人の命を救う卵を食卓へ。[グリーンファーム久住/大分県竹田市]

こんもりと盛り上がる円盤型の卵は、柔らかな黄色味が特徴。

グリーンファーム久住3世代で営む平飼い飼育農場。

頑丈な殻をコツンと割ると、中からはぷっくりとした弾力のある身が。箸で黄身をつまむと白身までが一緒に持ち上がるほど力強い卵は、平飼いで育った健康でたくましい母鶏から産まれます。壮大な高原が広がる久住町で、全国でも数少ないヒナから平飼いで飼育を行う『グリーンファーム久住』。鶏たちのことを第一に考えた経営が、新鮮で高品質な卵を消費者へ届けることができると信じ、3世代にわたり養鶏を続けてきました。今回は、久住町が育んだ卵の魅力に迫ります。

▶詳細は、TAKETA TIMES/高原野菜に名湯、秘湯。知られざる魅力が満載の、名水の里。

左から社長の荒牧洋一氏、久住での養鶏を始めた光氏、後継者の大貴氏。

まずは卵そのものの味をしっかりと楽しむことができる卵かけご飯や、目玉焼きがお勧めだという。

グリーンファーム久住地域を救う鶏が産んだ、命を救う卵。

「地域を活性化するために新たな産業を」、1964年に竹田市久住町で協栄養鶏組合を立ち上げ、養鶏の事業を始めました。その中心となったのが荒牧 光氏でした。

牛飼いや米農家をしていた荒牧氏は、夫婦で温泉旅行に行った先でたまたま行われていた養鶏の講習会に興味を持ち参加。養鶏が環境に良いこと、そして地域の新しい産業に最適だということを学び、久住町へと持ち帰ったのです。

養鶏を始める際に荒牧氏が大切にしたことは「鶏にも自然にも良い環境を作る」こと。そのために高原地帯である久住町の広大な敷地を利用し、放し飼いで飼育する平飼い養鶏を取り入れ、更に鶏糞で作る堆肥を使い始めました。

生まれたてのヒナの時から太陽の光と高原の風が入る開放的な平飼い鶏舎で暮らした鶏たちは、ケージに一度も入らないためストレスを感じることなく、自然に近い状態で大きく育ちます。鶏舎の床には鶏糞を敷き詰めており、その上を鶏たちが縦横無尽に歩き回ることで鶏糞が堆肥化。栄養や微生物が豊富な堆肥を鶏がついばむことで、腸内環境が改善され、健康な鶏たちが育つのです。

一般的には生まれたてのヒナの時からケージに入り、箱入り娘状態のヒナ。それを生まれたてのヒナの時から、自然にもまれながらたくさん運動し、土の上で自由にのびのびと動き回る荒牧氏の鶏たちは、高品質な卵を産み、それらは人間用のインフルエンザワクチンに用いられる原料卵にも最適だと認定されました。そこから人の命を救う卵の出荷が始まったのです。

生まれたてのヒナも平飼いの鶏舎に入る。卵を産むまでの120日間、自然に揉まれながら丈夫な身体を作っていく。

暖かな陽光が差し込み、高原の風が抜ける平飼いの鶏舎。久住の厳しい寒暖差をも耐え抜いてたくましく育つ。

鶏舎の床には50cmもの堆肥の層がある。堆肥化した鶏糞は砂のようにさらさらで、悪臭もせず、環境にも良い。

グリーンファーム久住こだわりの卵を食卓へ届ける。

インフルエンザワクチンの原料卵の生産を行ってきた荒牧氏は、需要の高まりを受けて大型養鶏場の「三本松種鶏場」を設立しました。息子の洋一氏と事業を続けていくうちに、品質の高さを知った生活協同組合から契約農場の話が舞い込みました。そして誕生したのが『グリーンファーム久住』です。今まで培ってきたノウハウを生かし、ヒナから平飼いで育てる鶏舎を設置。安全で安心な卵を食卓へ届けるために、遺伝子組み換えのない穀物や国産の飼料用玄米を使ったエサを与えています。
「卵の中身はどの餌を食べさせるかによって決まる。だから人が安心して卵を食べられるようにエサの品質には徹底的にこだわっているんです」と荒牧氏は話します。

更に『グリーンファーム久住』の卵は殺菌や水洗いを行わない「無洗卵」で出荷されます。
「卵の周りには母鶏から産み落とされた時に形成される「クチクラ層」という保護膜がついており、その膜は外部からの菌の侵入を防ぐという役割を担っているのです。その保護膜を守り、新鮮な卵を届けるためにここではブラッシングのみを行っています」と荒牧氏。

