「サカイ」は映画「インターステラー」に共鳴する 全てを超越する“愛”をファッションに込めて

 「サカイ(SACAI)」は、パリ・メンズ・ファッション・ウィークでメンズの2023-24年秋冬シーズンとウィメンズ23年プレ・フォール・コレクションを発表した。パリ・メンズでショーを開催するのは3年ぶり。今季は、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督の映画「インターステラー(Interstellar)」を着想源に、「カーハート WIP(CARHARTT WIP)」や「モンクレール(MONCLER)」「ナイキ(NIKE)」とのコラボレーションを披露した。

映画を想起させるさまざまな要素

 コレクションは、「インターステラー」の断片を「サカイ」のコレクションにハイブリッド。BGMを含め、映画の要素をさまざまな部分に散りばめた。宇宙服の冷却下着のように体に密着する、ネオプレン素材のアシンメトリーなドレスでショーが開幕。分解・再構築したパファージャケットや誇張したAラインのオーバーコート、マルチポケットのワークウエアといったアウターが強い存在感を放った。

 ワークウエアとミリタリーウエアを軸とした構成は、元空軍エンジニアだった映画の主人公ジョセフ・クーパーの経歴と重なった。スカートとMA-1の融合は、肩のストラップを外してロングドレスになる仕掛けがあり、トレンチコートとブレザー、ダウンベストとムートンジャケット、2つのムートンライダースを劇中のエンデュランス号のように高い技術でドッキングさせて独自のシルエットを生み出し、オレンジを用いたスタイルはヒュー・マン博士を想起させる。ボンバージャケットやシフォンのドレスには、作品の重要な要素であるモールス信号や、マーフィー・クーパー“マーフ”の部屋の本棚をプリントした。

 中盤には、クーパーが着用した「カーハート WIP」のチョアジャケットをMA-1と組み合わせ、独特なフレアラインを描く。ドローストリングのパーカコートにはフリースをハイブリッドしたほか、ニットウエアやバッグも登場した。カジュアルなルックに合わせたスニーカーは、“ナイキ エア フットスケープ(Nike Air Footscape)”を「サカイ」流にアレンジした“マグマスケープ(Magmascape)”。ダブルレーシングと分厚いトレッキングソールが特徴だ。

コレクションで伝えたかったこと

 終盤には、「モンクレール」と再びタッグを組んだアイテムを披露した。背負えるダウンジャケットとテーラードをドッキングし、プリーツドレスやセットアップとスタイリング。ディテールにメタリックな素材を用いたり、宇宙服を思わせるホワイト一色にしたりし、未来的要素を盛り込んだ。ショー後のバックステージで阿部千登勢デザイナーは、「70周年を迎えた『モンクレール』が、未来の70年へと目を向けるその意欲に共感した。未来をテーマにした『インターステラー』とのつながりもあり、私が今最も表現したいことだった」とコラボレーションの背景について語った。

 「『インターステラー』で描かれる愛と未来の表現が、今の時代にリンクすると感じた。主人公のように、どんな困難にも立ち向かっていく姿勢を、コレクションを通して伝えたかった」と阿部デザイナー。5型のみのコレクションからスタートした「サカイ」の歴史を振り返ると、阿部デザイナーこそ最も困難を乗り越えてきたデザイナーの一人である。未来は常に予測不可能だ。しかし「サカイ」の高い技術とバランス感覚、そしてファッションや人への愛は、これからも異なるスタイルを超越し続けていくのだろう。

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「エルメス」「ロエベ」で天国を見て、あの問題児に地獄を見せられる 2023-24年秋冬メンズコレ取材24時Vol.8

 2023-24年秋冬コレクションサーキットは、メンズからスタート。「WWDJAPAN」は現地で連日ほぼ丸一日取材をし、コレクションの情報はもちろん、現場のリアルな空気感をお伝えします。担当は、前シーズンのメンズと同様に大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリのコンビ。パリ・メンズもあと2日。ストライキによる地下鉄ストップを乗り越えたのに、移動ではこの日が一番ハードになり、最後には想定外の地獄が待っていました。

