企業が何をすべきか。ファーストリテイリングには何ができるのか。

柳井:今の状況は危機的だと思いますが、世界の全てがそういうこと(悲観すべきもの)ではなく、欧州で起きたことが全世界に瞬時に伝わっているということは、(見方を変えれば)素晴らしいことでもある。ある一カ所で起きたことが世界中に瞬時に伝わり、世界中に影響を及ぼしている。そのことを世界中の人がもっと認識すべきだと思います。それぞれの役割と本質が問われる時代になっている。民間企業だから(支援が)できない、個人だからできない、ということではないと思っています。むしろ国だと国益が影響して、やりたくてもできない。民間企業や個人の方がむしろ自由にできる。ここは自由と民主主義の国ですから。その中で、本当にやってやろうと思っている企業や個人が少ないんじゃないかと思っています。

 日本は欧州から見たら極東、アメリカから見たら極西です。だからこそなんでもできるんじゃないか。日本はアジアで最初に先進国になった国ですし、ファッションにおいてもアジアで最初になった(産業や文化として成熟した)国だと思います。戦前は欧州、戦後はアメリカからファッションが入ってきて、それをうまく消化したのが日本。日本ほど情報に敏感な国はありません。日本の企業だからこそいろんな発想がきっとできると思うし、ファッション企業だからどうのということではなく、企業として個人として、できないことを考えるよりできることを考えて実行することが大事だと思っています。(ファーストリテイリングとして)できないことは何もないです。どんなことでもできると思います。日本には国益やアメリカとの軍事同盟など、いろんなものがある。国にはやりたくてもやれないことがあると思います。

――今後の価格戦略について。今春物は一部商品で値上げをしているが、今後の値上げをどう考えているか。

柳井:今の日本の経済情勢から考えて、安易な値上げはできないと思います。価格に非常に敏感ですよね。われわれは値上げはほとんどの商品でしていませんが、ほとんどしていない中でも「これは値上がりした」という情報はすぐに伝わります。それが今の現状です。ただし、原材料価格が2倍や3倍になっているなっているケースもある中で、それを今のままのプライスで売ることは不可能です。われわれも上場企業ですから、成長を目指していく中で利益がなければできません。それをどううまく努力していくか、それを考えて実行していく。ビジネスは会計年度やシーズンで考えるものではなく、もっと長期で考えるものです。2022-23年秋冬物、23年春夏物は考えに考えぬいたプライスになる。それが私の答えです。

――今後も値上げはやむを得ないということか。

柳井:やむを得ないということではないんじゃないでしょうか。考えに考え抜いたプライスならば、お客さまにご理解していただけると思います。

――中国のゼロコロナ政策が事業に与える影響は。

柳井:われわれも収益面や従業員の生活で大変困っています。しかしこれは国の政策なので、それぞれの国によって考え方は違います。やはりまずはコロナが早く収束すること、それが一番大事で、世界中で同時に(コロナに)対応していくことが重要だと考えています。

岡崎健取締役グループ上席執行役員CFO(以下、岡崎):中国の行動規制が今後どうなるかについては、我々がコントロールできることではありません。上海港からの出荷が難しくなるなど、個別の問題は出てきています。しかし起きている問題は仕方がないことなので、他の港から出荷するなどしています。中国は行動規制により休業している店もありますが、それがない地域ではかなり売り上げも戻っています。規制が明ければ経営も回復してくると思っています。短期的な業績の影響はもちろんありますが、下期全体としてはそれほど大きな心配はしていません。

――ロシアの店舗について、営業継続から一転して休業に至った経緯は。

柳井:あらゆる状況を見極めて判断しないといけません。さまざまな面で事業継続が困難になったから休業しました。商品が届かない、紛争が非常に激しくなった、さまざまな面があり、総合的に判断して休業に至ったということです。

岡崎:当初は状況を注視しながら、我々の使命である一般の方に日常着を提供すること、現地従業員の雇用という面でも営業はでき得る限り継続するというのが我々のスタンスでした。しかし、その後状況を注視する中で紛争が進み、人々の平穏な日常が脅かされるということで、営業を継続するべきではないと判断しました。

――営業休止の決定が遅れたと思っているか。

柳井:遅れてはいないと思います。皆さん勘違いされているんじゃないかと思いますが、今はいつでもどこでも誰とでも、テレビ会議で話ができる時代です。現地の状況、世界各地の状況は全て分かっています。ですから遅れるということはあり得ません。

――円安について。円安のメリットとデメリットをどう考えるか。

柳井:円安にメリットは一切ありません。日本全体から見てデメリットばかりです。今まで円安メリットといったことを言っていたのは、企業ばかりですね。しかも、それも本当のところではメリットではない。日本は世界中から原材料を仕入れて、加工して付加価値を出して売っています。そういう中で、自国通貨が安く評価されることは決していいことではありません。円安の行方については心配しています。これ以上円安が続くと、日本の財政が悪い方向にいく。そうならないように日本の財政をどうにかしないといけないんじゃないかと考えます。

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三陽商会22年2月期は10億円の営業赤字

 三陽商会2022年2月期連結業績は、営業損益が10億円の赤字(前期は89億円の赤字)だった。バーバリーショック以来6期ぶりの営業黒字を目指した(期初計画は営業黒字1億円)が、新型コロナの影響長期化で主力の百貨店販売が苦戦し、達成はならなかった。純損益は6億円の黒字(前期は49億円の赤字)。これは企業年金制度の改定に伴い、特別利益を12億円計上したことなどによるもの。

 売上高は前期比1.9%増の386億円で、期初計画440億円には届かなかった。新型コロナ新規感染のペースが緩まった9〜12月期以外は販売苦戦が響いた。値引き販売の抑制により、売上総利益率は前年から9.7ポイント改善し48.0%とした。

 販管費率は前年(61.8%)から11.1ポイント削減し50.7%。人員適正化、不採算店舗撤退などの構造改革を進め、販管費は2年間(20年2月〜22年2月)で削減目標40億円の2倍以上となる108億円を削減した。

 23年2月期連結業績は売上高560億円、営業利益12億円、純利益9億円を予想する。なお同社は当期から会計基準を変更し、百貨店取引における販売手数料を販管費として計上する。そのため売上高の前期との比較は行わない。

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TSI営業利益が過去最高 22年2月期、ゴルフ「パーリーゲイツ」が貢献

 TSIホールディングスの2022年2月期連結業績は、営業利益が44億円(前期は118億円の赤字)だった。11年の会社設立後の最高益を達成した。仕入れコントロールの徹底と販管費の削減によって、当初計画に比べても大幅な増益になった。「パーリーゲイツ」をはじめとしたゴルフ事業・アスレジャー事業が41億円の営業利益を稼ぎ、婦人服やセレクトショップ事業の損失をカバーした。

 売上高は前期比4.7%増の1403億円だった。不採算事業の整理の影響もあってコロナ前の20年2月期に比べると300億円近い減収だが、値引きの抑制効果もあって、粗利益率は大きく改善した。売上高・利益ともにけん引するのはゴルフ事業で、基幹ブランドでほぼセールも行わない「パーリーゲイツ」の売上高は同48.4%増の150億円に跳ね上がった。ストリート事業の「ハフ」の売上高も同61.1%増の71億円に成長している。

 販路別ではEC(ネット通販)売上高が同2.1%減の429億円だった。店舗休業によってECが急成長した前期の反動で減収になったが、値引き抑制によって増益になった。

 構造改革には一応のメドをつけたため、今期(23年2月期)は「積極的にトップライン(売り上げ)を取りにいく」(下地毅社長)とし、売上高で前期比12.1%増の1573億円、営業利益で同66.2%減の15億円、純利益で同46.7%減の15億円を予想する。22年3月期に受給していた雇用調整助成金がなくなることと、本社移転などの一過性の費用、円安による仕入れの高騰を見込まれるため、大幅な減益になる。

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パルグループHD売上高が過去最高に 22年2月期、「スリーコンズ」けん引

 パルグループHDの2022年2月期連結業績は、売上高が前期比23.7%増の1342億円で過去最高を更新した。営業利益は同5.4倍の75億円、経常利益は同7.2倍の76億円で、当初計画を上回った。期末店舗数は902店舗で前期より30店舗の純減。2期連続で赤字を計上した店舗が増加した結果、減損損失で16億円を計上したため、純利益は40億円になった。

 既存店売上高は、店舗とECの合計が同36%増、店舗のみが同64.3%増、ECのみが32.5%増と大幅に回復したが、コロナ禍前の20年2月期との比較では衣料品売上高が7割強にとどまっている。

 一方、店舗の落ち込みをカバーするEC売上高(全店ベース)は、同38.4%増の328億円と、目標の300億円を大きく上回った。自社サイト「パルクローゼット」も同55.2%増で、EC売上高の35%を占める。衣料品売上高のEC化率は同6.4ポイント増え、37.8%。アプリ会員は2月末で583万人を超えた。

 セグメント別では、衣料事業で6ブランドをスクラップし、期末で48店舗の純減となったものの、売上高は同15.%増の871億円。「最悪だった21年2月期に比べ、衣料事業も回復してきている」(井上英隆会長)。ブランド別ではカジュアル系の「チコ(CHICO)」「フーズフーギャラリー(WHO’S WHO GALLERY)」「ミスティック(MYSTIC)」が引き続き好調だったほか、タウン系の「ウィムガゼット(WHIM GAZETTE)」「コラージュ(COLLAGE GALLARDAGALANTE)」「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」も既存店ベースで前年を上回る売上高で着地した。

 雑貨事業の売上高は同42.8%増の469億円で、期末店舗数は18店増になった。巣ごもり需要の高まりから生活防衛雑貨の「スリーコインズ(3COINS)」と「サリュー(SALUT!)」がともに大幅増収に貢献した。とりわけ「スリーコインズ」は、新規出店と既存店の増床による大型化を進めた結果、売上高は前期比1.5倍の379億円を大きく伸ばした。

 「店舗の大型化のチャンスは十分ある」(井上会長)として、今期は店舗の大型化と高感度ライフスタイルショップ化に取り組むため、再び出店攻勢に転じる。生活雑貨事業を軸に、衣料系の「ディスコート(DISCOAT)」「チャオパニックティピー(CIAOPANIC TYPY)」「コロニー2139(COLONY2139)」を含め、新規出店68店舗、退店29店舗を予定。売上高3000億円の中長期ビジョンの実現に向け、23年2月期の連結業績は売上高1500億円、営業利益87億円、経常利益83億円をめざす。

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アイウエアのジンズの21年9〜22年2月は純利益38.8%減、下期に店舗の生産性を向上のためセルフ視力測定器を40店舗に導入

 アイウエア大手のジンズホールディングスは、国内での生産サプライチェーンの構築や、セルフ視力測定器の導入による店舗のスマート化と店舗オペレーションの効率化に着手する。デジタル購入体験のブラッシュアップも推進する。

4月8日に発表した2021年9月〜22年2月期決算は、売上高が327億円(前年同期比3.4%増)、営業利益19億円(同28.5%減)、経常利益21億円(同15.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11億円(同38.8%減)と増収減益となった。国内アイウエアショップの既存店売上高は3.8%減、全店売上高は0.1%増。EC売上高は18.2%伸びた。アイウエアショップの店舗数は、国内451店舗、海外229店舗(中国173、台湾44、香港6、米国6)の計680店舗に。海外売上高は14.3%増の70億円で、売上高構成比は21.6%になった。国内の郊外・ロードサイド店舗が前年同期に比べて10店舗増えて55店舗となり、売上高は27%増加。今後も出店を強化する。

 課題は販管費の引き下げだ。当期の売上高販管費率は72.3%と前年同期比で1.5ポイント増加。店舗での生産性を向上させるため、5月にセルフ測定器を大型店40店舗に導入する。視力測定の自動化により、特に週末のチャンスロスを撲滅して売り上げを伸ばす一方で、接客時間を創出して、シニア客を含めた顧客エンゲージメントの向上につなげていく。

 また、オンライン売上高の増加に伴い、膨張しがちな集中加工センターのキャパシティは現状維持とし、店舗の空き時間に加工をすることで、店舗の設備や人員の稼働率を高める「分散加工体制」を徹底する。さらに、AIを活用した受注精度向上による在庫稼働率の向上にも取り組む。

 田中仁CEOは、「ロシア、ウクライナ、コロナなど世の中が混沌としている中で、本質的な問いを立てて解を出すことが重要だ。もっとチャレンジしなければならない。人生100年時代、“ウェルシーイング”の時代に、まだまだ解決すべき課題がある」として、キッズプロジェクトやシニアプロジェクトを強化。さらに、コアターゲット層に対して、気に入った商品がすぐに手に入る「デジタル購入体験の革新」を推進する。

オリジナル人工知能の「ジンズ・ブレイン」では、顔型を細かく判別して似合い度を瞬時に判定し、店頭やオンライン上の在庫から似合うメガネをランキング形式でオススメする提案機能を追加するなど、さまざまな施策を積み重ねてているところ。「年内には革新的なサービスが生み出せると思う」と語る。

 さらに、「“エブリワンズ・アイウエア”というブランド戦略を世界中に広げる。お客さまに対するLTV(ライフタイムバリュー)の向上と、お客様の母数を広げるために新規顧客を広げる。まだまだ余白はある。会社の将来の成長を確信している」と意気込む。

 原価の高騰や円安などにより価格引き上げを行う企業が増加し、インフレが懸念されている。中村豊取締役CFOは「問題は円安だ。長期的には国内生産体制の確立が急務だ。すでに開始しているが、為替対策だけでなく、シニア対策も含めて、国内生産をフレキシブルに行うことが重要だ」と説明。

 これまで5000円、8000円、1万2000円の3ライン制をとってきた価格政策については、「足元で、生活必需品が値上がりし、可処分所得が下がる中で、5000円のエントリーポイントは重要だ。5000円、8000円、1万2000円の上を出していく。国内生産体制の確立と密接にかかわってくると思う」として、国内生産のサプライチェーン構築を急ぐ考え。

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「トミー ヒルフィガー」親会社のPVH、21年度通期は28%増収 メタバースに商機

 「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」や「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP 以下、PVH)の2022年1月通期決算は売上高が前期比28.3%増の91億5470万ドル(約1兆1168億円)、EBIT(利払前・税引前損益)は前年の10億7170万ドル(約1307億円)の赤字から10億7690万ドル(約1313億円)の黒字へ、純損益は前年の11億3750万ドル(約1387億円)の赤字から9億5200万ドル(約1161億円)の黒字になった。新型コロナウイルスのさまざまな制限の緩和による消費の回復が復調をけん引した。

 昨年トップに就任したステファン・ラーソン(Stephan Larsson)最高経営責任者は入社してすぐに“立て直し戦略”を施行。ブランド力と商品力の強化、ECおよびバックエンドのロジスティクスにさらに注力した結果、10億ドル(約1220億円)の負債を返済できたという。ECビジネスは20年の40%成長に加え、昨年はさらに30%伸ばすことに成功した。
 
 他社同様に、PVHはロシアのビジネスの停止やサプライチェーンの問題、インフレの影響を受けている。「不安定な環境の中でも、強固なビジネスとクリアなプランを立てている。ニューノーマル時代は流動的なため、常に消費者のニーズや環境に合わせて変化しなければならない」。

 今年度の売り上げの伸び率は、「ヴァン ヒューゼン(VAN HEUSEN)」や「ジェフリー ビーン(GEOFFREY BEENE)」といったヘリテージブランドの売却やロシア、ベラルーシ、ウクライナのビジネスの影響を考慮し、2〜3%を見込む。成長を成し遂げるのに、同社はメタバースに目を向ける。ラーソンCEOは「メタバースは今日の消費者にとって、ますます重要なプラットフォームになりつつある。特に若年層とそのさらに次の世代はリアルとデジタルの世界を流動的に行き来するようになるだろう。われわれもそういう考えのもと、メタバースの可能性を探り、消費者のニーズに応える必要がある」と話す。

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ルルレモン、21年度通期は42%増収 売上高7600億円超え

 ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA)の2022年1月通期決算は売上高が前期比42.1%増の62億5661万ドル(約7633億円)、営業利益が同62.6%増の13億3335万ドル(約1626億円)、純利益が同65.6%増の9億7532万ドル(約118億円)と増収増益だった。アスレチックウエアの需要向上などが成長をけん引した。

 カルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)最高経営責任者(CEO)は好調の要因を4つ挙げた。「まずはアスレチックウエアがアパレル業界の中でも引き続き好調であること。次に消費者がますますフィットネスを日常生活に取り入れており、“アスレジャー”の需要が続いていること、そしてリアル店舗とデジタルエンゲージメントの双方を取り入れたオムニチャネル戦略の奏功。最後にメンタル・ソーシャルウエルビーイングのニーズの高まり。こられは全て、われわれにとって追い風になった」。

 他社が次々と行っている値上げについて聞かれると、商品の1割に関して、やや値上げをするという。またロジスティックス面においても「セールのリスクが少ない定番商品が全体の45%ほどを占めるため、引き続き消費者のニーズに安定的に応えられるだろう」と話した。

 今年度の売上高は前年比20〜22%増の74億9000万〜76億1500万ドル(約9137億〜9290億円)を見込む。カナダのオリンピック委員会とのパートナーシップ契約やフットウエアのローンチに加え、さらなるグローバル展開を行う。

 

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JDドットコム、CEOが退任 後任は社長が昇格

 中国第2位のEC企業JDドットコム(JD.COM)は4月7日、劉強東=創業者兼最高経営責任者(CEO)がCEO職を退任したと発表した。後任には徐雷社長が同日付で就任した。

 劉創業者は議決権の約77%を保有しており、引き続き取締役会の会長を務める。今後は長期的な戦略策定や若手の育成、地方事業の活性化に専念するという。

 徐新CEOは47歳。2009年にJDドットコムに入社し、チーフ・マーケティング・オフィサーやリテール事業のCEOなどを務め、21年9月に社長に就任した。その頃から、日々の経営は同氏が担っていたと見られている。

 JDドットコムが運営するプラットフォームには、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「ロエベ(LOEWE)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」「トッズ(TOD'S)」などのラグジュアリーブランドが出店しているが、中国当局による規制強化の影響や競争激化、マーケティング費用の増大などにより成長が鈍化。21年12月通期決算は、売上高が前期比27.5%増の9515億人民元(約18兆円)、営業利益は同66.4%減の41億人民元(約779億円)、純損益は前年の493億人民元(約9367億円)の黒字から44億人民元(約836億円)の赤字となっている。

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スタイレム瀧定大阪の営業利益は大幅増の25億円増 22年2月期

 服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2022年1月期決算は売上高が前期比9.2%増の691億円、営業利益は25億円(前期は8200万円)になった。原料、生地、製品、ライフスタイルの部門で増収となったほか、中国を筆頭にした海外事業が好調で、全体を押し上げた。瀧隆太社長は「期初にはリベンジ消費への期待が膨らんだものの、日本のアパレル商況への影響は限定的で厳しかった。中国を筆頭に海外事業が好調だったことと、前期に固定費を削減していたことが利益をコロナ禍前まで戻すことにつながった」という。ただ、今期(23年1月期)の見通しについては「原料、燃料、物流費まであらゆるものが高騰しており、しかも円安。利益面では厳しいだろう」という。

 なお、昨年まではグループ単純合算だったが、今期からグループ内取引を消去した連結数値になっており、昨年発表した数字とは異なっている。

 品目別の売上高は原料が同8.2%増の18億円、生地が同11.4%増の417億円、衣料製品が同10.9%増の281億円、ライフスタイル製品が同18.4%増の36億円、その他が同37.2%減の11億9500万円だった。

 単体では売上高が同7.5%増の624億円、売上総利益は前期比で1.4ポイント改善の15.1%、営業利益は12億5200万円(前期は4億6600万円の赤字)、純利益は20億7800万円(前期は27億円の赤字)だった。売上を伸ばした一方で、前期の構造改革により固定費を削減したこと、販管費も削減し、利益を大幅に押し上げた。

 23年1月期は引き続きサステナビリティと3D化とともに、商品構成の見直しや間接費の削減などコスト削減に注力する。3Dに関しては、5000品番をすでに3Dのデジタルデータ化を完了させており、三菱商事ファッションなどのOEMに強い繊維商社との連携も進んでいる。酒向正之副社長は「販売については数量ベースでも国内、海外ともに引き続き伸びる見通しだ。ただ、原料や物流費、円安によるコスト高騰は下期から本格的に効いてくる。製品ごとに効き方はバラバラだが、全体として10〜20%程度は原価を押し上げる要因になる。ただ、小売り価格が変わらない限り、我々サプライヤー側の価格転嫁は難しい。当社は問屋業ということもあって、ある程度まではコストアップ分は吸収していくなるだろう」と述べた。

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ユニクロは8カ月連続の前年割れ 専門店3月度、まん防明けても低気温で苦戦の声

 専門店チェーン、セレクトショップの2022年3月度売上高(既存店ベース)は、「まん延防止等重点措置」が明けたことによる効果は一部で見られたものの、月下旬の低気温などで「春物の動きが鈍かった」という声も聞こえる。

 好調が続くしまむらの「ファッションセンターしまむら」は、売上高の前年同期比(同社は2月21日〜3月20日での比較)が2.9%増。前年3月が同24.6%増と大幅に伸ばしていたところからさらに伸ばした。22年2月期の通期でも既存店売上高は同7.1%増。「話題性のある商品の拡充による客数増加や、コーディネート提案強化での買い上げ点数増加が寄与した」と、4日に行われた22年2月期決算会見で鈴木誠社長は話した。

 アダストリアは前年同月比8.5%増。客数が同2.2%増、客単価が同6.1%増と伸長した。コロナ禍前の19年3月の数値にも近づいてきている。「自社EC『ドットエスティ(.ST)』のテレビCM放映などが奏功した」という。

 ユナイテッドアローズの小売とECの売上高は同10.7%増。客単価が同12.5%増となって全体を押し上げたが、19年3月と比べるとまだ2ケタの落ち込み。「ビジネス、フォーマル医療に加え、春アウターやスニーカーなどが好調」と発表している。

 一方、苦戦が目立つのがユニクロだ。国内店舗とECの売上高は同10.7%減。これで8カ月連続の前年実績割れとなった。前年3月は復活2シーズン目の「+J」の発売月だったこともあり、前々年同月比40.2%増と大きく伸ばしていたことの反動もある。「気温が低かったことに加え、話題性のある商品に欠けていた」(広報担当者)ことが引き続きの苦戦要因と見る。「セオリー(THEORY)」とのグループ内コラボも企画するなど、メンズだけでなくウィメンズでも打ち出しを強めている“感動ジャケット”“感動パンツ”などは「売れている」という。

 良品計画の「無印良品」の直営店とECの売上高は同10.0%減。衣服雑貨は同19.3%減、生活雑貨は同5.0%減、食品は同9.8%減という内訳だった。「衣服雑貨は月の下旬にかけて寒暖差が激しく、主力のカットソートップスやシャツが伸び悩んだ。生活雑貨は10%オフキャンペーンを行ったが、売り上げが伸びなかった」とコメントしている。

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しまむら過去最高業績を更新 22年2月期、MD改革実る

 しまむらの2022年2月期連結決算は、売上高が前期比7.6%増の5836億円、営業利益が30.0%増の494億円、純利益が同35.4%増の354億円だった。全ての項目で過去最高を更新した。

 売上高の7割以上を占める「ファッションセンターしまむら(以下、しまむら)」業態では、プライベートブランドの好調などに既存店売上高は同7.1%増になった。「しまむら」業態は1店舗あたりの売上高が3.1億円となり、コロナ前の20年2月期に比べて9.6%上昇した。「しまむら」業態の営業利益率は20年2月期に比べて3.2ポイント増の10.0%になった。増収に加えて、短期生産の活用、仕入れと在庫の機動的なコントロール、レジ割引きの抑制などによって粗利益率が改善され、利益水準を押し上げた。

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しまむら過去最高業績を更新 22年2月期、MD改革実る

 しまむらの2022年2月期連結決算は、売上高が前期比7.6%増の5836億円、営業利益が30.0%増の494億円、純利益が同35.4%増の354億円だった。全ての項目で過去最高を更新した。

 売上高の7割以上を占める「ファッションセンターしまむら(以下、しまむら)」業態では、プライベートブランドの好調などに既存店売上高は同7.1%増になった。「しまむら」業態は1店舗あたりの売上高が3.1億円となり、コロナ前の20年2月期に比べて9.6%上昇した。「しまむら」業態の営業利益率は20年2月期に比べて3.2ポイント増の10.0%になった。増収に加えて、短期生産の活用、仕入れと在庫の機動的なコントロール、レジ割引きの抑制などによって粗利益率が改善され、利益水準を押し上げた。

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百貨店3月度は全5社増収 まん延防止解除で衣料品動く

 百貨店大手5社の3月度売上高(速報ベース)は、全社が増収だった。三越伊勢丹が13.0%増、高島屋が6.2%増、大丸松坂屋百貨店が7.2%増、そごう・西武が3.6%増、阪急阪神百貨店が4.5%増だった。まん延防止等重点措置の解除によって人出が戻ったほか、気温の上昇に伴って春物衣料にも動きが出た。

 全体をけん引するは引き続きラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額商品だが、衣料品、靴、バッグなどファッション関連も回復した。そごう・西武では衣料品が10%増だった。阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)も婦人・紳士ファッション全般が2ケタ増になった。

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世界一に並んだ「35期連続増収増益」のニトリ会長が決算で語ったこと

 ニトリホールディングスは2022年2月期決算で、35期連続の増収増益を達成した。上場後だと32期連続となり、世界最大の小売企業であるウォルマートの記録に並んだ。売上高は8115億円(前期比13.2%増)、経常利益は1418億円(同2.5%増)、経常利益率は17.5%。期末店舗数はニトリグループ全体で79店舗増加し、801店舗になった(うち、国内708店舗、海外93店舗)。ちなみに、30年前の1992年2月期は、売上高175億円、経常利益12億円、経常利益率は6.9%、期末店舗数は21だった。

 3月31日に行った決算会見で、白井俊之・社長兼最高執行責任者(COO)は「創業期からさまざまなチャレンジを行い、『製造物流IT小売業』というビジネスモデルを生み出したことでこのような結果を得ることができた。引き続きより多くのお客さまに豊かな暮らしを提供していけるよう取り組んでいく」と語った。

 似鳥昭雄・会長兼最高経営責任者(CEO)は「正直言って、こんなに続くとは思わなかった。運が良かった。もうダメかなと思ったら為替が円高になったりみたいなことが何回かあった。世界では(米国の)ウォルマートが上場して32年連続していて世界一で、(ニトリは)第2位の(ドラッグストアチェーンの米国)ウォウグリーンと同率だった。今回の決算で上場後でも32期連続増収増益ウォルマートに並んで世界一になった。ここまでこれたのはみなさんや社員、株主のみなさんのおかげだと深く感謝している。できれば単独で1位になり、その後も続けたいという考えを社員一同持っている。そのためにはどうするかに取り組んでいる」とコメント。

