老舗子供服キムラタン、220店中210店を閉鎖へ

 ベビー・子供服のキムラタン(神戸市、清川浩志社長)は14日、アパレル事業を大幅に縮小すると発表した。運営する約220店舗のうち約210店舗を閉鎖する。該当する店舗の販売員に加えて、本社社員の約6割に相当する約40人の整理を行う。少子化もあって同社の業績は長らく低迷していた。コロナが追い討ちをかけ、事業ポートフォリオの抜本的な見直しを迫れた。

 アパレル事業は得意とするベビー向け、女児向けに絞り込んだ上で、EC(ネット通販)に軸足を移す。2020年から取り組む不動産事業や、保育園事業やウェラブル事業などに経営資源を振り分ける。年内に徹底と縮小を完了させ、24年3月期での黒字化を目指す。

 キムラタンは1925年創業の老舗子供服メーカーで東証一部に上場している。近年は業績低迷で、コロナ前から赤字が続いていた。22年3月期の業績予想は売上高41億円、営業損益が4億8000万円の赤字、純損益が5億2000万円の赤字。

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「ハイク」のユナイテッドアローズ別注コートが登場 定番の“M51”をジェンダーレスに

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は、「ハイク(HYKE)」に別注したコートを2月18日に発売する。サイズは1〜5で、カラーはオリーブとネイビー、価格は税込5万7200円。原宿本店や丸の内店、横浜店、公式オンラインストアなどで販売する。

 別注コートは、「ハイク」の定番アイテム“M-51タイプ フィールド ジャケット”をベースに、サイズ感をアレンジした。通常はレギュラーとビッグの2タイプのところ、別注では男女共に着用できるように、オーバーサイズのシルエットで仕上げている。さらに、素材をポリエステルベースの生地に変更した。

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「プラダ」がゲーム「ライダーズ リパブリック」に参戦 アニマル柄のウエアやギアで遊べる

 「プラダ(PRADA)」はこのほど、フランスのコンピューターゲーム開発・販売会社ユービーアイソフト(UBISOFT)と提携し、ゲーム「ライダーズ リパブリック(RIDERS REPUBLIC)」にスポーツライン“リネア・ロッサ(LINEA ROSSA)”のアイテムを登場させた。

 「ライダーズ リパブリック」は、雄大なアメリカの国立公園を舞台にスキーやスノーボード、マウンテンバイク、ウィングスーツなどのアウトドアスポーツをマルチプレーで体験できるもの。

 「プラダ」はアニマルパターンの“ワイルド・ストライプ”、迷彩柄をグラフィカルに表現した“カモフラージュ・ロック”、炎をモチーフにした“ザ・フレイム”の3つのルックを用意。デザイン性のみならず、“ワイルド・ストライプ”と“カモフラージュ・ロック”は“リネア・ロッサ”を象徴する赤いエンブレムを背面に大きく配置することでゲーム中の視認性を高め、“ザ・フレイム”は夜間に発光するなどの機能性も持つ。また「プラダ」はスキー、スノーボード、マウンテンバイクとゲーム内のギアも製作。プレーヤーが選択することで、自分のキャラクターをカスタマイズできる。

 「プラダ」がスポンサードするイベントをクリアしたり対戦に勝利したりすることで、限定のウエアを手に入れることもできる。

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ドゥーズィエム クラス、ミュージアムショップのような空間でアートとファッションを楽しむイベント開催

 ドゥーズィエム クラス(DEUXIEME CLASSE)は2022年春夏、ライフスタイルの提案に力を入れる。顧客やスタッフの間で、アートや花などファッション以外の生活を豊かにするモノ・コトへの関心が高まっているからだ。第1弾として、オリジナルブランド「エブリデイ アイ ライク(EVERYDAY I LIKE.)」とクリエイティブチームのSKIN、アートブックのディストリビューター、トゥエルブブックス(twelvebooks)がコラボしたポップアップイベントを2月18日からドゥーズィエム クラス新宿店と大阪店、福岡店で開催する。

 店内では、SKINとの別注アイテムのほか、トゥエルブブックスが、コレクションのムードに合わせてセレクトしたアートブックやトートバッグなどの雑貨を販売し、ミュージアムショップのような空間を演出する。別注アイテムは、“EVERYDAY MUSEUM”の文字をプリントしたTシャツ(税込1万4000円)とタオル(同1200円)、キャップ(同5000円)、キーホルダー(同1300円)を用意した。イベントは商品がなくなり次第終了する。

 ベーシックアイテムを軸とする「エブリデイ アイ ライク」の2022年春夏コレクションは、「自由にスタイルや個性を表現するアートのようにファッションを楽しんでほしい」という思いを込め、個性を引き出すカラーアイテムやスタイリングの幅が広がるトレンドアイテムを提案する。

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楽天、21年度で国内ECの流通総額が5兆円に

 楽天は2月14日、2021年12月期決算を発表した。「楽天市場」「楽天ファッション」「楽天トラベル」などを含めた流通総額(GMV)は前期比10.4%増の5兆円となった。四半期ベースでは昨年4月以降のコロナ禍に伴う巣ごもり需要の急拡大後も、高い成長率を維持した。国内EC事業の売上高は同18.1%増の7119億円、営業利益は同37.7%増の742億円だった。期末の「楽天市場」への出店者数は同4.0%増の5万5929店舗、楽天ID数は6.0%増の1億2700万だった。

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「JW アンダーソン」が日本初のメンズショップ 伊勢丹新宿本店メンズ館に

 「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON​)」はこのほど、日本国内初となるメンズショップを伊勢丹新宿本店メンズ館2階のメンズクリエーターズにオープンした。

 オープン時の店内では、写真家のユルゲン・テラー(Juergen Teller)がロンドンの住宅で撮影した2022年春夏コレクションをメーンに扱う。手描き風の“JWA”の文字を編み込んだ鮮やかなニット(税込7万7000円)や、柔らかなタッチの花柄のイラストを配したトラックジャケット(同9万3500円)などをラインアップする。また、イラストレーターのポル・アングラダ(Pol Anglada)を迎えた第2弾カプセルコレクションも用意し、オーバーサイズのポロシャツ(同3万8500円)やフーディ(同5万5000円)などをそろえる。

■「シェイ ダブリュー アンダーソン」メンズショップ
場所:伊勢丹新宿本店メンズ館2階 メンズクリエーターズ
住所:東京都新宿区新宿3丁目14−1

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カーリング米代表のマット・ハミルトン選手が競技で「ナイキ SB」のレアモデル着用 氷上用にカスタム

 北京冬季オリンピックの男子カーリング競技で、アメリカ代表として出場しているマット・ハミルトン(Matt Hamilton)選手が「ナイキ SB」のレアシューズを着用して話題を集めている。

 ハミルトン選手は、2月10日に行われた1次リーグ第2試合のスウェーデン戦で、ナイキ(NIKE)のスケートボードライン「ナイキ SB」の鮮やかなシューズ“ダンク ロー(DUNK LOW)”を着用。同モデルは、「ナイキ SB」が2021年5月に発売したプロスケートボーダーのポール・ロドリゲス(Paul Rodriguez)とのコラボ“ダンク ロー ワット・ザ・ポール(DUNK LOW WHAT THE PAUL)”をベースに、ロサンゼルスのスニーカーショップ「プロジェクト ブリッツ(Project Blitz)」が特別にカスタムした1足だ。アウトソールに、氷上を軽やかに滑るためのプレート(スライダー)を取り付け、つま先には摩耗防止のためキャップ加工を施しているほか、シューレースには「プロジェクト ブリッツ」が手掛けた証となるゴールドのデュブレをあしらっている。

 なお、“ダンク ロー ワット・ザ・ポール”は「ナイキ SB」とロドリゲスの10足目のコラボシューズ。アシンメトリーで奇抜なデザインから、リセール市場では定価(税込1万8150円)の3~5倍で取り引きされているレアモデルだ。

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「ジルスチュアート」から八重桜をイメージしたコレクションが登場

 「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」は2月25日、花びらが幾重にも重なり合う華やかな八重桜をイメージした春限定コレクション“Crystal Bloom Sakura Bouquet”を発売する。八重桜にインスパイアされたチークやリップスティック、ティントリップ、フレグランス、ハンドクリームをそろえる。

 チークパレット“サクラブーケ ブルーム ミックスブラッシュ コンパクト”(税込4620円)は可憐で優美な八重桜の花と葉をイメージしたローズピンクをセットにした。コンパクトの天面とパウダー部分には八重桜のモチーフを施している。リップスティック“サクラブーケ ルージュ リップジュエル ジェミーサテン”(全2色、各同2420円、限定ケース同1540円)は満開の桜のような愛らしいピンク“106 cherry waltz”とひらひら舞う花びらのように上品なカシスローズカラー“107 fluttering petals”が登場。限定のケースも桜の花びらが散り舞う様子を描いた。ティントリップ“サクラブーケ マイリップス”(全1色、同3080円)は桜色のスティックが唇の水分に反応して、自分だけのピンク色に変わる。新芽から見え隠れする生まれたての桜の花びらをイメージした淡いピンクに、ブルー、レッド、シルバーの大粒パールを配合し、唇をより美しく演出する。メイクアイテムはシトラスやグリーンアップルのフルーティーな香りに、サクラやジャスミンのフローラルの香りを合わせた。

 フレグランス“クリスタルブルーム サクラブーケ オードパルファン”(30mL、税込6050円)は八重桜の上品で美しい佇まいにインスパイアされた香り。春風とともに八重桜のつぼみが芽吹き、春の訪れを知らせるサクラブルーミングノートにはじまり、ミドルノートはローズやマグノリア、ヘリオトロープといった花々が織りなすサクラブーケノートへ。ラストノートは優美なチュールアコードと、深みがあるシダーウッドが香る。“同パフュームド ハンドクリーム”(40g、同2640円)は美容成分5種類を配合し、手先にみずみずしく潤いと桜の香りを届ける。また桜のモチーフを施した限定のギフトボックス(同385円)も用意する。

 なお、ラグジュアリーホテルのキンプトン新宿東京(KIMPTON SHINJUKU TOKYO)では同コレクションとコラボしたアフタヌーンティーを楽しむことができる。2月11日から、新作のフレグランスからインスピレーションを受けた限定スイーツを提供する。

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ポーラ・オルビスHD21年12月期、営業利益23%増 海外販売が伸びる

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の2021年12月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の1786億円、営業利益が同22.8%増の168億円、経常利益が同50.8%増の189億円、純利益が同153.3%増の117億円だった。主力ブランドの「ポーラ(POLA)」の国内ECや海外事業が好調に推移した。

 「ポーラ」は、売上高が同2.2%増の1051億円、営業利益が同49.8%増の163億円だった。委託販売に苦戦するも、国内ECの売り上げが同49.8%増、海外が同24.6%増と伸長した。

 「オルビス(ORBIS)」は、売上高が4.5%減の433億円、営業利益が同19.1%減の59億円だった。シワ改善・美白ケアの“リンクルホワイト”シリーズなど高機能のスペシャルケアが後押しし、スキンケアカテゴリーは前年を上回る水準まで伸長した。海外では中国市場で主要ECプラットフォームの売り上げが伸長したが、国内事業の売り上げ減少をカバーできなかった。

 育成ブランドに掲げる「スリー(THREE)」は、売上高が同4.2%減の70億円、営業損益が13億円の赤字(前期は9億円の赤字)だった。ポイントメイクカテゴリーが苦戦した。

 通販を中心に展開する敏感肌向けスキンケアブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。新規顧客の獲得と既存顧客の活性化が寄与し、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。

 22年12月期連結決算は売上高が前期比4.1%増の1860億円、営業利益が同4.8%増の177億円、経常利益が同6.7%減の177億円、純利益が同1.4%増の119億円を見込む。

 今後の取り組みでは、今年創業35周年を迎える「オルビス」は大型商品を投入し、「ポーラ」はOMO施策の強化を図る。また、育成ブランドにおいては、「スリー」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「イトリン(ITRIM)」を要するアクロ全体の黒字化に向け、店舗圧縮やEC比率を高め、スキンケア比率の向上を図る。21年4月に買収したパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」は、3月に直営店のオープンを予定し、ブランディングを強化する。

 同社は、29年をゴールとする長期経営計画を発表した。化粧品事業のグローバル展開とフブランドポートフォリオの改革と拡充、新価値を創出し事業の領域を拡張、研究・技術戦略の強化、と3つの戦略を掲げ、29年の売上高3000億円、海外売上高比率30〜35%、営業利益率15%以上を目標に掲げる。

 さらに、同社で定めたプラスチック循環方針に基づき、29年までに化粧品プラスチック容器や包材について100%サステナブルな設計にする目標を決定した。グループ全ブランドにおいて、22年7月以降、商品購入時に渡していたショッピングバッグ(買い物袋)の配布を廃止する。

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ポーラ・オルビスHD21年12月期、営業利益23%増 海外販売が伸びる

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の2021年12月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の1786億円、営業利益が同22.8%増の168億円、経常利益が同50.8%増の189億円、純利益が同153.3%増の117億円だった。主力ブランドの「ポーラ(POLA)」の国内ECや海外事業が好調に推移した。

 「ポーラ」は、売上高が同2.2%増の1051億円、営業利益が同49.8%増の163億円だった。委託販売に苦戦するも、国内ECの売り上げが同49.8%増、海外が同24.6%増と伸長した。

 「オルビス(ORBIS)」は、売上高が4.5%減の433億円、営業利益が同19.1%減の59億円だった。シワ改善・美白ケアの“リンクルホワイト”シリーズなど高機能のスペシャルケアが後押しし、スキンケアカテゴリーは前年を上回る水準まで伸長した。海外では中国市場で主要ECプラットフォームの売り上げが伸長したが、国内事業の売り上げ減少をカバーできなかった。

 育成ブランドに掲げる「スリー(THREE)」は、売上高が同4.2%減の70億円、営業損益が13億円の赤字(前期は9億円の赤字)だった。ポイントメイクカテゴリーが苦戦した。

 通販を中心に展開する敏感肌向けスキンケアブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。新規顧客の獲得と既存顧客の活性化が寄与し、売上高が同0.9%増の55億円、営業利益が21.4%増の8億円と伸長した。

 22年12月期連結決算は売上高が前期比4.1%増の1860億円、営業利益が同4.8%増の177億円、経常利益が同6.7%減の177億円、純利益が同1.4%増の119億円を見込む。

 今後の取り組みでは、今年創業35周年を迎える「オルビス」は大型商品を投入し、「ポーラ」はOMO施策の強化を図る。また、育成ブランドにおいては、「スリー」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「イトリン(ITRIM)」を要するアクロ全体の黒字化に向け、店舗圧縮やEC比率を高め、スキンケア比率の向上を図る。21年4月に買収したパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」は、3月に直営店のオープンを予定し、ブランディングを強化する。

 同社は、29年をゴールとする長期経営計画を発表した。化粧品事業のグローバル展開とフブランドポートフォリオの改革と拡充、新価値を創出し事業の領域を拡張、研究・技術戦略の強化、と3つの戦略を掲げ、29年の売上高3000億円、海外売上高比率30〜35%、営業利益率15%以上を目標に掲げる。

 さらに、同社で定めたプラスチック循環方針に基づき、29年までに化粧品プラスチック容器や包材について100%サステナブルな設計にする目標を決定した。グループ全ブランドにおいて、22年7月以降、商品購入時に渡していたショッピングバッグ(買い物袋)の配布を廃止する。

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「オールバーズ」が天然藍でシューズを染めるサービスを提供

 サンフランシスコ発のサステナブルブランド「オールバーズ」が徳島の藍師・染師ワタナベズ(Watanabe’s)と協業し、シューズを染めるサービスを開始した。2月28日までの期間限定で実施する。

 所有する「オールバーズ」のシューズを店頭に持参すると、約1ヶ月後に天然藍で手染めしたものを受け取ることができる。原宿店、丸の内店のほか、2月3日にオープンした大阪店でもサービスを提供する。価格は大人サイズが5500円、キッズモデル(Smallbirds)が2200円(税込)。

 「オールバーズ」は2021年にワタナベズとのコラボレーションモデル、ウールランナー ワタナベズ ジャパニーズ インディゴを販売しており、今回が2回目の協業となる。

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⾼⾒侑⾥アナがモデルデビュー 「ロペピクニック」の新作ジーンズでピクニックデートを画策中!?

 ジュンの「ロペピクニック(ROPE PICNIC)」は、フジテレビ系「めざましどようび」のエンタメ担当キャスターを務める⾼⾒侑⾥フリーアナウンサーを起用した新作ジーンズのキャンペーンビジュアルを公開した。⾼⾒がモデルを務めるのは今回が初だという。

 働く女性に向けてビジネスシーンにもフィットするジーンズスタイルを提案する内容で、高見は“ハイテンションスキニーパンツ”(税込5489円)や“バックレースアップアイラインスカート”(6039円)などを着用。「ジーンズで思い出すのは、主人との菜の花畑デート(笑)。今回の撮影を通じて、はきやすさやシルエットの良さにビックリしたので、次はこのジーンズをはいてピクニックデートに行きたい!」と話した。

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“エア ジョーダン 1 ハイ 85”の新色“カレッジ ネイビー”が発売

 ナイキ(NIKE)傘下の「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」は、“エア ジョーダン 1 ハイ 85(AIR JORDAN 1 HIGH ’85)”の新色“カレッジ ネイビー(COLLEGE NAVY)”を2月16日に発売する。価格は税込2万3100円で、「ナイキ」のスニーカー専用アプリ「スニーカーズ(SNKRS)」などで取り扱う。

 “エア ジョーダン 1 ハイ 85”は、1985年に発売した“エア ジョーダン 1”のオリジナルモデルのディテールを忠実に再現した復刻シリーズだ。今回の“カレッジ ネイビー”は、NCAA(全米大学体育協会)のバスケットボール男子部門に所属し、元NBA選手のアレン・アイバーソン(Allen Iverson)の出身校であるジョージタウン大学のユニホームカラーがモチーフ。カラー名の通り、オーバーレイとサイドのスウッシュをダークトーンのネイビーで染め上げ、クォーターパネルをはじめとするアンダーレイにはホワイトを配色している。オリジナルモデルを再現するために、ナイロン素材を用いたシュータンを淡いクリームに、シューレースを黄味がかった色合いにしているのが特徴だ。

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“エア ジョーダン 1 ハイ 85”の新色“カレッジ ネイビー”が発売

 ナイキ(NIKE)傘下の「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」は、“エア ジョーダン 1 ハイ 85(AIR JORDAN 1 HIGH ’85)”の新色“カレッジ ネイビー(COLLEGE NAVY)”を2月16日に発売する。価格は税込2万3100円で、「ナイキ」のスニーカー専用アプリ「スニーカーズ(SNKRS)」などで取り扱う。

 “エア ジョーダン 1 ハイ 85”は、1985年に発売した“エア ジョーダン 1”のオリジナルモデルのディテールを忠実に再現した復刻シリーズだ。今回の“カレッジ ネイビー”は、NCAA(全米大学体育協会)のバスケットボール男子部門に所属し、元NBA選手のアレン・アイバーソン(Allen Iverson)の出身校であるジョージタウン大学のユニホームカラーがモチーフ。カラー名の通り、オーバーレイとサイドのスウッシュをダークトーンのネイビーで染め上げ、クォーターパネルをはじめとするアンダーレイにはホワイトを配色している。オリジナルモデルを再現するために、ナイロン素材を用いたシュータンを淡いクリームに、シューレースを黄味がかった色合いにしているのが特徴だ。

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これからの地球のために何ができるか? 「ジョニーウォーカー」がサポートしたイベントにエリーローズ、CHAIらが出演

「WWDJAPAN」は1月7日、スコッチウイスキーブランドの「ジョニーウォーカー(JOHNNIE WALKER)」をサポーターに迎え、イベント“WWDJAPAN Circle”の第2回を東京・青山のウォールアンドウォール(WALL & WALL)で開催した。“WWDJAPAN Circle”は、専門家やインフルエンサーと共に、環境や社会問題、ジェンダー、働き方といった社会的なテーマを、読者やユーザーと考える参加型企画。正解がない問題だからこそ、個人が意見を持ったり無理なくできることを実践したり、それぞれが“自分ごと化”できることを目指す。

第2回のコンセプトは「1日の終わりに明日の大地を考える」。「ジョニーウォーカー」は、2025年までに「スコットランドの劣化の激しい泥炭地88haの修復と、100万本の植林」を目標に掲げ、2030年までに「全ての蒸留所で100%再生可能エネルギーを使用」することを目指すなど、実現にコミットしたサステナビリティ計画を発表している。異常気象が身近に感じられるようになってしまった今、私たちがこの地球を守り、これからの人生を楽しむためにはどんな選択をすべきか?これらを考えるべく今回は、長野県大町市でリンゴを原料としたハードサイダーを製造する「サノバスミス」の取締役化学者・醸造責任者の池内琢郎a.k.a.ハカセと、モデルのエリーローズを招き、トークを行った。イベント後半では、世間の決まった価値観に流されず、独自の世界観を広げ続けているロックバンドのCHAIがライブを披露した。

環境変化による被害や
サステナブルを推し進める町から、
今できることを学ぶ

CHAIが未来を明るく照らす
9曲を披露

イベント後半では、今や世界的な活躍を見せるロックバンドのCHAIが、ピンクのフリルドレスで登場。約40分にわたって演奏を行った。ボーカル・キーボードのマナは、「持続可能な未来を作っていくためには自分らしい意見とか意志が大事になってくると思っていて。CHAIもそれぞれ一人一人に違う個性があるのがすごい良くて、音楽の楽しみ方も同じだと思う。それぞれの楽しみ方であなたらしく最後までエンジョイしてってね!」と明るく語りかけた。ライブでは、タイトなリズムとパワフルな演奏に圧倒される代表曲「N.E.O.」や、ベースのユウキとドラムのユナがDJブースにまわり、双子のマナとギターのカナが踊りながら歌う「PING PONG! (feat. YMCK) 」など、構成や楽曲のムードを自在に変化させながら、最後は「どんな夢をこの先で歌いながら叶えよう?」という前向きな歌詞に背中を押される「フューチャー」で締めくくった。

リンゴを余すことなく
使ったオリジナルカクテル

イベント当日は、オリジナルレシピのドリンクが振る舞われた。「ジョニーウォーカー」を代表する“ブラックラベル12年”をベースに、リンゴやハチミツ、ジャスミンティーを合わせたカクテルで、リンゴは皮も含めて絞ってジュースにし、残りを食感も楽しめるキューブ状に。また飾りとして、農家が廃棄予定だったエディブルフラワーを添えて、サステナブルに楽しめる一杯に仕上げた。

イベントのアーカイブ動画も公開

トークパートとライブパートをまとめたアーカイブ動画を公開した。なお、動画は5月13日までの限定となる。

ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。お酒は楽しく適量で。
妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。のんだあとはリサイクル。
PHOTO : MASASHI URA
STYLING(ELLI-ROSE) : NIMU(makiura office)
HAIR & MAKEUP(ELLI-ROSE) : MARIKO ADACHI
エリーローズ着用トップス、ボトム/CFCL、サンダル/スタイリスト私物
問い合わせ先
ディアジオ ジャパン
03-3470-8287

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「クレイグ グリーン」2022-23年秋冬メンズ・コレクション

 「クレイグ グリーン(CRAIG GREEN)」が2022-23年秋冬メンズ・コレクションを発表した。

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「オペラ」の人気マスカラがエコなパッケージに刷新 価格も999円に値下げ

 「オペラ(OPERA)」は、人気の速乾フィルムマスカラ“マイラッシュ アドバンスト”(税込999円)の価格とパッケージを刷新する。価格は従来の1046円から999円に値下げ。3月からドラッグストアやバラエティーショップ、大型スーパーなどで順次発売する。

