米ファッションサブスク企業のレント・ザ・ランウェイが新規上場

 ファッションレンタル事業の先駆けであるレント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)は10月27日、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)した。

 公開価格は1株21ドル(約2373円)に設定され、調達額は3億2730万ドル(約369億円)。初値は公開価格を上回る23ドル(約2599円)を付けたものの、終値は19.29ドル(約2179円)と公開価格の8.1%安だった。時価総額はおよそ13億ドル(約1469億円)。

 レント・ザ・ランウェイは、2009年にニューヨークで創業。オケージョン用のドレスやアクセサリー類のレンタルからスタートした同社は、ラグジュアリーブランドを中心としたハイエンド商品の品ぞろえが豊富なことが特徴だ。しかし、コロナ禍によって華やかなイベントが激減したことや、衛生面での懸念から苦戦を強いられ、20年8月にはニューヨーク旗艦店を含めた全店を閉店した。

 同社は会員のサブスクリプション料が売り上げの80%を占めている。21年1月通期決算では、売上高が前期比 38.6%減の1億5750万ドル(約177億円)、純損失は前年の1億5390万ドル(約173億円)から1億7110万ドル(約193億円)へと赤字が拡大している。21年7月31日時点での累積赤字は6億7410万ドル(約761億円)。今回調達した資金は、負債の返済と将来的な事業の成長のために使用するという。

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ZOZO、GMV23.6%増、営業利益19.5%増も株価は低調 21年4〜9月期

 「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOの2021年4〜9月決算は、商品取扱高(GMV)が前期比23.6%増の2295億円、売上高が同14.6%増の664億円、営業利益が19.5%増の237億円、経常利益が同19.1%増の237億円、純利益が同18.6%増の165億円だった。業績は好調だったものの、株式市場からは「7〜9月のGMVの伸びが物足りない」(SMBC日興証券の金森都シニアアナリスト)と判断されたもようで10月29日株価は前日から595円下げた3680円(11時30分時点)と大幅に下落した。

 主力の「ゾゾタウン」のGMVは同6.8%増と伸びがやや鈍化したものの、親会社のZホールディングスと組んだ「ペイペイモール」での販売が約2倍の191億円と急成長しており、全体を押し上げた。下期はテレビCMの投下やPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」などで広告費がかさむものの、澤田宏太郎社長CEOは「緊急事態宣言の解除でリアル店舗の営業時間短縮が終了しているものの、コロナで伸びたトラフィックにあまり影響はない。下期も成長は続く」という。同日には、リアル店舗支援のためのプラットフォーム「ゾゾモ(ZOZOMO)」、足の3D計測「ZOZOマット」の技術を活用した指輪の計測ツール「ZOZOマット フォー ハンヅ」をラグジュアリーブランドのブルガリと組んでスタートすることなどを発表、本格的なリアル&デジタル支援をスタートする。

 GMV比の粗利率は34.4%で前年同期比で0.3ポイントの改善。広告事業の伸びと物流拠点の作業効率の改善に伴う物流関連費用の抑制などがテレビCMやポイントプロモーション費の増加をカバーした。

 平均商品単価は同3.5%減の3264円と減少を続けているものの、平均出荷単価は0.3%減の7346円とほぼ横ばいに抑えた。新規ユーザーの増加に伴う低価格商品の購入増は続いているものの、セット買いの増加と「ペイペイモールとゾゾタウンの併用者が予想以上に多く、しかも全体の購入額も増加している」ため。そのため今後も「ペイペイモール」とのコラボレーションを仕掛け、新規ユーザーを取り込む考え。

 「ゾゾタウン」の伸びがやや弱含みだった理由については、「東京オリンピック・パラリンピックが予想以上に影響し、『ゾゾタウン』のトラフィックが落ちた。終了後もトラフィックが伸びなかった」という。

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百貨店「富裕層シフト」の必然 30年変わらぬ年収で縮む中間層

 10月31日の衆院選挙を前に、経済政策についての議論が活発だ。日本の平均賃金が約30年も変わらず、先進国の中で相対的に貧しい国になった。あるいは、コロナを機に所得格差が一段と広がった。そんな状況が報じられ、選挙の争点になっている。

 個人消費にかかわる小売業は、国の経済政策の影響を強く受ける。中でも長い歴史を持つ百貨店は時代を映す鏡だ。高度経済成長を経て一億総中流と呼ばれた時代に絶頂を迎えた百貨店は、バブル崩壊後のデフレ、そして新型コロナウイルスによる危機を経て、富裕層シフトを鮮明にする。

商品構成でラグジュアリーブランドを拡充

 「『戻るもの』と『戻らないもの』、そして『さらに成長するもの』ははっきりしてきている」――。

 今月半ば、J.フロント リテイリンング(JFR)は決算説明会で2024年2月期を最終年度にした「中期経営計画の進捗」を発表し、コロナ後の百貨店事業の見通しをそんな表現で説明した。中核企業である大丸松坂屋百貨店の基幹9店舗で、顧客別売上高の外商シェアを2020年2月期の23.7%から24年2月期には30.0%に高める。並行して商品別売上高の割合もラグジュアリーブランドを23.5%(20年2月期は17.3%)に、美術・宝飾・呉服を13.0%(同9.2%)に底上げする。一方、ボリュームゾーンの婦人服・婦人雑貨は14.9%(同18.6%)、紳士服・子供服は8.2%(同9.2%)に集約する。

 売上構成からは「富裕層シフト」が見てとれる。JFRの好本達也社長は「成長戦略として間違いない」と言い切った。

 百貨店の富裕層シフトは今に始まったことではない。コロナ前から外商を中心にした富裕層の消費は拡大を続けて、それ以外の一般客の消費は低迷していた。コロナによってコントラストがより鮮明になった。

 富裕層は客数としては少ないが、一般客に比べて客単価がはるかに大きい。百貨店各社のカード会員の分析では、年間購入額10万円以下の会員の消費は減り続けているのに対し、100万円以上の会員の消費は伸び続けている。都心旗艦店の売上高に占める外商シェアは20〜40%。外商は昔から百貨店の強みであったが、中間層の百貨店離れによって重要性が増しているのだ。ある百貨店の幹部は、消費の2極化について「本来なら10年かけて起こる変化が、コロナで早送りになった。われわれも迅速に動かなければ生き残れない」と話す。

従来のマスマーケティングの限界

 今年4月に就任した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の細谷敏幸社長も、事業戦略の目玉として外商の強化を打ち出す。細谷社長は「マスから個へ」と表現する。「百貨店はずっとマス狙いだった。広く網をかけるのが常識だった。今後は個のお客さまに照準を合わせる。個々のお客さまとの付き合いを深める商売に変わる」

 百貨店は駅前の一等地に巨大な店舗を構えて、とにかく幅広く集客することが常識だった。大勢の人を集めて店舗内を回遊させれば、売り場にお金が落ちるからだ。だが、中間層の百貨店離れが進んだことで、不特定多数のマス(大衆)に網を広げるビジネスモデルは限界を迎え、ロイヤリティの高い顧客と密接につながることが高収益に結びつくようになった。

 細谷社長には21年3月まで社長を務めた岩田屋三越での実績がある。福岡で細谷社長は外商スタッフと商品バイヤーが専用アプリで連携を強めたり、年間300万円以上を購入する顧客のための貴賓室を設けたりするなど、富裕層の満足度を高める施策を矢継ぎ早に打った。岩田屋三越は、コロナ前の19年3月期に過去最高の営業利益(10年に旧岩田屋と旧福岡三越が統合して以降)を達成。今ではそのノウハウを三越伊勢丹HD全体に広げようとしている。

失われたアッパーミドル市場

 百貨店の全国売上高は1991年の9.7兆円をピークにずっと右肩下りで、コロナ前の2019年には5.7兆円まで縮小していた。「ユニクロ」「ニトリ」に代表されるカテゴリーキラー、全国に急増した大型ショッピングセンター、そしてEC(ネット通販)に顧客を奪われたことが敗因だ。

 この間、百貨店を下支えしたのは、富裕層とインバウンド(訪日客)だった。これは政府の経済政策の結果といえる。特に2012年12月に発足した安倍内閣によるアベノミクスに起因するところが大きかった。

 アベノミクスの柱は、大規模な金融緩和と財政出動による円安の誘導である。

 日経平均は継続的に2万円台を回復し、富裕層の資産を底上げした。コロナ禍でも株価の上昇は続き、今年9月には3万円を突破するに至った。野村総合研究所によると、純金融資産を1億円以上保有する富裕層は05年に約87万世帯だったの対し、現在は約133万世帯に増えた。

 円安はインバウンド(訪日客)増加に拍車をかける役割を果たした。訪日客の増加は、観光地として日本が魅力的だったからとか、日本流のおもてなしへの共感などと言われたりもしたが、大前提として日本の物価が安くなったからだ。デフレスパイラルで物価と賃金が低く抑えられたため、外国人にとって日本は買い物もサービスもお得な国になっていった。

 対照的に、日本の中間層の購買力は落ちた。最近報道が増えているように、日本人の平均年収は30年横ばい。朝日新聞によると、20年度の日本の平均年収は424万円で、30年前に比べて18万円しか伸びていない。欧米や韓国が高い成長率を達成する中、先進国で最も賃金が安い国になった。しかも社会保険料の負担が増えているので、可処分所得は減っている。かつてのように百貨店で少し背伸びをした消費を楽しめる人は少なくなった。

富裕層の金城湯池を守り抜く

 コロナによって訪日客はめっきり減った。百貨店の都心の旗艦店では免税売上高が30%に達していたところもあったので大打撃である。高島屋新宿店は、空港型市中免税店「高島屋免税店SHILLA&ANA」を昨年秋に閉めた。

 逆に国内の富裕層は、海外旅行を自粛したお金を百貨店での消費に回した。ラグジュアリーブランドのバッグや服、時計、ジュエリーなどが緊急事態宣言下でも活発に売れた。中間層を対象にしたボリュームゾーンの婦人服や紳士服が、在宅勤務の増加もあって苦戦するのと対照的だった。

 決算の数字にもはっきり出ている。大丸松坂屋の21年3〜8月期の店舗別売上高を一昨年と比べると、鉄道旅客輸送への依存が高い大丸東京店が49.6%減、大丸梅田店が44.1%減なのに対し、外商など固定客に強みを持つ大丸神戸店が17.3%減、松坂屋名古屋店が16.1%減まで持ち直した。

 コロナ前から所得の2極化による中間層の先細りは進行していて、コロナはその状況を加速させたに過ぎない。かつてのように分厚い中間層によって百貨店が再び成長することは難しい。百貨店は最も得意とするところ、外商などの富裕層消費に経営資源を配分しようと足並みをそろえている。

 百貨店は富裕層市場で優位性がある。日本の百貨店独自の外商ビジネスは、多くの富裕層と長年の関係を築き、場合によっては何代にわたって信頼関係を保ってきた。ラグジュアリーブランドや呉服・宝飾・美術などの高級商材だけでなく、日常の衣食住に至るまで富裕層の生活をサポートする。欧米のラグジュアリーブランドの間でも、日本の百貨店の「GAISHO」の名前がとどろいているくらいだ。

 今後はニューリッチと呼ばれる30〜50代の新しい富裕層に向けて、デジタルなどを駆使した新しい外商ビジネスを築こうと、各社は知恵を絞っている。百貨店のネットワークと総合力を用いて、衣食住から遊び、教養までワンストップでさまざまなコンテンツを提供する。現時点でこの分野は百貨店の独壇場である。

 10月に発足した岸田内閣は「成長と分配」を政策テーマに掲げて、中間層の所得の上昇を訴えている。それが実現できるかは未知数だが、いずれにしても数年で成し得る課題ではない。生き残りをかけた百貨店は、まず富裕層市場という金城湯池に経営資源を集める。

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D2Cの代表格 眼鏡の「ワービーパーカー」が支持される理由 鈴木敏仁USリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。D2Cの代表格として日本でも知られる眼鏡の「ワービーパーカー」だが、支持を集める理由を理解している人は案外少ない。改めてどんなブランドなのかおさらいしよう。

 眼鏡のD2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)のワービーパーカー(WARBY PARKER)」が9月末に上場した。当日の株価は0.8%増で1日を終えて、2週間後の今もほぼ同じ株価を維持している。時価総額はこれを書いている時点でおよそ54億ドル(110円換算で6000億円弱)、昨年の秋に2億4500万ドルを調達したときの評価額は30億ドルだったので、1年間で20億ドル近く評価が上がったことになる。

 上場したD2Cブランドとして知名度の高い企業はもう1社、マットレスのキャスパー(CASPER)が昨年初頭に公開しているのだが、こちらは52週の安値近くまで株価が落ちている。D2Cブランドは星の数ほど存在するが、上場まで持ち込める企業は当然のことながら希少で、さらに上場後も株価を高く維持できる企業はさらに希少だ。

 創業は2010年で、ECからスタートするデジタルネイティブなブランドのはしりといえる。またECからスタートし、その後リアル店舗へと進出するビジネスモデルとして、既述のキャスパー、ボノボス(BONOBOS)、アンタックイット(UNTUCKIT)といった企業群の中で、今回の上場の成功で1社飛び抜けた企業になったといえるだろう。

若者に「自分たちのブランド」と思わせる

 この企業は純粋なD2Cではなくてリアル店舗への進出が早く、創業間もない13年にニューヨークのソーホーに1号店を開店し、その後急速に店舗を増やして18年には100店舗を超えていた。

 ちょうどその頃に私が住んでいるロサンゼルスにも店舗ができ始めて、当時高校生だった娘たちと買い物中に店を見つけて、「こんなところに出店しているのか」と声を上げたところ、「なんで知っているの?」と驚かれたことがある。私たちしか知らないはずのブランドを何で親が知っているのだろう、という反応だ。

 ついでなので「この店はどう思うの?」と聞いたところ、「すごくクールだ」と答えが返ってきたのであった。かっこいいというわけだ。

 この会話で私は2つの事実を確認させられたのであった。ワービーパーカーは親世代がまだ知らない企業で“自分たちのブランド”だと認識していることと、若年層はこの企業にクールだというイメージを抱いているということである。おそらく親世代が使い始めると彼らは逃げていくのだろう。アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)やフェイスブック(FACEBOOK)と同じである。

 このクールさを作るのがマーケティングやブランディングなのだが、伸びるD2Cには必ず創業者たちが発信するユニークな物語があり、それをメッセージとして伝える手段が今はSNSということになる。

 この物語のテーマとして今の時代は必ずサステナビリティ、エコ、インクルーシビティが含まれていなければならず、そしてメッセージの背景には彼らのパッションが感じられなければならない。また必ず求められるのがAuthenticity(本物感)で、少しでも宣伝臭くなると若年層は逃げていってしまう。

 この本物感がもっとも重要なのだが容易ではない。大手メーカーや小売企業がD2Cブランドを開発してもすぐに見破られてしまうのだ。だから自ら開発するよりも買収する方が効率が良く、傘下に収めてリソースを提供しながら、しかし自分たちの存在は外にあまり出さないという戦略を取るわけである。資生堂が買収したビューティD2Cブランドのドランクエレファント(DRUNK ELEPHANT)がその好例である。

 ワービーパーカーは当初から眼鏡が1つ売れたら途上国に1つ寄付することをスローガンとして掲げている。この社会貢献イメージがなければ今の時代の若年層には響かない。またブログを眺めると分かるが、眼鏡を売るのではなくて、読書などメガネ周辺のライフスタイルをブランドメッセージとして伝えてきている。こういった秀逸なブランディング技術がクールなイメージを作り、この企業をして成功に導いたのである。

アメリカ人が眼鏡市場に抱く不満を解消

 試着が不可欠な眼鏡をD2Cで売るのはアパレルと同じように簡単ではない。成功した理由の一つは手元で眼鏡を試すことができる無料プロセスを作り上げたことにある。まずお客はサイトでクイズ形式の質問で検索し、商品を絞り込み、最終的に5つを選択することからスタートする。無料で送られてきた5つの眼鏡を5日間限定で試着し、同梱されている箱で送料無料で返品する。この5日間にユーザーは自撮りし、SNSにアップして友人に見栄えをチェックしてもらう人が増えて、口コミによる拡散の追い風ともなった。

 もう一つの理由は米国の眼鏡小売業界の寡占による高価格である。イタリア本拠のエシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA以下、ルックスオティカ)がサングラスハット(SUNGLASS HUT)やレンズクラフターズ(LENS CRAFTERS)といったチェーンのほとんどを傘下に収めており、これが200~300ドル程度と売価を高止まりさせているという指摘はもはや周知の事実となっている。できあがりまで1~2週間かかることはざらで、さらに古い店も多く正直言ってトレンディではまったくない。アメリカ人の多くが不満を持っていて、ここで全品95~145ドルという低価格とデジタルネイティブという新しさが受けたのである。

 一方、検眼という大きなハードルもある。日本と異なりアメリカは度付き眼鏡を買うときは検眼医による処方せんが必要となり、100%デジタルで買い物が終了しない。ウォルマート(WALMART)やコストコ(COSTCO)はレジの外側に検眼医常駐型のメガネ売り場を持っているが、対面なので目的来店性が100%となり集客力が強い。

 ワービーパーカーで買おうにも、検眼目的でまずウォルマートやレンズクラフターズに行かざるを得ないという状況になる。そのため検眼医が常駐するリアル店舗を増やさざるを得ず、これが今後同社のビジネスモデルにどう影響を及ぼすのか未知数だ。

 リアル小売企業がECへと参入するのではなく、その逆のデジタルネイティブな企業がリアルへと本格参入する時代がやってきた。ワービーパーカーはその代表プレーヤーとして注目したい。

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「ユニクロ」最高益決算の死角 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの2021年8月期連結決算が発表された。コロナ禍でも最高益を達成する強さを見せつけたが、細かく分析すると課題も見えてくる。

 10月14日に公表されたファーストリテイリングの2021年8月期決算は、国内とグレーターチャイナのユニクロが復調し、売上収益、営業利益こそ19年8月期に及ばなかったものの、為替差益192億円も寄与して税引き前利益は過去最高益を更新した。したたかに復調したかに見えるファーストリテイリングだが、2つの死角が指摘される。

コロナを克服して最高益を計上した21年8月期連結決算

 売上収益は前期比6.2%増の2兆1329億9200万円とコロナ前の19年8月期には1575億5600万円、営業利益も2490億1100万円と同じく86億円2500万円、当期利益も1756億8400万円とわずかに届かなかったが、税引き前利益は前期から73.9%伸びて2658億7200万円と過去最高を更新し、したたかな立ち直りを見せた。

 回復をけん引したのは売上収益が16.7%(763億円)伸びたグレーターチャイナ(中国本土、香港、台湾)・ユニクロと4.4%(357.4億円)伸びた国内ユニクロで、GUは1.4%(33.5億円)の微増に留まり、グローバルブランドは1.3%(14.3億円)減少した。営業利益でも52.7%(346億円)も伸びたグレーターチャイナ・ユニクロと17.7%(185.6億円)伸びた国内ユニクロが貢献し、GUは7.6%(16.6億円)減益、グローバルブランドは赤字を8分の1近くまで圧縮したが黒字転換はならなかった。

 22年8月期は国内ユニクロが反動で減収減益(既存店11%減、EC微増)、グレーターチャイナ・ユニクロも上期は減収減益(通期は小幅な増収増益)、GUも減収・利益横ばい、欧州ユニクロは増収増益、北米ユニクロは大幅増収で黒字化、グローバルブランドも黒字化すると見て、営業収益を3.1%増の2兆2000億円、営業利益を8.4%増の2700億円、親会社所有者に帰属する当期利益を3.0%増の1750億円と見込んでいる。

したたかなマネジメントスキル

 コロナ禍が長引く中では売り上げの回復は一進一退となったが、粗利益率を19年8月期の48.9%からコロナ禍の20年8月期でも48.6%と0.3ポイントの低下に留め、21年8月期には50.3%と15年8月期(50.5%)の水準に引き上げた在庫運用とサプライのマネジメントスキルは、商社との製販同盟を割り引いても突出した力量と評価するべきだろう。「無印良品」の良品計画が18年9月〜19年8月の51.3%から19年9月〜20年8月は47.%と3.9ポイントも落とし、21年8月期も48.9%と回復しきれなかったのと比較すれば、マネジメントスキルの格差は歴然だ。

 販管費率も然りで、19年8月期の37.3%から20年8月期には40.1%と2.8ポイントかさんだが、21年8月期では38.4%まで抑制しており、14年の40.0%、15〜16年の39%台に比べれば格段に効率化されている。販管費の中身を19年8月期と比較すると、切り下げられたのは広告宣伝費率(3.25%→3.12%)だけで、不動産費率 (注1)は0.51ポイント、人件費率は0.56ポイント、ECの拡大(約47%増の3800億円)で物流費も0.19ポイント上昇しているが、コロナ禍が長引いて販売効率が低下した中では抑制が効いている。

 コロナ禍の20年8月期、国内ユニクロ直営店の販売効率は11.3%低下したが、1人当たり保守面積を19年8期の30.55平方メートルから33.36平方メートルに拡大して1人当たり売上高を3119.2万円から3019.0万円への低下に留めている。この間に国内ユニクロの常勤雇用者 (注2)が1万3621人から1万3259人と2.66%減少、パート・アルバイトの平均在籍数も3万535人から2万9562人と3.19%の減少に留まって極端なシフト削減は確認できないが、海外も含む全社ではパート・アルバイトの平均在籍数が8万758人から7万765人と12.37%も減少しているから、売上減少に伴って相応の運営人時量が削減されたと推察される。

 21年8月期では国内ユニクロの販売効率はさらに1.24%低下したが人時量はほとんど削減されず、1人当たり保守面積も32.61平方メートルと若干縮小したが、全社では常勤雇用者数が3.7%、パート・アルバイトの平均在籍数はさらに10.78%も減少しているから、売り上げは回復しても運営人時量抑制の手綱は緩めなかったようだ。

 運営人時量の圧縮はRFIDタグとセルフレジの導入によるところも大きい。棚卸しや棚戻しの人時量削減に加えてセルフレジの本格導入は効果絶大で、RFIDレーダーを使えばEC受注への店在庫引き当てで生じるピッキングも格段に効率化できる。国内ユニクロは10月8日からECで注文してから最短2時間で店舗の商品を受け取れる「オーダー&ピック」を全国750店舗で始めたが、そんな裏付けもあったと思われる。

 店舗物流が絡む荷受け・品出しは改善の余地が大きいものの、デジタル装備が進むユニクロの店舗運営は急ピッチで効率化している。その基盤となっているのが店舗資産の入れ替えによる大型化だ。

 (注1)不動産費率はIFRS会計適用で比較が難しいが、単純に地代家賃と減価償却費の合計で見れば10.76%から11.27%に上昇している。人件費は委託費と合算して15.18%から15.74%に上昇している

 (注2)ファーストトリテイリングでは18年以降、正社員とフルタイム勤務者を「常勤雇用者」とし、パート・アルバイトも8時間労働の常勤雇用者に換算せず、平均在籍者数を開示している

店舗資産の継続的入れ替えによる大型化と効率化

 販管費の2大項目は不動産費と人件費だが、ファーストリテイリングはコロナ禍のはるか以前から着々と抑制策を積み上げてきた。店舗物件の継続的入れ替えによる店舗規模の拡大、デジタル投資による運営人時量の圧縮がその要と思われる。

 21年8月期は全社で230店舗を出店して333店舗を退店しているが(103店純減)、20年8月期までの5年間では1357店舗を出店して705店舗を退店している(652店純増)。ユニクロ業態では21年8月期までの6年間で1028店を出店して383店を退店している(645店純増)。効率指標がそろう国内ユニクロは同期間に164店を出店して197店を退店しているが(33店純減)、この間に平均店舗面積が917平方メートルから1001平方メートルに拡大する一方、平均運営人員は30.50人から30.70人とほとんど変わっておらず、1人当たり保守面積は30.06平方メートルから32.61平方メートルに拡大している。

 坪当り売上高はこの間に322.7万円から18年8月期には343.5万円のピークに達したが、コロナ禍を経て21年8月期は295.0万円まで落ちている。1人当たり売上高も16年の2940万円から19年には3119.2万円まで上昇したが21年には2915.4万円に落ちており、保守面積拡大効果を相殺している。逆にいえば、保守面積拡大効果がなかったら、人件費負担は相応に上昇して収益を圧迫したはずだ。

 もっと長い目で見れば、08年は平均688平方メートルの店舗を20.34人で運営して6億円強(1人当たり2995万円)を売り上げていたのが、18年のピークでは平均938平方メートルの店舗を31.99人で運営して9億7240万円(1人当たり3052万円)を売り上げ、コロナ禍を経て21年は平均1001平方メートルの店舗を30.70人で運営して8億8594万円(1人当たり2915万円)を売り上げている。

 店舗面積拡大の効果は運営人件費の抑制だけではない。集客力と絶対売上額で商業施設デベロッパーに「準核店舗」と認めさせ、破格の家賃条件(推定家賃負担率8%)と売上金の直接収納、キャッシュレス決済の直接契約(2.0%未満)という優位をもたらしている。

第一の死角 チャンスとリスクは裏表

 コロナ後を見据え「情報製造小売業化してグローバルNo.1へと成長を加速する」とうたうファーストリテイリングは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を軸に「適品の適時・適量生産・適地販売」「店舗とEC一体の購買利便向上」「サステナビリティと正しい経営の追求」を経営課題に挙げているが、今回の決算発表で注目を集めたのは「人権侵害を絶対に容認しない」という決断だった。

 新疆綿問題に直接、言及するものではなく、原材料の生産者まで自社で直接確認する体制を構築するというものだが、中国の政府や消費者がこれをどう受け取るかは予断を許さない。15年8月期には18.13%だったグレーターチャイナ売上依存度が21年8月期では24.98%と4分の1に迫り、営業利益依存度は同22.05%から39.61%と4割に迫ったが、今期見通しではさらに高まりそうだ。そんな中、「人権侵害を絶対に容認しない」という文言が中国での不買運動や行政による抑圧を招くとしたら、カントリーリスクは急激に高まる。

 コロナ禍では逸早く立ち直ったグレーターチャイナ市場に助けられ、欧米市場に依存するインディテックス(INDITEX、「ザラ」を運営)やH&Mとの差を詰めたファーストリテイリングだが、一歩間違えばチャンスがリスクとなって牙をむきかねない。「グローバル化の流れは変わらない」とするが、世界は分断と対立を深めサプライチェーンのブロック化へ急転している。とりわけ中国は独自の経済圏を力ずくで広げ、人民も「1984」※1.的情報操作で国粋主義に染まり、急激に進化する自国ブランドを愛顧して外国ブランドの排除へと動き出している。

 H&Mは新疆綿排除をうたって標的になり、インディテックスは中国市場を見切って大量退店に転じている。ユニクロもいつ標的となるやも知れず、カントリーリスクを圧縮するにはグレーターチャイナ依存度を下げるしかない。国内市場は飽和に近く大きな成長は望めないし、欧米市場はようやく黒字化した段階で急激な拡大は難しく、ロシアや東欧、南アジアやオセアニアを拡大するには時間がかかる。

 セルフレジ訴訟は力ずくでゴリ押しする一方、パラアスリートには1億円も報奨金を出す感覚は世間の理解には遠いから、柳井正社長の思う「正しい経営」も黒白鮮明ではない。ならばあえて旗色を鮮明にするより、投資家や従業員、取引先のためにも、カントリーリスクを避ける外交的スキルを尽くすべきだろう。さもなければ中国撤退という最終決断を迫られることになる。

 ※1.「1984」……ジョージ・オーウェルが国家権力による監視社会を描いたディストピアSF小説。作品名にちなんで1984年に英国で映画化され、当時のアップルがマッキントッシュコンピュータ発売を記念してリドニー・スコット監督による「1984」をイメージしたテレビCMを「第18回スーパーボール」の際に一度だけ放送した

第二の死角 「シーイン」が問う化石化ビジネスモデルの限界

 中国といえば「1984」を彷彿させるデジタル先進国で、ファッション業界ではAI&DX武装越境ECファストファッションの「シーイン(SHEIN)」が注目を集めており、「ユニクロ」など前世紀の旧式ビジネスモデルだと喧伝されている。そんな中、10月17日の日本経済新聞の一面コラム「春秋」でも「シーイン」が取り上げられるに及び、Z世代の若者や業界人のみならずビジネスマンにも広く知れわたるに至った。

 「シーイン」については多くの識者が紹介しているので私なりの解釈に止めるが、欧米やオーストラリア、中東諸国やアジアのみならず日本のZ世代も魅了して、20年の売り上げは7500億円に急伸し、21年は1兆円を大きく上回る勢いで、企業価値も150億ドルを超えてデカコーン企業の仲間入りし、インディテックスやH&M、ユニクロの牙城を脅かすAI武装のファッションベンチャーだ。

 連日3000点以上を新規投入しながら在庫リスクを最小に抑えるAI仕掛けのオートマチックな商品企画と需要予測、DX仕掛けの小ロット超高速反復生産システムはAI仕掛けのADAS(自動運転)に近い。

 ADASでは複数のカメラやミリ波レーダーの情報をAIが1秒間に数十回も判断してブレーキやハンドルを速攻で操作するが、人間の判断速度は格段に遅いし、決断してからブレーキやハンドルを操作するまで秒近く要し、高速運転ではその間に車は数十メートルも移動してしまう。AIの判断にズレがあっても毎秒数十回も修正されれば人間の判断より高精度に収斂し、遥かに速く状況に対応できるから安全性も高くなる。

 これをアパレルの企画から生産までのプロセスに置き換えてみると、DX以前では企画からスクリーニング、仕様設計とコスト計算、販売数量予測、サンプル検討と修正の繰り返しで何週間も要した。そこからバイオーダーの素材を確保して副資材を手当てし、マーキングや編み図設計して生産に仕掛かると、企画開始から製品化まで数カ月、大量かつ低コストな生産を図れば半年以上を要してしまう。デジタル企画が生産ラインのCAD/CAMと連携する最新のDX生産でも、人の組織が勘案する企画プロセスを短縮するのは限界があり、3DモデリングとCGを駆使して4週間を1週間に短縮できても1日や1時間に短縮できるはずもない。

 「シーイン」ではベンチマークしたECサイト群やSNSをAI制御のクローラが巡回し自動解析して合成したデザインを3Dパターンに落として3Dモデリングで企画を決定し、DX連携した小規模工場がCAD/CAMで100点程度のミニマムロットを数日で生産。初期ロット商品をインフルエンサーがSNSで紹介してECサイトに誘導し(いずれ3DモデリングサンプルをCGモデルが着ることになる)、日々の受注やレビューからAIが受注数量の推移を予測して誤差を収斂しながら100点単位の小ロット生産を反復していく。ADASのように1秒に数十回とまではいかないが、週サイクルあるいは週2サイクルで反復生産を繰り返し、「売れる要素」を引き継いで類似デザインを素材を変え柄を変えバリエーションを広げ、リレーして拡充していると思われる(一部は私の推測です)。「シーイン」の創業者・許仰天氏はSEOから入ったネットエンジニアだと伝えられるから、そんなSFチックな仕掛けもごく自然な発想だったのではないか。

 「Redcollar」(DX仕掛け1週間パターンオーダーの元祖)が扉を開き、「シーイン」でSFの域に到達した中国先進アパレル企業のDXとAIサプライマネジメントは、もはやアナログな業界人の理解を超えたフューチャーエンジニアリングの領域だ。そんな「シーイン」のADAS的超高速サプライを前にしては、企画から市場投入まで数カ月から半年以上も要する「ユニクロ」のダム型サプライは「ジャストサイズ」のようなQR補正生産を組み合わせても限界がある。

「ユニクロ」は化石から脱却できるか

 「ユニクロ」も3Dモデリングで企画を検討しDX連携したCAD/CAM生産でリードタイムの短縮に勤めているが、人の組織が検討して決定し低コストで大量一括生産する限りは週サイクルどころか月サイクルの実現も難しい。直近の21年8月期でも在庫回転(国内直営店)は2.5回に留まっており、食品スーパーやコンビニ並みの25〜30回転には程遠い。

 すでにコンビニの弁当や惣菜では日サイクルどころか日2回サイクルのオンデマンド生産が一般化しており、アパレル分野でもローカル対応(弁当や惣菜も然り)して小ロット多頻度生産すれば週サイクルまでは実現できる。ギャルファッションの黎明期にはソウル・東大門で即席生産した商品を毎週、ハンドキャリーするブティックも珍しくなかったし、垂直統合によるトヨタの看板システムや水平分業によるデルのBTO(受注生産)も確立されて久しい。なんでアパレルだけがリードタイムがリスクを増幅するギャンブルサプライに留まっているのだろうか。

 「ユニクロ」が真の「LifeWear」(究極の普段着)を目指すなら、弁当や惣菜とまでは行かなくても、日配食品のようにローカルな生活者に寄り添ったオンデマンド生産を実現すべきではないか。

 「シーイン」のAI仕掛けオートマチック大量商品企画は特異でも、週サイクルのDX反復生産は「低コスト大量一括生産で売れ残るより高コスト(とは限らない)少量反復生産で完全消化」と割り切ればすぐにでも実現できる。「ユニクロ」のような大量生産の定番的商品でも、素材備蓄を背景に生産仕様と生産工程を抜本から組み直せば、週サイクルどころか週2サイクルも容易に実現できるはずで、初期投入は低コスト大ロットの計画生産でも型・色・サイズの補正生産を高速高頻度化する余地は十分にある。25回転はともかく、現在の倍速強の6回転や12回転は十分に実現可能なのではないか。

 さすれば在庫マネジメントも店舗運営もOMO運用も飛躍的に効率化し、物流やキャッシュフローの感覚も異次元の域に達すると期待される。資金力と経営意志で突出するファーストリテイリングなら、何世代も新しいAIファッションベンチャーを一気に追い越す革命劇を見せてくれるかも知れない。

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「ユニクロ」最高益決算の死角 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの2021年8月期連結決算が発表された。コロナ禍でも最高益を達成する強さを見せつけたが、細かく分析すると課題も見えてくる。

 10月14日に公表されたファーストリテイリングの2021年8月期決算は、国内とグレーターチャイナのユニクロが復調し、売上収益、営業利益こそ19年8月期に及ばなかったものの、為替差益192億円も寄与して税引き前利益は過去最高益を更新した。したたかに復調したかに見えるファーストリテイリングだが、2つの死角が指摘される。

コロナを克服して最高益を計上した21年8月期連結決算

 売上収益は前期比6.2%増の2兆1329億9200万円とコロナ前の19年8月期には1575億5600万円、営業利益も2490億1100万円と同じく86億円2500万円、当期利益も1756億8400万円とわずかに届かなかったが、税引き前利益は前期から73.9%伸びて2658億7200万円と過去最高を更新し、したたかな立ち直りを見せた。

 回復をけん引したのは売上収益が16.7%(763億円)伸びたグレーターチャイナ(中国本土、香港、台湾)・ユニクロと4.4%(357.4億円)伸びた国内ユニクロで、GUは1.4%(33.5億円)の微増に留まり、グローバルブランドは1.3%(14.3億円)減少した。営業利益でも52.7%(346億円)も伸びたグレーターチャイナ・ユニクロと17.7%(185.6億円)伸びた国内ユニクロが貢献し、GUは7.6%(16.6億円)減益、グローバルブランドは赤字を8分の1近くまで圧縮したが黒字転換はならなかった。

 22年8月期は国内ユニクロが反動で減収減益(既存店11%減、EC微増)、グレーターチャイナ・ユニクロも上期は減収減益(通期は小幅な増収増益)、GUも減収・利益横ばい、欧州ユニクロは増収増益、北米ユニクロは大幅増収で黒字化、グローバルブランドも黒字化すると見て、営業収益を3.1%増の2兆2000億円、営業利益を8.4%増の2700億円、親会社所有者に帰属する当期利益を3.0%増の1750億円と見込んでいる。

したたかなマネジメントスキル

 コロナ禍が長引く中では売り上げの回復は一進一退となったが、粗利益率を19年8月期の48.9%からコロナ禍の20年8月期でも48.6%と0.3ポイントの低下に留め、21年8月期には50.3%と15年8月期(50.5%)の水準に引き上げた在庫運用とサプライのマネジメントスキルは、商社との製販同盟を割り引いても突出した力量と評価するべきだろう。「無印良品」の良品計画が18年9月〜19年8月の51.3%から19年9月〜20年8月は47.%と3.9ポイントも落とし、21年8月期も48.9%と回復しきれなかったのと比較すれば、マネジメントスキルの格差は歴然だ。

 販管費率も然りで、19年8月期の37.3%から20年8月期には40.1%と2.8ポイントかさんだが、21年8月期では38.4%まで抑制しており、14年の40.0%、15〜16年の39%台に比べれば格段に効率化されている。販管費の中身を19年8月期と比較すると、切り下げられたのは広告宣伝費率(3.25%→3.12%)だけで、不動産費率 (注1)は0.51ポイント、人件費率は0.56ポイント、ECの拡大(約47%増の3800億円)で物流費も0.19ポイント上昇しているが、コロナ禍が長引いて販売効率が低下した中では抑制が効いている。