 今後、増収増益を続けるために一番大事にしている事業はとの問いに対して、「(昨年買収した)島忠の件もあるし、チャンスがあればM&Aをしていきたい。単独での取り組みには限界がある。時間を短くしていく、時間を買っていくということなら大いに結構だと思う。具体的にどこにどうやってということはちょっと言えない」と、いくつか案件が進んでいるかのような含みを持たせた。

 また、目指す姿として「総合住関連の企業になりたいなと(思っている)。ヤマダ電機が建築から家具、インテリアを含めて、住関連提案企業としているが、僕はそういうやり方も正しいと思う。我が社はホームファニシングとホームセンターの方から、家電も(強化していく)」と宣言。家電はニトリだけでなく島忠も含めて、家電専門店をテナントとして導入する一方で、自社の家電製品も拡充していく考え。

 「トータルコーディネートの大人服」と謳うアパレル専門店の「N+(エヌプラス)」は、2022年2月期末で18店舗になった。「現在、20店舗になっており、今年中に40店舗になる。50店舗になると黒字になると思う。コーディネートの提案は年々良くなっていて、今年の春も良くなっている。点数でいうとようやく50点。60点まではいかないが半分ぐらいまでいった。(コロナが終息したら)早くアメリカやヨーロッパにいって勉強しして追いつきたい。日本には(カラーを軸に)コーディネートしている30~50代のファッション(ブランド・ストア)は1社もないのが現実。それをぜひ実現したい。私が今一番、というか、かなり力を入れている。今月もデザイナーを2人新しく採用した」と説明。似鳥社長が掲げていた200店舗体制に向けて態勢を強化する。

 ただし、ニトリ事業の売り上げは前々期比では5.8%増ながらも、前期比では5.3%減とマイナスに。経常利益も前々期比では26.5%増だが、前期比では0.1%増と伸び悩んだ。理由の一つは、前年の巣ごもり消費の反動減が予想以上だったこと。2つ目は、コロナ禍やコンテナ不足、物流の混乱などでASEANや中国からの商品調達が遅れ欠品が発生したこと。3つ目は、海外に出張できない分、生活者の変化に合わせた商品開発が少なくなっていることを挙げた。「今後は、商品開発部隊の主力15~20人を産地に送り込む。家電の人数も増えており、今は30人ぐらい。日本にはない商品をどんどん開発し、アイリスオーヤマみたいな商品開発を進めていきたい」と似鳥会長。

 アプリ会員数は当初目標の1300万人を達成し、1314万人となった。今期は1600万人を目指す。通販事業は、巣ごもり需要のあった前期をさらに大きく上回り、710億円に達した。リアルタイムのコミュニケーションが可能なインスタライブも開始。「継続的な関係性の構築と、買い物利便性の向上に努めていく」と白井社長。

 なお、原材料高や物流費の高騰などが続いているが、原価低減策として、原材料の自社買い付けや、カーテンやカーペットなど、自社工場での生産を本格化。前期に全社の購買部門を統合して購買コントロールを開始。共同買付け、効率化、外注から内製化への変更や、施策のゼロベースでの見直しなどを進めており、今期さらに効果を発揮するとみる。物流関連では川崎ディストリビューションセンター(DC)と五霞DCへのコンテナ輸送を開始。自社で車両を保有して、港から各物流拠点までの輸送効率を向上させコストを削減。国内物流拠点の再構築の一環として、名古屋DCや幸手DCの新設に着手した。

 2023年3月期には、5つの主要施策に取り組む。ひとつ目は「安さを追求し、客数を増やす。デスティネーションストアとして、お客さまのさらなる支持を得る」。2つ目が2032年ビジョン実現に向けて、基盤構築と成長を加速。グローバルサプライチェーンとITシステムの構築、未出店の国や地域へ出店を加速する。3つ目が島忠のホームセンター事業で「既存事業より幅広い品ぞろえを実現するとともに、シナジー効果を最大化する」。4つ目が「国・地域や事業領域の拡大を可能にする基盤構築」で、海外で、今期は41店舗を新規出店し、2025年度に280店舗とすることを目標に掲げる。そして5つ目が「ロマン実現に向けた歩みとともに、世の中の課題を解決し、より良い未来を目指す」で、「一気通貫のビジネスモデルを生かし、環境・社会・ガバナンスなどあらゆる段階で改善、改革を実行し、本質的なサステナビリティ経営を推進していく」と白井社長。

 なお、決算期を2月20日締めから、3月31日締めに変更。2023年3月期は13カ月の変則決算となるが、売上高9636億円(前期比18.6%増)、経常利益1530億円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1040億円(同7.5%)を予定する。出店は国内100店舗、海外41店舗で、期末店舗数は942店舗を予定する。前提条件として、既存店は前期比2.6%増、設備投資890億円を見込む。為替レートは9月まで114円90銭で為替予約しており、年間予想レートは115円としている。

 4月1日にはIT新会社ニトリデジタルベースを設立し、グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに加速させ、グローバル、かつ、大規模に、革新、イノベーションを目指す。東京・目黒にオープンする新店の上層階に拠点を置き、創造的な活動に集中できる働き方や、リモートワークなどを導入する。業界の垣根を超え、IT、デジタル人材、データサイエンティストを採用する。

 別会社化し、似鳥会長が自ら会長を兼務する。「情報関係は人材の取り合いだ。従来のニトリの賃金体系ではなかなか対応できない。また、うちの人間が逆にスカウトされてしまう。賃金体系も就業規則もすべて別にしなければならない。(ニトリの)初任給は今年、大卒で25万円だが、それを上回るものを提示する。フロアの雰囲気もコンテンポラリーに現代風にして、うちだったら始末書ものだが、ジーパンもTシャツもヒゲもなんでもOKにする。場所もいいところなので人も集まりやすく、採用もしやすい。(ニトリでは難しいが)、社長、役員なども目指せるなど、夢と希望が持てる」と説明。

 さらに、「ニトリのシステムは前例がない。原料を調達し、商社機能も、物流も海運も、海外もやっている。ありとあらゆる世界の一流のシステムに(開発を)お願して、結局できずに損をして、止めた経緯がある。自分たちで作るしかない。(そのシステムやノウハウなどを外部に)販売することができる。成功したらすごいこと。価値があると思う。別会社にすることでそういう集団を作ることができる。将来、500~1000人規模になり、手狭になって別のところに移っていくようなこともあるかも」と意気込む。

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TOKYO BASE、23年1月期中に海外31店体制目指す

 セレクトショップ「ステュディオス(STUDIOUS以下、ST)」などを運営するTOKYO BASEは、2023年1月期の重点取り組み事項を発表した。引き続き積極策が目立ち、中国本土に新規で8店を出店して海外店舗数31店体制を目指す。国内では自社ECや商品力の強化を打ち出した。

 期末の店舗数は、「ST」や「ユナイテッドトウキョウ(UNITED TOKYO以下、UT)」「パブリックトウキョウ(PUBLIC TOKYO以下、PT)」などの全業態で海外は中国本土を中心に23店となった。23年1月期中に31店体制を目指すことで、「これで中国の主要都市にはほぼ全業態が出店している状態になる」と谷正人TOKYO BASE最高経営責任者(CEO)。

 一方でTモールなど現地ECは2月に全て退店済み。「(知名度不足で現地ECは)全く売れなかった。実店舗で顧客を作り、2年後をめどに再チャレンジしたい」という。今後は中国事業で地域別のMD構築や人材育成に力を入れる。欧米出店も視野に入れ、23年中には「ST」でニューヨーク出店も視野に入れる。

 国内では23年1月期に新規で3店を出店し、実店舗56店体制を目指す。「ファッション感度が高い層や富裕層のエリアに注力する方針」といい、首都圏と京阪神、名古屋エリアに今後の出店戦略を集中する。以前は福岡地域にも出店していたが、今年3月をもって全て閉店した。「海外の一級都市の富裕層に照準を合わせていくために、日本でも準郊外や地方都市への出店は今後行わない」方針だ。

 21年秋には、大人向け新業態「ザ トウキョウ(THE TOKYO、以下TT)」とアスレジャー業態「エープラス トウキョウ(A+ TOKYO、以下AT)」も立ち上げた。「TT」は1号店を丸の内仲通りに、2号店を東京ミッドタウンに、3号店を表参道ヒルズに出した。「AT」は新宿ルミネ1にウィメンズ店舗、新宿ルミネ2にメンズ店舗、ルクア大阪と池袋パルコに男女複合店を出店した。

 谷CEOは、「『TT』と『AT』ともに立ち上げから半年が経ち課題も見えた。『TT』に関しては、『ST』の既存顧客に響く商品と、六本木や丸の内の商圏の客に響く商品とでは、非常にギャップがあることが見えた。現在、新しい店舗で獲得したお客さまに向けて商品開発やセレクト商品の修正に取り組んでいる。『AT』は“アスレジャー”という言葉に翻弄されて、デザインや内装などを含めてスポーツに寄りすぎてしまったことが反省点だった。TOKYO BASE経済圏を広げていくことを目指して、ファッション感度の高い層にアプローチする微修正を行ったことで改めて手応えを感じている」と話した。

 22年1月期連結業績(決算期変更のため11カ月の変則決算)は、売上高176億円(決算期変更のため、参考値で前年同期比20.1%増)、営業利益9億円(同356.5%増)、純損益7億円の黒字(前年同期は1億円の赤字)だった。

 23年1月期の連結業績予想は、売上高210億円、営業利益12億円、純利益8億円を見込む。「新型コロナウイルス感染拡大の影響でロックダウンが行われている中国では特に上期に大きく影響を受ける。下期は日本と中国ともに段階的に回復に向かうと見込んでいる」(谷CEO)。

 商品力の強化においては、「UT」「PT」「AT」でデザイナーの採用や待遇を強化してプロダクトアウト型の商品開発に取り組む。「ST」「TT」では、新たな有力ブランドの獲得に力を入れる。自社ECではマーケティングを課題点にあげ、顧客視点のMD強化および業務の効率化を図る。谷CEOは、「ECでの先行予約は点で見ると売り上げにつながるが、複合的に考えると機会ロスを生むため廃止した。その分現場でお客さまを知るスタッフと在庫管理の精度を上げていく。また、表面的にカッコつけることよりも早くて便利でわかりやすいシステムを早急に構築していく」と話した。

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TOKYO BASE、23年1月期中に海外31店体制目指す

 セレクトショップ「ステュディオス(STUDIOUS以下、ST)」などを運営するTOKYO BASEは、2023年1月期の重点取り組み事項を発表した。引き続き積極策が目立ち、中国本土に新規で8店を出店して海外店舗数31店体制を目指す。国内では自社ECや商品力の強化を打ち出した。

 期末の店舗数は、「ST」や「ユナイテッドトウキョウ(UNITED TOKYO以下、UT)」「パブリックトウキョウ(PUBLIC TOKYO以下、PT)」などの全業態で海外は中国本土を中心に23店となった。23年1月期中に31店体制を目指すことで、「これで中国の主要都市にはほぼ全業態が出店している状態になる」と谷正人TOKYO BASE最高経営責任者(CEO)。

 一方でTモールなど現地ECは2月に全て退店済み。「(知名度不足で現地ECは)全く売れなかった。実店舗で顧客を作り、2年後をめどに再チャレンジしたい」という。今後は中国事業で地域別のMD構築や人材育成に力を入れる。欧米出店も視野に入れ、23年中には「ST」でニューヨーク出店も視野に入れる。

 国内では23年1月期に新規で3店を出店し、実店舗56店体制を目指す。「ファッション感度が高い層や富裕層のエリアに注力する方針」といい、首都圏と京阪神、名古屋エリアに今後の出店戦略を集中する。以前は福岡地域にも出店していたが、今年3月をもって全て閉店した。「海外の一級都市の富裕層に照準を合わせていくために、日本でも準郊外や地方都市への出店は今後行わない」方針だ。

 21年秋には、大人向け新業態「ザ トウキョウ(THE TOKYO、以下TT)」とアスレジャー業態「エープラス トウキョウ(A+ TOKYO、以下AT)」も立ち上げた。「TT」は1号店を丸の内仲通りに、2号店を東京ミッドタウンに、3号店を表参道ヒルズに出した。「AT」は新宿ルミネ1にウィメンズ店舗、新宿ルミネ2にメンズ店舗、ルクア大阪と池袋パルコに男女複合店を出店した。

 谷CEOは、「『TT』と『AT』ともに立ち上げから半年が経ち課題も見えた。『TT』に関しては、『ST』の既存顧客に響く商品と、六本木や丸の内の商圏の客に響く商品とでは、非常にギャップがあることが見えた。現在、新しい店舗で獲得したお客さまに向けて商品開発やセレクト商品の修正に取り組んでいる。『AT』は“アスレジャー”という言葉に翻弄されて、デザインや内装などを含めてスポーツに寄りすぎてしまったことが反省点だった。TOKYO BASE経済圏を広げていくことを目指して、ファッション感度の高い層にアプローチする微修正を行ったことで改めて手応えを感じている」と話した。

 22年1月期連結業績(決算期変更のため11カ月の変則決算)は、売上高176億円(決算期変更のため、参考値で前年同期比20.1%増)、営業利益9億円(同356.5%増)、純損益7億円の黒字(前年同期は1億円の赤字)だった。

 23年1月期の連結業績予想は、売上高210億円、営業利益12億円、純利益8億円を見込む。「新型コロナウイルス感染拡大の影響でロックダウンが行われている中国では特に上期に大きく影響を受ける。下期は日本と中国ともに段階的に回復に向かうと見込んでいる」(谷CEO)。

 商品力の強化においては、「UT」「PT」「AT」でデザイナーの採用や待遇を強化してプロダクトアウト型の商品開発に取り組む。「ST」「TT」では、新たな有力ブランドの獲得に力を入れる。自社ECではマーケティングを課題点にあげ、顧客視点のMD強化および業務の効率化を図る。谷CEOは、「ECでの先行予約は点で見ると売り上げにつながるが、複合的に考えると機会ロスを生むため廃止した。その分現場でお客さまを知るスタッフと在庫管理の精度を上げていく。また、表面的にカッコつけることよりも早くて便利でわかりやすいシステムを早急に構築していく」と話した。

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「ランバン」「セルジオ ロッシ」親会社がSPAC方式で上場へ

 「ランバン(LANVIN)」や「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」などを擁するランバングループ(LANVIN GROUP)は、特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Corporation、SPAC)のプリマベーラ キャピタル アクイジション コープ(PRIMAVERA CAPITAL ACQUISITION CORP.以下、プリマベーラ)と合併し、ニューヨーク証券取引所に上場する。ティッカーシンボルは“LANV”となる。

 SPACとは、特定の事業を持たず、未公開会社の買収を目的に設立する上場会社のことで、日本では認められていないが米国では注目されている上場手法。今回のケースでは、上場済みのプリマベーラがランバン グループを買収することで、事実上、ランバン グループが上場したことと同義になる。

 ランバン グループによると、両社の合併によって「企業価値は15億ドル(約1785億円)、株式価値は最大19億ドル(約2261億円)」になるという。合併後の会社は、ランバン グループの株主から約65%の株式を取得することになり、ランバン グループは最大で5億4400万ドル(約647億3600万円)の売却益を手にする。この資金は「ラグジュアリーファッションのエコシステムを完成させるため、将来的に実施するかもしれない企業買収」のために使用する予定だという。

 中国のフォースン ファッション グループ(FOSUN FASHION GROUP)が2021年10月にランバン グループに社名変更。ランバン グループは伊藤忠商事と中国のシューズメーカー、ステラ インターナショナル(STELLA INTERNATIONAL)などと戦略的な提携関係を締結し、1億5000万ドル(約178億5000万円)の資金を調達している。

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三陽商会、6期連続営業赤字へ 黒字予想を修正

 三陽商会は、2022年2月期の業績予想を修正した。修正後の予想は、売上高が386億円(修正前は415億円)、営業損益が10億円の赤字(同1億円の黒字)、純損益が6億〜8億円の黒字(同収支トントン)とする。

 当期は、15年に「バーバリー」事業を失って以来6期ぶりの黒字を目指していた。しかし、今年1月以降のコロナの感染再拡大でリアル店舗の回復が想定ほど進まなかったため、本業のもうけを示す営業損益は6期連続の赤字に沈む見通しになった。一方、純損益は6期ぶりに黒字化する見通しだが、これは退職金制度の改定に伴い、特別利益を12億円計上したため上振れした。

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「ザラ」親会社、22年1月通期はECが過去最大の売り上げ 地域によって春夏物から値上げも

 「ザラ(ZARA)」や「ベルシュカ(BERSHKA)」などを擁するインディテックス(INDITEX)の2022年1月通期決算は、売上高が前期比35.8%増の277億1600万ユーロ(約3兆6300億円)、営業利益が2.5倍以上(同184.1%増)の42億8200万ユーロ(約5609億円)、純利益は3倍近く(同194.3%増)の32億5000万ユーロ(約4257億円)だった。ECビジネスの売り上げは過去最大を記録し、全体の25.5%を占めるまでに成長した。これにより、世界トップのeコマース企業と肩を並べるレベルに達しつつある。

 21年度の第1四半期(2〜4月)は新型コロナウイルスによる影響を強く受けたものの、外出規制などが緩和された後には記録的な売り上げを達成したという。オンラインの売り上げも前期比14%増の75億ユーロ(約9825億円)を計上し、24年には全体の30%を占めることを見込む。オスカー・ガルシア・マセイラス(Oscar Garcia Maceiras)最高経営責任者(CEO)は近年のDXを成長の要因として挙げた。同社は12年から本格的にDXに取り組み、以来130億ユーロ(約1兆7030億円)を投資してきた。今後も引き続きバーチャル試着室といったデジタル施策に力を入れる。
 
 22年も好調な滑り出しで、2月1日〜3月13日の売り上げは前年同期比33%増、コロナ前の19年同期比では21%増を記録。現在はロシアのウクライナ軍事侵攻の影響によりウクライナの全店舗を閉鎖し、現地の従業員のサポートをしているという。ロシアでのビジネスも停止した。

 同社は春夏コレクションから値上げを行っている。地域によって異なるが、値上げ率は1ケタ台で、同社は「ブランドのマーケットポジションを確保するため」に厳選的に行っていると説明する。現時点では消費者からの反発もなく、売り上げにも大きな影響は出ていないという。

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LVMHの財務諸表に見るポートフォリオ経営【齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.35】

 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンの財務諸表を読み解く。(この記事はWWDジャパン2022年3月14日号からの抜粋です)

 初めてLVMHの財務諸表を見たのですが、なかなか面白いです。ブランド企業というよりは、投資会社なんですね。今回は僕が興味深いと思った点を紹介します。

 まず2021年12月期決算でいくと、過去最高売り上げを記録しました。売上高は8兆円超。コロナ禍の影響を受けて20年はへこみましたが、もう大回復しています。

 稼ぎ頭のファッション&レザーグッズは、20年こそ5%減でしたが、ほぼ20%増をキープし、けん引し続けています。ワイン&スピリッツも4%前後の成長を維持し、これまで10%弱の成長だったウオッチ&ジュエリーは、ティファニー(TIFFANY & CO.)が入った影響で、2.5倍の成長になっています。セレクティブ・リテーリングは免税店とセフォラ(SEPHORA)が主なので、まだ回復には至っていませんね。

 損益計算書(PL)を見てみましょう。構造的にいうと粗利が68%を占めます。過去と比べて21年は粗利率が非常に高まりました。販管費も50%ぐらいかけていますが、19%の営業利益率を確保しています。

 PLは広告宣伝費をそれなりにかけて(売上比率11%:後述)、しっかりと営業利益を残している会社という感じですが、貸借対照表(BS)が面白いと思いました。

ブランドという無形固定資産

 特徴的なのは、無形固定資産とのれんの大きさです。これまでずっとお話ししてきたように、大概のファッション企業では、無形固定資産といえば、主にシステムに関する費用です。確かに彼らもシステムを計上していますが、その他扱いで、ブランドと商標が無形固定資産の7割以上を占めているんです。ここでいうブランドと商標はM&Aしたときのマーケットバリュー(金額)です。でも、いい企業を買収する際にはそれに上乗せ(プレミアム)が必要です。その上乗せした分の金額がのれん代です。例えば、7000億円で企業を買った場合、マーケットバリューが5000億円だったら、それがブランドと商標として扱われ、2000億円がのれん代になります。こののれん代は長い年月をかけて償却していきます。ですから、これらはほぼ合算で考えていいかなと思います。つまり、資産としてブランドをこれだけのウエートで持っているということなんです。額にすると8兆円弱です。

 もう1つ面白いと思ったのは有形固定資産で、一般的には店舗、設備、倉庫を示すのですが、LVMHはワイン&スピリッツでワインヤードを持っているんですよね。資料を読んでいて分かったのですが、収穫によってバリューの出し方が違うみたいなんです。それから在庫には商品だけでなく仕掛品と原料も入るのですが、どうやら半分ぐらいは原材料とビンテージを出すために寝かしている酒類が占めているようです。ですから、ワイン&スピリッツだけ見ると、ものすごく商品回転が悪いです。在庫が重いということですね。でも全体に対する構成比がそれほど高くないので、全体的には影響を及ぼさない程度ですね。

 ブランドや商標、のれんは、自社で開発したブランドには発生しません。つまり、それだけお金を投資して、ブランドを買ってきた。そこに売上高の11%(約9000億円)の広告宣伝費を投じ、それが付加価値を生んで、高い粗利率と成長を実現しているということです。19年末に買収したティファニーは、収益力アップにも貢献しています。

 カテゴリーごとの強弱を見るために、今回はバブルチャートを作ってみました。縦軸は営業利益率(同社が開示するEBITDAから減価償却を引いたもの)で、横軸に商品回転率(売上高÷平均在庫原価)を持ってきました。僕としては、在庫回転率(売上原価÷平均在庫原価)でやりたいですが、カテゴリー別の売上原価が分からないので、今回は、仕入原価が売上高に変わるスピードを表す、売上高ベースの商品回転率を採用します。つまり、縦軸は利益率の高さ、横軸は在庫効率の良さ、そして、バブルの大きさが売り上げ規模です。

 まず縦軸から見てみると会社全体は約19%の営業利益率ですが、ファッション&レザーグッズは34.5%です。横軸を見ると、会社全体の商品回転率は4.34回転で、一番回転しているのは、ファッション&レザーグッズの10回転。つまり、同カテゴリーは利益率も高くて、在庫効率も良くて、規模も大きいので、圧倒的な稼ぎ頭です。

 さらにそのファッション&レザーグッズを年平均20%で伸ばし続けているというのがすごいです。ここが断トツで強いのは間違いないですが、投資会社としてポートフォリオを考えていますよね。例えば、ワイン&スピリッツは、商品回転は悪いが、売れたときの利益率は高い。パフューム&コスメティクスは、利益率も低いけれど、単価も安くて、購買頻度も高くて、在庫が回転しているため、キャッシュフローには貢献します。

 そして、やはり年平均成長率。全体でも20年を除けば、ほぼ10%の安定的な成長率を継続しているのは、すごいと思います。投資家に対してしっかりと計画されている大手企業は、やはり年平均成長率というのを大事にしていると改めて感じましたし、それがしっかりと数字にも表れていると思いました。

最近気になっているのは
ウクライナ支援を表明する企業姿勢

 昨年の8月にここで取り上げたウクライナがロシアに侵攻され、胸が痛みます。ロシアとの取引、営業を休止するなど、制裁的な行動をとる企業がある一方、民泊マッチングのエアビーアンドビーは10万もの宿泊施設を避難民に一時的に無償提供すると発表。日本でもドン・キホーテなどが住宅や生活支援に名乗りを上げました。侵攻は決して許されることではありません。避難民発生も望みません。しかし、国家だけでなく、企業が姿勢を示す時代なのだなと感じました。一日も早く平和な日々が戻ることをお祈りしています。


齊藤孝浩/ディマンドワークス代表
PROFILE:1988年、明治大学商学部卒業。大手総合商社アパレル部門に勤め10年目に退職。米国のベンチャー企業で1年勤務し、年商100億円規模のカジュアルチェーンへ。2004年にディマンドワークス設立。ワンブランドで年商100億円を目指すファッション専門店の店頭在庫最適化のための人材育成を支援。著書に「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)。「今回のLVMHもそうですが、グローバル成長企業は前年比や単年度計画に一喜一憂することなく、売上高も利益も中長期、つまり3年から5年の平均成長率という視点で見ていることが分かります。 それはユニクロ対ZARAで両社の取材や決算書の長期時系列分析をしていて学んだことでもありました。持続可能な経営をする上でも経営者の理念や中長期経営ポリシーは大変参考になります」

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リアーナの「サヴェージ×フェンティ」がIPOを検討か 米メディアが報じる

 リアーナ(Rihanna 本名:ロビン・リアーナ・フェンティ)によるランジェリーブランド「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY)」が、IPO(新規上場)を目指して情報収集をしていると米ブルームバーグ(BLOOMBERG)が報じた。

 情報筋によれば、同ブランドはIPOの実施を検討するため、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)系の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)のほか、米証券会社のゴールドマン・サックス(GOLDMAN SACHS)やモルガン・スタンレー(MORGAN STANLEY)などのアドバイスを受けているという。米「WWD」によれば、いずれの会社もコメントを差し控えるとしている。

 「サヴェージ×フェンティ」は2018年の設立。さまざまな人種や体型、性自認のモデルを起用して多様性を表現する姿勢が称賛され人気を博している。同ブランドによれば、顧客の65%は18~35歳。当初はオンラインストアのみで販売されていたが、22年1月に初の実店舗をラスベガスにオープン。情報筋によると、ニューヨーク・ブルックリンにも出店する予定があるという。

 同ブランドは21年2月にLキャタルトンなどから1億1500万ドル(約134億円)を、22年1月には米投資会社ニューバーガー・バーマン(NEUBERGER BERMAN)などから1億2500万ドル(約146億円)を調達している。仮に23年にIPOを実施する場合、バリュエーション(評価額)は30億ドル(約3510億円)に達する可能性があると専門家らは見る。

 Lキャタルトンは、21年1月にフランスのアウトドアブランド「ジョット(JOTT)」の過半数株式を取得。3月にはLVMH会長兼最高経営責任者のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)一族の投資会社フィナンシエール アガシュ(FINANCIERE AGACHE)と共同でビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)の過半数株式を取得したほか、7月にはエトロ(ETRO)の株式の60%を取得している。22年2月には、Lキャタルトン自身もIPOを検討していることが報じられた。

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アディダスの21年12月通期は15%増収 コロナ前の水準には届かず

 アディダス(ADIDAS)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比15.1%増の212億3400万ユーロ(約2兆7179億円)、営業利益は2.5倍以上(同166.2%増)の19億8600万ユーロ(約2542億円)、純利益は5倍近く(同389.8%増)の21億1600万ユーロ(約2708億円)だった。21年8月に売却したリーボック(REEBOK)に関する分を除いた継続事業の純利益は、3倍以上(同223.6%増)の14億9200ユーロ(約1909億円)だった。19年に約240億ユーロ(約3兆720億円)の売上高を計上したコロナ前の水準には達しなかったものの、増収増益を記録した。

