フィンテック

銀行業務における顧客体験 (CX) 6つのトレンド

2020年のパンデミック。 2022年のロシア・ウクライナ危機。 からのインフレと景気後退。 そんなこんなで銀行業界を取り巻く状況は、かなり前から危ういものになってきている。以前よりハーバードレビューによると、旧態依然とした銀行業務だけを今後も提供し続けた場合、現在の銀行の92% は10年以内に消滅すると予想されている。 フィンテックの影響で銀行の92%は10年以内に消滅する? 2021年からフィンテックへの投資も拡大 こういった状況を打破するために、2022年からは本気で世界中の金融機関の変革に焦点が当てられ、フィンテックや新しいタイプの金融サービスに対しての投資もかなり盛んになってきている。 銀行業務もデジタルが主戦場 世界中の銀行にとって、デジタルチャンネルへの移行は優先事項となっている。こうした取り組みは、進化する顧客の期待に応えることで、顧客体験を向上させたいという思いが主な動機である。 具体的には、デジタルアプリ、パーソナライゼーションツール、金融教育リソースを組み込んだデジタルサービスを提供することを目標にしている。 フォレスター社の調査を見てみてもそれは顕著で、世界の金融業界の意思決定者へのインタビューにて、全体の85%がDXを推進していると答えている。そして、組織変革の主な推進力は、「顧客体験の向上」がトップ(33%)次いで「収益の拡大」(32%)「コストの削減」(32%)となっている。 Unbluの調査でも、DXにおける最優先課題はモバイルアプリとオムニチャネルおよびパーソナライゼーションツールにおける顧客体験になっている。 銀行業務のDXにおいて、最も重要なフィールドは、デジタルアプリ体験、パーソナライゼーション、金融教育である。 最も重要なのが顧客エクスペリエンス (CX) DX推進が急速に進んだこともあり、銀行を中心とした金融業界にとって、今後最も重要になってくる差別化要因は顧客体験だろう。 顧客体験はカスタマーエクスペリエンス (CX) とも表現される。その名の通り、顧客が受け取る体験のこと。 例えば銀行であれば支店の窓口での体験や、オンラインバンキング、サポートセンターの対応まで、さまざまなタッチポイントにおいて、顧客が感じる体験の質を指す。 CXデザインとは?UXデザインとの違いとそれぞれの役割 金融機関にとってCXこそが差別化要因 ガートナーの調査によると、金融機関の81%が競争要因がCXになっており、特に2021年以降はCXこそが不可欠な差別化要因になっていると回答している。 さらに、76%以上の顧客が、企業が自分たちのニーズや期待を予測し、理解することを期待している。そして、企業はこれらの期待に応えるべく、迅速かつ果敢に対応する必要があるという。 これは、金融機関が提供するサービスのその内容がどれも似通っており、顧客にとっては受け取る体験以外は違いが感じられにくくなっているということでもある。 なぜCXがビジネスにとって重要なのか? 顧客体験が重要なのは金融機関だけではない。その他のあらゆる種類のビジネスにとっても、最重要事項になってきている。その証拠に下記の統計を紹介する。 86%の顧客がより良いカスタマーサービスを受けられるのであれば、より多くの金額を払っても良いと思っている 世界中の96%の顧客が、ブランドロイヤリティの決め手として顧客体験を挙げている 76%以上の顧客がより良い顧客体験のためにブランドを切り替えるのは簡単だと考えている 39%の顧客が顧客体験の悪い企業とは取引をしたくないと答えた データ元: SupperOffice, State of Global Customer Service by Microsoft, State of the Connected Customer. Dimensional Research これらのデータからも分かる通り、優れた顧客体験は、ブランドの評判を高め、企業の収益に影響を与えるだけでなく、顧客維持に直接的な役割を果たす。また、クロスセリングやアップセリングの機会の増加にも貢献する。 CXが優れている銀行の5つの例 世界的に顧客満足度の高い代表的な銀行による優れた顧客体験の具体例を5つほど紹介する。 Capital One 2020年度のJ.D. Powerランキングで顧客満足度1位に輝いたCapital Oneの成功の秘訣は、デジタルバンキング体験の継続的な改善への取り組みである。 デジタルウォレットや非接触型決済オプションの提供、AIアシスタントへの自然言語処理機能の追加、デジタル預金の実現など、Capital Oneは常にCXを最適化するための革新的な方法を模索している。 また、同行は最近、ウォルマートやアマゾンとのリワードプログラムの提携により、顧客がお気に入りのeコマース小売業者との支出をより効率的に活用できるようになったことでも注目を集めている。 