「イーストファーイースト(EASTFAREAST)」が2021-22年秋冬コレクションを発表した。
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バイヤー向けにトピックスを拾います。
「イーストファーイースト(EASTFAREAST)」が2021-22年秋冬コレクションを発表した。
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ルックホールディングス(HD)は、2021年12月期連結業績の純利益予想を従来の9億円から12億円に上方修正した。上期(1〜6月期)でのプロパー販売の回復や韓国事業の好調を受けたもの。修正後は売上高こそ400億円と据え置くものの、営業利益は16億円(従来予想11億円)、経常利益は17億円(同12億円)への増加を見込む。
1〜6月期は売上高が前年同期比15.0%増の194億円、営業損益が8億円の黒字(前年同期は6億8400万円の赤字)だった。6日に会見した多田和洋社長は「売上高は一昨年比で9掛けだが、利益はコロナ前の水準に戻りつつある」と手応えを強調した。
今年春、東京や大阪では緊急事態宣言に伴う百貨店の休業などに見舞われたが、値引き販売の抑制に努め、プロパー販売比率は10ポイント改善の76%まで戻した。主力の「マリメッコ(MARIMEKKO)」「イルビゾンテ(IL BISONTE)」「アーペーセー(A.P.C.)」が堅調だった。韓国事業は売上高が同22.2%増の83億円、営業利益が約9倍の5億8500万円と回復した。中核子会社ルックを柱にした国内事業と、韓国子会社アイディールックなどによる海外事業の売上高がほぼ並ぶ構成になった。
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ラコステ ジャパンとのコラボ企画が動き出したのは、今年に入ってから。何度かの打ち合わせを経て、実際に作業を始めたのは春過ぎだった。
この企画は、「ラコステ(LACOSTE)」にとってグローバル規模で初めての「REGENERATION(再生)プロジェクト」というもので、同社が回収した古着を文字通り再生させる実験的な取り組みだ。まずは「ラコステ」の古着を回収、そして回収した古着をアーティストが再生させ、新たな作品は店舗で販売するという。「ラコステ」渋谷店には、ダンボールアーティストの島津冬樹さんによる特製の古着回収ボックスとオブジェが設置された。意義ある取り組みに参加できたことを心から光栄に感じ、作業中もなかなかの手応えを感じた。
まずすごいのは、「ラコステ」という歴史あるブランドが、新しい挑戦に踏み出したこと。昨今ラグジュアリーからファストファッションに至るまで多くのブランドが、さまざまな形でサステナブルに取り組んでいる。リサイクル素材の使用や、回収してからの再生、天然繊維への傾倒、透明性の確保、寄付、働き方改革までさまざまだ。だが世界的なブランドが、価値ある再生なら、自分たちの”今、存在するもの”を自由にアレンジしても大丈夫と言ったことには驚かされた。企業とは大きくなればなるほど、越えなくてはいけないハードルがまるで山脈のようにそびえ立つからだ。
そんな企画で「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMRAIS)」に託された重大任務は、「”自由に”なんでもやってください」。「その信頼はどこから!?」と心の中で叫んだが、出来上がってもいない完成形のビジョンには自信があった。幼いころから自分の服を切ったり貼ったり縫ったりしてクローゼットの洋服を違うものに変えて遊んできた私は、回収された「ラコステ」の古着の山を見たとき、小学生の頃にタイムスリップしたような感覚でワクワクがとまらなかった。
古着の山は、最初にゆっくりと一枚一枚、種類や素材別に分けた。何が、どこにあるのか把握するためだ。それが終わると、何をどう組み合わせるのか、今度は瞬時に決めていく。時間は数時間しか必要ないと伝えていた。スピードと判断力がないと多分3日はかかる作業、でも誰にも任せられない大切な作業。そして、私にとって慣れた作業だった。幼い頃は小さな部屋で一人でやっていた作業を、今は、手伝ってくれるチームがいるなんて!!なんて幸せなんだ!!と思いながら、まるで“ファッション遊園地”で遊んでいるようだった。
そんな幸せがいっぱい詰まった工程から、私が、チームのアトリエワークや職人の手を借りて仕上げ、正しく「REGENERATION(再生)」させたアイテムたちは、バケットハットやシャツ、「ラコステ」を代表するポロシャツにパンツ、ポーチ、そして「パスカル マリエ デマレ」のモノ作りを担当するレザーアーティストTOMYさんのセンスと技による「ラコステ」ロゴのワニのぬいぐるみなどだ。
ニューヨークに住んでファッションを学んでいた時、「ラコステ」はあの街でコレクションを発表しており、私は一番大きな影響を受けた。「ラコステ」は、憧れのブランドだった。名も無い私にコレクションを何度となく生で体感させてくれた「ラコステ」への感謝と尊敬の気持ちが、こうしてアイテムに投影し形にできたこと自体が、まさに「REGENERATION(再生)」だ。制作過程をSNSなどにアップしていたら問い合わせが殺到したが、作品の展示・販売は8月19日から「ラコステ」渋谷店で始まる(予定)。是非、多くの方々にこのプロジェクトを体感してほしい。
新時代のミッションに備えよ!サステナビリティ・ディレクター養成講座
受講日時:2021年9月3日(金)〜12月17日(金)(全9回) ※全7回のオンライン受講コースあり
申込締切:8月27日(金)
サステナビリティは今後の企業活動における最重要・優先課題です。この全9回の講座により受講者が目指すゴールは各企業の“サステナビリティ・ディレクター”。サステナビリティ業界のトップランナーが、国内外の最新情報のほか、サステナビリティの現場で起こっている生の声をお伝えします。受講者限定のグループコミュニティや、講師陣に直接質問できる機会もご用意しています(会場受講コースのみ)。何から始めたらよいか悩んでいるサステナビリティ担当者、サステナビリティを取り入れたCRS活動や企業理念を考えている方はぜひご参加ください。
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アダストリアの「レイジブルー(RAGEBLUE)」は、ホットランド(東京、佐瀬守男社長)が運営するたこ焼きチェーン「築地銀だこ」とのコラボアイテムを8月6日に発売した。アダストリアの公式EC「ドットエスティ(.ST」と「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で取り扱う。
コラボ商品は全9型。イラストレーターに小林真梨子、NAGA、吉田正崇を起用した。アパレル類は、“蛸焼”の文字とタコのモチーフを施したTシャツ(税込4290円)や、アツアツのたこ焼きを全面にあしらった半袖シャツ(同5940円)とショーツ(同5390円)のセットアップなど、ウィットに富んだラインアップ。浮世絵風の女性イラストの手ぬぐい(同1320円)や扇子(同1650円)、巾着バッグ(同2750円)など、和を意識した小物類もそろえた。購入特典として、全国の「築地銀だこ」の各種たこ焼き一舟(8個入り)が税込価格から100円引きになるクーポンが付く。
アメリカンカジュアルテイストの「レイジブルー」に、たこ焼きの“和”の雰囲気のギャップが、何ともユニークな今回のコラボ。協業の狙いについてアダストリアは、「ブランドのターゲット(20代男女)以外の幅広い層に知ってもらうとともに、ファッションを通じて日本の夏を満喫してもらいたい」(同社広報資料)としている。
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ユナイテッドアローズ(以下、UA)の2021年4〜6月期連結業績は、売上高が前年同期比13.8%増の252億円だった。一昨年同期との比較では32.6%減(連結体制の変更などは加味せず算出)。営業損益は9億円の赤字(前年同期は50億円の赤字)、純損益は6億円の赤字(同35億円の赤字)だった。概ね期初の計画通りだが、コロナの再拡大やビジネス環境の変化を受け、引き続き不採算事業・店舗の見直しを進める。
6月末時点の店舗数は台湾を含めグループで333店で、これを2022年3月期末には316店に減らす。「20年3月期末に対し、22年3月期末の店舗数は12%減となる見込み。聖域のない見直しを進める」と松崎善則社長執行役員CEO。7月31日にUA 銀座店、8月1日にUA 青山 ウィメンズストアも相次いで閉店している。「路面型の店舗はコロナ禍の状況において(商業施設内のように歩率ではない)固定家賃が負担となる。青山店に関しては、周辺にインポートブランドの取り扱い店も多いためオリジナルレーベルを集積した価値提供を試みたが、お客さまのニーズとは合わなかった」と話した。見直しの一環として、今後は単独店舗を持つオリジナルレーベルを既存の大型店舗内での販売やEC販売ヘ切り替えることも検討する。
注力するDXでは、「特に適切な在庫調達のためのサプライチェーンマネジメントの部分が課題」という。「さまざまな管理システムが老朽化し、部門ごとに細切れになっているので、基幹システムの入れ替えを含め見直しを進めたい」。
