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日本の伝統技術を世界で評価されるブランドに。[suzusan/愛知県名古屋市]
スズサン受け継いだ伝統を未来に残していくために。
独特の白抜き紋様と、それに絶妙なアクセントを加える表情豊かな「絞り」。これは愛知県名古屋市の有松・鳴海地域で400年以上にわたって受け継がれてきた『有松鳴海絞り』をモダンに転換した、『suzusan』のファブリックです。
『有松鳴海絞り』を受け継ぐ鈴三商店の5代目として生まれた村瀬弘行(むらせ・ひろゆき)氏が、当初はアーティストを目指して渡った欧州の視点でアレンジ。ルームメイトだったクリスティアン・ディーチ氏とドイツで新たに起業して、『有松鳴海絞り』の伝統のプロダクトである浴衣ではなく、「欧州の暮らしの中で生きる日本の伝統工芸」として生まれ変わらせました。
かつては1万人もいたという職人が今では200人以下にまで激減してしまい、存続すら危ぶまれていた『有松鳴海絞り』。それを海外のニーズに沿って再解釈し、完全オリジナルのブランドとして再生させました。
スズサン多彩な伝統技術を背景に世界へ挑戦。
『suzusan』の強みは、『有松鳴海絞り』の100種類以上もの技法を生かした多彩な表情にあります。ストールやニットなどのファッションアイテムを中心に、ブランケットなどのホームファブリックや照明にいたるまで、幅広くラインナップしています。
従来の浴衣という形にとらわれない、それでいて、伝統の染めと絞りの美しさを堪能できるブランド。更に『有松鳴海絞り』の複雑な工程を簡略化して、デザインで魅了する手法も考案しました。それでも日本の手仕事は世界的に高い水準にあるため、欧州の市場で十分通用するそうです。
『有松鳴海絞り』の歴史は400年以上と、他の国の染めの産地と比べると新しいそうですが、尾張藩が定めた専売制によって、複雑な分業制が確立されていました。そのため、非常に多彩な技法が今も受け継がれています。
通常はひとつの産地に多くて3つほどしかないという染めの技法が、最盛期の有松にはなんと200種類以上も存在。現在はその半数ほどが後継者不足によって失われてしまいましたが、それでも100種類以上もの技法が残っています。
『suzusan』は、これらの技法を駆使して多種多様な柄を表現。産業としてこれだけの技術が整っている産地は世界でも珍しく、世界で勝負する際に、これらの先人の遺産に支えられていることを強く実感するそうです。
スズサン豊富な技法を生かした大胆な戦略が当たった。
村瀬氏は、「『有松鳴海絞り』の技法をどうやって世界に通用するブランドにしていこうか」と考えた際に、「従来の浴衣では、日本文化の枠から抜け出すことはできない」と思いいたったそうです。その発想を後押ししてくれたのが、当の『有松鳴海絞り』の柔軟性でした。
浴衣などの木綿地を染める技法として発展してきましたが、二次加工のための技術なので、どんな素材にも応用できるのです。そこでカシミアやアルパカなど、高い付加価値を与えられる素材を採用。それらに伝統の絞り染めを施すことで、人の手仕事の温もりを加えて、今の暮らしに生かせるアイテムへと転換したのです。
「“日本”や“伝統”といった型を押しつけずに、『風通しのいいデザイン』をモットーとしています」と村瀬氏。その謙虚さが、『suzusan』の美点や個性となっているのです。
実際、村瀬氏のコンセプトと着眼点は高く評価されました。2012年からはパリ、2014年からはミラノファッションウィークでコレクションを発表し、ヨウジヤマモトをはじめとする多数のブランドとのコラボレーションや、クリスチャン・ディオールなどへの生地の提供を行っています。
スズサン手探りで立ち上げたブランドが、世界の一流ブランドとショップに認められた。
こうして村瀬氏が立ち上げた『suzusan』は、当初こそ売り込みに苦心したものの、世界に名だたるブランドやショップに採用されるようになりました。
留学先のドイツの学生寮で企画して、ボロボロの車にサンプルを詰め込んで、アポイントメントなしでヨーロッパ中を売り歩いた日々。それが10年もの歳月を経て、大きく実を結んだのです。
「当初は展示会に出るお金もなく、電話をかけてもアポイントメントも取れず、そうやって売り込むしか方法がありませんでした。お金も知識もなく、『有松鳴海絞り』の職人も日々廃業していくという最悪の状況でしたが、こんなに大変だと知っていたら挑戦しなかったと思います。今思えば、それがラッキーでしたね」と村瀬氏は振り返ります。
スズサン先の見えない苦労を重ねた日々が、今の『suzusan』を創り上げた。
村瀬氏曰く、「当時は家賃も払えないのに8万円もするストールを売っていたので、本当にしんどかったです。そんな中、ミラノのBiffiというブティックに売り込みに行った際に、『いつかここに僕のブランドが置かれるようになれば、本当に嬉しいです』と話しました。すると、『あなたのブランドを置けるように祈って待ってるわね』と言って頂けたんです。その言葉を励みに頑張り続けたところ、その後Biffiのオーナーがパリの生地展示会に来てくださって、その上オーダーまでしてくださいました。そうして現在は、Biffiに『suzusan』が陳列されています」とのこと。
このBiffiとは、古くはケンゾーやヨウジヤマモト、近年ではステラ・マッカートニーやシモーネ・ロシャなどを見出した、目利き中の目利きです。そんな世界中のファッション関係者が注目する老舗で、2018年、『suzusan』のウィンドウディスプレーと特別なイベントが、ミラノファッションウィークの期間中に開催されました。
