カテゴリーアーカイブ: イノベーション

2020年から最大の企業資産はクリエイティブ人材になる

これから人間が最も価値を発揮できるのはクリエイティブな仕事
正確性やミスをしないことは、もはや強みではない
創造性を育む企業カルチャーをと仕組みの整備を

AIやロボットの発達で、人間の仕事がどんどん奪われていく。おそらく、暗記や、計算、データ分析などでは既にコンピューターにお任せした方が良い。単純作業系も、ロボティックスが発展するに合わせて、人間が行う部分は減っていくだろう。しかし、自動化に関するテクノロジーが進むことで無くなる仕事があると一方で、新しい仕事も生み出されると予測される。
マッキン…

イノベーションカルチャーを広げるための社内アンバサダープログラム- Design It Yourself(DIY) Program

SAPジャパンの社内においてデザインシンキングが認識されているフェーズから、従業員自身が実践するフェーズへ移行していくべく、新しく始めた社内での取り組みについてご紹介します。

NRIとNTTの若手エースが語る、大企業でイノベーションに挑戦できる環境作りとは【DFI2019】

企業として:「大企業としての戦い方」を知り、評価制度等の改革を含めてイノベーションにコミットすることが大切。 一社員として:「うまく会社を使う」ことが大切。 マネージャーとして:「イノベーションの性質を理解し、邪魔をしない」ことが大切。 btraxが毎年開催しているデザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス、DESIGN for Innovationも2019年で4年目になる。この記事では、当日行われた6つのセッションの中で「若手エースたちが語る大企業でイノベーションにチャレンジできる場づくりとは」について、モデレーターである筆者自らがご紹介したい。 このセッションは、こんな課題感から実施が決まった。『ほぼ全てのイノベーションは若者によって生み出されてきた。しかし大企業特有の仕組みの中では、そんな若者の力が十分に発揮できないことが少なくない。』具体的なシーンを想像出来る方も少なくないのではないだろうか。 これは筆者本人の課題感でもある。ここ数年ファシリテーターとして大企業の新規事業部の方々と協業させていただく中で、彼らの優秀さに驚くと同時にその能力が活かしきれない環境を悔しく思うことが多々ある。 本セッションでは若くして活躍するエースたちに話を聞くことで、大企業の中で若きイノベーターを活かしていく際のヒントを探ることができた。 スピーカー紹介 林田敦 NRIデジタル株式会社 ビジネスデザイナー 2012年野村総合研究所入社、SE/PMとして活動。2015年サンフランシスコでのbtrax社研修受講をきっかけに野村HDへ出向、グループ全体のイノベーションマネジメントに携わる。2017年からイノベーション戦略子会社N-Village出向、CTOとして新規事業のPO/PMを担当。2019年NRIデジタル出向、顧客への新規事業提案や社内新規事業のアドバイザリーを行っている。JAPAN MENSA会員。   岩田裕平 NTTコミュニケーションズ株式会社 SpoLive事業グループCo-Founder / プロダクト責任者 2013年NTTコミュニケーションズへ入社後、R&Dや新事業開発におけるUXデザイン・ブランド戦略に従事。2017年よりデザイン経営を推進するプロジェクトにジョインし、社内外へのデザイン普及を行う。 2018年より新事業を立ち上げプロダクト/事業責任者に。同時にスタートアップ協業プログラムを立ち上げ、運営も行う。経産省主催「始動Next Innovator」3期生選抜メンバー。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。 僕らがあえて大企業でイノベーションに取り組む理由 Q.イノベーションや新規事業と聞くと、どうしてもメガベンチャーやスタートアップ、起業を想像します。お2人があえて大企業でイノベーションに取り組む理由を教えて頂けますか? 林田氏(以下、敬称略): やっぱり大企業はアセットをたくさん持っているので、それが魅力的です。例えば、野村ホールディングス出向中にアクセラレータープログラムをやったのですが、営業店やセールスパーソンといった募集テーマに紐づく拠出アセットを明確にした結果、多くのベンチャー企業からご応募いただくことができました。また、知名度、野村の看板もアセットの一つとして魅力的であると思います。 岩田氏(以下、敬称略): 僕も全く同じですね。特にチャネルと技術アセットです。若い企業やスタートアップでは持ち得ないような様々な企業や団体との繋がりや、特にNTTグループは技術系のアセットをたくさん持っています。R&Dの部隊もいたり、基礎研究にリソースを割けたりするのも大企業ならではのアセットかなと。実際に現在の会社への就職を決めた際も、元々の研究領域に近い基礎研究を事業にできていることが魅力的でした。 林田: あとは、野村と繋がりのあるお客様をPoCに巻き込んでいけるのも大きなメリット。金融庁ともしっかりとしたリレーションがあるので、ちゃんと話を聞いてくれます。設立したばかりのスタートアップだと、そういったこともなかなか難しいかもしれません。 1on1MTGで社内に生息する”隠れイノベーター”を探せ 林田:ところで…社内に「隠れイノベーター」っていません? 岩田:いますね。 林田: 大企業にいる人は、上手い隠れ方を知ってるんですよね。目立たないように動いたり、実は業務時間外でいろいろなことをやっていたり、みたいな。でも、1on1など、上司と部下でちゃんとコミュニケーションする時間を取って、普段何を考えながら仕事してるのかをちゃんと掘り下げると、隠れイノベーターは発掘できるのではないかと。 NRIデジタルでは1週間に1回、30分の枠で1on1ミーティングを行っています。アジェンダは一切無し。ざっくばらんに話します。例えば、仕事で今悩んでいることや、プライベートであったことなど、何でも話せます。まずは開示するということをちゃんとやると、隠れイノベーターは見つかると思います。 そういう意味で大企業は、人材というアセットも豊富ですよね。スタートアップでは人材獲得が問題になりがちですが、大企業だと最適な人材を内部で発掘してアサインすることができます。例えば、NRIのオープンソース部隊で働いていた時は、後ろを振り向いたら世界に数えるほどしか居ない著名なオープンソースのコミッターとかもいて。すごい環境で仕事できていたと思いますね。 多産多死の世界における事業の評価軸とは Q. 次に事業の評価についてお伺いしたいと思います。事業評価のルールが変わってきているのは間違いない。とはいえ大企業の中でいきなり変えると社内に混乱が起こるでしょう。そんな中でお2人はサービスオーナーとして、どのように事業を進められてきましたか? 林田: 大企業は、いきなり大きな事業投資の判断をするのが苦手です。それに対する解決策として導入されたのが、ステージゲート方式ですね。新規事業の「確からしさ」を確認するため、NRIではまずは小さく始めて徐々に大きくしていく、といった方針をとっています。 それでも直面する課題は、どうしても既存の評価軸で判断してしまいがちだということ。イノベーションに関しては、定量的な評価ってすごく難しいですよね。本来であれば定性的な評価が必要。とはいえ既存の評価軸を踏襲してしまうと、どうしても定量的にならざるを得ない。 そこで、野村グループでは意思決定の主体を分けました。具体的には、別途子会社を作って、そこで新規事業を推進する、という形。その子会社は、新規事業についての意思決定を自ら行うことができる。 それがN-Village(エヌビレッジ)ですね。ある意味守られた空間を作ることによって、そういった評価ができるような制度をつくりました。いわゆる出島ですね。 岩田: うちも同様です。社内スタートアップ制度は出来たばかりでこれからが正念場ですが、経営企画部の中に出島のような一部署があり、ステージゲート方式にしています。スタートアップと同様にプレシード、シード、シリーズAに類似する評価をしており、ゲートに「PMFしているか」といった条件が敷かれています。 とはいえ、スタートアップのそれと比べるとやはり事業評価をし、継続可否の意思決定をできる人がいないという難しさはあって。本当は組織も分かつべきだとは思いますが、まだ分かれていません。 事業評価のKGIは売上になりますが、KPIはビジネスモデル次第なので自分たちで設定しています。特にアプリケーション系のビジネスですと顧客数で測ることが多いと思います。投資先行であることに対して、特に組織構造によって生じる問題は多いので、そこはこれから改善する必要があると感じています。 意思決定の鍵は未来と過去を紡いだビジョン Q. スタートアップが定量だけに囚われないに意思決定ができる1つの理由として、軸を「ビジョンに沿っているか」に設けていることがあると思います。大企業の新規事業においてビジョンはどのように機能しているのでしょうか? 林田: N-Villageは、設立時に自分たちのビジョンを定義しました。「挑戦者を支援する」というものです。色々な新規事業案が出てきますが、その中でもどの新規事業をやるかという意思決定は、この「挑戦者を支援する」にちゃんと繋がってるかどうかが軸になります。 もちろん儲かりそうだ、という軸もありますが、まずはビジョンに引っかかってるかどうかが1つの判断基準です。 岩田: 「挑戦者を支援する」程度の粒度は丁度良いですよね。意思決定ができる粒度であるということは、良いビジョンであるための1つの要素だと思います。 林田:そうですね。大企業だと、分かりづらいミッションやビジョンがありがちなので。やっぱり機能や産業が多岐にわたるので、どうしてもそうならざるを得ないと思いますが、そうなると、なかなかそのビジョンに基づいて意思決定するのは難しくなりますよね。 岩田: ボトムアップで作ってしまうとみんなの意見が集約されてしまうので、結局、「確かになんでもやれる」というようなミッション・ビジョンに落ち着くことが多いですね。 僕も過去にグループ会社のブランディングのプロセスに関わったことがあって。企業が創設された当初から遡って、歴代の経営者がどういう想いで経営してきたかを見るべきかなと思っています。この意味では、創業者がいらっしゃる会社だと分かりやすいです。 林田: 抽象的にならざるを得ないところをいかに自分たちの部署に落としていくのか。「未来をつくる」だったら「自分たちの部署が描く未来って何だっけ?」みたいところを部署として考えていくことが重要です。 そのために、「自分たちが今まで提供してきた社会価値の本質ってなんだっけ?」と自らを再定義することが必要になります。ファクトとして存在する過去をもとに意思決定ができるビジョンを作っていくことが、KPIを設定できないというところに対しての枠組みとしてワークするのではないかと思います。 Q.「既存事業と被るのでやめてくれ」という声ってなかったですか?大企業で新規事業をやろうとするとぶつかりがちな壁の1つだと思います。 林田: ありますね。でも、何もしなかったら結局はスタートアップに食われるんですよ。だったら子会社に食われた方が全然マシです。だから、「スタートアップに食われるのと、子会社に食われるのだったらどっちが良いですか?」と問いますね。 定性の世界で絶対評価を下す Q. 事業の次は人材の評価ついてお伺いしたいです。お二人はイノベーションに挑戦する人材をどのように評価していくべきだとと考えていますか? 岩田: やはり人材評価であれば定量だけではなく定性も考慮するべきかと考えています。例えば、同じ部署に売上げが1000億円のサービスがあったとして、それと初期の100万円しか稼げないサービスを比較して評価してしまうと全然及ばないのは当然です。 定量的に測ってしまうと、通常の大企業のロジックではどうしても相対評価になってしまうので、定性の世界に持っていくことで絶対評価するとも言いかえられます。事業によってフェーズが異なるのは当たり前なので、そもそも小さな事業同士でも比較すべきではないのですが。 じゃあ定性の世界で何を見るかというと、それはプロセスの部分。特にどのような仮説検証プロセスを踏んできたのかで評価すると良いと思います。 林田: 完全にアグリーですね。大事なのは「仮説検証の量と質」です。そして、評価をする上司がそれを理解することが必要です。 多産多死の世界であることはもちろん知らないといけないですし、仮説検証をどうすれば効率的にうまく回せるのかということを上司が知らないと、その部下の仮説検証の評価をするのはなかなか難しい気がします。 現場=起業家、管理職=投資家の関係性 Q. そうなるとマネージャーに求められることが変わるのは明白です。イノベーションに挑戦する部下を持つマネージャーのあるべき姿とは? 岩田: 確立されたやり方に沿って、ベルトコンベアで何か物を大量生産する形式だとしたら、マネージャーは「何をすべきか」をきっちりと管理すべきだと思うんですよ。ただ、新たな価値を探索をしなきゃいけない部署であれば、そういった管理はできないはず、少なくとも、日本の大企業で行われてきた従来の「管理」という考え方ではない方が良いと思います。 林田: 先程もお話した通り、イノベーションは多産多死の世界。しかし従来の管理のマインドだと、部下が失敗しそうな状況を見ると助けたくなるため、やめておいたほうがいいと言ってしまう。そのため、必要な失敗でさえもさせてもらえない状況に陥ってしまう。 イノベーションの性質やプロセスを正しく学び、「指導者」としてというよりは、「一緒に並走する観察者」として、成功確率を高めるアドバイスができれば最高だなと思います。「善意で邪魔をするべきでない」ですね。 岩田: 最近こういうアナロジーがいいかなって感じるのは、投資家とスタートアップの関係ですね。マネージャーはスタートアップに投資している投資家で、実際に現場で動く人は、スタートアップ、というような関係性の方が上手くいくと思います。 ですので、イノベーション組織のマネージャーは、意思決定をしたり管理をしたりするのではなく、「自分が投資をしている」という感覚でいた方が良いと思います。自走できそうなら見守るし、フラフラしていたらメンタリングや足りない知識を補完してサポートしてあげるというのが理想的なのではないかと。実際のVCと同様ですね。 林田: となると、経験が必要ですよね。 自分の成功体験や失敗体験に基づいてアドバイスをしてあげることが必要です。机の上に色々な意見を乗せてあげる。でも、過去の経験が今回も活きるとは限りません。最終的に選ぶのはプレーヤーであり現場。これがベストですね。 解釈を捉え直す“攻めのリーガル” 岩田: あとは大企業ならではですが、バックオフィスの自由度とサポートは、成否を分けるポイントになるのではないかと思います。例えば既存のルールに縛られてしまうと活動スピードにも影響が出てしまう一方で、スタートアップでも同様かと思いますが、リーガルや知財等、現場の人だけで賄いきれない裏側の部分に社内のリソースを使えると強い。 チームは新しい仮説を検証したり、プロダクト開発をしたり、前向きな方向にパワーをかけなければならないので、後ろからのサポートは非常に助かります。 林田: 特に、リーガルのサポートは恩恵を感じることが多いですね。UberやAirbnbもそうですが、新しいものを作る時って法律的にもグレーゾーンを攻めることが多い。 しかし、今までの意思決定の基準で判断してしまうとどうしても守りに入ってしまいがちです。そこで僕らは、リーガルの中でもイノベーションに精通しているリーガルを置いて、「こう考えれば法律に触れないんじゃないか?」と解釈を作っていくようにしています。攻めのリーガルをチームに加えられると、イノベーションの実現可能性がグッと高まると思います。 若手は会社をうまく“使う”こと Q. 最後にマインドセットについて。特に大企業でイノベーションに挑戦している若手はどのようなマインドセットを持つべきでしょうか? 林田: 現場の人はうまく会社を使い倒すべきだと思います。 その為には会社がやりたい方向と自分のやりたい方向をうまく合わせることが大切ですね。この方向性が異なると、会社のアセットを生かせない上に、評価もされないので。 一方で会社に働きかけることも大切です。例えば、僕が野村ホールディングスにいた時、グループCEOとランチセッションのような形でインプット会をしていました。 そこで僕は、個人的に新しい技術とかすごい好きなので、「こういう技術が最近出てきてるんですよ」というインプットをして、会社としてこういう技術にも投資をしないといけないよねという方向性を作って、会社側をむしろこっち側に寄せてくる、といった逆の動きもやっていました。 自分が会社に合わせることと会社を自分に合わせることと、両方の動きが出来ると良いと思います。 […]

大企業xスタートアップのオープンイノベーションをガンガン実現するDelta航空【CES 2020】

大企業がスタートアップとコラボし、新しい価値を生み出す。これは、多くの企業が目標に取り組んでおり、シリコンバレーに拠点を構える日本企業の最も重要なゴールの一つともなっている。
その一方で、実際の成功例は驚くほどに少ない。そもそも、多くのスタートアップは大企業との取り組みに興味がない。むしろ、めんどくさいとすら思われている。これは日本でもアメリカでも、ほぼ同じような状況である。
スタートアップが大企業に持つイメージ

スピードが遅い
偉そう
プロセスがめんどくさい
社員がポンコツ
できない理由を並べる…

2020年に日本企業の経営スピードを上げる5つの方法

先日、我々のアドバイザーもしていただいている澤さんがVoicyにて日本企業と外資系企業での働き方の違いについてお話しされていた。(Voicy: 高いお給料をもらえる会社という考え方について。) GAFAなどの企業は給料が高いだけではなく、従業員の時間を尊重し自由に使える仕組みを提供する事で、より有意義な仕事環境を与えているという内容。旧態然とした仕組みで従業員を管理し、無駄に時間を奪って経営スピードを鈍らせている日本の大企業とはスピード感も全然違うとのこと。 シリコンバレーの企業の決断スピードは日本の100倍 実はこの分析は正しく、シリコンバレーの企業が世界的に凄いとされている理由の1つが、そのスピードの速さであろう。特にデジタルが主流になってきている現代では、これがかなり強力な武器となる。 日本企業が完璧なプロダクトを1つ出す間に、シリコンバレーの競合は20%の完成度のものを5つ出し、ヒットしたものだけを残し改善すると言われるほど、決断、実行、リリースのスピードが速い。 一説によると、日本企業とシリコンバレーの企業を比較すると、その決断スピードには100倍の差があると言う。これは、例えると時速3kmで進むカメと、時速300kmのF1カーぐらい異なるということだ。ある意味、全くカテゴリーが異なる。 参考: 日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事 Appleでの象徴的な出来事 Appleもスピードを重要視していることがわかるエピソードを紹介したい。2008年にプロダクトマネージャーの一人がミーティングにて、CEOのTim Cookに対して中国の工場での生産に大きな問題が発生している事を伝えた。するとCookは「それはまずい。誰か出向いてどうにかしなければ」と言った。 そのミーティングは継続し、30分ほどが経った時点でCookがその担当者に対し「あれ、なんで君はまだここにいるんだ?」と言うと、彼は急いでサンフランシスコ空港に直行し、服も着替えずにその足で中国行きの便に飛び乗ったという。 Amazonは平均で11.6秒に一回の頻度でデプロイしている Amazonでも、スピードに関しての意識はかなり高い。その一例として、彼らは実に平均で11.6秒に一回ソフトウェアの更新を行なっているというのだ。 もちろんこれは平日だけでのケースではあるが、常に最善の体験をユーザーに届けるため、そして競合に勝つために、新しい仕様リリースしまくっているということになる。 Googleがたどり着いたハイパフォーマンスチームに共通する5つのポイント その決断スピードが速い事で知られるGoogleは以前に業績の良いチームの共通点を探るべく、社内の180のチームに行ったリサーチプロジェクトを行った。その結果によると、個々のチームメンバーのスペックには全く共通点はなく、その仕組みやカルチャーが最も重要であるということがわかった。 その5つの共通点は下記の通り: 信頼性: 時間通りに結果を出せる信頼性が担保されている 透明性: ゴールとそれぞれの役割がクリアになっている 仕事の意義: 仕事の内容が個々のメンバーにとって意義のあるものになっている インパクト: 仕事の結果が社会に良い影響を与える 心理的安全性: 恐怖や不安を感じることなく自分の意見を伝えられる状態が担保されている 上記の中でも、5番目の心理的安全性が保たれていることが、業績を上げるために最も重要なポイントだとGoogleは定義している。この調査の結果、自分の意見を周りの反応を恐れることなく発言できる環境を作ることを最優先するべきだと分かった。 日本企業が経営スピードを上げるための5つの方法 では、こんな時代に日本企業はどうするべきなのか?おそらく、新しく何かを始めるよりも、既存の古臭い仕組みを打破することが必要になってくる。具体的には下記の5つが挙げられる: 1. メール文章の簡略化 日本の場合、ビジネスメールの書き方の基本として、「お世話になります。XXX社の〇〇です」から始め「よろしくおねがいします」でしめることがマナーとさている。そしてその内容もかなり丁寧に書かなければならない。 おそらくこのようなメールの書き方一つをとっても、日本全体でのGDPの1%ぐらいを浪費してしまっているのではないか。そもそも、そんなメール、モバイルのプレビューで見たら、全部「お世話になっております」しか表示されなく、可視性がかなり低くなってしまう。 アメリカでは、メールを書くときには短い方が良いとされる。というのも、読む人の時間を極力奪わないために、ごく単純にわかりやすく書く方が逆に良い印象を与えやすい。 GoodpatchのCEOの土屋くんがうちでインターンをしてた頃、家を借りるために大家に出したメールになかなか返信がない状態が続いた。その内容を見たら、とにかく丁寧すぎて、読む気にもならない。そこでアメリカ風のノリで書き換えたら一発で返信が来た例を紹介する。 元のメール内容: Whom it may concern, Hi my name is Naofumi Tsuchiya. I am visiting San Francisco from Japan. I have my family with me staying here. So, I need to have a room in a safer area. I need to find a room from June X to July X. I have found your room listing on Craigslist. It looks very interesting. I’d like to come to your place to take a look […]

2020年にヒットサービスを生み出す3つの秘訣

世界的にヒットしているサービスやブランドにはどのような共通点があるのだろうか?スペック重視の時代は随分前に終わりを告げ、プロダクトのサービス化が進んでいる。そのような状況に加え、シェアリングエコノミーやD2Cなど、ユーザーを取り巻く環境は急激に変化している。
世界に先駆けて、次のヒットを生み出すことにフォーカスを当てているシリコンバレーを始めとしたアメリカの企業は、2020年以降、どのような要素を含む商品やサービスがユーザーに喜ばれるかを日々研究している。
我々btraxも、日本企業向けにグローバル…