 同商品は、累計出荷本数1000万本を記録するロングセラーマスカラ。“ナチュラルなまつ毛”をシンプルに追求してきた中で、今回パッケージもミニマルに一新するため、外装のプラスチックを8割削減。これにより販売価格を下げることができた。パッケージはリユースできるデザインで、開封後はポーチとしても利用できる。

 また、4月27日には新色となるテラコッタブラウンを発売。深みのあるブラウンをベースにほのかな赤みをプラスしたレンガ色で、まつ毛1本1本を際立てながら、あか抜けた目元を演出する。

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BLACKPINKのLISA出演、「セリーヌ」のパフュームコレクション広告キャンペーン

 「セリーヌ(CELINE)」はグローバルブランドアンバサダーであるBLACKPINKのLISAが出演するパフュームコレクション、セリーヌ オート パフューマリー(CELINE HAUTE PARFUMERIE)のキャンペーンビジュアルを公開した。キャンペーンビデオはエディ・スリマン(Hedi Slimane)=アーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクターが撮影。LISAはアイコニックなショートボブに前髪のあるスタイルで登場する。BGMは1990年にリリースされたザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)の楽曲、「ペール・ブルー・アイズ(Pale Blue Eyes)」。

 LISAは2020年9月に同ブランドのグローバルアンバサダーに就任し、定番ライン"セリーヌ エッセンシャル(CELINE ESSENTIALS)"のキャンペーンにも登場した。また21年2月には「ANDAMファッション・アワード(ANDAM Fashion Award)」の審査員に抜てきされている。セリーヌ オート パフューマリーのグローバルブランドアンバサダーには21年12月に就任し、初のキャンペーンビジュアルも公開した。また「セリーヌ」2022年春夏コレクションのランウエイにも登場している。

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ウィゴーがユニセックスの新ライン「ザ・スタンダード」立ち上げ

 ウィゴー(WEGO)は、ユニセックスの新ライン「ザ・スタンダード(THE STANDARD)」を2022年春夏シーズンに立ち上げた。ユニセックスブランド「ナンバー(NO.)」の一宮武史がディレクターを務める。シーズンごとにデザイナーが変わる「ナンバー」と同じデザイン体制で、ウィゴーのプロジェクトチームと協業して商品開発を行う。2月19日にウィゴーの一部店舗で先行販売し、3月7日から全店舗と公式ECサイトで販売する。

 コンセプトは、“Utility for your style”。シンプルで合わせやすく、適度にトレンド感を取り入れた定番服を提案する。ファーストコレクションは、リラックス感のあるシルエットのデニムジャケット(税込4999円)やデニムワイドパンツ(同2999円)、ボックス型のクルーネックTシャツ(同1599円)、パーカ(同2999円)など全22型を用意した。ユニセックスで、サイズはS〜Lをそろえる。

 2月23日〜3月1日には、阪急メンズ東京でポップアップショップを開く。全コレクションをラインアップし、コレクションビジュアルを手掛けたフォトグラファーの名越啓介の写真をプリントした限定Tシャツも販売する。

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「マキアージュ」からカスタマイズ可能な大人メイクパレット限定発売 資生堂創業150周年記念で

 資生堂のメイクアップブランド「マキアージュ(MAQUILLAGE)」は3月21日、資生堂創業150周年を記念してメイクパレット“ドラマティックパレット”(全2品、税込各4400円※編集部調べ)を数量限定で発売する。2種の大人メイクを提案し、別売りのカラーアイテムを組み合わせることで“自分だけのパレット”が完成する。

 “ドラマティックパレット”は、好みの仕上がりやシーンに合わせて選べる2種を用意。好きな色や旬な色、質感を楽しみながら自分だけのパレットがつくれる既存の“ドラマティックアイカラー”の限定色と、3月21日発売の“ドラマティックリップカラー”“ドラマティックチークカラー”のおすすめカラーがセットされている。

 大人の上質で華やかなメイクがかなう“スイッチモードカラー”は、アイは限定のミモザカラー(YE150)、リップはストロベリージュレ(RD432)、チークは自然な血色感が生まれるアップルマカロン(RD322)をセット。リラックス感のある大人のキレイめカジュアルメイクがかなう“リラックスモードカラー”は、アイは限定のラベンダーシュガー(VI150)、リップはチェリージュレ(PK431)、チークはアップルマカロン(RD322)をセット。

 パレットにはカスタマイズ部分も用意され、別売りの“ドラマティックパウダリー EX”や“カスタマイズシリーズ”から好きな色をセットすることが可能。自分だけのオリジナルパレットが完成する。パッケージは、リボンがギフトにかかった瞬間をイメージしたデザインとなっている。

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イベント運営に関する全てがワンストップで完結するプラットフォーム「イベントリー」とは

 セミナー、見本市、コミュニティー運営など、顧客との双方向マーケティングとしてさまざまなイベントを実施する企業が増えるなか、その集客や顧客情報の活用が課題になっている。ヨーロッパ生まれ、日本育ちのイベント運営プラットフォーム「イベントリー(Eventory)」は、イベント開催前の告知や参加者データ管理から、イベント配信、イベント終了後の分析までをワンストップで行うことができるイベントDXソリューション。

 動画配信はZoom、録画アーカイブはYouTube、さらにアンケートツール、チャットツール、メール配信CRMなど、個々のサービスを組み合わせる必要がなく、全てオールインワンで運用可能なサービスをサブスクリプション(月額定額制)で提供している。

 Zoomなどの外部配信プラットフォームを使わない独自配信が可能なため、広告表示や個別サービスの事前登録など、離脱のきっかけとなる要素を軽減することができるほか、ユーザーの参加履歴や行動情報と紐づけてアフターフォローにつなげることも可能となる。

 また、オフラインイベントもスマートフォンのアプリを使って管理可能。参加者がオンラインとオフラインのどちらに参加したか、どのタイミングで移行したかなどを履歴として管理することができ、オンライン・オフライン同時開催の場合にも活用できる。

 このほか、ユーザーの業種や参加履歴など、属性ごとにラベル管理を行ったり、別途メーラーなどを使わずにサービス内でメールを送ることも可能。それぞれの属性に最もリーチしやすい情報を送るなど、その後のコミュニケーションにつなげることができる。

 イベント運営に必要な全てがひとつのサービスで完結される「イベントリー」。オンラインとオフライン、ハイブリッドな開催が主流となる今後のイベント運営にも活用が期待できそうだ。

問い合わせ先
イベントリー ジャパン
(運営会社:インディヴィジョン)
https://eventory.jp/contact/

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美肌研究家ソンミの「ミース」が絶好調 「肌が変われば、世界が変わる」【ネクストリーダー2022】

 美肌研究家のソンミが2019年3月に立ち上げたスキンケアブランド「ミース(MEETH)」の勢いが止まらない。同ブランドは“美肌は最高のジュエリー”をコンセプトに誕生。「肌がきれいだと人生が変わる」というメッセージを発信し、美肌についてとことん追求したスキンケアをそろえる。国内外で展開するなど“美容通”からの支持も高く、右肩上がりで成長し続けている。今年はインナーケアに特化した食のブランド「アンドミール(&MEAL)」を本格的にスタート。「美肌に関係するもの以外は絶対に発売しない」と強い意思を持つソンミが、思い描く世界とは?

WWD:今年はブランド誕生から3周年を迎える。改めて「ミース」を立ち上げたきっかけは。

ソンミ・ミースCEO兼美肌研究家(以下、ソンミ):「ミース」は、自分のコンプレックスから誕生した。芸能活動をしていた20代の時は他の人と容姿を比べてしまうことが多く、自分の欠点に目が行きがちだった。コンプレックスを克服しようと努力するよりも、自分の魅力を磨くことの方が自信への近道だと思い、褒めてもらうことが多かった「肌」を磨くために、20代半ばから、デパートコスメからドラッグストアコスメまで千以上もの化粧品を試してみたり、多くの美容法を取り入れたりしてみた。とにかく“良さそう”と思うものはトライして、その中で自分が気になった製品は成分について製造元に問い合わせるなど、とにかく自分なりの美肌の研究に没頭していた。

WWD:気になるものがあればすぐ行動に移した。

ソンミ:本気で自分がおすすめしたい製品というのは片手に収まる程度だったが、それをSNSで紹介したら「同じものを使ったら肌がきれいになりました。本当に涙が出そうです。ありがとうございます」というメッセージをいただくようになった。良いと思ったモノを発信して喜んでもらえたことが、自分にとっても喜びであると感じた。30歳を目前に自分の肌が変わる中で、本当に使い続けたいと思うアイテムを作りたいと思い立ち、「ミース」を立ち上げた。

WWD:自己資金300万円を元手にスタートした。

ソンミ:ビジネスの勉強をしたわけでもなく、会社勤めの経験もない中、たった1人で始めたので不安しかなかった。ただ、当時から今も変わらず胸のなかにあるのは「人生が変わるような化粧品を作る」ということ。「肌」がきれいになると前向きになり、振る舞いも代わり、チャンスが生まれる。私自身「ミース」を始めて人生が変わったと思っている。この3年間はそれだけを追求して、とにかく無我夢中だった。

WWD:現在は12SKUをラインアップする。

ソンミ:炭酸ガスパックから始まり、クレンジング、オイル美容液、クリームなどスキンケア製品を揃えている。ブランドのアイコンでもある化粧水“モアリッチエッセンシャルローション”は嬉しいことに、昨年10月から北海道・岩内町のふるさと納税返礼品に採用されている。同化粧水は岩内町の海洋深層水をベースに製造していることから選んでいただいたが、申し込みが前年度に比170%増だったと、町長さんから喜びのご連絡をいただいた。肌をきれいにしたいと思いながら作っていた製品が町おこしに繋がり、社会に貢献できるというのにスキンケアの可能性を感じた。

WWD:「ミース」は開発する製品によって工場を選定しているのも特徴だ。

ソンミ:自分の目で確かめたいので全ての工場に出向き、それぞれ得意分野が異なる工場から選んで取り引きしている。国内では6社と取り組んでいるが、「ミース」の強みである製品力をさらに高めるべく、韓国の江南区にブランド初となる化粧品開発研究所を昨年設立した。日本の繊細な技術は誇りに思いながらも、美容大国とも呼ばれている韓国の美容医療や研究も素晴らしい。日本と韓国の技術を融合しながら、美肌を追求するための商品を開発していく。

WWD:ファンの声を製品開発に生かすこともある。

ソンミ:「ミース」は自分のコンプレックスから始めたブランドであり、お客さまに寄り添いながらも自分が良いと思える製品を生み出してきたが、お客さまの悩みを解決する製品を作りたいという思いもあったため、2周年のタイミングで「商品企画プレゼン会議」を実施した。「ミース」のお客さまには、成分をも把握しているとても意識の高い方が多い。そういったお客さまが欲しいと思う商品をプレゼンしてもらい、採用された方と一緒に作るという企画で、その中で選ばれた方と一緒に、9カ月ほど毎月お会いして開発を進め、8割がた完成に近づいている。

WWD:新しいことに挑戦し続けている。

ソンミ:「肌」をきれいにするためなら、どんなことでもチャレンジしたいと考えている。ただ、化粧品だけでは限界がある。ある日、「ミース」を使っても肌の変化が感じられないというお客さまがいたのでヒアリングしたら、食生活が乱れていたことが分かった。その食生活を改善できない限り、スキンケアブランドになれないと強く感じた。スキンケアブランドとしての在り方を考え、内側からも外側からもサポートできるようになりたいと思い、栄養学の専門学校に通った。そこでドクターや栄養士、料理家など各分野のプロとの出会いがあり、協業してフード事業「アンドミール(&MEAL)」を立ち上げた。

WWD:「アンドミール」のこだわりは?

ソンミ:例えば、製造過程では添加物を使いたくなかった。肉の挽き方や野菜の洗い方一つをとっても自分のこだわりが強すぎて、受け入れてくれる工場が見つからなかった。さすがに断られ続けたので、断念しようとも思ったが、それだと“スキンケアブランド”ではなくなると思い、人生をかけて、自分たちで製造から配送までしようと決意し、自社工場をゼロから作り上げた。最初はEC販売で、人の体が変わると言われる7日間分のスープセット(7食)と、オートミールのクッキーを用意する。

WWD:本気度がうかがえる。

ソンミ:私たちは「おいしいだけ」のブランドではなく、「体や肌に優しい」だけのブランドでもない。「肌がきれいになる」ことは「体が健やかになる」ことだ。全てを掛け合わせて展開するのが「アンドミール」。マインドが変わると行動が変わり、それが習慣になり、結果、肌がきれいになることにつながると思っている。「ミース」も「アンドミール」も、ただ商品を販売して終わりではなく、美肌になった先まで想像してもらえるようなブランドにしたい。販売だけではなく、その先につながるようSNSでのコミュニケーションにも注力する。まずは、食の大切さを多くの方に知ってもらうことを使命とし、ゆくゆくはショップをオープンしたいと考えている。

WWD:今後「ミース」も店舗を増やしていくのか?

ソンミ:昨年は定期的に百貨店でポップアップを開催し、常設のお話もいただいたが、「ミース」はお客さまとの信頼で繋がっているので、国内においては、自分の目が行き届く範囲かつ、しっかりと接客ができてブランドの世界観を守れる範囲でとどめておきたいと今の時点では思っている。一方でお客さまの利便性を高めるために、ショールーミングストアの「ミース タッチアップ ラボ (meeth touch up lab)」(東京・表参道)では、2月に製品の販売を開始した。自分の経験からゆっくり製品を知っていただける場所にしたいという思いがあり、お客さまご自身のタイミングでECで購入いただくという形態をとっていた。しかし、初めて来店されたお客さまから「ラボで体験した製品をそのまま購入したい」という声が多かったので店頭販売を決めた。ただ、肌診断機を使ったカウンセリングやアドバイスなどラボとしての役割は変えない。

WWD:海外展開は?

ソンミ:中国、台湾、ロシア、ベトナム、韓国、シンガポールで販売している。海外の売り上げ構成比率は3割で、特に台湾では20年に“モアリッチパック”が台湾の美容大賞である「女人我最大賞」パック部門で大賞受賞し、翌年はボディケア部門で「総合ボディオイル賞」を受賞するなど、日本に次いで好調に推移している。今年1月には、海外初の直営店をシンガポールにオープンした。

WWD:国内外問わず着実にファンを増やしている。

ソンミ:「ミース」が「ソンミのブランド」というところから脱却したいと思っている。嬉しいことに最近では、私の顔を知らなくても製品を支持してくれる方が多い。ある女優の方にコスメ企画で「『ミース』を紹介すると、自分がしっかりモノを選んでいる認識をもってもらえ、自分の価値を高めてくれる」と言っていただけた時には、今までやってきたことは間違いではなかったと確信できた。

WWD:これまでのターニングポイントは?

ソンミ:3年のうち、リブランディングを2回したこと。最初のリブランディングでは、環境に配慮した取り組みの一環としてパッケージを森林循環紙に変え、ベジタブルインクに変更した。そこから、「正しいスキンケアを続ければ、何歳になっても肌は生まれ変わる」と発信するなかで、深刻化する環境問題とともに「ミース」も進化させていかなければと思い、2周年のタイミングで外箱をリサイクル率が高いダンボールに切り変えた。会社の取り組みや在り方を考えながら、お客さまと世の中にどういうことができるのか考え、いろんなことが動き始めた。日々環境に配慮した新しい容器が出ているので、変化を恐れず、積極的に変えていきたい。

WWD:スピーディーに環境に配慮した取り組みを行っている。

ソンミ:ブランドを立ち上げた時から動物実験を行わず、廃棄につながる大量生産は行わない。製品はレフィルも用意し、店頭では容器回収を始めた。企業としてSDGsへの取り組みは使命。まだまだ発展途上だが、できるところから確実に変えていく。これまでもこれからも、「肌が変われば、人生が変わる」そして「スキンケアで肌が変わると社会も世界も変えていける」という思いを持ち続け、進化していきたい。

WWD:今後の展望は。

ソンミ:3月に新ブランド「クレイビュ(CRAYBEAU)」を立ち上げる。ブランド名は「クレイジービューティ」の造語で、コンセプトは“狂おしいほどに美しい”。友人から「ソンミの肌はがんばってケアしている肌だ。」と言われたのがきっかけ。最初は「がんばることは恥ずかしいのか?」と衝撃を受けたが、私の周りにいる美しい人は正しい努力をしていると思うし、年齢関係なく肌がきれいな人はかっこいいとも思っている。人生は平等ではないと言われるが、スキンケアは平等。正しくケアすれば、肌は必ず応えてくれると思っている。そこで、「最高の美肌」をサポートする最高峰ラインとして誕生させる。

WWD:ブランド領域を広げる。

ソンミ:この先、ビジネスで新しいことを始めたとしても肌に関係すること以外、絶対しないと決めている。この1年は「ミース」「アンドミール」「クレイビュ」の3ブランドをしっかり育成し、「肌が変われば、人生が変わる」ということをメッセージとして伝え続けていきたい。


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中国で増すローカルブランドの存在感 「メイド・イン・チャイナ」を誇りに掲げる新鋭デザイナー【ネクストリーダー2022】

 中国のメンズウエアブランド「K-ボクシング(劲霸男装、K-BOXING)」を手掛けるホン・ボーミン(洪伯明、Hong Boming)最高経営責任者(CEO)兼クリエイティブ・ディレクターはトレードマークの“中国製のジャケット”を武器に、ブランドの成長をけん引する。42年続く家族経営ブランドを引き継いだ“3代目”として、「メイド・イン・チャイナ」への誇りを貫き、国内での存在感を増している。カーボンフットプリント(CO2e・温室効果ガス)を算出できるQRを導入するなど、サステナビリティを意識した新しいジャケット開発にも取り組み、事業拡大を目指す。中国およびアジア発のファッションをどのように見据え、どうブランドを導いていくのか。

WWDJAPAN(以下、WWD):ファッション事業を継ぐまでの経緯は?

ホン・ボーミンCEO兼クリエイティブ・ディレクター(以下、ボーミンCEO):中国の四字熟語に、水到渠成(すいとうきょせい)という言葉がある。「然るべき物事は、自然とうまい具合に進行する」「流れに任せてしまえばよい」といった意味を持つが、まさに自分の境遇を言い表す言葉だと思う。“3代目”として生まれて幼い頃からファッションに触れるにつれて、家族や会社に対する責任感が育ち、自然と「K-ボクシング」に参加したいと思うようになっていった。大学では工業デザインを専攻し、副専攻でファッションデザインを学んだ。製品開発や人事、テクノロジーなどの方面で知識とビジネスのノウハウを身につけ、ファッションビジネスの基礎を築いた。入社したのは、2017年。家のルールに従って、見習いとしてスタートした。その後19年にCEO兼クリエイティブ・ディレクターに就任した。

WWD:歴史あるブランドをどう導く?

ボーミンCEO:継承は起業活動で、相続はイノベーションだ。“3代目”として会社を存続させるためには、起業家精神の養成と人一倍の努力が必要。業界で活躍を続けるブランドであるために、商品設計からクリエイティブまで、新鮮でインターナショナルな視点を加えていきたい。急速に成長する中国市場や消費者の購買動向の変化、メディアの発達によるコミュニケーション方法の進化を受けて、会社も大きな転換期を迎えると感じていたので、自分なら貢献できると思った。経営戦略や体制の在り方、マネジメントなど、3代目であるからこそ見えてくる課題を意識して、進化を続けたい。これまでのヘリテージを大切にしながら、時流をつかんでいくことは大切だ。

WWD:これまでのキャリアで苦労したことは?

ボーミンCEO:私のバックグランドは挑戦の機会をたくさんくれたが、プレッシャーでもあった。比較的若くしてCEOになったので、社会経験やマネジメントスキル、市場分析力、素材についてはこれからもっと学んでいく必要がある。生活者のニーズや意識はより細かく、高まる一方だ。購買に慎重で品質が良いものを好み、デザイン性もあって着心地が良いだけでなく、ブランドの理念と共感するかどうかも細かく見ている。ライフスタイルや好みの変化に適応していくことに難しさを覚える。また、ブランドの知名度が上がるにつれ、ビジネスを超えて、社会的な責任の重さを感じるようになった。生活者と対話をするためにはビジネスをするだけでなく、ポジティブなメッセージや付加価値の創出が不可欠となった。

WWD:中国国内での人気をどう獲得した?

ボーミンCEO:社会が多く変わり、働く時のファッションにも変化が生まれ、スーツが徐々にカジュアルなジャケットに変わっていった。今やジャケットを着ていることが、ビジネスのコミュニティーでは企業家としての自立や余裕を表すシンボルになっている印象を受ける。「K-ボクシング」は当初からジャケットに焦点を当て、30〜45歳のメイン顧客層に着実にリーチした。ジャケットに精通するブランドイメージを確立し、中国で生活を送る男性に自信を与える存在に育っていった。21年9月には、新たに“ニュー・プレミアム・ナショナル・プロダクト”をコンセプトとして打ち出した。この“プレミアム”は値段に限定するものではなくて、最高の体験と“ちょっといい自分”になるための特別感を指すもの。ブランドの歴史と我々が提供する品質にコミットするために、「メイド・イン・チャイナ」を前面に出した。同時期に万里の長城でメンズジャケットにフォーカスを当てたショーを開催。中国のローカルブランドのファッションが注目を集めているという世の動きをキャッチしていった。

WWD:中国のローカルブランドが人気を集める理由は?

ボーミンCEO:中国が国として経済成長して文化的にも成熟してきたことで、国内のブランドに焦点があたり、誇りが生まれていると感じる。世界で存在感を増すようになるにつれて若い世代のアイデンティティーの形成においても一翼を担い、自己表現の幅を広げた。国家開発計画で「ファッション、ビューティ、繊維、そのほかの消費財の多くでハイエンドのローカルブランド育成に力を入れていく」ことが提案されていることも大きいだろう。

WWD:サステナビリティに配慮したスーツとは?

ボーミンCEO:“カーボンフットプリント・スーツ”と題し、カーボンフットプリント(CO2e・温室効果ガス)の計測に着手した。製品についているQRコードをスキャンすることで、素材の調達から店頭に並ぶまでの排出量が一目でわかるものを、ジャケットとパンツ、コットン製のTシャツで展開。中国では初めての取り組みだ。19年には国内で初めて気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)に参加し、21年に中国紡織工業連合会(China National Textile And Apparel Council、CNTAC)が提唱するカーボン・ニュートラルを促進するプログラムに加わった。責任ある購買や新しいライフスタイルの後押しになるような提案をし、持っているだけで良い気持ちになるような商品として愛されてほしい。

WWD:中国発のファッションの可能性は?

ボーミンCEO:これからの躍進に非常に自信がある。中国の国としての成熟は、中国のファッションやブランドがグローバルに世界の舞台で輝く可能性を提供する。純粋な「メイド・イン・チャイナ」からより高性能に生産して「スマート・メイド・イン・チャイナ」に、さらにクリエイティブなモノづくり、「クリエイティッド・イン・チャイナ」と成長していくと期待する。中国のように規模の大きい市場においてローカルブランドは、生活者や国の文化をよく理解しているので、迅速かつ的確にビジネスを展開できるという利点がある。文化の盗用のリスクも少なめ。その分ブランドの未来を見据え、長期的な成長戦略とともにサステナブルな製品を作っていくなど、進化を絶え間なく続けている。ますます多様化するライフスタイルと生活者の質の高いニーズに適応する力で、世界的に認知されていくだろう。

WWD:これからの目標は?