 地域別で見ると中国は現地通貨ベースで前期比3%増、EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は同24%増、北米は同17%増だった。成長の鈍化の要因として、中国国内の欧米商品のボイコットやコロナ禍の影響によるロックダウン、サプライチェーンの問題などを挙げた。これらにより年間でおよそ15億ユーロ(約1920億円)の売り上げロスがあったという。JPモルガン(JP MORGAN)やバーダー バンク(BAADER BANK)、カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)をはじめとする投資銀行のアナリストは、アディダスは目標に達しなかったものの、業績の結果は「予測通り」と分析した。

 決算会見では、キャスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)が22年の戦略について説明した。まず、直営店やECといったD2Cビジネスを強化する。昨年直営ビジネスは売り上げの38%を占め、25年までに全体の半分を担うことを目指す。またプレミアムスポーツウエア市場にさらに進出する狙いで、現在ジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)「フィア オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」デザイナーとバスケットボール関連のウエアを手掛け、「プラダ(PRADA)」や「グッチ(GUCCI)」ともコラボレーションしている。さらに、ボイコットの影響を受けた中国事業を安定させることも課題だ。新たに同エリアのマネージャーを立て、本来成長率が高い同エリアのビジネスを強化する。

 現在は新型コロナウイルスによるリテール市場への影響は落ち着きつつあるものの、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が懸念される。アディダスは先日ロシア事業を停止し、ロシアとウクライナにいる約7000人の従業員の支援をしているという。同社の15〜20年の成長率は毎年13%ほどを記録していたが、今年はロシアでの事業を考慮し、11〜13%の成長を見込む。

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アディダスの21年12月通期は15%増収 コロナ前の水準には届かず

 アディダス(ADIDAS)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比15.1%増の212億3400万ユーロ(約2兆7179億円)、営業利益は2.5倍以上(同166.2%増)の19億8600万ユーロ(約2542億円)、純利益は5倍近く(同389.8%増)の21億1600万ユーロ(約2708億円)だった。21年8月に売却したリーボック(REEBOK)に関する分を除いた継続事業の純利益は、3倍以上(同223.6%増)の14億9200ユーロ(約1909億円)だった。19年に約240億ユーロ(約3兆720億円)の売上高を計上したコロナ前の水準には達しなかったものの、増収増益を記録した。

 地域別で見ると中国は現地通貨ベースで前期比3%増、EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は同24%増、北米は同17%増だった。成長の鈍化の要因として、中国国内の欧米商品のボイコットやコロナ禍の影響によるロックダウン、サプライチェーンの問題などを挙げた。これらにより年間でおよそ15億ユーロ(約1920億円)の売り上げロスがあったという。JPモルガン(JP MORGAN)やバーダー バンク(BAADER BANK)、カナダロイヤル銀行(ROYAL BANK OF CANADA)をはじめとする投資銀行のアナリストは、アディダスは目標に達しなかったものの、業績の結果は「予測通り」と分析した。

 決算会見では、キャスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)が22年の戦略について説明した。まず、直営店やECといったD2Cビジネスを強化する。昨年直営ビジネスは売り上げの38%を占め、25年までに全体の半分を担うことを目指す。またプレミアムスポーツウエア市場にさらに進出する狙いで、現在ジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)「フィア オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」デザイナーとバスケットボール関連のウエアを手掛け、「プラダ(PRADA)」や「グッチ(GUCCI)」ともコラボレーションしている。さらに、ボイコットの影響を受けた中国事業を安定させることも課題だ。新たに同エリアのマネージャーを立て、本来成長率が高い同エリアのビジネスを強化する。

 現在は新型コロナウイルスによるリテール市場への影響は落ち着きつつあるものの、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が懸念される。アディダスは先日ロシア事業を停止し、ロシアとウクライナにいる約7000人の従業員の支援をしているという。同社の15〜20年の成長率は毎年13%ほどを記録していたが、今年はロシアでの事業を考慮し、11〜13%の成長を見込む。

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ファーフェッチの21年通期決算は34.8%増収 GMVは19年の倍に

 ファーフェッチの2021年12月通期決算は売上高が前期比34.8%増の22億5660万ドル(約2595億円)、営業損失は前年の6億1981万ドル(約712億円)から4億7623万ドル(約547億円)へ、純損益は前年の33億1562万ドル(約3812億円)の赤字から14億7061万ドル(約1691億円)の黒字になった。流通取引総額(GMV)は42億ドル(約4830億円)に達し、19年の倍の規模に成長した。業績の発表を受け、株価は29.2%上がり、19.39ドル(約2229円)になった。

 今年、ファーフェッチは他社との協業を積極的に進めている。ビューティ分野では、ラグジュアリーECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収。そのほか「リーボック(REEBOK)」提携し、アリババ(ALIBABA)との協業ではTモール(TMALL)への進出を果たした。

 創業者のジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「パーソナルラグジュアリーグッズ市場は3000億ドル(約34兆円)規模だが、ファーフェッチの事業はそのわずか2%を占めるに過ぎない。同市場は25年までに5000億ドル(約57兆円)に達する見込みで、われわれの成長のポテンシャルも十分にある」と話す。

 中でも期待を寄せるのが、「リーボック」とのパートナーシップだ。ファーフェッチ傘下のニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP 以下、NGG)はこのほど、「リーボック」の買収が完了間近にあるオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)と協業した。今後NGGは「リーボック」のヨーロッパ事業の代理店になるほか、50カ国以上で限定モデルを製造販売する。ネヴェス会長兼CEOは、NGGが「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」をたった4年でストリートウエア界のビッグブランドへと成長させたことを例に、「リーボック」でも同様の成長を実現できると自信を見せる。

 また、競争が激しいラグジュアリーファッション市場において、パートナーシップは成功の鍵になると説く。「ラグジュアリーファッション市場の成長は著しく、競争も激化している。そこで無理に競争するよりも、いろいろな会社とパートナーシップを組んだ方がスマートだ。だからわれわれはほかの小売りを競争相手ではなく、パートナー候補としてみている」。

 なお、22年のデジタルプラットフォームのGMVは28〜32%伸びると見込む。その肝となるのが、フルプライス(定価)販売だ。「ファーフェッチのマーケットプレイスにあるトップ10ブランドのうち、5ブランドはセールを撤廃し、フルプライスのみの販売戦略をとっている。同じグループのブラウンズ(BROWNS)も1年以上セールを開催していない。今後もフルプライスの商品の扱いを増やし、より健全なビジネスを目指す」。

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モンクレールの21年通期は42%増収の2639億円

 モンクレール(MONCLER)の2021年12月期決算は、売上高が前期比42.0%増の20億4610万ユーロ(約2639億円)で、19年比では25.7%増だった。EBIT(利息及び税金控除前利益)は前期比63.5%増の6億306万ユーロ(約777億円)、純利益は同36.9%増の4億1136万ユーロ(約530億円)と増収増益だった。

 ブランド別で見ると、「モンクレール」の売り上げは同26.6%増の18億2416万ユーロ(約2353億円)だった。アジアの売り上げが同24.6%増と引き続き好調で、中国、韓国、日本が成長をけん引した。特に中国は北京オリンピックによるウィンタースポーツへの関心の高まりが貢献し、10〜12月期は3ケタに近い成長率を記録した。日本もコロナ禍の制限が少し緩和され、2ケタの成長を達成した。アメリカ地域も同20%増と好調だった一方で、欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)の売り上げは同3%落ち込んだ。

 20年12月に買収した「ストーンアイランド(STONE ISLAND)」は同35%増の3億1000万ユーロ(約399億円)の売り上げを計上した。EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)のビジネスが最も大きく、売上高の77%を占めた。

 同社は昨年ECビジネスを内製化し、現在売り上げの15%を担う。今後はリアル店舗でのデジタル化も推し進める。また他社同様に値上げも行っており、22-23年秋冬コレクションから価格を10%上げたという。決算会見でルチアーノ・サンテル(Luciano Santel)=チーフ・コーポレート&サプライ・オフィサーは「生産コストや原材料の価格高騰、労働賃金の引き上げなどによるもの。22年春にさらなる値上げをする予定はないが、23年春にはその可能性がある」と説明した。

 また同社は現在ルーマニアに工場を、ウクライナ・キエフに店舗を構える。決算会見はロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始する直前に開かれたが、ロシアのビジネスについて聞かれると、ロベルト・エッグス(Roberto Eggs)チーフ・ビジネス・ストラテジー&グローバル・マーケット・オフィサーは「心が痛むニュースだ。われわれはキエフに店舗を構えており、現地のチームと密に連絡を取り合っている」と話しつつ、ロシアとウクライナの売り上げは全体の2%にしかならず、大きな影響はないという。一方で今後はルーマニアの工場を倍の規模に拡大する予定で、サンテル=チーフ・コーポレート&サプライ・オフィサーは「(ウクライナ)に隣接するルーマニアの人々をとても心配している。しかし、サプライチェーンには影響はないだろう。現在ルーマニアの工場は全体の生産の15%を担うが、来年度中には20%、数年以内に30%まで引き上げる予定だ」と話した。

 レモ・ルッフイーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)は「21年の業績は、大きく3つの言葉で説明することができる。グループ力、ビジョン、結果だ。買収した『ストーンアイランド』は早速業績に貢献し、グループ力の強さを示す。またコミュニティを強化し、ビジネスのあらゆる面においてサステナビリティを取り入れ、デジタル施策に注力するというビジョンもコロナ禍でもブレることなく掲げ、成長をけん引した。そして最後に素晴らしい結果を達成できたのは、あらゆるステークホルダーのおかげだ」とコメント。モンクレールは今年創業70周年を、「ストーンアイランド」は創業40年を迎える節目の年だ。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻など不安定な情勢が続く中でも、「われわれのビジネスの未来は明るい」と自信を見せた。

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YKK、21年度のファスナー事業が過去最高へ 世界で需要が急回復

 YKKのファスナー事業が急回復している。同社は2021年3月期の売上高は前年比39%増の3430億円、営業利益は約3.8倍の441億円、ファスナー販売本数は102.9億本になりそうだと発表した。いずれも期初の見通しを大きく上回っており、売上高とファスナー販売本数は過去最高になる。YKKはファスナーで世界的に高いシェアを有しているが、コロナ前の20年3月期には2年連続の暖冬に伴う世界的なアパレル市況の落ち込みで苦戦を強いられていた。20年3月以降にコロナ禍で世界経済が停滞する一方、流通在庫が一巡したことで、世界のアパレル産業は急回復していると言えそうだ。

 営業利益は19年3月期の542億円が過去最高だが、YKKは昨年4月にファスナー機の開発・生産を行う工機部門を統合するなど大掛かりな組織変更を行っており、「営業利益も(実質的には)過去最高の水準。期初には想定していなかったが、年間を通じて欧米の大手アパレル・小売り企業からアパレル市況の回復を見込んでアジア・中国のサプライヤーに大量の発注を行った」(大谷裕明社長)という。23年3月期も回復基調は継続する見込みで、売上高は同2.8%増の3527億円、営業利益は同13.6%増の501億円、ファスナー販売本数は107.3億本を計画する。22年度の見通しについて大谷社長は、「コロナ禍で不透明な部分も多い。22〜23年の秋冬物までは旺盛な需要が続き、22年度の上期までは好調が続くと見ているが、下期はコンサバティブに見ている」という。

 また、世界的にアパレル市況が急回復する中でも、日本は回復が遅れている。「足元の日本経済は回復が遅れ、事業環境は不透明だ」という。

 高騰を続ける原燃料価格の高止まりについては、「22年春物については転嫁を行わず、こちらで吸収した。ただ、以降については自助努力だけでは吸収しきれず、いままさに転嫁を取引先にオファーしているタイミング」という。

 今年度の設備投資は396億円を計画しており、パキスタンではファスナー生産工場の新設を計画している。また、サステナビリティとデジタル分野への投資を本格化し、今年度でそれぞれ67億円、22億円を計画する。

 24年度までの中期計画も発表しており、最終年度には売上高3949億円、営業利益640億円、ファスナー販売本数121億本を計画する。いずれも過去最高になる。コロナ禍で加速してきたDXやオートメーション化、革新的な設備導入によるコスト削減などの構造改革を仕上げることで、これまで課題だったファストファッション分野の拡大や新興企業の取り込みを狙う。

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エルメス、21年は40%増収 22年にバッグなどを3.5%値上げ予定

 エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比40.5%増の89億8200万ユーロ(約1兆1586億円)、営業利益は同70.2%増の35億3000万ユーロ(約4553億円)、純利益は同76.5%増の24億4500万ユーロ(約3154億円)だった。営業利益には、エルメスが立ち上げた中国発のラグジュアリーブランド「シャンシア(SHANG XIA)」の株式を一部手放したことによる売却益9100万ユーロ(約117億円)が含まれている。

 19年比でも、売上高は30.5%増、営業利益は50.9%増、純利益は60.0%増とコロナ禍前を大幅に上回る結果となった。

 地域別での売上高は、フランスが前期比35.1%増の8億3800万ユーロ(約1081億円)、フランス以外のヨーロッパは同36.7%増の13億300万ユーロ(約1680億円)、日本は17.1%増の9億7700万ユーロ(約1260億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同45.8%増の42億5100万ユーロ(約5483億円)、南北アメリカは同52.0%増の14億5800万ユーロ(約1880億円)だった。

 カテゴリー別での売上高は、レザーグッズが前期比27.4%増の40億9100万ユーロ(約5277億円)、衣料・アクセサリーは同57.4%増の22億1900万ユーロ(約2862億円)、シルク・テキスタイルは同48.0%増の6億6900万ユーロ(約863億円)、香水・ビューティは同46.3%増の3億8500万ユーロ(約496億円)、ウオッチは同71.9%増の3億3700万ユーロ(約434億円)だった。ECも好調で、オンラインストアのユーザーの78%が新規客だったという。

 四半期ベースで見ると、21年10~12月期(第4四半期)はレザーグッズが前年同期比3.2%減の10億1500万ユーロ(約1309億円)となっている。同社によれば、これは生産面で制約があったことや在庫不足によるもので、22年には6~7%の増産を見込んでいるという。

 ここ数年、生産コストや人件費の上昇を受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは、21年1月から22年2月にかけて米国で29%の値上げをしたモデルもある「シャネル(CHANEL)」や、同じく66%の値上げをしたモデルがある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。米「WWD」によれば、ケリング(KERING)が擁する「グッチ(GUCCI)」も21年に2回の値上げをしたほか、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ディオール(DIOR)」や「セリーヌ(CELINE)」もいくつかのモデルで値上げに踏み切っている。

 こうした中、「エルメス」も生産コストの上昇により、22年に3.5%程度の値上げをする予定だという。アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者は、アナリスト向けの説明会で、「当社は他社に追随することはしないし、値上げによってさらに業績を上げようとは考えていない。『エルメス』の価格は適正なものだ。当社は顧客と本物の信頼関係を築いており、それを傷つけるようなことはしたくない」と語った。

 同社は世界でおよそ1万8000人の従業員を抱えているが、コロナ禍の中でも業績が好調なことを受け、全員に3000ユーロ(約38万円)のボーナスを支給する。

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LVMHがラルフ ローレン買収に関心か 米メディアが報道

 米ニュースメディアの「アクシオス(AXIOS)」は2月22日、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がラルフ ローレン(RALPH LAUREN)買収の可能性についてここ数年にわたって対話を重ねていると報道し、業界で話題になっている。

 ラルフ ローレンは「コメントや噂、憶測には」コメントしないと話し、LVMHからはコメントを得られなかった。

 「アクシオス」の報道を受けて、22日のラルフ ローレンの株価は最大で132.14ドル(約1万5000円)まで上昇した。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で株価は一時期60ドル(約6840円)台まで落ち込んだが、現在は2019年と同水準の130ドル(約1万4000円)台前後まで回復している。

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ラグジュアリービジネスの秘訣はインフレスパイラル 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。ラグジュアリーブランドが2021年12月期決算を発表した。コロナどこ吹く風で好業績を上げるLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ケリング、エルメスの3社。なぜ強いのか。決算書を細かく分析すると見えてくるものがある。

 ラグジュアリー3社(LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、ケリング、エルメス)の2021年12月期決算が出そろったが、コロナ禍が長引いて業績が低迷するわが国ファッション業界の苦境を尻目に、各社ともコロナ前を大きく上回る増収増益でブランド力を見せつけた。この極端な明暗はいったい何に起因するのだろうか。3社の決算をさかのぼって探ってみた。

営業利益2兆2330億円を稼ぐラグジュアリー帝国LVMH

 LVMHは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「セリーヌ(CELINE)」などキラ星のようなラグジュアリーブランドを多数擁するファッション&レザーグッズ部門、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「ショーメ(CHAUMET)」「ウブロ(HUBLOT)」などを擁するジュエリー&ウォッチ部門、「モエ・エ・シャンドン(MOET ET CHANDON)」「ドン ペリニオン(DOM PERIGNON)」「ヘネシー(HENNESSY)」「シャトーディケム(CHATEAU D'YQUEM)」などを擁するワイン&スピリッツ部門、「ディオール(DIOR)」「ゲラン(GUERLAIN)」など多くのブランドを展開するパヒューム&コスメティクス部門、化粧品小売りの「セフォラ(SEPHORA )」や免税店の「DFS」、ハイファッションデパートに変貌した「ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)」などを展開するセレクティブリテイリング部門から成る世界最大最強のラグジュアリー帝国だ。

 そのLVMHの21年12月期決算は、売り上げが前期から43.8%も伸びて642億1500万ユーロ(8兆3610億円)とコロナ前19年も19.6%上回り、営業利益は171億5100万ユーロ(2兆2330億円)と前期の2倍を超え19年からも1.5倍になった。営業利益が2兆円を大きく超えたのみならず、営業利益率は26.7%とコロナ前19年の21.4%を大きく凌駕し、11年の22.2%も超えて同社の最高益率を更新した。売り上げ27兆2145億円(21年3月期)のトヨタ自動車でさえ営業利益は2兆1977億円とLVMHには届かないから、とんでもない儲けようだ。

 最も伸びたのが20年末に158億ドルで買収した「ティファニー」の売り上げが押し上げたウォッチ&ジュエリー部門で、89億6400万ユーロと前期から2.67倍、19年からも2.03倍に拡大。営業利益は前期の5.56倍、19年からも2.28倍に急増し、営業利益率は18.7%と19年の16.7%も超えた。

 全社売り上げの半分近くを占めるファッション&レザーグッズ部門は308億9600万ユーロと前期から45.7%、19年からも38.9%拡大し、営業利益は前期の1.79倍、19年からも1.75倍に伸び、営業利益率は41.6%!(粗利益率ではありません)と前期の33.9%から7.7ポイントも高まって最高益率を更新している。そんな大儲けの決算発表から3週間も経たないうちに、製造コストや物流コストの上昇を理由に大幅な値上げに踏み切って顧客の焦燥感をあおるあたりに高収益ビジネスの秘訣がありそうだ。

ケリングの営業利益率はLVMHも凌ぐ28.4%

 ケリング(KERING)は「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を擁してLVMHと競い合うラグジュアリーグループだ。そのケリング の21年12月期決算は、売り上げが前期から34.7%伸びて176億4520万ユーロ(2兆2974億円)とコロナ前19年を11.1%上回り、営業利益は50億1720万ユーロ(6532億円)と前期の1.6倍に回復して19年からも5%伸びたが、営業利益率は28.4%と19年の30.1%には届かなかった。

 売り上げや営業利益の伸びがLVMHに見劣りするのは、LVMHの「ティファニー」買収のようなビッグイベントを欠いたことに加え、売り上げの55.1%、営業利益の74.0%を占める基幹ブランドの「グッチ」の売り上げが19年比で1.1%増と伸び悩み、営業利益も5.9%減にとどまったためだ。売り上げの14.3%/営業利益の14.2%を占める「サンローラン」が売り上げで23.0%/営業利益で27.1%、同8.5%/5.7%を占める「ボッテガ・ヴェネタ」が売り上げで28.7%/営業利益で33.1%伸びても、全体を押し上げる勢いを欠いた。

 そうはいっても「グッチ」は97億3090万ユーロ(1兆2670億円)を売り上げて37億1460万ユーロ(4836億円)の営業利益を稼いだわけだが、営業利益率は38.2%と19年の40.1%には届かず、LVMHのファッション&レザーグッズ部門の41.6%にも及ばなかった。とはいえ赤字企業や1ケタ黒字企業ばかりのわが国アパレル業界から見ればどちらもケタ違いの高収益で、わずかな差を問う意味もないだろう。

エルメスの営業利益率は39.3%と突出

 エルメス(HERMES)は前述の2社とは異なる単独ブランドのメゾン企業だが、世界の富裕層の「エルメス」へのロイヤリティーはコロナ下も高まるばかりで、美術工芸品や宝飾品と並んで旅行が抑制されたぜいたく支出の受け皿となった感がある。

 21年12月期は売り上げが89億8200万ユーロ(1兆1695億円)と前期から40.6%、19年からも30.5%伸び、営業利益は35億3000万ユーロ(4596億円)と前期から39.3%、19年からは53.1%も伸び、営業利益率は39.3%と17年の34.6%も超えて同社の最高益率を更新した。

 エルメスは富裕層が支持する貴族的会社というイメージがあるが、財務内容を見ると盤石なお金持ち会社であることがわかる。長年にわたって単独ブランドに磨きをかけ、買収による拡張を行わなかったため借入金がほとんどなく(純資産の0.3%)、超高収益の積み上げで純資産が売り上げよりも大きく蓄積されている。LVMHの純資産が売り上げの76.2%、ケリング が同77.8%であるのと比べれば、エルメスの104.8%という純資産蓄積は突出している。ましてや純資産対比の借入金比率となると、LVMHの41.4%、ケリング の44.8%に対してコンマ以下とないに等しい。

 LVMHもケリングも十分にお金持ち会社であり欧州貴族階級の洗練された慎重な振る舞いを逸脱することはないが、エルメスはゆったりとした時間軸の中でとりわけ貴族的に振る舞っているように見える。

スローな生産と在庫回転

 3社ともブランド価値を維持向上すべく生産設備と生産要員(職人)への投資を怠らず、わが国のブランドアパレルのようにファブレスな(工場を所有しない)企画・販売会社に堕すことを拒否してきた。陶磁器やウォッチなど一部の非中核アイテムではOEM調達が残るブランドもあるし、プレタポルテは生産技術が突出した工場へ外注するブランドもあるが、「ディオール」や「シャネル」などは自社工場(アトリエ)生産に徹している。

 その分、生産設備の減価償却や生産にかかわる人件費、仕込み材料や仕掛かり在庫の負担が大きくなるが、商社やOEM業社への手数料負担はないから原価の透明性は高くなる。21年のLVMHの原価率は31.7%、ケリングは25.9%、エルメスは28.7%だが、LVMHは原価率の高い仕入れ販売小売業のセレクティブリテイリング部門が売り上げの18.3%を占めており、同部門を除外すればエルメスと大差ない。ケリングはやや低いが、外部工場生産が多いプレタポルテの比率が高いゆえと推察される。ラグジュアリーブランドの公式通りに自社工場生産に徹するなら設備投資の減価償却が加わる原価率は28〜29%になり、ファブレスな百貨店アパレルなどより一回りも高く、高価なプライスに見合う手厚い生産コストが掛けられている。

 手間もコストもかけて主要部材から自社生産し、売れ残り品もセールを避けて持ち越すラグジュアリービジネスの棚資産(在庫)回転は極めてスローで、ケリングは268.7日、仕込みから販売まで数年を要するワイン&スピリッツ部門を擁するLVMHは296.7日と長く、人気バッグは慢性的に生産が追いつかないエルメスは205.0日と最も短いが、それでも年1.87回転に過ぎない。粗利益率が高くても在庫の回転はスローで、商品資本の生産性指標である交叉比率は最も高いエルメスでも126.9、ケリングは100.7、LVMHは84.0にとどまる。

 ラグジュアリービジネスの本質は、手間もコストもかけて完成度の高い商品を生産し、焦らず値引きせずじっくり売っていく時空を超えたインベスティメント(投資価値のある商品)ビジネスなのだと理解される。ならば商品は時とともに減価せず、むしろプレミアムが加わっていくのが理想だ。そこにこそ、ラグジュアリービジネス成功の秘訣があるのではないか。

値上げ継続とセール回避でインフレ好循環

 長期にわたり成功を継続しているラグジュアリーブランドに共通するのが、値上げの繰り返しと在庫の持ち越しによるセール回避というインフレ政策ではないか。とりわけ徹底しているのが「シャネル」と「ルイ・ヴィトン」のハンドバッグで、前者はコロナ前19年から4回の値上げを繰り返して人気モデルは60%も値上がりし、後者も人気モデルは最大66%の値上がりが報告されている(販売国で価格は多少異なる)。「エルメス」の値上げは両者ほど目立たないが、為替変化に対応して数%の値上げが繰り返されている。

 もっと長い目で見れば、「ルイ・ヴィトン」は為替変化も加わって3〜4倍も高騰している。私が社会人となって初のボーナスを握ってパリの「ルイ・ヴィトン」を訪れたのは半世紀近くも前(1973年)のことだが、当時の大卒初任給1.5カ月分でショルダーバックやハンドバッグを4点買えた。今の価格からすれば3分の1以下だが、それだけ値上げが繰り返されてきたわけだ。「ルイ・ヴィトン」の名誉のために断っておくが、為替変化と値上げだけで3〜4倍になったわけではなく、当時の塩化ビニール製モノグラムバッグはお世辞にもラグジュアリーとは言いかねる実用的で質素なものだったが、今や素材も縫製も付属も改良を重ねて完成度もラグジュアリー感も格段に高まっている。

 価格がインフレを続けるブランドは先では手が届かなくなると購入を急ぐ心理が働くから、売り上げも継続的に伸びていく。値引き販売されることがなく、年々、価格が高騰していくと中古品の2次販売価格もインフレし、新品で手に入りにくい人気モデルは定価以上のプレミアムプライスも付くから、さらなる新品の値上げを招く。「ルイ・ヴィトン」や「エルメス」「シャネル」のバッグにはそんな好循環が長期にわたって継続している。プレタポルテでプレミアムが付くのは稀だが、「シュプリーム」などストリート・ラグジュアリーでは珍しくないから、年々インフレして売り上げも拡大していく。

デフレスパイラルを脱してインフレスパイラルへ

 逆に見るなら、売れ残りを毎シーズンのように値引き販売し、販売が伸び悩めば価格を抑制せざるを得ず、2次流通でもさらに叩き売られるわが国のアパレルブランドには強いデフレ圧力が働くわけで、日本の少子高齢化と貧困化も加わって年々、売り上げが必然的に落ちていく悪循環に陥っている。それをラグジュアリーブランドのようなインフレ好循環に転換できれば、一転して全てが好都合に回り出す。