9:00 「コム デ ギャルソン・シャツ」

 パリ・メンズ5日目の早いのです。なぜなら、「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME DES GARCONS SHIRT)」のフロアショーがあるから。9:15開始予定だったので5分前に到着すると、なんと3分前倒しでスタート。今シーズンのメンズ・ファッション・ウイークで唯一巻きでスタートしたショーとなりました。ギリギリセーフ。

 コレクションは、「ラコステ(LACOSTE)」との初のコラボレーションアイテムが連続します。何てかわいいんでしょう。シグネチャーのワニが巨大になったり、細かい柄になったり、編みで描いたり。どこか少年ぽさを残したシンプルなアイテムを軸に構成しているので、モチーフ使いがいっそう映えます。個人的には、編みのワニのニットが気になりました。これだけワニワニしていたら、みなさまもお気に入りのワニがあるはず。ぜひルックを見てみてください。

12:00 「ロエベ」

 「ロエベ(LOEWE)」は、中心地から離れたテニスクラブで開催しました。ショーが始まるまでは、会場装飾を眺め、来場するセレブリティの顔ぶれをチェックする時間。すると、スタジオジブリの映画「ハウルの動く城」とコラボレーションしたカプセルコレクションを着用するゲスト2人を発見!個人的にジブリ作品で「ハウル」が一番好きなので、大興奮です。一人はKing Gnuの勢喜遊さんで、ハウルの城が刺しゅうで描いたデニムジャケットを、もう一人のPERIMETRONの森洸大さんは犬人間ヒンをレザーのパッチワークで施したブレスレットポーチを着用。2月1日のオンラインでの先行発売が待ちきれません。

 肝心のコレクションはというと、今季もシュールレアリスムを追求するジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)・ワールドが全開でした。キーワードは、“静と動”。動きを封じ込められたアイテムと、流動的なアイテムが交錯し、“これらは洋服なのか?そもそも洋服の概念とは何か?”という疑問が浮かび上がりました。コレクションノートには、「還元主義的実践を推し進めた」と記述しています。還元主義(英語ではReductionism)とは、物事を元の形・性質・状態に戻すことを意味する哲学的な考え方。複雑な事象を理解するために、その事象を構成する単純な要素を分割し、それらを理解することで元の複雑な事象が理解できるといったもの。「ロエベ」と「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)の両ブランドでバックステージ取材を行うと、彼は何度も“Reduction”という言葉を使っていました。同ブランドに限らず、今季のメンズは総括して、本質に立ち返り、削ぎ落とすことをテーマにするブランドが多かったように思います。シーズン全体のムード、そしてファッションを通して社会のムードを読み解くためにも、アンダーソンの言葉は大きなヒントを与えてくれます。彫刻的なショーピースなだけに、コレクションの魅力が写真では伝わり切りません。詳しいリポートと共に、ショー映像を視聴するのがオススメです。

13:30 「カラー」

 パリ最南の「ロエベ」の会場から、最北の「カラー」の会場へ急いで向かいます。「ロエベ」のショー後にバックステージ取材を行ったため、両方のショーに参加する他ゲストよりも出遅れた分、電車で50分、車で30分という距離は間に合うかどうかの際どいタイミング。でも、運よくすぐにタクシーを捕まえられて、ギリギリセーフで駆け込みました。