ボーミンCEO:現在の「K-ボクシング」を支えているコアな生活者は中国が中心で、今後もそこはブレない。2020〜22年にわたって、ミラノ・ファッション・ウイークでこれまで3回ショーを発表し、アジアの美学とイタリアのエレガンスが融合したコレクションを届けた。インターナショナルなプラットフォームでの露出はこれからも増やしていくつもりだ。今後も社会的に良いインパクトを残しているかを確認しながら、良い未来に向かって生活者と一緒に歩んでいきたい。


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洋服との出合いでワクワクを 笑顔あふれるライフスタイルを創造【ネクストリーダー2022】

 オフィススタイルに定評のある月額制レンタルサービスがエアークローゼット(AIRCLOSET)だ。スタイリストがユーザー1人1人に向けて洋服を選び、新たな出合いを提供している。2015年にサービスを開始し、昨年黒字化を達成。会員数も70万人を突破した。しかし、創業者・天沼聰の夢の実現はまだ始まったばかりだ。

WWD:起業した経緯は?

天沼聰エアークローゼット社長兼CEO(以下、天沼):仲間と何かを切り開いていったり、何かを形作ったりすることがすごく好きで、世の中に何らかの価値を提供したいというのが、そもそもの出発点だ。コンサル時代に起業を考え始め、実業を経験した後に、仲間を誘って3人で起業した。

WWD:なぜ洋服のレンタルサブスクを?

天沼:3人とも「ライフスタイルが豊かになる、人の生活が何か豊かになることをやりたい」が一致していて、「1分でも1秒でもいいから、人々のワクワクする時間を増やそう」というのがスタートだった。そこから「ライフスタイルに一番近くて、かつ、人の心に一番近いものって何だろう」と考えていったときに、ファッションだと。人の肌に触れるもので、長くワクワク感が長く持続する。ファッションの力はすてきだなと。ライフステージも時間の使い方も変わることが多く、忙しい女性たちに、生活リズムを崩さずに新しいファッションにたくさん出合えるサービスができたら、きっとワクワクするんじゃないかと考えた。選ぶのに時間がかかっては本末転倒なので、スタイリストが提案し、実際に着て、外に出ることができるレンタルが良いと思った。さらに返却期限なく、いつでも返せて、また新しいものが届くようにと月額制を採用した。

WWD:スタイリングサービスや物流、クリーニングなどが組み合わさっている。事業化は容易ではなかっただろう。

天沼:ビジネスモデルは定まったものの、3人とも全くファッション業界について知らないし、SNSにさえ業界の知り合いがいなかった(苦笑)。知り合いの知り合いの紹介で何人かに会うことができて、そこからテレフォンショッキング形式で広がっていった。世界的にも前例がなかったので、予測と軌道修正を繰り返しをしてここまできた。常に大変ではあるが、自分たちが作りたい世界観に向けてサービスを構築しているので、とても楽しい。

WWD:ワクワクをお客さまに提供できている実感は?

天沼:サービスを開始して1、2年の時に、返却の洋服と一緒に手紙を受け取った。その方はファッションが大好きで、ファッション業界で働いていたけれど、うつ病になって仕事を辞めて家に引きこもっていた。でも、エアークローゼットを利用するようになって、洋服に出合ったら少しずつ出掛けるようになったという内容で、「今も闘病中だけれど、アパレル業界に復帰して働いています。エアークローゼットを作ってくれてありがとうございました」と。それを泣きながら読んだ。ファッションとの出合い、洋服との出合いという、私たちがコアだと思っている価値を認めてもらえたと感じて、心の底からうれしかった。今でも問い合わせメールなどは全てに目を通しており、お客さまにワクワクしてもらえていると感じている。

WWD:現在注力していることは?

天沼:このコロナ禍で、ウインドーショッピングなど、洋服に出合う機会やきっかけが減っている。より多くの人にワクワクを体験してもらいたいので広報活動を強化している。また、アパレル企業がレンタルやサブスクリプションサービスを始めやすいように、私たちの物流基盤を利用できるようにした。ゼロからエンジニアが作ったシステムや、データサイエンス、人工知能の活用など、私たちの経験やノウハウをシェアすることで業界全体を盛り上げたい。競争が原理原則ではあるが、パイの取り合い以上に、パイを大きくすることを意識している。

WWD:今後は?

天沼:ライフスタイルとして広げたいという最初の思いを考えると、私としては、まだスタートラインに立ったかどうか半信半疑なぐらい。メンズやシニア、マタニティーと領域を広げたり、海外で展開したり、やりたいことがたくさんある。大量生産によって、一人一人が出合うべくして出合う洋服だけではなくなり、廃棄される服が増えている。今後はよりパーソナライズされたファッションが求められるようになっていくと思う。出合うべきアイテムを提案し、「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」というビジョンを実現したい。

WWD:最後に受賞の感想を。

天沼:候補に挙がっていると連絡が来て驚いたが、チームとして長く一緒に働いてきたスタイリストの一人が推薦してくれたと聞いて本当にうれしかった。2月3日でサービス開始7周年。仲間と一緒にやれている環境で、最高だと感じている。


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元AKBこじはるが目指す明るくビジョナリーなリーダー像 商品の先のストーリーを作る【ネクストリーダー2022】

 元AKB48の小嶋陽菜がファッションやビューティのブランド「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」を手掛けていると聞くと、名前だけで、実質はメーカーにお任せというイメージを抱く人も多いだろう。しかし本人に会って話を聞くと、約40人のチームを導き、“ガチ”で会社にコミットしていることに驚く。アイドル経験者だからこそ描けるブランド運営のビジョンとは。

WWD:所属する芸能事務所でECを主販路とするブランドを開始したのが2018年。20年1月からは、新会社heart relationでブランドを運営している。

小嶋陽菜「ハーリップトゥ」ディレクター(以下、小嶋):最初は芸能事務所の中で3〜4人で運営していたが、徐々にお客さまが増えて発注数が多くなり、組織を作って人を増やす必要が出てきた。アパレルの専門知識が何もないままスタートしたので、事業を進める中で生産管理やMD担当者などの仲間を集めてきた。(自分の名前を他社に貸して、あとはお任せという運営方法もあるだろうが)自分の思いがメンバーに伝わり、それがモノ作りに表れ、お客さまにも伝わっていく。全てはつながっているので、仕事の中のどこかだけを切り離すようなことはできない。自分でしっかり見たいという思いが私は強い。同時に、組織としてさらに多くのことをしていくためには、社内で権限移譲を進めていくことも自分の課題だと思っている。

WWD:今は芸能活動とブランド運営とに、それぞれどれくらい時間を割いているのか。

小嶋:ファッション誌の連載などには引き続き出させていただいているが、今はテレビ番組にはほぼ出ていない。毎日オフィスで会議とモノ作りをしており、芸能関係の仕事が入れられない。会議は組織としての定例会議や、毎週2日間、1時間刻みで行っている取引先メーカーとの商談、経営会議などがぎっしりある。発信する全てのコンテンツのチェックやフィードバックも行っているし、採用面接も最終はもちろん、その前の段階から人事担当者の横で聞いていることがある。

WWD:社員数は20人。業務委託やアルバイトも含むと約40人という小さくはない組織だ。

小嶋:昨年は採用を強化し、いかにいいチームを作るかに注力してきた。人が増えたこともあって、21年の会社としての売上高は前年の2倍になった。IT系スタートアップやアパレル、エンタメなど、さまざまな分野出身の社員が混ざっているが、仕事のやり方や考え方がそれぞれ全く異なるので、社内のコミュニケーションに難しさを感じることもある。それぞれの良さをうまく共存させて、この会社らしい、ほかのアパレル企業にはできないオリジナルな価値を作りたいと思っている。新卒入社の社員も含め、いろんな背景を持つ人がこの会社に集まってきてくれたのはすごいこと。できるだけみんなにいい経験をしてもらいたいし、他の会社にいたらできないような面白い体験をしてもらうために自分は頑張りたい。

自分の役割は「インパクトを作り出すこと」

WWD:チームを引っ張る存在として、大切にしていることは何か。

小嶋:シンプルに、いつも明るくいようと思っている。どんなことも人対人だからこそ、みんなが楽しめる空間を作りたい。実際は仕事の細かい部分にまで関わっているので、現実的になり過ぎて物事を小さく考えてしまうこともあるし、毎日そんなに能天気ではいられない。でも、人にはできないインパクトを作るのが自分の役割であり、そのためにはいつもできるだけビジョナリーで、明るく、かわいい子でいたい。自分は比較的現実的なタイプで、本当はもっと“ぶっ飛んだ人”になりたいと思っている。普通の人が思いつかないことを次々と思い描いたり、出せないカードを出したりできる人が私の思い描くリーダーだ。その理想に少しでも近づきたい。それと同時に感じるのは、すばらしいリーダーになるためには時間がかかるということ。たとえ採用を強化して組織作りを頑張っていようが、今この瞬間にはそれはお客さまには関係ない。それよりも、毎日華やかな姿でユーチューブやSNSで発信することの方が短期的には求められている。そこのバランスをどう取っていくかには葛藤もある。

WWD:経営に携わる上で、参考にしている人や本などはあるか。

小嶋:「これを読んだ方がいいよ」と、いろんな人からビジネス本などのリンクはたくさん届くが、まだ1冊も読んでいない(笑)。ツイッターなどで流れてくる、知り合いではない一般の経営者の方が書いている「note」などはよく読んでいる。会社を運営していく上で人がつまずく壁は恐らく一緒なんだと思う。「組織が何人のときにこんな問題が起きる」といった事例にはすごく共感するし、そこに書いてあることは参考にして実践もしている。今はツイッター上に大体の情報があると思う。

WWD:ブランド立ち上げからの4年間で、一番手応えを感じていることは何か。

小嶋:お客さまが「ハーリップトゥ」の服を着てSNSで発信してくださっている姿や、ポップアップショップなどでお客さま同士が交流しているところを見ると、やってきてよかったなと感じる。SNSの投稿を見ていると、自分のことが分からない、自分に自信がないという子が少なくないように感じる。うちの服を着たことで「彼氏にほめられた」「自分に自信が持てた」といったコメントをいただくケースも多く、単に服を届けているのではなく、その先のストーリーを作れているんだなと実感する。「ハーリップトゥ」が前向きに変わるきっかけとなれていることに、一番やりがいを覚えている。

アイドル出身だからこその視点を共有

WWD:ファッションだけでなく、昨年はビューティ分野にも進出した。

小嶋:ビューティはもともと大好きで、4年前のブランド立ち上げ当初から構想はあった。ファッションについても同様だが、いつまでに何をどれだけ販売し、いくら売り上げるといった事業計画を精緻に決め込んでいる会社ではない。いろんな化粧品を使ってきた私自身が「これはいい」と感じるものが完成して、みんなにシェアできると思うまでは販売しない。最初に発売したビューティ商品はUV美容液だ。年齢を重ねて、スキンケアの中でもUV対策が一番大切だと感じるようになって開発に取り掛かった。ほかのスキンケアアイテムにも着手しているが、こだわるあまり「気づいたら1年がたっていた」ということも多く、発売はまだまだ先になりそうだ。ファッションもビューティも絶対に妥協はしたくない。どちらも本気で取り組んでいるが、最近それが本当に大変なことだとつくづく実感している。だからこそ、もっと会社の規模を大きくし、メンバーを増やしていく必要がある。

WWD:AKB48での経験は、今の仕事にどう生かされているか。

小嶋:AKB時代は何ものにも代えられない、非常に貴重な経験だった。体力もメンタルも鍛えられたし、同世代とは見てきた景色が全く違う。人からかけてもらってきた言葉やその数も違う。自分はすごくラッキーだったと思う。小さい劇場でライブをしていた時代から、ファンの方に向けて、こういうことを発信すればこう返ってくるというのをずっと繰り返してきた。こう思っている人にはこう伝えた方がいい、こういう写真を投稿すればこういう反応がもらえるといったことは、マーケティング的に生かされている。今、少しずつ自分がこれまで見てきたものや仕事の中で感じていることを社内で伝えたり、共有ツールにまとめたりするようにしている。普通のファッションやビューティのブランドとは考え方が違う部分も多いだろうし、アイドル出身だからこその私の視点の中には、理解できないものもあるだろうから。そうやって、少しずつ権限委譲を進めていければと思っている。

WWD:ブランドや会社として、今後どんなあり方を目指すのか。

小嶋:お客さまに楽しんでいただくためのリアルな場所を作りたいと思っている。昨年12月に、2週間の期間限定で代官山にカフェをオープンしたら、平日も含めて予約枠がすぐにいっぱいになった。これまでは「ハーリップトゥ」のワンピースを着て旅行に出掛け、その画像をSNSに投稿してくださるお客さまが多かったが、コロナ禍で今はアフタヌーンティーに行くというお客さまが増えている。そういう場を自分たちで作りたいと思って企画したものだ。カフェ出店をへて、リアルな交流の場を作りたいという思いはより強くなった。他にも、ビューティは納得できるものが開発できたら発売したいし、将来的にはブランドとして海外展開もしたい。この会社の中で、(自身以外が手掛ける)新しいブランドを立ち上げることも思い描いている。ただ、そうなるまでにはまだまだすべきことがあるし、人も足りない。足元のことを少しずつ積み重ねていった先に、未来が開けるかなと思っている。


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世界の「水問題」の解決へ 循環システムの伝道者【ネクストリーダー2022】

 東大発ベンチャー・WOTAは、「持ち運べる浄水場」とうたった循環型浄水システムで注目を浴びている。少量の水を浄化処理して何度も再利用できるこのシステムが普及すれば、世界の水問題は大きく前進する。同社を率いる前田瑶介氏はサステナブルの時代を代表する若きリーダーだ。

WWDJAPAN(以下、WWD):商業施設などでドラム缶型の手洗いスタンド「WOSH」を見かける機会が増えた。

前田瑶介CEO(以下、前田):水道設備は不要で、手洗いの排水をドラム缶の中で98%以上浄化して、繰り返し循環させる。WOSHの設備を採用することで、衛生面だけでなく、環境への企業姿勢を示したいという機運もあるようだ。

WWD:WOSHは19年11月に発表した「WOTA BOX」の技術を利用した。

前田:きっかけは18年7月の西日本豪雨。まだ試作段階だったが、岡山県の2カ所の避難所にシャワー設備として持っていった。水道の復旧が遅れ、真夏なのに入浴できない日が何日も続いていた。久しぶりのシャワーに喜ぶ人たちの声を聞き、水が持つ圧倒的な価値を感じた。同時に力不足も思い知らされた。きれいな水が必要な避難所はたくさんあるのに、技術者と設備の問題で限られた貢献しかできなかった。本来はトイレ排水などの生物処理も完成させた上で世に出すつもりだった。でもいま困っている人がいるなら、現時点で最善のことをしたいと考え、翌年の製品化に向けて動いた。

WWD:自然災害が多発する日本でニーズは多い。

前田:(製品化直前の)19年10月の台風19号では長野県が多大な被害を受けた。この時、内閣府の要請を受けて、WOTA BOXを14カ所に設置した。この様子が報じられて、製品が広く知られるきっかけになった。でも、いくら優れた設備でも災害が起きてから出来ることは限られる。平時の備えの重要性も痛感している。

WWD:水問題に関心を持ったのは?

前田:阪神淡路大震災(1995年)で被災した。たまたま泊まりに行っていた神戸の親戚の家で、3歳だったけど長らく水を使えない記憶が強烈だった。上下水道が止まると、避難所では入浴もできない不衛生な環境でたくさんの人が密集し、さらにトイレのがまんを強いられる。赤ちゃんやお年寄り、体に不自由を抱えた人など弱い人を直撃してしまう。

WWD:原体験と水問題が重なると。

前田:でも、それだけはない。私の一番大きなテーマは、自然の中でどうしたら人が持続可能で生きていけるか。徳島県の山深い地域で生まれ育った。四国なのに雪も積もり、時には交通も遮断される。でも地元の人たちは干し芋など昔ながらの保存食を常備したり、薪で暖をとったり、川から水をひいたり、臨機応変に暮らしてきた。逆に高度なインフラが整った都市部のほど自然の変化に脆弱だったりする。テクノロジーによる問題解決は一つの手段に過ぎない。世界の水問題の本質は、そこに暮らす人たち自律的に解決できるようになることだと思う。WOTAがその一助になればいい。


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「応援消費」が彩る世界を目指し、“人”と向き合う女性リーダー【ネクストリーダー2022】

 クラウドファンディングサイト「マクアケ(MAKUAKE)」は2021年9月期、重要経営指標である「応援購入総額」(クラウドファウンディングで集まった資金の総額)が前期比46.9%増の215億円に達した。2013年の創業から順調な成長を続けるマクアケの共同創業者の一人で、30代の若さで同社をけん引するのが坊垣佳奈取締役だ。彼女が追い求めるリーダー像と、その眼差しの先にある「プロジェクトへの『共感』を通じた、新しい消費文化」について聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「応援消費」の意義とは。

坊垣佳奈マクアケ取締役:クラウドファンディングは東日本大震災を契機に“寄付”として広まったが、この認識を一歩進めるためにそう呼ぶことにした。ゆくゆくはモノやサービスへの「共感」を軸に、消費のあり方そのものを変えたいと考えている。企業は今、これまでの利益追求型の経営から、環境や人権問題と向き合い、持続可能な経営に舵を切ろうとしている。企業淘汰も進むだろうが、われわれは「応援消費」の普及を通じて「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る」(同社の理念)世界を作る。「マクアケ」では、プロジェクトに共感する人やお金が先に集まり、無駄のない数だけモノを作って届ける。懐が潤沢な大企業がプロモーションを打ち、(販売店の)棚を確保し、大量の商品を売りさばく商いとは違う。ここでは大資本も中小企業も、個人も対等。主役は消費者であり、作り手のこだわりや背景に納得してモノを選ぶ世界。これを新しい消費の形として普及させたい。

WWD:2020年からビームスと提携している。

坊垣:新商品のテストマーケティングや未来人材の発掘にご活用いただいている。歴史と規模のある企業ほど、過去の成功体験や既成概念から離れ、新しい価値を生み出すことが難しくなる。そういった状況を打破する上で、「マクアケ」は一つの武器になる。ただ、(ビームスとの)協業の目的はここに止まらない。ファッション業界の最重要課題は廃棄だ。例えば、「この商品はピンクが欲しい人が500人いる」ということが事前に分かれば、その数だけ作れば余剰在庫が出ない。このようなスキームが業界の主流になるのはまだ先の話。だが、ビームスさんとはそんなことまで見据えた上で手を取り合った。

WWD:坊垣さんは女性リーダーとしても注目されている。

坊垣:経営者を目指す女性がいれば、彼女たちを勇気づける存在でいたい。ただ、「リーダーには女性を」「いや、男性だ」という極端な議論はしたくない。組織のさまざまな意思決定の場において、男女がバランスよく存在することが重要だ。私見だが、男女で仕事における資質や適性は違う。男性はクリエイティブに物事をイメージすることが得意。男同士の居酒屋での会話を想像してもらえれば(笑)。一方、女性は現実をしっかり認識し、目標を着実に実現に結びつける力がある。それに対する責任感も強い。だから、「ここは思い切って女性に任せる」というような、うまく性差を「活用する」考え方を実践したい。

 年齢に関してもそうだ。若い人だけで構成する組織より、ベテランの視点がある方がよりフラットで適切な判断ができる。年次が上がってマネジメントする範囲が広がれば、現場感覚は失われていく。だったら現場のことをよく知っている若手に頼るべきだ。役職や年次に関係なく、フラットに声を聞ける環境を作っている。ただこれらはあくまで「傾向」の話で、一番大事なのは社員一人一人の「個」に目を向け、長所や意思を尊重すること。社員1人につき、月に最低1回は対話の場を持つことを徹底している。

WWD:自身をどんなリーダーだと分析するか。

坊垣:周りからは「お母さんみたい」、と。人をよく観察している自覚はあって、毎日会っている社員の微妙な変化に気付くことが多い。「なんか元気がないな」と思うと、プライベートに悩みを抱えていたりとか。人間は「仕事だから」「プライベートだから」と簡単には割り切れない。結婚した今は、以前のように部下の恋愛話をすることも少なくなったけれど(笑)、仕事のことだけでなく、「人」として相談に乗れるリーダーでいたい。あとは、「たまに抜けてるね」とも(笑)。これは隠そうとも、さらけ出そうとも思わない。常に自然体でいたい。

WWD:創業期と今とでは、リーダーとして求められることは変わったか。

坊垣:これまでは自社のことだけに集中してきたが、社外の若手経営者の会議などに出席する機会も増え、社会において自社が果たすべき役割や存在意義を考えるようになった。専門外の知識もどんどんインプットしている。毎日同じことは一つもないし、学ぶばかりの日々だ。

 折れずいられるのは、20代の頃にがむしゃらに頑張った経験が基盤になっているからだと思う。新卒で入社したサイバーエージェントでは、ゲーム事業の子会社の立ち上げに参画し、まさに死に物狂いだった。ウェブサービスやエンジニアリングの知識がろくにないのに、外注先へシステムの仕様書を書くこともあった。金曜を回って土曜の夜まで働き、トイレで寝たこともある。世の中の新卒で一番忙しかったんじゃないか、と思っている。

 このときに、誰かの教えを待ち、指示されて動くのではなく、問題に対して自分なりの仮説立てて立ち向かうことを学んだ。そして「何とかなる」の精神を持ち続けると、結果がついてくることも。今は、「社会において何を成し遂げたいのか」という経営者の意志がますます重要な世の中。それはサービスや商品を通じて世の中に伝わっていくものだし、意志があるから仲間を巻き込める。私も「マクアケ」のサービスを通じて本気で世の中をよくしたいと思っているから、これからも自信を持って突き進んでいく。


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G-DRAGONやソミのプロデュースの貢献者から見るアジア発のファッションの可能性【ネクストリーダー2022】

 大手芸能事務所、YGエンターテインメントの傘下企業ザ・ブラックレーベル(The Black Label)でアーティストのディレクションなどを行うチェ・スンホ(Choi Soonho)ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクタは、過去10年にわたってK-POPビジネス展開戦略などを担ってきた。これまで手掛けたアーティストは、元I.O.Iメンバーでソロデビューしたソミ(Somi)など。アイドルグループ、ビッグバン(BIGBANG)を率いるG-DRAGON(ジードラゴン)のブランド「ピースマイナスワン(PEACEMINUSONE)」の運営にも関わった。K-POPカルチャーと深い結びつきを持つ同氏が語るファッションとカルチャーの関係性とは?

WWDJAPAN(以下、WWD):ザ・ブラックレーベルでのプロデュース業で感じた、カルチャーとファッションとのつながりは?

チェ・スンホ=ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクター(以下、スンホ):エンターテインメント業界とファッションはすごく深い関わりを持っている。ファッションは自己表現やクリエイティビティーを発揮する一番の方法であり、その人物が持つカルチャーや人間性を表すものだ。韓国は今すごいスピードで発展しており、アートの分野も広く関心を集めている。ダイナミックな国でいろいろなことを学びながら成熟していくにつれて、文化的にも一緒に発展してきた。K-POPを中心に、ファッションもアジア圏で一緒に盛り上がっていることをうれしく思う。

WWD:G-DRAGONのプロデュースにも関わっており、彼のブランド「ピースマイナスワン」を立ち上げにも貢献している。その背景・経緯は?

スンホ:きっかけはG-DRAGONと彼の知人ら。彼らの発案をもとにスタートした。G-DRAGONはミュージックビデオやコンサートなど、自身のパフォーマンスのために、長年にわたってファッションからアクセサリー、バッグ、家具までのデザインを手掛けてきた人物。アイテムを自分流にアレンジしたり、イメージに沿うものがない場合は手作りで作成してきたりした。PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)には共通のネットワークでつながるグループがあり、みんな知人らによって構成されている。G-DRAGONが着たいと思うようなもので溢れる世界観を表現している。

WWD:プロデューサーになる前から自身はファッションに関心があった?