JPMorgan Chase ランキング2位は米国最大の資産シェアを誇るChase。包括的で使いやすいモバイルバンキングアプリ、迅速なカスタマーサービス、無料のオンライン請求書支払いシステム、無料の金融教育ウェブキャスト「Chase Chats」などで高い評価を受けている。 Chaseは優れたデジタル体験を通じ、顧客満足度ランキングで常にトップまたはそれに近い位置を獲得している。 PNC PNCは以前より、ハイブリッド・バンキング、広大な支店網(正確には2,400店)、モバイルアプリ「バーチャルウォレット」によるデジタルマネー管理サービスの提供が強み。支店をデジタルツールのトレーニングセンターと兼用するなど、物理とデジタルを融合させ、銀行業務における顧客体験を最適化する方法を常に模索している。 また、PNCは、小さなことにも気を配っている点も評価できる。例えば、18,000台あるATMでは、顧客が好きな額面を選んで引き出しができるようになっており、小銭を用意する手間が省けるようになっている。 TD Bank TD銀行が自らを「アメリカで最も便利な銀行」と称している。1,200以上の支店を持ち、その多くが競合他社よりも早くから営業し、遅くまで営業しているため、顧客は自分のスケジュールに合わせて必要なサービスを簡単に受けることがきる。 この優れた顧客体験をTD Bankはデジタルチャンネルにも反映している。データ分析を活用し、デジタルサービスやオムニチャネル体験の向上にも努めている。 Ally Bank 店舗を持たないオンラインバンクであるAlly Bankは、24時間対応の迅速なカスタマーサービス、最低預金額や月々の維持手数料の無料化、対話型AIデジタルバンキングアシスタント「アリーアシスト」により、2009年の創業以来、オンラインリテールバンキングの分野でリーダー的地位を獲得している。 TD Bankと同様に、よりリアルなAIインタラクションを提供するためのコグニティブコンピューティングへの投資や、超個性化のための顧客360度ビューの開発など、データの活用による顧客体験の充実を図る継続的な取り組みについての情報発信も行っている。 CXを構成する5つの要素 では、優れた顧客体験を生み出すにはどのようなポイントを押さえておく必要があるのだろうか?一度、CXを構成する5つの要素を見てみよう。 現在の状況と制約に対する理解 全てのタッチポイントにおいて顧客に対してのコミットメント 組織全体とスタッフ一人ひとりのCXに対する理解 データを活用した意思決定 グローバルな視点とローカルレベルでの柔軟な対応 金融機関が提供しているCXの品質を高めるには上記のポイントを理解する必要がある。当然であるが、経営レベルでのコミットメントが不可欠となる。 金融における顧客体験に求められるポイント 2022年以降、顧客は従来の顧客体験では喜ばなくなる。 顧客は複数のブランドを使い分けることができ、選択肢に事欠くことはない。このような顧客を維持し、エンゲージするためには、これまでの金融業界における習慣、慣行、方法を一度捨て切る必要が不可欠である。 その代わりに、以下のような新時代の顧客の期待の根源に迫ることで、有意義な体験を提供することに注力したいところ。 情報への即時アクセスの提供 タッチポイントを越えたレスポンスの良いサービスの提供 オンデマンドサービスのための新しいツールや技術の採用 顧客がいつでもどこでも企業と対話できるようにする パーソナライズされた情報共有 銀行業務におけるUXおよびCXの最新トレンド では本題の銀行をはじめとした金融業界に求められる最新の顧客体験に関するポイントを6つ紹介する。 1. なるべく “人間” っぽい体験を 日本でもDXが叫ばれているが、顧客はAIでも機械でもない。従って、体験がデジタルになりすぎるのは良くない。 どんなにテクノロジーが進んでも、生身の人間はパーソナルな体験とリアルタイムでのやりとりを求める。機械よりも人間とのやりとりを望んでいる。 例えば、ドイツのコメルツ銀行は、スピード、セキュリティ、シンプルな体験を実現するためにDXを進めている。この銀行のモデルは、支店の3分の1を閉鎖し、銀行員、アドバイザー、従来のコールセンターをのスタッフをオンライン経由のバンキングセンターに集約した。そうすることで、スムーズなデジタル体験を提供しながらも、顧客は生身の人間とのやりとりが可能になっている。 チャットボットはどのように企業で活用されているのか? 2. 素早い対応を提供する ほとんどの顧客は、リクエストに対してすぐに結果が出ることを期待している。 顧客が解決策を待つ時間を1秒でも失うことは、顧客の忠誠心を失うことに一歩近づくことになる。 例えばファイナンシャル・アドバイザーとの対話を素早く実現するために、人工知能(AI)、機械学習(ML)、自動化を活用した、パーソナライズされた、状況に応じた、より現代的なソリューションを提供することが求められる。 […]

