箕輪厚介が手掛ける“古着バー”が5月にオープン コミュニティーが生まれる“溜まり場”に

PROFILE: (左)齋藤秀行/メローカナリア代表(右)箕輪厚介/編集者、実業家

(左)齋藤秀行/メローカナリア代表(右)箕輪厚介/編集者、実業家<br />
PROFILE: 齋藤秀行(さいとう・ひでゆき)古着屋「カナリ 中目黒」「カナリ 代々木八幡」「エブリシング イズ エブリシング下北沢」「カナリ 代々木上原」、カフェ「代々木上原 モナリザコーヒー」を展開 箕輪厚介(みのわ・こうすけ)2010年双葉社に入社、ファッション誌の広告営業を経験後、編集者に転身。15年からは幻冬舎に入社し多数のヒット書籍を手がける傍ら、エクソダス代表取締役、キャンプファイヤーコミュニティーのチェアマンを務める。家系ラーメン店「箕輪家」、サウナホテル「サウナランド浅草」などのプロデュース業にも取り組む

数々のヒット書籍を生み出し、実業家やコメンテーターとして多岐にわたり活躍し続ける幻冬舎の箕輪厚介氏。2022年には家系ラーメン店「箕輪家」、サウナホテル「サウナランド浅草」をプロデュースし話題を呼んだ。編集者でありながらビジネスパーソンである彼の次なる照準は、意外にも“古着バー”の開業だと言う。手を組むのは、古着屋やカフェを経営するメローカナリア代表の齋藤秀行氏だ。“古着ブーム終焉”と言われる中、彼らが新たに古着ビジネスを始める理由とは?2人が考える生き残りの道筋を聞いた。

Xをきっかけに古着バー開業へ
初年売り上げ目標は5000万円

WWD:古着事業を始めようとしたきっかけは?

箕輪厚介(以下、箕輪):Xで私に顧問を依頼したい企業を募ったことがきっかけだ。複数の問い合わせがあった中で、古着屋のオーナーである齋藤さんの問い合わせが目についた。私は古着に詳しくはないが、好きなものに対してこだわりを持って語っている人に惹かれる。実際にYouTubeで「ハルキの古着」「さらば森田の五反田ガレージ」など古着コンテンツを見るのが好きだったから、齋藤さんの声掛けはうれしかった。

齋藤秀行(以下、齋藤):4月7日に閉業した古着屋「エブリシング イズ エブリシング 下北沢」の物件は、借りたのがコロナ禍だったことから、今の下北沢では考えられないほど家賃が安い。手放すのは勿体無いし、他にも古着屋を経営していることから、この物件では新たなチャレンジをしてみたいと思った。ファッション界隈の多くの人は、箕輪さんの人を“お金の人”と少し冷めた感覚で見ていると思うし、古着の世界では“売れない方が美しい”みたいなムードも感じる。しかし私達だって、表ではお金のことを話さなくても売り上げが立てばうれしい。“古着ブーム終焉”と言われる中、私自身もこのブームは絶対に終わると考えている。古着業界にとって厳しい時代が来るからこそ、「何か新しい世界が作れたら」と言う気持ちで、あえて“お金っぽさ”を感じる箕輪さんに顧問を依頼した。私自身もアパレルだけではなく、カフェを展開したりなどさまざまな事業を行う部分で、マルチに活躍する彼の考え方に共感できた。

箕輪:まずは5月から1年間で5000万円、そこから徐々に1億円を目指す。古着に限らないが、あらゆるブームは5〜7割が本当に好きな人、2〜3割ぐらいが“にわか”、3割ぐらいが投機目的、と言ったバランスによって成り立つ。投機があることによってムーブメントになっていることは間違いないが、その割合が多くなると本来のファン達が離れていき、やがて投機する人もいなくなる。これこそバブルが弾ける瞬間だ。ビジネスとしてただカルチャーに乗ろうとすると、バブルが弾けた時に生き残れないだろう。

コンセプトは“ネオスナック”
お酒を飲みながら古着を買える空間に

WWD:オープン予定日や店のコンセプトは?

齋藤:「エブリシング イズ エブリシング 下北沢」の店舗をリニューアルする形で、5月1日に“古着バー”をオープンする。まだ店舗名は決まっていないし、店長も募集中だ。

箕輪:古着に関する知見が無い私がただ古着屋をやっても、それこそ“時代のブームに乗っかっただけ”みたいな形になってしまうだろう。今38歳の私も含め、普段港区で飲んでいるような40代の人達も下北沢に来ると落ち着くし、ワクワクする。かと言って古着を買うためだけに来るというのは少しハードルが高いし、バーのような雰囲気にしたいと考えた。今流行している、いわゆる“ネオスナック”のようなイメージだ。90年代の懐かしさを感じる空間で、同じ世界観を持つ古着を展開したい。お酒が飲めて、語り合って、その場にある服も買える――つい何となく行ってしまうような場所になるのが理想である。実際に私も飲みに行くし、時には“1日店長”として店に立つ予定だ。

WWD:現在店長を募集中だが、どのような人材を採用予定?

箕輪:自分がサウナを経営する中で、流行に乗って開業した店舗のほとんどは、ブームが落ち着いた頃になくなっていくのを肌で感じた。だから古着に関しても、私の“好きレベル”ではきっとダメになってしまう。そのため当初は「古着大好き!」みたいな知見のある人を店長として立てて、その人にフルベットして好きなようにやってもらおうとしたが、そう簡単に良い人材は見つからない。そこで「ファッションもコミュニティーなのでは」と考えた。ファッションが好きな人は、自分の好きな価値観や人との繋がりを共有するユニフォームのように服を選んでいる。そういった視点で考えれば、私が手がける書籍やラーメン、サウナ、オンラインサロンも基本的にはコミュニティービジネスで、自分が得意とする分野だ。その文脈で言うと、知識がなくてもファッションを楽しんでいて、気持ちの良い接客ができて、一緒に作っていくという意識が持てる人が理想だ。私のラーメン屋は家系ラーメンから始まったが、次に二郎系ラーメンを売り始めて今とても人気がある。業界的には家系の店が二郎系を出すのは邪道らしいが、箕輪家の店長はラーメン業界の人ではないし、ある意味斬新な発想で始められた。そんなふうに、固定概念に縛られていない人の方が面白いことができると考えている。

WWD:商品の買い付けは誰が行う?

箕輪:店長が決まり次第、店長と私、齋藤さんで買い付けに行きたいと思っている。最初の買付先はタイだ。

齋藤:タイは、今世界で1番古着が集まっている国。アメリカやヨーロッパの古着が集まっていて、最近の古着の多くはタイの業者から仕入れられている。パキスタンにも古着は多いが、一般的にはアクセスがしにくい国だからこそ、パキスタンの業者もタイに卸に来るほどだ。昔は一部の人しか知らなかったが、今はどんな人でも買い付けに行きやすい環境になった。

箕輪:知人がちょうどタイに移住するのと、キックボクシングをやっているのもあり、ムエタイ合宿もしたいなと思っていて(笑)。買い付けと言っても、私は何を選べば良いかわからない。でもみんなで一緒に買い付けに行って、みんなで売るというストーリーがこれからの時代は大事なんだと思う。

WWD:古着バーの次に挑戦したい事業は?

