英ブランド「カシミ」と「ニューエラ」がコラボ 創業デザイナーに捧ぐモチーフ

 英ブランド「カシミ(QASIMI)」は、「ニューエラ(NEW ERA)」とコラボレーションしたキャップ(1万1000円)とハット(1万2000円)を7月中旬から順次発売する。

 キャップにあしらわれた太陽のモチーフは日の出と日没の両方を意味しており、“巡りゆく日”を表現して、2019年7月に急逝した創業デザイナーのハリド・アル・カシミ(Khalid Al Qasimi)に思いをはせる。

 ハットは亀の甲羅をイメージした柄と、荒廃した街に建つ高層ビルの窓から着想したチェック柄の2パターンをそろえる。自然と都会という対照的なプリントには、相反する要素を融合して社会にメッセージを投げかける同ブランドのアイデンティティーが込められている。

 サイズは全てワンサイズのみ。ブランド公式サイトのほか、「モンキータイム(MONKEY TIME)」原宿店、東京・千住龍田町のアマノジャク(Amanojak.)、下北沢のジャナストラ(JANASTRA)で取り扱う。

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「メゾン ミハラヤスヒロ」2021年春夏パリ・メンズ・コレクション

 「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」が2021年春夏メンズ・コレクションをパリで発表した。

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ホンダがファッションとコーヒーとトリプルコラボ Tシャツとタンブラー発売

 ホンダモーターサイクルジャパンは、クリエイティブ・ディレクターの吉田ロベルトと福岡県のコーヒーショップ「ノーコーヒー(NO COFFEE)」とのトリプルコラボレーションによるTシャツとタンブラーを販売中だ。

 デザインのキーモチーフにしている“ノーモーター(NO MOTOR)は“NO MOTOR NO LIFE”の略で、“バイク好き”の最上級の表現だという。

 自身もバイク好きの吉田ロベルトは1978年沖縄生まれで、杉野学園ドレスメーカー学院卒後、数々のブランドディレクションに関わり、2014年に沖縄県にデザインチーム「イーナストゥディオス(INASTDUDIOS)」を設立。コレクションブランド「ヨシダロベルト(YOSHIDAROBERTO)」、オリジナルブランド「OKINAWAMADE(オキナワメード)」を展開し、16年からJリーグのFC琉球のクリエイティブ・ディレクターを務めている。

 吉田は「今回のコラボレーションにより、若者文化に敏感に反応するファッションとコーヒー業界とモータースポーツの融合を図り、より多くのモータースポーツファンの拡大に務めたい」とコメントした。

 価格はTシャツが3000円、タンブラーが2000円で、全国のホンダの二輪車正規取扱店のみで販売される。

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「ルメール」2021年春夏パリ・メンズ・コレクション

 「ルメール(LEMAIRE)」が2021年春夏メンズ・コレクションをパリで発表した。

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マッシュのアンダーウエア「アンダーソン アンダーソン」が和紙マスク発売 高機能の天然素材で通気性よく

マッシュスタイルラボのアンダーウエアブランド「アンダーソン アンダーソン(UNDERSON UNDERSON)」は7月16日に、オリジナル和紙マスクを発売する。男女兼用のフリーサイズで、価格は1800円。ニュウマン新宿店とニュウマン横浜店で取り扱うほか、同日12時からブランドのオフィシャルオンラインストアとマッシュホールディングスのEC「ウサギオンライン(USAGI ONLINE)」でも予約受け付けを開始。予約分は7月下旬の発送を予定する。

 同製品は和紙100%の素材を使用し、薄くて軽い和紙布を2枚重ねている。フィット感を追求したオリジナルの立体パターンは、鼻と口の間に空間ができることで通気性が保たれ、和紙特有の感触で汗をかいてもべたつかず、さらっとした肌ざわりを実現。敏感肌にも安心な肌へのやさしさを打ち出す。

天然繊維でできた和紙が持つ抗菌・防臭、吸放湿性などにより、汗をかいてもマスク内を快適に保つことができる。原料の和紙糸とゴムは、繊維製品の世界トップレベルの安全基準「エコテックス(R)スタンダード100」認証を取得した素材を使用。手入れは手洗い推奨で、清潔を保ちながら繰り返し使うことができる。

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変化を進化へ デジタル化する香港のミュージアム【高橋瑞木の香港アート&テキスタイル 連載vol.5】

 国家安全維持法の成立で揺れる香港だが、新型コロナの感染拡大は落ち着きを見せる中、テキスタイルとアートの分野ではイタリアやオランダと連携した新たな試みがスタートしている。水戸芸術館現代美術センターのキュレーターを経て、香港CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) のエグゼクティブ・ディレクターを務める高橋瑞木氏による連載5回目をお送りする。連載は今回で最後になる。

 日本でも大きく報道されているだろうが、香港国家安全維持法が成立した。香港政府の逃亡犯条例改正案に反対する市民の抗議活動が激化し始めたのが、ちょうど去年の今ごろだった。抗議活動は皆の想像以上に長引き、CHATで企画された「須藤玲子:NUNOのテキスタイルができるまで」展は、抗議活動の様子を見ながら設営を行った。日本から本展を目当てに香港に来ようとしていたゲストの多くも、残念ながら混乱する香港への渡航を見合わせることになった。ただでさえ観光客が激減した香港に、新型コロナウイルスの感染拡大はさらにダメージを与えた。2003年に流行した感染症、SARSの記憶も新しい香港のリアクションはかなり迅速だったと思う。2月初旬の旧正月明けには多くの企業が自宅勤務態勢に突入し、3月からは多くのレストランが客の入店時に検温を始め、同月下旬からは客席を間引きながらの営業を開始した。CHATはNUNO展の会期を当初の予定よりも3週間延長し、その間多くの香港人が来場し、展示を楽しんだ。実はこのNUNO展は、海外巡回の話が水面下で進んでいる。詳細はまだ発表できないが、海を超えて日本のものづくりを支える職人の仕事やNUNOの作品を伝えることができることに、あらためて興奮している。

 香港がヨーロッパやアメリカに先駆けてコロナ対策をうっている間に感染は拡大し、今でも開館を見合わせている美術館は多い。しかしその間に美術館は自館の展覧会やコレクションをロックダウンで自宅にこもっている人々に届けようと、デジタルコンテンツの発信へと舵をきった。CHATも例外ではなく、4月以降20以上のコンテンツをローンチしているが、その目玉のひとつが「須藤玲子:NUNOのテキスタイルができるまで」展のデジタルカタログだった(図1)。

 実は展覧会のカタログの販売は、近年多くの美術館にとって悩みの種になっている。キュレーターのリサーチや研究に基づくエッセーや、美しい画像が掲載されている展覧会カタログは、今やネット上で無料で見ることができる画像や情報に押され、販売が伸び悩んでいる。スマートフォンで気軽に美しい画像を見れたりする習慣に慣れてしまうと、重い展覧会カタログを持ち帰るのもおっくうと感じるようだ。展覧会のカタログは、会期が終われば消えてしまう展覧会の記憶を喚起するもうひとつの展覧会のようなもので、デザインもコンセプチュアルだったり、凝ったものが多い。しかしながら、紙の節約、流通の簡易さ、そしてなによりも展覧会会場の音や動きを伝えることができるという点で、CHATはNUNO展のカタログを印刷ではなく、デジタルにすることに踏み切った。CHATのウェブサイトから、無料公開のPDFカタログに飛ぶと、キュレーターのテキストや、展示風景のスチールフォトはもちろん、17分弱の展覧会のドキュメンタリービデオを誰でも無料で見ることができる。アートセンターとして優先すべきことは、須藤玲子やNUNOの仕事について幅広い層に知ってもらうという結論が、最終的にカタログのデジタル化を後押しした。キュレーターにとっては展覧会の内容に合わせてカタログの仕様を考えたり、本の紙を選んだりするのは最も楽しい仕事の一つなので、デジタル化は悩ましい決断だった。しかし、ネット検索からのアクセスのしやすさや、国境を超えてより多くの人々が見ることができ、かつ資源の節約になるというメリットにはあがらい難かった。

 デジタルカタログ以外にも、CHATは4月からオンライン上で「Museum from Home」のキャンペーンを開催し、常設展示のバーチャルツアー(手話付き)や、アーティストへのインタビューといったコンテンツを続々とアップロードしている。(図2、3)テキスタイルはマテリアルに実際に触れて楽しんでもらうことも大事なので、CHATではワークショップも頻繁に開催していたが、これもZoomによるリモートワークショップに切り替えた。刺繍の枠と糸、布をパッケージにしたキットを参加者に郵送して、Zoomで刺繍を教えるオンライン通信教育的なワークショップは、参加者が自分の家から参加できる気軽さも手伝って、毎回大盛況だ。

 また、CHATはオランダのティルブルグにあるテキスタイル美術館(Textile Museum, Tilburg)、ポーランドのウッチにあるテキスタイル産業博物館(Central Museum of the Textile Industry)、そしてイタリアのプラートにできたテキスタイルに特化したクンストハレ(*編集部注:企画展専門の美術館のこと)のロットゼロ(LOTTOZERO)に声をかけ、オンラインでの共同企画のプラットフォームのイニシアティブをとっている。隔週で各国のキュレーターや広報の担当者が集まり、オンラインプログラムの計画を練っている。このヨーロッパの3つの美術館は、従来の伝統的なテキスタイル美術館のイメージを刷新しようと、アーティストやデザイナーの新しいクリエイションをサポートするラボを備えていたり、現代アーティストと積極的にコラボレーションを行ったりしている。私たちはこのネットワークを通して、新しいテキスタイルアートやデザイン、美術館や展覧会の潮流を伝えていこうとしている。今年の秋に最初のプログラムを発表する見通しだ。

 香港はソフトロックダウンで感染者拡大を抑えることができたため、今はほとんどの美術館が通常営業に戻りつつある。CHATは5月8日から「Unconstrained Textiles: Stitching Methods, Crossing Ideas(自由なテキスタイル:縫い合わす方法、交差する思考)」展を再オープンしたが、入場者制限をしているにもかかわらず、連日多くの家族連れや若者が訪れている。オンラインで展覧会やトークイベントなどのコンテンツをオーディエンスに届けることはできるが、やはり本物のアート作品を肉眼で見る経験は何にも勝るようだ。