システム制約からの解放に向けて踏み切ったPayPal

PayPalは、現状に留まることなく、将来に渡りビジネスを成長させるためにシステム制約をいち早く排除することを目指し、あらゆるビジネスシーンに瞬時に対応する機動力を得るために、最新のスケールアウト構成への移行を推進すべく、SAPとGoogleの共同検証に取り組みました。
The post システム制約からの解放に向けて踏み切ったPayPal first appeared on SAPジャパン公式ブログ[SAP Business Innovation Update]….

PPIH/スターアップ支援企業と業務提携

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は10月17日、シリコンバレー発「大企業 」×「スタートアップ」のイノベーションプラットフォームPlug and Play JapanとBrand&Ret […]…

PPIH/スターアップ支援企業と業務提携

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は10月17日、シリコンバレー発「大企業 」×「スタートアップ」のイノベーションプラットフォームPlug and Play JapanとBrand&Ret […]…

ブーム再燃の地域通貨。その背景に「フィンテック」あり

 地域内で消費促進やボランティアなどの相互扶助を目的に、限定された地域でのみ使える「地域通貨」。かつて’00年代にブームとなったが次第に下火となっていた。しかし近年、地方創生やFinTechを追い風に再び注目を集めている […]…

ブーム再燃の地域通貨。その背景に「フィンテック」あり

 地域内で消費促進やボランティアなどの相互扶助を目的に、限定された地域でのみ使える「地域通貨」。かつて’00年代にブームとなったが次第に下火となっていた。しかし近年、地方創生やFinTechを追い風に再び注目を集めている […]…

保険業界の常識を変える最新インシュアテックスタートアップ3選

生命保険や自動車保険など、保険は我々にとってとても身近なものであると同時に、検討から実際に使うまでのプロセスは複雑で、頭を抱えさせるものでもある。
保険はお金がかかるものだからこそ慎重に選びたいが、複雑であり、選んだ後もプランや支払いについて理解しきれず、損をした気分になる読者の方も多いのではないだろうか。
そんな悩みを解決するのが、インシュアテックのスタートアップだ。インシュアテックとはInsurance(保険)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、現在テクノロジーを活用した保険事業…

AI x 保険でユーザー体験を変えるフィンテックスタートアップ4選

AI(人工知能)の実用化が様々な分野で進められています。その中でも保険業界は特にAIとの相性が良く、AI導入に対する期待が大きくなっています。その理由の1つに、保険会社が抱える個人の体調情報や医事統計のデータをはじめとした、契約リスクを判断するための膨大な顧客情報データが関係しています。
AIは大量のデータを分析し、そこからデータに共通するパターンや傾向を導き出すことを得意としています。これにより、保険業界で扱われる大量のデータを人が管理して人が判断するという業務そのものが自動化されていくと考えられ…

カインズ/AI活用などで、デジタルアドバイザリーボード創設

カインズは3月1日、顧客体験価値の向上を目指したデジタルイノベーションを加速するため、デジタルアドバイザリーボードを創設した。 <カインズのホームーページ> 新たな成長ステージへ向かう不連続な変革を実行するため、経営体制 […]…

カインズ/AI活用などで、デジタルアドバイザリーボード創設

カインズは3月1日、顧客体験価値の向上を目指したデジタルイノベーションを加速するため、デジタルアドバイザリーボードを創設した。 <カインズのホームーページ> 新たな成長ステージへ向かう不連続な変革を実行するため、経営体制 […]…

【金融テック最新トレンド】 AR/VR活用事例7選

先日アメリカ・ラスベガスでは、世界最大級の家電見本市として知られるCES(Consumer Electronics Show)が行われた。メディアはイベントで発表された商品やテクノロジーを取り上げ、CESの話題で持ちきりだった。
特にXRと呼ばれる、VR、AR、MR(複合現実)を総称した分野は近年注目度が上がっており、フットコントローラー付きのPlayStation VRのようなエンターテインメント製品をはじめ、8K高画質のVR/AR用ヘッドセットなどの最新技術を用いた製品も多数発表された。
関連記…