箕輪:いつもその場で「これやりましょう」と話が決まることが多く、思った時点でスタートする。だからこそ、今の時点で次に考えていることは特にない。とは言え、鈴木おさむさんの引退を身近で見ていて、「変わったことをやりたい」と改めて感じた。普遍的に続くものを作りたいとは思わないが、将来過去を振り返った時に「よく分からなかったけど一時期そういうブームあったよね」みたいな現象を生みたい。“古着バー”にしても、下北沢で他の人達が真似してやり始めるような流れになると理想的だ。

ファッション誌の広告営業経験やブランド企画の出演も
箕輪氏が見るファッション業界の可能性

WWD:箕輪さん自身は普段、どんな服を選んでいる?

箕輪:一時期はペンキで服にペイントするのにハマってペンキばかり買ったり、“たけしセーター”に夢中になったり、本当に訳のわからない買い物をしていると思う(笑)。少し前はグレーのスエットが好きで、メルカリで“グレー”“スエット”で検索をして買い集めていた。その時にたまたま買った「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」のスエットをよく着ていたら、ブランドの関係者から人伝で「箕輪さんは『ヒューマンメイド』が好きなんですか」と聞かれて。「グレーのスエットだから」という理由で買っただけだったから、本当に恥ずかしかった(笑)。

WWD:過去にはファッション企業の企画に起用されたが、自身はどのように感じている?

箕輪:これまでにビームスやエストネーションが企画で私を起用してくれたことがある。ファッション好きな人達がなぜ私を起用するのか不思議だったが、ビームスの設楽洋社長が言うには「ファッションというのは片方で“それは違うでしょ”と否定されるようなことをやり、もう片方で“わかっているな”とお客さんが共感し喜ぶこと、両方をやらないとすぐにダサくなり、批判される」のだそうだ。きっと僕を起用する企業は既存のイメージを壊したいとか、変わったイメージをつけたいのだろう。

WWD:ファッション誌の広告営業の経歴を持つ箕輪さんは、ファッション業界をどのように見ている?

箕輪:そもそも、ファッション業界そのものが独特で、ビジネスとしてすごく今っぽい。今は品質や実用性のみで買うことがなくなってきている時代だ。その中で多くの企業が商品そのものの意味を考えたり、熱量の高いコミュニティーを作ろうとしているが、ファッション業界は昔から商品のストーリーや表現、コミュニティーを追求してきた業界だ。別の種族の人から見たら全く訳わからないような商品が、一部の人には魅力的に感じられる――ある意味宗教っぽくもあるが、すごく理想的だ。信者ビジネスとか揶揄されてしまうこともあるが、お客さんがファンになり、ファンが信者になってくれるような商品やブランドでなくては、将来的には価値がなくなっていく。そういった意味でファッション業界はとても先鋭的で、今の時代に合っていると感じる。

WWD:多様な業種に携わる中で、今後ビジネスのカギとなるのは何だと思う?

箕輪:昨今“居場所”“溜まり場”みたいなものの需要を強く感じる。“食うために稼ぐ”のは辛くても、その目的があるだけ、実は幸せだ。将来、AIが仕事の多くを担う時代に突入し、食うために稼ぐことが不要な世界になったら、自分達のコミュニティーに貢献することに生きる意味を感じるのだと思う。金銭的なものを介さない価値の交換や、それぞれが自分に合った方法で貢献する“溜まり場”、すなわちコミュニティーが求められるだろう。例え話として「高級レストランか、バーベキューか」とよく挙げられるが、バーベキューは自分達で火をつけたり、肉を焼いたり、それぞれに役割があるからこそコミュニティーが生まれる。今回始める“古着バー”でも雇う店長やスタッフのアイデアを取り入れたり、お店側とお客さん側の垣根を超えて、みんなで“溜まり場”を作っていくバーベキュー型の店にしていきたい。

PHOTO:KAZUSHI TOYOTA

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プーチ、本拠地スペインでIPO申請へ 4100億円の調達を目指す

スペイン発のラグジュアリーファッション・フレグランス企業のプーチ(PUIG)は4月8日、スペインの証券取引所(バルセロナ、マドリッド、バレンシア、ビルバオ)にIPO(新規上場)の申請をする計画を発表した。IPOの時期は未定だが、25億ユーロ(約4100億円)の資金調達を目指す。

プーチは、1914年にアントニオ・プーチ・カステロ(Antonio Puig Castello)が創業して以来、一族経営を続けてきた。同社の支配株主であるプーチSL(PUIG SL)は、一族の持株会社エクセア(EXEA)が保有している。なお、上場後も、プーチ家が過半数株式および議決権の大半を保有し続けるという。調達した資金は、2022年6月に過半数株式を取得した「バイレード(BYREDO)」の持ち分の買い増しや、設備投資などに充てる予定。

創業者の孫であるマーク・プーチ(Marc Puig)会長兼最高経営責任者は、「これは、110年におよぶプーチの歴史の中でも思い切った決断だ。当社はそのユニークでクリエイティブなDNAにより、業界をリードするブランドや創業者を引き付け、長期的なパートナーシップを築き、共に力強く収益性の高い成長を続けてきた。高級ブランドの育成には長期的な目線が欠かせないが、そうした意味で創業家が経営を手掛けることには利点がある。一方で、特に世代交代の時期において、ファミリー企業には適切な“チェックとバランス(抑制と均衡)”システムがあるべきだろう」と語った。なお、同氏は以前から、プーチ家の3世代目の中で経営に直接携わるのは自身が最後だと発言している。

プーチは、フレグランス・ファッション部門に属する「ラバンヌ(RABANNE)」「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」、メイクアップ部門の「シャーロット ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」「クリスチャン ルブタン ビューティ(CHRISTIAN LOUBOUTIN BEAUTY)」、スキンケア部門の「カーマ アーユルヴェーダ(KAMA AYURVEDA)」「ドクター バーバラ シュトルム(DR. BARBARA STURM)」など17のブランドを擁し、32カ国に進出。

同社の23年12月期決算は、売上高が前期比18.8%増の43億400万ユーロ(約7058億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が同33.1%増の8億4900万ユーロ(約1392億円)、純利益が同16.5%増の4億6500万ユーロ(約762億円)の増収増益だった。

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プーチ、本拠地スペインでIPO申請へ 4100億円の調達を目指す

スペイン発のラグジュアリーファッション・フレグランス企業のプーチ(PUIG)は4月8日、スペインの証券取引所(バルセロナ、マドリッド、バレンシア、ビルバオ)にIPO(新規上場)の申請をする計画を発表した。IPOの時期は未定だが、25億ユーロ(約4100億円)の資金調達を目指す。

プーチは、1914年にアントニオ・プーチ・カステロ(Antonio Puig Castello)が創業して以来、一族経営を続けてきた。同社の支配株主であるプーチSL(PUIG SL)は、一族の持株会社エクセア(EXEA)が保有している。なお、上場後も、プーチ家が過半数株式および議決権の大半を保有し続けるという。調達した資金は、2022年6月に過半数株式を取得した「バイレード(BYREDO)」の持ち分の買い増しや、設備投資などに充てる予定。

