三陽商会・大江社長 営業黒字化に「マジックは何もない」 

 三陽商会は2023年2月期、7期ぶりの営業黒字化を達成した。20年5月の大江伸治社長の就任以来、不振脱却へ構造改革を進めてきたが、一つのメルクマールを達成したことになる。

 「マジック的な要素は何もない」。14日に都内で開かれた決算説明会で、大江社長はそう強調した。大江社長の就任当時、三陽商会は“バーバリーショック”の後遺症で4期連続の赤字に陥っており、直近の19年度(決算期変更により19年3月〜20年2月の参考値)の営業損益も29億円の赤字。すでに不採算ブランドの撤退や人員整理を進めていたものの、浮上の道筋は見えないままだった。

 かつてゴールドウインを再建した大江社長は、三陽商会においても荒療治を断行。過剰な商品在庫を絞り込み、販管費を徹底して削減する。トップライン(売上高)を追わず、利益を出せる体質に変える。「構造改革と成長戦略は同時には進められない。損益分岐の確保が最優先」。二兎を追わず、守りの戦略に徹してきた。

売上高は追わず利益を改善
「結果は必然」

 結果、売上高だけで見れば23年3月期は582億円と、コロナ前の19年度(19年3月〜20年2月)の757億円には大きく及ばない※。だが利益面の指標は着実に改善しており、売上高総利益率は2.8ポイントのプラスとなった。「努力目標や希望的観測に基づく要素はできる限り排除した。実行すれば必ず結果が出ることだけに取り組んできた」と大江社長。「(営業黒字化という)結果は必然だ」と冷静に受け止める。

※三陽商会は2023年2月期から新収益認識基準に変更。19年度の売上高は同基準に照らし合わせて置き換えた参考値

 今期も、25年2月期を最終年度とする中期経営計画(売上高625億円、営業利益43億円、純利益35億円)の達成に向け、着実に数字を積み上げる。期中には百貨店において新規出店13件、改装50件を計画。都心の有力店でのポップアップも積極化する。「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」「ポール・スチュアート(PAUL STUART)」「エポカ(EPOCA)」など7つを重点強化ブランドとし、いずれも早期に売上高100億円を目指す。

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三陽商会・大江社長 営業黒字化に「マジックは何もない」 

 三陽商会は2023年2月期、7期ぶりの営業黒字化を達成した。20年5月の大江伸治社長の就任以来、不振脱却へ構造改革を進めてきたが、一つのメルクマールを達成したことになる。

 「マジック的な要素は何もない」。14日に都内で開かれた決算説明会で、大江社長はそう強調した。大江社長の就任当時、三陽商会は“バーバリーショック”の後遺症で4期連続の赤字に陥っており、直近の19年度(決算期変更により19年3月〜20年2月の参考値)の営業損益も29億円の赤字。すでに不採算ブランドの撤退や人員整理を進めていたものの、浮上の道筋は見えないままだった。

 かつてゴールドウインを再建した大江社長は、三陽商会においても荒療治を断行。過剰な商品在庫を絞り込み、販管費を徹底して削減する。トップライン(売上高)を追わず、利益を出せる体質に変える。「構造改革と成長戦略は同時には進められない。損益分岐の確保が最優先」。二兎を追わず、守りの戦略に徹してきた。

売上高は追わず利益を改善
「結果は必然」

 結果、売上高だけで見れば23年3月期は582億円と、コロナ前の19年度(19年3月〜20年2月)の757億円には大きく及ばない※。だが利益面の指標は着実に改善しており、売上高総利益率は2.8ポイントのプラスとなった。「努力目標や希望的観測に基づく要素はできる限り排除した。実行すれば必ず結果が出ることだけに取り組んできた」と大江社長。「(営業黒字化という)結果は必然だ」と冷静に受け止める。

※三陽商会は2023年2月期から新収益認識基準に変更。19年度の売上高は同基準に照らし合わせて置き換えた参考値

 今期も、25年2月期を最終年度とする中期経営計画(売上高625億円、営業利益43億円、純利益35億円)の達成に向け、着実に数字を積み上げる。期中には百貨店において新規出店13件、改装50件を計画。都心の有力店でのポップアップも積極化する。「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」「ポール・スチュアート(PAUL STUART)」「エポカ(EPOCA)」など7つを重点強化ブランドとし、いずれも早期に売上高100億円を目指す。

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ヤマトインターの23年8月期中間は営業益2.8倍、プロパー消化率向上

 「クロコダイル」を展開するヤマト インターナショナルの23年8月期上期(22年9月-23年2月)決算は、売上高が前年同期比7.8%増の107億円、営業利益が同2.8倍の2億1900万円、経常利益が同26.4%増の4億1800万円、純利益が同30.7%増の3億4400万円だった。主力の「クロコダイル」はほぼGMS(総合スーパー)を販路としているが、上期は11月を除き前年同期をクリアした。梅川実・取締役常務執行役員は「月を追うごとに上向いており、2月はコロナ前の水準にほぼ追いついた。下期以降もコロナ前の水準をベースに計画を立てている」という。

 粗利率は56.5%となり、1.2ポイントの悪化。円安や原材料価格高騰が原価率を押し上げた。上期の主力だった秋冬物ベースで商品価格は5%上昇したものの、「先行きの見通しは不透明だが、客数も商品単価もアップしており、現時点では価格アップによる買い控えなどは起こっていない」という。LINEやアプリによるデジタルコマースも強化しており、会員数は前年同期比で27%増の約70万人に達している。EC売上は公表していないものの、「24年8月までには全体の10%に引き上げたい」という。メンズ向けのD2Cブランド「シテラ」も順調に拡大しているという。

 上期末の店舗数は昨年8月末に比べ6店舗減の880店舗で、内訳は直営12、GMSのコーナー展開が868。不採算店舗の閉鎖を行ったものの、「直営店の成功店舗ができ、下期以降から出店を再開する」という。アウトレットやNSC(小型モール)など今年に入って3店舗をオープンしている。

 GMSでは最大手のイトーヨーカ堂が大掛かりな構造改革プランを発表しているが、「今下期も含め、現時点では大きな影響は見込んでいない。閉鎖店舗もあるが、場合によってはコーナー展開している『クロコダイル』の売り場スペースが大きくなるケースも考えられるため、率直に言ってプラスとマイナス、両方の可能性がある」(梅川取締役)という。

 通期の見通しは売上高が前年比10.6%増の214億円、営業利益が同72.8%増の2億5000万円、経常利益が同25.1%減の4億8000万円、純利益が同20.4%減の3億6000万円。減益の主な要因は雇用調整助成金がなるなるため。下期は「不透明感は残るものの、足元の3月を含め、売り場の状況は悪くない。既存の売り場のパワーアップや、細かく地道な売価コントロールによるプロパー消化率の向上などで収益力をあっぷさせる」と梅川取締役。

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三陽商会が7期ぶり営業黒字 “バーバリー・ショック”以来

 三陽商会の2023年2月期連結業績は、売上高が582億円(会計基準変更前の前期は386億円)、営業損益が22億円の黒字(同10億円の赤字)、純損益が21億円の黒字(同6億6100万円の黒字)だった。本業のもうけを示す営業損益が黒字になるのは7期ぶり。主力事業だった「バーバリー」のライセンス事業を失って以来となる。

 コロナによる行動制限がなくなったため、外出着を求めて衣料品の動きが回復した。売上高と営業利益は計画値を上回った。在庫コントロールの徹底と値引き販売の抑制によって粗利益率は2.5ポイント改善した。繰延税金資産を計上したため、純利益は予想から6億円ほど上振れした。

 同社は16年6月末に売上高の約半分を占めてきた「バーバリー」のライセンス事業を契約切れで失った。「バーバリー」を通年展開した最後の年である15年12月期は売上高974億円(当時の会計基準)だったが、16年12月期に676億円(同)、17年12月期は625億円(同)と縮小を余儀なくされた。当初は3年での営業黒字化を掲げ、不採算ブランドの撤退や人員整理などのリストラとともに、穴埋めのための新ブランドの出店拡大に取り組んだ。しかし実を結ぶことはなく、3人の社長が退場を余儀なくされた。その後、元三井物産の商社マンで、ゴールドウイン再建の実績を持つ大江伸治社長が20年5月に社長に就き、徹底した構造改革を進めてきた。

 今期(24年2月期)は、売上高595億円、営業利益24億円、純利益22億円と増収増益を予想する。

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百貨店の売り上げ構成に異変 松屋で「身の回り品」が「衣料品」を抜く

 松屋の2023年2月期連結業績は、総額売上高が前期比34.7%増の876億円、営業損益が3億4700万円の黒字(前期は22億円の赤字)、純利益が同4倍の43億円になった。行動制限がなくなったことで客足が回復。営業損益を3年ぶりに黒字にした。

 けん引したのはラグジュアリーブランドだった。同社は銀座と浅草で百貨店を運営しており、連結売上高の約85%を銀座本店で稼ぐ。立地の強みを生かし、近年は「ルイ・ヴィトン」をはじめとしたラグジュアリーブランドを強化してきた。それが消費旺盛な国内富裕層や回復しつつある訪日客需要の受け皿になった。

 百貨店の商品別売上高では、ラグジュアリーブランドの多くが含まれる「身の回り品(バッグ、シューズ、革小物など)」が前期比78.3%増の275億円に成長し、構成比では8.1ポイント増の34.1%になった。「衣料品」は同11.0 %増の181億円で、構成比では5.1ポイント減の22.4%だった。「身の回り品」が初めて「衣料品」を上回り、構成比のトップになった。

 日本百貨店協会によると、全国の百貨店の商品別売上高の構成比(22年)は「衣料品」が26.6%、「身の回り品」が15.3%、「食料品」が29.0%となっている。2000年頃まで「衣料品」が40%前後のトップシェアを長らく保ってきた。売り場面積でも「衣料品」が最大だった。しかし、その後「衣料品」の売上高はじわじわと低迷し、コロナ下に入って「食料品」に主役の座を明け渡した。あくまで平均であり、都心と地方・郊外の百貨店では全く状況が異なる。銀座を拠点にする松屋ではラグジュアリーブランドの勢いが如実に出た格好だ。

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「無印良品」営業利益46%減 9〜2月期、仕入れコスト上昇響く

 「無印良品」を運営する良品計画の2022年9〜23年2月期連結業績は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比46.0%減の101億円だった。急激な円安や原材料費の高騰に伴う仕入れコストの上昇が響いた。積極的な出店に伴う先行投資によって販管費もかさんだ。

 売上高にあたる営業収益は同15.9%増の2833億円。店舗数は純増72の1144店舗になった。既存店(店舗とEC)の売上高は同6.0%減だった。家具など大型で単価の高い商品の動きが鈍く生活雑貨は9.4%減と足を引っ張った。一方、下落が続いていた衣料・雑貨は昨年秋から実施したMD改革によって同1.8%減と下げ止まりつつある。純利益は50.2%減の75億円で終わった。

 13日にオンラインで会見した堂前宣夫社長は「売上高は伸びたが、営業利益額、営業利益率は過去10年で最も低い。為替や原料高で粗利率が落ちている。出店拡大したものの、思うほどの売り上げがとれていない」と総括した。外部環境以外で粗利率を上げるには商品力の強化が不可欠とみる。改善が見られる衣料・雑貨については「ベーシックな服をちゃんとした素材、パターン、デザインで訴求する。(商社任せではなく自社で)原料までさかのぼり、現地の農園と組んでカポックやヘンプ素材を調達した」。衣料・雑貨の3月の既存店売上高33%増と好調だった。

 通期(23年8月期)の予想は、売上高が前期比17.9%増の5850億円、営業利益が同8.5%減の300億円、純利益は同24.3%増の186億円。調達コストの上昇と売り上げの伸び悩みに伴い、利益予想を下方修正した。春夏物で約2割の商品で値上げしており、客数を確保できるかが課題になる。

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ファストリは20.4%増の1兆4673億円、通期も上方修正 10年後に10兆円計画も 23年8月期上期

ファーストリテイリングは、2023年を「第4創業」として、グローバルナンバーワンへの挑戦を加速し、10年後の10兆円達成を目指す。23年8月期上期(22年9月~23年2月)の決算会見で柳井正会長兼社長が明かした。昨年度から取り組んでいる「収益性の多様化」が進み、ユニクロ(UNIQLO)の東南アジアや欧米などの海外事業や、ジーユー(GU)が高成長軌道に乗ったことで大きな自信を見せている。

23年8月期上期(22年9月~23年2月、国際会計基準)決算は、売上高に当たる売上収益が前期比20.4%増の1兆4673億円、営業利益が同16.4%増の2202億円、純利益が同4.5%増の1533億円だった。

特に海外ユニクロ事業で、東南アジア・インド・豪州地区、北米、欧州(ロシアを除く)が大幅な増収増益となり、本格的な成長フェーズに突入。海外ユニクロの売上収益は半期で1620億円増え、同27.3%増の7552億円となった。コロナ禍でのコスト構造改革の寄与に加え、「服への需要が急速に変化し、LifeWearへのニーズが高まった」(岡﨑健ファーストリテイリング取締役CFO)ことや、「ブランディングや地域に根差した商売を強化するなど、積極的に事業拡大を進めたこと」が奏功。営業利益は22.2%増1226億円になった。グレーターチャイナは中国大陸でコロナの影響があり減収大幅減益となったが、1月以降は回復基調にあるという。

国内ユニクロ事業は売上収益が526億円伸び、同11.9%増の4951億円となった。既存店売上高が同10.0%増となった。一部商品の値上げを行ったが、比較的単価の高いアウターやニットの販売の好調や、値引き率の改善などもあり、客単価は同11.8%増となった。EC売上高は794億円で同9.7%増。EC化率は16.0%となった。ただし、急激な円安による調達コストの上昇により粗利益率が低下し、営業利益は同1.6%減の673億円だった。

 ジーユー事業は今上期、売上収益が227億円伸び、売上収益が同18.5%増の1455億円、営業利益が同39.2%増の130億円となった。品番数を絞り込み、シーズン後半までマストレンド商品の数量を確保して積極的に商売を行ったことで既存店が伸長。EC売上高も大きく伸び、EC化率は13%になった。

 通期(23年8月期)の業績予想は、売上収益を300億円増額修正し、同16.5%増(為替の影響を除くと約13%増)の2兆6800億円、営業利益は100億円増額修正し、同21.1%増(同約18%増)の3600億円、当期利益は同12.2%減(同約17%増)の2400億円を見込む。

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パルグループHDが過去最高益 23年2月期、ECが3割近く増収

 パルグループホールディングス(HD)の2023年2月期連結業績は、売上高が1644億円(前期は1342億円)、営業利益が前期比110.4%増の158億円、経常利益が同109.7%増の160億円、純利益が同148.8%増の99億円だった。会計基準の変更に伴い、売上高の伸び率は出していないが、全ての項目で過去最高を更新し、利益面で初めて100億円台を突破した。

 コロナの収束により、個人消費が想定以上に回復したことで、これまで苦戦していた衣料事業が回復したことと、EC販売が引き続き好調だったことが売り上げを押し上げた。さらに衣料事業のプロパー消化率が改善し、販管費率を抑制したことで利益も大きく伸びた。衣料事業の売上高は「ディスコート」が同81.2%増とほぼ倍増。好調が続くカジュアル系の「カスタネ」「チコ」も同40%増となり、EC販売が全体をけん引しながら店頭も活気づくことで過去最高の業績につながった。

 既存店の売上高は、店舗・ECで同20%増、店舗のみで同16.5%増、ECのみで同28.8%増。EC売上高は423億円となり、目標の400億円を上回った。衣料事業におけるEC化率は40%で前年に比べて2.2ポイント増加。アプリ会員は773万人を超え、目標の800万人達成も時間の問題となった。

 事業別の業績は、衣料事業の売上高が同21.4%増の1057億円、営業利益が前年比4倍強の125億円、店舗数は前年度末比で23店舗減少した。ECの先行予約販売を強化したことと、店舗での購入時期が早まったことが、プロパー消化率を押し上げ、粗利の改善につながった。

 一方、雑貨事業は売上高が同24.6%増の585億円、営業利益は同21.3%減の32億円、店舗数は48店舗増加した。生活防衛雑貨ブランドとして脚光を浴びる「スリーコインズ」が売上高をけん引したものの、急速な円安とエネルギー価格の高騰などに起因する仕入れ価格の上昇により、減益は免れなかった。

 雑貨事業の減益について、井上英隆会長は「為替変動で5%ぐらい粗利をとられたことが大きな要因」と話す。前期は決済レートを115円に設定したため、昨年10月に150円近くまで円安に触れたことが大きな痛手となった。今期は135円ぐらいで設定しているという。

 過去最高業績については「ECが非常に原動力になった。店舗も相当勢いづいてきている。当社はこれまで地味にコツコツと事業を築き上げ、そのときどきのテーマに徹底して取り組んできた。社員それぞれがやりたいことをやり、全員が前向きに取り組んでいるのが強みで、好業績の大きな原動力になった」(井上会長)と振り返る。

 今春、同社は7000円のベースアップを実施。「当社なりのイノベーションと効率化を図りながら当然、来年度もベースアップを考えている。そうしないとこれから企業は存続できない」(井上会長)と、賃上げに対する見解を明らかにした。

 2024年2月期の連結業績は、売上高1772億円、営業利益166億円、経常利益167億円、純利益103億円を見込む。引き続きブランドと店舗の大型化、高感度なライフスタイルショップ化を進めると同時に、EC売上高500億円、アプリ会員数1000万人を目指し、さらなるECの増強に努める。

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イオンモール、23年2月期は純利益32.6%減、国内モールの構造改革を加速

 イオンモールの2023年2月期決算は、売上高にあたる営業収益が前期比25.7%増の3982億円、営業利益が同15.0%増、純利益は同32.6%減の129億円だった。純利益は減損で44億円、店舗閉鎖損失のための引当金20億円、固定資産除却損24億円を計上したため。経済成長の著しい中国やASEANなど海外での出店を加速する一方で、苦戦の続く国内は共同配送や新規ビジネスの強化など構造改革を本格化する。

 国内モールは営業収益は3217億円に対し、営業利益は341億円。コロナ前の19年度と比べると、営業利益は183億円も減少した。ただ、22年度の売り上げは、1Qが前年比12.0%減、2Qが14.5%減、3Qが7.7%減、4Qが2.6%減と回復傾向にあり、速報ベースでは3月は9.4%増と、久しぶりに前年同期を上回った。

 23年度は、4月に新しいアウトレットモール「ジ・アウトレット」を平塚に開業予定とするなど、新規事業を強化する。関西エリアでは、他のSCも含めたエリア内での共同配送をスタート。また、既存モールに関しても、「エリアごとの特性を生かしつつ、五感を刺激する、情緒的な価値提供やお客さまの体験価値の向上を軸に改装していく」と岩本康次社長。

 24年2月期は営業収益4470億円(前期比12.2%増)、営業利益585億円(同33.0%増)、経常利益490億円(同34.6%増)、純利益270億円(同約2倍)を計画する。

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J.フロントの百貨店事業18%増収 23年2月期、高額品がけん引

 J.フロント リテイリング(JFR)の2023年2月期連結決算(国際会計基準)は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前期比15.3%増の9987億円だった。主力の大丸松坂屋百貨店による百貨店事業が、コロナの行動制限がなくなったことで回復した。引き続きラグジュアリーブランドや時計・宝飾品などの高額品がけん引した。

 売上収益は同8.5%増の3596億円、営業利益が同2倍の190億円、純利益が同3倍の142億円だった。

 百貨店事業の総額売上高は同18.4%増の6579億円。既存店売上高はコロナ前の19年度に比べて2.2%減、18年度と比べて7.8%減まで回復した。ただ店舗によってばらつきがあり、ターミナル立地の大丸東京店や大丸梅田店は戻りが遅い。一方で、固定客に強みを持つ大丸神戸店の売上高は839億円(19年度実績は744億円)、松坂屋名古屋店は1177億円(同1163億円)とコロナ前を上回った。高額品の消費を支える外商売上高は前期比18.0%増の1727億円で、百貨店事業全体の28.7%を占める。

 JFRの今期(24年2月期)予想としては、総額売上高1兆1150億円(前期比14.9%増)、売上収益4130億円(同14.8%増)、営業利益385億円(同2倍)、純利益255億円(同79.1%増)を見込む。百貨店事業の総額売上高は7200億円(同9.4%増)とした。訪日客による免税売上高はピーク時の7掛けの440億円の見通し。外商売上高は2000億円以上を目指す。

 11日に都内で行われた決算説明会に登壇した好本達也社長は、「(コロナを経て)消費の質が変化している。元に戻るもの、戻らないものを見極め、改革のスピードを上げていく」と話した。

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デサントが水沢工場を刷新 ブランディング強化で収益倍増へ

 デサントは10日、2023年度の事業戦略説明会を東京・目白の東京オフィスで行った。“ブランディング”を軸とした積極的な投資を行い、27年3月期に主要マーケットである日本、韓国、中国での収益倍増を目指す。小関秀一社長は「4年前の4月9日に社長に就任した際は、韓国事業に依存し、正常な経営体制ではなかった。その後、韓国での不買運動やコロナとさまざま出来事があったが、改善を繰り返し、今、ようやくスタート地点に立てた。ここから“攻め”の経営を行う」と語る。

 今年度の強化ポイントは大きく2つ。まず、自社工場のブランド化だ。岩手・奥州にある自社工場、水沢工場を30億円かけて刷新し、新たな時代に合わせた働き方を実現する。同工場は、「デサント(DESCENTE)」ブランドの人気シリーズ“水沢ダウン”を手掛けており、年間3万着を生産している。工場設立50年に伴い、“新たな50年”を見据えて、地球環境や地域共生など、現在の建屋の隣に新しいコンセプトを取り入れた新工場を作る。同工場は118人の全従業員が日本人で、他では実現できない複雑な工程も担う。「われわれの強みであるモノづくりの象徴的な存在だ。刷新により従業員が働きやすい環境を整えて、よりクオリティーの高いプロダクト開発につなげる」と小関社長。新工場は、縫製や製品開発など用途に合わせた空間にするほか、食堂やカフェなどの憩いの場も設け、従業員の満足度を高める。あくまで環境の改善とイメージ向上が目的で、増産はしない。25年7月に操業開始予定だ。

 加えて、水沢ダウンで培った産地と商品イメージを直結させる戦略を、他の自社工場にも応用する。例えば、奈良の吉野工場では、「マンシングウェア(MUNSINGWEAR)」の200回洗濯しても襟がヘタレない“10年ポロシャツ”を作り、宮崎の西都工場では、「アリーナ(ARENA)」のトップレーシング水着や接着縫製技術を生かした商品などをメインに作る。「国内の自社工場は高付加価値商品の専用工場として位置付ける。融通が効き、便利だからといって、いろんな商品を請け負うことはしない」と小関社長。

 もう一つの強化ポイントはマーケティングだ。同社はここ数年、主要マーケットである韓国と中国で現地のアスリートやタレントを起用したマーケティングを実施し、“中高価格帯のプレミアムブランド”としての認知を広げてきた。日本でも「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」のイメージビジュアルに女優でタレントの池田エライザを起用するなど、1年半前からマーケティング戦略を強化しており、「すでに一定の成果を得ている」(小関社長)という。「我々の持ち味は、あくまで商品力。しかし、これまではそれを伝え切れていなかった」。グローバルマーケティングに10億円を充てて、より効果的にブランド情報を訴求する。

 そのほか、「デサント」ではブランドイメージ向上のため、8つの国内既存店を順次リニューアルするほか、コーポレートロゴを英字のみのモダンなデザインに変更し、東京オフィスの改装なども行う。これらもブランディング戦略の一環だ。

 同社は2022年4〜9月期に日・韓・中の全てで増収し、同期の連結決算予想では過去最高の純利益となる100億円を見込んでいる。収益の安定化とともに、“攻め”の投資でさらなる成長を目指す。

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デサントが水沢工場を刷新 ブランディング強化で収益倍増へ

 デサントは10日、2023年度の事業戦略説明会を東京・目白の東京オフィスで行った。“ブランディング”を軸とした積極的な投資を行い、27年3月期に主要マーケットである日本、韓国、中国での収益倍増を目指す。小関秀一社長は「4年前の4月9日に社長に就任した際は、韓国事業に依存し、正常な経営体制ではなかった。その後、韓国での不買運動やコロナとさまざま出来事があったが、改善を繰り返し、今、ようやくスタート地点に立てた。ここから“攻め”の経営を行う」と語る。

 今年度の強化ポイントは大きく2つ。まず、自社工場のブランド化だ。岩手・奥州にある自社工場、水沢工場を30億円かけて刷新し、新たな時代に合わせた働き方を実現する。同工場は、「デサント(DESCENTE)」ブランドの人気シリーズ“水沢ダウン”を手掛けており、年間3万着を生産している。工場設立50年に伴い、“新たな50年”を見据えて、地球環境や地域共生など、現在の建屋の隣に新しいコンセプトを取り入れた新工場を作る。同工場は118人の全従業員が日本人で、他では実現できない複雑な工程も担う。「われわれの強みであるモノづくりの象徴的な存在だ。刷新により従業員が働きやすい環境を整えて、よりクオリティーの高いプロダクト開発につなげる」と小関社長。新工場は、縫製や製品開発など用途に合わせた空間にするほか、食堂やカフェなどの憩いの場も設け、従業員の満足度を高める。あくまで環境の改善とイメージ向上が目的で、増産はしない。25年7月に操業開始予定だ。

 加えて、水沢ダウンで培った産地と商品イメージを直結させる戦略を、他の自社工場にも応用する。例えば、奈良の吉野工場では、「マンシングウェア(MUNSINGWEAR)」の200回洗濯しても襟がヘタレない“10年ポロシャツ”を作り、宮崎の西都工場では、「アリーナ(ARENA)」のトップレーシング水着や接着縫製技術を生かした商品などをメインに作る。「国内の自社工場は高付加価値商品の専用工場として位置付ける。融通が効き、便利だからといって、いろんな商品を請け負うことはしない」と小関社長。

 もう一つの強化ポイントはマーケティングだ。同社はここ数年、主要マーケットである韓国と中国で現地のアスリートやタレントを起用したマーケティングを実施し、“中高価格帯のプレミアムブランド”としての認知を広げてきた。日本でも「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」のイメージビジュアルに女優でタレントの池田エライザを起用するなど、1年半前からマーケティング戦略を強化しており、「すでに一定の成果を得ている」(小関社長)という。「我々の持ち味は、あくまで商品力。しかし、これまではそれを伝え切れていなかった」。グローバルマーケティングに10億円を充てて、より効果的にブランド情報を訴求する。

 そのほか、「デサント」ではブランドイメージ向上のため、8つの国内既存店を順次リニューアルするほか、コーポレートロゴを英字のみのモダンなデザインに変更し、東京オフィスの改装なども行う。これらもブランディング戦略の一環だ。

 同社は2022年4〜9月期に日・韓・中の全てで増収し、同期の連結決算予想では過去最高の純利益となる100億円を見込んでいる。収益の安定化とともに、“攻め”の投資でさらなる成長を目指す。

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オンワードHD、今期の営業利益は「過去10年で最高」の見込み

 オンワードホールディングス(HD)の2023年2月期連結業績は、売上高が前期比4.5%増の1760億円、営業損益が52億円の黒字(前期は10億円の赤字)、純利益が同64.3%減の31億円だった。主力の百貨店アパレルが軒並み2ケタ増収と業績を大きくけん引した。最終減益は、不動産売却益など特別利益213億円を計上した前期の反動減。

 中核会社オンワード樫山の売上高は前期比10.6%増の1011億円、営業利益が45億円(前期は18億円の赤字)。主力ブランドの既存店売上高は、「23区」が前期比34.8%増、「自由区」が同35.1%増、「ICB」が同31.9%増だった。店舗にEC在庫を引き当てて試着・購入できる「クリック&トライ」の導入が効いている。23年2月期末で導入店舗は全店の約4割に相当する340まで広がった。サービスを介した商品の予約点数は上期(22年3〜8月)は5万5000点、下期(9月〜23年2月)は11万6000点と倍増した。

「クリック&トライ」の
増収効果に継続期待

 「クリック&トライ」導入店舗の売上高は、おしなべてコロナ前の20年2月期と同水準まで回復している。保元道宣オンワードHD社長は「(『クリック&トライ』の)お客さまの認知度向上と、店頭スタッフのサービス活用の習熟が両輪で進んできた結果だ」とし、「サービス拡大による増収効果はまだまだ継続するだろう」と期待を寄せる。

 24年2月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.1%増の1850億円、営業利益が同34.2%増の70億円、純利益が同30.7%増の40億円を予想する。これを達成すれば、営業利益は15年2月期の57億円を上回り直近10年間での最高益となる。

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オンワードHD、今期の営業利益は「過去10年で最高」の見込み

 オンワードホールディングス(HD)の2023年2月期連結業績は、売上高が前期比4.5%増の1760億円、営業損益が52億円の黒字(前期は10億円の赤字)、純利益が同64.3%減の31億円だった。主力の百貨店アパレルが軒並み2ケタ増収と業績を大きくけん引した。最終減益は、不動産売却益など特別利益213億円を計上した前期の反動減。

 中核会社オンワード樫山の売上高は前期比10.6%増の1011億円、営業利益が45億円(前期は18億円の赤字)。主力ブランドの既存店売上高は、「23区」が前期比34.8%増、「自由区」が同35.1%増、「ICB」が同31.9%増だった。店舗にEC在庫を引き当てて試着・購入できる「クリック&トライ」の導入が効いている。23年2月期末で導入店舗は全店の約4割に相当する340まで広がった。サービスを介した商品の予約点数は上期(22年3〜8月)は5万5000点、下期(9月〜23年2月)は11万6000点と倍増した。

「クリック&トライ」の
増収効果に継続期待

 「クリック&トライ」導入店舗の売上高は、おしなべてコロナ前の20年2月期と同水準まで回復している。保元道宣オンワードHD社長は「(『クリック&トライ』の)お客さまの認知度向上と、店頭スタッフのサービス活用の習熟が両輪で進んできた結果だ」とし、「サービス拡大による増収効果はまだまだ継続するだろう」と期待を寄せる。

 24年2月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.1%増の1850億円、営業利益が同34.2%増の70億円、純利益が同30.7%増の40億円を予想する。これを達成すれば、営業利益は15年2月期の57億円を上回り直近10年間での最高益となる。

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スタイレム、営業利益は35億円 22年1月期

 服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2022年1月期決算は売上高が前期比11.2%増の769億円、営業利益は同41.6%増の35億円だった。売上高は、今年から本体のスタイレム瀧定大阪のみに「収益認識に関する会計基準」を適用しているため、参考値。売上総利益率18.0%で、前期に比べ0.2ポイント改善した。

 営業利益はこの10年では過去最高。好調の理由について瀧隆太社長は「原料価格の高騰や円安などのネガティブ要因も少なくなかったが、海外に加え、足元の日本のアパレル市場も堅調で、主力の服地事業と製品OEM事業が好調だった」という。中国や米国、イタリア、韓国、インドなどの海外現地法人9社の単純合算は157億円。7割を占める中国が、ロックダウンなどの影響を受けたものの、新規開拓が進み、全体をけん引した。

 事業別では日本市場で最大のシェアを持つ服地事業が同15.8%増(参考値、以下同)の483億円だった。酒向正之副社長は「日本のアパレル市場の回復に引っ張られた」。ただ今期(23年1月期)については「当社はテキスタイルをストックして販売する『問屋モデル』であるため、原料高の影響にはタイムラグがある。足元の2・3月の受注も堅調だが、計画生産の増加に伴う受注タイミングのズレなどもあって、市場の先行きが読みにくくなっている。昨年は好調だった北米もインフレが顕在化しており、海外はさらに読みにくい。かなり慎重に見ている」という。

