気鋭ストリートブランド「ボット」 が伊勢丹新宿店でポップアップ開催

 グラフィックデザイナーのTEITOが手掛けるストリートウエアブランド「ボット(BOTT)」が、伊勢丹新宿本店メンズ館6階でポップアップイベントを6月22日まで開催している。同イベントのために用意したTシャツ(7040〜7150円、税込 以下同)やパジャマセットアップ(2万5300円)、フーディー(1万6500円)などのアパレルと、ラグマット(2万2000円)などの雑貨をそろえる。2021年春夏コレクションのアイテムも扱う。

 TEITOは1993年生まれのグラフィックデザイナー。文化服装学院でファッション流通を学び、プライベートワークとしてグラフィックデザインをスタート。2016年に「ルーピーホテル(LOOPY HOTEL)」を立ち上げる。19年に同ブランドを休止し、新ブランドとして“Birth Of The Teenager”の頭文字をとった「ボット」を始動。CreativeDrugStoreとコラボするなど、音楽シーンを中心に知名度を広げている。

■BoTT POP-UP STORE in ISETAN MEN'S
日程:6月9〜6月22日
場所:伊勢丹新宿店メンズ館 6階 メンズコンテンポラリー
住所:東京都新宿区新宿3-14-1

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実力派ディレクターが2つの新ブランド ドレスのようなデニムとカップルでシェアする服

 セレクトショップのバイヤーやファッションブランドのクリエイティブ・ディレクターとして活動してきた榎本実穂が2021-22年秋冬、新たに2ブランドを立ち上げる。デニムトラウザーに特化した「リヴィントーン(LIVINGTONE)」とメンズ&ウィメンズウエアを扱う「ミオズモーキー(MIOSMOKEY)」。

 「リヴィントーン」は、“ドレスとしてのデニムトラウザー(Denim trousers as dress)“をコンセプトに、一般的な5ポケットのジーンズではなく、ドレスアイテムとしてのデニムトラウザーを提案するブランド。ファーストコレクションでは、国内のデニム工場で生産したハイウエストデニムやハーフパンツなどの6スタイルを提案。ロンドンのリヴィントン通り(Rivington Street)で榎本が撮影した写真をブランドの着想源にしており、その地名をアレンジしてブランド名に冠した。「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」などのセールスを手掛けるオン トーキョー ショールーム(ON TOKYO SHOWROOM)がブランドを運営していく。価格は2万9000〜3万5000円。

 「ミオズモーキー」は、“ダーリンとシェアするクローゼット“をコンセプトに、オリジナル素材を使ったメンズとウィメンズのウエアを展開する。ロンドン・ノッティングヒル在住の写真家のスモーキー(Smokey)によるカップルを撮影した作品からインスピレーションを受け、ブランド名にも写真家の名前を加えている。運営元はホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」や「ウジョー(UJOH)」などのセールスを担うクオン(kuon)。価格はシャツ2万9000〜3万8000円、ボトムス3万2000〜5万2000円、ジャケット5万8000〜8万1000円、コート8万4000〜11万5000円。

 「リヴィントーン」は8月から、「ミオズモーキー」は9月からエストネーションなどの主要セレクトショップで扱われる予定だ。

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漫画「左ききのエレン」のコートが商品化 パパラッチ防止機能も忠実に再現

 デジタルコミックを扱うナンバーナインは、漫画家かっぴーの作品「原作版 左ききのエレン」に登場するコート“AK5 新月”を予約販売する。リフレクター素材(24万2000円)と、高密度のコットン生地“ベンタイル”(9万9000円)の2型で、中目黒のセレクトショップBINと共同制作した。7月18日まで予約を受け付け、11月末から順次発送予定。

 “AK5 新月”は、物語の主人公・山岸エレンが着用するアイテム。街中でグラフィックなどを描く際、パパラッチの盗撮から逃れるため、カメラのフラッシュに反射するリフレクター素材を採用している。“AK”は作中に登場する架空のブランド「キシ アンナ」のストリートラインの名称だ。予約開始に合わせて、パパラッチから逃れる作中のシーンを再現した動画も公開した。

 漫画「左ききのエレン」は、広告業界で活躍するクリエイターの群像劇を描いた作品。原作者のかっぴーは美術大学を卒業後、広告代理店でクリエイターとして活動。業務のかたわら独学で漫画を学び、独立。デジタルプラットフォームを中心に、精力的に作品を発表する。今夏、漫画から派生したクリエイティブスタジオ「アントレース」を法人化する予定。

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漫画「左ききのエレン」のコートが商品化 パパラッチ防止機能も忠実に再現

 デジタルコミックを扱うナンバーナインは、漫画家かっぴーの作品「原作版 左ききのエレン」に登場するコート“AK5 新月”を予約販売する。リフレクター素材(24万2000円)と、高密度のコットン生地“ベンタイル”(9万9000円)の2型で、中目黒のセレクトショップBINと共同制作した。7月18日まで予約を受け付け、11月末から順次発送予定。

