
132万円(税込) / 424.19平米
丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩9分
元は印刷会社だったようですね。1階と地下1階の天井高が3.4mある一棟モノのご紹介。
場所は千石3丁目の交差点近く。前面道路の幅員が広く、交通量は少ない通りにあります。
道路に面する1階部分は天井も高く、車の乗り入れが可能で荷物の搬出入にも便利そうです。
室内未確認のため地 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
ハッピー ハロウィン
息子には、最近仲良くなったお友達がいます。
二人でふざけあっている姿は、ほほえましい仲良し男子♪
だから、
「○○くんがオレに(空手の)寸止めをするのが、いやなんだ。」
と息子に打ち明けられるまで、私は、何度もその現場を見ていたにもかかわらず、全然分かりませんでした。
年少の頃に、担任の先生から指摘されたことがありますが、
息子は友達にいやなことをされても、「やめて」と言わずに我慢するのです。それも、笑顔で!
傍から見ると、仲良くふざけあっているようにしか見えません。
これって…いじめられても、周囲が気づかず、いじめがエスカレートする原因になりますよね!?
息子には、「嫌なことは、嫌と言うんだよ。」と言い聞かせ、「やめて」と言う練習をしました。
ちょっと迷いましたが、担任の先生にも、
「息子が○○くんに空手の寸止めをされるのが嫌だと言っています。嫌なことをされたらやめてと言えるよう、応援をお願いします。」
と、メモ書きのお手紙でお願いしました。
息子が他者から嫌なことをされた時、自分の気持ちを誤魔化したり我慢せずに、「いやだ。やめて。」と意思表示できるようになってほしい、という思いを書いたつもりでしたが、
先生には、友達の乱暴をやめさせてほしい、という要望にとられてしまい…💦
いや、違うんですけど💦…と改めて、口頭でお伝えしました。
やっぱり、文章で思いを伝えるのって、難しいですね。
その後、お友達は、息子に空手の寸止めをしなくなりました。 (←先生が目を光らせているから?)
お友達にとって、息子は空手の練習台だったかもしれませんけど、
私はそのお友達を、息子の、嫌なことをされたら嫌と言う練習台にしようと考えていたわけで…。
ある意味、残念。 (←ひどい母)
そんな母の黒い思惑とは裏腹に、息子とお友達は毎日仲良くしております。
私も、その子と、その子のママとなぜか仲良くなりました~
先日、幼稚園の芋ほり遠足がありました。
その前々日に高熱を出していた息子ですが、当日は元気に参加できました。疲れからか、帰宅後に微熱を出しました。
今年の芋は大きくて立派です。
母子世帯は、公的な住まいの支援策も乏しく、収入が不安定とされるため賃貸の入居を断られるケースが少なくないという。そんななか、母子世帯の貧困や孤独を防ぐために、不動産事業や介護事業を担う企業や、自治体などが、空き物件などを活用してシングルマザー向けシェアハウス事業に乗り出している。実際のシングルマザーの住まい事情や、専用のシェアハウスについて、住宅福祉に詳しい日本学術振興会特別研究員の葛西リサさんにお話しを伺った。
シングルマザーへの住宅支援はほとんどない
――シングルマザーの方の家探しの現状について教えてください。
多くのシングルマザーに取材すると、離婚をきっかけに家を出る母子家庭だけでなく、夫と反りが合わない、子どもへの虐待やDVなどの理由で、離婚する前から住まい探しを考えているプレ・シングルマザーもとても多いです。離婚せず、収入が不安定なイメージがある母子家庭が家を借りるには審査も通りにくく難しいのが現状。シングルマザー向けと謳われている公営住宅優先入居制度は、行き場がないからと緊急に入居できるものではなく、希望する団地に空きがあるとも限りません。
日本学術振興会特別研究員の葛西リサさん(撮影/水野浩志)
平成28年の厚生労働省の調査では、シングルマザーが専業主婦の割合は2割程度、勤労者でも約半数が派遣社員やパート、アルバイトです。母親の稼ぎだけでは、家を借りて子どもとの生計を立てるのは難しいケースも多い。でも今の日本は、シングルマザーへの住宅支援もほとんどなく、地方自治体の窓口に相談したとしても支援しにくいのが現状です。
――母子生活支援施設への入居という選択もありますが。
ただ、これまでの普通の生活から施設に入居するのは抵抗がある人も多いように思います。また、より状況が深刻なDV被害者が優先的に入る傾向もあり、入所希望は簡単に受け入れにくいと聞きます。結局、子どもを連れて実家に帰ったり、友達の家を転々としたりというシングルマザーは多くいると感じます。
好立地にシェアハウスが多い理由――そんな中で、シングルマザー向けのシェアハウスが注目されていますが、いつごろから登場したのでしょうか。
若者や外国人向けシェアハウス運営をしてきた不動産事業者に、シングルマザーからの入居相談が増えたことなどがきっかけと言われていますが、私が最初に出合ったのは2008年でした。学習支援や学童保育を担う企業が、当時、増えてきた空き家を活用してシェアハウスを運営しました。社会貢献性を世の中にアピールできることも目的だったかと思います。
実際に、国内外に住むシングルマザーから問い合わせがあるほどニーズはあったと聞きましたが、結局1年も経たずに終了してしまいました。原因は、近くの保育園が満床で入れないなど、シングルマザーが暮らすには不便な立地だったのです。インフラを考えずに進めたゆえの失敗でした。
そうした失敗を生かしながら、さまざまな企業や起業家の方々が今もシングルマザー向けのシェアハウス事業に乗り出していきます。今はシングルマザー向けとうたっているシェアハウスはおおよそ30件ほどあり、そのほか、多世代型のシェアハウスにシングルマザーを受け入れているケースも複数あります。数々のシェアハウスを取材しましたが、そこで思ったのは、圧倒的に利便性の高い立地ではないと、このビジネスを成立させるのは難しいのではないかということ。実際にシングルマザーに人気のシェアハウスは、東京都新宿区の新宿まで自転車で10分の団地や、東京都渋谷区の代官山から徒歩1分、閑静な住宅街などが並ぶ東京都世田谷区といったエリアです。
――かなり家賃が高そうな気がします。
家賃は当然、都心か地方かによっても異なります。安いところだと地方で2万6500円からという物件もありますが、平均して3万5000円ぐらいから5万円ぐらいでしょうか。都心のシェアハウスでは、15万円という家賃の物件もあります。最初は私もこんな価格では入居する人は少ないのでは?と思いましたが、予想に反していつも満室です。ただし、15万円の内訳は、平日の食事や保育園のお迎え、21時までのベビーシッター手当なども含みます。
実は年収300万円前後から、シングルマザー向けの公的支援はほとんど使えなくなり、高額所得でも税金などが高くなるため、生活が苦しくなりがちです。そういった階層には、15万円という家賃のなかにベビーシッター料金(独自で利用するとかなり高額になり、毎回、緊急で手配するという精神的な負担も大きい)や水道光熱費が含まれ、そして、平日の夕食代が付くというあらゆるサービスが定額で受けられる住まいは魅力的に映るはずです。贅沢しなければ、仕事と子育てがしやい環境で快適に暮らせる。一見高く見える家賃ですが、お得な条件がそろう魅力的な住まいなのです。
ちなみに、そのシェアハウスでは、21時まで子どもを見守ってくれる、保育資格を持ったアクティブシニアの方も一緒に暮らしており、子どもが病気になったり、不安になることがあったりしても、相談できる相手がいるのは心強いと思います。
仕事を斡旋してくれるケースも――その他に特徴的なシェアハウスは?
千葉県流山市のシェアハウス「MOM-HOUSE(マムハウス)」には、1階に保育園と洗濯代行店があり、保育園の送り迎えの労力もかからないし、職を探しているシングルマザーはそこで働くこともできます。入居者に話しを聞くと、送迎や通勤時間がなくなり、一般的な賃貸住宅に住んでいたときよりも、ゴールデンタイムに自由な時間が2時間ほどできて、子どもの宿題を見るなどもでき、気持ちに余裕が生まれたと喜んでいらっしゃいました。
MOM-HOUSE(マムハウス)に併設された洗濯代行店「WASH & FOLD」(撮影・葛西リサ)
1階には小規模保育園「オハナゆめキッズハウス」も(撮影・葛西リサ)
2階の共有LDK(撮影・葛西リサ)
シングルマザーのなかにはさまざまな事情で、地方から引越してくる人も多く、一から仕事を探す必要がある場合がほとんどです。こうした仕事の斡旋といった就労支援までしてくれるシェアハウスは重宝されると思います。
また、大阪市平野区のシェアハウス「ideau」は、「ぐるぐるそだつながや」という古い長屋をリノベーションした建物内にあります。「ぐるぐるそだつながや」の中心には、住人や近所の人が集まれるシェアキッチンや、ヨガ教室といったイベントを開催できるコミュニティスペースも。住民や近所の人が子どもたちを見守る目にもなり、シングルマザーの方もその子どもも孤立せず、安心して暮らせる住まいになっている。こうした特徴があるシェアハウスも人気ですね。
シェアハウスと同じ敷地内にある「ぐるぐる そだつ ながや」のコミュニティースペース(撮影/水野浩志)
――実際にシェアハウスに入られたシングルマザーの声は?
インタビューすると、「シングルマザーというだけで家探しがハンデになる」と答える人は多いです。そんななか、シェアハウスはシングルマザーを前提で受け入れてくれるし、オーナーさんも理解があるので、それだけでとても安心感を得られるという意見がありました。
また、自分のキャリアを諦めたくないという思いで、実家がある地方から都会に上京された方も多く、シェアハウスのおかげで人生のチャンスを与えてもらえて本当にうれしかったと話す人も。同じ境遇の人が集まって住んでいるので、オススメの保育園やその手続き、小児向けの救急病院の場所などを教え合うことができます。地縁のない土地に住む人にとって、そうした子育てに役立つ情報を比較的容易に得られるのは、とてもありがたいとおっしゃっていました。
なかでも特に印象に残っているのが、ある若いお母さんに「入居してよかったことは?」と尋ねたときに、「子どもを殺さなくて済んだ」という答えが返ってきたことです。シングルマザーは孤独で、子育ては自分のコントロール通りにならないことも多く、自身の稼ぎだけで子育てできるのかという不安も襲ってきます。子どもしか話し相手がおらず、大人と会話する機会がないとネガティブな考えに陥りがちです。でも、シェアハウスに住めば、子どもを寝かしつけてから共有スペースで、お母さん同士雑談することもでき、そんな時間が持てるだけで心の安定につながるとおっしゃる方もいます。入居者の年齢も幅広いケースが多く、年配のお母さんが若いお母さんの世話を焼いてあげるケースもあるようです。
子育てに関する価値観の相違が課題――シェアハウスのデメリットは?
シングルマザー専用に限らず、シェアハウス全般に言えることですが、価値観が異なる人たちが共同生活をするので、価値観の相違でもめごとが起こる場合もあります。それがシングルマザーになると、「子育てや教育の価値観」が主なテーマになる。多様な人が集まれば、多様な子育て経験ができるとメリットに捉えればいいと思いますが、全員がそうではありません。
例えば、自分の子どもにはできるだけ手づくりの食事を取らせ、ファーストフードを食べさせたくないと思っているお母さんと、ファーストフードを与えるお母さんが同じシェアハウスに住むと、「○○ちゃんは共有スペースでハンバーガーを食べているのに、なんで私はダメなの?」と子どもが言いかねず、自分の教育方針を通しにくくなる場合があります。21時には寝かせたいのに、他の子どもが23時まで起きているシチュエーションで、「21時には寝かせてほしい」と言いづらいお母さんは、フラストレーションが溜まるわけです。
(写真/PIXTA)
――そうした価値観の相違やコミュニケーションの問題をクリアするために、何か方法はあるのでしょうか。
入居側としては、体験入居を実施しているシェアハウスもあるので、そこでしばらく住んでみて、ほかの入居者たちと自分や子どもが合うかどうか、マッチングをする方法があります。
運営側としては、あるシェアハウスの事業者の方は、住人同士、角が立たないように、「やってほしくないこと」を共有スペースに貼るようなシステムをつくるべきとおっしゃっていました。また、入居者を募集するときに、「このシェアハウスではこんなイベントを開催します!」などと打ちだしながら募集すれば、そうしたコミュニティづくりが好きな人が集まってきます。ある程度、価値観が似ている人を集めてシェアハウスをつくるのは、一つの手でしょう。
――今後、シングルマザーのためのシェアハウスはどのように育っていくでしょうか。
面白いのは、不動産業や介護事業、人材派遣業といった企業、自治体、コミュニティづくりが得意なNPO団体など、参入する企業や団体が多角的であることです。集客方法一つを切り取ってみても、不動産会社だと住まいや利便性をアピールして募集するし、コミュニティづくりの専門家ならイベントなどを提案しながら、コミュニティ好きで価値観が似ている人たちを集めたりします。
職を斡旋できる介護業界や人材派遣業界が運営すれば、職を求める人が集まってきます。介護業界は空前の人手不足ですから、シェアハウスを提供することで介護職を担ってくれる人も得られるというメリットもある。ただ、職場が合わなければシェアハウスも出なくてはいけないというデメリットもあるでしょう。
入居者側のシングルマザーは、こうしたシェアハウスのメリットとデメリットを知って、住まいの選択肢の一つとして考えればいいと思います。また運営側としては、行政を巻き込んでさまざまな立場の事業者が、住居トラブルや集客の難しさといった課題や情報を共有し、知恵を出し合いながらサービスを改良したり、入居希望者の事情にマッチするシェアハウスを紹介し合う仕組みをつくったりすれば、入居者と事業者の双方がメリットを享受できるシェアハウスに育っていくのではないかと思います。
シェアハウスから生まれるコミュニティの力がカギに?シングルマザーの方の厳しい住まい事情を葛西さんに伺い、シェアハウスは、孤独や不安を感じ、本当に困っているシングルマザーの方のセーフティーネットになるポテンシャルを感じました。しかし、課題点もたくさん。共同生活で生まれるコミュニティの力が、子育てにいかにいい影響を及ぼすかをもっとアピールできれば、さまざまな問題の解決策につながるのではとも。次回は、実際にシングルマザー向けのシェアハウスに取材し、より具体的な現状をお伝えします。
●取材協力自然災害のリスクが高まるなか、特に木造一戸建ての耐震性などが注目される。そんななか、木耐協の調査で、耐震補強工事を阻む要因として、工事金額の高さが挙がった。工事費用はいくらかかるのか、予算イメージと違いはあるのか、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「木耐協 耐震診断結果 調査データ(令和元年10月発表)」を公表/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)2000年までの木造一戸建ての9割が耐震性を満たしていない
まず、木造一戸建て(在来工法・2階建て以下)の耐震性はどうなっているか確認しよう。
木耐協は、1950年~2000年5月までに着工された木造一戸建てについて、2006年4月~2019年7月までに耐震診断を実施した結果をまとめている。耐震基準は建築確認が1981年6月の前か後かで大きく異なり、「旧耐震基準」と「新耐震基準」に分かれる。
その結果、全体で9割を超える((3)+(4)=91.38%)住宅が、今の耐震基準を満たしておらず、旧耐震基準の住宅ではその割合(97.25%)が高まるという結果になった。
なお、新耐震基準の住宅でも85.76%が今の耐震基準を満たしていない。
実は、木造住宅の場合は、2000年6月以降(建築確認)にも、耐震基準に変更があった。耐力壁をバランスよく配置したり、構造部分の柱などの端を接合する部分をしっかり固定できる金物を使うようにしたり、といった改定が行われたので、「2000年基準」より前の新耐震基準住宅には、今の基準より耐震性に弱い部分があるのだ。
では、耐震補強工事の費用はどのくらいになるのだろう?
さきほどの調査結果では、耐震補強工事の費用は次のようになった。
・旧耐震基準(平均築年数45.69年) :平均金額189万315円・施工金額中央値160万円
・新耐震基準※(平均築年数28.86年):平均金額152万4351円・施工金額中央値125万円
※2000年基準以前
木耐協では、耐震診断の実施終了後にアンケート調査を実施している。
「今後、耐震補強工事をお考えですか?」の問いに「いいえ」と回答した人に、「耐震補強工事を考えにくい理由」を聞いたところ、半数近くが「補強費用が高い」と回答した。
耐震補強工事を考えにくい理由(出典/「木耐協 耐震診断結果 調査データ(令和元年10月発表)」より転載)
「耐震性が十分だった」のであれば必ずしも耐震補強工事をする必要はないし、「建て替え」によって耐震性の高い家に住むつもりであれば工事は不要だ。ただし、「地震が来たら仕方が無い」というのは、いかがなものか。巨大な地震が生じたときに、家が倒壊して家族の命が奪われたり、助かった後の生活を支える一切のものを失ったりする可能性が考えられるのに、100万円台の補強工事の費用を惜しんでよいのだろうか。
予算は200万円までに抑えたい!実際の工事金額は……?木耐協の調査では、耐震補強工事を検討している人に、「耐震補強工事の予算感」を聞いている。
予算感としては「50万円未満」(19.33%)、「50万~100万円未満」(33.19%)、「100万~200万円未満」(26.47%)となり、おおむね200万円未満を想定している人が多いことが分かる。
一方、実際に補強工事を行った金額を集計し、予算感の割合と比較したところ、予算感よりも「50万円未満」や「50万~100万円未満」が減少し、「100万~200万円未満」以降が増加する結果となった。
補強工事検討者の予算感と工事実施者の工事金額の差(出典/「木耐協 耐震診断結果 調査データ(令和元年10月発表)」より転載)
※集計の工事検討者と実施者は同一人物ではない
調査結果を見る限りは、全体的に予想した金額より工事費用が高くなる傾向が見られる。「補強工事費用が高い」と感じるのは、費用そのものの額もあれば、予想額より高いといったこともあるのだろうか。
予算に応じた補強工事を検討して、リスクを軽減しようこれに対して、木耐協は「予算に応じた補強工事を行う」ことも勧めている。
耐震診断の「(1)倒壊しない」に引き上げるまで補強工事をするのが理想だが、そこまで費用を捻出できないと断念するのではなく、捻出できる費用でできるだけ補強することのほうが、リスク軽減には有効だ。
例えば、耐震補強で効果が大きい工事はいくつかある。
・構造上の柱などの接合部に金物を取り付ける
・耐力壁を追加したり、筋交いなどを補強したりする
・腐朽や蟻害で弱くなった柱や土台を強化する
・土瓦の屋根を軽量なものに葺き替える
まず、建物の構造自体を強くすることで建物を揺れに強くすることが大切だ。ほかにも、重たい屋根を支えるには強固な構造が必要だが、屋根を軽量化することで負担を減らすことができる。これらをすべて実施するだけの費用を負担できないとしたら、優先順位の高いものから実施するという発想も必要だ。ちなみに、先に挙げた方法(金物の設置→屋根の軽量化)ほど費用が安くなる傾向にある。
また、住宅の耐震性向上は国策でもあるので、耐震診断や耐震補強工事に補助金を出す自治体も多い。特に、旧耐震基準の住宅への助成制度は手厚くなっている。しかしなかには、新耐震の住宅でも一定の耐震補強をすれば補助金を出す自治体もある。補助金などの制度を利用して、費用負担を減らすということも、ぜひ検討してほしい。
最近は、地球温暖化の影響で台風による水害も増えている。もし、台風が通過する地域に住まいがあるなら、それも踏まえて屋根の補強を検討するなど、総合的に住まいの安全性を考えることも求められる。
重要なのは、ハザードマップなどで自分の住まいがどんな災害リスクの可能性があるかを把握し、それに対して自分の住まいがどういった状態かを専門家に見てもらい、予算内でどこまでリスクを軽減するための対策ができるかを検討することだろう。命や財産を守るために。
さまざまなリフォーム実例を見るうちに、かなえたいプランが見えてきたり、中には、希望が膨らみ、思ったより費用がかかるかも?と心配になる人もいるのでは。リフォームはメリハリを利かせて賢く抑えると仕上がりの満足度もグッと上がる。コスト調整のポイントをリフォーム会社のJSリフォーム(日本総合住生活) 北田晃彦さんと、LOHAS studio 澤田亮さんに教えてもらった。ポイントを抑えて、大満足のリフォームを実現しよう。
不満・要望を本音で話し、現場調査で伝え切ることが賢いコスト調整の近道!