「数本のストールから始めた小さなブランドが、2018年で10周年を迎えることができました。当時の私からすると、夢のようです」と村瀬氏は語ります。
スズサン常に最高級の素材を追求。
村瀬氏は「素材は常に最高級のものを追求しており、私自身が工場に行ったり素材を探しに行ったりと、様々なリサーチをしています」と言います。そうやって見出した素材から、コレクションがスタートすることも多いそうです。続けて「『この素材をどう染めようか?』という発想につながるんです」とも話します。
まるで一流のシェフが、その技術に適した食材を探しに行くようなスタイル。例えば定番アイテムのカシミアのストールは、幅150cm・長さ250cmもの超大判ですが、重さはわずか100gしかありません。極細のカシミア糸をネパールの職人が空気を含ませながら手織りすることで、エアリーな軽さと最高級の品質を実現しています。
また、ニットウェアは愛知県のニット工場で編んでもらっていますが、繊維が長く上質な原毛を、あえて甘く撚(よ)ることで、洗うたびに膨らみや軽さが出るよう計算しています。加えてアンティークな紡績機を改良して編み上げているので、一度触ったら忘れられない、独特の風合いとなっています。
スズサン失敗すら新たな表現の糧に。奥深い絞り染めの世界。
「こういった厳選した素材を使っているので、染めの工程も真剣勝負です。あらゆる過程に神経を尖らせていますが、それでも手仕事ですので、残念ながら失敗することもあります。数日かけて準備して、染める時間はほんの15分ほど。その一瞬のコンディションで、柄の出方が左右されます。まるで焼き物のような不確定要素がありますね」と村瀬氏は語ります。
更に、常に新たな素材を追求しているため、失敗と改良の繰り返しです。今季の2018年秋冬コレクションの中には中央に細い線を染め抜いたシンプルなニットウェアがありますが、この柄を実現するまでには、なんと5回もの失敗を重ねたそうです。ほとんど諦めかけていた時に、ようやく作り出せた柄なのだとか。
「もっとも、こうした試行錯誤が新たな柄を生み出すこともあるんです」と村瀬氏。例えば染料の分量を間違えた染めが、驚くほど有機的で独特な雰囲気の柄になることもあるのだとか。それをパリやミラノで発表したところ、非常に高い評価を得たそうです。
スズサン一過性のブームではなく、永続的な価値として根付かせるために。
「日本の伝統工芸や手仕事は、世界的に見ても素晴らしい技術です。ですが、日本ではそれが当たり前になりすぎていて、正しく評価されていないように思えます」と村瀬氏。
「幸い私は一度日本を離れたため、改めてその価値に気付くことができました。でも、そのように国内外で改めて評価されつつある動きすら、“伝統工芸ブーム”や“made in Japanブーム”といった一過性のものに終始してしまうのではないか、と危惧しています」と村瀬氏は話します。
価値あるムーブメントも、流行として消費されがちな日本のマーケット。村瀬氏は「そんな風潮の中でも、時間をかけて作られたモノの価値を見出して頂きたい」と願っているそうです。
「更に“ジャパン・アズ・ナンバーワン”という考え方についても、ぜひ再考して頂きたいですね。かつて欧州の印象派の画家たちは、日本の浮世絵を参考にして数多くの傑作を生み出しました。ですが、彼らが評価したのは“フジヤマゲイシャ”といった形骸化したイメージではなく、空間の切り取り方や色使いなど、それまで西洋にはなかった独特の美意識でした。ですが、当の日本では『ステレオタイプのモチーフを売り出せば評価される』と勘違いされているように思えます。そういった国内外の温度差や意識の違いを、ぜひ見極めて頂きたいのです」と村瀬氏は語ります。
日本的なモノ、日本的な考え方はますます世界の注目を集めています。そんな中で作り手・売り手・使い手の全てが、こうした考え方を見つめ直す必要がある――村瀬氏はそのように考えているそうです。
スズサン世界で人気のsuzusanのコレクション。それに触れられる絶好の機会が到来!
現在『suzusan』の商品は、パリのL'eclaireur、ミラノのBiffi、ニューヨークのTiina the Store、ロンドンのMouki Mouなど、23ヵ国、120店舗以上の一流ショップで販売されています。「伝統工芸」というややレトロなカテゴリーに留まりがちな存在にも明るい未来がある――それを若い世代に伝えるために、常に新しい展開を心がけているそうです。
「今後は海外の拠点であるドイツのデュッセルドルフと、地元の有松に直営店をオープンする予定です。『suzusan』の顧客には『商品が作られている現場を見たい!』と有松まで訪ねて来てくださるような熱心な方もいらっしゃいますが、これらの直営店を“使い手と作り手の交差点のような場所”にしたい、と考えています」と村瀬氏。
更に現在、「現象」をテーマとした2018年秋冬コレクションを東京のポップアップイベントで販売中。『有松鳴海絞り』と『suzusan』ならではのストーリーを感じられる絶好の機会です。「ぜひ直接手に取って、選び抜かれた素材と伝統の手仕事の融合を感じてください」と村瀬氏は語ります。
●10月5日(金)~16日(火) (Plain People/東京都港区南青山5丁目35)
※13日(土)・14日(日)は村瀬氏も店頭に滞在
●10月31日(水)~11月6日(火) (日本橋三越本館 1F 天女像前)
ニッチでラグジュアリーなブランドとして再生した『有松鳴海絞り』。その実物と世界にムーブメントを起こし続ける実力を、目と肌で感じてみてはいかがでしょうか?
