ワールドが若手デザイナーを支援する新施設を開設 16台のミシンを導入したワーキングスペースを表参道に

 ワールドは、若手デザイナーの支援を目的としたワーキングスペースを北青山ビルの地下1階に開設した。ワールドが資本提携するクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」を運営するCAMPFIREとの取り組みの一つ。CAMPFIREの新会社bigが主催する新ファッションコンペ「ビッグ デザイン アワード(big design award)」の受賞者と、同アワードの応募者の15組のブランドを対象に、ワーキングスペースを無償で提供していく。

 もともと会議室だったスペースを改装したワーキングスペースには、13種類16台の工業用ミシンをはじめ、工業用アイロン台、トルソー、ラック、鏡などを導入。ミシンの一部はミシン大手のJUKIのサポートによるもの。対象デザイナーはスペースの利用だけでなく、ワールドの縫製職人やパタンナーによる技術指導を受けられるほか、社内のフォトスタジオや、3階のプレスルームを利用することもできる。さらに、同ビルの1階と15階のスペースでは、展示会を開くことも可能だという。

 ワールドの池上貴尉デジタルマーケティングラボ統括部長は「この北青山ビルをワンストップで若手デザイナーを包括的に支援できる場所にしていきたい。作り場としてだけでなく、社内にはフォトスタジオやプレスルームもあれば、販売する際にはECの開設でもアドバイスできる部署もある。デザイナーたちとのコミュニケーションの場として、新たなコミュニティーを創造する場所を目指す」と話す。

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ワールドも支援する新ファッションコンペ第1回「ビッグ デザイン アワード」 初代グランプリにロビン・リンチ

 新たなファッションコンペティション「ビッグ デザイン アワード(big design award)」の第1回授賞式が8月10日、ワールド北青山ビルで開催され、大賞にアイルランド出身のメンズウエアデザイナーのロビン・リンチ(Robyn Lynch)が選ばれた。リンチは、審査員を務めたファッションデザイナーでアントワープ王立芸術アカデミーのファッション学科の学長であるウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)からトロフィーを受け取り、大賞賞金500万円を獲得した。

 初代グランプリに選ばれたリンチはアイルランド生まれの27歳。ダブリンでテキスタイルを学んだ後、渡英し「フィービー イングリッシュ(PHOEBE ENGLISH)」「コットワイラー(COTTWEILER)」でインターンシップを経験する。自身のメンズブランド「ロビン リンチ」を立ち上げ、アイルランドの文化や背景から着想を得て、伝統的なアランセーターをモダンに昇華させて発表している。2020年春夏のロンドン・ファッション・ウィークでは、若手デザイナーによる合同のファッションショー「ファッションイースト(FASHION EAST)」の支援ブランドとして、ショーデビュー。19-20年秋冬は日本のオープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)でエクスクルーシブで発売する他、20年春夏からオープニングセレモニーに加え、カンナビス(CANNABIS)、ヌビアン(NUBIAN)で販売が決定している。

 ウォルターはリンチについて「コンテンポラリーでありながら、クリエイティブでとてもバランスがとてもいいコレクションだった。自分の背景にあるアイルランドの歴史や伝統をエモーショナルに取り入れながらも、そのコンセプトやデザインも難し過ぎない。メンズファッションに新たな風を吹き込むようなデザイナーだと感じた。映像作品もよくできていて、審査員の意見も満場一致だった」と称賛を送った。

 リンチは「現在ロンドンのファッションイーストの支援を受けているが、アワードに応募するのは今回が初めて。『ビッグ デザイン アワード』はインスタグラムで見つけて応募を決めた」と言い、賞金の使い道について「まずは6月に行ったショーのモデルへの支払い、次のコレクションの生産にも充てたい。今はダブリンをベースにしているが、ロンドンにアトリエを移したいと思っている。そして今後もロンドン・メンズ・ファッション・ウイークに継続的に参加し、コレクションを見せて行きたい」と抱負を語った。

 準グランプリに選ばれたインドネシア出身のヘブン・タヌディレジャ(Heaven Tanudiredja)は賞金100万円、入賞したスウェーデン出身のスティナ・ランスタッド(Stina Randestad)と中国出身のシュティン・キュウ(Shuting Qiu)はそれぞれ賞金50万円を受け取った。
 