創業者の孫であるマーク・プーチ(Marc Puig)会長兼最高経営責任者は、「これは、110年におよぶプーチの歴史の中でも思い切った決断だ。当社はそのユニークでクリエイティブなDNAにより、業界をリードするブランドや創業者を引き付け、長期的なパートナーシップを築き、共に力強く収益性の高い成長を続けてきた。高級ブランドの育成には長期的な目線が欠かせないが、そうした意味で創業家が経営を手掛けることには利点がある。一方で、特に世代交代の時期において、ファミリー企業には適切な“チェックとバランス(抑制と均衡)”システムがあるべきだろう」と語った。なお、同氏は以前から、プーチ家の3世代目の中で経営に直接携わるのは自身が最後だと発言している。

プーチは、フレグランス・ファッション部門に属する「ラバンヌ(RABANNE)」「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」、メイクアップ部門の「シャーロット ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」「クリスチャン ルブタン ビューティ(CHRISTIAN LOUBOUTIN BEAUTY)」、スキンケア部門の「カーマ アーユルヴェーダ(KAMA AYURVEDA)」「ドクター バーバラ シュトルム(DR. BARBARA STURM)」など17のブランドを擁し、32カ国に進出。

同社の23年12月期決算は、売上高が前期比18.8%増の43億400万ユーロ(約7058億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が同33.1%増の8億4900万ユーロ(約1392億円)、純利益が同16.5%増の4億6500万ユーロ(約762億円)の増収増益だった。

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「プッチ」がローマで見せた、リゾートウエアにとどまらない新作 「日常でも着られるブランドとして確立したい」

「プッチ(PUCCI)」は4月4日、イタリア・ローマで2024年春夏コレクション“ベリー・ヴィヴァラ(VERY VIVARA)”のファッションショーを開いた。15世紀に建てられた邸宅(パラッツォ)を修復したローマ国立博物館アルテンプス宮を舞台に、カミーユ・ミチェリ(Camille Miceli)=アーティスティック・ディレクターは象徴的なプリントを生かしたリアリティーのあるスタイルを提案。リゾートウエアにとどまらない、ブランドの着実な進化を見せた。

都会的な着こなしを意識した提案

今回のショーにローマを選んだのは、「父の故郷ということもあり、私にとってパーソナルで親しみのある場所だから」とカミーユ。「それだけでなく、ローマの女性はある意味とても『プッチ』的だとも思う。つまり、イージーゴーイングで、働かない(笑)。ただ人生を楽しんでいるの。私自身も引退したら住みたい街」と冗談まじりに話す。それだけでなく、世界遺産や歴史的建造物がいたるところにあり、世界中から多くの人が訪れる都市というロケーション選びは、「リゾートだけでなく、街で過ごす日常でも着られるブランドとしてのイメージを確立したい」という彼女の思いにも合致する。

その思いは、コレクションを通して明確に示された。天井や壁にフレスコ画が描かれ、古代彫刻が並ぶ空間で行われたショーは、スーパーモデルのクリスティ・ターリントン(Christy Turlington)がまとう、首元にスパンコール刺しゅうで曲線模様をあしらった黒のカフタンからスタート。序盤はカーキや黒、茶、ベージュといういつもより落ち着いた色彩で柄を描いたルックを打ち出した。もちろん鮮やかな色柄のシルクツイルを用いたリゾートライクなスタイルもあるが、今季は都会的な着こなしをより強く意識。黒をベースに縁取りやトリムだけにプリントを用いたテーラリングやドレス、そしてブルーの濃淡で柄を表現したジーンズやデニムスカートとプリントアイテムをミックスしたコーディネートは、「プッチ」のアイコンがデイウエアとして活躍することを感じさせる提案だ。一方、全面にスパンコール刺しゅうを施した贅沢なイブニングドレスやセットアップは、パーティーなどの特別なオケージョンを想起させる。

1965年に生まれた“ヴィヴァラ”プリントを復刻

終盤は、シーズンを象徴する柄として復刻した1965年誕生の“ヴィヴァラ”プリントを、涼しげなブルーや淡いパープルを中心としたオリジナルの配色で使用。スポンジのように柔らかなパイル地で、さまざまなスタイルのマキシドレスを仕立てた。そんな“ヴィヴァラ”プリントは、今季の出発点となった90年9月号のイタリア版「ヴォーグ(VOGUE)」の表紙に使われた柄。ラストルックには、そのカバーモデルを務めたローマ出身の女優イザベラ・ロッセリーニ(Isabella Rossellini)がケープドレスをまとい、笑顔を振りまきながらランウエイを歩いた。

言わずもがな、豊富なプリントアーカイブは、「プッチ」にとって貴重な遺産だ。そこに“活気”を与えるため、カミーユは2022年のデビュー以来、コレクションに用いる全ての柄を手描きで描き直している。そして、時に柄をふくらませたり、一部を抽出したりして再解釈。「柄は全てアーカイブ。それをセンシュアルかつ洗練されたシルエットと組み合わせることで、現代にふさわしいウエアにすることを心掛けている」という。今回復刻した“ヴィヴァラ”については、「(創業者の)エミリオにとって代表的かつクラシックな柄だけど、最初の数シーズンはコレクションに使いたくなかった。というのも、まずは『プッチ』のサイケデリックな面にフォーカスしたかったから。そしてブランドを“クレッシェンド”のように盛り上げていく中で、ふさわしい時期が来たと感じた」とコメント。“ヴィヴァラ”のほか、今シーズンは白鳥の首の湾曲をイメージした“チーニ(CIGNI)”や波打つ渦巻きのようなデザインの“ベルサーリオ(BERSAGLIO)”、ストライプをプレイフルに解釈した“キアーヴェ(CHIAVE)”などがウエアを彩った。

充実するバッグやシューズ、アクセサリー

また、もともと「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でアクセサリー部門のクリエイティブ・ディレクターを務めていたカミーユは、バッグやシューズ、アクセサリーの拡充にも注力している。今季はアイコニックなプリントを施した多彩なナイロンバッグや、シルクスカーフをサイドに編み込んだ夏らしいラフィア風素材のバッグ、エフォートレスなフラットサンダル、馬の足をモチーフにしたヒールが印象的なサンダル、バリエーション豊富なシルクスカーフ、大ぶりなディスクモチーフやウッドパーツのピアスやネックレス、スエードとメタルスタッズで幾何学的なデザインを表現したブレスレットなどが登場。パンツの上に着けた長いフリンジ付きのベルトや、ストラップをブレスレット同様のデザインで仕上げたシルクドレスなどにも、アクセサリーを得意とする彼女のバックグラウンドが垣間見える。