 “AK5 新月”は、物語の主人公・山岸エレンが着用するアイテム。街中でグラフィックなどを描く際、パパラッチの盗撮から逃れるため、カメラのフラッシュに反射するリフレクター素材を採用している。“AK”は作中に登場する架空のブランド「キシ アンナ」のストリートラインの名称だ。予約開始に合わせて、パパラッチから逃れる作中のシーンを再現した動画も公開した。

 漫画「左ききのエレン」は、広告業界で活躍するクリエイターの群像劇を描いた作品。原作者のかっぴーは美術大学を卒業後、広告代理店でクリエイターとして活動。業務のかたわら独学で漫画を学び、独立。デジタルプラットフォームを中心に、精力的に作品を発表する。今夏、漫画から派生したクリエイティブスタジオ「アントレース」を法人化する予定。

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「メゾン マルジェラ」からポップアップ限定製品が登場 “レイジーサンデー モーニング”の限定ボトルなど

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の「レプリカ」フレグランスは6月25日、限定デザインの“レプリカ オードトワレ レイジーサンデー モーニング レッドボトル”(100mL、税込1万7600円)と、10種の香りを少量ずつ試せるセット “レプリカ オードトワレ メモリーボックス”(2mL×10種、税込5500円)を12月31日まで東京・表参道ヒルズで開催中のポップアップで限定販売する。

 「レプリカ」フレグランスを代表する人気の香り“レイジーサンデー モーニング”の限定ボトルは、自宅中心のライフスタイルの中でも香りを取り入れることで明るく前向きな夏を迎えてほしいという思いから、希望や歓びを想起させる赤を採用した。さらに、ボトルに貼られたコットンラベルには、通常品の「2003」の年号ではなく「2021」の年号を印字した特別仕様だ。“レプリカ オードトワレ メモリーボックス”は、“レイジーサンデー モーニング”や 今の季節にぴったりな“バブル バス”、SNSなどで話題の“ウィスパー イン ザ ライブラリー”など10種の香りをセットにした。

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パリで即完した「ペーパーボーイ」×「ニューバランス」の限定“M992”がビームス限定で発売

 ビームスは、パリのカフェ「ペーパーボーイ(PAPERBOY)」が「ニューバランス(NEW BALANCE)」に別注した“M992”を日本ではビームス限定で発売する。価格は税込3万5200円。販売は26、27日限定で、15日までに事前エントリーが必要。これに合わせて、「ビームス」と「ペーパーボーイ」のカプセルコレクションも発売する。

 同別注モデルはパリの「ペーパーボーイ」で先行発売し、即完売した。目玉焼きをモチーフに、アッパーは白身をイメージしたホワイトとクリームカラーで、シューレースのアイレット部分には黄身をイメージしたイエローを施している。シュータンやインソールには、目玉焼きのグラフィックをプリントした。サイズは25〜29cmをそろえる。

 「ペーパーボーイ」×「ビームス」のカプセルコレクションも同様に、目玉焼きをモチーフにしたTシャツ(同5500円)やスエットショーツ(同8580円)、ソックス(同1980円)などの全5型をそろえる。

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パリで即完した「ペーパーボーイ」×「ニューバランス」の限定“M992”がビームス限定で発売

 ビームスは、パリのカフェ「ペーパーボーイ(PAPERBOY)」が「ニューバランス(NEW BALANCE)」に別注した“M992”を日本ではビームス限定で発売する。価格は税込3万5200円。販売は26、27日限定で、15日までに事前エントリーが必要。これに合わせて、「ビームス」と「ペーパーボーイ」のカプセルコレクションも発売する。

 同別注モデルはパリの「ペーパーボーイ」で先行発売し、即完売した。目玉焼きをモチーフに、アッパーは白身をイメージしたホワイトとクリームカラーで、シューレースのアイレット部分には黄身をイメージしたイエローを施している。シュータンやインソールには、目玉焼きのグラフィックをプリントした。サイズは25〜29cmをそろえる。

 「ペーパーボーイ」×「ビームス」のカプセルコレクションも同様に、目玉焼きをモチーフにしたTシャツ(同5500円)やスエットショーツ(同8580円)、ソックス(同1980円)などの全5型をそろえる。

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「ディオール」と「サカイ」がコラボ 阿部千登勢のハイブリッドスタイルとキム・ジョーンズのデザインが融合

 「ディオール(DIOR)」のキム・ジョーンズ(Kim Jones)=メンズ アーティスティック・ディレクターは、阿部千登勢による「サカイ(SACAI)」とコラボレートする。「ディオール」のアイ(I)の部分に「サカイ」のロゴがプリントされたデザインなど、両ブランドのアイデンティティーを融合し、アクセサリーも含む57アイテムをそろえる。11月に発売する予定だ。価格帯は、「ディオール」のメインコレクションより少し高めに設定するという。

