投稿者アーカイブ: Brandon K. Hill

成功するブランド名やプロダクトのネーミング方法【ブランディング入門#4】

ヒットするブランド名を考えるには具体的な手法がある 世界的な有名ブランドの名前の由来 偶然ではない!成功するブランドやプロダクト名に共通する3つの法則 ネーミングの際に気をつけたい6つのポイント 6つのタイプ別ネーミング事例 ビジネスアイディアを考え、プランを作成したは良いが、商品やサービス、そして会社名などのいわゆる“ブランドネーム”を何にするかで悩んでしまうケースは意外と多い。 響きが良く、海外の人達にも覚えてもらいやすい。そして、時間が経っても色あせない、そんな優れたブランド名を考えるのは容易ではない。一方で、成功する名前を付けるのは、グローバルブランド構築の第一歩でもある。 有名ブランド名の由来 まずは、現在著名になっているブランド名の由来を見てみよう。有名な内容から、全く知られていないネーミングの秘密もあり、面白い。 ナイキ: Nike ギリシャ神話の勝利の女神の名前から。 アップル: Apple 創業者のスティーブ・ジョブスが果実食主義者であり、それまで勤めていた会社「ATARI社」よりも電話帳で前にくる名前にしたかったため。 パンドラ : Pandora 音楽サブスクリプションのPandoraは由来は、ギリシャ神話のアポロが音楽のプレゼントをPandoraに与えたことに由来する。 ニベア : Nivea ニベアはラテン語で雪の白さを表す単語。白いスキンクリームを表す名前として選ばれた。 キャディラック : Cadillac デトロイト市を設立したフランスの冒険家の名前が由来。 レゴ : Lego デンマーク語の“leg godt (よく遊ぶ)”から。 ソニー : SONY ラテン語で音を表す“Sonus”から ハーゲンダッツ : Haagen-Dazs “ハーゲンダッツ”という響きからヨーロッパのブランドっぽい。しかし、それは大きな勘違い。ブランド名自体は全くの造語であり、意味は全く無い。実は創設者が“ヨーロッパ風”のブランド名を狙い、デンマーク語っぽい響きの名前を考案したのである。 プロによるネーミング方法を公開 ビートラックスでは、ブランディングサービスの一つとして、新しくサービスを作る際や、日本で展開しているプロダクトを海外展開する場合のブランドローカリゼーションの一環として、プロダクトやブランドのネーミングを行っている。 今回はその場合のプロセスとして気をつけているポイントや具体的な手法をご紹介したい。 偶然ではない!成功するブランドやプロダクト名に共通する3つの法則 世界的なブランドをそのブランド価値を包括的に分析しランキングする、InterBrandが発表しているブランドランキングを統計的に分析し、成功事例を元に分析したパターンを元に、成功するブランド名に関する3つの法則を紹介する。 世界のブランドランキングのTop 30のうち、60%が下記の2つ以上の条件を、そして、実に86%がいずれかの条件を満たしているという結果になった。 1. 長さはアルファベットで5文字から10文字以内 歴史的に見て成功しているブランド名のその多くが英語のアルファベット表記で、5文字以上で10文字以内である。これは短くて覚えやすい、書きやすいだけではなく、最近ではメールやTwitterなどのデジタルメディア上でもメリットが大きい。 例: HONDA (5文字) Disney (5文字) Microsoft (9文字) Starbucks (9文字) Facebook (8文字) 2. 同じアルファベット文字が2回以上繰り返されている 英語圏の人達から見ると、ブランド名に同じ文字が2回以上入っていると、なんとなく可愛いイメージがあり愛着が湧きやすい。 例: Apple (pが2回) Google (oが2回) CocaCola (Cが3回、oが2回) Toyota (oが2回) Canon (nが2回) 3. 子音 (硬音) の文字を最低でも1つ含んでいる 子音文字とは、発音した時に「ア・イ・ウ・エ・オ」の音以外になる文字で、その中でも硬音は、英語で発音した際に硬い印象がある文字。具体的なアルファベットで言うと、“Z, B, T, G, Y, H”がそれにあたる。 例: SONY (Y) IBM (B) Uber (B) BMW (B) Amazon (Z) ネーミングの際に気をつけたい6のポイント 上記踏まえて実際にネーミングをする際には、いくつか注意するべきポイントがある。特に、最終的に海外でも知名度を上げたい場合は、これらをきっちりと押さえておきたい。 1. 外国の人にも発音しやすい 日本国内では解りやすく、サービス内容を想像しやすい名前であっても、外国では発音しにくい場合がある。日本語で多く見られる英単語ではなく、かつ複数の母音が含まれている名前。 例えば、サイボウズ、ドコモ、アラタナなどは日本語を話さない人々にとっては、とても発音しにくく、覚えてもらいにくいので注意が必要だ。 2. 他言語で他のものを連想させる名前は危ない 日本では何の問題もなく通用していても、海外に出ると使えない商品やブランド名がある。例えば、“カルピス”は英語圏だと “Cow piss (牛のおしっこ)” に響きが近いので、「カルピコ」に名前を変えている。また、ポカリスウェットの“スウェット”は、英語では“汗”という意味であるため、微妙なイメージと感じる人もいる。 […]

サービスをデザインする際に重要な「7つの大罪」とは

ヒットしているサービスには共通する「秘密」がある
サービス例とそれぞれの秘密を紹介
ユーザーの心をくすぐるデザインのコツ
キーワードは「探索」「学習」「表現」「承認」

「7つの大罪」という言葉を聞いたことがあるだろうか? キリスト教において罪の根源とされる7種類の悪しき感情、欲望などを指す語のことを指す。いくつかの説やバリエーションがあるが、下記の7つが現在一般的に広く知られており、映画の「Se7en」でも採用されているリストは以下だ。

憤怒 (Wrath)
強欲 (Greed)
傲慢 (Pr…

UXデザインとCXデザインの違いとそれぞれの役割

混乱しがちなUXとCXの違いを説明
そもそもUXってなんだっけ
最近出てきたCXの概念と企業へのメリット
UXデザイナーとCXデザイナーの役割
ブランディングにおけるCXの重要性

最近のデザイン界隈において、あまりにも多くの専門用語が飛び交っている。その中でも最もよく使われているバズワードが「UXデザイン」だろう。それなのに、その概念は時代と共に変化し、内容がイマイチわかりにくい部分もある。
UIとUXとの違いは何か?の問いから始まり、その守備範囲、UXデザイナーの役割など、異なる人やコンテキス…

自動車メーカーのリブランディング分析: Nissan、VW、BMW

多くの自動車メーカーがリブランディングを進めている Nissanの事例紹介 VWの事例紹介 BMWの事例紹介 3社のリブランディングにおける主な共通点と展望 ブランドにおけるロゴの真の役割とは? デジタルメディアの普及により、UIデザインやブランディングにおけるフラットデザインの採用が進んでいる。その波は最も”物理的”なプロダクトを提供している自動車メーカーにも影響を与え、複数のブランドが軒並みリブランディングを進めている。その中でも今回は、Nissan、VW、BMWの事例を紹介する。 Nissanのリブランディング事例 先日、Nissanが大胆なリブランディングを行った。最も象徴的なのが、ロゴの大幅な変更。このリブランディングプロジェクトでは、これまで20年近く利用されていたブランドロゴを大胆に刷新した。 デジタルファーストのデザインスタイル それまでデザインは、グラデーションやエンボス等の立体エフェクトを活用し、車両のボンネットに載っているエンブレムを彷彿とさせた。そのデザインテーマを踏襲しながらも、立体的な物理デザインから、一色によるフラットなデザインに変更された。 このリブランディングプロジェクトは、日産自動車株式会社のグローバルデザイン担当専務執行役員、アルフォンソ・アルバイサの主導によって2017年にスタートした。キーワードは「細さ、軽さ、柔軟性」 同氏はプレスリリースにて、今回のリブランディングでは、“科学、技術、コネクティビティにおけるブレークスルーによる顧客への根本的な変化からインスピレーションを得た” と語っている。 コネクテッドなライフスタイルに対応 過去20年間で人々の生活が大きく変化した。インターネットを中心に、我々の生活においてスクリーンやデジタルデバイスに接する機会が格段に増えた。 自動車のコネクテッド化もどんどん進んでいる。それに対応するために、Nissanも、デジタルタッチポイントに強いブランドを象徴するのをゴールとしたアプローチである。 例えば、今回新しくデザインされたロゴは、車内でLEDイルミネーションとしてロゴが光った際に美しく見えることも重要視されている。 時代と共に大きく変化をしてきたNissanブランド 今回のリブランディングはかなり大きな変化のように思える。しかし、下記の通り、Nissanはこれまでも時代の変化に合わせて、幾度となくロゴのリデザインを行っている。 他の自動車ブランドと比べてみても、その変更の頻度はかなり高いと言えるだろう。 Nissanの新しいロゴを分析 Nissanのこの新しいロゴは、全般的にかなりポジティブな印象を受ける。時代のトレンドであるデジタルメディアに上手に対応しているし、ロゴに求められる最も重要な要素の一つである、複数の利用シーンでの可視性も高くなった。 細かいポイントを中心に分析をしてみる。 1. メタル感から未来感へ 一つ前のロゴと比べて最も大きな違いは、ロゴから受け取るイメージ。これまでのロゴが3Dっぽさを演出したことで、自動車メーカーっぽいメタルな感じだった。今回のリデザインでは、フラットになったことで、より未来的なイメージを醸し出している。 2. オープンさを上手に演出 これまでは“NISSAN”の文字部分が閉じられた空間内にデザインされていたのに対し、新しいロゴでは開いた空間となったことで、オープンなイメージが演出されている。同時に、“円”の部分との間に絶妙なスペースを設けたことで、無意識のうちに前ロゴとの共通点を確保している。 3. シンメトリー“N”のバランスが良い このロゴの最も優れている点の一つが、NISSANの最初と最後の“N”とその周りのスペースと、円のエッジ部分とのアラインメントのバランスが共通していることで、Nで始まりNで終わる同ブランド名を優れたデザインに落とし込んでいる。 4. Nの上下の曲線の角度が不安定に感じる その一方で、気になる点が全く無いわけでもない。では、新しいロゴの懸念点を“あえて”指摘してみる。 一番大きな問題なのは、Nの上下の円から直線をつなぐカーブの曲線が内側と外側で異なることで、微妙に“ズレている”感覚を与え、見る人を少し不安な気持ちにさせること。これはデザイン理論でいう“Tangent”という状態を発生させている。 5. シンプルにしたことで汎用性の高さと環境への配慮を実現 今回のリブランディングでロゴの構成要素を減らしたことで、車両自体以外のより多くの場面で活用可能になった。それによりアナログでもデジタルでも使いやすくなった。また、3D効果を廃止したことで、制作にかかる工程やコストも下がるので、環境にも優しくなっている。 VWのリブランディング事例 フォルクスワーゲン (VW) も2019年に大幅なリブランディングを通じ、ロゴのアップデートを行った。その方向性はNissanと同様に、立体的・メタル感のあるものから、シンプルでフラットなものになった。 New Volkswagenと呼ばれるこのリブランディングプロジェクトには、実に9ヶ月の時間と19の社内チーム、17の外部デザインエージェンシーが関わっている。 プロジェクト責任者でもある同社CMOによると、今回のリブランディングのゴールは、全てのタッチポイントにおいて、より総合的なグローバルブランド体験の創造であるとのこと。新しいロゴは、より人間的で生き生きしたものになり、顧客の視点をより多く取り入れ、本物のストーリーを伝えたいと考えているとも語っている。 自動車のロゴからアプリのアイコンスタイルへ VWのロゴはその構成要素を極端に減らすことにより、モダンでシンプルなものとなった。それにより、利用における汎用性は格段に上がり、特にデジタルメディアでの利用性は非常に高まっていると言える。 この新しいをロゴ見ると、まるでモバイルアプリでも提供しているアメリカ西海岸のスタートアップっぽい感じがする。以前の記事でも紹介した通り、最近のスタートアップロゴは共通して、アイコン感を演出し、ロゴタイプよりも、ロゴシンボルの方を重要視する傾向にある。 最近のスタートアップのロゴのスタイルが似通ってきている問題について それもそのはず。VWはこれからWeb、モバイルアプリ、Apple Watchアプリなどのデジタルプラットフォームにおいて、複数のブランド展開を進めていく予定なのだ。これは、デジタル・アナログの両方でユーザーに体験を届けようとする同社のモビリティーカンパニーとしての方向性を感じさせる。 VWのロゴ遍歴 ドイツ語で「国民車」を意味するフォルクスワーゲンのブランドの歴史は1939年より始まる。設立当初から、円の中に”V”と”W”の文字を縦に配置しするロゴのモチーフは共通。 そして、時代と共に微調整を重ね、2000年より、メタリックさと立体感を打ち出したロゴに変更し、2012年には、より金属感をました先代のロゴに辿りついた。 VWのこれまでのロゴの変更遍歴を見てみると、そのブランドの一貫性の高さは、自動車ブランド随一と言っても良いだろう。 VWの新しいロゴを分析 では今回新しくなったVWのロゴを少し分析してみる。全体的に最も大きな変化としては、アウトラインスタイルに移行し、フラットになったこと。採用されている色も一色のみで、これ以上削れる要素がないほどに洗練されている。 全体のコントラストが強くなり、可視性も高まった。それにより、利用シーンを選ばない汎用性の高さを獲得したと言える。 加えて、その他の細かいポイントを分析してみる。 1. 重厚感よりも可愛らしさを演出 今回のリデザインでユーザーがイメージ的に最も変化があったとすれば、その可愛さだろう。細いラインを採用したことで、より繊細に雰囲気が醸し出されている。同時に、一つ前の重厚感は無くなり、軽さ、柔軟さ、可愛らしさを演出している。 2. 少し未完成な感じが親しみやすさを感じさせる このデザイン、プロの視点から見ると、少しアンバランスな部分がある。VとWの間のわずかな隙間や、円の部分と文字の部分のアウトラインの太さの微妙な違い、そしてWの下の隙間などがそれである。おそらくこれはあえてそうすることで、少し不器用な感じで、親しみやすさだしたのではないかとも感じる。 3. “動くフレーム”のコンセプトを上手に活用 ロゴのリデザインに加え、今回のVWのリブランディングで最も特質すべき点は、ブランド全体の異なるタッチポイントを上手につなげたところだろう。自動車ブランドはどうしても、車両とデジタルでユーザー体験が分断されがちであるが、下記のコンセプト動画でも表現されているように、VWは”動くフレーム”のコンセプトで、そのギャップを上手に埋めたと言える。 BMWのリブランディング事例 最後に紹介するのはBMWの事例。同社は2020年の3月にリブランディングを行い、ロゴのアップデートも行った。その結果は、前出の2つの事例と同様に、メタリック、立体的なものから、フラットなデザインになった。 加えて、BMWは、ロゴの背景を透明にするという大胆なデザインを採用した。そして、このアップデートに対して、世界のデザイナーの間で議論が広がっている。 BMWのロゴ遍歴 BMWのブランド名は、Bayerische Motoren Werkeの頭文字を取ったもの。元々は軍用飛行機のエンジンを製造しており、その歴史は100年以上も前の1917年に遡る。その当時はBtoBのビジネスモデルであったこともあり、当初ブランドロゴはなかった。 一般的には、ロゴのモチーフは飛行機のプロペラだとされることが多いが、実は、本社のあったブラビア州のシンボルカラーの青と白を採用したとのこと。ある日、飛行機を掲載した広告を採用したことで、そのロゴがプロペラをモチーフとしているという噂が広がったという。 その後、時代と共に微調整をかけているが、初期のデザインから大きな変更はない。 BMWの新しいロゴを分析 今回のリブランディングでは、デジタルネイティブの若い層をターゲットにし、その層によりアピールするスタイルを採用している。具体的には、立体的なグラデーションを廃止し、思いっきりフラットなスタイルに振った。 そして、顧客に対して自動車メーカーよりも、リレーションシップブランドとしてのポジショニングを優先した事によるリデザインである。同社の100年以上の歴史の中でも、最も大胆なリブランディングと言っても良いだろう。 下記に細かなポイントを掘り下げていく。 1. オープンさと透明性の高さをロゴにも反映 このロゴの最もユニークなところは、BMWの文字が記載された円のエリアが透明になっていること。これは、オープンさと透明性の高さをモチーフとしている。 その一方で、この試作はかなりギャンブルでもある。というのも、ロゴが置かれる背景によっては、ブランド名が読みにくくなったり、ロゴの一貫性が下がるからだ。デザイナー的な視点で見ると、まるでデザインファイルから背景レイヤーを誤って削除したまま出力ようにも見える。 2. 伝統よりもモダンな未来を想起 今回のリブランディングでは、フラットなデザインを採用することでこれまでのBMWのブランドを大胆に刷新した。それにより、100年以上続く同ブランドの伝統を武器にするよりも、より現代、そして未来に向かって進んでいるイメージを与えることができるだろう。 既存のBMWファンの中には多少残念に思う人もいるかもしれないが、これからブランドに接し始める新規ユーザーに対しては、よりフレッシュなイメージを届けられるだろう。 3. インスタ映えを優先 実はこの新しいロゴ、背景などを入れ替えることで、めっちゃインスタ映えする。BMWの公式インスタアカウントでも、動画がアップされている。デジタル時代に最適化されたロゴであると言えると同時に、自動車メーカーの枠にとらわれない同社の意気込みを感じる。 View this post on Instagram Introducing the new BMW brand design for online and offline communication. 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デザイン入門 【UXデザイン編】プロダクトやサービスの体験をデザインする

ここ最近の市場動向を見てみると、ヒットしている商品やサービスには共通点がある。それは、どれもユーザーや顧客に対して、最もふさわしい利用体験を提供しているということだ。
プロダクトをスペックや性能で選ぶ時代が終焉を迎え、利用した際に具体的な何を得られるかがプロダクトの成功を左右する最も重要なファクターなってきている。
それは言い換えると、商品自体にお金を払う時代が終わり、ユーザーは“経験”に価値を見いだすようになったとも言える。
ユーザー体験を制するものが勝つ
ハードウェアやソフトウェアも全てサービス…

UXデザインプロセス入門 – 基本的な6ステップ

Step1 – 理解: Understand Step 2 – 共感: Emphasize Step 3 – アイディエート: Ideate Step 4 – プロトタイプ: Prototype Step 5 – テスト: Test Step 6 – ローンチ&計測: Launch&Measure ユーザー体験を設計するUXデザインは、現代ではかなり高い認知度を獲得し、多くの企業が注目をしている。その一番の理由が、「スペック重視」から「体験重視」にビジネスもモデルが変換し始めたことだろう。 ユーザーのフォーカスが、所有することから利用することに移行したことで、プロダクト提供側も、より良い体験設計が求められている。 これからの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだと言えるだろう。そこで最も重要な存在になってくるが、UXデザインであり、UXデザイナーである。 意外と知られていないUXデザインのプロセス その一方で、肝心のUXデザインのプロセスは意外と知られてない上に、多くのデザイナー達がUXを学ぶ方法を未だに模索しているケースが後を絶たない。 ビートラックスでもデザインチームを中心に、UXデザインのプロセスを社内全体に共有しているが、今回はそのUXデザインプロセスと、それぞれのステップで作り出される活動と成果物をまとめて紹介する。 UXデザインにおける6つのステップ ビートラックスによるUXデザインプロセス Step1 – 理解: Understand 最初のステップはユーザーの課題とビジネスのゴールを理解することから始まる。見た目を美しくするだけでは、ユーザーとビジネスの両方の課題を解決することは永遠に不可能である。 主な活動・成果物: ユーザーインタビュー 消費者アンケート マーケット調査 競合調査 ステークホルダーインタビュー お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い Step 2 – 共感: Emphasize 優れたデザインを生み出すために最も重要なプロセスがエンパサイズ。デザインを受け取る人たちへの共感をすることだ。彼らがが何を見て、何を感じて、何を経験しているかを理解しなければ、デザインは無意味な作業になってしまう。 主な活動・成果物: ペルソナ ユーザーストーリー ユーザーシナリオ エンパシーマップ カスタマージャーニーマップ デザイン思考入門 Part 2 – Empathize 理解と共感 Step 3 – アイディエート: Ideate アイディエートとは、アイディアを出すプロセスのことで、アイディエーションとも呼ばれる。アイディエーションとは、良いものも悪いものも含めて、可能性のあるすべての解決策を探り、どのようなアイデアで前進すべきかを絞り込んでいく。そのプロセスは対話的で共同作業的であるため、メンバーが一つの場所に集まり、一気に進めていくことが多い。 主な活動・成果物: ブレインストーミング スケッチ ムードボード リファレンス アイディエーションとは?効率的に行うための5つのポイント Step 4 – プロトタイプ: Prototype プロトタイプは、Webやアプリの場合、UIやコンテンツ構成などを確認し、その操作性を理解すること。ハードウェアなどでも、どのようなユーザー体験を提供できるかを理解するために制作される。その役割に合わせ、早い段階でラフなものを作ることもあれば、かなり作り込み、細部の確認に活用する場合もある。 主な活動・成果物: ユーザーフロー ペーパープロトタイプ ワイヤーフレーム インタラクティブプロトタイプ コンセプト動画 ロールプレイ デザイン思考入門 Part 5 – Prototype 今さら人に聞けないプロトタイプの作り方 Step 5 – テスト: Test アイディアやモックアップ、プロトタイプをユーザーにぶつけ、フィードバックを得ることでデザインを洗練させる段階だ。テストを行う時期が早ければ早いほど、変更が容易になり、デザインの制度を高めることが可能になる。 主な活動・成果物: ユーザビリティテスト ヒューリスティック評価 アクセシビリティ評価 フォーカスグループ オンライン調査 […]

