映画ジャーナリスト猿渡由紀の“年末年始に明るい気持ちになる映画”4選   泣ける話題作から隠れた傑作まで

 「WWDJAPAN」で連載「エンタメから読み解くトレンドナビ」を執筆する映画ジャーナリストの猿渡由紀が、年末年始におすすめの映画を紹介。普段忙しい人たちにとって、年末年始は自宅で映画をゆっくり観るいい機会だ。ここで登場する4本は、どれも新年を明るい気持ちで迎えられそうな作品ばかり。見逃していたかもしれない隠れた名作を、ぜひ家族みんなで楽しもう。

「幸せなひとりぼっち」

 2015年公開の「幸せなひとりぼっち(En man som heter Ove)」は、アカデミー賞外国語映画部門(現:国際長編映画部門、Academy Award for Best International Feature Film)にもノミネートされたスウェーデン映画。アメリカではつい最近、トム・ハンクス(Tom Hanks)主演のハリウッドリメイク版が公開になったばかり。オリジナル版のプロデューサーが携わっていることから、本作はオリジナル版にとても忠実で、セリフまで同じシーンをところどころに見ることができる。それでもまた泣けてしまうのは、ストーリーそのものがすばらしいのと、どちらの作品においても演技が最高だからだ。
 
 主人公のオーヴェ(Ove)は、お堅くていつも不機嫌。でも、昔からずっとそうだったわけではない。本作は、彼の若いころと今を行ったり来たりしつつ、ユーモアを混ぜ込みながら、彼がどんなことを経験してきたのかを描いていく。彼の心を開かせるのは、意外にも、近所に引っ越してきた移民の女性。一見共通点のないこのふたりの心の触れ合い、人種、国境を越えた友情の美しさに、強く心が動かされる。

 ハンクスのリメイク版は日本では2023年1月13日に公開予定。その時にはきっと話題になるはずだから、今のうちにオリジナル版を見て一足先に予習しておきたい。

「デリシュ!」

 今年9月に日本公開されたフランス映画「デリシュ!(Delicieux)」は、思わぬ素敵な発見。舞台はフランス革命前夜の1789年で、まだレストランというものがなかった時代だ。主人公マンスロン(Manceron)は、シャンフォール(Chamfort)という公爵の専属料理人。文句のない腕の良さを認められている彼は、食事会で創作料理を出したことから保守的な貴族たちの笑い物にされ、屈辱を受けたシャンフォール公爵からクビにされてしまう。田舎に戻り、料理への情熱を完全に失ったマンスロン。そこへ、彼から料理を習いたいという謎の女性ルイーズ(Louise)が現れた。そのルイーズの手助けを得て、マンスロンは庶民に向けた食事処をオープンする。そんな中、マンスロンに勝る専属料理人を見つけられないでいたシャンフォール公爵は、彼の食事処を訪れると言い出す。その特別な日のために、マンスロンとルイーズは一生懸命準備をするのだが……。
 
 貴族の態度にはいら立つが、この話の後に彼らに起こることを考えると爽快。料理のショットはもちろんのこと、まるで絵画のような風景も美しい。

「ハッスル」

 「ハッスル(HUSTLE)」は、今年6月にネットフリックス(NETFLIX)で配信されたアダム・サンドラー(Adam Sandler)主演のスポーツ映画。アメリカの映画批評ウェブサイト「ロッテントマト(Rotten Tomatoes)」で93%を得るほど高評価を獲得し、このアワードシーズンにネットフリックスはサンドラーのために主演男優部門推しのキャンペーンをしている。

 サンドラーが演じるスタン(Stan)は、NBAのフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(Philadelphia 76ers)のスカウトマン。オーナー(ロバート・デュヴァル、Robert Duvall)から強い信頼を得ている彼は、アシスタントコーチに昇格するも、その途端、オーナーが突然死してしまい、権力は出来損ないの息子ヴィンス(ベン・フォスター、Ben Foster)に移る。そんな中、スタンはスペインにいる間、無名の才能あふれるプレイヤーを発掘した。興奮したスタンは彼をアメリカに連れてくるが、ヴィンスの意地悪な妨害に直面することになる。
 
 いわゆる“アンダードッグ(負け犬)”ストーリーで、最後にはうまくいくのだろうと分かってはいながら、十分にドキドキさせてくれて、楽しませてくれる。実際のNBAプレイヤーが出演するのも、試合のシーンにたっぷりとリアリティを与えている。

「おやすみ、オポチュニティ」

 「おやすみ、オポチュニティ(Good Night Oppy)」は、今年11月下旬にアマゾンプライムビデオ(Amazon Prime Video)で全世界配信されたドキュメンタリー。スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)のプロダクション会社アンブリン・エンターテインメント(Amblin Entertainment)が製作に関わっているという事実からも、本作が優しさに溢れるものであることは想像がつくはず。特殊CGを手掛けるのは、ジョージ・ルーカス(George Lucas)が創設した特殊効果&VFX制作会社インダストリアル・ライト&マジック(ILM)で、女優アンジェラ・バセット(Angela Bassett)がナレーションを務める。

 タイトルの“オポチュニティ”とは、火星の探索のため、科学者たちが開発したロボットのこと。送り込むだけでも奇跡だったこのロボットは、90日しかもたないはずだったのに、15年も活躍することになった。人類が持つ好奇心と絶え間ない努力に強く心を打たれ、とても前向きな気持ちにさせられる。ナサ(NASA)の宇宙開発計画をテーマにした実話にもとづく「ドリーム(Hidden Figures)」(2016)が好きな人なら気に入るはず。

 「アカデミー賞(Academy Awards)」のドキュメンタリー部門で本命かと言われていながら、先日発表されたショートリストから漏れて、その希望はなくなった。しかし、先月の放送映画批評家協会(Critics' Choice Awards)によるドキュメンタリー賞で長編映画部門を含む5部門を受賞しているほか、いくつかの批評家賞から受賞、さらに候補にも入っている。

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「ルイ・ヴィトン」や「ヴァレンティノ」も! 高級スキーリゾートにラグジュアリーブランドが大集合

 クリスマスも終わり、ホリデーシーズンもいよいよ大詰め。都会を離れ、世界の高級スキーリゾートで休暇を満喫する顧客のニーズに応えるべく、ラグジュアリーブランドも各地に期間限定のショップをオープンしている。

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、イタリアのドロミティ山地北東部にある保養地、ドッビアーコを本拠地とする高級セレクトショップ、フランツ クレーラー(FRANZ KRALER)と提携。2026年には冬季五輪が開催されるヴェネト州コルティナ・ダンペッツォにある同ショップのロッジで、スキーイベントなどを開催した。また、同地の目抜き通りコルソ・イタリアにある店舗では、カクテルパーティーも行ったという。

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、やはりコルソ・イタリアにある冬季限定のブティックを今年もオープン。レザーバッグやパファージャケットなど、スキー・コレクションを中心とした品ぞろえで顧客を迎えている。また、同ブランドはさまざまなトラベル情報を掲載した「ルイ・ヴィトン シティ・ガイド(Louis Vuitton City Guide)」を都市別に発行しているが、コルティナ・ダンペッツォ、スイス・サンモリッツ、米コロラド州アスペンといった高級スキーリゾートを中心にセレクトした最新版を発表した。

 イタリア発の高級フットウエアブランド「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」は、コルティナ・ダンペッツォとサンモリッツの両方に出店している。いずれも、顧客がスニーカーをカスタマイズしたり、一からオーダーメイドで製作したりできるコーナーが設けられている。

 ほかにも、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」はスキーウエアライン“ネーヴェ(NEVE)”のランウエイショーを、「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」はスキーウエアブランド「フサルプ(FUSALP)」とのコラボコレクションのショーを、サンモリッツで開催。一方、アスペンでは「バルマン(BALMAIN)」や「マックスマーラ(MAX MARA)」などのブランドがポップアップを展開している。

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「ルイ・ヴィトン」や「ヴァレンティノ」も! 高級スキーリゾートにラグジュアリーブランドが大集合

 クリスマスも終わり、ホリデーシーズンもいよいよ大詰め。都会を離れ、世界の高級スキーリゾートで休暇を満喫する顧客のニーズに応えるべく、ラグジュアリーブランドも各地に期間限定のショップをオープンしている。

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、イタリアのドロミティ山地北東部にある保養地、ドッビアーコを本拠地とする高級セレクトショップ、フランツ クレーラー(FRANZ KRALER)と提携。2026年には冬季五輪が開催されるヴェネト州コルティナ・ダンペッツォにある同ショップのロッジで、スキーイベントなどを開催した。また、同地の目抜き通りコルソ・イタリアにある店舗では、カクテルパーティーも行ったという。

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、やはりコルソ・イタリアにある冬季限定のブティックを今年もオープン。レザーバッグやパファージャケットなど、スキー・コレクションを中心とした品ぞろえで顧客を迎えている。また、同ブランドはさまざまなトラベル情報を掲載した「ルイ・ヴィトン シティ・ガイド(Louis Vuitton City Guide)」を都市別に発行しているが、コルティナ・ダンペッツォ、スイス・サンモリッツ、米コロラド州アスペンといった高級スキーリゾートを中心にセレクトした最新版を発表した。

 イタリア発の高級フットウエアブランド「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」は、コルティナ・ダンペッツォとサンモリッツの両方に出店している。いずれも、顧客がスニーカーをカスタマイズしたり、一からオーダーメイドで製作したりできるコーナーが設けられている。