大企業におけるイノベーションラボのリアル −パナソニックとライオンの事例より−【DFI 2019】

大企業ならではのアントレプレナーシップの育て方、評価の視点がある 「共感」は、新規事業や新しい価値を生み出し広げていく際にもキーワードとなる スタートアップ的マインドセットと、大企業という大きな組織内でのバランス感覚が重要 btraxでは、毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス「DESIGN for Innovation」を開催し、今年で4年目を迎えた。本記事は、当日のセッションのうち、パナソニックの深田昌則氏とライオンの宇野大介氏をゲストスピーカーとしてお招きしたセッションを基にしている。 実際に社内でどのようにイノベーション組織を立ち上げプロダクト・サービス開発作りに取り組まれているのかお話を伺った。 お二人とも大企業の中で独自のイノベーション組織を構築し、日本の大企業のイノベーション構築の最前線で活躍されている注目すべき存在であり、この記事でもセッションの内容を抜粋して紹介したい。 関連記事:上司が若手を育むための5つのマインドセット【DFI 2019】 ゲストスピーカーのご紹介 深田 昌則 パナソニック株式会社 / アプライアンス社 Game Changer Catapult 代表 パナソニック株式会社にてAV機器のグローバル・マーケティング、オリンピックプロジェクト・リーダーを担当後、パナソニック・カナダにて市販部門ディレクターを担当。帰国後、2015年よりアプライアンス社にて海外マーケティング本部新規事業開発室長。2016年に新規事業開発アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」を創設し現職。2018年米系ベンチャーキャピタル、㈱INCJと合弁で事業開発支援会社㈱BeeEdgeを設立し取締役を兼務。神戸大学経営学研究科 2017年修了(MBA)。   宇野 大介 ライオン株式会社 / 研究開発本部 イノベーションラボ 所長 1990年ライオン株式会社入社。歯磨剤の開発、クリニカブランド ブランドマネージャー、オーラルケア製品の生産技術開発を担当。2018年より、イノベーションラボ所長。ライオンが掲げる「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」を目指し、新規事業の創出をミッションとする新組織を率いる。現在、未経験の領域に挑戦する試行錯誤、一喜一憂の日々を送る。   成果を生み出すためにどのような組織で活動に取り組んでいるか? 金子(btrax,Inc. モデレーター):両社とも大企業でありながら独自のイノベーション組織を構築して様々なプロトタイプを発表されており非常に進んでいる印象がありますが、どのような組織を構築して活動されているのか、また活動を推進していく上で心がけていることはありますか? 深田(以下敬称略):私が始めたのは、2016年に「Game Changer Catapult」という新規事業を生み出すプラットホーム活動です。企業内アクセラレーターとして新しい価値事業を生み出す、加速する実行型イノベーションアクセラレーターとしてこのような活動を始めました。 我々のミッションは「未来のカデンをつくる」。このカデンというのは、我々が従来行ってきた家電製品だけではなく、暮らしの様々な悩み事や困りごとを解決していくサービスやコンテンツ、体験作りも含めた事業です。これを実現するために、社内外の多くの方々との共創の場を作り、さらに新しい製造業の形の模索ということをやっております。 今まで3年間やってきた中で、本当に事業になりそうなものは実証実験を行い、同時に会社組織のようにして実際に2社立ち上げた実績もあります。まだ実証実験中のものだと、例えば先日おにぎりロボット「OniRobot」は、バンコクと渋谷で実証実験を行い、新橋では実際におにぎりのお店を開き検証を行いました。 社内起業家育成プログラム、新規事業開発プログラムと位置付けており、新しいアイデアをどんどん世の中に出していき、本当の事業に仕上げていくことをやりたいと思っています。しかし、これを実際に社内で事業化しようと思うと、なかなか社内のマネージメント層が決心できないケースが多い。 そこで、「株式会社BeeEdge」という合弁会社を外に作り、パナソニックがマイノリティー出資する仕組みにし、さらに、社長に元 DeNA の会長の春田さんをお迎えし、社外から攻めるというやり方をしています。また、利益を上げている事業部からお金を借りるのではなく、自分たちで VC にお金を出資して頂く仕組みを導入しました。 我々の活動は、20世紀型の仕組みから21世紀型の仕組みに変えていくことですね。業績評価や目標管理による成果というよりも、パッションやモチベーションによる成果作りにトライしていきたいと考えています。 宇野(以下敬称略):私は1990年にライオンに入社し、ほとんどのキャリアで歯磨き剤の開発をやってました。去年の1月に「イノベーションラボができて、それからその組織の立ち上げをやってきました。 会社全体も、次世代のヘルスケアのリーディングカンパニーという目標を立て、お客様の習慣をリデザインしていこうという想いでやっています。 その中の1つ、象徴的な部門としてこのイノベーションラボが生まれました。ビジョンは、変わり続けていくこと。驚きをお届けして笑顔の輪を広げていく。そのために次世代ヘルスケアのソリューションを作っていくこと。 この実現のために大切にしているのは、失敗を新たな学びを得る機会として尊重すること。そして、色んな人と繋がって成功していくことです。 実際に取り組んでいる例として口臭を測定するアプリを挙げます。ガイドに合わせて舌の写真を撮影すると、口臭のリスクを教えてくれる。このアプリを使ったサービスを展開してビジネスができないかと考え、色々なところと組んで実証実験をやっています。 もう1つは京セラとライオンでソニーのアクセラレーションプログラムを使って作った「Possi」です。子供の仕上げ磨きをする歯ブラシですが、骨伝導の技術を使って歯が磨いている時だけお子さんの脳内に音楽が流れる仕組みです。先々月までクラウドファンディングを行い目標額を達成しました。 また、新価値創造プログラムNOILという社内のビジネスコンテストを展開しています。こちらも今月ようやくファイナリストが決まり、来年から本格的な事業化に向けて検討していく予定です。 それ以外に、他社と共同で「point 0 marunouchi」というシェアオフィスを作っています。ただのシェアオフィスではなく、各社がソリューションを持ち込んで実証実験ができる場所にしていくことが目標です。 イノベーションに挑戦する人材をどのように育成しているか? 金子:人材育成の面について伺います。先ほど深田さんからパッションというお話がありましたが、若い人材をどう育成していくことについてお考えはありますか? 深田:起業家・アントレプレナーを育成できるのかという議論は常にありますが、素晴らしいアントレプレナーが社内にいるかといえば、現実問題難しいかもしれないですよね。しかしだからといって、社内の人たちが全員ダメかというとそうではない。実際にやってみたい人は沢山いるんですよね。やりたい人が自らそのパッションを持って集まってもらうことが大事かなと。 一般的な知性を持ち、やる気さえあれば、スタートアップのアントレプレナーは生まれてきます。そこを丁寧に掬っていきながらやる。 徐々にアントレプレナーシップを育てていく あとは、元々サラリーマンとして入った人たちなのでどうしてもいきなりアントレプレナー的な意識を求められるとメンタル的に辛い時もあります。そこは卒業生も含めた「カタパリスト」のようなネットワークを作って、成功例も失敗例も見せる形でやっています。 金子:他の企業の方から、若手でイノベーション活動に取り組んでいても現業があってなかなか他に集中できない、あるいは途中で燃え尽きてしまうという話を聞きますが、仕組みとして工夫されていることはありますか? 深田:本業の時間の25%をカタパルトの活動に充ててもいいというルールはありますが、そのような時間の考え方というよりも普段から新しい活動に参加する意識を持つことが大事です。 このようなイベントに集まることもそうですし、そこで得たものを社外に発信していけば、アントレプレナー的な気質が自らの中に生まれ、その中で気が合う人たちが集まって新しいことをする動きが必ず生まれてくると思います。そのタイミングで躊躇せずに、言い訳をせずにやることが大事だと思います。 金子:評価制度として工夫されている点はありますか? 深田:評価があるからやるとか、ないからやらないとか言っている時点でダメですね。25%の活動を評価してもいいのですが、どうしても評価されやすいチャレンジをしてしまう傾向があります。 そこで、日々の評価は減らして事業を続けるか続けないかの評価にすることで、目標管理では評価されないようなことにもチャレンジができる仕組みにしています。 何を評価するか、そして、評価軸の透明性をいかに担保するか 宇野:私たちの場合は専任組織ですので、100%イノベーションラボにつぎ込むことを前提にしています。評価は私がしていくことになりますが、メンバーには社内ベンチャーである以上メンバーの起業家たる能力を評価すると伝えています。 とりあえずどれだけ難しいことにチャレンジしたかを評価しようと。そして、それを知らせるためにアピールしていくことは一番大事だと伝えています。 このスタンスで皆が納得してるかどうか分からないし、それで適当な評価が付けられているのかも分からないですが、まずはこれでやってみて何かあったらすぐに直していこうと伝えています。 金子:新規事業の立ち上げ経験がない方々でもチャレンジできるようにするために、どのように育成をされていますか? 宇野:私から何かを伝えることはほぼありません。何かやりたいと言ってきたら「いいじゃん、やりなよ」と背中を押しています。自分たちの興味や好奇心、意欲に従ってもらうようにしています。 あとは、私が見つけたものを皆にシェアしています。また、一番勉強になるのは色々な企業の皆さんと一緒に仕事をしていくこと。これにより鍛えられている部分がとても大きいと思います。 社内や経営層に対してどのように活動をアピールしていくか? 金子:活動を続けていく上で一番苦労されている点は何ですか? 宇野:色々な人に活動を理解してもらうことです。私は面倒くさがり屋で説明するのが苦手ですが、それを常に行っているので大変です。 活動を理解してもらうための工夫として、ラボ専用のデニム地の制服を作りました。我々のラボはライオンの研究拠点の中にあって、周りは全員白衣なんですよ。 そんな環境の中に出来上がったイノベーションラボのメンバーが、「僕たちは何でもありなんだよ」「自由な発想こそが必要で、今までの働き方とは全然違うことやるんだ」という意識を浸透させるためにこの制服を作ることにしました。 活動の理解を得ることは大企業ならではの骨が折れる仕事 深田:大企業の中でイノベーションを起こしていくのは本当に大変な活動です。若い人が活動するために守らないといけない部分もあったり、逆に自ら守らないといけない局面もあったりします。 20世紀と21世紀の間くらい、大企業とスタートアップの間にいるので、両方の面を理解しつつ、一方で大企業の理屈には与しないというアイデンティティを持つことが大切。 過去に軸足を置いてしまうと絶対に前に進めないので、未来に軸足を置いてることを明確にしながら、それに対して躊躇しないというマインドセットを持つべきと思います。 金子:その中でも、マネージメント層向けにこういう点を一番アピールしている、こういうところを理解してもらうのが難しいというポイントはありますか? 深田:役員たちも本当は新しいことをやりたいと考えていると思います。ただ彼らのポジション上そればかりやっているわけにいかない。なので、彼らの状況を理解した上で代わりにやっていくという感じですかね。 宇野:「こういうことやりたかったよね?」という全体像を見せるようにしています。あとはそれほど進んでるわけではなくてもきちんと前進していることを見せています。マネジメント層に常に注目してもらえるようにしていくということです。 途中で事業として成立させていく上でより困難な要求をされることもありますが、そのハードルを如何に乗り越えていくかが重要です。 サービス開発においてデザインをどのように取り入れているか? 金子:今回のイベントではデザインという考え方にフォーカスしていますが、デザインをチームに取り入れていく上で何か意識している点はありますか? 深田:デザインという言葉は少し曖昧ですが、「意味のデザイン」というのはとても重要ですね。つまり、「あなたがここ(場所)でやること、これ(内容)をやることにどのような意味があるのですか?」という話です。 社会貢献や社会課題の解決、「自分がやらないと誰がやるんだ」というレベルで話ができるかどうか。「意味のイノベーション」を起こしていくことが我々パナソニックでカタパルトをやっている本当の意味です。 パナソニックの存在意義に対して、大企業で量販店で電化製品を売るだけという話ではないということに我々自身が気づいて行動できるかが大事です。 その実績を生み出すという意味では、デザイン思考は大切。デザイン思考は無いものを生み出す活動ですよね。実際に Vision 化し、モノとして形を作って、世の中に広めていくという発想ですので。意味のデザインを社内にどう浸透させていくかは大切ですね。 活動に意味と使命感、そしてパッションを持つ 宇野:ずっと大事にしていることはオーナーシップです。自分でこれをやりたいと強く思えている人だけが成功できると思います。やりたいという意志をしっかり持てる人であってほしいし、そんなテーマを見つけ出してほしいと思っています。 一番強いのは、「この人がこれだけ困っているからこの人を何とかしたい」という想いだと思います。ですので、それを見つけてもらう、そしてそれを解決するために自分がどうしていくのかが重要だと思います。 金子:「共感」というキーワードについてはいかがですか? 深田:新規事業、価値づくりには共感というキーワードがあって、世の中から共感を得るということがとても大事です。オープンイノベーションも全て共感ベースで広がっていきます。 実践してみて感じましたが、我々がやっていることが世の中に共感として広がっていくということが大事で、結果としてそれが利益や販売量に繋がっていきます。 共感がないビジネスはやはり大きくはならないですし、そもそも自分事としてやっていっても心が折れてしまう。共感されることで、応援してくれる人が増えたり、一緒にやりましょうという輪が広がります。それが最終的に社会課題の解決に繋がることがすごく大事だと思います。 大企業がイノベーションに取り組む意義とは? 金子:大企業の中で新規サービス開発にチャレンジするのは本当に難しいことだと思います。お二人はどのような点に意義を感じて大企業におけるイノベーション活動に携わられているのでしょうか? 深田:20世紀大企業に就職して定年まで安泰という時代はもう終わり、サラリーマンであっても自ら個人のブランドで個人で活動ができて、社外の人と繋がりながら新しいものを生み出す時代になったと思います。 これがこれからの仕事の働き方になりますし、そのためには新しいキャリア作りという意味でも「営業は営業」「技術は技術」ではなくて、新しい価値を生み出す活動ができる人にならないといけないと思います。 しかもそれをチームで実践していく必要がある。そのチームというのは必ずしも社内で閉じる必要はなく社外や色々な形が混じる方が良い、そういう思いでやっています。 […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

日本でイノベーションラボを成功させるために必要なこと【DFI 2019】

はじめに btraxでは、毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス「DESIGN for Innovation」を開催し、今年で4年目を迎えた。今回は、当日のセッションのうち、TEPCO Ventures CTOのTim Romero氏、frog General MannagerのIon Nedelcu氏、btrax Executive AdvisorのJensen Barnesを招いたセッションでは、btrax CEO Brandon Hillのモデレーションのもとお話を伺った。 セッションのテーマは、「日本とアメリカ・カリフォルニアのイノベーションラボにおけるトレンドとその未来」。普段から日本、米国において様々な企業のイノベーションの現場に携わっている4人のお話は大変興味深い内容であった。 今回は、日本でイノベーションラボを成功させるために秘訣や、成功を阻んでいる課題、組織内でいかにイノベーションラボを機能させるか、など、イノベーションラボに関して幅広く議論されたセッションのポイントをご紹介する。 ゲストスピーカー紹介 Jensen Barnes btrax, Executive Advisor デザイナー、技術者、起業家。現在はサンフランシスコのOff the Gridのソフトウエア主幹と同時に、btraxの顧問として活躍中。6年間の東京在住中には、エンジャパンのAIRのクリエイティブオフィサーと創始者として、また原宿のUltraSuperNewのクリエイティブデザイナーとして活躍。ノーザンアイオワ大学でデザインと音楽の学位、イェール大学でMFAを取得。     Tim Romero TEPCO Ventures, CTO 25年以上にわたって東京を拠点に活躍。様々な企業の日本市場への参入を指導。また、Disrupting Japanを創業し、ポッドキャストを発信していると同時に、ニューヨーク大学の東京キャンパスで企業イノベーションを指導。TEPCO VenturesのCTOとして活躍する一方、日本のスタートアップコミュニティへの投資家、創始者、メンターとしても活動。     Ion Nedelcu frog, General Manager アジア環太平洋、欧州、中東地域の多種のクライアントに対して、顧客体験やプロダクトデザイン、サービスデザインを20年以上にわたってサポートしてきた経験を持つ。         日本企業がイノベーションを生み出すために克服すべき課題とは? Brandon: 日本企業がイノベーション創出のために直面している課題は何でしょうか?課題克服のために何をするひ必要があるのでしょうか?そして、イノベーションラボがうまく機能しない背景には、どのような理由や原因があるのでしょうか? Jensen: 私は過去6年間日本に住み、いくつかの企業でイノベーションラボを立ち上げ、結果も出してきました。また、現に多くの日本企業が、イノベーション創出を進めていることも知っています。イノベーション創出を成功に導くには、正しい目標を設定し、その達成に向かって邁進することに尽きると思います。 関連記事: なぜ日本の大企業にイノベーションチームが必要なのか? イノベーションには、目標設定と測定方法が必須 Brandon: Timさんはいかがでしょうか? Tim: 私は、日本のスタートアップと海外のエネルギー分野のスタートアップと協力し、日本で新しいエネルギー関連ビジネスの創出に携わっています。経験からも言えることなのですが、大企業がイノベーションプログラムを設定するときに犯す最大の間違いは、特定の目標がはっきりしないまま進めてしまうことだと思います。 あとは、イノベーション自体が目標になってしまっていることが多いのではないかと。しかし、イノベーションは目標ではありません。イノベーションとは、設定した目標を達成するための、あくまでも手段であると捉えることが重要です。 Brandon: Ionさんはいかがでしょうか?今のお2人のお話から、イノベーションの目標設定に対して、どのように新しく革新的なアイデアを加えていくべきだとお考えですか? Ion: 私がGeneral Managerをしているfrogは、グローバル展開でビジネスデザインや戦略のコンサルティングを行います。ここ3年ほど電通とのパーティナーシップのもと、日本企業がより成長するために、経営や開発に関する支援も行っています。 私は、お2人がおっしゃったことに賛成です。イノベーションは魔法のようなものではありません。綿密な計画と正確な目標設定が必要です。また、目標と同時に、イノベーションが進んでいるかの測定方法がないと、イノベーションはまったく機能しません。 しかも、測定方法は、1日目、1年目などと短期的な投資収益率を見るのではなく、長期的なものでなくてはなりません。5年ほど先の投資収益率を見ることが必要です。イノベーションがビジネスにすぐにもたらされることを期待すると、すべて失敗に終わります。 関連記事: イノベーションの効果測定方法 イノベーションは一日にしてならず Brandon: 本日の別セッションで、イノベーションが成功したかを測定する方法として、自分たちが思いもしなかった新しい体験をユーザーから聞き出すこと、というのがありましたが、Jensenさんはどう思いますか? Jensen: TimさんとIonさんが指摘したように、目先の投資収益率を測定するのではなく、長い目で見ることはとても重要だと思います。イノベーションによるユーザーのライフスタイルの変化や影響を注意深く観察することが重要です。 イノベーション創出は、種を撒いてそのままにしておくのではなく、なんとか成長させてやるんだという気持ちで水を与えたり、肥料を与えたりしながら世話をしていくことです。種を植えたから勝手に成長していくと思ったらそこで失敗です。 Brandon: Timさん、TEPCO Venturesでは、KPIや目標は設定していますか? Tim: KPIは必要だと思います。目標を設定し、達成のための過程に対してもKPIを設定し、測定していくことが大切です。 Brandon: Ionさんにお尋ねします。イノベーションを効率良く創出するために、外部組織を利用することについてはどうお考えですか? 外部組織という新しい風を取り入れる Ion: 大企業は内部に多くのリソースを持っています。私たちはコンサルタントとして、リソースの提供や企業同士の連携など、あらゆるプロセスにおいてサポートができます。 イノベーション創出にかかる時間を短縮するために、外部組織を使う価値は充分にあると思います。外部組織は様々なアドバイスは与える一方で、責任は取らない、なんて話もよく聞きますが、それは大きな間違いです。 外部から入ってイノベーションについて語る人は、その組織内にない観点からのアイディアや経験を持っているケースが多くあります。また、組織内の既存の人間関係や階層をジャンプして意見をすることができるので、より革新的な議論を生み出す可能性があります。 イノベーションラボは社内に持つべきか、切り離すべきか? Brandon: Jensenさんに聞きます。イノベーションラボを本組織とは別の組織として持つことについてどうお考えですか? Jensen: 企業内であろうが、外部に切り離したユニットであろうが、すべてはコミュニケーションが上手くとれているかどうかにかかっています。優れたイノベーションラボはこも、コミュニケーションが上手く作動しています。 実際に携わっている人たち全員が、どんな目標に向かって、何を支持し合っているかが理解されていれば、どんな組織形態でも上手くいくと思っています。とはいえ、一番ここが難しいのですが。 Brandon: 私が外部にイノベーションラボを設置する方が良い思う最大の理由の1つは、それぞれの企業にあるルールから外れ、自由に動けることが必要だと思うからです。社内ルールだと実現できないような外部ツールを導入できたり、フレキシブルな対応が取りやすかったりするのではないかと思います。 関連記事: 今こそイノベーションラボ設立の時?大企業に学ぶ“失敗から学べる環境づくり”とは 本組織とイノベーションラボのコミュニケーションと共通理解が必須 Tim: 企業のイノベーションには2つの部分があると思います。まずは、創造する部分。この成功のためには、ルールを緩和し、様々な実験を自由に行えるビジネスユニットを設置することが有効な策です。 そしてもう1つの部分は、創造のフェーズで生まれたイノベーションを企業が採用し、社内で展開していく部分。企業のイノベーションを成功させるためには、どんな組織構成であれ、本組織との連携が上手く取れているかが重要です。独立したユニットを持つリスクは、多くの場合、その組織にビジネスとして展させる機能までを持ち合わせていないことですね。 Brandon: Ionさんにお聞きします。欧米では、独立的なイノベーションラボを成功させている例もありますが、米国や欧州ではこのような組織内の連携はどのようにしているのでしょうか? イノベーションラボにも経営発想は必須 Ion: はっきり言うと、イノベーションラボの90%近くが失敗、あるいは閉鎖されているというのが現状です。しかし、成功している企業では、物理的に本社から離れている場合でも、本社との親密なコミュニケーションが出来ているようです。そして、彼らは、イノベーションラボの担当にマネージメントができる優秀な人材を置いています。 イノベーションラボと言っても会社組織の一部ですので、経営という概念を持たないと続きません。経営ができてこそ、本社からの協力や信頼を得られるのだと思います。組織内の縦横の階層を上手くナビゲートする経営センスを持った人がイノベーションラボには必要不可欠です。 イノベーションを創出するチーム作りの重要性 […]

