百貨店12月度は1〜2割の減収 「緊急事態宣言」の再発出に戦々恐々

 百貨店主要5社の2020年12月度業績は、おしなべて1〜2割の減収だった。9〜11月に掛けて郊外店、続いて都心店でも徐々に業績の回復傾向が見られたが、新型コロナ第3波が本格化したことで再び停滞している。クリスマスやおせち料理などの巣ごもり需要、衣料品のセール前倒しなども目立った押し上げ効果にはつながっていない。

 各社の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が14.0%減、高島屋が12.3%減、大丸松坂屋百貨店が19.3%減、そごう・西武が9.6%減、阪急阪神百貨店が16.5%減。「都心店を中心に、来店客数が11月よりも減っている」(阪急阪神百貨店)「入店、購買客ともに大きく前年を割った」(そごう・西武)との声が上がる。

 衣料品フロアなどでは12月からクリアランスセールを段階的に開始したが、目立った誘客効果は得られていないようだ。三越伊勢丹はECでセールを前倒して開始したものの、両本店(三越日本橋本店、伊勢丹新宿本店)で婦人服が前年同月比1割減、紳士服が同2割減。高島屋は婦人服が同26 %減、紳士服が同36%減だった。「(暖冬傾向だった前年と比較して)気温が低いからコートが売れるかといえば、そういう傾向も見られない。衣料品は全般的に厳しい状況」(同社広報)。

 特選衣料など高価格帯の商品は、国内富裕層の消費に支えられて引き続き堅調。「例年であれば年末年始の旅行などに充てる娯楽費を、百貨店での消費に転じているのではないか」(阪急阪神百貨店広報)。同社の特選衣料・雑貨は前年同月の実績を上回り、遠方客向けのウェブ決済サービスでは250万円を超える注文もあった。そのほかの4社も特選衣料・雑貨カテゴリーは前年同月実績を超えた。

 4日には、菅義偉首相が1都3県で特措法に基づく「緊急事態宣言」の発出を検討していることを発表した。具体的な制限内容・対象については明らかにされていないものの、百貨店各社には戦々恐々としたムードが漂っている。「現時点での当社の対応は全くの白紙」(大丸松坂屋百貨店広報)「政府の動きを注視しているが、再び営業が短縮・停止ということなれば、かなり厳しい状況になる」(三越伊勢丹広報)。

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「ニューバランス」の新作“フィフティセブン/フォーティ”は2つの人気モデルを融合

 「ニューバランス(NEW BALANCE)」は、1980年代に誕生したランニングシューズ“574”と、1994年にリリースしたトレーニングシューズ“650”を融合した新作“フィフティセブン/フォーティ(57/40)”を1月9日に発売する。価格は1万6500円で、サイズは26.0〜29.0cm。公式オンラインストアや直営店などで扱う。

 アッパーに“574“を象徴するスエードとヌバック、メッシュの組み合わせを採用し、ミッドソールには“650”を彷彿とさせる波打つデザインを用いた。ラストは同ブランドでは細身の“SL-1”。大きなNロゴは昨年発売した“327“に着想している。白と黒をベースとした2種類のマルチカラーを用意する。

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〜立ち上がれ!産地の若者たち 後編〜 一着の半纏に込める思い 長野の縫製工場で働く櫻井さんの挑戦

 海外製のファストファッションやSPA(製造小売業)アパレルの台頭により、国内の繊維産地は衰退傾向にある。そのような中、産地では若い人材が中心となって新しいビジネスチャンスを生み出そうとする取り組みも生まれている。( 前編はこちら
 
 シャツメーカー、フレックスジャパンは豊かな緑に囲まれた長野県千曲市に本社と自社工場を構える。ここで若手社員主導による、新たなアパレルブランドのプロジェクトがスタートしようとしていた。プロジェクトリーダーの櫻井太河さん(32)は机に広げたウール生地のスワッチ見本を一枚一枚丁寧にチェックする中、ふとその手を止めた。上質なつやと滑らかな質感を併せ持つその生地は、他のどれよりも理想的だった。「こんなリサイクルウールがあるのか」。衝撃を受けた櫻井さんは、すぐさまこの生地を織る尾州の大鹿(愛知県一宮市、大鹿晃裕社長)の毛織物工場に向かった。
 
