Brandon K. Hill

お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
では、なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユー…

Youはなぜ面倒な起業家なんかに?

とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。…

プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法

最近ニュースで、”なんとか・アズ・ア・サービス”という言葉を聞くことが多くなってきている。これは、もともと”サービス”ではない商品の提供の仕方を変えることで、サービス化した方でユーザーに提供するビジネスモデルの事を指す。
その根底には、稼働率の低い商品を購入するよりも、必要な時にだけ使うことで、コスパの高いライフスタイルを望むユーザーと、デジタル化が進んだことにより、新しい方法でのプロダクトの提供が可能になった時代背景がある。
それぞを別々に獲得するの…

これらの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだ

シェア、サブスク、オンデマンド。最近耳にすることの多いフレーズであるが、これまでは、全て「所有」が中心であった商品との、全く新しい接し方である。簡単にいうと、所有することなく必要な時にだけ「利用」するのが、ユーザーとプロダクトを繋げる新しい体験になってきている。
その背景にはインターネットとモバイルテクノロジーの発達があり、現代のインフラで育ったような世代にとっては、むしろ所有しない方が一般的にもなりつつある。
時代と共に変化するライフスタイル
例えば、これまでは頑張ってローンを組んで買うのが一般的…

数字で証明されたデザイン経営の重要性

ここ数年で日本でもデザイン思考やデザイン経営などの概念が浸透し、ビジネスにおけるデザインの重要性がなんとなく認知され始めている感じがする。
その一方で、実際にはどのくらいの効果が表れているかを可視化するのは意外と難しい。というのも、デザインの組織や経営に対しての効果をこれまでの財務資料等の仕組みで測るのには限界がある。加えて、目に見える結果が現れるにはそれなりの時間もかかる。
企業経営におけるデザインの重要性が具体的な結果として表れ始めた
そんな中、以前の「【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッ…

日本からユニコーン企業を生み出すために必要な5つのポイント

先日、日経新聞オンライン版にて「スタートアップ倍増へ 政府、拠点都市で規制緩和」という記事を読んだ。こちらによると、日本政府は
企業価値が10億ドルを超える未上場企業「ユニコーン」を各拠点都市に5社以上つくる目標も掲げる。
という。
これには漠然とした違和感を感じた。というのも、多くのユニコーンがひしめき合うサンフランシスコやシリコンバレーの感覚だと、ユニコーンは産もうと思って産まれるものではない、からである。
それはまるで、最初は馬だったと思って頑張ってたら、いつの間にかツノが生えてきた感覚に近い…

デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは?

デジタルテクノロジーの進化に合わせて、こちらシリコンバレーの企業の勢いがより加速しているように感じる。大型M&AやIPOのニュースが毎日のように流れ、時価総額や評価額の最高記録更新も続いている。
その大きなファクターの1つとなっているのが、ユーザー数とそこから獲得しているユーザーデータ、そして優れたユーザー体験だろう。(参考: これからの企業に不可欠な三種の神器とは)
ユーザーの時間をお金に変換してる現代の企業
GAFA (Google, Amazon, Facebook, Apple) に…

日本からグローバルなプロダクトが生まれにくい5つの理由

Webやモバイルアプリを中心に、現在世界で利用されてるサービスの中に”日本製”のものはほとんどない。GAFAを中心とした、アメリカ西海岸発のものや、BeautyPlusやTikTokなどの中国系のプロダクトが多い。
そして実は日本国内で多く使われているプロダクトも、世界的に見るとほとんど使われていないケースも少なくはないのである。
SNSを例にとってみよう。下記の表は、人気のSNSのリストであるが、日本国内シェア60%を超えているLINEでも、実は世界的に見るとそのシェアは2.8%にしか及ばず、他の…