 製品事業は同3.3%増の290億円、原料事業は32.6%増の23億円、タオル製品などを扱うライフスタイル製品は7.6%減の33億円だった。原料は、インドの農家と組んで展開するオーガニックコットン「オーガニックフィールド」などのサステナビリティ素材がけん引した。 

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伊勢丹新宿本店、31年ぶりに最高売上高を更新 高級ブランド売れに売れる

 三越伊勢丹は3日、国内百貨店事業の3月度売上高速報を発表した。23年3月期通期では速報値ではあるものの、伊勢丹新宿本店の売上高が1991年度に記録した年間売上高の過去最高実績を更新した。

 同社によると、91年度の伊勢丹新宿本店の売上高は「3000億円超」。同年は国内百貨店業界全体の売上高が9.7兆円となりピークを迎えた時期でもあったが、その数値を上回ったことになる。

 伊勢丹新宿本店は、コロナ禍の収束とともに富裕層消費を追い風に、22年4月以降は月次売上高が11カ月連続でコロナ前(18〜19年)の水準を上回った。外商販売の戦略的な強化が実を結び、ラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額品が売れている。

 3日に発表した3月の売上高速報も、前年同月比24.8%増と2ケタ増の好調を維持した。免税売上高に関しても18年同月比で29.1%増と、中国客が戻らない中ですでにコロナ前を大きく上回る。

百貨店5社の23年3月度は1〜2割の増収

国内百貨店主要5社の前年同月と比較した3月度売上高は、三越伊勢丹が22.9%増(19年3月比で9.2%増)高島屋が9.1%増(同5.7%増)、大丸松坂屋百貨店が18.0%増、(同5.7%減)、そごう・西武が9.7%増(同6.2%減)、阪急阪神百貨店が20.8%増(同約6%増)。おし並べて前年実績から1〜2割程度の増収だが、19年実績には届かない百貨店もある。阪急本店は3カ月連続で月次売上高の過去最高を更新した。

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アディダス、22年通期は営業利益66%減と苦戦 「イージー」在庫処理の問題も今後に暗雲

 アディダス(ADIDAS)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比6.0%増の225億1100万ユーロ(約3兆2331億円)、営業利益は同66.3%減の6億6900万ユーロ(約960億円)、純利益は同70.4%減の6億3800万ユーロ(約916億円)だった。なお、継続事業の純利益は同82.9%減の2億5400万ユーロ(約 359億円)だった。

 22年1〜9月の売り上げは好調に推移していたものの、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)とのパートナーシップ解消以降の第4四半期の売上高が、前年同期比1.3%増(現地通貨ベースでは1%減)の52億500万ユーロ(約7473億円)となった。同社はこれについて、「『イージー(YEEZY)』事業終了に伴うマイナスの影響が約6億ユーロ(約861億円)あったため」と説明した。

 地域別で見ると、同社が新規顧客獲得のための主要マーケットとして位置づける中国では、コロナ禍のロックダウンの影響で、通期の売上高は前期比30.8%減の31億7900万ユーロ(約4563億円)と大きく落ち込んだ。

 中国を除くアジア太平洋地域は同2.8%増の22億4100万ユーロ(約3217億円)、EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は10.1%増の85億5000万ユーロ(約1兆2273億円)、北米は25.3%増の63億9800万ユーロ(約9190億円)、中南米は45.9%増の21億1000万ユーロ(約3030億円)と好調だった。

 今年1月に現職に就任した元プーマ(PUMA)のビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)最高経営責任者(CEO)にとっては厳しい船出となった。グルデンCEOは、「23年は今後のビジネスの基盤を築くための転換期になるだろう。成功するために必要な材料はそろっているが、商品、消費者、小売パートナー、そしてアスリートという私たちのコアに今一度焦点を戻す必要がある」とコメントした。

 さまざまな憶測が飛び交う「イージー」関連商品の在庫問題について、今後の方針は未定だという。在庫が販売できなかった場合には12億ユーロ(約1723億円)の損失となる可能性もある。グルデンCEOは、「私が来る以前の話だが、(イェとの事柄が発生した時点で)多くの商品が製造ラインに乗った状態だった。もし製造を止めれば、工場の1万人の従業員が仕事を失っていただろう。そのためアジアからのオーダーは全て履行した」と語った。

 在庫処理の方法については、廃棄するか、シリアとトルコの被災地へ寄付するか、リサイクルするかなど、数え切れないほどの提案があったという。グルデンCEOは、販売する場合にはそのままの状態で売られるべきであり、異なる商品として扱うのは誠実ではないと考えている。また、イェとのパートナーシップは解消したものの、商品が売れればイェは当初の契約に沿ってロイヤリティーを受け取ることになる。現状ではどの選択肢にも課題はあるが、より被害の少ない方法を検討していくという。「正直、この商品で利益を生み出すことはないだろう。むしろ、選択によっては多くのコストがかかるだろう」とグルデンCEO。

 もう一つの課題である中国市場については、プーマでの実績を元に、現地の経営陣に裁量権を与え、ローカライズした商品の企画や生産のリードタイムの短縮化を目指すという。

 業績回復に向けては、好調のパフォーマンスカテゴリーが鍵になると見ている。ライフスタイルカテゴリーの22年の売上高が前期比5%減だったのに対し、パフォーマンスカテゴリーは同19%増だった。まずプロから高価なテクニカル商品に対する信頼を得て、それをもとに一般商品で稼いでいくのが「レシピだ」とグルデンCEOは説明する。同氏はまた、「イージー」に置き換わる商品の開発は難しいが、“サンバ(Samba)”や“ガゼル(Gazelle)”、“スペツィアル(Spezial)”などの定番商品には伸び代を感じていると述べた。

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アディダス、22年通期は営業利益66%減と苦戦 「イージー」在庫処理の問題も今後に暗雲

 アディダス(ADIDAS)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比6.0%増の225億1100万ユーロ(約3兆2331億円)、営業利益は同66.3%減の6億6900万ユーロ(約960億円)、純利益は同70.4%減の6億3800万ユーロ(約916億円)だった。なお、継続事業の純利益は同82.9%減の2億5400万ユーロ(約 359億円)だった。

 22年1〜9月の売り上げは好調に推移していたものの、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)とのパートナーシップ解消以降の第4四半期の売上高が、前年同期比1.3%増(現地通貨ベースでは1%減)の52億500万ユーロ(約7473億円)となった。同社はこれについて、「『イージー(YEEZY)』事業終了に伴うマイナスの影響が約6億ユーロ(約861億円)あったため」と説明した。

 地域別で見ると、同社が新規顧客獲得のための主要マーケットとして位置づける中国では、コロナ禍のロックダウンの影響で、通期の売上高は前期比30.8%減の31億7900万ユーロ(約4563億円)と大きく落ち込んだ。

 中国を除くアジア太平洋地域は同2.8%増の22億4100万ユーロ(約3217億円)、EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は10.1%増の85億5000万ユーロ(約1兆2273億円)、北米は25.3%増の63億9800万ユーロ(約9190億円)、中南米は45.9%増の21億1000万ユーロ(約3030億円)と好調だった。

 今年1月に現職に就任した元プーマ(PUMA)のビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)最高経営責任者(CEO)にとっては厳しい船出となった。グルデンCEOは、「23年は今後のビジネスの基盤を築くための転換期になるだろう。成功するために必要な材料はそろっているが、商品、消費者、小売パートナー、そしてアスリートという私たちのコアに今一度焦点を戻す必要がある」とコメントした。

 さまざまな憶測が飛び交う「イージー」関連商品の在庫問題について、今後の方針は未定だという。在庫が販売できなかった場合には12億ユーロ(約1723億円)の損失となる可能性もある。グルデンCEOは、「私が来る以前の話だが、(イェとの事柄が発生した時点で)多くの商品が製造ラインに乗った状態だった。もし製造を止めれば、工場の1万人の従業員が仕事を失っていただろう。そのためアジアからのオーダーは全て履行した」と語った。

 在庫処理の方法については、廃棄するか、シリアとトルコの被災地へ寄付するか、リサイクルするかなど、数え切れないほどの提案があったという。グルデンCEOは、販売する場合にはそのままの状態で売られるべきであり、異なる商品として扱うのは誠実ではないと考えている。また、イェとのパートナーシップは解消したものの、商品が売れればイェは当初の契約に沿ってロイヤリティーを受け取ることになる。現状ではどの選択肢にも課題はあるが、より被害の少ない方法を検討していくという。「正直、この商品で利益を生み出すことはないだろう。むしろ、選択によっては多くのコストがかかるだろう」とグルデンCEO。

 もう一つの課題である中国市場については、プーマでの実績を元に、現地の経営陣に裁量権を与え、ローカライズした商品の企画や生産のリードタイムの短縮化を目指すという。

 業績回復に向けては、好調のパフォーマンスカテゴリーが鍵になると見ている。ライフスタイルカテゴリーの22年の売上高が前期比5%減だったのに対し、パフォーマンスカテゴリーは同19%増だった。まずプロから高価なテクニカル商品に対する信頼を得て、それをもとに一般商品で稼いでいくのが「レシピだ」とグルデンCEOは説明する。同氏はまた、「イージー」に置き換わる商品の開発は難しいが、“サンバ(Samba)”や“ガゼル(Gazelle)”、“スペツィアル(Spezial)”などの定番商品には伸び代を感じていると述べた。

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TOKYO BASE、2024年1月期は出店抑制 創業以来初めて

 TOKYO BASEは2024年1月期、創業以来初めて新規出店を抑制し、足場固めに徹する。28日の決算説明会で谷正人CEOは今期、粗利益の向上と既存店の強化に取り組み、既存事業の収益性向上に集中すると話した。

 谷CEOは3年ぶりに中国現地を視察し、課題点として現地スタッフへの教育不足や現地需要にあったMD構成が不十分だったことなどを挙げた。特にオリジナル商品で構成する「ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)」と「パブリックトウキョウ(PUBLIC TOKYO)」は、「現段階では通用していない」と見る。「日本のマスマーケットを意識した商品は現地企業が半分くらいの価格で販売している。今後はブランドの強みを活かした商品の比重を増やす」。地域別では北京、上海、広州、深圳などの第一線都市に狙いを定める。

 既存事業全体では、オリジナル商品を強化し粗利益を向上させる。「ステュディオス(STUDIOUS)」は外部デザイナーに委託し「仕入れ商品よりも安くクオリティの高いオリジナル商品」の企画を進める。「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」では春夏シーズンから外部デザイナーによるオリジナル商品を販売。「まだ始まったばかりだが少しずつ伸びてきている」と谷CEO。「セレクトのオリジナル商品の存在意義を、僕自身含めてファッション業界全体が勘違いしていると思う。マーケットイン型の同じような商品を作るつもりはなく、ブランドを象徴するようなオリジナル商品を徹底する」。また、ヒット品番などの価格設定の見直しや品番およびFKU数(売り場に出す商品単位)を絞り込んで在庫回転率を向上させる。

 23年1月期は国内7店舗(内EC2店舗)、海外9店舗出店したが、24年期末の店舗数は日本1店舗減の68店舗(内EC11店舗)、海外6店舗減の22店舗となる見込み。来期以降は順次出店を再開する。24年内にはニューヨーク・ソーホーに路面店のオープンを目指す。24年1月期は、売上高で前期比4.3%増の200億円、営業利益で約7倍の15億円、純損益で10億円の黒字転換を見込む。

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島精機が下方修正、4期連続の赤字へ 23年3月期見通し

 編み機大手の島精機製作所は24日、2023年3月期の業績を下方修正した。売上高376億円(修正前は375億円)、営業損益が18億円の赤字(同8億円の赤字)、経常損益が13億円(同4億5000万円の赤字)、純損益が51億円の赤字(同12億円の赤字)に修正する。主力の中国市場の停滞が続き、固定資産の減損で31億円を計上する。下方修正は今期3度目で、20年3月期から4期連続の赤字になる。コロナ禍をきっかけに表面化した世界規模のアパレルサプライチェーンの変化が、横編機の世界的なリーディングカンパニーである同社の苦戦を長引かせている。

 3月17日に発表した2022年4〜12月決算は、売上高が前年同期比19.3%増の268億円、営業損益が6億4400万円の赤字(前年同期は29億円の赤字)、経常損益が4億円の赤字(同23億円の赤字)、純損益が10億円の赤字(同26億円の赤字)だった。

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島精機が下方修正、4期連続の赤字へ 23年3月期見通し

 編み機大手の島精機製作所は24日、2023年3月期の業績を下方修正した。売上高376億円(修正前は375億円)、営業損益が18億円の赤字(同8億円の赤字)、経常損益が13億円(同4億5000万円の赤字)、純損益が51億円の赤字(同12億円の赤字)に修正する。主力の中国市場の停滞が続き、固定資産の減損で31億円を計上する。下方修正は今期3度目で、20年3月期から4期連続の赤字になる。コロナ禍をきっかけに表面化した世界規模のアパレルサプライチェーンの変化が、横編機の世界的なリーディングカンパニーである同社の苦戦を長引かせている。

 3月17日に発表した2022年4〜12月決算は、売上高が前年同期比19.3%増の268億円、営業損益が6億4400万円の赤字(前年同期は29億円の赤字)、経常損益が4億円の赤字(同23億円の赤字)、純損益が10億円の赤字(同26億円の赤字)だった。

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「ナチュラルビューティーベーシック」を復活させた“脱コンサバ”と“ベーシック再定義”

 TSIの「ナチュラルビューティーベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC以下、NBB)」の2023年春夏は、商品テイストを3つのライン別に細分化し、コーディネート提案の幅を広げる。ブランド単体の直近の売上高(2022年3〜11月)は前年同期比7.1%増。一昨年9月のリブランディング以降、着回しができる商品の強化が結果につながっている。

 一部店舗に導入する限定ラインの“リミテッドエディション”は、シアー素材のギャザーブラウス(8470円)やポリエステルサテンのカーゴパンツ(1万450円)など、鮮度の高いリアルトレンドをふんだんに取り入れる。“ブラン”ラインは花柄やドット柄のブラウス、スカートなどフェミニンなムードを前面に出す。これらに、「NBB」が強みとしてきたジャケットやブラウス、パンツ、スカートといった商品が中心の“ノームコア”ラインをミックスする。

 リブランディング以前の「NBB」は、無地のセットアップなどベーシックな商品ラインアップが働く女性に一定の支持を得ていたものの、一方で単調なMDが客離れを招いてきた。そこで単品ごとのデザイン性を高めつつ、組み合わせ次第でオン・オフに対応できる新しいMDへの転換を進めた。従来のコンサバなイメージが薄れ、コーディネートの楽しさが増した。

 ECの売上高も前年比約20%増と好調なペースで進捗している。従来は外注していたECの着用画像を自社スタッフ撮影に切り替えるなど、発信面の努力が実っている。ブランド運営を統括する野口麻衣子・TSI第1ディビジョン長は「ブランドのキャラクターの輪郭がはっきりして、お客さまにも伝わるようになってきた」と話す。

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「ザラ」親会社のインディテックス、23年1月通期は17%増収 インフレによる値上げの影響はなし

 「ザラ(ZARA)」や「ベルシュカ(BERSHKA)」などを擁するインディテックス(INDITEX)の2023年1月期決算は、売上高が前期比17.5%増の325億6900万ユーロ(約4兆5922億円)、営業利益は同28.9%増の55億2000万ユーロ(約7783億円)、純利益は同27.6%増の41億4700万ユーロ(約5847億円)だった。

 ブランド別での売上高は、主力の「ザラ」(「ザラ ホーム(ZARA HOME)」を含む)は同21%増の237億6100万ユーロ(約3兆3503億円)、「ベルシュカ」は同10%増の23億8400億ユーロ(約3361億円)、「プル&ベアー(PULL & BEAR)」は同15%増の21億5200万ユーロ(約3034億円)、「ストラディバリウス(STRADIVARIUS)」は同13%増の20億5600万ユーロ(約2898億円)、「マッシモ・ドゥッティ(MASSIMO DUTTI)」は同4%増の15億9300万ユーロ(約2246億円)だった。

 地域別での売り上げの割合は、本拠地であるスペインが14.4%、欧州(スペインを除く)は47.5%、南北アメリカは20.0%、アジアおよびその他の地域は18.1%となっている。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、インディテックスは22年3月5日にロシアで展開する514店舗を全て休業し、オンラインストアでの販売も停止。10月には、ロシア事業をアラブ首長国連邦を拠点とするダヘル・グループ(DAHER GROUP)に売却することで初期合意に至ったと発表した。なお、ウクライナにある82店は現在も休業中だ。また、7月には「ベルシュカ」「プル&ベアー」「ストラディバリウス」が中国市場から完全撤退している。しかし、コロナ禍の影響が和らいだことなどから、全世界で見ると小売店での売り上げは同23%増となったほか、ECも同4%増と好調だった。

 オスカー・ガルシア・マセイラス(Oscar Garcia Maceiras)最高経営責任者(CEO)は、アナリスト向けの決算説明会で、「厳しい経済環境の中、トレンディーなコレクションと高いセルスルー率(小売店での実売率)といった強いビジネスモデルのおかげで素晴らしい業績を上げることができた」と述べた。なお、インフレの進行のため年間を通じて値上げを実施したが、売り上げに影響はなかったという。

 インディテックスは、23年度に設備投資として16億ユーロ(約2256億円)を計上している。これは物流施設の自動化や最適化のほか、店舗のアップグレードおよびオムニチャネル化の推進に使用する。スペインに次いで2番目の規模である米国市場にも投資する予定で、今後2年で主要なものだけでも約30のプロジェクトを実施する。

 同社はまた、スペインで労働環境に関するデモなどがあったことを受け、23年度は国内従業員の給与を平均20%引き上げることで労働組合と合意。マセイラスCEOによれば、賃上げ分は23年度予算に織り込み済みであり、大きな影響はないという。

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プラダ、22年通期は24%増収 日本市場も売り上げ24%増と好調

 プラダ グループ(PRADA GROUP)の2022年12月期決算は、売上高が前期比24.8%増の42億100万ユーロ(約6007億円)、調整後EBIT(利払前・税引前利益)は同69.3%増の8億4500万ユーロ(約1208億円)、純利益は同58.1%増の4億6500万ユーロ(約664億円)だった。

 地域別での売上高は、ヨーロッパが同58.4%増の11億8700万ユーロ(約1697億円)、南北アメリカは同36.7%増の7億8200万ユーロ(約1118億円)、下半期が特に好調だった日本は同24.2%増の3億6900万ユーロ(約527億円)といずれの地域も2ケタ成長となった。しかし、複数回にわたるロックダウンの影響を受けた中国市場を抱えるアジア太平洋地域(日本を除く)は、同3.3%増(現地通貨ベースでは2%減)の12億3200万ユーロ(約1761億円)だった。

 ブランド別に見ると、主力の「プラダ」の売り上げは現地通貨ベースで同25%増、「ミュウミュウ(MIU MIU)」は同20%増といずれも好調だった。部門別でも、ウエアが同27%増、レザーグッズは同18%増、フットウエアは同29%増とバランスよく成長。販売チャネル別では、小売りが既存店ベースで同24%増だったほか、ECも2ケタ成長と好調だった。

 パトリツオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)=エグゼクティブ・ディレクターは、「ブランドの勢いや顧客とのより深いエンゲージメント、そして事業戦略を厳格に遂行することにより、22年も素晴らしい業績となった。小売りが売り上げをけん引し、全ての商品カテゴリーや地域で好調だったため、コロナ禍の影響による中国市場での不調を相殺できた」と語った。

 同氏はまた、23年1月に新たな最高経営責任者(CEO)として、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の戦略開発シニア・アドバイザーを務めていたアンドレア・グエラ(Andrea Guerra)を迎え、それに伴い自身が共同CEOを退任してエグゼクティブ・ディレクターに就任したことについてもコメント。「組織の変化により、グループは根本的な進化を遂げた。22年は(ブランドの)ポジショニングを強化するとともに、組織もいっそう強化した。23年は戦略の遂行をさらに推進し、持続的かつ安定した成長を続けていく」と述べた。なお、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)共同CEOも同職を退任している。

 これらの人事は、いずれ2人の息子であるロレンツォ・ベルテッリ(Lorenzo Bertelli)=プラダ グループCSR部門ヘッドを後継者とするための地固めだ。新CEOの任命を発表した際、2人は「持続的かつ安定した事業の成長のため、次期CEOとなることを快諾してくれたアンドレアに感謝する」と述べている。

 グエラ新CEOは、「会社が発展していく、非常にエキサイティングでエネルギーに満ちた時期にプラダ グループに加わることができ、とてもうれしく思う。比類のないクリエイティブなビジョンと、商業的な強みを持ち合わせている当社は、さらに大きく成長できるものと確信している。ブランドの発展、販売網の見直し、生産力の向上に引き続き投資していく。23年も、市場平均以上の成長率となるものと期待している」と話した。

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「ステュディオス」 のTOKYO BASEが最終赤字へ 23年1月期、中国で退店相次ぐ

  TOKYO BASE(谷正人CEO)の2023年1月期の通期連結業績は、新型コロナウイルス感染拡大による厳しい行動規制があった中国での業績が回復におよばず、純損益が5億3900万円の赤字(11カ月の変則決算だった22年1月期は7億6200万円の黒字)だった。現地の一部地域および商業施設からの退店などを主な理由とし、特別損失4億7400万円を計上した。売上高は191億円(同176億円)、営業利益は2億1500万円(同9億4600万円)だった。

 海外初進出となった「ステュディオス(STUDIOUS)」香港店を19年に移転増床した「ステュディオス トウキョウ 香港店」をはじめ、中国本土初進出となった「ステュディオス トウキョウ 上海店」、中国で初めてのEC展開となった得物店を退店したほか、「ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)」や「パブリックトウキョウ(PUBLIC TOKYO)」の業態でも北京ラッフルズ店、中国最大のECモール「Tモール」店を退店した。期末の実店舗数は国内58店舗、海外28店舗となる。

 24年1月期は、売上高で前期比4.3%増の200億円、営業利益で約7倍の15億円、純損益で10億円の黒字転換を見込む。

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ヤーマンが4月期業績予想を下方修正 中国売り上げのペースダウンなどが影響

 ヤーマンは2023年4月期業績予想を下方修正する。高価格帯商品の需要低迷が見られはじめたほか、中国売り上げがペースダウンしつつあること、新カテゴリー(ヘアケア・シェーバーほか)への先行投資などにより、売上高を430億円(修正前は500億円)、営業利益を62億円(同100億円)、経常利益を62億円(同96億円)、純利益を40億円(66億円)に見直した。

 上半期における中国国内向けの販売が好調であったことなどから、22年5月〜23年1月期の売上高は前年同期比11.7%増の353億円と過去最高を記録したが、国内外問わず不明確・不安定な要因が多く、業績を修正する。今期は、中期経営計画の最終年度で、「売上高500億円、営業利益率20%」を目標に掲げたが達成が難しい状況となった。しかし、将来の業績拡大に向け、新カテゴリーであるヘアケア・シェーバーへの広告宣伝、さらなる新カテゴリー創出に向けた技術開発、グローバル展開強化のための各種認証取得への対応については、積極的に投資する。

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アルビオン22年12月期は国内堅調で増収増益 「アルビオン」中国の代理店契約終了

 アルビオンの2022年12月期決算は、メイクアップの好調や国内売り上げの回復が寄与し、売上高が前期比1.4%増の557億円、営業利益が約45倍(同3452%増)の33億円、純利益が約21倍(同1065%増)の29億円だった。なお、22年度から決算期を3月から12月に変更している。

 部門別では、営業本部(国内)の売上高が同4.6%増だった。チャネル別は専門店が1.2%増、百貨店が12.7%増と好調に推移した。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」の売上高が同2.2%減、「イグニス(IGNIS)」が同3.7%減、「エレガンス(ELEGANCE)」が同25.8%増だった。「アルビオン」「イグニス」は前年に届かなかったが、「エレガンス」は日本在住の外国人バイヤーによるフェイスパウダー“ラ プードル”の購入が目立ち、全体の売り上げを押し上げた。一方で「仮に外国人バイヤーの売り上げを除いた場合、われわれの資産では13~15億円の営業損失になるところだった。数字は表面上悪くはないが、内容を見ると課題の多い1年だった」(小林章一アルビオン社長)と振り返る。カテゴリー別では、全体の構成比が58.8%を占めるスキンケアの売上高は同1.6%減、ベースメイクは同18.8%増、ポイントメイクは同18.8%増だった。

 22年8月にデビューしたスキンケアシリーズ“フラルネ(FLARUNE)”の販売実績は、21年の“エクサージュ”と比較すると、売上高は同9.2%増、販売個数は11.9%増だった。小林社長は、「デビュー時には広告を全く打たなかったが、順調な滑り出しを見せた」と話す。客層は、想定していた20~30代客が中心で、売り上げの8割を占めている。

 国際事業部の売上高は同9.4%減だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE)」が同5.4%増、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同35.4%減、「アルビオン」が同8.2%減だった。

 「ポール & ジョー ボーテ」は、化粧下地“ファンデーション プライマー”の売り上げが同14%増、9月に発売したクリームファンデーション“フォンダン クリーム ファンデーション”がけん引しベースメイク全体が好調だったが、11月に発売したアドベントカレンダーコフレが不調だった。小林勇介・専務 国際事業本部 本部長は「今年度は、とにかくプライマーの魅力を積極的にアプローチし、新客獲得に注力する。また、今秋に新しいファンデーションを発売する予定だ。SNSや店頭含め、プロモーションを強化する」と話す。「アナ スイ コスメティックス」は21年に百貨店の取り扱いを停止したが、昨年から新たに直営店で展開し「今年度はさらにブランドの魅力を発揮できるように環境を整えていく」(小林専務)という。

 「アルビオン」は、ロックダウンが影響した中国は低迷したが、韓国や台湾などは前年をクリアした。「中国においては、これまで専門店を中心に代理店ビジネスを約20年続けてきたが、昨年12月に終了した。近年、取り引きをしていない商品がウエブで販売されるなど、専門店のビジネスを通じて流通の把握が困難になっていた」(小林専務)と説明。今後、中国事業は同社が直接運営する新体制を敷くという。5月には、22年5月に刷新した“薬用スキンコンディショナー エッセンシャルN”を中国で販売する予定だ。直営店のオープンも控えており、Tモール(天猫国際、T MALL)や免税店においても積極的な活動を行う。

 今年は同社の強みである美容体験などの店頭活動に集中する。小林社長は、「アルビオンはこれまでの歴史の中で、1回も広告で売り上げを伸ばしたことはない。店頭で目の前のお客さま一人一人に触れる活動を通じて、商品を実感・納得していただき、着実にお客さまを増やしてきた。マスク着用の義務化が解除されたことも受け、本年度はさらにお客さまに満足していただける活動を徹底していきたい」と力強く意気込みを語った。

 なお、「アルビオン」の美容液“エクラフチュール”を5月18日にリニューアル発売する。さらに、同ブランドから新たにメイクアップシリーズ“アルビオン スタジオ(ALBION STUDIO)”(全5種、価格帯3000~5500円)を立ち上げ、8月18日に発売する。メイクアップベース、ファンデーション、ハイライト、部分ファンデーション、フェイスバウダーをラインアップする。

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ケリング、「グッチ」や「バレンシアガ」の不調で22年第4四半期は減収 「結果に満足していない」とCEO

 ケリング(KERING)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比15.3%増の203億5100万ユーロ(約2兆9508億円)、営業利益は同11.4%増の55億8900万ユーロ(約8104億円)、純利益は同13.8%増の36億1400万ユーロ(約5240億円)だった。

 地域別の売上高は、アメリカ人観光客が増加した西欧が同37.6%増の55億6600万ユーロ(約8070億円)、北米は同18.4%増の55億4700万ユーロ(約8043億円)、日本は同22.8%増の12億4400万ユーロ(約1803億円)といずれも2ケタ成長となった。しかし、コロナ禍による厳しい外出規制措置が取られた中国を抱えるアジア太平洋地域(日本を除く)は同1.9%減の65億6800万ユーロ(約9523億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同7.8%増の104億8700万ユーロ(約1兆5206億円)だった。しかし、同ブランドは中国市場への依存度が比較的高いことから、22年10~12月期(第4四半期)はコロナ禍による混乱のため前年同期比11.0%減となった。

 同ブランドは現在、転換期にある。22年11月に退任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)前クリエイティブ・ディレクターの後任として、23年1月28日に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」出身のサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を任命。ほぼ無名の同氏によるデビューショーは、23年9月のミラノ・ウィメンズ・ファッション・ウイークになる予定だ。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)によれば、後任の選定に当たり、候補者には課題として「グッチ」の未来に関するビジョンを一から作り上げた提案書と、同じく「グッチ」のアーカイブをベースにした提案書の作成を求めた。後者はブランドのヘリテージと現代性を融合する力量を見るためのものだが、デ・サルノ新クリエイティブ・ディレクターは、ブランドの現代的な解釈と時代に左右されないタイムレスな魅力の両方の表現に優れていたという。

 また、「グッチ」は富裕層向けのプライベートブティック、“サロン(Salon)”を新たにオープンする。オーダーメードのスーツケースやトランク、エキゾチックレザー製のグッズ、家具、ハイジュエリーなど、4万~300万ユーロ(約580万~4億3500万円)の商品を中心に取り扱う。4月にまずロサンゼルス・メルローズにオープンし、将来的には旗艦店のワンフロアを“サロン”として使用する可能性もあるようだ。

 ほかの主なブランドとして、「サンローラン(SAINT LAURENT)」の売上高は前期比30.9%増の33億ユーロ(約4785億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同15.8%増の17億4000万ユーロ(約2523億円)といずれも好調だった。

 なお、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が属するその他のメゾン部門の売上高は、同17.9%増の38億7400万ユーロ(約5617億円)だった。一方で、第4四半期は前年同期比2.8%減となっている。これは主に「バレンシアガ」のホリデーキャンペーンが児童虐待に当たるとしてSNSなどで厳しく批判されたことの影響だと見られている。

 本件に関して降格や解雇処分がなかったことについて、ピノー会長兼CEOはプレス向けの決算説明会で、「誰しも間違いはある」と説明。「デムナ(Demna)=クリエイティブ・ディレクターの才能と、セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)CEOのリーダーシップにより、この難しい問題を乗り越えられるものと確信している」と語った。また、ジャン・フランソワ・パル(Jean-Francois Palus)=ケリング マネジング・ディレクターは、再発防止策としてマーケティングコンテンツを監督するエージェンシーを採用したほか、グループレベルで各ブランドの安全性を管理するポジションの新設も検討していると述べた。同氏はまた、「本件の影響は薄れつつある。23年4~6月期には終わるだろう」とコメントした。

 こうした複数の要因により、ケリングの22年第4四半期の売上高は同2.3%減(現地通貨ベースでは7%減)の52億8400万ユーロ(約7661億円)だった。ピノー会長兼CEOは、アナリスト向けの決算説明会で、「第4四半期の結果には満足していない。(『グッチ』と『バレンシアガ』には)大きなポテンシャルがあるし、大きな期待を抱いている」と語った。

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ケリング、「グッチ」や「バレンシアガ」の不調で22年第4四半期は減収 「結果に満足していない」とCEO

 ケリング(KERING)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比15.3%増の203億5100万ユーロ(約2兆9508億円)、営業利益は同11.4%増の55億8900万ユーロ(約8104億円)、純利益は同13.8%増の36億1400万ユーロ(約5240億円)だった。

 地域別の売上高は、アメリカ人観光客が増加した西欧が同37.6%増の55億6600万ユーロ(約8070億円)、北米は同18.4%増の55億4700万ユーロ(約8043億円)、日本は同22.8%増の12億4400万ユーロ(約1803億円)といずれも2ケタ成長となった。しかし、コロナ禍による厳しい外出規制措置が取られた中国を抱えるアジア太平洋地域(日本を除く)は同1.9%減の65億6800万ユーロ(約9523億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同7.8%増の104億8700万ユーロ(約1兆5206億円)だった。しかし、同ブランドは中国市場への依存度が比較的高いことから、22年10~12月期(第4四半期)はコロナ禍による混乱のため前年同期比11.0%減となった。

