月別: 2024年11月

ラウンドワンの米国展開成功から考えるアメリカでウケる「マイルドヤンキー」型ビジネスモデル

どんなビジネスがアメリカでウケそうでしょうか? 日本企業の方々と話をする中で、最も多く聞かれる質問がこれだ。 多くの起業家たちがシリコンバレーに来るが、その多くはテクノロジー系のスタートアップ企業を立ち上げる。しかし、これまでアメリカで「大成功」を収めた日本人スタートアップ起業家は、ほとんどいないのが現状だ。 ラーメンが大ブーム 一方で、ここ数年、アメリカではラーメンが大ブームとなり、一杯20ドルもするラーメンに多くのアメリカ人が列をなしている。寿司も依然として人気で、回転寿司などの新しい形態の店舗が増加中だ。 さらに、丸亀製麺に代表されるうどんなど、他の日本料理も着実に知名度を上げている。 アメリカの丸亀製麺から考える日本でDXが進まない本当の理由 自動車、家電、寿司、ラーメンの次にアメリカで流行るのは? そんな中、現在アメリカで大ヒットしているMade-in-Japanの商材がある。それは自動車でも寿司でもラーメンでもなく、総合アミューズメント施設だ。日本語で言うところの「ゲーセン」とボウリング、カラオケなどを一体化した施設で展開しているラウンドワンがその代表だ。 公式サイトによると、ラウンドワンの米国市場における営業利益は100億円規模に成長しているという。 日本のアイテムがゲットできるクレーンゲームが人気 中でも特に人気が高まっているのが、クレーンゲーム、通称UFOキャッチャーだ。景品として手に入るのは日本のアニメグッズやキャラクター系のぬいぐるみで、アニメ人気の上昇に伴い、その需要も急増している。 全米に50店舗以上。破竹の勢いで展開 ラウンドワンは、2010年にロサンゼルス郊外のプエンテヒルズ・モールに初の海外店舗をオープンして以来、10年余りで全米50店舗以上を展開している。都市部に限らず、郊外や内陸部の人口密度が低い地域にも進出している点が特徴だ。 郊外のモールに出現した総合アミューズメント施設 上記の写真を見ても分かる通り、ラウンドワンは日本からアメリカ市場に展開した企業としては珍しく、日系やアジア系が多く住む都心部だけではなく、その多くが郊外のモールや、内陸地域のかなり人口密度の低い州や街に出店している。 また、カリフォルニアやニューヨーク、シカゴといった地域でも、店舗自体は都心部から離れた郊外のモール内に位置することが多い。 ラウンドワン・サンフランシスコ店を訪れてみた 2024年11月下旬、サンフランシスコ店が新たにオープンしたとのことで実際に訪問してみた。店舗は市内郊外に位置する「ストーンズタウン・ショッピングモール」の地下にあり、アクセスは裏手の駐車場から直結という、自動車社会のアメリカらしい作りになっている。 店内は広大なアーケードエリアが中心で、ボウリングやフードコートも併設されている。 アーケードは全てプリペイドカード式 中に入ると、真っ先に目に入るのがアーケードエリア。そしてその真ん中にカード購入マシーンが置いてある。そう、アーケードで遊ぶには現金やクレジットカードではなく、プリペイド式のカードを購入する必要がある。 このカードを各機種にスライドすることでプレイが開始する。必要なクレジット数は機種によって異なり、例えばクレーンゲームは小さいもので9クレジット、大きなものでは14クレジット必要だった。 店舗によって異なる提供サービス ラウンドワンの米国店舗では、地域や店舗サイズによって提供されるサービスが異なる。例えば、ポートランド店では、アーケードやボウリングに加え、ビリヤードやカラオケなども楽しめる。 US公式サイトによると、以下のようなエリアが提供されている店舗もある。 アーケードゲーム ボウリング カラオケ ダーツ ビリヤード 卓球 スポッチャ キッズプレイゾーン 食事とドリンク 全米でラウンドワンがバカウケしている10の理由 では、なぜここまでアメリカでラウンドワンがヒットしているのか。 実際に行ってみた感想と、現在のアメリカが抱える社会的状況、ライフスタイルの変化、地理的なファクター、そしてあまり知られていない若者たちに広がる”とある闇” など、その理由を考察してみよう。 1. 田舎すぎて遊ぶところがない メディア等でアメリカの様子が取り上げられる際、その多くはニューヨークやLAといった都心のエリアである。その一方で、国土の90%以上が非都心部であるアメリカは、実は巨大な田舎なのだ。 世界のテクノロジーの中心のように語られるシリコンバレーですら、実際に来てみると、その「何もなさ」に驚愕する人が続出する。 そんな感じだから、若者にとっては超退屈なエリアがほとんどで、遊び場が極端に少ない。頑張っても映画館やボーリング、下手するとショッピングモールやウォールマートが限界だ。もちろん、パチンコも違法なので存在していない。 そんな状況に、ワンストップで遊べる複合アミューズメント施設が出来た。それも深夜まで営業している。多くの若者がこぞって集まってくるのが理解できる。 2. デートする場所が無い 遊ぶ場所が少ないということは、デートをする場所にも困るということだ。 特に21歳未満はお酒が飲めないだけではなく、バーやクラブに入ることすら許されない。その一方で、自動車の免許は16歳から取れるので、少々の距離があっても等ですることは可能。 日本ではあまりおしゃれと思われないようなアーケードやボーリングは、アメリカの若者にとっては貴重なデートスポットになる。 3. ダウンタウン地域の治安悪化と郊外の発展 日本でも頻繁にニュースに取り上げられているが、パンデミック以降、都心部の治安が悪化したことで、多くの店舗が閉店に追い込まれている。 