
トレンドを語るにあたり、近年欠かせないのは“Z世代”の存在感。若者たちは何に関心を持ち、悩み、そして何を着ているのか――。「WWDJAPAN」は、若者とファッション業界をつなぐプラットフォームになるべく、その“リアル”をお届けする。
本企画では、学生が悩む“キャリア”についてフォーカス。毎回ゲストとして招いたファッション&ビューティ業界の先輩方に、学生たちがインタビュアーとして質問する“囲み取材”を行う。年内最後のゲストとして、スタイリストのTEPPEIが登場した。スタイリング業にとどまらず、俳優としての経歴やファッションショー、ビジュアルディレクションに携わる彼に、学生たちが思い思いにキャリアの悩みや質問を投げかけた。
PROFILE: STYLIST TEPPEI/スタイリスト、ファッションディレクター

PROFILE: 1983年5月17日生まれ、滋賀県出身。滋賀県立膳所高校卒業後、バンタンデザイン研究所スタイリスト専攻に入学し、卒業後は原宿ビンテージショップに所属。後に同店のプレスに就任した。ファッション誌のスナップ企画の常連となり雑誌「FRUiTS」では数多くの表紙に起用される。2006年からスタイリストとしての活動をスタートし、同年には映画「間宮兄弟」の玉木役で役者デビューを果たす。現在はスタイリング業の他、ファッションショーやビジュアルのディレクションも手掛ける
「着る人にとって“鎧”のような存在」
精神面でアプローチするスタイリングの仕事

学生:自分のスタイリングはできても、他の誰かの服をスタイリングするのは難しいと感じます。知らない人をスタイリングすることも多いと思うのですが、そのときに意識することはありますか?
TEPPEI:僕がこの仕事に行き着いた理由は、フィジカルなものよりももっと精神的な部分にあって。服が自己肯定感や承認欲求を満たしてくれる、鎧のようなものになったらいいなと思っています。
スタイリングをする時にはまず、着用者が「撮影ディレクションにおいてどんな存在であるべきか」ということを考えます。そして打ち合わせやフィッティングのファーストコンタクトの数分で、その人やスタッフが考えていることをどれだけ理解できるか。精神的な意味で壁を取っ払って、僕と相手の真ん中に服がある状態で会話をしたいーーそこで信頼されないような自分であれば、どんな服を持って行ったとしても結果は変わってしまうんじゃないか、とすら思えます。
例えば結婚式など、自分にとっての大切な日があったとして、その日の朝に会ったばかりの人に持ってこられた服を着せられてもちょっと半信半疑ですよね。それが結婚式じゃなくても、ステージでパフォーマンスをしたり、テレビに出るということは、数千人、数万人の人に晒されていくわけです。どんなに完璧に見える人でも、どこかで不安を感じながらその瞬間を迎えている。そんなときに、彼らにとっての鎧になれるような服を着てもらって、カメラ前やステージへと送り出すようなイメージでスタイリングをしています。
学生:スタイリングをする前に、服を着せるモデルのことをリサーチしたりしますか?