 同ブランドは現在、転換期にある。22年11月に退任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)前クリエイティブ・ディレクターの後任として、23年1月28日に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」出身のサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を任命。ほぼ無名の同氏によるデビューショーは、23年9月のミラノ・ウィメンズ・ファッション・ウイークになる予定だ。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)によれば、後任の選定に当たり、候補者には課題として「グッチ」の未来に関するビジョンを一から作り上げた提案書と、同じく「グッチ」のアーカイブをベースにした提案書の作成を求めた。後者はブランドのヘリテージと現代性を融合する力量を見るためのものだが、デ・サルノ新クリエイティブ・ディレクターは、ブランドの現代的な解釈と時代に左右されないタイムレスな魅力の両方の表現に優れていたという。

 また、「グッチ」は富裕層向けのプライベートブティック、“サロン(Salon)”を新たにオープンする。オーダーメードのスーツケースやトランク、エキゾチックレザー製のグッズ、家具、ハイジュエリーなど、4万~300万ユーロ(約580万~4億3500万円)の商品を中心に取り扱う。4月にまずロサンゼルス・メルローズにオープンし、将来的には旗艦店のワンフロアを“サロン”として使用する可能性もあるようだ。

 ほかの主なブランドとして、「サンローラン(SAINT LAURENT)」の売上高は前期比30.9%増の33億ユーロ(約4785億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同15.8%増の17億4000万ユーロ(約2523億円)といずれも好調だった。

 なお、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が属するその他のメゾン部門の売上高は、同17.9%増の38億7400万ユーロ(約5617億円)だった。一方で、第4四半期は前年同期比2.8%減となっている。これは主に「バレンシアガ」のホリデーキャンペーンが児童虐待に当たるとしてSNSなどで厳しく批判されたことの影響だと見られている。

 本件に関して降格や解雇処分がなかったことについて、ピノー会長兼CEOはプレス向けの決算説明会で、「誰しも間違いはある」と説明。「デムナ(Demna)=クリエイティブ・ディレクターの才能と、セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)CEOのリーダーシップにより、この難しい問題を乗り越えられるものと確信している」と語った。また、ジャン・フランソワ・パル(Jean-Francois Palus)=ケリング マネジング・ディレクターは、再発防止策としてマーケティングコンテンツを監督するエージェンシーを採用したほか、グループレベルで各ブランドの安全性を管理するポジションの新設も検討していると述べた。同氏はまた、「本件の影響は薄れつつある。23年4~6月期には終わるだろう」とコメントした。

 こうした複数の要因により、ケリングの22年第4四半期の売上高は同2.3%減(現地通貨ベースでは7%減)の52億8400万ユーロ(約7661億円)だった。ピノー会長兼CEOは、アナリスト向けの決算説明会で、「第4四半期の結果には満足していない。(『グッチ』と『バレンシアガ』には)大きなポテンシャルがあるし、大きな期待を抱いている」と語った。

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ケリング、「グッチ」や「バレンシアガ」の不調で22年第4四半期は減収 「結果に満足していない」とCEO

 ケリング(KERING)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比15.3%増の203億5100万ユーロ(約2兆9508億円)、営業利益は同11.4%増の55億8900万ユーロ(約8104億円)、純利益は同13.8%増の36億1400万ユーロ(約5240億円)だった。

 地域別の売上高は、アメリカ人観光客が増加した西欧が同37.6%増の55億6600万ユーロ(約8070億円)、北米は同18.4%増の55億4700万ユーロ(約8043億円)、日本は同22.8%増の12億4400万ユーロ(約1803億円)といずれも2ケタ成長となった。しかし、コロナ禍による厳しい外出規制措置が取られた中国を抱えるアジア太平洋地域(日本を除く)は同1.9%減の65億6800万ユーロ(約9523億円)だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同7.8%増の104億8700万ユーロ(約1兆5206億円)だった。しかし、同ブランドは中国市場への依存度が比較的高いことから、22年10~12月期(第4四半期)はコロナ禍による混乱のため前年同期比11.0%減となった。

 同ブランドは現在、転換期にある。22年11月に退任したアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)前クリエイティブ・ディレクターの後任として、23年1月28日に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」出身のサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を任命。ほぼ無名の同氏によるデビューショーは、23年9月のミラノ・ウィメンズ・ファッション・ウイークになる予定だ。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者(CEO)によれば、後任の選定に当たり、候補者には課題として「グッチ」の未来に関するビジョンを一から作り上げた提案書と、同じく「グッチ」のアーカイブをベースにした提案書の作成を求めた。後者はブランドのヘリテージと現代性を融合する力量を見るためのものだが、デ・サルノ新クリエイティブ・ディレクターは、ブランドの現代的な解釈と時代に左右されないタイムレスな魅力の両方の表現に優れていたという。

 また、「グッチ」は富裕層向けのプライベートブティック、“サロン(Salon)”を新たにオープンする。オーダーメードのスーツケースやトランク、エキゾチックレザー製のグッズ、家具、ハイジュエリーなど、4万~300万ユーロ(約580万~4億3500万円)の商品を中心に取り扱う。4月にまずロサンゼルス・メルローズにオープンし、将来的には旗艦店のワンフロアを“サロン”として使用する可能性もあるようだ。

 ほかの主なブランドとして、「サンローラン(SAINT LAURENT)」の売上高は前期比30.9%増の33億ユーロ(約4785億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同15.8%増の17億4000万ユーロ(約2523億円)といずれも好調だった。

 なお、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が属するその他のメゾン部門の売上高は、同17.9%増の38億7400万ユーロ(約5617億円)だった。一方で、第4四半期は前年同期比2.8%減となっている。これは主に「バレンシアガ」のホリデーキャンペーンが児童虐待に当たるとしてSNSなどで厳しく批判されたことの影響だと見られている。

 本件に関して降格や解雇処分がなかったことについて、ピノー会長兼CEOはプレス向けの決算説明会で、「誰しも間違いはある」と説明。「デムナ(Demna)=クリエイティブ・ディレクターの才能と、セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)CEOのリーダーシップにより、この難しい問題を乗り越えられるものと確信している」と語った。また、ジャン・フランソワ・パル(Jean-Francois Palus)=ケリング マネジング・ディレクターは、再発防止策としてマーケティングコンテンツを監督するエージェンシーを採用したほか、グループレベルで各ブランドの安全性を管理するポジションの新設も検討していると述べた。同氏はまた、「本件の影響は薄れつつある。23年4~6月期には終わるだろう」とコメントした。

 こうした複数の要因により、ケリングの22年第4四半期の売上高は同2.3%減(現地通貨ベースでは7%減)の52億8400万ユーロ(約7661億円)だった。ピノー会長兼CEOは、アナリスト向けの決算説明会で、「第4四半期の結果には満足していない。(『グッチ』と『バレンシアガ』には)大きなポテンシャルがあるし、大きな期待を抱いている」と語った。

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YKKは好調から一転、下期失速、1.7%の減益 期初見通しを大きく下回る 23年3月期

 YKKは、2023年3月期のファスナー事業が売上高が前年比8.7%減の3801億円、営業利益が同1.7%減の416億円、ファスナー販売数量は93.9億本(前年は102.9億本)になりそうだと発表した。売上高以外は期初の見通しを大きく下回った。上期は堅調に推移していたものの、下期に入ると米国市場が震源地となり、流通在庫の増加に伴うアパレル・小売側の急激な発注減により、アジア地域でのアパレル生産が急減した。YKKは巻き返しのため、4月から営業本部の一部機能をベトナムに移転するほか、世界各国のファスナー工場に各地域の状況に応じて開発したファスナー機械の供給を開始する。大谷裕明社長は「22年3月期からスタートした中期経営計画の中で、『より良いものを、より安く、より早く、よりサステナブルに』を掲げているが、中でも今は瞬発力の重要度がどんどん高まっている。大量のオーダーを瞬時に供給できる体制作りが急務。積極的に投資する」と語り、デジタルを活用した無停止・無人生産ラインの構築を柱としたスマートファクトリーの実現に向けて、本格的な研究開発をスタートした。

 ベトナムに移転するのは、営業本部の商品戦略部の一部機能で、東京からは約20人ほどが異動するほか、現地でもナショナルスタッフを雇用する。大谷社長は「コロナ禍を挟んで、世界のアパレル生産の構造が一変しつつある」と指摘。YKKが独自に集計したアパレルの加工貿易統計によると、2010年に51%だった中国のシェアは21年度に30%に減少する一方、ベトナムは10年8%→21年18%に、バングラデシュも10年6%→22年12%に拡大した。ベトナム、バングラデシュを合計するとすでに中国と匹敵する規模になり、22年以降もこの傾向はさらに加速する。「想定以上のスピードで世界情勢と事業環境が変化している。ベトナムもこれまではスポーツを中心とした縫製拠点だったものの、アイテムもカジュアルウエアやボトムスにも広がっている。中長期的なスパンで考えると、ベトナムの重要性はますます高まる」と大谷社長。

 コロナ禍の反動で22年3月期はファスナー販売が過去最高の102.9億本に達するなど、世界的なアパレル生産の増産景気で好調だった。23年3月期も9月までは堅調に推移したものの、「米国を筆頭にインフレが進み、限られた可処分所得の中で衣料品消費に急ブレーキがかかっている。定番アイテムのようにシーズン性がない物より、シーズンごとに新商品を出すようなアイテムの動きが特に悪く、流通在庫が積み上がり、発注にも急ブレーキがかかった」という。売上高こそ原燃料高騰で価格転嫁を行い、期初の計画比で7.8増になったものの、ファスナーの販売数量は前年比12.5%減、営業利益は17.1%減と大きく減少した。

 YKKはジーンズやスポーツウエア、高級バッグ・雑貨分野で高いシェアを有しており、世界のアパレル産業の先行指標の一つになっている。同社の22年度下期以降の業績下振れは、世界のアパレルの上半期の業績と連動しそうだ。

 23年度はサステナビリティへの対応も強化する。繊維部材を再生ポリエステル糸に切り替えた環境配慮型ファスナー「ナチュロン」は、22年度に全体の25%だったが、23年には44%、30年度には100%に拡大する。繊維部材は再生ポリエステル糸を使っているが、今後はエレメント(引き手)なども再生材化する。

 24年3月期の見通しは売上高3942億円、営業利益497億円、ファスナー販売数量は100.8億本を計画する。大谷社長は「有力な需要家の動向を踏まえると、23年上期までは不透明感が続くものの、下期からは回復に向かう」として、設備投資は448億円と、前年の378億円から大幅に積み増す。中国やASEANで240億円を投じて生産能力を引き上げるほか、日本でも黒部事業所へのDX投資などで118億円を投じる。

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春到来でオケージョン商品好調 ユニクロ、アダストリア、ユナイテッドアローズ2月度は20%増超え

 専門店チェーン、セレクトショップの2023年2月度売上高(既存店ベース)は、10日前後から気温が急上昇したことにより、各社で春物が好調に動き出した。入卒対応など、オケージョンシーン向け商品が売れ筋となり、客単価も上昇している。

 国内ユニクロは前年同月比21.3%増。寒さが厳しかった昨年2月が同14.0%減と落としていたという面はあるが、テレビCMで打ち出している“タックワイドパンツ”のほか、“感動ジャケット”“感動パンツ”、ユーティリティーブルゾンなど、「春物の高単価商品がプロパーでしっかり売れている」(広報担当者)。客単価は同16.8%増。スプリングニットやシャツなども売れ筋となっている。

 良品計画の「無印良品」は、同8.6%減と9カ月連続の前年割れだが、22年秋からテコ入れを進めている衣服・雑貨に限れば同3.9%増(前年は同14.5%減)。4カ月ぶりに前年実績を超えた。気温上昇で「春物衣料を中心に好調に推移」(発表資料から)した。今春値上げしている生活雑貨は、値上げ前の駆け込み購入の反動で同16.7%減。

 しまむらの「ファッションセンターしまむら」は同112.2%増。同社は1月21日〜2月20日集計のため、1月下旬の気温低下により、冬物が好調。暖かくなるのに伴い、シャツやジーンズなどの春物も動いた。

 アダストリアも同24.8%増と大幅増。「1月30日〜2月5日に自社ECで1000円オフクーポンを配信したことも寄与したが、月の中〜下旬にかけては春物がプロパー価格でしっかり売れた」と広報担当者。売れ筋はセレモニーにも対応できるジャケットや、ブラウスとパンツのセットアップなど。21日にECで発売した「フォーエバー21(FOREVER 21)」は「予定通りで堅調な滑り出し」という。

 ユナイテッドアローズも同25.3%増。メンズスーツやウィメンズのセットアップ、ブラウスなど、「ビジネス、フォーマルアイテムが好調だったことに加え、気温上昇でカジュアルウエアのニーズも活発化した」(発表資料から)。

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JR名古屋高島屋・バレンタイン商戦で売上高34億円 10年前の3倍以上に

 ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)は、1月19日から2月14日まで開催したバレンタイン催事「2023アムール・デュ・ショコラ」の売上高が過去最高の34億円以上に達したと発表した。前年開催に比べて42%増えた。来店客数は27%増の70万人以上になった。会期は前年開催に比べて1日増え、会場面積も拡大しているが、ご褒美チョコの人気ぶりがうかがえる。

 バレンタイン催事は今や百貨店の花形イベントだが、JR名古屋高島屋は日本最大級の規模として知られる。今回も10階のメイン会場のほか、1 ・3・4・5・9階にサテライト会場を置き、さらに昨年3月にイオンモール岡崎に開いた「タカシマヤフードメゾン」内でも催しを行った。海外を含めて150ブランド、およそ2500種類のチョコレートをそろえた。

 新型コロナウイルスが感染拡大する前の20年開催の来店客数100万人を3割下回ったものの、客単価が大幅に伸びたため、売上高は上回っている。原材料であるカカオの価格高騰や物流費などの上昇によって、菓子店の商品価格は前年開催に比べて5〜20%上がっている。それでも有名パテシエのブランドには客が殺到し、まとめ買いする人の姿も多く見られた。「オードリー」「メゾンカカオ」「クラブハリエ」などが人気を集めた。

 「アムール・デュ・ショコラ」は同店が開業した翌年の01年にスタート。当時は売上高5000万円程度だった。だがその後、他店に先駆けてチョコ販売に必要な冷蔵ケースを大量に抑えることで、人気ブランドの誘致に弾みがつき、13年には10億円を突破。開催を重ねるごとに売り上げ規模を拡大している。

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阪急本店のバレンタイン商戦は過去最高売り上げ 百貨店2月度は各社2〜3割の増収

 百貨店主要5社の2023年2月度業績は、おしなべて2〜3割の増収だった。新型コロナ影響が薄れるとともに、上〜中旬のバレンタイン商戦が来店につながった。阪急阪神百貨店の阪急本店は、バレンタイン関連の売上高が29億円となり、20年の25億円を上回って過去最高を更新した。

 各社の前年同月と比較した2月度業績は、三越伊勢丹が35.8%増(20年2月比37.2%増)、高島屋が20.4増(同11.6%増)、大丸松坂屋百貨店が26.6%増(同18.7%増)、そごう・西武が20.5%増(同3.0%増)、阪急阪神百貨店が30.9%増(同約2%増)。

 エリア別に見ると、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾などの高額商品が好調な都心店がけん引する。そごう・西武の西武池袋本店は前年同月比19.9%増、20年2月比でも8.2%増。高島屋も大阪店が前年同月比22.6%増、新宿店が同35.6%増と大きく伸ばした。阪急阪神百貨店の阪急本店は前年同月比30.6%増で、都心店全体でも約4割増だった。三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、月次売上高が11カ月連続で18年実績を上回っている。

 20年2月と比較した免税売上高は、高島屋が99.3%増、大丸松坂屋百貨店が16.8%増と伸長。引き続き韓国、台湾、香港など、中国以外のアジア人観光客の購買が支えている。

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阪急本店のバレンタイン商戦は過去最高売り上げ 百貨店2月度は各社2〜3割の増収

 百貨店主要5社の2023年2月度業績は、おしなべて2〜3割の増収だった。新型コロナ影響が薄れるとともに、上〜中旬のバレンタイン商戦が来店につながった。阪急阪神百貨店の阪急本店は、バレンタイン関連の売上高が29億円となり、20年の25億円を上回って過去最高を更新した。

 各社の前年同月と比較した2月度業績は、三越伊勢丹が35.8%増(20年2月比37.2%増)、高島屋が20.4増(同11.6%増)、大丸松坂屋百貨店が26.6%増(同18.7%増)、そごう・西武が20.5%増(同3.0%増)、阪急阪神百貨店が30.9%増(同約2%増)。

 エリア別に見ると、ラグジュアリーブランドや時計、宝飾などの高額商品が好調な都心店がけん引する。そごう・西武の西武池袋本店は前年同月比19.9%増、20年2月比でも8.2%増。高島屋も大阪店が前年同月比22.6%増、新宿店が同35.6%増と大きく伸ばした。阪急阪神百貨店の阪急本店は前年同月比30.6%増で、都心店全体でも約4割増だった。三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、月次売上高が11カ月連続で18年実績を上回っている。

 20年2月と比較した免税売上高は、高島屋が99.3%増、大丸松坂屋百貨店が16.8%増と伸長。引き続き韓国、台湾、香港など、中国以外のアジア人観光客の購買が支えている。

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ギンザ シックス売上高が過去最高 22年、高級ブランドけん引

 ギンザ シックスは、2022年の売上高が17年に開業してから過去最高になったと発表した。具体的な金額は明らかにしていないが、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年に比べて10%強増加した。昨年10月の入国規制解除による訪日客の回復も追い風になったが、国内客の売上高が19年比で45%も伸びている。特に20〜40代の男性による高額品の消費が活発になった。ラグジュアリーブランドがけん引した。

 ギンザ シックスは大丸松坂屋百貨店、Lキャタルトンリアルエステート、住友商事が出資するGINZA SIXリテールマネジメントが運営する。銀座の中央通りに面した「「ディオール」「セリーヌ」「サンローラン」「ヴァン クリーフ&アーペル」「ヴァレンティノ」「フェンディ」をはじめとしたラグジュアリーブランドの旗艦店が充実した高級ショッピングモールだ。

 ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品といった高額品が消費を引っ張る傾向は、コロナを経て一層強まった。伊勢丹新宿本店も23年3月期は売上高が過去最高の3000億円を超える見通し。特選フロアを増床したジェイアール名古屋タカシマヤも22年の売上高が過去最高を更新し、1658億円になった。やはり富裕層の顧客が多い六本木ヒルズも23年3月期の商業施設の売上高は、過去最高を狙えるペースで進捗している。

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エルメス、22年は29%増収 今年は7~10%の値上げを予定

 エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2022年12月期決算は、売上高が前期比29.1%増の116億200万ユーロ(約1兆6590億円)、営業利益は同33.1%増の46億9700万ユーロ(約6716億円)、純利益は同37.7%増の33億6700万ユーロ(約4814億円)だった。

 地域別の売上高は、米国の観光客が増加したフランスが同26.9%増の10億6400万ユーロ(約1521億円)、フランス以外のヨーロッパは同17.8%増の15億3600万ユーロ(約2196億円)、日本は12.6%増の11億100万ユーロ(約1574億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同30.7%増の55億5600万ユーロ(約7945億円)、南北アメリカは同46.6%増の21億3800万ユーロ(約3057億円)だった。なお、中国市場は厳しいロックダウン措置が取られていた時期でもECによって売り上げをある程度維持していたことから、10~12月期(第4四半期)の売上高は前年同期比24.7%増、通期でも前期比22%増となった。

 カテゴリー別での売上高は、レザーグッズが同21.3%増の49億6300万ユーロ(約7097億円)、衣料・アクセサリーは同42.0%増の31億5200万ユーロ(約4507億円)、シルク・テキスタイルは同25.8%増の8億4200万ユーロ(約1204億円)、香水・ビューティは同16.3%増の4億4800万ユーロ(約640億円)、ウオッチは同54.0%増の5億1900万ユーロ(約742億円)だった。

 アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者(CEO)は、「特に海外市場が好調だったおかげで、22年も素晴らしい業績を上げることができてうれしく思う。これは明確なスタイル、高い機能性、妥協のない品質を追求する当ブランドのアプローチが評価された結果だと考えている」と語った。同氏はまた、アナリスト向けの決算説明会で、「主に中国と米国で、可処分所得が増加した中産階級に属する、より若い新規顧客が増えている。彼らは必ずしも高価格帯の商品を購入するわけではないが、『エルメス』ならではのラグジュアリーを求めて来店し、業績に貢献してくれた」とコメントした。

 ここ数年、生産コストや人件費の上昇を受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグなどの値上げが続いている。「エルメス」も22年に4%程度の値上げを行っているが、23年も7~10%の値上げを実施する予定だという。

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I-ne新中計、25年に売上高550億円へ 新領域のスキンケアと海外市場を強化

 アイエヌイー(I-ne)は16日、2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。ヘアケア・美容家電領域の継続成長を基盤に、スキンケア拡大とグローバル展開の成長加速により、25年12月期の売上高550億円(22年12月期は353億円)、営業利益率13%.0(同9.2%)を掲げる。3カ年で原価や物流、販促の費用構造を段階的に見直し営業利益率の改善を図る。また、28年12月期から30年12月期を目処に売上高1000億円、営業利益率15.0%を目指す。

 具体的な事業戦略は、ヘアケア系カテゴリーは既存ブランド「ボタニスト(BOTANIST)」「ヨル(YOLU)」「ドロアス(DROAS)」においてボディーケアラインやエイジングケアラインなど新商品を投入しブランド拡張を図り、年平均成長率10%で成長させる。また、同社の強みであるデジタルマーケティング力を生かしてヘアケア領域の新ブランド開発も進める。同社によると、2年以内に売上高10億円規模達成をヒットとした場合、近年のヒット率は75%まで再現性を上げているという。これらにより、25年12月期の売上高355億円(22年12月期は235億円)を目指す。

 美容家電カテゴリーは、基幹ブランドの一つである「サロニア(SALONIA)」の主力商品、ヘアドライヤーとヘアアイロンの市場シェア拡大を図るとともに、EMS美顔器や洗顔ブラシなど中〜高価格帯の商品も拡充する。25年12月期の売上高は140億円(22年12月期は93億円)を掲げる。

 スキンケアカテゴリーは、昨年買収した「リンクフェード(WRINKFADE)」を定期購入の新規顧客数拡大と商品ラインアップ拡充により25年12月期の売上高55億円(22年12月期は25億円)を目指す。また、「リンクフェード」のノウハウを生かして現在スキンケア領域で約10ブランドの開発を進めており、今後は新たな注力カテゴリーとして強化する。

 グローバル事業は、中国でライブコマースを中心とする新戦略を実施予定。ドラッグストア大手ワトソンズやアリババ(ALIBABA)が運営するECサイト「Tモール」での販売に継続的に取り組む。また好調な台湾を強化する。米国ではアマゾン(AMAZON)でテスト販売を開始した。グローバル事業の25年12月期の売上高は30億円(22年12月期は9億円)を目指す。

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サマンサ、7期連続の最終赤字へ バッグ販売が低迷

 バッグ大手のサマンサタバサジャパンリミテッドは、2023年2月期連結業績の純損益が20億円の赤字になりそうだと15日に発表した。従来予想は1億円の黒字だった。22年2月期の21億円の赤字から巻き返しを狙ったものの、バッグの稼ぎどきである年末商戦が低調に終わり、計画値に大きく届かなかった。最終赤字は7期連続となる。

 売上高は従来予想307億円を251億円に下方修正する。コロナの感染拡大で商業施設の休業を余儀なくされた22年2月期の253億円を下回る。販管費を抑制したものの、売り上げ不振の穴を埋めることはできず、営業損益も従来予想3億6000万円の黒字を18億円の赤字に修正した。

 同社は名古屋で保有する土地・建物の譲渡を発表。特別利益として譲渡益6億7900万円、特別損失として固定資産にかかる減損損失9億5000万円(未確定)を計上する予定で、最終赤字にはこの金額を織り込んでいる。

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ルックHD最高益 22年12月期、「アー・ペー・セー」など好調で韓国20%増収

 ルックホールディングス(HD)の2022年12月期連結業績は、売上高が546億円、営業利益が37億円、純利益が26億円だった。会計基準の変更に伴い、前期比の比較は出していないが、同じ基準を適用した場合には売上高が11.7%増、営業利益が49.8%増、純利益が同46.8%増となる。中期経営計画で発表した純利益は過去最高を更新した。

 21年12月期に初めて海外と国内が逆転した売上高は、当期も国内275億円(参考前期比0.9%増)、海外332億円(同20.0%増)と成長力の差が出た。海外の大半を占める韓国のアパレル関連売上高が22%増の283億円になった。韓国の好景気を受けてインポートブランドの「サンドロ(SANDRO)」「マージュ(MAJE)」、2月に販売開始した「アー・ペー・セー ゴルフ(A.P.C GOLF)」が想定以上に売れた。

 国内は不採算事業の整理もあって売上高は微増にとどまったが、値引き抑制などの成果もあって営業利益18億円(同56.3%増)と収益性は大幅に改善した。15日に会見した多田和洋社長は「円安によって商品価格を上げたものの、ブランド価値と商品価値が認められ、(主力の)『マリメッコ(MARIMEKKO)』や『イルビゾンテ(IL BISONTE)』などは好調を維持できた」と話した。

 23年12月期は売上高550億円(前期比0.6%増)、営業利益38億円(2.6%増)、純利益28億円(同5.1%増)を予想する。引き続き値引き抑制と在庫コントロールに注力し、収益性を高める。

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エスティ ローダーの22年6〜12月期、中国で再び急増するコロナとドル高で2ケタ減収

 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)の2022年6〜12月期決算は売上高が前年同期比14.0%減の85億5000万ドル(約1兆1286億円)、営業利益が同48.3%減の12億1700万ドル(約1606億円)、純利益が同50.4%減の8億8700万ドル(約1170億円)の減収減益だった。また、10~12月期の売上高は同16.6%減の46億2000万ドル(約6098億円)、営業利益は同60.8%減の5億5600万ドル(約733億円)、純利益は同63.6%減の3億9700万ドル(約524億円)だった。23年6月の通期決算の売上高は同5〜7%落ち込む見込み。

 同社は四半期が進むにつれて逆風が強まった要因として、中国本土における新型コロナウイルスに関する規制や新感染者数の増加を挙げた。これにより中国屈指のリゾート地であり政府主導で免税市場が拡大していた海南島への観光客が激減し、製品出荷も大幅に制限された。中国のその他の地域でも実店舗への客足が制限された。同時に、ドル高に加えインフレ圧力や景気後退への懸念により米国絵の一部の小売業者が在庫を抑制したこともマイナスに影響した。
 
 カテゴリー別では、10〜12月期のスキンケアの売上高は同24.6%減(現地通貨ベースでは同20%減)の23億8200万ドル(約3144億円)、メイクアップが同8.6%減(同3%減)の12億6800万ドル(約1673億円)、フレグランスが同3.1%減(同3%増)の7億7500万ドル(約1023億円)、ヘアケアが同1.1%増(同4%増)の1億8200万ドル(約240億円)だった。スキンケアはコロナによる中国市場の停滞が大きく影響し、「エスティ ローダー」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」「ドクター ジャルト+(DR.JART+)」「クリニーク(CLINIQUE)」が売り上げを落とした。一方で、若年層に人気の「ザ オーディナリー(THE ORDINARY)」は2ケタ成長を達成。「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」も“スージング クレンジング オイル”などのヒーロー製品がけん引し伸長した。

 メイクアップも同様に中国市場が影響したが、他マーケットではメイクアップの習慣が徐々に戻っており、「M・A・C」は“スタジオ フィックス”シリーズのファンデーションなどヒーロー製品が伸び2ケタ成長し、「クリニーク」が90年代に大ブームとなり現在海外で人気が再燃している“オールモスト リップスティック”のブラックハニーが売り上げを底上げした。一方で、「エスティ ローダー」と「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」が伸び悩んだ。フレグランスは各地域で伸び、特に「エスティ ローダー」「ル ラボ(LE LABO)」「トム フォード ビューティ」がけん引した。ヘアケアは「ザ オーディナリー」がヘアケアラインを立ち上げたことに加え、「アヴェダ(AVEDA)」の成長が起因した。

 地域別では、10〜12月期の米州の売上高は同5%減(現地通貨ベースでは同6%減)の12億3500万ドル(約1630億円)、欧州・中東・アフリカが同22.4%減(同18%減)の18億1600万ドル(約2397億円)、アジア太平洋地域が同17.5%減(同8%減)の15億7000万ドル(約2072億円)だった。

 同社は昨年11月、これまでビューティ製品のライセンス契約を結んでいたトム フォード(TOM FORD)社を28億ドル(約3920億円)で買収することに合意したと発表した。これによりファッション事業も手にすることになった。ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)社長兼最高経営責任者(CEO)は会見で、「トム フォードのビューティ事業は今後数年で10億ドル (約1320億円)に達する見込みで、大きなポテンシャルを持っている」と述べた。買収は第4四半期に完了する予定だ。なお、今後のM&Aについてトレイシー・トーマス・トラヴィス(Tracey Thomas Travis)=エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼最高財務責任者は「われわれのM&Aの戦略は市場のホワイトスペースを見ること。中でも注目しているのはスキンケアやフレグランスだ」と語った。

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コーセー2022年12月期は純利益187億円 「コスメデコルテ」は1000億円ブランドへ

 コーセーの2022年12月期連結業績は、中国の不振をハイプレステージブランドと欧米展開の「タルト(TARTE)」がカバーし、売上高が前年比7.5%増の2891億円だった。利益面では「タルト」の原価率が上昇したものの、前年における「ファシオ(FASIO)」と「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」(21年販売終了)の廃棄増加の反動が減ったことで全体の原価率は概ね低下。販管費の抑制効果もあり、営業利益が同41.1%増の221億円、経常利益が同28.8%増283億円、純利益が同68.6%増の187億円となった。前期から決算月を3月から12月に変更し、9カ月(4~12月)の変則決算となるため、前年同期比は前年の比較対象期間に組み替えて算出。

 主力の化粧品事業は、売上高が同7.9%増の2349億円、営業利益が同28.5%増の254億円だった。欧米で展開する「タルト」は、TikTokのプロモーションが奏功し、主力商品や新商品の売れ行きが好調。コロナ前の19年の水準に回復し、原価率の低下とマーケティング費用を抑制し、増収増益だった。ブランド別ではハイプレステージの「コスメデコルテ(DECORTE)」「アルビオン(ALBION)」が中国(トラベルリテール事業除く)と韓国で苦戦したが、日本では好調を継続。「ジルスチュアート(JILLSTUART)」「アディクション(ADDICTION)」も実績を押し上げた。プレステージの主力ブランド「雪肌精」は下半期から回復基調に転じた。

 コスメタリー事業の売上高は6.2%増の522億円、営業利益は同182%増の11億円だった。ヘアケアブランド「ビオリス(BIOLISS)」が苦戦したが、フェイスマスクブランド「クリアターン(CLEAR TURN)」、メイクアップブランドの「ヴィセ(VISEE)」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク(STEPHEN KNOLL NEW YORK)」が好調に推移した。第2四半期以降、化粧品市場の回復基調に伴って売り上げが伸長し、上半期の赤字を挽回した。その他の事業の売上高は同6.3%減の19億円、営業利益は同36.9%増の10億円だった。ホテルやゴルフ場向けアメニティー商品の販売やOEM生産の受注が減少した影響があったものの、売上原価率が低下したことで営業利益を押し上げた。