 アイテムは、「サカイ」の定番「ハイブリッド」スタイルを生かして「ディオール」の仕立てにスポーツウエアの要素を織り混ぜている。カラーパレットは黒や紺、白、クリームカラーで、ボマースタイルのジャケットや、「ディオール」のアイコンとして知られるサドルバッグにナイロン素材を使うなどしている。キムはお気に入りのアイテムはバッグだという。「バッグとしての機能性も高く、日本的なデザインが光っている。千登勢とのコラボだからこそ生まれたものだ」とコメントした。

 「日本を訪れるときは、必ず『サカイ』に立ち寄っている。千登勢のこともずっと大好き。世の中で一番かっこいい女性の一人だと思っている。『ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)』にいた時代からずっと構想を練っていた。ようやくコラボが実現する。日本が大好きで、通常は年に6回は訪れている。もう最後に行ってから一年以上たってしまった。こんなに空いたことはこれまで一度もない。コラボではそれぞれのブランドの大切な部分を混ぜ合わせている。パンデミックでも対話を続ける一つの手段でもあった」。

 阿部は、「キムが東京に来たときには、私たちのショールームでどこのお店に行ったら良いか、おすすめの古着屋さんなどたわいもない話をしている。彼とのそんな時間が大好き。これまでの他ブランドとのプロジェクトも含め、コラボレートする際はお互いが対等であるよう意識している。これは私にとってとても大切で、どちらかが一方がすごく力を持っているようなコラボはしない。キムとは長く友好関係を築いているため、プロジェクトを開始した当初からずっと楽しく取り組めた」とコメントした。

 両者は15年以上の親交がある。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」を手掛けるヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)や「ジバンシィ(GIVENCHY)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)=クリエイティブ・ディレクター、「アンブッシュ(AMBUSH)」のユン・アン(Yoon Ahn)=クリエイティブ・ディレクターらと共に、ストリートウエアをラグジュアリーに取り入れている。

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ヤギとパルが共同でオーガニックコットンを通じたインドの農家支援プロジェクト

 繊維商社のヤギ(YAGI)とカジュアルチェーン大手のパルグループホールディングス(PAL GROUP HOLDINGS)、財団法人ピース バイ ピース コットンプロジェクト(PEACE BY PEACE COTTON PROJECT以下、PBP)は3社共同で、オーガニックコットンを介したインドの農村支援をスタートする。6月14日から、主力の「スリーコインズ(3COINS)」「ミスティック(MYSTIC)」など10ブランドで、インドで調達したオーガニックコットンを使ったTシャツ2型の販売をスタートする。パルはブランドを横断してアイテムを販売するとともに、収益の一部を現地のNGOを通じて贈り、直接現地の農家の子どもたちへ奨学支援を行う。

 6月14日から販売するアイテムはTシャツ(1650円)とフレンチスリーブTシャツ(同)の2型で、同アイテムを取り扱うブランドはほかに「チャオパニックティピー(CIAOPANIC TYPY)」「ナイスクラップ(NICE CLAUP)」など。パルは2019年に社内に社長直轄組織としてサステナブル委員会を設置しており、このプロジェクトは同委員会のプロジェクトとしてブランドを横断して取り組む。

 PBPはオーガニックコットンを栽培する農家への直接支援を掲げており、その中でPBPの会員であり理事でもあるヤギの独自の取り組みとして、オーガニック綿花の購入代金に金額を上乗せして基金を積み立て、インドのNGOを通じて、農家の就労支援や有機農法への転換支援などに充ててきた。今回の3社共同プロジェクトでは、収益の一部をインドのオリッサ州パーナパニー村のオーガニックコットンの栽培農家の子どもたちへ、高校以降のカレッジや専門学校など高等教育の就学支援に充てる。

問い合わせ先
ヤギ アパレル第二事業本部 第二事業部 426課
03-3667-4151

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高級車「フェラーリ」がラグジュアリーファッションに本格進出 デザイナーを起用し初の大規模ショー

 イタリアの高級車メーカー「フェラーリ(FERRARI)」は13日、本拠地のイタリア・マラネッロで初のランウエイショーを行い、約2年をかけて刷新を図ってきたファッションラインを披露した。メンズやウィメンズ、キッズのウエアやシューズを6つのカプセルコレクションとして構成し、第1弾は14日に発売する。その後は来年6月までの年間を通して、新たに開く直営店や公式オンラインストアで順次販売する。価格帯はアウター1500〜2000ユーロ(約20万〜26万円)、スニーカー600〜700ユーロ(8万〜9万円)、レザーグッズやアクセサリーは約1000ユーロ(約13万円)前後など。