 ほかにも、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」はスキーウエアライン“ネーヴェ(NEVE)”のランウエイショーを、「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」はスキーウエアブランド「フサルプ(FUSALP)」とのコラボコレクションのショーを、サンモリッツで開催。一方、アスペンでは「バルマン(BALMAIN)」や「マックスマーラ(MAX MARA)」などのブランドがポップアップを展開している。

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カタールで出会った若きアラブデザイナーたち

 FIFAワールドカップが開催されたことも記憶に新しいカタールは、現代アートやクリエイティブなカルチャーでの文化芸術立国を目指している。その一翼を担っているのが、同国の現首長の妹であるシェイカ・アル=マヤッサ・ビン・ハマド・ビン・ハリーファ・アル=サーニー(Sheikha Al Mayassa bint Hamad bin Khalifa Al Thani)閣下が主導する文化活動促進プロジェクト「カタールクリエイツ(QATAR CREATES)」だ。もともとは1週間にわたりアートやファッション、文化、建築を顕彰するイベントとして2019年にスタートしたが、今年からは年間を通したアートとカルチャーのプラットフォームへと発展。その幕開けとなる10月末には、世界各国からメディア関係者やインフルエンサーやゲストを招き、イスラム美術館のリニューアルオープンや展覧会「フォーエバー ヴァレンティノ(FOREVER VALENTINO)」の開幕を祝うパーティーから展示やパネルディスカッションなど数々のイベントが催された。

 その中でも特に印象的かつ有意義だと感じたのは、中東・北アフリカ(MENA)地域に特化した若手デザイナーを対象にしたコンテスト「ファッション トラスト アラビア プライズ(FASHION TRUST ARABIA PRIZE、以下FTAプライズ)」の授賞式とショールームだ。同コンテストの目的は、グローバルな舞台ではまだ十分に露出していないアラブの新たな才能に光を当て、資金的およびビジネス的な支援を行うこと。審査員には、「ヴァレンティノ」のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)や「バルマン(BALMAIN)」のオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)、「アンブッシュ(AMBUSH)」のユン(Yoon)、「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」のゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)といった第一線で活躍するデザイナーをはじめ、レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)=モンクレール(MONCLER)会長兼最高経営責任者(CEO)、イムラン・アメード(Imran Amed)「ビジネス・オブ・ファッション(THE BUSINESS OF FASHION)」創設者兼CEO、カリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)「CR ファッションブック(CR FASHION BOOK)」創設者兼ディレクター、アーティストのアレックス・イスラエル(Alex Israel)といった著名人24人が名を連ねた。

 4回目の開催を迎えた今年は、1000通を超える応募の中から、イブニングウエア、レディ・トゥ・ウエア、ジュエリー、アクセサリー、デビュータレント、毎年変わるゲスト国(今回はトルコ)という6部門の受賞者を選出。受賞者には、事業発展のために10万〜20万ドル(約1320万〜2640万円)の助成金(デビュータレントは2万5000ドル(約330万円))と、1年間のメンターシッププログラムを受ける機会が与えられた。アラブ諸国の若手デザイナーを支援・育成するローカルのプログラムやコンテストがほぼない中、「FTAプライズ」を受賞することは、彼らにとってビジネスを発展させる大きな一歩になる。

 それを印象付けたのは、19年度にレディ・トゥ・ウエア部門を受賞したサリム・アザム(Salim Azzam)が壇上で行ったスピーチだ。故郷のレバノンを拠点に、現地の女性職人たちと刺しゅうを生かしたモノ作りに取り組むアザムは、「この賞に応募したとき、私たちには、世代を超えて技術を守り続けてきた女性たちからなるレバノン山の職人コミュニティーのクラフツマンシップを守り、共有したいという夢があった。当時は、1つの部屋に、5人の職人と1台のミシン。私たちの旅路に加わりたいという女性からの400通の応募があり、私は一人でも多くの女性に参加してほしいと思っていたが、その夢には部屋が小さすぎた」と振り返る。そして、「『FTAプライズ』を受賞し、あらためて気付いたのは、自分たちの夢を追いかけることに価値があるということ。1台だったミシンは7台に増え、美しいアトリエへと変わった部屋は60人の女性職人たちの拠点になり、今もその数は増えている。私たちの作品は小さな山間の村から世界へと広がり、私たちの物語、文化、そしてこの地域の女性たちの才能を分かち合うことができるようになった。レバノンにとって暗い時期にも、夢を実現し続けることができたのはこの賞のおかげだ」と、その変化を語った。受賞後にはオンラインショップを開き、さらに今年12月にはホームコレクションを立ち上げるなど、着実な成長を見せている。

 MENA地域には、紛争、貧困、人権問題などさまざまな難題に直面している国が多い。ただ、それらは宗教や政治的信条、伝統な価値観、文化に深く根差したところが多く、すぐに解決されたり、現状が一変したりするわけではないだろう。だからこそ、そんな中でもファッションを通してアイデンティティーや自由を表現し、世界で活躍することを夢見る若きデザイナーたちの希望の芽が花開くためには、サポートが欠かせない。ここからは、今年度のファイナリスト24組が一堂に会したショールームの中で目を引いた、今後の飛躍に期待したい6人のデザイナーを紹介する。

Kazna Asker

 今年度のデビュータレント部門に選ばれたカズナ・アスカーは、イエメンにルーツを持ち、イギリス中部のシェフィールドで育った。マンチェスターでファッションデザインを学んだ後、セント・マーチンズ美術大学のMAに進学。卒業した2022年にブランドを立ち上げた。現在はロンドンにスタジオを構えている。彼女の持ち味は、イギリスのストリートカルチャーに触れながら育ったムスリム女性としてのアイデンティティーや自身が属するコミュニティーを映し出すクリエイション。トラックスーツなどのストリートウエアをベースに、中東で織られたスカーフやラグなどの生地を取り入れたり、民族衣装のアバヤやトーブを合わせたりすることで、オリジナリティーのあるスタイルを提案する。また、地元シェフィールドのコミュニティープロジェクトに貢献したり、イエメンやパレスチナ支援のためのチャリティーに取り組んだりと、慈善活動にも積極的。受賞スピーチでも、人道危機に瀕しているイエメンへの寄付を呼びかけた。

Fatma Mostafa

ジュエリー部門を受賞したファトマ・モスタファは、エジプト出身のデザイナーだ。ファインアートを学んだ彼女は、アーティストとしても活動。芸術作品としてのジュエリーを提案するため、2017年にエジプトで自身のブランドを立ち上げた。特徴は、自身が描いた油絵の風景などを、幼い頃に母から教わったという刺しゅうで表現したデザイン。繊細な色彩と有機的なシェイプを生かして手作業で作り上げられたペンダントやリング、ピアスには、素朴な温もりとアート感覚が同居する。

Renwa Yassine / RENWA

レバノンにルーツを持ち、コートジボワールのアビジャンで生まれ育ったレンワ・ヤシンは、2020年春夏シーズンに「レンワ」をスタート。ベイルートとアビジャンにアトリエを構え、現地の職人と共に代々受け継がれてきた技術や伝統的な織地を生かしたモノ作りを行っている。そんな彼女が提案するのは、クラフトをモダンかつセンシュアルに表現したウエア。ウッドビーズや貝がらの装飾を取り入れたアイテムが目を引く。また、サステナビリティを「継続的な旅」と捉え、豊かなデザインやクオリティーを維持しながらサステナブルなアイテムをできる限り増やしていくことを目指す。現在は、オーガニックコットンやオーガニックリネン、ラフィア、テンセルなどの天然素材や再生ポリエステルを用いるほか、すべて植物性の染料で染色しているという。

Alexandra Hakim

 アレクサンドラ・ハキムは、レバノンと英国にルーツを持つデザイナー。アメリカのロードアイランド・スクール・オブ・デザインでジュエリーと金属細工を学び、2016年にレバノンのベイルートで自身の名を冠したブランドを設立した。現在は、スペイン・マドリードに暮らしながら、デザインを行っているという。彼女の着想源となるのは、ともすれば廃棄されてしまう日常の中にあるモノ。使用済みのマッチや釣り針からスライスされたレモン、実が摘み取られた後のトマトの茎までから直接型を取り、22Kゴールドメッキのブラスやシルバーのジュエリーをハンドメードしている。

Duha Bukadi / PUPCHEN

 チュニジアの首都チュニス出身のドゥハ・ブカディは、建築家としての一面も持つデザイナー。新型コロナウイルスのロックダウン中に、シューズブランド「ププチェン」を立ち上げた。彼女が靴作りにおいて大切にしているのは、サヴォアフェール、快適さ、そしてファンタジー。「超ラグジュアリーなのに、決してシリアスにならない」という思いを叶えるため、シャネル(CHANEL)傘下のマサロ(MASSARO)のアトリエでプロトタイプの制作を行い、イタリアにあるシャネル傘下の靴メーカー、ニラブ(NILLAB)でコレクションを生産している。アイコンは、ロリーポップ(棒付きキャンディー)をモチーフにしたヒールやプレキシガラス製の波打つチャンキーヒール。大ぶりなビーズフリンジや鮮やかなメタリックカラーなどを用いた、華やかで遊び心にあふれるミュールやサンダルをそろえる。