 「カラー」の会場は、ブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)設計の歴史建造物エスパス・ニーマイヤー(Espace Niemeyer)です。ドーム型の天井のレトロフューチャリスティックな空間で、抽象芸術を思わせるひねりを効かせた日常着を披露。襟をゆがませ、ミスマッチなラペルを二層に重ね、非対称で大胆なカットアウトと異なるアイテムのドッギングで、パズルのように洋服を解体し、組み替えていく「カラー」らしい手法が満載です。ベーシックカラーとビビットカラーを掛け合わせた美しい配色も印象的。予測不可能なハイブリッドが目立ちながらも、リアルクローズから逸脱しないバランス感で、街にもなじむウエアです。あとは全体のムードをさらに強く出せると、ますます進化しそうです。リアリズムなコレクションが、前の「ロエベ」のシュールレアリスムな世界観とは対照的で、私の思考を現実へと引き戻します。“洋服の概念とは何か”という疑問は吹っ飛び、純粋に“着ることの楽しみ”を感じました。

15:00 「エルメス」

 次の、「エルメス(HERMES)」会場のユネスコ本部までは車で20分の距離。フランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode以下、サンディカ)が運用するミニバス、通称“貧乏バス(BB号)”に乗れば余裕で着く、はずでした。今回のBB号はドライバーによって当たり外れの差が大きく、「エルメス」まで40分もかかってしまいます。すでにエントランスに人気はありません。「やってもうた!」と心で叫びながら、気持ちはカール・ルイス(Carl Lewis)で全力疾走。何とかゲートをくぐると、まだ始まっていません。よかった!シートが隣の大先輩である某誌編集長が「僕はウェルカムシャンパンいただきましたけど」とニヤニヤしていました。ひー本当に危なかった。

 「エルメス」がユネスコ本部でショーを実施するのは、約20年ぶりとのこと。ここ数シーズンは舞台演出家のシリル・テスト(Cyril Teste)とタッグを組んで趣向を凝らした演出でしたが、今シーズンは場所もチームも原点回帰し、シンプルでソリッドなランウエイショーを披露します。キーワードは“オキシマロン”。2つの矛盾する要素をつなぎ合わせるニュアンスの意味です。例えば、上質なグレートーンのレザーアウターには、消防服に着想したディテールを組み合わせたり、高品質のレザーでスポーティーなジョガーパンツを作ってみたり、そのジョガーパンツをイブニングのスタイルに使ったり。ウィットの効いた究極の日常着には、厚底のブーツを合わせて足元のボリュームを強調します。クラフトマンシップを大切にするブランドのフィロソフィーはさまざまなアイテムに施したレザーの編み込みで表現。ウエアがシンプルな分、スカーフを使ったスタイリングや、重ね付けしたネックレス、動きに合わせて躍動するピアスなど、アクセサリー使いも際立ちます。バッグは“オータクロア”と“ケリーデペッシュ”が登場。クロコダイルの“オータクロア”が目の前を横切るときは、あまりの存在感に吐息が漏れたほど。こんなにも素晴らしいショーを見逃していたかもと想像すると、極寒でも冷や汗が出るほどの恐怖です。次は別のドライバーの“BB号”に乗り込もう。

16:00 「ホワイトマウンテニアリング」

 「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」がパリ・メンズに3年ぶりのカムバック。相澤陽介デザイナーは、ミラノ・メンズでも「コルマー(COLMAR)」との共同プロジェクトで参加する超人ぶりです。山と街をつなぐクリエイションは、3年前と変わらない安定ぶり。ダッフルコートやスエードのプルオーバー、ボリューム感のあるベストなど重衣料が充実し、レイヤードによって軽快に見せていきます。後半は、アウトドアギアのレーベル「W.M.B.C.」のパート。ブラックで統一したシックなテックウエアを軸に、格子柄やバンダナ柄、素材感のバリエーションで見せます。「コルマー」との共同プロジェクト“コルマー レボリューション(COLMAR REVOLUTION)”のアイテムも登場しました。パリではひさしぶりとなったランウエイショーで、変わらない存在感をアピールしました。