鶏のために、地域のために、そして消費者のために。様々なこだわりを持ち経営を続けてきた『グリーンファーム久住』は今、転換期に差しかかっています。

飲み水には久住高原の新鮮な地下水を使用している。

選別およびパッキングのセンターを自社で保有し、品質の管理を徹底。

久住町にある卵の自動販売機。卵は毎日補充され、新鮮な卵を購入できる。

グリーンファーム久住変えるべきもの、変えないもの。

2017年夏、荒牧洋一氏の長男・大貴氏が、家業を継ぐため東京からUターンしました。
「会長や社長の思いを受け継いで、地域を良くするためにできることが私にはあると思って」と大貴氏は話します。

生産方法やこだわりはそのままに、東京での社会人経験で培った目で変えていくべきところは改革していこうと、社内システムの改善や対外的なプロモーションを実施。手書きが多かった育成記録のデジタル化や、養鶏に対する思いやこだわりを届けるためにホームページとパンフレットの制作に加え、『グリーンファーム久住』の品質にお墨付きを得るための品質認証取得にも取り組んでいます。

「安心・安全、環境維持を追求する『グリーンファーム久住』に時代が追いついてきたと思います。それをうまく捉えてこれからも社会にあり続ける会社であるために、変えるべきところは改善する。養鶏の基礎や鶏自体を深く知ることはもちろんですが、品質管理の向上や、IT化、認証の取得、顧客の獲得などに、時代の変化と照らし合わせながら会社をしっかりと存続させる体制をつくっていきたいですね。売り上げが上がって会社が拡大すれば、地域の人をもっと雇用できるし、従業員の休みも増やせるかもしれない。創業時の想いを受け継ぎ、私たちは常に社員にとって、地域にとって、鶏にとって、何が最善かということを考えて運営していきたいと思っています」と大貴氏は語ります。

今後は『グリーンファーム久住』の特長である平飼いの鶏舎を拡大し、会社も地域も守っていきたいと話す大貴氏。親子3世代、品質に正直な卵作りで地域の未来を担います。

人事系のコンサルティング会社に勤め、海外での勤務経験もある大貴氏。養鶏の先進地であるヨーロッパとも積極的に交流を深めている。

鶏舎ではオスも一緒に暮らす。なるべく自然な状態を保つため、人間は鶏舎の中にあまり入らないようにしている。

住所:大分県竹田市久住町大字久住4066番地2 MAP
電話:0974-76-1411
グリーンファーム久住 HPhttp://www.kuju-egg.jp/
※家畜伝染病予防のため、養鶏場内での卵の販売は行っておりません。

人の命を救う卵を食卓へ。[グリーンファーム久住/大分県竹田市]

こんもりと盛り上がる円盤型の卵は、柔らかな黄色味が特徴。

グリーンファーム久住3世代で営む平飼い飼育農場。

頑丈な殻をコツンと割ると、中からはぷっくりとした弾力のある身が。箸で黄身をつまむと白身までが一緒に持ち上がるほど力強い卵は、平飼いで育った健康でたくましい母鶏から産まれます。壮大な高原が広がる久住町で、全国でも数少ないヒナから平飼いで飼育を行う『グリーンファーム久住』。鶏たちのことを第一に考えた経営が、新鮮で高品質な卵を消費者へ届けることができると信じ、3世代にわたり養鶏を続けてきました。今回は、久住町が育んだ卵の魅力に迫ります。

▶詳細は、TAKETA TIMES/高原野菜に名湯、秘湯。知られざる魅力が満載の、名水の里。

左から社長の荒牧洋一氏、久住での養鶏を始めた光氏、後継者の大貴氏。

まずは卵そのものの味をしっかりと楽しむことができる卵かけご飯や、目玉焼きがお勧めだという。

グリーンファーム久住地域を救う鶏が産んだ、命を救う卵。

「地域を活性化するために新たな産業を」、1964年に竹田市久住町で協栄養鶏組合を立ち上げ、養鶏の事業を始めました。その中心となったのが荒牧 光氏でした。

牛飼いや米農家をしていた荒牧氏は、夫婦で温泉旅行に行った先でたまたま行われていた養鶏の講習会に興味を持ち参加。養鶏が環境に良いこと、そして地域の新しい産業に最適だということを学び、久住町へと持ち帰ったのです。

養鶏を始める際に荒牧氏が大切にしたことは「鶏にも自然にも良い環境を作る」こと。そのために高原地帯である久住町の広大な敷地を利用し、放し飼いで飼育する平飼い養鶏を取り入れ、更に鶏糞で作る堆肥を使い始めました。

生まれたてのヒナの時から太陽の光と高原の風が入る開放的な平飼い鶏舎で暮らした鶏たちは、ケージに一度も入らないためストレスを感じることなく、自然に近い状態で大きく育ちます。鶏舎の床には鶏糞を敷き詰めており、その上を鶏たちが縦横無尽に歩き回ることで鶏糞が堆肥化。栄養や微生物が豊富な堆肥を鶏がついばむことで、腸内環境が改善され、健康な鶏たちが育つのです。