松崎CEOは、「コロナ禍で、当社の競争優位性について改めて考察を深めた。これまではマーケットの裾野を拡大することに尽力してきたが、その一方で企業ブランドそのものの価値の向上が手薄になってしまったことを反省している。今後は、UAブランドのブランド力を向上させ、ヒト、モノ、ウツワの3要素を時代対応させていく」と話した。
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吉祥寺のビンテージショップ、オルフェオ(ORFEO)が、9周年を迎えた8月5日に新店舗オルフェオ2(ORFEO2)を渋谷にオープンした。オルフェオは1970〜90年代のヨーロッパとアメリカのアンティークやビンテージアイテムを中心に、1900年代前期の希少なデッドストックも取り扱っている。
オルフェオ2では、ビンテージ等の古着を中心に、リメイクやオリジナルアイテムも取り揃える。オリジナルアイテムの第1弾は、ゆったりとしたシルエットが特徴のチェコ軍のオーバーオールを再構築したボトム(税込2万4200円)と、Aラインに仕上げたチャイナコート(同4万9500円)、60年代のビンテージのコートのシルエットから着想を得つつ70年代のワンピースの袖をサンプリングしたワンピース(同3万3000円)をラインアップ。また、メンズサイズのビンテージスエットの前後に深いカットを入れ女性らしいシルエットにリメイクしたアイテムなども登場する。
渋谷店では商品購入者にはオリジナルのノベルティをプレゼントする(なくなり次第終了)。
オリジナルアイテムの第1弾のオーバーオール(税込2万4200円)、チャイナコート((同4万9500円)、ワンピース(同3万3000円)はいずれもビンテージアイテムがインスピレーション源になっている
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吉祥寺のビンテージショップ、オルフェオ(ORFEO)が、9周年を迎えた8月5日に新店舗オルフェオ2(ORFEO2)を渋谷にオープンした。オルフェオは1970〜90年代のヨーロッパとアメリカのアンティークやビンテージアイテムを中心に、1900年代前期の希少なデッドストックも取り扱っている。
オルフェオ2では、ビンテージ等の古着を中心に、リメイクやオリジナルアイテムも取り揃える。オリジナルアイテムの第1弾は、ゆったりとしたシルエットが特徴のチェコ軍のオーバーオールを再構築したボトム(税込2万4200円)と、Aラインに仕上げたチャイナコート(同4万9500円)、60年代のビンテージのコートのシルエットから着想を得つつ70年代のワンピースの袖をサンプリングしたワンピース(同3万3000円)をラインアップ。また、メンズサイズのビンテージスエットの前後に深いカットを入れ女性らしいシルエットにリメイクしたアイテムなども登場する。
渋谷店では商品購入者にはオリジナルのノベルティをプレゼントする(なくなり次第終了)。
オリジナルアイテムの第1弾のオーバーオール(税込2万4200円)、チャイナコート((同4万9500円)、ワンピース(同3万3000円)はいずれもビンテージアイテムがインスピレーション源になっている
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マッシュホールディングスは5日、自社販売員の接客ロールプレイング大会の決勝戦を東京・麹町の本社で実施した。ファッション、ビューティ、飲食などの現場で働く、各地区の予選を勝ち抜いた13人が出場し、「ジェラートピケ(GELATO PIQUE)」ルミネ新宿2店の小笠原悠さんが1位に輝いた。
「(ロープレ大会の)舞台に上がった時から雰囲気が違った」と近藤広幸社長が総評で述べたように、小笠原さんは初出場ながら、堂々と明るい接客が光った。週1回のペースでブランドの公式インスタライブに出演しており、見る人を引き込む軽妙なトークや振る舞いが持ち味だ。「ライブ接客では実際に服に触れられない多くのお客さまに向けて、限られた時間に魅力を詰め込んでお伝えすることが必要。この経験が糧になり、店頭での1対1の接客にも説得力が出てきた」(小笠原さん)。
入社6年目にして、約2700人のマッシュ販売員の頂点に上り詰めた。前職のギャル系ブランドの販売員を辞めてからは、ロックバンドを組んでプロのアーティストを目指したこともある。自分以外のメンバーが全員脱退しても、ライブハウスに足を運んで新しいメンバーを誘い、バンドを続けようとしたガッツの持ち主。ライブステージからアパレルショップへと活躍の場を移したが、「自分が本気で好きで打ち込んだ経験はすごく大きかった」と振り返る。「最初は正直、そんなに好みではなかった」という「ジェラート ピケ」のデザインも、着れば着るほど愛着がわいた。「今は(音楽と)同じくらいブランドを愛しているし、それが原動力でここまでこれた。一度袖を通したら手放せない魅力を、1人でも多くの人に伝えていきたい」と前を向く。
2位には「コスメキッチン(COSMEKITCHEN)」越谷レイクタウン店の菊竹絵美さん、3位には「フレイ アイディー(FRAY ID)」ルミネ有楽町店の前あづささんが選ばれた。
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世界最大のスニーカー・スポーツウエア小売店、米フットロッカー(FOOT LOCKER)は8月2日、スニーカー専門店「アトモス(ATMOS)」などを運営するテクストトレーディングカンパニーを3億6000万ドル(約396億円)で買収すると発表した。創業24年、本明秀文社長が一代で築き上げたスニーカーショップに400億円近い値がついた。テクストトレーディングカンパニーの2020年8月期の売上高は175億円で、今期はコロナ禍でも190億円まで伸びている。そもそも、なぜ愛する「アトモス」を売却したのか?M&Aに至った経緯から今後の展望まで、本明社長の本音を聞いた。
ーー一夜明けての周りの反応は?
本明秀文テクストトレーディングカンパニー社長(以下、本明):まず何よりもメーカーが驚いている。これまでアトモスはスニーカーのカルチャーを売ってきた。一方、フットロッカーは世界最大のスニーカー量販店で、ビジネスモデルも客層も違う。だからアトモスもフットロッカーのように多店舗化して量販へシフトするのか?という問い合わせが多いが、そうじゃない。アメリカのようにショッピングモールに何千店舗も出店するビジネスモデルを日本やアジアで展開してもうまくいかない。僕たちはフットロッカーの力を借りて、これまでと変わらず、これまで以上のスピードでスニーカーカルチャーを根付かせたい。そうすることがシナジーをもたらすと思っている。
ーー売却の背景と具体的なお互いのメリットは何か?
本明:クオリティー面では、これまで日本には仕入れられなかった商品を、フットロッカー経由で日本でも販売できるかもしれない。掛け率(下代)も、アトモスより大量に仕入れるフットロッカーの方が有利だ。スケール面では、日本以外のアジアへの出店が最優先だが、その若い市場に対して量販店をただ出店してもスニーカーカルチャーは根付かない。だから僕たちの得意分野であるカルチャーをそこで売る。フットロッカーはやっぱり世界一のスニーカーの量販店だし、スニーカーならどんなものでも手に入る。ただ、これまではそこにコンセプトがなかった。だから量や仕入れに関してはフットロッカーの力を借りて、そこに僕たちがイベントや別注商品を仕掛けて“熱狂”をクリエイトしていく。生意気な言い方かもしれないが、フットロッカーも絶対に変わらないといけない。高齢化や地方の過疎化、都市の過密化が進めばこれまでのビジネスモデルは通用しなくなる。だからお互いの得意分野を生かして新しい市場を取りに行く。
ーー売却の決め手は?
本明:最終的には面白いか面白くないか。フットロッカーと一緒にビジネスができれば、「アトモス」を次の成長段階に進められると考えた。
ーー3億6000万ドルという評価額については?
本明:具体的な交渉はアメリカのパートナーであるジョン・リー(John Lee、元ユービックライフのオーナーで現在はアトモスUSAの共同代表)に任せていたので、ほとんど関わっていない。それと実は、まだフットロッカーから僕のジョブディスクリプションが届いていない。僕の価値はスピード感と判断力。「売れる」「売れない」を即決できる実行力にある。それが、組織が大きくなることで遅くなると意味がない。だからその辺りの制約についてはこれから話し合う。お互いにとって高い買い物だったか安い買い物だったかは、やってみないと分からない。
ーーこれまでの「アトモス」はどう変わる?
本明:「アトモス」「アトモス ピンク」「トーキョー23」の屋号はこれまで通り。スタッフもそのままで、関わり方も変わらない。
ーーフットロッカーの日本進出はあるか?
本明:聞いていない。
ーー売却益でやりたいことは?
本明:考えていない。僕が得意なのは、スニーカーの商売。全然分からない分野のことを仕事にしても成功できないし、そんなに世の中甘くない。だけどやっぱり面白いから辞めないわけで、その面白さは僕たちの企画が世の中に受け入れられたとき。たとえ失敗しても、受け入れられなかった原因が何だったかを分析し、反省するのも面白い。
ーー次の目標は?