 櫻井さんが中心となって19年夏に立ち上げた新ブランド「コドウ(CO:DO)」は、若手社員4人が主体となって運営。櫻井さんが提出した稟議書がきっかけで社内新規事業コンペが開かれることになり、全11案の中で1位を獲得してテスト事業化にこぎ着けた。ブランドはサステナビリティと伝統産業の融合がテーマ。中長期では正式な事業化を目指すが、「まずはブランドをきっかけに自分たちの会社、長野という地域を広く知ってもらうきっかけにしたい」(櫻井さん)という。
 
 フレックスジャパンは創業(1940年)から国内量販店、百貨店、セレクトショップなど幅広い取引先に良質なシャツを提供してきた。櫻井さん自身、大学卒業後は東京のセレクトショップの販売職についたが、服そのものの生産背景への興味が高まり、結婚を機に同社への転職を決めた。与えられた役割は生産管理と海外向け販売。モノづくりに携わる喜びを感じながら仕事をする一方、苦しみも味わった。外国製品に押されて需要は右肩下がり。自分たちのこだわりや提案よりも、納期の厳しさから目の前の難題を“こなす”ことで精一杯な毎日。このままでいいのか――。そんな危機感が、櫻井さんを新しい挑戦へと突き動かした。
 
 櫻井さんは大鹿の彦坂雄大さん(32)との出会いを「腹の底ではお互い似たことを考えていたのが分かったし、歳も同じで不思議な縁を感じた」と振り返る。「トレンドは東京のアパレルメーカーやデザイナーだけが作るものでいいのか。これまで下請けだったわれわれが、(生産の)川上や川中から面白いことを仕掛けていけば、日本のファッション産業全体をもっと面白くできるはず」。そんな櫻井さんの熱意に彦坂さんも心を動かされ、協業が決まった。
 
 第1弾として発売するのは“ジャパニーズショートコート”。いわゆる半纏(はんてん)だが、大鹿のリサイクルウール素材“毛七”のダブルフェイスメルトンを使用することで防寒性、見た目の上質さを確保。中綿を使用しないことでスマートなシルエットに仕上げ、ホームウエアとしてはもちろん、よそ行き着としても使える1着を目指した。ボタンは長野県の伝統工芸品である松代焼を、包装紙には和紙の内山紙を使用するなど、ディテールにもこだわった。
  
 12月21日から地元銀行などが運営する地元密着型のクラウドファンディングのプラットフォーム「CF信州」で資金調達を開始し、すでに70万円近くの支援金が集まっている(12月末時点)。「コドウ」はシーズンにとらわれず2カ月スパンでの新作ローンチを計画し、第2弾として、袈裟(けさ)をモチーフにしたバッグの企画を進めている。「自分たちの活動は、日本のアパレル産業全体から見ればほんの小さなもの。だがこの活動をきっかけに、日本全国の産地にいる若手たちがアクションを起こすきっかけになればうれしい」

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編集長は先月何した?「エルメス」「シロ」の展示会、「ファッション通信」出演、パルコで宇川さんと中2病トーク

 明けましておめでとうございます。本年も「WWDジャパン」をどうぞよろしくお願いします。昨年から続くリモート生活はそれなりに楽しいですが、新しい出会いは生まれにくいですよね。だから今年はかなり意識して新しい出会いを作り、この連載でも面白い人やことを紹介したいと思います。お付き合いください!

12月1日(火)
サステナビリティイベントを開催。
その時パリはロックダウンだった

 弊社主催のサステナビリティに関するオンラインイベントを実施しました。終了後、登壇者のひとりで企画の相談相手でもあった川崎さん(シンフラックス主宰)にお礼メールをしたら「向さんたちがシャカリキだったのでそれに応えるべく食いつきました」と返事をもらいました。シャカリキって(笑)、久しぶりに聞いた言葉です。確かにこの数カ月はシャカリキでした。登壇者の日程調整はパズルのごとしだし、政治や最新技術が絡む話は勉強が必須だし、ロックダウン中のフランスと同時通訳を介したオンライン対談の環境整備は不安だらけだし。でも喉元過ぎれば熱さを忘れるですね。多くの反響をもらいエネルギーチャージをしました。「WWDジャパン」はサステナビリティ抜きにファッションの未来はないと思っておりこれからもイベント企画をシャカリキで継続します。一緒に企画してくれる方募集中!

