「さらけ出す」ことを恐れるな ヒップホップアーティストTKda黒ぶちが“炎上”をいとわない理由

 2022年も、ファッション&ビューティ業界では多くの“炎上”ニュースが飛び交った。配慮を欠いた広告や発言は瞬く間に拡散され、ブランドイメージの大きな毀損に繋がってしまう時代だ。

 だがそれでも「不謹慎」や「タブー」を恐れずにメッセージを発し続ける人もいる。「フェイクでないなら、素直に語ればいい。言葉はその人の本質なんだから」。そう語るのは、ヒップホップアーティストのTKda黒ぶち。その名の通り黒ぶちメガネがトレードマークの彼は、国内ヒップホップシーンの第一線にいるアーティストの一人。日本最高峰のヒップホップアーティストが集うMCバトル番組「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日系列、現在は終了)では3代目モンスターに上り詰めた人物だ。

 小手先のテクニックに頼らず、自分の生い立ちまで赤裸々なリリックが多くの共感を呼ぶ。「本当に語るべき人が口を開くことを恐れ、SNS上には薄っぺらなフェイクが溢れている。そんな世の中だからこそ、ヒップホップのリアリティーが必要なんじゃないか」とTKda黒ぶちは語る。社会がコロナ禍から前を向こうとしているとする中、「ヒップホップを聞いてパワーをもらう。そんな光景が当たり前の日本にしたい」との思いで、アーティストの枠組みを超え活動の場を広げている。そんな彼が考えるヒップホップの本質、黒ぶちメガネのスタイルを貫く理由を聞いた。

TKda黒ぶち/ヒップホップアーティスト

(てぃーけー・だ・くろぶち)1988年、埼玉県生まれ。高校生だった2005年からMCとしての活動を始め、10年からフリースタイルバトルへ本格的に参加。「戦極 MC BATTLE」での優勝など実績を重ね、「フリースタイルダンジョン」では3代目モンスターに就任 PHOTO:SHUNICHI ODA

WWD:黒ぶちさんにとってヒップホップとは。

TKda黒ぶち(以下、黒ぶち):音楽ジャンルでいう「ポップス」に対して、ヒップホップは「ポピュリズム」だと思っています。楽器を買うお金も、楽譜を勉強する時間もない人でも、マイク一本で始めることができる。良くも悪くも誰でもできて、解る音楽です。美しいメロディーでお茶を濁すことがないから、その分リアリティーが増す。使い方によってはざっくり人を傷つけたり、怒らせたりすることもあります。トラビス・スコットが21年に主催したフェスでは半狂乱のファンによる悲しい事故も起こってしまいましたが、それだけヒップホップがマインドに訴えるパワーはすごい。

 カッコつけずに言えば、僕にとっては「普通じゃないことを誇れる音楽」でしょうか。ヒップホップは悪ぶってると思われることは多いけれど、それは自分を素直にさらけ出すから悪い部分も目立ってしまうだけ。

WWD:TKさんの「普通じゃないこと」とは?

黒ぶち:詳しくは僕のnoteにつづっていますが、僕は割と悲惨な生い立ちで。例えば、僕の父親は中学の時に蒸発したので、母の手一つで育てられてきました。クラスのカーストも底辺で、とにかくどうしようもなかった。その時の記憶は、全部歌詞に込めています。

 当時は音楽にも興味がほとんどなくて、聞いていたのはミスチルくらいでした。灰色の生活を送っていた僕にとって、芸能の世界とか耳障りのいいJ-POPは嘘くさかった。だからヒップホップを初めて聞いた時、飾り気のない言葉のリアリティーが直接ぶっ刺さってくる感じに衝撃を受けて、それからのめり込んでいきましたね。

 高校生の時、勇気を出して地元のハコでMCバトルに参加しました。黒縁メガネの自分がラップをしていると、「何やってんだ根暗」ってヤジを飛ばされたり、観客席の1番前で中指立てられたりもしました。今となっては、その時ビビってコンタクトレンズにしなかった自分をほめたいですけどね(笑)。

WWD:なぜ黒ぶちメガネにこだわった?