【2019年】3つの業界に見る米国イノベーション事例まとめ

5Gの拡大でAR/VRや自動運転など「技術」が注目されがちだが、サービスの価値は「ユーザーが抱えている問題を解決することで初めて創造される」ということを忘れてはいけない
2019年ユーザーに価値を与えたイノベーション事例をリテール、ヘルスケア、ペットケア分野に分けて紹介

今年も残すところあと僅か。2019年のアメリカは第5世代移動通信システム、「5G」がついに解禁され、VR/AR市場の拡大、自動運転の可能性など、今までは想像もできなかった技術革新がさらに加速した年でもあった。
例えば、Alpha…

世界最大のテクノロジーカンファレンスCES 2020の注目ポイント

2020年の年明け、米国ラスベガスにて1月7日から10日にかけてCES 2020が開催される (メディア向けカンファレンスは1月5日、6日)。CESは、世界最大規模のテクノロジーカンファレンスで、以前は家電中心だった内容が、ここ数年で急激に拡大し、モビリティー、ヘルスケア、エンタメなど、テクノロジーを活用する様々な業界が参加、出展している。 そんな世界が注目するCESに関しての見どころを説明。最後には関連イベントの紹介も。 年々規模も注目度もどんどん高まっている イベントとしての規模も桁外れで、メインのコンベンションセンターだけでも、東京ビッグサイト4つ分の広さ。それに加えて周辺のホテルの会場などを含めると11箇所で展示が行われる。予想される来場者数は18万人以上、4000を超える出展企業、7000以上のメディア関係者の参加が予定されている。ラスベガス市に対するその経済効果は実に300億円以上とも言われている。 このイベントの注目度は年を追うごとに高まっており、2018年のTOYOTA ePallet、2019年のLG Rollable TVなど、CESを目指して新規プロダクトコンセプトのリリースをしている企業もかなり多い。 関連: 主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント CES 2020で注目したい10の見どころまとめ では、btraxのCEOとして個人的に注目したい10のポイントをまとめてみた。 展示の半分くらいはモビリティーとMaaS系。革新的なサービスの誕生が期待される VR/AR/MR/XRの細分化が進む。実用的な新サービス情報もお披露目される AIとロボティックスからは、AI技術が具体的にどのように活用されるかがみられる ヘルステックだけでなく、心のケアまでおよぶウェルネステックにも注目 コンセプトに留まらない、5Gの活用事例に期待 日常生活により密着した、スマートホーム等のIoT系プロダクトには再注目 Appleが28年ぶりの参加!「What Do Consumers Want?」セッションに参加 数十年大きな変化なかった旅行体験を変革させるテクノロジーが登場 インクルーシブを目的としたセクシャル系プロダクト展示の解禁 徐々に下がりつつある日本企業の今年のプレゼンスにも注目 モビリティーとMaaS系 数年前までは家電がメインであったCES (元々はConsumer Electronic Showの略) も、今となっては展示内容の半分ぐらいはモビリティー関連になってきている。それくらいに、モビリティー業界は大きな変革の時期に来ており、自動車メーカーやサプライヤーををはじめとした各社が、最新テクノロジーをどのようにいち早く取り入れ、移動やロジスティックスなどのエリアにて、革新的なサービスを生み出しているかに注目が集まる。 関連セッション: BYTON Media Days News Conference ZF Media Days News Conference When Will Advanced Automotive Tech Pay Off? Bosch Media Days News Conference Continental Automotive Media Days News Conference Crawl, Walk, Run: Scaling Mobility Ecosystems Products for the Future of Mobility Ground or Aerial: Which Will Win Autonomy? Innovations in Last Mile Toyota Media Days News Conference Connecting the Dots for Mobility Solutions Faurecia Media Days News Conference Human Experience in the Future of Mobility Hyundai […]

澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI2019】

イノベーターとは要素の組み合わせができる人や、足し引き掛け算ができる人。イノベーターになる可能性は十分にある
芽を育てるマインドセットと前進がみられる失敗には評価する制度を
イノベーションできないことの言い訳をするのではなく、「当たり前を疑う」こと。お互いに不得意なことを補い合える人を見つける

「イノベーション」や「グローバルマインドセット」。口で言うことは簡単だが、依然として横並び意識が色濃い日本の企業で実行に移すハードルは高い。
なかなか躍動できない若手や、そんな若手たちをどう扱うべきかわか…

2020年知らないと恥ずかしい!?米国で注目のIoTサービス5選

IoTは人の生活に密着しているもの。2019年に話題となった注目されているIoTを知ることで人の価値観の変化を探れる PUMAのスマートスニーカー、PUMA Fi:快適・便利なデジタル靴紐 Oculus Quest、Oculus Go:VRはここまで身近なものになってきている CasperのThe Glow Light:良い睡眠のための光を提供 Flic:様々な操作をボタン1個でシンプルに NorthのFocals:おしゃれが当たり前のスマートグラス 2020年を迎えるにあたり、ぜひ最新IoT情報をアップデートしていただきたい。IoTは人の生活により密着しており、ライフスタイルや嗜好、価値観がどのように変わっているかを垣間見ることができる。 さらに、ここ、サンフランシスコ・シリコンバレーにはb8taやTarget Open Houseといった、最新IoTガジェットをキューレートしてショールーム的な展示や販売をしているお店があり、最新IoTと触れ合う機会が多い。 アーリーアダプターも多いので、IoTに限らず常に最新テック系サービスを生み出し、育てていくエコシステムがあるのだ。 関連記事:世界が憧れるサンフランシスコ・シリコンバレーの3つの魅力 そこで今回は、IoTやテック系サービスに関して日本より数年先を行くサンフランシスコ・シリコンバレーを中心に、2019年に話題となったIoTガジェットを紹介する。 PUMAのスマートスニーカー、PUMA Fi PUMA Fiはドイツの大手スポーツメーカー、PUMAが開発したスマートスニーカーだ。独自のFit Intelligence(Fi)技術を活かして、靴紐のない、『デジタル靴紐』なるものを生み出した。 下の動画を見ていただければわかる通り、コードのようなものはあるが、結ぶ必要のある靴紐はない。靴の甲の部分にあるセンサー部分を上下にスワイプすることで、『デジタル靴紐』のきつさを何段階かで調整できる。 また、スマートフォンやスマートウォッチからの調整も可能で、色々なシーンでの活用を想定したデザインになっている。例えば、旅行の際、飛行機に乗っている時は足の浮腫が気になった時、あるいはリラックスしたい時には靴紐は緩め、歩いて移動中の時は靴紐を絞める、といった調整が簡単にできるのだ。 実はPUMAは1986年にもコンピューターを搭載したスニーカーを開発していた。それ以来、テクノロジーを駆使したスマートスニーカーを追求してきた。今回のFit Intelligence技術は、よりスマートで、軽く、もっと一般に向けたものになっているという。 実際に、2019年4月から、応募によるベータ版の販売が地域限定でされており、すでに30,000人の登録があった。販売は2020年の春を予定しており、値段は330ドルとなっている。 こういったスマートスニーカーが出ると、映画バック・トゥー・ザ・フューチャーの世界が現実になっている!と騒がれる。このプロダクトは、映画が公開された1989年に、人々が想像していたということだ。 新しいトレンドの創出は人間の想像があってのことであり、この想像が現実となり、もう数万円でも手に入るような時代になっているということがPUMA Fiの例からもお分かりいただけるだろう。 VRゲームを格段に身近なものにしたOculus Quest、Oculus Go OculusはVRヘッドセットとそのソフトウェアの開発・販売を行うスタートアップだ。 2012年にカリフォルニア州アーバインで創業すると、ゲームコンソール用VRのメジャープレイヤーとして成長を続け、2014年には20億ドルでFacebookの傘下となった。 買収後3年ほどは売上増加に繋がらず、Oculus買収はFacebookの目の上のたんこぶか、とも思われたが、2019年、Oculusが起死回生の一打として貢献することとなる。 2019年第三四半期、Facebookの広告以外による売上が2億6900万ドル(約269億万円)に達し、前年比43%の増加となった。その主な要因がまさに、Oculus Questなのだという。 Oculus Questは、より気軽で、使いやすいVR体験を提供している。今までの本格的なVRゲームは、パソコンやケーブルの接続が必要だったが、Oculus Questはパソコンも、ケーブルも不要になった。しかも価格は399ドル〜。これは、今までのゲームコンソールと比べて大きく変わらないどころか、むしろその技術力の高さを考えると、リーズナブルなのではと思ってしまう。また、スターウォーズシリーズのゲームも人気の理由だ。 さらにQuestは2019年だけで、130万台売り上げるのではないかという予測も出ている。 また、Oculusはゲームだけでなく、映画や動画を楽しむためのVRヘッドセットも開発している。Oculus Goは、映画や動画などの視聴に特化した、より持ち運びがしやすいモデルだ。別のユーザーと同時に、バーチャルでVR視聴することもできるようになっている。価格は199ドル〜なので、VR初心者でも、より手を出しやすくなってきている。 2018年5月に発売してから販売出荷数が約100万を目前にしているという情報まである。 ちなみにOculusは、ソーシャルグッドのためのVR開発にも力を入れていて、車椅子の人がいろんなところに旅行できるようなVRや、アメリカの黒人に関する歴史についてよりリアリティを持って学べるようなVRコンテンツがある。Oculusの活躍の幅はゲームに留まらないようだ。 ところで、VRヘッドセットはIoTという認識はあまりされないのかもしれないが、インターネットに繋がっているもの(ゴークル)と考えれば含まれる、という解釈で追加した。2019年を通して注目のガジェットだったことは間違いない。 睡眠を考え抜いたCasperがデザインしたライト、The Glow Light CasperはマットレスのD2C(Direct-to-Consumer)ブランドのパイオニア的スタートアップだ。年に創業し、累計約3億3970万ドルの資金調達をしてきた。2019年にはユニコーン企業の仲間入りし、IPOも噂されている。 Casperは主力製品であるマットレス以外にも、枕、ベットフレーム、シーツなど商品ラインナップを拡大してきた。そして2019年に、The Glow Lightというポータブルスマートライトをローンチした。価格は129ドル。 The Glow Lightはベッドサイドテーブルなどにも置ける、小型のポータブルLEDライトだ。人の睡眠より快適にするための様々な特徴がある。まず、点灯・消灯はライトを上下にひっくり返すことで可能だ。ライトは眠い時でも簡単にひっくり返せるくらい軽いので、従来のボタンを押したり引いたりする動作よりも簡単だ。 また、リラックスして睡眠に入れるように、The Glow Lightの光は温かみのあるものになっている。光は徐々に弱くなり、眠りに誘ってくれる。 さらに、起床の時間を設定しておけば、その時間に優しい光によるアラーム機能も果たしてくれる。時間の設定は専用アプリからカスタマイズできるようになっており、就寝の時間も入れておけば、睡眠リズムに沿って光によるサポートをしてくれるのだ。 The Glow Lightのデザインも人の睡眠を徹底的に考え抜いたものになっている。どんなインテリアにも馴染むデザインでありながら、Casperの心地よさも感じるフォルム。子供でも持ち運べるサイズ感。 光の強さは、ライトを回して調整できるのがわかりやすく便利。夜中にちょっと起きて何かするときも、ライトを軽く振れば豆電球程度の光がつく。これは、ユーザー観察やプロトタイプを重ねて開発されたようだ。 Casperはただのマットレスブランドではなく、人の睡眠をデザインするブランドだ。また、D2Cビジネスの根幹には、ユーザーとより近い距離で、彼らのフィードバックを得られるというメリットがある。 ユーザー中心でプロダクトをつくってきたCasperだからこそマットレスという主力製品に留まることなく、ここまで考え抜かれたThe Glow Lightが生まれたのではないだろうか。 ボタン1個というデジタルデバイス、Flic Flicはスウェーデン、ストックホルム生まれのスタートアップ。2013年に創業した。累計調達金額は約110万ドル。従業員も100人にも満たない規模ではあるが、今までに20万個のFlicを110以上の国で販売してきた。スマートフォンアプリや家電用のスマートボタンというシンプルなデバイスなのに、ここまで拡大している。 FlicはBluetoothでスマートフォンと連動させて使う。Flicの専用アプリから、ワンクリック、ダブルクリック、長押しといったボタンを押す動作をトリガーに、どのアクションを起こすかのカスタマイズをする。例えば、かかってきた電話をとったり、音楽を再生したりと、設定次第で使い方の幅は様々だ。 Flicは複数個、いろんなところに設置するような使い方も想定されている。つまり部屋の中だけでなく、自転車や車のハンドルなど色々な場所にFlicをつけておけば、ボタンひとつでコントロールできるもの、シーンが増える。 現在は、スマートフォンのコントロールだけでなく、家にあるスマート家電などの操作もできるようになっている。スピーカーや照明、テレビなど、異なるメーカーのデバイスであっても、Flicをリモコンに、操作できるようになるのだ。 実は2019年のCES(Consumer Electronics Show)で、GoogleがスマートボタンによるGoogleアシスタントのデモがお披露目されていた。ボタンによるスマートライフの構想が徐々に拡大・浸透してきているのだ。 関連記事:主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント Flicにはワンクリック、ダブルクリック、長押しの3つの操作しかない。それをスマートフォンや、スマート家電と接続することで、シンプルでシームレスなスマート体験が生まれる。 ボタンが1つしかないと聞くと、不便さや不十分さを感じるかもしれないが、ユーザーがよく使う操作に絞ることで、リモコンより格段に便利に感じるのだろう。しかもFlicは色々なところに設置できる(設置しても気にならないデザイン)。 これは少し筆者の感覚の話になるが、Flicのボタンは、「今までのボタン」っぽい感じが残っている。押した時の「クリッ」という音と感覚は、どこか無限プチプチのような、「なくても問題はないが、なぜか押したくなる感じ」がある。このような定性的な要素も、昨今のIoTガジェット激戦の中で差別化を図るための特徴となってくれていることだろう。 おしゃれスマートグラス、NorthのFocals ウェアラブルデバイスとして、スマートグラスも開発が進められてきたが、そのほとんどが「技術的にはすごいけど、なんかダサい、サイボーグ感」がなかっただろうか。 NorthのFocalsは、スマートグラスのグラス(メガネ)の部分のデザインにこだわったウェアラブルデバイスである。ぱっと見た感じは、おしゃれなメガネという印象だ。Focalはホログラム技術により、スマートフォンと連動した通知や情報をメガネのガラス部分に映し出してくれる。メガネの度あり度なし、どちらでも可能だ。 Northは2012年にカナダで生まれたスタートアップ。2019年2月には150人の従業員を解雇したり、カナダ政府からの投資が中止となるなどのニュースがあったが、同年5月には4000万ドルの資金調達へと持ち直した。現在はAmazonやIntelからの資金調達を含め、累計額は1億1960万ドルとなっている。 Northのミッションの1つは、テクノロジーやデジタルコンテンツと現実世界の境目を無くすということだ。インターネットを使っていると、現実世界から遮断される。また逆も然り。このような状況に、なるべくグラデーションをもたらそうとしている。Focalはそのためのツールだ。 (ここサンフランシスコでもNorthのショールームトラックが来ていたので筆者も試してみた) 使い方も複雑なものではない。Northのスマートリングと専用アプリと連動させれば、細かい操作や設定も可能となる。スマートリングはコントローラーになり、アプリを開かなくても、レンズに表示された項目の選択が可能になる。 Google Mapのナビ機能、Uberの配車リクエスト、カレンダーやメッセージなどの通知、音声認識によってメッセージへの返信もできるようになっている。 もちろん、耐水性もあり、UV効果やサングラスに切り替えることもできるので、普段使いが前提にデザインされていると言える。 価格は599ドル〜(2019年12月現在生産がストップしている様子)。まだ身近で使っている人を見かけたことはないが(もしかすると普通のメガネっぽすぎて気づいていないだけかもしれない)、Apple Watchのメガネ版と言われているあたり、徐々に浸透してくることが期待されている。 まとめ:IoTを考え、人の価値観を考え、サービスを作ること IoTは私たちの生活に確実に入り込んできていて、IoTに人々の新しい価値観が詰まっている 『IoT』が2017年、2018年ごろ、多用されていたが、2019年は前ほど聞かなくなった。一方でApple Watchやスマートスピーカーなど、多くの商品が世に出て、使っている人も増えてきたと感じていないだろうか。 以下、Google Trendsを見ていただいてもわかる通り、IoTは2017-2018年あたりをピークに、2019年は減少傾向にある。一方で、Apple WatchはAppleの新製品発表会のたびに増加し、通年通しても徐々に増えてきていることがわかる。 つまり、IoTというより、Apple WatchやGoogle Homeといった、より具体的な製品としてIoTが生活に浸透してきていると考えられる。 IoTを考えることは人の価値観を考えること 多くのIoTガジェットは、エンドユーザーに直接接触するものであり、彼らの生活に密着している。スマートスピーカーなどは、声で指示を受けて家事をこなし、生活を豊かにしてきた。IoTは新たな価値観を作り出してきたものだ。それと同時に、注目されているIoTを知ることは、人の価値観がどう変わってきたかを知れるきっかけでもある。 そして、価値の創造や提供に欠かせないのが「体験」だ。今回紹介したブランドはどれもものに留まらないサービス・体験の提供をしている。 ただハイテクな靴を追い求めた訳ではない、ただ機能が優れたライトを作った訳ではない。そのベースに人を考えた考察があるから、人に深く刺さり、イノベーションの創造へと繋がっているのだ。 人を中心にサービスを考える、というのは頭でわかっていても、今まで培ってきた技術力や社内の組織的な課題、時に無意識的な価値観が邪魔して上手く実行できないことも多い。btraxではそのような目的を持ちつつも、自社だけでは解決しづらいという方々を多くサポートしてきた。 […]

【今さら聞けない】デザインがビジネスにこれほど重要な理由

経営におけるデザインの重要性が叫ばれるが具体的な成果があまり出ていない デザインがもたらす7つのメリットとは? なぜデザインがイノベーションに不可欠なのか? 企業内にデザインを浸透させるための7つのポイント グローバル規模でデザイン的競争力をあげるには デザイン思考やデザイン経営などのバズワードが巷にあふれ、オープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーションなどのカタカタキーワードが羅列される。そんな状況で実際に結果としてどのようなアウトプットが生み出されているのか?おそらく、日本国内で働いている人たちのその多くが、上記のようなトレンドとに関する取り組みに少なからず関わったことがあることだろう。 その一方で、デザインがプロダクトや企業経営に対して具体的な結果として効果を生み出した事例は、日本国内で見渡してみると驚くほどに少なく感じる。その一方で、グローバル規模で考えてみると、デザインのビジネスに対する利点は具体的な数字としてクリアになってきている、 参考: 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ そのギャップを少しでも埋められないかと思い、我々btraxでもfreshtraxのようなメディア、DESIGN for Innovationに代表されるイベント、そして、デザインサービスを通じて、日本企業の国際的デザイン競争力の向上に寄与できないかと試みている。 今回は、先日開催されたイベント、DESIGN for Innovationの総括として、最も基本的な事柄である、なぜデザインが企業の経営やビジネス全体に重要な役割を果たしているのかを今一度まとめてみることにした。 デザインがもたらす7つのメリット “良い”デザインが大切な理由を考える際に、そこからどのようなメリットを得るかがわかると理解しやすい。大きく分けると恐らく下記の7つに集約されるだろう。 1. ユーザビリティー向上 直接的な効果として、商品やソフトウェアなどの使いやすさが向上する。例えば、リモコン1つとってみても、ボタンの数が少ない方が使いやすい。デザインの質を上げれば、単純により使いやすいプロダクトになる。 参考: 優れたユーザビリティを実現する25の基本概念 2. 効率性の向上 ソフトウェアが使いにくいために、作業効率が下がってしまった経験はないだろうか?特に業務用システムの場合、どうしてもセキュリティーや安全性を優先することで、使いやすさが犠牲になってしまうことも多い。その一方で、シリコンバレーの企業を中心に、最近では、効率性を高めるデザインに注目が集まってきている。 日本でも働きかた改革などの影響で、労働時間を減らす傾向にある。その一方で、求められる結果は同じであることも多い。少ない時間で同じ結果を得るには、より効率化を進める必要が出てくる。そこで必要になってくるのが、より優れたデザインを採用したツールや環境だったり、プロセスだったりする。 参考: 【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは 3. 安全性の向上 デザインの品質が悪いと、時に人の命も奪う結果につながってしまう。2016年の夏にロサンゼルスの郊外の自宅の入り口付近で、27歳の俳優が死亡した。それも、自身が運転していた車に押しつぶされて。どうやら、彼は一度自動車を停め、自宅のゲートを開けようとしていたところだったと推測された。 なぜこんなことが起こったのか?調査によると、彼の2015モデルのジープはリコール対象になっていた。原因はそのシフトレバーのデザイン。パッと見では”P (パーキング) “に入れていることがわかりにくい事で、それまでにも100件ほどの事故が発生していたという。間違ったデザインが安全性を下げてしまった例である。 参考: UXピラミッド – UXデザインの正しい評価方法 – 4. 競争力の向上 現代において、多くの企業が脅威を感じるライバル的存在に共通しているものは何か?おそらく、そのデザイン性の高さだろう。例えば、テクノロジー業界で考えてみると、世界的にユーザー数の多いTop 7社 (Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft, Salesforce, Oracle) のすべての会社には専属のデザインチームが存在しており、ブランディングからプロダクトのユーザー体験までを横断的に管理している。そうすることで、より多くのユーザーを集め、最終的な企業競争力を高めている。 そうなってくると、デザイン性の高さそのものが企業にとっての武器となる。一昔前は、Appleのプロダクトを愛していたのは一部の強烈なファン層だけだったが、いつの間にかマジョリティーの消費者がiPhoneを利用するようになった。高いデザイン性を提供するプロダクトでないと利用されなくなってきている例だ。 参考: 【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか 5. 利益率の向上 優れたデザインやユーザー体験を施したプロダクトづくりができれば、多くのユーザーを獲得する事ができる。自ずと結果として、売り上げや利益の向上に繋がる。特に利益率については、Appleの製品が競合のものよりも割高であ事から考えてみても、高い利幅を獲得していることは想像に難くない。 実際のリサーチ統計を見てみても、デザインへの投資は具体的な数字として表れ始めている。 製品デザインへの投資が1%増えるごとに、売り上げと利益は平均して3-4%増加する。(ロンドン・ビジネススクール) デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっている。 (マッキンゼー) デザイン的アプローチを経営の戦略に積極的に取り入れている状況企業の株価の伸び率が、S&P 500全体平均と比べ10年間で228%高くなっている。(Design Value Index Results) 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 6. ウェルネス向上 デザインの意外な役割として、人々の心に対してのポジティブな効果もある。特に最近は、デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及で、人と接する時間よりも、デバイスと過ごす時間の方が多くってきており、精神的に疲れている人が増えている。それを癒すのもデザインの役割りだ。 シリコンバレーの企業の中には、「自分たちのサービスは、果たしてユーザーの人生にポジティブな影響を与えているのか?」と疑問を感じるところも出てきている。特にデザイナーたちからは、「お金儲けのために、ユーザーの人生を台無しにしてしまっていないか?」との意見もある。 特にUXデザイナーの間では、エシカル (倫理的な) デザインの概念が議論され、すでにプロダクトに採用しているケースもある。 そしてすでにAppleのScreen TimeやGoogleのFocus Modeなど、ユーザーのより良い人生 (ウェルビーイング) のためのデザインが進んでいる。 参考: デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは? 7. クオリティーオブライフ、クオリティーオブワークの向上 そして最終的に優れたデザインは、日々の生活の品質や仕事をしている時間の価値の向上にもつながる。住環境やオフィス環境のデザイン要素を改善することで、より充実した日常生活を送ることができる。昨今話題のWeWorkがそのデザインにこだわりまくっている理由も理解できるだろう。 最近我々btraxも、コミュニケーションがより促進されるデザインへとオフィスの一部をリニューアルした。   View this post on Instagram   参考: ブランド戦略 × オフィスデザイン ー 成功事例に見る企業ブランド構築手法 デザインとイノベーションとの関係 そして、今回の本題である昨今叫ばれているビジネスにおけるデザインの重要性であるが、その背景にはテクノロジーの進歩と、ユーザーの期待値の上昇があると考えられる。 時代が進むにつれ、テクノロジーが進化し、ムーアの定義で説明されているように、どんどん新しく優れたテクノロジーが普及する。それに伴い、ユーザーの日常生活にテクノロジーが入り込み、特別なことではなくなってくる。言い換えると、加速するテクノロジーのコモディティー化が急速に加速していく。 結果として、商品やサービスから提供されるユーザー体験に対する消費者のの期待値はどんどん高まる。企業側は、その期待値にどのように対応できるか = デザイン的な熟成が進むかが、向こう5年以内の勝負の分かれ目となってくると考えられる。 ユーザーが求める体験を提供できる企業は勝ち残り、そうでないところは衰退していくのは明白だ。そのためには、いち早く、企業内にデザインを”インストール”する必要が出てくる。 企業にデザインをインストールための7つのポイント では、実際に社内にデザイン的考え方を浸透させるためにはどのようにな方法があるだろうか?おそらく下記の7つが必要とされると思われる。 […]

