NEW STYLE of TEA PARTY異業種が交錯することによって生まれたお茶の可能性。
特別名勝「栗林公園」(以下、栗林公園)にて行われた「栗林大茶会」には、4人のキーパーソンが存在します。そのひとりが、飲料監修を務めたバーテンダー、南雲主于三氏です。
「茶の湯監修、和菓子監修、空間監修と建築チーム……。栗林大茶会の特徴のひとつとして挙げられるのは、地元の方々との関わりを基本に、県外からの異業種が混在していることだと思います。どんな空間ができあがり、それをどの順番で巡回し、どんなお菓子が供されるのか。構成されるピースが多いため、各所と緻密に確認しながら構成していきました」。
南雲氏をはじめ、皆が表現したかったのは、お茶の新しい価値化。目指すテーマは、守破離。
「まず、伝統的なものを守ること。そして、型を崩さず、それを破ること。さらに、そこから離れ、独自の世界を確立すること。僕は、茶人でありません。しかし、これまでもお茶の可能性を追求すべく、カクテルをはじめとした様々な新しい挑戦をしてきました。その見地が今回は活かせたと思います。そして、異業種が交わることで、自分も想像しなかったような体験を生み出すことができたと思いました」。
想像しなかったような体験として挙げられるのは、空間と器の存在が大きかったでしょう。空間設計の監修には、世界を舞台に活躍する永山祐子氏を迎え、三井嶺氏、VUILD/秋吉浩気(以下、VUILD)、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ + 佐藤敬(以下、KASA)が参画。3つの世界を創造しました。
「臥松庵」と名付けられた三井氏の設計は、横倒しされた一本の松が屋根に見立てられた野点。亭主は、茶の湯監修を務める武家茶道・武井宗道氏が担い、薄茶を供しますが、その器は、もはやアートと呼ぶに相応しい「B-OWND(ビーオウンド)」の工芸作品。一見奇抜のように見えますが、不自然と自然が絶妙な世界を形成し、南雲氏が言う、想像もしなかった世界の好例と言えるでしょう。
「三井さんの臥松庵、KASAの露庵、VUILDの泳月庵。全てに共通するのは、この広大な敷地面積の中から、たった1点の場所を見つける着眼点の凄さ。自分の役目は、場が生まれたことによって、そこで何を飲んだら心地良いか。自分が作りたいものではなく、空間と風景と器が合わさった時、どんなものを供したら全てのバランスが整うのかを考えました」。
ここまでは、守破離の破と離。しかし、これらの体験が生きるのは、地元の老舗料亭「二蝶」代表・山本亘氏の「守」があってこそ。「山本さんが亭主を務める掬月亭がなければ何も成立しません」と南雲氏も話します。
とはいえ、山本氏の見立てにおいても古典だけではありません。中でも、イサム・ノグチがデザインした和紙の装飾や流政之の器の起用は、香川が持つ高い芸術性を漂わせ、モダンなエッセンスも加味されていました。
「お茶は最先端の文化。ただ嗜むだけでなく、歴史や文化、さらには、芸術やセンスも必要だと思います。栗林大茶会では、そこまで難しいことはしませんでしたが、そういった知見を学ぶことによって、より高度なコミュニケーションが取れると思います」。
NEW STYLE of TEA PARTY完全じゃないから面白い。不完全の美学。
「栗林大茶会は、過去と未来をつなぐものだと考えています」。
昔と比べ、これほどまでに世界が変わった現代において、もし、当時の茶人がお茶を表現したらどんな世界を作り上げるのか……。もしかしたら、もっと最先端の技術を取り入れるのか……。と、南雲氏はそんなことを想像しているのです。
「今回、建築や器、カクテルなどの視点からお茶の新しい価値化を目指しましたが、例えば、音楽や映像などを取り入れても面白いかもしれません。さらには、VRも。現実と非現実を交錯させることもできますし、テクノロジーの進化によって、過去と現在の世界をつなぐこともできるかもしれません。そんな時に、どんなドリンクを提供できるのか!? 想像しただけでもワクワクします」。
一歩一景とは、「栗林公園」を表現する言葉。一歩歩くごとに、その風景が様変わりすることを意味しますが、南雲氏が表現したい風景は、歩くだけでは見ることのできない風景。見える景色もあれば、見えない景色もまたあり。
「自分は、味覚で風景を作りたかった」と南雲氏。
今回、それは成せたのか? 完璧を求めればまだまだできることがあったに違いありませんが、不完全の美こそ、「栗林大茶会」なのかもしれません。それはなぜか。かのイサム・ノグチが残した言葉に「栗林大茶会」を見出したいと思います。
「完璧じゃないから面白い」。
会場:特別名勝「栗林公園」
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
期間:2024年10月15日(火)〜10月22日(火)
時間:9:00〜/13:30〜
料金:33,000円(和菓子・飲料×5セット・呈茶体験)
主催:ONESTORY
共催:香川県
後援:公益社団法人 香川県観光協会
協力:株式会社ナイスタウン、フリット(翻訳サービス)
Photographs:SHINGO NITTA
Text:YUICHI KURAMOCHI


























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