 地域別では、日本は主要なプレステージのスキンケアブランドが苦戦したものの、百貨店・専門店チャネルにおけるハイプレステージやメイクアップブランドの業績が回復した結果、売上高が同7.3%増の1630億円だった。アジアは、中国が経済活動の抑制で苦戦したが、免税市場で盛り返し、売上高が同0.5%増の807億円だった。北米は、「タルト」が底堅い個人消費で円安効果もあり、売上高が同22.7%増の401億円の増収増益だった。

 2023年は「攻めに転じる」シーズンと捉え、各ブランドで100億円規模の投資を行い、グローバル展開を加速する。「コスメデコルテ」は、“リポソーム”シリーズの認知拡大とハイプレステージブランドとしての地位確立を図る。小林一俊コーセー社長は、「『コスメデコルテ』は国内よりも海外の売り上げ比率が高いが、大半を占める中国では、乳液“プリム ラテ”を中心に中価格帯製品が動いており、高価格帯の“リポソーム”“AQ”“ミリオリティ”の認知度が低い。一過性で終わらせないためにも中国市場に偏らずに、ハイプレステージとしての知名度を高めながら、欧米の大型免税店と組むなど、欧米におけるプレゼンスを高めていく。そして外資系ラグジュアリーコスメと戦えるブランドとして、今期は今までにない投資を行う。将来的に売上高1000億円を目指す」と意欲を燃やす。

 「雪肌精」は、グローバル広告契約を締結した米MLB「ロサンゼルス・エンゼルス(LosAngels Angels)」の大谷翔平選手を起用したプロモーションに注力。ジェンダーレスブランドとしての認知向上を図り、幅広い世代に訴求する。また、リゾートホテルを運営するアマン(AMAN)とのパートナーシップを進め、「グローバルでコーセーの存在感を高める」。

 コスメタリー事業では、ヘアケアブランド「ジュレーム(JE LAIME)」の“リラックス”シリーズを3月に刷新し、苦戦していたヘアカテゴリーの売り上げ回復を目指す。また、累計販売本数700万本を突破した化粧崩れしにくくなるフィックスミスト“メイク キープ ミストEX”はシリーズ化し、3月に発売するフェイスパウダーでカテゴリーのシェア拡大を狙う。

 23年12月期は、円安影響の反動や米国の景気減速を受け、売上高が前期比5.5%増の3050億円、営業利益が同5.1%減の210億円、経常利益が同28.5%減の203億円、純利益が同29.1%減の133億円を見込む。

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スノーピーク最終利益3割減 22年12月期、販売好調も円安響く

 キャンプ用品大手のスノーピークの2022年12月期連結業績は、純利益が前期比28.6%減の19億円だった。売上高は同19.7%増の307億円と引き続き高い伸びを維持しした。しかし急激な円安と原材料の高騰で売上原価が増加し、人材投資によって販管費が増えたため、営業利益は同3.8%減の36億円で終わった。さらに国内既存店舗と英国法人の固定資産に関しての減損損失を7億7500万円計上したため、最終利益が目減りした。

 キャンプ用品の販売自体は好調なため、一部商品の価格改定などを行った上で、今期は再び増収増益を見込む。23年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比17.0%増の360億円、営業利益が同36.1%増の50億円、純利益が同46.4%増の28億円。

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ロレアルの2022年通期決算は市場を上回る成長で売上高5兆円

 ロレアル(L’OREAL)の2022年12月期決算は売上高が前期比10.9%増の382億6000万ユーロ(約5兆4329億円)、営業利益は同21.0%増の74億5690万ユーロ(約1兆588億円)、純利益が同22.6%増の60億5410万ユーロ(約8596億円)だった。サロンヘアケアなどを擁するプロフェッショナルプロダクツ事業が好調だったほか中国本土、インド、ブラジルが大きく成長し、市場予想を上回る2ケタの伸びを記録した。

 事業部別では、サロン向けヘアケア商材を展開するプロフェッショナルプロダクツ事業本部の売上高が同10.1%増の44億7680万ユーロ(約6357億円)で、中国本土とインド、ブラジルが大きく成長した。サロンやECなど全てのチャネルで伸長し、オムニチャネル戦略の成功を裏付けた。ブランドでは10億ユーロ(約1420億円)の大台に乗った「ケラスターゼ(KERASTASE)」と「ロレアル プロフェッショナル(L'OREAL PROFESSIONNEL)」の 金属ストレスに着目したライン“セリエ エキスパート(SERIE EXPERT)”が成長に大きく寄与した。

 コンシューマープロダクツ事業本部は同8.3%増の140億2130万ユーロ(約1兆9910億円)と過去20年で最も高い伸びを記録した。北米と欧州が好調に推移するとともに、中南米とSAPMENA-SSA(南アジア太平洋、中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカ地域)の成長が大幅に加速。メキシコ、インド、ブラジルなどの成長により中国の厳しい市場環境を補い、全ての主要ブランドが市場を上回る業績を達成した。メイクアップは「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」のリップ“SPステイ ヴィニルインク”や「ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX PROFESSIONAL MAKEUP)」のファンデーション“ベアウィズミー”が、スキンケアは「ガルニエ(GARNIER)」の美容液“ビタミンC ブライトニング セラム”が貢献した。

 コンシューマープロダクツ事業本部の売り上げを昨年度上回り、同社最大のカテゴリーとなったリュクス事業本部は、22年も力強い成長を続け売上高は同10.2%増の146億3810万ユーロ(約2兆786億円)を記録した。ラグジュアリー市場で最も速く成長するフレグランスを強化し、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の“リブレ(LIBRE)”や「ランコム(LANCOME)」の“ラヴィエベル(LA VIE EST BELLE)”、「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」の“アクア ディ ジオ(ACQUA DI GIO)”などの世界的ベストセラーが売り上げをけん引した。スキンケアは最先端の研究を取り入れた「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」や「ランコム」の製品や「タカミ(TAKAMI)」を含む近年の買収の成功により市場の3倍の速度で成長。特に下半期の中国市場の大幅な減速など不安定な環境の中、グローバル市場でシェアを拡大。北アジアでポジションが大きく向上した。

 ドクターズコスメなど皮膚科学研究に基づく化粧品を扱うアクティブコスメティックス事業本部はここ数年で規模を倍増させており、22年も同21.9%増の51億2450万ユーロ(約7276億円)と大きく伸長した。同事業本部は北米とSAPMENA-SSA、中国本土で顕著な成果を上げ、全ての地域で2ケタ成長を達成した。中でも最大のブランドである「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」と「セラヴィ(CERAVE)」が同程度の成長率で貢献。「ラ ロッシュ ポゼ」は保湿バーム“シカプラスト”とニキビケアの“エファクラ”シリーズを柱に日焼け止めの画期的なイノベーションにより勢いを持続させた。

 地域別ではヨーロッパが同11.6%増の114億3670万ユーロ(約1兆6240億円)、北米が10.4%増の101億6400万ユーロ(約1兆4432億円)、北アジアが同6.6%増の113億2140万ユーロ(約1兆6076億円)、SAPMENA-SSAが22.4%増の29億6240万ユーロ(約4206億円)、ラテンアメリカが同18.6%増の23億7600万ユーロ(約3373億円)だった。ヨーロッパはフレグランス、メイクアップ、UVケアがコロナ禍前の水準を上回る伸びを示し、グループ最大の成長要因となった。太平洋地域では主にフレグランスとスキンケアカテゴリーが成長をけん引。「ラ ロッシュ ポゼ」と「セラヴィ」の成長が顕著だった。中国本土ではコロナ禍の制限の影響を受けたがEC売り上げを2ケタ伸ばしたほか、日本と韓国でも2ケタ成長を記録した。東南アジアでは「メイベリン ニューヨーク」と「ガルニエ」が好調だった。インドはプロフェッショナルプロダクツ事業本部とコンシューマープロダクツ事業本部が全カテゴリーで売り上げが拡大した。ラテンアメリカはメキシコでスキンケアが、ブラジルでコンシューマープロダクツ事業とリュクス事業が大きく成長した。

 ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は声明で、「イノベーションにおけるリーダーシップ、魅力的なブランド、オペレーションの俊敏性、チームの多大なコミットメントにより目覚ましい業績を達成することができた。事業部と地域間のバランスの取れた成長は、当社の多極化モデルの妥当性を改めて証明するものだ。戦略的に権限を集中・分散させ、強い起業家精神を有するこのモデルは、現在の環境において理想的だ。われわれは現在の不確実性を考慮しつつ将来に対する野心を持ち続け、2023年も市場を上回るパフォーマンスを続けることに自信を持っている」と述べた。

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ワコールHDが創業来初の最終赤字へ 23年3月期、米事業で減損損失

 ワコールホールディングス(HD)の2022年3月〜12月連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比10.7%増の1439億円、営業損益が18億円の赤字(前年同期は61億円の黒字)だった。
 国内ワコールは、売上収益が同10.9%増の746億円、営業利益が同47.2%増の50億円だった。既存顧客による購買は順調に推移し、高価格帯が好調だったが、新規客獲得とボリュームゾーン販売が苦戦し旧大阪事業所の売却益30億円を計上した。
 海外ワコールは、売上収益が同11.9%増の497億円、営業損益が80億円の赤字だった。米ワコールが19年に買収したインティメーツ・オンラインの業績悪化に伴い、のれん代など約101億円の減損損失を計上した。欧州は回復基調にあったが、米ワコールの全般的な不調と中国ワコールのゼロコロナ政策下の行動制限により、実店舗、EC共に苦戦した。ピーチ・ジョン事業は、直営店は好調に推移したが、ECはマーケティングの効果が得られず前年実績を割り、売上収益が同1.0%減の90億円、営業利益は同40.0%減の8億9600万円だった。

 ワコールHDは昨年11月に続き、23年3月期の連結業績予想を下方修正した。修正後は売上収益が1900億円(修正前は2000億円)、営業損益は55億円の赤字(修正前は80億円の黒字)、純損益は40億円の赤字(同80億円の黒字)を予想する。創業以来初の最終損益を見込んでいる。

 昨年11月に発表した国内ワコールの早期退職制度である“フレックス定年制度”に関しては、約250人の募集に対して155人が応募した。この特別運用に伴う費用は約7億円。

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資生堂2022年12月期はコア営業利益が88億円増 「クレ・ド・ポー ボーテ」「NARS」がけん引

 資生堂の2022年12月期連結業績は、ロックダウンやダブルイレブン(独身の日)市場の鈍化が影響した中国事業の落ち込みを欧米事業やトラベルリテール事業でリカバリーしたほか、「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「ナーズ(NARS)」やフレグランスが好調を維持し、売上高が前期比5.7%増の1兆673億円、コア営業利益(営業利益から非経常項目を除き算出)が同20.6%増の513億円、営業利益が53.7%減の465億円、純利益が27.1%減の342億円となった。

 事業別では日本事業の売上高は同8.2%減(実質0.3%増)の2375億円、コア営業損益は130億円の赤字(前期は64億円の黒字)だった。低価格帯が成長を継続したことに加え、9月に実施した「エリクシール(ELIXIR)」主力商品のリニューアルや「プリオール(PRIOR)」が後押し、下期は中価格帯市場が回復基調に転じた。また、「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ」のホリデーコレクション、「シセイドウ」“ビオパフォーマンス”シリーズの新美容液が成長に貢献し、シェアを拡大した。ECは、販売チャネルやブランドごとに提供していた会員サービスを1つに集約した新会員サービス「Beauty Key」の会員が目標を超えて順調に獲得できており、アプリやCRM(顧客関係管理)による購買に寄与した。これら好調要因はあるものの、上期のマイナスをカバーしきれなかった。

 中国事業の売上高は同6.0%減(実質9.8%減)の2582億円、コア営業損益は39億円の赤字(前期は40億円の黒字)だった。断続的なロックダウンに加え、物流にも影響があり苦戦したが、プレステージブランドへの戦略的投資を継続したことで「クレ・ド・ポー ボーテ」「シセイドウ」、「シセイドウ」の最高級ライン“フューチャーソリューション LX”が好調を維持。ECにおいては、中国最大のECの祭典「ダブルイレブン」の市場が減速した一方で、年間の売り上げは成長を実現した。

そのほか、アジアパシフィック事業の売上高が同7.0%増(実質13.0%増)の680億円、米州事業が同13.6%増(実質8.8%増)の1379億円、欧州事業が同24.1%増の1170億円、トラベルリテール事業が同9.8%増(実質4.0%増)の1636億円、プロフェッショナル事業が同38.9%減の93億円、その他が同66.4%増(実質3.4%減)の642億円だった。

 23年12月期の連結業績予想は売上高が同6.3%減(実質11%増)の1兆円、コア営業利益が同16.9%増の600億円、純利益が同18.1%減の280億円を見込む。

中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」を策定

 魚谷雅彦会長CEOは「21〜23年の経営戦略『WIN2023』において、この2年間は厳しい混迷の中、当社が生き残って再度成長するために、収益・技術・マーケティングの面から競争優位とされるスキンケアなどの領域で選択と集中を進めてきた。赤字や優先度を高くできない事業に関しては売却・撤退をし、事業規模2000億円を超える構造改革は、20年度に計画したものに関しては全てやりきった。欧米事業の収益は大きく改善したほか、スキンケアブランドの売り上げ比率は全体の70%を超え、今後の収益基盤が強くなった」と胸を張る。国内生産工場や西日本物流センターの建設を実現させ、IoT技術を導入しながら生産性を高めるなど、安定的に商品原価を下げていく目処が立ってきたという。

 一方で、日本事業の成長性回復の大幅な遅れを課題とした。「コロナ禍の影響が当初の予想よりも2年以上長引いた。マスク着用が定着化したことやインバウンド消費が大きく減少したことが大きな要因にはなっているが、日本事業の厳しい採算の状況が3年続くという中では、これらはもはや成長してないことへの言い訳になってしまうということを、私たち経営陣は強く認識している」と話す。

 今後、一気通貫の組織体制や販管費のコスト構造、組織のカルチャーなどを抜本的に見直し、「3年後の2025年には日本事業で500億円を超える収益を出し、そして社員がやりがいを感じるような健全な企業体質を実現するべく、既にさまざまな取り組みを始めている」と、23年から25年は抜本的な経営改革の3年と位置付け、中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」を策定した。

 同社の強みであるスキンケアにおいて、サンケア事業で日焼け止めブランド「アネッサ(ANESSA)」を「世界一にする」という。また、体内睡眠やストレスなど“体と肌の関係”の知見を深め、健康を高めるためのインナービューティー事業に注力する。さらに、メタバースなどを活用したプラットフォームを構築するなど「23年からは『守り』から『攻め』にシフトする」と述べた。

 ブランドのポートフォリオは「シセイドウ」「クレ・ド・ポー ボーテ」「ナーズ」「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」の4ブランドを全ての地域でグローバル最重点育成ブランドとする。アジアにおいては「エリクシール」「アネッサ」を主軸に地域拡大を行う。また、メイク市場においては、スキンケアのみならず、メイクアップで市場を開拓する。これらの成長に向けて、3カ年累計で1000億円を超えるマーケティング投資を行う。

 さらに、創業150周年の記念事業として、今秋、同社の創業の地である銀座に、次世代を担う人材開発の拠点「Shiseido Future University」をオープンし、魚谷会長CEOが初代学長を務める。サステナビリティ活動においては、プラスチック製容器を収集し、プラスチック製容器へ再生する循環型プロジェクト「ビューリング(BeauRing)」を立ち上げる。ポーラ・オルビスホールディングスが参画し、ともにプロジェクトを推進する。両社は今後、同プロジェクト以外でも「サステナブル領域でさまざまな協議を検討していく予定」としている。

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カッシーナが上場廃止、親会社のユニマットが1220円でTOB

 イタリアの高級家具ブランド「カッシーナ」など展開し、東証スタンダード上場のカッシーナ・イクスシー(以下、カッシーナ)は、株式の約55%を所有する親会社のユニマットホールディングスが公開買付(TOB)を表明した。2月9日の終値の940円に29.8%のプレミアムをつけ、1220円で本日2月10日〜3月27日まで公開買付を行う。カッシーナはTOBの成立に伴い、上場廃止になる。公開買付には、第2位の株主で12.65%を所有する伊カッシーナ社も賛同している。

 また、親会社のユニマットホールディングスの高橋洋二会長がカッシーナの会長兼社長を務めていたが、宝飾大手のダミアーニの日本法人でトップを務めていたアレッシオ・ジャコメル氏を新社長に内定した。3月29日開催予定の株主総会を経て正式に決定する。高橋氏は引き続きカッシーナの代表権のある会長にとどまる。

 カッシーナは昨年9月、2011年から社長を務めていた森康洋氏が突如辞任し、親会社の高橋氏が会長兼社長を務めていた。

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カッシーナが上場廃止、親会社のユニマットが1220円でTOB

 イタリアの高級家具ブランド「カッシーナ」など展開し、東証スタンダード上場のカッシーナ・イクスシー(以下、カッシーナ)は、株式の約55%を所有する親会社のユニマットホールディングスが公開買付(TOB)を表明した。2月9日の終値の940円に29.8%のプレミアムをつけ、1220円で本日2月10日〜3月27日まで公開買付を行う。カッシーナはTOBの成立に伴い、上場廃止になる。公開買付には、第2位の株主で12.65%を所有する伊カッシーナ社も賛同している。

 また、親会社のユニマットホールディングスの高橋洋二会長がカッシーナの会長兼社長を務めていたが、宝飾大手のダミアーニの日本法人でトップを務めていたアレッシオ・ジャコメル氏を新社長に内定した。3月29日開催予定の株主総会を経て正式に決定する。高橋氏は引き続きカッシーナの代表権のある会長にとどまる。

 カッシーナは昨年9月、2011年から社長を務めていた森康洋氏が突如辞任し、親会社の高橋氏が会長兼社長を務めていた。

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資生堂が通期の純利益予想を上方修正 255億円から340億円へ

 資生堂は2月6日、2022年12月期業績予想の修正を発表した。コア営業利益は510億円(修正前は400億円)、純利益は340億円(同255億円)と上方修正し、売上高は1兆670億円(同1兆700億円)と下方修正した。

 同社は、スキンビューティー領域をコア事業とすべく、21年から日用品事業やメイクブランドを売却するなど抜本的な経営改革を加速。22年は、英スキンケアブランド「ガリネー(GALLINEE)」の買収や新スキンケアブランド「サイドキック(SIDEKICK)」を立ち上げるなど、ブランドのポートフォリオの再構築を進めている。

 今回、その構造改革の効果が表れたほか、各地域での積極的なマーケティング活動や費用コントロール、為替影響などが中国および日本での落ち込みや戦略的追加投資(人財投資など)を吸収して、コア営業利益は前回予想を上回る見込み。

 売上高は、中国および日本で想定を下回る一方、その他の地域事業で想定を上回ったほか、円安による為替換算差の影響もあり、全体としては概ね予想どおりとしている。

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「ザ・ノース・フェイス」ダウン絶好調 ゴールドウインの営業利益が過去最高に

 ゴールドウインが7日に発表した22年4〜12月期連結業績は、売上高が前年同期比17.6%増の867億円、営業利益が同29.1%増の182億円、純利益が同50.8%増の162億円だった。基幹ブランド「ザ・ノース・フェイス(TNF)」で主力品の値上げを実施したものの、高価格の防寒着が想定以上に売れたため、営業利益で過去最高を更新した。

 「TNF」の人気のダウンジャケット“ヌプシジャケット”(中心価格3万〜6万円台)やフリース類が秋口の早い時期からよく売れた。21年冬にはベトナムのロックダウンで中綿入りブーツなどの防寒具の納期遅延が深刻化したが、今年は安定供給できたことも寄与した。

 好調を受けて23年3月期の連結業績予想を上方修正した。修正後は売上高1135億円(修正前は1060億円)、営業利益203億円(同170億円)、純利益200億円(同160億円)を見込む。

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阪急阪神百貨店の売上高が約3割増 22年4〜12月期

 エイチ・ツー・オー リテイリングの2022年4〜12月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比29.6%増の7348億円、営業利益が同13倍の95億円、純利益が同15.3%減の110億円だった。百貨店事業を運営する阪急阪神百貨店の業績回復が増収と営業増益に大きく貢献した。

 阪急阪神百貨店の売上高は前年同期比29.4%増の3630億円。店舗別では、阪急本店が同33%増、博多阪急が同19.9%増、神戸阪急が同11.3%増と、大型店がけん引した。10〜12月の比較では、既存店の売上高合計がコロナ前の18年を2%上回った。免税売上高は10月の入国規制の緩和以降は上向いており、11、12月は18年の90%以上の水準まで回復した。

 足元業績は好調も、依然不透明な市場環境から通期業績予想は据え置く。23年3月期通期業績は、総額売上高9800億円、営業利益90億円、純利益110億円を見込む。

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コーセーが通期業績予想を上方修正 百貨店や専門店がけん引

 コーセーは2月6日、2022年12月期連結業績の予想を上方修正する。売上高は2891億円(修正前は2830億円)、営業利益が221億円(同165億円)、経常利益が283億円(同226億円)、純利益が187億円(同165億円)となる見込みだ。日本の百貨店や専門店が好調なほか、米国発「タルト(TARTE)」のホリデー商戦などのけん引によるもの。

 同社は22年11月に韓国の大幅減収や原材料価格の高騰などによる原価率の高止まりを想定し、売上高および営業利益の予想を下方修正した。しかし、日本の百貨店と化粧品専門店の好調が続き、化粧品市場全体が回復基調にあることや、「タルト」のホリデー商戦も好結果だったことから、売上高は想定を上回る見込みだ。利益面も、原価率の上昇を抑制したことや全社的なコストコントロールを推進したことが貢献した。

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コーセーが通期業績予想を上方修正 百貨店や専門店がけん引

 コーセーは2月6日、2022年12月期連結業績の予想を上方修正する。売上高は2891億円(修正前は2830億円)、営業利益が221億円(同165億円)、経常利益が283億円(同226億円)、純利益が187億円(同165億円)となる見込みだ。日本の百貨店や専門店が好調なほか、米国発「タルト(TARTE)」のホリデー商戦などのけん引によるもの。

 同社は22年11月に韓国の大幅減収や原材料価格の高騰などによる原価率の高止まりを想定し、売上高および営業利益の予想を下方修正した。しかし、日本の百貨店と化粧品専門店の好調が続き、化粧品市場全体が回復基調にあることや、「タルト」のホリデー商戦も好結果だったことから、売上高は想定を上回る見込みだ。利益面も、原価率の上昇を抑制したことや全社的なコストコントロールを推進したことが貢献した。

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三越伊勢丹HD4〜12月期は245億円の営業黒字 首都圏店舗がけん引

 三越伊勢丹ホールディングスの2023年4〜12月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比20.3%増の8196億円、営業利益が同8.1倍の245億円、純利益が同21倍の195億円だった。コロナ影響緩和による来店の増加で、主力の百貨店業が大きく業績を伸ばした。

 百貨店業の総額売上高は前年同期比18.4%増の7613億円。都心店の業績回復傾向が顕著で、首都圏6店を運営する子会社三越伊勢丹の売上高は、コロナ前の18年比で1%増。伊勢丹新宿本店の第3四半期(10〜12月)の売上高は、第1・第2四半期に続き、三越と伊勢丹の統合後(2011年〜)最高となった。「客数はコロナ前の8割程度にとどまるが、平均客単価ははるかに高い」(同社広報)。一方、それ以外の地域店の合計売上高は18年比8%減と回復が遅れている。

 足元の好調を踏まえ、通期業績予想を上方修正する。23年3月期は総額売上高1兆800億円(前回予想は1兆750億円)、営業利益260億円(同240億円)、純利益255億円(同240億円)を予想する。

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三越伊勢丹HD4〜12月期は245億円の営業黒字 首都圏店舗がけん引

 三越伊勢丹ホールディングスの2023年4〜12月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比20.3%増の8196億円、営業利益が同8.1倍の245億円、純利益が同21倍の195億円だった。コロナ影響緩和による来店の増加で、主力の百貨店業が大きく業績を伸ばした。

 百貨店業の総額売上高は前年同期比18.4%増の7613億円。都心店の業績回復傾向が顕著で、首都圏6店を運営する子会社三越伊勢丹の売上高は、コロナ前の18年比で1%増。伊勢丹新宿本店の第3四半期(10〜12月)の売上高は、第1・第2四半期に続き、三越と伊勢丹の統合後(2011年〜)最高となった。「客数はコロナ前の8割程度にとどまるが、平均客単価ははるかに高い」(同社広報)。一方、それ以外の地域店の合計売上高は18年比8%減と回復が遅れている。

 足元の好調を踏まえ、通期業績予想を上方修正する。23年3月期は総額売上高1兆800億円(前回予想は1兆750億円)、営業利益260億円(同240億円)、純利益255億円(同240億円)を予想する。

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花王2022年12月期は営業利益が334億円減、計画と大きくはく離

 花王の2022年12月期連結決算(国際会計基準)は、原材料価格高騰や中国・欧米の景気減速の影響を大きく受け、売上高が前期比9.3%増(実質3.7%増)の1兆5510億円、営業利益が同23.3%減の1100億円、純利益が同21.5%減の860億円だった。なお、長谷部佳宏・代表取締役社長執行役員は連結業績と業績予想の差異を受け、23年4月から3か月間、自身の月額基本報酬30%の自主返納を申し出た。

 事業別ではコンシューマープロダクツ事業(化粧品事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、ハイジーン&リビングケア事業を総称)の売上高は、同4.3%増(実質0.2%減)の1兆1933億円、営業利益は同70.4%減(332億円減)の793億円だった。コアブランドへの集中投資やデジタル化の推進、戦略的な値上げなど積極的に実施したが、米国の物流混乱や世界的なインフレによる低価格品への移行などの影響を受けた。

 化粧品事業はメイク事業の構造改革を順調に進め、売上高は同5.1%増(実質0.8%増)の2515億円、営業利益は同188%増(66億円増)の141億円だった。

 日本では市場が徐々に回復する中、「カネボウ(KANEBO)」や「ケイト(KATE)」などG11(11のグローバル戦略ブランド)に集中的に投資したところ、G11の売り上げが2ケタ増と伸長し、売り上げ・シェアが前期を上回った。特に「ケイト」は“リップモンスター”が好調を維持し、メイク市場全体でブランドシェアNo.1を継続した。

 中国では都市封鎖や市場の冷え込みに加え、ローカルメーカーの台頭や流通チャネルの変化などの影響を大きく受け、売り上げは前期を下回った。欧州では、インフレによる景気減速が影響し、売り上げは前期並みだったが、「センサイ(SENSAI)」や「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」のシェアが伸長した。

 へルス&ビューティケア事業(スキンケア、ヘアケア・パーソナルヘルス製品を展開)は、スキンケア製品が好調だったもののヘアケア製品やパーソナルヘルス製品が苦戦し、売上高は同4.2%増(実質1.8%減)の3695億円、営業利益は同69.6%減(151億円減)の346億円だった。

 スキンケア製品においては、日本は猛暑の影響でUVケア製品などのシーズン品の売り上げが好調だった。タイでは忌避剤ローション“ビオレガード モスブロックセラム”に大きな反響が集まった。ヘアケア製品は、欧米で「オリベ(ORIBE)」のECが伸長し好調を維持した。一方で、国内ではマス向け製品の競争環境が激化し、前期を下回った。パーソナルヘルス製品は、「めぐりズム」が順調に推移したが、入浴剤が前期を下回った。

 23年12月期は、3つの方針として、1.市況に依存しない強い事業体質に変える、2.戦略事業の強化とグローバル拡大、3.変化を先取りする急進事業を実益化するに基づいた戦略を実行する。1は戦略的値上げや高付加価値・高収益商品の比率アップを図る。2はヘアケアやサニタリー(生理用品)、パーソナルヘルス事業のマーケティングを大改革するとともにD2Cを本格始動する。3はポジティブリサイクル(廃PET活用道路)やドローン用アジュバント(超減農薬)や、デジタル・ライフ・プラットフォーム事業(RNA検査事業化)を推し進める。

 さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を駆使してあらゆる分野の改革を進めるとともに、投資効率を最大化するための事業別ROIC(資本効率性)を導入して事業ポートフォリオ改革を進め、EVA経営の深化を図る。

 連結業績予想は、売上高が同1.9%増(実質2.3%増)の1兆5800億円、営業利益が同9.0%増の1200億円、純利益が同2.3%増の880億円を見込む。化粧品事業は同4.6%増(実質)の2640億円、ヘルス&ビューティケア事業は同5.0%増(実質)の3870億円を予想する。

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低気温で冬物好調、ユニクロ1月度は10.9%増 テコ入れ中の「無印良品」衣料品部門は13.3%減

 専門店チェーン、セレクトショップの2023年1月度売上高(既存店ベース)は、月半ばの気温上昇に苦戦した企業も一部あるものの、下旬の冷え込みで再度浮上したという声が中心だ。

 国内ユニクロは前年同月比10.9%増だった。「寒さが後押しして冬物の販売が順調だった」(広報担当者)といい、売れ筋はメンズ、ウィメンズのウォームパデッドのアウターやシームレスダウン、“ヒートテック”極暖。一部春物も動き出しており、昨年からのヒット商品“タックワイドパンツ”や薄手ニットの羽織物などが売れ筋。

 良品計画の「無印良品」は同3.3%減。苦戦が続く衣料品で2022年秋冬からテコ入れを本格化しているが、衣服・雑貨カテゴリーは同13.3%減となかなか浮上につながらない。特に婦人ウエアの動きが鈍かったといい、「月前半〜半ばの気温上昇が響いた」(広報担当者)。

 しまむらの「ファッションセンターしまむら」は同0.2%増と微増。ただし同社は12月21日〜1月20日期間で集計しており、1月下旬の気温低下の恩恵が入っていない数字となる。

 アダストリアは同5.3%増。サーバーへの不正アクセスを受け、自社EC「ドットエスティ」を18日からの8日間休止していた中でも前年実績を超えた。「物流システムを止めたことで実店舗への在庫補充も一部滞っていた。EC休止までの期間は、実店舗とECの累計で同10%増ペースで推移していた」と広報担当者。

 ユナイテッドアローズは同3.4%増。「気温の低下に合わせてセール売り上げが拡大した」(発表資料から)が、「値引率のコントロールやプロパー販売比率の向上」により、既存店客単価は10.8%増と手応えを得ている。

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三越伊勢丹と阪急阪神百貨店 1月の免税売上高がコロナ前を上回る

 百貨店主要5社の2023年1月度売上高は、おしなべて1〜2割の増収だった。免税売上高の回復が押し上げ要因になっている。中国人観光客が戻らない中でも韓国、台湾、香港からの来店が増えており、三越伊勢丹と阪急阪神百貨店は免税売上高がコロナ前の実績を上回った。

 各社の前年同月と比較した1月の売上高は、三越伊勢丹が26.8%増(20年同月比11.2%増)、高島屋が17.2%増(同微減)、大丸松坂屋百貨店が20.8%増(同5.4%減)、そごう・西武が11.1%増(同3.7%減)、阪急阪神百貨店が21.6%増(19年同月比2%減)。

 三越伊勢丹の1月の免税売上高は19年同月比1.7%増。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店が大きくけん引した。国籍別の購買額シェアでは、台湾が最も大きい。「ラグジュアリーや時計などの高額品のほか、ワインやお菓子などの土産需要も高い」と同社広報。阪急阪神百貨店も韓国、香港などから来店が増えており、免税売上高は19年同月実績を上回った。阪急本店は1月単月としては過去最高売上高となった。

 中旬以降は寒波の影響もあり、重衣料がよく動いた。「婦人・紳士コートの購買が活発だった」(大丸松坂屋百貨店)。クリアランスセール後は春夏の正価品へ需要がシフトしており、「薄手のコートや、卒入学ニーズでジャケット・ドレスも動き始めた」(三越伊勢丹)との声が聞かれた。