やりたいリフォームを賢く実現するためには、リフォーム会社と初めて顔を合わせる「初回打ち合わせ」をいかに有意義に過ごせるかがカギとなる。なぜなら初回打ち合わせは自宅での現場調査を兼ねるケースが多く、この現場調査でのヒアリングと見た内容が土台となって、リフォームプランと見積もりがつくられていくからだ。そのため、不具合を感じている箇所はもちろん、家全体の状態などをまとめてプロの目で見てもらうことが大切だ。
同時に、現場調査は要望を伝える場でもある。現地で具体的な話ができる機会を活かすため、下記の三つは事前に整理した上で臨みたい。
⑴解消したい不具合
⑵かなえたい住み心地
⑶それを実現するために用意できる大体の予算
「初回の打ち合わせには、住む人みんなで参加して、暮らし方を伝えましょう。見栄を張らずに本音で話すことで、プランの変更を防げるので、後のコスト変動を減らすことができます」(北田さん)
その上で、プランや見積もりの調整を考えるには、選択肢が多く、費用の削減に効果的なものを知っておくと進めやすい。
例えば、マンションを全面リフォームする場合、一番インパクトがあるのは設備費と間取り変更や床など木工の大工工事費で、全体の約6割を占める。自分で選びやすく調整をしやすいのは、やはり設備だ。特に面材や設備のグレードやデザインのバリエーションが豊富なキッチンは、価格の幅が広く、大きなコスト削減につながりやすい。また、間取り変更は、電気の配線工事など床や天井を含む広範囲な大工工事につながることが多いため、費用が大きく変動することも。
(画像提供/PIXTA)
コスト調整のための5つのポイント■ポイント1.要望整理/「不満」と「希望」は分けて家族内で出し切るべし
検討が進むにつれてやりたいことが増え、費用は上がることも。そこで、家族で話し合う段階で解消したい不具合とかなえたい希望を分け、十分に出し切ってリフォーム会社に伝えれば、プランの練り直しや追加費用の発生が避けやすくなる。「特に一戸建ての場合、優先するプランや費用に影響するので、今後の居住年数を必ずお聞きしています」(澤田さん)
■ポイント2.現場調査/家の状態をしっかり把握。「予想外の出費」を防ごう
現場調査は、プランと見積もりの礎となる重要な場。そのため、プロの目でしっかりと調査してもらうことが予想外の出費抑制につながる。「特に一戸建ては、耐震性や断熱性など躯体にかかわる部分や雨漏りの有無などの確認が大切です」(澤田さん)。修繕はプランやコストへの影響が大きいので、最初に判断してもらうことで大きな追加費用を防げる。
■ポイント3.プラン・見積もりを比較検討/割合が高い「設備」と「間取り」を重点チェック
各社から現場調査に基づいたプランと見積もりが提案されたら、初めて概算費用がわかる。設備の品番までを確認すると、細かく比較できる。また、間取り変更はコストへの影響が大きいので、範囲を絞って再検討するのも手だ。
■ポイント4.契約/金額だけで選ばずにプランの納得度で決めよう
契約先は見積もりの安さだけで選ばず、各社の金額の根拠をしっかり聞いた上で、総合的なバランスで判断しよう。
■ポイント5.プランの詳細を詰める/コストの最終調整は「設備・建材」で行う
選択肢が豊富な設備や建材は、費用を調整しやすい部分。ショールームでさまざまなグレードを比較し、予算に合った商品を選ぼう。
(画像提供/PIXTA)
リフォーム費用コストダウンのワザ要望を全てかなえようとすると、予算はオーバーしがち。でも、リフォームプランの工夫や選択次第で、得られる効果は変えずにコストダウンできることも。具体的なコスト調整の方法を見ていこう。
■造作を減らし、既製品を上手に活用
収納家具などの造作は、素材やデザインにこだわれるのが醍醐味。統一感のあるインテリアや、地震での倒壊リスクがないなどメリットは多い。だが、特別な職人の技術を要するので、既製品より割高になることも。テレビまわりの壁面収納やキッチン収納は面材の選択肢が豊富でコストを調整しやすいので、既製品を活用するのも手。
例)キッチンの背面収納は造作せず、既製品にする場合
背面収納を造作する 約96万円
↓
既製品を選ぶ 約42万円
※見積もりは目安。諸経費、消費税などは別途
内容:【造作】木工費、取り付け費 【既製品】トクラス・ベリー(扉:リファインホワイト)、取り付け費 (算出、写真協力 JSリフォーム(日本総合住生活))
■ドアや建具を省き、つくりをシンプルにする
ドアや建具は材料費や設置の手間がかかるので、極力減らすとコスト削減になる。居室ごとのドアはもちろん、特にプライベート空間の収納で工夫しやすい。クロゼットの中をシンプルなつくりにするのも○だ。玄関の収納をオープンな棚板だけにしたり、必要に応じて目隠しできるロールスクリーンを設置するのも手だ。
例)扉ナシのオープンな収納で洗面化粧台を造作する場合
扉アリで造作する相場 約50万円
↓
扉ナシで造作する相場 約35万円
※見積もりは目安。諸経費、消費税などは別途
内容:幅 900mm、奥行き 600mmを想定。同サイズで同素材を使って洗面化粧台を造作する場合の目安。写真はイメージ(算出、写真協力 LOHAS studio)
賢くコスト調整をするためのポイントを見てきた。さらに具体的な調整については、契約後にリフォーム会社と詳細プランを詰める中で一つひとつ取捨選択をしていく。かなえたい暮らしに合わせ、丁寧に詰めていこう。
構成・取材・文/竹入はるな
●取材協力50歳を前に、西軽井沢と東京(現在は横浜)で二拠点生活を始めたWさん夫妻。
「ただ、そんなに目的をもって二拠点生活を始めたわけではないんです」と言いつつ、「この選択に間違いはなかった。この暮らし方を満喫しています」というWさん夫妻に、今回は現在の暮らしぶり、二拠点生活を始めた経緯、将来の展望についてインタビューした。
「老後は田舎暮らしをしたい」とずっと考えていたというWさん夫妻。それを前倒しする形で、2年前から西軽井沢拠点での暮らしを始めた。軽井沢暮らしを機に、妻は長年勤めた会社を退職している。「ずっとずっと辞めたいなぁと思っていて(笑)、せっかく家を建てたし、もっと満喫したい。今が辞め時だって思い切りました。新卒で25年以上働いてきて、もういいかなぁって。ここで一区切り、新しい生活をしてみようと思ったんです」(妻)
一方、夫は東京と西軽井沢の二拠点生活。金曜日の夜に西軽井沢へ。土、日を過ごし、月曜日の早朝に新幹線で出社している。「軽井沢駅までは車で15分、軽井沢駅から東京駅までは新幹線で1時間程度。満員電車知らずで、かなり快適です。近い将来には、一日ほどリモートワークさせてもらって、週4長野、週3東京といった生活ができればいいなって思っています」(夫)
最近、夫が東京から神奈川県に転勤になったことに伴い、東京都三鷹市の住まいは売却。横浜市内に1LDKのマンションを借り、妻も友人に会うなど、東京に用事があるときなどに、拠点としているそうだ。
二人とも「のんべえ」さん。外食よりも家でのんびりお酒を飲むことが多いそう(写真撮影/片山貴博)
こだわったのは、平屋でシンプルな住まいであること依頼したのは、宿泊できる住宅展示場を展開している「class vesso西軽井沢」。W夫妻宅の完成後、入居までの半年間はモデルハウスとして貸していた(写真撮影/片山貴博)
西軽井沢の住まいは、土地を買い、注文住宅を建てた。
「東京の自宅は3階建てで、今はいいけれど、年を取ると階段の上り下りは大変になる。次の住まいは“平屋”がいい。それがこだわりでした」(妻)
当初は“平屋は意外と割高になる”とも聞いていたが、あらかじめ構造計算されたユニット式の住宅をアレンジすることで、コストを削減。木のぬくもりが感じられる住まいが実現した。開放的なキッチン、外と一体感のあるテラス、タイル細工がアクセントのパウダールームなど、随所にこだわりも。
「ドアは最小限で、ほぼワンルーム。今は2つ住まいがあるので、モノも最小限にと思っています。とはいえ、生活の場でもあるので、だんだんモノは増えてしまっていますね」(妻)
長野の拠点ができたことで、東京から友人が泊りがけで遊びに来ることも増えた。「このあたりは別荘地なので、布団のレンタルサービスもあり、客用布団は不要です」(妻)
開放感あるリビング。冬の暖房は薪ストーブで (写真撮影/片山貴博)
赤いドアがアクセントの玄関。既製品のハンガーフックを斜めにつけて、スキー板置き場にDIY (写真撮影/片山貴博)
開放感あるカウンターキッチン。「コーヒーを淹れるのは夫の担当。彼は料理も得意です」 (写真撮影/片山貴博)
トイレと一体化したパウダールーム。モザイクタイルがおしゃれ (写真撮影/片山貴博)
趣味のワインに没頭。コミュニティづくりにも一役買う一足先にセミリタイア生活を送っている妻。「ここでの生活どうですか?」と漠然とした質問をしたところ、「今も会社勤めをしている彼には悪いけれど……」と前置きしたうえで、「かなり楽しい!」 と即答。「例えば夕暮れ時に染まっていく空の色をぼんやりみるだけで、心癒やされます。野菜を植えたり、家の中を少しDIYしたり、ちょっとしたことで季節の移り変わりを感じたり。忙しい東京での暮らしでは考えられないことです」
そんな妻が今、夢中なのが「ワイン」。移住者向けの農業セミナー「農ある暮らし研修」や1年間のワインアカデミーで知り合った友人たちと一緒に、ブドウ農園で醸造用葡萄づくりのお手伝いをしたり、ワイナリーをはしごしたり、趣味とコミュニティづくりを兼ねた日々を過ごしている。「このあたりは移住者や二拠点生活をしている方も多く、共通の趣味があるので、自然と仲良くなれます」
今日は、ワインアカデミーで知り合った、長野県東御市在住の葡萄農家の方の畑で収穫のお手伝い(画像提供/妻)
ワインアカデミーの同期の面々。「ご夫婦で小諸に移住された方、東京から長野に週末通って、葡萄を育てている方、ボランティアで収穫にかかわっている方などさまざまで面白いです」 (画像提供/友人)
今は、平日は夫婦別居生活になっているWさん夫妻。二拠点生活をしている夫に、「生活は変わりましたか?」と聞いてみると、「実はあまり生活が変わっていない」と返答。「もともと、共働きで、平日の夕食はお互い自己解決だったため、今と同じです」。むしろ、今は、別々に暮らす平日でもLINEでおしゃべりしながら夕食をとったり、休日は、毎朝森の中を数kmランニングするなど、ほぼ一緒に過ごし、かえって、メリハリのある関係でいられるようだ。
西軽井沢の住まいのテラスでのんびり過ごす、おふたり(写真撮影/片山貴博)
“新幹線通勤もありえる場所”――それが二拠点生活の始まりそもそも、どうして西軽井沢に拠点を構えることになったのだろう?
「東京はあくまでも“稼ぐ場所”。ずっと暮らすつもりはなかったから」と、夫婦ともに口をそろえる。夫は福島、妻は福岡と、ともに地方出身で、東京に一戸建てを建てたものの、「定年後は、どこか田舎で暮らしたい」とずっと思っていたそう。「だから、どこか旅行に行くたび、“ここで暮らしたらどうだろう”と考えていました。地元の不動産会社をのぞいたり、実際に物件に足を運んだこともありました」(妻)
訪れた場所は、富山、湯布院、屋久島、小豆島、阿蘇など多種多様。さらには、タイやフランス、ニュージーランドなど、海外移住も漠然と検討していたそう。そんななか、毎年参加している小布施見にマラソンのついでに、たまたま足を運んだのが、この西軽井沢の土地。最寄駅となる御代田駅は、軽井沢駅から、しなの鉄道線で3駅、約15分のロケーションだ。「もともと別荘地として宅地分譲されていたもの。旧軽井沢など昔からの別荘地の土地は高いですが、少し離れることで手の届く価格になっていました」(妻)
しかも、「この場所なら、東京の職場へも通える」距離感だったことも決め手になった。「当初は定年退職、少なくとも早期退職後に、田舎暮らしを始めるつもりでしたが、この場所なら新幹線通勤もアリじゃないかなと思い始めました。それなら、“いつか”ではなく、“今”買ってもいいのかもと思うように」(夫)
その日のうちに申し込み。“いつかの夢”と思っていた田舎暮らしの夢が一気に現実に近づくことになった。
友人が手掛けたワインで乾杯。「軽井沢は昔からの別荘地なので、地元のスーパーもジャムやハム、チーズなど気の利いたものが充実しています」(写真撮影/片山貴博)
近所にある農作物の直売所センターにはよく足を運ぶ。「新鮮でとにかく安い。バターナッツなど知らない野菜にも出会えて楽しいです」(写真撮影/片山貴博)
50代の今だからこそできることも。前倒ししてよかったと実感当初は「定年後に田舎暮らし」を想定していたWさん夫妻。それが10年以上前倒しになったことは想定外だったけれど、結果的に正解だったと思っているそう。
「田舎暮らしは、やることが意外と多いんですよね。ストーブの薪割り、庭の手入れ、大工仕事など、いろいろあります。60代でいきなりこんな生活に突入するのは正直キツかったと思うんですよね。だから、リタイア前に、二拠点を構えて、働き方、暮らし方をゆるやかにシフトしていくやり方は、よかったなと思っています」(夫)
薪割り、薪置き場のDIY、煙突の掃除など、田舎生活はやることがいっぱい(画像提供/妻)
(画像提供/妻)
現在は横浜と西軽井沢の二拠点生活だが、定年退職後は西軽井沢に完全移住するつもりというWさん夫妻。家のメンテナンスをする。東京の住まいを売却し、モノを減らす。コミュニティをつくる。それらのすべてが、完全移住のための準備に。「この土地に出会ったことで、すべてが動き出しました。決断して良かったなと思います」(妻)
定年後の田舎暮らしに憧れる人は多いが、いきなり始めてしまうのはハードルが高いもの。Wさん夫妻のように、現役時代に、二拠点生活を始めてみることで、ゆるやかにシフトしていくのは賢い選択だろう。Wさんの場合は家を建てたが、試しに賃貸で始めて見るのもひとつの方法だ。
お久し振りの更新です。
息子は幼稚園の運動会後、のど風邪から発熱(39.5度)、それ以降ずっと体調不良です。
あの痛い、鼻に綿棒を突っ込むインフルエンザ検査を、今月、3回も受けました。今月中に4回目が無いことを祈っています。
運動会では、ダンス、パラバルーン、競技、、、と、息子曰く、「全部がんばった。」から、疲れちゃったのだと思います。
私は、去年の運動会で、園児をトイレに連れて行ったり、道具の出し入れをしたり、迷子を保護者に届けたり、と運営の手伝いをしていたので、息子の様子を見れず、写真を撮れませんでした。
お父さんが息子の世話を頑張ってくれたのですが、彼の写真やビデオは、まったくあてになりません
職業上の癖なのか、それとも、生まれつきの特性なのか、
「写真・ビデオ」=「記録、資料」
という考えで、事務的な、面白みのない写真しか撮らないのです。
去年は、そんな状況を知る数人のママ友が、息子の写真を撮って送ってくれて、本当にありがたかったです。
今年は、最初から最後まで落ち着いて、息子の活躍を見れました♪
写真もビデオもたくさん撮りました♪
そして、運動会の数日後――
去年、写真をくれたママ友が、今年もまた写真を送ってくれました!