TEPPEI:あまりしません。事前にリサーチしてその人のことを知って、萎縮してしまう自分を知っているからです。1人の人間として見たいし、実際に会えばその人がどんな人なのかを嗅ぎ取れる自信がある。僕にとっては、実際に会ったそのときの印象の方が大切です。
学生:専門学校に通わなくても、スタイリストになれると思いますか?大学に通っているため、専門知識を学ぶ機会が乏しく不安です。
TEPPEI:まず、専門学校に行っているかどうかは全く関係ないと思います。実際に自分のアシスタントは専門学校や別の業界の出身など、多種多様です。
技術的な部分で言えば、専門学校では大学より専門的なことを学べますが、授業で学べることと現場で求められることは異なるし、僕にとって専門学校のカリキュラムが完璧かというと、そういうわけでもないと思うんです。そして師匠や一緒に動くチームによっても、やり方はそれぞれだと思います。
だからこそ「学んで来たことと全然やり方が違うじゃん」ということもあると思うんですけど、そのときに「なんでできなかったんだろう」「次はどうすればいいんだろう」とトライし続けることができるかどうか。そのくらい、そういった“挑戦し続ける力”を試されるんじゃないかと思います。睡眠不足が続くだけで人は崩れてしまうから、続けることはとても難しい。でもそうやって目標や夢に実直でい続けることーーそれができれば、絶対に夢がかなう世界だと思います。
僕は高校が進学校で、勤勉でいなければ親から怒られるような環境だったからか、専門学校に行ってもひたすら真面目に勉強していました。「一生懸命いい成績を取ったら、きっと何とかなるんじゃないか」って。そういうタイプの人間はファッション系の専門学校には少なくて、当時の僕にとってはカルチャーショックでした。不良に憧れを持つ人も多い時代だったけど、僕はそうなることもできなかったから、これまで自分がやってきた生き方を自然にやるしかなかったんですよね。そうしていたら成績だけは優秀で、気づいたら先生たちも応援してくれるようになって。専門学校に行って良かったと思うのは、今でも尊敬できる恩師に出会えたこと、そして「この世界で生きていくということは、こうやって試され続けていくことなんだ」ということが学べたことですね。

学生:多くの職業において、届ける先は自分が会ったことがないような未知数の消費者になることが多いと思います。そんなふうに受け取り手の顔が見えない仕事をするときに、TEPPEIさんが意識していることを知りたいです。
TEPPEI:確かに「何を目指せばいいんだ」と悩んだ時期もあります。でも今は、その現場のチームのメンバーそれぞれが、撮影が終わった帰り道に「良い撮影だった」と納得しているかを大切にしています。撮影の現場では意外と“あくまで仕事として”、まるでルーティーンのように仕事をこなす人も多い。僕はもっと特別な一瞬にしたかったのに、「みんなあんまり盛り上がってないじゃん」と寂しくなるときがあるんです。
それは決して悪いことではないし、そうやって作ったものが世の中に出て、よろこんでくれる人がいるのも事実。でも僕はもうちょっと、特別な瞬間としてやり遂げたいなって悶々としていたんです。それでもキャリアを経過していくと、そんな一瞬を共有できる人々に出会えて、そんな人たちと一緒だからこそ納得がいくものづくりができるようになりました。
会ったこともない多数の誰かの意識には介入できないけど、少なくとも現場にいるみんなが納得できるのなら、極端ですが「どんな結果になったとしても胸が張れる仕事をできた」と思えるようになりました。今は自分がその現場にいることで、その輪の中心となって、熱い何かを起こせないかというような気持ちで現場に臨んでいます。大きなことを考え出すとキリがないし、コントロールできないことも多いけど、「自分が伝えられる範囲の人たちに対して熱量が届いているか」というのが僕のものさしになっていますね。
学生:2003年に映画「間宮兄弟」にも出演していますが、役者の道に進むことも考えていたのでしょうか?
TEPPEI:当時「こんな依頼が来てるけどどうする?」って友だちに言われて、軽い気持ちで現場に行ったんです。そして有名な役者さんたちの名前が並ぶ台本を見せられ、「“玉木”という役の役者を探しているんだけど、TEPPEI君、どう?」って。そこでようやくことの大きさに気がついて、そのときは逃げるように帰ったんですが、後から落ち着いて考え直し、出演することを決めました。
もちろん演技なんて何も分からないから、素人なりにどうにかこなして、何が何だか分からないうちに約10日間の撮影が終わりました。周りの人たちにはたくさん迷惑を掛けたし、気を遣わせていたと思います。そんな中、打ち上げのときに森田芳光監督が話しかけてくれて、「俳優として森田組でやってみないか」と。ーー森田監督は面白い若手俳優を見出す監督としても有名だったようです。現場での経験を通じて演技は自分の真ん中にはないと感じたので、「ファッションが好きだから、引き続きスタイリストをやりたいんです」と断りました。監督は「そうか、いつか俺の作品でスタイリングしてくれよ」と言ってくださって。僕も「絶対頑張ります!」と伝えたものの、数年後に森田監督は急性肝不全で亡くなってしまった。当時の自分が今の立場だったら、もしかしたら一緒にお仕事できていたかもしれませんが、僕が遅かったですね。
学生:TEPPEIさんにとって、ファッションとはどんな存在ですか?