Leila Roukni / TALEL

モロッコ人デザイナーのレイラ・ルーニは、パリのファッションスクールIFMを卒業。「クロエ(CHLOE)」や「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」で計10年間レザーグッズの経験を積んだ後、2019年にパリを拠点にジェンダーレスなバッグブランド「タレル」を設立した。提案するのは、カラフルな色使いが目を引く幾何学的なデザイン。コレクションは、イタリアで生産している。アイコンである三角柱のような立体的なシェイプの“トライアングル”バッグには、取り外し可能なナッパレザーの巾着を付属するなど、エッジの効いたデザインと実用性のバランスもポイント。現在は、パリの百貨店プランタン(PRINTEMPS)やセレクトショップのキス(KITH)で取り扱われている。

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【2022年の海外ニュース振り返り】サステナビリティ編

 今年の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では「実行のCOP」がビジョンに掲げられたように、世界のサステナビリティへの取り組みは、「公約」から「行動」のフェーズに移っている。2022年は特に、開発段階だった次世代素材の商品化が進んだほか、リペアやリセールなどの循環型を前提としたビジネスモデルの始動が目立った。また、「サステナブル」という言葉の定義をめぐって、各地では法規制も進み始めた。米「WWD」の記事から、おさえておきたいサステナビリティ関連ニュースを振り返る。

1月

人権団体がIOCを批判 「IOCは北京五輪関連商品の生産について強制労働が関わっていないと保証できない」

 40カ国400団体によって構成される「ウイグル自治区の強制労働を終わらせるための連合(Coalition to End Forced Labour in the Uyghur Region)」は、国際オリンピック委員会(IOC)が北京冬季オリンピック関連商品の生産にウイグル人の強制労働が関わっていないと保証できないことに対して大きく反発している。
 同連合は、オリンピック関連商品の生産についてIOCが強制労働の有無を監査することを確約するよう8カ月にわたって求めてきたが、IOCはこの要求を退けたという。

人権団体がIOCを批判 「IOCは北京五輪関連商品の生産について強制労働が関わっていないと保証できない」

フランスで売れ残り品の廃棄を禁止する法律が施行 違反者には罰金も
 

 2022年1月1日、「廃棄禁止及びサーキュラーエコノミーに関する法律」がフランスで施行された。同法律は20年2月に議会で採択されたものだ。
 この法律によって、生鮮食品や新聞・雑誌のプラスチック包装の禁止や再利用を支援するパブリック・ファンドの創設が定められたほか、商品が与える環境への影響を明示する表示義務や食品以外の売れ残り品の廃棄を原則として禁止すること定めている。違反した場合は1万5000ユーロ(約195万円)の罰金が科される。

フランス植物療法士が裏原宿に“植物の個性が集まる”ドラッグストアをオープン

NYでファッションの“サステナ法”が議案に ステラ・マッカートニーらが賛同

 ファッション業界のサステナビリティを推進する団体「アクト・オン・ファッション(Act on Fashion)」とデザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、ニューヨーク州のアレッサンドラ・ビアッジ(Alessandra Biaggi)上院議員とアナ・ケルズ(Anna Kelles)下院議員はこのほど、ニューヨーク州の消費者製品安全委員会に業界内のサステナビリティに関する法案「ファッション・サステナビリティ&ソーシャル・アカウンタビリティ・アクト」を提出した。昨年10月にニューヨーク州議会に初めて提出されて以来、業界から多くの支持者を集めてきた法案だ。

NYでファッションの“サステナ法”が議案に ステラ・マッカートニーらが賛同

2月

イタリア、6月までに毛皮の生産を禁止 「モンクレール」に続き、「ドルチェ&ガッバーナ」も

 イタリア政府は、国内での毛皮生産を禁止し、同国に残る10のミンクの毛皮農場を閉鎖させた。ヨーロッパでは、オーストリアやベルギー、クロアチア、チェコ、オランダ、ノルウェーなどに続いて毛皮を禁止した16番目の国となる。アメリカでは、ロサンゼルスやサンフランシスコでも毛皮撤廃の動きが進んでいる。

イタリア、6月までに毛皮の生産を禁止 「モンクレール」に続き、「ドルチェ&ガッバーナ」も

大気中の炭素からダイヤモンドを生成するD2C企業がBコープ認証取得

 世界で初めて大気中の二酸化炭素からラボグロウン(工場で製造した)ダイヤモンドを生成することに成功したという イーサー ダイヤモンド(AETHER DIAMONDS)はこのほど、Bコープ認証を取得した。
 2020年創業の同社は、スイス・アルプスを拠点とするスタートアップ企業と連携して大気中から炭素を抽出し、ダイヤモンドを生成する。1カラットにつき、平均的なアメリカ人の1年分以上の排出量に相当する20tの二酸化炭素を大気中から除去しているという。

大気中の炭素からダイヤモンドを生成するD2C企業がBコープ認証取得

3月

「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「クロエ(CHLOE)」は、社会的影響の測定ツール「ソーシャルパフォーマンス&レバレッジ(Social Performance & Leverage、以下SP&L)」の開発に取り組む。2023年を目処に最終版をオープンソース化する予定だ。労働環境に関する具体的なデータを業界全体に提供し、各ブランドの素材調達や商品デザインの意思決定時に活用してもらう狙い。

「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

NY市がサステナブルファッションに関する雇用創出を支援

 ニューヨークのエリック・アダムス(Eric Adams)市長はこのほど、ニューヨーク市経済開発会社と連携して、ブルックリンにサステナブルファッションに関する新たな雇用を創出する計画を発表した。サンセットパーク(Sunset Park)内のブッシュ ターミナル(Bush Terminal)に建設中の「メード・イン・ニューヨーク キャンパス(MADE IN NEW YORK CAMPUS以下、キャンパス)」を拠点に、職業訓練や教育プログラムなどを通して、ブルックリンのファッション産業の拡大と市の経済発展を目指す。

NY市がサステナブルファッションに関する雇用創出を支援

素材のトレーサビリティを可能にする新ツール アディダスが早期導入

 企業向けのプラットフォームビジネスを手掛けるトラストレイス(TRUSTRACE)はこのほど、素材レベルの追跡をリアルタイムで可能にする新ツール“サーティファイド マテリアル コンプライアンス(CERTIFIED MATERIAL COMPLIANCE)”を発表した。アディダス(ADIDAS)が早期導入した。
 同ツールは、AIやブロックチェーン、ボット技術を活用してさまざまなソースからデータを集積。複数の部品から成る製品にも対応しているほか、認証取得済みの素材の割合の特定や異なるCoC(加工流通過程の管理・追跡)モデルのサポートなど、素材コンプライアンスに関するさまざまな要件に対応する。

素材のトレーサビリティを可能にする新ツール アディダスが早期導入

4月

アディダスがアウトドアレーベルで循環型プロジェクトを実験

 
 アディダス(ADIDAS)は、オレゴン州を拠点とするスタートアップ企業ザ・リニューアル・ワークショップ(THE RENEWAL WORKSHOP、以下TRW)と協業し、アウトドア・スポーツレーベル“アディダス テレックス(ADIDAS TERREX、以下テレックス)”で循環型プロジェクトを実施した。古着のリサイクルやアップサイクルなどを専門とするTRWの知見を活用し、“テレックス”の古着を使った限定カプセルコレクションを制作した。

アディダスがアウトドアレーベルで循環型プロジェクトを実験

気候危機の対応急務 IPCCの最新報告書がサステナブルファッションに意味すること
 

 国連の気候変動に関する政府間パネル(INTERGOVERNMENTAL PANEL ON CLIMATE CHANGE、以下IPCC)はこのほど、気候危機に関する最新の報告書を発表した。ジム・スキー(Jim Skea)=IPCC第3作業部会共同議長は、「社会全体での迅速かつ大幅な温室効果ガス排出量の削減なしには、地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えることは不可能である」と危機感を強めた。
 報告書では、各国が定めた2030年までの温室効果ガス削減目標では21世紀中に温暖化が1.5度を超える可能性が高いとし、再生可能エネルギーの普及や化石燃料依存からの脱却など対策の強化を呼びかけた。

気候危機の対応急務 IPCCの最新報告書がサステナブルファッションに意味すること

米公正取引委員会、大手小売り2社に罰金6億円 “エコフレンドリー”な不当表示で

 米連邦取引委員会(Federal Trade Commission以下、FTC)は、ウォルマート(WALMART)とコールズ(KOHL‘S)が環境に配慮した商品かのように見せかけた表示や広告が消費者の誤解を招くとして、コールズに対して250万ドル(約3億1500万円)、ウォルマートに対して300万ドル(約3億7800万円)の課徴金納付命令を下した。

米公正取引委員会、大手小売り2社に罰金6億円 “エコフレンドリー”な不当表示で

EUが「グリーンウォッシング」への規制を強化 「環境にやさしい」「エコ」はブラックリスト入り

 欧州委員会は、「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」に基づきサステナブルな製品を標準化するための新たな政策パッケージを発表した。消費者が買い物をする時に、十分な情報を得た上で環境に配慮した選択ができるよう既存の指令を見直し、サステナブルな商品と見せかける「グリーンウォッシング」につながる行動規制を強化する。