一人の男が4年前に放ったメッセージが今、世界を動かし始めた

世界中を巻き込むBLMのムーブメント、その4年前にはある別の動きが。 とある男の行動が全米を巻き込んだ。一部賛同があるも、大統領をも激怒させ、批判、その末の流浪。 もう終わったと思われていた彼を、ある企業がブランドキャンペーンに起用。さらに物議を醸す。 しかし今回のフロイド事件で、彼自身、そして当時の広告に書かれたメッセージに再注目。 4年にわたる一連の動きから、ブランドメッセージに本当に込めるべきものを問う。 BLM (Black Lives Matter)。日本でも少しずつ浸透し始めたキーワード。アメリカにおける黒人差別を無くそうという活動を通じて発せられるメッセージである。首都のワシントンD.C.やシアトル、サンフランシスコのストリートに黄色の文字がペイントされたり、各地のデモでプラカードを掲げたりして、多くの人への認知活動を広めている。 この活動は、アメリカだけでなく世界各地にも広がり、これまでの差別・虐待の歴史や現状に対しての理解が高まったり、状況の改善に繋がるような施策が始まったりもしており、人類にとってもその価値は非常に大きい。 世界各地に広がるBLMデモ 約4年前、一人の男が自らの信念を貫いた 今でこそ多くの人々からの支持を得ているこのBLMムーブメントであるが、2016年にも黒人差別問題に対して一人のNFL選手が静かな、しかし、とても強力なメッセージを発信していたことはあまり知られていない。 彼の名前はコリン・キャパニック (Colin Kaepernick)。当時サンフランシスコ・フォーティナイナーズのクオーターバックとして大活躍をしていたスター選手だ。 その彼が2016年8月26日に行われたプレシーズンマッチで試合前の国歌斉唱でベンチに座ったまま立ち上がらず、起立を拒否した。その理由を「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と語っている。その具体的な原因は、相次ぐ警官の黒人対する暴力だとされる。 アメリカでは、スポーツの試合を含む様々な採点で必ずと言って良いほど星条旗が掲げられ、国家斉唱が行われる。そこでは、会場にいる全ての人が立ち上がり、帽子を脱ぐのが常識とされている。特に選手という立場で起立しないことは考えられない。 だから当然、彼のこの行動は大きな物議を醸し、彼の元には殺害予告が届くまでに発展した。しかし、次の試合からも彼はひざまづく姿勢を貫いた。そして、それに賛同する他の選手も同じポーズを取り始めた。ピーク時には実に200人の選手が国歌斉唱時にひざまづく、座る、拳をあげるアクションで抗議を示した。 国歌斉唱の際にひざまづき、抗議の意を示すキャパニック選手 (中央) 彼のこの態度に対してトランプ大統領が激怒 キャパニック選手のこの行動に対して激怒したのがアメリカ大統領のドナルド・トランプだ。彼は「星条旗を冒涜し、アメリカの伝統に泥を塗るようなバカ野郎はクビだ!」と荒ぶった。そして「多くのNFLオーナーは私の友人だ」とも付け加えた。 ちなみに、イギリスの調査会社YouGov (英語版) の調査によると、全体では国歌斉唱時に起立しなかったことに賛成しているのは29%にとどまり、69%が反対だった。しかし、黒人に限ると72%がキャパニックの抗議に賛成する一方、反対は19%となった。 その後、NFLは選手会の反対を押し切り、2018年5月に、国歌斉唱時の起立を事実上義務化した。 キャパニックはチームを早期離脱 この騒動が発端となり、キャパニックは申し分ない成績だったのにも関わらず、2016年シーズン終了後チームとの契約の早期終了を選択し、フリーエージェントとなった。一説にはチームを実質上クビになったとも言われている。 彼を雇ってくれるチームはなかった フォーティナイナーズを離脱し、フリーとなったキャパニック選手。それまでの輝かしい成績をもってすれば、すぐにチームが見つかると思われた。しかし、どのチームも彼を雇おうとはしなかった。 一度、シアトル・シーホークスが彼を合同練習に招待したことで期待されたが、結果として明らかに実力の劣る他の選手を選択した。 それでも、キャパニックはその後も人種差別撤廃への活動を続け、これまでに100万ドル以上を寄付している。 Nikeが「浪人」の彼を広告に起用 しかし、その後世の中を大きく驚かせることが起こった。なんと、2018年にNIkeが彼を広告キャンペーンに起用したのだ。どこのチームとも契約ができない状態、イコール現役ではない浪人選手を起用するのは通常、ありえない。それも彼が採用されたのは、“Just Do it”の30周年キャンペーン。 このキャンペーンにて、モノクロのキャパニック選手の顔写真の上に書かれたメッセージは 何かを信じろ。例えそれが全てを犠牲にすることだとしても。 原文は ”Believe in something. Even if it means sacrificing everything.” NikeのJust do it. 30周年キャンペーンに起用されたメッセージ 一部ではアンチNikeキャンペーンも このメッセージを気に入らないとした人々が、ネット上にNikeのスニーカーを燃やす動画をアップしたり、Twitter上でNikeをディスるハッシュタグを使ったキャンペーンを行ったりした。それも影響したのかキャンペーンリリースの翌日には、Nike社の株価が3.2%下がった。 ドナルド・トランプも”What was Nike thinking? (Nikeは何考えてんだ)”とツイートした。このブランドキャンペーンは失敗に終わったかと思われた。 しかし、数日後にはNikeのオンライン売り上げが25%アップ。ブランドの発するメッセージに共感した消費者が商品を買い始めたのだ。俳優のニック・キャノンは、大量のNikeの商品を買い、ホームレスに与えた。一見世の中へのインパクトを重視したキャンペーンだったが、結果的にはビジネス的にも成功した。 フロイド事件で再び注目を浴びる このキャンペーンの約2年後の2020年6月、ミネアポリスにて警察官によるアフリカ系米国人の暴行死事件が起きた。この事件がきっかけに、冒頭のBLMをはじめとした多くのデモやプロテストが世界各地に広がった。 アメリカ各地でこのデモは一週間以上も続き、警察との衝突も発生した。その一方で、デモを無理に鎮圧するのではなく、自分たちも賛同する警官も出てきた。都市によっては、警察署長自らがひざまづくことで賛同の意を表明した。 そう、これは4年前のコリン・キャパニックがとったのと同じポーズである。 警官がひざまづき、人種差別に対してのデモへ理解を示す NFLが謝罪 そしてついにNFLから「謝罪」ともとれる声明がTwitterを上で発信された。2020年6月5日、ロジャー・グッデルコミッショナーは、「かつて私たちがNFL選手の言葉を聞かなかったのは間違っていた。我々は、全ての人が発言し平和的に抗議することを応援します」とのツイートを行った。 具体的な選手の名前や事例は明記されていないが、恐らくこれはキャパニック選手による抗議のことと理解して間違いないだろう。 We, the NFL, condemn racism and the systematic oppression of Black People. We, the NFL, admit we were wrong for not listening to NFL players earlier and encourage all to speak out and peacefully protest. We, the NFL, believe Black Lives […]

インクルーシブデザインとは?現代の多様性に寄り添う7つの実例

今こそ向き合うべき「インクルーシブ」という概念 様々な肌の色に対応。Band-Aidの絆創膏 まさにユニバーサルデザイン。スパイラル形式のお風呂 性別も体型も。あらゆる既成概念にとらわれないジェンダーニュートラルな下着 宗教の違いに合わせて。リデザインされたキューピーちゃん 赤ちゃんから大人になるまで。ずっと使える椅子 男性も女性も、さらには宇宙人まで。誰でも使えるニュートラルトイレ カラーリングの知られざる理由。青と赤のカスタネット ここから始めるインクルーシブデザイン入門 誰のためのデザインか?徹底的なユーザー視点で既成概念を崩す発想が競争優位性を勝ち取る ここ数週間アメリカでは、デモやネット上での熱い議論など、人種や考え方の違いによる様々な軋轢が表面化している。それに伴い、これまでは「普通」と考えられていた概念が見直され、より多様性を受け入れる動きが進んでいる。 日本と比べても、実に多種多様な人種が集まっているアメリカでも、まだまだ多くの商品やマーケティングメッセージが画一的なデモグラフィーを中心に考えられており、マイノリティーと言われるユーザーを考慮していないケースが少なくない。 その一方で、サンフランシスコを中心とした都心部では、ダイバーシティ(多様性)を受け入れ、それを考慮することで、より多くの人々のためのプロダクト作りやマーケティング手法が進んでいる。 関連記事: 令和に絶対押さえるべきインクルーシブマーケティングとは。事例6選 ダイバーシティーの主な構成要素 最近は日本でも知名度が高まってきている「ダイバーシティー」という単語。「多様性」を意味するが、具体的にはどのような要素が含まれているのだろうか?LGBTなどに代表される性別的な要素や人種はわかりやすい例であるが、それ以外にも複数のファクターが存在している。 性別 年齢 人種 言語 体型 肌の色 宗教 食習慣 障がい 収入 利き手 ライフスタイル 人々の多種多様な要素を包み込むのがインクルーシブ 世界中には上記のような様々なバックグラウンドを持つ人々がいるが、一つの場所で生活していると、どうしてもそれを忘れがちになる。特に日本国内に住む98%が「日本人」であることを考えると、日本が相当ダイバーシティの低い国であるということになる。 それを象徴するのが、ターゲットを性別と年齢だけで区切ってしまうマーケティング手法。おそらくこの手法は、日本国外へ出た瞬間に、一瞬で通用しなくなる。 加えて、今後は日本にも海外からの移住者がどんどん増えていくことを考えると、日本企業も、早い段階からダイバーシティーへの理解とインクルーシブデザインの採用を進めていく必要があるだろう。 インクルーシブデザインとは どんなデザインのプロセスにおいても、特定の顧客を除外してしまう可能性がある。インクルーシブデザインは、ユーザーの多様性を理解することで、意思決定の情報を提供し、できるだけ多くの人を取り込むことに貢献することをゴールとしたデザイン手法。ユーザーの多様性は、能力、ニーズ、願望などに様々なバリエーションがあり、インクルーシブデザインでは、それらを広範囲でカバーしている。 近いコンセプトとしては、ユーザー中心デザインや、ユニバーサルデザイン、そしてアクセシビリティーというものも存在する。 インクルーシブデザインは、一人でも多くの人に役立つ製品を作るのがゴールとなる。アクセシビリティはそれ自体がゴールとなるが、インクルージョンはそれ以上の意味を持つ。達成できれば、多様な特性を持った人が、様々な環境で自分の製品を使用することが可能になる。特に何百万人もの人々のためにデザインをする場合、人々が体験に参加するためのさまざまな方法を作ることが重要になってくる。 インクルーシブデザインが考慮するべき要素 多種多様な人々に寄り添うインクルーシブデザイン事例 では、具体的には世の中にはデザインを通じて、どの表に多種多様な人々に対応しているのだろうか。実際の例をいくつか見てみよう。 1. 異なる肌の色に対応したバンドエイド これまでは、形やサイズ、柄などの種類のバリエーションはいくつかあったが、より多くの肌の色の消費者に対応するべく、Band-Aidは複数の色味を持つ商品をリリースした。そして、公式のインスタグラムでは”We hear you. We see you. We’re listening to you.⁣” という、消費者のことを親身に考えているというブランドメッセージを発信している。 様々な肌の色に対応したバンドエイド 2. 車椅子の方でもスムーズに使えて、健常者にも違和感のないお風呂 デザインが解決すべき最も大きな多様性の一つが障がい者向けの施設だろう。特にトイレやお風呂は、日常での利用頻度も高いため、とても重要な場所になってくる。駅や総合施設などでは、車椅子の方でも利用できるトイレを見かけることはあるが、お風呂はあまり知られていないだろう。 今回紹介するお風呂は、静岡県のJIKKAというゲストハウスに設置されたスパイラル形式のお風呂。5mのスロープを設置することで、体の不自由な方や、お年寄りにも優しい設計を実現している。 身体の不自由な方も使いやすいJIKKAのお風呂 3. 性別や体型の既成概念にとらわれない下着 下着といえば、ついついヴィクトリアズシークレットのセクシー系や、トミーヒルフィガーのワイルド系など、どうしても型にはまったスタイルを想像しがちであるが、TomboyXでは、多様性の高いユーザー向けに、多種多様なアイテムを提案している。 トランクスやボクサーブリーフなどの男性的な下着を女性の体に合わせてアレンジしたり、男性の体向けにフェミニンなデザインを提供したりもしている。これはいわゆる、ジェンダーニュートラルのコンセプト。「男性っぽさ」や「女性っぽさ」からあえて離れることで、新しいニーズに対応している。 全ての性別・体型に対応しているTomboyXのオールニュートラル下着 4. 宗教の違いに合わせてキャラクターをリデザインしたキューピーマヨネーズ 日本でもお馴染みのキューピーちゃんであるが、実は販売されている地域で、そのキャラクターのデザインが一部変更されている。変更している地域は、東南アジアのマレーシア、インドネシア。オリジナルのキューピーの背中の羽をなくし、顔と手だけのデザインになってる。 この地域ではイスラム教徒の方々が多いのが理由。イスラム教では、偶像崇拝が禁じられており、オリジナルの羽のついたキューピーは、天使と受け止められる可能性を考慮したものなのだ。 オリジナル(左) とイスラム圏向け(右)のキューピーマヨネーズ 5. 赤ちゃんから大人までが使える椅子 赤ちゃんが生まれて、成長する過程では、身体がどんどん大きくなる。その度に家具を買い替えていると非常にコスト高になる。 この課題を解決すべく、北欧のデザイナー Peter Opsvikは、一生使える椅子をデザインした。TRIPP TRAPPと呼ばれるこの椅子は、生まれた直後から、大人になっても使える。全てのライフステージをインクルーシブにデザインされている。  成長に合わせて使い続けられるTRIPP TRAPPの椅子 6. 誰でも使えるニュートラルトイレ 海外では、男性でも女性でも利用できるトイレが増えてきているが、ヨーロッパなどでは文字通り「誰でも」使えるユニバーサルトイレが出現。 サイネージには、男性、女性、車椅子、老人、人魚、バッドマン、アンドロイド、そして宇宙人までが表記され、しっかりと点字も記載されている。まさに、全てを内包 (インクルード) するデザインとなっている。 ユーモアのあるインクルーシブトイレのサイン 7. 男の子でも女の子でも使えるカスタネット おそらくほとんどの人が学校で使ったことのあるカスタネット。多くの場合、赤と青の2色で構成されている。実は、その理由は男子でも女子でも使えるようにするため。もともとは、男の子向けの青と女の子向けの赤が別々に存在してた。 しかし、クラスによって男女比率が異なったりすることで、どちらかの数が足りない状態が発生していた。そこで、両方の色を合わせて一つにすることで、どちらでも使えるようにデザインをしたというもの。ちなみに現代では、青=男性、女性=赤、という概念自体がなくなり始めている。 男子でも女子でも使える赤と青が合わさったカスタネット インクルーシブデザイン入門 それでは、どのようにすれば、多様性に対応したデザインが実現できるのだろうか?我々btraxでは、世界の異なる地域の様々なニーズに合わせたプロダクトに対するデザインを提供するために、まずはユーザーを深く理解し、共感することからデザインのプロセスを始めている。 これは、デザイン思考のプロセスの第一歩である、エンパサイズのプロセスでもある。 そして、実際のデザインプロセスを進めるにあたり、下記のような命題を踏まえ、より多くの人々に受け入れられるようなプロダクト作りを進める。 デザインを始める前に自分たちにはどんなバイアスがかかっているのか? このデザインを良しとしないのはどのような人だろうか? 必要のない要素にこだわってはいないか? 自分のためだけのデザインになっていないか? 最終的に誰のためにデザインをしているのか? どんなデザインチームでも、これらのシンプルな質問を自問自答し、包括性について考え始めることが重要になってくる。 インクルーシブデザインを実現するための6つのステップ 実際にデザインプロセスを進めるにあたって、下記の6つのステップが有効になる。 1. 排除されているポイントとユーザーを理解する 排除のポイントを積極的に探し出し、それを利用して新しいアイデアを生み出し、新しい解決策を生み出す機会を模索する。人々がどのようにして、なぜ排除されているのかを正確に理解することで、よりインクルーシブになるための具体的なステップを確立することができる。例えば、動画作成をする場合に、耳の不自由なユーザーにもメッセージが届くかどうかを検証するために、音量がオフになっていても、内容が伝わるかの検証を行う。 2. 状況に応じた課題を特定する 排除は状況に応じて発生する可能性がある。ユーザーがプロダクトを利用している際の「特定」のポイントにてインプルーシブではない瞬間が発生していることを探る。今回の例の場合、通常は問題なく視聴できている動画コンテンツでも、空港やカフェなどの騒がしい場所では、音が聞こえなくなる瞬間がある。その場合、耳の不自由なユーザー向けにデザインされた要素がその課題を解決してくれる。 3. […]

ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題

外出自粛が少しずつ解除され、徐々に日常生活に戻り始めている。それはアメリカでも同じで、サンフランシスコでも規制解除の段階的なフェーズが提示された。今週から街に出てくる人の数や、道を走る車の量が増えてきた。
しかし、決して今までの生活に戻ったわけではなく「ニューノーマル」と呼ばれる、新しい生活スタイルへの順応が求められている。具体的には、ソーシャルディスタンスの実践、外出時のマスクを着用義務、バーやレストランのキャパ制限など。
それらに対して、新しい仕組みやデザインを活用して、より良い生活を実現させて…

コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか?

シェアリングエコノミーの歴史とコロナショックが巻き起こす強制的なゲームチェンジ
スマホの普及との相乗効果で、「シェアリング」は本流に (2010 – 2020年)
所有の減少はサービスの消費を促すと踏んだ矢先の…コロナ流行
原点回帰の時。シェアリング本来の「人間と人間のつながりや助け合い」に価値を感じるように
数字や評価だけに踊らされるな。重要なのは、問題の本質を解決すること

今から12年ほど前、スマホの普及が少しずつ始まってきた頃、AirbnbやUber、Lyft、We…

スタートアップのレイオフ – 明暗を分けたAirbnbとBirdの事例

新型コロナウィルスの影響で、多くのスタートアップにてレイオフ (一時解雇) が進んでる。具体的な状況は「コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか」にて説明されているが、現在まで400社以上がレイオフを行っている。
中でも最も多くのスタッフをレイオフした1社がAirbnbであるが、その進め方やCEOからのメッセージ内容の素晴らしさは注目を集めた。プロセス・内容共に、企業として、リーダーとして模範となるだろう。その一方で、同じくレイオフを行ったシェアリングスクーターの…

リーダーシップにワビサビはいらない – コロナ対応に見る日米5つの違い

今こそ問われるリーダーシップの本質を5つに分けて日米比較

スピード感は「命」
人々のメンタルは規制強度と緩急で変わってしまう
リーダーの最大の役割は、決断に責任を持つこと
曖昧な指示出しこそ、緊急事態を招く
平時のリーダーと有事のリーダー像は異なる

困難な状況下でこそリーダーシップの真価が最も問われる。
アメリカに住み、会社を経営していると、国家に何かしらの危機が訪れた際に、国や州の対応次第で国民の生活も、会社の存続も大きく左右されるということをダイレクトに感じる。これは、大統領や州知事のリーダ…

ロックダウン直前にオープンしたインスタ映えレストランの現状

満を辞してサンフランシスコにインスタ映え確実なレストランが開店!ただ、タイミングが悪かった… 外出自粛令による売上の大幅縮小とレイオフの実施、起死回生の策を探る ソーシャルメディアの活用とユーザーの嗜好に合わせたメニュー改編でピンチを乗り越える 店舗でのハイレベルな顧客体験をデリバリーでどう再現するか、重要なのはモノより体験 街中が封鎖される直前に体験重視のめっちゃオシャレなレストランがオープンしたらどうなってしまうのか? シェフでオーナーのカセム・セーンサワンと妻のイング・チャタージーは、3月初旬にサンフランシスコ市内に新しいレストランをソフトオープンした。 このレストラン、Son & Gardenはインスタ映えを求めるキラキラ系の熱狂的な夢をイメージしてデザインされた。 インスタ映えバッチリのたSon & Gardenのインテリア インスタ映えを狙った体験型レストラン in サンフランシスコ 室内の壁や天井には花が散りばめられ、全体にブルーの花柄の壁紙が貼られている。店内には「シークレットバー」と呼ばれるエリアもあり、テーブルと座り心地の良いベルベットのラウンジチェアが用意されている。 メニューとしては、アフタヌーンティーセットに加え、バニラソースとブルーベリーのコンポートを使ったリコッタパンケーキ、ポテトウェッジとマッシュルームソースのフライドチキンドーナツ、自家製ベーコンとエンドウ豆、卵、ペコリーノ・ロマーノを使ったパスタカルボナーラなどがある。 その内装、盛り付け、雰囲気、サービス、全てがソーシャルメディアでシェアされることに特化してデザインを施されたレストランだ。 提供するメニューや食器もかなりオシャレ キラキラ系女子垂涎の演出満載 リコッタのパンケーキとブルーベリーのコンポートが芸術的に盛り付けられ、「クラウド9」と呼ばれるスパークリングワインのカクテルの上には、青い蝶々をあしらった綿菓子がトッピング。 すべてがインスタグラムで話題になるように仕立てられたもので、招待されたインフルエンサーたちは、Son & Gardenがグランドオープンする前から、三脚やリングライトを持ってきて、このマジカルな空間を撮影していた。 インフルエンサーを通じて話題沸騰になる…予定だった しかし、3月16日にはサンフランシスベイエリアでは、外出自粛が施行され、レストランやバーの営業に大きな制限が設けられた。それにより、この体験型の新しいレストランがテイクアウトのみに追い込まれた。 オープンまでに2年間という年月と、かなりのコストを掛けオープンに漕ぎ着けた。しかしそのわずか2週間後に市によりシェルターインプレイスの要請が発動された。それにより、忙しい日には2万ドル近くあった売り上げが、4,000ドルにまで落ち込んだとオーナーは語る。 View this post on Instagram Who’s ready to par-tea? ☕️❤️ Tag your pals who needs to experience the Son & Garden High Tea Set! ⤵️⤵️⤵️ A post shared by Son & Garden (@sonandgarden) on Feb 23, 2020 at 6:38pm PST スタッフをレイオフし家賃支払いの猶予要請も これにより、スタッフの60%をレイオフせざるを得なくなり、2ヶ月分の家賃支払いの延期を物件の大家にリクエストした。彼らは州政府に中小企業向け支援を申請しているが、いまだ返事は来ていないという。 現在、全国のレストランの多くが苦戦している中、Son & Gardenのような新しいレストランは特に厳しい状況にある。老舗レストランではある程度テイクアウトを求める常連客を期待できるが、新規オープンの所はまだ忠実なファンを確保できていない。 そのため、インスタ映えするブランチのためにデザインされたSon & Gardenも、シェルターインプレイスの下では、テイクアウトとデリバリーのみにピボットしなければならなくなった。 View this post on Instagram We have exciting news! Our beautiful Cloud 9 boozy drink is available to go 🦋☁️ You can now enjoy this fun drink at home. Available for pick up in store […]

コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか

前回の「コロナショックがこれからスタートアップに与える影響」でも触れたが、新型コロナウィルス の経済に与える影響が少しずつ具体化される中で、スタートアップも少なからず影響を受け始めている。 アメリカでは、企業の業績が下がる際に人件費を抑制するために一時的に従業員を解雇する「レイオフ」という仕組みがある。これは、経済や会社の都合で行われるため、一般的な「解雇」とは異なり、対象となる従業員には失業保険が一定期間支払われる。 スタートアップで進むレイオフ Layoffs.fyiによると、この仕組みを利用して、多くのスタートアップでレイオフが進んでいる。3月11日から現在までの統計では、290社が約3万人をレイオフしている。業界として目立つのは、リテール、フード、フィットネス、モビリティ、不動産など、人が動くことで生まれるリアルサービスを提供する企業だ。 著名なスタートアップの例としては: Groupon: 2,800人 – 全体の44% Magic Leap: 1,000人 – 全体の50% Yelp: 1,000人 – 全体の17% Eventbrite: 500人 – 全体の45% Lending Club: 460人 – 全体の30% B8ta: 250人 – 全体の50% Everlane: 227人 WeWork: 250人 Thumbtack: 250人 – 全体の30% GoPro: 200人 – 全体の20% Getaround: 100人 – 全体の25% Casper: 78人 – 全体の21% ユニコーンの”ツノ”が折れ始めている 上記の中には評価額が10億ドル以上のユニコーン企業も6社含まれており、全体の46%である8,416人をレイオフしている。これは、一社につき平均で26%の従業員をレイオフしていることになる。その中でも、85%をレイオフし破産したOneWeb、67%をレイオフしたZume、50%をレイオフしたToastなどもある。 実は仕事を失っても生活できる制度 これだけを見ると、かなり多くの人々が露頭に迷うことになりそうな気がするが、アメリカではレイオフが頻繁に行われるため、それに対する失業保険の制度がある。 加えて、今回の米政府の緊急特別予算で、通常の金額 (カリフォルニア州だと最大$450/週) プラス、週$600の失業保険がもらえるようになった。これにより、万が一無職になっても週$1,000以上、月で$4,000以上受け取ることができるので、しばらくは生活に困窮することはなさそうだ。 また、下手に無給休暇を出すよりも、レイオフになった方がありがたい。企業としても、レイオフを進めることでコスト削減になるので、Win-Winの結果になることもある。 そして、また事態が収束したら採用し直すこともあると考えられる。そういった意味では、日本的なリストラとは少しニュアンスが異なる。 Twitter上で再就職活動 レイオフされたスタッフが、Twitterを活用して、自身及び同僚の再就職を進めているケースもある。本日1,000人のレイオフを行ったMagic LeapのスタッフであるAlexandria Hestonもその一人で、彼女のツイートに対して採用に関するレスも見られる。 Hi All! In terms of #magicleap layoffs – please feel free to thread below of open positions you feel would help individuals who were let go and I can share in groups. These are people looking into AR/VR industry, but also general engineering, design, games […]