【インスタ, ツイッター, エアビー等】サイドプロジェクトから生まれたプロダクトたち

今では誰もが知る有名なサービスであっても、本来作ろうとしていたものではなく、空いた時間に趣味の延長線上、いわゆる”課外活動”で生み出されたケースが意外と多いことがある。 特にスタートアップ企業などは、最初はなにをやるかがはっきり決まっていない事も多く、途中で方向転換 (ピボット) する事も珍しくない。その結果、当初予定していたプロダクトとは全く別のものが大ヒットを生み出した事例も多々存在する。 参考: 小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは メインよりヒット率の高い!? サイドプロジェクト そんな事もあり、シリコンバレーのアクセレレーターの代表的存在の、Y Combinatorでは、応募チームに対して、メインのプロダクトに加え、サイドプロジェクトの内容も聞くようにしている。実際にサイドプロジェクトが評価され、合格したスタートアップもあるという。 我々が日本企業向けに提供しているプログラムでも、メインの事業プランとは別に参加者の一人が”勝手に”作っていたサービスが注目を集め、新規事業に結びついたケースも存在する。 今回は、実際の事例を交えながらそのプロダクトが生み出された経緯や、なぜサイドプロジェクトの方が上手く行く可能性が高いかなどを説明する。今回紹介するサイドプロジェクトから生み出されたプロダクトは下記の通り。 Twitter Airbnb Instagram Slack GitHub Groupon Twitch WeWork Unsplash Fond Basecamp Lamborghini Miura 任天堂ゲームボーイ 元々はサイドプロジェクトから始まった著名サービス では、実際にどのようなサービスやプロダクトが課外活動から生み出されたのかを紹介する。 twitter 今では誰もが知っている存在になったtwitterは、ポッドキャスティング系のサービスを提供していたOdeoというスタートアップの社内スタッフ向けプラットフォームとして始まった。 Odeoの創立時に入社したJack Dorsey (現Twitter CEO) が社内ハッカソンで生み出したアイディアを、CEOであるEvan WilliamsとCo-FounderのBiz Stoneが気に入り正式にプロジェクトを進め、リリース。従業員同士のつぶやきを中心に利用され始めた。 記念すべき初のツイートは2006年3月21日にJack自身による”setting up a twttr.”というもの。その当時はtwttrと呼ばれてた。彼はその日の午後に”Inviting coworkers”とツイートし、従業員への利用を促した。 ↑ Jack Dorseyによる記念すべき初ツイート しかし、肝心のOdeoの人気が伸びない状況下でのサイドプロジェクトリリースに対し、当時のTechCrunchには下記 (和訳) のように書いている。 ”メインのプロダクトであるOdeoはデザインが良い事以外は魅力が全くない。それなのにそれを改善もせずに、サイドでtwttrなるサービスを作るなんて、この会社の株主はどう感じているのだろうか?” その後、2007年のSXSWでの紹介がきっかけでtwitterの人気に火が付き、最終的にはOdeoを捨て、twitterをメインのサービスにし、上場までたどり着いた。 参考:【インタビュー】Biz Stone – Twitter, Co-founder Airbnb 2007年、サンフランシスコのアパートに住む2人の若者が、スタートアップとして何をやってもうまくいかないので、家賃が払えない状態におちいっていた。Joeが、当時ルームメイトであったBrianに送った一通のメールがAirbnbを生み出すきっかけとなった。 その内容は、近いうちに大きな規模のデザインカンファレンスが市内で開催される。それを狙って、家賃を稼ぐためにそれに参加するデザイナーを安い値段で下宿させてあげたらどうだろうか、というもの。それもアパート内の空いているスペースにエアマットレスを置くだけというカジュアルさ。 結果、2名を一人$80づつで滞在させた。他のサービスを作りながら、家賃を捻出するための苦肉の索であったが、その際の体験がきっかけで、これをサービスにすることにしたのがAirbnbの原型。その後、SXSW向けにサービスをリリースするがユーザーはわずか2名、その一人はBrian自身であった。 そんな事もあり、数々の投資家に投資を断られ、収益もない中、大統領選挙に合わせた候補者のイラスト入りのシリアルを販売。そっちの方が売れてしまい、迷走が続く。 しかし、その後根気よくユーザーと対話をし、サイトとコンテンツの改善を続け、現在では世界トップレベルのユニコーン企業までに成長した。 参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは Instagram インスタは元々Burbn (バーボン) というHTML5をベースにしたチェックイン型ソーシャルアプリとしてリリースされた。その当時はチェックインアプリとしてFour squareが人気を集めており、人気を集めるのに苦戦をしていた。 同社のファウンダーでもあり、元Odeoでインターンをした事もあるKevin Systromは、ユーザーのアプリの利用方法に1つの特殊な点があることに気がついた。それは、チェックインアプリにも関わらず、チェックインもせずに写真だけアップしているユーザーが多いということ。 それも、どうやら写真をアップする際のフィルターに人気の秘密があると突き止め、勇気を持ってBurbnを終了させ、Instagramとして作り変えた。当時は写真を保管するアプリとソーシャルアプリは多く存在していたが、その2つを上手に掛け合わせ、それもユーザーがフィルターを選んでいる最中にアップを行うことで、スムーズな利用体験を提供した。 それにより、多くのユーザーからの支持を集め、最終的にスタッフがまだ12人、収益がほとんど上がっていない状態にも関わらず、Facebookによって$10億ドルで買収されることとなった。 ちなみに、その当時のInstagramが入っていたオフィスは、元twitterのオフィス。そこに引っ越す前、はDogpatch labsというサンフランシスコ湾に面したコワーキングスペースだった。このコワーキングスペースに当時のbtraxインターンである土屋尚史と一緒に訪問したことがきっかけとなり、彼はのちにGoodpatchを創業した。 参考:「サンフランシスコへの出発が1日おくれていたら、Goodpatchはなかった。」【インタビュー】Goodpatch Inc. CEO 土屋尚史氏 ↑ 初期の頃のInstagramチーム Slack 写真共有サービスのFlickrのファウンダーでもあるStewart Butterfieldが、その後オンラインゲームのスタートアップを立ち上げた。数年たっても45人程度のユーザーにしか利用してもらえず、失敗。しかし、その当時社内のチーム向けに自社開発したコミュニケーションツールを正式プロダクトとしてリリースしたのが、現在のSlackにつながる。 2013年8月に招待制プレビュー版をリリースし、初日だけで8,000の招待リクエストを獲得。2週間でその数は15,000まで膨れ上がった。その後、プレビュー版に登録したユーザーを順次サービスに招待し、行動を観察してサービスを改善した。それを何度も繰り返すことで、多くのユーザーに愛されるプロダクトに成長した。 参考: Slack成長物語 〜世界のユーザーに愛されるプロダクト舞台裏〜 GitHub エンジニア向けソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubも、元々はサイドプロジェクトとしてスタートした。ファウンダーであるChris WanstrathとPJ Hyettはその当時、テクノロジー系プロダクトのレビューサイト、CNET向けのページ作成をメインの仕事としていた。 その際、オープンソースのコードアップデートのしにくさに大きな不便を感じ、仕事の後や週末を利用して自分たちの使いやすいリポジトリを開発。のちに一般公開することで、GitHubが生まれた。 その後GitHubはエンジニアを中心に人気を集め、2017年の6月にMicrosoftによって20億ドルで買収されることとなった。 参考: CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」 Groupon ファウンダーのAndrew Masonが、携帯電話の通話プランの解約に手こずっていた事をヒントに、同じ目的のユーザーを集め、目標達成のために一緒に活動を行うためのソーシャルプラットフォーム, “The Point”を立ち上げた。 複数のユーザーが集まれば一人ではできないことが達成できるのではないかというのがコンセプトであったが、とあるユーザーグループが、集団で商品のバルク購入をすることで割引を受ける活動をしているのに気づく。 そこから、共同購入クーポンサイトを作り、地元のシカゴを中心にリリース。2008年のリーマンショックの影響で、多くの消費者が節約傾向にあったタイミングも手伝い、大きな成功を成し遂げた。 Twitch ゲーム実況プラットフォームのTwitchは、元々Justin.tvというスタートアップのサイドプロジェクトとして始まった。Justin.tvは、ユーザー同士がストリーミング動画をアップするプラットフォームで、YouTubeとUstreamを掛け合わせたようなサービスであった。 当時はWebで動画を見ることがまだまだ一般的ではなかったため、配信側のユーザーがなかなか集まらなかった。そこで、ファウンダーのJustin自身が私生活の様子や、体を張った突撃取材動画を流したりしていた。 そんな中で、オンラインゲーム好きのJustin.tvのスタッフは課外活動として、週末にオフィスでスタートアップ対抗World of Warcraftを定期的に開催していた。そして、その様子をストリーム中継したところ一気にアクセスが集まり、それをヒントにユーザーがゲーム中継をストリームすることに特化したTwitchを考案した。 […]

現代のスタートアップチーム構成における6つの役割とは

現代のスタートアップにおいて、どのようなチーム編成を行うのが良いのだろうか?組織と業務プロセスがしっかりと形成されている大企業と比べて、スタートアップのチームはかなり特殊である。
全員が攻めに徹する完全ぶっこみ型カミカゼチーム
そもそも、スタートアップとは「新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の一時的な集合体」である。急成長を達成するには、じっくりと組織を醸成する余裕はない。
特に立ち上げ時からしばらくは、いわゆる「仕組み」というものはほ…