本明:ここまで来たら、スニーカー業界での世界制覇。今のアメリカのスニーカーブームは原宿から始まったカルチャーだと思う。「フライトクラブ(FLIGHT CLUB)」創業者のダメニー・ウィア(Damany Weir)が、僕の「チャプター(CHAPTER)」(本明社長が最初に始めた店でスニーカーを並行輸入して販売していた)のビジネスモデルをアメリカに持って帰った。自分たちだけでやろうとするとすごく時間がかかることを、今度はフットロッカーの力を借りながらもっとスピードを上げて、少し違った形でアジア中に広げていく。アジア各国に3店舗ずつぐらい「アトモス」を出店するとか。僕たちが育てたスニーカーカルチャーを多くの若者に伝えていきたい。
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「ディオール ビューティー(DIOR BEAUTY)」のアンバサダーに就任した山下智久が、フレグランス“ソヴァージュ(SAUVAGE)”をまとって登場。世界中で愛されるフレグランスと共に、持ち前の表現力で魅力的に発信している。“ソヴァージュ”は「ディオール」のフレグランスとして初のリフィルを3月に発売するなど、環境への取り組みにも新たな一歩も踏み出した。
力強く洗練された香りを放つ
“ソヴァージュ”シリーズ
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「ワイルド、野性的な」という意味を持つ“ソヴァージュ”は、その名の通り、力強くも気高く、洗練された香りが印象的なフレグランスだ。“未開拓の荒野”をテーマに、「ディオール」の専属調香師であるフランソワ・ドゥマシー(Francois Demachy)が創作。原料には、野性味あふれるベルガモットをふんだんに配合し、山椒のスパイシーさを加えてフレッシュな爽快感が際立つエレガントな香りに仕上げた。
ドゥマシーは“ソヴァージュ”の原料を厳選するにあたり、その稀少性だけでなく、栽培環境にもこだわった。原料に使用しているイタリア・カラブリア州産ベルガモットがはつらつと香り立つのは、温かい風が吹く恵まれた土壌と、“ペラトリーチェ”と呼ばれる伝統的な抽出法があってこそ。「ディオール」は地元農家と専属契約し、生産者と強固なパートナーシップを組むことで地域の貴重な原料を確保すると共に、土地固有の伝統技術の継承や生産者を支援するという持続可能な取り組みを行っている。
オードトワレは、100mL、60mL、30mL(※1)の3サイズに加え、数量限定で200mLが8月6日に発売される(※2)。ボトルの底にはCDのロゴを彫刻し、磁石式のキャップの内側にはブランドのアイコンであるハチをあしらうなど、細部にまでディオールコードが散りばめられ、遊び心を忘れない。さらにオードトワレに加え、フレッシュでウッディな香りの余韻を楽しめるシャワージェルやスティックタイプで手軽に香りをリセットできるパフューム ボディ スティックなどもそろえ、さまざまな香りの楽しみ方を提案する。
フレグランス初のリフィルが登場
「ディオール」は地球環境を守る取り組みの一環として、メゾンのフレグランスとして初のリフィルを、世界的に人気の “ソヴァージュ”から発売した。“ソヴァージュ リフィル”の容量は300mLで、オードトワレの既存サイズである100mLと、手軽に持ち運べる30mL(数量限定発売)のボトルに対応している。リフィル方法は、本体を逆さにして充填するボトルのネック部分に直接装着するだけ。
ボトルには、リサイクル可能なアルミニウムを使用。不透明な同素材を採用することで、フレグランスを光から守り、長期保存を可能にした。さらに、シンプルなデザイン設計と軽量化により、輸送時のエネルギー効率も改善。エネルギー消費量を60%、温室ガスを56%削減し、35%の節水にも成功した(※3)。
“香りが持つ力に
気付けるようになりました”
――普段、香水をどのようにつけて楽しんでいる?
山下智久(以下、山下):僕にとって、香水はスイッチのひとつ。ステージに上がる前など、気持ちを切り替えたいときに香水をつけています。
――「ソヴァージュ」はワイルドで男らしい香りだが、どんな時につけたい?
山下:いろいろな環境に耐えうる強さを感じさせる香りだと思うので、チャレンジするときや、背中を押してほしいときにまといたいですね。
――コロナ禍で出かける機会が減ったが、香りの存在は変わった?
山下:これまで日々慌ただしく過ごしていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で自粛を余儀なくされ、ゆっくり過ごすことができました。時間的に余裕が生まれたことで、フレグランスをはじめ、キャンドルや入浴剤の香りにリラックス効果を感じられるようになり、香りと神経はリンクしていると改めて実感しました。香りが持つ力に気付けるようになりました。
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「ジル サンダー(JIL SANDER)」は、「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」と「ジル サンダー+(JIL SANDER+)」のコラボレーションを記念したポップアップストアを伊勢丹新宿店本館3階で8月10日まで開催している。また、東京・表参道のアートスペース、スタンドバイ(StandBy)でビルボードインスタレーションを8月9日まで実施している。
コラボアイテムは、 「ビルケンシュトック」の定番とも言える3モデルをリデザインした“アリゾナ”(税込5万9400円)、“ミラノ”(同6万6000円)、“ベルリン”(同6万3800円)に加え、同コラボのために新たにデザインされた“ヴェラン”(同9万2400円)の4モデル。既存の3モデルは大ぶりなシルエットが特徴で、従来よりも幅が広く、高さのあるシルエットと大きなアウトソールを採用した。新モデル“ヴェラン”は、“ベルリン”を刷新したデザインで、柔らかなナッパレザーのアンクルストラップが特徴だ。
ポップアップストアでは、ルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)「ジル サンダー」クリエイティブ・ディレクターと、「ビルケンシュトック」に共通する“自然との親和性”を表現し、ガラスのギャラリーケースの中に盛った土の上にコレクションアイテムを展示。「ジル サンダー+」の美学を表現した空間で、コラボコレクションをはじめとしたアイテムを販売する。
ビルボードインスタレーションでは、自然光を取り入れるためのトップライトで構成して外壁のコンクリートと対比させ、キャンペーンビジュアルを際立たせた。ポスター形式のフリーペーパーを配布するほか、内設するカフェではコラボレーションオリジナルカップやオリジナルパッケージの砂糖を添えたコーヒーを用意する。
■BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ポップアップストア
日程:8月4〜10日
場所:伊勢丹新宿店本館3階=センターパーク/ザ・ステージ#3
時間:10:00〜20:00
■BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ビルボードインスタレーション
日程:8月4〜9日
場所:スタンドバイ
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
電話:03-6427-5834
営業時間:10:00〜19:00
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「ジル サンダー(JIL SANDER)」は、「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」と「ジル サンダー+(JIL SANDER+)」のコラボレーションを記念したポップアップストアを伊勢丹新宿店本館3階で8月10日まで開催している。また、東京・表参道のアートスペース、スタンドバイ(StandBy)でビルボードインスタレーションを8月9日まで実施している。
コラボアイテムは、 「ビルケンシュトック」の定番とも言える3モデルをリデザインした“アリゾナ”(税込5万9400円)、“ミラノ”(同6万6000円)、“ベルリン”(同6万3800円)に加え、同コラボのために新たにデザインされた“ヴェラン”(同9万2400円)の4モデル。既存の3モデルは大ぶりなシルエットが特徴で、従来よりも幅が広く、高さのあるシルエットと大きなアウトソールを採用した。新モデル“ヴェラン”は、“ベルリン”を刷新したデザインで、柔らかなナッパレザーのアンクルストラップが特徴だ。
ポップアップストアでは、ルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)「ジル サンダー」クリエイティブ・ディレクターと、「ビルケンシュトック」に共通する“自然との親和性”を表現し、ガラスのギャラリーケースの中に盛った土の上にコレクションアイテムを展示。「ジル サンダー+」の美学を表現した空間で、コラボコレクションをはじめとしたアイテムを販売する。
ビルボードインスタレーションでは、自然光を取り入れるためのトップライトで構成して外壁のコンクリートと対比させ、キャンペーンビジュアルを際立たせた。ポスター形式のフリーペーパーを配布するほか、内設するカフェではコラボレーションオリジナルカップやオリジナルパッケージの砂糖を添えたコーヒーを用意する。
■BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ポップアップストア
日程:8月4〜10日
場所:伊勢丹新宿店本館3階=センターパーク/ザ・ステージ#3
時間:10:00〜20:00
■BIRKENSTOCK × JIL SANDER+ ビルボードインスタレーション
日程:8月4〜9日
場所:スタンドバイ
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
電話:03-6427-5834
営業時間:10:00〜19:00
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大手セレクトショップのユナイテッドアローズ、ベイクルーズ、ビームスは8月4、5日に、各社の販売員に向けた3社合同座談会の第3回を開催した。2019年に開始した同取り組みは、販売員が自分たちの仕事の価値を考え直す機会を設けることで、業界における販売員の価値を向上させようというもの。今回は初のオンライン開催となり、地方店舗を含む各社から、両日合わせて約180人の販売員が参加。登壇した各社の人気ディレクターらの話に耳を傾けた。
第3回のテーマは、「ファッションの力に気づく・感じる・語る」。司会進行を務めた五十嵐保行ユナイテッドアローズ営業統括本部販売支援部人材開発課は、テーマについて「コロナ禍でファッションがネガティブに語られることも多く、販売員にパワーを与えたいというところから始まった。そのためには、それぞれがファッションを好きな気持ちの原点に立ち返ること、その気持ちをお客さまに伝えることが1番だと考えた」と話す。
パネルディスカッションでは、事務局がファッションのパワーを知り、周りに提供している人物として選んだ登壇者が、参加者から寄せられた質問に回答した。4日は金子恵治「レショップ」コンセプター、西口修平「ビームスF」ディレクション兼バイヤー、松本真哉ユナイテッドアローズ執行役員チーフ クリエイティブ・オフィサー(COC)が登壇。続く5日は、伊野宏美「ビームス ボーイ(BEAMS BOY)」ディレクター、外山絵里「アパルトモン(L'APPARTEMENT)」ディレクター、吉田恵理子「ロク」ディレクターが登壇した。
「今後販売員に求められることは?」という質問に対して、金子「レショップ」コンセプターは「スタッフそれぞれがブランドを理解し、オリジナリティを持って解釈することが大事になってくる。将来的には、『レショップ』を暖簾分けし、スタッフの個性で、違った特徴を持つ店を作りたい」とコメント。ユナイテッドアローズの松本COCも「業界全体が個の時代に向かっている。お客さまに、君から買いたいと思わせるオリジナリティを磨いてほしい」と加えた。そのためのツールとして、SNSの活用方法についても話し合われた。自身も積極的にスタイルを発信している西口「ビームスF」バイヤーは「売り場の一人一人が日々何を考えていて、洋服に対してどんな思いを持っているのかを恐れずに発信してほしい」とエールを送った。