コロナショックがこれからスタートアップに与える影響

レイオフ、バリュエーション低下、コロナショックがスタートアップに与える多大な影響
VC側も投資を減少せざるを得ない状況、スタートアップの死活問題
人材獲得の易化と本質的な課題の露呈、コロナショックはコロナチャンスになりうる

コロナショックが世界を震撼させてから、1ヶ月ほどになる。生活やビジネスなど、様々な事柄に影響が出始めているが、スタートアップに対してはどうだろうか?2019年までは、ユニコーンやデカコーンブームや大型IPOなど、華々しいトピックが踊ったスタートアップ 界隈も、今回の状況で受け…

Allbirds、CasperなどD2Cエキスパートに聞くブランド構築6つのポイント

日本でもじわじわと認知度が高まり始めてきているD2Cブランド。すでにアメリカでは、Everlane、Allbirds、Werby Parker, Casperなどのブランドの人気が高く、急成長や上場などの大成功する事例も増えてきている。 freshtraxでは、これまでも何度かD2Cに関する記事を書いてきたが、今回は実際にD2Cブランドを構築している人たちによるアドバイスを紹介する。 Direct to Consumer とは Direct to Consumer (D2C) とはその名前の通り、自ら企画、製造した商品をどこの店舗にも介すことなく販売するビジネスモデルのことである。もともとは店舗を持たず、オンライン販売のみが主流であったが、ここ数年でオンラインで販売開始後に、実店舗を出す事例が増えてきている。 中間業者を極力省き、製造から販売までをブランドが一括管理することで、消費者に直接商品をリーズナブルに届けられるようになるだけではなく、それぞれの工程の透明性を高め、ブランドに対しての高い帰属意識を構築しているのが特徴。 アメリカを中心に、このD2C型のビジネスモデルをベースにするスタートアップが急激に増えてきている。 参考: アパレル業界を席巻する新勢力 – Direct to Consumer (D2C) で成功した7つのブランド D2Cビジネスの成長例 日本ではD2Cはまだまだ個人事業や中小企業のイメージを持たれがちだが、アメリカではかなりのビッグビジネスになっている。 2015年創業のAwayは1年目に5万台 (売上約12億円) を達成 Warby ParkerがFast Company誌上で最もイノベーティブな会社に選ばれる Casperの売り上げ: 1年目1億円、2年目100億円、3年目200億円、現在上場準備中 Allbirdsが創業2年で売り上げ100億円を突破 Bonobosが創業10年でウォールマートに約350億円で買収される 参考: 【ボノボス】アメリカ発 オンライン・メンズアパレルブランド Bonobos 成功物語 D2Cの2つの特徴 D2Cは従来のブランドと比べると下記の点においてかなり特徴的である。 選び抜かれた少数精鋭のアイテム D2Cブランドは選び抜かれた少数精鋭のアイテムでスタートすることが多い。ブランド力を築いてから販売商品を増やしていくという方法はかつてラグジュアリーブランドが行ってきたそれと共通している。ルイヴィトンが鞄メーカーとしてのブランドを築いてからライフスタイル提案という形で販売商品を増やしていったのは有名な話だろう。 今となっては多くの販売商品を抱えるD2Cブランドも最初は少ないアイテムでのスタートであるケースが多い。前回の記事でご紹介したWarby Parkerが当初扱ったのは$95のメガネのみ、Bonobosはデニム以外のメンズパンツのみ、Everlaneも無地のTシャツ・ネクタイ・かばんのみでのスタートだったという。 ストーリーによるブランディング ストーリーによるブランディングもD2Cの特徴としてあげられる。D2Cブランドの多くは歴史が浅く、著名なデザイナーを擁している訳でもない為、ストーリーによってアイデンティティを確立させるブランドが多い。 例えば、Warby Parkerの誕生のきっかけは創業者自らの辛い経験に基づいているという。公式サイトにはこう書いてある。「私が学生の頃、バックパッカーをしている間にメガネを無くしてしまいました。新しいものを買いに行きましたが、値段が高すぎたため購入を断念せざる得えなったのです。その結果、大学院での1学期間は目を細め、不満を言いながら過ごすことになってしまいました。Warby Parkerを興したのは、そんな苦い思い出を皆様には味わって欲しくないという思いがきっかけです。」 ストーリーによるブランディングは従来の店舗での販売をメインに行うブランドよりも、自宅で落ち着いてゆっくり買い物が出来るD2Cとの相性が良いと言えるかもしれない。ストーリーに引き込まれると、彼らの魂の篭った商品を思わず買ってみたくなってしまうだろう。 参考: Direct to Consumer (D2C) 躍進の理由と大企業のジレンマ D2Cブランドに共通する主なブランドメッセージ これはあくまで感覚的なのだが、D2Cブランドがユーザーや世の中に発している共通のメッセージがある。 サステイナブルな素材で人と環境に優しい 製造工場などでの労働環境が良い 無駄なコストを掛けていない 誇大な広告にお金を掛けない 高い透明性でユーザーと共に成長してく 店舗がある場合はその地域に還元する 性別やLGBTなどの多様性への高い意識 世の中を良くすための寄付活動を行っている 中間業者などの既得権益を払拭する 参考: ミッションを売れ! 薄利多売から抜け出すためのD2C戦略とは ↑ EverlaneのSF店舗に展示されている人と地域に対する寄付活動のポップ D2Cエキスパートに聞くブランド構築のポイント これから紹介するのは、D2Cの第一線で活躍するエキスパートによるアドバイス。ユーザーに正しいD2C体験を届ける際に役立つ。おそらく近いうちに日本でもD2Cの潮流が来ると思われるので、知っておいて損はないはず。 体験を最優先したブランド構築を 他のブランドを真似しない スピード重視 できるだけ早く告知を始める ゴール設定は現実的に 時には競合も支援する 1. 体験を最優先したブランド構築を D2Cはユーザーに届ける体験を通じてそのブランド価値を生み出している。例えばマットレスを提供するCasperは、マットレスそのものよりも、質の良い睡眠体験を販売している。同じつ、Glossierはそのプロダクトを通じて、より良いコスメ体験を提供しているのだ。 それを実現するためにはどうしたら良いのか?Casperでは、マットレスに入っている素材よりも、より良い睡眠の効果をユーザーにストリートして届けている。もちろん素材に関してもしっかりと説明はしているが、広告でもキャンペーンでも、彼らのメッセージは必ずより良い睡眠に関してのものだ。 体験を通じたブランド構築をするもう一つの方法は、それぞれの顧客の特性をしっかりと理解すること。Glossierが提供する楽しげなブランディングの裏には、ブランドを愛する顧客の嗜好をしっかりと理解することを差別化要因としている。 そして、ソーシャルメディアなどを通じて、専属のコミュニティースタッフが日々やりとりを重ねている。それが功を奏し、アンバサダーを中心に口コミで多くのファンが広がっていった。 Dollar Shave ClubやWarby Parkerなどの以前までのD2Cブランドが便利さを前面に出していたのと比べてみても、最近のD2Cはより体験を重要視したブランド構築を行っている。 参考: D2Cブランドに学ぶウェブサイトに必要な3つのUX要素とは 2. 他のブランドを真似しない 成功しているモデルを徹底的に研究し、それをなぞるのが、これまでのビジネス戦略の定番の1つだった。これがD2Cになると全く通用しない。むしろ逆効果になってしまう。 そもそもD2Cブランドは、プロダクトやストーリーにおいて、オリジナル性が非常に重要になっている。ユーザーの記憶に残り、周りの人々に自慢したくなるようなブランドにするためには、他がやっていないオリジナル演出が不可欠だ。 その1つが開封体験だろう。オンラインで販売されたプロダクトが届き、パッケージを開ける体験は、ブランドに接する一番最初のタッチポイントであり、ユーザーに強烈な印象を与えることができる。 実に、Dotcom Distributionが2016年に実施したEコマースのパッケージングに関する調査によると、しっかりとブランディングされたプレゼントようなプレミアム感のあるパッケージは、ブランドに対するロイヤリティーを上げ、さらにクチコミを促進するという。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン 3. スピード重視 多くのD2Cはスタートアップである。これは、デジタルテクノロジーを活用しているからだけではなく、スピードも重要視しているから。既存のブランドは、じっくりと時間をかけて行うことが多いが、D2Cブランドの場合は、それだけ早く動き、アップデートできるから勝負の鍵となる。 そのスピード感を実現するために、小さくスタートすることが多い。Bonobosは当初お洒落なズボンだけで始めたし、Allbirdsのラインアップもウールのスニーカーだけであった。 もちろん色やサイズのバリエーションはあるのだが、全ての工程でのスピードを上げるために、最小限のプロダクト数にするのがD2C流。その後、ユーザーからのデータを元に、次の商品の企画や、翌月の選定を行うのが一般的になってきている。 参考: シリコンバレーの企業はどのようにしてスピードを上げているのか? […]

VCに関してもっと早く知っておきたかったリアルな実態

スターツアップエコシステムを語る上で、絶対に外すことにできない存在。それがVCだろう。VCとは、ベンチャーキャピタリストの略で、資金を集め、ファンドを作り、スタートアップに投資を行い、そこからリターンを獲得するのが主な仕事。どうしても、このVCという人たちの本来の役割が意外と知られていないことが多い。 起業家や起業家に憧れる人たちがVCに対して抱くキラキラなイメージと、実際の現場には大きなギャップがあると感じられる。 参考: なぜVCはいつも偉そうなのか 下記は、アメリカで連続起業家として活動しているAaron Dininによるポスト”What I Wish Someone Had Told Me About Venture Capitalists”を日本語にしたもの。彼の起業家としての学びの一つとして、VCとは、投資のゴール、そして彼らとの関わり方などがわかりやすく説明されている。 アメリカの起業家が学んだVCの実態 私はシリアルアントレプレナーであることもあり、起業してから最初の10年ぐらいはVCに対して大きな憧れを持っていた。まるで有名人に対してのように彼らのTwitterをフォローし、著名なVCが登壇するイベントに出席し、Andreesen、Sequoia、Benchmarkなどの著名VCとのミーティングを他の起業家に自慢したりした。 もちろん投資はしてくれなかったが、上記のようなVCとのミーティングに漕ぎ着けられただけで、自分の会社の存在価値が証明された気になっていた。 しかし、後に私はVCの目的を完全に勘違いしていたことに気づく。そしてそれが、長い間資金調達がうまくいかなかった原因ともなっていた。 VCはロックスターだと思っていたという勘違い おそらくスタートアップとVCとの関係性について誤解している人は私だけではないと思う。ある意味、若い起業家は取り巻く環境で、VCをちゃんと理解するよりも、崇拝するように仕掛けられている。 テクノロジー系のメディアには資金調達に関する見出しが踊り、成功者として称える。そして、スタートアップの価値を、世の中に対するインパクト (例: 1万人の子供の命を救った) よりも、評価額 (例: 巨大なユニコーン誕生) で測る。カンファレンスやイベントでは、VCや資金調達に成功した起業家達がステージを飾る。 そんな環境の中で、スタートアップの創業者達は、いつの間にかユーザーの課題解決よりも、投資家が求めることを中心に戦略を立てるようになっていく。 VCをもっとちゃんと理解してほしい この記事を通じて私は、自分がVCから投資を受ける側であるスタートアップの起業家になりたての頃に教えて欲しかった、VCの真の目的とその実態について説明できればと思っている。 それにより、これから起業家になる人たちに対して、1. VCとの正しい関わり方、2. そもそもVCから投資を受けるべきか、を理解してもらえればと思う。 なぜVCが存在しているのか? 起業家目線からは、どうしてもVCは「スタートアップを支援する存在」だと思いがちである。究極的には、VCはスタートアップに投資し、その成長を助ける。それにより、彼らは「創業者達の成功を支援するのが最終目的」のように見えてしまう。 しかし、VCの最終目的がスタートアップの成功と考えること自体が、VCの本当の目的を理解しにくくさせているのも事実だ。 VCは投資機関として、投資家や組織のお金をより幅広く投資することを担っている。したがって、VCの最終ゴールは起業家の夢を実現することではない。彼らの最終目標は投資家に対してより多くのリターンを還元することだ。 上記のポイントはは、起業家がVCに対して持つイメージと、VCの実態とのギャップを埋めるためにも、しっかりと理解しておくの事がかなり重要。 VCが成功するために、投資ターゲットとなるスタートアップは、下記に対して大きなポテンシャルを持っている必要がある。 投資額よりも何倍も大きな評価額を生み出す 他の会社に買収されるか上場するといったエクジットを通じて、投資ファンドに対してリターンを提供する ベンチャーファンドの仕組み これから紹介するのは、VCのビジネスモデルの基本を理解してもらうために、自分の生徒に説明する際にも利用する、極端にシンプル化にしたアナロジーである。完璧ではないが、基本的な理解を得るためには十分だと思う。 例えば10億円のベンチャーファンド (投資向けのお金) があったとする。そのお金を株式市場に投資すると、おそらく10%ぐらいのリターンは得られる。VCはそれよりも多いリターンを目指すのが仕事。 VCはその10億円のファンドを活用し、スタートアップに投資することで、”市場に勝つ”ことを目指す。今回の例では、シンプルにその10億円を10分割し、一口1億円で10社への投資を行うことにする。 一般的にアメリカのVC界では、投資した会社の50%からはリターンを期待できない。投資したお金は紙切れになってしまう。残りの5社のうち4社からは投資した額と同等のリターンを期待する。今回の例だと、この時点でリターンは4億となる。 ということは、現時点で9社からのリターンは4億で、全体投資額の40%しか戻ってきていない。全然ダメだ。しかし、まだ1社残っている。その10番目の会社が”ホームラン”を打つ。大成功したことで、投資額に対して10倍のリターンを出す。すなわち1億が10億に化ける。 これらを合算すると、当初の10億の投資は、合計14億のリターンを生み出した。40%のリターンをファンドにお金を入れてくれた人たちに分配することが可能になる。なかなかおいしい仕組みと思うだろうか?でも、現実はもうちょい複雑である。 持ち株率、希薄化、追加出資 上記の例では、投資した1億の資金がいとも簡単に10億のリターンを出したと仮定している。文字で書くと簡単そうに思えるかもしれないが、実際のにそれを実現しようとすると、なかなか難しい。どうやったら1,000円が10,000円に化けるかを想像してみると、その難しさが実感できるかもしれない。「ユニコーン」と呼ばれるスタートアップが、実存しない動物に例えられる理由も理解できる。 では、どのようなプロセスで1億が10億のリターンを出すに至るかをもう少し説明してみたい。 話を単純にするために、最初に投資した時点で、他にそのスタートアップには投資家がいないと仮定する。そして、1億を投資する代わりに会社の25%の株式を取得したとする。(念のために説明すると、この投資を受けた場合、その会社は、プレで3億、ポストで4億の評価額となる。) この時点で10倍のリターンを生み出すためには、その会社が40億で買収される必要がある。(40億で買収されれば、その25%が10億になるので。) 残念ながら、現実はのVCやスタートアップの世界では、ほぼそうならない。当初4億の評価額を受けた会社が40億で売却されるまで、全く追加出資を受けずに済むことは、まれであるからだ。 多くの場合は、それまでに何度か追加出資を受けることになる。おそらく12ヶ月以内に (願わくば) 当初よりも高い評価額で。追加で出資を受ける場合、既存の株主は、新規の投資家のために自身の持ち株を目減りさせる必要がある。これを希薄化と呼ぶ。 今回のケースでは、当初投資側が4億の評価額の会社の25%を所有していたが、その会社に追加出資を獲得する新規投資家の取り分を与えるために、その25%の持ち株率が下がってしまう。 例えば、この会社が評価額8億 (プレ) で2億の追加出資を受けた場合は、ポストの評価額が10億になる。その場合の創業者、既存投資家、新規投資家の持ち株率は下記のように変化する。 創業者: 60% (75%からダウン) 既存投資家: 20% (25%からダウン) 新規投資家: 20% 追加出資をした新規投資家に20%を渡すために、創業者と既存投資家の持ち株率が下がってしまった。しかし、評価額が10億になったため、その20%の価値は2億になり、当初の4億の25%である、1億の倍の価値になったことになる。これをわかりやすくリスト化すると: 創業時: 評価額4億 創業者: 75%: 3億 投資家: 25%: 1億 追加出資獲得時: 評価額10億 創業者: 60%: 6億 既存投資家: 20%: 2億 新規投資家: 20%: 2億 なかなかイケてるだろう? VCが元々3億の評価額の会社に1億を出資したことで、追加出資を受けた時点で、その評価額は10億にまで膨れ上がった。実に6億も増えたことになる。VCの投資分も1億から2億へと、倍になった。 ここで、当初のゴールである1億の投資を10億にまで増やすことを考えてみよう。持ち株率が20%になったので、そも目標を達成するには、当初の40億より10億多い、50億で会社が買収される必要が出てきた。 念のため、この追加出資の概念について補足する。今回の仮想VCのモデルでは、10億のファンドを10社に投資しただけであったが、現実のVCは、投資した会社の中で優良だと思われるところに、その後も追加で出資することが珍しくない。そうすることで、持ち株比率の希薄化を避けるのだ。 ややこしい追加出資やリターンの細かな説明や計算ロジックはここまでにする。基本的な計算式は変わらない。追加出資が行われた場合は、売却額を上げる必要があるということ。 VCが投資したくなる会社の特徴 ここまでじっくり読んでくれたか、軽く飛ばし読みしたかはわからないが、その仕組みがわかれば、おそらくVCが投資するスタートアップには一定の特徴があることに気づいただろう。VCが投資対象として評価するのは、おのずと急激に大幅成長が見込める会社になってくる。 一方で、そのような急成長を期待できる会社は限られてくる。起業家としてVCからの投資を求める前に、そもそも彼らが求めるタイプの会社であるかどうか、そして創業者としてそれを達成する能力があるかをを自問して欲しい。 1億円は大きなお金のように感じるかもしれないが、VCにおけるリターンのロジックは変わらない。受け取る金額に限らず、スタートアップは何倍ものリターンを出すことが求められる。 今回の例では、1億を投資し、その会社に対してプラス6億の”価値”を生み出した。言い換えると、600%のROIを達成したことになる。株式市場への投資が平均10%程度のROIである事と、それ世界のトップ企業からのリターンの平均である事を理解していただきたい。 それを踏まえると、VCがスタートアップに求めるリターンの大きさが理解できると思う。トップクラスの大企業でも毎年10%の成長を達成する程度であるのに対し、スタートアップは何百倍ものリターンを求められるのだ。まさにハイリスクハイリターン。多くのスタートアップが失敗に終わるのも理解できる。同時にスタートアップを成功させる難易度の高さもわかっただろう。 VC自身も起業家である 投資を受けたスタートアップに求められるリターンの高さはハンパないが、VCが背負うプレッシャーも尋常ではない。なんせ、預かったお金を使って株式投資よりも大きなリターンを生み出す事を期待されているのだから。 そのゴールを実現するために、VCの人たちはリスクの高いスタートアップ投資を通じて、最終的にポジティブなROIを生み出さなければならない。ほぼ不可能に近いぐらいの難易度である。VCの約半数は失敗し、45%はトントンのリターンで終わるのもうなずける。 自分もスタートアップを始めた頃は、VCの仕事がこんなにも大変だとは全く知らなかった。てっきり、VCは業界におけるロックスターであり、気に入ったスタートアップにさくっと何億も投資する。まるで、アッシャーがジャステ・ビーバーを”発掘”したように、起業家を一晩にして成功に導いてくれる存在だと思っていた。 そんな夢を見てた頃の自分は、起業家と言うよりも、VCの前でピッチをしまくるパフォーマーだった。彼らの投資対象になるようなビジネスモデルを理解してもらうよりも、自分のピッチスキルとプロダクトがクールであることばかりをアピールしていた。 今から考えると、VCに対してピッチのスキルを認めてもらったり、プロダクトを好きになってもらう事は、投資をしてもらう事とは全く別の軸であった。彼らは、ピッチの素晴らしさを期待しているわけではなく、自分たちの投資モデルに最も適した会社を探していたのだ。なぜなら、彼らも自分たちのプロダクトをピッチをしなければならないから。 VCもピッチをする責任がある […]

2020年から最大の企業資産はクリエイティブ人材になる

これから人間が最も価値を発揮できるのはクリエイティブな仕事
正確性やミスをしないことは、もはや強みではない
創造性を育む企業カルチャーをと仕組みの整備を

AIやロボットの発達で、人間の仕事がどんどん奪われていく。おそらく、暗記や、計算、データ分析などでは既にコンピューターにお任せした方が良い。単純作業系も、ロボティックスが発展するに合わせて、人間が行う部分は減っていくだろう。しかし、自動化に関するテクノロジーが進むことで無くなる仕事があると一方で、新しい仕事も生み出されると予測される。
マッキン…

大企業xスタートアップのオープンイノベーションをガンガン実現するDelta航空【CES 2020】

大企業がスタートアップとコラボし、新しい価値を生み出す。これは、多くの企業が目標に取り組んでおり、シリコンバレーに拠点を構える日本企業の最も重要なゴールの一つともなっている。
その一方で、実際の成功例は驚くほどに少ない。そもそも、多くのスタートアップは大企業との取り組みに興味がない。むしろ、めんどくさいとすら思われている。これは日本でもアメリカでも、ほぼ同じような状況である。
スタートアップが大企業に持つイメージ