独自形式での発表を続ける理由

「プッチ」はカミーユ体制になって以来、ファッション・ウイークを離れ、独自の日程と場所で“シーナウ、バイナウ(See Now, Buy Now、見てすぐ買える)”コレクションとして新作を発表している。22年5月にカプリ島で開いたデビュープレゼンテーションに続き、同年12月にはスイス・サンモリッツの雪山でのプレゼンテーション、23年5月には創業の地フィレンツェのアルノ川沿いでの初のランウエイショーを通して、コレクションを披露してきた。その理由については、「『プッチ』というライフスタイルを強調する必要があるから。リゾートウエアからスタートした『プッチ』は他のブランドとは違う。だから、単にファッションショーだけではなく、皆がダンスを楽しむディナーパーティーやヨガなどのアクティビティーも含め、滞在中の体験全てを通して世界観を感じてほしい。それをファッション・ウイーク中に行うことはできないでしょ?“シーナウ、バイナウ”という形式を選んでいるのは、情報にあふれた時代だから」と説明する。

そして、デビューから2年を振り返り、彼女は「最初から“きっとうまくいく”という自信はあったけれど、このブランドは自分にぴったり合っているし、とても心地いい。私は、年齢も肌の色も問わず、女性を美しく見せると共に自信や活気をもたらす服を作りたい。そのために何よりも大切なのは、楽しむこと。この歳になって、退屈に過ごしている暇なんてないわ」と笑う。そんなポジティブなマインドとあふれるエネルギーこそ、今の「プッチ」を体現している。

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モデル山田優がゴルフアパレル「パーリーゲイツ」のWEBコンテンツに登場

ゴルフアパレルブランドの「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」は、モデルの山田優を第4回のゲストに迎えたWEBコンテンツ「パーリーゲイツ スタイル」を公開した。

「家族でゴルフを楽しんでいる」と話す山田に、スポーツとしての魅力やゴルフウエアのこだわりについて聞く。

モデル山田優がゴルフアパレル「パーリーゲイツ」のWEBコンテンツに登場

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原宿の「ハラカド」公開 企業とクリエイターの協業を促す施設

東急不動産は9日、開業を4月17日に控える複合施設「東急プラザ原宿『ハラカド』」(東京都渋谷区)を関係者に公開した。原宿の中心である神宮前交差点の角地にの地上7階・地下1階・延べ床面積1万9940平方メートルに70店舗が入る。物販や飲食の店舗だけでなく、著名なクリエイターのオフィスやスタジオを置いたり、入居者同士の協業を促したりするなど、実験的な取り組みを推進する。東急不動産の執行役員の黒川泰宏本部長は、「ハラカドは商業施設ではなく“創造施設”。クリエイティブなマインドを持つ人たちが交流することで、新しいカルチャーを発信する場にしたい」と話す。

物販では表参道沿いの路面に「ジョー マローン ロンドン」、明治通り沿いに「ディオール」(秋開店予定)が営業するほか、1〜2階にファッション、雑貨、化粧品、食物販などが入る。ハラカドの目玉の一つ、銭湯の「小杉湯」は地下1階で朝7時から営業する。

原宿は昔からファッションをはじめとした多様な文化を生み出してきたが、ハラカドはその歴史を継承する場を目指している。それを象徴するのが3階の“クリエイターズプラットフォーム”だ。デザイン事務所のれもんらいふのオフィス、博報堂ケトルの撮影スタジオ「スチームスタジオ」、ラジオ局のJ-WAVEのスタジオ、作品や商品を展示するギャラリーやポップアップスペースを配し、会員制ラウンジ「ベイビー・ザ・コーヒーブリュー クラブ」が要になるかたちで、クリエイター同士のさまざまな協業やイベントを推進する。

ハラカドに入るテナント同士、あるいはテナントとクリエイターの協業も積極的に促す。たとえば「小杉湯」と複数の飲食店が協業した“銭湯飯”は、湯上がりに飲み食いしたくなるメニューを企画する。物販のテナントのキャンペーンに、入居するクリエイター企業がデザインその他で協力する。そうした協業のプロセスもSNSで公開することで共感を集める。

超一等地の利点を生かして、売り場内や屋上テラス、「小杉湯」の休憩スペースなどでポップアップなどのイベントも積極的に行う。屋外の大型ビジョンも、斜向かいの東急プラザ表参道「オモカド」と合わせて活用する。

黒川本部長は「従来の商業施設のビジネスモデルとは一線を画すことになる」と話す。収益面で物販の割合は半分強くらいを想定し、それ以外をリテールメディアを含めた新しい取り組みで稼ぐ。

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原宿の「ハラカド」公開 企業とクリエイターの協業を促す施設

東急不動産は9日、開業を4月17日に控える複合施設「東急プラザ原宿『ハラカド』」(東京都渋谷区)を関係者に公開した。原宿の中心である神宮前交差点の角地にの地上7階・地下1階・延べ床面積1万9940平方メートルに70店舗が入る。物販や飲食の店舗だけでなく、著名なクリエイターのオフィスやスタジオを置いたり、入居者同士の協業を促したりするなど、実験的な取り組みを推進する。東急不動産の執行役員の黒川泰宏本部長は、「ハラカドは商業施設ではなく“創造施設”。クリエイティブなマインドを持つ人たちが交流することで、新しいカルチャーを発信する場にしたい」と話す。

物販では表参道沿いの路面に「ジョー マローン ロンドン」、明治通り沿いに「ディオール」(秋開店予定)が営業するほか、1〜2階にファッション、雑貨、化粧品、食物販などが入る。ハラカドの目玉の一つ、銭湯の「小杉湯」は地下1階で朝7時から営業する。

原宿は昔からファッションをはじめとした多様な文化を生み出してきたが、ハラカドはその歴史を継承する場を目指している。それを象徴するのが3階の“クリエイターズプラットフォーム”だ。デザイン事務所のれもんらいふのオフィス、博報堂ケトルの撮影スタジオ「スチームスタジオ」、ラジオ局のJ-WAVEのスタジオ、作品や商品を展示するギャラリーやポップアップスペースを配し、会員制ラウンジ「ベイビー・ザ・コーヒーブリュー クラブ」が要になるかたちで、クリエイター同士のさまざまな協業やイベントを推進する。

ハラカドに入るテナント同士、あるいはテナントとクリエイターの協業も積極的に促す。たとえば「小杉湯」と複数の飲食店が協業した“銭湯飯”は、湯上がりに飲み食いしたくなるメニューを企画する。物販のテナントのキャンペーンに、入居するクリエイター企業がデザインその他で協力する。そうした協業のプロセスもSNSで公開することで共感を集める。

超一等地の利点を生かして、売り場内や屋上テラス、「小杉湯」の休憩スペースなどでポップアップなどのイベントも積極的に行う。屋外の大型ビジョンも、斜向かいの東急プラザ表参道「オモカド」と合わせて活用する。

黒川本部長は「従来の商業施設のビジネスモデルとは一線を画すことになる」と話す。収益面で物販の割合は半分強くらいを想定し、それ以外をリテールメディアを含めた新しい取り組みで稼ぐ。

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本田翼が自身のコスメブランド「バイティースリー」を語る 「安心感のある商品をユーザーに」

俳優の本田翼が4月9日、自身がプロデュースするコスメブランド「バイティースリー(BY TTT.)」の誕生記念発表会に登場し、ブランドに対する思いやこだわり、おすすめの商品について語った。

本田は「“これさえあれば大丈夫”と思えるような安心感のある商品をユーザーにお届けしたい。そんな思いを込めて『バイティースリー』を立ち上げました」とブランドを紹介。「初めて合格したオーディションで着ていた洋服が水色のワンピースで、そこからずっと私の運命的なカラーなんです。そんな思い入れのある色をブランドカラーに採用しました」と裏話も披露した。