寿司職人から学ぶ究極のUXデザイン6つの極意とは

ユーザー体験のデザイン、いわゆるUXデザインのフィールドは、どうしても欧米が進んでいると思われがちである。しかし、実は、日本的なおもてなし精神こそが、最も優れたUXデザインに直結しているのではないかという説がある。まあ、その説は自分自身が提唱しているのであるが。
こちらアメリカ西海岸では、寿司レストランがかなり定着しており、食事自体だけではなく、最近ではそこで得られる体験に注目が集まっている。特にカウンターに座り、板さんとのやりとりをしながらゆっくりディナーを楽しむ仕組みは、アメリカでもかなり評価さ…

紙のコーヒーカップが教えてくれる大切なこと

もしコーヒーを飲むのなら、紙コップが良いか?それとも陶器のカップの方が良いか?
最近であれば、スタバのようなお持ち帰り型のカフェが増えた事もあり、紙コップで飲む事に抵抗はあまりないだろう。
しかしこれが、これがVIPや重要な取引先などの、大切な相手をおもてなしする場合、やっぱり素敵なコーヒーカップでいただきたいと感じる。
とあるカンファレンスでのエピソード
以前にアメリカで開催されたとあるカンファレンスで、元国防副長官がゲストスピーカーとして呼ばれた。壇上に立った彼は、紙コップに入った小さなコーヒー…

優れたデザイナーになりたければダヴィンチから学ぼう

どのようにしてデザインを学べば良いのか?今まで聞かれた質問の中で最も多いのがこれ。特に、どこでUXデザインを学べが良いか?という質問は、答えに困ることが多い。なぜなら、デザインは奥が深く、最近様々な分野で求められるUXデザインになると、その幅もとても広くなり、異なる領域の理解と、デザインだけではなく、エンジニアリングの知識も求められることも少なくない。
例えば、「【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる」で紹介されているように、自分が設計したものは自分が動かす時代になって…

【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか

物が溢れている現代の市場の中では単純に正確に動く、壊れない、だけではヒット商品を生み出す事が難しくなってきている。消費者の心を引き付けるためには、美しい見た目や共感、遊び心などの「デザイン的要素」が重要になり、デザインの重要性を理解し、実践する事が、企業の業績に直接反映され始めている。
数字で証明された経営に対するデザインの重要性
2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという…

ユニコーンとシマウマの違いを知っていますか?【スタートアップ】

最近になって日本でも随分と「ユニコーン」という言葉がと聞かれるようになってきた。ユニコーンとは、スタートアップ界隈で用いられる表現で、俗に未上場で企業評価額が10億ドル以上の会社を示す。(参考: 未上場で評価額10億ドル以上のユニコーンTop10)
そもそも上場していないので、企業の価値が10億ドル以上に評価されること自体が、通常珍しい事、そしてそのビジネスモデルのユニークさから「実存しないぐらいユニークな存在」という意味で架空の動物であるユニコーンを名称として採用されている。
代表的な例には、Ub…

主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント

これまでに複数のメディア経由でご存知だと思うが、今年のCESでは、5G, AI, VR, AR、MaaSなどなどの最新のテクノロジーと、それらを活用した商品やサービスが展示さた。
CESは毎年ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジーカンファレンスで、世界中の企業が最新テクノロジーを活用したプロダクトの発表を行う。その中には、家電だけではなく、自動車やヘルスケア、そして各国からのスタートアップなどのエリアもあり、大変エキサイティングなイベントでもある。
このイベントに毎年参加することで、テクノロジ…

2019年からデザインが提供する3つの新しい価値

先日書いた「2019年デザインと経営に関する5つのトレンド予測」に多くの反響をいただいたと同時に、腑に落ちないところやよく理解できない部分があるとのご指摘もあったので、補足も兼ねてこれまでにはあまり取りだたされることのなかった、デザインの新しい価値についてもう少し具体的に説明したいと思う。
そもそも、デザイン思考に代表される、デザイナー的考え方とはどのようなものなのであろうか?それを理解するところから始め、それがどのような価値を生み出すのかを検証する。
デザイナー的マインドセットとは
デザイナーの人…

CES 2019 チェックポイント パーティー編

今年は1月6日から12日まで開催される世界最大のテクノロジーカンファレンス。4000を超える出展企業、150カ国から18万人を超える来場者が訪問します。 メインの日中のイベントの見どころなどに関しては、電通の森さんがこちらの記事にてまとめていますので、僕の方は自分用に夜のパーティーに関するリストを作成してみました。行かれる方は活用いただければ幸いです。 1月6日 CES Unveiled Las Vegas 5:00-8:30 PM Shorelines Exhibit Hall, Mandalay Bay NVIDIA News Conference 8:00-10:00 pm MGM Grand Hotel & Casino Level 1 Grand Ballroom CoinAgenda Showcase 8:00 pm – 11:00 pm Cromwell Pay Per Callers Party 6:30 pm – 9:00 pm Alexxa’s Bar @ Paris 1月7日 Conversation and Cocktail Party 4:30 pm – 6:30 pm Piero’s Italian Cuisine Caller Meetup West 2019 5:00 pm – 8:00 pm Marquee Nightclub & Dayclub Cocktail reception at CES, hosted by The NPD Group 7:00 pm – 9:30 pm 1OAK at the Mirage Digital Experience 7:00 pm – 10:30 pm Mirage Game Changer Cocktail Reception 7:00 pm – 9:30 pm […]

2019年デザインと経営の関する5つのトレンド予測

Good design is good business.
これはかつてのIBMのCEOが行った宣言である。
そしてついにそれが現実になってきている。それもかなり急速に。
数字で表される経営に対するデザインの力
米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている状況企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。
また、2018年10月のマッキ…

【2018年】デザインに関する流れをカテゴリー別にふりかえる

2018年、デザインを取り巻く環境はどのように変化したのであろうか? おそらくここ10年の中で、最も世の中の注目が高まった一年であると言える。実際、経済産業省は「『デザイン経営』宣言」としての報告書を発表し、日本企業に対して経営におけるデザインの重要性を提唱。
また、マッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果になっている。
では、異なるデザイン分野において今年はどのような動きがあったかを総…