17:00 「カサブランカ」

 が、次の「カサブランカ(CASABLANCA)」の会場はまたまた遠かった!パリ南西部に位置するイベント展示会場パリ・エキスポ・ポルト・ドゥ・ベルサイユまで急いで向かいます。フランス最大の展示会場内の広いスペースに構えるのは、花で飾られたシリアの戦闘機の機体。投資を受けただけあり、資金がかなり潤っているのでしょう。急いだ甲斐があり、人はまだまだ入場途中で余裕です。ありがとうございます。が、次はショーがなかなか始まらない。待てども待てども、始まらない。

 結局50分遅れでスタートしたショーは、冒頭でシャラフ・タジェル(Charaf Tajer)デザイナーが熱烈なスピーチを披露しました。友人を通してシリアの難民の現状を見聞きした彼は、爆撃の恐怖にさらされながら、パーティーを行うシリアの人々にインスパイアされたといいます。「ファッションが解決策だと言っているわけではありません。単なる洋服だと言う人もいるかもしれません。 しかし、私たちの声を使って叫び、より良い世界を作るためにできることは何でもするべきです。このコレクションは、戦争地帯で私が目撃した痛みと美しさを反映した、勇気に触発された作品です」と述べました。

 力強い声明ではありましたが、コレクションにその想いが反映されているのか、私には分かりませんでした。客室乗務員のユニホームを彷彿とさせるスーツや、テニスとスキーウエアから踏襲したレトロスポーティー、アラブの王様が身に着けていそうなマントがランウエイを飾ります。ブランドのロゴはハート形となり、軍服風のジャケットにはハートや花のメダルを飾り、反戦や平等の意を表します。いつものようにカラフルで遊び心が詰まっていて、コレクションは見応えのあるもの。ただ、スピーチの内容とルックは、あまりリンクしていなかったように感じました。ショー後に取材をしたかったものの、50分もショー開始が遅れたため、諦めて次の会場へと走ります。

18:30 「ボーディ」

 アメリカ人デザイナーのエミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)率いる「ボーディ(BODE)」が、パリで3年ぶりとなるショーを開催しました。まさに、“エミリー、パリへ行く”状態。今回は記念すべきウィメンズコレクションのデビューです。会場は、パリ中心部にあるシャトレ座の劇場内。彼女はパーソナルな記憶を着想源に、アンティークのテキスタイルや工場で集めた余剰素材を使って、手仕事の温かみを感じるコレクションを作ってきました。今季は、彼女の母親とその3人の姉妹、そして母親が働いていたマサチューセッツ州にあるイプスウィッチの史跡の所有者である老婦人に着想。ステージ上に母親の実家を再現し、ケープコッドの家と庭、星条旗を掲げた壮大なセットで世界観を作り込みます。

 フリンジをあしらったウエスタンシャツやプレッピーなブレザー、ベルベットのスーツセットアップをリラックスシルエットとクラフト感ある装飾で、ブランドらしいカントリー調に仕上げています。ウィメンズは総ビーズのフラッパードレス、クリスマスツリーを模したチュールのドレス、ラストルックのウェディングドレスとイブニングウエアが中心。彼女の洋服が持つ“素朴さ”といった魅力にロマンチックなムードが加わって、ややラグジュアリーにアップデートした印象です。ウィメンズとメンズのイメージはかい離しており、ウィメンズを量産できるのか、どのポジショニングに訴求していきたいのか、関心が湧きました。ひとまず、ウィメンズのデビューとパリでのひさびさのショーに拍手を送ります。

20:00 「マリーン セル」

 次の「マリーン セル(MARINE SERRE)」の会場がまたまた遠い!パリ最北に位置するイベント会場ラ・ヴィレットの大ホールです。極寒の中、行ったり来たりな1日ですでにみんなくたくたです。会場内には、3つのデッドストックを詰め込んだ塔がそびえ立っていました。デニムとスカーフ、Tシャツを詰め込んだこれらデッドストックは、今後セルの手によって新しい洋服として姿を変えるのでしょう。会場には、いつものように一般客を含む、多くの来場者が20時30分頃には着席していたものの、なかなかショーは始まらず。結局約1時間遅れの21時スタート。