スンホ:ファッションは日常の中でみんなが使用する自己表現の形だ。人と会ったとき、最初に見るのは相手のファッション。感情を伝達して、個性を表現する方法として興味があった。着ている人のルックスや特徴を際立たせ、気分をあげるものだ。情報を介してつながりやすくなった今、ファッションはよりアクセスしやすくなっている。トレンドは行ったり来たりするが、今関心を持つ一番の分野。カルチャーを形成する上で欠かせない存在だ。

WWD:日本発のカルチャーとの関わりは?

スンホ:日本は世界的にも、カルチャーの重要な“ハブ”だ。日本が持つクリエイティビティーやパッションに刺激を受けてきた。素晴らしいメンバーが多すぎてとても選べないが、川久保玲や高橋盾、NIGO®、藤原ヒロシ、山本耀司といったデザイナーやアーティストとはコラボもしてみたい。

WWD:「ピースマイナスワン」では、グローバル・ビジネス・デベロップメント・マネジャーとしてブランドの世界的認知拡大に従事した。今後アジア発のファッションは、どう発展していける?

スンホ:アジア発のブランドは、長年にわたってユニークで特別な視点からクリエイションを手掛けてきた。アジアは全体的に大きく成長していて、文化も共有しながら刺激を与えあっていると思う。韓国やアジアのファッションの存在感は、年々増すばかりだ。世界に広めていくために、少しでも貢献できたら。カルチャーの成長をより大きく、ポジティブな方向にけん引したい。


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G-DRAGONやソミのプロデュースの貢献者から見るアジア発のファッションの可能性【ネクストリーダー2022】

 大手芸能事務所、YGエンターテインメントの傘下企業ザ・ブラックレーベル(The Black Label)でアーティストのディレクションなどを行うチェ・スンホ(Choi Soonho)ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクタは、過去10年にわたってK-POPビジネス展開戦略などを担ってきた。これまで手掛けたアーティストは、元I.O.Iメンバーでソロデビューしたソミ(Somi)など。アイドルグループ、ビッグバン(BIGBANG)を率いるG-DRAGON(ジードラゴン)のブランド「ピースマイナスワン(PEACEMINUSONE)」の運営にも関わった。K-POPカルチャーと深い結びつきを持つ同氏が語るファッションとカルチャーの関係性とは?

WWDJAPAN(以下、WWD):ザ・ブラックレーベルでのプロデュース業で感じた、カルチャーとファッションとのつながりは?

チェ・スンホ=ビジネス・デベロップメント・シニア・ディレクター(以下、スンホ):エンターテインメント業界とファッションはすごく深い関わりを持っている。ファッションは自己表現やクリエイティビティーを発揮する一番の方法であり、その人物が持つカルチャーや人間性を表すものだ。韓国は今すごいスピードで発展しており、アートの分野も広く関心を集めている。ダイナミックな国でいろいろなことを学びながら成熟していくにつれて、文化的にも一緒に発展してきた。K-POPを中心に、ファッションもアジア圏で一緒に盛り上がっていることをうれしく思う。

WWD:G-DRAGONのプロデュースにも関わっており、彼のブランド「ピースマイナスワン」を立ち上げにも貢献している。その背景・経緯は?

スンホ:きっかけはG-DRAGONと彼の知人ら。彼らの発案をもとにスタートした。G-DRAGONはミュージックビデオやコンサートなど、自身のパフォーマンスのために、長年にわたってファッションからアクセサリー、バッグ、家具までのデザインを手掛けてきた人物。アイテムを自分流にアレンジしたり、イメージに沿うものがない場合は手作りで作成してきたりした。PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)には共通のネットワークでつながるグループがあり、みんな知人らによって構成されている。G-DRAGONが着たいと思うようなもので溢れる世界観を表現している。

WWD:プロデューサーになる前から自身はファッションに関心があった?

スンホ:ファッションは日常の中でみんなが使用する自己表現の形だ。人と会ったとき、最初に見るのは相手のファッション。感情を伝達して、個性を表現する方法として興味があった。着ている人のルックスや特徴を際立たせ、気分をあげるものだ。情報を介してつながりやすくなった今、ファッションはよりアクセスしやすくなっている。トレンドは行ったり来たりするが、今関心を持つ一番の分野。カルチャーを形成する上で欠かせない存在だ。

WWD:日本発のカルチャーとの関わりは?

スンホ:日本は世界的にも、カルチャーの重要な“ハブ”だ。日本が持つクリエイティビティーやパッションに刺激を受けてきた。素晴らしいメンバーが多すぎてとても選べないが、川久保玲や高橋盾、NIGO®、藤原ヒロシ、山本耀司といったデザイナーやアーティストとはコラボもしてみたい。

WWD:「ピースマイナスワン」では、グローバル・ビジネス・デベロップメント・マネジャーとしてブランドの世界的認知拡大に従事した。今後アジア発のファッションは、どう発展していける?

スンホ:アジア発のブランドは、長年にわたってユニークで特別な視点からクリエイションを手掛けてきた。アジアは全体的に大きく成長していて、文化も共有しながら刺激を与えあっていると思う。韓国やアジアのファッションの存在感は、年々増すばかりだ。世界に広めていくために、少しでも貢献できたら。カルチャーの成長をより大きく、ポジティブな方向にけん引したい。


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SNSを活用し女性のエンパワーメント向上にまい進するBLASTの石井CEO【ネクストリーダー2022】

 エンパワーメントメディア「ブラスト」は女性のライフスタイルをエンパワーすることを目的に2018年にスタートした。石井リナBLAST CEOは世界の中で男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」が下位である日本の現状を打破するため、女性が連帯し社会に変化をもたらすべく、SNSを活用し理解しやすい言葉や製品を発信し続けている。

WWDJAPAN(以下、WWD):2018年にBLASTを立ち上げたきっかけは。

石井リナBLAST CEO(以下、石井):IT系の広告代理店で3年働き、スタートアップ企業に転職した後フリーランスとしても働いていた。いずれもSNSのマーケティングに携わっていたため、海外のインフルエンサーをリサーチする機会が多かった。16〜17年は米国でダイバーシティやフェミニズムがキーワードとして挙がったが、日本での注目度は低く、欧米との差を強く感じた。男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」では世界144カ国の中で日本が下位に位置し、男女の間にもギャップがあると知り衝撃を受けた。本来はどんな性別の人も社会、政治、経済的に平等であるべきなのに、私自身もフェミニズムを知るまでは政治家も男性が中心であることが自然に思っていた。それは自然ではないことに気づき、課題意識が芽生えた。欧米にはフェミニズムを伝えるメディアやコミュニティーがあったため、日本でも立ち上げるべきだと感じ「ブラスト」をスタートした。

WWD:BLASTでプロダクト、メディア、コミュニティーと3つの事業を軸に展開する。

石井:欧米の動きをみると気づきや連帯することで社会を変えてきた例が多かった。例えばアイスランドは仕事の有無や年代を問わず女性の9割が1日ストライキを起こし、社会的地位向上や賃金格差を訴えた。その数年後に女性の首相が誕生した。こうした事例のようにメディアを通じて気づきを与え、連帯することで女性のライフスタイルをエンパワーしていく。プロダクトは女性のエンパワーを物理的にサポートし、エンパワーする意味で始めた。女性の9割は生理の悩みを抱えていることを知り、吸水ショーツブランド「ナギ」を手掛けた。コミュニティーは近い将来動き出す予定だ。

WWD:プロダクトの中で吸水ショーツに焦点を当てたきっかけは。

石井:女性がポジティブに選択できないものを、プロダクトを通じて解決したかった。生理に悩みを持つ女性は多く、年齢やライフスタイルによっても悩みが異なり、同じ女性でも想像しえなかった悩みがあることも知った。アンケートをとると7〜8割くらいの人が紙ナプキンを使用していて、環境面を考えた上でも海外で普及しはじめていた吸水ショーツを手がけようと20年5月に「ナギ」を立ち上げた。モノ作りに携わるのは初めてで全ての工程が大変だったが、自分が納得できる製品が完成するまで何度も試作品を作った。こだわったクロッチ部分は防水や防臭、吸収、速乾の機能を持つ生地の5層構造(スタンダードタイプで60mLの吸水性能を持つ)で、世界でも勝負できるクオリティーの高い製品が完成した。

WWD:「ナギ」では学割や選挙割など注目を集める取り組みも行っている。

石井:ジェンダーギャップから生まれたBLASTとしては、社会とつながる企画を推進する。生理の貧困が話題になったタイミングで、アクションを起こす必要性を感じ22才以下には500円を割り引くことにした。そのほか、1枚の生理用ナプキンの素材が分解されるまで800年程度かかるといわれていることから、グリーンアクションを21年6月に実施。期間中は「ナギ」の商品の購入を環境団体への寄付につなげた。21年10月には衆議院議員選挙の投票証明書の送付で割引する選挙割も実施。各政党の主張を分かりやすく表にしてSNSで訴求したが、これはアクションを起こし、周りとの会話につなげられる機会の創出を図ったものだった。著名な政治家からリツイートされるなど、想像を超える反響を得られた。

WWD:現在事業を進める中での課題と、それに向けて取り組むことは。

石井:BLASTはスタートアップの経済圏にいるので成長させること大前提。事業を始めるにあたりベンチャーキャピタル(VC)から資金調達をしたが、そこでもジェンダーギャップを感じた。VCの多くは男性なので当社の取り組みを説明し、共感を得られるまで多くの時間を要したが、現在の出資者は深い理解を示してくれている。女性が資金調達で事業を始めるハードルは高いが、その成功事例として成長を遂げていく。またBLASTはサステナブルであることも必須。大風呂敷を広げることなく、まずはソーシャルキャペーンなどを堅実に行い、口コミで拡散を図る。「ナギ」は現在吸水ショーツのみを扱うが、早い時点でグローバル展開をしたい。さらに女性のライフスタイルに寄り添った商品展開も視野に入れている。

WWD:今後取り組むコミュニティーに関しては。

石井:実際形は変わるかもしれないが、女性の体の悩み別につながれるコミュニティーがあってもいい。妊活用のショーツ“ナギ サイン(NAGI SIGN)”を手掛ける際に、妊活中の女性は生理がくることや、ナプキンを用意すること自体も多くのストレスに感じていることを当事者に聞いて理解した。そこでクロッチ部分をグレーにすることで周期の始まりや体の不調にいち早く気づけるようにした。こうした思いを共感できる場の創出ができたら。また、賢い消費者作りにも貢献したい。商品を販売する企業のミッションや事業内容、経営層の男女比率などを理解することができれば、自分の志向に合わない商品は購入しないという選択ができるが、知らないと指摘することも選ぶこともできない。社会や経済の構造に目を向けるきっかけを作りたい。


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SNSを活用し女性のエンパワーメント向上にまい進するBLASTの石井CEO【ネクストリーダー2022】

 エンパワーメントメディア「ブラスト」は女性のライフスタイルをエンパワーすることを目的に2018年にスタートした。石井リナBLAST CEOは世界の中で男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」が下位である日本の現状を打破するため、女性が連帯し社会に変化をもたらすべく、SNSを活用し理解しやすい言葉や製品を発信し続けている。

WWDJAPAN(以下、WWD):2018年にBLASTを立ち上げたきっかけは。

石井リナBLAST CEO(以下、石井):IT系の広告代理店で3年働き、スタートアップ企業に転職した後フリーランスとしても働いていた。いずれもSNSのマーケティングに携わっていたため、海外のインフルエンサーをリサーチする機会が多かった。16〜17年は米国でダイバーシティやフェミニズムがキーワードとして挙がったが、日本での注目度は低く、欧米との差を強く感じた。男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」では世界144カ国の中で日本が下位に位置し、男女の間にもギャップがあると知り衝撃を受けた。本来はどんな性別の人も社会、政治、経済的に平等であるべきなのに、私自身もフェミニズムを知るまでは政治家も男性が中心であることが自然に思っていた。それは自然ではないことに気づき、課題意識が芽生えた。欧米にはフェミニズムを伝えるメディアやコミュニティーがあったため、日本でも立ち上げるべきだと感じ「ブラスト」をスタートした。

WWD:BLASTでプロダクト、メディア、コミュニティーと3つの事業を軸に展開する。

石井:欧米の動きをみると気づきや連帯することで社会を変えてきた例が多かった。例えばアイスランドは仕事の有無や年代を問わず女性の9割が1日ストライキを起こし、社会的地位向上や賃金格差を訴えた。その数年後に女性の首相が誕生した。こうした事例のようにメディアを通じて気づきを与え、連帯することで女性のライフスタイルをエンパワーしていく。プロダクトは女性のエンパワーを物理的にサポートし、エンパワーする意味で始めた。女性の9割は生理の悩みを抱えていることを知り、吸水ショーツブランド「ナギ」を手掛けた。コミュニティーは近い将来動き出す予定だ。

WWD:プロダクトの中で吸水ショーツに焦点を当てたきっかけは。

石井:女性がポジティブに選択できないものを、プロダクトを通じて解決したかった。生理に悩みを持つ女性は多く、年齢やライフスタイルによっても悩みが異なり、同じ女性でも想像しえなかった悩みがあることも知った。アンケートをとると7〜8割くらいの人が紙ナプキンを使用していて、環境面を考えた上でも海外で普及しはじめていた吸水ショーツを手がけようと20年5月に「ナギ」を立ち上げた。モノ作りに携わるのは初めてで全ての工程が大変だったが、自分が納得できる製品が完成するまで何度も試作品を作った。こだわったクロッチ部分は防水や防臭、吸収、速乾の機能を持つ生地の5層構造(スタンダードタイプで60mLの吸水性能を持つ)で、世界でも勝負できるクオリティーの高い製品が完成した。

WWD:「ナギ」では学割や選挙割など注目を集める取り組みも行っている。

石井:ジェンダーギャップから生まれたBLASTとしては、社会とつながる企画を推進する。生理の貧困が話題になったタイミングで、アクションを起こす必要性を感じ22才以下には500円を割り引くことにした。そのほか、1枚の生理用ナプキンの素材が分解されるまで800年程度かかるといわれていることから、グリーンアクションを21年6月に実施。期間中は「ナギ」の商品の購入を環境団体への寄付につなげた。21年10月には衆議院議員選挙の投票証明書の送付で割引する選挙割も実施。各政党の主張を分かりやすく表にしてSNSで訴求したが、これはアクションを起こし、周りとの会話につなげられる機会の創出を図ったものだった。著名な政治家からリツイートされるなど、想像を超える反響を得られた。

WWD:現在事業を進める中での課題と、それに向けて取り組むことは。

石井:BLASTはスタートアップの経済圏にいるので成長させること大前提。事業を始めるにあたりベンチャーキャピタル(VC)から資金調達をしたが、そこでもジェンダーギャップを感じた。VCの多くは男性なので当社の取り組みを説明し、共感を得られるまで多くの時間を要したが、現在の出資者は深い理解を示してくれている。女性が資金調達で事業を始めるハードルは高いが、その成功事例として成長を遂げていく。またBLASTはサステナブルであることも必須。大風呂敷を広げることなく、まずはソーシャルキャペーンなどを堅実に行い、口コミで拡散を図る。「ナギ」は現在吸水ショーツのみを扱うが、早い時点でグローバル展開をしたい。さらに女性のライフスタイルに寄り添った商品展開も視野に入れている。

WWD:今後取り組むコミュニティーに関しては。

石井:実際形は変わるかもしれないが、女性の体の悩み別につながれるコミュニティーがあってもいい。妊活用のショーツ“ナギ サイン(NAGI SIGN)”を手掛ける際に、妊活中の女性は生理がくることや、ナプキンを用意すること自体も多くのストレスに感じていることを当事者に聞いて理解した。そこでクロッチ部分をグレーにすることで周期の始まりや体の不調にいち早く気づけるようにした。こうした思いを共感できる場の創出ができたら。また、賢い消費者作りにも貢献したい。商品を販売する企業のミッションや事業内容、経営層の男女比率などを理解することができれば、自分の志向に合わない商品は購入しないという選択ができるが、知らないと指摘することも選ぶこともできない。社会や経済の構造に目を向けるきっかけを作りたい。


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中国出身、32歳の若きトップが米「ダイアン フォン ファステンバーグ」に新風を吹き込む【ネクストリーダー2022】

 31歳だったギャビー・ヒラタ氏が、ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG以下、DVF)の社長兼最高経営責任者(CEO)に抜擢されたのは、入社して一年たった2021年1月のこと。異例の若さでトップに就き、以降、女性のエンパワーメントを掲げてきたブランドをけん引する。未だファッション&ビューティ業界のトップを占めるのは男性が多く、欧米ではアジアにルーツを持つ女性のトップはさらに目にすることが少ない。その中で社員の多様な声に耳を傾けながら、ブランドの事業を見直し、女性に寄り添うことをモットーとするヒラタ社長の歩みを讃え、その実績とこれからの活躍に期待を込めて「WWD NEXT LEADERS 2022」に選んだ。

WWDJAPAN(以下、WWD):トップに就くまでの経緯は?

ギャビー・ヒラタDVF社長兼CEO(以下、ヒラタ社長):DVFには20年1月、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初にアジア太平洋地域担当として入社した。当時の中国・武漢での状況を知り、中国を支援するためにチャリティー企画を提案。ブランド創業者のダイアンとともにライブ配信を行い、現地の小学校への寄付につなげた。アメリカでもロックダウンが始まったときは、人員削減に伴い北京に工場や生産拠点を移すべきだと提案した。デザイン本部は約100人から30人に縮小してニューヨークに残し、生産チームを別に設けたことでコストパフォーマンスの向上や、品質の確保につながった。こういった取り組みがダイアンの目に留まったことがきっかけとなった。

WWD:現在のパフォーマンスは?

ヒラタ社長:経営目標は達成し、27〜30歳の新たな顧客層にもリーチを広げている。また(EC構築サービスの)「ショッピファイ(SHOPIFY)」を通じて、公式ウェブサイトをリローンチした。これによりグローバルにお客さまの傾向やプロファイルが分析可能となり、より具体的にデザインに落とし込めるようになってきた手応えがある。北京の生産チームの設立などを通して、中国市場での存在感を増したい。

WWD:トップに就任することを知ったときの気持ちは?

ヒラタ社長:最初は本当に怖かったし、私がなっていいものだと思えなかった。当時の日記を読み返してみると、不安がる言葉ばかりが並んでいる。だって私が思い浮かべることができるリーダーの姿は、白人の男性で、アメリカ出身の人で、私より年配で、経験をたくさん持っている人ばかり。想像もつかないことで、「私は31歳だし、第一言語も英語じゃないし、中国人だし、女性だし、本当に務まるのか……?」と、ダイアンにも不安な気持ちを話した。ダイアンは笑い飛ばして、「だからこそあなたがトップになることに意味がある」と背中を押してくれた。

WWD:そもそもリーダーになりたかった?

ヒラタ社長:中国では一人っ子の場合、女子より男子が好まれる傾向があり、子どもの頃にその現実を知ったときにすごく落ち込んだ。そこで幼い頃から「絶対見返してみせる」との決意を持っていた。でもアクティビストとして活動するのも中国では色々な制約があるし、教授になってジェンダー学を深めるにしても学術的場所に限定された活動になる気がして、17歳の時にビジネスのトップになることを目標に。トップについたら「変化を生めるし、人々の夢を実現できる。インスピレーションにもなれる」と。世の中は男性のリーダーが多数を占めるので、女性の“ボス”になってやる!という気持ちだった。

WWD:なぜファッションに?

ヒラタ社長:ファッションは、ビジネスとアートの真ん中に位置しているように思う。「アート」的に見た目だけを追求してしまって機能性を置き去りにするのはファッションとは言えないが、夢やワクワク、“マジック”を与えるのもファッションのはず。「ビジネス」と言い切るのも難しいだろう。複合的に社会に交わるファッションに共感した。

WWD:自分はどんなリーダーだと思う?

ヒラタ社長:「バランス力のある」リーダーかな……。直感的なところと戦略的な側面、共感性と厳しさ、KPIと働いている人の幸せ、などのバランスをとっていく人だと思う。アメリカと中国をまたいで活動してきたので、間を取っていくアプローチが得意。これまではトップの人は「強くあれ」と教え込まれてきたが、私は繊細だし、自分の弱い部分を見せることを怖いと思わない。仲間たちもそれを心地よいと感じていると思う。チームと話すとき、「トップとしてじゃなくて、人間として私と話をして!」「一回建前は置いておいて、“普通に”話そう?」と言ったりして、等身大でいるようにしている。そんな私を見て、「私にもできる!」「私もやりたい!」と思うみたい。チームとして成長しているのを肌で感じている。リーダーとして自分のゴールを追うだけでなく、チームのみんなも幸せであることは私にとってとても大事なこと。

WWD:自分の強みは?

ヒラタ社長:外国から来た私がアメリカやこの業界で成功するには、いかに「自覚的」になって自分の立ち位置を受け止めるかが大事だと思っている。自分の人種やバックグラウンドに自信を持てなかったこともあるけれど、ダイアンには「あなたの不安や自信のなさは、あなたの強みになる」と教えをもらった。今は子どもがいるけれど「仕事と育児を両立している」と美談にするつもりはなくて。マザーフッド(母であることや母性)を美化することもしたくない。子どもを持って育てることで「これで母親という当事者として発言できる」と自覚的だったし、「まずはある程度仕事で成功をしてから」と決めていた。このように淡々と子育てについて語ると、「愛情が足りていない」「母親失格」と判断されてしまうような風潮をたまに感じるが、自分のしたいことやゴール、できることに“アウェア”でいることは、物事を進めていく上ですごく大切だと思う。率直に対話ができることも私を形成する大きな部分だ。

WWD:生活者とはどうコミュニケーションをとっている?

ヒラタ社長:歴史の長い企業や、伝統のあるブランドは「お客さまに向けて」コミュニケーションを取ることに集中しすぎているような気がする。私はもっと「お客さまと」コミュニケーションをとっていきたい。配信もいっぱいしたいし、お客さまから寄せられたコメントに返信もしていきたい。一時期は、毎週欠かさず時間を作って、SNSのコメントを返したりもした。お客さまからは「DVFのトップが返信してる!」と驚かれたけれど、逆になんで普通はしないと思われているのか不思議な感覚だ。ブラントとしては、私たちは「一着のドレスに止まらず、着た人の自信や喜び、それらが生む“マジック”を提供している」との自負がある。理念に沿うメッセージを届けるために月に一回、生活者の中から多様な女性像にSNSでフォーカスする「DVF WOMEN」キャンペーンを打ち出してきた。発足当時からミッションは、ファッションの美しさに加えて実際に着る女性を優先すること。着ている女性の着心地や自信、魅力を感じることに重きを置いた洋服を作り、メッセージを届けている。

WWD:これからの戦略は?

ヒラタ社長:日本と韓国に再進出したいと考えている。2010年ごろの市場は大きかった、その後日本とのつながりが薄れてしまった。製品の質やデザインも大きくアップデートして、素晴らしいものをそろえていると胸を張っていえるし、日本と韓国市場にも愛される自信がある。中東やオーストラリアへの進出も考えている。あとは、キッズウエア、インテリアの分野の開拓。母親になって子ども服に着目するようになり、充実した家具製品への需要も感じている。どのように製品にしていくかはこれから詰めるが、地域に合わせた最適な戦略を掲げたい。

WWD:自身のゴールは?