12月2日(水)

「エルメス」の展示会で写真を撮りまくる

 この連載で「エルメス(HERMES)」の登場頻度が高いのはそれだけ「エルメス」が展示会やイベントを開催しているから。それと商材の領域が広いから。この日の展示会でも家具からゲーム、ジュエリーなど幅広いアイテムを見ました。そしてどれも欲しくなってしまうんだな、これが。特に惹かれたのは冒険心を刺激される青い海洋儀です。たくさん写真を撮ったのでご覧ください。

12月9日(水)(水)
「veja」の子ども靴がカワイイ。
そして展示会は楽しい

 この週はインポートブランドの2021年春夏の展示会を連日訪れました。サンプルを海外から取り寄せるのは大変そう。その分、実物を見て触れる展示会は意味があるし記憶に残ります。そしてどこでも“サステナビリティ”がキーワード。ただしその表現方法はそれぞれで楽しいです。

12月10日(木)
「ファッション通信」の収録で
栗野さんと2020年を語り合う

 学生の頃から欠かさず見てきたテレビ番組「ファッション通信」に出演できるとは、自分も大人になったな~と感慨深い(笑)。「ファッションサミット2021」と題した討論番組で、お相手はユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さん。恐縮すぎる。制作チームがスゴイ本気でして(当たり前ですが)、「コロナによる消費者の価値観の変化は?」といったお題に必死に答えました。いつもは質問をする側ですが、こうやって質問を受けると深く考えるからいいですね。自分の仕事もこんな風に誰かの思考のきっかけになっているといいな。ということで皆さま、今週末9日(土)23時はテレビ東京「ファッション通信」へお越しください!

12月12日(土)
DOMMUNE宇川直宏氏と「ファセッタズム」落合氏と
中2病対談を繰り広げる

 心斎橋パルコのオープニング記念のトークイベントに出演しました。場所は心斎橋の予定でしたが、感染拡大中につき渋谷パルコのスーパー ドミューン(SUPER DOMMUNE)から。トークのお相手は“現在美術家”宇川直宏さんと「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理さん。お題は最近のデジタルコレクションについて、です。デジタル上のファッション表現は黎明期なので失敗もたくさんあるけど、逆に面白さもたくさんあると私は思っています。実際に映像を観ながらデザイナーたちがデジタルコレクションを通じて伝えようとしていることを言語化したわけですが、これがめちゃくちゃディープで我ながら最高におもしろかったです。私が何となく「良い」と思ったことを映像の権化である宇川さんが解説&掘り下げてくれて、映像の作り手でもある落合さんがその苦労と面白さを実感を持って語ってくれる。それが嬉しくて正直視聴者の存在を忘れて弾丸トークしました。たとえるなら放課後の教室の陽だまりで好きなことを話し続ける感じ。中2病に罹るのってある種の癒しですね。

12月17日(木)
「SHIRO」の展示会で
ショウガや昆布に触れる

 
 コスメブランド「シロ(SHIRO)」の展示会は、リニューアルオープンした表参道本店で開催されました。で、これがすごかった!「シロ」が自然素材から生まれることは知っていましたが、売り場でその背景を赤裸々に伝えているのです。壁面にずらりと並ぶケースの中には昆布やあずき、オリーブ、サボテン、ひまわりの種、ヨモギ、ラベンダーなど約70種類の素材が展示されておりさながら漢方薬局。しかも日本全国の生産者の姿に始まり、とれたままの現物、砕いた姿など制作の工程も見える。コスメを買いに来てゴマの実をしげしげ見ることになるとは。これぞ“透明性”ですね。

 最近「ファッションやビューティは農業から始まる」と思うことが多いです。食品は手に取れば畑の映像が浮かぶけど、服になったコットンやウール、クリームも同じように畑や牧場から来ていることについては最近まで深くは考えませんでした。私は。だけどサステナビリティの取材を重ねることで意識が変わってきました。なんてことを思っていた矢先にこのお店を訪れたので興奮。お土産にいただいた生姜がピリリと辛くておいしかったです。