 コロナ禍の20年8月期、国内ユニクロ直営店の販売効率は11.3%低下したが、1人当たり保守面積を19年8期の30.55平方メートルから33.36平方メートルに拡大して1人当たり売上高を3119.2万円から3019.0万円への低下に留めている。この間に国内ユニクロの常勤雇用者 (注2)が1万3621人から1万3259人と2.66%減少、パート・アルバイトの平均在籍数も3万535人から2万9562人と3.19%の減少に留まって極端なシフト削減は確認できないが、海外も含む全社ではパート・アルバイトの平均在籍数が8万758人から7万765人と12.37%も減少しているから、売上減少に伴って相応の運営人時量が削減されたと推察される。

 21年8月期では国内ユニクロの販売効率はさらに1.24%低下したが人時量はほとんど削減されず、1人当たり保守面積も32.61平方メートルと若干縮小したが、全社では常勤雇用者数が3.7%、パート・アルバイトの平均在籍数はさらに10.78%も減少しているから、売り上げは回復しても運営人時量抑制の手綱は緩めなかったようだ。

 運営人時量の圧縮はRFIDタグとセルフレジの導入によるところも大きい。棚卸しや棚戻しの人時量削減に加えてセルフレジの本格導入は効果絶大で、RFIDレーダーを使えばEC受注への店在庫引き当てで生じるピッキングも格段に効率化できる。国内ユニクロは10月8日からECで注文してから最短2時間で店舗の商品を受け取れる「オーダー&ピック」を全国750店舗で始めたが、そんな裏付けもあったと思われる。

 店舗物流が絡む荷受け・品出しは改善の余地が大きいものの、デジタル装備が進むユニクロの店舗運営は急ピッチで効率化している。その基盤となっているのが店舗資産の入れ替えによる大型化だ。

 (注1)不動産費率はIFRS会計適用で比較が難しいが、単純に地代家賃と減価償却費の合計で見れば10.76%から11.27%に上昇している。人件費は委託費と合算して15.18%から15.74%に上昇している

 (注2)ファーストトリテイリングでは18年以降、正社員とフルタイム勤務者を「常勤雇用者」とし、パート・アルバイトも8時間労働の常勤雇用者に換算せず、平均在籍者数を開示している

店舗資産の継続的入れ替えによる大型化と効率化

 販管費の2大項目は不動産費と人件費だが、ファーストリテイリングはコロナ禍のはるか以前から着々と抑制策を積み上げてきた。店舗物件の継続的入れ替えによる店舗規模の拡大、デジタル投資による運営人時量の圧縮がその要と思われる。

 21年8月期は全社で230店舗を出店して333店舗を退店しているが(103店純減)、20年8月期までの5年間では1357店舗を出店して705店舗を退店している(652店純増)。ユニクロ業態では21年8月期までの6年間で1028店を出店して383店を退店している(645店純増)。効率指標がそろう国内ユニクロは同期間に164店を出店して197店を退店しているが(33店純減)、この間に平均店舗面積が917平方メートルから1001平方メートルに拡大する一方、平均運営人員は30.50人から30.70人とほとんど変わっておらず、1人当たり保守面積は30.06平方メートルから32.61平方メートルに拡大している。

 坪当り売上高はこの間に322.7万円から18年8月期には343.5万円のピークに達したが、コロナ禍を経て21年8月期は295.0万円まで落ちている。1人当たり売上高も16年の2940万円から19年には3119.2万円まで上昇したが21年には2915.4万円に落ちており、保守面積拡大効果を相殺している。逆にいえば、保守面積拡大効果がなかったら、人件費負担は相応に上昇して収益を圧迫したはずだ。

 もっと長い目で見れば、08年は平均688平方メートルの店舗を20.34人で運営して6億円強(1人当たり2995万円)を売り上げていたのが、18年のピークでは平均938平方メートルの店舗を31.99人で運営して9億7240万円(1人当たり3052万円)を売り上げ、コロナ禍を経て21年は平均1001平方メートルの店舗を30.70人で運営して8億8594万円(1人当たり2915万円)を売り上げている。

 店舗面積拡大の効果は運営人件費の抑制だけではない。集客力と絶対売上額で商業施設デベロッパーに「準核店舗」と認めさせ、破格の家賃条件(推定家賃負担率8%)と売上金の直接収納、キャッシュレス決済の直接契約(2.0%未満)という優位をもたらしている。

第一の死角 チャンスとリスクは裏表

 コロナ後を見据え「情報製造小売業化してグローバルNo.1へと成長を加速する」とうたうファーストリテイリングは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を軸に「適品の適時・適量生産・適地販売」「店舗とEC一体の購買利便向上」「サステナビリティと正しい経営の追求」を経営課題に挙げているが、今回の決算発表で注目を集めたのは「人権侵害を絶対に容認しない」という決断だった。

 新疆綿問題に直接、言及するものではなく、原材料の生産者まで自社で直接確認する体制を構築するというものだが、中国の政府や消費者がこれをどう受け取るかは予断を許さない。15年8月期には18.13%だったグレーターチャイナ売上依存度が21年8月期では24.98%と4分の1に迫り、営業利益依存度は同22.05%から39.61%と4割に迫ったが、今期見通しではさらに高まりそうだ。そんな中、「人権侵害を絶対に容認しない」という文言が中国での不買運動や行政による抑圧を招くとしたら、カントリーリスクは急激に高まる。

 コロナ禍では逸早く立ち直ったグレーターチャイナ市場に助けられ、欧米市場に依存するインディテックス(INDITEX、「ザラ」を運営)やH&Mとの差を詰めたファーストリテイリングだが、一歩間違えばチャンスがリスクとなって牙をむきかねない。「グローバル化の流れは変わらない」とするが、世界は分断と対立を深めサプライチェーンのブロック化へ急転している。とりわけ中国は独自の経済圏を力ずくで広げ、人民も「1984」※1.的情報操作で国粋主義に染まり、急激に進化する自国ブランドを愛顧して外国ブランドの排除へと動き出している。

 H&Mは新疆綿排除をうたって標的になり、インディテックスは中国市場を見切って大量退店に転じている。ユニクロもいつ標的となるやも知れず、カントリーリスクを圧縮するにはグレーターチャイナ依存度を下げるしかない。国内市場は飽和に近く大きな成長は望めないし、欧米市場はようやく黒字化した段階で急激な拡大は難しく、ロシアや東欧、南アジアやオセアニアを拡大するには時間がかかる。

 セルフレジ訴訟は力ずくでゴリ押しする一方、パラアスリートには1億円も報奨金を出す感覚は世間の理解には遠いから、柳井正社長の思う「正しい経営」も黒白鮮明ではない。ならばあえて旗色を鮮明にするより、投資家や従業員、取引先のためにも、カントリーリスクを避ける外交的スキルを尽くすべきだろう。さもなければ中国撤退という最終決断を迫られることになる。

 ※1.「1984」……ジョージ・オーウェルが国家権力による監視社会を描いたディストピアSF小説。作品名にちなんで1984年に英国で映画化され、当時のアップルがマッキントッシュコンピュータ発売を記念してリドニー・スコット監督による「1984」をイメージしたテレビCMを「第18回スーパーボール」の際に一度だけ放送した

第二の死角 「シーイン」が問う化石化ビジネスモデルの限界

 中国といえば「1984」を彷彿させるデジタル先進国で、ファッション業界ではAI&DX武装越境ECファストファッションの「シーイン(SHEIN)」が注目を集めており、「ユニクロ」など前世紀の旧式ビジネスモデルだと喧伝されている。そんな中、10月17日の日本経済新聞の一面コラム「春秋」でも「シーイン」が取り上げられるに及び、Z世代の若者や業界人のみならずビジネスマンにも広く知れわたるに至った。

 「シーイン」については多くの識者が紹介しているので私なりの解釈に止めるが、欧米やオーストラリア、中東諸国やアジアのみならず日本のZ世代も魅了して、20年の売り上げは7500億円に急伸し、21年は1兆円を大きく上回る勢いで、企業価値も150億ドルを超えてデカコーン企業の仲間入りし、インディテックスやH&M、ユニクロの牙城を脅かすAI武装のファッションベンチャーだ。

 連日3000点以上を新規投入しながら在庫リスクを最小に抑えるAI仕掛けのオートマチックな商品企画と需要予測、DX仕掛けの小ロット超高速反復生産システムはAI仕掛けのADAS(自動運転)に近い。

 ADASでは複数のカメラやミリ波レーダーの情報をAIが1秒間に数十回も判断してブレーキやハンドルを速攻で操作するが、人間の判断速度は格段に遅いし、決断してからブレーキやハンドルを操作するまで秒近く要し、高速運転ではその間に車は数十メートルも移動してしまう。AIの判断にズレがあっても毎秒数十回も修正されれば人間の判断より高精度に収斂し、遥かに速く状況に対応できるから安全性も高くなる。

 これをアパレルの企画から生産までのプロセスに置き換えてみると、DX以前では企画からスクリーニング、仕様設計とコスト計算、販売数量予測、サンプル検討と修正の繰り返しで何週間も要した。そこからバイオーダーの素材を確保して副資材を手当てし、マーキングや編み図設計して生産に仕掛かると、企画開始から製品化まで数カ月、大量かつ低コストな生産を図れば半年以上を要してしまう。デジタル企画が生産ラインのCAD/CAMと連携する最新のDX生産でも、人の組織が勘案する企画プロセスを短縮するのは限界があり、3DモデリングとCGを駆使して4週間を1週間に短縮できても1日や1時間に短縮できるはずもない。

 「シーイン」ではベンチマークしたECサイト群やSNSをAI制御のクローラが巡回し自動解析して合成したデザインを3Dパターンに落として3Dモデリングで企画を決定し、DX連携した小規模工場がCAD/CAMで100点程度のミニマムロットを数日で生産。初期ロット商品をインフルエンサーがSNSで紹介してECサイトに誘導し(いずれ3DモデリングサンプルをCGモデルが着ることになる)、日々の受注やレビューからAIが受注数量の推移を予測して誤差を収斂しながら100点単位の小ロット生産を反復していく。ADASのように1秒に数十回とまではいかないが、週サイクルあるいは週2サイクルで反復生産を繰り返し、「売れる要素」を引き継いで類似デザインを素材を変え柄を変えバリエーションを広げ、リレーして拡充していると思われる(一部は私の推測です)。「シーイン」の創業者・許仰天氏はSEOから入ったネットエンジニアだと伝えられるから、そんなSFチックな仕掛けもごく自然な発想だったのではないか。

 「Redcollar」(DX仕掛け1週間パターンオーダーの元祖)が扉を開き、「シーイン」でSFの域に到達した中国先進アパレル企業のDXとAIサプライマネジメントは、もはやアナログな業界人の理解を超えたフューチャーエンジニアリングの領域だ。そんな「シーイン」のADAS的超高速サプライを前にしては、企画から市場投入まで数カ月から半年以上も要する「ユニクロ」のダム型サプライは「ジャストサイズ」のようなQR補正生産を組み合わせても限界がある。

「ユニクロ」は化石から脱却できるか

 「ユニクロ」も3Dモデリングで企画を検討しDX連携したCAD/CAM生産でリードタイムの短縮に勤めているが、人の組織が検討して決定し低コストで大量一括生産する限りは週サイクルどころか月サイクルの実現も難しい。直近の21年8月期でも在庫回転(国内直営店)は2.5回に留まっており、食品スーパーやコンビニ並みの25〜30回転には程遠い。

 すでにコンビニの弁当や惣菜では日サイクルどころか日2回サイクルのオンデマンド生産が一般化しており、アパレル分野でもローカル対応(弁当や惣菜も然り)して小ロット多頻度生産すれば週サイクルまでは実現できる。ギャルファッションの黎明期にはソウル・東大門で即席生産した商品を毎週、ハンドキャリーするブティックも珍しくなかったし、垂直統合によるトヨタの看板システムや水平分業によるデルのBTO(受注生産)も確立されて久しい。なんでアパレルだけがリードタイムがリスクを増幅するギャンブルサプライに留まっているのだろうか。

 「ユニクロ」が真の「LifeWear」(究極の普段着)を目指すなら、弁当や惣菜とまでは行かなくても、日配食品のようにローカルな生活者に寄り添ったオンデマンド生産を実現すべきではないか。

 「シーイン」のAI仕掛けオートマチック大量商品企画は特異でも、週サイクルのDX反復生産は「低コスト大量一括生産で売れ残るより高コスト(とは限らない)少量反復生産で完全消化」と割り切ればすぐにでも実現できる。「ユニクロ」のような大量生産の定番的商品でも、素材備蓄を背景に生産仕様と生産工程を抜本から組み直せば、週サイクルどころか週2サイクルも容易に実現できるはずで、初期投入は低コスト大ロットの計画生産でも型・色・サイズの補正生産を高速高頻度化する余地は十分にある。25回転はともかく、現在の倍速強の6回転や12回転は十分に実現可能なのではないか。

 さすれば在庫マネジメントも店舗運営もOMO運用も飛躍的に効率化し、物流やキャッシュフローの感覚も異次元の域に達すると期待される。資金力と経営意志で突出するファーストリテイリングなら、何世代も新しいAIファッションベンチャーを一気に追い越す革命劇を見せてくれるかも知れない。

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バロック3〜8月期は2億9000万円の最終黒字

 バロックジャパンリミテッドの2021年3〜8月期は、営業損益が5億2000万円の黒字(前年同期は4億4000万円の赤字)、純損益が2億9000万円の黒字(同9億1000万円の赤字)だった。売上高は前年同期比26.9%増の265億円。国内ではコロナ感染第5波で店舗の売り上げが伸び悩んだものの、好調なECがカバー。海外でも消費が回復した中国がけん引役となり、最終黒字となった。

 国内事業の売上高は前年同期比27.2%増の235億円、営業損益は2億7100万円の黒字(前年同期は7億2900万円の赤字)。EC売上高は同14.1%増だった。「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」など売り上げ構成の4割を占めるSC販路が同27.9%増と大きく復調。次点の百貨店販路(売り上げ構成の約3割)も同16.7%増と健闘した。

中国事業の売上高(卸売とロイヤリティの合算)は同37.6%増の31億円、損益合計は3億7100万円の黒字(前年同期は1億7500万円の赤字)。村井博之社長は「中国で戦うためのノウハウが蓄積されてきた。企画の的中率が改善し、適量の仕入れもできるようになってきている」と自信を深める。

連結では、セール販売の抑制により売上総利益を前年同期比30.9ポイント、販管費率を同2.4ポイント改善し、利益を押し上げた。8月末時点で国内店舗は11の純増、中国は25の純増。

 22年2月期通期予想は期初計画を据え置く。売上高が前期比18.1%増の597億円、営業利益が同76.0%増の23億円、純利益が3.4倍増の13億円を見込む。

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バロック3〜8月期は2億9000万円の最終黒字

 バロックジャパンリミテッドの2021年3〜8月期は、営業損益が5億2000万円の黒字(前年同期は4億4000万円の赤字)、純損益が2億9000万円の黒字(同9億1000万円の赤字)だった。売上高は前年同期比26.9%増の265億円。国内ではコロナ感染第5波で店舗の売り上げが伸び悩んだものの、好調なECがカバー。海外でも消費が回復した中国がけん引役となり、最終黒字となった。

 国内事業の売上高は前年同期比27.2%増の235億円、営業損益は2億7100万円の黒字(前年同期は7億2900万円の赤字)。EC売上高は同14.1%増だった。「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」など売り上げ構成の4割を占めるSC販路が同27.9%増と大きく復調。次点の百貨店販路(売り上げ構成の約3割)も同16.7%増と健闘した。

中国事業の売上高(卸売とロイヤリティの合算)は同37.6%増の31億円、損益合計は3億7100万円の黒字(前年同期は1億7500万円の赤字)。村井博之社長は「中国で戦うためのノウハウが蓄積されてきた。企画の的中率が改善し、適量の仕入れもできるようになってきている」と自信を深める。

連結では、セール販売の抑制により売上総利益を前年同期比30.9ポイント、販管費率を同2.4ポイント改善し、利益を押し上げた。8月末時点で国内店舗は11の純増、中国は25の純増。

 22年2月期通期予想は期初計画を据え置く。売上高が前期比18.1%増の597億円、営業利益が同76.0%増の23億円、純利益が3.4倍増の13億円を見込む。

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ライトオンの21年8月期は3年ぶりに黒字化 アウトドアPB「キャンプ セブン」がけん引

 ライトオンの2021年8月期決算は、本業のもうけを示す営業損益が4900万円の黒字(前期は37億円の赤字)だった。売上高は前期比6.4%減の496億円。都心旗艦店の撤退を含む不採算店舗の減損損失として14億円、コロナによる時短や休業に伴う損失として4億円、希望退職に伴う特別加算金として8300万円など、特別損失として23億円を計上したため、純損益は20億円の赤字(同57億円の赤字)で終わった。

 藤原祐介社長は、「コロナの影響が長期化する中、折り込みチラシをデジタル化するなど販管費を抑制することで、大幅減収ながら3年ぶりの黒字化が実現した」と話す。また達成要因として、アウトドアカテゴリーのPBブランド「キャンプ セブン(CAMP7)」の売上高が前期比64%増と高伸長したことを挙げる。

 「キャンプ セブン」は1971年に米国・コロラド州ボルダーで設立。その後、ライトオンによって買収された。好調を受けて、ライトオンは年内に兵庫県西宮市のららぽーと甲子園で同ブランドのポップアップショップをオープンする。「リアクション次第で、都内のSCでの開催も予定する」という。同ブランドの主力商品であるスエットやパンツの中心価格帯は5000~7000円。また、来春をめどに折り畳みチェアやサンシェードなど、ギアの発売も目指す。

 伸長率では「キャンプ セブン」が筆頭だが、PB全体としても同17%増で、売り上げ比率は41%と同7ポイント上昇した。藤原社長は、これを「23年までに50%にしたい」と述べる。

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「スリーコインズ」1.8倍に成長  3〜8月期のパルグループ4割増収をけん引

 パルグループホールディングス(HD)の2021年3〜8月期は、売上高が前年同期比39.9%増の631億円、営業損益が28億円の黒字(前期同期は17億円の赤字)、経常損益が27億円の黒字(同19億円の赤字)、純損益は14億円の黒字(同15億円の赤字)だった。EC(ネット通販)拡大のコストを大幅に抑制できたことで、従来予想の利益を5割以上上回った。期末店舗数は12店舗減の920店舗だった。

 売上高はコロナ前の19年3〜8月期の669億円の水準には戻らないものの、長期化した緊急事態宣言の中では急回復を見せている。既存店売上高は店舗とECの合計が同61.6%増、店舗のみが同125.6%増、ECのみが同30.7%増だった。

 EC売上高は同40.2%増の151億円。EC化率は38%で過去最高を記録した。とくに自社サイト「パルクローゼット」の売上高は同58.1%増の54億円に拡大した。アプリ会員も8月末で500万人を突破した。

 セグメント別売上高では、衣料事業が同24.2%増の398億円、雑貨事業が同78.3%増の233億円。巣ごもり需要を捉えた雑貨ブランド「スリーコインズ」の売上高が同83.8%増の187億円と急伸し、店舗全体の減収分をカバーした。雑貨事業の営業利益は前期同期比8倍の25億円と大きく伸ばした。「スリーコインズ」の店舗の大型化をスピーディーに進めたことや価格帯を300円一本から拡大し、軽家電商品の取り扱いを増やしたこと、ECを開始したことが挙げられる。

 「食料品やキャンプ用品も含め、新たなラインアップで集客力を高められた。スリーコインズ事業は一段階ステージがアップしたことから、通期(22年2月期)売上高は前年より100億円増えて、360億円を突破する勢い」(常務執行役員経営企画室長・為田招志氏)という。

 今中間期業績について井上英隆会長は「昨年は20億円の赤字だったが、今期は夏物が苦戦したにもかかわらず、28億円の利益(営業利益)を出せた。よく健闘したと思う」と振り返った。

 通期の業績予想は、個人消費の本格回復までに一定期間必要になるとの判断から、売上高は当初予想より30億円減の1310億円に下方修正した。営業利益は74億円、経常利益は71億円、純利益は39億円、年間配当金は50円を予定している。

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「スリーコインズ」1.8倍に成長  3〜8月期のパルグループ4割増収をけん引

 パルグループホールディングス(HD)の2021年3〜8月期は、売上高が前年同期比39.9%増の631億円、営業損益が28億円の黒字(前期同期は17億円の赤字)、経常損益が27億円の黒字(同19億円の赤字)、純損益は14億円の黒字(同15億円の赤字)だった。EC(ネット通販)拡大のコストを大幅に抑制できたことで、従来予想の利益を5割以上上回った。期末店舗数は12店舗減の920店舗だった。

 売上高はコロナ前の19年3〜8月期の669億円の水準には戻らないものの、長期化した緊急事態宣言の中では急回復を見せている。既存店売上高は店舗とECの合計が同61.6%増、店舗のみが同125.6%増、ECのみが同30.7%増だった。

 EC売上高は同40.2%増の151億円。EC化率は38%で過去最高を記録した。とくに自社サイト「パルクローゼット」の売上高は同58.1%増の54億円に拡大した。アプリ会員も8月末で500万人を突破した。

 セグメント別売上高では、衣料事業が同24.2%増の398億円、雑貨事業が同78.3%増の233億円。巣ごもり需要を捉えた雑貨ブランド「スリーコインズ」の売上高が同83.8%増の187億円と急伸し、店舗全体の減収分をカバーした。雑貨事業の営業利益は前期同期比8倍の25億円と大きく伸ばした。「スリーコインズ」の店舗の大型化をスピーディーに進めたことや価格帯を300円一本から拡大し、軽家電商品の取り扱いを増やしたこと、ECを開始したことが挙げられる。

 「食料品やキャンプ用品も含め、新たなラインアップで集客力を高められた。スリーコインズ事業は一段階ステージがアップしたことから、通期(22年2月期)売上高は前年より100億円増えて、360億円を突破する勢い」(常務執行役員経営企画室長・為田招志氏)という。

 今中間期業績について井上英隆会長は「昨年は20億円の赤字だったが、今期は夏物が苦戦したにもかかわらず、28億円の利益(営業利益)を出せた。よく健闘したと思う」と振り返った。

 通期の業績予想は、個人消費の本格回復までに一定期間必要になるとの判断から、売上高は当初予想より30億円減の1310億円に下方修正した。営業利益は74億円、経常利益は71億円、純利益は39億円、年間配当金は50円を予定している。

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J. フロント、リベンジ消費に手応え 22年2月期は最終黒字予想

 J.フロント リテイリングの2021年3〜8月期(国際会計基準)は、総額売上高(一般的な小売業の売上高に相当)が前年同期比25.4%増の4021億円、営業損益が13億円の赤字(前年同期は206億円の赤字)、純損益が28億円の赤字(同163億円の赤字)だった。

 主力の百貨店事業の総額売上高は前年同期比27.7 %増の2476億円。新型コロナウィルスの再拡大で店舗休業や入店制限を余儀なくされたものの、前年と比較すれば業績は回復した。心斎橋パルコの開業(20年11月)で相互送客のシナジーが生まれた大丸心斎橋店は、売上高が同55.6%増の227億円と大きく伸びており、「若い男女の入店が非常に増えている」(好本達也社長)。そのほかの大型店も松坂屋名古屋店が34.9%増、大丸神戸店が28.6%増だった。
 
22年2月期通期連結業績は、総額売上高が前年同期比19.8%増の9220億円、営業損益が55億円の黒字(前期は242億円の赤字)、純損益が10億円の黒字(前期は同286億円の赤字)を予想する。期初からは下方修正したものの、利益面では黒字確保の予想を維持する。足元では緊急事態宣言が解除されて以降、10月1〜10日の期間ではグループ売上高が前年同期比15%増。好本達也社長は「リベンジ消費に確かな手応えを感じている。ようやく安定的な成長を描けるフェーズに入ってきた」と話す。

 4月に発表した中期経営計画では、24年2月期で営業利益403億円、ROE(自己資本比率)7%を掲げた。免税売り上げは「数年はコロナ禍以前のような水準に戻らないだろう」とし、百貨店事業の復調と不動産開発・運営でカバーすることで目標達成を見込む。既存店舗の再開発も推進。松坂屋名古屋店は大丸心斎橋店をモデルケースに、百貨店と専門店のハイブリッド型店舗へのリニューアルを計画する。

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高島屋、最終赤字に下方修正 21年3〜8月期

 高島屋は12日、2021年3〜8月期連結業績の純損益が44億円の赤字になりそうだと発表した。従来予想は35億円の黒字だった。コロナによる緊急事態宣言の長期化で、百貨店の営業時間や入店客数の制限が続き、売上高の回復が計画以上に遅れた。

 修正後の業績予想は売上高に相当する営業収益が3472億円(修正前は3785億円)、営業損益は20億円の赤字(同20億円の黒字)となる。正式な決算は14日に発表する。22年2月期の従来予想は純損益で100億円の黒字(前期は339億円の赤字)を見込んでいたが、修正の可能性もある。

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そごう・西武の営業赤字49億円 21年3〜8月期、緊急事態宣言の長期化で

 そごう・西武の2021年3〜8月期業績は、本業のもうけを示す営業損益が49億円の赤字(前年同期は36億円の赤字)だった。緊急事態宣言の長期化によって、営業時間の短縮や入店者数の制限など厳しい環境が続いた。

 売上高に相当する営業収益は前年同期比7.3%増の2101億円だった。同社は昨年8月末に西武大津店(滋賀県)を含む4店舗、今年2月末にそごう川口店(埼玉県)を閉店している。主要店舗の既存店売上高は、1カ月前後の休業を余儀なくされた前年同期に比べれば持ち直しており、西武池袋本店が15.5%増、そごう横浜店が33.8%増、そごう千葉店が30.8%増だった。それでもコロナ前の水準には遠い状況で、一番店の西武池袋本店の19年3〜8月期の売上高が890億円だったのに対し、当期は690億円にとどまっている。

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豊島の21年6月期は2期連続の最高益更新も、22年は一転減益へ 豊島社長「今期は4重苦」

 大手繊維商社の豊島(非上場)は7日、2021年6月期決算は売上高が前期比9.6%減の1814億円、営業利益が同25.7%増の77億円、経常利益が同18.2%増の90億円、純利益が39億円(前期は7億6500万円の赤字)だった。営業利益と経常利益は2期連続で過去最高を更新した。売上総利益率は14.2%で、前期に比べ2.4ポイント改善。コロナ関連の医療用品や主力のOEM・ODM事業が好調が押し上げた。減収の主な要因は綿花取引からの戦略的な撤退で、素材全体では220億円の減収要因になった。

 22年6月期の目標は売上高が1800億円、経常利益が70億円。同社は年1億着とも言われる物量を供給するアパレルOEM・ODMの最大手グループの一角だが、豊島半七社長は「緊急事態宣言の解除など小売りには明るい材料が出ているものの、足元では停電やコンテナ不足による出荷遅れなどの物流の混乱、ASEANでのロックダウンの影響、綿花を始めとした原料高、円安など、サプライヤーは4重苦5重苦のような状態だ。全般的にアパレル市況は依然として苦しく、値上げが通っていない。今期(22年6月期)は大変厳しい」という見通しを示す。決算発表での豊島社長とメディアの主な一問一答は以下の通り。

−1年を振り返って。

豊島半七社長(以下、豊島):コロナが20カ月近く続いて、日本のアパレル産業、特に営業時間の短縮や人流の減少などで小売業にダメージが大きかった。サプライヤーであるわれわれも原材料費の高騰や、短納期対応のためのエアー(航空便)が増えて経費増を強いられたものの、医療ガウンなどのコロナ特需や不採算部門の縮小などで増益になった。現場の社員はよく頑張ったとは思うが、一方で在宅ワークが当たり前になる中で、どこかに「それでもなんとかなる」ようなムードが出て、仕事がどこか雑になっている。エアーの増加は、そうした緩みによるものだ。

−22年6月期は減益の計画。理由は?

豊島:足元の状況は大変厳しい、というのが率直な感想だ。停電やコンテナ不足による出荷遅れなどの物流の混乱、ASEANでのロックダウンの影響、綿花を始めとした原料高、円安など、サプライヤーにとっては4重苦5重苦のような状態だ。それでも市場全体が値上げを受け入れる地合いではなく、コスト増はわれわれが負担するような形になっている。(減益は)前期まであったコロナ特需もなくなることも一因だ。

−納入単価は?

豊島:原燃料高などに加えて、トレーサビリティの確保やカーボンゼロに向けた取り組みの強化をしているが、それもコスト増につながっている。それでも結果として全般的に納入単価を押し上げることにはなっていない。それだけ市況が厳しい。ASEANのロックダウンに加え、業界全体が小ロット短納期に再び以降しつつあり、中国での生産比率が再び高まっているのも不安材料だ。コロナ禍以前に戦略的にASEANシフトを進め、一時は当社の生産比率はASEAN生産が全体の2割くらいまで上昇したが、現在はまた1割近くにまで減少している。

−15年前からオーガニックコットン素材「オーガビッツ」に取り組むなど、サステナビリティを業界の先頭に立って推進してきた。課題は?

豊島:トレーサビルなオーガニックコットン「トゥルーコットン」は取引先から高い評価を得て、順調に取扱いが増加している。ただ、「オーガビッツ」も含め、素材の取扱いがコットンに偏っている。素材全体のシェアは圧倒的にポリエステルやナイロンなどの化学繊維が多いのだから、社としてはその部分を強化する必要がある。

−こちらも業界の先駆けだったスタートアップへのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の状況は?

豊島:この1年ではアディダスの創業家によるスポーツテック向けのファンドであるリードスポーツリミテッド(leAD SPORTS LTD.)や、そのリードとイスラエルのベンチャーキャピタルであるアワークラウド(OurCrowd)の設立したアドバンテージスポーテックファンド(Advantege Sports Tech Fund)、日本のフィットネスベンチャーのテンシャル(TENTIAL)、リハビリ介護のクラウドソフト開発のリハブフォージャパン(Rehab for JAPAN)など5社に出資した。いずれも少額出資でああるものの合計で23社。それなりの規模感にはなっている。年内は近々発表予定のグッドバイブスオンリーを含め2社への出資を予定している。

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三陽商会、営業赤字20億円 21年3〜8月期で損失幅は縮小

 三陽商会の2021年3〜8月期連結業績は、本業のもうけを示す営業損益が20億円の赤字だった。前年同期の57億円の赤字に比べて、損失幅は小さくなった。不採算事業の撤退などのコスト構造改革の成果は見られるものの、主力販路である百貨店の回復遅れが足を引っ張っている。

 売上高は前期比7.2%増の164億円だった。前年の実績は上回ったものの、緊急事態宣言が想定よりも長引いたことで当初計画の181億円には届かなかった。衣料品の販売が足踏みする中でも、仕入れの抑制や、人員整理や退店などの合理化策による販管費の削減が寄与して、営業赤字は当初計画よりも改善した。純損益も19億円の赤字(前年同期は66億円の赤字)で、こちらも当初計画に比べて上振れした。

 22年2月期の通期予想は、売上高が同9.4%増の415億円、営業損益が1億円の黒字、純損益はトントンを見込む。“バーバリーショック”以降、6年ぶりの営業黒字を目指す。

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三陽商会、営業赤字20億円 21年3〜8月期で損失幅は縮小

 三陽商会の2021年3〜8月期連結業績は、本業のもうけを示す営業損益が20億円の赤字だった。前年同期の57億円の赤字に比べて、損失幅は小さくなった。不採算事業の撤退などのコスト構造改革の成果は見られるものの、主力販路である百貨店の回復遅れが足を引っ張っている。

 売上高は前期比7.2%増の164億円だった。前年の実績は上回ったものの、緊急事態宣言が想定よりも長引いたことで当初計画の181億円には届かなかった。衣料品の販売が足踏みする中でも、仕入れの抑制や、人員整理や退店などの合理化策による販管費の削減が寄与して、営業赤字は当初計画よりも改善した。純損益も19億円の赤字(前年同期は66億円の赤字)で、こちらも当初計画に比べて上振れした。

 22年2月期の通期予想は、売上高が同9.4%増の415億円、営業損益が1億円の黒字、純損益はトントンを見込む。“バーバリーショック”以降、6年ぶりの営業黒字を目指す。

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ヘアケアブランド「オラプレックス」が上場

 米ヘアケアブランド「オラプレックス(OLAPLEX)」は9月30日、米ナスダック(NASDAQ)に上場した。公開価格は1株21ドル(約2310円)の見込みだったが、初値は約25ドル(約2750円)になり、終値は24.50ドル(約2695円)だった。約18億ドル(約1980億円)を調達し、時価総額は160億ドル(約1兆7600億円)。

 2014年に米国カリフォルニア州で創設したオラプレックスは、髪内部の結合を修復する「ボンド技術」を開発。髪に負担となるヘアカラーや施術のダメージを抑え、プロフェッショナルヘア業界で人気を集めてきた。同社は特許技術を複数所有し、ボンド技術を業界内に広めた存在だ。米国ではサロン流通に加え、セフォラ(SEPHORA)にリテール専用のシリーズを販売。日本には18年2月に上陸し、プロジエが取り扱っている。また19年に投資会社のアドベント インターナショナル(ADVENT INTERNATIONAL)が買収している。

 同社の2020年度の売り上げは前年比90%増の2億8230万ドル(約310億円)とコロナ禍でも好調で、21年1〜6月期も前年同期比171%増を記録した。

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好調しまむら、今期最高益更新へ 既存店売上高がコロナ前を上回る

 しまむらは、春夏商戦の好調を受けて2022年2月期の連結業績予想を上方修正した。修正後の予想は、売上高が5705億円(前回予想は5548億円)、営業利益が456億円(同386億円)、純利益が312億円(同262億円)とする。純利益は最高益だった前期を2割近く上回る見通しだ。

 27日に発表した21年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比11.9%増の2845億円、営業利益が同58.6%増の253億円、純利益が同65.6%増の172億円だった。

 緊急事態宣言の長期化でファッション市場が苦戦を強いられる中、しまむらの好調は際立っている。既存店売上高をコロナ前の19年3〜8月期と比較すると、主力業態「ファッションセンターしまむら」で5.3%増、「アベイル」で4.8%増、「バースデイ」で19.3%増だった。短期生産の活用など一連のMD改革によって値引きと在庫を抑制し、「ファッションセンターしまむら」で粗利益率を0.8ポイント改善させた。デジタル販促の活用などによって販管費率も1.7ポイント圧縮している。

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「DKNY」親会社が「ソニア リキエル」を買収

 米G-IIIアパレル グループ(G-II APPAREL GROUP)は9月23日、仏ファッションブランド「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」をエリック(Eric)とマイケル・ダイヨン(Michael Dayan)共同オーナーから買収すると発表した。買収額は公表していない。

 「ソニア リキエル」は経営不振が続き、買い手や提携先を探したものの見つからず、2019年7月に清算。その後20年からエリックとマイケル・ダイヨン兄弟が買い取ったが、ブランドの再建に苦戦していた。

 G-IIIアパレル グループは今後、ヨーロッパを中心に2022年秋シーズンに「ソニア リキエル」を再始動する。また、同社傘下のスイムウエアブランド、ヴィルブレクイン(VILEBREQUIN)のローランド・エロリー(Roland Herlory)CEOをソニア リキエルの新CEOに任命した。

 モリス・ゴールドファーブ(Morris Goldfarb)=G-IIIアパレル グループ会長兼最高経営責任者(CEO)は「『ソニア リキエル』の買収でラグジュアリービジネスを強化できることをうれしく思う。同ブランドは大きなポテンシャルを持ち、今後はアパレルやアクセサリーに加え、さまざまなライフスタイルカテゴリーもローンチする予定だ」とコメント。エロリー新CEOは「ブランドの歴史を守りつつ、モダンにアップデートする。15年前ブランドの売り上げ規模は1億ユーロ(約128億円)だったが、今後3〜5年で同様の水準に戻すことを目指す」と意気込む。なお、ブランドは“アフォーダブルラグジュアリー”のポジションで打ち出し、数年以内に世界中に12〜15店舗をオープンする計画だ。また、デザイナーはこれから起用するという。

 創業デザイナーのソニア・リキエル(Sonia Rykiel)は“ニットの女王”と称えられ、ストライプやスパンコールを施したニットが人気を博した。フランスのファッション史を代表する存在で、女性のためのフェミニンな洋服を多く手掛けた。16年にはパーキンソン病との闘病の末86歳で死去した。