2019年 注目の海外テック系イベント17選

2019年が始まり早くも1ヶ月が過ぎようとしている。例年、ビジネスやテクノロジーに関するカンファレンスイベントが世界各地で開催されるが、参加するイベントの計画を年始のこの時期に立てる読者も多いのではないだろうか。 各種イベントに参加することは、最新テクノロジーや各業界の動向に関する情報を得られるだけではなく、新たなネットワーク構築のきっかけ作りとしても非常に有効だ。 昨今、アメリカを中心に、ヨーロッパ、アジアでも見逃せないテック系の大型カンファレンスが数多く開催されることが決まっているので、今回はbtrax一押しのイベントをご紹介したい。(上から日付順に紹介) 1. SaaStr 日程: 2/5-7 ロケーション San Jose, California (Silicon Valley) 最も直近に開催が予定されているのが、SaaS (Software-as-a-Service) に焦点を当てたカンファレンスのSaaStrだ。このカンファレンスは例年1万人以上が参加し、今年はStripeやDropbox、Invisionなどの世界的に有名なSaaS企業のリーダー達が登壇を予定。SaaSの分野に限らずソフトウェア開発や組織経営に関わる人であれば、有益な情報、ネットワークを得られる機会なので、ぜひ参加をお勧めしたいカンファレンスだ。 2. Startup Grind Global Conference 日程: 2/12-13 ロケーション: Redwood City, California (Silicon Valley) 比較的見落とされがちだが見逃してほしくないのが世界の起業家コミュニティ形成を目的に開催されているStartup Grind Global Conferenceだ。2日間に亘り、投資家やテックコミュニティのリーダーと呼ばれる人々によるトークセッションやネットワーキングパーティが行われる。シリコンバレーや世界で成功するスタートアップやVC、投資家達との関係構築が期待できる場だ。 3. Funnel Hacking Live 日程: 2/19-23 ロケーション: Nashville, Tennessee オンラインマーケティングへの注目は年々高まっているが、より良いファネルを持つことは効果的なEコマース戦略を行う上で極めて重要だ。Funnel Hacking Live はその名の通り、良いファネルの作り方とその効果的な活用方法について焦点を当てたカンファレンス。オンラインマーケティングのエキスパート達による実践的なセミナーセッションが行われる。最新のオンラインマーケティング事情をグローバルな視点で学びたいマーケッターにとってはかなり有益なイベントとなるだろう。 4. Mobile World Congress 日程: 2/25-28 ロケーション: Barcelona, Spain スペイン・バルセロナで毎年開催されるMobile World Congressは、モバイルテクノロジーを中心に破壊的イノベーション、AI、コネクティビティ、デジタルウェルネス、デジタルトラストなどのテーマで各種トークセッションや製品体験会などが行われる。例年Cレベルの参加者が多く、昨年は7700人以上のCEOがイベントに参加した。今年はMicrosoftやVimeoのCEOをはじめ、世界でイノベーション創出に挑むリーダー達が登壇を予定。スペイン語圏での開催のため、参加企業やスピーカーも北米とは少し異なる傾向にある。これまで北米のカンファレンスにばかり参加してきた人にとっては新たな気づきを期待できるだろう。 5. Wisdom 2.0 日程: 3/1-3 ロケーション: San Francisco, California Wisdom 2.0はここまで紹介してきたような一般的なテック系カンファレンスでは忘れられがちな、人々の繋がりやウェルネスの分野に着目している。ビジネスにおける利益や成功を追求することに伴い、“人々の精神的な充足感や生活の質をどのように向上していくか”をテーマに置く。マインドフルネス講師やTwitterとMediumの創設者Ev WilliamsやGoogleのバイスプレシデントKaren Mayといったビジネス界のリーダーたちが一緒に議論する、世界的にもユニークなカンファレンスだ。 6. SXSW (South by Southwest) 日程: 3/8-17 ロケーション Texas 以前【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選でも紹介しているが、SXSW (South by Southwest)は、例年アメリカのテキサス州オースティンで行われるテクノロジー、音楽、映像、ヒューマニティをテーマにした大規模イベントだ。80年代に音楽の祭典として始まった同イベントだが、VR/AR、ブロックチェーン、フードテック、医療テック、AIといったテクノロジーによるあらゆる分野での未来のあり方を探索するような内容になっている。 ビジネスやテクノロジー業界のみならず、政治やエンターテインメントなど各界の著名人たちもスピーカーとして参加するSXSWは新たなインスピレーションの習得やネットワークの構築に最適な場となるだろう。 7. Social Media Marketing World 日程: 3/20-22 ロケーション: San Diego, California Social Media Marketing Worldは、ソーシャルメディア戦略を実際に行う担当者にとってはまたとないネットワーキングと学びの場だ。Instagram、Youtube、Facebookなど、各プラットフォームに特化したエキスパートが詳細な活用方法を語るトークセッションや彼らと1対1で対話できる機会も用意されている。数あるマーケティング施策の中で特にソーシャルメディアに注力したいと考えている人にとっては見逃せないカンファレンスだ。 8. Crypto Invest Summit 日程: 4/9-10 ロケーション: Los Angeles, California […]