とっても嬉しかったので、
嬉しい、ありがとうー
と、お礼を伝えたけど、私はママ友のお子さんの写真を撮っていませんでした…反省…💦
今度は、わが子ばかりじゃなくて、お友達の写真も撮ろう思いました。
ちなみに、幼稚園では、プロカメラマンが撮った写真を販売してくれるのですが、、、まぁ、これがママ達には不評、、、
子どもは動くから、ただでさえ撮りづらい上に、運動会だから動き回ってばかりです。しょうがない。
息子の幼稚園では、運動会の写真をSNS上にアップするのが禁止されているので、関係ないけど、息子が最近お気に入りのドラえもんとカタツムリのお絵かきをアップします。かわいいですよね~。
私はフランスのパリに暮らすフォトグラファーです。パリのお宅を撮影するたびに、スタイルを持った独自のインテリアにいつも驚かされています。
今回は数年前に花と一輪挿しに目覚めたスタイリスト&コーディネーターのまさえさんと旅や散歩で拾い集めたものをアレンジするのが得意なアートディレクターのドメさん家族のアパルトマンを訪問しました。
まさえさんとドメさんが子どもと犬と一緒に暮らすアパルトマンは、地図でいうと右岸の右上の19区にあります。サン・マルタン運河、サン・ドニ運河、ウルク運河、ラ・ヴィレット貯水池、と、水場の多いのが特徴です。パリ中心部にほど近い10区のアパルトマンから2009年に引越してきたときには、少し治安が心配なエリアでしたが、ここ数年運河の周りや公園が整備され、家族で安心して楽しめる週末の人気エリアに変わりました。
ちょうど10年前、10区のアパルトマンから引越しを決意したきっかけはドメさんの病気でした。「階段の上り下りは体に負担がかかる。エレーベーター付きのアパルトマンを購入しようと思ったのです」(まさえさん)
そのころちょうどパリのアパルトマンが高騰し始めたばかり、中心部に近い人気の10区11区は無理でも19区20区あたりまで対象を広げれば希望のアパルトマンを買える価格だったそう。
今のお住まいを見つけるまで50軒以上の物件を見て回った二人。物件は良くてもアクセスが悪かったり、間取りは良くてもアパルトマンの天井が低かったり、となかなか希望どおりの物件は見つかりませんでした。
「50軒といっても、部屋を全て見たわけではありません。最寄りのメトロを出た途端に雰囲気がしっくりこなくてその場で見学をキャンセルすることもありました。メトロは私たちの足となる大切なものだから、その周りの街並みはとっても重要だと思います」(ドメさん)
物件を見て回っていて、図面や頭の中で想像しているものと実際は大きく違う、その都度自分たちがどんなアパルトマンを求めているか、条件がどんどん明確になっていくのが興味深い体験だったといいます。
そんなお二人の物件探しの条件は、パリ右岸、犬のナナの散歩が気持ちよくできる、子どもを授かったときのために公園が近い場所、エレーベーターがある、窓が大きく見晴らしが良い、できればバルコニーに小さなテーブルを置いて食事がしたい。というささやかなもの。その条件を満たしたのが今のアパルトマンだったのです。
バルコニーはもうひとつの大切な部屋、という考え方天気の良い日は13歳のフレンチブルドッグのナナともお茶をバルコニーで。まさえさんはイギリスのTony Woodの黒猫ティーポットに一目惚れ、ドメさんからのプレゼントとのこと(写真撮影/Manabu Matsunaga)
アパルトマンのバルコニー側は大通りのため、向かいの建物と距離があり空が広く見える。この景色をまさえさんは「大きな絵画のよう」と話す(写真撮影/Manabu Matsunaga)
大きな窓が購入の決め手となったこのアパルトマンは1970年代にできたもの。床は毛足の長いオレンジの絨毯、壁はピンクのジャガードの生地が貼られていたそう。6カ月をかけてドメさんとまさえさんで改修工事をしました。古い絨毯、古い壁紙を剥がし、 62平米の間取りはサロン、キッチン、子ども部屋、寝室と細かく区切られていたため、大きな窓のあるバルコニー側にあたるサロンとキッチンの仕切りを取り払い、広々とした明るい空間をつくり上げました。
お二人が外の部屋と呼ぶだけあって、素敵に飾られているドメさんコーナー。拾ってきたものをまずはここでストックします(写真撮影/Manabu Matsunaga)
「バルコニーは家の続きで、僕たちはもう一部屋が外にあるって思っています。ここで植物を育て、ここで食事をし、ここで景色を眺める、とても重要な場所なんです。そして、ここは僕が主導権を握る場所なんですよ」(ドメさん)
おふたりの生活をお聞きしていると、確かにバルコニーで過ごす時間が多い。ドメさんはヴァカンスで行った海岸で流木や貝殻、森では松ぼっくりや石ころ、パリの街では愛犬ナナの散歩のときに捨てられた枯れた植物、色々なものを拾い集めて飾っている。
海岸近くで見つけた多肉植物は水の分量が難しく、世話もドメさん担当。それを楽しそうに見守るまさえさん(写真撮影/Manabu Matsunaga)
旅をしていても、パリでも、蚤の市散策はお二人の共通の趣味。マリア像はパリの蚤の市で購入し植物たちの陰にそっと。海岸で拾った穴あきの石は植木鉢にデコレーション。オリジナルなセンスのバルコニーはこうやってつくられていく(写真撮影/Manabu Matsunaga)
「これが松ぼっくりの中にある種です。差し上げるので土に植えてみてください。私も発芽させましたよ、割ると松の実が入っているので食べても美味しいですよ」とお土産をいただきました(写真撮影/Manabu Matsunaga)
蚤の市で買い集めた額がシークレット・ガーデンの主役お二人が出会ったころ、ドメさんは音楽系のアートディレクター、まさえさんはイラストレーターの仕事をしていました。もうすでにそれぞれの世界観が出来上がっていたため、インテリアの趣味が微妙に違っていたそうです。そこで、ベランダはドメさん、まさえさんはトイレを担当しました。「購入後の大工事が終わって、唯一私の趣味を表現していいと許可が出たのがトイレだったのです。夫と出会う前から蚤の市で少しずつ買い集めた額に入った花や鳥モチーフの刺繍は、いつか飾りたいと思って大切にとってありました。やっと出番がきました。テーマは<シークレット・ガーデン>です」とまさえさんは笑います。
トイレの壁は<シークレット・ガーデン>の名にふさわしくナチュラルな木目に額の中の刺繍が映えます(写真撮影/Manabu Matsunaga)
そして、サロンや寝室はお二人の趣味がうまく調和していて、そこに長男ショーン君も加わります。ドメさんが探してきたものを今度はまさえさんが棚に飾ったり、ショーン君が拾った貝殻とまさえさんの集めている一輪挿しが一緒に置かれていたり、いろいろなコーナーを家族でつくり上げています。パリという都会に住みながら、アパルトマン全体が自然の中を旅しているような気分にさせてくれる空間になっているのです。
田舎から持ち帰ってドライにした野草はブロカント市で見つけたGustave Reynaud作の一輪挿しに(写真撮影/Manabu Matsunaga)
サロンの棚は家族の好きなものを飾り、ティーポットや小さな花瓶も花が生けられてなくてもしまわないで並べるのがお二人のルール(写真撮影/Manabu Matsunaga)
「買ったものがほとんどない窓辺!」(まさえさん)。 「デレク・ジャーマンみたいでしょ?」(ドメさん)(写真撮影/Manabu Matsunaga)
花好きに拍車をかけ、一輪挿しに目覚めるきっかけになった出会いとは?北向きの寝室の壁一面だけ自分たちで配合したペンキでブルーに。「花瓶を置いた途端に棚が喜んでいるように見えるでしょう」(まさえさん)(写真撮影/Manabu Matsunaga)
お二人のアパルトマンは、シークレット・ガーデン(トイレ)、サロン、寝室、いたるところに花瓶が置かれていました。まさえさんはコーディネーターという職業柄、街をたくさん歩きます、5年前に通りかかった9区の<Debealieu>という花屋さんはフラワー・アーティストのピエールさんが開いたばかりのお店でした。「見たことのない花々や、当時珍しいドライフラワーが飾ってあって他のお店と明らかに違い、私は言うなれば一目惚れしてしまったのです。それ以来頻繁にお店に通ってピエールさんとよくお話しするようになりました。彼は花屋を始める前は別の仕事をしていたのですが、手を使った仕事がしたくて半年間のフラワー・アレンジメントの研修を受けてお店を構えたんです」
そんなある日、ピエールさんの一輪挿しを使ったディスプレーを見て、この世界観が好きだ!とその日から一輪挿しに花を飾るようになり、それと同時にブーケというものを買わなくなったという感銘ぶりでした。今では、まさえさんにとってピエールさんにしかできないアレンジや珍しい花、特別に見せてもらった一輪挿しのコレクション、彼との会話がエネルギー源になっているといいます。
ピガールから坂を下ってピエールさんに会いに。店の近くには歴史的な建造物、有名な映画監督ジャン・ルノアールが住んでいた屋敷もある(写真撮影/Manabu Matsunaga)
ピエールさんのお店<Debealieu>の一画(写真撮影/Manabu Matsunaga)
「まさえのために今日は特別に好きそうなものを出してきたからディスプレーしてみるよ。写真的にもいいか一緒に確認して」とピエールさん(写真撮影/Manabu Matsunaga)
一輪挿しのコレクションを使ったまさえさんのためのコーナーをディスプレ―完成(写真撮影/Manabu Matsunaga)
和気あいあいと花や花瓶の魅力について語るお二人(写真撮影/Manabu Matsunaga)
週末になるとマルシェで花を買い、街を歩いて気になるフラワー・ショップを見つけると必ずチェックしてしまうというまさえさん。花瓶のコレクションも増え、日々の生活には花があふれています。
ガラスの花瓶も好きで、1920-1960年代の薄いピンクのものがお気に入り。季節のダリアを黄色い球根用の瓶に(写真撮影/Manabu Matsunaga)
陶器で有名な南仏のヴァロリス村のものは個性があって夢もある。顔付きの花瓶も活ける花によって表情が変わる(写真撮影/Manabu Matsunaga)
ピエールさんの影響でまさえさんも花瓶をコレクション。この春にノルマンディの小さい町の骨董市で見つけた花瓶はオブジェとして飾っても素敵ですが、花を活けると花瓶が生き生きとしてうれしそう(写真撮影/Manabu Matsunaga)
(写真撮影/Manabu Matsunaga)
もう一つのエネルギー源は春から夏にかけてノルマンディーにある田舎の家で週末を過ごすこと。
「主に草刈りや家の修復などに時間がかかってしまっていますが、近くには小川が流れていて可愛い野草が
生えているのです。パリに戻るときは散歩がてら摘みに行って、少しいただいて来ます。もちろんそれを花瓶と相談しながら活けるのが楽しみで、また新しい一週間を頑張れる気がします」
旅やパリで色々なものを集めるという作業は、全てに思い出があり、家族の記録になっていると考えるドメさん。自然には何かを気付かせる力があり、ものには必ずストーリーが伴う。
「花には花瓶が必要で、その二つのハーモニーが組み合わせによって変わる楽しがあります。家の空気まで変わるんです」(まさえさん)
そう、花を飾るだけではなく、家の全てを飾る、それは人生をも飾るということなのでしょう。そんな彼ら家族だけの大切な宝物が詰まったアパルトマンでした。
(文/松永麻衣子)
2019年秋は話題のドラマが勢ぞろいしていますが、なかでも注目を集めているのが、13年ぶり(!)の続編となる『まだ結婚できない男』(毎週火曜日夜9時~カンテレ・フジテレビ系)。阿部寛演じる偏屈、独善的、皮肉屋の桑野信介と周囲の人々が織りなす日常をコミカルに描いたドラマは、放送第1回目から高視聴率を記録し、Twitterでも話題になっていました。では、その「自宅」はどうなったのでしょうか。関西テレビの米田孝プロデューサーと美術担当の株式会社テレビ朝日クリエイト 美術制作部・吉野雅弘さんにその裏話を聞きました。
時代は変わった。桑野とその部屋はどう変わる?
今回のドラマは、2006年に放映された「結婚できない男」の13年後を描いたもの。主人公は見た目もよく、収入もあるのにあえて「結婚しない」と主張する一級建築士の桑野信介。前作では建築事務所を中心に、マンションの隣人、医師(かかりつけの医師)、親戚を巻き込みながら話が展開していきました。
この作品、桑野信介が建築士という職業柄のためか、「住まい」について話題になっていることが多いのも特徴です。「女性がマンションを買うと婚期を逃す」「キッチンは家の中心にあるべきだ」「家、妻、子どもは人生の三大荷物」(桑野談)などなど……。
あれから13年。世の中は変わり、「結婚してもしなくても、それはその人の選択」「お一人さまの人生もいい」と独身男性・独身女性の生き方が尊重されるように。また寿命も延び、「人生100年時代」と言われるようになりました。では、新しいドラマはどのように変わったのでしょうか。
まず1回目の放映で分かったのは、桑野信介の順調な仕事ぶり。何しろ新国立競技場のコンペ(※国際的な建築賞の受賞経験がないと応募できない)に手を挙げ、テレビ取材を受け、講演会に呼ばれるなど「一流建築家」の仲間入りをしているようです。
桑野の住むマンションの内廊下。共用部分には宅配ボックスが導入されていました。桑野は502号室に住んでいます(写真提供/カンテレ)
一方で、分譲賃貸の自宅マンションは引越さず、部屋は大きく変わっていません。経済力を考えればもっと良いマンションに引越すこともできたはず。それとも、同じマンションに住み続けているのには理由はあるのでしょうか。
米田孝プロデューサーは、「プロデュース部としては、視聴者の目線にたったときに、『13年経っても変わらない桑野』を表現する一つの象徴でもあります。また、その中でも実は変わっているところもいろいろある……というのは大きな意図ではあります」と裏側を明かします。
自宅はあえて引越さず。前作から見続けているファンは、「桑野の部屋が変わってない!」と思い出すはず(写真提供/カンテレ)
直接照明だけでなく、複数の個性的な照明を配置しているのは、さすが建築家というべき?(写真提供/カンテレ)
また、美術担当の吉野さんによると、「あくまで私の個人的な意見ですが、仕事で成功した桑野は、新しい家に引越しするだけの資金はあるはず。しかし、桑野はこだわりの人です。部屋の広さや高級感を求めるのではなく、自分の理想の部屋を追い求めた結果、部屋の広さ、家具の配置など、今の部屋がベストだったのではないでしょうか」とのこと。
確かに引越せるけど、あえて「引越さない」。自分にとってのベストが何かを知っている桑野らしい選択といえます。ほかにも、良いものは使い続けるということで「ダイニングテーブル」「フランク・ロイド・ライトのタリアセンのライト」は同じものを使っているそう。確かにあの性格ならそうするだろうな、と妙に納得してしまいます。
「独身男性の理想の部屋」、家電がアップデート!そもそも桑野信介の部屋の特徴は、広々としたLDKを仕切らず、趣味のスペース、仕事のスペース、食のスペースをバランスよく配置し、眠る以外の機能が一つの部屋で完結している点です。
徹底的に一人にこだわった部屋。ダイニングテーブルはじめ、椅子はすべて1脚(写真提供/カンテレ)
リビング脇にある仕事スペース。ここではよくエゴサーチをしているシーンが流れる(写真提供/カンテレ)
また、部屋に置いてあるのはシンプルかつ、こだわりのあるアイテムのみ。「ミニマリスト」とはまた違いますが厳選したコレクション、自分の好きなものに囲まれて過ごす。「独身男性の理想の部屋」としてある意味、完成しているのかもしれません。
さらに、桑野信介の部屋の特徴として、「イスが1つ」という点があげられるといいます。
「大きなアイランドキッチンがあるのに、大きなダイニングテーブルにはイス1つ。音楽用チェアも1人用。これは『自身が満足するための部屋』の象徴でもあるのです」(吉野さん)
家族ではなく、自分が好きなものにこだわって、配置する。惜しみなくお金と時間を使える独身男性、個人的には羨ましくもあります。ただ、部屋には大きな変化はありませんでしたが、小物は時代とともにアップデートされているといいます。例えば、家電製品。
オーディオセットは最新型に。より高音質で趣味のクラシック音楽鑑賞に酔いしれているのだろう(写真提供/カンテレ)
桑野の部屋で「変わった」象徴でもあるスマートスピーカー。どう使いこなしていくのか注目(写真提供/カンテレ)
シンクとIHクッキングヒーターが別々になった珍しい二型のキッチン。味にうるさい桑野らしく、炊飯器や電子レンジなどの家電は一新されている(写真提供/カンテレ)
キッチン脇にはロボット掃除機が導入されている。13年前は普及途上でしたが、今やすっかりおなじみ(写真提供/カンテレ)
「家電やオーディオ機器に関しては、13年という時間が経過していますので今の時代に合わせたものを用意しました。13年前よりもはるかに高性能なものです。オーディオ機器は13年前よりもさらに高音質で音楽を楽しめますし、冷蔵庫などは手をかざせば扉が開くなど、いいものは取り入れています」(吉野さん)
なんと、それは気になる……。さらに番組予告などではスマートスピーカーに話しかけるシーンが見られ、公式サイトではお掃除ロボットが活躍しています。偏屈な桑野が最新家電をどう使っているのか、どんな皮肉をいうのか、注目したいところです。
金魚と指揮棒。小物を使ったお芝居にも注目ドラマでは桑野信介が大きな目をギョロりとさせながら、毒舌をふりまくのが見どころのひとつ。皮肉屋でひとこと多い性格は、一歩間違えれば大炎上、単なる嫌なヤツになりそうなものの、どこか憎めない。そのバランスが絶妙です。
「自室で音楽に合わせ、指揮棒を振る桑野はやっぱり憎めないですよね。その点、一人掛けチェアと指揮棒は桑野信介を象徴するアイテムです。あとは13年間、大事に育てているという設定の金魚。13年前と金魚鉢が一緒なので小さく、かなり窮屈そうではあるのですが」と吉野さん。確かに13年前は指揮棒を持っていなかった。そっか、指揮棒を買ったんだな桑野……。自室以外にもバーやカフェの小物は、お芝居の大切な要素だとか。
前作から飼育を続けている金魚。その脇には外出先でも様子を見られるネットワークカメラが(写真提供/カンテレ)
独自のファッションセンスをしている桑野。それでも阿部寛が着るとなんとなくサマになるから不思議(写真提供/カンテレ)
「多くのシーンで折り紙や小さな置物などを配置しています。撮影の際に阿部さんが手に取ってお芝居に取り入れてくれる場合もあります。あとは桑野がまどか(吉田羊演じる弁護士)の事務所に手土産として持っていくバナナ。スタッフが毎回、市場まで仕入れに行ってくれています(!)」というから、美術スタッフの並々ならない気合が伝わってくるようです。
第1回の放送では、「人生100年時代、誰にでもセカンドステージがくる。そのときどんな家で暮らしたいのか。結局のところ、私は自分が住みたい家をつくりたいのかもしれません」という重たい、また13年前には考えられなかったテーマが提示されました。もちろん、恋の行方も気になりますが、個人的に桑野がどんな家をつくるのか、その答えに注目したいと思います。
こちらは玄関。前作よりシックでより高級感ある印象に(写真提供/カンテレ)
●取材協力日本ワークスが、東京23区に一人暮らし経験のある20代~30代男女819人を対象に、「理想の物件」に関するアンケート調査を実施した。その結果、異性を呼ぶときに、勝負を分けるカギとなるのが部屋の「収納」であることが分かった。さて、どんな対策をすればよいのだろうか。【今週の住活トピック】
「『理想の物件』に関するアンケート調査」を発表/日本ワークス異性の部屋でときめいたり、がっかりしたポイントは?