 コレクションは、あらゆるサイズや肌の色、年齢のモデルが、5つのセクションに分かれて登場します。トートバッグをアップサイクした序盤のルックはホワイトとベージュのトーンでまとめ、続くデニムのパートでは家庭用リネンのコットンスカートなどを合わせ、使い古されたシルバーの小物入れをアクセサリーとして装飾します。モトクロスのユニホーム、カーペットを想起させるタペストリー、最後はシグネチャーであるスカーフをつなぎ合わせたドレス。そして筒型バッグが新作アクセサリーと加わります。ショーは、雷のような激しい照明とエレクトロミュージックで演出。廃棄衣類や環境問題に対する警鐘を鳴らすような緊張感がありました。男女の55ルックは、これまでのコレクションを凝縮したような内容です。バリエーション豊富でバイヤーはセレクトに困ることがなさそうです。今季が総集編なのだとしたら、来季はアップサイクルの手法で新しいクリエイションが見られるのかも、と期待です。

21:00 「キッドスーパー」

 さあ、時刻はもう22時前。もうホテルに帰りましょう、お疲れ様でした!という訳にはいきません。「キッドスーパー(KIDSUPER)」が残っています。とはいえ、開始予定時刻は21:00なので、さすがに間に合わないだろう。残念。そう思いながら“BB号”に乗り込み、会場となったミュージックホールのカジノ・ド・パリに一応向かいます。“BB号”はパリコレ参加者のためのバスなのに、車内は通勤時の田園都市線かというほどぎゅうぎゅうです。パリコレとは。

 会場に行くだけ行ってみようというテンションでしたが、到着するとまさかの光景が広がっていました。「まだ、入場していないだと?」。さらに、入り口のセキュリティと招待客なのか友人なのか分からない集団が怒号と共に押し合う危険な状態で、拡声器の「下がれー下がれー!おいお前、下がれ!」という声が一帯に響き渡ります。前シーズンも入場時に大混乱だったこのブランド、凝りません。カオスにもほどがある状況に、入場を諦めるジャーナリストもちらほら。何てもったいないのでしょう。

 一瞬、ホテルの暖かいお風呂が脳裏をよぎりましたが、ここまで来たら見届けたるわと、カオスな群衆に突撃。夏フェスのモッシュピットのような状況で、人ごみに顔面をほぼつぶされながらも何とかすり抜け、ようやく入場します。時間は22時を越えています。パリコレとは。

 ショーが開演すると、コレクションを身に着けたコメディアンが一人ずつ登場し、スタンダップコメディを披露するという演出。当然、長いです。そして、遠すぎて服が全く見えません。何かスーツだな、何かライラックだな、またアート乗っけてるだけだなと認識できる程度。1日の移動と、とどめのカオス入場もあり、コメディが全く頭に入って来ない抜け殻状態で地獄の約1時間を耐えました。創業デザイナーのコルム・ディレイン(Colm Dillane)は、まさに「パリコレとは」を考え、開かれたショーを目指しているのでしょう。入場時の混乱は、招待状を持たない大勢が訪れたためで、結果的に誰でも見られるエンターテインメントショーになりました。その考えは否定しませんし、素晴らしいと思います。でもさ、もうちょっと段取りを考えませんか。

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「グッチ」の次期クリエイティブ・ディレクターが決定 「プラダ」や「ヴァレンティノ」でキャリアを積んだイタリア人デザイナー

 ケリング(KERING)とグッチ(GUCCI)は、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)が「グッチ」の新たなクリエイティブ・ディレクターに就任することを発表した。22年11月に退任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後任となるデ・サルノは、現職での職務を全て終え次第、就任予定。ウィメンズ、メンズ、レザーグッズ、アクセサリー、ライフスタイルの各コレクションにおいて、「グッチ」の新たなクリエイティブなビジョンを定義・表現する責務を担う。デビューショーは、2023年9月のミラノ・ウィメンズ・ファッションウイークになる予定だ。