黒ぶち:「どうしようもない自分」の象徴みたいなものだったのかもしれません。ありのままでいて何が悪いんだっていう意地、反骨精神みたいなものが奥底にあって、それを馬鹿にした奴らに認めさせることが、ヒップホップをする原動力の一つになっていきました。そういう承認欲求に、これ(ヒップホップ)を失ったら自分はもう終わりだ、という一種の恐怖心がないまぜになり、自分を駆り立てていました。

WWD:自己肯定感が低いまま、ステージに立つことは怖くなかったのか。

WWD:逃げてばかりの自分から、また逃げることの方が怖かったですから。学校では野球部も、少林寺拳法も、学習塾もすぐ投げ出した。歯列矯正すら、痛くてすぐにやめてしまった(笑)。そんなどうしようもない自分を救ってくれたヒップホップを失うことの方が、よっぽど恐ろしかった。それに自分が曲を出したり、バトルで勝ったりと結果を出し続けるにつれて、僕をバカにしていた人たちも認めてくれるようになって。「これしかない」と思うようになりました。

WWD:今のヒップホップアーティストとしてのモチベーションは。

黒ぶち:駆け出しの時、自分の弱い部分を全てさらけ出した“負け犬”って曲を書きました。高2だったと思います。今はもうお蔵入りにしているんですが。ライブで初めて披露するときは、「こんな弱いところ見せて大丈夫か」「(聴衆に)引かれるんじゃないか」とひどく緊張もしていました。ただ終わってみたら、すごくいい反応だったんです。僕も、聞いてくれた人と心の底からつながった感覚があって。いまだに「あれはよかったね」と言ってくれる友達もいます。

 それ以来、自分がヒップホップアーティストをしている上で1番の“報酬”は、誰かの生きる活力やモチベーションになること。バトルで自分と相手、どちらが勝ったとしても「=実力」ではない世界。ハートを相手とぶつけ合ったり、それを見ていた人から「感動した」って言ってもらえたりを繰り返して、自分のアーティストとしての“芯”が厚みを増している感覚があります。

炎上は人生の延長
「そういう生き方をしているから」

WWD:批判や中傷は怖くない?

黒ぶち:僕のスタイルは、赤裸々なまでに自分をさらけ出すこと。だから口から吐く言葉は「人生の延長」だし、仮に炎上したとしたら僕の行動、人間性、生き方が燃えうるものだったということ。受け入れるしかないとも思います。

 もちろん、常に粗探しをしている人はいるし、鬱憤ばらしの“サンドバッグ”を探している人もいるでしょう。ただ僕はそれを恐れること以上に、誰しもが僕のように “地獄”を持っていて、ヒップホップでその救いになりたいという思いが強いです。

WWD:ファッションにこだわりはある?

黒ぶち:自分のアーティスト活動を通じて、ヒップホップをもっと多くの人に興味を持っていただくためにも、(ファッションは)必要だなと感じています。僕の地元・春日部発の「ルーディーズ」には、僕とコラボした黒ぶちサングラスを製作いただいています。アーティストとして活動する中で、僕の見た目のスタイルにも共感してくださる方もいらっしゃるでしょうし、もっとこういった事例にチャレンジしていきたいですね。

 正直、以前は「着たいもの着ればいいじゃん」だったんですが(笑)。カニエ・ウエストに感銘を受けて考えを変えました。ファーストアルバムでグラミー賞をとった彼は「ルイ・ヴィトン」のバッグを携えてパリコレに乗り込むも、ファッションの業界人からは全く相手にされなった。それで彼はパリのオートクチュールの源流から真摯に学び、名だたるブランドとコラボしてファッションシーンの最前線に上り詰めた。結果、彼のファッションを通じてアメリカのヒップホップカルチャーを世界に広めました。この功績はすごいですよね。

WWD:ヒップホップカルチャーは日本ではまだまだニッチだ。

黒ぶち:以前、ニューヨークに住んでいたときのことなんですが。電車の中で、ジェイ・Z(JAY-Z)の曲にある「あのスニーカーが欲しいなら 努力して成り上がるんだ」っていう一節を何度も繰り返して、気持ちを高ぶらせている人がいました。

 これを日本でも再現したいと思っているんですね。ヒップホップ好きの兄ちゃんだけでなく、普通に働いてるサラリーマンがこれから仕事へ向かう電車の中で選ぶ曲。疲れた時、顔を上げたい時に選ぶ曲がヒップホップであってほしい。

 僕はヒップホップを、日本の音楽シーンのメインストリームに押し上げていきたいと真剣に思っています。そのために、地道ではありますがお笑い芸人にラップを教えたり、企業のコーポレートソングを書いたりとライブハウスの外でも活動を続けてきました。“ヨー、チェケラッチョ”ではない、僕らが思うヒップホップの本質が徐々に理解されてきたと感じています。