五十嵐ユナイテッドアローズ営業統括本部販売支援部人材開発課は「販売員の待遇や社会的な地位向上など具体的な成果に向けてはまだ時間がかかる。しかしそのためには、このような回を継続していくことが何よりも大事だ」と言い、今後は3社の連携を生かしてEC担当や商品開発担当など、分野・規模共に拡大していくという。
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TSIホールディングス子会社のHYBES(東京、中村晋社長)は、ネット専業のウィメンズブランド「メクル(MECRE)」を2021-22年秋冬にスタートする。
インスタグラムで15万フォロワーを持つインフルエンサーのMAIがブランドディレクターを務める。「ワントーンの比較的シンプルな装いがトレンドだけれど、個性が際立っていて、モード感のある服が欲しかった」という彼女の意向を反映し、大胆な配色を施したコート(税込4万9500円)」やラグジュアリーなムードのフェイクファーブルゾン(同4万700円)などをファーストコレクションのメインアイテムに据える。
トップスやスカートは1万円台後半〜2万円台後半、コートやブルゾンは3万円台後半〜4万円台後半と、EC専業ブランドとしてはやや高めの価格設定となっている。「ネットのみで販売するブランドは値頃感を打ち出したものも多いが、あくまで品質で勝負し、(収入が)アッパーミドルの大人の女性を狙っていく」と中村社長。今後は生産背景などにおいて、TSIグループの百貨店ブランドなどとのシナジーも視野に入れる。
HYBESは20年8月にTSIグループに加わった「エトレトウキョウ(ETRE TOKYO)」の運営を主に担い、構成メンバーも事業の譲受元である3ミニッツから転籍した若い女性が中心。「エトレトウキョウ」は商品単価3万円程度と比較的高単価ながら、EC販売比率は65%以上を占める。ここで培ったSNSの運用やデジタルマーケティングのノウハウを成長のエンジンとし、「メクル」は3年以内に売上高5億円規模を目指す。
来年度(23年2月期)には、新たに2つのネット専業ブランドの立ち上げを計画する。「D2Cブランドの運営ノウハウを蓄積し、(HYBESを)グループ全体にデジタルを核としたさまざまな波及効果を生み出すプラットフォームにしていきたい」(中村社長)考えだ。
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TSIホールディングス子会社のHYBES(東京、中村晋社長)は、ネット専業のウィメンズブランド「メクル(MECRE)」を2021-22年秋冬にスタートする。
インスタグラムで15万フォロワーを持つインフルエンサーのMAIがブランドディレクターを務める。「ワントーンの比較的シンプルな装いがトレンドだけれど、個性が際立っていて、モード感のある服が欲しかった」という彼女の意向を反映し、大胆な配色を施したコート(税込4万9500円)」やラグジュアリーなムードのフェイクファーブルゾン(同4万700円)などをファーストコレクションのメインアイテムに据える。
トップスやスカートは1万円台後半〜2万円台後半、コートやブルゾンは3万円台後半〜4万円台後半と、EC専業ブランドとしてはやや高めの価格設定となっている。「ネットのみで販売するブランドは値頃感を打ち出したものも多いが、あくまで品質で勝負し、(収入が)アッパーミドルの大人の女性を狙っていく」と中村社長。今後は生産背景などにおいて、TSIグループの百貨店ブランドなどとのシナジーも視野に入れる。
HYBESは20年8月にTSIグループに加わった「エトレトウキョウ(ETRE TOKYO)」の運営を主に担い、構成メンバーも事業の譲受元である3ミニッツから転籍した若い女性が中心。「エトレトウキョウ」は商品単価3万円程度と比較的高単価ながら、EC販売比率は65%以上を占める。ここで培ったSNSの運用やデジタルマーケティングのノウハウを成長のエンジンとし、「メクル」は3年以内に売上高5億円規模を目指す。
来年度(23年2月期)には、新たに2つのネット専業ブランドの立ち上げを計画する。「D2Cブランドの運営ノウハウを蓄積し、(HYBESを)グループ全体にデジタルを核としたさまざまな波及効果を生み出すプラットフォームにしていきたい」(中村社長)考えだ。
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8月8日に閉会式を控え、東京2020オリンピックもいよいよ終盤戦だ。開幕からこれまでを振り返り、アスリートが競技をしている瞬間と共に、晴れ晴れとした顔で表彰台に上がるシーンを印象深く思い出す人も多いだろう。メダルラッシュに湧く日本選手団をいっそう輝かせているのが、選手が表彰台で着用している朱赤のジップアップジャケットだ。同ジャケットは大会パートナーのアシックスが提供しているが、同社と組んで特徴的な生地のデザインを手掛けたのは廣川玉枝。自身のブランド「ソマルタ(SOMARTA)」も手掛ける彼女に、今回のウエアデザインに込めた思いを聞いた。
WWD:オリンピックでは、どの国の公式ユニフォームをどのデザイナーが手掛けたかといった話が毎回話題になるが、今大会では廣川さんが製作に関わったアシックスの“ポディウムジャケット”(ポディウムは表彰台の意)がファッション業界内外で話題となっている。アシックスとはどのような経緯で取り組みがスタートしたのか。
廣川玉枝「ソマルタ」デザイナー(以下、廣川):数年前にアシックスからお話をいただき、“ポディウムジャケット”や陸上、テニスの競技用ウエアのジャガードメッシュのテキスタイルデザインを共同開発することになりました。東京の夏は湿度も気温も非常に高い。アシックスは選手の体力の消耗をできるだけ軽減できるウエアを追求しており、メッシュ状の編みで通気孔の開いたニットのテキスタイルを作ることになりました。ウエアが暑いため自身で穴を開けて通気性を上げているという陸上選手のエピソードを聞き、身体を保護しながら呼吸できる皮膚そのもののような編み地を開発することができないかと考えました。
WWD:皮膚のような編み地というのは、「ソマルタ」が2007年春夏のデビュー以来作り続けている無縫製ニット“スキンシリーズ”に通じるものだ。
廣川:「ソマルタ」を立ち上げる前、企業(編集部注:イッセイ ミヤケ)に属していた時から、ニットデザイナーとしてさまざまな編み機を使い、編み地の研究をしてきました。ニットは伸縮によって体の動きに付いてくるので、布帛(編み地ではなく織り地のこと)とは違って、生地を編むと同時に服の形をデザインすることができます。テキスタイルのデザインで自由度が高いニットは、スポーツウエアに応用できるのではないかと以前から思っていましたが、実際にスポーツウエアを手掛けたのは今回が初めてです。「ソマルタ」の“スキンシリーズ”と“ポディウムジャケット”は編む方法など技術的には似ていますが、“ポディウムジャケット”は編み地が表と裏を一体で編む2重構造になっているので嵩高性(ふくらみや弾力があること)があり、異なる点はほかにもいくつかあります。アシックスのスポーツ工学研究所が蓄積してきた機能性やスポーツウエアに必要な仕組みと、われわれの編みの知見や経験が一緒になって初めて実現しました。
WWD:具体的に、アシックス側からはどんな研究内容が提供されたのか。
廣川:アシックスは体の中で体温が上昇しやすく、汗をかきやすい部位などを長年研究しています。その「ボディマッピング」に基づき、体の発汗ゾーンを意識しながら、汗をかきやすい場所は編み地の穴(通気孔)を大きくし、発汗よりも紫外線からの保護を意識するべき場所は穴を開けずに編み地を詰めるなどして、テキスタイルを設計しています。モノ作りにおけるマニアックな話になるのですが、大きさの異なる穴を近くに配置すると生地が破れやすくなるので、どういう編み立て設計にすれば穴の大きさが違っても破れないのかなどを、試作を繰り返して検証しました。また、競技によって選手の体形は全く違います。どんな選手の体にも通気孔の位置が合うように、サイジングやグレーディングにも気を配りました。
WWD:スポーツウエアとして機能面は非常に大切だが、同時にかっこよく見える、美しく見えるという面もファッションとしては欠かせない。
廣川:体というものがすでに美しい形なので、発汗など体の持っている機能に沿って編み地をデザインしていけば、体そのものの強さ、美しさは自然と引き出されます。「ソマルタ」の“スキンシリーズ”も同様の考え方で作り続けていますが、今回、アシックスから提供されたより科学的な、人体工学に即したデータと照らし合わせることで、改めて納得した部分は大きいです。
WWD:今回の経験を生かして、「ソマルタ」でもスポーツウエアを作る計画はあるか。
廣川:スポーツウエアを意識した服をデザインすることはできても、われわれの力だけでは本格的な機能性も備えたアスリート向けのスポーツウエアを作ることは難しい。アシックスは長年アスリートにとっての優れた機能性を考えて、糸から開発を行っています。だからこそ、今回のように一緒に取り組んで開発することができれば、今までにないプロダクトが生まれる可能性があると思いました。
WWD:数年前に依頼がきたときはどんな気持ちだったか。
廣川:以前、国立近代美術館でやっていた1964年の東京オリンピックのデザインに関する展覧会を偶然見る機会がありました。前回の東京オリンピックは、今では巨匠と呼ばれているような日本を代表するデザイナーや建築家が力を合わせて作り上げたものだったのだと知り、とても感動しました。自分もいつかそういう仕事をしてみたいという夢を持っていましたが、今回の大会ではアシックスからお声がけいただいたことで、われわれもそこに加われることになり非常に光栄に感じました。
WWD:廣川さん自身はスポーツはするのか。
廣川:スポーツは好きですが、小さいころからあまり得意ではありません。“ポディウムジャケット”は選手が表彰台に上る機会があって初めて多くの人目に触れるものです。連日のメダルラッシュのニュースを見るたびに驚き、選手がコロナ禍の厳しい状況下でも日々練習を続けてきたことを知り、心が揺さぶられました。日本や各国の選手が人生をかけた戦いに挑む姿には、大きな勇気と活力をもらっています。スポーツが苦手な私でも、アシックスと組むご縁に恵まれて、そして何よりも選手の頑張りがあったからこそ、“ポディウムジャケット”を表彰台の上で見ることができました。表彰台に一緒に連れて行ってもらったようですごく感動しています。
WWD:特に印象的だった競技や選手は。
廣川:どの選手も印象的ですが、兄妹で金メダルを獲った柔道の阿部詩選手、競泳の大橋悠依選手はなかでも記憶に残っています。世界中の強豪選手が居並ぶ中で金メダルを獲った背景には、計り知れない努力の積み重ねがあるんだと思います。特に女性選手の活躍にパワーをもらいました。選手のインタビューなどを聞いていると、既に次のパリ大会を意識するなど、常に前を見ている人ばかりです。そこには私も刺激を受けますし、子供たちが自分の国で、世界中の選手が力を尽くす場面を目撃できたことは、未来に向けての大きな財産だと思います。
WWD:8月末には東京コレクションも行われる。「ソマルタ」はここ数年、東京コレクションには参加していないが、今後の活動は。
廣川:11月に、大分・別府で行われる芸術祭に招待されています。「廣川玉枝 in BEPPU」という名称で、服飾の力を生かし、地域の祭りを作ることをテーマにしています。別府以外でも、各地でさまざまなプロジェクトに関わることが多くなってきました。各地でさまざまな人に出会って、一緒にモノ作りができるのはとても楽しいこと。最近、自分のことを“ファッションデザイナー”ではなく、“服飾デザイナー”と名乗っています。ファッションという言葉には、「(過ぎ去っていく)流行を語る」といったニュアンスがどうしてもあるように感じています。でも、服だっていいものを作れば、すぐに古びてしまうことはないと思う。ブランド立ち上げ以来、研究開発を続けている“スキンシリーズ”もその一つです。いいものを丁寧に作り、少しずつ時代に残していきたいと思っています。
The post 東京五輪の“表彰台ジャケット”を手掛けたのはどんな人? アシックスと組んだ廣川玉枝に聞く appeared first on WWDJAPAN.