 デ・サルノは、イタリア・ナポリで育ち、05年に「プラダ(PRADA)でキャリアをスタート。「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」を経て、09年に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」に入社。昇進を重ね、最終的にはメンズとウィメンズのプレタポルテ・コレクションを統括するファッション・ディレクターを務めてきた。

 デ・サルノは、「『グッチ』のクリエイティブ・ディレクターの職務を引き受けるのは、とても光栄なことだ。長年にわたって私が信じ続けている価値観を大切にするとともに快く受け入れてくれた、素晴らしい歴史と伝統を持つメゾンに参加できることを誇りに思う。私のクリエイティブなビジョンでブランドに貢献できることに感動し、ワクワクしている」と話す。

 一方、マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzari)=グッチ社長兼最高経営責任者は、「サバトがラグジュアリー業界で最も影響力のある役割の一つである『グッチ』の新たなクリエイティブ・ディレクターに就任することをうれしく思う。イタリアの著名なラグジュアリーメゾンで働いてきた彼は、適切かつ豊富な経験を持っている。『グッチ』ならではのレガシーに対するサバトの深い理解と敬意を通して、独自のビジョンでクリエイティブチームを率いてくれるだろう。それが、ブランドの豊かな伝統を生かしながらファッションの権威を強化し、このエキサイティングな次の章を綴ることにつながると確信している」と述べる。

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おまけで“キラめんこ”が当たる 「シック」が仮面ライダーシリーズとのコラボカミソリを数量限定発売

 シック・ジャパンは、仮面ライダーシリーズとのコラボ企画を実施。仮面ライダー1号、V3、クウガ、アギトのコラボカミソリ4モデル(各税込2760円)を、2月3日から全国のドラッグストアやアマゾン公式サイトなどで数量限定発売する(アマゾン公式サイトでは先行予約を受け付け中)。

 同コラボカミソリは、全モデル完全オリジナルカラーで制作。各作品の放映当時の資料を参照しながら色を作り、版元とも議論を重ねた上で最終的な色を決めるなど、高い再現性を目指した。またカミソリ本体だけでなく、パッケージやおまけのめんこ(駄菓子屋などで販売されていた昭和レトロな厚みのあるカード)デザインの細部に至るまでこだわりを詰め込み、仮面ライダーシリーズの世界観をカミソリで表現した。

 おまけとして付属するめんこ2枚は、実際に遊べるしっかりとした厚みで、懐かしい手触りと色彩が特徴。10分の1の確率でレアな“キラめんこ”が出現する。

 仮面ライダーは2021年に生誕50周年を迎えた、世代を超えて愛され続けているヒーロー。「“かつて少年だった大人”から現代の少年まで、それぞれが思い入れのあるカミソリを使用することで、シェービングの時間をワクワクしたものにしていただきたい」という思いから、今回のコラボモデルの発売に至った。

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エコバッグが世界的ヒット 売上高36%増の成長を続ける「スーザン べル」

 

 リップストップ・ナイロンのエコバッグ「スーザン べル(SUZAN BIJL)」をご存知だろうか。鮮やかな色の組み合わせとシンプルなデザインが人気となり、現在、世界22カ国350拠点で販売されている。2000年に創業し、14年に地元オランダ・ロッテルダムに1号店をオープン。この年地元オランダでのビジネスが拡大した。ここから「スーザン ベル」の躍進が始まる。世界的なサステナビリティ意識の高まりに加えて、各国の政府がレジ袋の使用を控える姿勢を見せたことから、15年からは毎年平均前年比36%増をマーク。19~20年にオンラインプロセスに投資したことが奏功し、20~22年は新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けず、ブランド最大の成長を遂げた。