 「ビッグ デザイン アワード」は、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」を運営するCAMPFIREの新会社bigが主催するアワード。CAMPFIREと資本提携するワールドなど国内外の企業と協力して、国際的に活躍する可能性を持つ次世代のデザイナーのサポートを目的にしている。第1回の審査員にはウォルターの他、キャンプファイヤーの家入一真CEO、「ヌメロ チャイナ(Numero China)」のカートウン・リュン(Karchun Leung)編集長、現代美術家のタカノ綾、複雑系と人工生命の研究者である池上高志、ニック・ナイト(Nick Knight)によるファッションウェブサイト「SHOWstudio」のナオミ・マーティン(Naomi Martin)コンテンツプロデューサーが務めた。

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LAでキャッキャ言われたい! 徹頭徹尾アマノジャクなカリフォルニア支度

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。デニム特集を担当して3年。海外取材の必要性を訴え続けて、まさに念願かなった渡米となりました。当然、“装備品”選びにも熱が入ります。

 渡米に先駆けて、調光レンズ入りの跳ね上げ式眼鏡を手に入れたことはお伝えしました。次はウエアです。「アメリカに負けてたまるか!」「でもキャッキャ言われたい」という二律背反的な鼻息の荒さで選んだのは、浪速(なにわ)ブランドの「ブルーナボイン(BRU NA BOINNE)」です。インパクト十分なビジュアルと、辻マサヒロさんと德田直子さんの2人のデザイナーが恥ずかしがり屋でアマノジャクなため一切表に出てこない(!)うんちくが魅力です。

 降雨量が東京の4分の1ほどのロサンゼルスに行くのに、選んだのは“雨中竹虎”シリーズ。はい、ここアマノジャクポイントです。本当は開襟シャツ(2万6000円)が欲しかったんですが、すでに売り切れでTシャツ(1万6000円)を選びました。ハワイアンシャツの柄として知られる“竹虎”に雨を降らせたオリジナリティーもさることながら、後ろ裾のイエローの切り替えがアクセントになっています。

 新たな“相棒”に袖を通して意気揚々と向かったのは、ロサンゼルスのおしゃれエリア、シルバーレイクにあるセレクトショップのヴァージルノーマル(VIRGIL NORMAL)です。アーティストのVERDYさんや、東京ブランド「10匣(テンボックス、TENBOX)」のPiguさんこと大森憲一ディレクターから話を聞いていたのと、同店のオーナーであるチャーリー・ストーントン(Charlie Staunton)さんや奥さんでスタイリストのシャーリー・クラタ(Shirley Kurata)さんが来日した際に取材していて、絶対に行ってみたい店の一つでした。

 “遠足の準備に張り切り過ぎて、当日知恵熱が出ちゃうタイプ”だから、今回もあらためてあれこれ調べて「これを買おう!」と目星を付けていました。それが“VIRGIL NORMAL”とショップロゴが入ったビニールバッグ(75ドル、約7900円)です。娘のスイミングバッグと何が違うんだろう?と思いつつセレクトするあたり、アマノジャクでしょ(笑)?満面の笑みでの「くださいな」に対して、答えは「売り切れました」。ええ~っ、日本を発つほんの数日前まで売ってたのに~!!

 分かりやすくショックを受ける僕を見かねてチャーリーが、「まぁ、落ち込むなよ。実は今日、店でパーティーがあるんだ。楽しんでいきなよ」とひと言。日曜日ということもあって、ロサンゼルス中のヒップなやつらがヴァージルノーマルに集まり、予想外の異文化交流が楽しめました。もちろん“雨中竹虎”Tシャツは彼らに大人気で、キャッキャ言われました。

(完結編に続く)

期せずして体験できたロサンゼルスのリアルなパーティー MOVIE : NORIHITO SUZUKI

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映画「おしゃれ泥棒」のあのマスクをイメージ 「ジバンシイ」最高峰マスクは高級レース製

 「ジバンシイ(GIVENCHY)」は8月30日、ブランド最高峰ライン「ソワン ノワール」の新美容液「ソワン ノワール セラム」(30mL、4万8000円)を発売する。また、新美容液の有用成分をたっぷり配合したフェイシャルマスク「ソワン ノワール マスク ダンテル ルガール」(12mL×4枚入り、3万4200円)も数量限定で発売。同ラインのマスクは2012年にレースのフルフェイスタイプを受注販売したことはあったが、一般発売は初めてとなる。

 セラムは2008年のライン誕生以来、細胞間コミュニケーションの強化や細胞再生の促進、セルラーマトリックスの修復などエイジングケアにまつわる美肌作りのキーワードに着目してきた。今回は新たに肌内部タンパク質の修復、全ての表皮層の細胞とミトコンドリアの保護に着想を得て成分を強化。キー成分としている珪藻由来の有用成分を進化させ高濃度で配合させたほか、「7年にも及ぶ研究の末、藻の生育過程の中で、2週間しか発現しないという高い抗酸化成分に取り入れた」という。それら成分が肌の再生力をサポートし、加齢や外的環境によりダメージを受けた肌を健やかに導く。