2018年はイーロン・マスクにとって地獄のような一年だった

今から一年ほど前の2017年中頃にイーロン・マスクは下記のようなツイートをしていた。 If you buy a ticket to hell, it isn’t fair to blame hell … — Elon Musk (@elonmusk) July 30, 2017 日本語にするのであれば、 「みずから地獄行きのチケットを買ったのであれば、それに対して文句を言うべきではない」 と言う感じ。起業家になるって決めたのであれば、地獄をくぐり抜ける覚悟をしろ、といったところだろうか。 そして、翌年の2018年は、彼にとってまさに地獄とも言える一年になった。数々の困難が降りかかり、それをくぐり抜けていく様子は、下手なハリウッド映画よりもエキサイティング。 しかし、恐らく本人にとってはとても辛く苦しい道のりであった道のりであっただろう。もしくは、こんな困難も冷静に乗り越えられるぐらいに、稀代のアイアンマン起業家はタフなのかもしれない。 同じ起業家として、そしてシリコンバレーのイノベーターとして、最も尊敬する一人でもある彼の2018年の出来事を振り返ってみたい。 数々の困難に直面したイーロン・マスクの2018年 では、2018年だけで彼はどれほどのチャレンジを経験しているのかを紹介する。壮絶に見えるが、これらはたった1年間だけでの出来事である。 2月: バッテリー関係の問題が生じ、Model 3のリリースが (再度) 遅れる 2017年の7月に発表したTeslaの最新モデルであるModel 3は、当初年内のデリバリーを予定していた。しかし、何度となく生産が遅れ、今年の2月には、バッテリーモジュールの開発に関する致命的な問題が見つかり、またも遅れが生じた。 それに対して、事前に予約していたユーザーからは「また遅れてるのかよ!」といった辛辣なツイートを受けている。 Holy cow! Pushed back again, @Tesla?!? pic.twitter.com/g7yN8OViHe — Zach Honig (@ZachHonig) February 8, 2018 4月: Model 3が生産目標に追いつかず工場で寝泊りをする日々が続く Model 3の生産に関しての遅れを取り戻し、生産目標に追いつくために一時は元Appleで働いていたスタッフを主任に抜擢するが、状況は改善されなかった。事態を深刻に見たイーロン・マスクは、その原因を過剰な自動化と説明。 About a year ago, I asked Doug to manage both engineering & production. He agreed that Tesla needed eng & prod better aligned, so we don’t design cars that are crazy hard to build. Right now, tho, better to divide & conquer, so I’m back to sleeping at factory. Car biz is hell […]

2018年に終了したスタートアップサービスとその失敗理由

その9割以上が失敗するとされるスタートアップ企業であるが、今年も多くのサービスが終了した。その中から、40のスタートアップをピックアップし、その失敗理由を探ってみる。 先日の「2018年に消滅したメガスタートアップ25社」を見てもわかる通り、たとえ大きな資金を調達したとしても、成功が保証されているわけではない。 そもそも、スタートアップの定義を、”新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを通じ一獲千金を狙う人々の一時的な集合体“ とするのであれば、まさにハイリスクハイリターン。(参照: ベンチャー企業とスタートアップの違い) スタートアップは、ある意味新しいビジネスモデルの実験室でもあるのだ。そうなってくると、成功した理由よりも失敗の理由を知ることから学べることは多い。 では、2018年に終了したスタートアップとそこから学べる教訓を紹介する。 Airware 業種: ドローン向け飛行データプラットフォーム 合計調達額: 1.180億ドル 失敗の理由: ドローンに関する市場の成長スピードが意外と遅く、大きなニーズが生まれる前に資金が尽きた Alta Motors 業種: 電動バイク 合計調達額: 4380万ドル 失敗の理由: ハードウェアの製作のコストがかさみ、資金繰りやパートナーシップがうまくいかず、資金が尽きた Apprenda 業種: エンタープライズ向けPaaS型ソフトウェアプラットフォーム 合計調達額: 5600万ドル 失敗の理由: 競合サービスとの差別化に失敗 Baroo 業種: ハイエンド顧客向けオンデマンド型ペットケアサービス 合計調達額: 360万ドル 失敗の理由: 巨額の資金調達を成功させた競合に対抗できなくなった Bluesmart 業種: スマートスーツケース 合計調達額: 2560万ドル 失敗の理由: 航空法の更新によりバッテリーを内包するスマートスーツケースの利用が禁止になった Cambridge Analytica 業種: 政治活動向けデータ解析プラットフォーム 合計調達額: 1500万ドル 失敗の理由: Facebook経由の個人情報をユーザーの許可なしにビジネスに利用していた CanadaDrugs.com 業種: 医薬品のオンライン販売 合計調達額: 不明 失敗の理由: 15年以上にわたり米国政府の認可を得ずに非正規の薬をオンラインで販売していたことが発覚した CareSync 業種: 医療患者向けソフトウェアプラットフォーム 合計調達額: 4900万ドル 失敗の理由: 売却戦略に失敗した Chef’d 業種: 自炊むけミールキットサービス 合計調達額: 4050万ドル 失敗の理由: 資金調達に失敗した Chorus 業種: フィットネスアプリ 合計調達額: 不明 失敗の理由: ユーザーがエクササイズをサボり出し、それを隠そうとするためにアクティブ率が下がった Coinprism 業種: 色付け可能なビットコインワレット 合計調達額: 不明 失敗の理由: 仮想通貨に関する法規制の急激な変化によりビジネスとして成り立たないと判断した CloudMine 業種: ヘルスケア向けデータプラットフォーム 合計調達額: 1650万ドル 失敗の理由: 600万ドルほどの負債に対しての資金調達に苦しみ、破産した DASH Stores 業種: アクセサリー販売ブティック 合計調達額: 不明 失敗の理由: セレブ創設者であるカーダシアンの興味が他に移ったため DaWanda 業種: ハンドメイドのクラフトを売買するオンラインプラットフォーム 合計調達額: 1030万ドル 失敗の理由: 会社の規模の成長に対して売り上げの伸びが鈍化したため Defy Media […]