住所:愛知県名古屋市緑区有松3026 (suzusanショールーム) MAP
電話:+81 52-693-9624
営業時間:10:00~18:00
http:www.suzusan.com
一枚の絵のような風景を留める、純粋で美しい棚田。[星野村の棚田/福岡県星野村]
星野村の棚田地形を生かし、里山に入り組んだ千枚田。
福岡県南部、大分県との県境に位置する八女市星野村。清流星野川が流れ、山々の傾斜地に階段状の水田「棚田」が幾重にも広がる里山は、「日本の里100選」にも選ばれています。かねてから訪れてみたいと思っていた場所で、タイミングよく秋に来訪する機会がありました。収穫時期を迎え、豊かに実った稲穂に、田んぼの畦道には真っ赤な曼珠沙華が咲き、その光景がとても美しかった。棚田は日本各地にありますが、星野村の棚田は山の曲線に沿って棚田が入り込んでいる。星野村に向かう途中の集落にも棚田があり、一見の価値がある。地形を巧みに生かした風景は、一枚の絵のようで、桃源郷を思わせます。
星野村の棚田美しさを維持すべき、棚田の景色。
星野村の棚田は素直で純粋な形を残していますが、これほど見事で美しく維持されている棚田は日本に数えるほどしかないでしょう。世界的に見てもフィリピンのバンギオ、中国の雲南省にも棚田はありますが、後継者不足により維持できず、石垣や水路が崩れ出している状態。さらに区画整理や開発によって棚田の風景がつまらないものになってしまった。非常に残念で、今後の問題であり課題でもあります。星野村も同様の問題を抱えており、一部は田んぼではなく、玉串などで奉納する榊など木々を植えている。見苦しいほどではありませんが、本来の棚田の田園風景とは異なります。地元の方々や行政が力を入れているか背景はわかりませんが、将来的にどうなって行くのか脆さを抱え、懸念されます。こうした美しい景色を維持できているのは本当に稀少であり、だからこそ価値がある。とてもありがたく感じるのです。
住所:〒834-0201 福岡県八女市 MAP
星野村観光ナビ
http://www.hoshinofurusato.com
1952 年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。現在は京都府亀岡市の矢田天満宮境内に移築された400 年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に国内を回り、昔の美しさが残る景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)など。
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作品は人、観るのも人。だから舞台芸術は面白い。[KYOTO EXPERIMENT/京都府京都市]
京都国際舞台芸術祭舞台芸術の前衛都市、京都。
「舞踏やダンスパフォーマンスの面白さが分からない」という方、多いのではないでしょうか。そういったジャンルの舞台芸術が市民に浸透している街があります。それは、京都。国際的に見ても先駆的な取り組みがなされ、2010年から毎年「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」が開催されています。なぜ京都にはその素地があるのか、そして舞台芸術の魅力はどこにあるのか。今回は、プロジェクトを牽引する橋本裕介氏の想いとともに、芸術祭の見どころをお伝えします。
そもそも舞台芸術とは何なのか、まずはその定義から確認していきましょう。一般的に舞台芸術とは、演劇、歌舞伎、ミュージカルなど、舞台や空間上で行われる芸術の総称です。能や狂言も含まれます。つまり「人」そのものが作品となり、鑑賞対象となるものが舞台芸術です。(後編はコチラ)
京都国際舞台芸術祭元小学校が市民に開かれたアートの場に。
2000年に京都にできた『京都芸術センター』は、アート業界に驚きを与えました。オフィス街にある廃校になった「明倫小学校」を、市が芸術関連の施設として活用し、若手アーティストを支援する拠点としたのです。ここで2004年から「演劇計画」というプロジェクトをスタートさせたのが、のちに「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」を立ち上げた橋本氏でした。
京都国際舞台芸術祭作る場所も演じる場所も一緒、という革命的なスタジオとなった。
通常、演劇は稽古場で何もない場所にセットがあるものと仮定して練習し、直前のリハーサルからようやく舞台で演じられるのが普通です。それが『京都芸術センター』は稽古場も発表の舞台も備えているため、最初から舞台美術や音楽もある空間の中で「作る」から「発表する」までを一連の作品として作り上げることを可能にしました。橋本氏は「舞台美術も音楽も、演技と同じくらい大切な要素」と考えています。「演劇計画」では公募で選んだ若手演出家のさまざまな作品を、芸術センターで公演するという試みでした。
京都国際舞台芸術祭「たまたま観て」ハマることもある。それが人生観を変えることも。