EUが「グリーンウォッシング」への規制を強化 「環境にやさしい」「エコ」はブラックリスト入り

5月

アルマーニがSDGsに特化したウェブサイト立ち上げ ジョルジオの甥がサステナビリティ・マネージング・ディレクターに

 ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は4月22日の“アースデー”に合わせ、SDGsに関連する活動を紹介する新たなウェブサイト「アルマーニ / バリューズ(Armani/Values)」を立ち上げた。また、ジョルジオの甥のアンドレア・カメラーナ(Andrea Camerana)をサステナビリティ・マネージング・ディレクターに任命した。

アルマーニがSDGsに特化したウェブサイト立ち上げ ジョルジオの甥がサステナビリティ・マネージング・ディレクターに

ケリングと「カルティエ」がジュエリー業界のサステナビリティを推進する「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030」を正式に発足

 ケリング(KERING)と「カルティエ(CARTIER)」は、ジュエリー業界のサステナビリティを推進するパートナーシップ「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030(WATCH & JEWELRY INITIATIVE 2030以下、イニシアティブ2030)」を正式に発足した。元々は「責任ある宝飾品業のための協議会(Responsible Jewellery Council 以下、RJC)」との協業を予定していたが、同協議会がロシア企業との関わりを断たないことを不服とし、ケリングと「カルティエ」の親会社であるコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が脱退。今回、スイスのジュネーブで開催された「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」見本市で「イニシアティブ2030」の発足を改めて発表した。また、新たなメンバーとしてシャネル(CHANEL)のウオッチ・ジュエリー部門、モンブラン(MONTBLANC)、スワロフスキー(SWAROVSKI)、ダイアモンド貿易会社のロージー ブルー(ROSY BLUE)が加わったことを発表した。

ケリングと「カルティエ」がジュエリー業界のサステナビリティを推進する「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030」を正式に発足

LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発
 

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)と傘下の「フェンディ(FENDI)」はこのほど、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)とロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)と連携し、新たなバイオ素材の開発に関する共同研究イニシアチブを発表した。

LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発

6月

LVMH主導のオーラ ブロックチェーン コンソーシアムが「持続可能な市場のためのイニシアティブ」に参加

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)などのラグジュアリー企業が結成したオーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)はこのほど、英国のチャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales)が設立した「持続可能な市場のためのイニシアチブ ファッションタスクフォース(Sustainable Markets Initiative Fashion Taskforce以下、SMI)」への参加を発表した。オーラ ブロックチェーン コンソーシアムが開発を進めるブロックチェーン技術などを共有し、業界の透明性とトレーサビリティーを推進する。

LVMH主導のオーラ ブロックチェーン コンソーシアムが「持続可能な市場のためのイニシアティブ」に参加

「ザラ」親会社、服から服のリサイクルを可能にするスタートアップに投資

 「ザラ(ZARA)」の親会社のインディテックス(INDITEX)はこのほど、服から服のリサイクルを可能にするフィンランド発のスタートアップ企業インフィニテッド ファイバー(INFINITED FIBER)とのパートナーシップを発表した。インフィニテッド ファイバーが開発した、廃棄衣料を原料とする再生繊維「インフィナ(Infinna)」の生産量のうち30%を購入するという3年間の契約を結んだ。インディテックスは、この取引は1億ユーロ(約136億円)以上の価値があると述べた。

「ザラ」親会社、服から服のリサイクルを可能にするスタートアップに投資

撥水加工に用いる化学物質PFAsがニューヨーク州で使用禁止か

 

 ニューヨーク州の上院議会はこのほど、「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAs)の衣料品への使用を禁止する法案を可決した。この法案はすでに下院を通過しており、キャシー・ホウクル(Kathy Hochul)州知事の署名を経て成立すれば、2023年12月31日から施行される見通しだ。
撥水加工に用いる化学物質PFAsがニューヨーク州で使用禁止か

中国発ファストファッション「シーイン」のESG担当役員が「使い捨て批判」に反論
 

 中国発のファストファッションブランド「シーイン(SHEIN)」のESGグローバルヘッドのアダム・ウィンストン(Adam Whinston)はこのほど、米「ソーシングジャーナル(Sourcing Journal)」が主催した「サステナビリティ・サミット」に参加し、「批判が集まる当社のビジネスモデルに対する誤解を解きたい」と語った。

中国発ファストファッション「シーイン」のESG担当役員が「使い捨て批判」に反論

7月

「ステラ」、キノコの菌糸体から作ったバッグを発売

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、キノコ類の菌糸体(マイセリウム)から作られた人工レザーを用いたバッグ“フレイム マイロ(FRAYME MYLO)”を、7月に発売した。日本では、ステラ マッカートニー青山店をはじめとする一部店舗で限定販売した。価格は税込38万7200円。

「ステラ」、キノコの菌糸体から作ったバッグを7月に発売

グッチがエレン・マッカーサー財団とパートナーシップ締結 循環型経済と環境再生型農業を推進

 グッチ(GUCCI)はこのほど、循環型経済を推進する英エレン・マッカーサー財団(ELLEN MACARTHUR FOUNDATION)と戦略的パートナーシップを締結した。循環型の原則に沿った製品デザインと環境再生型農業への取り組みを強化する。同財団はグッチの取り組みを分析し、廃棄物・汚染の削減、製品と資源の循環、自然の再生という循環型の原則を、デザインの発想過程に取り入れるサポートをする。

グッチがエレン・マッカーサー財団とパートナーシップ締結 循環型経済と環境再生型農業を推進

カリフォルニア州でプラスチック製の梱包材削減に向けた新法案設立

 米カリフォルニア州でこのほど、プラスチック製の梱包材に関する国内で最も大胆なEPR(拡大生産者責任)法案が成立した。同法案では、金属を含む使い捨ての梱包材においてリサイクル可能または堆肥化可能なものにすることを義務付け、プラスチック使用量の大幅な削減につなげる。

カリフォルニア州でプラスチック製の梱包材削減に向けた新法案設立

8月

「パタゴニア」が初の循環型Tシャツ発売 回収した古着を再生

 「パタゴニア(PATAGONIA)」は、フィンランド発のスタートアップ企業インフィニテッド ファイバー(INFINITED FIBER)と協業し、回収した古着を再生した初の循環型Tシャツ「ティーサイクル(Tee-Cycle)」を発売した。ボタニカル柄や幾何学柄を施したメンズ4型とウィメンズ2型で、ガーデングリーンやプルームグレーなどの落ち着いた中間色をそろえる。価格は税込6600円(49ドル)。

「パタゴニア」が初の循環型Tシャツ発売 回収した古着を再生

「トミー ヒルフィガー」が循環型ビジネスを強化 レンタルや中古品販売を欧米で開始

 「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」はこのほど、レンタルサービスと古着を販売する2次流通サービスをそれぞれイギリスとアメリカで開始した。イギリスでは、同国を拠点にデザイナーズアイテムのレンタルサービスを提供するロタロ(ROTARO)と協業してレンタルを行う。中古衣料の販売に際しては、中古ファッションECの米スレッドアップ(THREDUP)とパートナーシップを結び、専用サイトを通じて古着を回収する。

「トミー ヒルフィガー」が循環型ビジネスを強化 レンタルや中古品販売を欧米で開始

「ザラ」が古着を再生したコレクション発売 スウェーデンのスタートアップ企業と連携

  「ザラ(ZARA)」は、廃棄衣料からビスコースレーヨンを再生する技術を持つスウェーデン企業リニューセル(RENEWCELL)と協業した初のカプセルコレクションを公式ECサイト上で販売した。同コレクションでは、リニューセルが開発した新素材「サーキュロース(Circulose)」を用いたカットアウトのロングドレス(税込7590円) や、透かし編みのセーター(5990円)、リブニットのセットアップ(パンツ4990円、チュニックトップス4990円)などをそろえる。すべて無染色のナチュラルカラーで企画した。

「ザラ」が古着を再生したコレクション発売 スウェーデンのスタートアップ企業と連携

「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表
 

 「パンゲア(PANGAIA)」はこのほど、廃棄繊維を染料に再生する新技術「リサイクロム(Recycrom)」を活用したコレクションを発表した。アロエグリーンやスカイブルー、コーラルピンク、バナナといったブランドのキーカラーで染めたフーディ(175ドル、約2万4000円)、トラックパンツ(140ドル、約1万9200円)、ショートパンツ(95ドル、約1万3000円)、Tシャツ(75ドル、約1万280円)をそろえ、公式ECサイトで販売した。

「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表

「H&M」にグリーンウォッシュ疑惑!?原因は世界標準の測定ツール
 

 欧米では、これまで法的な規制の対象外だった、企業の“環境に配慮しているという主張”への監視が強化されている。ノルウェー消費者庁はこのほど、世界のアパレル小売企業が参加する業界団体のサステナブルアパレル連合(SUSTAINABLE APPAREL COALITION以下、SAC)と技術パートナーのヒグ(HIGG)社が提供する素材の環境負荷測定ツールのヒグ・マテリアルズ・サステナビリティ・インデックスのデータに基づき環境配慮の主張を展開していた「H&M」と「ノローナ(NORRONA)」に対し、「誤解を招き、違法である」と通知した。業界唯一の共通ツールとして幅広く活用されている同ツールに対するこの決定は、いかに透明性を推進していくべきかという重要な問題を提起する。