2019年 注目の海外テック系イベント17選

2019年が始まり早くも1ヶ月が過ぎようとしている。例年、ビジネスやテクノロジーに関するカンファレンスイベントが世界各地で開催されるが、参加するイベントの計画を年始のこの時期に立てる読者も多いのではないだろうか。 各種イベントに参加することは、最新テクノロジーや各業界の動向に関する情報を得られるだけではなく、新たなネットワーク構築のきっかけ作りとしても非常に有効だ。 昨今、アメリカを中心に、ヨーロッパ、アジアでも見逃せないテック系の大型カンファレンスが数多く開催されることが決まっているので、今回はbtrax一押しのイベントをご紹介したい。(上から日付順に紹介) 1. SaaStr 日程: 2/5-7 ロケーション San Jose, California (Silicon Valley) 最も直近に開催が予定されているのが、SaaS (Software-as-a-Service) に焦点を当てたカンファレンスのSaaStrだ。このカンファレンスは例年1万人以上が参加し、今年はStripeやDropbox、Invisionなどの世界的に有名なSaaS企業のリーダー達が登壇を予定。SaaSの分野に限らずソフトウェア開発や組織経営に関わる人であれば、有益な情報、ネットワークを得られる機会なので、ぜひ参加をお勧めしたいカンファレンスだ。 2. Startup Grind Global Conference 日程: 2/12-13 ロケーション: Redwood City, California (Silicon Valley) 比較的見落とされがちだが見逃してほしくないのが世界の起業家コミュニティ形成を目的に開催されているStartup Grind Global Conferenceだ。2日間に亘り、投資家やテックコミュニティのリーダーと呼ばれる人々によるトークセッションやネットワーキングパーティが行われる。シリコンバレーや世界で成功するスタートアップやVC、投資家達との関係構築が期待できる場だ。 3. Funnel Hacking Live 日程: 2/19-23 ロケーション: Nashville, Tennessee オンラインマーケティングへの注目は年々高まっているが、より良いファネルを持つことは効果的なEコマース戦略を行う上で極めて重要だ。Funnel Hacking Live はその名の通り、良いファネルの作り方とその効果的な活用方法について焦点を当てたカンファレンス。オンラインマーケティングのエキスパート達による実践的なセミナーセッションが行われる。最新のオンラインマーケティング事情をグローバルな視点で学びたいマーケッターにとってはかなり有益なイベントとなるだろう。 4. Mobile World Congress 日程: 2/25-28 ロケーション: Barcelona, Spain スペイン・バルセロナで毎年開催されるMobile World Congressは、モバイルテクノロジーを中心に破壊的イノベーション、AI、コネクティビティ、デジタルウェルネス、デジタルトラストなどのテーマで各種トークセッションや製品体験会などが行われる。例年Cレベルの参加者が多く、昨年は7700人以上のCEOがイベントに参加した。今年はMicrosoftやVimeoのCEOをはじめ、世界でイノベーション創出に挑むリーダー達が登壇を予定。スペイン語圏での開催のため、参加企業やスピーカーも北米とは少し異なる傾向にある。これまで北米のカンファレンスにばかり参加してきた人にとっては新たな気づきを期待できるだろう。 5. Wisdom 2.0 日程: 3/1-3 ロケーション: San Francisco, California Wisdom 2.0はここまで紹介してきたような一般的なテック系カンファレンスでは忘れられがちな、人々の繋がりやウェルネスの分野に着目している。ビジネスにおける利益や成功を追求することに伴い、“人々の精神的な充足感や生活の質をどのように向上していくか”をテーマに置く。マインドフルネス講師やTwitterとMediumの創設者Ev WilliamsやGoogleのバイスプレシデントKaren Mayといったビジネス界のリーダーたちが一緒に議論する、世界的にもユニークなカンファレンスだ。 6. SXSW (South by Southwest) 日程: 3/8-17 ロケーション Texas 以前【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選でも紹介しているが、SXSW (South by Southwest)は、例年アメリカのテキサス州オースティンで行われるテクノロジー、音楽、映像、ヒューマニティをテーマにした大規模イベントだ。80年代に音楽の祭典として始まった同イベントだが、VR/AR、ブロックチェーン、フードテック、医療テック、AIといったテクノロジーによるあらゆる分野での未来のあり方を探索するような内容になっている。 ビジネスやテクノロジー業界のみならず、政治やエンターテインメントなど各界の著名人たちもスピーカーとして参加するSXSWは新たなインスピレーションの習得やネットワークの構築に最適な場となるだろう。 7. Social Media Marketing World 日程: 3/20-22 ロケーション: San Diego, California Social Media Marketing Worldは、ソーシャルメディア戦略を実際に行う担当者にとってはまたとないネットワーキングと学びの場だ。Instagram、Youtube、Facebookなど、各プラットフォームに特化したエキスパートが詳細な活用方法を語るトークセッションや彼らと1対1で対話できる機会も用意されている。数あるマーケティング施策の中で特にソーシャルメディアに注力したいと考えている人にとっては見逃せないカンファレンスだ。 8. Crypto Invest Summit 日程: 4/9-10 ロケーション: Los Angeles, California […]