12月23日(水)
コロネット、オンワードHDへの
CEO取材で仕事納め

 1月25日号「CEO特集」に向けて、編集部総出で連日CEOを取材中です。この日に取材したのは七宮信幸コロネット社長。商品を生産はないインポーターのビジネスは“目利き”と情報が仕事の原点。メディアと近い部分がありますね。そして28日にはオンワードホールディングスの保元道宣社長への取材で仕事納め。デジタルに通じた保元さんが進めてきた新しいビジネスの形が2021年は色々形になりそう。ただし、以前のような大量生産・大量出店ではな機動力ある面白い小中規模ブランドがしかもデジタル上に増えそうだから取材する側もマメにチェックしないと、ついていけなくなりそうです。気合いだ~。

12月31日(木) 
12月発行号を振り返る
&在宅勤務のお供

 例年なら忘年会やクリスマスパーティーやらで12月の平日夜はほぼ全日が会食でした。今年は毎日自宅で夕食。なんて健康的なんでしょう!それなのになぜ体重が増えるのでしょう!そうか、晩酌をしてしまうからか!体重増加と戦いながら制作した3号がこちら。ぜひお手に取ってください。

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ライブ動画配信中に投げ銭を受け取れるサービスがローンチ オンラインサロンの新たな収益ルートとして注目

 オンラインサロンの請け負い制作などを手掛けるビルドサロンは、Zoom上において視聴者からリアルタイムで投げ銭を受け取れる新サービス“ビルド投げ銭”の提供を開始した。これにより、同社が提供するオンラインサロンにZoomを組み込んだサービス“ビルドズーム”の運営者は、月額プランに加えて視聴者から任意の金額を受け取ることが可能になった。

 これまでビルドサロンには、オンラインサロン運営者から「月額会費以外の収益のルートを構築したい」といった要望が寄せられていた。また、オンラインサロン利用者が運営者に直接支払う費用が、固定費の月額費と初回入会費しかなく、任意でサポートを受けたいときに適切な支払い方法を用意するのが煩雑で面倒などの問題もあった。

 そうした経緯から、任意の金額をオンラインサロン利用者からリアルタイムで受け取れる“ビルド投げ銭”の提供に至った。送金は、送金アプリ“プリン”やチケット販売サービス“チケットペイ”と連携して行う。

 “ビルドズーム”および“ビルド投げ銭”は自前のオンラインサロンとZoomを連携する買い切りのサービスで、一度組み込めば毎月支払う必要があるランニングコストは不要(Zoom有料プランを除く)。なおコロナ渦におけるCSRの一環として、2021年1月31日までの期間限定で無料で設置する取り組みを実施中だ。

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【アワード候補21】「ラーメンファンは浮気しますが、私は浮気しません」。三児の「ママ社長」が目指すのは24年の株式上場

 新春企画【アワード候補21】は、フードリンクニュースが独自で選出した、2021年注目の次世代経営者を、1月4日から一人ずつ紹介していく。トップバッターは、都内を中心に「焼あご塩らー麺 たかはし」を展開する株式会社ヒカリッチ アソシエツ 代表取締役の高橋夕佳氏。2021年の抱負を聞いた。
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国内外から出演オファー 71歳のインスタグラマー、内藤朝美のポジティブ マインド

 71歳のインスタグラマー、内藤朝美さんをご存知でしょうか?テレビやウェブメディアで“インスタグランマ”として紹介され、ハイブランドを颯爽と着こなすファッショナブルな投稿が人気を集めています。昨年10月にスタートしたアマゾン(AMAZON)のオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」でアーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルに選ばれたり、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のインターナショナルチームからウェブキャンペーンモデルとしてオファーを受けたりするなど、活躍の幅を広げています。

 普段はクラシックカーの販売を手掛ける内藤オートの副会長としての顔も持ち、娘であるさおりさんにスタイリングやメイクのアドバイスも受けながら、インスタグラムで日々のファッションをアップしています。「この年齢だからこそ何でも挑戦してみたい」と語る朝美さんのポジティブなマインドの秘訣と、「当初は海外に向けての発信だった」と朝美さんの写真をインスタグラムでアップする、娘のさおりさん2人に話を聞きました。

WWD:さまざまなメディアで紹介されて話題になっていますが、そのことをご自身ではどのように感じていますか。その後、何か変化はありましたか?