調査結果は、意外とシンプルだった。
「異性の部屋」に入って、「ときめいたポイント」を聞くと、ダントツが、「きちんと整理整頓されている」(46.1%)だった。
「異性の部屋でときめいたポイントを教えてください」(出典/日本ワークス「『理想の物件』に関するアンケート調査」より転載)
さらに、「異性の部屋」に入って、「がっかりしたポイント」を聞くと、こちらもTOPが、「収納ができていない」(31.5%)だった。
「異性の部屋でがっかりしたポイントを教えてください」(出典/日本ワークス「『理想の物件』に関するアンケート調査」より転載)
つまり、異性の部屋でモノがきちんと収納されていない様子を見ると、異性そのものへの印象が悪くなり、きちんと収納できていると好感度がアップして「ときめく」というわけだ。
基本は「確認」・「処分」→「仕分け」→「収める」の繰り返しならば、「異性を部屋に招く際には、きちんとモノを収納すればよい」ことになる。
が、この収納が案外厄介なものなのだ。
かく言う筆者も収納下手だ。「収納ができてない」状態をつくるのが、むしろ上手だからだ。どういうことかというと、次の2つのことをいつもしてしまう。
(1)床にモノを広げる
(2)なんとなく分けて置いたモノの周辺に似たモノを溜める
だから、仕事部屋の床は足の踏み場が少なく、仕事場やリビングの机の上はモノであふれかえることになる。
そこで週に1回、散らばったパートごとに何の書類かを「確認」し、不要なものがあれば「処分」し、自分の分類ルールに沿ってそれらを「仕分け」、定めた場所に分類したものを「収める」ことをしている。「確認」と「処分」→「仕分け」→「収める」の繰り返しが、収納の基本だからだ。
その前提として、次のことを決めておく必要がある。
・分類ルールを決めておく
・分類したものを収める場所を決めておく
筆者の場合は、書類の整理が中心なので、ルールや収納場所を決めるのはそれほど難易度が高くないが、衣類や雑貨、家事道具などはどんどん増えていき、かさばって収納スペースが不足するので、難易度が高くなる。厄介なことだ。
「見せる収納」と「隠す収納」の使い分け収納の専門家に取材してよく指摘されるのが、「見せる収納」と「隠す収納」だ。
マイホーム購入者のお宅を訪問した際にも、モノを見せるように収納している家庭、収納スペースにしまって見せないようにしている家庭に大きく分かれるように感じる。これは部屋や空間によっても変わり、見せたり隠したり、それぞれに工夫が感じられる。
ところで筆者は断然、「隠す派」だ。そのほうが掃除は楽だし、すっきり見える。ただし、しまえるだけの収納スペースが必要となるので、もともと収納の多い家を選ぶか居室に収納スペースを設けるかになる。
一方、「見せる派」は、住む人のセンスが光る。以前マイホームを購入したシングル女性を取材したが、家選びの条件に「趣味でつくった帽子を壁に飾れる」ことを挙げていた。大好きな帽子を常に視界に入れて、生活を楽しむことができる上、訪ねてきた知人は彼女の趣味やセンスを知ることができる。
筆者の知人にも「見せる収納」が上手な女性が多い。ある人は、リビングはヨーロッパの家具や小物で、和室は和風家具と小物で統一していた。「気に入る家具が見つかるまでは無理に収納を意識せずダンボールに入れたままでよい。妥協して収納家具を買ってしまうと、結局そのまま気に入っていない家具を使い続けてしまうから」 というほどの徹底ぶりだった。
「どのように見せてモノを置くか」「どのように収納スペースにしまって隠すか」を使い分けることができれば、異性が部屋を訪れたときに「ときめいてくれる」ような収納された部屋になるだろう。
とはいえ、筆者が拝見した収納が上手な部屋は、間違いなくモノが少なかった。「本当に必要なモノしか買わない」、「使わなくなったらどんどん処分する」ということが、実は収納が上手になる秘訣なのかもしれない。筆者の自戒も込めて、モノは増やさないようにしよう。
2025年日本万国博覧会 (略称『大阪・関西万博』)の開催が決まるなど、話題に事欠かない激動の大阪市。なかでもとりわけ市民を驚かせたのが、JR大阪環状線及び南海「新今宮」駅前に、「星野リゾートがホテルを建設する」という2017年のニュースでした。大阪市が「新今宮」駅前の開発事業者を募り、名乗りをあげたのが意外にも星野リゾートだったのです。
高級ラグジュアリーホテル『星のや』で知られる星野リゾートが、どんなホテルを新今宮に?
大阪市には全国最大の日雇労働市場があります。それが「新今宮」。求職者と仕事を紹介する業者や簡易宿泊所が集まる場「あいりん地区」の中心と言える駅です。そんな“大阪きってのディープゾーン”と呼ばれた新今宮駅一帯に、星野リゾートのホテルが進出(「星野リゾート OMO7 大阪新今宮」2022年開業予定)するという話題は大きく取り上げられました。
では、現場となる「新今宮」駅前は今、実際はいかなる様相を呈しているのか。駅前を歩いてみることにしました。
もしかして消滅する? 「あいりん地区」の現在
JRと南海が乗り入れる「新今宮」駅。駅舎は浪速区と西成区の境界につくられ、そのためJR「新今宮」駅が浪速区、南海「新今宮」駅が西成区となっています。なんば駅の混雑緩和をはかるなどを目的とし、旧国鉄大阪環状線(当時)と連携しつつ昭和41年に開業しました。駅名は、明治時代の行政区画「西成郡今宮村」に由来します。
南海「新今宮」駅(写真撮影/吉村智樹)
JR「新今宮」駅の北東側には浪速区のシンボルである通天閣がそびえ、片や南海「新今宮」駅にはは、4月まで開館していた「あいりん労働福祉センター」という就労斡旋施設の旧・建物があります。閉鎖の際にはおよそ220名もの警察官が出動し、物々しい雰囲気がニュース映像にもなりました。ご存じの方も多いでしょう。閉鎖された建物の周囲には定住する場所を持たない人々が暮らすバラックも散見します。
「新今宮」駅の北東にそびえる通天閣(写真撮影/吉村智樹)
4月に閉館し、取り壊しが決まっている「あいりん労働福祉センター」(写真撮影/吉村智樹)
話題のホテルは「あいりん地区」の目の前に建設中星野リゾートが当地に建設するホテルの名は「OMO7(おもせぶん) 大阪新今宮」。「OMO」は星のや、リゾナーレ、界に続く星野リゾート第4のブランド。「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」をコンセプトに、2018年4月に「OMO7 旭川」(北海道)、5月に「OMO5 東京大塚」の2施設を開業。建設中の「OMO7大阪新今宮」は、OMOブランド3軒目となります。
「OMO7大阪新今宮」(写真提供/星野リゾート)
「OMOブランド」は、スタッフが“ご近所ガイド OMOレンジャー”となって街を案内する、地域と一体となったサービスが特徴です(以前スーモジャーナルで取材した「OMO5 東京大塚」)のツアーの様子)。
開業予定は2022年4月。14階建て、部屋数は436室を予定し、館内には庭も設けるなど、かなり大掛かりなホテルです。立地は浪速区の南端ですが、部屋の南側から見渡す光景は西成区の「あいりん地区」となります。
工事が進む星野リゾートのホテル「OMO7 大阪新今宮」(写真撮影/吉村智樹)
JRのプラットホームからも着工の状況が見て取れるほど新今宮駅からは近く、大型ホテルの登場で駅周辺の雰囲気も一変するのでは、と星野リゾートが新たな境地へとギアを入れた「本気」を感じずにはいられません。
ホテル建設の様子はJR「新今宮」駅のプラットホームからも垣間見える(写真撮影/吉村智樹)
新今宮はバックパッカーの楽園に。かつてのイメージはもはやない線路に沿って建ち並ぶのは、新しいホテルやゲストハウス。
線路沿いに建ち並ぶ低料金で宿泊できるホテル(写真撮影/吉村智樹)
Wi-Fiが完備された部屋がわずか2000円前後の宿泊費でステイできるとあり、駅前は海外からのバックパッカーであふれかえっています。
駅前や駅構内には海外からの観光客がいっぱい(写真撮影/吉村智樹)
山谷(東京都上野)、寿町(横浜市寿町)と並んで大規模な簡易宿泊所街と言われた往時の面影は、もはや確認できません。新世代の経営者たちが2005年、外国人旅行者向けに「大阪国際ゲストハウス地域創出委員会(OIG)」を起ち上げて転換をはかったのがそのきっかけだったそうです。
行政も新今宮のイメージアップに起ち上がった新今宮駅前のイメージアップに、行政も新たな動きを見せています。
西成区役所総務課は2019年(令和元年)8月7日、「新今宮」駅前南側一帯のリノベーションを促進させ、民間主体のにぎわいを創出する「Shin-Imamiya R Project(仮称)」と、空き店舗等の改修経費の一部として大阪市からの補助金を交付する「提案型地域ストック再生モデル補助金交付事業」の発足を発表しました。
このふたつのプロジェクトは、西成区「新今宮」駅周辺の地域イメージを向上させ、来訪する人たちを歓迎する取り組みです。また、新今宮で活動をしたい人、お店づくりをしたい人、事業を始めたい人、住みたい人などを将来的に増やすことを目指しているのだそう。
「Shin-Imamiya R Project(仮称)」はすでにスタートしており、違法な壁の落書きをなくすため、海外のアーティストが「公式」のウォールペインティングをほどこすなど、街のいたるところで官民一体となった催しが開かれています。
西成のウォールアートプロジェクト「西成ウォールアートニッポン」(略称:西成WAN)(写真撮影/吉村智樹)
「365日、三角公園に通う男」から見た新今宮の今昔「新今宮」駅の線路沿いを歩き、リノベーションの進展をひしひしと感じました。しからば、街の人々は時代の移ろいをどのような気持ちで受け止めているのか。新今宮にゆかりが深い人々にお話をうかがいました。
訪れたのは、「三角公園」の愛称で親しまれる萩之茶屋南公園。南海「新今宮」駅から約700 m真南に位置する、言わば西成区のセントラル・パーク。定期的に炊き出しが行われ、小屋を建てて住んでいる人も少なくはありません。1964年に園内に設置された「街頭テレビ」が、今年2019年4月に復活したことでも話題となった公園です。
「三角公園」の愛称で親しまれる萩之茶屋南公園。年に一度の音楽フェス「釜ヶ崎ソニック」開催中(写真撮影/吉村智樹)
訪問日はおりしも、毎年10月に開催され今年で8年目を迎える音楽の祭典「釜ヶ崎ソニック」の真っただ中。あいりん地区は、旧来からの地名「釜ヶ崎」と呼ばれる場合もあるのです。「のど自慢」タイムでは、ほろ酔いでごきげんなおじさんたちが自慢の喉を競い合っています。
生演奏に合わせ、自慢の歌声を披露するおじさんたち(写真撮影/吉村智樹)
ここに、「一年365日、たとえわずかな時間でも毎日この三角公園にやってくる」という芸人、山田ジャックさんの姿がありました。
「毎日欠かさず三角公園を訪れる」という山田ジャックさん(写真撮影/吉村智樹)
三角公園へ通う生活を20年以上にわたって続け、街の人々の写真を撮る。それが彼のライフワーク。
「僕の感覚では、新今宮駅の周辺は5年前に大きく様変わりしました。『天王寺』駅前に日本一高い『あべのハルカス』ができて(2014年に開業)、ひと駅隣りの新今宮駅周辺も一気に雰囲気が変わりました。ホテルが相次いで新装オープンし、観光客でいつもにぎやか。以前はあった『怖い』『薄暗い』といった印象は、もうないんじゃないかな」(山田ジャックさん)
新今宮駅前からも見える日本一高い「あべのハルカス」(写真撮影/吉村智樹)
ひたむきにこの街を観察し続けたジャックさんは、新今宮の遷移をそう顧みます。
新今宮は、1990年に勃発した第22次「西成暴動」の様子が全国にテレビ中継され、長い間、バイオレンスなイメージを拭えずにいました。暴動の現場となった阪堺線「南霞町」駅は放火により建物が消失。危険な街という印象を与えてしまっていたのです。しかし2014年に「南霞町」駅は「新今宮駅前停留場」に改称し、JR・南海「新今宮」駅との乗り換えに至便であるとアピール。印象の刷新に取り組んでいます。
2014年に「南霞町」から改称した「新今宮駅前停留場」(写真撮影/吉村智樹)
「新今宮は、ある意味で“若者の街”」やはり2014年は、新今宮にとって大きな転機の年であったようです。しかし、山田ジャックさんは、こうも続けます。
「でもね、新今宮駅から南へ道一本渡ったら、街の雰囲気は、いい意味で昔のまんま。昭和の風景がそのまま残っています。20年前に撮った写真と見比べても、風景はほとんど変わらないですから。住む人の顔ぶれも、ほぼ同じ。街ですれ違う人の名前も言えるくらい。なぜ、街が変わらず元気なのかというと、住民の気が若いからだと思います。さっき、のど自慢に出ていたおっちゃん、『高校三年生』を歌っていたでしょう。演歌ですらない青春歌謡ですよ。高齢化が問題になっていると言われているけれど、感覚が昭和の高校三年生のまんまなんですよ。だから、ある意味でここは“若者の街”なのです。気が若いから、街にずっと活気がある」(山田ジャック)
街には元気が出るメッセージがあちらこちらに見受けられる(写真撮影/吉村智樹)
確かに、『高校三年生』を歌っていたおじさんの前の人は矢沢永吉。どなたの選曲にも若いパッションがありました。それに公園周囲の立ち呑み店やホルモン焼きの店は、どこも表にまで人だかりができるほどの満員で、会話が弾んでいます。シャッター通りなど、どこ吹く風。このヤングな熱気は正直、意外でした。
ホルモン焼きの店はどこも超満員(写真撮影/吉村智樹)
「なので、星野リゾートが進出しても、街の雰囲気はなんにも変わらないんじゃないかな。駅前だけが極端に都会化して、二極化が進むのではないかと考えます」(山田ジャック)
どんなに時代が変わろうと、この街には人情味に溢れたメッセージが似合う(写真撮影/吉村智樹)
商店主たちは人波が途絶えた暗黒の時代を経験していたでは、「商う」側の人々は、星野リゾートの進出をどのように捉えているのでしょう。訪れたのは、西成区のアンテナショップ。プラスチック製の甲冑や、西成でしか製造されていない日本で唯一の駄菓子「カタヌキ菓子」など、西成生まれの手工業製品がずらりと並んでいます。
店主の上村俊文さんは、今後の新今宮の変化を、このように考えていました。
西成区のアンテナショップを営むちょんまげ頭の上村俊文さん。鎧をかぶるのはグラフィックデザイナーの吉村将治さん(写真撮影/吉村智樹)
「星野リゾートが進出すると決まり、他の区の人々が、『古きよき大阪の風景がなくなる』『浪花の人情が消える』などとおっしゃる。けれども、商売をする者にとっては、こんなにうれしい出来事はない。もともと、ここは誰も排他しないウエルカムな街なんですから。星野リゾートが来るというのなら、我々は喜んでおもてなしをしたいです」(上村俊文さん)
「大阪らしい風景」がなくなるのを寂しく思う人たちは少なくない(写真撮影/吉村智樹)
上村さん曰く、店を構える人々にとって、星野リゾートの進出は「迎え入れる」態勢にある様子。その背景には、近年にこの街が対峙した厳しい現実がありました。
「かつては繁華街である天王寺や阿倍野から、この西成へと続く、あべの銀座商店街があったのです。けれども、阿倍野再開発事業によって商店街が消え、人の往き来がなくなってしまいました。天王寺区や阿倍野区はあべのハルカスやあべのキューズモールのおかげで人が多く集まるようになり、浪速区の通天閣周辺は観光地化に成功して大いに盛り上がっている。なのに、道一本隔てた西成区に入ると、なにもない。飛田新地というかつて遊郭があった地域へ向かう人がいる程度で、買い物客がいなかったんです」(上村俊文さん)
新今宮駅周辺の商圏は、他所からの流入が途切れ、不遇にあえぎ続けました。そこに希望をもたらしたのが、他県や海外からの宿泊客だったのです。
「海外からの観光客向けのゲストハウスができ始めたおかげで、やっと人の足が戻りはじめてきました。そんな矢先に星野リゾート進出のニュースでしょう。復活への期待感がいっそう湧き起こりますよね」(上村俊文さん)
訪日旅行者の増加により、新今宮は活気を取り戻しつつある(写真撮影/吉村智樹)
陸の孤島と化していた新今宮駅周辺に、部屋数430超と予定される大型ホテルが誕生するとあり、これは絶好の商機だと、期待を寄せる商店主たちは多いのだとか。
「新今宮のまわりは、食べ物が『安い』ことはよく話題になる。けれども、値段はもとより『おいしい』お店がたくさんあるんです。もっと“グルメの街”として注目してほしいですね。これはマスコミの方にも、ぜひともお願いしたいところです」(上村俊文さん)
「物価の安さ」が新今宮の魅力のひとつ(写真撮影/吉村智樹)
街の急激な変化に「期待半分、不安半分」最後に、さまざまな意見が交差する酒場では、どのような声が聴けるのでしょうか。「この店にはいろんな考え方のお客様が呑みに来るから、私自身の意見は言いにくい」と、匿名・顔出しなしを条件に語ってくれたのが、とあるライブ居酒屋のママさん。
「星野リゾートの進出は、大阪市と協力して行われています。住民の本音は『期待半分、不安半分』じゃないでしょうか。反対はしないけれど、全員が手放しで喜んでいるわけじゃない。大きなホテルが建って、その潮流に乗じてもしも大阪の行政が一帯を再開発することになったら、街の景色は大きく変わるでしょう。そうなったら、今の暮らしを続けられるのかなって……。居場所がなくなる人も現れるのではないか、その点は皆、危惧していますね」(ママさん)
ママさんは地区内に建つ歴史ある銭湯の保存活動をしたり、身体が不自由で働けなくなった方を支援したりするなど、西成の街と人を愛し続けた方。それゆえに、昨今の状況の変化には気がかりがある様子。
「ホテルが建つのはいいんです。星野リゾートにしろ、ゲストハウスにしろ、これからは海外からのお客様たちと交流をはかる時代だと思います。でも、4月に新今宮駅前の『あいりん労働福祉センター』が閉鎖されましたよね。今後も仕事にあぶれた日雇い労働の方々が横になったり身体を休めたりする場所がないままだとしたら、単に追い出しただけになる。それが果たして西成が進むべき道なのか。包容力が豊かなこの街の人情や雰囲気が好きだと言って、日本中や世界のアーティストたちが演奏をしに来てくれる。そういった文化もなくなってしまうんじゃないかと、それが不安なんです」(ママさん)
「もしも行政による再開発が始まれば、この人懐っこい風景がなくなるのでは」と不安を感じる人もいる(写真撮影/吉村智樹)
新今宮の大胆なイメージチェンジを喜ぶ人、不安に感じる人、「変わらない」と達観する人などなど、捉え方は十人十色。星野リゾートが建設するホテル「OMO7 大阪新今宮」の開業が予定される2022年4月までに、さらなる議論もありそうです。