2018年に消滅したメガスタートアップ25社

今年も多くのスタートアップが生まれ消えていった。倒産した企業の中でも企業の評価額 (バリュエーション)と資金の調達学が大きい25社をPitchBook提供のデータをもとにリストアップしてみた。 その中の3社は創立から20年以上も経っている企業や、一時は優良スタートアップとしてかなりの注目を集めたサービスもある。 特に今年は、ハッタリ系スタートアップとして有名になったセラノスをはじめに、ヘルスケア系が目立っており、リスト内では実に7社を数える。 それでは、評価額と調達額の規模をベースに、2018に消滅したスタートアップ25社をカウントダウン形式でお届けする。 25. SDCmaterials 業種: 自動車産業向けナノテクノロジー 設立年: 2004 評価額 (max時): 4800万ドル 合計調達額: 2600万ドル 24. Senzari 業種: 音楽/エンタメ系データテクノロジー 設立年: 2010 評価額 (max時): 5200万ドル 合計調達額: 1300万ドル 23. Industrial Origami 業種: 産業用マテリアル製造 設立年: 2003 評価額 (max時): 5800万ドル 合計調達額: 4100万ドル 22. Claritas Genomics 業種: 遺伝子テスト 設立年: 2013 評価額 (max時): 6000万ドル 合計調達額: 3900万ドル 21. Apprenda 業種: クラウド型ディベロッパー向けソフトウェア 設立年: 2007 評価額 (max時): 9000万ドル 合計調達額: 5600万ドル 20. Innovari 業種: エネルギープラットフォーム 設立年: 2011 評価額 (max時): 9400万ドル 合計調達額: 1200万ドル 19. DataTorrent 業種: ストリーミング用データフォーム 設立年: 2012 評価額 (max時): 9600万ドル 合計調達額: 2400万ドル 18. Rennovia 業種: バイオテクノロジー/化学 設立年: 2009 評価額 (max時): 9900万ドル 合計調達額: 6900万ドル 17. Navdy 業種: 自動車向けヘッドアップディスプレイ 設立年: 2012 評価額 (max時): 1億ドル 合計調達額: 8000万ドル 16. EZhome 業種: サブスクリプション型雑草処理サービス […]

ユーザーフローから学ぶミスコミニュケーションの発生原因と対処方法

UXデザインのプロセスの一つとして「ユーザーフロー作成」というものがある。これは、特定の目的を果たすために、ターゲットとなるユーザーがどのようなプロセスを経るのかを明確にすることで、そこにたどり着くまでの「流れ」を設計するもの。
例えばアプリのデザインをする際には、下記のようなユーザーフローが設計される。

このプロセスの中では、それぞれのタスクごとにフローを作成し、よりユーザーにとって使いやすく、加えて、サービス提供側のゴールをスムーズに達成できる「流れ」に対しての導線をデザインする。

しかし、…

ディズニーランドから学ぶ究極のUXデザインとは

ユーザーに優れた体験を提供し、提供側の利益も生み出す。これがUXデザインにおける一つの究極のゴールである。この2つのゴールを達成している最高の例の一つがディズニーランドであろう。実際に行ったことのある人であれば、その体験の素晴らしさと、躊躇なくお金をどんどん使ってしまうその雰囲気は、まさにマジックとも言える。実は、そのマジックの裏には、UXデザイン的観点で見ても卓越した設計が施されている。
UXデザインの価値を図る際には「UXハニカム」や「UXピラミッド」が使われることが多いが、おそらくディズニーラ…

デザインがつくりだすダークサイドの危険性

毎分のようにスマホに通知が表示され、SNS上での反応に一喜一憂する。インスタがあまりにも使いやすく、楽しいので、5分おきに見てしまう。夜中にふと目が覚めてメールのチェックをする。Amazonで必要のない物までついつ購入し […]

デザインがつくりだすダークサイドの危険性

毎分のようにスマホに通知が表示され、SNS上での反応に一喜一憂する。インスタがあまりにも使いやすく、楽しいので、5分おきに見てしまう。夜中にふと目が覚めてメールのチェックをする。Amazonで必要のない物までついつ購入し […]

イノベーションの効果測定方法

現代の企業にとって、新しい事業を生み出したり、仕組みを変えたり、革新的なサービス提供方法を考えたりなど、いわゆるイノベーションの重要性が高まっていることは間違いないだろう。世界の企業時価総額を見てみても、トップにランキン […]

インスパイアとパクリの境界線とは?

サンフランシスコの大学でデザインを学んでいた際に、初日に現役デザイナーの先生が生徒に放った一言がいまでも忘れられない。 それは、 Nothing is original, it’s all been done befor […]

コンコルドの失敗から学ぶスペック至上主義の危険性

コンコルドという飛行機をご存知だろうか?おそらくある一定以上の世代であれば、知ってる、聞いたことある、見たことある。そして、もしかしたら乗った事がある方もいるかもしれない。 この飛行機は、イギリスとフランスが共同開発した […]