「H&M」にグリーンウォッシュ疑惑!?原因は世界標準の測定ツール

「バーバリー」がSBT認証取得 2040年までにネットゼロを目指す

 バーバリー(BURBERRY)はこのほど、温室効果ガスの削減目標において科学的根拠に基づくことを証明する国際的な環境イニシアチブSBT(Science-Based Targets)の認定を取得した。気候変動による世界の平均気温上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定に沿って、2040年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)の実現を目指す。

「バーバリー」がSBT認証取得 2040年までにネットゼロを目指す

11月

モンクレールが4年連続でサステナビリティランキングの首位に

 モンクレール(MONCLER)は、信用格付けプロバイダーのS&Pグローバル(S&P GLOBAL)が実施するダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability Index以下、DJSI)のテキスタイル・アパレル・ラグジュアリーグッズ部門で、100点満点中90点の最高スコアを取得し、4年連続で「S&Pグローバル コーポレート サステナビリティ アセスメント(S&P Global Corporate Sustainability Assessment)」のトップに輝いた。

モンクレールが4年連続でサステナビリティランキングの首位に

「ザラ」が英国でリペアとリセールプログラム始動

 「ザラ(ZARA)」はサステナビリティ戦略の一環で、リペア、リセールおよびリサイクルからなる循環型プログラム「プレ オウンド(Pre-Owned)」のパイロット版を11月3日に英国で始動した。アンプエロ=サステナビリティ責任者は、「このプログラムは当社にとっても初の試みだ。英国でどのように機能するかを検証し、市場の全体を理解に役立てたい」と話す。

「ザラ」が英国でリペアとリセールプログラム始動

「ガニー」が2023年までにバージンレザーの使用を廃止 ボルトスレッズと共同で

 コペンハーゲン発の「ガニー(GANNI)」は、2023年までにバージンレザーの使用を廃止する。11月4日にポルトガル・リスボンで開催されたウェブサミット内で宣言した。キノコの菌糸体から作られたレザー代替素材「マイロ(MYLO)」を開発した米企業ボルトスレッズ(BOLT THREADS)とのパートナーシップの下、「マイロ」を使用した商品開発に力を入れる。

「ガニー」が2023年までにバージンレザーの使用を廃止 ボルトスレッズと共同で

LVMHがCOP27に参加 環境再生型農業や生物多様性の取り組みについて言及

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、エジプト・シャルムエルシェイクで開催中の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に出席し、生物多様性と土壌の回復にコミットすることを発表した。LVMHのエレーヌ・ヴァラド(Helene Valade)環境開発ディレクターは、「これらの新たな取り組みは、生物多様性や水資源の保全につながるはずだ。主な目的は、偏った単一品種の作物栽培から、多毛作へと移行することだ。これにより、土壌を回復させ炭素の貯蓄量を増大させることができる」と話し、生物多様性と環境再生型農業は、原材料の調達強化につながると指摘した。

LVMHがCOP27に参加 環境再生型農業や生物多様性の取り組みについて言及

H&M、インディテックス、ステラ、ケリングが共同声明 森林保全に配慮した素材調達目指す

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)とインディテックス(INDITEX)、ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)、ケリング(KERING)はこのほど、エジプト・シャルムエルシェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で、50万トン以上の低炭素繊維を購入することを共同で発表した。

H&M、インディテックス、ステラ、ケリングが共同声明 森林保全に配慮した素材調達目指す

12月

「ゴールデン グース」がソーホー店を循環型にリニューアル 職人と連携しリペアサービスなどを提供

 「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」は、米ニューヨーク・ソーホーの店舗を循環型のコンセプトを導入した“フォワードストア”としてリニューアルオープンした。同社のサステナビリティ戦略に基づく“フォワードストア”は、今年初めにオープンしたイタリア・ミラノ店に続く世界で2店舗目となる。

「ゴールデン グース」がソーホー店を循環型にリニューアル 職人と連携しリペアサービスなどを提供

米連邦取引委員会、グリーンウォッシング防止のためのガイドライン見直しに着手

 米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)は、企業が合法的な環境マーケティングを推進し、消費者が正しく判断できるよう補助するために制作された“グリーンガイド(Green Guides)”の改訂に着手することを決定した。1992年に初めて公開された同ガイドラインの改訂は2012年以来初となる。

米連邦取引委員会、グリーンウォッシング防止のためのガイドライン見直しに着手

「H&M」が2件のグリーンウォッシング訴訟で反論

 環境に配慮していることを打ち出すために採用している評価基準や、使用している用語が消費者に誤解を与えるとして米ミズーリ州とニューヨーク州で2件の集団訴訟を提起されている「H&M」は、両方の訴訟で反論を行った。「ソーシング ジャーナル」紙の本件に関する問い合わせに対して、「H&M」からの回答は得られなかった。

「H&M」が2件のグリーンウォッシング訴訟で反論

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117万フォロワーのユーチューバー北の打ち師達が「ハルキの古着」をスタートした理由

はるくん

1995年9月13日生まれ、北海道出身。2人組ユーチューバー、北の打ち師達のメンバー。2010年にユーチューブで活動を開始した。「君の名は。」などの人気楽曲でパフォーマンスする“ヲタ芸”動画や、さまざまな“しばり”を設けた24時間・1週間生活企画が人気だ。現在のチャンネル登録者数は117万人。20年に、フジテレビアナウンサー(当時)の久代萌美と結婚した

 117万フォロワーを持つユーチューバー「北の打ち師達」の“はるくん”が、2021年に個人チャンネル「ハルキの古着」をスタートした。22年12月には、東京ビッグサイトで行われた国内最大級の古着イベント「フルギフェス」にも参加。23年も盛り上がりが継続するであろう“古着”をけん引する若き旗手に話を聞いた。

北海道での小学生時代、父の影響でビンテージに目覚める

WWD:2021年に個人チャンネル「ハルキの古着」をスタートし、現在の登録者数は3.3万人だ。古着との出合いを教えてほしい。

はるくん:父がビンテージジーンズ好きで、小学生のころから“ダメージ=味であり、ただの汚れではないこと”や、“501”“赤ミミ”といったワードを聞かされていました。また、東京に一緒に買い物に来ることもあって、裏原宿にあった「ノーウェア」(NIGO®と高橋盾「アンダーカバー(UNDERCOVER)」デザイナーが1993年に開店)で買ってもらった“エイプヘッド”のキーホルダーをニンテンドーDSに付けていました。

WWD:自分で買った初めての古着は?

はるくん:中3か高1のとき、セカンドストリートで購入した「リーバイス(LEVI’S)」の“501”です。父から、「とにかく“501”はすごい!」と聞かされていたので(笑)。小遣いで買ったので1000円くらいだったと思います。古着について“予習”してから買うようになるのは、大学入学で上京してからですね。

WWD:好きなブランドは?

はるくん:古着の場合、ブランドは関係なくて、デザイン優先で決めています。僕は古着好きの前に、服が好きなので、ゴリゴリのアメカジルックというより、いわゆる古着ミックスな着こなしが多いです。古着を使ったコーディネートを楽しみたいというか。

WWD:古着以外も着る?

はるくん:はい。「アンユーズド(UNUSED)」や「エムエーエスユー(M A S U)」「ダブレット(DOUBLET)」が好きです。

WWD:よく行くショップは?

はるくん:中目黒の「ロク」にお邪魔することが多いです。“マルジェラ期”の「マルタン マルジェラ(MARTIN MARGIELA)」があったり、新品があったり、自由なセレクトに共感しています。最近、モックネックのニットを買いました。90年代くらいのもので、ハードめなダメージが特徴です。価格は1万7000円くらいでした。下北沢の「ベルベット」にもよく行きます。こちらは“トゥルービンテージ”中心の品ぞろえで、ほかで見たことがないものが多いです。僕は60年代のつなぎを3万5000円ほどで購入しました。

WWD:妻である久代萌美アナウンサーは古着に理解がある?

はるくん:「いつも誰かのお下がりを預かって(着て)“お人好し”ね」って、よく言われます(笑)。でも、それって今風に言えばサステナブルでしょうし、“好き”を継承していく=好きがつながるのって、すてきですよね。

WWD:久代アナウンサーも古着を着る?

はるくん:僕の影響で着るようになりました(笑)。一緒に、古着店に買い物に行くこともあります。僕はユーチューブを通じて古着の魅力を伝えようとしていて、一番身近な人に影響を与えられているのはうれしいですね。

「ユーチューブを通じて、視聴者と古着の架け橋になりたくて」

WWD:ファッションのこだわりについて聞きたい。

はるくん:僕はマニアではないので、年代とかどこの工場で作られたとかにはこだわらないです。むしろ古着チャンネルを始めて、いっそうコーディネートを意識するようになりました。ありがたいことに、「ハルキの古着」を通じて古着と初めて接する視聴者も多く、彼らの多くは古着の着こなしに不慣れです。だから少しでも彼らの学び、古着への架け橋になれればと考えています。僕は古着を知って人生が楽しくなったので、それをぜひ視聴者にも感じてほしいです。

WWD:今年12月、東京ビッグサイトで行われた国内最大級の古着イベント「フルギフェス」に出店した。

はるくん:僕にとって初めてのリアル販売イベントで、大学生のころから買いためた私物を出品しました。僕のことを知らない人も含めて、想像以上の古着ファンが来店してくれて、1日限りのイベントでしたが、持参した150点を完売しました。僕にはいつか古着店をオープンしたいという夢があるんですが、その思いがより強くなりました!

WWD:来店者の顔ぶれは?