現地の声を受け、星野リゾートに話を聞いたところ「新今宮には都市観光ホテルとしてのポテンシャルを強く感じています。アクセスの良さや視認性といった立地面はもちろんですが、何よりも、関西弁が飛び交い、人情味あるこの街に『大阪らしさ』があると考えます。ホテルスタッフがディープなスポットに連れていくツアーに手ごたえを感じており、新今宮においても同様に展開を検討しています」(代表 星野佳路氏)とのコメント。
多くの人が「OMOろい!」と笑顔で納得できる結果となることを、願ってやみません。
お花を飾りたい。でも、どう選んでいいか分からない。そんな人にオススメしたいのが、近所のお花屋さんではなかなか見かけない、とっておきの花が毎月届く宅配サービス。
「花の定期便」は、定期的に季節の花が届く定額のサービス。届いたらそのまま生けられるように、相性のいい花をセレクトしているので、初心者にもうれしいサービスです。そんな「花の定期便」が好評な、「北中植物商店」の小野木彩香さんにお話を伺いました。
これまでは金曜日にお花を買って、週末を中心に楽しんでいました。でも、自分で選ぶと同じような種類のお花ばかり手に取ってしまったり、組み合わせ方が分からなくて一種類だけになりがちでした。また、お花が好きなのにどう生けたら素敵になるか自信がなくて、選んだり生けたりするのは苦手という状態がずっと続いていました。
なので、お花屋さんが選んでくれたブーケが毎月届くというサービスは、正直ありがたい。お花を楽しみながら、選び方と生け方も学ぶことができます。
北中植物商店へ東京都、三鷹市。野川のほとりに建つ古い日本家屋で金土日だけオープンする「北中植物商店」を訪れました。
川沿いの緑あふれる場所にある「北中植物商店」は、季節の花を販売しているだけでなく、庭づくりの提案も行っているお花屋さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
今回お話を聞いた店主の小野木さんは、ここにお店を構えて5年。お花の販売だけでなく、ワークショップなども開催しています。
建物は趣のある日本家屋(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
アンティーク家具と一緒に飾られている植物はすべて販売されています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
「3年ほど前に、雑貨感覚で取り入れやすいドライフラワーが、インテリアアイテムとして大流行しました。手軽でかわいく、お手入れが不要なために、多くの人へ広がったのでしょう。それと共に、生花を飾ることもトレンドになりました。
一輪でも生花を飾る習慣があると、季節を感じるきっかけになります。それはうつわや食べ物への関心にもつながっていき、暮らしがよりみずみずしく、豊かになります。花は季節よりも少しだけ早いものが売られているので、“秋が来るな”と、先取りして感じることができます」(小野木さん、以下同)
朝ごはんを食べているとき。帰宅したとき。夜、のんびりしているとき。ふとお花が目に入ると、気持ちがふわっとほぐれます。生きているものが空間にあることで、部屋の雰囲気がやさしく潤うように感じるのです。
お店の奥にあるワークショップスペースに飾られたスワッグ。飾り方の参考にもなります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
小野木さんがつくられたリースやスワッグも販売しています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
お花の選び方「秋は、いよいよ実ものがお店に並びます。枝ものや実ものは長持ちしますし、そのままドライフラワーにできるものも多いので、忙しかったり扱いに慣れていなくても安心です。ひまわりやバラ、デルフィニウムも、比較的長持ちする品種。茎がしっかりしている個体を選ぶと、丈夫で長持ちします。
店内には小野木さんが市場でセレクトした季節のお花が並んでいました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
お花の生け方お花を選んだら、いよいよ花瓶に生けましょう。
「花瓶の高さと、そこから出ている茎の長さは1:1.5が目安です。適度な長さに切ったら、上の数枚を残して葉っぱを取ります。そのほうが花に水と栄養がいくのと、蒸れるのを防げるからです。また、茎の上部で枝分かれして多くの花をつけるスプレー咲きは、枝を切り分けるとボリュームが出ますし、長さも調節できます」
儚げなデルフィニウムも実は長持ち(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
「ある程度お花の量がある場合は、花瓶と花の間に茎が見えないように飾るのがポイントです。花瓶の縁にかかるように、メインの花を短く切って生けると全体の印象がボヤけません」
全体のバランスを見ながら生けていくことが重要だそうです(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
「数本だけなら、長さをちょっと変えて、動きが出るように生けても素敵です」
メインの花は短めに切ります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
生けやすい花瓶とは「花瓶は、数本生けるならば高さ10cm、10本以上生けるならば高さ25cmのものが使いやすいです。ガラスや白磁の花瓶は、季節を問わず使えるので、一つ目にピッタリ。太くて口がすぼまっている形は、安定感があり生けやすく、お洒落に見えます」
高さ25cm前後の花瓶もたくさん販売されています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
高さ10cmは数本挿しにピッタリ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
全体のバランスはこのくらい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
定期便が届いたら取材後に、心待ちにしていた定期便が届きました。紫がかったブルーとオレンジの組み合わせにハッとします。数種類のお花を中心に、野の花のような草花や実ものがあしらわれていて、この組み合わせはプロならではだと感激しました。
箱を開けたら、秋色のブーケが(写真撮影/柳沢小実)
まず、ブーケのまま花瓶にいけて完成されたアレンジメントを楽しみ、少しずつお花が傷んで減ってきたら、ブーケをほどいていくつかに分けて飾ってもいいそう。
花を長持ちさせるためには、なるべく毎日茎を切って、水を吸い上げられるようにすること。ブーケをそのまま手に持ち、下を切りましょう。
花は素直で、お手入れすると応えてくれます。たっぷり愛情を注いで、長く楽しみたいですね。
届いたブーケをそのまま花瓶に(写真撮影/柳沢小実)
はじめて体験したお花の定期便。プロが選んだ雰囲気のあるお花を飾りながら、お花の選び方や組み合わせも学ぶことができました。毎月異なるお花が届くのも楽しみです。そしてなにより、お花のある暮らしは、心にも潤いを与えてくれます。お花との距離が、ぐんと近づいたように感じました。
花のある暮らしに憧れているけれどなかなかお店に行けない方や、お花選びに迷ってしまう方にこそ、オススメしたいサービスです。
10月と4月は引越しが多いシーズンだ。そこで、引越しの2大お悩み「費用の節約」、「近隣挨拶」について、リクルート住まいカンパニーが調査した。その結果に加えて、知り合いの引越しで「お祝いを贈るときの相場」についても紹介していこう。【今週の住活トピック】
「引越しに関するアンケート」結果を発表/リクルート住まいカンパニー
・引越し費用を格安で! みんなに聞いた節約テクニック
・引越しの挨拶、みんなどうしてる? アンケートから分析&マナー講師が解説
・引越し祝い・新築祝いの品物と相場 アンケートで見るイマドキのマナー【マナー講師監修】「繁忙期を避ける」「不用品を捨てる」で引越し費用の節約
引越し費用については、引越し経験者の55.9%の人が「もっと安くするためにできることがあった」と回答した。費用を安くするために、複数の引越し会社の見積もりを比較することはもちろんのこと、「引越しコース」の選び方にも工夫があるようだ。
節約するためにどんな「引越しコース」を選んだかを聞いたところ、「繁忙期や土日を避けた」(53.5%)が一番多い結果になった。引越しが多い日にちを避けることで、節約しようということだ。加えて、「午前便・午後便・フリー便(時間指定なし)にした」(39.0%)が2番目に多く、引越し業者の比較的空いている時間帯に利用することで、節約しようとしていることも分かった。
Q.節約するためにどんな「引越しコース」を選びましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)
さらに費用を抑えるために、「自分で行ったこと」を聞くと、「引越し前に不用品を捨てる」が54.2%、「引越し前に不用品を売却」が32.1%となり、不用品を捨てたり売ったりして“荷物を減らす”ことで費用を節約した人が多いことが分かった。
また、できることは“自分でする”ことで節約している人も多い。「運べるものは、自力で運んだ」(48.0%)、「自分で荷造り・荷ほどき」(44.5%)、「段ボールを自分で用意」(22.8%)とコツコツ努力している姿が見えてくる。
71.8%が「引越しの挨拶をした」。手土産予算は「500円以上1000円未満」が最多「引越しをしたら、近隣に挨拶する」のは、かつての常識か?
調査結果によると、約3割(28.2%)が「挨拶をしていない」と回答した。残りの約7割(71.8%)の内訳は、「新居のみ挨拶」(40.4%)、「旧居のみ挨拶」(15.7%)、「新旧両方に挨拶」(15.7%)となった。
「立つ鳥跡を濁さず」の例えで、“旧居”にはお世話になりましたと感謝の気持ちで挨拶するのだろう。一方、“新居”の挨拶はこれからよろしくお願いしますと、良好な人間関係をつくろうという意図のものだ。
筆者などは、出ていった跡よりこれから先の生活が良好になるようにと、新居への挨拶を重視するのだが、挨拶をしないと旧居のみを足した43.9%は、新居に挨拶をしていないことになる。過去に「誰が住んでいるのかを知られたくない」という理由で、新居で挨拶をしないという調査結果もあった。今回の調査でも、「一人暮らしのほうが挨拶率は低い」というので、プライバシー保護という観点もあるのだろう。
さて、手土産の予算はいくらだったのだろう?
一番多かったのは、「500円以上1000円未満」の39.1%、次いで「1000円以上1500円未満」の27.5%などとなった。「気兼ねせず受け取れて、お返しが不要と思える価格帯がベスト」ということなので、引越した人の年齢などにもよるだろうが、妥当な額で手土産を選んでいるといえるだろう。
また、具体的なものとしては、「タオルやふきん」(38.5%)、「スイーツ」(30.2%)、「ティッシュペーパー・キッチンペーパー」(27.2%)が上位に挙がった。
Q.引越し挨拶の手土産・粗品は、ひとつあたりいくらの予算を組みましたか?(複数回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)
引越し祝いの相場は相手との関係性によって変わる落語に「家見舞い」という噺がある。仲良し二人組がお金もないのに、兄貴分が一軒家に引越したので「引越し祝い=家見舞い」を持っていこうと考えて、とんでもないことをするというものだが、江戸時代にはこうした風習があったのだろう。冠婚葬祭の付き合いが重視されたころまでは、引越し祝いを贈ることも多かった。
せっかくなら喜んでもらえるものを贈りたいものだが、「引越し祝いでもらってうれしかったもの」を聞いたところ、「現金」(31.3%)、「ギフト券・ビール券などの金券」(28.0%)、「カタログギフト」(25.1%)が上位に挙がった。新居に合わせて自分で用意したものもあるので、自分が欲しいものを選べるという点が喜ばれる理由だろう。
Q.引越し祝いで、もらってうれしかったものはなんですか?(5つまで回答)(出典/リクルート住まいカンパニー「引越しに関するアンケート」より転載)
ちなみに、江戸の二人組も兄貴分の家に行って、何が欲しいかを聞いてから買いに行っている。希望した水瓶にはお金が足りなかったので、代替品を用意したのだが、その代替品がこともあろうに……ということで笑わせる落語だ。
さて、SUUMOの記事では、引越し祝いに関するマナーについて、マナー講師監修の下で解説しているので、それをいくつか紹介しよう。
■引越し祝いの名目
・家を建てた&新築マンションなら「新築祝い」
・栄転による引越しは「栄転祝い」か「引越し祝い」
・退職や転職での引越しなら「餞別(せんべつ)」とすることも
■引越し祝いの相場
相手との関係性で決まる
・友人・職場の同僚の場合: 5000~1万円
※職場の仲間と連名で贈る場合には、1人当たり1000~3000円が目安
・兄弟姉妹・親戚の場合:兄弟姉妹へは1万~3万円、親戚へは5000~3万円程度
・目上・上司の方の場合:1万円程度の商品を選ぶのが一般的(どの程度お世話になっているかで変わる)
なお、「一般的に引越し祝いを受け取る側は、半額~1/3程度の内祝い(返礼)を用意する」というので、受け取る方もそれなりの出費が必要だ。
引越しをする理由は、進学や就職、結婚、マイホーム取得など、次のステージに進むものであることが多い。もちろん、前の住まいに不満があるという場合もあるだろう。いずれにせよ引越しは、生活環境を変えて、新しい気持ちで生活をスタートさせる機会でもある。この機会を上手に使って、次の生活に踏み出してほしいものだ。
SUUMOジャーナルで公開した記事のなかから人気なものを紹介するこの企画、今回紹介する9月公開記事のなかでは「元厚労省の村木さんが設立した住宅弱者のためのサポート組織」「東急東横線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング」などが人気でした。TOP10の記事を詳しくご紹介します。
9月の人気記事ランキングTOP10はこちら!
第1位:住宅弱者のサポートを!元厚労省 村木厚子さんら全国組織を設立
第2位:3Dプリンターで家をつくる時代に! 日本での導入は?
第3位:デュアルライフ・二拠点生活[17] 都会のオフィスを離れ、徳島で働き・暮らす夏 “ワーケーション”で働き方改革を
第4位:「銀座駅」まで電車で30分以内、家賃相場が安い駅ランキング 2019年版
第5位:【カップル編】東急東横線沿線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2019年版
第6位:おいしく防災! ローリングストックの缶詰アレンジレシピ6選
第7位:町内会の会長を押し付けられた! 休日は潰れてクレームも多発。どうすればいいの?
第8位:パリの暮らしとインテリア[2]アクセサリーアーティストが家族と暮らすアトリエ付きの一軒家
第9位:インテリアカラーの伝道師が自宅マンションをリノベーション。見習いたいプロの技! あの人のお宅拝見[14]
第10位:名古屋・円頓寺商店街のアイデアに脱帽! 初の「あいちトリエンナーレ」会場にも
※対象記事:2019年9月1日~2019年9月30日までに公開された記事
※集計期間:2019年9月1日~2019年9月30日のPV数の多い順
第1位:住宅弱者のサポートを!元厚労省 村木厚子さんら全国組織を設立
(写真撮影/内海明啓)
低所得者、高齢者など、賃貸住宅への入居に困っている人たちを支援するため、支援法人の全国組織が設立されました。その呼びかけ人である元厚生労働事務次官の村木厚子さん、ホームレス支援などで知られる奥田知志さんに、組織を立ち上げたきっかけや今後の取り組みなどについて伺いました。
第2位:3Dプリンターで家をつくる時代に! 日本での導入は?
(©WBusiness Wire)
3Dプリンターで自由自在な形の家が1日で建てられる、そんな夢のような世界が現実になってきていることをご存じでしょうか。災害などの仮設住宅として、スラム街を防ぐ手段として、発展してきた3Dプリンターの家。日本での普及にはまだ時間がかかりそうですが、普及する未来を考えるとわくわくします。
第3位:デュアルライフ・二拠点生活[17] 都会のオフィスを離れ、徳島で働き・暮らす夏 “ワーケーション”で働き方改革を
(写真撮影/上野優子)
デュアルライフ(二拠点生活)をご紹介する連載です。第17回目は、徳島県三好市をサテライトオフィスとして利用している野村総合研究所の試みをご紹介。非日常環境での働き方やプライベートの過ごし方、地域の人との交流によってうまれるアイデアや工夫に、進化の可能性が感じられます。
第4位:「銀座駅」まで電車で30分以内、家賃相場が安い駅ランキング 2019年版
(写真/PIXTA)
日本で一番地価が高い場所として知られている銀座。そんな銀座駅へ電車で30分以内で行ける、ワンルーム・1K・1DKを対象にした家賃相場が安い駅ランキングをご紹介します。銀座は“お高い”ですが、12位までは6万円台で住める駅がズラリ。気になるランキング結果は、記事でチェックしてみてくださいね。
第5位:【カップル編】東急東横線沿線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2019年版
(写真/PIXTA)
自由が丘、中目黒など、住みたい街として名前が挙がる駅を多く抱える東急東横線。そんな東急東横線の、カップル向け中古マンションの価格相場を調査してみました。すると、全21駅で価格相場に4000万円以上の開きが。最も安かったのは東白楽駅で2780万円、では最も高い渋谷駅の価格相場はいったい……?
第6位:おいしく防災! ローリングストックの缶詰アレンジレシピ6選
(写真撮影/相馬ミナ)
コンパクトで丈夫、長期保存できるという点で、災害時用の備蓄として秀逸な缶詰。けれども気づくと賞味期限が切れている。そんなお悩みをもっている人も多いのでは? 今回は缶詰の達人にアレンジ方法を教えてもらいました。コンビーフ、オイルサーディン、ミックスビーンズでつくる料理はどれもおいしそう!
第7位:町内会の会長を押し付けられた! 休日は潰れてクレームも多発。どうすればいいの?