 今日本には、コロナへ愚策を続けてきた政府への不信感、頑張って働いても賃金が上がらない虚無感が漂っています。ヒップホップはそういう“敵”に立ち向かう勇気を与えるファイトミュージックです。日本は無宗教と言われます。しかし人間は本来「信じる力」を持っているし、よりどころがわからないだけ。それがヒップホップであっていい。僕はこれからも、皆のサバイバルツールになる曲を書き、歌っていくつもりです。

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洗練と雑多が融合する金沢の名店「ファッジアップナッシング」

 石川・金沢は、金沢城をはじめとした古い街並みと、21世紀美術館など複数の文化施設を持つ人気の観光地であり、感度の高いアパレルショップが多く集まる町でもある。特に香林坊エリアは、メゾンブランドや国内デザイナーズの直営店と、独自のラインアップを持つセレクトショップがひしめく。

 その香林坊からほど近くの路地裏にひっそりと店を構えるのが、セレクトショップ「ファッジアップナッシング(FUDGE UP NOTHING)」だ。2011年のオープン以降ファンを徐々に増やしており、県外や都心からの来店客に加え、ファッション関係者の顧客も多い。同店はもともと香林坊のビルの一室で約9坪の店からスタートし、21年4月に現在の場所に拡張移転した。

有名無名問わず
“面白い”を貫く

 同店の特徴は、新品と古着をミックスしたセレクトだ。新品では、ロンドン発の「イートウツ(E.TAUTZ)」や、ドイツのアトリエでハンドメイドされる「ストレス スタジオ(STRESS STUDIO)」、加瀬隆介と竹井博秀による「エッセイ(ESSAY)」など振り幅は広く、オーナーが「面白い」と思った古今東西の約20ブランドが並ぶ。

 古着のセレクトはさらにマニアックだ。市場でも人気が高い「パタゴニア(PATAGONIA)」などのアウトドアメーカーによるミリタリーサープラスや、無名スポーツブランドのパフォーマンスジャケット、ローカル企業のユニホームスエットなど、ファッションアイテムとしての評価が未知数なものも少なくない。

 これらのセレクトには、「ファッションのいろいろな価値観を提案したい」という杉木太オーナーの思いがある。「例えば“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN ONE)”は、当初はワゴンで安売りされるようなアイテムだったのに、スケーターたちがクッショニングを気に入ってこぞって履くようになり、市場でも一気に人気が出た。他のビジネスではあり得ない価値観の転換が、ファッションでは起こりうるんです」。機能や品質だけではなく、「光の当て方によって新しい価値観を見出す。それを、この店でもやりたくて」。

異なるムードが混在する空間
地元・石川の素材も活用

 品ぞろえに加えて空間も特徴だ。約100平米のワンフロア構成の同店は、ガラスの入り口やクリーンな白い壁が目を引く一方で、天井はコンクリートの体躯や排気口がむき出しになっている。

 この内装には、「洋服と同じように、さまざまな価値観が混在する空間にしたい」という杉木オーナーの意図がある。内装を手掛けたのは、デザイナーで設計家のシン シン(Siin Siin)だ。同氏は、建築家・元木大輔が率いるデザインスタジオ「DDAA/DDAA LAB」を経て独立した若手クリエイターで、昨年6月に行われた「クードス(KUDOS)」22-23年秋冬コレクションのプレゼンテーションで舞台装置を手掛けた。「シン シンさんはもともと金沢の美大に通っていて、この店にも来てくれていたんです。移転オープンするタイミングで『独立する』という話を聞き、内装を依頼しました」。

 什器には石川県産の素材を多く使っており、例えば独特な質感のベンチは能登産のヒバを加工したもので、平台には地元企業が作ったアルミパイプを活用した。「買い付けで国内外のいろんな場所に赴くうちに、金沢の魅力を再認識するようになり、空間でもその良さを表現することを目指しました」。

今、地方でショップをやる理由

 杉木オーナーは金沢から電車で1時間ほどの町に生まれた。ファッション好きの父親の影響で、中学生時代から金沢のショップに入り浸っていた。20歳のころ、交友のあった先輩に誘われてセレクトショップでキャリアをスタートさせて以来、約20年間金沢でファッションを生業にしている。