日本企業がシリコンバレー的スピードを身につける方法

先日福岡にて開催されたグローバルスタートアップイベント、Waraku SummitにてWiLのパートナーである琴 章憲氏との対談をする機会をいただいた。スタートアップをはじめとして、日本企業のグローバル展開に関するトピックにてのディスカッションを行った。 そこで、彼が日本企業がシリコンバレーの企業に勝てない一つの大きな理由として挙げていたのが、決断と実行スピードの違いだ。例えば彼が前職で出向していたTwitter社でのエピソード。 それまではプログラミング言語としてRubyを利用していたが、ユーザー数の増加と今後のスケールを念頭に、ある日突然エンジニアリングトップよりScalaに切り替えることが決定された。これでTwitterのエンジニアは問答無用で翌日からScalaを利用しなければならない。さもなければ会社に残れないからだ。 これがもし日本企業で似たような事があったとしたら、内部調整とエンジニアたちのスキル獲得期間などを考慮し、最低でも数ヶ月は猶予期間を設けるだろう。シリコンバレーではそんなゆっくりはしてられない。即決定、即実行が基本である。 ↑上記のセッション動画 シリコンバレーの企業と日本企業の決断スピードの差は100倍 以前にも紹介したが、シリコンバレーの企業が世界的に凄いとされている理由の一つがそのスピードの速さであろう。特にデジタルが主流になってきている現代では、これがかなり強力な武器となる。 日本企業が完璧なプロダクトを1つ出す間に、シリコンバレーの競合は20%の完成度のものを5つ出し、ヒットしたものだけを残し改善すると言われるほど、決断、実行、リリースのスピードが速い。 一説によると、日本企業とシリコンバレーの企業を比較すると、その決断スピードには100倍の差があると言う。これは、例えると時速3kmで進むカメと、時速300kmのF1カーぐらい異なると言う事だ。ある意味、全くカテゴリーが異なる。 参考: 日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事 スピードが大きな競争優位性となる3つの理由 現代のビジネスにおいては、時間をかけるのが一番のリスクとなりえるだろう。スピードが遅いのは命取りにもなりえる。 特に急激な成長を一つのゴールとしているスタートアップにおいては、”速すぎる” と言うことはほとんどない。「今さら聞けないリーンスタートアップの基本」でも紹介されている通り、できるだけ早い段階でリリースをし、改善するのがシリコンバレーのスタンダードにもなりつつある。 急いで決断、行動することのリスクよりも、得られるメリットの方が大きい。もしそれが原因で失敗したとしても、取り返しのつかないことは少なくなってきていると感じる。スピードが速いことで得られるメリットを3つ紹介したい。 1. チャンスは長居してくれない 時代が激しく変化する現代において、ビジネスチャンスを掴みたければ、タイミングが重要になる。例えば、スマホ普及に合わせたLINE, FacebookによるInstagramの買収、リーマンショック後の不況で大人気になったシェアリングエコノミー系サービス、ブロードバンドの普及が整った時期に一気に普及したYouTubeなど、上手にチャンスを掴み取ったサービスは少なくない。 また、「世界を変えられなかった12のサービス ~第一次ドットコム時代のアイディア~」で紹介されているように、タイミングがずれているとどんな良いサービスでもヒットしないケースもある。 2. 顧客ニーズの高速化 スピードが求められるのはビジネス機会のタイミングだけではない。顧客やニーズへの対応スピードも、その企業の価値を左右する大きなファクターとなってくる。ユーザーニーズに合わせ、プロダクトをどれだけの頻度でアップデートできるか、顧客の問い合わせにリアルタイムに対応できるかも顧客満足度を大きく左右するだろう。 3. 競合に対する防御策 決断と行動のスピードが速ければ、競合の動きにもうまく対応する事ができる。逆にその対応が遅れると致命的な結果にもなり得る。例えば、Netflixに駆逐されたビデオレンタルのBlockbusterや、Amazon対応が遅れたBordersなど、動きが遅すぎて、新規参入のライバルに対し完全に後手にまわってしまって滅んだ企業も多い。 参考: 近い将来テクノロジーが葬る10の産業 実例: GAFAのスピードに対しての意識の高さ 冒頭のTwitter社でのエピソードに加え、世界のトップを牽引するテクノロジー企業であるGAFA (Google, Apple, Facebook, Amazon) におけるスピードに関しての実例も紹介したい。 失敗の数だけ評価の対象になるGoogle X 前回の「日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事」にて、平均で約10日間の間に1つの会社を買収することからも、その動きの速さが理解できたGoogle. その新規事業を生み出すためのラボ的組織のGoogle Xでは、失敗を恐れずに、新しいことにどんどんチャレンジできるように、ユニークな人事評価規準を設けている。 失敗の数の多さが、評価の対象になると言うのだ。イノベーションに失敗はつきもので、恐る恐る一つのことをじっくりやるよりも、速いスピードでガンガン進め、その中のわずかでも大ヒットを出す事が出来れば大成功である。 それを実現するために、Google Xでは、一つのプロジェクトを成功させたスタッフよりも、100の失敗を経験したスタッフの方が高い評価を得られるような仕組みを導入している。 Appleでの象徴的な出来事 現時点で世界一の時価総額を誇るAppleもスピードを重要視していることがわかるエピソードを紹介したい。2008年にプロダクトマネージャーの一人がミーティングにて、CEOのTim Cookに対して中国の工場での生産に大きな問題が発生している事を伝えた。するとCookは「それはまずい。誰か出向いてどうにかしなければ」と言った。 そのミーティングは継続し、30分ほどが経った時点でそのプロダクトマネージャーに対しCookが「あれ、なんで君はまだここにいるんだ?」と言うと、彼は急いでサンフランシスコ空港に直行し、服も着替えずにその足で中国行きの便に飛び乗った。 Amazonは平均で11.6秒に一回の頻度でデプロイしている Appleに迫る勢いで時価総額記録を更新し続けているAmazonも、スピードに関しての意識はかなり高い。その一例として、彼らは実に平均で11.6秒に一回ソフトウェアの更新を行なっているとい言うだ。 もちろんこれは平日だけでのケースではあるが、常に最善の体験をユーザーに届けるため、そして競合に勝つために、新しい仕様リリースしまくっていると言うことになる。 スピード優先を社訓にしているFacebook シリコンバレーの企業の中でも、の動きの速さを武器にしていることで有名な企業がFacebookだろう。オフィスのいたるところに社訓である”Move fast, and break things. “ や “Done is better than perfect.”と書かれた表札が飾られていることからもわかる通り、彼らのモットーはとりあえず作り、リリースし、そこから改善をしよう、と言うもの。 ソフトウェア、特にWebやアプリなどのプロダクトの場合、リリースしてからいくらでも変更が効くので、完璧を目指す必要はない。ある程度の精度が得られた時点でとりあえずリリース。ユーザーの反応を見ながら改善をすることができる。それも、特定のユーザーだけを対象にすることも可能なので、速く動く事のメリットは大きい。 ↑Facebook社の壁に飾られた社訓 日本企業は「礼儀正しく時間を奪う」 それではなぜ日本企業はスピードが遅いのだろうか?その理由は実はその「礼儀正しさ」に隠されている。これは、企業のワークスタイルの改善を進めている日本マイクロソフト株式会社 テクノロジーセンター センター長の澤 円氏による分析で、彼によると日本企業は「礼儀正しく時間を奪う」事で、生産性を極端に下げていると言う。 これは言い換えると、多くの時間を費やしている割りには、アプトプット量が極端に少ない。時間をかけるべきところと、そうで無いところの分類がズレているとも考えられるだろう。 例えば、見るだけで済む結果のレポートに関しては、わざわざ会議をしなくても、メールやチャットで送っておき、各々が空いた時間に確認すれば良いはず。なのに、日本企業は「礼儀正しく」するために、わざわざ忙しい人たちの時間を割いて「報告会議を」行う。 加えて下記のような点も日本企業のスピードを遅くしている要因であると思われる。 スタート時間にシビアで終わり時間には無頓着 日本企業は、出勤時間や会議の開始時間には神経質であるが、なぜか終わり時間には全く無頓着である事が多い気がする。スタートには少しでも遅れれば警告されるが、仕事も会議もなぜか終わり時間をシビアに管理しているケースはまだまだ少ないように感じられる。 何も決まらない会議が多い そして、1日の仕事時間の大部分を割かれる肝心の会議でも、報告と議論はされども、何一つ決定しない、もしくは決定できる人がそもそも最初から参加してない事で「前向きに検討」することしかできないケースが後を絶たない。こんな単純な決定をするだけなのに何時間かけてんだ?と思うこともしばしばある。 決断を先送りしてもペナルティー無し そもそも決定がされない理由の一つとして、決裁権のある役職の人が決断を先送りしても、何のペナルティーも受けない事が理由だろう。これがアメリカの企業の場合、会議で発言しない人や決断をできないマネージャーは会社にとって必要のない人材だとみなされ、最悪首になるケースだってある。 参考: 海外から見た日本式ミーティングの謎 ちなみに、上記で紹介した澤 円氏は、10月11日に東京で開催されるDESIGN for innovation 2018にも下記のトピックで登壇していただく予定。 『イノベーションを生み出すために日本企業が変えるべき習慣』 DESIGN for innovation 2018 開催日程: 2018年10月11日(木)13:30〜20:00 (懇親会含) 会場名: FiNC有楽町 >> イベント詳細はこちらから << シリコンバレーではどのように企業スピードを上げているのか? では、シリコンバレーの企業はいかなる方法でスピードアップを図っているのだろうか?”Move fast or die”と言われるほど、スピードが遅い事が命取りになるこの地域では、徹底的な効率化が進められ、急成長のための素早い行動が推奨されている。 アメリカではメールは短いほど良い […]