自身も高校時代にたまたま観た舞踏グループの公演がきっかけで今の道に進んだという橋本氏。舞台芸術が「外に向けて開かれている」ということを重要視していました。芸術センターは誰でも利用可能な図書室やカフェを備え、極めてパブリックな空間。そんな場所での「演劇計画」は、それまで縁遠かった人にも演劇や舞踏に興味を持ってもらい、京都における舞台芸術文化の底上げに大きく貢献したと言えます。
2009年まで続いた「演劇計画」ですが、橋本氏は「近郊だけでなく東京など関東からの人にも公演を観に来てもらいたい」と考えるように。そして、より広範囲に京都の舞台芸術を知って欲しいとの想いから立ち上げたのが、「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」。芸術センターや立誠小学校跡など京都市内の劇場を中心に、世界各地の先鋭的な舞台芸術を紹介するイベントです。
京都国際舞台芸術祭“人のパフォーマンス”には限界がないのかもしれない。
例えば過去には、実際に起きた男児誘拐殺人事件とカフカの「流刑地にて」に着想を得た創作能や、全身を漆黒に染めたダンサーがひと塊になって観客の間を蠢きまわるパフォーマンスなど、世界中から集まった10数組の表現者たちが毎年奇想天外な作品を発表。2017年には地元の小学生がフェスティバルの公式審査員をつとめるプログラムも行われ、まさに老若男女、アートへの興味の有無を問わない人も楽しめるイベントに発展しました。
「そもそも舞台芸術の面白いところは、観るものが“生身の人間”あること」と橋本氏は語ります。また世界中の人が舞台上で演じるため、海外の人がどんな体つきで、動きで、声で、メッセージを伝えようとするのかということに対峙できます。「『人』を観る面白さを、舞台でぜひ味わっていただきたい」と橋本氏。
京都国際舞台芸術祭今年は“女性というジェンダー”に鋭く切り込む。
2018年は女性、そして“女性というジェンダー”をアイデンティティとするアーティストと団体にフォーカスを当て、全12プログラムを紹介します。これまでの「KYOTO EXPERIMENT」からさらに新たなステージへ昇華し、現代への問いとメッセージを発信し続ける舞台芸術の祭典。第9回の詳細は、後編にてお伝えします。(後編はコチラ)
開催期間:2018 年 10 月 6 日(土)〜 28 日(日)
開催場所:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール “ アルティ ”、元離宮二条城、ほか
料金:1作品一般2,000円~、フリーパス30,000円、3公演チケット7,800円
https://kyoto-ex.jp/2018/
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鮮烈な青色に染まる水面と紅葉との神秘的なコントラスト。[芭蕉沼/岩手県八幡平市]
芭蕉沼清らかな渓谷と湿地を、紅葉したブナやナラが彩る。
八幡平(はちまんたい)温泉郷から松川温泉にかけて続く『松川渓谷』は、岩手県内有数の紅葉スポットとして知られています。「ブナ」や「ナラ」の原生林が周囲を覆っていて、紅葉のピークを迎える10月上旬から中旬には、渓谷全体が紅色や黄金色に染まり、ダイナミックな自然を満喫することができます。
中でもひときわ目を奪われるのが、観光名所の『森の大橋』から松川温泉へ向かう途中に現れる湿地帯です。水の流れが穏やかで、静謐(せいひつ)な雰囲気が漂う『芭蕉沼』は、一帯を覆う紅葉と青空が水面に精緻に映し出され、感動的な光景をつくり出します。付近には駐車場もあるため、気軽に立ち寄れる点も魅力といえるでしょう。
紅葉のシーズンには周囲で様々なイベントが催され、特に毎年10月中旬に開催される「八幡平紅葉まつり」では、紅葉ウォーキングやステージイベントの他、縁日や屋台も出店し、賑わいと熱気に包まれます。(文中には諸説ある中の一説もございます)
住所:岩手県八幡平市松尾 MAP
アクセス:東北自動車道松尾八幡平ICより車で約20分/JR盛岡駅から岩手県北バス乗車、バス停・県民の森下車、乗車時間約1時間35分、バス停より徒歩約35分
地元ソウルフードに着想を得た2品。B級グルメを至高のディナーメニューに変えるシェフのアイデアと技。[DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS/鳥取県八頭町]
ダイニングアウト鳥取・八頭「Energy Flow-古からの記憶を辿る-」のテーマに隠された一側面。
2018年9月8日、9日に開催された『DINING OUT TOTTORI - YAZU with LEXUS』。伝説の舞台となり、古くからのパワースポットとしても知られる鳥取県八頭町の魅力を伝えるべく「Energy Flow-古からの記憶を辿る-」とのテーマが設定されました。周囲にあふれる自然のエネルギーを感じ、そして土地に脈々と伝わる記憶を辿ることで、鳥取の魅力を紐解く。そんな難しいテーマに徳吉洋二シェフは挑みました。
実はこのテーマには、もうひとつの側面がありました。というのも今回は、地元・鳥取出身の徳吉シェフが生まれ育った土地で行う、史上初の“凱旋ダイニングアウト”。土地に伝わる記憶だけでなく、徳吉洋二というひとりの人物のなかの記憶を紐解くことでも、鳥取の味を伝えることを目指したのです。この街に生まれ育ったシェフと、そのシェフを育てた土地。その両面の記憶から辿る旅は、果たしてどのような料理として実を結んだのでしょうか?