 一方のG-IIIアパレル グループは「DKNY」「ダナ キャラン(DONNA KARAN)」「ヴィルブレクイン」「G.H.バス(G.H. BASS)」「アンドリュー マーク(ANDREW MARC)」を擁する。さらにライセンス事業では「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」「カール ラガーフェルド パリ(KARL LAGERFELD PARIS)」「ゲス(GUESS)」「コール ハーン(COLE HAAN)」などを手掛ける。2021年度決算は21億ドル(約3990億円)を売り上げた。

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b-exが台湾発カーボンニュートラルグリーンコスメメーカーと資本業務提携

 ヘアサロン専売品などを取り扱うヘアケアメーカーのb-exは、台湾発のカーボンニュートラルグリーンコスメメーカーのオーライトと持続可能な社会を目指し、資本業務提携を締結したことを発表した。b-exがオーライトの株式を取得し、主要な株主となる予定だ。

 業務提携によりヘアケア・スキンケアを含むオーライトの製品をb-exから日本国内で順次販売。来春には美容室への本格的な展開を予定する。また販売促進や、技術フォローのみでなく、b-exの強みである美容室とのリレーションを活用した美容師向けの“グリーンマインド”エデュケーションを推進する。美容室とお客を“グリーンブリッジ”でつなぎ、1人でも多くのお客に“グリーン革命(よりよい未来のために世界を変えること)”を理解してもらうことを目標に、日本におけるサロン発信のグリーン革命をリードする先駆者として業界をけん引していく。そのほか、両社の技術、独自素材を生かした製品およびブランドの開発や、日本・台湾間の販路の相互利用などに向けて、更なる協議を重ねていく。なおオーライトの業務用商材が日本市場に輸入されるのは今回が初めて。

 b-exの福井敏浩社長は、「『人・環境・社会』に本当に必要とされる製品の開発・販売を通して成長を目指す当社と、人の健康と地球を守る理念を実践してきたオーライトの目指す方向性が一致していた。葛望平 オーライト代表の“グリーン革命”を進める強い意志とその思いが表現された製品に心を惹かれ 、オーライトの製品と“グリーン革命”を日本で広めていきたいと強く思った。当社は持続可能な社会の実現を経営の柱として、本格的に推進していく予定だ。強みである美容師との強固なリレーションを活用し、オーライトをベストパートナーとして、日本におけるサロン発の“グリーン革命”をリードする」とコメント。

 オーライトは2001年設立の美容メーカーで、“グリーン革命”を企業ミッションとし、環境に優しい製品開発を推進。野菜や果物から抽出したでんぷんを原料にした生分解性がある“ツリー イン ザ ボトル”を打ち出すなど、“グリーン革命”につながる“グリーンイノベーション”を継続的かつ、徹底的に行っている。その取り組みは世界でも大きく評価され、台湾企業を代表してAPEC中小企業大臣会合に参加するなど、世界に向けて発信している。11年には国家標準化機構イギリスBSI認証のもと、世界初のゼロカーボンシャンプーを発売した。現在までに世界中で100以上もの賞を受賞。“グリーン革命”を推進しながら、美容業界内でも環境保全についてリードし独自素材を生かした製品開発力を強みとする。

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悪天候とコロナのダブルパンチ 専門店8月度、ユニクロは39%減

 専門店チェーン、セレクトショップの2021年8月度(既存店ベース)は、悪天候とコロナ拡大のダブルパンチで、前年実績を割り込んだという声が中心だった。前年から1割前後落ち込んだという店が多い。前年8月が絶好調だったユニクロは38.9%減という落ち込みだった。

 ユニクロの前年8月は、一昨年同月に対し29.8%増という大幅な伸びだった。「昨年は猛暑だったことにも助けられたが、大雨、五輪による外出減、緊急事態宣言で、今年は客数が前年同月比35.2%減となった。月全体を通し、思った以上に厳しかった」と広報担当者。

 しまむらの「ファッションセンターしまむら」(7月21日〜8月20日)は同5.7%減。他社に比べると数字はよいものの、「夏物の売れ行きが不調だった」(発表資料より)。ただし、「強化しているサプライヤーとの共同開発ブランドや、インフルエンサーの企画商品の秋物立ち上がりは好調」だったという。

 良品計画の「無印良品」は同9.9%減。レトルトカレーを中心に、食品は引き続き同16.6%増と好調なものの、悪天候とコロナ禍で衣服・雑貨が同23.1%減と苦戦。7月末から順次実施している価格改定により値下げした「体にフィットするソファ」や「羽根まくら」などは「好調に推移した」(発表資料より)という。

 アダストリアは同11.5%減だった。「天候不順、コロナ拡大による客数減で、月の半ば、下旬にかけてより厳しい状況となった」と広報担当者。実店舗の客数が減ったことで、もともとEC売上比率の高い「ハレ(HARE)」「レピピアルマリオ(REPIPI ARMARIO)」「エルーラ(ELURA)」などが比較的堅調だったという。

 ユナイテッドアローズは、同12.8%減。悪天候とコロナにより「実店舗売り上げは厳しく、ECも前年のセール施策の反動で同9.6%減と前年を割り込んだ」(発表資料より)。

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オールバーズが上場申請 21年上半期は26%増収

 サンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)は8月31日、米ナスダック(NASDAQ)への新規上場(IPO)を申請した。IPOの規模は暫定的に1億ドル(約109億円)に設定されているが、今後決定する公開条件などによって変わる可能性がある。

 オールバーズは、元プロサッカー選手のティム・ブラウン(Tim Brown)と、再生可能エネルギーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)が2016年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインが世界中で人気を博し、現在はシューズだけでなくアパレルやアンダーウエアも手掛けている。同社は21年6月末の時点で世界に27の直営店を構えているが、20年の売り上げの89%はECによるものだという。日本では20年1月に東京・原宿に初出店し、21年6月には同じく丸の内に2号店をオープンした。

 同社がIPOを実施するのではないかとの憶測は、兼ねてより市場関係者の間で流れていたが、同社は21年2月の段階では「創業から5年しか経っていないことを考えると時期尚早」だとして、これを否定。しかし、4月には主幹事会社を選定していることを明かし、いずれIPOを行う計画であることを認めた。なお、同社はこれまでに累計1億4000万ドル(約152億円)以上の資金を調達している。

 オールバーズが米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出した届出書によれば、20年12月通期の売上高は前期比13.2%増の2億1929万ドル(約239億円)だったものの、純損失は前年の1452万ドル(約15億円)から2586万ドル(約28億円)へと赤字が拡大している。また、21年1〜6月期の売上高は前年同期比26.6%増の1億1754万ドル(約128億円)と増収だったが、純損失は前年同期の950万ドル(約10億円)から2112万ドル(約23億円)へとやはり赤字が大幅に拡大している。同社によれば、これは主にマーケティングおよび営業費用が増加したことによるという。

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アイウエアの「ワービー パーカー」がIPO準備 財務資料を初公開

 2010年創業のアイウエアブランド「ワービー パーカー(WARBY PARKER)」がIPO(新規上場)に向けて米国証券取引委員会に財務諸表などの資料を提出した。同資料によると、18年の売上高は2億7300万ドル(約297億円)、19年が3億7000万ドル(約403億円)、20年が3億9400万ドル(約429億円)と推移している。他方、18年の純損失は2300万ドル(約25億円)、19年は前年から横ばいに推移し、20年は5600万ドル(約61億円)の損失を計上している。21年1~6月期は730万ドル(約7億9500万円)の損失を計上している。

 同社は今回の株式公開で、190万株以上のクラスA普通株式(1株あたり6.11ドル、約665円)と280万株以上のクラスB普通株式(1株あたり2.27ドル、約247円)を発行する予定だという。

 創業以来、同社は5億ドル(約545億円)に上る資金調達を実施してきた。そのうち20年にシリーズGラウンドで資金調達を行った際には、企業価値が30億ドル(約3270億円)と算定されたという。

 「ワービー パーカー」は21年6月末日時点で145店舗を運営し、従業員数は3000人を擁するD2Cの眼鏡ブランド。自宅で眼鏡を5本まで無料で試すことができ、気に入ったものがあればECで購入するというシステムと、豊富な種類、買いやすい値段で人気となった。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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エスティ ローダー、21年通期は過去最大の売り上げ コロナ禍前を上回る

 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)の2021年6月通期決算は、売上高が前期比13.4%増の162億1500万ドル(約1兆7674億円)、営業利益は約4倍(同332.0%増)の26億1800万ドル(約2853億円)、純利益も約4倍(同313.0%増)の28億7500万ドル(約3133億円)の増収増益だった。

 19年との比較でも、売上高が9.1%増、営業利益は同13.1%増、純利益は60.2%増とコロナ禍前を上回る結果となった。

 地域別の売上高では、南北アメリカが前年と比べてほぼ横ばい(同0.08%増)の37億9700万ドル(約4138億円)、欧州・中東・アフリカが同10.9%増の69億4600万ドル(約7571億円)、アジア太平洋地域が同29.4%増の54億8600万ドル(約5979億円)だった。中でも中国本土は、引き続きスキンケアが好調なこととメイクアップが回復基調にあることから2ケタ成長となり、業績に大きく貢献した。

 カテゴリー別では、「エスティ ローダー」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」「クリニーク(CLINIQUE)」が2ケタ成長を見せたスキンケアが同28.4%増の94億8400万ドル(約1兆337億円)だった。21年2月に株式の持ち分を76%まで増やしたカナダ発の化粧品メーカー、デシエム(DECIEM)と、19年に傘下に収めた「ドクタージャルト(DR. JART+)」を擁するハブ&ビー(HAVE & BE)は、スキンケア事業部の成長率に約4%ポイント貢献した。

 マスクを着用する機会が増えたことで需要が減少したメイクアップは、「クリニーク(CLINIQUE)」や「M・A・C」が人気だったものの、同12.3%減の42億300万ドル(約4581億円)と減収だった。一方で、ワクチン接種が進んだ下半期には、ファンデーションや口紅の売り上げに伸びが見えたという。

 フレグランスは「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」と「トム フォード(TOM FORD)」がけん引し、同23.2%増の19億2600万ドル(約2099億円)だった。ヘアケアは「アヴェダ(AVEDA)」が引き続き人気を博し、同10.8%増の5億7100万ドル(約622億円)だった。

 ファブリツィオ・フリーダ(Fabrizio Freda)ELC社長兼最高経営責任者は、「売上高が初めて160億ドル(約1兆7440億円)を突破するなど、素晴らしい業績を上げることができて大変うれしく思っている。また、売上高と純利益のいずれも19年の実績を上回った。成長のエンジンは、スキンケア、高級フレグランス、アジア太平洋地域、そしてECだ」と語った。同氏によれば、ECは19年と比べて約2倍の売り上げとなっており、北米では売上高の40%をECが占めているという。

 同氏はまた、22年度の展望として、コロナ禍が落ち着くにつれてメイクアップとヘアケアがグローバルに回復すると予想。21年7~9月期(第1四半期)には、全体で17~19%の成長率を見込んでいると述べた。

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「コーチ」親会社、21年通期は黒字で着地 中国と北米市場がけん引

 「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)の2021年6月通期決算は、売上高が前期比15.8%増の57億4630万ドル(約6263億円)、営業損益は前年の5億5080万ドル(約600億円)の赤字から9億6800万ドル(約1055億円)の黒字に、純損益も同じく6億5210万ドル(約710億円)の赤字から8億3420万ドル(約909億円)の黒字となった。

 19年との比較では、売上高が4.6%減、営業損益は同18.9%増、純損益は同29.6%増となっている。

 ブランド別の売上高では、「コーチ」が前期比20.6%増の42億5310万ドル(約4635億円)、「ケイト・スペード ニューヨーク」は同5.2%増の12億1000万ドル(約1318億円)と増収だったものの、「スチュアート・ワイツマン」は同1.0%減の2億8320万ドル(約308億円)だった。ECの売り上げは、前年と比べて3ケタ増の16億ドル(約1744億円)と非常に好調だった。

 21年4〜6月期(第4四半期)で見ると、売上高は前年同期の2倍以上(同125.9%増)の16億1540万ドル(約1760億円)だった。地域別では中国本土が同60%増、北米は2.5倍以上(同165%増)と好調で、業績に大きく貢献したという。19年同期と比べても6.7%増とコロナ禍前を上回った。

 ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)最高経営責任者(CEO)は、「素晴らしい業績を上げることができ、とてもうれしく思っている。21年度は当社にとって転機の年となった。環境が急激に変化する中でも、ブランドパワーと情熱的なチームのおかげで新たな顧客を獲得することに成功した。第4四半期においては、ECと中国市場というビジネスチャンスが大いにある2つの分野がけん引し、コロナ禍前の実績を上回った」と語った。同氏によれば、北米だけで約400万人の新規顧客を獲得しており、ミレニアル世代やZ世代などの若年層も多く含まれているという。

 同氏はまた、主力ブランドである「コーチ」について、ハンドバッグやレザーグッズの市場シェアを拡大するとともに、ライフスタイル的なアプローチをすることでメンズウエアを拡充したいと述べた。

 トッド・カーン(Todd Kahn)「コーチ」ブランドプレジデント兼CEOは、同ブランド単体で約250万人の新規顧客を獲得しており、そのおよそ半数がミレニアル世代とZ世代だと説明。「新規および既存顧客のいずれもが、以前よりも高価格帯の商品を、高頻度で購入している」と話した。

 スコット・ロー(Scott Roe)最高財務責任者は、22年度の展望について、売上高は16%前後の成長率で64億ドル(約6976億円)程度と過去最高を更新する見込みだと述べた。また、営業利益も15〜17%の成長を予想しているという。

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プラダ、21年上半期は黒字に コロナ禍前を上回ることはできず

 プラダ グループ(PRADA GROUP)の2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比60%増の15億100万ユーロ(約1936億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は約3倍(同208.3%増)の4億7800万ユーロ(約616億円)、純損益は前年同期の1億8000万ユーロ(約232億円)の赤字から9700万ユーロ(約125億円)の黒字となった。

 19年同期比で見ると、売上高が4.4%減、EBITDAは同2.6%減、純利益は同37.4%減となっており、競合他社のようにコロナ禍前を上回ることはできなかったものの、業績は回復基調にあると言えるだろう。

 地域別での21年上半期の売上高は、ヨーロッパが現地通貨ベースで前年同期比19%増の2億6300万ユーロ(約339億円)、南北アメリカが2.5倍以上(同163%増)の2億3200万ユーロ(約299億円)、日本以外のアジア太平洋地域が同65%増の5億9900万ユーロ(約772億円)、日本が同25%増の1億2900万ユーロ(約166億円)だった。ECも3ケタの成長率となるなど好調で、小売りの売上高全体の7%を占めている。

 なお、19年同期比での売上高は、店舗の36%が休業していたヨーロッパが現地通貨ベースで29%減、緊急事態宣言が続く日本では同24%減となった。一方で、中国や韓国市場が好調なアジア太平洋地域は同35%増、米国市場が急激に回復した南北アメリカは同53%増だった。

 カテゴリー別で見ると、21年上半期はフットウエアが現地通貨ベースで前年同期比77%増の2億2400万ユーロ(約288億円)、ウエアが同71%増の3億3400万ユーロ(約430億円)と非常に好調だったほか、レザーグッズも51%増の7億300万ユーロ(約906億円)だった。ブランド別では、主力の「プラダ」が同64%増の11億ユーロ(約1419億円)、「ミュウミュウ(MIU MIU)」は同43%増の1億6600万ユーロ(約214億円)だった。

 パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)最高経営責任者は、「ブランドを大切にし、顧客とのつながりを強化することで、全地域で堅調な業績を上げられた。不透明な情勢が続く中、粗利や利益率を改善できたことをうれしく思うし、下半期もこの勢いが続くものと考えている。当社の傘下ブランドには大きな可能性があり、中期的にそれをさらに開発していく」と語った。

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アイスタイル21年6月期は赤字縮小 韓国最大規模の化粧品口コミサイトを子会社化

 「アットコスメ(@COSME)」を運営するアイスタイルの2021年6月期連結決算は、売上高が前期比1.3%増の309億円、営業損益が6億円の赤字(前期は23億円の赤字)、経常損益が7億9500万円の赤字(同24億円の赤字)だった。ビューティサービス事業のECの業績貢献やグローバル事業をはじめ各事業における徹底した収益性改善により、赤字額を約17億円縮小した。海外における投資有価証券売却益17億円など特別利益18億円を計上したため、純利益は3億7900万円と黒字(同50億円の赤字)に転換した。

 事業別では、「アットコスメショッピング(@COSME SHOPPING)」や「アットコスメストア(@COSME STORE)」、大型旗艦店「アットコスメ トーキョー(@COSME TOKYO)」の運営など国内の小売業を中心としたサービスで構成するビューティーサービス事業では、「アットコスメ トーキョー」を除いた既存店舗が収益性改善により黒字を維持し、さらにECイベント「アットコスメ ビューティ デイ(@COSME BEAUTY DAY)」の寄与、MD強化やキャンペーン施策がけん引し、売上高が同19.3%増の182億円、営業損失が2億7100万円(同6億8500万円の赤字)と赤字幅が縮小した。

 「アットコスメ」を中心としたサービスで構成するオンプラットフォーム事業の売上高は同9.6%減の69億円、営業利益は同10%増の13億円だった。メーカー側の予算の保守化が継続していることを受け、広告・ソリューションサービスが落ち込んだものの、ブランド向けのマーケティングサービス「ブランドオフィシャル」が伸長した。グローバル事業では、マレーシアのEC運営会社の譲渡や台湾4店舗の閉鎖などが影響し、売上高が24.5%減の46億円、営業損失が1億5700万円(同7億8900万円の赤字)だった。

 吉松徹郎社長兼最高経営責任者(CEO)は、「ようやく、メディアの『アットコスメ』からEC『アットコスメショッピング』の流れが定着し、結果につながり始めてきた。また、ECと店舗を併用することによる顧客体験の向上が成果になってきている。来期では、プラットフォームの連携を強化し、ECのさらなる成長を目指す」と意気込む。22年6月期の業績予想は、収益部門であるオンプラットフォーム事業とビューティサービス事業のECに注力し、売上高が同26.7%増の392億円、営業利益が5億円、経常利益が4億円、純利益が同20.9%減の3億円を見込む。

 なお、同社は、海外において中長期的なプラットフォームの構築を目指し、19年4月から資本業務提携している韓国のGlowdayz(グロウデイズ)社の子会社化を16日の取締役会で決議した。取得額は8億5500万円で、8月31日に手続きが完了する予定だ。Glowdayz社は、韓国最大規模の化粧品口コミサイト「GLOWPICK」を運営し、アイスタイルのメディア、EC、店舗と親和性が高いとしている。

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エルメス、21年上半期は70%増収 売上高の半分以上は日本を含むアジア太平洋地域

 エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2021年1〜6月期決算は、売上高が前年同期比70.2%増の42億3500万ユーロ(約5463億円)、営業利益は3倍以上(同221.8%増)の17億2200万ユーロ(約2221億円)、純利益は約3.5倍(同250.4%増)の11億7400万ユーロ(約1514億円)だった。

 19年同期比でも、売上高は28.9%増、営業利益は同50.5%増、純利益は同55.7%増で、コロナ禍前を大幅に上回る結果となった。

 なお、競合他社のLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)も、19年同期比で売上高が14.2%増、営業利益は同44.7%増、純利益は同61.8%増だった。「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」を擁するケリング(KERING)も、同じく売上高が5.3%増、EBITDAは同5.0%増、純利益は2.5倍以上(同155.1%増)となっている。

 エルメスの21年上半期のカテゴリー別での売上高は、主力のレザーグッズが前年同期比56.1%増の19億9930万ユーロ(約2579億円)、衣料・アクセサリーは同90.8%増の10億2510万ユーロ(約1322億円)、シルク・テキスタイルは同65.8%増の2億7390万ユーロ(約353億円)、香水・ビューティは同63.0%増の1億8410万ユーロ(約237億円)、ウオッチは約2倍(同114.0%増)の1億5880万ユーロ(約204億円)だった。

 同じく地域別での売上高は、フランスが同35.2%増の3億4120万ユーロ(約440億円)、フランス以外のヨーロッパは同49.5%増の5億2190万ユーロ(約673億円)、南北アメリカは同98.3%増の6億6790万ユーロ(約861億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同81.8%増の21億5300万ユーロ(約2777億円)、日本は同45.5%増の4億6900万ユーロ(約605億円)だった。上半期の売上高全体の半分以上を、日本を含むアジア太平洋地域が占める計算となる。

 19年同期と比較すると、現地通貨ベースでの売上高はフランスが16%減、フランス以外のヨーロッパは2.8%減と観光客不在の影響を大きく受けたものの、南北アメリカは同25.3%増、日本は同22.2%増、日本以外のアジア太平洋地域は同69.7%増と好調だった。

 アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者(CEO)は、「上半期の業績が非常に好調で、とてもうれしく思っている。これは(コロナ禍が落ち着いてきたという)状況によるところが大きいが、クリエイティビティーとイノベーションの源泉である従業員、そして絶対的な品質を重視する当社のビジネスモデルの強みが反映された結果でもある。引き続き当社の価値観を守りつつ、先行きが不透明な状況に対応していく」と語った。

 コロナ禍が収束するにつれて商品の需要がさらに高まることを予測し、同社では20年12月末から21年6月末にかけて、従業員を新たに約370人雇用している。デュマCEOは、アナリスト向けの会見で、「20年は外出規制や休業措置などの影響で全地域に在庫があったが、それらは21年上半期にあっという間に売れていった。生産面でのボトルネックを解消するべく投資を続けているものの、下半期の成長率はやや緩やかになると予想している」と述べた。

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「グッチ」の親会社、21年上半期は49%増収 北米とアジア市場が好調

 ケリング(KERING)の2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比49.6%増の80億4720万ユーロ(約1兆380億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同76.1%増の29億5090万ユーロ(約3806億円)、純利益は5倍以上(同442.5%増)の14億7900万ユーロ(約1907億円)の増収増益だった。

 19年同期比でも、売上高は5.3%増、EBITDAは同5.0%増、純利益は2.5倍以上(同155.1%増)となっており、コロナ禍以前の業績を上回る結果となった。なお、競合他社のLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)も、同じく19年同期比で売上高が14.2%増、営業利益は同44.7%増、純利益は同61.8%増となっている。

 ケリングの売上高を地域別で見ると、西欧が前年同期比1.7%増の16億9910万ユーロ(約2191億円)、北米は約2倍(同107.1%増)の19億7970万ユーロ(約2553億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同64.8%増の33億7690万ユーロ(約4356億円)、日本は同14.9%増の4億5880万ユーロ(約591億円)だった。その他の地域は同74.5%増の5億3270万ユーロ(約687億円)だった。西欧で足踏みが続く一方で、北米とアジア太平洋地域の好調ぶりが業績に大きく寄与したことがうかがえる。なお、既存店かつ現地通貨ベースで見ると、北米は同124.8%増、日本は同25.2%増だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同45.8%増の44億7930万ユーロ(約5778億円)だった。同ブランドは20年から販売網の見直しを行っており、直営店の売り上げが売上高全体のおよそ90%を占めている。こうしたことから、卸の売り上げは同9.6%減、19年同期比で40.8%減となった。「サンローラン(SAINT LAURENT)」は前年同期比53.5%増の10億4550万ユーロ(約1348億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同40.6%増の7億760万ユーロ(約912億円)だった。ECも引き続き好調で、同78.5%増だった。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者は、「21年4~6月期(第2四半期)の売り上げが急激に伸びたこともあり、上半期の業績は非常に好調で、19年同期を上回る結果となった。これには全てのブランドが寄与している。収益性も十分に回復していることから、各ブランドや戦略的なイニシアチブへの投資ペースを速めていきたい」と語った。

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「グッチ」の親会社、21年上半期は49%増収 北米とアジア市場が好調

 ケリング(KERING)の2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比49.6%増の80億4720万ユーロ(約1兆380億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同76.1%増の29億5090万ユーロ(約3806億円)、純利益は5倍以上(同442.5%増)の14億7900万ユーロ(約1907億円)の増収増益だった。

 19年同期比でも、売上高は5.3%増、EBITDAは同5.0%増、純利益は2.5倍以上(同155.1%増)となっており、コロナ禍以前の業績を上回る結果となった。なお、競合他社のLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)も、同じく19年同期比で売上高が14.2%増、営業利益は同44.7%増、純利益は同61.8%増となっている。

 ケリングの売上高を地域別で見ると、西欧が前年同期比1.7%増の16億9910万ユーロ(約2191億円)、北米は約2倍(同107.1%増)の19億7970万ユーロ(約2553億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同64.8%増の33億7690万ユーロ(約4356億円)、日本は同14.9%増の4億5880万ユーロ(約591億円)だった。その他の地域は同74.5%増の5億3270万ユーロ(約687億円)だった。西欧で足踏みが続く一方で、北米とアジア太平洋地域の好調ぶりが業績に大きく寄与したことがうかがえる。なお、既存店かつ現地通貨ベースで見ると、北米は同124.8%増、日本は同25.2%増だった。

 ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同45.8%増の44億7930万ユーロ(約5778億円)だった。同ブランドは20年から販売網の見直しを行っており、直営店の売り上げが売上高全体のおよそ90%を占めている。こうしたことから、卸の売り上げは同9.6%減、19年同期比で40.8%減となった。「サンローラン(SAINT LAURENT)」は前年同期比53.5%増の10億4550万ユーロ(約1348億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同40.6%増の7億760万ユーロ(約912億円)だった。ECも引き続き好調で、同78.5%増だった。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者は、「21年4~6月期(第2四半期)の売り上げが急激に伸びたこともあり、上半期の業績は非常に好調で、19年同期を上回る結果となった。これには全てのブランドが寄与している。収益性も十分に回復していることから、各ブランドや戦略的なイニシアチブへの投資ペースを速めていきたい」と語った。

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資生堂1〜6月期決算は中国や欧米市場が回復し売上高21%増

 資生堂の2021年1~6月期連結決算は、中国や欧米を中心とした海外事業の成長が加速し売上高が前年同期比21.5%増の5076億円だった。営業利益が230億円(前年同期は34億円の赤字)、経常利益が280億円(同63億円の赤字)。「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ(DOLCE&GABBANA BEAUTY)」のライセンス契約解消に伴う特別損失を計上したことから純損益は172億円の赤字(同213億円の赤字)となった。

 事業別の売上高は、日本事業が同1.1%減の1488億円。スキンケアやベースメイクカテゴリーはシェアを拡大。Eコマースの売り上げも前年を上回ったものの、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛に伴う消費マインドの低下、来店客数の減少などの影響を受けて前年を下回った。

 中国事業は、オフライン・オンラインとも成長し売上高が同44.1%増の1441億円だった。19年度比でも約30%増と伸長。「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」などスキンケアブランドを中心にマーケティング投資を強化したこと、618商戦でもプレステージを中心に高い支持を集め同60%増超となったことなどがけん引した。

 トラベルリテール事業は、中国の海南島を中心に成長を遂げ同12%増の578億円だった。そのほか、米州事業はメイクアップも含め全カテゴリーで改善し同46.7%増の538億円。欧州事業がスキンケアやeコマースが加速し同47.1%増の514億円、アジアパシフィック事業が同19.8%増の313億円、プロフェッショナル事業が同32%増の74億円、その他が同5.7%増の127億円だった。

 魚谷雅彦資生堂社長兼CEOは「スキンビューティブランドの強化やDX加速、パーソナルケア事業の移管などコロナ禍を機会に変え、収益基盤を強化した成果が得られた。今期は変革と次への準備期間と捉え、23年の完全復活への足固めを強める」と述べた。

 21年12月期の通期の売上高は前期比15.9%増の1兆670億円、営業利益が同80.4%増の270億円、経常損益が180.1%増の270億円、純利益が355億円を見込むものの、ワクチン普及による経済活動の本格回復や全世界で変異株の拡大など不透明感があるため然るべきタイミングで改めて公表する。

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資生堂1〜6月期決算は中国や欧米市場が回復し売上高21%増

 資生堂の2021年1~6月期連結決算は、中国や欧米を中心とした海外事業の成長が加速し売上高が前年同期比21.5%増の5076億円だった。営業利益が230億円(前年同期は34億円の赤字)、経常利益が280億円(同63億円の赤字)。「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ(DOLCE&GABBANA BEAUTY)」のライセンス契約解消に伴う特別損失を計上したことから純損益は172億円の赤字(同213億円の赤字)となった。

 事業別の売上高は、日本事業が同1.1%減の1488億円。スキンケアやベースメイクカテゴリーはシェアを拡大。Eコマースの売り上げも前年を上回ったものの、緊急事態宣言下での小売店の時短営業や外出自粛に伴う消費マインドの低下、来店客数の減少などの影響を受けて前年を下回った。

 中国事業は、オフライン・オンラインとも成長し売上高が同44.1%増の1441億円だった。19年度比でも約30%増と伸長。「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」などスキンケアブランドを中心にマーケティング投資を強化したこと、618商戦でもプレステージを中心に高い支持を集め同60%増超となったことなどがけん引した。

 トラベルリテール事業は、中国の海南島を中心に成長を遂げ同12%増の578億円だった。そのほか、米州事業はメイクアップも含め全カテゴリーで改善し同46.7%増の538億円。欧州事業がスキンケアやeコマースが加速し同47.1%増の514億円、アジアパシフィック事業が同19.8%増の313億円、プロフェッショナル事業が同32%増の74億円、その他が同5.7%増の127億円だった。

 魚谷雅彦資生堂社長兼CEOは「スキンビューティブランドの強化やDX加速、パーソナルケア事業の移管などコロナ禍を機会に変え、収益基盤を強化した成果が得られた。今期は変革と次への準備期間と捉え、23年の完全復活への足固めを強める」と述べた。

 21年12月期の通期の売上高は前期比15.9%増の1兆670億円、営業利益が同80.4%増の270億円、経常損益が180.1%増の270億円、純利益が355億円を見込むものの、ワクチン普及による経済活動の本格回復や全世界で変異株の拡大など不透明感があるため然るべきタイミングで改めて公表する。

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ロレアル21年上半期は米国市場が復調し増収増益 フレグランスも急伸

 ロレアル(L'OREAL)の2021年1〜6月期決算は売上高が前年同期比16.2%増の151億9660万ユーロ(約1兆9600億円)、営業利益が同37%増の29億8810万ユーロ(約3854億円)、純利益が同29.8%増の23億6800万ユーロ(約3054億円)と増収増益だった。19年の同期間に比べても、売上高は2%増、営業利益は3%増、純利益は1%増だった。なお19年4〜6月期に比べても、第2四半期の売上高は同8.4%増とコロナ前の水準に戻った。引き続き好調な中国市場に加え、マスクの着用義務が緩和された米国事業が急速に復調しており、成長をけん引した。

 事業部別では、リュクス事業本部の売上高が同24.9%増で、スキンケア、メイクアップ、フレグランスと全てのカテゴリーが成長した。ここ数年グループ全体の成長を率いるアクティブ コスメティックス事業部は同32%増と引き続き好調だった。「セラヴィ(CERAVE)」は売り上げを倍増し、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」も売り上げシェアを拡大した。プロフェッショナル プロダクツ事業部は同32.6%増で、「ケラスターゼ(KERASTASE)」がけん引した。メイクアップ比重が大きいコンシューマープロダクツ事業部も米国市場のリバウンドで同1.9%増を記録し、4〜6月は同14.2%増と復調しつつある。中でも「メイベリン(MAYBELLINE)」の新作マスカラや「ロレアル パリ(L'OREAL PARIS)」のパウダーが人気だった。ヘアケアも2ケタ成長し、スキンケアも「ロレアル パリ」が中国で引き続きトップセラーだった。

 地域別では北米の売上高が同13.8%増、北アジアが同23.2%増、南アジア・中東・北アフリカが同13.3%増、ラテンアメリカが同22.7%増だった。ロックダウンや外出に関する規制が緩和された米国や中南米は売り上げを伸ばした。日本と韓国は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け続ける一方で、中国は海南島の免税事業が成長し続けた。カテゴリー別ではスキンケアが引き続き伸び続けたほか、フレグランスの売り上げが同24%増と最も伸びた。

 5月に最高経営責任者に就任したニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)は決算会見で「ビューティ市場は、コロナ前の水準に戻りつつある。中国は引き続きビューティ需要が高く、中でもラグジュアリーが好調だ。またメイクアップの復調が中国と米国で始まり、他国にも徐々に広がっている。ロレアルは市場平均よりも2倍のペースで復調をしており、下半期も19年を上回る成長スピードを目指す」とコメントした。

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ロレアル21年上半期は米国市場が復調し増収増益 フレグランスも急伸

 ロレアル(L'OREAL)の2021年1〜6月期決算は売上高が前年同期比16.2%増の151億9660万ユーロ(約1兆9600億円)、営業利益が同37%増の29億8810万ユーロ(約3854億円)、純利益が同29.8%増の23億6800万ユーロ(約3054億円)と増収増益だった。19年の同期間に比べても、売上高は2%増、営業利益は3%増、純利益は1%増だった。なお19年4〜6月期に比べても、第2四半期の売上高は同8.4%増とコロナ前の水準に戻った。引き続き好調な中国市場に加え、マスクの着用義務が緩和された米国事業が急速に復調しており、成長をけん引した。

 事業部別では、リュクス事業本部の売上高が同24.9%増で、スキンケア、メイクアップ、フレグランスと全てのカテゴリーが成長した。ここ数年グループ全体の成長を率いるアクティブ コスメティックス事業部は同32%増と引き続き好調だった。「セラヴィ(CERAVE)」は売り上げを倍増し、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」も売り上げシェアを拡大した。プロフェッショナル プロダクツ事業部は同32.6%増で、「ケラスターゼ(KERASTASE)」がけん引した。メイクアップ比重が大きいコンシューマープロダクツ事業部も米国市場のリバウンドで同1.9%増を記録し、4〜6月は同14.2%増と復調しつつある。中でも「メイベリン(MAYBELLINE)」の新作マスカラや「ロレアル パリ(L'OREAL PARIS)」のパウダーが人気だった。ヘアケアも2ケタ成長し、スキンケアも「ロレアル パリ」が中国で引き続きトップセラーだった。

 地域別では北米の売上高が同13.8%増、北アジアが同23.2%増、南アジア・中東・北アフリカが同13.3%増、ラテンアメリカが同22.7%増だった。ロックダウンや外出に関する規制が緩和された米国や中南米は売り上げを伸ばした。日本と韓国は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け続ける一方で、中国は海南島の免税事業が成長し続けた。カテゴリー別ではスキンケアが引き続き伸び続けたほか、フレグランスの売り上げが同24%増と最も伸びた。

 5月に最高経営責任者に就任したニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)は決算会見で「ビューティ市場は、コロナ前の水準に戻りつつある。中国は引き続きビューティ需要が高く、中でもラグジュアリーが好調だ。またメイクアップの復調が中国と米国で始まり、他国にも徐々に広がっている。ロレアルは市場平均よりも2倍のペースで復調をしており、下半期も19年を上回る成長スピードを目指す」とコメントした。

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花王の1〜6月期は“ニューノーマル対応”のビューティ製品ヒットや欧米ヘアサロン製品好調で増収増益

 花王の2021年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、衛生関連製品を中心とした需要拡大の反動を受けて日本のトイレタリー市場が前年同期を下回ったほか、コロナの影響で化粧品市場が回復していないものの、中国の好調継続や国内での化粧品のデジタル施策が奏功し、売上高が前年同期比1.2%増(実質0.6%減)の6752億円、営業利益が同5.3%減の706億円、純利益が3.8%増の525億円だった。

 事業部別では、コンシューマープロダクツ事業(ハイジーン&リビングケア事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、化粧品事業を総称)の売上高が同1.2%減(同2.7%減)の5442億円だった。化粧品事業は、国内はニューノーマルに対応した化粧提案やデジタル施策により「ケイト(KATE)」の“リップモンスター”や「デュウ(DEW)」の“クリアクレイフォンデュ”などヒット製品を創出。しかしインバウンド需要の消滅や緊急事態宣言延長による市場回復の遅れからメイクブランドが苦戦した。中国は「フリープラス(FREEPLUS)」「キュレル(CUREL)」がECで好調に推移。また、欧州はロックダウン緩和による市場回復とECの好調から、売上高が同0.9%増(同1.5%減)の1106億円だった。

 ヘルス&ビューティケア事業は、米国のヘアサロン向けプレステージブランド「オリベ(ORIBE)」がECを中心に好調に推移。欧州も市場が回復し、売り上げが伸長した。また、ハンドソープや手指消毒液など衛⽣関連製品の需要が米州では引き続き高かったものの、日本では市場が縮小し売り上げが減少。マス向けのヘアケア製品もヘアカラーが振るわず、売上高は同1.2%減(同2.6%減)の1740億円だった。

 21年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.5%増(実質2.0%増)の1兆4300億円、営業利益が同0.8%増の1770億円、純利益が0.7%増の1270億円を見込む。

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花王の1〜6月期は“ニューノーマル対応”のビューティ製品ヒットや欧米ヘアサロン製品好調で増収増益