 そんなことが簡単にできるわけはなく、突出した完成度を求めての生産設備投資と生産技術開発が何年も先行し、原材料の開発・調達と製品の仕掛かりから販売までの在庫回転も気の遠くなるほどスローで膨大な運転資金を要するから、もとより資金に恵まれたお金持ち企業でないと収益化する前に行き詰まってしまう。逆にいうなら、ワイン&スピリッツなど時空を超えた超低回転生産事業者、投資の規模も大きく回収期間も長い不動産開発事業者(LVMHのベルナール・アルノー会長兼CEOも不動産業出身)などにとっては自然なキャッシュフローで無理がない。どちらも時と共に減価するのではなく増価する性格の強い分野であることも共通している。

 ラグジュアリービジネスは日銭の回転に依存する小売事業者やシーズンごとの資金回収を必要とするアパレル事業者には向かないが、投資先行で回収期間の長い事業者には向いており、そんな事業者による新規参入や既存ブランド事業の買収の方がはるかに近道だと思われる。わが国アパレル事業者に染み付いた業界常識、とりわけ在庫回転とキャッシュフローに関する経営感覚は中途半端で革新性がなく、超高速の無在庫経営や超低速のプレミアム経営は見えていない。そんな業界人の視野狭窄こそデフレスパイラルの元凶ではないか。

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「グッチ」が復調したケリング、21年は34%増収 商品のハイエンド化で平均価格アップへ

 ケリング(KERING)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比34.7%増の176億4520万ユーロ(約2兆2938億円)、営業利益は同45.4%増の47億9740万ユーロ(約6236億円)、純利益は同47.6%増の31億7570万ユーロ(約4128億円)だった。

 19年比でも、売上高は11.0%増、営業利益は4.0%増、純利益は37.5%増とコロナ禍前を上回る結果となった。

 地域別の売上高は、西欧が前期比10.6%増の40億4500万ユーロ(約5258億円)、北米が同70.8%増の46億8530万ユーロ(約6090億円)、日本を除くアジア太平洋地域が同34.5%増の66億9540万ユーロ(約8704億円)、日本が同13.7%増の10億5940万ユーロ(約1377億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同30.7%増の97億3090万ユーロ(約1兆2650億円)だった。同ブランドは、21年第1四半期の売り上げが前年同期比20.2%増、第2四半期は同82.3%増だったが、第3四半期はアジア市場などで新型コロナウイルスの感染が再拡大したことから同4.5%増と大幅に減速。しかし第4四半期には同34.6%増に持ち直した。

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」は前期比44.5%増の25億2100万ユーロ(約3277億円)と記録的な売り上げとなったほか、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同24.1%増の15億280万ユーロ(約1953億円)だった。その他のメゾン部門に含まれる「バレンシアガ(BALENCIAGA)」と「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」も好調で、同部門は同43.1%増の32億6470万ユーロ(約4244億円)だった。

 ケリングは21年12月末の時点で1565の店舗を運営しており、売り上げの81%が小売り(自社EC含む)によるものだ。ECは売り上げ全体の15%を占めており、19年の7%からほぼ倍となっている。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「19年をも上回る素晴らしい業績を上げることができ、大変うれしく思う。22年においても、この勢いを維持できるものと考えている」と語った。

 こうした業績の好調ぶりを反映し、21年におけるケリングの手元資金はおよそ39億5000万ユーロ(約5135億円)と前年の倍程度となっている。買収をする予定はあるかとアナリストに問われたピノー会長兼CEOは、「当社に合う企業を積極的に探している」と述べた。なお、同社は22年1月、スイスの高級時計ブランド「ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)」や「ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)」などを擁するソーウインド グループ(SOWIND GROUP)の保有株式を全て同社の経営陣に売却すると発表した。

 ここ数年、生産コストや人件費の上昇を受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは、21年1月から22年2月にかけて米国で29%の値上げをしたモデルもある「シャネル(CHANEL)」や、同じく66%の値上げをしたモデルがある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。

 米「WWD」によれば、実は「グッチ」も21年に2回の値上げをしているという。今後も値上げをする予定はあるかというジャーナリストからの質問に対して、ピノー会長兼CEOは明言を避け、コレクションをより洗練されたハイエンドなものにすることで平均価格を上げつつ、地域的な価格差に関しては「妥当な」幅にしたいと回答。「ボリューム(生産流通量)とバリュー(商品やブランド価値)の微妙なバランスを取る必要がある」と説明した。

 メタバースへの参入について、同氏は「様子見をするのではなく、実践して学んでいくアプローチで進めている」と話した。その言葉通り、「グッチ」はデジタルのコレクションアイテムのクリエーションを手掛ける「スーパープラスチック(SUPERPLASTIC)」と協業して限定NFTなどを発売しているほか、「バレンシアガ」は人気オンラインゲーム「フォートナイト(Fortnite)」と協業してゲーム内でスキンなどを販売している。

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ミルボンの2021年通期決算は売上高415億円 コロナ以前の19年対比でも伸長

 ミルボンの2021年12月期の連結決算は、売上高が前期比16.4%増の415億円、営業利益が同22.3%増の78億円、経常利益が同23.6%増の71億円、純利益が同21.5%増の51億円と増収増益だった。コロナ禍においても代理店と協働して、サロンに寄り添う活動を継続した結果、売上は好調に推移。新型コロナウイルスの影響を受ける前の19年対比でも14.7%の増収となった。

 部門別では、ヘアケア用剤部門が同15.8%増の244億円。プレミアムブランドが同25.6%増とヘアケアの売上の成長をけん引した。「オージュア(AUJUA)」は21年2月に発売したブリーチによる毛髪内ダメージをケアするヘアケアシリーズ「リペアリティライン」が年間目標を60%上回って着地。「グローバルミルボン(MILBON)」は各国で窓口作りが進んだことに加え、新ライン「プレミアムボジション」が計画には未達であったものの、順調に推移した。また、20年6月に開設した「オージュア」「グローバルミルボン」「ヴィラロドラ(VILLA LODOLA)」「インプレア(IMPREA)」を扱うBtoBtoC型のECプラットフォーム「milbon:iD」はサロン登録件数が3254軒に到達。登録会員数は約17万人と修正目標値を大幅に上回った。

 染毛剤部門は同17.6%増の148億円。デザインカラーへの需要が継続し、多くの顧客がブリーチをリピートして取り入れている流れを受け、「オルディーブ アディクシー(ORDEVE ADDICTHY)」が好調だった。

 化粧品部門は同60.6%増の5億円。大幅に伸長したものの、タッチアップ等の紹介活動が制限された影響もあり、年間計画の6億4000万円には届かなかった。今後はサロン全スタッフでの取り組みを推進し、既存店の活性化による市場拡大を図る。

 地域別では、主要3カ国に位置付けているアメリカが同89.3%(実質増減率)増、中国が同26.9%(実質増減率)増、韓国が同25.1%(実質増減率)増といずれも好調で、売上高における海外の比率は19%まで高まっている。

 ミルボンはコロナ禍における人々の行動様式・価値観の変化に対応するために、19年から展開していた5か年中期事業構想2019-2023」を20年7月に停止。20年7〜21年12月までの18カ月間を、新・中期事業構想(2022-2026)への準備期間として、「Change the Stage 18Month Missions!(18カ月ミッション)」を策定し、取り組んできた。18カ月ミッションでは、「店販」「教育」「商品」「社内施策」の4つのステージで25のミッションに取り組み、うち17ミッションを期間中に達成できたという。これによりコロナ禍で打撃を受けたものの、21年12月期は元の成長軌道へと戻すことができた。

 新・中期事業構想(2022-2026)では、「教育を中心としたフィールド活動によって、世界の国・地域の美容に地域貢献し、日本発(初)、世界No.1のグローバルプロフェッショナルメーカーを目指す」をミルボン グローバルビジョンに据える。26年には連結売上580億円、連結営業利益108億円(営業利益率18.6%)を目標に掲げる。

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ルックHD21年12月期、利益はコロナ前に戻る 韓国事業が急回復

 ルックホールディングス(HD)の2021年12月期連結業績は、売上高が前期比10.9%増の410億円、営業利益が同4倍の27億円、純利益が同5倍の19億円になった。プロパー消化率が78%の高水準に回復したため、粗利益率が2.7ポイント改善した。純利益はコロナ前の19年12月期(20億円)にほぼ並んだ。

 引き続き主力の「マリメッコ(MARIMEKKO)」「イルビゾンテ(IL BISONTE)」「アーペーセー(A.P.C.)」が堅調だった。15日に会見した多田和洋社長は「当社の場合、建値(プロパー価格)で売り切れるブランドがそろっており、また(天候に左右されにくい)季節性を問わない商品が多いことが奏功している」と話した。

 アパレルに関しては海外の売上高が日本を初めて上回った。海外の大半を占める韓国事業は、売上高が前期比18.1%増、営業利益が同2.7倍の18億円だった。「アーペーセー」などがけん引した。

 今期は売上高510億円、営業利益28億円、純利益20億円を予想する。新しい会計基準を採用するため、前期との比較は見送るが、同じ会計基準で比較すると売上高は4.2%増となる。新規事業として「アーペーセー」のゴルフライン、「イルビゾンテ」のシルバージュエリー、米アウトドアブランド「コルバー」をそれぞれ秋から開始する。一方で、1972年から販売する百貨店向けの婦人服「コレット」の全26店舗を2月末で閉めて、ブランドを終了する。

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「マルジェラ」や「ジル サンダー」の親会社、21年は16%増収

 「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」などを擁するOTBの2021年12月通期決算は、売上高が前期比16.2%増の15億3000万ユーロ(約2004億円)、営業利益は13倍以上(同1285.1%増)の1億8700万ユーロ(約244億円)だった。

 19年比では、売上高はほぼ横ばい、営業利益は10倍以上(938.8%増)とコロナ禍以前を上回る結果となった。

 ウバルド・ミネッリ(Ubaldo Minelli)最高経営責任者(CEO)は、業績が好調であることを踏まえて、本業での前年比成長率の目標を20%ととし、24年には売上高24億~25億ユーロ(約3144億~3275億円)を目指すとコメント。「24年に目標を達成しても、当社の傘下ブランドはさらに成長する可能性を有している。従って、この“目標”はゴールではなくスタートラインだと考えている」と語った。

 地域別の売り上げでは、中国をはじめとするアジア太平洋地域と北米が特に好調だった。日本は売り上げ全体のおよそ4分の1を占めており、重要な市場の一つに位置づけられている。同社は21年に38の新たな店舗をオープン。21年12月時点で中国16都市に80店を構えているが、今後3年間でこれを倍にする予定だ。なお、卸は売り上げ全体の40%程度を占めている。

 ラグジュアリーブランド部門の売上高は前期比49%増、19年比では55%増となった。ブランド別で見ると、全ての地域および販売チャネルで業績を伸ばした「メゾン マルジェラ」の売上高は前期比25%増と好調で、19年から21年の3年でおよそ2倍となった。主力ブランドの「ディーゼル」は販売網の統廃合を行ったことが奏功し、OTBにおける売り上げ全体の45%を占めている。

 21年3月に傘下に収めた「ジル サンダー」は、買収から9カ月ですでに損益分岐点に達して利益を生み出しているという。経営体制の見直しのため、アクセル・ケラー(Axel Keller)前CEOに代わり、21年9月からミネッリCEOが同ブランドのCEOも兼任している。同氏は新たなCEOを任命する可能性について、「少なくとも(22年末までに完了する予定の)『ジル サンダー』のグループ内への統合が終わるまでは、私が引き続きCEOを務める」と述べた。

 OTBは数年前からデジタル分野の強化に取り組んでおり、18年には自社ECでシームレスな買い物体験を提供するオムニチャネル・プラットフォーム、“ムーン(MOON)”の開発に着手。20年5月に、これを「ディーゼル」のECに導入した。今後は「メゾン マルジェラ」「マルニ」「ジル サンダー」にも導入していく。なお、「ディーゼル」「メゾン マルジェラ」「マルニ」は21年にオンラインストアを刷新しているが、これによって自社ECでの売り上げが6%増加した。自社ECの売り上げはグループ全体の7%程度、それ以外のECは同じく25~30%を占めているという。

 ここ数年、OTBはサステナビリティにも本腰を入れている。22年7月には、初のサステナビリティ・リポートを発行する予定だ。30年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量と吸収量が差し引きゼロの状態)を実現することを目標の一つに掲げている。

 21年10月には、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)、そしてプラダ グループ(PRADA GROUP)が共同で設立したオーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)に加わった。これは世界中のラグジュアリーブランドが共通のブロックチェーン上にデータを記録することで、顧客にいっそうの透明性や追跡性を提供することを目的としている。これによって消費者は原材料の調達から販売に至るまでの履歴や、商品の真正性(真贋)などを確認できる。

 これに加えて、OTBは21年12月にメタバースやゲーミング、NFTなどを専門とする新規事業、BVX(ブレイブ・バーチャル・エクスペリエンス、BRAVE VIRTUAL XPERIENCE)を設立した。

 OTBは以前から新規上場(IPO)に関心を示しており、レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTBプレジデントは、24年にIPOを行う可能性があることを21年11月に明らかにした。本件について、ミネッリCEOは「検討中だ」と述べるにとどめた。

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スイスの新興繊維メーカーがケミカルリサイクルのセルロース繊維を量産へ

 スイスの繊維メーカーのハイキュー(HEIQ)は、ケミカルリサイクル型のセルロース繊維「ハイキューアイオニーク(HEIQ AEONIQ)」の量産を2024年度から開始する。このほど、独ヒューゴ・ボスと米ライクラとの提携を発表。ヒューゴ・ボスは同素材の開発・製造を行うハイキュー社の子会社に500万ドル(約5億7500万円)を出資し、今後は400万ドル(約4億6000万円)の追加出資も行う。スパンデックス「ライクラ」を展開するライクラ社も出資(出資額は非公表)とともに独占販売権を取得した。ハイキュー社は22年上半期の稼働を目指して「アイオニーク」のパイロット工場の建設を進めており、24年までに欧州に最初の量産工場の稼働を計画する。同社のカルロ・セントンゼ(Carlo Centonze)共同創業者兼CEOは「すでに『ハイキューアイオニーク』の知的財産の価値は2億ドル(約230億円)に達している。世界的なサステナビリティー意識に伴い、ファッション産業分野でも脱炭素化への圧力が高まり、非常に大きなビジネスチャンスをもたらしている」とコメントしている。

 ハイキューは2005年にスイス工科大学から誕生したベンチャー企業で、機能繊維の開発に強みを持つ。ロンドン証券取引所に上場しており、コロナ禍で抗ウイルス素材が爆発的に売れたことで急成長をしている。2021年1〜6月期の売上高は2579万ドル(約29億円)、営業利益は330万ドル(約3億7900万円)。

 ハイキュー社はケミカルリサイクルが可能なセルロース繊維「アイオニーク」を、繊維素材としては最大のシェアを持ち、世界で年間1350億ドル(約15兆5250億円)規模の市場を持つポリエステルとナイロンの代替素材として打ち出したい考え。セルロース繊維である「アイオニーク」は石油ではなく天然素材を原料とする上、同社によるとポリエステルやナイロンに比べ、温暖化排出ガスを大幅に削減できるという。ヒューゴ・ボスとの提携で、世界のアパレル産業での知名度を獲得し、量産後の販売網の強化につなげる。

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コーセー4〜12月期 2ケタ営業増益も「中国の競争は激化している」

 コーセーの2021年12月期連結業績(通期)は、売上高が2249億円、営業利益が188億円の黒字、純利益が133億円の黒字だった。当期から決算期を変更しており、21年4〜12月期の9カ月の変則決算。参考値として20年4〜12月期との比較では、売上高が4.8%増、営業利益が14.1%増、純利益が4.4%減となる。

 全社的な原価率改善で営業増益となったものの、主力の化粧品事業の営業利益は前年同期比微減の227億円だった。新型コロナウイルスの影響長期化で国内事業が想定を下回ったことに加え、中国における欧米企業との競合が激化。マーケティング費用をはじめとした販管費が膨らんだ。小林一俊社長は「(中国では)期初に20%程度の営業利益率を見込んでいたが、結果的には5%強にとどまった」と述べた。

 ブランド別では、引き続き高価格帯のハイプレステージブランドが好調で、「コスメデコルテ(DECORTE)」の売上高895億円は19年同期実績と比較しても11.4%増だった。21年10月にリニューアルした美容液“リポソームアドバンストリペアセラム”の売れ行きがグローバルでも好調に滑り出し、「ブランドの課題だった若年層の取り込みに貢献している」。

 22年12月期は、売上高が前期比8.9%増の2930億円、営業利益が同40.4%増の220億円、純利益が同48.2%増の165億円を見込む。国内事業は新型コロナの影響で大きな伸長は望まず、中国などアジア市場を成長のドライバーとする。前期と比較して2ケタ台の売り上げ伸長を目指す。「現地の化粧品ブランドも成長しているが、高価格帯ブランドの品質では当社に一日の長がある。当面のライバルは欧米企業。価格競争に巻き込まれないよう様子を見ながら業績拡大を図る」とする。北米を中心に展開する自然派化粧品「タルト(TARTE)」は期中に300〜400店舗の出店を計画する。

 26年12月期を最終年度とする中期計画「VISION2026」の一環として、「コスメデコルテ」から多様な肌の特性(肌悩み、肌色)にフィットするリキッドファンデーション“ゼン ウェア フルイド”を4月に発売する。サステナビリティへの取り組みでは、花王との協働プロジェクトを推進。使用済みプラスチック容器を回収・再生する取り組みと、余った化粧品から絵の具などを製造・販売するスキームの構築を進める。

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ポーラ・オルビスHD21年12月期、営業利益23%増 海外販売が伸びる

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の2021年12月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の1786億円、営業利益が同22.8%増の168億円、経常利益が同50.8%増の189億円、純利益が同153.3%増の117億円だった。主力ブランドの「ポーラ(POLA)」の国内ECや海外事業が好調に推移した。

 「ポーラ」は、売上高が同2.2%増の1051億円、営業利益が同49.8%増の163億円だった。委託販売に苦戦するも、国内ECの売り上げが同49.8%増、海外が同24.6%増と伸長した。

 「オルビス(ORBIS)」は、売上高が4.5%減の433億円、営業利益が同19.1%減の59億円だった。シワ改善・美白ケアの“リンクルホワイト”シリーズなど高機能のスペシャルケアが後押しし、スキンケアカテゴリーは前年を上回る水準まで伸長した。海外では中国市場で主要ECプラットフォームの売り上げが伸長したが、国内事業の売り上げ減少をカバーできなかった。

 育成ブランドに掲げる「スリー(THREE)」は、売上高が同4.2%減の70億円、営業損益が13億円の赤字(前期は9億円の赤字)だった。ポイントメイクカテゴリーが苦戦した。

 通販を中心に展開する敏感肌向けスキンケアブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。新規顧客の獲得と既存顧客の活性化が寄与し、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。

 22年12月期連結決算は売上高が前期比4.1%増の1860億円、営業利益が同4.8%増の177億円、経常利益が同6.7%減の177億円、純利益が同1.4%増の119億円を見込む。

 今後の取り組みでは、今年創業35周年を迎える「オルビス」は大型商品を投入し、「ポーラ」はOMO施策の強化を図る。また、育成ブランドにおいては、「スリー」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「イトリン(ITRIM)」を要するアクロ全体の黒字化に向け、店舗圧縮やEC比率を高め、スキンケア比率の向上を図る。21年4月に買収したパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」は、3月に直営店のオープンを予定し、ブランディングを強化する。

 同社は、29年をゴールとする長期経営計画を発表した。化粧品事業のグローバル展開とフブランドポートフォリオの改革と拡充、新価値を創出し事業の領域を拡張、研究・技術戦略の強化、と3つの戦略を掲げ、29年の売上高3000億円、海外売上高比率30〜35%、営業利益率15%以上を目標に掲げる。

 さらに、同社で定めたプラスチック循環方針に基づき、29年までに化粧品プラスチック容器や包材について100%サステナブルな設計にする目標を決定した。グループ全ブランドにおいて、22年7月以降、商品購入時に渡していたショッピングバッグ(買い物袋)の配布を廃止する。

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ポーラ・オルビスHD21年12月期、営業利益23%増 海外販売が伸びる

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の2021年12月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の1786億円、営業利益が同22.8%増の168億円、経常利益が同50.8%増の189億円、純利益が同153.3%増の117億円だった。主力ブランドの「ポーラ(POLA)」の国内ECや海外事業が好調に推移した。

 「ポーラ」は、売上高が同2.2%増の1051億円、営業利益が同49.8%増の163億円だった。委託販売に苦戦するも、国内ECの売り上げが同49.8%増、海外が同24.6%増と伸長した。

 「オルビス(ORBIS)」は、売上高が4.5%減の433億円、営業利益が同19.1%減の59億円だった。シワ改善・美白ケアの“リンクルホワイト”シリーズなど高機能のスペシャルケアが後押しし、スキンケアカテゴリーは前年を上回る水準まで伸長した。海外では中国市場で主要ECプラットフォームの売り上げが伸長したが、国内事業の売り上げ減少をカバーできなかった。

 育成ブランドに掲げる「スリー(THREE)」は、売上高が同4.2%減の70億円、営業損益が13億円の赤字(前期は9億円の赤字)だった。ポイントメイクカテゴリーが苦戦した。

 通販を中心に展開する敏感肌向けスキンケアブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。新規顧客の獲得と既存顧客の活性化が寄与し、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。

 22年12月期連結決算は売上高が前期比4.1%増の1860億円、営業利益が同4.8%増の177億円、経常利益が同6.7%減の177億円、純利益が同1.4%増の119億円を見込む。

 今後の取り組みでは、今年創業35周年を迎える「オルビス」は大型商品を投入し、「ポーラ」はOMO施策の強化を図る。また、育成ブランドにおいては、「スリー」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「イトリン(ITRIM)」を要するアクロ全体の黒字化に向け、店舗圧縮やEC比率を高め、スキンケア比率の向上を図る。21年4月に買収したパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」は、3月に直営店のオープンを予定し、ブランディングを強化する。

 同社は、29年をゴールとする長期経営計画を発表した。化粧品事業のグローバル展開とフブランドポートフォリオの改革と拡充、新価値を創出し事業の領域を拡張、研究・技術戦略の強化、と3つの戦略を掲げ、29年の売上高3000億円、海外売上高比率30〜35%、営業利益率15%以上を目標に掲げる。

 さらに、同社で定めたプラスチック循環方針に基づき、29年までに化粧品プラスチック容器や包材について100%サステナブルな設計にする目標を決定した。グループ全ブランドにおいて、22年7月以降、商品購入時に渡していたショッピングバッグ(買い物袋)の配布を廃止する。

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「シャネル」と「ルイ・ヴィトン」が米国でバッグを次々に値上げ 66%高騰のモデルも

 ここ数年、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは「シャネル(CHANEL)」と「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。

 例えば「シャネル」の“ミディアム クラシック フラップ(Medium Classic Flap)”は、2021年1月には6800ドル(約78万円)だったが、同年7月には7800ドル(約89万円)に値上げされ、22年2月現在では8800ドル(約101万円)となっている。米投資銀行ジェフリーズ・グループ(Jefferies Group)の調べによれば、同モデルの米国内での価格は19年11月から約60%値上がりしているという。100万円の大台に乗ると、「エルメス(HERMES)」の人気モデル“バーキン(Birkin)”の最低価格に近づいてくる。

 また、より大きな「シャネル」の“2.55”モデルは21年6月には7400ドル(約85万円)だったが、現在は9500ドル(約109万円)だ。“ボーイ シャネル(Boy Chanel)”“ガブリエル ドゥ シャネル(Gabrielle de Chanel)”“シャネル 19(Chanel 19)”など、その他のアイコニックなモデルも10〜15%の値上がりとなっている。

 競売会社サザビーズ(SOTHEBY'S)によれば、「シャネル」は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年3月から現在に至るまで4回の価格改定を行っているほか、顧客が年間に購入できるバッグの個数を制限して“エクスクルーシブ感”を高めているという。しかし、この個数制限は国や都市によって異なるため一概にはいえないようだ。

 「シャネル」の広報担当者は、値上げは為替相場や生産コストの変動に対応するため、また商品が世界中でおおよそ同じ価格になるよう調整するためとコメントしている。

 「ルイ・ヴィトン」でも、同様にクラシックなモデルの値上げが続いている。肩に掛けられる小型バッグ“ポシェット・アクセソワール(Pochette Accessories)”は、21年前半には630ドル(約7万円)だったが、現在では1050ドル(約12万円)と約66%の値上げとなっている。

 生産コストや人件費の上昇のため、ブランドが値上げをするのは珍しいことではない。21年の場合は、20年にコロナ禍の影響によって観光客が激減したこと、特に中国人観光客による売り上げの大幅な減少を補填するために行われたケースもあるだろう。いずれにせよ、値上げによって顧客が離れている様子はあまり見られず、多くのラグジュアリーブランドは順調に業績を伸ばしている。

 例えば、「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の21年12月通期決算は、売上高が前期比43.8%増の642億1500万ユーロ(約8兆4121億円)、営業利益は倍以上(同115.1%増)の171億5500万ユーロ(約2兆2473億円)、純利益は約2.5倍(同155.9%増)の120億3600万ユーロ(約1兆5767億円)と増収増益。19年比でも売上高は19.6%増、営業利益は52.1%増、純利益は67.8%増とコロナ禍以前を上回る結果となった。

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資生堂21年12月期は営業利益2倍超 “スキンビューティーブランド”への戦略投資が奏功

 資生堂の2021年12月期連結業績は、“スキンビューティーブランド”への戦略投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、米州・欧州を中心に海外事業が成長をけん引し、売上高が前期比12.4%増の1兆351億円、営業利益が同177.9%増の415億円、経常利益が365.2%増の448億円、純損益が424億円の黒字(前期は116億円の赤字)となった。

 事業別の売上高は日本事業が同8.9%減の2761億円、営業利益は 同0.9%減の95億円だった。コロナ禍で変化した消費者ニーズを捉え、スキンビューティー領域への戦略的投資を強化し、「マキアージュ(MAQUILLAGE)」のベースメイクやサンケア「アネッサ(ANESSA)」などシェアを拡大した。また、OMO(オンラインとオフラインの融合)施策が奏功しECの売り上げは2ケタ成長したものの、緊急事態宣言による小売店の時短営業や、外出自粛などに伴い来店客数が減少したことに加え、訪日外国人旅行者の減少によりインバウンド需要の低調が響いた。

 中国事業は記録的豪雨や、新型コロナウイルス変異株の拡大による店舗の一部閉鎖や来店客数減少などの影響を受けたが、中国最大のECの祭典「ダブルイレブン(独身の日)」で市場を大きく上回る売り上げ成長を記録し、ECの売り上げ比率は40%台後半に達した。また、プレステージブランドへの戦略的投資を継続したことで、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」や「NARS」など高価格帯領域でシェアを拡大し、売上高は同16.5%増の2747億円だった。営業利益は原価の悪化やパーソナル事業譲渡の影響により、同96.3%減の11億円だった。