人生を何に捧げるべきかを見つける方法

日常生活の中でどのように自分が好きなこと、やりたいことを見つけることができるのか?「やりたい事が見つからない本当の理由 – そして見つけるための4つの方法」ではそんな多くの人々が感じる疑問に対して、下記の4つの方法で情熱とモチベーションを見つける方法を説明している。
やりたい事を見つける4つの方法

やっていて楽しいことをやる (What)
なぜやるかにフォーカスする (Why)
どうやるかにこだわる (How)
誰のためにやるかを考えてみる (Who)

では、これが「人生…

レガシー金融機関がフィンテック企業と上手に付き合う方法 (金融革命 Part 2)

日本国内でフィンテック企業とコラボしているレガシー金融機関はまだわずか30%にすぎない。これは先進国のスタンダードでいうと最低のレベルになっている。他の国の、ドイツが70%, シンガポール62%, アメリカの54%と比較してもかなり低いと言えるだろう。
テクノロジー活用に遅れをとる既存金融機関
セキュリティーとプライバシー、そして法規コンプライアンスを最優先するその特性上、既存の金融機関はどうしても新規テクノロジーの導入に対して慎重にならざるを得ない。スタートアップのような”実験的”な取り組みを…

銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は? (金融革命 Part 1)

銀行での楽しい体験をしたことのある人は一体どのくらいいるであろうか? 様々なビジネスにおけるユーザー体験が改善される現代において、おそらく銀行は最も質の低い体験を提供していると言わざるを得ないだろう。

確かに、入り口にいる紳士が整理券を丁寧に手渡ししてくれるところまでは良い。しかし、そのあとの待ち時間、面倒な書類、短い営業時間、いちいち発生する手数料、融通の利かない担当者など、顧客がそこで体験する時間のクオリティーは非常に低いと感じる人も多いはず。

そして、その訪問が融資目的だったとした…

やりたい事が見つからない本当の理由 – そして見つけるための4つの方法

どうしたら好きなことが見つかりますか?
これまでの経験上、起業を目指している人や、これからの進路を考えている学生に聞かれる質問で一番多いのがおそらくこれだろう。自分自身の場合、子供の頃からの物作りに対する興味と、大学生時代に強烈に好きになった「デザイン」という世界を知ることができたため、そこまで悩む必要がなかった。

それもそのはずで、高校生になる頃には自分が興味のない事を学ぶことに対してエネルギーを注ぐ事を諦めてしまったから。それ故日本の大学に入ることは出来なかったが…。

関連: 文系…

Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学

2018年8月2日, Appleの時価総額がアメリカ企業として初めて1兆ドル(約110兆円)を突破した。1990年代には倒産も危ぶまれたが、スティーブ・ジョブス復帰後、デザインに対してのこだわり、そしてイ革命的なプロダクトを作り出すことにフォーカスをさだめ、iMac, iPod, iPhoneなど、次々に世の中を変える製品をリリース。

その後の躍進も加速し、世界一の時価総額と驚異の利益率を達成している。その一番の要因が「デザイン」にあることは明白で、プロダクトのデザイン性から経営に対してのデザ…

文系、理系、オレ何系?

タイトルのフレーズは先日、後輩の起業家でGoodpatchのCEOでもある土屋尚史とのPodcast対談で思わず口走ってしまった一言。

日本の高校に行っていた頃、いわゆる進路を決める際に自分が文系か理系かのどちらかを選択し、それに合わせて受験する学部を決めるわけだが、その当時の自分といえば、まさに「で、オレ何系?」という感じだった。

そもそも興味があるのは音楽。得意なのは美術。誰よりも優れていたのが自由研究と、入試には全く関係のない科目ばかり。特に苦手だったのが選択問題で、事前に答えが決…

ディスラプト (破壊) されるサービスに共通する4つの不満要素

インターネットやスマホに代表されるテクノロジーの出現により、様々な業界においてよりユーザーメリットの高いサービスが生み出され、既存のプレイヤーたちを脅かしている。これを”Disruptive Innovation”と呼ばれれ、日本語では「破壊的イノベーション」と訳される。

たとえこれまで数十年以上も続いているようなサービスであったとしても、大きな変革の波に乗り遅れると、いともたやすく「破壊」されることがある。
新規サービスが原因じゃない。ユーザーが正しい選択をしているだけだ
下記の例を見て…

ピクサーのデザインチームが重要視する4つのプロセス

トイストーリ、ファインディング・ニモ、カーズなど、次々とヒット作品を生み出すピクサー。サンフランシスコ近郊にあるこのスタジオでは非ハリウッド的な手法を用いてオリジナル作品を生み出している。それも、3Dアニメという新しいジャンルを確立させ、その世界観をどんどん広げている。

そしてピクサーは、クリエイティブの質とビジネス結果の両立を実現させた稀有な存在の会社でもある。ワクワクを生み出すための独特なカルチャーや、それをしっかりとしたビジネスとして成り立たせるためのプロセスには学ぶべき部分が非常に多い…

スタートアップと中小企業との違い

以前に日本で会社を経営する友人から、

「この前のセミナーを聞いてスタートアップっていうのが理解できたつもりなのですが、ぶっちゃけ自分の会社がスタートアップなのか中小企業なのかイマイチわかってません」

と言われた。これは今年の年初に開催された、第2回Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKAの最終報告会における孫 泰蔵さんとの対談セッションの中で触れられた下記のポイントについての質問であった。
ベンチャー企業だからと言って、スタートアップであるとは限らな…

サンフランシスコのデザイン会社まとめ

スタートアップに加え、サンフランシスコは世界でも有数のデザイン会社が多くある事で有名である。市内の複数の著名デザインスクールが輩出する豊富なデザイナーに加え、世界中から多くの優秀なデザイナーも集まって来ており、ユーザーにとって使いやすく優れたプロダクトづくりの屋台骨を支えている。

古くはAppleのMacintoshのデザインをfrogが、マウスの設計をIDEOが行った。最近ではAirbnbやUberなどのユーザー体験を追求したスタートアップとのコラボも盛んである。また、ここ数年で、サービスデ…