(画像/PIXTA)
近年、町内会にまつわるニュースはネガティブなものもあり、現場では「負担感」が問題になっているといいます。今年の4月から町内会の会長をしているAさんもクレーム処理係のようになっているとのこと。ほぼどこの町内会も同じような状況というこの問題、改善するにはどうしたらいいのでしょうか。
第8位:パリの暮らしとインテリア[2]アクセサリーアーティストが家族と暮らすアトリエ付きの一軒家
(写真撮影/Manabu Matsunaga)
パリで暮らす写真家が、パリのすてきなお宅について紹介する連載です。第2回目は、アクセサリーアーティストが家族と暮らす、アトリエの離れが付いた一軒家を訪問。快適な空間である居住スペースでの生活やアトリエでの制作活動、今後計画している家の改装についてなど、楽しい話を伺いました。
第9位:インテリアカラーの伝道師が自宅マンションをリノベーション。見習いたいプロの技! あの人のお宅拝見[14]
(写真撮影/片山貴博)
暮らしを楽しむ達人のお住まいを訪問し、住まいを、そして人生を豊かにするヒントを探る連載「あの人のお宅拝見」。今回はカラー・コミュニケーションデザイナー秋山さんのお宅へ。縦に貼った技ありの壁紙、出版した本の1ページをレインボーカラーでポスターにするアイデアなど、プロの技の数々をお楽しみください。
第10位:名古屋・円頓寺商店街のアイデアに脱帽! 初の「あいちトリエンナーレ」会場にも
(写真撮影/倉畑桐子)
愛知県で2010年から3年ごとに開催されている国内最大規模の現代アートの祭典、その会場の1つに選ばれたのが名古屋市の円頓寺(えんどうじ)商店街。かつては衰退の道をたどっていたこの商店街の復活への取り組み、あいちトリエンナーレの開催地決定までの道のりなど、他の商店街の参考になりそうな取り組みが満載です。
今月3位にランクインしたデュアルライフ記事は今までのような個人の事例ではなく、企業が二拠点目をサテライトオフィスとして活用している事例でした。暮らしも仕事も、一拠点ではなく複数拠点を選択できることで、自由度が広がっていきそうです。
「第36回住まいのリフォームコンクール(2019年度)」の審査結果が発表され、2019年10月24日に表彰式が開催される予定だ。審査では、画期的な断熱改修から、高齢者(バリアフリー)対応、縫製工場を住宅兼アトリエとして再生した例まで、バラエティ豊かな5つのリフォーム例が特別賞を受賞。今回は、この5つの事例から、リフォームの最前線とこれからを探ってみた。
全室床暖房と可変性の両方を実現したマンションが国土交通大臣賞を受賞
昭和60年(1985年)度に始まり、第36回を迎えた「住まいのリフォームコンクール」(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催)。今年度は、住宅リフォーム部門に397件、コンバージョン部門に33件、総数430件の応募があり、「第36回住まいのリフォームコンクール審査委員会(委員長 真鍋恒博 東京理科大学名誉教授)」による審査の結果、特別賞5賞をはじめとする27件の入賞作品が選定された。
特別賞のうち、「国土交通大臣賞」に選ばれた[住宅リフォーム部門]「浦和の家~全室床暖房のある可変する終の棲家」(株式会社マスタープラン一級建築士事務所)は、マンションの住戸をまるごと冷暖房することで、これまで冷暖房機の移動がネックとなっていた将来の間取り変更にも対応できるようにした点が画期的だ。
廊下の天井裏に5kwダクト形エアコンを取り付けて、天井裏側と床下側に弁を設置。弁を開閉することで、夏は天井裏に冷気を、冬は床下に暖気を送る。窓側の床面に暖気を吹き出すガラリを、各部屋の天井付近に冷気を送り出す吹出口を設け、1台のエアコンで家中の空気を快適に保つことができるようにした。
<Before>
<After>
<Before>
<After>
写真上:「浦和の家」のBeforeとAfter。リビングをテレビ台でゆるく仕切り、片側を畳スペースに。仕切りをテレビ台にしたことで、将来の間取り変更も容易だ/写真下:対面式だったキッチンをフルフラットキッチンに(写真提供/株式会社マスタープラン一級建築士事務所)
写真上:窓側の床に設けたガラリ。冬には暖気がここから吹き出る/中央:天井裏のダクトエアコンから冷気と暖気が家中に届く仕組み/下:壁4面と天井に断熱材(硬質発泡ウレタン)を吹き付けた(写真は別物件)(写真・画像提供/株式会社マスタープラン一級建築士事務所)
断熱改修には温熱環境の改善やカビ・結露の防止、光熱費軽減などの効果が「浦和の家」を手掛けた株式会社マスタープラン一級建築士事務所代表取締役の小谷和也さんは、受賞の意義をこのように語っている。
「マンション専有部の改修は、できることが限られ、一戸建ての改修に比べてコンセプトが弱くなりがちです。『浦和の家』は、初採用した全室空調をはじめとして、基本性能の向上、家具での可変性や住まい手の暮らしぶりなどを現地審査でも評価いただけたということが、何よりうれしいです」
これからリフォームを考えている人にも参考にできるポイントなどはあるだろうか。
「この『浦和の家』のように、開口部に内窓や障子を設け、 壁や天井に断熱材を追加することで断熱性能を高めることはどんなマンションでも可能です。そもそも、マンションが一戸建てよりも暖かいのは、気密性が高いから。同時に蓄熱性も高いので、夏の日射熱、冬の夜間の冷熱も蓄えてしまい、最上階や角部屋の猛烈な暑さ、1階住戸の底冷えする寒さ、カビや結露の原因にもなっています。断熱改修をすれば、これらの問題は一挙に解決。アレルギーなどの予防も期待でき、結果的に光熱費も下がるので、マンションのリフォームを考えている皆さんにはぜひ検討してほしいですね。また、乾式二重床は、床の軽量衝撃音を和らげ遮音性を確保する上でも重要なので、リフォーム時の床仕上げは乾式二重床をお薦めします」(小谷さん)
<Before>
<After>
家具を利用した間仕切りによって可変性の高い間取りとなった「浦和の家」(画像提供/株式会社マスタープラン一級建築士事務所)
性能向上によって施主の不満を解消し居住性を高めた特別賞受賞作続いて、ほかの特別賞を受賞した4例も紹介しよう。
【独立行政法人住宅金融支援機構理事長賞】
[住宅リフォーム部門]「耳が遠くなった母の為の『QOL向上リフォーム』」(株式会社育暮家ハイホームス)
築46年という一戸建てのLDKや寝室、浴室など生活の中心ゾーンを断熱し、ゾーン内の温度差をなくして高齢者夫婦をヒートショックなどの健康リスクから守るリフォーム。LDKを明るく暖かい南側に移し、寝室とトイレの距離も近くして、動線を短縮した。動きやすくなった上、冬が暖かく暮らせるようになり、夜もよく眠れるという。断熱区画を区切ることで主な生活空間内の温度差をなくすというやり方は、コストを抑えたリフォームにも活かせそうだ。
寝室はLDKの隣。お互いの気配を感じることで安心して過ごせる(写真提供/株式会社育暮家ハイホームス)
【公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞】
[コンバージョン部門]「アトリエのある家[河北町]-ストックの再生が地域を変えていく-」(株式会社結設計工房)
空き家のままになっていた築30年弱の縫製工場を、陶芸教室のためのアトリエを備えた住宅へと再生させた“コンバージョン”の事例。陶芸教室が地域のコミュニティスペースとなり、地域の活性化につながったそう。老後は陶芸教室部分をリビングダイニングに改修することで、1階部分だけで生活できるように計画しており、老後を見据えたリフォームとしても参考になりそう。
陶芸教室を開いているアトリエ。縫製工場だったときの照明器具をそのまま利用しているが、蛍光管は LED に換えている(写真提供/株式会社結設計工房)
【一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会長賞】
[住宅リフォーム部門]「自然をコントロールする家」(喜多ハウジング株式会社)
吹抜けのおかげで夏は風が通るものの、冬には暖気が上に流れて寒かった一戸建てを、吹抜けに開閉可能な建具を設けることで寒さ解消につなげた。暗くて開放感がなかったキッチンを対面式にして改善し、断熱材やインナーサッシで断熱性能も向上させながら、総工費は900万円弱。床と平行に建具を施工して吹抜けに蓋をするアイデアは、吹抜けのある一戸建ての寒さ解消策として、大いに参考になるのでは?
写真左:夏は建具を開けるので、上下に空気が通り、涼しく過ごせる/写真右:冬は建具を閉じることで、1階の暖気を2階に逃がさずに済み、暖かく過ごせるようになった(写真提供/喜多ハウジング株式会社)
【一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会会長賞】
[住宅リフォーム部門]「若い僕らも老後は心配-性能向上リノベーションしました!-」(株式会社アルティザン建築工房)
超高性能リノベーションのモデルハウスをつくるという設計者の計画に共鳴した施主による性能向上リフォームの例。リフォーム版のLCCM住宅(建設時、居住時、廃棄までのライフサイクルトータルでCO2の収支をマイナスにするライフサイクルカーボンマイナス住宅)を目指したことで、札幌でも壁からの冷輻射が感じられないほどの暖かい家になった。開口部耐震商品を使うことで、窓を減らさずに耐震補強ができた点は、耐震リフォームを考えている人の参考になるだろう。
天板にクオーツストーンを使ったこだわりのキッチン。屋根に設置した太陽光発電システム(10.8kw)のおかげで、使用電力はすべてまかなえている(写真提供/株式会社アルティザン建築工房)
特別賞を受賞した5事例に共通しているのは、リフォームによって施主の悩みや不満を解消し、暮らしの質を改善していること。特に、断熱性能の向上が温熱環境を改善し、快適な暮らしを可能にしていることが、どの事例からも伝わってきた。それには、施主の意向を汲み、いろいろな制約のなかで工夫を施す設計者たちの努力が不可欠なのだろう。今後もこのコンクールに多くの力作が寄せられ、日本のリフォーム、ひいては日本の住宅と住まい手の暮らしの質を一層高めることを期待したい。
●参考「二拠点生活(デュアルライフ)」の日本の実践者は1.3%(リクルート住まいカンパニー調べ)。一方、フィンランドは、“サマーハウス”と呼ばれる二拠点目での暮らしを楽しむ人が半数を超え、現地の人に聞いたところによると「8割の人は一度は体験している」という二拠点生活の先進国といわれている。今回は、自らも日本での二拠点生活を実践するSUUMO編集長が、現地で二拠点生活を体験したことをレポートします。
フィンランドには、サマーハウスの予約サイトがある!
2019年のトレンドワードとして「デュアラー(二拠点生活実践者)」を発表した弊社としては、デュアラー先進国のフィンランドで浸透の秘密を探りつつ、ちゃんと実体験もしないと。という理屈で、フィンランドでの二拠点生活体験&取材が決まりました。
今回は、フィンランドの知人のオッリさんに、彼の親族が所有する二拠点目の住居(サマーハウス)を体験させてもらおうと画策・相談しました。が、そのサマーハウスはヘルシンキから少し距離があり、時間がかかるということで彼から「サマーハウス専用の予約サイトがあるから、そこからヘルシンキにほど近いサマーハウスを探して予約しましょう」という提案が来ました。下記がそのサイトです。サマーハウスを持っている人が使わないときは人に貸し出すサービスでフィンランド版のAirbnbのようなものです。
サマーハウス予約サイト。実際に予約した家がこちら。予約期間の初期設定が7daysと日本から見ると羨ましくなるような長さが、二拠点生活の先進国・フィンランドらしい
今回はショートステイで大人最大7名が泊まれるサマーハウスに2泊。ベッドシーツ、タオルレンタルやクリーニング代すべて合わせて616ユーロ(約7万円)でした。
鍵の受け取り等と、食料品の買い込み、準備はオッリさんに全部やってもらい、我々はヘルシンキから車でサマーハウスに乗り込みました。
平均29平米といわれるサマーハウスのなかでは、平屋でかなり大きめのサイズ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
到着して最初に行うのは、アレ!我々が到着したのは夕方の16時ごろ。到着後、荷物を置いて、部屋割りを決めて、オッリさんにすぐに連れて行かれたのは小さな小屋。「では、束になっている薪をこのトレイに積んで」と指示を受けて持って行ったのは、湖のほとりの別の小屋。ここはもしや?と思ったら、予想通りサウナ小屋でした。まずサウナから。さすがサウナの本場フィンランドです。日本でいうと温泉旅館に到着したら、浴衣に着替えてまずはお風呂にいく、あの感覚に近いです。
薪をしまっておく倉庫。小屋はDIYでつくった感のある簡易なもの(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
サウナの温め方は、薪ストーブに似ています。炉内に薪をくべて、薄く剥いだ木片に火をつけて、それを火種に、最初にくべた薪に火を回します。薪が燃えると上にある石が徐々に温まっていくという形。石が温まるまでは時間がかかるので最初にやります。
ところで石の上にかける水はというと、湖から汲んできます。フィンランドのサマーハウスのほとんどは湖のほとりにありますが、これは景観的に美しいとか、サウナ後にすぐ飛びこめるといったものだけでなく、水の調達がしやすいという実利面もあるようです。
サウナ小屋の先には階段があり、下りた先は湖。桟橋は、ときに“飛び込み台”になり、腰を掛けて足先を水につけて読書するときの“椅子”になります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
サウナ小屋の内部の様子。オレンジのバケツに湖から取ってきた水を入れておきます。サウナの外に着替えや仮眠ができる小部屋があります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
外国人客をもてなすディナーはあの肉サマーハウスの母屋に戻ると、夕食の準備が進んでいます。「ではメインの肉を焼きましょう、はい、焼き担当は外へ出ましょう」とオッリさん。ウッドデッキ上にあるBBQグリルで炭をおこし、プレートの上で焼くのは、「レインディア(トナカイの肉)」です。トナカイ肉はやや高級品らしく、豚:牛:トナカイ=1:2:3くらいの値段と聞きました。今回のトナカイ肉はスーパーで売っているごく一般的なものでしたが、まったく臭みがなくて、塩コショウだけで超美味でした。ビールがどんどん進みます。
「はい、できました」とオッリさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
リビングでの夕食の様子(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
食事も盛り上がり、夜も更けて、外は暗くなってくるかと思いきや、ここは夏のフィンランド。日が長かった。夜の20時でも全然明るいのです。夕食後に、サウナにいってさらに湖で泳ぐことができます。
サウナはとても気持ち良いものの、果たして体や髪の毛はどう洗うのか?ぱっと見ると上水道はありません。はい、実は汲んできた湖の水を洗面器に移してそれをすくって頭から豪快にバシャーです。
湖で汲んできた水をサウナ用の薪で熱湯に変えて、水を混ぜて適温にして豪快に頭からかぶる。よく見ると少し小枝が浮いているが、そんな小さなことは気にしない様子(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
そのままサウナに入ること数十分。体がポカポカになってきたところで、小屋の先の階段を下りていきます。そして……湖にドボンです。
写真撮影した時間は20時近くと思われますが明るいです。サウナ後に遊泳するだけでなく、小舟で釣りに出かけ、その釣った魚を調理して食べるのもサマーハウスの楽しみ方(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
さて夜も深まって睡眠。朝は散歩に出かけます。今回利用させていただいたサマーハウスの付近は日本の別荘地と異なり、建物が立て込んでいません。建物はポツポツとある程度で、周囲は自然そのものです。また、建物も均一ではなくきれいなものもあれば、自分で建てたであろう小屋も点在します。
日本の北海道に近い光景。急峻な山はなく、緩やかな小高い丘に緑のじゅうたんの景色が広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
家に戻って朝ごはん、ここでも調理男子オッリさんがフィンランドの朝らしい朝食ををつくってくれてました。ブルーベリーパイに、卵料理などテーブルの上にズラリ。そして何よりも窓からの景色が彩りとなって、豊かな朝の時間が流れます。
朝食では、ブルーベリーパイ、ハム、エッグ。ランチではフィンランド名物サーモンクリームスープをいただきました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
優雅なランチタイムを終えて、最後に記念写真をパチリ。
今回は現地で魚やマッシュルームを調達する自給自足体験は諦め、スーパーで食品を調達する形に。
オッリさんが自宅で下ごしらえするなど凝ったパーティー料理を準備してくれました。もっと自給自足的な昔の暮らしを楽しむスタイルもあります。子どもと一緒に森に入り、ふんだんにあるブルーベリーを摘み、マッシュルームを集め、湖で釣りをして、さばいて食べるなんてこともよくあることです。近くの森林から伐採した木を割って薪にしてサウナを沸かすことも一般的。サマーハウスもほぼDIYで建てたものから、厳しい冬も暖かく過ごせる高断熱の立派なサマーハウスまでさまざまです。サマーハウスで家族や親族、知人と一緒に過ごし、多様な体験を得ることがフィンランドの二拠点生活文化として根付いています
日本の別荘は、暮らしに必要なインフラや設備を用意しすぎなのかもしれません。フィンランドのサマーハウスは自然と親しみ、一体化する感覚が強いです。サマーハウスが建つ場所も、食べ物も、水光熱にかかる部分も自然の恵みを上手に利用して、リーズナブルに、手間を楽しんで、時間に追われずゆったり過ごす。日本においても管理・共用棟だけ充実させ、個人の家の空間は、広さや設備をミニマムにして、もっとリーズナブルに提供すればいいのではないでしょうか。特に若い世代にはそのほうがヒットする予感がしす。デュアルライフを楽しむために必要なのは、立派な箱ではなく、調理ができる、火が起こせる、肉が上手に焼けるという個人スキルだと思いました。同行したスタッフも「一番驚いたのは、オッリの料理スキルの高さ! 調理が『家事』ではなく『余暇の過ごし方』という位置付けなのが、その要因の一つでは。サバイバビリティの高さは、今の日本のキャンプブームとも通ずるものがあると感じました」とのこと。その点で自分はどうかというと……がんばります(苦笑)。