8月8日に閉会式を控え、東京2020オリンピックもいよいよ終盤戦だ。開幕からこれまでを振り返り、アスリートが競技をしている瞬間と共に、晴れ晴れとした顔で表彰台に上がるシーンを印象深く思い出す人も多いだろう。メダルラッシュに湧く日本選手団をいっそう輝かせているのが、選手が表彰台で着用している朱赤のジップアップジャケットだ。同ジャケットは大会パートナーのアシックスが提供しているが、同社と組んで特徴的な生地のデザインを手掛けたのは廣川玉枝。自身のブランド「ソマルタ(SOMARTA)」も手掛ける彼女に、今回のウエアデザインに込めた思いを聞いた。
WWD:オリンピックでは、どの国の公式ユニフォームをどのデザイナーが手掛けたかといった話が毎回話題になるが、今大会では廣川さんが製作に関わったアシックスの“ポディウムジャケット”(ポディウムは表彰台の意)がファッション業界内外で話題となっている。アシックスとはどのような経緯で取り組みがスタートしたのか。
廣川玉枝「ソマルタ」デザイナー(以下、廣川):数年前にアシックスからお話をいただき、“ポディウムジャケット”や陸上、テニスの競技用ウエアのジャガードメッシュのテキスタイルデザインを共同開発することになりました。東京の夏は湿度も気温も非常に高い。アシックスは選手の体力の消耗をできるだけ軽減できるウエアを追求しており、メッシュ状の編みで通気孔の開いたニットのテキスタイルを作ることになりました。ウエアが暑いため自身で穴を開けて通気性を上げているという陸上選手のエピソードを聞き、身体を保護しながら呼吸できる皮膚そのもののような編み地を開発することができないかと考えました。
WWD:皮膚のような編み地というのは、「ソマルタ」が2007年春夏のデビュー以来作り続けている無縫製ニット“スキンシリーズ”に通じるものだ。
廣川:「ソマルタ」を立ち上げる前、企業(編集部注:イッセイ ミヤケ)に属していた時から、ニットデザイナーとしてさまざまな編み機を使い、編み地の研究をしてきました。ニットは伸縮によって体の動きに付いてくるので、布帛(編み地ではなく織り地のこと)とは違って、生地を編むと同時に服の形をデザインすることができます。テキスタイルのデザインで自由度が高いニットは、スポーツウエアに応用できるのではないかと以前から思っていましたが、実際にスポーツウエアを手掛けたのは今回が初めてです。「ソマルタ」の“スキンシリーズ”と“ポディウムジャケット”は編む方法など技術的には似ていますが、“ポディウムジャケット”は編み地が表と裏を一体で編む2重構造になっているので嵩高性(ふくらみや弾力があること)があり、異なる点はほかにもいくつかあります。アシックスのスポーツ工学研究所が蓄積してきた機能性やスポーツウエアに必要な仕組みと、われわれの編みの知見や経験が一緒になって初めて実現しました。
WWD:具体的に、アシックス側からはどんな研究内容が提供されたのか。
廣川:アシックスは体の中で体温が上昇しやすく、汗をかきやすい部位などを長年研究しています。その「ボディマッピング」に基づき、体の発汗ゾーンを意識しながら、汗をかきやすい場所は編み地の穴(通気孔)を大きくし、発汗よりも紫外線からの保護を意識するべき場所は穴を開けずに編み地を詰めるなどして、テキスタイルを設計しています。モノ作りにおけるマニアックな話になるのですが、大きさの異なる穴を近くに配置すると生地が破れやすくなるので、どういう編み立て設計にすれば穴の大きさが違っても破れないのかなどを、試作を繰り返して検証しました。また、競技によって選手の体形は全く違います。どんな選手の体にも通気孔の位置が合うように、サイジングやグレーディングにも気を配りました。
WWD:スポーツウエアとして機能面は非常に大切だが、同時にかっこよく見える、美しく見えるという面もファッションとしては欠かせない。
廣川:体というものがすでに美しい形なので、発汗など体の持っている機能に沿って編み地をデザインしていけば、体そのものの強さ、美しさは自然と引き出されます。「ソマルタ」の“スキンシリーズ”も同様の考え方で作り続けていますが、今回、アシックスから提供されたより科学的な、人体工学に即したデータと照らし合わせることで、改めて納得した部分は大きいです。
WWD:今回の経験を生かして、「ソマルタ」でもスポーツウエアを作る計画はあるか。
廣川:スポーツウエアを意識した服をデザインすることはできても、われわれの力だけでは本格的な機能性も備えたアスリート向けのスポーツウエアを作ることは難しい。アシックスは長年アスリートにとっての優れた機能性を考えて、糸から開発を行っています。だからこそ、今回のように一緒に取り組んで開発することができれば、今までにないプロダクトが生まれる可能性があると思いました。
WWD:数年前に依頼がきたときはどんな気持ちだったか。
廣川:以前、国立近代美術館でやっていた1964年の東京オリンピックのデザインに関する展覧会を偶然見る機会がありました。前回の東京オリンピックは、今では巨匠と呼ばれているような日本を代表するデザイナーや建築家が力を合わせて作り上げたものだったのだと知り、とても感動しました。自分もいつかそういう仕事をしてみたいという夢を持っていましたが、今回の大会ではアシックスからお声がけいただいたことで、われわれもそこに加われることになり非常に光栄に感じました。
WWD:廣川さん自身はスポーツはするのか。
廣川:スポーツは好きですが、小さいころからあまり得意ではありません。“ポディウムジャケット”は選手が表彰台に上る機会があって初めて多くの人目に触れるものです。連日のメダルラッシュのニュースを見るたびに驚き、選手がコロナ禍の厳しい状況下でも日々練習を続けてきたことを知り、心が揺さぶられました。日本や各国の選手が人生をかけた戦いに挑む姿には、大きな勇気と活力をもらっています。スポーツが苦手な私でも、アシックスと組むご縁に恵まれて、そして何よりも選手の頑張りがあったからこそ、“ポディウムジャケット”を表彰台の上で見ることができました。表彰台に一緒に連れて行ってもらったようですごく感動しています。
WWD:特に印象的だった競技や選手は。
廣川:どの選手も印象的ですが、兄妹で金メダルを獲った柔道の阿部詩選手、競泳の大橋悠依選手はなかでも記憶に残っています。世界中の強豪選手が居並ぶ中で金メダルを獲った背景には、計り知れない努力の積み重ねがあるんだと思います。特に女性選手の活躍にパワーをもらいました。選手のインタビューなどを聞いていると、既に次のパリ大会を意識するなど、常に前を見ている人ばかりです。そこには私も刺激を受けますし、子供たちが自分の国で、世界中の選手が力を尽くす場面を目撃できたことは、未来に向けての大きな財産だと思います。
WWD:8月末には東京コレクションも行われる。「ソマルタ」はここ数年、東京コレクションには参加していないが、今後の活動は。
廣川:11月に、大分・別府で行われる芸術祭に招待されています。「廣川玉枝 in BEPPU」という名称で、服飾の力を生かし、地域の祭りを作ることをテーマにしています。別府以外でも、各地でさまざまなプロジェクトに関わることが多くなってきました。各地でさまざまな人に出会って、一緒にモノ作りができるのはとても楽しいこと。最近、自分のことを“ファッションデザイナー”ではなく、“服飾デザイナー”と名乗っています。ファッションという言葉には、「(過ぎ去っていく)流行を語る」といったニュアンスがどうしてもあるように感じています。でも、服だっていいものを作れば、すぐに古びてしまうことはないと思う。ブランド立ち上げ以来、研究開発を続けている“スキンシリーズ”もその一つです。いいものを丁寧に作り、少しずつ時代に残していきたいと思っています。
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タレントやインフルエンサーとのコラボコスメをDtoC型ポータルサイト「トウキョウ コスメティクス」で展開するトゥエルブは、アイドルグループAKB48がプロデュースするメンズコスメブランド「AKBビューティ フォー メン(AKBBBEAUTY FOR MEN)」を10月に発売する。第1弾アイテムは、スキンケア初心者でも気軽に試せるオールインワンタイプのスキンケアゲル“パーフェクトオールインワンゲル”[医薬部外品](30g、税込1980円)。8月5日に「トウキョウ コスメティクス」で先行予約販売を開始し、13日には仮想ライブ空間「ショールーム」のAKB48公式アカウントでメンバーがブランドや商品について紹介する特別番組を配信する。
コロナ禍でオンライン会議などが増え、以前よりも身だしなみに関心を持つ男性が増えたことに着目。“会いに行けるアイドル”としてファンとのコミュニケーションが活発なAKBが、日々の交流からヒントを得てプロデュースする。今後はファンからの意見も取り入れながら商品開発を進め、“ファンと一緒に作っていくブランド”として成長を目指す。
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タレントやインフルエンサーとのコラボコスメをDtoC型ポータルサイト「トウキョウ コスメティクス」で展開するトゥエルブは、アイドルグループAKB48がプロデュースするメンズコスメブランド「AKBビューティ フォー メン(AKBBBEAUTY FOR MEN)」を10月に発売する。第1弾アイテムは、スキンケア初心者でも気軽に試せるオールインワンタイプのスキンケアゲル“パーフェクトオールインワンゲル”[医薬部外品](30g、税込1980円)。8月5日に「トウキョウ コスメティクス」で先行予約販売を開始し、13日には仮想ライブ空間「ショールーム」のAKB48公式アカウントでメンバーがブランドや商品について紹介する特別番組を配信する。