日本の新規サービス規制に思う事

先日、日本国内の民泊に対する規制強化でAirbnbの足元の登録件数が約8割減の1万3800件まで減ったというニュースを見た。

関連: エアビーが日本で予約をキャンセル-民泊施設への規制強化で

自分でも頻繁に利用しているサービスでもあり、これには大変大きなショックを受けた。この動きは、これは「ユーザーのためになる = 正義」の概念が強いサンフランシスコに住んでいると、大きな謎である。

正直、今回の規制は、ユーザーに素晴らしい体験を広めるのを全力で阻止しているようにしか感じられなかった…

【給与差1.4倍】グラフィックデザイナーがUXデザイナーになる方法

ビジネスにおけるデザインの重要性が高まるにつれて、デザイナーに求められるスキルに変化が生まれている。これまで”デザイナー”と言うと、見た目の綺麗にしたり、開発がある程度完了したプロダクトの見た目を綺麗にしたり、広告のクリエイティブを作成する、いわゆる”絵を描く”作業を行う職業と思われきた。

しかし、デザイン思考やサービスデザインなどの新たなプロセスを通じ、企画の段階からデザイナーが関わるケースや、デザイナー出身の経営者のいる企業の活躍などでデザインがよりプロダクトやビジネスの根本に影響を与え始…

日本の働き方改革を阻む5つの悪習慣

日本でのワークスタイルの改善はやはりまだまだ大きな課題がありそうだ。先日のポスト「【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは」に対しNewspicksでは2,000近いPicksと数多くのコメントをいただいたこともあり、現在の日本における大きな課題の一つだと実感させられた。

同時に下記のコメントに代表されるように、今の日本では実施したくてもそんなに簡単に現状を変えることのできない”制度的な問題”もあることが浮き彫りになってきている。
めちゃめちゃ共感し…

時代の岐路に立つ自動車業界を大きく変革させる9つのスタートアップ

ここ数年で最も大きな変化が訪れる産業の一つが自動車業界だろう。btraxでも複数の自動車ブランドに対して次世代のユーザー体験の設計や、新たな事業づくりに関する取り組みを提供させていただいているが、今後数年は自動車産業にとって、今までにない規模でのパラダイムシフトが起こることに確信を得ている。
業界を取り巻く3つの大きな変化
20世紀の代表的な産業とも言える自動車はしばらくリニアな成長が続いていたが、ここにきて下記の3つのファクターにより、かなり大きな変革が訪れようとしている。

自動運転テ…

Amazonを成功に導いたユーザーを夢中にさせる4つのUXデザイン要素

世界を制覇し始めているGAFAの一角であるAmazonの凄さは下記の数字を見ただけでも伝わってくる。

44% – アメリカのeコマース市場におけるAmazonのシェア
1億人 – Amazon Primeのメンバー数
3人に1人 – アメリカの成人でAmazon Primeに加入している割合
95% – Primeメンバーシップを更新したいと思う率

この成功の要因は何であろうか?確かに安さはあるだろう。しかし、見落としがちなのが、デザイン的要因である。

実は私、デザイ…

Amazonを成功に導いたユーザーを夢中にさせる4つのUXデザイン要素

世界を制覇し始めているGAFAの一角であるAmazonの凄さは下記の数字を見ただけでも伝わってくる。

44% – アメリカのeコマース市場におけるAmazonのシェア
1億人 – Amazon Primeのメンバー数
3人に1人 – アメリカの成人でAmazon Primeに加入している割合
95% – Primeメンバーシップを更新したいと思う率

この成功の要因は何であろうか?確かに安さはあるだろう。しかし、見落としがちなのが、デザイン的要因である。

実は私、デザイ…

【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは

「残業ほぼナシ」「勤務時間自由」「リモートワークOK」「有給無制限」そんな夢のようなホワイト企業があるだろうか?と思うかもしれないが、実はこれ、ここシリコンバレーやサンフランシスコ周辺では結構当たり前になってきている勤労習慣である。

と、いうのもむしろそうでもしないと人材の獲得&維持がしにくいレベル。高い給料を払うのは当たり前で、それ以上にどのようにスタッフにFlexisibility (柔軟性) を提供できるかが優れた人材を獲得し、強いチームを作り上げるもう一つの勝負となる。

最近のスタートアップのロゴのスタイルが似通ってきている問題について

お気に入りのスタートアップやサービスのロゴがいつの間にか変わっている。このような事が最近増えている。少し前までであれば、「ロゴのリデザイン ー なぜGapが失敗しAirbnbが受け入れられたのか」でも見られるように、ロゴの変更やリブランディングは一つのトピックとして、多くの人たちからの反響が得られていた。

しかし、最近ではなぜか”しれっと”変わっているケースが後を絶たない。それも新しいロゴのデザインが”ある一定の”共通パターンをなぞっていて、特にロゴタイプの部分はどのロゴもかなり似通ってきてい…

走った分だけ払う自動車保険 – Metromile (メトロマイル) を試してみた

自動車は95%の時間使われていない
この稼働率は例えばスマホと比べてみると非常に低いことがわかる。なのに駐車場や保険などの維持費は異常にかかる。もしかしたら、自動車というプロダクトが現代の社会の常識から考えると非常に非効率な存在になって来ているのかもしれない。ネットやスマホに触れて育ってきた世代から考えると、自動車を所有することが”非合理的”であると感じる事もうなずける。

参考: 若者が車を所有しなくなった6つの理由
自動車の平均稼働率は10%以下
車社会と言われているアメリカでも、自家…

サンフランシスコのデザイン会社から見た中国企業の優位性

”中国製品”と聞いてどのようなイメージを持つだろうか?恐らく日本製品よりも性能が低く、デザイン性も劣っていると感じる人は少なくはないだろう。その一方で、世界的な視点で見てみると意外とそうでもないことに気づく。

例えば、アメリカに住んでいると、電化製品を中心に様々なプロダクトが中国製であることが多いことに加え、Made in Chinaだけではなく、いわゆる”中国ブランド”も多く、その評価も決して低くはない事を日々感じる。

一昔前だったら日本製であることが一つのブランドになり得たのであるが…

やりたいことが見つからない人にセルフ鎖国のススメ

「自分の本当にやりたいことが見つからない」おそらく今まで相談された中で最も多い質問。相手が起業家であれば、「このビジネスモデル、グローバルで通用すると思いますか?」というのも多い。

実はこの二つの質問に共通する第一のアドバイスとしては「とことん自分と向き合うこと」

結構意外かもしれないが、何をするべきかに迷ったときは、外からの情報を遮断して自分との対話をする必要がある。あまりにも多くの情報が縦横無尽に手に入ってしまう現代においては、自分の人生にとって価値よりもノイズになるものの方が多いよ…