一般的には生まれたてのヒナの時からケージに入り、箱入り娘状態のヒナ。それを生まれたてのヒナの時から、自然にもまれながらたくさん運動し、土の上で自由にのびのびと動き回る荒牧氏の鶏たちは、高品質な卵を産み、それらは人間用のインフルエンザワクチンに用いられる原料卵にも最適だと認定されました。そこから人の命を救う卵の出荷が始まったのです。

生まれたてのヒナも平飼いの鶏舎に入る。卵を産むまでの120日間、自然に揉まれながら丈夫な身体を作っていく。

暖かな陽光が差し込み、高原の風が抜ける平飼いの鶏舎。久住の厳しい寒暖差をも耐え抜いてたくましく育つ。

鶏舎の床には50cmもの堆肥の層がある。堆肥化した鶏糞は砂のようにさらさらで、悪臭もせず、環境にも良い。

グリーンファーム久住こだわりの卵を食卓へ届ける。

インフルエンザワクチンの原料卵の生産を行ってきた荒牧氏は、需要の高まりを受けて大型養鶏場の「三本松種鶏場」を設立しました。息子の洋一氏と事業を続けていくうちに、品質の高さを知った生活協同組合から契約農場の話が舞い込みました。そして誕生したのが『グリーンファーム久住』です。今まで培ってきたノウハウを生かし、ヒナから平飼いで育てる鶏舎を設置。安全で安心な卵を食卓へ届けるために、遺伝子組み換えのない穀物や国産の飼料用玄米を使ったエサを与えています。
「卵の中身はどの餌を食べさせるかによって決まる。だから人が安心して卵を食べられるようにエサの品質には徹底的にこだわっているんです」と荒牧氏は話します。

更に『グリーンファーム久住』の卵は殺菌や水洗いを行わない「無洗卵」で出荷されます。
「卵の周りには母鶏から産み落とされた時に形成される「クチクラ層」という保護膜がついており、その膜は外部からの菌の侵入を防ぐという役割を担っているのです。その保護膜を守り、新鮮な卵を届けるためにここではブラッシングのみを行っています」と荒牧氏。

鶏のために、地域のために、そして消費者のために。様々なこだわりを持ち経営を続けてきた『グリーンファーム久住』は今、転換期に差しかかっています。

飲み水には久住高原の新鮮な地下水を使用している。

選別およびパッキングのセンターを自社で保有し、品質の管理を徹底。

久住町にある卵の自動販売機。卵は毎日補充され、新鮮な卵を購入できる。

グリーンファーム久住変えるべきもの、変えないもの。

2017年夏、荒牧洋一氏の長男・大貴氏が、家業を継ぐため東京からUターンしました。
「会長や社長の思いを受け継いで、地域を良くするためにできることが私にはあると思って」と大貴氏は話します。

生産方法やこだわりはそのままに、東京での社会人経験で培った目で変えていくべきところは改革していこうと、社内システムの改善や対外的なプロモーションを実施。手書きが多かった育成記録のデジタル化や、養鶏に対する思いやこだわりを届けるためにホームページとパンフレットの制作に加え、『グリーンファーム久住』の品質にお墨付きを得るための品質認証取得にも取り組んでいます。

「安心・安全、環境維持を追求する『グリーンファーム久住』に時代が追いついてきたと思います。それをうまく捉えてこれからも社会にあり続ける会社であるために、変えるべきところは改善する。養鶏の基礎や鶏自体を深く知ることはもちろんですが、品質管理の向上や、IT化、認証の取得、顧客の獲得などに、時代の変化と照らし合わせながら会社をしっかりと存続させる体制をつくっていきたいですね。売り上げが上がって会社が拡大すれば、地域の人をもっと雇用できるし、従業員の休みも増やせるかもしれない。創業時の想いを受け継ぎ、私たちは常に社員にとって、地域にとって、鶏にとって、何が最善かということを考えて運営していきたいと思っています」と大貴氏は語ります。

今後は『グリーンファーム久住』の特長である平飼いの鶏舎を拡大し、会社も地域も守っていきたいと話す大貴氏。親子3世代、品質に正直な卵作りで地域の未来を担います。

人事系のコンサルティング会社に勤め、海外での勤務経験もある大貴氏。養鶏の先進地であるヨーロッパとも積極的に交流を深めている。

鶏舎ではオスも一緒に暮らす。なるべく自然な状態を保つため、人間は鶏舎の中にあまり入らないようにしている。

住所:大分県竹田市久住町大字久住4066番地2 MAP
電話:0974-76-1411
グリーンファーム久住 HPhttps://www.kuju-egg.jp/
※家畜伝染病予防のため、養鶏場内での卵の販売は行っておりません。