はるくん:男性が多かったですね。実は、「ハルキの古着」の視聴者も95%が男性なんです。ただ、世代は幅広かったです。僕(27歳)より下の世代から40〜50代まで。こんなふうに年齢を問わない点も、古着の魅力だと思います。

WWD:2023年もリアルイベント開催の予定はある?

はるくん:古着店でポップアップなんかできたらいいですね。ほかの古着系ユーチューバーとレンタルスペースを借りて実施してもいいでしょうし。ただ、具体はまだありません。まずは年末年始用に動画を編集しなくては、で……。

WWD:ファッションにおいて参考にしているものはある?

はるくん:自分の発想にない着こなしを見られるので、スタイリストさんのインスタグラムは参考にしています。よく見るのは山田陵太さん、TEPPEI(テッペイ)さん、高橋ラムダさんです。

WWD:ひと月のファッション費はどれくらい?

はるくん:15万〜20万円ほどです。「ハルキの古着」を始めてから、今まで着なかったジャンルの服も“動画用に買ってみよう”となって増加傾向です(笑)。

WWD:現在、注目している古着は?

はるくん:トラックジャケットにはまっていて、1970年代の“ゴツナイキ”を探しています。

WWD:2022年、最も買って良かった古着は?

はるくん:高円寺の「セブンデイズ」で買った1950年代のスカジャンです。10万円弱でした。身長180cmと体の大きな僕に合うスカジャンってあんまりなくて、かつオレンジの発色にほれました!

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「THREE」が“バランシング”シリーズ刷新 “美容液級”のクレンジングオイルや“とろみ”化粧液が登場

 「スリー(THREE)」は2023年2月15日、ブランドを象徴するベーシックケア“バランシング”シリーズを4年ぶりにリニューアル発売する。クレンジング2種に加え、スキンケア(洗顔料、化粧液、乳液)を2ラインで構成。保湿力にこだわった“バランシングネクター”と肌の沈静化に着目した“バランシングステム(5月発売予定)”をラインアップする。

 “バランシング”シリーズは、09年のブランドデビューとともに誕生。国産の“茶の実”に着目し、13年には天然由来成分の配合率を高めてリニューアルした。19年には全アイテムで有機認証のコスモスを取得し、コスモス原料に初めて登録された“チャ花エキス”を共通成分として配合。植物の力を通して肌に本来のリズムとバランスを整えるホリスティックケアとして発信、ブランドの根幹をなす。

 新“バランシング”シリーズは、過酷化する現代のストレスを見据え、新たに肌本来の生まれ変わる力に着目した。桝浩史 THREE マーケティング部ゼネラルマネージャーは「原料や処方を一から見直し、これらからの時代に求められるナチュラルとサイエンスのバランスを再解釈した」と話す。人が本来持つ「サバイブする力」を科学の知見を織り交ぜながら、新時代のホリスティックケアを“ファインビューティ”と位置づけアプローチする。

 “ファインビューティ”を具現化するのは、22年9月に新設した「THREE ホリスティックリサーチセンター」だ。精油をはじめ植物から得られる心、体、肌の関係を追求し、地域社会との取り組みを通じた原料開発など新たな価値の創出を行なっている。今後、同センターの研究知見を製品開発に活かし、“ファインビューティ”を実現させる。

 今回、4代目となる同シリーズでは、廃棄されていたサフランの花弁と有用植物バードックの根を掛け合わせた独自のオリジナルエキスを開発。共通成分として配合し、肌の生まれ変わりのリズムをサポートする。ブランドのアイコンであるクレンジングオイル“バランシング クレンジング オイル N”(185mL、税込4840円/リフィル180mL、同4400円※リフィルは23年3月15日発売、以下同)は、洗浄力と美容液のようなトリートメント力を高めた。“バランシング ポイントメイクアップ リムーバー N”(90mL、 同3850円)はハードなポイントメイクもしっかりオフする。

 “バランシングネクター”ラインはオリジナルエキスのサフラン&バードックコンプレックスに加え、ホーリーバジルから抽出した精油を共通成分として配合する。洗顔料“バランシングネクター クリーム ウォッシュ”(100g、同4290円)は、濃密泡でキメや毛穴の汚れをオフする。化粧水“バランシングネクター ローション」(120mL、同5940円/リフィル115mL、同5500円)は、とろみのあるテクスチャーが特徴。美容液のような感触で揮発しやすい精油を肌へ効果的に送り届ける。乳液“バランシングネクター モイスチャライザー”(80mL、同7260円/リフィル75mL、同6820円)は、パンテノールとアルギニンを配合し、肌のバリア機能をサポートする。 

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「グラウンド ワイ」が現代美術家・笹田靖人との第3弾コラボを発表 フーディーやカットソーなど

 ヨウジヤマモトの「グラウンド ワイ(GROUND Y)」は、現代美術家・笹田靖人との第3弾コラボコレクションを発表した。2023年1月2日に「グラウンド ワイ 心斎橋パルコ」限定で発売する。

 今回のコレクションは、笹田氏のゆかりの地である奈良県の鹿を題材にした「ナラシカ」シリーズの配色と構図をベースに製作。“猪”、“鹿”、“蝶”という縁起の良い生きものをモチーフに作品を描き、フーディーとカットソー、トートバッグの3型に落とし込んだ。価格はフーディーが税込3万3000円、カットソーが同1万9800円、トートバッグが同8800円だ。

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「グラウンド ワイ」が現代美術家・笹田靖人との第3弾コラボを発表 フーディーやカットソーなど

 ヨウジヤマモトの「グラウンド ワイ(GROUND Y)」は、現代美術家・笹田靖人との第3弾コラボコレクションを発表した。2023年1月2日に「グラウンド ワイ 心斎橋パルコ」限定で発売する。

 今回のコレクションは、笹田氏のゆかりの地である奈良県の鹿を題材にした「ナラシカ」シリーズの配色と構図をベースに製作。“猪”、“鹿”、“蝶”という縁起の良い生きものをモチーフに作品を描き、フーディーとカットソー、トートバッグの3型に落とし込んだ。価格はフーディーが税込3万3000円、カットソーが同1万9800円、トートバッグが同8800円だ。

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箱根駅伝を制するシューズはどこだ! スポーツ各社期待のモデルまとめ

 正月の風物詩である箱根駅伝が2023年1月2〜3日に迫った。スポーツメーカーによる“シューズ争い”も年々ヒートアップしているが、どのシューズを選ぶかは選手にゆだねられており、大会当日まで分からない。ここではレースの予習として、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「アシックス(ASICS)」「ミズノ(MIZUNO)」「プーマ(PUMA)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」の全6社の前回大会の着用者数ととともに、着用が期待できる最新のランニングシューズを紹介する。

「ナイキ」
前回着用者:154人(1位)
注目シューズ:“ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2”

 「ナイキ」は前回、210人中154人(73.3%)が着用し、圧倒的なシェアを誇った。同社注目の最新レースシューズは、“ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2(NIKE AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT% 2)”だ。前回は1区の吉居大和選手(中央大学)と9区の中村唯翔選手(青山学院大学)、10区の中倉啓敦選手(青山学院大学)が同シューズの前身モデルで区間賞を獲得している。

 “アルファフライ”は、ランニング業界に“厚底”論争を起こした“ヴェイパーフライ(VAPORFLY)”から派生したシリーズで、ミッドソールに“ズームX”という高反発素材と推進力を生むカーボンプレートを内蔵するのが特徴。さらに、前足部に“エア”が付いており、“ヴェイパーフライ”よりも推進力が高い。効果を最大限発揮するにはエア付近で接地する必要があり、コントロールが難しいというデメリットもあるが、走法にマッチすれば大きなメリットをもたらす。「ナイキ」は毎年、箱根に向けた限定デザイン“エキデンパック(EKIDEN PACK)”を用意しており、今年はトンボに着想した斬新なデザインを採用した。

「アディダス」
前回着用者:28人(2位)
注目シューズ:“アディゼロ タクミ セン 9”

 着用率2位だった「アディダス」の注目シューズは、“アディゼロ タクミ セン 9(ADIZERO TAKUMI SEN 9)”だ。3〜5キロのロードレースや駅伝に最適なモデルで、前回は5区区間賞の細谷翔馬選手(帝京大学)がこのシリーズを着用した。

 同シューズは、5本指形状のグラスファイバーを内蔵し、カーボンプレートのような推進力を備えながら、より繊細な接地感覚と高い屈曲性を持つ。前作よりフィット感のあるメッシュアッパーを採用し、片足5グラムの軽量化も実現している。“厚さ40ミリ”の競技規定ギリギリまでソールにボリュームを持たせたシューズも多い中、同シューズは33ミリなのもポイントだ。

「アシックス」
前回着用者:24人(3位)
注目シューズ:“メタスピード スカイ プラス”

 「アシックス」の注目シューズは、“メタスピード(METASPEED)“シリーズだ。同シリーズは「ランニング市場の首位奪還」を掲げて、廣田康人社長の直轄プロジェクトとして開発したもので、膨大なアスリートの走行データを分析し、スピードと共に歩幅が広がる“ストライド走法”と、歩数を増やす“ピッチ走法”それぞれに対応するモデルがある。2021年4月の発売以降、世界トップ選手や市民ランナーの自己ベスト更新に貢献しており、箱根でも着用者ゼロだった一昨年から、昨年は24人着用にまで支持を広げている。