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「ルイ・ヴィトン」の親会社、22年の売上高は11兆円と大台突破 インフレなどの逆風をものともせず

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2022年12月通期決算は、売上高が前期比23.3%増の791億8400万ユーロ(約11兆857億円)、営業利益は同22.4%増の210億100万(約2兆9401億円)ユーロ、純利益は17.0%増の140億8400万ユーロ(約1兆9717億円)だった。

 部門別の売上高では、スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」を抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同25.0%増の386億4800万ユーロ(約5兆4107億円)と記録的な好業績となった。中でも「ルイ・ヴィトン」は初めて売り上げ200億ユーロ(約2兆8000億円)を突破し、力強い成長を見せた。ほかにも、「セリーヌ(CELINE)」「フェンディ(FENDI)」「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」「ロエベ(LOEWE)」が好調で売り上げに寄与した。

 ウオッチ&ジュエリー部門は、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」がけん引し、同18.0%増の105億8100万ユーロ(約1兆4813億円)となった。

 香水&コスメティクス部門は同16.8%増の77億2200万ユーロ(約1兆810億円)、ワイン&スピリッツ部門は、同18.8%増の70億9900万ユーロ(約9938億円)だった。免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は、店舗への客足が回復したことなどから、同26.3%増の148億5200万ユーロ(約2兆792億円)となった。

 地域別の売上高を見ると、フランスが同47.6%増、フランスを除く欧州は同28.9%増、米国は同29.8%増、日本は同24.0%増といずれも2ケタ成長だった。一方、日本を除くアジア太平洋地域は、中国におけるロックダウンなどの影響によって同6.3%増となった。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者は、「世界が経済的・地政学的な課題に直面していた22年においても、当社の傘下メゾンの比類のない魅力や購買意欲を喚起する能力により、素晴らしい業績を上げることができてうれしく思う。現在の先行き不透明な情勢の中、23年も自信を持って、しかし慎重に事業を進めていく」と語った。また、同氏はアナリスト向けの決算説明会で、中国市場について「1月に入ってからはポジティブなサインが見られる。中国のリーダーたちの辣腕ぶりを考えると、こうした経済成長の機会を逃すことなく生かすだろう」としつつも、中国人観光客が本格的に戻るのは23年下半期になるのではないかと述べた。

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百貨店22年売上高はコロナ前の1割減 時計・宝飾品は2割増

 日本百貨店協会は、2022年(1〜12月)の全国百貨店売上高が速報ベースで21年に比べて13.1%増の4兆9812億円になったと24日に発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗休業がほぼなくなり、人々の行動制限も解除されたことで、消費は少しずつ回復に向かった。コロナの初年度である20年比では19.7%増。コロナ前の19年比では11.1%減まで復調している。

 全般的に回復基調にあるものの、商品分野によって差が見られる。商品別売上高で長らく1位だった「衣料品」は、コロナ下の20年に「食料品」に抜かれた。その後も各社が衣料品売り場の縮小を進めたこともあって、22年の「衣料品」の売上高は19年比18.7%減の1兆3269億円で終わり、シェアは26.6%まで下がった。シェア1位の「食料品」は、19年比6.4%減の1兆4453億円でシェアは29.0%だった。「化粧品」も中国人による爆買い需要があった19年比では32.6%減の3795億円にとどまる。

 一方で19年を上回るのが高額品である。ラグジュアリーブランドの多くが含まれる「身の回り品」(バッグ、革小物、靴、アクセサリーなど)は、19年比1.9%増の7630億円で着地した。「美術・宝飾・貴金属」に至っては、この区分に入る高級時計やハイジュエリーが売れに売れ、19年比19.7%増の4526億円まで成長した。「美術・宝飾・貴金属」のシェアは12年に4.5%だったのに対し、22年は9.1%に高まり、百貨店での存在感が増している。

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5周年「セルフォード」 次なる成長のカギは富裕層

 マッシュスタイルラボの「セルフォード(CELFORD)」が2月で5周年を迎える。同ブランドの2022年8月期の売上高は前期比38%増の37億円。2018年のスタート以降、コロナ禍でも右肩上がりの成長を続け、グループの中で存在感を高めてきた。今後は新規開拓の照準を富裕層に定め、さらなる成長を描く。

 「セルフォード」は、オケージョン(食事会や結婚式など)を意識した華やかなワンピースが主力商品。同社の「スナイデル(SNIDEL)」や「フレイ アイディー(FRAY I.D)」といったブランドがデザインやコンセプトで棲み分ける一方、特定シーンのニーズを取り込み、根強い顧客を作ってきた。

 ブランドのインスタフォロワーは約15万程度。同社の「スナイデル(SNIDEL)」(約60万)「フレイ アイディー(FRAY I.D)」(約40万)と比較すると半分以下の規模。だがフォロワーのエンゲージメントでは負けていない。インスタライブの平均視聴者数は300〜400人で、これらのブランドとほぼ同程度だ。視聴者のリアクションも大きい。ライブで紹介した商品はECの売れ行きが跳ね上がり、「1時間で150万円売れるときもある」と一(はじめ)真由子プレス。

デジタルでも“リアル”を追求

 一プレスは、ブランドの強みを一言で表現するならば「『セルフォード』なら間違いないという安心感」だとする。オケージョンドレスはラックに掛かっている時に見栄えはよくとも、「似合わなければ台無し」。顧客のサイズ選びに対する目は、カジュアルウエアよりもシビアだ。

 店舗での試着ができなくなったコロナ禍以降、デジタル上でも“リアル”を追求している。ECの商品ページは海外モデルや芸能人ばかりではなく、ブランドのスタッフも起用。体形や骨格の異なる複数人着用で見せ、比較検討しやすくした。

 顧客からの意見は立体的に活用する。ライブ中の視聴者のコメントにはきめ細かく返信するが、それは「最低限やること」。視聴者が気になっている着こなしや商品選びについては、一プレスが公式サイトで連載する記事コンテンツとして広く発信する。デザイナーもライブに積極的に出演し、「パフスリーブのデザインはもう少し抑えめがいい」「腰の部分が窮屈」といった要望を商品企画に生かす。コロナ禍の自粛期間中は「デイリー使いできるものがほしい」という声を元に、トップスとパンツのセパレートで使えるアイテムの割合を大胆に増やしたことが、業績浮上のきっかけになった。

三越銀座店は売り上げ3倍 富裕層開拓に手応え

 23年12月末時点で国内店舗数は24。今後も好立地を見極めて出店を続けつつ、既存顧客とのエンゲージメントを深化させる。ターゲットは富裕層。目の肥えた客からの信頼を、ブランドステータスにつなげる。

 既存店の中でも特に優良客が多い三越銀座店は、22年8月期の売上高が出店初年度と比較して3倍に伸長した。同店で昨年3月に実施した「ハナエ モリ(HANAE MORI)」とのコラボアイテムのポップアップでは、三越伊勢丹の会員カード保有顧客のうち62%が「セルフォード」の新規客、26%が外商顧客と、新規開拓にも大きく貢献した。「百貨店の外商顧客であっても、『どこにお金をかけるか』はシビアに考えてらっしゃる方が多い」と一プレス。「たとえばバッグや靴はラグジュアリーブランドでも、洋服は素材が良ければブランドにはこだわらないという方も多い。純粋にブランドのデザインや世界観で『セルフォード』を選んでいただけている」と手応えを話す。

 ブランド5周年企画として、年間を通じてさまざまなブランドや著名人との協業を計画する。4月に「マリ・クレール(MARIE CLAIRE)」とブライダルドレスデザイナーの桂由美、5月には美容家の石井美保とのコラボ商品を発売するほか、年間を通じて滝川クリステルを起用したコラボ企画を実施する。

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バロックが通期予想を下方修正 中国のゼロコロナ政策が痛手

 バロックジャパンリミテッドの22年3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比微減の429億円、営業利益が同22.0%減の18億円、純利益が72.8%減の4億1100万円だった。中国のロックダウンや断続的な外出制限といったコロナ対策のダメージが大きく、減収減益となった。中国事業の不振を受け、23年2月期連結業績予想を下方修正する。修正後の売上高は589億円(修正前は633億円)、営業利益は17億円(同32億円)、純利益は1億7900万円(同17億円)。

 靴小売のベル・インターナショナルと合弁で展開する中国事業は、売上高(卸売とロイヤリティの合計)が前年同期比29.5%減の42億円。国内事業の売上高は同3.0%増の386億円と増収だったが、中国の痛手をカバーしきれなかった。

 同社の決算資料によると、今後の中国市場については「感染のピークアウト後は急速な回復が進む」と見通す。「(中国事業が)中長期的な成長ドライバーという位置付けは変わらない。有力エリアへの出店、ECタッチポイントの強化など、継続的な成長に向けた取り組みを今後も続ける」。

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TSIの3〜11月期、百貨店販路の売上高が44%増

 TSIホールディングスの2022年3〜11月期連結業績は売上高が前年同期比11.1%増の1154億円、営業利益が同28.9%減の37億円、純利益が同15.4%減の46億円だった。営業減益は本社移転費(8億7000万円)、雇用調整助成金の金額差(4億1000万円の減少)が影響した。

 コロナ禍以降、特に苦戦を強いられていた百貨店販路の売上高が前年同期比44.3%増と大きく伸長した。ブランド別では「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」が同13.8%増、「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」が同16.0%増と好調。「ハフ(HUF)」はブランド20周年の年間施策が実を結び、売上高が同2.3倍と躍進した。一方、「ナノ・ユニバース(NANO・UNIVERSE)」は同17.2%減と低迷が続く。

 連結通期業績予想は、売上高1540億円(前期比9.7%増)、営業利益18億円(同59.5%減)、純利益24億円(同2.3倍)の予想値を据え置く。足元では秋冬物の消化と春夏物の早期立ち上げを両軸で進めている。16日にオンラインで行われた決算説明会で「メリハリのあるMDがカギになる」と下地剛社長は話した。

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オンワードが通期業績予想を上方修正 「23区」「自由区」が回復

 オンワードホールディングスの2022年3〜11月期連結業績は、売上高が前年同期比4.9%増の1303億円、営業損益が43億円の黒字(前年同期は9億4800円の赤字)、純利益が66.3%減の27億円だった。最終利益は、不動産売却などで特別利益213億円を計上した前年同期の反動減。

 全社的なグローバル事業構造改革によるコストの削減、在庫圧縮や値引き販売抑制などにより、売上総利益率は3.1ポイント改善した。中核事業会社オンワード会社の売上高は前年同期比10.4%増の748億円。主力ブランドが軒並み2ケタ伸長で、「23区」が同29%増、自由区が同12.6%増、ICBが同12.3%増だった。EC在庫から取り寄せて試着できる「クリックアンドトライ」導入店舗の販売が特に好調に推移した。

 好調を受け、23年2月期通期業績予想を上方修正する。修正後の売上高は1750億円(修正前は1738億円)、営業利益は50億円の黒字(同41億円の黒字)、純利益が26億円の黒字(同22億円の黒字)。

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ロレアルが韓国の“落とせるタトゥー”メーカーに資本参加 眉プリンターを共同開発

 ロレアル(L'OREAL)はこのほど、韓国発のテンポラリータトゥー(落とせるタトゥー)メーカー、プリンカー コリア(PRINKER KOREA)の少数株式を取得した。ロレアルの社内ベンチャーBOLD(Business Opportunities for L'Oreal Development)を通じて投資をする。取引額は非公表。

 プリンカー コリアは2015年創業し、世界初のテンポラリータトゥー機器を開発。デバイスは軽くコンパクトで、アプリと連動して簡単に落とせるタトゥーを“印字”する。これにより、自宅や店頭で簡単に白黒もしくはカラーのタトゥーを楽しめる。アプリには1万2000のデザインをそろえるほか、アプリ上でオリジナルのデザインを制作し、それをタトゥーにすることも可能だ。

 初代デバイス“プリンカー S”は、20年1月に269ドル(約3万5000円)で発売し、2年後によりコンパクトなデバイス“プリンカー M”を約199ドル(約2万6000円)で発売した。同デバイスはわずか169gの軽さ、103mm x x 55mm x 75.5mmというコンパクトなサイズを誇る。またCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)のベスト・オブ・イノベーション賞やグローバルiFデザインアワードを獲得した。同社によると、アメリカ食品医薬品局の化粧品自主登録プログラムおよびヨーロッパ化粧品規則に関連する化粧品届出ポータルに準ずる化粧品グレードのインク・プライマー(接着剤の役割を果たす塗布剤)を世界で初めて提供しているという。

 プリンカーについてロレアルは、「タトゥーを通じた新たな自己表現の方法を提供している」と評価する。両社はここ数年にわたり、眉メイクを自由自在にカスタマイズできるアイブロウメイクアップアプリケーター“ロレアル ブロウ マジック”を共同開発しており、1月に開催されたCESで発表したばかりだ。同デバイスは、AR技術とAIアルゴリズムを用い、ユーザーの顔を解析して適切な眉メイクのデザインを提案し、即座に自動で顔にプリントする。

 バーバラ・ラヴェルノス(Barbara Lavernos)=ロレアル デピュティ チーフ エグゼクティブ オフィサーは、「当社の研究員は最先端のテクノロジースタートアップと協業し、ビューティの未来を作り上げている」とコメント。同社は22年11月に同じくBOLDを通じてフランスのバイオテック企業、マイクロフィト(MICROPHYT)の少数株式を取得した。「今回の投資により、誰しもが自由に自己表現できるような最先端のビューティテクノロジーを生み出すことを可能にする」。

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ファストリ22年9〜11月期 2ケタ増収も中国はコロナで大幅減益

 「ユニクロ(UNIQLO)」「ジーユー(GU)」などを運営するファーストリテイリングの2022年9〜11月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前年同期比14.2%増の7163億円、営業利益が同2.0%減の1170億円で増収減益となった。純利益は同9.1%減の850億円。減益は、主力市場である中国が新型コロナの感染拡大により大幅減益となったことによるもの。

 売上総利益率は前年同期から0.9ポイント低下し、53.1%になった。販管費比率は1.5ポイント上昇し37.0%。「収益の柱が多様化してきたことで、連結では若干の減益にとどめることができた。グローバルでインフレが進む中、(ユニクロがコンセプトに掲げる)“LifeWear”は高品質な日常着であり、幅広いお客さまの手に届く価格で提供していることで、各国・各地域で販売が好調となっている。さらに販売を拡大していける手応えを感じている」と岡﨑健ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員最高財務責任者は話す。

 海外ユニクロ事業の売上収益は同19.4%増の3578億円、営業利益は同4.4%減の572億円だった。これは中国大陸が行動規制の影響で大幅な減益になったことに加え、営業停止中のロシアが赤字になったことによるもの。グレーターチャイナと国内ユニクロ事業以外のすべての国では、計画を上回る大幅な増収増益と好調で、東南アジア、北米、欧州(ロシアを除く)では過去最高の業績を達成した。

 国内ユニクロ事業の売上収益は同6.4%増の2409億円、営業利益は同5.6%減の394億円。3カ月間の既存店売上高は同4.7%の増収だった。秋冬商品の一部で価格を見直したが、これらの商品の販売は概ね好調に推移。中でも“ヒートテック”の極暖、ワイヤレスブラなど、機能性や素材、デザインなど商品価値をアップデートした商品の販売が特に好調だった。客単価は同9.5%伸び、値引率も改善した。なお、12月の既存店売上高は前年同期比16.9%増で、単月では過去最高の売上高を記録した。

 国内ユニクロ事業の利益面では、急激な円安による調達コストの増加により原価率が上昇したことで、売上総利益率は同1.1ポイント低下。急激な為替の変動に、一部の期中発注や計画を上回る発注など、為替予約をしていないスポットで仕入れた部分が調達コスト増加につながった。値引き率は、継続的に値引きのコントロールを強化したことにより、改善している。販売管理費比率は33.2%と0.8ポイント上昇したが、数字では計画通り。前年比で販売管理比率が上昇したのは、人件費と広告宣伝費だ。人件費率アップは店舗のパート・アルバイトを中心に時給を引き上げたことによるもので、「店舗オペレーションの効率化や業務削減などの取り組みを進めている。中期的には生産性を向上させていくことで、人件費率は改善すると考えている」と岡﨑取締役。広告宣伝費は戦略的に増やし、テレビCMを中心に商品価値を伝える取り組みを強化したことで増加した。

 ジーユー事業は売上収益が同13.6%増の793億円、営業利益は同19.3%増の106億円と、大幅な増収増益となった。品番数を絞り込み、マストレンド商品の数量を十分にもって商売を行ったことで好調な販売となった。また、物流が正常化し、売れ筋商品の追加生産にも機動的に対応できた。

 なお、12月以降、中国大陸を除くすべての国と地域のユニクロ事業、ジーユー事業で既存売上高が2ケタの大幅な増収と、計画上回る業績となっているため、連結の業績は上期、通期ともに業績予想通りの増収増益を達成できる見込みとしている。

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「無印良品」22年9〜11月期は大幅減益 苦戦の大型家具はサブスク型に事業構造を転換

 「無印良品」を運営する良品計画の2022年9〜11月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比11.4%増の1369億円、営業利益が同54.9%減の50億円、純利益が同50.3%減の38億円だった。積極出店により増収は確保したが、円安と原材料高により大幅な減益となった。

 国内事業の9〜11月の既存店売り上げは同7.7%減だった。「当初の計画通りであり、新規出店した店の進捗も悪くない」(堂前宣夫社長)が、コスト高騰に飲み込まれた。国内は地方スーパーマーケット隣接地などに積極出店し、純増数は3カ月間で33店、海外を合わせると46店。

 22年秋冬から改革を進めている衣服・雑貨カテゴリーの国内既存店売り上げは同0.5%増。「衣服・雑貨は改革によって全体的に下げ止まった。キャンペーンで打ち出した“あったか綿”インナーが好調だった」といい、「まずはスタート地点に立った」と評価する。大型家具やファブリック類の不調により、生活雑貨カテゴリーは同12.2%減と苦戦が続いている。「変化を打ち出せず、競合の中で価格競争をしてきたこと」が不調要因として、大型家具は事業モデルを販売型からサブスクリプション型に今春から順次切り替えを進める。

 1月13日以降、大型家具、食品など、全商品の約2割で値上げを予定する。「値上げすれば価格に敏感な客は離れてしまう。値上げ前の価格で打ち出せる新商品をそろえることで、離反を防ぐ」戦略を立てる。23-24年秋冬も一部で値上げを予定する。

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ユニクロの12月度売上高は16.9%増 “ヒートテック”極暖、カシミヤセーターなど値上げ商品が好調

 国内ユニクロの2022年12月度売上高(既存店ベース)は、前年同月比16.9%増だった。前年12月が同11.1%減と苦戦していたという与件もあるが、客数は同1.8%増ながら客単価が同14.8%増と大きく伸び、売り上げを押し上げた。今秋冬は値上げが焦点となっているが、値上げと同時に機能性やデザインをアップデートした商品が支持されている。

 11月は高気温で冬物の動きが鈍く、同3.8%減だった。12月は気温低下とともに“ヒートテック”インナーやシームレスダウン、ハイブリッドダウン、ウォームパデッドジャケット、ニット類が動いた。3年ぶりの行動制限のない年末年始で、外出着を購入する動きが目立った。「“ヒートテック”の極暖やカシミヤセーターなど、値上げした商品が支持されている。お客さまは(値上げを)気にされていない」と広報担当者。

 しまむらの「ファッションセンターしまむら」12月度(11月21日〜12月20日で集計)は3.9%増、ユナイテッドアローズ12月度は同3.5%増だった。

 良品計画の「無印良品」、アダストリアは6日に12月度売上高を発表する。

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JR名古屋高島屋が過去最高売上高 12月単月と22年暦年で

 ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)は、2022年12月の単月売上高が過去最高を記録したと発表した。百貨店業態のJR名古屋高島屋と、隣接するショッピングセンター業態のタカシマヤゲートタワーモールの合算の12月の単月売上高が194億円になった。コロナ前の19年12月の180億円を上回った。22年暦年(1〜12月)でも19年を0.1%上回る1658億円を達成し、過去最高を更新した。入店客数はコロナ前に比べて未だに2〜3割落ち込んでいるものの、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品といった高額品の動きが活発で売り上げを押し上げた。

 コロナ下の行動制限や休業がなくなり、売り上げ回復が鮮明になった。12月単月では、売上高が21年同月比9.2%増、入店客数が2.2%増。22年暦年では、売上高が21年比20.0%増、入店客数が15.2%増だった。ただ客足が完全に戻っているわけではない。コロナ前の入店客数と比較すると、22年12月が19年12月比17.3%減、22年が19年比26.4%減で終わっている。

 入店客数の回復の遅れをカバーしたのは、高額品を扱う特選売り場(ラグジュアリーブランド)だ。特選売り場の22年暦年の売上高は、19年比で49%増。既存の有力ブランドの販売が好調なことに加え、22年春から段階的な増床が寄与した。また21年7月に隣接する大名古屋ビルヂングに開設した高級時計売り場「タカシマヤウォッチメゾン」の新しい顧客の獲得に成功した。12月もクリスマス商戦やボーナス商戦で高額品が活発に動いた。

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百貨店初売りは「ルイ・ヴィトン」×草間彌生に客殺到 「プロパーより新作」の傾向は継続

 百貨店主要5社の2022年12月度業績は、おしなべて1割程度の増収だった。新型コロナ感染者は増加傾向も、年末商戦は全体的に活況。クリスマスケーキやおせちなど、季節商品へのニーズが他フロアへの波及効果を生んだ。衣料品フロアでは買っていますぐ使える秋冬アウター、ラグジュアリーでは早くも春夏の新作が売れた。また23年の初売りは、各社元日から1月2日にかけてスタート。元日は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と草間彌生のコラボレーションアイテム第一弾の発売日だったこともあり、同ブランドが売り場を構える百貨店には目当ての客が殺到した。
 
各社の前年同月と比較した12月度の売上高は、三越伊勢丹が14.6%増、高島屋が4.9%増、大丸松坂屋百貨店が9.5%増、そごう・西武が1.6%増、阪急阪神百貨店が10.2%増だった。

 高島屋の高島屋新宿店は、前年同月比17%増と高伸。「ラグジュアリーを中心に高額品が好調で、訪日外国人増加による免税押し上げ効果もあった」(同社)。そごう・西武も好調のプレステージブランドが同15%増、19年比でも35%増とけん引し、衣料品も前年同月比5%増、19年比並みと健闘した。

初売りの需要は「今すぐ着られる」「ビジネスアイテム」

 三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、初売り初日(1月2日)の売上高が前年比19%増。うちセール商品が同11%増に対し、春夏新作などのプロパー(正価)商品は同28%増だった。「プロパーかセールかに関わらず、いますぐ着ることができるアウターやニットなどがよく売れた」と同社広報。紳士ではオフィスワーク回帰でビジネスアイテムの需要が高かった。阪急阪神百貨店の阪急本店も、初売り初日は前年比約15%増、客数が同約20%増と大きく伸ばした。

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経済予測名人のニトリ会長が語った「2023年の経済」「日経平均予想」「ニトリの逆張り戦略」

 今年も残すところあとわずか。そんな中、ニトリホールディングスの2023年3月期第3四半期の決算説明会が開催された。世界経済や為替、株価など、“経済予測の達人”と呼ばれる似鳥昭雄・代表取締役会長兼最高経営責任者はそこで何を語ったのか。海外での出店要請の増加要因について、白井俊之・同社長兼最高執行責任者と、グローバルを担当する武田政則・取締役兼ニトリ社長の説明も交えて、レポートする。

為替147円で予約は失敗。為替は得意だったが見誤った

――為替予約については今期分まで予約だと思うが、予約方針等で、長期の予約を検討する等の方針変更はあるのか、検討されているのか。海外事業の状況についてもより詳しく伺いたい。というのも、中長期で考えていくと、海外での小売り事業が広がっていけば為替がオフセットできる分があると思うので、そういった視点を踏まえて考えると、今後、海外事業の展開加速は可能なのか?今、中国、東南アジアの積極展開の話があったが、もう少し詳細に、直近の状況等アップデートいただければ。

似鳥昭雄ニトリ会長兼CEO(以下、似鳥):では、為替のことは私の方から。今期の決算末(2023年3月)まで147円で予約したが、結果的にちょっと失敗したなと。まあ、みなさんご存知のように134円と。一時151円までいったものだから。再度下がってきたときに買わないと、今度は150円から155円とか、もしくわ160円に行くのではという話もあったので。また、一度(政府が)為替介入して効果がなかった。日本政府は為替介入しても効果は少ないんだなと。もしあったとしても、あんまり影響ないかもしれないということがあって、みなさんと協議して147円で決算まで買おうかと。我慢して我慢し続けたんですけどね。

 私の予想では、アメリカの景気が悪くなって、年末近くになって、為替よりも景気が悪い方が強くなって円高になるということをずっと言ってきたが、それがなかなかならなかった。かなり時期がずれていたというか、住宅も夏以降、10%ずつ注文住宅が前年比で減ってきて、そういう状況もあるから、間違いなくアメリカから不景気になっていくと。そちらのほうが強くなると思っていたが、なんといっても0.75%ずつ毎月毎月金利を上げるということで、その時点では0.7%上げるということがはっきり決まったので、まあ、まずいなと思って、かなり迷ったが予約してしまった。あの時にあそこまで我慢したのでもう少し我慢したら、132円か130円切るぐらいのところでできたかなと。失敗したなと。大変みなさんに対しては申し訳ない。為替は得意な方だったが、ちょっと見誤ってしまったなと。みなさんにお詫び申し上げます。

来年は円高に、110~120円予想

似鳥:(為替は)来年で言うと、僕は110円ぐらいまで、110円から悪くても120円ぐらい、もしかしたら118円ぐらいでいくのかなと。理由は後から申し上げるが、アメリカが予想以上に景気が悪くなる。衣料も含めて世界的に景気が悪くなって、インフレも関税も下がると。ひょっとしたら日本型のデフレ経済になるきっかけになるかも。その前のインフレというのは、あだ花になるかもしれない。パッと咲いてですね。これは勘ですけどね。これだけ戦後に類例がなかったので。日本の失われた30年という、長期的なデフレで。これがこのインフレというものを機会にひょっとしたら、という気がするが、これは何の科学的根拠も何もないが。まあ、来年からは間違いなく世界的に不況で。その中でもアジア圏はいいんじゃないかと。

 今年は(ニトリの為替平均レートが)トータル132円で、去年が111円だから、21円の差。21円で20億円だから、21円×20億円で420億円前年より損をした。210円(おそらく、110円の言い間違い)に来たら、400億円がポンと為替(差益)に乗っかると。今の状況は間違いなく円高になるから、基本的には下がるまで待ち続けると。私の考えは、為替はドル高がドル安、円安が円高、下がるまで待つ。その後、次の段階でまた上がっていく。今度は今度は長期的に3年ぐらい、2~3年長期的に予約したいなと考えている。今度は失敗しないように。みなさんに大変ご迷惑をおかけしました。だけど、まあ、これから何十年も続いていきますからね。こういう10年か20年に1回、リーマンショックとかオイルショックがある。逆境を今まで乗り切ってきた。まあ戦後、僕は創業して55年だが、初めてのコロナ、それから円安、原材料高、輸送費が倍以上という。こういうのは創業して初めてだ。これもいい経験。失敗を経験として、今後の10年の糧にしていきたい。

海外中心に出店加速、10年間でグループ3000店舗へ

似鳥:出店はとくにシンガポールやマレーシアが軌道に乗ったので、タイやフィリピン、インドネシア、韓国、できたらインドといったところに、なるべく早く、来年調査して、少なくとも再来年、1店でもまずは(店を)出してみたい。海外は早く(年間)100店舗出店できる(ようになりたい)。来年に100店はどうかと思うが、再来年は間違いなく100店舗以上出して、日本より海外の方が多くなると思う。(グループの店舗純増数は)今年が約110店舗だが、来年は184店舗、再来年からは最低200店舗、それが3年ぐらい続いて、次は250店の時代と。(来年には総店舗数が)海外を含めて1000店舗(を超える)。異業種も含めて10年間で3000店舗という計画を立てている。だいたい全部(計画は)できたが、細かくは再度検証した結果、みなさんにお知らせすることができると思う。

――(衣料品の)「N+(エヌプラス)」と「デコホーム」について、通期の出店の見通しを変えている背景と、今、海外の出店については力強い言葉をいただいたが、今後の国内の出店戦略について考え方を教えてほしい。

似鳥:「Nプラス」は今年(期末店舗数が)30店舗、来年20店舗(を出店計画しており)、合わせて50店舗になる。3年目以降も最低20店舗ずつ、できたら毎年30店舗(出店)して、どんどん増やしていきたい。「デコホーム」は今160店舗。来年50店舗をオープンする。だいたい24年度が50店舗、25年度からは60~70店舗と増えていく。「ニトリ」は23年度が29店舗。(その後は)15~20店舗ぐらいがずっと続くと思う。

武田政則・ニトリHD取締役兼ニトリ社長(以下、武田):海外は今目標で来年77店舗オープンしようとしている。1店舗ずつ、地域、ショッピングセンター(SC)にメドをつけながら進めている。その中で、実はマレーシアはおかげさまで9店舗まで決まった。タイがバンコクで2店舗決定している。シンガポールも1店舗決まりそう。最終合意まで至っていないが、大変多くのお店がベトナム依頼がきていて、今、10店舗来ていて条件を調整している。インドネシアが今8店舗お声がけいただいていて、この中から条件がいいものを選んでいこうと考えている。フィリピンは大手の方たちと商談がスタートしていて、具体的に面積のすり合わせなどを行っている。あとは韓国が8物件提示をいただいていて、そのうち数店舗決められるのではないか。香港は9物件いただいていて、条件のすり合わせをしている。あまりよくない場所には出したくないので、しっかりと詳細を確認しながら進めたい。

 (出店した)シンガポールとマレーシアのお店を見ていただいて、具体的な物件など本当に多くのお声がけをいただいている。それに向けて新しい海外の法人の立ち上げを急ピッチで社内で動いている。あとはサプライチェーンだ。週かの方法や、どこに大型物流センターを作ってどういう風に運ぶかということも、かなり急激にお店が増えてくるので、今しっかりとそのサプライチェーンマネジメント・チームをつくって対策を打っているところだ。

 中国は(ゼロコロナ政策からの方針転換という)こういう状況で、街にはほとんど人がいない中で営業している。私たちの従業員も大勢(コロナに)かかっているが、そんな中で、実はテナントが空きつつある。多く空いてきているので、逆にチャンスだと思っていて、私たちの理想の面積がしっかりと提案いただけるようになってきている。みなが(お店を)やめていくところに、しっかりとニトリの店にしていきたい。スピードを上げていくうえで、店舗開発担当の人数まで増やして対応している。

世界展開する大型家具・インテリア業態は「IKEA」と「ニトリ」だけ
SC内に競合がなく、客層拡大・集客に期待かかる

――これだけアジア各国で強いラブコールが来ているのは、どういうところが各国で評価されていると考えているか?