【2018年】注目を浴びた4つのテック分野とスタートアップまとめ

2018年も多くの方にfreshtraxの記事を読んでいただいた。これまでは様々な業界に関するスタートアップやUX、デザイン、マーケティングのトレンドを紹介してきたが、その中でも特に多く読まれた記事や話題になった記事など、注目を集めた分野があった。 それがフィンテック、小売テック、医療テック、アグリテックの4つで、これらの分野が日本でも徐々に浸透してきたことの表れではないだろうか。 そこで今回は2018年記事総集編として、2018年に多く読まれた記事の分野と、その中で注目されたスタートアップを改めて紹介する。 関連記事:【2018年】btraxが注目する10のスタートアップ 注目分野① フィンテック フィンテックは金融(ファイナンス)とテクノロジーの領域のことである。大手銀行や政府の金融機関など、長く存在してきた企業や組織、規制など、かなり複雑性と困難が強いられる分野とも言われる。 しかしながらユーザーが抱えている問題の多くは共通しており、サービスがスタートすると爆発的に広がっていく例も多い。 iPhoneやiPadにレジ機能を持たせるデバイス(ソフトウェア)であるSquareや個人間送金サービスのVenmoなどが代表例ではないだろうか。 freshtraxで今年取り上げた記事では新たな個人間送金サービスが注目を浴びた。2017年6月にスタートしたばかりのZelleというスタートアップである。 セキュリティ面が安心の個人送金アプリZelle Zelleはサービス開始当初から30以上のアメリカ国内金融機関とパートナーを結んだことで話題を呼んだ。世界的に広がりつつあるキャッシュレス決済の中、それをさらに後押しする勢いだ。 また、Zelle独自のアプリからだけではなく、各銀行が運営する口座管理アプリやWebサービスを通してアカウントの設定と送金サービスの利用ができる。 筆者も使ったことがあるが、新たにアプリのダウンロードをする必要はなく、あくまでも既に持っている自分の銀行のアプリの延長でZelleに登録して使用するといった流れであった。 たとえばアメリカの大手銀行であるバンク・オブ・アメリカの利用者のうち、すでに300万人がZelleを利用しており、未だに利用者は増え続けている。 既存の個人間送金サービスであるVenmoやCash Appなどとの違いは2つある。1つは送金処理が即座にされること、もう1つは大手銀行ともパートナーシップを結んでいるというセキュリティー面での安心感だ。 (ZelleのUI。公式サイトより転載) 特に後者に関しては今までのサービスに関するトラブルなどからユーザーが敏感になっている点だ。日本も金銭に関わるセキュリティーへの関心は特に高い。こういった理由からもこの記事に注目が集まったのではないだろうか。 サンフランシスコで生活しているとVenmoは欠かせないアプリの一つになっており、「I’ll Venmo you(Venmoするね=Venmoで送金するね)」といったようにVenmoが動詞化しているほどだが、近いうちにZelleも同じように使われるかもしれない。 取り上げた記事:アメリカで話題の個人間送金サービス Zelle(ゼル)とは 注目分野② 小売テック サンフランシスコにもとうとうAmazon Goがオープンしたように、2018年はAI導入のレジレスストアなど小売テックが盛り上がった1年だったと言える。 freshtraxでも、AmazonといったEコマース小売からウォルマートやクローガーといった大手小売など小売業界の変革について紹介した「小売業界の敵はAmazonではない? これからの小売が知っておくべき課題」記事が多く読まれたが、その中でも注目されたのはリアルタイム商品棚管理のtraxだ。 リアルタイム在庫管理や商品分析を行うtrax traxはAI技術とカメラを駆使して、陳列した商品の状態や商品ブランドシェア率、品切れ、一度手に取ったが戻した商品のデータなどの情報を把握して分析する技術を扱う。 これにより在庫管理プロセスの改善だけでなく、分析の結果を効果的な商品陳列や商品のパッケージデザインの改善に役立てることができるのだ。 実際に同社のツールを導入したCoca-Cola Hellenic社では在庫を63%削減することに成功。他にも、P&Gやネスレなどの大手商品ブランド会社を顧客にしている。 お店の商品陳列用の棚をスマートフォンやタブレット端末で写真を取るだけで、そのデータをクラウドからレポートとして小売業者やメーカーにリアルタイム配信することができる。 Eコマースでの買い物が広がる一方で、新しい技術を取り入れた実店舗を拡大する小売ブランドが増えてきた。このようなユーザーにとって必要なテクノロジーを駆使した新しい買い物体験で勝負する動きは今後も注目である。 注目分野③ 医療テック 今年はユーザーの医療体験を変える様々なスタートアップや、フェムテックと呼ばれる女性に特化したヘルスケアテックを紹介した。その中でも話題になったのは唾液からDNA検査をし、自分の先祖やルーツを調べることができるサービスだ。 戸籍制度がなく、移民も多いアメリカにおいて、ニーズの多いサービスなのだ。入国記録や移民記録、婚姻記録に兵役記録に至るまで様々なデータを活用し、家系を辿っていく。 自分の先祖やルーツを調べてくれる23andMeとAncestory 23andMeも同様のサービスで、btraxスタッフや筆者の知人も試したくらい身近なサービスだ。