 ファッションラインは同社が推進する“ブランド多様化プロジェクト”の一環で、ニコラ・ボアリ(Nicola Boari)最高責任者の指揮の下に始動。19年11月には「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」で経験を積み、「パル ジレリ(PAL ZILERI)」のデザイナーを務めたロッコ・イアンノーネ(Rocco Iannone)が加わった。

 ショーに登場した52ルックは“流動性(fluidity)”を掲げ、車のように性別に捉われない服作りを意識したという。カーデザインやモータースポーツに着想した快活なムードを軸に、テーラリングやストリートウエアの要素を盛り込んだスポーティーなスタイルだ。タフな機能素材やペットボトルから再生したサステナブル素材などテキスタイルにこだわりながら、ビビッドな色使いや大胆な素材の切り替え、「フェラーリの」ロゴを大胆に再解釈したグラフィックを連打し、ファッション界への本格進出を強いクリエイションでアピールした。ショーにはイタリアのマリアカルラ・ボスコーヌ(Maria Carla Boscone)や美佳、マリーエル・ウチダ(Maryel Uchida)らトップモデルが多数出演。4月に立ち上げたインスタグラムのファッションアカウントでライブ配信し、リアルタイム視聴数は常時450〜500だった。

 今後はファッションに特化した店舗を世界に開く予定で、14日オープンのマラネッロを皮切りにミラノやローマ、ロサンゼルス、マイアミなど10前後の都市への出店を予定している。日本への出店は現段階で未定。

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老舗「コールマン」の日本トップが語る「これからのアウトドアブランド」

 「コールマン(COLEMAN)」は、1900年にウィリアム・コフィン・コールマンが米国で創業し、昨年120周年を迎えた老舗キャンプブランドだ。テントや折り畳みチェア、ツーバーナーのコンロなどに加え、フェス会場などでもよく見かける荷物や子どもを乗せたアウトドアワゴンは日本で累計販売数80万台以上というヒット商品に。ガソリン式ランプの販売が祖業であり、その現代版ともいえるLEDランタンも人気定番アイテムだ。

 日本ではコールマン ジャパンを1976年に設立。気候や体型、使用シーンなどローカル特性に合わせて、徐々に日本向けに企画・生産した商品を拡充し、現在は全体の8割を占めるほどになっている。販路はキャンプや登山などのアウトドア専門店やスポーツ量販店、ホームセンターなどの卸売りと、昭島店(東京都)を旗艦店とした直営店(12店舗)だ。

 ここにきて、廃棄物に新しい命を吹き込むことをコンセプトにした新プロジェクト「MFYR(エムエフワイアール)」をスタート。Movement For Your Rightの頭文字をとったもの。アジアパシフィック・リージョンの社長も務める中里豊コールマン ジャパン社長は、「キャンプやアウトドアを愛する人々に、サステナブルな思想をムーブメントとして巻き起こしたい」と語る。直線的なモノの消費から、循環型の社会を目指す新たな一歩として、自社製品の廃棄削減に取り組んでいく。

 立ち上げを支えた1人は、今年コールマンに参画した松岡善之クリエイティブ・アドバイザーだ。北軽井沢のキャンプ場スウィートグラスをはじめとしたアウトドアフィールドのランドスケープや企画・デザインを多く手がけ、アパレルのクリエイションなども手がける人物だ。もう一人が、元「アナザーエディション」ディレクターで、現在は「スタイルウォーズ トウキョウ(Style Wars Tokyo)」を手がける森由美デザイナーだ。2009年から手がけるアウトドアブランド「モンロ(Monro)」を通じて、コールマンの“インディゴレーベル(INDIGO LABEL)”のアイテムをクリエイティブ・プロデュースしたりもしてきた人物だ。

廃棄予定のテントやタープを再利用したバッグを販売

 今回、「MFYR」のプロジェクト始動時に使用したのは、サンプルややむなく廃棄される予定だったテントやタープの生地だ。アウトドアの環境下で耐えられる丈夫さと、意外なほどのしなやかさを生かしながら、日常使いできるバッグへと生まれ変わった。ボディはもちろん、持ち手やショルダー、メッシュパネルなどの部分もできるだけテントのパーツからピックアップ。集まってきたバラバラの廃棄テントの状態をデザイナーの森さん自身が見極め、デザイン性の高さと無駄のない生地取りを実現するために1点ずつ粗裁ちし、国内工場で縫製するなど、こだわりも強い。

 第1弾として6月10日から販売するのは、トート(4500円)、サコッシュ(4200円)、バケツトート(5300円)の3種。コールマンのオンラインショップと昭島店で販売する。5月に渋谷のトランクホテルで発表会を行い、6月1日からは特設ページも公開してきたこともあってか、トートバッグは発売開始15分で売り切れるなど、注目度の高さがうかがわれる。