スピードが遅い
偉そう
プロセスがめんどくさい
社員がポンコツ
できない理由を並べる…

2020年に日本企業の経営スピードを上げる5つの方法

先日、我々のアドバイザーもしていただいている澤さんがVoicyにて日本企業と外資系企業での働き方の違いについてお話しされていた。(Voicy: 高いお給料をもらえる会社という考え方について。) GAFAなどの企業は給料が高いだけではなく、従業員の時間を尊重し自由に使える仕組みを提供する事で、より有意義な仕事環境を与えているという内容。旧態然とした仕組みで従業員を管理し、無駄に時間を奪って経営スピードを鈍らせている日本の大企業とはスピード感も全然違うとのこと。 シリコンバレーの企業の決断スピードは日本の100倍 実はこの分析は正しく、シリコンバレーの企業が世界的に凄いとされている理由の1つが、そのスピードの速さであろう。特にデジタルが主流になってきている現代では、これがかなり強力な武器となる。 日本企業が完璧なプロダクトを1つ出す間に、シリコンバレーの競合は20%の完成度のものを5つ出し、ヒットしたものだけを残し改善すると言われるほど、決断、実行、リリースのスピードが速い。 一説によると、日本企業とシリコンバレーの企業を比較すると、その決断スピードには100倍の差があると言う。これは、例えると時速3kmで進むカメと、時速300kmのF1カーぐらい異なるということだ。ある意味、全くカテゴリーが異なる。 参考: 日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事 Appleでの象徴的な出来事 Appleもスピードを重要視していることがわかるエピソードを紹介したい。2008年にプロダクトマネージャーの一人がミーティングにて、CEOのTim Cookに対して中国の工場での生産に大きな問題が発生している事を伝えた。するとCookは「それはまずい。誰か出向いてどうにかしなければ」と言った。 そのミーティングは継続し、30分ほどが経った時点でCookがその担当者に対し「あれ、なんで君はまだここにいるんだ?」と言うと、彼は急いでサンフランシスコ空港に直行し、服も着替えずにその足で中国行きの便に飛び乗ったという。 Amazonは平均で11.6秒に一回の頻度でデプロイしている Amazonでも、スピードに関しての意識はかなり高い。その一例として、彼らは実に平均で11.6秒に一回ソフトウェアの更新を行なっているというのだ。 もちろんこれは平日だけでのケースではあるが、常に最善の体験をユーザーに届けるため、そして競合に勝つために、新しい仕様リリースしまくっているということになる。 Googleがたどり着いたハイパフォーマンスチームに共通する5つのポイント その決断スピードが速い事で知られるGoogleは以前に業績の良いチームの共通点を探るべく、社内の180のチームに行ったリサーチプロジェクトを行った。その結果によると、個々のチームメンバーのスペックには全く共通点はなく、その仕組みやカルチャーが最も重要であるということがわかった。 その5つの共通点は下記の通り: 信頼性: 時間通りに結果を出せる信頼性が担保されている 透明性: ゴールとそれぞれの役割がクリアになっている 仕事の意義: 仕事の内容が個々のメンバーにとって意義のあるものになっている インパクト: 仕事の結果が社会に良い影響を与える 心理的安全性: 恐怖や不安を感じることなく自分の意見を伝えられる状態が担保されている 上記の中でも、5番目の心理的安全性が保たれていることが、業績を上げるために最も重要なポイントだとGoogleは定義している。この調査の結果、自分の意見を周りの反応を恐れることなく発言できる環境を作ることを最優先するべきだと分かった。 日本企業が経営スピードを上げるための5つの方法 では、こんな時代に日本企業はどうするべきなのか?おそらく、新しく何かを始めるよりも、既存の古臭い仕組みを打破することが必要になってくる。具体的には下記の5つが挙げられる: 1. メール文章の簡略化 日本の場合、ビジネスメールの書き方の基本として、「お世話になります。XXX社の〇〇です」から始め「よろしくおねがいします」でしめることがマナーとさている。そしてその内容もかなり丁寧に書かなければならない。 おそらくこのようなメールの書き方一つをとっても、日本全体でのGDPの1%ぐらいを浪費してしまっているのではないか。そもそも、そんなメール、モバイルのプレビューで見たら、全部「お世話になっております」しか表示されなく、可視性がかなり低くなってしまう。 アメリカでは、メールを書くときには短い方が良いとされる。というのも、読む人の時間を極力奪わないために、ごく単純にわかりやすく書く方が逆に良い印象を与えやすい。 GoodpatchのCEOの土屋くんがうちでインターンをしてた頃、家を借りるために大家に出したメールになかなか返信がない状態が続いた。その内容を見たら、とにかく丁寧すぎて、読む気にもならない。そこでアメリカ風のノリで書き換えたら一発で返信が来た例を紹介する。 元のメール内容: Whom it may concern, Hi my name is Naofumi Tsuchiya. I am visiting San Francisco from Japan. I have my family with me staying here. So, I need to have a room in a safer area. I need to find a room from June X to July X. I have found your room listing on Craigslist. It looks very interesting. I’d like to come to your place to take a look […]

2020年にヒットサービスを生み出す3つの秘訣

世界的にヒットしているサービスやブランドにはどのような共通点があるのだろうか?スペック重視の時代は随分前に終わりを告げ、プロダクトのサービス化が進んでいる。そのような状況に加え、シェアリングエコノミーやD2Cなど、ユーザーを取り巻く環境は急激に変化している。
世界に先駆けて、次のヒットを生み出すことにフォーカスを当てているシリコンバレーを始めとしたアメリカの企業は、2020年以降、どのような要素を含む商品やサービスがユーザーに喜ばれるかを日々研究している。
我々btraxも、日本企業向けにグローバル…

2020年に予想される10のスタートアップトレンドと注目サービス15選

2019年はシリコンバレーを中心に、グローバル規模でスタートアップに関する多くの変化があった。代表的なのが、ユニコーン至上主義から、社会利益追求型へのシフト。 それまでは、評価額をどれだけ高くできるかをゴールにしていたのが、どれだけ世の中に対してポジティブな影響を与えられるかにフォーカスが移り始めている。これはスタートアップ市場の寡占化 & 熟成化が進んだことが1つの理由だと考えられる。 参考: 日本からユニコーン企業を生み出すために必要な5つのポイント 2020年に予想される主なスタートアップトレンド 他にも予想されるスタートアップを取り巻くトレンドに関する主なキーワードをまずは紹介する。 エクジット至上主義から継続性 ユニコーンブームがひと段落 IoT系に再び注目が集まる 経済的価値に加えて社会的価値の重要性 B2B向けサービスの躍進 テクノロジーよりもユーザー体験 正しいチームカルチャーの重要性 金融業界の大きな改革が進む 心を豊かにするウェルネス系サービス ノンデジタルでのブランド構築 1. エクジット至上主義から継続性 スタートアップのゴールの1つが、短時間でIPOやバイアウトなどのエクジットを達成し、一攫千金を得ること。日本国内の感覚だと、なるべく早い段階の上場を、アメリカだと、なるべく高い金額での売却を狙うことが多い。そのために、赤字での上場や、手段を選ばないユーザー獲得方法などの裏技を駆使することも多い。 その一方で、昨今のWeWorkでの一件などから、早急なエクジットよりも、継続性の高いビジネスモデルが求められるようになってきている。 参考: ベンチャー企業とスタートアップの違い 2. ユニコーンブームがひと段落 上記に関連し、末上場で評価額10億ドルを超える、ユニコーン企業ブームもひと段落する感じがする。上場前のUberに見られるように、グロース重視で、評価額を上げるだけ上げたは良いものの、その後の展開に苦しむケースも増え始めたことにより「ユニコーンを目指そう!」という目標自体がダサい感じになり始めている。もちろん、日本からユニコーンを出そう、という日本政府の方針も時代遅れな感じがする。 参考: ユニコーンの次はデカコーン 3. IoT系に再び注目が集まる 一時期は「モノのインターネット」とも呼ばれ、注目を集めていたIoT系のプロダクトであるが、ビジネスとしては、うまくいかないケースが多く、ここ数年で縮小気味であった。しかし、今年からはB2B系のIoTソリューションや、スマートホームやリテール、エンタメ系など、よりユーザーの日常生活に密着した、新しい形のIoT系プロダクトやサービスがリリースされたことで、再燃してきている感じがする。一時期は下火になったIoT系のスタートアップに再び注目が集まり始めている。 参考: 2020年知らないと恥ずかしい!?米国で注目のIoTサービス5選 4. 経済的価値に加えて社会的価値の重要性 お金儲けだけではなく、社会に対するポジティブな影響を与えられるサービスや企業に人気が集まる。ここ数年で話題になってきているD2C系のブランドや、代用肉のスタートアップも、社会貢献のストーリーを前面に出すことで、注目が集まっている。「ユニコーンとシマウマの違いを知っていますか?」でも語られている通り、大規模、急成長が特徴であったユニコーンに対するアンチテーゼとしても興味深い。 参考: イノベーションの効果測定方法 5. B2B向けサービスの躍進 スタートアップサービスと聞くと、どうしてもアプリやWeb系を想像しがちであるが、実は、業務効率化、顧客獲得、バックオフィス運営などのB2B系のソリューションもかなり注目されている。代表的なものだと、日本でも導入が増えてきているSlackや、Smart HRに代表される、既存の面倒な仕組みをクラウド化して改善する、実務系サービスが挙げられるだろう。 6. テクノロジーよりもユーザー体験 これまでは主に消費者向けのサービスが中心に、優れたユーザー体験を提供することが、そのサービスの大きな価値になってきている。それに加え、今後はB2Bを含め、あらゆるサービスにその重要性は高まっている。例えばMealPalの様に、既存のサービスと同じ内容であったとしても、UX部分を大幅に改善するだけでも、新しい価値提供に繋がるケースも少なくはない。 参考: 【今さら聞けない】デザインがビジネスにこれほど重要な理由 7. 正しいチームカルチャーの重要性 スタートアップは多くの場合、急成長を達成するために全てが流動的に変化する一時的な集合体である事が一般的であった。しかし、より継続的な存在になるためには、社内カルチャーの醸成の重要性が高まってきている。これも、WeWorkの一件で明るみに出た部分でもある。 参考: イノベーションを生み出す海外企業カルチャー10事例 8. 金融業界の大きな改革が進む 2019年は日本でもモバイルペイメントに代表されるようなキャッシュレス系サービスが話題になっていたが、今年はそれらを含む各種フィンテック系ソリューションの知名度がより高まってくるだろう。それと同時に、既存の金融業界は今まで以上にユーザーに喜ばれる体験の提供が求められる。もしかしたらスタートアップサービスの影響で、大手の金融機関の経営に大きな影響が現れ始めるかもしれない。 参考: 銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は? (金融革命 Part 1) 9. 心を豊かにするウェルネス系サービス 世の中にデバイスとデジタルサービスが普及するに合わせ、ユーザーの心の豊かさを危惧する声が上がり始めている。実際、平均的なユーザーは、人と接する時間よりも、デバイスを触っている時間の方が多い。そんな時代の変化に合わせ、人々の心を豊かにする、ウェルネス系のサービスに注目が集まる。 参考: テクノロジー中毒の危険性? 人間よりもデバイスと過ごす時間が多い時代に 10. ノンデジタルでのブランド構築 インターネットを通じて情報にアクセスしやすくなったことで、ユーザーは商品やサービスに関する情報に対して敏感になっている。そのため、最近の傾向としてユーザーはブランドに対して透明性や信頼性を求めるようになった。そこに対していかにリアルなストーリーや、イベントなどを通じた「人間味」出せるかが、スタートアップにおけるブランド構築のポイントになり始めている。 参考: D2Cブランドに学ぶブランド認知向上に効果的なキャンペーン事例4選 2020年にbtraxが注目するスタートアップ 上記のトレンドを踏まえ、クライアント企業とスタートアップとのコラボを提供している我々btraxも注目している15のスタートアップを下記に紹介する。 Spatial ARを活用したコラボサービス 注目ポイント: リモートワークが進む中で、ホワイトボードや付箋を利用したコラボやディスカッション、ワークショップの必要性も高まっている。その二つの相反するニーズをARと3Dテクノロジーを活用して実現するサービス。 本社: ニューヨーク 領域: AR、業務改善、3D https://spatial.is/ Impossible Foods 植物性タンパク質で作った代替肉 注目ポイント: アメリカで現在大きな社会問題の1つにもなっている家畜と食用肉の関係を解決するために、動物の命を奪わずに美味しい肉を提供することをゴールとしている。実際に食べてみても、実際の肉と遜色のないクオリティーで、現在では大手ハンバーガーチェーンのBurger Kingにも採用されている。 本社: シリコンバレー 領域: フードテック、食品 https://impossiblefoods.com/ 関連記事: ビヨンドミートだけじゃない。食品産業に革命を起こす次世代フードを実食。 Nova Credit 移民の人たち向けクレジット金融サービス 注目ポイント: 移民の多いアメリカであるが、国外から移住してきた人にとってすぐにクレジットカードを獲得するのは非常に難易度が高い。そんな社会的問題に対して、テクノロジーを活用し、それぞれの母国でのクレジットヒストリーを活用することで解決するサービス。 本社: サンフランシスコ 領域: フィンテック、金融 https://www.novacredit.com/ AirGarage 利用していないスペースを駐車場として貸し借りするプラットフォーム […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

2019年に消滅したスタートアップとその理由

毎年恒例、その年に無くなってしまったスタートアップ特集。その失敗理由などから学ぶことで、今後の役に立てようというのが目的。こちらアメリカでは失敗することが必ずしも悪いことではなく、そこから得るものがあれば成功へのプロセスの1つとして捉えることも可能になる。 特に新陳代謝の激しいスタートアップ業界では、派手な成功ストーリーの裏では、連日新しい企業が生まれては消えている。IBM Institute for Business Value and Oxford Economicsの調査によると、実にその90%は5年以内に無くなると言われている。その失敗理由やサービス内容を知るだけでも今後の大きな学びになる。 惜しくも2019年に無くなってしまったスタートアップ達 2019年12月25日現在までで、確認されているだけで553のスタートアップが消滅し、その合計資金調達金額は$19億ドルにのぼる。そんな中でも、今回はその資金調達額と、期待値の規模ベースにいくつかをピックアップしてみた。 Layer カスタマーサービス向けのチャットボットシステムを提供し、インドのフードデリバリー大手のSwiggyなどにも採用されたが、競合の存在や、成長速度の鈍化などが理由で、2019年10月末にサービスを停止した。なお、現在Layer.comは25万ドルで売り出し中。 事業エリア: チャットボット 資金調達額合計: 4400万ドル 失敗理由: 投資家からのプレッシャー 主な原因: 会社の成長スピードに対しての投資家からのプレッシャーに対し、Intercomなどの競合の存在もあり、より大きなマーケット獲得をすることができなかった。 Stimwave 神経系の症状に対して、ワイヤレステクノロジーを活用した医療デバイスを開発するStimwaveは、これまで入院を余儀なくされていた患者に対して、より自由なライフスタイルを送れるようなソリューションを提供していた。 事業エリア: ヘルスケア 資金調達額合計: 5470万ドル 失敗理由: 市場ニーズに合っていなかった 主な原因: 同社のソリューションの効果に相反するような裁判所による判例もあり、当初想定している効果が得られにくいと考えられた。 Anki カーネギーメロン大学の卒業生によって2010年に創立されたAnkiは、2016年にAIを実装した家庭用ロボット、Cozmoをリリース。その後、2018年には最新モデルであるCozmoをグラウドファンディングでリリースし、190万ドルを集めた。Fast Companyが選ぶ、2018年度の”The Word’s Most Innovative Companies” のロボティックスカテゴリーで1位を獲得するなど、絶好調に見えたが、あえなく終了してしまった。 事業エリア: ロボティクス 資金調達額合計: 1.82億ドル 失敗理由: 資金が尽きた 主な原因: 150万ユニットのプロダクトを販売したものの、ハードウェアビジネスにおけるコストは非常に高く、利益を出すのが難しいと判断した。 Laurel & Wolf 2014年より、インテリアデザイナーと顧客をマッチングさせるプラットフォームを提供していたLaurel & Wolf。その期待値の高さから、eBay、Dropbox、 Twitter、 Uberなどにも投資を行ったVCであるBenchmarkからの投資も獲得。2017年にはHome Depotとのパートナーシップも発表し、順風満帆のように見えていたが、2019年の初頭にサービス停止に追い込まれた。 事業エリア: インテリアマーケットプレイス 資金調達額合計: 3580万ドル 失敗理由: 運営コストとサービスの質の低さ 主な原因: それまでは比較的好評だったサービスが、2018年の夏頃からネガティブな口コミが書かれ始めた。ユーザーとサービス提供側とのトラブルが続出していた。 Call9 高齢者をターゲットに、老人ホームや介護施設と医師をつなげることで、緊急時に必要とされるオンデマンド型救急医師派遣プラットフォームを提供していた。 事業エリア: ヘルスケア 資金調達額合計: 3400万ドル 失敗理由: 市場ニーズが追いついていない 主な原因: 加えて、投資家との折り合いがつかず、サービス終了に追い込まれた。 Aria Insights 石油採掘場、軍用、警備用などのシーンにて、ドローンを活用することで、人間では危険だと思われる場所からデータを集めるソリューションンを提供していたが、既存のニーズに合っていなかったという理由で終了した。 事業エリア: ドローン 資金調達額合計: 3900万ドル 失敗理由: プロダクトが時代よりも先進的すぎた 主な原因: 将来起こるであろう課題にフォーカスしすぎたため、現代ではまだ必要とされていないプロダクトを作ってしまった。 Arivale ユーザーの遺伝子、血液、そしてマイクロバイオームデータから、それぞれに最適な情報を提供することで、ウェルネスの達成と病気予防と提供したが、2019年の5月にサービスをクローズした。 事業エリア: ヘルスケア 資金調達額合計: 5260万ドル 失敗理由: サービスのコスト高 主な原因: 医療データにおけるテスト、分析にかかるコストが高く、ユーザーへのチャージ金額との折り合いがつかなかった。 Kahuna 最新の機械学習テクノロジーを活用し、よりパーソナライズな体験を提供するマーケティングオートメーションサービスの提供を目指していたが、2019年の前半にサービスを停止し、5月にはサイトも消滅した。 事業エリア: マーケティングオートメーション 資金調達額合計: 5800万ドル 失敗理由: 未発表 主な原因: いきなりサービスが停止され、具体的な説明も無い。 Nomiku 元々ニューヨークに住んでいたカップルがサンフランシスコに引っ越し、ハードウェアアクセレレーターに参加。その後Samsungからの投資も獲得し、真空調理法を実現するスマートデバイスを開発した。2017年には、真空調理法で作られた料理のサブスクリプション型デリバリーサービスにピボットした。ちなみに社名は日本語の”飲み食い”が由来。 事業エリア: スマート調理デバイス 資金調達額合計: […]

なぜ優秀なデザイナーでも酷いデザインを生み出してしまうのか?