ヒラタ社長:ブランドを通して、女性をエンパワーする取り組みを継続して実施・発信する。私にはライブ配信や中国市場とのつながりが転機になったから、それ以来、年に2回は配信を継続している。一度の配信やキャンペーンでは生活者の心は掴めないし、即席なアプローチは見抜かれてしまう。ダイアンは90年代、今以上にデザインの中心に男性が多かった頃、「女性にデザインがわかるわけないだろう」と周りから揶揄されていたという。そこからブランドを築いたダイアンに共感するし、自分も誰かのインスピレーションとなり続けたい。商品を販売するだけでなく、私含む女性たちのストーリーを積極的に広め、周りを巻き込んだ大きなムーブメントを起こしていきたい。


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中国出身、32歳の若きトップが米「ダイアン フォン ファステンバーグ」に新風を吹き込む【ネクストリーダー2022】

 31歳だったギャビー・ヒラタ氏が、ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG以下、DVF)の社長兼最高経営責任者(CEO)に抜擢されたのは、入社して一年たった2021年1月のこと。異例の若さでトップに就き、以降、女性のエンパワーメントを掲げてきたブランドをけん引する。未だファッション&ビューティ業界のトップを占めるのは男性が多く、欧米ではアジアにルーツを持つ女性のトップはさらに目にすることが少ない。その中で社員の多様な声に耳を傾けながら、ブランドの事業を見直し、女性に寄り添うことをモットーとするヒラタ社長の歩みを讃え、その実績とこれからの活躍に期待を込めて「WWD NEXT LEADERS 2022」に選んだ。

WWDJAPAN(以下、WWD):トップに就くまでの経緯は?

ギャビー・ヒラタDVF社長兼CEO(以下、ヒラタ社長):DVFには20年1月、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初にアジア太平洋地域担当として入社した。当時の中国・武漢での状況を知り、中国を支援するためにチャリティー企画を提案。ブランド創業者のダイアンとともにライブ配信を行い、現地の小学校への寄付につなげた。アメリカでもロックダウンが始まったときは、人員削減に伴い北京に工場や生産拠点を移すべきだと提案した。デザイン本部は約100人から30人に縮小してニューヨークに残し、生産チームを別に設けたことでコストパフォーマンスの向上や、品質の確保につながった。こういった取り組みがダイアンの目に留まったことがきっかけとなった。

WWD:現在のパフォーマンスは?

ヒラタ社長:経営目標は達成し、27〜30歳の新たな顧客層にもリーチを広げている。また(EC構築サービスの)「ショッピファイ(SHOPIFY)」を通じて、公式ウェブサイトをリローンチした。これによりグローバルにお客さまの傾向やプロファイルが分析可能となり、より具体的にデザインに落とし込めるようになってきた手応えがある。北京の生産チームの設立などを通して、中国市場での存在感を増したい。

WWD:トップに就任することを知ったときの気持ちは?

ヒラタ社長:最初は本当に怖かったし、私がなっていいものだと思えなかった。当時の日記を読み返してみると、不安がる言葉ばかりが並んでいる。だって私が思い浮かべることができるリーダーの姿は、白人の男性で、アメリカ出身の人で、私より年配で、経験をたくさん持っている人ばかり。想像もつかないことで、「私は31歳だし、第一言語も英語じゃないし、中国人だし、女性だし、本当に務まるのか……?」と、ダイアンにも不安な気持ちを話した。ダイアンは笑い飛ばして、「だからこそあなたがトップになることに意味がある」と背中を押してくれた。

WWD:そもそもリーダーになりたかった?

ヒラタ社長:中国では一人っ子の場合、女子より男子が好まれる傾向があり、子どもの頃にその現実を知ったときにすごく落ち込んだ。そこで幼い頃から「絶対見返してみせる」との決意を持っていた。でもアクティビストとして活動するのも中国では色々な制約があるし、教授になってジェンダー学を深めるにしても学術的場所に限定された活動になる気がして、17歳の時にビジネスのトップになることを目標に。トップについたら「変化を生めるし、人々の夢を実現できる。インスピレーションにもなれる」と。世の中は男性のリーダーが多数を占めるので、女性の“ボス”になってやる!という気持ちだった。

WWD:なぜファッションに?

ヒラタ社長:ファッションは、ビジネスとアートの真ん中に位置しているように思う。「アート」的に見た目だけを追求してしまって機能性を置き去りにするのはファッションとは言えないが、夢やワクワク、“マジック”を与えるのもファッションのはず。「ビジネス」と言い切るのも難しいだろう。複合的に社会に交わるファッションに共感した。

WWD:自分はどんなリーダーだと思う?

ヒラタ社長:「バランス力のある」リーダーかな……。直感的なところと戦略的な側面、共感性と厳しさ、KPIと働いている人の幸せ、などのバランスをとっていく人だと思う。アメリカと中国をまたいで活動してきたので、間を取っていくアプローチが得意。これまではトップの人は「強くあれ」と教え込まれてきたが、私は繊細だし、自分の弱い部分を見せることを怖いと思わない。仲間たちもそれを心地よいと感じていると思う。チームと話すとき、「トップとしてじゃなくて、人間として私と話をして!」「一回建前は置いておいて、“普通に”話そう?」と言ったりして、等身大でいるようにしている。そんな私を見て、「私にもできる!」「私もやりたい!」と思うみたい。チームとして成長しているのを肌で感じている。リーダーとして自分のゴールを追うだけでなく、チームのみんなも幸せであることは私にとってとても大事なこと。

WWD:自分の強みは?

ヒラタ社長:外国から来た私がアメリカやこの業界で成功するには、いかに「自覚的」になって自分の立ち位置を受け止めるかが大事だと思っている。自分の人種やバックグラウンドに自信を持てなかったこともあるけれど、ダイアンには「あなたの不安や自信のなさは、あなたの強みになる」と教えをもらった。今は子どもがいるけれど「仕事と育児を両立している」と美談にするつもりはなくて。マザーフッド(母であることや母性)を美化することもしたくない。子どもを持って育てることで「これで母親という当事者として発言できる」と自覚的だったし、「まずはある程度仕事で成功をしてから」と決めていた。このように淡々と子育てについて語ると、「愛情が足りていない」「母親失格」と判断されてしまうような風潮をたまに感じるが、自分のしたいことやゴール、できることに“アウェア”でいることは、物事を進めていく上ですごく大切だと思う。率直に対話ができることも私を形成する大きな部分だ。

WWD:生活者とはどうコミュニケーションをとっている?

ヒラタ社長:歴史の長い企業や、伝統のあるブランドは「お客さまに向けて」コミュニケーションを取ることに集中しすぎているような気がする。私はもっと「お客さまと」コミュニケーションをとっていきたい。配信もいっぱいしたいし、お客さまから寄せられたコメントに返信もしていきたい。一時期は、毎週欠かさず時間を作って、SNSのコメントを返したりもした。お客さまからは「DVFのトップが返信してる!」と驚かれたけれど、逆になんで普通はしないと思われているのか不思議な感覚だ。ブラントとしては、私たちは「一着のドレスに止まらず、着た人の自信や喜び、それらが生む“マジック”を提供している」との自負がある。理念に沿うメッセージを届けるために月に一回、生活者の中から多様な女性像にSNSでフォーカスする「DVF WOMEN」キャンペーンを打ち出してきた。発足当時からミッションは、ファッションの美しさに加えて実際に着る女性を優先すること。着ている女性の着心地や自信、魅力を感じることに重きを置いた洋服を作り、メッセージを届けている。

WWD:これからの戦略は?

ヒラタ社長:日本と韓国に再進出したいと考えている。2010年ごろの市場は大きかった、その後日本とのつながりが薄れてしまった。製品の質やデザインも大きくアップデートして、素晴らしいものをそろえていると胸を張っていえるし、日本と韓国市場にも愛される自信がある。中東やオーストラリアへの進出も考えている。あとは、キッズウエア、インテリアの分野の開拓。母親になって子ども服に着目するようになり、充実した家具製品への需要も感じている。どのように製品にしていくかはこれから詰めるが、地域に合わせた最適な戦略を掲げたい。

WWD:自身のゴールは?

ヒラタ社長:ブランドを通して、女性をエンパワーする取り組みを継続して実施・発信する。私にはライブ配信や中国市場とのつながりが転機になったから、それ以来、年に2回は配信を継続している。一度の配信やキャンペーンでは生活者の心は掴めないし、即席なアプローチは見抜かれてしまう。ダイアンは90年代、今以上にデザインの中心に男性が多かった頃、「女性にデザインがわかるわけないだろう」と周りから揶揄されていたという。そこからブランドを築いたダイアンに共感するし、自分も誰かのインスピレーションとなり続けたい。商品を販売するだけでなく、私含む女性たちのストーリーを積極的に広め、周りを巻き込んだ大きなムーブメントを起こしていきたい。


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ユーチューブを通し自分と対話するあさぎーにょ 目指す姿はウォルト・ディズニー【ネクストリーダー2022】

 2015年にユーチューブを開始し、現在は登録者数77万人超の人気ユーチューバーとなったあさぎーにょ。同時にファッションブランド「ポピー(POPPY)」のディレクターやアーティストとしての顔も持ち、「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージをさまざまな切り口で伝えている。SNS時代の申し子あさぎーにょに、リーダーシップやユーチューブとの向き合い方を聞いた。

WWD:ユーチューバーになったきっかけは?

あさぎーきょ:歌手になりたくて、大学を辞めて関西から上京した。路上ライブをしたり、オーディションを受けたりしていたが、ちょうどそのころユーチューバーが注目を集め始めていて、自分の歌を発信する新しいプラットフォームとして気軽に始めた。「ユーチューバーになろう」と思ったわけではない。動画投稿を重ねて、「あさぎーにょはこうだね」「あさぎーにょのこういうところが好き」といったコメントをもらうようになって、自分の個性やキャラクターが何なのかを深く考えるようになった。自分がどうありたいか、自分らしさが何なのかをユーチューブを通して見つけてきた。そしてたどり着いたのが、「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージだ。

WWD:表現者としてさまざまなジャンルの活動をする中で、気をつけていることは何か。

あさぎーにょ:「ワクワクを抱きしめよう」の軸をブラさないこと。そして、自分らしさをしっかりディテールに落とし込むこと。ただ、作ったものが人に褒められてもなんだか空っぽだと感じたり、逆に自分は最高だと思ったものへの人からの反応が悪かったりすると、自分の中でバランスが崩れてくる。それは年に数回風邪をひくようなもの。そういうときはホテルに一日こもってユーチューブのコメントを見返したり、自分が好きなものをじっくり振り返ったりするようにしている。そうすると、毎回必ずそのとき足りないものや課題が見えてくる。

WWD:自分の課題はどんな部分だと分析しているか。

あさぎーにょ:たくさんあるが、いろんなジャンルの仕事をさせてもらう中で、全部“本物”になり切れない。見よう見まねの部分がまだ多い。スキルも知識ももっともっと追求したいが、体は一つしかないので、ある程度割り切って進めていかないといけない。そこは悩むところだ。(スキルが不足している部分については)仕事の現場でプロの方に素直に聞くようにしている。例えばカメラマンさんに、「どういうディレクションをしたらこういう雰囲気の絵になるのか」といったように聞く。プロの方にそんなことを聞いてもいいのかと最初は悩んだが、皆さん私の無知も受け入れてくださるし、大御所の方も優しく教えてくださる。私もいつかそういう存在になりたい。

少女の心を持ち続けるリーダーが憧れ

WWD:自身のブランド「ポピー」を立ち上げた経緯は。

あさぎーにょ:CDの代わりに音楽を届ける方法として、パジャマのタグにQRコードを付けて販売したのが始まりだ。少しずつアイテムを企画していく中で、オリジナルなもの、自分たちが熱狂できるものを作りたいと考えるようになった。チームが整って、シーズンごとに商品を出せるようになったタイミングで、「ポピー」というブランドとしてしっかりローンチした。ユーチューブの撮影はほぼ一人で完結しているが、チームみんなでモノ作りをしていくことも好きだ。チームの指針のようなものはあって、新しいメンバーが入ったらそれを伝えている。「褒める」ことや、「モヤモヤしたらすぐに解決する」というのはそうした指針の一つ。私自身、モヤモヤをすぐに人に切り出して解決することが苦手だったが、みんなと考えが共有できているので、とても助けられている。

WWD:目指すリーダー像はあるか。

あさぎーにょ:少女のようなリーダーになりたいとは強く思っている。実際の年齢は関係なく、私が誰よりも少女の心を持っていて、私がワクワクしたことはどんな大きな夢であっても、チームのみんなが「叶うんじゃないか」と信じられるような存在でありたい。目指すはウォルト(・ディズニー)だ。コミュニケーションが取れていないと、チームの存在意義が分からなくなることもある。だからこそ、チームのメンバーには日々感じたことを常に熱量高く伝えるようにしている。それはユーチューブやSNSに日々の出来事や気持ちを共有するのと同じ感覚で、自分のクセでもある。

WWD:「ポピー」ではどのようにデザインを決めていくのか。

あさぎーにょ:シーズンテーマから入ることもあるし、今何が着たいかという気分から企画を進めることもある。ユーチューブを通して自分がどうありたいかを考えてきた中で、お日さまのような、温かみのある人でありたいという思いに行き着いた。だから、シルエットは包み込むような感じを意識しているし、コットンレースが好き。可愛くキュートでありたいが、人と違う個性もほしい。そういう感覚が「ポピー」のチームはとても似ていて、共有できている。

発信は、与えるより与えられるものの方が多い

WWD:あさぎーにょにとってユーチューブとは。

あさぎーにょ:ユーチューブをやっていなかったら、自分がやりたいことや自分とは何かが分からなかったと思う。発信をすることは、人に与えるよりも人から与えられるものの方が実は多いと近頃強く思う。最初はコメントなどを通して(ファンから)教えてもらうことばかりだったが、もらったものを返したいという気持ちが強くなっている。発信することの怖さはもちろん感じている。自分だけの考えを押し付けていないか、意図せず人を傷つけていないかと不安に思うときはある。それでも、発信をして、それに対してみんなから受け取ってきたものであさぎーにょはできている。やはりそこに大きな価値を感じている。

WWD:今後の目標は。

あさぎーにょ:「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージを、ファッション、音楽、物語、映画、カフェなど、さまざまな切り口で伝えていきたい。そのためには多くの仲間が必要だし、私自身もスキルや知識を磨いて、ワクワクをしっかりディレクションできるようになりたい。今、中国語の勉強もしている。中国の視聴者から非常に熱量の高いコメントをいただくことがあり、言葉が違う人に自分の世界観が伝わるのはものすごく嬉しいし、それは動画だからこそできるのだとも思う。中国のSNSも何種類か始めていて、既に日本のフォロワー数より多くなっている。ただ、中国ですぐにビジネスをするというのではなく、語学の勉強も中国向けの動画の投稿も、まだ楽しくてやっているという感じ。続けていく中で今後、何かにつながればいいなと思っている。


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ユーチューブを通し自分と対話するあさぎーにょ 目指す姿はウォルト・ディズニー【ネクストリーダー2022】

 2015年にユーチューブを開始し、現在は登録者数77万人超の人気ユーチューバーとなったあさぎーにょ。同時にファッションブランド「ポピー(POPPY)」のディレクターやアーティストとしての顔も持ち、「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージをさまざまな切り口で伝えている。SNS時代の申し子あさぎーにょに、リーダーシップやユーチューブとの向き合い方を聞いた。

WWD:ユーチューバーになったきっかけは?

あさぎーきょ:歌手になりたくて、大学を辞めて関西から上京した。路上ライブをしたり、オーディションを受けたりしていたが、ちょうどそのころユーチューバーが注目を集め始めていて、自分の歌を発信する新しいプラットフォームとして気軽に始めた。「ユーチューバーになろう」と思ったわけではない。動画投稿を重ねて、「あさぎーにょはこうだね」「あさぎーにょのこういうところが好き」といったコメントをもらうようになって、自分の個性やキャラクターが何なのかを深く考えるようになった。自分がどうありたいか、自分らしさが何なのかをユーチューブを通して見つけてきた。そしてたどり着いたのが、「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージだ。

WWD:表現者としてさまざまなジャンルの活動をする中で、気をつけていることは何か。

あさぎーにょ:「ワクワクを抱きしめよう」の軸をブラさないこと。そして、自分らしさをしっかりディテールに落とし込むこと。ただ、作ったものが人に褒められてもなんだか空っぽだと感じたり、逆に自分は最高だと思ったものへの人からの反応が悪かったりすると、自分の中でバランスが崩れてくる。それは年に数回風邪をひくようなもの。そういうときはホテルに一日こもってユーチューブのコメントを見返したり、自分が好きなものをじっくり振り返ったりするようにしている。そうすると、毎回必ずそのとき足りないものや課題が見えてくる。

WWD:自分の課題はどんな部分だと分析しているか。

あさぎーにょ:たくさんあるが、いろんなジャンルの仕事をさせてもらう中で、全部“本物”になり切れない。見よう見まねの部分がまだ多い。スキルも知識ももっともっと追求したいが、体は一つしかないので、ある程度割り切って進めていかないといけない。そこは悩むところだ。(スキルが不足している部分については)仕事の現場でプロの方に素直に聞くようにしている。例えばカメラマンさんに、「どういうディレクションをしたらこういう雰囲気の絵になるのか」といったように聞く。プロの方にそんなことを聞いてもいいのかと最初は悩んだが、皆さん私の無知も受け入れてくださるし、大御所の方も優しく教えてくださる。私もいつかそういう存在になりたい。

少女の心を持ち続けるリーダーが憧れ

WWD:自身のブランド「ポピー」を立ち上げた経緯は。

あさぎーにょ:CDの代わりに音楽を届ける方法として、パジャマのタグにQRコードを付けて販売したのが始まりだ。少しずつアイテムを企画していく中で、オリジナルなもの、自分たちが熱狂できるものを作りたいと考えるようになった。チームが整って、シーズンごとに商品を出せるようになったタイミングで、「ポピー」というブランドとしてしっかりローンチした。ユーチューブの撮影はほぼ一人で完結しているが、チームみんなでモノ作りをしていくことも好きだ。チームの指針のようなものはあって、新しいメンバーが入ったらそれを伝えている。「褒める」ことや、「モヤモヤしたらすぐに解決する」というのはそうした指針の一つ。私自身、モヤモヤをすぐに人に切り出して解決することが苦手だったが、みんなと考えが共有できているので、とても助けられている。

WWD:目指すリーダー像はあるか。

あさぎーにょ:少女のようなリーダーになりたいとは強く思っている。実際の年齢は関係なく、私が誰よりも少女の心を持っていて、私がワクワクしたことはどんな大きな夢であっても、チームのみんなが「叶うんじゃないか」と信じられるような存在でありたい。目指すはウォルト(・ディズニー)だ。コミュニケーションが取れていないと、チームの存在意義が分からなくなることもある。だからこそ、チームのメンバーには日々感じたことを常に熱量高く伝えるようにしている。それはユーチューブやSNSに日々の出来事や気持ちを共有するのと同じ感覚で、自分のクセでもある。

WWD:「ポピー」ではどのようにデザインを決めていくのか。

あさぎーにょ:シーズンテーマから入ることもあるし、今何が着たいかという気分から企画を進めることもある。ユーチューブを通して自分がどうありたいかを考えてきた中で、お日さまのような、温かみのある人でありたいという思いに行き着いた。だから、シルエットは包み込むような感じを意識しているし、コットンレースが好き。可愛くキュートでありたいが、人と違う個性もほしい。そういう感覚が「ポピー」のチームはとても似ていて、共有できている。

発信は、与えるより与えられるものの方が多い

WWD:あさぎーにょにとってユーチューブとは。

あさぎーにょ:ユーチューブをやっていなかったら、自分がやりたいことや自分とは何かが分からなかったと思う。発信をすることは、人に与えるよりも人から与えられるものの方が実は多いと近頃強く思う。最初はコメントなどを通して(ファンから)教えてもらうことばかりだったが、もらったものを返したいという気持ちが強くなっている。発信することの怖さはもちろん感じている。自分だけの考えを押し付けていないか、意図せず人を傷つけていないかと不安に思うときはある。それでも、発信をして、それに対してみんなから受け取ってきたものであさぎーにょはできている。やはりそこに大きな価値を感じている。

WWD:今後の目標は。

あさぎーにょ:「ワクワクを抱きしめよう」というメッセージを、ファッション、音楽、物語、映画、カフェなど、さまざまな切り口で伝えていきたい。そのためには多くの仲間が必要だし、私自身もスキルや知識を磨いて、ワクワクをしっかりディレクションできるようになりたい。今、中国語の勉強もしている。中国の視聴者から非常に熱量の高いコメントをいただくことがあり、言葉が違う人に自分の世界観が伝わるのはものすごく嬉しいし、それは動画だからこそできるのだとも思う。中国のSNSも何種類か始めていて、既に日本のフォロワー数より多くなっている。ただ、中国ですぐにビジネスをするというのではなく、語学の勉強も中国向けの動画の投稿も、まだ楽しくてやっているという感じ。続けていく中で今後、何かにつながればいいなと思っている。


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「リュウノスケオカザキ」は未知のクリエイションを探求する【ネクストリーダー2022】

 岡﨑龍之祐は、彗星のごとく現れた異色のファッションデザイナーだ。高校卒業後に東京藝術大学大学院を経て「楽天 ファッション ウィーク東京」でコレクションを披露し、大きな話題を集めた。アートの視点で生み出す服は、まるでオートクチュールのようにグラフィカルで、造形美にあふれている。ファッションとアートの境界線を超える26歳が、世界を驚かせるのは目前だ。

ファッションの道に進んだ理由

WWD:ファッションに目覚めたきっかけは?

岡﨑龍之祐「リュウノスケオカザキ」デザイナー(以下、岡﨑):理由は自分でも分からないけれど、中学生のころからとにかく好きだった。最初は小遣いを貯めて古着を買い、次第にいろいろなブランドのショー映像やルックを見るようになっていた。

WWD:ファッションの道を志し、東京藝術大学に進学した理由は?

岡﨑:絵を描くのがもともと好きで藝大に憧れていたし、まずはアートを通した幅広い表現方法を勉強したかったから。だから、ファッションデザイナーになりたいという気持ちは早い段階で漠然とはあったものの、専門学校へ進学する考えはなかった。

WWD:デザイナーになると決めたのはいつ?

岡﨑:ハッキリと意識したのは、1年生のとき。デザインやアートに触れて、自分が何を感じてどういった方向に進みたいかを考えるようになった。デザイナーという職業にはいろいろなジャンルがあり、プロダクトやグラフィックの仕事内容は想像できたのに、ファッションだけは全然分からなかった。学校で学び続けても答えは出ず、だったら自分がデザイナーになってみればいいと考え、そこから身にまとうもので表現したいという気持ちが強くなった。

WWD:藝大では何を学んだ?

岡﨑:デザインを広い解釈で学びつつ、何かしらの作品を常に作っていた。デザインといってもいろいろで、問題解決や機能的なものは感覚的に理解できたけれど、ファッションだけはやっぱり分からなかった。でも分からないからこそ興味がそそられるし、自分で何かいい作品を完成させたときの喜びも大きい。

WWD:デザインのこだわりは?

岡﨑:とにかく、好きなものを作り続けること。ファッションは着るという“機能”に加え、一見無駄に見える装飾に価値があったり、人の心を豊かにしてくれたりする。この装飾については、藝大で学んだデザインとは違うけれど、人間の暮らしや営みには大切なもの。それを受け取り手に大事だと気付かせるためには自分の作品に説得力がないといけない。

WWD:初めての作品は?