 「コールマン」は日本で、簡易型から本格派まで、年間3000~4000張のテントを販売している。次のステップでは、直営店や卸先の協力を得て、お客から不要になったテントなどを回収していく仕組みの構築を目指す。廃テントを回収し、修理可能なものは再生してアウトレットショップで再販。使用可能なパーツ類はリペアパーツとして活用する。それ以外の部分は、素材リサイクルとサーマルリサイクルをしている産廃処理プラントへ送る、という仕分け作業が発生する。その際に、「MFYR」向けの素材をピックアップし、リメイクやアップサイクルをすることになる。製造ラインはプロパー品同様のステップと管理体制で行う。第三者機関評価、検品など、品質管理チームの管理下で製造を行うなど、品質の維持には妥協しない考えだ。「『MFYR』の取り組みは、ユーザーの賛同なくして成立しない。信頼を寄せるクリエイターやデザイナーなどとも協力しながら形を具現化し、コンセプトや製品ごとのストーリーを共有することで、共創していきたい」と中里社長。
 
 5月中旬に渋谷のトランクホテルで商品発表会を開催した際には、森デザイナーが廃棄テントや寝袋などから作り上げた一点モノの服も参考商品として展示したところ、メディアやバイヤーなどからの評判も良かった。今後はオーダーメイドでの受注生産なども検討していくことになりそうだ。

ロングライフと、子どもたちのキャンプ支援がサステナビリティの2本柱

  「コールマン」のサステナビリティ戦略は、 “ロングライフ製品”と“未来を担う子どもたちへ”の2つだ。“ロングライフ製品”では、「性能やデザインがともに良くて、長く使えて、使い込むほどに愛着が湧く製品を目指している」。調理用コンロやテント、クーラーボックス、ツーバーナーグリル、ランタンなど多くの商品がグッドデザイン賞の「ロングライフデザイン賞」を受賞。アウトドアワゴンや、ターフドームテントは「ペアレンティングアワード」にも選ばれている。

 長く使うための「修理・再生」のカギを握るのは、一つは流山プロダクトセンター(千葉県流山市)だ。全国から修理依頼品があつまるこのセンターには、修理に必要なほぼすべてのパーツをそろえている。廃番になってからも3年間パーツを持ち続けることも約束している。 「もう一つ、大切にしているのは、お客さまご自身でメンテナンスや修理ができるようにサポートすることだ」。YouTubeや講習会、ワークショップなどを通じてハウツーを紹介。「モノを大切にして長く使っていただけるように、プロダクトライフサイクルを長くしていくことを訴求していく。サステナビリティの一環でもあるが、モノや『コールマン』への愛着を強めてもらいたいという思いが強い」と中里社長。

 2本目の柱である“未来を担う子どもたちへ”では、未来のグッドキャンパーを育む自然体験をサポート。アウトドアライフの楽しさを子どもたちに教育・啓蒙。野外活動を積極的にサポートしている。キャンプをはじめたいファミリーへのキャンプ教室「コールマン キャンプカレッジ®」や、知的・発達障害を持つ子ども達のためのサーフィンスクール、YMCA障害児プログラムへのサポート、東日本大震災で被災した福島県の子どもたちに向けたキャンプイベントなども実施。2020年からは、野外活動を通じて未来のリーダーを育てる「キャンプ塾」、発達障害を持つ子どもたちへの自然体験プログラム「自然塾」の活動も支援。シングルマザーやシングルファザーのキャンプサポートなども行っている。

コロナ禍でアウトドア人気が加速、ユーザー層の拡大が特徴

コロナ禍によってアウトドアやキャンプの人気が高まっているが、中里社長はこの動きをどう見ているのか?

「第一次キャンプブームは1990年代後半で、RV車(レクリエーションヴィーグル)がはやり、ファミリーのレジャーの典型となった。今回は第二次成長期。デジタル化などの反動もあり、2015年ごろからじわじわとアウトドアや自然が見直されてきた。今回の特徴は、客層が多様性に富んでいること、シングルもグループも、カップルも子連れのファミリーも、老若男女、幅が広い。今回のコロナ禍でアウトドアが再度見直され、ニューノーマルの過ごし方の一つとして定着した。単なるブームではない」と捉えている。

 嬉しい反面、マナーやルールがわからずに、図らずも環境破壊や他者に迷惑をかけてしまう人がいるのも事実だ。そこで、「人と自然に優しいキャンプ体験を。『グッドキャンパーの心得』」をつづった啓蒙チラシやポスターを制作して配布したところ、初心者や子ども連れ、キャンプ場オーナーなどからも喜ばれているという。

 「気候変動対策が世界的な課題になる中で、アウトドア好きとして、そして、アウトドア産業に携わる人間として、20年後も30年後もお子さんたちがキャンプができる環境を残したい。『MFYR』もその一助として、無駄をなくして地球を大切にしたいと考えて行動を起こしたもの。『コールマン』はファッションやデザインとは縁遠い、どちらかというとシャイで武骨なブランドだ。勉強しながら、共感していただける人々の力を借りながら取り組みを進めていきたい」。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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「ケイト・スペード」がコロナ禍で困難な1年間を過ごしたパフォーマーを起用したキャンペーン

