「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズは、これまでの通りの春夏/秋冬というコレクションや発表のスケジュールを改め、シーズンレス体制に移行する。コレクションは季節にとらわれず、ランウエイショーは世界を巡回。8月6日に中国・上海で行うリアルなランウエイショーを皮切りに、その次は、東京で開催予定だ。「メッセージ・イン・ア・ボトル(Message in a Bottle)」と銘打つ2021年春のコレクションはリサイクル・アップサイクル素材を使ったり、過去のアーカイブを再利用したりと、サステイナブルなマインドを多分に盛り込む。マイケル・バーク(Michael Burke)ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)と、ヴァージル ・アブロー(Virgil Abloh)メンズ・アーティスティック・ディレクターが明かした。次回のコレクションは、30ルックが新しい素材から、25ルックがリサイクル素材から、そして25ルックが過去のコレクションから誕生するという。過去のコレクションから誕生した洋服には、アップサイクルを意味する新しいエンブレムをがあしらう予定だ。
村上:その次の「ルイス ガブリエル ヌイッチ(LOUIS GABRIEL NOUCHI)」は、存じ上げないブランドですが、こういう新興ブランドも公式スケジュールで発表できるのは、デジタルならではかもしれないね。ユーチューブで拝見しましたが、チャンネル登録者数は14人(7月9日現在)……。もうちょっと仲間に協力を依頼してせめて3ケタにはできなかったのでしょうか?ロックダウンの最中に、最新コレクションを着たモデルを1人ずつスタジオに呼んでの朗読だったね。正直、意味はわからなかった(笑)。洋服はパリの若手にありがちな、華のない日常着の印象でした。サテンのシャツ、背中に穴が開いてたけれど、アレはデザインですか?って、オーツカさんに聞いてもわかんないよね(笑)。
村上:めっちゃ良かった!ムービーの落ち着いた雰囲気も好きだし、コレクションも最高。クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)は、「メゾンに来て2年。最初はブランドのDNAを理解し、自分がやりたいことに挑戦したかったから、コラボレーションをする余地がなかった。でも、今は違う」と話していたけれど、まさにニューチャプター。ブライアンのカラフルな陶磁器を写真に撮ってシルクのシャツにプリントしたり、ニットで柄を再現したり、メゾンならではの染色技術の“パティーヌ”で描いたり――すっごく美しい。デジタルで興味を持ち、「早くリアルで見たい!」とモチベーションをかき立てられました。ブライアンが、「陶器を、伝統工芸ではなくアートのように見せる感覚がスキ」って話してたのも、「ベルルッティ」に通じるよね。クラフツマンシップを次世代に継承しようというクリスの思いと合致してる。とっても良いコラボレーションだなぁと思いました。
同フェスには、米ロックバンド、フー・ファイターズ(FOO FIGHTERS)のドラマーであるテイラー・ホーキンス(Taylor Hawkins)や、ザ・ビーチ・ボーイズ(THE BEACH BOYS)のボーカル、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)、R&Bシンガー・ソングライターのケリス(Kelis)、姉妹デュオのクロイ&ハリー(Chloe x Halle)やソコ(SOKO)などが出演。日本からは、エンド・オブ・ザ・ワールド(END OF THE WORLD/グローバル展開を目的としたSEKAI NO OWARIの新プロジェクト名)のサオリ(Saori)やマドモアゼル・ユリアらも参加し、日替わりで登場する。アーティストのパフォーマンスの撮影は全て、ロックダウン(都市封鎖)期間中にそれぞれの自宅で行われた。なお、サオリのパフォーマンスは11日の世界配信に先駆けて、10日20時半頃(日本時間)、「ステラ マッカートニー」公式LINEアカウントにて先行公開される。
「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」は2021年春夏パリ・メンズ・コレクション期間中の7月11日に、ロンドンのセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)と共同で行う教育プロジェクトを履修した学生たちによるコレクションを、特設インスタグラムアカウント内で発表する。
「ビルケンシュトック」は18年に、セント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)の学士課程であるファッション&セオリーコースと共同で同プロジェクトを開始した。受講生は、「ビルケンシュトック」のアーカイブへのアクセスが許可され、250年を超える同ブランドの歴史と企業文化を学んだ。その研究成果として、「ビルケンシュトック」のスタイルを現代的な方法で再解釈した作品を学生それぞれが製作した。翌年にはオリヴァー・ライヒェルト(Oliver Reichert)=ビルケンシュトックグループ最高経営責任者(CEO)やファッション評論家のサラ・ムーア(Sara Mower)ら業界人13人による作品審査会が行われ、ファイナリストに選ばれた10人の学生に奨学金が付与された。
田根剛:1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architects を設立し、仏・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「ARCHAEOlLOGY OF THE FUTURE」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトを行なっている。主な作品に『エストニア国立博物館』(2016)、『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』(2012)、『とらやパリ店』(2015)、『Todoroki House in Valley』(2018)、『弘 前れんが倉庫美術館』(2020)などがある。これまで、フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017 ノミネート、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞、アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2019などを受賞している。