 花王の2021年1〜6月期連結決算(国際会計基準)は、衛生関連製品を中心とした需要拡大の反動を受けて日本のトイレタリー市場が前年同期を下回ったほか、コロナの影響で化粧品市場が回復していないものの、中国の好調継続や国内での化粧品のデジタル施策が奏功し、売上高が前年同期比1.2%増(実質0.6%減)の6752億円、営業利益が同5.3%減の706億円、純利益が3.8%増の525億円だった。

 事業部別では、コンシューマープロダクツ事業(ハイジーン&リビングケア事業、ヘルス&ビューティケア事業、ライフケア事業、化粧品事業を総称)の売上高が同1.2%減(同2.7%減)の5442億円だった。化粧品事業は、国内はニューノーマルに対応した化粧提案やデジタル施策により「ケイト(KATE)」の“リップモンスター”や「デュウ(DEW)」の“クリアクレイフォンデュ”などヒット製品を創出。しかしインバウンド需要の消滅や緊急事態宣言延長による市場回復の遅れからメイクブランドが苦戦した。中国は「フリープラス(FREEPLUS)」「キュレル(CUREL)」がECで好調に推移。また、欧州はロックダウン緩和による市場回復とECの好調から、売上高が同0.9%増(同1.5%減)の1106億円だった。

 ヘルス&ビューティケア事業は、米国のヘアサロン向けプレステージブランド「オリベ(ORIBE)」がECを中心に好調に推移。欧州も市場が回復し、売り上げが伸長した。また、ハンドソープや手指消毒液など衛⽣関連製品の需要が米州では引き続き高かったものの、日本では市場が縮小し売り上げが減少。マス向けのヘアケア製品もヘアカラーが振るわず、売上高は同1.2%減(同2.6%減)の1740億円だった。

 21年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.5%増(実質2.0%増)の1兆4300億円、営業利益が同0.8%増の1770億円、純利益が0.7%増の1270億円を見込む。

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ユニクロ7月度は3カ月ぶりに前年並みに回復 気温上昇に助けられるも内容には課題

 専門店チェーン、セレクトショップの2021年7月度(既存店ベース)は、梅雨明け以降の気温上昇に伴い、夏物の動きが好調だったという声が多かった。5月、6月と前年実績を下回っていたユニクロも、7月は前年並みに回復。同じく6月に10カ月ぶりに前年を割り込んでいたしまむらも復調している。

 ユニクロは同0.1%増で着地。「5月、6月と調子が悪かった中では健闘しているが、気温上昇に助けられた部分は大きい」と広報担当者。売れ筋は“ワイヤレスブラ”などのインナーやラウンジウエア、カットソートップス類で、「(単価の高い外出着などで)目玉となるような売れ筋がない」という課題は続いている。

 しまむらの運営する「ファッションセンターしまむら」(6月21日〜7月20日)は同3.9%増。前年7月も一昨年に対し9.1%増と2ケタ近く伸ばしていたが、それを上回った。売れ筋は接触冷感素材のTシャツやパンツ、寝具、インテリア雑貨など。アウトドアショップ「ロゴス(LOGOS)」と共同開発し、6月23日から販売している「ロゴスデイズ(LOGOS DAYS)」も好調だったという。

 「無印良品」の良品計画は、実店舗とECの既存店売上高が同1.2%減と3カ月連続の前年実績割れ。ただし、実店舗売り上げに限れば同1.3%増だったという。「前年7月は引き続きECのニーズが拡大した時期だったので、EC売り上げは前年にはまだ追いついていない」と広報担当者。売れ筋は引き続き食品類で、食品カテゴリーの7月度売上高は同22.9%増。衣服・雑貨は同5.4%減だったが、定番のインナーウエアなどは売れた。

 アダストリアは同8.3%増。「数字だけを見ると悪くないが、前年7月は6月のリベンジ消費後の買い控えなどがあったため、実際のところは物足りない結果ではある」と広報担当者。7月22〜25日の連休までは「一昨年の7月を超えるくらい、非常に好調なペースだった」が、月末にかけて失速。失速理由が「たとえば東京五輪のテレビ観戦のために消費者が外出を控えているからなのか、コロナ再拡大によるものかは不明」。

 ユナイテッドアローズは前年並みで着地。良品計画と同じく、実店舗に限れば同1.7%増となったが、ECは前年実績割れ。前年7月はECのセールを積極的に仕掛けていたことの反動などにより同3.0%減だった。

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ユニクロ7月度は3カ月ぶりに前年並みに回復 気温上昇に助けられるも内容には課題

 専門店チェーン、セレクトショップの2021年7月度(既存店ベース)は、梅雨明け以降の気温上昇に伴い、夏物の動きが好調だったという声が多かった。5月、6月と前年実績を下回っていたユニクロも、7月は前年並みに回復。同じく6月に10カ月ぶりに前年を割り込んでいたしまむらも復調している。

 ユニクロは同0.1%増で着地。「5月、6月と調子が悪かった中では健闘しているが、気温上昇に助けられた部分は大きい」と広報担当者。売れ筋は“ワイヤレスブラ”などのインナーやラウンジウエア、カットソートップス類で、「(単価の高い外出着などで)目玉となるような売れ筋がない」という課題は続いている。

 しまむらの運営する「ファッションセンターしまむら」(6月21日〜7月20日)は同3.9%増。前年7月も一昨年に対し9.1%増と2ケタ近く伸ばしていたが、それを上回った。売れ筋は接触冷感素材のTシャツやパンツ、寝具、インテリア雑貨など。アウトドアショップ「ロゴス(LOGOS)」と共同開発し、6月23日から販売している「ロゴスデイズ(LOGOS DAYS)」も好調だったという。

 「無印良品」の良品計画は、実店舗とECの既存店売上高が同1.2%減と3カ月連続の前年実績割れ。ただし、実店舗売り上げに限れば同1.3%増だったという。「前年7月は引き続きECのニーズが拡大した時期だったので、EC売り上げは前年にはまだ追いついていない」と広報担当者。売れ筋は引き続き食品類で、食品カテゴリーの7月度売上高は同22.9%増。衣服・雑貨は同5.4%減だったが、定番のインナーウエアなどは売れた。

 アダストリアは同8.3%増。「数字だけを見ると悪くないが、前年7月は6月のリベンジ消費後の買い控えなどがあったため、実際のところは物足りない結果ではある」と広報担当者。7月22〜25日の連休までは「一昨年の7月を超えるくらい、非常に好調なペースだった」が、月末にかけて失速。失速理由が「たとえば東京五輪のテレビ観戦のために消費者が外出を控えているからなのか、コロナ再拡大によるものかは不明」。

 ユナイテッドアローズは前年並みで着地。良品計画と同じく、実店舗に限れば同1.7%増となったが、ECは前年実績割れ。前年7月はECのセールを積極的に仕掛けていたことの反動などにより同3.0%減だった。

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LVMH、21年上半期は55%増収 コロナ禍以前を上回る業績

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比55.8%増の286億6500万ユーロ(約3兆6977億円)、営業利益は約5倍(同400.8%増)の75億9800万ユーロ(約9801億円)、純利益は約10倍(同913.2%増)の52億8900万ユーロ(約6822億円)の大幅な増収増益だった。

 なお、19年同期比でも売上高は14.2%増、営業利益は44.9%増、純利益は61.8%増とコロナ禍以前を上回る業績になった。

 部門別の売上高では、主要事業のファッション・レザーグッズ部門が記録的な伸びを見せ、前年同期比73.5%増の138億6300万ユーロ(約1兆7883億円)だった。スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」に加えて、「フェンディ(FENDI)」「ロエベ(LOEWE)」「セリーヌ(CELINE)」も非常に好調で、業績に大きく貢献した。

 20年12月に総額158億ドル(約1兆7380億円)で買収したティファニー(TIFFANY & CO.)を擁するウオッチ&ジュエリー部門は、同205.0%増の40億2300万ユーロ(約5189億円)と約3倍の伸びとなった。ワイン&スピリッツ部門は同36.2%増の27億500万ユーロ(約3489億円)、香水&コスメティクス部門は同31.2%増の30億2500万ユーロ(約3902億円)だった。免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は、同4.9%増の50億8500万ユーロ(約6559億円)だった。

 19年同期との比較では、ファッション・レザーグッズ部門の売上高が32.9%増、ウオッチ&ジュエリー部門は同88.4%増、ワイン&スピリッツ部門は同8.8%増となった一方で、香水&コスメティクス部門は同6.5%減、観光客不在の影響が長引いているセレクティブ・リテール部門は同28.3%減となっている。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者は、「世界中が危機的な状況にある中でも、事業への投資やイノベーションを継続してきた結果として、素晴らしい業績を上げることができて大変うれしく思っている。上半期のハイライトは、グループ内への『ティファニー』の統合と、大規模なリノベーションを行っていた百貨店サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)の営業を再開できたことだ。事態が落ち着き、世界経済が復活の兆しを見せている現在、当社は今後も成長を続け、グローバルなラグジュアリー市場をけん引するリーダーとしてのポジションをさらに強化できるものと確信している」と語った。

 コロナ禍が落ち着き、外出や旅行などが可能になるにつれて、ラグジュアリー消費の比重がモノからコト(体験)へと移るのではないかと見る専門家も多い。これについて、ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者(CFO)は、「中国のトレンドを注視しているが、現在のところそうした傾向は見られず、需要は減速していない。こうしたことから、旅行などができるようになっても、ラグジュアリーのモノ消費とは“別の財布”からの支出になるのではないかと希望を持っている」と述べた。同氏はまた、中国市場での業績は大変好調だが、売り上げに占める中国人顧客の割合は増加しておらず、中国への依存度は高まっていないと付け加えた。

 21年1~3月期(第1四半期)決算発表の際、検討している買収案件はあるかと問われたギヨニーCFOは、「ほかにやるべきことがある。現在は『ティファニー』をグループ内に統合し、長期的に成長させていくことが最優先事項だ」と答えている。しかし、ティファニーほどの大規模な案件ではないものの、LVMHはその後も投資を続けている。21年4月にはトッズ・グループ(TOD'S GROUP)の持ち分を10%に引き上げ、7月には過半数株式を保有する「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」の全株式を取得して完全子会社化。同じく7月には、17年に「セリーヌ(CELINE)」を去ったフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が自身の名前を冠したブランドの立ち上げを発表したが、LVMHはその少数株主となっている。また、やはり7月には、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が率いる「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の商標を所有するオフ-ホワイト合同会社(OFF-WHITE LLC)の株式60%を取得した。セフォラも、英ビューティE Cの「フィールユニーク(FEELUNIQUE)」を買収すると発表した。

 英金融機関HSBCのアーワン・ランバーグ(Erwan Rambourg)=コンシューマー&リテール・リサーチ・グローバルヘッドは、「現在は全般に企業のマルチプル(財務指標や企業価値などに基づいて算出した評価倍率)が高い売り手市場だが、LVMHほどの資金力があれば、今後も投資を続ける可能性がある」とコメントした。

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LVMH、21年上半期は55%増収 コロナ禍以前を上回る業績

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2021年1~6月期決算は、売上高が前年同期比55.8%増の286億6500万ユーロ(約3兆6977億円)、営業利益は約5倍(同400.8%増)の75億9800万ユーロ(約9801億円)、純利益は約10倍(同913.2%増)の52億8900万ユーロ(約6822億円)の大幅な増収増益だった。

 なお、19年同期比でも売上高は14.2%増、営業利益は44.9%増、純利益は61.8%増とコロナ禍以前を上回る業績になった。

 部門別の売上高では、主要事業のファッション・レザーグッズ部門が記録的な伸びを見せ、前年同期比73.5%増の138億6300万ユーロ(約1兆7883億円)だった。スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」に加えて、「フェンディ(FENDI)」「ロエベ(LOEWE)」「セリーヌ(CELINE)」も非常に好調で、業績に大きく貢献した。

 20年12月に総額158億ドル(約1兆7380億円)で買収したティファニー(TIFFANY & CO.)を擁するウオッチ&ジュエリー部門は、同205.0%増の40億2300万ユーロ(約5189億円)と約3倍の伸びとなった。ワイン&スピリッツ部門は同36.2%増の27億500万ユーロ(約3489億円)、香水&コスメティクス部門は同31.2%増の30億2500万ユーロ(約3902億円)だった。免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)などを運営するセレクティブ・リテール部門は、同4.9%増の50億8500万ユーロ(約6559億円)だった。

 19年同期との比較では、ファッション・レザーグッズ部門の売上高が32.9%増、ウオッチ&ジュエリー部門は同88.4%増、ワイン&スピリッツ部門は同8.8%増となった一方で、香水&コスメティクス部門は同6.5%減、観光客不在の影響が長引いているセレクティブ・リテール部門は同28.3%減となっている。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者は、「世界中が危機的な状況にある中でも、事業への投資やイノベーションを継続してきた結果として、素晴らしい業績を上げることができて大変うれしく思っている。上半期のハイライトは、グループ内への『ティファニー』の統合と、大規模なリノベーションを行っていた百貨店サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)の営業を再開できたことだ。事態が落ち着き、世界経済が復活の兆しを見せている現在、当社は今後も成長を続け、グローバルなラグジュアリー市場をけん引するリーダーとしてのポジションをさらに強化できるものと確信している」と語った。

 コロナ禍が落ち着き、外出や旅行などが可能になるにつれて、ラグジュアリー消費の比重がモノからコト(体験)へと移るのではないかと見る専門家も多い。これについて、ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者(CFO)は、「中国のトレンドを注視しているが、現在のところそうした傾向は見られず、需要は減速していない。こうしたことから、旅行などができるようになっても、ラグジュアリーのモノ消費とは“別の財布”からの支出になるのではないかと希望を持っている」と述べた。同氏はまた、中国市場での業績は大変好調だが、売り上げに占める中国人顧客の割合は増加しておらず、中国への依存度は高まっていないと付け加えた。

 21年1~3月期(第1四半期)決算発表の際、検討している買収案件はあるかと問われたギヨニーCFOは、「ほかにやるべきことがある。現在は『ティファニー』をグループ内に統合し、長期的に成長させていくことが最優先事項だ」と答えている。しかし、ティファニーほどの大規模な案件ではないものの、LVMHはその後も投資を続けている。21年4月にはトッズ・グループ(TOD'S GROUP)の持ち分を10%に引き上げ、7月には過半数株式を保有する「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」の全株式を取得して完全子会社化。同じく7月には、17年に「セリーヌ(CELINE)」を去ったフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が自身の名前を冠したブランドの立ち上げを発表したが、LVMHはその少数株主となっている。また、やはり7月には、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が率いる「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の商標を所有するオフ-ホワイト合同会社(OFF-WHITE LLC)の株式60%を取得した。セフォラも、英ビューティE Cの「フィールユニーク(FEELUNIQUE)」を買収すると発表した。

 英金融機関HSBCのアーワン・ランバーグ(Erwan Rambourg)=コンシューマー&リテール・リサーチ・グローバルヘッドは、「現在は全般に企業のマルチプル(財務指標や企業価値などに基づいて算出した評価倍率)が高い売り手市場だが、LVMHほどの資金力があれば、今後も投資を続ける可能性がある」とコメントした。

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百貨店7月度は約1割の増収 高額品消費、依然衰えず

 百貨店5社の2021年7月度業績は、前年同月比で1割程度の増収だった。ただし、コロナ前の19年との比較では1〜2割の減収。12日から東京では緊急事態宣言、大阪では蔓延防止等重点措置が適応されるなど、感染者数が高止まりする中での営業。客数が低迷する中、富裕層の旺盛な購買がけん引した。

 各社の前年と比較した売上高は、三越伊勢丹が16.6%増、高島屋が7.7%増、そごう・西武が5.0%増、大丸松坂屋百貨店が8.4%増、阪急阪神百貨店が12%.0増。

 三越伊勢丹の両本店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店)は時計、宝飾、ハンドバッグが好調だった。「ラグジュアリーブランドなど、高付加価値商品へのニーズは依然高い」(同社広報)。阪急阪神百貨店は、100万円以上の高額品の売り上げが19年同月実績を超えた。そごう・西武は客数が前年同月比3割減だったものの、高級雑貨・呉服が同20%増、ラグジュアリーブランドが同10%増と、やはり高額アイテムが業績を押し上げた。

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百貨店7月度は約1割の増収 高額品消費、依然衰えず

 百貨店5社の2021年7月度業績は、前年同月比で1割程度の増収だった。ただし、コロナ前の19年との比較では1〜2割の減収。12日から東京では緊急事態宣言、大阪では蔓延防止等重点措置が適応されるなど、感染者数が高止まりする中での営業。客数が低迷する中、富裕層の旺盛な購買がけん引した。

 各社の前年と比較した売上高は、三越伊勢丹が16.6%増、高島屋が7.7%増、そごう・西武が5.0%増、大丸松坂屋百貨店が8.4%増、阪急阪神百貨店が12%.0増。

 三越伊勢丹の両本店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店)は時計、宝飾、ハンドバッグが好調だった。「ラグジュアリーブランドなど、高付加価値商品へのニーズは依然高い」(同社広報)。阪急阪神百貨店は、100万円以上の高額品の売り上げが19年同月実績を超えた。そごう・西武は客数が前年同月比3割減だったものの、高級雑貨・呉服が同20%増、ラグジュアリーブランドが同10%増と、やはり高額アイテムが業績を押し上げた。

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ポーラ・オルビスHD1~6月期は純利益673%増 下期は委託販売チャネルで法人化をスタート

 ポーラ・オルビスホールディングスの2021年1~6月期連結決算は、海外事業において「ポーラ(POLA)」の好調や、各ブランドのECが伸長し、前年同期比6.3%増の890億円、営業利益が同54.7%増の90億円、経常利益が同130.6%増の104億円、増収による粗利益の増加や12億円の為替差益により純利益は同673.3%増の70億円だった。

 事業部別ではビューティケア事業の売上高が同6.7%増の868億円だった。主力ブランドの「ポーラ」は、中国及びトラベルリテールを中心に事業拡大が順調に進み、売上高が同10.6%増の530億円と好調だった。海外の売上高が同54.6%増(中国は同96%増)と全体をけん引、さらに国内のECでは新規・既存客ともに伸長し、同68.3%増と売り上げに貢献した。「オルビス(ORBIS)」は、海外事業の不振や国内のメイク品の需要減少による顧客単価の低下が影響し、同3.5%減の219億円だった。育成ブランドに掲げる「THREE」は、客足の減少により苦戦しつつも、前年の反動で同2.9%増の34億円だった。通販主力の「ディセンシア(DECENCIA)」は、前年からの新規顧客獲得の積み上げにより同7.8%増の28億円だった。

 下期は、アプリの開発やビューティディレクターによるオンラインワークショップやカウンセリングを積極的に行い、デジタルでの顧客接点の拡大を図る。また、好調な中国では、今年7月に海南島に出店した「ポーラ」免税店を皮切りに中国免税市場への出店を加速する。

 さらに委託販売チャネルでは、委託販売組織の一部を法人化し、女性経営者の創出やビジネスのスピードアップと拡張を目指す。8月2日には、株式会社琥珀(大分市、筒井加奈社長)、9月1日には株式会社AGG(大阪市、小田原香衣社長)を設立する予定だ。

 21年12月期の業績予想は今年4月に子会社化したトリコが展開するパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」の影響を反映しながらも、売上高が前期比7.8%増の1900億円、営業利益が同38.2%増の190億円、経常利益が同51%増の190億円、純利益が144%増の113億円に据え置く。

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ポーラ・オルビスHD1~6月期は純利益673%増 下期は委託販売チャネルで法人化をスタート

 ポーラ・オルビスホールディングスの2021年1~6月期連結決算は、海外事業において「ポーラ(POLA)」の好調や、各ブランドのECが伸長し、前年同期比6.3%増の890億円、営業利益が同54.7%増の90億円、経常利益が同130.6%増の104億円、増収による粗利益の増加や12億円の為替差益により純利益は同673.3%増の70億円だった。

 事業部別ではビューティケア事業の売上高が同6.7%増の868億円だった。主力ブランドの「ポーラ」は、中国及びトラベルリテールを中心に事業拡大が順調に進み、売上高が同10.6%増の530億円と好調だった。海外の売上高が同54.6%増(中国は同96%増)と全体をけん引、さらに国内のECでは新規・既存客ともに伸長し、同68.3%増と売り上げに貢献した。「オルビス(ORBIS)」は、海外事業の不振や国内のメイク品の需要減少による顧客単価の低下が影響し、同3.5%減の219億円だった。育成ブランドに掲げる「THREE」は、客足の減少により苦戦しつつも、前年の反動で同2.9%増の34億円だった。通販主力の「ディセンシア(DECENCIA)」は、前年からの新規顧客獲得の積み上げにより同7.8%増の28億円だった。

 下期は、アプリの開発やビューティディレクターによるオンラインワークショップやカウンセリングを積極的に行い、デジタルでの顧客接点の拡大を図る。また、好調な中国では、今年7月に海南島に出店した「ポーラ」免税店を皮切りに中国免税市場への出店を加速する。

 さらに委託販売チャネルでは、委託販売組織の一部を法人化し、女性経営者の創出やビジネスのスピードアップと拡張を目指す。8月2日には、株式会社琥珀(大分市、筒井加奈社長)、9月1日には株式会社AGG(大阪市、小田原香衣社長)を設立する予定だ。

 21年12月期の業績予想は今年4月に子会社化したトリコが展開するパーソナライズサプリメント「フジミ(FUJIMI)」の影響を反映しながらも、売上高が前期比7.8%増の1900億円、営業利益が同38.2%増の190億円、経常利益が同51%増の190億円、純利益が144%増の113億円に据え置く。

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ワコールHD4〜6月期、営業黒字に転換 米国市場が回復

 ワコールホールディングス(HD)の2021年4〜6月期連結業績(米国会計基準)は、売上高が前年同期比48.2%増の423億円、営業損益が19億円の黒字(前年同期は44億円の赤字)、純損益が4億7200万円の黒字(同31億円の赤字)だった。国内ワコール事業は売上高が33.1%増だったものの、営業損益は3億6000万円の赤字(前年同期は30億円の赤字)に終わった。一方、主に米国市場の回復によって海外ワコール事業の営業損益が20億円の黒字(同10億円の赤字)に転換。好調が続くピーチ・ジョン事業と合わせて、国内ワコール事業の赤字をカバーした。

 通期(22年3月期)は、売上高1840億円(前期比20.9%増)、営業損益60億円の黒字(前期は11億円の赤字)を見込む。中国や欧米ではワクチン接種が普及し経済活動が好調に推移しており、感染症流行前の水準に戻ると見ている。

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エイチ・ツー・オーが新中計 OMO重点投資でコロナ前の利益水準へ

 エイチ・ツー・オー リテイリングは28日、24年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。同期末において営業利益170億円(21年3月期は44億円の赤字)を掲げる。浮上のカギとなるのが、中核会社である阪急阪神百貨店の百貨店事業の再建だ。足元で大きなダメージを被っているが、24年3月期には事業単体でコロナ前の水準(20年3月期:売上高4732億円、営業利益115億円)を上回る売上高5300億円、営業利益135億円を目指す。

 計画全体での投資金(950億円)の多くを百貨店事業に割く。消費者のライフスタイルの変化、都心店を中心とした集客力の低下を前提に、ビジネスモデルのOMO(オンラインとオフラインの融合)を加速する。EC(ネット通販)とウェブ決済の「リモオーダー」経由の売上高は24年3月期に現在(21年3月期:84億円)の約3倍となる250億円を目指す。ウェブカタログを充実させ、デジタル接客環境を整備する。デジタルトランスフォーメションなどITの投資にグループ全体で260億円の投資を計画する。

 リアル店舗は関西の主力店舗を中心に、立地や館の特性など、強みとなる部分に磨きをかける。2021年秋に建て替えグランドオープンを控える阪神梅田本店は「食」に焦点を当て、コミュニティー単位でファンを獲得できるコンテンツ開発に注力。同店には150億円を投資する。神戸阪急はエリアの特色を生かした都市型百貨店、高槻阪急はショッピングセンターをミックスした郊外型百貨店のモデルケースとすべく、両店のリニューアルには計100億円を投じる。

 業務効率化による利益体質の改善も進める。今秋には新ロジスティクスセンターを開設し、物流効率や在庫オペレーションを向上。業務委託や人材派遣、宣伝費の削減などにも着手する。

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エイチ・ツー・オーが新中計 OMO重点投資でコロナ前の利益水準へ

 エイチ・ツー・オー リテイリングは28日、24年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。同期末において営業利益170億円(21年3月期は44億円の赤字)を掲げる。浮上のカギとなるのが、中核会社である阪急阪神百貨店の百貨店事業の再建だ。足元で大きなダメージを被っているが、24年3月期には事業単体でコロナ前の水準(20年3月期:売上高4732億円、営業利益115億円)を上回る売上高5300億円、営業利益135億円を目指す。

 計画全体での投資金(950億円)の多くを百貨店事業に割く。消費者のライフスタイルの変化、都心店を中心とした集客力の低下を前提に、ビジネスモデルのOMO(オンラインとオフラインの融合)を加速する。EC(ネット通販)とウェブ決済の「リモオーダー」経由の売上高は24年3月期に現在(21年3月期:84億円)の約3倍となる250億円を目指す。ウェブカタログを充実させ、デジタル接客環境を整備する。デジタルトランスフォーメションなどITの投資にグループ全体で260億円の投資を計画する。

 リアル店舗は関西の主力店舗を中心に、立地や館の特性など、強みとなる部分に磨きをかける。2021年秋に建て替えグランドオープンを控える阪神梅田本店は「食」に焦点を当て、コミュニティー単位でファンを獲得できるコンテンツ開発に注力。同店には150億円を投資する。神戸阪急はエリアの特色を生かした都市型百貨店、高槻阪急はショッピングセンターをミックスした郊外型百貨店のモデルケースとすべく、両店のリニューアルには計100億円を投じる。

 業務効率化による利益体質の改善も進める。今秋には新ロジスティクスセンターを開設し、物流効率や在庫オペレーションを向上。業務委託や人材派遣、宣伝費の削減などにも着手する。

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エルメネジルド ゼニア グループがSPAC方式で上場へ

 エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP以下、ゼニア)は、ニューヨーク証券取引所に上場するためにインベストインダストリアル・アクイジション(INVESTINDUSTRIAL ACQUISITION CORP.)と最終事業契約を締結した。インベストインダストリアル・アクイジションは、特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Corporation、SPAC)と呼ばれる、特定の事業を持たず、未公開会社の買収を目的に設立する上場会社のことで、日本では認められていないが米国では注目されている上場手法。今回のケースでは、上場済みのインベストインダストリアル・アクイジションがゼニアを買収することで、事実上、ゼニアが上場したことと同義になる。

 インベストインダストリアル・アクイジションによるゼニアの買収完了は第4四半期中を予定しており、ゼニア一族は約62%の株式を保有し決定権を維持する。合併後の初期企業価値は32億ドル(約3480億円)、時価総額は25億ドル(約2725億円)と予想される。

 ゼニアのジルド・ゼニア(Gildo Zegna)最高経営責任者は、「111年以上前、創業者でもある私の祖父は、自然と人間の双方を大切にすることが最高のテキスタイルの創造とブランドの成功のための基盤だという信念の下、『ゼニア』を立ち上げた。それ以来、私たちは誇りを持って彼の足跡をたどり、イタリアの真のラグジュアリーメゾンの1つになった。上場後もゼニア一族は引き続き会社に留まり、世界のラグジュアリー市場におけるゼニアの地位を維持するため、創造性やイノベーション、才能やテクノロジーに投資を続けていく」とコメントしている。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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世界のビューティ企業トップ100:11〜25位 花王やコーセー、アモパシなどアジア企業はインバウンドで打撃を受けるもダーマコスメで勝負

 「WWDJAPAN」7月12日号は、2020年12月期の売り上げに基づく「世界のビューティ企業TOP100」特集。ここでは、日系企業の花王やコーセーに加え、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON & JOHNSON)やヘンケル(HENKEL)など日本でも馴染みのある企業がランクインした11〜25位企業の商況を紹介。今期は韓国で首位を走り続けてきたアモーレパシフィック グループ(AMOREPACIFIC GROUP)が初めて競合のLG ハウスホールド&ヘルスケア(LG HOUSEHOLD & HEALTHCARE)に抜かれ、Kビューティ市場の勢力図も変化した。

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【25位】GROUPE CLARINS
クラランス グループ

 20年3月、ロレアル(L’OREAL)に「ミュグレー(MUGLER)」「アザロ(AZZARO)」を売却した。大幅な売り上げ減はフレグランス事業から撤退したことによるが、同事業以外の売り上げは前年比10%減だった。

 20年は中国事業に加えてコロナ禍におけるデジタル面の強化が功を奏した。美容部員が消費者に診断や製品アドバイスを無料で提供する個別相談サービス「クラランス アンド ミー(Clarins and me)」を各国のウェブサイトで導入。フランスではサブスクリプションサービス「クラランス アンリミテッド(Clarins Unlimited)」の提供を開始。消費者は2カ月ごとに好きな製品またはサプライズパッケージの受け取りを選択することが可能で、3つの価格帯が設定されている。11月にはバーチャルストアもオープンした。

 21年1月には、創業者のジャック・クルタン・クラランス(Jacques Courtin-Clarins)の孫娘にあたるヴィルジニー・クルタン・クラランス(Virginie Courtin-Clarins)がデピュティCEO兼CSR担当のトップに就任した。

【24位】L’OCCITANE INTERNATIONAL
ロクシタン インターナショナル

 オンラインの成長および中国を中心としたアジア市場の回復により、20年の業績は比較的堅調に推移した。世界各地でソーシャルコマースに注力した結果、4〜12月はオンライン売り上げが前年同期比71.8%増加し、全体の38.1%を占めた。

 「ロクシタン(L’OCCITANE)」は、ボディーケアやハンドケアなどの分野にフォーカスしたことで売り上げを伸ばした。19年に買収した「エレミス(ELEMIS)」はアジアを中心に市場を拡大し、デジタル戦略に基づいて事業を展開。7月には中国のセフォラ(SEPHORA)で独占販売を開始し、フランス、ドイツ、イタリア、香港、台湾、シンガポールではECサイトも開設した。一方米国法人のロクシタンU.S.(L’OCCITANE U.S.)は、21年1月に日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請した。

 サステナビリティでは、遅くとも23年までに「Bコープ(B CORP)」認証の取得を目指す。21年1月には、アジア市場で豊富な経験を持つシャネル(CHANEL)元幹部のイブ・ブルアン(Yves Blouin)が、エグゼクティブ・ディレクター兼グループ・マネジング・ディレクターに就任した。

【23位】WALGREENS BOOTS ALLIANCE
ウォルグリーンズ・ブーツ アライアンス

 米国のウォルグリーンズ、英国のブーツは共に薬局として生活必需品を販売しているとされていたものの、コロナ禍で来店客数が減少し、ビューティ分野の収益が年間を通じて減少した。一方でオンラインの売上高は大きな伸びを示した。

 ブーツでは、7月に従業員の7%に相当する4000人以上の削減計画を発表。21年初頭に発表された医薬品の卸売事業独立の動きに伴い、中核となるリテールの薬局事業にフォーカスできると見られている。

 英国を代表するスキンケアブランドの「No7」は、ブランド初のレチノール入り美容液を発売し、一時10万人が入荷待ちをしていたほど高い人気を博した。ロックダウン期間中にはバーチャルカウンセリングも開始し、デジタルにも力を入れた。

 人事では、スターバックス(STARBUCKS)やウォルマート(WALMART)で役員を歴任したロザリンド・ブリュワー(Rosalind Brewer)を3月に新CEOに任命。ブリュワーは同社最大の個人株主で、エグゼクティブチェアマンに就任したステファノ・ペッシーナ(Stefano Pessina)の後任だ。

【22位】REVLON INC.
レブロン

 昨年に続いてポートフォリオ全体で売上高が大幅に減少。スキンケアがけん引し好調だった「エリザベス アーデン(ELIZABETH ARDEN)」でも今期は2ケタ台の減少を記録。20年3月には2億3000万ドル(約243億円)超のコスト削減を見越してリストラ計画を発表した。またジェフリーズ ファイナンス(JEFFERIES FINANCE)が最大8億5000万ドル(約901億円)の資金を提供することでシニア債の借り換えを行うことも発表した。

 新型コロナの影響で20年4月には従業員に一時帰休や時短勤務を要請。7月にはこれまでフレグランスを手掛けてきた高級ランジェリーブランド「ラペルラ(LA PERLA)」とのライセンス契約が終了。「ラペルラ」は自社内で化粧品会社を立ち上げ、メイクアップやボディーケアの展開を開始した。

【21位】THE WELLA CO.
ウエラカンパニー

 20年末に投資会社のKKRとコティが合弁会社を設立し、コティのプロフェッショナル事業部を独立。KKRが株式の60%、コティが40%をそれぞれ保有している。これまでプロフェッショナルブランドはコティの下で安定した業績を上げていたが、ヘアサロン・ネイルサロン専売品が中心のため新型コロナの影響によるサロン休業が響き今年は売り上げが減少。プロフェッショナル用ヘアケアの売上高は19%、リテール用ヘア製品は6%減少した。

 人事では、10月にはCEOにアニー・ヤング・スクリブナー(Annie Young-Scrivner)前ゴディバ(GODIVA)CEOが就任した。デレン・タスキラン(Deren Taskiran)はチーフ・トランスフォーメーション・オフィサーに、ビル・ベイリー(Bill Bailey)はコーポレートおよびビジネス開発のシニア・バイス・プレジデントに就任した。

【20位】GROUPE ROCHER
グループ ロシェ

 ビジネスの大半が直販にもかかわらず、実店舗の休業が大きく響き売り上げを落とした。看板ブランドの「イヴ・ロシェ(YVES ROCHER)」の売上高は前年比15%減となった。一方で「アルボンヌ(ARBONNE)」は約23%増加し、グループ全体の売り上げの26%以上を占めるまでになった。

 サステナビリティに引き続き注力し、「イブ・ロシェ」は濃縮シャワージェルとシャンプーに加え、バイオ由来マニキュアを発売した。10月からは自社工場で製造する全てのペットボトルをリサイクルPETで製造し、2700トンのプラスチックを節約した。「アルボンヌ」はレチノールに代わる植物由来の成分、バクチオールを配合した“エイジウェル”シリーズを発売。またリサイクル事業を手掛けるテラサイクル(TERRA CYCLE)と提携して、製品回収にも力を入れる。

 生産拠点のローカル化も進め、製品の主要成分であるフローラルウオーターを自社生産に切り替えた。

【19位】KOSE CORP.
コーセー

 日本市場は外出自粛や訪日外国人旅行客の減少により打撃を受けたが、「コスメデコルテ(DECORTE)」や「アルビオン(ALBION)」は化粧品専門店での売り上げが急速に回復し、そのほかの主要チャネルでも復調の兆しが見られた。自社のECチャネル「メゾン コーセー(MAISON KOSE)」の売り上げも一貫して好調だった。しかし、新型コロナの影響で日本国内の売上高は第3四半期まで減少傾向にあった。

 中国ではeコマースの売り上げが引き続き増加しており、免税品が堅調に推移する中でデパートも回復。中でも好調だったのは「コスメデコルテ」。韓国、台湾、その他アジア諸国では、新型コロナの影響を受けつつも売上高は20%強の伸びを示した。欧米では「タルト(TARTE)」のeコマースが好調だったが、北米全体での売上高は12月までの9カ月間で19.4%減少した。

 コーセーは26年の創業80周年に向けて「ビジョン2026」の戦略を掲げ、グローバルかつボーダーレスな次なる成長ステージに向けて活動している。

【18位】COLGATE-PALMOLIVE CO.
コルゲート・パルモリーブ

 コロナの影響でハンドソープやスキンケアの売り上げが大幅に伸びた。近年プレミアムやクリニカルスキンケアブランドにも注力しており、ダーマコスメブランドの需要が伸びる中で「フィロルガ(FILORGA)」「エルタMD(ELTAMD)」「PCA スキン(PCA SKIN)」などがオンラインを中心に成長した。多くのパーソナルケアブランドが供給に支障を来たす一方で、サプライチェーンの混乱を最小限に止めた結果、「プロテックス(PROTEX)」「アイリッシュ スプリング(IRISH SPRING)」「ソフトソープ(SOFTSOAP)」などの売れ行きが好調となった。

 スキンケアのノウハウをオーラルケア事業に生かし、美容とオーラルケアの両方を兼ね備えた製品も発売した。20年初めに買収したオーラルケアの「ハロー(HELLO)」でもリップバームとデオドラントを発売するなど、ビューティ分野に更なる機会を見出している。25年までに全てのパッケージを100%再利用、堆肥化可能なものにする計画も発表した。