内藤朝美(以下、朝美):最近、たくさん声をかけていただいていますが、何か変わったという実感はないんです。オファーをいただいた当初は、「そんなことできないわ」と思っていました。ただ、この年齢だからこそ何でも挑戦したいなと思って。実際にやってみるととても楽しかった。スタッフの方はお若いですが、年代を越えて仲良くなれたり、そのあとも友人として交流させてもらったりと、とても刺激がありました。

WWD:そもそもインスタグラムをスタートしたきっかけは?

朝美:娘のさおりがブログを始めたことがきっかけです。「私のモデルになって」というので、親子のダイアリーにもなるし「いいわよ」と。彼女がスタイリングをして撮影しているのですが、5、6年前にインスタグラムに移行しました。小さいときから娘もファッションが大好きで、ファッション関連の本を購入したり、一緒に買いものに行ったりしていました。

内藤さおり(以下、さおり):私はスタイリストになりたいと思っていましたが、家業を継ぐことを選んだので、何か違う形で表現できたらと思いスタートしたんです。今では、母を通してやりたかったことが実現できています。母がいてくれてとても嬉しいですね。

WWD:朝美さん自身がファッションに目覚めたきっかけは?

朝美:3、4歳の頃からブローチやイヤリングがものすぐごく好きだった。バッグも欲しがっていました。どうしてだか分からないのですが(笑)。当時はそれほど既製服もなかったので5歳まで母親があつらえてくれたのですが、ふんだんにギャザーを入れたスカートや、凝った編み目のセーターなどを編んでくれたのを覚えています。ファッションの原体験の嬉しい思い出として残っています。

WWD:今では「シャネル(CHANEL)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」といった海外ブランドから、国内の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ビズビム(VISVIM)」といったハイブランドまでさっそうと着こなしていますが、新しいものと長年大切にしている服をミックスして着こなしているのが印象的です。

朝美:洋服も靴もバックも思い出深いものばかりで、とても愛着があります。古いものってとても素敵で「あれをとっておけばよかったな」と思うことも。使い込んだものと新しいものを組み合わせてトータルにコーディネートしています。45年くらい前に購入した「エルメス(HERMES)」のケリーバッグも現役ですし、20年選手のものもたくさんあります。なかなか家の中が片付かないですね(笑)。

WWD:さおりさんがヘアを担当し、スタイリングやメイクなどトータルにアドバイスしているそうですね。

朝美:そうなんです。今では娘が「これ着てみて!」と提案してくれることも多く、自分では選ばないような服でも実際に着てみると「なるほど!」と思うことが多いんです。自分でメイクをする際は、ブルーのアイシャドウとピンクのルージュが好きで、よくその組み合わせになります。若い時は口紅だけで過ごしていましたが。

WWD:服を購入する際のポイントやこだわりはありますか?

朝美:夫がクラシックカーの販売をしている仕事柄、一緒にパリ、ロンドンなどの海外で同行する機会が多かったのですが、外国の方というのは派手でも地味でも振る舞いがとても自然だし、自分が着たいものを着て楽しんでいます。私自身、年齢に見合った“それなりのスタイル”というものがイヤで。海外では、その人の装いが素敵だと思ったら声をかけて褒めてくれるんです。

若い頃はベージュや茶色の方が多かったのですが、おばあちゃんになったら赤やピンクを着たいと思っていました。昔からヒョウ柄も好きで今でもよく着用しますよ。典型的なおばあちゃんになるのに抵抗があったんだと思います。ファストファッションの店に行ってもかわいい商品がたくさんあると思いますし、先日着用させてもらって違和感なく着られました。決して年相応が悪いとは思わないですが、それだけに捉われたらつまらないし、損しちゃう。人生一回しかないですし。

さおり:実はインスタグラムをスタートした当初、海外を意識していたんです。海外の方が「誰が着ようが良いものは良い」という考え方なので、受け入れてくれるのではないかと思って。それで英語でも紹介しているんです。すると海外からのフォロワーや“いいね”数も増えていきました。実際に海外の方からインスタグラムのDMを通してオファーを頂くことが多いです。今では日本のメディアで紹介されたことをきっかけに国内の問い合わせも増えました。

WWD:スタイリングを考える際のポイントはありますか?

