カテゴリーアーカイブ: イノベーション

ワークショップをするべきか?会議をするべきか? それが問題だ

会議とワークショップ、効果的に使い分けできていますか? 「無駄な時間」にしないために気をつけるべきこと 会議とワークショップ、それぞれの目的・役割・構造の違い 多種多様な会議 / ワークショップ、目的に合わせた実施方法 「ミーティングにするか、ワークショップ形式にするか。」 現代の企業におけるディスカッションや意思決定の方法は多様になっている。特にオンラインで行うシーンも増え、企業としてもどのような進め方をするのが良いのか迷いがちだろう。 我々もデザインワークショップやデザインスプリント、フォーカスグループなどを通じてサービスのアイディアをディスカッションしたり、素早い意思決定を促したりしている。 でも実際の現場では、ワークショップっぽい会議もあるし、会議になってしまうワークショップもある。全く意味の無い時間になることもありえる。 そしてこの状況は、それぞれの定義や適切な使い方が曖昧な組織で起こりやすい。 会議とワークショップの用途の違い 一般的に、会議では情報共有や議論を行い、目標設定や意思決定を行うのが目的。一方で、ワークショップは問題を解決したり、実行可能な目標を達成するためのもの。 ワークショップと会議の違いを理解することで誰もが時間を節約し、グループコラボレーションを最大限に活用することができる。 では、具体的に無駄になってしまう会議とワークショップの特徴を洗い出した上で、ワークショップと会議の目的、範囲、長さ、構造、準備時間の違いを比較してみよう。 無駄な会議とは? まずは一つの結論として、どのようなミーティングや会議が無駄になってしまうのだろうかを考えてみる。通常、会議には複数人数のが参加するため、無駄な時間が発生してしまうと参加人数分の時間が失われてしまう。 そのこともあり、多くのアメリカ企業ではなるべく会議の数を少なく、時間を短く、参加人数を制限することが推奨されている。 無駄な会議になってしまう主な要素: はっきりとしたアジェンダがない 何も発言しない人が参加している 次のアクションが決まらない 10分で済む内容に60分かける 意思決定者が参加していない 無駄に参加人数が多い などが挙げられる。 ムダだらけの会議 – 海外から見た日本式ミーティングの謎 無駄になるワークショップとは? ワークショップさえ行えば会議での課題が簡単に解決すると思っている人もいる。しかしそれは大きな間違い。 ワークショップをやったからといって全てがうまくいくとは限らない。その最も大きな原因は、そもそも達成したいゴール (目的) と手段 (ワークショップ) が合致していないことだ。 具体的には、目標がはっきりしていなかったり、参加者が活動自体が無意味に思えたり、何も達成できていないような気がしたりなど。多くの場合、適切なファシリテーターが不在であることが原因だったりもする。 無駄なワークショップになってしまう主な要素: 達成すべきゴールが曖昧 プログラム内容が適切にデザインされていない ファシリテーター不在 ファシリテーターのスキル不足 参加者同士の信頼関係ができていない 他の業務に中断され、内容にフォーカスできていない 上司の顔色を伺いながらのアウトプット などが挙げられる。 デザイン思考の本質とは?—新米ファシリテーターの経験を通して気づいたこと ワークショップは万能ではない ワークショップをやる目的でワークショップを開催する、手段の目的化が起きているケースもある。特に最近はデザイン系のワークショップが流行っていることもあり、とりあえずやってみたいという要望が後を絶たない。 長時間同じ部屋にみんなを集めれば魔法がかかると思っている人も少なくない。 しかし、我々のようにクライアントに対してワークショップを企画・実行するデザイン会社としては、とりあえずやってみる前に一度目的の設定や参加者の選定など、企画段階をしっかりと詰めることをオススメすることが多い。 これは、解決すべき問題があらかじめ定義されていない場合や、コラボレーションの必要性がない課題、または事前の十分な計画がない状態だとワークショップは時間の無駄になってしまうため、これらを未然に防ぐためである。 そして、内容が稚拙なため、意思決定者などの重役レベルの人もそのようなワークショップの招待を拒否することが多い。 会議とワークショップ: それぞれの目的と役割 会議は参加者が情報を交換し、ディスカッションをするための方法である。 それに比べてワークショップは問題を解決することが目的。アイデアを生み出すことに時間を割き、グループが実行可能なゴール達成するための実践的な活動である。 簡単に言えば、会議は物事を議論する場所で、ワークショップは物事を実行に移す場所である。 この違いから、会議では多くのトピックを浅くカバーするのに適しているが、ワークショップは問題を深く集中的にカバーするのに適している。 会議とミーティングのそれぞれの目的や方法 会議の目的と種類 出席者が情報を発信したり受け取ったりするための専用の時間と場所を設けるのが会議の主な目的となる。会議の中では、いくつかのトピックをカバーすることができる。 一方で、決定や行動項目は、必ずしも同じ集まりの中で定義されたり、その場で即座に行動に移されたりする必要はない。 会議の種類と目的には下記が挙げられる: プロジェクトキックオフ プロジェクトの概要や役割などの重要な情報を話し合うために、チームメンバーが一堂に会してプロジェクトに取り組む最初の集まり。 スタンドアップ 機能横断的なチームがプロジェクト全体の進捗状況や障害に関する最新情報を共有するために、毎日素早く(通常は15分程度)報告会を行う。 振り返り 定期的に行われるディスカッションで、チームがどのように連携して仕事をしているかを振り返り、プロセスを改善する方法を検討する。 1on1 リードやマネージャーが直属のメンバーと会い、プロジェクトや個人の成長、キャリアアップの機会について話し合うための時間。 リーダーチームミーティング 複数のサブチームにまたがる機能横断的なリーダーが集まり、進捗状況、学習内容、未解決のアクションアイテムについて議論する。 デザインチームミーティング UXやデザインチームのメンバーが一堂に会して、仕事や知識、インスピレーションの源を共有する機会。 デザインレビュー デザインチームのメンバーが進捗状況を発表し、デザインに対するフィードバックを受ける。 オフサイト チームメンバーがオフィス外の場所に集まり、ディスカッションを行う。普段と異なるセットアップのカジュアルな雰囲気の中で、気持ちのリフレッシュにもなり、新しいアイディアが出やすくなる。 オフィス外でのミーティングを行うのも効果的 ワークショップの目的と種類 複数のチームからのインプットと同意を必要とする状況や、同じタイミングでのディスカッションと深い考察、そして意思決定が求められる状況においては、共同作業の実践的なワークショップ形式に適している。 ビートラックスが企業向けに提供しているデザインスプリントも素早いスピードでの正しい意思決定を一番の目的としている。 ワークショップの種類と目的には下記が挙げられる: ディスカバリーワークショップ チームメンバーと主要な知識保有者が集まり、現状を理解した上で今後のプロジェクトのマイルストーンや計画の方向性を決めていく。 チームビルディング 業務にあまり関係ないテーマを元にチームごとに一つのゴールを達成するために競うゲームなどを通じてチームの連帯感をアップさせる。 ユーザー共感ワークショップ デザイナー、研究者、その他の関係者がサービスを設計する前に、ユーザーのニーズについての共通理解をするために行う。 デザインワークショップ 複数の部署から主要チームメンバーが集まり、様々な視点からのアイデアを迅速に生成し、議論する。 優先順位付けのワークショップ チームメンバーおよび他の主要な意思決定者がどの項目が最も重要であるかを決定し、それらに優先順位をつけるために一緒に集まり行う。 アイディエーションショップ ビジネスやサービスの内容をできるだけ多く出すことにフォーカスを当てたワークショップ。質より量を重要視する。 レビューワークショップ デザインプロセスに不可欠な役割を担うメンバーが協力して、目的に照らし合わせてデザインを分析・改善する。 ビートラックスで行われているワークショップの様子 会議とワークショップの構造的違い ワークショップと会議では基本的な目的が異なるため、それぞれの構造も異なるべきである。多くの場合、会議はワークショップよりも受動的なもので、参加者はほとんどの時間を話したり聞いたりしている。 しかし、最近の会議のトレンド、特にオンラインミーティングでは、より雑談を促進するためにあえて議題と異なる日常生活の話をしたり、クイズを出したり、普段無口なスタッフにあえて話を振ることで、チームワークを促進するケースも増えている。 もちろんワークショップでは、参加したメンバー全員からのフルコミットが求められる。話したり聞いたりだけではなく、スケッチをしたり、プロトタイプを作ったり、寸劇を通じてアイディアを発表することも多い。 会議における理想的なアジェンダ スタンドアップ会議や1on1の会議など、日常的に行われている会議であっても、アジェンダを作る利点は大きい。 時間の経過とともに変化する議論項目に柔軟に対応できるようなアジェンダを導入するための効果的な方法の一つとして、会議の前に自由形式の質問を短いリストにして投稿者に提供する方法がある。 オンライン会議の場合は、チャットシステムなどを活用してリアルタイムで質問を送ることも可能。 例えば、従来の日常的なスタンドアップでは対話が軌道に乗るように、決められた項目に沿って質疑を行う。それにより短時間で求められる情報共有が可能になる。 スタンドアップで利用される質問リスト […]

これからの企業が不況の中で成長したビジネスから学べる4つの教訓とは

新型コロナウィルスの拡大で世界的にGDPが低下 不況に強いとされる5つの産業 不況がきっかけで誕生・成長した企業 リーマンショック直後に生まれた多くのスタートアップ 不況がイノベーションに不可欠な理由 新型コロナウィルス の経済に対して与える影響が少しずつ表に出始めている。内閣府の発表によると4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除く実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%減だった。 マイナス成長は3四半期連続で、減少率は比較可能な1980年以降でこれまで最大だった2009年1~3月期(前期比年率17.8%減)を超えた。 世界レベルでの実質GDP増減率 (年率) 落ち込みはリーマン時の3.5倍 日本はまだマシな方で、国外を見てみると主要国の2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比9.1%減少した。リーマン危機時の約3.5倍の落ち込みとなった。 特にイギリス、フランス、イタリアなどのヨーロッパ各国の低下が目立つ。また、アメリカも日本を上回る低下を見せている。 出所: 時事通信 作成: 2020.8.16 Masashi Hagihara 実際にアメリカのスタートアップ界隈でもレイオフが進み、全米での失業率も急激に増えてきている。 コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか 不況こそイノベーションを生み出す最適なタイミング これだけを見ると、悪いことしか起こっていないように感じられる。しかし、歴史的には多くのビジネスやサービスが不況の最中に生み出されている。 現在でもユーザーに愛されている多くの企業やブランド、製品のその多くは景気が良い時よりも世の中に大きな変化がもたらされた時期にリリースされたケースが少なくない。 米国ユーイング・マリオン・カウフマン財団による2009年の調査によると、フォーチュン500社のうち不況や弱気市場で創業した企業の割合は驚異的に57%に達している。 その主な理由としては: 世の中が大きく変革することで新たな社会課題が生まれる 就職できなかった人が起業家になってビジネスを始める 人件費などのビジネスを行う上でのコストが下がる 倒産するビジネスが多くなるため、競合が少ない ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題 不況に強いとされる5つの産業 歴史的に見ると不況や景気後退の影響を受けやすい業界もあれば、景気がどうなろうと業績が好調な業界もある。 景気に全く左右されない企業は無いが、失業率が上昇したり、消費者心理が低下したりしても、次のような業界は好調な業績を上げている傾向がある。 日用消費財 景気がどうなろうと人々は特定の日用品を定期的に必要としている。 歯磨き粉、石鹸、シャンプー、洗濯洗剤、食器用洗剤、トイレットペーパー、ペーパータオル。これらの製品は常に需要があるため、消費者の必需品とされている。 P&Gは不景気の時期にに自社のブランディングに注力し、業績を成長させた歴史がある。 スーパー・ディスカウントストア 不景気になると外食を控える傾向があるが、消費者はどこかで食品を購入する必要があり、その多くはスーパーやディスカウントショップで購入される。 ウォールマートやコストコは不景気になる程業績が伸びている。 酒類メーカー 調査によると、不況時には消費者はアルコールやその他の悪徳品に費やす総額が少なくなる傾向にあるが、バーよりも家で飲む機会が増える。そしてより安価な製品をより多く購入するにつれ飲酒量は増加する傾向にある。 不景気が与えるストレスもアルコールの需要を高める理由になる。 コスメ関連 不況にもかかわらず、女性も男性も社交的な場や仕事場での外出時には身だしなみを整えたいと考えている。 例えばエスティローダーは、不景気で人々の気持ちが沈む時期に、少しでも明るい気持ちになれる真っ赤なリップが大ヒットして業績を伸ばした。 葬儀関連のサービス 人生で確実に訪れるのは「死」と「税金」の2つと言われる。不況の際に必ずしも業績が上がるわけでは無いが、葬儀関連のサービス景気に左右されない産業である。 不況がきっかけで誕生・成長した企業 それでは実際に不況の時期が一つの転機となった企業の例を紹介する。 GE – 1980 天才発明家エジソンがジェネラル・エレクトリック社 (GE) をニューヨーク州で設立したのは1890年。世界経済が不況に陥っただけでなく、米国経済の崩壊と金の供給不足に直面した。 しかし、同社は生き残り、1896年にはダウ・ジョーンズ工業平均株価の12社のうちの1社となり、113年後の今日に至っている。 IBM – 1896 IBMが1896年にニューヨークで設立された頃、米国経済は長期的な低迷に至っていた。 その後、1924年にトーマス・ワトソンが経営を引継ぎ、パンチカードのコア技術をベースに大企業のクライアントとの大規模なプロジェクトの獲得に注力することで会社を急成長させた。 その成長の秘訣は「ビッグ・ブルー」と呼ばれるようになった同社の文化的基盤だと言われている。 General Motors – 1908 1908年9月16日にミシガン州フリントにゼネラル・モーターズが設立された。当時、米国の金融システムが再び暴落し、連邦準備制度の創設を促すきっかけとなった暴落から立ち直ろうとする中、GMはオールズモビル、キャデラック、リライアンス・トラック・カンパニーなどのブランドをわずか1年の間に買収した。 1923年にアルフレッド・P・スローンが引き継ぎシボレーブランドが飛躍たことで、1980年代まで続く前例のない成長曲線を描いた。 Disney – 1923 兄弟ウォルトとロイディズニーは1923年にディズニーブラザーズカートゥーンスタジオをロサンゼルスにあった叔父ロバートのガレージ設立した。 そこで不思議の国のアリスやラッキーラビットのオズワルドなどの作品を制作。しかし、当時は大恐慌の真っ只中で、しばらくは鳴かず飛ばずでだった。 転機となったのはミッキーマウスの登場だった。ミッキーは、会社を新たな高みへと押し上げ、世界一のエンターテインメント企業にまで成長させた。 Apple, Google, ディズニーも最初はこんな小さなガレージからスタートした Microsoft – 1975 1975年、米国はスタグフレーションに陥っていた。失業率の上昇とインフレ率の上昇とGDPの低迷が重なり、OPECが原油価格を4倍にすることを決定した結果ガソリン価格が大幅に高騰した。 ビル・ゲイツとポール・アレンは、最初の顧客の本社近くのアルバカーキ(N.M.)にマイクロソフト社を設立した。 その後、1979年にワシントン州ベルビューに移転した同社は、MS-DOS、Windows、Microsoft Officeなどの製品を立て続けにリリースし、世界一のIT企業への急速に成長した。 CNN – 1980 連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために積極的な利上げを決定したとき、それは「二番底」と呼ばれる不況を引き起こした。 1980年6月1日(日)午後5時、メディア起業家のテッド・ターナー氏がカメラの前に立ち、24時間ニュースを放送する米国初の新チャンネル「ケーブル・ニュース・ネットワーク」を視聴者に紹介したのはこのような谷間の最初の出来事だった。 現在では、1982年にCNN2という名前でデビューした姉妹ネットワークのヘッドライン・ニュースとともにCNNのニュース番組は世界中のテレビで見ることができるほどに成長した。 ユニクロ – 1997 前身の「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」が設立されたのは1984年だが、ユニクロとして最も飛躍したのがバブル崩壊後の1997年頃から。 その時期よりプライベートブランド)の売上比率を一挙に高め、製造直売小売業(SPA)に業態転換したことで大きく飛躍した。翌年に発売された「フリース」は衣料は2~3万枚も売れればヒットといわれた時代に、200万枚も販売を記録した。 翌年は800万枚のメガヒットを記録し、日本中がフリースブームに沸いた。ユニクロはバブル&デフレの波に上手に乗ったことで大躍進を遂げたことになる。 Apple – 2001 もちろんAppleの創設は2001年ではなく、1976年。しかし、現在の急成長の基盤を作ったのはジョブスが同社に復帰して数年後の2001年頃。その時期は、ドットコムバブルが崩壊し、テクノロジー系の企業に関わった多くの人が苦い経験をしていた。 ジョブズがエンジニアチームに依頼してiPodのプロトタイプを開発したのもこの頃のこと。2001年10月23日に発売された5GBのiPodは、わずか1年の開発期間を経て”ポケットの中に1000曲を入れる “を可能にした。 そして、iPodとそのiTunes音楽プラットフォームは瞬く間にヒットしただけでなく、iPhoneやiPadへの道を切り開き、Appleを世界のトップ企業として再確立させた。 【クレジットカード革命】Apple Cardから学ぶ革新的UXデザインのポイント リーマンショック直後に生まれた多くのスタートアップ スタートアップの事例からも学んでいこう。 おそらく直近で一番記憶に近い大きな不況が2008年頃に起こったリーマンショックだろう。実はこの直後から、現在多くの人に利用されているサービスが生み出されている。 […]

新規事業の量産にかけるライオンの新価値創造プログラム「NOIL」の制度設計― SAP NOW|JSUG Focus

SAP NOWのSAPセッションでは、経営トップに直談判して社内新価値創造プログラムNOILの実現を勝ち取ったライオン株式会社 ビジネス開発センター ビジネスインキュベーション 部長の藤村昌平氏と、同ビジネス開発センター 統括部の猪谷祐貴氏が登壇し、ボトムアップの新規事業創発の要諦に迫りました。…

新規事業の量産にかけるライオンの新価値創造プログラム「NOIL」の制度設計― SAP NOW|JSUG Focus

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2020年が日本のデザイナー達に与える12のインパクト

2020年もすでに下半期に入っているが、すでにあまりにも多くの事柄が起きており、人々の生活、働き方、価値観もが大きく変化している。そこには新しい課題が生まれ、それを解決するためのソリューションが速いスピードで求められる。 デザインが問題解決に対する最適な方法を見つけるための手段であるならば、この時代がデザイナーに与える影響も少なくはない。これからの時代にデザイナーやデザイン会社、そして社会全体に求められるデザインに関するインパクトを考えてみた。 企業価値にデザイン力が大きく影響する 経営層にもデザイナーが参加し始める より広い視野でデザインを行わなければならない 他のスタッフの視点からものづくりを考えなければならない 行動心理学の理解が重要なデザインスキルになる ユーザー視点はお客様第一ではないことを理解する 人工知能 (AI) と仲良くデザイン作業を行う時代が近づいている デザイナーはデータを理解し活用しなければならない スクリーン以外のユーザーインターフェースをデザインする時代 よりコミュニケーションスキルが重要になってくる キャリアアップにはスキルアップとスキルチェンジの両方が必要になる グローバルに活躍できないデザイナーは頭打ちになる 一つの時代の節目ともなる2020年。これからデザイナーの役割とそれを取り巻く環境の変化に関して、我々ビートラックスが信じているデザイナーの未来をご紹介したい。 1. 企業価値にデザイン力が大きく影響する 2020年に入ってからもシリコンバレーを中心としたテクノロジー企業であるGAFAやTeslaの株価が大幅に上がり続けている。世界的に見ても企業価値が高い企業には一つの共通点がある。 それは、デザインをとても重要視している点。特にUXやCXデザインと言ったユーザーの直接のタッチポイントになるエリアに対する投資が非常に大きい。 スタートアップ企業の将来的価値を計る際にもデザインに関する知識やスタッフの能力、設備等の要素が評価の基準となるだろう。 一部のシリコンバレーのVCではいち早くデザイン業界経験のある人材獲得を進めている。また、Google Venturesも、スタートアップの価値を判断するときや成長ステージにおいてもデザイン力を非常に重要視していることで知られている。 ということは、世界的な視野で見ると、今後デザイナーの需要はどんどん高まると考えられる。 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ 2. 経営層にもデザイナーが参加し始める デザインがビジネスに与える影響が大きくなるにつれてエクゼクティブチームにデザイナーを参加させている企業が増えてきている。 物事の捉え方や解釈の仕方、また判断を下すときなどにもデザイン的考察を入れることで結果に大きな差が生まれる。これは、変化のスピードがどんどん加速していく中でロジックだけでは説明のつかない状況がどんどん増えていくのが理由だ。 企業のトップも、言葉や数字だけでは説明しきれないけれど“どこか良いと思わせる”何かに気づくが一つの重要なスキルとなる。 これまでは、“センス”や“直感”などの言葉で認識されていたが、それこそがもしかしたらデザイン的な感覚ではないかと思う。判断に迷ったらデザイン理論的に優れた方を選べば間違いはない。 アメリカでは既にCDO (Chief Design Officer)や、CCO (Chief Creative Officer)などの役職のポジションも存在する。そう考えると、現在はデザイナーとして働いている人でもキャリアパスとして企業の役員や、場合によっては社長を目指すことも間違っていない選択なのかもしれない。 【デザイン × 経営】ビジネスにおけるデザインの価値を追求する7人の起業家 3. より広い視野でデザインを行わなければならない 最近は日本でも知名度が高まってきている「ダイバーシティー」という単語。「多様性」を意味するが、具体的にはどのような要素が含まれているのだろうか?LGBTなどに代表される性別的な要素や人種はわかりやすい例であるが、それ以外にも複数のファクターが存在している。 世界中には様々なバックグラウンドを持つ人々がいるが、一つの場所で生活しているとどうしてもそれを忘れがちになる。特に日本国内に住む98%が「日本人」であることを考えると日本が相当ダイバーシティの低い国であるということになる。 日本と比べても実に多種多様な人種が集まっているアメリカでもまだまだ多くのデザインが画一的なデモグラフィーを中心に考えられており、マイノリティーと言われるユーザーを考慮していないケースが少なくない。 それを象徴するのがターゲットを性別と年齢だけで区切ってしまう手法。おそらくこの手法は日本国外へ出た瞬間に一瞬で通用しなくなる。 加えて、今後は日本にも海外からの移住者がどんどん増えていくことを考えると、日本企業も早い段階からダイバーシティーへの理解とインクルーシブデザインの採用を進めていく必要があるだろう。 インクルーシブデザインとは?現代の多様性に寄り添う7つの実例 4. 他のスタッフの視点からものづくりを考えなければならない デザイン思考の基本はユーザー視点でものづくりを進めることであるが、デザイナー職の人たちはどうしてもデザイナー的視点に終始しがちなところがある。 デザインの役割が広がってきている現代においては仕事上で関わる人の幅も広がる。これまではデザインチーム内で仕事をしてきた人も、エンジニアやビジネス、場合によっては人事系の役割の人たちとのコラボレーションも増えてくるだろう。 そうなった際に相手の気持ちを理解するために、相手の仕事内容に加え、技術面も多少は身につけておくとコミュニケーションが非常にスムーズに進む。 例えば、デザイナーとエンジニアは2つの異なる職業とされて来た。しかし、テクノロジーが進むにつれエンジニアの経験やバックグラウンドを持つデザイナーは非常に重要な人材となるだろう。 逆にデザイナーからエンジニアに転身することも珍しくはない。この2つの職業の境界線はどんどんなくなり始めている。今後は、僕はエンジニアだから…, 私はデザイナーだから… などの言い訳は出来なくなる。 【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる 5. 行動心理学の理解が重要なデザインスキルになる User Centered Design (ユーザー中心のデザイン) を行う歳には、利用する人の目的を最も正しい方法で達成するためのデザインが必要とされる。その目的を果たすために利用時のユーザーの心理を捉え、理解し、それに対して最適な施策を打ち出す必要がある。 例えばUXデザイナーでデザイン科卒ではなく心理学や人間工学、人類学を学んだ人も意外と多い。 逆に考えると、これまではデザインだけを学んで来た人も今後は上記のようなその他の幅広い学問の知識も必要とされるということだ。人間という生き物をより理解することでより最適なデザインを作り出せるようになる。 そういった意味では、脳科学を学ぶことで人間の脳がどのようなデザインにどう反応するかを理解することが出来たりもする。 人々の行動を変える行動心理学の力【ビヘイビアデザイン】 6. ユーザー視点はお客様第一ではないことを理解する 日本で古くから商習慣として根付いている「お客様第一主義」は素晴らしい。しかし、そこからはなぜか世の中を驚かせるようなソリューションが生まれにくい。おそらくその理由は、お客様第一主義とユーザー中心デザイン (UCD) が似て非なるものだからだろう。 ビジネスやプロダクトデザインにおいて、お客様の声を最優先することは一見当たり前のように感じる。しかし、お客様の声をそのまま商品に反映するのと、その潜在ニーズをより深く理解し、顧客の想像を超えるレベルのプロダクト作り出すのとでは、結果に大きな差が生まれる。 少し前に話題になった「ここがちゃうねんデザイン思考」にも紹介されている通り、ユーザー視点で物事を考えることは、顧客の言うことをすべてやることではない。 お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い 7. 人工知能 (AI) と仲良くデザイン作業を行う時代が近づいている ユーザーにとって最適な見た目のデザインや体験を、システムが自動的に生成することも理論的に不可能ではない。そうなってくるとデザイナーの仕事は無くなってしまうのか?いや、むしろ、そのAIを最大限活用することこそがデザイナーの仕事になってくる。 人工知能や機械学習などのシステムが得意とするところと、人間が得意な部分を掛け合わせシステムにもより良いクリエイティブ作成を教えることによって、最も効率的で効果的なデザインを行うのがデザイナーの仕事だ。まさに人と機械のハーモニーがゴールの仕事である。 機械に仕事が奪われるのではないか?と危惧する声もあるが、0から1を作り出すこと、これは機械には出来ない。AIは過去のデータを元に未来を予測することは出来るが、全く新しいものを作り出すのは人間にしか出来ない。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方であろう。 人工知能 (AI)や機械に絶対奪われない3つのスキル 8. デザイナーはデータを理解し活用しなければならない デザイナーが感覚やデザイン理論だけをベースに仕事を行う時代は終わるだろう。何が本当に正しいデザインかの判断をある程度データから読み取る必要がある。そして、常にデータを分析しながらデザインの改善を行う。 それぞれの目的に沿った正しいデザインを行うためにはデータありきで仕事をしなければならない。特に、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンスなど、利用するユーザーありきのデザインの結果はデータが全てである。 ユーザーとテクノロジーをつなぐのがデザイナーの仕事だとしたら、データをビジュアル化する役割としてのでデザイナーの存在価値がどんどん高まっていくだろう。 では、急激なスピードで増え続けている膨大なデータを今後どのように活用していけば良いのか。この課題を抱えていない企業は恐らくないだろう。 得られた数字を元にデザインを柔軟に変更し改善を進めて行くことが重要になっていく。これからはデザイナーとデータサイエンティストという、一見関係の薄そうな2つの職業が密接に関連してくるだろう。 デザインには直感とデータどちらを採用すべき? 9. スクリーン以外のユーザーインターフェースをデザインする時代 デザインが必要とされるデバイスの種類がどんどん広がっている。これまでは“紙かスクリーンか?”の2択だったアウトプット媒体も、AR/VR、ジェスチャー、ボイスコマンド、そして脳波まで様々なインターフェースを通じてユーザーとの対話が行われ始めている。 そんな中で、全く新しいジャンルのデザイナーの必要性が高まってきている。例えば、例えばリアルタイムで生成される3Dオブジェクトの表示方法や、人工知能 (AI) をベースとしたシステムを活用してVR環境内を動き回るアバターキャラクターのデザインなど、これまでには存在していなかったタイプのスキルが必要とされる。 また、感染を減らすための非接触インターフェイスのデザインや、リアルな画像/動画とバーチャルオブジェクトを組み合わせた形のいわゆるAR型インターフェースのデザインの出現も予想される。そこにはPCやスマホなどの既存のデバイスとは別次元の操作性とユーザー体験の設計が求められる。 目に見えない動きやインタラクションをデザインするには、新たな表現方法が必要とされてくる。 今さら聞けないユーザーインターフェイス (UI) の基本 10. よりコミュニケーションスキルが重要になってくる デザイナーと言うと、絵を描いて形だけを決める仕事だと勘違いしている人が多いのだが、実はそれらは最終アウトプットのごく一部。本来デザイナーの仕事というのは、与えられた制限の中で求められる最大限の結果を生み出すプロセスのその全てに関わる職業である。 […]

ニューノーマルで注目度アップ! アメリカの非接触サービス12事例

接触をいかに減らすか。ニューノーマル時代、Contactless (非接触) サービスに注目
小売: 「目新しい」から一転。Amazon Goのようなレジレスサービスが大きく普及。
宅配: ロボットにドローンまで!無人宅配サービスの実用化が進行。
医療: 感染リスク軽減。アプリやロボットで医療にも「非接触」というアップデートを。

残念なことだが、コロナウイルスの流行は収まる気配が見えない。そんな中で「After コロナ」でなく「With コロナ」として、コロナウイルスと付き合いながらニューノーマ…

Facebook、Twitterに学ぶ組織戦略、人材マネジメントのニューノーマルとは?