TEPPEI:「自分の人生をここまで変えてくれたもの」という感じですかね。「どうやって生きていこう」と人生と向き合い、多感で不安定な若いころの自分の支えになったのがファッションだと思います。当時は「自己表現としての服」とすら思っていなくて、「誰かと仲良くなりたい」「あの子に好かれたい」とか、そんなふうに誰かに憧れたり、誰かからの承認を得たくて服を着るようになりました。そうやって過ごしながら20代になり、気が付いたら雑誌に取り上げられたり、パリからファッションデザイナーが会いに来てくれるようになって。雑誌を見た海外の若者が「背中にサインしてくれ」って会いに来てくれたこともありました。
そんなふうになっている自分をふと客観的に見たとき、弱い自分はこれまでと変わらずずっといるのに、表面で見えるスタイリストとしての自分はみんなが知っていて、全く違う方向に向かっているーーその心のギャップはすごいものでした。スタイリストの僕とそうではない僕は、人格が違うような気がします。ファッションを通して誰かに接したとき、自分というものの価値が出るんだとさえ感じている。自分の人生には欠かせないものですが、ここまで人生を共にするとは思わなかったですね。

学生:キャリアの中で影響を受けた人や言葉、作品などはありますか?ファッション業界で働く上でのおすすめの作品があれば教えてほしいです。
TEPPEI:見よう見まねで、ファッションブランドの作品や洋書、写真家の作品集なども読み漁った時期はありましたが、本当の意味で感化されていたかというとわかりません。今は色んな人の作品を見て感じるものもたくさんあるのですが、当時は将来の不安を払拭したくて見ていたのかもしれませんね。
“おすすめの本”や“勉強法”ってよくあるけど、自分の理想の先にある得たいものやモチベーションの方がずっと大事。それが明確になったら、何を学ぶべきか、何に感化されたいかがわかってくるのではないでしょうか。
「好き」を自分の真ん中に
ファッション業界で働くためのマインドセット

学生:将来ファッションショーの演出を手掛ける仕事に就きたいのですが、仕事として続けていくには、精神的にも体力的にも、かなり大変かと想像しています。今のうちにやっておくべきことはありますか?
TEPPEI:まず大前提として、ファッションの仕事に就いている人たちは「やらされているわけではない」。みんな選んでこの道に入ってきたんです。別に辛ければやめてしまってもいいわけですが、われわれはやりたいし、その中で成長していきたい。
皆さんがこれまでに生きてきた約20年は、ほとんどが親や国に決められた、“約束された”道のりだったのだと思います。きっと抗えないレールがそこにありながらも、今日ここにいる皆さんが生きているのは“自分で選びつつある人生”ですよね。ファッションの仕事は、自分が選択して選んだからこそ「眠れない」「休めない」など過酷な部分があるし、日常では起こり得ないような精神状態になることもある。それでも僕たちは、「やりたくてやっている」。
そういった「やりたくてやっている」人の最たる例が、ショーの世界で言うとパリのコレクションだと思います。アトリエのチームはきっと、1カ月くらいはゆっくりと休むことができないでしょう。本番の2週間前なんて、家にも帰れないかもしれない。でもみんなやりたくてやっているし、だからがんばれるんです。自分のモチベーションをそのゾーンにどうやって持っていくかが悩みだとしたら、自分がどんなことに駆り立てられるのか、自身の中にある衝動的な部分を探ってみると良い気がします。
僕はこの仕事を約20年やってきましたが、それでも来年自分がどうなっているのかは不安です。この仕事に就くまでにきっと会社に入って、そこで何か別の充実感や価値観を得るという選択もあった。親に生かしてもらって、高校に進学させてもらってもこの道を選んだんです。だからこそ、それは自分の責任。どの道を選んでも精神的な抑揚、いいことも悪いこともあると思います。ネガティブなことが多く聞こえるかもしれませんが、それを超えるほど凄まじく楽しい世界なので、それを信じて進むしかないんです。
学生:小学生の頃からずっとスポーツが好きで、高校でもスポーツに打ち込んでいたのですが、辛いことがあって嫌いになってしまいました。今はファッションが好きになって仕事にしたいと思っているものの、また嫌いになってしまわないか怖いです。
TEPPEI:厳しいスポーツの世界で頑張ってきたという過去は、とても貴重だと思います。きっと、色々なことを学んできたのでしょう。大きな大会に出ることや勝ち負けという結果を簡単に凌駕するくらい、そこで得られた精神力や経験は確実にあなたの土台になって、この先も強く残り続けていくと思います。