さおり:ファッションはストリートからも生まれる、あくまでも“日常”だと思うので、撮影の際はストリート感も意識しています。きれいになりすぎない、ゴージャスになりすぎない。バランスが重要だと思っています。

WWD:シューズやバッグ、アクセサリー使いも個性的です。

朝美:前世がインディアンだったんじゃないかと思うほど(笑)、ネイティブアメリカンのジュエリーが大好きです。昔のものが好きで集めています。海外に行った際に購入したり、娘がネットを通してアリゾナのインディアンジュエリーを買ってくれたりもします。

WWD:「ビズビム」の服にそれらのアクセサリーをコーディネートしていたりしていますね。

さおり:デザイナーの中村ヒロキさんに教えてもらって購入したインディアンジュエリーもあります。店に載っていない、何百年前のもので現存するジュエリーを所有している商品なども扱っているようなお店ですが、買えるものの範囲で集めています。

朝美:息子が着ている「ビズビム」の服を借りて着ることもありますし、バンダナ柄の薄手のダウンは娘が購入してくれたものです。

WWD:先日、「シュウ ウエムラ」のメイクアップアーティストがメイクを施し、撮影をしている写真をインスタグラムにアップしていましたが、どういった経緯で実現したのですか?

さおり:「シュウ ウエムラ」のインターナショナルチームの方が、母のインスタグラムを見つけてオファーしてくれたものです。製品をリニューアルしたタイミングで声をかけてくださり、キャンペーンモデルとして「シュウ ウエムラ」のウェブサイトでも掲載されていました。ブランドとしても、母のような年代を起用したのは初めてのことだったと聞いています。

WWD:海外が先行でスタートしたアマゾンのオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」(ブランドや作品のクリエイターがオリジナルの作品をアップロードし、アマゾンがプリントして消費者に届けるサービスで、クリエイターにとっては先行費用や投資、在庫管理が不要)では、アーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルにもなっている。

さおり:そのプロジェクトは、フランス人のディレクターのオファーで実現しました。オファーをいただく機会が増えましたが、母にとって楽しくないと意味がないので、話を伺って楽しそうだなと思ったらトライすることにしています。

WWD:内藤オート副会長としての仕事は、どの程度していますか?仕事とインフルエンサーの両立をやってみていかがですか?

朝美:今は子どもたちに任せている部分が大きいので、私は昔からのお客さまにご挨拶させていただくことがメインですが、仕事は私にとって生きがいになっています。今はとても良いバランスだと感じています。

WWD:日々、健康や美について気を付けていることはありますか?

朝美:たくさんのお水を飲むことです。水分が足りないと言われたことをきっかけに血流も良くするためにも意識して飲んでいます。私にとってはそれがちょっとつらいですが(笑)。あとはよく寝たり食べたり、笑うようにしたり。自分で言って自分で笑ってしまうこともよくあります。美容に関しては乾燥に気を付けています。自分に合ったものを選び、化粧水なら手で温めて3回ほど「入れ入れ」と思いながら浸透させるようにしています。

WWD:インスタグラムではポジティブな姿勢が伝わってきますが、前向きになる秘訣は?

朝美:多かれ少なかれ悩みがない人はいないと思います。私はもともと能天気で楽天家。「なんとかなるわよ」という気持ちでいます。つらいことがあっても、きっと次の日にはいいことがあると思い、そのことに前向きになって取り組んでいけるように心掛けています。最初はポーズをとって撮影することすらとても恥ずかしかったのですが、慣れてしまえばとても楽しいんです。

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国内外から出演オファー 71歳のインスタグラマー、内藤朝美のポジティブ マインド

 71歳のインスタグラマー、内藤朝美さんをご存知でしょうか?テレビやウェブメディアで“インスタグランマ”として紹介され、ハイブランドを颯爽と着こなすファッショナブルな投稿が人気を集めています。昨年10月にスタートしたアマゾン(AMAZON)のオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」でアーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルに選ばれたり、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のインターナショナルチームからウェブキャンペーンモデルとしてオファーを受けたりするなど、活躍の幅を広げています。

 普段はクラシックカーの販売を手掛ける内藤オートの副会長としての顔も持ち、娘であるさおりさんにスタイリングやメイクのアドバイスも受けながら、インスタグラムで日々のファッションをアップしています。「この年齢だからこそ何でも挑戦してみたい」と語る朝美さんのポジティブなマインドの秘訣と、「当初は海外に向けての発信だった」と朝美さんの写真をインスタグラムでアップする、娘のさおりさん2人に話を聞きました。

WWD:さまざまなメディアで紹介されて話題になっていますが、そのことをご自身ではどのように感じていますか。その後、何か変化はありましたか?