カインズ/「暮らしの向上」の情報技術支援で財団設立

カインズは12月4日、情報技術の活用でくらしのさらなる向上を目指す一般財団法人を設立したと発表した。土屋裕雅代表取締役会長が11月1日、一般財団法人「カインズデジタルイノベーション財団」を設立したもの。 <カインズ> カ […]…

マサチューセッツ工科大学が提供する利用者の声に基づく新たな学生サービス

マサチューセッツ工科大学が提供する利用者の声に基づく新たな学生サービス。SAP Innovation Award2019に発表された、①利用者の声のもとづいた施設の維持、②最先端技術による便利な駐車場サービス、をご紹介します。…

グローバルにイノベーションを起こす人の7つの特徴

経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表したのが2018年のこと。経営にデザインを取り入れることで、組織のイノベーションの創出力を高めようとする試みだ。
実際、日本の多くの企業でも、デザインを取り入れる動きが見られるようになり、その効果も少しずつ現れ始めている。
関連記事:統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ
イノベーション、説明できますか?
では、そもそも「イノベーション」とは何だろうか?ふわっとした「なんとなく」のイメージに留まり、その定義ができていないのではないだろうか?
バ…

デザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれない?説

デザイン思考は基本的なマインドセットであり、イノベーション創出のための万能な方法論ではない デザイン思考を学んで終わりにしない。「当たり前」にし、そのあとの行動に移してやっと価値が出てくる デザイン思考に倣うだけでは心に響くプロダクトは生まれない イノベーションに必要な要素 = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション みんな頑張ってデザイン思考を会得しようとしている デザイン思考の重要性が一般的に浸透し、多くの企業が何らかの方法でその手法を社内に取り入れようとしている。有望な若手を1日のデザイン思考ワークショップに参加させたり、経営陣自らがデザインの重要性を学ぶためのセミナーを受けたりなど、それなりの活動を進めていることが多い。 やってみたけど結果が出ない? しかしここに来て、多くの企業の方々から聞こえてくるのは、「それなりにやってはみたものの、イマイチ結果につながっていない」と言う課題。そもそも、ここでの”結果”とは何を意味するのか? よくよく聞いてみるとそれは、「デザイン思考を活用した画期的な事業の創出」だと言う。おそらく彼らは、デザイン思考を取得すれば、今まで不可能だったようなアイディアや、ビジネスモデルが生まれると考えているのだろう。 実はそれは大きな間違いなのかもしれない。「ここがちゃうねんデザイン思考。5つの違いを理解してモヤモヤを解決」でも説明されている通り、そもそもデザイン思考は基本的なマインドセットであり、万能なメソッドではない。と言うことは、デザイン思考自体は、あくまでイノベーションを生み出すための”下地”であり、方法論ではない。 言い換えると、デザイン思考を学んだだけでは期待する結果を得るのは難しい。実際に活用しながら試行錯誤していく必要がある。我々が提供しているデザイン思考をベースとしたワークショップでも、数ヶ月にわたり実際にスタートアップサービスを作りながら、やっとヒットするサービスの糸口を掴みかけるような状態なのである。 グローバル的には多くの成功事例が生まれている その一方で、「統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ」を見てもわかる通り、デザインを経営に導入することのメリットがあるのは明白なのである。 具体的な経営的な数字でデザインの重要性が明確になればなるほど、世の中の多くの企業たちが、ビジネスにおけるデザインの重要性に着目し、自分たちも乗り遅れないように何らかの試作をしなければ、と考え始めるのは当然の流れだろう。 そもそも何がデザイン思考なのかがわかりにくい そんな世の中の流れもあり、最近の日本では、猫も杓子もデザイン思考を叫び、本屋さんには関連した本が平積みされている。コンビニでも思わず「デザイン思考ください」と言ってしまいそうになる。 その一方で、何がデザイン思考なのか?それはどのようなメリットがあるのか、に関しては明確かつ統一した理解がない。そもそも、その概念自体が広すぎて、人によって解釈が違うし、利用方法も違う。そして、デザイン思考という概念自体が本来そうあるべきである。 なぜなら、デザイン思考は厳密なプロセスやルールなのではなく、参考程度に活用するべき考え方であるから。なので、「デザイン思考とは?」と聞くこと自体が愚問である。 ↑ 数多く出版されているデザイン思考関連の書籍 実は一番困惑しているのは現場のデザイナー達 デザイン思考って何?と言う質問に一番困惑するのは、もしかしたらデザイナー達だろう。そもそも、自分たちが今まで情熱を持って、長い年月を費やしてやってきた事が1つのブームになり、デザインの”デ”の字もわからないお偉いさんが、知ったかぶりで「やっぱデザイン思考だよねー」って擦り寄ってきても、「は?」と思ってしまうこともある。 それだけデザインは奥が深く、一朝一夕で身につくものでもない。それを、昨今のトレンドにより、誰でも簡単に学ぶことができ、ビジネスに即効性があると思われると、かなりしんどい。そして、昨今の社内デザイナー達は、他のスタッフにデザイン思考を教えることに毎日奔走し始めている。そうなってくると、本来やりたかったデザインの仕事がなかなかできなくなり、モチベーション低下にも繋がりかねない。 また、経営の現場に単純にデザイナーを突っ込めば全てが解決するわけではない。なのに、成功している会社の多くはデザインを経営に活用している、と言う理由だけで、なぜかデザインは万能な魔法のような捉え方をしているケースも見受けられる。 社内にしっかりとデザインを浸透させたければ、まずはスタッフのマインドセット、次にカルチャー変革が求められる。 そもそも、デザイン思考を社内に浸透させたければ、デザイナーよりもファシリテーター的な役割の人が行う方がよっぽど効果が高い。我々、btraxでも、デザイン思考ワークショップを提供する際には、ファシリテーターがメインで進めていくようにしている。 ↑ ファシリテーターがリードするbtraxでのデザイン思考ワークショップの様子 スタートアップ業界ではすでに”母国語”化している ちなみに、サンフランシスコやシリコンバレーのスタートアップ界隈では、今更デザイン思考を学んだりはしない。自分を含め、ここに長く住んでいる人たちにとってみると、デザイン思考的な流れでサービスを作るのがあまりにも当たり前のやり方すぎて、いまさら体系立てて学ぶことはあまりしない。 サービスを考えるときに、特定のユーザーのニーズにフォーカスを当てるのは当たり前だし、短いスパンでプロトタイプを作成し、ユーザーテストをするのも当たり前。アイディア段階でカフェに行って横に座ってる人からフィードバックをもらいながら改善したい、よりふさわしいユーザーを紹介してもらったりするのも日常茶飯事である。 それはまるでデザイン思考がすでに我々にとっては”母国語”になっており、努力して会得するものでない感じなのだ。例えると、英語を学んでいる人は、その文法から発音までを論理的に身につけようとするが、生まれつき喋れる人は、逆にそんなややこしい部分は気にも止めない。 海で生まれた魚は、泳ぐことを一から学ばないのに似ている。「Fishes can swim」ではなく、「Fishes swim」となる。同様に、スティーブ・ジョブズが一からデザイン思考を学んだとは想像しづらい。 デザイン思考を会得してやっとスタートラインに立てるレベル ここで気付いた方もいるかもしれないが、「英語が喋れる = グローバル」ではない。それは単純に海外の人とのやりとりをしやすくなっただけであり、そのスキル自体はコミュニケーションの第一歩でしかない。これは、「デザイン思考 = イノベーション」ではないのに似ている。 イノベーションを生み出している企業がデザイン思考を活用してるのは間違いない。しかし、それはあくまで基本中の基本ができているだけであり、万能ではない。デザイン思考プラス何かがなければ、求める結果を得ることは非常に難しい。 デザイン思考は”思考”ではなく、”行動”であるべき これはその呼び方が大きな問題がるのかもしれないが、デザイン”思考”を通じて結果を出したければ、早い段階で、考えることよりも、行動に移す必要がある。下記のダイアグラムを見てもわかる通り、デザイン思考のプロセスにおいては、多くの箇所で行動が求められる。そして、それを短いサイクルとして、グルグル回す必要がある。ちなみに、デザイナーに求められる能力の1つが、短時間でどれだけ多くの量のアウトプットを出せるかである。 以前にアメリカで被験者を2つのグループに分け、一定時間内に陶芸を作る実験を行った。Aのグループには、「最も優れた作品を作ってください」と伝え、Bのグループには、「作品の質ではなく、使った粘土の量が多さで評価します」と伝えた。すると、Bグループの方が最終的には、より優れた作品を作った結果となった。トライアルアンドエラーを多く繰り返した方が良いものが出来上がりやすかった。 デザイン思考でも、どれだけの量の失敗を繰り返せるかが重要で、座学よりもアウトプット重視するべきである。 しかし、デザイン思考を”思考”のままで終わらせているケースが後を絶たない。優れたプロダクトを生み出したければ、頭で考えるより、まず行動。習うより慣れよ、が求められる。なのに、デザイン”思考”と名付けてしまったのが誤解を生み出す1つの原因になってると思われる。 ↑ 思考よりも行動が重視されるデザイン思考のプロセス 実際の現場はかなりカオス 実際のところ、デザイン思考を活用しても、その成功率は必ずしも高くは無い。しかし、プロダクトが生み出されるのに要するコストと時間が短縮されるので、長期的にみると良い結果につながる。 そして、議論よりも行動重視でプロダクト作りを進めている現場は、想像ができないぐらいに、はちゃめちゃであり、またそうあるべきである。プロセスの行ったり来たり、コンセプトの練り直し、ニーズの再認識は日常茶飯事で、チーム内のいざこざや、感情のぶつかり合い、仲間割れも珍しく無い。 それが本当に良いものを生み出すためのクリエイティブなプロセスなのであるが、和を大切にする日本の文化や、大企業のエリート経営陣にはなかなか理解のしづらい部分でもある。 会社がカオスな状況を許容してくれない限り、良いものは生まれづらい。 デザイン思考プロセスを丁寧になぞってできたプロダクトは面白味がない これはとても主観的な感想になるが、デザイン思考の教科書に従って、お勉強した内容を元に、そのプロセスを丁寧になぞって作り上げらたプロダクトは、妙に”のっぺり”としている。そして世の中にある他のサービスにかなり類似したものが出来上がる。何か一味足りない。スパイスが効いていない感じがする。 なぜか?多くの場合、作っている人たちが本当に作りたいものを作っていない場合があるから。教科書に書いてあるやり方をしっかりと踏まえ、間違えの無いように1つ1つしっかりと検証して作ったとしても、そこに強い情熱や想いが無ければ、なんかつまらない物が出来上がる。 作る側に強い愛情が無いと、ユーザーにとっても魅力的なプロダクトにはならない。ユーザー検証を通じて、”つじつまのあう”プロダクトは作れるかもしれないが、なぜか心に響かないものになりがち。単純にデザイン思考のプロセスを踏まえ、ユーザーが欲しいと言ったものを作ったところで、それは単なる御用聞きプロダクトになってしまいがちである。 参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い デザイン思考は音楽におけるカノン進行みたいなもの この感覚、何かに似ているなー?と思って考えてみた。そうそう、それはまるでカノン進行を活用したヒットソングっぽい。カノン進行とは、パフェルベルのカノンと言うクラシックの名曲に利用されているコード進行。それが、日本人の耳に妙に心地よく聞こえることから、そのコード進行をベースに作曲するとヒットソングを生み出しやすいと言うことで、多用されている。 ミュージシャンの間でも、「ヒットを生み出したければ、カノン進行を使えばなんとかなる」とされるが、同時にそれは禁断の果実でもあり、妙にどっかで聞いたことのあるJ-Popソングになりがちで、イマイチ面白味がない作品になってしまう。 うまくいかないケースに欠如しているのは何か? では、本題に戻って、なぜデザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれないのか?おそらく、ここで重要なのが、そこに強い情熱があるか無いか。企業の新規サービスを作る際には、もちろん最終的な売り上げが重要になってくるのだから、ヒットを狙って物づくりをする必要が出てくる。それにデザイン思考が用いられる。 その一方で、本能的にデザイン思考を取り入れているスタートアップの多くは、初めから売り上げを意識しない。むしろ特定のユーザーや社会、そして作っている人たち自身が強烈に感じている課題を解決するための手段として、プロダクト作りをする。そこには、他の人ではなかなか持つことのできないレベルのパッションがあり、それが大きな原動力となる。 強いパッションがあれば、物凄い勢いでニーズの深掘りを行い、素早く試作品を作り上げ、テストを繰り返す。そして、その結果に合わせて、どんどん改善やピボットを行う。それはまるでアーティストの自己表現にも通じるものがあり、ヒットソングを狙った理詰な作業とは異なる。 イノベーションに必要な要素とは デザイン思考だけではイノベーションが生み出されないとしたら、他にどんな要素が必要になってくるのだろうか?おそらく、それには、下記の要素が求められると思われる。 マインドセット: デザイン思考自体がそもそもプロセスというよりは、基本的に理解しておくべきマインドセットである。それぞれのメンバーが、ユーザー視点の考え方をしっかりと理解し、会社の利益の前に課題解決のためのマインドセットをしっかりと共有しておく必要がある。 カルチャー: 次に、チームや組織におけるカルチャー的要素。自由に発言しやすい心理的安全性と、失敗を許容する考え方。そして、机上の空論よりも、速いスピードでアウトプットを評価するカルチャーが求められる。 パッション: 最も重要な要素になってくるのが、プロダクトやサービスに対する情熱。自分たちが本当に解決したい課題に対してのソリューションの具現化としてのプロダクトであること。そして、そこに他の人たちよりも強い情熱を注ぐ必要がある。 アクション: そして、上記の3つの要素をしっかりとアクションに移すこと。アクションの部分が無ければ、全てがゼロになってしまう。どれだけ強い情熱を持っていても、検討の結果、見送ることにした場合、アウトプットはゼロである。 結論として、イノベーションを生み出すためには、下記の方程式が必要になってくるのでは無いかと思う。 イノベーション = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション デザイン思考を上手に活用している秘訣を学ぶイベント もちろん、実際にうまくいっているケースも多数ある。その1つを紹介するのが、11月5日に東京で開催されるDESIGN for Innovationでの下記のセッション。詳細は公式サイトにて紹介されている。 『デザイン思考を利用したグローバルイノベーション創出方法』 日本が世界に誇るモビリティー企業であるHONDA、YAMAHAの2社が急激に変化をしている市場にて、どのような方法で生き残り、成長を続けるのか。デザイン思考的アプローチや、社外のスタートアップとのコラボレーションなど、最先端の取り組みを紹介。 日本国外のユーザーの心を掴むプロダクトの秘訣とは。それぞれの企業にて、従来とは異なるアプローチからイノベーションに取り組んでいる2名が、どのようにこれからのユーザーに受け入れられるプロダクト作りをしていくのかを語る。 杉本 直樹氏 / CEO、 本田R&Dイノベーションズ / 執行役員 統括機能本部 オープンイノベーション戦略担当、 株式会社 本田技術研究所 長屋 明浩氏 / 執行役員デザイン本部長、ヤマハ発動機株式会社 […]

Wii企画担当者が語る「スペック重視社会がデザインをダメにする!」

ドラクエの新作スマホゲームがサービス開始  今年9月12日にサービスが開始された位置情報スマホゲーム「ドラゴンクエストウォーク」。位置情報を利用し、プレーヤーが実際に移動することでマップ上を移動。出現するモンスターと戦っ […]…

統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ

ここ数年で経営に対するデザインの重要性に注目が集まっている。デザインを経営に活用している企業の株価の伸びが平均値の2倍以上であったり、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているなど、その結果が具体的な数字に表れ始めている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザインと経営に関する最新のリサーチ結果 そんな中でも、デザイナー向けのプロトタイピングツールを提供するInVisionが、これまでにないレベルの世界規模でのデザインに関するリサーチを発表した。The New Design Frontierと名付けられたこのレポートでは、世界中のさまざまな規模の企業や団体をリサーチを実施した。 リサーチ対象の内訳は、大企業:71%、エージェンシー:25%、非営利団体:2%、行政:1%で、金融や教育、エンタメなどの異なる24の業界から2,200を超える団体。 70%の企業が積極的に経営に対してデザインを活用してる その結果、全体の2/3以上が、デザインを機能や見た目以外にも活用しているという事がわかった。全体の70%の企業が商品の開発や企業経営のプロセスにデザイン的考えを導入していると答えている。 デザインの浸透に関する主なアンケート結果: 商品開発プロセスに組み込まれている: 66% デザインリーダーが商品開発やエンジニアリーダーと連動している: 53% 従業員がデザインプロセスに参加している: 51% 重役がデザインプロセスに関わっている: 49% 従業員がユーザーや顧客リサーチに関わっている: 48% デザインが経営に与えるインパクトが理解できる統計 また下記の通り、デザインの経営に対する効果としては、効率、利益、ポジショニングなどに加え、3/4近くの企業がデザインを通じて顧客の満足度とユーザービリティが改善されたと答えている。(サンプル数:2,229団体) 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 組織内におけるデザイン熟成度と経営へのインパクトにおけるデザインレベルとその効果 このレポートでは、企業や組織がどれだけデザインを業務や経営に活かしているかによって、会社自体のデザインレベルを5段階に分けている。その結果、経営に対してデザインのポテンシャルを最大限に引き出しているLevel 5に入るのは、全体のわずか5%にとどまった。 全体の80%の企業が常にデザインを企業内の何かしらのプロセスに導入している中で、実に95%はまだまだデザインを活用する余地が残っている。 デザインの活用度合いレベルと全体での割合 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% Level 2 – 定期的にデザインワークショップを実施している: 21% Level 3 – 業務プロセスにデザインが導入されている: 21% Level 4 – 絶え間ない仮説検証が行われている: 12% Level 5 – デザインこそがビジネスの根幹になっている: 5% 組織が大きくなるほど経営戦略へのデザイン導入難易度が上がる 組織の規模が大きくなればなるほど、デザインを経営に浸透させる難易度が高まる。例えば、大企業と比較した場合、最高レベルであるLevel 5の比率は、中小企業で2倍、小規模企業で3倍ほどの開きが見られる。 多くの大企業は、組織構造やプロセスが複雑化しており、経営に対してのデザインの導入に時間がかかる結果となっている。 デザインチームの大きさと経営へのインパクトは必ずしも比例しない 上記のデザインレベルにて、高い数字を達成している = 経営へのインパクトが大きい企業におけるデザインチームが必ずしも大きいとは限らない。 重要なのは、組織内でどのような影響力を持ち、経営陣からのサポート受けているかであり、デザイナーの数や大きさだけではそのインパクトを測ることはできないと言う結果が出ている。 言い換えると、むやみに多くのデザイナーを採用したとしても、そこにしっかりとしたプロセスとカルチャーがない場合は、宝の持ち腐れになってしまう可能性もあるのだ。逆にたとえデザイナーの数が少なくても、経営に有効活用することが十分可能と言うことである。 デザイン経営に遅れを取るアジア諸国 企業に対するデザインの浸透度合いを地域ごとに見てみると、大きな違いは見られないが、主に北アメリカとヨーロッパが経営戦略にデザインを活用しているLevel 5の率が他の地域と比べ比較的高い。 その一方で、南米とアジア地域は、中間レベルのLevel 2, 3はそれなりの比率となっているが、Level 5はそれぞれ1%、 3%と低い数字となっている。 それぞれのデザインレベルのメリットと改善点 では、それぞれのデザインレベルごとに、ユーザーや企業にとってどのようなメリットがあるのか、そして、次のレベルに上がるにはどのような点が課題となっているかの詳細を紹介する。また、それぞれのレベルにおける平均デザイナー数の調査結果も掲載してみた。 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% デザインを活用することで、主にUIなどの画面やプロダクトの見た目の改善を行っている。一昔前は、デザインレベルが低い=デザイナーが足りない、といのが一般的な理由であった。 しかし、レベル1に属する組織のデザイナーの数は平均30人。これは最高レベルであるレベル5組織のそれの倍であり、デザイナーの数がデザインレベルに比例するわけではないことがわかる。 Level 1では、デザイナーの影響範囲はかなり狭く、主にスクリーン上などでの”見た目のデザイン”にとどまっているケースが多い。 平均的なデザイナー数: […]