2020年が始まって半年余り、世界各地で凄惨な出来事が立て続けに起こっている。自然災害や経済的な不況、そして各国のナショナリズムや反人種差別運動など、企業に大きな影響が及ぶ出来事が後を絶たない。
コロナ禍でのリモートワーク対応だけでなく、今後のこのような状況を乗り切っていくためには組織にとって必要なこととは何なのか、そんなことが各企業に問われる時代なのではないかと感じさせられる。
優秀な人材がイノベーションを創出し続けられる状態を目指し、企業がフレキシブルな働き方を提供することの重要性が、今後より一…

【考察】アフターコロナ時代に備えて企業が今考えるべきこと

アフターコロナの消費行動、購買行動を4軸で分析 ①リアル X 生活必需品: 個人スペースを保つ移動ニーズ。サービス利用からモノ所有への揺り戻しか? ②リアル X 嗜好品: 五感を刺激するリッチな非日常空間の体験への注目。 ③オンライン X 生活必需品: シニア層もオンライン移行。新たなユーザー獲得のチャンス。 ④ オンライン X 嗜好品: “おうち時間”充実のためのサービス需要アップ。“お店が家に来る”という価値の転換。 コロナ前後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットが重要 コロナウィルスが収束し、経済が再開したあとの消費者ニーズや購買行動はどう変わっていくのだろうか。 日経クロストレンドが発表したアンケート調査で、51.7%の人がコロナ収束後はお金の消費を減らすと回答しているが、そういった人たちに対して今後どのようにアプローチしていけばよいのだろうか。多くのビジネスマンがこうした課題について考え始めている。 徐々にお店や企業がオープンされつつある今日だが、With/Afterコロナと題されるように、今後もウィルスへの懸念は完全に消えることはなく、ユーザーの生活の一部であり続ける。 それに伴い、ユーザーの価値観や消費行動は劇的に変化を遂げ、それはコロナ以前に戻る可能性は限りなく低く、企業はユーザーが抱える課題・ニーズを再定義し、アプローチ方法を見直す必要がある。 例えば外食産業は、オンライン注文やデリバリーで対策し始めている。この迅速なピボットはコロナ禍により発生した自宅待機という短期的な課題とニーズにはマッチするが、ユーザーの価値観の変化を掴まず進められたソリューションは、長期的な意味での展開はなかなか望めなく、諸刃の剣になりかねない。 そこで今回は、コロナ収束後に人々の価値観や思考法にどのような変化が起こりうるのかを分析する。 また、これらを考察していくとともに、それを見据えて企業はどう対応していけば良いのか、アメリカ企業の具体例を中心に紹介していきたい。 With/Afterコロナによる社会変革はピンチではなく、新たに生まれた課題を解決するチャンスというマインドで取り組み、コロナ禍前以上のさらなるビジネス展開のきっかけに繋げてもらえると幸いだ。 ユーザーの視点別に分解する ユーザーを分析する視点は、彼らがどこにいるのか(リアル/オフラインなのかオンラインなのか)、何を求めているのか(必需品なのか嗜好品なのか)を2つの軸、4つのパターンに分ける。 軸1: リアルとオンライン 今回のパンデミックはまさにリアルでの接触が脅威になっており、ユーザーは自宅、もしくはオンラインに避難した。このこともあり空間の違いによって心配事・感心事が異なるので、空間別に分ける。 軸2: 必需品と嗜好品 パンデミック発生直後、人々の嗜好品に対する購買意欲は下がり、まずは生活必需品を揃えることに重きが置かれた。一方で、感染拡大が収まってきている中、嗜好品を求める余裕も出てきた。この2つのバランスの移り変わりも絡め、それぞれを見ていく。 ① 個人スペースを確保し安全に移動することに重視 (リアル X 生活必需品) 日本に比べると車通勤がはるかに多いアメリカだが、サンフランシスコやニューヨークなどの大都市では電車やバスを利用して移動している人も多く、ラッシュ時はかなりの乗車率だった。 通勤や通院など移動は生活において必要となる。この移動におけるユーザーのニーズにも変化が現れ始めている。 経済が活気を取り戻しつつある現在、公共交通機関の利用も徐々に増えてきているが、三密の代表格として認知されていることから、安全に利用することがままならない状況にあり、利用者の多くは不安を抱えながら移動している現状にある。 そのため、コロナ収束後の移動においては、密を避けることが求められる。つまり一番良いとされるのは個人スペースを保った移動なのだ。そのため、通勤、旅行、買い物時の移動シーンではできる限り個人スペースを確保したいとの考えが広がった結果、個人車所有の価値が見直されるのではないかと考える。 実際に、今まではタクシーの代替品として毎日のように使われていた、UberやLyftに代表されるライドシェアリングサービスは、経営的にダメージを大きく受けたビジネスモデルだ。 彼らのビジネスモデルは、他人と相席をするという、言わば三密を避けられない状態になるので不衛生、不摂生というイメージがあり、安心して利用することを躊躇っている人が多い。 そのため「コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか」でも紹介されているように、UberやLyftなどは主要事業のライドシェアリングから生活必需品をデリバリーするビジネスモデルの可能性を模索している。 またレンタカーに関しても同様に、誰がいつ何をしているか、本当に消毒されているのかなどの不安から利用者が激減し、先日、米国最大手のレンタルカー会社のHertzが倒産する事態にまで発展した。 他人とモノやスペースを共有し、リーズナブルかつ効率化を求めるトレンドは今後、個人のスペースを確保し、安全に移動することに移っていくのではないかと思う。 実際にアメリカの中古車市場は既に上昇傾向にあり、サービスの利用からモノの所有への揺り戻し需要が期待されている。 ② 非日常空間で五感を刺激しストレス解消することに重視 (リアル X 嗜好品) コロナ前は、当たり前のように、映画館で大スクリーン上に映し出される映画を観たり、ライブ会場で生演奏を聞いたり、お洒落なレストランで美味しいものを食べたりと、人は好きな時に五感を刺激し、ストレスを発散することができた。 それがコロナにより、容易にストレスを発散できなくなった現在、人々が抱えている課題は、その失われた五感をコロナ収束後にどのようにして回復させるかだ。 もちろん経済が再建すれば、映画館やレストランをストレス発散の場として利用することはできるが、コロナの懸念は完全には消えず、常に不安を抱えながら生活する必要がある。 せっかく遠出をし買い物をしに行ったとしても、現地で多くの人がいればそちらが気になって楽しめなかったり、映画館に行ってもコロナのことばかりが気になり、集中できずに体験として物足りないと思うかもしれない。 それは、再開していくレジャー系アクティビティも同様で、特にこれから真夏に向けて、例年の、夏祭りや子供連れでプールに行くなどの機会をいかに安全に体験することができるかに需要が向くと考えられる。安全にソーシャルディスタンスを取りながら、レジャーを体験することに期待が寄せられる。 現在、アメリカを中心に新たなシェアリングビジネスとして人気を集めているのが、プライベートでプールの貸し借りができるSwimplyというスタートアップ企業だ。 Swimplyレンタル画面 同社のビジネスモデルは、シェアリングハウスでお馴染みのAirbnbと類似している。しかし差別化ポイントとしては、家の貸し出しではなく、高級住宅に併設されているプールの貸し出しを行うという、あくまでもレジャーアクティビティ体験にフォーカスされているところにある。 プライベートで借りることができ、料金は場所により異なるが、安いところだと、$35/hourと良心的な価格設定になっている。時間は1時間からとホスト側も利用者の回転率を上げることができるという点でメリットが多い。コロナ後の売上は3月に比べて1,200%を達成したという。 長い自宅待機や外出先でもコロナの不安からくるストレス解消のために、高級住宅のプールを使うという非日常感を味わいながら、安全にソーシャルディスタンスも取れるという体験に今後も需要の期待が寄せられる。 ③ シニア層も生活必需品の買い物はオンラインに重視 (オンライン X 生活必需品) コロナ禍をきっかけにオンラインビジネスの成長がさらに顕著だ。TechCrunchの記事によると、食料品のオンライン注文が前月の3月に比べ、49%上昇したとある。 もちろん、コロナ前も小売分野を中心に、オンラインショッピングやデリバリーを利用していた人は多くいただろうが、コロナをきっかけにその加速がさらに進むと考えられる。 コロナにより様々な飲食店や食料品店はオンラインでの注文・デリバリーを強化し、サービスを展開を始めている。サンフランシスコ発祥の食料品即日配達で有名なInstacartは、コロナをきっかけに食料品のデリバリーによる売上が昨年同期比400%を達成しさらに勢いを増している。 また、同社は全米200店舗のCostcoと提携し、食料品だけでなく処方薬の配達を開始すると発表し、注目を集めている。 InstacartのアプリUI このような取り組みは、単にオンラインサービスを利用する人が増えるだけではなく、ターゲット層にも変化を与えると考えている。 今までオンラインサービスの利用者層は主に、インターネットにアレルギー反応がない若者をメインターゲットとしてサービス展開されていたケースが多いが、これからはシニア層のオンラインでの購入需要が高まると考えられる。 シニア層は若年層に比べ、オンラインよりも実店舗に出向き生活必需品を購入するケースは何かと多い印象だ。実店舗は彼らにとってただ単に買い物をする場ではなく、憩いの場だったり、ソーシャルな場だったりもする。 しかし、それは同時にコロナ感染リスクの上昇に繋がり、若者に比べ重症化するリスクが高いとされている不安から、外出を避けてオンラインでの買い物に移行するケースが増えると考えている。 Instacartの処方薬デリバリーの例は、こうした不安や懸念を抱えるシニア層を中心に利用ケースが増えると考えられる。 コロナによって引き起こされたユーザーの価値観や考え方の変化を捉え、ニーズの再定義をもとに作られたソリューションは、新たなターゲットへのリーチにも繋がり、さらなるサービス展開の起爆剤になり、そうしたマインドセットを持つことがコロナ収束以降も必要となる。 関連記事:ニュートンのイノベーションは隔離体験から生まれた ④ 趣味で自宅時間を充実させることに重視 (オンライン X 嗜好品) コロナ前は仕事や外出で忙しく、なかなかインドア系の趣味に対して重要性を見出せていなかった人も、パンデミックをきっかけにインドア系趣味を取り入れ、自宅時間を充実させるケースが増えたのではないだろうか。 人気なのは、料理やガーデニング、家具作りなどのDIYといったところだろうか。もしくは今まではわざわざ外出をして行っていた運動はジムではなく、自宅でできるように新たに器具を揃えたり、オンラインクラスを受講したりで対応していったケースもあるかもしれない。 今回のパンデミックで人々の購買意欲・行動意欲が下がったため、アウトドアの趣味で時間を充実させるよりは、自宅でできる趣味を取り入れることで時間を充実させたい欲が続いていくと考えられる。こうした需要に共感し、新たなサービスを始めた飲食店がある。 サンフランシスコやロサンゼルス 、ニューヨークで人気のタピオカ店Boba Guysは休業期間を利用して、ただ単にデリバリーやオンライン注文を受けるだけでなく、新たに半調理品の商品を開発し専用キットとしてオンライン販売する仕法で新規顧客を取り込んでいる。 Boba Guysメニューキット 専用キットの中には材料や調理器具の他、レシピも同封されており、自宅でもお店さながらの味が再現できる。 これはただ単にドリンクをデリバリー注文して飲むだけでは体験できない付加価値がプラスされていると同時に、今まではなかなかお店に足を運べなかった新たな層にもリーチでき、それが競合との差別化にも繋がり新規顧客の取り込みにも成功している。 飲食店の生命線ともいえるレシピを公開してしまうことは、競合にヒントを与えることになり、リスクにもなりかねないが、なぜ実行に至ったのか。 それはユーザー視点で、彼らが自宅時間で求めていることは何なのかをしっかりと考え、持てるリソースでそのニーズに答えるというマインドセットがあったからだと言える。 ③のポイントとも繋がるが、“お店に足を運ぶ”という従来の思考法から“お店が自宅に来る”という新たな発想の転換と“レシピ公開はリスク”という固定概念を払拭したことで生まれた、新しい可能性なのである。 おわりに コロナウイルスによって、人の価値観や思考法に変化がもたらされた現在、企業はユーザーのニーズや行動、欲求を再度見直し、サービスの改善や対策を行っていく必要がある。 上記で紹介したような事例はそのようなニーズをいち早く捉え、実行している例であるが、コロナによって引き起こされたユーザーが抱える不安や懸念は何なのかを考え、どのように安心感を与えるかを考えることが今後のカギとなりそうである。 そのためには、ユーザーへの共感と実体験から感じたコロナ前とコロナ後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットを持つことが第一ステップになる。 コロナによるパンデミックはピンチではなく、新たな課題を解決するための源と捉えてさらなるビジネス展開に繋げて頂きたい。 btraxではユーザー中心視点からグローバルに通用するためのマインドセットを醸成するためのデザイン思考ワークショップを提供している。少しでも興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせを。 参考記事: Hertz files for bankruptcy Uber lays off […]

日本人は議論が苦手?デザイン思考を成功に導くファシリテーションとは

ファシリテーターとは何者?基本をおさらい
ファシリテーション成功の極意は、「ラポールの形成」にあり!
入念な準備とチームへの共感が鍵
ワークショップ中、3つの「日本人あるある」と、ファシリテーターの打開策
ファシリテーションはチームで仕事する人全員が持つべきコラボレーションの姿勢・考え方

近年「ファシリテーション」というスキルがにわかに注目を集め始めている。多様な価値観や複雑で予測不可能な社会に対応すべく、チームで物事を作り上げていく「チームでのデザイン」に対する価値が浸透してきたことに起因する…

ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題

外出自粛が少しずつ解除され、徐々に日常生活に戻り始めている。それはアメリカでも同じで、サンフランシスコでも規制解除の段階的なフェーズが提示された。今週から街に出てくる人の数や、道を走る車の量が増えてきた。
しかし、決して今までの生活に戻ったわけではなく「ニューノーマル」と呼ばれる、新しい生活スタイルへの順応が求められている。具体的には、ソーシャルディスタンスの実践、外出時のマスクを着用義務、バーやレストランのキャパ制限など。
それらに対して、新しい仕組みやデザインを活用して、より良い生活を実現させて…

グローバル市場でEコマースを成功させるための3つのマインドセット

コロナの影響でEコマースは成長中。Eコマース構築時に必要な3つのマインドセットをご紹介。

販売者視点ではなく、「ユーザー視点」の発想。常に、中心にあるのはユーザーの課題。
「まずは国内から精神」は捨てる。海外フレンドリーでパイを拡大。
Eコマースはあくまでも手段。オフラインも含めて総合的な購買行動のデザインを。

コロナウイルスをきっかけにさらなる注目が集まっているEコマース市場。トレンドに乗り、Eコマースというツールを活用してビジネスの拡大を考えている企業や個人事業者も多いのではないだろうか…

コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか?

シェアリングエコノミーの歴史とコロナショックが巻き起こす強制的なゲームチェンジ
スマホの普及との相乗効果で、「シェアリング」は本流に (2010 – 2020年)
所有の減少はサービスの消費を促すと踏んだ矢先の…コロナ流行
原点回帰の時。シェアリング本来の「人間と人間のつながりや助け合い」に価値を感じるように
数字や評価だけに踊らされるな。重要なのは、問題の本質を解決すること

今から12年ほど前、スマホの普及が少しずつ始まってきた頃、AirbnbやUber、Lyft、We…

コロナ禍に負けない!アメリカの宇宙ビジネス企業を紹介

イーロン・マスクのSpaceXはコロナ流行後でも、宇宙事業を継続 Amazon設立者の宇宙ビジネス企業Bleu OriginはNASAの月面着陸計画に参加 サンフランシスコの注目宇宙ビジネス企業Planet Labsは衛星画像技術でコロナ禍でも一躍発揮 Rocket Labの小型ロケット打上げサービスが宇宙ビジネスの未来を切り開く はじめに 近年、アメリカでは宇宙ビジネスのスタートアップ企業の成長が注目されている。年始にはk、2040年までに宇宙事業は1兆ドル以上の市場規模に成長するとの見通しも、米商務長官ウィルバー・ロスによって発表された。 その背景には、NASAの積極的な宇宙事業の民間委託がある。NASAの宇宙開発の顔だったスペースシャトル計画は、コストが高過ぎるとして2011年の飛行を最後に終了した。 そこでNASAは宇宙事業を民間委託し、企業間の価格競争を起こすことでコストを抑えるという試みを始めた。つまり宇宙ビジネス関連企業が成長する大きなチャンスとなっているのだ。 そして、そこから生まれる新しいサービスにも期待が寄せられている。例えば、Orbital Insightは人工衛星で撮影した石油タンクの画像を、AIを用いて分析することで石油貯蔵量を推定し、石油投資に利用するサービスなど。 日本でも、ホリエモンこと堀江貴文氏の出資で有名なインターステラテクノロジズをはじめとした宇宙ビジネス関連のベンチャー企業のニュースを聞くことが増えてきており、宇宙ビジネスはより身近になりつつある。 一方で、残念なことにコロナウイルスのパンデミックは宇宙ビジネスにも大きな影を落としている。いくつかのロケット打上げが延期され、企業の資金繰りも困難になっている現状だ。 しかし、この状況に負けずに、宇宙という大きな目標に向けて事業を継続する企業も多い。本記事ではこれらの企業とその現状を紹介する。 また、そのサービスを知る上で、重要なキーワードの簡単な解説も入れているので参考にしていただきたい。今後の宇宙ビジネスを知る上で重要なトレンドになるだろう。 テスラのイーロン・マスクが設立したSpace X イーロン・マスク氏がCEOを務めることで知られるSpaceXは、今最も勢いのある宇宙ビジネス企業の1つだろう。SpaceXのサービスはロケットの開発・打上げ、有人宇宙船の開発と、それを利用した宇宙旅行の提供、衛星インターネットの提供など多岐にわたる。 SpaceXはコロナウィルスの流行以降も積極的に事業を続けている。ここ最近の大きな動きを紹介しよう。 衛星インターネットサービス『Starlink』の人工衛星打上げ SpaceXは、4月22日に『Starlink』人工衛星の打上げに成功した。 Starlinkとは、衛星コンステレーションによって衛星インターネットを提供するサービスだ。衛星コンステレーションとは、多数の人工衛星を連携させて構成するシステムのこと。近年、小型衛星による衛星コンステレーションを用いたサービスで宇宙ビジネスに参入する企業が増えてきているのだ。 その中でも、SpaceXは12,000基以上の小型人工衛星による大規模な数の衛星コンステレーションを構築し、衛星インターネットサービスの提供を構想している。 これは主に北米・カナダを対象としたサービスを想定しており、将来的には40,000基以上の人工衛星を用いて世界全体にそのサービスを拡大する構想だ。 地上から見ることができるStarlink衛星 コロナウィルスの影響で打上げ延期があったものの、4月22日の打上げでは60基以上のStarlink人工衛星を軌道上に投入することに成功した。この打上げでStarlinkを構成する人工衛星は420基が軌道投入されたことになる。 イーロン・マスク氏は2020年中に北米・カナダで試験的にサービスを開始する計画を語っており、今後も順次衛星を打上げていく予定だ。 また、この打上げに使用されたロケット『Falcon 9』は人工衛星を切り離した後に、大西洋上の無人ドローン船への着艦にも成功し、再利用可能ロケットの実現を確かなものにしつつある。 4月22日に実施されたロケット打上げと回収 SpaceXとNASAの有人宇宙飛行プロジェクト SpaceXは、NASAから委託された有人宇宙飛行プロジェクトのために、宇宙船『クルードラゴン』の開発を進めている。そして、NASAは5月27日に『クルードラゴン 』の有人宇宙飛行テストのために打上げを行うと発表した。 これはSpaceXにとっては初の有人宇宙飛行ミッションであり、NASAにとっても9年ぶりとなる有人宇宙飛行となる。この打上げの前段階として、2019年に実施されたテストでは無人宇宙船の打上げと国際宇宙ステーションへの往復を達成している。 このテストが成功すれば、その次の有人宇宙飛行も実行される予定となっており、その搭乗者には日本人宇宙飛行士の野口聡一氏も候補に挙がっている。 宇宙船『クルードラゴン』 Amazon設立者による宇宙ベンチャーBlue Origin Blue OriginはAmazonの設立者であるジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙ビジネスのベンチャー企業だ。主にロケット開発・運用、宇宙船の開発などを行っている。Blue Originはコロナ禍の中でも従業員の感染リスクを考慮せずに、打上げ計画を進めていると批判的に注目も浴びてしまっているが、その研究開発に大きな注目が集まっているのは間違いない。 有人宇宙飛行サービスの構想 Blue Originの事業で注目を浴びているのが『ニュー・シェパード』ロケットによる有人宇宙飛行計画だ。この構想は、最大6人が搭乗可能なカプセル型の宇宙船を高度およそ100kmの宇宙空間まで打上げて、約10分前後の宇宙旅行を体験できるというもの。 この宇宙旅行の価格はおよそ20万ドルになると言われている。また、この宇宙船とロケットは再利用が可能。宇宙船はパラシュートで落下し、ロケットはブースターによる垂直着陸が可能なので、次の飛行でも利用することができる。 早速2019年の12月11日に12回目の打上げテストに成功しており、近い未来に宇宙旅行が実現すると期待されている。 『ニュー・シェパード』の宇宙飛行プロセス 月面着陸計画『アルテミス計画』への参加 Blue Originは、NASAの月面着陸計画の『アルテミス計画』のために月面着陸船の開発を進めている。 アルテミス計画では、2024年までに有人月面着陸を目指し、さらに2028年までに月面基地の建設が予定されている。人類を再び月に送り込もうという壮大な計画なのだ。2024年の有人月面着陸では、男女それぞれの宇宙飛行士が参加する予定になっており、実現すれば女性として初めて月面着陸した宇宙飛行士が誕生することになる。 この計画は、アメリカの官民協力体制で進められているが、各国の宇宙機関とも協力しており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)も協力を表明している。 さらに、月までの宇宙飛行だけでなく、月面基地や宇宙ステーションの建設資材の運搬や補給などで、多くのロケット打上げが必要とされており、計画には数十社が参加する予定になっている。 NASAは5月15日に、各国の宇宙機関及び民間企業と協調して計画を進めていくためのガイドラインとして『アルテミス協定』を発表し、その実現に向けて準備を進めている。 NASAの月面着陸のロードマップ このアルテミス計画の開発・実行部隊として、Blue Originの他に、SpaceX、Dyneticsの2社もNASAによって選定された。NASAは今回選定された3社の計画に9億6700万ドルの資金を用意しており、そのうちBlue Originの開発計画には5億7,900万ドルを提供するとしている。 Blue Originは他2社よりも大規模な月面着陸船を開発を計画しているため、最も高額な資金提供となった。この高額投資からはNASAのBlue Originへの期待の高さがうかがえる。 実際に、今回の選定の中で、Blue OriginはSpace Xより高評価を得ていた話もある。そして、Blue Originはこれを実現するため、軍事企業のロッキード・マーティンをはじめとして、ノースロップ・グラマン、Draperと協力して統合型月着陸船(Integrated Lander Vehicle, ILV)の開発を進める予定だ。 Blue Originの月面着陸計画の紹介動画 また、余談にはなるがAmazon自体もKuiperという衛星インターネットサービスの提供を計画している。これはSpaceXのStarlinkの強力な競合相手になるだろうと言われている。 サンフランシスコの衛星画像スタートアップPlanet Labs Planet Labsは元NASAの開発者であるWill Marshall氏らによって設立されたサンフランシスコのスタートアップ企業だ。人工衛星の開発とその人工衛星で撮影した衛星画像を取り扱うサービスを提供している。 高品質な衛星画像サービスを開発、提供 現在、軌道上にはPlanet Labsの所有する小型人工衛星およそ150基が打ち上げられており、それらで構成される衛星コンステレーションにより、地球上のあらゆる場所の衛星画像を撮影している。 そのうちの120基以上を占める人工衛星『Dove』は、CubeSatと呼ばれる超小型衛星に分類され、高品質の画像を撮影できる。また多数の人工衛星により、地球全体をカバーする衛星画像を毎日リアルタイムで撮影可能だ。 さらに、超小型でありながら分解能は3〜5mで高解像度。また、Planet Labsは別の人工衛星による衛星画像サービスも提供している。例えば、彼らの人工衛星『SkySat』は72cmの分解能をもち、より高解像度の画像を提供できる。 今、DoveのようなCubeSatと呼ばれる超小型衛星が注目されている CubeSatは、前述の通り、超小型の人工衛星だ。1999年にカリフォルニア・ポリテクニック州立大学とスタンフォード大学によって仕様が策定され、民間企業だけでなく、大学などの研究機関でも教育・研究のために開発されている。 大学での開発が想定されているため、CubeSatは従来の人工衛星に比べて安く容易に開発できるのが特徴だ。 さらに、小型・軽量なため他の打上げ計画に相乗りして打ち上げることが可能となり、そのコストを大きく抑えられるメリットがある。大きさは1ユニット(1U)10cm x 10cm x 10cmを基本として、1U、2U、3Uといったようにサイズが規定されていてる。 また、1ユニットの重量は数kg。Planet LabsのDoveはCubeSatの規格で3Uサイズ(30cm x 10cm x 10cm)に分類される大きさで、非常にコンパクトであることがわかるだろう。 近年では、集積回路やソフトウェアなどの技術向上によりDoveのように小型でも高性能なCubeSatの開発が可能となっており、CubeSatを用いた宇宙ビジネスに参入する企業が増えてきている。 CEOのWill Marshall 氏と人工衛星『Dove』 Planet Labsの衛星画像は、グーグルマップをはじめとする地図の作成や自然環境の変化の研究、物流・交通や災害発生時の状況確認、また北朝鮮のミサイル監視などの軍事的な用途も含めて、多くの分野で使用されている。 また、コロナウィルスの影響の分析にも使用されており、物流・交通状況変化の分析に役立っている。 例えば、次の画像では中国、武漢市の交通状況を確認できる。都市封鎖前の2020年の1月12日と封鎖後の1月28日で、交通状況が大きく変化していることを見ることができる。 Planet Labsの衛星画像。武漢市の様子(1月12日) Planet Labsの衛星画像。武漢市の様子(1月28日)  […]

リーダーシップにワビサビはいらない – コロナ対応に見る日米5つの違い

今こそ問われるリーダーシップの本質を5つに分けて日米比較

スピード感は「命」
人々のメンタルは規制強度と緩急で変わってしまう
リーダーの最大の役割は、決断に責任を持つこと
曖昧な指示出しこそ、緊急事態を招く
平時のリーダーと有事のリーダー像は異なる