そのほか、アジアパシフィック事業の売上高が同9.9%増の 650億円、米州事業が同32.8%増の1213億円、欧州事業が同24.1%増の1170億円、トラベルリテール事業が同22.3%増の1204億円、プロフェッショナル事業が同24.4%増の158億円、その他が同71.7%増の445億円だった。

 22年12月期の連結業績予想は売上高が同6.3%増の1兆1000億円、営業利益が同44.3%増の600億円、経常利益が同41.6%増の635億円、純利益が同5.7%減の400億円を見込む。

 また、ヘアサロン向けヘアケア剤、ヘアカラー剤などを日本とアジアで展開するプロフェッショナル事業をドイツのヘンケル社に譲渡したことも発表した。資生堂グループが21~23年で進める“スキンビューティーカンパニー”としての基盤を盤石にするべく、事業ポートフォリオの再構築の一環として譲渡することになった。譲渡価格は123億円。魚谷雅彦社長兼CEOは「プロフェッショナル事業は、資生堂全体の中ではどうしても事業やチャネルの視点で優先順位が下がってしまい、事業を成長させながらそこで働く社員が夢を持てるような環境づくりができていなかった。化粧品ブランドを中心に戦略を立てるなかで、単独で展開するよりも、信頼のおける相手がいるならばパートナーシップを組むことで、事業に関わる社員も自分たちの将来が発展し、キャリアに希望を持てるような環境になるだろうと考えていた。そこで、世界有数のヘンケル社に委ねた」と話す。プロフェッショナル事業に従事する資生堂の従業員は基本的に資生堂プロフェッショナルなど譲渡先の会社に移籍し、新たなキャリアを目指す。

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染色大手の小松マテーレが“無縫製ニット”のラッセル編みメーカーを買収

 染色大手の小松マテーレは、ラッセル編みメーカーの吉田産業(福井県鯖江市)を子会社化する。吉田産業は、椅子や寝具のクッション材などに使用される立体的なラッセル編みなどを開発・生産しており、高い技術を生かした、ダブルラッセル編みによる“無縫製ニット”でも知られる。小松マテーレは合繊への高い加工技術で知られるが、これまでは織物が中心だった。卓越したラッセルレースの開発力を持つ吉田産業を傘下に収めることで、様々な染色加工技術を組み合わせた新基軸の商品開発に取り組む。

 吉田産業の2021年4月期業績は売上高12億8500万円、営業利益1億6000万円、純利益1億1400万円に対し、純資産は7億6200万円、総資産は11億7200万円。売上高は半分弱が下着やアパレルなどの衣料向け、半分が産業資材という。小松マテーレは2月4日付で株式の80%を取得した。取得価額は非公表。

 吉田産業は1963年創業で、下着やクッション材、スニーカーのアッパー材などにラッセルレースを展開。旭化成の開発したクッション材「フュージョン」なども生産している。2000年には、世界で初めて電子ジャカード式のダブルラッセル機を導入し、無縫製ニットの開発に成功するなど、技術力の高さには定評がある。同社のダブルラッセルの無縫製ニットは「ソマルタ(SOMARTA)」の廣川玉枝デザイナーなどに使用されている。

 同様の“無縫製ニット”はイッセイミヤケがニッケン(三重県)と開発した「エイポック(A-POC)」、染色大手のセーレン、ラッセルカーテンのカズマが展開している。なお、横編み機大手の島精機製作所の無縫製ニット「ホールガーメント」とは機械の種類が異なる。

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循環型スタートアップの日本環境設計が35億円の資金調達 豊島や高島屋、ジンズなどが出資

 ポリエステル樹脂と糸のケミカルリサイクル事業を展開する日本環境設計はこのほど、総額35億2000万円の資金調達を行った。既存株主である繊維商社の豊島やベンチャーキャピタル(VC)のQBキャピタルの増資に加え、化学品材料大手でスパイバーの筆頭株主のKISCO、アイウエア大手のジンズホールディングス、高島屋、双日、SMBCベンチャーキャピタルなどが株主に加わった。

 日本環境設計は、回収したポリエステル製の繊維製品から、原料のポリエステルにまで戻して再生するケミカルリサイクル事業「ブリング(BRING)」を展開しており、アパレル製品の回収から再生、販売までを行っている。新規株主にはVCなどのファンドに加え、高島屋やジンズ、横河電機などの多種多様な業種・業界の事業会社が入っており、リサイクル事業のパートナーとして製品開発を加速する考え。既存株主には豊島以外にも、伊藤忠商事や三菱商事らも入っており、有力な商社が揃い踏みとなっている。

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花王の2021年12月期は増収減益 化粧品事業は24年までに13ブランド廃止予定

 花王の2021年12月期連結決算(国際会計基準)は、化粧品事業などが堅調に推移し売上高が前期比2.7%増(実質0.3%増)の1兆4187億円、営業利益が同18.3%減の1435億円、純利益が同13.1%減の1096億円だった。

 事業別ではコンシューマープロダクツ事業(化粧品事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、ハイジーン&リビングケア事業を総称)の売上高は、同0.7%減(実質2.6%減)の1兆1437億円、営業利益は同23.5%減の1126億円だった。コアブランドへの集中投資やデジタル化の推進、ECの強化などを図るが、世界的な原材料価格の高騰や物流の混乱も発生し、経営環境は厳しい状況が続いた。国内の売上高は同5.3%減の7681億円と苦戦したが、海外は復調傾向に。アジアの売上高は、同7.2%増(実質0.3%増)の2147億円、米州の売上高は同15.1%増(実質10.8%増)の962億円 、欧州の売上高は同14.5%増(実質5.9%増)の646億円だった。

 化粧品事業は、インバウンド需要の消滅や繰り返す緊急事態宣言などにより市場回復が遅れた影響を大きく受けたものの、オンラインカウンセリングや自社運営のEC始動などデジタル施策に注力し、売上高は同2.5%増(実質0.6%減)の2393億円、営業利益は同212%増の75億円だった。その中でメイクブランドの「ケイト(KATE)」が存在感を発揮。AI技術を搭載したLINE公式アカウント内サービス「メイクアップ ラボ(MAKEUP LAB.)」などの施策や、マスク着用の常態化に着目した“リップモンスター”がヒットし、メイク市場でトップシェアを獲得した。さらに注力したG11(11のグローバル戦略ブランド)は、売上高が同8%増、構成比が65%と伸長した。海外の売り上げ構成比率は41%で、中国では「フリープラス(FREEPLUS)」や「キュレル(CUREL)」がECを中心に好調に推移。欧州ではOMOの推進により「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」や「センサイ(SENSAI)が大きく伸長した。

 へルス&ビューティケア事業(スキンケア、ヘアケア・パーソナルヘルス製品を展開)は、国内の特需の反動減や天候不順による減収などが影響し、売上高は同2.2%減(実質4.2%減)の3545億円、営業利益は同17.8%減の497億円だった。スキンケア製品では、日本では前期に急速に拡大したハンドソープや手指消毒液の市場が大きく縮小し売り上げが減少したが、コロナ禍前の2019年度に比べてシェアは大きく伸長した。UVケア製品などのシーズン品は、日本及びアジアで外出自粛や天候不順の影響を大きく受けた。ヘアケア製品は、「エッセンシャル(ESSENTIAL)」の“エッセンシャル ザ ビューティ”の価値提案が不十分でインバスが苦戦したが、ヘアサロン向け製品の売り上げは大きく伸長した。米州ではECで「オリベ(ORIBE)」が好調に推移し、欧州では市場が徐々に回復している。

 ハイジーン&リビングケア事業(ファブリックケア・ホームケア・サニタリー製品を展開)の売上高は同1.3%減(実質2.8%減)の4968億円、営業利益は同34.9%減の518億円だった。衣料用洗剤「アタック」や浴室用洗剤の新製品“バスマジックリン エアジェット”がシェアを大きく獲得した。ライフケア事業(業務用衛生製品・健康飲料品を展開)の売上高は同1.7%増(実質1.0%増)の530億円、営業利益は同23.4%減の36億円だった。特定保健用食品「ヘルシア」が巣ごもり需要を背景にECで売り上げを伸ばしたが、緊急事態宣言の延長などが影響し市場が縮小、売り上げは前期に比べて減少した。

 22年12月期は、中期計画「K25」の2年目となる。原材料価格の高騰については、高付加価値製品へのシフトや一部の商品の値上げ、また販促費の効率化に加えて、TCR活動(Total Cost Reduction)をより強化することで影響の最小化に努める。また、既存カテゴリーを革新していく事業「Reborn Kao」で、高収益コア事業への抜本的なポートフォリオ改革に着手。ブランドマネジメントのやり方を刷新し、メリハリを利かせた競争優位となる戦略的投資を行う。同時に、ブランドの廃止や統廃合も進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を強化する。また、デジタル・ライフ・プラットフォーム事業の領域でパートナーとともに協業を開始する予定だ。

 連結業績予想は、売上高が同5.0%増(実質5.4%増)の1兆4900億円、営業利益が同11.5%増の1600億円、純利益が同6.7%増の1170億円を見込む。化粧品事業は同11.9%増(実質)の2660億円、ヘルス&ビューティケア事業は同5.3%増(実質)の3720億円を予想する。

  なお、化粧品事業では化粧品ブランドの整理を進める。廃止予定の28ブランドの内15ブランドはすでに廃止済みで、残る13ブランドは24年までに廃止する予定だ。

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H&M、21年は6%増収と回復基調 コロナ禍前には届かず

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の2021年11月通期決算は、売上高が前期比6.3%増の1989億6700万スウェーデンクローナ(約2兆3876億円)、営業利益は5倍近く(同392.2%増)の152億5500万スウェーデンクローナ(約1830億円)、純利益は9倍近く(同785.7%増)の110億1000万スウェーデンクローナ(約1321億円)だった。

 19年の業績が売上高2327億5500万スウェーデンクローナ(約2兆7930億円)、営業利益173億4600万スウェーデンクローナ(約2081億円)、純利益134億4300万スウェーデンクローナ(約1613億円)だったことを踏まえると、まだコロナ禍以前のレベルには戻っていないものの、順調に回復基調にあるといえるだろう。

 地域別に見ると、アジア・オセアニアの売上高が同7.9%減の263億400万スウェーデンクローナ(約3156億円)、欧州・アフリカは同3.1%増の1324億3400万スウェーデンクローナ(約1兆5892億円)、南北アメリカは同34.0%増の402億2900万スウェーデンクローナ(約4827億円)だった。ECも順調で、売上高は同24%増となり、売り上げ全体の32%を占めている。

 ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)最高経営責任者(CEO)は、「難局に直面したものの、業績は力強く回復しており、収益性はコロナ禍以前よりも良くなっている。財政基盤も強固であり、今後は再び成長戦略に注力していく」と語った。同社によれば、定価販売を増やす努力が奏功したことも業績回復の一因だという。

 21年11月末時点での店舗数はグループ全体で4801店と、前年同期の5018店から217店減少している。ヘルマーソンCEOによれば、22年度は欧州を中心に120店を閉める予定だが、これは「欧州以外の地域にも大きな事業機会がある」ためだと説明した。

 ファッション業界は、コロナ禍の影響による生産工場や物流施設の閉鎖などにも苦しめられたが、「最悪の状態からは脱したと思う」と同氏。「サプライチェーンの多様化は極めて重要だ。今後さらに柔軟に対応できるよう、いっそうの多様化を進める」。

 同社はまた、22年度におよそ100億スウェーデンクローナ(約1200億円)と昨年度の2倍の資本的支出(設備投資)をすると発表。主要ブランドである「H&M」やその他のブランドへの投資を中心に、サステナブルな素材開発や再生可能エネルギーへの移行にも30億スウェーデンクローナ(約360億円)程度を使用するという。

 ヘルマーソンCEOは、「世界中の顧客が(衣類を購入する際に)サステナブルな選択ができるようにしつつ、“プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)”を侵害せずに成長したいと考えている。30年までに売り上げを倍にすると同時に、二酸化炭素排出量を半分にすることが目標だ」と述べた。

 同社は循環型経済を推進する一環として、リセール市場にも参入している。15年には地元スウェーデンのリセールプラットフォーム、セルピー(SELLPY)の少数株主となっており、19年には1300万ドル(約14億円)を投じて持ち分を70%程度まで増加。19年4月には傘下の「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」がセルピーと提携して自社ブランドの中古品販売に乗り出している。

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ファーフェッチがビューティECのヴァイオレット グレーを買収

 ラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)がビューティECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収する。買収額は非公表。今年中にローンチ予定のビューティ事業に先駆けての買収だ。ヴァイオレット グレーは独立して経営するほか、カサンドラ・グレー(Cassandra Grey)創業者は今後ファーフェッチのビューティのグローバルアドバイザーに就任し、ファーフェッチの子会社であるニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)のビューティ事業、NGGビューティ(NGG BEAUTY)の共同創設者になる。

 ヴァイオレット グレーは2013年にカサンドラがスタート。元々はハリウッドのスタイリストやメイクアップアーティストなどが本気ですすめるビューティ製品を紹介するブログ「ザ ヴァイオレット ファイルズ(The Violet Files)」から派生した。「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」や「ヴィントナーズ ドーター(VITNER'S DAUGHTER)」といったニッチなブランドをはやらせたほか、国内外のラグジュアリーブランドを多く販売し、ビューティ感度が高い層から支持を集めてきた。18年には資生堂が出資をし、話題となった。現在ECサイトに加え、ロサンゼルスに路面店を1店舗構える。

 ビューティは3000億ドル(約34兆5000億円)からなるパーソナルラグジュアリーグッズ市場の大きなシェアを占め、今後ファーフェッチは同市場を開拓していく狙いだ。ステファニー・フェア(Stephanie Phair)=ファーフェッチ チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)は「消費者は自由に個性を表現するために、自分自身で(ファッション)ブランドを選びたがっている。ビューティでも同様で、ファーフェッチは(さまざまなブランドを集めることにより)それを提供できる場だ」と話す。15年に買収したファッションセレクトショップのブラウンズ(BROWNS)同様に、今後ヴァイオレット グレーにはファーフェッチ独自のデジタルのノウハウを注ぐ。ブランドと消費者をつなぐテクノロジーをフルに活用する予定だ。「ブランド側も卸からD2Cにシフトしつつある中、われわれのプラットフォームはその機会をビューティブランドに提供できる」。

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ファーフェッチがビューティECのヴァイオレット グレーを買収

 ラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)がビューティECのヴァイオレット グレー(VIOLET GREY)を買収する。買収額は非公表。今年中にローンチ予定のビューティ事業に先駆けての買収だ。ヴァイオレット グレーは独立して経営するほか、カサンドラ・グレー(Cassandra Grey)創業者は今後ファーフェッチのビューティのグローバルアドバイザーに就任し、ファーフェッチの子会社であるニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)のビューティ事業、NGGビューティ(NGG BEAUTY)の共同創設者になる。

 ヴァイオレット グレーは2013年にカサンドラがスタート。元々はハリウッドのスタイリストやメイクアップアーティストなどが本気ですすめるビューティ製品を紹介するブログ「ザ ヴァイオレット ファイルズ(The Violet Files)」から派生した。「アウグスティヌス バーダー(AUGUSTINUS BADER)」や「ヴィントナーズ ドーター(VITNER'S DAUGHTER)」といったニッチなブランドをはやらせたほか、国内外のラグジュアリーブランドを多く販売し、ビューティ感度が高い層から支持を集めてきた。18年には資生堂が出資をし、話題となった。現在ECサイトに加え、ロサンゼルスに路面店を1店舗構える。

 ビューティは3000億ドル(約34兆5000億円)からなるパーソナルラグジュアリーグッズ市場の大きなシェアを占め、今後ファーフェッチは同市場を開拓していく狙いだ。ステファニー・フェア(Stephanie Phair)=ファーフェッチ チーフ・カスタマー・オフィサー(CCO)は「消費者は自由に個性を表現するために、自分自身で(ファッション)ブランドを選びたがっている。ビューティでも同様で、ファーフェッチは(さまざまなブランドを集めることにより)それを提供できる場だ」と話す。15年に買収したファッションセレクトショップのブラウンズ(BROWNS)同様に、今後ヴァイオレット グレーにはファーフェッチ独自のデジタルのノウハウを注ぐ。ブランドと消費者をつなぐテクノロジーをフルに活用する予定だ。「ブランド側も卸からD2Cにシフトしつつある中、われわれのプラットフォームはその機会をビューティブランドに提供できる」。

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「ルイ・ヴィトン」の親会社、21年の売上高は8兆円を突破 コロナ禍前と比べても20%増収

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2021年12月通期決算は、売上高が前期比43.8%増の642億1500万ユーロ(約8兆2195億円)、営業利益は倍以上(同115.1%増)の171億5500万ユーロ(約2兆1958億円)、純利益は約2.5倍(同155.9%増)の120億3600万ユーロ(約1兆5406億円)と増収増益だった。

 19年比でも売上高は19.6%増、営業利益は52.1%増、純利益は67.8%増とコロナ禍以前を上回る結果となっている。

 部門別の売上高では、スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」を抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が前期比45.6%増の308億9600万ユーロ(約3兆9546億円)と好調だった。前述の2ブランドに加えて、「セリーヌ(CELINE)」はエディ・スリマン(Hedi Slimane)=アーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクターの、「フェンディ(FENDI)」はキム・ジョーンズ(Kim Jones)=ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターのコレクションが好評で、それぞれ過去最高の売り上げとなったことも寄与しているという。

 ウオッチ&ジュエリー部門も、2.5倍以上(同167.1%増)の89億6400万ユーロ(約1兆1473億円)と非常に好調だった。その理由の一つとして、20年12月に総額158億ドル(約1兆8012億円)で買収したティファニー(TIFFANY & CO.)が記録的な売り上げとなり、業績に大きく貢献したことが挙げられる。

 香水&コスメティクス部門は同25.9%増の66億800万ユーロ(約8458億円)、ワイン&スピリッツ部門は同25.6%増の59億7400万ユーロ(約7646億円)だった。免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は、同15.7%増の117億5400万ユーロ(約1兆5045億円)だった。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)は、「世界的な健康被害から徐々に回復する中、素晴らしい業績を上げることができて大変うれしく思っている」と語るとともに、昨年11月に急逝したヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)「ルイ・ヴィトン」メンズ・アーティスティック・デザイナーにも言及。「21年は、ヴァージルというクリエイティブの天才が死去した悲劇的な年でもある。彼の先見性や豊かな才能、深い見識は当グループの歴史に永遠に刻まれている」と哀悼の意を示した。

 なお、ヴァージルの後任について、マイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼CEOは、「時間をかけて決めるべきことなので、急いではいない」と米「WWD」との独占インタビューで述べている。

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「ユリス・ナルダン」&「ジラール・ペルゴ」のMBOは、ケリングにも2つの老舗にも幸福な決断

 ケリング(KERING)は1月24日、傘下の時計ブランド「ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)」と「ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)」という2つの時計ブランドを傘下に持つソーウインドグループ(SOWINDOW GROUP)の全株式を、現在同社の最高経営責任者(CEO)を務めるパトリック・プルニエ(Patrick Pruniaux)ら現経営陣に売却すると発表した。このマネジメント・バイ・アウト(MBO=現経営陣に会社を譲渡すること)で、「ユリス・ナルダン」と「ジラール・ペルゴ」は、ケリングのグループ戦略から離れて独自の道を歩むことになる。

 一部の海外メディアは「ケリングが時計事業から撤退」という見出しを付けて報じたが、これはいささか早計だろう。なぜなら「グッチ(GUCCI)」は2021年、クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のデザインで、これまでより格段に技術レベルが高い初の自社開発機械式ムーブメントを搭載した、複雑時計のトゥールビヨン機構モデルもあるウルトラスリムウォッチ「GUCCI 25H」を発表・発売しているからだ。ミケーレのラッキナンバーである「25」を冠したコレクションは、コロナ禍のせいか今ひとつ注目されていないが、もっと高く評価されるべき本格時計だ。「グッチ」の時計事業は、これまでにない成長が見込めるだろう。だからこそ2つの時計ブランドのMBOをもって、ケリングが時計事業から全面撤退という報道は誤報なのだ。

老舗過ぎる!? 2つの時計ブランド

 ではなぜケリングは「ユリス・ナルダン」と「ジラール・ペルゴ」という、時計業界では誰もが知っている名門ブランドを手放すのだろうか?

 それは、コンテンポラリーなブランドで構成されるケリングにとって、この2つは老舗で重厚すぎるゆえ、「持て余した」というのが正直なところだろう。この2つは、それほどまでに老舗すぎる歴史を持っている。

 ジラール・ペルゴの創業は1791年。つまり200年を超える歴史を持つ。そしてユリス・ナルダンの創業は1846年で、昨年には創業175周年を迎えた。どちらも時計史上に残る偉大な発明を重ね、2度の世界大戦を乗り越え、時計コレクターを魅了する複雑時計を開発&製造してきた敬愛される存在だ。

 だが、それだけにグループにとっては扱いにくい存在だったのかもしれない。この2つを中核にした時計事業は、いくらコンテンポラリーなコレクションを作らせても、主軸は複雑時計などコレクター向け。コアな時計愛好家に対する戦略を取らざるをを得ない。

 顧客層も「グッチ」を筆頭にグループの他のブランドや、その顧客層と重なる部分が少ないから、シナジー効果もさほど期待できない。これがMBOでグループの戦略から外した最大の理由だろう。その判断は、筆者も適切と考える。

 ケリング傘下になってからこの3年あまり、 「ジラール・ペルゴ」は複雑時計も含まれてはいたが、新作コレクションをファッションのように1つのテーマのもとで発表してきた。だが、このやり方が成功したとは残念ながら言い難い。今から考えれば、ケリングの中での可能性を探っていたように思える。

2つのブランドは時計のプロの手に

 今後、ケリングから離れたソーウインドグループのトップとして2つの名門時計ブランドを率いるのは、CEOのプルニエだ。プルニエCEOは、タグ・ホイヤー(TAG HEUER)でグローバルセールス&リテール事業のヴァイス・プレジデントを務め、2014年夏に「アップル ウォッチ(APPLE WATCH)」スタートアップ・プロジェクトのためにアップルに引き抜かれた人物。プロジェクトを成功させた後、まずは「ユリス・ナルダン」のCEOとなり、時計業界に復帰したプロフェッショナルだ。今回のMBOが、どのようなグループの出資で実現したのか、現時点では発表されていない。だがこの2つの時計ブランドのコアバリューが「歴史と伝統」であることは、最低限理解しているに違いない。

 だとすれば、2つの時計ブランドは今後、現経営陣の手で、このコアバリューに沿った時計事業を展開するだろう。それは「歴史と伝統」の価値がさらに高まっている時計業界の現状を考えれば、本領を発揮する機会が整うわけで、両ブランドにとっても幸福なことと考えられる。ここ数年のコレクションを見る限り、残念ながら停滞気味という印象だった2つのブランドが、本来の顧客である時計愛好家に向けた事業を展開することを期待したい。

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百貨店売上高5.8%増 21年、回復は小幅

 日本百貨店協会は25日、2021年の全国百貨店売上高速報を発表した。総額の売上高は前年比5.8%増の4兆4182億円だった。

 商品の品目別では、主要4カテゴリー(衣料品、身のまわり品、雑貨、食料品)が前年比2ケタ増。構成比で30.9%を占めた食料品(同4.7%増の1兆3666億円)が、昨年に引き続き26.4%の衣料品(同3.5%増の1兆1664億円)を上回った。

 1年を通じて、新型コロナ感染拡大による幾度もの営業制限を余儀なくされた。4〜5月にかけては東京、大阪などの百貨店が休業を強いられた。秋以降(9月〜)は感染者数の下げ止まりもあって各社の業績は復調傾向となり、防寒着需要が高まった衣料品も下支えした。

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プラダの21年通期決算は41%増収 セールの撤廃が成功

 プラダ グループ(PRADA GROUP)の2021年12月通期決算は売上高が前期比41%増の33億6400万ユーロ(約4373億円)で、19年比では同8%増だった。下半期のECを含む直営店の売り上げは前年同期比27%伸び、全体の成長をけん引した。EBIT(利払前・税引前利益)も直営店の成長やフルプライス(定価)商品の好調が貢献した。

 同社は近年ラグジュアリーブランドとしてのポジショニングを強化している。卸し先を絞り、セールを撤廃しフルプライス商品の販売を増やし、さらにECやオンラインマーケティング・コミュニケーションをはじめとするデジタル施策に投資をしている。21年11月に発表した事業報告会では、中期的な目標として売り上げ45億ユーロ(約5850億円)、営業利益率20%を目指すと発表した。またECが全体の売り上げの15%を占めることも目標に掲げた。

 パトリツオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)最高経営責任者は「2021年はチャレンジングな1年だったが、めまぐるしく変化する市場や消費者のニーズに柔軟に対応できた。われわれはさらなる成長を実現できるように準備してきた」とコメント。バーンスタイン(BERSTEIN)のルカ・ソルカ(Luca Solca)=グローバル・ラグジュアリー・グッズ・シニア・アナリストは、プラダの業績が市場平均を3%上回ると評価した。

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ウエルシアHDが大阪のドラッグストア、コクミンとフレンチを子会社化

 ドラッグストア最大手のウルシアホールディングス(以下、ウエルシアHD)は1月18日、大阪のドラッグストア、コクミンとフレンチを子会社化すると発表した。株式所有割合は76.26%と100%で、取得金額は確定次第公表する。

 ウエルシアHDは関東中心に東北から中国四国地方に販売網を広げ、健康をテーマとした付加価値の高い商品やサービスを提案する調剤併設やカウンセリング、深夜営業、介護を軸とした専門性の高いドラッグストアを展開する。一方、コクミンとフレンチは専門性の高いドラッグストアを北海道や関東、関西、九州など主要都市の大型商業施設や空港、駅前駅中、繁華街、住宅地などの好立地に出店。また、調剤事業も、学病院や大型総合病院の門前を中心に、クリニックモール内や駅ターミナルなど、多様な立地に出店する。

 今回の子会社化により、ウエルシアHDが今後強化する都市型店舗、全国への出店網拡大を図るとともに、それぞれの保有するノウハウや人材などの経営資源を共有し、経営規模の拡大と経営体質の強化を見込む。

 ウエルシアHDは2021年2月期の売上高が前期比9.4%増の9496億5200万円でドラッグストア業界において売上高1位を誇り、M&Aによる新規出店の推進や調剤併設店の拡大を図っている。

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オンワードHD今期3期ぶり黒字化へ 来期は“攻め”の投資を拡大

 オンワードホールディングスの2021年3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比6.0%減の1243億円、営業損益が9億480万円の赤字(前年同期は10億円の赤字)、純損益が80億円の黒字(同145億円の赤字)だった。固定資産や関連会社株式売却による特別利益213億円により最終黒字を確保した。