ダイニングアウト鳥取・八頭鳥取のソウルフードを起点にしたメニュー。
発想の原点は、ソウルフードにありました。まだ料理人になる前の徳吉洋二という青年が、家族や友人と一緒に食べた鳥取名物。それは徳吉シェフが上京し、やがてイタリアへ渡り、シェフとして大成してもなお、心のなかに深く根付いていたのでしょう。
2018年6月某日、鳥取への食材視察に訪れた際、徳吉シェフはスタッフたちをなじみの店に連れて行ってくれました。「ここのホルモンソバが最高なんです。地元の人は“ホルソバ”って呼びますけど」店の名は『御縁』。小さな店ですが、徳吉シェフが幼い頃から親しんでいたという老舗です。鉄板の前には名物女将が陣取り、注文が入るとホルモンとそばを手早く調理。クニュっとした食感のホルモンは噛むごとに甘みが溢れ、甘辛のタレが絡んだ焼きそばと絶妙な相性。聞けばこの店に限らず、ホルモンソバは鳥取県民なら知らぬ人はいない地元名物なのだとか。
そのおいしさにも驚かされましたが、徳吉シェフがこのホルモンソバを『DINING OUT』のメニューに取り入れると聞いてさらに驚愕。いわゆる“B級グルメ”のこの料理を、イタリア料理のコースのなかにどのように取り入れるのでしょうか。
ダイニングアウト鳥取・八頭ホルモンソバを解体、再構築したコースのなかの魚料理。
結論からお伝えしましょう。徳吉シェフは記憶のなかのホルモンソバを一度解体し、そこにイタリア料理の技術を加え、コースのなかの魚料理として再構築しました。「タラ ホルモン ヒラメ」。ヒラメを主食材に据え、そこに例のホルモン、そして鳥取特産のタラを添わせることで見事な一皿を作り上げたのです。
料理に使うホルモンは、『株式会社はなふさ』が手がける鳥取産の万葉牛のものを選びました。独自にブレンドした飼料と丁寧な管理により、上質な脂と肉味を生む万葉牛。口溶け良く、後味がさっぱりした脂にも定評があり「脂とホルモンは構成要素が同じですから、間違いありません」と生産者・谷口拓也氏が胸を張る逸品です。
炭火で香ばしく焼き上げ、甘辛いソースを絡めたホルモン。それを蒸したヒラメに添え、仕上げには濃厚なタラとバターのソース。ふわりと柔らかいヒラメと弾力あるホルモン、淡白な白身と旨みのある脂身。それぞれ相反する要素を、タラのソースがひとつにまとめあげます。味わいのバランスは絶妙、盛り付けも徳吉シェフらしく洗練されていますが、その裏には実は、幼い頃のシェフの思い出と、まさかのB級グルメが潜んでいたのです。
「ホルモンをどうやって出すかを考えてたどり着いた料理。旬のヒラメ、タラのコラーゲンを溶かしきったソース、それからホルモン。食材のイメージが先行した料理でしたが、結果として満足の行くものができました」徳吉シェフの心の中の鮮烈な記憶を、現在の技術で形にした一品。コースを堪能したゲストからも「とくにこの料理が印象深い」との声が目立ちました。
ダイニングアウト鳥取・八頭ご当地ラーメンをパスタにアレンジする大胆な発想。
さて、徳吉シェフの記憶を辿る旅は、まだ終わりではありません。もうひとつ「しじみと牛骨」と題された料理にもまた、同様のシェフの思いが隠されていました。鳥取県で“牛骨”といって思い出されるのは、無論、ご当地フードの牛骨ラーメンです。
牛骨ラーメンは、鳥取で半世紀以上も愛されるご当地ラーメン。現在ではさまざまな店が味を競い、バリエーションも増加していますが、共通するのはさっぱりとしていながら、牛特有の甘みがあるスープでしょう。徳吉シェフにとっても「懐かしくて、どこかほっとする」という思い出の味です。この牛骨ラーメンもまた、徳吉シェフのフィルターを通して、『DINING OUT』のコースの一品となりました。
牛骨と牛脂は先のホルモンと同じく、万葉牛のもの。そしてもうひとつの主役であるシジミは、鳥取市内にある湖山池で見つけました。シジミ漁師・邨上和男氏の船に乗せてもらい、自ら籠の引き上げにも挑戦した徳吉シェフ。馴染み深い湖山池であるのに、これほど見事なシジミが採れることは知らなかったのだといいます。さあ食材は揃いました。ここからが再び、“徳吉ワールド”の幕開けです。
ダイニングアウト鳥取・八頭人の記憶と土地の記憶が交わり、この日だけの美味を生む。
牛骨ラーメンから着想を得た「しじみと牛骨」は、イメージを残した麺料理になりました。もちろん、使うのはパスタです。まずは湖山池のシジミを火にかけ濃厚なダシを取ります。それを万葉牛の甘みあるダシと合わせ、茹で上げたパスタに絡ませます。仕上げに溶かした牛脂をかけて、さらに風味と旨みをプラス。
見た目は具の一切ないシンプルなパスタですが、口にするとそのふくよかな味わいと力強い旨みに驚かされます。それでいて確かに牛骨ラーメンの面影も感じられるのですから、元ネタを知る地元の方がニヤリと口元をほころばせるのも頷けます。鳥取の名物とイタリアの技術が合わさった一品というわけです。
「牛の骨髄はミラノでもよく使う食材。だから僕の中では、牛骨ラーメンの形をとったミラノの味。鳥取の記憶とミラノの経験が融合したというイメージです」そんなシェフの言葉が印象的でした。
このように2品の料理に潜んでいた徳吉シェフの記憶、地元のソウルフード、地域の食材と伝統。それらを見事に融合した技術とアイデア、遊び心に、徳吉シェフの実力が垣間見えます。土地と人の記憶が交わり、そこに一流の技術が加わる。まさに“凱旋ダイニングアウト”にふさわしい料理でした。
『Ristorante TOKUYOSHI』オーナーシェフ。鳥取県出身。2005年、イタリアの名店『オステリア・フランチェスカーナ』でスーシェフを務め、同店のミシュラン二ツ星、更には三ツ星獲得に大きく貢献し、NYで開催された『THE WORLD'S 50 BEST RESTAURANTS』では世界第1位を獲得。 2015年に独立し、ミラノで『Ristorante TOKUYOSHI』を開業。オープンからわずか10ヵ月で日本人初のイタリアのミシュラン一ツ星を獲得し、今、最も注目されているシェフのひとりである。
Ristorante TOKUYOSHI
http://www.ristorantetokuyoshi.com
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Newオールレザーウェストバッグ
定番レザーウェストバッグがアイアンスペックにリニューアル!