日常生活において「なんでこんなデザインにしちゃったんだろう?」と感じることが意外と多い。誰がどう見たって醜いルックス、どうしたって使いにくい操作性、非常に心地悪い体験、などなど。もっと良いデザイナーにデザインさせろよ!と思うかもしれない。でも、もしかしたら原因は他にある可能性も。 優秀なデザイナー ≠ 優れたアウトプット 優れたデザイナーに頼めば、必ず優れたデザインをしてもらえるのか?答えはNo。むしろどんな優秀なデザイナーであっても、低いアウトプットのクオリティーが低いものになってしまうこともある。そして、その理由はデザイナーのスキル以外にあったりする。これは、イコール優秀なデザイナーさえ雇えばクオリティーの高い結果が出るわけではないということでもある。 ■ 醜いデザインが生み出されてしまう主な理由■ 事前に十分なインプットが得られていない 間違った期待値設定 クライアントや担当者に対して間違った質問をしている 民主主義の決定プロセス PM主体のプロジェクトプロセス フィードバックではなく承認を求め始める 身の丈に合わないプロダクトスペック チームメンバーの主観だけで決めてしまう 全体のUXよりも見た目のデザインを優先してしまう 長期的なUXゴールよりも短期的な結果を優先してしまう 組織が分断されている デザイナースキルのミスマッチ 心理的安全性が担保されていない 多様性の低いチームメンバー構成 求めるデザインの仮説を立て、リサーチを行い、ユーザーとの対話もし、チェックポイントごとに関係各所と綿密な確認も行なった。その後、QAをして、リリースまで漕ぎ着けた。しかし、完成したものを見てみると、なぜか微妙な結果になっている。そのような事例は後を絶たない。これは、デザイナーの能力に問題があったのではなく、多くの場合、組織構造、プロセスや期待値設定など、複合的な理由であることがほとんど。 より良い結果を望むのであれば、デザイナーの方々だけでなく、社内でも、社外でも、デザイナーと仕事をする方々にもぜひ覚えておきたい落とし穴をいくつか紹介する。 事前に十分なインプットが得られていない これは、デザイン会社とクライアントとのプロジェクトで生まれやすい落とし穴。本来はプロジェクトをスタートする時点で、クライアント側からプロジェクトの目的やゴールなど、の入念なインプットに十分な時間を費やすべきなのであるが、どうしても忙しい、納期がきつい、めんどくさい、などの理由で、いきなりデザイン作業に移行してしまうことがある。この“見切り発車”が大きな落とし穴。 そうなると、しばらくしてから出来上がった物がクライアントが想定していた目的に準じていない感じになってしまう。我々、btraxでは、プロジェクトの開始時の1-2週間を”ディスカバリーフェーズ”と名付けた、情報共有と信頼関係構築のための期間に充てる。そうすることで、結果的に時間とコストの短縮につながる。 典型的な結果例: クライアントから発注内容と異なるというクレームが出る 間違った期待値設定 デザインが課題の解決や目的達成のための手段だとするならば、まず最初のゴールや期待値の設定がとても重要になってくる。しかし、多くの場合その時点で既にズレが生じている。多くの場合は、当初設定していた期待値よりも、より多くのことを求めすぎる傾向がある。 例えば、ECサイトのチェックアウト機能の改善という目標に対して、リピート顧客がよりスムーズに買い物ができるようにするために、ステップを減らす、というゴール設定をしたとする。しかし、それがいつの間にか「ユーザーの買い物体験の向上」といった、壮大なるテーマにすり替わり、デザインフォーカスがぶれ始める。 その結果、本当に何を達成すべきかを見失い始め、当初設定していたゴール達成が難しくなってくる。これは、多くの場合、プロジェクトリーダーが上司の顔を気にしすぎることで、欲張りになってしまっているのが原因だ。 典型的な結果例: 何をするにも使いにくいデザイン、構成要素が多すぎて分かりにくい 関連記事: デザイン最優先のAirbnbがユーザー獲得のために行う3つのマインドセットと4つのコアプロセス クライアントや担当者に対して間違った質問をしている デザイナーが最もしてはいけない質問は「こんな感じでどうでしょうか?」だろう。この質問をした瞬間に、そのデザインに対する主導権は相手に渡ってしまい、デザイナーの仕事は一気に言われたことだけをやる、オペレーターになってしまう。 そして、最悪なことに、その時点からデザインのことがよくわからない素人が、個人的な感覚で指示を出し始める。そこにデザイナーとしてのアイディアを提案する余地は残されていない。そうなってくると、その後はデザインのクオリティーがどんどん劣化してしまうだけだ。 以前に先輩のデザイナーから受けた最も重要なアドバイスの1つが「デザインプレゼンの際にはデザインの話をするな」だった。この狙いは、そのデザインが解決するべき課題や、目的、経営的ゴール、プロダクトのビジョンなどにフォーカスを当てることで、デザインを”目的”ではなく、あくまで”手段”として客観的に捉えるようにすることだ。 その目的も考慮せずに、ボタンの色は青が良いか、赤が良いか、のような議論が始まったとしたら要注意である。 典型的な結果例: デザイン理論的にもトンチンカンなアウトプット 民主主義の決定プロセス 優れたデザインを世の中に出すことよりも、プロジェクトメンバーや上司の顔色を伺うことを優先したプロダクトは必ず失敗する。例えば、Appleの製品のその多くが、機能面でかなり”削られた”ものであるケースが多い。それは、iPhoneの物理的ボタンの数や、Macbookのポートの数を見てもわかる。これがもし、プロジェクト参加メンバーみんなの合意を得るプロセスであったとしたら、あのようなプロダクトは生まれない。 また、SONYのウォークマンのような、新しい価値を生み出すプロダクトは、熱狂的なリーダーの一存で決まっていくことも多い。この辺は議論やぶつかりを避ける傾向にある日本企業にとっては大きなハンデとなっている。 典型的な結果例: つまらないデザイン、機能てんこ盛りのプロダクト 関連記事: なぜデザインはシンプルな方が良いのか PM主体のプロジェクトプロセス ユーザーのと対話がデザインプロセスの中で最も重要なポイントであるのであれば、デザイナー自身がエンドユーザーとの対話ができていないのに優れたデザインを生み出すのは、ほぼ不可能に近いだろう。しかし、多くの場合は、プロジェクト担当者やPMの方が表に立ち、デザイナーはあくまで”裏方”として仕事を進めていく。ここにプロセス的に大きな問題が潜んでいる。 デザイナー自身が直接ユーザーとの対話ができないことでモチベーションが下がり、デザインのオーナーシップが失われる。そして、その後はデザイナーとPMとの伝言ゲームが始まり、負のスパイラルに陥る。加えて、デザイナーは最終的なビジネスゴールを理解するのが難しくなり、見た目のデザインだけに終始してしまう現象が発生する。 典型的な結果例: 見た目のクオリティーは悪くないが、妙に使いにくいUX フィードバックではなく承認を求め始める プロジェクトにおける定期的なチェックポイントでは、主にフィードバックとディスカッションに時間を費やすべきなのであるが、チーム内、およびデザイン会社とクライアントの間でフラットな信頼関係が構築されていない場合、どうしても、承認を得るのが目的になってしまい、ミーティングの内容も「これで進めて良いでしょうか」に終始してしまう。 このプロセスに巻き込まれると、承認を得るために、決定権のある人の顔色ばかりを伺ってしまい、デザイナーのスキル以上のアウトプットを出すことが不可能になる。 典型的な結果例: とてもダサいデザイン 身の丈に合わないプロダクトスペック サイトやサービス、プロダクトを考える際には、リリースした後の状態も考慮して設計をする必要がある。と言うのも、あれもこれも含めてしまって、リリース後にコンテンツが間に合わないケースが多発しているからだ。 例えば、更新頻度がめっちゃ低いブログや、表記項目だけあって、中身が空っぽのECページなど、明らかにリリース後の運用フェーズを想定せずにデザインされていることが意外と多い。また、リソースの足りなさから、箱は作ったものの、中身が空っぽの状態でユーザーに届けられる。 そうなると「これ、誰が責任持ってアップデートしていくの?」という質問が公開後にされ、短時間でサービス終了に追い込まれるケースも少なくない。 典型的な結果例: UIは美しいが、コンテンツが空っぽのアプリ チームメンバーの主観だけで決めてしまう 優れたデザインプロセスには、ユーザーとの対話が不可欠である。しかし、現実はそれを行っていない場合の方が多いだろう。なぜなら、デザイナーを含めた、プロジェクトチームのメンバーの直感で多くのことが決められるからだ。人間は視覚で物事を判断しやすく、ことビジュアルデザインに関しては、エンドユーザーでなくとも、意見が言いやすい。 それが上司なのか、クライアントなのか、製作者なのかはケースによって異なるだろうが、想定される利用者からのフィードバックを得ずにデザインされたプロダクトのクオリティーはどうしても低くなってしまいがちである。 典型的な結果例: 説明してもらわないと意図が伝わりにくいプロダクト 全体のUXよりも見た目のデザインを優先してしまう これは、昔からの叩き上げや、アーティスト気質のデザイナーが陥りやすいトラップ。本来、プロダクトやサービスにおけるデザインクオリティーを考えた場合、総合的なユーザー体験が最も優先されるべきである。しかし、目先のビジュアルクオリティーにこだわりすぎたがために、利用した際に、使いにくい、心地悪いUXになってしまうこともある。 このポイントにおけるもう1つの弊害は、デザインした内容が技術的に実現不可能であるケース。見た目にこだわりすぎて、実際にどのようなテクノロジーを活用して”動かす”かを見落としているために、総合的なUXが全く実現されなくなる。 典型的な結果例: 全てが画像になっているサイト 長期的なUXゴールよりも短期的な結果を優先してしまう ビジネス的な結果を重視するのは良いのだが、短期的な結果を求めすぎるが故に、長期的なユーザー体験が犠牲になる。そして、最終的にはブランド価値の低下を招き、顧客離れが起こってしまう。 例えば、短期的な売り上げや問い合わせを増やすことに気が取られすぎると、サイトに余計なポップアップバナーやキャンペーン広告がどんどん表示されたり、連日割引メールが届いたりする。短期の売り上げ目標を達成し、予算獲得をしたいのはわかるが、長期的には絶対的にマイナスなイメージしか残らない。 典型的な結果例: 売り上げ重視が丸見えの使いにくいサイト 関連記事: UXハニカム – UXデザインの正しい品質評価方法 – 組織が分断されている 多くの現代企業における大きな問題の1つが、組織の分断だろう。戦略、マーケティング、企画、エンジニアリング、などそれぞれの役割のチーム間にギャップができてしまうと、ユーザーにとって使いにくいプロダクトや体験が生み出される。優れたデザインを求めるのであれば、相互が重なり合う、”クロスファンクショナル”なチームが理想とされる。 お互いがお互いの領域を理解しながらも、自分たちの専門分野をカバーすることで、一貫したユーザー体験を生み出すことができると考えられている。 典型的な結果例: 一貫性の無い体験、低いユーザービリティー 関連記事: 澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI 2019】 デザイナースキルのミスマッチ そもそも、”優秀なデザイナー” という概念自体がナンセンス。それぞれのデザイナーには得意な範囲や、媒体、スタイルがあり、どんなプロジェクトに対しても良い結果を出すことのできるデザイナーは皆無だろう。 加えて、今の時代は、グラフィック、Web、イラスト、UI、UX、サービスデザイン、ビジネスデザイン、などデザイナーが関わる範囲が無限大に広がっており、一人のデザイナーが全てのエリアで貢献するのはほぼほぼ不可能である。 これは医者に例えると分かりやすい。一言で”医者”と言っても、内科、外科、精神科など、異なる症状に対して、そこにエキスパートがいる。何事も適材適所が重要だ。 逆に考えると、デザイナーとしては、自分の得意な領域とスタイルを集解と理解し、そのスキルセットに合致した役割を与えてもらえるプロジェクトに関わらないと大怪我をしてしまう。 典型的な結果例: フレキシブルになっていないUI、ずれた色やレイアウト、タイポグラフィーの詰めが甘いパンフレット 心理的安全性が担保されていない 優れたデザインを生み出すには、ディスカッションをする時点で、異なる役割の人から多種多様なアイディアを出すことから始める。その際には、”Yes, &”と呼ばれる、相手の意見を否定せずに、よりそれを良くする助言をする姿勢が良いとされる。そうすることで、どんな肩書きや役職の人であっても、否定されることを怖がらずに発言ができる安心感が得られる。 これを心理的安全性の担保されている状態と呼び、Googleが行った調査によると、パフォーマンスの高いチームに共通していたポイントだという。相手の反応が怖くてクレイジーなアイディアが出せないチームは、面白いプロダクトが作り出せない、と解釈しても良いだろう。 典型的な結果例: どこかで見たことのある平凡なプロダクト 関連記事: 上司が若手を育むための5つのマインドセット【DFI 2019】 […]

世界最大のテクノロジーカンファレンスCES 2020の注目ポイント

2020年の年明け、米国ラスベガスにて1月7日から10日にかけてCES 2020が開催される (メディア向けカンファレンスは1月5日、6日)。CESは、世界最大規模のテクノロジーカンファレンスで、以前は家電中心だった内容が、ここ数年で急激に拡大し、モビリティー、ヘルスケア、エンタメなど、テクノロジーを活用する様々な業界が参加、出展している。 そんな世界が注目するCESに関しての見どころを説明。最後には関連イベントの紹介も。 年々規模も注目度もどんどん高まっている イベントとしての規模も桁外れで、メインのコンベンションセンターだけでも、東京ビッグサイト4つ分の広さ。それに加えて周辺のホテルの会場などを含めると11箇所で展示が行われる。予想される来場者数は18万人以上、4000を超える出展企業、7000以上のメディア関係者の参加が予定されている。ラスベガス市に対するその経済効果は実に300億円以上とも言われている。 このイベントの注目度は年を追うごとに高まっており、2018年のTOYOTA ePallet、2019年のLG Rollable TVなど、CESを目指して新規プロダクトコンセプトのリリースをしている企業もかなり多い。 関連: 主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント CES 2020で注目したい10の見どころまとめ では、btraxのCEOとして個人的に注目したい10のポイントをまとめてみた。 展示の半分くらいはモビリティーとMaaS系。革新的なサービスの誕生が期待される VR/AR/MR/XRの細分化が進む。実用的な新サービス情報もお披露目される AIとロボティックスからは、AI技術が具体的にどのように活用されるかがみられる ヘルステックだけでなく、心のケアまでおよぶウェルネステックにも注目 コンセプトに留まらない、5Gの活用事例に期待 日常生活により密着した、スマートホーム等のIoT系プロダクトには再注目 Appleが28年ぶりの参加!「What Do Consumers Want?」セッションに参加 数十年大きな変化なかった旅行体験を変革させるテクノロジーが登場 インクルーシブを目的としたセクシャル系プロダクト展示の解禁 徐々に下がりつつある日本企業の今年のプレゼンスにも注目 モビリティーとMaaS系 数年前までは家電がメインであったCES (元々はConsumer Electronic Showの略) も、今となっては展示内容の半分ぐらいはモビリティー関連になってきている。それくらいに、モビリティー業界は大きな変革の時期に来ており、自動車メーカーやサプライヤーををはじめとした各社が、最新テクノロジーをどのようにいち早く取り入れ、移動やロジスティックスなどのエリアにて、革新的なサービスを生み出しているかに注目が集まる。 関連セッション: BYTON Media Days News Conference ZF Media Days News Conference When Will Advanced Automotive Tech Pay Off? Bosch Media Days News Conference Continental Automotive Media Days News Conference Crawl, Walk, Run: Scaling Mobility Ecosystems Products for the Future of Mobility Ground or Aerial: Which Will Win Autonomy? Innovations in Last Mile Toyota Media Days News Conference Connecting the Dots for Mobility Solutions Faurecia Media Days News Conference Human Experience in the Future of Mobility Hyundai […]

【今さら聞けない】デザインがビジネスにこれほど重要な理由

経営におけるデザインの重要性が叫ばれるが具体的な成果があまり出ていない デザインがもたらす7つのメリットとは? なぜデザインがイノベーションに不可欠なのか? 企業内にデザインを浸透させるための7つのポイント グローバル規模でデザイン的競争力をあげるには デザイン思考やデザイン経営などのバズワードが巷にあふれ、オープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーションなどのカタカタキーワードが羅列される。そんな状況で実際に結果としてどのようなアウトプットが生み出されているのか?おそらく、日本国内で働いている人たちのその多くが、上記のようなトレンドとに関する取り組みに少なからず関わったことがあることだろう。 その一方で、デザインがプロダクトや企業経営に対して具体的な結果として効果を生み出した事例は、日本国内で見渡してみると驚くほどに少なく感じる。その一方で、グローバル規模で考えてみると、デザインのビジネスに対する利点は具体的な数字としてクリアになってきている、 参考: 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ そのギャップを少しでも埋められないかと思い、我々btraxでもfreshtraxのようなメディア、DESIGN for Innovationに代表されるイベント、そして、デザインサービスを通じて、日本企業の国際的デザイン競争力の向上に寄与できないかと試みている。 今回は、先日開催されたイベント、DESIGN for Innovationの総括として、最も基本的な事柄である、なぜデザインが企業の経営やビジネス全体に重要な役割を果たしているのかを今一度まとめてみることにした。 デザインがもたらす7つのメリット “良い”デザインが大切な理由を考える際に、そこからどのようなメリットを得るかがわかると理解しやすい。大きく分けると恐らく下記の7つに集約されるだろう。 1. ユーザビリティー向上 直接的な効果として、商品やソフトウェアなどの使いやすさが向上する。例えば、リモコン1つとってみても、ボタンの数が少ない方が使いやすい。デザインの質を上げれば、単純により使いやすいプロダクトになる。 参考: 優れたユーザビリティを実現する25の基本概念 2. 効率性の向上 ソフトウェアが使いにくいために、作業効率が下がってしまった経験はないだろうか?特に業務用システムの場合、どうしてもセキュリティーや安全性を優先することで、使いやすさが犠牲になってしまうことも多い。その一方で、シリコンバレーの企業を中心に、最近では、効率性を高めるデザインに注目が集まってきている。 日本でも働きかた改革などの影響で、労働時間を減らす傾向にある。その一方で、求められる結果は同じであることも多い。少ない時間で同じ結果を得るには、より効率化を進める必要が出てくる。そこで必要になってくるのが、より優れたデザインを採用したツールや環境だったり、プロセスだったりする。 参考: 【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは 3. 安全性の向上 デザインの品質が悪いと、時に人の命も奪う結果につながってしまう。2016年の夏にロサンゼルスの郊外の自宅の入り口付近で、27歳の俳優が死亡した。それも、自身が運転していた車に押しつぶされて。どうやら、彼は一度自動車を停め、自宅のゲートを開けようとしていたところだったと推測された。 なぜこんなことが起こったのか?調査によると、彼の2015モデルのジープはリコール対象になっていた。原因はそのシフトレバーのデザイン。パッと見では”P (パーキング) “に入れていることがわかりにくい事で、それまでにも100件ほどの事故が発生していたという。間違ったデザインが安全性を下げてしまった例である。 参考: UXピラミッド – UXデザインの正しい評価方法 – 4. 競争力の向上 現代において、多くの企業が脅威を感じるライバル的存在に共通しているものは何か?おそらく、そのデザイン性の高さだろう。例えば、テクノロジー業界で考えてみると、世界的にユーザー数の多いTop 7社 (Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft, Salesforce, Oracle) のすべての会社には専属のデザインチームが存在しており、ブランディングからプロダクトのユーザー体験までを横断的に管理している。そうすることで、より多くのユーザーを集め、最終的な企業競争力を高めている。 そうなってくると、デザイン性の高さそのものが企業にとっての武器となる。一昔前は、Appleのプロダクトを愛していたのは一部の強烈なファン層だけだったが、いつの間にかマジョリティーの消費者がiPhoneを利用するようになった。高いデザイン性を提供するプロダクトでないと利用されなくなってきている例だ。 参考: 【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか 5. 利益率の向上 優れたデザインやユーザー体験を施したプロダクトづくりができれば、多くのユーザーを獲得する事ができる。自ずと結果として、売り上げや利益の向上に繋がる。特に利益率については、Appleの製品が競合のものよりも割高であ事から考えてみても、高い利幅を獲得していることは想像に難くない。 実際のリサーチ統計を見てみても、デザインへの投資は具体的な数字として表れ始めている。 製品デザインへの投資が1%増えるごとに、売り上げと利益は平均して3-4%増加する。(ロンドン・ビジネススクール) デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっている。 (マッキンゼー) デザイン的アプローチを経営の戦略に積極的に取り入れている状況企業の株価の伸び率が、S&P 500全体平均と比べ10年間で228%高くなっている。(Design Value Index Results) 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 6. ウェルネス向上 デザインの意外な役割として、人々の心に対してのポジティブな効果もある。特に最近は、デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及で、人と接する時間よりも、デバイスと過ごす時間の方が多くってきており、精神的に疲れている人が増えている。それを癒すのもデザインの役割りだ。 シリコンバレーの企業の中には、「自分たちのサービスは、果たしてユーザーの人生にポジティブな影響を与えているのか?」と疑問を感じるところも出てきている。特にデザイナーたちからは、「お金儲けのために、ユーザーの人生を台無しにしてしまっていないか?」との意見もある。 特にUXデザイナーの間では、エシカル (倫理的な) デザインの概念が議論され、すでにプロダクトに採用しているケースもある。 そしてすでにAppleのScreen TimeやGoogleのFocus Modeなど、ユーザーのより良い人生 (ウェルビーイング) のためのデザインが進んでいる。 参考: デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは? 7. クオリティーオブライフ、クオリティーオブワークの向上 そして最終的に優れたデザインは、日々の生活の品質や仕事をしている時間の価値の向上にもつながる。住環境やオフィス環境のデザイン要素を改善することで、より充実した日常生活を送ることができる。昨今話題のWeWorkがそのデザインにこだわりまくっている理由も理解できるだろう。 最近我々btraxも、コミュニケーションがより促進されるデザインへとオフィスの一部をリニューアルした。   View this post on Instagram   参考: ブランド戦略 × オフィスデザイン ー 成功事例に見る企業ブランド構築手法 デザインとイノベーションとの関係 そして、今回の本題である昨今叫ばれているビジネスにおけるデザインの重要性であるが、その背景にはテクノロジーの進歩と、ユーザーの期待値の上昇があると考えられる。 時代が進むにつれ、テクノロジーが進化し、ムーアの定義で説明されているように、どんどん新しく優れたテクノロジーが普及する。それに伴い、ユーザーの日常生活にテクノロジーが入り込み、特別なことではなくなってくる。言い換えると、加速するテクノロジーのコモディティー化が急速に加速していく。 結果として、商品やサービスから提供されるユーザー体験に対する消費者のの期待値はどんどん高まる。企業側は、その期待値にどのように対応できるか = デザイン的な熟成が進むかが、向こう5年以内の勝負の分かれ目となってくると考えられる。 ユーザーが求める体験を提供できる企業は勝ち残り、そうでないところは衰退していくのは明白だ。そのためには、いち早く、企業内にデザインを”インストール”する必要が出てくる。 企業にデザインをインストールための7つのポイント では、実際に社内にデザイン的考え方を浸透させるためにはどのようにな方法があるだろうか?おそらく下記の7つが必要とされると思われる。 […]

こんまりから学ぶグローバル進出3つのポイント

今週サンフランシスコの中心部に位置する大規模なイベント会場で、楽天が毎年主宰しているカンファレンス、Rakuten Optimismが開催された。代表の三木谷さんに加え、目玉ゲストとして、こんまりこと、近藤 麻理恵さんが出演した。
アメリカにおけるこんまりの人気は異常で、CBSの人気番組、The Late Show with Stephen Colbertをはじめとして、全国ネットのテレビ番組に複数出演したり、自身のNetflixチャンネルを提供したりもしている。そして、このイベントで最もオーディエ…

【インスタ、エアビー、Slack等】人気サービスの初期ユーザー獲得方法

現在では世界中で数100万人以上のユーザーから絶大なる人気を誇っているサービスにも、必ず初期ユーザーがいたはず。多くのサービスがユーザー獲得に苦しむ中で、人気サービスはどのようにして無名の頃にユーザーを集めていったのだろうか? それぞれのサービス内容や時代背景によって、そのユーザー獲得方法は異なるが、全てに共通しているのは、かなりユニークな方法を取っているという事。今回は現在人気になっている下記の32サービス企業のユーザー獲得方法を紹介する。 Airbnb Alibaba Amazon Apple DoorDash Dropbox Facebook Firefox GitHub Groupon Gumroad Hotmail Instagram Intercom Microsoft Mixpanel Paypal Pinterest ProductHunt Reddit Salesforce Skype Slack Stripe Tinder Trello Twitch Twitter Whatsapp WordPress Zapier Zoom Airbnb 初期ユーザー獲得方法: ブロガーへのコンタクト サンフランシスコ市内でデザインカンファレンスが開催された際に、市内のホテルがソールドアウト状態に目をつけたファウンダーの3人が、一緒に住んでいたアパートの家賃を稼ぐために3つのエアベッドを貸し出したのがきっかけ。 そのデザインカンファレンスの来場者に知ってもらうために、デザイン関連のブログにかたっぱしからメールを出し、記事にしてもらった。直後に最初の宿泊者を獲得。まだ具体的なサービスができていない状態であったが、その時のアイディアをその後AirbedandBreakfastというサービスに進化させ、カンファレンス参加者たちをターゲットとして広がっていった。 ちなみに、初期の段階はではホスト側のユーザーが実際にエアベッドを設置することが義務付けられていたという。 参考: デザイン最優先のAirbnbがユーザー獲得のために行う3つのマインドセットと4つのコアプロセス Alibaba 初期ユーザー獲得方法: 電話営業&対人での対応 ネットがビジネスに使われ始め、Eコマース黎明期の時代に、ジャック・マーが大学の友人と共にオンラインマーケットプレイスを作るべく始めたのが、Alibabaである。彼らは片っ端から店舗ユーザーに電話営業を行った。初期の頃は、店舗側が直接メーカーに訪問をしてからアカウント作成をしていた。その際には、Alibabaのスタッフがプラットフォーム上に商品の掲載する方法を教えていた。 こうすることで、初期ユーザーからのフィードバックを得たり、システムの不具合や使いにくい点を目の当たりにすることができたことで、サービスの改善につながっていった。 参考: アリババ創業者 ジャック・マー 成功への10の秘訣 Amazon 初期ユーザー獲得方法: 口コミ オンラインで書籍を売るモデルでスタートしたAmazon.comであるが、その頃にはすでに世の中にはいくつかの類似サービスが存在していた。開発に関わった人々全員が、サイトのURLを家族や友人に送ることで、その存在を知らせた。それが、初期の売り上げにつながった。 Amazonで一番最初に買い物をしたのは、John Wainwrightという名前の男性。実は当時のスタッフの元同僚であるJohnにAmazonを紹介したことで、1995年の4月3日に科学系の本を購入。最初の顧客ということで、現在でもシアトルのAmazon本社には彼の名前のついたビルが存在している。 参考: Amazonを成功に導いたユーザーを夢中にさせる4つのUXデザイン要素 Apple 初期ユーザー獲得方法: 地元の展示会で発表 ファウンダーのジョブズとヴォズニアックがDIYで作成したサーキットボードをHomebrew Computer Clubと呼ばれる地元の展示会で発表したことで、パソコン販売店を営んでいたPaul Tellerと出会う。そこで、単価$500×50ユニットの受注を受ける。 当時パーツを仕入れるお金が無かった二人は、大手製造業者に納品30日後の支払い条件での部品提供契約を取り付ける。それにより、30日以内に50台のサーキットボードを作り上げ、納品時に売り上げを受け取ることで資金を繋いだ。 参考: Apple, Google, ディズニーも最初はこんな小さなガレージからスタートした DoorDash 初期ユーザー獲得方法: ローカルSEO 出前代行サービスとして急成長を続けるDoorDashは当初小さなデリバリー会社だった。しかし、アメリカではレストランが出前をすることが一般的では無かったことに目をつけたファウンダーが、シンプルなLPを作成し、そこに地元 (Palo Alto) のレストランのメニューに彼らの電話番後を記載したPDFをアップした。 同じ地域のユーザーがレストラン名で検索すると、彼らのサイトがヒットすることが増え、ユーザーが集まった。また、当時はデリバリーも自社スタッフが行っており、直接ユーザーと対話することで、サービス改善につなげた。 Dropbox 初期ユーザー獲得方法: 動画マーケティング+ウェイティングリスト 初期のベータユーザー向けに、ウェイティングリストを掲載したLPを作成。そこにユーザーを集めるために、Dropboxのサービスコンセプト動画を作成し、多くのスタートアップ関係者やエンジニアがチェックするHackerNewsに動画リンクを貼ることで、5,000ユーザーがリストに申し込んだ。 その後、動画+ウェイティングリストの戦略を繰り返すことで、より多くのユーザーを獲得した。 Facebook 初期ユーザー獲得方法: 個人的な招待+口コミ 有名な話であるが、初期のFacebookはザッカーバーグの通っていたスタンフォード大学の学生向けのサービスとして開始した。初期の頃はThe Phoenixと呼ばれるサークル内を中心に、ファウンダー達のクラスメイトや友人がユーザーとなり広がっていった。 2004年の2月のリリースから1ヶ月以内で、ハーバード学生の約半分が利用を開始し、その後スタンフォードやコロンビア、イェールといった大学にも広がっていった。 参考: 小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは Firefox 初期ユーザー獲得方法: 既存のコミュニティーへのシェア Firefoxがリリースされた当初は、Mozillaプロジェクトの1つのサービス的位置付けだった。彼らは、ブラウザーのダウンローダブルリンクをFTPサイトに掲載した。当時、FTPサイトは、ファイルをダウンロードするためのディレクトリ的役割を果たしており、既存のユーザーに対していち早くプロダクトの存在を知らせることができた。 その後、多くのブログやニュースに取り上げてもらうことで、一気にユーザー数を増やした。 GitHub 初期ユーザー獲得方法: 口コミ+公開プロフィール GitHubが2008年にリリースされる頃には、すでに6,000人ほどのベータユーザーを獲得してた。デベロッパー向けのオープンプラットフォームであるGitHubは、その性質上、デベロッパー同士で、コードの共有リンクをシェアし合うようになり、リンクを受け取ったユーザーがベータユーザーとして登録し始め、募集開始から約二ヶ月あまりで、6,000人のベータユーザーを獲得した。 参考: CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」 Groupon 初期ユーザー獲得方法: フライヤー ファウンダーのAndrew Masonは、元々政治関係のプラットフォームを作成していたが。投資家の一人がAndrewにお金を設ける方法を学ぶ必要があると考えた。Andrewは入居者向けに、同じオフィスビルのピザ屋さんの半額フライヤーを配ったところ、フライヤーに掲載していたLPのアドレスから複数のユーザーがサインアップしたことで、Grouponの原型となるサービスの初期ユーザーを獲得した、 […]

デザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれない?説

デザイン思考は基本的なマインドセットであり、イノベーション創出のための万能な方法論ではない デザイン思考を学んで終わりにしない。「当たり前」にし、そのあとの行動に移してやっと価値が出てくる デザイン思考に倣うだけでは心に響くプロダクトは生まれない イノベーションに必要な要素 = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション みんな頑張ってデザイン思考を会得しようとしている デザイン思考の重要性が一般的に浸透し、多くの企業が何らかの方法でその手法を社内に取り入れようとしている。有望な若手を1日のデザイン思考ワークショップに参加させたり、経営陣自らがデザインの重要性を学ぶためのセミナーを受けたりなど、それなりの活動を進めていることが多い。 やってみたけど結果が出ない? しかしここに来て、多くの企業の方々から聞こえてくるのは、「それなりにやってはみたものの、イマイチ結果につながっていない」と言う課題。そもそも、ここでの”結果”とは何を意味するのか? よくよく聞いてみるとそれは、「デザイン思考を活用した画期的な事業の創出」だと言う。おそらく彼らは、デザイン思考を取得すれば、今まで不可能だったようなアイディアや、ビジネスモデルが生まれると考えているのだろう。 実はそれは大きな間違いなのかもしれない。「ここがちゃうねんデザイン思考。5つの違いを理解してモヤモヤを解決」でも説明されている通り、そもそもデザイン思考は基本的なマインドセットであり、万能なメソッドではない。と言うことは、デザイン思考自体は、あくまでイノベーションを生み出すための”下地”であり、方法論ではない。 言い換えると、デザイン思考を学んだだけでは期待する結果を得るのは難しい。実際に活用しながら試行錯誤していく必要がある。我々が提供しているデザイン思考をベースとしたワークショップでも、数ヶ月にわたり実際にスタートアップサービスを作りながら、やっとヒットするサービスの糸口を掴みかけるような状態なのである。 グローバル的には多くの成功事例が生まれている その一方で、「統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ」を見てもわかる通り、デザインを経営に導入することのメリットがあるのは明白なのである。 具体的な経営的な数字でデザインの重要性が明確になればなるほど、世の中の多くの企業たちが、ビジネスにおけるデザインの重要性に着目し、自分たちも乗り遅れないように何らかの試作をしなければ、と考え始めるのは当然の流れだろう。 そもそも何がデザイン思考なのかがわかりにくい そんな世の中の流れもあり、最近の日本では、猫も杓子もデザイン思考を叫び、本屋さんには関連した本が平積みされている。コンビニでも思わず「デザイン思考ください」と言ってしまいそうになる。 その一方で、何がデザイン思考なのか?それはどのようなメリットがあるのか、に関しては明確かつ統一した理解がない。そもそも、その概念自体が広すぎて、人によって解釈が違うし、利用方法も違う。そして、デザイン思考という概念自体が本来そうあるべきである。 なぜなら、デザイン思考は厳密なプロセスやルールなのではなく、参考程度に活用するべき考え方であるから。なので、「デザイン思考とは?」と聞くこと自体が愚問である。 ↑ 数多く出版されているデザイン思考関連の書籍 実は一番困惑しているのは現場のデザイナー達 デザイン思考って何?と言う質問に一番困惑するのは、もしかしたらデザイナー達だろう。そもそも、自分たちが今まで情熱を持って、長い年月を費やしてやってきた事が1つのブームになり、デザインの”デ”の字もわからないお偉いさんが、知ったかぶりで「やっぱデザイン思考だよねー」って擦り寄ってきても、「は?」と思ってしまうこともある。 それだけデザインは奥が深く、一朝一夕で身につくものでもない。それを、昨今のトレンドにより、誰でも簡単に学ぶことができ、ビジネスに即効性があると思われると、かなりしんどい。そして、昨今の社内デザイナー達は、他のスタッフにデザイン思考を教えることに毎日奔走し始めている。そうなってくると、本来やりたかったデザインの仕事がなかなかできなくなり、モチベーション低下にも繋がりかねない。 また、経営の現場に単純にデザイナーを突っ込めば全てが解決するわけではない。なのに、成功している会社の多くはデザインを経営に活用している、と言う理由だけで、なぜかデザインは万能な魔法のような捉え方をしているケースも見受けられる。 社内にしっかりとデザインを浸透させたければ、まずはスタッフのマインドセット、次にカルチャー変革が求められる。 そもそも、デザイン思考を社内に浸透させたければ、デザイナーよりもファシリテーター的な役割の人が行う方がよっぽど効果が高い。我々、btraxでも、デザイン思考ワークショップを提供する際には、ファシリテーターがメインで進めていくようにしている。 ↑ ファシリテーターがリードするbtraxでのデザイン思考ワークショップの様子 スタートアップ業界ではすでに”母国語”化している ちなみに、サンフランシスコやシリコンバレーのスタートアップ界隈では、今更デザイン思考を学んだりはしない。自分を含め、ここに長く住んでいる人たちにとってみると、デザイン思考的な流れでサービスを作るのがあまりにも当たり前のやり方すぎて、いまさら体系立てて学ぶことはあまりしない。 サービスを考えるときに、特定のユーザーのニーズにフォーカスを当てるのは当たり前だし、短いスパンでプロトタイプを作成し、ユーザーテストをするのも当たり前。アイディア段階でカフェに行って横に座ってる人からフィードバックをもらいながら改善したい、よりふさわしいユーザーを紹介してもらったりするのも日常茶飯事である。 それはまるでデザイン思考がすでに我々にとっては”母国語”になっており、努力して会得するものでない感じなのだ。例えると、英語を学んでいる人は、その文法から発音までを論理的に身につけようとするが、生まれつき喋れる人は、逆にそんなややこしい部分は気にも止めない。 海で生まれた魚は、泳ぐことを一から学ばないのに似ている。「Fishes can swim」ではなく、「Fishes swim」となる。同様に、スティーブ・ジョブズが一からデザイン思考を学んだとは想像しづらい。 デザイン思考を会得してやっとスタートラインに立てるレベル ここで気付いた方もいるかもしれないが、「英語が喋れる = グローバル」ではない。それは単純に海外の人とのやりとりをしやすくなっただけであり、そのスキル自体はコミュニケーションの第一歩でしかない。これは、「デザイン思考 = イノベーション」ではないのに似ている。 イノベーションを生み出している企業がデザイン思考を活用してるのは間違いない。しかし、それはあくまで基本中の基本ができているだけであり、万能ではない。デザイン思考プラス何かがなければ、求める結果を得ることは非常に難しい。 デザイン思考は”思考”ではなく、”行動”であるべき これはその呼び方が大きな問題がるのかもしれないが、デザイン”思考”を通じて結果を出したければ、早い段階で、考えることよりも、行動に移す必要がある。下記のダイアグラムを見てもわかる通り、デザイン思考のプロセスにおいては、多くの箇所で行動が求められる。そして、それを短いサイクルとして、グルグル回す必要がある。ちなみに、デザイナーに求められる能力の1つが、短時間でどれだけ多くの量のアウトプットを出せるかである。 以前にアメリカで被験者を2つのグループに分け、一定時間内に陶芸を作る実験を行った。Aのグループには、「最も優れた作品を作ってください」と伝え、Bのグループには、「作品の質ではなく、使った粘土の量が多さで評価します」と伝えた。すると、Bグループの方が最終的には、より優れた作品を作った結果となった。トライアルアンドエラーを多く繰り返した方が良いものが出来上がりやすかった。 デザイン思考でも、どれだけの量の失敗を繰り返せるかが重要で、座学よりもアウトプット重視するべきである。 しかし、デザイン思考を”思考”のままで終わらせているケースが後を絶たない。優れたプロダクトを生み出したければ、頭で考えるより、まず行動。習うより慣れよ、が求められる。なのに、デザイン”思考”と名付けてしまったのが誤解を生み出す1つの原因になってると思われる。 ↑ 思考よりも行動が重視されるデザイン思考のプロセス 実際の現場はかなりカオス 実際のところ、デザイン思考を活用しても、その成功率は必ずしも高くは無い。しかし、プロダクトが生み出されるのに要するコストと時間が短縮されるので、長期的にみると良い結果につながる。 そして、議論よりも行動重視でプロダクト作りを進めている現場は、想像ができないぐらいに、はちゃめちゃであり、またそうあるべきである。プロセスの行ったり来たり、コンセプトの練り直し、ニーズの再認識は日常茶飯事で、チーム内のいざこざや、感情のぶつかり合い、仲間割れも珍しく無い。 それが本当に良いものを生み出すためのクリエイティブなプロセスなのであるが、和を大切にする日本の文化や、大企業のエリート経営陣にはなかなか理解のしづらい部分でもある。 会社がカオスな状況を許容してくれない限り、良いものは生まれづらい。 デザイン思考プロセスを丁寧になぞってできたプロダクトは面白味がない これはとても主観的な感想になるが、デザイン思考の教科書に従って、お勉強した内容を元に、そのプロセスを丁寧になぞって作り上げらたプロダクトは、妙に”のっぺり”としている。そして世の中にある他のサービスにかなり類似したものが出来上がる。何か一味足りない。スパイスが効いていない感じがする。 なぜか?多くの場合、作っている人たちが本当に作りたいものを作っていない場合があるから。教科書に書いてあるやり方をしっかりと踏まえ、間違えの無いように1つ1つしっかりと検証して作ったとしても、そこに強い情熱や想いが無ければ、なんかつまらない物が出来上がる。 作る側に強い愛情が無いと、ユーザーにとっても魅力的なプロダクトにはならない。ユーザー検証を通じて、”つじつまのあう”プロダクトは作れるかもしれないが、なぜか心に響かないものになりがち。単純にデザイン思考のプロセスを踏まえ、ユーザーが欲しいと言ったものを作ったところで、それは単なる御用聞きプロダクトになってしまいがちである。 参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い デザイン思考は音楽におけるカノン進行みたいなもの この感覚、何かに似ているなー?と思って考えてみた。そうそう、それはまるでカノン進行を活用したヒットソングっぽい。カノン進行とは、パフェルベルのカノンと言うクラシックの名曲に利用されているコード進行。それが、日本人の耳に妙に心地よく聞こえることから、そのコード進行をベースに作曲するとヒットソングを生み出しやすいと言うことで、多用されている。 ミュージシャンの間でも、「ヒットを生み出したければ、カノン進行を使えばなんとかなる」とされるが、同時にそれは禁断の果実でもあり、妙にどっかで聞いたことのあるJ-Popソングになりがちで、イマイチ面白味がない作品になってしまう。 うまくいかないケースに欠如しているのは何か? では、本題に戻って、なぜデザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれないのか?おそらく、ここで重要なのが、そこに強い情熱があるか無いか。企業の新規サービスを作る際には、もちろん最終的な売り上げが重要になってくるのだから、ヒットを狙って物づくりをする必要が出てくる。それにデザイン思考が用いられる。 その一方で、本能的にデザイン思考を取り入れているスタートアップの多くは、初めから売り上げを意識しない。むしろ特定のユーザーや社会、そして作っている人たち自身が強烈に感じている課題を解決するための手段として、プロダクト作りをする。そこには、他の人ではなかなか持つことのできないレベルのパッションがあり、それが大きな原動力となる。 強いパッションがあれば、物凄い勢いでニーズの深掘りを行い、素早く試作品を作り上げ、テストを繰り返す。そして、その結果に合わせて、どんどん改善やピボットを行う。それはまるでアーティストの自己表現にも通じるものがあり、ヒットソングを狙った理詰な作業とは異なる。 イノベーションに必要な要素とは デザイン思考だけではイノベーションが生み出されないとしたら、他にどんな要素が必要になってくるのだろうか?おそらく、それには、下記の要素が求められると思われる。 マインドセット: デザイン思考自体がそもそもプロセスというよりは、基本的に理解しておくべきマインドセットである。それぞれのメンバーが、ユーザー視点の考え方をしっかりと理解し、会社の利益の前に課題解決のためのマインドセットをしっかりと共有しておく必要がある。 カルチャー: 次に、チームや組織におけるカルチャー的要素。自由に発言しやすい心理的安全性と、失敗を許容する考え方。そして、机上の空論よりも、速いスピードでアウトプットを評価するカルチャーが求められる。 パッション: 最も重要な要素になってくるのが、プロダクトやサービスに対する情熱。自分たちが本当に解決したい課題に対してのソリューションの具現化としてのプロダクトであること。そして、そこに他の人たちよりも強い情熱を注ぐ必要がある。 アクション: そして、上記の3つの要素をしっかりとアクションに移すこと。アクションの部分が無ければ、全てがゼロになってしまう。どれだけ強い情熱を持っていても、検討の結果、見送ることにした場合、アウトプットはゼロである。 結論として、イノベーションを生み出すためには、下記の方程式が必要になってくるのでは無いかと思う。 イノベーション = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション デザイン思考を上手に活用している秘訣を学ぶイベント もちろん、実際にうまくいっているケースも多数ある。その1つを紹介するのが、11月5日に東京で開催されるDESIGN for Innovationでの下記のセッション。詳細は公式サイトにて紹介されている。 『デザイン思考を利用したグローバルイノベーション創出方法』 日本が世界に誇るモビリティー企業であるHONDA、YAMAHAの2社が急激に変化をしている市場にて、どのような方法で生き残り、成長を続けるのか。デザイン思考的アプローチや、社外のスタートアップとのコラボレーションなど、最先端の取り組みを紹介。 日本国外のユーザーの心を掴むプロダクトの秘訣とは。それぞれの企業にて、従来とは異なるアプローチからイノベーションに取り組んでいる2名が、どのようにこれからのユーザーに受け入れられるプロダクト作りをしていくのかを語る。 杉本 直樹氏 / CEO、 本田R&Dイノベーションズ / 執行役員 統括機能本部 オープンイノベーション戦略担当、 株式会社 本田技術研究所 長屋 明浩氏 / 執行役員デザイン本部長、ヤマハ発動機株式会社 […]

最近のロゴが似通ってきている問題 – 第2弾

最近になってYahoo本社のロゴがまたアップデートされた。Yahoo! Japanのロゴはかなり長い間変更されていないのに。これはいかにも、変化スピードの速いシリコンバレーを象徴するようだ。なるべくゆっくり進むことが多い日本文化と比べてみても、企業の平均生存率が15%であるアメリカでは、”変化しない=死”を意味することもあり、ロゴのアップデートもかなり頻繁に行われる。

↑ 最近アップデートされたYahooのロゴ
時代の変化に合わせてロゴもアップデート
ではなぜロゴを変える必…

統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ

ここ数年で経営に対するデザインの重要性に注目が集まっている。デザインを経営に活用している企業の株価の伸びが平均値の2倍以上であったり、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているなど、その結果が具体的な数字に表れ始めている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザインと経営に関する最新のリサーチ結果 そんな中でも、デザイナー向けのプロトタイピングツールを提供するInVisionが、これまでにないレベルの世界規模でのデザインに関するリサーチを発表した。The New Design Frontierと名付けられたこのレポートでは、世界中のさまざまな規模の企業や団体をリサーチを実施した。 リサーチ対象の内訳は、大企業:71%、エージェンシー:25%、非営利団体:2%、行政:1%で、金融や教育、エンタメなどの異なる24の業界から2,200を超える団体。 70%の企業が積極的に経営に対してデザインを活用してる その結果、全体の2/3以上が、デザインを機能や見た目以外にも活用しているという事がわかった。全体の70%の企業が商品の開発や企業経営のプロセスにデザイン的考えを導入していると答えている。 デザインの浸透に関する主なアンケート結果: 商品開発プロセスに組み込まれている: 66% デザインリーダーが商品開発やエンジニアリーダーと連動している: 53% 従業員がデザインプロセスに参加している: 51% 重役がデザインプロセスに関わっている: 49% 従業員がユーザーや顧客リサーチに関わっている: 48% デザインが経営に与えるインパクトが理解できる統計 また下記の通り、デザインの経営に対する効果としては、効率、利益、ポジショニングなどに加え、3/4近くの企業がデザインを通じて顧客の満足度とユーザービリティが改善されたと答えている。(サンプル数:2,229団体) 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 組織内におけるデザイン熟成度と経営へのインパクトにおけるデザインレベルとその効果 このレポートでは、企業や組織がどれだけデザインを業務や経営に活かしているかによって、会社自体のデザインレベルを5段階に分けている。その結果、経営に対してデザインのポテンシャルを最大限に引き出しているLevel 5に入るのは、全体のわずか5%にとどまった。 全体の80%の企業が常にデザインを企業内の何かしらのプロセスに導入している中で、実に95%はまだまだデザインを活用する余地が残っている。 デザインの活用度合いレベルと全体での割合 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% Level 2 – 定期的にデザインワークショップを実施している: 21% Level 3 – 業務プロセスにデザインが導入されている: 21% Level 4 – 絶え間ない仮説検証が行われている: 12% Level 5 – デザインこそがビジネスの根幹になっている: 5% 組織が大きくなるほど経営戦略へのデザイン導入難易度が上がる 組織の規模が大きくなればなるほど、デザインを経営に浸透させる難易度が高まる。例えば、大企業と比較した場合、最高レベルであるLevel 5の比率は、中小企業で2倍、小規模企業で3倍ほどの開きが見られる。 多くの大企業は、組織構造やプロセスが複雑化しており、経営に対してのデザインの導入に時間がかかる結果となっている。 デザインチームの大きさと経営へのインパクトは必ずしも比例しない 上記のデザインレベルにて、高い数字を達成している = 経営へのインパクトが大きい企業におけるデザインチームが必ずしも大きいとは限らない。 重要なのは、組織内でどのような影響力を持ち、経営陣からのサポート受けているかであり、デザイナーの数や大きさだけではそのインパクトを測ることはできないと言う結果が出ている。 言い換えると、むやみに多くのデザイナーを採用したとしても、そこにしっかりとしたプロセスとカルチャーがない場合は、宝の持ち腐れになってしまう可能性もあるのだ。逆にたとえデザイナーの数が少なくても、経営に有効活用することが十分可能と言うことである。 デザイン経営に遅れを取るアジア諸国 企業に対するデザインの浸透度合いを地域ごとに見てみると、大きな違いは見られないが、主に北アメリカとヨーロッパが経営戦略にデザインを活用しているLevel 5の率が他の地域と比べ比較的高い。 その一方で、南米とアジア地域は、中間レベルのLevel 2, 3はそれなりの比率となっているが、Level 5はそれぞれ1%、 3%と低い数字となっている。 それぞれのデザインレベルのメリットと改善点 では、それぞれのデザインレベルごとに、ユーザーや企業にとってどのようなメリットがあるのか、そして、次のレベルに上がるにはどのような点が課題となっているかの詳細を紹介する。また、それぞれのレベルにおける平均デザイナー数の調査結果も掲載してみた。 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% デザインを活用することで、主にUIなどの画面やプロダクトの見た目の改善を行っている。一昔前は、デザインレベルが低い=デザイナーが足りない、といのが一般的な理由であった。 しかし、レベル1に属する組織のデザイナーの数は平均30人。これは最高レベルであるレベル5組織のそれの倍であり、デザイナーの数がデザインレベルに比例するわけではないことがわかる。 Level 1では、デザイナーの影響範囲はかなり狭く、主にスクリーン上などでの”見た目のデザイン”にとどまっているケースが多い。 平均的なデザイナー数: […]

ロゴにおけるデザインの重要性がわかるマッシュアップ例

以前に「君の名は」がテレビ放送された際に、そのストーリーに合わせて、提供企業のロゴが入れ替わるという演出がされていた。ロゴの色やデザインをそのままに、文字の部分だけを入れ替えている。一見すると入れ替わっていることすら気づかないぐらいのナチュラルさである。
これは、人間の目が「読む」ということよりも「見る」ことを優先していることから、デザインを「なんとなく」の雰囲気で受け取り、脳が理解していることがわかる。

↑ 「君の名は」でのスポンサー表示画面
このロゴを入れ替えは、デザイナーたちの間で「マッシュ…

ブランド価値を下げてしまう7つの落とし穴

最近活躍している企業やプロダクトは共通してブランディングを重要視している。
ブランディングの最終目的は「価値の向上」である。価値を上げる対象は、商品であったり、サービスであったり、企業だったり、人だったりもする。
ブランド資産は目に財務資料に載らない大きな価値
強いブランドは模倣不可能な「見えない価値」を得ることが可能となる。そしてそれは数字では計りにくいこの価値が実は大きな差別化要素となり、競争で優位に立つことで長期的に成功するためには欠かせない重要な資産となるのだ。
参考: 今さら人には聞きにく…