 今や伝説にもなっている1969年にカリスマキュレーター、ハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)が1969年に企画し、今や伝説にもなっている現代アートのグループ展、「態度が形になるとき(Live in Your Head: When Attitudes Become Form)」にアジア圏出身で唯一招待されたフィリピン人アーティストのデヴィッド・メダラ(David Medalla)が、1968年から断続的に世界各地で制作している参加型作品「スティッチ・イン・タイム」が、本展でも展示されている。この作品は来場者が7色の糸を使って巨大な白いキャンバスに自分の所持品を縫い付けたり、刺繍できる作品だ。会期の最後には、このキャンバスが展示されていた特定の時間と場所の記録が縫い取られているアーカイブとなる。この作品は再オープン後、予想以上の数の来館者が参加している。香港の観客は思いもよらないクリエイティビティを発揮し、この白いキャンバスに刺繍をほどこしている(図4・5)。

 本来なら来館者が作品に直にステッチをするこの作品だが、新型コロナウイルス感染防止のための閉館期間中、メールやインスタグラムでこの作品にステッチしたい画像を送ってくれるように私たちは呼びかけた。新型コロナウイルスの画像や、ソフトロックダウン中に活けられた花束の写真や、中には若い頃のデヴィッドとのツーショット写真などが思いがけない場所から送られてきた。届いた画像はCHATのスタッフがキャンバスに縫い付けた。図らずも新型コロナウィルスのパンデミック、そして香港国家安全維持法の施行という歴史的なモーメントを体験しているこの作品には、会期の最後にはどのような記録が残されているだろうか。

 昨年の11月から始まったこの連載も、抗議活動に続くコロナ禍という予想もしなかった事態に翻弄され、不定期になってしまった。およそ半年の連載期間のうちに世界がこうも変化してしまったことに、今さらながら驚愕する。そんな変化の激しい日常で、淡々と制作活動を続けるアーティストの姿に元気をもらうことがある。CHATの開館展にも参加してもらったアーティスト青山悟は、ロックダウン中に「Everyday Art Market」というウェブサイトを立ち上げ、ロックダウン中の日常の中で即興的に制作した刺繍作品を発表している。(図6)また筆者の古巣、水戸芸術館現代美術センターのギャラリーの監視員と話し合いながらマスクに刺繍を施したり、ソーシャルディスタンスを測るためのメジャーなどを制作するというユニークなプロジェクトにも参画している(図7)。

 今回で連載は最終回となる。予想が立たない世界でどうやってアートセンターのプログラムを企画していくか悩みはつきないが、日々制作に向き合っているアーティストやデザイナーたち、そしてCHATのスタッフとともに、香港でクリエイティブの芽をどのように育んでいくか、挑戦はまだ始まったばかりだ。

高橋瑞木(たかはし・みずき)/CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)エグゼクティブ・ディレクター:ロンドン大学東洋アフリカ学学院MAを修了後、森美術館開設準備室、水戸芸術館現代美術センターで学芸員を務め、2016年4月CHAT開設のため香港に移住。17年3月末に共同ディレクターに就任、20年3月から現職。主な国内外の企画として「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(2009)「新次元:マンガ表現の現在」(2010)「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011)「高嶺格のクールジャパン」(2012)、「拡張するファッション」(2013、以上は水戸芸術館)「Ariadne`s Thread」(2016)「(In)tangible Reminiscence」(2017、以上はCHAT)など

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世界最大級の「無印良品 直江津」が新潟・上越にオープン 「土着化」した「超小売業」を体現する店に

 良品計画は7月20日、新潟県上越市の直江津に、国内外の店舗で最大級規模となる「無印良品 直江津」をグランドオープンする。2019年5月にキーテナントのイトーヨーカドー直江津店が撤退した直江津ショッピングセンターの2階のワンフロア全てで、売り場総面積は約5830平方メートル。オープンに先駆けて14日に行った記者会見で、金井政明会長が「(これからは)やはり地方の時代。東京を向いたショッピングセンター(SC)は作りたくない。むしろ否定しようと考えた。地域の方と一緒になって、われわれも巻き込まれながら、地方の素晴らしさを一緒に作っていきたい」と語った注目の店舗だ。

 同ショッピングセンターを運営しているのは、地元のバス会社である頸城自動車。イトーヨーカドーが撤退したことで地域社会の弱体化を懸念し、「イトーヨーカドー撤退後の店作りは、われわれにとって最も重要で喫緊の課題だった」と、頚城自動車の山田知治社長。「無印良品」の出店決定後、ショッピングセンター内の他の空きテナントも順次埋まったという。

 「無印良品 直江津」出店にあたっては、20年1月に良品計画、上越市、頚城自動車の3者で「地域活性化に向けた包括連携に関する協定」を締結。「100年後に上越、直江津をどんな街にしていくか、この店をそうした活動のための拠点としていきたい」と金井会長。村山秀幸上越市長も会見に登壇し、「良品計画の持つ高感度なノウハウや多様なネットワークを借りながら、地域住民のために活力ある市政を行っていく」と話した。
 店内には「無印良品」の他の大型店と同様、自社商品約7000品目を、広い売り場面積を生かしてゆとりを持ってラインアップする。他は、3万5000冊の書籍コーナー、地元の農産物や特産品が並ぶ「なおえつ良品市場」、幅広い世代が楽しめる食品をそろえるフードコート「なおえつ良品食堂」などで構成。地域の“くらしの真ん中”をコンセプトとしており、衣や住分野に比べても日々の生活により密着しやすい、食分野の充実が店作りのカギだ。

 食の充実の一環として、良品計画からのサブリースで、「スターバックス コーヒー(STURBUCKS COFFEE)」や「カルディコーヒーファーム(KALDI COFFEE FARM)」「久世福商店」が売り場内に出店。「『無印良品 京都山科』で、フードコートを地元企業に運営いただいている形はあるが、サブリースの形で外部企業に売り場内に出店いただくのは初めて」と売り場の開発の担当者。また、「『なおえつ良品食堂』は地元で人気の飲食店にレシピを共有いただいて、運営は良品計画が行っているが、将来的には時地元企業に自ら出店・運営していただく形にしていければ」と続ける。そのような形での地域活性化を目指す。
 
 地域社会の中で、どう「無印良品」を役立てていくべきかを探るために、5月3日からは、毎月3と8の付く日に直江津で行われている朝市にもブース出店。お茶や菓子などの食品を販売している。本部主導ではなく、店頭から生まれたアイデアだという。また、地域社会への貢献として、頚城自動車が所有するマイクロバスを使用した移動販売を8月初旬から行う予定だ。「雪深く移動が難しい集落や、老人ホーム、大学などを巡って販売をする。ECが発達しても、商品を見て選びたいというニーズはある。コロナ禍で実店舗が休業し、再開した際に同様のニーズを感じた。今後、地方の大型店で移動販売を広げていければ」と担当者。また、頚城自動車が運行する直江津・東京間の高速バスに、直江津やバス航路の地域特産品を積載し、「東京のデパートや『無印良品 直江津』で販売することもあり得るかもしれない」といったアイデアも広げている。
 
 コロナショックによるデジタルシフトが進む中で、小売業、特に実店舗のあり方は変わりつつある。「われわれは“超小売業”を目指すと以前から言ってきた。20~30年間もモノ余りの時代が続き、物販は厳しいと言われている。でも、人間が生きていくためには小売りが必要で、どのように小売りが存在するべきかを考える必要がある」と金井会長。「デジタルはもっとうまく活用していくべきだが、人間は一人では寂しい。人と人が共働していく場が求められている。実店舗は“土着化”し、地域の人と一緒になって、共有し合う中で街が変わっていく。そういう存在になることこそが小売業の使命」だ。

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“職人”ミズノの逆襲 奇抜なデザインの裏に勝利への自信

 ミズノは7月1日、新たに開発したシューズ用高反発素材“ミズノ エナジー(MIZUNO ENERGY)”を発表した。同素材は「ミズノ史上最高」という柔らかさと反発性が特徴で、約2年をかけて開発されたもの。スタンダードタイプの“ミズノ エナジー”のほか、軽量タイプの“ミズノ エナジー ライト”と最も反発性が高い“ミズノ エナジー コア”の3タイプを用意する。接地時のエネルギーを無駄なく反発力へと変えることに長け、“コア”は従来のソール素材よりも反発性を約56%向上、柔らかさを約293%向上させている。この反発性の研究にはシューズの知識だけではなく、同社が1906年の創業以来研究し続けてきた野球のバットやゴルフのクラブなど、スポーツ用具の知見も生かされているという。現在、同社としては珍しい奇抜なデザインが話題となったコンセプトモデル“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”(2万5000円)が販売中(ECは完売)。より軽量化したスピードモデル“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”(2万3000円)と“ウエーブ デュエル ネオ ロー(WAVE DUEL NEO Low)”(1万9000円)は7月中旬から順次発売予定だ。

トレンドを追わない覚悟

 昨今の国内ランニング市場は、「ナイキ(NIKE)」の“ヴェイパーフライ(VAPER FLY)”をはじめ、大きな推進力を生み出すカーボンプレートを搭載した厚底シューズの話題で持ち切りだった。一方、“ミズノ エナジー”を搭載したシューズにはカーボンプレートは使わず、樹脂を用いた既存素材“ミズノ ウエーブ”を用いており、“ヴェイパーフライ”などと比べて厚みはない。「厚底ソールは地面との距離があるためシューズをコントロールしづらい、疲れやすいといったデメリットもある。選手もシューズに合わせた走り方にする必要があり、ランナーの安全を考えると厚底シューズが最適なアプローチでない場合もある」と語るのは、“ミズノ エナジー”の研究開発に携わったグローバル研究開発部デザイン・開発部技術開発課の森田彰氏だ。「われわれも当初はカーボンプレート内蔵モデルを考えた。しかし、試走時に『重すぎて20kmも走るといつも以上に疲れが出る』というフィードバックをもらった。市場のトレンドではないかもしれないが、文字通り“地に足をつけて”足元を支える方針に決めた」。