武田:家具からホームファッションまで(の商品群や)、コーディネートで色がつながっているという商品構成を、ずっと何十年もかけて作り上げてきたが、実はそういう店舗・商品がインターナショナルで展開できているのが、今までIKEAさんだけだ。IKEAはものすごい大きな店を100万~150万人に1店舗ということで出店されているが、私たちはもっと商圏に入り込んで、10万~15万人の中に店舗をつくっていける。もっともっと近所になっていけるということと、SCにはIKEAは(店舗が大きすぎて)入れられないので、そういう意味では、今ニトリは日本では平均1100~1200坪が平均だが、今中国・ASEANは500坪型、700坪型で標準化を進めている。同じ売り場を複数増やしていけるということで、ローコストオペレーションも進めさせていただいている。

白井俊之・社長兼COO(以下、白井):先週、東南アジアを回ってマレーシア、シンガポールの店に行ってきた。マレーシアのジョホールバルというところに先週木曜日(12月15日)に新店がオープンして非常に好調だ。同じジョホールバルの2店舗目が来年1月にオープンするが、実はIKEAさんと同じSCに入る。まったく同じSCで、ニトリとIKEAのカンバンが一つの写真に納まるようなめずらしいSCになる。

 それで現地でいろいろ話を聞いてきて、ニトリがSCからお声がかかる理由として、大きく2つある。一つはSCの中で住まいでうちのようなフォーマットの店がほとんどない状態だ。SC側から見ると、今までそのSCに来ていなかったお客さまをうちが呼び込むということを相当期待されている。SCからすると、客層が拡大できると。また、大きなスペースを取る割には、他のテナントへの影響も少ない。アパレル同士だったらどうしてもカニバリ(食い合い)になるが、(しないので)ウェルカムのようで、比較的、おそらく他社よりもいい条件で入らせていただけるんじゃないかなという手応えを感じている。今、武田からも話が合ったように、我々が出店の用意があるということを十分理解したうえで、各国・地域で国を超えてデベロッパーさんが東南アジアのお店などにもどんどん視察に来られていて、いろいろな話をいただいている。

50年に1回の大災害を1年で乗り切る。筋肉質に体質改善

――似鳥会長はこれまでずっと、ピンチはチャンスだと言い続け、不透明な時、厳しい時こそニトリは伸びる、厳しい環境が社員を伸ばす、とずっと言われ続けてきた。先ほどの為替の話のように、 半世紀以上経営されてきて、予測が外れるといったような状況が起きてきている。そういった中で、今は何を社員に呼びかけているのか?

似鳥:今こういう状況で、社員もモチベーションが非常に上がりにくい。もうマイナス、マイナス、未達成の状況が続いてるので、なんぼ努力しても進んでいかなくて、士気が上がらないという状況なのは間違いない。私からのメッセージとしては社内報などを毎月出しているが、最近は私とか幹部とか、現在こういう状況だけど、来年以降はこうなりますよ、とか、何十年の中のたった今年1年だから、まあどんな会社だってそんなことはあり得るし、いちいち深刻がって「もううちの会社、このままマイナスになっていくのかな」とか、全然そういう心配はいらないというね。理由もちゃんと説明して、やはり円安っていう状況が1番ですけど。これはもう来年は間違いなく円高になるんですね。たった1年だから我慢してくださいと。それによって今年、筋肉質に(改善した)。今まではもう進め、進めで、商品とか出店とかに力を入れていたが、見直しして、社内の業務改革で、100億円、200億円という数字はコストダウンした。だから、「ピンチはチャンス」というのは、ピンチでどうしても数字が(目標に)行かない場合には、社内のコストダウンに力を入れて、しかるべき、ピンチから1、2年後(チャンスに変わるタイミングで)攻めて行ける。

 逆に、そうは言っても国内ではわりかし長く景気がよく続いている。まだ土地も下がらない。建物(費)も下がらない状態も続いているが、来年から潮目が変わると思う。もう、アメリカも戦後1番長い景気だから、この景気が落ちるのはっきりしている。下だれば坂も長いし、谷も深いと。世界的に、アメリカがくしゃみすれば、世界中が風邪をひいてしまう。日本も同じような状態だと思う。日本は金利が、黒田総裁が変わっていく頃にはプラスなってくるだろうから、余計、円高になってくる。それを社内に発信して、だから今、体を鍛える、筋肉質に鍛える時なんだと。

 私も筋トレを月曜から木曜までやっていて、ボクササイズも週1回やっている。土日はゴルフという。本当に体を鍛えるのをやっている。つい最近、階段から転げ落ちて、一本背負いみたいになっちゃって全員打撲のむち打ちになり、寝たきりになってしまったが、1日1日回復して、皆さんに顔を見せるのに間に合ってよかった。このようにピンピンしている。やっぱり筋トレをしていてよかった。今年は我が社で言うと、筋トレをやって鍛えて、しかるべき来年からどんどん攻める。今年はそういう時期じゃないかなと思っている。株価も大変みなさんに迷惑をかけているが、間違いなく元に戻るし、利益もどれだけ行くとはまだ言えないが、順調に来年から回復すると思う。まあ、10年、20年に1回ぐらいはね……。うちの30何年か増収増益というのは出来すぎだ。運が良すぎた。50年に1回の大災害と思えば、それもたった1年で乗り切るんだから、うちの社員にはみんなに我慢してと。早く辞めたりしないでと。若手の人は目先で動くから、入社して2年3年はね。もう30歳過ぎると辞め過ぎないが。やっぱり動揺するんですよね。入社員3年、4年は。そういう風なメッセージを毎月社内には送っている。早まらないでちょうだいね、と。会社を信頼してと。そういう話をしているところだ。

ユニクロのファストリは株式分割。ニトリの投資単位の引き下げは?

――似鳥会長に質問。「ユニクロ」のファーストリテイリングが株式分割を久しぶりにされた。ニトリは現状、株価が1万6400円前後で、投資には164万円ぐらい必要だ。東証はできれば投資単位を50万円以内が望ましいと明言している。投資単位の引き下げの考えは?

似鳥:私の一存でそうしますとは言えないが、事実、証券協会から強制ではないけれどできるだけ買いやすくしてほしいという要望はある。今回のユニクロさんは3分の1にした。3分の1にしたって、まだ2万円台で、300万円ぐらい必要。まだまだ高い。うちなんかまだ100万円台。ユニクロがまた下げたら、うちも下げます(笑)。10分の1ぐらいにするのかなと思ったけど、3分の1。ちょっと様子見ということかなと。今すぐ下げることはないけど、投資家のためには買いやすい価格にするべきだと思う。

――そもそも、10分の1ぐらいにするのかなと思ったということだが、ファストリが今下げたことに対しては驚いたか?

似鳥:ああ、やっぱりなという。高すぎるので、よく買う人いるなと(笑)。今、800万円とかね。大企業・機関や、個人投資家でもお金持ち中心でやっているんだなと。それであそこまで上がっていくなら大したものだと思っているが。私もああいう企業になりたいなと思っているんですけどね。今年も柳井(正ファーストリテイリング会長兼社長)さんとゴルフを今年もしたけれど、僕が尊敬する一人です、柳井さんは。お互いに会話しながら、株のことは話ししないけれども、ゴルフしながら歩きながら、私が教えてもらっているところがある。

――御社は様子見ということか?

似鳥:もう少し様子を見てだと思う。あと、株価が今、1万6000円ぐらいでしょ?それが何千円ぐらいに下がると目立たないというか、親戚とか周りから見て、評判がね……。たとえば3000円とか4000円になると、もうまったく(評価が)なくなってしまうと。そういう面で、社員からはそのまま維持してほしいという要望が多い。本当にどうしたらいいかと、今のところ思考中だ。

来春ベースアップ4%を予定。転勤制度改正、希望者への土日休み拡充も

――家計が苦しくなる中で、従業員の暮らしにも影響が出る。来春闘に向けて賃上げは?

白井:ベースアップに関しては、ニトリは19年連続でベースアップを続けていて、来年度の見込みとして最低でも4%は確保したい。ただ、今一番従業員から要望が多いのは、転勤についての制度について。会長の似鳥からも、20代でいろいろな仕事をというところで、転勤が非常に多いが、来年度から思い切って、だいたい入社4年目以降から、関東圏、関西圏を選択して、転勤のない制度を導入することを決定して、これから社内に発表するところだ。むしろそちらの方が、働き方というところで言うと、非常に社内においてインパクトがあるんじゃないかなと。それと、賃上げについては、最低でも定期昇給ベア4%を予定している。

似鳥:流通業は全国に店がある。どうしても転勤の問題や、土日休みじゃないということもあり、優秀な人材が退職するということもある。今、白井社長が言ったように、転勤は希望があれば親元からも通えるようにしようと。それから、今年6月から月3回、パートさんも含めて希望者が土日に休みを取得できるようにしている。来年から月4回、毎週1回、土日希望があればと。アンケートをとって実行しているが、若い人が土日、恋人がとか、お付き合いが、と(いうことで取得希望者が多いかと)思ったら、そういう人たちは平日の休みのほうが自由で人が少なくていいという。意外と、子どもさんを持っている30代の方などが、土日の運動会や参観日などで、30%、1/3ぐらい(希望している)。意外と土日(休み希望は)少なかった。そういうこともアンケートをとってわかった。ありとあらゆることで働き方を改革していこうとずっとやっている。まだまだいろいろあるが、きょうはこのくらいで。

逆境のピンチ後に成長。デフレ時に土地・建物を取得
「無借金なのでいつでも十分に投資可能」

――似鳥会長は「ピンチはチャンス」、収益が厳しいときにこそ一気に他社を差をつけるとおっしゃっているが、他社を引き離すために、どんなストーリーを考えているのか?また、値下げは「季節のお買い得商品」という値下げキャンペーンはわかるが、「生活応援キャンペーン」をやって、「冬の期間限定価格」をやって、「ぽかぽかNウォームお試しキャンペーン」などをやって、など、少なくても昨年に比べて値下げというか、価格戦略のキャンペーンを打っているのは、これも今のうちに他社が値上げしなければならない前に一気に差をつける戦略の一つと見てよいのか?

似鳥:創業してから過去55年、結論から言うと、伸びてきたなと思うのは、逆境のピンチがあって、その後、伸びてきた。景気がいいときは他の企業も伸ばしてくる。出店もするし。だけど、不況のときとか、逆境のときは、みんな控えめに抑える。今まで日本もまだずっとよかったが、来年から金利も多少上がるだろうし、土地は下がってくるとは思う。東京の土地で入札して負けたことなかったが、今年とか去年は買えない。土地(の価格)が倍になって。マンションメーカーだ。マンションが非常に高くなっている。マンションメーカーが3年ぐらいたった時には暴落しているでしょうから、そのマンションメーカーは危ない。馬鹿だなと思う。そういうことやっちゃダメだと思う。今年は池袋の土地と建物は買った(筆者注:東急ハンズ池袋店跡地をヒューリックから土地・建物を取得。11月18日に「ニトリ 池袋サンシャイン60通り店」をオープン。売り場面積約1810坪)が、ああいう物件はめったに出ない。多少高めでも、それでも十分売れているので、買ってよかったなと思う。基本的には高値の時には投資はしないと。建物も坪当たり建築費が50万円(と高騰している)。うちで40万円ちょっと。エスカレーター、エレベーターなどすべてを完備して。でも、一番安い時には20万円ちょっと。半分だった。そういう時代が何十年も続いて、高くなったのはつい6~7年前から。それは僕はまた元に戻ると思う。土地も建物も。そういう意味では来年から徐々にありとあらゆるものがデフレに戻る。土地も建物も。だからチャンスだ。10年か15年に1回そういうときがあって、そのときに土地と建物をどんどん買う。仕込む時期だ。そして、景気がよくなってきたなというときには、うちがばーっと、出店も増やしているし、今、テナントで借りているのが90%ぐらいになっているが、土地と建物が下がったときに買って自前で建てていく。その繰り返しをこの10年~15年ごとにやってきたのが今現在あるのではないかと。投資の仕方だが。今は最悪のとき。ここ2~3年は。来年から下がってくると思う。

 それから、政府も5年間、賃金(向け)を金利ナシで貸し付けてきたが、期限切れで来年から返していかなければならない。僕は中小企業は何万社、何十万社も厳しい時期になっていくと思う。そのときのためにみんな準備はしていると思うが。来年以降、大企業にとっても中小企業にとっても厳しい時代入ると思う。相対的に景気はあまり変わらないかもしれないと思うが、土地建物、金利が上がって、潮目が変わってくる。値上げどころが逆にありとあらゆるところが下がってくる。そういう時代に入ってくるんじゃないかなあと私はそう思っている。その繰り返しで、10年か15年に1回は繰り返して、ずっとうまくいって、ニトリが大きくなってきた原因の一つだと思う。

 お金は今年も1000億円投資したので、来年も純利益と、減価償却がプラス150億円ぐらいあるので、無借金だし、十分投資はしていける準備はいつでもしている。

武田:価格政策、値下げ政策は、他社うんぬんもそうだが、お客さまに使っていただけるチャンスなので、そこで私たちがお安くできるものは頑張ってお安くするということを一番考えている。あとは、工場を回すということも非常に重要な要素で、それぞれの時期にそれぞれの工場の商品をしっかりと生産する人を雇用し続けられるようにすることが大切だ。私たち、直接工場とやっている。そこに対しては意識をもってやっていく。そういうところで商品の売価を検討している。

ベトナム、タイで糸から製品まで一貫工場も稼働
製造、商社、物流まですべて自社で賄ってコストダウン、競争力向上へ

似鳥:最後に私のほうから、一言。海外は私、ベトナムもアメリカも行ってきた。アメリカは今年5月、11月にベトナムの(自社)工場。2万5000坪の世界最大規模のカーテン工場。コロナの間、素人で機械を組み立てて1年(操業開始が)遅れたが、ようやく軌道に乗ってきた。大量生産が始まってきている。今は無地だけ。普通の会社は糸を作ったり、染めたり、専門の会社があり、うちの会社が普通に発注する場合には、縫製会社に頼み、縫製会社が生地屋さんに頼んで、紡績工場に頼んで、そこから、染め、糸の会社に頼んでと。そういう会社が6つ7つ(中間取引先が)あるのを、うち1社でやっている。糸から完成品まで(一気通貫で)。これは世界で初めてで、しかも、坪数の大きさや量産も世界最大規模。壮観です。アナリストの方もベトナム工場を視察していただいた。自分の会社のことだけど、すごいなと思う。やっぱり、こういうものがあれば、いくら海外に毎年何百店出しても供給し続けられるなと。

 タイ工場も、40年ぐらい取引をしてきたところが、赤字で困っているから工場を引き受けてくれないかと。カーペット工場で、(以前は)日本のペットボトルを集めて、今は(ペットボトルなど廃材の輸出入が)禁止されているので、日本で精製してビーズ状にしたものを、タイで溶かして綿(ワタ)にして糸に紡績して、染めて、裁断して、カーペットにして日本全国に持ってきている。これも進化していて、安いカーペットから厚みのあるカーペットに、柄が入ったもの(もできるようになっていて)、ラグがすごく売れる。1畳、2畳サイズの。今度はタイルカーペットを作る。別にバンコクに1万坪ぐらいの新工場を建設する。来年建築が始まり、再来年稼働する。ぜひアナリストの方もご希望があれば案内させていただく。ベトナムも行ける。来年夏か秋に募集させていただく。わが社が出すのではなく、みなさんの経費で参加していただければ。そういう工場も着々と(整備している)。ベトナムのハノイも12月に買って、新しく製造をやる。

 モノを作ってから完成品まで、そして、商社からなにから、物流の仕組みも進めている。カーゴ会社も去年作った(筆者注:物流機能子会社ホームロジスティクスを通じて、一般貨物自動車運送事業の新会社ホームカーゴを設立。コンテナ陸上輸送=ドレージ輸送を開始)。コンテナを引っ張るドレー車の会社で、(国内ディストリビューションセンターが)10カ所ぐらいあるが、今は3カ所か4カ所(で輸送を開始した)。1台3000万円ぐらいするものを導入した。それを全国でできるように。海外でもできるように。すべてのことを自社で賄うと、だいたい3割、4割下がるので、コストダウンを図っていくことをやっていきたい。

2023年の年末株価予想は3万1000円
世界経済失速でも、日本の株価は「割安」

――最後に株価予想をお願いします。

似鳥:株価予想ね。正月番組を見てください(笑)。私が当たりました。2万9000円予想だったので、2万8500円ということで、ダントツの第1位だった。「来年は?」と言うので、3万1000円にした。え、言っちゃだめ?ま、いいんじゃないですか。なぜならば、世界的に不況になると思う。(実質GDP予想が)アメリカも1%。もっと下がるかもしれない。EUは0.5%とか。日本だけは1.何%とか。おそらくいかないんじゃないかと思う。世界的にも成長がアメリカはじめ中国も(失速する)。じゃあ、なんで日本の株価が上がるんだ?と。今まで、アメリカはじめ、金利が高い、景気がいいときにお金が流れているが、今度は逆にそこからお金が逃げていく。日本はもともと株が安く、かなり外国企業が売って違うところに投資したので。また、日本の株価は安いと、みなさん世界の投資家が思っている。来年は底堅いというか、日本の方にお金が戻ってくるんじゃないかなと私は思う。で、3万1000~3万2000円ぐらいと思ったが、3万1000円に。今よりも高くなると。今が2万7000円前後。今年の予測としては、2万4000円までいって、夏前後までいって、秋ぐらいから上がって2万9000円になると予想した。来年もそのような状態で上がっていくんじゃないかなと考えている。どうなりますでしょうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦。もうこれは勘ですから、ハズレた場合にはすいません、ごめんなさいと謝ります。あくまでも私の意見で、うちの社員の話は聞いてませんので(笑)。

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 今年も残すところあとわずか。そんな中、ニトリホールディングスの2023年3月期第3四半期の決算説明会が開催された。世界経済や為替、株価など、“経済予測の達人”と呼ばれる似鳥昭雄・代表取締役会長兼最高経営責任者はそこで何を語ったのか。海外での出店要請の増加要因について、白井俊之・同社長兼最高執行責任者と、グローバルを担当する武田政則・取締役兼ニトリ社長の説明も交えて、レポートする。

為替147円で予約は失敗。為替は得意だったが見誤った

――為替予約については今期分まで予約だと思うが、予約方針等で、長期の予約を検討する等の方針変更はあるのか、検討されているのか。海外事業の状況についてもより詳しく伺いたい。というのも、中長期で考えていくと、海外での小売り事業が広がっていけば為替がオフセットできる分があると思うので、そういった視点を踏まえて考えると、今後、海外事業の展開加速は可能なのか?今、中国、東南アジアの積極展開の話があったが、もう少し詳細に、直近の状況等アップデートいただければ。

似鳥昭雄ニトリ会長兼CEO(以下、似鳥):では、為替のことは私の方から。今期の決算末(2023年3月)まで147円で予約したが、結果的にちょっと失敗したなと。まあ、みなさんご存知のように134円と。一時151円までいったものだから。再度下がってきたときに買わないと、今度は150円から155円とか、もしくわ160円に行くのではという話もあったので。また、一度(政府が)為替介入して効果がなかった。日本政府は為替介入しても効果は少ないんだなと。もしあったとしても、あんまり影響ないかもしれないということがあって、みなさんと協議して147円で決算まで買おうかと。我慢して我慢し続けたんですけどね。

 私の予想では、アメリカの景気が悪くなって、年末近くになって、為替よりも景気が悪い方が強くなって円高になるということをずっと言ってきたが、それがなかなかならなかった。かなり時期がずれていたというか、住宅も夏以降、10%ずつ注文住宅が前年比で減ってきて、そういう状況もあるから、間違いなくアメリカから不景気になっていくと。そちらのほうが強くなると思っていたが、なんといっても0.75%ずつ毎月毎月金利を上げるということで、その時点では0.7%上げるということがはっきり決まったので、まあ、まずいなと思って、かなり迷ったが予約してしまった。あの時にあそこまで我慢したのでもう少し我慢したら、132円か130円切るぐらいのところでできたかなと。失敗したなと。大変みなさんに対しては申し訳ない。為替は得意な方だったが、ちょっと見誤ってしまったなと。みなさんにお詫び申し上げます。

来年は円高に、110~120円予想

似鳥:(為替は)来年で言うと、僕は110円ぐらいまで、110円から悪くても120円ぐらい、もしかしたら118円ぐらいでいくのかなと。理由は後から申し上げるが、アメリカが予想以上に景気が悪くなる。衣料も含めて世界的に景気が悪くなって、インフレも関税も下がると。ひょっとしたら日本型のデフレ経済になるきっかけになるかも。その前のインフレというのは、あだ花になるかもしれない。パッと咲いてですね。これは勘ですけどね。これだけ戦後に類例がなかったので。日本の失われた30年という、長期的なデフレで。これがこのインフレというものを機会にひょっとしたら、という気がするが、これは何の科学的根拠も何もないが。まあ、来年からは間違いなく世界的に不況で。その中でもアジア圏はいいんじゃないかと。

 今年は(ニトリの為替平均レートが)トータル132円で、去年が111円だから、21円の差。21円で20億円だから、21円×20億円で420億円前年より損をした。210円(おそらく、110円の言い間違い)に来たら、400億円がポンと為替(差益)に乗っかると。今の状況は間違いなく円高になるから、基本的には下がるまで待ち続けると。私の考えは、為替はドル高がドル安、円安が円高、下がるまで待つ。その後、次の段階でまた上がっていく。今度は今度は長期的に3年ぐらい、2~3年長期的に予約したいなと考えている。今度は失敗しないように。みなさんに大変ご迷惑をおかけしました。だけど、まあ、これから何十年も続いていきますからね。こういう10年か20年に1回、リーマンショックとかオイルショックがある。逆境を今まで乗り切ってきた。まあ戦後、僕は創業して55年だが、初めてのコロナ、それから円安、原材料高、輸送費が倍以上という。こういうのは創業して初めてだ。これもいい経験。失敗を経験として、今後の10年の糧にしていきたい。

海外中心に出店加速、10年間でグループ3000店舗へ

似鳥:出店はとくにシンガポールやマレーシアが軌道に乗ったので、タイやフィリピン、インドネシア、韓国、できたらインドといったところに、なるべく早く、来年調査して、少なくとも再来年、1店でもまずは(店を)出してみたい。海外は早く(年間)100店舗出店できる(ようになりたい)。来年に100店はどうかと思うが、再来年は間違いなく100店舗以上出して、日本より海外の方が多くなると思う。(グループの店舗純増数は)今年が約110店舗だが、来年は184店舗、再来年からは最低200店舗、それが3年ぐらい続いて、次は250店の時代と。(来年には総店舗数が)海外を含めて1000店舗(を超える)。異業種も含めて10年間で3000店舗という計画を立てている。だいたい全部(計画は)できたが、細かくは再度検証した結果、みなさんにお知らせすることができると思う。

――(衣料品の)「N+(エヌプラス)」と「デコホーム」について、通期の出店の見通しを変えている背景と、今、海外の出店については力強い言葉をいただいたが、今後の国内の出店戦略について考え方を教えてほしい。

似鳥:「Nプラス」は今年(期末店舗数が)30店舗、来年20店舗(を出店計画しており)、合わせて50店舗になる。3年目以降も最低20店舗ずつ、できたら毎年30店舗(出店)して、どんどん増やしていきたい。「デコホーム」は今160店舗。来年50店舗をオープンする。だいたい24年度が50店舗、25年度からは60~70店舗と増えていく。「ニトリ」は23年度が29店舗。(その後は)15~20店舗ぐらいがずっと続くと思う。

武田政則・ニトリHD取締役兼ニトリ社長(以下、武田):海外は今目標で来年77店舗オープンしようとしている。1店舗ずつ、地域、ショッピングセンター(SC)にメドをつけながら進めている。その中で、実はマレーシアはおかげさまで9店舗まで決まった。タイがバンコクで2店舗決定している。シンガポールも1店舗決まりそう。最終合意まで至っていないが、大変多くのお店がベトナム依頼がきていて、今、10店舗来ていて条件を調整している。インドネシアが今8店舗お声がけいただいていて、この中から条件がいいものを選んでいこうと考えている。フィリピンは大手の方たちと商談がスタートしていて、具体的に面積のすり合わせなどを行っている。あとは韓国が8物件提示をいただいていて、そのうち数店舗決められるのではないか。香港は9物件いただいていて、条件のすり合わせをしている。あまりよくない場所には出したくないので、しっかりと詳細を確認しながら進めたい。

 (出店した)シンガポールとマレーシアのお店を見ていただいて、具体的な物件など本当に多くのお声がけをいただいている。それに向けて新しい海外の法人の立ち上げを急ピッチで社内で動いている。あとはサプライチェーンだ。週かの方法や、どこに大型物流センターを作ってどういう風に運ぶかということも、かなり急激にお店が増えてくるので、今しっかりとそのサプライチェーンマネジメント・チームをつくって対策を打っているところだ。

 中国は(ゼロコロナ政策からの方針転換という)こういう状況で、街にはほとんど人がいない中で営業している。私たちの従業員も大勢(コロナに)かかっているが、そんな中で、実はテナントが空きつつある。多く空いてきているので、逆にチャンスだと思っていて、私たちの理想の面積がしっかりと提案いただけるようになってきている。みなが(お店を)やめていくところに、しっかりとニトリの店にしていきたい。スピードを上げていくうえで、店舗開発担当の人数まで増やして対応している。

世界展開する大型家具・インテリア業態は「IKEA」と「ニトリ」だけ
SC内に競合がなく、客層拡大・集客に期待かかる

――これだけアジア各国で強いラブコールが来ているのは、どういうところが各国で評価されていると考えているか?

武田:家具からホームファッションまで(の商品群や)、コーディネートで色がつながっているという商品構成を、ずっと何十年もかけて作り上げてきたが、実はそういう店舗・商品がインターナショナルで展開できているのが、今までIKEAさんだけだ。IKEAはものすごい大きな店を100万~150万人に1店舗ということで出店されているが、私たちはもっと商圏に入り込んで、10万~15万人の中に店舗をつくっていける。もっともっと近所になっていけるということと、SCにはIKEAは(店舗が大きすぎて)入れられないので、そういう意味では、今ニトリは日本では平均1100~1200坪が平均だが、今中国・ASEANは500坪型、700坪型で標準化を進めている。同じ売り場を複数増やしていけるということで、ローコストオペレーションも進めさせていただいている。

白井俊之・社長兼COO(以下、白井):先週、東南アジアを回ってマレーシア、シンガポールの店に行ってきた。マレーシアのジョホールバルというところに先週木曜日(12月15日)に新店がオープンして非常に好調だ。同じジョホールバルの2店舗目が来年1月にオープンするが、実はIKEAさんと同じSCに入る。まったく同じSCで、ニトリとIKEAのカンバンが一つの写真に納まるようなめずらしいSCになる。

 それで現地でいろいろ話を聞いてきて、ニトリがSCからお声がかかる理由として、大きく2つある。一つはSCの中で住まいでうちのようなフォーマットの店がほとんどない状態だ。SC側から見ると、今までそのSCに来ていなかったお客さまをうちが呼び込むということを相当期待されている。SCからすると、客層が拡大できると。また、大きなスペースを取る割には、他のテナントへの影響も少ない。アパレル同士だったらどうしてもカニバリ(食い合い)になるが、(しないので)ウェルカムのようで、比較的、おそらく他社よりもいい条件で入らせていただけるんじゃないかなという手応えを感じている。今、武田からも話が合ったように、我々が出店の用意があるということを十分理解したうえで、各国・地域で国を超えてデベロッパーさんが東南アジアのお店などにもどんどん視察に来られていて、いろいろな話をいただいている。

50年に1回の大災害を1年で乗り切る。筋肉質に体質改善

――似鳥会長はこれまでずっと、ピンチはチャンスだと言い続け、不透明な時、厳しい時こそニトリは伸びる、厳しい環境が社員を伸ばす、とずっと言われ続けてきた。先ほどの為替の話のように、 半世紀以上経営されてきて、予測が外れるといったような状況が起きてきている。そういった中で、今は何を社員に呼びかけているのか?

似鳥:今こういう状況で、社員もモチベーションが非常に上がりにくい。もうマイナス、マイナス、未達成の状況が続いてるので、なんぼ努力しても進んでいかなくて、士気が上がらないという状況なのは間違いない。私からのメッセージとしては社内報などを毎月出しているが、最近は私とか幹部とか、現在こういう状況だけど、来年以降はこうなりますよ、とか、何十年の中のたった今年1年だから、まあどんな会社だってそんなことはあり得るし、いちいち深刻がって「もううちの会社、このままマイナスになっていくのかな」とか、全然そういう心配はいらないというね。理由もちゃんと説明して、やはり円安っていう状況が1番ですけど。これはもう来年は間違いなく円高になるんですね。たった1年だから我慢してくださいと。それによって今年、筋肉質に(改善した)。今まではもう進め、進めで、商品とか出店とかに力を入れていたが、見直しして、社内の業務改革で、100億円、200億円という数字はコストダウンした。だから、「ピンチはチャンス」というのは、ピンチでどうしても数字が(目標に)行かない場合には、社内のコストダウンに力を入れて、しかるべき、ピンチから1、2年後(チャンスに変わるタイミングで)攻めて行ける。

 逆に、そうは言っても国内ではわりかし長く景気がよく続いている。まだ土地も下がらない。建物(費)も下がらない状態も続いているが、来年から潮目が変わると思う。もう、アメリカも戦後1番長い景気だから、この景気が落ちるのはっきりしている。下だれば坂も長いし、谷も深いと。世界的に、アメリカがくしゃみすれば、世界中が風邪をひいてしまう。日本も同じような状態だと思う。日本は金利が、黒田総裁が変わっていく頃にはプラスなってくるだろうから、余計、円高になってくる。それを社内に発信して、だから今、体を鍛える、筋肉質に鍛える時なんだと。

 私も筋トレを月曜から木曜までやっていて、ボクササイズも週1回やっている。土日はゴルフという。本当に体を鍛えるのをやっている。つい最近、階段から転げ落ちて、一本背負いみたいになっちゃって全員打撲のむち打ちになり、寝たきりになってしまったが、1日1日回復して、皆さんに顔を見せるのに間に合ってよかった。このようにピンピンしている。やっぱり筋トレをしていてよかった。今年は我が社で言うと、筋トレをやって鍛えて、しかるべき来年からどんどん攻める。今年はそういう時期じゃないかなと思っている。株価も大変みなさんに迷惑をかけているが、間違いなく元に戻るし、利益もどれだけ行くとはまだ言えないが、順調に来年から回復すると思う。まあ、10年、20年に1回ぐらいはね……。うちの30何年か増収増益というのは出来すぎだ。運が良すぎた。50年に1回の大災害と思えば、それもたった1年で乗り切るんだから、うちの社員にはみんなに我慢してと。早く辞めたりしないでと。若手の人は目先で動くから、入社して2年3年はね。もう30歳過ぎると辞め過ぎないが。やっぱり動揺するんですよね。入社員3年、4年は。そういう風なメッセージを毎月社内には送っている。早まらないでちょうだいね、と。会社を信頼してと。そういう話をしているところだ。

ユニクロのファストリは株式分割。ニトリの投資単位の引き下げは?

――似鳥会長に質問。「ユニクロ」のファーストリテイリングが株式分割を久しぶりにされた。ニトリは現状、株価が1万6400円前後で、投資には164万円ぐらい必要だ。東証はできれば投資単位を50万円以内が望ましいと明言している。投資単位の引き下げの考えは?

似鳥:私の一存でそうしますとは言えないが、事実、証券協会から強制ではないけれどできるだけ買いやすくしてほしいという要望はある。今回のユニクロさんは3分の1にした。3分の1にしたって、まだ2万円台で、300万円ぐらい必要。まだまだ高い。うちなんかまだ100万円台。ユニクロがまた下げたら、うちも下げます(笑)。10分の1ぐらいにするのかなと思ったけど、3分の1。ちょっと様子見ということかなと。今すぐ下げることはないけど、投資家のためには買いやすい価格にするべきだと思う。

――そもそも、10分の1ぐらいにするのかなと思ったということだが、ファストリが今下げたことに対しては驚いたか?

似鳥:ああ、やっぱりなという。高すぎるので、よく買う人いるなと(笑)。今、800万円とかね。大企業・機関や、個人投資家でもお金持ち中心でやっているんだなと。それであそこまで上がっていくなら大したものだと思っているが。私もああいう企業になりたいなと思っているんですけどね。今年も柳井(正ファーストリテイリング会長兼社長)さんとゴルフを今年もしたけれど、僕が尊敬する一人です、柳井さんは。お互いに会話しながら、株のことは話ししないけれども、ゴルフしながら歩きながら、私が教えてもらっているところがある。

――御社は様子見ということか?