【クレジットカード革命】Apple Cardから学ぶ革新的UXデザインのポイント

もしAppleがクレジットカードを作ったら? シンプル、クール、使いやすい。こんな形容詞が思い浮かぶAppleというブランドが、もしクレジットカードを作ったらどんなものになるだろうか? 今年の初めに発表されたAppleが提供するクレジットカード、Apple Cardが北米ユーザー向けに限定的提供を開始した。これにより、現在のところ、アメリカ在住の特定のユーザーがApple Cardを手にすることができる。*米国時間8月20日に他のアメリカの全ユーザー向けにリリース開始 選ばれたユーザーにはメールにて案内が届き、iPhoneのWalletアプリ内から申し込む。ラッキーなことに自分も選ばれたようなので、早速申し込み、使ってみた。 ↑ Appleから特定のユーザーだけに送られてくる招待メール これまでのクレジットカードの常識を覆す体験満載 では、Apple Cardは何が特別なのか? 実は、そのカード自体から利用体験、アプリとの連動性など、すべてのタッチポイントにおいて、デジタルな現代に最適な体験がデザインされている。 特に、これまでのクレジットカードは、銀行などの金融機関が発行しているものがほとんどで、顧客体験もその延長線上にあった。しかし、以前の「銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は?」を読んでも分かる通り、金融機関が提供する体験はお世辞にも良いものではない。 今回、その体験をAppleが思いっきりリ・デザインすることで、これまでの常識を覆すようなスムーズな利用体験をユーザーに提供している。そのいくつかのポイントを紹介する。 アプリ上から一瞬で申請、数秒後から利用可能 通常アメリカでクレジットカードを申請する際には、銀行の店舗やオンラインで必要事項を入力し送信する。その数週間後に審査結果が郵送され、承認された場合はカードが同封され、却下の際にはお詫びの手紙が添えられている。そのプロセスに要する時間は少なくても数週間。 これがApple Cardの場合、Walletアプリにクレジットカードを追加する要領でできてしまう。Appleから選ばれたユーザーは、Wallet内の➕アイコンをクリックすると、申請プロセスに進むことができる。 必要事項を記入し、その数秒後に承認か否かが表示され、承認された場合、Apple Pay経由で即座に利用可能となる。そして、物理的なカードは、その数日後に送られてくる。これにより、プロセスに要する時間の大幅短縮と、カードが届くまで待っている時間がなくなった。 ↑ カードの申請はWalletアプリ内から行う 番号が記載されていないチタン製のカード 自分の場合は、アプリで申請してから5日後にFedExにてカードが送られてきた。ちなみにカードの発送状況もアプリから確認ができる。 中心にAppleのロゴが刻印された真っ白なパッケージを開けると、中はインスタを思わせるカラフルなデザインが施されている。そしてその真ん中に真っ白なカードが同封されている。 驚くべきことに、このカードには通常のクレジットカードにはあまり見られない工夫がされている。まず、どこにもカード番号も有効期限も記載されていない。表面にAppleのロゴと所有者の名前、裏面には発行銀行のGoldman SachsのロゴとMasterCardのロゴだけだ。 これはカード番号が無いというわけではなく、実はアプリ内でカード番号と有効期限などの情報を確認することができるようになっている。オンラインショッピングなので番号が必要な際には、その方法で情報が獲得可能。 ↑ パッケージに同封されたカードには番号も有効期限も記載されていない 卓越した開封体験とソーシャルシェア性を提供 最初はなぜ番号が記載されていないのか?と思ったが、物理カードに番号を記載しないことで、落としてもセキュリティー的な部分での優位性が保たれるし、何よりもインスタなどのSNS経由で、ゲットしたことを友達に自慢しやすくなることに気づいた。 まさにAppleらしい逆転の発想とシンプルさの追求がされている。 また、カードの素材はチタンで、一般的なプラスチックのものよりもかなりの重厚感がある。ちなみに、CompareCards社のリサーチによると、アメリカ国内のクレジットカード利用者の38%が、素材でカードを選ぶと答えており、ミレニアルになるとその割合は53%にまでアップするという。 チタンのカードは消費者の所有欲を掻き立てる。加えて、容易に切ったりすることができないため、内蔵されているチップを切り取ることが難しく、セキュリティー向上の役割を果たしているとも言える。 開けてびっくりの演出と、手で持った時の満足感がしっかりと設計されている。ユーザーとカードとの最初の接点である、開封体験も総合的に上手にデザインされているのもさすがAppleと感じた。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン View this post on Instagram Quite happy so far. #applecard #applecreditcard A post shared by brandonkhill (@brandonkhill) on Aug 19, 2019 at 4:32pm PDT 革新的なアクティベーション方法 そして、Apple Cardの最も革新的な体験の1つが、そのアクティベーション方法だろう。通常の場合、新しいクレジットカードを利用する前に、カードに記載されている電話番号に電話するか、サイトに行って番号を入力する。 これは、手間がかかるだけでなく、セキュリティ的に甘い。なぜなら、本人ではない人がもしそのカードを受け取り、アクティベーションしたとしても、本人確認される事は稀であるから。 これがApple Cardの場合はどうなっているのか。驚くべきことに、カードを登録したWalletアプリが入っているiPhoneをパッケージの下の部分に当て、画面に表示されたボタンをたっぷするだけ。そのプロセスに要する時間はおよそ5秒。 それもパッケージがそれぞのユーザーのWalletアプリと紐づいているため、他のユーザーのiPhoneを当てた場合は、アクティベーションができないようになっている。 カード所有者本人のiPhoneを利用しない限りカードを使うことができないため、かなり安全な設計が施されている。そして何より、電話したりサイトにログインしたりせずに一瞬でアクティベーションできるのが最高だ。 ↑ ユーザーのiPhoneをパッケージ部分に当てるだけで一瞬でカードがアクティベートされる ユーザー体験のコアはWalletアプリとの連動性にあり そして、ここからがApple Cardが提供するユーザー体験が最も大きな価値を生み出している要因。Walletアプリとの連動性である。 もともとWalletアプリは、他のクレジットカードなどを登録することで、Apple Payを通じてキャッシュレス決済を可能にする役割としてiPhoneにインストールされている。しかし、自分を含め、アメリカでApple Payを使う機会は意外と少なく、Walletアプリもほとんど使ったことがなかった。Apple Cardに出会う前までは。 実際にApple Cardを店舗で使ってみる。そうするとその直後に利用履歴が自動的にWalletアプリに表示される。それも、金額だけではなく、利用した場所の写真とロケーション情報のマップも。 また、利用した商品のジャンルによってカードとグラフがカラフルに色分けされることで、どのような内容に利用しているのかが一目でわかるようになっている。また、それぞれの利用金額に対するキャッシュバックの額も表示される。 ちなみに、物理カードは1%、Apple Payを使うと2%、Uber、UberEats、およびAppleで買い物をすると3%のキャッシュバックとなっている。 このように、利用状況を即座に可視化することで、リアルタイム性と透明性を高め、ユーザーの安心感とセキュリティ向上を達成している。 ↑ 利用状況とそれぞれの詳細が一目でわかるWalletアプリ Less-is-moreを体現した”無い無い尽くし”が体験の質を高める 生前よりスティーブ・ジョブスもAppleのデザイン哲学の1つとして掲げている”Less-is-more (少ない方がより多くを得られる) “ は、このApple Cardにもしっかりと受け継がれているように感じる。 参考: Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 そこには、ミニマルなデザインの裏に、大きなメリットがいくつも隠されている。例えば、カード自体に番号が表示されていないのは、上記の理由に加え、もし番号が漏れた際の対策にもメリットを生み出す。 カードの番号はWalletアプリ内でいつでも変えることができるため、万が一番号を変えたいときは、アプリ経由でリクエストすれば良い。また、その際新しい番号が既存のカードにクラウド上で紐づけられるため、物理的なカードを取得し直す必要がない。 こうすることで、カード会社に電話をする手間、カード再発行の手間とコストを抑えることに成功しているのだろう。また、カードメンバー規約等もデジタル化されているため、通常であればカードに同封される分厚い書類が存在していないのも良い。 Apple Cardが改善した体験 カードの申請: Walletアプリ内から → 手間が減る 利用開始までの待ち時間: Walletアプリ内からすぐに利用 → 待ち時間無し […]

世界一競争が激しいシリコンバレーで15年生き残れた最大の秘訣とは

2019年8月9日、btraxは創立15周年を迎えた。 アメリカでは新しい企業が10年以上生き残れる確率は5%に満たないと言われる。おそらく、これが15年ともなるとその生存率は数パーセントに満たないだろう。 例えそれがトップの大企業でも、その半分以上が15年以内にその姿を消す。そもそも、アメリカの企業全体の平均寿命が15年なのである。そして、その場所がシリコンバレーになってくると、スタートアップ企業をはじめ、短いスパンで結果を求められるので、よりその生存率は下がる。 参考: 現代における大企業の平均寿命は15年 – 生き残り戦略としてのイノベーション 難易度Maxの状態からの船出 そして、もしそれが世界有数の激戦区にて、ビジネスを全く勉強した事のない人が、僅かな資本金で始めたとしたらどうなるだろうか? この会社の創設者にはビジネスのバックグラウンドがほとんど無く、サンフランシスコという強烈な街で大学卒業直後に$5,000の資金だけを頼りに会社をスタートした。 そう、これが僕がこの会社、btraxを始めた時の状況である。その後、外部からの投資を受けた事はない。ちなみに、The Ultimate Startup Failure Rate Reportによると、毎日123,300のビジネスがその姿を消しているという。 海が荒れているのに出航するのは単なるアホと言われたのに… 会社を始めようと思っていた頃にシリコンバレーで投資家をしている友人に相談した事があった。彼からのアドバイスは ”最高のコンディションだと思って船を出しても途中で遭難するのがビジネス。まして、海が荒れている状態なのに出航するのは単なるアホだよ” と。 至極当然なアドバイスだろう。シリコンバレーという地域では、世界有数の天才たちが多くの資金を元にしのぎを削っている。そんな場所で経営の事を全く知らず、僅かな資金だけでビジネスを始めれば99.9%の確率で秒殺される。 それでも初めて、続けてしまった。今振り返ってみても、なぜそんな事が出来たのか。大きな謎である。良いタイミングなので、その秘訣を自問自答してみたところ、生き残るために重要な1つのポイントが見えてきた。 自分たちにしかできない”ズルい”アドバンテージに着目 それは、会社を初めて数年後に、他の会社が簡単真似のしにくいユニークさ、言い換えると、ズルいアドベンテージに焦点を当てた事だと思っている。 恐らく日本の社会で生活していると意外と気付きにくい事なのであるが、実はビジネスの世界においては、どれだけユニークな存在になれるか、もっと言うと、”ズルい” やり方ができるかが、その会社の大きな武器となる。 ちなみに、英語ではこの武器の事を”アンフェア・アドバンテージ (Unfair Advantage) “と呼ぶ。 では、どのようなきっかけでそのズルさにたどり着いたかを振り返ってみたい。 当初はデザイン力だけで勝ち残るつもりだった 元々大学でデザインしか勉強してこなかった自分としては、せっかくデザイン会社を始めるのだから、デザイン力だけで世界と勝負したかった。 言い換えると、それ以外の部分を”売り”にするのは、いささか邪道な気がしていて、デザイン以外のバックグラウンドを活用する気は全くなかった。振り返ってみると、実はこの”こだわり”は非常に危険で、恐らくそのまま進んでいたら今頃会社は存在していないと思う。 参考: アメリカでWeb制作会社が存在出来ない5つの理由 先輩起業家の一言が視野を広げた 会社を始めてからしばらくした頃、漠然とした行き詰まりを感じ始めていた。優秀なデザイナーも揃い、ちゃんとしたオフィスも構えた。しかし、なかなか大きな規模の仕事を見つける事が出来ない。 その一方で、サンフランシスコにはIDEO、frogをはじめとした世界有数のデザイン会社がいくつかあり、彼らの存在がロールモデルとなっていた。 自分たちもどうにか一流のデザイン会社の仲間入りが出来ないか。そんな想いを先輩に話した。 それに対して彼は一言、”自分だったら競合が上がれない土俵で戦うけどな” と答えた。 そう、同じデザインという漠然としたフィールドで戦うと競争が激しすぎて、経営者としては賢くない。自分が最も優位に立てるフィールドを見つけるべきという事である。 デザイナーとしてのこだわりがデザイン会社を潰してしまう 世界最高のデザイン力でトップを目指す こんなビジョンを掲げるデザイン会社は少なくない。しかし、これは多くのデザイナーやデザイン会社が陥りやすいトラップでもある事に気付く事は難しい。 何を言いたいかというと、デザイン会社を経営するにあたり、デザインのクオリティー “だけ” で生き残るのは、無駄に難易度が高くなり、生存率が急激に下がってしまうという事。 自分たちのユニークさを見つける大切さ 質の高いデザインをする事に加えて、果たしてどんな事がbtraxにとってユニークな価値となるのだろうか?この問いを始めた時から「他にマネのしにくい事をする」という経営における1つの重要な指針が決まった。 ビジネスにおいて競合は少なければ少ないほど良いし、そもそも、ほぼいない状態を見つける事が出来れば、他と争う必要もなくなる。 結果的に、サンフランシスコという場所、日本のバックグラウンド、スタートアップのカルチャーや手法をデザインに掛け合わせる事で、現在のbtraxのユニークな遺伝子が定まっていった。そしてそれがのちに自分たちが持つズルさ=アンフェアアドバンテージになっていった。 ビジネスではズルさが最大の武器になる ズルいという言葉自体は、ネガティブな響きがあるかもしれない。しかし、それをビジネスで上手に活用すればユニークな長所にもなり得る。 もちろん法を犯したりすることや、人を傷つける事は許されないが、それ以外の部分では、自分たちが持つユニークなアドバンテージを最大限活用する事で、競合にはマネができにくい価値が提供できるようになる。 アメリカでは美徳とされるアンフェア・アドバンテージ こちらアメリカでは、通常何かを決める際にはそれが”フェア”であるかが重要視される。一方で、これが経営のフィールドになると、逆の論理が良しとされる事が多い。 例えばスタートアップのピッチにおける質疑の際に「君たちのアンフェア・アドバンテージは?」と聞かれているシーンをよく見かける。これは、そのチームが、自分たちにしか出来ないような”ずるい優位性”や”裏技”を持っているのか?という意味。 どれだけ素晴らしいサービスを作ったとしても、簡単に真似されたりする場合、その会社の競争優位性が下がってしまうため、何かしらマネのできないようなズルいアドバンテージを持ち合わせている必要がある。 シリコンバレーが評価するのは優秀よりユニークな人 なぜシリコンバレーの地域がここまで長い期間で世界から注目されているのか?恐らくその1つの理由は、この地域にしかいないようなユニークな人材が世界中から集まってくるからだろう。 世の中には、いわゆる優秀な人はいくらでもいるが、ユニークな人は少ない。そもそも少ないからユニークと定義されている。こと、会社の経営者となると、ジョブス然り、ザッカーバーグ然り、イーロン・マスク然り、彼らの武器はそのユニークさにある。 彼らは、他の人には持ち合わせていない視点や、強烈なファンベース、PayPalマフィアに代表される独自のネットワークを上手に活用する事で、マネのしづらいユニーク性を確保した。 そして、そのユニークさを活用して優秀なスタッフを束ねる事で、自分たちにしか持てないアンフェア・アドバンテージを作り出している。 ズルい作戦でのし上がった織田信長 実は日本でもこのズルい戦略で運命を切り開いた人がいる。織田信長はまだ弱小大名だった頃、拡大勢力の今川義元を奇襲攻撃で討ち取った。総勢2万5千の今川軍に対して織田軍は数千の規模。誰の目から見てもどちらが勝つかは明白だった。そんな完全状況でも織田信長が勝った。 どのようにして?今川の兵を散らせて、義元を横から奇襲するという、ズルい作戦を取ったらからである。でも、戦いの場ではそれもアリな戦略。その後信長は一気にその勢力を全国へと広げていった。これはビジネスという戦場でも同じ事が言える。 意外なところに転がっているアンフェア・アドバンテージ ちなみにこのアンフェア・アドバンテージは、決して難しい事である必要はなかったりもする。例えば、重要な人物へのコネを持っていたり、すでに多くのファンを抱えていたり、父親が大統領だったり、ルックスの良い社員を入れて営業成績を上げたり、などの方法がある。 また、シリコンバレーの多くのスタートアップはかなりの赤字を出しながらも成長を続ける。Uberだって、WeWorkだって、年間数千億円規模の赤字だったりする。これは、大規模な投資を受けているので、無理に日銭稼ぎに走る必要がない。そうなってくると、赤字でもなんでも、思いっきりユーザー獲得にぶっこむ事が可能になる。これもかなりのズルいアドバンテージである。 重要なのは、コネでも家柄でも、バックグラウンドでも、資金力でも、特殊能力でも、戦わなくてもすむこと。もしくは、”こいつにとは戦ってもしかたがない”と思わせる事。言い換えると、どれだけ”不戦勝”で勝っていけるかが生き残りのポイントとなってくる。 ズルいと言われる回数がバロメーターになる もしかしたら、このアンフェア = “ズルい”アドバンテージをどれだけ持てるかが、その会社の寿命や成長に深く関わってくるのではないかと思う。特に差別化が難しくなってきている現代においては、常にユニークであり続ける事が大きなアドバンテージになってくる。 そのためには、定期的に “これを他の人がやったらどうなるか?” や、 ”今やっていることは他の会社でも出来てしまうだろうか?” を考える。そして、もし少しでも戦いになりそうであれば、やり方やサービス自体をアップデートしていく。それも、自身が持つアンフェア・アドバンテージを最大活用して。 ビジネスや仕事ではどれだけ”アンフェア”なアドバンテージを見つけ、それを活用出来るかが勝負になる。そのバロメーターの1つが、周りの人たちにどれだけ「それ、ズルいよ」と言われるかだと思っている。 横並び主義の日本だと気付きづらい自分のアドバンテージ ここアメリカでは当たり前のズルさの活用が、日本の社会だと意外と気づきづらい。もしくはあまり良いとされてない事が多い。 人と違う事をする人をあまり評価しない風潮の日本の中では、無意識のうちに”フェア”な戦い方をしようとし、なぜか同じ領域でビジネスを展開しようとする会社が後を絶たない。 例えば、ガラケーが一般的だった時代は、日本の各メーカー、キャリアが似たり寄ったりの商品とサービスを提供していた。そんな頃、Appleは全く異なるタイプの携帯電話の開発に注力していた。自分たちのアンフェア・アドバンテージである、iTunesのインフラを最大活用して。 これもまた優れたものを作る前に、まずユニークな視点を重要視するシリコンバレー的な発想だと感じる。 逆にアンフェア・アドバンテージを見つけるないと、企業は競合他社との激しい競争に巻き込まれる。その結果として、長時間重労働を強いられる事になってしまう。 日本のバックグラウンドをアンフェア・アドバンテージにしたショー・コスギ 「君もPerfect Body」でお馴染みのケイン・コスギの父親であり、ハリウッドスターのショー・コスギは、生まれ育った日本で会得した空手の経験を活かした事で、他の俳優にはマネのできない忍者という役柄で大人気を集めた。 これが日本国内であれば、空手ができる人は多くいるし、忍者の役もそこまで特別ではない。しかし、その当時、ハリウッドで空手の動きを使って忍者役ができる人はわずかで、ショー・コスギは自身のアンフェア・アドバンテージを最大限活用したと言えるだろう。 それまでの彼は他の俳優と同じオーディションを受け、英語のハンデもあり、ことごとく落ちていたという。一時は生活にも困窮していたが、自分しかできない忍者というキャラクターを確立した事で大成功を収めた。 優秀である必要は無いが、ユニークである必要はある ダーウィンの進化論によると、最も強いものが生き残るのではなく、最も環境に順応した種族が生き残る。言い換えると「強い者」が残るのではなく、「適した者」が残るという事。 これは、ビジネスの世界でも同じで、モノが溢れ、テクノロジーが発達した現代においては、よりユニークな価値が出せる企業や人材が生き残るのではないかと感じてる。 そういった意味だと、平均値の中にいるよりも、アウトライヤー=ハズレ値である方が、よりサバイバル能力が高いのかもしれない。この概念は、以前の「世界を変えているのは頭の良い不良たちだ」で紹介されている概念にも通じるところがある気がする。 信頼できるスタッフを揃えてユニークなビジョンを語れ こうなってくると、起業家にとって重要な役割は、自分たちのアンフェア・アドバンテージを定め、優秀なスタッフを集め、ビジョンを語ることになってくる。 以前、長年経営コンサルティングを提供している、とあるメンターの方から下記のようなアドバイスを頂いた。 “私には君の会社の社長はできない。なぜなら私は優秀かもしれないが、君は唯一無二の存在であり、ビジョナリーであるからだ。お金儲けの事は信頼出来るスタッフに任せて、自分自身はひたすら自分たちが実現したいビジョンを叫び続けろ。” ちなみに、自分はまだまだこれが出来ていないので、今後の大きな課題でもある。 自己分析: btraxのアンフェア・アドバンテージ では、サンフランシスコという、世界でトップレベルにコストと競争が激しい街で生き残るためのbtraxのアンフェア・アドバンテージは何であるのか? これを機会に少し冷静に自己分析してみた。 1. ロケーション まずは、ロケーション的なアドバンテージ。もともとサンフランシスコでスタートした会社であり、その当時は現在ほど地価が高騰していなかったこともあり、2006年の時点より現在のオフィスビルに入居している。 ここはSOMAと呼ばれるスタートアップの中心地であり、これ以上ないぐらいの立地。もし今から借りようとしてもなかなか物件が見つかりにくいのではないかと思う。 […]

お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
では、なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユー…

Youはなぜ面倒な起業家なんかに?

とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。…

プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法

最近ニュースで、”なんとか・アズ・ア・サービス”という言葉を聞くことが多くなってきている。これは、もともと”サービス”ではない商品の提供の仕方を変えることで、サービス化した方でユーザーに提供するビジネスモデルの事を指す。
その根底には、稼働率の低い商品を購入するよりも、必要な時にだけ使うことで、コスパの高いライフスタイルを望むユーザーと、デジタル化が進んだことにより、新しい方法でのプロダクトの提供が可能になった時代背景がある。
それぞを別々に獲得するの…

これらの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだ

シェア、サブスク、オンデマンド。最近耳にすることの多いフレーズであるが、これまでは、全て「所有」が中心であった商品との、全く新しい接し方である。簡単にいうと、所有することなく必要な時にだけ「利用」するのが、ユーザーとプロダクトを繋げる新しい体験になってきている。
その背景にはインターネットとモバイルテクノロジーの発達があり、現代のインフラで育ったような世代にとっては、むしろ所有しない方が一般的にもなりつつある。
時代と共に変化するライフスタイル
例えば、これまでは頑張ってローンを組んで買うのが一般的…

数字で証明されたデザイン経営の重要性

ここ数年で日本でもデザイン思考やデザイン経営などの概念が浸透し、ビジネスにおけるデザインの重要性がなんとなく認知され始めている感じがする。
その一方で、実際にはどのくらいの効果が表れているかを可視化するのは意外と難しい。というのも、デザインの組織や経営に対しての効果をこれまでの財務資料等の仕組みで測るのには限界がある。加えて、目に見える結果が現れるにはそれなりの時間もかかる。
企業経営におけるデザインの重要性が具体的な結果として表れ始めた
そんな中、以前の「【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッ…

日本からユニコーン企業を生み出すために必要な5つのポイント

先日、日経新聞オンライン版にて「スタートアップ倍増へ 政府、拠点都市で規制緩和」という記事を読んだ。こちらによると、日本政府は
企業価値が10億ドルを超える未上場企業「ユニコーン」を各拠点都市に5社以上つくる目標も掲げる。
という。
これには漠然とした違和感を感じた。というのも、多くのユニコーンがひしめき合うサンフランシスコやシリコンバレーの感覚だと、ユニコーンは産もうと思って産まれるものではない、からである。
それはまるで、最初は馬だったと思って頑張ってたら、いつの間にかツノが生えてきた感覚に近い…

デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは?

