「二年参りは花火と共に」。[奉納除夜煙火百八発打揚/新潟県小千谷市]

百八発を一発ずつ丁寧に打ち上げていました。

奉納除夜煙火百八発打揚花火を梯子した大晦日の夜。

毎年、花火で終わり花火で始まる私の年越しですが、長年の念願を叶えるべく昨年末訪れたのが花火の町「新潟県小千谷市片貝」でした。
この町のお祭りについては『片貝まつり』でご紹介させていただきました。片貝まつりでは世界最大級の四尺玉が打ち揚げられることで知られています。

昨年末、私は大晦日の花火を梯子しようと考えました。事前に花火仲間に声を掛け合流。まずは新潟県南蒲原郡田上町に向かいました。田上町では町内二つの地区から交互に花火が打ち上げられます。

「除夜の花火」と名付けられたその花火は今年で32年目になるそうです。果たしてどこから上がるのか全く情報の無い中で花火仲間と共に町内をあちこち走り回ってようやく花火にたどり着いたときの感動、花火仲間と共に観覧出来た喜びは良き思い出として心に刻まれました。

小千谷市片貝の浅原神社では初詣の準備が出来ていました。

鳥居横に設置された松明。

奉納除夜煙火百八発打揚花火の町での暖かな交流に心が和む。

田上町の除夜の花火を堪能した後は花火の町小千谷市片貝へと車を走らせました。片貝では40年ほど前から大晦日から年越しに掛けての奉納除夜煙火百八発打揚を行なっているそうです。打ち揚げを担当されるのは地元の片貝煙火工業さんです。午後11時40分を過ぎたころから浅原神社近くで花火が打ち揚がり始めます。

いよいよ年越しの瞬間が迫る中、真っ白に積もった雪を鮮やかに照らしながら揚がる美しい花火を眺めながら、あっという間に駆け抜けた一年が走馬灯のように脳裏を駆け巡ります。静まり返った浅原神社で厳かに揚がり始めた花火の音を合図に片貝町の方々が三々五々神社に集まって来られます。

そこかしこで交わされる年末の挨拶は町の方々の繋がりを感じることが出来、ひと時暖かな気持ちに包まれます。新年を迎えた瞬間には華やかなスターマインが打ち揚げられ、それを皮切りに笑顔で交わされる新年の挨拶が聞こえてきます。こちらも笑顔のお裾分けをいただいてなんだか良い年になりそうな気分になります。

片貝まつりをきっかけに5年ほど交流している町の青年たちと新年の挨拶を交わせたことも私にとって嬉しい年越しの思い出となりました。新年が明けて午前0時15分ころまで揚がる花火を観終わったとき、寒さを忘れて高揚している自分にふと気がつきました。

神社の横の雪原が打上場所です。

奉納除夜煙火百八発打揚花火と生活が密着する町、片貝。

片貝町の人々の一年、そして一生にはいつも花火が寄り添っています。澄み切った年の瀬の夜空に輝く百八発の奉納煙火で一年を終え、そして一年が始まる。片貝で生まれ育った人々は成人、厄年、還暦など人生の節目節目に同級生が一つになって片貝まつりで盛大な花火を打ち揚げます。

また町内行事の際にも町内放送の代わりに花火を揚げて町民に様々なことをお知らせすることもあるそうです。それほどまでに花火と生活が密着している地域は稀有な存在だと思います。昨今各地でイベントとしてカウントダウン花火が上がるようになってきましたが片貝町の花火はそれらのイベント花火とは趣が違うように感じます。

ミニスターマインもありました。

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日時:2018年12月31日 23:40頃から30分間程度
場所:新潟県小千谷市片貝 浅原神社 MAP
奉納除夜煙火百八発打揚 HP:http://www.ojiyakanko.com/index.html

1963年神奈川県横浜市生まれ。写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打ち上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表を続け、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導が増えている。
ムック本「超 花火撮影術」 電子書籍でも発売中。
http://www.astroarts.co.jp/kachoufugetsu-fun/products/hanabi/index-j.shtml
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