コロナ禍でオンライン会議などが増え、以前よりも身だしなみに関心を持つ男性が増えたことに着目。“会いに行けるアイドル”としてファンとのコミュニケーションが活発なAKBが、日々の交流からヒントを得てプロデュースする。今後はファンからの意見も取り入れながら商品開発を進め、“ファンと一緒に作っていくブランド”として成長を目指す。
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男子シンクロナイズドダイビング10m高飛び込みでマティ・リー(Matty Lee)とペアを組み、金メダルを獲得したトーマス・デーリー(Thomas Daley)が“オリンピックカーディガン”を完成させた。観戦席での編み物姿がSNSなどで話題になっていた。
デーリーは編み物用のインスタグラムアカウント(@madewithlovebytomdaley)で「東京でオリンピックの“思い出”を作りたかった」とつづり、胸に漢字で“東京”、肩にユニオンジャック、背中に五輪をあしらったカーディガンを披露した。
編み物については「新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン中に始めた」と話し、その後みるみる腕前が上達。カーディガンに先立ち、金メダル用のケースも作成、披露していた。こちらは表がユニオンジャックで、裏に日の丸をデザインしたもの。「オリンピック期間中も編み物をすることで心に平穏を保てている」という。
デーリーはロンドンおよびリオデジャネイロ五輪に出場し、共に銅メダルを獲得。プライベートでは、2013年に同性愛者であることをカミングアウトし、17年に男性と結婚。18年、代理母出産により1男児をもうけた。金メダル獲得後の会見では、「ゲイであり、オリンピック王者であることを誇りに思う」と述べていた。
デーリーは8月6日午後、男子高飛び込み予選に臨み、2つ目の金メダルを目指す。
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男子シンクロナイズドダイビング10m高飛び込みでマティ・リー(Matty Lee)とペアを組み、金メダルを獲得したトーマス・デーリー(Thomas Daley)が“オリンピックカーディガン”を完成させた。観戦席での編み物姿がSNSなどで話題になっていた。
デーリーは編み物用のインスタグラムアカウント(@madewithlovebytomdaley)で「東京でオリンピックの“思い出”を作りたかった」とつづり、胸に漢字で“東京”、肩にユニオンジャック、背中に五輪をあしらったカーディガンを披露した。
編み物については「新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン中に始めた」と話し、その後みるみる腕前が上達。カーディガンに先立ち、金メダル用のケースも作成、披露していた。こちらは表がユニオンジャックで、裏に日の丸をデザインしたもの。「オリンピック期間中も編み物をすることで心に平穏を保てている」という。
デーリーはロンドンおよびリオデジャネイロ五輪に出場し、共に銅メダルを獲得。プライベートでは、2013年に同性愛者であることをカミングアウトし、17年に男性と結婚。18年、代理母出産により1男児をもうけた。金メダル獲得後の会見では、「ゲイであり、オリンピック王者であることを誇りに思う」と述べていた。
デーリーは8月6日午後、男子高飛び込み予選に臨み、2つ目の金メダルを目指す。
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資生堂は、広告宣伝や化粧品パッケージデザインなどを手がけるクリエイティブ部門を完全子会社化し、2022年1月1日付けで「資生堂クリエイティブ株式会社」を設立する。23年度までの中期経営戦略に掲げた「成長基盤の再構築」の一環で、クリエイティブ人材における独自の人事制度を導入し、外部クリエイターとの協働やグローバル人材の採用を強化する。新社長は未定、従業員数は非公表。
クリエイティブ本部は、福原信三・初代社長が1916年に立ち上げた、ポスターやパッケージなどのデザイン及び宣伝広告の企画を担当する部門「意匠部」をルーツに持つ。意匠部には、日本画家の小村雪岱やグラフィックデザイナーの山名文夫らが在籍し、“資生堂スタイル”の確立に貢献した。新会社では、意匠部の創設当時から培ってきた「感性に基づくクリエイティブこそが企業価値を創り出す」という考え方をもとに、新たな未来の美をデザインするクリエイティブ集団への飛躍を目指す。
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資生堂は、広告宣伝や化粧品パッケージデザインなどを手がけるクリエイティブ部門を完全子会社化し、2022年1月1日付けで「資生堂クリエイティブ株式会社」を設立する。23年度までの中期経営戦略に掲げた「成長基盤の再構築」の一環で、クリエイティブ人材における独自の人事制度を導入し、外部クリエイターとの協働やグローバル人材の採用を強化する。新社長は未定、従業員数は非公表。
クリエイティブ本部は、福原信三・初代社長が1916年に立ち上げた、ポスターやパッケージなどのデザイン及び宣伝広告の企画を担当する部門「意匠部」をルーツに持つ。意匠部には、日本画家の小村雪岱やグラフィックデザイナーの山名文夫らが在籍し、“資生堂スタイル”の確立に貢献した。新会社では、意匠部の創設当時から培ってきた「感性に基づくクリエイティブこそが企業価値を創り出す」という考え方をもとに、新たな未来の美をデザインするクリエイティブ集団への飛躍を目指す。
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「WWDJAPAN」6月21日号では、ファッションビジネスと水リスクの関係性について特集した。同号でファッション産業が水資源に与える負荷の一つとして触れたのが、綿花栽培だ。コットンは天然繊維のうち最も生産量が多く、世界資源研究所によると、綿花が栽培されているエリアの57%が、水リスクの高い地域だ。WWFジャパンの安村茂樹自然保護(淡水・教育・PSP)室長は「企業は、原料の生産、加工拠点の水リスクの分析を行い、サプライチェーンを含め、持続可能な調達を促進する必要がある」と警鐘を鳴らす。
これを踏まえ、オーガニックコットンの選択肢に加えて、バンブー素材に着目するブランドがある。原料となる竹は、栽培時の水使用量が少なく、農薬も必要としないことからサステナブルな素材と言われてきた。バンブー素材に着目する3つのブランドにそのメリットやデメリット、今後の可能性について聞いた。
オーガニック先進国として知られるオーストラリア発のアンダーウエアブランド「ブーディ(BOODY)」は、2018年に日本に上陸した。主販路の自社ECサイトのほか、バラエティーストアを中心に卸先を広げている。
「ブーディ」は、竹が雨水でも育ち、農薬を使用しないこと、バンブー糸の柔らかさと吸湿性の高さから、快適さと環境への配慮を両立できる素材として採用した。同社が第三者機関に委託して調べたデータによると、コットンと比較して水の使用量は66%削減できるという。現在同ブランドで使用する竹は、中国・四川省のもので「エコサート」の有機認証を取得する。加えて糸から最終製品に至るまでの350以上の有害化学物質が対象となる「エコテックススタンダード100」も取得することで、商品の安全性を保障している。
日本総代理店のJORICO ENTERPRISES PTY LTDの坂爪恒日本支店長は「日本で販売を開始したのは世界22カ国中20番目。本国からは日本がエコ後進国だと認識されていたが、この1年の業績の伸びを見てその認識が変わり始めている。国内では、滑らかな肌触りや抗菌・防臭・吸水といった魅力が口コミで広がっているようだ。ECでのリピート率は48%と、他国と比較して高い顧客率を獲得できている」と話す。ブラ(税込2640円)やパンツ(同1375円)、ボクサーパンツ(同1760円)などのほか、竹を約90%含んだスエットパンツなどのラウンジウエアが特に人気だという。
今年5月にはスポーツシーンに対応するアクティブウエアのカテゴリーを新設した。坂爪支店長は「竹のデメリットは吸水性が高いこと。アクティブウエアの中でもスパッツなどを減らし、体に張り付かない商品開発を進め、あくまで竹が天然で持ち合わせる機能性をどう活かすかを軸に改良を重ねている」という。
竹はその肌触りの良さや天然の機能性の高さから、パジャマやタオル製品での需要も高い。オーガニックタオルブランド「ヒポポタマス(HIPPOPOTAMUS、以下HPS)」もその一つ。「HPS」のタオルは、アート作品に着想を得た美しい色が特徴だが、それを叶えたのがシルクと同じ凹凸のある構造を持つバンブーレーヨンだった。金澤怜HPS取締役は、「海外で見る鮮やかなカラーのタオルを作りたいという思いから、中空糸のバンブーに着目した。繊維の凹凸で光沢のある発色が魅力だ」と話す。
バンブーは水と摩擦に弱いという特徴があるが、同社はバンブー糸を単糸で取り扱う工場と手を組み、オーガニックコットンを交織した生地を使用し、バンブーのメリットを生かした商品を生み出した。「HPS」では、「エコテックススタンダード100」の中でも最も基準の厳しいクラス1の認証を取得している。
「シンゾーン(SHINZONE)」「メヤメ(MEYAME)」などを手掛ける染谷裕亮クリエイティブディレクターは、バンブー繊維「タケフ(TAKEFU)」を核とした新ブランド「テイクス(TAKES.)」を2021年秋冬シーズンに立ち上げた。