 9〜11月期では営業利益も黒字化(23億円)した。中核会社オンワード樫山のアパレル事業の復調が大きく寄与した。「9月までは厳しい市況が続いたが、緊急事態宣言の解除(10月1日)後は緩やかな回復基調に入った」と保元道宣オンワードHD社長。これまで進めてきた店舗・人員整理などの事業構造改革の効果に加え、ECと店舗の在庫一元管理システムの本格稼働で販売機会ロスが減少。オンワード樫山単体の9〜11月期の営業利益は23億円と、前年同期(4億9700万円)から大きく伸ばした。

 22年2月期通期では、売上高1746億円(前期比微減)、営業損益が10億円の黒字(前期は212億円の赤字)、純損益が82億円の黒字(同231億円の赤字)の従来予想を維持する。達成すれば、3期ぶりの営業黒字、最終黒字となる。

 来期は3月1日付で、保元社長がオンワード樫山社長を兼務(鈴木恒則・現社長は会長付に異動)するトップ人事を含めた組織改変を行い、オンワードHDの取締役4人がオンワード樫山の取締役を兼ねる新体制でスタートを切る。「国内外での事業構造改革は出口が見えつつある。これまでは(コストを)“削る”ことに注力してきたが、反転攻勢に出る」と保元社長。「営業力と商品力の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やOMO(オンラインとオフラインの融合)ストア出店など、攻めの投資を拡大する上では持ち株会社と中核会社の一体運営が必要。経営判断をスピーディーに実行していく」。

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P&Gがスーパーフードを配合した米スキンケアライン「トゥラ」を買収

 プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE 以下、P&G)は米国発プレステージスキンケアブランド「トゥラ スキンケア(TULA SKINCARE)」を買収する。スーパーフードやプロバイオティクスを配合したスキンケアラインで、消化器専門医のロシニ・ラジ(Roshini Raj)、「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」を共同創業したケン・ランディス(Ken Landis)、テック系の実業家のダン・ライヒ(Dan Reich)が2014年に立ち上げた。取引額は非公表。P&Gにとって、直近2カ月で3度目の買収案件だ。

 「トゥラ スキンケア」は立ち上げ直後から急速に伸び、現在ウルタ(ULTA)で最も成長しているプレステージブランドの一つだ。トレンドになる前からプロバイオティクスを化粧品に配合し、ビューティとウエルネスを掛け合わせたコンセプトで人気を集めてきた。また広告ビジュアルはレタッチをしないことを掲げるなど、“ポジティブ”なビューティブランドとしても支持されている。これはダイバーシティーやインクルージョンをうたうP&Gの「リスポンシブル ビューティ プラットフォーム(RESPONSIBLE BEAUTY PLATFORM)」の価値観と共通しており、マーカス・ストローベル(Markus Strobel)=P&Gグローバルスキン&パーソナルケア・プレジデントは「ホリスティックなウエルネスと肌の健康を追求し、内外ビューティをうたうコンセプトはとても魅力的に感じた」とコメント。スキンケア製品が主軸だが、ボディーケアやメイクアップ、インナービューティ商材もそろえる。D2Cブランドとしても成長し、売り上げの約半分はD2Cチャネルからなる。顧客層の75%が35歳以下で、ミレニアル世代が中心だ。現在グローバル展開を進めており、昨年8月にはカナダのセフォラ(SEPHORA)に進出した。

 P&Gは昨年11月にナチュラル系のプレステージスキンケアブランド「ファマシー(FARMACY)」を、12月にはセレブヘアスタイリストが手掛けるプレステージヘアケアブランド「ウェイ(OUAI)」を傘下に収めた。そのほかプレステージスキンケアブランド「SK-II」と「ファースト エイド ビューティ(FIRST AID BEAUTY)」を擁しており、近年プレステージブランドのポートフォリオを拡充している。ロレアル(L'OREAL)やエスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)といった競合大手に迫る勢いだ。ストローベル=プレジデントは「プレステージビューティ市場は2ケタ伸長しており、われわれも戦略的なチャネルと捉えている。われわれが強みとするスキンケア、ヘアケア、パーソナルケア分野において、効果実感が高いブランドを傘下に迎え入れている」と話す。

 「トゥラ スキンケア」の2021年の売り上げは1億5000万ドル(約172億円)にのぼるとされ、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)系列の投資会社、Lキャタルトン(L CATTERTON)が出資している。

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ドレイクらが出資するeスポーツブランド「100シーヴス」が約67億円を資金調達

 カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するeスポーツ団体でゲーミングライフスタイルブランドを展開する「100シーヴス(100 THIEVES)」は12月、シリーズCの資金調達ラウンドで、6000万ドル(約67億円)を調達した。新規の投資家を獲得したほか、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の主要株主であるグループ・アルノー(GROUP ARNAULT)のテック投資会社、アグラエ ベンチャーズ(Aglae Ventures)などが追加投資を実施。これにより同社の企業価値は4億6000万ドル(約519億円)に達した。

 同ブランドは、2017年にeスポーツアスリートとして活躍したマシュー・ハーグ(Matthew Haag)が引退後に設立し、最高経営責任者を務める。オーナーと役員には、社会学者のダニエル・ギルバート(Daniel Gilbert)、ラッパーのドレイク(Drake)、音楽プロデューサーのスクーター・ブラウン(Scooter Braun)などが名を連ねる。

 設立以来、1億人のファンを持つコミュニティーを構築し、20年にはコンテンツ制作スタジオとショップを兼ねた約1400平方メートルのeスポーツ施設をオープン。これまで「グッチ(GUCCI)」とのコラボレーションでバックパックを発売するなどしており、21年10月にテクノロジー・ハードウェア企業のハイグラウンド(HIGROUND)を買収している。彼らによると、2021年の売上高は前年の2倍以上になっているという。

 今回の資金調達により、主力のeスポーツ、エンターテインメント、アパレルの成長を加速させ、新規事業や戦略的買収などを行う計画だ。「われわれがeスポーツ、コンテンツ、アパレルにおいて期待を上回り、計画を達成したことが、投資家やコミュニティーに認められた」と、ジョン・ロビンソン(John Robinson)社長兼最高執行責任者。「この資金を活用によって、『100シーヴス』の次の章を開くことができる。私たちはまだ“始まったばかり”だ」。

 「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」のほか、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「モンクレール(MONCLER)」がオンラインゲーム「フォートナイト(FORTNITE)」とコラボレーションしたり、「ロブロックス(ROBLOX)」にナイキランドが登場するなど、多くのブランドがゲームとの直接コラボに軸足を移している。しかし、eスポーツ団体や、トーナメントでの勝利とコンテンツストリーミング、グッズを組み合わせた戦略に対する関心と成長の余地はまだまだあると言えそうだ。

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しまむら3〜11月期、売上高と純利益が過去最高 調達コスト上昇を受け価格見直しへ

 しまむらの2021年3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比8.0%増の4368億円、営業利益が同24.5%増の387億円、純利益が同24.9%増の269億円だった。売上高、純利益は、3〜11月の累計として過去最高となった。

 売り上げの75%超を占める「ファッションセンターしまむら」で、引き続き自社開発ブランド(PB)、サプライヤーとの共同開発ブランド(JB)、インフルエンサーとの共同企画商品が好調。ヤングファッションの「アベイル」、ベビー・トドラーの「バースデイ」でもJBが好調だった。売り場のレイアウト変更やタブレット端末の導入による人件費の削減、マス広告からデジタル広告への切り替えなども利益に貢献した。

 「ファッションセンターしまむら」国内の9〜11月の既存店売上高は、前年同期比0.2%増。前年は緊急事態宣言明けの反動消費で一昨年同期比14.5%増と大きく伸ばしていたが、それを上回ったことに手応えを得ている。3〜11月の累計の既存店売上高は前年同期比7.5%増となった。

 中国の電力不足を受けて、9〜11月は部門によっては1割程度の商品に1週間前後の納期遅れが発生したという。今後は、同一商品の生産地分散によるリスク回避や、テスト運用中の生地契約や縫製ライン契約の拡大で納期の安定を目指す。また、世界的な原材料高騰を背景に、定番商品は早期発注をロット拡大を進めると共に、寝具等は国内生産に切り替えて物流費を圧縮。ただし、「調達コスト上昇は避けられない」として、23年2月期に向けてサプライチェーンや価格帯の見直しを進める。

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カッシーナが「ザ・コンランショップ」の日本事業を投資ファンドに売却

 イタリア高級家具「カッシーナ(CASSINA)」などを扱うカッシーナ・イクスシー(以下、カッシーナ)は、傘下の英国発ライフスタイル「ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP以下、コンラン)」の日本における事業を三井物産、三井住友銀行、日本政策投資銀行の3社により設立されたMSD企業投資会社(以下、MSD)へ売却する。カッシーナが運営する「コンラン」は英国本国のライセンスを受けて、インテリアや生活雑貨などの企画開発及び販売などを行っている。同社は2014年、コクヨの連結子会社であるLmDインターナショナルから100%株式を取得。赤字が続いたが、雑貨の割合を減らし家具を増やしたことにより、20年に黒字化した。今年3 月に伊勢丹新宿本店5階に出店。森康洋カッシーナ社長は、「“おうち時間の増加で、投資企業などからの『コンランショップ』への関心が高まった。さらなる成長を加速させるために売却を決定した」とコメントしている。カッシーナからMSDへの100%株式譲渡は年内に行われる。

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ワコールが社員の「健康推進計画」スタート 女性特有の課題に取り組む

 ワコールホールディングス(HD)は12月3日、京都市内のホテルで2022年上期の振り返りと「ワコールGENKI計画2025(以下、元気計画)」発表した。安原弘展ワコールHD社長は、「欧米市場は新型コロナのリベンジ消費で回復したが、日本は“戸惑い消費”。12月に入ったがジングルベルが聞こえてこない状況だ」と語った。欧米市場は新型コロナに対する規制の緩和により、店舗売り上げがECを上回る状況になっているという。一方で、日本は10月以降、回復傾向にあるが欧米ほどの勢いはない。ワコールHDの2021年4〜9月期連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比19.5%増の874億円、営業利益が同211.6%増の39億円、純利益が同67.4%増の29億円だった。国内事業は7月以降の感染者数増加により苦戦したが、欧米の業績回復によりカバーした。

 伊東知康ワコール社長は、「CX戦略、コスト構造改革、サステナビリティの推進が最成長の3本柱。C Xはデジタル技術活用などにより、新規顧客獲得および既存顧客のロイヤルカスタマー化を目指すものだが、上期はコロナの影響で既存顧客の購買人数は増加したが新規顧客獲得に苦戦した」と話す。ECに関しては自社が前年同期比1%増、他社が同11%増と好調で、売り上げ構成比率は23%。コスト削減に関しては、人件費や諸経費の最適化、自主管理店舗への移行、ブランドや品番の集約により計画通りだった。「卸と直営店(百貨店、テナント店を含む)の20年3月期の割合は約8対2だったのを25年3月期には6対4にしたい」と伊東社長。サステナビリティに関しては、30年に向けた環境目標「自社排出量・製品破棄ゼロ、環境配慮型素材50%」を発表したばかりだ。

 これらの戦略に新たに“健康経営”「元気計画」が加わった。これは、食事や運動、睡眠、など社員の心身の健康を整えて生産性をあげ、仕事へのエンゲージメントの向上を目指すもので、ワコールと健康保険組合、労働組合が三位一体となって戦略的に推進する。小川直子ワコール執行役員 人事総務本部 人事部長は、「ワコールの社員の9割が女性、消費者も女性が多いため、女性特有の健康課題への取り組みを強化していく」と語った。

 25年度までの目標数値と活動計画を策定し、社員の“ウェルビーイング(心も体も社会的に満たされた状態)の実現”を目指す。ベースとなる心身の健康を整える項目に関してはKPIを設定済み。追って生産性やエンゲージメント向上の目標数値を定める。伊東社長は、「まずは、社員に健康でやる気になってほしい」とコメント。20年後の企業像に“ウェルネスのワコール”を掲げる同社ならではの取り組みだ。

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伊「ヘルノ」がアウトドアブランド「モンチュラ」を買収

 ダウンウエアやウールコートなどを手掛けるイタリア企業のヘルノはこのほど、アウトドアブランド「モンチュラ(MONTURA)」を買収した。「モンチュラ」は2000年、ロベルト・ジョルダーニ(Roberto Giordani)がイタリア北部の街、ロヴェレートで創業。テクニカルな山岳ウエアが世界中の登山家に愛されている。

 クラウディオ・マレンツィ(Claudio Marenzi)=ヘルノ社長は「今後、マーケットにおいてアクティブプロダクトはますます重要な役目を果たすだろう。その点『モンチュラ』は、非常に高いポテンシャルを秘めている。私自身、1970年代から登山を愛する1人であり、『モンチュラ』のユーザーでもあった。2016年にロベルトと出会い、同じ起業家として価値観を共有し、意気投合した」と買収の経緯について話す。

 「ヘルノ」は1948年に創業。“ラグジュアリーカジュアル”を標ぼうし、2012年により機能的な素材を扱うラミナーコレクションをスタートしてからは“ファッションテクノロジー”も提案。『モンチュラ』をポートフォリオに収めることで、“アクティブスポーツ”市場にも打って出る。

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マットレスを手軽にした寝具D2C「キャスパー」 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。デジタル生まれのD2C企業がリアル店舗を拡大する事例が増えている。今回は大胆な転換を図った寝具のキャスパー・スリープについて説明する。

 前回D2Cのワービーパーカー(WARBY PARKER)を取り上げたが(「D2Cの代表格 『ワービーパーカー』が支持される理由」)、引用した寝具のキャスパー・スリープ(CASPER SLEEP)が投資企業にバイアウトされることが発表された。タイミングが良いので今回もD2Cを俎上に上げよう。

 キャスパーが上場したのは昨年の2月で、予定していた株価の17~19ドルを12ドルに下げて上場し、1カ月半後には3ドル前後まで落ち込んで、高値を付けて成功したワービーパーカーとは対照的な経緯をたどっている。バイアウトする投資企業は株価6.90ドルを提案しており、およそ2倍のプレミアムを付けているのだが、公開時の12ドルの半分なので企業の評価が大幅に落ち込んでいることが分かるだろう。

「マットレスを圧縮する技術」で宅配しやすく

 キャスパーの成功に寄与したのは、アメリカのマットレスの小売店が旧態依然として変化がなかったことが一番大きかったと思っている。店内にベッドを並べてショールームとし、コミッションベースの店員が対面で販売するという売り方を面倒と感じる人が増えていたのである。

 マットレスは嵩が大きいのでデリバリーにハードルがあり、このデリバリーが新規企業の参入障壁にもなっていたことも影響した。マットレスの小売店は似たような販売環境で似たような商品を売り、SKUを変えることで価格比較を難しくして価格競争を巧妙に回避しながら、変化せずに生きながらえていた。

 最大手のマットレスファーム(MATTRESS FIRM)は最盛期には3000店舗を超えていたが、業績が悪化して、2016年に南アフリカのスタインホフ・インターナショナルに買収され、大資本傘下に入ってしまっている。翌年には破綻の準備をしているという情報が流れたこともあり、今は2000店舗前後まで店舗数が減っている。

 キャスパーの創業は14年なので、ちょうどこのリアル店舗チェーンが坂を下り始めたときと軌を一にしている。消費者マインドの変化に乗ったということができるのだが、カギはマットレスを折りたたんで圧縮する技術を利用して宅配を可能としたことにある。ネット通販市場が急成長し始めたときに、それまでは不可能だったマットレスをネット通販で売ることを可能としたのだ。

 配送料無料、お試し期間100日で気に入らなければ全額返金、10年間保証といった商品を見なくても安心して買えるプログラムを提供しハードルを低くしたことも支持につながった。

 それでも店舗で実際に寝転がってから買いたいという人たちが多く、18年には200店舗をオープンさせることを発表している。ワービーパーカーに次いで大胆なリアル店舗戦略を初期の段階で打ち出した企業なのである。

 またターゲット(TARGET)は17年から、ベッドバス&ビヨンド(BED BATH&BEYOND)は今年からキャスパーの商品を売り始めている。アメリカではこれをホールセール戦略と呼ぶが、D2Cブランドが認知度を高めようとするときにリアル店舗とホールセールは戦略的に極めて重要な要素となる。

 ちなみにターゲットはキャスパーに10億ドルで買収提案した過去がある。結局7500万ドルの出資に変更され、今も株を保有しているのかどうかは不明だが、投資企業がバイアウトしてバランスシートが整えられた後にターゲットに売却する出口も十分にあり得る。

懸念材料は競合の増加か

 キャスパーの第3四半期の業績は、売上高が前年同期比26.8%増、営業利益が2300万ドルの赤字、9カ月だと売上高が前年同期比25%増、営業利益高は7400万ドルの赤字となっている。昨年度の9カ月間の赤字は6879万ドルなので赤字が改善されていない。

 実はワービーパーカーも赤字なのだが、両社の明暗を分けているのはおそらくキャッシュフローだろう。9カ月間でワービーパーカーの営業キャッシュフローは小さな赤字(昨年同時期は大幅黒字)なのだがキャスパーは大幅赤字で、営業、投資、財務を足し引きした最終キャッシュフロー(つまり手持ちの現金及び等価物)が昨年より半分に減ってしまっている。

 当然のことながら指摘されているのは経費の多さで、広告支出を削減しなければならないのだが、ホールセールを増やそうとする時期に重なり懸念材料となっている。

 問題は増えつつある競合だ。マットレスのボックス化技術はキャスパーの専売特許ではないためすでに複数の企業が参入しており、また著名ブランドのシモンズ(SIMMONS)とテンピュール・シーリー(TEMPUR SEALY)も直販を始めている。

 最大の競合は18年にPB(プライベートブランド)で参入したアマゾン(AMAZON)だ。アマゾンベーシックによる格安ブランドで、D2Cを中心とした先発企業が作った市場に低価格PBを後発で投入するといういかにもアマゾンらしいやり方である。

 キャスパーの業績不振とバイアウトによってD2Cというビジネスモデルそのものに疑問を呈する向きがあるのだが、キャスパーが持っている固有の問題に起因していることが分かっていただけただろうか。

 目立たないが成功している企業もいること、デジタルオンリーのピュアなD2Cだと限界があること、そして彼らの支援するユニークなビジネスが成長していることについて次回書こうと思っている。

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「マルジェラ」や「ジル サンダー」の親会社、業績はコロナ禍前に回復 2024年にIPOか

 「ディーゼル(DIESEL)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」などを擁するOTBは、2021年9月の売り上げは前年同月比21%増となっており、21年12月通期決算での売上高は前期比15%増の15億ユーロ(約1950億円)程度を見込んでいると発表した。

 同社によれば業績は全体に好調で、コロナ禍前の19年と同水準にまで回復している。中でも21年3月に傘下に収めた「ジル サンダー」は、22年春夏コレクションのメンズウエアの売り上げが前年同期比80%増、ウィメンズは同32%増となっており、既存店ベースでの売上高は同51%増だった。現在、同ブランドは世界で34店を構えているが、22年1月には上海の高級ショッピングモール、プラザ66(PLAZA 66)に出店するほか、近日中にニューヨークにも新たに店舗をオープンする予定。また、ミラノの旗艦店を新たなコンセプトに基づいてリニューアルする計画もあるという。

 レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTBプレジデントは、「ジル サンダー」を買収した際、「クリエイティブ面を変更するつもりはない」としつつも、同ブランドをさらに発展させるべく経営体制の見直しを視野に入れ、マーチャンダイジングを改善すると発言していた。その言葉通り、21年9月には、18年から「ジル サンダー」を率いてきたアクセル・ケラー(Axel Keller)前最高経営責任者(CEO)に代わり、OTBのウバルド・ミネッリ(Ubaldo Minelli)CEOが同ブランドの新CEOに就任した。なお、ミネッリ新CEOは引き続きOTBのCEOも務めている。

 OTBは以前から新規上場(IPO)に関心を示していたが、ロッソ=プレジデントはこのほど、24年にIPOを行う予定であることを明らかにした。

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ロクシタンがブラジルのボディーケアブランド「ソル デ ジャネイロ」を買収 “お尻クリーム”で有名

 ロクシタン(L'OCCITANE)はブラジルのボディーケアメーカー、ソル デ ジャネイロ(SOL DE JANEIRO)の株式83%を取得する。今回の取引により、ソル デ ジャネイロの企業価値評価は4億5000万ドル(約508億円)となった。残りの株式はソル デ ジャネイロ創業者兼最高経営責任者(CEO)のヒーラ・ヤン(Heela Yang)が所有し、彼女は現職を続ける。

 ソル デ ジャネイロは同名のボディーケアブランドを手掛け、“ブラジリアン バムバム クリーム(通称お尻クリーム)”が世界的なベストセラーだ。同ボディークリームはブラジルを代表する植物のガラナをはじめ、アサイーやココナツオイルなどブラジルの植物のパワーを込めた処方を採用している。ピスタチオと塩キャラメルをイメージした甘い香りも人気の要因の一つだ。近年はヘアやフレグランスミストも発売し、特に香り系のアイテムが好調だ。

 ブランドは6年前にヤンCEOがブラジルを訪れた際、現地の女性のスキンケア・ボディーケアにヒントを得てスタートした。「悩みや気になるところを改善しつつも、自分自身が生まれ持つ美しさを強調するポジティブなビューティをうたっている」と話すヤンCEOは、ブラジル人女性の美に対するポジティブなマインドにインスパイアされたという。

 2020年の売り上げは前年比53.8%増の6000万ドル(約67億円)を記録。ロクシタン傘下となる今後は、同社のディストリビューションチャネルを通じてさらなる成長を目指すほか、サステナビリティや製品開発の面でもロクシタンのノウハウを生かす狙いだ。

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バーバリー、2021年上半期は38%増収 南北アメリカや中国がけん引

 バーバリー(BURBERRY)の2021年4〜9月期決算は、売上高が前年同期比38.1%増の12億1260万ポンド(約1855億円)、営業利益は2倍以上(同135.5%増)の2億750万ポンド(約317億円)、純利益は3倍(同200.6%増)の1億4520万ポンド(約222億円)と大幅な増収増益だった。

 地域別の売上高では、アジア太平洋地域が同18.7%増の5億2180万ポンド(約798億円)、欧州・中東・インド・アフリカは同43.9%増の3億6090万ポンド(約552億円)、南北アメリカは同82.8%増の3億990万ポンド(約474億円)だった。南北アメリカ、中国、韓国はコロナ禍前の19年同期との比較で2桁成長となるなど非常に好調だったが、その他の地域は観光客の大幅な減少によって苦戦を強いられた。

 部門別に見ると、バッグなどアクセサリー類の売上高が前年同期比44.3%増の4億3490万ポンド(約665億円)、メンズは同34.8%増の3億4700万ポンド(約530億円)、ウィメンズは同36.3%増の3億2960万ポンド(約504億円)だった。

 既存店ベースでの売り上げは同37%増となったものの、19年同期比では1%増と微増にとどまった。一方で、既存店ベースかつ定価での売り上げは19年同期比で18%増となっており、ラグジュアリーブランドとしての価値を高める戦略の一環として値下げを減らしたことが奏功している。ECも好調で、定価での売上高は19年同期の2倍近くとなった。

 ジェラルド・マーフィー(Gerard Murphy)=バーバリー会長は、「渡航制限の影響をあまり受けていない国での業績が加速度的に伸びており、中期目標を達成できるものと確信している」と語った。また、12月末でバーバリーを離れるマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)と、22年4月1日付でその後任に就くジョナサン・アクロイド(Jonathan Akeroyd)新CEOについて、「その優れたビジョンとリーダーシップによって、バーバリーの変革を導いてくれたマルコに心から感謝している。4月に新CEOとなるジョナサンは、強固な基盤の上でさらに事業を成長させ、株主にいっそうの価値をもたらしてくれるだろう」と述べた。

 決算発表後、その内容が好調だったにもかかわらず、バーバリーの株価は一時前日比10.1%安を付けた。その後やや持ち直したものの、記事の執筆時点では発表前の水準に戻っていない。業界アナリストらによれば、これは“新生バーバリー”を成功に導いたゴベッティCEOの戦略をアクロイド新CEOが受け継ぐと言明されなかったことが理由の一つではないかという。

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YKKのファスナー事業が急回復 赤字から一転、営業利益は226億円に 21年4〜9月期

 ファスナー大手YKKの業績が急回復している。11日に発表した2021年4〜9月決算のファスニング事業は、売上高が前年同期比52.6%増の1690億円、営業利益は226億円(前年同期は20億円の赤字)となり、コロナ禍で苦しんだ前期から一転、急回復している。東アジアや南アジアを筆頭にジーンズやジャケット向けのファスナー販売が伸びており、収益はコロナ前の19年4〜9月(売上高1598億円、営業利益221億円)とほぼ同水準になっている。

 20年4月以降から底を打っていたものの、秋冬物向けなどで年間の中で売り上げのボリュームが多い今年4〜6月に急回復、スポーツやカジュアル、ラグジュアリーなど全般的に伸びて、同期間の売上高は同78.5%増の894億円、営業利益は120億円(前年同期は14億円の赤字)となった。同社の経理担当者によると「一部の拠点では操業制限も行っているものの、欧米を中心にワクチンの普及が進み、米国では景気刺激策で個人消費拡大が追い風になっている」という。

 ファスニング部門の見通しは公表していないものの、サッシなどのAP事業を含む全社の見通しは、期初から上方修正を行い、売上高が7700億円(期初見通しは7000億円)、営業利益が540億円(同322億円)、経常利益570億円(同332億円)、純利益400億円(同203億円)と大きく上乗せする。世界的なコンテナ不足によるサプライチェーンの混乱や中国の電力不足などの懸念点があるものの、下期も回復が続く見通し。見通し通りだと、過去最高だった19年3月期(売上高7657億円、営業利益617億円、経常利益644億円、純利益458億円)をも上回ることになる。

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YKKのファスナー事業が急回復 赤字から一転、営業利益は226億円に 21年4〜9月期

 ファスナー大手YKKの業績が急回復している。11日に発表した2021年4〜9月決算のファスニング事業は、売上高が前年同期比52.6%増の1690億円、営業利益は226億円(前年同期は20億円の赤字)となり、コロナ禍で苦しんだ前期から一転、急回復している。東アジアや南アジアを筆頭にジーンズやジャケット向けのファスナー販売が伸びており、収益はコロナ前の19年4〜9月(売上高1598億円、営業利益221億円)とほぼ同水準になっている。

 20年4月以降から底を打っていたものの、秋冬物向けなどで年間の中で売り上げのボリュームが多い今年4〜6月に急回復、スポーツやカジュアル、ラグジュアリーなど全般的に伸びて、同期間の売上高は同78.5%増の894億円、営業利益は120億円(前年同期は14億円の赤字)となった。同社の経理担当者によると「一部の拠点では操業制限も行っているものの、欧米を中心にワクチンの普及が進み、米国では景気刺激策で個人消費拡大が追い風になっている」という。