機能をデザインで表現

 機能性のみならず、デザイン性にも注目が集まっている。新素材発表と同時に数量限定で発売されたコンセプトモデル“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”は、ボールが詰め込まれたような、あまりにインパクトの強いソールデザインに賛否が巻き起こったものの、公式オンラインショップ分は発売当日に完売。デザインに関わったグローバルフットウエアプロダクト本部ランニング・トレーニング企画課の鷲見将成氏は、「新素材のコンセプトモデルのためソールに目がいくようなデザインを採用した。アッパーをはじめそのほかのあしらいは非常にシンプルで、機能を妨げるような無駄なデザインはない」と解説する。また水ぶくれなどの原因となる縫い目を少なくするため「パーツ数も限界まで削ぎ落とした」という。鷲見氏と同じくデザインに携わったランニング・トレーニング企画課の益子勇賢氏は「ミズノは常に実直なモノ作りでお客さまの支持を得てきた。これからもその期待に応えていく」と話す。

実は披露していた“謎の白”

 同素材は、今年1月の箱根駅伝で10区区間賞を獲得した創価大学の島津雄大選手が着用した“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”にも搭載されている。島津選手が着用したのは真っ白なプロトタイプで、他区では “ヴェイパーフライ”が圧倒していたこともあり、「あのシューズはどこのメーカー?」「カッコいい!」と観客からの注目を一気に浴びていた。

 ランニングシューズのプロモーションにおいて、着用選手のレース結果はシューズの人気を左右する重要項目だ。しかし“ミズノ エナジー”搭載シューズに関しては、「レース結果によるイメージ訴求に頼るつもりはない」とコンペティションスポーツ事業部第1事業企画販促部陸上・ランニング課 課長の河野光裕氏は語る。「履けばその良さがわかる。トップランナーの争いを気にするのではなく、風下に降り、お客さまと対面して一足一足を販売していく。もちろん島津選手の好成績がなければこれだけ話題となることはなかった。ただ今後は一時的な世間の注目度よりも、地道に獲得したファンの拡散力を重視していきたい」。

目指すは国内3番手

 国内のランニング市場が盛り上がりを見せる中、同社は2019年度の国内ランニング部門の売上高が前年同期を若干下回った。その理由の一つとして河野課長は、ある人気シリーズを挙げる。「当社の核となる“ウエーブ ライダー(WAVE RIDER)”シリーズは1997年の発売以来、初心者からフルマラソンを走るランナーまで幅広い層に支持を得てきた。その人気に頼ってしまった結果、新モデルの開発やプロモーションが十分に行えていなかった」。

 その一方、海外では再び存在感を示しつつある。同社は2019年度、アメリカのランニング部門の売上高は前年同期比10%増で、ヨーロッパでもほぼ同じ成果を収めた。「海外ではランニングが日常に根付いている。速く走れるか、安定しているか、軽いか、耐久性があるかなど多様な尺度でモデルが選ばれ、マーケットが細分化している。そのため安定性と機能性が売りのわれわれも一定の層からの支持を得ている。ところが国内はトレンドと安さの2つが購買の基準として強く、それ以外のモデルは見向きもされない」と分析する。

 では国内市場を成熟させるにはどうすればよいのか?河野課長は「このような市場にしたのはわれわれメーカー側の責任が大きい。発売時のプロモーションやレースの結果に頼るだけで、時間をかけてモデルを育てていこうとはしていない。このままではお客さまもついてこない。ユーザーのデータをもとにアップデートを続け、二人三脚で市場を成長させたい。“ミズノ エナジー”は、それを可能にする重要な素材だ」と自信を見せる。

 ミズノは現在、国内ランニングシューズでは5番手に位置している。「史上最高」の素材でスパートをかけ、ナイキとアシックスに次ぐ3番手への浮上を誓う。

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スタイリスト百々千晴が「セブンルール」に登場 シンプルを追求する彼女のルールとは?

 スタイリストの百々千晴が、7月14日23時放送のドキュメンタリー番組「セブンルール」(関西テレビ・フジテレビ系全国ネット)で特集される。百々は雑誌やブランドのスタイリングはもちろん、モデルやタレントの衣装をコーディネートするなどスタイリストとして活動するかたわら、「ユニオン マガジン(Union Magazine)」の編集長やブランドディレクターとしても知られる。最近ではプライベートブランド「シシクイ(THE SHISHIKUI)」をスタートさせた。

 「セブンルール」では、ファッション業界で約15年働く中で、「自分のキャラクターや話の仕方はシンプルでいたい。洋服だけでなく考え方など全てにおいてシンプルでいたい」と語る百々の7つのルールについて迫る。また、9歳の息子と6歳の娘を持つ母としてのルールも語っている。

 百々は徳島県生まれ。思春期のころに見たファッション誌でスタイリストという職業を知る。18歳で上京し、アシスタントとして経験を積んで、2002年から2年間ロンドンに留学する。その後帰国し、東京を拠点に活動をスタート。新型コロナウイルスの自粛期間中にはダンスや歌を披露したりおすすめグッズを紹介したりするプライベートなインスタライブが注目を集めた。また公式ユーチューブチャンネル「DODOTUBE」を開設し、ファッションやビューティ、ライフスタイルなどの動画を配信している。

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「マルベリー」がウエアと靴をやめ、事業縮小 従業員25%の一時解雇も検討

 英国ブランドの「マルベリー(MULBERRY)」はウエアや靴の生産を中止し、核であるバッグなどのレザー製品に注力する。2015年からオンワードラグジュアリーグループ(ONWARD LUXURY GROUP)とのライセンスで手掛けてきたウエアと靴は、7月現在店頭に並んでいる20-21年秋冬コレクションが最後になる。ブランドの広報担当によると同ブランドの売り上げの90%はレザー製品が占めており、今後については「レザー製品のほかにもアクセサリーやアイウエア、ジュエリーなどのライフスタイルカテゴリーの開発と投資は続けていく」という。

 また「マルベリー」は、新型コロナウイルス感染拡大による店舗休業の影響を受けて、世界で働く従業員全体の25%にあたる474人前後の一時解雇を検討していると6月8日に発表した。店舗が営業を再開しても、ソーシャル・ディスタンシングの必要性のほか観光客や客足の減少が収益に影響を与え続けることになり、全体的な売り上げ回復には時間を要すると考えて業務やコストにおける規模と構造の最適化に取り組んでいる。

 ロックダウンにより店舗が一時閉鎖していたときも、同ブランドはデジタルチャネルを生かして販売を続けていた。ただデジタルの売り上げは堅調に推移しているものの、店舗休業による減少を埋め合わせることはできなかったという。「一時解雇は非常に心苦しい決断だが、このような厳しい市況に対応し、できる限りの雇用とブランドの将来を守るためには必要なことだ」とティエリー・アンドレッタ(Thierry Andretta)=マルベリー最高経営責任者は述べた。

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朝日新聞がミラノ・ファッション・ウイークのライブ動画を日本独占配信

 朝日新聞社はこのほど、イタリア・ファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)と「ストリーミング パートナー」契約を締結し、7月14〜17日に開催するミラノ・ファッション・ウイークのライブ配信コンテンツを日本国内で独占配信する。

 これに合わせ、朝日新聞社ニュースサイト上では特設サイトを開設する。同サイト内ではコレクション動画をリアルタイムで配信するほか、デザイナーへのインタビューやバックヤードの取材などの関連動画も配信する予定だ。また独自コンテンツとして、「朝日新聞」のファッション担当者によるコレクション解説記事や、モデルのAMIAYAがファッション・ウイークの見所を語るインタビュー動画なども掲載する。同パートナーシップは今年9月と2021年2月のミラノ・ファッション・ウイークまで継続する。

 カルロ・カパサ(Carlo Capasa)=イタリア・ファッション協会会長は、「朝日新聞社とパートナーシップを開始できることを大変うれしく思う。不確実性が高まっている今日の状況で、グローバルに協業し、全世界のファッションコミュニティーにわれわれのコンテンツを届けることはとても重要だ。その意味で、朝日新聞社を日本でのストリーミングパートナーとして迎え、ミラノ・デジタル・ファッション・ウィークを日本で配信できることは私たちにとっての大きな成果であり、大変誇りに思う。今後も、朝日新聞社との長期的で効果的なコラボレーションを実現していきたい」とコメントした。

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TikTokが注目される理由とは?マーケティング活用の可能性に迫る

 「WWD JAPAN.com」は6月30日に、TikTok(ティックトック)のマーケティングの可能性を解説するオンラインセミナー「TikTokマーケティングセミナー supported by WWD JAPAN.com」を開催した。ショートムービープラットフォームのTikTokは、昨今のデジタルコンテンツのニーズ拡大でさらに存在感を強めている。さらに、トレンドの発信地として幅広い年代のユーザーから支持されており、新たなマーケティングの手法を生み出す可能性を持つプラットフォームとしてもさまざまな業界から熱い視線が注がれている。TikTokへの関心が高まる中で開催された同セミナーの受講者募集には定員の300人を大幅に超える応募があり、抽選で選ばれたファッション、ビューティ関連企業のPRやマーケティング担当者らがセミナーを受講した。
 
 セミナーはテーマ別に3部構成で行われ、「WWD JAPAN.com」編集長の村上要が各部のゲストと共に解説した。第1部はTikTokの特徴や急成長の背景、第2部はTikTokをマーケティングに活用している先行企業の担当者をゲストに招いて実例を紹介。第3部ではTikTokで活躍しているクリエイターが登場し、バズるコンテンツの作り方や企業とのタイアップについて話を聞いた。セミナーの最中には受講者からは随時質問やコメントが届き、TikTokへの注目の高さがうかがえた。

第1部

デジタルコンテンツの
ニーズ拡大に伴う
急成長の背景に迫る

 第1部は「TikTok For Business Japan」Creative Strategy Directorの廣谷亮氏をゲストに迎え、TikTokの特徴やユーザーの傾向、最近の急成長などについて解説した。TikTokのユーザーの傾向はZ世代と呼ばれる24歳までの世代だけでなく、この1年ほどで芸能人などを中心に一気に大人の世代が流入しており、それに伴って急速にコンテンツの多様化が進んでいる。アートやスポーツ、ニュースに関連する時事コンテンツのほか、ファッションやビューティのカテゴリーも顕著に伸びているという。さらに、2019年6月から20年6月の1年間で再生回数は262%増、平均視聴時間が42分から55分へと伸長しており、20年4月に世界でのダウンロード数は20億回を超えた(Sensor Tower調べ)。

 マルチタスクでさまざまなことに効率よく興味を持ち、多面的な思考や価値観を持つZ世代を“かじる世代”と称し、Z世代への訴求やマーケティングにおける活用のヒントなども紹介した。

第2部

ブランドはなぜTikTokを選び、
何をやったのか?