困難な状況下でこそリーダーシップの真価が最も問われる。
アメリカに住み、会社を経営していると、国家に何かしらの危機が訪れた際に、国や州の対応次第で国民の生活も、会社の存続も大きく左右されるということをダイレクトに感じる。これは、大統領や州知事のリーダ…

マスクを配るな!デザインを提供しろ!災害・緊急系スタートアップサービス5選

「便利・役立つ」に留まらない、緊急対策系スタートアップ・サービス JUDY:キットだけじゃない!ローカルに合わせた災害時必需品やコンテンツの提供 Preppi:安全とデザインを届ける災害用キット Nextdoor:ご近所さんとのオンラインコミュニケーションハブ WhatsApp:WHOとタッグを組み、チャットボット機能を開始 BioIntelliSense:ウェアラブルデバイスで正確なデータを用いた遠隔治療を提供 必要なモノだけを提供したのではなく、ユーザーとブランドの結びつきを構築し、サービス体験をデザインしている点にぜひ注目を! コロナウィルスの拡大を受け、今こそ、培ってきたテクノロジー、デザイン、クリエイティビティを発揮する必要が問われている。 特に防災や災害時の医療・サポート系のサービスは、緊急度が高く、多くの人が必要と感じるサービスだ。 本記事では、アメリカの緊急時にお役立ちサービス・プロダクトを紹介するが、「ただの便利グッズ」を羅列するわけではない。必要なモノを提供するに留まっていない点にも着目してほしい。詳しい解説はまとめで。 JUDY:キットだけじゃない!ローカルに合わせた災害時必需品やコンテンツの提供 JUDYは、2019年11月にローンチした防災グッズ・サービススタートアップ。アメリカでも山火事や洪水、竜巻などの自然災害が起こるが、6割の人は特にそれらに対して備えをしていないという。 実際に、共同創業者のSimon Huckは、アメリカ国内にいる友人たちが、各地での災害被害にあっている姿を目撃した。このことから(備えや正しい知識がないことからくる)不安や脆弱性はさらなるトラウマを引き起こしてしまう、これを免れる方法を見つけ出したい!と感じ、それがJUDYスタートのきっかけとなったのだ。 JUDYの防災キットはカバーする人数別に4つのパッケージになっている。 (公式HPより) 1番大きいものは、4人家族が緊急時に3日間は生活ができる必要最低限のグッズが含まれる。懐中電灯やラジオ、防寒系グッズ、手袋、ホイッスル、応急処置系キット、食べ物、飲み物など。 キットのケースやカバンは見失いづらいオレンジ(Safety Orange)と、防災セットには使われる色かもしれないが、どこかアウトドアブランドグッズのようなスタイリッシュさすら感じないだろうか。 さらにJUDYは知識や安全といったサービスも提供している。郵便番号と電話番号をJUDYに登録すると、その地域にあった災害系の知識や、災害アラート、災害時の状況連絡などがテキストで届く。 (公式サイトより。テキスト登録画面がポップアップメニューで出てくるが、背景は暗がりになり、マウスカーソルが懐中電灯のようになる:左側) また、テキストでは災害に関する質疑応答をやり取りすることもできる。 JUDYのキットによって、物理的に準備できた感じにするのではなく、情報提供による教育やサポートなどを含む包括的なサービスにより、精神的な準備までをコーディネートしているのだ。 ちなみにJUDYのソーシャルやコンテンツの戦略は、Rifinery29やMuseum of Ice Creamなどでの経験もあるMadison Utendahlが担当している。彼女は、JUDYローンチから数ヶ月(つまり昨今のコロナウィルスがすでに流行し始めていた頃)に、JUDYのストーリーテリングのピボットをした。 コロナウィルスについて執拗に触れて危機感を与えるのではなく、どちらかというと楽観的な人との繋がりをフィーチャーするようなメッセージングにしたのだ。 (JUDY公式Instagramより) 便利な道具を提供するだけでない、その背景にある思いやストーリーが伝わってくるブランドだ。 関連記事:【医療テック×UX】スタートアップが変えた私達のヘルスケア体験 Preppi: 安全とデザインを届ける災害用キット PreppiもJUDY同様、緊急・災害向けキットのスタートアップだ。物置きの奥の方に隠したりする必要のないデザインの優れたプロダクトなのが売りだ。大手高級百貨店、NordStromでポップアップストアをやったり、アメリカのテレビ司会者・実業家のOprah Winfreyが選ぶお気に入り(2019年)にも選ばれたりと、注目のブランド。 (ケースもスタイリッシュ。Preppi公式Instagramより) ただスタイリッシュなだけではなく、キットの中身もアメリカ軍隊で使うレベルのものだ。5年は保存のきく水や食料、マッチ、懐中電灯、マスクなど3日以上は生活ができるセット内容となっている。ラインナップも豊富で、$100ほどの救急箱から、$5,000(約50万円)するフルセットなど。プロダクトはロサンゼルスで作られている。 また、ポッドキャストで災害、緊急関連のコンテンツも発信している。コロナウィルスの影響を受け、医療機関へN95のマスクを寄付しており、安全、コミュニティへのコミットメントが見られるブランドだ。 関連記事:2020年にヒットサービスを生み出す3つの秘訣 Nextdoor:ご近所さんとのオンラインコミュニケーションハブ Nextdoorは、近所の人とのプラットフォーム上で繋がり、それぞれの困りごとや手伝って欲しいことなどを持ち寄り、助け合うことができるサービス。2019年には、BenchmarkやTiger Global Managementなどから$123M調達して、企業評価額が$2.1Bとなり、ユニコーン企業としてサービス拡大中だ。 実際に、Nextdoorの本社はサンフランシスコだが、サービス提供範囲はアメリカだけでなく、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ諸国やオーストラリアなどに広がっている。 Nextdoorを使ってやりとりされる内容は、「ローカルエージェンシーから安全情報を受け取る」「使わなくなったものの販売」「いなくなってしまったペットの情報の拡散」「ただコーヒーチャットする仲間を探す」などがある。 (利用例。公式Google Playページより) 利用するには、名前と住所を登録が必要。認証システムや厳格なプライバシーポリシーのもと情報は管理されるため、信頼できる近所の人と繋がることができる。また、登録した情報も漏洩はもちろん、広告主に共有されることもないという。 昔ほど近所の人と繋がる機会が少なくなった現代で、ちょっとしたことを共有したり、オンラインでも繋がっておいたりすることで、緊急災害時にも助け合う信頼関係の構築が期待できるサービスだ。 Nextdoorはコロナ騒動を受け、3月の2週間で、ユーザーエンゲージメントが80%増加したという。地域によって若干異なる自宅隔離のルールの確認や、その地域にあるお店の情報の入手、買い物に行けない人のサポートや地元レストランの支援などの需要があるようだ。 一方で、間違った予防方法や間違った理解を発信してしまったり、鵜呑みにしてしまったりというケースもSNSなどで問題となってきた。大型インターネットサービス系は公共機関とタッグを組んで、情報の開示をするなどして対策を行ってきたが、Nextdoorもサイト内の情報パトロールは行って対策を打っている。 助け合いのツールではあるが、そこには豊富なユーザーがいるということだけでなく、信頼のもとこれが成り立っていることがわかる。便利なだけでなく、実際に安心・安全で、心理的にも信頼できるということが緊急特需という短期間の利用だけに留まらないサービスの鍵になりそうだ。 WhatsApp:WHOとタッグを組み、チャットボット機能を開始 WhatsAppは言わずと知れた、コミュニケーションツールだ。日本ではあまり使われていないが、デイリーアクティブユーザーは全世界で500万人と言われている巨大チャットアプリ。 そんなWhatsAppも全世界的なコロナ拡大に対して信頼のおける情報の提供、誤情報の取り締まり、最新情報のキュレートなどをするWHO(世界保健機関)の公式チャットボットをローンチした。 これはもちろんWHOの情報に基づいており、メッセージベースで何を知りたいかをリクエストしたり、質問したりすることができる。 FacebookやGoogleは誤情報を投稿させない、表示しないといった制御に取り組んでいるが、WhatsAppは個人間、企業のアカウントと個人間などのメッセージは暗号化されていて、WhatsApp側が制御できる範囲が限られている。 それでも身近なコミュニケーションツールとして使われているため、1度誤情報が流れると影響が大きいことが心配されていた。特にWhatsAppは発展途上国での利用も多いため、今回WHOとタッグを組み、正しいコロナウィルスに関する知識を提供するに至った。 さらにイスラエル、シンガポール、南アフリカなどの公共機関とも協力して、よりその地域にあった情報の提供をしてく方針だという。 ちなみにチャットボット関連では、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がMicrofsoft AzureのHealthcare botを使って、簡易ヘルスチェックのチャットボットを提供している。 軽い症状がみられる人はここで、確認をしたり、自宅治療のための情報を入手できるのと、チェック項目の結果によって次のアクションをどうするべきかの提示をしてくれる。 ※詳しい情報はリンク先のウェブサイトを参考ください。 世界的パンデミックに見舞われ、チャットボットのような遠隔かつ人工知能で人をサポートしてくれるようなテクノロジーがまさに重宝されているのだ。 BioIntelliSense:ウェアラブルデバイスで正確なデータを用いた遠隔治療を提供 BioIntelliScenseは医療向けモニタリング技術・遠隔治療テクノロジーを開発するコロラドのスタートアップ。Data as a Service(DaaS)プラットフォームとして、正確な症状の把握、遠隔治療の実現に貢献している。 BioIntelliScenseのBioSticker™はアメリカ食品医薬品局(FDA)に認可された初めての医療用バイオモニタリングデバイスだ。 (BioSticker。公式サイトより) BioStickerは万歩計くらいのサイズで、使い捨てのデバイス。1つで30日まで使える。心臓のあたりに貼り付けることで、心拍数、呼吸、皮膚温、病状の兆候、歩き方などをトラッキングできるのだ。 データはBluetoothを使って専用ハブに送信。そこからBioIntelliSenseのバイオクラウド、Remote Patient Monitoring(RPM)に送る。それをドクターが参考にし、診察をする。これで、遠隔ながら予防治療、経過観測、自宅療法などが可能になるのだ。 今や3分の1アメリカ人がフィットネストラッキングデバイス使っていると言われている。ヘルスケア機能のあるウェアラブルデバイスからデータを収集することで、コロナ状況下では以下のような効果が期待される。 より正確な感染率などのトラッキング 体温や心拍数などの正確な情報を持って、遠隔にいるドクターによる診察、治療を受ける 感染してしまったドクターの素早い検知 など 今回のパンデミックでは、医者・床数が一部地域で足りなくなっている。こういった遠隔治療が一役買うだろう。そしてこういったサービスが一般的になれば、特殊なパンデミックの状況下だけでなく、日頃の健康管理ももっと便利でシンプルな体験となる。 関連記事:2020年知らないと恥ずかしい!?米国で注目のIoTサービス5選 まとめ 便利なモノというだけではない、緊急系サービス・プロダクトを紹介した。「マスクがほしいと言われてただのマスクを提供した」のではないということがお分りいただけただろうか。 筆者も調べてみてわかった部分もあったのだが、今回紹介したサービスは緊急災害関連・医療関連でありながら、ユーザーとブランドの結びつき、関わりが高い。 通常、緊急災害関連・医療関連サービスは、人命に関わることでもあるので、正しく、深い専門性や技術が問われることが多々。そのため低関与型と分類されることがしばしばであったと思う(例:防災グッズ、薬など)。 しかしながら、今回紹介したサービスは高関与型に近いものだと捉えることができる。なぜなら専門性、便利さだけじゃないユーザーを考えた付加価値があるからだ。もう少し具体的にしてみると、以下のようなことができていることがポイントになっているのではと、筆者は考える。 今までのやり方、あり方を疑うこと(防災グッズはダサいもの。公共機関はテキストするような身近な存在ではない。治療は医者にあって病院で行うもの) 体験に基づいてサービスを作っていくこと(災害を恐れるくせに備えをあまりしていないという友人。デザイン的に隠さなくてもいいような防災グッズはないのかという問い) ユーザーの心理まで考えたデザインをしていくこと(隣人に頼るための安心感。信頼できる公共機関の情報が身近に分りやすく、その上親しみやすいコミュニケーションで入手できる) モノだけじゃない、コトを提供する(防災グッズ売って終わりではなく、正しい知識を学んで備える。健康状態を測るデバイスだけでなく、データ・遠隔技術を用いてより良いサービスを提供) こういった、高い専門性を備えている上に、高関与なサービスなのであれば、ロイヤルユーザーが長期につく(離れづらい)、まさに最強ブランドになるのではないだろうか。 我々btraxはまさにこのようなユーザーの心を引く、深く刺さるサービス開発・デザインのお手伝いをしている。また、こういったサービス作りに欠かせない、デザイン思考を中心としたマインドセットの布教活動もしている。さらにグローバルを意識したサービス作り、サービス拡大も掛け合わせてデザインできるのもbtraxの強みである。 筆者はマーケターではあるが、デザイン思考を用いたワークショップに参画したり、その考えをマーケティングにも応用したりしてきた。特に便利なもので溢れかえっている日本市場では、関与を作り出せるサービス・ブランドが選ばれるようになると考える。 ぜひ、どの業界・業種の方もこういった考え方や実際のサービス開発、ブランド作りを一緒にしていきましょう! お問い合わせはこちらよりどうぞ。 参考 ・Inside the New Tech-Savvy Emergency Kit JUDY: Everything You Need to Know […]

サービスデザインの際に知っておきたいリープフロッグ現象とその本質

リープフロッグ現象:既存の社会インフラが整備されていない環境で、先進国が歩んできた「技術発展における通常の段階的変化」を経ずに、新たなサービス等が一気に広まること
リープフロッグ現象が起きる理由として、インフラが整っていない、既存・新規サービス間の摩擦がない、膨大な開発費用の必要がない、導入のペナルティがないという「4つのない」があるが、そこにはそもそものサービス開発心構えがある

生活者のそもそもの願望をまず捉える
技術的スペックは最新・最高である必要はない
伝達しやすいシンプルなサービス価値が…

2020年から最大の企業資産はクリエイティブ人材になる

これから人間が最も価値を発揮できるのはクリエイティブな仕事
正確性やミスをしないことは、もはや強みではない
創造性を育む企業カルチャーをと仕組みの整備を

AIやロボットの発達で、人間の仕事がどんどん奪われていく。おそらく、暗記や、計算、データ分析などでは既にコンピューターにお任せした方が良い。単純作業系も、ロボティックスが発展するに合わせて、人間が行う部分は減っていくだろう。しかし、自動化に関するテクノロジーが進むことで無くなる仕事があると一方で、新しい仕事も生み出されると予測される。
マッキン…

イノベーションカルチャーを広げるための社内アンバサダープログラム- Design It Yourself(DIY) Program

SAPジャパンの社内においてデザインシンキングが認識されているフェーズから、従業員自身が実践するフェーズへ移行していくべく、新しく始めた社内での取り組みについてご紹介します。

NRIとNTTの若手エースが語る、大企業でイノベーションに挑戦できる環境作りとは【DFI2019】

企業として:「大企業としての戦い方」を知り、評価制度等の改革を含めてイノベーションにコミットすることが大切。 一社員として:「うまく会社を使う」ことが大切。 マネージャーとして:「イノベーションの性質を理解し、邪魔をしない」ことが大切。 btraxが毎年開催しているデザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス、DESIGN for Innovationも2019年で4年目になる。この記事では、当日行われた6つのセッションの中で「若手エースたちが語る大企業でイノベーションにチャレンジできる場づくりとは」について、モデレーターである筆者自らがご紹介したい。 このセッションは、こんな課題感から実施が決まった。『ほぼ全てのイノベーションは若者によって生み出されてきた。しかし大企業特有の仕組みの中では、そんな若者の力が十分に発揮できないことが少なくない。』具体的なシーンを想像出来る方も少なくないのではないだろうか。 これは筆者本人の課題感でもある。ここ数年ファシリテーターとして大企業の新規事業部の方々と協業させていただく中で、彼らの優秀さに驚くと同時にその能力が活かしきれない環境を悔しく思うことが多々ある。 本セッションでは若くして活躍するエースたちに話を聞くことで、大企業の中で若きイノベーターを活かしていく際のヒントを探ることができた。 スピーカー紹介 林田敦 NRIデジタル株式会社 ビジネスデザイナー 2012年野村総合研究所入社、SE/PMとして活動。2015年サンフランシスコでのbtrax社研修受講をきっかけに野村HDへ出向、グループ全体のイノベーションマネジメントに携わる。2017年からイノベーション戦略子会社N-Village出向、CTOとして新規事業のPO/PMを担当。2019年NRIデジタル出向、顧客への新規事業提案や社内新規事業のアドバイザリーを行っている。JAPAN MENSA会員。   岩田裕平 NTTコミュニケーションズ株式会社 SpoLive事業グループCo-Founder / プロダクト責任者 2013年NTTコミュニケーションズへ入社後、R&Dや新事業開発におけるUXデザイン・ブランド戦略に従事。2017年よりデザイン経営を推進するプロジェクトにジョインし、社内外へのデザイン普及を行う。 2018年より新事業を立ち上げプロダクト/事業責任者に。同時にスタートアップ協業プログラムを立ち上げ、運営も行う。経産省主催「始動Next Innovator」3期生選抜メンバー。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。 僕らがあえて大企業でイノベーションに取り組む理由 Q.イノベーションや新規事業と聞くと、どうしてもメガベンチャーやスタートアップ、起業を想像します。お2人があえて大企業でイノベーションに取り組む理由を教えて頂けますか? 林田氏(以下、敬称略): やっぱり大企業はアセットをたくさん持っているので、それが魅力的です。例えば、野村ホールディングス出向中にアクセラレータープログラムをやったのですが、営業店やセールスパーソンといった募集テーマに紐づく拠出アセットを明確にした結果、多くのベンチャー企業からご応募いただくことができました。また、知名度、野村の看板もアセットの一つとして魅力的であると思います。 岩田氏(以下、敬称略): 僕も全く同じですね。特にチャネルと技術アセットです。若い企業やスタートアップでは持ち得ないような様々な企業や団体との繋がりや、特にNTTグループは技術系のアセットをたくさん持っています。R&Dの部隊もいたり、基礎研究にリソースを割けたりするのも大企業ならではのアセットかなと。実際に現在の会社への就職を決めた際も、元々の研究領域に近い基礎研究を事業にできていることが魅力的でした。 林田: あとは、野村と繋がりのあるお客様をPoCに巻き込んでいけるのも大きなメリット。金融庁ともしっかりとしたリレーションがあるので、ちゃんと話を聞いてくれます。設立したばかりのスタートアップだと、そういったこともなかなか難しいかもしれません。 1on1MTGで社内に生息する”隠れイノベーター”を探せ 林田:ところで…社内に「隠れイノベーター」っていません? 岩田:いますね。 林田: 大企業にいる人は、上手い隠れ方を知ってるんですよね。目立たないように動いたり、実は業務時間外でいろいろなことをやっていたり、みたいな。でも、1on1など、上司と部下でちゃんとコミュニケーションする時間を取って、普段何を考えながら仕事してるのかをちゃんと掘り下げると、隠れイノベーターは発掘できるのではないかと。 NRIデジタルでは1週間に1回、30分の枠で1on1ミーティングを行っています。アジェンダは一切無し。ざっくばらんに話します。例えば、仕事で今悩んでいることや、プライベートであったことなど、何でも話せます。まずは開示するということをちゃんとやると、隠れイノベーターは見つかると思います。 そういう意味で大企業は、人材というアセットも豊富ですよね。スタートアップでは人材獲得が問題になりがちですが、大企業だと最適な人材を内部で発掘してアサインすることができます。例えば、NRIのオープンソース部隊で働いていた時は、後ろを振り向いたら世界に数えるほどしか居ない著名なオープンソースのコミッターとかもいて。すごい環境で仕事できていたと思いますね。 多産多死の世界における事業の評価軸とは Q. 次に事業の評価についてお伺いしたいと思います。事業評価のルールが変わってきているのは間違いない。とはいえ大企業の中でいきなり変えると社内に混乱が起こるでしょう。そんな中でお2人はサービスオーナーとして、どのように事業を進められてきましたか? 林田: 大企業は、いきなり大きな事業投資の判断をするのが苦手です。それに対する解決策として導入されたのが、ステージゲート方式ですね。新規事業の「確からしさ」を確認するため、NRIではまずは小さく始めて徐々に大きくしていく、といった方針をとっています。 それでも直面する課題は、どうしても既存の評価軸で判断してしまいがちだということ。イノベーションに関しては、定量的な評価ってすごく難しいですよね。本来であれば定性的な評価が必要。とはいえ既存の評価軸を踏襲してしまうと、どうしても定量的にならざるを得ない。 そこで、野村グループでは意思決定の主体を分けました。具体的には、別途子会社を作って、そこで新規事業を推進する、という形。その子会社は、新規事業についての意思決定を自ら行うことができる。 それがN-Village(エヌビレッジ)ですね。ある意味守られた空間を作ることによって、そういった評価ができるような制度をつくりました。いわゆる出島ですね。 岩田: うちも同様です。社内スタートアップ制度は出来たばかりでこれからが正念場ですが、経営企画部の中に出島のような一部署があり、ステージゲート方式にしています。スタートアップと同様にプレシード、シード、シリーズAに類似する評価をしており、ゲートに「PMFしているか」といった条件が敷かれています。 とはいえ、スタートアップのそれと比べるとやはり事業評価をし、継続可否の意思決定をできる人がいないという難しさはあって。本当は組織も分かつべきだとは思いますが、まだ分かれていません。 事業評価のKGIは売上になりますが、KPIはビジネスモデル次第なので自分たちで設定しています。特にアプリケーション系のビジネスですと顧客数で測ることが多いと思います。投資先行であることに対して、特に組織構造によって生じる問題は多いので、そこはこれから改善する必要があると感じています。 意思決定の鍵は未来と過去を紡いだビジョン Q. スタートアップが定量だけに囚われないに意思決定ができる1つの理由として、軸を「ビジョンに沿っているか」に設けていることがあると思います。大企業の新規事業においてビジョンはどのように機能しているのでしょうか? 林田: N-Villageは、設立時に自分たちのビジョンを定義しました。「挑戦者を支援する」というものです。色々な新規事業案が出てきますが、その中でもどの新規事業をやるかという意思決定は、この「挑戦者を支援する」にちゃんと繋がってるかどうかが軸になります。 もちろん儲かりそうだ、という軸もありますが、まずはビジョンに引っかかってるかどうかが1つの判断基準です。 岩田: 「挑戦者を支援する」程度の粒度は丁度良いですよね。意思決定ができる粒度であるということは、良いビジョンであるための1つの要素だと思います。 林田:そうですね。大企業だと、分かりづらいミッションやビジョンがありがちなので。やっぱり機能や産業が多岐にわたるので、どうしてもそうならざるを得ないと思いますが、そうなると、なかなかそのビジョンに基づいて意思決定するのは難しくなりますよね。 岩田: ボトムアップで作ってしまうとみんなの意見が集約されてしまうので、結局、「確かになんでもやれる」というようなミッション・ビジョンに落ち着くことが多いですね。 僕も過去にグループ会社のブランディングのプロセスに関わったことがあって。企業が創設された当初から遡って、歴代の経営者がどういう想いで経営してきたかを見るべきかなと思っています。この意味では、創業者がいらっしゃる会社だと分かりやすいです。 林田: 抽象的にならざるを得ないところをいかに自分たちの部署に落としていくのか。「未来をつくる」だったら「自分たちの部署が描く未来って何だっけ?」みたいところを部署として考えていくことが重要です。 そのために、「自分たちが今まで提供してきた社会価値の本質ってなんだっけ?」と自らを再定義することが必要になります。ファクトとして存在する過去をもとに意思決定ができるビジョンを作っていくことが、KPIを設定できないというところに対しての枠組みとしてワークするのではないかと思います。 Q.「既存事業と被るのでやめてくれ」という声ってなかったですか?大企業で新規事業をやろうとするとぶつかりがちな壁の1つだと思います。 林田: ありますね。でも、何もしなかったら結局はスタートアップに食われるんですよ。だったら子会社に食われた方が全然マシです。だから、「スタートアップに食われるのと、子会社に食われるのだったらどっちが良いですか?」と問いますね。 定性の世界で絶対評価を下す Q. 事業の次は人材の評価ついてお伺いしたいです。お二人はイノベーションに挑戦する人材をどのように評価していくべきだとと考えていますか? 岩田: やはり人材評価であれば定量だけではなく定性も考慮するべきかと考えています。例えば、同じ部署に売上げが1000億円のサービスがあったとして、それと初期の100万円しか稼げないサービスを比較して評価してしまうと全然及ばないのは当然です。 定量的に測ってしまうと、通常の大企業のロジックではどうしても相対評価になってしまうので、定性の世界に持っていくことで絶対評価するとも言いかえられます。事業によってフェーズが異なるのは当たり前なので、そもそも小さな事業同士でも比較すべきではないのですが。 じゃあ定性の世界で何を見るかというと、それはプロセスの部分。特にどのような仮説検証プロセスを踏んできたのかで評価すると良いと思います。 林田: 完全にアグリーですね。大事なのは「仮説検証の量と質」です。そして、評価をする上司がそれを理解することが必要です。 多産多死の世界であることはもちろん知らないといけないですし、仮説検証をどうすれば効率的にうまく回せるのかということを上司が知らないと、その部下の仮説検証の評価をするのはなかなか難しい気がします。 現場=起業家、管理職=投資家の関係性 Q. そうなるとマネージャーに求められることが変わるのは明白です。イノベーションに挑戦する部下を持つマネージャーのあるべき姿とは? 岩田: 確立されたやり方に沿って、ベルトコンベアで何か物を大量生産する形式だとしたら、マネージャーは「何をすべきか」をきっちりと管理すべきだと思うんですよ。ただ、新たな価値を探索をしなきゃいけない部署であれば、そういった管理はできないはず、少なくとも、日本の大企業で行われてきた従来の「管理」という考え方ではない方が良いと思います。 林田: 先程もお話した通り、イノベーションは多産多死の世界。しかし従来の管理のマインドだと、部下が失敗しそうな状況を見ると助けたくなるため、やめておいたほうがいいと言ってしまう。そのため、必要な失敗でさえもさせてもらえない状況に陥ってしまう。 イノベーションの性質やプロセスを正しく学び、「指導者」としてというよりは、「一緒に並走する観察者」として、成功確率を高めるアドバイスができれば最高だなと思います。「善意で邪魔をするべきでない」ですね。 岩田: 最近こういうアナロジーがいいかなって感じるのは、投資家とスタートアップの関係ですね。マネージャーはスタートアップに投資している投資家で、実際に現場で動く人は、スタートアップ、というような関係性の方が上手くいくと思います。 ですので、イノベーション組織のマネージャーは、意思決定をしたり管理をしたりするのではなく、「自分が投資をしている」という感覚でいた方が良いと思います。自走できそうなら見守るし、フラフラしていたらメンタリングや足りない知識を補完してサポートしてあげるというのが理想的なのではないかと。実際のVCと同様ですね。 林田: となると、経験が必要ですよね。 自分の成功体験や失敗体験に基づいてアドバイスをしてあげることが必要です。机の上に色々な意見を乗せてあげる。でも、過去の経験が今回も活きるとは限りません。最終的に選ぶのはプレーヤーであり現場。これがベストですね。 解釈を捉え直す“攻めのリーガル” 岩田: あとは大企業ならではですが、バックオフィスの自由度とサポートは、成否を分けるポイントになるのではないかと思います。例えば既存のルールに縛られてしまうと活動スピードにも影響が出てしまう一方で、スタートアップでも同様かと思いますが、リーガルや知財等、現場の人だけで賄いきれない裏側の部分に社内のリソースを使えると強い。 チームは新しい仮説を検証したり、プロダクト開発をしたり、前向きな方向にパワーをかけなければならないので、後ろからのサポートは非常に助かります。 林田: 特に、リーガルのサポートは恩恵を感じることが多いですね。UberやAirbnbもそうですが、新しいものを作る時って法律的にもグレーゾーンを攻めることが多い。 しかし、今までの意思決定の基準で判断してしまうとどうしても守りに入ってしまいがちです。そこで僕らは、リーガルの中でもイノベーションに精通しているリーガルを置いて、「こう考えれば法律に触れないんじゃないか?」と解釈を作っていくようにしています。攻めのリーガルをチームに加えられると、イノベーションの実現可能性がグッと高まると思います。 若手は会社をうまく“使う”こと Q. 最後にマインドセットについて。特に大企業でイノベーションに挑戦している若手はどのようなマインドセットを持つべきでしょうか? 林田: 現場の人はうまく会社を使い倒すべきだと思います。 その為には会社がやりたい方向と自分のやりたい方向をうまく合わせることが大切ですね。この方向性が異なると、会社のアセットを生かせない上に、評価もされないので。 一方で会社に働きかけることも大切です。例えば、僕が野村ホールディングスにいた時、グループCEOとランチセッションのような形でインプット会をしていました。 そこで僕は、個人的に新しい技術とかすごい好きなので、「こういう技術が最近出てきてるんですよ」というインプットをして、会社としてこういう技術にも投資をしないといけないよねという方向性を作って、会社側をむしろこっち側に寄せてくる、といった逆の動きもやっていました。 自分が会社に合わせることと会社を自分に合わせることと、両方の動きが出来ると良いと思います。 […]