似鳥:もう少し様子を見てだと思う。あと、株価が今、1万6000円ぐらいでしょ?それが何千円ぐらいに下がると目立たないというか、親戚とか周りから見て、評判がね……。たとえば3000円とか4000円になると、もうまったく(評価が)なくなってしまうと。そういう面で、社員からはそのまま維持してほしいという要望が多い。本当にどうしたらいいかと、今のところ思考中だ。

来春ベースアップ4%を予定。転勤制度改正、希望者への土日休み拡充も

――家計が苦しくなる中で、従業員の暮らしにも影響が出る。来春闘に向けて賃上げは?

白井:ベースアップに関しては、ニトリは19年連続でベースアップを続けていて、来年度の見込みとして最低でも4%は確保したい。ただ、今一番従業員から要望が多いのは、転勤についての制度について。会長の似鳥からも、20代でいろいろな仕事をというところで、転勤が非常に多いが、来年度から思い切って、だいたい入社4年目以降から、関東圏、関西圏を選択して、転勤のない制度を導入することを決定して、これから社内に発表するところだ。むしろそちらの方が、働き方というところで言うと、非常に社内においてインパクトがあるんじゃないかなと。それと、賃上げについては、最低でも定期昇給ベア4%を予定している。

似鳥:流通業は全国に店がある。どうしても転勤の問題や、土日休みじゃないということもあり、優秀な人材が退職するということもある。今、白井社長が言ったように、転勤は希望があれば親元からも通えるようにしようと。それから、今年6月から月3回、パートさんも含めて希望者が土日に休みを取得できるようにしている。来年から月4回、毎週1回、土日希望があればと。アンケートをとって実行しているが、若い人が土日、恋人がとか、お付き合いが、と(いうことで取得希望者が多いかと)思ったら、そういう人たちは平日の休みのほうが自由で人が少なくていいという。意外と、子どもさんを持っている30代の方などが、土日の運動会や参観日などで、30%、1/3ぐらい(希望している)。意外と土日(休み希望は)少なかった。そういうこともアンケートをとってわかった。ありとあらゆることで働き方を改革していこうとずっとやっている。まだまだいろいろあるが、きょうはこのくらいで。

逆境のピンチ後に成長。デフレ時に土地・建物を取得
「無借金なのでいつでも十分に投資可能」

――似鳥会長は「ピンチはチャンス」、収益が厳しいときにこそ一気に他社を差をつけるとおっしゃっているが、他社を引き離すために、どんなストーリーを考えているのか?また、値下げは「季節のお買い得商品」という値下げキャンペーンはわかるが、「生活応援キャンペーン」をやって、「冬の期間限定価格」をやって、「ぽかぽかNウォームお試しキャンペーン」などをやって、など、少なくても昨年に比べて値下げというか、価格戦略のキャンペーンを打っているのは、これも今のうちに他社が値上げしなければならない前に一気に差をつける戦略の一つと見てよいのか?

似鳥:創業してから過去55年、結論から言うと、伸びてきたなと思うのは、逆境のピンチがあって、その後、伸びてきた。景気がいいときは他の企業も伸ばしてくる。出店もするし。だけど、不況のときとか、逆境のときは、みんな控えめに抑える。今まで日本もまだずっとよかったが、来年から金利も多少上がるだろうし、土地は下がってくるとは思う。東京の土地で入札して負けたことなかったが、今年とか去年は買えない。土地(の価格)が倍になって。マンションメーカーだ。マンションが非常に高くなっている。マンションメーカーが3年ぐらいたった時には暴落しているでしょうから、そのマンションメーカーは危ない。馬鹿だなと思う。そういうことやっちゃダメだと思う。今年は池袋の土地と建物は買った(筆者注:東急ハンズ池袋店跡地をヒューリックから土地・建物を取得。11月18日に「ニトリ 池袋サンシャイン60通り店」をオープン。売り場面積約1810坪)が、ああいう物件はめったに出ない。多少高めでも、それでも十分売れているので、買ってよかったなと思う。基本的には高値の時には投資はしないと。建物も坪当たり建築費が50万円(と高騰している)。うちで40万円ちょっと。エスカレーター、エレベーターなどすべてを完備して。でも、一番安い時には20万円ちょっと。半分だった。そういう時代が何十年も続いて、高くなったのはつい6~7年前から。それは僕はまた元に戻ると思う。土地も建物も。そういう意味では来年から徐々にありとあらゆるものがデフレに戻る。土地も建物も。だからチャンスだ。10年か15年に1回そういうときがあって、そのときに土地と建物をどんどん買う。仕込む時期だ。そして、景気がよくなってきたなというときには、うちがばーっと、出店も増やしているし、今、テナントで借りているのが90%ぐらいになっているが、土地と建物が下がったときに買って自前で建てていく。その繰り返しをこの10年~15年ごとにやってきたのが今現在あるのではないかと。投資の仕方だが。今は最悪のとき。ここ2~3年は。来年から下がってくると思う。

 それから、政府も5年間、賃金(向け)を金利ナシで貸し付けてきたが、期限切れで来年から返していかなければならない。僕は中小企業は何万社、何十万社も厳しい時期になっていくと思う。そのときのためにみんな準備はしていると思うが。来年以降、大企業にとっても中小企業にとっても厳しい時代入ると思う。相対的に景気はあまり変わらないかもしれないと思うが、土地建物、金利が上がって、潮目が変わってくる。値上げどころが逆にありとあらゆるところが下がってくる。そういう時代に入ってくるんじゃないかなあと私はそう思っている。その繰り返しで、10年か15年に1回は繰り返して、ずっとうまくいって、ニトリが大きくなってきた原因の一つだと思う。

 お金は今年も1000億円投資したので、来年も純利益と、減価償却がプラス150億円ぐらいあるので、無借金だし、十分投資はしていける準備はいつでもしている。

武田:価格政策、値下げ政策は、他社うんぬんもそうだが、お客さまに使っていただけるチャンスなので、そこで私たちがお安くできるものは頑張ってお安くするということを一番考えている。あとは、工場を回すということも非常に重要な要素で、それぞれの時期にそれぞれの工場の商品をしっかりと生産する人を雇用し続けられるようにすることが大切だ。私たち、直接工場とやっている。そこに対しては意識をもってやっていく。そういうところで商品の売価を検討している。

ベトナム、タイで糸から製品まで一貫工場も稼働
製造、商社、物流まですべて自社で賄ってコストダウン、競争力向上へ

似鳥:最後に私のほうから、一言。海外は私、ベトナムもアメリカも行ってきた。アメリカは今年5月、11月にベトナムの(自社)工場。2万5000坪の世界最大規模のカーテン工場。コロナの間、素人で機械を組み立てて1年(操業開始が)遅れたが、ようやく軌道に乗ってきた。大量生産が始まってきている。今は無地だけ。普通の会社は糸を作ったり、染めたり、専門の会社があり、うちの会社が普通に発注する場合には、縫製会社に頼み、縫製会社が生地屋さんに頼んで、紡績工場に頼んで、そこから、染め、糸の会社に頼んでと。そういう会社が6つ7つ(中間取引先が)あるのを、うち1社でやっている。糸から完成品まで(一気通貫で)。これは世界で初めてで、しかも、坪数の大きさや量産も世界最大規模。壮観です。アナリストの方もベトナム工場を視察していただいた。自分の会社のことだけど、すごいなと思う。やっぱり、こういうものがあれば、いくら海外に毎年何百店出しても供給し続けられるなと。

 タイ工場も、40年ぐらい取引をしてきたところが、赤字で困っているから工場を引き受けてくれないかと。カーペット工場で、(以前は)日本のペットボトルを集めて、今は(ペットボトルなど廃材の輸出入が)禁止されているので、日本で精製してビーズ状にしたものを、タイで溶かして綿(ワタ)にして糸に紡績して、染めて、裁断して、カーペットにして日本全国に持ってきている。これも進化していて、安いカーペットから厚みのあるカーペットに、柄が入ったもの(もできるようになっていて)、ラグがすごく売れる。1畳、2畳サイズの。今度はタイルカーペットを作る。別にバンコクに1万坪ぐらいの新工場を建設する。来年建築が始まり、再来年稼働する。ぜひアナリストの方もご希望があれば案内させていただく。ベトナムも行ける。来年夏か秋に募集させていただく。わが社が出すのではなく、みなさんの経費で参加していただければ。そういう工場も着々と(整備している)。ベトナムのハノイも12月に買って、新しく製造をやる。

 モノを作ってから完成品まで、そして、商社からなにから、物流の仕組みも進めている。カーゴ会社も去年作った(筆者注:物流機能子会社ホームロジスティクスを通じて、一般貨物自動車運送事業の新会社ホームカーゴを設立。コンテナ陸上輸送=ドレージ輸送を開始)。コンテナを引っ張るドレー車の会社で、(国内ディストリビューションセンターが)10カ所ぐらいあるが、今は3カ所か4カ所(で輸送を開始した)。1台3000万円ぐらいするものを導入した。それを全国でできるように。海外でもできるように。すべてのことを自社で賄うと、だいたい3割、4割下がるので、コストダウンを図っていくことをやっていきたい。

2023年の年末株価予想は3万1000円
世界経済失速でも、日本の株価は「割安」

――最後に株価予想をお願いします。

似鳥:株価予想ね。正月番組を見てください(笑)。私が当たりました。2万9000円予想だったので、2万8500円ということで、ダントツの第1位だった。「来年は?」と言うので、3万1000円にした。え、言っちゃだめ?ま、いいんじゃないですか。なぜならば、世界的に不況になると思う。(実質GDP予想が)アメリカも1%。もっと下がるかもしれない。EUは0.5%とか。日本だけは1.何%とか。おそらくいかないんじゃないかと思う。世界的にも成長がアメリカはじめ中国も(失速する)。じゃあ、なんで日本の株価が上がるんだ?と。今まで、アメリカはじめ、金利が高い、景気がいいときにお金が流れているが、今度は逆にそこからお金が逃げていく。日本はもともと株が安く、かなり外国企業が売って違うところに投資したので。また、日本の株価は安いと、みなさん世界の投資家が思っている。来年は底堅いというか、日本の方にお金が戻ってくるんじゃないかなと私は思う。で、3万1000~3万2000円ぐらいと思ったが、3万1000円に。今よりも高くなると。今が2万7000円前後。今年の予測としては、2万4000円までいって、夏前後までいって、秋ぐらいから上がって2万9000円になると予想した。来年もそのような状態で上がっていくんじゃないかなと考えている。どうなりますでしょうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦。もうこれは勘ですから、ハズレた場合にはすいません、ごめんなさいと謝ります。あくまでも私の意見で、うちの社員の話は聞いてませんので(笑)。

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高島屋、通期業績予想を上方修正 ラグジュアリーブランドけん引

 高島屋は26日、2023年2月期連結業績の予想を上方修正し、純利益が260億円(修正前は200億円)になりそうだと発表した。高額品の消費が想定以上に好調で全体を引っ張った。修正後は売上高に相当する営業収益が4500億円(修正前は4390億円)、営業利益が285億円(同235億円)。

 引き続きラグジュアリーブランドや時計・宝飾品といった高額品の動きが活発で、水際対策が緩和された10月以降は東南アジアや台湾、韓国などのインバウンド(訪日客)の集客が回復した。また個人・法人の外商で一過性の大口受注も入った。シンガポール高島屋など海外グループ企業の収益が円建てのため、円安がプラスに作用、利益を押し上げた。

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「ヴァンズ」や「シュプリーム」親会社のCEOが退任

 「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「シュプリーム(SUPREME)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)は12月5日、スティーブ・レンドル(Steve Rendle)会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。後任は未定で、当面はベンノ・ドーレ(Benno Dorer)筆頭独立社外取締役が暫定社長兼CEOを、リチャード・カルッチ(Richard Carucci)取締役が暫定会長を務める。

 ドーレ暫定社長兼CEOは、「VFCにおよそ25年在籍し、CEOとして約6年にわたってリーダーシップを発揮して多大なる貢献をしてくれたスティーブに取締役会を代表して深く感謝する。そのビジネスへの高いコミットメント、ブランド育成にかける情熱、カルチャーへのフォーカスは、強いアクティブ・ライフスタイル・ブランドを複数展開し、パーパスに基づいて会社を運営するという現在のVFCの構築を大いに助けてくれた。彼のますますの活躍を心から願っている」と語った。

 レンドル前会長兼社長兼CEOは、「過去5年にわたり、CEOとしてVFCを率いることができて大変光栄だった。才能豊かで献身的なグローバルチームに心から感謝する。VFCは大いなる可能性を持っており、引き続きの成功と発展を願っている」と述べた。

 VFCの2022年7〜9月期(第2四半期)決算の売上高は、前年同期比3.7%減の30億8060万ドル(約4128億円)だった。ブランド別に見ると、「ザ・ノース・フェイス」は同7.6%増の9億5080万ドル(約1274億円)だったものの、「ヴァンズ」は同12.7%減の9億5210万ドル(約1275億円)、「ティンバーランド」は同3.9%減の5億2420万ドル(約702億円)と苦戦。地域別では、南北アメリカが同2.9%減、EMEA(欧州、中東、アフリカ)は同4.1%減、アジア太平洋地域は同5.9%減といずれの地域も減収となっている。

 同社によれば、特に北米市場で消費者需要が弱かったことが減速の主な要因で、これに基づいて通期の業績見通しを下方修正した。なお、20年11月に「シュプリーム」を21億ドル(約2814億円)で買収した際の負債が重くのしかかり、配当金の支払いに影響するのではないかと見る専門家もいるという。

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H&M、従業員1500人を削減へ コスト削減策の一環として

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)は11月30日、従業員をおよそ1500人削減すると発表した。同社は9月に年間20億スウェーデンクローナ(約260億円)規模のコスト削減・合理化計画を打ち出しており、今回の人員削減もその一環。リストラ関連費用として、2022年9〜11月期(第4四半期)に約8億スウェーデンクローナ(約104億円)を計上する。

 同社の21年12月~22年5月期決算は、売上高が前年同期比19.7%増の1036億7000万スウェーデンクローナ(約1兆3477億円)、営業利益は約2倍(同99.9%増)の54億4600万スウェーデンクローナ(約707億円)、純利益は2倍以上(同129.7%増)の38億9900万スウェーデンクローナ(約506億円)と増収増益だった。しかし、6~8月期は売上高が同3.3%増(現地通貨ベースでは同4%減)の574億5000万スウェーデンクローナ(約7468億円)、営業利益は同85.6%減の9億200万スウェーデンクローナ(約117億円)、純利益は同88.6%減の5億3100万スウェーデンクローナ(約69億円)と苦戦。その主な要因として、7月にロシア市場から撤退したことや、原料や輸送費の上昇、物価高の影響による消費意欲の減退などを挙げている。

 ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)最高経営責任者は、「コスト削減・合理化計画には組織の見直しが含まれており、従業員がその影響を受けることは重々承知している。彼らが次のステップに進むために必要な支援をする」と述べた。

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JR名古屋高島屋「売り上げ過去最高ペース」の理由

 ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋高島屋)の業績が急回復している。隣接するタカシマヤ ゲートタワーモールと合わせた2022年度上期(3〜8月)の売上高は、前年同期比24.5%増の799億円。コロナ前の19年度上期の実績を0.4%ながらも上回り、過去最高になった。9月以降も勢いは続いており、現状のペースでいけば通期でも過去最高だった19年度の1653億円を超える。けん引役のラグジュアリーブランド(特選)の売り場を段階的に増床しており、名古屋地区での優位性を盤石にする考えだ。

ラグジュアリーブランドを1.5倍に増床

 特選の売り場は22年から23年秋にかけて1.5倍に増床する。現状は2・3階と4階の一部で展開しているが、来年の改装で7階の紳士服フロアの一部もメンズの特選になる。1年にわたる改装計画を経て、新規5、改装5の計34ブランド態勢になる。

 既に今年2月に「マノロブラニク」(4階)、4月に「モンクレール」(2階)を新規導入し、11月19日には3階の「エルメス」を移転・増床した。移転前の1.2倍になった「エルメス」は、近隣の岐阜県多治見市で作られたタイルを用いるなど話題性のある空間デザインが特徴だ。奥にはVIPルームを新設し、上顧客の満足度を高める。

 好調なラグジュアリーの売り場増床については、大都市の百貨店が足並みをそろえていると言ってよい。ただ、同店の場合は、ターミナル駅に直結する立地特性もあって20〜30代の若い客層に強い。特選を担当する畑添章宏副部長は「とにかく客数の増加が際立っている」と話す。「特選の22年度上期の売り上げは、19年度に比べて1.5倍(売り場面積は同じ)。今年に入ってからのラグジュアリーブランドの値上げによって、一品単価も上昇しているが、それ以上に革小物やバッグを求める若いお客さまが目に見えて増加している」。名古屋エリアはもともと免税売上高の割合が低いため、中華圏の訪日客の減少の影響はあまり受けない。

 若い世代の集客力はラグジュアリーブランドにも評価されている。ブランドが既存店とは別にポップアップイベントを開く場合、東京では伊勢丹新宿本店、大阪では阪急うめだ本店、名古屋ではJR名古屋高島屋が選ばれるケースが増えている。「プラダ」や「ロエベ」のポップアップイベントでは、限定品を求めて多くの若者でにぎわった。

ゲートタワーモールとの相乗効果

 JR名古屋駅に直結するJR名古屋高島屋は2000年に開業した。運営するのはJR東海と高島屋の合弁会社、ジェイアール東海高島屋である。

 百貨店としては後発にもかかわらず、じわじわと売上高を伸ばし、14年度には名古屋エリアで不動の一番店だった栄の松坂屋名古屋店を抜いた。17年度には隣接地にショッピングセンター(SC)のタカシマヤゲートタワーモールを開業。売り場面積は、JR名古屋高島屋の5万5000平方メートル、ゲートタワーモールの3万2000平方メートルと合わせれば、約8万7000平方メートルになった。21年度の売上高の1146億円は、伊勢丹新宿本店の2070億円、阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)の1731億円、西武池袋本店の1385億円に次いで日本の百貨店で4位につける。

 ゲートタワーモールの開業によって、百貨店が弱かった20〜30代の若い女性客を取り込むことに成功した。百貨店とゲートタワーモールが各階で連結した「二館一体」によって、若い女性が百貨店側のラグジュアリーブランドや化粧品を買い回る流れが生まれた。これが既存の百貨店系アパレルブランドの落ち込みをカバーしている。

 畑添副部長は「SCのゲートタワーモールが開業したことで、百貨店のグレードを上げて棲み分ける方向性が明確になった。コロナによってそれが加速した」と振り返る。グレードを上げる売り場づくりの一環として、21年8月には近接する大名古屋ビルヂング(運営:三菱地所)内に、高級時計を集めた「ウォッチメゾン」(1、2階の1200平方メートル)を設けた。「ロレックス」「カルティエ」「オメガ」「ピアジェ」など人気ブランドを集めた日本有数の品ぞろえで、岐阜県や三重県など広域からも客を呼び込む。

 ライバルとして比較されることが多い松坂屋名古屋店は、古くから家族代々の付き合いがある外商顧客がたくさんいるのが強みだ。松坂屋名古屋店の売上高に占める外商の割合は約50%で、富裕層の岩盤支持層を持つ。一方、新参のJR名古屋高島屋は外商の割合を発表していないが、そこまで高くなく、広域からの一般顧客に支えられているといってよい。そのためコロナ下での外出自粛では他の商業位施設以上の打撃を受けた。

 出勤・通学、旅行、出張といった移動が回復し、ターミナルに人が戻った。これを商機と捉えて、改装や発信力の強化など積極策に打って出る。

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東レ、ユニクロとの戦略パートナーは「サステナ重視」へ 23年3月期に繊維で悲願の売上高1兆円に

 東レは繊維事業で、2023年3月期に売上高1兆円、事業利益540億円を計画する。繊維事業は19年3月期の9743億円、営業利益729億円(いずれも日本基準)が過去最高だった。以降は世界的なアパレル需要の冷え込みにコロナ禍も直撃、売上高は伸び悩んでいた。23年3月期は世界的なアパレル需要の回復に加え、原燃料価格の高騰なども後押しする形になる。同社は繊維事業の中長期的なミッションとして「ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ」を掲げており、2006年からスタートしているユニクロとの戦略的パートナシップについて日覺昭廣・社長は「コロナ禍もあり、対外的な発表はしていないものの、パートナーシップはもちろん継続している。21年以降のパートナーシップについては取引額以上に、リサイクルやバイオマス素材の開発などのサステナビリティを軸とした取り組みの進化に重点を置いていく」という。

 東レは今年、ファーストリテイリングの有明オフィスのそばに「有明ラボ」を設置した。主要な縫製拠点である香港やベトナムなどの海外生産拠点と連携しつつ、「有明ラボ」内でサンプル作成までできる体制を整えた。繊維事業のトップである三木憲一郎・常務執行役員は「リードタイムを短縮するなどの商流の進化やビジネスの高度化にも取り組んでおり、取引額自体は伸びている。ただ、そうした短期的な数字以上に、21年度以降はより中長期的なものづくりを重視していく」という。

 三木常務はこの数年間を「米中の貿易摩擦やコロナ禍、原燃料価格の高騰など、予測できない環境変化が続く中で、成長分野への投資など必要なアクションは取れたと考えている。収益の厳しさはあるが、サプライチェーンの高度化の道筋は付けられていると考えており、今後はリサイクルポリエステル『アンドプラス』などのサステナビリティへの投資を強化する」という。リサイクルポリエステル「アンドプラス」は23年3月期に、前期の3倍上回る売上高500億円超を計画しており、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティシステムの開発にも着手している。また、9月には「イッセイ ミヤケ」のパリコレで、100%植物由来のポリエステル衣服を発表していた。

 また、水処理などに使用する分離膜技術を活用した、非食用バイオマスを原料とした高濃度糖液の開発にも着手しており、タイの実証プラントでは従来の蒸発法に比べて40%のエネルギーを削減できるという。この「糖」を原料に、発酵技術と分離膜を組み合わせた合成方法の開発も進めており、エアバックなどに使用するナイロン66繊維の原料となるバイオアジピン酸の開発にも成功しているという。

 来年度からスタートする中期経営計画でも、「こうしたサステナビリティ分野への投資を強化する」(三木常務)方針だ。

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東レ、ユニクロとの戦略パートナーは「サステナ重視」へ 23年3月期に繊維で悲願の売上高1兆円に

 東レは繊維事業で、2023年3月期に売上高1兆円、事業利益540億円を計画する。繊維事業は19年3月期の9743億円、営業利益729億円(いずれも日本基準)が過去最高だった。以降は世界的なアパレル需要の冷え込みにコロナ禍も直撃、売上高は伸び悩んでいた。23年3月期は世界的なアパレル需要の回復に加え、原燃料価格の高騰なども後押しする形になる。同社は繊維事業の中長期的なミッションとして「ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ」を掲げており、2006年からスタートしているユニクロとの戦略的パートナシップについて日覺昭廣・社長は「コロナ禍もあり、対外的な発表はしていないものの、パートナーシップはもちろん継続している。21年以降のパートナーシップについては取引額以上に、リサイクルやバイオマス素材の開発などのサステナビリティを軸とした取り組みの進化に重点を置いていく」という。

 東レは今年、ファーストリテイリングの有明オフィスのそばに「有明ラボ」を設置した。主要な縫製拠点である香港やベトナムなどの海外生産拠点と連携しつつ、「有明ラボ」内でサンプル作成までできる体制を整えた。繊維事業のトップである三木憲一郎・常務執行役員は「リードタイムを短縮するなどの商流の進化やビジネスの高度化にも取り組んでおり、取引額自体は伸びている。ただ、そうした短期的な数字以上に、21年度以降はより中長期的なものづくりを重視していく」という。

 三木常務はこの数年間を「米中の貿易摩擦やコロナ禍、原燃料価格の高騰など、予測できない環境変化が続く中で、成長分野への投資など必要なアクションは取れたと考えている。収益の厳しさはあるが、サプライチェーンの高度化の道筋は付けられていると考えており、今後はリサイクルポリエステル『アンドプラス』などのサステナビリティへの投資を強化する」という。リサイクルポリエステル「アンドプラス」は23年3月期に、前期の3倍上回る売上高500億円超を計画しており、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティシステムの開発にも着手している。また、9月には「イッセイ ミヤケ」のパリコレで、100%植物由来のポリエステル衣服を発表していた。

 また、水処理などに使用する分離膜技術を活用した、非食用バイオマスを原料とした高濃度糖液の開発にも着手しており、タイの実証プラントでは従来の蒸発法に比べて40%のエネルギーを削減できるという。この「糖」を原料に、発酵技術と分離膜を組み合わせた合成方法の開発も進めており、エアバックなどに使用するナイロン66繊維の原料となるバイオアジピン酸の開発にも成功しているという。

 来年度からスタートする中期経営計画でも、「こうしたサステナビリティ分野への投資を強化する」(三木常務)方針だ。

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アシックスが欧州最大のレース登録プラットフォームを買収

 アシックスは22日、欧州を中心にレース登録のプラットフォームサービスを行うニューコ(njuko SAS)の発行決済株式の全てを取得し、子会社化した。欧州のランナーとのタッチポイントを増やし、店舗やECの集客、計測アプリやトレーニングコンテンツの利用者増などを狙う。22日に投資家向け説明会に登壇した廣田康人社長は、「今回の買収で世界中のランナーをカバーできるようになった。(各地域に根付いた)企業のサービスを通して、アシックスの商品やサービスを知ってもらい、ライフタイム(人生)を通じてわれわれの仲間になってもらいたい。ランナーによるフィードバックは、われわれのさらなる成長にもつながる」と話す。

 ニューコは、年間登録者数330万を超える欧州最大のレース登録プラットフォームだ。2012年にフランスで設立し、大会によって登録や決済方法をカスタマイズできるほか、複数言語や通貨にも対応するのを強みとして、フランス、イギリス、イタリア、ドイツなどでサービスを提供している。

 同社は近年、各地域のレース登録会社を買収してきた。19年のカナダのレースロースター(Race Roaster)を皮切りに、21年には豪のレジスターナウ(Register Now)を、今年8月には国内最大のランニングプラットフォームであるアールビーズを子会社化した。今回買収したニューコを含めて、各企業のサービスをアシックスの無料会員サービス「ワンアシックス(OneASICS)」と連携することで、レース、トレーニング、商品をトータルでサポートし、ロイヤルカスタマーの獲得を目指す。

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マッシュがビューティ事業をテコ入れ 好調なファッションのノウハウを横展開

 マッシュホールディングスは今期(2023年8月期)、業績が足踏みするビューティ事業をテコ入れする。PRや組織体制など、好調なファッション事業の手法を横展開することで復調を目指す。

 子会社マッシュビューティーラボが運営するビューティ事業の22年8月期売上高は、前期比横ばいの164億円だった。近藤広幸社長は「コロナによりメイクアップの市況が厳しいというのはもはや言い訳にならない。トレンドのキャッチアップ力、話題性のある商品やイベントの打ち出しが足りなかった」と反省の弁。期中には、小木充マッシュビューティーラボ元副社長や「セルヴォーク(CELVOKE)」の田上陽子ディレクターらキーパーソンが会社を後にした。

 23年8月期は、ビューティ事業単体で前期比15%増の181.8億円を目指す。具体的なテコ入れ策として、これまでビューティカテゴリーにおいてはそれぞれブランドごとに行っていたPR体制を見直し、ファッションカテゴリーと同様に「PR事業部」を組織。さらにファッションのPR責任者がビューティの責任者を兼務することで、ノウハウを共有する。また、ビューティ事業のブランド横串でそれぞれの成長を促す「ブランド事業部」も立ち上げた。

 今年6月にはマッシュブランドを集めた新ECアプリ「マッシュ ストア」をローンチした。「マッシュ ストア」ではファッションとビューティのトータル提案を強化し、カテゴリーをまたいで利用する客を増やす狙いだ。それに先立ち5月には、ファッションとビューティで別々だった会員サービスの統合を完了した。

 8月末時点で「マッシュ ストア」アプリのダウンロード数は22万。来年春には積極的なプロモーションにより利用者の獲得を加速する。「(同社の)会員512万人がアプリを通じて当社のファッションとビューティの両方を楽しんでいただき、店舗への誘客にもつながれば、シナジーは大きいはずだ」とみる。

メンズファッションとライセンス事業
それぞれ「売上高100億円」を狙う

 メンズファッションやライセンス事業にも成長余地を見出す。メンズファッション事業の22年8月期売上高は前期18%増の41億円で、大部分を「ジェラート ピケ」のメンズライン“ジェラート ピケ オム”が占める。今年春にスタートした「アウール(AOURE)」は3年以内に売上高30億円に育てる計画で、「将来的にはメンズ事業で100億円の売り上げ規模を作っていきたい」とする。

 伊藤忠商事と合弁で新会社バブアー パートナーズジャパンを設立しライセンス展開を始めた「バブアー(BARBOUR)」は、伊勢丹新宿本店メンズ館、大丸東京店、ルクアイーレ大阪に直営店を出した。マッシュの事業ポートフォリオにはないアウトドアのノウハウを学ぶとともに、ここでも「エコストア(ECO STORE)」などと合わせたライセンス事業分野として、売上高100億円の事業規模創出を狙う。

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マッシュがベインキャピタルに2000億円で株式売却 「3〜5年後の上場目指す」

 「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」「スナイデル(SNIDEL)」などを手掛けるマッシュホールディングス(近藤広幸社長、以下マッシュHD)は、株式上場を視野に米投資ファンドのベインキャピタルに株式を譲渡する。近藤社長が保有する全株式を12月末までに2000億円規模で売却し、その後近藤社長が再出資する。「パートナーシップによって海外事業の成長を加速させ、管理部門などのサポートも受ける。3〜5年後に上場を目指す」と近藤社長は話す。

 再出資後の株式保有比率は、ベインキャピタルが約6割、近藤社長が約4割となる。近藤社長や現経営陣は引き続き指揮を執る。

 マッシュHDの2022年8月期売上高は前期比14%増の1023億円、営業利益は98億円だった。売上高が1000億円を超えたのは初めて。「現状は国内と海外の売り上げ比率が9対1。これを上場するタイミングで1対1にまで持っていき、売上高としては3000億円にしたい」。そのための基盤作りとして、ダウンウエアの「カナダグース(CANADA GOOSE)」や韓国の化粧品「カーバー コリア(CARVER KOREA)」などへの投資実績があり、ブランドを成長させているベインキャピタルと組んだ。

 株式譲渡にあたっての近藤社長のインタビューは、この後「WWDJAPAN.com」で公開する。

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マッシュHD22年8月期は売上高1000億円の大台突破 主力ファッションブランドが軒並み2ケタ増収

 マッシュホールディングス(HD)の2022年8月期は、売上高が前期比14%増の1023億円で、同社としては初めて1000億円を突破した。営業利益は98億円だった。売上高の約8割を占めるファッション事業の主力ブランドが軒並み2ケタ増収と好調で、業績を大きくけん引した。

 事業子会社マッシュスタイルラボが運営するファッション事業の売上高は前期比18%増の795億円。基幹ブランドの「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」は同15%増の276億円で、コロナ前の19年8月期との比較でも72%増と伸ばした。コロナ禍でのステイホーム需要が一巡する中でも強さを見せる要因は、「ベーシックな商品における高水準の企画力と、コラボによる話題性を両立できたこと」と近藤広幸マッシュHD社長。当期のコラボ企画数は17を数え、コラボ商品のみで売上高が60億円以上に達した。