コスメについては「日焼け止めにはうるさくて、多い時は年間100種類以上もの商品を試していました」とこだわりを語り、「洋服に付着すると白くなってしまったり、仕上がりが白っぽく不自然になったりと、さまざまなネックを感じていた」(本田)。その経験を生かし、自身のブランドでは白くならず外出先でも手軽に塗り直しができる“クリアサンスティック”(2200円)を開発した。

「バイティースリー」のデビュー時のラインアップは全4種で、4月11日にプラザ(PLAZA)やロフト(LOFT)などのバラエティーストアでクッションファンデーションと日焼け止めスティックを、公式オンラインストアでは同2品に加えて限定キットとオリジナルトートバッグを発売。ほか、単品の部分用パック(発売日未定)もそろえる。

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「H&M」が「うさぎゅーん!」とコラボした動くLINEスタンプを無料配布 15%OFFクーポンも

「H&M」が「うさぎゅーん!」とコラボした動くLINEスタンプを無料配布

H&M」は4月9日、「うさぎゅーん!」とコラボした動くLINEスタンプ(16種類)を配布した。公式アカウントを“友だち追加”することで無料ダウンロードできる。配布期間は5月6日まで。

同スタンプの配布期間中、新規で公式アカウントを“友だち追加”したユーザーには、公式オンラインストアで使える15%OFFクーポンもプレゼントする。

「うさぎゅーん!」は、イラストレーターSによるキャラクター。“うさぎとおもちのハーフ”という設定だ。

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「アディダス オリジナルス」のスニーカー“オズテミス W”からオールピンクの新色が登場

「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」は、“アディダス オリジナルス オズテミス W”のオールピンクの新色を4月19日に発売する。価格は1万9800円。アトモス ピンク(ATMOS PINK)各店とオンラインサイトでは4月9日から先行販売する。

本アイテムは、1990年代にインスピレーションを得たデザインをベースに、現代向けに再構築され、どこへ行くにも存在感を放つボリューム感が特徴。目を引く厚みのあるソールは、スプリットヒールを採用し、存在感を保ちながらも軽量なソールを実現。1日中快適な履き心地を提供する。また、メッシュとスエードを組み合わせたアッパーやリフレクターの異素材のディティールが、1色で統一したカラーリングにアクセントを加える。

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「アディダス オリジナルス」のスニーカー“オズテミス W”からオールピンクの新色が登場

「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」は、“アディダス オリジナルス オズテミス W”のオールピンクの新色を4月19日に発売する。価格は1万9800円。アトモス ピンク(ATMOS PINK)各店とオンラインサイトでは4月9日から先行販売する。

本アイテムは、1990年代にインスピレーションを得たデザインをベースに、現代向けに再構築され、どこへ行くにも存在感を放つボリューム感が特徴。目を引く厚みのあるソールは、スプリットヒールを採用し、存在感を保ちながらも軽量なソールを実現。1日中快適な履き心地を提供する。また、メッシュとスエードを組み合わせたアッパーやリフレクターの異素材のディティールが、1色で統一したカラーリングにアクセントを加える。

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スキンケアブランド「ココチ」が旗艦店をオープン 世界観を五感で体験する3つの空間

日本発のスキンケアブランド「ココチ(COCOCHI)」は4月12日、東京・表参道にブランド初のグローバルフラッグシップストア「ココチ オモテサンドウ(COCOCHI OMOTESANDO)」をオープンする。主力のクリームマスクなど全シリーズをそろえるほか、カフェやラウンジを設置し、トータルでブランドの世界観を創出する。

「ココチ」は2017年、「スキンケアは信頼できる確かなサイエンスや効果とともに、“ここちいい” ものでありたい」をコンセプトに誕生。“ここちいい”肌へと導くため、肌をこわばらせくすませるエイジングの原因の一つである糖化に着目した商品をラインアップする。特に人気の、クリームとマスクのW使いの“クリームマスク”は来日した中国の美容家の目に留まり、中国国内で発信されるやいなや大ヒット商品に。日本市場に先んじて「抗糖化」コスメのパイオニアとして市場に浸透、業績も伸ばし続けている。

今回オープンの新店舗はグローバルフラッグシップストアと位置付け、日本及び世界に向けてブランドの魅力を発信する。3階建ての店内は“ここちいい時間”と「抗糖化」をテーマに、<触れる・食べる・感じる>の異なる3つの空間で構成。黄金色の竹林をイメージした静謐な1階のスキンケアストアでは、ブランドのフルラインアップをゆったりと試すことが可能だ。2階の“ティーハウス ココチ”では、「抗糖化」を意識した体に優しいスイーツと四季折々のオリジナルティーを味わえる。3階のラウンジでは、独自のリラクゼーションプログラムを提供。音や香り、空間に身を委ねながら自分にとっての心地よさと向き合うひとときを体験できる。絹や和紙、日本の風景色などそれぞれの空間には細部に至るまで日本の素材や匠の技術を取り入れ、館内を通して凛とした日本の美を表現した。

■ココチ オモテサンドウ(COCOCHI OMOTESANDO)
時間:11:00〜20:00(カフェラストオーダー19:00)
住所:東京都渋谷区神宮前4-4-8

問い合わせ先
ココチ コスメ
https://cocochicosme.com/pages/contact/

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スタイレム、営業益28.2%増 海外テキスタイル販売好調 24年1月期

服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2024年1月期連結業績は、売上高が前期比3.1%増の792億円、営業利益は同28.2%増の45億円だった。大幅な賃上げで販売管理費が膨らんだが、売上総利益率が前年より2.3ポイント改善し、大幅増益となった。

好調要因について瀧隆太社長は「各事業で全方位的に利益が伸長した。なかでも、欧米市場を中心に海外テキスタイル事業が好調だった。国内の製品OEM事業も円安、調達コスト増という逆風下ではあったが、増収増益だった」という。

品目別の売上高は、原料が同4.3%増の24億円、生地が同3.8%増の438億円、衣料製品が同1.8%増の286億円、ライフスタイル製品が同1.0%増の33億円、その他は同17.8%増の9億9500万円だった。海外現地法人の単純合算は、為替要因が影響し、前期比10%増の約170億円。輸出は欧米向けが約40億円、中東向けが29億円に伸びた。

一方、各事業で大きな課題に直面した1年でもあった。国内テキスタイル事業は増収増益だったものの、産地の人手不足や賃金上昇などの影響でリードタイムの長期化が深刻になり、昨年後半から減速傾向が顕著になった。暖冬で防寒品が売れず、流通在庫が多いのも一因という。また、好調な海外テキスタイル事業でも欧州を中心にサステナビリティの要求水準が年々高まり、環境規制への対応や循環型ビジネスモデルへの移行が求められている。

酒向正之・副社長は「染色だけでなく、一時期は縫製も非常にタイトになり、リードタイムの長期化による機会ロスが生じた1年だった。そこをいかに改善していくかが24年度の課題。取引先の直貿化も増えてきていて定番品は厳しい。付加価値のある商品に変えていく必要がある」と話す。

