中国の美容市場は拡大を続けており、調査会社の艾媒咨詢(iiMediaResearch)によれば、2023年には5125億元(約8兆7187億円)規模に達すると予測される。売り上げ好調の中でブランドの競争は激化し、昨年はTモール(Tmall、天猫)で3000ブランドが販売を開始した。この中で注目され、売れる製商品とはどういったものだろうか。
Tモールが年に1度発表する「Tモール ビューティアワード」(Tmall Beauty Awards、天猫金妆奖)」は“中国美容業界のオスカー”として知られており、定番から新作まで話題作が網羅されている。今年3月の同アワードを受賞した数ある製商品の中から、今中国市場で求められる製品の特徴を見ていく。


洗顔・クレンジング部門「フリープラス」“マイルドソープ a”
独身の日(W11)セールで5年連続クレンジング・洗顔部門の1位に立つなど、中国で長く人気を保つカネボウ化粧品の「フリープラス(FREEPLUS)」。「フリープラス」が支持を得る理由の一ひとつに、敏感肌向けであることがある。中国皮膚性病学ジャーナル(The Chinese Journal of Dermatovenereology)の発表によると、中国女性のおよそ3人に1人が敏感肌だ。そのため中国では敏感肌向け、低刺激性などの製商品が注目されている。同部門は中国ブランド「AOEO」「雪玲妃」の洗顔料も受賞したが、いずれもアミノ酸洗顔料だった。
アイクリーム部門「ロレアル パリ」“パープルアイアンアイクリーム”
中国で絶大な人気を誇る「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」の中でも、人気の高いエイジングケアのパープルアイアンシリーズが受賞。調査会社CBNデータ(CBNData)によると、肌を若く保つことは全年代で共通する需要で、“アンチエイジング”は消費者の34%がスキンケアに求める効果だ。 特に31歳以下の若者のアンチエイジング消費が拡大している。 アイクリームは高価格帯の商品人気で、「ランコム(LANCOME)」「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」の製品も同部門を受賞した。
リップ部門「パーフェクトダイアリー」“オプティマムソフトベルベットリップグレー”
「パーフェクトダイアリー(完美日記、PERFECT DIARY)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GEORGIO ARMANI BEAUTY)」ともにリキッドリップが受賞した。「618」商戦でもリキッドリップが全メイクアップ製品の中で最も成長率が高く、前年比145%増と検討。トップ単品賞を受賞した「カラーキー(COLORKEY)」を筆頭に、ムースのような質感のリップが人気を集めている。
ベースメイク部門「レッドアース」“ハーバルエッセンスファンデーション”
中国で愛されるオーストラリアブランド「レッドアース(RED EARTH)」のリキッドファンデーションが受賞。近年「植物」は中国美容業界のホットワードで、CBNデータによると、消費者は新型コロナを契機に、以前にもまして製商品の安全性を気にかけるようになった。 そのため天然成分や植物成分を中心としたスキンケア製商品の消費が加速している。スキンケアはもちろんメイクアップもスキンケア発想のものが多い。同部門をルースパウダーで受賞した中国ブランド「花西子」も、国潮(中国伝統文化をミックスしたトレンド)と花を中心に天然由来成分を使用していることが売りのブランドだ。
フレグランス部門「シャネル」“チャンス オー タンドゥル”
フレグランスは近年拡大する注目カテゴリーで、中国の調査会社アイリサーチ(艾瑞咨詢)によると、年成長率は昨年まで3年連続で20%台中盤〜後半を維持する。その多くを海外ブランド、特にラグジュアリーブランドが占めている。
フェイスマスク部門「ジオ スキンケア」“温泉水スリーピングパック”
フェイスパックは中国消費者にとってスキンケアの必須アイテムとなっているが、新型コロナ以降はスリーピングパックや洗い流す泥パックといった塗布タイプのパックの人気が上昇。Tモールおよび淘宝では昨年、塗布タイプのフェイスマスクが前年比160%増の52億元(約884億円)を売り上げた。マスクによる肌荒れに加え、スペシャルケアを自宅で出来ることが人気の要因だ。中でも「ジオ スキンケア(GEO SKINCARE)」の“温泉水スリーピングパック”は、世界の天然由来成分を使用し、水分をたっぷり補給するマスクとして人気に。「御泥坊」の「アミノ酸泥フェイスマスク」も塗布タイプの泥パックだ。
海外ブランドも根強い人気があるが、新ブランドや国産ブランドも特徴的な商品で台頭している。消費者ニーズも時事刻々と変化しており、中国市場にフィットした製品、売り方が求められる。
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臼井杏奈:産経新聞社を経て、2017年から「WWDJAPAN.com」「WWDビューティ」編集記者として海外市場やビューティテックの取材を担当。現在はフリーライターとして活動。 日本美粧協会「チャイナコスメティックラボ」研究員
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