  特に着用が期待されるモデルは、ストライド走法に合わせた“メタスピード スカイ プラス(METASPEED SKY+)”。少ない歩数でゴールすることを追求し、同社が持つ軽量ミッドソール素材で最も反発性のある“エフエフ ブラスト ターボ”を前作から4%増量した。さらにカーボンプレートをフラットな形状にしてミッドソール上部に配置することで、接地時にミッドソール全体を圧縮し、より大きなエネルギーリターンを得られるように改善。11月開催の出雲駅伝では、8区区間賞だった花尾恭輔選手(駒澤大学)が同シューズを着用している。オレンジ×ブルーのカラーは箱根限定デザインで、前に進む爆発的なエネルギーと、状況を見極めながら冷静に走る2つの側面を表現している。

「ミズノ」
前回着用者:2人(4位)
注目シューズ:“ウエーブデュエルネオツーエリート”

 前回実績は2人にとどまった「ミズノ」の注目シューズは、トップランナー向けシリーズ“ウエーブデュエルネオ(WAVE DUEL NEO)”の最新モデル“ウエーブデュエルネオツーエリート(WAVE DUEL NEO 2 ELITE)”だ。ソールの厚さは25ミリメートルと比較的薄めだが、「ミズノ史上最高」とうたう高反発素材“ミズノエナジー”の軽量版を使用することで、高いクッション性と反発性を備えるほか、接地感覚にも優れている。樹脂を波型に形成した“ウエーブプレート”内蔵で、推進力も高い。

 同シリーズは、前回大会で4区区間賞を獲得した嶋津雄大選手(創価大学)が、真っ白のプロトタイプカラーを着用していることでも知られる。なお、同社は年明けにメディア向けの新作発表を控えており、箱根で新シューズを披露する可能性も高い。

「ニューバランス」
前回着用者:1人(5位)
注目シューズ:“フューエルセル スーパー コンプ エリート V3”

 前回着用者1人だった「ニューバランス」の注目シューズは、フルマラソンや中距離レースに向けたトップモデル“フューエルセル スーパーコンプ エリートV3(FUELCELL SUPER COMP ELITE V3)”だ。より大きな反発力を生むため、メーカー独自の高反発素材“フューエルセル”を使って40ミリの規定ギリギリまでミッドソールを厚くし、内部にカーボンプレートを配置。カーボンプレートは丘のように湾曲しており、接地時に自然と沈んでより大きなエネルギーリターンをもたらす。

「プーマ」
前回着用者:1人(5位)
注目シューズ:“ ファストアール ニトロ エリート”

 「プーマ」は前回着用者が1人で、「ニューバランス」とともに全体5位。浮上を誓う今回は、箱根の森と芦ノ湖の青に着想した特別デザイン“ファスター パック(FASTAR PACK)”を12月上旬に発売し、大会前から選手や関係者に大きくアピールしている。

  特別デザインは、“ファストアール ニトロ エリート(FAST-R NITRO ELITE)”と“ディヴィエイト ニトロ エリート 2(DEVIATE NITRO ELITE 2)”の2モデル。どちらもミッドソールに短距離スパイク向けの特殊な高反発素材を配合し、低めに配置したカーボンプレートが特徴だ。特に“ファストアール ニトロ エリート”は、前回大会で加藤大誠選手(明治大学)が着用したモデルのアップデート版で、複数選手の着用が期待できる。

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箱根駅伝を制するシューズはどこだ! スポーツ各社期待のモデルまとめ

 正月の風物詩である箱根駅伝が2023年1月2〜3日に迫った。スポーツメーカーによる“シューズ争い”も年々ヒートアップしているが、どのシューズを選ぶかは選手にゆだねられており、大会当日まで分からない。ここではレースの予習として、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「アシックス(ASICS)」「ミズノ(MIZUNO)」「プーマ(PUMA)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」の全6社の前回大会の着用者数ととともに、着用が期待できる最新のランニングシューズを紹介する。

「ナイキ」
前回着用者:154人(1位)
注目シューズ:“ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2”

 「ナイキ」は前回、210人中154人(73.3%)が着用し、圧倒的なシェアを誇った。同社注目の最新レースシューズは、“ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2(NIKE AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT% 2)”だ。前回は1区の吉居大和選手(中央大学)と9区の中村唯翔選手(青山学院大学)、10区の中倉啓敦選手(青山学院大学)が同シューズの前身モデルで区間賞を獲得している。

 “アルファフライ”は、ランニング業界に“厚底”論争を起こした“ヴェイパーフライ(VAPORFLY)”から派生したシリーズで、ミッドソールに“ズームX”という高反発素材と推進力を生むカーボンプレートを内蔵するのが特徴。さらに、前足部に“エア”が付いており、“ヴェイパーフライ”よりも推進力が高い。効果を最大限発揮するにはエア付近で接地する必要があり、コントロールが難しいというデメリットもあるが、走法にマッチすれば大きなメリットをもたらす。「ナイキ」は毎年、箱根に向けた限定デザイン“エキデンパック(EKIDEN PACK)”を用意しており、今年はトンボに着想した斬新なデザインを採用した。

「アディダス」
前回着用者:28人(2位)
注目シューズ:“アディゼロ タクミ セン 9”

 着用率2位だった「アディダス」の注目シューズは、“アディゼロ タクミ セン 9(ADIZERO TAKUMI SEN 9)”だ。3〜5キロのロードレースや駅伝に最適なモデルで、前回は5区区間賞の細谷翔馬選手(帝京大学)がこのシリーズを着用した。

 同シューズは、5本指形状のグラスファイバーを内蔵し、カーボンプレートのような推進力を備えながら、より繊細な接地感覚と高い屈曲性を持つ。前作よりフィット感のあるメッシュアッパーを採用し、片足5グラムの軽量化も実現している。“厚さ40ミリ”の競技規定ギリギリまでソールにボリュームを持たせたシューズも多い中、同シューズは33ミリなのもポイントだ。

「アシックス」
前回着用者:24人(3位)
注目シューズ:“メタスピード スカイ プラス”

 「アシックス」の注目シューズは、“メタスピード(METASPEED)“シリーズだ。同シリーズは「ランニング市場の首位奪還」を掲げて、廣田康人社長の直轄プロジェクトとして開発したもので、膨大なアスリートの走行データを分析し、スピードと共に歩幅が広がる“ストライド走法”と、歩数を増やす“ピッチ走法”それぞれに対応するモデルがある。2021年4月の発売以降、世界トップ選手や市民ランナーの自己ベスト更新に貢献しており、箱根でも着用者ゼロだった一昨年から、昨年は24人着用にまで支持を広げている。

  特に着用が期待されるモデルは、ストライド走法に合わせた“メタスピード スカイ プラス(METASPEED SKY+)”。少ない歩数でゴールすることを追求し、同社が持つ軽量ミッドソール素材で最も反発性のある“エフエフ ブラスト ターボ”を前作から4%増量した。さらにカーボンプレートをフラットな形状にしてミッドソール上部に配置することで、接地時にミッドソール全体を圧縮し、より大きなエネルギーリターンを得られるように改善。11月開催の出雲駅伝では、8区区間賞だった花尾恭輔選手(駒澤大学)が同シューズを着用している。オレンジ×ブルーのカラーは箱根限定デザインで、前に進む爆発的なエネルギーと、状況を見極めながら冷静に走る2つの側面を表現している。

「ミズノ」
前回着用者:2人(4位)
注目シューズ:“ウエーブデュエルネオツーエリート”

 前回実績は2人にとどまった「ミズノ」の注目シューズは、トップランナー向けシリーズ“ウエーブデュエルネオ(WAVE DUEL NEO)”の最新モデル“ウエーブデュエルネオツーエリート(WAVE DUEL NEO 2 ELITE)”だ。ソールの厚さは25ミリメートルと比較的薄めだが、「ミズノ史上最高」とうたう高反発素材“ミズノエナジー”の軽量版を使用することで、高いクッション性と反発性を備えるほか、接地感覚にも優れている。樹脂を波型に形成した“ウエーブプレート”内蔵で、推進力も高い。

 同シリーズは、前回大会で4区区間賞を獲得した嶋津雄大選手(創価大学)が、真っ白のプロトタイプカラーを着用していることでも知られる。なお、同社は年明けにメディア向けの新作発表を控えており、箱根で新シューズを披露する可能性も高い。

「ニューバランス」
前回着用者:1人(5位)
注目シューズ:“フューエルセル スーパー コンプ エリート V3”

 前回着用者1人だった「ニューバランス」の注目シューズは、フルマラソンや中距離レースに向けたトップモデル“フューエルセル スーパーコンプ エリートV3(FUELCELL SUPER COMP ELITE V3)”だ。より大きな反発力を生むため、メーカー独自の高反発素材“フューエルセル”を使って40ミリの規定ギリギリまでミッドソールを厚くし、内部にカーボンプレートを配置。カーボンプレートは丘のように湾曲しており、接地時に自然と沈んでより大きなエネルギーリターンをもたらす。

「プーマ」
前回着用者:1人(5位)
注目シューズ:“ ファストアール ニトロ エリート”

 「プーマ」は前回着用者が1人で、「ニューバランス」とともに全体5位。浮上を誓う今回は、箱根の森と芦ノ湖の青に着想した特別デザイン“ファスター パック(FASTAR PACK)”を12月上旬に発売し、大会前から選手や関係者に大きくアピールしている。