注目のスポーツテック5選。デザイン中心から生まれるイノベーション

2020年東京オリンピックの開催まで1年を切った今、日本では多くの人が来年の夏を今か今かと待ち望んでいる。スポーツ好きにはもちろんのこと、自国でのオリンピック開催によって普段はあまりスポーツに興味のない人からの関心も集まることになるだろう。 前回の1964年東京オリンピックから50年以上経った現在、スポーツ業界で大幅に変わったことの1つとして、テクノロジーの発展・導入があげられるのではないだろうか。実際に、スポーツに特化してイノベーションを狙うスタートアップ、いわゆるスポーツテックも多く誕生してきている。 そこで今回は、 スポーツテックとは スポーツテックの市場規模 注目のスポーツテック5選 を紹介していく。スポーツテックに詳しい方も、まだ知らない人も、この記事でスポーツテック業界のおさらいと最新トレンドを掴んでいただきたい。 今更聞けない、スポーツテックとは スポーツテックとは、スポーツ(Sports)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、AIなどの新しいテクノロジーを用いてスポーツ業界に革新的な変化をもたらすサービス、商品、またスタートアップなどのカテゴリーを指す。文部科学省の外局であるスポーツ庁は、スポーツテックを「支える」「観る」「する」という3つの分類に分けており、それぞれ以下のような特徴があるという。 選手を「支える」ためのスポーツテックは、選手やチームのパフォーマンスの向上、怪我の防止に繋がるアプローチから、製品やサービスを開発している。 スポーツを「観る」ためのスポーツテックは、新たな観戦スタイル、観戦者の満足度の向上に繋がるアプローチから、製品やサービスを開発している。 スポーツを「する」ためのスポーツテックは、一般向けの新たなスポーツの楽しみ方の創造、新たなトレーニング方法などに繋がるアプローチから製品やサービスを開発している。 「する」ためのスポーツテックは、当ブログの『米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」』で既に紹介しているので参考にしていただきたい。今回の記事では、「支える」と「観る」を目的とした商品・サービスを提供している最新のスタートアップに注目する。 約3.5倍の成長が見込まれる世界のスポーツテック市場   Statistaから転載 上のグラフを見て分かる通り、日本国内のスポーツテック市場規模は、2019年から2024年にかけて毎年成長すると予想されている。 実際に、今年3月にはスポーツビジネス界のキーパーソンがスポーツテックを含めたスポーツビジネスについて議論する『SPORTS Tech & Biz Conference』というイベントが東京で行われた。さらに、スポーツ系スタートアップのためプログラム『SPORTS TECH TOKYO』は世界中のスタートアップを巻き込んで、日本の中からスポーツテック業界を盛り上げている。 ReportsnReportsから転載 さらに、世界における市場規模成長予想は、2018年から2024年で約3.5倍と予想されていて、スポーツテックは世界的にも注目を集めている。既に様々なスポーツテックのイベントが各地で行われる中、代表的なものでは『CES (Consumer Electronics Show)』『SPORTTechie』『SportsPro』などが挙げられる。 スポーツテック市場全体への期待と注目が集まる中、その中で、世界的に注目を集めるスポーツテックスタートアップを紹介する。 選手を「支える」ためのスポーツテック 1. FORM Swim Goggles: スマートディスプレイ搭載の水泳ゴーグル カナダ、バンクーバー発のスタートアップであるFORMは、ハイテク水泳ゴーグルを開発・販売している。FORMのゴーグルを使えば、水泳選手がタイムや泳いだ距離など様々な情報を水泳ゴーグルのディスプレイ(レンズ)上でリアルタイムに確認することができるのだ。 FORMの創設者であるDan Eisenhardtはもともと水泳選手だった。泳いでいる最中に自分のタイムを確認できないため、選手自身が正確に自己分析することが難しかったり、選手のタイムや情報の計測のためにコーチが余計な労力を使わなければいけなかったりという、自身の体験に基づく問題からFORMが誕生した。 FORM Swim Gogglesの本体。 Official Websiteから転載 FORMの水泳ゴーグルのディスプレイには距離、インターバルの時間、ストローク回数、消費カロリーなどが表示可能。Bluetoothでスマホとの連携も可能で、ディスプレイの表示をカスタマイズすることもできる。さらに計測された情報は、連携したデバイスに蓄積され、分析されるため、データに基づいた選手のパフォーマンス向上に活用することが可能になるのだ。 技術自体は真新しくなくても、徹底してユーザーのことを考える スマートディスプレイのアイデア自体は新しいわけではないが、あくまで選手やコーチをサポートするのに特化した製品であるという点に注目すべきである。水泳選手は、ゴーグルという普段から使っているツールを通して、より自然な形で自分のパフォーマンスを把握することができるようになる。コーチも計測や分析にかけていた負担を減らすことができる。 そのため、機械やテクノロジーではまだ難しい、長年の経験からのアドバイスやメンタル面のサポートなどの指導に徹することが可能になる。「支える」スポーツのお手本のような製品であると言えるだろう。 関連記事:お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い ゴーグルのディスプレイ上。Official Websiteから転載 2. FieldWiz: GPS搭載のパフォーマンス測定デバイス スイス発のスタートアップAdvanced Sport Instrumentsは、『FieldWiz』という、GPSを用いたスポーツ選手のパフォーマンス測定デバイスを提供している。 FieldWizが利用されるスポーツは主にサッカー、ラグビー、野球などの球技だ。測定できる項目は、選手の走行距離・速度、心拍数、身体の動きなどである。 FieldWizのデバイス本体。Official Websiteから転載 デバイス自体はたったの35グラムという超小型で、背中に装着するようになっている。計測後は専用のドッキングステーションに繋げることで簡単にデータをコンピューターに転送することができる。 GPSによるトラッキングシステムは、従来であればトッププロで莫大な資金がある限られたチームにのみ利用されていたが、テクノロジーの発展によって比較的ローコストでの生産が可能となったことにより、ローカルチームへの導入も現実味を帯びてきた。 データドリブンなコーチングを目指す FORM Swim Goggles同様、FieldWizもまた、コーチの指導を円滑に進めるためのサポート役を担っている。今までは人が長時間かけて行っていたデータ収集を、FieldWizによって行うことで、より正確で莫大な情報を瞬時にして計測、分析することができるようになる。 データをコンピューターに移行後の分析画面。Official Websiteから転載 また、今まではコーチの感覚に頼った指導がメインであったため、コーチの感情論によって必ずしも正しくない指導が行われたり、選手たちが抽象的な指導に腹落ちできなかったりということもあった。FieldWizによる計測データを基にした選手1人1人に対する指導は、コーチにとっても選手にとっても具体的で有益なものなのだ。 スポーツを「観る」ためのスポーツテック 1. IBM Watson: AIによって試合のハイライト自動生成が可能に IBMは言わずと知れた、コンピューター・インターネットテクノロジー関連のサービスを扱うアメリカ大手企業だ。様々な製品やサービスを手掛けるIBMが10年以上開発してきたのが『IBM Watson』である。 Watsonは本来、読み込んだ情報をもとに、人の考えが及ばない範囲の答えまで導き出せるという高性能AIによるシステムだ。IBMはこの技術を応用し、スポーツの試合のハイライト動画を即座に作ることを可能にした。 試合分析のイメージ。IBM Official YouTubeから転載。 例えば、従来、テニスの試合のハイライトは、動画編集者が手作業で1つずつ編集してきた。しかし、手作業の編集では時間も労力もかかるので、1日に何十試合も行われる大きな大会などでは全試合のハイライトを作るのは非常に非効率的であった。 IBM Watsonは、テニスの試合が終了した2分後にはハイライトを完成させることができるという。AIが試合中の観客の歓声、選手の動き、点数などの様々な要因を感知し、ベストなプレイを選出するという仕組みだ。 このシステムはテニス界最高峰のトーナメントであるウィンブルドンや全米オープンなどで既に実用化されている。ウィンブルドンで最大18コート以上同時に試合が行われる時ですら、試合後、すぐに世界中のテニスファンにハイライトを届けられるようになったのである。 AIによって要約された、質の良いコンテンツを即座に配信できるという強み 試合のまとめを見たい人、試合を見逃した人にとってハイライトは重要な情報だ。それが試合後、即時に配信されることには多くの需要があるだろう。 ハイライトのイメージ。IBM Official YouTubeから転載。 また、インターネットやSNSの普及により情報が即座に手に入るようになった。より良い情報を早く配信することが、オーディエンスのニーズを満たし、数あるコンテンツの中から効果を生み出す鍵となる。ゆえにIBM Watsonのようにハイライトを試合後にいち早く投稿することで、より多くのインプレッションやエンゲージメントを獲得することが期待できるのだ。 さらに、集められたデータは選手のパフォーマンス向上や怪我防止策にも活用されている。つまり、このシステムは「観る」スポーツテックであり、選手をサポートする「支える」スポーツテックでもあるということだ。 現在は主にテニスとゴルフの試合に使われているが、この技術は他のスポーツへの応用も可能と考えられるため、今後の広がりに注目だ。 2. Brizi: スポーツスタジアムに設置されているカメラを遠隔操作してグループ写真が撮影できるサービス カナダ、トロント発のスタートアップBriziは、スタジアムでのグループ写真で新たな体験を人々に与えるサービスを提供している。Briziは、スポーツスタジアムに設置されているカメラをモバイルデバイスを通して遠隔操作し、写真や動画を撮影することができるサービスだ。Canonとも提携して、開発に取り組んでいる。 今まではスマホカメラで自撮りをしたり、周りにいる人に頼んでグループ写真を撮ってもらうことが当たり前であったが、グループの人数が多いと自撮りで全員が入りきらなかったり、知らない人に写真を頼むことへの抵抗感あったりと、問題があった。 そんな中、スタジアムにある大きなスクリーンに映るような画角からの写真や動画を、誰でも簡単に撮ってSNSでシェアできるというサービスは画期的だ。 スタジアムに設置されているカメラ。 Brizi Official YouTubeから転載。 このサービスではどんなに大人数のグループであっても、スタジアムでの写真を思い通りに撮影することができる。カメラはスタジアム全てをカバーできる性能性を持ち合わせている上に、ユーザーは自分のスマホから拡大・縮小を調整しながら撮影が可能なのだ。 試合観戦に付随する体験をより豊かにする スポーツ観戦に行く目的は、ただ試合を観るだけには留まらない。試合観戦の写真や動画をSNSにアップすることで、その時の感動や楽しさを共有したり、自分の応援しているチームについて投稿することによって、友達との共通の話題を見つけたりすることにも大きな価値がある。 ユーザーによってシェアされたグループ写真。Official Websiteから転載。 また、試合中以外の時間の楽しみを作るという狙いがある。試合中は観戦に集中しているので退屈することは少ないが、試合の前や待ち時間にすることがなくなったという経験をしたことがある人も少なくないだろう。Briziがあれば、その退屈な時間を友達や家族との楽しい時間に変えることができ、会場でのファンの満足度をさらに向上させることができるのだ。 試合観戦という娯楽行事の中でも、ちょっとした退屈に目をつけることで、ユーザーのUX体験をより良いものに近づけることができる。 […]

日本発・完全栄養麺のベースフードがアメリカに進出!グローバル展開について【COOマイケル氏インタビュー】

健康をあたりまえにする   2016年に日本から始まったベースフードが、その思いをアメリカへと広げようとしている。 ベースフードは1食で1日に必要な栄養素の3分の1が全て取れるという、”完全栄養食”ヌードルとパンを開発、販売している日本のスタートアップだ。元DeNA出身のCEO橋下舜氏が、会社員時代に「忙しくでも栄養バランスを満たせる美味しい食事が欲しい」と言う実体験からベースフードが誕生した。 創業以来、Amazonの食品人気度ランキングでも1位を獲得し、すでに累計50万食以上売り上げてきた。さらに2019年5月にはシリーズAラウンドで、総額約4億円を調達するなど、超注目のフードテックスタートアップなのだ。 そんな彼らが、創業当初から視野に入れていたグローバル展開が、ここサンフランシスコ・シリコンバレーからついに始まる。オンラインをベースとした販売をするD2Cモデルを採用する彼らは、まずはウェブサイトからの販売がメインとなるようだ。 (パロアルトにあるラーメン凪にて関係者向けにプレオープンパーティーを開催。ベースフードとのコラボラーメン、The Base Veggie King Bowlは店頭で期間限定販売中) 今回は、ベースフードUSのCOOである、Michael Rosenzweig氏(以下マイケル氏)にアメリカ進出における戦略や思いをインタビューする機会をいただいた。なぜアメリカなのか、どのような展望をお持ちか、ローカライズした点などを聞いた。 マイケル・ロセンズワグ (Michael Rosenzweig) – COO of BASE FOOD U.S., Inc. 日本で6年間コンサルタントとして働いた後、University of Pennsylvania、Wharton校でMBAを取得。卒業後にベースフードCEOや社員と知り合い、BASE FOOD USに入社。日本に関係のあることや起業家精神のある環境を求めていたので、ベースフードとの出会いはパーフェクトマッチだったと言う。 決して夢物語ではない初海外となるアメリカ進出 ベースフードのアメリカ(グローバル)進出は、創業当時から代表の橋本氏が構想していたことだ。 最初の海外進出国をアメリカにした理由を伺うと、その市場規模の大きさや、健康について改善を求める消費者が多いことも理由の一つだという。 さらに、2019年2月に行われたイベントでは、橋本氏が、アメリカ市場においては追い風を期待することを言及していた。というのも、Soylentといった「完全栄養食」や、「D2C(Direct to Consumer)」に対する親和性の高さ、空前のラーメンブームなど、日本にはないニーズがすでに存在しているからだ。 イノベーションxフードのハブ、サンフランシスコから拡大を狙う また、アメリカの中でもサンフランシスコにオフィスを構えたのは、ここがイノベーションのハブスポットであるからだとマイケル氏はいう。まさに、「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションにしているベースフードには欠かせない要素がここ、サンフランシスコにありそうである。 サンフランシスコの食に関する考え方が多様であることもベースフードにとっては勝機となりそうだ。ここでは、動物性食材を一切食べないビーガンや完全菜食主義のベジタリアンに加え、フレキシタリアン(基本的には菜食主義だが、たまに肉や魚も食べる人のこと)と呼ばれる、普段はお肉・お魚を食べないけど、たまには食べるというスタンスの人も多い。 ビーガンの人はもちろん、フレキシタリアンたちは、実際の動物の肉を食べなくても肉を楽しめる代用肉など新しいものを積極的に探している人たちでもある。このような人たちにもベースフードは受け入れられるのでは、とマイケル氏はいう。 「ラーメンブーム」については、人は美味しくて、遊び心があって、楽しいと思える食べ物と触れ合う傾向があるとみる。例えばベースフードがコラボレーションしているラーメン凪にもそのようなカスタマーが多い。そしてベースフードもまた、美味しくて、楽しい食事体験を提供することを目指している。 そして、サンフランシスコには様々なスキルや知識を持った優秀な人材が多く、採用面でも有利な点があるとマイケル氏はいう。 アメリカにおいても「主食のイノベーション」を目指しているベースフード。まずはここカリフォルニアを中心とした認知、人気を狙い、ベースヌードルという麺の商品で勝負する意気込みだ。 美味しい、ヘルシー、手軽なベースフードを全ての人に アメリカではドリンクタイプの完全栄養食が広がりつつあるが、ベースフードはあくまでも食事(飲み物ではなく、食べるもの)であり、調理によってアレンジができるため、よりサステイナブルな方法で健康に貢献できるのだ。また、素材には自然のものを使っている。 また、一流のシェフからお墨付きをもらっているというのもベースフードの特徴だ。シェフに認められるくらい良いものをカスタマーに届けたいという想いがあるそう。 今回のアメリカ展開でも、日本で以前からパートナーとしてコラボをしているラーメン凪のパロアルト、サンタクララ店にて、プレローンチパーティやベースヌードルの期間限定販売をしている。 シェフによって品質を保ちながらも、D2Cの「ブランドがカスタマーと直接話せる」というメリットを活かし、フィードバックを商品開発に役立てていく方向性のようだ。 (Ramen Nagiは地元でも大人気。待つこと45分、筆者もパロアルトにあるラーメン凪にてThe Base Veggie King Bowlを実食。) あくまで全ての人に届けるという想いが商品に込められている 日本ではベースヌードルに加え、ベースブレッドという完全栄養食のパンも販売しているが、アメリカではまずベースヌードルの展開となる。 (左:ベースブレッド、中心:ベースヌードル。ベースフードのウェブサイトより転載 麺商品は創業当時からベースフードが開発をしてきた商品だ。アメリカでも麺は色々な食べ方で人気のある食べ物であり、麺好きの人たちも多く、ベースフードも受け入れてもらいやすいのではとマイケル氏は期待。 ゆえに、届けたいカスタマーは全ての人となる。日本のマーケットをみたときも、アスリートから、IT系のワーカー、料理好きの食通の人など様々だ。 (特にサンフランシスコ、ベイエリアではラーメンだけでなく、アジア系の麺料理やイタリアンパスタなどが点在し、受け入れられている) アメリカも同様で、全ての人に届けたい、美味しさと栄養は両立しないと考えている人に届けたいという思いから、カスタマーを絞ることで潜在的なターゲットを排除してしまうことがないようにしているようだ。 国が違っても、美味しい食べ物が好きであるという根本はどの国の人でも変わらないと考える。 グローバルメンバーで、ローカライズを目指す もちろん、日本での成果をそのままアメリカで再現できることもあろうが、考慮しなくてはいけない日米間の違いに関しては、ローカライズなしで成功はないとマイケル氏はいう。 言わずもがな、アメリカは市場規模も文化も日本とは大きく異なる。ベースフードUSのメンバーは、アメリカ出身であっても、全員日英バイリンガルで、日本に住んだ経験があることなどからも文化的違いを理解しているため、表面的な情報からだけではわからない背景や人の特徴、文化、トレンドを考慮してビジネス展開に取り組んでいく必要があると話す。 もちろん会社全体でみても、男女比もほぼ均等、グローバルな経験が豊富で、お互いの文化や違いをリスペクトする社内カルチャーがある。 さらに、日米オフィス間で密にコミュニケーションを図ることで、それぞれの知識・スキルを共有をする。これが会社全体の拡大にテコ入れしており、ベースフードがグローバルスタートアップとして成長していく重要な鍵を握っているようだ。 コミュニティーとカスタマーと一緒にベースフードを作っていく ベースフードはラーメン凪やハンバーガーレストランとコラボレーションしてきた。アメリカでもラーメン凪から始まり、今後も積極的にコラボレーションをしていきたいと、マイケル氏は述べる。 また、上記でも述べたとおり、D2Cモデルの利点を活かし、カスタマーから直接フィードバックをもらい、コミュニケーションし、もっとカスタマーについて理解を深めてプロダクト・サービスの質を高めていく予定だ。 最後にマイケル氏より、メッセージをいただいた。 「アメリカ進出を非常に楽しみにしていました。ベースフードは品質の高い、栄養バランスの取れた自信作ですので、ぜひお試しください」。 ※英語版インタビュー記事も近日公開予定! ユーザー中心のサービスは全世界へ広まるべき 代表である橋本氏の好奇心や健康への探究心から始まり、開発が進められたベースフード。この度、創業当時意識していたというグローバルへの挑戦が始まる。 最近では3ヶ月に1回は、カスタマーのフィードバックに基づく商品改善や新商品が出ているという超・ユーザー中心のサービスだ。世界に目を向け、直向きにカスタマーと向き合う。そんなスタイルが根付いている彼らなら、アメリカでの今後の活躍にも期待大である。 btraxも、このようにグローバルを視野に、サービス開発、ビジネス展開をしてきたいというみなさんの支援をしていきたい。デザイン思考をベースとしたマインドセットの研修や、サービスを生み出す・育てるためのワークショップ、さらにサービスを展開するためのマーケティングコンサルティングを行っている。疑問、ご興味をお持ちの方はぜひお問い合わせください。

SAP Select Tokyo – 元JSUG会長が語るSAPの変革は「実践」へ

2019年7月9日(火)に開催されたエグゼクティブ向けイベント「SAP Select」には、今年も多数の経営幹部の方々にご参集いただきました。2015年の第1回から毎年参加されてきた、元ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)会長の都築正行氏に、今回のイベントの印象や評価、今後に向けた課題などについて語っていただきました。…