大企業xスタートアップのオープンイノベーションをガンガン実現するDelta航空【CES 2020】

大企業がスタートアップとコラボし、新しい価値を生み出す。これは、多くの企業が目標に取り組んでおり、シリコンバレーに拠点を構える日本企業の最も重要なゴールの一つともなっている。
その一方で、実際の成功例は驚くほどに少ない。そもそも、多くのスタートアップは大企業との取り組みに興味がない。むしろ、めんどくさいとすら思われている。これは日本でもアメリカでも、ほぼ同じような状況である。
スタートアップが大企業に持つイメージ

スピードが遅い
偉そう
プロセスがめんどくさい
社員がポンコツ
できない理由を並べる…

2020年に日本企業の経営スピードを上げる5つの方法

先日、我々のアドバイザーもしていただいている澤さんがVoicyにて日本企業と外資系企業での働き方の違いについてお話しされていた。(Voicy: 高いお給料をもらえる会社という考え方について。) GAFAなどの企業は給料が高いだけではなく、従業員の時間を尊重し自由に使える仕組みを提供する事で、より有意義な仕事環境を与えているという内容。旧態然とした仕組みで従業員を管理し、無駄に時間を奪って経営スピードを鈍らせている日本の大企業とはスピード感も全然違うとのこと。 シリコンバレーの企業の決断スピードは日本の100倍 実はこの分析は正しく、シリコンバレーの企業が世界的に凄いとされている理由の1つが、そのスピードの速さであろう。特にデジタルが主流になってきている現代では、これがかなり強力な武器となる。 日本企業が完璧なプロダクトを1つ出す間に、シリコンバレーの競合は20%の完成度のものを5つ出し、ヒットしたものだけを残し改善すると言われるほど、決断、実行、リリースのスピードが速い。 一説によると、日本企業とシリコンバレーの企業を比較すると、その決断スピードには100倍の差があると言う。これは、例えると時速3kmで進むカメと、時速300kmのF1カーぐらい異なるということだ。ある意味、全くカテゴリーが異なる。 参考: 日本がシリコンバレーに100倍の差を付けられている1つの事 Appleでの象徴的な出来事 Appleもスピードを重要視していることがわかるエピソードを紹介したい。2008年にプロダクトマネージャーの一人がミーティングにて、CEOのTim Cookに対して中国の工場での生産に大きな問題が発生している事を伝えた。するとCookは「それはまずい。誰か出向いてどうにかしなければ」と言った。 そのミーティングは継続し、30分ほどが経った時点でCookがその担当者に対し「あれ、なんで君はまだここにいるんだ?」と言うと、彼は急いでサンフランシスコ空港に直行し、服も着替えずにその足で中国行きの便に飛び乗ったという。 Amazonは平均で11.6秒に一回の頻度でデプロイしている Amazonでも、スピードに関しての意識はかなり高い。その一例として、彼らは実に平均で11.6秒に一回ソフトウェアの更新を行なっているというのだ。 もちろんこれは平日だけでのケースではあるが、常に最善の体験をユーザーに届けるため、そして競合に勝つために、新しい仕様リリースしまくっているということになる。 Googleがたどり着いたハイパフォーマンスチームに共通する5つのポイント その決断スピードが速い事で知られるGoogleは以前に業績の良いチームの共通点を探るべく、社内の180のチームに行ったリサーチプロジェクトを行った。その結果によると、個々のチームメンバーのスペックには全く共通点はなく、その仕組みやカルチャーが最も重要であるということがわかった。 その5つの共通点は下記の通り: 信頼性: 時間通りに結果を出せる信頼性が担保されている 透明性: ゴールとそれぞれの役割がクリアになっている 仕事の意義: 仕事の内容が個々のメンバーにとって意義のあるものになっている インパクト: 仕事の結果が社会に良い影響を与える 心理的安全性: 恐怖や不安を感じることなく自分の意見を伝えられる状態が担保されている 上記の中でも、5番目の心理的安全性が保たれていることが、業績を上げるために最も重要なポイントだとGoogleは定義している。この調査の結果、自分の意見を周りの反応を恐れることなく発言できる環境を作ることを最優先するべきだと分かった。 日本企業が経営スピードを上げるための5つの方法 では、こんな時代に日本企業はどうするべきなのか?おそらく、新しく何かを始めるよりも、既存の古臭い仕組みを打破することが必要になってくる。具体的には下記の5つが挙げられる: 1. メール文章の簡略化 日本の場合、ビジネスメールの書き方の基本として、「お世話になります。XXX社の〇〇です」から始め「よろしくおねがいします」でしめることがマナーとさている。そしてその内容もかなり丁寧に書かなければならない。 おそらくこのようなメールの書き方一つをとっても、日本全体でのGDPの1%ぐらいを浪費してしまっているのではないか。そもそも、そんなメール、モバイルのプレビューで見たら、全部「お世話になっております」しか表示されなく、可視性がかなり低くなってしまう。 アメリカでは、メールを書くときには短い方が良いとされる。というのも、読む人の時間を極力奪わないために、ごく単純にわかりやすく書く方が逆に良い印象を与えやすい。 GoodpatchのCEOの土屋くんがうちでインターンをしてた頃、家を借りるために大家に出したメールになかなか返信がない状態が続いた。その内容を見たら、とにかく丁寧すぎて、読む気にもならない。そこでアメリカ風のノリで書き換えたら一発で返信が来た例を紹介する。 元のメール内容: Whom it may concern, Hi my name is Naofumi Tsuchiya. I am visiting San Francisco from Japan. I have my family with me staying here. So, I need to have a room in a safer area. I need to find a room from June X to July X. I have found your room listing on Craigslist. It looks very interesting. I’d like to come to your place to take a look […]

2020年にヒットサービスを生み出す3つの秘訣

世界的にヒットしているサービスやブランドにはどのような共通点があるのだろうか?スペック重視の時代は随分前に終わりを告げ、プロダクトのサービス化が進んでいる。そのような状況に加え、シェアリングエコノミーやD2Cなど、ユーザーを取り巻く環境は急激に変化している。
世界に先駆けて、次のヒットを生み出すことにフォーカスを当てているシリコンバレーを始めとしたアメリカの企業は、2020年以降、どのような要素を含む商品やサービスがユーザーに喜ばれるかを日々研究している。
我々btraxも、日本企業向けにグローバル…

大企業におけるイノベーションラボのリアル −パナソニックとライオンの事例より−【DFI 2019】

大企業ならではのアントレプレナーシップの育て方、評価の視点がある 「共感」は、新規事業や新しい価値を生み出し広げていく際にもキーワードとなる スタートアップ的マインドセットと、大企業という大きな組織内でのバランス感覚が重要 btraxでは、毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス「DESIGN for Innovation」を開催し、今年で4年目を迎えた。本記事は、当日のセッションのうち、パナソニックの深田昌則氏とライオンの宇野大介氏をゲストスピーカーとしてお招きしたセッションを基にしている。 実際に社内でどのようにイノベーション組織を立ち上げプロダクト・サービス開発作りに取り組まれているのかお話を伺った。 お二人とも大企業の中で独自のイノベーション組織を構築し、日本の大企業のイノベーション構築の最前線で活躍されている注目すべき存在であり、この記事でもセッションの内容を抜粋して紹介したい。 関連記事:上司が若手を育むための5つのマインドセット【DFI 2019】 ゲストスピーカーのご紹介 深田 昌則 パナソニック株式会社 / アプライアンス社 Game Changer Catapult 代表 パナソニック株式会社にてAV機器のグローバル・マーケティング、オリンピックプロジェクト・リーダーを担当後、パナソニック・カナダにて市販部門ディレクターを担当。帰国後、2015年よりアプライアンス社にて海外マーケティング本部新規事業開発室長。2016年に新規事業開発アクセラレーター「ゲームチェンジャー・カタパルト」を創設し現職。2018年米系ベンチャーキャピタル、㈱INCJと合弁で事業開発支援会社㈱BeeEdgeを設立し取締役を兼務。神戸大学経営学研究科 2017年修了(MBA)。   宇野 大介 ライオン株式会社 / 研究開発本部 イノベーションラボ 所長 1990年ライオン株式会社入社。歯磨剤の開発、クリニカブランド ブランドマネージャー、オーラルケア製品の生産技術開発を担当。2018年より、イノベーションラボ所長。ライオンが掲げる「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」を目指し、新規事業の創出をミッションとする新組織を率いる。現在、未経験の領域に挑戦する試行錯誤、一喜一憂の日々を送る。   成果を生み出すためにどのような組織で活動に取り組んでいるか? 金子(btrax,Inc. モデレーター):両社とも大企業でありながら独自のイノベーション組織を構築して様々なプロトタイプを発表されており非常に進んでいる印象がありますが、どのような組織を構築して活動されているのか、また活動を推進していく上で心がけていることはありますか? 深田(以下敬称略):私が始めたのは、2016年に「Game Changer Catapult」という新規事業を生み出すプラットホーム活動です。企業内アクセラレーターとして新しい価値事業を生み出す、加速する実行型イノベーションアクセラレーターとしてこのような活動を始めました。 我々のミッションは「未来のカデンをつくる」。このカデンというのは、我々が従来行ってきた家電製品だけではなく、暮らしの様々な悩み事や困りごとを解決していくサービスやコンテンツ、体験作りも含めた事業です。これを実現するために、社内外の多くの方々との共創の場を作り、さらに新しい製造業の形の模索ということをやっております。 今まで3年間やってきた中で、本当に事業になりそうなものは実証実験を行い、同時に会社組織のようにして実際に2社立ち上げた実績もあります。まだ実証実験中のものだと、例えば先日おにぎりロボット「OniRobot」は、バンコクと渋谷で実証実験を行い、新橋では実際におにぎりのお店を開き検証を行いました。 社内起業家育成プログラム、新規事業開発プログラムと位置付けており、新しいアイデアをどんどん世の中に出していき、本当の事業に仕上げていくことをやりたいと思っています。しかし、これを実際に社内で事業化しようと思うと、なかなか社内のマネージメント層が決心できないケースが多い。 そこで、「株式会社BeeEdge」という合弁会社を外に作り、パナソニックがマイノリティー出資する仕組みにし、さらに、社長に元 DeNA の会長の春田さんをお迎えし、社外から攻めるというやり方をしています。また、利益を上げている事業部からお金を借りるのではなく、自分たちで VC にお金を出資して頂く仕組みを導入しました。 我々の活動は、20世紀型の仕組みから21世紀型の仕組みに変えていくことですね。業績評価や目標管理による成果というよりも、パッションやモチベーションによる成果作りにトライしていきたいと考えています。 宇野(以下敬称略):私は1990年にライオンに入社し、ほとんどのキャリアで歯磨き剤の開発をやってました。去年の1月に「イノベーションラボができて、それからその組織の立ち上げをやってきました。 会社全体も、次世代のヘルスケアのリーディングカンパニーという目標を立て、お客様の習慣をリデザインしていこうという想いでやっています。 その中の1つ、象徴的な部門としてこのイノベーションラボが生まれました。ビジョンは、変わり続けていくこと。驚きをお届けして笑顔の輪を広げていく。そのために次世代ヘルスケアのソリューションを作っていくこと。 この実現のために大切にしているのは、失敗を新たな学びを得る機会として尊重すること。そして、色んな人と繋がって成功していくことです。 実際に取り組んでいる例として口臭を測定するアプリを挙げます。ガイドに合わせて舌の写真を撮影すると、口臭のリスクを教えてくれる。このアプリを使ったサービスを展開してビジネスができないかと考え、色々なところと組んで実証実験をやっています。 もう1つは京セラとライオンでソニーのアクセラレーションプログラムを使って作った「Possi」です。子供の仕上げ磨きをする歯ブラシですが、骨伝導の技術を使って歯が磨いている時だけお子さんの脳内に音楽が流れる仕組みです。先々月までクラウドファンディングを行い目標額を達成しました。 また、新価値創造プログラムNOILという社内のビジネスコンテストを展開しています。こちらも今月ようやくファイナリストが決まり、来年から本格的な事業化に向けて検討していく予定です。 それ以外に、他社と共同で「point 0 marunouchi」というシェアオフィスを作っています。ただのシェアオフィスではなく、各社がソリューションを持ち込んで実証実験ができる場所にしていくことが目標です。 イノベーションに挑戦する人材をどのように育成しているか? 金子:人材育成の面について伺います。先ほど深田さんからパッションというお話がありましたが、若い人材をどう育成していくことについてお考えはありますか? 深田:起業家・アントレプレナーを育成できるのかという議論は常にありますが、素晴らしいアントレプレナーが社内にいるかといえば、現実問題難しいかもしれないですよね。しかしだからといって、社内の人たちが全員ダメかというとそうではない。実際にやってみたい人は沢山いるんですよね。やりたい人が自らそのパッションを持って集まってもらうことが大事かなと。 一般的な知性を持ち、やる気さえあれば、スタートアップのアントレプレナーは生まれてきます。そこを丁寧に掬っていきながらやる。 徐々にアントレプレナーシップを育てていく あとは、元々サラリーマンとして入った人たちなのでどうしてもいきなりアントレプレナー的な意識を求められるとメンタル的に辛い時もあります。そこは卒業生も含めた「カタパリスト」のようなネットワークを作って、成功例も失敗例も見せる形でやっています。 金子:他の企業の方から、若手でイノベーション活動に取り組んでいても現業があってなかなか他に集中できない、あるいは途中で燃え尽きてしまうという話を聞きますが、仕組みとして工夫されていることはありますか? 深田:本業の時間の25%をカタパルトの活動に充ててもいいというルールはありますが、そのような時間の考え方というよりも普段から新しい活動に参加する意識を持つことが大事です。 このようなイベントに集まることもそうですし、そこで得たものを社外に発信していけば、アントレプレナー的な気質が自らの中に生まれ、その中で気が合う人たちが集まって新しいことをする動きが必ず生まれてくると思います。そのタイミングで躊躇せずに、言い訳をせずにやることが大事だと思います。 金子:評価制度として工夫されている点はありますか? 深田:評価があるからやるとか、ないからやらないとか言っている時点でダメですね。25%の活動を評価してもいいのですが、どうしても評価されやすいチャレンジをしてしまう傾向があります。 そこで、日々の評価は減らして事業を続けるか続けないかの評価にすることで、目標管理では評価されないようなことにもチャレンジができる仕組みにしています。 何を評価するか、そして、評価軸の透明性をいかに担保するか 宇野:私たちの場合は専任組織ですので、100%イノベーションラボにつぎ込むことを前提にしています。評価は私がしていくことになりますが、メンバーには社内ベンチャーである以上メンバーの起業家たる能力を評価すると伝えています。 とりあえずどれだけ難しいことにチャレンジしたかを評価しようと。そして、それを知らせるためにアピールしていくことは一番大事だと伝えています。 このスタンスで皆が納得してるかどうか分からないし、それで適当な評価が付けられているのかも分からないですが、まずはこれでやってみて何かあったらすぐに直していこうと伝えています。 金子:新規事業の立ち上げ経験がない方々でもチャレンジできるようにするために、どのように育成をされていますか? 宇野:私から何かを伝えることはほぼありません。何かやりたいと言ってきたら「いいじゃん、やりなよ」と背中を押しています。自分たちの興味や好奇心、意欲に従ってもらうようにしています。 あとは、私が見つけたものを皆にシェアしています。また、一番勉強になるのは色々な企業の皆さんと一緒に仕事をしていくこと。これにより鍛えられている部分がとても大きいと思います。 社内や経営層に対してどのように活動をアピールしていくか? 金子:活動を続けていく上で一番苦労されている点は何ですか? 宇野:色々な人に活動を理解してもらうことです。私は面倒くさがり屋で説明するのが苦手ですが、それを常に行っているので大変です。 活動を理解してもらうための工夫として、ラボ専用のデニム地の制服を作りました。我々のラボはライオンの研究拠点の中にあって、周りは全員白衣なんですよ。 そんな環境の中に出来上がったイノベーションラボのメンバーが、「僕たちは何でもありなんだよ」「自由な発想こそが必要で、今までの働き方とは全然違うことやるんだ」という意識を浸透させるためにこの制服を作ることにしました。 活動の理解を得ることは大企業ならではの骨が折れる仕事 深田:大企業の中でイノベーションを起こしていくのは本当に大変な活動です。若い人が活動するために守らないといけない部分もあったり、逆に自ら守らないといけない局面もあったりします。 20世紀と21世紀の間くらい、大企業とスタートアップの間にいるので、両方の面を理解しつつ、一方で大企業の理屈には与しないというアイデンティティを持つことが大切。 過去に軸足を置いてしまうと絶対に前に進めないので、未来に軸足を置いてることを明確にしながら、それに対して躊躇しないというマインドセットを持つべきと思います。 金子:その中でも、マネージメント層向けにこういう点を一番アピールしている、こういうところを理解してもらうのが難しいというポイントはありますか? 深田:役員たちも本当は新しいことをやりたいと考えていると思います。ただ彼らのポジション上そればかりやっているわけにいかない。なので、彼らの状況を理解した上で代わりにやっていくという感じですかね。 宇野:「こういうことやりたかったよね?」という全体像を見せるようにしています。あとはそれほど進んでるわけではなくてもきちんと前進していることを見せています。マネジメント層に常に注目してもらえるようにしていくということです。 途中で事業として成立させていく上でより困難な要求をされることもありますが、そのハードルを如何に乗り越えていくかが重要です。 サービス開発においてデザインをどのように取り入れているか? 金子:今回のイベントではデザインという考え方にフォーカスしていますが、デザインをチームに取り入れていく上で何か意識している点はありますか? 深田:デザインという言葉は少し曖昧ですが、「意味のデザイン」というのはとても重要ですね。つまり、「あなたがここ(場所)でやること、これ(内容)をやることにどのような意味があるのですか?」という話です。 社会貢献や社会課題の解決、「自分がやらないと誰がやるんだ」というレベルで話ができるかどうか。「意味のイノベーション」を起こしていくことが我々パナソニックでカタパルトをやっている本当の意味です。 パナソニックの存在意義に対して、大企業で量販店で電化製品を売るだけという話ではないということに我々自身が気づいて行動できるかが大事です。 その実績を生み出すという意味では、デザイン思考は大切。デザイン思考は無いものを生み出す活動ですよね。実際に Vision 化し、モノとして形を作って、世の中に広めていくという発想ですので。意味のデザインを社内にどう浸透させていくかは大切ですね。 活動に意味と使命感、そしてパッションを持つ 宇野:ずっと大事にしていることはオーナーシップです。自分でこれをやりたいと強く思えている人だけが成功できると思います。やりたいという意志をしっかり持てる人であってほしいし、そんなテーマを見つけ出してほしいと思っています。 一番強いのは、「この人がこれだけ困っているからこの人を何とかしたい」という想いだと思います。ですので、それを見つけてもらう、そしてそれを解決するために自分がどうしていくのかが重要だと思います。 金子:「共感」というキーワードについてはいかがですか? 深田:新規事業、価値づくりには共感というキーワードがあって、世の中から共感を得るということがとても大事です。オープンイノベーションも全て共感ベースで広がっていきます。 実践してみて感じましたが、我々がやっていることが世の中に共感として広がっていくということが大事で、結果としてそれが利益や販売量に繋がっていきます。 共感がないビジネスはやはり大きくはならないですし、そもそも自分事としてやっていっても心が折れてしまう。共感されることで、応援してくれる人が増えたり、一緒にやりましょうという輪が広がります。それが最終的に社会課題の解決に繋がることがすごく大事だと思います。 大企業がイノベーションに取り組む意義とは? 金子:大企業の中で新規サービス開発にチャレンジするのは本当に難しいことだと思います。お二人はどのような点に意義を感じて大企業におけるイノベーション活動に携わられているのでしょうか? 深田:20世紀大企業に就職して定年まで安泰という時代はもう終わり、サラリーマンであっても自ら個人のブランドで個人で活動ができて、社外の人と繋がりながら新しいものを生み出す時代になったと思います。 これがこれからの仕事の働き方になりますし、そのためには新しいキャリア作りという意味でも「営業は営業」「技術は技術」ではなくて、新しい価値を生み出す活動ができる人にならないといけないと思います。 しかもそれをチームで実践していく必要がある。そのチームというのは必ずしも社内で閉じる必要はなく社外や色々な形が混じる方が良い、そういう思いでやっています。 […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

日本でイノベーションラボを成功させるために必要なこと【DFI 2019】

はじめに btraxでは、毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンス「DESIGN for Innovation」を開催し、今年で4年目を迎えた。今回は、当日のセッションのうち、TEPCO Ventures CTOのTim Romero氏、frog General MannagerのIon Nedelcu氏、btrax Executive AdvisorのJensen Barnesを招いたセッションでは、btrax CEO Brandon Hillのモデレーションのもとお話を伺った。 セッションのテーマは、「日本とアメリカ・カリフォルニアのイノベーションラボにおけるトレンドとその未来」。普段から日本、米国において様々な企業のイノベーションの現場に携わっている4人のお話は大変興味深い内容であった。 今回は、日本でイノベーションラボを成功させるために秘訣や、成功を阻んでいる課題、組織内でいかにイノベーションラボを機能させるか、など、イノベーションラボに関して幅広く議論されたセッションのポイントをご紹介する。 ゲストスピーカー紹介 Jensen Barnes btrax, Executive Advisor デザイナー、技術者、起業家。現在はサンフランシスコのOff the Gridのソフトウエア主幹と同時に、btraxの顧問として活躍中。6年間の東京在住中には、エンジャパンのAIRのクリエイティブオフィサーと創始者として、また原宿のUltraSuperNewのクリエイティブデザイナーとして活躍。ノーザンアイオワ大学でデザインと音楽の学位、イェール大学でMFAを取得。     Tim Romero TEPCO Ventures, CTO 25年以上にわたって東京を拠点に活躍。様々な企業の日本市場への参入を指導。また、Disrupting Japanを創業し、ポッドキャストを発信していると同時に、ニューヨーク大学の東京キャンパスで企業イノベーションを指導。TEPCO VenturesのCTOとして活躍する一方、日本のスタートアップコミュニティへの投資家、創始者、メンターとしても活動。     Ion Nedelcu frog, General Manager アジア環太平洋、欧州、中東地域の多種のクライアントに対して、顧客体験やプロダクトデザイン、サービスデザインを20年以上にわたってサポートしてきた経験を持つ。         日本企業がイノベーションを生み出すために克服すべき課題とは? Brandon: 日本企業がイノベーション創出のために直面している課題は何でしょうか?課題克服のために何をするひ必要があるのでしょうか?そして、イノベーションラボがうまく機能しない背景には、どのような理由や原因があるのでしょうか? Jensen: 私は過去6年間日本に住み、いくつかの企業でイノベーションラボを立ち上げ、結果も出してきました。また、現に多くの日本企業が、イノベーション創出を進めていることも知っています。イノベーション創出を成功に導くには、正しい目標を設定し、その達成に向かって邁進することに尽きると思います。 関連記事: なぜ日本の大企業にイノベーションチームが必要なのか? イノベーションには、目標設定と測定方法が必須 Brandon: Timさんはいかがでしょうか? Tim: 私は、日本のスタートアップと海外のエネルギー分野のスタートアップと協力し、日本で新しいエネルギー関連ビジネスの創出に携わっています。経験からも言えることなのですが、大企業がイノベーションプログラムを設定するときに犯す最大の間違いは、特定の目標がはっきりしないまま進めてしまうことだと思います。 あとは、イノベーション自体が目標になってしまっていることが多いのではないかと。しかし、イノベーションは目標ではありません。イノベーションとは、設定した目標を達成するための、あくまでも手段であると捉えることが重要です。 Brandon: Ionさんはいかがでしょうか?今のお2人のお話から、イノベーションの目標設定に対して、どのように新しく革新的なアイデアを加えていくべきだとお考えですか? Ion: 私がGeneral Managerをしているfrogは、グローバル展開でビジネスデザインや戦略のコンサルティングを行います。ここ3年ほど電通とのパーティナーシップのもと、日本企業がより成長するために、経営や開発に関する支援も行っています。 私は、お2人がおっしゃったことに賛成です。イノベーションは魔法のようなものではありません。綿密な計画と正確な目標設定が必要です。また、目標と同時に、イノベーションが進んでいるかの測定方法がないと、イノベーションはまったく機能しません。 しかも、測定方法は、1日目、1年目などと短期的な投資収益率を見るのではなく、長期的なものでなくてはなりません。5年ほど先の投資収益率を見ることが必要です。イノベーションがビジネスにすぐにもたらされることを期待すると、すべて失敗に終わります。 関連記事: イノベーションの効果測定方法 イノベーションは一日にしてならず Brandon: 本日の別セッションで、イノベーションが成功したかを測定する方法として、自分たちが思いもしなかった新しい体験をユーザーから聞き出すこと、というのがありましたが、Jensenさんはどう思いますか? Jensen: TimさんとIonさんが指摘したように、目先の投資収益率を測定するのではなく、長い目で見ることはとても重要だと思います。イノベーションによるユーザーのライフスタイルの変化や影響を注意深く観察することが重要です。 イノベーション創出は、種を撒いてそのままにしておくのではなく、なんとか成長させてやるんだという気持ちで水を与えたり、肥料を与えたりしながら世話をしていくことです。種を植えたから勝手に成長していくと思ったらそこで失敗です。 Brandon: Timさん、TEPCO Venturesでは、KPIや目標は設定していますか? Tim: KPIは必要だと思います。目標を設定し、達成のための過程に対してもKPIを設定し、測定していくことが大切です。 Brandon: Ionさんにお尋ねします。イノベーションを効率良く創出するために、外部組織を利用することについてはどうお考えですか? 外部組織という新しい風を取り入れる Ion: 大企業は内部に多くのリソースを持っています。私たちはコンサルタントとして、リソースの提供や企業同士の連携など、あらゆるプロセスにおいてサポートができます。 イノベーション創出にかかる時間を短縮するために、外部組織を使う価値は充分にあると思います。外部組織は様々なアドバイスは与える一方で、責任は取らない、なんて話もよく聞きますが、それは大きな間違いです。 外部から入ってイノベーションについて語る人は、その組織内にない観点からのアイディアや経験を持っているケースが多くあります。また、組織内の既存の人間関係や階層をジャンプして意見をすることができるので、より革新的な議論を生み出す可能性があります。 イノベーションラボは社内に持つべきか、切り離すべきか? Brandon: Jensenさんに聞きます。イノベーションラボを本組織とは別の組織として持つことについてどうお考えですか? Jensen: 企業内であろうが、外部に切り離したユニットであろうが、すべてはコミュニケーションが上手くとれているかどうかにかかっています。優れたイノベーションラボはこも、コミュニケーションが上手く作動しています。 実際に携わっている人たち全員が、どんな目標に向かって、何を支持し合っているかが理解されていれば、どんな組織形態でも上手くいくと思っています。とはいえ、一番ここが難しいのですが。 Brandon: 私が外部にイノベーションラボを設置する方が良い思う最大の理由の1つは、それぞれの企業にあるルールから外れ、自由に動けることが必要だと思うからです。社内ルールだと実現できないような外部ツールを導入できたり、フレキシブルな対応が取りやすかったりするのではないかと思います。 関連記事: 今こそイノベーションラボ設立の時?大企業に学ぶ“失敗から学べる環境づくり”とは 本組織とイノベーションラボのコミュニケーションと共通理解が必須 Tim: 企業のイノベーションには2つの部分があると思います。まずは、創造する部分。この成功のためには、ルールを緩和し、様々な実験を自由に行えるビジネスユニットを設置することが有効な策です。 そしてもう1つの部分は、創造のフェーズで生まれたイノベーションを企業が採用し、社内で展開していく部分。企業のイノベーションを成功させるためには、どんな組織構成であれ、本組織との連携が上手く取れているかが重要です。独立したユニットを持つリスクは、多くの場合、その組織にビジネスとして展させる機能までを持ち合わせていないことですね。 Brandon: Ionさんにお聞きします。欧米では、独立的なイノベーションラボを成功させている例もありますが、米国や欧州ではこのような組織内の連携はどのようにしているのでしょうか? イノベーションラボにも経営発想は必須 Ion: はっきり言うと、イノベーションラボの90%近くが失敗、あるいは閉鎖されているというのが現状です。しかし、成功している企業では、物理的に本社から離れている場合でも、本社との親密なコミュニケーションが出来ているようです。そして、彼らは、イノベーションラボの担当にマネージメントができる優秀な人材を置いています。 イノベーションラボと言っても会社組織の一部ですので、経営という概念を持たないと続きません。経営ができてこそ、本社からの協力や信頼を得られるのだと思います。組織内の縦横の階層を上手くナビゲートする経営センスを持った人がイノベーションラボには必要不可欠です。 イノベーションを創出するチーム作りの重要性 […]