 ファスニング部門の見通しは公表していないものの、サッシなどのAP事業を含む全社の見通しは、期初から上方修正を行い、売上高が7700億円(期初見通しは7000億円)、営業利益が540億円(同322億円)、経常利益570億円(同332億円)、純利益400億円(同203億円)と大きく上乗せする。世界的なコンテナ不足によるサプライチェーンの混乱や中国の電力不足などの懸念点があるものの、下期も回復が続く見通し。見通し通りだと、過去最高だった19年3月期(売上高7657億円、営業利益617億円、経常利益644億円、純利益458億円)をも上回ることになる。

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三越伊勢丹HD、営業制限でも“豪奢品”が回復けん引 4〜9月期

 三越伊勢丹ホールディングスの2021年4〜9月期連結業績は、総額売上高が前年同期比18.9%増の3989億円、営業損益が77億円の赤字(前年同期は178億円の赤字)、純損益が81億円の赤字(同367億円の赤字)だった。2度の緊急事態宣言の影響を受け、総額売上高はコロナ前の一昨年との比較では3割減の水準にとどまった。経費の見直しもあって赤字幅は縮小した。

 百貨店事業では年間100万円以上購入するカード顧客の売り上げが全体をけん引した。富裕層の消費意欲は商品別売上高にも反映されており、衣料品が前年同期比27.3%増の606億円だったのに対し、美術・宝飾・貴金属は同68.6%増の284億円だった。4月から6月にかけての緊急事態宣言中、美術・宝飾・貴金属に対して東京都から“豪奢品”の販売自粛要請が出たため、売り場の休業など制限がかかっていた。にもかかわらず、株高を背景にした富裕層の購買やブライダル需要の反動によって、最も回復が早かった。

 通期(22年3月期)は、総額売上高9450億円、営業利益30億円、純利益30億円を見込む。

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ミズノ4〜9月期で過去最高の営業利益 ゴルフとランニングがけん引

 ミズノの2021年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比28.4%増の851億円、営業損益は56億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)、純利益は前年同期の1億円から43億円に増えた。新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年の反動によって全カテゴリーで大幅増収になった。コスト削減施策が定着し、販管費率が2.3ポイント下がったため、営業利益は過去最高額となった。

 国内の売上高は同20%増の543億円。緊急事態宣言の影響で、部活動や地域スポーツ活動の屋内スポーツは苦戦したが、ランニングやゴルフ、サッカー、野球など屋外スポーツは回復した。

 新たなカテゴリーも伸びた。スポーツの知見を一般生活市場に活用するライフスタイルカテゴリーでは、コロナ禍における室内での運動ニーズに対応したインテリア“ミズノヘルシーインテリア”やスポーツ素材を使ったマウスカバー、通称“ミズノマスク”、高反発シューズ素材“ミズノエナジー(MIZUNO ENERGY)”搭載のウオーキングシューズ“エムイー(ME)”シリーズなどがヒットした。企業向けにユニホームやシューズを提供するワークビジネス事業は、取引先が700を突破するなど順調に成長した。

 海外市場も全て増収となった。米州の売上高は、同48%増の124億円。利益率の高いゴルフクラブがよく動いたほか、利益体質の強化が進み、営業利益は同期過去最高の18億円となった。欧州の売上高は同44%増の96億円。ランニングシューズがけん引した。アジア・オセアニアの売上高は、同46%増の88億円。韓国をはじめ、コロナの影響を強く受ける国もあったが、オーストラリアやニュージーランド、台湾を中心にランニングがよく動き、苦戦分をカバーした。

 無観客開催となった東京オリンピック・パラリンピックについて、水野明人社長は「開催国として無観客は残念だった。しかし、世界の99%の人は映像で応援する。今大会は、われわれがサポートする国内外の選手が多く活躍し、ブランドイメージ向上に大きく寄与したと考えている」と述べた。ベトナムのロックダウンなどによるサプライチェーンの影響は、「売上高ベースで最悪20億〜30億円のマイナスは覚悟している」とした上で、「そうならないよう、生産・納品調整に尽力している」と説明した。

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ミズノ4〜9月期で過去最高の営業利益 ゴルフとランニングがけん引

 ミズノの2021年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比28.4%増の851億円、営業損益は56億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)、純利益は前年同期の1億円から43億円に増えた。新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年の反動によって全カテゴリーで大幅増収になった。コスト削減施策が定着し、販管費率が2.3ポイント下がったため、営業利益は過去最高額となった。

 国内の売上高は同20%増の543億円。緊急事態宣言の影響で、部活動や地域スポーツ活動の屋内スポーツは苦戦したが、ランニングやゴルフ、サッカー、野球など屋外スポーツは回復した。

 新たなカテゴリーも伸びた。スポーツの知見を一般生活市場に活用するライフスタイルカテゴリーでは、コロナ禍における室内での運動ニーズに対応したインテリア“ミズノヘルシーインテリア”やスポーツ素材を使ったマウスカバー、通称“ミズノマスク”、高反発シューズ素材“ミズノエナジー(MIZUNO ENERGY)”搭載のウオーキングシューズ“エムイー(ME)”シリーズなどがヒットした。企業向けにユニホームやシューズを提供するワークビジネス事業は、取引先が700を突破するなど順調に成長した。

 海外市場も全て増収となった。米州の売上高は、同48%増の124億円。利益率の高いゴルフクラブがよく動いたほか、利益体質の強化が進み、営業利益は同期過去最高の18億円となった。欧州の売上高は同44%増の96億円。ランニングシューズがけん引した。アジア・オセアニアの売上高は、同46%増の88億円。韓国をはじめ、コロナの影響を強く受ける国もあったが、オーストラリアやニュージーランド、台湾を中心にランニングがよく動き、苦戦分をカバーした。

 無観客開催となった東京オリンピック・パラリンピックについて、水野明人社長は「開催国として無観客は残念だった。しかし、世界の99%の人は映像で応援する。今大会は、われわれがサポートする国内外の選手が多く活躍し、ブランドイメージ向上に大きく寄与したと考えている」と述べた。ベトナムのロックダウンなどによるサプライチェーンの影響は、「売上高ベースで最悪20億〜30億円のマイナスは覚悟している」とした上で、「そうならないよう、生産・納品調整に尽力している」と説明した。

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ミズノ4〜9月期で過去最高の営業利益 ゴルフとランニングがけん引

 ミズノの2021年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比28.4%増の851億円、営業損益は56億円の黒字(前年同期は9億円の赤字)、純利益は前年同期の1億円から43億円に増えた。新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年の反動によって全カテゴリーで大幅増収になった。コスト削減施策が定着し、販管費率が2.3ポイント下がったため、営業利益は過去最高額となった。

 国内の売上高は同20%増の543億円。緊急事態宣言の影響で、部活動や地域スポーツ活動の屋内スポーツは苦戦したが、ランニングやゴルフ、サッカー、野球など屋外スポーツは回復した。

 新たなカテゴリーも伸びた。スポーツの知見を一般生活市場に活用するライフスタイルカテゴリーでは、コロナ禍における室内での運動ニーズに対応したインテリア“ミズノヘルシーインテリア”やスポーツ素材を使ったマウスカバー、通称“ミズノマスク”、高反発シューズ素材“ミズノエナジー(MIZUNO ENERGY)”搭載のウオーキングシューズ“エムイー(ME)”シリーズなどがヒットした。企業向けにユニホームやシューズを提供するワークビジネス事業は、取引先が700を突破するなど順調に成長した。

 海外市場も全て増収となった。米州の売上高は、同48%増の124億円。利益率の高いゴルフクラブがよく動いたほか、利益体質の強化が進み、営業利益は同期過去最高の18億円となった。欧州の売上高は同44%増の96億円。ランニングシューズがけん引した。アジア・オセアニアの売上高は、同46%増の88億円。韓国をはじめ、コロナの影響を強く受ける国もあったが、オーストラリアやニュージーランド、台湾を中心にランニングがよく動き、苦戦分をカバーした。

 無観客開催となった東京オリンピック・パラリンピックについて、水野明人社長は「開催国として無観客は残念だった。しかし、世界の99%の人は映像で応援する。今大会は、われわれがサポートする国内外の選手が多く活躍し、ブランドイメージ向上に大きく寄与したと考えている」と述べた。ベトナムのロックダウンなどによるサプライチェーンの影響は、「売上高ベースで最悪20億〜30億円のマイナスは覚悟している」とした上で、「そうならないよう、生産・納品調整に尽力している」と説明した。

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資生堂1〜9月期決算は日本を除く市場が回復し増収増益

 資生堂の1〜9月期連結決算は、注力するスキンビューティーブランドがけん引し、日本を除く全ての地域で成長したため売上高は前年同期比14.0%増の7453億円、営業利益が同194 .8%増の262億円、経常利益が同433.0%増の296億円だった。特別損失として「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ(DOLCE&GABBANA BEAUTY)」に係る商標権の減損損失、 「ベアミネラル(BAREMINERALS)」「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」「バクサム(BUXOM)」の事業譲渡に伴うのれんの減損損失を計上した一方、営業増益及びパーソナルケア事業譲渡に伴う特別利益形状により、純損益は前年の136億円の赤字から367億円となった。

 事業別の売上高は、日本事業が同7.3%減の2103億円。リニューアルをした「ハク(HAKU)」や「アネッサ(ANESSA)」、さらに生活者の変化に合わせて開発した「マキアージュ(MAQUILLAGE)」のマスクにつきにくいBBクリームをはじめとするベースメイクや下地が好調に推移。eコマースの売り上げは 2 桁成長した。しかし8月に感染者数が過去最高となり、緊急事態宣言の発令も過去最長で苦戦し前年を下回った。

 中国事業は、天候不良や新型コロナウイルス変異株の拡大に伴い、店舗の一部閉鎖及び来店客数減少の影響を受けた。一方で「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」や「NARS」などプレステージブランドへの戦略的投資を継続することでシェアを拡大し同23.1%増の1909億円だった。

 トラベルリテール事業は引き続き国際線減便に伴う旅行者減少の影響を受けているが、中国海南島が大きく成長し、売り上げをカバーして同17.3%増の886億円となった。

 横田貴之取締役エグゼクティブオフィサー最高財務責任者は、「11月は少しずつだが回復の兆しが見えており、来年早めにはローカルのお客さまの回復を見込んでいる。そして第4四半期はマーケティング投資を強化する。オフライン・オンライン両方で、パーソナライズされた情報の提供で来店を促進するほか、すでに国内では10月からカウンターでのタッチアップも再開。中国ではダブルイレブンに向けてプレセール前から潜在顧客にサンプルを提供するなどプロモーションは好調に推移している。来年初めに中国・日本で新ブランド『インリュー(INRYU)』をローンチするなど、前年同期比に150億円をプラスした積極的なマーケティング投資を行う」と述べた。

 21年12月期の通期の売上高は前期比13.4%増の1兆440億円、営業利益が同113.9%増の320億円、経常利益が247.6%増の335億円、純利益が300億円を見込む。

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バロック村井社長が考える 「売上高」よりも大事にすべきこと

 バロックジャパンリミテッドの2021年3〜8月期は営業利益5億2000万円、純利益2億9000万円で、前年同期(営業利益9億7000万円、純利益12億円)に続き上半期を黒字で折り返した。コロナ前の水準には至らないものの、売上高(前年同期比26.9%増)、売上総利益(30.9%増)ともに大きく回復している。主力の「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」などSC販路のブランド(前年同期比27.9%増)、「マウジー(MOUSSY)「 スライ(SLY)」などファッションビル販路のブランド(同16.7%増)がけん引した。だが、村井博之社長は状況を楽観していない。「コロナ禍を経て、お客さまに求められる商品はより本質的なものとなる。市場にないものを作るという『マーケットアウト』の発想を常に持ち続けなければ生き残れない」と気を引き締める。

WWD:上半期を振り返ると?

村井博之社長(以下、村井):黒字着地はできたものの、課題の残る上半期だった。8月に急激に感染状況が深刻化し、ある程度の需要を見込んで準備していた夏物在庫の在庫消化に追われ、値引き販売が増えてしまった。昨年は4月の緊急事態宣言を受けて、急きょ夏物企画の仕入れを大きく減らしたため、セールもほとんどせず売り切ることができた。結果論で言えば、こちらの方が健全であり、理想に近かった。

WWD:売上高、売上総利益ともに順調に回復している。

村井:売上高を右肩上がりで伸ばすことを正義と考えるのは、もうやめにしたい。日本では消費者のボリューム自体が減る中、既存店売上高を上げ続けることにとらわれていては、いつまでたってもセールはなくならない。すぐになくせるものではないが、これ(コロナ禍)を契機にすることはできる。30年前のクリアランスセールは、7月と1月にそれぞれ2週間ずつ開催する程度だった。これがじわじわと拡大し、いまや6月から前倒し開催しているところもあれば、8月までダラダラ続けているところもある。我々のような規模の大きい上場アパレルがそれをしていては、業界全体がそれに引っ張られてしまう。今回のコロナ禍で従来の商習慣に疑問を持つ経営者が、一気に増えていると感じる。これを実行に移すことが重要だ。

WWD:値引き販売を減らすために、仕入れコントロール以外ではどんな努力が必要か。

村井:商品企画を見直すことも重要だ。世の中に本当に必要とされる商品ならば、値引きをしなくても売り切れる。期初の企画段階でしっかりお客さまの方を向き、意思のある商品を作らなくてはならない。最近ではQR(クイックレスポンス)生産が流行り言葉のように言われているが、これに頼ってばかりではいけない。周到に練った商品企画がヒットし、在庫が追いつかなくなって追加発注を掛けるのであれば素晴らしいことだ。しかし、コロナ禍という状況になって増えているのが“悪い”QR。自分たちでよくものを考えず、他社で売れているものを横目に見て、似たり寄ったりの服を急いで生産すること。本質的でない商品は同質化を生み、いずれは廃棄の温床にもなる。このようなことを繰り返しているプレーヤーは、消費者から「必要ない」という烙印を押されるのは時間の問題だ。これは自戒を込めて言うことでもある。

 当社はこれまで、ITバブルが崩壊した2000年代前後には「マウジー(MOUSSY)」「スライ(SLY)」が、リーマンショック(09年)のころには「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」がそれぞれ業績を伸ばした。消費マインドが停滞する中、逆にそれを好機と捉え、値ごろな価格で独自性のあるファッションを打ち出たことが消費者の心をとらえたのだと自負している。今回のコロナ禍も大きなピンチではあるものの、そこには必ずビジネスチャンスが眠っているはずだ。

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ワークマン、既存店の伸びは鈍化 4〜9月期は営業利益14%増

 ワークマンの2021年4〜9月期業績は、チェーン全店売上高が前年同期比8.0%の737億円だった。アウトドアウエアなどを販売する「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」の新規出店を引き続き積極的に行ったため、期末店舗数は純増39の924店舗になった。ただ、「ワークマンプラス」の出店を開始した18年以降は既存店売上高の2ケタ増が続いていたかが、当期は同1.7%増に鈍化している。

 営業利益は同13.8%増の126億円、純利益は同8.5%増の79億円だった。円安や中国・東南アジアでの人件費、原材料費、物流費の高騰といった逆風があったものの、コスト管理と増収によって増益を確保した。

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就任から半年、ユナイテッドアローズの松崎社長が語る「危機と挑戦」

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS、以下、UA)の松崎善則社長が10月5日、2022年4〜9月期決算説明会に登壇し、コロナ禍での経営動向や今後の重点施策について語った。4月に社長に就任してから半年。セレクトショップの雄と言われた同社が抱く危機感と、相次いで新たな取り組みを立ち上げる狙い―レーベルの立ち上げ:D2Cの「シテン(CITEN)」、インフルエンサーを起用した「マルゥ ユナイテッドアローズ(MARW UNITED ARROWS)」、ヨガを軸としたウィメンズの「トゥー ユナイテッドアローズ(TO UNITED ARROWS)」、商標権を承継したサーフショップ「カリフォルニアジェネラルストア(CALIFORNIA GENERAL STORE)」プライベートサービスデスクの設置―などを自らの言葉で説明。ECのリプレイスメントなど基幹システム構想と並行して、2025年度内に向けたPLM(製品ライフサイクルマネジメント)システムと在庫分析システムの導入によるサプライチェーンのデジタル化も控えている。業績や店舗閉鎖などネガティブな部分がある中で、社員のモチベーションを高め、接客を中心とした品質を高めることで、「お客様の期待に応えること」の重要性にも言及した。質疑応答と含めて、会見の発言をレポートする。

松崎善則社長(以下、松崎):私からは、このハーフターム(中間期で)、今後大事にしていきたい考え方をみなさまに共有させていただきたいと思います。私が4月より社長就任いたしまして、半年強が経過しましたが、今期も引き続いて厳しい状況が続いている部分が多々あって大変ご心配をおかけしていることと存じます。

 改めて、前期からの業績動向を大枠ダイジェストすると、計4回の、延べ11カ月以上に及ぶ緊急事態ということで、ネガティブインパクトが非常に大きかったというところです。

 この資料の通り、コロナが始まった昨年の第1四半期(4〜6月)は、緊急事態によって2カ月間店舗がほぼすべてクローズしたことで売り上げが非常に苦戦しました。第2四半期(7〜9月)は一時的に需要は回復したのですが、第1クオーターの在庫消化を優先したことで利益面が非常に苦しかった。第3四半期(10〜12月)は回復基調がいよいよ見られるかと思われたが、再度秋口から感染が広がって、第4四半期(1〜3月)についても再度緊急事態宣言ということで、いつ(コロナ禍が)開けるかどうかわからない状況下で、在庫の持ち方も施策も含めて、社内全体、右往左往という形で昨期は終えました。

 今期から、ようやく一新してやっていこうと新体制の中で取り組みを進めていますが、4月下旬から再度宣言が発令され、7月以降も第五波ということで、この上半期は想定した回復シナリオには残念ながらもう一歩届かない状況になっております。緊急事態がようやく明け、気温が低下した先月中旬以降から回復が顕著に見られています。足元、11月に入っても回復が想定以上に見られているということで、お客様の動向にも期待が高まっており、準備を進めている状況です。

今期方針は「選択と集中」「新たな挑戦」「経営理念の再浸透」

 今年度のグループ経営方針として、「持続的成長と、未来に向けた大改革~新時代のお客様大満足」を掲げています。文字通りでございますが、この厳しい経営環境におきまして、従来のやり方ではお客さまのご期待、ご支持をいただくのは難しいということで、「大改革なくして持続的成長は果たせない」という危機感を持っての方針です。この方針の下、営業利益生産性計画(一人当たり営業利益計画)の必達、連結粗利益率(50.7%)の必達に向けた施策と、サステナビリティやDXの取り組みを進めている最中でございます。

 大改革というタイトルを進めていくうえで、重要なポイントを3点考えています。一発逆転を狙いたいところなのですが、大改革には不断に継続していくことが非常に重要と考えておりまして、文字づらですとあまり目新しいものではないのですが、一つ目は“選択と集中”です。“選択と集中”によってクオリティを上げるいう部分を挙げています。優先順位の高いものに専念することで強い利益率の体質を構築します。前期から約10%の店舗をクローズする(計画を打ち出し)、今、10%強になる見込みです。店舗やレーベルを閉めることは、少なからずご支持いただいているお客さまを想像すると、大変心苦しくて難しいものではありますが、この下半期も引き続き選択と集中を既存取り組みについては進めてまいることで、強い経営体質を実現していきたいと思います。このためには、何よりもクオリティが重要で、ヒト・モノ・ウツワのすべての領域において活動の質を高めていくことで、“選択と集中”が有意義なものになっていくと考えております。

 まずはこの緊急事態が明けた先月から、店頭にお戻りになるお客様が多数見られています。(過去に築いてきた接客力、おもてなしの心が薄れないように)リアル店舗の接客の質(を上げること)が既存店舗の回復の大きな柱だと考えています。実店舗の強みを取り戻していくことを主軸にこの後半戦は臨んでいきたいと思います。この実店舗の回復によって、今後進めていくOMO(店舗とECの融合)施策、ECのリプレイスなども控えておりますが、この成功につながっていくものと考えています。

 二つ目は、“新たな挑戦”が積極的になされている状態を目指しています。これは“選択と集中”と相関するように捉えられる部分もあるかと思いますが、規模の大小を問わず、“新たな挑戦”を積極的に行い、次の兆しをつくっていくことが、この不透明な不確実な時代においては重要だと考えています。過去の成功パターンに依存せず、スピード感を持ってトライ&エラーを繰り返すことが必要で、時代の動きが転換期に当たる今、大きな施策一つで大逆転を狙うということではなく、先ほどIR広報部長からいくつかの事例を説明させていただきましたが、こうしたものを繰り返していくことで、次の機会を作っていくことを続けてまいります。

 当社はセレクトショップとして先駆的であること、新しいことを提案し続けてくれるであろうことをお客さまから期待されているはずですので、それが当社の優位性を築いてきた原動力の一つでもあるので、“選択と集中”によって得られたものを、新たな価値創造(に向けた“挑戦”)につなげていくことをこの下半期もより強く意識していきたいと思っています。

不安定な時代にこそ、“経営理念の浸透”を重視

 三点目は“経営理念の再浸透”を掲げております。(経営理念:「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける。」)。これは社員メンバーのエンゲージメントをより強め、高め、お客様への価値提供が薄れていかないために掲げていることです。当社が事業活動をしていくうえでの絶対的な拠り所が理念だと考えております。この理念によって、ユナイテッドアローズがユナイテッドアローズで居続けていけるわけであって、こういった不安定な中で、社員メンバーが自分たちの存在意義や志、なすべき方向性にゆらぎが出そうなときこそ、“経営理念の浸透”が重要になります。コロナ禍で一旦中断している、とくに出張を伴う店舗の巡回や理念セッションを下半期は再開して、全社員メンバーに私たちが目指すところ、社会に果たしたい価値は何かということを、一緒に考えて、全社一丸となって乗り越えて行きたいと考えています。このコロナ禍に伴って、店舗人員の見直しなどを一部行ってきましたが、私たちが築いてきた強みを喪失しないように、店舗メンバーの士気を維持向上する取り組みを進めてまいります。繰り返しですが、この上半期は想定した回復には及んでおりませんが、申し上げた3点(“選択と集中”“新たな挑戦”“経営理念の再浸透”)を通じて当社は変革を進めており、手ごたえを感じているところ多数感じているところです。


【メディアからの質疑応答】
――他社の新興系SPAやセレクトに比べるとやや回復が遅いように思う。コロナという状況は同じだが、どういったところがUAにとっては難しいのか教えてほしい。

松崎善則社長(以下、松崎):他社比較でちょっと回復が遅いのではないかというご指摘・ご質問ですが、精緻にまだ捉えきれていない部分もあるのですが、一つはお客さまの年齢層の違いがあるなと捉えています。コロナの緊急事態が開ける前から、20代、30代前半の若い方の外出はある中で、われわれが主としている30代、40代の方の動向、外出が非常におとなしかった。もう一つは、従来からですが、ビジネス衣料の回復は見られてきていますが、まだまだコロナ以前に比較するとビジネス衣料の完全な回復には及んでいないという状況です。対応はしていますが、そこがまだ実を結んでいない。そういった点が若干の弱含み担っている点と捉えております。

――10月から始めている富裕層向けサービスの件で。ファッションだけでなく富裕層向けに衣食住を含めて提供していくというが、従来から手がけてきた百貨店も富裕層向けサービスを強化している。UAとしては?

松崎:富裕層向けのプライベートサービスデスクですが、おっしゃるように、以前より百貨店で外商という形はあると思いますけれども、われわれ、今回このコロナにより捉えたのは、ECで年間100万円以上お買い上げになられるお客さまが200人近くいらっしゃる。多いか少ないかといえば、金額だと2億円ぐらいの売上げになり、まだまだ潜在的なものがあると考えています。年間100万円という切り方をしましたが、50万円ぐらいだとまた増えてくるのですが、ECでもかなり年間で購買をいただいているお客さまに対して、何のサポートもできていないねと。全社のDXというところにも絡んでくるのですが、まずはそういったお客さまの特性というか購買について、よりサポートを深めていこうということです。これが百貨店の外商と違う点でいうと、百貨店が抱えていらっしゃる団塊層ではなく、われわれは団塊ジュニア層の購買が顕著でして、新しい形の富裕層というお客さまについては、百貨店には行かれていないお客さまが多いということで、われわれに商機があるのではないだろうかと捉えています。

――サプライチェーンについてお尋ねいたします。東南アジアでコロナの感染拡大で商品に遅れなどが出ている企業が出ている。ユナイテッドアローズは該当されているか。二点目が、人権問題が取り上げられている中で、海外を含めたサプライチェーンの透明化や見直しの考え、今後取り組む予定のものは?