内藤朝美(以下、朝美):最近、たくさん声をかけていただいていますが、何か変わったという実感はないんです。オファーをいただいた当初は、「そんなことできないわ」と思っていました。ただ、この年齢だからこそ何でも挑戦したいなと思って。実際にやってみるととても楽しかった。スタッフの方はお若いですが、年代を越えて仲良くなれたり、そのあとも友人として交流させてもらったりと、とても刺激がありました。

WWD:そもそもインスタグラムをスタートしたきっかけは?

朝美:娘のさおりがブログを始めたことがきっかけです。「私のモデルになって」というので、親子のダイアリーにもなるし「いいわよ」と。彼女がスタイリングをして撮影しているのですが、5、6年前にインスタグラムに移行しました。小さいときから娘もファッションが大好きで、ファッション関連の本を購入したり、一緒に買いものに行ったりしていました。

内藤さおり(以下、さおり):私はスタイリストになりたいと思っていましたが、家業を継ぐことを選んだので、何か違う形で表現できたらと思いスタートしたんです。今では、母を通してやりたかったことが実現できています。母がいてくれてとても嬉しいですね。

WWD:朝美さん自身がファッションに目覚めたきっかけは?

朝美:3、4歳の頃からブローチやイヤリングがものすぐごく好きだった。バッグも欲しがっていました。どうしてだか分からないのですが(笑)。当時はそれほど既製服もなかったので5歳まで母親があつらえてくれたのですが、ふんだんにギャザーを入れたスカートや、凝った編み目のセーターなどを編んでくれたのを覚えています。ファッションの原体験の嬉しい思い出として残っています。

WWD:今では「シャネル(CHANEL)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」といった海外ブランドから、国内の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「ビズビム(VISVIM)」といったハイブランドまでさっそうと着こなしていますが、新しいものと長年大切にしている服をミックスして着こなしているのが印象的です。

朝美:洋服も靴もバックも思い出深いものばかりで、とても愛着があります。古いものってとても素敵で「あれをとっておけばよかったな」と思うことも。使い込んだものと新しいものを組み合わせてトータルにコーディネートしています。45年くらい前に購入した「エルメス(HERMES)」のケリーバッグも現役ですし、20年選手のものもたくさんあります。なかなか家の中が片付かないですね(笑)。

WWD:さおりさんがヘアを担当し、スタイリングやメイクなどトータルにアドバイスしているそうですね。

朝美:そうなんです。今では娘が「これ着てみて!」と提案してくれることも多く、自分では選ばないような服でも実際に着てみると「なるほど!」と思うことが多いんです。自分でメイクをする際は、ブルーのアイシャドウとピンクのルージュが好きで、よくその組み合わせになります。若い時は口紅だけで過ごしていましたが。

WWD:服を購入する際のポイントやこだわりはありますか?

朝美:夫がクラシックカーの販売をしている仕事柄、一緒にパリ、ロンドンなどの海外で同行する機会が多かったのですが、外国の方というのは派手でも地味でも振る舞いがとても自然だし、自分が着たいものを着て楽しんでいます。私自身、年齢に見合った“それなりのスタイル”というものがイヤで。海外では、その人の装いが素敵だと思ったら声をかけて褒めてくれるんです。

若い頃はベージュや茶色の方が多かったのですが、おばあちゃんになったら赤やピンクを着たいと思っていました。昔からヒョウ柄も好きで今でもよく着用しますよ。典型的なおばあちゃんになるのに抵抗があったんだと思います。ファストファッションの店に行ってもかわいい商品がたくさんあると思いますし、先日着用させてもらって違和感なく着られました。決して年相応が悪いとは思わないですが、それだけに捉われたらつまらないし、損しちゃう。人生一回しかないですし。

さおり:実はインスタグラムをスタートした当初、海外を意識していたんです。海外の方が「誰が着ようが良いものは良い」という考え方なので、受け入れてくれるのではないかと思って。それで英語でも紹介しているんです。すると海外からのフォロワーや“いいね”数も増えていきました。実際に海外の方からインスタグラムのDMを通してオファーを頂くことが多いです。今では日本のメディアで紹介されたことをきっかけに国内の問い合わせも増えました。

WWD:スタイリングを考える際のポイントはありますか?