 レースマスクはユベール・ド・ジバンシィ(Hubert De Givenchy)創設者のミューズとして知られる女優、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)の映画「おしゃれ泥棒」内に登場するレースマスクがモチーフ。200年前から伝わるフランスの伝統技術を用いて、職人の熟練の技で作り上げた繊細なフラワーデザインが特徴となっている。この繊細なレースにはセラムに配合されている新美容成分のほか、アイケアのためのクロレラエキスが含まれており、目元や額のエイジングケアをかなえる。「クチュールとしてのデザイン性とスキンケアとしての実用性を兼ね備えた“クチュールマスク”。スキンケア時にも特別なラグジュアリー感を感じてほしい」とブランド担当者。

【エディターズ・チェック】
マスクのゴージャス感にとにかく圧倒されます。フラワーモチーフのレースをよーく見ると、ブランドのロゴが隠れている点もニクい演出。レースの目がこまかいので美容成分がしっかりマスクに含まれ、疲れた目元や頬、額にぐんぐん浸透していきます。1枚あたりの価格は約8500円!デイリーケア向きではないですが、ここぞ!という時の気合入れマスクに良さそうです。ちなみに、レースがあまりにも美しいので使い終わったマスクは洗ってクローゼットにしまいました。仮面舞踏会に行くその日まで、取っておこうと思います。

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@tokyoart_event 展示会&アートイベントbot

【4月9日まで|スヌーピーミュージアム】 第2回展覧会 史上最大のスヌーピー展「もういちど、はじめましてスヌーピー。」 誕生秘話から、約50年間大きな変遷を遂げていく様子を、原画約80点と映像で紹介 詳しくはこちら→

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「バリー」がエベレストの清掃プロジェクト カプセルコレクションも発表

 スイス発のファッションブランド「バリー(BALLY)」は、世界の山々とその周辺の地域社会の環境保全を目指した廃棄物回収活動「ピーク アウトルック プロジェクト(PEAK OUTLOOK PROJECT)」を立ち上げた。
 
 4〜5月には、世界最高峰であるエベレストのベースキャンプ(登山を開始する拠点地)から山頂までの清掃活動を「バリー」の資金支援により実施。チームは、民間環境団体のエコ・エベレスト・エクスペディション(Eco Everest Expedition)代表のダワ・スティーブン・シェルパ(Dawa Steven Sherpa)率いる登山家たちと、ネパールの高山地帯ヒマラヤの出身であるシェルパ族で構成された。人体を維持するために必要な酸素量が4分の1しかない“デスゾーン”と呼ばれる高度8000メートル以上のエリアで、1トン以上の廃棄物を回収することに成功し、5月21日には頂点に達した。

 同プロジェクトのスタートを記念したカプセルコレクションをローンチする。その第1弾として、“No Mountain High Enough”のスローガンを入れたオーガニックコットン製のTシャツ(1万5000円)を8月25日に「バリー」銀座店で発売。オンラインストアでも取り扱い、8月10日から予約を受け付けている。Tシャツの収益は登山の清掃活動のために充てられる。

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「ロエベ クラフト プライズ2020」応募受け付け開始 開催地はパリ装飾芸術美術館

 「ロエベ(LOEWE)」はこのほど、「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2020(LOEWE FOUNDATION CRAFT PRIZE 2020以下、ロエベ クラフト プライズ)」の応募受け付けを開始した。応募受付期間は10月31日まで。展示会の開催地はパリの装飾芸術美術館だ。

 「ロエベ クラフト プライズ」は現代のクラフツマンシップにおける卓越性、芸術的価値、オリジナリティーを称えるため、「ロエベ」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターが発案し16年に始まった。目的は優れた美的価値を持つ作品を生み出す職人の認知とサポートで、大賞受賞者には5万ユーロ(約590万円)が贈られる。

 2019年は100を超える国々から2500点以上の応募があり、東京・赤坂の草月会館で展示会が開催され、大賞には日本人としては初めて石塚源太さんが選ばれた。

 アンダーソンは「4回目となる『クラフト プライズ』では、過去3回で打ち立てた高い基準を基礎とする。同賞がクラフトにとって重要なプラットフォームであること、そして今日の文化におけるその役割が認知されてきていることをうれしく思う」とコメントを発表した。

 アーティスト、職人、エッセイスト、キュレーター、およびデザイナーで構成される専門委員会は、全応募作品に目を通して、最大30作品を最終候補として選出する。その後、パリの装飾芸術美術館で展示され、審査委員によってその中から授賞作品が選ばれる。

