国家安全維持法の成立で揺れる香港だが、新型コロナの感染拡大は落ち着きを見せる中、テキスタイルとアートの分野ではイタリアやオランダと連携した新たな試みがスタートしている。水戸芸術館現代美術センターのキュレーターを経て、香港CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) のエグゼクティブ・ディレクターを務める高橋瑞木氏による連載5回目をお送りする。連載は今回で最後になる。
デジタルカタログ以外にも、CHATは4月からオンライン上で「Museum from Home」のキャンペーンを開催し、常設展示のバーチャルツアー(手話付き)や、アーティストへのインタビューといったコンテンツを続々とアップロードしている。(図2、3)テキスタイルはマテリアルに実際に触れて楽しんでもらうことも大事なので、CHATではワークショップも頻繁に開催していたが、これもZoomによるリモートワークショップに切り替えた。刺繍の枠と糸、布をパッケージにしたキットを参加者に郵送して、Zoomで刺繍を教えるオンライン通信教育的なワークショップは、参加者が自分の家から参加できる気軽さも手伝って、毎回大盛況だ。
また、CHATはオランダのティルブルグにあるテキスタイル美術館(Textile Museum, Tilburg)、ポーランドのウッチにあるテキスタイル産業博物館(Central Museum of the Textile Industry)、そしてイタリアのプラートにできたテキスタイルに特化したクンストハレ(*編集部注:企画展専門の美術館のこと)のロットゼロ(LOTTOZERO)に声をかけ、オンラインでの共同企画のプラットフォームのイニシアティブをとっている。隔週で各国のキュレーターや広報の担当者が集まり、オンラインプログラムの計画を練っている。このヨーロッパの3つの美術館は、従来の伝統的なテキスタイル美術館のイメージを刷新しようと、アーティストやデザイナーの新しいクリエイションをサポートするラボを備えていたり、現代アーティストと積極的にコラボレーションを行ったりしている。私たちはこのネットワークを通して、新しいテキスタイルアートやデザイン、美術館や展覧会の潮流を伝えていこうとしている。今年の秋に最初のプログラムを発表する見通しだ。
David Medalla, A Stitch in Timeの展示風景, 1968-Ongoing 写真提供:CHATDavid Medalla, A Stitch in Time(部分) 写真提供:CHAT
今や伝説にもなっている1969年にカリスマキュレーター、ハラルド・ゼーマン(Harald Szeemann)が1969年に企画し、今や伝説にもなっている現代アートのグループ展、「態度が形になるとき(Live in Your Head: When Attitudes Become Form)」にアジア圏出身で唯一招待されたフィリピン人アーティストのデヴィッド・メダラ(David Medalla)が、1968年から断続的に世界各地で制作している参加型作品「スティッチ・イン・タイム」が、本展でも展示されている。この作品は来場者が7色の糸を使って巨大な白いキャンバスに自分の所持品を縫い付けたり、刺繍できる作品だ。会期の最後には、このキャンバスが展示されていた特定の時間と場所の記録が縫い取られているアーカイブとなる。この作品は再オープン後、予想以上の数の来館者が参加している。香港の観客は思いもよらないクリエイティビティを発揮し、この白いキャンバスに刺繍をほどこしている(図4・5)。
青山悟、Tomorrow Never Knows Clock、直径 18cm、リネンに刺繍、刺繍枠、時計のムーブメント PHOTO:COURTESY ARTISTEveryday Art Market by 青山悟+ 水戸芸術館フェイス PHOTO:COURTESY ARTIST
昨年の11月から始まったこの連載も、抗議活動に続くコロナ禍という予想もしなかった事態に翻弄され、不定期になってしまった。およそ半年の連載期間のうちに世界がこうも変化してしまったことに、今さらながら驚愕する。そんな変化の激しい日常で、淡々と制作活動を続けるアーティストの姿に元気をもらうことがある。CHATの開館展にも参加してもらったアーティスト青山悟は、ロックダウン中に「Everyday Art Market」というウェブサイトを立ち上げ、ロックダウン中の日常の中で即興的に制作した刺繍作品を発表している。(図6)また筆者の古巣、水戸芸術館現代美術センターのギャラリーの監視員と話し合いながらマスクに刺繍を施したり、ソーシャルディスタンスを測るためのメジャーなどを制作するというユニークなプロジェクトにも参画している(図7)。