【2019年】3つの業界に見る米国イノベーション事例まとめ

5Gの拡大でAR/VRや自動運転など「技術」が注目されがちだが、サービスの価値は「ユーザーが抱えている問題を解決することで初めて創造される」ということを忘れてはいけない
2019年ユーザーに価値を与えたイノベーション事例をリテール、ヘルスケア、ペットケア分野に分けて紹介

今年も残すところあと僅か。2019年のアメリカは第5世代移動通信システム、「5G」がついに解禁され、VR/AR市場の拡大、自動運転の可能性など、今までは想像もできなかった技術革新がさらに加速した年でもあった。
例えば、Alpha…

世界最大のテクノロジーカンファレンスCES 2020の注目ポイント

2020年の年明け、米国ラスベガスにて1月7日から10日にかけてCES 2020が開催される (メディア向けカンファレンスは1月5日、6日)。CESは、世界最大規模のテクノロジーカンファレンスで、以前は家電中心だった内容が、ここ数年で急激に拡大し、モビリティー、ヘルスケア、エンタメなど、テクノロジーを活用する様々な業界が参加、出展している。 そんな世界が注目するCESに関しての見どころを説明。最後には関連イベントの紹介も。 年々規模も注目度もどんどん高まっている イベントとしての規模も桁外れで、メインのコンベンションセンターだけでも、東京ビッグサイト4つ分の広さ。それに加えて周辺のホテルの会場などを含めると11箇所で展示が行われる。予想される来場者数は18万人以上、4000を超える出展企業、7000以上のメディア関係者の参加が予定されている。ラスベガス市に対するその経済効果は実に300億円以上とも言われている。 このイベントの注目度は年を追うごとに高まっており、2018年のTOYOTA ePallet、2019年のLG Rollable TVなど、CESを目指して新規プロダクトコンセプトのリリースをしている企業もかなり多い。 関連: 主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント CES 2020で注目したい10の見どころまとめ では、btraxのCEOとして個人的に注目したい10のポイントをまとめてみた。 展示の半分くらいはモビリティーとMaaS系。革新的なサービスの誕生が期待される VR/AR/MR/XRの細分化が進む。実用的な新サービス情報もお披露目される AIとロボティックスからは、AI技術が具体的にどのように活用されるかがみられる ヘルステックだけでなく、心のケアまでおよぶウェルネステックにも注目 コンセプトに留まらない、5Gの活用事例に期待 日常生活により密着した、スマートホーム等のIoT系プロダクトには再注目 Appleが28年ぶりの参加!「What Do Consumers Want?」セッションに参加 数十年大きな変化なかった旅行体験を変革させるテクノロジーが登場 インクルーシブを目的としたセクシャル系プロダクト展示の解禁 徐々に下がりつつある日本企業の今年のプレゼンスにも注目 モビリティーとMaaS系 数年前までは家電がメインであったCES (元々はConsumer Electronic Showの略) も、今となっては展示内容の半分ぐらいはモビリティー関連になってきている。それくらいに、モビリティー業界は大きな変革の時期に来ており、自動車メーカーやサプライヤーををはじめとした各社が、最新テクノロジーをどのようにいち早く取り入れ、移動やロジスティックスなどのエリアにて、革新的なサービスを生み出しているかに注目が集まる。 関連セッション: BYTON Media Days News Conference ZF Media Days News Conference When Will Advanced Automotive Tech Pay Off? Bosch Media Days News Conference Continental Automotive Media Days News Conference Crawl, Walk, Run: Scaling Mobility Ecosystems Products for the Future of Mobility Ground or Aerial: Which Will Win Autonomy? Innovations in Last Mile Toyota Media Days News Conference Connecting the Dots for Mobility Solutions Faurecia Media Days News Conference Human Experience in the Future of Mobility Hyundai […]

澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI2019】

イノベーターとは要素の組み合わせができる人や、足し引き掛け算ができる人。イノベーターになる可能性は十分にある
芽を育てるマインドセットと前進がみられる失敗には評価する制度を
イノベーションできないことの言い訳をするのではなく、「当たり前を疑う」こと。お互いに不得意なことを補い合える人を見つける

「イノベーション」や「グローバルマインドセット」。口で言うことは簡単だが、依然として横並び意識が色濃い日本の企業で実行に移すハードルは高い。
なかなか躍動できない若手や、そんな若手たちをどう扱うべきかわか…

2020年知らないと恥ずかしい!?米国で注目のIoTサービス5選

IoTは人の生活に密着しているもの。2019年に話題となった注目されているIoTを知ることで人の価値観の変化を探れる PUMAのスマートスニーカー、PUMA Fi:快適・便利なデジタル靴紐 Oculus Quest、Oculus Go:VRはここまで身近なものになってきている CasperのThe Glow Light:良い睡眠のための光を提供 Flic:様々な操作をボタン1個でシンプルに NorthのFocals:おしゃれが当たり前のスマートグラス 2020年を迎えるにあたり、ぜひ最新IoT情報をアップデートしていただきたい。IoTは人の生活により密着しており、ライフスタイルや嗜好、価値観がどのように変わっているかを垣間見ることができる。 さらに、ここ、サンフランシスコ・シリコンバレーにはb8taやTarget Open Houseといった、最新IoTガジェットをキューレートしてショールーム的な展示や販売をしているお店があり、最新IoTと触れ合う機会が多い。 アーリーアダプターも多いので、IoTに限らず常に最新テック系サービスを生み出し、育てていくエコシステムがあるのだ。 関連記事:世界が憧れるサンフランシスコ・シリコンバレーの3つの魅力 そこで今回は、IoTやテック系サービスに関して日本より数年先を行くサンフランシスコ・シリコンバレーを中心に、2019年に話題となったIoTガジェットを紹介する。 PUMAのスマートスニーカー、PUMA Fi PUMA Fiはドイツの大手スポーツメーカー、PUMAが開発したスマートスニーカーだ。独自のFit Intelligence(Fi)技術を活かして、靴紐のない、『デジタル靴紐』なるものを生み出した。 下の動画を見ていただければわかる通り、コードのようなものはあるが、結ぶ必要のある靴紐はない。靴の甲の部分にあるセンサー部分を上下にスワイプすることで、『デジタル靴紐』のきつさを何段階かで調整できる。 また、スマートフォンやスマートウォッチからの調整も可能で、色々なシーンでの活用を想定したデザインになっている。例えば、旅行の際、飛行機に乗っている時は足の浮腫が気になった時、あるいはリラックスしたい時には靴紐は緩め、歩いて移動中の時は靴紐を絞める、といった調整が簡単にできるのだ。 実はPUMAは1986年にもコンピューターを搭載したスニーカーを開発していた。それ以来、テクノロジーを駆使したスマートスニーカーを追求してきた。今回のFit Intelligence技術は、よりスマートで、軽く、もっと一般に向けたものになっているという。 実際に、2019年4月から、応募によるベータ版の販売が地域限定でされており、すでに30,000人の登録があった。販売は2020年の春を予定しており、値段は330ドルとなっている。 こういったスマートスニーカーが出ると、映画バック・トゥー・ザ・フューチャーの世界が現実になっている!と騒がれる。このプロダクトは、映画が公開された1989年に、人々が想像していたということだ。 新しいトレンドの創出は人間の想像があってのことであり、この想像が現実となり、もう数万円でも手に入るような時代になっているということがPUMA Fiの例からもお分かりいただけるだろう。 VRゲームを格段に身近なものにしたOculus Quest、Oculus Go OculusはVRヘッドセットとそのソフトウェアの開発・販売を行うスタートアップだ。 2012年にカリフォルニア州アーバインで創業すると、ゲームコンソール用VRのメジャープレイヤーとして成長を続け、2014年には20億ドルでFacebookの傘下となった。 買収後3年ほどは売上増加に繋がらず、Oculus買収はFacebookの目の上のたんこぶか、とも思われたが、2019年、Oculusが起死回生の一打として貢献することとなる。 2019年第三四半期、Facebookの広告以外による売上が2億6900万ドル(約269億万円)に達し、前年比43%の増加となった。その主な要因がまさに、Oculus Questなのだという。 Oculus Questは、より気軽で、使いやすいVR体験を提供している。今までの本格的なVRゲームは、パソコンやケーブルの接続が必要だったが、Oculus Questはパソコンも、ケーブルも不要になった。しかも価格は399ドル〜。これは、今までのゲームコンソールと比べて大きく変わらないどころか、むしろその技術力の高さを考えると、リーズナブルなのではと思ってしまう。また、スターウォーズシリーズのゲームも人気の理由だ。 さらにQuestは2019年だけで、130万台売り上げるのではないかという予測も出ている。 また、Oculusはゲームだけでなく、映画や動画を楽しむためのVRヘッドセットも開発している。Oculus Goは、映画や動画などの視聴に特化した、より持ち運びがしやすいモデルだ。別のユーザーと同時に、バーチャルでVR視聴することもできるようになっている。価格は199ドル〜なので、VR初心者でも、より手を出しやすくなってきている。 2018年5月に発売してから販売出荷数が約100万を目前にしているという情報まである。 ちなみにOculusは、ソーシャルグッドのためのVR開発にも力を入れていて、車椅子の人がいろんなところに旅行できるようなVRや、アメリカの黒人に関する歴史についてよりリアリティを持って学べるようなVRコンテンツがある。Oculusの活躍の幅はゲームに留まらないようだ。 ところで、VRヘッドセットはIoTという認識はあまりされないのかもしれないが、インターネットに繋がっているもの(ゴークル)と考えれば含まれる、という解釈で追加した。2019年を通して注目のガジェットだったことは間違いない。 睡眠を考え抜いたCasperがデザインしたライト、The Glow Light CasperはマットレスのD2C(Direct-to-Consumer)ブランドのパイオニア的スタートアップだ。年に創業し、累計約3億3970万ドルの資金調達をしてきた。2019年にはユニコーン企業の仲間入りし、IPOも噂されている。 Casperは主力製品であるマットレス以外にも、枕、ベットフレーム、シーツなど商品ラインナップを拡大してきた。そして2019年に、The Glow Lightというポータブルスマートライトをローンチした。価格は129ドル。 The Glow Lightはベッドサイドテーブルなどにも置ける、小型のポータブルLEDライトだ。人の睡眠より快適にするための様々な特徴がある。まず、点灯・消灯はライトを上下にひっくり返すことで可能だ。ライトは眠い時でも簡単にひっくり返せるくらい軽いので、従来のボタンを押したり引いたりする動作よりも簡単だ。 また、リラックスして睡眠に入れるように、The Glow Lightの光は温かみのあるものになっている。光は徐々に弱くなり、眠りに誘ってくれる。 さらに、起床の時間を設定しておけば、その時間に優しい光によるアラーム機能も果たしてくれる。時間の設定は専用アプリからカスタマイズできるようになっており、就寝の時間も入れておけば、睡眠リズムに沿って光によるサポートをしてくれるのだ。 The Glow Lightのデザインも人の睡眠を徹底的に考え抜いたものになっている。どんなインテリアにも馴染むデザインでありながら、Casperの心地よさも感じるフォルム。子供でも持ち運べるサイズ感。 光の強さは、ライトを回して調整できるのがわかりやすく便利。夜中にちょっと起きて何かするときも、ライトを軽く振れば豆電球程度の光がつく。これは、ユーザー観察やプロトタイプを重ねて開発されたようだ。 Casperはただのマットレスブランドではなく、人の睡眠をデザインするブランドだ。また、D2Cビジネスの根幹には、ユーザーとより近い距離で、彼らのフィードバックを得られるというメリットがある。 ユーザー中心でプロダクトをつくってきたCasperだからこそマットレスという主力製品に留まることなく、ここまで考え抜かれたThe Glow Lightが生まれたのではないだろうか。 ボタン1個というデジタルデバイス、Flic Flicはスウェーデン、ストックホルム生まれのスタートアップ。2013年に創業した。累計調達金額は約110万ドル。従業員も100人にも満たない規模ではあるが、今までに20万個のFlicを110以上の国で販売してきた。スマートフォンアプリや家電用のスマートボタンというシンプルなデバイスなのに、ここまで拡大している。 FlicはBluetoothでスマートフォンと連動させて使う。Flicの専用アプリから、ワンクリック、ダブルクリック、長押しといったボタンを押す動作をトリガーに、どのアクションを起こすかのカスタマイズをする。例えば、かかってきた電話をとったり、音楽を再生したりと、設定次第で使い方の幅は様々だ。 Flicは複数個、いろんなところに設置するような使い方も想定されている。つまり部屋の中だけでなく、自転車や車のハンドルなど色々な場所にFlicをつけておけば、ボタンひとつでコントロールできるもの、シーンが増える。 現在は、スマートフォンのコントロールだけでなく、家にあるスマート家電などの操作もできるようになっている。スピーカーや照明、テレビなど、異なるメーカーのデバイスであっても、Flicをリモコンに、操作できるようになるのだ。 実は2019年のCES(Consumer Electronics Show)で、GoogleがスマートボタンによるGoogleアシスタントのデモがお披露目されていた。ボタンによるスマートライフの構想が徐々に拡大・浸透してきているのだ。 関連記事:主要メディアが伝えないCES 2019で感じた5つのポイント Flicにはワンクリック、ダブルクリック、長押しの3つの操作しかない。それをスマートフォンや、スマート家電と接続することで、シンプルでシームレスなスマート体験が生まれる。 ボタンが1つしかないと聞くと、不便さや不十分さを感じるかもしれないが、ユーザーがよく使う操作に絞ることで、リモコンより格段に便利に感じるのだろう。しかもFlicは色々なところに設置できる(設置しても気にならないデザイン)。 これは少し筆者の感覚の話になるが、Flicのボタンは、「今までのボタン」っぽい感じが残っている。押した時の「クリッ」という音と感覚は、どこか無限プチプチのような、「なくても問題はないが、なぜか押したくなる感じ」がある。このような定性的な要素も、昨今のIoTガジェット激戦の中で差別化を図るための特徴となってくれていることだろう。 おしゃれスマートグラス、NorthのFocals ウェアラブルデバイスとして、スマートグラスも開発が進められてきたが、そのほとんどが「技術的にはすごいけど、なんかダサい、サイボーグ感」がなかっただろうか。 NorthのFocalsは、スマートグラスのグラス(メガネ)の部分のデザインにこだわったウェアラブルデバイスである。ぱっと見た感じは、おしゃれなメガネという印象だ。Focalはホログラム技術により、スマートフォンと連動した通知や情報をメガネのガラス部分に映し出してくれる。メガネの度あり度なし、どちらでも可能だ。 Northは2012年にカナダで生まれたスタートアップ。2019年2月には150人の従業員を解雇したり、カナダ政府からの投資が中止となるなどのニュースがあったが、同年5月には4000万ドルの資金調達へと持ち直した。現在はAmazonやIntelからの資金調達を含め、累計額は1億1960万ドルとなっている。 Northのミッションの1つは、テクノロジーやデジタルコンテンツと現実世界の境目を無くすということだ。インターネットを使っていると、現実世界から遮断される。また逆も然り。このような状況に、なるべくグラデーションをもたらそうとしている。Focalはそのためのツールだ。 (ここサンフランシスコでもNorthのショールームトラックが来ていたので筆者も試してみた) 使い方も複雑なものではない。Northのスマートリングと専用アプリと連動させれば、細かい操作や設定も可能となる。スマートリングはコントローラーになり、アプリを開かなくても、レンズに表示された項目の選択が可能になる。 Google Mapのナビ機能、Uberの配車リクエスト、カレンダーやメッセージなどの通知、音声認識によってメッセージへの返信もできるようになっている。 もちろん、耐水性もあり、UV効果やサングラスに切り替えることもできるので、普段使いが前提にデザインされていると言える。 価格は599ドル〜(2019年12月現在生産がストップしている様子)。まだ身近で使っている人を見かけたことはないが(もしかすると普通のメガネっぽすぎて気づいていないだけかもしれない)、Apple Watchのメガネ版と言われているあたり、徐々に浸透してくることが期待されている。 まとめ:IoTを考え、人の価値観を考え、サービスを作ること IoTは私たちの生活に確実に入り込んできていて、IoTに人々の新しい価値観が詰まっている 『IoT』が2017年、2018年ごろ、多用されていたが、2019年は前ほど聞かなくなった。一方でApple Watchやスマートスピーカーなど、多くの商品が世に出て、使っている人も増えてきたと感じていないだろうか。 以下、Google Trendsを見ていただいてもわかる通り、IoTは2017-2018年あたりをピークに、2019年は減少傾向にある。一方で、Apple WatchはAppleの新製品発表会のたびに増加し、通年通しても徐々に増えてきていることがわかる。 つまり、IoTというより、Apple WatchやGoogle Homeといった、より具体的な製品としてIoTが生活に浸透してきていると考えられる。 IoTを考えることは人の価値観を考えること 多くのIoTガジェットは、エンドユーザーに直接接触するものであり、彼らの生活に密着している。スマートスピーカーなどは、声で指示を受けて家事をこなし、生活を豊かにしてきた。IoTは新たな価値観を作り出してきたものだ。それと同時に、注目されているIoTを知ることは、人の価値観がどう変わってきたかを知れるきっかけでもある。 そして、価値の創造や提供に欠かせないのが「体験」だ。今回紹介したブランドはどれもものに留まらないサービス・体験の提供をしている。 ただハイテクな靴を追い求めた訳ではない、ただ機能が優れたライトを作った訳ではない。そのベースに人を考えた考察があるから、人に深く刺さり、イノベーションの創造へと繋がっているのだ。 人を中心にサービスを考える、というのは頭でわかっていても、今まで培ってきた技術力や社内の組織的な課題、時に無意識的な価値観が邪魔して上手く実行できないことも多い。btraxではそのような目的を持ちつつも、自社だけでは解決しづらいという方々を多くサポートしてきた。 […]

【今さら聞けない】デザインがビジネスにこれほど重要な理由

経営におけるデザインの重要性が叫ばれるが具体的な成果があまり出ていない デザインがもたらす7つのメリットとは? なぜデザインがイノベーションに不可欠なのか? 企業内にデザインを浸透させるための7つのポイント グローバル規模でデザイン的競争力をあげるには デザイン思考やデザイン経営などのバズワードが巷にあふれ、オープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーションなどのカタカタキーワードが羅列される。そんな状況で実際に結果としてどのようなアウトプットが生み出されているのか?おそらく、日本国内で働いている人たちのその多くが、上記のようなトレンドとに関する取り組みに少なからず関わったことがあることだろう。 その一方で、デザインがプロダクトや企業経営に対して具体的な結果として効果を生み出した事例は、日本国内で見渡してみると驚くほどに少なく感じる。その一方で、グローバル規模で考えてみると、デザインのビジネスに対する利点は具体的な数字としてクリアになってきている、 参考: 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ そのギャップを少しでも埋められないかと思い、我々btraxでもfreshtraxのようなメディア、DESIGN for Innovationに代表されるイベント、そして、デザインサービスを通じて、日本企業の国際的デザイン競争力の向上に寄与できないかと試みている。 今回は、先日開催されたイベント、DESIGN for Innovationの総括として、最も基本的な事柄である、なぜデザインが企業の経営やビジネス全体に重要な役割を果たしているのかを今一度まとめてみることにした。 デザインがもたらす7つのメリット “良い”デザインが大切な理由を考える際に、そこからどのようなメリットを得るかがわかると理解しやすい。大きく分けると恐らく下記の7つに集約されるだろう。 1. ユーザビリティー向上 直接的な効果として、商品やソフトウェアなどの使いやすさが向上する。例えば、リモコン1つとってみても、ボタンの数が少ない方が使いやすい。デザインの質を上げれば、単純により使いやすいプロダクトになる。 参考: 優れたユーザビリティを実現する25の基本概念 2. 効率性の向上 ソフトウェアが使いにくいために、作業効率が下がってしまった経験はないだろうか?特に業務用システムの場合、どうしてもセキュリティーや安全性を優先することで、使いやすさが犠牲になってしまうことも多い。その一方で、シリコンバレーの企業を中心に、最近では、効率性を高めるデザインに注目が集まってきている。 日本でも働きかた改革などの影響で、労働時間を減らす傾向にある。その一方で、求められる結果は同じであることも多い。少ない時間で同じ結果を得るには、より効率化を進める必要が出てくる。そこで必要になってくるのが、より優れたデザインを採用したツールや環境だったり、プロセスだったりする。 参考: 【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは 3. 安全性の向上 デザインの品質が悪いと、時に人の命も奪う結果につながってしまう。2016年の夏にロサンゼルスの郊外の自宅の入り口付近で、27歳の俳優が死亡した。それも、自身が運転していた車に押しつぶされて。どうやら、彼は一度自動車を停め、自宅のゲートを開けようとしていたところだったと推測された。 なぜこんなことが起こったのか?調査によると、彼の2015モデルのジープはリコール対象になっていた。原因はそのシフトレバーのデザイン。パッと見では”P (パーキング) “に入れていることがわかりにくい事で、それまでにも100件ほどの事故が発生していたという。間違ったデザインが安全性を下げてしまった例である。 参考: UXピラミッド – UXデザインの正しい評価方法 – 4. 競争力の向上 現代において、多くの企業が脅威を感じるライバル的存在に共通しているものは何か?おそらく、そのデザイン性の高さだろう。例えば、テクノロジー業界で考えてみると、世界的にユーザー数の多いTop 7社 (Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft, Salesforce, Oracle) のすべての会社には専属のデザインチームが存在しており、ブランディングからプロダクトのユーザー体験までを横断的に管理している。そうすることで、より多くのユーザーを集め、最終的な企業競争力を高めている。 そうなってくると、デザイン性の高さそのものが企業にとっての武器となる。一昔前は、Appleのプロダクトを愛していたのは一部の強烈なファン層だけだったが、いつの間にかマジョリティーの消費者がiPhoneを利用するようになった。高いデザイン性を提供するプロダクトでないと利用されなくなってきている例だ。 参考: 【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか 5. 利益率の向上 優れたデザインやユーザー体験を施したプロダクトづくりができれば、多くのユーザーを獲得する事ができる。自ずと結果として、売り上げや利益の向上に繋がる。特に利益率については、Appleの製品が競合のものよりも割高であ事から考えてみても、高い利幅を獲得していることは想像に難くない。 実際のリサーチ統計を見てみても、デザインへの投資は具体的な数字として表れ始めている。 製品デザインへの投資が1%増えるごとに、売り上げと利益は平均して3-4%増加する。(ロンドン・ビジネススクール) デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっている。 (マッキンゼー) デザイン的アプローチを経営の戦略に積極的に取り入れている状況企業の株価の伸び率が、S&P 500全体平均と比べ10年間で228%高くなっている。(Design Value Index Results) 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 6. ウェルネス向上 デザインの意外な役割として、人々の心に対してのポジティブな効果もある。特に最近は、デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及で、人と接する時間よりも、デバイスと過ごす時間の方が多くってきており、精神的に疲れている人が増えている。それを癒すのもデザインの役割りだ。 シリコンバレーの企業の中には、「自分たちのサービスは、果たしてユーザーの人生にポジティブな影響を与えているのか?」と疑問を感じるところも出てきている。特にデザイナーたちからは、「お金儲けのために、ユーザーの人生を台無しにしてしまっていないか?」との意見もある。 特にUXデザイナーの間では、エシカル (倫理的な) デザインの概念が議論され、すでにプロダクトに採用しているケースもある。 そしてすでにAppleのScreen TimeやGoogleのFocus Modeなど、ユーザーのより良い人生 (ウェルビーイング) のためのデザインが進んでいる。 参考: デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは? 7. クオリティーオブライフ、クオリティーオブワークの向上 そして最終的に優れたデザインは、日々の生活の品質や仕事をしている時間の価値の向上にもつながる。住環境やオフィス環境のデザイン要素を改善することで、より充実した日常生活を送ることができる。昨今話題のWeWorkがそのデザインにこだわりまくっている理由も理解できるだろう。 最近我々btraxも、コミュニケーションがより促進されるデザインへとオフィスの一部をリニューアルした。   View this post on Instagram   参考: ブランド戦略 × オフィスデザイン ー 成功事例に見る企業ブランド構築手法 デザインとイノベーションとの関係 そして、今回の本題である昨今叫ばれているビジネスにおけるデザインの重要性であるが、その背景にはテクノロジーの進歩と、ユーザーの期待値の上昇があると考えられる。 時代が進むにつれ、テクノロジーが進化し、ムーアの定義で説明されているように、どんどん新しく優れたテクノロジーが普及する。それに伴い、ユーザーの日常生活にテクノロジーが入り込み、特別なことではなくなってくる。言い換えると、加速するテクノロジーのコモディティー化が急速に加速していく。 結果として、商品やサービスから提供されるユーザー体験に対する消費者のの期待値はどんどん高まる。企業側は、その期待値にどのように対応できるか = デザイン的な熟成が進むかが、向こう5年以内の勝負の分かれ目となってくると考えられる。 ユーザーが求める体験を提供できる企業は勝ち残り、そうでないところは衰退していくのは明白だ。そのためには、いち早く、企業内にデザインを”インストール”する必要が出てくる。 企業にデザインをインストールための7つのポイント では、実際に社内にデザイン的考え方を浸透させるためにはどのようにな方法があるだろうか?おそらく下記の7つが必要とされると思われる。 […]

カインズ/「暮らしの向上」の情報技術支援で財団設立

カインズは12月4日、情報技術の活用でくらしのさらなる向上を目指す一般財団法人を設立したと発表した。土屋裕雅代表取締役会長が11月1日、一般財団法人「カインズデジタルイノベーション財団」を設立したもの。 <カインズ> カ […]…

マサチューセッツ工科大学が提供する利用者の声に基づく新たな学生サービス

マサチューセッツ工科大学が提供する利用者の声に基づく新たな学生サービス。SAP Innovation Award2019に発表された、①利用者の声のもとづいた施設の維持、②最先端技術による便利な駐車場サービス、をご紹介します。…