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デザイナー大貫達正 全米最大級のフリーマーケットで“アメリカ”を買う

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集だ。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材した。渡米スケジュール作成の過程で、強く意識したのは7月14日。理由は、全米最大級のビンテージフリーマーケット「ローズボウル(ROSE BOWL)」が開催されるからだ。

 ローズボウルは、毎月第2日曜日にロサンゼルス郊外の街パサデナで開催されるビンテージのフリーマーケットだ。会場はアメフト用のスタジアム、ローズボウルの外周や駐車場で、2500以上のブースが出店し、一点モノとの出合いを求めて毎回約2万人が来場する。今回はビンテージ通として知られる、日本のジーンズブランド「ウエストオーバーオールズ」の大貫達正デザイナーがプライベートで買い物をすると聞き、水先案内人をお願いした。

 ビンテージバイヤーは夜明け前に出店者が開店準備中のところを狙うが、取材班は“控えめ”に朝6時半着とした。入場料は時間によって変わって、この時間だと最高値の25ドル(約2700円)。ローズボウルはざっと見るのでも2、3時間、しっかり吟味しようと思ったら半日は必要だ。古着以外に家具や食器、楽器も売られていて、いずれも日本ではちょっとお目にかかれない品ばかりなので、文字通り見るだけでも価値がある。

 大貫デザイナーのいで立ちは1950年代製の「リーバイス(LEVI’S)」のジャケット“ファースト”と30年代製のパンツ“501XX”という気合十分なもの。ならば、ぜひビンテージジーンズを買ってほしい!というデニム特集担当である僕の思いに反して掘り出し物はなく……、とはいえ瞬く間にハワイアンシャツを3枚購入。「コットンアロハを集めているんだ」と話し、太陽光直撃の30度超えの中、スタッズワークがアクセントのハラコベストも試着のうえ購入。目の端で捉えたネイティブアメリカンな小物もまとめ買いしていた。

 ローズボウル会場には陽を遮るものがほとんどないので、特に夏場は帽子が必携。大貫デザイナーは、英国王室御用達の帽子ブランド「ジェームスロック(JAMES LOCK)」のストローハットを準備していた。それでも暑いので、出店のビールで小休憩。ホットドッグで小腹も満たしたら、後半戦のスタートだ。

 向かうのは、入場時から「ここだけは見たい」と言っていたインディアンジュエリー専門店の「ウォーン オーバー タイム(WORN-OVER-TIME)」だ。真っ白なひげを三つ編みにしたオーナーのマーク・フォグウェル(Mark Fogwell)は、なかなかのビジネスパーソン。炎天下の値段交渉は30分ほど続き、バングル、リング、タイバーや珍しいしおりなどを3500ドル(約38万1500円)で買った。さぞかし満足と思いきや、「あろうことかクレジットカードを忘れてしまって、もっと買いたかったんだけど……」とぽつり。よほど悔しかったのか、数分後に「帰国したらすぐに返すので、ちょっと貸して」と取材班に借金をして、さらに550ドル(約5万9900円)分を追加購入。こんなに買ってどうするんだろう?と率直な疑問をぶつけると、「分からない(笑)。でも全部自分で身に着けるつもりだ」と答えた。

 結局この日、大貫デザイナーは4830ドル(約52万6400円)を散財。そしてスタジアムを後にする瞬間まで、「クレジットカードさえあれば……」と悔やんでいたのだった。

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「リーバイス」の神ワザがデニムジャケットをスーツに変えた!! オーダーメイドサービスに挑戦

 個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWD JAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格、パソコンやスマホ使ったパーソナライズのユーザビリティーなどを検証します。

 さて、「パーソナライズ&カスタマイズ」企画、簡単に言えば「作ってみました!」連載(笑)の2回目は、「リーバイス(LEVI’S)」。原宿にオープンした旗艦店では、オーダーメードサービス“ロット・ナンバーワン”という新サービスまでスタートした、キング・オブ・デニム。日本に2人というマスターテーラーが、型紙製作から生地選び、裁断、縫製、仕上げまで、1点モノの制作にまつわる全工程を手作業で行ってくれるそうです。

好調リーバイス 原宿旗艦店は「カルチャー化で勝つ!」とチップ・バーグCEO

 そこで今回はスペシャルというコトで「リーバイス」のトラッカージャケットをベースとしながらも、マジで完全オリジナルな1点モノを制作する特別体験に挑戦。2人のマスターテーラーと、カスタマイズの可能性を探ります。結果、原型があるような無いような(苦笑)、スーパーオリジナルアイテムになりましたが、アイコニックゆえ揺るがない個性を持つ「リーバイス」のトラッカージャケットを驚くべき姿に変えられちゃうのも、マスターテーラーがなせるワザと言えましょう。