「タケフ」100%では型崩れやピリングなどの問題があるが、少なくとも50%使用することでその効果が期待できるため、3種類のオーガニックコットンを混紡して糸を開発した。シルクのような肌触りと、消臭性や抗菌性、遠赤外線効果などの機能性を備えたTシャツ(同8800円〜)が完成した。アイテムはユニセックスで、ロンハーマン、東京・銀座の和光、「シンゾーン」で販売する。
染谷クリエイティブディレクターは、「『TAKEFU』はオーガニックコットンよりも買いやすい値段だ。ただ相田社長は志を共にする企業を慎重に検討しているので、みんなが『TAKEFU』を使用できるとは限らない。しかし、バンブー素材自体はオーガニックコットンよりも普及するハードルは低いのではないか」話す。今後は、「TAKEFU」50%と異素材の組み合わせでラインアップを拡充していくほか、竹100%の生地開発にも挑戦していくという。
新時代のミッションに備えよ!サステナビリティ・ディレクター養成講座
受講日時:2021年9月3日(金)〜12月17日(金)(全9回) ※全7回のオンライン受講コースあり
申込締切:8月27日(金)
サステナビリティは今後の企業活動における最重要・優先課題です。この全9回の講座により受講者が目指すゴールは各企業の“サステナビリティ・ディレクター”。サステナビリティ業界のトップランナーが、国内外の最新情報のほか、サステナビリティの現場で起こっている生の声をお伝えします。受講者限定のグループコミュニティや、講師陣に直接質問できる機会もご用意しています(会場受講コースのみ)。何から始めたらよいか悩んでいるサステナビリティ担当者、サステナビリティを取り入れたCRS活動や企業理念を考えている方はぜひご参加ください。
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「WWDJAPAN」6月21日号では、ファッションビジネスと水リスクの関係性について特集した。同号でファッション産業が水資源に与える負荷の一つとして触れたのが、綿花栽培だ。コットンは天然繊維のうち最も生産量が多く、世界資源研究所によると、綿花が栽培されているエリアの57%が、水リスクの高い地域だ。WWFジャパンの安村茂樹自然保護(淡水・教育・PSP)室長は「企業は、原料の生産、加工拠点の水リスクの分析を行い、サプライチェーンを含め、持続可能な調達を促進する必要がある」と警鐘を鳴らす。
これを踏まえ、オーガニックコットンの選択肢に加えて、バンブー素材に着目するブランドがある。原料となる竹は、栽培時の水使用量が少なく、農薬も必要としないことからサステナブルな素材と言われてきた。バンブー素材に着目する3つのブランドにそのメリットやデメリット、今後の可能性について聞いた。
オーガニック先進国として知られるオーストラリア発のアンダーウエアブランド「ブーディ(BOODY)」は、2018年に日本に上陸した。主販路の自社ECサイトのほか、バラエティーストアを中心に卸先を広げている。
「ブーディ」は、竹が雨水でも育ち、農薬を使用しないこと、バンブー糸の柔らかさと吸湿性の高さから、快適さと環境への配慮を両立できる素材として採用した。同社が第三者機関に委託して調べたデータによると、コットンと比較して水の使用量は66%削減できるという。現在同ブランドで使用する竹は、中国・四川省のもので「エコサート」の有機認証を取得する。加えて糸から最終製品に至るまでの350以上の有害化学物質が対象となる「エコテックススタンダード100」も取得することで、商品の安全性を保障している。
日本総代理店のJORICO ENTERPRISES PTY LTDの坂爪恒日本支店長は「日本で販売を開始したのは世界22カ国中20番目。本国からは日本がエコ後進国だと認識されていたが、この1年の業績の伸びを見てその認識が変わり始めている。国内では、滑らかな肌触りや抗菌・防臭・吸水といった魅力が口コミで広がっているようだ。ECでのリピート率は48%と、他国と比較して高い顧客率を獲得できている」と話す。ブラ(税込2640円)やパンツ(同1375円)、ボクサーパンツ(同1760円)などのほか、竹を約90%含んだスエットパンツなどのラウンジウエアが特に人気だという。
今年5月にはスポーツシーンに対応するアクティブウエアのカテゴリーを新設した。坂爪支店長は「竹のデメリットは吸水性が高いこと。アクティブウエアの中でもスパッツなどを減らし、体に張り付かない商品開発を進め、あくまで竹が天然で持ち合わせる機能性をどう活かすかを軸に改良を重ねている」という。
竹はその肌触りの良さや天然の機能性の高さから、パジャマやタオル製品での需要も高い。オーガニックタオルブランド「ヒポポタマス(HIPPOPOTAMUS、以下HPS)」もその一つ。「HPS」のタオルは、アート作品に着想を得た美しい色が特徴だが、それを叶えたのがシルクと同じ凹凸のある構造を持つバンブーレーヨンだった。金澤怜HPS取締役は、「海外で見る鮮やかなカラーのタオルを作りたいという思いから、中空糸のバンブーに着目した。繊維の凹凸で光沢のある発色が魅力だ」と話す。
バンブーは水と摩擦に弱いという特徴があるが、同社はバンブー糸を単糸で取り扱う工場と手を組み、オーガニックコットンを交織した生地を使用し、バンブーのメリットを生かした商品を生み出した。「HPS」では、「エコテックススタンダード100」の中でも最も基準の厳しいクラス1の認証を取得している。
「シンゾーン(SHINZONE)」「メヤメ(MEYAME)」などを手掛ける染谷裕亮クリエイティブディレクターは、バンブー繊維「タケフ(TAKEFU)」を核とした新ブランド「テイクス(TAKES.)」を2021年秋冬シーズンに立ち上げた。
「タケフ」100%では型崩れやピリングなどの問題があるが、少なくとも50%使用することでその効果が期待できるため、3種類のオーガニックコットンを混紡して糸を開発した。シルクのような肌触りと、消臭性や抗菌性、遠赤外線効果などの機能性を備えたTシャツ(同8800円〜)が完成した。アイテムはユニセックスで、ロンハーマン、東京・銀座の和光、「シンゾーン」で販売する。
染谷クリエイティブディレクターは、「『TAKEFU』はオーガニックコットンよりも買いやすい値段だ。ただ相田社長は志を共にする企業を慎重に検討しているので、みんなが『TAKEFU』を使用できるとは限らない。しかし、バンブー素材自体はオーガニックコットンよりも普及するハードルは低いのではないか」話す。今後は、「TAKEFU」50%と異素材の組み合わせでラインアップを拡充していくほか、竹100%の生地開発にも挑戦していくという。
新時代のミッションに備えよ!サステナビリティ・ディレクター養成講座
受講日時:2021年9月3日(金)〜12月17日(金)(全9回) ※全7回のオンライン受講コースあり
申込締切:8月27日(金)
サステナビリティは今後の企業活動における最重要・優先課題です。この全9回の講座により受講者が目指すゴールは各企業の“サステナビリティ・ディレクター”。サステナビリティ業界のトップランナーが、国内外の最新情報のほか、サステナビリティの現場で起こっている生の声をお伝えします。受講者限定のグループコミュニティや、講師陣に直接質問できる機会もご用意しています(会場受講コースのみ)。何から始めたらよいか悩んでいるサステナビリティ担当者、サステナビリティを取り入れたCRS活動や企業理念を考えている方はぜひご参加ください。
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アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する。小売業の巨人ウォルマートがギャップと協業したブランドを開発した。これはリアルとデジタルの双方をうまく組み合わせた事例になるのだろうか。
ウォルマート(WALMART)がギャップ(GAP)とコラボしてホームファニシングに新しいブランドを開発し、6月に販売を開始した。名称は「ギャップホーム(GAP HOME)」。販売チャネルはネット通販のみ。ベッド、バス、デコール、テーブルトップの4つのサブカテゴリーでアイテム数はおよそ400と公表されている。
この発表があったときに、ウォルマート傘下の会員制スーパー、サムズクラブ(SAMS CLUB)がギャップの商品を売っていることをメディアが記事にしている。レディースとメンズのトップスとショーツ4アイテムのみで、会員への販促メールで発覚した。メディアの質問に対して同社は回答しておらず、私も店頭で確認したわけではないのだが、新デジタルブランドの投入と考え合わせると両社がリアルとデジタルの双方を使ってコラボの試行錯誤をしているのではないかと感じている。
私がアメリカの小売業界を追い始めたのは25年以上前。ちょうどその頃は、ギャップの中興の祖、ミラード・ドレクスラー(Millard Drexler)がギャップを急速に拡大させていた。有名なSPAという言葉もドレクスラーがギャップのビジネスモデルを説明するために使い、脚光を浴びたものである。
アパレル専門店チェーンによる垂直統合はリミテッド(LIMITED)が先駆けで、ギャップはそれを大きく花開かせた企業である。今となってはユニクロ(UNIQLO)やザラ(ZARA)に負けてしまっているが、当時はギャップが一人勝ちの様相を呈していたのであった。(ちなみにSPAは、Specialty store retailer of Private label Apparelの略語である。プライベートブランド衣料を売る専門店という意味なのだが、なぜか日本ではアパレル専門店チェーン以外でも使われるようになってしまった。今ではアメリカではまったく使われず日本だけで流通している業界用語である)
その当時、ターゲット(TARGET)の衣料売り場を見て、これはギャップをコピーしているなと感じた経験を今もはっきり覚えている。ターゲットは衣料が強いディスカウントストアで、自社開発商品の比率が高く(おそらく当時も90%を超えていたはず)、ギャップを追っていたのだろう。