【クレジットカード革命】Apple Cardから学ぶ革新的UXデザインのポイント

もしAppleがクレジットカードを作ったら? シンプル、クール、使いやすい。こんな形容詞が思い浮かぶAppleというブランドが、もしクレジットカードを作ったらどんなものになるだろうか? 今年の初めに発表されたAppleが提供するクレジットカード、Apple Cardが北米ユーザー向けに限定的提供を開始した。これにより、現在のところ、アメリカ在住の特定のユーザーがApple Cardを手にすることができる。*米国時間8月20日に他のアメリカの全ユーザー向けにリリース開始 選ばれたユーザーにはメールにて案内が届き、iPhoneのWalletアプリ内から申し込む。ラッキーなことに自分も選ばれたようなので、早速申し込み、使ってみた。 ↑ Appleから特定のユーザーだけに送られてくる招待メール これまでのクレジットカードの常識を覆す体験満載 では、Apple Cardは何が特別なのか? 実は、そのカード自体から利用体験、アプリとの連動性など、すべてのタッチポイントにおいて、デジタルな現代に最適な体験がデザインされている。 特に、これまでのクレジットカードは、銀行などの金融機関が発行しているものがほとんどで、顧客体験もその延長線上にあった。しかし、以前の「銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は?」を読んでも分かる通り、金融機関が提供する体験はお世辞にも良いものではない。 今回、その体験をAppleが思いっきりリ・デザインすることで、これまでの常識を覆すようなスムーズな利用体験をユーザーに提供している。そのいくつかのポイントを紹介する。 アプリ上から一瞬で申請、数秒後から利用可能 通常アメリカでクレジットカードを申請する際には、銀行の店舗やオンラインで必要事項を入力し送信する。その数週間後に審査結果が郵送され、承認された場合はカードが同封され、却下の際にはお詫びの手紙が添えられている。そのプロセスに要する時間は少なくても数週間。 これがApple Cardの場合、Walletアプリにクレジットカードを追加する要領でできてしまう。Appleから選ばれたユーザーは、Wallet内の➕アイコンをクリックすると、申請プロセスに進むことができる。 必要事項を記入し、その数秒後に承認か否かが表示され、承認された場合、Apple Pay経由で即座に利用可能となる。そして、物理的なカードは、その数日後に送られてくる。これにより、プロセスに要する時間の大幅短縮と、カードが届くまで待っている時間がなくなった。 ↑ カードの申請はWalletアプリ内から行う 番号が記載されていないチタン製のカード 自分の場合は、アプリで申請してから5日後にFedExにてカードが送られてきた。ちなみにカードの発送状況もアプリから確認ができる。 中心にAppleのロゴが刻印された真っ白なパッケージを開けると、中はインスタを思わせるカラフルなデザインが施されている。そしてその真ん中に真っ白なカードが同封されている。 驚くべきことに、このカードには通常のクレジットカードにはあまり見られない工夫がされている。まず、どこにもカード番号も有効期限も記載されていない。表面にAppleのロゴと所有者の名前、裏面には発行銀行のGoldman SachsのロゴとMasterCardのロゴだけだ。 これはカード番号が無いというわけではなく、実はアプリ内でカード番号と有効期限などの情報を確認することができるようになっている。オンラインショッピングなので番号が必要な際には、その方法で情報が獲得可能。 ↑ パッケージに同封されたカードには番号も有効期限も記載されていない 卓越した開封体験とソーシャルシェア性を提供 最初はなぜ番号が記載されていないのか?と思ったが、物理カードに番号を記載しないことで、落としてもセキュリティー的な部分での優位性が保たれるし、何よりもインスタなどのSNS経由で、ゲットしたことを友達に自慢しやすくなることに気づいた。 まさにAppleらしい逆転の発想とシンプルさの追求がされている。 また、カードの素材はチタンで、一般的なプラスチックのものよりもかなりの重厚感がある。ちなみに、CompareCards社のリサーチによると、アメリカ国内のクレジットカード利用者の38%が、素材でカードを選ぶと答えており、ミレニアルになるとその割合は53%にまでアップするという。 チタンのカードは消費者の所有欲を掻き立てる。加えて、容易に切ったりすることができないため、内蔵されているチップを切り取ることが難しく、セキュリティー向上の役割を果たしているとも言える。 開けてびっくりの演出と、手で持った時の満足感がしっかりと設計されている。ユーザーとカードとの最初の接点である、開封体験も総合的に上手にデザインされているのもさすがAppleと感じた。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン View this post on Instagram Quite happy so far. #applecard #applecreditcard A post shared by brandonkhill (@brandonkhill) on Aug 19, 2019 at 4:32pm PDT 革新的なアクティベーション方法 そして、Apple Cardの最も革新的な体験の1つが、そのアクティベーション方法だろう。通常の場合、新しいクレジットカードを利用する前に、カードに記載されている電話番号に電話するか、サイトに行って番号を入力する。 これは、手間がかかるだけでなく、セキュリティ的に甘い。なぜなら、本人ではない人がもしそのカードを受け取り、アクティベーションしたとしても、本人確認される事は稀であるから。 これがApple Cardの場合はどうなっているのか。驚くべきことに、カードを登録したWalletアプリが入っているiPhoneをパッケージの下の部分に当て、画面に表示されたボタンをたっぷするだけ。そのプロセスに要する時間はおよそ5秒。 それもパッケージがそれぞのユーザーのWalletアプリと紐づいているため、他のユーザーのiPhoneを当てた場合は、アクティベーションができないようになっている。 カード所有者本人のiPhoneを利用しない限りカードを使うことができないため、かなり安全な設計が施されている。そして何より、電話したりサイトにログインしたりせずに一瞬でアクティベーションできるのが最高だ。 ↑ ユーザーのiPhoneをパッケージ部分に当てるだけで一瞬でカードがアクティベートされる ユーザー体験のコアはWalletアプリとの連動性にあり そして、ここからがApple Cardが提供するユーザー体験が最も大きな価値を生み出している要因。Walletアプリとの連動性である。 もともとWalletアプリは、他のクレジットカードなどを登録することで、Apple Payを通じてキャッシュレス決済を可能にする役割としてiPhoneにインストールされている。しかし、自分を含め、アメリカでApple Payを使う機会は意外と少なく、Walletアプリもほとんど使ったことがなかった。Apple Cardに出会う前までは。 実際にApple Cardを店舗で使ってみる。そうするとその直後に利用履歴が自動的にWalletアプリに表示される。それも、金額だけではなく、利用した場所の写真とロケーション情報のマップも。 また、利用した商品のジャンルによってカードとグラフがカラフルに色分けされることで、どのような内容に利用しているのかが一目でわかるようになっている。また、それぞれの利用金額に対するキャッシュバックの額も表示される。 ちなみに、物理カードは1%、Apple Payを使うと2%、Uber、UberEats、およびAppleで買い物をすると3%のキャッシュバックとなっている。 このように、利用状況を即座に可視化することで、リアルタイム性と透明性を高め、ユーザーの安心感とセキュリティ向上を達成している。 ↑ 利用状況とそれぞれの詳細が一目でわかるWalletアプリ Less-is-moreを体現した”無い無い尽くし”が体験の質を高める 生前よりスティーブ・ジョブスもAppleのデザイン哲学の1つとして掲げている”Less-is-more (少ない方がより多くを得られる) “ は、このApple Cardにもしっかりと受け継がれているように感じる。 参考: Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 そこには、ミニマルなデザインの裏に、大きなメリットがいくつも隠されている。例えば、カード自体に番号が表示されていないのは、上記の理由に加え、もし番号が漏れた際の対策にもメリットを生み出す。 カードの番号はWalletアプリ内でいつでも変えることができるため、万が一番号を変えたいときは、アプリ経由でリクエストすれば良い。また、その際新しい番号が既存のカードにクラウド上で紐づけられるため、物理的なカードを取得し直す必要がない。 こうすることで、カード会社に電話をする手間、カード再発行の手間とコストを抑えることに成功しているのだろう。また、カードメンバー規約等もデジタル化されているため、通常であればカードに同封される分厚い書類が存在していないのも良い。 Apple Cardが改善した体験 カードの申請: Walletアプリ内から → 手間が減る 利用開始までの待ち時間: Walletアプリ内からすぐに利用 → 待ち時間無し […]

米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」

近年日本でもRIZAPのような期間集中型の肉体改造プログラムが注目を集めたり、ゴールドジムのようなフィットネスクラブが人気を呼んだりしているが、ここアメリカでもブティックジムや空中ヨガなどなど、新しいフィットネストレンドの入れ替わりは日本以上に目紛しい。 さらにサンフランシスコやシリコンバレー、ニューヨークといった大都市では、従来の健康関連サービスにテクノロジーを掛け合わせ、イノベーティブなヘルシーライフスタイルに貢献しようという動きが盛んになっている。 そこで今回は、健康 × テクノロジーの中でも、最近アメリカ市場を賑わせている「自宅エクササイズを可能にするスタートアップサービス」をご紹介したい。 関連記事:【医療テック×UX】スタートアップが変えた私達のヘルスケア体験 注目を集める「自宅エクササイズ × テクノロジー」分野 自宅用のエクササイズマシンが今、注目されている理由としては、エクササイズマシンがIoT商品へと姿を変えてきたということが挙げられる。それに伴い、AIを使った画期的な新機能なども加わり、業界に革新をもたらし始めたのだ。 IoTエクササイズマシンの市場規模は順調に成長しており、下の図からもその期待値の大きさを読み取ることが出来る。 Allied Market Researchの数値を元に図を作成 実に、2016年からの次の7年間で、市場成長率は5.7倍になると予想されている。2023年の市場規模は1.5兆円に到達する見込みだ。 昨年2018年には、ベンチャーキャピタリスト達が1年間で合計約2.4兆円もの額をフィットネス系のスタートアップに投資したことも明らかになり、過去最大のフィットネススタートアップブームが起こっているのだ。 自宅エクササイズスタートアップ3選 1. Peloton:登録者数既に50万人超え。フィットネス業界のネットフリックス 自宅用のエクササイズマシンといえば、フィットネスバイクが思い浮かぶ人も多いのではないだろうか。Pelotonは、フィットネスバイクやランニングマシン、そして登録型のレッスン動画ストリーミングサービスを展開しているスタートアップである。 2012年にニューヨークで設立された。その後も順調に資金を調達し続け、今年2019年には遂にIPOも果たす予定だ。 Pelotonのフィットネスバイクとランニングマシーンには、大型のHDウォータープルーフタッチスクリーン(バイクは22インチ、ランニングマシーンは32インチ)が付いている。ユーザーは、このスクリーン上で提供されるPelotonのエクササイズプラットフォームから好きな動画を選択し、エクササイズを行う。 関連記事:「フェムテック」現代女性の健康を支える海外注目スタートアップ事例 充実したエクササイズコンテンツと徹底した管理機能が強み Pelotonが提供するストリーミングのコンテンツはとても豊富かつクオリティが高いもので、自社で抱えるトレーナーにより、フィットネスバイクやランニングマシーン用のものだけではなく、ヨガや重量を使った筋力トレーニングまで用意されている。その豊富なコンテンツ量から、「フィットネス界のネットフリックス」と呼ばれているのだ。 生放送のクラスに参加することもできるし、オンデマンドクラスもある。ユーザーはエクササイズの種類からクラスを選べることはもちろん、好きな音楽のジャンルから選択も可能。 インストラクターがその音楽に合わせて、トレーニングを支持してくれる。時にはインストラクターからの熱いメッセージでエクササイズのモチベーションを上げてくれるのだ。 Pelotonのオフィシャルサイトから転載 またこのタッチスクリーンからPelotonのアプリ上でエクササイズの管理をすることなども可能だ。心拍計も搭載されており、シンクすることも出来る。専用のアプリを使うことあらゆるデバイスからの確認も可能。 Pelotonのエクササイズ管理アプリ。オフィシャルサイトから転載 決して低価格ではないが、人気を呼び、さらなる注目が集まる 値段としては、フィットネスバイクが約24万円、ランニングマシーンが約46万円、そしてストリーミングサービスが月額約4000円と、決して安い値段ではない。(ちなみにPelotonのマシンなしで、エクササイズ動画の会員登録のみなら約2,000円で可能である。) しかし、Pelotonは2012年の設立から現在まで、40万台以上のフィットネスバイクを売り上げ、ストリーミングサービスの登録者はなんと50万人以上を達成している。ランニングマシーンの発売は去年の12月に開始したばかりで、販売台数は公開されていないが、好調を見込めると言う声が多い。 というのも、ランニングマシーン販売の数ヶ月前に、FacebookやNetflixなどの有名テック企業に投資を行ってきたTVCファンドから600億円の資金を獲得し、去年の第2四半期で推定企業価値が4.3兆円に膨れ上がったからである。潤沢な資金力とTVCファンドが見込んだ企業戦略で、Pelotonがいずれ市場を席巻するであろうと期待されている。 実は分割払いという購入方法もあり、頭金ゼロの年利率0%で、月額約6000円から自宅で始められる。まだ日本市場には上陸していないが、自宅でのフィットネスバイクの本格的なトレーニングが次のフィットネストレンドとなる日はすぐそこかもしれない。 2. Mirror:自宅フィットネスの常識を覆す、デザインも優れた鏡によるエクササイズ Mirrorはその名の通りミラー(鏡)を使った自宅フィットネを提供するニューヨーク出身のスタートアップである。昨年のクリスマスに、アメリカの著名な歌手であるアリシア・キーズが、息子からMirrorをプレゼントして貰った動画がソーシャルメディアにアップされたことを皮切りに、売り上げと注目度を一気に加速させた。 鏡とディスプレイが1つになっているというメリット 今では人気タレントのエレン・デジェネレスや女優のアリソン・ウィリアムズのようなセレブにまで愛用されるようになったりと、インフルエンサーの獲得にも成功している。 Mirroの光沢のある52インチの鏡は、内部にモニターが格納されており、フィットネスクラスを受講できるプラットフォームが見られるようになっている。 つまり、Mirrorの鏡自体がディスプレイとなり、フィットネスクラス動画を見ながらエクササイズができるということだ。さらにディスプレイは鏡でもあるため、自分のフォームを確認しながら運動できる。 また、カメラも設置されているため、遠隔にいるインストラクターが個人のフォームを確認し、アドバイスしたりすることも可能だ。 副社長のカイリー・コムスがニューヨークのショールームで見せたデモ。New York Timesから転載 上記の写真からも鏡の機能とスクリーンの機能が上手く両立されているのがよく分かる。ジムでもインストラクターの動きをみて、向かいの鏡で自分のフォームをみて、ということがあると思うが、それを自宅でそのままできるといったサービスだ。 なお、専用のアプリから操作が可能なので、鏡に指紋等が付着する心配もない。 もはや自宅におきたくなるデザイン Mirror最大の特徴の1つに、自宅におくエクササイズマシンとして、家のインテリアを全く邪魔しないデザインであるという点もあげられる。もはや鏡であり、見た目、スペースのどちらをとっても今までのエクササイズマシンの常識を覆していると言える。 普通の姿見鏡としてもスタイリッシュで、自宅のどこに置いても景観をそこねるものではない。Mirrorのオフィシャルサイトから転載 壁に掛けられるようにもなっており、スペースを取ることもない。Mirrorのオフィシャルサイトから転載 Mirrorのこのスタイリッシュなデザインは、ホテル業界からも受け入れられているほどだ。超一流のホテルで名高いThe Markは、一泊800万円以上もする最上階のスイートルームにMirrorを設置した。そのデザインや機能性は、ラグジュアリー家具としても注目が集まりつつある。 とはいえ、昨年9月から市場販売を開始したばかりのMirror。価格は日本円にして約16万円と、決して気軽に購入できるわけではないが、着実に市場シェアを拡大させている。 数ヶ月前には350億円を上回る推定企業価値をつけられたこともあり、業界内の知名度も急上昇。今後も目が離せないスタートアップだ。 3. Pivot:人工知能でフォーム矯正。次世代フィットネス Pivotは元々B2B向けにジムマシンを販売していたSmartSpotから派生したスタートアップである。商品の正式な販売はまだ始まっていないが、AIを駆使してトレーニングのフォームまで指導してくれるフィットネスマシンの開発は注目を集め、既に多額の出資金を獲得している。 TechCrunchより転載。実際にSmartspotを使っている様子。腕の角度や膝の角度が表示されている。 3Dセンサーとビッグデータに基づいたパーソナライズトレーニング Pivotの特徴の1つとなっているのが、前身のSmartSpotから得た100万回以上のエクササイズデータだ。SmartSpotは上の写真のように、3Dセンサーを搭載したフィットネスモニターで、重量等を使ったフリートレーニングのフォームの確認と矯正するためのデータを提示してくれるものだった。 この情報をマシンラーニングで分析し、BtoC向けへ精密度を格段に向上させたものがPivotである。この膨大なデータと優れた3Dセンサー技術から、エクササイズ中の姿勢や腕の角度まで、あらゆる部分を徹底的に分析し、リアルタイムで補正してくれる。 そして、心拍数や身長・体重などの情報と共に、Pivotに搭載されたAIが一人一人に最適化されたトレーニングを割り出すのだ。 Pivotのオフィシャルサイトから転載。 さらに、実際のクラスにオンラインで参加することも可能になるので、フォームのずれはインストラクターにも通知が直接送られる。それをもとに、インストラクターからの指導も自宅で受けられるようになるのだ。 そして、筋力トレーニングだけではなく、上記の写真のように激しい有酸素運動のようなレッスンもコンテンツの中に含まれる予定である。 Pivot一台で筋力増強プログラムからエクササイズ、そしてヨガなどのフィットネスまでカバーできるのだ。 AIを搭載させたフィットネスマシンは瞬く間に投資家達の間でも人気を博した。その中でもPivotは、Y-Combinatorを含む投資ファンドから18.5億円もの資金(経営初期の投資期間であるシリーズA投資ラウンド)を、2019年7月に調達したばかりだ。これからのPivotの成長から目が離せない。 関連記事:ナイキ・パタゴニア等に学ぶ、セルフマネジメントを促す組織体制 まとめ 今回紹介した自宅エクササイズマシンのIoT化は、自宅エクササイズの限界やエクササイズマシンのあり方を、テクノロジーの力を用いてディスラプトしつつある、格好の例ではないだろうか。 今までのエクササイズ事情と言えば、アメリカの都市部を中心に、フィットネスジムなど会員制ジムに登録しても、多忙ゆえ定期的にジムやレッスンに通えないことから、続かない、結局退会するということがとどのつまりだった。 しかしながら、エクササイズマシンのIoT化はそれを解消しつつある。インターネットの普及により、衣食住にまつわるあらゆるサービスのアクセスも非常に便利になった今、健康でさえも便利に手に入ることが消費者の需要となっているのだ。 この記事で紹介したように、フィットネスマシンもインターネットに繋がり、どこでも簡単に、自分の空いた時間でサービスを消費することが出来る時代がすぐそこまでやって来ているのである。 さらに、不便さを解消しただけでなく、モチベーションを上げてくれるようなコンテンツ・エクササイズプラットフォームや邪魔をしないデザインなど、利用者のか感情や体験に対しても工夫を凝らしていることがわかる。 時代の流れに合わせたビジネスの展開をすることは容易ではないが、それが出来るものが生き残れる厳しい世界でもある。我々btraxは市場調査、マーケティング、海外進出などを通して日本企業がトレンドの波に乗り、さらなる成長を遂げるための飛び石の役割を務めることをミッションとして掲げている。詳しくは公式サイトの問い合わせページよりお問い合わせいただきたい。   参考: Peloton exercise bikes became a $4 billion fitness start-up Peloton, the connected fitness company, has filed to go public 8 Things You Should Know Before Buying A Peloton Bike Cycling Startup […]