岡﨑:2年生のときに作ったドレス“祈纏 -Wearing Prayer-”だ。広島に贈られた折り鶴の再生紙を細かく裁断した紙糸を織ったもので、1年生のときに故・高田賢三氏が行っていた平和活動に参加したことがきっかけで製作した。

いつかはパリの舞台で

WWD:大学院に進学してグラフィックを学んだ理由は?

岡﨑:グラフィックデザインを服作りに生かしたら面白いのではと思いつき、研究室で学ぶことにした。グラフィックは一見表面的だが、実は奥深い意匠が詰まっている。ビジュアルで語る点に、ファッションとの親和性もある。このアプローチを体現したのが、「第69回 東京藝術大学卒業・修了作品展」のために製作したドレス“JOMONJOMON”だ。神道的な左右対称のグラフィカルなビジュアルにし、実際に服を見た瞬間に飛び込んでくる視覚的な情報を大切にしている。この面白さは、グラフィックデザインを学んで気付いたこと。 “祈纏”のようにストーリーを想起させるようなものづくりを意識しながら、いかにグラフィカルに表現できるかを大切にしている。

WWD:デザインのインスピレーションは?

岡﨑:日常的な気付きや、不思議に思ったこと。例えば“JOMONJOMON”は、縄文土器の形について調べたことが出発点。自然の造形から着想することが多いのは、昔から何ごとも答えが分かっているのが嫌で、謎めいたものや不思議なものに引かれるからかもしれない。

WWD:作品は完成をイメージして組み立てる?

岡﨑:デザインは、抽象画家が筆を当ててストロークで描き続けるように、謎に向かって探る感覚に近い。だから終わりがなく、ずっと続けてしまうので自分で終着点を決めるのが大変(笑)。それに組み立て方まで考えているわけではないので、完成品をどこかに発送すると受け取り手がうまく組み立てられず、壊れて戻ってくることがある。今後はそういった点も考える必要があるかもしれない。

WWD:2021年8月に「楽天 ファッション ウィーク東京」への参加が決まった際の気持ちは?

岡﨑:とにかくうれしくて、大学院を卒業した半年後にコレクションを発表するというタイミングも良かった。作品がどう思われるか不安な気持ちもあったけれど、自分が作った作品を愛しているので、いい形で見せたいと一心で走り続けた。「何だアレは?」という反響も、「分からない」を探るのは自分のものづくりの原点だから、ポジティブに受け取っている。「分からない」って面白いし、かっこいいから。

WWD:これまで販売したヘッドピース以外にも、売れる商品の制作は考えている?

岡﨑:将来的に考えてはいるけれど、今はそれよりも作りたいものを高いクオリティーで作り続けてブランドの価値を高めることが大事。「リュウノスケオカザキ」は同じものを2つ作れないブランドだからこそ、一点一点に価値が生まれ、ブランドの価値も自然と高まっていくはず。売ることを考えて日常に無理に落とし込むよりは、作りたいものを作って発表する方が今の自分には合っている。

WWD:今後の目標は?

岡﨑:老若男女を問わずたくさんの人に見てもらい、例えポジティブじゃなくても何かを感じ取れるものづくりを続けること。チャンスがあれば、パリでファッションショーをやりたい。


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「リュウノスケオカザキ」は未知のクリエイションを探求する【ネクストリーダー2022】

 岡﨑龍之祐は、彗星のごとく現れた異色のファッションデザイナーだ。高校卒業後に東京藝術大学大学院を経て「楽天 ファッション ウィーク東京」でコレクションを披露し、大きな話題を集めた。アートの視点で生み出す服は、まるでオートクチュールのようにグラフィカルで、造形美にあふれている。ファッションとアートの境界線を超える26歳が、世界を驚かせるのは目前だ。

ファッションの道に進んだ理由

WWD:ファッションに目覚めたきっかけは?

岡﨑龍之祐「リュウノスケオカザキ」デザイナー(以下、岡﨑):理由は自分でも分からないけれど、中学生のころからとにかく好きだった。最初は小遣いを貯めて古着を買い、次第にいろいろなブランドのショー映像やルックを見るようになっていた。

WWD:ファッションの道を志し、東京藝術大学に進学した理由は?

岡﨑:絵を描くのがもともと好きで藝大に憧れていたし、まずはアートを通した幅広い表現方法を勉強したかったから。だから、ファッションデザイナーになりたいという気持ちは早い段階で漠然とはあったものの、専門学校へ進学する考えはなかった。

WWD:デザイナーになると決めたのはいつ?

岡﨑:ハッキリと意識したのは、1年生のとき。デザインやアートに触れて、自分が何を感じてどういった方向に進みたいかを考えるようになった。デザイナーという職業にはいろいろなジャンルがあり、プロダクトやグラフィックの仕事内容は想像できたのに、ファッションだけは全然分からなかった。学校で学び続けても答えは出ず、だったら自分がデザイナーになってみればいいと考え、そこから身にまとうもので表現したいという気持ちが強くなった。

WWD:藝大では何を学んだ?

岡﨑:デザインを広い解釈で学びつつ、何かしらの作品を常に作っていた。デザインといってもいろいろで、問題解決や機能的なものは感覚的に理解できたけれど、ファッションだけはやっぱり分からなかった。でも分からないからこそ興味がそそられるし、自分で何かいい作品を完成させたときの喜びも大きい。

WWD:デザインのこだわりは?

岡﨑:とにかく、好きなものを作り続けること。ファッションは着るという“機能”に加え、一見無駄に見える装飾に価値があったり、人の心を豊かにしてくれたりする。この装飾については、藝大で学んだデザインとは違うけれど、人間の暮らしや営みには大切なもの。それを受け取り手に大事だと気付かせるためには自分の作品に説得力がないといけない。

WWD:初めての作品は?

岡﨑:2年生のときに作ったドレス“祈纏 -Wearing Prayer-”だ。広島に贈られた折り鶴の再生紙を細かく裁断した紙糸を織ったもので、1年生のときに故・高田賢三氏が行っていた平和活動に参加したことがきっかけで製作した。

いつかはパリの舞台で

WWD:大学院に進学してグラフィックを学んだ理由は?

岡﨑:グラフィックデザインを服作りに生かしたら面白いのではと思いつき、研究室で学ぶことにした。グラフィックは一見表面的だが、実は奥深い意匠が詰まっている。ビジュアルで語る点に、ファッションとの親和性もある。このアプローチを体現したのが、「第69回 東京藝術大学卒業・修了作品展」のために製作したドレス“JOMONJOMON”だ。神道的な左右対称のグラフィカルなビジュアルにし、実際に服を見た瞬間に飛び込んでくる視覚的な情報を大切にしている。この面白さは、グラフィックデザインを学んで気付いたこと。 “祈纏”のようにストーリーを想起させるようなものづくりを意識しながら、いかにグラフィカルに表現できるかを大切にしている。

WWD:デザインのインスピレーションは?

岡﨑:日常的な気付きや、不思議に思ったこと。例えば“JOMONJOMON”は、縄文土器の形について調べたことが出発点。自然の造形から着想することが多いのは、昔から何ごとも答えが分かっているのが嫌で、謎めいたものや不思議なものに引かれるからかもしれない。

WWD:作品は完成をイメージして組み立てる?

岡﨑:デザインは、抽象画家が筆を当ててストロークで描き続けるように、謎に向かって探る感覚に近い。だから終わりがなく、ずっと続けてしまうので自分で終着点を決めるのが大変(笑)。それに組み立て方まで考えているわけではないので、完成品をどこかに発送すると受け取り手がうまく組み立てられず、壊れて戻ってくることがある。今後はそういった点も考える必要があるかもしれない。

WWD:2021年8月に「楽天 ファッション ウィーク東京」への参加が決まった際の気持ちは?

岡﨑:とにかくうれしくて、大学院を卒業した半年後にコレクションを発表するというタイミングも良かった。作品がどう思われるか不安な気持ちもあったけれど、自分が作った作品を愛しているので、いい形で見せたいと一心で走り続けた。「何だアレは?」という反響も、「分からない」を探るのは自分のものづくりの原点だから、ポジティブに受け取っている。「分からない」って面白いし、かっこいいから。

WWD:これまで販売したヘッドピース以外にも、売れる商品の制作は考えている?

岡﨑:将来的に考えてはいるけれど、今はそれよりも作りたいものを高いクオリティーで作り続けてブランドの価値を高めることが大事。「リュウノスケオカザキ」は同じものを2つ作れないブランドだからこそ、一点一点に価値が生まれ、ブランドの価値も自然と高まっていくはず。売ることを考えて日常に無理に落とし込むよりは、作りたいものを作って発表する方が今の自分には合っている。

WWD:今後の目標は?

岡﨑:老若男女を問わずたくさんの人に見てもらい、例えポジティブじゃなくても何かを感じ取れるものづくりを続けること。チャンスがあれば、パリでファッションショーをやりたい。


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イヤホンでアートとファッションを融合、多彩なクリエイターをマーブルミックス EBRU佐藤怜【ネクストリーダー2022】

 音楽とファッション、アートの融合を掲げるイヤホン「イヤーマインド」を展開するエブル(EBRU)は、金沢美術工芸大学の同級生3人組の女性が設立したスタートアップ企業だ。プロダクトのスケール(規模)化を前提に軽やかに、でも志は高く突き進む。代表の佐藤怜氏に話を聞いた。

WWD:起業のきっかけは?

佐藤怜(以下、佐藤):怒りだ。私は高校で美術を学び、文化服装学院に入り1年次を終了して中退。2年浪人して金沢美術工芸大学でアートと工芸の中間にある染織を、留学先のイタリア・ローマにあるファッション専門の大学であるアカデミアコスチューム&モーダ(Accademia Costume & Moda)ではファッションアクセサリーを学びました。つまり私自身はテキスタイルを軸にアート、ファッション、工芸を行き来しながら学んできたものの、日本に帰国して仕事を探してみると、ファッションブランドに行けば「アートがいいのでは?」、工芸に行けば「ファッションがいい?」、テキスタイル企業に行けば「日本よりも海外がいい」と、どこに話を聞きに行ってもとりつくしまもない。業界が分断していて、就職をしようにもどこにも行きようがなかった。一方で共同創業者の田邊(樹美・取締役)と先山(絵梨・取締役)の2人はすでに働いていたものの、産地やものづくりの現場の疲弊に悩んでいた。ならば、起業しかないというのが3人で出した結論だった。

WWD:プロフィールを見ると、全員がクリエイティブ出身。あえてスタートアップのような形で起業せず、デザイン会社という体裁でも良かったのでは?

佐藤:起業前、3人で話して行き着いた結論は、業界の分断で生まれている不健全な文化芸術産業の現状を改革し、文化を愛するユーザーと作り手、双方のウェルネスを実現すること。でもそのためには、プロダクトを作って、しかもスケールさせることが必要だった。ご指摘の通り、私を含め、事業計画なんて作ったこともない3人。ならば、ということで無職状態だった私が、あるアクセレータープログラムに参画して、1年ほど起業準備した。見るもの聞くもの新鮮で新しいことばかりではあったけど、すごく大変だったかと言われればそうでもない。たとえ就職していたにせよ、慣れないことの連続だったはず。参加者のほとんどがビジネス起点の起業家の卵たちで、私のようなアート/工芸出身者は珍しく、でもそれが逆に個性になった。ここで知ったクラウドファンディング型の資金調達で1400万円も集められた。開業資金は銀行からの創業融資の1000万円も元手になっている。起業準備期間には、イタリアの著名なファッションコンテストのITS(=International Talent Support)に応募して、アクセサリー部門のファイナリストに選ばれ、スウォッチ アートワーク賞を受賞した。

WWD:ビジネスの状況は?

佐藤:カスタマイズイヤホン「イヤーマインド」はクラウドファンディングの「マクアケ」で234万円の売り上げになった。製品は自分たちのアート活動名義のユニット「エブル(EbRu)」を含めた6人/組のアーティストとのコラボレーションしており、アートワーク、シェイプ、サウンドタイプのそれぞれからお気に入りの組み合わせを選べるようになっている。現在、機械部分のトラブルで当初の製造メーカーの変更をすることになって受注は止めて、クラファンの受注分も納品をお待ちいただいている状態だ。メーカー変更はめどが付き始めており、夏ごろまでには受注を再開始して、受注分も納品の予定だ。ただ、アートワークのコラボレーターは随時、声をかけさえて頂いている。優れた工芸作家やデザイナー、アーティストはそれこそ、知れば知るほどたくさんいて、そうしたアーティストたちとのコラボレーションが楽しくてしょうがない。

WWD:創業メンバー3人の出会いは?

佐藤:田邊と先山とは大学1年生のときに出会ってすぐに意気投合し、社名のルーツにもなった「EbRu」というユニットを結成した。だからかれこれ10年ほどの付き合いになる。金沢美術工芸大学は当時、比較的自由に学生が出入りして制作できるユニークなところで、学生時代は3人ともずっと作業場の床で寝起きをするほど、ものづくりに打ち込んでいた。大学を卒業後はそれぞれ違う進路になったものの、田邊と先山の2人はシェアハウス兼アトリエを東京に構えて一緒に住み、私もイタリアから帰国後は、そこにジョインした。田邊はパートナーと住むために今は出たけど、私と先山は今もその住居兼アトリエに住んでて、文字通り寝食もずっと一緒。10年の付き合いになるけど、ディスカッションはすることがあっても喧嘩はしたことがない。起業後も、ある程度の役割分担はあるけど、いつも3人で話し合ったり手を動かして決める。工芸がベースの3人だから、口よりも手を動かすことが先にあって、だから喧嘩にならないのかも。これまでも今も、イヤホンの型の原型やパッケージのデザインも、アトリエ兼住居で全部3人で手を動かして作ってきた。

WWD:今後は?

佐藤:エブルの根底にあるのは、いろいろな個性を認め合って、優れたクリエイティブを社会に提供すること。日本には優れた作家や工房がたくさんいて、それを「イヤーマインド」を通じて世界に発信もしたいし、世界にも進出し、イヤホンをキャンバスに世界中の優れたクリエイターやアーティストを紹介したい。


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イヤホンでアートとファッションを融合、多彩なクリエイターをマーブルミックス EBRU佐藤怜【ネクストリーダー2022】

 音楽とファッション、アートの融合を掲げるイヤホン「イヤーマインド」を展開するエブル(EBRU)は、金沢美術工芸大学の同級生3人組の女性が設立したスタートアップ企業だ。プロダクトのスケール(規模)化を前提に軽やかに、でも志は高く突き進む。代表の佐藤怜氏に話を聞いた。

WWD:起業のきっかけは?

佐藤怜(以下、佐藤):怒りだ。私は高校で美術を学び、文化服装学院に入り1年次を終了して中退。2年浪人して金沢美術工芸大学でアートと工芸の中間にある染織を、留学先のイタリア・ローマにあるファッション専門の大学であるアカデミアコスチューム&モーダ(Accademia Costume & Moda)ではファッションアクセサリーを学びました。つまり私自身はテキスタイルを軸にアート、ファッション、工芸を行き来しながら学んできたものの、日本に帰国して仕事を探してみると、ファッションブランドに行けば「アートがいいのでは?」、工芸に行けば「ファッションがいい?」、テキスタイル企業に行けば「日本よりも海外がいい」と、どこに話を聞きに行ってもとりつくしまもない。業界が分断していて、就職をしようにもどこにも行きようがなかった。一方で共同創業者の田邊(樹美・取締役)と先山(絵梨・取締役)の2人はすでに働いていたものの、産地やものづくりの現場の疲弊に悩んでいた。ならば、起業しかないというのが3人で出した結論だった。

WWD:プロフィールを見ると、全員がクリエイティブ出身。あえてスタートアップのような形で起業せず、デザイン会社という体裁でも良かったのでは?

佐藤:起業前、3人で話して行き着いた結論は、業界の分断で生まれている不健全な文化芸術産業の現状を改革し、文化を愛するユーザーと作り手、双方のウェルネスを実現すること。でもそのためには、プロダクトを作って、しかもスケールさせることが必要だった。ご指摘の通り、私を含め、事業計画なんて作ったこともない3人。ならば、ということで無職状態だった私が、あるアクセレータープログラムに参画して、1年ほど起業準備した。見るもの聞くもの新鮮で新しいことばかりではあったけど、すごく大変だったかと言われればそうでもない。たとえ就職していたにせよ、慣れないことの連続だったはず。参加者のほとんどがビジネス起点の起業家の卵たちで、私のようなアート/工芸出身者は珍しく、でもそれが逆に個性になった。ここで知ったクラウドファンディング型の資金調達で1400万円も集められた。開業資金は銀行からの創業融資の1000万円も元手になっている。起業準備期間には、イタリアの著名なファッションコンテストのITS(=International Talent Support)に応募して、アクセサリー部門のファイナリストに選ばれ、スウォッチ アートワーク賞を受賞した。

WWD:ビジネスの状況は?

佐藤:カスタマイズイヤホン「イヤーマインド」はクラウドファンディングの「マクアケ」で234万円の売り上げになった。製品は自分たちのアート活動名義のユニット「エブル(EbRu)」を含めた6人/組のアーティストとのコラボレーションしており、アートワーク、シェイプ、サウンドタイプのそれぞれからお気に入りの組み合わせを選べるようになっている。現在、機械部分のトラブルで当初の製造メーカーの変更をすることになって受注は止めて、クラファンの受注分も納品をお待ちいただいている状態だ。メーカー変更はめどが付き始めており、夏ごろまでには受注を再開始して、受注分も納品の予定だ。ただ、アートワークのコラボレーターは随時、声をかけさえて頂いている。優れた工芸作家やデザイナー、アーティストはそれこそ、知れば知るほどたくさんいて、そうしたアーティストたちとのコラボレーションが楽しくてしょうがない。

WWD:創業メンバー3人の出会いは?

佐藤:田邊と先山とは大学1年生のときに出会ってすぐに意気投合し、社名のルーツにもなった「EbRu」というユニットを結成した。だからかれこれ10年ほどの付き合いになる。金沢美術工芸大学は当時、比較的自由に学生が出入りして制作できるユニークなところで、学生時代は3人ともずっと作業場の床で寝起きをするほど、ものづくりに打ち込んでいた。大学を卒業後はそれぞれ違う進路になったものの、田邊と先山の2人はシェアハウス兼アトリエを東京に構えて一緒に住み、私もイタリアから帰国後は、そこにジョインした。田邊はパートナーと住むために今は出たけど、私と先山は今もその住居兼アトリエに住んでて、文字通り寝食もずっと一緒。10年の付き合いになるけど、ディスカッションはすることがあっても喧嘩はしたことがない。起業後も、ある程度の役割分担はあるけど、いつも3人で話し合ったり手を動かして決める。工芸がベースの3人だから、口よりも手を動かすことが先にあって、だから喧嘩にならないのかも。これまでも今も、イヤホンの型の原型やパッケージのデザインも、アトリエ兼住居で全部3人で手を動かして作ってきた。

WWD:今後は?

佐藤:エブルの根底にあるのは、いろいろな個性を認め合って、優れたクリエイティブを社会に提供すること。日本には優れた作家や工房がたくさんいて、それを「イヤーマインド」を通じて世界に発信もしたいし、世界にも進出し、イヤホンをキャンバスに世界中の優れたクリエイターやアーティストを紹介したい。


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ジェンダーの枠を越え、新たな美の表現を導く新生モデルTAIRA【ネクストリーダー2022】

 「プラダ(PRADA)」の2021年春夏ウィメンズ・コレクションでデビューしたモデルのTAIRAは、新しい美の表現を導く存在になるだろう。それはTAIRAが、男性とも女性とも自覚しないジェンダー・ノンバイナリーであるだけでなく、“文化の政治学”といわれるカルチュラル・スタディーズを学んだ学生時代に培ったファッションやジェンダー、カルチャーに対する批判的な視点を武器に、社会を変える強い意志があるからだ。TAIRAは、自分が持つ“マイノリティー”な側面に注目が集まることに違和感を覚える一方で、「社会を前進させるために、この対話を続けたい」とリーダーとしての覚悟を語る。

WWD:学生時代はモデルを目指していた?

TAIRA:全然考えていなかった。小さいころはアートや建築への関心が高く、将来はクリエイティブな業界に進みたいと思っていたが、モデルは自分へのキャリアパスだと考えたことがなかった。最初にスカウトを受けたときは驚いた。ライフストーリーとして経験してもよいかもしれないと思い挑戦したが、その後、光栄なことに違うスカウトからのオファーが続いた。面白かったのは、毎回自分が女の子だと思われていたこと。「女の子ではない」と伝えると、むしろますます興味を持ってもらえたし、ファッション業界で働く友人からも「絶対に挑戦すべきだ」と背中を押された。

WWD:モデル業への迷いや恐れはなかった?

TAIRA:あまりなかったかもしれない。むしろ自分の弱みだと思っていたものが強みになるんだと新しい力に気付かせてくれた。面白い出合いにあふれ、たくさんの刺激を受けるこの世界は、仕事としてだけでなく自分を深く知ることにも貢献してくれる。最終的なゴールはまだ見えないが、今はこの与えてもらったプラットフォームを楽しみたい。

WWD:これまでファッションはどんな存在だった?

TAIRA:昔から美しいものを見たり、作ったりすることが好きで、ファッションもその延長で楽しんでいた。特定のブランドや雑誌にハマるというより、自分が美しいと思ったものを自己流に表現していたと思う。学生時代は自分を理解できていない部分が大きかったし、アイデンティティーも確立していなかったから、ファッションは自分にとってよろいのような存在だった。自分を偽るためではなく、おしゃれでいることで周りから認められ、何か付加価値を得るための手段だったように思う。同時に、センシティブでナイーブな性格だったので、周りからどう見られるかをすごく意識していた。ファッションで認めてもらいたい半面、目立ちたくはない。そのバランスをうまく取りながら自分を表現していたと思う。今でこそ撮影でスカートを着る機会があるが、プライべートで自分からはきたいとはあまり思わない。小さいころから自然に選択肢として存在していたら、きっと今ごろ普通に手を伸ばしていたと思うけど。よく“Be yourself”というが、自分らしさは一つではないと思う。もっと流動的に捉えている。最近もし自分がモデルの仕事をしていなかったら、今、どんな装いをして社会に立っているんだろうと考える。今、髪を伸ばしているのもきっとファッションの世界に身を置いているから。例えば建築家になっていたら、また違った自分だったはず。きっとこれからも環境や周りから得る影響とともに、進化し続けるのが自分にとってのファッションだと思う。

WWD:大学時代はカルチュラル・スタディーズや人種、ジェンダーなどのアイデンティティーの分野で学びを深めた。得た知識は、今の仕事にどう生かされている?

TAIRA:人々は日常生活の中で、それぞれのアイデンティティーに沿ってパフォーマンスしているという考えを学んだ。お母さんを演じる、子どもを演じる、アジア人を演じるなど。モデルの仕事にも通じることが多い。特にファッション業界は権力構造など、社会の縮図のようで面白い。男女が二分されているファッションの世界でウィメンズウエアの仕事をするときは、自分も無意識に“女らしさ”を誇張したり、より女性らしく見えるような曲線的なポージングをしたりする。世間が作り上げた“女らしさ”の再生産に加担しているように感じるときもある。必ずしも演じることが悪いわけではないし、ステレオタイプから抜け出す必要があるのかどうかも分からないけど、どうしたらもっと違う可能性を導くことができるかを常に考えている。

対立を生まない形でのアクションを起こし続けたい

WWD:一番印象に残っている仕事は?