 「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」は2021年、年間を通して、拠点であるニューヨークを舞台にしたキャンペーン“ロング ラブレター(long love letter)”を打ち出している。21年夏の第2弾では、ニューヨークと世界中のコミュニティーが再び活力を取り戻すことを願い、コロナ禍で困難な1年間を過ごしたニューヨーク拠点のパフォーマーを起用した動画を公開。振付師のディラン・ピアース(Dylan Pearce)とシンガーソングライターのイネス・ナサラ(Ines Nassara)が、ジュディ・ガーランド(Judy Garland)の名曲「Get Happy」をアレンジ。前向きな気持ちや希望を与えてくれる歌とダンスのパフォーマンスで “スペード フラワー ジャカード”コレクションの新作バッグを紹介している。
 
 また、「ケイト・スペード ニューヨーク」は“ブランドにインスピレーションを与えてくれる人々や団体にスポットライトを当てる”というテーマのもと、メンタルヘルスケアの支援団体「ザ ナショナル カウンシル フォー メンタル ウェルビーイング(The National Council for Mental Wellbeing)」とパートナーシップを結び、10万ドル(約1090万円)の寄付を行う。アーティストコミュニティーに所属するニューヨーカーたちに、“心の応急処置の方法”を学ぶ「メンタルヘルスファーストエイド」のトレーニングを提供する。

問い合わせ先
ケイト・スペード カスタマーサービス
050-5578-9152

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「ラコステ」がサステナビリティの指針を公表 ポロシャツの製品寿命を2倍に延長

 「ラコステ(LACOSTE)」は、サステナビリティの指針を示す「サステナブル・デベロップメント・レポート」を公表した。“DURABLE ELEGANCE-耐久性のあるエレガンス-”をビジョンに掲げ、「機会の平等性の実現」と「循環型経済の実践」にフォーカスした2025年までのロードマップを策定した。

 同ブランドは若者へのキャリア支援や全従業員を対象としたメンターシッププログラム、20年に開始した障がい者の社会進出を支援するプロジェクト「エレベーティングジャーニー(Elevating Journey)」などを通して、機会の平等性を推進してきた。今回策定した目標は下記の通り。

・従業員1000人がメンターシッププログラムに参加する
・若者1万人の社会的・職業的向上を支援する
・サプライチェーンに関係する全ての人の生活環境を改善する50件のプロジェクトに共同出資する

 「循環型経済の実践」では、エレン・マッカーサー財団との共通ビジョンである“製造モデルの変革”を目指す。

・全てのコットン生産者とサプライヤーが「ラコステ」の社会的・環境的卓越性の基準に準ずる
・サプライチェーン全体における天然資源の消費の最適化と汚染の低減を通じて、販売する衣料品の環境影響を15%削減する
・ポロシャツの全ラインアップの製品寿命を2倍に延長する
・繊維廃棄物と余剰在庫品を100%再利用できる方法を提示する

 キャサリン・スピンドラー(Catherine Spindler)最高責任者は、「ラコステには、企業として、より持続可能な道を示す義務がある。同ロードマップの下、取り組みを強化して明確な目標を設定する」とコメントした。

問い合わせ先
ラコステお客様センター
0120-37-0202

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LVMHが余剰生地を販売するBtoBの新事業 高級テキスタイルを最大7割引で提供

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、余剰生地を販売するオンラインプラットフォーム「ノナ ソース(Nona Source)」を4月末に立ち上げた。同プラットフォームは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」など数々のメゾンブランドを擁する同グループが保管している、高品質なファブリックやレザーなどを手ごろな価格帯で提供するBtoB事業。現在はヨーロッパとイギリスのみの配送だが、将来的にはアジアへの対応も視野に入れている。また、今秋を目処にパリにショールームを構える予定だ。

 サイト開設時には約500種類の生地を用意し、合計15万メートルのファブリックと1000メートルのレザーを提供した。各素材のブランドやサプライヤーは非公開で、オリジナルで開発したものやブランドロゴ入りの生地は含まれない。価格はLVMHの購入時よりも60〜70%引きに設定し、コットン1メートルを5ユーロ(約650円)、シルク1メートルを20ユーロ(約2600円)、カーフレザー1平方メートルを44ユーロ(約5800円)などで販売している。購入希望者は、会社名などを登録する専用アカウントの作成が必須となる。