 さぁ、ということでまずはオーダー、スタートです。訪れたのは、芸能人やインフルエンサーが通うという、都内某所のアトリエ。2人のマスターテーラーは普段、ここでオーダーを受けたり、それを製作したりの作業に勤しんでいるそうです。アトリエには、過去製作したアイテムがずらり。なんだか見たことある洋服も並んでいるのは、きっと、2人が生み出した衣装を芸能人やアーティストがテレビやMV、ライブなんかで着用しているからでしょう。

 ゼロベースのオーダーは、「さぁ、何を作りましょう?」と尋ねられることから始まります。でもこう聞かれると、なかなか即答できないモノですね(笑)。アトリエに並ぶ“作品”を見ながら、「正直、大きなトレンドが無いデニムで何を?」とか「どんなアイテムなら今、袖を通したくなるか?」なんて考えていたら、1つのアイデアが浮かびました。

 それは、スーツです。

 ご存知の通り、2019-20年秋冬シーズンは、フォーマルが大復活。「ディオール(DIOR)」や「ドリス ヴァン ノッテン(DIRES VAN NOTEN )」を筆頭に、ストリートを経た男性に贈るリラックスマインドのスーツが復活しそうな気配です。「デニムで作ったリラックスシルエットのスーツがあったら、とってもストリートなフォーマルじゃん!!」。

 そう思ってイメージとして「ジル・サンダー(JIL SANDER)」の柔らかなフォーマルの写真をお見せしました。ソフトな生地感、リラックスシルエット、大ブームだったストリートとは異なるミニマルなムード、なのにヒップハングなパンツで馴染みやすいカジュアルマインドなど、まさに今のフォーマルです。

 「デニムで、こんなカンジのスーツをお願いします!!大きめのピークドラペルで!!」。トラッカージャケットの「リーバイス」にスーツを発注って、我ながら“向こう見ず”だと思いましたが、2人のマスターテーラーは動じません。「ジル・ サンダー」の写真を見ながら、「やっぱりダークトーンが良いですかね?」とか「丈が足りないから足しましょう」とか「ラペルは、この位置ですか?」など、職人らしく淡々と、でも次々とアイデアを提案してオーダーは一気に進みます。さすがはマスターテーラーです。

 その様を見ると学ぶことばかりなのですが、一方でマスターテーラーと「リーバイス」は、こんなやりとりを通じて、今ドキのスタイルやシルエット、丈感などの情報を収集し、それを次のオーダー、日本企画、ひいては世界企画に組み込んでいくそうです。なるほど!!このアトリエを訪れる芸能人やインフルエンサー、オープンした原宿旗艦店でゼロからのオーダーメードに挑戦する人は、絶対みんなオシャレさん。彼らの声が、ネクスト・トレンドにつながることは、間違いありませんからね。

 ボトムスは、32インチの“501”を腰ばきしたら何もせずとも「エエ感じ」。ということで、これには刺しゅうを加えてみましょう。自分の名前に媒体名(我ながら、呆れる媒体愛ですw)、それに「リーバイス」のロゴをプラスします。媒体名は、ダイバーシティーの時代を象徴するレインボーです(笑)。色のグラデーションも、細かく指定できました。

 そして待つこと1カ月。2020年春夏のメンズ・コレクション取材から帰国したら、デニムスーツが完成しておりました!

 なんということでしょう!デニムなのに(!)、いやデニムだから(!!)、実にリラックスしたスーツに仕上がっております。お気に入りはラペルの色と、プラスした丈の色がマッチしているところ。そしてデニムなのにエレガンスで、デニムだからカジュアルと相反する魅力を兼ね備えているところです。マスターテーラーさん、あんたらは神や〜(笑)。
 
 ということで、今回も大満足のパーソナライズ。特に今回は、「リーバイス」のスペシャリストとともに、「リーバイス」らしさを残すか?それとも「リーバイス」らしさを裏切ってしまうか?なんて迷いも楽しめる体験でした。

 今回のパーソナライズはスペシャルでしたが、原宿の旗艦店では、好きな位置にダメージ加工を施した上でデザイン性の高い当て布をプラスするなどのカスタマイズを楽しむことができます。ダメージ加工は3000円から。

 ちなみに、今週発売の「WWDジャパン」は、デニム特集。もちろん、「リーバイス」も登場しています。ぜひご覧ください〜。

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