【17位】MARY KAY
メアリー ケイ

 2019年は新製品が少なく売り上げを落としたが、20年はコロナニーズに対応した製品を発売し前年の数字をクリア。ARを用いたバーチャルショールーム「スイート13(Suite13)」や、人工知能でユーザーの肌を分析し、50万枚以上の写真データを元に商品を提案する「スキンアナライザー(Skin Analyzer)」など、オンラインでの美容体験を可能にする新しいツールを開発しDXを推進した。

 今後は中国市場に注力すべく、ウェンディ・ワン(Wendy Wang)をアジア太平洋地域のチーフ コマーシャル オフィサーに任命した。一方で近年の業績の悪化を受け、1971年に参入した豪州およびニュージーランド市場から撤退した。

【16位】AMOREPACIFIC GROUP
アモーレパシフィック グループ

 実店舗の休業とトラベルリテールの制限が大打撃となる中で、国内外でライブコマースをはじめとするデジタルプラットホームの活用を強化した。その結果、韓国国内のオンライン売り上げを50%伸ばすことに成功した。

 「ソルファス(SULWHASOO)」の“ジャウムセン”シリーズや「レネージュ(LANEIGE)」の“ネオ クッション ファンデーション”、「アイオペ(IOPE)」の“レチノール エキスパート”、「リョ(RYO、呂)」のヘアケアライン“ジャヤンユンモ”といった看板商品が好調だった。さらに韓国で高級スキンケアブランド「シエヌ(SIENU)」やスカルプケアの「ラボ-H(LABO-H)」など、プレミアム市場向けの新ブランドをデビューさせた。

 海外では中国で「ソルファス」が好調で、米国ではセフォラ(SEPHORA)にも初出展した。欧州では「レネージュ」が好調だった。「エチュード ハウス(ETUDE HOUSE)」はアジアの主要マーケットで、「イニスフリー(INNISFREE)」は北米で直営店舗網を縮小し、グループ全体でマルチブランドストアへの出店を強化した。

 20年5月には豪州の高級スキンケア企業、ラショナル グループ(RATIONALE GROUP)に投資し、12月には美容専門のMCN(Multi-Channel Network)企業、DMILに30億ウォン(約2億7000万円)を投資することも発表した。

【15位】HENKEL
ヘンケル

 2020年1月に就任したカルステン・ノーベル(Carsten Knobel)CEOのもと、新たなビジネス戦略を掲げ、今後サステナビリティやDXを加速させる。戦略の一環として10億ユーロ(約1210億円)以上を売り上げるブランドの約半分を年内に終了・売却する予定だ。その代わり、最新のトレンドやニーズに応えるブランドの買収を視野に入れており、20年はドイツの自然派パーソナルケアのD2Cブランド「ハロー ボティー(HELLO BODY)」「バナナ ビューティ(BANANA BEAUTY)」などを擁するインビンシブル ブランズ ホールディング(INVINCIBLE BRANDS HOLDING)の株式75%を取得した。

 米国では理美容師と協業し性別やスタイルにとらわれないグルーミングブランド「ステートメント(STMNT)」を開発し、9月にウルタ(ULTA)に参入した。アマゾン(AMAZON)と開発したAI技術のデジタルヘアカラー試着ツール「チョイシファイ(Choicify)」も導入。「シュワルツコフ(SCHWARZKOPF)」では美容師が「サロンラボ(SalonLab)」のツールで髪をスキャンすることで、データに基づく提案が可能となった。「N.A.E.」「ネイチャー ボックス(NATURE BOX)」ではプラスチック不使用のパッケージを、主要ブランドのヘアカラーパッケージにはリサイクルのアルミチューブをそれぞれ採用した。また、社内のアイディア工場兼インキュベーターのフリッツ ビューティ ラボ(Fritz Beauty Lab)も立ち上げた。

 リテール部門は北米のボディーケア、ヘアカラー需要が2ケタ増と大きく成長したが、地域全体ではヘアサロンの休業によってプロフェッショナル部門が低迷し、売上高は横バイとなった。中国、東欧の売上高は好調だったが、西欧とアジアは減収となった。ヘアケア、スタイリング製品、スキンケアは全て売り上げを落とした。

【14位】COTY INC.
コティ

 16年以降CEOの交代が続いており、2020年頭にジミー チュウ(JIMMY CHOO)からピエール・デニス(Pierre Denis)を起用し、その後すぐにピーター・ハルフ(Peter Harf)が、その1カ月後にスー・Y・ナビ(Sue Y. Nabi)をCEOに迎え入れた。ナビCEOのもと「ウエラ(WELLA)」「クレオール(CLAIROL)」「OPI」「GHD」などを含むプロフェッショナル事業部を米投資会社のKKRに売却。また20年はカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)の「カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」の過半数株式を取得し、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の「KKW ビューティ(KKW BEAUTY)」の株式も20%取得するなど、ビッグニュースが続いた。

 新型コロナの影響やプロフェッショナル事業の売却により売り上げは大きく落としたが、年間を通じてeコマースに注力したことで第4四半期にはEC売り上げが40%増加した。コンシューマー部門は引き続き苦戦しており、第4四半期の売り上げは23%減となった。プレステージ事業部では「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の契約が終了した一方で、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の新作フレグランス“パーフェクト”はトップセラーになった。

 今後はカイリー・ジェンナーが手掛けるスキンケアライン「カイリー・スキン(KYLIE SKIN)」のアジア進出や「KKWビューティ」のスキンケアラインの開発を計画するほか、ナビCEO自身のスキンケアブランド「オルヴェーダ(ORVEDA)」の買収も検討している。

【13位】JOHNSON & JOHNSON
ジョンソン・エンド・ジョンソン

 健康や身の安全に気を遣う人が増える中、サイエンスをベースにしたプロフェッショナルビューティブランドを中心に扱うジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON&JOHNSON)は、ビューティ事業の売り上げを前年比3.1%減にとどめた。

 中でも米国の皮膚科医から支持されるスキン・ボディーケアブランド「アビーノ(AVEENO)」がこの恩恵を受け、売り上げをけん引した。また「ニュートロジーナ(NEUTROGENA)」の“ラピッド リンクル リペア”が米国でエイジングケア製品の売り上げ第2位に輝き(IRI調べ)、“ハイドロ ブースト”シリーズの保湿クリームやクレンジングもそれぞれのカテゴリーで第2位、UVケアやニキビケア製品も好調だった。ヘアケアブランドの「OGX」は米国での人気が高く、シャンプー・コンディショナー共に年間トップセラーにランクインした。日本では「ドクターシーラボ(DR.CI:LABO)」をリブランディングし、好調だった。

 また、プラスチックの代替品や成分表示の透明性、UVケアの安全性に関する教育といった取り組み「ヘルシー ライブス ミッション」を20年9月に発表し、8億ドル(約848億円)を投じる。25年までには「ル プティ マルセイユ(LE PETIT MARSEILLAIS)」「ニュートロジーナ」「OGX」「アビーノ」などのパッケージを全て再利用、堆肥化、リサイクル可能なものに変更する計画も盛り込んでいる。

【12位】LG HOUSEHOLD & HEALTH CARE LG
ハウスホールド&ヘルス ケア

 プレステージブランドの強化やデジタル化を進めたことでホームケア&デイリービューティ事業部が成長。その結果、競合のアモーレオアシフィック グループ(AMOREPACIFIC GROUP)を抜き、初めて韓国国内最大の化粧品企業の座を獲得した。トラベルリテールの閉鎖でビューティ部門の全体の売上高は13.7%減少したが、ラグジュアリーブランドはわずかに成長した。

 前年比21%増を記録した中国市場がけん引し、ビューティ部門の海外売上高は12%増加した。オンラインの拡充やデジタルマーケティング、ライブコマースを強化したことで、パーソナルケアブランドによる収益も増加した。

 新製品にはマイクロバイオームの技術を取り入れており、ヘアケアブランド「ドクター グルート(DR.GROOT)」は頭皮の常在菌のバランスに着目してパラ プロバイオティクス、プレバイオティクスをベースにした製品を発売した。ボディーケアブランド「ヴェールメント(VEILMENT)」も同様の技術を製品に活用した。5月には英グラクソ・スミスクライン(GLAXOSMITHKLEIN)からダーマコスメブランド「フィジオジェル(PHYSIOGEL)」のアジア・北米における事業権利を1億2500万ポンド(約171億円)で買収し、中国、日本、米国でのローンチを進めている。

【11位】KAO CORP.
花王

 SRI+(全国小売店パネル調査)によると、訪日外国人旅行者の激減や外出自粛、マスク着用などで日本の化粧品市場の売り上げは前年に比べ22%落ちたという。中でもメイクアップ市場は同25%減、リップメイクは同51%減、ベースメイクは同28%減だった。花王はメイクアップ製品の比重が市場平均よりも10%ほど高いため、特に影響を受けたという。同社の化粧品事業を見ると11のグローバルブランド(G11)の社内における売り上げシェアは10%、国内戦略ブランド(R8)は28%減少した。

 一方でスキンケアの売上高は10%増加したほか、日本ではハンドソープの売り上げが3倍に膨らんだ。また、日本でのeコマースの売上高は同20%増、全体の売り上げに占める割合は19年の7%から10%に増加した。

 中国の売上高は同20%増と全体をけん引し、中でも「フリープラス(FREEPLUS)」や「キュレル(CUREL)」を中心に敏感肌にアプローチしたダーマブランドが人気だった。オンライン販売を強化した結果、EC事業は1.5倍に成長し、売上高に占める割合は70%となった。 

 その他アジア地域での売上高は前年比20%減となった。米国では「モルトン ブラウン(MOLTON BROWN)」のeコマース販売シェアが前年度の21%から46%に上昇したが、ブランド全体の売上高は7%下落した。

DESIGN:JIRO FUKUDA

ロレアルやエスティなどトップ企業はドクターズコスメと中国がけん引【世界のビューティ企業トップ100:1~10位】

 「WWDJAPAN」7月12日号は、2020年12月の売り上げに基づく度版「世界のビューティ企業TOP100」特集。ここでは、ロレアル(L’OREAL)やユニリーバ(UNILEVER)、エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)などトップを走る企業の商況を紹介。ブラジルのナチュラ&コー(NATURA & CO.)など、ニューカマーにも注目だ。

【10位】CHANEL LTD.
シャネル

 プレステージブランドに比重を置く多くの企業と同様に、全地域、全カテゴリーで売り上げが減少したが、スキンケアは復調の傾向が見られた。世界的な旅行制限により、トラベルリテールが特に影響を受けた。

 フレグランスでは“ココ マドモアゼル”や“ブルー ドゥ シャネル”が好調だった。19年に発売した“ガブリエル シャネル エッセンス”がアジアで人気を博した。今年誕生100周年を迎えた“No5”のキャンペーンには、フランス人女優のマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)を新たな顔に起用した。

 新型コロナの影響で、メイクアップ事業の中でも特にリップ製品の需要が落ち込んだ。男性用メークアップライン「ボーイ ドゥ シャネル(BOY DE CHANEL)」を拡充すると共に、スキンケア効果のあるファンデーション“レ ベージュ オー ドゥ タン”やロングラスティング処方のリップ“ルージュ アリュール ラック”も発売した。

 スキンケア分野は主にアジアがけん引しており、“サブリマージュ”“ル リフト”が好調で、クレンジング“ムース ネトワイヤント”も引き続き人気だった。オンライン販売は、自社サイトおよびその他販売サイトでも売上高が大幅に増加した。ポルトガル、ルクセンブルク、オーストリアでは新たなeコマースサイトも導入した。また、アジアを中心に20店舗のビューティブティックをオープンした。

【9位】LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン

 旅行やメイクアップ需要の低迷が業績に大きな影響を及ぼした。昨年のビューティ製品の売上高は、日本を除くアジア地域では前年比約13.6%減、その他の地域では同30%ほど減少した。日本を除くアジア地域での香水・化粧品部門の収益が全体に占める割合は、昨年の40%から45 %に増加した。「ゲラン(GUERLAIN)」「フレッシュ(FRESH)」はコロナ禍にもかかわらず持ち堪えたが、両ブランド共に売上高は減少した。下半期の「ディオール(DIOR)」の業績は中国、米国、日本、中東を中心に改善し、中国ではオンライン販売も増加した。「ゲラン」のスキンケア製品は中国で好調で、新しいデザインの導入やユネスコ(UNESCO)と協力したミツバチの保護活動なども実施した。

 「ジバンシイ(GIVENCHY)」の看板製品“プリズム・リーブル”は中国で人気を博し、フランスを中心とした欧州ではフレグランス“ランテルディ”がマーケットシェアを拡大した。「ベネフィット コスメティクス(BENEFIT COSMETICS)」はオンライン販売が堅調に推移した。「フレッシュ」は中国を中心にデジタル化に焦点を当てており、プレミアムラインの商品が人気だった。「フェンティ ビューティ(FENTY BEAUTY)」はオンライン限定の「フェンティ スキン(FENTY SKIN)」シリーズが話題を呼び、「アクア ディ パルマ(ACQUA DI PARMA)」は中国での展開を拡大した。「パルファム ロエベ(PERFUMES LOEWE)」はホームフレグランス・シリーズを発売し、中国で堅調な伸びを示した。

 「セフォラ(SEPHORA)」では、スターバックス(STARBUCKS)元幹部のマーティン・ブロック(Martin Brok)が9月に社長兼CEOに就任した。一方でケンドー事業部では、新型コロナの影響でおよそ10%の従業員が解雇された。「キャット ヴォン ディー(KAT VON D)」はブランド名を「KVD ビーガン ビューティ(KVD VEGAN BEAUTY)」に変更。「バイト ビューティ(BITE BEAUTY)」はビーガン仕様を取り入れて、さまざまな顔色に合わせた製品ラインアップも拡大した。

【8位】BEIERSDORF
バイヤスドルフ

 最大ブランドの「ニベア(NIVEA)」は売り上げを11%近く落とし39億6000万ユーロ(約4791億円)となったが、進出している国の半分以上でマーケットシェアを増やした。「ユーセリン(EUCERIN)」「アクアフォー(AQUAPHOR)」などを擁するダーマ事業部は好調で、売上高は5.3%増の6億6100万ユーロ(約799億円)となり、北米、中南米、アジアでは2ケタ成長を記録した。なお、グループ全体ではeコマースの売上高が50%増加した。

 「ラ・プレリー(LA PRAIRIE)」はトラベルリテールの閉鎖が大打撃となり、売上高は23.9%減の4億9700万ユーロ(約601億円)に止まった。中国では2ケタ成長し、最近出店したTMALL店舗に期待を寄せる。

 7月には上海にハンブルクに次ぐ規模のイノベーションセンターを開設し、1000万ユーロ(約12億円)を投じた。また、19年に韓国で開始したニベア アクセラレーター プログラムから生まれたアジア市場向けの新スキンケアブランド「チャウル(CHAUL)」が、同社初のKビューティブランドとして韓国で発売された。

 サステナビリティでは、欧州のコンシューマー部門で使用されるペットボトルの90%をリサイクル素材に切り替えたこと、サステナビリティ認証を受けたパーム油のみを化粧品の製造に使用すること、化学メーカーと共同開発した再生可能なPPプラスチックを化粧品のパッケージに採用するなどの取り組みを実施した。ドイツではドラッグストアのDMと共同でシャワージェルの詰め替えステーションを設置した。20年2月には、詰め替えシステムと生分解性処方を有し、水資源の保全に取り組むドイツの自然派パーソナルケアブランド「ストップ ザ ウォーター ワイル ユージング ミー!(STOP THE WATER WHILE USING ME!)」を買収した。

 サステナビリティ、デジタル化、成長市場における位置付けを高めるために実施した「C.A.R.E.+」戦略プログラムでは、当初の予算に加えてさらに3億ユーロ(約363億円)を今後5年間で投じる予定だ。また、24年末までにハンブルクの本社にテクノロジーセンターを設立するため、6000万ユーロ(約72億円)を投じる。

【7位】NATURA & CO.
ナチュラ&コー

 ナチュラ&コーがブラジルの企業として初のトップ10入り。エイボン・プロダクツ(AVON PRODUCTS)を買収したことで世界第4位のビューティ専門企業となった。グループ全体のデジタルの売上高は第4四半期に前年同期比79%増加、全体の売上高に対するオンラインの割合は前年度の10%から30%に増加した。

 看板ブランドの「ナチュラ(NATURA)」はソーシャルセリングに力を入れ、ラテンアメリカ地域では100万人以上のコンサルタントがオンラインストアを開設。サンパウロには新しい旗艦店もオープン。

 特に好調な「イソップ(AESOP)」は売り上げを前年比50%伸ばし、日本が最大の市場になった。オンラインの成長が著しく、アジア地域ではライブチャットや新しい決済方法、即日配送などのデジタル面を強化した。なお、パンデミックの影響で店舗の拡大は一時棚上げとなった。
「ザボディショップ」はこれまでイオンと協業して展開していた日本事業を本国直轄にシフト。今後は中国進出も狙う計画だ。

 サステナビリティの施策では30年までにCO2排出量を実質ゼロにすること、アマゾン保護活動の強化、男女平等および人権意識の向上、完全な循環型パッケージや95%再生可能原料、天然の生分解性原料の導入などを計画している。20年末には、グループ全体でBコープ(B CORP)認証も取得し、同認証を取得した世界最大の企業になった。

【6位】L BRANDS
Lブランズ

 コロナニーズで「バス アンド ボディー ワークス(BATH & BODY WORKS)」のハンドジェルやソープが好調で、同ブランドの売り上げは前年比20%以上増の64億ドル(約6784億円)だった。ホームフレグランスも合わせて購入する消費者が増加したことで、業績が底上げされた。

 「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」は新型コロナの影響に加え、“男性目線のセクシーな女性像”を売りにするブランディングが時代遅れと見なされて苦戦した。これを受け、「セクシーの定義を顧客に委ねる」というメッセージに切り替える方針を掲げている。ブランド全体の年間売上高は同20%減だった。全体の売り上げのうちビューティ部門は約15%の8億1000万ドル(約858億円)を占めるとされている。なお、ダイレクトチャネルの売上高は31%増加した。

 「バス アンド ボディー ワークス」は1年間で30店舗を閉鎖したが、新たに27店舗をオープン。一方で「ヴィクトリアズ・シークレット」は225店舗を閉鎖した。Lブランズ全体の実店舗数は、20年末の時点で前年比278店舗減の2669店舗となった。

 さらに本社従業員の15%、およそ850人の解雇を発表したほか、児童買春の容疑がかけられていた米国の富豪、ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)との交友関係などを批判されていたLブランズ創業者のレス・ウェクスナー(Les Wexner)会長兼CEOが退任し、決定権を持たない名誉会長職に就いた。

 また、投資会社シカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)に「ヴィクトリアズ・シークレット」を売却する予定だったが、コロナの影響で契約破棄となった。21年度中に売却を成立させる計画だ。

【5位】SHISEIDO CO. 
資生堂

 2020年は5カ年計画の最終年だったが、パンデミックの影響で国内、海外共に売上高が大幅に減少。国内ではインバウンド需要が激減したことが大きな痛手となった。主力スキンケアシリーズ“アルティミューン”からハンドクリーム、マスクを付けていても落ちにくいBBクリームを発売するなど、コロナ禍での新たなニーズにも対応した。

 中国では3月以降売り上げが増加し、「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「イプサ(IPSA)」「ナーズ(NARS)」などのプレステージブランドが大きく成長した。11月の「独身の日」の売り上げは倍増し、中国での年間売上高の40%以上をeコマースが占めた。その他アジア地域での売上高は減少したが、韓国、タイでは「シセイドウ」「専科」が人気を博した。

 アメリカ大陸ではメイクアップが業績不振で、「ベアミネラル(BAREMINERALS)」の立て直しに苦戦した。一方で、19年に買収した「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」は好調だった。欧州では「シセイドウ」のスキンケアの勢いが増し、「クレ・ド・ポー ボーテ」がイタリアとスペイン、「ドランク エレファント」がドイツに進出した。

 ナチュラルスキンケアブランド「バウム(BAUM)」の立ち上げや、「シセイドウ」が銀座の旗艦店での美容液の充填サービスの開始など、サステナビリティー活動も強化。20年11月には世界初の生分解性リップパレットを発売し、25年までに全てのパッケージをサステナブルなものにすると発表した。

 ヤーマンとは合弁会社エフェクティムを設立し、美容機器と化粧品を組み合わせたブランドを日本と中国で展開。また、上海の美容・健康産業特区「東方美谷(The Oriental Beauty Valley)」に研究開発拠点の中国イノベーションセンターを設立した。
21年2月には、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズ(CVC Capital Partners)にパーソナルケア事業を15億ドル(約1590億円)で売却した。

【4位】PROCTER & GAMBLE CO. 
プロクター・アンド・ギャンブル

 新型コロナウイルスの影響で生活必需品を買いだめする傾向が見られ、その恩恵を受けた。ビューティ部門ではパーソナルケアやヘアケアの売れ行きが好調だったが、旅行者を対象としたトラベルリテールやインバウンドビジネスが低迷し、特に近年は好調だった「SK-II」の売り上げが伸び悩んだ。一方で幅広いラインアップが後押しして、ビューティ部門全体の売り上げは前年比3%増となった。

 パーソナルケアや新規ブランドの売れ行きは好調で、eコマースも成長の一因となった。20年下半期にはオンラインの売上げが約50%増加するなど大幅な収益増となった。中でもハンドサニタイザーや液体ハンドソープの売り上げが増加した「セーフガード(SAFEGUARD)」が好調。「オールド スパイス(OLD SPICE)」も年間で10億ドル(約1060億円)近い売り上げを計上した。

 ヘアケアは米国と中国での売れ行きが好調。「ヘッド&ショルダーズ(HEAD & SHOULDERS)」は成長を維持、「パンテーン(PANTENE)」もローズウォーター、バンブー、ビオチンなどを配合した“ニュートリエント ブレンド”シリーズを海外で発売。米国ではヘアケアの「オージー(AUSSIE)」が好調で、より黒人や縮毛向けの「マイ ブラック イズ ビューティフル(MY BLACK IS BEAUTIFUL)」「ヘッド&ショルダーズ」の“ロイヤル オイル”シリーズや「パンテーン」の“ゴールド ”シリーズもシェアを拡大した。

 新ブランドの「ネイティブ(NATIVE)」「ファースト エイド ビューティ(FIRST AID BEAUTY)」「ウォーカー&コー(WALKER & CO.)」も成長が続き、現在ではビューティ部門の年間売上高の約2%を占めている。21年初頭には女性用パーソナルケアブランド「ビリー(BILLIE)」の買収計画が連邦取引委員会(Federal Trade Commission)から認められず中止となった。

 新しいパッケージングの導入や、全事業において品質、パフォーマンス、安全性、透明性などを意識した幅広いアプローチでサステナビリティにも注力した。

【3位】THE ESTEE LAUDER COS.
エスティ ローダー カンパニーズ

 パンデミックの影響で売上高は他社同様マイナスとなったが、第4四半期はプラスに転じた。中でも中国の売り上げが大きく貢献し、アジア太平洋地域では全体の約3分の1を占めるおよそ48億ドル(約5088億円)を売り上げた。エスティ ローダー カンパニーズ(THE ESTEE LAUDER COS.)はアジア重視の戦略を掲げて日本に新しい工場を、上海にはイノベーションセンターを建設している。

 また20年度は、実店舗での売り上げが低迷する一方でオンライン販売が急増し、現在は事業全体の約30%を占めている。販売員も含めた各ブランドのチームは、オンラインでのアドバイス、ショッピングのサポート、ソーシャルメディアでの販売などを組み合わせることでオンライン販売に基軸を移した。

 スキンケアは年間を通じて好調で、全体の60%となる約82億ドル(約8692億円)を売り上げた。中でも19年に買収した韓国発のスキンケアブランド「ドクタージャルト(DR. JART+)」が高い業績を記録。一方でメイクアップは厳しい状況が続いており、現在はスキンケア事業の半分以下の規模となっている。21年9月にはメイクアップブランド「ベッカ(BECCA)」とラグジュアリースキンケアブランド「ロダン オリオ ルッソ」を終了する予定だ。また20年末には「プリスクリプティブ(PRESCRIPTIVES)」を終了し、「キートン(KITON)」とのライセンス契約も終了した。一方で21年2月には若年層に人気のスキンケアブランド「ジ オーディナリー(THE ORDINARY)」を手掛けるデシエム(DECIEM)を買収すると発表した。

 BLM運動が繰り広げられた20年はダイバーシティーへの取り組みで美容業界をけん引。黒人の従業員の雇用を増やす5カ年計画を発表し、積極的に活動を行っている。

 なお今後2年間は、20年8月に立ち上げた“ポスト COVID-19 ビジネス推進計画(Post-COVID-19 Business Acceleration plan)”に注力し、欧州、中東、アフリカ、北米の店舗の縮小・効率化を図る。オンライン販売やオムニチャネルの運営にも引き続き力を入れていく予定だ。

【2位】UNILEVER
ユニリーバ

 “地球および人類に世界一いい影響を与えるビューティ企業”を目指すユニリーバ(UNILEVER)は、BLM(Black Lives Matter=黒人の命も大切)運動や美の定義における多様性を認める動きの中で、ソーシャルイシューを意識した取り組みを積極的に行う。スキンケアブランド「フェア&ラブリー(FAIR & LOVELY)」のブランド名を「グロウ&ラブリー(GLOW & LOVELY)」に変更したほか、全ての製品のパッケージや広告などから“美白(fair/fairness)、ホワイトニング(white/whitening)、ブライトニング(light/lightening)”といった表現を廃止する方針も明らかにした。

 また米国では、「ダヴ(DOVE)」が人種によって異なる髪の毛の差別を禁止する法律を提唱し、「ヴァセリン(VASELINE)」は医療情報サイト、メドスケープ(MEDSCAPE)と提携して、皮膚科医や医療従事者がさまざまな肌の色の患者を適切に治療、診断、ケアできるようトレーニングした。メラニンを多く含む肌の女性と皮膚科医のための新スキンケアブランド「メレ(MELE)」も立ち上げた。ロックダウン期間中は、第一線で働くエッセンシャルワーカーにフォーカスした「ダヴ」の自己肯定感アップを目的としたキャンペーンや、「クリア(CLEAR)」によるメンタルサポートの“#ComeBackStronger”イニシアチブなど、ウェルビーイングに焦点を当てた活動も目立った。

 12月には、21年から気候変動対策の目標を株主投票にかける計画を発表。39年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという新たな目標も掲げた。また「サンシルク(SUNSILK)」や「スアーヴ(SUAVE)」などが、製造過程で動物実験が行われていないことを保証するピータ(PeTA)認証を取得しことで、ビューティ&パーソナルケア部門の全23ブランドがピータ認証を得た。

 業績面ではクレンジングが好調だった。また衛生用品の需要拡大により、「ライフブイ(LIFEBUOY)」がビューティ&パーソナルケア部門で6番目となる年間売上高10億ユーロ(約1210億円)を突破。一方でスキンケア、デオドラント、ヘアケア製品の需要は減少した。近年、戦略の要となっているプレステージ事業でも売り上げは減少したが、マーケット平均を上回る業績を達成。プレステージの売上高は合計で約7億ユーロ(約847億円)に達し、うちEC売り上げが50%を占めた。

 今後大きな成長が見込める米国、インド、中国では外部のインキュベーターを初めて擁し、事業家や技術系スタートアップとのコラボレーションも図る。中国ではTモールと提携して旗艦店「ユニ・トピア プラネット(UNI-TOPIA PLANET)」を立ち上げ、インドでは衛生用品を扱う「Vウォッシュ(VWASH)」を買収した。

【1位】L’OREAL
ロレアル

 ロレアル(L’OREAL)はデジタル分野への対応力、消費者の健康意識やスキンケア需要の高まりが追い風となったアクティブ コスメティックス事業部のおかげで、コロナ禍での損失を最小限にとどめた。eコマースの売上高は前年比62%増となり、全売り上げの26.6%を占めるまでになった。下半期は復調し、第4四半期はコンシューマー プロダクツ事業本部を除く全ての部門の売り上げが前年を超えた。
急速に伸びるアクティブ事業部は北米とアジアで好調で、売上高が初めて30億ユーロ(約3630億円)を突破。コロナ禍で健康意識が高まる中で、医師推奨の「セラヴィ(CERAVE)」は売上高が倍増、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」や「スキンシューティカルズ(SKINCEUTICALS)」も大きな成長を遂げた。

 コンシューマー プロダクツ事業本部はメイクが大半を占めるにもかかわらず下半期から少しずつ安定し、メイクアップ以外の主要分野でマーケットシェアを拡大、さらにヘアカラーは2ケタ成長を見せた。スキンケアでは「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」や「ガルニエ(GARNIER)」が好調だった。メイクアップは全体的に低迷したが、「NYX プロフェッショナル メイクアップ(NYX PROFESSIONAL MAKEUP)」や「スタイルナンダ(STYLENANDA)」のコスメライン、「3CE」はデジタルを強化したことで成果を得た。

 プロフェッショナル プロダクツ事業本部は下半期に回復し、サロンのデジタル化、フリーランスのスタイリスト育成、eコマースに注力したことから年間を通じて好調だった。米国ではサロン専売品のEC「サロン セントリック(SALON CENTRIC)」が大幅に成長し、中国ではTモール(T MALL)での販売が好調だった。

 リュクス事業本部はプレステージ市場が世界的に低迷する中で、EC事業に注力し、さらに中国市場にフォーカスしたことで第4四半期には成長基調を取り戻した。20年、世界のラグジュアリー市場の売り上げは推定14%減少したが、同部門は市場を上回る業績を残した。スキンケアでは「ランコム(LANCOME)」「キールズ(KIEHL’S)」「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」が好調で、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「イヴ・サンローラン・ボーテ(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」の新作フレグランスも人気が高かった。

 20年3月末にはクラランス グループ(GROUPE CLARINS)のフレグランス事業の買収が完了し、「ミュグレー(MUGLER)」と「アザロ(AZZARO)」を傘下に収めたことでプレステージフレグランス事業の強化を図った。6月には米国発のスキンケアブランド「セイヤーズ ナチュラル レミディーズ(THAYERS NATURAL REMEDIES)」を傘下に収め、12月にはソーシャルセリングプラットホームのレプリカ ソフトウェア(REPLICA SOFTWARE)にも出資した。一方で6月には、「ロジェ・ガレ(ROGER & GALLET)」を仏投資会社のインパラ(IMPALA)に売却、11年に買収した洗顔機器ブランド「クラリソニック(CLARISONIC)」は業績不調により終了した。12月には日本発のドクターズブランド、「タカミ」を製造販売するタカミを買収すると発表し、21年2月に買収が確定した。

 またサステナビリティ分野では、30年に向けて新たなコミットメント、“ロレアル・フォー・ザ・フューチャー(L’Oreal for the Future)”を掲げ、サプライヤーが及ぼす地球環境への影響や消費者による製品の使用、自社の活動などを顧客みるさまざまな取り組みを行う。プログラムの一環として、生態系の再生、循環型経済の発展のために1億ユーロ(約121億円)、女性を支援する基金に5000万ユーロ(約60億円)を拠出した。

 人事では、定年を迎えたジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)=ロレアル会長兼最高経営責任者(CEO)の後任として、ニコラス・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)=前デピュティCEOが新CEOに昇格した。 なお、アゴン氏は会長職を継続する。

DESIGN:JIRO FUKUDA

TSI営業利益22億円に回復 3〜5月期、「パーリーゲイツ」がけん引

 TSIホールディングスの2021年3〜5月期業績は、営業利益が22億円だった。前年同期の64億円の赤字から黒字転換した。4月25日に発令された緊急事態宣言で店舗営業が制約されたが、前期に実施した事業撤退や人員削減といった構造改革、仕入れの抑制や販管費の削減などが成果を上げた。3〜5月期の営業利益としては直近5年で最高益となる。

 売上高は同57.8%増の342億円だった。昨年春の緊急事態宣言に比べて営業する店舗が多かった反動で跳ね上がった。前々年同期比では20.2%の減収になる。都心立地で通勤着に対応してきた「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」「ナチュラルビューティベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」などの回復が遅いのに対し、ゴルフウエアやストリートブランドの好調ぶりが目立つ。ゴルフの「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」は39億円(19年3〜5月期は32億円)、ストリートの「ハフ(HUF)」は15億円(同11億円)に成長した。

 EC(ネット通販)も引き続き伸びている。EC売上高は前年同期比10.4%増、前々年同期比28.4%増の103億円、EC化率は35.3%になった。販売員のスナップを目玉コンテンツにした国内自社ECの売上高は、前年同期比14.3%増の44億円になった。

 消費回復が鈍い中、仕入れ額を前年同期に比べて8掛けに抑えた。また前年同期に休業で販売機会を失った商品のプロパー(正価)による消化も促進した。一連の構造改革や固定費の削減によって、販管費率は前々年同期に比べて3.6ポイント低下し、利益を底上げした。有価証券売却益などの特別利益の計上したため、純損益は24億円の黒字(前年同期は104億円の赤字)に転換した。

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シャネル、20年は営業利益41%減 21年上期はV字回復

「シャネル」2022年プレ・スプリング・コレクション ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

 シャネル(CHANEL)の2020年12月通期の売上高は、前期比17.6%減の101億800万ドル(約1兆1118億円)、営業利益は同41.3%減の20億4900万ドル(約2253億円)、純利益は同42.4%減の13億8800万ドル(約1526億円)だった。

 地域別では、ヨーロッパが同36.3%減の28億8500万ドル(約3173億円)、南北アメリカは同15.0%減の19億6600万ドル(約2162億円)、アジア太平洋地域は同3.1%減の52億5700万ドル(約5782億円)だった。

 大幅な減収減益は主にコロナ禍の影響によるもの。20年6月8日の時点で、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデントは「20年度の売上高は2ケタ減となることが予想される」と発言しており、予想通りの着地となった。

 シャネルは生産部門なども含めて仏国内におよそ8500人の従業員を抱えており、休業期間中もその全員に約8週間分(20年3月16日~5月8日)の給与を支払っている。仏政府が打ち出した緊急経済支援策には、休業期間中に従業員に支払う賃金を国が補填する制度が盛り込まれているが、同社はこれを利用しなかった。同社は当時、「公共財政に負担をかけないようにするためだ。その分をより困っている企業や、医療制度および医療従事者へのサポートに回してほしい」とコメントしているが、こうしたことも利益縮小の一因となったようだ。

 フィリップ・ブロンディオ(Philippe Blondiaux)最高財務責任者(CFO)は、「利益率やキャッシュフローが一時的に悪化することは承知の上で、これらのことを実施した。他社とは異なるアプローチかもしれないが、その後急激に業績が回復していることを踏まえると正しい判断だったと思う。危機的な状況の中、当社がどのような対応を取ったのかについて、従業員や顧客、取引先は長らく記憶してくれるだろうし、(費用対効果は)十分にある」と語った。

 欧州では20年秋以降、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて再びロックダウンに踏み切った国もあり、経済活動が抑制されていたことから、多くの企業や小売店が苦境に立たされた。ラグジュアリーブランドも例外ではないが、シャネルはその中でも厳しい。例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」などを擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の20年12月期における営業利益は前期比29.2%減となっており、シャネルの同41.3%減ほどの大きな落ち込みは見せていない。ほかにも、「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」を擁するケリング(KERING)は同28.4%減、エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL)は同11.3%減だった。

 ブロンディオCFOは、「当社は競合他社と比べて、売り上げに対するフレグランス&ビューティ部門の割合が高いため、免税店の休業や観光客の不在が大きな打撃となった」と説明した。

 米「WWD」が毎年発表する「世界のビューティ企業ランキングTOP100社」の2020年版によれば、1位ロレアル(L’OREAL)、2位ユニリーバ(UNILEVER)、3位エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)、4位プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)、そして5位の資生堂といったビューティ企業と共に、9位にはLVMHが、10位にはシャネルがランクインしている。

 LVMHの20年12月期の売上高は446億5100万ユーロ(約5兆8939億円)で、香水&コスメティクス部門の売り上げは52億4800万ユーロ(約6612億円)と、全体の11%程度を占めている。一方、シャネルの売上高は前述のように101億800万ドル(約1兆1118億円)だが、「世界のビューティ企業ランキングTOP100社」の推計によるとフレグランス&ビューティ部門の売り上げは53億ドル(約5830億円)なので、全体のおよそ52%をビューティが占めている計算だ。

21年上期はすでにコロナ前を上回る

 ラグジュアリー業界全体の傾向として、20年前半はコロナ禍の影響で苦戦しつつも、後半には一足早く事態が落ち着いた中国本土などアジア市場で業績が回復し、上り調子のまま21年を迎えたケースが多い。シャネルも同様で、秋ごろから売り上げが戻り始め、21年1~6月期はコロナ禍以前の19年同期と比べて2ケタ成長となるなど予想以上のペースで回復しているという。ブロンディオCFOは、「予想を上回ることができ、大変うれしく思っている。売り上げはすでに19年並みを超えており、利益率も同様だ。20年の営業利益率は20.3%まで落ち込んだが、このまま行けば21年は28~29%に回復するだろう」と述べた。