発案したLVMH社員たちの思い

 「ノナ ソース」を設立したのは、3人のLVMH社員だ。発案者のロマン・ブラボ(Romain Bravo)は、「ジバンシィ(GIVENCHY)」と「ケンゾー(KENZO)」でマテリアル・バイヤーを務めていた頃「倉庫に行くたびにデッドストックが増えていくのを見ていた」と振り返る。そして、「ケンゾー」でサステナビリティ担当マネジャー兼テキスタイル・エンジニアだったマリー・ファルゲラ(Marie Falguera)と出会った。2人は、倉庫で眠ったままのファブリックを新たに活用するプロジェクトを立ち上げ、17年から試験的に運用を始めた。20年1月にはデジタルトランスフォーメーション・マネジャーのアンヌ・プリュール・ドゥ・ペレー(Anne Prieur du Perray)が加わり、21年4月に「ノナ ソース」を始動させた。彼らによると繊維産業のデッドストックは世界で年間約15兆円分にのぼり、同プラットフォームによって、余剰生地のリユースや新たな雇用創出につなげたいという。

 取り扱うファブリックは、登録さえすれば競合他社を含む全てのブランドが購入できる。ファルゲラは「独立した新進デザイナーにとって、高品質の生地を少量から注文できる素晴らしい機会になるはず。ファブリックの選択肢が広がることで創造性を磨き、完成度の高い作品を生み出してほしい」と語った。倉庫はフランス西部のトゥールにあり、受注後に配送される。オンラインプラットフォーム上では各ファブリックのクローズアップ写真と詳細動画を表示し、幅や重量、生地構成、透け感、伸縮性、原産国を掲載している。今後はファブリックは不定期で追加されていき、ボタンやファスナーといった小物も徐々に取り扱っていくという。ブラボは「いつか『ノナ ソース』のデッドストック100%で作られたコレクションを見てみたい」と期待を寄せた。

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禁酒令解除なら、最初の1杯おゴリます!解禁に向け集客スタート。

オイスター業態や和食・イタリアンを22店舗展開する株式会社ジャックポットプランニング(本社:東京都世田谷区、代表取締役:中川 洋)が、緊急事態宣言の解除後に「延長はもうこりゴリラ~ 祝!再会 最初の一杯おゴリます!」というキャンペーンを展開する。
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「執念? 老害?」70歳を超えても代表権を持つ、上場・著名外食トップ25人の名前と年齢

 常に新陳代謝を続ける外食産業。だが、上場企業や著名企業の中には70歳を超えて、代表取締役として経営の第一線に立ち続けているトップが少なくない。その多くが創業者だ。大手から中小・零細まで事業承継が大きな課題になっている現在、トップの「引き際」が大切になっている。
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アシックス「頂上作戦」再び 日米欧でランニング首位奪還なるか

 アシックスは、日本・米国・欧州でランニングシューズ市場のシェア1位奪還を目指す。市場ではナイキが“厚底シューズ”で主要レースの表彰台を独占し、市民ランナー向けでも販売足数を伸ばしており、形勢逆転は容易ではない。それでもアシックスにとってランニングは売上高の半分を占める屋台骨であり、後退は許されない。反撃に向けて研究開発、生産、マーケティングなどが一体となった社長直轄プロジェクトを発足。トップランナーに的を定めた「頂上作戦」を展開する。

箱根駅伝とオリンピックでの敗北

 「今年の箱根駅伝で残念ながら当社のシューズシェアは0%でした」

 6月2日に投資家らを対象にオンライン開催した事業説明会で廣田康人社長がそう説明した。アシックスは正月の箱根駅伝でシェア1位が長年の定位置だった。だが18年にナイキに逆転を許して以降、差は広がるばかり。今年は参加した選手210人のうち201人がナイキを履く独壇場になった。同社にとっては屈辱的な結果だった。

 五輪の華であるマラソンでも近年は精彩を欠く。女子マラソンが正式競技に加わった1984年のロサンゼルス大会以降、五輪でのアシックス着用選手はずっとメダルを獲得してきた。ロサンゼルス女子1人、88年ソウル男女3人、92年バルセロナ男女4人、96年アトランタ男女4人、2000年シドニー男女2人、04年アテネ男女2人、08年北京女子1人。だが12年のロンドン以降はナイキの台頭でメダルから遠ざかっている。

 数年前までは「厚底vs薄底」といった議論もあったが、圧倒的な実績によって結論は出てしまった。マラソンは厚底による高速化へのパラダイムシフトが起こり、この流れは不可逆だ。トップランナーに選ばれるか否かは、それに続くサブスリー(フルマラソン3時間以内)、サブフォー(同4時間以内)といった中上級のランナー、さらにはその下のマス市場のランナーのシェアに直結する。