- 大きすぎず小さすぎず使い勝手の良いサイズ感
- ウェストバックとしても良し、肩にかけショルダーバッグにしても良しの大きさです
- 大きな口をとってありますので、非常に使い勝手がよいです
- 中はボタン付き仕切りポケットが一つ、細々したものも散らばることなく収納出来ます
- ベルト調整部分はダブルリング仕様で容易に長さを調節できます
- 背面側はあえてダイヤステッチをなくし、付けた際のフィット感を向上させてます
- また背面側ポケットはファスナー仕様で、チケット等さっと取り出したい物を入れられるようにしています
- 表面のアイアンハートロゴは以前より大きくしています
- 各ファスナー部分にはグローブをしたままでも開閉し易いように長めの革タブを配しています
- 肉厚なダイヤステッチはそのままに、各所の作りを見直し、よりスッキリした顔になっています
- 上質なブラックレザーの中に光る真鍮ブラスパーツ、使う程にアジの出る経年変化を楽しめるバッグです!
『DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS』販売開始![DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS/沖縄県南城市]
ダイニングアウト琉球南城
来る2018年11月23日(金・祝)、24日(土)に「DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS」を沖縄県南城市で開催します。
ダイニングアウト琉球南城信仰と伝統が守られてきた、沖縄で最も神聖な場所を舞台に、2夜限定で幻の饗宴を開催。
日本のどこかで数日間だけオープンするプレミアムな野外レストラン『DINING OUT』。一流の料理人がその土地の食材を新しい感覚で切り取った料理を、その土地を最も魅力的に表現する場所と演出とともに、五感全てで味わって頂ける”幻のレストラン”です。
今回の舞台は、琉球神話の聖地であり、祈りの場「御嶽(うたき)」が数多く残る、琉球のはじまりの土地、沖縄県南城市。琉球神話の中では、はるか昔、「アマミキヨ」という女神が海の向こうの理想郷といわれた神の国「ニライカナイ」からやってきて琉球の島々や御嶽を創り、南城市の離島・久高島に降り立ったと伝えられています。 今なお「神の島」と呼ばれる久高島は、琉球王朝時代に国王が巡礼した島で、現代までその信仰と伝統が守られてきた沖縄で最も神聖な場所です。観光化を免れた静謐な土地は、日本最後の聖域といっても過言ではありません。
生命の起源でもあり、琉球を創成した「アマミキヨ」のゆかりの地で開催される今回の『DINING OUT』のテーマは、「Origin いのちへの感謝と祈り」。
沖縄で最も神聖な場所を舞台に開催される、二夜限定の幻の饗宴。都会の喧騒を離れ、唯物論的な近代科学の視点を一旦忘れて、自らの存在やこの世界のはじまりに思いを巡らせ、今生きていることを感謝する。沖縄の人々の生活や文化に根付く、目に見えぬものへの感謝と祈りの精神に触れて頂ければと思います。
ダイニングアウト琉球南城2016年伊勢志摩サミットでも料理を提供した、『DINING OUT』史上初の女性シェフ。
今回料理を担当するのは、『DINING OUT』初の女性シェフとなる志摩観光ホテル樋口宏江氏。2016年5月に行われた伊勢志摩サミットで、各国の首相陣をうならせる料理を提供し話題に。その後、農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」のブロンズ賞を女性ではじめて受賞し、日本を代表する女性料理人となった樋口シェフが、女神アマミキヨのゆかりの土地を舞台に、女性ならではの視点で「Origin いのちへの感謝と祈り」という今回のテーマを紐解いていきます。
ホスト役には、『DINING OUT』の顔でもあり、「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長を務めるなど、食やカルチャーなどをテーマに活躍するコラムニストの中村孝則氏。
『DINING OUT』史上、最も聖なる場所で、古くから受け継がれてきた神聖なパワーを五感全てで味わう究極のダイニングにどうぞご期待ください。
Data
DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS
開催日程:2018年11月23日(金)、24日(土) ※2日限定
募集人数: 各日程40名、計80名限定
開催地:沖縄県南城市
出演 : 料理人 樋口宏江(「志摩観光ホテル」総料理長)/ホスト 中村孝則(コラムニスト)
オフィシャルパートナー:LEXUS (http://lexus.jp)、YEBISU(http://www.sapporobeer.jp/yebisu/)
後援:沖縄県 平成30年度 沖縄観光コンテンツ支援事業
三重県四日市市生まれ。1991年、志摩観光ホテルに入社。その後、23歳の若さで ホテル志摩スペイン村のフランス料理「アルカサル」シェフに抜擢された。2014年には、同ホテルで初めての女性総料理長に就任。
2016年に、「G7 伊勢志摩サミット」のディナーを担当し、各国首脳から 称賛を受けた。翌年、第8回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」のブロンズ賞を、女性として初めて受賞。今、最も世界から注目を集めている女性シェフである。
神奈川県葉山生まれ。ファッションやカルチャーやグルメ、旅やホテルなどラグジュアリー・ライフをテーマに、雑誌や新聞、TVにて活躍中。2007年に、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を授勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士の称号も授勲。(カヴァはスペインのスパークリングワインの呼称) 2013年からは、世界のレストランの人気ランキングを決める「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。