 ファッションやクリエイティブの情報は東京に集中しており、「正直、それらの情報へのアクセスで東京にかなう場所はない」と語る杉木オーナー。しかし、その制約が表現の源泉にもなっている。「すぐに触れられないからこそ、“面白いもの”への欲求が湧くんです。SNSやネットで1日中ブランドを探しても全く飽きないし、他店の情報収集も前のめりになる。それが、この店独自のフィルターとなり、個性になっていくと考えています。これからも、ここでしかできないことを大事にして、発信を続けていきたいです」。

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「ビームス ジャパン」が出雲大社へ続く表参道に常設店オープン

 ビームスの日本の文化を発信するプロジェクト「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」はこのほど、出雲大社へ続く表参道・神門通りに、島根県初出店となる「ビームス ジャパン 出雲」をオープンした。

 ガラス張りの開放感のある店内では、だるま専門店の堀江だるまの「出雲縁結びだるま」や、川島めのうの勾玉キーホルダーといった出雲地方の地元土産に加えて、縁結びをテーマにしたオリジナル小物、バイヤーがセレクトした日本全国の銘品などを販売する。

 「ビームス ジャパン」は、日本のモノ・コトの魅力を発信するプロジェクトとして2016年にスタートした。新宿と渋谷、京都に3店舗を構える。地方自治体や異業種企業と協業し、店舗イベントのほか商品開発やガイドブックの発行などにも取り組む。また、「ビームス ジャパン ゲート ストア(BEAMS JAPAN GATE STORE)」と題した企画では、日本各地の名所や景勝地へ出店し、地元の人々と協力しながらローカルに根ざした新しい土産物開発や店舗運営を行う。「ビームス ジャパン 出雲」は同プロジェクトにおける初の常設店となる。

■ビームス ジャパン 出雲
オープン日:2022年12月21日
時間:10:00-17:00
定休日:2023年1月11日(水)以降は毎週水曜日
住所:島根県出雲市大社町杵築南1346-5

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競争から共創へ カリスマ美容師の中村トメ吉が“メンズカットのすべて”を記した著書が話題

 カリスマ美容師で、人気ヘアサロン「ゴールド(GOALD)」の中村トメ吉代表が、“メンズカットのすべて”を記した著書「メンズカットのすべて KING OF BASIC」(税込8800円、髪書房)が話題となっている。

 これは、中村代表が「自分が持てる技術と知識を全国の美容師に解放します。あなたの大切なお客さまのために使ってください」と話すほど、自身のカット技術を惜しみなく初公開した一冊。

 304ページというボリュームで、14ステップのメンズカットロジックに沿って、基本から応用までの15スタイルを学ぶことができる。「最短距離で切れるベーシックカット」(髪書房)の著者、枝村仁氏協力のもとに制作した図解と解説動画付きで、分かりやすい点も特徴の1つ。この1冊でメンズヘアのベーシックを完全網羅することを目指した。

 また出版を記念して、東京・渋谷で出版パーティーを開催した。美容業界の第一線で活躍している美容師をはじめ、メーカー、代理店、メディア関係者など総勢約120人が来場。親交の深い関係者からの祝辞などがあり、笑いあり、涙ありの交流が行われ、同書の話題性の高まりに一役買った。

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ファッション通信簿Vol.70 話題のネトフリ新作「ウェンズデー」のファッションを米WWDが勝手にジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第70回は、1990年代に人気を博した映画「アダムス・ファミリー(The Addams Family)」のアダムス一家の長女・ウェンズデーを主人公にしたスピンオフシリーズからのエントリー。ゴステイストのファッションやスタイルにも注目が集まる作中のキャラクターたちのファッションをチェックする!

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ファッション通信簿Vol.70 話題のネトフリ新作「ウェンズデー」のファッションを米WWDが勝手にジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第70回は、1990年代に人気を博した映画「アダムス・ファミリー(The Addams Family)」のアダムス一家の長女・ウェンズデーを主人公にしたスピンオフシリーズからのエントリー。ゴステイストのファッションやスタイルにも注目が集まる作中のキャラクターたちのファッションをチェックする!