 そもそも「自分のためにデザインしたことがきっかけだった」と創業者のスーザン・べル。キッチンに溜っていくショッピングバッグを減らしたかったというシンプルな理由だった。使い捨てビニール袋のデザインを生かしつつ、サイドの折り目を深くすることでボリュームを出し、鮮やかな色を組み合わせた。ポップな色合わせと実用性が受けてオランダのミュージアムショップなどで扱われるようになり、ポール・スミス(PAUL SMITH)やユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)のバイヤーに見出されて、世界中に販路が広がった。定番商品“ニューショッピングバッグ(The New Shopping Bag)”のデザインは20年変わらない。

 デザインアプローチは「まず実用的で機能的であること、その次にサステブルかどうかを考えている」とスーザン。商品のバリエーションは少しずつ増えているが「毎年、新しいデザインを提案するようなことはしない。いいものはいいから」。シーズンに合わせて生産するが、シーズン中に売り切ることを目指している。在庫は最小限に抑え、セールはしない。取引先にもセールをしないように伝えている。生地はシーズンを超えて活用し、端切れは“ニューポーチ”やファスナーなどの小さいパーツや修理のために用いる。17年からは無償で修理を行っている。

地球に対する責任の探求が始まる

 かつてレザーを使用した商品も提案していたというが「廃棄物の削減と地球に対する責任を探求する過程で使用を廃止した。その代わりにリップストップ・ナイロンのみにフォーカスした。とても丈夫で軽く、使い勝手がいいうえ品質が均一だから」。素材を限定することで無駄を省き、環境負荷を低減するために注力できるようになった。

 「この10年の私たちの目標はサプライチェーン全体を通してブルーサイン認証(繊維産業の中でも特に化学物質を用いる分野で、環境、労働、消費者の観点における持続可能なサプライチェーンを経た製品に付与される認証)を受けること」とスーザン。16年からはブルーサイン認証を得たリップストップ・ナイロンに変更しているが、鮮やかな色の保持のためのポリウレタンコーティングや、一部のバッグで施している防水コーティング(熱可塑性エラストマーコーティング)を施しているため、全工程でブルーサイン認証は受けていない。

 「以前ブルーサイン認証を得た工場の水性のコーティングを試したが、安定した品質が保証できなかったため、ブルーサイン認証を得ていない油性に戻さざるを得なかった。現在、中国のパートナーとともに、油性のコーティングでのブルーサイン認証取得を目指して取り組んでいる。彼らは生産工程の透明性が高く、環境への負荷を軽減するためにどう改善できるかを常に探究している」とスーザン。素材を限定してバリエーションを増やす方法で、小さな企業ながら一つ一つの工程を丁寧に見直すことを可能にしている。「長期的な目標は、オランダに近いところで生産すること。これはサプライチェーンを変えることになるため、段階的に進めていくことになる。地球での生活を向上させるために必要な目標」とスーザン。

 1人で始めたビジネスも、現在35人のスタッフを抱えるまでに成長した。支持を集める理由をスーザンはこう分析する。「どんな年齢もジェンダーにもフィットする。リピート顧客やファンがいて、友人や家族にも私たちの製品を紹介してくれている。何より、使い勝手がよくて実用的、そして特別な色に個性を感じてくれていて、自分の個性とマッチしていると思い入れを持ってくれている人が多い」。いわゆる実用的で丈夫なエコバッグとして選ばれるだけでなく、日常使いもできるデザイン性の高さが支持を集めている。
 
 現在、さまざまなプログラムの提供に取り組み始めた。「映画上映、音楽パフォーマンス、レクチャーなど、私たちが興味を持っているテーマで、皆さんのインスピレーションになるような機会を提供したいと考えている。私たちのブランドを通じて自然、健康、居住環境の観点から地球環境に対して責任を持ってもらうことが目標」とスーザン。製品の提供だけではなく、体験を通じて価値観の共有を目指している。

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