15周年を迎えるbtraxについて知っておくべき15のこと

日頃よりbtraxのオウンドメディアであるfreshtraxをご愛読いただき誠にありがとうございます! 我々btraxは2019年8月9日をもって、創立15周年となりました!シリコンバレー・サンフランシスコという、多くのスタートアップやビジネスが苦戦を強いられている環境で、15年という間、ビジネスをやってこれたのはいうまでもなく、日頃よりご支援をいただいているみなさまのおかげでございます。 感謝申し上げると共に、これからも日本とアメリカというグローバルな舞台で、みなさまのイノベーション創出やグローバルへの進出サポートに尽力してまいります! さて、今回はこんな節目の時ですから、「15周年を迎えるbtraxについて知っておくべき15のこと」と題して、btraxのあんなことやこんなことについてご紹介いたします。 1. 創業当時のウェブサイトはこんな見た目 btraxの記念すべき最初のウェブサイトは2004年に公開されました。当時流行りのフルFlashのサイトです。UIはシンプルですが、スムーズなインタラクションを実現するために、その裏には複雑なプログラミングが書かれていました。 ぜひ現在のbtrax会社HPと比較してみてください。 2. btraxでの勤続年数がCEOの次に長い社員は、犬! 実はCEO ブランドンの愛犬、クーパーはbtrax創業時から社員(犬?)として参画しているメンバーです。エイプリルフールの時は、CEOに抜擢されたこともありました。 3. btrax東京オフィスは2013年に開設 btraxはアメリカ、サンフランシスコで創業した会社です。日本法人はそのあと、2013年にスタートしました。現在は青山にオフィスを構えております。 (東京オフィスには素敵なルーフトップも!) 4. btraxという会社名はCEOブランドンの音楽好きから 意外と知られていないbtraxという名前の由来。これは、ブランドンの音楽好きからきています。実際に彼は、デザインを勉強する前に音楽を勉強していたこともあるくらいです。 btraxのtraxは音楽のトラックから。bはレコードの「B面」に由来しています。A面がbtraxのクライアント、B面がそれを引き立てるbtraxを表しており、創立以来ずっとbtraxです!ロゴもレコードっぽくなっているのにお気づきいただけたでしょうか。 5. btrax卒業生の4名がスタートアップを始めている btraxは、決して大きい会社ではありません。なので社員全員が責任感と権限をもち、スタートアップ的スピード感を持ってビジネスを行っています。また、サンフランシスコ・シリコンバレーというお土地柄もあってか、btraxの元社員が、卒業後に起業するパターンも少なくないのです。 起業されたbtrax卒業生の方々には、過去、freshtraxでインタビューさせていただいたこともあります。これまでに少なくとも5名の元スタッフ/インターンが起業しています。今後もこんな”btraxマフィア”がどんどん増えていく予定です。 (右から現IN FOCUS CEO 井口忠正氏、ブランドン、現Goodpatch CEO 土屋尚史氏) 関連記事:デザイナーに必要なのはセンスか努力か – 井口忠正×Brandon 2人のデザイン会社CEOが語るデザイナーに必要な才能 関連記事: レールを外れた僕らは自分たちのレールをデザインした 関連記事:2人のインターン生が与えてくれた事 6. 100名以上の海外アントレプレナーたちをサンフランシスコへと誘致 btraxは2010年より、Japan NightやAsian Nightといったスタートアップピッチイベントを企画、開催してきました。その主たる目的は、海外のアントレプレナーたちを、ここサンフランシスコへ誘致し、よりグローバルを意識したスタートアップの成長を支援するためです。 さらに、2016年からは福岡市とパートナーシップを組み、起業家育成プログラムを実施。日本での研修に加え、サンフランシスコでも現地でデザイン思考やピッチなどに関する理解を深めていただき、グローバルアントレプレナーへの道を支援しています。 詳しくは事例紹介もご覧ください。 7. freshtraxは日米通算1,263の記事を公開 2009年から始まったbtraxのオウンドメディアfreshtrax。お陰様で、freshtraxを通してbtraxを知っていただくことも非常に多いです。これからもみなさんに愛読していただけるように、サンフランシスコ・シリコンバレーから新鮮かつユニークな情報を発信し続けます! btraxのTwitterやFacebookアカウントではfreshtraxの最新情報をいち早くお届けしております。 8. btraxがこの1年で使ったポストイットの枚数は約43,720枚 btraxが提供するイノベーション・ブースタープログラム(グローバルイノベーション創出を習得することを目的とした、デザイン思考に基づくワークショップ型プログラム)では、ブレインストーミングやアイディエーションといった、ポストイットを使ってアウトプットをだすシーンが多々あります。 気がつけば約43,720枚のアイデアを出していました! 9. btraxの会議室にはフォントの名前がついている サンフランシスコ本社はサンフランシスコ市内でもスタートアップが軒を連ねるSOMA(ソーマ)と呼ばれるエリアにあります。執務エリアに加えて、6つの会議室があるのですが、その全てにタイポグラフィーの名前がついています。 その理由は「btraxはデザイン会社だから」。タイポグラフィーはデザインにおけるもっとも重要な要素の1つであります。また、btraxは「全ての社員が皆、デザイナーである」というフィロソフィーを持っています。会議室の名前からも、そのことを思い起こさせてくれるのです。 10. btraxのハロウィンは毎年ガチ度が増している btraxには非常にクリエイティブなメンバーがいます。そのスキルは仕事だけでなく、社内イベントでも発揮されており、恒例行事であるハロウィンパーティではコスチューム大会が激戦になっています。 11. 毎週カルチャーリーダーへの表彰がある btraxでは毎週、会社のコア・バリューに貢献した社員を表彰しています。これはCEOや人事が選ぶといったものではなく、社員が社員を選びます。もちろん、社員からCEO、人事が選ばれることもあります。 (btraxのコアバリューである「Empowered by Creativity」「Take Ownership」「Communicate and Collaaborate」「Be Playful」の観点で選ばれ、社員同士、上のカルチャーカードを送り合う。) 12. btraxはビジネスの軸を3度大きく変えてきた btraxはもともと、ウェブデザインの会社として創業しました。そのあと、よりグローバルを意識した、マーケティングやブランディングを行うようになります。そして、現在、デザインはより広義なもの になり、UXデザインを中心としたビジネスへと転換しました。 現在は、シリコンバレーと東京のネットワークを活かし、グローバルを意識したイノベーション創出への貢献を強みとするデザイン会社へと成長してまいりました! 13. 2014年からイノベーション・ブースターサービスを開始 btraxの中核サービスである、イノベーション・ブースターサービスは、3日間から2ヶ月でグローバル・イノベーションの創出プロセスを習得することを目的としたサンフランシスコで行うワークショップ型プログラムです。参加者は累計200名以上。 現在も株式会社野村総合研究所(NRI)様やSOMPOホールディングス株式会社様など、多くの企業様から参加いただいています。 詳しくは過去事例もご覧ください。 14. 2018年からデザインスプリントサービスを開始 Google Venturesが、サービス開発の高速手法として発表したデザインスプリント。btraxでも、デザイン思考をベースとした、デザインスプリントサービスを提供しています。 1〜2週間という短時間でプロダクトアイデアの検証やプロトタイプ作成、リサーチ、課題整理、ソリューション決定、プロトタイプ構築、ユーザーテスト等を実施していきます。 関連記事:【デザインスプリント入門】話題の高速サービス開発法とは 15. そして15周年の年、CEOブランドンの抱負はbtraxのビジョンステートメントを一新 15周年という節目の年に、btraxのビジョンステートメントもアップデートいたします! ビジョン:“Provide inspiring experiences” – ワクワクする体験を提供する ミッション:“Inspire innovation through the power of design” – デザインの力でイノベーション創出に貢献する タグライン: “Design to Inspire” これからもbtraxをどうぞよろしくお願いいたします!! btraxのサービスを詳しく知りたい方、サービスにご興味をお持ちの方、お気軽にこちらまでお問い合わせください。 また、btraxでは現在、一緒にイノベーション創出を担ってくれる仲間も募集しております♪

お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
では、なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユー…

シリコンバレーでは教育が始まっている“STEAM人材“とは?

STEM人材という言葉を聞くようになって久しいが、ここ最近、STEAM人材の重要性が高まっていることをご存知だろうか。
STEM人材は、情報社会において必要とされる人材を指す。産業革命等の変革を繰り返してきた世界経済では、テクノロジーの発展がもたらす情報に価値が置かれるようになり、情報を司るスキルが必要だと言われてきた。
関連記事:プログラミングが学べるサンフランシスコのスクール7選
しかし、いざ情報時代が到来すると、次に注目されたのは、人間らしさとテクノロジーの関係性であり、STEAM人材だ。例え…

【図解】バリュープロポジションの定義とキャンバスの使い方を解説!

皆さんが販売・開発されているサービス・商品について、顧客がなぜ、購入するのか、しっかりと答えられますか?その理由について、顧客の視点にたち、深掘りできているでしょうか。
サービス開発をする上で欠かせないのが、あなたの提供する価値、バリュープロポジションです。バリュープロポジションが、顧客の本質的なニーズを捉えていると、彼らに深く刺さるサービスが生まれるということになります。
一方で、バリュープロポジションという言葉を知ったばかり、重要性は認識しているけど、使い方などもう少し理解を深めたいという方も多…

全社横ぐしの業務プロセスが見えるのはITだけ。IT部門がリーダーシップを発揮して、「2025年の崖」を飛び越えろ!

経済産業省が昨年発表した「DXレポート」では、多くの日本企業のITシステムが限界を迎える「2025年の崖」を乗り越えるために、デジタル変革(DX)への取り組みの優先順位上げと推進役としてのIT部門の重要性を提唱しています ...…

「日本式」ピッチあるある5つ:グローバルに通用するためのコツとは

イノベーションの支援をしているbtraxでは、日本企業のエースまたは起業家たちのスタートアップピッチ(主にスタートアップが投資家に向けて自分たちのビジネスアイデアを発表し、投資にこぎつけるためのプレゼンスタイルの売り込みを指す)を指導することが多々ある。
筆者もその指導者の一人であり、イノベーションブースターと言うプログラムを通じて、日本企業のエースたちにデザイン思考やリーンスタートアップの考え方を叩きこみ、短い時は2週間、長ければ8週間かけてスタートアップ風のビジネスプレゼン、ピッチを作らせ、指導…

Youはなぜ面倒な起業家なんかに?

とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。…

AIに負けない新しい価値を生み出すために必要なマインドセットとは?

どうやってイノベーションを起こせばいいのか?日頃そんなことをお考えになる経営者や幹部層の方は多いかもしれない。商品・サービスの開発において、イノベーティブな発想は企業の生命線にも成りうる。
グローバル化とAIの実用化が進む昨今、競合相手は日本国内だけとは限らず、世界レベルのイノベーションを起こすことが求められている。よって、クリエイティビティを生み出す仕組みは以前より一層必要性を増してきたのだ。
我々btraxは、こういった時代の変化に適応すべく、いち早く行動を起こしたい企業を後押しする役目を担って…

プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法

最近ニュースで、”なんとか・アズ・ア・サービス”という言葉を聞くことが多くなってきている。これは、もともと”サービス”ではない商品の提供の仕方を変えることで、サービス化した方でユーザーに提供するビジネスモデルの事を指す。
その根底には、稼働率の低い商品を購入するよりも、必要な時にだけ使うことで、コスパの高いライフスタイルを望むユーザーと、デジタル化が進んだことにより、新しい方法でのプロダクトの提供が可能になった時代背景がある。
それぞを別々に獲得するの…

これらの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだ

シェア、サブスク、オンデマンド。最近耳にすることの多いフレーズであるが、これまでは、全て「所有」が中心であった商品との、全く新しい接し方である。簡単にいうと、所有することなく必要な時にだけ「利用」するのが、ユーザーとプロダクトを繋げる新しい体験になってきている。
その背景にはインターネットとモバイルテクノロジーの発達があり、現代のインフラで育ったような世代にとっては、むしろ所有しない方が一般的にもなりつつある。
時代と共に変化するライフスタイル
例えば、これまでは頑張ってローンを組んで買うのが一般的…

数字で証明されたデザイン経営の重要性

ここ数年で日本でもデザイン思考やデザイン経営などの概念が浸透し、ビジネスにおけるデザインの重要性がなんとなく認知され始めている感じがする。
その一方で、実際にはどのくらいの効果が表れているかを可視化するのは意外と難しい。というのも、デザインの組織や経営に対しての効果をこれまでの財務資料等の仕組みで測るのには限界がある。加えて、目に見える結果が現れるにはそれなりの時間もかかる。
企業経営におけるデザインの重要性が具体的な結果として表れ始めた
そんな中、以前の「【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッ…

シリコンバレーの次はシリコンアレー!NYの特徴と注目の理由

アメリカのスタートアップメッカはシリコンバレーだけではない。アメリカ東海岸はニューヨークを中心に広がる、シリコンアレーエリアにも注目してほしい。そこにはシリコンバレーとは異なる特徴と独自の成長がある。
シリコンアレーとは
シリコンアレー(以下SA)は、ニューヨークのスタートアップが盛況なエリアを表すニックネームである。西海岸の北カリフォルニアを中心に広がるシリコンバレー(半導体の素材、シリコンと谷・盆地のバレー)に対して、東海岸ではシリコン「アレー(路地・小道)」でスタートアップやテクノロジーの広が…

【インスタ, ツイッター, エアビー等】サイドプロジェクトから生まれたプロダクトたち

今では誰もが知る有名なサービスであっても、本来作ろうとしていたものではなく、空いた時間に趣味の延長線上、いわゆる”課外活動”で生み出されたケースが意外と多いことがある。 特にスタートアップ企業などは、最初はなにをやるかがはっきり決まっていない事も多く、途中で方向転換 (ピボット) する事も珍しくない。その結果、当初予定していたプロダクトとは全く別のものが大ヒットを生み出した事例も多々存在する。 参考: 小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは メインよりヒット率の高い!? サイドプロジェクト そんな事もあり、シリコンバレーのアクセレレーターの代表的存在の、Y Combinatorでは、応募チームに対して、メインのプロダクトに加え、サイドプロジェクトの内容も聞くようにしている。実際にサイドプロジェクトが評価され、合格したスタートアップもあるという。 我々が日本企業向けに提供しているプログラムでも、メインの事業プランとは別に参加者の一人が”勝手に”作っていたサービスが注目を集め、新規事業に結びついたケースも存在する。 今回は、実際の事例を交えながらそのプロダクトが生み出された経緯や、なぜサイドプロジェクトの方が上手く行く可能性が高いかなどを説明する。今回紹介するサイドプロジェクトから生み出されたプロダクトは下記の通り。 Twitter Airbnb Instagram Slack GitHub Groupon Twitch WeWork Unsplash Fond Basecamp Lamborghini Miura 任天堂ゲームボーイ 元々はサイドプロジェクトから始まった著名サービス では、実際にどのようなサービスやプロダクトが課外活動から生み出されたのかを紹介する。 twitter 今では誰もが知っている存在になったtwitterは、ポッドキャスティング系のサービスを提供していたOdeoというスタートアップの社内スタッフ向けプラットフォームとして始まった。 Odeoの創立時に入社したJack Dorsey (現Twitter CEO) が社内ハッカソンで生み出したアイディアを、CEOであるEvan WilliamsとCo-FounderのBiz Stoneが気に入り正式にプロジェクトを進め、リリース。従業員同士のつぶやきを中心に利用され始めた。 記念すべき初のツイートは2006年3月21日にJack自身による”setting up a twttr.”というもの。その当時はtwttrと呼ばれてた。彼はその日の午後に”Inviting coworkers”とツイートし、従業員への利用を促した。 ↑ Jack Dorseyによる記念すべき初ツイート しかし、肝心のOdeoの人気が伸びない状況下でのサイドプロジェクトリリースに対し、当時のTechCrunchには下記 (和訳) のように書いている。 ”メインのプロダクトであるOdeoはデザインが良い事以外は魅力が全くない。それなのにそれを改善もせずに、サイドでtwttrなるサービスを作るなんて、この会社の株主はどう感じているのだろうか?” その後、2007年のSXSWでの紹介がきっかけでtwitterの人気に火が付き、最終的にはOdeoを捨て、twitterをメインのサービスにし、上場までたどり着いた。 参考:【インタビュー】Biz Stone – Twitter, Co-founder Airbnb 2007年、サンフランシスコのアパートに住む2人の若者が、スタートアップとして何をやってもうまくいかないので、家賃が払えない状態におちいっていた。Joeが、当時ルームメイトであったBrianに送った一通のメールがAirbnbを生み出すきっかけとなった。 その内容は、近いうちに大きな規模のデザインカンファレンスが市内で開催される。それを狙って、家賃を稼ぐためにそれに参加するデザイナーを安い値段で下宿させてあげたらどうだろうか、というもの。それもアパート内の空いているスペースにエアマットレスを置くだけというカジュアルさ。 結果、2名を一人$80づつで滞在させた。他のサービスを作りながら、家賃を捻出するための苦肉の索であったが、その際の体験がきっかけで、これをサービスにすることにしたのがAirbnbの原型。その後、SXSW向けにサービスをリリースするがユーザーはわずか2名、その一人はBrian自身であった。 そんな事もあり、数々の投資家に投資を断られ、収益もない中、大統領選挙に合わせた候補者のイラスト入りのシリアルを販売。そっちの方が売れてしまい、迷走が続く。 しかし、その後根気よくユーザーと対話をし、サイトとコンテンツの改善を続け、現在では世界トップレベルのユニコーン企業までに成長した。 参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは Instagram インスタは元々Burbn (バーボン) というHTML5をベースにしたチェックイン型ソーシャルアプリとしてリリースされた。その当時はチェックインアプリとしてFour squareが人気を集めており、人気を集めるのに苦戦をしていた。 同社のファウンダーでもあり、元Odeoでインターンをした事もあるKevin Systromは、ユーザーのアプリの利用方法に1つの特殊な点があることに気がついた。それは、チェックインアプリにも関わらず、チェックインもせずに写真だけアップしているユーザーが多いということ。 それも、どうやら写真をアップする際のフィルターに人気の秘密があると突き止め、勇気を持ってBurbnを終了させ、Instagramとして作り変えた。当時は写真を保管するアプリとソーシャルアプリは多く存在していたが、その2つを上手に掛け合わせ、それもユーザーがフィルターを選んでいる最中にアップを行うことで、スムーズな利用体験を提供した。 それにより、多くのユーザーからの支持を集め、最終的にスタッフがまだ12人、収益がほとんど上がっていない状態にも関わらず、Facebookによって$10億ドルで買収されることとなった。 ちなみに、その当時のInstagramが入っていたオフィスは、元twitterのオフィス。そこに引っ越す前、はDogpatch labsというサンフランシスコ湾に面したコワーキングスペースだった。このコワーキングスペースに当時のbtraxインターンである土屋尚史と一緒に訪問したことがきっかけとなり、彼はのちにGoodpatchを創業した。 参考:「サンフランシスコへの出発が1日おくれていたら、Goodpatchはなかった。」【インタビュー】Goodpatch Inc. CEO 土屋尚史氏 ↑ 初期の頃のInstagramチーム Slack 写真共有サービスのFlickrのファウンダーでもあるStewart Butterfieldが、その後オンラインゲームのスタートアップを立ち上げた。数年たっても45人程度のユーザーにしか利用してもらえず、失敗。しかし、その当時社内のチーム向けに自社開発したコミュニケーションツールを正式プロダクトとしてリリースしたのが、現在のSlackにつながる。 2013年8月に招待制プレビュー版をリリースし、初日だけで8,000の招待リクエストを獲得。2週間でその数は15,000まで膨れ上がった。その後、プレビュー版に登録したユーザーを順次サービスに招待し、行動を観察してサービスを改善した。それを何度も繰り返すことで、多くのユーザーに愛されるプロダクトに成長した。 参考: Slack成長物語 〜世界のユーザーに愛されるプロダクト舞台裏〜 GitHub エンジニア向けソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubも、元々はサイドプロジェクトとしてスタートした。ファウンダーであるChris WanstrathとPJ Hyettはその当時、テクノロジー系プロダクトのレビューサイト、CNET向けのページ作成をメインの仕事としていた。 その際、オープンソースのコードアップデートのしにくさに大きな不便を感じ、仕事の後や週末を利用して自分たちの使いやすいリポジトリを開発。のちに一般公開することで、GitHubが生まれた。 その後GitHubはエンジニアを中心に人気を集め、2017年の6月にMicrosoftによって20億ドルで買収されることとなった。 参考: CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」 Groupon ファウンダーのAndrew Masonが、携帯電話の通話プランの解約に手こずっていた事をヒントに、同じ目的のユーザーを集め、目標達成のために一緒に活動を行うためのソーシャルプラットフォーム, “The Point”を立ち上げた。 複数のユーザーが集まれば一人ではできないことが達成できるのではないかというのがコンセプトであったが、とあるユーザーグループが、集団で商品のバルク購入をすることで割引を受ける活動をしているのに気づく。 そこから、共同購入クーポンサイトを作り、地元のシカゴを中心にリリース。2008年のリーマンショックの影響で、多くの消費者が節約傾向にあったタイミングも手伝い、大きな成功を成し遂げた。 Twitch ゲーム実況プラットフォームのTwitchは、元々Justin.tvというスタートアップのサイドプロジェクトとして始まった。Justin.tvは、ユーザー同士がストリーミング動画をアップするプラットフォームで、YouTubeとUstreamを掛け合わせたようなサービスであった。 当時はWebで動画を見ることがまだまだ一般的ではなかったため、配信側のユーザーがなかなか集まらなかった。そこで、ファウンダーのJustin自身が私生活の様子や、体を張った突撃取材動画を流したりしていた。 そんな中で、オンラインゲーム好きのJustin.tvのスタッフは課外活動として、週末にオフィスでスタートアップ対抗World of Warcraftを定期的に開催していた。そして、その様子をストリーム中継したところ一気にアクセスが集まり、それをヒントにユーザーがゲーム中継をストリームすることに特化したTwitchを考案した。 […]

保険業界の常識を変える最新インシュアテックスタートアップ3選

生命保険や自動車保険など、保険は我々にとってとても身近なものであると同時に、検討から実際に使うまでのプロセスは複雑で、頭を抱えさせるものでもある。
保険はお金がかかるものだからこそ慎重に選びたいが、複雑であり、選んだ後もプランや支払いについて理解しきれず、損をした気分になる読者の方も多いのではないだろうか。
そんな悩みを解決するのが、インシュアテックのスタートアップだ。インシュアテックとはInsurance(保険)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、現在テクノロジーを活用した保険事業…

アインシュタインの思考に近づける!? 右脳と左脳を連携させる超お手軽な方法とは

 アルベルト・アインシュタインの名を知らない人はいないだろう。相対性理論を提唱し、ノーベル賞を受賞した天才だ。彼は生涯を通して研究を続けたが、腹部大動脈瘤のため、76歳で亡くなった。 盗まれたアインシュタインの脳  その […]…

AI x 保険でユーザー体験を変えるフィンテックスタートアップ4選

AI(人工知能)の実用化が様々な分野で進められています。その中でも保険業界は特にAIとの相性が良く、AI導入に対する期待が大きくなっています。その理由の1つに、保険会社が抱える個人の体調情報や医事統計のデータをはじめとした、契約リスクを判断するための膨大な顧客情報データが関係しています。
AIは大量のデータを分析し、そこからデータに共通するパターンや傾向を導き出すことを得意としています。これにより、保険業界で扱われる大量のデータを人が管理して人が判断するという業務そのものが自動化されていくと考えられ…

紙のコーヒーカップが教えてくれる大切なこと

もしコーヒーを飲むのなら、紙コップが良いか?それとも陶器のカップの方が良いか?
最近であれば、スタバのようなお持ち帰り型のカフェが増えた事もあり、紙コップで飲む事に抵抗はあまりないだろう。
しかしこれが、これがVIPや重要な取引先などの、大切な相手をおもてなしする場合、やっぱり素敵なコーヒーカップでいただきたいと感じる。
とあるカンファレンスでのエピソード
以前にアメリカで開催されたとあるカンファレンスで、元国防副長官がゲストスピーカーとして呼ばれた。壇上に立った彼は、紙コップに入った小さなコーヒー…

多様なキャリアを持つUXデザイナーが語る「ユーザー中心デザインの重要性」【btrax voice #11 KJ Kim】

btrax社員の生の声をお届けする「btrax voice」シリーズ。
今回のインタビューは、UX DesignerのKJ Kim 。今回KJには、『ユーザー視点のデザインの重要性』というテーマで、ユニークなキャリアパスを歩んできたKJがどうしてUXデザイナーになったのか、また様々な環境でキャリアを積んできたからこそ気づいたユーザー視点の重要性について伺いました。
Who is KJ?