高橋瑞木(たかはし・みずき)/CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)エグゼクティブ・ディレクター:ロンドン大学東洋アフリカ学学院MAを修了後、森美術館開設準備室、水戸芸術館現代美術センターで学芸員を務め、2016年4月CHAT開設のため香港に移住。17年3月末に共同ディレクターに就任、20年3月から現職。主な国内外の企画として「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(2009)「新次元:マンガ表現の現在」(2010)「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011)「高嶺格のクールジャパン」(2012)、「拡張するファッション」(2013、以上は水戸芸術館)「Ariadne`s Thread」(2016)「(In)tangible Reminiscence」(2017、以上はCHAT)など
第1部は「TikTok For Business Japan」Creative Strategy Directorの廣谷亮氏をゲストに迎え、TikTokの特徴やユーザーの傾向、最近の急成長などについて解説した。TikTokのユーザーの傾向はZ世代と呼ばれる24歳までの世代だけでなく、この1年ほどで芸能人などを中心に一気に大人の世代が流入しており、それに伴って急速にコンテンツの多様化が進んでいる。アートやスポーツ、ニュースに関連する時事コンテンツのほか、ファッションやビューティのカテゴリーも顕著に伸びているという。さらに、2019年6月から20年6月の1年間で再生回数は262%増、平均視聴時間が42分から55分へと伸長しており、20年4月に世界でのダウンロード数は20億回を超えた(Sensor Tower調べ)。
左から「WWD JAPAN.com」編集長の村上要と「TikTok For Business Japan」の廣谷亮氏
第2部
ブランドはなぜTikTokを選び、 何をやったのか?
1/4
TikTok For Businessの田村千秋氏「メイベリン ニューヨーク」の投稿実例紹介「ピーチ・ジョン」の実例紹介YUMA ISHIKAWA氏の投稿紹介
第2部では、第2部では、TikTokをマーケティングに取り入れている先行企業の担当者と共に実例を紹介した。「TikTok For Business Japan」Head of Client Partnershipsの田村千秋氏によると、TikTokをビジネスに活用しているブランドや企業は増加傾向にあるという。今回はファッション、ビューティのカテゴリーとTikTokの親和性の高さに着目し、実際にTikTokを活用しているブランドの代表として「メイベリン ニューヨーク」の高瀬絵理氏・日本ロレアル コンシューマープロダクツ事業本部 メイベリン ニューヨーク事業部 ブランドビジネスリーダーと「ピーチ・ジョン」の浦上セリーヌ優氏・ピーチ・ジョン 広報宣伝課 PEACH JOHN/GIRLS by PEACH JOHN プレスが登壇し、実施したキャンペーンや公式アカウントの運用方法などを紹介した。また、「表参道NORA hair salon」トップデザイナーの YUMA ISHIKAWA氏が登壇し、集客やブランディングなど個人のビジネス活用についても解説した。
村上:もはや「最新コレクションは?」と思いながら見るのではなく、「人とは?」を考えながら堪能するカンジ。もともとランウエイショーでも、コンセプチュアルすぎる洋服ばっかりだったから、1ルックしか見られなくても不満に思うこともなかった(笑)。ちなみにラップスカート、総スパンコールだったね。めっちゃ気合い入ってる。このくらいの気合いで、僕も筋トレ頑張ります(笑)。胸が全然つかないんだよねぇ……。と、次の「ルドヴィック デ サン サーナン(LUDOVIC DE SAINT SERNIN)」につながりそうなネタを振ってみました。多分、裸体出てくるでしょ、このブランドのムービーも(笑)。
村上:ムービーのタイトルが「RIVER RUNS THROUGH」。コレは、映画「A River Runs Through It」へのオマージュなのかしら?と思ったり、思わなかったり。撮影の舞台となった川は、映画よりちょっと汚くて、特にコケ(藻?)に覆われた水面を歩くモデルを“自分ごと化”してしまい、ちょっと「ウゲッ」ってなりました。
ミラボーのウェブサイトによると、同プライベート・エクイティ・ファンドのパートナーには、仏政府の中小規模事業大臣やLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の北米部門トップを歴任したルノー・デュトレイル(Renaud Dutreil)や、シャネル(CHANEL)共同オーナーのジェラール・ヴェルタイマー(Gerard Wertheimer)を父に持つデヴィッド・ヴェルタイマー(David Wertheimer)が名を連ねている。
ミラボーのウェブサイトによると、同プライベート・エクイティ・ファンドのパートナーには、仏政府の中小規模事業大臣やLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の北米部門トップを歴任したルノー・デュトレイル(Renaud Dutreil)や、シャネル(CHANEL)共同オーナーのジェラール・ヴェルタイマー(Gerard Wertheimer)を父に持つデヴィッド・ヴェルタイマー(David Wertheimer)が名を連ねている。