アメリカには移民や混血の人が多いため、自分が一体どこの国にルーツがありそれがどのくらい割合を占めているのか気になることはよくあるようだ。 また、健康面や体の特徴などの情報もわかるので医者に見せて健康管理に役立てることもできるのだ。 (サンプルレポートより転載) Ancestryも同様のサービスを行っている。彼らは会社として「自分たちのルーツなどを知ることが人とのつながりを大切にすることにつながる」ということを謳っている。 彼らのこのような思いはオフィスにも反映されていて、オフィスの壁にはAncestryの検査によって判明した先祖の写真と社員の写真が飾られているという。 取り上げた記事:ブランド戦略 × オフィスデザイン ー 成功事例に見る企業ブランド構築手法 注目分野④ アグリテック 世界的な人口増加に伴い、今後より多くの食料が必要になると言われている中、農業とテクノロジーの分野であるアグリテックへの注目が高まっている。 アグリテックには作物や酪農の管理システムや農業の自動化、アーバンファーミングなど多岐に渡ったサービスが存在する。 その中でもインドア・ファーミングとして過去最大の投資額を調達し、ソフトバンクの孫正義会長も2億ドルの投資をしたことでも知られるPlentyはアグリテック業界内でもすでに有名だ。 健康的で十分な食の供給実現を目指すPlenty Plentyは生産性の高い水耕栽培を実現させたバーティカル・ファーミングを行うスタートアップ。多くのバーティカル・ファーミングの取り組みでは、水平に設置されたトレーを使用して栽培を行うが、Plentyでは独自に設計されたポール状のタワーで栽培を行う。 (こちらのウェブサイトより転載) このタワーが壁のように並べられ、今までの農業のやり方と比較すると同じ面積で350倍の生産ができるようになったのだ。 ちなみにPlentyの技術で作られた野菜はサンフランシスコにオープンしたばかりのロボットハンバーガーレストランであるCreatorで販売されている。 アグリテックと食品ロボットという業界の異なるスタートアップがコラボレーションして食体験を豊かにしていくというのはシリコンバレーのマインドセットと通じるものがあるように思う。 番外編:ペットテック!? まだ馴染みは少ないもの注目されつつある分野 番外編では先に紹介したテック業界ほど浸透はまだしてないもの、注目を集めつつあるペットテックを勝手に取り上げる。 付け加えておくと 2018年のCESでも紹介され、freshtraxの「2018年のIT動向を読み解く7つのキーワード」記事でも注目された分野である。 アメリカのペット市場は大きい。2017年、ペット関連商品市場はアメリカだけで690億ドルの支出があったという(世界全体で約1090億ドル)。 ペットテック分野だけでみても、2017年には約3億ドルの投資があり、5年前よりも3倍以増えている。 ペット用の肥満問題に挑むPetrics 米国では自宅で飼われている犬や猫の数は8,000万匹ほどいるとされているが、犬においては約6割が肥満というデータがある。肥満の問題は人間だけではなかったのだ。 この事態の解決に挑むのがペット用スマートベッド・ウェアラブルデバイスのスタートアップ、Petricsだ。Petricsのスマートベッドは、ペットがベッドの上に乗ると運動量や体重といった健康状態を把握することができる。 また、ウェアラブルデバイスもペットの首輪などにつけてそれぞれアプリと連動して使用すると健康状態に合った食事量や運動量を知ることができる。効果的なダイエットが可能になるというわけだ。 (Petricsのベッドとウェアラブルデバイス。こちらのウェブサイトより転載。) このサービスはペットテックとくくってみたが、飼い主にとってはペットの医療テックと思えるくらい重要なのではないだろうか。 ちなみにミレニアル世代はペットを所有する割合が一番多い世代だ。実際サンフランシスコでは20-30代とみられる人がペットを連れている姿をよく見かけるし、ペットOKのオフィスも少なくない。スタートアップが生み出すペットテックを必要としている人、犬、猫は確かに多そうである。 まとめ 様々な業界がテクノロジーと掛け合わされて〇〇テックと呼ばれるようになって久しい。バスワードになって有名になり、最新鋭のテクノロジーが注目されることも多いが、それを使うユーザーがいてここで紹介したスタートアップのように広まっていくことを忘れないでほしい。 どのスタートアップもただ技術を作って売り出した訳ではない。ユーザーの問題があったからそこに最新テクノロジーを使って解決策、より良い体験を提供していったのだ。 2019年はどのような〇〇テックが出てくるか、今から楽しみである。ユーザーの抱えている問題をみていくとその予測のヒントが隠されているかもしれない。 参考: Should You Use Venmo, Zelle or Cash App? Everything You Need to Know About the Hottest Mobile Payment Apps Trax raises $125 million to bring computer vision insights to retailers’ shelves Billionaires make […]