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手仕事に勝る技術はない、を町工場で体感。[燕三条 工場の祭典/新潟県三条市 燕市全域 及び周辺地域]
燕三条 工場の祭典関係者以外、立ち入りウェルカム!?な町工場。
立ち入り禁止区域というと、普通は黄色と黒の斜めストライプ模様で示されています。ですが、新潟県燕三条地域にある工場地域は、秋の4日間、なぜかピンクのカラフルなストライプカラーで彩られます。一体何が起こっているのでしょう。まるで私たちに「立ち入りOK!」と腕を広げているようです。その通り、この期間中は銅器や洋食器、刃物など100を超える町工場などが一斉に開放し、誰でもものづくりの現場を見学できる場となります。今回はそんなユニークなイベント「燕三条 工場の祭典」についてご紹介しましょう。
燕三条 工場の祭典燕三条のものづくりの転機は、和釘。
江戸時代に大規模な新田開発が行われた三条では、それに伴い農具を中心とした刃物作りが発展。江戸時代からは膨大な和釘の需要を求められ、和釘製造が盛んになりました。一方、燕では、江戸時代に仙台から鎚起銅器の製法が伝えられたことなどから、銅器など別の金属加工業も発達しました。幸いにも鉱物資源が豊富なうえ、広大な山林があり燃料となる炭も手に入れやすい環境であることから、多様な発展を遂げたといいます。
その後、三条市は刃物作り、燕市は銅器などの金属加工や洋食器の生産が盛んに。今では世界からも刃物・洋食器の名産地として知られるようになりました。
燕三条 工場の祭典「見たい」が「作りたい」に。興味の扉を早くから開いていた土地。
興味深いことに、燕三条地域は日本でも早くから「工場見学」の重要性を見出していた町です。鎚起銅器の『玉川堂』や庖丁メーカーの『タダフサ』、アウトドアグッズで有名な『スノーピーク』(現在は移転)など、全国的にもいち早く工場見学やワークショップを行い、一般にものづくりの現場を体感してもらうイベントを実施。人々がものづくりの過程を知ることで、産業に親しみを感じ、後継者の確保にもつながります。そうした背景もあって、2007年から始まった「越後三条鍛冶まつり」が2013年にリニューアルし「燕三条 工場の祭典」がスタートしました。
燕三条 工場の祭典中途半端にはしない。気鋭のバイヤー、デザインユニットとタッグを組んだ。
全体監修は、 IDÉE SHOPのバイヤーなどを経験し、現在はショップへのMDや商品コンセプトの提案を行うmethod代表の山田遊氏が担当。以前から『タダフサ』の社長である曽根忠幸氏が温めていたアイデアを形にすべく、市の職員や市長の賛同を得て、第一回開催の運びとなりました。
アートディレクションとグラフィックデザインはをクリエイティブユニット「SPREAD」に依頼。会場やTシャツなどあらゆるところで使われているビビッドなピンクのストライプのデザインは、工場見学の中で見た鮮やかな「ピンクの炎」から色を見つけ、「危険区域」を示す斜め45度のストライプ模様を掛け合わせ生まれたものだそうです。
燕三条 工場の祭典工場、耕場、購場。どれも欠けてはならないもの。
6回目となる今年の内容は、「開け、KOUBA!この秋、 燕三条の真髄を体感する」のテーマのもと、109拠点の工場を開放。 「工場(KOUBA)」93社に加え、「農業」を営む8社の「耕場(KOUBA)」、そしてKOUBAでつくられたアイテムを販売する「購場( KOUBA)」8社が参加します。普段は閉ざされたKOUBA(工場、耕場)で職人たちの手仕事を間近に見学できるほか、体験型のワークショップや見学ツアーで、KOUBAで働く人と触れ合い、ものづくりの裏側を知ることができます。
燕三条 工場の祭典平らな板から、どんなフォルムでも作り出せる。
見どころが多すぎてここでは全部お伝えできませんが、一部をご紹介しましょう。例えば1816年創業の『玉川堂』。1枚の銅板を鎚でカンカンと打ち出し、茶器や酒器、花器などを作り上げます。元は平らな銅板からこの美しい丸みを帯びた銅器が作られるとは!と誰もが目を見張る技術です。しかも期間中は、小皿製作やぐい呑み製作体験に参加可能。伝統的な「鎚起銅器」を自分の手で実際に行い、作った食器を日常で使えるなんて、他の土地ではなかなかできない体験です。
また、デンマーク王室御用達のカトラリー「カイ・ボイスン」と「ICHI」を製造する権利を持つ世界で唯一のメーカーも燕三条にあります。それは『大泉物産』。寸分の狂いもなく平らな板を丸型にプレスし、曇り一つない鏡面のように磨き上げる技術はまさに神業。こちらでも、スプーン作りなどの体験ワークショップに参加できます。
燕三条 工場の祭典ものづくりは全国とつながっている。産地から産地へ集結。
食に関するイベントも多彩。例えば東京押上にある『スパイスカフェ』の伊藤一城シェフが監修する『三条スパイス研究所』は「暮らしの調合」の考えのもと、燕三条ならではの独自のスパイス料理を提供したり、果樹生産・加工・販売を通じて新しい農業を創出する『三条果樹専門家集団』は期間中に三条果樹専門家集団ミステリーツアーを行ったり……と、「耕場」も「工場」と同じように職人の信念と技術がもたらす「ものづくり」の底力を見せてくれます。
他にも関連イベント「産地の祭典」では、情報や交通の拠点となる案内所「三条ものづくり会場」に全国各地それぞれの産地から逸品が集まり、販売やトーク、ワークショップを開催。それぞれの産地ではどのような技術が磨かれ、どのような産品が生み出されているのかを体感することができます。
普段使っている「モノ」がどのように作られ、また実際に自分でも製作の難しさや楽しさに触れることができる祭典。この秋、ピンクのストライプが迎え入れてくれる工場で、ジャパンクオリティの技と美を実体験してみませんか?