今回、サマーハウス体験をしたみなさんと家の前で。お世話になりました!左手に薪の小屋、奥に見えるのが湖。その手前にサウナ小屋があります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
家を購入・建てるときに耐震性を重視するのは当たり前になりつつありますが、それと同じくらい大切な地盤についてもご存じでしょうか? そこで今回は、地盤を調べる簡単な方法や最新の調査方法などについて、さくら事務所会長の長嶋氏に解説いただきました。
大地震の経験を経て見直されてきた耐震基準
建物の耐震性には、戦前から大都市のみを対象に規定があり、全国一律の基準が設けられたのは1950年にできた建築基準法によって。それ以降、大地震の経験などをふまえて順次、耐震基準は見直されてきました。
なかでも最も大きな見直しとなったのが、1981年の「新耐震設計基準」導入。1995年の阪神・淡路大震災でも、ビルやマンションなどRC(鉄筋コンクリート)造については、建築時期がこの「新耐震設計基準」の前か後かで、建物被害に差が出ました。「新耐震設計基準」を満たしていれば、人命を損なうような倒壊は基本的に防げるとされています。
中古住宅の耐震性は、マンション・一戸建てとも、まずはこの「新耐震設計基準」を満たしているかどうかが重要。建築確認申請の日付が、1981年6月1日以降かどうかを確認してみましょう。ポイントは、建物が竣工した日付ではなく、あくまでも建築確認申請の日付を見ることです。
ところで、建物の耐震性と同様に、あるいはそれ以上に大事になるのが、建物が建つ「地盤」。どんなに頑丈な建物でも、そもそも地盤が弱く揺れやすい土地に建っていては、建物の耐震性もその効果は十分に発揮できないのです。実証的なデータはありませんが「地盤の弱い土地に建つ新耐震建物」と「地盤の強固な土地に建つ旧耐震建物」では、後者のほうが地震に強いものと思われます。
そこで、自分が住んでいるところ、これから買おうと思っているところの地盤を調べる簡単な方法をいくつかお教えします。
水をイメージさせる地名は地盤が柔らかい可能性が!まずは「地名」。「池」や「沼」「沢」「津」など漢字に「サンズイ」が入っており、水をイメージさせるものは、低地でかつては文字どおり沼や池だった可能性があります。「川」「堤」「谷」といった、水辺や低地をイメージするものも同様。例えば渋谷駅周辺は、舗装された道路の下に川が流れており低地で、地盤も弱いのです。
(画像/PIXTA)
内陸部でも「崎」の地名がつくところには、縄文時代など海面が高かった時代に、海と陸地の境目だった地域もあり、地盤が強いところと弱いところが入り組んでいる可能性があります。注意したいのは、近年になって地名が変更されたところ。例えば戦後の高度経済成長期以降に開発された大規模宅地などでは、旧地名から「〇〇〇野」といった地名に変更されていることがあります。
所轄の法務局に行くと、該当地の「登記事項証明書」を、一通600円で土地所有者でなくても取得でき、そこには「田」「畑」「宅地」といった土地の用途区分が書かれています。現在は宅地のように見える土地でも、過去をさかのぼれば田んぼだったかもしれず、そうなると地盤は柔らかい可能性が高くなります。
インターネットで「国土地理院地図」を見れば、戦前までさかのぼって空中写真・衛星画像が確認できますので、時代ごとにどのような土地の使われ方をしてきたのか分かるうえ、地盤の固い「台地」なのか、それとも軟弱地盤の「低地」なのかが地図上で確認できます(ベクトルタイル提供実験―自然地形)。ただしこの地図は250メートルメッシュの大雑把なものであることに注意してください。
個別具体の地盤の状態を知るには「地盤調査」が必要になります。「ボーリング調査」「SS」(スウェーデン式サウンディング)試験といった方法で地盤の固さを調べます。中古住宅購入を検討するならこうした地盤調査データがあるか尋ねてみるとよいでしょう。また、新築一戸建てを建てる際には、建築基準法によって、地盤調査が事実上義務付けられているため調査結果は必ず参照することができます。
ただしこうした地盤調査にも一定の限界があるのです。従来型のこうした手法はあくまで地盤の「固さ」を測定するものであり「揺れやすさ」は分からないのです。そこで近年登場したのが「微動探査」というもの。
2016年の熊本地震では震度7の大地震が2回発生。住宅の全壊が8637棟、半壊は3万4726棟など、甚大な被害が発生しました。この地震では、わずか数十m離れたエリアで住宅の被害が大きく異なる現象がみられました。全壊している建物が多いエリアと、被害の小さい建物が多いエリアが隣り合っていたのです。原因は各々の地盤の「揺れやすさの違い」によるものでした。
これから新築一戸建てを建てる方や、自宅土地の地盤の揺れやすさを知った上で耐震改修を行いたい方にはおすすめの技術です。どんな地盤か分かっていれば、どんな改良策を取れば被害を小さくできるかが事前に検討できます。
地盤の「固さ」を測定する地盤調査と、地盤の「揺れやすさ」を測定する微動探査(図表/地域微動探査協会HP)地域微動探査協会HPより
政府の専門家委員会によれば、今後30年以内にM8~M9クラスの南海トラフ地震が70~80%、首都直下型地震はM6.7~M7.3クラスが70%の確率で起こると予想していますが、近年ではこうした予想の範囲外でも大規模地震が起きています。いざというときのための備えをしておくことはとても大切ですね。
東京から東北新幹線で2時間13分。料金1万5010円。京都に行くのとほぼ同じ時間、同じ運賃で行ける岩手県盛岡市。宮沢賢治と石川啄木を生んだ文化の街(人口比の演劇の劇団数が日本一)であり、じゃじゃ麺と冷麺がしのぎをけずる麺の街であり、一家庭当たりのビール購入量が最も多い街となったこともある、お酒の街でもある。寿司もうまい。
そんな盛岡市が運営するInstagramアカウント「盛岡という星で」がおもしろい。味のある写真にロゴが丹念に配置されていて、適度にポエミーなテキストが添えられている。雪国らしさも感じる、きれいなたたずまいだ。昨年12月に開設され、フォロワー数は6000人(2019年10月現在)を超える。
このアカウントの特徴は他にもある。「マリオス」、「ベルフ山岸」、「梨木町」など、盛岡に詳しくない人にはてんで見当がつかないが、盛岡に住んだことのある人なら誰でも分かる(らしい)スポット・ことばが頻出するのだ。
つまり、外向けではなく内向け。これから盛岡に行こうという人、観光客に向けたものではなく、市内に住む人や、かつて市民だった人、盛岡に馴染みのある人たちに向けて投稿がされている。なんとも不可解だ。
いったい狙いはなんなのか。どのような想いをもって運営されているのか。市の担当職員である佐藤俊治さんと、制作を請け負うクリエイティブディレクターの清水真介さんにお話を伺った。
日常を映したいから、街いちばんのお祭りをあえて載せない――「盛岡という星で」のアカウントを拝見していちばん面白いなと思ったのが、この投稿でした。街いちばんのお祭り、しかも市が推しに推している「さんさ踊り」を「疲れるもの」として自治体運営のアカウントが発信していて、すごいなと。
さんさ踊り当日の投稿。テキストには「エスケープゾーン」とある
清水真介さん(以下、清水):一応さんさ踊りの画は撮っているんですけど、今年は敢えて触れないようにしてみました。ハレとケでいうと「ケ」。日常を映そうというのが「盛岡という星で」のコンセプトなので、ネガティブなことも入れるようにしています。
お祭りもあれば死だってあるし、恋もあれば別れもある。その方がリアルな暮らしが見えてくると思ってネガティブなものも隠さず表現しようと試みてます。行政がやるインスタグラムってとにかくポジティブなものが多いんですけど、暮らしってそれだけではないので。
デザイン事務所 homesickdesign 代表の清水真介さん「盛岡という星で」ではクリエイティブディレクターとして、プロジェクト全体のデザインやコピーライティングなどに携わる。(写真撮影/菅原茉莉)
佐藤俊治さん(以下、佐藤):さんさ踊りを正面から取り上げることはないだろうなと思ってましたが……投稿を見たら、案の定でしたねえ(笑)。
――更新されてから知ったんですか?
佐藤:行政の言葉や表現では届かなかった情報があって、それを伝えてもらうためにお願いしているわけなので。わたしたちがあれこれ口を出して、感性を損なってしまっては意味がありませんし,投稿のタイミングなどもあるため,そういった形でお願いしています。清水さん自身が盛岡にずっとお住まいだっていうこともあって、何にどう触れるとよくないか把握してくださってるんですよね。投稿内容で気になるときには事前に確認の連絡がありますし,安心してお願いしています。
盛岡市都市戦略室の佐藤俊治さん。「盛岡という星で」では、市の事業担当者として、プロジェクト全体のディレクションに携わる(写真撮影/菅原茉莉)
盛岡のことを想うきっかけをつくりたい。「盛岡という星で」がはじまるまで――そもそもどうして、観光情報などではなく「日常」を発信していく「盛岡という星で」がはじまったのでしょうか?
清水:市から「関係人口(※)を増やしてください」というお題で公募があって、そこにぼくらが持って行ったのがこの図でした。
※「『関係人口』とは、移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」総務省発行「関係人口の創出に向けて」資料より
清水さんが盛岡市に提案した資料(写真撮影/菅原茉莉)
普通はこういうとき「関係人口づくり、俺たちがやってみせるぜ!」って提案をするんですけど、うちは「関係人口? いきなりは無理です。もっと手前を目指します」としか言いませんでした。
佐藤:市としては盛岡に関わる人が増えるという関係人口創出そのものをやってほしいっていうオーダーだったので、清水さんの提案は衝撃的でした。普通の人が、思い通りに関係人口になって、そして移住、って、そんな単純なものじゃないでしょと言われて。
清水:もっとグラデーションがあると考えたんです。まずは0から1。インスタグラムを定期的に更新することで、かつて盛岡に住んでいた人や、一度来たことのある人が、ほんの少しでも盛岡のことを想うことが大事なんじゃないかと。
佐藤:それが、友だちと盛岡の話をするとか旧友・家族に連絡を取るとか、そういうささやかな行動につながっていく。それこそが、この図の段階を上がっていく、関係人口を増やす下地になるんだと、その考え方がすごくしっくりきました。イベントの目的や雰囲気のベースにもなっています。
東京で行われたイベントの告知も、移住を促すような内容ではない
――短期で成果が出るわけではないし、手法も特殊なこの案、佐藤さんがいいと思っても市役所内で説明するのが大変だったのでは?
清水:大変だったと思います(笑)。
佐藤:清水さんの提案も外部の審査員が入った公募で選ばれていますし、幸いにして理解ある組織や上司に恵まれていたので、言うほどの苦労はなかったです。今日もこうして、立ち会ってくれていますし。
取材中ずっと笑顔の盛岡市都市戦略室 室長 高橋宏英さん。「盛岡という星で」では、プロジェクトの責任者(写真撮影/菅原茉莉)
――佐藤さん、ぜんぜん顔色うかがってらっしゃらないですもんね。信頼関係を感じます。
佐藤:あんまり気にしないのも部下としてどうかと思いますけどね(笑)
できれば盛岡と「1枚目の名刺」で関わってもらいたい――いま、「盛岡という星で」のインスタグラムを見て盛岡のことを想う人が少しずつ増えていると思います。この気持ちを、どう育てていく予定ですか?
佐藤:清水さんの図でいう第一段階「盛岡を考える人を増やす」にもっと時間がかかると思ったんですけど、デザインのよさもあって、スムーズに進みました。
鉄は熱いうちに……といきたいところですが、急に「さあさあ! 盛岡いかがですか!?」となると、「やっぱり移住しないとダメなの……」となる気がしていて(笑)。
清水:インスタグラムであるかはともかくSNSの投稿は、このまま続けていくのが大事だと思っています。「若い人たち」に向けてやっていますが、3年経てば高校生は大学生に、大学生は社会人になり、ごそっと入れ替わってしまいます。盛岡への気持ちを0から1にするこの活動を停めてしまうと、いずれ「関係人口」になってくれるかもしれない人の供給源が断たれてしまうので。
(写真撮影/菅原茉莉)
佐藤:継続は前提とした上で次の段階、実際にどう盛岡と関わってもらうかが課題ですね。今,各地域で進められている「関係人口」の取組はすごくキレイなんです。東京をはじめとした都市圏には、ボランティアでもいいから地方に関わりたい、地元に貢献したいって人がたくさんいるとされてるんですけど、ハードルが高いかなと思ってて。
だってみんな忙しいじゃないですか。ほかのプロジェクトメンバーと話してて、ボランティアや副業、いわゆる「2枚目の名刺」じゃなくて、本業としてガッツリと「1枚目の名刺」で関わってもらうのが近道なのではないかと。本業なら新たに時間をつくらなくても、既存の時間で置き換えることも可能ですし。
ありがたいことに、どこか地方と何かやるなら盛岡がいいと言ってくださる方もいらっしゃるので。そういう人たちと実際に仕事をして、関係を深めていって、その先でもし気に入ったら盛岡どうですかと。インスタグラムでつながっている若い人たちとも、いずれそういう形でつながっていけたらいいなと思います。
――盛岡市のその「受け身」の姿勢が、心地よく感じる方も多いのではないかと思います。
清水:佐藤さんはじめ、盛岡の人たちはほんとうに盛岡が好きで自信があるので、押しつけないんですよ。盛岡を選ぶか選ばないかは、その人の判断なのでどっちでもいいとおっしゃいます。
佐藤:関わってもらったうえで、やっぱりダメな街だとおっしゃるなら、それはそれでわたしたちが考えて改善していけばいいですから。けれど、後で良さに気付いて「盛岡がよかったな」っていうのだけは避けたいんですよね。
東京からどこかに移住された方があとで知ってそう言われるのもイヤだし、盛岡出身の方が長い間離れ過ぎたがために「本当は戻りたかった」とおっしゃるのも悲しい。
18歳で盛岡を出て、何も接点がないまま40歳超えてから戻るっていうのは、やっぱり難しいんです。20代、30代の間に、戻らなくてもいいから接点をつくっておくことが大事で。
そのきっかけのひとつとして、「盛岡という星で」が機能するといいなと思います。
(写真撮影/菅原茉莉)
取材の翌日、「よ市」へと出かけた。4月~11月の毎週土曜日の午後に開催される、盛岡市で40年以上続くマーケットイベントだ。
よ市の「よ」は「余」、つまり「あまりもの」という意味だそうだが、とんでもない。盛岡市のクラフトビールメーカーであるベアレンビールの生中が300円で飲めて、三陸の海でぶくぶくと太った牡蠣が100円で食べられる。幅20M、全長400Mほどの道路が、そんな市内の商店による屋台(いわゆる「テキ屋」はひとつもない)で埋め尽くされるのだ。
自転車で小学生、市内の美大に通う若者、白髪で入れ歯の老紳士。市民たちは約束するでもなくこのマーケットに集まり、それぞれ食べたいものを買い、めいめい輪になって宴会がはじまる。筆者には、盛岡の豊かさが凝縮された風景のように見えた。
よ市に象徴されるこの「余裕」がこの街の自信の源であり、「盛岡という星で」のちょうどいい距離感の理由なのかもしれない。
マンションの住み替えの実態について、すむたすが住み替えによるマンション売却経験がある30代以上の男女312名を対象とした調査を実施した。その結果、売却金額に不満を感じた人が多いことが分かった。詳しい結果とマンションを売るときのポイントについて、考えていこう。【今週の住活トピック】
「マンションの住み替えに関する実態調査」を発表/(株)すむたす
「住み替えの売却活動で不満を感じた点」を聞いたところ、約70%が何かしら不満を持っており、最も多かったのは「最終的な成約金額が想定よりも低くなった」(26.0%)、次いで「見積もり時の査定金額が低かった」(19.9%)だった。
いずれも、「成約価格」や「査定価格」など、住まいの売却金額に関する不満で、「査定価格と最終的な成約金額が大きく乖離していた」も11.2%あった。
ご自身の住み替えにおける売却活動で、不満を感じた点を教えてください(出典:すむたす「マンションの住み替えに関する実態調査」より転載)
売却期間が長いほうが、成約価格が査定価格より下がる傾向に売却活動において、売り出し価格を決めるときに参考にするのが、不動産会社が見積もる「査定価格」だ。査定価格は、周辺の類似物件の過去の成約価格やその時点の相場の動きなどを基にして、不動産会社がマニュアルに沿って算出する。査定価格を参考に、もっと高く売れるのではないかとか、早く売りたいので査定価格でよいなど、売主の意向を受けて「売り出し価格」を決める。
売り出し価格ですぐに売れる場合もあれば、なかなか売れずに売り出し価格を下げていく場合もある。最終的な「成約価格」は、買いたいという希望者と売主との間の条件交渉などを経て決まる。
では、成約価格は査定価格と比べてどうなったのだろう?
査定価格と成約価格の差分割合を聞いたところ、覚えていないという人も多いのだが、最も多かったのは「0%(ほぼ同じ)」の24.7%だった。査定価格が参考になることが分かる結果だ。
一方、査定価格と成約価格で差が出た人では、上がった人より下がった人の方が多く、10%程度下がった人が多いことを考えると、「査定価格と同程度~1割ダウンで売れた」事例が多かったということになる。
実は、査定価格との開きは、売却期間によっても変わる。詳しく見てみよう。
初期見積もりと成約価格の差分割合はいくらでしたか(売却期間別)(出典:すむたす「マンションの住み替えに関する実態調査」より転載)
売却期間を3カ月未満と以上で分けたところ、3カ月未満で売却できた場合よりも、3カ月以上かかった場合のほうが成約価格の下落が大きいことが分かる。時間をかけたほうが高く売れるわけではなく、むしろ下がる可能性が高いということだ。
複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる会社と相談しながら売却活動をさて、「3カ月」が分かれ目になるのはなぜだろう?