 廣田社長もトップランナー向けでは負けを認めざるをえない。「非常に悔しい思いをしたが、学んだこともある」と語り、気づきとして以下の3つを挙げた。

 第一に「既成概念にとらわれるな」。靴の軽量化すなわち薄底と思い込み、発想が凝り固まっていた。

 第二に「速く走ることを徹底的に追求できているか」。アスリートの声にとことん向かい合わねば革新は生まれない。

 第三に「コミュニケーションの迅速化」。組織の縦割りによって意思決定に遅れを生じさせてはいけない。

 これらを踏まえて反転攻勢を誓った。

トップランナー向けで「打倒ナイキ」

 とはいえ、ランニングシューズ市場全体でみればアシックスは各国でシェア3位以内にはつけている。主要地域のシェアは日本が3位(13.9%)、米国も3位(13.1%)につけ、欧州では1位(29.3%)を走る(NPD調べ)。ナイキ躍進の象徴である厚底シューズは必ずしも万人向けではない。アシックスは走り方やレベルに合わせたきめ細かいシューズの開発に勝機を見出す。

 2日の事業説明会では、日米欧でのシェア1位奪還を宣言した。具体的には25年をめどに、日本ではトップランナー向けで30%、米国ではランニング専門店で25%、欧州では90ユーロ以上の高額品市場で34%のシェアを取る。トップランナーから若年層、女性まで幅広い層にアプローチする。自社の運動管理アプリ「ランキーパー」などを活用し、デジタルでのランナーとの結びつきも強める。廣田社長は「中長期的に目指す姿は『ランニングといえばアシックス』といわれるブランドになること」と述べた。

 3月には切り札となるトップランナー向けの戦略商品を発表した。厚底の高速シューズへの参入である。同社の独自性は走り方によって2モデルに分けたことだ。歩幅の長いストライド走法向けの“メタスピード スカイ(METASPEED SKY、3月発売)”と、足の回転数を上げるピッチ走法向けの“メタスピード エッジ(METASPEED EDGE、6月発売)”を打ち出した。

 開発にあたっては世界中のトップランナーとの面談をこれまで以上に重ねた。彼ら彼女らの走行データを取り寄せて分析しながら、ネガティブな情報も含めて是々非々で開発陣と意見を交わした。またケニアにアスリートキャップを設立し、東アフリカの有力ランナー30人のデータ解析にも着手した。それらの取り組みの中から生まれたのが、従来の厚底シューズのようにランナーが走り方を靴に合わせるのではなく、靴がランナーの走り方に合わせるというコンセプトだった。

 発売前に2モデルを提供したトップランナーからは3つのナショナルレコードを含めた好記録が続出した。それがきっかけになって欧米での契約オファーが増加した。日本では2月末のびわ湖毎日マラソンで川内優輝選手がメタスピード スカイを履き、自己ベストを8年ぶりに更新して話題になった。

 マス市場でも勢いを取り戻している。21年1〜3月期連結決算において、主力のパフォーマンスランニング部門は売上高が前年同期比43.5%増の544億円だった。同社の最大市場である欧州は同55.6%増。苦戦していた米国も復調しつつある。看板商品である“ゲル カヤノ(GEL-KAYANO)”や“ゲル ニンバス(GEL-NIMBUS)”がけん引した。コロナ下で業績は急回復している。

鬼塚喜八郎のベンチャー精神を引き継ぐ

 戦略商品のメタスピードは研究開発、選手サポート、法務・知財、生産、マーケティングなどの若手スタッフを集めた社長直轄チームによって作り上げられた。19年11月に発足したチームの名称は「C-Project」。Cは「頂上」の頭文字からとった。

 アシックス創業者である鬼塚喜八郎(1918-2007年)が、まだベンチャー企業のオニツカだった時代に推進した「頂上作戦」にならっている。トップ層のニーズを徹底的に調査し、そのニーズを汲み取って商品開発する。トップ層の支持が得られれば、イノベーター層が追随し、やがて裾野のマス層に広がる。今ではスポーツ用品に限らない常識的なマーケティング手法だが、鬼塚はそれを消費市場で確立させた先駆者だった。鬼塚はこの頂上作戦と、狙いを定めた競技に経営資源を一点集中させてトップシェアを取る「キリモミ(錐揉み)商法」でアシックスを世界的なブランドに育て上げた。それをけん引したのが、一般の人に最も身近なスポーツであるランニングだった。

 だが、頂上作戦を戦略的かつ大規模に発展させたのはナイキだった。1960年代に「オニツカタイガー」の米国代理店ブルーリボンスポーツとして創業したナイキは、80年代に入るとマイケル・ジョーダンをはじめとしたスーパースターと全面的に組み、スポーツ市場を席巻していったのは周知の通りだ。ナイキ創業者のフィル・ナイト氏が鬼塚の影響を強く受けていたことを考えると因縁深い。

 アシックスにとってランニングは基幹事業であると同時に聖域である。これ以上の後退が許されない同社は、「C-Project」によって再び挑戦者としてファイティングポーズをとる。鬼塚喜八郎の貪欲なベンチャー精神に立ち返ることで、ランニングシューズ市場で1強といわれるナイキを猛追する。

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