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「リリー ブラウン」が「ケイタ マルヤマ」と協業 異色のコラボはファッションへの“情熱”で結びついた

 マッシュスタイルラボの「リリー ブラウン(LILY BROWN)」は、丸山敬太デザイナー手掛ける「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」とのコラボ商品を2023年春夏と23-24年秋冬に発売する。4月に阪急うめだ本店でのポップアップストアを実施するほか、都内での実施も検討する。

 20〜30代の今どきの女性に支持を受ける「リリー ブラウン」と、1990年代から長年、国内デザイナーズブランドの一角として人気を博す「ケイタ マルヤマ」。意外ともとれる組合わせだが、近藤広幸マッシュホールディングス社長は、「(丸山)敬太さんが作るのは一つ一つが独自性にあふれた、いつまでも“捨てられない”服。タイムレスな服の価値を大事にする『リリー ブラウン』にとって、(コラボの)学びは大きい」と語る。丸山デザイナーも「今の時代の真ん中で活躍する人たちと一緒に服を作れることに、純粋にワクワクする。(新型コロナ禍からの)時代の変わり目に、新しいムーブメントを作りたい」と応じる。

 型数は15型程度、Tシャツ、ワンピース、ボトムス、雑貨などをラインアップし、中心価格は4000〜2万円を予定。4万円程度のスペシャルなドレスも制作を進めている。企画はまだ構想段階だが、2人にコラボの意図や展望を聞いた。

WWD:どんなコラボ商品ができそうか。

丸山敬太デザイナー(以下、丸山):「リリー ブラウン」とうちとでは、“オリエンタル”“ビンテージ”といった共通項があります。それらを生かして「ケイタ マルヤマ」らしいチャイナ的要素や刺しゅうを足し算していきたいと考えています。ただデザイン面では僕がリードするわけではなく、あくまでリリーの企画チームが主体です。

近藤広幸社長(以下、近藤):企画室を覗くと、丸山さんが先生、うちの企画チームが生徒、というような光景がよくあります(笑)。今回のコラボでは敬太さんの力を借りながら、自分たちのファンになってくれた人たちに向けて、一点一点、ものの作り方や表現の仕方を考え直す機会にしてほしいと考えています。

WWDJAPAN(以下、WWD):協業の経緯は。

近藤:「リリー ブラウン」は3.11で日本中が元気がなかった時に、花のような素敵な女性が世の中に広がって、彩(いろどり)のある国に戻ってほしいという思いを込めて作ったブランドです。“ヴィンテージフューチャードレス”をコンセプトに、普遍的なデザインを今の女性が着たいと思えるムードに昇華し、ビンテージの買い付けなどを含めて提案してきました。新型コロナが明けようとしている23年に、モノ作りや歴史といったストーリーで服の“深さ”を感じていただけるブランドとして、再び世の中にメッセージを出していきたいと考えています。

 そのための然るべきコラボ相手を探っていたところ、ぱっと頭に浮かんだのが敬太さん。当社の展示会にいらっしゃったときも、直接お話はできなかったけれど、ときどき遠巻きにお姿を見ていました。(『ケイタ マルヤマ』がスタートした)90年代から僕自身ファンで、周りにもチャレンジする人は多かったんです。唯一無二の世界観ながら独りよがりではなく、「気分が変わったから」と簡単には捨てられないような服を作っている。

WWD:「ケイタ マルヤマ」では、顧客から集めた古着をリメイクして売るプロジェクト「リマリッジ」もスタートしている。

丸山:僕、実は「ケイタ マルヤマ」の古着をフリマサイトで集める趣味がありまして(笑)。すると、昔のコレクションがいい状態で出品されていることもよくあって、「こんなに長い間持っててくれたんだ」「大切にしてくれていたんだ」と驚きます。サイズアウトしても捨てずにとっておいて、「どうにかできないか」と店に持ち込んでくださる方も多く、このプロジェクトの立ち上げにつながりました。

近藤: ブランドの服を本当に欲しいと思ってくださるお客さまに向け、敬太さんのように一つ一つ“お手紙”のような服を届けていくことが、再び大切な時代になると考えています。インターネットなかった時代と今では、服を購入するまでのプロセスがガラッと変わりました。かつて洋服の買い物は、リアルの場で商品に触れ、作り手のメッセージを感じて家に連れて帰るものでした。しかしインターネットが普及した今は、携帯の中の「情報」として洋服を知る。だから服の売り方も、新作やトレンドの情報合戦になってきてしまった面があります。

丸山:なるほど。僕から見たマッシュさんは、大きな会社ではあるけれど、昔からある「大手アパレル」とは全く異なる存在。SNS上で生まれる共感からファンをどんどん増やし、その方々に向けて服を作っています。だから、僕にとっても「リリー ブラウン」の服作りは新鮮なんです。なんせ僕がブランドを始めた28年前はインターネットもなかったころ(笑)。そういう意味で、僕は自分のことを今のファッション業界の中心にいる人間とは思っていません。コラボを通じて学ばせていただくことは多いと思っています。
 