グローバルにイノベーションを起こす人の7つの特徴

経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表したのが2018年のこと。経営にデザインを取り入れることで、組織のイノベーションの創出力を高めようとする試みだ。
実際、日本の多くの企業でも、デザインを取り入れる動きが見られるようになり、その効果も少しずつ現れ始めている。
関連記事:統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ
イノベーション、説明できますか?
では、そもそも「イノベーション」とは何だろうか?ふわっとした「なんとなく」のイメージに留まり、その定義ができていないのではないだろうか?
バ…

デザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれない?説

デザイン思考は基本的なマインドセットであり、イノベーション創出のための万能な方法論ではない デザイン思考を学んで終わりにしない。「当たり前」にし、そのあとの行動に移してやっと価値が出てくる デザイン思考に倣うだけでは心に響くプロダクトは生まれない イノベーションに必要な要素 = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション みんな頑張ってデザイン思考を会得しようとしている デザイン思考の重要性が一般的に浸透し、多くの企業が何らかの方法でその手法を社内に取り入れようとしている。有望な若手を1日のデザイン思考ワークショップに参加させたり、経営陣自らがデザインの重要性を学ぶためのセミナーを受けたりなど、それなりの活動を進めていることが多い。 やってみたけど結果が出ない? しかしここに来て、多くの企業の方々から聞こえてくるのは、「それなりにやってはみたものの、イマイチ結果につながっていない」と言う課題。そもそも、ここでの”結果”とは何を意味するのか? よくよく聞いてみるとそれは、「デザイン思考を活用した画期的な事業の創出」だと言う。おそらく彼らは、デザイン思考を取得すれば、今まで不可能だったようなアイディアや、ビジネスモデルが生まれると考えているのだろう。 実はそれは大きな間違いなのかもしれない。「ここがちゃうねんデザイン思考。5つの違いを理解してモヤモヤを解決」でも説明されている通り、そもそもデザイン思考は基本的なマインドセットであり、万能なメソッドではない。と言うことは、デザイン思考自体は、あくまでイノベーションを生み出すための”下地”であり、方法論ではない。 言い換えると、デザイン思考を学んだだけでは期待する結果を得るのは難しい。実際に活用しながら試行錯誤していく必要がある。我々が提供しているデザイン思考をベースとしたワークショップでも、数ヶ月にわたり実際にスタートアップサービスを作りながら、やっとヒットするサービスの糸口を掴みかけるような状態なのである。 グローバル的には多くの成功事例が生まれている その一方で、「統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ」を見てもわかる通り、デザインを経営に導入することのメリットがあるのは明白なのである。 具体的な経営的な数字でデザインの重要性が明確になればなるほど、世の中の多くの企業たちが、ビジネスにおけるデザインの重要性に着目し、自分たちも乗り遅れないように何らかの試作をしなければ、と考え始めるのは当然の流れだろう。 そもそも何がデザイン思考なのかがわかりにくい そんな世の中の流れもあり、最近の日本では、猫も杓子もデザイン思考を叫び、本屋さんには関連した本が平積みされている。コンビニでも思わず「デザイン思考ください」と言ってしまいそうになる。 その一方で、何がデザイン思考なのか?それはどのようなメリットがあるのか、に関しては明確かつ統一した理解がない。そもそも、その概念自体が広すぎて、人によって解釈が違うし、利用方法も違う。そして、デザイン思考という概念自体が本来そうあるべきである。 なぜなら、デザイン思考は厳密なプロセスやルールなのではなく、参考程度に活用するべき考え方であるから。なので、「デザイン思考とは?」と聞くこと自体が愚問である。 ↑ 数多く出版されているデザイン思考関連の書籍 実は一番困惑しているのは現場のデザイナー達 デザイン思考って何?と言う質問に一番困惑するのは、もしかしたらデザイナー達だろう。そもそも、自分たちが今まで情熱を持って、長い年月を費やしてやってきた事が1つのブームになり、デザインの”デ”の字もわからないお偉いさんが、知ったかぶりで「やっぱデザイン思考だよねー」って擦り寄ってきても、「は?」と思ってしまうこともある。 それだけデザインは奥が深く、一朝一夕で身につくものでもない。それを、昨今のトレンドにより、誰でも簡単に学ぶことができ、ビジネスに即効性があると思われると、かなりしんどい。そして、昨今の社内デザイナー達は、他のスタッフにデザイン思考を教えることに毎日奔走し始めている。そうなってくると、本来やりたかったデザインの仕事がなかなかできなくなり、モチベーション低下にも繋がりかねない。 また、経営の現場に単純にデザイナーを突っ込めば全てが解決するわけではない。なのに、成功している会社の多くはデザインを経営に活用している、と言う理由だけで、なぜかデザインは万能な魔法のような捉え方をしているケースも見受けられる。 社内にしっかりとデザインを浸透させたければ、まずはスタッフのマインドセット、次にカルチャー変革が求められる。 そもそも、デザイン思考を社内に浸透させたければ、デザイナーよりもファシリテーター的な役割の人が行う方がよっぽど効果が高い。我々、btraxでも、デザイン思考ワークショップを提供する際には、ファシリテーターがメインで進めていくようにしている。 ↑ ファシリテーターがリードするbtraxでのデザイン思考ワークショップの様子 スタートアップ業界ではすでに”母国語”化している ちなみに、サンフランシスコやシリコンバレーのスタートアップ界隈では、今更デザイン思考を学んだりはしない。自分を含め、ここに長く住んでいる人たちにとってみると、デザイン思考的な流れでサービスを作るのがあまりにも当たり前のやり方すぎて、いまさら体系立てて学ぶことはあまりしない。 サービスを考えるときに、特定のユーザーのニーズにフォーカスを当てるのは当たり前だし、短いスパンでプロトタイプを作成し、ユーザーテストをするのも当たり前。アイディア段階でカフェに行って横に座ってる人からフィードバックをもらいながら改善したい、よりふさわしいユーザーを紹介してもらったりするのも日常茶飯事である。 それはまるでデザイン思考がすでに我々にとっては”母国語”になっており、努力して会得するものでない感じなのだ。例えると、英語を学んでいる人は、その文法から発音までを論理的に身につけようとするが、生まれつき喋れる人は、逆にそんなややこしい部分は気にも止めない。 海で生まれた魚は、泳ぐことを一から学ばないのに似ている。「Fishes can swim」ではなく、「Fishes swim」となる。同様に、スティーブ・ジョブズが一からデザイン思考を学んだとは想像しづらい。 デザイン思考を会得してやっとスタートラインに立てるレベル ここで気付いた方もいるかもしれないが、「英語が喋れる = グローバル」ではない。それは単純に海外の人とのやりとりをしやすくなっただけであり、そのスキル自体はコミュニケーションの第一歩でしかない。これは、「デザイン思考 = イノベーション」ではないのに似ている。 イノベーションを生み出している企業がデザイン思考を活用してるのは間違いない。しかし、それはあくまで基本中の基本ができているだけであり、万能ではない。デザイン思考プラス何かがなければ、求める結果を得ることは非常に難しい。 デザイン思考は”思考”ではなく、”行動”であるべき これはその呼び方が大きな問題がるのかもしれないが、デザイン”思考”を通じて結果を出したければ、早い段階で、考えることよりも、行動に移す必要がある。下記のダイアグラムを見てもわかる通り、デザイン思考のプロセスにおいては、多くの箇所で行動が求められる。そして、それを短いサイクルとして、グルグル回す必要がある。ちなみに、デザイナーに求められる能力の1つが、短時間でどれだけ多くの量のアウトプットを出せるかである。 以前にアメリカで被験者を2つのグループに分け、一定時間内に陶芸を作る実験を行った。Aのグループには、「最も優れた作品を作ってください」と伝え、Bのグループには、「作品の質ではなく、使った粘土の量が多さで評価します」と伝えた。すると、Bグループの方が最終的には、より優れた作品を作った結果となった。トライアルアンドエラーを多く繰り返した方が良いものが出来上がりやすかった。 デザイン思考でも、どれだけの量の失敗を繰り返せるかが重要で、座学よりもアウトプット重視するべきである。 しかし、デザイン思考を”思考”のままで終わらせているケースが後を絶たない。優れたプロダクトを生み出したければ、頭で考えるより、まず行動。習うより慣れよ、が求められる。なのに、デザイン”思考”と名付けてしまったのが誤解を生み出す1つの原因になってると思われる。 ↑ 思考よりも行動が重視されるデザイン思考のプロセス 実際の現場はかなりカオス 実際のところ、デザイン思考を活用しても、その成功率は必ずしも高くは無い。しかし、プロダクトが生み出されるのに要するコストと時間が短縮されるので、長期的にみると良い結果につながる。 そして、議論よりも行動重視でプロダクト作りを進めている現場は、想像ができないぐらいに、はちゃめちゃであり、またそうあるべきである。プロセスの行ったり来たり、コンセプトの練り直し、ニーズの再認識は日常茶飯事で、チーム内のいざこざや、感情のぶつかり合い、仲間割れも珍しく無い。 それが本当に良いものを生み出すためのクリエイティブなプロセスなのであるが、和を大切にする日本の文化や、大企業のエリート経営陣にはなかなか理解のしづらい部分でもある。 会社がカオスな状況を許容してくれない限り、良いものは生まれづらい。 デザイン思考プロセスを丁寧になぞってできたプロダクトは面白味がない これはとても主観的な感想になるが、デザイン思考の教科書に従って、お勉強した内容を元に、そのプロセスを丁寧になぞって作り上げらたプロダクトは、妙に”のっぺり”としている。そして世の中にある他のサービスにかなり類似したものが出来上がる。何か一味足りない。スパイスが効いていない感じがする。 なぜか?多くの場合、作っている人たちが本当に作りたいものを作っていない場合があるから。教科書に書いてあるやり方をしっかりと踏まえ、間違えの無いように1つ1つしっかりと検証して作ったとしても、そこに強い情熱や想いが無ければ、なんかつまらない物が出来上がる。 作る側に強い愛情が無いと、ユーザーにとっても魅力的なプロダクトにはならない。ユーザー検証を通じて、”つじつまのあう”プロダクトは作れるかもしれないが、なぜか心に響かないものになりがち。単純にデザイン思考のプロセスを踏まえ、ユーザーが欲しいと言ったものを作ったところで、それは単なる御用聞きプロダクトになってしまいがちである。 参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い デザイン思考は音楽におけるカノン進行みたいなもの この感覚、何かに似ているなー?と思って考えてみた。そうそう、それはまるでカノン進行を活用したヒットソングっぽい。カノン進行とは、パフェルベルのカノンと言うクラシックの名曲に利用されているコード進行。それが、日本人の耳に妙に心地よく聞こえることから、そのコード進行をベースに作曲するとヒットソングを生み出しやすいと言うことで、多用されている。 ミュージシャンの間でも、「ヒットを生み出したければ、カノン進行を使えばなんとかなる」とされるが、同時にそれは禁断の果実でもあり、妙にどっかで聞いたことのあるJ-Popソングになりがちで、イマイチ面白味がない作品になってしまう。 うまくいかないケースに欠如しているのは何か? では、本題に戻って、なぜデザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれないのか?おそらく、ここで重要なのが、そこに強い情熱があるか無いか。企業の新規サービスを作る際には、もちろん最終的な売り上げが重要になってくるのだから、ヒットを狙って物づくりをする必要が出てくる。それにデザイン思考が用いられる。 その一方で、本能的にデザイン思考を取り入れているスタートアップの多くは、初めから売り上げを意識しない。むしろ特定のユーザーや社会、そして作っている人たち自身が強烈に感じている課題を解決するための手段として、プロダクト作りをする。そこには、他の人ではなかなか持つことのできないレベルのパッションがあり、それが大きな原動力となる。 強いパッションがあれば、物凄い勢いでニーズの深掘りを行い、素早く試作品を作り上げ、テストを繰り返す。そして、その結果に合わせて、どんどん改善やピボットを行う。それはまるでアーティストの自己表現にも通じるものがあり、ヒットソングを狙った理詰な作業とは異なる。 イノベーションに必要な要素とは デザイン思考だけではイノベーションが生み出されないとしたら、他にどんな要素が必要になってくるのだろうか?おそらく、それには、下記の要素が求められると思われる。 マインドセット: デザイン思考自体がそもそもプロセスというよりは、基本的に理解しておくべきマインドセットである。それぞれのメンバーが、ユーザー視点の考え方をしっかりと理解し、会社の利益の前に課題解決のためのマインドセットをしっかりと共有しておく必要がある。 カルチャー: 次に、チームや組織におけるカルチャー的要素。自由に発言しやすい心理的安全性と、失敗を許容する考え方。そして、机上の空論よりも、速いスピードでアウトプットを評価するカルチャーが求められる。 パッション: 最も重要な要素になってくるのが、プロダクトやサービスに対する情熱。自分たちが本当に解決したい課題に対してのソリューションの具現化としてのプロダクトであること。そして、そこに他の人たちよりも強い情熱を注ぐ必要がある。 アクション: そして、上記の3つの要素をしっかりとアクションに移すこと。アクションの部分が無ければ、全てがゼロになってしまう。どれだけ強い情熱を持っていても、検討の結果、見送ることにした場合、アウトプットはゼロである。 結論として、イノベーションを生み出すためには、下記の方程式が必要になってくるのでは無いかと思う。 イノベーション = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション デザイン思考を上手に活用している秘訣を学ぶイベント もちろん、実際にうまくいっているケースも多数ある。その1つを紹介するのが、11月5日に東京で開催されるDESIGN for Innovationでの下記のセッション。詳細は公式サイトにて紹介されている。 『デザイン思考を利用したグローバルイノベーション創出方法』 日本が世界に誇るモビリティー企業であるHONDA、YAMAHAの2社が急激に変化をしている市場にて、どのような方法で生き残り、成長を続けるのか。デザイン思考的アプローチや、社外のスタートアップとのコラボレーションなど、最先端の取り組みを紹介。 日本国外のユーザーの心を掴むプロダクトの秘訣とは。それぞれの企業にて、従来とは異なるアプローチからイノベーションに取り組んでいる2名が、どのようにこれからのユーザーに受け入れられるプロダクト作りをしていくのかを語る。 杉本 直樹氏 / CEO、 本田R&Dイノベーションズ / 執行役員 統括機能本部 オープンイノベーション戦略担当、 株式会社 本田技術研究所 長屋 明浩氏 / 執行役員デザイン本部長、ヤマハ発動機株式会社 […]

Wii企画担当者が語る「スペック重視社会がデザインをダメにする!」

ドラクエの新作スマホゲームがサービス開始  今年9月12日にサービスが開始された位置情報スマホゲーム「ドラゴンクエストウォーク」。位置情報を利用し、プレーヤーが実際に移動することでマップ上を移動。出現するモンスターと戦っ […]…

統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ

ここ数年で経営に対するデザインの重要性に注目が集まっている。デザインを経営に活用している企業の株価の伸びが平均値の2倍以上であったり、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているなど、その結果が具体的な数字に表れ始めている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザインと経営に関する最新のリサーチ結果 そんな中でも、デザイナー向けのプロトタイピングツールを提供するInVisionが、これまでにないレベルの世界規模でのデザインに関するリサーチを発表した。The New Design Frontierと名付けられたこのレポートでは、世界中のさまざまな規模の企業や団体をリサーチを実施した。 リサーチ対象の内訳は、大企業:71%、エージェンシー:25%、非営利団体:2%、行政:1%で、金融や教育、エンタメなどの異なる24の業界から2,200を超える団体。 70%の企業が積極的に経営に対してデザインを活用してる その結果、全体の2/3以上が、デザインを機能や見た目以外にも活用しているという事がわかった。全体の70%の企業が商品の開発や企業経営のプロセスにデザイン的考えを導入していると答えている。 デザインの浸透に関する主なアンケート結果: 商品開発プロセスに組み込まれている: 66% デザインリーダーが商品開発やエンジニアリーダーと連動している: 53% 従業員がデザインプロセスに参加している: 51% 重役がデザインプロセスに関わっている: 49% 従業員がユーザーや顧客リサーチに関わっている: 48% デザインが経営に与えるインパクトが理解できる統計 また下記の通り、デザインの経営に対する効果としては、効率、利益、ポジショニングなどに加え、3/4近くの企業がデザインを通じて顧客の満足度とユーザービリティが改善されたと答えている。(サンプル数:2,229団体) 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 組織内におけるデザイン熟成度と経営へのインパクトにおけるデザインレベルとその効果 このレポートでは、企業や組織がどれだけデザインを業務や経営に活かしているかによって、会社自体のデザインレベルを5段階に分けている。その結果、経営に対してデザインのポテンシャルを最大限に引き出しているLevel 5に入るのは、全体のわずか5%にとどまった。 全体の80%の企業が常にデザインを企業内の何かしらのプロセスに導入している中で、実に95%はまだまだデザインを活用する余地が残っている。 デザインの活用度合いレベルと全体での割合 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% Level 2 – 定期的にデザインワークショップを実施している: 21% Level 3 – 業務プロセスにデザインが導入されている: 21% Level 4 – 絶え間ない仮説検証が行われている: 12% Level 5 – デザインこそがビジネスの根幹になっている: 5% 組織が大きくなるほど経営戦略へのデザイン導入難易度が上がる 組織の規模が大きくなればなるほど、デザインを経営に浸透させる難易度が高まる。例えば、大企業と比較した場合、最高レベルであるLevel 5の比率は、中小企業で2倍、小規模企業で3倍ほどの開きが見られる。 多くの大企業は、組織構造やプロセスが複雑化しており、経営に対してのデザインの導入に時間がかかる結果となっている。 デザインチームの大きさと経営へのインパクトは必ずしも比例しない 上記のデザインレベルにて、高い数字を達成している = 経営へのインパクトが大きい企業におけるデザインチームが必ずしも大きいとは限らない。 重要なのは、組織内でどのような影響力を持ち、経営陣からのサポート受けているかであり、デザイナーの数や大きさだけではそのインパクトを測ることはできないと言う結果が出ている。 言い換えると、むやみに多くのデザイナーを採用したとしても、そこにしっかりとしたプロセスとカルチャーがない場合は、宝の持ち腐れになってしまう可能性もあるのだ。逆にたとえデザイナーの数が少なくても、経営に有効活用することが十分可能と言うことである。 デザイン経営に遅れを取るアジア諸国 企業に対するデザインの浸透度合いを地域ごとに見てみると、大きな違いは見られないが、主に北アメリカとヨーロッパが経営戦略にデザインを活用しているLevel 5の率が他の地域と比べ比較的高い。 その一方で、南米とアジア地域は、中間レベルのLevel 2, 3はそれなりの比率となっているが、Level 5はそれぞれ1%、 3%と低い数字となっている。 それぞれのデザインレベルのメリットと改善点 では、それぞれのデザインレベルごとに、ユーザーや企業にとってどのようなメリットがあるのか、そして、次のレベルに上がるにはどのような点が課題となっているかの詳細を紹介する。また、それぞれのレベルにおける平均デザイナー数の調査結果も掲載してみた。 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% デザインを活用することで、主にUIなどの画面やプロダクトの見た目の改善を行っている。一昔前は、デザインレベルが低い=デザイナーが足りない、といのが一般的な理由であった。 しかし、レベル1に属する組織のデザイナーの数は平均30人。これは最高レベルであるレベル5組織のそれの倍であり、デザイナーの数がデザインレベルに比例するわけではないことがわかる。 Level 1では、デザイナーの影響範囲はかなり狭く、主にスクリーン上などでの”見た目のデザイン”にとどまっているケースが多い。 平均的なデザイナー数: […]

注目のスポーツテック5選。デザイン中心から生まれるイノベーション

2020年東京オリンピックの開催まで1年を切った今、日本では多くの人が来年の夏を今か今かと待ち望んでいる。スポーツ好きにはもちろんのこと、自国でのオリンピック開催によって普段はあまりスポーツに興味のない人からの関心も集まることになるだろう。 前回の1964年東京オリンピックから50年以上経った現在、スポーツ業界で大幅に変わったことの1つとして、テクノロジーの発展・導入があげられるのではないだろうか。実際に、スポーツに特化してイノベーションを狙うスタートアップ、いわゆるスポーツテックも多く誕生してきている。 そこで今回は、 スポーツテックとは スポーツテックの市場規模 注目のスポーツテック5選 を紹介していく。スポーツテックに詳しい方も、まだ知らない人も、この記事でスポーツテック業界のおさらいと最新トレンドを掴んでいただきたい。 今更聞けない、スポーツテックとは スポーツテックとは、スポーツ(Sports)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、AIなどの新しいテクノロジーを用いてスポーツ業界に革新的な変化をもたらすサービス、商品、またスタートアップなどのカテゴリーを指す。文部科学省の外局であるスポーツ庁は、スポーツテックを「支える」「観る」「する」という3つの分類に分けており、それぞれ以下のような特徴があるという。 選手を「支える」ためのスポーツテックは、選手やチームのパフォーマンスの向上、怪我の防止に繋がるアプローチから、製品やサービスを開発している。 スポーツを「観る」ためのスポーツテックは、新たな観戦スタイル、観戦者の満足度の向上に繋がるアプローチから、製品やサービスを開発している。 スポーツを「する」ためのスポーツテックは、一般向けの新たなスポーツの楽しみ方の創造、新たなトレーニング方法などに繋がるアプローチから製品やサービスを開発している。 「する」ためのスポーツテックは、当ブログの『米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」』で既に紹介しているので参考にしていただきたい。今回の記事では、「支える」と「観る」を目的とした商品・サービスを提供している最新のスタートアップに注目する。 約3.5倍の成長が見込まれる世界のスポーツテック市場   Statistaから転載 上のグラフを見て分かる通り、日本国内のスポーツテック市場規模は、2019年から2024年にかけて毎年成長すると予想されている。 実際に、今年3月にはスポーツビジネス界のキーパーソンがスポーツテックを含めたスポーツビジネスについて議論する『SPORTS Tech & Biz Conference』というイベントが東京で行われた。さらに、スポーツ系スタートアップのためプログラム『SPORTS TECH TOKYO』は世界中のスタートアップを巻き込んで、日本の中からスポーツテック業界を盛り上げている。 ReportsnReportsから転載 さらに、世界における市場規模成長予想は、2018年から2024年で約3.5倍と予想されていて、スポーツテックは世界的にも注目を集めている。既に様々なスポーツテックのイベントが各地で行われる中、代表的なものでは『CES (Consumer Electronics Show)』『SPORTTechie』『SportsPro』などが挙げられる。 スポーツテック市場全体への期待と注目が集まる中、その中で、世界的に注目を集めるスポーツテックスタートアップを紹介する。 選手を「支える」ためのスポーツテック 1. FORM Swim Goggles: スマートディスプレイ搭載の水泳ゴーグル カナダ、バンクーバー発のスタートアップであるFORMは、ハイテク水泳ゴーグルを開発・販売している。FORMのゴーグルを使えば、水泳選手がタイムや泳いだ距離など様々な情報を水泳ゴーグルのディスプレイ(レンズ)上でリアルタイムに確認することができるのだ。 FORMの創設者であるDan Eisenhardtはもともと水泳選手だった。泳いでいる最中に自分のタイムを確認できないため、選手自身が正確に自己分析することが難しかったり、選手のタイムや情報の計測のためにコーチが余計な労力を使わなければいけなかったりという、自身の体験に基づく問題からFORMが誕生した。 FORM Swim Gogglesの本体。 Official Websiteから転載 FORMの水泳ゴーグルのディスプレイには距離、インターバルの時間、ストローク回数、消費カロリーなどが表示可能。Bluetoothでスマホとの連携も可能で、ディスプレイの表示をカスタマイズすることもできる。さらに計測された情報は、連携したデバイスに蓄積され、分析されるため、データに基づいた選手のパフォーマンス向上に活用することが可能になるのだ。 技術自体は真新しくなくても、徹底してユーザーのことを考える スマートディスプレイのアイデア自体は新しいわけではないが、あくまで選手やコーチをサポートするのに特化した製品であるという点に注目すべきである。水泳選手は、ゴーグルという普段から使っているツールを通して、より自然な形で自分のパフォーマンスを把握することができるようになる。コーチも計測や分析にかけていた負担を減らすことができる。 そのため、機械やテクノロジーではまだ難しい、長年の経験からのアドバイスやメンタル面のサポートなどの指導に徹することが可能になる。「支える」スポーツのお手本のような製品であると言えるだろう。 関連記事:お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い ゴーグルのディスプレイ上。Official Websiteから転載 2. FieldWiz: GPS搭載のパフォーマンス測定デバイス スイス発のスタートアップAdvanced Sport Instrumentsは、『FieldWiz』という、GPSを用いたスポーツ選手のパフォーマンス測定デバイスを提供している。 FieldWizが利用されるスポーツは主にサッカー、ラグビー、野球などの球技だ。測定できる項目は、選手の走行距離・速度、心拍数、身体の動きなどである。 FieldWizのデバイス本体。Official Websiteから転載 デバイス自体はたったの35グラムという超小型で、背中に装着するようになっている。計測後は専用のドッキングステーションに繋げることで簡単にデータをコンピューターに転送することができる。 GPSによるトラッキングシステムは、従来であればトッププロで莫大な資金がある限られたチームにのみ利用されていたが、テクノロジーの発展によって比較的ローコストでの生産が可能となったことにより、ローカルチームへの導入も現実味を帯びてきた。 データドリブンなコーチングを目指す FORM Swim Goggles同様、FieldWizもまた、コーチの指導を円滑に進めるためのサポート役を担っている。今までは人が長時間かけて行っていたデータ収集を、FieldWizによって行うことで、より正確で莫大な情報を瞬時にして計測、分析することができるようになる。 データをコンピューターに移行後の分析画面。Official Websiteから転載 また、今まではコーチの感覚に頼った指導がメインであったため、コーチの感情論によって必ずしも正しくない指導が行われたり、選手たちが抽象的な指導に腹落ちできなかったりということもあった。FieldWizによる計測データを基にした選手1人1人に対する指導は、コーチにとっても選手にとっても具体的で有益なものなのだ。 スポーツを「観る」ためのスポーツテック 1. IBM Watson: AIによって試合のハイライト自動生成が可能に IBMは言わずと知れた、コンピューター・インターネットテクノロジー関連のサービスを扱うアメリカ大手企業だ。様々な製品やサービスを手掛けるIBMが10年以上開発してきたのが『IBM Watson』である。 Watsonは本来、読み込んだ情報をもとに、人の考えが及ばない範囲の答えまで導き出せるという高性能AIによるシステムだ。IBMはこの技術を応用し、スポーツの試合のハイライト動画を即座に作ることを可能にした。 試合分析のイメージ。IBM Official YouTubeから転載。 例えば、従来、テニスの試合のハイライトは、動画編集者が手作業で1つずつ編集してきた。しかし、手作業の編集では時間も労力もかかるので、1日に何十試合も行われる大きな大会などでは全試合のハイライトを作るのは非常に非効率的であった。 IBM Watsonは、テニスの試合が終了した2分後にはハイライトを完成させることができるという。AIが試合中の観客の歓声、選手の動き、点数などの様々な要因を感知し、ベストなプレイを選出するという仕組みだ。 このシステムはテニス界最高峰のトーナメントであるウィンブルドンや全米オープンなどで既に実用化されている。ウィンブルドンで最大18コート以上同時に試合が行われる時ですら、試合後、すぐに世界中のテニスファンにハイライトを届けられるようになったのである。 AIによって要約された、質の良いコンテンツを即座に配信できるという強み 試合のまとめを見たい人、試合を見逃した人にとってハイライトは重要な情報だ。それが試合後、即時に配信されることには多くの需要があるだろう。 ハイライトのイメージ。IBM Official YouTubeから転載。 また、インターネットやSNSの普及により情報が即座に手に入るようになった。より良い情報を早く配信することが、オーディエンスのニーズを満たし、数あるコンテンツの中から効果を生み出す鍵となる。ゆえにIBM Watsonのようにハイライトを試合後にいち早く投稿することで、より多くのインプレッションやエンゲージメントを獲得することが期待できるのだ。 さらに、集められたデータは選手のパフォーマンス向上や怪我防止策にも活用されている。つまり、このシステムは「観る」スポーツテックであり、選手をサポートする「支える」スポーツテックでもあるということだ。 現在は主にテニスとゴルフの試合に使われているが、この技術は他のスポーツへの応用も可能と考えられるため、今後の広がりに注目だ。 2. Brizi: スポーツスタジアムに設置されているカメラを遠隔操作してグループ写真が撮影できるサービス カナダ、トロント発のスタートアップBriziは、スタジアムでのグループ写真で新たな体験を人々に与えるサービスを提供している。Briziは、スポーツスタジアムに設置されているカメラをモバイルデバイスを通して遠隔操作し、写真や動画を撮影することができるサービスだ。Canonとも提携して、開発に取り組んでいる。 今まではスマホカメラで自撮りをしたり、周りにいる人に頼んでグループ写真を撮ってもらうことが当たり前であったが、グループの人数が多いと自撮りで全員が入りきらなかったり、知らない人に写真を頼むことへの抵抗感あったりと、問題があった。 そんな中、スタジアムにある大きなスクリーンに映るような画角からの写真や動画を、誰でも簡単に撮ってSNSでシェアできるというサービスは画期的だ。 スタジアムに設置されているカメラ。 Brizi Official YouTubeから転載。 このサービスではどんなに大人数のグループであっても、スタジアムでの写真を思い通りに撮影することができる。カメラはスタジアム全てをカバーできる性能性を持ち合わせている上に、ユーザーは自分のスマホから拡大・縮小を調整しながら撮影が可能なのだ。 試合観戦に付随する体験をより豊かにする スポーツ観戦に行く目的は、ただ試合を観るだけには留まらない。試合観戦の写真や動画をSNSにアップすることで、その時の感動や楽しさを共有したり、自分の応援しているチームについて投稿することによって、友達との共通の話題を見つけたりすることにも大きな価値がある。 ユーザーによってシェアされたグループ写真。Official Websiteから転載。 また、試合中以外の時間の楽しみを作るという狙いがある。試合中は観戦に集中しているので退屈することは少ないが、試合の前や待ち時間にすることがなくなったという経験をしたことがある人も少なくないだろう。Briziがあれば、その退屈な時間を友達や家族との楽しい時間に変えることができ、会場でのファンの満足度をさらに向上させることができるのだ。 試合観戦という娯楽行事の中でも、ちょっとした退屈に目をつけることで、ユーザーのUX体験をより良いものに近づけることができる。 […]