三井俊治IR広報部部長:当社の産業に限らず、ベトナムの感染拡大で工場が止まっていたり、中国で電力の問題で工場が止まっていたり、そういう問題が当社でも影響が出ています。秋冬商品の納期遅れが若干発生しています。ここについては常に状況が変わっているので、どういうキャッチアップができるか検討しながら対応を進めているところです。

松崎:人権問題等も含めて、海外生産の透明性をどう担保していくかということですが、昨今話題の綿の問題に端を発して、当社でも各取引先様、とくに大手商社様を中心に、そこからのさらに下の下請け様などに、基準を満たしているか否かという状況調査を行っています。そこで追える、追えない、トレーサビリティが取れるものと取れないものの種別を行い、取れないものについては代替素材、代替工場等を含めて振り替えていく動きをしていこうと、各ベンダー様と話しをさせていただいている最中です。透明性については、海外、国内問わず、人権問題があってはいけませんし、商品のトレーサビリティはすべて取っいきたいという方向性の下に進めているという状況です。

――“選択と集中”の部分で、上期では2020年3月期末に比べて店舗数が14%減少していて、下期も“選択と集中”を進めていくという話があったが、現時点で具体的にどういった計画があるのか。

松崎:先様、デベロッパーもあることなので詳細の詳細まではお伝えできないのですが、グループ全体を通して、コーエン社の店舗などについて下半期はより進めていこうと思っています。UA社の取り組みについても、非常に厳しいところがいくつか残っていますので、こういったところも見極めていきます。これはある程度、UA社についてはメドがついていますが、あと数店舗。主にはコーエン社について進めていく考えです。

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就任から半年、ユナイテッドアローズの松崎社長が語る「危機と挑戦」

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS、以下、UA)の松崎善則社長が10月5日、2022年4〜9月期決算説明会に登壇し、コロナ禍での経営動向や今後の重点施策について語った。4月に社長に就任してから半年。セレクトショップの雄と言われた同社が抱く危機感と、相次いで新たな取り組みを立ち上げる狙い―レーベルの立ち上げ:D2Cの「シテン(CITEN)」、インフルエンサーを起用した「マルゥ ユナイテッドアローズ(MARW UNITED ARROWS)」、ヨガを軸としたウィメンズの「トゥー ユナイテッドアローズ(TO UNITED ARROWS)」、商標権を承継したサーフショップ「カリフォルニアジェネラルストア(CALIFORNIA GENERAL STORE)」プライベートサービスデスクの設置―などを自らの言葉で説明。ECのリプレイスメントなど基幹システム構想と並行して、2025年度内に向けたPLM(製品ライフサイクルマネジメント)システムと在庫分析システムの導入によるサプライチェーンのデジタル化も控えている。業績や店舗閉鎖などネガティブな部分がある中で、社員のモチベーションを高め、接客を中心とした品質を高めることで、「お客様の期待に応えること」の重要性にも言及した。質疑応答と含めて、会見の発言をレポートする。

松崎善則社長(以下、松崎):私からは、このハーフターム(中間期で)、今後大事にしていきたい考え方をみなさまに共有させていただきたいと思います。私が4月より社長就任いたしまして、半年強が経過しましたが、今期も引き続いて厳しい状況が続いている部分が多々あって大変ご心配をおかけしていることと存じます。

 改めて、前期からの業績動向を大枠ダイジェストすると、計4回の、延べ11カ月以上に及ぶ緊急事態ということで、ネガティブインパクトが非常に大きかったというところです。

 この資料の通り、コロナが始まった昨年の第1四半期(4〜6月)は、緊急事態によって2カ月間店舗がほぼすべてクローズしたことで売り上げが非常に苦戦しました。第2四半期(7〜9月)は一時的に需要は回復したのですが、第1クオーターの在庫消化を優先したことで利益面が非常に苦しかった。第3四半期(10〜12月)は回復基調がいよいよ見られるかと思われたが、再度秋口から感染が広がって、第4四半期(1〜3月)についても再度緊急事態宣言ということで、いつ(コロナ禍が)開けるかどうかわからない状況下で、在庫の持ち方も施策も含めて、社内全体、右往左往という形で昨期は終えました。

 今期から、ようやく一新してやっていこうと新体制の中で取り組みを進めていますが、4月下旬から再度宣言が発令され、7月以降も第五波ということで、この上半期は想定した回復シナリオには残念ながらもう一歩届かない状況になっております。緊急事態がようやく明け、気温が低下した先月中旬以降から回復が顕著に見られています。足元、11月に入っても回復が想定以上に見られているということで、お客様の動向にも期待が高まっており、準備を進めている状況です。

今期方針は「選択と集中」「新たな挑戦」「経営理念の再浸透」

 今年度のグループ経営方針として、「持続的成長と、未来に向けた大改革~新時代のお客様大満足」を掲げています。文字通りでございますが、この厳しい経営環境におきまして、従来のやり方ではお客さまのご期待、ご支持をいただくのは難しいということで、「大改革なくして持続的成長は果たせない」という危機感を持っての方針です。この方針の下、営業利益生産性計画(一人当たり営業利益計画)の必達、連結粗利益率(50.7%)の必達に向けた施策と、サステナビリティやDXの取り組みを進めている最中でございます。

 大改革というタイトルを進めていくうえで、重要なポイントを3点考えています。一発逆転を狙いたいところなのですが、大改革には不断に継続していくことが非常に重要と考えておりまして、文字づらですとあまり目新しいものではないのですが、一つ目は“選択と集中”です。“選択と集中”によってクオリティを上げるいう部分を挙げています。優先順位の高いものに専念することで強い利益率の体質を構築します。前期から約10%の店舗をクローズする(計画を打ち出し)、今、10%強になる見込みです。店舗やレーベルを閉めることは、少なからずご支持いただいているお客さまを想像すると、大変心苦しくて難しいものではありますが、この下半期も引き続き選択と集中を既存取り組みについては進めてまいることで、強い経営体質を実現していきたいと思います。このためには、何よりもクオリティが重要で、ヒト・モノ・ウツワのすべての領域において活動の質を高めていくことで、“選択と集中”が有意義なものになっていくと考えております。

 まずはこの緊急事態が明けた先月から、店頭にお戻りになるお客様が多数見られています。(過去に築いてきた接客力、おもてなしの心が薄れないように)リアル店舗の接客の質(を上げること)が既存店舗の回復の大きな柱だと考えています。実店舗の強みを取り戻していくことを主軸にこの後半戦は臨んでいきたいと思います。この実店舗の回復によって、今後進めていくOMO(店舗とECの融合)施策、ECのリプレイスなども控えておりますが、この成功につながっていくものと考えています。

 二つ目は、“新たな挑戦”が積極的になされている状態を目指しています。これは“選択と集中”と相関するように捉えられる部分もあるかと思いますが、規模の大小を問わず、“新たな挑戦”を積極的に行い、次の兆しをつくっていくことが、この不透明な不確実な時代においては重要だと考えています。過去の成功パターンに依存せず、スピード感を持ってトライ&エラーを繰り返すことが必要で、時代の動きが転換期に当たる今、大きな施策一つで大逆転を狙うということではなく、先ほどIR広報部長からいくつかの事例を説明させていただきましたが、こうしたものを繰り返していくことで、次の機会を作っていくことを続けてまいります。

 当社はセレクトショップとして先駆的であること、新しいことを提案し続けてくれるであろうことをお客さまから期待されているはずですので、それが当社の優位性を築いてきた原動力の一つでもあるので、“選択と集中”によって得られたものを、新たな価値創造(に向けた“挑戦”)につなげていくことをこの下半期もより強く意識していきたいと思っています。

不安定な時代にこそ、“経営理念の浸透”を重視

 三点目は“経営理念の再浸透”を掲げております。(経営理念:「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける。」)。これは社員メンバーのエンゲージメントをより強め、高め、お客様への価値提供が薄れていかないために掲げていることです。当社が事業活動をしていくうえでの絶対的な拠り所が理念だと考えております。この理念によって、ユナイテッドアローズがユナイテッドアローズで居続けていけるわけであって、こういった不安定な中で、社員メンバーが自分たちの存在意義や志、なすべき方向性にゆらぎが出そうなときこそ、“経営理念の浸透”が重要になります。コロナ禍で一旦中断している、とくに出張を伴う店舗の巡回や理念セッションを下半期は再開して、全社員メンバーに私たちが目指すところ、社会に果たしたい価値は何かということを、一緒に考えて、全社一丸となって乗り越えて行きたいと考えています。このコロナ禍に伴って、店舗人員の見直しなどを一部行ってきましたが、私たちが築いてきた強みを喪失しないように、店舗メンバーの士気を維持向上する取り組みを進めてまいります。繰り返しですが、この上半期は想定した回復には及んでおりませんが、申し上げた3点(“選択と集中”“新たな挑戦”“経営理念の再浸透”)を通じて当社は変革を進めており、手ごたえを感じているところ多数感じているところです。


【メディアからの質疑応答】
――他社の新興系SPAやセレクトに比べるとやや回復が遅いように思う。コロナという状況は同じだが、どういったところがUAにとっては難しいのか教えてほしい。

松崎善則社長(以下、松崎):他社比較でちょっと回復が遅いのではないかというご指摘・ご質問ですが、精緻にまだ捉えきれていない部分もあるのですが、一つはお客さまの年齢層の違いがあるなと捉えています。コロナの緊急事態が開ける前から、20代、30代前半の若い方の外出はある中で、われわれが主としている30代、40代の方の動向、外出が非常におとなしかった。もう一つは、従来からですが、ビジネス衣料の回復は見られてきていますが、まだまだコロナ以前に比較するとビジネス衣料の完全な回復には及んでいないという状況です。対応はしていますが、そこがまだ実を結んでいない。そういった点が若干の弱含み担っている点と捉えております。

――10月から始めている富裕層向けサービスの件で。ファッションだけでなく富裕層向けに衣食住を含めて提供していくというが、従来から手がけてきた百貨店も富裕層向けサービスを強化している。UAとしては?

松崎:富裕層向けのプライベートサービスデスクですが、おっしゃるように、以前より百貨店で外商という形はあると思いますけれども、われわれ、今回このコロナにより捉えたのは、ECで年間100万円以上お買い上げになられるお客さまが200人近くいらっしゃる。多いか少ないかといえば、金額だと2億円ぐらいの売上げになり、まだまだ潜在的なものがあると考えています。年間100万円という切り方をしましたが、50万円ぐらいだとまた増えてくるのですが、ECでもかなり年間で購買をいただいているお客さまに対して、何のサポートもできていないねと。全社のDXというところにも絡んでくるのですが、まずはそういったお客さまの特性というか購買について、よりサポートを深めていこうということです。これが百貨店の外商と違う点でいうと、百貨店が抱えていらっしゃる団塊層ではなく、われわれは団塊ジュニア層の購買が顕著でして、新しい形の富裕層というお客さまについては、百貨店には行かれていないお客さまが多いということで、われわれに商機があるのではないだろうかと捉えています。

――サプライチェーンについてお尋ねいたします。東南アジアでコロナの感染拡大で商品に遅れなどが出ている企業が出ている。ユナイテッドアローズは該当されているか。二点目が、人権問題が取り上げられている中で、海外を含めたサプライチェーンの透明化や見直しの考え、今後取り組む予定のものは?

三井俊治IR広報部部長:当社の産業に限らず、ベトナムの感染拡大で工場が止まっていたり、中国で電力の問題で工場が止まっていたり、そういう問題が当社でも影響が出ています。秋冬商品の納期遅れが若干発生しています。ここについては常に状況が変わっているので、どういうキャッチアップができるか検討しながら対応を進めているところです。

松崎:人権問題等も含めて、海外生産の透明性をどう担保していくかということですが、昨今話題の綿の問題に端を発して、当社でも各取引先様、とくに大手商社様を中心に、そこからのさらに下の下請け様などに、基準を満たしているか否かという状況調査を行っています。そこで追える、追えない、トレーサビリティが取れるものと取れないものの種別を行い、取れないものについては代替素材、代替工場等を含めて振り替えていく動きをしていこうと、各ベンダー様と話しをさせていただいている最中です。透明性については、海外、国内問わず、人権問題があってはいけませんし、商品のトレーサビリティはすべて取っいきたいという方向性の下に進めているという状況です。

――“選択と集中”の部分で、上期では2020年3月期末に比べて店舗数が14%減少していて、下期も“選択と集中”を進めていくという話があったが、現時点で具体的にどういった計画があるのか。

松崎:先様、デベロッパーもあることなので詳細の詳細まではお伝えできないのですが、グループ全体を通して、コーエン社の店舗などについて下半期はより進めていこうと思っています。UA社の取り組みについても、非常に厳しいところがいくつか残っていますので、こういったところも見極めていきます。これはある程度、UA社についてはメドがついていますが、あと数店舗。主にはコーエン社について進めていく考えです。

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マッシュHD21年8月期は18%の増収 絶好調の「ジェラピケ」「スナイデル」がけん引

 マッシュホールディングスの2021年8月期連結業績は、売上高が前期比18%増の899億円だった。主力のファッション事業が同24%増の680億円とけん引した。基幹ブランドの「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」「スナイデル(SNIDEL)」が、コロナ禍以前の19年8月期と比較しても2ケタ増と絶好調だった。

 ルームウエアの「ジェラート ピケ」は前期比35%増、19年8月期との比較では50%増と、巣ごもり需要を追い風に右肩上がりで業績を伸ばした。一方、華やかな外出着が主力の「スナイデル」も前期比41%増、19年8月期との比較でも15%増と強さを見せた。「上位2ブランドがますます強固な柱になった」と近藤広幸社長は話す。

 好調要因の一つが、コンスタントな話題作りで顧客の購買意欲を喚起し続けたこと。期中に発売したコラボ・EC限定商品の型数は前期の2倍以上にのぼった。「コロナ禍の昨年から試行錯誤してきたSNSの活用術で明確な勝ち筋が見えてきたことも大きい」と近藤広幸社長。

 「セルフォード(CELFORD)」も得意とするオケージョン(入学式や食事会などのイベント)が激減する中、デイリー需要の取り込みに注力したことで22%増で着地した。そのほかの主力ブランドは「エミ(EMMI)」が同47%増、「フレイ アイディー(FRAY ID)」が同3%増、「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」が6%減。

 前期比横ばいの160億円となったビューティ事業に関しては悔しさをにじませる。「マスク生活で肌が荒れやすくなったという悩みや、アウトドアシーンで使えるものが欲しいというお客さまのニーズに対して、的を得た商品開発や発信ができてれば伸ばせる余地はまだまだあったはずだ」。

 エリア別の売上高は、国内が同17%増の809億円、海外が同23%増の90億円。出退店数は、国内の純増47(計468店)に対し、海外では不振の香港で退店を進めたため純増4(計143店)にとどまった。

 22年8月期通期の売上高は前期比10%増の990億円を予想。「外出着へのニーズが戻ってきて、売り上げにつながるはず。ビューティも再び成長軌道に乗せなければならない」と今同社長。期中には自社ブランド横断型の新たなECアプリのローンチを計画する。新アプリは、同社のブランドと一部外部のブランドを集めた既存のECモール「ウサギオンライン」と差別化すると同時に「最大のライバルになる」という。

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外部人材を起爆剤に ワールド、赤字のブランド事業を再構築

 ワールドが低調が続く主力のブランド事業において人材改革に本腰を入れる。アパレル業界の枠組みにとらわれず、外部の人材を積極的に招へい。グループにないノウハウを生かし、商品企画や店舗運営などの仕組みを再構築する。

 同社の2021年4〜9月期連結業績(国際会計基準)はコア営業損益が19億円の赤字(前年同期がは83億円の赤字)で、期初計画の営業黒字11億円は達成できなかった。感染拡大の深刻化により、ブランド事業の営業損益が24億円の赤字(前年同期は152億円の赤字)と、引き続き足を引っ張ったことが要因だ。

 5日にオンラインで会見した鈴木信輝社長は「(アパレル事業の不振は)コロナという環境要因のせいだけにはできない。人(社員)、もの(商品)、器(組織)が従来のまま変われていないことも非常に大きい」話した。構造改革により、昨年9月からの1年間で、既存の従業員は希望退職者からの応募を含め434人減った。今後は外部人材の積極登用に舵を切り、「われわれが常識だと思っていた物の作り方やお店の見せ方などをここで全て一度破壊する。『勝てる組織』に作り替えていきたい」とする。すでに子会社インターキューブの「ドレステリア(DRESSTERIOR)」は、19年に三陽商会から転籍した靏博幸社長の就任以降、商品企画などの見直しが進み、「売り上げはかなり改善傾向にある」。これを好事例に他ブランドでの改革も進める方針だ。

 緊急事態宣言の解除(10月1日)以降、ブランド事業の業績は足元では回復傾向にある。だが鈴木社長は「(コロナ禍以前と)同じような服が、同じように売れるわけではない」と気を引き締める。「お客さまのニーズを踏まえた華やかさや機能性などがある服が求められている。ひと工夫、ふた工夫が必要だ」。

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アシックス1〜9月期で売上高3000億円突破 五輪も追い風に

 アシックスの2021年1~9月期連結決算は、売上高が前年同期比29.8%増の3222億円、営業利益が同10倍の357億円、純損益が190億円の黒字(前年同期は34億円の赤字)に回復した。同期で売上高3000億円を超えるのは4年ぶり。日本事業と北米事業も黒字に転じた。

 コロナ禍における健康意識の高まりを受けて、パフォーマンスランニングが大きく動いた。日本、北米、欧州、中華圏、オセアニアで2ケタ増収を記録し、売上高は同38.0%増の1674億円だった。“ノヴァブラスト(NOVABLAST)”をはじめ若い世代に向けたランニングシューズが支持されたほか、国内外の大会でエリート向けシューズ“メタスピード(METASPEEED)”の着用選手が活躍し、認知向上に貢献した。「ここ数年、ランニングシューズの商品開発に注力してきた。オリンピックなどでブランド認知が拡大したほか、コロナによるスポーツ意識の高まりも追い風となり、国内外で商品力が評価されている」と廣田康人社長は語る。

 オニツカタイガーの売上高は同19.5%増の303億円。訪日客による消費がない中、中華圏と東南アジア、国内顧客の売り上げを伸ばした。映画「シンデレラ」とのコラボモデルをはじめ、戦略的な商品開発も奏功した。

 コアパフォーマンススポーツの売上高は、同29.7%増の352億円。日本でワーキングシューズが売れたほか、北米と欧州で試し履き施策を行ったテニスシューズがよく動いた。スポーツスタイルの売上高は同19.5%増の265億円。アパレル・エクィップメントは同18.6%増の253億円だった。

 デジタル施策も奏功した。ランニングアプリ“ランキーパー(RUNKEEPER)”などでECのタッチポイントを増やし、EC売上高は同28.2%増の466億円を記録。公式オンラインストア「ワンアシックス(ONEASICS)」の会員数は約500万に増えた。「(アプリやEC会員の)数字は順調に伸びており、マスデータが蓄積されている。次は、定期的にサービスを使ってもらうフェーズまで押し上げるほか、データを元にした商品開発に努めたい」と廣田社長。

 2021年12月期の連結業績予想は、売上高を3950億円に据え置く。一方で、販管費コントロールの強化により、営業利益は200億(前回予想は145億円)、純利益は40億円(同25億円)に上方修正する。

 公式パートナーを努めた東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナの影響で無観客開催となった。廣田社長は「会場での物販がなくなったことから、関連アイテムの売り上げは予想を下回った」と説明するも、「赤いジャケットを着た日本選手団や、イタリア、フランス、ブラジルなどわれわれがサポートしたアスリートが素晴らしい活躍を見せてくれた。ブランド価値が向上したのは間違いない。今後、良いイメージをどう商品とマーケティングに落とし込むかが重要だ」と語った。

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ゴールドウイン、ベトナムのロックダウンが30億円の減収要因に 工場停止で納期遅れ

 ゴールドウインは、中心産地であるベトナムが新型コロナウイルスによる2カ月半のロックダウンに見舞われ、売上高ベースで30億円程度の影響を受けたと発表した。基幹ブランド「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の主力であるダウンジャケットへの打撃は軽微だが、近年人気を集める防寒ブーツ“ヌプシブーティ”の納品が遅れる。ロックダウンは10月初めに解除されたため、現在は急ピッチで生産を進め、巻き返しを図っている。5日に行われた同社の2021年3〜9月期決算説明会で渡辺貴生社長が明らかにした。

 同社は中国生産の一極集中を避ける狙いで、ベトナムへの生産移転を進めてきた。ベトナムの生産比率は12年3月期の18%から22年3月期には56%に達する見通し。「ザ・ノース・フェイス」のアパレルやシューズなどの多くがベトナムで作られている。サプライチェーンについて渡辺社長は「当面は大きな産地シフトは考えていない。ただ、日本でのカスタマイズ生産をはじめ、ニーズに対応した生産体制は整備していく」と説明した。

 足元の秋冬商戦では、影響の少ないダウンジャケットの拡販に尽力する。またシーズンの持ち越し商品や他の商品の入荷の前倒しなどでMDを修正する。

 4~9月期連結決算は、売上高が前年同期比21.1%増の382億円、営業利益が同166.8%増の32億円、純利益は同321.9%増の26億円だった。東京の2度の緊急事態宣言や、7月以降の感染拡大によって都心店舗の来店客が伸びず、売上高は期初見通しを下回った。しかし、EC売上高が同20.8%増と好調に推移したほか、経費を抑制した結果、営業利益と純利益は期初見通しを上回った。

 事業別では、「ザ・ノース・フェイス」を含むパフォーマンス事業が回復基調を継続。登山やマラソン大会は自粛傾向にあったが、密を避けるレジャーとしてアウトドアへの依然として関心は高く、売上高は同47.3%増の132億円となった。ライフスタイル事業は、日常生活での高機能ウエアのニーズが高まり、同11.8%増の222億円を記録。一昨年の過去最高値を上回った。ファッション事業は、インバウンドがない中、販路拡大によって堅調をキープし、売上高は同2.2%増の27億円だった。

 22年3月期は期初予想を据え置く。売上高が1000億円、営業利益が140億円、純利益が103億円。売上高と利益のボリュームが大きい10~12月期の結果を踏まえ、「見直しが必要な場合には速やかに修正値を開示する」(渡辺社長)。

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フリークス ストアのデイトナ・インターナショナルが親会社と合併

 セレクトショップのフリークス ストアなどを展開するデイトナ・インターナショナル(東京、佐々木聡社長)は、3月に新設されたMustang(東京、加藤聖社長)と11月30日付で合併し、翌12月1日に新会社デイトナ・インターナショナルに改称すると発表した。広報担当者によると、「本社所在地や定款等に変更はなく、従来からの事業運営を引き続き行う」という。

 デイトナ・インターナショナルをめぐっては、創業社長の鹿島研氏が4月30日付で退任。過半数株を投資ファンドのユニゾン・キャピタル(東京、林⻯也社長、川﨑達生社長)に売却していた。今回の合併や改称も「株式移行に伴う事務的処理」だという。

 Mustangは、ユニゾン・キャピタルがデイトナ・インターナショナルの買収にまつわる資金調達のために設立した特別目的会社であり、「その役目を終えたため、合併による一体化手続を行うことになった」という。

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ワールド4〜9月期、営業損失19億円 5月と8月の客数減が痛手

 ワールドの2021年4〜9月期連結業績(国際会計基準)は、売上収益が前年同期比2.2%減の773億円、コア営業損益が19億円の赤字(前年同期は83億円の赤字)、純損益は12億円の赤字(同111億円の赤字)だった。期初予想はコア営業損益の11億円の黒字を見込んでいたが、達成できなかった。

 1カ月以上の店舗休業をしいられた昨年に比べれば営業環境は改善したものの、緊急事態宣言の長期化に加え、21年3月期に実施した約370店舗の撤退もあって、売上収益は減収で終わった。特に再び緊急事態宣言が発令された5月、感染拡大が深刻になった8月の客数減が痛手になった。そんな中でも値引き販売の抑制によって粗利益率は4.7ポイント改善し、損失幅は小さくなった。

 この結果を受けて22年3月期連結業績の予想を下方修正した。修正後は、売上高が1802億円(修正前は1964億円)、コア営業利益が49億円(同80億円)、純利益が18億円(同35億円)とする。

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ワールド4〜9月期、営業損失19億円 5月と8月の客数減が痛手

 ワールドの2021年4〜9月期連結業績(国際会計基準)は、売上収益が前年同期比2.2%減の773億円、コア営業損益が19億円の赤字(前年同期は83億円の赤字)、純損益は12億円の赤字(同111億円の赤字)だった。期初予想はコア営業損益の11億円の黒字を見込んでいたが、達成できなかった。

 1カ月以上の店舗休業をしいられた昨年に比べれば営業環境は改善したものの、緊急事態宣言の長期化に加え、21年3月期に実施した約370店舗の撤退もあって、売上収益は減収で終わった。特に再び緊急事態宣言が発令された5月、感染拡大が深刻になった8月の客数減が痛手になった。そんな中でも値引き販売の抑制によって粗利益率は4.7ポイント改善し、損失幅は小さくなった。

 この結果を受けて22年3月期連結業績の予想を下方修正した。修正後は、売上高が1802億円(修正前は1964億円)、コア営業利益が49億円(同80億円)、純利益が18億円(同35億円)とする。

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ワコールHD、国内・海外で回復に差 4〜9月期は営業利益改善

 ワコールホールディングス(HD)の2021年4〜9月期連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比19.5%増の874億円、営業利益が同211.6%増の4039億円、純利益が同67.4%増の29億円だった。国内事業は7月以降の感染者数増加により苦戦したが、欧米の業績回復によりカバーした。

 国内事業は、感染者数増加により数緊急事態宣言解除が9月末まで持ち越され、売上高は同5%4.6%増の429億円、営業利益は同18.9%減の7億4000万円だった。前年同期に計上されたコロナの雇用調整助成金の反動で減益になった。ピーチ・ジョンも7~9月期は苦戦したが、昨年末に起用した広告塔の田中みな実や各種キャンペーンの効果で、売上高は同1.5%増の61億円、営業利益は3.8%増の10億円と前年並みを維持した。海外事業は、経済活動の再開が進んだ欧米を中心に売り上げが感染症前の水準を上回り、売上高が同66.5%増の323億円、営業利益は26億円(前年同期は2億5500万円の赤字)とに回復した。

 EC売上高は12.3%増の228億円。EC化率は全体で30%(前年同期は33%)だった。国内ワコールのEC比率は22%、ピーチ・ジョンは46%。

 22年3月期の通気通期予想は売上高1840億円、営業利益60億円を見込む。

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米ファッションサブスク企業のレント・ザ・ランウェイが新規上場

 ファッションレンタル事業の先駆けであるレント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)は10月27日、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)した。

 公開価格は1株21ドル(約2373円)に設定され、調達額は3億2730万ドル(約369億円)。初値は公開価格を上回る23ドル(約2599円)を付けたものの、終値は19.29ドル(約2179円)と公開価格の8.1%安だった。時価総額はおよそ13億ドル(約1469億円)。

 レント・ザ・ランウェイは、2009年にニューヨークで創業。オケージョン用のドレスやアクセサリー類のレンタルからスタートした同社は、ラグジュアリーブランドを中心としたハイエンド商品の品ぞろえが豊富なことが特徴だ。しかし、コロナ禍によって華やかなイベントが激減したことや、衛生面での懸念から苦戦を強いられ、20年8月にはニューヨーク旗艦店を含めた全店を閉店した。

 同社は会員のサブスクリプション料が売り上げの80%を占めている。21年1月通期決算では、売上高が前期比 38.6%減の1億5750万ドル(約177億円)、純損失は前年の1億5390万ドル(約173億円)から1億7110万ドル(約193億円)へと赤字が拡大している。21年7月31日時点での累積赤字は6億7410万ドル(約761億円)。今回調達した資金は、負債の返済と将来的な事業の成長のために使用するという。

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米ファッションサブスク企業のレント・ザ・ランウェイが新規上場

 ファッションレンタル事業の先駆けであるレント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)は10月27日、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)した。

 公開価格は1株21ドル(約2373円)に設定され、調達額は3億2730万ドル(約369億円)。初値は公開価格を上回る23ドル(約2599円)を付けたものの、終値は19.29ドル(約2179円)と公開価格の8.1%安だった。時価総額はおよそ13億ドル(約1469億円)。

 レント・ザ・ランウェイは、2009年にニューヨークで創業。オケージョン用のドレスやアクセサリー類のレンタルからスタートした同社は、ラグジュアリーブランドを中心としたハイエンド商品の品ぞろえが豊富なことが特徴だ。しかし、コロナ禍によって華やかなイベントが激減したことや、衛生面での懸念から苦戦を強いられ、20年8月にはニューヨーク旗艦店を含めた全店を閉店した。

 同社は会員のサブスクリプション料が売り上げの80%を占めている。21年1月通期決算では、売上高が前期比 38.6%減の1億5750万ドル(約177億円)、純損失は前年の1億5390万ドル(約173億円)から1億7110万ドル(約193億円)へと赤字が拡大している。21年7月31日時点での累積赤字は6億7410万ドル(約761億円)。今回調達した資金は、負債の返済と将来的な事業の成長のために使用するという。

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