 第2部では、第2部では、TikTokをマーケティングに取り入れている先行企業の担当者と共に実例を紹介した。「TikTok For Business Japan」Head of Client Partnershipsの田村千秋氏によると、TikTokをビジネスに活用しているブランドや企業は増加傾向にあるという。今回はファッション、ビューティのカテゴリーとTikTokの親和性の高さに着目し、実際にTikTokを活用しているブランドの代表として「メイベリン ニューヨーク」の高瀬絵理氏・日本ロレアル コンシューマープロダクツ事業本部 メイベリン ニューヨーク事業部 ブランドビジネスリーダーと「ピーチ・ジョン」の浦上セリーヌ優氏・ピーチ・ジョン 広報宣伝課 PEACH JOHN/GIRLS by PEACH JOHN プレスが登壇し、実施したキャンペーンや公式アカウントの運用方法などを紹介した。また、「表参道NORA hair salon」トップデザイナーの YUMA ISHIKAWA氏が登壇し、集客やブランディングなど個人のビジネス活用についても解説した。

第3部

企業とクリエイターの
上手なTikTokでの付き合い方

 第3部はTikTokで活躍しているクリエイターの南部桃伽氏とサラ・コールディ氏が登壇し、動画制作の実演を通じて、今のトレンドやユーザーに効果的に訴求するためのポイントなどを解説した。廣谷氏によるとZ世代の特徴として、TVなどに出演している有名人よりもインフルエンサーが発信する情報のほうが親近感が湧く、信頼性があるという調査結果があり、インフルエンサーの影響力はますます大きくなっているという。そうした背景から、TikTokでもクリエイターと企業とのタイアップが増加している。TikTokの特性やユーザーの傾向を踏まえて、クリエイターやブランドの個性と流行を柔軟に掛け合わせることが、プロモーションにおいて重要であると解説した。

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デジタルメンズコレでドタバタ対談 「ディオール」が底力を見せ、“人間礼賛”ムードに覆われたパリ最終日

 デジタルでのオートクチュール・コレクションが終わり、次はパリのメンズ・コレクションがスタートしました。7月9日から5日間にわたって、70近いブランドが新作をオンラインで発表します。この連載では、主にメンズを担当している記者が「頑張ってリアルタイムで見てみました」取材を日替わりで担当。「アーカイブでも見られるのにオンラインで見る意味あるの?」という周囲の視線を感じながらも、「コレクションはライブ感!」と信じて完走を目指します。初日は海外コレクション取材歴10年以上のベテランである村上要「WWD JAPAN.com」編集長と、海外コレクション初取材の入社3年目・美濃島匡「WWDジャパン」記者が日常業務と並行しながらリポートします。

17:00(パリ時間10:00) 「ランバン(LANVIN)」

美濃島:パリ・メンズ最終日。本日もドタバタ対談スタートです!トップバッター「ランバン(LANVIN)」は古代遺跡をロケ地にしたショートフィルムを公開。涼しげなジャケットやドレスをベースにアフリカンモチーフでアップデートさせたリゾートスタイルを披露しました。19年からアーティスティック・ディレクターに就いているブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)はリゾート感のあるリラックススタイルを継続的に発信していますが、もう少しいろんなテイストを見せてもいいのかも。また映像ではプリントスカーフやバッグにもフォーカスしていて、かなりコマーシャルな印象です。展示会への導線としては機能しそうですが、ありきたりなキャンペーンムービーのようで新鮮味に欠けましたね。

村上:なんと!!相変わらず会社でドタバタしてますが、もうドタバタ対談もスタートですか!!1分10秒、よく言えば「すんなり見られた」、ちょっと厳しい言い方をすれば「盛り上がりに欠けた」ムービーでしたね。コレクション自体も、“ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)門下生”なカンジから抜け出せない印象です。ジョナサンがどんどん進化しているから、距離がつき始めてしまった感覚も否めませんね。メンズのジャケットは、素材感がネックでしょうか?なかなかクラシックなサマーウールを使っているから、今っぽいカンジが滲んでこないのかも。ウィメンズのカフタンドレスとかスカーフのように、軽やかな素材から生まれるジャケットも見てみたい!!

美濃島:ジャン・フィリップ・エケ(Jean-Philippe Hecquet)最高経営責任者(CEO)が今年3月に退任するなど混乱が続いており、その分ブルーノへの期待が高まりますが、彼のクリエイションが定着するにはまだ時間がかかりそうですね。

18:00(パリ時間11:00) 「ウェルダン(WE11DONE)」

美濃島:「ウェルダン(WE11DONE)」の映像はホテルを地上、モヤがかかった枯れ果てた大地を地底にみたてたのでしょうか?意図を汲み取ろうと頑張りましたが、解釈の余白がありすぎて何が言いたかったのかわかりませんでした(笑)。あと6分強の尺は少し長かったかな。個人的には電話が鳴る最初のシーンとモデルが一斉にウオーキングするハイライトは好きでした。

村上:「それを言っちゃ、オシマイよ」って思われちゃうかもしれないけれど、新興ブランドは、“ナゾ”な映像を作らない方がいいかもしれないね。「ウェルダン」の場合は、冒頭、携帯がいっぱいぶら下がった部屋で、みんなが床に耳をつけて何かを聴いている風なシーンがあったけれど、「コレは、何だろう?」って意味を考えすぎちゃうと洋服が頭に入ってこない(苦笑)。その点、週末にコレクションを発表した日本のブランドは、潔かったし、正々堂々としていた印象です。

美濃島:同ブランドは韓国のセレクトショップ・レア マーケット(RARE MARKET)のディレクターであるダミ・クォン(Dami Kwon)とジェシカ・チョン(Jessica Jung)が手掛けています。韓国らしいストリートテイスト溢れるアイテムに、シャギーな素材を用いたり、薄いピンクやグリーンなど優しげな色を使うことで今っぽいクリーンさを加えていました。ウィメンズでも引きずるほど長い袖やレザー使いなどでトレンドを上手く盛り込んでいました。でも、「おおっ!」と思わせる強さはなかったですね。

村上:美濃島さんが言う通り、コレクションはクリーンで万人ウケしそうなストリート。そのまま見せて尺を短くした方が、みんな共感できたかもなぁ、って思います。

18:30(パリ時間11:30) 「フィップス(PHIPPS)」

村上:その点、「フィップス(PHIPPS)」は非常にわかりやすい。パリでは「コスプレ!?」と思わざるを得なかったカウボーイスタイルが、実に自然に映りました(笑)。「あぁ、このブランドは、こんな世界の中で生きているんだね」と実感できるムービーでした。もちろん、デザイナーはアメリカ出身なんですよね?

美濃島:デザイナーのスペンサー・フィリップス(Spencer Phipps)は米カリフォルニア出身。西部劇のトレーラーに見立てたショートムービーは、ブランドの世界観がビシビシ伝わってきました。クリエイションとルーツが一致していますね。ただ、どこまでが衣装でどこまでがコレクションなのかわかりませんでした(笑)。

村上:洋服はちゃんと見えなかったけれど、「どこかで、ちゃんと見ることができるのかな?」って思わせます。今のネットユーザーは、そう思ってくれれば、全部自分で見つけられるしね。

美濃島:彼はNYのパーソンズ美術大学出身で、卒業制作では手染めのオーガニックコットンと麻の布を使用。その後もサステナビリティーを掲げ、2019年にはLVMHプライズのファイナリストにも選出されています。今回の映像もそうですが、時代の空気を読み、適切な表現を行えるから、今後が期待されているのでしょうね。

19:00(パリ時間12:00) 「ジギー チェン(ZIGGY CHEN)」

村上:「ジギー チェン(ZIGGY CHEN)」は、パッチワークが盛りだくさんのコレクションだから、ムービーもパッチワークなのかな(笑)?洋服はキャロットシルエットのパンツを筆頭に愛らしいムードだけど、いかんせんムービーがシュールでホラーですね。特にBGMがコワい。普通のランウエイショーでも、こんなおどろおどろしい音楽は選ばないと思うのに、なぜチョイスしてしまったのか?夜、一人で見たら、後ろを振り向けそうにありません……。

美濃島:往年の名作ホラーに使われるような音楽でしたね。モデルの顔は古い絵画などのコラージュで表現していて、そういった演出がモノトーンベースのクラシカルな服のムードにぴったりハマってました。ただ古臭いだけでなく、チェックやストライプといった柄やフォトプリントなども巧みに用いてユニークさも忘れません。映像は人を選びそうですが(笑)、チャレンジングな姿勢は評価に値すると思いました!

村上:そろそろライブ配信企画「着点(きてん)」が始まるので、ここから数個は美濃島さんにお任せします!

美濃島:カナメさん、いってらっしゃい!取材の合間しか「着点」は見られませんが、画面越しから応援しています!