日本発・完全栄養麺のベースフードがアメリカに進出!グローバル展開について【COOマイケル氏インタビュー】

健康をあたりまえにする   2016年に日本から始まったベースフードが、その思いをアメリカへと広げようとしている。 ベースフードは1食で1日に必要な栄養素の3分の1が全て取れるという、”完全栄養食”ヌードルとパンを開発、販売している日本のスタートアップだ。元DeNA出身のCEO橋下舜氏が、会社員時代に「忙しくでも栄養バランスを満たせる美味しい食事が欲しい」と言う実体験からベースフードが誕生した。 創業以来、Amazonの食品人気度ランキングでも1位を獲得し、すでに累計50万食以上売り上げてきた。さらに2019年5月にはシリーズAラウンドで、総額約4億円を調達するなど、超注目のフードテックスタートアップなのだ。 そんな彼らが、創業当初から視野に入れていたグローバル展開が、ここサンフランシスコ・シリコンバレーからついに始まる。オンラインをベースとした販売をするD2Cモデルを採用する彼らは、まずはウェブサイトからの販売がメインとなるようだ。 (パロアルトにあるラーメン凪にて関係者向けにプレオープンパーティーを開催。ベースフードとのコラボラーメン、The Base Veggie King Bowlは店頭で期間限定販売中) 今回は、ベースフードUSのCOOである、Michael Rosenzweig氏(以下マイケル氏)にアメリカ進出における戦略や思いをインタビューする機会をいただいた。なぜアメリカなのか、どのような展望をお持ちか、ローカライズした点などを聞いた。 マイケル・ロセンズワグ (Michael Rosenzweig) – COO of BASE FOOD U.S., Inc. 日本で6年間コンサルタントとして働いた後、University of Pennsylvania、Wharton校でMBAを取得。卒業後にベースフードCEOや社員と知り合い、BASE FOOD USに入社。日本に関係のあることや起業家精神のある環境を求めていたので、ベースフードとの出会いはパーフェクトマッチだったと言う。 決して夢物語ではない初海外となるアメリカ進出 ベースフードのアメリカ(グローバル)進出は、創業当時から代表の橋本氏が構想していたことだ。 最初の海外進出国をアメリカにした理由を伺うと、その市場規模の大きさや、健康について改善を求める消費者が多いことも理由の一つだという。 さらに、2019年2月に行われたイベントでは、橋本氏が、アメリカ市場においては追い風を期待することを言及していた。というのも、Soylentといった「完全栄養食」や、「D2C(Direct to Consumer)」に対する親和性の高さ、空前のラーメンブームなど、日本にはないニーズがすでに存在しているからだ。 イノベーションxフードのハブ、サンフランシスコから拡大を狙う また、アメリカの中でもサンフランシスコにオフィスを構えたのは、ここがイノベーションのハブスポットであるからだとマイケル氏はいう。まさに、「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションにしているベースフードには欠かせない要素がここ、サンフランシスコにありそうである。 サンフランシスコの食に関する考え方が多様であることもベースフードにとっては勝機となりそうだ。ここでは、動物性食材を一切食べないビーガンや完全菜食主義のベジタリアンに加え、フレキシタリアン(基本的には菜食主義だが、たまに肉や魚も食べる人のこと)と呼ばれる、普段はお肉・お魚を食べないけど、たまには食べるというスタンスの人も多い。 ビーガンの人はもちろん、フレキシタリアンたちは、実際の動物の肉を食べなくても肉を楽しめる代用肉など新しいものを積極的に探している人たちでもある。このような人たちにもベースフードは受け入れられるのでは、とマイケル氏はいう。 「ラーメンブーム」については、人は美味しくて、遊び心があって、楽しいと思える食べ物と触れ合う傾向があるとみる。例えばベースフードがコラボレーションしているラーメン凪にもそのようなカスタマーが多い。そしてベースフードもまた、美味しくて、楽しい食事体験を提供することを目指している。 そして、サンフランシスコには様々なスキルや知識を持った優秀な人材が多く、採用面でも有利な点があるとマイケル氏はいう。 アメリカにおいても「主食のイノベーション」を目指しているベースフード。まずはここカリフォルニアを中心とした認知、人気を狙い、ベースヌードルという麺の商品で勝負する意気込みだ。 美味しい、ヘルシー、手軽なベースフードを全ての人に アメリカではドリンクタイプの完全栄養食が広がりつつあるが、ベースフードはあくまでも食事(飲み物ではなく、食べるもの)であり、調理によってアレンジができるため、よりサステイナブルな方法で健康に貢献できるのだ。また、素材には自然のものを使っている。 また、一流のシェフからお墨付きをもらっているというのもベースフードの特徴だ。シェフに認められるくらい良いものをカスタマーに届けたいという想いがあるそう。 今回のアメリカ展開でも、日本で以前からパートナーとしてコラボをしているラーメン凪のパロアルト、サンタクララ店にて、プレローンチパーティやベースヌードルの期間限定販売をしている。 シェフによって品質を保ちながらも、D2Cの「ブランドがカスタマーと直接話せる」というメリットを活かし、フィードバックを商品開発に役立てていく方向性のようだ。 (Ramen Nagiは地元でも大人気。待つこと45分、筆者もパロアルトにあるラーメン凪にてThe Base Veggie King Bowlを実食。) あくまで全ての人に届けるという想いが商品に込められている 日本ではベースヌードルに加え、ベースブレッドという完全栄養食のパンも販売しているが、アメリカではまずベースヌードルの展開となる。 (左:ベースブレッド、中心:ベースヌードル。ベースフードのウェブサイトより転載 麺商品は創業当時からベースフードが開発をしてきた商品だ。アメリカでも麺は色々な食べ方で人気のある食べ物であり、麺好きの人たちも多く、ベースフードも受け入れてもらいやすいのではとマイケル氏は期待。 ゆえに、届けたいカスタマーは全ての人となる。日本のマーケットをみたときも、アスリートから、IT系のワーカー、料理好きの食通の人など様々だ。 (特にサンフランシスコ、ベイエリアではラーメンだけでなく、アジア系の麺料理やイタリアンパスタなどが点在し、受け入れられている) アメリカも同様で、全ての人に届けたい、美味しさと栄養は両立しないと考えている人に届けたいという思いから、カスタマーを絞ることで潜在的なターゲットを排除してしまうことがないようにしているようだ。 国が違っても、美味しい食べ物が好きであるという根本はどの国の人でも変わらないと考える。 グローバルメンバーで、ローカライズを目指す もちろん、日本での成果をそのままアメリカで再現できることもあろうが、考慮しなくてはいけない日米間の違いに関しては、ローカライズなしで成功はないとマイケル氏はいう。 言わずもがな、アメリカは市場規模も文化も日本とは大きく異なる。ベースフードUSのメンバーは、アメリカ出身であっても、全員日英バイリンガルで、日本に住んだ経験があることなどからも文化的違いを理解しているため、表面的な情報からだけではわからない背景や人の特徴、文化、トレンドを考慮してビジネス展開に取り組んでいく必要があると話す。 もちろん会社全体でみても、男女比もほぼ均等、グローバルな経験が豊富で、お互いの文化や違いをリスペクトする社内カルチャーがある。 さらに、日米オフィス間で密にコミュニケーションを図ることで、それぞれの知識・スキルを共有をする。これが会社全体の拡大にテコ入れしており、ベースフードがグローバルスタートアップとして成長していく重要な鍵を握っているようだ。 コミュニティーとカスタマーと一緒にベースフードを作っていく ベースフードはラーメン凪やハンバーガーレストランとコラボレーションしてきた。アメリカでもラーメン凪から始まり、今後も積極的にコラボレーションをしていきたいと、マイケル氏は述べる。 また、上記でも述べたとおり、D2Cモデルの利点を活かし、カスタマーから直接フィードバックをもらい、コミュニケーションし、もっとカスタマーについて理解を深めてプロダクト・サービスの質を高めていく予定だ。 最後にマイケル氏より、メッセージをいただいた。 「アメリカ進出を非常に楽しみにしていました。ベースフードは品質の高い、栄養バランスの取れた自信作ですので、ぜひお試しください」。 ※英語版インタビュー記事も近日公開予定! ユーザー中心のサービスは全世界へ広まるべき 代表である橋本氏の好奇心や健康への探究心から始まり、開発が進められたベースフード。この度、創業当時意識していたというグローバルへの挑戦が始まる。 最近では3ヶ月に1回は、カスタマーのフィードバックに基づく商品改善や新商品が出ているという超・ユーザー中心のサービスだ。世界に目を向け、直向きにカスタマーと向き合う。そんなスタイルが根付いている彼らなら、アメリカでの今後の活躍にも期待大である。 btraxも、このようにグローバルを視野に、サービス開発、ビジネス展開をしてきたいというみなさんの支援をしていきたい。デザイン思考をベースとしたマインドセットの研修や、サービスを生み出す・育てるためのワークショップ、さらにサービスを展開するためのマーケティングコンサルティングを行っている。疑問、ご興味をお持ちの方はぜひお問い合わせください。

SAP Select Tokyo – 元JSUG会長が語るSAPの変革は「実践」へ

2019年7月9日(火)に開催されたエグゼクティブ向けイベント「SAP Select」には、今年も多数の経営幹部の方々にご参集いただきました。2015年の第1回から毎年参加されてきた、元ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)会長の都築正行氏に、今回のイベントの印象や評価、今後に向けた課題などについて語っていただきました。…

【クレジットカード革命】Apple Cardから学ぶ革新的UXデザインのポイント

もしAppleがクレジットカードを作ったら? シンプル、クール、使いやすい。こんな形容詞が思い浮かぶAppleというブランドが、もしクレジットカードを作ったらどんなものになるだろうか? 今年の初めに発表されたAppleが提供するクレジットカード、Apple Cardが北米ユーザー向けに限定的提供を開始した。これにより、現在のところ、アメリカ在住の特定のユーザーがApple Cardを手にすることができる。*米国時間8月20日に他のアメリカの全ユーザー向けにリリース開始 選ばれたユーザーにはメールにて案内が届き、iPhoneのWalletアプリ内から申し込む。ラッキーなことに自分も選ばれたようなので、早速申し込み、使ってみた。 ↑ Appleから特定のユーザーだけに送られてくる招待メール これまでのクレジットカードの常識を覆す体験満載 では、Apple Cardは何が特別なのか? 実は、そのカード自体から利用体験、アプリとの連動性など、すべてのタッチポイントにおいて、デジタルな現代に最適な体験がデザインされている。 特に、これまでのクレジットカードは、銀行などの金融機関が発行しているものがほとんどで、顧客体験もその延長線上にあった。しかし、以前の「銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は?」を読んでも分かる通り、金融機関が提供する体験はお世辞にも良いものではない。 今回、その体験をAppleが思いっきりリ・デザインすることで、これまでの常識を覆すようなスムーズな利用体験をユーザーに提供している。そのいくつかのポイントを紹介する。 アプリ上から一瞬で申請、数秒後から利用可能 通常アメリカでクレジットカードを申請する際には、銀行の店舗やオンラインで必要事項を入力し送信する。その数週間後に審査結果が郵送され、承認された場合はカードが同封され、却下の際にはお詫びの手紙が添えられている。そのプロセスに要する時間は少なくても数週間。 これがApple Cardの場合、Walletアプリにクレジットカードを追加する要領でできてしまう。Appleから選ばれたユーザーは、Wallet内の➕アイコンをクリックすると、申請プロセスに進むことができる。 必要事項を記入し、その数秒後に承認か否かが表示され、承認された場合、Apple Pay経由で即座に利用可能となる。そして、物理的なカードは、その数日後に送られてくる。これにより、プロセスに要する時間の大幅短縮と、カードが届くまで待っている時間がなくなった。 ↑ カードの申請はWalletアプリ内から行う 番号が記載されていないチタン製のカード 自分の場合は、アプリで申請してから5日後にFedExにてカードが送られてきた。ちなみにカードの発送状況もアプリから確認ができる。 中心にAppleのロゴが刻印された真っ白なパッケージを開けると、中はインスタを思わせるカラフルなデザインが施されている。そしてその真ん中に真っ白なカードが同封されている。 驚くべきことに、このカードには通常のクレジットカードにはあまり見られない工夫がされている。まず、どこにもカード番号も有効期限も記載されていない。表面にAppleのロゴと所有者の名前、裏面には発行銀行のGoldman SachsのロゴとMasterCardのロゴだけだ。 これはカード番号が無いというわけではなく、実はアプリ内でカード番号と有効期限などの情報を確認することができるようになっている。オンラインショッピングなので番号が必要な際には、その方法で情報が獲得可能。 ↑ パッケージに同封されたカードには番号も有効期限も記載されていない 卓越した開封体験とソーシャルシェア性を提供 最初はなぜ番号が記載されていないのか?と思ったが、物理カードに番号を記載しないことで、落としてもセキュリティー的な部分での優位性が保たれるし、何よりもインスタなどのSNS経由で、ゲットしたことを友達に自慢しやすくなることに気づいた。 まさにAppleらしい逆転の発想とシンプルさの追求がされている。 また、カードの素材はチタンで、一般的なプラスチックのものよりもかなりの重厚感がある。ちなみに、CompareCards社のリサーチによると、アメリカ国内のクレジットカード利用者の38%が、素材でカードを選ぶと答えており、ミレニアルになるとその割合は53%にまでアップするという。 チタンのカードは消費者の所有欲を掻き立てる。加えて、容易に切ったりすることができないため、内蔵されているチップを切り取ることが難しく、セキュリティー向上の役割を果たしているとも言える。 開けてびっくりの演出と、手で持った時の満足感がしっかりと設計されている。ユーザーとカードとの最初の接点である、開封体験も総合的に上手にデザインされているのもさすがAppleと感じた。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン View this post on Instagram Quite happy so far. #applecard #applecreditcard A post shared by brandonkhill (@brandonkhill) on Aug 19, 2019 at 4:32pm PDT 革新的なアクティベーション方法 そして、Apple Cardの最も革新的な体験の1つが、そのアクティベーション方法だろう。通常の場合、新しいクレジットカードを利用する前に、カードに記載されている電話番号に電話するか、サイトに行って番号を入力する。 これは、手間がかかるだけでなく、セキュリティ的に甘い。なぜなら、本人ではない人がもしそのカードを受け取り、アクティベーションしたとしても、本人確認される事は稀であるから。 これがApple Cardの場合はどうなっているのか。驚くべきことに、カードを登録したWalletアプリが入っているiPhoneをパッケージの下の部分に当て、画面に表示されたボタンをたっぷするだけ。そのプロセスに要する時間はおよそ5秒。 それもパッケージがそれぞのユーザーのWalletアプリと紐づいているため、他のユーザーのiPhoneを当てた場合は、アクティベーションができないようになっている。 カード所有者本人のiPhoneを利用しない限りカードを使うことができないため、かなり安全な設計が施されている。そして何より、電話したりサイトにログインしたりせずに一瞬でアクティベーションできるのが最高だ。 ↑ ユーザーのiPhoneをパッケージ部分に当てるだけで一瞬でカードがアクティベートされる ユーザー体験のコアはWalletアプリとの連動性にあり そして、ここからがApple Cardが提供するユーザー体験が最も大きな価値を生み出している要因。Walletアプリとの連動性である。 もともとWalletアプリは、他のクレジットカードなどを登録することで、Apple Payを通じてキャッシュレス決済を可能にする役割としてiPhoneにインストールされている。しかし、自分を含め、アメリカでApple Payを使う機会は意外と少なく、Walletアプリもほとんど使ったことがなかった。Apple Cardに出会う前までは。 実際にApple Cardを店舗で使ってみる。そうするとその直後に利用履歴が自動的にWalletアプリに表示される。それも、金額だけではなく、利用した場所の写真とロケーション情報のマップも。 また、利用した商品のジャンルによってカードとグラフがカラフルに色分けされることで、どのような内容に利用しているのかが一目でわかるようになっている。また、それぞれの利用金額に対するキャッシュバックの額も表示される。 ちなみに、物理カードは1%、Apple Payを使うと2%、Uber、UberEats、およびAppleで買い物をすると3%のキャッシュバックとなっている。 このように、利用状況を即座に可視化することで、リアルタイム性と透明性を高め、ユーザーの安心感とセキュリティ向上を達成している。 ↑ 利用状況とそれぞれの詳細が一目でわかるWalletアプリ Less-is-moreを体現した”無い無い尽くし”が体験の質を高める 生前よりスティーブ・ジョブスもAppleのデザイン哲学の1つとして掲げている”Less-is-more (少ない方がより多くを得られる) “ は、このApple Cardにもしっかりと受け継がれているように感じる。 参考: Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 そこには、ミニマルなデザインの裏に、大きなメリットがいくつも隠されている。例えば、カード自体に番号が表示されていないのは、上記の理由に加え、もし番号が漏れた際の対策にもメリットを生み出す。 カードの番号はWalletアプリ内でいつでも変えることができるため、万が一番号を変えたいときは、アプリ経由でリクエストすれば良い。また、その際新しい番号が既存のカードにクラウド上で紐づけられるため、物理的なカードを取得し直す必要がない。 こうすることで、カード会社に電話をする手間、カード再発行の手間とコストを抑えることに成功しているのだろう。また、カードメンバー規約等もデジタル化されているため、通常であればカードに同封される分厚い書類が存在していないのも良い。 Apple Cardが改善した体験 カードの申請: Walletアプリ内から → 手間が減る 利用開始までの待ち時間: Walletアプリ内からすぐに利用 → 待ち時間無し […]

米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」

近年日本でもRIZAPのような期間集中型の肉体改造プログラムが注目を集めたり、ゴールドジムのようなフィットネスクラブが人気を呼んだりしているが、ここアメリカでもブティックジムや空中ヨガなどなど、新しいフィットネストレンドの入れ替わりは日本以上に目紛しい。 さらにサンフランシスコやシリコンバレー、ニューヨークといった大都市では、従来の健康関連サービスにテクノロジーを掛け合わせ、イノベーティブなヘルシーライフスタイルに貢献しようという動きが盛んになっている。 そこで今回は、健康 × テクノロジーの中でも、最近アメリカ市場を賑わせている「自宅エクササイズを可能にするスタートアップサービス」をご紹介したい。 関連記事:【医療テック×UX】スタートアップが変えた私達のヘルスケア体験 注目を集める「自宅エクササイズ × テクノロジー」分野 自宅用のエクササイズマシンが今、注目されている理由としては、エクササイズマシンがIoT商品へと姿を変えてきたということが挙げられる。それに伴い、AIを使った画期的な新機能なども加わり、業界に革新をもたらし始めたのだ。 IoTエクササイズマシンの市場規模は順調に成長しており、下の図からもその期待値の大きさを読み取ることが出来る。 Allied Market Researchの数値を元に図を作成 実に、2016年からの次の7年間で、市場成長率は5.7倍になると予想されている。2023年の市場規模は1.5兆円に到達する見込みだ。 昨年2018年には、ベンチャーキャピタリスト達が1年間で合計約2.4兆円もの額をフィットネス系のスタートアップに投資したことも明らかになり、過去最大のフィットネススタートアップブームが起こっているのだ。 自宅エクササイズスタートアップ3選 1. Peloton:登録者数既に50万人超え。フィットネス業界のネットフリックス 自宅用のエクササイズマシンといえば、フィットネスバイクが思い浮かぶ人も多いのではないだろうか。Pelotonは、フィットネスバイクやランニングマシン、そして登録型のレッスン動画ストリーミングサービスを展開しているスタートアップである。 2012年にニューヨークで設立された。その後も順調に資金を調達し続け、今年2019年には遂にIPOも果たす予定だ。 Pelotonのフィットネスバイクとランニングマシーンには、大型のHDウォータープルーフタッチスクリーン(バイクは22インチ、ランニングマシーンは32インチ)が付いている。ユーザーは、このスクリーン上で提供されるPelotonのエクササイズプラットフォームから好きな動画を選択し、エクササイズを行う。 関連記事:「フェムテック」現代女性の健康を支える海外注目スタートアップ事例 充実したエクササイズコンテンツと徹底した管理機能が強み Pelotonが提供するストリーミングのコンテンツはとても豊富かつクオリティが高いもので、自社で抱えるトレーナーにより、フィットネスバイクやランニングマシーン用のものだけではなく、ヨガや重量を使った筋力トレーニングまで用意されている。その豊富なコンテンツ量から、「フィットネス界のネットフリックス」と呼ばれているのだ。 生放送のクラスに参加することもできるし、オンデマンドクラスもある。ユーザーはエクササイズの種類からクラスを選べることはもちろん、好きな音楽のジャンルから選択も可能。 インストラクターがその音楽に合わせて、トレーニングを支持してくれる。時にはインストラクターからの熱いメッセージでエクササイズのモチベーションを上げてくれるのだ。 Pelotonのオフィシャルサイトから転載 またこのタッチスクリーンからPelotonのアプリ上でエクササイズの管理をすることなども可能だ。心拍計も搭載されており、シンクすることも出来る。専用のアプリを使うことあらゆるデバイスからの確認も可能。 Pelotonのエクササイズ管理アプリ。オフィシャルサイトから転載 決して低価格ではないが、人気を呼び、さらなる注目が集まる 値段としては、フィットネスバイクが約24万円、ランニングマシーンが約46万円、そしてストリーミングサービスが月額約4000円と、決して安い値段ではない。(ちなみにPelotonのマシンなしで、エクササイズ動画の会員登録のみなら約2,000円で可能である。) しかし、Pelotonは2012年の設立から現在まで、40万台以上のフィットネスバイクを売り上げ、ストリーミングサービスの登録者はなんと50万人以上を達成している。ランニングマシーンの発売は去年の12月に開始したばかりで、販売台数は公開されていないが、好調を見込めると言う声が多い。 というのも、ランニングマシーン販売の数ヶ月前に、FacebookやNetflixなどの有名テック企業に投資を行ってきたTVCファンドから600億円の資金を獲得し、去年の第2四半期で推定企業価値が4.3兆円に膨れ上がったからである。潤沢な資金力とTVCファンドが見込んだ企業戦略で、Pelotonがいずれ市場を席巻するであろうと期待されている。 実は分割払いという購入方法もあり、頭金ゼロの年利率0%で、月額約6000円から自宅で始められる。まだ日本市場には上陸していないが、自宅でのフィットネスバイクの本格的なトレーニングが次のフィットネストレンドとなる日はすぐそこかもしれない。 2. Mirror:自宅フィットネスの常識を覆す、デザインも優れた鏡によるエクササイズ Mirrorはその名の通りミラー(鏡)を使った自宅フィットネを提供するニューヨーク出身のスタートアップである。昨年のクリスマスに、アメリカの著名な歌手であるアリシア・キーズが、息子からMirrorをプレゼントして貰った動画がソーシャルメディアにアップされたことを皮切りに、売り上げと注目度を一気に加速させた。 鏡とディスプレイが1つになっているというメリット 今では人気タレントのエレン・デジェネレスや女優のアリソン・ウィリアムズのようなセレブにまで愛用されるようになったりと、インフルエンサーの獲得にも成功している。 Mirroの光沢のある52インチの鏡は、内部にモニターが格納されており、フィットネスクラスを受講できるプラットフォームが見られるようになっている。 つまり、Mirrorの鏡自体がディスプレイとなり、フィットネスクラス動画を見ながらエクササイズができるということだ。さらにディスプレイは鏡でもあるため、自分のフォームを確認しながら運動できる。 また、カメラも設置されているため、遠隔にいるインストラクターが個人のフォームを確認し、アドバイスしたりすることも可能だ。 副社長のカイリー・コムスがニューヨークのショールームで見せたデモ。New York Timesから転載 上記の写真からも鏡の機能とスクリーンの機能が上手く両立されているのがよく分かる。ジムでもインストラクターの動きをみて、向かいの鏡で自分のフォームをみて、ということがあると思うが、それを自宅でそのままできるといったサービスだ。 なお、専用のアプリから操作が可能なので、鏡に指紋等が付着する心配もない。 もはや自宅におきたくなるデザイン Mirror最大の特徴の1つに、自宅におくエクササイズマシンとして、家のインテリアを全く邪魔しないデザインであるという点もあげられる。もはや鏡であり、見た目、スペースのどちらをとっても今までのエクササイズマシンの常識を覆していると言える。 普通の姿見鏡としてもスタイリッシュで、自宅のどこに置いても景観をそこねるものではない。Mirrorのオフィシャルサイトから転載 壁に掛けられるようにもなっており、スペースを取ることもない。Mirrorのオフィシャルサイトから転載 Mirrorのこのスタイリッシュなデザインは、ホテル業界からも受け入れられているほどだ。超一流のホテルで名高いThe Markは、一泊800万円以上もする最上階のスイートルームにMirrorを設置した。そのデザインや機能性は、ラグジュアリー家具としても注目が集まりつつある。 とはいえ、昨年9月から市場販売を開始したばかりのMirror。価格は日本円にして約16万円と、決して気軽に購入できるわけではないが、着実に市場シェアを拡大させている。 数ヶ月前には350億円を上回る推定企業価値をつけられたこともあり、業界内の知名度も急上昇。今後も目が離せないスタートアップだ。 3. Pivot:人工知能でフォーム矯正。次世代フィットネス Pivotは元々B2B向けにジムマシンを販売していたSmartSpotから派生したスタートアップである。商品の正式な販売はまだ始まっていないが、AIを駆使してトレーニングのフォームまで指導してくれるフィットネスマシンの開発は注目を集め、既に多額の出資金を獲得している。 TechCrunchより転載。実際にSmartspotを使っている様子。腕の角度や膝の角度が表示されている。 3Dセンサーとビッグデータに基づいたパーソナライズトレーニング Pivotの特徴の1つとなっているのが、前身のSmartSpotから得た100万回以上のエクササイズデータだ。SmartSpotは上の写真のように、3Dセンサーを搭載したフィットネスモニターで、重量等を使ったフリートレーニングのフォームの確認と矯正するためのデータを提示してくれるものだった。 この情報をマシンラーニングで分析し、BtoC向けへ精密度を格段に向上させたものがPivotである。この膨大なデータと優れた3Dセンサー技術から、エクササイズ中の姿勢や腕の角度まで、あらゆる部分を徹底的に分析し、リアルタイムで補正してくれる。 そして、心拍数や身長・体重などの情報と共に、Pivotに搭載されたAIが一人一人に最適化されたトレーニングを割り出すのだ。 Pivotのオフィシャルサイトから転載。 さらに、実際のクラスにオンラインで参加することも可能になるので、フォームのずれはインストラクターにも通知が直接送られる。それをもとに、インストラクターからの指導も自宅で受けられるようになるのだ。 そして、筋力トレーニングだけではなく、上記の写真のように激しい有酸素運動のようなレッスンもコンテンツの中に含まれる予定である。 Pivot一台で筋力増強プログラムからエクササイズ、そしてヨガなどのフィットネスまでカバーできるのだ。 AIを搭載させたフィットネスマシンは瞬く間に投資家達の間でも人気を博した。その中でもPivotは、Y-Combinatorを含む投資ファンドから18.5億円もの資金(経営初期の投資期間であるシリーズA投資ラウンド)を、2019年7月に調達したばかりだ。これからのPivotの成長から目が離せない。 関連記事:ナイキ・パタゴニア等に学ぶ、セルフマネジメントを促す組織体制 まとめ 今回紹介した自宅エクササイズマシンのIoT化は、自宅エクササイズの限界やエクササイズマシンのあり方を、テクノロジーの力を用いてディスラプトしつつある、格好の例ではないだろうか。 今までのエクササイズ事情と言えば、アメリカの都市部を中心に、フィットネスジムなど会員制ジムに登録しても、多忙ゆえ定期的にジムやレッスンに通えないことから、続かない、結局退会するということがとどのつまりだった。 しかしながら、エクササイズマシンのIoT化はそれを解消しつつある。インターネットの普及により、衣食住にまつわるあらゆるサービスのアクセスも非常に便利になった今、健康でさえも便利に手に入ることが消費者の需要となっているのだ。 この記事で紹介したように、フィットネスマシンもインターネットに繋がり、どこでも簡単に、自分の空いた時間でサービスを消費することが出来る時代がすぐそこまでやって来ているのである。 さらに、不便さを解消しただけでなく、モチベーションを上げてくれるようなコンテンツ・エクササイズプラットフォームや邪魔をしないデザインなど、利用者のか感情や体験に対しても工夫を凝らしていることがわかる。 時代の流れに合わせたビジネスの展開をすることは容易ではないが、それが出来るものが生き残れる厳しい世界でもある。我々btraxは市場調査、マーケティング、海外進出などを通して日本企業がトレンドの波に乗り、さらなる成長を遂げるための飛び石の役割を務めることをミッションとして掲げている。詳しくは公式サイトの問い合わせページよりお問い合わせいただきたい。   参考: Peloton exercise bikes became a $4 billion fitness start-up Peloton, the connected fitness company, has filed to go public 8 Things You Should Know Before Buying A Peloton Bike Cycling Startup […]