そういう経験をしている世代なので、あのギャップがウォルマートとコラボするというニュースには感慨を覚えざるを得ないのである。時代の変遷というものだ。
前々回にウォルマートによるバーチャル試着技術開発企業の買収について書いたように、ウォルマートはファッション分野を改めて強化している。
エレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)やドリュー・バリモア(Drew Barrymore)といった有名人を冠とした低価格ラインや、今年はアート&クラフト分野のセレブリティデザイナーのトッド・オールドハム(Todd Oldham)と提携したり、極めつけは高価格帯ブランドの衣料デザイナー、ブランドン・マックスウェル(Brandon Maxwell)と契約して新たなブランドの開発を発表したりと、コラボブランドを急速に増やしている。
アメリカではエクスルーシブ・ブランドと呼ぶが、この分野は伝統的にターゲットが強く、ウォルマートはやってはきたが中途半端なブランドが多いまま今に至っている。ギャップとの提携もこのエクスルーシブ・ブランド戦略の一環と考えてよいだろう。
ウォルマートによるファッション強化は今に始まったことではなく、さまざまなイニシアチブを集中投下する時期と、手つかずで放置する時期と、波を繰り返してきている。その昔、英大手スーパーのアズダ(ASDA)を買収したときには同社のPBブランドの「ジョージ(GEORGE)」を取り入れて大々的に衣料強化を図ったものである。
ただやはり餅は餅屋で、ウォルマートのDNAはオペレーションの効率化にあってファッションやマーケティングではないので、大成功と呼べるファッション戦略は私の記憶にはない。そのため、この1年ほどにウォルマートによるファッション分野の新プログラムが矢継ぎ早に出てきているのだが、それがヒットにつながるのかどうかはさめた目で見ざるを得ないのである。
ちなみにターゲットのDNAはマーケティングやブランディングにあるので、逆にオペレーション分野で他を圧倒するような成功例は少ない。全方位で何もかも強い企業など存在しないのだ。
今回のギャップとのコラボで注目しておきたいのは、販売チャネルをネット通販のみとしている点である。両社のブランディングの観点からリアル店舗でいきなり消費者に見せてしまうのをとりあえず避けたのかもしれない。また低リスクのEC(ネット通販)でとりあえず売り始めて様子を見て結果が良ければリアルへという道筋が今後あるのかもしれない。
ウォルマートのここ数カ月の動きを見ると、ファッションECにはブランドによって柔軟な戦略を取り入れはじめていることが分かる。一度破綻して全店舗閉鎖し今はブランド管理会社によるD2Cとなっている元専門店チェーンのジャスティス(JUSTICE)を、ネットと2400店舗の双方で取り扱いを開始。またD2Cパーソナルケアブランドの「バブル(BUBBLE)」を3800店舗で導入、これはおそらく「バブル」自身とのネット上での競合を避けてリアル店舗のみに焦点を当てたからからなのだろう。
EC売り上げが一定規模以上となり安定すると、リアルとネットを組み合わせ使い分けながらブランド戦略を組み立てることができるようになる。アマゾン(AMAZON)もリアル店舗戦略を強化しているが、最終的には双方を持っている企業の方が有利になるのだろうと思っている。
鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー
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アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する。小売業の巨人ウォルマートがギャップと協業したブランドを開発した。これはリアルとデジタルの双方をうまく組み合わせた事例になるのだろうか。
ウォルマート(WALMART)がギャップ(GAP)とコラボしてホームファニシングに新しいブランドを開発し、6月に販売を開始した。名称は「ギャップホーム(GAP HOME)」。販売チャネルはネット通販のみ。ベッド、バス、デコール、テーブルトップの4つのサブカテゴリーでアイテム数はおよそ400と公表されている。
この発表があったときに、ウォルマート傘下の会員制スーパー、サムズクラブ(SAMS CLUB)がギャップの商品を売っていることをメディアが記事にしている。レディースとメンズのトップスとショーツ4アイテムのみで、会員への販促メールで発覚した。メディアの質問に対して同社は回答しておらず、私も店頭で確認したわけではないのだが、新デジタルブランドの投入と考え合わせると両社がリアルとデジタルの双方を使ってコラボの試行錯誤をしているのではないかと感じている。
私がアメリカの小売業界を追い始めたのは25年以上前。ちょうどその頃は、ギャップの中興の祖、ミラード・ドレクスラー(Millard Drexler)がギャップを急速に拡大させていた。有名なSPAという言葉もドレクスラーがギャップのビジネスモデルを説明するために使い、脚光を浴びたものである。
アパレル専門店チェーンによる垂直統合はリミテッド(LIMITED)が先駆けで、ギャップはそれを大きく花開かせた企業である。今となってはユニクロ(UNIQLO)やザラ(ZARA)に負けてしまっているが、当時はギャップが一人勝ちの様相を呈していたのであった。(ちなみにSPAは、Specialty store retailer of Private label Apparelの略語である。プライベートブランド衣料を売る専門店という意味なのだが、なぜか日本ではアパレル専門店チェーン以外でも使われるようになってしまった。今ではアメリカではまったく使われず日本だけで流通している業界用語である)
その当時、ターゲット(TARGET)の衣料売り場を見て、これはギャップをコピーしているなと感じた経験を今もはっきり覚えている。ターゲットは衣料が強いディスカウントストアで、自社開発商品の比率が高く(おそらく当時も90%を超えていたはず)、ギャップを追っていたのだろう。
そういう経験をしている世代なので、あのギャップがウォルマートとコラボするというニュースには感慨を覚えざるを得ないのである。時代の変遷というものだ。
前々回にウォルマートによるバーチャル試着技術開発企業の買収について書いたように、ウォルマートはファッション分野を改めて強化している。
エレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)やドリュー・バリモア(Drew Barrymore)といった有名人を冠とした低価格ラインや、今年はアート&クラフト分野のセレブリティデザイナーのトッド・オールドハム(Todd Oldham)と提携したり、極めつけは高価格帯ブランドの衣料デザイナー、ブランドン・マックスウェル(Brandon Maxwell)と契約して新たなブランドの開発を発表したりと、コラボブランドを急速に増やしている。
アメリカではエクスルーシブ・ブランドと呼ぶが、この分野は伝統的にターゲットが強く、ウォルマートはやってはきたが中途半端なブランドが多いまま今に至っている。ギャップとの提携もこのエクスルーシブ・ブランド戦略の一環と考えてよいだろう。
ウォルマートによるファッション強化は今に始まったことではなく、さまざまなイニシアチブを集中投下する時期と、手つかずで放置する時期と、波を繰り返してきている。その昔、英大手スーパーのアズダ(ASDA)を買収したときには同社のPBブランドの「ジョージ(GEORGE)」を取り入れて大々的に衣料強化を図ったものである。
ただやはり餅は餅屋で、ウォルマートのDNAはオペレーションの効率化にあってファッションやマーケティングではないので、大成功と呼べるファッション戦略は私の記憶にはない。そのため、この1年ほどにウォルマートによるファッション分野の新プログラムが矢継ぎ早に出てきているのだが、それがヒットにつながるのかどうかはさめた目で見ざるを得ないのである。
ちなみにターゲットのDNAはマーケティングやブランディングにあるので、逆にオペレーション分野で他を圧倒するような成功例は少ない。全方位で何もかも強い企業など存在しないのだ。
今回のギャップとのコラボで注目しておきたいのは、販売チャネルをネット通販のみとしている点である。両社のブランディングの観点からリアル店舗でいきなり消費者に見せてしまうのをとりあえず避けたのかもしれない。また低リスクのEC(ネット通販)でとりあえず売り始めて様子を見て結果が良ければリアルへという道筋が今後あるのかもしれない。
ウォルマートのここ数カ月の動きを見ると、ファッションECにはブランドによって柔軟な戦略を取り入れはじめていることが分かる。一度破綻して全店舗閉鎖し今はブランド管理会社によるD2Cとなっている元専門店チェーンのジャスティス(JUSTICE)を、ネットと2400店舗の双方で取り扱いを開始。またD2Cパーソナルケアブランドの「バブル(BUBBLE)」を3800店舗で導入、これはおそらく「バブル」自身とのネット上での競合を避けてリアル店舗のみに焦点を当てたからからなのだろう。
EC売り上げが一定規模以上となり安定すると、リアルとネットを組み合わせ使い分けながらブランド戦略を組み立てることができるようになる。アマゾン(AMAZON)もリアル店舗戦略を強化しているが、最終的には双方を持っている企業の方が有利になるのだろうと思っている。
鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー
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