開催期間:2018年10月4日(木)〜10月7日(日)
開催場所:新潟県三条市・燕市全域、及び周辺地域
https://kouba-fes.jp
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眩く色づく草木に清らかな水の調べ。記憶に残る水辺の紅葉。錦秋のランドスケープ。
OVERVIEW
春の桜と並び、世界的に有名な日本の景色といえば、秋の紅葉ではないでしょうか。紅色に橙色、黄金色と、艶やかに記憶に残る風景は、和歌や俳諧、日本画や茶の湯といった文化芸術をはじめ、古くは神話や伝説の中でも妖艶な女神や鬼として表現されるなど、その美しさが伝えられてきました。
主に10月から12月にかけて北海道から南下する紅葉前線は、日本列島を鮮やかな色彩で染めながら、各地に秋の訪れを告げてゆきます。
日本語では紅葉の季節を「錦秋」と表しますが、その彩りはまさに錦のごとし。そして眩く色づく紅葉のそばには、日本ならではの豊かで多様な水辺が見られることも少なくありません。
横山大観や川合玉堂、菱田春草といった日本画壇の巨匠たちや、俳人の正岡子規、文豪の夏目漱石らもこぞって作品の題材にした、水辺と紅葉のある風景。滝に湖、池、沼、川、沢……と、清冽(せいれつ)な水辺がもたらす澄んだ空気と音に、紅葉が共演しつくり上げる景色は、この国が誇るべきランドスケープです。
日本の秋の愉しみを再発見できる、13ヵ所の水辺の紅葉を、ぜひご覧ください。
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全国屈指の花火師が競う。[土浦全国花火競技大会/茨城県土浦市]
土浦全国花火競技大会50社を超える全国の煙火業者がその腕を競う。
2018年で87回目の開催となる、歴史のある『土浦全国花火競技大会』は、戦時中の航空隊殉職者の慰霊と関東大震災からの復興を原動力として霞ケ浦湖畔で始まった花火大会が起源となっています。何度か場所を変えながら、現在では桜川河畔で開催されています。秋に開催している理由として、実りの秋を祝い農民の勤労を慰めるという点が挙げられます。『土浦全国花火競技大会』は全国屈指の花火競技大会で、参加する煙火業者は50社強にもなります。至高の技を凝らした各社自慢の花火を次々と惜しげもなく披露してくれるので、一度は観覧して頂きたい見応え十分の花火大会です。
土浦全国花火競技大会格好良さに震える花火師登場。
大会序盤で大いに盛り上がるのが花火師(煙火業者)登場です。競技に参加する煙火業者の皆さんが自社の法被(はっぴ)に身を包み、有料観覧席前に設えられた舞台に登場してスポットライトを浴びます。それは身震いするような格好良さです。私の個人的な考えではありますが、全国各地の花火大会で花火師さんの紹介をしてもらえたら嬉しいです。ライヴであればアーティストさん、舞台や映画であれば監督さんや俳優さんはごく当たり前に紹介されています。絵画であれば画家、音楽であれば作曲家など、芸術の世界ではその作者を紹介することも一般的に行われています。
花火は夜空に打ち上げる芸術作品です。ならば各地の花火大会でも花火師登場とまではいかなくとも、プログラムや会場アナウンスでごくごく普通に煙火業者さんの紹介が行われるようになれば煙火業者さんたちの励みにもなるだろうと感じています。私の思いが通じたのか、近年では煙火業者さんを紹介する花火大会も徐々に増えてきており嬉しく思います。
土浦全国花火競技大会内閣総理大臣賞を目指して。
『土浦全国花火競技大会』の競技は10号玉(尺玉)の部、創造花火の部、スターマインの部に分かれて行われ、これら3部門の優勝者の中から最も優秀と評価された煙火業者には内閣総理大臣賞が授与されます。競技開始前にはレクチャー花火が上がり、花火の種類や良し悪しなど、実際に花火を打ち上げながら解説してくれます。このコーナーで花火の見方を学び、競技花火を各々採点しながら見るのも楽しいでしょう。
更に競技花火の合間に行われる余興花火も見所のひとつです。中でも中盤で打ち上げられる大会提供花火は見逃せません。「土浦花火づくし」と名づけられたワイドスターマインは会場全体を大胆に使った豪華な花火として知られています。
私事ですが約25年前、花火写真家として初めてカメラ雑誌で特集記事を組んで頂いたことがありました。実際の花火大会での撮影風景を取材したいとのご要望で取材を受けたのが『土浦全国花火競技大会』の会場だったのです。非常に緊張しながらもようやくプロフェッショナルとして認められたことへの嬉しさでいっぱいでした。その時の雑誌は今も大切に保管しています。時折眺めることで若き日の自分に立ち返って初心を思い出し、また新たな作品に向けて気持ちを奮い立たせています。私にとって『土浦全国花火競技大会』はいつまでも思い出に残る大切な花火大会なのです。
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。
日時:2018年10月6日(土)
※雨天時:状況に応じて翌日・10月7日・8日・13日・14日のいずれかに延期(予定)
場所:茨城県土浦市佐野子 桜川河畔 学園大橋付近 MAP
http://www.tsuchiura-hanabi.jp/
1963年神奈川県横浜市生まれ。写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打ち上げ花火を独自の手法で撮り続けている。写真展、イベント、雑誌、メディアでの発表を続け、近年では花火の解説や講演会の依頼、写真教室での指導が増えている。
ムック本「超 花火撮影術」 電子書籍でも発売中。
http://www.astroarts.co.jp/kachoufugetsu-fun/products/hanabi/index-j.shtml
DVD「デジタルカメラ 花火撮影術」 Amazonにて発売中。
https://goo.gl/1rNY56
書籍「眺望絶佳の打ち上げ花火」発売中。
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=13751