19:30(パリ時間12:30) 「パロモ スペイン(PALOMO SPAIN)」

美濃島:「パロモ スペイン(PALOMO SPAIN)」はギンガムチェックのセットアップやピンクのスカート、お尻がぱっくり空いたパンツ、黒いクリスタルのドレスなど、完全にジェンダーレスなコレクションを披露。相変わらずのクリエイションです。“THE REHEARSAL"と題した映像は、迫力ある音楽と演出はもちろん、同性婚を連想した花嫁のようなルックにフォーカスするなど、かなりメッセージ性が強かった。スポンサーとして「M・A・C」「スワロフスキー(SWAROVSKI)」を明記していたのも説得力がありましたね。

20:30(パリ時間13:30) 「ダンヒル」

美濃島:「ダンヒル(DUNHILL)」は過去の広告映像に直近のランウエイショーを紐付けてブランドアイデンティティーをアピール。音楽の違いも浮き彫りになったりと試みは面白かったのですが、最新コレクションが全く登場しないので何の参考にもなりませんでした(笑)。

21:00(パリ時間14:00)「サンクアンズ」

美濃島:中国の「サンクアンズ(SANKUANZ)」は、緑の線で表現されたサイバー空間でルックを披露。ストリート色が強く、近未来感のあるクリエイションにぴったりな世界観でした。中には肩をつまんだジャケットやボディコンシャスなミニドレスなどもあり、ドレスへの意気込みも感じました。ノイズミュージックも同ブランドらしくて◎。ただルックが遠くて確認しづらかったので、一つ一つにもっとフォーカスして欲しかったですね。

村上:今日のライブ配信も無事終了しました!帰りの電車の中で、「ダンヒル」と「サンクアンズ」を鑑賞。「ダンヒル」は、80年代から脈々とDNAを継承していることを伝えたかったんでしょうね(苦笑)。「サンクアンズ」は、ホントモデルが遠い(笑)。デジタル・ファッション・ウイークは、みんながフロントローでコレクションを堪能できるハズなのに、「サンクアンズ」はみんなスタンディングな感じだね(笑)。「見えね〜」って愚痴が聞こえそう。

21:30(パリ時間14:30) 「ディオール(DIOR)」

村上:そして、「ディオール(DIOR)」‼︎底力、見せましたね。美しかった。ポップでキャッチーな「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とは全然違うエレガンス。「肖像画を書くとき、背景はシンプルに」というアフリカのアーティスト、アモアコ・ボアフォ(Amoako Boafo)はの思いを体現するような、着る人を美しく描くコレクションでした。主役は洋服じゃなくて、あくまで着る人なんだって教えてくれるようなコレクション。アフリカンな極彩色や、「ディオール」のドレスを思わせるボリュームたっぷりの布づかい、デジタルでも繊細なのが一目瞭然な刺しゅう。でも、主役はやっぱり服じゃない。その境地にたどり着いたのがスゴい。ポストコロナのラグジュアリーのあり方を学んだ気がします。

美濃島:インタビューをメインにルックをさらっと見せるだけの映像。それなのにこれほど深く刺さるのは、最高のクリエイションがあるからに違いありません。コラボ相手のアモアコは指で直接絵の具を塗る“フィンガーペインティング”を用いるアーティスト。この技法よる独特なタッチを刺繍で表現したり、赤、青、黒などアフリカらしいダイナミックな色合わせを用いたりして、キムのルーツとクリエイションを融合させていました。途中、アート作品とルックを交互に流してそれらの垣根を無くす演出に心を奪われました。ああ、美しかった。

村上:そうそう。あの、アモアコの肖像画とキムのルックが次々入れ替わる瞬間に、人間と肖像画、ファッションとアート違いがわかんなくなってきて、「あぁ、洋服って、人を彩るものなんだ」って改めて気づきました。センスあるなぁ。洋服の話をすれば、個人的なツボは、かなり膝上なショートパンツ(笑)。あとはニットなのかな?鮮やかなアフリカンカラーのカマーバンドも印象的だった。とはいえ、全体はいつもの「ディオール」よりちょっとカジュアル。お出かけが減ったり、テレワークが増えたりの状況を鑑みたのかな(笑)?

22:00(パリ時間15:00) 「トム ブラウン(THOM BROWNE)」

美濃島:「トム ブラウン(THOM BROWNE)」も力強かったですね。シンガーソングライターのモーゼス・サムニー(Moses Sumney)が新作ボトムを着用して歌声を披露するだけの3分間。でも、歌が上手すぎて普通に聞き入ってしまいます。彫刻のような彼の筋肉美もすごかった。服よりも人間にフォーカスする映像は、先ほどの「ディオール」に通ずるものがあります。いずれも人間の文化や営みが見直されているこのタイミングにこそ生まれもの。ルック1体に絞るアイデアは「ドリス」と同じですが、密度が全然違いました(笑)。

村上:もはや「最新コレクションは?」と思いながら見るのではなく、「人とは?」を考えながら堪能するカンジ。もともとランウエイショーでも、コンセプチュアルすぎる洋服ばっかりだったから、1ルックしか見られなくても不満に思うこともなかった(笑)。ちなみにラップスカート、総スパンコールだったね。めっちゃ気合い入ってる。このくらいの気合いで、僕も筋トレ頑張ります(笑)。胸が全然つかないんだよねぇ……。と、次の「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」につながりそうなネタを振ってみました。多分、裸体出てくるでしょ、このブランドのムービーも(笑)。

美濃島:“人間礼賛”なムードは今後数シーズンのトレンドになるかもしれませんね。「ルドヴィック デ サン サーナン」も相変わらず布少なめなクリエイションなのでしょうか?早速確認してみましょう(笑)

22:30(パリ時間15:30) 「ルドヴィック デ サン サーナン」

村上:予想以上に布少なかった(笑)。赤面(照)。白と黒の編み込みビキニの青年2人が、見つめ合って、触れ合って、海に飛び込んで……。ムービーの最後、水着が木に干してあったのは、「そういうコト」という理解でよろしいですね⁉︎

美濃島:「そういうコト」なのでしょうね(笑)。いきなり裸、そして“DO YOU LOVE ME?”というタイトルコール。直球ストレートな姿勢に好感が持てました。淡い恋心が実って何よりですが、「ビキニが全然お尻を覆えてないよ!」と心の中で突っ込んじゃいました(笑)。

村上:海が汚れてたのが、ちょっと残念だったね。海洋汚染に対するメッセージなのかな(笑)?いずれにせよ、コレも人間礼讃だね。

24:00(パリ時間17:00) 「フミト ガンリュウ」

村上:「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」は、ナゾでした。時間もテッペンを回りまして、思考能力は低下。あれは、どう解釈したら良いのでしょうか?ダッフルコートを買った美濃島さんに聞いてみましょう、いかがでしたか?

美濃島:昨年の秋冬でダッフルを買い、今年の秋冬はセットアップを購入したほど大ファンな僕ですが、正直全く理解できませんでした(笑)。野焼きや本を整理するシーンなど、意味深な場面も多かったので身構えちゃいましたが、後からルックを見てみたら動画と同様のシチュエーションがチラホラ。ルック撮影の様子を切り取ってイメージムービーに仕上げたんでしょうね。定番で出しているパーカーのほか、ラインが入ったジャージやデニムのセットアップなど新たなアイテムも。これまでコンセプチュアルでしたが、グッと日常着に近づきましたね。実は後日、取材のチャンスをもらっているので、コレクションについて詳しく伺いたいと思います!

村上:ぜひ、「ほとんどルックがわからない、バイヤー泣かせの動画」の真意を聞いてくださいませ(笑)。

01:00(パリ時間18:00)「リース クーパー」

美濃島:「リース クーパー(REESE COOPER)」は森に流れる小川をランウエイに見立てて開催したショーの様子を公開。裸足で歩くモデルをみて「足は痛くないのかな?」と無駄な心配しちゃったし、周辺で遊んでいてそのまま呼び止められたであろう一般人たちがショーを見守る様子はなんともシュールでしたが(笑)、面白いアイデアでした

村上:ムービーのタイトルが「RIVER RUNS THROUGH」。コレは、映画「A River Runs Through It」へのオマージュなのかしら?と思ったり、思わなかったり。撮影の舞台となった川は、映画よりちょっと汚くて、特にコケ(藻?)に覆われた水面を歩くモデルを“自分ごと化”してしまい、ちょっと「ウゲッ」ってなりました。

美濃島:服はロケーションの通りのサファリ&アウトドア。より人間らしく生きよう、自然に帰ろうという気分を反映したのでしょうか。

村上:見せてくれたサファリとアウトドアは、取り立てて欠点もないけれど、だからと言って、このブランドで買う意味も感じ取ることができなかったのが、正直なところですね。もう少しオリジナリティが欲しかった。最近はSPAやアウトドアブランドのデザイン性が高いから、「覚悟」が欲しいな。

美濃島:最後の全モデルが集合し、デザイナーが走ってくるシーンも、ありきたりですがなんだかほっこりしました。ただ、15分はあまりに長すぎる!!途中から服が頭に入ってきませんでした。この取材では尺の重要性を痛感してばかりです。

01:30(パリ時間18:30) 「ピガール」

美濃島:「ピガール(PIGALLE)」は過去のコレクションムービーを編集したほか、アーカイブをモデルたちに着せたスペシャルムービーを披露。ブランドの歴史を振り返ることができますが、やっぱり印象的なのは“ウエディング”をテーマにした2017年春夏シーズンのショーでした。

村上:実際「ピガール」のコレクションを何度か見ている僕は、「あぁ、この時は死ぬほど待たされたな」とか、「あぁ、この時は入口が大混雑したんだっけ」とか、「あぁ、この時は次のショーに間に合わないから途中退席したんだ」などノスタルジックになったけれど(笑)、皆さんには、どうだったんでしょう?

美濃島:ブランドのこれからに胸が高鳴る素敵な映像でしたが、最新コレクションは登場せず。続報を待ちたいと思います。

村上:この場で最新コレクションを見せないブランドには、「どうして見せないのか?」「代わりに、どうやって見せるのか?」を取材しなくちゃですね。みんな秋の、リアルもあると言われているパリコレまで待つのかな?