こうした流れを踏まえた24年度の見通しについては、コロナ禍からのリベンジ消費が一定の落ち着きを見せ、全体としては減少傾向にあると予測。「ただ今年は大事なファクターとして、コストプッシュインフレが広がり、賃金上昇も比較的力強く広がっている。インフレの好循環に入れば、健全な経済成長にアパレル業界も入っていくべき。ただ、リードタイムの問題を抱える国内のテキスタイル販売は決して予断許さない。改善に向けてあらゆる手を尽くしていく。一方、中国を初めとする世界経済の情勢も不透明ではあるが、海外では引き続き、伸ばしていける手応えはある」(瀧社長)と述べた。

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アマゾンが2023年版「ブランドプロテクションリポート」を発表 機械学習を駆使した模倣品対策に年間1800億円以上を投資

「アマゾン(AMAZON)」は2023年版「ブランドプロテクションリポート」を発表した。同リポートによると、アマゾンの模倣品犯罪対策部門は、700万点以上の模倣品を発見し、排除した。また、出品者アカウントを作成しようとする不審な試みを70万件以上阻止したという。不審な製品の補足率は、アマゾンが模倣品犯罪対策部門を2020年に立ち上げて以来、数倍になっているという。

ブランドが自社の商標や著作権、特許を侵害しているサードパーティー製品を発見・報告する「ブランド登録プログラム」は、同社の模倣品対策の重要な仕組みの一部となっており、主な提携ブランドとしてプラダ グループ(PRADA GROUP)、シスコ(CISCO)、キヤノン(CANON)などを挙げている。アマゾンは、ブランド登録プログラムに参加しているブランドの数を公開していないが、同社のマーケットプレイスが年々成長しているにもかかわらず、同プログラムの取り組みによって侵害事例が30%以上減少したことを強調した。

また、模倣品犯罪対策部門は、中国の公安局、通称PSBとの協力関係も効果的だったと話す。「模倣品製造業者や悪質業者の拘束、模倣品関連捜査など50件以上で協力した。この取り組みによって100人以上の容疑者が逮捕された」。

アマゾンは同リポートで、「23年、私たちのチームは、複雑な視覚的知的財産を含む多くの異なるタイプの侵害を体系的に検出するために、大規模言語モデルを含むさまざまな高度な機械学習モデルを使用した」と述べている。アマゾンは「模倣品をゼロ」にすることを目指しており、数十億ドルを投資しているという。23年だけでも12億ドル(約1812億円)以上をこの取り組みにつぎ込み、AIやML(機械学習)サイエンティストから犯罪捜査官まで、合計で1万5000人以上を雇用した。

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「サムソナイト」と「ボス」がカプセルコレクションを発売 洗練されたブラックカラーの全3型

「サムソナイト(SAMSONITE)」は4月10日、ドイツ発のファッションブランド「ボス(BOSS)」とコラボレーションし、カプセルコレクションを発売する。スーツケース2型とトランクの全3型をそろえ、価格は12万5400〜17万1600円。「サムソナイト」の限定店舗および公式オンラインストアで取り扱う。

同コレクションは、プレミアムなクオリティーや革新性、ユニークさを加えたタイムレスなデザインに対する両ブランドの情熱を注ぎ、共同で開発した。ファッションに敏感なトラベラーのためにデザインで、探検への情熱を持ちながらもスタイルに妥協しない人々に提案する。

今回登場する3型は全て、洗練された⾼品質なアルミニウム製の“グラファイトモノグラムカラー”で、陽極酸化処理された「ボス」の特徴的なモノグラムパターンをデザイン。このプロセスにより、同系⾊のブラックモチーフがアルミニウムのシェルに埋め込まれ、美しく個性的な印象を与える。レザーハンドルにはコラボレーションしたブランドロゴを施し、裏地にはポイントとなる「ボス」を象徴するキャメルカラーをあしらった。また、スーツケースの広々としたコンパートメントには調節可能なパッキングストラップを付属し、荷物の整理収納がしやすい機能性も兼ね備えている。

発売を記念し、キャンペーンムービーも公開。単に⾶⾏機に乗るというだけではなく、特別に制作した特⼤サイズのスーツケースに乗り込むという演出により独⾃性をもたらせ、コラボレーションの無限の可能性を表現した。

問い合わせ先
サムソナイト・ジャパン
0800-12-36910

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「サムソナイト」と「ボス」がカプセルコレクションを発売 洗練されたブラックカラーの全3型

「サムソナイト(SAMSONITE)」は4月10日、ドイツ発のファッションブランド「ボス(BOSS)」とコラボレーションし、カプセルコレクションを発売する。スーツケース2型とトランクの全3型をそろえ、価格は12万5400〜17万1600円。「サムソナイト」の限定店舗および公式オンラインストアで取り扱う。

同コレクションは、プレミアムなクオリティーや革新性、ユニークさを加えたタイムレスなデザインに対する両ブランドの情熱を注ぎ、共同で開発した。ファッションに敏感なトラベラーのためにデザインで、探検への情熱を持ちながらもスタイルに妥協しない人々に提案する。

今回登場する3型は全て、洗練された⾼品質なアルミニウム製の“グラファイトモノグラムカラー”で、陽極酸化処理された「ボス」の特徴的なモノグラムパターンをデザイン。このプロセスにより、同系⾊のブラックモチーフがアルミニウムのシェルに埋め込まれ、美しく個性的な印象を与える。レザーハンドルにはコラボレーションしたブランドロゴを施し、裏地にはポイントとなる「ボス」を象徴するキャメルカラーをあしらった。また、スーツケースの広々としたコンパートメントには調節可能なパッキングストラップを付属し、荷物の整理収納がしやすい機能性も兼ね備えている。

発売を記念し、キャンペーンムービーも公開。単に⾶⾏機に乗るというだけではなく、特別に制作した特⼤サイズのスーツケースに乗り込むという演出により独⾃性をもたらせ、コラボレーションの無限の可能性を表現した。

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サムソナイト・ジャパン
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JSFAがアパレルの温室効果ガス排出量算定方法のガイドライン公表 「まずは測る」一歩に

ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)は、環境省の「令和5年度製品・サービスのライフ サイクルを通じた温室効果ガス排出量算定・表示推進事業委託業務」支援を受け、日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)と連携し「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の算定方法基本ガイドラインに関する業種別解説(ファッション産業)」を策定した。 温室効果ガスの削減に向けて、会員企業はじめアパレル業界全体で、“まずは測る”アクションに活用されることを目指す。

アパレル企業が温室効果ガスの測定に取り組むべき理由についてJSFAは「温室効果ガスの排出が多いと言われている繊維産業が2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、川上・川中・川下企業の連携がとても重要だ。また温室効果ガス削減には、製品作りの段階で環境配慮設計などを考慮した創意工夫が必要。連携を深め、アパレル企業が排出量の測定に着手し実態を把握、認識することが削減に向けた創意工夫の駆動力の1つとなる」とコメントしている。

日本のアパレル業界において排出量の算定を行っている企業は「確実に増えているが、特にスコープ3に関しては社内リソースや適切な原単位の不足などにより難航している企業は多い印象」との見解だ。そのため本解説はアパレル製品のスコープ3の中でもカテゴリー1(購入した製品・サービスの繊維製品)の算定方法を解説し、ワールドやTSIホールディングスなどの具体例を掲載している。