 20年の業績を部門別で見ると、ファッション部門はコロナ禍で店舗が休業するまでは好調だったが、その後は落ち込んでいる。ウオッチ&ジュエリー部門は“ココ クラッシュ(COCO CRUSH)”ラインが2ケタ成長を見せるなど堅調だった。フレグランス&ビューティ部門はECでの売り上げが力強く成長し、観光客の不在や免税店が休業していることによる売り上げ減を部分的にカバーしている。

 なお、シャネルはウエアやアクセサリー類をECで販売していないが、それは今後も変えるつもりはないという。同氏は、「顧客との関係性は常に店舗を中心に考えており、買い物体験を向上させるために店舗のデジタル施策の拡充に力を入れている」と説明。その言葉通り、同社はここ数年は店舗網の拡大やデジタル化に投資を続けているほか、レザーグッズなど専門アトリエの株式を取得しており、20年における設備投資額は19年比で45.3%増の11億2000万ドル(約1232億円)に上った。

 例えば、20年10月にはロンドンのニューボンドストリートに構える旗艦店の建物などを購入しており、情報筋によればその価格は3億1000万ポンド(約474億円)程度だという。21年2月には、2年間かけて大改装していたパリ・カンボン通り31番地にあるオートクチュールサロンがリニューアルオープン。サロンのある建物には創業者ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)のアパルトマンがあり、こちらも数カ月かけて復元された後、21年5月に正式にお披露目された。米ビバリーヒルズの店舗も改装中で、22年のオープンを予定している。

ヴェルタイマーCEOの後継者選びに着手

 シャネルはアラン・ヴェルタイマー(Alain Wertheimer)最高経営責任者(CEO)とその一族が所有する非上場企業だが、1910年の創業以来初めての決算発表を2018年6月に行った。以降は毎年発表しているため、身売りをするのではないかという憶測が何度も流れている。そのたびに同社は否定しており、今回もブロンディオCFOは「事業の売却や競合の買収予定はない」とうわさを一蹴した。

 一方で、ブロンディオCFOは72歳となったヴェルタイマーCEOの後継者について検討を始めたと発言。「アランの健康状態は非常に良好で、引き続き日々の業務を行っている。当社では何事も長期的な展望に立って進めており、後継者選びについても同様だ。本件について、当面は内々のこととしたい」とコメントした。

 シャネルは気候変動対策にも本腰を入れており、20年3月には「シャネル ミッション 1.5(Chanel Mission 1.5以下、ミッション)」を立ち上げた。このミッションは二酸化炭素排出量の削減、25年までの再生可能エネルギーへの100%切り替え、排出した二酸化炭素の相殺、気候変動に関する取り組みへの投資や支援という4つの柱で構成されており、調達やサプライチェーンなどの生産面はもちろん、小売りや物流、コレクションのショーなどにも適用されている。同社によれば、20年における直接的な温室効果ガスの排出量は前年比で27.1%削減することに成功したという。

 また20年9月には、およそ6億ユーロ(約792億円)相当の環境目標連動債(グリーンボンド)を発行した。これは環境に関連した目標の達成度合いによって支払い利息が変動する債券で、サステナビリティに取り組む企業の新たな資金調達の手段として注目されている。シャネルのケースでは、ミッションで定めた目標値を達成できなかった場合に、利息に加えてキャッシュプレミアムを償還日に払う仕組みとなっている。同社が公開市場で資金調達をしたのは、これが初めてのことだ。

 21年は、「シャネル」を代表するフレグランス“No5”の誕生100周年に当たる。これを記念して、同ブランドは新作ハイジュエリー“コレクション No5”を発表したほか、ビューティの限定コレクションを6月29日に発売した。

ヴァレンティノ、20年は167億円の赤字 休業や観光客不在が打撃に

 ヴァレンティノ(VALENTINO)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比27.7%減の8億8200万ユーロ(約1164億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同51.0%減の1億4600万ユーロ(約192億円)、純損益は前年の3300万ユーロ(約43億円)の黒字から1億2700万ユーロ(約167億円)の赤字となった。

 中国本土の売り上げが同44%増、ECは同62%増と好調な地域や部門があったものの、コロナ禍による店舗の休業措置や観光客の不在などが響き、上期のEBITDAは前年同期比75%減と大きな打撃を受けた。下期にやや持ち直したが、全体の売り上げ減をカバーするには至らなかった。なお、ECの売り上げは全体の14%を占めている。

 同社は、「こうした危機的な状況の中では、クリエイティビティ、人的資本、そして個別の顧客体験がいっそう重要となる。これを踏まえて新たな戦略の第一ステップを実施した結果、20年10〜12月期(第4四半期)から21年1〜3月期(第1四半期)にかけてポジティブな兆候が見え始めている」とコメントした。

 「ヴァレンティノ」は今年5月に、22年以降はリアルファーの使用を廃止することを発表した。ファーを含むコレクションは21-22年秋冬シーズンが最後となる。これに伴い、同社が18年から所有するファー専門の工場ヴァレンティノ ポーラー(VALENTINO POLAR)は、21年末に生産を終了する。またメインブランドの「ヴァレンティノ」に注力するため、より若者向けのブランドである「レッド ヴァレンティノ(RED VALENTINO)」は23-24年秋冬コレクションを最後に終了する。

 現在、「ヴァレンティノ」は中国本土に28店、韓国に15店を構えており、21年にはそれぞれ2店と6店を新規オープンする予定。なお、日本には直営店を31店構えている。

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「ベイプ」に英ファンドが投資 海外展開やECを強化

 英投資会社CVCキャピタル・パートナーズ(CVC CAPITAL PARTNERS以下、CVC)は6月3日、「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®以下、ベイプ)」への投資を発表した。投資額などの詳細は明らかにされていない。

 「ベイプ」を展開するノーウェア(NOWHERE)は、2011年に香港のアパレル企業I.Tリミテッド(I.T LIMITED以下、I.T)におよそ280万ドル(約3億円)で買収された。その後、I.TはCVCと手を組んで自社株買いを行うことを20年11月に発表し、21年4月に株式を非公開化。I.Tのシャム・カー・ワイ(Sham Kar Wai)会長兼最高経営責任者らの創業者一族がその50.65%を、CVCが49.35%を保有することになり、「ベイプ」はこれを機にI.Tから独立した。今回の投資によってCVCは「ベイプ」の共同経営権を取得しており、同ブランドの中国や米国、欧州市場などでの事業拡大を狙うほか、ECを強化する。

 CVCのヤン・ジャン(Yann Jiang)=ディレクターは、「『ベイプ』はストリートウエアの定義を作り出したアイコニックなブランドで、熱心なファンベースを持っている。シャム会長および『ベイプ』チームと組むことができ、大変うれしく思っている」と語った。

 I.Tのシャム会長は、「『ベイプ』のこれまでの成長を誇らしく思っている。さらなる長期的な成長に向けてブランドを変革するに当たり、CVCは適切なパートナーだ」と述べた。

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「カルティエ」親会社のリシュモン、第4四半期はコロナ禍前を上回りV字回復

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2021年3月通期決算は、売上高が前期比7.6%減の131億4400万ユーロ(約1兆7481億円)、営業利益は同2.6%減の14億7800万ユーロ(約1965億円)、純利益は同38.4%増の12億8900万ユーロ(約1714億円)だった。純利益の大幅増は、主に為替差損益や有価証券の公正価格の変動によるもの。新型コロナウイルスの影響で通期は減収となったが、ジュエリーや中国市場、ECビジネスが売り上げをけん引して業績は下期(20年10月〜)からV字復調を成し遂げた。

 通期の地域別の売上高では、ヨーロッパが同31.2%減の29億5500万ユーロ(約3930億円)、南北アメリカは同14.9%減の23億8800万ユーロ(約3176億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同18.9%増の59億3700万ユーロ(約7896億円)、日本は同22.4%減の9億2400万ユーロ(約1228億円)だった。

 部門別の売上高では、「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」が好調なジュエリー部門が同3.3%増の74億5900万ユーロ(約9920億円)だった。一方、ウオッチ部門は同21.4%減の22億4700万ユーロ(約2988億円)と落ち込んだ。

 販売チャネル別で見ると、小売りは同1.2%減の72億4800万ユーロ(約9639億円)だった。これには為替の影響もあり、現地通貨ベースでは同2%増となっている。卸はコロナ禍による百貨店や免税店の休業が響き、同27.0%減の31億200万ユーロ(約4125億円)だった。ECは好調で、同5.5%増の27億9400万ユーロ(約3716億円)となり、売り上げ全体の21%を占めている。

 四半期ベースの売上高では、21年1~3月期(第4四半期)は中国本土の売り上げが3ケタ成長となったことが寄与し、前年同期比29.6%増の34億8000万ユーロ(約4628億円)と大幅に回復。コロナ禍以前の19年同期比でも6.5%増となっており、成長軌道に戻ったと言えるだろう。

 ヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は、「コロナ禍の影響で上期は大幅な減収となったものの、中国本土を中心としたアジア地域やジュエリー部門が売り上げをけん引し、下期には業績が回復した。上り調子で新年度を迎えることができたが、ワクチン接種による集団免疫効果が表れるまでは不確定要素が多く、先行きの不透明感は続くだろう。引き続き従業員、取引先、資産の安全を優先しつつ、物事に柔軟に対応できるように準備しておきたい。事業のデジタル化や顧客中心主義をいっそう推し進めていく」と語った。

 同氏はまた、「戦略的パートナーシップについても継続的に検討している」と述べたが、一部で流れていた事業売却の噂については「リシュモンは独立企業であり続ける」とし、完全に否定した。

 リシュモンは、4月24日に死去したデザイナーのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏の新ブランド「AZファクトリー(AZ FACTORY)」を担うベンチャー事業のパートナーでもある。同ブランドはデビューコレクションを1月に発表したばかりだった。ルパート会長は、「アルベールはとても繊細で優しく、才能とクリエイティビティーにあふれた、ユーモアのある人だった。彼の夢だった“配慮のあるスマートファッション”は、インクルーシブ(包括的)かつポジティブで、革新的だった。幸運にも彼と知り合うことができた人々は、みんな彼の不在を寂しく思っている」と悼んだ。

 「AZファクトリー」の今後の事業展開については「協議中」としているが、まずはエルバス氏が生前に完成させた最後の作品群を発売する。同ブランドはコレクションベースではなく“プロジェクト”を中心とした新たなビジネスモデルを打ち出しており、今回発売するのは“スーパーテック スーパーシック(SuperTech-SuperChic)”プロジェクトの新作と、全く新たなプロジェクト“フリートゥ(Free To)”のもの。前者はエルバス氏の誕生日である6月12日に、後者はそれ以降の発売となる。これらに加えて、新たなカテゴリーとしてハンドバッグも発表する。また今秋に開催されるパリ・ファッション・ウイークの期間中に、エルバス氏を追悼するメモリアルイベントを行う予定だ。

 リシュモンといえば、20年11月にラグジュアリーEC大手ファーフェッチ(FARFETCH)および中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)とグローバルな戦略的パートナーシップ契約を締結して大きな話題となった。提携の一貫として、リシュモンは「カルティエ」「ヴァン クリーフ&アーペル」「IWC シャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)」「ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)」「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI」「ピアジェ(PIAGET)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」「クロエ(CHLOE)」などを含む11の傘下ブランドをアリババが運営する高級品に特化したEC「ラグジュアリー・パビリオン(LUXURY PAVILION)」に出店しており、これが売り上げに大きく貢献している。

 「カルティエ」は4月20日、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)およびプラダ グループ(PRADA GROUP)と共に、オーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)を設立した。これは世界中のラグジュアリーブランドが共通のブロックチェーン上にデータを記録することで、顧客にいっそうの透明性や追跡性を提供することを目的としたもの。これによって消費者は原材料の調達から販売に至るまでの履歴や、商品の真正性(真贋)などを確認できるという。

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アルビオン21年3月期決算 百貨店休業の影響で創業以来初の営業赤字

 アルビオンの2021年3月期決算は、化粧品専門店が検討したものの百貨店休業による影響を受け、売上高が前期比18.8%減の537億円、営業損益が16億円の赤字(前期は79億円の黒字)、純損益が7億円の赤字(同53億円の黒字)と減収減益だった。営業赤字は創業以来初めて。

 昨年4〜5月の緊急事態宣言で百貨店が休業となり、同社は初の試みとして期間限定でEC販売に乗り出したが「想定する売り上げを確保できなかった。新客開拓にもつなげられなかった」と小林章一アルビオン社長は語る。

 部門別では、営業本部(国内)の売上高が同21.3%減だった。チャネル別は専門店が業態店(専門店とアルビオンの協業店舗)が同2.7%増と前年を上回ったものの全体では同10.5%減、百貨店が48.1%減と厳しい結果となった。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」の売上高が同23.9%減、「イグニス(IGNIS)」が昨年のリニューアルによる効果があり同6.8%増、「エレガンス(ELEGANCE)」が同20.7%減だった。カテゴリー別では全体の66.9%を占めるスキンケアの売上高が同21.9%減で前年より11.6ポイント下がった。ベースメイクが同23.5%減、ポイントメイクが同25%減だった。

 国際事業部の売上高は同11.6%減だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE」が同39.7%減、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」が同44.6%減、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同50.6%減、「アルビオン」が18.6%増となった。「アルビオン」以外の3ブランドでは新製品の発売時期を後ろ倒しにし、既存品の販売に注力したがメイクアイテムが中心だったため売り上げが振るわなかった。「『ラデュレ』は今年ライセンス契約の更新時期だが、今後の取り組みを検討中だ。『アナ スイ』は既存店舗を見直し、eコマース主体にシフトするほか、大型商業施設への出店、ポップアップイベントを強化する。『ポール&ジョー』も近く公式サイトを立ち上げ、情報発信やeコマースで新客とのタッチポイントを増やす」と小林勇介・常務 国際事業本部 本部長は述べた。

 同社はここ数年転売業者への対策を講じ、外国人売り上げをあえて絞ってきた。しかし15〜19年度の累計外国人売り上げは約573億円あり、コロナ禍の影響が今後2〜3年続くと予測し年間100億円規模の売り上げが見込めなくなる。「日本人のお客さまで年間15万円以上購入する人の離脱率を調べたところ、専門店と百貨店とも2〜5%程度。一方で15万円以下が30%前後だった。今後は15万円以下のお客さまとの接点を強め、当社のファン作りを推進する」と当面は強固な顧客作りを最優先する。

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キャンプ人気でスノーピーク売上高6割増 1〜3月期

 スノーピークの2021年1〜3月期の業績は、売上高が前年同期比62.5%増の50億円、営業利益が5億6000万円(前年同期は400万円)、経常利益が6億3000万円(同1300万円の赤字)、純利益は同330%増の4億円だった。新型コロナウイルス感染症拡大により、密を避けたレジャーとしてキャンプ需要が世界的に上昇。通常1〜3月はキャンプのオフシーズンだが、冬キャンプの参加者増加や本格シーズンに向けた早期購買が起こり、大幅な増収増益となった。テントのエントリーモデルが大きく動いた他、アパレルも好調だった。

 日本の売上高は同1.5倍の39億5000万円だった。特に好調だったのは卸売チャネル。1月に発令された緊急事態宣言の影響を受け、都市部店舗で来店客減少が見られたものの、郊外店が好調に推移した。主要卸先のスポーツ量販店でキャンプ売り場が拡大されたのも追い風となった。

 海外各地域も前年同期を上回った。韓国は日本同様キャンプ需要が高く、ブランド認知拡大も相まって、売上高は同2倍以上の3億7000万円となった。米国は、昨年9月に設立した現地法人を拠点に実施したリテール戦略が奏功。バックパック関連や焚き火台などが人気となり、前年同期を大きく上回った。

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決算書を読むべき理由とその魅力とは?【齊藤孝浩ビジネスセミナー第2弾】

 「WWDJAPAN」は、決算書からその企業の強みや課題を解説する好評連載「齊藤孝浩のファッション業界のミカタ」をベースにしたセミナーを、5月28日から隔週にわたる計4回の短期集中セミナーとして開催する。在庫最適化コンサルタントの齊藤孝浩ディマンドワークス代表に今、決算書を読むべき理由とその魅力を聞いた。


齊藤孝浩ディマンドワークス代表/ファッション流通企業の在庫最適化コンサルタント
PROFILE:(さいとう・たかひろ)1965年東京生まれ。総合商社のアパレル部門でOEM生産営業やヨーロッパブランドの日本法人立ち上げを経験した後、98年に政府の留学プログラムで渡米。新興ブランドの輸出代行を手がける。帰国後、アパレルチェーンにてバイヤー、取締役営業本部長、経営企画室長を歴任し、2004年有限会社ディマンドワークス設立。成長中ファッションチェーン向けに、在庫コントロールのための組織づくりと人財育成コンサルタントとして、これまでに20社以上の業界注目企業を支援し、うち6事業の年商100億円突破に携わっている。著書に「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞出版)、「ユニクロ対ZARA」(日経ビジネス文庫)、「人気店はバーゲンに頼らない 勝ち組ファッション企業の新常識」(中公新書ラクレ)。ファッション流通に関するブログも随時更新中


WWD:決算書は用語の意味が理解できても、業界や業種ごとに注目すべきポイントや数値が異なり、“使いこなす”のがなかなか難しいと思います。まず、齊藤さんが決算書を読み始めたきっかけから教えてください。

齊藤孝浩ディマンドワークス代表(以下、齊藤):30代半ばにアパレルチェーンに転職し、経営幹部として受けた研修がきっかけです。チェーンストア経営専門コンサルティングの故渥美俊一先生が設立した研究団体で、ペガサスクラブというのがあるのですが、そこで渥美先生の指標と自社の数字とを照らし合わせながら、何が強みで、何が弱みかを把握したり、他社と比べて自社の効率はどうなのか、ここをどうやれば数字が改善するのかというようなことを実践的に学びました。そこで「経営効率」に興味が湧き、経営決算書だとか財務諸表の数字に目覚めました。

 その後、在庫コントロールのための組織づくりや人財育成のコンサルタントとして独立し、今に至ります。機関投資家向けの証券会社の勉強会も毎年2、3回行っているので、そこで飛んでくる質問に対して理論武装するためにも、より決算書に目を通すようになりました。

WWD:どんなところに決算書の面白みを感じますか?

齊藤:例えば、一般的に企業って大きくなると販売効率が悪くなるんです。組織運営が難しかったり、拡大を優先するから効率の悪い出店をしてしまったり、むやみに人を増やしてしまい、売上高は拡大しても、経営効率が悪化し、利益が落ちていくケースが圧倒的に多い。でも、成長企業の決算書の数字を見ていると、小手先ではなく、中長期的に、そういう事態をうまく回避していることに気付けるんです。「ユニクロ対ZARA」(2014年初版、日本経済新聞出版)にも書きましたが、ユニクロは昔から1年当たりの出店数があまり多くない代わりに、店舗を大型化していくことによって売り上げを伸ばしているんです。数字を見ることで、「ちゃんと企業の拡大と人の成長のバランスを考えてる会社だな」ということに気が付けました。すると、まるでビジネス書のストーリーを読んでるような気持ちになるわけです。

WWD:決算書からそういうことに気付けると。

齊藤:読むだけでは分からないです。数字を並べたら分かるんです。気付くためには、まず問題意識が大事ですね。決算書は堅苦しい言葉が多いですし、“自分ごと”として向き合わないと全然頭に入らないんじゃないでしょうか。
私は勤めていたアパレルチェーン企業の中で経営企画チームに入ったんです。営業担当役員でしたが、いろんな役員の混合による経営企画チームがあり、そこが勉強したことをアウトプットする場にもなりました。販売効率が低いとか、粗利率が低いとか、利益率が低いとか、人件費の比率が高いとか、1人当たりの売上高が低いとか、課題って絶対にいろいろあるはずなので、まずはその課題を特定して、他社はどうなんだろう、と考えることが“自分ごと”化の一歩だと思います。

WWD:なるほど。数字として客観視でき、成長している企業がどのように利益を確保できるかを知ることができますね。また、そことの比較によって自社の改善策も探れるということですね。

齊藤:はい。あと、自分の仕事が自社やクライアントの利益にどう貢献するのかを考える上でも、大事だと思っています。誰しも「頑張ったんだからもっと給料を上げてほしい」と思うものですが、会社の利益になるような頑張り方をしなければ、会社としても給料を上げることはできないわけです。会社の利益に自分がどれだけ貢献できているのか。自分の給料の3倍の粗利を生み出すようでなければいけない。そういうことを考える材料としても財務諸表は重要です。例えば、私はコンサルをしていますが、頂く報酬を大きく上回る利益を生み出せれば、コンサル料はクライアントにとって「費用」や「経費」ではなく、「投資」と言えます。会社やクライアントにとって、「投資」となるようなコンサルティングであるべきだと自分でも考えて仕事をしています。

WWD:経営に携わるような人だけでなく、個人の働き方を考える際にも生かせますね。企業分析をする際に、決算書以外で重視していることは何ですか?

齊藤:一つは経営ビジョンです。その会社もしくは経営者さんが、どこから来てどこへ行くのかという経営ビジョンが見えてくると、「すごいな」とか、「応援したいな」と思います。そのビジョン実現の取り組みの結果として決算が出ます。ビジョンと結果のセットで見ることが大事です。

 また、小売業に関して言うと、「売り場は経営の縮図」だと考えます。経営イズムが浸透している売り場を見ると「ここの経営者さんはすごいな」と惚れ惚れします。定点観測もよくしますし、同時期に同じブランドのお店を何店舗か見て、共通点やあえて変えている点を見たりします。あとは来店客の反応ですかね。それがある意味、全ての答えかもしれない。お客さんがわくわくしたような反応をしてるようなところは、「ちゃんとそういうふうに設計している」と分かりますし、つまらなさそうに買い物してるなら、「学ぶことは少ない」と思いますね。

WWD:齊藤さんからは常々小売りへの愛を感じます。

齊藤:インテリアショップの息子として生まれ、小さいころから接客する父の背中を見ていたからかも知れません。母親は服装学院の講師出身で、家では工業用ミシンを踏んでいました。そういう環境で育ち、1990年代、商社勤務時に出張でアメリカに行って、チェーンストアの豊かさを知りました。いい物が安く売られていて、「小売りの世界ってこういう世界であるべきだ」と。以来、どうやればそういう世界を作り出せるのか、というのが私の仕事のテーマでもあります。

WWD:成長するグローバル企業を知ることで得られるヒントはたくさんありそうです。

齊藤:自分たちより効率のいい会社を見て、「なぜなんだろう?」と好奇心が湧くじゃないですか。解決したい課題のヒントがここにあるよって感じですよね。すごい企業が何を考え、その結果が表れているのが決算書です。自社の目標やロールモデル(お手本)を見つける上で、これほど参考になる生きた教科書はありません。ぜひ皆さんにもその面白さを知ってもらいたいです。


 「WWDJAPAN」では、数字に強くなりたい若手社員から、役員や経営企画として会社経営に携わっている方まで全ての方を対象にした齊藤孝浩氏を講師に招いたビジネスセミナー。今回は、「ユニクロ」「GU」などを擁するファーストリテイリングや、「ザラ」のインディテックス、ファッションECモール大手ZOZOなどの決算報告書から成長を読み解くとともに、最新動向への見解も交え解説します。
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■Vol.09 EC化率アップだけでは儲からない「ユニクロ」
■Vol.18 社員全員経営をするための4つの数字
■Vol.24 ついにECと店舗の在庫が統合したインディテックス
■Vol.25 世界アパレル専門店売上高トップ10に見るチェーンストアの進化の可能性

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名門繊維商社のフォワード・アパレルが自主廃業へ、今年末で清算手続き開始

 香港の大手商社フォン・グループ(FUNG GROUP)傘下の繊維商社フォワード・アパレル・トレーディング(旧兼松繊維)は21日、年内をめどに自主廃業すると発表した。コロナ禍の影響でビジネス環境が悪化する中、「将来に向けての事業継続が困難であるという判断に至った」(同社)という。21日から取引先には本格的に告知を始めたが、すでに22年春夏に向けた受注は停止しており、年内までに全ての製品のデリバリーを完了する予定で、「顧客・仕入先・その他の関係者には一切のご迷惑をおかけしない」という。

 大手繊維商社は今年に入って、日鉄物産の繊維部門と三井物産の繊維部門の中核会社である三井物産アイ・ファッションの統合、蝶理による住友商事のOEM子会社スミテックスインターナショナルの買収など、統合・再編が相次いでいる。

 官報によるとフォワード・アパレル・トレーディングの2019年12月期の業績は、売上高が122億円、営業利益が7300万円、経常利益が4700万円、純利益が1億800万円。総資産36億9700万円に対し、純資産は13億4600万円だった。同社によると、「18年末までの長期借入金はすべて返済済みで、20年度も黒字。解散時にも短期借り入れを含めた全ての債務を履行するのに充分な試算を有しており、解散後は全ての債務を完済できる」という。

 同社は、大手商社である兼松の祖業である羊毛貿易をルーツに持つ名門繊維商社の一つ。リー&フォン(LI & FUNG)は2007年に兼松の繊維部門である兼松繊維の株式55%を取得、2012年に100%子会社化し、15年1月に名称を現在のフォワード・アパレル・トレーディングに変更していた。アパレルや雑貨などのOEM(相手先ブランド生産)とODM(相手先ブランドの企画生産)を主力に、一部でブランドのインポートなども手がけていたが、直近ではブランド事業からは撤退し、OEMとODMがほぼ主力になっていた。また、現在はリー&フォンの親会社にあたるフォン・グループの傘下に入っていた。

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縫製大手のマツオカコーポ、マスク特需で営業利益75.3%増の45億円 21年3月期

 縫製大手のマツオカコーポレーションの21年3月期決算は売上高が前期比5.6%減の539億円、営業利益が同75.3%増の45億円、経常利益が同61.4%増の40億円、純利益が同135.1%増の27億円だった。上期にマスクだけで63億円を計上、「増益分の大半はマスクによるもの」(佐藤仁取締役)という。

 マスクを除く、アパレル製品の生産枚数は5000万枚で、前期の5800万枚からは減少した。地域別の売上高はマスク生産を行った中国が同0.5%減の306億円にとどまったものの、バングラデシュが同21.0%減の108億円になった。コロナ禍の影響が比較的小さかったベトナムは同0.8%増の772億円、新工場を開設したインドネシアは同63.9%増の158億円だった。

 22年3月期はマスク特需がなくなり、「アパレル市場の回復は来期以降」(佐藤取締役)となるものの、シェア拡大を優先し、東南アジアでは今期以降も積極的な生産能力の拡大に動く。今期の22年3月期の業績は売上高が前期比0.1%増の540億円、営業利益が同67.1%減の15億円、経常利益が同65.6%減の14億円、純利益が同63.8%減の10億円を見込む。

 ベトナムとバングラデシュでは新工場の建設と既存工場の増設を行うほか、ベトナムには新たに百貨店や専門店をターゲットにした小ロットQR対応の新タイプの工場建設も行う。2工場を持つミャンマーが政情不安に伴うカントリーリスクが増大する中、ベトナムとバングラデシュの能力拡大でカバーする考え。

 広島県福山市に本社を持つ同社は、日本の縫製企業の最大手。日本を中心としたアパレル需要について「足元の市況は前年に比べて徐々に回復しているものの、景気の悪化も顕在化しつつあり、それ以上に価格の値下げ圧力が強くなりそうで、縫製企業にとっては今年度が正念場。苦しいが、グローバルで存在感を高めるためにも投資は継続する」(佐藤取締役)。縫製能力を世界規模で高める一方、素材メーカーとの連携も強化する。より上流の企画段階から加わることでODM事業を進化させる。

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ワコールHD営業赤字11億円 21年3月期、ピーチジョン事業は好調

 ワコールホールディングス(HD)の2021年3月期連結決算(米国会計基準)は、売上高が前期比18.5%減の1522億円、営業損益が11億円の赤字(前期は66億円の黒字)だった。新型コロナウイルス感染拡大による店舗休業や営業時間短縮による来店客数減少の影響により、大幅な減収になった。各社で経費節減をし、各国政府の支援策を活用したが、感染症の影響によりワコールヨーロッパののれんやグループ会社における固定資産の減損損失により、営業損失という結果になった。

 国内ワコール事業は、売上高が同18.8%減の861億円、営業利益が同89.7%減の6億700万円だった。感染症の影響で年間を通して店舗売上高が低迷した。“巣ごもり需要”により戦略的に強化している自社ECはオンラインとオフラインの連携施策やマーケティング施策が奏功し、新規顧客獲得や既存顧客の購入率アップにつながり、同55.2%増と大幅な増収だったが、リアル店舗の不調を補えなかった。諸経費の削減をしたものの、減収の影響を吸収できなかった。

 海外ワコール事業は売上高が同17.0%減の413億円、営業損益が26億円の赤字(前期は14億円の黒字)だった。感染症拡大による店舗の休業および円高の影響による結果だ。各国政府の支援策を活用しつつ経費を節減したが、前期に買収したインティメイツ オンライン社への投資やワコールヨーロッパののれんの減損損失計上が影響した。

 ピーチジョン事業は、消費者のニーズを捉えた商品企画やマーケティング戦略が奏功し、売上高が同8.7%増の122億円、営業損益が15億円の黒字(前期は3億5100万円の赤字)に好転した。

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バーバリー、21年1〜3月期でV字回復 通期で3倍増益

 バーバリー(BURBERRY)の2021年3月通期決算は、売上高が前期比10.9%減の23億4390万ポンド(約3562億円)、営業利益は同176.1%増の5億2110万ポンド(約792億円)、純利益は同209.1%増の3億7590万ポンド(約571億円)だった。なお、営業利益には新型コロナウイルスに関連した修正項目分として1億2500万ポンド(約190億円)が含まれており、これを除くと3億9600万ポンド(約601億円)となる。

 地域別の売上高では、アジア太平洋地域が同15.6%増の12億320万ポンド(約1828億円)、欧州・中東・インド・アフリカは同34.6%減の6億2800万ポンド(約954億円)、南北アメリカは同18.8%減の4億7470万ポンド(約721億円)だった。

 コロナ禍の影響によって世界中の店舗を一時的に休業せざるを得なかったことから、既存店ベースでの売り上げは同9%減だったものの、21年1〜3月期(第4四半期)で見ると前年同期比32%増となっている。これは中国と韓国が2ケタ成長となったアジア太平洋地域の売上高が同75%増だったことが大きく寄与しており、20年10〜12月期(第3四半期)が同9%減だったことを踏まえると、成長軌道に戻ったと言えるだろう。ECも好調で、南北アメリカと中国市場では前年と比べて2ケタ成長となった。

 マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者は、「完全なラグジュアリーブランドとなるべく、ここ3年は新たな『バーバリー』を構築することに尽力してきた。ブランドイメージに新たな命を吹き込み、商品のリニューアルや顧客の買い物体験の改善を行うと同時に、環境や社会的な問題に関する取り組みも積極的に進めている。コロナ禍の影響があるにもかかわらず、今期の目標を達成し、素晴らしい業績を上げられたことをうれしく思っている」と語った。

 同社はラグジュアリーブランドとしての価値を高める戦略の一環として値下げを減らしており、21年1~3月期には定価での売上高が前年同期比63%増、19年同期と比べても12%増となっている。

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ゴールドウイン最高益水準を維持 21年3月期「ザ・ノース・フェイス」粘り腰

 ゴールドウインの2021年3月期連結業績は、純利益が107億円となった。コロナによって昨年春には直営店の大半が臨時休業したが、秋以降の盛り返しで過去最高益だった20年3月期とほぼ同額の利益を確保した。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を中心にしたアウトドア事業が引き続き牽引する。14日に会見した渡辺貴生社長は「(新常態によって)アウトドアウエアを仕事や遊びの場面で隔てなく着る人が増えている」と手応えを強調する。

 売上高は前期比7.6%減の904億円、営業利益は同15.1%減の148億円だった。売上高の8割以上を占めるアウトドア事業は直営店が臨時休業になった4〜6月期こそ大幅減収だったものの、防寒衣料の実売期で売り上げが最大になる10〜12月期に14%の増収を達成。通期でアウトドア事業は0.7%の微増収まで持ち直した。直営店、スポーツ専門店、ECなどのバランスのとれた販売構成によって、期末在庫も前期並の水準を維持した。

 22年3月期の予想は、売上高が前期比10.5%増の1000億円、営業利益が同5.7%減の140億円、純利益が同4.0%減の103億円。アウトドア事業の成長を見込んで、売上高を初の1000億円台に乗せる。基幹システムやマーケティングなどへの先行投資を行うため、利益は減益を見込む。

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アシックス売上高25%増の急回復 21年1〜3月期ランニングがけん引

 アシックスの2021年1〜3月期は、売上高が前年同期比24.8%増の1065億円、営業利益が146億円(前年同期は8億8200万円の赤字)、経常利益が147億円(同31億円の赤字)、純利益が104億円(同2億4300万円の赤字)と大幅な回復となった。第1四半期で売上高1000億円を超えるのは3年ぶりだ。コロナ禍で、全世界におけるEC売上高が大きく伸長した。北米と欧州で前年同期比2倍超を記録し、全体でも85.9%増となった。

 主力のパフォーマンスランニング(PF)の売上高は、同43.5%増の544億円を記録。全地域で増収を記録し、特に欧州は同55.6%増、中華圏は98.7%増と好調だった。個人スポーツへの関心の高まりが追い風となったほか、 “メタスピード スカイ(METASPEED SKY)”をはじめとする新作のほか、定番の“ゲル カヤノ(GEL-KAYANO)”やゲル ニンバス(GEL-NIMBUS)“もよく動いた。「中長期計画でナンバーワンの奪還を掲げるPFで早くも成果が出た。低調だった北米が回復しているのも安心材料だ」と廣田康人社長。

 その他のカテゴリー別の売上高は、コアパフォーマンススポーツが同18.3%増の134億円、スポーツスタイルが同20.2%増の88億円、オニツカタイガーが同30.0%増の98億円だった。オニツカタイガーは国内インバウンドが低調となったが、中華圏が伸長し、全体としてプラスとなった。

 今回の業績を踏まえ、2月に発表した21年12月期の連結業績予想を上方修正する。売上高は3850億〜3950億円(前回予想は3700億〜3850億円)、営業利益は115億〜135億円(同70億〜100億円)、経常利益は100億円〜120億円(同40億〜70億円)を見込む。コロナの影響が不透明で、特別損失を計上する可能性もあるため、純利益は20億〜35億円に据え置く。廣田社長は、「東京オリンピック・パラリンピックは、海外客が来ないと決定している。(開催されてもされなくても)ある程度は対応できる」とコメントした。

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アシックス売上高25%増の急回復 21年1〜3月期ランニングがけん引

 アシックスの2021年1〜3月期は、売上高が前年同期比24.8%増の1065億円、営業利益が146億円(前年同期は8億8200万円の赤字)、経常利益が147億円(同31億円の赤字)、純利益が104億円(同2億4300万円の赤字)と大幅な回復となった。第1四半期で売上高1000億円を超えるのは3年ぶりだ。コロナ禍で、全世界におけるEC売上高が大きく伸長した。北米と欧州で前年同期比2倍超を記録し、全体でも85.9%増となった。

 主力のパフォーマンスランニング(PF)の売上高は、同43.5%増の544億円を記録。全地域で増収を記録し、特に欧州は同55.6%増、中華圏は98.7%増と好調だった。個人スポーツへの関心の高まりが追い風となったほか、 “メタスピード スカイ(METASPEED SKY)”をはじめとする新作のほか、定番の“ゲル カヤノ(GEL-KAYANO)”やゲル ニンバス(GEL-NIMBUS)“もよく動いた。「中長期計画でナンバーワンの奪還を掲げるPFで早くも成果が出た。低調だった北米が回復しているのも安心材料だ」と廣田康人社長。

 その他のカテゴリー別の売上高は、コアパフォーマンススポーツが同18.3%増の134億円、スポーツスタイルが同20.2%増の88億円、オニツカタイガーが同30.0%増の98億円だった。オニツカタイガーは国内インバウンドが低調となったが、中華圏が伸長し、全体としてプラスとなった。

 今回の業績を踏まえ、2月に発表した21年12月期の連結業績予想を上方修正する。売上高は3850億〜3950億円(前回予想は3700億〜3850億円)、営業利益は115億〜135億円(同70億〜100億円)、経常利益は100億円〜120億円(同40億〜70億円)を見込む。コロナの影響が不透明で、特別損失を計上する可能性もあるため、純利益は20億〜35億円に据え置く。廣田社長は、「東京オリンピック・パラリンピックは、海外客が来ないと決定している。(開催されてもされなくても)ある程度は対応できる」とコメントした。

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東レ・繊維は2期連続の減収減益、東南アジア子会社は赤字転落 21年3月期