K.J. Kim (金匡宰)
btrax, Inc. UX Designer
Pratt Institute (…

最新テクノロジーによる新たな金融テロリスト対策への取り組みがいよいよ米国で始動

マネーロンダリング(Money Laundering:資金洗浄)、犯罪や不当な取引で得た資金「汚いお金」を「きれいなお金」にするという行為は、現代社会においてその手口・手段も巧妙化、さらに地理的・国際的な拡大を続け、国連薬物犯罪事務所(UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)によれば、毎年8000億ドルから2兆2000億ドル(世界のGDPの2〜5%)相当が資金洗浄されていると公表されています。またBasel AML Index(Anti-Mone…

デザイン思考の力を公共サービスへ!日本と世界の活用事例3選

2018年8月9日、特許庁は庁内にCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)として統括責任者を設置し、その下に「デザイン経営プロジェクトチーム」を立ち上げることを発表した。これは、中央省庁が行政サービス向上のためにデザイン思考を本格的に取り入れた初の例である。
米国を起点として提唱されてきたデザイン思考は、日本においてもここ数年間でその認知度を高めてきたが、これまでその活用を積極的に行ってきたのは民間企業であったように感じられる。
2010年頃から日本においてもデザインコンサルティングファームの参入、も…

優れたデザイナーになりたければダヴィンチから学ぼう

どのようにしてデザインを学べば良いのか?今まで聞かれた質問の中で最も多いのがこれ。特に、どこでUXデザインを学べが良いか?という質問は、答えに困ることが多い。なぜなら、デザインは奥が深く、最近様々な分野で求められるUXデザインになると、その幅もとても広くなり、異なる領域の理解と、デザインだけではなく、エンジニアリングの知識も求められることも少なくない。
例えば、「【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる」で紹介されているように、自分が設計したものは自分が動かす時代になって…

なぜ日本の大企業にイノベーションチームが必要なのか?

最近では多くの日本企業が「イノベーション」を取り入れようとあれやこれやと試しているのが見られる。一方で言うは易し行うは難しと感じ始めている企業も多いのではないだろうか。今までの長い歴史や風習がある中で、自分たちだけで変わろうとするのはなかなか難しいことである。
btraxは今年で創業15年を迎える比較的若い会社だが、イノベーション創出のためにデザインを活用することを様々な業界のプロジェクトで行ってきた。しかも日本国内にとどまらず、サンフランシスコを中心としたアメリカでもサービスの提供をしている。
前…

ブランド拡大に役立つシェアリング小売スペースという新しい選択肢

昨今、AmazonやShopify、ソーシャルメディアなどオンラインで商品を売るビジネスのためのツールが充実し、D2C(Direct to Consumer)をはじめ多くのデジタルネイティブブランドが勢いを増している。
そしてこれらのデジタルブランドはオンラインでのビジネスがある程度軌道に乗り始めると、オフライン・実店舗にも進出をする。実際、AWAY、Everlane、Warby Parkerなど多くのD2Cブランドが店舗拡大をしている。
こういったスタートアップD2Cは何百万ドルもの資金調達に成功…

他のブースと差をつけろ!トレードショーでエンゲージを高めた成功事例3選

開発中の新しいサービスや商品を感度の高いユーザーに試してもらうための場として、トレードショーといった展示会に参加するという手段を検討してみてはいかがだろうか。トレードショーはターゲットになりうるユーザーにサービスを展示できる絶好の機会であり、また投資家による提案や企業同士のコラボレーションなども期待できる場だ。 サービス開発者にとってトレードショー出展のメリットとは 数あるトレードショーの中でも注目されているのが、間も無く開催を迎えるアメリカ最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)だ。開催地はテキサス州オースティンで、イベント期間中は街全体のいたるところで関連イベントが行われる。 「SXSWを新サービス発表の場として選ぶべき理由」でも紹介した通り、SXSW出店のメリットは以下の通りだ。 1. 感度の高いイノベーターやアーリーアダターからのフィードバック獲得 2. 見込み初期ユーザーの獲得 3. 世界各国からのパブリシティの獲得 当日は2,000以上のカンファレンスやセッションが行われるほか、7万5千人もの参加者が来場する。スタートアップや企業が新しいサービスやプロダクトを展示しており、新規事業開発者にとってサービスのマーケットテストやブランディングのためにも非常に効果的な場だ。 参考記事:【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選 上記の効果を最大化するには、展示するコンテンツ(サービス)はもちろん、当日のエンゲージメントも重要になってくる。そこで今回の記事では、過去のSXSW出展企業が行ったエンゲージメント向上のための事例をご紹介する。 (画像はSXSWのホームページより) トレードショーでのエンゲージを高めた成功事例3選 1. VANS:24時間限定のSNSコンテンツをヒントにゲーム感覚で景品をプレゼント トレードショーにてSNSを活用することは欠かせなくなっている。参加者は参加企業のSNSを閲覧・フォローすることで、事前に展示内容を知ることができたり、当日の様子がわかったり、様々な情報を入手することができるのだ。 またハッシュタグを上手く使えば、来場者にもSNSでの投稿を促すことができる。さらには会場にきていない世界中の人々も巻き込んだプロモーションも可能になる。というのも、イベントに参加できなかった人でもテクノロジーや新しいサービス・プロダクトに興味があるSNSユーザーは、イベントのハッシュタグを用いて情報を集めることが多いからだ。そのため、SNSの活用によるプロモーション効果は絶大だ。 シューズメーカのVANSはSNSを用いてゲームっぽくプレゼントの提供をするプロモーションを実施した。 まずVANSは、ツイッターなどのSNSを通じて、#SXSWのハッシュタグとともに、VANSのカスタムメイドの靴を無料でプレゼントすることを告知。その後、その靴を手に入れるための手順をインスタグラムストーリーにて確認するように促した。 このプレゼントを手に入れるにはインスタグラムストーリーに投稿された動画を手がかりに、SXSWの会場内に隠されたカスタムコードを入手し、靴が配布される会場内の指定の場所までたどり着く必要がある。つまり、広い会場の中でカスタムコードの居場所を探し当てる、ゲームのような体験を提供したのだ。 この企画が参加者のエンゲージメントを高められた理由は、インスタグラムのストーリーが24時間の限定コンテンツであることだ。時間が限定されていることからヒントが消えてしまうという危機感を持たせ、短時間で多くの参加者からのエンゲージを得られた。 2. Gaterade:ブースデザインによりプロダクトの世界観を可視化 ブースデザインは、人を引き付けるという点で非常に重要である。ただ人目を引くポスターや演出で存在感を出すだけでなく、その製品・プロダクトの世界観を表現したり、参加者が満足できるような体験を提供することが、エンゲージ向上に繋がるのだ。 アメリカ発のスポーツドリンクブランドGatoradeは、2018年のSXSWにて体験型の展示を行った。一見そのブースはGatoradeの商品が陳列された普通のポップアップストアのように見えるが、実はある大きな仕掛けが隠されている。 商品が陳列されている棚を開くと、そこにはジムエリアが広がっているのだ。ジムエリアには、Gatoradeが開発したVRバスケットボールゲーム「Beat the Blitz」をはじめとしたVRトレーニングシステムが設置してあり、トレードショーの参加者は実際にVRゲームの体験ができるようになっている。 (写真はADWEEKから引用) Gatoradeは、従来のスポーツドリンクメーカーとしての存在感だけでなく、Gatoradeが力を入れるテクノロジーを活用したVRゲームを紹介することによって、今後のスポーツ分野におけるテクノロジー活用の可能性を提示し、その未来に貢献したいというGatoradeの立場を表明した。 Gatoradeはこのようにしてブースの入り口から、最新機能のゲームなどを通した一貫したブランディング体験を提供することでエンゲージメント向上を図っていた。 3. Tinder:アプリのダウンロード・利用と引き換えにフリーギフトを提供 参加者をブースに呼びつけるきっかけとして、小物やステッカーなどのフリーギフトをブースに置くことがある。持ち帰って「こんな展示があったな」と参加者に思い出してもらうことがもできる。 こういったフリーギフトは客を引きつけて、話を聞いてもらうなどのインタラクションのきっかけにもなるが、特別目新しい工夫ではない。しかし、このフリーギフトを有効に活用すると、ユーザーからのエンゲージメントを得られる絶好の機会になる。 オンラインデーティングアプリのTinderは、2018年のSXSWにて、アプリをダウンロードするとアイスクリームをもらえるフリーギフトの特典を用意した。 このキャンペーンの意図は、ただフリーでアイスクリームを配布してくれる素敵な企業だと思ってもらいたいという理由だけではない。無料のアイスクリームを手に入れるためには、Tinderのアプリをダウンロードしてから実際に使用し、”golden ticket”と書かれている画面をスワイプする必要がある。 これは、まず新規のユーザーにアプリをダウンロードするきっかけを与えるだけでなく、Tinderのサービスを実際に使う機会を提供している。ダウンロードで終わりになるのではなく、アプリを開き、スワイプするというところまでユーザーとアプリがエンゲージすることになる。 無料アイスクリーム配布というキャンペーンを通して、参加者にアプリを「使わせる」ことで、Tinderというサービスを知ってもらうのにより深いエンゲージが獲得できたのだ。 まとめ ユーザー中心のサービスをブラッシュアップする手段として、トレードショーは最適な場だ。トレードショーはマーケットテストという側面だけでなく、ユーザーにブランドの体験を提供し、エンゲージできる機会でもある。 筆者は先日東京ビッグサイトで行われたSlush Tokyoにも足を運んだ。そこで様々なスタートアップがピッチを行ったり、ブースを出展する様子を見て、客を引き付ける展示にも「ユーザー視点」があるということを強く感じた。 そしてSlush Tokyoの講演等でよく耳にしたフレーズがまさに「ユーザーエクスペリエンス」や「ユーザーセントリックアプローチ(ユーザー中心型アプローチ)」といったものであった。プロダクトやサービスそのものだけでなく、トレードショーでの出展でブースに客を引き付けるためには常にユーザーの視点に立って考えることが必要なのである。 btraxでは、展示の効果を最大限に引き出すためのサポートはもちろん、サービス開発からマーケティングまで一貫したサービスを行っている。まだ新規サービス開発中の方も、すでにトレードショー出展をご検討中の方も、是非btraxにご相談ください。お問い合わせはこちらから。

渋谷に突如現れた「くらバーガー」――誕生のキッカケはある「社会問題」だった

 近年「寿司以外」のメニューをウリにする回転寿司店が増えており、各社がしのぎを削っているなか、また新たな「珍メニュー」が現れることとなった。  しかもそのメニューはある「社会問題の解決」にも一躍買うものだという。  果た […]…

「誰にも使われない機能を持つ製品」が生まれてしまう2つの理由

2019年1月のある日。いつものようにベッドで寝転びながらTwitterを見ていると、あるメディアのツイートが目に止まった。
<スマホと連携する、最新スマート冷蔵庫を発表。価格は40万円代。>
ある家電メーカーがインターネットに繋がる冷蔵庫、いわゆるIoTの冷蔵庫を発表したようだ。特徴的な機能は、スマホで庫内の温度調整や運転状況の確認が出来たり、スマホにドアの閉め忘れなどを通知してくれること。専用アプリを使ってカメラで食材の画像を撮影すれば、庫内の食材管理も可能だという。
「いったい誰がこんな機能使…

動物実験廃止を促進する美容ブランドと消費者の意識変化

読者の皆さんは、普段薬や化粧品を購入する上で「商品の製造過程で動物実験が行われているかどうか」を意識することはあるだろうか?昨年9月にカリフォルニア州である衝撃的な法案が可決された。それは2020年以降カリフォルニア州で動物実験を行う化粧品の販売、輸入が一切禁止されるというもの。
これまで人間への安全性を確かめるためにウサギやモルモットなどの動物が実験に使われてきたが、年々動物実験の是非をめぐり様々な議論が世界中でなされている。
今回は、実験の反対運動や代替法の開発、新たな法律の制定など動物実験を取…

生き残りをかけた小売の挑戦〜メイシーズ、ダンキン、ウォルマート〜

インターネットやモバイルの普及、高速回線の登場などにより、消費者の購買行動は大きく変化してきたが、その変化の速度自体も早くなってきている。 例えば読者の皆さんは5年前、どのようにブランドを知り、購入まで至っただろうか。おそらく今のようにインスタグラムでブランドを知り、ショッパブルボタンから購入をしたという人はほぼいないだろう(そもそもショッパブル機能自体が2016年にリリースされたものだ)。 また、オンラインでの買い物が企業やユーザーにとってどれだけ標準になったかを考えることからもその変化を実感することができるのではないだろうか。 AmazonやeBayなどEコマースを中心としたサービスが台頭してくると、老舗の大手小売企業もビジネスをEコマースへと広げてきた。その結果、かつて実店舗を利用していた客がEコマースへ流れていくと、多くの実店舗が閉店へと追い込まれるようになった。 実際に、実店舗の閉店計画は以下の通り発表されている。 大手ラグジュアリーデパートのNeiman Marcusは2017年、アウトレットラインのthe Last Call38店舗のうち10店舗を閉店した。2018年時点で50億ドルの負債を抱えている。 創業100年以上の大手小売Searsは2019年に全国80の店舗を閉めることを発表している。2018年には経営破綻。2013年から2018年までの間に店舗数は2,000から700へ激減。 2017年経営破綻を発表した子供服Gymboreeは2019年に最高900となる店舗の閉鎖を計画している。 大手デパートのメイシーズも2019年に8店舗閉める計画がある。 この一方で、残った実店舗の買い物体験をよりよくするための新しい積極的な取り組みが見られるのも事実だ。特に大手小売企業は実店舗というチャネルの最適化のため試行錯誤を繰り返している。 そのチャレンジぶりはアマゾンやeBayといったデジタルネイティブ企業の勢いに追いつくためではなく、追い越そうという、どこか「スタートアップ」的な動きをしているようにも見える。 そこで今回は、店舗数を最小限にした大手小売企業が行っている、ユーザー志向の新しい購買体験を提供するための取り組みを紹介する。 関連記事:ミレニアルにはブランドネームではなく体験を売れ!ー 炭酸飲料大手企業の挑戦 小売大手の新しい取り組み 1. メイシーズ: 社員をインフルエンサーにするプログラム 1858年から続く大手デパートのメイシーズも先に述べた通り、実店舗を中心とした経営に苦しんでいる小売企業の1つだ。 そんなメイシーズは昨今主流となってきたインフルエンサーを活用したマーケティングを独自の方法で取り入れるため、社内インフルエンサープログラムを開始した。 Style Crewと呼ばれるこのプログラムはレジ担当から幹部まで誰でも申し込むことができる。申し込みをしたインフルエンサーたちは、事前に受け取った制作費用予算から写真や動画などのコンテンツ作りを行う。 作成したコンテンツはインフルエンサーのSNS及びメイシーズStyle Crewの専用ページに投稿され、これらの活動が売上に繋がるとインセンティブが入るという仕組みだという。 (それぞれの従業員兼インフルエンサーのフォロワー数は1万〜千くらいで、いわゆるマイクロインフルエンサーが多い。インフルエンサーのひとりであるMichelle Kunzのインスラグラムより転載) インフルエンサー達はメイシーズで販売している商品を取り扱ったビデオコンテンツや写真コンテンツを作成し、インスタグラムやYouTubeに投稿している(下記ビデオリンク参照)。もちろんメイシーズのソーシャルアカウントやウェブサイトにも掲載されている。 もちろん投稿から商品情報を確認したり、メイシーズの販売ページへの導線も確保されている。インフルエンサーはデジタルでコンテンツを配信することで、ユーザーとのエンゲージメントやより親近感のあるコンテンツによるアピールにより、ファン拡大やEコマースへの流入も狙っていると考えられる。 さらに、デジタルだけでなく、実店舗への来店促進にも役立っているようだ。 インフルエンサーの中には店舗でスタイリストをしている人もいたり、働いている店舗を写していたりする人もいるので、本人に実際に会うことができたり、写っている商品を確実にお店で試すことができたりと、オンラインとオフライン融合の可能性が広がっている。 (インフルエンサープログラムのメンバーはメイシーズで買える商品を自分の興味や知識を活かして紹介する。公式サイトより転載) さらに企業としては、ソーシャルで活躍したい従業員(インフルエンサー)をサポートし、ブランドをさらに理解してもらうことで企業対従業員の良い関係作りにもなると前向きだ。 またそのコンテンツを通して、メイシーズはファッションとトレンドを押さえた小売であるという認知向上を狙っている。 このプログラムに参加しているインフルエンサーの数は、開始時2018年に約20人規模で始まってから、現在では400名ほどに増えている。 現在はアパレル商品や化粧品を中心に取り上げているが、2019年は家具や日用品など、メイシーズが扱う全てのカテゴリーに拡大する計画をしている。幅広いジャンルのインフルエンサーを育てる狙いだ。 関連記事:小売業界の敵はAmazonではない? これからの小売が知っておくべき課題 2. ダンキンドーナツ:リブランドと未来型店舗によるUX改善計画 ドーナツで有名なファストフード小売チェーンのダンキンドーナツ、改めダンキンは未来型店舗に向けた計画を2018年に発表した。名前の変更も今回のコンセプトにあったリブランディングの一部なのである。 ダンキンはこれらのコンセプトを店頭で試す前に、イノベーションラボでそのテクノロジーと体験を再現している。イノベーションラボでテストされている取り組みの一例は以下の通り。 従来のお店の窓に貼られた広告の代わりとして、ホログラムにより投影された広告。広告を掲載するのに壁、紙媒体はいらなくなる。 自動コーヒーマシンも試しているが、ラテアートを楽しめるコーヒーマシンの開発もしている(彼らはセルフィーニトロコーヒーと呼んでいる)。 他にも注文したものを受け取れる無人ロッカーや性別、年齢、気分を分析してそれに基づいたオススメメニューを提案してくれるAIシステムなどを開発している。 イノベーションラボを訪問した記事によるとまた精度が高くなかったり具体的な活用事例がまだなかったりするようだ。しかしながら、ダンキンのイノベーションラボには、昨今の競争の激しい小売業界で生き残るためにもとりあえず試してみて失敗からも学ぶといった姿勢があるのではないだろうか。 3. ウォルマート:小売最大手の最新テクノロジーを使った取り組み ウォルマートは日本の西友を子会社にもつ、売上額で世界最大の小売企業だ。そんなウォルマートも1位の座にあぐらをかくことなく、挑戦をし続けている。 彼らが2018年に発表した取り組みに、Flippy(フリッピー)というAIを搭載した揚げ物調理ロボットがある。このロボットは受けた注文数と揚げ時間を考慮して、最適なタイミングで出来立ての揚げ物を作ることができる。 フリッピーは揚げ物全ての調理をするわけではなく、人と手分けしながら作業の効率化やサービスの向上を目指す、協働ロボットだ。フリッピー自身が油に溜まったカスを掃除するのも可愛らしい。 (フリッピーを開発しているはMiso Roboticsというスタートアップ) また、ウォルマートもWalmart Labsと呼ばれるラボチームを持っており、ここでも様々な実験を行なっている。 例えば店舗を徘徊して管理する棚ロボット。店内を歩き回り、店内の不具合(ラベル・値札の間違いや陳列場所違いなど)や在庫をチェックしている。認識したデータを従業員に共有し、のちに従業員が直すことができるようになることを目指しているという。 現在はまだ開発段階で、まだフル活用には至っていない。今後、ウォルマートが開発しているツールとの連携ができれば、繰り返しのマニュアル作業をロボットが行い、人は顧客の対応に集中できるようになるというのが狙いという。 関連記事:Amazon Go型の無人レジ店舗の普及を目指す2つのスタートアップ企業 まとめ ここサンフランシスコも、都市部とはいえ、実店舗が閉店しているところを見かけるし、デパートなどは閑散としていることも多々ある。実際の数字もお見せした通り、決して好調とは言えない状態だ。しかしながら、実店舗を”絞り”ながら、新しい体験の創出に注力している。そして店舗に新しい役割を持たせようとしている。 今回紹介した大手小売企業も逆境の中、もしかしたら失敗かもしれないけどやってみている姿が感じられるではないだろうか。やはりアジャイル的に試していくのが成功に導く道なのかもしれない。 ただ焦って立ち止まるのではなく、最高の体験イノベーションを創り出すために試行錯誤する小売業界はこれからも注目だ。そしてぜひ、彼らのようにできることからやり始めてみるのはどうだろうか。 参考: ・E-commerce share of total retail sales in United States from 2013 to 2021 ・Will There Be A Physical Retail Store In 10-20 Years? ・Inside Macy’s 300-employee influencer program ・How Macy’s is using its store employees and stylists as Instagram influencers to drive sales ・See […]

イノベーション=技術革新はもう古い!新たな価値を創造した9事例

会社の生き残りをかけてイノベーション担当部署があらゆる企業で創設されている。イノベーションの必要性が自社内でも議論し始められ、そもそもイノベーションとは?と改めて問い直している読者も多いかもしれない。
iPodやAirbnb、Facebookがイノベーションの事例として挙げられることも多いが、それらに匹敵するようなアイデアが生まれるとは思えないという声もクライアント企業からよく聞く。
関連記事:「馬鹿げた」アイデアから生まれた3つの世界的なサービス
しかし、これらのような社会のあり方を大きく変えるよ…

社員の自律性が企業を強くする!セルフマネジメントを促す組織体制とは?

従業員は勤務時間のうち20%を、個人的に取り組みたいプロジェクトに使うことができる
これはかの有名なGoogleの「20%ルール」である。この制度からはGmailなどの有名サービスも数多く生まれ、同社のイノベーションの源泉とも称されてきた。しかしながら、Googleのエリック・シュミット氏等によるマネジメント書籍『How Google Works – 私たちの働き方とマネジメント』では、この「20%ルール」の真の目的について、次のように述べられている。
「20%ルールの最も重要な成果は、そこから生ま…