その一方で、郊外の地域は以前よりも発展してきており、ダウンタウンのゴースト化とショッピングモールの隆盛のコントラストが強くなってきている。 4. 外食が高すぎる 昨今のインフレで様々なものが高騰しているが、アメリカでは特に外食にかかるコストが爆あがりしている。食べ物の値段が上がっているだけではなく、それに連動したウェイターやウェイトレスに払うチップ額も割高で加算される上に、その率もかつての15%ぐらいから、18-20%にするのが一般的になりつつある。 その点、ラウンドワンのフォードエリアは全てカウンターオーダーなのでチップはかからない。予算に限りのある若者にとっても、これは嬉しい。 5. インバウンド客が戻っても日本のB級グルメが気軽に楽しめる ラウンドワンのフードエリアではピザやハンバーガー、フライドチキンなどの格安のファストフードに加え、たこ焼きや餃子、ラーメンといった日本のB食うグルメも提供される。 インバウンド需要で盛り上がる日本だが、一度日本に行き、その食文化の素晴らしさを知ったアメリカ人たちにとっては、また日本の食事が楽しめるのはとても嬉しい。それも、アメリカ基準ではかなりお手頃な価格で。 6. リモートワーク普及による田舎への移住 都心部の衰退の背景の一つがリモートワークの普及であることは間違いない。そして、アメリカは都会と田舎の家賃や不動産価格が極端に異なるため、ここ数年で都会から郊外や田舎に引っ越す人が増えている。 例えば、2023年一年だけで9万人以上がカリフォルニア州を去っているが、テキサス州は40万人も人口を増やしている。郊外はもちろんファミリー層も多く、家族で行ける場所としてもラウンドワンが重宝している。 7. 空きテナントの多い郊外のモール ここ数年のリモートワークに伴ったオンラインショッピングの発展で、多くのショッピングモールに空き店舗が増えている。 そこを狙ったラウンドワンは、経営難に陥っているショッピングモール内の空きスペースを活用して出店している。これにより、モール全体の集客力を高める効果があり、モール側からの出店オファーも増加している。 8. 日本のアニメ&レトロゲームブーム アメリカのラウンドワンに行って驚くのが、アーケードエリアに設置されているゲームの「古さ」。日本では十数年ぐらい前に流行ったような機種がいまだに喜ばれている。 実際、いまだにガンダムのような古いアニメや、ストリートファイター2のようなレトロゲームがいまだに人気で、日本で飽きられたコンテンツであっても、アメリカに持って来ればまだまだ稼ぐことのできる可能性がある。 9. 日本のキャラクター人気の上昇 以前よりアジア系を中心に日本のアニメ人気の上昇にあわせ、関連キャラクターアイテムやフィギュアも人気になってきている。 ラウンドワンで人気の高いクレーンゲーム系の景品がそれらのキャラクターアイテムになっており、他では手に入りにくいアイテムをゲットできる。 10. 若者のお酒離れと教会離れ。そしてドラッグ問題 「最近の若者は酒を飲まない。」これは日本でも聞かれるトレンドであるが、アメリカでも若者のお酒離れが進んでいる。実際、ここ数年における米国市場でのノンアルコール系飲料の売り上げが毎年上昇している。 また、アメリカの地方都市の定番であった「教会に集まる」習慣も、多様化が進んだことで、一般的ではなくなってきた。言い換えると、よりコミュニティ形成の難易度が上がる。それとともに、周りの目の届かないホームパーティーやクラブなどの場所で違法ドラッグを利用する可能性も高まってきている。 そんな中、より安全が担保されているラウンドワンは、明るく清潔な店舗環境で、安心して “健全に” 遊べる場所でもあるのだ。 ラウンドワンデリシャス – アメリカ市場に全振り 今回の記事作成にあたり、日本のラウンドワン公式サイトを訪れてみると、トップページに「実質年収1,500万円」というバナーが目を引いた。 海外に活動の場を移したことで、収入が大幅にアップした日本人料理人のニュースを目にしたことがあるが、ラウンドワンもその流れに乗り、今後アメリカに出店予定の本格和食店舗で働く人材を募集しているようだ。しかも、英語力は問わないという。 さらに、2025年には「ラウンドワンデリシャス」と呼ばれる和食店を集めたエリアのオープンを計画中とのこと。エンターテインメント施設に和食文化を融合させる新たな挑戦だ。アミューズメントに加え、クオリティの高い和食を提供することで、ラウンドワンは今後もアメリカ市場への注力を一層強めていくようだ。 まとめ: 下手なテック系よりもマイルドヤンキー向けビジネス 日本で熟成、もしくは廃れ始めた内容のビジネスであっても、アメリカでは希少価値があり、日本の2-3倍の値段で売っても安く思ってくれるケースもある。 言い換えると、日本でこれまでやってきて、レッドオーシャンになったタイプのビジネスでも、そのやり方をそのままアメリカに持ってきただけで、美味しい商売になる可能性がある。 アメリカはデジタル系やテクノロジーは発達しているが、都市環境は整っておらず、日本のど田舎よりもかなり閑散としている。 アメリカの若者の多くが郊外や地方土地に住み、自動車を所有。可処分所得と娯楽施設が限られている。日本でいうところのいわゆる “マイルドヤンキー” 型ライフスタイルを送っている。そこに日本で熟成した「マイルドヤンキー型ビジネス」が郊外ライフスタイルと合致し、大ヒットを生み出した。 ラウンドワンの米国展開は、名付けて「ヤンキー文化の逆輸入」なのだ。 でもバカにしてはいけない。下手なキラキラ系スタートアップ起業家なんかよりも、よっぽど米国ユーザーの心を掴み、大金を稼ぎ、大成功するポテンシャルを秘めているのだから。

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