 東レの2021年3月期の繊維事業(国際会計基準)は、売上高が前期比13.4%減の7192億円、事業利益が同38.6%減の366億円となった。コロナ禍の長期化で世界的に消費が減速した。阿部晃一副社長は「衣料用途では過剰な流通在庫があり、需要が世界的に低迷した」という。

 地域別では特に東南アジア子会社が低迷した。同地域のグループ連結の繊維事業は、売上高が同26.3%減の1000億円、事業損益は23億円の赤字(前期は48億円の黒字)に転落した。コロナ禍による需要減退に加え、この数年不振の続くポリエステル/コットンの混紡(T/C)素材事業の構造改革の遅れが影響した。中国の繊維事業は売上高が同3.2%減の1984億円、事業利益は同13.8%減の168億円だった。

 一方、好調だったのは韓国エリア。売上高は同5.5%減の796億円と減収だったものの、事業利益は倍増の68億円となった。韓国子会社で主力とするポリエステル短繊維が、マスク用の不織布需要の増加で好調だった。

 22年3月期の繊維事業の見通しは、売上高が同13.4%増の8150億円、事業利益が同50.3%増の550億円。20年9月以降から緩やかな回復基調となっており、「22年3月期を通して衣料、非衣料ともに同様のペースで回復を続ける」(阿部副社長)と見る。

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エイチ・ツー・オー最終赤字247億円 21年3月期、阪急阪神百貨店が苦戦

 阪急阪神百貨店を中核にするエイチ・ツー・オー リテイリングの2021年3月期連結業績は、純損益が247億円の赤字(前期は131億円の赤字)だった。コロナ関連で54億円、減損損失で148億円の特別損失を計上した。イズミヤなどスーパーは堅調だったものの、百貨店事業の大幅な減収を痛手になった。売上高は前期比17.6%減の7391億円だった。

 百貨店事業は売上高が26.5 %減の3455億円、営業損益が131億円の赤字に転落した。昨年春の臨時休業を経て、10月以降はラグジュアリーブランドの回復もあって売上高は15%減ほどで収まっていたが、1月以降はコロナの第3波によって20%以上の落ち込みが続いた。免税売上高は88%減で終わった。

 22年3月期の業績予想は現時点では見送る。百貨店事業では、厳しい局面が当分続くとして販管費抑制などのコスト構造改革に努める。

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小松マテーレ、抗ウイルスマスク好調、純利益31.6%増 21年3月期

 合繊生地大手の小松マテーレの2021年3月期決算は売上高が前期比17.8%減の300億円、営業利益が同12.1%減の14億円、経常利益が同11.0%減の19億円、純利益が同31.6%増の18億円だった。コロナ禍の長期化で主力のテキスタイル事業が大幅な減収減益を強いられたものの、マスクを中心とした製品事業がカバーした。純利益の増加は期中に清算した中国子会社の土地の売却益8億6600万円によるもの。佐々木久衛社長は「コロナ禍を契機に不採算事業の抜本的な見直しとビジネスモデルの再構築に取り組んだ。ネット通販で抗ウイルスのマスクが爆発的に売れて、主力のテキスタイル事業をカバーした」という。

 売上高の約65%を占める衣料ファブリック部門の売上高は同23.6%減の192億円。主力の欧州の高級ブランド向けのテキスタイル販売が、ロックダウンなどにより営業活動が大幅に制限され、同31.5%減と苦戦した。カーシートや湿布剤などの資材ファブリック事業も含めたテキスタイル事業の営業利益は同45.0%減の8億6000万円だった。

 一方で好調だったのがコロナ禍をきっかけにスタートした抗ウイルスマスク販売。ネット通販のスタートにより、売上高は倍増の16億9600万円、営業利益は5億円(前期は1700万円)と大幅に拡大し、テキスタイル事業の減益分をカバーした。

 22年3月期の見通しは、売上高が300億円(前期比6.6%増)、営業利益が14億円(同27.0%増)、経常利益が19億円(同20.0%増)、純利益が18億円(同2.2%増)。中山大輔専務取締役は「渡航ができないなど営業活動は現在も制限されているが、主力の欧州高級ブランドからの受注はコロナ前の水準まで戻りつつある」とし、主力のテキスタイル事業の復調を見込んでいる。

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島精機、赤字幅が178億円に拡大 コロナで生産調整が長期化 21年3月期

 横編機大手の島精機製作所の2021年3月期決算は、純損失が178億円(前期は84億円の損失)と2年連続の赤字となり、赤字幅も拡大した。一昨年から続く暖冬に伴うアパレル市場の低迷に加え、コロナ禍も加わったことで世界規模でのファッション市場の低迷が長期化しており、セーターやスニーカー生産に使用する横編機で高いシェアを持つ同社に大きな影響を与えた。売上高は同26.3%減の244億円で、ピーク時の18年3月期の718億円と比較すると約3分の1にまで落ち込んだ。稼働率の低迷を受け、減損損失として101億円を当別損失として計上した。

 売上高の大半を占める横編機の売上高は同32.0%減の155億円。販売台数は4705台(前期は5117台)で、うち新鋭機「ホールガーメント(WG)」機は764台(同1026台)だった。トルコやバングラデシュなどの落ち込みが激しく、全エリアで低調に推移したものの、「第1四半期(20年4〜6月)がボトムで、徐々に上向いている」(島三博社長)という。

 22年3月期は売上高280億円(前期比14.3%増)、営業損失70億円、経常損失63億円、純損失64億円と、3年連続の赤字の見通し。

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ワールド最終赤字171億円 21年3月期、2度の構造改革で

 ワールドの2021年3月期連結業績(国際会計基準)は、純損益が171億円の赤字(前期は80億円の黒字)になった。最終赤字としては過去最大になる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う店舗の臨時休業やその後の消費低迷を受けて、昨年8月と今年2月に公表した2度の構造改革によって巨額の特別損失を計上した。

 売上高に相当する売上収益は前期比23.7%減の1803億円。EC(ネット通販)売上高は同15.4%増、売上高に占めるEC化率は7.7ポイント増の21.8%に上昇したものの、リアル店舗の既存店売上高の31.9%減のダメージが大きかった。本業のもうけを示すコア営業損益は64億円の赤字(前期は135億円の黒字)だったが、下期(9〜3月)は黒字を確保した。計12ブランドの事業終了もあって、期末店舗数は純減309の2194店舗になった。希望退職の実施によって434人が退職した。

 22年3月期の業績予想は、売上収益で前期比8.9%増の1964億円、コア営業利益で63億円、純利益で35億円を見込む。

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コーセー21年3月期、中国市場が好調も純利益が55.1%減の119億円と苦戦

 コーセーの2021年3月期決算は、中国での販売が好調に推移したものの、中国以外のアジア地域をはじめ日本や欧米では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、連結売上高が前年比14.7%減の2793億円、営業利益が同67.0%減の132億円、経常利益が同54.2%減の187億円、純利益が同55.1%減の119億円だった。

 事業別では、化粧品事業は「コスメデコルテ(DECORTE)」が中国の全チャネルで好調に推移し、日本では「コスメデコルテ」の新エイジングライン“リフディメンション”や「ONE BY KOSE」、コーセーマルホファーマの「カルテHD」が好調に推移したが、「アルビオン(ALBION)」「雪肌精(SEKKISEI)」など主力ブランドが総じてマイナス成長となった。その結果、売上高は同13.3%減の2184億円、営業利益は同58.2%減の186億円だった。

 コスメタリー事業は、コロナ禍で需要が高まっているフィックスミスト“メイク キープ ミスト”や口紅コートの“リップ ジェルマジック”、ヘアケアブランド「スティーブン ノル ニューヨーク(STEPHEN KNOLL NEW YORK)」が売り上げに貢献したほか、コーセーコスメポートが展開するエイジングケアブランド「グレイスワン(GRACE ONE)」やハンドクリームの「コエンリッチ(COENRICH)」が好調に推移。一方で、外出自粛の影響により、クレンジングやヘアケアが苦戦し、売上高は同18.7%減の584億円、営業損益が6300万円の赤字(前年同期は2億円の黒字)だった。

 地域別でみると、日本はメゾンコーセーで展開するECが好調に推移したが、来店客数の減少に加えインバウンド需要が激減したことなどから売上高が同24.8%減の1674億円だった。北米は「タルト(TARTE)」のECが好調だったが、再開した都心部の店舗が苦戦するなどして同26.4%減の264億円だった。一方で、アジアは中国のECと百貨店の売り上げ、トラベルリテールが売り上げをけん引し、同27.6%増の821億円と増収となった。

 今期は、決算期をこれまでの3月末から12月末に変更し、4〜12月の変則決算となる。新型コロナによる経済への影響が続くものの日本市場の穏やかな回復や中国市場の成長を見込むほか、「アフターコロナに向けてデジタル化とグローバル化を加速する」(小林一俊コーセー社長)ことで、売上高が調整後前期比11.5%増の2380億円、営業利益が同20.8%増の200億円、経常利益が同7.4%増の205億円、純利益が同1.5%増の142億円を計画する。

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ZOZO、20年度は大幅な増収増益 今期はライブ接客アプリを開発へ

 「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するZOZOの2021年3月期決算は、商品取扱高(GMV)が前期比21.5%増の4294億円、売上高が同17.4%増の1474億円、営業利益が同58.3%増の441億円、経常利益が同60.6%増の443億円、純利益は同64.5%増の309億円だった。コロナ禍でデジタルシフトが加速。特に上期は広告費を抑制したにも関わらず、出店テナントのブランドが在庫を寄せたことで、取扱高が大きく伸び、売上高総利益率(対GMV)は1.3ポイント改善の34.3%に向上。利益面の増加を後押しした。

 GMVの伸びをけん引しているのが新規会員の増加で、21年3月末のアクティブ会員数は1年前に比べて129万人も増加し、813万人にまで拡大した。ゲスト購入者も加えた年間購入者の合計は948万人になり、22年3月期での1000万人の大台突破が見えてきた。ただ、ユーザー数の拡大により、商品単価と出荷単価の下落も進んだ。21年1〜3月の商品単価は1年前に比べて4.1%ダウンの3748円、出荷単価は同3.7%ダウンの7991円だった。「新規ユーザーは初回購入で単価の低いアイテムを購入する傾向があるため」(柳澤孝旨副社長CFO)。

 GMVで大きく伸びたのがペイペイモールで、年間の取扱高は281億円になった。澤田宏太郎社長兼CEOは「上期はそれほど振るわなかったものの、下期に入ってZホールディングス側が積極的なプロモーションを行ったことで、ものすごく伸びた。こちらの想像以上にリピーターが多く、定着率が高い。懸念していた『ゾゾタウン本店』とのカニバリズムも少なく、今期(22年3月期)も期待できる」という。

 22年3月期の見通しはGMVが前期比12.7%増の4728億円、売上高が同10.3%増の1626億円、営業利益が同8.3%増の478億円、経常利益が7.7%増の478億円、純利益が同7.7%増の333億円になった。

 また、今期からは出店テナントであるブランドの店頭支援を本格化する。今期中には、出店テナントのブランドの店頭販売員がライブコマースやチャット接客のできる新アプリ「FAANs(ファンズ)」のローンチも計画しているという。「ゾゾタウン以外の収益機会を増やしていきたい」(澤田社長)考え。

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炭酸水メーカーのソーダストリームが絶好調 脱プラの波に乗り前年比45%増

 食品世界最大手ペプシコ傘下の炭酸水メーカー、ソーダストリーム(SODA STREAM)が好調だ。世界で高まるプラスチックごみ削減の波に乗り、2020年の売上高は前年比45%増をマークした。好調を受けて同社はこのほど、昨年発表した2025年までに削減するペットボトルの本数を670億本から780億本へと上方修正した。同社は自宅で炭酸飲料を作ることができる炭酸水メーカーを世界45カ国7万店舗で展開。ガスシリンダー1本でペットボトル120本分の炭酸水を作ることができる。

 ソーダストリームの親会社のペプシコは40年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げ、30年までに世界中で稼働する工場のエネルギーを100%再生エネルギーに移行することを発表。また4月20日には、30年までに環境再生型農業を展開することを発表している。ソーダストリームも22年までにサプライチェーン全体のエネルギーの10%を太陽エネルギーで賄うことを計画。23年までにマシンにリサイクル素材や再生可能な植物由来の素材の導入を目指す。加えて、21年末からフレーバーウォーターの容器をプラスチックからメタル製への移行を始め、25年までに2億本のペットボトルを削減する計画だ。米国環境保護庁(EPA)によると、米国ではメタルの70%がリサイクルされているのに対して、アルミニウムは35%、ガラスは33%、プラスチックはわずか15%だという。EUにおけるメタルのリサイクル率は74.2%とさらに高い数字をマークしている。

 ソーダストリームはアースデイに合わせ、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)の姉であるランディ・ザッカーバーグ( Randi Zuckerberg)と共に“Don’t just share, care”と題したキャンペーンを実施している。

 同社は18年末から19年上旬には「海に流れ込むプラスチックがマイクロプラスチックとなり、海洋生物を危険にさらし、やがて私たちの食物連鎖に加わる。例えば寿司という形で」というメッセージを表現した「プラスチック寿司」を広告にするなど“脱ペットボトル”を訴えている。

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「グッチ」が「バレンシアガ」を“ハッキング” アナリストらの評価は?

 「グッチ(GUCCI)」は4月15日、創業100周年を祝う最新コレクションをデジタルプラットフォーム上で発表した。オペラやクラシックなどで歌われる独唱曲を指す“アリア(Aria)”と題された同コレクションでは、13日頃から噂されていた通り、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターによる「バレンシアガ(BALENCIAGA)」へのトリビュート作品が登場した。

 「グッチ」によれば、今回の試みはコラボレーションやカプセルコレクションではなく、「バレンシアガ」のデザインなどをミケーレ流に再解釈して取り入れた、特別な“ハッキング・プロジェクト”だという。「グッチ」のGGパターンやアイコンモチーフ“フローラ”の上に「バレンシアガ」のロゴが重ねられていたり、「バレンシアガ」に特徴的なシルエットと「グッチ」らしさを掛け合わせたジャケットがあったりと、相手ブランドの要素を“ハック(盗み取る)”したアイテムなどが注目を集めた。なお、生産や販売について現時点では未定となっている。

 ミケーレ=クリエイティブ・ディレクターは、「コレクションの視聴者を驚かせたかった。クリエイティビティーは対話や実験、自由を必要とするので、閉ざされた空間であるアトリエを出て対話を続けようと考えた。認知度の高い2つのブランドの特徴や要素、ロゴなどを混ぜ合わせるのは、冒涜的な遊びをしているようだった」と語った。

 「バレンシアガ」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)​=アーティスティック・ディレクターは、「デザイナー同士がある意味では互いに影響を受けあっているということを認め、それを形にした今回のプロジェクトは、とても素晴らしいし勇気のあるコンセプトだと思う。ファッションは影響を受けることで進化していくものであり、『グッチ』はそれを優れた方法で表現した。ブランド同士が互いをどう見ているかについて、新たな視点をもたらした」と述べた。

 今回のプロジェクトは、「グッチ」と「バレンシアガ」がいずれもケリング(KERING)の傘下であることから実現したものと思われる。同社のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ファッションやラグジュアリーにおけるクリエイティビティーは、社会の絶え間ない変化を養分にして育つものだ。さまざまな変化によって新たなニーズが生まれ、クリエイターはそれに触発されて新鮮な作品を作り出す。アレッサンドロとデムナは両者とも画期的で多様性に満ちたビジョンを持っている、因習を打破するデザイナーだ。アリア・コレクションにおけるユニークでクリエイティブな試みは、彼らの独創性を示すと同時に、当社がいかに自由なクリエイティビティーを重視しているかの証左でもある」と話した。

 現代においてファッション業界でのコラボレーションは珍しいものではないが、人気の高いラグジュアリーブランド同士によるこの斬新なプロジェクトは、驚きと好感を持って受け止められたようだ。

 知的財産分野を専門とするジェフ・グラック(Jeff Gluck)弁護士は、「今回の取引の詳細については分からないが、一般的に知的財産権はデザイナーではなくブランド側が保有している。親会社が同じであることから比較的容易に合意に達したのではないかと思われるが、とても面白い試みで、いい意味で業界のルールを破った事例だ。個人的には『ナイキ(NIKE)』と『アディダス(ADIDAS)』のコラボレーションが見てみたい」とコメントした。

 ブランディングのコンサルティング会社、ザ・スタイルゲート(THE STYLE GATE)のアレッサンドロ・マリア・フェレーリ(Alessandro Maria Ferreri)CEO兼オーナーは、「共同ブランディングよりもさりげなくて、とても知的なプロジェクトだと思う。これにより、『グッチ』はさらに魅力的なブランドになった。今回のプロジェクト作品への反応を見て、好評であれば調整の上でアイテムを販売する可能性もあるのではないか」と分析した。

 マーケティングおよびコミュニケーションの専門家であるパオロ・ランディ(Paolo Landi)は、「今回の試みは高度にコンセプチュアルで、とても美しいアイデアだと思う。希少な作品ゆえに売り上げの面で利益をもたらす可能性も高いが、それ以上に、ブランドカルチャーの観点から『グッチ』と『バレンシアガ』の双方に大きな無形財産をもたらした。競合するのではなく、これまでにない画期的かつ現代的な方法で協力しあうことで、それぞれのブランドがさらに強くなると同時にファッション業界にも活力を与えた」と述べた。

 米投資銀行バーンスタイン(BERNSTEIN)のルカ・ソルカ(Luca Solca)=​アナリストは、「素晴らしいアイデアだと思う。『グッチ』は中国市場で人気が高いが、今回の試みは中国のSNS上で大きな反響を呼んでいる。新規性や希少性があり、これまでにないデザインの作品だということで、消費者の購入意欲はさらに高まるだろう。ブラボーだ」と高く評価した。

 ブランディング会社インターブランド(INTERBRAND)のレベッカ・ロビンス(Rebecca Robins)最高人材組織開発責任者兼最高文化責任者は、「ここ数年、ファッション業界におけるコラボレーションは新たな形を取るようになってきている。『モンクレール(MONCLER)』が世界中のクリエイターと協業する『モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)』や、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・​シモンズ(Raf Simons)が共同で手掛ける『プラダ(PRADA)』などがその例だ。『グッチ』は以前からさまざまなコラボレーションを行っているが、今回はこれまでにない目新しい方法だ」と述べた。

 同じくブランディング会社コーリー・ポーター・ベル(COLEY POETER BELL)のジェン・セーケイ(Jenn Szekely)=マネジング・パートナーは、「今回のプロジェクトは一般的な意味でのコラボレーションとは少し異なるかもしれないが、こうした協業は顧客にとって魅力的なものだ。両方のブランドのエッセンスをうまく取り入れた、1足す1が3となっているユニークな商品であれば購買意欲を強く喚起できるので、そのブランドにおける通常の価格帯よりも高価格で販売できる」と説明。また、「コラボをする際には、共同ブランディングをしたりどちらかが主導したりとさまざまな方法があるが、双方のブランドにとって最適な形を見つけられるかどうかが成功のカギとなる」と語った。

 ケリングは4月20日に2021年1〜3月期(第1四半期)決算を発表しており、売上高は前年同期比21.4%増の38億9000万ユーロ(約5018億円)だった。20年10~12月期には同8.1%減だったことを踏まえると大幅に回復している。この理由として、スターブランドである「グッチ」の売り上げが10~12月期には同13.5%減と不調だったのが、今期は中国市場で3ケタ成長だったことが寄与して同20.1%増の21億6770万ユーロ(約2796億円)とV字回復していることが挙げられる。なお、ほかの傘下ブランドである「サンローラン(SAINT LAURENT)」は同18.8%増の5億1670万ユーロ(約666億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同19.9%増の3億2820万ユーロ(約423億円)といずれも好調だった。その他のメゾンに含まれるため「バレンシアガ」単体での売上高は開示されていないが、同ブランドも非常に好調だったという。

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ロコンドが新ビジョン、2030年にGMV1000億円、営業利益100億円

 ファッション通販モールを運営するロコンドは20日、2031年2月期をターゲットに商品取扱高(GMV)1000億円、営業利益100億円を目指す長期ビジョンを発表した。田中裕輔社長は2030年に向けてアパレルとシューズのEC市場が3兆5000億円にまで拡大すると試算。ITと物流をかけ合わせたプラットフォーム事業、通販サイト「ロコンド」「ファッションウォーカー」を軸にしたEC事業、ユーチューバーとのコラボによるD2Cブランド事業の3事業を軸に、年率17%で取扱高を拡大させる。田中裕輔社長はYouTubeで配信した決算説明の中で、「物流とITをかけ合わせた仕組みは日本でも圧倒的な優位にある。2030年に市場シェア3%は十分に獲得可能な数字だ」と意気込みを語った。

 ロコンドの21年2月期決算は、GMV(返品後)は前期比12.7%増の205億円、売上高が同19.8%増の102億円、営業利益が14億3800万円(前期は8300万円の赤字)、経常利益が14億4800万円(同7700万円の赤字)、純利益が12億5000万円(同2億5600万円の赤字)だった。人気ユーチューバーのヒカルと宮迫博之などを軸にしたD2Cブランド事業が絶好調で、ECモール「ロコンド」の取扱高の増加にも寄与。ロコンドはヒカルとのコラボを機にYouTubeシフトを加速している。広告費をYouTubeメーンに切り替えたことで販管費率(対GMV)は3.8ポイントも改善。売上高総利益率も前期から2.2ポイント改善の37.5%になった。

 2031年2月期に営業利益100億円を掲げる背景には、すでに倉庫を大幅に拡張しており、今後5年間は拡張不要であることと、強みとするITと物流をかけ合わせた効率的な倉庫物流を中心に固定費用がGMVの増加以上に抑えられることにある。「自社倉庫は当日の入出荷や、リアル店舗とECをカバーし、その上、商品と販売管理のための基幹システムも自社開発し、それらを外部にも提供している。こうした仕組みはまさにオンリーワンだ」(田中社長)。

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「ギャップ」「カルバン・クライン」「ラルフ ローレン」など米系ブランドの2020年業績まとめ

 米国のアパレルおよび小売業界は引き続き厳しい状況にあるが、2020年10~12月期はホリデー商戦もあり、業績は少しずつ回復している。しかし中国を中心としたアジア地域は好調だったものの、欧州は新型コロナウィルスの感染再拡大を受けて再びロックダウンに踏み切った国もあり、回復が遅れている状態だ。20年通期の決算情報を中心に、主な米系ファッション企業の状況を解説する。

 「ギャップ」「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」「オールドネイビー(OLD NAVY)」などを擁するギャップ(GAP)の2021年1月通期決算は、売上高が前期比15.7%減の138億ドル(約1兆5042億円)、純損益は前年の3億5100万ドル(約382億円)の黒字から6億6500万ドル(約724億円)の赤字となった。

 ブランド別の売上高では、「オールドネイビー」は同5.6%減の75億3600万ドル(約8214億円)、「ギャップ」は同26.8%減の33億8800万ドル(約3692億円)、「バナナ・リパブリック」は同42.4%減の14億6200万ドル(約1593億円)だった。

 四半期ベースで見ると、20年11月~21年1月期(第4四半期)の売上高は前年同期比5.3%減の44億2400万ドル(約4822億円)、純損益は前年同期の1億8400万ドル(約200億円)の赤字から2億3400万ドル(約255億円)の黒字に回復している。ブランド別では、米国とカナダが好調だった「オールドネイビー」が同4.8%増の23億7500万ドル(約2588億円)と増収だった。「ギャップ」は同18.6%減の10億8800万ドル(約1185億円)、「バナナ・リパブリック」は同31.6%減の5億400万ドル(約549億円)だった。

 ソニア・シンガル(Sonia Syngal)=ギャップ最高経営責任者(CEO)は、「未曾有の事態となった20年はこれまでにないほど苦戦したが、長期的な成長を目指すべく社員一丸となって尽力した。アクティブウエアやフリースなど、時流にマッチしたカテゴリーに強いことも奏功した。危機的な状況はチャンスでもある。中期計画の“パワープラン2023”を実行し、21年は利益を上げてさらに成長したい」と語った。

 「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP)の21年1月通期決算は、売上高が前期比27.6%減の67億9870万ドル(約7410億円)、純損益が前年の4億1730万ドル(約454億円)の黒字から11億3610万ドル(約1238億円)の赤字だった。

 ブランド別に見ると、「トミー ヒルフィガー」の売上高は同22.8%減の36億3640万ドル(約3963億円)、「カルバン・クライン」は同28.0%減の26億3830万ドル(約2875億円)だった。販売チャネルでは、自社ECの売り上げが前年と比べて69%増と非常に好調で、売上高全体の25%近くを占めるようになっている。これは前年の倍程度だという。

 四半期ベースでは、20年11月~21年1月期(第4四半期)の売上高は前年同期比19.5%減の19億9600万ドル(約2175億円)、純損失は前年同期から970万ドル(約10億円)改善して5770万ドル(約62億円)の赤字だった。ブランド別では、「トミー ヒルフィガー」は同16.0%減の10億9640万ドル(約1195億円)、「カルバン・クライン」は同16.5%減の7億8120万ドル(約851億円)だった。中国市場は好調だったものの、ホリデーシーズンに再び外出規制が行われた欧州では70%、カナダでは同75%の直営店が一時休業していた。

 同社のステファン・ラーソン(Stefan Larsson)CEOは、「第4四半期は欧州で再びロックダウンが実施されたにもかかわらず、ほぼ予想通りの業績を上げることができた。危機的な状況の中、尽力してくれた世界中の従業員に心から感謝している。今後の展望としては、引き続き主力ブランドである『カルバン・クライン』と『トミー ヒルフィガー』に注力しつつ、カジュアルウエアやECなどをさらに強化していく」と述べた。

 リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS & CO.) の20年11月通期決算は、売上高が前期比22.7%減の44億5300万ドル(約4853億円)、純損益は前年の3億9500万ドル(約430億円)の黒字から1億2700万ドル(約138億円)の赤字となった。

 20年9~11月期(第4四半期)では、売上高が前年同期比11.6%減の13億8600万ドル(約1510億円)、純利益は同40.6%減の5700万ドル(約62億円)だった。

 同社のチップ・バーグ(Chip Bergh)CEOは、「これまでにない逆境の中、予想以上の結果を残すことができた。コスト構造やキャッシュマネジメントを見直し、機敏に対応できるようにしたことが成果につながった。今後も『リーバイス』というアイコニックなブランドの存在感をさらに高めるべく尽力し、顧客とのエンゲージメントを高め、急激に成長しているデジタルをいっそう強化することで、より強くて利益性の高い企業になれるものと確信している」とコメントした。

 ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)の20年10~12月期(第3四半期)決算は、売上高が同18.1%減の14億3280万ドル(約1561億円)、純利益は同64.1%減の1億1980万ドル(約130億円)だった。

 「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION)の20年10~12月期(第3四半期)決算は、売上高が同5.8%減の29億7154万ドル(約3238億円)、純利益は同25.3%減の3億4724万ドル(約378億円)だった。

 「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを擁するタペストリー(TAPESTRY)の20年10~12月期(第2四半期)決算は、売上高が同7.1%減の16億8540万ドル(約1837億円)、純利益は同4.0%増の3億1100万ドル(約338億円)だった。

 同社のジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)CEOは、「大変な逆風の中、増益という予想以上の結果を残すことができて非常に誇らしく思っている。これには消費者のニーズにフォーカスして全てのブランドで新たな顧客を獲得したことや、ECおよび中国市場での売上増が貢献した。いまだ社会情勢は不透明だが、競争力をさらに高めることで長期的かつ持続的に成長できるものと楽観視している」と述べた。

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松屋の売上高4割減 21年2月期、インバウンド消失

 松屋の2021年2月期連結業績は、売上高が前期比41.3%減の527億円、営業損益が39億円の赤字(前期は9億6300万円の黒字)、純損益が44億円の赤字(同8億5600万円の黒字)だった。

 松屋銀座本店の売上高は前期比43.1%減の434億円。新型コロナの影響によるインバウンド客の激減に加え、国内消費においても、都心を避けて生活圏へ向かう消費マインドの変化が如実に現れた。ただし国内顧客への売り上げは、上期(3〜8月)で前年同期比42%減だったものの、下期(9〜2月)は同11%減まで戻した。うち高額品(ラグジュアリーブランド・宝飾・時計)の売り上げは前年同期を16%上回った。21年春の上顧客向け催事は、19年秋に次いで過去2番目の売上高となるなど、富裕層の旺盛な消費が目立つ。

 2022年2月期連結業績は売上高が前期比29.0%増の680億円、営業損益が14億円の赤字、純損益が14億円の赤字を見込む。早期の黒字化に向けて店舗運営要員を約6%削減し、デジタルや構造改革など重点分野への配置転換を行う。外商事業の売り上げ拡大のため、経験豊富なバイヤーを外商部門に配置転換し、商品提案力を強化する。展覧会などのイベントやECでの関連グッズ販売にも力を入れる。

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バロック21年2月期は黒字で着地 正価販売の徹底、在庫コントロール、中国の復調が貢献

 バロックジャパンリミテッドの2021年2月期連結業績は売上高が前期比23.2%減の505億円、営業利益が同71.5%減の13億円、純利益が同86.9%減の3億7500万円だった。
 
 国内事業は新型コロナ禍の販売苦戦により、売上高は前期比24.8%減の444億円、粗利益は同27.1%減の259億円。一方、「年間通じてプロパー販売の徹底や在庫コントロールの適正化、販管費の削減(同20.3%減)に全社を挙げて注力した」(村井博之社長)ことに加え、EC販売の伸長(同21.2%増)もあり、6億4000万円の営業黒字となった。

 海外では、市場の回復が進む中国事業が業績を下支えした。現地企業のベル・インターナショナルと合弁で運営する中国事業は、売上高が前期比9.7%減の63億円、利益合計(小売事業、卸売事業の利益にロイヤリティを加えたもの)が同30.6%減の4億3000万円だった。SNSやライブコマースを駆使した通販事業の伸長(同21.5%増)も大きく寄与し、11月の中国最大のECセール「ダブルイレブン」の売り上げは同91%増だった。米国事業もデニムの好調を受けて黒字で着地した。

 22年2月期の連結業績は、売上高が前期比18.1%増の597億円、営業利益が同76%増の23億円、純利益が同247%増の13億円を予想する。

 国内ではブランドの世界観を表現できる大型店の出店を進める。3月には「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」が横浜の「みなとみらい東急スクエア」に首都圏最大となる店舗を出したほか、4月には「スタイルミキサー(STYLEMIXER)も同じく最大規模の旗艦店を千葉の「ららぽーとTOKYO-BAY」に出店した。

 中国では今年1月に国内300店舗を達成した。「(中国において)『マウジー』をはじめとした当社ブランドの集客力は非常に期待されている。今後も立地を厳選しつつ出店を継続していく」。

 デジタルによる業務効率の改善も進める。「アズール バイ マウジー」では先行して、マーケティング支援のジェミニ(東京都中央区、山田政弘社長)が提供する業務デジタル化システムを導入。データを活用した商品企画精度の向上や、顧客関係管理に活用する。

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「ルイ・ヴィトン」親会社、21年1~3月期は30%増収 時価総額は39兆円を突破

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2021年1~3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比31.7%増の139億5900万ユーロ(約1兆8146億円)だった。コロナ禍以前の19年同期と比べても、既存事業および現地通貨ベースで8%増だった。

 部門別の売上高では、「ルイ・ヴィトン」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのブランドを抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同45.1%増の67億3800万ユーロ(約8759億円)、香水&コスメティクス部門は同12.1%増の15億5000万ユーロ(約2015億円)、ワイン&スピリッツ部門は同28.5%増の15億1000万ユーロ(約1963億円)といずれも好調だった。

 20年12月に総額158億ドル(約1兆7222億円)で買収したティファニー(TIFFANY & CO.)が今期から組み込まれているウオッチ&ジュエリー部門は、「ブルガリ(BVLGARI)」が好調だったこともあり、同137.7%増の18億8300万ユーロ(約2447億円)と2倍以上の伸びとなった。「ティファニー」の売り上げは、19年同期との比較で8~9%増となっている。 

 免税店のDFSや化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)を運営するセレクティブ・リテール部門は、観光客の不在が響き、同11.0%減の23億3700万ユーロ(約3038億円)だった。

 なお19年同期との比較では、既存事業および現地通貨ベースで、ファッション・レザーグッズ部門が37%増、香水&コスメティクス部門は4%減、ワイン&スピリッツ部門は17%増、ウオッチ&ジュエリー部門は1%増、セレクティブ・リテール部門は30%減となっている。

 全体として非常に好調だった決算内容を好感し、LVMHの時価総額は4月13日に初めて3000億ユーロ(約39兆円)を突破。17年と比べ、およそ3倍に膨らんでいる。

 ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)最高財務責任者(CFO)は、「『ティファニー』のブランド力はとてつもなく強く、極めて大きな可能性を持っている。そこに疑いの余地はない。しかしその可能性を最大限に引き出すには販売網、マーチャンダイジング、マーケティングなどにおいて適切な戦略が必要であり、それを実行するには何年もかかる。大変な仕事だが、腰を据えてじっくりと取り組んでいきたい」と語った。

 ラグジュアリー業界では、臆測の段階にあるものも含めて買収の話題に事欠かない。アナリストやメディア向けの決算説明会で、検討している買収案件はあるかと問われたギヨニーCFOは、「ほかにやるべきことがある。現在は『ティファニー』をグループ内に統合し、長期的に成長させていくことが最優先事項だ。全てのリソースをそこに注ぎたいので、次の買収を検討している場合ではない」とこれを否定した。

 LVMHは四半期ベースでの地域別の売上高を開示していないが、米国とアジア地域が力強く成長した一方で、欧州は再ロックダウンなどの影響により回復が遅れているという。21年1~3月期では、売り上げ全体の41%がアジア地域によるものであり、中でもコロナ禍の影響から一足早く回復している中国市場は非常に重要な存在だ。

 中国では最近、新疆ウイグル自治区で生産されたコットンの使用中止を発表した企業に対する批判が高まっており、そうしたブランドの一つである「H&M」に対しては不買運動が起きている。LVMH傘下のブランドが同じようにボイコットされるリスクを考えたことはあるかという質問に対し、ギヨニーCFOは、「どの国においても成功することに脅威を感じたことはない。中国問題に関して誰もが話題にしているが、個人的には(脅威ではなく)ビジネスチャンスだと捉えており、中国で展開している事業について満足している。中国が複雑な国であることは否定しないが、それはどの国や事業も同じだと思うので、何か悪いことが起きるかもしれないというような心配はしていない」と述べた。同社はこれまで、新疆綿やウイグル問題に関する声明などは発表していない。

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「無印良品」営業利益48%増 9〜2月期、新常態が追い風

 「無印良品」を運営する良品計画の2020年9月〜21年2月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前の年の同じ期間に比べて2.7%増の2283億円、営業利益が48.2%増の233億円だった。コロナ下における新常態で同社が得意とする生活必需品へのニーズが高まった。値引きの抑制によって粗利益率が1.1ポイント改善したことも利益の底上げにつながった。

 日本の既存店およびEC(ネット通販)の売上高は同7.9%増だった。10月、1月に分けて実施した値下げの効果もあって客数が17.0%増えた。分野別売上高では衣服・雑貨が3.9%減の466億円と伸び悩んだが、生活雑貨が6.1%増の698億円、食品が59.8%増の229億円と牽引した。巣ごもり消費の追い風を受けた食品は、引き続きレトルトカレーなどがヒットした。食品の売上高は2年前に比べて倍増しており、売上高構成で16%に上昇した。

 日本だけでなく、中国を中心とした東アジア事業も増収増益を達成し、ロックダウンが続いた欧米事業の赤字をカバーした。

 通期(21年8月期)は売上高4876億円(前年の同じ期間に比べて21.4%増)、営業利益492億円(同約3倍)の過去最高業績を見込む。

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パルグループHDが黒字確保 21年2月期、生活雑貨とECが健闘

 パルグループホールディングス(HD)の2021年2月期連結業績は、売上高が前期比17.9%減の1085億円、営業利益が同84.7%減の13億円だった。不採算店舗の増加に伴い減損損失が膨らんだものの、投資有価証券売却益を計上したため、純利益は2億7000万円と最終黒字を確保した。

 期末店舗数は純増6の932店舗。実店舗は大きく落ち込んだものの、EC(ネット通販)事業の売上高が下期に大きく伸長した。巣ごもり需要の高まりで「スリーコインズ(3COINS)」を中心とした生活雑貨が健闘した。昨年春の緊急事態宣言の解除後に、仕入れ抑制や在庫のコントロールを徹底した結果、上期で前年同期比4ポイント近く落ち込んだ粗利益率が下期には2ポイント強改善した。