ガイドラインは、JSFAウェブサイトのニュースに掲載しているダウンロードフォームから、必要事項をご記載の上ダウンロードできる

なお、JSFAは2027年末に会員企業の50%、2030年に全会員企業の算定完了を目標としている。

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ファッション業界研究のすゝめ:記者談話室vol.123

WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

123回目のテーマは「図解 ファッション業界を聞く」です。4月1日からファッション業界にも多くのシン社会人たちが誕生したと思います。そうした新人、あるいは新人を指導する若手&ベテランたちに役立つかもしれない、世界で最も大きなファッション企業の売上高は?メーカー、専門店チェーン、セレクトショップなど各カテゴリのトップ企業は?などについて3人の記者が解説します。ぜひ聞いて、会話のネタなどに使ってください。

「記者談話室」ではみなさまからのお便りをお待ちしております。ご感想ご意見を聞かせてください。メールアドレスは、danwashitu@infaspub.co.jp です。

この配信は以下のアプリでもご利用いただけます。
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Spotify

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ファッション業界研究のすゝめ:記者談話室vol.123

WWDJAPAN」ポッドキャストの「記者談話室」は、ファッション業界のその時々のニュースや話題について、3人の記者が分かりやすく解説したり、時には脱線したりしながら、掘り下げていきます。

123回目のテーマは「図解 ファッション業界を聞く」です。4月1日からファッション業界にも多くのシン社会人たちが誕生したと思います。そうした新人、あるいは新人を指導する若手&ベテランたちに役立つかもしれない、世界で最も大きなファッション企業の売上高は?メーカー、専門店チェーン、セレクトショップなど各カテゴリのトップ企業は?などについて3人の記者が解説します。ぜひ聞いて、会話のネタなどに使ってください。

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成分ブームの火付け役「オーディナリー」CEOに聞く、カルト的人気の裏側

エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)傘下のカナダの化粧品会社デシエム(DECIEM)が展開するスキンケアブランド「オーディナリー(THE ORDINARY)」が日本に上陸する。「アットコスメ トーキョー(@COSME TOKYO)」および「アットコスメ オーサカ(@COSME OSAKA)」をはじめ全国の「アットコスメ」約20店舗と、オンラインストア「アットコスメ ショッピング(@COSME SHOPPINNG)」で5月29日に発売する。

同ブランドは成分濃度や配合、価格設定、有効性に関して高い透明性を目指し広告費やパッケージにコストをかけないことで知られ、ヒーロー商品に多機能セラム“ナイアシンアミド10%+亜鉛1%”(30mL、1100円/60mL、1980円)などがある。2016年誕生の新興ブランドながら瞬く間に世界中で熱狂的なファンを獲得。17年にELCがデシエムに最初の投資を行い、21年には10億ドル(約1510億円)で過半数株式を取得した。当時の企業価値評価額は22億ドル(約3322億円)と、ELCにとって(企業価値評価額ベースで当時)過去最大の買収となり話題を呼んだ。来日したニコラ・キルナー(Nicola Kilner)=デシエムCEO兼共同創業者に急成長の裏側を聞いた。

フラストレーションから
生まれたブランド

WWD:「オーディナリー」誕生の背景は?

ニコラ・キルナー=デシエムCEO兼共同創業者(以下、キルナー):2013年に、自社で処方開発から製造、デザイン、クリエイティブまでを行うインキュベーターとしてデシエムを設立した。デシエムはラテン語で数字の10を意味し、さまざまなブランドを立ち上げ始めた。その中で、私たちは大きなフラストレーションと対峙していた。というのも、化粧品業界では商品名にグロー美容液などジェネリック(一般的、総称的)な名称が使われており、その状況で消費者が品質を理解するのは難しく、もっと透明性が必要であると強く感じていたからだ。私たちは化粧品が効くかどうかを決めるのは価格ではないと強く信じていたので、配合成分を商品名に反映するなどしてなんとか自分たちの手で化粧品業界に透明性をもたらしたいと考え、16年に「オーディナリー」が誕生した。

WWD:ローンチして瞬く間に熱狂的なファンがつき、世界的に知られるブランドになった。現在は何カ国で展開している?

キルナー:ウェブサイトを通じて世界中に出荷しており、162の国と地域をカバーしている。北米とヨーロッパのほとんどの国、韓国にも拠点があり、南アフリカやインドでは直営店も展開する。ビジネスの規模としてはアメリカが最大で、非常に大きな成功を収めている。新興市場ではインドと韓国が良い兆しを見せており、将来的に大きな期待が持てるだろう。日本も、高品質なスキンケアと成分に対して情熱的な消費者がいるため大変楽しみにしている。

ELCは製造やサプライチェーン、新規市場への参入をサポートしてくれている。北米のような市場では、私たち自身のチームがオフィスを構えており、ビジネスの大部分が私たちのチームによるものだが、特にオペレーション面や、インド、南アフリカ、日本など新規市場ではELCのサポートが大きな助けになっている。私たちは全商品の製造をカナダにある自社ラボで行っているため、スケールアップするためにサプライチェーンやさまざまなサプライヤー確保の面で専門的な助けが必要だった。

ソーシャルメディアの台頭が
急成長の追い風に

WWD:北米、特にアメリカで大きな成功を収めた要因は?

キルナー:まずはディストリビューションパートナーの寄与が大きい。また、米国のお客さまは非常にパワフルな情熱を持っており、それに支えられて消費者と良い関係性を築けたこともある。北米では特にTikTokの影響が非常に大きく、そのコミュニティー内では消費者が彼らのストーリーや信念、ブランドや商品の使い方をシェアしあっている。Z世代におけるソーシャルメディアの台頭が北米市場における成功に導いた。

WWD:ヨーロッパの商況は?

キルナー:継続的に良い状況にある。特にイギリスは市場シェアのランキングを上げながら順調に拡大している。ハロッズ(HARROD'S)やセルフリッジ(SELFRIDGES)など高級百貨店にコーナーを持つ一方で、気軽にアクセスできるECチャネルまで非常に幅広い流通網で展開している。そのほかのヨーロッパ諸国はセフォラ(SEPHORA)とダグラス(DOUGLAS)が主要なパートナーだが、直営店も展開し、オンライン、百貨店とも提携している。

WWD:今回、日本市場への参入を決めた経緯は?

キルナー:日本市場へは何年も前から参入を考えていたが、ブランドを立ち上げてすぐにソーシャルメディアを通じてあっという間にグローバルな需要を獲得したことが困難の1つになった。また、新規市場に参入するにあたり化粧品の登録手続きにも時間を要した。パンデミック後、私たちは日本を常に最優先市場の1つと位置付け進めてきた。

世界的な”成分ブーム”をけん引

WWD:日本では近年、化粧品購入の際に配合成分を重視する“成分ブーム”が起きている。そのことは知っていた?