15周年を迎えるbtraxについて知っておくべき15のこと

日頃よりbtraxのオウンドメディアであるfreshtraxをご愛読いただき誠にありがとうございます! 我々btraxは2019年8月9日をもって、創立15周年となりました!シリコンバレー・サンフランシスコという、多くのスタートアップやビジネスが苦戦を強いられている環境で、15年という間、ビジネスをやってこれたのはいうまでもなく、日頃よりご支援をいただいているみなさまのおかげでございます。 感謝申し上げると共に、これからも日本とアメリカというグローバルな舞台で、みなさまのイノベーション創出やグローバルへの進出サポートに尽力してまいります! さて、今回はこんな節目の時ですから、「15周年を迎えるbtraxについて知っておくべき15のこと」と題して、btraxのあんなことやこんなことについてご紹介いたします。 1. 創業当時のウェブサイトはこんな見た目 btraxの記念すべき最初のウェブサイトは2004年に公開されました。当時流行りのフルFlashのサイトです。UIはシンプルですが、スムーズなインタラクションを実現するために、その裏には複雑なプログラミングが書かれていました。 ぜひ現在のbtrax会社HPと比較してみてください。 2. btraxでの勤続年数がCEOの次に長い社員は、犬! 実はCEO ブランドンの愛犬、クーパーはbtrax創業時から社員(犬?)として参画しているメンバーです。エイプリルフールの時は、CEOに抜擢されたこともありました。 3. btrax東京オフィスは2013年に開設 btraxはアメリカ、サンフランシスコで創業した会社です。日本法人はそのあと、2013年にスタートしました。現在は青山にオフィスを構えております。 (東京オフィスには素敵なルーフトップも!) 4. btraxという会社名はCEOブランドンの音楽好きから 意外と知られていないbtraxという名前の由来。これは、ブランドンの音楽好きからきています。実際に彼は、デザインを勉強する前に音楽を勉強していたこともあるくらいです。 btraxのtraxは音楽のトラックから。bはレコードの「B面」に由来しています。A面がbtraxのクライアント、B面がそれを引き立てるbtraxを表しており、創立以来ずっとbtraxです!ロゴもレコードっぽくなっているのにお気づきいただけたでしょうか。 5. btrax卒業生の4名がスタートアップを始めている btraxは、決して大きい会社ではありません。なので社員全員が責任感と権限をもち、スタートアップ的スピード感を持ってビジネスを行っています。また、サンフランシスコ・シリコンバレーというお土地柄もあってか、btraxの元社員が、卒業後に起業するパターンも少なくないのです。 起業されたbtrax卒業生の方々には、過去、freshtraxでインタビューさせていただいたこともあります。これまでに少なくとも5名の元スタッフ/インターンが起業しています。今後もこんな”btraxマフィア”がどんどん増えていく予定です。 (右から現IN FOCUS CEO 井口忠正氏、ブランドン、現Goodpatch CEO 土屋尚史氏) 関連記事:デザイナーに必要なのはセンスか努力か – 井口忠正×Brandon 2人のデザイン会社CEOが語るデザイナーに必要な才能 関連記事: レールを外れた僕らは自分たちのレールをデザインした 関連記事:2人のインターン生が与えてくれた事 6. 100名以上の海外アントレプレナーたちをサンフランシスコへと誘致 btraxは2010年より、Japan NightやAsian Nightといったスタートアップピッチイベントを企画、開催してきました。その主たる目的は、海外のアントレプレナーたちを、ここサンフランシスコへ誘致し、よりグローバルを意識したスタートアップの成長を支援するためです。 さらに、2016年からは福岡市とパートナーシップを組み、起業家育成プログラムを実施。日本での研修に加え、サンフランシスコでも現地でデザイン思考やピッチなどに関する理解を深めていただき、グローバルアントレプレナーへの道を支援しています。 詳しくは事例紹介もご覧ください。 7. freshtraxは日米通算1,263の記事を公開 2009年から始まったbtraxのオウンドメディアfreshtrax。お陰様で、freshtraxを通してbtraxを知っていただくことも非常に多いです。これからもみなさんに愛読していただけるように、サンフランシスコ・シリコンバレーから新鮮かつユニークな情報を発信し続けます! btraxのTwitterやFacebookアカウントではfreshtraxの最新情報をいち早くお届けしております。 8. btraxがこの1年で使ったポストイットの枚数は約43,720枚 btraxが提供するイノベーション・ブースタープログラム(グローバルイノベーション創出を習得することを目的とした、デザイン思考に基づくワークショップ型プログラム)では、ブレインストーミングやアイディエーションといった、ポストイットを使ってアウトプットをだすシーンが多々あります。 気がつけば約43,720枚のアイデアを出していました! 9. btraxの会議室にはフォントの名前がついている サンフランシスコ本社はサンフランシスコ市内でもスタートアップが軒を連ねるSOMA(ソーマ)と呼ばれるエリアにあります。執務エリアに加えて、6つの会議室があるのですが、その全てにタイポグラフィーの名前がついています。 その理由は「btraxはデザイン会社だから」。タイポグラフィーはデザインにおけるもっとも重要な要素の1つであります。また、btraxは「全ての社員が皆、デザイナーである」というフィロソフィーを持っています。会議室の名前からも、そのことを思い起こさせてくれるのです。 10. btraxのハロウィンは毎年ガチ度が増している btraxには非常にクリエイティブなメンバーがいます。そのスキルは仕事だけでなく、社内イベントでも発揮されており、恒例行事であるハロウィンパーティではコスチューム大会が激戦になっています。 11. 毎週カルチャーリーダーへの表彰がある btraxでは毎週、会社のコア・バリューに貢献した社員を表彰しています。これはCEOや人事が選ぶといったものではなく、社員が社員を選びます。もちろん、社員からCEO、人事が選ばれることもあります。 (btraxのコアバリューである「Empowered by Creativity」「Take Ownership」「Communicate and Collaaborate」「Be Playful」の観点で選ばれ、社員同士、上のカルチャーカードを送り合う。) 12. btraxはビジネスの軸を3度大きく変えてきた btraxはもともと、ウェブデザインの会社として創業しました。そのあと、よりグローバルを意識した、マーケティングやブランディングを行うようになります。そして、現在、デザインはより広義なもの になり、UXデザインを中心としたビジネスへと転換しました。 現在は、シリコンバレーと東京のネットワークを活かし、グローバルを意識したイノベーション創出への貢献を強みとするデザイン会社へと成長してまいりました! 13. 2014年からイノベーション・ブースターサービスを開始 btraxの中核サービスである、イノベーション・ブースターサービスは、3日間から2ヶ月でグローバル・イノベーションの創出プロセスを習得することを目的としたサンフランシスコで行うワークショップ型プログラムです。参加者は累計200名以上。 現在も株式会社野村総合研究所(NRI)様やSOMPOホールディングス株式会社様など、多くの企業様から参加いただいています。 詳しくは過去事例もご覧ください。 14. 2018年からデザインスプリントサービスを開始 Google Venturesが、サービス開発の高速手法として発表したデザインスプリント。btraxでも、デザイン思考をベースとした、デザインスプリントサービスを提供しています。 1〜2週間という短時間でプロダクトアイデアの検証やプロトタイプ作成、リサーチ、課題整理、ソリューション決定、プロトタイプ構築、ユーザーテスト等を実施していきます。 関連記事:【デザインスプリント入門】話題の高速サービス開発法とは 15. そして15周年の年、CEOブランドンの抱負はbtraxのビジョンステートメントを一新 15周年という節目の年に、btraxのビジョンステートメントもアップデートいたします! ビジョン:“Provide inspiring experiences” – ワクワクする体験を提供する ミッション:“Inspire innovation through the power of design” – デザインの力でイノベーション創出に貢献する タグライン: “Design to Inspire” これからもbtraxをどうぞよろしくお願いいたします!! btraxのサービスを詳しく知りたい方、サービスにご興味をお持ちの方、お気軽にこちらまでお問い合わせください。 また、btraxでは現在、一緒にイノベーション創出を担ってくれる仲間も募集しております♪

お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
では、なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユー…

シリコンバレーでは教育が始まっている“STEAM人材“とは?

STEM人材という言葉を聞くようになって久しいが、ここ最近、STEAM人材の重要性が高まっていることをご存知だろうか。
STEM人材は、情報社会において必要とされる人材を指す。産業革命等の変革を繰り返してきた世界経済では、テクノロジーの発展がもたらす情報に価値が置かれるようになり、情報を司るスキルが必要だと言われてきた。
関連記事:プログラミングが学べるサンフランシスコのスクール7選
しかし、いざ情報時代が到来すると、次に注目されたのは、人間らしさとテクノロジーの関係性であり、STEAM人材だ。例え…

【図解】バリュープロポジションの定義とキャンバスの使い方を解説!

皆さんが販売・開発されているサービス・商品について、顧客がなぜ、購入するのか、しっかりと答えられますか?その理由について、顧客の視点にたち、深掘りできているでしょうか。
サービス開発をする上で欠かせないのが、あなたの提供する価値、バリュープロポジションです。バリュープロポジションが、顧客の本質的なニーズを捉えていると、彼らに深く刺さるサービスが生まれるということになります。
一方で、バリュープロポジションという言葉を知ったばかり、重要性は認識しているけど、使い方などもう少し理解を深めたいという方も多…

全社横ぐしの業務プロセスが見えるのはITだけ。IT部門がリーダーシップを発揮して、「2025年の崖」を飛び越えろ!

経済産業省が昨年発表した「DXレポート」では、多くの日本企業のITシステムが限界を迎える「2025年の崖」を乗り越えるために、デジタル変革(DX)への取り組みの優先順位上げと推進役としてのIT部門の重要性を提唱しています ...…

「日本式」ピッチあるある5つ:グローバルに通用するためのコツとは

イノベーションの支援をしているbtraxでは、日本企業のエースまたは起業家たちのスタートアップピッチ(主にスタートアップが投資家に向けて自分たちのビジネスアイデアを発表し、投資にこぎつけるためのプレゼンスタイルの売り込みを指す)を指導することが多々ある。
筆者もその指導者の一人であり、イノベーションブースターと言うプログラムを通じて、日本企業のエースたちにデザイン思考やリーンスタートアップの考え方を叩きこみ、短い時は2週間、長ければ8週間かけてスタートアップ風のビジネスプレゼン、ピッチを作らせ、指導…

Youはなぜ面倒な起業家なんかに?

とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。…

AIに負けない新しい価値を生み出すために必要なマインドセットとは?

どうやってイノベーションを起こせばいいのか?日頃そんなことをお考えになる経営者や幹部層の方は多いかもしれない。商品・サービスの開発において、イノベーティブな発想は企業の生命線にも成りうる。
グローバル化とAIの実用化が進む昨今、競合相手は日本国内だけとは限らず、世界レベルのイノベーションを起こすことが求められている。よって、クリエイティビティを生み出す仕組みは以前より一層必要性を増してきたのだ。
我々btraxは、こういった時代の変化に適応すべく、いち早く行動を起こしたい企業を後押しする役目を担って…

プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法

最近ニュースで、”なんとか・アズ・ア・サービス”という言葉を聞くことが多くなってきている。これは、もともと”サービス”ではない商品の提供の仕方を変えることで、サービス化した方でユーザーに提供するビジネスモデルの事を指す。
その根底には、稼働率の低い商品を購入するよりも、必要な時にだけ使うことで、コスパの高いライフスタイルを望むユーザーと、デジタル化が進んだことにより、新しい方法でのプロダクトの提供が可能になった時代背景がある。
それぞを別々に獲得するの…

これらの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだ

シェア、サブスク、オンデマンド。最近耳にすることの多いフレーズであるが、これまでは、全て「所有」が中心であった商品との、全く新しい接し方である。簡単にいうと、所有することなく必要な時にだけ「利用」するのが、ユーザーとプロダクトを繋げる新しい体験になってきている。
その背景にはインターネットとモバイルテクノロジーの発達があり、現代のインフラで育ったような世代にとっては、むしろ所有しない方が一般的にもなりつつある。
時代と共に変化するライフスタイル
例えば、これまでは頑張ってローンを組んで買うのが一般的…

数字で証明されたデザイン経営の重要性

ここ数年で日本でもデザイン思考やデザイン経営などの概念が浸透し、ビジネスにおけるデザインの重要性がなんとなく認知され始めている感じがする。
その一方で、実際にはどのくらいの効果が表れているかを可視化するのは意外と難しい。というのも、デザインの組織や経営に対しての効果をこれまでの財務資料等の仕組みで測るのには限界がある。加えて、目に見える結果が現れるにはそれなりの時間もかかる。
企業経営におけるデザインの重要性が具体的な結果として表れ始めた
そんな中、以前の「【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッ…

シリコンバレーの次はシリコンアレー!NYの特徴と注目の理由

アメリカのスタートアップメッカはシリコンバレーだけではない。アメリカ東海岸はニューヨークを中心に広がる、シリコンアレーエリアにも注目してほしい。そこにはシリコンバレーとは異なる特徴と独自の成長がある。
シリコンアレーとは
シリコンアレー(以下SA)は、ニューヨークのスタートアップが盛況なエリアを表すニックネームである。西海岸の北カリフォルニアを中心に広がるシリコンバレー(半導体の素材、シリコンと谷・盆地のバレー)に対して、東海岸ではシリコン「アレー(路地・小道)」でスタートアップやテクノロジーの広が…

【インスタ, ツイッター, エアビー等】サイドプロジェクトから生まれたプロダクトたち

今では誰もが知る有名なサービスであっても、本来作ろうとしていたものではなく、空いた時間に趣味の延長線上、いわゆる”課外活動”で生み出されたケースが意外と多いことがある。 特にスタートアップ企業などは、最初はなにをやるかがはっきり決まっていない事も多く、途中で方向転換 (ピボット) する事も珍しくない。その結果、当初予定していたプロダクトとは全く別のものが大ヒットを生み出した事例も多々存在する。 参考: 小さく始める事の重要さ【Amazon, Facebook, YouTube等】大人気サービスの初期バージョンとは メインよりヒット率の高い!? サイドプロジェクト そんな事もあり、シリコンバレーのアクセレレーターの代表的存在の、Y Combinatorでは、応募チームに対して、メインのプロダクトに加え、サイドプロジェクトの内容も聞くようにしている。実際にサイドプロジェクトが評価され、合格したスタートアップもあるという。 我々が日本企業向けに提供しているプログラムでも、メインの事業プランとは別に参加者の一人が”勝手に”作っていたサービスが注目を集め、新規事業に結びついたケースも存在する。 今回は、実際の事例を交えながらそのプロダクトが生み出された経緯や、なぜサイドプロジェクトの方が上手く行く可能性が高いかなどを説明する。今回紹介するサイドプロジェクトから生み出されたプロダクトは下記の通り。 Twitter Airbnb Instagram Slack GitHub Groupon Twitch WeWork Unsplash Fond Basecamp Lamborghini Miura 任天堂ゲームボーイ 元々はサイドプロジェクトから始まった著名サービス では、実際にどのようなサービスやプロダクトが課外活動から生み出されたのかを紹介する。 twitter 今では誰もが知っている存在になったtwitterは、ポッドキャスティング系のサービスを提供していたOdeoというスタートアップの社内スタッフ向けプラットフォームとして始まった。 Odeoの創立時に入社したJack Dorsey (現Twitter CEO) が社内ハッカソンで生み出したアイディアを、CEOであるEvan WilliamsとCo-FounderのBiz Stoneが気に入り正式にプロジェクトを進め、リリース。従業員同士のつぶやきを中心に利用され始めた。 記念すべき初のツイートは2006年3月21日にJack自身による”setting up a twttr.”というもの。その当時はtwttrと呼ばれてた。彼はその日の午後に”Inviting coworkers”とツイートし、従業員への利用を促した。 ↑ Jack Dorseyによる記念すべき初ツイート しかし、肝心のOdeoの人気が伸びない状況下でのサイドプロジェクトリリースに対し、当時のTechCrunchには下記 (和訳) のように書いている。 ”メインのプロダクトであるOdeoはデザインが良い事以外は魅力が全くない。それなのにそれを改善もせずに、サイドでtwttrなるサービスを作るなんて、この会社の株主はどう感じているのだろうか?” その後、2007年のSXSWでの紹介がきっかけでtwitterの人気に火が付き、最終的にはOdeoを捨て、twitterをメインのサービスにし、上場までたどり着いた。 参考:【インタビュー】Biz Stone – Twitter, Co-founder Airbnb 2007年、サンフランシスコのアパートに住む2人の若者が、スタートアップとして何をやってもうまくいかないので、家賃が払えない状態におちいっていた。Joeが、当時ルームメイトであったBrianに送った一通のメールがAirbnbを生み出すきっかけとなった。 その内容は、近いうちに大きな規模のデザインカンファレンスが市内で開催される。それを狙って、家賃を稼ぐためにそれに参加するデザイナーを安い値段で下宿させてあげたらどうだろうか、というもの。それもアパート内の空いているスペースにエアマットレスを置くだけというカジュアルさ。 結果、2名を一人$80づつで滞在させた。他のサービスを作りながら、家賃を捻出するための苦肉の索であったが、その際の体験がきっかけで、これをサービスにすることにしたのがAirbnbの原型。その後、SXSW向けにサービスをリリースするがユーザーはわずか2名、その一人はBrian自身であった。 そんな事もあり、数々の投資家に投資を断られ、収益もない中、大統領選挙に合わせた候補者のイラスト入りのシリアルを販売。そっちの方が売れてしまい、迷走が続く。 しかし、その後根気よくユーザーと対話をし、サイトとコンテンツの改善を続け、現在では世界トップレベルのユニコーン企業までに成長した。 参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは Instagram インスタは元々Burbn (バーボン) というHTML5をベースにしたチェックイン型ソーシャルアプリとしてリリースされた。その当時はチェックインアプリとしてFour squareが人気を集めており、人気を集めるのに苦戦をしていた。 同社のファウンダーでもあり、元Odeoでインターンをした事もあるKevin Systromは、ユーザーのアプリの利用方法に1つの特殊な点があることに気がついた。それは、チェックインアプリにも関わらず、チェックインもせずに写真だけアップしているユーザーが多いということ。 それも、どうやら写真をアップする際のフィルターに人気の秘密があると突き止め、勇気を持ってBurbnを終了させ、Instagramとして作り変えた。当時は写真を保管するアプリとソーシャルアプリは多く存在していたが、その2つを上手に掛け合わせ、それもユーザーがフィルターを選んでいる最中にアップを行うことで、スムーズな利用体験を提供した。 それにより、多くのユーザーからの支持を集め、最終的にスタッフがまだ12人、収益がほとんど上がっていない状態にも関わらず、Facebookによって$10億ドルで買収されることとなった。 ちなみに、その当時のInstagramが入っていたオフィスは、元twitterのオフィス。そこに引っ越す前、はDogpatch labsというサンフランシスコ湾に面したコワーキングスペースだった。このコワーキングスペースに当時のbtraxインターンである土屋尚史と一緒に訪問したことがきっかけとなり、彼はのちにGoodpatchを創業した。 参考:「サンフランシスコへの出発が1日おくれていたら、Goodpatchはなかった。」【インタビュー】Goodpatch Inc. CEO 土屋尚史氏 ↑ 初期の頃のInstagramチーム Slack 写真共有サービスのFlickrのファウンダーでもあるStewart Butterfieldが、その後オンラインゲームのスタートアップを立ち上げた。数年たっても45人程度のユーザーにしか利用してもらえず、失敗。しかし、その当時社内のチーム向けに自社開発したコミュニケーションツールを正式プロダクトとしてリリースしたのが、現在のSlackにつながる。 2013年8月に招待制プレビュー版をリリースし、初日だけで8,000の招待リクエストを獲得。2週間でその数は15,000まで膨れ上がった。その後、プレビュー版に登録したユーザーを順次サービスに招待し、行動を観察してサービスを改善した。それを何度も繰り返すことで、多くのユーザーに愛されるプロダクトに成長した。 参考: Slack成長物語 〜世界のユーザーに愛されるプロダクト舞台裏〜 GitHub エンジニア向けソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubも、元々はサイドプロジェクトとしてスタートした。ファウンダーであるChris WanstrathとPJ Hyettはその当時、テクノロジー系プロダクトのレビューサイト、CNET向けのページ作成をメインの仕事としていた。 その際、オープンソースのコードアップデートのしにくさに大きな不便を感じ、仕事の後や週末を利用して自分たちの使いやすいリポジトリを開発。のちに一般公開することで、GitHubが生まれた。 その後GitHubはエンジニアを中心に人気を集め、2017年の6月にMicrosoftによって20億ドルで買収されることとなった。 参考: CEOが自ら語った「イノベーションを起こすためのGithubの哲学」 Groupon ファウンダーのAndrew Masonが、携帯電話の通話プランの解約に手こずっていた事をヒントに、同じ目的のユーザーを集め、目標達成のために一緒に活動を行うためのソーシャルプラットフォーム, “The Point”を立ち上げた。 複数のユーザーが集まれば一人ではできないことが達成できるのではないかというのがコンセプトであったが、とあるユーザーグループが、集団で商品のバルク購入をすることで割引を受ける活動をしているのに気づく。 そこから、共同購入クーポンサイトを作り、地元のシカゴを中心にリリース。2008年のリーマンショックの影響で、多くの消費者が節約傾向にあったタイミングも手伝い、大きな成功を成し遂げた。 Twitch ゲーム実況プラットフォームのTwitchは、元々Justin.tvというスタートアップのサイドプロジェクトとして始まった。Justin.tvは、ユーザー同士がストリーミング動画をアップするプラットフォームで、YouTubeとUstreamを掛け合わせたようなサービスであった。 当時はWebで動画を見ることがまだまだ一般的ではなかったため、配信側のユーザーがなかなか集まらなかった。そこで、ファウンダーのJustin自身が私生活の様子や、体を張った突撃取材動画を流したりしていた。 そんな中で、オンラインゲーム好きのJustin.tvのスタッフは課外活動として、週末にオフィスでスタートアップ対抗World of Warcraftを定期的に開催していた。そして、その様子をストリーム中継したところ一気にアクセスが集まり、それをヒントにユーザーがゲーム中継をストリームすることに特化したTwitchを考案した。 […]

保険業界の常識を変える最新インシュアテックスタートアップ3選

生命保険や自動車保険など、保険は我々にとってとても身近なものであると同時に、検討から実際に使うまでのプロセスは複雑で、頭を抱えさせるものでもある。
保険はお金がかかるものだからこそ慎重に選びたいが、複雑であり、選んだ後もプランや支払いについて理解しきれず、損をした気分になる読者の方も多いのではないだろうか。
そんな悩みを解決するのが、インシュアテックのスタートアップだ。インシュアテックとはInsurance(保険)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、現在テクノロジーを活用した保険事業…

アインシュタインの思考に近づける!? 右脳と左脳を連携させる超お手軽な方法とは

 アルベルト・アインシュタインの名を知らない人はいないだろう。相対性理論を提唱し、ノーベル賞を受賞した天才だ。彼は生涯を通して研究を続けたが、腹部大動脈瘤のため、76歳で亡くなった。 盗まれたアインシュタインの脳  その […]…

AI x 保険でユーザー体験を変えるフィンテックスタートアップ4選

AI(人工知能)の実用化が様々な分野で進められています。その中でも保険業界は特にAIとの相性が良く、AI導入に対する期待が大きくなっています。その理由の1つに、保険会社が抱える個人の体調情報や医事統計のデータをはじめとした、契約リスクを判断するための膨大な顧客情報データが関係しています。
AIは大量のデータを分析し、そこからデータに共通するパターンや傾向を導き出すことを得意としています。これにより、保険業界で扱われる大量のデータを人が管理して人が判断するという業務そのものが自動化されていくと考えられ…

紙のコーヒーカップが教えてくれる大切なこと

もしコーヒーを飲むのなら、紙コップが良いか?それとも陶器のカップの方が良いか?
最近であれば、スタバのようなお持ち帰り型のカフェが増えた事もあり、紙コップで飲む事に抵抗はあまりないだろう。
しかしこれが、これがVIPや重要な取引先などの、大切な相手をおもてなしする場合、やっぱり素敵なコーヒーカップでいただきたいと感じる。
とあるカンファレンスでのエピソード
以前にアメリカで開催されたとあるカンファレンスで、元国防副長官がゲストスピーカーとして呼ばれた。壇上に立った彼は、紙コップに入った小さなコーヒー…