レガシー金融機関がフィンテック企業と上手に付き合う方法 (金融革命 Part 2)

日本国内でフィンテック企業とコラボしているレガシー金融機関はまだわずか30%にすぎない。これは先進国のスタンダードでいうと最低のレベルになっている。他の国の、ドイツが70%, シンガポール62%, アメリカの54%と比較してもかなり低いと言えるだろう。
テクノロジー活用に遅れをとる既存金融機関
セキュリティーとプライバシー、そして法規コンプライアンスを最優先するその特性上、既存の金融機関はどうしても新規テクノロジーの導入に対して慎重にならざるを得ない。スタートアップのような”実験的”な取り組みを…

店舗はもう不要!? 自宅で試着し放題の新サービストレンド

試着をし、気に入った商品のみを購入をする

普段衣料品を購入する際に当たり前に行う試着というプロセス。これこそが、衣料品のオンラインショッピングにおける一番の課題であった。

確かに、オンラインショッピングで、1つの商品のサイズや色を複数注文して、自宅で試着し、返品をするという方法も無くはない。しかし、この場合、カスタマーは試着するために、一旦全商品を購入しなければならない。後々返品すれば返金されるとしても、試着をするために商品を全て購入するというのは、現実的にはやや厳しい話である。
購入…

銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は? (金融革命 Part 1)

銀行での楽しい体験をしたことのある人は一体どのくらいいるであろうか? 様々なビジネスにおけるユーザー体験が改善される現代において、おそらく銀行は最も質の低い体験を提供していると言わざるを得ないだろう。

確かに、入り口にいる紳士が整理券を丁寧に手渡ししてくれるところまでは良い。しかし、そのあとの待ち時間、面倒な書類、短い営業時間、いちいち発生する手数料、融通の利かない担当者など、顧客がそこで体験する時間のクオリティーは非常に低いと感じる人も多いはず。

そして、その訪問が融資目的だったとした…