 それに、「リリー」とは根底でつながれる部分があるなとも思っていて。それを一言で表すなら、服への“熱量”かな。僕は、会社にコレクションブランドのショーのルックをそのまま会社に着てくるような、異常な時代も経験してきました。でもこの会社(マッシュ)に来ると、それに近い雰囲気も感じることができるんです。社員が皆かわいくおしゃれをして、何より自分のブランドを好きで着ている。すごく当たり前のことだけれど、それができる作り手は今やすごく少ないし、その情熱は、きっとお客さまにも伝わるんじゃないでしょうか。

「感性」を刺激するコラボに

WWD: 23年は新型コロナ禍から、社会がいよいよ前へ向かって進み出す年になりそうだ。

近藤: そんなときだからこそ、ファッションには女性たちを後押しできるパワーがあるはずです。今回のコラボは単に服が売れるかどうかではなく、お客さまの「感性」をいかに刺激できるかの方がよっぽど大事だと思っています。今回のコラボ商品と合わせて、「ケイタ マルヤマ」の古着に「リリー」らしいプリントや刺しゅうを乗せて売っても面白いかもしれません。あと、個人的にはローンチに合わせて、若い子が華やかな服を着て集まるナイトパーティーをやってみたい。これは敬太さんにも、この場で初めてお伝えするアイデアなんですが。

丸山: コロナ禍はムーブメントが起きにくい時代でした。ファッションが作り出す高揚感や空気感を、そろそろ世の中に取り戻していきたいですね。僕らの3年と若い子の3年では、失った時間の重さは全然違うでしょう。ファッション=洋服ではないし、本来は音楽とかアートとか、さまざまなカルチャーをつなげる役割がある。女の子がすてきな服を着て集まる場作りなど、まず僕らが率先して面白い仕掛けができたらいいですね。

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「ジルスチュアート ビューティ」がきらめく肌を演出するベースメイクと春限定日焼け止めジェルを発売

 「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」は3月3日、トーンアップとつやめく肌を演出するパウダーファンデーションと美容液化粧下地、日焼け止めジェルを発売する。

 パウダーファンデーションの“ジルスチュアート グロウシフォン セラムフィルター” (全6色、税込各3520円、以下同)は3種の板状パウダーをオリジナルバランスで配合した点が特徴。グロウダイヤモンドパウダーが光り輝く艶肌を演出し、リフレクトブラーパウダーが毛穴や色むら、肌の凹凸をレフ板のように光で飛ばすほか、トランスペアレントグロウパウダーが透明感のある仕上がりを実現する。高いロングラスティング力で化粧崩れしにくく、セラム成分でパウダーをコートしているため、しっとり感のある仕上がりが続く。

別売りのケース“パウダーファンデーション コンパクト SF (スポンジ付き)”(1650円)はミニバッグにも収納しやすい手に収まりやすいサイズ。きらめくカッティングやアラベスク模様、縁を飾る小さなストーンなど。ブランドの世界観とファンデーションの特徴を表現している。

 既存の“イルミネイティング セラムプライマー”からパワーアップする“ジルスチュアート ブライト&スムース セラムプライマー”(30mL、3520円)は、スキンケアのようなみずみずしい使用感はそのままに、気になる毛穴や凹凸をカバーし、素肌感のある肌へと導く美容液化粧下地。クラシカルでロマンチックなボトルデザインは踏襲し、グロウダイヤモンドパウダーが肌を明るく仕上げ、リフレクトブラー成分が光でぼかしながら毛穴をカバーする。

 そのほか、同日には「エブリデイブライト UVプロテクター」シリーズから今春限定のジェルとスプレーも発売。“ジルスチュアート エブリデイブライト U V プロテクター トーンアップシマーラベンダー ホワイトフローラル”[SPF50+/PA++++](60g、3080円)はパープルパールと大粒のシルバーパールを新配合し、艶感あふれる明るい肌へと導く。スプレータイプの“ジルスチュアート エブリデイブライト U V プロテクター フレグラントスプレー ホワイトフローラル” [SPF50+/PA++++](60g 、2200円)は日焼け止めに加え、フレグランス効果もプラス。純白の花のブーケのような甘い香りで、あらかじめ髪に塗布すれば嫌な臭いがつくのを防ぐことができる。

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