前提として、不動産会社に売却を依頼する「媒介契約」の契約期間が一般的に「3カ月」になるという点が挙げられる。つまり、不動産会社が提示する査定価格も、3カ月以内に成約させるという想定で算出されている。
また、売り出し価格の設定の問題もある。高く売りたいと査定価格よりかなり高い価格を設定してしまうと、相場より高めに見えてなかなか買い手が見つからないということがある。その場合は、じりじりと価格を下げることになり、むしろ値下げを続ける物件と見えてしまうリスクが生じる。
やはり、査定価格を参考にあまり相場からはずれない価格で売り出し、3カ月以内の成約を目指す、のがよいということになる。
しかし、あくまで査定価格が信頼できるという前提だ。まれに、売却を依頼してほしいからと相場より高い価格で査定価格を提示する不動産会社もある。
そこで筆者は「必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格の根拠を説明してもらい、その説明を聞いて信頼のおけると思える不動産会社を選んで、よく相談しながら売却活動を進める」ということをオススメしている。
今は簡単にインターネットで査定価格を出してもらうことができるが、提示された価格だけではなく、説明を聞いた上で「納得のいく説明をしてくれるか」「地元の相場に詳しいか」を決め手に、不動産会社を選ぶのがよいだろう。
さて、売却活動の不満を聞いた調査結果では、金額にかかわること以外にも、売却活動の期間が長期化すること、最終的にいくらで売れるかなかなか確定しないことなどの不満も多くあった。
売却した額を次の住み替え先の資金に充てたり、次の住み替え先の売買契約の時期が迫っていたりと、それぞれに事情があるので、売却時期や金額が確定しない不満や不安を感じる人も多いのだろう。そうした事情をきちんと理解した上で、適切なアドバイスができる不動産会社を選びたいものだ。
2019年8月1日に国土交通省から発表された「令和元年度 空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」。空き家対策のモデル的な取り組みについて国が支援を行い、その成果の全国への展開を図る目的で平成30年度からスタート。令和元年度は111件の取り組みの中から、60件の事業者が選ばれた。今回は、選ばれた事業者の取り組み内容から、今、日本で展開している先進的な空き家対策の傾向を探ってみたい。
空き家対策相談員やコーディネーターなどの人材育成が主眼のひとつ
事業者の採択は、「人材育成と相談体制の整備部門」「空き家対策の共通課題の解決部門」の2つの部門別に行われた。
まず、「人材育成と相談体制の整備部門」では、「空き家に関する多様な相談に対応できる人材育成、多様な専門家等との連携による相談体制の構築」に対する支援を目的としている。この部門では、空き家対策に取り組むコーディネーターや空き家対策をサポートするファシリテーターなどを育成する事業者、そして空き家問題を抱える人が相談できる相談体制の整備に取り組む事業者などが選ばれた。
株式会社エンジョイワークスの「空き家再生プロデューサー育成プログラム」は、まさにその「人材育成」の取り組みだ。「令和元年度 空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」として採択されたのは、その中の小規模不動産特定共同事業を活用した事業組み立ての手法を学ぶ「アドバンストコース」であり、これから講座が開かれる予定となっている。全国で開催される2日間の「ベーシックコース」、鎌倉で1カ月間のOJTを通じて空き家再生のノウハウを体得する「スペシャルコース」は、先行事業としてすでに講座が開かれており、スペシャルコースの卒業生は、早くも自らのプロジェクトをスタートさせている。なお、ベーシックコースとスペシャルコースは国土交通省の平成30年度および令和元年度「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」に選ばれている。
エンジョイワークス「空き家再生プロデューサー育成プログラム」のサイト(画像協力/エンジョイワークス)
写真左から、同プログラムの講義、ワークショップ風景(画像提供/エンジョイワークス)
同プロジェクトの卒業生が手掛けている空き家活用プロジェクトでは、石川県加賀市の片山津温泉に空き家を購入。「空き家の古い物持ってっていいよDAY」「現地で宿の間取りを考える会」などのイベントをすでに実施済みだ(画像協力/ノスタルジックカンパニー)
「空き家の古い物持ってっていいよDAY」(画像提供/ノスタルジックカンパニー)
「現地で宿の間取りを考える会」(画像提供/ノスタルジックカンパニー)
ほかにも、以下のように、空き家相談員や調査員の育成、育成プログラム・研修制度・研修体制の作成・整備などを掲げた事業が見られる。
・空き家問題解決のコーディネート事業、活動拠点の拡大、相談員(コーディネーター)育成のため事例検討会開催を図る(NPO法人出雲市空き家相談センター/島根県)
・地域人材の連携による空き家の一元相談体制の構築や空き家調査フォーマットのWEBアプリケーション化の試験的導入など(株式会社三友システムアプレイザル/埼玉県入間郡毛呂山町など)
・相談窓口の運営、相談員・専門家等対象の研修等を通じた育成を強化(株式会社ジェイアール東日本企画/福島県田村市・三春町・小野町)
・シルバー人材センターを対象とした木造住宅簡易鑑定士および住教育インストラクターの育成や、空き家発生抑制に通じる住教育セミナーや勉強会など(一般社団法人全国古民家再生協会/全国)
空き家問題を解決に導くためのノウハウを備えた人材の育成・教育が、空き家対策を講じる上で急務であることが見て取れる。
相談体制の整備に共通するキーワードは「ワンストップ」一方、相談体制の整備に関しては、相談窓口の設置、相談セミナーの開催など、空き家問題に悩む相談者に対するサポートを掲げる事業が採択された。
その多くに共通しているのが、「ワンストップ」という言葉。空き家にまつわる「相続」「生前対策」「修繕」「管理」「賃貸」「売買」「利活用」「解体」「跡地活用」といった多岐にわたる問題を、各所にたらい回しにせずにひとつの窓口で済むように相談に応じることを意味している。相談者の抱える問題に応じて、各分野の専門知識や経験のある相談員が相談を受けたり、相談員と専門家がペアになって相談に応じたりするといった仕組みが提案されている。
・所有者に対する暮らし方・ライフプランの提案と相続等の相談対応を一体的に処理できる体制整備に向けたツール作成や相談プラットフォーム構築(かごしま空き家対策連携協議会/鹿児島県)
・行政職員向けの空き家相談士研修会の開催や、専門知識と経験のあるNPO会員と行政職員がバディを組んだワンストップの総合相談体制整備(特定非営利活動法人岐阜空き家・相続共生ネット/岐阜県羽島市,岐阜県各市町)
・市窓口への電話や窓口来訪の場で解決をする空き家対策コーディネーターの育成や、窓口駐在での相談対応(京都府行政書士会/京都府京都市)
「空き家対策の共通課題の解決部門」では、地方公共団体と専門家等が連携して共通課題の解決を図る取り組みが対象となり、その事業内容は、空き家問題の背景となる課題の解決を含めて実に多岐にわたっている。
その中で目を引くのが「学生」との協働だ。例えば、CANVAS合同会社(茨城県水戸市)では、水戸市中心市街地の空き家・空き店舗の調査を学生の講義の一環として実施。市街地の活性化を狙い、空き家の発生抑制を図る。また、学生が主体となって美容院だった空き店舗を多世代交流施設「マチノイズミ」として再生するプロジェクトを通じて、創業体験の場を設け、空き家・空き店舗の価値向上・啓発につなげる産官学連携の事業モデル構築に取り組んでいる。先行する試みとして、すでに市街地のランチマップ制作や、マチノイズミ改修のためのクラウドファンディングが実施済みだ。
写真左:マチノイズミプロジェクトの一環として、もともと美容室だった空き店舗を見学している茨城大学の学生たち(画像提供/CANVAS合同会社)
その空き店舗を多世代交流施設「マチノイズミ」として利用するために、茨城大生たちがDIYで改装した(画像提供/CANVAS合同会社)
同プロジェクトの講義風景(画像提供/CANVAS合同会社)
今回の事業の先行活動として、茨城大生たちが水戸市中心市街地をランチマップ制作のために散策。将来的に単位認定も視野に入れ、持続的で発展性のある活動とすることを狙いとしている(画像提供/CANVAS合同会社)
また、特定非営利活動法人空家・空地活用サポートSAGA(佐賀県佐賀市)でも、学生と協働した空き家利活用プランニングイベントやワークショップを開催し、利活用モデルを構築。次世代の空き家対策の担い手育成につなげるとしている。栃木県小山市も、地元の建築系学生の協力を得て空き家の早期発見・情報提供を行う「空き家パトロール事業」の試行を計画中だ。
民泊活用や福祉との連携など多岐にわたる取り組みが行われている「空き家対策の共通課題の解決部門」では、さらにバラエティ豊かな事業が選ばれている。例えば、特定非営利活動法人かけがわランド・バンク(静岡県掛川市)では、昨年度行った空き家調査においてニーズの多かった民泊活用を促進するため、所有者・事業者向けの民泊勉強会の開催、マッチングサポート、民泊事業者向け勉強会を実施。民泊事業用建物チェックマニュアル、民泊事業手続マニュアルを作成する計画だ。
かけがわランド・バンクが先行事業として行った小学校区別空き家マップ作製事業の調査風景。空き家らしき建物の状態をチェックした(画像提供/かけがわランド・バンク)
同調査で作成したマップ。空き家の位置が家のマークでプロットされている(画像提供/かけがわランド・バンク)
同事業の空き家現地調査を踏まえて、空き家ではないかと推測される建物の所有者に配布した意向調査の案内と調査票。意向調査の結果、民泊活用のニーズが多かったことから、今回、民泊活用を促進するための新たな事業が立ち上げられた(画像提供/かけがわランド・バンク)
ほかにも、以下のようなさまざまな切り口からの取り組みが選ばれている。
・空き家バンクから選定したモデル物件における複合シェアサービス型賃貸住宅を試行。効果検証を通じた事業モデルの確立(株式会社九州経済研究所/鹿児島県鹿屋市)
・掘り出し物市でのテスト販売を通じた空き家残置物の流通ネットワークをつくり、廃棄物減少と販売収益の解体費への充当による空き家除却モデルを検証(特定非営利活動法人Goodstock/兵庫県たつの市など)
・既存の航空写真・GISマップ等を活用した空き家予備軍の判断方法をマニュアル化。自治体と民間が共有する空き家地図プラットフォームの基盤の構築に向けた試行・検証を行う(国際航業株式会社/愛知県新城市)
団地やニュータウンのある地域では、主にその団地・ニュータウンから発生する空き家を対象として事業を展開する団体もある。
・県内最大規模の団地である西諌早ニュータウンへの空き家相談窓口の開設と常駐相談員のスキルアップ等を図る(一般社団法人ながさき住まいと相続相談センター/長崎県)
・洛西ニュータウンにおける空き家発生抑制のための中古住宅流通の改修の独自モデルを検討(洛西NTアクションプログラム推進会議住宅・拠点関係ワーキンググループ/京都府京都市西京区[洛西ニュータウン])
・郊外の団地をモデル地区とした空き家予備軍に関する調査を実施(特定非営利活動法人あいち空き家修活相談センター/愛知県豊田市)
持ち主の死亡による相続のタイミングで空き家が発生することが多いことから、高齢者の終活相談などとの情報共有体制を敷いたり、地域包括支援センターと連携して社会福祉士・保健師・看護師・ケアマネジャー等のスキルアップを図る事業者も多数。福祉との連携も、空き家問題解決の一策であることが分かった。
空き家対策は、相続、建築、不動産、福祉と、実にさまざまな分野にまたがったアプローチが必要。今回、採択された事業者の取り組みを見ると、そうした多角度から問題を解決しようとする試みが、全国で展開されていることが伝わってきた。空き家の発生を抑制する予防的なものから、空き家の利活用まで、多分野にわたった取り組みが有機的につながり、全国に波及していくことが、空き家問題解決の糸口となるではないだろうか。
●参考高齢者は賃貸への入居を断られるケースが多いといわれる。まだまだ元気な60代や70代でさえも……。現代の高齢化社会においては見過ごせない現状だ。実際に断られた人の声と、あえて高齢者の賃貸入居をサポートしている不動産会社の取り組みを踏まえ、高齢者の賃貸入居の現状とこれからを考えてみよう。
自由に暮らしたい母。でも不動産会社は「80代は無理」の一点張り
岐阜県可児市に住む女性・Uさん(当時64歳)は、2017年に、京都府に1人で住む母(当時88歳)を近所に呼び寄せようと考えた。
「母が京都で住んでいた家が立ち退きの対象になって。本人の希望で、当初は京都で探していたんです。母はそれまでも自立して一人で生活していましたから、私自身、心配していませんでした。当時、母は便利な街なかに住んでいて、近所まで、バスはもちろん自転車に乗って出かけていたぐらいです。
家を探そうと思い、京都の不動産会社へ電話したところ、『88歳?その年齢では借りられませんよ』の一点張りで、驚きました」
もう1社に電話したところ同じような対応で、物件を紹介してもらえる様子はなかったという。「娘の私の年齢である60代でも貸せないくらいなのに、まして80代なんて……という対応でしたね」
そこでUさんは「何かあったらすぐに駆けつけられる私の家の近所であれば、可能性があるのでは」と考えて、母を説得。岐阜県内に呼び寄せることにした。
「自宅の近隣で、母の一人暮らしに良さそうな物件をインターネットで探し、不動産会社へ電話をしました。どの会社の担当者も母の年齢を話すと驚いていて、4社に『ご紹介できる物件はありません』と断られました」
母の立ち退きが迫っていたので「物件が見つからなければ、母には悪いが同居で納得してもらおう」と考えていたUさん。
それでも懸念していることがあった。「岐阜で同居した期間があったんです。そうしたら、いつも身の回りのことを自分でしていた母が、何もしなくなってしまって……。わが家はオール電化なのですが、母の住まいはガス。『使い方が分からない』という理由で、お茶も淹れず、外出もしなくなった様子を見て、これではすぐに心身が弱ってしまうのではないかと心配になりました」
シニアライフサポートの、年齢別の契約者数。申し込み時で76~80歳が最も多い(データ提供/ニッショー)
契約者の年齢別集計。申込者の最高年齢は96歳(データ提供/ニッショー)
7社目で、「高齢者サポートシステム」がある物件と出合う諦めずに、計7社目となる会社に電話をしたUさん。その物件は、家から徒歩10分、車を使えば2分の場所にある、バリアフリーの1LDK。キッチンには母が希望するガスコンロがあった。「インターネットで室内の画像を見ましたが、明るくてキレイでした」
「母は88歳ですがいいですか?」と不動産会社のニッショーに確認すると、「ここはシニアライフサポートというシステムがある物件なので、サポートに入っていただくことを条件に、入居していただけます」と担当者から説明されたという。
「セコムを含めたシステムの利用を条件に、高齢でも賃貸物件が借りられると聞き、納得しました。ありがたく思い、すぐにお願いしました」
このサポートサービスを紹介してくれた不動産会社ニッショーの「シニアライフサポート」は、今ある持ち家や賃貸住宅に、大家側と入居者への安心をプラスする高齢者見守りサービスだ。
具体的には、次の3つがセットになっている。
(1) 入居者の毎日の安否と体調を電話で確認。その結果は家族や指定の連絡先へメールで知らせる。
(2) 防犯センサーや煙センサーが異変を感知するため、もしものことがあればセキュリティサービスの「セコム」が駆けつける。
(3) 入居者がペンダントタイプの「救急ボタン」を押せば、セコムが駆けつける。また、「ライフ監視センサー」で、一定時間動きを感知しなかった場合はセコムに通知される。
「シニアライフサポート」のキット。賃貸物件の場合は、防犯センサー3カ所までで初期費用が3万円(税別)、その他に毎月の家賃+月額料金6千円(税別・※ニッショーの管理物件の場合)となっている(写真提供/ニッショー)
「元気な」シニアの一人暮らしをサポートするためにこのシステムの開発を主導した名古屋の賃貸住宅仲介会社、株式会社ニッショーの佐々木靖也さんは、開発の背景をこう話す。
「賃貸住宅へのシニアのご入居が難しくなっている背景には、体調面や事故の心配から、物件のオーナーさんがシニアの方を受け入れづらく感じ、あらかじめお断りするという事情があります。入居者の孤独死への不安を持つ方も多いようです。民間の賃貸業者としては、オーナーさんの意向に添うことが原則ですから……」
立ち退きや、伴侶を亡くしたので広すぎる家を売却したい……などの理由によって、一人住まいの賃貸物件を探すことになった高齢者が、「当然借りられる」と思って不動産会社を訪ねると、借りられずショックを受けるという事態が続いていた。
「私たちには、賃貸業者として今のままではダメだという思いがありました。オーナーさんにも入居者さんにも喜んでいただけるサービスを考えようと、2013年にプロジェクトチームをつくり、2014年には具体的に動き出しました」
当時は、サービス付き高齢者住宅(サ高住)が話題となり、建築ラッシュでもあったころ。
「しかしサ高住は、元気なシニアにとってはあまり意味がないし、私たちが取り扱っても従来のオーナーさんにメリットがない。私たちは『国の補助金に頼らず、すでに管理や委託を受けているオーナーさんの物件を活用して空室を埋めつつ、シニアの方の見守りができる新しいサービスを考えよう』と思いました」
これは「人命に関わること。あまり利益が出なくても、やらなくては」という社長の思いがこもった事業だったという。
「シニアライフサポート」の開発を主導した、営業本部副本部長の佐々木さん(写真撮影/倉畑桐子)
「シニアライフサポート」の登録物件は、現在、東海3県で3500棟。
「オーナーさんには負担がありませんから、シニアの受け入れに協力してもらえませんかと説明すると、多くの人に賛同していただけます」と佐々木さん。
「大多数の、元気なシニアの入居希望者の問題を解決しながら、オーナーさんの空室を埋めて、win-winのプロジェクトになった」と手応えを語る佐々木さん。
システムを運営し始めてから、「シニアの入居者さんによってオーナーさんが困ったという事例はありません」と話す。
「シニアの入居者さんは、まず家賃を滞納することがありませんし、住まいに関するルール違反もしません。苦労して見つけた物件だからです。また、70代くらいの人は、今後のライフスタイルの変化があまりないため、一度決めると長く定住されます」
それは安定した入居者だとも捉えられるだろう。
「住んでから家の中で倒れたという入居者さんもいますが、近くにあった『救急ボタン』を手繰り寄せてボタンを押し、命が助かったという例があります。浴室での事故を予防するため、防滴の『救急ボタン』を、浴室のドアにかけて入浴している人も多いようです」
住んでから入居者が亡くなった事例もあるそうだが、「ご遺族から『早期発見によって、きちんと見送ることができた。ありがとう』とお礼を言われました」と振り返る。
孤独死などを恐れて高齢者の入居が断られるケースも、サポート体制が整えば、状況を変えられるのではと考えさせられた。
オーナー向けイベントで、見守りサービスが多くの人の関心を集めた(写真提供/ニッショー)
前出の入居者の娘・Uさんの母は、現在91歳。希望通り自由な生活を謳歌し、Uさんは徒歩圏内である母の家に、おかずの差し入れなどを持って毎日顔を出す。
「毎朝決まった時間に、母の安否確認結果のメールが送られてきます。母とは毎日会うのですが、『今朝もちゃんと起床して、元気なんだな』と思うと安心できます」とUさん。91歳の母が近居で一人暮らしていることは、近所の人からも感心されているという。
「ある朝母の家で、安否確認用の音声案内の電話を一緒に聞いていると、毎回流れてくる内容が違うことに気がつきました。『明日は十五夜ですね』などと言われると、母も電話に向かって返事をして、私にも『お団子を食べなくてはね』と話していました。そんな日々のやりとりも、張りになっているようです」とUさん。
「近所で母が望む自由な生活をさせてあげられていることをうれしく思います。こういった見守りサービスがあれば、この先、自分自身や子どもたちも安心していられますね」と、イキイキと話してくれた。
取材中、隣県で一人暮らしをする70代の身内のことが思い浮かんだ。それを話すと佐々木さんは、「戸建でもシステムは後付けできます。毎日、数名にメールをすることも可能ですから、身内の方で費用を分担しては」。優しいアドバイスにホロリとした。
物件のオーナー自体が高齢となり「自分の家に付けたい」という申し出も多いという。オーナーと入居者本人、そして家族。誰にとってもメリットが大きいwin-winの取り組みは温かい。
高齢化社会において、高齢者の賃貸入居の需要はますます増えていくだろう。「高齢者だから」と一様に断られるのではなく、「どうしたら入居できるのか」を考えていける社会になることを願う。そして、誰もが自分らしく暮らせるよう、一人ひとりが自分ごととして考えていかなければと思う。
●取材協力