TAIRA:たくさんあるが、挙げるとしたら初めてファッション・ウイークに参加した「プラダ」の2021年春夏ウィメンズ・コレクションのショー。きっと自分はすごい経験をしたのだろうけど、どれだけすごいことだったのかは正直、今でも理解できていない。一つのショーが作られるまで、本当にたくさんの人が関わっていることに感銘を受けた。モデルはその場に行ってポーズするだけだと思われているかもしれないが、実際はそれ以上にチームの一員としての意識がある。「プラダ」で、そのプロセスに加わることができて幸せだった。

WWD:さまざまな反響があったと思う。

TAIRA:取材を受ける機会も増え、記事を読んだ全く知らない人から「インスパイアされました」とか、「感銘を受けました」といった連絡をもらった。知らない所で誰かの人生に影響を与えていると考えると、すごく光栄だし、感謝する半面、責任も感じている。

WWD:業界の多様性を推進する動きをどう見ている?

TAIRA:正直「多様性」や「ダイバーシティー」という言葉は苦手。理想は、そういった言葉で語る必要がなくなること。自分もその文脈でキャストいただくことが多いが、クライアントが多様性のメッセージを担保するために起用されたように感じてしまう場面があることも否めない。仮にそうだったとしても、ネガティブに捉えているわけではない。自分の表現がまだ美的価値観を形成途中の世代に与える影響や、新しい対話や気付きにつながる可能性があるから。世界はすでにカラフルな個性であふれているのに、それを押し殺して“ノーマル”と切り離して特別視されるのはおかしい。自分が感じていることは、社会がこれまでのコンフォートゾーンを抜け出し変化するときに生じるわずかな痛み。社会を前進させるためにこの対話を続けたい。

WWD:今後ネクストリーダーとして業界をどうけん引する?

TAIRA:多様性以外にもサステナビリティなどいろんなことに興味があり、対立や争いを生まない形でのアクションを起こし続けたい。いろんな問題があふれる現代社会で生きる個人として、さまざまな問題に対して、政治的でないと生きていけない時代だと思う。究極的には、社会に生きる全員がアクティビストでいるべきだと思うし、自分もこれからさまざまな活動を通して社会貢献していきたいけれど、今自分は自分をアクティビストとは呼びたくない。それは、その言葉が暴力性やネガティブな意味を内包する気がするから。常にオープンマインドでフレキシブルな考えで、謙虚な姿勢と感謝の気持ちを忘れずにいたい。


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ジェンダーの枠を越え、新たな美の表現を導く新生モデルTAIRA【ネクストリーダー2022】

 「プラダ(PRADA)」の2021年春夏ウィメンズ・コレクションでデビューしたモデルのTAIRAは、新しい美の表現を導く存在になるだろう。それはTAIRAが、男性とも女性とも自覚しないジェンダー・ノンバイナリーであるだけでなく、“文化の政治学”といわれるカルチュラル・スタディーズを学んだ学生時代に培ったファッションやジェンダー、カルチャーに対する批判的な視点を武器に、社会を変える強い意志があるからだ。TAIRAは、自分が持つ“マイノリティー”な側面に注目が集まることに違和感を覚える一方で、「社会を前進させるために、この対話を続けたい」とリーダーとしての覚悟を語る。

WWD:学生時代はモデルを目指していた?

TAIRA:全然考えていなかった。小さいころはアートや建築への関心が高く、将来はクリエイティブな業界に進みたいと思っていたが、モデルは自分へのキャリアパスだと考えたことがなかった。最初にスカウトを受けたときは驚いた。ライフストーリーとして経験してもよいかもしれないと思い挑戦したが、その後、光栄なことに違うスカウトからのオファーが続いた。面白かったのは、毎回自分が女の子だと思われていたこと。「女の子ではない」と伝えると、むしろますます興味を持ってもらえたし、ファッション業界で働く友人からも「絶対に挑戦すべきだ」と背中を押された。

WWD:モデル業への迷いや恐れはなかった?

TAIRA:あまりなかったかもしれない。むしろ自分の弱みだと思っていたものが強みになるんだと新しい力に気付かせてくれた。面白い出合いにあふれ、たくさんの刺激を受けるこの世界は、仕事としてだけでなく自分を深く知ることにも貢献してくれる。最終的なゴールはまだ見えないが、今はこの与えてもらったプラットフォームを楽しみたい。

WWD:これまでファッションはどんな存在だった?

TAIRA:昔から美しいものを見たり、作ったりすることが好きで、ファッションもその延長で楽しんでいた。特定のブランドや雑誌にハマるというより、自分が美しいと思ったものを自己流に表現していたと思う。学生時代は自分を理解できていない部分が大きかったし、アイデンティティーも確立していなかったから、ファッションは自分にとってよろいのような存在だった。自分を偽るためではなく、おしゃれでいることで周りから認められ、何か付加価値を得るための手段だったように思う。同時に、センシティブでナイーブな性格だったので、周りからどう見られるかをすごく意識していた。ファッションで認めてもらいたい半面、目立ちたくはない。そのバランスをうまく取りながら自分を表現していたと思う。今でこそ撮影でスカートを着る機会があるが、プライべートで自分からはきたいとはあまり思わない。小さいころから自然に選択肢として存在していたら、きっと今ごろ普通に手を伸ばしていたと思うけど。よく“Be yourself”というが、自分らしさは一つではないと思う。もっと流動的に捉えている。最近もし自分がモデルの仕事をしていなかったら、今、どんな装いをして社会に立っているんだろうと考える。今、髪を伸ばしているのもきっとファッションの世界に身を置いているから。例えば建築家になっていたら、また違った自分だったはず。きっとこれからも環境や周りから得る影響とともに、進化し続けるのが自分にとってのファッションだと思う。

WWD:大学時代はカルチュラル・スタディーズや人種、ジェンダーなどのアイデンティティーの分野で学びを深めた。得た知識は、今の仕事にどう生かされている?

TAIRA:人々は日常生活の中で、それぞれのアイデンティティーに沿ってパフォーマンスしているという考えを学んだ。お母さんを演じる、子どもを演じる、アジア人を演じるなど。モデルの仕事にも通じることが多い。特にファッション業界は権力構造など、社会の縮図のようで面白い。男女が二分されているファッションの世界でウィメンズウエアの仕事をするときは、自分も無意識に“女らしさ”を誇張したり、より女性らしく見えるような曲線的なポージングをしたりする。世間が作り上げた“女らしさ”の再生産に加担しているように感じるときもある。必ずしも演じることが悪いわけではないし、ステレオタイプから抜け出す必要があるのかどうかも分からないけど、どうしたらもっと違う可能性を導くことができるかを常に考えている。

対立を生まない形でのアクションを起こし続けたい

WWD:一番印象に残っている仕事は?

TAIRA:たくさんあるが、挙げるとしたら初めてファッション・ウイークに参加した「プラダ」の2021年春夏ウィメンズ・コレクションのショー。きっと自分はすごい経験をしたのだろうけど、どれだけすごいことだったのかは正直、今でも理解できていない。一つのショーが作られるまで、本当にたくさんの人が関わっていることに感銘を受けた。モデルはその場に行ってポーズするだけだと思われているかもしれないが、実際はそれ以上にチームの一員としての意識がある。「プラダ」で、そのプロセスに加わることができて幸せだった。

WWD:さまざまな反響があったと思う。

TAIRA:取材を受ける機会も増え、記事を読んだ全く知らない人から「インスパイアされました」とか、「感銘を受けました」といった連絡をもらった。知らない所で誰かの人生に影響を与えていると考えると、すごく光栄だし、感謝する半面、責任も感じている。

WWD:業界の多様性を推進する動きをどう見ている?

TAIRA:正直「多様性」や「ダイバーシティー」という言葉は苦手。理想は、そういった言葉で語る必要がなくなること。自分もその文脈でキャストいただくことが多いが、クライアントが多様性のメッセージを担保するために起用されたように感じてしまう場面があることも否めない。仮にそうだったとしても、ネガティブに捉えているわけではない。自分の表現がまだ美的価値観を形成途中の世代に与える影響や、新しい対話や気付きにつながる可能性があるから。世界はすでにカラフルな個性であふれているのに、それを押し殺して“ノーマル”と切り離して特別視されるのはおかしい。自分が感じていることは、社会がこれまでのコンフォートゾーンを抜け出し変化するときに生じるわずかな痛み。社会を前進させるためにこの対話を続けたい。

WWD:今後ネクストリーダーとして業界をどうけん引する?

TAIRA:多様性以外にもサステナビリティなどいろんなことに興味があり、対立や争いを生まない形でのアクションを起こし続けたい。いろんな問題があふれる現代社会で生きる個人として、さまざまな問題に対して、政治的でないと生きていけない時代だと思う。究極的には、社会に生きる全員がアクティビストでいるべきだと思うし、自分もこれからさまざまな活動を通して社会貢献していきたいけれど、今自分は自分をアクティビストとは呼びたくない。それは、その言葉が暴力性やネガティブな意味を内包する気がするから。常にオープンマインドでフレキシブルな考えで、謙虚な姿勢と感謝の気持ちを忘れずにいたい。


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産地の技術継承を願いこだわり抜く「カナコ サカイ」 夢は日本発のグローバルブランド【ネクストリーダー2022】

 「カナコ サカイ」は2022年春夏デビューのウィメンズブランドだ。立ち上げから半年でのネクストリーダー選出に関しては「早すぎないか?」と本人が一番驚いている。だが、長年多くのデザイナーと向き合ってきた推薦・審査員たちは直感的に、サカイカナコの中にファッションデザイナーとしての覚悟と独特のセンス、そしてリーダーシップを見出している。引っ越したばかりの小さなアトリエで彼女が描く未来を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):読者は「カナコ サカイ 」とサカイさんについて知らない人がまだ多いので自己紹介を兼ねて教えて欲しい。多感な10代の頃、あなたはどんなファッションが好きだった?

サカイカナコ(「カナコ サカイ」デザイナー、以下サカイ):海外のストリートスナップに憧れて、ブロガーのルミ・ニーリー(Rumi Neely)が好きで、カルチャーやクリエイティブには憧れているけれど地元にはおしゃれをして出かける場所もなく、お風呂の中に雑誌を10冊くらい持ち込んで読みふけっていた。週末には茨城の実家から代官山のヴィンテージショップの「ヴィニヴィニ(VINIVINI)」に通ったり、「トップショップ(TOP SHOP)」が新宿にオープンしたときは買いに行ったりしていたのを覚えている。

WWD:ファッションデザイナーになろうと決めたのはいつ?

サカイ:東京の大学に進学して1年生のとき「今のままだと何者にもなれない」、と将来を深く考えた。で、出た答えが「ファッションデザイナーになる」だった。服作りの勉強をしたことはない。だけど、「私は何ができて、何が得意で、何をして生きていきたいのだろう」の答えから浮かび上がるのがファッションデザイナーだったから。根拠はないけど“やれる気がする”と思った。

WWD:道が見えてまずしたことは?

サカイ:「ファッションニュース(FASHION NEWS)」や「ギャップ(GAP)」といったコレクションマガジンに載っているデザイナーのプロフィールを熟読してキャリアの積み方を研究した。皆、大体同じで、服飾の学校で学び、デザイナーズブランドでインターンから始めて経験を積み、独立する。その通りに実行して30歳くらいで独立しようと決めた。

WWD:結果的に29歳で「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」をデビューしたから有言実行だ。それで大学卒業後はニューヨークへ?

サカイ:スタートの遅れを挽回したかったのでまずは東京の服飾学校の夜間へ通い、ダブルスクールで服作りの技術を学んだ。卒業後にNYのパーソンズスクールのファッションデザイナー科へ。ニューヨークへ降り立った瞬間、英語も大してできないのに不思議なことに「ここは自分の場所だ、ここではよそ者じゃない」と直感した。まさに多様性で、いろいろな国からいろいろなバックグラウンドを持つが人が集まって学校も楽しい。美という価値観の多様性に驚いた。そして結果的には自分が日本人であることを強く自覚した。たとえば私が不完全さ、インパーフェクションを美しいと言えば、インド出身の同級生はタージ・マハルのように完璧なまでに左右対称であることが大切だと言う。とてもおもしろいと思う。自分では全く特別に思っていなかった日本人としての美意識やアイデンティティが、異なるバックグラウンドを持つ人たちには魅力的にみえることにも気がついた。

WWD:NYではいくつかのデザイナーズブランドでインターンを経験している。

サカイ:デザインチームでコレクションの組み立て方などを学んだ。印象的だったのが「3.1フィリップ・リム(3.1PHILLIP LIM)」。基本就業時間は9:30~18:00で残業はナシ。コレクション前の忙しいときでも事前に依頼があり、残れば夕方には必ず食事をとる。デザイナーズブランドには「好きだから時間もいとわず、食事もとらず」みたいなイメージがあったので驚き、いいなと思った。デザイナーのフィリップも気さくで、夕飯の和の中に入ってざっくばらんに意見交換をする。こうありたいと思った。帰国後は、デザイナーズブランドで2年間、生産管理に関わるあらゆることを学んだ。

自分の言葉を持ち自分の人生を生きている人に着てほしい

WWD:そして予定通り29歳で独立。「カナコ サカイ」を立ち上げて最初にしたことは?

サカイ:前職を退職した次の日に生地の展示会に行ったと思う。それまでチームで行ってきたことをこれからは全部ひとりで行う。その違いはあるけれどやることは同じ。

WWD:服作りで大切にしていることは?

サカイ:こだわりや理想を諦めない。服作りは本当にたくさんの工程があり、複合的。アイデア、糸の番手、パターン、縫い方、サイズ表示をつける場所、デリバリーなど、着る人に届くまでにもう本当に数え切れない工程がある。生地がよくても縫製がダメならダメだし、そこまでがよくても見せ方がダメならダメ。すべてがつながっている。やることが本当に多く私はそのひとつひとつに魂を込めている。ひとつでも手を抜いたら「カナコ サカイ」でなくなるから。

WWD:誰に着てほしい?

サカイ:それはパティ・スミス(Patti Smith)!アクティビストやフェミニスト、アーティストと言われる人にも惹かれることが多い。自分の声と言葉を持ち、自分の目でジャッジして自分の人生を生きている人たちに着てもらえるブランドになりたい。自分は自分らしくて良いのだという価値観を、ブランドを通して伝えることで、自分の思いや人の思いを尊重していける世の中になるように少しでも貢献したい。

WWD:サステナビリティという言葉をどう解釈している?

サカイ:エコロジーはもちろん大事だけど、今力を入れたいのは「産業の発展と継続、技術の継承」それと「個々人が平等であること」。私は生地にとても関心があり、ファーストコレクションの素材はすべて、日本の産地や職人と取り組んだオリジナル。その一つに浜松の生地メーカー、ナカジマさんがある。浜松産地に伝承されてきた技術を使った麻やコットンが得意で、初めて見たとき「全部好き」と思った。他には存在しないクラフトのような生地だと思う。

WWD:日本の物作りの現場や産地への強い思い入れが感じる。

サカイ:日本でファッションブランドを手がけることは、西洋由来のものを日本で作るということ。ヨーロッパの二番煎じにならないために、日本でつくる意味、日本でだからこそできることに焦点を当てブランドに付加価値をつけていきたい。ローカルでしかできない商品を提供するからこそ、グローバルで希少な価値を持ち、差別化を図ることができると思うから。だけど、いざ日本で服を作ってみると、日本のアパレル産業には様々な問題が山積みであることに気がついた。高齢化や後継者問題、日本の生地を海外でリプロダクションされ売り上げにつながらない、などなど。私が日本で物づくりを始めてから今までの短い間でも、実際様々な工場が廃業し、前まではできたことができない、と言われることが多々ある。せっかく素晴らしいものづくりをしていて、世界に認められた人や技術が沢山あっても、このまま衰退してしまっては、日本で物づくりをする私たちのようなブランドには死活問題となる。そこで、ブランドがきちんとこの課題に向き合い作り手と一緒になり発信していくことで、メード・イン・ジャパンの良さを世界に広め、産業も発展していく循環が起こることを理想とし、ブランドの目標として掲げている。

WWD:デビューコレクションは、グラデーションとタイダイの技術を掛け合わせた手染めの服が印象的だった。

サカイ:自身と同年代のデュオ“タイダイ フリーク(TIEDYE FREAK)”とのタイダイ染めだ。伝統技術だけではなく、若い職人、特に女性の職人にフォーカスしたい思いもある。男女は平等でどちらが大事とかないけど、物作りの世界は圧倒的に男性が中心だから、意識的に女性にフォーカスしたいとは思う。次シーズンも女性アーティスト、シロヤマユリカ(Yurika Shiroyama)さんとコラボレーションをする。

WWD:サステナブルな素材への関心は?

サカイ:もちろんある。今はオリジナルの生地作りに集中しているけれど、次の段階ではサステナブルな生地と組み合わせてコレクションを構成できたらと思う。

WWD:ネクストリーダーと呼ばれてどう?

サカイ:「早くないですか?」が本音だけど、私には勢いがあるかな、と思うのでみんなの道を作れるような人になりたい。

WWD:10年後の「カナコ サカイ」はどうなっている?

サカイ:うまく伝わるか不安もあるが、日本発のグローバルなメゾンブランドを作りたい、と思う。日本を拠点に日本のアイデンティティを大事にしつつ、世界中からいろいろなバックグラウンドと意見と美意識を持つ人が集まりチームとして作り上げるオープンなブランドになりたい。この場に来られなくても今ならオンラインでつながれる。人生を通じて自分が知らないことを知っている面白い人たちと出会って自分の価値観を広げてゆきたいから。


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産地の技術継承を願いこだわり抜く「カナコ サカイ」 夢は日本発のグローバルブランド【ネクストリーダー2022】

 「カナコ サカイ」は2022年春夏デビューのウィメンズブランドだ。立ち上げから半年でのネクストリーダー選出に関しては「早すぎないか?」と本人が一番驚いている。だが、長年多くのデザイナーと向き合ってきた推薦・審査員たちは直感的に、サカイカナコの中にファッションデザイナーとしての覚悟と独特のセンス、そしてリーダーシップを見出している。引っ越したばかりの小さなアトリエで彼女が描く未来を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):読者は「カナコ サカイ 」とサカイさんについて知らない人がまだ多いので自己紹介を兼ねて教えて欲しい。多感な10代の頃、あなたはどんなファッションが好きだった?

サカイカナコ(「カナコ サカイ」デザイナー、以下サカイ):海外のストリートスナップに憧れて、ブロガーのルミ・ニーリー(Rumi Neely)が好きで、カルチャーやクリエイティブには憧れているけれど地元にはおしゃれをして出かける場所もなく、お風呂の中に雑誌を10冊くらい持ち込んで読みふけっていた。週末には茨城の実家から代官山のヴィンテージショップの「ヴィニヴィニ(VINIVINI)」に通ったり、「トップショップ(TOP SHOP)」が新宿にオープンしたときは買いに行ったりしていたのを覚えている。

WWD:ファッションデザイナーになろうと決めたのはいつ?

サカイ:東京の大学に進学して1年生のとき「今のままだと何者にもなれない」、と将来を深く考えた。で、出た答えが「ファッションデザイナーになる」だった。服作りの勉強をしたことはない。だけど、「私は何ができて、何が得意で、何をして生きていきたいのだろう」の答えから浮かび上がるのがファッションデザイナーだったから。根拠はないけど“やれる気がする”と思った。

WWD:道が見えてまずしたことは?

サカイ:「ファッションニュース(FASHION NEWS)」や「ギャップ(GAP)」といったコレクションマガジンに載っているデザイナーのプロフィールを熟読してキャリアの積み方を研究した。皆、大体同じで、服飾の学校で学び、デザイナーズブランドでインターンから始めて経験を積み、独立する。その通りに実行して30歳くらいで独立しようと決めた。

WWD:結果的に29歳で「カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)」をデビューしたから有言実行だ。それで大学卒業後はニューヨークへ?

サカイ:スタートの遅れを挽回したかったのでまずは東京の服飾学校の夜間へ通い、ダブルスクールで服作りの技術を学んだ。卒業後にNYのパーソンズスクールのファッションデザイナー科へ。ニューヨークへ降り立った瞬間、英語も大してできないのに不思議なことに「ここは自分の場所だ、ここではよそ者じゃない」と直感した。まさに多様性で、いろいろな国からいろいろなバックグラウンドを持つが人が集まって学校も楽しい。美という価値観の多様性に驚いた。そして結果的には自分が日本人であることを強く自覚した。たとえば私が不完全さ、インパーフェクションを美しいと言えば、インド出身の同級生はタージ・マハルのように完璧なまでに左右対称であることが大切だと言う。とてもおもしろいと思う。自分では全く特別に思っていなかった日本人としての美意識やアイデンティティが、異なるバックグラウンドを持つ人たちには魅力的にみえることにも気がついた。

WWD:NYではいくつかのデザイナーズブランドでインターンを経験している。

サカイ:デザインチームでコレクションの組み立て方などを学んだ。印象的だったのが「3.1フィリップ・リム(3.1PHILLIP LIM)」。基本就業時間は9:30~18:00で残業はナシ。コレクション前の忙しいときでも事前に依頼があり、残れば夕方には必ず食事をとる。デザイナーズブランドには「好きだから時間もいとわず、食事もとらず」みたいなイメージがあったので驚き、いいなと思った。デザイナーのフィリップも気さくで、夕飯の和の中に入ってざっくばらんに意見交換をする。こうありたいと思った。帰国後は、デザイナーズブランドで2年間、生産管理に関わるあらゆることを学んだ。

自分の言葉を持ち自分の人生を生きている人に着てほしい

WWD:そして予定通り29歳で独立。「カナコ サカイ」を立ち上げて最初にしたことは?

サカイ:前職を退職した次の日に生地の展示会に行ったと思う。それまでチームで行ってきたことをこれからは全部ひとりで行う。その違いはあるけれどやることは同じ。

WWD:服作りで大切にしていることは?

サカイ:こだわりや理想を諦めない。服作りは本当にたくさんの工程があり、複合的。アイデア、糸の番手、パターン、縫い方、サイズ表示をつける場所、デリバリーなど、着る人に届くまでにもう本当に数え切れない工程がある。生地がよくても縫製がダメならダメだし、そこまでがよくても見せ方がダメならダメ。すべてがつながっている。やることが本当に多く私はそのひとつひとつに魂を込めている。ひとつでも手を抜いたら「カナコ サカイ」でなくなるから。

WWD:誰に着てほしい?

サカイ:それはパティ・スミス(Patti Smith)!アクティビストやフェミニスト、アーティストと言われる人にも惹かれることが多い。自分の声と言葉を持ち、自分の目でジャッジして自分の人生を生きている人たちに着てもらえるブランドになりたい。自分は自分らしくて良いのだという価値観を、ブランドを通して伝えることで、自分の思いや人の思いを尊重していける世の中になるように少しでも貢献したい。

WWD:サステナビリティという言葉をどう解釈している?