02:30(パリ時間19:30) 「ルメール」

美濃島:パリ・メンズのラスト「ルメール(LEMAIRE)」も魅せ方をわかっていましたね。心地よいベース音から始まる音楽とともに、上質なリアルクローズを着たモデルたちが淡々と歩きます。ゆるめのフィッティング、絶妙な色味、確かなテーラリングは相変わらず素敵。今回はデニムアイテムも多く、奥行きのあるコレクションでしたね。その幅を表現したのかもしれませんが、やはり動画が長かった。もっとルックを絞ったほうが強く響きます。

村上:洋服同様、「奇をてらわず」。正々堂々としたシンプルなウォーキング映像は、ナゾなムービーも少なくなかったパリメンズの中で、むしろ潔く映りました。ゆとりあるシルエットと、タイムレスなスタイル、穏やかな1トーンのコーディネイトは、「ニュー・ノーマル」な時代ともリンクしている気がするね。本人もソレをなんとなくわかっていて、「シンプルに見せるのが、一番強いし、共感してくれるよ」って分かっている気がします。アジアを中心にビジネスを拡大する予定で、日本にもショップができるみたい。静かな場所に、ポツンと佇んでいたら、フラリと寄ってしまいそう。「ニュー・ノーマル」なファッションを想像させてくれるという意味では、ラストにふさわしいブランドだったかな、と思います。

美濃島:パリ・メンズこれにて終了です!お疲れ様でした。

村上:ゆったりおやすみモード、といきたいところですが、ノンストップでミラノが開幕しちゃったね(笑)。引き続き頑張っていきましょう!

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「クレジュリー」がフレンチ レガシー グループの傘下に

 香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)傘下のファースト ヘリテージ ブランズ(FIRST HERITAGE BRANDS)は、フランスの靴ブランド「クレジュリー(CLERGERIE)」をプライベート・エクイティ・ファンドのフレンチ レガシー グループ(FRENCH LEGACY GROUP)に売却する。買収額など金銭面での条件はまだ明らかにされていない。

 フレンチ レガシー グループはスイスを拠点とするミラボー アセット マネジメント(MIRABAUD ASSET MANAGEMENT)の傘下にある。ミラボーは18年12月に、ラグジュアリーおよびライフスタイル業界の歴史ある企業に特化したプライベート・エクイティ・ファンドのミラボー パトリモワーヌ ヴィヴァン(MIRABAUD PATRIMOINE VIVANT)を設立しており、シャツブランドの「アン フォンテーヌ(ANNE FONTAINE)」や仏老舗ジュエラーの「モーブッサン(MAUBOUSSIN)」、仏スポーツブランド「ルコック スポルティフ(LE COQ SPORTIF)」、シューズを展開する「カレル(CAREL)」「カルヴィル(CARVIL)」といったブランドにも投資している。
 
 ミラボーのウェブサイトによると、同プライベート・エクイティ・ファンドのパートナーには、仏政府の中小規模事業大臣やLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の北米部門トップを歴任したルノー・デュトレイル(Renaud Dutreil)や、シャネル(CHANEL)共同オーナーのジェラール・ヴェルタイマー(Gerard Wertheimer)を父に持つデヴィッド・ヴェルタイマー(David Wertheimer)が名を連ねている。

 ブランド創設者のロベール・クレジュリーは、マスキュリンなデザインのウィメンズシューズを先駆けて提案したデザイナーの一人であり、レースアップスタイルのオックスフォードシューズやラフィア素材のサンダル、厚手のソックスとの着用を提案した冬用サンダルなど、時代の中で新たなスタイルを生み出してきた。87年には米国初の直営店をオープンし、国外進出を進めてきた。しかし、消滅寸前の経営危機に直面していた2011年、ジャン・マルク・ルビエ(Jean-Marc Loubier)社長兼最高経営責任者(CEO)率いるファースト ヘリテージ ブランズが「クレジュリー」親会社の株式を90%取得し、デザイナーに自身のブランドを持つローラン・ムレ(Roland Mouret)を起用。かつて履き物産業の中心となったフランスのロマンシュルイゼールに工場を持ち、“メード・イン・フランス”を掲げて同ブランドの製品周知にも尽力してきた。17年には、ブランド名を改称。ダヴィッド・トゥルニエール・ボーシエル(David Tourniaire-Beauciel)=クリエイティブ・ディレクターが就任し、ペリー・オースティング(Perry Oosting)CEOと共にリブランディングを進めていた。現在はパリやロンドン、ニューヨークなどに店舗を持つ。

 なおファースト ヘリテージ ブランズは、ベルギーの老舗レザーグッズブランド「デルヴォー(DELVAUX)」も傘下に持っており、ブリュッセルやフランスにも製造拠点を拡大している。しかし昨年には、所有していた「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」の売却先を探していたが、見つからず精算する結果となった。

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「クレジュリー」がフレンチ レガシー グループの傘下に

 香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)傘下のファースト ヘリテージ ブランズ(FIRST HERITAGE BRANDS)は、フランスの靴ブランド「クレジュリー(CLERGERIE)」をプライベート・エクイティ・ファンドのフレンチ レガシー グループ(FRENCH LEGACY GROUP)に売却する。買収額など金銭面での条件はまだ明らかにされていない。

 フレンチ レガシー グループはスイスを拠点とするミラボー アセット マネジメント(MIRABAUD ASSET MANAGEMENT)の傘下にある。ミラボーは18年12月に、ラグジュアリーおよびライフスタイル業界の歴史ある企業に特化したプライベート・エクイティ・ファンドのミラボー パトリモワーヌ ヴィヴァン(MIRABAUD PATRIMOINE VIVANT)を設立しており、シャツブランドの「アン フォンテーヌ(ANNE FONTAINE)」や仏老舗ジュエラーの「モーブッサン(MAUBOUSSIN)」、仏スポーツブランド「ルコック スポルティフ(LE COQ SPORTIF)」、シューズを展開する「カレル(CAREL)」「カルヴィル(CARVIL)」といったブランドにも投資している。
 
 ミラボーのウェブサイトによると、同プライベート・エクイティ・ファンドのパートナーには、仏政府の中小規模事業大臣やLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の北米部門トップを歴任したルノー・デュトレイル(Renaud Dutreil)や、シャネル(CHANEL)共同オーナーのジェラール・ヴェルタイマー(Gerard Wertheimer)を父に持つデヴィッド・ヴェルタイマー(David Wertheimer)が名を連ねている。

 ブランド創設者のロベール・クレジュリーは、マスキュリンなデザインのウィメンズシューズを先駆けて提案したデザイナーの一人であり、レースアップスタイルのオックスフォードシューズやラフィア素材のサンダル、厚手のソックスとの着用を提案した冬用サンダルなど、時代の中で新たなスタイルを生み出してきた。87年には米国初の直営店をオープンし、国外進出を進めてきた。しかし、消滅寸前の経営危機に直面していた2011年、ジャン・マルク・ルビエ(Jean-Marc Loubier)社長兼最高経営責任者(CEO)率いるファースト ヘリテージ ブランズが「クレジュリー」親会社の株式を90%取得し、デザイナーに自身のブランドを持つローラン・ムレ(Roland Mouret)を起用。かつて履き物産業の中心となったフランスのロマンシュルイゼールに工場を持ち、“メード・イン・フランス”を掲げて同ブランドの製品周知にも尽力してきた。17年には、ブランド名を改称。ダヴィッド・トゥルニエール・ボーシエル(David Tourniaire-Beauciel)=クリエイティブ・ディレクターが就任し、ペリー・オースティング(Perry Oosting)CEOと共にリブランディングを進めていた。現在はパリやロンドン、ニューヨークなどに店舗を持つ。

 なおファースト ヘリテージ ブランズは、ベルギーの老舗レザーグッズブランド「デルヴォー(DELVAUX)」も傘下に持っており、ブリュッセルやフランスにも製造拠点を拡大している。しかし昨年には、所有していた「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」の売却先を探していたが、見つからず精算する結果となった。

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「ダブレット」井野が母校のモード学園で特別授業 Zoomで900人の後輩たちにエールを送る

 ファッション専門学校のモード学園は7月10日、同校の卒業生で「ダブレット(DOUBLET)」のデザイナーの井野将之を招いた特別講義をオンラインで行った。Zoomを使って東京、名古屋、大阪の3校の約900人の生徒たちが参加。生徒一人一人が手作りのメッセージボードを掲げて「井野先輩、おかえりなさい」と挨拶して講義がスタートした。

 井野は学生からの質問を受けて、学生時代の話から、ブランド立ち上げ直後のクリエーション、LVMHプライズでの審査、最新コレクションの製作についてまで語った。「学生のことに影響を受けた場所は?」という質問に対し、「もうなくなってしまった古着屋のシカゴ。古着を購入して解体して、縫ったりと実験をしていた。その頃は高級なセレクトショップへは行っていなかった」と回答し、「コレクションを作る上で大切にしていることは?」という質問には井野は「まずは自分が新鮮に思えるかどうか。シーズンのサイクルがある中で、いつも新しく作ったものに一番新鮮さを感じる。自分が新鮮に感じるものじゃないと、誰にも響かないと思い、新しいこと、フレッシュなものを作ろうと思いながら製作している。また、自分が欲しくなるものを作っている」と答えた。
 
 授業の最後には「皆さんが今この世の中の状況(新型コロナウイルスの影響)を、学生の時に体験されているというのは100年に1回くらいのことだと思います。不便ですが、自分の時間が増えたり、『世の中がもっとこうだったらいいのに』と気づく貴重なチャンスになるはずです。今はインターネットの普及でさまざまなことを実現できるときでもあります。“学生だから”ではなく、“自分だから”と思ったことを実行することが大事です。これから、不景気で就職が不安になることもあります。しかし、どこで働くよりも、どう働くかが大事になると思います。自分でよく考えて、その場所をよりよくしようと考えたら、アイデアは湧いてくるはず。そうしたら、どんな場所でも皆さんは輝けるはずなので頑張ってください」と学生たちにエールを送った。

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ランジェリー業界のゲームチェンジャーvol.3 ラジオやブログでランジェリーの魅力を語りファンを増やすラ グット シュクレの太田まゆみ

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーおよびアパレルメーカーによる市場の寡占によって、なかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年、D2Cブランドが増加している。また、異業種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 連載の第3回に登場するのは、太田まゆみ・ラ グット シュクレ(LA GOUTTE SUCREE)代表だ。ブログをきっかけにスタートさせたオンラインショップはファッション性を重視したブランドのセレクトに定評があり、商品の背景にあるストーリーと世界観を語り、消費者に夢を与えるランジェリーセレクトショップとしてファンを増やし続けている。オープン以来、インポートランジェリーを中心に展開していたが、昨今は日本のブランドの取り扱いにも力を入れている。

――ランジェリーのオンラインショップを始めようと思ったきっかけは?