さおり:ファッションはストリートからも生まれる、あくまでも“日常”だと思うので、撮影の際はストリート感も意識しています。きれいになりすぎない、ゴージャスになりすぎない。バランスが重要だと思っています。

WWD:シューズやバッグ、アクセサリー使いも個性的です。

朝美:前世がインディアンだったんじゃないかと思うほど(笑)、ネイティブアメリカンのジュエリーが大好きです。昔のものが好きで集めています。海外に行った際に購入したり、娘がネットを通してアリゾナのインディアンジュエリーを買ってくれたりもします。

WWD:「ビズビム」の服にそれらのアクセサリーをコーディネートしていたりしていますね。

さおり:デザイナーの中村ヒロキさんに教えてもらって購入したインディアンジュエリーもあります。店に載っていない、何百年前のもので現存するジュエリーを所有している商品なども扱っているようなお店ですが、買えるものの範囲で集めています。

朝美:息子が着ている「ビズビム」の服を借りて着ることもありますし、バンダナ柄の薄手のダウンは娘が購入してくれたものです。

WWD:先日、「シュウ ウエムラ」のメイクアップアーティストがメイクを施し、撮影をしている写真をインスタグラムにアップしていましたが、どういった経緯で実現したのですか?

さおり:「シュウ ウエムラ」のインターナショナルチームの方が、母のインスタグラムを見つけてオファーしてくれたものです。製品をリニューアルしたタイミングで声をかけてくださり、キャンペーンモデルとして「シュウ ウエムラ」のウェブサイトでも掲載されていました。ブランドとしても、母のような年代を起用したのは初めてのことだったと聞いています。

WWD:海外が先行でスタートしたアマゾンのオンデマンド・プリントサービス「マーチ バイ アマゾン」(ブランドや作品のクリエイターがオリジナルの作品をアップロードし、アマゾンがプリントして消費者に届けるサービスで、クリエイターにとっては先行費用や投資、在庫管理が不要)では、アーティストやクリエイターが制作したTシャツの着用モデルにもなっている。

さおり:そのプロジェクトは、フランス人のディレクターのオファーで実現しました。オファーをいただく機会が増えましたが、母にとって楽しくないと意味がないので、話を伺って楽しそうだなと思ったらトライすることにしています。

WWD:内藤オート副会長としての仕事は、どの程度していますか?仕事とインフルエンサーの両立をやってみていかがですか?

朝美:今は子どもたちに任せている部分が大きいので、私は昔からのお客さまにご挨拶させていただくことがメインですが、仕事は私にとって生きがいになっています。今はとても良いバランスだと感じています。

WWD:日々、健康や美について気を付けていることはありますか?

朝美:たくさんのお水を飲むことです。水分が足りないと言われたことをきっかけに血流も良くするためにも意識して飲んでいます。私にとってはそれがちょっとつらいですが(笑)。あとはよく寝たり食べたり、笑うようにしたり。自分で言って自分で笑ってしまうこともよくあります。美容に関しては乾燥に気を付けています。自分に合ったものを選び、化粧水なら手で温めて3回ほど「入れ入れ」と思いながら浸透させるようにしています。

WWD:インスタグラムではポジティブな姿勢が伝わってきますが、前向きになる秘訣は?

朝美:多かれ少なかれ悩みがない人はいないと思います。私はもともと能天気で楽天家。「なんとかなるわよ」という気持ちでいます。つらいことがあっても、きっと次の日にはいいことがあると思い、そのことに前向きになって取り組んでいけるように心掛けています。最初はポーズをとって撮影することすらとても恥ずかしかったのですが、慣れてしまえばとても楽しいんです。

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