 EC事業の売上高は同34.7%増の236億円だった。自社サイト「パルクローゼット」の売上高が同78.5%増の74億円となり、実店舗とほぼ同じオペレーションで展開していることが好業績につながった。EC化率は13.3ポイント増の31.4%になった。井上英隆会長は「この状態が続けば4割近くまでいくと思う」と予測する。

 セグメント別の売上高は、衣料事業は同22.2%減、雑貨事業は5.9%減。雑貨事業は下期には18%増と盛り返した。ブランド別では「スリーコインズ」のほか、アパレルでは「フーズフーギャラリー(WHO’S WHO GALLERY)」「チコ(WHO’S WHO CHICO)」「カスタネ(KASTANE)」「ミスティック(MYSTIC)」などカジュアル系が好調だった。「自宅で着るワンマイルウエアなどカジュアルなファッションと、生活雑貨がよく売れた。また、オンラインで購入する習慣が定着してきた」と井上会長は話す。

 22年2月期の連結業績は、売上高1340億円(前期比23.5%増)、営業利益74億円(同534.8%増)を見込む。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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三陽商会5期連続の最終赤字 21年2月期で損失49億円

 三陽商会の2021年2月期連結業績は売上高が379億円(20年2月期は688億円)、営業損益が89億円の赤字(同28億円の赤字)、純損益が49億円の赤字(同26億円の赤字)だった。20年2月期は決算期変更により14カ月決算のため、カッコ内は参考値。16年の“バーバリー・ショック”から5期連続の最終赤字となった。

 新型コロナウイルスの影響による主力の百貨店ブランドの不振が響いた。特に緊急事態宣言が発出され、店舗休業に追い込まれた上期(3〜8月)は売上高が激減。余波の影響を受けた下期(9〜2月)も、在庫消化を目的としたセールの長期化が、利益率を悪化させた。固定資産売却益などによる特別利益84億円を得たものの、休業による損失、店舗撤退などの構造改革費用、加えて希望退職者募集に伴う特別退職金の支給もあり、特別損失49億円を計上。20年10月に発表した通期予想(純損失35億円)よりも、最終赤字は大きくなった。

 22年2月期連結業績は、売上高が前期比15.9%増の440億円、営業利益1億円、純損益トントンを予想する。

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J.フロント最終赤字286億円 21年2月期で百貨店35%減収

 J.フロント リテイリングの2021年2月期連結業績(国際会計基準)は、純損益が286億円の赤字(前期は371億円の黒字)だった。コロナによる大幅減収に加えて、昨年春の緊急事態宣言に伴う休業に伴う固定費の振替、津田沼パルコや所沢パルコの閉店決定に関する費用などがかさんだため、営業損益が242億円の赤字(同402億円の黒字)だった。

 一般的な小売業の売上高に相当する総額売上高は、同32.4%減の7662億円に落ち込んだ。主力の百貨店事業(大丸・松坂屋)の総額売上高は34.7%減だった。百貨店は下期に回復基調を見せたが、コロナの第3波の影響で年末以降も足踏みが続いた。百貨店の免税売上高が同96.1%減の23億円とほぼ消失したことも痛手になった。昨年11月に開業した心斎橋パルコは想定を上回る売り上げ推移を見せた。

 22年2月期は総額売上高が前期比30.6%増の1兆50億円、営業利益が110億円、純利益が40億円を見込む。総額売上高はコロナが本格化する前の20年2月期との比較で9割に満たない回復と予想する。

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TSIの中期経営計画 「パーリーゲイツ」「ハフ」など高収益事業に投資集中

 TSIホールディングスは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「TSI INNOVATION PROGRAM 2024」を発表した。新型コロナの影響長期化を受け、高収益事業への重点投資とデジタルを軸とした経営改革に舵を切り、再生を急ぐ。同期末までに営業利益率10%を目指す。

 22年2月期からは高収益事業に投資を集中する。対象となるのはコロナ禍でも業績の堅調な「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」「ハフ(HUF)」などのスポーツ、アスレチック、ストリートウエアブランドが中心。「(好調事業は)シンプルにいい立地にいい商品、いい接客があれば売れる」(下地毅TSIホールディングス社長)との考えから、店舗立地や商品量、人員配置などを見直す。これらのブランドの都心の一等地にある店舗では、先駆けてデジタル化も進める。EC上で店舗試着やスタイリストの接客予約ができる仕組みや、アプリを使って顧客を識別するチェックインスタンドなどを導入する。
 
 一方、低収益事業に関しては店舗撤退やブランドの廃止も視野に、ECシフトを進める。春にリニューアルした「ミックスドットトーキョー(MIX.TOKYO)」は3月、販売スタッフコーディネートをテーマとしたECサイトとしてリニューアルした。販売員のオンライン上での評価制度の整備にも着手している。

 不振が続く基幹の百貨店ブランド、セレクトショップブランドは、商品企画の面から抜本的にテコ入れする。「ナノ・ユニバース(NANO・UNIVERSE)」ではクリエイティブディレクター制を導入し、独自の商品デザインや世界観を強める。

 データ活用においても、グループ全体でさらに連携を強める。TSIホールディングスは今年3月からグループの段階的な再編を進めており、22年3月期末までに事業子会社制を解消、持株会社TSIが各ブランド事業を運営する体制となる。「コロナ禍で経営の高速化の必要を痛感している。これまで事業会社ごとにバラバラだったデータを一元管理し、経営をダイナミックで迅速なものにしていく」。生産面でも、一元管理したデータをSCM(サプライチェーンマネジメント)に活用する。3Dによるサンプル製作なども駆使して機敏な生産・物流体制を構築し、適時・適量・適価の商品投入で収益最大化を図る。

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TSI最終黒字38億円 21年2月期、不動産売却が寄与

 TSIホールディングスの2021年2月期連結業績は、純利益が前期比77.0%増の38億円だった。コロナの打撃で本業のもうけを示す営業損益は118億円の赤字(前期は7000万円の黒字)に沈んだ。構造改革費用として店舗閉鎖や希望退職募集などに伴う特別損失86億円を計上したが、港区と新宿区で保有するビルの不動産売却益など特別利益248億円で埋め合わせたため、最終損益は黒字を確保した。

 売上高は同21.2%減の1340億円。昨年春の緊急事態宣言による店舗休業とその後のアパレル消費の低迷が響いた。「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」「アドア(ADORE)」「ナチュラルビューティベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」といった都心立地で通勤などの場面で選ばれるブランドが大幅な減収になった。一方で、「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」「アンディフィーテッド(UNDEFEATED)」「アンドワンダー(AND WANDER)」といったスポーツ系やストリート系のブランドは前期実績を上回った。国内EC(ネット通販)売上高は同12.0%増の406億円になった。

 22年2月期の業績は売上高1524億円(前期比13.7%増)、営業利益11億円、純利益16億円(同57.0%減)を予想する。売上高はコロナが本格化する前の20年2月期との比較で10.4%減になる。上期(3〜8月)はコロナの影響によって5億円の営業赤字、下期は一定の回復を見込んで16億円の営業黒字を見込む。

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そごう・西武の最終赤字172億円 21年2月期、構造改革費用かさむ

 そごう・西武の2021年2月期業績は、純損益が172億円の赤字(前期は75億円の赤字)だった。昨年春の緊急事態宣言の際の約1カ月の休業と、その後の消費低迷が響き、既存店売上高が前期比24.2%減と落ち込んだ。8月末に西武岡崎店、西武大津店、そごう西神店、そごう徳島店を閉店するなど、一連の構造改革費用も膨らんで損失幅を広げた。

 売上高に相当する営業収益は同26.6%減の4404億円だった。主力である衣料品の下げ幅が激しく、売上高が同37.7%減の1334億円で終わった。本業ももうけを示す営業損益は66億円の赤字(前期は1億7200万円の黒字)に転落した。

 同社および親会社のセブン&アイホールディングスは、現時点での22年2月期の業績予想を見送った。

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通販大手フェリシモ、巣ごもりで売上高16%増 21年2月期

 通販大手フェリシモの2021年2月期連結業績は、売上高が前期比16.3%増の332億円だった。同社の増収は9年ぶり。巣ごもり需要によって機能性のある下着や日常着、手芸キットなどが活発に動いた。販管費は増加したものの大幅増収で吸収したため、営業利益は同約5倍の15億円になった。

 昨年春の緊急事態宣言の前後で新規の会員が目に見えて増えた。品目別売上高は7割弱を占める服飾・服飾雑貨が同10.5%増、約3割の生活関連が同28.4%増だった。下着「フラフィール(FLUFEEL)」の姿勢を美しく保つ“ヨガ気分ブラ”、婦人服「リブ・イン・コンフォート(LIVE IN COMFORT)」のリラックスしたシルエットの日常着、ハンドメイド雑貨「クチュリエ(COUTURIER)」の刺しゅうの手作りキットなどがよく売れた。

 22年2月期は巣ごもり特需の沈静化を織り込んで、売上高321億円(前期比3.2%減)、営業利益3億7700万円(同74.9%減)を予想する。

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スタイレム瀧定大阪、売上高26.6%減 21年1月期

 服地卸大手のスタイレム瀧定大阪の21年1月期決算(未上場)は売上高が前期比26.6%減の694億円と大幅な減収を強いられたものの、営業利益は3100万円(前記は20億1700万円)と黒字を確保した。売上総利益率は同1.4ポイント悪化の13.7%だった。瀧隆太社長は「業界自体が縮小しており、コロナが収束したとしても元には戻らない」との見方を示した上で、「前期(21年1月期)はそうした中でも黒字化できる態勢を整えた」という。特別損失に構造改革費用として10億8500万円を計上した。

 品目別の売上高は原料が同63.6%減の16億6400万円、生地が同26.6%減の374億円、衣料製品が同23.1%減の253億円、ライフスタイル製品が同20.0%減の30億4400万円、その他が同13.9%減の19億300万円だった。酒向正之代表取締役副社長は「残っているブランドも多くが型数を絞り込み、初回生産の数量も減らしている。その一方で売れたものを追加で生産していくやり方が増えており、これまで以上に現物へのニーズが高まっている。ニーズを先読みして、求められる在庫をストックする、当社本来の機能が求められている」という。

 また、「コロナ禍が出張経費などを見直すいいきっかけにもなった。移動が制限されていることもあるが、19年度に比べると出張経費は今期も7掛けくらいのイメージ。その分デジタルトランスフォーメーションを進め、経費を圧縮する。一方で当社の本質的な役割である、ニーズを見極め在庫を積むということに関してはデータを活用しつつも、最終的には人間の力がモノを言うし、その部分に関しては『失敗してなんぼのもん』。リスクを取って思い切ってやっていく」と瀧社長。

 22年1月期の見通しは公表していないものの、「21年1月期の10%増を計画している」(酒向副社長)。

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ルルレモン、20年は10%増収 ホームフィットネス需要が追い風に

 ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA以下、ルルレモン)の2021年1月通期決算は、売上高が前期比10.6%増の44億187万ドル(約4842億円)、営業利益は同7.7%減の8億1998万ドル(約901億円)、純利益は同8.7%減の5億8891万ドル(約647億円)だった。

 地域別の売上高では、北米が同8%増、海外が同31%増だった。ルルレモンが20年6月に5億ドル(約550億円)で買収したホームフィットネスのスタートアップ企業ミラー(MIRROR)は、1億7000万ドル(約187億円)の売り上げとなり、予想の1億5000万ドル(約165億円)をやや上回る結果となった。

 四半期ベースでは、20年11月~21年1月(第4四半期)の売上高は前年同期比23.7%増の17億2955万ドル(約1902億円)、営業利益は同9.9%増の4億5790万ドル(約503億円)、純利益は同10.6%増の3億2983万ドル(約362億円)だった。地域別では、北米の売上高が同21%増、海外が同47%増だった。

 カルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)=ルルレモン最高経営責任者(CEO)は、「前例のない危機的な状況の中、引き続き業績を伸ばすことができ、非常に誇らしく思っている。日常的に運動をしてアクティブに過ごしたいという風潮は以前からあったが、パンデミックによってそれが高まったことが追い風となった。事態の収束後も、こうした傾向は続くだろう。当社はまだ成長の初期段階にあり、画期的なアイデアなどによって今後さらに多くの事業機会があると確信している」と語った。

 コロナ禍の影響によりさまざまな外出規制措置が取られていたため、ECの売り上げが大幅に増加した企業も多いが、ルルレモンも例外ではない。20年の売上高を販売チャネル別に見ると、D2Cが前期比101%増とおよそ2倍の売り上げとなったのに対して、直営店は同34%減だった。四半期ベースで見ても、第4四半期はD2Cが前年同期比94%増となっており、売り上げ全体の52%を占めている。一方、直営店の売り上げは既存店ベースで同28%減だった。しかし、同社は新規出店を積極的に行っていく予定で、21年には40~50店をオープンする。そのうち15~20店は中国本土に出店するという。

 マクドナルドCEOは、「主に店舗で買い物をするという顧客もおり、そうした顧客とのつながりを再び深めたいと考えている。中国市場はもちろん、全ての海外市場についてワクワクしている」と述べた。

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アディダス、20年は77%減益 ウィメンズとサステナビリティを強化

 アディダス(ADIDAS)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比16.0%減の198億4400万ユーロ(約2兆5598億円)、営業利益が同71.7%減の7億5100万ユーロ(約968億円)、純利益が同77.5%減の4億4300万ユーロ(約571億円)だった。

 地域別の売上高では、ヨーロッパが同12.3%減の53億2000万ユーロ(約6862億円)、北米が同10.3%減の47億6200万ユーロ(約6142億円)、アジア太平洋地域が同18.5%減の65億4600万ユーロ(約8444億円)だった。南米やロシアなども含め、全ての地域で減収となった。

 ブランド別の売上高では、「アディダス」が同15.8%減の180億9500万ユーロ(約2兆3342億円)、「リーボック(REEBOK)」は同19.3%減の14億900万ユーロ(約1817億円)だった。アディダスは「リーボック」の売却を21年2月に発表しているが、買い手候補などはまだ明らかになっていない。

 四半期ベースで見ると、20年10~12月期(第4四半期)の売上高は前年同期比4.9%減の55億4800万ユーロ(約7156億円)だった。7~9月期(第3四半期)が同6.9%減、4~6月期(第2四半期)が同35.0%減だったことを踏まえると、業績は順調に回復しているといえるだろう。現地通貨ベースでは、第4四半期は同1.0%増だった。

 第4四半期における地域別の売り上げは、現地通貨ベースでヨーロッパが同6.2%減だったが、北米は同2.2%増、アジア太平洋地域は同1.4%増となっている。なお中国本土は同7.0%増となっており、ほかのアジア太平洋地域との差異が大きいことから、今後の決算報告書では別個に扱うという。

 カスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者は、「20年はこれまで経験したことのないような年だった。さまざまな苦難に直面したものの、アディダスをよりよい会社にするための努力を続けることができ、尽力してくれた全ての従業員に感謝している。第4四半期には成長軌道に戻っており、21年の業績は15~19%の成長率になると予想している」と語った。

 販売チャネル別ではECが前期比53%増と非常に好調で、40億ユーロ(約5160億円)超の売り上げだった。同社ではこうした傾向が続くと見ており、オンラインでの売り上げは実店舗の3倍の速さで成長すると予想。25年にはECとD2Cが売り上げ全体の半分程度、つまり80億~90億ユーロ(約1兆320億~1兆1610億円)に達すると見込んでいる。

 ハーム・オルマイヤー(Harm Ohlmeyer)最高財務責任者は、「本当に劇的な変化だ。卸からD2Cに比重を移したことで中間業者が減り、結果的に売り上げに対する利益率が上昇した。D2Cを強化するには物流やマーケティングにより多く投資する必要はあるが、売上高の増加が見込める上に、純利益が速いスピードで成長するという利点がある」と述べた。同氏はまた、ECを展開している小売店とは提携を継続する予定だとしながらも、より小規模な小売店とは提携を解消する可能性があることを示唆した。

 アディダスは今回の決算とともに、21~25年の事業戦略「オウン・ザ・ゲーム(Own the Game)」の詳細を投資家やメディア向けの説明会で発表した。同戦略は2つに分かれており、前半はコロナ禍からの回復および21年について、後半は22~25年の成長戦略にフォーカスしている。

 同社はこの事業戦略の一環として、スポーツ(サッカー、ランニング、トレーニング、アウトドア)とライフスタイルに注力することを策定。これに伴い、アスレジャーなどのライフスタイル用品と、アスリート向けの機能性用品を分けるため、新たなブランドポジショニングを設定した。「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」は高価格帯のプレミアム商品やセレブリティーとのコラボアイテムを、「アディダス スポーツウエア(ADIDAS SPORTSWEAR)」は主にアスレジャー用品を、「アディダス パフォーマンス(ADIDAS PERFORMANCE)」は機能性アイテムを取り扱う。

 また今後の成長分野として、同社はウィメンズとサステナビリティを挙げている。21年3月には、世界の女性アスリートの声を反映したアクティブウエアのコレクションを発売した。サステナビリティに関しては、25年までに10のアイテムのうち9つがサステナブルであることを目指している。

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しまむらの営業利益65%増 郊外立地、巣ごもり消費が追い風

 しまむらの2021年2月期業績は、本業のもうけを示す営業利益が前期比65.4%増の380億円だった。一連のMD(商品政策)改革によって値引き販売を抑制したことに加えて、新常態によって郊外立地が追い風になった。コロナ禍で都心の百貨店やファッションビルに出店するアパレルが苦戦する一方、郊外立地で生活に密着した同社や西松屋チェーン、ワークマンなどが業績を伸ばしている。

 売上高は同4.0%増の5426億円。リラクシングウエアやスポーツウエア、衛生雑貨など巣ごもり消費に照準を合わせた商品が好調だった。売上高の7割以上を占める主力業態「ファッションセンターしまむら」の既存店の売上高は同2.6%増、客数は同1.6%減、客単価は同4.3%増だった。昨年10月に本格指導したオンラインストアの売上高は当初のほぼ予定通りの17億円だった。

 値引きの減少で「ファッションセンターしまむら」の粗利益率が1.2ポイント改善し、また新聞への折り込みチラシからデジタルチラシへの移行などによって販管費を抑制したため、利益が底上げされた。純利益は同99.3%増の261億円になった。

 22年2月期は売上高が前期比2.3%増の5548億円、営業利益が同1.6%増の386億円、純利益が同0.4%増の262億円を見込む。

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スウォッチ グループ、20年は62億円の赤字 香港の店舗の半数以上を閉店

 「オメガ(OMEGA)」や「ブレゲ(BREGUET)」などを擁する世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比32.1%減の55億9500万スイスフラン(約6546億円)、営業利益が同94.9%減の5200万スイスフラン(約60億円)、純損益が前年の7億4800万スイスフラン(約875億円)の黒字から5300万スイスフラン(約62億円)の赤字となった。

 同社はPVHコープ(PVH CORP)が擁する「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」とのライセンス契約を20年以上にわたって継続していたが、スマートウオッチにシェアを食われ、中間価格帯市場で苦戦していることなどから、21年中にこれを終了する。この非継続事業分を含めると、営業利益は9900万スイスフラン(約115億円)となる。

 地域別の売上高は、本拠地であるスイスが同54.8%減の3億4000万スイスフラン(約397億円)、スイス以外のヨーロッパが同36.1%減の9億9800万スイスフラン(約1167億円)、南北アメリカが同30.6%減の4億9000万スイスフラン(約573億円)、中国本土など中華圏が同16.0%減の24億8700万スイスフラン(約2909億円)、中華圏以外のアジア地域が同43.6%減の11億8700万スイスフラン(約1388億円)と、全ての地域で減収だった。

 半期ベースで見ると、1~6月期は観光客の不在が大きく響き、売上高は前年同期比43.4%減だった。しかし6月以降は一足早くコロナ禍から回復した中国本土が2ケタ成長となったことに加えて、米国市場が年末のホリデー商戦で前年並みの売り上げと好調だったことから、7~12月期は同14.3%減だった。なお、中華圏は同社にとって最大の市場であり、20年の売上高の44.5%を占めている。

 ピーター・スタイガー(Peter Steiger)=コーポレートコントロール部門ヘッドは、「米国市場が力強く回復していることもあり、20年11~12月には前年同期の売り上げを超えるなど、コロナ以前の水準に戻った。21年1~2月も2ケタ成長を続けており、1~3月期(第1四半期)には19年の実績を15%程度上回ると予想している」と語った。

 ニック・ハイエック(Nick Hayek)最高経営責任者は、「危機的な状況が落ち着いてくると、消費意欲が高まるものだ。アジア地域や米国でその傾向が顕著に出ている」と述べた。アジア地域では特に中国本土、台湾、マカオ、韓国、タイが好調だという。一方、ヨーロッパ市場は観光客の不在やホリデーシーズンにおける再度のロックダウンなどが響き、業績の回復にはまだ時間がかかりそうだ。

 スウォッチ グループは世界でおよそ1800の店舗を運営しているが、コロナ禍の影響による売り上げ減のため、20年には約380店を閉じ、全体で約10%の人員削減を行った。特に不調だった香港では92店から38店に減らしているものの、世界の主要都市を中心に55店を新規オープンしている。ECは非常に好調で、売り上げは前年と比べて70%の伸びとなっている。

 スイス時計協会(Federation of the Swiss Watch Industry)の調査によれば、21年2月におけるスイスから米国への時計総輸出額は前年同期比8.8%増の2億2390万スイスフラン(約261億円)となっており、11カ月ぶりにプラスに転じた。中国は同161.0%増、日本は同1.0%減となっている。

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「ブリーフィング」の運営会社が「フェリージ」のフィーゴを買収

 バッグブランド「ブリーフィング(BRIEFING)」や「ファーロ(FARO)」を手掛けるユニオンゲートグループ(東京都、中川有司社長)は、ユナイテッドアローズの子会社で「フェリージ(FELISI)」や「ハイド アンド ジャック(HIDE & JACK)」を展開するフィーゴ(東京都、赤間直樹社長)の発行済み株式を100%取得する。株式の譲渡実行日は3月31日の予定で、取得金額は非公表。

 中川社長は「ブランドと共に、フィーゴの全従業員の雇用も継承する。イタリア発祥のブランドがポートフォリオに加わることで当社の多様化も促進され、MADE IN USAを旗印に掲げる『ブリーフィング』と日本製中心の『ファーロ』との間でバランスも図れるだろう。これを機に日本はもとより、今年1月に現地法人ブリーフィングUSAを設立したアメリカ、今夏にブリーフィング台湾を設立予定のアジアでビジネスを拡大していきたい」と話す。

 「フェリージ」は1973年、アンナ・リザ・フェローニ(Anna Lisa Felloni)がイタリア北部の都市フェラーラで創業したバッグブランド。現在もフェラーラの工房で、ほぼ全ての商品がハンドメードされる。「ハイド アンド ジャック」は2014年、イタリア・ヴェネト州でアルベルト・フランチェスキ(Alberto Franceschi)とニコラ・フランチェスキ(Nicola Franceschi)の兄弟が創業したシューズブランド。

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しまむら最終利益が2倍に 21年2月期業績予想を上方修正

 しまむらは15日、2021年2月期連結業績予想を上方修正した。一連のMD改革が成果を上げたことに加えて、新常態で都心ではなく住まいの近くで衣料品を買う人が増えたことも追い風になった。コロナが本格化する前の20年2月期の実績も上回る。

 修正後の数値予想は、売上高が前期比3.9%増の5426億円(当初予想は5286億円)、営業利益が同65.4%増の380億円(同308億円)、純利益が同99.3%増の261億円(同192億円)とする。既存店ベースの売上高が前期比2.6%増と好調だった。MDの精度が高まったため値引きが抑制され、利益を大幅に底上げした。

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「ザラ」親会社、21年1月期は28%減収 欧州のロックダウンが打撃に

 「ザラ(ZARA)」を擁するインディテックス(INDITEX)の2021年1月期決算は、売上高が前期比27.8%減の204億200万ユーロ(約2兆6318億円)、営業利益が同68.4%減の15億700万ユーロ(約1944億円)、純利益が同69.6%減の11億600万ユーロ(約1426億円)だった。

 同社はスペインを含むヨーロッパが売り上げの63.3%を占めており、長期にわたるロックダウンが大きな打撃となった。20年2月は前年同期比8%増だったものの、3月は同50%減、4月は72%減、5月は51%減と大きく落ち込んだ。なお、同社の第1四半期(2〜4月期)は4億900万ユーロ(約527億円)の赤字だった。

 ブランド別では「ザラ ホーム」を含む「ザラ」が同27.7%減の141億2900万ユーロ(約1兆8226億円)、「ベルシュカ」が同25.6%減の17億7200万ユーロ(約2285億円)、「プル&ベアー」が同27.6%減の14億2500万ユーロ(約1838億円)だった。

 同社は店舗の統廃合により効率化を推進している。店舗数は前期末から640店減少し、6829店。売り場面積は同5%減だった。21年1月31日の時点でも店舗の30%がロックダウンで休業しており、52%が営業時間を短縮していた。

 一方、コロナ下でオンライン売上高は大きく伸長。導入を進めてきた在庫統合管理システムも奏功し、現地通貨ベースで前期比77%増の66億ユーロ(約8514億円)だった。

 21年2月も平均して店舗の21%が休業し、売上高は前年同期比15%減。3月8日の時点でも15%が一時休業しているが、7日までの売上高は同4%減だった。「店舗が再開された9月と10月は、制限があったにもかかわらず、売り上げは前年と同じレベルに戻っていた」とパブロ・イスラ(Pablo Isla)=エグゼクティブ・チェアマン。「在庫統合管理システムは、店舗が再開した際にさらに強さを発揮するだろう」。4月12日までには全店が再開する予定だ。

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YKKが“新常態”に向け大改革、定年廃止に組織再編、ファスナー機の新機種投入など

 YKKは、ファスニング事業で大掛かりな改革に取り組む。長らく事業本部と機械の開発・製造を行う工機技術本部に分かれていた組織を統合し、製版一体型の組織に改編するほか、グループ全体では人事制度を見直し、定年を撤廃する。3日にオンラインで会見を行った大谷裕明YKK社長は「先行きを見通すことは難しいが、新型コロナをきっかけに、ライフスタイルが変わり、これまでのように誰もが多くの服を買わなくなる可能性がある。そうなればこれまで成長を続けてきた世界のアパレル産業も需要の減少に直面する」と危機感をあらわにする。世界中のアパレルにファスナーを供給する巨人YKKは、コロナ後の“新常態”に大きく舵を切る。

 2021年3月期のファスニング事業の業績は、売上高が前期比19.9%減の3074億円、営業利益が同69.3%減の111億円、ファスナーの販売数量は同19.9%減の76億4000万本にとどまる見通し。20年3月期も暖冬の影響で大幅減益を強いられており、2年連続の減益になる。大谷社長は「年間で売り上げの山が一番大きな4〜6月に売上高が前年比42%減と、新型コロナ禍の影響を大きく受けた。その後は尻上がりに業績を戻したものの、全体を挽回するまでには至らなかった。市場環境は、新型コロナに加え、2年連続の暖冬による冬物不振、米中貿易摩擦など、マイナスの影響も大きかった。ただ、当社も市況の低迷時にも量的成長を実現できるコスト競争力が不足していた」と振り返る。

 こうした状況に対応するため21年度からは、これまでファスニング事業本部と工機技術本部に分かれていた組織を統合。ファスニング機械の研究開発部門の「テクノロジーイノベーションセンター(TIC)」を新設する一方、営業本部の下に商品開発機能を統合する。YKKはファスナーの生産機械や設備も自社で設計・開発・生産を行っており、事業本部とは独立した工機技術本部がそれらを担っており、それが競合他社を寄せ付けない圧倒的な商品力の高さを支えてきた。だが「例えばこれまでは新たなファスニングマシンを開発しても同一の最新機種を全世界に配置してきたが、本来は用途や地域によって求められる機械やリードタイムは異なっていた。組織を統合することで、これからは各地域の特性に応じた機種を開発するなど、コスト競争力と納品スピードを徹底的に追求する」という。ファスナー機械単体の性能はすでに世界最高水準に達していると見られるが、市場構造の変化にキャッチアップすべく、さらなる高みを目指す。

 また、これまで日本、北中米、南米、EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)、中国、アジアという6極に分かれていたグローバル経営体制も、東アジア(日本など)、AMERICAS(アメリカ大陸全域/北中米・南米)、EMEA、ASAO(ASEAN・南アジア・太平洋地域)、中国の5極体制に再編する。

 同社が掲げるのは、「最もボリュームのある商品カテゴリーで、より良いものをより安く、より早くそしてサステナブルに提供すること」。コスト競争力と開発と納品スピードを高める一方で、サステナブル経営にも注力する。2050年までに「気候中立(カーボンニュートラル、排出の実質ゼロ)を目指し、「気候」「資源」「水」「化学物質」「人権」の5テーマを設け、2030年までに繊維材料を100%持続可能素材への変更、2030年までに温室効果ガスを2018年比で50%削減し、50年までにゼロなどの施策を掲げる。

 YKKグループ全体で21年4月から導入する新人事制度では、これまで行ってきた定年延長をさらに推し進め、定年そのものを廃止する。猿丸雅之代表取締役会長は「目的は社員が年齢、性別、学歴、国籍にとらわれない、役割を軸にした人事制度を実現すること。退職時期に関しても社員が自分で決める」と話す。定年という概念がなくなるため、役割が変わらなければ給与も変わらなくなる。

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エルメス、20年も圧倒的な強さ 10~12月期はアジア地域で47%増収

 エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比7.1%減の63億8900万ユーロ(約8114億円)、営業利益が同11.3%減の20億7300万ユーロ(約2632億円)、純利益が同9.3%減の13億8500万ユーロ(約1758億円)だった。

 カテゴリー別での売上高は、レザーグッズが同6.0%減の32億920万ユーロ(約4075億円)、衣料・アクセサリーが同10.5%減の14億890万ユーロ(約1789億円)、シルク・テキスタイルは同23.7%減の4億5200万ユーロ(約574億円)、香水は同19.2%減の2億6320万ユーロ(約334億円)、ウオッチは同1.2%増の1億9590万ユーロ(約248億円)だった。

 地域別での売上高は、フランスが同28.5%減の6億1960万ユーロ(約786億円)、フランス以外のヨーロッパが同20.6%減の9億5340万ユーロ(約1210億円)、日本が同3.4%減の8億3390万ユーロ(約1059億円)、日本以外のアジア太平洋地域は同12.5%増の29億1540万ユーロ(約3702億円)、南北アメリカは同22.7%減の9億5900万ユーロ(約1217億円)だった。

 20年10~12月期(第4四半期)で見ると、売上高は現地通貨ベース(以下同じ)で前年同期比15.6%増の21億110万ユーロ(約2668億円)と増収だった。ライバルのLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が同3.0%減、ケリング(KERING)が同5.0%減だったことを踏まえると、コロナ禍の中でもエルメスの強さは際立っているといえるだろう。

 これにはアジア太平洋地域の好調ぶりが大きく寄与しており、日本は同15.6%増、日本以外のアジア太平洋地域は同47.4%増と大幅に業績を伸ばし、同18.2%減と不調だったフランスや、同3.6%減だったフランス以外のヨーロッパでの売り上げ減をカバーした。

 アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者はアナリストやメディア向けの会見で、「当社はパンデミックが発生する以前から、現地の顧客にフォーカスし、アジアでの存在感を高め、ECの強化に投資していた。こうした戦略が奏功し、コロナ禍においても業績を伸ばすことができた」と語った。20年におけるECの売り上げは3ケタ増となり、その75%が新規客だったという。

 エルメスは現在およそ1万6600人の従業員を抱えているが、業績が好調であることを受け、21年には全従業員に1250ユーロ(約15万円)の特別ボーナスを支給する。

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ロレアルの2020年12月期決算 「ラ ロッシュ ポゼ」などドクターズブランドが過去最高の成長率

 ロレアル(L’OREAL)の2020年12月期決算は売上高が前期比6.3%減の279億9210万ユーロ(約3兆5270億円)、営業利益が同6.2%減の52億900万ユーロ(約6563億円)、純利益が同5%減の35億6760万ユーロ(約4495億円)だった。新型コロナウイルスの影響を大きく受け、約7年ぶりの減収となった。

 事業部別で見ると、「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」「セラヴィ(CERAVE)」「ヴィシー(VICHY)」などのプロフェッショナルスキンケアブランドを擁するアクティブコスメティクス事業部の売上高は同13%増の30億1100万ユーロ(約3793億円)と唯一成長する事業となった。また、2年連続で過去最高の成長率を達成した。同事業部は皮膚科医などの皮膚のプロフェッショナルが支持するブランドから成り、健康意識の向上や肌トラブルの増加などニューノーマルのニーズとマッチし、急成長した。中でも「セラヴィ」は北米で人気上昇中で、売り上げは倍増した。

 「ケラスターゼ(KERASTASE)」や「ロレアル プロフェッショナル(L’OREAL PROFESSIONNEL)」などサロン向けヘア商材を展開するプロフェッショナルプロダクツ事業部はサロンの休業が業績に響き売り上げは同10%減の30億9730万ユーロ(約3902億円)だったが、ヘアケアが好調で「ケラスターゼ」は2ケタ成長を遂げた。同じくコンシューマープロダクツ事業部でもヘアケアが好調で、「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」の“エルセーヴ ドリーム ロング”シリーズがけん引。メイクアップはマスク着用や外出自粛で苦戦し、その結果同事業部の売り上げは同8.2%減の117億380万ユーロ(約1兆4700億円)だった。ロレアル リュクス事業部は同7.6%減の101億7990万ユーロ(約1兆2800億円)で、渡航制限によるトラベルリテールの不調が影響した。厳しい状況の中でスキンケアが健闘し、「ランコム(LANCOME)」「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」「キールズ (KIEHL’S)」などスキンケアが強いブランドが持ちこたえた。

 地域別ではアジアパシフィックが唯一売り上げを伸ばした。特に中国本土の売り上げが同24.1%増で、全事業部において2ケタ成長を記録するなど引き続き成長をけん引した。11月11日の「独身の日」セールでは「ランコム」と「ロレアル パリ」がTモールの美容カテゴリー売り上げの1位に輝いた。

 また、EC売り上げは同62%増(現地通貨ベース)を記録し、全体の売り上げの26.6%と過去最高値となった。

 アライアンス・バーンスタイン(AB BERNSTEIN)のアナリスト、ブルーノ・モンテイン(Bruno Monteyne)は「ここ数年のロレアルは市場平均を上回るパフォーマンスを成し遂げている。2021年も引き続きマーケットをリードするだろう」とコメント。JPモルガン・カザノブ(J.P. MORGAN CAZENOVE)のアナリスト、セリーヌ・パヌッティ(Celine Pannuti)は「ヨーロッパ中に広がるロックダウンにも関わらずこのパフォーマンスを達成できたのは、ロレアルのデジタル戦略の奏功を物語っている。ジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)会長兼最高経営責任者(CEO)は5月に、安心してCEOのポジションをニコラス・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)に引き継ぐことができるだろう」と語った。

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ルックHD20年12月期は下期の回復で黒字に コロナで「ブランド間格差が浮き彫りに」

 ルックホールディングス(HD)の2020年12月期は、売上高が前期比15.7%減の370億円、営業利益が同61.7%減の6億3600万円、純利益が同78.6%減の4億3100万円だった。「景気は今後回復していくだろうが、アパレル消費意欲はなかなか戻らないだろう。コロナ禍はブランド間格差を浮き彫りにした。プロパー価格で売り切れるブランドをどれだけ育成できるかを、今後はますます重視していく」と、多田和洋社長

 傘下の中核会社であり、国内アパレル事業を担うルックの売上高は同10.4%減の168億円、営業利益は同56.2%減の4億9800万円だった。「コロナ禍の影響で特に1~3月が厳しく、4、5月には店舗の自主休業もあったものの、3月に完了した実店舗とECの在庫一元化、販管費の絞り込み、仕入れの抑制の効果で下期は大幅に回復した。収益構造を強化できたことには一定の手応えを感じている」。国内アパレルの販路別売上高は百貨店が前期から7.1ポイントシェアを下げて22.3%。一方でECは9.4ポイント増の20.5%だった。23年12月期で目標にしていたEC売上高は、21年12月までに達成する見込み。

 好調ブランドの代表は「マリメッコ(MARIMEKKO)」。ブランド70周年のイベントを松屋銀座本店で2月半ばから行っているが、初日は510万円を売り上げたという。「コロナ禍でも売れるブランドは売れ続けており、一方で売り上げが半分になるブランドもある。本当に求められているブランドかどうか、ふるいにかけられている」と見る。

 子会社アイディールックによる韓国事業を主とする海外事業の売上高は、同3.8%減の186億円と国内アパレル売上高(200億円)に肉薄してきた。「韓国は日本よりもコロナ禍の影響が軽微だったことと、19年に子会社化した伊イルビゾンテ社が卸事業中心だった」ことで、海外事業の落とし幅は国内事業に比べて比較的小さかった。

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