太田まゆみラ グット シュクレ代表(以下、太田):フランス発「オーバドゥ(AUBADE)」を初めて着けたときの感動からです。確か2005年にパッドのない一枚レースのハーフカップとタンガ(Tバック)を着けたのですが、天地がひっくり返るような衝撃でした。コンプレックスだった自分の体がものすごく魅力的に見えたし、着け心地はまるで羽根のような軽さ。それからインポートランジェリーに魅了され、コレクターのように買い集めて眺めてはうっとりし、一人でファッションショーをして楽しんでいました(笑)。インポートランジェリーの魅力をオタク的にブログで語り始めたところ、それを読んでランジェリーに目覚めたという声があり、「この感動をもっとシェアしたい」という思いからオンラインショップを始めました。こんなにも美しく、それぞれにストーリーがあるのに、それを表現しているオンラインショップがない。これではランジェリーがかわいそうだと思ったのも理由の一つです。

――ラ グット シュクレのコンセプトは?

太田:おいしいスイーツのように、日常を特別にしてくれるランジェリーを紹介したいという思いを込めています。私も年齢を重ねたので、自分に寄り添い、心地よくきれいでいられるようなランジェリーをそろえています。立ち上げたときは全てインポートでしたが、最近はデザインや着け心地がインポートに引けを取らない日本ブランドが増えてきたので、約40ブランドのうち5ブランドは日本ブランドを取り扱っています。

ブランドの写真だけではストーリーを十分伝えられない

――他のオンラインショップとの違いは?

太田:エモーショナルな部分に訴えることを心掛けています。そのため、全ての商品を自分で撮影して、その商品に込められたストーリーを語るようにしています。「オーバドゥ」をはじめ、多くのインポートブランドはコレクションごとに名前があり、それに作り手の思いが込められています。それを丁寧に伝えることで真の魅力や価値が伝わります。必要に応じて、ワイヤーの形やカップの内側、脇のボーンの有無などを撮影して掲載することもあります。ブランドから提供された写真だけでは十分な魅力が伝わりません。細かいストーリーや情報を必要としない人は見ていただかなくてもOK。自分のペースで見られるのが、オンラインショップのよいところですから。

――顧客とのタッチポイントは?

太田:年に4回、顧客と直接触れ合う2日間のイベントをギャラリーなどで行っています。販売しているのは安い商品ではないので、やはり試着して決めたいという声も多く、2回のイベントは次のシーズンの受注会を兼ねています。ホームページやSNSなどで告知していますが、毎回、顧客や新規のお客さま合わせて約40人が来場されます。会場は、なるべく自然光が入る静かで落ち着ける場所を選び、花や植物をたくさん飾るようにしています。ランジェリーは夢を与えるものですから、それにふさわしい空間をつくりたいと思います。もう一つ心掛けているのは、気軽に試着できる雰囲気。素敵なランジェリーに興味を持つ女性はたくさんいるのですが、「店で試着したら、買わなきゃいけない」と思って店に行くのを尻込みしている人が少なくありません。その先入観を捨てていただいて、気軽に試着を楽しめる場にしたいと思っています。

――SNSでのコミュニケーションは?

太田:インスタライブなどに登場するのは苦手なので、18年10月から音声配信サービスのラジオトークを始めて新作紹介やコーディネート法、下着のお手入れなどについてお話ししています。通常、月2〜4本ペースで、外出自粛期間中は週2〜3本配信していました。私自身ラジオが好きで始めたのですが、視覚的な情報が少ない分、想像できるのが顧客には好評で、感想をメールでもらったり、紹介した商品の売り上げアップにつながったり、予想以上の反応があります。

――今後の夢は?

太田:日本のランジェリーブランドを世界に紹介したいと思っています。最近、個人で立ち上げたランジェリーブランドが増えています。インポートランジェリーをずっと扱ってきた私が見ても魅力的で、デザインも個性があり、作りもていねいで非常に優秀です。日本に優れたファッションブランドがあることは海外でも知られていると思いますが、日本のランジェリーブランドも素晴らしいということを国内外の人々にもっと知ってもらいたいです。方法としては越境ECがあると思いますが、今は、海外でも日本のECで直接買い物する環境が整っています。情報発信に関しては、多くの情報を整理・編集して、良質な提案をすることが大切なので熟考したいと思います。また、ふわっとしたイメージなのですが、ランジェリーを通じて生活が豊かになるようなコミュニティーをつくりたいと思います。ランジェリーと旅、香水、映画、アンティークなど違うジャンルとのコラボイベントを計画してみたいです。最近は女性の生き方や性別に関する感覚が大きく変化しているのを実感します。ランジェリーはその変化を如実に反映しているので面白いと思うし、興味が尽きません。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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スパーティーがテモナと共同でパーソナライズD2Cをサポートする新サービスを開始

 パーソナライズシャンプー「メデュラ(MEDULLA)」の開発・販売を行うスパーティー(SPARTY)は、サブスクリプションビジネス支援サービスを提供するテモナと共同で、パーソナライズドD2Cソリューションの提供を開始した。スパーティーはこのソリューションの提供開始にあたり、パーソナライズドD2Cソリューションを専門とする「スパーティークリエイティブスタジオ(SPARTYCREATIVESTUDIO)」を発足させた。

 スパーティーは、2018年からD2Cモデルでパーソナライズされたヘアケア「メデュラ」や「ホタル パーソナライズド(HOTARU PERSONALIZED)」を展開してきた。社会が変化していく中で、スパーティーの持つD2Cモデルとパーソナライズの仕組みを広く展開することで、社会をさらに前進させられると考えて、今回「スパーティークリエイティブスタジオ」を発足させた。役割に関しては、システム提供をテモナが、コンセプト・デザイン・UX設計をスパーティーが担当する予定だ。D2Cの支援を行うサービスは増えているが、こうしてパーソナライズができ、かつブランドの設計から販売、サポートまで行うサービスは他にはない。

 サブスクリプション支援サービスとして1700社の導入実績を持つテモナと、パーソナライズヘアケア「メデュラ」で販売開始からわずか2年で会員数14万人を突破したスパーティーは、相互の強みを生かしながらさらなるサービスの強化と新たな顧客体験の創造を目指す。

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資生堂が医療機関用消毒液を一般向けに8月発売

 資生堂は指定医薬部外品の手指消毒液を開発し、4 月に医療機関向けに提供してきたが、8 月上旬から同製品を一般発売する。

 手指消毒液は手荒れに配慮した処方の手指消毒用アルコールで、細菌やウイルスへの効果も期待できる有効成分エタノールや肌に優しい保湿成分を配合。ポンプ付きの本体と、詰め替え用を用意する。国内では、要望が多い東京の化粧品専門店やドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンターなどから展開を開始し、今後は市場を見極めながら販売エリアを拡大していく予定。価格は未定。

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それは「私の知らない、世界の半分」だから エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年6月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

それは「私の知らない、世界の半分」だから

 さすがに最近は“陰り”が顕著ですが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の支持率が50%前後で安定していたのを見るにつけ、「私の知らない、地球の半分」の存在を痛感してきました。正直私は、彼に全く共感できない(笑)。でも、支持率が50%前後で安定していたということは、「少なくともアメリカ人は、約半数が彼に共感している」のです。多分。

 そう考えて「世の中って、広いなぁ」と思った時、「同じことは、いろんなことにも言えるよね」とも気づきました。例えば私は、「安い洋服を、1シーズンで使い捨てる」ことをほとんどしなくなりましたが、そこに価値観を置き続ける人だっているでしょう。SNSに溢れるネトウヨの意見は、私には「ギョッ」っとするものも少なくありませんが、案外ファボられていることも。そんな時も、「私の知らない、地球の半分」という存在を意識するのです。コロナ前、専門学校で壇上に立たせていただく時はサステナブルとかインクルージョン&ダイバーシティーの話を繰り返してきましたが、複数の生徒から「皆が、そこに価値観を置いているのでしょうか?」という質問をもらいました。鋭い。私の主張は、もしかすると「私が知っている、地球の半分」の価値観かもしれなくて、みんなが賛同するとは限りません。

 無論、「地球の半分」よりも多くの人と価値観が共有できたらサイコーです。メディアとしては、信じる価値観に共感してくれる人が現段階では50%だとしたら、それを60%、いや、まずは51%にする努力が必要だと思うし、こうした努力をしなければ前進なんてあり得ないでしょう。でも一方で、「私の知らない、地球の半分」が存在するならば、そんな人からの自分に向けての罵詈雑言なんて(おかげさまで最近は、そんな言葉を浴びる機会は減っていますがw)、ホントにクヨクヨしなくていいのかな?と思っています。その罵詈雑言が「私の知らない、地球の半分」から発せられたものであるならば、その言葉が飛び出た世界は、多分この後も「私の知らない、地球の半分」。だったら別に打ちのめされなくて良いんじゃない?って思うのです。

 勘違いしていただきたくないのは、排他的になったワケじゃないんです。「私の知らない、地球の半分」は今も興味深いと思っているし、「その世界の住人は、こんな風に考えるんだ」と学ぶこともあります。というか、学びが多いです。自分は共感できない意見も、いや、自分が共感できない意見だから面白い。でも、「私の知らない、地球の半分」の価値観だから、意見が合わなくても怒らないし、バッシングされても気にしない。そんな度胸が身についた、そんなカンジでしょうか?以前このメルマガでは、末尾にリンクを貼りました「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」というお手紙を書きましたが、その思いはますます強くなっています。で、万が一嫌われた時、それが「私の知らない、地球の半分」の価値観っぽかったら、正直、そんなに気にしない。「そっかー、そんな意見もあるんだね。勉強になるね。でも、共感はしないね」くらい、冷静に受け止めるようになった。そんなカンジでしょうか?