キルナー:そうしたトレンドが続いていることを非常にうれしく思っている。「オーディナリー」を立ち上げたのは16年の後半で、その頃はビタミンCやヒアルロン酸などの成分は一般消費者にも浸透していたが、われわれが商品名につけているナイアシンアミドなどはまだなじみがなかった。グーグルトレンド(Google Trends)の推移を見ると、そうしたマイナーだった成分が「オーディナリー」のローンチと時を同じくして伸びているのが分かる。消費者が成分に関する知識を得て、より賢明な判断ができるようになったのは素晴らしいことだ。

WWD:“成分ブーム”は中国や韓国でも数年前から大きなトレンドになっている。グローバルでも同じ状況か?

キルナー:北米やヨーロッパをはじめ世界中でこのトレンドは数年続いており、その勢いが衰える気配はない。過去数年間を振り返ると、グリコール酸が急上昇トレンドになったこともあるし、ペプチドがトレンドになったこともある。成分によってピークはずれるが、とにかく消費者が一貫して成分に着目していることは間違いない。北米やヨーロッパではトレンドというよりスキンケアへの新たな理解が深まったとみることもできる。それは非常にサステナブルなことだ。

WWD:ブランド立ち上げ前から成分トレンドの芽は感じていた?

キルナー:グーグルトレンドの推移を見るとはっきり分かるが、私たちが成分美容を打ち出してブランドを立ち上げた後、それに追随するブランドが出てきて、成分ブームのトレンドが強まっていったと分析している。ブランド立ち上げから7年が経ったが、その間、成分トレンドという追い風が衰えないのは驚くべきことだ。私たちの商品を愛してくれる消費者やプレス、そしてソーシャルメディアなどの力により加速したものでとても感謝している。愛用者が口コミで家族や友人に商品や体験を日々伝えてくれており、追い風はよりパワフルになっている。

WWD:日本では、アットコスメというセミセルフ型の実店舗から販売をスタートするが、グローバルでは主要な販路としてどこにフォーカスしている?

キルナー:消費者がどこで買い物をしているかに注目しがちだが、「オーディナリー」の良いところは年齢やジェンダーを問わないことだ。私たちは「オーディナリー」が全ての人たちのための商品だと信じているため、より幅広い販路を考えることができる。ブランドストーリーをきちんと伝えられるかを重視してパートナーを見つけている。グローバルでは高級化粧品を扱うセフォラ(SEPHORA)や同様の小売店と良いパートナーシップを築いているが、各マーケットのメインプレーヤーであり、ブランドストーリーを伝えられる最適な場を探す。日本ではアットコスメがブランド立ち上げの場として完璧だった。

ウェブ上の処方ビルダーで
教育機会を提供

WWD:消費者が商品を自分でカスタマイズして使う特性上、日本でも百貨店のカウンターでカウンセリングを受けたいニーズがあると思うがそうした選択肢は?

キルナー:もちろん百貨店に出店したいし、いつかは東京に直営店を持ちたい。先行して展開する海外では、ブランドのウェブサイトで「レジメン(処方)ビルダー」と呼ぶ商品の使用法や併用に関するガイドを見られるようにしている。また、LINEアプリとも提携し、消費者にエデュケーションの機会を提供するほか、インスタグラムなどのソーシャルメディアを通じて徹底したエデュケーションを提供するとともにコミュニケーションを図っている。店頭ではお客さまがスマートフォンを手にTikTokのレビューやブランドサイトの「レジメンビルダー」を見ているのをよく見かける。店頭で商品を手に取りながらオンライン上の自分の情報にアクセスしており、ニーズをカバーできているのではないか。

小売業者に対しても同様のエデュケーションを提供し、ブランド側のスタッフが小売側に入ることが許可されれば、チームメンバーが小売店に入ることもある。世界中のどの店舗に行っても、消費者体験の観点で、私たちのチームが提供する教育レベルが驚くほど高いことを理解いただけるだろう。この点でさらに存在感を示していきたい。

WWD:「オーディナリー」はSNSのフォロワー数がインスタグラムで約241万人、TikTokで約152万人(2024年4月時点)と新興美容ブランドの中でもトップレベルだ。その要因は?

キルナー:一番は商品力だ。私たちはとにかく化粧品を手に取る際の障壁を減らすことに力を注いでいるため、消費者は使いやすいと感じているだろう。手に入れやすい価格設定にも関わらず、ブランドのポジショニングはクールで今っぽく高級感があり、お客さまは「オーディナリー」を使っていることをシェアするのに誇りを感じている。同様の価格帯の他ブランドのように大衆的な商品を使っている感覚はないだろう。

多くの消費者、特にZ世代やミレニアル世代のお客さまは、個人的な価値観と企業の価値観が一致しているブランドから商品を購入したがっている。「オーディナリー」は人や地球、動物に対するアプローチについてかなりオープンなので、人々は私たちの信念についていこうと思うだろう。私たちはどの投稿においても、声を上げる時は常に「オーディナリー」のコミュニティーの大多数の声を反映していると思っている。だから人々は引き込まれる。そして実際に商品を使って違いを感じることにより、高いエンゲージメントを維持し、周りにも勧める。価格設定に関しては、買いやすさを最優先するとともに、各国でほぼ価格差がないようにこだわっている。

価格はマスブランド
売り場はラグジュアリー

WWD:ベンチマークしているブランドは?

キルナー:「オーディナリー」のポジショニングは非常にユニークで、私たち自身が他ブランドと比べることをしていないため答えるのが非常に難しい。というのも、「オーディナリー」は価格の面ではマスブランドだが、売り場はラグジュアリーやプレステージとされる場が合っている。私たちは価格でラグジュアリーを定義することはできないと信じており、「オーディナリー」は新しいカテゴリーに位置していると思う。セフォラや、イギリスのハロッズやセルフリッジで初めて販売した時も、彼らは自分たちをプレステージの小売業者と考えているため「オーディナリー」の価格帯を気にしていた。プレミアムリテールにおいて商品の高価格化が進む状況の中、変化が見られたことはとても良いことだ。私はチームに対して、他社を意識しすぎると自分たちが特別な存在であることを見失ってしまうといつも伝えている。ただ、今回の来日で「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」のショップを訪れたが、そこからインスピレーションを得ることはできると思う。私は彼らのクリエイティビティーが大好きだ。

WWD:ブランドの目的の一つが化粧品業界の透明性を高めることだ。「オーディナリー」の存在は業界に影響を与えたか?

キルナー:そう願っている。私たちは化粧品業界の民主化に取り組み、大きな影響を与えたと感じている。とりわけ商品名、マーケティングにおける成分と科学の強調、研究室からのダイレクトの発信などにおいて、ほかのブランドに影響を与えることができたのではないか。また、科学に特化した重要な問題について自分たちの言葉で発信してきた結果、今では科学に対する議論の余地がある時、消費者が探している答えを持っているブランドとみなされているだろう。私たちは消費者に肌につけている化粧品とその利点について透明性を持って伝え、原材料を商品化し、価格を下げることを実現した。これからも謙虚な姿勢で透明性のある声を発信していきたい。

WWD:今後の成長戦略は?

キルナー:今年後半には日本の商品ラインアップを増やす予定だ。グローバルにおいても新商品の開発を予定している。また、360度視点のブランド体験を提供するポップアップイベントなども検討している。

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