  特別デザインは、“ファストアール ニトロ エリート(FAST-R NITRO ELITE)”と“ディヴィエイト ニトロ エリート 2(DEVIATE NITRO ELITE 2)”の2モデル。どちらもミッドソールに短距離スパイク向けの特殊な高反発素材を配合し、低めに配置したカーボンプレートが特徴だ。特に“ファストアール ニトロ エリート”は、前回大会で加藤大誠選手(明治大学)が着用したモデルのアップデート版で、複数選手の着用が期待できる。

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廃棄衣類繊維のリサイクルボード「パネコ」が引っ張りだこ デザイナーに聞いた意外な誕生秘話

 リサイクルボード「パネコ(PANECO)」がひっぱりだこだ。ワークスタジオが2021年の春に本格デビュー後、「H&M」が池袋店の什器の一部に採用したり、「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」が美容部員の700着分の制服をコースターにリサイクルしたり、さらにSHIBUYA109渋谷店が「パネコ」を使った衣服の回収ボックスを設置したりと繊維産業の課題解決の具体策として採用される事例が増えている。その誕生の背景や今後のビジョンについて草木佳大チーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、CSO)に聞いた。

 「パネコ」はワークスタジオが手がける廃棄衣類繊維を原料にしたリサイクルボードであり、射出成形と呼ばれるプラスチックなどの成形時に使われる手法で製造されている。環境に配慮した什器デザインなどを手がけていた同社が「パネコ」の開発を始めたきっかけは、デザイナーでもある草木佳大チーム・サステナビリティ・オフィサーの個人的なできごとだったという。「4年前に幼なじみが亡くなり、葬儀の場で友人の父と始めてゆっくりと話をした。その方は繊維企業に勤めており、衣類をリサイクルしディスプレーする方法を探していると知り、何かできないかと考えたのがきっかけだった。試行錯誤するうちにふと、服を板にできたら喜ばれるのではと思いつき、研究を始めた」。友人がつないだ縁が今、可能性を大きく広げようとしている。

グレーの色は、廃棄される服の特徴を反映している

 服から生まれ、シンプルで持ち運びしやすく、可変性があり、何度でもリサイクルできる。それが「パネコ」の魅力だ。特徴的なグレーな色は、日本では落ち着いた色の服が好まれ、混合するとグレイッシュになるからだという。

 12月に開催した4回目の展示会では、会場となったモリリン本社1階の約100㎡のスペースを丸ごとつかい、従来の什器に加えてアパレルや飲食のポップアップストアのような空間を提案した。「『服が板になりました』とパネコを見せられても、それをどう使っていいかわからないという声が多いからここでは色々な使い方を表現した」と草木CSO。色も従来のグレーに加えて、ピンクやブルーなどが加わった。色つけに染料は使わず、廃棄衣料の中から色のついた服を選別しリサイクルしている。

“工場に集まった服は一着も捨てないと言い切れる”

 「パネコ」のために集めた衣料はまず、提携している和歌山の福祉施設に集め、ボタンやファスナーを外し、プラスチックハンガーなど「繊維ではない」部分を仕分ける。多い時で月10トンほどの衣料の仕分けを担当するのは、同施設が採用するハンディキャップがある人たちだ。「パネコ」の成長とともに規模を拡大し、今では約10人の専属チームが技術とノウハウを蓄積している。今回の「色」もそのチームの仕分け作業があるから実現した。「彼らもスピードがアップしスペシャリストになってきている。応援してくれているから面倒くさいことも一緒にチャレンジしてくれるのはありがたい」。

 仕分けを追えた衣料は、協力工場へ運び成形する。今回は色付けのために選別をしたが、そもそもの「パネコ」の強みは、「繊維の仕分け」を必要とせず、服の素材を問わず、品質表示もついたまま成形ができることである。回収後の仕分けは繊維リサイクルの最大の課題と言っても過言ではない。それを丸っと省き、「工場に集まった服は一着も捨てていないと言い切れる」ことは大きな強みだ。

成形の接着剤は「こだわりの8%」

 成形にはバインダーを全体量の8%使用し、熱を加えて固める。「こだわりの8%です。これだと硬さも木版に近く、再リサイクルができる。我々が自分たちに課しているルールは『パネコ』自体も再リサイクルが可能であることです。アパレルの人たちに“服を捨てたらあかん”といっている僕らが廃棄していたら意味がなく、“作った責任”を取れることもデザインの一環です」。

 接着剤は化学物質を含む。「できれば自然由来のものを使いたいが、日本には流通量が少ない上に全体量の30%入れないと硬さが保てない」。今できることを最大限に、実用的に、は「パネコ」のデザインの特徴だ。「普通に服を固めると汚いボードになる。僕らもデザイナー集団なので、リサイクル素材だったらなんでもいいのではなく、そもそも魅力的なマテリアルであることが大切。可愛い、素敵、あったかい、実は環境に良い、というのが大事な物語。見た目で選ばれて国内で完結しているリサイクルだと自負している」。

 什器、小物から空間へ提案が広がる中で新しい課題も出てきた。建材の領域は、耐摩耗性や表面強度、不燃などさまざまなテスト問題をクリアし、建築家が安心して使える素材であることが重要だからだ。今回の展示会で見せたのは、ポップアップストアなどに適した可変性ある空間。釘などは使わず、日本の「木組」からヒントを得た手法で、パネルの凹凸を組み合わせることで構成している。

「リサイクル後」の絵を描けるプロジェクトは成功しやすい

 「パネコ」がアパレル企業と取り組む際にこだわっているのは、「回収・リサイクル」の循環を一緒に創出することだ。余剰在庫の回収だけ、といった依頼は基本的には受けておらず、「それをどうリサイクルし活用するか」を合わせてプロジェクト化する。

 「僕らは回収で生業を立てていないので、パネコにして使ってもらってナンボ。だから『余剰在庫を回収してほしい』という依頼から入ると正直、止まりやすい。売れ残りを『パネコ』にすれば『捨てない』結果は得られても、店舗で使用する段階で『ブランドイメージに合わない』、『価格が合わない』といったもめ事がおこりがちです。逆に店舗デザインチームがリードするケースは、リサイクル後の絵が見えているからスムースに進みやすい」という。「店舗改装を見据えて回収ボックスを設置し、来店客から集めた服を『パネコ』化し、新店の内装に使用するといった顧客参加型の循環ストーリーが盛り上げる」。

同世代と猛進したい

 草木CSOいわく、企業内の循環アクションが「うまくいく」、もうひとつのポイントは、彼と同世代である「30代くらいの、現場寄りのリーダーが、猛進して周りを巻き込むケース」だというから面白い。「環境は新しい分野だからか、先輩世代より僕らの世代の熱の入り方が本気だとも思う。確かにトップダウンの方が決済はおりやすいけれど、どう使うかは結局現場。数字や売り上げももちろん大事だけど、『こんなことしたい』などクリエイティブな発想を持つブランドとの方がよい結果が出やすい」。草木CSO自身、パネコ誕生の際には猛進した。「ワークショップはリサイクルの会社でもないけど、原社長はアイデアに可能性を感じて、ゴーサインを出してくれた」と振り返る。「原いわく、日本に石油はないけれど、街には服がたくさんあるからそれを原料にいろいろなことができると。確かにそう思う」。

 今後の課題は量産化とデザインのバランスだ。現在の生産体制では年間の生産キャパシティは50トンで上限に近づいている。「脱廃棄社会をうたっている以上、50トンではわずかな貢献にしかならない。ゴールは、廃棄衣料がなくなってパネコを作らなくて良くなったとき。そのためにもこのノウハウを広げるべきと思うが、かといって量産化により意匠性が失われる。標準化した量産と、デザイン性のあるこだわり。その2軸を作っていきたい。」。

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英国のファッション・デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドが死去 81歳

 英国のファッション・デザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)が死去した。81歳だった。

 ブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」は、インスタグラムでウエストウッドの訃報を発表した。南ロンドンのクラパムで、家族に囲まれて安らかに息を引き取ったことを明らかにした。投稿には、「ヴィヴィアンは最後の瞬間まで、デザイン、アート活動、本の執筆、そして世界をより良く変えるために、自分の好きなことをやり続けた。彼女は素晴らしい人生を送った。この60年間の彼女の革新と影響は計り知れず、これからも続いていく」と続けている。

 ウエストウッドは1970年代のパンクファッションの先駆者と知られ、数十年にわたるキャリアの中で、奇抜なデザイン、スタイル、環境保護活動などで知られ英国ファッションをリードしてきた。

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ニューヨーク発キスと「テーラー東洋」が初コラボ 新年にスカジャンを発売

 ニューヨーク発のスニーカーショップ、キス(KITH)は2023年1月2日、「テーラー東洋(TAILOR TOYO)」とコラボしたスカジャンを発売する。東京店限定の扱いで、価格は7万4800円(税込)。両者の協業は初めて。

 アセテート生地を用いたリバーシブル仕様で、両面にニューヨークと東京をモチーフにした刺しゅうをあしらう。

 「テーラー東洋」は、東洋エンタープライズ(東京、小林亨一社長)が手掛けるスカジャンブランド。同社の前身である港商(こうしょう)は、1940年代に創業。戦後、港商が進駐軍向けに、刺しゅうを施して販売したジャンパーがスカジャンの原型だ。

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