 「スナイデル(SNIDEL)」は同38%増の189億円。近藤社長は「何度も反省会を繰り返しながら、愚直に商品をブラッシュアップしてきた。向上心の強いチーム力が生み出した成果だ」と強調する。その他の主なブランドの売上高は「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」が同12%増の90億円、「フレイ アイディー(FRAY I.D)」が同19%増の72億円。

 海外では中国での認知拡大に一定の手応えを得た。同国最大級のショッピングイベントである昨年の「独身の日」(11月11日)は、過去最高の8億7000万円を売り上げた。北米事業は「ジェラート ピケ」のEC販売好調により「黒字化は目前」。

 23年8月期は売上高が前期比7.5%増の1100億円を予想する。営業利益に関しては、円安や輸送費高騰の影響により「見通すことは難しい」とする。厳しい商環境が続く中で、「(今期の業績は)決して楽観視できない。商品ごと特性を見極めながらの適正な価格設定と付加価値の提供が必要だ」と話す。

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ワコールHD営業利益13%減 4〜9月期、米国や中国が苦戦

 ワコールホールディングス(HD)の2022年4〜9月連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比13.0%増の975億円、営業利益は同13.3%減の400億円だった。

 国内ワコールは、ベトナム工場の納期遅れなどで販売の機会損失があったが、既存顧客の売り上げが堅調に推移し、売上高は同13.8%増の488億円、営業利益は同3.0%増の15億円だった。海外ワコールは、売上高は同12.1%の350億円で、営業利益は同31.9%減の15億円だった。行動制限が解除された欧州はスイムウエアやボディーニュートラルを掲げる「エロミ(ELOMI)」の売り上げが伸長。アジア市場も回復基調にあったが、米市場のインフレによる消費者マインドの低下やゼロコロナ政策による中国市場が低迷し策が振るわずEC販売が前年を割り、売上高は同1.4%減の61億円、営業利益は同23.1%の8億3000万円だった。ピーチ・ジョン事業は、マーケティング施策が振るわずEC販売が前年を割り、売上高は同1.4%減の61億円、営業利益は同23.1%の8億3000万円だった。

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ワコールHD営業利益13%減 4〜9月期、米国や中国が苦戦

 ワコールホールディングス(HD)の2022年4〜9月連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比13.0%増の975億円、営業利益は同13.3%減の400億円だった。

 国内ワコールは、ベトナム工場の納期遅れなどで販売の機会損失があったが、既存顧客の売り上げが堅調に推移し、売上高は同13.8%増の488億円、営業利益は同3.0%増の15億円だった。海外ワコールは、売上高は同12.1%の350億円で、営業利益は同31.9%減の15億円だった。行動制限が解除された欧州はスイムウエアやボディーニュートラルを掲げる「エロミ(ELOMI)」の売り上げが伸長。アジア市場も回復基調にあったが、米市場のインフレによる消費者マインドの低下やゼロコロナ政策による中国市場が低迷し策が振るわずEC販売が前年を割り、売上高は同1.4%減の61億円、営業利益は同23.1%の8億3000万円だった。ピーチ・ジョン事業は、マーケティング施策が振るわずEC販売が前年を割り、売上高は同1.4%減の61億円、営業利益は同23.1%の8億3000万円だった。

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ヤギ、円安や原料高で経常益20.6%減 22年4〜9月期

 繊維商社ヤギの2022年4〜9月決算は、売上高が前年同期比7.3%増の404億円、営業利益が同11.1%減の3億2500万円、経常利益が同20.6%減の6億1600万円、純利益は同28.9%減の4億1900万円だった。燃料価格・原材料価格の高騰や急速な円安によるコスト高の影響を価格に転嫁できず、大幅な減益になった。

 セグメント別売上高では、高次加工糸などの差別化原料や車両向けの合繊原料販売が好調なマテリアル事業が同22.9%増。「本体の綿糸は定番品を減らしながらサステナブル素材へと置き換えて功を奏している」(八木隆夫社長)。また、主力のアパレル事業もスポーツ商材やアウトドア商材等で復調し、同0.5%増と堅調だった。ブランド・ライフスタイル事業では同2.2%の減収だった。「タトラス」の秋冬商品の卸売分を下期に計上したのが原因で、上期では売上げ、利益ともに減少し、赤字幅が増えて6億2000万円の経常赤字となった。

 今期は中期経営計画「MAKE A DREAM, 1+∞」の最終年度にあたり、引き続き「経営体制の高度化」「事業ポートフォリオの最適化」「次世代事業の創出」「サステナビリティの着実な実行」の4つの重点施策に取り組む。「内部要因の問題を改善し、利益を出していくためには経営体制の高度化が必要。これまでの独立採算、部分最適志向から全社最適志向へと仕組みを変えていきたい。加えて、収益性の高い領域の事業にシフトしていく」(八木社長)。国内素材を使った商材や高付加価値商材など為替に左右されにくいゾーンに重点を置く。現在、来期からスタートする新中期経営計画を作成中で、これらの重点施策をさらに深化させる。

 海外市場向け販売については、テキスタイルECサイト「ファブリー(Fably)」をはじめとしたデジタルプラットフォームとサステナブル素材、ブランドを軸に本格的に取り組んでいく。9月には、世界最大級のデジタル素材ライブラリーを運営する米スウォッチブック(swatchbook)と資本業務提携を締結。「ファブリー」をスウォッチブックのプラットフォームに連携させ、海外へのテキスタイル販売を拡充するとともに、繊維業界のDX化を支援する。

 通期の業績予想は、上期の落ち込みを下期に挽回することで、売上高790億円、営業利益20億円、経常利益22億円、当期純利益11億円を計画している。

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三越伊勢丹HDが通期業績を上方修正 新宿本店で国内客の消費旺盛

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)は11日、2023年3月期の連結業績を上方修正した。修正後は総額売上高1兆750億円(修正前は1兆500億円)、営業利益240億円(同170億円)、純利益240億円(同190億円)とした。百貨店事業の回復が想定以上だった。特に伊勢丹新宿本店では、中国の訪日客が戻っていないにもかかわらず、4〜9月期の売上高が08年の経営統合後の最高を記録した。

 同日発表した22年4〜9月期の連結業績は、総額売上高が前年同期比24.2%増の4956億円、営業損益が89億円の黒字(前年同期が77億円の赤字)、純損益が77億円の黒字(同81億円の赤字)だった。首都圏の店舗を運営する三越伊勢丹は、訪日客による免税を除けば、コロナ前の18年実績を上回っており、特に8月以降は2ケタ増が続いている。

 MIカード会員やアプリ会員などの識別顧客が売上高をけん引している。特に年間100万円以上購買する区分のMIカード会員の上期(4〜9月期)売上高は21%増で推移しており、通期では予想を200億円上回る約2400億円で着地する見通しだ。

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ミズノ過去最高業績 4〜9月、ゴルフけん引

 ミズノは9日、2023年3月期連結業績の純利益が過去最高の85億円になりそうだと発表した。従来予想の70億円から15億円積み増す。米州をはじめとした海外市場でゴルフクラブなどの販売が想定を上回った。国内市場でもコロナの行動規制が緩和されたことで、野球、サッカーなどの分野が回復した。純利益以外も上方修正し、売上高1950億円(修正前は1830億円)、営業利益115億円(同105億円)を見込む。営業利益も過去最高を更新する。

 同日発表した4〜9月期連結業績は、売上高が前年同期比16.6%増の992億円、営業利益が同46.1%増の81億円、純利益が50.1%増の64億円になった。4〜9月期として全項目で過去最高を更新した。日本、米州、欧州、韓国など世界的に単価の高いゴルフクラブの販売が伸びた。コスト削減策によって販管費率が3.0ポイント減らしたことが、利益の底上げにつながった。

 地域別の売上高は、日本が14%増の621億円、米州が24%増の154億円、欧州が17%増の112億円、アジア・オセアニアが20%増の105億円だった。

 大阪で決算説明会に登壇した水野明人社長は「ゴルフについては、われわれも目論みというよりも感染症による(屋外スポーツへの)後押しがあった」「ゴルフはプレイヤーの高齢化の不安があったが、若いお客さまが多く参入されている」と話した。

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ワールド、通期のコア営業利益でコロナ前と同水準へ カギは端境期とEC

 ワールドは2023年3月期に連結コア営業利益125億円での着地を計画する。達成すれば、コロナ前の20年3月期(130億円)と同水準になる。コロナ禍のダメージが一定程度癒え、リアル店舗への客足が戻る中、今下期(10月〜23年3月)を「縮小均衡から再成長への移行フェーズ」(鈴木信輝社長)と位置付ける。カギとなるのは、主力のブランド事業におけるシーズンの端境期戦略の見直しと、EC販売の強化だ。

ブランド事業では23年3月期に売上高が前期比24%増の1780億円、セグメント利益が同3倍の94億円を予想する。既存店売上高は、構造改革による店舗減を念頭に、20年3月期水準の8割程度への回復を目標とする。すでに上期(4〜9月)でおおむね目標水準まで戻しているが、月次売上高でみると8、9月が20年3月期の7割程度にとどまった。「秋物のプロパー商品を意図的に前倒し展開したが、もっと伸ばせる余地があった」と鈴木社長。この反省を元に、次に迎える端境期(23年1〜2月)は「戦い方を抜本的に変える」。店頭に残る冬物を減らす「在庫計画」、春物を適量・適価で投入する「質と量」、季節の変わり目のニーズを捉える「商品企画」の3つの軸で見直しをかける。

ECは、9月にリニューアルした公式アプリによる顧客接点強化を成長のエンジンにする。メインコンテンツに据えた店頭スタッフのスナップページからのEC送客、パーソナライズされた情報発信などを継続的に強化。「コロナ禍であらゆるお客さまがECを使うことに慣れた」とし、リアル店舗の客足が戻る中で「チャネルホッパー(オンライン、オフラインを使い分ける客)に向けたOMO型のストアの出店検討を進める」。

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ゴールドウイン4〜9月期の売上高は過去最高453億円 登山とランに高い需要

 ゴールドウインの2022年4〜9月期は、売上高が前年同期比18.6%増の453億円と過去最高を記録した。8月に発表した444億円の業績予想を上回った。

 売上高を事業別に見ると、パフォーマンス事業が同23.0%増の162億円。登山やランニング需要が継続し、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の高機能ライン“サミットシリーズ(SUMMIT SERIES)”をはじめ、ハイスペック商品がよく動いた。コロナで屈んでいた「スピード(SPEEDO)」は、スイムウエアとトレーニングウエアで支持を伸ばして本格的な回復を見せた。ライフスタイル事業は同15.3%増の256億円。キャンプ用品が堅調に伸びた。ファッション事業は同24.1%増の34億円だった。

 営業利益は同60.0%増の52億円で過去2番目だった。営業利益率は11.6%で前年同期から3.0ポイント改善。原材料の高騰や円安といった減益要因があったが、秋冬商品の一部の価格見直しと商品発注量の適正化、在庫流動の徹底が奏功した。販管費の一部を下期へ繰り越したことも増益に寄与した。また韓国の持分法適用関連会社の好調により、経常利益は同94.3%増の74億円、純利益は同122.0%増の58億円でいずれも過去最高となった。

 上期の業績予想を上回ったが、2023年3月期の通期予想は据え置く。8日に会見した渡辺貴生社長は「業績への寄与度が大きい第3四半期(10〜12月)の動向を見極めた段階で、必要があれば修正案を発表する」と説明する。足元の10月はダウンの代表モデル“ヌプシ”と“バルトロ”の初回投入分がほぼ完売するなど、好調な滑り出しとなった。

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ゴールドウイン4〜9月期の売上高は過去最高453億円 登山とランに高い需要

 ゴールドウインの2022年4〜9月期は、売上高が前年同期比18.6%増の453億円と過去最高を記録した。8月に発表した444億円の業績予想を上回った。

 売上高を事業別に見ると、パフォーマンス事業が同23.0%増の162億円。登山やランニング需要が継続し、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の高機能ライン“サミットシリーズ(SUMMIT SERIES)”をはじめ、ハイスペック商品がよく動いた。コロナで屈んでいた「スピード(SPEEDO)」は、スイムウエアとトレーニングウエアで支持を伸ばして本格的な回復を見せた。ライフスタイル事業は同15.3%増の256億円。キャンプ用品が堅調に伸びた。ファッション事業は同24.1%増の34億円だった。

 営業利益は同60.0%増の52億円で過去2番目だった。営業利益率は11.6%で前年同期から3.0ポイント改善。原材料の高騰や円安といった減益要因があったが、秋冬商品の一部の価格見直しと商品発注量の適正化、在庫流動の徹底が奏功した。販管費の一部を下期へ繰り越したことも増益に寄与した。また韓国の持分法適用関連会社の好調により、経常利益は同94.3%増の74億円、純利益は同122.0%増の58億円でいずれも過去最高となった。

 上期の業績予想を上回ったが、2023年3月期の通期予想は据え置く。8日に会見した渡辺貴生社長は「業績への寄与度が大きい第3四半期(10〜12月)の動向を見極めた段階で、必要があれば修正案を発表する」と説明する。足元の10月はダウンの代表モデル“ヌプシ”と“バルトロ”の初回投入分がほぼ完売するなど、好調な滑り出しとなった。

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ワールド4〜9月期は25%の増収

 ワールドの2022年4〜9月期連結業績(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比25.1%増の967億円、営業損益が40億円の黒字(前年同期は21億円の赤字)、純損益が20億円の黒字(同12億円の赤字)だった。主力のブランド事業が大きく業績を改善し、営業損益、最終損益でいずれも黒字転換を果たした。

 ブランド事業の売上高は前年同期比28.4%増の829億円、コア営業損益が30億円の黒字(前年同期は26億円の赤字)。店舗の営業時間や客数などにおける新型コロナウイルス影響が緩和し、店舗売上高が大きく回復した。

 中国ロックダウンによる商品納期遅延による販売機会損失、円安による仕入れ価格の高騰などのマイナス要因はあったが、百貨店販路を中心とするミドルアッパー業態の生産国内回帰や販売価格の最適化で利益面の悪化を抑えた。売上総利益率は57.9%で、前年同期から2.4ポイント改善した。

 23年3月期の連結業績は、売上収益が前期比23.7%増の2120億円、コア営業利益が同2.3倍の125億円、純利益が同約23倍増の55億円の予想値を据え置いた。

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ユナイテッドアローズ4~9月期、値引き抑制で粗利益率改善

 ユナイテッドアローズの2022年4~9月期連結業績は、売上高が前年同期比13.9%増の574億円、営業損益が13億円の黒字(前年同期は26億円の赤字)、純損益が10億円の黒字(同19億円の赤字)だった。

 各利益が計画地を上回った。値引きの抑制によって利幅が改善したことが大きい。春夏シーズンから品番数の絞り込みを進めたほか、夏のセール本番前に一部で行ってきた春物セールを止めた。その結果、定価販売の構成比は、コロナ禍前の3年前から10.3ポイント増の83.8%に改善。増収効果と併せて、粗利益率が2.8ポイント上昇し、ほぼコロナ禍前の水準まで戻した。

 7日にオンライン会見した松崎善則社長執行役員CEOは、「ここ数年は収益体質の改善、つまり守りに終始してきたが、次期中期計画に向けてはより一層の高付加価値を提供し顧客満足を高めていく。いよいよ次のステージを目指す足場が整ってきた」と手応えを語る。

 秋冬は商品コストの上昇に対応するため、商品の2割相当を平均で15%値上げした。「上代が受け入れていただけない場合の値引き販売を想定し、当初の設計よりも在庫を積み増した。しかし、お客さまにご理解をいただき結果的には売上につながった」という。引き続き値引きの抑制に注力し、1月初めの初売りから2月にかけて行ってきた冬のセールは1月末までに短縮する。

 3月にリニューアルした自社ECでも同様に、タイムセールなどを抑制。春夏は実店舗の回復に伴い、EC上での在庫不足などが発生したが、秋冬に向けては在庫管理をシステム化し、効率を上げる。なおアプリのダウンロード数は、リニューアル後に100万増えて約230万ダウンロードに達した。「システムの課題はほぼ解消し、成長軌道に乗った」と見る(同社)。加えてSNSの専門チームを社内に設置し、インスタグラムとツイッターを柱にデジタルマーケティングを強化する。同社の課題である20~30代の女性へのリーチにつなげる狙いだ。

 松崎社長は、「内部の取り組みによって着実に改善・再成長に向かっている。足元の回復が見えてきた中で、更なる成長に向けては企業としてのブランド力が大事になってくる。商品やサービスをアパレルに留まらない領域に広げ、新たなユナイテッドアローズに向けても本格的に挑戦を始める」と話した。

 通期の業績予想は、売上高同9.8%増の1300億円、営業損益は同185.2%増の48億円、純損益が同309.4%増の30億円を見込む。

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デサント4〜9月期は利益が過去最高 韓国で「アンブロ」人気拡大

 デサントの2022年4〜9月期は、売上高が前年同期比14.6%増の572億円、営業利益が同80.4%増の48億円と増益増収だった。さらに、韓国と中国の持分法適用関連会社の業績伸長で、経常利益は同68.3%増の67億円、純利益は同106.3%増の51億円といずれも過去最高を記録した。7日に行われたオンライン会見で小関秀一社長は「非常に順調な数字だが、これくらいの利益は普通だ。今、ようやくスタートラインに立った。(国内の構造改革や利益を求める経営を)さらに進化させる」と語った。

 主要マーケットである日本、韓国、中国の全てで増収した。日本の売上高は同14.8%増の256億円、営業利益は同6.1%増の32億円。「デサント(DESCENTE)」「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」「マンシングウェア(MUNSINGWEAR)」「アリーナ(ARENA)」の主要4ブランドが伸びた。また過剰生産の見直しや値引きの抑制、低い返品率を維持しつつ、直営店やECといったD2Cを拡大したことで、営業利益が伸びた。

 韓国の売上高は同14.1%増の282億円、営業利益は同326.4%増の9億円。「アンブロ(UMBRO)」が感度の高い若年層に支持され売り上げを19億円伸ばすなど、アスレチックカテゴリーが好調だった。中国は売上高が同7.1%増の22億円、営業利益は同44.6%減の130億円。4月に子会社化したアリーナ上海の売上高によって増収となったが、上海のロックダウンの影響で減益だった。

 上期の業績を受けて、2023年3月期の業績予想を上方修正する。売上高は1180億円(8月の前回予想は1165億円)、営業利益は81億円(同67億円)、純利益は100億円(同95億円)を見込む。小関社長は「コンサバティブな数字に見えるかもしれないが、(円安やウクライナ情勢など)まだまだ何が起こるかわからない。それらを踏まえて、必ずコミットする数字だ」と語る。

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ワークマン、円安で利益目減り 23年3月期予想を下方修正

 ワークマンは7日、2023年3月期の利益予想を下方修正した。修正後の予想は、売上高に相当する営業総収入が1252億円(修正前は1241億円)、営業利益が217億円(同244億円)、純利益が148億円(同167億円)とする。一般的な小売業の売上高にあたるチェーン全店売上高は1686億円(同1666億円)と予想する。積極的な新規出店と既存店の堅調な販売によって増収を維持するものの、円安によって仕入れ価格が高騰したため利益が目減りする。

 同日発表した22年4〜9月期は、営業総収入が前年同期比8.9%増の602億円、営業利益が同3.5%減の121億円、純利益が同3.1%減の77億円だった。チェーン全店売上高は同11.1%増の819億円で、既存店売上高は0.7%増だった。

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阪急阪神百貨店が4割増収 4〜9月期、外商が過去最高更新

 エイチ・ツー・オー リテイリングの2022年4〜9月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比34.1%増の4615億円、営業損益が11億円の黒字(前年同期は51億円の赤字)、純利益が同65.5%減の27億円だった。新型コロナ影響の緩和で、屋台骨の百貨店事業と食品事業がいずれも大きく回復した。最終減益は、前期の固定資産売却の反動によるもの。

 阪急阪神百貨店が運営する百貨店事業の売上高は、前年同期比42.9%増の2205億円。国内客向けの売上高は、感染が急拡大した7〜8月を除けばコロナ前の18年水準を上回って推移。免税売上高の落ち込み(18年比約5割減)をカバーした。

 百貨店事業の国内客向け売上高の内訳を見ると、富裕層消費が下支えする構図となっている。外商売上高は18年比17%増。4〜9月期としては過去最高となった。その要因として、「若い『フローリッチ』(高年収層)の外商顧客が増えている」と阪急阪神百貨店の山口俊比古社長。同社の外商顧客に占める50歳未満の割合は、18年比で2ポイント程度増加した。

 エイチ・ツー・オー リテイリングの23年3月期の通期連結業績は、総額売上高が前期比24.3%増の9800億円、営業利益が同12倍の90億円、純利益が同11.4%増の110億円を予想する。上期業績の堅調な回復を受け、利益面の通期予想を上方修正した。10月以降の水際対策緩和により、百貨店事業の下期はインバウンドの回復による押し上げ効果が期待される。足元では「アジアの富裕層がラグジュアリーを中心に活発に購買いただいている」。一方で、ゼロコロナ政策を継続する中国については「(消費が)本格的な戻りは来年以降になるだろう」と見通しを話す。

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阪急阪神百貨店が4割増収 4〜9月期、外商が過去最高更新

 エイチ・ツー・オー リテイリングの2022年4〜9月期連結業績は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比34.1%増の4615億円、営業損益が11億円の黒字(前年同期は51億円の赤字)、純利益が同65.5%減の27億円だった。新型コロナ影響の緩和で、屋台骨の百貨店事業と食品事業がいずれも大きく回復した。最終減益は、前期の固定資産売却の反動によるもの。

 阪急阪神百貨店が運営する百貨店事業の売上高は、前年同期比42.9%増の2205億円。国内客向けの売上高は、感染が急拡大した7〜8月を除けばコロナ前の18年水準を上回って推移。免税売上高の落ち込み(18年比約5割減)をカバーした。

 百貨店事業の国内客向け売上高の内訳を見ると、富裕層消費が下支えする構図となっている。外商売上高は18年比17%増。4〜9月期としては過去最高となった。その要因として、「若い『フローリッチ』(高年収層)の外商顧客が増えている」と阪急阪神百貨店の山口俊比古社長。同社の外商顧客に占める50歳未満の割合は、18年比で2ポイント程度増加した。

 エイチ・ツー・オー リテイリングの23年3月期の通期連結業績は、総額売上高が前期比24.3%増の9800億円、営業利益が同12倍の90億円、純利益が同11.4%増の110億円を予想する。上期業績の堅調な回復を受け、利益面の通期予想を上方修正した。10月以降の水際対策緩和により、百貨店事業の下期はインバウンドの回復による押し上げ効果が期待される。足元では「アジアの富裕層がラグジュアリーを中心に活発に購買いただいている」。一方で、ゼロコロナ政策を継続する中国については「(消費が)本格的な戻りは来年以降になるだろう」と見通しを話す。

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伊勢丹新宿本店の免税売上高、コロナ前の9割まで回復

 主要百貨店5社の2022年10月度業績は、おしなべて1〜2割の増収だった。10月11日以降は、政府による外国人観光客の水際対策が緩和。インバウンド消費の主役だった中国のゼロコロナ政策継続により、プラス影響は限定的ではあるものの、都心の大型店などでは押し上げ効果がみられる。

 各百貨店の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が25.1%増(19年同月比33.4%増)、高島屋が14.7%増(同21.8%増)、そごう・西武が10.9%増(同18.2%増)、大丸松坂屋百貨店が12.6%増(同14.8%増)、阪急阪神百貨店が20.1%増(同21.0%増)。19年実績との比較については、同年10月が消費増税直後だったため、その反動増となった。

 三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、売上高が19年同月比で約1.5倍増。好業績には免税客の増加が貢献した。10月の免税売上高は19年同月との比較で11%減と、コロナ前の9割程度の水準まで回復した。「韓国、香港、台湾を中心に、(水際対策が緩和された)11日以降は外国人のお客さまがかなり戻ってきている」と同社広報。これを受け、近くコロナ禍で縮小していた本館6階の免税カウンターを拡大する。

 ただし都心の一部店舗を除けば、水際対策緩和の恩恵は未だ限定的だ。阪急本店も免税売り上げは前年同月比では4倍だが、「コロナ前にはまだまだ及ばない水準」と同社広報。高島屋の免税売上高は19年同月比34.1%減、大丸松坂屋は同58.5%減にとどまった。

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島精機、部品不足で赤字解消ならず 需要は世界的に回復 22年4〜9月期決算

 横編機大手の島精機製作所の2022年4〜9月期決算は、営業損失が4億3500万円(前年同期は13億5500万円の赤字)だった。期初には4〜9月で黒字化の見通しだったが、部品不足の影響で生産が計画通りに進まなかった。島三博社長は「イタリア、トルコ、バングラデシュの設備投資意欲は高く、上期の受注残も前年同期比で約1.5倍になるなど、繊維機械への需要は回復している。部品不足の影響で、思うような営業活動ができなかった」という。

 売上高は同13.3%増の179億円、経常損失は2億700万円(前年同期は8億4400万円の赤字)、純損失は5億1100万円(前期は10億6800万円の赤字)だった。主要な仕向地別の売上高は、欧州が15.2%増の52億円、トルコなどの中東向けが5.6倍の17億円、中国やバングラを含むアジア向けは2.1%増の66億円だった。トルコやバングラデシュが、欧州のエネルギー高騰に伴う生産移転で旺盛な需要を見せたものの、中国・香港がロックダウンの影響で受注が急減、アジアではやや伸び悩んだ。

 製品別では横編機が3441台(前年同期は1969台)、内ホールガーメント機が297台(同509台)だった。ホールガーメント機の急減は、中国国内向けに高級ニットを販売する企業がロックダウンの影響で受注が止まったという。

 通期では売上高445億円、営業利益10億円、経常利益16億円、純利益8億円と、19年3月期以来の黒字化を計画する。懸念材料である部品不足に関して「不足している状況は上期と大きく変わっていないものの、部品サプライヤーから前向きな見通しを得ることが増えてきた。『ホールガーメント』機の意欲的な新機種も発表したし、世界的な需要環境は全体的に好転している。完全に払拭できるのは来年以降になりそうだが、部品や在庫を厚めにしても受注を優先的に取っていく」(島社長)という。

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ZOZOがリアル店舗を出店へ、22年4〜9月期決算は営業利益14%増

 「ゾゾタウン」を運営するZOZOは、リアル店舗を出店する。10月28日の決算発表の中で、明らかにした。澤田宏太郎社長CEOは詳細は明らかにしなかったものの、「単純に売るためのお店ではなく、『似合うを届ける』へのこだわりを表現する場になる。都内にオープンする」と、ショールーミング型のストアになることを示唆した。

 22年4〜9月決算は、商品取扱高(GMV)が前年同期比9.4%増の2511億円、営業利益が同14.4%増の272億円、経常利益が同15.5%増の274億円、純利益が同15.3%増の190億円だった。同期間の平均出荷単価は同3.0%増の7566円と大幅な上昇。4〜6月に続き2四半期連続でプラスとなった。ZOZOは、「ゾゾタウン」で取り扱うブランド数の増加により、この数年は出荷単価の減少に歯止めがかかっていなかった。澤田社長は「円安や原料高による商品値上げの影響が大きいが、事業へのマイナスはなく、むしろ荷造り運賃率の低減で利益面ではプラスに働いている。秋冬向けの新作の価格は前年同期比で3〜5%ほどの上昇率。高価格帯の商品の方が値上げ率は高く、低価格ゾーンは少なくなっている」という。

 GMVに対する売上高総利益率(粗利率)は34.7%で、前年同期で0.3ポイントの改善。出荷単価の上昇に伴い、荷造運賃率(GMV対比)が0.3ポイント改善の6.9%に低下したほか、この1〜2年進めている物流拠点の作業効率の改善により物流関連費用比率も0.4ポイント改善の3.5%に、人件費率も0.4ポイント改善の6.2%と、主要項目が改善した。ただ、人件費に関しては人材採用も含め、期初からIT投資の強化を掲げてきたが、「この分野は争奪戦になっており、思った以上に人材採用が進まなかった」という。

 GMVに関しては、主力の「ゾゾタウン」が11.3%増の1974億円と好調だった。ZOZOコスメが好調で全体を押し上げた。ペイペイモールも18.7%増の227億円と引き続き大きく伸ばした。

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スペシャリスト二人が登壇!「決算書から企業戦略や課題を読み解くスキルを学ぼう!ファーストリテイリング編」オンラインセミナーを12月7日に開講

 決算書から企業戦略を読み解くスペシャリスト二人が登壇する、参加型クイズ形式のオンラインセミナー「決算書から企業戦略や課題を読み解くスキルを学ぼう!ファーストリテイリング編」を12月7日に開講します。受講料は一般5,500円(税込)、定期購読者は3,300円(税込)。

 決算書のここを見れば、これが分かる―この講座では、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)をビジュアル化し、クイズ形式で企業同士を比較することで、楽しく分かりやすく解説します。

 第1回は「ユニクロ」「ジーユー」を擁するファーストリテイリングをメインに、ビジネスモデルや企業戦略、在庫回転率日数などを読み解きながら、決算書を読むスキルを伝授します。

 シリーズ累計30万部突破のベストセラー「会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方」著者でおなじみの大手町のランダムウォーカーと、WWDJAPAN本紙で「ファッション業界のミカタ」を連載中のファッション流通コンサルタント、齊藤孝浩ディマンドワークス代表の最強コンビによる軽妙かつ明快なトークは、アパレル業界で働く方はもちろん、それ以外の方にも学びや発見があること間違いナシです。

 いろいろな企業を見ることで、自社の強みや課題にも気付け、成長のためのヒントにすることができます。ビジネスの仕組みを知りたい、教養を深めたいという方もぜひご受講ください。

■こんな人にオススメ

競合他社との決算書の違いを理解したい人
ファッション業界の決算書の特色を知りたい人
決算書の読み方を理解し、ビジネスに生かしたい人

■講師

大手町のランダムウォーカー
 Twitterフォロワー数10万人超。公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て独立。「日本人全員が財務諸表を読める世界を創る」を合言葉に「大手町のランダムウォーカー」として「#会計クイズ」を始め、様々な業種・立場の人をネット上で巻き込み好評を博す。初の著書『世界一楽しい決算書の読み方』は、たちまち紙・電子累計で30万部を超えるベストセラーとなった。現在は株式会社Fundaで「#会計クイズ」を運営するほか、企業研修やコンサルティング業務も行っている。

齊藤 孝浩(さいとう たかひろ)
 ディマンドワークス代表/ファッション流通企業の在庫最適化コンサルタント
1965年東京生まれ。総合商社のアパレル部門でOEM生産営業やヨーロッパブランドの日本法人立ち上げを経験した後、98年に政府の留学プログラムで渡米。新興ブランドの輸出代行を手がける。帰国後大手アパレルでバイヤー、取締役営業本部長、経営企画室長を歴任し、2004年有限会社ディマンドワークス設立。ファッション流通コンサルタントとして、これまでに20社以上の業界注目企業を支援し、うち6事業の年商100億円突破に携わっている。


—INFORMATION—

<開催日>
2022年12月7日(水)

<開催時間>
13:30~15:00(講義60分、質疑応答30分)
※終了後、一定期間のアーカイブ配信をいたします
※開催日前日17時と開催日当日9時を目処に、お申込み時に入力いただいたメールアドレスに「WWDJAPAN」より視聴用URLとパスワードをお送りいたします

<募集人数>
オンライン:180名
※先着順となります

<受講料>
【一般】5,500円(税込)
【定期購読(スタンダードプラン)・ライトプラン】3,300円(税込)

<ご注意>
※表示価格は全て1名様分となります
※割引価格はクーポンをご利用時に適用となります
※定期購読者で会員登録がお済みでない方はログインページからご登録ください
※お申し込み、お支払いはPeatixでのお手続きとなります
※領収書はPeatix内の領収データをもって代えさせていただきます

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