 週末に、重たいトピックスをぶっこみました(笑)。お許しください。何が言いたかったのかと言えば、皆さんにも「私の知らない、地球の半分」はあるのだから、皆に好かれるなんて不可能だから追い求めなくて良いし、嫌われてもくじけなくて良いんじゃない?ということでした。下のリンクで紹介する紗江子さんも、「私の知らない、地球の半分」の存在をご存知なのかな~?そんな風に思ったのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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【アフターコロナをどう見る?】「真の付加価値がレストランシーンを激変させていく」東京カレンダー 日紫喜編集長

 新型コロナの影響で消費者の食スタイルが変わりつつある。アフターコロナで、その先にある東京のグルメシーンではどんな価値観が定着していくのだろうか。『リアルラグジュアリー』をコンセプトに、グルメを中心に東京のライフスタイルを発信、来年で創刊20週年を迎える『東京カレンダー』、日紫喜康一郎(ひしき・こういちろう)編集長に、アフターコロナによる東京のレストランシーンの変化を聞いた。
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小島健輔リポート コロナ危機で痛感した「キャッシュフロー経営」

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。新型コロナウイルスによる臨時休業によってクローズアップされた「キャッシュフロー経営」の重要性とは?

 コロナ危機では都心店舗の大半が2カ月近く休業し、売り上げが激減し在庫が積み上がって資金繰りに窮するアパレルも少なくなかった。そんな窮状からアパレルの経営者は何を学んだのだろうか。その要点は(1)キャッシュフロー経営、(2)在庫換金の運用戦術、(3)在庫と損益の先送り、(4)ウィズコロナの防染対策、(5)アフターコロナのファッション意識の変容――だったのではないか。とりわけ資金繰りで苦しい思いをした経営者はキャッシュフロー経営を肝に銘じたはずだ。

つぶれたら終わりだからキャッシュフロー経営

 アパレルの経営はチャンスとリスクが背中合わせのギャンブルという側面もあって丼勘定になりがちで、シーズンを締めてみて粗利益と残品のバランスで損益が決まるし、残品を持ち越せば損益を先送りすることもできる。そんな経営感覚だから、よほど売り上げが激減しない限り、シーズン途中のキャッシュフローにはこれまで関心が薄かったかもしれない。

 ところがコロナ危機では想定以上に売り上げが激減し、資金繰りに窮するアパレルが続出した。日頃からキャッシュフロー経営を意識して必要運転資金を圧縮する努力をしていれば、売り上げが激減してもパニックに陥ることはなかったのではないか。

 運転資金回転日数は「(A)売上債権回転日数 +(B)棚資産回転日数 −(C)買掛債務回転日数」で決まり、それを365日で割って年間売り上げを掛けると必要運転資金が算出できる。運転資金回転日数が短いほど運転資金が少なくて済み、資金繰りも楽になる。それには(A)売上金をいかに早く回収するか、(B)在庫の消化回転をいかに速めるか、(C)仕入れ代金の支払いをいかに遅くするか――以上の3点が問われる。

売上金の回収を早めるには

売上金を早く回収するには、(1)売上金の直接収納比率を高める、(2)現金決済比率を高める、この2点が要だ。路面の独立店舗なら日銭が入るが、商業施設テナント店は月2回締めだから22.5日、百貨店は月締めだから45日、それぞれ入金が遅れる。キャッシュレス決済も一般には45日後の入金になるが、金利と手数料を支払えば早めることはできる。商業施設テナント店で22.5日+45日ではテナントが干上がるから、キャッシュレス決済分を立て替え払いするデベロッパーもある。

 キャッシュレス化政策にコロナ感染忌避も加わってキャッシュレス比率が上昇しているが、現金化が遅れるだけでなく手数料の負担も大きい。とりわけデベロッパーが包括加盟する商業施設テナント店では手数料率が上乗せされ、ハウスカードでは5%というケースも聞く。単価の高いブランドショップやセレクトショップではキャッシュレス決済比率が6〜8割にも達するから手数料の負担も重く、売上金の回収も遅くなる。

 店舗規模の大きい大手アパレルチェーンは路面の独立店舗も多く、商業施設テナント出店でも売上金を直接収納しているから回収が早く、キャッシュレス手数料率も直接契約だから2%前後に収まる。商業施設テナント出店中心のユナイテッドアローズは26.4日、TSIホールディングスは26.0日も決済が遅れるが、「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングは9.6日、H&Mも9.2日、「ザラ(ZARA)」のインディテックス(INDITEX)も10.1日と早い(いずれも前期決算)。何が違うかお判りだろう。

在庫の消化回転を速めるには

 在庫の消化回転とは在庫の換金速度だからいかに速めるかが問われるが、近年は過剰供給で在庫回転が低下している。インディテックスこそ72.9日と速いが、H&Mは125.0日、ユナイテッドアローズは124.8日、ファーストリテイリングは147.9日と遅い(全て前期決算)。さまざまな要素が絡んで消化回転を速めるのは難しいが、その鉄則は極めて明快だ。

(1)売り上げと在庫を月度に平準化する

 売り上げのピークを追わず在庫もピークを抑え、狭間月の売り上げを下支えして平準化すれば、売り上げは多少落ちても在庫回転が速まり、値引きと残品が減って粗利益額は逆に増え、収益もキャッシュフローも改善される。「ザラ」の月販売指数は「ユニクロ」と比べると驚くほど平準化しており、山は低く谷も浅い。それが両者の在庫回転日数の差をもたらしている。

(2)調達ロットを抑えリードタイムを最短化する

 調達にはロット調達とVMI(※)補給調達があるが、ロット調達では確実に売り切れる量に抑え、計画以上に売れた場合は同一品にこだわらず類似品を補充調達する(売れ筋をリレー継続する)。デザイン品は4週、ベーシック品は8週(それを超えるとVMI)とか販売期間を定め、消化進行が遅れれば編集運用や店間移動で消化を促進してから売価変更して計画通りの消化を図る。

 リスクはロットとリードタイムに比例するから、できるだけロットを抑えてリードタイムを短縮し、実売期に引き付けて投入するのが望ましい。アパレル業界では実需期の4〜8週前に投入する習慣があるが、いくら早く投入しても実需期は早まらず、商品が陳腐化し在庫回転が遅くなるだけだ。

※VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた棚割に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

(3)定番商品はVMI補給調達する

 販売期間が長く売価を抑える定番商品は調達ロットが大きく、リードタイムも長くなるから消化リスクも高くなりがちで、生産ラインや補給物流をコントロールできるベンダーとVMIを組むのが正解だ。VMIは販売期間と陳列棚割を定めて補給・生産を委託するもので、期間終了時の残在庫ロス(多くは原材料)の分担も契約で定める。

 量販店のアパレル部門はSPA(製造小売り)型のロット調達でロスが大きく万年赤字だが、肌着・靴下・ナイティ部門は大半がVMIだからロスが限られ確実に利益を稼いでいる。ちなみにユニクロはSPA型の巨大ロット調達に見えるが、生産地在庫の管理・運用は大手商社に委託して(18年8月期上半期までは国内倉庫在庫も委託)部分的にVMIを活用しているし、ワークマンもワークウエアベンダーとのVMIで値引きロスを年間売り上げの1.2%に抑えている。

(4)編集運用と店間移動・SKU別値引きを駆使して最小ロスで売り切る

POS(販売時点情報管理)とAI(人工知能)に依存して販売消化が鈍い商品を値引き処理していては、いくら原価率を切り下げても利益は残らない。数字だけ見て機械的に値引きする前に、売れるグルーピングや配置、売れる陳列やコーディネートで消化を図るべきで、週サイクルで編集運用した上で店間移動してSKU(最小在庫単位)別に値引きすれば、値引きと残品のロスは半減し在庫回転も目に見えて加速する。

 RFIDタグ(電子無線タグ)を導入しているなら、ユニクロが全店に導入しているRFルーカスのSKU検索レーダーも使えるから、同一品番でも過剰在庫の色・サイズだけ容易にピックアップできる。

仕入れ代金の支払いをいかに遅くするか

 コロナ危機に際しては、キャンセルや引き取りの延期、支払いの引き伸ばしという緊急退避的な手を打ったアパレルが少なくなかったが、これらは取引先にしわ寄せがいく背信行為であって褒められたものではない。それで取引先が行き詰まったりすれば、寝覚めが悪いどころでは済まなくなる。

 仕入れ代金の支払いサイト(締め日から支払期日までの猶予期間)は長いほど資金繰りが楽になるが、取引先の資金力と合理性が伴ったウィンウィンでないと下請法違反に問われかねない。支払いサイトは一律に設定するものではなく、商品の性格や取引先の体制・体力に応じて設定すべきで、トータルで必要な長さが確保できればよい。

 短サイクル小ロットで調達するトレンド商品やデザイン性の強い商品は取引先の資金力もなく、短い支払いサイトが必要だが、低コスト大ロットで調達するベーシック商品は直貿にこだわらず、商社の資金力や物流体制を活用し、販売消化期間に見合うよう支払いサイトを長くする方が賢明だ。VMIで長期間補給するベーシック商品を生産管理力も資金力もある有力ベンダーと組めば、消化仕入れ的分納支払いが成り立つ。合理的な調達と支払いのミックスを仕組めば、無理なく必要な長さに着地できるはずだ。

 買掛債務回転日数はアパレルチェーンで30〜50日、アパレルメーカーでは100日を超えるケースが多いが、製品買い上げと工賃払い調達、直貿と商社活用のバランスで大きく変わる。ワールドやインディテックスは長く回転差資金(インディテックスの前期は26億ユーロ)が得られるほどだが、H&Mはほぼ26日と短く、運転資金の負担が重い。

 支払いサイトだけの課題ではなく、売上債権回転と棚資産回転との差し引きで運転資金回転が左右される。「無印良品」を運営する良品計画は売上債権回転が18.0日と大型店としては異例に長く、棚資産回転もほぼ160日と過剰在庫に陥っているのに、買掛債務回転は46.5日と短く、運転資金回転が131.4日と長く1600億円近い運転資金を要するから(20年2月期)、コロナ危機で3〜5月期の売り上げが前年同期から30%減少しただけで700億円近い借り入れを要している。

 自社の特性を見極め、コロナ危機を教訓として、万一の事態にも耐えられるキャッシュフロー経営の確立を急ぎたい。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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