勝ち負けが明確なスポーツの世界とファッションの世界は異なりながらも、“競争の世界”という意味ではどこか似ているところがあるかもしれない。評価は周りが決めるものだとしても、自分がどんな道のりを歩んできたかはご自身が一番知っているはず。そこまで自分に重くのしかかる何かを抱えているということは、今はまだ克服できずとも、それを自分の中で消化できたときにきっと何よりの武器になっていると思います。
学生:グラフィックの世界に行きたいと思いながらも、無意識のうちに周囲と比べてしまったり、「この先食べていけるのか」「でももしこの道を選ばなかったら後悔するのか」など、漠然とした不安があります。
TEPPEI:「その道を選択することが正しいのか」というのは、みなさんが抱く不安でもあるし、僕も不安です。そんな中で、逃げずに立ち向かうというのは今の時代にも合ってないのかもしれないーー少し考え方を変えてみて、好きなことや楽しいことを自分の真ん中に置いてみるといいかもしれません。好きになったことを職業にするということは素晴らしいことなのに、その楽しさを忘れてしまう自分もちょっと寂しいじゃないですか。今日ここに来て、僕と話そうとしてくれているその熱量を、もっとプラスに考えてもいいんじゃないかな。
この先もきっと、どんな道を選んだとしても人と比べてしまうようなことは起こり得るんだと思うんです。もし自分が求めるべきものが、毎月の収入、数十万がずっと保証されるような就職なのだったら、それももちろん間違いではありません。でもせっかく好きなものを見つけたんだったら、まだ年齢的にもいくらでもトライができるから、まずはやってみたらいいと思います。
ファッションの世界でチャレンジをする中できっと、壁に直面することもたくさんあり、それはご自身にとっては非常に辛い期間かもしれないけど、たくさん悩んだ人の成長は相当すごいものだと思います。そういう人がファッション以外の道に進むとしても、長い間悩んで模索する中で培った精神力や耐久力というのは、どんな世界に行っても圧倒的な武器になるはずです。

学生:「好き」を自分自身の真ん中に置き続けるのはすごく難しいなとも思います。何年間も好きなものを軸に起き続けるコツはありますか?
TEPPEI:「好き」ということ自体は恋愛と同じで、あまり理由はないのかも。僕の場合は最初は単純に「好き」、それだけだったけど、仕事を通じて人と時間を共有する時間そのものや、その時間の尊さ、美しさって、この業界特有のものなんじゃないかなと思えて、そんな部分も好きになりました。
仕事を「あくまでも仕事」と割り切っている人もいる一方、ファッションの世界を見渡してみると、少年のように好きなものを追いかけている人たちがいて。そんな姿に希少価値を感じるし、何だかかわいらしさすら感じてしまうんですよね。仕事を通して出会う人たちと、同じ熱量で気持ちを交換ができる“感触”が、「好き」を真ん中に置き続けられる理由なのかもしれません。
今きれい事ばかり言っているように聞こえているかもしれませんが、辟易とするようなことは多々あります。僕もそうだから、皆さんもそういう局面は抗えないし、絶対に降り掛かってきちゃうと思う。でもそんなとき、こういう“感触”を忘れないでほしいなと思っています。
学生:将来的には起業することも考えながら、ファッション業界に進みたいと思っています。「何とかなるだろう」と思っている楽観的な私に対し、両親は「安心して働ける環境なのか」と懐疑的で、それを説得できずにいます。
TEPPEI:「何とかなるだろう」と考えていたのは僕も同じです。その会社が良いか、悪いかは、会社の問題かもしれないし、ケースによっては受け止め方の問題かもしれない。そしてそういう状況は、ファッション業界以外でも起こりうると思います。親御さんからしたら固定観念的なものもあるのでしょうし、今伝えられることは「私が選んでいるところは違うから安心して」ということだけなのかもしれません。
起業してやりたいことが成し遂げられるかというと、それが難しいことであるのはご自身が一番分かっているはず。でも今進みたい道があるのに、心配しすぎてもあまり意味がないような気もしていて。新卒で入社した企業が全てではないし、数年経ったら転職する人も多い時代です。その目標に向かう中で得られた経験や人との出会いから、「最初はこう思ってたけど、こっちに行ってみよう」でも良いのではないでしょうか。
学生:今所属している団体でルックやショーづくりをしていますが、チームで何かをするとき、それぞれが目指したい方向性が異なることが多いです。TEPPEIさんどのように他の人と意識を合わせていますか?