サカイ:エコロジーはもちろん大事だけど、今力を入れたいのは「産業の発展と継続、技術の継承」それと「個々人が平等であること」。私は生地にとても関心があり、ファーストコレクションの素材はすべて、日本の産地や職人と取り組んだオリジナル。その一つに浜松の生地メーカー、ナカジマさんがある。浜松産地に伝承されてきた技術を使った麻やコットンが得意で、初めて見たとき「全部好き」と思った。他には存在しないクラフトのような生地だと思う。

WWD:日本の物作りの現場や産地への強い思い入れが感じる。

サカイ:日本でファッションブランドを手がけることは、西洋由来のものを日本で作るということ。ヨーロッパの二番煎じにならないために、日本でつくる意味、日本でだからこそできることに焦点を当てブランドに付加価値をつけていきたい。ローカルでしかできない商品を提供するからこそ、グローバルで希少な価値を持ち、差別化を図ることができると思うから。だけど、いざ日本で服を作ってみると、日本のアパレル産業には様々な問題が山積みであることに気がついた。高齢化や後継者問題、日本の生地を海外でリプロダクションされ売り上げにつながらない、などなど。私が日本で物づくりを始めてから今までの短い間でも、実際様々な工場が廃業し、前まではできたことができない、と言われることが多々ある。せっかく素晴らしいものづくりをしていて、世界に認められた人や技術が沢山あっても、このまま衰退してしまっては、日本で物づくりをする私たちのようなブランドには死活問題となる。そこで、ブランドがきちんとこの課題に向き合い作り手と一緒になり発信していくことで、メード・イン・ジャパンの良さを世界に広め、産業も発展していく循環が起こることを理想とし、ブランドの目標として掲げている。

WWD:デビューコレクションは、グラデーションとタイダイの技術を掛け合わせた手染めの服が印象的だった。

サカイ:自身と同年代のデュオ“タイダイ フリーク(TIEDYE FREAK)”とのタイダイ染めだ。伝統技術だけではなく、若い職人、特に女性の職人にフォーカスしたい思いもある。男女は平等でどちらが大事とかないけど、物作りの世界は圧倒的に男性が中心だから、意識的に女性にフォーカスしたいとは思う。次シーズンも女性アーティスト、シロヤマユリカ(Yurika Shiroyama)さんとコラボレーションをする。

WWD:サステナブルな素材への関心は?

サカイ:もちろんある。今はオリジナルの生地作りに集中しているけれど、次の段階ではサステナブルな生地と組み合わせてコレクションを構成できたらと思う。

WWD:ネクストリーダーと呼ばれてどう?

サカイ:「早くないですか?」が本音だけど、私には勢いがあるかな、と思うのでみんなの道を作れるような人になりたい。

WWD:10年後の「カナコ サカイ」はどうなっている?

サカイ:うまく伝わるか不安もあるが、日本発のグローバルなメゾンブランドを作りたい、と思う。日本を拠点に日本のアイデンティティを大事にしつつ、世界中からいろいろなバックグラウンドと意見と美意識を持つ人が集まりチームとして作り上げるオープンなブランドになりたい。この場に来られなくても今ならオンラインでつながれる。人生を通じて自分が知らないことを知っている面白い人たちと出会って自分の価値観を広げてゆきたいから。


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障がいは“異彩” アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

 双子の松田崇弥代表と松田文登副代表が率いるヘラルボニーは、知的障がいのあるアーティストの作品をアパレルやインテリアに生かすブランド事業と、アート作品のデータを幅広い用途に転用するライセンス事業を行っている。立ち上げから3年が経ち、売り上げを順調に伸ばす一方で、「障がいを“異彩”と捉える新しい価値観を広げるのが目的だから、まだスタート地点にさえ立てていない」と口をそろえる。強い意志で動く彼らの背景には、自閉症の兄の存在と、兄に向けられる視線に感じる“違和感”があった。

WWD:ヘラルボニーを立ち上げた経緯は?

松田崇弥ヘラルボニー代表(以下、崇弥):僕たちには、重度の知的障がいを伴う自閉症の兄がいる。自分のリズムが乱れるとパニックを起こすこともあるが、それが欠陥とは思わず、一緒に遊び、ときには喧嘩をして、人生を共にしてきた。でも親戚からは、「かわいそうだね」「君らは兄貴の分まで生きろよ」と言われ、冷ややかな視線を向ける人がいた。そういった、障がいを“欠陥”だと捉える反応に直面するたび、いつも気持ち悪さを抱いていた。そんなある日、障がいのある人の作品を展示する岩手の「るんびいに美術館」を訪れた。障がいを持つ人のアート表現に衝撃を受けた僕は、「こういう人と何か一緒にできないか」とすぐさま弟に連絡した。互いに別の仕事をやりながら、副業として小さなブランドを始めた。

松田文登ヘラルボニー副代表(以下、文登):ブランド名は「ムク(MUKU)」。最初は、障がいのある人のアート作品を柄にしたネクタイを作った。そこから、ハンカチや傘などアイテムの幅を広げ、3年前に企業としてヘラルボニーを立ち上げた。

WWD:アート作品の展示ではなく、なぜブランドから始めたのか?

崇弥:作品を展示するだけでは、“アール・ブリュット”(美術の専門教育を受けず、思いのままに創作するアート)に興味がある人にしか届けられない。僕たちは“社会の目をどう変えるか”にチャレンジしている。“障がい”や“福祉”と聞いた瞬間に耳を塞いでしまう人や、自分とは関係ないと思う人にこそ届けたい。ブランドという傘があれば、間口が広がる。

文登:ブランド以外にも、約2000点のアート作品のライセンス事業も行っている。アートデータをアパレルやノベルティに活用してもらったり、建設現場の仮囲いに使われたり、最近は東京2020パラリンピックの閉会式でプロジェクションマッピングにも使用された。美術館やギャラリーを飛び出して、イベントや街、人々の生活にまで徐々に浸透している。

WWD:作家はどのように見つけている?

崇弥:見つけるというよりも、出会っている感覚だ。福祉施設から紹介されて出会うパターンと、自社サイトの問い合わせページで作品が送られてきて、その中で素敵だと思った人と直接やりとりして契約するパターンがある。僕らは、「障がいを持つ全員がアーティストだ」と発信したいわけじゃない。個性はさまざまあり、その中にすごく素敵な作品を描く人がいるだけ。その人たちを社会とコネクトさせるのが僕らの役割だ。今は153人と契約している。

文登:作品が面白くても、障がいの重さからビジネスにするのは困難だと思われている人もいる。たしかに半年に一度個展を開き、売買で利益を得るのは難しいが、データとして保管し、それを貸し出してライセンスフィーが入る仕組みなら、社会と無理なくつながることができる。

WWD:ライセンスや建設事業など、ビジネスの目のつけどころが鋭い。

崇弥:僕はかつて、“くまもん”のプロデュースを行う小山薫堂さんの元で働いており、ライセンスの可能性を感じていた。文登は新卒でゼネコンに入社し、「借り囲いに勝機がある」と常々語っていた。どちらも前職の強みが生きている。

文登:でも、最初から順調だったわけじゃない。toB向け事業としてライセンスの話をしても、「素晴らしいことをされていますね」で終了し、受注はほとんどなかった。それでも諦めず、銀行から融資を受けて地元の百貨店に実店舗を作ったり、商品を拡充したりと、toCに振り切って活動するうちに、露出が増えてライセンスの依頼も届くようになった。

WWD:ビジネス規模が拡大し、メディアで見る機会も増えているが、“異彩を、放て。”という企業ミッションが本当の意味で伝わっている実感はあるか?

崇弥:正直、まだまだだ。今はサステナビリティやダイバーシティー、インクルージョンといった波に乗らせてもらっているだけ。この波がなくなったときに“異彩を、放て。”のメッセージが浸透しているかどうかだ。それでも、今の環境が好機であることは事実。ブームではなく、文化になれるよう、粛々と活動を行う。

WWD:今後の展望は?

崇弥:今はアートを軸にしているが、その外にも飛び出したい。究極は、障がいのある人と出会いを創ること。「ヘラルボニー」のファブリックやインテリアに包まれたカフェで、障がいのある人が働き、そこにお客さんがくる。挨拶はできないかもしれないけど、こだわりがあるからサーブや皿洗いはすごい。それを目の当たりにすれば、障がいへの考えは大きく変わる可能性がある。何かが便利になるわけでも、誰かが楽になるわけでもない。でも、生活者の思考や価値観をアップデートできたら、それこそ本当のイノベーションだ。

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障がいは“異彩” アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

 双子の松田崇弥代表と松田文登副代表が率いるヘラルボニーは、知的障がいのあるアーティストの作品をアパレルやインテリアに生かすブランド事業と、アート作品のデータを幅広い用途に転用するライセンス事業を行っている。立ち上げから3年が経ち、売り上げを順調に伸ばす一方で、「障がいを“異彩”と捉える新しい価値観を広げるのが目的だから、まだスタート地点にさえ立てていない」と口をそろえる。強い意志で動く彼らの背景には、自閉症の兄の存在と、兄に向けられる視線に感じる“違和感”があった。

WWD:ヘラルボニーを立ち上げた経緯は?

松田崇弥ヘラルボニー代表(以下、崇弥):僕たちには、重度の知的障がいを伴う自閉症の兄がいる。自分のリズムが乱れるとパニックを起こすこともあるが、それが欠陥とは思わず、一緒に遊び、ときには喧嘩をして、人生を共にしてきた。でも親戚からは、「かわいそうだね」「君らは兄貴の分まで生きろよ」と言われ、冷ややかな視線を向ける人がいた。そういった、障がいを“欠陥”だと捉える反応に直面するたび、いつも気持ち悪さを抱いていた。そんなある日、障がいのある人の作品を展示する岩手の「るんびいに美術館」を訪れた。障がいを持つ人のアート表現に衝撃を受けた僕は、「こういう人と何か一緒にできないか」とすぐさま弟に連絡した。互いに別の仕事をやりながら、副業として小さなブランドを始めた。

松田文登ヘラルボニー副代表(以下、文登):ブランド名は「ムク(MUKU)」。最初は、障がいのある人のアート作品を柄にしたネクタイを作った。そこから、ハンカチや傘などアイテムの幅を広げ、3年前に企業としてヘラルボニーを立ち上げた。

WWD:アート作品の展示ではなく、なぜブランドから始めたのか?

崇弥:作品を展示するだけでは、“アール・ブリュット”(美術の専門教育を受けず、思いのままに創作するアート)に興味がある人にしか届けられない。僕たちは“社会の目をどう変えるか”にチャレンジしている。“障がい”や“福祉”と聞いた瞬間に耳を塞いでしまう人や、自分とは関係ないと思う人にこそ届けたい。ブランドという傘があれば、間口が広がる。

文登:ブランド以外にも、約2000点のアート作品のライセンス事業も行っている。アートデータをアパレルやノベルティに活用してもらったり、建設現場の仮囲いに使われたり、最近は東京2020パラリンピックの閉会式でプロジェクションマッピングにも使用された。美術館やギャラリーを飛び出して、イベントや街、人々の生活にまで徐々に浸透している。

WWD:作家はどのように見つけている?

崇弥:見つけるというよりも、出会っている感覚だ。福祉施設から紹介されて出会うパターンと、自社サイトの問い合わせページで作品が送られてきて、その中で素敵だと思った人と直接やりとりして契約するパターンがある。僕らは、「障がいを持つ全員がアーティストだ」と発信したいわけじゃない。個性はさまざまあり、その中にすごく素敵な作品を描く人がいるだけ。その人たちを社会とコネクトさせるのが僕らの役割だ。今は153人と契約している。

文登:作品が面白くても、障がいの重さからビジネスにするのは困難だと思われている人もいる。たしかに半年に一度個展を開き、売買で利益を得るのは難しいが、データとして保管し、それを貸し出してライセンスフィーが入る仕組みなら、社会と無理なくつながることができる。

WWD:ライセンスや建設事業など、ビジネスの目のつけどころが鋭い。

崇弥:僕はかつて、“くまもん”のプロデュースを行う小山薫堂さんの元で働いており、ライセンスの可能性を感じていた。文登は新卒でゼネコンに入社し、「借り囲いに勝機がある」と常々語っていた。どちらも前職の強みが生きている。

文登:でも、最初から順調だったわけじゃない。toB向け事業としてライセンスの話をしても、「素晴らしいことをされていますね」で終了し、受注はほとんどなかった。それでも諦めず、銀行から融資を受けて地元の百貨店に実店舗を作ったり、商品を拡充したりと、toCに振り切って活動するうちに、露出が増えてライセンスの依頼も届くようになった。

WWD:ビジネス規模が拡大し、メディアで見る機会も増えているが、“異彩を、放て。”という企業ミッションが本当の意味で伝わっている実感はあるか?

崇弥:正直、まだまだだ。今はサステナビリティやダイバーシティー、インクルージョンといった波に乗らせてもらっているだけ。この波がなくなったときに“異彩を、放て。”のメッセージが浸透しているかどうかだ。それでも、今の環境が好機であることは事実。ブームではなく、文化になれるよう、粛々と活動を行う。

WWD:今後の展望は?

崇弥:今はアートを軸にしているが、その外にも飛び出したい。究極は、障がいのある人と出会いを創ること。「ヘラルボニー」のファブリックやインテリアに包まれたカフェで、障がいのある人が働き、そこにお客さんがくる。挨拶はできないかもしれないけど、こだわりがあるからサーブや皿洗いはすごい。それを目の当たりにすれば、障がいへの考えは大きく変わる可能性がある。何かが便利になるわけでも、誰かが楽になるわけでもない。でも、生活者の思考や価値観をアップデートできたら、それこそ本当のイノベーションだ。

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「他人の企画には乗っからない」という風土払拭を目指す伊勢丹「リ・スタイル」バイヤー【ネクストリーダー2022】

 好敵手でもある伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店のほか、セレクトショップまで参画したサステナブルなアクションが3月23日に本格スタートする。三越伊勢丹と阪急阪神百貨店、岩田屋三越、エスティーカンパニー、ファッションコアミッドウエスト、そして佐藤繊維の6社による「デニム de ミライ」の発起人は、伊勢丹新宿本店「リ・スタイル」の神谷将太バイヤーだ。三越伊勢丹、中でも伊勢丹新宿本店と言えば「ONLY I」に象徴される“エクスクルーシブ”でプライドと情熱を表現してきたが、神谷バイヤーは他社さえ巻き込んだ「ファッション業界のコンソーシアム(互いに力を合わせて目的に達しようとする組織や人の集団)を作りたい」という。そのビジョンとは?

WWDJAPAN(以下、WWD):「デニム de ミライ」の経緯は?

神谷将太「リ・スタイル」バイヤー(以下、神谷):コロナ禍で時間的な余裕が少し生まれたとき、引き取り手が見つからなかった「リーバイス(LEVI’S)」501のデニム20tを検品・補修、洗い続けているヤマサワプレス(東京都足立区)を訪れた。20tのデニムの山に圧倒され、なんとかしたいと思い、その場で(誰とも話をしていないのに)「ほかの店舗やブランドと一緒に、アクションを起こします」と伝えた。常々、「自主編集ショップの概念を変えて、新しいミライを作りたい」と思っていた。さまざまな想いを繋げ、新しいサイクルを生み出す。三越伊勢丹が、そのサイクルの中心に存在できれば。「インクルーシブなつながり」と「独自性の創出」が両輪となれば、持続可能性のある関係性を構築しながら、それぞれらしく高揚感も提案できる。さまざまな商品を取り揃える百貨店らしく、仲間を増やし、そこで生まれる掛け算が発信できれば、業界を超えたメッセージにつながる。「他人の企画には乗っからない」という業界の風土を払拭したい。

WWD:社内も、社外も、説得は大変ではなかったのか?

神谷:グループ店の岩田屋を除き、阪急と地方のセレクトには直接赴いた。長らくファッション業界にいるから、「壁を超えるのは大変」だと分かっていた。でも、「オワコン」と呼ばれるビジネスだからこそ、その壁を取っ払いたかった。自分たちも含め、どのショップもコロナでうまくいっていない。だからこそ足を運び、ゆっくり話して、「良いニュースを発信しよう」と伝え、共感していただいた。競合他社との取り組みは前例も少なく、社内の巻き込みには苦労した。社内にだって垣根はあったし、これまで他のバイヤーの企画には乗りづらい雰囲気もあった。でも、同年代(30代中盤)のバイヤーが増え、「デニム de ミライ」は自然発生的に広げられるようになっていた。皆、「このままでは、業界全体が廃れてしまう」と常々考えているからこそ、社内も社外も一丸となれた。意義を共有する過程は、苦労したけれど、楽しかった。

WWD:結果、「デニム de ミライ」プロジェクトは、50以上のブランドから集まった150型以上のビンテージデニムのアップサイクルを6つの店舗がそれぞれ選び販売する。

神谷:「リーバイス」にも正式な承認をいただき、デザイナーの卵とも協業する。ただ、販売する商品とメッセージの伝え方は独自でいい。各社の現状は異なっている。強いところを伸ばすのが、業界全体の底上げと、各社の利益や価値づくりの双方への貢献だろう。地方セレクトとの協業には、発見も多かった。地方のセレクトは、買い付けの段階でお客さまの顔が浮かぶ。精度が違った。

WWD:これからの夢は?

神谷:高いレベルのディレクションや場の確保、ブランディング、百貨のコラボレーションなど、三越伊勢丹と協業する理由は色々提案できると思うが、コンソーシアムは、三越伊勢丹だけがリーダーじゃなくても良い。ファッション業界に存在する大きな社会課題に対して、誰かが出会ったリソースをできるだけ多くの人たちで受け止め、向き合い、解決に向けて行動したい。


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「他人の企画には乗っからない」という風土払拭を目指す伊勢丹「リ・スタイル」バイヤー【ネクストリーダー2022】

 好敵手でもある伊勢丹新宿本店と阪急うめだ本店のほか、セレクトショップまで参画したサステナブルなアクションが3月23日に本格スタートする。三越伊勢丹と阪急阪神百貨店、岩田屋三越、エスティーカンパニー、ファッションコアミッドウエスト、そして佐藤繊維の6社による「デニム de ミライ」の発起人は、伊勢丹新宿本店「リ・スタイル」の神谷将太バイヤーだ。三越伊勢丹、中でも伊勢丹新宿本店と言えば「ONLY I」に象徴される“エクスクルーシブ”でプライドと情熱を表現してきたが、神谷バイヤーは他社さえ巻き込んだ「ファッション業界のコンソーシアム(互いに力を合わせて目的に達しようとする組織や人の集団)を作りたい」という。そのビジョンとは?

WWDJAPAN(以下、WWD):「デニム de ミライ」の経緯は?

神谷将太「リ・スタイル」バイヤー(以下、神谷):コロナ禍で時間的な余裕が少し生まれたとき、引き取り手が見つからなかった「リーバイス(LEVI’S)」501のデニム20tを検品・補修、洗い続けているヤマサワプレス(東京都足立区)を訪れた。20tのデニムの山に圧倒され、なんとかしたいと思い、その場で(誰とも話をしていないのに)「ほかの店舗やブランドと一緒に、アクションを起こします」と伝えた。常々、「自主編集ショップの概念を変えて、新しいミライを作りたい」と思っていた。さまざまな想いを繋げ、新しいサイクルを生み出す。三越伊勢丹が、そのサイクルの中心に存在できれば。「インクルーシブなつながり」と「独自性の創出」が両輪となれば、持続可能性のある関係性を構築しながら、それぞれらしく高揚感も提案できる。さまざまな商品を取り揃える百貨店らしく、仲間を増やし、そこで生まれる掛け算が発信できれば、業界を超えたメッセージにつながる。「他人の企画には乗っからない」という業界の風土を払拭したい。

WWD:社内も、社外も、説得は大変ではなかったのか?

神谷:グループ店の岩田屋を除き、阪急と地方のセレクトには直接赴いた。長らくファッション業界にいるから、「壁を超えるのは大変」だと分かっていた。でも、「オワコン」と呼ばれるビジネスだからこそ、その壁を取っ払いたかった。自分たちも含め、どのショップもコロナでうまくいっていない。だからこそ足を運び、ゆっくり話して、「良いニュースを発信しよう」と伝え、共感していただいた。競合他社との取り組みは前例も少なく、社内の巻き込みには苦労した。社内にだって垣根はあったし、これまで他のバイヤーの企画には乗りづらい雰囲気もあった。でも、同年代(30代中盤)のバイヤーが増え、「デニム de ミライ」は自然発生的に広げられるようになっていた。皆、「このままでは、業界全体が廃れてしまう」と常々考えているからこそ、社内も社外も一丸となれた。意義を共有する過程は、苦労したけれど、楽しかった。

WWD:結果、「デニム de ミライ」プロジェクトは、50以上のブランドから集まった150型以上のビンテージデニムのアップサイクルを6つの店舗がそれぞれ選び販売する。

神谷:「リーバイス」にも正式な承認をいただき、デザイナーの卵とも協業する。ただ、販売する商品とメッセージの伝え方は独自でいい。各社の現状は異なっている。強いところを伸ばすのが、業界全体の底上げと、各社の利益や価値づくりの双方への貢献だろう。地方セレクトとの協業には、発見も多かった。地方のセレクトは、買い付けの段階でお客さまの顔が浮かぶ。精度が違った。

WWD:これからの夢は?

神谷:高いレベルのディレクションや場の確保、ブランディング、百貨のコラボレーションなど、三越伊勢丹と協業する理由は色々提案できると思うが、コンソーシアムは、三越伊勢丹だけがリーダーじゃなくても良い。ファッション業界に存在する大きな社会課題に対して、誰かが出会ったリソースをできるだけ多くの人たちで受け止め、向き合い、解決に向けて行動したい。


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珈琲館&シャノアール合併会社、カフェ・ド・クリエを買収。600店舗のカフェチェーンに。

珈琲館とシャノアールが合併したC-United株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:友成 勇樹)が、「カフェ・ド・クリエ」を運営する株式会社ポッカクリエイト(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:上野 修)の全株式を4月1日付けで買収すると発表した。
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焼売で有名な『野田』、『ジョー』、『マニア』の冷凍品を食べ比べ。「ポテンシャルは餃子より上じゃないか」

以前は冷凍餃子の食べ比べを行ったが、今回はメジャーな店の冷凍焼売を比較。今回の3社はお取り寄せ(通販)はやっておらず、店の冷凍テイクアウトで購入して家で調理した。なお「野田焼売店」に関しては、2月9日に無人の冷凍直売所を大田区・鵜の木と世田谷区・用賀にオープンしている。
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D2C起業家の仕事とプライベート【ゲスト:グッドバイブスオンリー野田貴司CEO】:記者談話室vol.19

 「WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

 第19回は「D2C起業家の仕事とプライベート」です。今回は初のゲストとして、グッドバイブスオンリー(GVO)のCEOを務める野田貴司さんをお招きしました。「エレノアトーキョー」「ステラヴィアナ」「リーンモーメント」など、話題のD2Cブランドを運営する同社を率いる野田さんは30歳の起業家。いったいどんな仕事をしているのか? プライベートは? 根掘り葉掘り聞いてみました。

【今回のキーワード】
3DCG/服に興味なかった/とにかく店舗を回った/アパート解約して会社で寝泊まり/DXのための設立資金/デジタルでサンプル作成を一気に短縮/最初から起業家のマインド/上京してネットカフェ暮らし/ヤバいときほど伸びるチャンス/キャッチャー目線/仕事9割、ゴルフ1割/起床午前8時半、帰宅午前1時/物欲はない/ゴルフにハマる/ゴルフのためにベンツGクラス購入/行きつけの焼肉店/起業したい人へのメッセージ/LAに住みたい/尊敬する人

出演者:
林芳樹(はやし・よしき):1972年、千葉県生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、98年に業界紙の日本繊維新聞社に入社。広告営業を経て編集記者になり、メンズウエア、スポーツウエア、SPAなどを取材する。2009年2月にINFASパブリケーションズに入社。「WWDジャパン」編集部に配属され、主にビジネスニュースを担当する

横山泰明(よこやま・やすあき):1978年生まれ。繊維・ファッション業界紙「日本繊維新聞」の記者を経て、2010年から「WWDジャパン」で記者。合繊メーカー、素材、商社、EC、ファッションビル、ショッピングセンターを担当。東京外国語大学ヒンディー語専攻出身

五十君花実(いそぎみ・はなみ):1983年、愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2006年に繊研新聞社に記者として入社。大手アパレル、セレクトショップ、百貨店、デザイナーズブランド、海外コレクションなど一通りの分野を経験した後、2018年3月にINFASパブリケーションズに「WWDジャパン」記者として入社。同年5月からニュースデスク。現在の取材分野はグローバルSPA、ウィメンズアパレル、百貨店など

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