デジタルテクノロジーの進化に合わせて、こちらシリコンバレーの企業の勢いがより加速しているように感じる。大型M&AやIPOのニュースが毎日のように流れ、時価総額や評価額の最高記録更新も続いている。
その大きなファクターの1つとなっているのが、ユーザー数とそこから獲得しているユーザーデータ、そして優れたユーザー体験だろう。(参考: これからの企業に不可欠な三種の神器とは)
ユーザーの時間をお金に変換してる現代の企業
GAFA (Google, Amazon, Facebook, Apple) に…

日本からグローバルなプロダクトが生まれにくい5つの理由

Webやモバイルアプリを中心に、現在世界で利用されてるサービスの中に”日本製”のものはほとんどない。GAFAを中心とした、アメリカ西海岸発のものや、BeautyPlusやTikTokなどの中国系のプロダクトが多い。
そして実は日本国内で多く使われているプロダクトも、世界的に見るとほとんど使われていないケースも少なくはないのである。
SNSを例にとってみよう。下記の表は、人気のSNSのリストであるが、日本国内シェア60%を超えているLINEでも、実は世界的に見るとそのシェアは2.8%にしか及ばず、他の…

【インスタ, ツイッター, エアビー等】サイドプロジェクトから生まれたプロダクトたち

今では誰もが知る有名なサービスであっても、本来作ろうとしていたものではなく、空いた時間に趣味の延長線上、いわゆる”課外活動”で生み出されたケースが意外と多いことがある。 特にスタートアップ企業などは、最初はなにをやるかがはっきり決まっていない事も多く、途中で方向転換 (ピボット) する事も珍しくない。その結果、当初予定していたプロダクトとは全く別のものが大ヒットを生み出した事例も多々存在する。 参考: 小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは メインよりヒット率の高い!? サイドプロジェクト そんな事もあり、シリコンバレーのアクセレレーターの代表的存在の、Y Combinatorでは、応募チームに対して、メインのプロダクトに加え、サイドプロジェクトの内容も聞くようにしている。実際にサイドプロジェクトが評価され、合格したスタートアップもあるという。 我々が日本企業向けに提供しているプログラムでも、メインの事業プランとは別に参加者の一人が”勝手に”作っていたサービスが注目を集め、新規事業に結びついたケースも存在する。 今回は、実際の事例を交えながらそのプロダクトが生み出された経緯や、なぜサイドプロジェクトの方が上手く行く可能性が高いかなどを説明する。今回紹介するサイドプロジェクトから生み出されたプロダクトは下記の通り。 Twitter Airbnb Instagram Slack GitHub Groupon Twitch WeWork Unsplash Fond Basecamp Lamborghini Miura 任天堂ゲームボーイ 元々はサイドプロジェクトから始まった著名サービス では、実際にどのようなサービスやプロダクトが課外活動から生み出されたのかを紹介する。 twitter 今では誰もが知っている存在になったtwitterは、ポッドキャスティング系のサービスを提供していたOdeoというスタートアップの社内スタッフ向けプラットフォームとして始まった。 Odeoの創立時に入社したJack Dorsey (現Twitter CEO) が社内ハッカソンで生み出したアイディアを、CEOであるEvan WilliamsとCo-FounderのBiz Stoneが気に入り正式にプロジェクトを進め、リリース。従業員同士のつぶやきを中心に利用され始めた。 記念すべき初のツイートは2006年3月21日にJack自身による”setting up a twttr.”というもの。その当時はtwttrと呼ばれてた。彼はその日の午後に”Inviting coworkers”とツイートし、従業員への利用を促した。 ↑ Jack Dorseyによる記念すべき初ツイート しかし、肝心のOdeoの人気が伸びない状況下でのサイドプロジェクトリリースに対し、当時のTechCrunchには下記 (和訳) のように書いている。 ”メインのプロダクトであるOdeoはデザインが良い事以外は魅力が全くない。それなのにそれを改善もせずに、サイドでtwttrなるサービスを作るなんて、この会社の株主はどう感じているのだろうか?” その後、2007年のSXSWでの紹介がきっかけでtwitterの人気に火が付き、最終的にはOdeoを捨て、twitterをメインのサービスにし、上場までたどり着いた。 参考:【インタビュー】Biz Stone – Twitter, Co-founder Airbnb 2007年、サンフランシスコのアパートに住む2人の若者が、スタートアップとして何をやってもうまくいかないので、家賃が払えない状態におちいっていた。Joeが、当時ルームメイトであったBrianに送った一通のメールがAirbnbを生み出すきっかけとなった。 その内容は、近いうちに大きな規模のデザインカンファレンスが市内で開催される。それを狙って、家賃を稼ぐためにそれに参加するデザイナーを安い値段で下宿させてあげたらどうだろうか、というもの。それもアパート内の空いているスペースにエアマットレスを置くだけというカジュアルさ。 結果、2名を一人$80づつで滞在させた。他のサービスを作りながら、家賃を捻出するための苦肉の索であったが、その際の体験がきっかけで、これをサービスにすることにしたのがAirbnbの原型。その後、SXSW向けにサービスをリリースするがユーザーはわずか2名、その一人はBrian自身であった。 そんな事もあり、数々の投資家に投資を断られ、収益もない中、大統領選挙に合わせた候補者のイラスト入りのシリアルを販売。そっちの方が売れてしまい、迷走が続く。 しかし、その後根気よくユーザーと対話をし、サイトとコンテンツの改善を続け、現在では世界トップレベルのユニコーン企業までに成長した。 参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは Instagram インスタは元々Burbn (バーボン) というHTML5をベースにしたチェックイン型ソーシャルアプリとしてリリースされた。その当時はチェックインアプリとしてFour squareが人気を集めており、人気を集めるのに苦戦をしていた。 同社のファウンダーでもあり、元Odeoでインターンをした事もあるKevin Systromは、ユーザーのアプリの利用方法に1つの特殊な点があることに気がついた。それは、チェックインアプリにも関わらず、チェックインもせずに写真だけアップしているユーザーが多いということ。 それも、どうやら写真をアップする際のフィルターに人気の秘密があると突き止め、勇気を持ってBurbnを終了させ、Instagramとして作り変えた。当時は写真を保管するアプリとソーシャルアプリは多く存在していたが、その2つを上手に掛け合わせ、それもユーザーがフィルターを選んでいる最中にアップを行うことで、スムーズな利用体験を提供した。 それにより、多くのユーザーからの支持を集め、最終的にスタッフがまだ12人、収益がほとんど上がっていない状態にも関わらず、Facebookによって$10億ドルで買収されることとなった。 ちなみに、その当時のInstagramが入っていたオフィスは、元twitterのオフィス。そこに引っ越す前、はDogpatch labsというサンフランシスコ湾に面したコワーキングスペースだった。このコワーキングスペースに当時のbtraxインターンである土屋尚史と一緒に訪問したことがきっかけとなり、彼はのちにGoodpatchを創業した。 参考:「サンフランシスコへの出発が1日おくれていたら、Goodpatchはなかった。」【インタビュー】Goodpatch Inc. CEO 土屋尚史氏 ↑ 初期の頃のInstagramチーム Slack 写真共有サービスのFlickrのファウンダーでもあるStewart Butterfieldが、その後オンラインゲームのスタートアップを立ち上げた。数年たっても45人程度のユーザーにしか利用してもらえず、失敗。しかし、その当時社内のチーム向けに自社開発したコミュニケーションツールを正式プロダクトとしてリリースしたのが、現在のSlackにつながる。 2013年8月に招待制プレビュー版をリリースし、初日だけで8,000の招待リクエストを獲得。2週間でその数は15,000まで膨れ上がった。その後、プレビュー版に登録したユーザーを順次サービスに招待し、行動を観察してサービスを改善した。それを何度も繰り返すことで、多くのユーザーに愛されるプロダクトに成長した。 参考: Slack成長物語 〜世界のユーザーに愛されるプロダクト舞台裏〜 GitHub エンジニア向けソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubも、元々はサイドプロジェクトとしてスタートした。ファウンダーであるChris WanstrathとPJ Hyettはその当時、テクノロジー系プロダクトのレビューサイト、CNET向けのページ作成をメインの仕事としていた。 その際、オープンソースのコードアップデートのしにくさに大きな不便を感じ、仕事の後や週末を利用して自分たちの使いやすいリポジトリを開発。のちに一般公開することで、GitHubが生まれた。 その後GitHubはエンジニアを中心に人気を集め、2017年の6月にMicrosoftによって20億ドルで買収されることとなった。 参考: CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」 Groupon ファウンダーのAndrew Masonが、携帯電話の通話プランの解約に手こずっていた事をヒントに、同じ目的のユーザーを集め、目標達成のために一緒に活動を行うためのソーシャルプラットフォーム, “The Point”を立ち上げた。 複数のユーザーが集まれば一人ではできないことが達成できるのではないかというのがコンセプトであったが、とあるユーザーグループが、集団で商品のバルク購入をすることで割引を受ける活動をしているのに気づく。 そこから、共同購入クーポンサイトを作り、地元のシカゴを中心にリリース。2008年のリーマンショックの影響で、多くの消費者が節約傾向にあったタイミングも手伝い、大きな成功を成し遂げた。 Twitch ゲーム実況プラットフォームのTwitchは、元々Justin.tvというスタートアップのサイドプロジェクトとして始まった。Justin.tvは、ユーザー同士がストリーミング動画をアップするプラットフォームで、YouTubeとUstreamを掛け合わせたようなサービスであった。 当時はWebで動画を見ることがまだまだ一般的ではなかったため、配信側のユーザーがなかなか集まらなかった。そこで、ファウンダーのJustin自身が私生活の様子や、体を張った突撃取材動画を流したりしていた。 そんな中で、オンラインゲーム好きのJustin.tvのスタッフは課外活動として、週末にオフィスでスタートアップ対抗World of Warcraftを定期的に開催していた。そして、その様子をストリーム中継したところ一気にアクセスが集まり、それをヒントにユーザーがゲーム中継をストリームすることに特化したTwitchを考案した。 […]

現代のスタートアップチーム構成における6つの役割とは

現代のスタートアップにおいて、どのようなチーム編成を行うのが良いのだろうか?組織と業務プロセスがしっかりと形成されている大企業と比べて、スタートアップのチームはかなり特殊である。
全員が攻めに徹する完全ぶっこみ型カミカゼチーム
そもそも、スタートアップとは「新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の一時的な集合体」である。急成長を達成するには、じっくりと組織を醸成する余裕はない。
特に立ち上げ時からしばらくは、いわゆる「仕組み」というものはほ…

寿司職人から学ぶ究極のUXデザイン6つの極意とは

ユーザー体験のデザイン、いわゆるUXデザインのフィールドは、どうしても欧米が進んでいると思われがちである。しかし、実は、日本的なおもてなし精神こそが、最も優れたUXデザインに直結しているのではないかという説がある。まあ、その説は自分自身が提唱しているのであるが。
こちらアメリカ西海岸では、寿司レストランがかなり定着しており、食事自体だけではなく、最近ではそこで得られる体験に注目が集まっている。特にカウンターに座り、板さんとのやりとりをしながらゆっくりディナーを楽しむ仕組みは、アメリカでもかなり評価さ…

紙のコーヒーカップが教えてくれる大切なこと

もしコーヒーを飲むのなら、紙コップが良いか?それとも陶器のカップの方が良いか?
最近であれば、スタバのようなお持ち帰り型のカフェが増えた事もあり、紙コップで飲む事に抵抗はあまりないだろう。
しかしこれが、これがVIPや重要な取引先などの、大切な相手をおもてなしする場合、やっぱり素敵なコーヒーカップでいただきたいと感じる。
とあるカンファレンスでのエピソード
以前にアメリカで開催されたとあるカンファレンスで、元国防副長官がゲストスピーカーとして呼ばれた。壇上に立った彼は、紙コップに入った小さなコーヒー…

優れたデザイナーになりたければダヴィンチから学ぼう

どのようにしてデザインを学べば良いのか?今まで聞かれた質問の中で最も多いのがこれ。特に、どこでUXデザインを学べが良いか?という質問は、答えに困ることが多い。なぜなら、デザインは奥が深く、最近様々な分野で求められるUXデザインになると、その幅もとても広くなり、異なる領域の理解と、デザインだけではなく、エンジニアリングの知識も求められることも少なくない。
例えば、「【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる」で紹介されているように、自分が設計したものは自分が動かす時代になって…

【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか

物が溢れている現代の市場の中では単純に正確に動く、壊れない、だけではヒット商品を生み出す事が難しくなってきている。消費者の心を引き付けるためには、美しい見た目や共感、遊び心などの「デザイン的要素」が重要になり、デザインの重要性を理解し、実践する事が、企業の業績に直接反映され始めている。
数字で証明された経営に対するデザインの重要性
2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという…

ユニコーンとシマウマの違いを知っていますか?【スタートアップ】

最近になって日本でも随分と「ユニコーン」という言葉がと聞かれるようになってきた。ユニコーンとは、スタートアップ界隈で用いられる表現で、俗に未上場で企業評価額が10億ドル以上の会社を示す。(参考: 未上場で評価額10億ドル以上のユニコーンTop10)
そもそも上場していないので、企業の価値が10億ドル以上に評価されること自体が、通常珍しい事、そしてそのビジネスモデルのユニークさから「実存しないぐらいユニークな存在」という意味で架空の動物であるユニコーンを名称として採用されている。
代表的な例には、Ub…

主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント

これまでに複数のメディア経由でご存知だと思うが、今年のCESでは、5G, AI, VR, AR、MaaSなどなどの最新のテクノロジーと、それらを活用した商品やサービスが展示さた。
CESは毎年ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジーカンファレンスで、世界中の企業が最新テクノロジーを活用したプロダクトの発表を行う。その中には、家電だけではなく、自動車やヘルスケア、そして各国からのスタートアップなどのエリアもあり、大変エキサイティングなイベントでもある。
このイベントに毎年参加することで、テクノロジ…

2019年からデザインが提供する3つの新しい価値

先日書いた「2019年デザインと経営に関する5つのトレンド予測」に多くの反響をいただいたと同時に、腑に落ちないところやよく理解できない部分があるとのご指摘もあったので、補足も兼ねてこれまでにはあまり取りだたされることのなかった、デザインの新しい価値についてもう少し具体的に説明したいと思う。
そもそも、デザイン思考に代表される、デザイナー的考え方とはどのようなものなのであろうか?それを理解するところから始め、それがどのような価値を生み出すのかを検証する。
デザイナー的マインドセットとは
デザイナーの人…

CES 2019 チェックポイント パーティー編

今年は1月6日から12日まで開催される世界最大のテクノロジーカンファレンス。4000を超える出展企業、150カ国から18万人を超える来場者が訪問します。 メインの日中のイベントの見どころなどに関しては、電通の森さんがこちらの記事にてまとめていますので、僕の方は自分用に夜のパーティーに関するリストを作成してみました。行かれる方は活用いただければ幸いです。 1月6日 CES Unveiled Las Vegas 5:00-8:30 PM Shorelines Exhibit Hall, Mandalay Bay NVIDIA News Conference 8:00-10:00 pm MGM Grand Hotel & Casino Level 1 Grand Ballroom CoinAgenda Showcase 8:00 pm – 11:00 pm Cromwell Pay Per Callers Party 6:30 pm – 9:00 pm Alexxa’s Bar @ Paris 1月7日 Conversation and Cocktail Party 4:30 pm – 6:30 pm Piero’s Italian Cuisine Caller Meetup West 2019 5:00 pm – 8:00 pm Marquee Nightclub & Dayclub Cocktail reception at CES, hosted by The NPD Group 7:00 pm – 9:30 pm 1OAK at the Mirage Digital Experience 7:00 pm – 10:30 pm Mirage Game Changer Cocktail Reception 7:00 pm – 9:30 pm […]

2019年デザインと経営の関する5つのトレンド予測

Good design is good business.
これはかつてのIBMのCEOが行った宣言である。
そしてついにそれが現実になってきている。それもかなり急速に。
数字で表される経営に対するデザインの力
米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている状況企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。
また、2018年10月のマッキ…

【2018年】デザインに関する流れをカテゴリー別にふりかえる

2018年、デザインを取り巻く環境はどのように変化したのであろうか? おそらくここ10年の中で、最も世の中の注目が高まった一年であると言える。実際、経済産業省は「『デザイン経営』宣言」としての報告書を発表し、日本企業に対して経営におけるデザインの重要性を提唱。
また、マッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果になっている。
では、異なるデザイン分野において今年はどのような動きがあったかを総…

2018年はイーロン・マスクにとって地獄のような一年だった

今から一年ほど前の2017年中頃にイーロン・マスクは下記のようなツイートをしていた。 If you buy a ticket to hell, it isn’t fair to blame hell … — Elon Musk (@elonmusk) July 30, 2017 日本語にするのであれば、 「みずから地獄行きのチケットを買ったのであれば、それに対して文句を言うべきではない」 と言う感じ。起業家になるって決めたのであれば、地獄をくぐり抜ける覚悟をしろ、といったところだろうか。 そして、翌年の2018年は、彼にとってまさに地獄とも言える一年になった。数々の困難が降りかかり、それをくぐり抜けていく様子は、下手なハリウッド映画よりもエキサイティング。 しかし、恐らく本人にとってはとても辛く苦しい道のりであった道のりであっただろう。もしくは、こんな困難も冷静に乗り越えられるぐらいに、稀代のアイアンマン起業家はタフなのかもしれない。 同じ起業家として、そしてシリコンバレーのイノベーターとして、最も尊敬する一人でもある彼の2018年の出来事を振り返ってみたい。 数々の困難に直面したイーロン・マスクの2018年 では、2018年だけで彼はどれほどのチャレンジを経験しているのかを紹介する。壮絶に見えるが、これらはたった1年間だけでの出来事である。 2月: バッテリー関係の問題が生じ、Model 3のリリースが (再度) 遅れる 2017年の7月に発表したTeslaの最新モデルであるModel 3は、当初年内のデリバリーを予定していた。しかし、何度となく生産が遅れ、今年の2月には、バッテリーモジュールの開発に関する致命的な問題が見つかり、またも遅れが生じた。 それに対して、事前に予約していたユーザーからは「また遅れてるのかよ!」といった辛辣なツイートを受けている。 Holy cow! Pushed back again, @Tesla?!? pic.twitter.com/g7yN8OViHe — Zach Honig (@ZachHonig) February 8, 2018 4月: Model 3が生産目標に追いつかず工場で寝泊りをする日々が続く Model 3の生産に関しての遅れを取り戻し、生産目標に追いつくために一時は元Appleで働いていたスタッフを主任に抜擢するが、状況は改善されなかった。事態を深刻に見たイーロン・マスクは、その原因を過剰な自動化と説明。 About a year ago, I asked Doug to manage both engineering & production. He agreed that Tesla needed eng & prod better aligned, so we don’t design cars that are crazy hard to build. Right now, tho, better to divide & conquer, so I’m back to sleeping at factory. Car biz is hell […]

2018年に終了したスタートアップサービスとその失敗理由

その9割以上が失敗するとされるスタートアップ企業であるが、今年も多くのサービスが終了した。その中から、40のスタートアップをピックアップし、その失敗理由を探ってみる。 先日の「2018年に消滅したメガスタートアップ25社」を見てもわかる通り、たとえ大きな資金を調達したとしても、成功が保証されているわけではない。 そもそも、スタートアップの定義を、”新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを通じ一獲千金を狙う人々の一時的な集合体“ とするのであれば、まさにハイリスクハイリターン。(参照: ベンチャー企業とスタートアップの違い) スタートアップは、ある意味新しいビジネスモデルの実験室でもあるのだ。そうなってくると、成功した理由よりも失敗の理由を知ることから学べることは多い。 では、2018年に終了したスタートアップとそこから学べる教訓を紹介する。 Airware 業種: ドローン向け飛行データプラットフォーム 合計調達額: 1.180億ドル 失敗の理由: ドローンに関する市場の成長スピードが意外と遅く、大きなニーズが生まれる前に資金が尽きた Alta Motors 業種: 電動バイク 合計調達額: 4380万ドル 失敗の理由: ハードウェアの製作のコストがかさみ、資金繰りやパートナーシップがうまくいかず、資金が尽きた Apprenda 業種: エンタープライズ向けPaaS型ソフトウェアプラットフォーム 合計調達額: 5600万ドル 失敗の理由: 競合サービスとの差別化に失敗 Baroo 業種: ハイエンド顧客向けオンデマンド型ペットケアサービス 合計調達額: 360万ドル 失敗の理由: 巨額の資金調達を成功させた競合に対抗できなくなった Bluesmart 業種: スマートスーツケース 合計調達額: 2560万ドル 失敗の理由: 航空法の更新によりバッテリーを内包するスマートスーツケースの利用が禁止になった Cambridge Analytica 業種: 政治活動向けデータ解析プラットフォーム 合計調達額: 1500万ドル 失敗の理由: Facebook経由の個人情報をユーザーの許可なしにビジネスに利用していた CanadaDrugs.com 業種: 医薬品のオンライン販売 合計調達額: 不明 失敗の理由: 15年以上にわたり米国政府の認可を得ずに非正規の薬をオンラインで販売していたことが発覚した CareSync 業種: 医療患者向けソフトウェアプラットフォーム 合計調達額: 4900万ドル 失敗の理由: 売却戦略に失敗した Chef’d 業種: 自炊むけミールキットサービス 合計調達額: 4050万ドル 失敗の理由: 資金調達に失敗した Chorus 業種: フィットネスアプリ 合計調達額: 不明 失敗の理由: ユーザーがエクササイズをサボり出し、それを隠そうとするためにアクティブ率が下がった Coinprism 業種: 色付け可能なビットコインワレット 合計調達額: 不明 失敗の理由: 仮想通貨に関する法規制の急激な変化によりビジネスとして成り立たないと判断した CloudMine 業種: ヘルスケア向けデータプラットフォーム 合計調達額: 1650万ドル 失敗の理由: 600万ドルほどの負債に対しての資金調達に苦しみ、破産した DASH Stores 業種: アクセサリー販売ブティック 合計調達額: 不明 失敗の理由: セレブ創設者であるカーダシアンの興味が他に移ったため DaWanda 業種: ハンドメイドのクラフトを売買するオンラインプラットフォーム 合計調達額: 1030万ドル 失敗の理由: 会社の規模の成長に対して売り上げの伸びが鈍化したため Defy Media […]

2018年に消滅したメガスタートアップ25社

今年も多くのスタートアップが生まれ消えていった。倒産した企業の中でも企業の評価額 (バリュエーション)と資金の調達学が大きい25社をPitchBook提供のデータをもとにリストアップしてみた。 その中の3社は創立から20年以上も経っている企業や、一時は優良スタートアップとしてかなりの注目を集めたサービスもある。 特に今年は、ハッタリ系スタートアップとして有名になったセラノスをはじめに、ヘルスケア系が目立っており、リスト内では実に7社を数える。 それでは、評価額と調達額の規模をベースに、2018に消滅したスタートアップ25社をカウントダウン形式でお届けする。 25. SDCmaterials 業種: 自動車産業向けナノテクノロジー 設立年: 2004 評価額 (max時): 4800万ドル 合計調達額: 2600万ドル 24. Senzari 業種: 音楽/エンタメ系データテクノロジー 設立年: 2010 評価額 (max時): 5200万ドル 合計調達額: 1300万ドル 23. Industrial Origami 業種: 産業用マテリアル製造 設立年: 2003 評価額 (max時): 5800万ドル 合計調達額: 4100万ドル 22. Claritas Genomics 業種: 遺伝子テスト 設立年: 2013 評価額 (max時): 6000万ドル 合計調達額: 3900万ドル 21. Apprenda 業種: クラウド型ディベロッパー向けソフトウェア 設立年: 2007 評価額 (max時): 9000万ドル 合計調達額: 5600万ドル 20. Innovari 業種: エネルギープラットフォーム 設立年: 2011 評価額 (max時): 9400万ドル 合計調達額: 1200万ドル 19. DataTorrent 業種: ストリーミング用データフォーム 設立年: 2012 評価額 (max時): 9600万ドル 合計調達額: 2400万ドル 18. Rennovia 業種: バイオテクノロジー/化学 設立年: 2009 評価額 (max時): 9900万ドル 合計調達額: 6900万ドル 17. Navdy 業種: 自動車向けヘッドアップディスプレイ 設立年: 2012 評価額 (max時): 1億ドル 合計調達額: 8000万ドル 16. EZhome 業種: サブスクリプション型雑草処理サービス […]