TEPPEI:そんなふうに思っている学生がいるというのは、うれしいです。今の学生はもっと譲り合っちゃうのかなと思っていたので。
ショーで言えばまず、ブランドが「今回はこういうテーマだから、こういうショーにしたい」と方向性を示して、演出家の采配のもと各スタッフを設定しています。だからショーに携わるクリエイターはそのゴールに向かうために然るべきメンバーが選ばれていると思うし、「デザイナーがやりたいことを具現化する」という共通認識を持っている。それに基づいて、演出家やデザイナーと三位一体となって、本番直前まで、リハーサルの直後もずっと話し合いながら調整をしています。
でも学生のときはそれぞれが「自分は絶対折れないぞ」ってぶつかり合って、ノイジーになってもいいんじゃないかな。終わった後に「なんか良かったね」「喧嘩したね」みたいな感じでもいいと思います。みんなが一生懸命になっている熱量そのものがすばらしいのではないでしょうか。

学生:今ファッション業界の企業でアルバイトをしているのですが、全然仕事が上達しなくて。もし周りに仕事の覚えが悪い人がいたら、TEPPEIさんは嫌な気持ちになりますか?人に対して見切りをつけるタイミングはありますか?
TEPPEI:たとえばアシスタントに対して、「もう期待しない」ということは絶対ないです。そもそも教えているのが僕なので、僕自身にも原因があります。そういう関係値を築きながら一緒に仕事をしていくことだと思うので、見放してしまうなんて論外です。
どんな人に対してもですが、僕は割と人を信用してしまう人間なので、嘘をつかれるとちょっと辛いですね。あとは仕事に対する価値観、熱量の違い。何が正解、不正解というわけではなくて、あくまで“仕事は仕事"と割り切ってやっている人も全然います。そういう人は僕とは違う価値観で仕事をしていると思うので、一緒に仕事をするのは難しいと感じるときもあります。
学生:では、アシスタントに求めることとは?
TEPPEI:熱意。それこそがモチベーションや行動選択のコアな部分になるはずです。今日ここに来てくれたこともその1つで、今ここにいる人たちしか得られない経験をしている。アシスタントの面接をするときは、そういう熱量の高さを見ています。

TEPPEI:今日ここに来てくださった皆さんは、きっと志が高い人が多い傾向にあると思います。そんなモチベーションが高い人こそ陥りがちなのが、失敗や挫折を避けるために頑張ろうとしてしまうこと。その轍を踏みたくない一心で頑張るーーでもそんな人生というのは、本来あり得ないんです。
体や精神が育っていくにあたり、痛みや障害を伴うプロセスは、少なからず絶対にある。これからの人生設計やキャリアの中できっと、そういうものはつきものだと思います。そんなときに「こうしてみると良いでしょう」と方法論で考えることより、その原動力になる「好き」という気持ちが重要になってくるはず。少なくとも僕の場合はそうでした。
皆さんは今日、「TEPPEIに気に入られることで将来的に優位に繋がっていかないかな」とか、そんな下心じゃなくて、きっと「何かひと言聞きたいな」「この相談をぶつけて解決できないかな」と、暗闇の中でもがいてどうにか光を見つけたい、みたいなエネルギーがあってここに来ているはず。そのエネルギーこそが、あらゆる局面において自身を助けてくれる源になるし、僕自身もそうでありたいと思います。5年後、10年後にどこかでまた皆さんと出会ったときに、「あのとき話を聞いて、そうして今こうしているんだ」って話をして、今日の答え合わせができたらとてもうれしいです。
【参加学生ファッションスナップ】
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PHOTOS:RYOHEI HASHIMOTO
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